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2006-11-27 第165回国会 参議院 政府開発援助等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年十一月二十七日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  十一月七日     辞任         補欠選任         矢野 哲朗君     中川 雅治君      山内 俊夫君     岩城 光英君      広中和歌子君     江田 五月君      松下 新平君     若林 秀樹君      澤  雄二君     松 あきら君      谷合 正明君     高野 博師君      長谷川憲正君     亀井 郁夫君  十一月二十四日     辞任         補欠選任         大久保 勉君     尾立 源幸君      高野 博師君     谷合 正明君      松 あきら君     澤  雄二君  十一月二十七日     辞任         補欠選任         近藤 正道君     福島みずほ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山崎 正昭君     理 事                 阿部 正俊君                 小泉 昭男君                 山下 英利君                 犬塚 直史君                 富岡由紀夫君                 浮島とも子君     委 員                 岩城 光英君                 太田 豊秋君                 岡田  広君                 神取  忍君                 中川 雅治君                 中島 眞人君                 中村 博彦君                 野上浩太郎君                 朝日 俊弘君                 江田 五月君                 小川 敏夫君                 尾立 源幸君                 加藤 敏幸君             ツルネン マルテイ君                 藤末 健三君                 若林 秀樹君                 澤  雄二君                 谷合 正明君                 大門実紀史君                 福島みずほ君                 亀井 郁夫君    国務大臣        外務大臣     麻生 太郎君    内閣官房長官        内閣官房長官  鈴木 政二君    副大臣        外務大臣    浅野 勝人君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君        常任委員会専門        員        桐山 正敏君    政府参考人        外務大臣官房地        球規模課題審議        官        鶴岡 公二君        外務大臣官房参        事官       梅田 邦夫君        外務大臣官房広        報文化交流部長  山本 忠通君        外務省国際協力        局長       別所 浩郎君        水産庁資源管理        部審議官     五十嵐太乙君        経済産業省貿易        経済協力局長   石田  徹君    説明員        会計検査院事務        総局次長     石野 秀世君    参考人        独立行政法人国        際協力機構理事  黒木 雅文君        国際協力銀行理        事        武田  薫君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○政府開発援助等に関する調査  (我が国国益に資するODA在り方に関す  る件)  (顔の見えるODA草の根人間安全保障  無償資金協力に関する件)  (食料問題及び資源エネルギー問題と対外戦略  におけるODAに関する件)  (ODA評価システムに関する件)  (国際協力機構JICA)の予算執行効率  化に関する件)  (ODA情報開示に関する件)  (中東欧諸国及び中央アジア諸国に対するOD  Aに関する件)  (ODA卒業国に対する支援の継続と投資環境  の整備に関する件)  (参議院政府開発援助調査派遣団インドネシ  アにおける円借款案件調査に関する件)  (フィリピンに対するODAに関する件)     ─────────────
  2. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る七日、山内俊夫君、矢野哲朗君、長谷川憲正君、松下新平君及び広中和歌子君が委員辞任され、その補欠として岩城光英君、中川雅治君、亀井郁夫君、若林秀樹君及び江田五月君が選任されました。  また、去る二十四日、大久保勉君が委員辞任され、その補欠として尾立源幸君が選任されました。  また、本日、近藤正道君が委員辞任され、その補欠として福島みずほ君が選任されました。     ─────────────
  3. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  政府開発援助等に関する調査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 御異議ないと認め、さよう計らいます。     ─────────────
  5. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  政府開発援助等に関する調査のため、本日の委員会参考人として独立行政法人国際協力機構理事黒木雅文君及び国際協力銀行理事武田薫君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) この際、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。麻生外務大臣
  8. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 政府開発援助等に関する特別委員会の開催に当たり、山崎正昭委員長を始め委員各位の方にごあいさつをさせていただきます。  日本政府開発援助は、五十年にわたり途上国発展に大きく貢献してまいりました。そのかぎは経済成長を通じた貧困削減でありました。今日では約十一億人の人々が一日一ドル以下の生活を送っている中で、日本への国際社会の期待は小さくありません。我が国は、今後とも、ODAを活用しつつ、貧困に苦しむ国々自助自立支援いたします。  また、人間安全保障を増進し、国際社会の安定と繁栄に寄与します。  さらに、貿易投資環境の改善、資源エネルギーの確保といった我が国自身繁栄を確保する上でも重要な努力を続けてまいります。情けは人のためならず、ODAを戦略的、機動的に活用しつつ、外交政策を進めてまいります。  本年はODA改革が大きく進展をいたしました。総理の下に海外経済協力会議が設置され、また私の下に国際協力企画本部を設けるとともに、外務省の組織を再編をいたしております。平成二十年度には三つの援助手法の実施がJICAの下に統合される見通しであります。このように強化された体制の下で、昨年、G8、グレンイーグルズ・サミットで表明をした百億ドルの事業量積み増しといった国際公約達成を目指してもおります。また、ODA全体を効率的に実施し、効果最大にしていくための努力を行ってまいります。  山崎委員長を始め委員各位の御支援と御協力をよろしくお願いを申し上げます。     ─────────────
  9. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 政府開発援助等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 山下英利

    山下英利君 自由民主党の山下英利でございます。今日は、麻生大臣以下政府皆様方とこのODA特別委員会質問をさせていただける時間をいただきまして、本当にありがとうございます。  このODA特別委員会、これ参議院独自性といった意味におきまして、特にODAというものに対する意義そして在り方についての質疑をする場だというふうに私は理解をいたしております。決算委員会で、要するに決算内容からのODAということだけではなくて、やはり日本がこのODAというものを通じて国際社会の中でしっかりとリーダーシップを取っていくと、その際の重要な外交カードだという位置付けの中で国民にしっかりと理解していただく、そのための努力を我々もしなければいけないと、そのように思っておるところでございます。  まず、麻生大臣に御質問をさせていただきますのは、今私が申し上げた要するに外交カードとしてのODA、これの重要性について端的に大臣の所見をお聞かせください。
  11. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 先ほど所信の中で申し述べましたように、世界六十億、まあ正確なところは分かりませんが、人口約六十億と言われております中で、そのうちの六人に一人、十一億人はいまだ一日一ドル以下の貧困にあえいでいるという状況にあります。  私ども貧困というものを、少なくとも完全に撲滅とはいかぬでしょうけれども貧困削減というのは非常に大きい要素だと思っております。なぜなら、やっぱり貧困というものは、今問題になっておりますテロにしてもやっぱり貧困であり、先に夢、希望がなければテロに走りやすい。そのテロが起きることによって結果としてその地域は不安定になり、結果として貿易等々にも大きな影響が出ます。  したがって、日本としては、ODAをすることによってその地域における自助自立というものを促進させ、もってその地域経済を向上させることによって結果的には日本経済日本の安定にも回り回ってつながってくるということであって、目先、金を出していることになりましょうけれども、回り回って日本国益につながる。情けは人のためならずと申し上げましたけど、決して他人のためにやっているのではない、回り回ってその地域発展し安定することによってこっちにも見返りが出てくる、長期的にはそういう観点を常に持って臨むべきものだと考えております。
  12. 山下英利

    山下英利君 麻生大臣の今の御答弁、非常に分かりやすい御答弁だと思います。やはりODAを使うからには、それが回り回ってやはり日本国益に資するという観点というのは大変重要であり、かつ、それでなければ国民理解というのはなかなか得られない。そして、一方では、回り回ってという状況が分かりやすく国民に示していかなければいけないと、そのように思っております。  私も地元でやはり言われる話は、今景気が非常に悪い、そういった中でいろんな分野予算削減が行われていると。そういう状況の中でどうして海外ODAを拠出するのかという単純な質問を度々聞かされるわけであります。その際に私が申し上げているのは、ちょうど今大臣がおっしゃったのと同じような話をさせていただいています。ところが、中国についてはどうなんだと言われると、これもまた別な意味で、環境の問題であるとかそういったことも踏まえながら説明をさせていただいているのでありますけれども、やはり巡り巡って日本にとってのプラスになるということというのが非常に重要でありますから、ODAについてのしっかりとした仕組みを国民是非とも政府も分かりやすく説明努力を続けていっていただきたいな、そのように思っております。  そこで、私からまず質問をさせていただきたいのは、ミレニアム開発目標というのがございます。そして、それと日本ODAとのかかわりについてお聞かせをいただきたいと思うんですが。  私もこのODAの、政府開発援助白書、これを拝見しておりまして、いろいろ御説明をいただいております。その中で出てくるのがオーナーシップ、それとパートナーシップという言葉が出てまいります。オーナーシップ、すなわちそこの国の、開発途上国のやはり自助努力というものをいかに援助をしていくかと。これは言ってみれば日本とその国との二国間といった意味合いが強いんじゃないかなと。それと、一方ではパートナーシップという意味で、国際間の協調の中で開発途上国援助していくと、そういう役割があろうかと思います。  この中で、ここで大臣の御意見として、日本はそのオーナーシップをしっかりさせる意味での二国間と、それから国際機関を通じる要するにパートナーシップというものをこのODAの中でどういうふうに使い分けられるのか、その意味合いを含めてちょっと御意見をいただきたいと思っております。
  13. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御存じのように、ミレニアム開発目標は、ちょうど西暦二〇〇〇年の年に国際ミレニアム宣言というのがつくられたのを契機に取りまとめられた、何というか、世界国際社会共通課題というように御理解いただければと存じます。  その達成に向けて、いろいろ国連始めWHOとか、そういった国際機関というものがいろいろ自分たち目標を立て、援助国、被援助国、いろいろありましたけれども、私どもも、その関係する国とか関係する機関というものとの間にいろいろな協議を通じていろいろ連絡をし合っているところでもありますが。  日本ODAを実施していくに当たって、これは国際社会協調してやっていくというのは大事な観点なんだと思っております。なかなか合わないときもあることも事実ですけれども基本的にはやっていった方が、一緒に協調ができるならしていった方がいい。彼らの得意な分野もありますし、こっちが得意な分野もありますし、その方が効率がいいとも思っております。  したがって、今、平成十五年に改定をいたしまして、ODAの大綱におきましても国際社会における協調と連携というものを基本といたしております。被援助国対象国に対する国際社会問題意識と私ども日本が考えております意識とに差があるということは往々にしてあります。これは正直なところです。しかし、これは最初からそれを想定しているわけではないのであって、差があることはたまたまありますけれども、しょっちゅうしょっちゅうそういうことをしているわけではない。  したがって、そういうことがあった場合には、これはよっぽどよく調整をしてやっていくことをやらないと、なかなか話が難しくなってきて、向こう側内容が、被援助国内容が更に割れることになるというようなこともこれは避けたいところでもありますので、是非とも、そういった意味で、二国関係などというものと国際機関意見とその国の意見というものをいろいろ総合的に勘案してやっていくというのが難しいところでして、これはもうしょっちゅう話合いをしていく、しかも偏ることなく話し合っていくというのにすごく手間が掛かるところではありますけれども、これはやらねばならぬ努力だと思っております。
  14. 山下英利

    山下英利君 私もこれは非常に難しい視点だと思います。視点ではありますけれども、やはり国際協調の中での日本のステータスをしっかりと確保すること、それから、やはり当該国との関係というものをしっかりと密にする、そういった意味合いというのが、バランスというのが非常に重要ではないかなと思っております。  今大臣がおっしゃったように、時としてそこのバランスが崩れるといったときの対応というのは大変難しいので、そういった問題というのを踏まえて、是非ともODAを推進をする立場からよろしくお願いしたいというふうに思っております。  なぜ私がそういうことをお聞きしたかというと、やはり開発途上国というのはまだまだ国が安定しておりません。したがって、政権が替われば国の方針も変わってしまう、そういったリスクも含んでいる。そういった開発途上国に対するODAでありますが、しかし一方では、先ほどミレニアム開発目標の中にも出てきました、大臣もごあいさつでおっしゃいました貧困対策、これはその国民のやはり人間安全保障に絡む、そういった問題についてはその国の状況を乗り越えてでもやらなければいけないと、そういう問題もございます。そうしたときには、やはり国際間の協調パートナーシップというものを有効に使うということも必要になってくるのではないか、そのように私は思っておりますので。  じゃ、そこですぐに切替えができるかというところが非常に難しい部分だと思います。そういった際に、外務省としてどういう判断、どういう議論をされているのか、もし御説明いただければ大変有り難いと思います。
  15. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、今言われました質問は、これは具体的に個別の案件によって、これ全部国々によって違いますので、ちょっと山下先生、なかなか一概にこれが答えというのがあるわけではございません。  今その中で、政権が絶えず選挙のたびに入れ替わっているところというのは、三年なり四年なりするとごろっと入れ替わったのが出てきてまたゼロからという話になりますんで、私どもとしては、この政府が言っているときはこれ、この政府のときはこれというのでは、いつまでたってもということになりますんで、そこのところは私どもとしては努めて向こうを説得して、これはまずはこっちのプロジェクトを先にやってからこちらに行かないと駄目なんじゃないですかというような話を申し上げるんですが、何となくその地域に、おれの強い地域は、この政府はこっちの方が強い、この政府はこっちの方が強いということになると、どうしても援助がこっちに偏ったりこっちに偏ったりする。一番割食うのは国民ということになろうとも存じますんで、そこのところはちょっと山下先生、一概に定型的なものがあるわけではございませんので、総合的にと先ほど申し上げたとおりの判断でしか対応のしようがないというのが現実であります。
  16. 山下英利

