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2006-11-21 第165回国会 参議院 経済産業委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年十一月二十一日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月十四日     辞任         補欠選任      白  眞勲君     広野ただし君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         伊達 忠一君     理 事                 加納 時男君                 小林  温君                 藤末 健三君                 渡辺 秀央君     委 員                 倉田 寛之君                 松田 岩夫君                 松村 祥史君                 松山 政司君                 岩本  司君                 小林 正夫君                 直嶋 正行君                 広野ただし君                 若林 秀樹君                 弘友 和夫君                 松 あきら君                 田  英夫君                 鈴木 陽悦君    事務局側        常任委員会専門        員        世木 義之君    参考人        社団法人日本ガ        ス石油機器工業        会会長代行    竹下 克彦君        財団法人日本消        費者協会理事   宮本 一子君        工学院大学グロ        ーバルエンジニ        アリング学部教        授        畑村洋太郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○消費生活用製品安全法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) ただいまから経済産業委員会を開会いたしたいと思います。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、白眞勲君が委員を辞任され、その補欠として広野ただし君が選任されました。     ─────────────
  3. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) 消費生活用製品安全法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案の審査のため、参考人として社団法人日本ガス石油機器工業会会長代行竹下克彦君、財団法人日本消費者協会理事宮本一子君及び工学院大学グローバルエンジニアリング学部教授畑村洋太郎君の御出席をいただいております。  この際、参考人の方々に委員会を代表して一言ごあいさつを申し上げます。  皆さんには、御多忙のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。本日は、皆さんから忌憚のない御意見を拝聴し、今後の本委員会審査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。  次に、会議の進め方について申し上げます。  まず、お一人十五分程度で順次御意見を述べていただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、参考人皆さんから御意見を述べていただきます。  まず、竹下参考人お願いをいたします。竹下参考人
  4. 竹下克彦

    参考人竹下克彦君) 社団法人日本ガス石油機器工業会会長代行を務めております竹下でございます。  本日は、意見陳述の機会をいただきまして、深く感謝申し上げます。  私が会長代行を務めます工業会は、ガス石油機器メーカー百三十四社、賛助会員八社から成る社団法人でございます。工業会事業として、ここ数年では省エネ、環境リサイクルにも取り組んでおりますが、創設当時から最優先で取り組んでいることとして、消費者皆様に安全に機器をお使いいただくための安全啓発事業がございます。  近年、機器には様々な安全装置が装着され、より安心して機器をお使いいただけるようになっておりますが、どんな安全装置にあっても、お使いになる消費者皆様の御理解を得なければ事故はなくなりません。そのため、工業会では、毎年一番多くの予算を割いて安全啓発事業の推進を行っており、徐々にではありますが啓発が浸透していると思われます。  ガス石油機器日常生活必需品であり、おふろに入る、シャワーを浴びる、調理をする、食器を洗う、暖房する、乾燥する等、様々な生活シーンの中で消費者皆様にはなくてはならない設備です。そういう性格の設備において、昨年はFF式石油暖房機、今年は半密閉式ガス瞬間湯沸器、そしてガス温水式浴室暖房乾燥機事故が頻発し、消費者皆様社会に多大な御迷惑をお掛けしており、この場をかりて深くおわび申し上げます。  独立行政法人製品評価基盤技術機構報告された人身事故平成三年から十七年の件数を見ますと、日用品の中でもとりわけ燃焼機器報告件数が際立っております。死亡事故、重症・軽症事故のすべての範疇で燃焼機器が最も多く、これらの事例により、ガス石油機器製品安全については大きな問題を抱えていると痛感しております。製品事故の問題は、各社個別の問題だけでなく工業会全体の問題ととらえるべきで、工業会では、早急な信頼回復に向けて、業界を挙げてこの緊急課題に取り組んでおります。  まず、昨日から始まりました製品安全総点検週間に合わせて、工業会会員各社社長製品安全に関する取組姿勢のメッセージを社内に発表いたしました。そして工業会は、各社長の発表した内容を、本日、外部公表することにいたしました。  二番目に、十一月十六日にプレス発表いたしましたとおり、都市ガス事業者LPG事業者簡易ガス事業者、そして当工業会の四団体は、ガス業界挙げての製品安全に取り組むことにいたしました。  その具体的活動内容は、一つ目は、今までも行っておりますが、安全装置が付いていない製品をより安全な製品に買い換えることを、先ほどの四団体連携協力の上、強化推進してまいります。二つ目は、ガス事業者ガス機器メーカーが一体となって安全啓発のチラシやパンフレットを配布し、消費者皆様安全意識啓発をしてまいります。三つ目に、あんしん高度化ガス機器開発研究会を十二月に発足する予定です。ここにはガス事業者ガス機器メーカー及び消費者代表の方にも参加をしていただきます。当面の課題は、ガス給湯器ガス風呂がまの安全の高度化が最優先であります。  次に、今回の事故問題における工業会中心課題と位置付けておりますが、八月二十八日の経済産業省製品安全対策に係る総点検結果のとりまとめ三十一項目のうち、工業会関係の深い項目について最優先で取り組んでおります。  具体的には、事故情報収集公表迅速化製品安全の技術基準強化、そして消費者への機器安全使用への周知があります。これには製品安全対策に係る総点検結果のとりまとめの十一項目が該当しております。  事故情報収集公表迅速化につきましては、工業会として、ガス石油機器事故対策マニュアルを改定した上で、重大事故製品事故情報を一元的に収集し、情報公表していくための部署を新設し、これに対応することを検討しております。また、製品安全の技術基準強化では、このたびの事故を踏まえて、財団法人日本ガス機器検査協会連携の上、ガス消費機器安全確保のための技術基準改正への対応を急いでおります。さらに、消費者皆様への機器安全使用に対する周知徹底につきましては、従前からの安全啓発活動取組を更に強化して推進してまいります。  次に、このたびの消費生活用製品安全法改正案について一言申し上げます。  製品の安全は、製造事業者販売事業者施工業者、そして使用する消費者皆様がそれぞれの役割を果たしていただくことが重要と考えております。製造事業者販売事業者は、消費者皆様に対して商品の正しい御使用の方法や日常のお手入れの仕方をお知らせすることが必要です。中でも、このたびの改正案にある事故情報のタイムリーな提供、これが消費者安全確保に最も大きく寄与するものと考えております。当工業会では、本法案の改正趣旨にのっとり、体制整備会員への周知徹底を速やかに行ってまいります。  最後になりましたが、諸先生方におかれましては、引き続き格段の御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  5. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) ありがとうございました。  次に、宮本参考人お願いいたします。
  6. 宮本一子

