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2006-11-22 第165回国会 参議院 国際問題に関する調査会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年十一月二十二日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  十一月十六日     辞任         補欠選任      岡崎トミ子君     犬塚 直史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         田中 直紀君     理 事                 加納 時男君                 三浦 一水君                 木俣 佳丈君                 谷合 正明君     委 員                 愛知 治郎君                 小林  温君                 山東 昭子君                 末松 信介君                 二之湯 智君                 野上浩太郎君                 犬塚 直史君                 大石 正光君                 工藤堅太郎君                 富岡由紀夫君                 峰崎 直樹君                 若林 秀樹君                 加藤 修一君                 浜田 昌良君                 大門実紀史君    事務局側        第一特別調査室        長        三田 廣行君    政府参考人        防衛庁防衛政策        局長       大古 和雄君        外務省アジア大        洋州局長    佐々江賢一郎君        外務省北米局長  河相 周夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○国際問題に関する調査  (「多極化時代における新たな日本外交」のう  ち、日本アジア外交東アジアにおける不安  定要因除去北朝鮮問題を中心に))につい  て)     ─────────────
  2. 田中直紀

    会長田中直紀君) ただいまから国際問題に関する調査会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十六日、岡崎トミ子君が委員を辞任され、その補欠として犬塚直史君が選任されました。     ─────────────
  3. 田中直紀

    会長田中直紀君) 次に、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国際問題に関する調査のため、本日の調査会防衛庁防衛政策局長大古和雄君、外務省アジア大洋局長佐江賢一郎君及び外務省北米局長河相周夫君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田中直紀

    会長田中直紀君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 田中直紀

    会長田中直紀君) 国際問題に関する調査を議題といたします。  本日は、「多極化時代における新たな日本外交」のうち、日本アジア外交に関し、東アジアにおける不安定要因除去、とりわけ北朝鮮問題を中心政府から報告を聴取した後、質疑を行います。  本日の議事の進め方でございますが、まず外務省から我が国北朝鮮政策及び日米同盟北朝鮮問題について、次に防衛庁から北東アジア軍事情勢について、それぞれ十分程度報告を聴取した後、午後三時ごろまでをめど質疑を行いたいと存じますので、御協力をよろしくお願いいたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、初めに外務省から報告を聴取いたします。佐々江アジア大洋局長
  6. 佐々江賢一郎

    政府参考人(佐々江賢一郎君) それでは、我が国北朝鮮政策につきまして御報告をさせていただきたいと思います。  我が国北朝鮮政策の基本は、これまでも度々いろいろな機会に表明してきておりますが、基本的にいかなる北朝鮮に対する政策も、我が国の平和と安全、そして国民生命財産を守って北東アジアの平和と安定に資するような形で関係を処理していく、これが出発点であるというふうに思っております。その中で、現在言われております核の問題、ミサイルの問題あるいは拉致等、いわゆる諸懸案を解決して国交正常化につなげていく、これが究極的な目標であるというふうに思っておりますが、これを実現する上で、圧力対話対話圧力のコンビネーションでやっていくという考え方でございます。  当然のことながら、我が国の対北朝鮮政策は、我が国国自身ですべてがその目標を達成できるということではなくて、特に同盟国である米国、そして米国とも同盟国にあり我が国とも隣国で、いろんなことできずなが結ばれている韓国、さらにはとみに最近いろんな形で北朝鮮に対する影響力の行使に動き始めている中国、そして伝統的に政治的に関係を持っていたロシア、こういう国々連携をしながら、さらには国連を含めた国際世論圧力の下で、あるいはその理解支持の下で進めていく必要があるというふうに思っているわけでございます。  その意味で、最近の北朝鮮によるミサイル発射核実験につきましては、我が国に対するこれが脅威であるということだけではなくて、東アジア、そしてさらには国際社会全体の平和と安全に対する重大な脅威であるということで、これをこのままの形で推移していくと非常に深刻な脅威が及ぶということで、これは断じて容認できない問題であるというふうに考えているわけでございます。  北朝鮮の最近のミサイル発射あるいは核実験を受けまして我が国一連措置をとっておりますけれども、特に最近の核実験につきましては、御案内のとおり、すべての北朝鮮船籍の船舶の入港の禁止、そしてすべての物品の輸入の禁止を含む我が国独自の措置実施してきております。そして、安全保障理事会においても、力強い決議、特に一七一八号というものが全会一致採択されたわけでございます。我が国は既にこれに先立って我が国独自の措置でこの対応を行っておりますので、ほとんどの部分はカバーできるわけでございますが、この決議が出ましたことを踏まえまして、特に奢侈品輸出禁止等につきましての措置実施を改めて追加的に実施をしておるということでございます。  我が国としては、引き続き各国による圧力、着実なこの国連決議実施が必要でありますし、それを求めていくと同時に、そもそも北朝鮮に対してこの決議が求めている措置をとっていくように強く求めていく考えでございます。  それから、もう一つの軸であります対話の方につきましては、先般、米中朝の三者会合におきまして、六者会合が近く再開されるという運びになっております。現時点では最終的な日程は確定しておりませんが、十二月をめどに調整を行っているところでございます。  しかしながら、これも度々いろんな機会政府の方で申し上げているとおりでございますが、六者会合再開自体は歓迎すべきことではありますけれども、ただ開催すればいいということではなくて、そこで何を達成するかということが重要であるというふうに思っておりまして、我が国としては二つのこと、一つ共同声明、去年の九月の共同声明、そして安保理決議、この二つのことに従って北朝鮮が早急に核の計画の廃棄に向けて具体的な措置をとること、これが重要であるというふうに思っているわけでございます。このために、先ほど述べました関係国と緊密に連携しながら、引き続き最大限努力をしていきたいと考えております。  それから同時に、この核の問題と並んで、あるいは我が国にとりましては国民的感情国民生命財産という観点から最重要課題であります拉致問題についても、同時に北朝鮮の誠意ある対応を引き出すよう、引き続き全力で取り組んでいく考えでございます。  安保理決議一七一八号の前文におきましては、北朝鮮国際社会人道上の懸念対応することの重要性を強調する文言が含まれております。ここに言う人道上の懸念には拉致問題が含まれていることは明らかでございます。  我が方は、この拉致問題につきましても、今月の十七日に国連総会第三委員会におきまして、EUとともに我が国が提案しております北朝鮮人権決議採択に向けて外交的な努力を尽くしたわけでございますが、それが採択をされております。  さらに、先週行われましたAPEC閣僚会議及び首脳会議におきましても、この一連会談におきましても、北朝鮮に核の放棄等を強く求めていくこと、そして拉致問題解決重要性について改めて訴えを行いまして、多くの国々から理解ないし支持を得たというふうに考えております。とりわけ、首脳会議におきましては、安倍総理から先駆けて、この決議及び宣言に従ってすべての核、核のみならず大量兵器全般、そしてミサイル計画放棄を実現するようにすべての関係国協力を呼び掛けたわけでございます。そして、特に安保理決議の効果的な実施のための協力を呼び掛けられた次第でございます。そしてまた、拉致問題についても、この問題について国際的な連携を通じ一日も早く解決する必要があるということで、各国支持を求められたわけでございます。  この総理発言を受けまして、複数の首脳から北朝鮮問題に対する言及があったわけでございますが、とりわけブッシュ大統領からは、横田早紀江さんとお会いした際のお話には心が痛んだというふうに述べられると同時に、拉致問題を取り上げていくことが大切だと、そして北朝鮮人権状況を強く懸念するという発言があったわけでございます。  議長も、最終的な記者会見におきまして、総理懸念を共有するというふうに言いながら、北朝鮮に対する、核実験ミサイルに対する懸念を表明したわけでございます。  そういう意味において、この北朝鮮の核あるいは拉致問題につきまして、このAPEC場等を通じまして広く我が国の主張に対する理解は得られたというふうに考えておりまして、今後ともこの方針で、すなわち対話圧力方針で問題の解決に向けて全力を尽くしたいというふうに思っております。  以上でございます。
  7. 田中直紀