    山下英利君 おっしゃるとおりだと思うんです。おっしゃるとおりなんですけれども、そこのところが分かりやすく我々が理解できるようにしないと、というか、政権が替わったからということだけではなくて、やはりその際にそこにいる国民状況が大きく激変をしてしまうと、そういった状況が例えばアフリカであるとか開発途上国には起きてくるわけですから、また、そのときそこへ行っていらっしゃる日本ODAの現場の皆さんのもちろんセキュリティーといいますか、安全というのももちろん懸かってくると、そういうふうに思いますので、やはりそういった常にリスクを内在したODAだということをアピールをしていただきたいなと思います。それが私が申し上げたい点でございました。  その中で、やはり人間安全保障といった意味での視点、これは先ほどお話あった貧困削減というのが非常に大きなODAの目的だというふうに私も思っております。私も、昨年の十二月にこの参議院ODA調査団の第三班でインドへ行ってまいりました。インドではいわゆるデリーメトロという今非常に大規模な工事を行っています。もちろんこれはインフラ整備でありますけれども、これをすることによって交通渋滞を緩和する、そしてやっぱり貧困層への対策というものも伺ってまいりました。  それで、インドは物すごく今経済が成長しております。したがって、こういう大型開発案件もこれからもどんどん出てくるだろうと。そして一方では、その貧富の差、いわゆる貧しい層というのはこれは格差がどんどんどんどん開いてきております。ですから、貧困層に対する援助という意味では、私もお邪魔しました例えば森林の植林事業、あるいは草の根のいわゆる無償資金援助、こういったものは非常に有効に活用されるというふうに思っておりまして、その辺りのしっかりとしたバランスの取れたODAというのが必要だなというふうに思っております。  今般、この貧困対策あるいは平和の構築といったいろいろな項目挙げていただいていますけれども、やはり発展途上国でも、例えばインドのように非常に経済が今伸びてきていると。したがって、そこの経済を活性化させることによってこれはより貧困対策にも通じてくるといった国、あるいはまだまだそこまで至っていない、もう本当に言ってみれば、さっきお話もございましたように、もう本当に水をすすって人々が生きているような国、これに対するODAというのは今度は大型公共投資ということではなくて、むしろ人道支援というものに重点を置いていかなければいけないんではないかなと。そしてもう一つ、やはりいわゆる社会基本インフラ、これを整備をしていくという観点からいえば、むしろ住民のいわゆる公平性というものを見ながらしなければいけないという部分もあろうかと思うわけであります。  ですから、インドへ行ってそういったいろんな地域でのコンビネーションによるODAというのも私は実際に拝見もいたしました。しかし一方では、そうでない国に対してはめり張りを利かしたODAというのも必要ではないかなと、そのように思っているところでございます。何かお考え、御感想ありましたらお聞かせください。
  17. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) あのデリーメトロというのの効果というのは、あの一番の効果は多分あそこに、作業に従事したインド従業員の労働に対する価値観が変わったのがあのプロジェクト最大効果だったと、私はそう思っております。今インド国内で時間どおりに動いている公共の乗り物は多分デリーメトロだけです。あとのものは大体時間どおりに来ることはまずありませんから。そういうところです。  その公団総裁というのともしばらくしゃべったことがありますが、とにかくこのプロジェクト最初から参加して、とにかくおれが習った日本語はたった一つ納期納期って、とにかく言うことは納期しか言わない。納期は全然最初分からなかったんですが、とにかく納期は時間どおりに物をちゃんと作ること。その納期に一日でも遅れようものなら物すごい勢いでやられて、とにかく時間どおり、何でも時間にやる。これを徹底して、働くというのは時間内に納めるということを、きちんと約束どおり履行するということを何万の、延べ何十万人の従業員に徹底して教え込んだのがこのプロジェクト最大の成果だったとインド地下鉄公団総裁という人から聞いたことがあるんですが、非常に印象的でした。  あの入口にも日本ODAによる寄附で七十何%は全部日本製ですって書いてありますし、どこかの国みたいにだれがやったか分からぬようになっている国と全然違いますんで、もう堂々と日本ODAにやってもらったということが書いてある。そういった意味では非常に日印関係にも大きな影響を与えたと思っております。  ただ今、一方、言われますように、同じインドの中でも水もないというところがあるのも事実であって、傍ら、アフリカなんかでもよくある話ですが、水は豊富にある、しかしかんがい用水は全くできていませんから、したがって、水はあるところにはあるけど、ないところには全くないというんで、そんなのかんがい用水路引きゃいいじゃないですかというような話は、まずそういった話より目先プロジェクトに、大きな派手なものに行きたがるから、いや、おたくはこれよりこのかんがい用水路の方をきちんと先にやられる方がおたくの国のためになるんじゃありませんかと、これはこの間も長々とやっていましたけど。  そういうような例というのは先ほどの調整の話でよく出てくるところでして、私ども全体として見てはこちらの方がというような、農業で当分の間やっていくんだったらこの農業のためにはこの用水路が一番と言って、今何となくそちらの方に目を向けてもらわないと、こちらの派手な部分よりはこっちなんじゃないですかという話もしたりする。  しょっちゅうある話ですけれども、そういったのの調整というのは、これは個別にやるのに問題はありますが、我々もその国行って、よくその国の中に長くいて、どう考えてもという全体を見ないと、一部だけ見てこれがいいかなとか、この政治家が言うからいいという話ではなかなかないのではないかと現場に当たって実感をしております。
  18. 山下英利

    山下英利君 そういった面での、その国にとって本当に何が必要なのかということを我々も考えてあげて、そして意見交換をして、本当に的確なプロジェクトを決めて、そしてそれに対してODAを出していく、これが一番先方に対しても私は感謝される話だと思います。そして、今大臣もおっしゃいました、出すからにはやはり、日本からこれだけの供与があったということをその国の国民の皆さんにも理解をしていただくということで日本に対する理解度を深めてもらいたいと、そのように思います。  インドへ行きましたときも、今おっしゃったように、これは日本ODAで造られましたという看板が掛かっていると、ああ、我々も行って、こういう形でODAが使われているんだなということも実感をいたしますし、そして、この委員会の中で派遣でODAの視察行かれた国にはそれぞれに、委員の皆さんも行かれた場合にはその国に対して思い入れができるんじゃないかなと、そういうように思います。実際私も行きまして、スラム街にも行って本当に貧困層もみんな見て、やはりこういった方々をどうやったらしっかりとサポートできるだろうかと自分なりに思うと、やっぱりそれ以降非常に気になりますし、やはり思い入れができてきて、正にそこの国が日本ODA支援によって安定し、しかも経済が伸びてくるということに対しては非常にうれしい気持ちがするわけであります。  しかし一方では、国民に対してそれをしっかりと説明していかなきゃいけない。ですから、今、インドの話については、私も地元へ帰って、向こうはこういう状況ですと、特に水環境というものは日本とは比べものにならないくらい悪いんですよというような話。じゃ、なぜそのためにその国にやるのかといったら、やはりそれは巡り巡って日本国益に結び付くというところまでしっかりと説明をしないと、なかなか理解到達するまでに時間が掛かるというような状況を今私も経験をいたしておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  そして、今、開発途上国に対するODAの大きな観点の中に環境の問題があると思います。先ほどごあいさつの中でもありました京都議定書目標達成計画、今、日本はそれの達成目指して本当に頑張らなければいけない、そういう時期にありますけれども開発途上国における環境の問題というのが巡り巡って日本にも波及をしてくるという正に問題だと思っております。ちょうど経済成長の中でなおざりにされる環境の問題というのを、やはり日本としてかつての教訓からその国に対して環境というものにおける支援という形にしてあげないと、なかなかその国の自助努力環境という問題にまで手が行かないだろう、そのように思っているところであります。  中国においても正にまだまだそういったレベルにあるんではないかなと、そういうふうに思います。白書を拝見いたしましても、やはり環境に対するODAの金額が多いというのはそこにあるんではないかと思いますが、そこら辺の御意見聞かせてください、副大臣
  19. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) 山下委員御指摘のとおりでございまして、例えば中国に対しましては、北京オリンピックまでに円借款、円ローンについては整理をする方針でございますけれども、例えば環境問題とか緊急な人道問題については無償の範囲で事柄を進めることはできないだろうか。そのほか、世界様々な国がそれぞれ経済成長をして個人一人当たりのGDPが基準よりも超えてくると、そういう国には無償援助がルールとしてできないと、そういうケースが出てまいりましても、環境問題は言わば別枠のような思想で優先して、無償を含め草の根を含めできることはできるだけの努力をしていきたいと、基本方針でございます。
  20. 山下英利

    山下英利君 その際には、環境の問題、ODAの供与ということだけでなくて、日本からのそういった開発、これに対してもしっかりと目を向けなきゃいけないと。やはり、森林の違法伐採等、そういったもので結局そこの国の環境を損ねているというようなことは、これはあってはならないんではないかなと、そのように思います。是非よろしくお願いしたいと思います。  そういったところの環境全般についてしっかり目くばせをしながら、このODAの供与をするということについては、現地の政府に対してもやはり環境という問題を日本は非常に重く見ているということもしっかりと理解してもらいながら協力をしていただかなきゃいけないというふうに私は思っておるところであります。  そして、この地球環境という問題においては、これはある意味においては先進国というか我々の責任の一端でもあるというふうに思います。そういった中で、いわゆる先進国間の協調による支援というのは大変この環境政策においては大事だと思いますが、今、現状、京都議定書は別といたしまして、そういった発展途上国における環境に対しての協調責任の行使といいますか、協調して環境問題に対応しているということについては、これは個別の問題となるんでしょうか、あるいはそれは一つのシステムとして環境問題についての協調をするという場が実際にあるんでしょうか、その辺をお聞かせください、副大臣
  21. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) 御指摘は、例えば地球温暖化への国際的な取組などについて実態はどうなのかというような意味合いを含んでおいでだと思います。  アメリカのほか、中国、インドなど、主な排出国に対して最大限の削減努力を促していくことなどは日本政府にとって最も重要な役割の一つと思っておりまして、例えば、今月、ケニアのナイロビで開かれた気象変動国際会議においても主導的な役割を日本政府は果たしております。ほかの先進国や国際機関協調しながら、今委員御指摘の環境を中心とする諸問題については、日本の技術やノウハウを活用し、引き続きODAを上手に活用しながら積極的に対応をしていく考えでございます。
  22. 山下英利

    山下英利君 私の質問の趣旨も今副大臣から御答弁いただきました内容と沿っているものでありますけれども、やはり、日本、アメリカ、あるいはヨーロッパ諸国、こういったところがそれぞれの技術を協調して持ち寄って、そしてある特定の国ないし地域に対して環境対策をしていくということも一つ必要ではないかなと。単発に日本だけがやっていくということではなくて、今ケニアのナイロビの話もございましたけど、やはりそういう各国の持っている資源というものを一か所に集めるということも非常に効果があるんではないかなというふうに思っているところでございます。どうか、そういった視点も踏まえながらの環境対策に対してはODAというものを是非とも考えていただければと思っております。よろしくお願いいたします。  そして、その開発途上国自助努力支援と、いわゆるこれがオーナーシップといったものではないかなと思っておりますけれどもODAのアンタイド化、先ほどお話もございました、ODAはアンタイドであるというふうに、例えば、巡り巡ってそれが日本国益につながってくるというふうなところで、直接そのODAを供与してそれによって日本が利益を得るというふうな形というのは回避するというのが原則であるというふうに私は理解しておりますけれども日本国民がやはり血税という形で身を削っている場合に、これは開発途上国支援する国民理解を得るためのそのアンタイド化というものに対しては、やはり一つきっちりとした説明を付けていかなければいけないんではないかなというふうに思っております。  ですから、先ほど私がちょっと申し上げたように、中国のODAについては、あれは環境対策と、やはりそれが風に乗って例えば日本までやってくるような排気ガスを抑えていくとか、そういった問題というのは非常に一般の方にとっては理解しやすいというふうに私は受け止めておりますけれども、やはりアンタイド化という問題とそれから日本国益というのは非常に説明をする際にポイントになってきますので、繰り返しになりますけれども、よく分かりやすい形での広報というものをお願いしたいなと思っております。  そして、民間資本が出ていくためのODA、これが非常に重要ではないかなと思っております。  昨年、ちょうどインドへ参りましたときに、マイクロソフトのビル・ゲイツ会長がちょうどインドを訪れておりまして、インドに企業進出しますと、進出する際には中小企業の支援ファンドをつくりますというふうなことも同時に発表をされておりました。日本からも経済ミッション、いろいろインドにも行っているようであります。そういった中で、やはり民間資本が入っていく導火線のような役目を果たすODAというのも重要ではないかなと、そういうふうに私は思っているところであります。  そういった意味で、経済界との、国の、連携して、そういった日本国益と申しますか、経済発展に資する形でのODAというのは一つの大きな材料ではないかなと思いますが、その辺についての御感想を聞かせてください、副大臣
  23. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) アンタイド化と実際のODA援助効果の関連性というようなことを十分考えながら進めなさいよという御指摘と受け止めました。  アンタイド化については一九七〇年代以降進めてまいっておりまして、ODA全体におけるアンタイドの比率は二〇〇四年実績で九五・四%に達しております。アンタイド化は、先生御指摘のとおり、国際社会として援助効率を向上させると、それが目標ではありますけれども、同時に、今お話のあったように、顔の見える援助って何だろうかと、日本の持っている技術移転をスムーズにやっていくのには本当にすべてアンタイドでいいだろうか、そこの勘案をよく考える必要があるだろうという御指摘だと存じます。  無償資金協力については、契約について日本企業タイドが原則であります。円借款についてもアンタイドを基本としてはいますけれども、十四年七月からタイド条件になる本邦技術活用案件、STEPと言っておりますが、日本の技術、会社を導入するための方策を国際ルールに従ってタイド方式に組み入れていこうという努力もしておりまして、今後とも委員御指摘のアンタイド化を進める、それをよく見ながら、同時に今申し上げた顔の見える技術移転に無駄のない、そうしたやり方を総合的に組み合わせながら進めてまいりたいと存じます。
  24. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございました。非常に、その点に関して是非ともお願いをしたいなと思います。  やはり日本ODAが、これは日本経済にとってもプラスになるということが私は重要な視点ではないかなと思っております。経済発展の場合にはやはり日本との貿易、あるいは日本の技術を現地で生産することによるコスト効果、そういったものにつながってくるというふうに思いますし、それにはやはり民間が資本進出をしやすくする、そういったための基盤整備というものが私はODAの目的の一つとしては重要ではないかなと、そのように思っているところでございます。  そこで、今副大臣の方からもお話もございました顔の見えるODAということであります。やはりODAの中には、有償、無償あるいは草の根といったいろんなパターンをODAの中で持っておられます。技術協力も含めて、そういったいろんなパターンを組み合わせることが重要という話も先ほどさせていただきました。  この中で、草の根無償というのは私も、またまたインドの話になりますけれども向こうの人から直接目に見える非常に有効な手段だという印象を受けました。その草の根無償資金援助、これは非常に金額も日本の円ベースで考えれば少ないです。少ないですけれども、実際に子供の学校の教材であるとかそういった教育面に非常に効果がある、そういった実態も拝見をしてまいりました。ただし、金額も少なく件数も多くなってくれば、これの管理も非常に大変だということも十分理解をしているところであります。  ですから、私から申し上げたいのは、こういった草の根というのは非常に効果がある私はODA一つのパターンでありますから、それを是非とも拡充をしていただきたい。しかし一方では、それをしっかりと運用管理してレビューをしっかりとやっていただきたい。そういったところもお願いをしなければいけないと、そのように思っております。  その点について、私は、やっぱり在外公館それから政府関係機関がきちっと連携を取って、細かいけれども効果のある草の根無償資金援助、これの充実に向けて頑張っていただきたいというふうに思うわけでありますが、その辺のところの御意見を聞かせてください。
  25. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今御指摘のありました草の根人間安全保障無償資金協力、長い名前が付いておりますが、これが今草の根無償資金協力プロジェクトのもとでありますけれども、いわゆる草の根レベルの方々が、最下層と言ってもいいかな、草の根レベルの方々の開発援助を目的としたプロジェクトでして、これをやり始めて大分長くなるんですが、最初は二百万、五百万、今一千万ぐらいまで最後に今なっておると思いますが、そういったプロジェクトですけれども、そのプロジェクトをきちんとその地域で、ひとつ学校がどうにもならぬというところを、壊れちゃった学校の後を建て直してやるとか、教材、黒板含めて全くありませんから、そういったものを何とかしてやるとか、いろいろなもうプロジェクト、無数にあります。そういったもので、これ結構支援としては評価の高い、今先生おっしゃったように機動的であるということで、極めて支援が高い評価を受けておりますのはもう御存じのとおりです。  ただ、今おっしゃいましたように、いわゆるきちんとモニタリングしておく必要があるのではないかという御指摘なんだと思いますが、私どももその点は十分に考えておりまして、外部委嘱員制度というのを設けておりまして、これは平成九年度から外部委嘱員制度を設けてやったけれども、これは本当にちゃんと向こうの話どおり出したけれども、本当にちゃんと現地でやっているのかどうかというのは、これは向こう側がやる話ですから、ただ持っていっただけでやってないんじゃないかという話は、これは全部モニタリングするほどの人手は私ども外務省には持っておりませんので、そういった意味では外部の委嘱員というのを今増やして、そういったものを実施をしているかどうかというものの調査というか、きちんと調べるということを今やらせていただいておりまして、そういったものに関しまして、プロジェクトはやったけれども、その効果が現実問題として上がっているか、またちゃんと約束どおりやっているかというようなところについてのフォローというかアフターケアというか、そういったものにかなりの時間と金を掛けておるというところが現実であります。
  26. 山下英利