    参考人宮本一子君) 宮本一子でございます。財団法人日本消費者協会理事をしております。  私がここに来て、このお話をするのに関連する私の今までの商品事故危害情報の経歴についてちょっと述べさせていただきますが、私は、国民生活センターができて間もなく、危害情報室というところで十年ほど非常勤職員としていわゆる商品事故のことに携わってまいりました。十年ほどその仕事をして辞めまして、PL法運動に参加いたしました。PL法立法化ができた後、PLオンブズ会議というのができまして、これは日本消費者団体連絡会の中の一つ組織なんですが、PL法関連の訴訟をウオッチしたり、あるいは商品事故に関して監視したりする、まあ私はオンブズウーマンですけれども、そういう運動を十年ほどしてまいりました。そういう関係で、今回の法改正について消費者代表として意見を述べさせていただきたいと思います。  まず、皆さんの手元にレジュメが行っているかと思います。これに沿ってお話ししたいと思いますが。  まず、法律を総括して私は次の点で、三点ありますが、高く評価すると。一番目は、製造業者だけですが、重大事故報告義務を課していること。二番目は、軽傷事故から重大事故に至るおそれがある、まあ私たちは蓋然性と言っているんですが、ある場合にも報告義務を課していること。それから三番目は、商品が焼損してなくなった場合でも、危害のおそれがあるときはその商品事故原因であるということを認めるという、この三点において私は高く評価するというふうに書いておりますが、PLオンブズのある会員は、高く評価しなくてもいいんだ、評価だけでいいという意見もありました。  次に、やはり問題は次の問題だと思います。  法改正についての消費者から見た問題点として、やはり事故報告義務化は、製造業者輸入業者だけであって、販売業者は直接の義務ではないというところでございます。  アメリカCPSC消費者製品安全委員会というのがありまして、そこの法律ではもう製造業者販売業者同列義務を課しておりますし、EUではその加盟国への指令にも製造業者販売業者同列義務を課そうとしております。販売業者がまず最初にそういう重大事故を知った場合は、EUなどでは行政メーカー通知をする義務があると。日本では、これはメーカー通知をする努力義務になっております。これが一つ問題点。一番消費者に直接接するのは販売業者だろうと思うんですが、そこがやっぱり欠落しているというのが問題ではないかというふうに思います。  第二点は、消費生活用品に限定されていること。シュレッダーのように、最近は業務用商品とそれから一般の消費者が使う商品がもう同じようになってきて、普通の販売店業務用商品が売られております。業務用とは書いていませんから、私たち消費者も使う。例えば農機具などは、農機具はいわゆる業務用かも分かりませんけれども、家庭菜園などで使う用にも私たちは購入することがありますし、園芸用あるいは大工用電動工具はもう境はありません。  シュレッダーのように、消費者がいわゆる業務用として作られても家で持つ、買うということがこのごろ往々にしてあります。ですから、業務用だから消費者用用品に入らないということでは、シュレッダーのような事故拡大につながるんではないかということが考えられます。  第三点は、義務違反罰則はないことです。法律義務違反罰則がなければ、企業緊張感を与えたり周知徹底を図ることができないのではないかと私は考えます。また特に、報告うそ隠し事があればせっかくの報告制度機能しない。うそ隠し事をさせないための制度的担保も検討すべきではないでしょうか。例えば、行政調査権限強化、あるいは虚偽報告に対するペナルティーなどが必要ではないでしょうか。こういった法律の面での問題点があると私は考えております。  運用面でいろいろ難しいことがおありになると思います。中小企業への周知、どのように周知するか。しかし、周知して、中小企業重大事故があって報告をしたという場合の救済対策も必要ではないか。事故報告をした結果、回収、商品を回収することになった場合は支援をする、だから報告義務を果たした方が有利だというインセンティブを与える施策が必要ではないでしょうか。  いろいろ運用面執行面での問題は次のように考えます。報告義務の範囲は、ケースによってグレーゾーン、これは報告しなきゃいけないか、あるいはそうでないかというようなグレーゾーンがあると思うんですが、広く報告を集めるようにしていただきたい。  第五番目は、報告義務化メーカーに課した限りは、その入手した事故情報を素早く、分かりやすく、あらゆる手段情報提供していただきたい。例えばの話、EURAPEXというのがあるんですが、早期警報システムというのがあります。それは、原因が何であれ重大事故であれば写真入り公表して、一週間ごとに更新しております。インターネットを見ると、私たち日本にいててもEURAPEXでどのような商品を回収しているかというのは一目瞭然で分かります。  でも、企業にとっては公表は大変です。ですから、重大事故公表に際しては、企業から異議申請を受けるなどの対策が必要ではないか。企業から異議を申し立てられたら、どのような場合に公表を控えるか、どの項目公表しないかというようなことはやはり今後の省令で決めていかれる方がいいんではないか。  第三番目として、国土交通省自動車クレーム情報を即出しております。企業名製品名型式名がだあっと出てきます。そういうふうにクレーム情報も即公表して、これはクレームそのままの情報であるというただし書をして、責任は発表した側にはないということを明記すればいいかと思います。EURAPEXもそのように書いています。  それから四番目に、マスメディアを通じて重大な危害情報を流すシステムをお考えいただきたい。例えば、テレビラジオは、パブリック利益のために公共放送提供するシステムがつくられるんではないか。アメリカでは、公平の原則、フェアネスドクトリンといって、FCC、連邦通信委員会が、かつては強制だったんですが、やっぱりラジオテレビ公共的なそういう時間を持って提供せよということを規制しておりました。規制緩和によってそれは規制ではなくなりましたけれども、今でも例えばケーブルテレビを許可するときには、パブリック教育行政を通じて公共利益にサービスすることが奨励されております。そういうようなことは日本でもできるんではないか。もしできれば、重大な危害情報などはそういうマスメディアを通じて国民に流せる手段もあるんではないかというふうに思います。  それから六番目は、警察、消防との連携はお考えでしょうが、やはり地方の末端組織への連携が大事だと思います。上の方に上がってきてそれが通報されるんでは時間が掛かりますから、末端組織とどのように連携ができるかということをお考えいただきたい。  事故情報の対象かどうかを判断する第三者委員会をつくるというふうにお書きになっていますが、是非、法律家消費者代表を加えていただきたい。  それから最後、もう時間がなくなりました。これが一番大事なことなんです。総合的製品安全組織をつくっていただきたい。  アメリカにはCPSC、先ほど言いました消費者製品安全委員会、強力な執行機関を持っています。ヨーロッパにはPROSAFEという製品安全執行フォーラムなんですが、があります。やはり製品の安全だけを担当する独立した行政が必要だと私たちは長い間主張してきました。やっぱりここに来てもう一度お願いしたいと思います。  日本では、製品安全の業務国民生活センターNITE製品評価技術基盤機構が担っています。しかし、国民生活センター危害情報室専門スタッフは少なく、最初危害情報室という室があって、担当者が数人いたんです。それはもう大分前になくなりまして、いわゆる契約だとか次々販売だとかモニターとか、そういう一杯悪徳商法のそういうクレーム業務が忙殺されて、なくなってしまいました。私は、NITEの人的あるいは設備の充実、あるいは執行権を付与するというようなことをお願いしたいと思っております。  行政改革が言われているときに新しい行政をつくれないというふうな意見もあるんですけれども、国民の命や健康が最も重要で、私はお金よりもやっぱり命の方が重要だと思っているんですが、そういうのであれば、それは価値観なんですが、事故情報収集提供を一か所で行い、安全に関する執行権を有し、安全教育を担う機関が是非必要であるというふうに思っています。それは、一つには、やっぱり人材を育てることができるんです。今、日本に最も必要なのは、事故情報を適切に分析する人材だと思います。  もう時間が少なくなりましたけれども、例えばどういう人材かと。やっぱり、経験を積んで、感性が鋭く持って、長い間事故情報を見た人、この事故情報拡大被害が起きるか、深刻な被害が起きるかというようなことを察知する人、あるいは心理学的に、あるいは人間工学的に、疫学的に、科学的、化学的、医学的な専門家が、事故情報について、これは重大事故につながるのかどうかというような検討をする人が絶対必要なんです。  事故情報を集めても、それ分析がちゃんとできなければ、シュレッダーやパロマの事件のように、長い間掛かって多くの件数が蓄積されるまで対処ができなかったということになりかねません。やはりその分析をする人の育成というのは、そういう機関が必要ではないかというふうに思います。  情報国際的共有事故拡大防止に寄与する。シュレッダーの場合は、アメリカではもう随分昔にシュレッダーの、事故はなかったけれども、回収しています。そういうのはアメリカCPSCインターネットを見ればすぐ分かりますし、立派な報告書がもう出ておりまして、子供が指をこう切断されたその写真も出ております。いかに悲惨か。  ちょっと言いますと、ここの指の切断は、ただ指が短くなるだけじゃなくて、ここの手のひらの先で私たちはすべてをこう何か察知して使っているそうです。これをなくすると、短くなるだけ、ピアノが弾けないとかそんなことじゃなくて、すべてがかかわってくるというほど大事だということをお医者さんから聞きました。そういうことは、やはりいわゆる人材がそういういかに深刻かということを考えて、早急に対処できるかどうかということだろうと思うんですね。ですから、是非その人材育成というのはお考えいただきたいということをお願いしたいと思います。  以上のことから、将来、そういう総合的な、食品安全委員会というのができましたけれども、製品安全委員会のような執行権を持つ機関の設置を考えていただきたいと思います。  以上です。
  7. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) ありがとうございました。  次に、畑村参考人お願いいたします。畑村参考人
  8. 畑村洋太郎

