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2006-11-02 第165回国会 参議院 経済産業委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年十一月二日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十月三十一日     辞任         補欠選任      白  眞勲君     岩本  司君  十一月一日     辞任         補欠選任      岩本  司君 ツルネン マルテイ君      広野ただし君     前川 清成君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         伊達 忠一君     理 事                 加納 時男君                 小林  温君                 佐藤 昭郎君                 藤末 健三君                 渡辺 秀央君     委 員                 魚住 汎英君                 倉田 寛之君                 保坂 三蔵君                 松田 岩夫君                 松村 祥史君                 松山 政司君                 小林 正夫君             ツルネン マルテイ君                 直嶋 正行君                 前川 清成君                 若林 秀樹君                 弘友 和夫君                 松 あきら君                 田  英夫君                 鈴木 陽悦君    国務大臣        経済産業大臣   甘利  明君    副大臣        経済産業大臣  山本 幸三君        経済産業大臣  渡辺 博道君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        田村耕太郎君        法務大臣政務官  奥野 信亮君        文部科学大臣政        務官       水落 敏栄君        経済産業大臣政        務官       松山 政司君    事務局側        常任委員会専門        員        世木 義之君    政府参考人        内閣府中心市街        地活性化担当室        次長       井上  究君        法務省入国管理        局長       稲見 敏夫君        財務大臣官房参        事官       森川 卓也君        文部科学大臣官        房審議官     村田 貴司君        経済産業大臣官        房地域経済産業        審議官      福水 健文君        経済産業大臣官        房商務流通審議        官        松井 英生君        経済産業大臣官        房審議官     西川 泰藏君        経済産業省経済        産業政策局長   鈴木 隆史君        経済産業省通商        政策局通商機構        部長       小川 恒弘君        経済産業省貿易        経済協力局長   石田  徹君        経済産業省商務        情報政策局長   肥塚 雅博君        資源エネルギー        庁長官      望月 晴文君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院長     広瀬 研吉君        中小企業庁長官  石毛 博行君        中小企業庁次長  加藤 文彦君        国土交通大臣官        房審議官     加藤 利男君    説明員        会計検査院事務        総局第五局長   増田 峯明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○経済産業貿易及び公正取引等に関する調査  (WTOドーハラウンド交渉再開見通し  に関する件)  (エネルギー政策における環境問題の位置付け  に関する件)  (我が国北朝鮮に対する経済制裁実効性に  関する件)  (サハリンⅡプロジェクトに対するロシア政府  の工事認可取消し影響に関する件)  (我が国東アジア諸国との経済連携協定に関  する件)  (中小企業への融資制度に関する件)  (原子力安全・保安院の緊急時ファクシミリ連  絡網の不備に関する件)  (北朝鮮産品迂回輸入防止策に関する件)  (地域経済回復のばらつきの原因と対策に関す  る件)     ─────────────
  2. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) ただいまから経済産業委員会開会をいたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十月三十一日、白眞勲君が委員辞任され、その補欠として岩本司君が選任されました。  また、昨日、広野ただし君及び岩本司君が委員辞任され、その補欠として前川清成君及びツルネンマルテイ君が選任されました。     ─────────────
  3. 伊達忠一

  4. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) 経済産業貿易及び公正取引等に関する調査を議題として、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 加納時男

    加納時男君 おはようございます。自由民主党、加納時男でございます。  今日は、三点に絞って御質問申し上げたいと思います。  初めに、経済成長戦略法人税制についてでございます。  今朝八時から今直前まで、日本中小企業中小企業といいますと企業数で九九%、雇用者数で七〇%を占める、その中小企業の声を代表する日本商工会議所日商税制委員長を務めておられます池田守男さん、資生堂の相談役さんですが、池田守男さん始め日商の方々とずっと懇談をして、経済成長戦略法人税制についていろいろ意見交換してまいりました。彼らは今日、十二項目の要求書を持ってこられましたけれども、その最初に書いてあったのが減価償却制度抜本的強化ということでありました。  実は、甘利大臣のごあいさつ、一昨日、しっかり伺わせていただいたんですが、その中で大臣は、減価償却制度見直しなど成長力強化のための税制改革を進めてまいりますと明確に述べておられます。  そこで、お伺いしたいと思います。日本減価償却制度のどこに問題があると大臣はお考えでしょうか。それからまた、日本法人実効税率外国に比べまして、特に競争相手となっております外国に比べてどのような水準にあるとお考えでしょうか。お伺いしたいと思います。
  7. 甘利明

    国務大臣甘利明君) まず、御指摘をいただきました減価償却制度につきましてでありますが、これは二つの問題があると思います。一つ償却年数が長いということ、もう一つは一〇〇%償却ができない、最後に五%残ってしまうということであります。ということはどういうことが起きるかといいますと、設備投資が、設備の更新がこれらの問題を抱えてない国に比べて遅滞するということにどうしてもなるわけであります。やはり大競争下ですから国際的なイコールフッティングというのが大事でございまして、減価償却制度抜本改革をし、そして設備投資の拡大によるいわゆるイノベーション、これを成長力の糧としていきたいというふうに思っております。  十九年度の税制改正におきましては、諸外国に見劣りがないというものに見直しをすると。約四十年ぶりの抜本的な見直し要望をさせていただいております。是非委員先生方におかれましても応援をよろしくお願いをいたします。  それから、加納先生から、実効税率の諸外国との比較とその引下げについてのお尋ねがありました。  実効税率は、ドイツアメリカは現状でほぼ日本と同一、たしかドイツは引き下げるということになっていますよね。ですから、ドイツも引き下げる。フランス、英国は日本より数ポイントから一〇ポイントぐらい低いと。競争相手たる中国韓国はもちろん一〇%前後低いということでありますから、ドイツ引下げを行いますと、日本欧州の標準から比べても高いし、最近競争相手になっておりますアジアと比べたらもちろん断然高いということになります。欧州が低い、そしてアジアはもちろん断然低いということになるわけでございます。  今や国が企業を選べる時代ではなくて、企業が国や立地地域を選ぶ時代でありますから、企業にとっての立地環境を整備するということが極めて大事になってまいります。もちろんどういう条件下でもできるだけ日本で頑張っていただいて、日本で雇用し、日本税金を払っていただくというのがベストでありますけれども、余りにも条件面格差がありますと空洞化現象の一因になるわけでございますから、こういう面でも国際的なイコールフッティングということを考えていくことが重要であるというふうに思っております。
  8. 加納時男

    加納時男君 甘利先生の豊富な御経験また広い御見識に基づく今のお話、全面的に賛同いたしております。  実は、先週、私、EUの方に行ってまいりました。EUの議会と日本国会議員との政策対話定期協議でございますが、民主党そして公明党の議員さんと御一緒に、衆参合わせて行ってまいりました。私も副団長を務めさせていただきましたが。  おっしゃるとおり、EUの方、かなり税金の高い国も中にはありますが、全体としては、日本に比べると、年々税率を下げてきておりますのでかなり格差が付いて日本が高い状態になっております。そしてまた、EUの中でも高いのは先生おっしゃったとおりドイツでございますが、ドイツも大幅に下げようということで、与野党で、与野党というか、連立与党を組んでいますから、あそこは、連立合意がなされたという話でございまして、二〇〇八年から大幅に下げると。今三九%ぐらいだったと思いますけれども、三九・五か四〇・幾つだと思いますが、これを一〇ポイント近く下げようという話ですから、こういう状態の中で、日本欧州そしてまたアジアを含めて、正に先生がおっしゃったとおり、大臣がおっしゃったとおり、企業が国を選ぶ時代でございますので、日本企業日本の国を選んでもらえるようにこの実効税率是非見直していただきたいと思っております。  また、減価償却について、今朝の会議でも訴えられておられましたけれども、例えば液晶パネル製造装置などを見ますと、韓国は四年なんですね、耐用年数が。それに対して日本は十年ということでありますので、これは明らかに日本が不利になっております。また、鍛造圧延機なんかを見ますと、韓国の八年に対して日本は五割も長い十二年ということであります。  ですから、イコールフッティングといいますか、こういう国際競争をやっている企業にとってこの税制というのは非常に大事なものでございますので、是非とも法定残存価額廃止であるとか、それから償却可能限度額廃止、あるいはさらには法定耐用年数短縮等を含めまして是非御検討を、推進をいただきたいと思っております。  次に、第二のテーマに移りたいと思いますけれども、WTOEPAの問題でございます。  大臣は、一昨日のお話、ごあいさつの中で、七月以来中断しているドーハラウンドを一刻も早く再び軌道に乗せるように協議を行い、来年中の妥結を目指しますというふうに明確におっしゃいました。  おっしゃるとおり、ドーハラウンド交渉は難航しております。モダリティーの確立については、四月末がたしか合意期限だったと思いますけど、これでまとまらずに、そして七月末の会合でも合意ができずに現在中断したままであります。この中で三つほどポイントがあると思うんですけど、例えば農業市場の関税の削減の話、それから農業補助金削減の話、それから我々、NAMAと言っておりますけれども、非農産品市場アクセスの問題、この三つポイントかと思っています。  そこで質問でございますが、このドーハラウンドの今後の交渉見通しと、日本政府対処方針、そしてまた最近の話題なんですけど、この九月、十月にG6に、G6というのはEUとかアメリカとかブラジル、インドなどでありますが、このG6に経済団体を派遣したというのは、私は空前の、空前のといいますか大変なヒットだと思っていますが、こういったことを踏まえて交渉再開見通しはどうでしょうか、お伺いしたいと思います。
  9. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 御指摘のとおり、WTOドーハラウンド、七月末に交渉中断に至りました。お話にありました三点の部分で話が膠着状態になったわけであります。いろんな手だてを使って再開をさせたいと。民間も力をかすところはかしましょうということで、経団連と日商が各国を訪問して早期再開の要請をしていただきました。これは大変な後押しになったというふうに思っております。  私も、就任しまして、ラミー事務局長を始め関係当事者電話会談をいたしました。どうもなかなか、新たな提案事項合意されていないのに開催をするとやっぱりまたすぐ行き詰まっちゃうというような思いがアメリカ中心にあるようでございます。私の方からは、とにかく始めること、始めない限りはやりようがないじゃないかと。みんながテーブルに着かないとどうにもならないと。見通しが付いたらテーブルに着くんだったら、テーブルに着く意味ないというか、見通しが付いた時点で解決しちゃうじゃないかと。とにかく、ローキーでいいから交渉を始めて、気が付いたら高いレベルの交渉に、キーになっているということでいいじゃないかという話をさんざんさしていただいたわけでありまして、まあ、そうだなとおっしゃるところ、それから、いやいやそうはいっても、そういうなし崩し的再開ではいずれ行き詰まるのではないかと、いろんな反応が返ってきたわけでございます。  今後の見通しというお尋ねでありますが、決して楽観はできませんけれども、こうした経済界での後押しも力にして、これからいろいろ国際会議がありますから、あらゆる会議関係国の閣僚に働き掛けてこの再開を図っていきたいというふうに思っております。これからも精力的に取り組んでいこうと思います。
  10. 加納時男

    加納時男君 こういう貿易交渉ではございますが、今お話はマルチのWTOの話でございます。是非、今お話しの方針交渉再開、うまく進めていただきたいと思っています。  もう一つバイの問題がございます。  東アジアEPAについて大臣はおととい、このようにこの席でおっしゃっておられます。日本と密接な経済関係にある東アジア諸国資源出国等との交渉に取り組みますとはっきりおっしゃっておられます。まあ我々は何でも略しちゃうんですけど、ASEANプラス6と言っておりますけれども、このASEANプラス6は八月に開かれました東アジア経済大臣会合日本から提案され、おおむね賛同を得たと伝えられております。これの今後の展望はいかがでしょうか、お伺いしたいと思います。
  11. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 東アジアEPAASEANプラス6、日中韓インド豪州ニュージーランドであります。これは八月のASEAN等との経済大臣会合におきまして我が国から、前任者から提案をさしていただいたことでありますけれども、ASEANからはおおむね、おおむねというか、ASEANからは了解を取り付けております。もちろん、インド豪州ニュージーランド、大賛成であります。  中国韓国が若干乗り気でないと。恐らく、ASEANプラス3を進めていたのにASEANプラス6が出てきたということなんだと思います。しかし、インドという十億の人口市場を抱えている国が隣にありながらあえて排除するという必要はないんでありまして、インドでもソフト技術者中心に世界の先進経済の一端を担っているという人材も多く出しているところでありますし、これから十億の市場を見込めば、是非とも仲間に入ってもらわなきゃならない。そういう意味で、プラス6の方が私は意義があるというふうに思うんでございます。そのために、まずASEANプラス1、ASEANプラス日本というのを早く締結をしなければならないと思っています。  中国韓国に後れを取っているではないかと。しかし、これも、とにかく来春にはちゃんとできるようにしたいと思っておりますし、質はもっと高いぞという自負があるんでありまして、スピードと質というのが大事だと思いますが、これをまず、ASEANプラス1を行うと。それをてことしてASEANプラス6に進んでいきたいというふうに思っております。引き続きスピード感を持って進めてまいります。
  12. 加納時男

    加納時男君 今の回答で感じたこと二つございますが、一つASEANプラス1、つまりASEANとそれ以外の国とのバイのまとまり。こういう点で日本中国韓国に後れているんではないかという指摘があるというのは、これは事実でございます。確かに現象的に見ると後れているように見えますが、私は必ずしもそう思っていないんで、彼らがやっているのは物の貿易、FTAを進めているわけでありまして、日本ASEANプラス1で考えているのはEPAまで踏み込みたいというのが一つあったような気がいたします。  それからもう一つは、第二点は、正に今大臣がおっしゃったように、アジアの中の大変な巨大な人口を持っている国が二つありますが、中国インドでありますが、その中国は入っているけれどもインドが入っていないというのはいかがかと、こう思っておりましたので、日本提案ASEANプラス3でなく、それも含めた上でのASEANプラス6でやっていこう、しかもEPAを目指していこうというのは、私は間違っていないと思いますので、どうぞ確信を持って大臣に進めていただきたいと。今日は応援歌みたいになりますけど、それを是非申し上げたいと思っているところであります。  最後になりますが、三点目、エネルギー環境問題に関しまして質問をさしていただきたいと思います。  日本エネルギー政策は、二〇〇二年に国会議員立法で成立しましたエネルギー政策基本法、これが原則になっております。そして、これに基づいて政府では閣議決定してエネルギー基本計画を作り、三年ごとに見直す、今年がその年度に当たっているところであります。これに先立って本年五月には自民党では総合エネルギー戦略を作り、これを公表すると同時に政府に申し入れ、政府計画に反映してもらいたいということも申し入れました。その後、政府は、国家エネルギー戦略とか原子力立国計画、様々な計画の中に、これらも勘案しながら、この基本法の精神にのっとった政策推進していると思います。そして、今申し上げたこのすべてのプロセスにおいて正に自民党の司令塔になってこられたのが、甘利大臣、現大臣でございます。  そういうことを踏まえながら伺いたいのは、今政府が進めておりますエネルギー基本計画三年目の見直しの中において、この我々が、我々がといいますか自民党が作ったエネルギー基本戦略、これは合同部会座長甘利さんが、甘利大臣が務められたわけですが、この中で特に力点を置いたのがディカーボナイゼーション炭素離れということであります。  世の中には、石油離れ、脱石油というのがいいんだと言う人も中にはいますけど、脱石油という言葉は非常に良くないと私ども思っておりまして、脱石油というのは、何か石油はもう要らないよと、抜けていくんだと。石油に過度に依存するのは改めるべきでありますが、石油はなお当面の間、重要な一次エネルギー最大の一次エネルギーでありまして、これの安定確保上流部門への積極的な取組が大事であると同時に、その石油クリーンかつ効率的な利用が大事だと。例えば、石油の発電はいけないなんというのはとんでもない話でありまして、残渣油を利用してIGCCのような形でこれをクリーンに使っていくということも大事ですし、中長期的に見れば、CCSといった、CO2の排出されたものを捕捉して固定化しまして、そしてそれを貯留するといった技術開発も重要だというようなことを言ってきたわけであります。  そして、何よりも大事なのは、このディカーボナイゼーションとしては、省エネルギー技術推進、そしてまた、量は少ないけれども再生可能エネルギー活用、そして何よりも原子力の平和、安全な活用、これが大事だと。これがディカーボナイゼーションだというふうにしたところは、実はこれは当時の甘利座長の御指導でやったものでありますが、大臣になられまして、今度は政府側として基本計画を今お作りになるお立場であります。  その原案を作られる立場ですが、このディカーボナイゼーション炭素離れというコンセプト、これは国際会議アメリカフランスでいろいろありまして、私、これをフランス語とか中国語、英語に直して紹介をしたところ、非常に共感を得まして、このディカーボナイゼーションこそ、これこそ参考になるアイデアであると言われたんですが、こういったことについては今回の基本計画ではどのように位置付けておられるのか、考えておられるのか、伺いたいと思います。
  13. 甘利明

    国務大臣甘利明君) すべてのエネルギー政策を進めていくその原点というか方程式といいますか、それはエネルギー政策基本法、これがエネルギー政策における憲法とも言えるものでありますし、加納先生中心的にこの政策立案についてその役割を果たしていただいたわけであります。  その中では、三つの基本的な考え方があります。  一つは、安定供給が大事。エネルギー供給が遮断されたら国民経済産業経済に重大な影響を及ぼす。でありますから、エネルギーのセキュリティー、安定供給がまずある。  それと同等に、環境、特に地球温暖化防止ということが地球規模最大課題環境課題でありますから、この地球環境に対する配慮、この二本があって、この二つを満たす上で、経済合理性市場原理、できるだけ安くというのが入ってくるわけでありまして、二つを満たした上にもう一つが乗るという、当時はまあ二等辺三角形という呼び名をしたわけであります。  この定規をすべてのエネルギーに当てていくことが大事なんですね。化石燃料にこの定規を当てていきますと、安定的に供給をする。これは、調達する場所を分散していくとか、あるいは資源外交をしっかりやっていくとか、あるいは備蓄政策はちゃんとやる。それが安定。そして、地球環境ということになりますと、この定規を当てると、いかに地球環境に資するような化石燃料の使い方をするかということが導き出されるわけであります。そこで、おっしゃるようにディカーボナイゼーションということになるわけです。  加納先生指摘のとおり、一部に脱石油という言葉がありました。まるで石油から脱するというようなことでありますが、これはそうじゃなくて、石油環境に優しく使うという意味なんであります。  でありますから、化石燃料クリーンかつ効率的な利用、それから省エネ技術の開発普及、それから、エネルギー全体で言えば再生可能エネルギーの開発導入、そして、ベースロードとしての、ほぼすべてを満たしていると私は思うんですが、安全を前提とした原子力発電の推進ということであります。これが、エネルギー政策基本法の三原則に基づいて推進をしていく、その中で化石燃料にその定規を当てるとディカーボナイゼーションという解答が出てくるということであります。  こうした点を含めて、今、エネルギー基本計画見直しに向けた検討を始めております。
  14. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。  誠に大事な点に全部触れておられた回答だったと思いますので、これ以上のコメントはございません。そのとおりよろしくお願いいたしたいと思います。  今朝、日本経済新聞を読んでいましたら面白い記事が載っておりました。あるいはごらんになっていないかもしれませんけれども、これは大臣がやっていらっしゃるお仕事なので、当然情報は入っているかと思うので質問させていただきますが。  クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップと、すごい長い名前の日本語ですが、我々、略してAPP、エイシアン・パシフィック・パートナーシップと言っていますが、このAPPが昨日、各国が取り組むべき具体的な行動計画、アクションプランと言っていますが、これを発表したという記事が、今日、小さな記事なんですけれども、日本経済新聞に載っておりました。  このAPP、アジア太平洋パートナーシップについて、大臣の思いといいますか期待を伺いたいと思います。
  15. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 京都議定書で、参加国、それから責務を負う国の責任割合が決まりました。日本もそれに向けて努力をいたしております。  それはそれで意義はありますけれども、要は、地球全体として考えますとどのくらいの効果があるのかと。この枠組みに参加している国の総排出量を地球全体の排出量と比べてもかなり割合が低いし、もっと割合は低くなってくる。要は、大宗を占める国に対してどういう枠組みを組むかということがより大事なんであります。  ポスト京都という議論もこれからやがて始まってくるわけでありますが、私は、排出量の大宗を占める国々にどういう枠組みで参加してもらうかということを必ずつくらなきゃいけないということを再三再四申し上げております。  そういう意味では、APPは、これはアメリカが提唱したんだと思いますが、枠組みに入っていない国たちも含めて大排出国が省エネ技術を開発をしていく、その技術移転を図るという意味で極めて有意義な仕組みだと私は評価をいたしております。これをポスト京都の中でちゃんと位置付けていくということが大事なんじゃないかというふうに考えています。
  16. 加納時男