    山下英利君 時間もそろそろ限られておりますので、私の質問、これで最後にさせていただきます。  今の草の根無償資金援助、本当に効果があるというふうにお認めをいただいておりますけれども、管理をする難しさ、これも同時にあるということで、しっかりとそのレビューをしながらも拡大をして充実をしていただきたい。特に、やはり開発途上のいわゆる貧困対策、教育の問題といったところには非常に効果があるというふうに私も実感をいたしておりますので、よろしくお願いいたします。  それと、最後になりますけれども、先般この委員会で派遣の報告をいただきました。その際に出てきたインドネシアのダムの問題をお聞かせいただきまして、本当にその地域の住民の皆さんからの訴訟になっているという話を聞いて、むしろその国に対しては本当に必要だと思いながら好意でやったことがかえってマイナスになっているんじゃないかと。そういうふうな事象を拝見したときに、やはり先ほど大臣もおっしゃいましたその地域とのコミュニケーション、これをしっかりと取っていかなければいけないということは大変大事じゃないかなと、そのように思っております。  最後、もう時間限られておりますので、JICAとJBICから、今現状のインドネシアの状況についての御説明をいただいて、今後、細心の注意を払いながらも、その地域大型開発案件についてはやはり地域住民とのコミュニケーション、これをしっかりと取っていくということに対しましての御意見聞かせていただいて、質問を終わりたいと思います。
  27. 黒木雅文

    参考人黒木雅文君) お答え申し上げます。  JICAにつきましては、在外主導という考えの下に、在外の事務所を通じた現場レベルでのプロジェクト管理、これを更に強化していこうということで対応しております。  特に、コタパンジャン・ダムのような環境社会的な影響が大きい案件につきましては、JICAは二〇〇四年に環境社会配慮ガイドラインを策定して、これを適用しております。  具体的には、自然環境だけではなくて住民移転など社会面を含む影響環境社会配慮の項目としまして、相手国政府に対して住民との十分な協議であるとか環境社会影響評価の調査であるとか、そういうことをやるようにということで申入れをやると同時に、必要があれば、JICAとしても技術的な支援をやるということで対応しております。
  28. 武田薫

    参考人武田薫君) 国際協力銀行の取組についてお答えを申し上げます。  本行といたしましては、円借款事業、この現場に行きまして、事業実施主体でございます相手国政府また相手国事業実施機関等々との緊密な対話、またプロジェクトサイトの実査、調達工事の進捗管理、また住民移転がコタパンジャン・ダムのように必要になるケースにおきましてはそのモニタリングなどを行いまして、またさらには必要に応じて外部の専門家による調査も実施すると、こういうような取組をしてございまして、これらを通じまして円借款事業の円滑な実施、そして効果の発現を支援しているというところでございます。
  29. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 ODAの外交上の位置付け等につきましては、大臣から所信をいただきまして、また山下委員からもう既に質問がありましたので、重ならないようなところで質問したいと思いますが。  大臣のお話ですと、ODA、言わばODAやったことが巡り巡ってそれが我が国国益に寄与するんだということでございまして、そうした総論については全く異論はないんで、確かに、ODA我が国の言うことを聞く国とか我が国が必要としている資源のある国だけにODAをすると、援助をするというんではこれはそもそもおかしい話でして、その総論的な考え方には全く異論がないんですが、ただ、最近マスコミ等でよく報道されております中国がアフリカに非常に浸透しておる、資源外交とかあるいは国連外交の面において非常に中国が積極的に言わば精力的に活動して支持、あるいは勢力を拡大しているというようなことが報道されております。  そうした点を勘案しますと、どうも巡り巡って我が国国益になるという理想的なお考え方だと少し、もう一つ何か気持ちが落ち着かないところがありまして、まあ巡り巡ってというよりも、少なくとも巡って日本のためになるぐらいの、少し具体的な日本に役立つような方向でのODA、言わば対外戦略におけるODAというものを活用していただきたいというふうに思っておるんですが、特に、報道されておる中国がアフリカに進出しておって、国連での地位あるいは資源の獲得、資源外交での重要性を言わば効果的に外交上展開しているということを視点において、我が国のこのODA在り方について、大臣、その御意見をお伺いしたいんですが、いかがでしょうか。
  30. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、中国の第三国援助とよく言われる部分なんですが、これは小川先生、正直、数字がよう分からぬのです。この国は何せ数字が全く外に出ていませんので、よう分からぬ国の話をよう分からぬ立場から説明しますんで、話が多分物すごく漠然としたものになるのをちょっとあらかじめお断りしておきます。  中国政府が発表しております中国商務年鑑というのがあります。これは、一応公式発表されているのはこれだけです、によりますと、二〇〇四年には対外援助予算は約八百五十億円となっております。八百五十億円、そんなあほなはずがあるかとお思いでしょうが、まあとにかくそう書いてありますんで、八百五十億円となっております。百四の国及び国際機関との間で合計二百六十六件の援助に関する署名を行ったとされております。また、本年十一月三日から五日、北京において第三回中国・アフリカ協力フォーラムというのを開催しておりますが、アフリカ向け三十億ドルの優遇借款、二十億ドルの優遇購買者信用、いわゆるバイヤーズクレジットのことですが、供与又は中国企業の投資増加のための五十億ドルの開発基金設置などが表明されたと、これは中国の新聞にはそう載っております。  これ足しただけでも更に、全然違った数字になりますんで、そういった意味では、これは私どもとしては、対外援助の透明性ということについてはもっとはっきりさせてもらいたいと。少なくとも日本に対して、援助というような話で発展途上国部分を演じるところと、こっちのところには援助国を演じるところと全く二つの顔がそこに登場してくるわけであって、私どもとしては少なくとも透明性を持ったものにしてもらいたいといって、この商務年鑑とこの違いというものに関しましては私どもは働き掛けていきたいと思っております。  したがって、日本だけではいかがなものかと思いますんで、OECDとかDACとかいろいろありますんで、世銀などの場を含めまして中国を含む新興援助国との対話や協力を呼び掛けていって、ここのところをきちんと整理をしていかないと、今いろいろ国際機関の中でも、人権問題等々いろいろ言われている国に対して中国だけがどんと援助していくということに関しては、他の国際機関又は諸外国でいろいろ批判を浴びているところというのはもう御存じのとおりなんで、そういったところを私どもとしては詰めていかねばならぬところだと思っております。
  31. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 確かに、中国のことにつきましては私もよく分からないんで、ただ新聞等でよく報道されるものですから、中国と比較して我が国の外交戦略が足らないような報道がよくなされるものですから、そうした観点から大臣にお尋ねしたわけでございます。  基本的にODAというものを我が国のこの対外戦略にどう位置付けるか、この基本的な考え方はいかがでしょうか。先ほど、一番冒頭に、巡り巡ってというお話をお伺いしたんですが、いわゆる外交上、対外戦略的にODAを活用しないのか、しないで全くODAの理想論で行くのか、やはり対外戦略ODAというものをある程度は位置付けて、そうした考え方を持ってODAを展開していくということなのか、そこら辺のところをもう少しお聞かせいただきたいんですが。
  32. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは小川先生、やっぱり日本で持っております力のものとして、力が持っているものの一つとして、技術援助を含めまして今いろんな意味でこのODAというものは積極的に利用してしかるべきものだと、基本的に私自身としても、また外務省としてもそのように考えております。  今中国の話が出ましたけれども、これはやっぱり今中国が抱えております国内的な問題、例えば貧富の格差、環境問題、水の問題等々もう一杯あるように思いますけれども。これらはいずれも日本が三十年前、四十年前、皆一応それなりに経験してきたことでもありますんで、そういったものは、我々の持っております経験、知見というものを利用して中国がよりうまく発展していくように、この今の発展が変な形でゆがまないようにというようなことは、これは中国にとっても大事ですけど、隣にいます我々にとりましても、この中国の経済が急遽おかしなことになるということは、諸外国、近隣諸国に与える影響も大きいと思いますので、そこらのところはお互いさま話をして、これはうちの技術使った方がいいんじゃありませんかと、こういったやり方があるんじゃありませんかというようなことはお互いに倣う。向こうも倣う。そして、倣った結果によってうまくなりゃ、こっちも助かりますんで、そういったようなこともきちんとやっていく。  先ほど、山下先生だったか公害の話もされておられましたけれども、私のところは北九州におりますんで、東京に来るよりは向こうにいた方が近いところに住んでいますんでよく分かるんですが、春になりましたらそれはもう黄色い砂がわっと出てくるわけですから、それはもう年々ひどくなっていると皆感じておると思っておりますんで、そういったものはきちんとした、サスペンションプレヒーターというのは大きな掃除機のことですけれども、セメント工場なんかにそういったものはきちんと造って、かつそれを運転してもらえさえすれば、そういったものは、もう空気は必ずそういったもので効果が上がりますんで、そういったものも造ってもらう。造った上にかつオペレートしてもらう、動かしてもらうというところが私どもとして今後大いに期待するところでもあります。
  33. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 我が国の外交と言う場合には、安全保障だけではなくて、我が国が必要な資源の確保の問題、あるいは現在、将来の食料の問題、輸入問題等ございます。言わば、資源外交、食料外交等でございますが、今日は経産省、農水省から参考人お越しいただいていますが、これまでこのODAが、言わば資源外交に、あるいは食料の輸入といった食料保護の外交政策に寄与してきたのか、あるいはこれからその点どういうふうにODAとの関連で考えているか、そのお考えをお聞かせいただきたいんですが。
  34. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) ODAを使って、開発途上国の農林水産分野に対する協力を既に実施をしてきております。これは、主として開発途上国の食料が安定的に生産されることを目的にしておりますけれども、同時に日本の食料の安定輸入にもつながるであろうというねらいがございます。平成十六年の実績では、開発途上国全体に対する農林水産業分野協力はおよそ五百八十億円でございます。  それから、先ほど大臣から御答弁がございましたけれども、中国はおととし、ナイジェリア一国に二十五億ドルの借款を供与しています。アンゴラに対して二十億ドルの借款を供与しております。我が方は、サブサハラ・アフリカ、サハラ以北の、ブラックアフリカ四十七か国に合わせて六億五千万ドルですから、もうそういう数字では競争のけたが違いまして、今委員御指摘のように、ユニセフを通じた子供の栄養失調対策だとか、井戸を掘って衛生環境を改善することによって感染症対策を進めるといった地道に日本がやってきたことを継続していくと、そういう中で農業分野に対する支援というのは極めて重要だと認識しております。
  35. 五十嵐太乙

    政府参考人五十嵐太乙君) お答え申し上げます。  ただいま浅野副大臣からお話のあったとおりでございますが、私どもの所掌いたします食料・農業・農村基本法及び水産基本法におきましては、食料の安定供給の確保、それから水産物の安定供給の確保に関する施策の重要な柱の一つとして、国際協力の推進というものを位置付けておるところでございます。  この場合の国際協力在り方としましては、一つは、相手国の地域や水域で生産されたものが我が国に供給されて我が国国民がこれを消費するという直接的な形と、それからもう一つは、相手国の農業や農村の発展に貢献し、もって世界の食料需給が安定が図られるという間接的な形、この二つの形があろうかと考えております。  いずれを取りましても、我が国の必要とする食料の供給の確保に大きく貢献するものと考えておりますので、今後とも関係府省と連絡を取りながら積極的に貢献してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  36. 石田徹

    政府参考人(石田徹君) 小川先生の御質問の、この資源エネルギー問題との関連のODA戦略でございますけれども、私どもといたしましても、国際的に今エネルギー問題、中長期的な需給逼迫の懸念というものが高まっておる中で、我が国にとってこれの確保というのは、安定供給の確保というのは非常に重要な課題であるというふうに認識をいたしております。このため、資源国との総合的な関係強化や資源開発企業に対する支援の強化、あるいは供給源の多様化等、資源外交の強化を図っていくことが必要であるというふうに認識をいたしております。  今年の春に経済産業省で策定をいたしました新・国家エネルギー戦略の中におきましても、このODAの戦略的な活用というものを指摘をされているわけでございます。  経済産業省といたしましては、これまでもODAの一環として、例えば開発途上国の企業や研究機関と共同で鉱物資源開発の基礎調査を行うための専門家派遣や技術面での協力でありますとか、あるいはエネルギー分野を含めました広範な経済産業分野におけます産業人材の育成支援、このための資源国からの研修生の受入れなどの取組を実施をしてきております。さらに、円借款などの資金協力を活用いたしまして、資源国の関連のインフラ整備、こういったものを積極的に支援していくことも重要ではないかと考えております。  今後とも、海外経済協力会議の場などを通じまして、外務省を始め関係省庁と連携を強化しながら資源確保に資するようなODAの戦略的な活用、こうしたものを図ってまいりたいと考えております。
  37. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 ODAというものを我が国が資源を確保するためにというふうにやるんではこれは大変不純な動機になるんで、ODAの精神に反することになると思いますが。ただ、農産物になりますと、資源のように限られたものを持ってくるというんではなくて、農産物は正に自然の恵み、太陽の恵みによって生産するものですから、多少考え方が違ってもいいのかなというふうに思います。  それで、我が国の食料事情もやはり輸入に頼らなくてはならないと。そして、これからのこの食料を取り巻く国際環境も、やはり中国やインドなどの国が発展すればするほど、言わば食生活の多様化になって食料が国際的には逼迫してくるんではないかと、我が国が食料を輸入するという環境は厳しくなってくるんではないかというふうに私は一つの不安を持っておるわけです。  そうしますと、このODAにつきましてももう少し具体的に、例えばその国において言わば食料を増産するというそうした施策を講じる中で、やはり日本が例えば必要としている大豆とか小麦、海外に依存する程度が非常に高いわけですが、米を作って輸入をされてはちょっと困るんで、我が国に持ってこられては困るんですが、大豆とか小麦のような我が国が求めている、そして海外に依存しなければならないというようなこうした品目についてより具体的に、そうした大豆や小麦などの生産、増産という具体的な形で援助を行って、そしてそこでその国において言わば輸出余力があれば我が国に輸出、我が国から見れば輸入したいというような、もう少しこの目的を絞ったODAのやり方もあってはいいんでないかと私は考えるんですが、こうした考えは大臣はいかがでしょうか。参考人でも結構です。
  38. 五十嵐太乙