    参考人畑村洋太郎君) 私の意見は、安全な社会を実現するためにというので、回転ドアエレベーターを例にして、今、日本じゅうの人がどんなふうに考えを変えていかなければいけないかということを実例でお話ししようと思います。  まず、この紙に従ってめくっていってください。まず、ドアプロジェクトというのをやりました。  これは、二年半前に六本木で男の子が回転ドアに挟まって亡くなった事故です。そして、これは責任追及型の警察の捜査その他は行われましたが、僕の方から見ていると、日本のもう典型的な処理の仕方で、警察原因究明をしてそれでおしまいというのになるに決まっているというふうに思っていました。事実、そのとおり進んでいきましたので、私は自分で勝手に、個人として事故調査組織してやることにしました。ですから、どこからもお金ももらっていませんし、どこからもサポートは受けていません。しかし、声を掛けた会社もどこも皆全面的に協力をしてくれました。特に、事故を起こした森ビルとそれから回転ドアを造った三和タジマはもう全面的に協力をしてくれて、それで、その結果いろんなことが明らかになりました。  それで、回転ドア事故があると、回転ドアだけをみんな調べようとしますが、それでは決して本当のことは見えないので、ドアと名が付くもの全部というものでやることにしました。そういうふうにすると、ドアにまつわるいろんな危険なものが非常にはっきりと出てまいります。例えば、自動車を使い、それから新幹線や山手線も実車を使いましたし、すべて実物で実験をやりました。また、国際協力もありまして、それに使うセンサーはスイスのセンサーメーカー提供してくれるし、ダミー人形を使うのはアメリカファーストテクノロジーという会社がたった三月で物すごいいいものを作ってきてくれました。それから、こういうものを世の中に報道しなければ意味がないと思っていましたので、NHKが全面的に協力してくれて、いろんなものの記録を取って世の中に伝えていくことをやりました。ただし、義務的にやったことではなくて勝手連でやったものです。  その結果分かったものが二ページにありますが、例えば、手動自動であると、みんな自動の方が故障があったら危ないというふうに思っていますが、実測すると手動の方がはるかに危ないです。そして、自動で危なかったのは唯一この事故を起こした大型の回転ドアだけで、それ以外は全部安全でした。  それから、技術の系譜ということを考えてないといけない。これは、ヨーロッパで発達したものが日本に伝わってくるときに、軽くなければ危ないという知見がなくなって、立派で見事なものになって重さが約三倍になっていました。そして、この三倍になっていることがどれだけ危険かということはだれも気が付かないでそれを作って使っていたわけです。ですから事故が起こりました。  三番目に、暗黙知があるということを知りました。玄関に使われているスライドドアエレベータードアは人が触ると急退避する機能を持っていますが、電車のドアも、それからその他のスライドドアもそういう機能は持っていません。これは、それぞれの産業分野技術が全部孤立していて、ある部分では当然持っている、暗黙知というのはそういうものですが、それが一つも共有されていません。  それから、軽微な事故重大事故の予兆だ、これは労働災害で言われているハインリッヒの法則が言っていますが、このことがそのとおりに起こっています。  三ページ目は、事故を起こした回転ドアの大体の寸法です。四・八メーターの直径のものが約一秒間八十センチの速さで回っていて、この重さが二・七トンもありました。挟まればこれは止めようがありません。みんなセンサーで止めればいいと言いますが、それはうそです。止めようとする信号を出してから止まるまでの間に必ず時間が掛かるというのが中学校か高校の物理学で教えていることなんです。こんな当たり前のことが、だれもそのことを気を付けて使っていません。  四ページ目にあるのは、NHKに撮ってもらったんですが、一秒間に千こま撮れる高速度カメラで人が挟まる状態をやったものです。右側にあるのが縦の柱で、左側が回転ドアです。真ん中にセンサーが入っていますが、頭が挟まれてぐじゃぐじゃに崩れていく様子が見えます。  そして、五ページ目をごらんください。力センサーを挟んだときにドアで発生する最大の挟み力をドアと名が付くもの全部についてやった結果です。赤が手動です。ばたんと閉めたときです。信じられないような高い力が出ているんですが、大人の頭が壊れるのは約、ここに書いてある二千ニュートンだと考えられています。そして、子供の頭がつぶれるのが千ニュートンだと考えられていますが、見てください、大型回転ドア以外は全部、この自動で動いているものは千ニュートン以下です。全部安全になっているんです。で、それ以外、手動で大丈夫だと勝手にみんなが思っているものが全部めちゃくちゃ事故を起こしているということです。  六ページをごらんください。これは、ヨーロッパ回転ドアが発達しましたが、日本に来るときに、軽くないと危ないという知見がなくなって見栄えの良さというものが付け加わった結果、重さが約三倍になりました。しかし、これがどれだけ危険かということは、設計する人も取り付ける人も管理する人も、それから使う人も、だれも気が付かずにこれを使っていて事故が起こります。  七ページをごらんください。これがハインリッヒの法則です。一件の重大災害の裏には二十九件のかすり傷程度の軽災害が起こっているぞ、そして、その裏には、けがにはならないけれど、冷やっとしたり、はっとした経験があるというのがハインリッヒの法則です。これはすべての事故や失敗に当てはまります。三百件のヒヤリ・ハットのときに、それに真摯に正対してきちんと対応をすれば、重大災害は防げます。さらに、二十九件の軽微な事故のときにそれと気が付くと、重大災害は防げます。  そして、それが全くそのとおりが、六本木の回転ドアが起こったことを示したのが八ページの絵です。これは、事故が起こった後に改めて森ビルの中からもらったデータで、僕がグラフにしたものです。一番上が重大事故、これを使い始めて一年目に起こっています。その次に書いてあるのが、重大事故で救急車で運ばれたものが十一件、それから救護室でやったものが二十一件あります。そして、こういったものが合計三十二件起こっていて、最後死亡事故が起こっているんです。ハインリッヒの法則のとおりになっているんですが、余りに見事に合い過ぎていて気味が悪いぐらいです。  しかしこれは、じゃあこれを使っていたやつが悪いんだなとか、そういう処置の仕方をしますが、だれも、危ないと本当に気が付いていたら使う人なんかいません。ですから、設計する人も造る人も使う人も管理する人も、みんな危なさに気が付かないでいてこういう事故が起こるんだ、ここが一番重要なところです。  それからもう一つ、本当に重大事故が起こる前には必ず軽微な事故が散発しています。そして、そのときにきちんとこれを取り込まないと、必ず重大事故が起こります。  次に、エレベーター事故です。  これは港区で六月三日に起こったものですが、つい最近起こったものです。そして、これを現地調査をし、それから同じシンドラー社製のエレベーターのほかの場所にあるものを調べて、それで僕なりに考えたものです。  その結論は、設計者が、設計自身が根本的に間違ったまま世界じゅうのエレベーターが動いているということです。なぜか。かごの落下だけが怖いのでそちらのことだけを考えていて、釣合いおもり、これをカウンターウエートと言いますが、カウンターウエートが落ちる、これはかごが上に上がるということです。このことを全く考えていません。世界じゅうのエレベーターは、いつでも人を挟んで、人をちょん切ってしまうような、そういう機械に世界じゅうの機械がなっています。  そして、ここで言っておきたいのは、この事故日本で起こったので今大騒ぎになっていますが、二〇〇三年の八月十六日にアメリカで、日本人が上がるエレベーターに挟まって首が切られて死亡しています。そういう事故アメリカで起こっているのに日本にそれが伝わっていないので、そういう事故があることすら日本じゅう知らないで、これを今ごろ取り上げているということです。  情報を正確に伝える。しかも、今回の法律の中には全然出てきませんが、外国で起こっている重大事故日本消費者に知らせるのは、輸入して設置して販売する者の義務であるというのをやらない限り、今の例は防げないんです。ですから、ここの問題点の中の一つに今のことを入れないと、必ず同じ形の事故が起こります。  次に、機械と人間の関係が変わっています。機械は安全なはずという思い込みでみんなが使っていますが、機械は危ないというふうにみんなが考えて、どう機械と接するかということを見ていないと、重大事故が起こります。手抜きをしても事故になるまでは気付かないということがまた後の例で出てきます。  十一ページ目をごらんください。  今、港区で起こったのは、ブレーキが駄目だったからというので警察は片付けることにして動いていると聞いています。それもそのとおりかもしれません。しかし、僕は機械技術者ですので、これで見ますと大いに疑問に思っています。なぜか。実物を見ると、このブレーキというのは、止まっているものを止めておくだけの機能しか元々ありません。動いているものを止める機能があるかのように思って全体の処理をしているところが大きな間違いのもとだというふうに思います。  十二ページをごらんください。  これは、今、基本的に使われているエレベーターの構造です。かごがあって上下しますが、これに釣合いおもりのカウンターウエートというのがあります。そして、このカウンターウエートは、定員の二分の一の人が乗ったときにちょうど釣り合うようにできているので、大きなエレベーターに一人か二人で乗ったら、挟まれば必ず死ぬという機械になっています。  次、十三ページをごらんください。  設計者は動いている状態とまずくなった状態を考えなければいけないけど、考えていません。  十四ページをごらんください。  みんな、設計者は、取り扱う人は、発生頻度が高いことだけに目が行って、あり得ることではあるけどめったに起こらないということを考えていません。失敗学では、あり得ることは起こると考え重大事故があるとしたらどんなものがあり得るかということを考えています。  十五ページをごらんください。これは実際にあった例です。  エレベーターに閉じ込められたので非常ボタンを押しました。管制センターにつながっているはずですがつながっていなかったので、救出するのに半日以上掛かった、すごく重大なことが起こっています。なぜか、簡単です。保守員が、作業報告書は全部これをチェックしたというふうにして管理者に報告していました。実際には断線していました。こういうことが起こっていて、一体だれがこれをどう担保するんでしょうか。  次、三番目に、社会がやるべきこと。すき間領域を作らない、事故情報自動収集と伝達、事故を風化させない、人間と機械の領域が変わっていることを皆に知らせる必要があります。  十七ページをごらんください。  実際には、機械設計者、建築の設計者、建物の管理者、みんなそれぞれの場所は、自分のところをきちんと仕事はやっています。しかし、両方のすき間があるところで事故が起こります。  十八ページをごらんください。  十八ページのところで、事故情報はいろんなふうに、救急車の出動回数、病院その他で起こっていますが、情報自動収集と発信が行われていないために、プールの吸い込み事故、それから、こういう階段から落ちる事故、こんなことは幾らでも毎回繰り返されています。  それで、一歳から十九歳までの子供の死亡事故の最大の要因は、病気ではありません、不慮の事故です。事故なんです。これをきちんとやりさえすれば、一歳から十九歳までの子供を相当に助けることができます。  次、十九ページをごらんください。  人間と機械の分担領域が変わっています。昔は、人間が相当なところまで注意していました。それでも足りない機械との部分で事故が起こっていました。ところが、安全なものにみんなが慣れているので、機械が安全になっているはずと考えるようになり、そこまで到達していない機械との間ですき間ができて事故が起こっています。  そして最後ですが、人間の分担領域が狭まって頭が空洞化しています。カーナビ使うとばかになる、地図がなくなるからです。電卓使うと計算ができません、既にもうそろばんは使っていません。ワープロを使うと字が書けない、選ぶことはできるけど書けません。炊飯器は、スイッチを入れることはできるけど、だれも御飯は炊けません。自動ドアが開かないとガラス戸にぶつかります。エスカレーターが起動しないんで、しょっちゅうつんのめります。故障がないから自動車のボンネットは開けたことがないから、エンジンを見た人はいない。触れば止まると思うから、シャッターに挟まれます。シャッターの重さは、重量挙げの選手でも止めることができないほど重さがあります。非常発報ボタンを押しても伝わらないことを想定していない。  そして二十一ページに、カーナビ使うとなぜばかになるかを絵にかきました。これは、地図が、元々は頭の中に地図を作ってから運転していたんです。ところが、地図なしでも動くようになったから、頭は空っぽでもブレーキとアクセルとハンドルで動くつもりになっています。  以上です。
  9. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) ありがとうございました。  以上で参考人各位の御意見の陳述は終了いたしました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑及び答弁とも御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 松村祥史

