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津田弥太郎君
大臣の決意、しかと受け止めさせていただきたいと思います。
さて、今
法案についての具体的なお尋ねに移らせていただきます。
近年、SARSあるいは
新型インフルエンザを始めとして新たな
感染症が出現をし、その一方で、結核のような今から約九千年前に地球上に存在していたハイデルベルグ原人、すごい名前なんですが、このハイデルベルグ原人の遺骨の中にも痕跡が見いだされるような極めて古い古い
感染症との闘いも依然として我々は余儀なくされておるわけでございます。このうちSARSに関しましては、二〇〇三年七月に
WHOが終息宣言を出し、これ以降は実験室内の
研究者の
感染を除いては新たな症例が
発生をしていないということでございます。
実は
日本においていち早くSARSの問題を
国会で
指摘をし、
政府に
対策の必要性を提起をしましたのは、私の出身組織でありますJAMの先輩でございました鍵田節哉元衆議院議員でございました。
WHOを中心として、
世界各国が力を合わせSARSを終息に導いたということを私
自身も高く評価をしておるわけでございます。
しかし、残念ながら、
感染症を完全にゼロにしていくということは不可能であります。新たな
感染症は自然
発生的にも誕生しますし、人為的な形で誕生させてしまうということもあるわけでございます。その意味で、正に人類と
感染症との闘いは終わりなき闘いと言っても過言ではありません。終わりなき闘いではありますが、それは不毛な闘いではない。人類の英知により大きな成果が上げられるものと考えておりますし、またそうした努力を
各国で行っていかなければならないと考えるわけです。
そこで、まず、結核問題について一点確認をさせていただきます。
我が国において結核は一九八〇年ごろまでは一貫して減少してまいりました。私は文科系なもので、三島由紀夫のエッセーを見たところ、このエッセーにこういうふうに書いてあるんです。我々は、自動車事故以外にはめったに死ぬことがなく、薬は完備し、かつての病弱な青年を脅かした肺結核と、健康な青年を脅かした兵役からは完全に免れている。この三島由紀夫のエッセーは一九六八年から六九年にかけて書かれていたということでございますので、まあ多少意図的に誇張した表現はあるかもしれませんけれども、当時の結核に関する社会認識として、このような受け止め方がなされていたのも事実なのかな、そんなふうに思うわけであります。
その後、九〇年代後半、結核は再び増加に転じ、九九年に結核緊急
事態宣言が出され、今日に至っても
日本は
世界の中で結核については中蔓延国、まあ非常に不名誉な位置付けがされており、この位置付けから脱しておらないということでございます。
そういう過程の中で、昭和二十六年から結核
対策の根拠法として重要な
役割を果たしてきたのが結核
予防法であります。今回、
感染症対策全般の一般法に統合されるということになったわけでございます。その理由として、
大臣は、現行の結核
予防法については
患者の人権上手続が十分ではないのではないか、あるいは特定の
感染症の病名を冠した
法律はとかく差別、偏見の温床になるのではないか、こういうような問題点の
指摘があったと衆議院の
委員会で答弁しておられます。覚えていらっしゃいますよね。この点については、もう少し詳しく
大臣から説明をしていただかなければならないと思うわけです。
なぜなら、
平成十年の第百四十二回
国会において
感染症予防法の改正が
審議をされた際に、衆議院厚生
委員会で当時の厚生省の保健
医療局長はこのように答弁しております。結核
予防法には人権配慮という規定は入っておりませんが、具体的には、結核の
患者さん方で実際に人権問題で御
意見を言われる方はほとんどない、私は聞いたことがないというのは事実であります。ただお題目で人権配慮と書くだけでは人権が守られるということにはなかなかなりにくい、しかし、そういう規定がなくても、そういう人権侵害が起きるような要素をなくしていこうということの手だてがこの結核
予防法にはある、私はこんなふうに思っておりますという答弁をされているんです。このように、結核
予防法のスキームにおける人権への配慮に関し極めて高い評価を担当
局長が
国会で発言をしているということからすると、今回の
大臣の御説明というのはどういうふうに受け止めたらいいのかな、ちょっと悩ましいところなんですね。
ここまで言うと
大臣は思い出されるわけであります。当時の記憶がふつふつとよみがえってきていると思うんですが、この保健
医療局長の答弁がなされた当時の衆議院厚生
委員会の
委員長はあなた、
柳澤大臣その人でありますよね。覚えていらっしゃいますよね。
平成十年当時の
局長答弁がそもそも間違いであったのか、それともそれ以降の八年間の間で結核
予防法に関する厚労省内の認識が変わったのか、御説明をいただきたいと思います。