    政府参考人五十嵐太乙君) お答え申し上げます。  ただいま先生から御質問のあった件、例えばJICAにおきましては、当該国農業・農村開発、それから漁業開発に関する技術協力を行っておられますけれども、私どももこれに対して専門家派遣、それから研修の受入れ等の支援を行っているところでございます。この場合には、当該国の要望をまず踏まえつつ、かつ我が国の食料生産の事情等も踏まえながらやっておるところでございます。  特に水産関係につきましては、我が国海外漁場の確保を図るという観点から、我が国と入漁等の関係があります特に南太平洋島嶼国等でございますが、沿岸国に対しまして重点的な研修事業あるいは技術協力の事業を実施するということを行っておりますし、また当該国におきまして合弁事業を起こすというような場合に対しては、我が国の漁業経営体に対しまして低利資金の融通というようなことで具体的な支援を行っているところでございます。
  39. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 あと、我が国の外交上の位置付けという面ではなくて、いわゆるこの国際社会の民主化といった問題からの観点からお尋ねしますが。  先般、当委員会にルワンダの大統領に、カガメ大統領にお越しいただきましたが、ルワンダと聞きますともう大虐殺というイメージが大変に強いわけですが、現在は比較的良好な統治が行われているというふうに聞いております。  このODAを実際にこれから活用していくという中において、被援助国のこの言わば政治の程度ですね、民主化の状況、あるいは人権をどの程度尊重しているかと、こうしたことについて、言わばいい方向に導くためにODAというものをどのように活用していったらよろしいのか。そうしたODAのこの人権、民主化問題についての位置付け等についてお考えをお聞かせいただきたいと思いますが。
  40. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは小川先生、これまた国によってなかなか皆状況が違っております。民主化しているがために選挙ということになるんですが、それが部族ごとに分かれてみたり、地域ごとに分かれてみたり、宗教で分かれてみたりいたしますんで、なかなか民主主義も成熟しているところとまだ民主主義の発展途上とか、いろいろ分け方があろうと思いますんで、今一概にはなかなかお答えのしにくいところだろうと思っております。  ただ、このODAをするに当たりましては、これ大綱というのもありますんで、その大綱に基づいてやろうとするんですが、いわゆる民主化がどれくらい促進されているのかとか、市場経済というものをどれぐらいうまくやろうとしているだとか、まあ基本的人権とか、何でしょうね、自由の保障とかいうようなことに関しては十分に注意してやっていかないといかぬところではないか。資源くれるから何でもかんでも全部これやって、あと資源だけもらおうというのはちょっと余り、やっている国がないわけじゃありませんけれども、ちょっといかがなものかねという批判が世界じゅうから上がっておるということだと思っております。  したがって、一九九六年から民主的発展のためのパートナーシップという、まあPDDと言われるものに関していろいろプロジェクトをやっているんですけれども、例えば今最近分かりやすい、先生のやっている弁護とか検事とか判事とかいう部分でいけば、多分カンボジアだと思います。カンボジアは、ここは今司法研修生、何名取っていますかね、今カンボジアの司法研修生を日本で取って、日本で司法をつくって、民法、刑法、刑事訴訟法、全部、日本に出てきた人を日本で教えて、そしてそれを送り返しているのが、プロジェクト一つ。それから、日本人が現地で、今度はカンボジアの裁判を、クメールルージュの裁判をしますけれども、この国際司法裁判所に出向します三名、三人のうち一名が日本の、日本から出ている判事ということになります。  そのほかにも、司法省という、うちからいう法務省から二人かな、女性の今判事さんが、検事さんがここに行っておられると思いますんで、そういった意味では、その国の法律とか、いわゆる基本になります民法とか刑事訴訟法とか、そういったものをきちんと教えるプロジェクトなんというのもありまして、こういったもの、法整備支援とか選挙をうまくやらせるための選挙の支援等とのほかに法整備というものにもODAというのを使っているとかいうのが一つの例だと存じます。
  41. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 個別具体的な質問になりますが、私、七年前にスリランカのサマナラウェア・ダムと、これ当時の行政監視委員会なんですが、そこでODAに関する集中審議日がございまして、そこでスリランカのサマナラウェア・ダムについて質問をしました。造ったダムが言わば欠陥があって、第一次、第二次と相当な追加借款をしたような案件でございましたが、これはその後どういうようなことに落ち着いたんでしょうか。
  42. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) このダムはスリランカの電力事情の逼迫を緩和するために、首都のコロンボの南東百六十キロのワラウエ川上流に建設され、最大百二十メガワットの発電を行うことを目的に円借款を供与しました。九一年の六月に試験湛水を開始したところ、ダムの下流の右岸から水漏れが発生しました。スリランカ政府の要請を受けて、九五年にこのダムの改修計画に対し円借款を供与をいたしました。  議事録によりますと、この水漏れが発生し、改修工事をしようと、新たな円借款をしようと言っていたころに、そのことを懸念して小川委員がこの問題を指摘したことを承知をいたしておりますが、その後、改修事業は完了しました。  現在、ダムと発電所の運用に問題はございませんようで、電力需給逼迫の緩和という当初の目的を達成し、予定どおり効果を上げていると聞いております。
  43. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 その百十二万メガワットの出力と、発電出力ということですが、それはその当初の目標達成されておるということですか。あのダムがその水漏れを防ぐために相当土砂を埋めて、ダムの規模が少し、言わば規模というのかな、能力が落ちたように思うんですが、これは大丈夫だったんでしょうか。
  44. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) その改修作業を終えて、当初の予定どおりと聞いております。
  45. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 この案件では結局、九一年に三十二億六千四百万円、九五年に五十二億八千二百万円、追加借款しておるわけです。これ当初が幾らだったかな、まあいずれにしても、当初の計画よりも八十五億円程度言わば追加借款している。つまり、スリランカからすればそれだけ日本に対する借金が増えたことになるわけですが、この借款の返済等については全額スリランカの負担になっておるんでしょうか。
  46. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) 当初は百四十五億と承知をしております。この事業を含め、スリランカの債務全般については、遅延等の償還にかかわる問題は現在のところ生じておりません。
  47. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 問題は生じていないというけれども、スリランカから見れば、百四十五億円の借金で済むところが言わばこうしたダムの、まあ欠陥というのかな、それとも、まあ補修を要するということで八十五億円も言わば負債が増えておるわけですが、これについてはスリランカは別に何の苦情もなく、きちんとこの返済をしておるんでしょうか。
  48. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) 委員指摘の点は、こういう水漏れみたいなことを事前の調査で予見できなかったかというようなことも含めて御指摘かと存じますけれども、現場の地下の地質の構造が予想以上に複雑で特殊なものであったことが原因のようでありまして、予見は当時困難であったのかなと考えております。  スリランカ政府からのこの件についての苦情は、私どもの方に参っておりません。
  49. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 押し問答してもしようがないけれども、百四十五億の予定がプラス八十五億円も掛かったと。それの借款も返さなくてはいけないということで、しかもその工事、調査を行った工事もこれ日本の企業と聞いていますから、不満の声があってもいいんじゃないかと思うんですが、まあないということですから、ないということで取りあえず聞いておきますけれども、そのときにも質問しました。結局、このODA世界各国様々な事業を行っておるわけですが、この言わば事後評価ですね、ODAが行った事業が具体的にどの程度地域発展向上に寄与しているかということについての事後評価システムができていないということが、当時も議題にしたんですが、今現在もないように思うんですが、このODAの各事業についての事後評価システムというものの構築はいかがでしょうか。
  50. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 小川先生御指摘の、これはいわゆるアフターケアというか、そういった評価というのは大事なところだと存じます。  私どもとしては、JICAとかJBICとか、ああいう連携しております機関と一緒になってこの実施改善を図るということも大事なんですが、この説明責任というやつをちゃんとしとかにゃ駄目ということをして、政策レベル、いわゆるプログラムレベル、そしてプロジェクトレベルと三つ分けられようと思いますが、体制をきちんと三つに分けて評価をしてみないといかぬ。終わった後、どこの段階で失敗したのかというのを分かるようにするためには、三つきちんとしておかにゃいかぬということで、今、ODAの政策立案や実施を担当します部局というところにおきましては、被援助国、相手の国に対してフィードバックして、その後のODA政策の企画立案とか実施の改善のために活用するように、こういうレベルを分けたやつをして、それでホームページ等を通じて既に公表をいたさせております。  このような取組を通じまして、いろいろ、もっとこういうところも分かるようにした方がいいとか、いろいろ質問が来た分に関しても、それも追加してホームページに出すように指示をして、既にそのような方向で動いております。全部が全部でき上がっているとは存じませんけれども、この間見たところでは一部でき上がっておることは確かです。
  51. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 結局、私が言うのは、今大臣言われたのは、ODAの政策立案をする部署が行っていると。ですから、自分が行ったところが自分で評価すると、あるいは後から見るというんでは足らないんではないかと。ですから、ODAの政策立案部署が行ったところでない別な言わばODAのこの、国の、会計なら会計検査院とか、あるいは使い道については決算とかいろいろありますけれども、まあ会計検査院とまでは言わないけれども、このODA状況について、そうした様々な視点から第三者的にこれを評価する仕組みがあってもいいんではないかと思っておるわけですが。
  52. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 誠にごもっともな御指摘だと思いますが、客観性とか公平性とかいうものをきちんと確保する必要があるという御意見だと存じますが。  今、現実問題、現実にどうなっておるかというと、この政策レベル、プログラム、ちょっと、プロジェクトレベルはちょっと私どもじゃありませんので、政策レベル、プログラムレベルのところの評価に当たりましては、いわゆる学識経験者それからNGOの経験者、出身者というか、NGOの出身者から評価されるODA評価有識者会議というものを立ち上げておりまして、そのプロジェクトの評価につきましても、第三者の視点を踏まえた評価を行っていただけるように、今そういうシステムをつくり上げているところでもございます。
  53. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 是非、そういうシステムを実効性あるような形で構築していただければと思います。  次に、最後の質問になりますけれども、先ほどのスリランカの借款の問題も聞きましたが、スリランカに限らないんですけれども、結局、発展途上国援助すると、言わば、平たい言葉で言えば懐が寂しい国に援助するわけですから、言わば資金を貸与するわけですから、これを返すというのも大変つらいんじゃないかと思うんですね。言わば、重債務国といいますか、あるいは債務が返済するのが困難な国がかなり多くあると思うんですが、これは過去にも、ちょうど七年前にも大きな問題となりましたけれども、これは今後も、将来もやはり出てくる問題だと思うんですね、無償供与じゃなくて円借款。やっぱり貸与である以上、これを返してもらうということについて困難な国が出てくるんではないかと。しかし、ある意味では、そうした返済すら困難な国ほど言わば援助が必要な国であるというのが実際の実情だと思います。  この債務の返済が困難な国ということのこの状況、あるいは我が国のそうした国に対応する、この臨む方針ですか、これについてお聞かせいただきたいんですが。
  54. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、小川先生御存じのように、円借というのは、仮にも金を貸して金利をちょうだいすることになるんですが、少なくとも十年据置き二十五年返済なんというのは、これ金融と言えるかと言ったら、三十五年先の話なんてとてもじゃないよというのが普通だと思っておりますので、円借款という名前になっておりますけれども、これは基本的には金融ではなくて援助という概念を持っておいていかないと少し、いろいろ意見が分かれるところかと思いますが、私ども基本的にそう思っております、長期的なもの。  したがって、今言われましたように、この円借款というのは、非常に向こうにとっては、金利は極めて安くて長期にわたりますんで、非常に感謝をされるものでもあります。ただ、このところ、まあ天候不順によってもう市庁舎全部なくなりましたの、やれ、どこが、丸々首都一つ、首都とは言いませんが町が一つなくなったのというような話になってみましたり、また、戦争やら内乱やら起きて、もうとにかく前の政府のやったのがくちゃくちゃでどうにもならぬというようなところがあるではないかということだと思いますが、そのとおりです。そういった国がありますのは確かです。  したがって、そういったものに対してどういった形で、私どもとしては、これは、こういう事情だからこれはやむを得ぬとして更に繰り延べるか。まあ、手形のジャンプという表現は余り役所では使わない言葉ですな、民間では手形のジャンプなんですけれども、ジャンプさせる、返済を繰り延べるというような話をしてみたりするようなのは、現実問題として、あのJBIC等々、いろいろ関係機関ともこの種の話につきましては、債務の支払というものについてある程度援助したり保証したりするようなことは、私どもとしても、いろいろ事情が違いますので、それを基づいて考えております。  ただ、現実問題、今までの間、丸々取りっぱぐれて全部駄目になってもうあきらめましたというのの総額というのは、確かに、こういうのが始まってから今四%弱だと思っておりますんで、まあ、百億貸したら四億円ぐらい取りっぱぐれているものがある、簡単に言えばそういうことだと思いますが。今までの、今現状これまでのところでいったところのトータルでいきますと、細目いろいろ違うと思いますけれども、トータルで言うとそんなものだと思っております。
  55. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 まあ、答弁は要りませんが、私の質問の趣旨は、取りっぱぐれがあるところには貸すなということではなくて、そうした国ほど言わば援助を必要としている国が多いわけですから、ODAの趣旨にかんがみて、より適切な対応をしていただきたいという質問の趣旨でございました。  ODAについて是非やっぱり有意義に活用していただきたいという希望を述べまして、私の質問を終わります。
  56. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党・新緑風会の藤末でございます。  私、前の国会におきましても、無償協力における落札率の高さなど、無償協力の支出に当たってのコストの問題をいろいろやっていきたいと思っておりますが、本日もJICAのコスト削減努力についてお話をさせていただきたいと思います。  私、昨年、ODA調査団としましてアフリカに送り込んでいただきまして一番印象に残っていますのは、タンザニアの小学校、日本の無償協力で造られたタンザニアの小学校に伺いましたときに、非常に現地の子供たちに喜んでいただいている。すばらしいことをやっているなというふうに本当に思いましたが、ただ、現地の方に言われたのが、現地できちんと造れば半分の予算で済むよと、本当だったら二つ造れるものが一個しか造れてないんだということを指摘いただきまして、実際に日本に帰って調べますとそのような状況があるというような資料が幾つかございました。  また、前の国会で御指摘申し上げましたけど、二〇〇四年度の無償協力の競争入札しているものの中で落札率が九九%以上のもの、もうほぼ予定価格と同じようなものが六割、そして今、新しいデータでいきますと、昨年度、二〇〇五年度の無償協力の中で予定価格を公表しているものが七十一件ございますけど、その落札率を見てみますと、九九%を超しているものが何と八割あるような状況でございます。  これにつきましては前回お話を申し上げましたけど、今日は財務省が行いました予算執行調査についてお話をさせていただきたいと思います。財務省が昨年度、一昨年度につきまして予算執行調査ということで、実際に予算がどう使われたかということを調査した報告書がございます。その報告書を財務省の方からいただき、また話を聞いて幾つか疑問点がございます。  まず、一つございますのは、JICA予算効率目標の対象の予算の範囲が事業全体の四分の一程度となっているという表現がございました。財務省にお聞きしますと、基本的に独立行政法人の予算効率目標というのはほとんどすべての執行に掛かっているということでございましたけれど、JICAは非常に少ないんじゃないかという御指摘がありました。  それと、もう一つございますのは、財務省が行った調査、これは部分的ではございますけれど、調査対象中四十六件のプロジェクト、そのうちきちんとした見積りができているのが七件しかないという指摘があったわけでございますが、それについて事実関係を教えていただけないでしょうか、お願いいたします。
  57. 別所浩郎