    加納時男君 大事な点に大臣は今触れられたと思います。  京都議定書は、日本で初めて開かれた大規模な国連の環境会議であり、そして、京都という名前の付いた議定書ができたということから、京都議定書に対する思いは、私も含めて全国会議員が持っていたと思います。だからこそ満場一致でこの批准に皆さん賛成したわけでございます。  さて、さはさりながら、この京都議定書について、本当に京都議定書の目標が達成できるのかという点が非常な気掛かりでありまして、政府としては昨年春、京都議定書目標達成計画、我々略して目達と言っておりますが、目達を作り、現在それを積極的に推進しているところであります。  しかし、この京都議定書、何か日本人はこの京都議定書がもう唯一最高のものだと思いがちですが、正に今大臣が御指摘になられたことが国際的には大問題になっております。つまり、世界でCO2排出のオリンピックが開かれたとしますと、金メダルはどこか、アメリカ、断トツの金メダルで、CO2排出シェア二三%。銀メダルが、急速に伸びてきていると、こういうのが伸びていいのかどうか分かりませんが、CO2が急速に伸びております中国で、最近では一四、五%を占めて、これが銀メダル。そして、金メダルも銀メダルの国もこの排出義務を負わない、負っておりません。銅メダルがロシアで、これが少ないんですが六%で、やっとこれ批准した。メダルを逸して四位に入ったのが日本で、これが五%。そして第五位がインドですが、これが四%で、これも義務を負っていません。したがって、トップファイブだけで五三%ぐらいのシェアがあるんですが、そのうち義務を負っているのは三位のロシアと四位の日本で、一一%しかない、つまりこれは世界をカバーしてないんだというのは大問題だと思います。その第一点を今大臣指摘されたと思うんです。  したがって、大臣がおっしゃったメジャー級の参加、つまりオリンピックの金メダル、銀メダルはともかく入らなきゃおかしいよというのは当然でございまして、そして五位のインドも含めまして、これはインドも急速に伸びる可能性がありますから、こういった国が入った枠組みというのが、京都議定書を否定するんじゃなくて、京都議定書の補完としてこのAPPを位置付けたいと私は思っておりますけれども、大臣、恐らくそういう前提で御発言なさったんだと思っております。  第二に、大臣お話を伺っていていいな、いいなといいますかとても賛同したいのは、ボトムアップアプローチといいますか、要するにふわふわっと何%、えいやっ、何%減らそうというようなことで京都議定書は決まっちゃったんですね。私、あのときの当事者の一人でございますんで裏話も全部知っておりますけれど、ともかく最後はえいやっなんですね。別に六、七、八なんて何の根拠もないわけですから、まあそう言っちゃ身もふたもないんですけど、まあそれは、それが政治でありますので、国際政治ではそういうことありますから、ともかく妥結することが第一というので、最後はみんなが妥協してできたものでありますが。  しかしながら、あれはそういうことを決めたんですけど、一番大事なのは、それを現実にどうやって減らしていくのかという技術的な担保が不十分だったわけです。確かにメカニズムはいろいろ、京メカというのを作ったわけですけれども、京都メカニズム作ったんですが、もっと大切な、自主的に技術を開発してそれをお互いに交流し合っていこうという言わばボトムアップアプローチがこのAPPにはあると思いますので、今大臣が非常に大事なことをおっしゃったんで、私の感想も込めて申し上げたいと思うんですが、そんなことで大臣是非、これも応援したいと思いますので、APP、成功させていただきたいとお願いをしまして、最後質問に移りたいと思っております。  最後質問は、ちょっと専門的な話になって恐縮ですが、RPS法の問題であります。これはリニューアブルエナジー・ポートフォリオ・スタンダードって、何だか長い名前の、略してRPSと言っておりますけれども、このRPS法の、今、目標年次といいますか、当初目標にしたのが二〇一〇年ですけど、その先の目標を決めていこう、四年、四年、八年間ということで目標を決めているわけでありますが。  ところで、このリニューアブルエナジー、再生可能エネルギーって私は訳しておりますけど、この再生可能エネルギーは、特徴はとてもいい特徴があります。純粋の国産エネルギーである、そしてクリーンエネルギーである、それを燃やしても炭酸ガスが出ないのが多いと、正確に言うとですね、それから再生可能で、文字どおり再生可能である、こういったようなことからエネルギー政策基本法の原則、先ほど大臣がおっしゃった原則を正に満たすものであります。  もちろん、いいところばかりではありません、課題もあります。もうウエートが極めて小さい、水力、大水力は物すごい量を持っているんですけれども、これを、国によってはこれを再生可能エネルギーというのが常識なんですけど、日本はなぜか大水力は除くなんていうんで、新エネルギーから外しているようです、これは私は変だと思っていますが。ウエートはその水力とか地熱を除くとごく小さなもので、せいぜい〇・〇二%から〇・一%、そんな一%未満のオーダーで今勝負をしているところでございます。ですから、再生可能エネルギーとはいうものの、実際にこのRPS法の適用の対象となるものとしては非常に苦労が多いというのが実態でございます。ウエートが小さいのが一つ。  二つ目に、変動が大きい。夜になると太陽は照らないとか、風は時々暴風になったり止まってしまったりする。だから、だからいけないというんじゃなくて、ですからフルに動くことは期待できなくても、動いた分だけは電気でいえば発電電力量になる、キロワットアワーと言っていますが、これの価値はある。しかし、じゃ、よく言っていますが、原発何基分の風力と言うけど、ああいうインチキを言っちゃいけないんで、例えば一千キロワットの風力というのは、一番風が適当に、適切に吹いたときのその瞬間が一千キロワット出るというんで、一千キロワット常時保証はしていませんから、我々の言葉で言うと、キロワット価値はないというふうに風力については言っております。ただし、これは動けばとっても値打ちがあるんで大事にしよう。  それからまた、コストが高いと。これも倍だ、三倍だ、四倍だといったコストでありますので高い。つまり、小さい、頼りにならない、高い、三つ欠陥があります。しかし、じゃ駄目かというと、私はそう思いませんで、これ甘利さん、甘利さんが自民党におられ、今もおられますけど、自民党エネルギーの幹部をやっているときに御一緒に議論した話ですけれども、小さくてもいいと、大事なものだから大切に育てようよというんで、我々はむしろRPS法の発起人といいますか、あれの推進者になって、連立与党協議会も、当時の甘利先生と私、加納が事務局を務めて、そして連立与党合意を取り付け、そして民主党さんと御相談して、これは非常に大きな賛成を得て成立したのがRPS法であります。ですから、RPS法いけないとかなんとか私は全然言っておりません。これはちゃんと意味があったと今日も思っております。  質問なんでございますけれども、この再生可能エネルギー、リニューアブルエナジーの推進は目的なんだろうかと。私はどうも目的じゃなくて手段ではないだろうかと。何のための、何が目的なのかというと、環境を良くしていく、エネルギーのセキュリティーを守っていく、もっと端的に言えば、CO2を減らす、CO2を出さないエネルギーとしてこれを利用するんだというのがどうも正解じゃないかと思います。  そうだとすると、ともかくやみくもにその再生可能エネルギーを基準を作って義務付けをどんどん増やしていけばいいというんじゃなくて、少なくとも発電燃料として考える場合にはCO2対策が大事だと。これを目標にひとつ設定して、そしてそのための手段を費用対効果の観点で評価をして、そしてこれは値打ちがあるからやっていこう、これは余り値打ちないけれども補完的に位置付けていこうと、そういっためり張りがあっていいんじゃないだろうかと。  何事もそうですけど、原子力にしてもそうですけど、何か一つに夢中になるとほかのものが見えなくなっちゃうんで、この再生可能エネルギー、RPS法をやっている方は、ともかくこれだけが大事だ、これをともかくどんどん増やせ、電力会社に勝手に義務付けを増やせばいいんだというようなことをおっしゃるんですが、本当にそれが正しいんだろうかと非常に疑問があります。  そういうことなんで、このRPS法、今検討が始まっていると思いますけれども、次の義務量の策定についてどのようにお考えなのか、まずお考えを伺いたいと思います。
  17. 甘利明

    国務大臣甘利明君) RPS法、リニューアブルエナジー・ポートフォリオ・スタンダード、この法律を作るときに、私と加納先生、それから公明党のたしか斉藤先生、三人を中心にこの仕組みを作ってまとめたことを思い起こします。  そのときにも、とにかくCO2を出さない、あるいは極力、建設時点でも少ないものを一定割合織り込んでいくと。そのときに、じゃ原子力はどうなんだという議論もありました。私としては、原子力環境に資する、CO2という点で環境に資する立派なエネルギーということで、そういう枠組みの議論もしたかったわけですが、なかなかそういう状況になくて、正に再生可能エネルギーのポートフォリオ・スタンダードを作ったわけであります。  これをどれくらい課していくかということに関して、二〇一〇年で電力量に一・三五、これを導入をしていく、パーセントですね、全体の一・三五%、これはかなりの実は量でございます。百二十二億キロワットアワーということになるわけであります。パーセンテージは少なくても、先ほど加納先生がおっしゃいましたように、本当に太陽光とか風力とかバイオマスとか、その比率は物すごく低い比率ですし、それでも日本は太陽光ではこの間まで世界一位、今ドイツと拮抗して二位ですかね、僅差の二位。風力も相当やっていると。それでもコンマ幾つという数字でありますからそんなに簡単ではないわけでありまして、これを、二〇一〇年以降一四年の導入目標値というのをこれから決めていくわけであります。まあいろいろ、安定的に供給できるかというコストの面、いろんな点を考慮しながら慎重に判断をしていかなければならないというふうに思います。  太陽光も風力も、風が吹く、吹かない、天気、天気じゃない、夜昼で電力総出量というのが大幅に変わると。現状ではその周波数変動をそのまま本流にぶち込んじゃっているわけであります。それでなぜ大丈夫かというと、本流が大容量でありますから、不安定エネルギーを多少ぶち込んでも本体に影響はないからそのままぶち込めるのでありまして、これ、どんどん増やしていきますと、不安定なものを本流に投入する量が増えますと、本流自身が不安定になっちゃって、周波数変動、質の悪い電力になって使えないということになります。そうすると、容量を大容量にしていきますと、こっちの安定をしなきゃならない。全部にバッテリーをかまして一定出力にしていかないと、本体がひどく増えたり減ったり増えたり減ったりすることになるわけでありますし、いろんな課題があるわけであります。  そういうことも勘案をし、安定的にやるのにはどうしたらいいか、コストの問題はどうするのかということ等々慎重に考えなければいけない。簡単に、増やせばいいやと言うのは簡単でありますけれども、いろんな問題があるということを踏まえなければならないと。そういうことをしっかり踏まえて慎重に判断をしていきたいと思います。
  18. 加納時男

    加納時男君 今の御回答、正に適切な御回答だと思っております。様々な要素を勘案し、費用対効果も考えながら是非御検討いただきたいと思っております。  今のお話伺ってちょっと感じたことなんですけれども、費用対効果で考えますと、いろんなものがあるんですが、例えばCO2をいかに削減するかという目的のための政策手段として、俗に言っている新エネルギー、新エネルギーという言葉は私余り好きじゃないので再生可能エネルギーと言いたいんですが、再生可能なエネルギー活用、これは大変大事だと思います。それから、空気熱源ヒートポンプによる高効率の給湯器、これは政府の目達にも明確に位置付けされたものであります。これについてはポテンシャルが非常にあると、一億トンCO2ぐらいのカットまでできるんだといったような試算もあるそうでございます。こういったものをかなり優先して考えるのかどうか。  それから、安全管理の充実を前提とした原子力の結果としての稼働率の向上、これは非常に利くと思いますし、ジェームズ・ラブロック、「ガイアの復讐」というのを最近書きましたけど、ジェームズ・ラブロックも再生可能エネルギーが救世主だという考えは間違っていると、原子力だというようなことをはっきり言っておられまして、これは私も読んでびっくりしたんですが、そんなことで、これは環境学者でございますが。  それからまた、経済的な面からいうと、CDMのクレジットの活用というのもあるのかなと思っています。これも今政府が進めていらっしゃると承っております。RPSと価格の比較というのはちょっと難しいんですけれども、あのRPSで公開されたデータで私なりに計算すると、トンCO2当たりで大体一万二千円ぐらい掛かります。それに対してCDMクレジット、これはまあいろいろ国際的に価格は動いてはいますけど、ざっくり言って、今同じトンCO2当たりで大体千円から二千円ぐらいかなというところでありますので、かなりこのCDMクレジットは安い。ただし、じゃこれで済ましちゃおうということは私は反対で、もちろん自前のエネルギーは大事ですから、RPSである程度のことをしっかりやっていくのが大事だと思うけれども、こういったこともやっぱり比較の対象として入っていくべきじゃないだろうかと思っております。  よく話題になるのが太陽光であります。私も、太陽光というのは日本に導入するときの実は旗振り役をもう数十年前ですか務めまして協力してきたつもりであります。そして、この太陽光は、政府としましてもこれを是非とも推進しようということで補助金を付けました。そして、電力会社は高値で買い取るという大変なこれ経営判断、少し乱暴だと言う人もいましたけれども、電気料金、一段、二段、三段とある一番高いところで買いますよというんですから、これは完全な赤字覚悟で、言わば寄附みたいなものでありますが、これをやろうということにしました。  それから、グリーン電力基金というのが、これ、ボランタリーであります。たしか甘利大臣もそのメンバーだと思いますし、私もメンバーで、これは正に自然エネルギーを普及させるための基金をボランタリーで毎月の電気料金に上乗せして申告して払っていくというので、私は一口五百円で毎月五千円払っているわけでございますが、しかしこれで、自然エネルギーは我々は非常に好きだし、太陽光、風力にこういうのが使われるのは大好きであります。  しかしながら、やはり物事にはいろんな面で考えなきゃいけないことがありまして、この太陽光も所期の目的はある程度達したんだと。つまり、初期普及段階は非常にコストが高いので補助金を付け、電力会社も赤字でもいいから買って、そして太陽光をともかく離陸させようと。離陸しまして、さっき先生がおっしゃったように、大臣がおっしゃったように、世界一の水準まで太陽光が来ました。そこで、ここまで来たので補助金を打ち切ろうというのが政府方針で、私はこれは間違ってないと思います。所期の目標を達成したんだ。その中でもなお電力会社だけはけなげに高い値段で買わなきゃいけないのかというのは私はおかしいとは思いますが、これ電力会社の経営者では私は今ありませんので、余り言うと経営に干渉しますけれども、何とも不思議なことでありまして、そんなものをなぜそんな高い値段で買っていくのかというのは、今度は株主としても国会議員としても疑問がないではないですけれども、これは決して追及しませんから、善意でやることは私はいいと思っておりますが。  しかし問題は、この政策レベルでの、国会での議論に堪えることをちょっと申し上げたいと思うんですけれども、これ電気事業者に対してどの程度の義務を課するのかというのが焦点の議題にきっとなると思います。今日じゃなくても、この後ですね、きっとなると思います。その場合に三つ考え方があると思います。  先ほど甘利大臣がおっしゃったのをちょっとメモしたんですけれども、二〇一〇年に一・三五%、大変高い目標ですが、私の知っている限りでは、この目標に向かって電力会社が全力で買上げをやっています。そして、開発、買上げをやっていまして、私はまず間違いなく一・三五%は、三五九ですか、正確には、パーセントは達成できると思っています。関係者にもちょっと事前に当たりましたけれども、何が何でもやりますとけなげな回答があったので、やるだろうと信じております。政府もこれ引き続きやってもらいたいということを強く言っていますので、間違いなく行く。  問題はその先。三つシナリオがあると思うんです。こうやって一・三五九まで来たんだから、この勢いで行け行けどんどん、三%、五%、一〇%、こういう高い目標を掲げよう、人間は高い目標が大事だという何だか特攻隊みたいな精神が一つであります。第二の精神は、もうここまで来たんだから、太陽光の補助もやめたことだし、もう、一つの目標を達したんじゃないか、限界もよく分かってきた、だからこの際やめちゃおうというのが第二の考え。第三の考えは、そう言わずに、世の中は右と左があれば中道もある、政治も同じ、太陽光も同じ。中道を取って、一・三五九でそのまま横ばいでしばらく延長してみようと。高い目標なんだけれども、せっかく達成しそうなんだから、それを維持しようというのもあるだろう、いろんな考え方があるだろうと思っているところでございます。  そこで、その場合に、もし高い水準のものを電力会社に買え。電力会社って、これ会社というのは、今あるバツバツ電力だけじゃないです、PPSもみんな入っていますけれども、こういったところに電気事業者という名前を付けますが、高い水準で義務付けた場合に何が起こるのかというのをちょっと考えてみたんですが、二つの問題があります。  一つは引取り量が増える。もう一つは、市場原理がここで不思議に働くわけですね。それだけたくさん需要があるならば、それじゃ値段上げても大丈夫だろうというので価格が上がる、需要、デマンドプルで値段が上がる、これ市場原理であります。  そうしますと、どういうことになるのかというと、電気事業者は、量は増えるは単価は上がるは、つまりダブルパンチで高くなる、これが国民の負担になる。国民の負担になるというところまで考えますと、これはこういう政治の場において非常に心配なことがありますけれども、この辺のところはこれからの議論ということになると思います。  何かこれについて大臣、御感想がありましたら、あるいは加納の言っているのはここはおかしいというのがありましたら御指摘いただきたいと思います。特にヒートポンプなんかは私は有力な方法だと思うんですけれども。こんなのができたら、本当に一億トンもカットできたら、これは八%ぐらいに当たりますから、大変な救世主になっちゃうと思うんです。これと原子力があるとかなり行けるのかなと。そして、野球と同じで、四番バッター、三番バッターだけじゃ今年のジャイアンツみたいに全然駄目ですから、やっぱり一番、二番で細かい業のできる、PPSもそうですし、RPSもちゃんと役割を果たしてもらうと優勝できると思うんですが、一言御感想をいただければと思います。
  19. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 極めて見識の高いお話として拝聴いたしました。
  20. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。聞いていただいたということで、私も非常に今日は感激しております。また、大臣もいろいろうなずいていただいたこともちゃんと拝見しまして、力強く思っております。  若干時間残りましたので、最後一つだけちょっと際どいことを伺いたいと思います。  北朝鮮が十月九日に核実験をやりまして、日本やこれは北東アジア、世界の平和に対する重大な脅威であり、野蛮な挑戦だと思って断じて許すことはできないと思っておりますが、私の質問の結論からいきますと、日本は核武装するんですかというのが質問でございます。これは許すことができないのでありまして、この間日本政府の果断な対応については高く評価し、また国連決議一七一八号を可決するに当たっての日本の大変な貢献を私は高く高く評価しております。  ところで、先週もEU会議で出たんですが、いろんな議論しに行ったんですが、彼らが持っている最大の関心事は日本が核武装するんですかと、こういう質問であります。私は、核武装はする気は全くありませんと言ったところ、いや、日本の重要な要職、役職にある方が時々そんな、それらしきことを言っていると言うから、あれはいろんな議論があっておかしくないと言っているだけで核武装したいなんて言っていませんよと、核武装は日本はすべきでないと、こう言っているんですが、すべきでないと思っているし、それが日本の意思であるということをしっかり申し上げております。  これはもう当然のことだとは思いますけれども、念のために、甘利大臣原子力の平和利用は大事なんですけれど、核兵器はとんでもないと思いますが、いかがでしょうか。
  21. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 我が国政府は非核三原則を堅持すると、総理はこう発言をされておりますし、それをもってこの議論は終わりにするという明確にお話をされています。全くそのとおりでありますし、日本原子力の平和協力、GNEP構想の中でも核保有国以外で唯一フルサイクルの核燃料サイクルを認められているというのはIAEAの厳格な査察で百点を取っているからであります。平和利用以外に利用することは一切ないということが認められていて任せられているわけでありますから、そういう政策上も核武装論を議論するつもりは全くありません。
  22. 加納時男

