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三宅参考人 おはようございます。
私は、地方の
中小企業が
地域の資源を生かして
活性化する、それのサポートをさせていただいておりますので、そのサポートの内容についてお話をさせていただきたいと思います。
まず、一ページ目をごらんください。私のプロフィールでございますけれども、私は、マーケティングのコンサルタントとして、今、
中小企業基盤整備機構の方の窓口支援、それから、
中小企業に行きまして徹底して指導する、そういうハンズオン支援、こちらの方をさせていただいております。同時に、私の会社は、広告の企画製作、商品
開発その他をサポートする、ライフコーディネート事業という形で私はお話しさせていただいているんですが、それを行っております。
今現在、
地域の
中小企業は非常に大変な状態です。その大変な、特に
ものづくり企業について少し事例を挙げてお話をさせていただきます。
事例を四つ挙げさせていただきました。
まず
一つは、
地域資源を活用した産地
技術型取り組み事例、こちらは、広島県にある熊野町という、筆では
日本全体の八〇%をつくっている小さな町がございます。そちらで、なかなか毛筆の筆が中国からの攻勢、いろいろな部分で今非常に低迷をしている中で、ちょっと見方を変えまして、化粧筆をつくるということで
世界のトップのブランドになって、これが引き金となって
地域全体で化粧筆をつくるという取り組みをして
活性化している、そういう事例です。
二番目には、同じく産地
技術型取り組み事例で、山口県の萩市にあります伝統工芸品で萩焼というものがございます。こちらの萩焼、大体お茶道具からでき上がっているんですが、このお茶道具、今はなかなか使われておりません。そこで、生活雑器として日常の食器に使っていただきたい、そういう思いを
一つの
中小企業が掲げまして、今の生活にマッチした萩焼をつくろうじゃないかということで、これは県の方もサポートしながら取り組みをやっているという事例です。
三つ目には、農林水産型取り組み事例で、鳥取県の大山町にある土木建設会社。これは、今は地方の建設業は非常に低迷しております。大変です。そして、この土木建設会社が、大山という非常に豊かな自然を生かして菌床栽培、キノコの栽培を行っている、そのキノコの栽培に対して県の方も非常にサポートをしながら取り組んでいる、そういう農工連携での取り組み事例をお話しさせていただきます。
そして四つ目には、
平成十六年度に、広島
大学の医学部の
バイオ技術を生かして、広島県との
産学官連携による新連携対策委託事業で、酒かすからつくりました植物性乳酸菌を活用して機能性の高いヨーグルトをつくる、そういうメーカーが広島県の府中町にございます。この乳
製品づくりの
企業に対し、売れる仕組み
づくりを支援する、そういうふうな事例を御紹介させていただきます。
まず、私のプロフィールの次のページ、広島県の熊野の事例からちょっとお話をさせていただきます。
これは、マーケティングのハンズオン支援により、
世界のトップブランドとして高く
評価され、
地域の
産業を
活性化させるリーディング
企業となった事例です。
こちらの
企業、竹田ブラシという有限会社です。資本金三百万円で従業員十二名という非常に小さな
企業なんですが、設立は今から六十年ほど前です。
皆さんも御存じのように、広島県熊野町は伝統工芸品として筆の産地で有名です。
この伝統工芸品の筆は毛筆用の筆なんです、こういう毛筆用の筆。ところが、実は、熊野で全国の八〇%が生産されているこの筆、学童用筆なんですね。小学校で、今、習字の時間がほとんどなくなってしまいました。中学校でももちろんです。学校の先生が筆で文字を書く、こういうことができなくなりました。そういうことで、その学童用筆、いい筆を使う、そういう意識がどんどん低迷しております。そこで、中国からの筆が大量に入ってきまして、今は小学校で使われている筆はほとんどが中国の筆です。そういう形で、広島県熊野町は非常に大変な状態なんです。
この伝統
産業としての毛筆用の筆、これではもう生きていけないということで、ある
企業が立ち上がりました。この立ち上がった
企業の
代表的なものが竹田ブラシなんですが、実は昔、六十年ほど前から外国の化粧品メーカーのOEMで、例えば口紅のパレットの中に入っている小さな筆とかアイシャドーの筆、これをつくっておりました。ところが名前が出せない。ですから、これはシャネルとかディオールとかという名前でしか出せないんですね。こういう筆、実は、ほとんどが広島の熊野でつくられております。しかも一本十円、二十円の
世界。こういうことではやはり産地として成り立っていかない、自分の名前で売っていこうということで、このような化粧筆をつくりました。こちらの方がそうです。
この化粧筆、実は一本も毛先にはさみを入れていないというすばらしい
技術です。この
技術はやはり熊野の毛筆の筆の
技術を応用したものなんですが、これを持ちまして、実際、自社の名前で、
世界にまず売り込みに行きました。というのは、
日本では市場がなかったということなんですね。まず
世界、ヨーロッパ、