    会長田中直紀君) ありがとうございました。  次に、河相北米局長
  8. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 私から、日米同盟関係北朝鮮関係、問題ということで発言をさせていただきます。  今、佐々江アジア局長から御説明申し上げたとおり、北朝鮮をめぐる問題、これについて、日本として外交的な努力で何とか解決をするということで努力をしておるわけでございます。その過程において、いろんな各国との協力がございますが、なかんずく同盟関係にある米国との協力協調関係というのが軸になっているわけでございます。  そして、北朝鮮ミサイル発射、それから核実験という事態、これは我が国の、言うまでもなく我が国安全保障環境というものがより厳しい状況に置かれているわけでございますので、それに対するいかに我が国の安全を確保していくかということ、これが安全保障政策そのものとして非常に大きく問われている状況にあるというふうに認識をしております。  また同時に、きちっとした形で北朝鮮外交交渉をやっていくというに当たりましては、やはり日本の安全がきちっと確保されているという足場があって確固たる姿勢で外交交渉に臨んでいけるんだというふうに思っておる次第でございます。  皆様御承知のように、日本安全保障政策、これは基本的に自衛力の整備というのが一つの柱としてあり、もう一つ日米安保条約に基づく米国抑止力を含めた柱がもう一本ある。その下で全体として外交努力を通じて日本の安全をより確保をしていく、より安全な状況をつくっていくと、若しくは国際環境をいい方向に改善をしていくという努力をしておるわけでございます。そして、この日米安保体制の下での米軍との関係、なかんずく米国抑止力をどうやって確保していくかということが我々が直面している問題であるというふうに認識しておるわけでございます。  この点につきまして、特に日米安保条約に基づいて、我が国が、いかなる国であろうがそこから武力攻撃を受けた場合、米国日本防衛をするという約束が安保条約の中でなされておるわけでございます。この点につきましては、正にアメリカ北朝鮮核実験が行われた十月九日、その当日に行われた麻生外務大臣ライス国務長官との電話会談、それから安倍総理ブッシュ大統領との間での電話会談、この場で、米国日本防衛コミットメントというものが改めて表明をされたということでございますし、その後、ライス国務長官が十月の十八日に日本に来られて、十八、十九と外務大臣総理会談をされたわけでございます。そしてまた、ハノイで十一月の十八日に日米首脳会談があったわけでございますけれども、こういう場を含めて、アメリカが有している日本防衛コミットメントというものについては再確認をされているというところでございます。  そして同時に、このコミットメントをより確たるものにするためにどういう努力をしていくのかということがあろうかと思います。その一つは、一つはというか、中心を成すものとして私どもが防衛庁と一緒に取り組んでいますのが、一連在日米軍再編の問題、若しくは日米防衛協力強化の問題というのがございます。  在日米軍再編につきましては、国会の場でもいろんな場でも御説明しておりますように、地元負担軽減ということが一つ目標、柱としてございますけれども、同時に抑止力の維持を図っていくということが目的として行っているわけでございまして、基地を受け入れていただいている地元の方、地元の住民の方々の負担をできるだけ軽減をしながら、同時に、在日米軍がきちっと機能するように米軍抑止力がきちっと発揮されるような体制強化をしていく、つくっていくということが必要であるということで、順次、防衛庁共政府一体となってこの実行に取り掛かっているところでございます。  なかんずく、その中でもミサイル防衛に関連する幾つかの事項がございます。  在日米軍若しくは米側の方の動きとしては、一つイージス艦、これはイージス艦弾道ミサイルを撃ち落とすことが可能なミサイルを搭載をしたイージス艦があるわけでございますけれども、この第一号艦、シャイローという名前の船でございますけれども、これが本年の八月末から日本周辺配備をされているということがございます。  それからもう一つ、このミサイル防衛システム一つとしてパトリオットのPAC3というのがございます。これはよりもう少し限定された地域の防衛に当たるということでございますけれども、在日米軍としてはこれを沖縄に配備をするということで、本年の九月以降、機材の搬入等開始をしておりまして、本年末からその実際の運用開始をするという動きがございます。  それから、三つ目に挙げられますのが、Xバンドレーダーというのがございます。これは非常に遠いところまでレーダーで監視ができるというものでございまして、北朝鮮でのミサイル発射に関する動きをできるだけ正確に、かつ迅速に把握をしてそれに対応していくというものでございますけれども、これは本年六月に青森県の車力というところに既に配備をして運用開始しているところでございます。  同時に、さらに中期的な話といたしましては、弾道ミサイル対応するミサイル共同開発日米で進めているところでございまして、従来共同研究をやってきたわけですけれども、本年六月以降、今度は共同開発という段階に今入り、日米でより性能の高いミサイル開発を行っているというところでございます。  これに関連しましては、既に日米間でミサイル防衛に対する協力を実行してきているわけでございますけれども、今月ハノイで行われました、十八日に行われた日米首脳会談の場で、安倍総理ブッシュ大統領の間で、このBMD協力を含めて日米防衛協力というのを更に強化加速化をしていこうと、その具体的な進め方につきましては外務大臣防衛庁長官のレベルで検討を進めていこうということで合意に至っているところでございます。  こういうことで、いろいろなこと、いろんな分野でのやはり日米安全保障面での協力強化をして、国民、国の安全をより確たるものにしていく努力を今後とも続けていく必要があるというふうに認識しているところでございます。  以上でございます。
  9. 田中直紀

    会長田中直紀君) ありがとうございました。  次に、防衛庁から報告を聴取いたします。大古防衛政策局長
  10. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) お手元に「北東アジア軍事情勢」という横長の資料があるかと思いますが、これに沿って説明させていただきます。  まず、一ページ目でございますが、北朝鮮核実験実施の関連につきまして、これにつきましては、御案内のとおり、この十月九日に地下核実験を安全かつ成功裏に実行したということで北朝鮮が発表しているところでございます。  我が国評価でございますが、諸情報を総合的に分析した結果、核実験を行った蓋然性が極めて高いと判断しているというところでございます。  ちなみに、アメリカにつきましては、十月十六日でございますけれども、アメリカ国家情報長官室が公式に声明を出しまして、大気サンプルを解析したところ、北朝鮮地下核爆発を行ったことを確認する放射性じんが検知されたということで、公式に言っているところでございます。ちなみに、アメリカとしては、爆発の規模は一キロトン未満であったというふうに評価しているところでございます。  あと、再実験可能性でございますが、これについて中国では報道局長が言っているところでは、唐家セン国務委員との北朝鮮会談で、北朝鮮としては二度目の核実験を行う計画はない、ただし、もし外部から更に大きな圧力あるいは不正な圧力が加えられれば、北朝鮮は一層の措置をとる可能性はある旨表明したというふうに中国側は言っているところでございます。  二ページ目でございますが、核兵器のいわゆる弾道ミサイルなり弾頭化に関する評価関係でございますが、これは北朝鮮が公式に表明しておりませんので分からないところはございますけれども、アメリカがいろいろアメリカ議会で聞かれて、アメリカ関係者が公式に答えているところでは、まず一番上のところでございますが、国務次官補議会証言で、核兵器を製造し、まあこれは製造の問題は今回はちょっと変わったかと思いますが、ミサイル弾頭化する話につきましては、核兵器米国に到達させる能力を有するミサイルに搭載したとする証拠はないというふうに言っているところでございます。  それから、アメリカ国防省情報機関であるDIAは、記者発表文で公式に、理論的な能力は有しているが、現に実施していることを示唆する情報を我々は有していないということで述べているところでございます。  それから、三ページに、御参考までに核兵器についてのタイプを図示しましたけれども、一般に、いわゆる砲身ガンバレル型というものと、爆縮、インプロージョン型というのがあると言われております。  ガンバレル型については、広島型の原爆で使われたということで有名でございますが、これはウランのみに使用可能だと言われております。それから、この図にございますように、砲身型状核分裂物質起爆用火薬を離しておきまして、起爆用火薬を弾のように撃ち出す形で核分裂物質を凝縮させまして核分裂を起こさせるというふうに承知しております。  他方、爆縮型につきましては、下の方に大きな図で書いてございますけれども、中央に、黄色く図示してございますが、プルトニウムを置きまして、これを周りの火薬爆縮させまして核分裂を起こさせるというふうなタイプでございます。これにつきましては、構造が複雑であるけれども小型化軽量化が可能と。それから、ウランプルトニウムの両者のタイプに対して使用可能であると言われております。長崎型原爆でこのタイプが使われたということでございます。ただ、技術的には、下の方に書いてございますが、爆縮をそろえてやりませんとなかなか核分裂が起きないということがございまして、この場合、火薬を同時に、一千万分の一秒の誤差の範囲内で同時に起爆させる必要があるというふうなものだと言われております。  それから、四ページでございますが、七月五日の弾道ミサイル発射関係でございますが、まず一点目はテポドンでございますけれども、右側に図示してございますように、テポドンという地区からいわゆるテポドン2と見られるミサイルが第三発目で発射されました。ただ、その発射の数秒後に高度数キロメートルの地点で第一段目を分離することなく空中で破損し、発射地点近傍に墜落したと見られるということでございます。  それから、その他の六発につきましては、下の方にございますキテリョンというところから発射されたわけですけれども、東北方向に四百キロメートル程度飛翔しまして、日本海上に着弾したと。いずれも、いわゆる移動式発射付車両から行われたと。それから、この六発のミサイルについてはノドン及びスカッドであったと見られると。それから、このキテリョンからの弾道ミサイル発射につきましては、より実戦的な特徴を有しているというところでございます。  五ページ目に、北朝鮮が保有していると思われるミサイルについて図示いたしましたけれども、スカッドについてはB、Cタイプ、それからノドン、それから研究開発中でございますが、テポドン1と2があるというふうに言われているところでございます。  それから、六ページ目のところに、これは便宜的に、北朝鮮テポドンから発射した場合に射程上どこまで届くかということを図示したものでございます。テポドン2につきましては一般に六千キロメートル程度射程と言われておりまして、仮にこのテポドンから撃った場合につきましては、ハワイには届かないけれども、アラスカの大部分射程に入るということでございます。  それから、続きまして七ページでございますけれども、北朝鮮軍状況でございますが、総兵力は百十万人ぐらいと見積もられておりまして、その三分の二が、図示してございますように、いわゆるDMZの、三十八度線の近傍に配置されているというふうに言われております。  それから、下の方にございますけれども、ソウルの場合は三十八度線の一番近いところですと約四十キロぐらいと言われておりますけれども、これは在韓米軍司令官議会証言でございますけれども、約二百五十の長距離火砲システムが現在の配置場所からソウルをそのまま射程に収めているというふうにアメリカ評価しているところでございます。この長距離火砲システムにつきましては大体射程が五十キロ以上と言われておりまして、カノン砲なりロケット砲から成っているというふうに言われております。  それから、国防省の朝鮮半島の軍事情勢に関する報告書の中では、北朝鮮火砲を動かすことなく、米韓連合軍に対して一時間につき最大五十万発を数時間にわたり発射することができるというふうに評価しているところでございます。  それから、八ページ、中国関係でございますが、中国国防費につきましては、今公表したもので二千八百七億元、六年でなっております。これについては、円に換算しますと四兆二千億円程度ということになります。対前年度比一四・七%の伸びということで、過去に比較して高い防衛費伸び率国防費伸び率を示しているわけですけれども、当初予算比で申しますと、十八年連続で対前年度比一〇%以上の伸びを続けているということでございます。  それから、これが現実の国防費を反映したものかどうかというのはいろいろ各国見方がございまして、見方によりますと、公表数値の二倍から三倍を実際には使っているのではないかと。この場合、三倍のという最大見積りでございますと、金額で申しますれば日本防衛費の倍になるということでございます。アメリカ見方でございますが、このまま経済成長が続き、この趨勢で国防費伸びていく場合は、二〇二五年までには中国国防費は現在の三倍以上に増大するとか言われております。それから、この公表国防費には、ここに書いてありますように、海外からの兵器調達に係る支出等については含まれていないのではないかという見方もされているところでございます。  九ページでございますが、中国軍の近代化の動向でございますが、まず陸上戦力につきましては、数的には減らしておりますけれども、効率化に引き続き努力いたしまして、能力に重点を置いた軍隊を育成しているのではないかと、特に後方支援能力を向上させるための改革に取り組むのではないかというふうに言われております。あと、海上兵力につきましては、右側に棒グラフで示していますように、隻数は、例えば一九八五年と比べますと二〇〇五年では減っておりますけれども、トン数では逆に増えているという状況がございます。  それから、特にロシアからキロ級潜水艦やソブレメンヌイ級駆逐艦を積極的に導入しているという経緯もございます。  それから、航空戦力につきましては、下の方に図示してございますが、現在、戦闘機で申しますと三千機ちょっとあると言われておりますけれども、そのうち特に最新鋭の第四世代型の戦闘機につきますと、国産のJ10のほか、ロシアから輸入していますスホーイ30、スホーイ27を合わせますと現在は三百三十一機保有しているというふうに見られておるところでございます。このほか、空中給油や早期警戒管制能力の獲得に向けた努力もしていますし、巡航ミサイル開発も鋭意進めているというふうに言われております。  最後に、ロシアの軍事力の関係でございますが、ロシアとしましては、十ページでございますが、まずコンパクト化、現実には兵力削減ということでございますけれども、この図示してございますように、冷戦時代の三百万に比べて、将来的には百万人まで軍隊の規模をコンパクト化するというふうに言っております。  それから次に、プロフェッショナル化ということでございますが、少子化だとか、それから冷戦後の軍規律の悪化だとかを踏まえまして、今までの徴兵制主体から志願制を導入すると。それから、二〇〇八年までにロシア軍の三分の二以上が職業軍人になるというふうなことで、プーチン大統領も申しておるところでございます。  それから、いろいろ新型ミサイル開発しましたりしている状況にはございます。  それから、十一ページでございますが、特に極東地域のロシア軍の状況でございますが、この右の方に図示してございますように、冷戦時代に比べますと、地上兵力、海上兵力、航空兵力ともに激減している状況がございます。  ただ、最近におきまして、国防費の増加に伴って、大規模演習や訓練が増加したり活動が再び活発化する可能性がございます。それから、新たな兵器開発に着手するとともに、国産の最新鋭兵器の大量発注といった注目事象もございまして、引き続き注目が必要かなというふうに考えているところでございます。  以上で終わらせていただきます。
  11. 田中直紀