    ○松村祥史君 おはようございます。自由民主党の松村祥史でございます。  まずは、三人の参考人皆様方に貴重なお話を聞かしていただきまして、本日は当委員会までおいでいただきまして、本当にありがとうございました。冒頭お礼を申し上げたいと思います。  それぞれに、それぞれの観点から今聞かしていただいたところでございますけれども、今法律案の制定については、先般起きました死亡事故でありますとか、幼児のあの痛ましい指の切断事故とか、こういうのが引き金になったというのは周知の事実でありますけれども、私は今法律案というのは、今国会の法律案というのはある一定の評価をしております。  というのが、やはり宮本先生がおっしゃったように、報告義務を課したり、公表をやり、防止措置をとっていく、これは非常に大事なことだと。これまで、じゃ、とってなかったのかといえば、そうでもなかったと思うんですね。しかしながら、やはり他方で、やっぱり経済をつくっていくということは、自由経済主義においてはこれは自由なことなんですね、消費者にも選択の権利がありますし。しかしながら、今、畑村参考人のおっしゃったように、やはり認知度が安全であってしかるべきというそういう固定概念から入っておりますから、非常に多種多様な選択肢の中でそういうことを考えずにやっぱり選んでしまうような社会になってしまったのかなと。そういう意味では、ある一定の評価をしたいと思っております。  そこで、まず竹下参考人にお尋ねをしたいと思っておりますが、今日は業界代表ということもございます。また企業家でもございます。そういう意味では、こういった企業のモラルをつくっていく、先ほど宮本先生がおっしゃったように、報告義務を果たすことで、企業にとってマイナスではないと、有利になるんだというインセンティブを持たせるような施策が必要だと、こうおっしゃいました。この法律を精査することで業界団体がそういうふうにお取り組みをいただいているのは今御報告も聞きましたが、そのことがこれからどういう形でつくられていくか、またほかの業界にはこれは本当に浸透していくのかと。実際やられながらどのような御意見、また認識をお持ちか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
  11. 竹下克彦

    参考人竹下克彦君) 製造業、それから輸入業に事故報告義務が課せられるというのが今回の消安法の一番大きな改正点ですが、企業の側、工業界の側から見まして、やはり一定のルール、基準で事故報告を迅速に世の中に、それから消費者皆さんに訴えるようになるということは、今まではかなり各企業による会社間の格差、それからまた担当する人による判断の格差というのがございまして、余り同じ条件での情報開示ではなかったかと思いますが、このたびのこの省令改正で、やはり同一基準で、それからできるだけ早くオープンにするという事故開示の社会がこれからでき上がっていくとするならば、本当に企業にとっても従前よりはかなり商品安全に関する取組、開発の取組とか、それから、ただ企業は作ったらしまいということじゃなく、販売工程における商品説明の問題であるとか、それからまた、あと修理のしやすさとか、それからまた施工のしやすさとか、そういったことにまでやはり思いをはせて取り組むようになると思いますので、やはりトータル的に開示をしてそれで改善を早めると、それからまた、消費者様の使用時点における同一事故の多発を未然に防止するという意味から非常に有効であるというふうに考えております。  以上です。
  12. 松村祥史

    ○松村祥史君 大変高い認識を持って取り組んでいただくということはよく理解をできました。是非、事故を起こした業界ということではなくて、日本企業として是非そういうモラルを率先して高めていただいて他の業界に広めていくような、物づくりをつくっていく日本の文化として、日本の、我が国の企業はこういうものを当たり前にやっているというような企業文化を是非つくっていただきたいなと思います。  ちょっと時間もありませんので、次に宮本参考人にお尋ねをしたいんですが、私も冒頭申し上げましたけれども、やはり今回、報告義務を課すことで企業にとってマイナスじゃないと。今回の事故のそれぞれの経緯を見ますと、利益を出すことが企業の目的であり大事なことではあるんですけれども、そのことの判断基準を鈍らせてしまい報告が遅れ、こういうごたごたしたような事態になってしまったのかなと、雑駁な意見なんですけれども、そういうふうな認識をしています。  そういう意味では、本当にこれから我が国が、企業がどんどんどんどん自助努力をすることによってインセンティブを高めていく、こういうことは非常に大事なことだと思います。そのために、消費生活センターとか、また国民生活センター、またNITE、先生は先ほど、将来総合的な製品安全委員会を設けられて、そのことでいろんな情報公開をしていくべきだというような御意見をおっしゃいました。  先般、国民生活センターに、相模原の、視察に行ってまいりましたけれども、多種多様な情報を基に実験をやられておりますけれども、その情報の公開の仕方であるとか、私はこれは質問もしてみたんですけれども、危険、危険認知度といいますかね、普通に公開をなさってらっしゃる、その情報を基に。そうなりますと、それをどう精査していいのか分からないのが消費者の方じゃないのかなと。また、このうわさの操作、情報操作によって企業の経営活動を止めるわけにはまいりません。しかし、これが非常にバランス的に難しいことだと思うんですね。  そういう意味では、先ほどおっしゃいました、将来的に製品安全委員会の設置が必要だと、このバランスを考えながらどういった委員会の在り方が必要だとお思いになるか、御意見がありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  13. 宮本一子

    参考人宮本一子君) もし、そういう委員会のような新しい機構が、私はNITEから移行してもいいと思っているんですが、できるとすれば、情報の一元化、一つ機関情報を一元化して集める、収集する。それを一元的に国民に知らせる。それと、それから、いろんな、危険か危険でないか、これは深刻な事件になるかというようなことの判断、今、畑村先生がおっしゃいましたけれども、たくさんの軽微な事故が集まれば、それはきっと深刻な事件があると、一件あるというような、そういう見方ができる、分析ができる人材を養成して、それからもう一つ、やっぱり消費者啓発教育も一手に引き受けて、リコールの執行権も、リコールを命令する執行権も有するような機構になればいいなというふうに考えております。
  14. 松村祥史

    ○松村祥史君 私もそのように思います。  実は、国民生活センターに参りまして、あれだけの情報を、年間百三十万ですか、情報をなかなか精査し切れないだろうと。それから、NITEという組織がありますが、この整合性ですね。また、ここに権限、経済活動を止めるような権限というのもございませんし、また他方で、冒頭申し上げたように情報公開によって企業活動が停止するようなことであってはならない。しかし他方で、危険予知の情報としても出さなきゃいけない。非常に難しい線引きだと思うんですね。  そういう意味では、現行法であります国民生活センターNITE関係、これについては今現在どのような、まあ整合性があるか、若しくは機能しているのかどうかと、いろいろお思いの点がありましたらばお聞かせをいただきたいと。
  15. 宮本一子

    参考人宮本一子君) 情報はばらばらで、私たち情報の一元化をずっと言ってまいりました。  何か方向としては情報を共有するという方向になっておりますけれども、いかんせん、後ろにある監督官庁が別でございますし、それぞれ、それぞれの立場でやっぱりPRしなきゃいけないのかどうか分かりませんけれども、もう情報の公開は、国民生活センターでいえば、ほとんど一般にはされておりません。まとまった場合にはされるんですけれども、いろんな研究者あるいは消費者団体が聞いても情報の公開はありません。だから、そういう情報の共有化というのは、あらゆる事故情報の共有ができる組織を一元化することでもあるんではないかと考えています。
  16. 松村祥史

    ○松村祥史君 ありがとうございました。  それで、時間もございませんので、畑村参考人最後お尋ねをしたいんですけれども。  ある企業では自社製品が非常に不良な点が出たということで多額な経費を投入して回収、情報の公開に努め、逆にそのことが企業評価に、高まったというような実例もございました。  先ほど先生のお話を聞いておりますと、私たち消費者というか普通に生活している者というのは、やっぱり危険の予知活動といいますかね、予知能力が少々落ちているのかなと、当たり前が多過ぎているのかなというような気がいたします。そういう意味では、企業においてはそういう自助努力をしっかりやる、そしてそれを評価する社会体系をどうつくっていくか。また、消費者側においては、またそういうものを非常に評価するような世の中社会体制、どのようなことを考えながら今後こういった社会を構築していくには、いろいろ御意見があればお聞かせいただきたいなと思います。
  17. 畑村洋太郎