アメリカのトップのメークアップアーティストに徹底して配りました。そして、メークアップアーティストからPRをしていただくということで、有名な女優、例えばカトリーヌ・ドヌーブとかエリザベス・テーラー、そういう肌の非常に弱い女優さんたちが絶賛しまして、
日本の広島にある熊野というところの化粧筆、すばらしいという、もう本当の
意味のトップの女優さんそれからトップのメークアップアーティストが営業マンになってくださいました。そして、それをフィードバックして
日本で、今では
日本の国内で広島の熊野筆といいましたらイコール化粧筆のような状態なんですが、伝統工芸品として毛筆の筆をつくっているメーカーも、その筆の
技術を応用してこういう化粧筆を実際につくっている、そういうふうな事例でございます。
そこで、私はどのようなお手伝いをさせていただいたかといいますと、まず、
ものづくりの
企業というのは非常に営業が下手です。物をつくるということに非常に力を入れているため、それをどのようにして売ったらいいのか、販路開拓するすべすらありません。そのために、ひとり歩きできるカタログをつくろうじゃないかという提案をさせていただきました。そして、このひとり歩きできるカタログ、これが今の次のページにございます。一本ずつ、使い方とその毛質と手入れの仕方それからメークの仕方をきちっとつくり込んでいく、そういうふうなサポートをしました。
そして、その次のページでございますが、やはり海外進出を図るということも、地方の
企業が生き残っていくためにある
程度量を売っていくためには、非常に必要な状況です。そのために、海外用のカタログも同じように、やはり一本ずつ、全部、使い方その他のものを入れながらやっていきました。そして、提案の仕方それから展示会でのディスプレーの仕方、そういう細かな部分をすべてサポートさせていただきました。
そして、次の事例でございます。
次のページ、産地
技術型取り組み事例、同じく伝統工芸品で萩焼です。
しかし、この萩焼は伝統工芸品に
最後に認定されました。しかも萩焼というのは、非常に有名な、三輪さんのような
人間国宝がいらっしゃるような、作家の方たちがほとんどです。この作家の方たちは、自分の名前で売っていくということを基本にされていますので、非常に高付加価値の商品ではあるものの、こちら萩陶苑(しゅうとうえん)と読みますが、こういう、どちらかというと半分工業
製品、機械で半分つくって半分手
づくりでというような
企業の場合は、なかなか作家のように高い値段で売るということもできないですし、量を売っていかないといけない。
そこで問題になっていますのが、この萩焼、実はお茶道具から入っておりますので、萩の七化けというように、貫入という細かなひびが入ります。この細かなひびの中に茶渋が入っていい味わいを出していくんですが、これがちょっとくせ者で、この貫入があるために、水分が中に入った状態で外に逃げない。だから、そのまま置いておくとカビが生える、油物を使っていくとそれが中にしみ込んで黒くなってしまう、食洗機にも使えない、電子レンジにも使えないという、現代の生活の中で日常雑器として使うためには非常に問題のある、そういう焼き物なんです。
そこで、この萩陶苑が今取り組みをスタートさせているのが、今のライフスタイルに合う食器をつくろうじゃないかと。ですから、伝統工芸品の認定でいきますと、土と釉薬というものがございますが、この伝統工芸品の枠から外れてでも、やはり新しい萩焼というスタイルを確立させるために、今、県の方と一緒に取り組みを行っている最中です。
私は何をお手伝いさせていただいているかといいますと、その次のページにございます。
萩焼というのは、何となく古くさい、田舎くさい、またお茶道具にしか使えないんじゃないか、そういうふうなイメージがつきまといますので、もっと若い方に、しかも洋食器と一緒に使っていただく、そういう取り組みをしていこうじゃないかということで、まず若い方たちにしっかりと使っていただけるような、そういうカタログ
づくりからスタートしました。
そして、この中には、使い方だけではなくて応用的なもの、例えば湯飲みは湯飲みとしてじゃなくて、ちょっとしたおかずを入れる、そういうものに使えるじゃないかというような応用的な使い方の指導を一般の消費者に行うためのいろいろな形での支援を行っております。
そして、その次のページ、
企業の方も一生懸命今頑張っています。この
企業、やはりマイナスをプラスにしていこうということで、土がやわらかい、貫入がある、そういうことで汚れてしまう、そしてカビが生えてしまう、そうすると、もうたんすの中に入れてしまって、あるいは捨てられてしまって使われなくなる。それをいつまでもしっかりと使っていただくために、汚れた食器をまた高温で焼き直ししますと再生します。この無料で再生するということをやっております。
また、感謝保証制度ということで、例えば五個セットの湯飲み一個欠けてしまうとやはり使われなくなってしまう、だから一個から買い足しができる、そういう制度をつくりました。こういう制度
づくりもお手伝いをしております。
また、今は萩焼は、例えば地元の観光事業をやっています旅館とかそういったところですら非常に使いづらいということで使われていないんです。だから、萩の子供たちは萩焼のことを知らないという状況です。そのために、小学校の学校給食に萩焼を使ってもらおうということで、週に一回、萩焼を使ってもらうための器を無料提供する、そういうふうな取り組みも行っております。ここら辺も