    会長田中直紀君) ありがとうございました。  これより質疑を行います。  まず、委員各位のお許しをいただきまして、私から政府に対し総括的な質問を行いたいと思います。  三点ほどございますが、外務省佐々江アジア大洋局長にちょっとお伺いいたしたいと思います。  六者協議についてでございますが、新聞等の報道によりますと、アメリカ中国との会談の中でブッシュ大統領が、北朝鮮が核を放棄すれば朝鮮戦争の終結を公式に宣言することができるんだと、こういうような平和協定締結の提案をするんではないかという報道がございました。その事実があるのかどうかというようなことと、また、それに対して北朝鮮には具体的な行動計画を求めていくということになるわけでありますが、KEDOの体制が崩壊したような状況もあって、反省点があろうかと思いますが、具体的な行動計画をどのように求めていけるかと、この点をお伺いいたしたいことと、我が国には、日朝平壌宣言がございます。今も有効であると、こういうふうな認識だと思いますが、戦争の終結と、こういうことが万が一提案をされ、議論をされた場合に、平壌宣言との関係がどう取扱いをされるのかと、こういうことも念頭に置いておかなきゃいけないんではないかと思いますが、その点をお伺いをいたしたいと思います。  それから、河相北米局長には、金融制裁について、既にもう今年の二月にアメリカはマカオの銀行口座、これは偽ドル札の不正取引に利用されておると、こういうことで北朝鮮系の口座を凍結をされております。先般の報道では、日本企業の兵器関連機器においても不正輸出事件でマカオの銀行で決済をされておったと、こういう事実が判明したということでありますが、六者協議の場で金融制裁問題が取り上げられるかどうかと、そしてまた、アメリカの出方はどうなんでしょうかということでありますし、我が国にとっては国家的な犯罪ということで拉致問題あるいは麻薬問題がございます。日本対応を伺えればと思います。  それから、大古防衛政策局長及び、これは北米局長にも関係するんだと思いますが、防衛問題ということで、先ほどアメリカ日米防衛協力ということで、具体的に既にイージス艦配備、あるいはパトリオットの配備、あるいはレーダー計画と、こういうことで、大変今回の核実験あるいはミサイル発射に対する脅威に対する対応というのが進んできておるところでありますが、先般も、ちょっと耳にしますのは、アメリカの第七艦隊の長いシーレーンを警備すると、こういうことでありますから、日本防衛庁とよく連携を取って効果あるものにしていかなきゃいかぬと、こういうことで報じられておりました。  二〇〇四年の防衛計画の大綱がございますが、前倒しでその枠組み議論をしていこうということであろうと思いますし、いわゆるミサイル防衛中心になっていくというようなこともございますが、その辺、防衛庁と、そしてまた北米局長にお伺いできればと思います。
  12. 佐々江賢一郎

    政府参考人(佐々江賢一郎君) 今、田中会長の御指摘された点でございますが、まず米中の首脳会談関係で、北が核の廃棄をすれば、戦争の終結、あるいはこれは休戦協定をいわゆる平和協定に変えるといったような議論、これ実は前から課題としてはあることでございますが、直接今回、米中の首脳会談でこのような形で戦争終結あるいは休戦協定の形の議論があったのかどうかということについては、私ども現時点では確認しておりません。  しかしながら、これは実は、もし北朝鮮が核の計画の廃棄に行くのであれば、アメリカあるいはさらには我々もそうでございますけれども、それに応じて何らかの対応を行うということは、既に昨年九月の六者協議における共同声明の中に書かれておることでございます。特に、先生の今の御指摘の戦争終結との関係では、昨年の共同声明の中で、六者は、北東アジア地域の永続的な平和と安定のための共同の努力を約束したと、直接の当事者は、適当な話合いの場で、朝鮮半島における恒久的な平和体制について協議するということが書かれております。そしてまた、北東アジア地域における安全保障面協力を推進するための方策について探求していくことに合意した、こういうくだりがあるわけでございます。  したがいまして、このことは実は六者の間の、将来、北朝鮮が核の廃棄に行けば何らかの平和体制の構築というものがそこにあるということはある程度想定をしていることでございます。特に、大統領も、最近のシンガポール、これはハノイに行く前の訪問地におけるシンガポールで演説を行っておりまして、その際に、北朝鮮が核を廃棄すれば安全の保障、あるいは経済面での何らかの支援があり得るということも言っているわけでございます。  したがいまして、直接米中間で今のような話をされたかどうか実は確認しておりませんが、北朝鮮が核放棄をするという前提で何らかの将来の安全保障あるいは安全保障体制の話があったとしても、私としては驚きではないというふうに思っております。  それから、北の対応で、KEDOとこれまでの反省点を踏まえてどのような今後、作業計画と申しますか、ものがあり得るのかということでございますが、実はこれが今後の、仮に六者協議が再開するようなことになったとすると、これが一つの大きな論点というか、ある面で最大の論点になるというふうに思います。  六者協議の昨年九月の宣言自身は、究極的にたどり着く目標というものがそこに書いてあるわけでございますが、その手順につきましては一切合意がないわけでございます。例えば、六者協議では核の廃棄というものもございますし、それから将来あり得べきエネルギー、経済支援というものもそこに書かれておりますし、それから、米朝、日朝協議、あるいは懸案ということも書かれておりますし、それから、今申し上げましたような将来の平和体制のことも書いてあるわけでございますが、そういうことをもろもろ、特に北朝鮮核兵器をどのくらいのスピードで速く、どういう手順でやるのかということが相当見えませんと、実は我々の方で、じゃどういうことをするのかということにはなかなかいかない要素もあるということであります。  したがいまして、まずは北朝鮮が具体的に核廃棄に向けて具体的なステップをまず取ってもらうと、そのためにどうしたらいいのかということを今、日、米、韓、中等関係国で協議をしておるという状況でございます。  それから、平壌宣言との関係でございますが、私は日朝の交渉、特に平壌宣言に基づく日朝協議、今中断をしておりますけれども、この過程と六者協議の過程というのは並行して車の両輪のように進むものだというふうに思っているわけでございます。ある面で、北朝鮮ミサイル発射核実験をしたということは、六者協議のこの宣言の違反であるのみならず、平壌宣言に対する違反でもあるというふうに考えております。そういう意味で、我々としては、早く北朝鮮が六者協議に戻ってこの六者の宣言を実施に移す、あるいは日朝協議に戻って、日朝平壌宣言を実施に移すように北朝鮮を説得し交渉していく必要があるというふうに思っているわけでございます。  これはたやすくないわけでございますが、我々としては、六者協議において核の、あるいはこのミサイル問題が前に進む、それに応じて、日朝協議においてそういう問題と同時に拉致問題について前進すると、この二つがうまくかみ合わさっていくことによってしか国交正常化の道はないというふうに思っているわけでございます。  それから四番目に、六者で金融制裁の問題、バンコ・デルタ・アジアの問題が取り上げられるのか、あるいはアメリカの出方ということでございましたけれども、御承知のように、北朝鮮はこの問題の解決として、いわゆる彼らから見ると制裁の解除というものを要求をしてきておりますが、アメリカが現時点で北朝鮮に与えております回答は、この問題を再開される六者協議の中で話し合う用意があると。そして、話し合うということはもちろんその解決を目指すということでありますけれども、その解決というものが単に制裁を解除するという北朝鮮の要求ということでなくて、アメリカが、むしろ北朝鮮がマネロンとかそういうことをやめること自身が解決であると、そういう対応でございます。  したがいまして、この問題は再開された六者協議の中で当然議論されるわけでございますが、この問題につきましては、まずは北朝鮮が現在やっていることを認め、それをやめるということからスタートするのではないかというふうに思っております。  以上でございます。
  13. 田中直紀

    会長田中直紀君) ありがとうございました。  河相北米局長、ありますか。
  14. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 今、金融制裁につきまして佐々江アジア局長の方から御説明したところに尽きるわけでございまして、私から特段付け加えるところはございません。
  15. 田中直紀