    加納時男君 今の御発言は非常に大事だと思います。全面的に賛成であります。よろしくお願いします。  質問を終わります。
  23. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 おはようございます。民主党の直嶋でございます。  今日は一般質疑ということでありますんで、ちょうど今、加納先生の方から北朝鮮の話題が出ましたので、北朝鮮の核開発問題について最初にお伺いしたいというふうに思います。  もう経過は御説明するまでもないと思うんですが、十月九日に北朝鮮が核実験を行ったと発表したということであります。それを受けて、我が国としては単独で経済制裁措置を行うということを決定しました。また、あわせて国連安保理で一七一八号が採択をされまして、国連憲章四十一条に基づく制裁が今まだ準備中ということではないかというふうに思っています。  それで、そこへ、昨日、おとといですか、北朝鮮が六か国協議に復帰すると、こういうことを中国が発表したというニュースが流れました。  最初にお伺いしたいのは、北朝鮮が六か国協議に復帰をするということについて、例えば国連の安保理の制裁決議がそれによって緩和をされるとか実行を見合わせるとか、あるいは我が国が実施をしている経済制裁措置が緩和、撤回されるということになりますと、北朝鮮から見ればこれは核実験のやり得ということになります。もう一枚カードを持って六か国協議に参加すると、こういうことになるわけでありまして、私は断じて、国連制裁決議の実行、我が国経済制裁の実行は断行すべきだと、厳しくやるべきだと、こう思っていますが、多分同じ考えだと思うんですが、経済産業大臣の御所見をお伺いしたいというふうに思います。
  24. 渡辺博道

    ○副大臣渡辺博道君) お答えをいたします。  今般、我が国及び国際社会の呼び掛けによって北朝鮮が六者会合というものに復帰することになったことは歓迎すべきことだというふうに思っております。他方、先般、我が国独自の措置は、核開発、そしてミサイル問題や拉致問題など諸般の情勢を総合的に勘案して政府全体として決定したものであります。したがいまして、北朝鮮が六者会合に復帰するということのみをもってこれらの措置を解除すべきではないというふうに思っております。  こうしたことから、経済産業省としましては、引き続き輸入禁止措置等を粛々と実施してまいりたいというふうに思っております。
  25. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 続きまして、今の点はよろしくお願いしたいと思いますが、今度は日本我が国単独の制裁、経済制裁措置についてお伺いをしたいわけでありますが、一つ我が国経済制裁措置なんですが、実効性、つまり北朝鮮に厳しく、北朝鮮にとって手痛い打撃を受けるというような面から考えると、多少あると思うんですが、既に北朝鮮貿易構造も随分変わってきております。あるいは、北朝鮮の船が既に入港禁止になっているということを併せますと、やはり決定的なものではないだろうと。むしろこれも世上言われていることでありますが、政治的なメッセージ性が非常に強いんではないかと。今、拉致問題も含めてお話しになりましたが、正にそういう問題も含めてそういうメッセージ性が非常に強いんじゃないかというふうに受け止めておりますけれども、この我が国が今行っている輸入禁止措置が北朝鮮経済に及ぼす実効性について当局としてどういう御判断されていますか、お伺いしたいと思います。
  26. 石田徹

    政府参考人石田徹君) ただいまの直嶋先生の御質問でございますけれども、今回の輸入禁止措置、これは全品目を対象にしたものでございますけれども、この北朝鮮日本への輸出に相当する外貨獲得能力、これを減殺する効果があるものというふうに考えております。具体的には、現在、北朝鮮にとって日本は輸出の一割を占める相手国でございます。大分減ってはきておりますけれども、それでも二〇〇五年で約百四十五億円、二〇〇六年の一月から九月までで約八十二億円の実績がございました。こうした輸入について、これを禁止するということで一定の北朝鮮の外貨獲得を防ぐ効果があるものと考えております。  もう一点、今の直嶋先生お話の中に、実効性という意味迂回輸入とか、こういうものについてもきちんと手当てができるのかという御趣旨もあったのかと思いますけれども、迂回輸入の点につきましても、第三国からの輸入が急増しないかどうかをよく監視をいたしまして、急増するような場合には輸入業者からの報告を求めるとか、あるいは正当な輸入であることの確認をしていくというようなこと、あるいはその迂回輸入を隠ぺいするための原産地の虚偽表示の問題等につきまして、外為法の未承認輸入や、あるいは不正競争防止法の不正競争行為としての取締りを強化するなど、厳正に対応してまいりたいというふうに考えております。
  27. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今、迂回輸入の点についてもお話がございました。私が今、今回といいますか、今、北朝鮮が六か国協議に復帰するというニュースを受けて一番心配しているのは実はその部分でありまして、はっきり申し上げますと、これをきちっとやるためにはとりわけ中国韓国、両国の協力がもう不可欠であります。しかし、両方の国とも若干やはり、今回といいますか、この北朝鮮の核開発問題に関する受け止め、あるいは北朝鮮に対する受け止めは日本とは少し異なるように思います。どちらかというと、今日のニュースなんかでも、北朝鮮が六か国協議に復帰するというのでかなり歓迎ムードが出ているというふうに思ってもいいと思うんです。  したがって、この点については、今御説明がいろいろありましたが、もうここで質問ということで申し上げませんが、くれぐれもあらゆる手段を通じてきっちりやっていただきたい。でないと、せっかく今一定の効果はあるという御説明だったんですが、その部分がなくなってしまうんではないかという危惧を持っておりますので、また状況を見ながら改めてお伺いもしたいというふうに思います。  それで、この北朝鮮問題の最後に、さっき日本が核保有すべきかみたいな話も、御質問がございましたが、大臣にちょっと私の方も御見解をお伺いしたいというふうに思います。  結局、北朝鮮の核開発問題というのはもう延々十年以上にわたって、たしか九〇年代の前半、いろいろ疑惑が指摘をされました。したがって、十年以上続いているわけであります。そして、この十年ぐらい振り返ってみると、結果的に北朝鮮は核を開発をして、核を持って、しかもその運搬手段であるミサイルも、大陸間弾道弾は別にしまして、ノドンというミサイルも保有をしたということであります。まあ、してしまったと言った方が、私の率直な印象はそういう印象でございます。  結果的に、あれほど北朝鮮の核問題大変なので対処しなければいけないということで国連も含め国際的な枠組みもつくって、日本政府としては、対話と圧力という言葉が盛んに最近言われますけれども、いろんなあの手この手を講じてきたにもかかわらず、結果的に持たせてしまったということでありまして、このことによってやはり日本は非常に安全保障上も厳しい立場に立たされてしまったというふうに言わざるを得ないと思うんです。  これで六か国協議が始まるということかもしれませんが、結局、六か国協議は、北朝鮮の核を例に挙げますと、国際的な目で北朝鮮の核を封じ込める、国境を接しているロシア、韓国中国も含めて、日本アメリカ北朝鮮の核を封じ込めるという面では大きな効果はあると思うんです。  しかし、本当に廃棄をさせるということになりますと、これは金正日体制の存続も含めて、とりわけこの五つの国の間でも思いが違うと思いますし、とりわけ国境を接する中国韓国、ロシア、この思いの違いを国益の違いと、こういうふうに置き換えますと、中国韓国、ロシアのやはり国益と国益の違いもあって、どうもその国益の綱引きの中で結果的にこういう事態になってしまったんではないかなと。ですから、安保理決議でも核の廃棄と、こういうことをきちっと表明しているわけですけれども、ここから先はなかなか難しいんじゃないかと正直思います。  さっきお話に出ました日本も核武装すべきだという議論も、やはりこういう実態の中から、事の是非は別にしまして、私もさっきの大臣の答弁に賛成でございますけれども、その是非は別にして、こういう議論が出てくるということになったんではないかと思うんです。  したがって、こういう状況下で、これから日本として本当に国際社会への働き掛けも含めてどういうふうに取り組んでいくのかと。あるいは、具体的な方法でなくてもいいんです、基本的な方針としてやはりこうやるべきじゃないかということをやはりきちっと議論をして打ち立てなければいけないんではないかというふうに私は痛感しているんですけれども、この点について、安全保障会議のメンバーでありますし、そういうお立場でもございますので、お伺いをさせていただきたいと思います。
  28. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 北朝鮮が六者協議に復帰をする、そのことはもちろん歓迎すべきことなんでありますが、実はそれで問題が片付いたわけでは全然なくて、話合いのテーブルに着いたというだけの話でありますから、これからその六者協議の場で国際社会が指摘している問題に対してどう北朝鮮が回答を出してくるかということなんであります。我が国の姿勢としては対話と圧力ということを掲げておりまして、きちんと圧力もしっかり掛けていかないと対話も成り立たないし、圧力を国際社会が掛けたからこそ対話のテーブルに渋々戻ってきたということであろうと思います。  対北朝鮮制裁の件につきましては、安保理決議に基づいて行うもの、日本が先行して独自に行っていたもの、いろいろございます。今は、ぜいたく品の禁輸に関しての国際協調体制を今取っているところであります。  いずれにいたしましても、今回、六者協議に復帰をするということをもってその手を緩めるということはしてはならない。これからちゃんと北朝鮮が国際社会の懸念それから要請に対して誠意ある回答をして実行していく、そういう中で、じゃ制裁のこの部分は解いていくという話に初めてなるんであって、現時点ではもう粛々と制裁を実行していくということになろうと思っております。
  29. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ここはもう外交防衛委員会ではありませんのでこれ以上の質疑はやめたいと思いますが、今大臣からもお話ございましたが、やはりもう一段国際社会の結束というのをより強固なものにしていかないと、なかなかこれまでの経過を見ると道は険しいなという感じはいたしておりまして、また別の場でも議論さしていただきたいというふうに思います。  それで、続きまして、エネルギーといいますか、これも最近いろいろと議論されていますが、特に最近、石油や天然ガスについて、やはり中国インド等の経済発展等もありまして、非常に供給をどう確保していくかということが大きなテーマになってきています。そんな中で、ここのところ立て続けに、日本が期待をしておりました自主油田の開発についていろんな動きが出てまいりましたんで、それも含めて少しお伺いをしたいというふうに思います。  最初に、アザデガン、イランのアザデガン油田の件でありますが、これはもう私がここで解説する必要はないと思います。日本企業が権益として持っておりました七五%の権益を、イランの核開発問題の影響等もあって、表向きは地雷の処理ということらしいんですが、まあ政治的背景見ればこれはおのずから明らかだと思うんですが、いろんな経過の結果、権益を一〇%に落とすと、そして開発主体としては日本企業はもう降りると、こういうことになったわけであります。  それで、私もこれ、この問題も、イランの核開発も、もう二〇〇〇年代になりましてからいろいろと紆余曲折がありながら延々続いてきています。昨今は、やはり国連安保理で四十一条に基づく制裁を行うのか行わないのか、どういう内容にするのかということが今正に議論されている最中であります。  これは結果論かもしれませんが、経済産業省がこのアザデガンについて、是非これは日本の将来のための自主開発油田として確保したいということでこの計画後押しをされてきたわけでありますけど、これ、結果的にこういう状況になったことを振り返りますと、やはり国際情勢の変化とか、この核不拡散問題の大きさというものも含めて、当初の判断に率直に言って誤りがあったんではないかなというふうに私は受け止めているんですけれども、この点について経済産業大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  30. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 御承知のとおり、アザデガンの油田開発につきましては、平成十二年の十一月に、ハタミ大統領が来日をされました際に、我が国に優先交渉権が付与されることになったわけであります。平成十六年の二月に、日本とイランの事業者との間で開発計画が署名をされたということであります。  その後、御案内のとおり、地雷除去をしまして、九四、五%は除去できたんですかね。しかし、地雷ですから、残っていても五%だからいいじゃないかというわけにはいきませんので、これは国際的な基準として保険が付保される限度はたしか九九・六%除去されないと環境が整わないということでありますから、八割、九割除去するのは簡単でも、残りの一〇%、五%から九九・六まで持っていくというのは大変な作業だと思います。  要は、ハタミ大統領が来日をされて優先交渉権が付与され、そして契約に至るまでの間は、こういう国際環境の変化、イランの核開発の推進ということが正直予期されませんでした。それも含めて見通しが甘かったといえば、まあそのとおりかもしれませんけれども、とにかく日本は自主開発油田の比率を高めるという国策もありました。そういう中で、できるだけいい条件で安定的に供給できるところの自主開発を進めていこうという国策上の方向として適切なところと判断をしたわけでございます。  そういった中で、国際石油開発、インペックスの出資比率が七五%から一〇%に引き下がりました。これは何を意味するかというと、オペレーターの地位を返上したわけであります。アメリカ中心に国際社会の対イランに対する警鐘は極めて強くなってきているわけでありますし、そういう中で国際石油開発が極めて厳しい判断をしなければならない、自身がオペレーターとしてこの事業を遂行できるかと、こういう国際環境下の中でですね。もちろん保険は付保されないわけですから、こういう状況下で。そうすると、金融調達、資金調達が大丈夫かという金融判断が当然あろうかと思います。もろもろの環境の変化の中で、イラン側とインペックスの話合いの中で一〇%になったと。糸はつないであるけれどもオペレーターの地位は返上したという極めて難しい中での判断をされたんだというふうに思います。  これからイランが国際社会の要請に対してちゃんとこたえてくれて、核不拡散という精神にのっとった行動を取ってくれれば何の問題もないわけでありますし、つながっている糸がちゃんと生きてくるわけでありますけれども、イランが今のところどうも国際社会の懸念にはこたえてくれそうもないという状況下ですと、公的な支援体制というものは当然組めませんから、そういうことで、まだ時間は恐らく一年ぐらいは掛かるかと思います。そういう環境下で、状況の変化を見守るというしか政府の姿勢としてはなかなか取れないんじゃないかというふうに思っています。  インペックスは、御案内のとおり一部上場企業でありますから、政府が直接にこうしろああしろと言う状況にない、それによって被った損害は株主が代表訴訟も起こせるという会社でありますから、そこの辺が、この間合いの取り方というのが非常に難しいということを今痛感をしているところでございます。国際石油開発、インペックスの民間企業としての経営の判断としてこういう状況に至っているというふうに承知をいたしておりますし、イランが国際社会の懸念に一刻も早くいい方向でこたえてくれるということを待ちたいという思いであります。
  31. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 現状も含めて大臣から率直な御答弁いただいたというふうに受け止めさせていただきます。  今回の一〇%、さっき糸が残ったと、つながっている糸が残っていると、こういう言い方されましたが、一〇%残っていることによって、今も若干話があったんですが、イランが国際社会の要請に対応してくれて核開発をあきらめてくれると、要するにこの核開発問題が決着をすれば元に戻るといいますか、元に戻る可能性もあるんではないかということもマスコミで今報道されたりしています。  ただ、私、今大臣もややそういうニュアンスでお答えになったと思うんですが、このイランの核開発問題はやはりそう簡単に片付かないんではないかと。むしろ、今の動き見ていますと、ますます国際社会との溝が大きくなっているんではないかなというふうに私は率直に受け止めています。  そうすると、このアザデガンの問題、おっしゃったように民間会社の経営にかかわる問題でありますし、お聞きしたところ、もう既に百億円ぐらい何か資金は投下されているというふうな話も聞いていますので、これはこれで大きな問題でありますが、同時に、我が国の原油輸入量の今一四%はイランから輸入しています。ですから、今度は、この問題の成り行きによってはこの部分に影響が出てくる可能性があるということを私どもとしてはやはり頭の中に置いておかなければいけないんではないかと、こう思うんでありますが、この点も含めてもう少し御所見聞かせていただければというふうに思います。
  32. 甘利明