一つのマーケティングの取り組みということになろうかと思います。
次のページでございます。
これは農林水産型の取り組み事例で、先ほどちょっとお話しさせていただきました大山町にあります土木建設業、この土木建設業が非常に低迷しております。そのために、自社の遊休地を活用しまして、ハタケシメジ、このハタケシメジというのは非常につくり方が難しいシメジなんですが、これをつくることを昨年度からスタートしました。
どうせつくるんだったら、シメジとか一般的なキノコではなくて、今余り世の中に出回っていないキノコをつくろうじゃないかと。この世の中に出回っていないキノコというのはやはり非常に付加価値の高いキノコということで、ハタケシメジを取り上げました。これは非常にしゃきしゃき感があるのと、それから体にもいい、健康的にも非常にいいというキノコでございます。これを、できたものの販路がないということで私のところに相談に来られました。
まず、取り組みを開始させていただいたのが、有名なプロのシェフに使ってもらうという
戦略を組み立てました。そして、東京にたくさんの店舗がありますキハチ、そのオーナーであります熊谷喜八さん、それから、フレンチでは
日本ではトップと言われております井上さん、そういう方たちに使っていただくことによって、プロからの口コミ、これは熊野筆で実証しましたので、同じことをやろうということで、昨年度の末からやっております。
やはりプロの口コミは非常に大きいなと思いますが、おかげさまでいろいろな形で、スーパーのバイヤーさんなどが今注目していただいている、そういうふうな商品になりつつあります。
その次のページがその
一つの事例でございますが、どんなキノコなのかもわからなければ食べ方もわからない、こういうものは一般の消費者は手にとってくれないということで、まずチラシ
づくりからやりました。このチラシ
づくりの中には、このキノコを使った、十分以内で簡単に調理ができるという調理方法、それからキノコの特徴、それからどういう食べ方をしてもおいしいよというのを一般の方たちに知っていただこうということで、すごく簡単につくれるものを基本に、こういうツール提案というのをさせていただいております。
そして、
最後の事例です。これは今非常に大変な事例なんです。
広島県というのは酒どころです。
日本酒が非常においしいところなんですが、酒かすが出てしまいます。実は、三年前に広島県で、この酒かすから植物性乳酸菌をとるという
技術、これは広島
大学の医学部で
開発しました。この酒かすからとった植物性乳酸菌をうまく活用するということで、これは大体乳
製品の
製造メーカーなんですが、野村乳業という、学校給食の牛乳はほとんど野村乳業なんですね、広島の場合。この府中町にあります野村乳業が、
産学官連携でヨーグルトの中に植物性乳酸菌を入れたものをつくりました。
これは、何と三日間食べると便秘が解消するという、非常に女性にはうれしいヨーグルトなんですが、実は、
産学官連携でつくったということを前面に出してしまったために市場になかなか受け入れられない。スーパーに入れても大体半年ぐらいで撤去されちゃう。おいしいんです、食べたら。食べたらおいしいんですけれども、やはりマーケティング
戦略が全くできていなかったんです。
そこで、二年間全く売れなくて、昨年私のところに相談に来られました。話を聞いてみますと、ちょっと上の二つを見ていただくとおわかりのように、非常に男性的な筆文字のパッケージで、しかも百グラムと非常に量が多い。これは朝食べると効果が高いんですが、朝、朝食を食べた後に百グラムのヨーグルトを食べるなんてできないんですね。女性なんか特にできないです。では量を減らそうじゃないかと。
それから、植物性乳酸菌でつくったヨーグルトなんていう名前はいいから、もっと端的にわかるものにしようじゃないかということで、快腸ナビ、腸を快適にするナビゲーション、そういう名前をつけました。量を減らして、三日で効果があるんだったら三個パックにしたらいいということで、三個パックで売るということをやっとことしの六月からスタートさせようとしている、そういう事例でございます。
私がぜひ皆様方に御認識、それから御協力いただきたいのが、地方の
ものづくりの
中小企業、特に地方の資源、たくさんあります、それを生かして
ものづくりをしている
企業が今頑張っているんですが、頑張っても、しょせん地方で一生懸命頑張るしかない。なかなか販路ができない。販促策がない。よく
活性化には人、物、お金というのがありますが、物はあっても人とお金がないというのが現状でございます。
そういう
意味で、マーケティングのハンズオン支援というのが非常に重要で、今取り組みを行っているんですが、特に、やはり
皆さん、首都圏に対して、あるいは県外にしっかりとその商品を出していきたい、紹介したいという思いが強いです。そういう部分で、いろいろな形で今回の
法案は非常に
皆さん期待しておりますし、また、この
法案を生かして、本当に頑張っている
企業をサポートしていきたいなというふうに思っております。
どうもお聞きいただきましてありがとうございました。(拍手)