  16. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) 会長の方から、弾道ミサイル防衛について更に前倒しで配備するようなことは検討しているかというお尋ねがありましたので、その点についてお答えさせていただきます。  弾道ミサイル能力におきましては、現段階では非常に極めて限定的なものしか自衛隊は能力ないわけですけれども、その点を解消するために平成十六年度から、先ほど北米局長から説明いたしましたイージス艦のSM3で上層防衛を図った上で、そこで撃ち落としたものについて、拠点についてはペトリオットのPAC3で下層防衛を図るという構想の下に、平成十六年度から逐次整備を進めているところでございます。  現時点ですと、基本的にはこのSM3、PAC3につきましても来年度末から取得ができるという計画になってございます。ただ、なるべく早く能力を付けるという観点から、元々首都圏防衛に当たります第一高射群につきましては来年度末に基本的に入るわけですけれども、特に入間に入れます高射隊分につきましては今年度末から取得するということで計画を進めてきたところでございます。  この点について、不断に早く能力を付けるということでの検討は防衛庁としてはしているところでございますけれども、現在の検討によりますと、イージス艦につきましては、第一番目の弾道ミサイル防衛能力のあるイージス艦につきましては来年度末の予定なんですけれども、これを三か月ほど早めて来年中に取得するということについて見通しを得たところでございます。  それから、PAC3の関係では、装備品が入っても弾も必要でございますんで、これについては来年度予算で早めて早期に取得したいということで概算要求しておるところでございます。  まあ、いずれにしましても、今後とも早期の配備の実現に向けて不断に検討していきたいと思っておるところでございます。  以上でございます。
  17. 田中直紀

    会長田中直紀君) それでは、これより各委員から質疑を行っていただきます。末松信介君。
  18. 末松信介

    ○末松信介君 自民党の末松です。  今日は、いろいろと三人の局長からお話を聞かせていただきましてありがとうございます。  六か国協議の再開で中国が大きく動いたということは、もう世界周知のことでございます。それで、いろいろとお話聞かせていただいたんですけれども、アメリカ北朝鮮のこの核の廃棄を絶対的ということを主張はされておりますし、そう思っていますけれども、実際のところは、核技術の輸出であるとか核の輸出という核の拡散をしなければ、現実的にはもう是とせざるを得ないんじゃないかというふうな考え方も一方であるんじゃないかという、そういう実は不安を抱いているわけなんですね。だからこそ、もしこの核を拡散した場合には、北朝鮮が一体どういう目に遭うかということは、もうイラクとかいろんな諸外国にアメリカがやってきたこと見たら、彼らはある種の恐怖心持っていますし、よく分かっていると思うんです。  私、六か国というのはそれぞれ問題を抱えていると思うんです。まあいろいろと新聞書いていますから、もう皆さんもよくお分かりだと思うんですけれども、北朝鮮は食糧難であり、これはもう矛盾した内部の圧制をしいているし、内部の崩壊をしつつあると。気が付きゃもう金正日と一部側近と軍部だけになっていたというようなこともあるかもしれません。  韓国は、日本の主張するような制裁にはなかなか乗ってこないと、乗れないと。なぜかといったら、せっかくここまで統一を進めてきたのに、もう一度原点へ戻すということだけはしたくないということがよく分かると思うんですよね。  中国はどうかといったら、中国北朝鮮へのこれ支援国家でありますので、ソビエトが北朝鮮という国を生んで、育てたのは中国であると。地下資源なんかでやはり北朝鮮に対して中国も求めるものがあろうかと思うわけなんですね。同時に、もう東アジアの共同体という話が出ていますけれども、その中でもやはりリーダーシップを取って、アメリカ影響力を一層低下させたいという思いを持っていると。それと、北朝鮮の突然の崩壊というのは難民問題もあるから困るというのは中国であると。中国はやっぱりいろいろと考えていると思うんですね。  アメリカは、もう長引くイラクの戦争であるということで、イラク戦争で、紛争というのはもう懲り懲りだというところで対話路線に進み出したということで、いささか日韓の協調については、日韓協調については、それは歓迎したいと思うんですね。  日本アメリカと同盟があって、安全保障上はこれは問題はないというように考えているかもしれませんけれども、しかし絶対ということは私はないと思うんですよね。  現に、マクナマラ元国防長官がキューバ危機から三十年後にカストロに会ったときいろいろと質問をしておりますね。核の存在を知っていたかということと、実際に核の使用を進言したか、カストロに対してということと、そのときどうなったかというこの三つについて聞いているんですけれども、知っていたということと、そしてもう一つは、実際、カストロに対して核の使用を進言したということ、それと、核を所有していたら恐らくはもう破滅していたであろうということを言っているわけなんです。ですから、絶対ということは私はないと思うんですよね、いろんなことを言いましても。  そういう点をいろいろと考えていきました場合、今核実験、核弾頭化という問題の前に、日本というのは拉致問題を抱えていますから、この拉致の問題が一歩も二歩も下がってきているんですけれども、ある韓国の外交通は、核の廃絶のイニシアティブは核を持っていない韓国と日本がやはり主張できる大きな権利があるという話をされているんですけれども、ただ、韓国のその外交筋の方は、日本は拉致問題と同列にこの問題を論じたらインパクトを弱めてしまうという話がございます。つらい指摘なんですよね。我々としては、核とこの拉致の問題というのは同時並行で解決しなきゃならないという安倍政権の公約でもありますので大変つらい課題を背負っているんですけれども、ここに来て、先ほど田中会長から話がありましたように、アメリカ北朝鮮対応に大きく何か譲歩をし始めたというのがここ二、三日じゃないかと思うんです。マカオの口座の一部凍結の解除の話とか、あるいは朝鮮戦争の停戦というのも、実際、戦争状態にありますけれども、停戦を、終結という形に考えてもいいということをハノイ会議で話をなさっておられるということなんですね。  私は、アメリカという国は大変、穀物とそれと石油と核というものを触ったら非常に敏感に反応する国なんだということを思っておりまして、そういった中で日本の主張というのは、核廃絶と拉致問題ということになって、この二点なんですけれども、アメリカ中心として、また中国中心として、日本以外の五か国、この難しい今の朝鮮半島の情勢でこの方程式を解いていかなきゃいけないんですけれども、日本としてどういうような形でこの方程式を解くのかと。譲歩しなければならないとしたら一体どういうところなのかということ、この見通しというものを外交官として是非お考えをお聞きしたいと思います。  それと併せて、二年後にまず、もしアメリカで民主党政権が誕生した場合、北朝鮮政策というのは一体どのように変わるのか。北朝鮮とのパイプについて、民主党とのパイプについて、北朝鮮政策に関して十分なパイプがあるのかどうかということについてもお聞きしたいと思います。  以上です。ちょっと長くなって済みません。
  19. 田中直紀

  20. 佐々江賢一郎

    政府参考人(佐々江賢一郎君) 今の先生の非常にいろんな要素を含んでいると思うわけでございますが、まずアメリカが核の廃棄より拡散の方により重点があるんではないかというようなちょっとお話であったと思いますけれども、確かにアメリカのいろんな公のステートメントとかあれを聞きますと、場合によってはそういう印象も重点の置き方で受け取られる面もあるんですけれども、我々が日常的に協議したりあるいは米国等も含めて話し合っているときに、あくまでもこれは核の廃棄が目標だということは極めて明確にしております。  とりわけ、この問題が日本のみならずアジア、北東アジア全体に対する脅威だということの認識は一致していると思いますし、ですから、国連決議でああいう形で認定をされているというふうにも思うわけでございます。このところにつきましては、私は日米で見解の不一致があるというふうには思っておらないわけでございます。  しかしながら、当面グローバルな話からいうと、この核不拡散のものに対する影響というのは当然あるわけでございまして、我々でも例えばイランに対する影響とかグローバルなことを考えなきゃいけないことは当然でございまして、したがって私どもは不拡散及びやはり核の廃絶というものは両方重要であるという基本的な立場で臨むべきだというふうに思っているわけでございます。  それから、先生がおっしゃられたうち、アメリカは最近BDAについて何か譲歩するようなことを考えているんじゃないかというようなお話でございましたけれども、新聞報道でも何か一部解除を考えているんじゃないかというようなお話もちょっと出ておりましたけれども、これは私、直接アメリカにも確認しておりますし、それから中国政府もこういうことはないというふうに言っておりますし、私ども現時点でBDAの問題について何か譲歩するようなことを考えていることはないというふうに思っております。これは事実関係の問題でございますし、特にアメリカは現時点で六者協議まだ再開もされてないような段階でそういうことを考えているということはないというふうに思います。  それから、戦争終結の点についても先ほど田中会長よりちょっとお話ありましたけれども、これも私、新しい話じゃないというふうに思っております。あくまでも我々としては、当面、北朝鮮が核廃棄に向けて具体的な動き、ステップを取らせることに交渉の主要目標があるんであって、そういうことに至ってないような段階でアメリカが何かかじを切っているということはないというふうに思っております。  それから、幾つか日朝関係との関係で拉致問題とそれからこの核の問題、あるいはミサイルも入るかもしれませんけれども、同列に置いているんではないかということで、韓国の話を例に引いておっしゃられましたけれども、私はそもそも優劣を論ずることはおかしいというふうに思っております。つまり、これは質の違う問題である、核の問題と。核は、御承知のように、日本を含む国全体、安全保障の問題としてこれは何としても廃棄の方向に持っていかなければならない外交努力であって、他方、この拉致問題というのは本当に国民生命財産にかかわる問題で、こういうものをやや、ちょっと比較して何かどちらが先だ後だということ自身が私は間違ったアプローチだというふうに思っておりまして、拉致問題は拉致問題として日本の国益にかかわる重要な重大問題だということで、やはり北朝鮮と正面から向き合って交渉していかなければいけない問題だというふうに思います。  往々にして韓国あるいは中国は、当面、核の問題に頭が行くということは、拉致問題自身が彼らの中で我々ほど大きな比重を占めてないのは事実だと思いますけれども、しかし、だからといってこの問題をおろそかにするということは、究極のところ安全保障の最後に来るのは国家と国家の信頼関係という問題でございますから、拉致問題が解決できないような関係というのはしょせんもろいものであるというふうに思っております。  そういう意味で、我々としては、日朝交渉あるいはこの六者協議の中で行われるであろう日朝の諸懸案の解決について拉致を最重要課題として引き続き取り上げていくつもりでございます。
  21. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 今先生から御指摘がありました、特にアメリカ防衛義務、これが一体どういう形で果たされるか。おっしゃるとおり、絶対ということがあるかという点についてはいろんな議論があると思います。そして、基本的に日米安保条約の下で日本武力攻撃を受けた場合、アメリカは共同、ともに対処をするということを書いてあるわけですけれども、実際、じゃ条約に書いてあればそれですべて果たされるかというと、理屈からいえばそうでございますけれども、やはり全体としての日米関係が確固としたものとして存在をするということ、アメリカとしてやはり日本を守るということがアメリカの国益にもつながるという、そういう実態をつくっていくことがやはり大切なのかなと。  それにつきましては、もちろん政治、安保の分野での関係強化もございますけれども、経済の分野での関係強化、それから文化面での強化、そして最後はやはり人と人とのつながり、これは政府もございますし、国会、議会関係、それからもう本当に個々人の草の根も含めたいろいろな人的関係というものを全体としてきちっとした日米関係をつくっていかないと、この安保条約五条があればそれですべて何とかなるということではないというふうに私どもも思っておるわけでございます。  ただ、一つ御紹介させていただきますと、ライス国務長官が十月中旬に日本に来られて安倍総理に会われたときに言われた言葉で、なぜアメリカ日本防衛コミットメントをはっきり言うかと。これは、一つは共通の価値観を持っている、共通の利益を持っているということがあるけれども、同時に、やはり日本の安全というのはアメリカの安全に直結しているというふうにアメリカは認識していますということは言っておられましたし、やはり我々は安保の分野のみならずいろんな分野で日米関係強化をしていく、これがやはり日米安保条約が確たるものとして機能をし、日本の安全がより確実にされる道であると、こういうふうに思っておるわけでございます。
  22. 末松信介