    国務大臣甘利明君) まず、核開発の疑惑にきちんとこたえて対処をしてもらうと、そのための行動を国際社会と日本が一致して取るということにいささかの揺るぎもございません。その上で、インペックス、国際石油開発が民間企業の意思と行動で石油開発をするということであります。  これにつきましては、今後、何度も申し上げますが、イランの行動次第で道は随分変わるんだというふうに思っておりますし、我が国としても外交ルートではそういうメッセージは送っているわけであります。イラン自身がそのことに気が付いて、まあ気が付いていながらそういう行動を取っていないとも言えるかもしれませんが、国際社会の懸念と、それから国の発展のための石油資源活用ということに思いをはせて適切な行動を取ってくれることを期待をするというところでございます。  今後どういう見通しになるかというのは、現段階ではなかなか言及することは難しいと思います。我が国としては、確かにそのイランからの原油輸入量はかなり依存度は高いわけでありますが、とにかくリスク分散をするための手だてというのは、従来から資源外交資源エネルギー政策一つとして取り組んでいるし、これからも取り組んでまいるというところであります。
  33. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 イランの問題はちょっとこの程度にしておきたいと思うんですが、やはり先ほど来議論させていただいていますように、我が国としては国際的な核不拡散体制の中できちっと役割を果たしていくと、この一線は、やはり国として非常に基本的な外交姿勢でありますから、これはもう変えることはできないと思うんです。その中で、逆に自主的なエネルギー開発をしていかなければいけないというのは大変難しい問題で、昨今よく言われる地政学的リスクが非常に高いといいますか、そういうケースがこのケースだというふうに思うんでありますが、私どもも引き続きこれは注視していきたいと思います。  続きまして、もう一つ、中東依存からの脱却ということで大変大きな期待も持ってスタートしましたサハリンの石油・天然ガス開発についてお伺いしたいと思います。  まず、サハリン1について、これももう時間の関係ありますんで経過は申し上げません。その中で、先日、これも報道されましたが、このサハリン1から産出される天然ガスについて、これは量はたしか六百万トンと言われていると思いますが、中国にパイプラインで供給すると、これはこの開発のメンバーでありますエクソンとの間でそういう仮契約が成立したと。まあ一説によると覚書を交わしたという話もお聞きしているんですが、そういうことがどうもやはり事実としてあるようでありますが、これはどのように受け止めればいいのかということであります。  我が国の天然ガスの供給も非常に重要な部分であります。ただ、後でちょっと御質問しますが、サハリン2の方は、これは天然ガスをLNGの形にして買い取るということで我が国の電力会社あるいはガス会社が二十年の長期契約、二十年以上になると思うんですが、長期契約を結んでいまして、それが一つの裏付けになってサハリン2の事業が進んできたというふうにお伺いしています。  ただ、サハリン1の方はLNGではなくてパイプラインでということで、これはエクソンが非常にその意向が強いということも聞いていますが、むしろ私がお聞きしたいのは、このことが、全量我が国に入ってこないということになると我が国エネルギー政策上どういう影響が出てくるというふうにとらえておられるのか、お伺いしたいと思います。
  34. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 先ほどサハリン1のプロジェクトにつきまして中国との関係、まず事実関係を正確に申し上げたいと思います。  覚書を中国石油天然気集団公司という、CNPCというところとの間で締結されたという話がございますけれども、この覚書は、正式な売買契約の締結を目指して交渉を進める前提としてのスタートラインの覚書だということでございます。したがって、この覚書自身は他の需要家との交渉を妨げるものではなくて、交渉責任者のエクソン・モービルの子会社も日本の需要家との交渉を続けるということを承知しておりますので、並行的に交渉が行われていくということであろうかと思います。  それから、基本的には、サハリン1のコンソーシアムは民間企業中心に構成されておりまして、その交渉責任者であるエクソン・モービルの子会社と日本の需要家との交渉はあくまで商業ベースで進められるべきものだというふうに考えております。私ども、ただ、日本政府は、本コンソーシアムの三〇%の権益を持っておりますサハリン石油開発、SODECOと言っておりますけれども、それの筆頭株主であるということもございまして、政府としても、SODECOを通じて交渉責任者であるエクソン・モービルの子会社に対して日本の需要家との交渉を促すということなどの働き掛けは行っているところでございます。政府としては、こういった日本の需要家との話合いが是非進展してほしいというのを今期待しているところでございます。  それから、他方、サハリン1プロジェクト自身は、ガスもそうでございますけれども、石油リッチなプロジェクトでございまして、これは順調に生産が開始されておりまして、今年の九月には積出しターミナルが完成をし、今正に本格的な輸出が開始をされつつあり、今月中にも日本に第一船が来ると。この石油のピーク時の生産は、我が国総輸入量の六%に相当する日量二十五万バレルに達するというものでございまして、私ども、我が国との地理的近接性とか日本企業が主要なパートナーであるということにかんがみれば、日本が主要な供給先の重要な一つということで、私どもの重要な自主開発油田として評価できるというふうに思っていることでございます。
  35. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 おっしゃるように石油の部分は正にそのとおりで、まだ生産が始まったばかりで、一千ちょいですかね、一千バレルちょいの実績だというふうに聞いています。  問題は天然ガスの方なんですが、結局、これ私がお聞きした情報では、エクソンはパイプラインの余り実績がなくて──逆ですか。そうですか。で、是非パイプラインでやりたいと。2の方はシェルなんですが、この機会にパイプラインの施設含めた開発のノウハウを持ちたいと、こういうやはり意図が非常に強いというふうに聞いています。これは、まあ長官、首かしげておられるんで、ガセネタかもしれませんが。  どうも、しかし交渉経過を見ていると、我が国の需要家はすべてLNGにこだわっておられるわけですね。しかし、エクソンの方はパイプラインと、こう言っているわけでして、ここで、価格以前にここでなかなか折り合えないというのが実態じゃないかと。まあ、我が国にパイプライン引くというのは、これはなかなかまた大変なことかもしれません。  しかし、ちょっとお伺いしたいのは、このLNGについて、今のところ、日本の電力会社、ガス会社は世界じゅうからLNGの形にして天然ガスを輸入しているわけでありまして、これは非常に幅広くやっています。しかし、このうちの非常に量の多い例えばインドネシアなんかも含めて、二〇一〇年ちょっと先ぐらいですか、まあ数年先にはこの長期契約更改を迎えると。で、もう既にインドネシアは日本への供給は半分以上削ると、こう言っているわけですね。まあ、いろんなところで今、契約更改が何年か先に順次出てくると。  これはすべて長期契約でありますから大変重要な更改なんですが、どうも見ていると、資源国の資源ナショナリズムというんですかね、こういう傾向が非常に強くなって、それぞれが、まあ国内事情もあるんでしょうが、量的にやはり減らしたいとか、あるいは価格を上げたいとか、あるいは天然ガスについては、中国等の国もどんどん今需要が拡大しているということもあって、これもまた石油と同じように取り合いになりつつあると。  こういう客観情勢を考えますと、このサハリン1の天然ガスのこの量を含めて、非常に重要じゃないかなと私は思うんですが、そうすると、LNGか天然ガスかということも、やはりどっかで先のことも考えながら決断をしていかなければいけないタイミングに来ているんではないかというのが私の率直な疑問なんですけれども、この点についてお伺いしたいというふうに思います。
  36. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 一般的に天然ガスを供給する方法は、LNGともちろんパイプラインと二つの方法があるわけでございますけど、いずれの輸送方法を取るかということについては、基本的に事業者が経済性に基づいて判断をすべき話だろうというふうに考えております。  日本の需要家というのは、先生今御指摘のように、これまで天然ガスについてはすべて、ほとんど、海外からの輸入について言えばすべてLNGによる供給を受けてきております。これはむしろ日本が先駆的に天然ガスを利用するために技術的にも研究をし積極的に導入をしてきた結果であり、世界の今のLNGの貿易量の半分は日本に向かっているというのがその成果であろうかと思います。  それは、特に我が国が地理的に離れた産ガス国に頼らざるを得ないということと、それから、周辺を海に囲まれた我が国の地理的条件や、漁業等の海洋利用が我が国周辺では非常に盛んであるというような状況を踏まえた上で、パイプラインよりもLNGによる供給が選択されたというふうに私どもは認識をいたしているところでございます。  また、パイプラインと異なってLNGというのは多様な供給元から受け入れることが可能だということもあるわけでございまして、我が国の需要家がLNGによる供給ということを前提に様々な安定供給ソースを確保してきたということはそれなりに理由のあるものではないかというふうに思っているところでございます。  先生指摘のエクソンでございますけど、これはむしろパイプラインの専門家でございまして、したがってパイプラインの方がたやすいし、それからコスト的にも安いというか、気化しない分だけ安いというような考え方がございます。彼らから見れば圧倒的に経済性あるというふうに思っているわけでございます。ただ、この間の認識の違い、すなわち日本の地理的条件、それから日本の周辺の海洋利用の状況等々を踏まえて需要家が懸念していることとエクソンとの間での若干の差異があるということでございまして、この辺については単に経済性だけでは判断できない問題も含まれているわけでございまして、したがって双方がよく事情を理解しながら話合いをして一つの道を探し出すということを今促しているところでございます。  以上でございます。
  37. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  事情といいますか、その状況はよく分かるんですが、もうこれ以上はやめたいと思いますけど、私が申し上げたのは、LNGというのは非常に利点もあるんだけれども、だんだんLNGの形で供給を受けることの難しさが出てきているんじゃないかということを頭に置いておく必要があるんじゃないかという意味で申し上げました。  ちょっと時間の関係もありますので、次のサハリン2の方に移らしていただきたいと思います。  これも、もう九月の中ごろでしたかね、ロシアの天然資源省が、サハリン2の環境対策が不十分だということで事業認可、工事認可の取消しを表明したということであります。その後、二階前大臣も駐日ロシア大使に面会される等、政府の方も御尽力をされたというふうに聞いておりますが、その後、いろいろ報道なんか見てみますと、どうもこの環境で工事の認可を取り消したというのは本音ではなくて、むしろこの事業にロシア側が参画をしていない、あるいはこの工事費が当初予定の倍ぐらいになっちゃってロシアがその分供給を受けるタイミングが後ろへずれていくとか、ロシア側の不利益が多いんでこの事業の枠組みそのものを見直したいと、こういうことが本音ではないかということで、当事者で今話合いがされているというふうにお伺いをしております。  一つは、是非これもまあ民間企業同士の話なんですが、相手は政府がかかわっている話でありますから、一つはこの話がやはりまとまるように日本政府としても後押しをする必要があるんではないかと。これは断固やっていただきたいということと、先ほどちょっと申し上げたように、日本の東京電力さん、東京ガスさん含めて、日本のかなりの電力会社、ガス会社が実はこのサハリン2から供給を受けるということで長期契約を結んで、これがプロジェクトの支えになっているんですが、同時に需要側もこれを当てにしているわけでありまして、特に、大手のところはいろんなルートがあって、即影響が出るわけじゃないんですが、例えば日本の地方のガス会社なんかでいうと、今まで供給を受けてきたところから受けられなくなると、これもまあ何か三年か四年先にはそういう状況になるし、その埋め合わせということでこのサハリン・プロジェクトを当てにしていたと。  したがって、特に事業のスタートが遅れてしまうと、これはガスの話ですから大変大きな影響が出ると、こういうことも言われていまして、この事業が遅れることについての影響と、今お話し申し上げた政府としてきちっとサポートしていくのかどうか、この点を含めて御見解をお伺いしたいと思うんです。
  38. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) この問題につきましては、当初から、先方の天然資源大臣の発言にも明確なように、主に環境問題にかかわる問題が三つの大きなくくりとして指摘をしたということと、それから事業費の高騰問題、これが当初の百億ドルと言われていた事業費が二百億ドルになるということを事業者側の方が言い出したと、この四つの問題について問題点を指摘をして注文が付いたということになるわけでございます。  環境問題につきましては、今粛々とその問題点の解決のために両者で話し合い、あるいはその改善案の検討等が行われておりますので、これはこれで進むと思います。それから、事業費問題についても同時に、サハリンエナジー社という事業主体者とロシア政府の間で事業費の増額についての議論が行われているということでございます。  いずれにいたしましても、このプロジェクトは事業がなされないと双方にとって何の利益もないということになるわけでございますので、事業遂行の大きな流れは、繰り返し先方も責任当局が時間的にはきちっとやるということを述べておられるわけで、私どもはそこを信頼をしていかなければいけないと思っております。  日本の需要家に対する影響というのが一番先生指摘のように問題あるわけでございまして、それはもう少し中長期で見ていけばいろんな手当てがしてあるわけですけれども、二〇一〇年ちょいというところは相当近接地ですから、ぽこっと穴が空くと代替をすぐ見付けるといってもなかなか困難ということがありますので、その点についてまずもって一番初めに、二階前大臣とロシア大使の間でも、この事業の時間的な遅れはないということをまずロシア側からしっかり言ってほしいということがあって、そこはそういうことだからということで日本でロシア大使自らが記者会見をされたという経過がございます。  いずれにしても、そういう数多くの問題が絡んでいる話でございますので、十分に注意をして手後れのないようなことにしなきゃいけないということで、私どもとしても、日本におけるエネルギー安定供給という大前提のために、本件がそういうことによって遅れることのないよう促しているところでございます。  このことは、私どものロシアの大使あるいは各大臣に対する様々な申入れを通じてこれまでもやってまいりましたし、これからも実施していきたいと思っております。また、イギリス政府とかあるいはオランダ政府もシェルとの関係で同様な働き掛けをロシア政府に対して行っているという状況でございます。
  39. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ちょっと時間が大分厳しくなってきましたので。  実は、この三つ、アザデガン、サハリン1、サハリン2を通じていろいろと供給サイドで影響が出る部分がございます。今も長官お答えになったように、特に長期の先の話はまだいろいろ手は打てるんですが、近いところでやはり穴が空くおそれがあると、そういうものをどうしていくのかと。例えばアザデガンについても同じようなことが言えると思いますし、そういうこともちょっとお聞きしたかったんですが、時間の関係もありますので、ちょっと大臣最後に、このエネルギー関係の問題の最後にちょっとお伺いをしたいんですが、結局こういう問題を見ていますと、やはりエネルギーをめぐる国際環境の変化といいますか、これは特に需要側の競争が非常に激しくなったということが一つ挙げられると思います。  それから、相対的な問題ではありますが、やはりエネルギー供給国の立場が非常に強くなった。だから、サハリンの開発計画もそうなんです。あれがスタートしたときは、むしろロシアは経済的に非常に困っていて、何とか日本の資本も入ってもらって開発してほしいと、そういう中で今の枠組みというのが決められてきたと。ところが、何年かたって今見てみると、どうもちょっと我が方はこの今の状況から考えると寂しいんじゃないかというのが多分、これは口に出して言うかどうかは別にして、やはりそういう資源ナショナリズムといいますか、そういうものが非常に強くなってきていると、こういうことが言えるし、それから、例えば石油のさっきのアザデガンの話もそうですけど、やはり自主開発油田ということでいろいろ求めていくんですけれども、なかなかいいところは残されていなくて、やはり政治的に、地政学的に見ても非常にリスクの高い地域のものに手を出さざるを得ないと、こういう状況になりつつあると。  ですから、こういう状況を踏まえてやはり将来、我が国エネルギーを確保するためにどんな手を打っていくのかと、この点をちょっとこのエネルギーの問題の最後大臣にお伺いをしたいんです。
  40. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 資源国の変化というのは、直嶋先生御分析のとおりだと思います。  ロシアにしても、お金がなかったのが、油価が上がってお金が随分できてきたと。それにしちゃ、自分の国が関与している度合いが少ないじゃないかと。だんだん国家管理という方向に向いてきていると。この問題は、我が国関係企業だけではなくて、世界じゅうどこの企業も同じような目に遭っているわけであります。この間、オランダの経済大臣が来まして会談したときにも、その悩みを訴えていましたから、世界じゅうの資源を求める自主開発をしている国の共通の悩みだというふうに思います。  そこで、じゃ、政府は何をするかということでありますが、この資源開発をどうサポートしていくかということであります。二点があるかと思います。  一つは、今、GCC諸国とFTA交渉をしています。もちろんその湾岸諸国だけではなくて、日本に対する資源輸出をしている国との関係を政治的により安定的なものにしていくという、政治経済的に安定的なものにしていくというFTA、EPA交渉をするということが一つであります。  もう一点は、開発事業者のリスクを少しでも引き受けるということでありますから、今、資源機構の出資割合が現状ですとたしか五〇パーであります。これを予算要求で、できれば七五パーくらいできるようにしたいと、今、予算要求に向けて交渉中であります。  そういうふうに、国としての環境整備、資源開発プロジェクトに対する支援等を通じて自主開発比率を上げていく、調達リスクを下げていくということに取り組んでまいっているところでございます。
  41. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 いずれにしても、なかなか難しい状況になってきましたんで、是非お話しになった点も含めて御努力をお願いしたいと。  やはりこの数年見ていますと、この種の問題というのは、やはり日本の民間企業が大変しっかりしてきていますから、それぞれの企業でいろいろ主体的にやれるという状況なんですが、やはり情勢が変わっていくと民間企業ではなかなか難しいという部分も出てきますので、そういう面で政府の役割が大きいのかなというふうに思っています。  ちょっと残りの時間で、最近、安倍内閣の方でも再チャレンジということがいろいろ言われていますし、大臣の所信の中でもお触れになっていました。その問題を正面からやろうということではないんですが、特に中小企業という視点で見ると、一つの大きな問題は、やはり金融面で、お金を借りるときに個人保証をせざるを得ないと、あるいは第三者の方にもお願いをして保証を付けてお金を借りざるを得ないと。そうすると、いったんしくじってしまうと、すってんてんになってしまって、なかなか再起が難しいと。こういうことでありまして、これはこの経済産業委員会の場でもこれまでに何度も議論をされてきたわけであります。  それで、今日は、ちょっとこの第三者保証と個人保証の問題について経済産業省の御所見をお伺いしたいというふうに思います。  一つは、第三者保証の方の問題から先にお伺いしたいんですが、いろいろ私も調べてみましたら、やはり第三者保証については、今付けているんだけれども、こういうやり方は納得できないと、借り手から見ると、こういうふうにおっしゃっている方が中小企業の中でももう圧倒的に多いんです。ただ、個人保証という話をすると、これは昔からの商習慣もあるので、これいいか悪いか分かりませんが、かなり、しようがないなと、こういう声も出てくるんですが、第三者に保証を求めるという話になると、やはりこれはもう改善してほしいと、納得できないと、こういう声が多いんです。  それで、この問題についてちょっと二つの角度からお聞きしたいんですが、政府の方も、特に政府系金融機関においては第三者保証を付けないといいますか、求めていかないということでいろいろ努力をされてきまして、実は私も調べてみたんですが、例えば中小企業金融公庫とか商工中金になりますと、もうほとんどゼロに近いのが実態でございます。ただ、実はもう一つあります国民生活金融公庫、これは零細な方が相手ということはあるんですが、ずっとこの五、六年を見ても大体三割ぐらい、貸出しのうちですね、第三者保証を付けている。どうも実態調べると、お金を貸すときに第三者保証を求めないのが四割弱ぐらいで、六割ぐらいの方にはどうも求めていて、結果として付いているのが三〇%ぐらいということで一貫して変わっていないんですね。今日は本当は財務省も来てもらえばいいんですが、ちょっと時間の関係もありまして呼んでいません。是非ひとつ大臣にこの点改善を、財務省を含めて取り組んでいただきたいということをお願い申し上げたいと思います。たしか今年の予算の中で若干これに、こういう政策につながるのかなというものも入っていますので、多分同じような問題意識をお持ちなのかなというふうに思っています。  それからもう一つは、この信用保証協会、これは原則求めないということになっているんですが、いろいろ実態を聞いてみますと、一部にまだ残っていると、求めているというケースがあるようでございまして、これは制度の問題ではなくて実態を改めるという問題になると思うんですが、是非この点も併せて改善のお取り組みをお願いしたいと思いますが、御所見を伺えればと思います。
  42. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 第三者というんですから経営に関係のない人を巻き込んじゃうわけですから、親戚、身内、知人あるいは取引先、そういう者を無関係の事態に巻き込んでしまうということでありますから、極力これは避けていかなきゃいけないわけであります。  まず、国民生活金融公庫についてでありますが、現状で無担保無保証の経営改善貸付け、いわゆるマル経というのが一千万ありますが、加えて第三者保証人を不要とする融資制度、これは上限が一千五百万と聞いておりますが、これに取り組んでいると。さらに、来年度要求において制度の拡充を検討しているというふうに承知をいたしております。第三者保証人を求めない融資の拡大について、引き続き積極的な取組を私も期待しているわけであります。期待しているというのは、所管が、おっしゃるように財務大臣、私の所管ではありませんので、財務大臣に要請するというところでございます。それから、信用保証協会につきましても、本年の四月から原則として第三者保証人を徴求しないよう求めているところであります。今後ともその趣旨の徹底を図ってまいります。  いずれにしても、経済産業省といたしましては、中小零細企業の資金調達の円滑化に省を挙げて取り組んでいきたいと思っております。
  43. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ほとんど時間がなくなっちゃいましたので、あと四つ、五つ用意していたんですが、はしょりまして、最後一つだけちょっとお伺いをしておきたい点があります。  これはやはり今の融資の話で、基本的に個人保証というのをなくしていこうじゃないかということでありまして、これは二、三日前の新聞に、中小公庫の融資で経営者の保証不要と。多分これ経済産業省で検討されているんじゃないかと思うんですが、四半期単位の決算をきちっと報告するという仕組みをつくって経営者の個人保証をなくしていこうと、こういう方針だということが報道されました。  それで、私は、これ基本的にいいことだというふうに思うんですが、ちょっと水差すようで申し訳ないんですけれども、これはこれでいい制度なんで是非検討いただきたいんですが、実は、中小企業で四半期単位にじゃ決算やっているのかというと、ほとんどやっていませんで、大体、私もちょっと調べましたが、四半期単位あるいは月次でBSとPLを作っているところというのは全体のまだ一割行っていません、七、八%ぐらいでありまして。そうすると、多分これは中小企業の中でも割合能力のあるところだと思うんですよ。  そうすると、実は、これ制度として作っても、四半期決算を前提にしますと実質的には機能しないというか、効果が出づらいんではないかなと。つまり、一部のところしかまだ定着していませんので、それを前提にお金貸すということですから、それ以外のところは担保持ってこいということになりますのでね。  そういう意味でいうと、もう少し幅広い、別の手だても考えないと、せっかくの政策が空回りしちゃうと。今日触れませんでしたが、実は、売掛債権担保制度というのも、法律作ったんですが、当初目標のまだ半分ぐらいしか実績もないようでありまして、そういう面でいうと、もうちょっと検討が必要ではないかというふうに思うんですが、最後にこの点ちょっとお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  44. 石毛博行

    政府参考人石毛博行君) 直嶋先生からのお尋ねの件でございますけれども、中小公庫で今検討中のものとしては、まず、そういう個人保証を取らないということであればリスクがやはり融資する側としては高くなるので、その分金利の上乗せがやっぱり必要かなという要素もございます。  それからもう一つ先生がおっしゃいましたように、四半期ごとの財務の報告データを出すというようなことが条件になるかなといって、今検討をしているところでございます。  後者の財務のデータにつきましては、確かに中小企業の中でそこまで用意している者は少ないというのは現実だと思います。  ただ、私ども、こういったような融資の制度を何とか多く広がるようにしていきたいというふうに思っているものですから、まずは経営状況の良いところということになるかもしれませんけれども、そういうところから、経営状況の良いといいますか、規模の大きいところというところになるかもしれませんけれども、そういうところから手を付けて、そこから広めていくということかなというふうに思っております。  別途、中小企業会計ということで、こういうものをもっと広めていかなくてはいけないということで、私ども、そういう会計を普及させるような努力を行っているところでございます。
  45. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。また改めてやらせていただきます。
  46. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) 午前の質疑はこの程度にとどめて、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  47. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) ただいまから経済産業委員会再開いたします。  休憩前に引き続き、経済産業貿易及び公正取引等に関する調査を議題として、質疑を行います。  質疑のある方は順次発言をお願いします。
  48. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党・新緑風会の藤末健三でございます。  本日は、甘利大臣の所信表明に対する質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。  私、ちょっと冒頭に申し上げますが、質問の数が割と多うございますので、コンパクトに是非議論を進めさせていただきたいと思っています。  私が御質問したい点は大きく三つございます。一つは、経済外交ということで、EPAをこれから進められるという話をどう考えられるか。そして二つ目に、午前中も議論がございましたが、エネルギー政策、大枠をどう考えていくかと。そして三つ目に、今私自身が一番気を掛けていますのが中小企業政策でございます。今、大企業が非常に調子がいいと言われている中で、特に地方の中小企業は非常に苦しい思いをしている。その点についてお話をしたいと思います。  まず初めに、経済連携協定につきまして、EPAについてお話をしたいと思いますが、午前中も加納委員からもお話ございましたように、東アジアにおける我々日本の、我が国のイニシアティブを取るために、まず一つございますのは、来年の予算で東アジアOECDを進めるという予算を行っていただいております。私は、本当にこれはすばらしいアイデアだと思っております。  そこで、一つお願いがございますのは、今、日本が資金を提供して東アジアOECDをつくるということでございますが、資金を提供するだけではなく、是非イニシアティブ、組織を動かせるような人材を是非送り込んでいただきたいと思います。いろんな国際機関に伺いますと、日本がすごい拠出をしている、しかし日本人の数を調べるとほとんどいないというような状況もございますので、是非とも人材を送り込み、そして、できましたら、本来のOECDのように政策を研究して、その政策を実際に実行に移すところまできちんとつなげるような仕組みをつくっていただきたいと思います。  大臣はこの十二月に東アジア・サミットに向かわれて議論していただくわけでございますが、是非、その東アジア・サミットに向かっての抱負をお聞きしたいと思います。大臣、お願いいたします。
  49. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 東アジアEPA東アジアのOECD構想というのは、私は車の両輪だと思っています。東アジアにおけるシンクタンク、ただのシンクタンクだけじゃなくて、それを具体的に政策実行移すまで後押しをしていく、そういう仕組みであればこれは非常にいいわけでありますし、その中で日本がリーダーシップを取るということが大事であります。お金だけじゃなくて、その運営にリーダーシップを発揮をしていく。日本東アジアにおいて誇りを持てる国であるために非常に重要な要素だと思っております。  十二月の東アジア・サミットでは、首脳レベルでこの東アジアOECD構想、東アジアASEAN経済研究センター、この設立に関して改めて日本側から紹介をして、各国の賛同を得て、来年度のこのセンター設立を目指して準備を加速をするということでございます。必要な資金のみならず、我が国から、藤末先生お話しのとおり、優秀な人材を派遣をして、東アジア政策協調に貢献をし得る研究活動ができるよう、その体制をしっかり取っていきたいというふうに思っております。
  50. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非甘利大臣のイニシアティブで新しいこの東アジアの枠組みをつくっていただきたいと思います。  私は、恐らくこの東アジアOECDはボディーブローのように効くと思うんですよ。長い目で見たら、おお、すごいことをやったなということになると思いますので、是非とも御指導いただきたいと思います。  また、私自身、すごくこの経済連携協定には興味を持っておりまして、昨年、実はワシントンDCに行ってきました。ワシントンDCでいろんな方にお会いしたんですが、一番記憶に残っているのは何かと申しますと、東アジアが独立した経済連携的なものをつくるということについてはアメリカとしては至ってネガティブであるということを、アメリカ政府の高官の方と実は議論して出てきたんですよ。例えば古くは九〇年代のAPECもそうです。経済産業省が新しいアジアの枠組みをつくろうということで動かしましたけど、端的に言ってアメリカが途中で入ってきて枠組みが少し変わったというところがございます。ですから、是非この現在推進していただいています東アジアEPA構想、ASEANプラス6の枠組みでもアメリカに対する配慮を本当にきめ細かくやっていただきたいと思うんですが、その点につきまして御回答いただきたいと思います。お願いいたします。
  51. 甘利明

