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北神委員 ありがとうございました。
本当に率直な御意見を伺えてよかったと思います。
というのは、実際、
大臣も多少やはりまだまだ足りない部分があるという御意見だというふうに思います。足りないといっても、比較の
対象というものがないとなかなかわからないんですが、私も
経済産業省が出している
資料で見ますと、アメリカは、さっき申し上げたパルミザーノ・レポートに基づいて、去年の一月三十一日にブッシュ大統領が一般教書
演説において米国競争力イニシアチブというものを発表された。その中身を見ますと、ナノテクなどの重要な研究に対する連邦政府の財政措置を倍増する、あるいは研究開発減税の恒久化、これは
大臣も以前取り組まれたという話ですが、今度アメリカの方では恒久化をするということであります。三本柱で、あともう一つは学校教育、生涯教育ですね。生涯教育というのは、アメリカの文脈の中で職業教育というものにすごい力点を置いているみたいですが、そういった教育改革というものも入れている。
そして、財政規模を見ますと、二〇〇七年以降、今後十年間で千三百六十億ドル、これは、
日本円に直すと何と約十五兆円あるわけであります。アメリカの
経済規模と
日本の
経済規模の違いとか、それはもちろんいろいろあると思いますが、しかも、アメリカは十年間にわたってずっと継続的にやっていく。
日本の方は単年度ぽっきりで、単純に三千億で比較をすれば、約五十分の一になってしまうという計算になると思います。だから、気合いの入れ方が違うんじゃないかというふうに思っております。
ただ、今
大臣が言われた、
経済財政諮問
会議において、プラン・ドゥー・チェック・アクション、そういった提言をされている。これは、私もぜひそれをきっかけに、今後、これは単年度の話だけではなくて、十年、二十年ぐらいのスパンで徐々に改善をしていきながら、できれば、やはり研究開発とか教育の投資というのは財政規模が最後は物を言うというふうに思いますので、そこら辺をぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。
これは、ほかの政策についても私も安倍政権になってから本当に気づいて、よく目にしてきているんですが、皆さん、やはり財政再建の制約の中でやらないといけないと。今も
大臣もそういうふうに言われましたし、去年の教育基本法の
改正のときも、教育改革は最重要課題だと。
御存じのように、
日本の教育費というのは、OECDの先進国の中でも、GDP比では非常に少ない。
お金が全部じゃないけれ
ども、やはりそういうところに力を入れるという
意味では、ぜひそこは予算で力を入れてほしいというふうに伊吹
大臣に申し上げたら、彼も、やはり財政の制約がある、なかなかできないと。特に、教育については、去年、いわゆる骨太二〇〇六の中で、もう既に小泉政権の中で枠をはめられちゃっているんですよね。これまで以上の削減をするということがもう閣議決定をされてしまっている。
そういった
意味で、安倍総理が去年、
所信表明演説の中で、成長なくして財政再建なし。
大臣は何かきょうは成長なくして
日本の未来なしというふうにおっしゃっていますが、
もともとは成長なくして財政再建なし。これは物すごい明確なメッセージで、私が冒頭申し上げた考え方にも共通するものがあるんですが、極端に言えば、赤字覚悟ででもやはり
経済成長に投資をするんだ、最初は赤字かもしれないけれ
ども、いずれその投資のリターンというものがより多く入ってくるというのがそのフレーズの意義だというふうに思うんですね。
ですから、そこは多分、
大臣は当然理解されているというふうに思いますし、安倍総理も理解されていると思いますが、やはり財務省の呪縛から、あるいは小泉政治の呪縛から脱却しないと、なかなか
経済成長というのは図れないというふうに思うんですよ。私も財務省にいたら怒られますけれ
ども、はっきり言って、財務省にいながら私なんかもそう思っていたわけであります。ですから、そういった姿勢でぜひとも政権の中で頑張っていただきたいというふうに思います。
もう一つ、今回の
経済成長関連三法案について申し上げたいのは、予算の規模、具体的な政策の中身だけではなくて、戦略の方向性であるわけであります。
つまり、午前中、
近藤さんとの話で、イノベーションとオープンというものが二つの柱だと。イノベーションというのもそうですし、オープンもそうですけれ