    ○末松信介君 いいです。ちょっと長くなりますから、いいです。もういいです。
  23. 田中直紀

    会長田中直紀君) じゃ、木俣佳丈君。
  24. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 民主党・新緑風会の木俣でございます。  大変貴重な時間に、また非常に細かな話をいただきましてありがとうございます。いろいろお話が出ておりますけど、まず大古さんから伺いたいと思いますけれど。  今日もいただきました七ページにもありますが、例えば国防総省では、韓国に対して一時間につき最大五十万発を数時間にわたって連射することができるというような記述がございますけれど、そうすると、今度は我が国の危機ということで考えたいと思うんですが、我が国射程にするノドンというのがございます。これが大体何発ぐらい、どのぐらいの短い時間で連続で発射することができるのかというようなことが一つ。それを迎え撃つ防衛能力として、現在のPAC3、SM3を使った形ですね、現在、日本は、我が国は有しておりませんが、有したとして、それを撃ち落とす能力というのはどのぐらいだというふうに考えられるかというのが一点。  それから、佐々江さんには二点ぐらいなんですが、今お話があったとおりでございまして、やはり核とこの拉致の話というのは全く違う話であります。包括的にとにかくやっていくんだというようなことではありますけれども、やはり我が国の主権の侵害ということで考えたときにレベルが違うというのは今お話があったとおりでございます。  これは官房長官なんかにもお話、いろいろ質問したんですけれども、なぜ、北朝鮮にいる実行犯ですね、実行犯を身柄を拘束するということさえできないのかと。辛光洙ほかですね、挙がっている者がいるわけでありまして、もちろんそれを出さないから拘束できないのは当たり前の話なんですけれども、しかしもっと、まずそこから突破口に、当然したいというのは当然あると思うんですけれど、どの辺ができない理由なのかと、何かあれば一言いただきたいということと、もう一つは、金正日というのは十年前は、脳の大手術をして気違いであるという話が十数年前は言われていたんです。しかし、そうでもないなと。今や、あるアメリカ人に言わせると、アレキサンダー大王以来、あれだけの帝王学を幼児期から受けた者はいないというような、大戦略家であるというようなことを言うわけでございますけれど、さてはて金正日というのは、本当に大戦略を自ら練って、それを指示して実行しているのかどうか。いや、つまり金正日とはどういう人なのかということをどういうふうに外務省はつかんでいるかということを伺いたいと思うんです。  これはなぜかというと、例えば、私も本で読む分でございますけれど、例えばブレジネフというのがああいう人間であったからこそチェコのプラハの春を踏みにじることができたんだというような、そういうお話はよく聞く話でございまして、やはり人に対しての研究というのがどうも日本というのは、この人はこういう人なんだと、こういう家系でこういうような育ち方をしたんだという、こういうのが何となく少ないように思うんで、どんなふうに見ていらっしゃるかというのを一つ伺いたいと思います。  もう一回、済みません、大古さんにもう一回ちょっと戻って、前々回のこの調査会防衛研究所の武貞さんに来ていただきまして、とにかく北朝鮮は核を保有することがすべてであって、あと、ほかの外交上のいろんな問題というのはもう関係ないんだと、そしてまた核を持ちながら韓国を併合するというシナリオを持っているんだということを明確に言われたわけなんですが、この御意見に対して実務担当者としてはどんな御意見をお持ちかなということを付け加えて。  北米局長には、河相さんには、今お話あれかもしれませんが、NSCの話がよく、日本版NSCをつくるんだということでお話がよく出るんですけれど、現実的かどうか、外務省の立場で御意見を伺えればと、ちょっと今の時点でですね。つまり、ちょっとNSCという体制を今の日本の制度の中で取るということは、私はどう考えても無理だろうというふうに思っているんですね。マンパワー的にもそうだし、大局ある政策、戦略を、大戦略を練って、そして外務省と対等にやり取りをしながら現場は外務省に任せるというのが例えばアメリカ政策の取り方であるとするならば、日本日本版NSCなんというのはちょっといかがなものかというふうに思うんですが、その辺の御意見を。  以上です。
  25. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) まず、木俣先生の問いにお答えさせていただきたいと思います。  ノドン何発かという話ですけれども、これも正確なところは分からないんですけれども、一般には二百発ではないかということで、例えば在韓米軍の司令官が議会等で証言しているところでございます。  連続能力ということなんですけれども、これも正確なところは分からないんですけれども、一般北朝鮮の弾道弾につきましては、いわゆる即応性、速射性のある固体燃料ではなくて液体燃料と一般的に言われております。そういう観点から、たしかジェーン年鑑で言っていたと思うんですけれども、ノドンについては特にそういうのがありませんが、スカッドについては一時間に一発程度ではないかというような公刊資料での評価はあるところでございます。  次に、迎撃能力というお尋ねなんですけれども、これについては、事の性格上、防衛庁の見積りを詳細に言えないことについては御理解いただけることかと思うんですけれども、一般に今整備を進めていますイージス艦については数百キロメートルの範囲で迎撃能力がございまして、大体二、三隻を日本海なり浮かべますと、日本列島を大体カバーできるんではないかというふうに考えてございます。  今、日米共同開発を今年度から進めることとしておりますけれども、これが、まあ九年程度の期間は掛かると思っておりますけれども、うまく技術的に成功した場合には、一隻で日本列島を大体覆えるんではないかということで目指しているところでございます。  もう一つ、先ほど、撃ち漏らしたものについてはペトリオットのPAC3で拠点防衛を図るということでお話ししましたけれども、これについては、一高射隊当たり大体数十キロの範囲守れますので、かなりの確率で守れるんではないかなと、上層防衛と下層防衛合わせてですね、と見積もっているところでございます。  それから、先ほど、武貞さんの御意見として、北朝鮮は何が何でも核保有を目指していてというような御意見があることは承知しているところでございます。これは防衛庁職員ではございますけれども、一応アカデミックな立場から御意見を言われたんだと思いますけれども、ただ一般に、北朝鮮の背景の意図につきましては大きく二つあると思っております。  一つは、もう核を持つことが自己目的化していて、何があろうと、国際的圧力があろうと、何でもそれについては手放さないんだという説がある一方、いろいろの瀬戸際戦術のための取引材料として使ってるんだと、だから、何らかの形でこれを放棄することによって大きなゲインが得られるんであればその可能性も否定できないと、この二つ見方があると思うんですけれども、まあ防衛庁の立場でどちらが正しいと言う立場にはございませんけれども、いろいろ状況によって、例えばどっちかに目的を決め付けてやっているのか、一貫してやっているのか、それから状況によっていろいろ使い分けてやるのか、それから関係国の一致した対応が取れない場合にその状況をしいていくのかと、いろいろ見方があるかなというふうに思っているところでございます。
  26. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 今御質問のありました日本版NSCの関係でございます。  外交・安全保障、これはもう言うまでもなくいろんな多岐の分野が相互連関をしてくるわけでございまして、外交一つでも、ある国との関係考えたときは、ほかの国と常に関係はどういうふうな影響を持つか、それはプラスに活用できるところもあるし、それから政治を考えたときに経済の関係もあるし、いろんな分野を超えた連関もあるわけですので、総合的に見て、総合的な戦略、安全保障戦略、外交戦略をつくっていくことが必要であるということは異論のないところかとは思います。  そして、いろんなことを判断をする、これから日本が直面をする問題、これは難しい問題がどんどん増えてくる中で、やはり最終的には総理が、総理の政治決断というのが必要とされる問題というのが増えてくるんだろうと思います。そういう総理の決断を補佐する、これは外務省防衛庁のみならず各省庁みんなやっておるわけでございますけれども、その一つの機能としてNSCというような機能がつくられること、これは私は基本的にいいことであろうなと思います。  ただ同時に、じゃ、アメリカのNSCというのを同じようなものを日本に持ってきてうまくいくのかと。これは、アメリカは御承知のように大統領制であり、日本は議院内閣制であるというシステムの違いもございますし、いろいろなアメリカの風土、日本の風土の差というのはあるわけでございますので、今正に今日から審議会が、有識者が集まっていろいろ議論をしていただいているところでございますので、やはり日本の制度、日本の必要としているものというのに合ったものをどうやってつくっていくのかということかと思います。  ただ、先ほどちょっと言われたように、戦略はNSCがつくる、アメリカの場合にですね、それで現場は国務省がやると。必ずしもそこの辺は、確かにNSCは現場をやるということはないんだろうと思いますけれども、じゃ、戦略をつくるというところについて言えば、NSCが全部やり、国務省はその結果だけを受ける関係になっているかというと、そうではない。そこはやはりNSCが関係各省のやはりノウハウ、考え方も取り入れながらやっている部分もありますし、アメリカでもいろいろ試行錯誤をしているところではあると思いますけれども、日本にとって、日本の安全保障にとって、外交にとって、がより良くなるようなシステムというのはやはり今後とも考えていく必要があると思っております。
  27. 佐々江賢一郎

