○
政府参考人(
大古和雄君) お手元に「
北東アジア軍事情勢」という横長の資料があるかと思いますが、これに沿って説明させていただきます。
まず、一ページ目でございますが、
北朝鮮の
核実験実施の関連につきまして、これにつきましては、御
案内のとおり、この十月九日に
地下核実験を安全かつ成功裏に実行したということで
北朝鮮が発表しているところでございます。
我が国の
評価でございますが、諸
情報を総合的に分析した結果、
核実験を行った蓋然性が極めて高いと判断しているというところでございます。
ちなみに、
アメリカにつきましては、十月十六日でございますけれども、
アメリカ国家情報長官室が公式に
声明を出しまして、
大気サンプルを解析したところ、
北朝鮮の
地下核爆発を行ったことを確認する
放射性じんが検知されたということで、公式に言っているところでございます。ちなみに、
アメリカとしては、
爆発の規模は一キロトン未満であったというふうに
評価しているところでございます。
あと、再
実験の
可能性でございますが、これについて
中国では
報道局長が言っているところでは、
唐家セン国務委員との
北朝鮮の
会談で、
北朝鮮としては二度目の
核実験を行う
計画はない、ただし、もし外部から更に大きな
圧力あるいは不正な
圧力が加えられれば、
北朝鮮は一層の
措置をとる
可能性はある旨表明したというふうに
中国側は言っているところでございます。
二ページ目でございますが、
核兵器のいわゆる
弾道ミサイルなり
弾頭化に関する
評価の
関係でございますが、これは
北朝鮮が公式に表明しておりませんので分からないところはございますけれども、
アメリカがいろいろ
アメリカの
議会で聞かれて、
アメリカの
関係者が公式に答えているところでは、まず一番上のところでございますが、
国務次官補が
議会証言で、
核兵器を製造し、まあこれは製造の問題は今回はちょっと変わったかと思いますが、
ミサイルに
弾頭化する話につきましては、
核兵器を
米国に到達させる
能力を有する
ミサイルに搭載したとする証拠はないというふうに言っているところでございます。
それから、
アメリカ国防省の
情報機関であるDIAは、
記者発表文で公式に、理論的な
能力は有しているが、現に
実施していることを示唆する
情報を我々は有していないということで述べているところでございます。
それから、三ページに、御
参考までに
核兵器についての
タイプを図示しましたけれども、
一般に、いわゆる
砲身、
ガンバレル型というものと、
爆縮、インプロージョン型というのがあると言われております。
ガンバレル型については、広島型の
原爆で使われたということで有名でございますが、これは
ウランのみに使用可能だと言われております。それから、この図にございますように、
砲身型状に
核分裂物質と
起爆用火薬を離しておきまして、
起爆用火薬を弾のように撃ち出す形で
核分裂物質を凝縮させまして
核分裂を起こさせるというふうに承知しております。
他方、
爆縮型につきましては、下の方に大きな図で書いてございますけれども、中央に、黄色く図示してございますが、
プルトニウムを置きまして、これを周りの
火薬を
爆縮させまして
核分裂を起こさせるというふうな
タイプでございます。これにつきましては、構造が複雑であるけれども
小型化、
軽量化が可能と。それから、
ウラン、
プルトニウムの両者の
タイプに対して使用可能であると言われております。
長崎型原爆でこの
タイプが使われたということでございます。ただ、技術的には、下の方に書いてございますが、
爆縮をそろえてやりませんとなかなか
核分裂が起きないということがございまして、この場合、
火薬を同時に、一千万分の一秒の誤差の範囲内で同時に起爆させる必要があるというふうなものだと言われております。
それから、四ページでございますが、七月五日の
弾道ミサイルの
発射の
関係でございますが、まず一点目は
テポドンでございますけれども、右側に図示してございますように、
テポドンという地区からいわゆる
テポドン2と見られる
ミサイルが第三発目で
発射されました。ただ、その
発射の数秒後に高度数キロメートルの
地点で第
一段目を分離することなく空中で破損し、
発射地点の
近傍に墜落したと見られるということでございます。
それから、その他の六発につきましては、下の方にございます
キテリョンというところから
発射されたわけですけれども、
東北方向に四百キロメートル
程度飛翔しまして、
日本海上に着弾したと。いずれも、いわゆる
移動式の
発射付車両から行われたと。それから、この六発の
ミサイルについてはノ
ドン及び
スカッドであったと見られると。それから、この
キテリョンからの
弾道ミサイル発射につきましては、より実戦的な特徴を有しているというところでございます。
五ページ目に、
北朝鮮が保有していると思われる
ミサイルについて図示いたしましたけれども、
スカッドについてはB、
Cタイプ、それからノ
ドン、それから
研究開発中でございますが、
テポドン1と2があるというふうに言われているところでございます。
それから、六ページ目のところに、これは便宜的に、
北朝鮮の
テポドンから
発射した場合に
射程上どこまで届くかということを図示したものでございます。