    政府参考人(別所浩郎君) お答えを申し上げます。  まず、財務省が行った予算執行調査関係JICA予算効率目標の対象予算範囲の話でございますが、まず、独立行政法人の効率化に当たりましては、それぞれ必ずしもやり方が一律ではないわけでございますけれども、現行の効率化の、三年間でどれぐらい効率化を図っていくかという話をいたしました際に、JICAについては、全体に掛かる目標というのではなくて、個別具体的にここはこういうふうに効率化していきますということを積み上げてまいりました。その結果としてどれぐらいになるかという目安をつくったわけでございます。  四分の一ということを言われておるようでございますけれどもJICAがこの現行中期計画で事業の主要な投入要素ごとに効率目標を設定したということで、その内容につきましては独法評価委員会、これは外務省のものでございますが、それへの諮問をいたしまして、ほかに政府内の関係方面との協議も経て承認されておるわけでございます。その結果といたしまして、このような、目標としておりましたものを更に上回る形で平成十七年には平成十四年度比で九十三億円のコスト削減を、効果を上げているわけでございます。したがいまして、その従来からのやり方としてかなり多くの効率化をやっているということでございます。  ただ、御指摘がございましたような形で効率目標を全体に掛けるべきではないかという御議論はあるわけでございまして、そのためにも、JICA情報に対する国民の更なる信頼を得られるというように努めることが重要だという観点から、今後は事業費全体を対象とする包括的な効率目標を設定するということでやっていこうということで決めているわけでございます。それがまず事実関係で、そこの点、申し上げたいと思います。
  58. 藤末健三

    ○藤末健三君 じゃ、確認でございますけれど、今、多分次の中期計画が議論されていますよね。その中期計画の中ではプロジェクト単位の合理化目標効率目標じゃなくて全体に引っ掛けた効率目標を決めるということでよろしいんですね。それが一つと、もう一つ、あと、四十六件中の見積りがちゃんと行われたものが七件しかないという話、この二つ、同時にお答えください。
  59. 別所浩郎

    政府参考人(別所浩郎君) 済みません。  まず第一の方の今後の中期目標でございますが、おっしゃるとおりでございまして、全体に掛かる効率目標を掲げるということでございます。  それから、四十六件中七件ということでございますけれども、事業全体の十分な見積りが行われていないということで財務省の方から予算執行調査で御指摘があったわけでございますけれども、要するに、各プロジェクトの実施期間となっている前年度について実施計画書に詳細な積算が添付されてないんじゃないかと、それが実際にそういうのが添付されていたのが四十六件中七件であったという御指摘だと承知しております。もとより、途上国への技術協力でございますので、実施中に投入量が変更される場合が少なくございませんので事前に詳細な見積り全部について算出するということは困難でございますけれども、その後、いろいろ制度設計、いろいろな改革を行いましてこのような点での改善を行っていきたいと思っているところでございます。  具体的に御説明させていただきますと、事業費積算の精度向上のために、まず第一に事業事前評価表というのを作成するということにしました。それから、実施計画書のそれから型式、フォームの統一といった措置を講じております。そういったことを通じまして、横並びでばらつきがないようにしっかりとした情報管理、工程管理をしたいということにしております。  また、本年度からでございますが、今申し上げたそういったことに加えまして、事業管理支援システムを立ち上げまして、個別事業に関係しますその予算執行状況をリアルタイムに、全く同時に把握、管理することが可能となっているわけでございます。  いずれにいたしましても、執行調査の指摘がございますので、適正な予算管理が一層確保されるようにJICAに対しても指導してまいりたいと思っております。
  60. 藤末健三

    ○藤末健三君 本当に、浅野副大臣に前、国会の方でお誓いいただきまして資料をいただきました、実は。これを見てびっくりしましたのは、四十六件中七件しか積算がない、きちんとした積算がないということだったんですけれども、実際に私、現物を見てびっくりしたのは、積算が三行ぐらいしかないんですよ。機械購入費、機械設置費、メンテナンス費、それで六億円とか十二億円とか行っちゃうんですよね。この状況は完全に解消されるんですかね、局長、いかがですか。  これをどこまで、いや、もうシステムの話も聞いております、私。ただ、今までずっとこのまま、こんないい加減な積算、そして積算だけではありません、プロジェクトが終わった後のお金の使い道のチェックも三行で終わっているんですよ。済みません、これは直りますか、直ると言ってください、一言ここでお願いします。
  61. 別所浩郎

    政府参考人(別所浩郎君) もちろんきちんとしてまいるつもりでございます。  ただ、済みません、今完了についてのチェックが甘いという御指摘があったかと思いますので、それについては一言だけ御報告させていただきたいと思います。  プロジェクトの完了というのは、これを事業をやっている施主というのは相手国の政府でございます。相手国の政府が確認をすると、完了を確認するということで、もちろんコンサルタントの報告もございますけれども、現地において、向こう政府ですからきちんと見る、あるいは非常にたくさん数がある場合は写真などもあると思いますけれども、そういうことで相手国政府が完了を確認すると。そういうことがあって初めてコンサルに払うわけですね、支払を。  それで、済みません、その後、今おっしゃっているのは、コンサルタントからJICAに提出される完了報告書のことだろうと思います。それは、相手国政府が完了したということを確認いたしまして、その後にJICAに対してその完了したということをコンサルが報告するということでございます。事業実施段階におきましても、JICAに対しては月報、月ごとに進捗状況をコンサルの方からは報告しております。したがって、状況JICAとしては把握しているというふうに私ども確認しているというふうに理解しております。  また、それから今御指摘、この前の御指摘、委員会で御指摘があった案件でございますけれども、一般競争入札方式で、予定価格の制限内で総額による一括請負方式でございますので、それにつきましては、設計図書どおりに適切に完工しているかという確認をするということでございまして、受注者の内訳を確認する必要はないという、具体的にたまたまその案件はそういうことでございました。  ただ、いずれにせよ、きちんとした完了の確認というのは当然必要でございますし、私どももその点は引き続きしっかりやっていきたいと思っております。
  62. 藤末健三

    ○藤末健三君 二つ、ちょっと申し上げてよろしいでしょうか。  一つは、私、このラオスの地下水の井戸の話については一式資料を下さいという話を申し上げましたけれども、相手国政府からの要望書はいただいています。だけれども、相手国政府の完了報告書はないですよ、資料に、いただいた中に。これしかもらっていません。たった八ページの写真付きの資料、三行の積算チェック資料の資料しかいただいていませんけれども、それはどういうことなんですかね。いや、僕は余りここで、余り人様にクレームを付けるようなことは申し上げたくないんですけど、そういうお答えであれば、一式はもらっていませんよ、正直申し上げて。  あと、ついでに申し上げまして、相手国から来た政府の申請書、日付とか全部消えているんですよね、黒塗りで。ここで言うつもりはなかったですけれども。これはどういうことですか。お願いします。
  63. 別所浩郎

    政府参考人(別所浩郎君) 黒塗り云々というのは、ラオス政府との話合いの中でそういうことになったんだろうと思います。済みません、私もちょっとその詳細はよくは存じません。この前申し上げたとおり、先方の庶務文書でございます。先方との関係で整理する必要ございますのでそういうことになったのだろうと思います。詳しく調べます。今そこは存じません。  それから、月報ということを私先ほど申し上げました。月報というのは月々に報告書をコンサルタントの方からJICAに出してきているというものでございまして、それについては、確認しましたところ、保存期間がかなり短いので今、既には保存はされておらず廃棄されているということのようでございます。
  64. 藤末健三

    ○藤末健三君 浅野副大臣にここでちょっとお願いがございまして、一つは、この井戸のやつも、今日何か話をお聞きしていると全部来ていないということだったので全部出させていただきたいと思いますし、また、日付なんか黒塗りなんですよ。時系列がチェックできないです、これ実は、部分的に。それが一つ。  そして、もう一つありますのは、私が伺ったタンザニアの小学校のプロジェクトのデータを出してくださいということで、ずっと断り続けているんですよ、タンザニア政府がオーケーを出さないから駄目ですと。私は直接タンザニア政府にお聞きしたいぐらいです、これは正直申し上げて。  ですから、そこら辺の資料を一式見せていただけませんか。別にこの場で議論しようとは思っていません、私は。ちゃんとしていただきたいんです。それだけですので、お願いいたします。
  65. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) 前回の決算委員会でも委員から御指摘のあった点だと理解をしております。  八ページはちょっと、六億円のプロジェクトでわずか八ページというのは木で鼻くくったようなことじゃないかと、もうちょっときちんとした中身をという御指摘だと思いますけれども、先ほど局長答弁をさせていただきましたように、このケース、ほかもそうですが、このケースはコンサルタントからJICAに報告される完了報告書でして、施主がすべての支払を含むプロジェクトの完了を確認したその後に、こういうふうに終わりましたよということをJICAが報告を受けているものでありますから、簡潔な取りまとめという意味でページ数は少なくなっていると思いますが、内容はきちんとした報告をさせております。  それから、委員御指摘の資料につきましては、それぞれの国とのこれまでの基本的なルール、そして同時に、その中で精一杯国政調査権にこたえるように外務省内で検討し、できるだけ期待にこたえるようにさせていただきます。
  66. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非お願いしたいと思います。  私もほかの委員と同じように、やっぱりODA、非常にこの国、我が国にとって大事なものだと思います。額を増やすという話がございますが、恐らく、山下委員からもお話ありましたように、今やっぱり私、選挙区回って思いますのは、今本当に国民が困っている中でODAはそんなに一杯お金使うのかという方多いんですよ。ですから、これだけしっかり使っているんですよと、だからやらせてくださいねということが言えないとなかなかきついところあると思いますので、是非とも副大臣の本当にお力をおかりしながら、私も頑張りますので、いろいろデータの提供をお願いしたいと思っております。  私が次にちょっと御質問申し上げたいのは、これはもう是非局長にお聞きしたいんですけれど、今、コミュニティー開発支援無償につきまして新しいやり方を導入しようとされておられるわけでございますけれど、この中身をいろいろ話をお聞きしていますと、実際に予算の見積りや対象とする調査なんかを非常にこれから経費を削減していこうという努力は分かるんですけれど、その対象範囲がちょっと狭いんではないかなと。本体工事費のみを対象とし、あと事前の調査などは含まれていないわけでございますが、そこら辺を全体的に広げていくという努力はこれから考えておられるかどうか、教えていただけませんでしょうか。お願いいたします。
  67. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) 無償資金協力の事前調査は、去年十二月にコスト削減目標を発表した無償資金協力の本体事業とは違いまして、技術協力としてJICAの運営費交付金で実施されています。JICAは、十五年十月から十九年三月までの中期計画において、事業単価の縮減の観点から、業務の質の向上を図りながら、無償資金協力に係る調査を含め、各種事業の実施に必要なコンサルタントの調査調査団の派遣に関する単位当たりの経費について平成十四年度に比べて一〇%程度の削減に努めることとしています。  この効率目標達成状況については、去年の実績で、コンサルタントの調達に係る単位当たりの経費は平成十四年に比べて九%減、調査団派遣の経費との比較でいいますと、平成十四年に比べて一二%減となっております。  今後とも、これらの取組を進めまして、JICAの事業の効率化を図る努力をしてまいりたいと存じます。
  68. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、浅野副大臣のイニシアティブでこれ進めていただければと思います。すごく効果が上がっていると思います。ただ、今話をお聞きしていますと、やはりもっと対象は広げてもいいんじゃないかなというところがございますので、是非広げていただければと思います。  そしてまた、これ、アフリカの学校案件が割と大きなこれターゲットになってございまして、私、実際ちょっと自分が現地で見たからこだわりがあるんですけれど、やはり過去のアフリカ・タンザニアなんかの学校建設はどうなっちゃったかと、契約が。過去が悪かったら、僕は将来直せばいいと思うんですよ、単純に。ただ、過去の契約がどうなっていたかという手続などはやっぱりもう一回見さしていただきたいんですよ。そして、今回このコスト削減目標をセッティングされたわけでございますので、この効果がどれだけ出たかというのを拝見したいと思うんですけれど、これらについては是非、私が今外務省にずっと要求しておりました資料を出すようにやっていただければと思います。  私は、お願いしたいのはまたほかにもう一つございます。  資料の要求につきまして、私が今、もうこれ例えば今お願いしていますのは、現在、先ほど局長から御説明ございましたけれど、JICAのいろんな無償協力などの予算執行をチェックするために、例えば積算を詳細にして月次報告を行い、割と細かい業務執行をリアルタイムで情報を集めるシステムを構築するということを御説明いただいております。  私は気になっておりますのは、今のシステムがどうなっているかということに非常に興味を持っておりまして、私が、十月二十二日、今からもう一か月ちょっと前に資料を要求しました。それは何かと申しますと、今外務省の方でODA関係の情報システムがどういうふうな契約になって何をつくっているかということを教えてくださいということを文書でお願いしたんですけれど、これはまだ来ていません。そしてまた、今から二週間ぐらい前に、併せて資料を下さいということを申し上げたんですけれど、それについて、これは局長ですか、どなたかお答えいただきたいんですが、なぜ資料が出ないのかということと、もう一つは、これから出していただけるかどうかということをお聞かせいただけませんでしょうか。
  69. 別所浩郎

    政府参考人(別所浩郎君) 今その準備をしているようでございまして、できるだけ早く提出するようにいたしたいと思います。
  70. 藤末健三

    ○藤末健三君 ちょっとよろしいですか。私が要求している資料は、恐らく文書の書棚にあるんですよ、絶対。あるんです、これは。あるものを要求していますから。なぜ待たなきゃいけないんですかね、一か月以上も。その理由を教えていただけませんか。  そして、お願いです。これは明確に言っておきます。起案書一式を下さい、選定理由書。なぜその情報システム会社を選定したか。そして、どういうことを行い、どういう仕様になっているか。なぜそこに決定したかまで一式下さい。それをお願いしていますけど、よろしいですか。お願いします。
  71. 別所浩郎

    政府参考人(別所浩郎君) できるだけ早く提出するようにいたします。
  72. 藤末健三

    ○藤末健三君 よろしいですか。私は、できるだけ早くと言われて、一か月以上待ってきたわけですよ。恐らく書庫に入ってあるであろう起案書一式を下さいと申し上げて、できるだけ早くをずうっともう一か月ちょっとお待ちしているんですけれど、今週中にいただけませんか、これ、今週中に。あした書庫に行って持ってくれば済む話ですから、これは。そういう認識でお願いしています、資料を。お願いします。
  73. 別所浩郎

    政府参考人(別所浩郎君) 私も、済みません、具体的に何がどこにあるのかというのを全部分かっているわけではございません。個々のファイルひっくり返して情報を集める必要があるのかもしれないとも思いますが、ただいずれにせよ、いずれにせよ、いつとは申しませんが、できるだけ本当に早く処理するようにいたします。
  74. 藤末健三

    ○藤末健三君 できるだけ早くというか、もうこの国会が終わるまでには絶対下さいというか、もう今週中に下さい。  じゃ、もし私が申し上げているものが書庫に入っていないものであれば結構ですよ。その理由を教えてください。私は、もう書庫に入っていて完全にファイルに一つにとじられている契約書、そしてそのコンピューターシステムの業者を選んだ理由、それを欲しているんですよ、簡単に申し上げて。  ですから、一週間以内に下さい。いかがですか。
  75. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) 今、今週中というような約束をして、もし来週にずれ込んだ場合はこれはうそをついたことになりますから、この場でできるだけ早くということで御了解を賜ります。
  76. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 外務省に申し上げます。  できるだけ早く処理をいただきますようお願い申し上げます。
  77. 藤末健三