    国務大臣甘利明君) おっしゃるように、ASEANプラス3のときには黙って見ていたアメリカASEANプラス6になると懸念を示してきたことは過去に事実があります。アメリカの懸念は、そうするとAPECの存在意義はどうなっちゃうのさと。自分が入らない大きな枠組みができるということは余り気持ちがいいことじゃないということだと思います。  私の方からも、就任しまして、シーファー大使にその意義をお話をいたしました。とにかくASEANプラス3であるとインドという大人口大国が外れる、アジアの成長の中国と並ぶ大きな拠点になるところ、これをわざわざ入れないというのはおかしいではないかという話と、それからAPECのビルディングブロックになる、つまりAPECをしっかり中から支えていく存在なんですよと。APECの日米の関係がこのASEANプラス6を取り込んだ、ASEANプラス6を中に包含している際にきちんと色合いがそろうようにした方がいいんじゃないですかと、そういう話をしましたら一応の御理解はいただきました。  なお、我が省からこの点の懸念払拭のためにアメリカに派遣をしまして、そこでも理解をいただいたと承知をしております。
  52. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非アメリカとのこの連携をやっていただきたいと思います。私自身も、やはりこのアジアにおけるこの経済ブロックの意義というものをやっぱり本当に考えていただきながら、そして私自身思いますのは、我が国これから人口が減っていく中でどうやって支えていくかと、経済を。やはり中国インドというこれから経済が伸びるであろう近くの国の連携、是非やっていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  それともう一つ、ちょっと余り前向きな話じゃないんですが、資料をちょっとお手元にお配りさせていただいております。二枚目をちょっとごらんになっていただけますでしょうか。  お手元にお配りしました二枚目の資料は、これは二〇〇四年十一月時点で政府と申しますか、経済産業省を含め政府が作っていただいた経済連携協定のスケジュールでございます。二年前のスケジュールです。これを見ていただきますと、一番上にありますシンガポール、あとメキシコ、まあある程度順調、少し遅れながらも順調に推移しています。ところが、三番目にございます日韓の交渉につきましては昨年中に実質合意をするという話でございましたが、これはもう決裂して再開のめどは立たずと。そして、また日・ASEAN、これも来年の春ぐらいには予定としてはまとめなきゃいけないという状況。また日タイ、日比、日・マレーシアとございますが、割と非常に交渉時間を要しているんではないかなというふうに見えます。  お聞きしたい点は二つございます。一つは、やはりこのスケジュールを見ますと概して遅れがちじゃないかなということが一つ。その原因は何ぞやと。そしてもう一つは、私、このASEANプラス6を考えた場合、日本韓国との交渉というのが非常に大きなキーになると思います。この交渉について決裂した状況をどう解決するかということにつきまして是非お答えいただきたいと思います。お願いいたします。
  53. 甘利明

    国務大臣甘利明君) このスケジュール表からいうと、例えば日韓は今交渉が中断しているではないかと。そのとおりであります。呼び掛けておりますけど、なかなかテーブルにのっていただけません。韓国側からは、農業関係の日本からのオファーがこのレベルではというようなことを言っているようですが、実は正式にオファーしておりませんで、向こうが、多分こうであろうとか、こういう話が出ているらしいということを基にこんな内容ではということを言っているようなんですね。とにかく、基本的にテーブルに着いてから交渉するわけでありますから、いかなる話があろうともそれは結構だけれども、とにかくテーブルに着いて話す話じゃないのかと。こっちから正式にまだオファーも何もしてないんだからという状況でありまして、今精力的に進めているところであります。  日・ASEANは、来春を目途にまとめるという予定であります。  タイにつきましては、もういつでもその署名ができるんですけれども、向こうの国がああいう状態になっちゃったものですから、是非早くきちんとした認知された政府として締結ができるようにしてもらいたいと、待っている状況であります。  フィリピンは先般できまして、マレーシア、これも皆整った、合意が成り立ったわけでありますし、発効しているところもあるんですが、全体のスケジュールについては、私が前に承知していたスケジュールからするとそんなに遅れてないんですが、ちょっとこの資料がよく、今初めて、先ほどもらったものでありますから分からないんですが、まあ比較的順調には進んでいると承知をしております。
  54. 藤末健三

    ○藤末健三君 私もそれほど遅れているとは思いません。ただ、一つちょっとお願いがございますのは、例えば日韓の交渉でございますけれど、私、実際、昨年韓国に行って韓国のFTA担当者に会って、財界の人たちに会って、あと大学の先生にもお会いしてきたんですよ。今年もまた向こうの財界の方とお話をしたんですが、やはり彼らがおっしゃっているのが正しいかどうかは別にして、彼らが言っていたのはやっぱり農業問題が非常に引っ掛かっていると、お互いに。韓国も引っ掛かるし、日本も引っ掛かっているという状況でございまして、これはもう大臣と申しますか皆様にお願いなんですけれど、FTAをやはり通産省がイニシアティブ取っていただきたいんですよ、僕は、正直申し上げて。いろんな役所挙げて、例えば私がオーストラリアの方とお話ししたとき何を言われたかというと、FTAの議論、EPAの議論をするとき、日本はだれと話していいか分かんないとおっしゃるんですよね。これはメキシコにたしか行ったときも何か言われました、僕、同じことを、メキシコの交渉担当者から。  私がお願いしたいのは、やはりイニシアティブ、窓口を一本化しろとは申し上げませんが、中身を実質的に僕は仕切っていただきたいということをお願いしたいと思います、本当にこれは。韓国も実際に、外務通商部の中にFTA局をつくってやっておられますし、また外に、大学の中にFTAの研究所もつくっているんですよ、外部でいろいろ調査をするために。ですから、通産省が今農業問題も含めて、後で申し上げますけど、外国人の人材の受入れも含めてすべて青写真をつくった上で議論を進めるぐらいのことをやっていただきたいと思います。九〇年代にAPECを立ち上げていただいたじゃないですか。これ、それぐらいのやっぱり僕は起爆剤だと思いますんで、FTA、EPAは。甘利大臣の本当にイニシアティブを、リーダーシップをお願いしたいと思います。  それに関連しまして、私自身今思いますのは、中国とかアメリカといった大国との関係、インドも含みますけれど、そういう大きな国との経済連携協定交渉というのは非常に重みを持つと思います。ただ、私、我が国を見た場合どうかと申しますと、特に私は重要であろうと思いますアメリカとの経済連携協定交渉がまだ始まっていないという状況でございまして、韓国はもう既にアメリカとの間で経済連携協定と申しますかFTAの共同研究を始めておりますが、その点について、アメリカとのEPA、FTAの共同研究、若しくはどう進めるかということについてお答えいただけないでしょうか。これは山本副大臣にお願いいたします。
  55. 山本幸三

    ○副大臣(山本幸三君) 現在、我が国は、二大先進国でございます日米両国の経済関係を一層深化させるとともに、地域や世界の課題について米国と協力して取り組んでまいらなければなりませんし、そのように進めているところでございます。御指摘のように、非常に大事な関係であります。  そこで、日米FTAということについて、日米財界人会議や、あるいは在日米国商工会議所等、あるいはまた経団連からも出るんじゃないかと言われておりますけれども、そういう要望が確かに上がってきておると承知しておるところでございます。  私どもも将来的にはできればそういうことが望ましいというように考えておりますけれども、ただ、農業の問題とかあるいはWTOとの関係をどうするのかということもございまして、その辺のところを民間の方々の意見も聞きながら、どうしたら本当に日米経済関係が緊密に、また強化されることになるのかじっくりと検討していきたいと思いますし、方向としてはそういう気持ちでやっていきたいなというふうに思っております。
  56. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非アメリカとの議論を深めていただきたいと思います。特に、山本副大臣はハーバードで学ばれたということもあられますんで、そういう本当に学と学、まず役所同士の語らいの前に例えば学者同士のネットワークをつくっていただき、そこから議論を始めるなど、いろいろやり方あると思うんですよ。是非そういう仕掛けをおつくりいただければと思います。  次に、今回、フィリピンとの間で経済連携協定を結ぶということでございまして、私はこのフィリピンとの間のEPA経済連携協定に非常に注目していますのは、介護士を始めとします外国人労働者を受け入れるという枠組みをつくるということがございます。  私はこれをなぜ重視するかと申しますと、これから日本我が国の労働人口はどんどん減っている、もう既に減り始めています。その中で、我が国産業が必要とする外国人労働者をどうやって受け入れるべきか、受け入れるかということの一つのひな形になるんではないかということで非常に注視しているわけでございますけれど、その体制、一番問題となるのはやっぱり外国人労働者の入ってからの管理体制じゃないかと思います。私自身がちょっと自分なりに勉強しますと、我が国外国人労働者の管理体制はもう全然できてないです。  例えば、イギリス、ドイツですと、一つのデータベースというかシステムがありまして、その中に、外国人労働者がどこで働き、住所はどこで、税金幾ら納め、社会保障料を払っているかどうか、ほとんどのデータがもう一元化されていると、そして管理されているという状況でございますが、我が国におきましては、後で御説明いただきますけれど、法務省の方が国に入るときと出るときだけを管理して、あとはほったらかしなんですよ、実は。例えば、どこで働いているかということも、厚生省はレポートをもらうんですけれど、何人その事務所で働いているかという人数しか把握していない、そういう状況でございます。  このような状況の中で、EPA等をどんどん進めて外国人の労働者の方に入っていただいたとしても、私は、今の状況じゃコントロールできない、管理できない、必ず問題を起こすと思います。  そういった中で、ちょっと資料をお配りしましたけれど、三枚目ございます。外国人労働者がどんどん増えているというちょっと資料をお持ちしたんですが、その中で研修・技能実習生という制度がございまして、外国人の方々、大体十五万人ぐらい今、研修・技能実習生として来られています。  この制度がなぜ伸びているかと申しますと、非常に企業が責任持って外国人労働者の方々の受入れ、そして帰国までを管理するという仕組みがございまして、政府が本来やるべきところを補完しているんじゃないかという状況でございますが、私が思いますのは、当面はこの研修・技能実習生の枠組みを充実するべきではないかと。実際に私自身、いろんな全国の工場などを伺っていますと、この制度をもっと拡充していただきたいという声が私は聞いております。その点につきまして、経済産業省そして法務省からお話をお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。お願いします。
  57. 鈴木隆史

    政府参考人鈴木隆史君) お答え申し上げます。  外国労働者の受入れにつきましては、専門的、技術的分野の労働者の受入れは積極的に対応する一方、単純労働者につきましては慎重に対応するというのが政府の基本方針でございます。  一部の地域では、先生指摘のとおり、産業の担い手確保や国際競争力の強化のため、外国人の活用が進んでおります。しかしながら、外国人の受入れ、拡大には国内労働市場への悪影響や社会的コストの増加を懸念する声があるのもまた事実でございます。このため、当省といたしましては、産業界のニーズを踏まえながら、IT人材の受入れ基準の緩和など、随時関係省庁と連携をいたしまして、専門的、技術的分野の範囲、要件の見直しをしております。  また、先生指摘のとおり、諸外国への技術移転を目的といたしました研修・技能実習制度、これは受入れ機関が限定されることから在留管理が比較的容易でありますために、制度の趣旨を踏まえつつ、運用の適正化と産業界のニーズに応じて充実方策を検討しているところでございます。
  58. 奥野信亮

    大臣政務官(奥野信亮君) 外国人労働者の受入れにつきましては、少子高齢化時代を迎えた我が国にとってニーズは高いように思われるわけでありますけれども、一方ではやっぱり国内の労働市場にも多くの懸案事項があります。御承知だろうと思いますが、高齢者、お年寄りの活用とか、女性の活用とか、あるいはニート、フリーターの問題、そういった懸案事項をも考えなくてはいけない。あるいは、いわゆる安全、安心という社会を求める国民の立場に立って、本当に国内の治安に与える影響があるのかないのか、あるいは社会的コスト等もよく吟味していった上で考えていく必要があるんだろうと思います。  また、御指摘の研修・技能実習制度につきましては、各方面から制度の悪用など不適正な事実が存在していることも事実であります。御承知かとは思いますが、過去五年間にその研修中の方が八千人も市場へ出ていってしまってトレースができないというようなことも実態として起きておるわけでありますから、その実態をしっかりと把握した上で関係省庁と連携協力して研修・技能実習制度の適正化を求めていきたいと、進めていきたいというふうに考えております。  さらに、適正化を図りながらも、更に技能・研修制度の一層の充実、特に日本で生活していただけるわけですから、日本語というものにも堪能になってもらわなくてはならない、そういったものも含めて充実した制度の見直しを検討していきたいと思っております。
  59. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、法務省も奥野政務官にイニシアティブを取っていただいて進めていただきたいと思います。  そしてまた、ちょっと先ほど軽く触れましたけれど、一つお聞きしたいのが、今法務省の方で入出国の管理を、こういう情報システムやっていただいていますけれど、私が法務省にお願いしたいのは、入出国の管理のみならず、例えば外国人労働者がどこに住み、どこで働き、どれだけ税金を納め、そして子供たちを学校にやっているかどうかといったものを一つの場所で管理できるような仕組みを私は法務省につくっていただきたいと思うんですが、それがなければ恐らくいろんな問題が出てくると思うんですよ、はっきり申し上げて。受け入れた企業の責任でやってくれという話じゃないと思うんですよ。  実際に浜松なんかに行きますと、昼間からもう絶対日系のブラジル人の方だなと思われる子供たちが学校に行かないでうろうろしているんですよ、本当に、現状の問題として。そういうものをきちんと管理する仕組みをつくらなければ、この外国人労働者の問題は解決しないんじゃないかと思うんですよ。  ですから、是非一元的に外国人の労働者を管理するシステムを法務省がイニシアティブを取ってやっていただきたいと思うんですが、その点、いかがでしょうか。お願いいたします。
  60. 奥野信亮

    大臣政務官(奥野信亮君) 法務省というところは、外国人の在留情報をしっかりと正確に把握して管理をするという、そういう役柄を担っているということは十分承知しているわけであります。  しかし、一元的に管理をしていくためにはいろいろな方の御協力を得なくてはいけないということも事実だろうと思います。そういう意味で、政府の犯罪対策閣僚会議の下で今、外国人の在留管理に対するワーキングチームというのができております。そういったところでの検討状況をも踏まえながら、我々としても、外国人の在留実態がより的確に把握できるようにあるいは管理できるようなそういったシステムの在り方を追求していきたいと、そういうふうに積極的に考えていることは事実であります。
  61. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非積極的に進めてください。  なぜかと申しますと、私は、海外の事例とか今国内の仕組みを見た場合に、やはり法務省の入出国管理のデータベースが基本になっちゃうんですよ、実を申しますと。入出国のときに外国人の方の名前が全部入ると、そこに税の問題とか教育の問題を付加するのはできるんです。ですから、税のシステムに外国人というのを入れるの難しいんですよ、簡単に申し上げて。ほかの国もやはり外国人の労働者のデータベースにいろんな役所がアクセスしてデータを入れるという仕組みになっておりますので、是非とも、これは法務省のシステムしかできないんですよ、絶対。ですから是非お願いします。もう政務官にお願いしたいと思います。  最後に、EPAに関しましては、来年、経済産業省がアジア人財基金ということを打ち上げられるわけでございますが、このアジア人財基金、私はもう非常にタイミングもいいし、すばらしい企画だと思っております。私が大臣にお願いしたいのは、是非ともこの制度の実効性を高め、そして一番重要なことはアジアの諸国とうまく連携をしていただくということじゃないかと思いますので、この確立について大臣の御意見をお聞きしたいと思います。お願いいたします。
  62. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 外国人を日本に入れる問題の中で私が非常に大切だと思っていますのは、その国を担うような人材が日本といい関係を学生のころから構築してくれると、そのことにどう政府企業がかかわっていくかということが非常に大事だということをかねてから主張してきたわけでありますが、このアジア人財資金、仮称でありますが、アジアからの優秀な学生を日本に呼び寄せて日本アジアの懸け橋となる人材を育成すると。呼び寄せて、文科省と連絡をして国内修学の機会の拡大、人材の育成をしていくということでありまして、日本に研究やあるいは留学で来る、その人が企業に就職をする、その場合、どうもそういう人たちからの不満は、企業側の体制が何か使い捨てみたいなことになっているという、一部不満が出ていると承知をしています。つまり、外国人のキャリアパスが明確になっていないということでありまして、アジアからの優秀な学生を対象に国内就職の機会の拡大などの優秀な人材の受入れ環境を整備をすると。我が国アジアとの若者レベルでの人材交流を進めるということのためにアジア人財資金というものを概算要求して検討を進めているところであります。  今、経済産業省といたしましては、グローバル人材マネジメント研究会というのを立ち上げまして、先ほど来御説明をしております、外国人のキャリアパスが明確でないなどという日本企業の人材活用の仕組みの見直しであるとか、真に優秀な人材を引き付ける人材マネジメントについての検討を進めるように今指示をしているところでございます。  今後、関係省庁、それから大学などの関係者と緊密に連携を取りまして、我が国産業競争力の強化、そしてアジア諸国との連携強化や相互の発展に貢献していきたいというふうに考えております。
  63. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非甘利大臣にお願いがありますのは、甘利大臣は商工部門の本当にもう専門家であられますし、また、この間中国に連れていっていただきましたけれども、アジアも本当に深い専門家でありますので、是非ともこのEPAを基軸としまして、是非日本の、我が国のこのアジアにおけるポジション、びしっと経済産業省がつくっていただきたいと思います。  続きまして、エネルギー政策に移らさせていただきたいと思います。  本来であれば、午前中に加納委員からもお話ございました減価償却税制の改革、これも非常に私も重要だと思っています。実際に中国などに行きましても、今中国の工場の方が日本の工場よりも新しい機械が入っているというような場合をよく見ます。本当にそうなんですよ、これ。多分、中国というと、古い機械が入っているだろうなと思われるかもしれませんけれども、こんな最新の機械何で入っているのというやつが入っている。ところで、逆に一方で、日本で最先端の部品を作っている工場でさえも、古い機械を一生懸命、一生懸命改良しながら使っているんですよ。何でこんなことが起きるんだろうと。やはり、私自身もこれ調べると、減価償却税制が非常に設備投資に不利になっているということでございましたので、今回のこの減価償却税制はもう必ず変えていただきたいと思いますし、また、もう一つお願いがありますのは、今、アメリカ、イギリス、ドイツとかとの比較をされていますけど、中国なんかもう本当異常な優遇税制つくっています、今、中国韓国は。ですから、本当にもう近くの、この製造で争っている中国韓国ASEANの国々に負けない税制是非つくっていただきたいと思います。もう製造業の敵はヨーロッパやアメリカじゃないですよ。アジアの国々だと思うんですよ。ですから、是非税制の議論ではもうアジアの国々の税制と負けないような企業税制を整備していただきたいと思います。  減価償却につきましては、ちょっと一つ附属の質問でございますが、私自身、今非常に原子力の問題、いろいろ民主党内でも勉強さしていただいていますが、原子力施設の減価償却の期間が非常に長いんじゃないかなという懸念を持っております。今、日本原子力技術をどんどんどんどん革新するためには原子力施設の減価償却の加速化も必要じゃないかと思うんですが、その点につきまして、エネルギー長官、御答弁をお願いいたします。
  64. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 原子力発電所の機械装置につきましては、減価償却資産の耐用年数は現在十五年とされております。この減価償却資産の耐用年数自身は、資産の物理的な寿命や経済の陳腐化などを考慮して定められるものでありますが、必ずしも法定耐用年数が物理的な設備の寿命とは一致するものでないというふうに認識しております。  それで、この原子力発電所の法定耐用年数につきましては、今おっしゃいました長過ぎるという議論と、それから、また別途の観点から短過ぎるという議論と両様ございまして、これから行われる減価償却税制見直しの議論の中でも様々な意見をいろいろ伺いながら検討さしていただきたいというふうに思っております。
  65. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非検討をお願いしたいと思います。  次に、同じく原子力エネルギーに関係しまして、私は実はこの夏、旧原子力研究所、現在、原子力研究開発機構の研究所の方に見学に行ってまいりました。  そのときに感じましたのが、プルトニウムを扱う研究所だったわけでございますけれども、一つ思ったのは、研究所の門に警備が非常に原子力発電所なんかと比べると薄いんですよ、実は。それで、何でこんなに違うのかなということも思いましたし、また、同じプルトニウムをいじるMOXが今動き始めていますけれど、そういうMOX燃料を造るところと、その旧原研の研究所、同じプルトニウムをいじっているにもかかわらず、連携しているかというと、してないんですね、実は。同じようなことをやりながら、設備、研究者の交流、技術の交流がほとんどないという状況、私が見た限りでは、という状況でございました。  これはもう私の個人的な持論でございますけれど、原子力行政をこれから強力に推進するためには、今、研究と実用化、そして運用というところで分断された原子力行政を一元化すべきじゃないかと思うんですが、この点につきまして経済産業省及び文部科学省の御意見を伺いたいと思います。よろしくお願いします。
  66. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) どちらから。じゃ……
  67. 藤末健三