    政府参考人(佐々江賢一郎君) 二点お話がありました。  一つは拉致問題との関係で、辛光洙等向こうの実行犯の引渡しの問題でございますけれども、先生御承知のとおり、我々も辛光洙を含めて北朝鮮に対して実行犯の引渡しを累次の話合い、交渉において求めてきておりますが、北朝鮮はこれを拒否しているという状況にあるわけでございます。その突破口をどうするのかと、あるいはどうして出さないのかということでございますけれども、率直に言うと、その実行犯を引き渡すことによって真実が明らかになることを非常に懸念しているんであろうというふうに思います。  我々は、北朝鮮は真実のすべてを明らかにし語っていないというふうに思っております。多くの事実が隠ぺいされたままであるというふうに思いますし、そういう意味で、本当の拉致実行犯を引き渡せば、そこから語られていくことについて非常に北朝鮮にとっていえば直面したくない問題が出てくることを懸念しているんではないかというふうに、想像ですけれども、思われます。しかし、我々からすると、実はそういうことを北朝鮮が直面をして真実を明らかにする決断をしない限り、この問題は乗り越えられない問題だというふうに思いますし、それが正に先ほど先生が言われた金正日総書記の決断の問題、あるいはその人がどうするかという問題に懸かっているというふうに思うわけでございます。  金正日総書記の、どういう人かというか、それをどう思うかというお話、こういう公の場で実は私のような者が評価をするのは非常に難しい面があると思うわけでございます。個人的な場所で言うのは割かし言いやすいと思いますけれども。しかし以前、金大中、韓国の前大統領でございますが、訪朝を御承知のようにしたわけでございますけれども、その後にいろんな形で公にも語っておられると思いますけれども、いろんな形で金正日総書記について語っておられます。そのときの話は、一般的にはしっかりしていると、あるいは話ができる相手だと、そういう評価を当時されておったのを記憶をしております。  率直に言えば、北朝鮮のような体制の下で、いろんな国家の安全保障、あるいは重要な問題について金正日総書記、指導者の相当大きな決断あるいは判断がなくして進まない体制であるということは明らかであるというふうに思いますし、そういう前提の下で、やはり我々から見れば大局的な判断をこの指導者がして、すなわち拉致問題の解決のために真実に再び直面してそれを乗り越えると、あるいはもう一つの大きな問題である核問題について、これを放棄していく過程で自らの安全保障をむしろ得るように、そういうより大きな決断、利益、我々から見るとこれが究極的には北にとってはいい方だと思うわけでございますけれども、そういう大きな判断をすることができるかどうかということであるというふうに思っておりますし、我々としては、広く北朝鮮の指導部が国際的視野を持ってこのいい方向に決断をしていくように期待すると言うしか現時点では言えないわけでございますが、同時に、この決断あるいは判断に影響を与える要素として、先ほど来からお話がありますように、やはり国際社会が全体としてこの問題は耐えられないと、つまり北朝鮮の核の解決はもう容認できないと、北朝鮮は完全に孤立していると。そういう状況の中で、果たしてそういうことを突き進んでいくのがいい国としての選択だろうかというふうにやはり金正日総書記に思ってもらうように我々が働き掛けていくことが重要だというふうに思っております。
  28. 田中直紀

    会長田中直紀君) 谷合正明君。
  29. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合です。  私の方からまず佐々江局長の方に質問をさせていただきますが、朝鮮半島の非核化という目標でございますが、これは当然のごとく中国、韓国の連携というものが、まあ協力してもらうということが非常に重要なわけでございます。六か国協議も来月には開催されるというような報道もされております。  しかしながら、韓国にしても、核実験直後は太陽政策を見直すという雰囲気もあったわけですが、その後、太陽政策にやはりもう一度回帰していくような、民情としてそういうような雰囲気もあると。一方、中国の方も北に対する毅然とした対応というのもあったと思うんですけれども、一方でやはり北への影響力ということも、確保ということですか、やはり中国と韓国の北朝鮮に対する圧力日米圧力とやはり温度差というのはかなりあるんではないかと思っております。  先般のAPECの中、安倍首相が、韓国、中国それぞれ両首脳会談をされてまいりました。北朝鮮がこの六か国協議に向けて、参加することだけじゃなくて、具体的にどういう成果を見せるかということが大事だということで話があったと思います。その中に、中国、韓国との、我が国協力強化というものを進めていかなければならないと。今後どのように我が国として中国と韓国、この二か国に対して協力強化を進めていくのかというところを、実際、APECの現場にも行かれておりました佐々江局長にお伺いをしたいと思います。  次に、河相局長の方にお伺いしたいんですが、先ほどお話の中に、日米協力防衛協力がいろいろ進展しているというお話がありました。  先日、参考質疑の中、伊豆見参考人の方から、日米の安全保障体制という点において、今後、日米防衛協力のガイドラインの見直しというものが、考えてしかるべきではないかというようなお話がございました。これは九七年にガイドラインができておりまして、九七年、できた当時というのは、九・一一のテロ事件ももちろん起こっておりませんでしたし、北朝鮮ミサイル能力という点におきましてもその当時は余り議論にならなかったのかなと思うわけですね。伊豆見参考人が言うには、ガイドラインをしっかりと、まあアメリカ側が日本を守ると、日本が攻撃を受けたときはアメリカは必ず北朝鮮に対して報復するというような文言が必要ではないかというようなことを言われておるわけなんですけれども、細かい部分はさておいて、この日米防衛協力のガイドラインの現時点での役割と評価についてのお話をお伺いしたいと思います。  以上です。
  30. 佐々江賢一郎

    政府参考人(佐々江賢一郎君) 日本と韓国、中国とのある面で違い、あるいはその中でどういう協力を進めていくかというお話でございますけれども、これはどちらの方角から見るかということもあると思いますけれども、私は、日本中国と韓国がそれぞれ置かれた地政学的な位置と申しますか、違うわけでございますね。  韓国はちょうど三十八度線で接しておって、北との間で常に緊張状況の中で来ていて、冷戦が終わってから何とか緊張緩和に向けて平和統一したいということに非常に大きな重きがあるのは事実だと思うわけでございます。その中で、御承知のように、ずっと冷戦時代やってきた方策ではなくて、かじを切って御承知のような太陽政策になったわけでございますが、その結果として、その結果として北が核実験をやるような状況にまでなってきたということについてどのように評価をするのかということについては、韓国内でも御承知のようにいろいろ賛否両論があるということでございます。  また、中国につきましても、今先生がおっしゃられましたように、中国自身は我々と同じように北朝鮮の核保有は容認できないと。なぜなら、これはそういうことになるとこの地域の不安定要因になるということは明らかで、それは中国は朝鮮半島も含めて安定的な状況が望ましいというふうに考えているわけでございますから、その点について、やはりある面では我々と利益を共有化しておりますけれども、しかしながら、北朝鮮が非常に追い詰められていくようなことも中国にとっては困る状況に場合によってはなり得るということも考えておることも事実だろうと思います。  そういう意味で、他方、我々の方は、日米と言うと語弊がございますけれども、伝統的な意味で我々の利害、関心、これは拉致問題もございますし、ミサイル、核、これが直接安全に影響を及ぼすと、直接的な形でですね。そういう意味で、非常に北朝鮮に対する思いとか脅威感というものは非常に強いものがあると。そういうことである種の若干のいろんな対応について少し力点の置き方だとかニュアンスの違いが出るのは、私はある面で当然じゃないかというふうに思っております。  しかしながら、重要なことは、大局、大きな方向で一致しているということが重要であるというふうに思っております。特にアプローチにおいて、つまり圧力を掛けながら、圧力というのは、先ほど言いましたように、国連決議でございますけれども、これについてはみんな一致しているわけでございますね。その中で対話を通じてやる、つまり六者協議でやるということも一致をしております。そして、その中で取りあえず最も、今この核実験という問題が来たので、とにかくこの核の廃棄のためにまず北朝鮮に特定の措置を要求すると、とるべきだということについても一致をしております。  したがいまして、いろいろと進んでいくに従って当然利害関係、あるいは調整をしなければいけない問題は私はあって当然だと思いますけれども、今のところ、特にAPEC会議では、私は非常に大きな成果だと思うのは、日本と韓国、あるいは日本中国、それから日米韓という首脳会談もございましたけれども、あるいは外相会談もございましたけれども、非常にこういう基本的な点で一致したと、かつ、それを外にアナウンスできるようになっているということは非常に重要なことだというふうに思っております。そういう意味で、できるだけいろんな機会を通じて、この日米、それから中韓と協議をする、情報をお互いに交換すると、その過程を強めながら北朝鮮に一丸となって当たっていくと、これが王道ではないかというふうに思っております。
  31. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 今御指摘がございました九七年のガイドライン、これを一体どういうふうにしていくのか、これの見直しの必要性は出てくるのかという御質問でございましたけれども、実は、昨年来、2プラス2のプロセスがございました。昨年の二月に最初に2プラス2、外務大臣防衛庁長官がワシントンへ行って開いたわけですが、昨年の二回目の2プラス2、十月のちょうど二十九日にやはりワシントンで開きまして、防衛協力部分についても意見の調整、集約をしたところでございます。  その中の部分をちょっと紹介させていただきますと、その中で、やはり九七年の防衛協力のための指針、これについて今後どうしていくかという議論はその中で、日米間、事務レベルも含めて議論をいたしまして、基本的に、御指摘のとおり、九七年以降、テポドンが飛んだ、そして九・一一のテロがありました。そして、最近に至って更なる北朝鮮ミサイル発射があり、核実験があったわけでございます。後の二つミサイル発射核実験はもちろん昨年十月以降に起こった更に追加的なディベロプメントなんでございますけれども、この中で日米で合意していますのは、安全保障環境の変化も十分に踏まえた上でこのガイドラインに基づく検討作業を引き続きやっていこうということで一致をしておるところでございます。  ですので、ガイドラインの見直しというのがどういうことかという定義、考え方次第だと思いますけれども、日米の事務当局若しくは政治レベルも含めまして、九七年にできたガイドラインというのをベースにしながら、その後のいろいろな環境の変化に応じた、それに適した対応をしていかなくてはいけない。  そして、このガイドラインの下で具体的にどこでどういう紛争があったかということを必ずしも前提にしないわけですけれども、我が国近傍においてゆゆしき事態が起こったときに米軍がどういう行動を取るか、そしてその中で自衛隊を始めとする日本政府がどういう行動を取るか、どういう協力をするかということは常に不断にその見直しをし、その状況に見合ったものにしていく努力が必要だというふうに感じているところでございます。
  32. 田中直紀