    ○藤末健三君 委員長、ありがとうございます。  是非、資料の提出をお願いします。本件につきましては、外国政府との交渉は必要ないんですよ、これ。もしなかったら、これはもう文書保管義務違反ですから、是非とも早く持ってきていただかないと。  今、私は何を考えているかと申しますと、新しいシステムを使って積算を細かくやりますと、月次報告もオンラインでやりますと、細かい最終チェックもやりますということでお話を伺っているんですよ。コンピューターシステムを作っていただいてやるというのは非常に結構だと思うんですけれど、恐らく今の情報システムを作っているところにお願いされると思うんですよね。それがどう動いているかということをやっぱりちょっと見せていただきたいんですよ、私は。どういう契約をして、なぜ随意契約になったかと。  私が資料をお願いしたら、一枚のぺら紙ですよ、来たの、本当に。積算の三行、四行しかないような、契約書でもない紙が一枚しか来ていないんですね、実は。それをもらって、僕が、こちらの説明が悪かったかもしれませんけれど、もうそういう対応はやめていただけませんか、局長、本当に。僕が何回御社に対して紙を送って、下さい、下さいと言い続けたか。今日配ってもよかったですよ、資料を。それだけやっているんですよ、一生懸命。  それは、外務省さんがけしからぬと言うつもりは全くないです。やっぱりきちんとこのODAを使っていただかなければ、今どれだけ新聞に書かれていますか、ODAのことが。ああいう懸念はやっぱり払拭しなければ、我々がODAを頑張ってやりましょうと言っても世間が許さないと私は思います。是非とも情報公開を前広にやっていただきたいと思います。  最後の方にあと二、三問お願いしたいんですが、一つは、いろいろなODAの議論、話をお聞きしていますと、JICAさん、JBICさん、JICSさん、いろいろ主体があられるわけでございますが、そのチェック体制と申しますか、お互いに人間が行き来しているんじゃないかなという印象がございます。  それで、一つございますのは、JICA、JBIC、そしてJICSの職員の方々が、建設会社とか、あとコンサルタント会社、あと投資会社がございますよね、など契約先、あと融資先企業に転職した事例がどのくらいあるかということを教えていただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。
  78. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) それは、一部ございます。独立行政法人、それから政府系金融機関、財団法人の職員の転職の状況については、職務を離れた個人に関する情報になりますので、直接政府が、直接ただすわけにはまいりませんから、有権的にお答えすることはできません。ただ、JICA、JBIC、JICSが自主的に平成十四年四月一日から今年の十月までの間、自主的に調査したところは次のとおりであります。  JICAから建設会社、コンサルタント会社に転職した人数は五人、一方、建設会社、コンサルタント会社からJICAへ転職した人数は四人です。それから、JBICから転職した人数は十一人、JBICへ転出した人数は一人です。それから、JICSの役職員から建設会社、コンサルタント会社に転職した事例、それから逆に建設会社、コンサルタント会社からJICSの役職員に転職した事例はありません。ただ、これらの会社からJICSの常勤嘱託となっている者が十二人ございます。
  79. 藤末健三

    ○藤末健三君 本当に情報の提供をありがとうございます。  これはちょっと確認なんですけど、JBICの方に確認なんですけど、このJBICから建設会社、コンサルタントということでおっしゃっているんですが、これは特別目的会社、SPCは入っているんでしょうか、融資先のSPCは。分かる方はおられますか。いないですか。じゃ結構です、これは。後でまた機会があったらお伺いします。  今、浅野副大臣からお話ございまして、本当にありがとうございます。  私自身、この数が多いかどうかというのは非常に難しい話だとは思うんですけれど、今独立行政法人化として、私はもう独立行政法人化が本当にいいとは最近思っていません、実は。やっぱり野放しになっているところが多いと思うんですよ。例えば、JBIC、JICAですと、JICAがお金を出した先にJICAの方が行かれる、若しくはJBICが融資された先にJBICの方が行かれるというのは、やっぱり国家公務員の天下りに近いものがあるんではないかなと思っておりまして、その点をどう考えるかというのを是非外務省、監督官庁であられますんで、きちんと議論をしていただきたいと思っております。  できれば、もし可能であれば、これは返事結構でございますが、可能であれば、その会社名、個人名はまずいと思うんですけれども、会社名とかをもし伺えればこれちょっと有り難いなと思っております。  また、最後でございますけど、御質問申し上げたいのは、いろいろ会計検査院の方々からこのODAの執行状況についての話をお聞きしているわけでございますけれど、失礼なことを言うかもしれませんが、私自身、やっぱり会計検査院の方の調査はもっと突っ込めるんじゃないかなという気がしております。  それとはちょっとまた話が別でございますが、一つ会計検査院の方にお聞きしたいのは、会計検査院からJICAの方に再就職されている方が一名おられるわけでございますが、それも監事という役割で行かれているわけでございますが、検査対象にこのOBが行くということについて会計検査院としてはどう考えておられるかということについて、ちょっとお聞かせいただけますでしょうか。お願いいたします。
  80. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 会計検査院という職責を果たすべく厳格公正な立場を守らなければいけないということは当然のことでございまして、今お話しのようにOBが再就職しておりましても、従来から厳正な検査をしておりますし、現に不適切な事態がある場合にはこれを指摘し検査報告に掲記しているところでございます。検査に影響を及ぼすというようなことは決してないというふうに考えております。  また、OBの就職に際しましては、その職員が長年培ったその経験、知識等を生かし得るようにというふうに考えているところでございまして、そういった再就職先の会計経理の適正化あるいは内部監査の一層の充実に寄与していただきたいというふうにも考えておるところでございます。
  81. 藤末健三

    ○藤末健三君 どうも御回答ありがとうございました。  私個人の考えでございますけれども、今回はお願いしたいのが二つございます。  一つは、ODAのこの情報の開示をより一層お願いできないかなということでございます。今回私この資料をいただいてこれを読ましていただくだけでもいろいろ分かることもございますので、これは実は新聞記者の方も同じことをおっしゃっているんですよ。外務省さんに話を聞いても一切情報をくれないと。話もしないと。ほとんどよく分からぬということをおっしゃる方がおられます、正直申し上げて。私も自身、いろいろ資料の要求をさせていただいても出てこない。なるべく早くとおっしゃって一か月ちょっと待たなきゃいけないような状況でございますので、情報の開示を早くしていただきたいと思います。悪いことは逆に早めに出していただいた方がいいんではないかということが一つ。  そして、もう一つございますのは、先ほど天下りと申しますか人の交流についてお聞きしましたけれど、やはりODAのこの人の動きをいろいろ調べさしていただきますと、外部から疑いを掛けられるような感じのところがあるんではないかなというところがございますんで、是非とも、その中期計画を今作られていると思います。これ外務省さんが音頭を取っておられると思いますので、中期計画の中で明確に、その人の交流についても自主的な規制を課すことをお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  82. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) 御指摘のODAに関する情報開示、どこまでできるか引き続き努力をさしていただきます。  一点、先ほどJICA、JBICから転職した、あるいは建設会社、コンサルタント会社から来た者の社名をと、相互の社名をということでありましたけれども、実はJICAでいうと定員千三百二十七人のうちの五人ですし、JBICは八百六十九人のうちの一人行ったり来たりというようなことでありまして、現行の、何というんですか、規模であれば、実施機関の意思決定に何らかの否定的な影響を与えるものではないと判断をしておりますし、職務専念義務規定もございまして、職員は業務に関する指示命令に従い誠実に職務に専念するという、全員がこれを守って勤務していると存じておりますので、社名についてのJICA、JBICへの問い合わせは控えさせていただきます。
  83. 藤末健三

    ○藤末健三君 分かりました。どうも。  ただ、一点だけございますのは、いろんな規定あることは私も存じ上げていますけど、その徹底を明確にやっていただきたいと思います。  以上をもちまして、私の質問を終えさせていただきます。  ありがとうございました。
  84. 谷合正明

    谷合正明君 公明党の谷合正明です。私の方から、始めるときはODAというのは、援助というのはいいんですけれども、終えるときというのは非常に難しいと、ODAを終了するときですね、そのODAを終了させるときの話を中心に質問をさせていただきます。    〔委員長退席、理事阿部正俊君着席〕  私もいろいろ現場経験からいって、いかにそのプロジェクトを現地のカウンターパートにハンドオーバーして、それが向こうの自立につなげていくのか、これが本当に言葉では簡単なんですけれども難しい課題でございます。  そもそも、我が国ODAの卒業基準、円借款、無償資金協力、技術協力、また大使館には草の根人間安全無償とありますけれども、どういうふうに相手国がなった場合にそれを、ODA卒業とみなすのか、事実確認をさせてください。
  85. 別所浩郎

    政府参考人(別所浩郎君) 幾つかのODAの手法があるわけでございまして、有償、無償、技術協力とあるわけでございます。それぞれについて申し上げます。  有償資金協力につきましては、供与年度の前の年に発表される世界銀行融資ガイドラインを使いまして、一人当たり国民総所得、GNIでございますが、が五千六百八十五米ドル以下の国を現在の供与対象の目安としております。  それから、無償資金協力につきましては、一般に直近の世銀融資ガイドラインの、これちょっと細かい話になりますけれどもⅠ及びⅡの分類、そこに分類される一人当たりのGNIが千六百七十五米ドル以下の国を現在の供与対象の目安としております。  技術協力につきましては、供与相手国が開発途上地域ということにしておりまして、具体的に申しますと、DACの援助受取国ないし地域のリスト、それに国名が掲載されていることを目安としております。  これ、以上が目安でございまして、実際の卒業につきましては、このような各援助手法に関します目安を踏まえまして、諸般の事情を考慮して個別具体的に検討することとしております。
  86. 谷合正明

    谷合正明君 草の根人間安全無償は出ていませんでした。これは、むしろもっとこれを、判断は現場判断になって、基準もある意味あいまいだとは思うんですけれども、まあちょっとその質問、次に時間がないので行きますけれども、ブルガリアのODAについて質問をさせてください。  ブルガリアが明年の一月にEUに加盟するということで、その影響だと思いますけれども我が国ODA、いろいろなプロジェクトが終了すると。特に、青年海外協力隊が派遣されております。ただ、その青年海外協力隊も、先ほどのEU加盟に伴ってDACリストから除外されるということに連動して、これも新規を打ち切るということで、それが半ば抜き打ち的にこの措置が表明されたということで、現地に対してはですね、現地社会の失望が強く表明されているということを私は聞きました。  そもそも、この青年海外協力隊引き揚げるということにつきまして、どういう理由で今回そういう措置がなされたのか、お聞かせください。
  87. 別所浩郎

    政府参考人(別所浩郎君) 今のお答えの前に一言、先生がおっしゃっていた草の根とか日本NGO支援無償、あるいはテロ対策治安無償、防災、こういったものにつきましては、少し高めのレベルの国民所得まで柔軟に対応するということにしております。  ブルガリアの件でございますけれども、先生も御指摘のとおり、二〇〇七年一月にEUの加盟が予定されているわけでございます。そういうことで、明確に発表されたということを受けまして、二〇〇五年の十二月にDACリストから外れました。ODA予算が減少する中で、一層の選択と集中ということが求められていることもございまして、このブルガリアに対していつまでもODA支援するということは困難だというのが実態でございます。そういうこともございます。  また、ブルガリアに対するODAにつきましては、一人当たりのGNI、それから一般的な経済水準もございます。さらに、EU加盟をすることによってEUの中で多額の補助金といったことを受けることがございます。そういった要因を踏まえまして、段階的に縮小していこうということで考えているわけでございます。
  88. 谷合正明

    谷合正明君 JOCV、青年海外協力隊の中で日本語教師の派遣というのがあるんですけれども、特にこれは現地においては評価が高いと聞いております。  そこで、そういう海外協力隊がもう打切りになるということで、例えば広島大学等が、これが民間ベースの教員交流を続けていこうということで計画していると聞いております。しかしながら、いったんそのODAが打ち切られてしまうと、外務省あるいは国際交流基金からは、いわゆる金額ではないと思いますけれども、渡航費用だとか、あるいは現地のプロジェクトそのもの、教員交流プロジェクトそのものに対して支援受けられないという事態があります。私は、ODAも、それはもう段階的に自立していくべきだと思っておりますけれども、ただ果たしてそれが日本政府がしっかりと判断した上での措置なのか。ただ、今回はブルガリアはEU加盟になってDACリストから除外されるという言わばちょっと外部要因によってODAがストップしてしまったわけであります。  そこで、ブルガリアという国情も一朝一夕に加盟をもって変わるわけではありませんので、私は、ODA事業にとらわれず、何か側面支援というものができないだろうかということを外務省さんに要望させていただきたいんですが、何かいいアイデアはございますでしょうか。
  89. 山本忠通

    政府参考人(山本忠通君) 御指摘の日本語教育の関係でお答えいたしたいと思いますけれども、御指摘のように海外青年協力隊の日本語教育関連事業というのは、今ODAが終了することに伴いまして終結する方向で調整されています。これは、二〇〇八年の末までかかって海外青年協力隊事業というのは終了することになっておりまして、その間、我々としてやはり日本語教育は大変大事ですから、どのようにしてその後を埋めていくことができるかということを相手の受入れ国側の機関とも話しながら今対応を練っているところです。  具体的には、現在、既に国際交流基金から専門家が一人ソフィア大学に行っておりまして、幾つもの協力の形態があるんですけれども、何人も実は今行っているものですから、その方が現地にいろいろ助言をするということと、それからJOCVの方がいなくなった後につきましては、受入れ機関と、それからあと日本側の例えば大学などから派遣するところで新しいやり方を決めていただいて、そこに可能な範囲で我々も支援していくと。教材の供与のようなこと、その他便宜をいろいろ図ったり、あとブルガリア政府との間で取決めを交わして、ブルガリア政府が受け入れるに当たって政府のお金を出しやすくするようにするというようなことでいろいろ考えております。
  90. 谷合正明

    谷合正明君 是非きめ細かい配慮をお願いしたいと思います。  次に、この夏、私もODA調査団の一員としましてウズベキスタン、カザフスタンに行ってまいりました。阿部団長とともに行きました。その中で、視察させていただいたプロジェクト一つ日本センタープロジェクトというものがございます。これは日本語学習を提供するでありますとか、日本文化あるいは留学情報を提供するとか、あるいは現地の若手経営者に対していわゆる経営学を提供するといったプロジェクトなんですけども、これが二〇一〇年に技術協力の第二フェーズが終了するということで、その後どうなるのかということが心配されているわけでありますが、ここは今どのように考えられていらっしゃいますか。
  91. 別所浩郎

    政府参考人(別所浩郎君) 先生御指摘のとおり、ウズベキスタンもカザフスタンにもございますが、日本センター、市場経済化に資する人材育成ということと日本との相互理解促進ということでやってきております。また、御指摘のとおり、今第二フェーズにこのプロジェクト入っておりますけれども、二〇一〇年には終了ということで考えております。そういう予定になっております。  では、これからどうするかということでございますけれども、これまでに行ってきた日本センターの今までの成果、これは先生御自身ごらんいただいたと思います。非常にうまくいっている面と、いろいろ困難を、挑戦を受けながら頑張ってきたところございます。そういった成果を踏まえ、またその、旧ソ連圏でございます、独特の文化圏である両国の国情なども踏まえながら、両国のニーズ、いろいろ私どもとして支援すべきものはあると思います。そういった中で人材育成のための協力を行っていく。必ずしもODAというわけにはいかないかもしれませんけれども、いろいろ考えていきたいと思っております。
  92. 谷合正明