    ○藤末健三君 いや、大臣、駄目ですか。
  68. 甘利明

    国務大臣甘利明君) なかなかこういう場合、言いづらいところもあるんですが、文科省と経産省のうまい役割分担とそれから連携というのが大事だと思うんです。分担はできているけれども、先生の御指摘、連携はどうかしらという点は、そうであるならば反省をしなければならないと思います。  基礎的なところは科技庁でやって、私のところでは実用化の部分を担当すると。そうしますと、コストという議論もしますし、いろんな視点から実用化研究をしていくと、実用化に向けての様々なことを取り扱うと。基礎的な部分については、そういう若干、私どものコスト感覚よりも、実際に本当に研究に特化して深掘りができるというところで、若干思想が違うのを役割分担をしているんだと思います。  ただ、その役割分担と連携の下にというものと、連携の部分について御指摘をいただきましたので、しっかり進めていきたいと思っております。
  69. 水落敏栄

    大臣政務官(水落敏栄君) 藤末先生にお答えをいたします。  原子力エネルギーの利用には材料工学やあるいは核物理など広範な分野における基礎研究から応用に至るまでの多様な研究成果の蓄積が不可欠であるわけでございまして、先生御承知のとおりであります。  例えば、今後計画されております高速増殖炉サイクルの実用化につきましては、当面、機械工学、材料工学等の幅広い研究開発に力を注いでいくことが必要でございます。研究開発を所管する文部科学省といたしましては、これを万全を期して進めてまいりたいと、このように思っております。また、今後、研究開発の成果が蓄積をされ、実利用の見通しが得られる段階においては、経済産業省が主体となっていくものと認識をしております。  いずれにいたしましても、文部科学省としては、経済産業省とも十分連携を取りつつ、原子力エネルギーの利用が安全に促進されるよう引き続き研究開発の推進に努力してまいりたいと思っておりますので、御理解を賜りたいと思います。
  70. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非甘利大臣及び経済産業省の方に申し上げたいんですけれど、今原子炉って国内でもう立地できないじゃないですか、正直申し上げて、どんどん減ってくると。やっぱり造んないと技術は維持できないんですよ。立地ができない中、じゃ、造れない中、どうやって技術を維持するかといったら、研究開発を使うしかないですよ、長い目で見たら。  ですから、本当に我が国、今、原子力技術は我が国と恐らくフランスしかないです、まともな技術は、正直申し上げて、最先端の技術は。我が国がきちんと技術を維持するためにどうすればいいかと。分担じゃないです、これ、絶対。実用化もあるし研究もあるし大学もあると。みんなが表裏一体になって原子力技術をどうやって維持して育てるかということを考えていただかなければ、実用化はこっちで、研究はこっちですじゃないですよ、本当にこれ、是非考えてください。我が国原子力技術をどうやって維持し伸ばしていくかという観点で考えていただかなければ、これ本当にもうちぐはぐしちゃうと思うんですよ。将来、原子力発電所を海外に一杯造りましょうというときに、なったときに、いや、技術者が足りませんとか、そういう話になると思うんです、このままいくと。  ですから、本当に全体として見たその政策是非作っていただかなければ、大学も含めて、原子力行政は立ち行かなくなると思います、本当に。是非これ検討してください。  これ、表面的なことしか申し上げませんでしたけど、もっと長い目でこの日本原子力技術をどうするかということを考えていただかなければ、働いている方も不安ですよ、これ本当に。縦割りじゃないです、絶対。ですから、本当に原子力技術をどう維持するかという観点の中から議論を一回やり直してください、お願いします。  そして、午前中もちょっとこれ加納議員、そして直嶋議員からも話出ましたが、エネルギーの問題につきまして、石油とか鉱物資源の確保というのが非常に重要じゃないかと思います、私も。石油公団が今ほかの組織と、MアンドAと申しますか、一元化されまして、石油天然ガス・金属鉱物機構、MアンドAと言いませんね、済みません、新しい組織ができたわけでございますが、やはりいろんな制度の枠組みを見ていますと、旧態依然というのは失礼な言い方かもしれませんが、まだ自分たちが主体となって予算を出してやっていこうという感じが非常に強く見受けられます。  何を申し上げたいかといいますと、一つは、政府の資金で出資して開発をやるというのも必要かもしれませんが、もっと、今リスクを取りたがっている民間資金がございますので、もっと民間資金を利用するという仕組みを是非考えていただきたいと思います。必ずレバレッジ効きますから、百億円出して一千億円のことができるはずなんですよ、今でしたら、金融技術を使えば。  あと、午前中もお話ありましたけど、経済連携協定、今GCCと議論されていますけど、中国はもうFTAを資源確保の道具に使っていますから、既に。我が国是非使っていただきたいし、また趣旨とは反するかもしれませんけど、ODAの活用是非やっていただきたいと思います。  この国、我が国は本当にエネルギー資源もうほぼゼロの国でございますので、もう死活問題でございますので、政府ができることをすべて挙げてやるという発想にもう一回立ち返っていただいた方がいいんではないかなという。今、何か議論していると、石油市場から調達できます、鉱物資源市場がありますとおっしゃいますけど、いつ市場は、僕、倒れるか分からないと思うんですよ、これは。それでもやはり支えていくのが国の責任だと思いますので、もっと幅広い視野からの資源の確保という政策を再構築していただければと思います。  これは甘利大臣是非、ちょっと所見を伺います。
  71. 甘利明

    国務大臣甘利明君) かつて石油公団に不祥事がありましたときに、不祥事といいますか、極めて効率の悪い運営ということをたたかれましたときに、議論として、世界じゅうに資源調達の市場ができているんだから、行って買ってくればいいじゃないかと。もう当たるか当たらないか分からないような上流開発にべらぼうな政府の資金を投ずることはないという議論があって、石油公団をなくせという話が出ました。そのときに私は、石油公団の運営に極めて非効率な点があるんであるならば、それはもう抜本的に改めることに全く異議はないと、中身を効果的、効率的にするということと機能をなくしちゃうということは全く別問題だからということで随分抵抗しましたけれども、抵抗むなしく、事実上なくなってしまって、今細々と別な形のところで糸をつないできたというところであります。  御指摘資源機構につきましても、独法でありますから、予算の制約を物すごく受けるんですね。毎年毎年、事実上縮小に向かった縛りを掛けられるような、そういう予算査定の中で政策を遂行していかなきゃならないと。今こそ資源開発が国策として大事だというときに、極めて身動きがしづらい状況になっています。もちろん独法の存在自身、厳しい予算査定の目で運営を見ていくと、これは当然のことでありますけれども、国策として資金をきちっと投じて、民間のリスクを引き受けて資源開発を進めていくための役割をしっかり果たすと、そういう使命ということにもしっかり注目をしていただいてやっていただくことが必要だというふうに思っているところであります。  この資源機構の機能強化という点についても、委員先生方の御理解をいただいて、是非その後押しをしていただければと思っております。
  72. 藤末健三

    ○藤末健三君 本当に、大臣の力強いお言葉、ありがとうございます。是非お願いいたします。本当に資源エネルギーの確保というのはもう我が国の生命線でございますので、お願いしたいと思います。  最後に、中小企業政策についてお話しさせていただきたいと思います。  この八月にいろいろ、中小企業政策につきましては私自身、政府の調達が非常に重要じゃないかというお話を申し上げておりましたが、この八月に経済産業省の方で音頭を取っていただきまして、各省庁の連絡会議で、今までベンチャー企業からの調達は最先端の製品、機器しか許されなかったものを役務まで広げるという非常に大きな改革をしていただいたわけでございますけれど、この役務の中で一番大きいのはやはり情報システムの開発だと思います。  私はお願いがありますのは、役所が直接ベンチャーなんかの情報、最先端の情報技術を導入するのは難しいと思いますので、システム開発で中間に入るこのシステムインテグレーター、開発ベンダーなどにもっとベンチャーの技術を使うように指示していただきたいと思うんですが、その点につきまして商務情報政策局長からお話伺えますでしょうか。お願いします。
  73. 肥塚雅博

    政府参考人肥塚雅博君) 先生お話しのとおり、IT分野でのイノベーションを促進する上でベンチャー企業の果たす役割は非常に大きいというふうに私どもも思っています。そのためにいろんな施策も講じているつもりでございますけれども、先生お話のように、情報システムの政府調達においてもITベンチャーからの調達が広がっていくということを強く期待しています。  ただ、これも先生お話しのとおり、大規模システムの場合、リスク負担能力の低いITベンチャーが直接受注するというのはなかなか難しい問題もあります。したがって、今お話しのように、大手開発ベンダーが中小ベンチャーからの調達を促進するということが参入機会を増やす一つの方策だというふうに私どもも期待しています。特に、最近いわゆるオープン化も進んでおりますので、一つのシステムの中にいろんな製品が入ってくるという、むしろそういう傾向にございますので、そういう傾向も利用しながら広がっていくということを期待したいと思っています。  そういう中では、先ほど先生から中小ベンチャーを、直接受注を拡大する際のIT関係の省庁の連絡会議におけるいろんな取組は、むしろ先生の方からお話がございましたけれども、ベンチャー企業を含んだ高い技術力を有する企業を正当に評価できるような調達システムの整備というのも重要だと思っておりまして、具体的には平成十四年の政府調達の府省関係連絡会議の申合せに基づいて、従来に比べて技術点を重視する評価方式をどんどん入れるということを今やっておりまして、そういう意味では技術力が評価がより入ってくるというようなことを通じて拡大していくと。  それから、もう一つは、これも政府全体として約四十名の情報化統括責任者、CIO補佐官をお願いしておりますけれども、そういう補佐官の方が技術力を評価できる体制というのを支えていただいているというふうに思っていまして、そういう取組を通じてベンチャー企業の参入機会の拡大につながっていくということを私どもも強く期待したいというふうに考えております。
  74. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非進めてください。  そしてまた、今回八月にこの連絡会議幹事会で決めていただいたそのベンチャーからの調達の、申合せでしたっけ、ごめんなさい、決定を是非とも普及していただきたいと、徹底していただきたいということと、もう一つお願いがありますのは、決めただけじゃなくて、決めたものをちゃんと実行しているかどうかというのをチェックしていただきたい、フォローアップしていただきたいと思うんですが、その点につきまして中小企業庁長官からお話しください。お願いします。
  75. 石毛博行

    政府参考人石毛博行君) ただいま藤末先生からの、政府調達を中小企業に上手に適用して、その技術力向上、そういうものに寄与すべきだという趣旨のお話がございまして、先生お話の中に出ましたように、正にこの八月に政府全体で平成十八年度中小企業者に関する国等の契約の方針と、そういうものの中で、従来、物品についてだけ、その調達に関して、技術力のある中小企業の特別な点数を上げるという話をしていたわけですけれども、それを物品すべて、それから役務すべてに拡大をいたしました。それを受けて、私ども中小企業庁から関係の各省に、そういう入札参加資格についてのその事務要領を定めて各省おりますので、それについて早急に整備するように依頼をしております。あわせて、独立行政法人についても、そういうものの周知徹底をしていただきたいというお話をしてございます。それから、都道府県におきましても、そういう発注担当者がいらっしゃいますので、そういう方に対して同趣旨の説明会を開催すると、そういうようなことをやっております。  それから、もう一点はフォローアップについてでございますけれども、先ほど申し上げました国等の契約の方針についてのその中で、正にフォローアップをきちっとやれというふうに記されておりますので、私ども、それに従って、今後フォローアップをしていきたいというふうに思っております。
  76. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非中小企業の方々は忙しゅうございますので、きちんと情報を伝えていただきたいと思いますし、またフォローアップしたやつもきちんと公開して、できればですけれど、本当に中小企業のために、皆様が頑張っていただければ評価できるような仕組みを作っていただきたいと思います。  次に、中小企業につきまして、私、今いろいろ思うところございますが、一番感じていますのは、中小企業にきちんと資金が行っているかどうかというところがございます。  で、資料をちょっとお持ちしたんですが、一番最後の四ページ目でございますけれど、銀行の貸出先がどうなっているかというのを作ってみました。これを見ていただきますと分かりますように、平成十年、中小企業向けは大体二百五十兆円の貸出しがあったものが、平成十五年には百八十兆円ということで二割、まあ二五%近く減っているんです、これ、実は。で、原因を調べてみますと、中小企業設備投資意欲がなくなった話もありますし、また、銀行がいろいろ再編などで忙しかったという話もございます。  私自身、大臣が所信でおっしゃいましたように、個人保証や不動産担保に過度に依存しないような融資をつくっていくということは是非やっていただきたいと思いますし、具体的なアクションプラン、いつまでにどうするかというのをちょっと作っていただければと思っています。  そしてまた、もう一つ大事なことは、この間接金融、銀行融資による間接金融だけではなく、是非とも直接金融、株式市場などを通した直接金融の整備なども是非とも考えていただきたいと思います。総合的にこの中小企業の金融を見ていただきたいと思っています。  今回、貸金業法の改正がございまして、非常に私が感じましたのは、貸金業法を改正して貸出金利の上限を下げるというのはいいかもしれませんけど、私が思ったのは、地方の本当に貸金業からお金を調達しているような方々がおられますから、そういう方々にどういう影響を与えるんだろうなということを感じました。実際に中小企業の方々で貸金業からお金を借りている方がどれだけいるかという話を調べようとしたら、分かんないと言うんですよ、実際に。ですから、いろいろ申し上げたいことはあったんですが、言えずに終わっちゃったんですね。  ですから、是非とも、政府系金融とかいろいろあるとは思うんですが、中小企業の、資金のユーザーから見てどういう金融システムが必要かということをもう一回、企業者から見て、事業者から見て作り直していただきたいと思うんですけど、その点、大臣、いかがでございましょうか。
  77. 甘利明

    国務大臣甘利明君) その前に、先ほど石油公団の運営効率が悪いということの際に、不祥事とちょっと言いましたけども、これは不良債権の累増の間違いでございまして、訂正をさしていただきます。  それから、中小企業の金融面での環境整備がどうあるべきかと。先ほど来答弁をさしていただいておりますけれども、中小企業というのは、担保力はないけれども実は優秀な技術が眠っているとか、たくみの技が伝承されているとか、いろんないい点があるんでございまして、そのいい点を伸ばすために非力な部分をどう政策としてカバーをしていくかということが大事でありますから、担保に依存しない融資制度であるとか、あるいは個人保証に過度に依存しない融資制度とか、いろいろな仕組みを作っていくということが大事だと思っております。今までも、売掛債権担保融資とか、あるいはトライアルとして在庫担保融資、こういうものの間口をしっかり広げていくと。  それから、何よりもやっぱり金融の姿勢として、経営者の考え方とか信用度とか、あるいはビジネスのプランにきちんとそれを評価するという金融機関が本来持っているべき機能を回復してもらうことが必要でありますし、民間にそういう機能が育ってくるというか、回復されてくる。かつてあったんだと思いますが、バブルの時代に、土地さえ取っていればあとは余計な審査しなくても取りっぱぐれがないからということで、審査部門が衰退をしていってしまったと。そこに問題があるんだと思いますが、政府系金融機関が中身をきちんと評価をして、それによって物的担保力がなくとも資金を融通してあげるということを先導的にやっていくと、そういう商品を開発していくと。それを民間に少しずつ伝授していくということが肝要かと思っております。
  78. 藤末健三

    ○藤末健三君 ありがとうございます。是非進めていただきたいと思います。  私は、この中小企業金融につきましては、金融庁のお力非常に大きいと思うんですよ。金融庁のパンフレットを見ますと、一番初めに中小企業を支援しますと書いてあるんです、実は。ただ……(発言する者あり)いや本当に。で、やっていることを見ると、一生懸命、投資家保護、投資家保護だけをおっしゃるんですよ。ですから、ちょっとおかしいんじゃないかなと私は思っています、金融庁さん、正直言って。  何かというと、その株式市場なんか、銀行というのは心臓だと思うんですね、お金を運ぶ。内臓が投資家で、栄養を持ってきて、それを運ぶと。いつも議論が抜けているのは、お金の使い道である筋肉の議論がないんですよ、金融庁には、正直申し上げて。結局、何が起きたかというと、お金の使い道先を考えないものだから、ライブドアみたいな動脈瘤ができて破裂したと思うんですよね、お金が詰まっちゃって、と私は思っています。  特に、私が今思っていますのは、私は全国区でございますんで、よく地方に伺います。そして、中小企業の方々とお話をしますと、やっぱりお金が調達できないとおっしゃるんですよ。なぜかというと、今地方の信用組合とか信金とかがどんどん合併していると。行けるところはもう二つぐらいしかないと言うんですよね、お金を借りに。一つのところに行って駄目で、もう一行行って駄目だったら、もう駄目らしいんですよ、本当に。ある程度大きいところは都市銀行で借りれるけど、大変なんだよねという話をしていまして、これから税制が改革されて、その減価償却税制が変わり、その設備投資中小企業設備投資に向かうと思うんですよ、私は。  そのときに、その貸出し先が何かもう一個か二個しかないよという状況だと非常にしんどいと思うんですけど、その点、ちょっと金融庁と申しますか、田村政務次官としてどうお考えか、教えていただけませんでしょうか。
  79. 田村耕太郎