    会長田中直紀君) これより午後三時ごろまでをめどに自由に質疑を行っていただきます。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。  二之湯智君。
  33. 二之湯智

    二之湯智君 自民党の二之湯です。  既に質問されたことと若干重複するところがあるかも分かりませんけれども、二、三お伺いしたいと思います。  いわゆる北朝鮮の核がいよいよ六か国協議の場に持ち込まれましたんですけれども、これもある程度時間的な制約がないと、だらだらだらだら一年も二年も三年も掛かっているということではなかなか、北朝鮮の核がそのまま既成事実化されてしまうんではないかと、こういうようなおそれがあるわけでございます。  こういう問題につきまして、よく言われているように、インドやパキスタンが核実験したときにかなり強く国際世論が非難したわけですけれども、これはもう既に既成事実化されて、アメリカも今やインドとパキスタンとの友好国になっておると。アメリカがもし北の核の技術がテロ集団や他の国へ移転されないという保証さえあれば認めてしまうんじゃないかというような、そういうことをおっしゃる学者もあるわけでございまして、そして、ある日突然アメリカ北朝鮮と国交を樹立するんではないかというようなこともおっしゃる方もいらっしゃいます。この辺は一体どうなんだろうと、こう思うわけでございます。    〔会長退席、理事三浦一水君着席〕  そして、廃棄するには、日本アメリカもそれはかなり脅威を受けるわけでございますけれども、中国と韓国が北の廃棄に向けて本当に真剣に今後ともずっと取り組む決意を持っておるのかどうかと、その辺がちょっと私もよく分からないんです。  それで、もし核が廃棄されて、アメリカ北朝鮮と国交を回復したと、こういうことになって、ただ日本の場合は拉致という問題がございますですね。もう拉致問題解決なくして、なくしてですよ、たとえ核廃棄があっても、拉致問題が解決なしにでは日朝の国交樹立はあり得ないと、こういうような強い態度を日本政府は今後取り続けていくのかどうか、この辺についてお伺いしたいと思います。
  34. 佐々江賢一郎

    政府参考人(佐々江賢一郎君) まず、六か国協議でこのままだらだら続けていくと既成事実化してしまうんではないかと、正にそれを我々も懸念しているわけでございます。単にこの六か国協議を再開して協議を続ければ何か取りあえず安全になったということではないということで、したがいまして比較的短時間のうちに何らかの成果を上げてある方向に行かないと、六者協議の信頼性が問われるのみならず、先生が今おっしゃられましたように、既成事実だけはどんどん進んでいくと、そのことを最も恐れております。  ですから、そういうふうにならないように正に圧力を掛けて、時間稼ぎはできないと、つまりちゃんとまともに対応しなければより厳しい道が待っているということも同時に北朝鮮理解させなければいけないというふうに思っているわけでございます。  一つ、印パの比較でもおっしゃいましたけれども、余り法的な議論をするのはどうかと思いますけれども、NPT条約との関係では、委員は加盟ではない、例えば北朝鮮は加盟国だったのを脱退したと、それも非核国として加盟していたわけでございます。  その辺の違いはあると思いますけれども、しかしながらこの北朝鮮が非常に閉鎖された国であるということで、情報も流通、十分ではないと、よく分からないと、そういう状況の中で、やはりある日突然核保有をして、これはどのような形でコントロールされるかも分からないと、そういう非常に我が国にとっていえば懸念というか、安全保障上の懸念の度合いが格段に違うと思うわけでございます。  もちろん、不拡散のことからいえば、いずれも我々にとっていえば基本的には望ましくないという議論はあると思いますけれども、しかしおちおち、十分安心できないという意味では、北朝鮮の方がより深刻な問題を投げ掛けているというふうに思うわけでございます。  その中で、アメリカが核問題について今後話をしていった場合に、ある日突然米朝正常化、私はそういうことはないというふうに思っております。私は、日米関係というのはそんなに脆弱なものでないというふうに思っておりますし、日米は常に情報を共有して、北朝鮮の核問題あるいは北朝鮮問題について緊密な協議をしていると思いますし、そういうことは私はないというふうに思いますし、もちろん核問題が進んでも、実は米朝間には核のほかにもいろんな二国間の懸案というのがございます。先ほどのマネロンの問題もそうでございますけれども、一応テロ国家としての扱いというのもございます。  そうして、我々から見ると、北朝鮮がテロ国家であるという一つの大きな要素として、拉致問題のようなことをやっている国家であると、そういうこともあるわけでございますから、私はこの核問題が決着すれば米朝はすべていい関係だということにはならないというふうに思っているわけでございます。  いずれにしましても、核問題のみならず、日朝関係が前進していく上で、拉致問題が解決されないで国交正常化することはあり得ないと、この方針は不変であるということでございます。
  35. 三浦一水

    ○理事(三浦一水君) 峰崎直樹君。
  36. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 先ほどちょっと私、どうしても用事がありまして、退出した後に聞きそびれていることがあるかもしれませんので、もしそのときには失礼をお許しいただきたいと思いますが。  最初に、第一点目、お聞きしてみたいなと思っているのは、平壌宣言というのは今も有効なのかどうかということですけれども、特に核の問題だとか、ああいう形で宣言をしたわけです。事実かどうかは別にしてですね。そうすると、あそこでたしかそういったことについても約束事が違反になっているんじゃないかなということが何点か見えるんですけれども、その点は外交当局としては平壌宣言は今日的には有効なのかどうか、この点、ちょっとお聞きしてみたいなというのが一点目であります。    〔理事三浦一水君退席、会長着席〕  それから、二点目なんですけれども、日米関係は、今、佐々江局長の方からも、そんなに柔なものじゃありませんよと、戦後六十年相当深い関係になっているということをおっしゃったんですが、日本の政治家の中から、北朝鮮が核を持ったことに伴って日本も核武装について論議をすべきじゃないかという提案が出されました。  まあ、持つか持たないかも含めて論議をすべきじゃないかということなんですが、そのこと自体は非常に、日米安保条約に対する本当の意味で信頼が置けるのかなという意味でいうと、ややそこに懐疑の念が私は出ている、また国際社会もそういう目で見始めてきているのかなと。とすると、日米関係というのはおっしゃられるほど強固なものなのかなということと相まって、本当に日本の外交というのがどういう将来像を目指していくべきなのかねというときに、これはある学者からちょっとお話を聞いたんですが、日本版の、日本版というかアジア版のNATOというんですか、北大西洋条約機構のアジア版を日本もしっかりとつくり上げていくために努力をしたらどうだと。それは、日本アメリカというものはもう切っても切れない関係を、きちんと日米同盟をしっかり持ちながら、この北東アジアのこの六者協議なんかを中心にしながら将来的なそういう日本版のNATOといったような構想をしっかりと見据えながら外交交渉を進めていくということが必要なんではないかなと、こんな御指摘を受けたことがございます。  これらの点について、お三方というよりも関係するところでいいますと佐々江アジア大洋局長のお話でしょうか、あるいは河相北米局長の方からお話を聞ければなというふうに思っております。  もし、もう一点許されれば、私は北海道の出身なものですから、この五年半の小泉外交の中で対ロ外交というのがほとんど見えなかったような気がいたします。先日、拿捕されて北方領土の近海、近郊で銃殺をされるという痛ましい事件が起きましたけれども、この対ロ外交が先日のAPECで、プーチン大統領との間でやや、これから少し話合いが始まるのかなと。そこら辺は、かつての橋本龍太郎当時総理大臣のときに、ユーラシア外交というものが一時期脚光を浴びたことがございました。もう一度、その対ロ外交を本格的に踏み出すときに今来ているんじゃないんだろうかなと。  北方領土問題を含めて、早く解決をしないと、本当にいつ、地元の島民あるいはかつての島民の皆さん方は本当に一日千秋というか、もう千秋どころか万秋ぐらいのような気持ちで見ていらっしゃるんじゃないかと思うんですが、その辺り、APECの会合終わった後、どのように見ておられるのか。これはアジア大洋州局長や北米局長の管轄でないのかもしれませんが、もし分かれば教えていただきたいと思います。
  37. 佐々江賢一郎

