○市村
委員 今両
大臣におっしゃっていただいたことについては、私も評価している部分ではあるんです。
ただ、ちょっと一点申し上げたいのは、これは極めて重要だと思っているんですが、NPOというのは特定非営利
活動法人のことを
日本で言っていますけれども、僕はこれも
一つ大きな問題があると思っているんですね。NPOというのは、先ほど冒頭から申し上げているように、公益法人も含む概念なんです。これはNGOでも構いません、どっちでもいいんです。そういった意味での言葉にこだわるつもりはありませんけれども、やはり、
日本で特定非営利
活動法人だけがNPOとなっちゃうと、後からの議論にちょっと差しさわりが私は出てくると
思いますので、公益法人を含んだ概念としてNPOというのはぜひとも使っていただきたいな、こういう
思いであります。
このNPOということ、私の言葉でございますので、ご存じのように、
アメリカへ行ってもNPOでは通じません。ホワッツNPOと言われます。
日本ほど、NPOという言葉がこれだけある種通じてしまっている国というのはないんですね、これは。だから、それだけに、非常にあいまいなものがひとり歩きしてしまっている部分があるので、より明確に使っていただくためには、公益法人も含む概念ということで、私はそういう
思いでここでNPOという言葉は使っておりますので、ぜひともそれでお願いいたしたいと
思います。
それで、そういった意味で、今、両
大臣からおっしゃっていただいた自民党の議論についても、どこかへ行かれましたけれども前の村上
大臣も、これは自民党ワールドなんだから、あとは民主党ワールド、市村ワールドをつくれよ、つくればいいんじゃないかということもここで議論した覚えもありますけれども、私は、そういう何とかワールドじゃなくて、やはりせっかくそうやって自民党でもそういう議論があったのであれば、何でそこで特定非営利
活動法人とか、またいわゆる学校法人とか社会福祉法人を外したのか、ちょっと残念な気持ちで今お聞きしておったんですね。
特に、特定非営利
活動法人の法制定については、私も、表へ出ていませんけれども大変絡んでいたこともありますので、あのときの議論を
考えると、今回みたいにまさに準則主義的に、法人格を取りたいというところがまずあったわけです、法人格については。
ただ、私は、法人格の議論はもちろん大切だけれども、まず税制の議論といいますか、先ほど申し上げたように、まず資金、事業資金をどうするかという議論がないと、幾らNPO頑張ってくれ、法人格を取ってくれ、どうぞ取ってくださいといったって、事業できないじゃないですか、まずはファイナンスをどうするのかという議論が最初に来なくちゃいけないんじゃないですかとずっと私は議論していまして、法人格だけとなると、かえってまたおかしなことになりませんかということは申し上げていたわけです。
どういうことかというと、今の特定非営利
活動法人も、実態を見ていただくと、ある種、一部プチ天下り先に化していると私は思っています。いわゆる
政治家である、また自民党の諸
先生方が議論されたようなことにはなっていない、実は。結局は、それは頑張っているんだからといって見ていると、実はプチ天下り先としてこの特定非営利
活動法人が使われているという実態もあるわけですね。かつ、まじめに法人格を取ってやろうとした方たちは、何か法人格を取ればいいことが起こると思って取ってみたら、何も起こらないじゃないか、お金どうするんだ、こう言っているわけですね。
恐らく、皆さんがおつき合いになっていらっしゃる方というのはもう本当にごく一部の方であって、だから僕は、そのごく一部の方の御
意見だけを大切にしてはいけないと。やはり、本当の実態を見ていただきたい、現場を見ていただきたいんですね。現場を見ていただければ、みんな困っているわけです。特定非営利
活動法人格を取ったものの、どうすればいいんですかと、私のところにも相談に来るわけですね。どうにもこうにもなりませんと。だって、お金ないんですからね、事業資金がないんだから。
だから、せいぜい私がアドバイスしているのは、私はこれを申し上げるのは大変悔しいけれども、はっきり言って、特定非営利
活動法人を支えるお金は、
一般的には税金とか社会保険料しかないんだから、もう自治体に行くしかないんじゃないですかと私はアドバイスを申し上げています。つまり、そこしかないんです。すなわち、税金に頼らないで、自分たちのことは自分たちでやろう、みんなのことはみんなでやっていこうという
思いでつくっていたものが、結局は、税金に頼らざるを得ないような状況になっている。税金もしくは社会保険料ですね、介護保険料に頼らざるを得ないような現状になっているということ。ここを、やはり僕は実態をしっかり見ていかなくちゃいけないと思うんですね。
すなわち、大切なことは、やはり、民の公の
世界を支えるための民の資金をどうつくっていくかという、やはりここの問題に戻ってこなくちゃいけないんです。この問題に戻らないかぬのです。先ほどからも何回も申し上げているように、ハーバード大学のケネディ・スクールも、結局寄附でやっているわけですね。寄附をするためには、税制優遇があるわけです。だから、そういった仕組みをやはり
日本は広範にもっと認めていくような、そういう発想にまず立たなくちゃいけないんじゃないか、こう思っております。
ところが、大変私、おもしろいと思っていますのは、今再チャレンジ支援というのでやっていらっしゃる中で、実は今度、民間企業に寄附をする仕組みをつくってあげるということを今
政府はやられようとしているんですね。
これは、特に雇用ですね、例えば障害者の方の雇用、あと母子家庭のお母さん方の雇用とか、そうしたいわゆる社会的に弱者と言われている方々の雇用を
促進するために、税金を使わないで民間から寄附を集めて、その集めたものを営利企業に寄附をしようというスキームなんですね。これは
政府がやっていることですから。これは極めてユニーク、本当にユニークだと
思います。多分、
世界を探してもどこにもないです。営利企業に寄附をするという仕組みをつくるということは
世界を探してもないと
思いますが、それをやられようとしています。
私は、どんなことであれ、お金がそこに回る、つまり税金でないものが回っていくというスキームをつくるのはいいとは思っていますが、ただ、結局、寄附でやろうとするわけですね。つまり、こういうところに、何というか、
日本の今、欠けているものというか、センスですね。つまり、そういうことをしていいのというのがあるわけですね。
営利企業に寄附をするというようなことが、しかもそれを税制優遇するということについて、こういうことがあるとすれば、やはりこれはおかしいな、もうちょっと細かくというか、もっと物事を深く
考えなくちゃいけないんじゃないかなと、極めてそういうふうに思うわけであります。
決してお金が出ることをだめと言っているわけじゃないです。事業に対してお金が出ることはいいと
思います。税金以外のものを何とか回していこう、その発想がまさにこの民の公へつながりますから、それはいいんです。いいけれども、どうも、そういうところには税制優遇を認めていくという、非常に部分的に開放していくという姿勢なんですね。私は、こういう姿勢じゃなくて、
政府としてはことしの秋に税制改正をやるということで、多分もう与党の皆さんの中でも議論されていると
思いますが、そういう抑制的な寄附税制ではなくて、もっと広範に寄附税制を認めていくというような、そうした流れをぜひともつくっていく必要があると思っていますが、両
大臣からのお言葉をいただきたい。