    参考人畑村洋太郎君) 日本社会の特徴は、何か事があると、だれが悪い、何がおかしいというところの方に話が進んでしまって、根本的な原因対策考えてみんなで共有するという方向にいろんな話が進んでいかないことが特徴のような気がします。そして、だれが悪いというんでやると一件落着で、ああ終わっちゃったってなるんですね。それをやっている限り同じ事故が続きます。  今の例えばいろんな製品事故でもそうなんですが、ここで、例えば製品事故だけを扱っていると安全になるのかという、もうちょっと大きな問題が本当はあるんですね。例えばプールに吸い込まれて亡くなったのは、ここの、いろんなここでやっているようなものの範疇に入るのかどうかまで考えると、もっと広い範囲のことまで考えないといけない。そうすると、社会の中にどこにどんな危険があるのかをみんなが共有しなきゃいけない。そうすると、例えば国がやることだろうとか家庭がやることだろう、学校がやることだろうってだれかに分けてやってしまうというような、そういうふうに何でも分けてしまうという考えで納得しちゃうところをもう直さないといけないんじゃないかというふうに僕は思っています。  ですから、例えば、今、事故があったらどこに知らせるかという話でここでは進んでいますが、それよりも、本当に事故を起こさないようにするんだったら、事故なり危険性の共有するのはどういうものがいいんだろうかというと、例えば消費者が、みんなが分からないというのは、分からない形の情報を出して、出しっ放しで、それで分かんないおまえが悪いんだという形になってしまっているところまで踏み込まないといけないというふうに思います。  そうすると、みんなが知りたくなるような情報が知りたい形で瞬時に出てくるようなシステムというのは、ここで議論したり考えたりしているものも含むかもしれないけれども、もうちょっと幅広いものだろうというふうに思います。それが一つです。  それからもう一つは、国とかメーカーとかそれぞれのところがやっているものにみんなが頼り過ぎて、そこがやるべきだと言っているのは片手落ちではないかという気がするんです。もっと商品とかその他もろもろ、いろんな活動全体についての認証制度のようなものを完全に民間で、もう第三者で、省庁の縦割りだ、それから国の何とかだから離れて完全に別で評価をして情報発信をして、そこがここまでの、ここまでは大丈夫だぞと、ここから先は危ないぞと、そういうようなことまで言うような認証機関日本の中でできるような、さもなければ、つくることが多分一番大事だろうというふうに思います。  ヨーロッパではそういうもう伝統があるので、フランスとかドイツでは数万人の単位でそういう組織があるんですね。そして、そういうところの認証が受けたものでないと実際消費者が買わないんですね。ですから、その役割を日本だとすぐに国がやろうとか何とかのマーク付けようとか、すぐそういう話になるけれども、それよりもっと前に、きちんと認証を受ける、そしてその認証を受けるのにはお金を掛ける、掛けた分はきちんとその売っている物の上にコストが乗っているのをみんなが同意して、きちんとこれだけのことが分かっているものを買うことができるんだというような、そういうシステムづくりに、だからもう一段広く大きくしたようなものを考えないといけない時期が来ているように僕には見えます。
  18. 松村祥史

    ○松村祥史君 もう時間でございますが、ありがとうございました。三十秒だけ。  私もその認証制度、国が優先する必要もあるかなと思いますが、最終的には第三者機関の認証制度は必要ではないかなと。そのことがやっぱり国民の意識と企業のモラルを高めていくことじゃないかなとも思いますけれども。  ありがとうございました。
  19. 藤末健三

    ○藤末健三君 参考人皆様には本当にもう貴重なお話をありがとうございました。  私も幾つか御質問したい点がございますが、まず宮本先生に伺いたいことがございます。  私も日本国民生活センターに伺いましていろいろとお話をお聞きしたんですけれど、実は前にもNITEにも伺ったことあるんですよ。すごく受けた印象が、国民生活センターのテストの数の少なさに驚いたんですね、実は。月に何件しかやっていないと聞いて、その少なさは何なんだろうと実は思ったんですけれど、当時言わなかったんですけれど。  それで、NITE国民生活センターが、僕、分かれている自体がおかしいんじゃないかなと実は思いまして、先生の今日御提案を見て思ったんですけれど、先生はこの委員会ということをおっしゃっていますけれど、具体的にはそのNITE国民生活を併せただけで終わるのか、それとも何か別の機能を付加しようと考えておられるか、その具体的なイメージあったら教えていただきたいと思います。
  20. 宮本一子

    参考人宮本一子君) 国民生活センターもそうですし、NITEもそうなんですが、情報収集します。しかし、それに対する執行権は何もない、命令権も何も持っていない。情報提供はしているようですが、それも十分ではない。  先ほど言いましたけれども、国民生活センターができて間もなくCPSCをまね、まねしてというんじゃなくて、参考にして危害情報室を作りました、国民生活センター。その中には、そのときはやはりこの安全、商品事故を少なくするという意識で職員たちが一生懸命やったんですが、それが消滅しちゃいまして、今はいろんな相談、他の相談の中に埋没した関係になっております。  各地の消費生活センターの相談員もいろんなほかの相談業務商品について、それぞれの商品についての知識を持つわけにはまいりませんので、なかなか専門家商品の安全性とかに関する専門家が育たないということで、日本じゅうが私は商品の安全に対しておざなりになってきたというふうには考えておりました。  ここで事故が、深刻な事故が発生して、こういう問題が出てきましたので、これを奇貨として、私はできれば、国民生活センターが持っている、病院情報収集しているんです、オンラインで、各病院からその幾つかの、二十病院ほどで、これも数は足らないんですが、一応病院情報をオンラインで収集、それと、各地区の消費生活センターから寄せられる消費者からの事故情報国民生活センター収集しておりますが、それとNITEのいろんな機構を一つにして、今言いましたように執行権、リコールとかその企業に対していろんな命令を出せる、そういう執行権を付与した機関が必要ではないかというふうに考えております。
  21. 藤末健三

    ○藤末健三君 どうもありがとうございます。  畑村先生にまたちょっと御質問ございまして、先生がこのハインリッヒの法則ということを書いておられますけれど、私も実は国民生活センター見ていて思ったのは、すごいデータが一杯入っておられるんですよ。ところが、そのデータを分析しているのかなと。だから、小さな事故が起きたときにアラームが出るような仕組みが僕できるんじゃないかと思ったんです、実はそれを見ながら。ところが、多分見ているとやっていないんじゃないかなという気がしたんですけど、実際問題、データがちょっとした変化からこういう大きい事故が起きますよということを科学的に分析できるかどうかというのをちょっと教えていただきたいと思いまして、お願いいたします。
  22. 畑村洋太郎

    参考人畑村洋太郎君) 僕は今日のここでやるのとは別に、平成十三年と平成十五年に国土交通省に頼まれて、リコールの制度が何でうまく動かないのかというのの分析調査委員会というのを作って活動するように求められてそういう活動をしました。それで、委員長としてやったんですが、守秘義務の約束をして外にオープンにしないから、本当に判断するときにどんなことをやったのか僕に聞かしてくれと、そしてそれは責任追及に使うことはないぞと。しかし、どこをどんなふうに危ないと感じたかとか、薄々おかしいと思ったとか、そういうことを教えてくれと。で、そういう調査の仕方をしない限り絶対に本当のことは分かんないんですね。ですから、例えば調査権があるとか、警察の何かがあるといったら、そのときから出てこなくなる性質のものです。  それで、その約束のとおりにやって、みんなが協力してくれました。それで、いろんな自動車メーカーに出掛けて現場にも行くし、もう来てもらうし、いろんな形でやったんですが、それは非常に大変な作業でした。しかし、そういうものを聞きながらやってみるととても難しいということが分かります。  それは、離散的というか、ぽつぽつ起こるんですね。そしてその不具合が、自動車なら自動車の品質保証をやっているところにその情報は正確に上がってくるんです。販売店からきちんと来ます。しかし、それが重大事故に結び付くのか付かないのかというのは、まだぽつんぽつんと起こっているうちは分からないんですね。しかし、それがだんだん発生頻度が高くなったり、販売台数が多くなると、ある割合でそれがどんどん起こるぞというところまで来ればこれはもう危ないというのが分かるんですが、もっとすごいのは、ほんの三つか四つしかぽつんぽつんと起こんないうちからやはりリコールを掛けているのもあるんですね。  で、それは、言ってみれば目利きがいるんです。こういう事故がこう過去に起こって、こんなことがあったときには、きっとその後こんなふうに危ないことにつながっていくんではないか。要するに、事故の見えない連鎖、そういうものをきちんと見抜く人がいるんです。で、それは今、科学になっているかというと、科学にはなっていません。ですから、まだ、理論はあるんですよ、品質保証で、どういう要因がどういうふうになるとどういうふうに利いているというのはあるんですが、リコールというのはもっと微妙で難しいんですね。  ですから、そんなに立派な理屈があるわけではないのに、それでもリコールをしながらいいものができていっているんです。ですから、残念ながら意図的に基準を変えちゃって駄目だったという例があって、みんなが自動車のリコールもおかしくなっているんだろうというふうに思っているのが随分多いんですが、実際にはもっとずっと真剣にまじめにやっていて、そんなひどいことになった後からそんな全部を回収するぐらいならもっと早くやんないと、もう手痛い目に遭います。  ですから、そういうことを見抜くのも、製品を見抜くだけではなくて、実は製造工程、それからそれよりもっと前にさかのぼって設計工程のときから目利きが見るというような、そういうシステム日本自動車会社はほとんどすべてが取っています。ですから、世界じゅうで一番品質の高い自動車日本ができている最大の理由は、今の目利きがきちんとそれぞれの場所で見ているんですね。  ですから、これは自動車産業以外のほかの産業はそれほどになっていません。ですから、いろんなトラブルが起こっているとすれば、自動車産業のその改善運動だ、かんばんだ何とかだって、そういう方式のところを勉強するよりも、もっと本質的な、危険がどこにあるかというのを自動車産業は物すごい真剣にやっているということをきちんと勉強する方が先だろうという気がします。そんな立派な理屈にはなっていませんが、確実にやっています。
  23. 藤末健三