    政府参考人(佐々江賢一郎君) まず最初に、平壌宣言が今も有効かというお話でございますけれども、結論的に言うと、我々は今も有効であるし、有効にならしめるように、実効あらしめるようにやるべきだというふうに思っております。  御承知のとおり、これは北朝鮮との間でこの今後の日朝関係の在り方を議論の結果として決めた政治的な極めて重要な文書であるというふうに思っているわけでございます。しかしながら、先生のお話のとおり、このミサイル発射とか核実験といったようなことはこの平壌宣言に書いてあることに違反していることも明らかであるわけです。したがって、日朝平壌宣言に従って行動してないということも言えると思いますが、しかし、だからといってこの文書はもう無用だと、要らないということで私はないというふうに思っております。依然として我々が北朝鮮との間でなすべきことは、大局は、この大筋のこの要素はすべてこの中に入っております。  したがいまして、問題は、それを北朝鮮に守らせるようにやっぱり圧力を掛けながらやっていくということが取るべき道ではないかというふうに思っております。北朝鮮が幾つかのこの平壌宣言に反したからといって、我々もうすべてこれはほごだということになって、お互いにもう全くの、すべてのこれまでこの道筋を示したものとして全く関係ないといって、どうやって道筋が開けるのかということもあると思います。  したがいまして、私は、むしろ平壌宣言の精神と原則に立ち返って、北朝鮮が懸案をもう一度解決するように交渉のテーブルに着いて話合いをやるということが必要ですし、その根拠になるものがこの文書であるというふうに考えているわけでございます。  それから、二番目の核の論議、安保の論議は、これは北米局長の方にちょっとお話をさしていただきたいと思います。アジア版NATOについては私も意見ありますけど、まあ、どうぞお先に。
  38. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) この北朝鮮による核実験の後、日本の国内でその日本の核に関する議論というのは確かにあったわけでございます。政府といたしましては、それは安倍総理が一番はっきり党首討論の場を含めて説明をしておられるように、日本としては、政府として非核三原則を守っていくと、これを変えるという政策的な考えはないということ、これに政府の立場としては尽きるのだろうと思います。片や、アメリカ日本政府のそういう考え方というのはきちっとよく説明をするというか、受け止め、聞いておるわけでございます。  そして同時に、先ほども申し上げたように、その日米安保体制の下でのアメリカ防衛コミットメント、これはきちっと果たしていくということが一番高い大統領のレベル、そして国務長官のレベル等々で繰り返し表明をされているわけでございますけれども、それはその二つをもってして日本国民のみんなが納得、相分かったということになるかというと、それはやはりそれだけで不安が全部払拭されるというわけではない部分、そういう方はおられるんだろうと思いますけれども、やはりその中で、日本政府として日米安保、先ほども申し上げましたけれども、安保条約があればこれで全部すべて平気なんだというだけではない。やはり、全体としての日米関係、いろんな政治、安保だけではない各分野での関係強化をしていくことを含めまして、やはりその日米安保体制というのが実際、実世界で確固たるものになってくる努力を引き続きやっていかなくてはいけない。そして、それについて日本国民にも説明をしていかなくてはいけない。そして同時に、その日米安保体制が確固であるということを、第三国、これは北朝鮮も含めて各国がそういう目で見るということ、これはまた、抑止力がきちっとワークするためには必要なことであろうかというふうに思っております。  それから、今もう一つ御指摘がありましたアジアにおけるNATOのような組織ということ、これはいろんな議論があろうかと思います。一つただありますのは、NATOというのは集団安全保障体制なわけでございますので、その中では、仮にそういうものができれば、そのメンバー国は、自分を他のメンバー国によって守ってもらうということと同時に他のメンバー国を守るという義務を負っていくわけでございますので、これが今の日本の憲法の下でどういうことになるかという議論はあろうかと思います。  片や、そういう中でも、もちろんアジアにおいて、その安全保障、いろんな分野での協力をする、若しくは議論をしていく場、これはもう御承知のようにASEANリージョナルフォーラムというのがあるわけでございまして、必ずしもこれはNATOと同じような機能を果たしてはないわけですけれども、そういう場を通じながらやはりいろんな議論をする、そして必ずしも安全保障そのものに直結をしないまでも、いろんな分野での協力をやっていく、若しくはその安全保障分野で国防政策の透明性を高めていく、人的ネットワークをつくっていくと、こういう努力をやはり日本として重ねていく必要があるのかなと、こういうふうに思っているところでございます。  あと、ロシアとの関係、これをちょっと私、担当してないんで、余り勝手なことを言うと同僚に怒られると思いますけれども、私が承知している限り、御指摘のとおり、ハノイで小一時間にわたって安倍総理はプーチン大統領と会談をされたということで、大分いろいろなことに多岐にわたって議論をし、今後やはり物を動かしていこうと、こういうモメンタムは徐々にできつつあると思います。  そして同時に、このアジア太平洋を見たときに、やはりロシアが一つの大きな重要なプレーヤーである。六者協議でもそうでございますし、それ以外の分野でも、やはりロシアがどういう役割を果たしていくのかということも含めて、もちろん北方四島の問題がございますが、それと併せてロシアにどういう役割を果たしていってもらうのかというのを考えながら政策を進めていくことが必要かと思っております。
  39. 佐々江賢一郎

    政府参考人(佐々江賢一郎君) 一つだけ、やや補足的なことでございますけれども、アジア地域の安全保障の問題を考える上で、既存のこの今の日米安保体制も含めたこの二国間の安全保障体制の枠組みを維持強化しながら、多国間でのその話合いあるいは信頼醸成をつくることはお互いに矛盾をしておらないというふうに思っております。  そういう意味で、先ほど北米局長からARF、ASEANリージョナルフォーラムというのがありましたけれども、これは相当広範囲な国を含んでおりますけれども、我々がどうしても安全保障といいますと、やはり北東アジアの方に、当面、安全保障上の脅威ということから関心が深いわけでございますが。  先ほどちょっとお話の出ました六者協議の文脈でも、将来、この協議を通じて核の問題なり、あるいはほかの安全保障上の問題が解決されていく、あるいは日朝、米朝の関係がいろんな問題、日本の場合であれば拉致問題を含みますけれども、解決していい方向に進めば、将来のこの地域の平和と安定のための努力あるいは方策について探求するということについて合意をしているわけでございます。  これがどういう形になるのか。これは相当先の話であるといえば先の話であると思いますけれども、しかし一番最も重要であると思っている安全保障上の問題が解決できないで何か抽象的なものができるということは私はないというふうに思っております。
  40. 田中直紀

    会長田中直紀君) 小林温君。
  41. 小林温

    ○小林温君 時間もありますので、手短に。  先ほど末松議員からも質問あったんですが、河相局長に。  中間選挙の影響で米国の対北東アジア政策がどう変わるかということで、例えば下院の外交か国際関係委員長になるであろうと言われているラントスさんなんかは、かねてから二国対話アメリカ北朝鮮を主張されていたと思います。それに限らず、共和党から民主党に議会のマジョリティーが移ったということでいろんな影響が出てくるのではないかというふうに思いますが、特に北朝鮮政策においてどんな影響が考えられるかということをお聞きしたいと思います。  それで、六者協議の首席代表である佐々江局長には、例えば今の枠内では、この前の六者協議への北朝鮮の復帰の条件として分科会のような形でバイをやるということはあり得るんじゃないかと、米朝でですね、というようなことはあったのかもしれませんが、仮に二者協議ということが現実的なものになった場合に、核をめぐる議論で、今まで、中ロ韓がどちらかというと対話で、日米圧力だというような色分けがされていただろうというふうに思うんですが、こういうバランスに結果的に変化が起きる可能性はないかどうかということが一つの質問でありまして。  先ほど来、日米の緊密度というようなこともありましたが、私は二つあると思いまして、情報の共有の部分で緊密にやるということ、例えば日ごろからいろんなアメリカ側の考え方なりなんなりが日本に伝わってくるということと、それと政策目標を共有できるということはまた別なのかなという気もするわけでございまして。  ちょっと一つ具体的な質問は、最終的な六者協議なり拉致問題の解決というところの目標として、体制の変更、いわゆるレジームチェンジと、それから金正日体制は維持したままでの北朝鮮政策変更に応じるという、幾つかのオプションの中で例えばそういう二つのものがあると思うんですが、私は、個人的に考えると、仮に金正日体制で全部ギブアップしたからといって、いろんなことを許してそのままこの体制が永続するということが日本国民の感情からいって許せることなのかというちょっと疑問が残ると思うんです。  ただ、いろんなこれからのアメリカ政策が変わっていく過程の中で、アメリカには十分政策の変更でよしとするという方向に行く可能性があるのではないかというふうに思うんですが、この点について、日米で最終目標の共有というのは果たしてできているのかということについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  42. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 中間選挙の結果を踏まえまして、議会が、民主党がマジョリティーを上院、下院とも取ったということ、その中で、恐らく議会の声としては民主党の声が当然ながら大きくなっていくということは起ころうかと思います。  そして、御指摘のとおり、民主党の中からは、六者という枠組みもいいけれども、ともかく米朝で直接対話をした方がいいのではないかという声が大きいというのは事実だと思います。それから、一部の共和党の議員からもそういう話は出ているということかと思います。これに対して、私が理解しているところでは、ブッシュ大統領は非常にやはり六者の枠組みから離れないんだということは、かなり確固たる信念として持っておられるというふうに思っております。  これは、御承知のように、クリントン政権のときに米朝の直接交渉でやったのが、まあ枠組み合意と言われるものをつくったわけでございます。それで、その下で北朝鮮は核関連活動をやめて、見返りとして軽水炉を造ると、こういうのが大ざっぱな枠組みだったわけですけれども、にもかかわらず、そういう合意があるにもかかわらず、北朝鮮は着々と核関連活動を続けていたという事実がある中で、やはりブッシュ政権としては、あくまで米朝の対話をやるとしても六者の枠組みの中でやるという、ここはかなり原則的な立場としてブッシュ大統領は固いというのが、私が個人的に思っている見解でございます。  特に、今こういう六者会合が正に動かんとしているわけでございますので、当分は六者会合の行方がどうなるかというところをみんな注視をする、ただ、この六者会合が動かないという、仮にそういう事態に発展したときにどういう議論がまた出てくるかというところは注目をしていく必要があると、こういうふうに思っております。
  43. 佐々江賢一郎

    政府参考人(佐々江賢一郎君) 今後、六者協議がどういう形になるのか、現時点では必ずしもすべて見通せていないわけでございますが、先ほど河相局長が申し上げましたように、アメリカはあくまでも六者協議の中で米朝は話し合うと、こういう立場を変えておりませんし、今後もそれは基本的な原則は変わらないというふうに思っているわけでございますが、その中で、日米圧力で中ロ韓が対話というのは、ややちょっと、もう少し、我々は対話圧力両方必要だというふうに言っておりますし、アメリカ政府もそういうふうに言っております、違う二つの手を持って交渉するというのはそういう意味に言っておりますけれども、韓国も圧力は必要でないということは言っておりません。ただし、ややこの力点が時によって違うということがあることは事実だと思いますけれども。要するに、この圧力対話をどういうタイミングでうまくバランスさせながらやっていくかということではないかというふうに思っているわけでございます。  そういう意味で、我々は今、国連決議が出て、やはり北朝鮮に対して、ああいう行為の結果やっぱり容認できないということですから圧力を掛けていく、それが当面優先すべき対応だというふうに思っております。それに対して、それを中韓両国も理解しながら、しかしそれだけでやっていくと困るんですねということで言っていると。ですから、彼らも別にこの圧力を否定しているということではないということを是非御理解いただきたいと思います。  それから、日米協力で、情報の緊密化だけじゃなくて目標をシェアされているかと、つまりその点にはレジームチェンジと申しますか、そういうことも含めてどうなのかというお話ですが、私はアメリカも含めてこれは日本、それからある面では六者の共通のボトムラインといいますか、あれはこの六者協議の共同宣言に書かれております、アメリカ北朝鮮と話合い進めていく上で相互の主権を尊重するということと、平和裏に共存するということを言っております。それからまた、攻撃する意図はないということも言っております。  したがいまして、これを表面的に見ますと、一応今のこの北朝鮮の指導部と申しますか、政権と申しますか、そういうことをあるという前提で協議、話合いをしていくというふうな前提であるというふうに思っているわけでございます。  しかしながら、交渉を進めていく結果、向こう、我々が関知しない範囲でどうなるかはまた別の問題であるというふうに思っております。
  44. 田中直紀

    会長田中直紀君) ちょうど予定の時間が参りましたので、本日の質疑はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時散会