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山口(壯)
委員 今
大臣の言われたとおりでしょうね。大体の専門家の見方は、早くても二、三年かかるという見方で、今自前の
核兵器は持っていないというのがもう一致した見方です。だから、
大臣の言われるとおりでしょう。どこかから勝手に買ってきたものがあるかどうか、それはわかりません。しかし、現実に、そういう
意味ではイランは
核兵器を自前のものは持っていないというわけですね。
大臣、今、なぜ急ぐのかという答えについてそれはわからないと言われましたけれども、実はそこは本当は問題なんです。なぜか。
アメリカと
日本は同盟でしょう。もっともっとよく相手の気持ちはわかっておられるべきです。相手の
アメリカのことがわからないと言うようじゃ、これは同盟のパートナーと本当に言えるのかということでしょう。だから、それは国会答弁だからそういう言い方をされたんでしょう。しかし、本当はきちっと、
アメリカもこういういろいろな事情もあったようだ、そこはわかってやってくれ、こういう答弁をぜひお願いしたいと思いますね。いろいろな事情、我々も理解できるものがあるかどうかですよ。
そして、先ほども私申し上げたように、イラクもイランも
核兵器を持っていないわけです。
北朝鮮は持っていると一生懸命叫んでいて、現実に我々も何発かあり得るなというところまで来ている。でも、
アメリカは不思議でしょう、矛盾があるでしょう。
北朝鮮については、とりあえずちょっとここでおいておこう、検証のシステムも決して万全じゃない。他方、いろいろなニュースに出てくるような、「ネクスト・ストップ・イラン?」と書かれたり、あるいは「ヒドゥン・ウオー・ウイズ・イラン」と書かれたり、結局そっちの方に行ってしまっている。
そういう
意味で、今回の合意というのはベター・ザン・ナッシングだけれども、
北朝鮮の核について現実に脅威に感じるのは
日本だけですから。
中国は自分のところに撃たれるとは毫も思っていない、
韓国も自分のところに同じ民族で撃つとは全然思っていない、
ロシアも心配していない、
アメリカも全くまだ今安心している。
日本だけが一番脅威なんですよ。その
日本が、本当はもっともっと詰めた合意をしなきゃいけないということをちゃんと知っておいていただきたいんです。
そして、
北朝鮮が今回具体的に譲ったのは、私が見る限り三つしかないんですね。全部とっている。例えば、
共同文書に明記してある
寧辺の施設、古いものですよ、
寧辺なんというのは。向こうにとってみたら、こんな古いものでよくここまで五万トンとか百万トンの手形を切らせたなという話ですよ。あるいは、向こうが受け入れた二つ目は、IAEA査察受け入れですね。そしてもう一丁、彼らは現実には、軽水炉を建設する事業をもう一回ちょっと頑張ってよ、ここまで言わなかったのがある
意味でこっちにとってみたらまあまあラッキーねという話で、ほとんど向こうはごね得なわけですね。
だから、
アメリカでもよくいろいろな議論が出ているのは御存じでしょう、ボルトン前国連大使とか。結局、今まで金正日氏はレジームチェンジ、体制変更を非常に恐れていた。
アメリカに何かやられるんじゃないかと。ところが、今回の六
者協議を通じて、核実験を敢行した
北朝鮮が今や歴然たる
交渉相手になってしまっているわけですよ、歴然たる
交渉相手に。存在を認めざるを得ないものとして、レジームチェンジなんてもうだれも言っていない。
アメリカもそう判断したんでしょう。だから、
アメリカにとって圧力をかける対象ではなくて対話の相手になっているわけですよ。圧力から対話に基本的にスタンスが変わっている。
先ほど
大臣は必ずしもそういう答弁をされませんでしたけれども、
世界の見方はもうほとんどこの点では一致していますよ。
アメリカが圧力から対話にスタンスを移している。その背景に、イラクもあるでしょう、イランもあるでしょう、あるいは、支持率が低下したホワイトハウスがヒル・ライスラインに乗っかって、このサクセスストーリーはどうですかといってやってみたという話もそれはあるかもしれない。そういう
意味で、
日本としては、こういう
アメリカのスタンスはあっても、やはり一番の脅威を感じる我々として、もっともっと本当は
交渉を詰めることが必要だったんじゃないかと私は思います。
大臣、私、今、次の内閣の
外務大臣ということになっています。この次の内閣というのは邪魔でしようがないんだけれども、しかし、まだ政権交代していないんだから。私、
大臣の
立場であれば、やはりワシントンにばんばん行って、あるいは場合によっては北京にもばんばん行って、あるいは場合によってはテルアビブに行って、場合によってはテヘランにも行って、ばんばん、もっともっとされるべきじゃないですか。イランにお友達もいっぱいおられるわけですから。
だから、その辺が、佐々江さんも有能な
局長ですけれども、現実に、我々が議論をする中で、
大臣が動かれた形跡というのは我々は見えないんです。やはり
大臣、ここは一番大事な話なんですから、大将みずから、構成員に頼ることなく、現実に突っ込んでいくということは非常に大事なことですので、これからこのプロセスが始まりますから、
大臣にはぜひ先頭を切って、ワシントンに、テルアビブに、テヘランに、そして場合によっては北京に行って
日本の存在感を見せてください。
こういうことがあって初めて安全保障
理事会の
理事国にという話も実質味を帯びてきます。今は現実に
日本が安保
理事国になっても、何をしたいんだろうということが諸外国はわからないと思うんです。やはり、そこは
大臣、私は、ある
意味で応援する気持ちで言っているわけですから、これからの今後の動きとして、ぜひそういう気持ちでお願いします。いかがでしょうか。