    ○藤末健三君 どうもありがとうございます。  それで、またちょっと畑村先生にお聞きしたいことがありまして、実は昨年この委員会で、美浜の発電所の事故がございまして、当時、鉄道事故も幾つか起きまして、あと工場の爆発が幾つかあって事故だらけだったような気がするんです、正直申し上げて。  そのとき私がちょっと提案申し上げたのは、今例えば鉄道事故だったら鉄道技術研究所、発電関係だったら電力関係技術研究所、で、工場だったらまた別の研究所ということで、もうばらばらにこう事故分析をしていまして、何か私はその事故というのはどっかに共通性があるんじゃないかなということを当時ちょっと思ったんですよ。  それで、先生にちょっと是非教えていただきたいのは、私は、政府に事故全体を横断的に見るような何か研究センターみたいなのがあると、ある程度その事故予防は進むかどうかということについてちょっと御知見をいただければと思います。お願いいたします。
  24. 畑村洋太郎

    参考人畑村洋太郎君) 僕はそのとおりだというふうに思っています。そして特に、先ほど言われましたタンクが燃えただ、鉄道がそうだった、それから美浜の事故だ、それぞれのものがあるんですが、例えば美浜のあの熱水の噴き出しについて見ますと、あれはリスト漏れなんですね、基本形が。  そして、それでは美浜の発電所はふまじめにやっていたか、さもなきゃいい加減にやっていたからあれが起こっているかというと、全くそれの真反対でして、日本じゅうの原子力発電所の中で最も真剣にああいう事故のことを考えて、もうありったけのことをやっていたのが美浜です。ですから、僕はあの事故が起こる数年前に勉強のために美浜に行って、美浜で何やっているか、それからそこでやっている人と議論をやりながらいろんなことをもう先に勉強していました。それで、それでもあの事故が起こったので、もう信じられなかったんですね。一体何を今までみんながやっていたんだろう。もうこれは、ここで事故が起こるとは考えられぬと。その前に熱交換器の細管の事故を起こしていて、徹底的にあそこは勉強しているので、もうここでこんな事故は起こらないと僕は思っていたし、みんなにも言っていました。それなのにあの事故が起こっているんです。  というのは、想定外が起こっているんですね。もう当然やってあると思っている、その危なくなるリストに初めから載ってないからあんなことが起こる。とすると、もう想定外を探すことまでやらなきゃいけないような時期に日本が来ているんです。そのときに、想定内の事柄を一つずつ丁寧にやるというのは、それは一つずつ必要です。ですから、鉄道についても原子力についてもどこについてもそれぞれの研究機関も必要です。それから、その後ろでそれをまた監督したり指導したり指示する官庁も必要です。  しかし、今本当に必要なのは、そういう縦割りで、官庁の方も縦割り、それからそれをやっている民間の方も縦割りに、それに対応しているような動き、それだけでは全く不十分で、これを横断的に取り扱うところがないといけないというふうに思っています。そして、それができるのは、僕が言うべきことかどうかは分かりませんが、内閣府が持つ以外はないというふうに思っています。そして、そこは多分、みんなで安全という言葉を使いたくなると思いますが、最後に求めるのが安全であるけれども、逆にどこにどんな危険があるのかという、多分危険学研究センターというような、今みんなが考えているのとは違う発想法で物を見ていくような見方をしないと見付けれないんじゃないか、それから対応策が従来型のままになってしまって対応ができないんじゃないかというふうに思っています。
  25. 藤末健三

    ○藤末健三君 ありがとうございます。  最後にまた宮本先生にちょっとお聞きしたいことがございまして、今回のいろんな事故が起きたわけでございますけれども、私がちょっと考えましたのは、例えばパロマの話であれば、パロマの方ではまあ割と資金的な余裕があったから対応できる、被害者の方の補償というのは対応できるんですけれども、もし小さな会社事故を起こしたときに、被害者の方に対する補償ができなかった場合は何か救済措置が必要じゃないかと思います。  で、アメリカとかEUがそういう制度を持っているかどうかというのをちょっと教えていただきたいと思いまして、お願いいたします。
  26. 宮本一子

    参考人宮本一子君) 恐らく損保保険、損害保険等で担保しているんでは、補償しているんではないでしょうか。私はそこのところは、済みません、余り知りません。
  27. 藤末健三

    ○藤末健三君 日本も実は昔、製品安全協会みたいなのがあって、そこが保険付きの承認マークを作っていたんですよ。それが規制緩和でまあ自主的というか、民間のものにこうなっちゃったわけでございますけれど、先生はそういうところはどう思われますか。
  28. 宮本一子

    参考人宮本一子君) 今でも製品安全協会があって財団法人で、マークを付けています。  ただ、余り日本は、日本消費者はそのマークがあるから買う、なければ買わないという、そういう購買行動をやらないんですね。そこのところが今、畑村先生がおっしゃった認証制度も難しいんではないか。このマークがあれば安全だから少し高くても買うという、そういう消費者行動をどういうふうに消費者の方に確立していくかという問題があって、日本はすべて行政指導でやってまいりましたから、商品というのはそのマークがなくても安全というふうに認識して、マークに付与して、で、高くなれば買うという行動にはならないところが問題ではないかとは思っております。
  29. 藤末健三

    ○藤末健三君 どうもありがとうございました。  皆様の本当に、いただいた知見を活用して頑張って審議していきますので、よろしくお願いいたします。
  30. 松あきら

    ○松あきら君 今日は、三人の参考人先生方、お忙しいところ大変にありがとうございます。すばらしいお話を聞かせていただきました。  実は、私が伺おうかなと思っていたことはほとんど、大体出たかなという思いがありますけれども、少し私は、国民生活センターも見学をさせていただいて感じたこともあります。そして、これからこの法案の審議に入るわけでございますけれども、私がその国民生活センターあるいはNITEで感ずることは、やはり情報は集めるけれど、各省庁に情報公開はしているんですよ。けれども、本当に宮本先生がおっしゃったような、だからそれに対して、じゃ、こうしたらいいということを国民に発することはできないと。  それから、絶対にこれだけは発していただきたいと思うことが幾つか実験でもありました。それはスプレー缶ですね。例えば一つはスプレー缶。これはヘアスプレーもありますし、卓上のガスボンベもあります。これは自治体によって、穴を空けろという自治体と穴を空けてはいけないという自治体が出てまいりました。  実は、私の住んでおります、ふだんおります宿舎があるんですけれども、そこでも以前はスプレー缶には穴を空けて出してくれと言われていました。でも最近は、回ってはこないんですけど、紙は、どうやら世間の風評で、穴を空けたらいけないんだというふうに私は認識を最近しておりますので、穴を空けないで出しているんですね。そうしましたら、実験で見ましたところ、穴を空けた途端に、もう六、七メーターぐらいまでびゅうっと、もう大変に危ない状況です。  これ一つ取っても大変な、これもしかしたらけがするだけでは済まない、状況によってはあるわけです。これ一つ取っても日本全国でばらばらの、真反対のやり方を出しているわけですね。これなんかも、国民生活センターがそれを分かっていながら何でそれが言えないのか。権限がない、いろいろあろうと思いますけれども。  そして、私はやはり正に今いろいろな、こうした残念ながら状況が起こってきて、いろいろな事故が起こってきているんです。それはもしかすると、競争社会の中で規制緩和というのがその根底にあるかなという気が少しいたします。もちろん競争することはいいことですけれども、国民の中にも、まあ物が安くて良ければそれはいいんですけれど、一つ、経済の規制緩和だけではなくて、安全の規制緩和にもちょっと走ってしまっているのではないか。ここのあれとは違うんですけれど、耐震偽装などがそのいい例なのかなというふうに思います。  そこで、私はちょっとこれは、今お話を伺っていても、まだ自分の中でどれがいいというふうには決められないんですけど、一つは、私自身が分かっていることは、この国民生活センターでもNITEでもやはりこれは内閣府の所管なんですね。そうすると、やっぱり、例えばエレベーターだったら国交省だったり、あるいはこれだったら、何だったら経済産業省だったり、あのプールですら実は厚生労働省と文部科学省と、いろんな省庁が、管轄が違うんですね、そのプールによって。  ですから、事故が起こっても、もういろんなところがうちの範囲ですと、こうなるわけですね。ですから、これはもうどちらにしても国民皆様にとったら、これで事故が起こったからどこの省庁なんということは分からないわけで、もう本当、省庁がしっかりと連携を取り合う、そういう機会は絶対に必要だ。そして、正に事故のいろいろな共有をしなければ駄目だと思っているんです。  けれども、例えば、先ほども第三者の機関、認証機関というお話がありましたけれど、これはお三人の先生方に伺いたいのは、それは国として取り組んだ方がいいのか、あるいは全く国は関与しない、全くの第三者としてこれはつくっていくべきなのか、ここが実は私自身がまだ悩んでいるというか分からないところでありまして、これはまずお三人の先生に伺いたいと思います。
  31. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) それではお三方、畑村参考人から。
  32. 畑村洋太郎