テポドン2につきましては
一般に六千キロメートル
程度の
射程と言われておりまして、仮にこの
テポドンから撃った場合につきましては、ハワイには届かないけれども、アラスカの大
部分は
射程に入るということでございます。
それから、続きまして七ページでございますけれども、
北朝鮮軍の
状況でございますが、総兵力は百十万人ぐらいと見積もられておりまして、その三分の二が、図示してございますように、いわゆるDMZの、三十八度線の
近傍に配置されているというふうに言われております。
それから、下の方にございますけれども、
ソウルの場合は三十八度線の一番近いところですと約四十キロぐらいと言われておりますけれども、これは在
韓米軍司令官の
議会証言でございますけれども、約二百五十の
長距離火砲システムが現在の
配置場所から
ソウルをそのまま
射程に収めているというふうに
アメリカは
評価しているところでございます。この
長距離火砲システムにつきましては大体
射程が五十キロ以上と言われておりまして、
カノン砲なり
ロケット砲から成っているというふうに言われております。
それから、
国防省の朝鮮半島の
軍事情勢に関する
報告書の中では、
北朝鮮は
火砲を動かすことなく、
米韓連合軍に対して一時間につき
最大五十万発を数時間にわたり
発射することができるというふうに
評価しているところでございます。
それから、八ページ、
中国の
関係でございますが、
中国の
国防費につきましては、今公表したもので二千八百七億元、六年でなっております。これについては、円に換算しますと四兆二千億円
程度ということになります。対前年度比一四・七%の
伸びということで、過去に比較して高い
防衛費の
伸び率、
国防費の
伸び率を示しているわけですけれども、当初
予算比で申しますと、十八年連続で対前年度比一〇%以上の
伸びを続けているということでございます。
それから、これが現実の
国防費を反映したものかどうかというのはいろいろ
各国の
見方がございまして、
見方によりますと、
公表数値の二倍から三倍を実際には使っているのではないかと。この場合、三倍のという
最大見積りでございますと、金額で申しますれば
日本の
防衛費の倍になるということでございます。
アメリカの
見方でございますが、このまま経済成長が続き、この趨勢で
国防費が
伸びていく場合は、二〇二五年までには
中国の
国防費は現在の三倍以上に増大するとか言われております。それから、この公表
国防費には、ここに書いてありますように、海外からの兵器調達に係る支出等については含まれていないのではないかという
見方もされているところでございます。
九ページでございますが、
中国軍の近代化の動向でございますが、まず陸上戦力につきましては、数的には減らしておりますけれども、効率化に引き続き
努力いたしまして、
能力に重点を置いた軍隊を育成しているのではないかと、特に後方支援
能力を向上させるための改革に取り組むのではないかというふうに言われております。あと、海上兵力につきましては、右側に棒グラフで示していますように、隻数は、例えば一九八五年と比べますと二〇〇五年では減っておりますけれども、トン数では逆に増えているという
状況がございます。
それから、特にロシアからキロ級潜水艦やソブレメンヌイ級駆逐艦を積極的に導入しているという経緯もございます。
それから、航空戦力につきましては、下の方に図示してございますが、現在、戦闘機で申しますと三千機ちょっとあると言われておりますけれども、そのうち特に最新鋭の第四世代型の戦闘機につきますと、国産のJ10のほか、ロシアから輸入していますスホーイ30、スホーイ27を合わせますと現在は三百三十一機保有しているというふうに見られておるところでございます。このほか、空中給油や早期警戒管制
能力の獲得に向けた
努力もしていますし、巡航
ミサイルの
開発も鋭意進めているというふうに言われております。
最後に、ロシアの軍事力の
関係でございますが、ロシアとしましては、十ページでございますが、まずコンパクト化、現実には兵力削減ということでございますけれども、この図示してございますように、冷戦時代の三百万に比べて、将来的には百万人まで軍隊の規模をコンパクト化するというふうに言っております。
それから次に、プロフェッショナル化ということでございますが、少子化だとか、それから冷戦後の軍規律の悪化だとかを踏まえまして、今までの徴兵制主体から志願制を導入すると。それから、二〇〇八年までにロシア軍の三分の二以上が職業軍人になるというふうなことで、プーチン大統領も申しておるところでございます。
それから、いろいろ新型
ミサイルを
開発しましたりしている
状況にはございます。
それから、十一ページでございますが、特に極東地域のロシア軍の
状況でございますが、この右の方に図示してございますように、冷戦時代に比べますと、地上兵力、海上兵力、航空兵力ともに激減している
状況がございます。
ただ、最近におきまして、
国防費の増加に伴って、大規模演習や訓練が増加したり活動が再び活発化する
可能性がございます。それから、新たな兵器
開発に着手するとともに、国産の最新鋭兵器の大量発注といった注目事象もございまして、引き続き注目が必要かなというふうに
考えているところでございます。
以上で終わらせていただきます。