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辻元委員 冒頭申し上げましたように、アフガニスタン、今北部の方という例は出ましたけれ
ども、これはどうなっていくかわかりません。悪化の
方向に行っているということは、まずかなりこれは念頭に置いた方がいいと
思いますので、私は、今何か輸送とかという話もありましたけれ
ども、私は今の特措法では無理だと思うし、それから、この治安の
状況というのをかなり深刻に分析された方がいいと思うんです。
さて、もう一点、ちょっと角度を変えてこの問題を議論したいんですが、PRTそのものの評価なんですよ。
大島大使も批判があるということを認めていらっしゃるんですね。これは、最初
米軍が行って、その後引き継いだわけですけれ
ども、いろいろなことがわかってきました。例えば、
アメリカはこれはUSAIDなんかが一緒に行っているわけですけれ
ども、結局部隊というのは、麻生
大臣がおっしゃったように、治安を主としてまずやっていますので、百名の部隊であれば文人は一割程度なんですね。ですから、外から見たら、もうやはり軍隊なわけですよ。そして、そういう形で、
住民の方からは、やはりこれは軍隊が来たなというように見られがちで、それで、一般の人道活動をしている
人たちからも、自分
たちが人道活動をしているところにやはり他国の軍が来るというと緊張が生まれますので、中立性がなくなるし、PRTの活動をしている人なのか、それとも一般の人道支援なのかわからないので、危険性が高まるという
指摘も出ているわけです。
それについては、既にもうこのUSAID、
アメリカでも、このPRTの問題点ということで、軍と民が一体化して活動するPRTは中立性を重視する従来の人道援助団体の活動とは相入れない、安定化した
地域に軍服を着たPRTが入ったため新たな緊張を招いた例もあるというふうに報告されて、かなり世界じゅうで検証が進んでいるわけですね。ですから、私は、今、これはPRTに何らかの形で参加を検討するというのはちょっと時代おくれではないかというふうに、まず一点
指摘をしたいと
思います。
例えば、
日本の人道支援団体がアフガニスタンで頑張っています。その団体からも、これは
外務省の方に、PRT活動、この総理のNATOでの発言を受けまして、
質問状みたいなものが出ているわけですね。やはり、自分
たちの活動、中立性もなくなるし、もしも自衛隊が来るなんということになってしまったら、むしろ、今PRTが行くことであちこちで緊張が高まったり、それから、これは直接のつながりというわけではありませんが、例えば国境なき医師団などは、これは参議院でも
指摘されておりますけれ
ども、二十五年間にわたって活動してきました。しかし、フランス軍は行っていますので。
日本は、まだ何とか頑張って活動を続けられている。私は、一つは、やはり自衛隊が現場に行っていないということもあると思うんですね。
ですから、そういう
意味で、このPRTを総理が検討するというのは、非常に現実を見ていない、PRT自身の評価をつぶさに見ていない御発言ではないかというふうに私は危惧しております。
さて、そこで、またほかの一例も申し上げますと、例えば、人道支援団体ですと、この村人はタリバンの支援者かもしれないと思っても支援するわけなんです。しかし、PRTというのは治安目的もありますから、支援者かもしれないと思ったら、拘束したり情報を集めたりするわけなんですね。今まで平穏だった村全域にPRTが入っていって、治安及び情報の収集もあわせて援助をしようとするものだから、今まではうまくいっていたところがうまくいかなくなるというような例も、現地に行っている、先日援助団体の人からヒアリングをしましたけれ
ども、出ております。
ですから、やっている方はいい面をよく宣伝するんですけれ
ども、このPRTについてはどんな支援であっても私は慎重であるべきだというように思っております。
これは後で麻生
大臣に最後に答弁を求めたいと思うんですけれ
ども、時間が限られていますので、先に言いたいことを全部言いますね。
日本は割合、現場で評価されているんです。どういうことかといいますと、先ほどどちらかの
大臣が答弁されておりますけれ
ども、復興援助として
日本が指導的
立場をとった元兵士の社会復帰支援、DDR、これはある程度うまくいったと言われているわけです。これはなぜかと追求して現場の
人たちに聞きますと、
日本は中立性があるとまだ見られていると。それは軍を出していないからなんです。いろいろな村に行ったときに、軍を出していないということで中立性の担保になっているというような信頼
関係が、これは今の大使じゃなくて前の大使もそういうことをどうもおっしゃっていたようなんです。ですから、私は、このアフガニスタンの中の今の
状況を改善していくために、この
日本のポジションを最大に生かしたらいいと思うんです。
そこで、麻生
大臣に
質問したいわけですが、今、アフガニスタンの復興、PRTが全国展開する前に、ピース・ジルガというのをやっていたわけです。それは、コミュニティー単位での和平
合意を細かくしていこうという。これは割かし皆頑張ってやっていたと聞いております。現場に行っている援助団体なんかも、そういう情報が入っていました。ところが、そこにPRTが入っていったために、軍が入りますので、
地域の中でやっていた均衡が崩れるという場合もあるわけですね。
ですから、そういう側面からも、PRT自体はもう一度考え直すべきではないかと思っておりますし、そういうような情勢分析もありますので、ぜひ
外務大臣はその点留意していただきたいと
思います。
日本は、そういう
意味で、中立性をまだ担保できていると見られている節がありますので、このピース・ジルガを推進していくとか、そして、大島大使もこのようにおっしゃっています。タリバンの問題には軍事的解決はあり得ない、タリバンの根絶も望み得ないことであろう、タリバンの一部穏健派を政治プロセスに取り込むなどして過激派を孤立させたりして、何らかの政治解決が必要なのかもしれないと
指摘をされているわけですね。
結局、暴力の連鎖です。暴力の連鎖をどう断ち切っていくかというときに、
日本の中立的と言われる
立場を使ってこのアフガニスタンの現状をよく分析し、軽はずみにとは申しませんが、PRTに、いいんじゃないかというんじゃなくて、じかにアフガニスタンを見て対応していただきたいと
思います。何だか、安倍総理の御発言を見ていますと、このPRTというのをうまく使って一般法をつくりたいみたいな……