    参考人畑村洋太郎君) 今のは、僕の考えでは国が関与しない方がいいというふうに思っています。国が関与しないとみんながそれを買わなくなるし無視するようになるというのは、僕から見ると日本の損保業界の怠慢だというふうに思っています。ちゃんと損害保険協会がきちんとした査定能力を持っていて料率を変えることをやれば、日本社会は一発で変わるんですね。事故が起こったときに、その認証が付いていないものを使っていたら保険金は払わないとか、それはそれだけの力がないからって、力がないのにそれではなぜあなた保険金取れたんですかという、そういう質問をするようなやり方をきちんと日本はやらないで、それで損保を一杯つくって、まあ再保険のような形でいろんなことをずっとやってきて、もう何年か前から一杯いろんなまずいことが起こっているのに、損保の会社がきちんとした自律の能力を持たないでいるのがおかしいんだというふうに僕は思っています。ですから、この認証の制度と損保とが連携して、それできちんとした料率を決めてやっていくときに、国が入らないでもちゃんといくというふうに思います。  ですから、日本じゅうが何でも国に頼ろうとする、その考えが間違いで、なぜ自前でやらないんですか。まずくなったときに本当に苦しむのは自分なんですよ。そうなら、保険会社にきっちりとした査定能力を持たしてみんなで払おうじゃないかと、本当にそうでなかったらばちゃんと払わないというような、そういうことをやる時期が来ていて、これは、ですから、規制をするのかしないのか、公権力をどこまで入れるのかの話がごちゃごちゃになるけれども、それよりももっと前に、経済行為としてやれるものをどこまできちんと社会として考えているかというのが行われていない幼稚さというのが出ているように見えて仕方がありません。
  33. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございました。
  34. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) 次に、宮本参考人
  35. 宮本一子

    参考人宮本一子君) 畑村先生の御意見は、本当にそのとおりなんです。ただ、やっぱり日本社会は、最初から行政があって、行政の指導の下で私たちは生活をしてきた、そういう長い歴史があるものですから、今急に認証制度をつくっても余り成功しないんじゃないかという気がするんです。だから、最初行政が支援をして、徐々にそれを民間の方にやっていく、明治時代のあれと同じですが、そういうふうにしないと、アメリカのULマークとかフランスとかドイツのお話なさいましたけれども、そういう民間の機関が、ああ立派にやっていけるかということになると、私は疑問なんです。  ですから、今言ったように、やはりある程度は行政の指導の下に、支援の下にと私は考えております。徐々に、そういう安全性に対してはお金を掛けなければ、消費者の方もお金を払う方がいいんだというふうな社会になっていけばいいかなというふうに考えております。
  36. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございました。
  37. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) 次に、竹下参考人
  38. 竹下克彦

    参考人竹下克彦君) 松先生の方からは、規制緩和の延長で安全の規制も緩和されておるんではないかという御指摘がございましたが、メーカーの方の考え方で申しますと、安全に関する基準というのは、やはり今回の消安法で一応特定された重大事故、それから重大事故の一歩手前の製品事故ですか、やはりこれを安全基準としてはいかにゼロに近づけるか、少なくするかいうことがゴールだと思います。  それで、そのためには、いろんなものをつくるには、今安全を担保するための製造技術基準がございまして、ところが、この技術基準は、国とか、それからそれの外郭団体技術をサポートする機関メーカー専門家を入れながら基準を決めていくんですけれども、まあ基準だけで私はやはり縛れるほど商品の設計とか生産というのはシンプルではないと。本当に重要なポイントは技術基準で押さえる、これは国の共通のルールで押さえるというのが妥当かと思いますが、やはり各企業が、そのゴールであるその製品安全、重大事故をゼロにすると、それから、そのために製品事故をできるだけ減すという日々の努力、積み重ね、それから社内における設計ノウハウ、それから製造上の品質管理のノウハウ、その辺をやはりしっかりと培っていくのが大事だろうというふうに思います。  それで私、今、今日一緒に出ておられる宮本参考人の、事故情報を適切に分析できる人材をつくるべきであるという御提起とか、それから畑村参考人のトヨタ、いや、トヨタとおっしゃいませんでしたが、自動車がやっておるような危機を事前に予知できるような目利きのいる、人をつくらぬといかぬという御指摘がありましたが、まさしくそうだなと。やはり、メーカーの方はそういう人材をつくって、それでやはり製品安全のゴールへもっと近づいていくという努力が必要だというふうに思いました。
  39. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございました。御示唆に富むお話でございました。  私自身は、今すぐにやらなければいけないことは、やはり国として、各省庁ばらばらの体制を、ともかくしっかりと集まって情報を公開する、その中できちんと共有して開示をする、そしてまた、できれば、できればというか分析をする能力も付けなきゃいけない、その上でアメリカあるいはEUのような、正に畑村先生がおっしゃったような第三者の機関というものをきちんと国民が自律してつくっていく方向にしなければいけないのだという思いを強くいたしました。  最後に、私は九月の末まで経済産業副大臣させていただいておりまして、キッズデザイン協議会にも、発足にも何回かその会議にも出させていただきました。正にこれはハインリッヒの法則、軽微な事故重大事故の予兆、子供は本当にちょっとした、このちょっとした小さな事故をきちんと報告してくれれば大きな事故で亡くなることはない、子供の死亡のほとんどが実は事故死であるんですね。ですから、そしてまた、子供の遊具とかそういうものじゃないんです、ありとあらゆるもので子供は事故を起こすんですね。ですから、このハインリッヒの法則というものをもっとしっかりと国全体に行き渡らせるようにするのが政治の役目であるということをまた認識をさせていただきました。  大変にありがとうございました。
  40. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 参考人皆様、今日は本当にありがとうございます。  締めくくりの質問をさせていただきます、秋田県選出の鈴木陽悦でございます。  かつて私はテレビ局に勤めておりましてニュースを担当しておりましたので、毎日夕方のニュースの中でいろんな、まあ事故のニュースというと想定外でございますが、そうしたものを伝えてきた人間として、今年になってからの一連のこの事故のニュース伝わってまいりまして、議員としても非常に心が痛む思いがしたわけでございます。  一連の事故によって、我が国のその安全情報の共有体制というのが不十分であるということが明らかになりました。私たちが目指すべきゴールというのは、正に事故情報国民皆さんが共有化するシステムを確立して、その安心、安全を創造することであると考えます。  今日はひとつ、短い時間でございますが、よろしくお願いします。  初めに竹下さんに伺いたいんでございますけれども、企業社会責任ということにつきましては、大企業を中心に独立した部外監査でありますとか、あるいはNPOによるそのチェックが働いて、企業経営者の一〇〇%要求とは別に、社会の安全弁としていろんな期待にこたえている部分はあると思います。そうした意味で、大手企業に限りますと、社内の自浄作用が働く仕組み、できつつあると思いますが、一方、目を転じますと、中小企業はそうした仕組みを確立できない、それどころか情報の共有も危うい状況にある、そういう部分も一部にはあると思います。  そうした意味で、今回の法改正によります重大事故の発生に対する重大性の認識、基準などに企業間の乖離とか格差が予想されますけれども、この格差についてはどのような認識をお持ちで、どのように対処されるか、それを伺いたいと思います。
  41. 竹下克彦

    参考人竹下克彦君) 製品事故事故報告義務化が今度の消安法改正で行われるわけですが、重大事故というのは一応特定をされておりまして、死亡事故、それから人体欠損に至る事故、それから一酸化炭素中毒事故、それから火災等につながる事故と。その火災も、消防庁が火災であるということを認めたという事故ということで、企業規模の大小にかかわらず、この重大製品事故の基準というのはそう大きな判断の差異が生まれないんではないかというふうに私は思います。  しかし、それにつながる製品事故ですね、重大事故ではない事故、やはりそこが、本当これからの、先ほど来皆さんから出ているハインリッヒの法則ではありませんけれども、初期事故からいかに重大事故を予測、予知し、未然に手を打つかというところが一番重要ではなかろうかと思います。  それで、工業会、私、今日は工業会の立場で参っておりますが、工業会では、重大事故は、当然各メーカーから情報が集まり、それを開示いたします。それから、各メーカー義務としまして、大きなところも小さなところも、メーカーの判断で重大事故に至る前の製品事故を開示しなさいということも一応ルール決められております。それで、これも工業会の方で、各メーカーから製品事故報告してもらって、それでそれを収集し、それからいろんな基準、ルールで情報分析しながらいろいろ、工業会のメンバーにも大から小までございますので、共有化図りながら活用していきたいなというふうに思っています。  しかし、まだ工業会の中でその体制が、現時点ではまだ完全に整備されていません。これからできるだけ早い時期にそういう体制を整備して対応していきたいなというふうに考えます。
  42. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  引き続き竹下さんに伺いたいと思いますが、そうした観点から、今回、経産省からのこの総点検結果のとりまとめを受けて、今後の製品安全対策について御見識を出されていますが、この中の安全対策のフェールセーフ、このフェールセーフの設計掲げていらっしゃいますけれども、この標準化への具体的な取組というのを是非教えていただきたいと思うんですが。
  43. 竹下克彦

