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阿部(知)
委員 社会民主党・市民連合の
阿部知子です。
本日、私は、
柳澤厚生労働大臣の
厚生労働行政を預かります基本的な姿勢、所信についての
質疑をさせていただきますが、実はこの国会は、先ほど来
皆さんが御
質疑のように、
柳澤大臣の、女は産む機械
発言によって、産むという人間にとって最も根源的な営みが果たして現代
社会において保障されているんだろうかということが問題になった国会であろうと思います。
私は、これまで
予算委員会の中で二回、
柳澤大臣に、実はこの産むということをめぐって、現実に非常に大きな問題が生じている
出産現場ということを取り上げ、さらに本日は、いわゆる産科領域における無過失補償
制度のことを取り上げさせていただく予定でありますが、その
審議に先立って、実は
大臣にお願いを申し上げました。
産むという作業、決して機械ではない、生ものの、生き物の、一人一人の人間が選び取るその作業の中で、不幸にして産む御本人が亡くなられるケース、母体の死亡と言いならわしますが、あるいは
お子さんが亡くなられるケース、あるいは障害を持って生まれ、生きていくケースなど、さまざまなドラマがそこにはございます。
実は、きょう私は、
大臣に、この
審議の後に六時から、そうした
出産にかかわりますさまざまな困難を抱えて、現状でいろいろな
取り組みをなさっておられる、特に陣痛促進剤の被害等々を負った御
家族、あるいは
お子さんを亡くされて裁判等々の経過を経て、現在は例えば
医療事故の再発防止に取り組む
皆さん、計十一
家族、十二人の方にお会いいただくことになっております。
実は、その十二人の中に、お一人の十歳の脳性麻痺の患者さんがおられます。
大臣はお会いになればわかると思いますが、車いすを使用であります。また、口から食べることができませんので、胃に直接チューブを入れて、そこから栄養物を流し込むという作業が必要でございます。
本日、養護学校が終わってから、夕刻来られますので、食事をする時間がありません。そこで、私の方から
厚生労働省にお願いして、
厚生労働省内の一室で食事をとらせていただけまいかとお願い申し上げました。ところが、これは
大臣によくお聞きいただきたいのですが、お手洗いの障害者用のところでさせたらどうですか、こういうお返事でした。トイレと食事を一緒にしろと言うような
厚生労働省であっていいかどうか。これは
大臣の暴言や失言ではありません。でも、私は、
厚生労働行政にかかわる方がそのような
意識でいるということが情けなくもあり、本当に怒りで震えました。
そして、何回かの交渉の後にやっと一室を確保していただきましたが、きょう、わざわざ私の
質疑時間で
大臣にこのことを申し上げるのは、やはり私は、
大臣の
発言もそうですが、
厚生労働行政に変わってほしいんです。温かい血のぬくもりの、血の流れる人間の行う行政に変えていただかねば、今本当にあちらこちらで悲鳴が上がっています。
実は同じような出来事が、もう四年前になりましょうか、
支援費の法
改革のときに、自立
支援法以前の
支援費のときにもございました。外で座り込んでいる障害者の方が、お手洗い、その場合は障害者用のお手洗いがないので、中に入れてお手洗いを使わせていただきたいとお願い申し上げましたところ、本当に無慈悲にお断りでありました。私は、その当時、木村義雄さんが副
大臣でありましたので、副
大臣室にお願い申し上げまして、たかがお手洗い、されどお手洗いでございます、やっと使わせていただきました。
一々こうやって副
大臣や
大臣に、こんなことがありました、あんなことですよと申し上げなきゃいけないような、特に障害の問題は本当に冷たいの一言に尽きます。もちろん私は、そこはどこの部署のだれがというようなことは申しません。しかし、
大臣がつかさどる省庁であります。
まず、
大臣がこのたびの御
発言を非常に深く悔いておられるということでありますので、
厚生労働省全体がどんな
意識で事に臨んでいるのか、申しわけありませんが、その点についても
大臣がきちんと御差配いただきますように、私は重ねてこの件は要求を申し上げます。
そうしたことにのっとって、
質疑を重ねさせていただきます。
きょう、先ほどお話し申しましたが、十二名、そして十一
家族のうち、実は四名は奥様が亡くなっておられます。御主人というか夫殿が来ておられます。また、四名は
子供さんが亡くなった御遺族であります。あと四名は現在脳性麻痺の
お子さんを抱えて闘病中というか養育中の方であります。
それで、
皆さんが大変に御心配されておるのは、今回の無過失補償
制度と言われますものが、まず、そうしたいろいろなさまざまな問題を抱えた方々の御
意見をほとんど伺うことなくつくられて非常に急速である、そしてなぜ脳性麻痺のケースだけなのかということであります。
火急なことは、ある
意味で、状況的にわかります。しかし、これまで、例えば陣痛促進剤の被害を受けられた方は、たしかせんだっても申しましたが、二百二十六ケースのうち半数近くはいわゆる医薬品の被害情報という形で
厚生労働省にも情報を寄せております。産科の現場、
出産の現場がどうであるかという声をお聞きになることなくこの
制度が進められたら、私は、実は仏つくって魂入れずになると懸念しております。
大臣に一問目。これまでの
制度設計の仕組みの中で、患者さんたちの声をどのようにお聞きになったのか。そして、なぜ脳性麻痺をまず取り上げられているのか。まずというと変ですが、そのケースなのかについて、二点お願いします。