    谷合正明君 ODAという形でない、それ正に私はそこを言いたいわけでありますけども、そういうODAの枠にとらわれない形で是非やっていただきたいと思うわけです。  特に、そのカザフスタンにつきましては、小泉前首相が同国訪れまして、今後人的交流をしっかり進めるんだと言われました。表明されました。そう考えますと、この日本センターの役割というのは非常に重要であると私は考えております。しかしながら、カザフスタンは原油の生産によりましてかなりその一人当たりのGDPが、額が上がっておりまして、無償資金協力も卒業だと、で、円借款も向こうは要らないと言っているわけであります。  そうした中で、ODAとしてずっと続けるという位置付けもどうなのかと。実際やっているのが、計画講座といいまして、むしろセンターを運営している方自身も市場経済プロジェクトとしてやっているんですと。だから、これがODAというよりは、もうこれからいわゆるパートナーシップとして、何か事業として位置付けられないかと思うわけでありますが、この辺り、どのように考えていらっしゃいますか。
  93. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) それはちょっと、それはちょっと局長クラスじゃなかなか答弁のしにくいところだと思いますんで。  谷合先生、これは確かにおっしゃるとおりに、最近では石油の値段が急激に、二十USドルから六十ドル、七十ドルに上がったこともこれあり、いろんな意味で急激に、一人頭のGDPに直しますと、ODAの対象とはぽんと飛んじゃった国、まあカタールとか、いろいろほかに数え上げれば、日本より三万ドル、四万ドル行っているところが一杯出てきております。  じゃ、実情はどうかというと、なかなか、急に金持ちになったけれども、教育がどうたらとか、やれ行政がどうとかとか、地方自治がどうとかいうと、全くできていないという。外務省より自治省によくそういう方お見えになるんですが、そういった方々に、実は自治大学校に学生をよこして、日本の自治大学校に送られて、そこで勉強されたらどうでしょうといって、実はそういった方々に対して、いろんな意味で、優秀な地方公務員教育というのは日本というのはかなり優秀なものがありますのでやられたらどうですというようなことを申し上げて、送ってきておられる国もあります、現実問題として。    〔理事阿部正俊君退席、委員長着席〕  このカザフスタンの場合は、この間小泉総理が行かれて、これまで年間千七百人の海外留学生って、国費による海外留学生っていうのを全部ヨーロッパに送っておりましたものを、欧米に送っておりましたものを初めて日本に送るというところまで今来ておりますので、この受入れに関しましては、ウズベキスタンはやっておりましたけど、カザフスタンはありませんので、こういった意味では初めてそういった方にも道を開こうといたしております。  いずれにしても、今、ODAという、何となくリニューアルして、一緒にプロジェクトという、これは多分全然別の名前でやらぬといかぬのかなと思いますけれども一つの考え方として大事な御視点だと思います。
  94. 谷合正明

    谷合正明君 さらに、カザフスタンだけじゃなくて、先ほど挙げたブルガリア、東欧には、今回ポーランドだとかハンガリー、ルーマニアもDACリストから除外されてしまうわけでありますね。そういう国々がどんどん出てくるんじゃないかと。  これまでは、東南アジアなんかはODA卒業して、それは民間投資でやればスムーズにいっていたんですけれどもODAを卒業してから民間投資に行くというこの流れが必ずしもうまくいかない国がどんどん誕生しているんじゃないかと。  私は、そこで、ODAも民間投資に行くため、そのシームレス化が大事だと思っております。そのつなぎの部分が正に日本ODA、戦略的に考えなきゃいけない部分だと思っております。ODAをどうやって終了させて、どうやってハンドオーバーして、どうやって民間投資につなげていくか、この辺り、もう少し大臣の方から答弁をお願いします。
  95. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) 今カザフスタンの例が出ましたけれどもODA以外では中央アジアプラス日本というフレームの対話をしておりますし、もちろん二国間対話もございます。これらを通じてJBIC、それからジェトロ、民間の日本カザフスタン経済委員会の活動を連携しながら投資環境整備をうまくやっていく。  卒業イコール次の入学という委員の御指摘は極めて重要だと思っています。それを併せて、来年一月にEUに加盟が予定されているブルガリア、それからルーマニアを含む中東欧諸国に対しても、円借款によるインフラ整備や投資庁への専門家の派遣などを通じて投資環境整備をこれまで実施してきておりますけれどもODAを卒業したから、はい、さようならではなくて、むしろ同時に、ODA卒業を視野に入れて日本の企業の投資促進をテーマとするセミナーを開催したり、一層の投資環境整備に向けての努力日本もし、相手にも促しております。  委員の御指摘、極めて重要な点と受け取っておりまして、今後ともそれらに当てはまる国々で一層努力をしてまいります。
  96. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、中央アジアのところまで説明を終わった。この上のところにいわゆるGUAMと言われるグルジア、ウクライナ、アゼルバイジャンというあれがあるんですが、これらを含めまして自由と繁栄の弧、いやいや、ずっとこっちまで、インドからこっちへ抜けまして、こういったものを基本としてやるとき、これ、抜けるところが今言われたアゼルバイジャン、ここらが抜けることになろうと思いますんで、そこのところを今にどうやっていくか、ちょっときちんと今立案中でありますので、改めて御説明させていただきます。
  97. 谷合正明

    谷合正明君 特に私が今申し上げた国々というのは非常に親日的でございます。大臣のお好きな漫画、漫画を通じて日本を好きになった、日本に留学するという学生を目の当たりにして非常にびっくりしたわけでありますけれども、金の切れ目が縁の切れ目にならないようにしっかりとやっていただきたいと思います。  対中国の円借款についても併せて伺いたいと思います。伺うというよりも、こちらの要望をさせていただきたいと思います。  対中国の円借款につきましては、二〇〇八年のオリンピック前までに円満に終了するということが日中の共通の認識でございます。しかし、今年というんですか、二〇〇五年度の閣議決定が年度末にできなかったということでございます。この理由についてはいろいろな委員会質疑でさんざん出てまいりましたけれども、私は、いずれにしましてもあと二年でございますので、円借款については、次は年度内に是非しっかりと円満に終わるような形、両国が話し合っていただきたいと思いますし、また、あと二年ということであれば、プログラムなんかは、予算は一年ごとで区切ってもいいとは思いますけれども、プログラムは終了時点まで何か提示していくというような考えもあってもいいんではないかと私は思います。  是非、その辺り、海外経済協力会議なんかでも議論になっているのかもしれませんが、検討していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  98. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御指摘のとおり、海外経済協力会議でこれは議論になっているところであります。  この点につきましては、二〇〇八年オリンピック前までに新規円借款については円満に終了ということで日中間で共通の認識が既にでき上がっております。したがいまして、中国も御存じのように豊かになってきておりますので、その意味では、いわゆる円借というのの必要性は以前に比べればもうかなり低下しておるということを踏まえた結果そういう判断をいたしておりますので、いずれにいたしましても、新規供与につきましては円満終了ということを基本的な方針に基づいてやっていこうと思っておりますが、今それをどういう終わり方をするかについては、今いろいろ議論のあるところだと思いますので、一括というのはどうかなという感じがしないでもありませんので、更に調査をいたしたいと存じます。
  99. 谷合正明

    谷合正明君 是非、波紋を残すような形じゃなくて、日本ODAというのは本当に、ODAを終わるときも何かすばらしい終わり方だというような国際的評価をいただくような判断を下していただきたいと思います。  最後に、時間が余りましたので、話題が変わりますけれども日本国際協力システム、JICSの在り方について、最後、質問させていただきたいと思います。  先ほども話題に出ましたけれども、三年前の十二月に中東イランで大地震が起きました。バム、古都のバムで起きました。二年前はインド洋の大津波災害がございました。それぞれ、我が政府から相手国政府に、イランの地震のときは十六億円、インド洋の大津波災害は三か国に百四十六か百四十七億円供与しました。真っ先にディスバースメントしました。  そこについては非常に高く評価したいと思うんですけれども、使う費目は決められていっても、その後なかなか進展していかないと。イランの仮設住宅のプロジェクトも三年たっていまだ新規入居がないわけであります。インド洋の大津波災害もまだ何に使うかということ、実行の部分のところが結構多いわけでございます。  そもそも、相手国政府に、一気に相手国政府の口座に資金を出すときに、その後どこがどう管理するかというときに調達代理機関であるJICSというのが登場してまいります。だから、調達代理機関であるJICSがしっかりと管理していただかないといけないと思っております。  ただ、結果として、今二つ申し上げましたけれども、うまくいっていないんではないかと私は思っております。しかも、相手国政府に一回資金が渡ってしまうと、日本の会計検査院の検査も及ばないわけでありますから、相手国政府とJICSとの契約のやり取りなんかも分からないわけでありまして、よほど国際協力システム、JICSの専門性を強化していかないと本当に無駄遣いになってしまうんではないか、あるいはタイミングを逸した援助になってしまうんではないかということを私は危惧をしております。特に、JICSの在り方、専門性の強化でありますとかそういったことについて、今現在、外務省としてどのように検討されているのか、お伺いしたいと思います。
  100. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) JICSは、国際的な調達に関する知識や実績があるだけではなくて、日本で唯一の中立かつ公的な調達専門機関であります。これまでも、JICSが被援助国政府を代行してこれらの業務を実施することによって、日本の二国間無償資金協力事業の適正な実施が確保されております。  JICSがこれまで以上に被援助国のニーズに的確にこたえ、また日本政府との緊密な連携の下で一層効果的かつ適正な援助を実現するよう、JICSの機能強化を図っていきたいと考えます。  それから、イランの住宅とインドネシアの津波の被害支援についての御指摘がございましたけれどもインドネシアに対するノンプロジェクト無償資金協力にかかわる復興事業については、去年十二月までに、その全額、予算上の使途の割り振りが決まっておりまして、現在、着実に実施されています。  五月に日本へ来たインドネシアの復興庁長官によると、日本支援事業はすべて必要なものばかりであって、既に道路の修復や放水路の復旧、給水など、様々な分野で実を結んでいるときちんと評価をいただいております。  それから、イランのバム地震による住宅建設の御懸念でありますけれども、去年の十一月十四日までに全戸の設置を完了してイラン側に引き渡してはいるんですけれども、何でも電気工事が、住宅向けの電気工事が遅れておりまして、今電気工事が完了した住宅から順次被災者が入居するということにしているようでございます。来年の二月にはその補足の工事も完了する見込みと聞いておりますので、イラン政府としっかりこの点引き続きコンタクトをして、必要なフォローアップをさせていただきます。
  101. 谷合正明

    谷合正明君 終わります。
  102. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。  先ほど自民党の山下先生も触れていただきましたインドネシアのコトパンジャン・ダムについて質問いたします。  参議院調査団がコトパンでいかにひどい目に遭ったかというのは、この前の委員会で報告をさせていただいたところでございます。まあすさまじい体験をしたわけですけれども委員会で報告するだけでは腹の虫が収まらないという方もおられますので、大臣に苦言を一言申し上げることも含めて質問したいと思います。したがって、今日は我が党の質問というよりも、調査団全体の気持ちといいますか、超党派の立場での質問ということで、御答弁もそういうふうにお願いできればと思います。  したがって、派遣報告書に基づいて質問したいと思いますけれども、要するに、参議院ODA調査団に対する外務省、JBIC、JICAあるいは現地の大使館の姿勢についてまず申し上げたいことがあるということでございます。  インドネシアのコトパンジャン・ダムは、御存じのとおり、約三百十二億円の日本からの円借款で建設されたダムでございます。ただ、現地の住民の移転がありまして、その補償についてうまくいっていないということで、インドネシア政府には補償が足らないということで訴訟が起きておりますし、日本政府には事業そのもの、あるいは精神的な損害ということで日本政府も訴えられているということでございます。  調査団は、日本政府の立場、あるいは住民の立場とか、余り色眼鏡を付けないで、とにかく現地へ行って両方の意見を聞くと、そしてこの委員会に報告をするということで調査に行ったわけですから、両方の意見をありのままに聞きたいということが調査の目的でございました。ただ、現地で起きたことは、特に現地大使館とJBICの問題点は集約すると二つではないかと、この報告書にも書いてありますが、思います。  一つは、調査団の安全確保が十分にされなかったという点ですね。これは、ダムサイトに千人の抗議集会が行われているとか、実際には三百数十人でございましたけれども、いずれにせよ、現地に着いてから私たちが警察の配備をお願いするとか、現地の大使館とかJBICは危ない危ないと言っておろおろするだけというようなことがございました。そういう調査に行くときに安全がきちっと確保されなかったという問題点が一つでございます。  もう一つは、ヒアリングをするわけですけれども最初に聞いた村長さん、村の村長さんですが、ダムに賛成派の方でございました。もちろん賛成派、反対派、両方聞きたかったわけですが、その村長さんのお話を聞いて、ダムができて感謝をしていると、何でほかの住民が訴えているのか分からないと、そういうことまでおっしゃいまして、まあそれはそれで一つ意見かなと思って帰ろうとしたら、この前の委員会でも申し上げましたけれども、手に隠して現金を十万ルピー、JBICの現地コーディネーターがその村長さんに渡すということがございました。したがって、私たちの聞いた話がどこまで信憑性があるのかというふうに疑うような事実がございました。  個々には既に抗議をしておりますし、謝罪も受けておりますけれども是非大臣として、今後こういうことがないように、参議院ODA調査団の位置付けをしっかりと現地大使館あるいはJBIC等々に徹底していただいて、今後こういうことがないようにしてもらいたいと、指導してもらいたいと思います。  まず、大臣のその辺の所見をお伺いしたいと思います。
  103. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) 参議院ODA調査団がコタパンジャンを訪問した折に、デモに対する警備がまず第一に不十分であったため、調査団の円滑な調査活動に支障を生じたと度々指摘をいただいておりまして、事前の在外公館、それに関連する者たちの心構え、対応が十分ではなかったと認識をしております。  それから、金銭の授受については、やっぱり、連絡用の携帯電話の使用料と聞いておりまして、その使途に問題はなかったという報告は受けてはおりますけれども調査団の目の前で、日本円で千百円相当でしょうか、目の前で現金を渡すという神経は、これはやはり適当ではないと、調査団の方に無用な疑念を抱かせることになったわけで、誠に残念なことだと思っております。今後はこういうことが起きないよう、十分事前の対応をきちんと在外公館その他に指示をしてまいります。  参議院ODA調査は、ODAの現場を訪問して関係者からODAの実態について直接見聞きしていただく重要な機会であります。ODAの一層の効果的かつ効率的な実施を図っていく上で非常に意義のあるものだと認識をしておりますので、今後とも外務省としては全面的に協力をさせていただく考えでございます。
  104. 大門実紀史