ども、基本的には、簡単に言えば、
企業の生産性向上と、国内だけじゃなくて海外にも需要を求めるという
意味合いだというふうに思います。
これについては、アメリカの置かれている
経済環境と
日本の置かれている
経済環境というのはおのずと違う。アメリカの方はそんなに、
景気が悪くてもみんな
消費をするような国ですから、
消費はある程度ずっと堅調なわけですね。
日本の場合は、さっきからもうずっと議論があるように、やはり
消費が非常に弱い。
大臣御自身も、この前、十六日の
所信表明で、
消費に弱さが見られる、
企業部門の好調さが
家計部門に波及することによって、バランスのよい
景気回復が実現されることが必要だというふうに述べておられるわけであります。
私もそのとおりで、持続的な
経済成長というのはやはり設備投資、輸出だけではとて
もとても確保することができないというふうに思っておりまして、政策的に申し上げれば、
企業の生産性向上だけではなくて、それだけやるんだったらやはり成長戦略としては不十分だというふうに言わざるを得ない。
私
たち民主党は、今国会で格差問題とかいろいろ議論をしておりますが、個々の
家計とか個人の生活の安定とか安心とか、そういったものも大事ですし、あるいは国民、国家として、
余り格差が広がって、不公平感が広がるというのも非常に問題だというふうに思いますが、それだけではなくて、まさに、ここで議論している
経済成長の観点からいっても、
経済格差というのは非常に足かせになるんじゃないかというふうに思います。
そういった中で、御手洗経団連会長とかあるいは一部の識者の中では、今グローバル化で、インドとか中国とか、三十億人もの低賃金労働者と競争しないといけない、そういった
意味では、当然、
企業が国際競争力を確保するためには、人件費を極力抑えないといけない、そういう論調があるというふうに思いますし、私もそれは決して軽視すべきではないと。確かに、グローバル
経済の中でそういった傾向がある。当然、そういうリーディング
産業の足を引っ張るようなことはできるだけしてはならないというふうに思いますが、これも、
先ほどからもお話が出ているように、ただ、その理屈が本当に今に当てはまるかといいますと、今回の
景気回復の局面を見ると、決してその理屈は当たらないというふうに思うんですね。
というのは、もう五年間、
企業収益というものはずっと回復をしてきている。これは、私が提出した
資料の一枚目にありますが、既に皆さんいろいろな形で、もっとわかりやすい形で
資料として出されておりますが、財務省の発表している法人
企業統計ですね。もう大体
景気が回復されたと言われる
平成十三年ぐらいから数字を出してあるんですが、
企業収益が回復をしていると。
内部留保の方を見ますと、マイナスから、
平成十七年に至っては約九兆円ぐらい蓄積をしている。そういった中で、役員賞与の方は、
平成十三年五千六百五十億円から、
平成十七年には一兆五千二百二十五億円と、約三倍になっております。株主の配当も、
平成十三年四兆四千九百五十六億円から、
平成十七年には十二兆五千二百八十六億円、これも約三倍ぐらいになっておる。それぞれ、配当もあるいは役員賞与も三倍ぐらいふえている。ところが、人件費は、
平成十三年の百九十二兆八千六百七億円から、
平成十七年百九十六兆八千四百七十五億円と、ほとんどふえていない。
だから、これは決して競争力に困って、なかなか商売もうまくいっていないから、収益がふえていないから、賃金に回せないとか、そういった話ではないというふうに思うんです。
実際、この五年間で、幾らタイムラグがあるといっても、さっきも、川端
先生の
資料にもありましたが、八〇年代あるいはイザナギ
景気のときに比べたら、明らかに労働分配率というものが上がってきていない。これだけでは、こういった
状況では、なかなか
大臣がおっしゃるように、
消費が弱い
状況というのは改善をしないんじゃないかというふうに思います。
そこで、お聞きしたいのは、
経済産業省も、名前のごとく、
経済と
産業、両方に目配りをする、設置法上もそういった役割になっておりますので、本当は今回の
経済成長戦略の中で、
企業の生産性向上だけではなくて、
消費重視の政策というものを盛り込む必要があったというふうに思うんですが、それについて、見解と今後の
取り組みについて
伺いたいというふうに思います。