    参考人竹下克彦君) フェールセーフの設計の義務付けということがなされています。それで、フェールセーフは、これはガス事業法とそれから液石法の技術基準の改正条項になろうかと思いますが、安全装置が正常に、まともに機能しなかったときにガス通路を安全に自動的に閉ざすことということで、その製品安全を担保すべき装置がおかしくなったときは必ず安全側に止めようという基準がございまして、これは具体的な技術内容では非常に詳述を要しますのでここでは割愛させていただきたいんですが、これが確実にできるならば数段安全レベルは高まるものというふうに言えます。
  44. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 竹下さん、ありがとうございました。  次は、宮本さんに伺わせていただきます。  消費者、それから生活者が、安全に対する要求というのは非常に高いと思いますけれども、事故意識が低いんじゃないかという部分もあるかもしれません。先ほど、ハインリッヒの法則じゃありませんが、電車への飛び乗りとか信号無視の横断、それから危険と分かっていてもぎりぎりのところに身を置くということがよく見られますが、冷やっとしたのを三百回経験したら大きな事故につながるとしましたら、大勢の人が大きな事故に遭うというのがほとんどじゃないかなと思うんですが、今言った例えでいきますと。  今、自助努力が求められている時代に安全を自ら追求していく姿勢というのが果たしてどう消費者の間に醸成されていくか、醸し出されていくか、これについてのお考えがもしございましたら。消費者安全意識の高揚ですね。
  45. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) どなたに。
  46. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 宮本さんに。
  47. 宮本一子

    参考人宮本一子君) 商品に限定いたしますと、商品の安全についての教育はなされておりません。例えば、化粧品は皮膚かぶれが起きるとか、電気製品は発火が起きるとか、いろんな、商品商品が持つそういう欠点を持っています。取扱いによっては死亡することもあると。そういう教育は学校ではやられておりませんし、社会でいろんな消費者センターが細々とやる程度で、機器に関しては、交通ルールとか交通事故については学校でおやりになっているんですが、商品についてあるいは生活の安全については余り教育の中に入っておりません。  だから、事故意識が低いというのはそうかも分かりませんが、しかし、ここでお願いしたいのは、メーカー行政消費者は対等にその安全性に対して責任を持たねばならないということはないというふうに考えております。やっぱり一番はメーカーとそれから行政責任を持つべきで、消費者がすべての使っている商品の安全性について熟知するということは、これは不可能です。だから、人間は必ず失敗をするんだ、ミスを犯すんだという前提の下で、今、フェールセーフとおっしゃいましたけれども、幾重にも安全装置をした商品を市場に出して、市場に出た商品は安全であるという、そういう安心を持った社会であってほしい。もちろん、極端な誤使用というのは消費者責任です。  結局は、幾らメーカー責任を持つと言われても被害に遭うのは私たち消費者なんです。幾らお金で賠償されてもそれは償い得ないことです。だから、最終的に私たち責任を負っているわけですから、なるべく、なるべくじゃなくて絶対に安全な商品を市場に出していただきたい。行政はそれに対してやっぱりある程度の規制と監督をやっていただきたいというふうに考えております。
  48. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  では、次に畑村さんに伺いたいと思いますが、さっき想定外のお話が出ました。今回の法改正によって想定外が決して起きないようにしなきゃいけないなと、我々もしっかり審議しなきゃいけないと思っておりますが、国の改正案の基本理念というのは事後規制ということでありまして、しかし、事前に回避できればこれにこしたことはないと思いますが、事故の可能性がある段階において情報を共有できる、システム化することの必要性についてどんなお考えをお持ちなのか。また、畑村さんの事前規制、事後規制、この境目はどの辺にあるのか分かりませんが、そのお考えについて御見解を伺いたいと思いますが。
  49. 畑村洋太郎

    参考人畑村洋太郎君) 事前に規制するというのは、もう明らかに、なるに決まっているということがみんなで理解ができていないと非常に難しいという気がします。起こりもしないうちから、そんな規制何だという意見が必ず出てくるんですね。しかし、もう事の順番として、必ずやはり起こるのに何も手を打たないでいるということは、随分たくさんこういう事故や失敗を見ているとあります。ですから、やっぱりそれは事前に規制すべきものというのは必要だと思います。  それから、事後の規制というのももちろん必要です。しかし、二つ言いたいことがあります。一つは、事故が起こると総点検しましょうというのを必ず言いますね。そして、何を点検するのか分からないけれども、点検しないといけないんですね。ここが実は物すごい盲点になっているのに、みんな点検すると見えると思っている。これは、事故の種は目に見える形で起こって、現れているという前提があったから点検すると見えたんですね。  ところが、一九九〇年以降、ほとんどの機械、作っている機械がマイクロコンピューターが入ってきました。そして、このマイクロコンピューターの中にどういう論理が入っているかというのは目で見ることができません。それで、目で見えないのに誤動作をするんですね。こういうのをマイクロコンピューターの組み込みソフトのバグという、一番簡単な言葉で言うとそれです。それ以外に、基板の劣化とかいろんな制御系があるんですが、この問題は点検で見付かるものではありません。そうなのに、点検すれば見付かるというふうに思い込んでいる技術との接し方は根本的に直さなきゃいけないんですね。  ですから、制御系のところでおかしなことが起こっているんだったらどうすればいいの。全取っ替えするしかないんですよ。ですから、頭の中身の全取っ替えをしましたということだけが対応になるのであって、そうでないものをどこ点検するのか、じゃ言ってくださいといって、言えるくらいなら直しているんですよ。ですから、これは元々の論理矛盾なんですね。この論理矛盾に気が付かずに技術運営をやっているのが今の時代になっているので、これから先、こういう制御系の問題というのはもう目を覆うばかりに多発します。これからです。まだ今まではそれほどではありませんでした。  それで、ロジックがおかしい何がおかしいといっているののほかに、それをコントロールするための電気系の基板がおかしくなる、劣化が起こるという、これはもう湯沸かしのときでもそれに近いことが起こり始めていますが、それはもうあらゆる機器にこれが起こります。そして、それを避けるのに、長い経験でやってきたことが、フェールセーフよりもっと前に、本質安全という考えです。  今の日本のほとんどの工業製品が、本質安全を満たす前に、事がまずくなるごとに制御安全というので覆い隠す形を取ってきました。ですから、事が起こるごとに、付加設計といいます、付け加えるんですね。あそこが悪いというとこういうふうにやって、これが悪いというとあれをくっ付けていって、後手後手にくっ付いて全体ができ上がって、何が何やら分からぬけれども動いているというものを使っているという、極端な言い方をするとそういう時期が来ているんです。そして、これが最も危ないもとになっているというのを早くみんながもう認知しないといけない時期が来ています。それが一つです。  それからもう一つは、本質安全というのは一体どういうことか。もちろんフェールセーフもその中に入るんです。何かまずくなったらば安全な方に行こうと。ところが、今の日本技術設計思想は、そのまずくなったときに、うまくいくように何かを検出して、何かを動かして安全な側に行かそうとして、ほら、それがあるからいいじゃないかというふうに技術体系ができています。潜在危険を制御安全で覆い隠すというそういう設計になっているんですよ。  それで、日本じゅう技術がそうなっているのに、技術系の人も技術系以外の人も、だれもそのことを言わないし、気が付いていない。そして、そのことを指摘するとみんな怒り出すんですね、今の技術はそうでないんだって。そんなことないです。ですから、必ずこういう形の技術的な失敗が多発します。ですから、そのことについてもっと考えないといけないんですね。  ですから、例えば、同じ機械を作るんでも、日本はマイクロコンピューターを使って、制御系を使って物すごくいいものになっているぞというときに、ヨーロッパの機械をふたを開けてみると、全部中身がメカニカルなものでできていて、絶対に電気系を使わないという思想で作ってあるようなものがあるんです。そういうものが、あるとき突然日本のものに置き換えるととんでもないことが起こります。先ほどの自動車のリコールの例であったんですが、ヨーロッパでは全部機械的にやっていたようなものを日本ではちゃんとマイクロコンピューターを使ってやったところ、信じられないような使い方をして、もう暴走して止めれないというのが起こるんですね。  しかし、そういうときの自動車会社の、これは本当に見事でして、数件しか起こらないときにそれを気が付いて、もう全部の技術陣を導入して、投入して、自分たちの作っている製品のロジックのミスを見付けるのにとんでもないコストを掛けて見付けます。それで、それはもうどこにも書いてないんです。ですから、僕も守秘義務の約束で聞いているからどこへ行っても言えないんですが、自動車会社が真剣になったときというのはやっぱりそういうことをやるんですね。  ですから、技術思想自身がもう随分と曲がり角に来ているというのをまずきちんと認めて、本質安全をまず実現して、それの便利さを享受するために制御安全を使うんだという技術思想をひっくり返さなきゃいけないようなところに今来ているように思います。
  50. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  終わります。
  51. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々には、長時間にわたり有益な御意見を述べていただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表してお礼を申し上げたいと思います。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十七分散会