    大門実紀史君 大変申し訳ないんですけれども、なかなか大臣そのものに御質問する機会が少ない委員会でございますので、麻生大臣から一言お願いいたします。
  105. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今の話ですか。済みません。  コタパンジャンの話は度々伺っておりますけれども、現地の対応についてまずさがあったというのは今副大臣から御答弁を申し上げたとおりです。  それから、千百円だったかな、千百円相当の金品ということになろうと存じますが、それがODA調査団の見てる目の前でというところは、ちょっとセンスが欠けるなと私もその話を聞いたときにそう思いましたけれども、いろいろな集める意味でそれ相当の金が要るだろうなとは思いましたけれども。それを今言われたような形で、いかにも買収したかのごとき疑惑を持たれるような行動は厳に慎んでしかるべきという点に関しましては、同じ意見であります。
  106. 大門実紀史

    大門実紀史君 千百円というのは日本円でございますけれども、現地にすると生活費の四分の一ぐらい当たりますので相当の金額でございますし、目の前じゃなくても私はまずいと思いますのでね、その辺はちゃんと認識をしてもらいたいと思います。  これは、あともう五、六分しかありませんから、是非大臣からお答えいただきたいんですけれども、あのダムの訴訟等について、背景とかいろんなことがもう分かっております。ですから、一般論で結構なんですけれども調査団の団長があの報告書に書かれているのもそうですが、とにかく何があろうと、どんなことがあろうと、何が背景にあろうと、要するに日本が一生懸命ODAをやって、それが結果的に住民に感謝されない、先ほど山下先生もおっしゃっておられましたけれども、結果的に住民から訴訟を起こされるとか、感謝されないと、非常に残念なことだというふうに、もう結果論ですけれども思います。  二度とそういうふうになってはいけないというふうに思うわけですけれども、それで調査団としては所見をまとめました。要するに、これは報告書の百三十二ページ、百三十三ページに書いてありますけれども、要するに、こういう相手の住民がかかわるものでその補償が伴うもの、移転が伴うもの、こういうものについては、相手国の政府ときちっとそれが実行されるように書面を交わしたらどうかと。今回も率直に言って一義的に悪いのはインドネシア政府だと私も思っております。そういう点でいくと、インドネシア政府と本来はちゃんと補償をやるようにということを確約すべきだったという点も反省点としてあると。  もう一つは、調査団としては、それを担保するために、今後の問題として、第三者を立てて住民と相手国政府との契約なんかをしてもらうとか、率直に言ってなかなか途上国の場合、いろんな政治的な背景とかいろいろあるわけですね。ですから、そういうことで担保するとか、あるいはフォローとして会計監査なども考慮したらどうかという所見をまとめております。  このとおりすぐという意味ではありませんけど、こういう参議院調査団がせっかくあれだけの経験をしてまとめた所見でございますので、これも参考にしながら、参考にしながら今後のODA在り方を、ODAのそういう場合の在り方を検討していっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  107. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、大門先生から御指摘のありましたように、基本的には、大きなプロジェクトをやりますと、その地域において移動させられる、転居させられる方々に不満が出る、これは何もインドネシアに限らずどこでもあり得る話で、今中国であっちこっちに起きておりますのは御存じのとおり。そういった意味では、もうこれはどこでも起きる話だと思っておりますが、そういったときに当たって、少なくともこっちもODAをやる以上、終わった後、今のような形になるのは、これは甚だやったこっちも面白くないし、何となく不満が残るところでもありますので、かかってこれはインドネシア政府が一義的には問題があることははっきりしていると思います。  ただ、そのときに当たって、この種の話はそちらが責任を持ってもらわない限りは、過去こういった例があるだろうがと、だからうちはこの種の話にもう二度とこういうのにやるのは嫌だから、少なくともこのインドネシアに限って言えば、次のときに関しては、ちゃんときちんとしたものをこっちにあらかじめ渡しておいてもらわないと、うちは面白くないこと甚だしいということはきちんと言っていかないかぬということは一つの例だと思いますが、いずれにいたしましても、こういった話をきちんと現地と更に詰めたことをやっていく必要があろうという御指摘だと思いますので、私どももそれはそう思います。  ただ、低開発国というのは難しいねというお話をおっしゃいましたので、それはもう誠にそのとおりで、第三者という、本当に公平な第三者というのを探すのがこれまた難しいところでありまして、なかなか現実的には難しいとは思いますけれども、そういった方向で努力をしていくべきだと、私もそう思います。
  108. 大門実紀史

    大門実紀史君 公平な第三者の見付け方、御相談いただければ幾らでもあると思っております。  一言だけ、局長で結構ですけれども、具体的に、今裁判やっていますから難しいと思うんですが、その裁判そのものがですね。ただ、住民の方々いろいろ困っておられますので、いろいろ働き掛けはしてもらっているみたいですよね、住民の意見を聞くとかヒアリングとかをやるとかですね。その辺の努力、今現在の努力を一言聞かせてもらえればと思います。
  109. 別所浩郎

    政府参考人(別所浩郎君) 御指摘のとおり、現在、コタパンジャンの周辺につきまして、住民の方々困っておられたということで働き掛けをやってきておりましたし、それで幾つか行動計画のようなものができた場合もあります。ただ、私どもといたしましては、引き続き現地の状況を把握して必要な対話を続けていきたいと思います。
  110. 大門実紀史

    大門実紀史君 取りあえず困っている方いらっしゃいますので、現地インドネシア政府に働き掛けることも含めて、外務省として当面努力をお願いしたいというふうに思います。  終わります。
  111. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  ODAに関して、まずフィリピンのODAについて質問をいたします。  これは、近藤議員が以前質問し、かつ私も外交防衛委員会で十一月七日に質問したことと同じです。アロヨ政権発足後の暗殺事件数は、フィリピン国家警察の発表では百十四件、アムネスティの報告では二百四十件以上です。この七月―十月の三か月間だけで五十人が殺害されたという報告があり、犠牲者はますます増えております。極めて問題なのは、日本ODA供与している場面で殺人事件が相次いでいることです。  五月三十一日、このODA特で近藤議員が質問していますが、アグノかんがい事業に反対する運動のリーダー、ホセ・ドトンさんが殺害をされたと。それから、九月七日、日本ODAをめぐり農民組織の州リーダーが暗殺されたということがあります。これはもう極めて重大問題であるというふうに考えております。  この件で、十月三十日に国会議員、超党派の国会議員とNGOとの話合いの場で外務省は、フィリピンの状況や伝えられている事実を含め、重大な関心を持っていることを何らかの形でフィリピン政府に伝えると確約をしました。このことをフィリピン政府に伝えておりますか。
  112. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) フィリピンにおける人権の状況については日本政府としても大きな関心を持って見守っております。これは、例えば十一月十日、在京フィリピン大使がお見えになった折、私からも治安状況について、そしてこれらの問題について、しっかりした治安対策、それと住民への十分な配慮がないと関連した事業も手伝いにくいということを直接話をさせていただきましたし、実はあさって、担当課長を中心に事務方がフィリピンに参りまして、円借款全般について協議をすることになっております。  その折に、一般論として、フィリピン側の治安対策や住民への配慮を求めて、今後それらの点について努力をきちんとするようにという要請をすることにしておりますし、機会を得てこの点については度々フィリピン側に物をきちんと言わせていただいております。
  113. 福島みずほ

    福島みずほ君 浅野副大臣が大使に話をしてくだすったということなんですが、済みません、いつだったのかということと、フィリピン大使の反応はどうだったかについて教えてください。
  114. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) 十一月十日と申しましたのは、外務省南東アジア第二課長がシアゾン在京フィリピン大使を訪問して申入れをしたと、ちょっと訂正をさせていただきます。  私のところへは、日にちは改めて申し上げますが、就任の関連でおいでになったときに、それらの問題について話をさせていただいております。
  115. 福島みずほ

    福島みずほ君 そのときのフィリピン側の反応はどうでしたでしょうか。
  116. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) そのときに限らず、私が得ている情報では、この問題については五月十六日の件も九月七日の件も捜査当局が、フィリピンの捜査当局が鋭意捜査をしているということではありますけれども、捜査に新たな進展があったという情報には残念ながら接しておりません。  したがいまして、引き続き現地フィリピン当局に捜査を鋭意進めるように申し入れるとともに、動向を見守ってまいりたいと。ついては、あさって行く担当課長を団長とするこのミッションからも先方にその点を、その点を言いに行くわけじゃありませんけれどもODA全体の、借款全体についての協議ではございますけれども、その点を含めてきちんと触れるように指示がしてございます。
  117. 福島みずほ

    福島みずほ君 日本ODAを出しているところの現場で殺人事件が相次いでいるということを、ODAドナー国としてやはりこれは重く考えるべきであると思います。  十一月十日に言ってくだすったということですが、なぜこの質問するかというと、やはり殺害が続いているからです。今度、あさってこのことで話合いをされるということで、是非日本の、最大ドナー国が、日本ODA最大拠出国としてこのフィリピンにおける殺害を止めるべく、フィリピン政府に対しても強い意思表示をしていただきたいというふうに思っています。  ところで、配付資料にもしておりますが、争議やリーダーの問題に関して軍、警察の介入ということが非常に言われております。つまり、日本ODAに関して軍が介入している、これは極めて問題だというふうに思っております。  また、アメリカ国務省は、世界の人権状況に関する二〇〇五年年次報告書で、フィリピン国家警察が最悪の人権侵害機関だとアメリカも指摘しているほどですが、この軍や警察の介入、特に軍がODAをやる現場に入っていくというこのことについてドナー国としていかがでしょうか。
  118. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) 今、福島委員の個々の御指摘について必ずしも事実関係を掌握しておりませんので、一般論としてお答えをさせていただくことになりますけれども、繰り返しますが、ODAの現場、その周辺、治安の維持と住民の生活の安定ということに十分の配慮をいただきませんと、せっかくのプロジェクトも実行しにくい環境が生まれます。このかんがい事業の可否とは別に、それに関連する人々の生活というのは重要と存じております。  それからもう一つ、フィリピンの人権の問題については、アムネスティその他からの指摘があることも承知をしております。ただ、国内問題であることは、フィリピンの国内問題でありますので、それとの接点の中で日本政府として指摘できることはきちんとやらせていただきたいと考えます。
  119. 福島みずほ

    福島みずほ君 きちっと指摘をさせていただきたいという言葉を非常に重くこちらも受け止めたいと思っています。というのは、このように殺人事件が起きるということが続くのであれば、日本はこの事業にODAを供与することを考えさせていただくということぐらいまで踏み込んで言っていただくことはできないでしょうか。
  120. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) そういう気持ちも含めて対応してまいりたいと存じます。
  121. 福島みずほ

    福島みずほ君 残念ながら気持ちが見えないので、是非そこをちょっと、もっと踏み込んで言っていただきたい。つまり、これはやっぱり日本の、ODAを供与しているドナー国がやっている事業で殺害事件が止まらない。今までも日本政府は言っていただいたのかもしれないけれども、なぜあえて質問するかというと、止まっていないということなんですね。やはりフィリピン政府が、これはやっぱり問題だと、きちっとやらなければならない。これは国内的にやっていただくしかないわけですから、他国としては。それは、日本ODA在り方について考えさせてもらうと言うだけでも物すごく大きな効果があると思うのですが、いかがでしょうか。
  122. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) 先ほどからの私の答弁はそういう意味合いを含めているつもりでございます。
  123. 福島みずほ

    福島みずほ君 ありがとうございます。あさっての交渉の中で、少なくとも殺害事件というひどいことが止まるようにということを期待し、注視させていただきます。  次に、ミャンマーのODAについてお聞きをします。  日本人道支援はやっておりますが、中身を教えてください。
  124. 別所浩郎

    政府参考人(別所浩郎君) ただいま、ミャンマーにどういう支援をしているのかという御質問だったと思います。  御案内のとおり、二〇〇三年にアウン・サン・スー・チー女史がミャンマー政府当局に拘束されて以降は、新規のODA案件について原則として実施を見合わせているという状況ではございますけれども、他方、緊急性が高い、特に真に人道的な案件などにつきましては、同国の政治情勢を注意深く見守りつつやっているわけでございます。  順次実施するということとしているわけでございまして、具体的な例を申し上げますと、例えばユニセフとの協力の下でポリオ予防接種に対する緊急無償資金協力、あるいは母子保健サービスの改善といった無償資金協力。あるいは、技術協力の方で申しますと、感染症対策プロジェクトや麻薬撲滅のための、ケシ栽培に依存している農村があるわけでございまして、そういったところの貧困開発を行うための技術協力などをやっているわけでございます。
  125. 福島みずほ

    福島みずほ君 人道支援は仕方がないというふうにも思いますが、他国は人道支援も含めてやめている面もあります。  ところで、ミャンマーの状況は、御存じ、国連局長が監禁中のアウン・サン・スー・チーさんと面会をする、それから国連決議でアメリカ、そして日本も、民主化問題に関して国連安保理委員会で正式議題とされ、決議がされたというふうに聞いております。  このように、今、ミャンマーの人権状況をいかに変えるべきか、国連が動き始めているという状況の中で、日本政府は今まで人道支援はしますよというミャンマーに対する態度だったんですが、もう少し、ミャンマー政府にもう少し言えないかと。つまり、フィリピン政府に対してこの殺害を続けているのだったらODAは考えさせてもらうというように、ミャンマーに対しても、選挙で選ばれた国会議員が獄中にある、あるいはアウン・サン・スー・チーさんその他の人たちが監禁状態にある、その中で日本ODAやっているわけですから、日本がミャンマー政府に対してきちっと人権問題考えてくれということをもっと踏み込んで言っていただきたいと思いますが、いかがですか。
  126. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これはもう長い長い話の間で、首脳レベル、外相レベルでは度々申入れをしておるのがこれまでの経緯です。  それから、ASEAN等々に外務大臣、出てきますので、この人にも申し入れておるのも事実でありますけれども対応、反応につきましては今御存じのとおりということになっているんであって、軍事政権ということなんで、このまま行くと更に状況は厳しくなるということも、事実厳しくなってきていますので、十分承知をしておるとは思いますけれども、結果は今御存じのような結果になっているというのが現状です。
  127. 福島みずほ

    福島みずほ君 日本はミャンマーに対してはODAを供与している、人道支援という形はやむなしという形で。ですから、なかなか難しいかもしれませんが、これは世界努力をしているところでもあるので、是非外務省の知恵を発揮してくださるよう、私たちもできるところはやりたいと思いますので、よろしくお願いします。  せっかく外務大臣が発言してくださったので、さっきのフィリピンの問題に関して是非ODA最大ドナー国日本がフィリピンの人権問題、特に日本ODA先で殺害事件が起き続けているということについて踏み込んで発言をしていただけないでしょうか。
  128. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 先ほど浅野副大臣の方から御答弁を申し上げたとおりだと存じますけれども、少なくとも、これ何も日本ODAに絡んでいるところだけではないんで、あの一円に治安が不安定と言えるか、元々大統領候補が射殺されてみたり、そういったところは結構激しい国の歴史がこの国にあります。そういった意味で、この日本のあれだけが問題、日本ODAをやられているところだけで起きている、殺人事件起きているのは、だけではありませんけれども、いずれにいたしましても、こういったようなことが頻繁に起きるということは我々としては甚だ遺憾に思っていると、これはもうアロヨさんに一回伝えたことありますけれども。そういったような話を今後とも更に詰めていって、ODA供与のときの検討の対象にしますということは申し上げていきたいと思っております。
  129. 福島みずほ

    福島みずほ君 以上です。時間ですので、終わります。  よろしくお願いします。
  130. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時五十分散会