    大臣政務官田村耕太郎君) 私も地方選出議員の一人として同じ危機意識と問題意識を共有しているんですが、金融庁としましては、従来からリレーションシップバンクの機能強化ですとか、地域の中小企業の実態に合った検査の確保ですとかやってきたんですけど、先生も、大臣も今言われましたけど、やはり間接金融の世界では担保や保証に過度に依存しない、例えばシンジケートローン、まあ貸手がリスクシェアリングをする方法ですよね。あと、キャッシュフローに注目したやり方としてはスコアリングモデルですとかABLですとか、そういうのも全国で結構事例が出てきまして、融資額も結構増えてきているんですね。それしっかりフォローしていますんで、そういうものをしっかり検討して、できる限りの取組はやっていきたいと思います。  また、藤末先生が言われた直接金融の方ですね、まあ非上場企業の資金調達先としては、グリーンシートですよね、ああいうものが、まあ新興市場、マザーズとかヘラクレス、ジャスダックも含めて更にできることはないか、一緒に勉強会とかやっておりますんで、できることは取り組んでまいりたいと思います。  あと、数が減ってその融資枠はどうかという話、まあ藤末先生が用意されたこの日銀の資料なんですけど、正にこのとおりなんですが、実はこれ平成十五年で終わっている資料なんですけど、この後を見ますとやや持ち直してきておりまして、まあ数が減りましたけど、メガバンクとかいろいろなところも入ってきて貸し出すようになっていますんで、しかしまだ予断を許さないところはありますんで、しっかりできることは取り組んでまいろうと思います。
  80. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、金融庁そして経済産業省連携しまして、この金融システムの議論やってください。お願いします。  本当に借り手の議論、貸手の議論とか、やっぱり一致させないと、何かばらばらになっちゃうと思うんですよ、はっきり申し上げて。ですから、もう本当に皆様のイニシアティブでやっていただきたいと思います。  そして、最後でございますけど、今回いろいろな経済産業省の若手の方々とお話しさせていただきまして、非常に何か有り難いなと思っていることが一つあります。それは何かと申しますと、今回、新経済戦略大綱を作っていただく中で、若い方々が相当現場に行っていただいたという話をお聞きしているんですよ。例えば、私がレクを受けた方など、八社、近々で八社、中小企業を回ってきたんだということをおっしゃっていただきまして、そういうやっぱり現場をきちんと見るということをますます進めていただきたいと思います。  特に、旅費とかを調べてみますと、ちょっと不足しているんですよね、まだ。そこら辺につきまして、ちょっと山本副大臣からお話しいただければと思います。
  81. 山本幸三

    ○副大臣(山本幸三君) おっしゃるとおり、私ども、現場を知ることが一番、政策の企画立案、執行につながることだと思っておりまして、これを徹底したいと思っております。  特に、今御指摘ありましたように、新経済成長戦略の取りまとめに当たりましては、経済産業省の職員延べ一万二千人日にわたり現場に参りました。私も、先日は原子力発電所の防災訓練で四国の伊方というところまで行きましたし、またそこで経済産業局長さんからもお話聞きましたけれども、各地を回っておりまして、あるいは工場も訪問して、どういうふうにしたら本当に成長ができるのかと、あるいはどういう努力をすればいいのかというような話をたくさん伺いました。  これを徹底してまいりたいと思いますし、そのための予算措置も財務省と、大いに要求をかち取るように頑張りたいと思います。
  82. 藤末健三

    ○藤末健三君 本当に、一時間お時間いただきまして、ありがとうございました。  私は、今日、EPAとそしてエネルギー政策、そして中小企業政策お話しさせていただきましたけど、共通しているのは何かと申しますと、他省庁のところと全部絡めて申し上げているんですよ。ですから、経済産業省はやっぱり現場を持って、現場を知っている役所でございますんで、現場から情報を吸い上げ、そしてほかの役所も動かして、是非とも我が国のために新しい政策、新しい日本の在り方を議論していただきたいと思いますので、是非ともよろしくお願いいたします。  以上で質問を終わらさせていただきます。
  83. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明党の弘友和夫でございます。  私は一年ぶりの質問でございまして、少しトーンが上がるかもしれませんけど、御容赦をいただきたいというふうに思います。  まず、大臣はさきの所信で、「安全を大前提とした核燃料サイクルを含む原子力発電の推進など、総合的なエネルギー政策を遂行してまいります。」と、このようにおっしゃいましたけれども、本当に私は、原子力政策というのは安全、安心、これはもう大前提でなければならないというふうに思うわけでございますけれども。  ところが、先日、目を疑うようなというか、果たして本当なのかなということが新聞報道されておりました。これは十月二十七日の朝日新聞ですけれども、原発連絡網の故障を放置と、保安院が二年近くという見出しで、経済産業原子力安全・保安院と全国の原子力発電所などを結ぶ緊急時連絡網システムの一斉ファクス機能が故障したままの状態で二年近く放置されていることが分かった、これは会計検査院の検査、今年三月に、で判明したと、このように報道されておりますけれども。  まず、会計検査院、これはどういうことなのか、お答えをいただきたい。
  84. 増田峯明

    説明員(増田峯明君) お答えを申し上げます。  ただいま委員お尋ねの件について報道がなされておりますことは私どもも承知しております。私ども現在、十八年次の検査の結果につきまして取りまとめ中でございます。会計検査院では、検査結果の取りまとめ中は、その具体的な内容について公表するということにつきましては控えさせていただいているところでありまして、今お尋ね原子力安全・保安院の緊急時連絡網システムに係る事案につきましても、近く内閣の方に送付が予定されております十七年度決算検査報告でお示しさせていただくことになろうかと思っております。
  85. 弘友和夫

    弘友和夫君 じゃ、保安院お尋ねいたしますけれども、それは会計検査院の方は規則で公表今のところはできないと、それは分かります。ただ、保安院の方は、検査院からの指摘があろうとなかろうと、こういう事実が分かったわけですから、どういうことなのかお答えいただきたい。
  86. 広瀬研吉

    政府参考人広瀬研吉君) お答え申し上げます。  御指摘のシステムは、広域地震などの万一の緊急事態の際に専用回線で原子力発電所内の事務室などに連絡通信をする機能を持つというものでございます。このうちのファクス同報装置が平成十六年六月に故障し、平成十八年三月に会計検査院からの指摘を受け、同年六月に修理が完了するまでの間、当該装置は機能しない状態でございました。  原子力防災の観点からは、防災専門官が所持します災害時優先の携帯電話や専用回線による電子メールなど防災上の連絡機能は多重に用意されている上、本システムにつきましても一斉電話の機能等は維持されておりまして、緊急時に迅速な連絡が滞るようなおそれは生じなかったものと考えております。  今後はこのようなことが起きないよう、システムの管理に万全を期してまいります。
  87. 弘友和夫

    弘友和夫君 今の御答弁でしたら、要するに、十六年六月から指摘があるまで二年間放置されていたと、しかしながら、その機能じゃなくて、防災専門官が持っている携帯電話だとか、それからまあいろいろ多重なほかのシステムがあるので支障はなかったと、こういう認識なんですね。  大臣、これは、本当に私はもう大変なこれは認識だと思うんですよ。何のためにこの一斉の緊急時連絡網システムというのを取り付けているのかと。ほかのがあるからいいじゃないかというわけにならないんですよ、これは。  これ読みましたら、要するに、システム全体で年間約千七百万のリース料と保守点検費用を支払い続けていたと、検査院は約六百万相当が無駄払いだったと指摘していると。これは、保安院と全国十七か所の原発内にある同院の事務所、関連自治体など約五十か所とを専用回線で結び、原子力災害時の緊急連絡などに使う電話・ファクス機器のリースなんだと、こういうことなんですね。ですから、ほかがあるから全然差し支えなかったという答弁というのは、二年間分からないで放置されていたという事実が一番もう大変だと思うんですよ。  じゃ、そういう訓練していないんですか。こういうのを使って一斉のをやって訓練をしていないんですか、これは。
  88. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 先生指摘のとおり、ほかに手段があるからよかったというんじゃ、これでは、ほかの手段も同様な故障をしていたらどうするんだということで、極めて危機意識の乏しいことになってしまいます。  私、就任をしましてすぐ、なぜ平時でも例えばそのテストをしないのかと、防災訓練だってあるじゃないか、災害が起きたことを想定して全部みんないろいろ動くよと、そのときにそれをやったらいいじゃないかということを指示をしました。で、すぐその対応を取りまして、現在は四半期に一回その想定して試験をするということにいたしました。
  89. 弘友和夫

    弘友和夫君 今大臣から改善の御答弁ありましたけれども、これ本当に、今までの原発の事故にしても、考えられないいろいろな、原発は絶対大丈夫ですよと、こう今から皆さんも説明されている。だけど、いろいろな要素が積み重なって、考えられないことが重なって事故が起きてるんじゃないですか。これがあるから大丈夫だとかいう話にはならない。本当にこの、私は、じゃ保安院が何でできたのかと。そういうことをきちっとやるために保安院があるんで、その大本がこういうことではもう話にならないんじゃないかと思うんですよね。  説明を聞きましたら、何か悪いことじゃないみたいなことを、感覚があるんですよ、本当に、感覚が。別に、何でこういうこと言われるんだろう、大したことないのになという感覚があるということが恐ろしいんですよ。  本当に、まあ大臣答弁ありましたからね、余りもう指摘はしませんけれども、もう是非これは反省していただきたい。  何かあります。
  90. 広瀬研吉

    政府参考人広瀬研吉君) 先生指摘のとおり、原子力の防災、安全のシステムは常に万全の体制で整えておくことが必要でございます。その意味で、今回このシステムに一定期間不備がありましたことは誠に申し訳ないことだと思っております。  今後は、あらゆる対策を講じまして、また、四半期に一回試験をするということを含めまして、万全を期してこのようなことがないように対処していきたいと考えております。
  91. 弘友和夫

    弘友和夫君 この問題はこの程度にとどめますけれども、また必要がありましたら、決算のときに報告するということですから、がっちりやりたいなと思っていますので、本当に反省をしていただいて、もう針が落ちたことでもやっぱり敏感になるぐらい原子力についてならないと、これはもう大問題になるということをしかと覚悟していただきたいなと思います。  次に移らせていただきまして、先ほども直嶋先生の方からも質問がございましたけれども、対北朝鮮経済制裁措置でございます。  先ほど大臣から、日本が先行して行っているこの制裁、これは六者協議に復帰することをもって緩めてはならないと、粛々と制裁を実行していくという御答弁もございましたけれども、これは大事なことでございますので、もう一度、この復帰したことに対する大臣考えと、それからまた経済制裁の在り方についてお答えをいただきたいと思います。
  92. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 北朝鮮がようやく六者協議に復帰をしたと、これは大変重要な一歩として歓迎はします。ただ、これがぬか喜びに終わってしまってはいけないんでありまして、国際社会が毅然たる姿勢で北朝鮮に対応を迫ったと。まあチキンレースのような面があったと思われます、我慢比べというか。結局、アメリカ側がじゃ何か譲歩案を出したから復帰するようになったのかというような観測も流れましたけれども、何らそんなことはしていないということでありますから、国際社会が団結して毅然たる姿勢を見せたと、中国やロシアあるいは韓国も含めて国際社会の厳しい姿勢を伝えることができたということが六者協議への復帰への道につながったというふうに思っております。だとしたならば、これがまだ協議テーブルに着いた、スタート台に乗ったというだけでありますから、そこから国際社会が要求をしている核開発の放棄、核拡散への懸念の払拭ということに対して具体的な行動を北朝鮮が取ってくれなかったら、こちらの対応を緩めるわけにはいかないと思います。  ですから、これは、まずこちら側が何かをしてやって北朝鮮が譲歩してくるということではなくて、まず求められているのは北朝鮮側の行動でありますから、それをきちんと具体的に実行していく過程の中でこの制裁の縛りが少しずつ緩んでくるということであろうと思っております。
  93. 弘友和夫

    弘友和夫君 そこで、先ほども出ておりましたけれども、迂回輸入の件で、お聞きしましたら、中国に協力を要請したということも報道なんかございますけれども、この事実関係と、やはり迂回輸入中国韓国、そういうところを通して迂回輸入をされると、制裁、実効が上がらないわけでございますので、どういう措置をとっておられるのか、財務省、来られておりましたらお聞きしたい。
  94. 森川卓也

    政府参考人森川卓也君) お答えいたします。  今回の制裁措置、我が国の制裁措置の実施に伴いまして、税関におきましては迂回輸入を防止するという観点から、北朝鮮の周辺諸国からの輸入申告がありました場合には、北朝鮮からの主要な輸入品でありました水産物等十六品目につきまして原産地証明書の提出を求め、貨物の原産地をより厳正に確認することといたしております。  この措置につきましては、私どもの方から中国の税関当局に対しまして連絡を行いますとともに、在中国大使館を通じまして原産地証明書の発給機関、これは中国の国家質量監督検験検疫総局というところがございますが、そこに対しましても同時に連絡を行いまして、中国のこれらの当局の協力を得ているところでございます。  この結果、我が国の制裁措置発動以降のこの水産物等十六品目につきましては、その申告の大半につきまして原産地証明書が添付されているという実態でございます。  一部につきましては、恐らく輸出者への周知がまだ遅れていたためではないかと思いますけれども、添付はございませんが、それらのものにつきましては、仕入れ書あるいは貨物の包装等によって厳正にそれが北朝鮮産でないということを確認しているところでございます。  今後とも、中国の関係当局と連携を図りつつ、原産地に係る厳正な確認を行い、輸入禁止措置の実効性の確保に努めてまいりたいと考えております。
  95. 弘友和夫

    弘友和夫君 是非厳正に、また、連携が大事ですから、中国韓国と連携を取りながらしっかりやっていただきたいというふうに考えております。  いろいろ問題がございますので、次に移らせていただきたいと思いますが、地域経済の問題でございますが、本年十月、内閣府の月例経済報告によりますと、景気は回復しているという政府の基調判断を据え置いて、平成十四年二月に始まった現在の景気拡大は五十七か月目となりましたと。これで戦後最長のイザナギ景気と並び、十一月には最長記録更新も確実視されている。  これは一般的に言われておりますけれども、しかしながら、地域によって景気回復の動きは非常に弱い。改善傾向にも地域間でばらつきが見られるわけです。特に中小企業におきましては、先ほど来論議に上がっておりますように、景気回復を実感するにはほど遠い状況にあるわけなんですね。  内閣府の地域経済動向によりましたら、各地域の景況判断、東海地域のみが最高評価、力強く回復しているということでありますけれども、四国、九州地域では緩やかな回復、それから、北海道、東北地域は持ち直しているとか、いろいろ。東海地域はまあまあですけれども、あとはほとんど、九州等は横ばいのような状態じゃないかというふうに思いますが。  そこで、地域間格差で、まず大臣にお伺いしますが、今お話ししたように、非常に地域によって回復の度合いが違うと。また、同じ九州でも、例えば福岡の北部、九州北部では自動車関連産業、電気機械産業等の生産設備投資が堅調であるので多少いいけれども、南部の方では悪いというような実態があるわけでございますけれども、こうした地域経済の地域間や地域内での格差は解消されていない現状で、この格差拡大の原因、そして、これに対してどうお考えなのか、まず大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  96. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 先般、省内で地域経済産業局の局長を集めて地域の経済状況、業況をつぶさに聴取をいたしました。九経済産業プラス一部局、沖縄でありますが、その十地区の責任者から聴取をしたわけでございます。その中では、全体的に言えば改善傾向にあるということでありますが、地域ごとにあるいは地域の中でも、先生指摘のように県ごとにまだばらつきが随分あります。  その原因は何かと言われれば、元々その地域が持っている経済力のその基礎体力の差というのもありますけれども、その地域を支えている産業が何であるかによっても随分ばらつきがあるようでございます。例えば、自動車であるとか半導体であるとか液晶産業等が集積している地域は概して改善が進んでいるところでございます。その一方で、公共事業への依存度が高い地域というのは、いまだやっぱり改善が遅れていると。その地域が何に依存しているかによって随分違っているようでありますし、元々の基礎体力の差もそれに加味しているというふうなことだと思っております。
  97. 弘友和夫

    弘友和夫君 それで、私、福岡は北九州市なんですけれども、大臣は神奈川で非常にいいところだと思いますけれども。山本副大臣、また松山務官、同じ福岡でございまして、今日は高木政務官来ておりませんけれども、福岡の出身と。経産省、福岡、是非よろしくお願いいたします。  それで、今大臣お話しのように、たとえ同じ福岡でも、北部はいいけれども、大牟田なんかもう破産寸前だみたいな話、山本副大臣の田川、それから行橋、豊前、余り、決して良くはないというふうに思うんですけれども、そういう全般的な施策も必要ですけれども、そういう何か地域の実情に合わせて個別な特段に何か施策というのが必要なんじゃないか、そういう地域間の格差を解消するためにということで是非、山本副大臣、また松山務官もございましたら御答弁をお願いしたいと思います。
  98. 山本幸三

    ○副大臣(山本幸三君) 弘友先生とはお隣同士で、日ごろから大変御指導を賜っているわけでありますが、全くおっしゃったように、地域間の中で格差がございまして、福岡県では、福岡市は元気がいいんだけれども、私のところなんかは、これはちょっと言葉に語弊があるのでありますけれども、非常に遅れてて、また疲弊していると。特に、産炭地を持っておりましたから、これは石炭六法がなくなり、また同対法がなくなり、大変落ち込んでおります。  先般も私も田川地域の商店街回ったんですが、またシャッターが増えて本当に寂しくなっておりまして、何とかならないのかと。私も経済産業大臣になった以上は、何とかならないのかということで地域の方々からも言われておりまして、今一生懸命知恵も働かせなきゃいかぬなと思っているんですが、そういう意味では経済産業省としての重要な課題だととらえて、これをしっかりとやっていかなきゃいかぬと思っているわけであります。  一つの施策としては、産学官ネットワーク形成を強化いたしまして、事業者がそういう技術力とかはあると、だけどマーケティングする能力ないとかいうようなこともありますので、あるいは本当のしっかりとした技術開発するための研究能力がない、そういうことを含めて産業クラスター計画というのを作ろうじゃないかということで、これを市場化につなげるようにやっておるところでございます。  ただ、産業クラスターというのは結構やっぱり大きいところが、大学とかがないとできませんので、中心になります。  そこで、地域の何らかの商品、サービスを市場につなげようということで、来年度から地域資源活用企業化プログラムというのを創設、是非したいと思っておりまして、地域の中小企業側が産地の技術や農林水産品などの地域資源を掘り起こして新たな商品、サービスに発展させる取組をやっていきたい、このための支援をやりたいと。  例えば、私もこの前四国に行ってまいったんですが、四国の局長さんから、四国のある町で葉っぱを使った料理のつまというんですかね、それを作る会社を町の中でつくってやり出したら、これが大変当たりまして、お年寄りが月に百万ぐらいもうける人も出てきているというようなことでありまして、もうお年寄りが病院に行く暇なんかないんだと言っているそうでありまして、そういう取組は非常に参考になるんじゃないかと思っておりまして、こういうのを支援していきたいと思っています。  あるいは、やっぱり私どものところもそうですけれども、企業立地を是非何とか進められないかということで、これはいろんな日本立地センターなんかと協力してやっていきたいなというように思っています。  いずれにしても、全力を挙げてそういう疲弊したところを何とか、かつての公共事業だけではもうできないんですから、取り組めるように頑張ってまいりたいと思います。
  99. 松山政司

    大臣政務官松山政司君) 正に、地元の福岡県内を回れば回るほど、弘友委員おっしゃるように大変厳しい状況が続いているというように思います。  山本副大臣もただいまおっしゃいましたように、やっぱり新しい地域の資源活用した企業プログラムというものを何らかの形で自分自身も研究していきたいと思っておりますし、農業を始め、特に第一次産業と商業をしっかり結び付けて攻めの農業あるいは活力につなげるとか、そういったことも少し研究をしてしっかり取り組まさせていただきたいと思っているところでございます。
  100. 弘友和夫

    弘友和夫君 しっかり是非よろしくお願いしたいと思います。  地域間格差とそれから中小企業対策、中小企業対策もいろいろ先ほど来出ておりますようにありますけれども、回っておりましたら、一時期の最高水準よりも今は下落をしておりますけれども、原油価格の動向というのは非常に内外経済に与える影響、これは大きい、また価格に転嫁できないというような声がまだまだありますけれども、企業の四分の三、七六・七%が収益面で影響を受けているということでありますが、経産省は具体的にどのような対策を講じるのかということが一つ。  それから、通告をしておりませんでしたけれども、昨日ですか、安倍総理が農水大臣に、バイオ燃料をガソリンの年間消費量の一割に当たる六百万キロリットルを目指すように、この工程表を出せというようなことを言われております。六百万キロリットルといったら、今三十キロリットルですから、途方もない。だから、バイオ燃料を推進するのはもう大賛成、我々も主張しておりますけれども。これ、経産省大いに関係あるんですけど、何か相談にあずかったかどうか、大臣含めてちょっと。
  101. 山本幸三

