○
工藤堅太郎君 まだ大分時間が残っておりますけれ
ども、実はこの原稿を時間が足りなくなるだろうという
観点で三分の一ぐらい削ってしまったものですから、もうこの辺でまとめに入らせていただきたいと、このように思うんですが。
これまで行ってまいりました道州
制特区法案の
議論を踏まえて、私が
感じておりますことを忌憚なく述べさせていただきたいと思います。
この
法案の提出に至るそもそもの端緒が何であるかということはさておきまして、この
法案が当初、
北海道限定であったことは紛れもない事実であると、私はこのように思えてなりません。いや、そうでなくて、
全国を
対象にした
法案だと、こう言うんであれば、私は、
言葉が悪いんでありますが、ろくに
考えずに道州制をもう口に出してしまった。
これはもちろん前々から、昭和の初めのころから道州制という話がありますよ、これ出ております。出ておりますけれ
ども、ろくにどのような形で持っていくかといったようなことを
考えずに、全体をですよ、全体を
考えずにもう口に出してしまった。三県以上
合併することが難しい、口に出してしまったんで、三県以上、
北海道と面積が余りにも違っては駄目だといったようなことで、この三県以上といったようなことだろうと思うんですが、それをやるのは、これは口に出したけれ
ども非常に難しいと。十年、二十年先になるかも分からない。三十年先になるかも分からない。もう口に出してしまったので、まあ変な言い方ですが、格好が付かないといえば変ですけ
ども、もうこれは、
合併はこれはしなくてもいいような、
北海道を
対象にして取りあえずえいやっとやろうというような、そういうことで
考えていたのではないのかなと、こういうふうに思えてならないんですよね。それに伴って九十五条の
適用を回避するために
全国適用の
法案の形を取ったわけでありますが、これによってまた多くの矛盾点が出てくることになったんではないかというように思えてなりません。
また、小泉政権から安倍政権に替わる中で、
安倍総理が道州制の
導入に関して積極姿勢を取ることとしたにもかかわらず、この中で本
法案の位置付けを明確にしなかったことを強く
指摘をしておきたいと思います。
安倍総理は
所信表明演説におきまして、道州制の本格的な
導入に向けた道州
制ビジョンの策定など行政全体のグランドデザインを描くと、このように述べておられるわけでありますが、道州制の
議論は、この国の
在り方にかかわるものとして究極的には
憲法改正にも結び付く
可能性がある大きな問題であると、このように思うわけであります。
安倍内閣も本気でこの問題、これに取り組むのであれば、道州制についての明確な
理念と信念に基づいて
議論の土俵を設定して国民的な
議論を喚起すべきであります。かかる政治の意思が示されることが何よりも必要である。残念ながら、リーダーシップに基づく強力な意思が示されているとは言い難いとしか言いようがないわけであります。
繰り返しになりますが、この
法案は
北海道限定であるというように思います。しかも、
参考人からも
指摘をされておりますように、立案過程で
道民、
住民不在の形で、霞が関と
北海道庁の間で話が進められてきた、
住民不在の
法案でもあるわけであります。先ほど来、
佐田大臣はそんなことはないと、
北海道民の気持ち、心を大事にしながらと言っておりますけれ
ども、
道民どのぐらいこの
法案を
理解しているのか、私はとても疑問に思うわけであります。
構造改革
特区とか
地域再生のように小さく産んで大きく育てる、こういう発想は
理解できるんでありますけれ
ども、
北海道に限定して
考えても、今後の事務や
権限の
移譲がどのようになされるのか、財源措置はどうかといった点、これは必ずしも明らかではなくて、従来の
北海道の開発政策と一線を画する
可能性があるにもかかわらず、十分な方向性は示されていないとしか言いようがないと私には思えてなりません。
道州制という国と
地方の統治
制度の根幹にかかわる問題について
議論を行うには、余りにも枝葉の
議論が先行しているのではないか。
地方分権との関係も明確には整理をされておりません。先ほどの
お話のように三年後に整合性の取れた全体像が見えてくるとは到底私には
考えられない。道州制の全体の絵が浮かび上がってきたところで、新たな
法案によって現実的なパイロット事業の展開を検討していくべきではないか、その方がずっといいんではないかというような
感じを持っております。
再言しますけれ
ども、小泉前総理の思い付きに端を発した、熟慮されずに
制度設計がなされたのがこの
法案であると私には思えてなりません。このまま押し通せば必ず悔いを残すことになるんだろうと、このように思います。三十年、五十年という長期のスパン、これで見ればともかくとして、十年とか十五年何も恐らく変わらぬだろうと、これ以上他の
地域でこの道州制が進むとはとてもこの十年や十五年思えない、私には思えないのであります。官邸機能の強化を目指す
安倍内閣であれば、強力なリーダーシップを発揮して道州制の問題に対処するべきであろうと思います。その第一歩はこの
法案を撤回することを英断することだと、私はこのように思います。
以上をもって私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。