    ○副大臣(山本幸三君) 最初の原油価格の影響について申し上げますと、委員も御指摘のように、中小企業の四分の三を超えて影響を受けているわけでありまして、これ、このことに対しましてはこれまでも様々な対策を講じてきているわけでありますけれども、改めて全国九百四十か所で特別相談窓口を設置していろんな御相談に応じると、そしてまた、政府系金融機関のセーフティーネット貸付け・保証の着実な実施をやっていこうと。これも周知徹底していないこともございますので、これを周知するためのリーフレットを作成いたしまして、十月の十六日から五百を超える業界団体にこちらが直接送付をして徹底を図っているところでございます。  いずれにしても、この原油価格の高騰が中小企業に与える影響については細心の注意を払って適切な対応を図ってまいりたいと思っております。
  102. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 安倍総理と松岡農水大臣の間の話であります。  総理は数字には言及されておられません。農水大臣は確かに張り切っておられますが、総理御自身は、輸送に占める燃料の割合をガソリン、石油燃料を減らしていくための努力を一生懸命やってくれということでお話をされていただけで、具体的な数字には言及されておりませんが、農水大臣が言及されているわけでございます。  で、今使われている、弘友先生もおっしゃいましたけれども、使われている自動車の燃料というのは六千万キロリットル、そのうちの一割の六百万ということになると、現状では京都議定書の目達計画で輸送用燃料のうちバイオ由来の燃料を五十万頑張ろうと、目達計画ですから二〇一〇年までですね、二〇一〇年までで六千万のうち五十万をバイオ由来にしましょうと。農水大臣のおっしゃっているのは六百万ですから物すごいことになるわけでございまして、しかも国内産でみんなやると、サトウキビで全部。これはその絶対量と安定供給と価格ということで、まあ私からするとすごい話でございまして、とにかく現実に即して頑張ることは精一杯やりますし、それは総理もできるだけ頑張ってほしいというお考えですが、具体的にそういう数字を掲げてということになると、まあ大変なことだというふうに思っております。
  103. 弘友和夫

    弘友和夫君 私は、一〇%ぐらい目標に掲げて、できるのであれば是非やっていただきたいというのはあるんです。ですから、それに対応する車も両方対応できるようにしないといけないでしょうし、経産省にかかわる部分というのは非常に、むしろ農水省よりも多いんじゃないかという気がするものですから、是非よく話し合っていただいて、できるだけというか、農水大臣の意気込みは大変だとは思いますけれども、具体的目標を掲げて是非話合いをしていただきたいなというふうに思っております。  時間が余りございませんけれども、ちょっと金利を飛ばしまして、再チャレンジなんですけれども、これも非常に内閣府の再チャレンジ推進会議で中間取りまとめを発表しましたけれども、資金調達支援の推進とございます。  これは、是非再チャレンジの部分というのは力を入れていただきたいと思うんですけれども、現実問題、先ほど来融資のあれありましたですね。融資だけにしても、国金だとか信用保証協会等、じゃいったん、まだ倒産したところ、そういうところに焦げ付きがあるわけでしょう。そういうのであったまま、じゃ、もう一度再チャレンジするその人の経営者の資質だとかその経営の内容がいいという判断で貸すのかどうかというのは、私は今までのあれからしたら非常に、本当にできるのかなという気がしているんですけれども、やっていただきたいという思いで質問しますけれども、そこら辺の危惧をどう解消されるのか。
  104. 甘利明

    国務大臣甘利明君) まず、再チャレンジに関して言いますと、相談窓口を創設をいたします。全国の二百八十か所。これ全国の商工会連合会、そして主要な商工会議所に設置をするわけでございます。  この窓口に相談に来られますと、恐らく、例えば月のうち第何何曜日というようなことになるんでありましょうか、弁護士とか公認会計士の専門家が相談に応ずるという対応をまずいたします。そこで、その再チャレンジプランに従って具体的な手だてを始動させるわけでありますけれども、融資でいいますと中小公庫あるいは国民公庫、それから商工中金でありますが、先ほど弘友先生の御質問は過去の債務が残っていた場合どうするんだと。これも、それを含めて、返済資金も含めて対応するということもこの制度の中に入っております。ただ、いずれにしても御本人のやる気とそれからビジネスプランがしっかりしたものであるということが当然前提だと思います。
  105. 弘友和夫

    弘友和夫君 それともう一つは、我が党が、先日うちの太田代表も本会議質問しておりましたけれども、中小零細企業の存続、経済の活性化の観点からも事業承継税制というのが重要であると。再チャレンジの前に、その事業を承継するときに税金だとかいろいろなもので再チャレンジの前にチャレンジできないことになってはいかぬのではないかなということがございまして、現場の経営者からは、後継者が非上場の自社株式を保有している間は相続税の課税を猶予してほしいとか、また、現金化できない自社株に相続税を掛けられても払うことができず商売をやめざるを得ないといったような切実な声が寄せられているわけでございますけれども、欧米では手厚い軽減措置がされているというふうに聞いております。そういうことで、事業の存続を前提とした抜本的な事業承継税制について、これを是非実現していただきたいということで大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  106. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 弘友先生指摘のとおり、各国を比較をしてみますと、日本よりもイギリス、ドイツフランスなどの方が事業承継については手厚く対応がされています。日本では非上場株式に係る相続税の軽減措置はといいますと一〇%軽減、事業用宅地ですと八〇%軽減でありますが、例えばイギリスですとこの非上場の株式一〇〇%、ドイツでいうと事業資産みんな含めて三五%軽減、フランスは七五%軽減というふうになっています。  先進国並みにという思いが非常にありますけれども、とにかく今次までいろいろと軽減措置について取り組んできたわけであります。  税務当局と議論をしますと、課税の公平というようなこと、あるいは猶予措置でいえば農業者と同等にという主張をしますと、農業は農業者でしかできない、中小企業はだれでも経営ができるというような法律の裏打ちの違いというようなことをよく指摘をされるわけであります。その辺の課税の公平性にも留意をしながら、中小企業の事業承継がしっかりとなされて、技術も雇用も継続されていくように最大限努力をしていきたいと思っております。
  107. 弘友和夫

    弘友和夫君 ちょうど時間が参りまして、町づくりについて何点か質問を用意しておりまして、内閣府の方にも来ていただいておりましたけれども、時間が参りました。あと、鈴木先生ががっちりと町づくりやられるというふうにお聞きしておりますので、そちらに譲って質問を終わりたいと思います。
  108. 鈴木陽悦

    鈴木陽悦君 無所属の鈴木陽悦でございます。時間は短うございますが、毎回質問に立たせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。  今日は午前中からの審議でお話がいろいろと海外の方にも飛んでおりますが、私は国内に絞って、しかもエリアを絞って、格差とそして地域活性化、この辺に重点を置いてお話をさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。  経済産業政策はライフワーク、無から有を生み出すのは経済産業政策しかないというふうに大臣は就任後初の記者会見で言い切りましたけれども、それだけ期待が大きいし、大臣の非常に力強さを初めての記者会見の中から感じさせていただきました。  大臣は、先日の所信表明の中で、富を生み出すには持続的経済成長の実現は不可欠である、経済成長は大手企業中小企業、都市と地方、正規と非正規の雇用など、格差の是正にもつながるとされておりますけれども、現実的に見て、今日お話も出ましたが、格差は広がっておりますし、再チャレンジと申しましても既にスタートラインですら差ができてしまっている、そんな感じがするんです。  秋田の話でちょっと恐縮なんですが、有効求人倍率、十月の数字、全国平均が一・〇八倍、東北で見ますと〇・七六倍、秋田は〇・〇〇一倍改善したとはいっても〇・六二倍、非常に低い数字でございます。経済動向また業種によっては緩やかに回復しているものもありますが、建設業は公共工事の減少で先の見通しが立たない企業もありまして、厳しい経営環境が続いている、これが地元の事情でございます。  また、ちょっと古いデータで申し訳ありませんが、大臣は労働大臣時代、平成十年ころでございますが、政策文書のグローバル化と日本経済、この中で、日本の製造業の強みは高い労働定着率が大きく影響している。こうした日本型の長期雇用の雇用文化をグローバルスタンダードから外れた悪弊のごとく評するんではなくて、社会の安定要因として位置付けて、この根っこの上に雇用の多チャンネル化、流動化を導入する基本を忘れてはならない、このように述べられております。  私も、製造業の強みは労働力の定着率、これが大きな要因と考えておりますが、一方で小泉内閣の構造改革、規制緩和によって多くの中小企業、そして小規模事業者が自然淘汰されまして、地域によっては雇用が激減しております。今秋田の例を申し上げましたが、激減しているところもあります。大臣のお考えであります長期雇用が安定要因と、今や三分の一が非正規雇用の現実、これをどのように結び付けたらよいのか、取り方によってはちょっと矛盾するんではないかと思いますけれども、雇用面での正規、非正規雇用の格差の是正について、大臣、どう取り組んでいかれるのか、これから伺いたいと思います。
  109. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 私は経済産業政策がライフワークではありますけれども、労働大臣をしていたこともあって、雇用の安定ということが日本成長力の源泉、その一つにはなっているはずだという思いがあります。いつ首になるか分からない社会で果たして雇用者が能力を全力で発揮できるだろうかと、生活設計ができるだろうかという思いをいつも持っておりますから、日本型雇用は良くないという論が出るたびに反論をしてきました。いい体制、いい要素があったからこそ発展したんではないだろうかということを主張し続けてきた一人でございます。  もちろん、安住するということはよくありません。実力主義ということはもちろん必要だと思いますが、長期安定雇用というのは労働者の生活設計をする上でも大切な仕組みだと思っております。安定雇用の中でどうして能力を発揮できるかという視点を考えてほしいといつも経営側には言っているところでございます。  正規、非正規、おっしゃるように今雇用者の三分の一が非正規であります。大変懸念をしておりましたが、ようやく正規が減り非正規が増えるということにストップが掛かりまして、この四―六でいいますと、正規が百万人増えて非正規が十六万人ぐらい減っているはずであります。この傾向がしっかり定着してくれればいいと思っております。ただ、その大前提として、全体の底上げを図るということが大事であります。景気が良くなれば正規が増えるというのはトレンドとしてあります。ですから、経済成長戦略をしっかりと軌道に乗せて全体の底上げをしていく、その上でさらに、正規、非正規の更なる格差拡大にならないような仕組みをしいていくということが大事だと思います。  先般も経団連との会議の席上、私からは、とにかく大手企業が史上空前の利益を上げているのであるならば所得の移転をしてほしいと。企業がもうかったものについて、もちろん設備の更新は大事だし、有利子負債の返済も大事だし、まさかに備えて内部留保も大事だけれども、その一部は雇用者に還元をしてほしいと。企業から家計に所得が移転することによって消費が伸びていくからという要請もさせていただいたところであります。  そして、企業にとってみると、業績が良くなってきたときに自信が持てれば正規雇用を増やすんです。ところが、このままいくだろうかという不安のときに、採用、不採用の若干フレキシビリティーが楽な方の非正規に頼るわけでありまして、自分が間違いなくこのままいけるなと思えば、次第に少しずつ、恐る恐るといいますか、正規に組み入れていくわけであります。ですから、企業に関しても、自分の業績に自信が持てたら非正規から正規に組み入れてほしいという要請もしてきたところでございます。  正規社員への非正規からの登用、あるいは非正規社員のスキルアップ、あるいは短時間正社員制度等々、こういう政策推進していって、格差が拡大しない、あるいは格差が固定しない社会の構築に努めてまいりたいと思っております。
  110. 鈴木陽悦

    鈴木陽悦君 ありがとうございました。大臣にはいろんな形で強いリーダーシップを発揮していただきたいと思います。  この委員会でも何回か申し上げたんですが、最近の大手企業では人材を派遣する部署が人事関係じゃなくて資材調達という、そういう非常に悲惨なケースも伺っておりますので、やっぱり人は人として、長期雇用というのは人間関係がうまくいく、そういった魅力もあると思いますので、そうした面で指導力を是非強めていただきたいと思います。  余り時間ございませんので、次は地域間についてちょっと伺ってまいります。  秋田県は、十和田、八幡平、田沢湖、男鹿半島、自然が豊かでございます。それから、米や酒、きりたんぽ、温泉などの観光が非常に有名なんでございますが、東北新幹線の八戸までの新幹線の延伸によりまして十和田から秋田県にバスで訪れるルートができつつございます。また、空の便では韓国便、定期便が今年で五周年迎えまして、相互の国の交流が図られております。  こうしたように地方の懸命な工夫と努力が地道に行われているんでありますけれども、なかなか大きな起爆剤につながらないという悩みも抱えております。ハードの整備によってかなり変化はしていますが、まだまだの感があります。秋田は来年、国体があります。再来年には全国植樹祭があります。いろんなチャンスを確実につなげる絶好の機会ととらえております。  本題に入ります。  大臣はさきの記者会見で、この格差問題、地域間の格差について、以前は地方の格差を是正するために公共事業がよく使われた、しかし箱物行政の後のランニングコストが問題であると指摘して、これからは公共事業を見直して、地方の活性化と公共事業の関係は、でき上がったら地方の資源になっていくという視点が大事であるとお話ししています。また、地域の資源でいえば、自然資源や歴史資源などもあるというふうに強調されております。  そこで、地方の資源、とりわけその観光資源の、観光開発の視点から公共事業と産業政策どのように絡めていくのか。大臣がおっしゃった公共事業というのはそういう大きな枠の中でとらえた公共だと思うんですけれども、その地域活性化の資源をつなげる方策、大変に有効であると思いますし、これこそ国としても地域間格差の特効薬になるんじゃないかと私思っておりますが、その辺の具体的なお考えを聞かせていただければと思います。
  111. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 私は、地域資源活用企業化プログラムということを今打ち出しているわけであります。恐らく我が省としては初めてだと思いますが、このプランに従って関係六省の担当者会議を開かせていただきました。経済産業省はよそのエリアに出張っていくのが好きでひんしゅくをよく買うけれども、今回はそれぞれが出張ってきてほしいというお話をさしていただきました。それぞれが出張って、地域にある資源を見いだしてブラッシュアップして、それぞれの施策と連携をさして地域振興を図っていこうではないかと。  例えば、観光のお話が、今、鈴木先生から出ました。地方は、例えば文化的な遺産とか歴史遺産であるとか、あるいは自然景観であるとか、いろいろな、実はそんなにいいものだと気が付いていなくてもほかにないものというのが、実はよそから見るとうらやましいものがたくさんあるんでありまして、それをどういうふうに戦略的に結び付けていくかと。今、観光開発というのは、国内の人の移動だけじゃなくて、中国とか韓国とか台湾のお金持ちをどうやって引っ張ってくるかと。観光資源、歴史遺産を回りながら、そこの名湯で、温泉で疲れをいやすというような一連のプログラムをどう組んでいくか、それとその交通アクセスをどう結び付けていくか。  つまり、今までは、公共事業をすることによって、している間は地域が豊かになった、しかしそれが終わった途端におしまいと。これからは、恒常的に人と富を引っ張ってくるような仕組みの中で、じゃ取付け道路はどう造っていくかというような、できた後、地域に人と富を呼び込んでくるような仕掛けをするということが大事だと思います。  観光資源だけじゃなくて、農水産資源一つであります。北海道では、今までサケが捕れてサケの皮は捨てていたんですけれども、そのサケの皮からコラーゲンが取れて化粧品とか薬とかに使えると。これは、サケというのを水産資源としてしか見てない、農水産政策として見ていないから捨てちゃうんでありますが、これが工業政策として見るとそれの活用ということになります。  そこで、それだけじゃなくて、どうやって市場にアピールをしていくか、どういうブランドにするか、ブランド戦略、マーケティング戦略、いろんな政策が絡み合って一つの地域活性化策ができ上がるんだと思います。だから、経済産業省だけでなくて各省連携をして、その地域に眠っている、実は気が付いていないものをブラッシュアップして地域の力にしていこうということを今考えているところでございます。
  112. 鈴木陽悦

    鈴木陽悦君 ありがとうございました。  地域資源活用企業化プログラムの創設、これはまた後日いろいろと審議する機会があると思いますんで、よろしくお願いいたします。  時間がなくなってしまいましたんで、最後質問をさせていただきます。  最後大臣にちょっと答えていただきたいと思いますが、秋田県選出の議員として、これから冬迎えると非常に気が重くなります、鉛色の空を見てますと。特にこの冬は大きな、大雪に見舞われてかなり生活に支障を来しました。こうした試練を乗り越えて東北人は粘り強さを発揮すると言われますけれども、事経済産業面見る限り、粘り強さだけでは何とも乗り切れません。  こうした中にあって、岩手県に進出いたしました関東自動車工業の話ちょっとしたいと思うんですが、この関東自動車工業を中心としたネットワークづくりが現在、秋田にとっても魅力でございますし、最も有効な手段として、ネットワークづくりとして動いております。  岩手、山形、宮城のとうほく自動車産業集積連携会議、これが今年の七月に設立されまして、青森、秋田もこれに合流すべく協議会を立ち上げました。実は秋田も昨日立ち上げました。東北でも数少ないチャンスととらえる中小企業も多くて、今後の注目度も高くなっております。  この関東自動車工業の動きにつきましては、今週早々、月曜日の新聞載っていましたが、JR貨物が名古屋から盛岡に向けてトヨタ専用列車の運行を開始したわけです。愛知県内で製造した自動車部品を岩手の組立て工場まで運ぶというものでして、東北の協議会立ち上げに更に弾みが付くものと非常に期待されます。環境面にも配慮した鉄道利用ということなんです。  この岩手を中心とした産業育成が進むと見られておりますが、ここで視点として必要なのは、私は東北としてのエリアに注目したいと思います。岩手、宮城は太平洋側です。秋田は日本海側。しかし、秋田には秋田港という港がありますし、海の拠点がありまして、縦軸とともにその横の連携軸、陸路もあります。いろんな形の整備によって連携が密になって、これが秋田港を通じて対岸貿易とか東北全体の活性化につながればと期待をしているところでございますが。  大臣は、今エリアという話をさしていただきました、この東北エリア全体の活性化についての考え方、ビジョン、これ最後にお聞かせいただければと思います。
  113. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 先ほど、地域経済産業局長会議で業況聴取をしましたときに、ばらつきがあると、濃い薄い、全体的に持ち上がってはいるけれども濃い薄いがあると。そこは、本来の地力にもよるけれども、どういう産業に依存しているかがかなり影響を与えているというお話をいたしました。  そこで、自動車は産業が立地しているということは有利に働いているというお話をしたわけでありますが、鈴木先生がおっしゃいますように、東北地方は岩手県を中心とした自動車産業の集積があると。秋田や山形の半導体関連産業集積においても新規設備投資が行われているわけでありますし、兆しとしては明るい兆しも見られると。  今お話にありました、昨日ですか、秋田県の自動車産業振興協議会が設立をされたと。自動車関連で東北経済圏が一つでき上がると。これは、東北経済圏の中で、自動車、いろんな部門が連携をして産業立県になっていくと、これは大変いい兆しであると思います。  それ以外にも、先ほど申し上げました観光資源としても有利な点がたくさんある。世界遺産とか、伝産品とか、温泉ですね。秋田には白神山地、これは世界遺産ですよね。もう世界に誇る日本の宝でありますし、東北地方の伝産品では、会津塗とか、南部鉄器とか、山形の鋳造、鋳物ですね。こういう伝統的なたくみの技と、それから世界遺産と、それから温泉等、これをどういうふうに組み合わせるかということがこれからの腕の見せどころ、鈴木先生の活躍のところだというふうに思っております。  我が省としても、省を挙げてお手伝いをさしていただきたいと思います。
  114. 鈴木陽悦

    鈴木陽悦君 大臣の力強い応援ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。今後のこの委員会でもいろいろと東北の話出てくると思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  最後に一言言わしていただけますと、このところ、法案整備急ぐ余り、法施行後の混乱がちょっと目立っております。今年に限って申し上げますと、今現場から悲鳴が聞こえております障害者自立支援法、改正道交法、それから経産省関連ではPSE法、法施行後の想定とかシミュレーションにちょっと、やや不安要素があると思われます。急がば回れではございませんけれども、真に国民の立場に立った目線で慎重な審議が行われなければならないと考えております。今後の委員会でもこうした点を踏まえて質問さしていただきますので、よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  115. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) どうも御苦労さんでございます。  御紹介をさしていただきます。  国際基督教大学の学生さんでございます。よろしくどうぞお願いいたします。今日は経済産業委員会を傍聴に参りました。御苦労さんでございました。(拍手)  本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたしたいと思います。    午後三時散会