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2006-11-08 第165回国会 参議院 経済・産業・雇用に関する調査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年十一月八日(水曜日)    午後一時二分開会     ─────────────    委員氏名     会 長         広中和歌子君     理 事         北岡 秀二君     理 事         南野知惠子君     理 事         松村 祥史君     理 事         谷  博之君     理 事         和田ひろ子君     理 事         浜田 昌良君                 岩井 國臣君                 大野つや子君                 小池 正勝君                 小泉 昭男君                 佐藤 昭郎君                 西島 英利君                 野村 哲郎君                 松山 政司君                 吉村剛太郎君                 伊藤 基隆君                 池口 修次君                 大久保 勉君                 津田弥太郎君                 峰崎 直樹君                 松 あきら君                 井上 哲士君                 渕上 貞雄君                 又市 征治君     ─────────────    委員異動  九月二十七日     辞任         補欠選任      池口 修次君     下田 敦子君      大久保 勉君     藤本 祐司君      谷  博之君     小林  元君      津田弥太郎君     柳澤 光美君      峰崎 直樹君     尾立 源幸君      浜田 昌良君     澤  雄二君  十月四日     辞任         補欠選任      北岡 秀二君     脇  雅史君      松山 政司君     神取  忍君      吉村剛太郎君     松田 岩夫君  十月五日     辞任         補欠選任      脇  雅史君     北岡 秀二君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         広中和歌子君     理 事                 小池 正勝君                 南野知惠子君                 松村 祥史君                 尾立 源幸君                 小林  元君                 澤  雄二君     委 員                 大野つや子君                 北岡 秀二君                 小泉 昭男君                 野村 哲郎君                 松田 岩夫君                 伊藤 基隆君                 下田 敦子君                 藤本 祐司君                 柳澤 光美君                 松 あきら君                 井上 哲士君                 渕上 貞雄君    副大臣        経済産業大臣  渡辺 博道君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       松野 博一君    事務局側        第二特別調査室        長        富山 哲雄君    政府参考人        厚生労働大臣官        房審議官     森山  寛君        厚生労働大臣官        房審議官     村木 厚子君        厚生労働省職業        安定局次長    鳥生  隆君        厚生労働省職業        能力開発局長   奥田 久美君        厚生労働省政策        統括官      金子 順一君        経済産業大臣官        房審議官     大辻 義弘君        経済産業大臣官        房審議官     川原田信市君        経済産業大臣官        房審議官     古谷  毅君        経済産業省経済        産業政策局長   鈴木 隆史君        資源エネルギー        庁次長      平工 奉文君        中小企業庁次長  加藤 文彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○経済産業雇用に関する調査  (「成熟社会における経済活性化多様化する  雇用への対応」のうち、雇用をめぐる現状と課  題及び経済成長戦略大綱について)     ─────────────
  2. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) ただいまから経済産業雇用に関する調査会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、谷博之さん、峰崎直樹さん、池口修次さん、津田弥太郎さん、大久保勉さん、浜田昌良さん、松山政司さん及び吉村剛太郎さんが委員辞任され、その補欠として小林元さん、尾立源幸さん、下田敦子さん、柳澤光美さん、藤本祐司さん、澤雄二さん、神取忍さん及び松田岩夫さんが選任されました。     ─────────────
  3. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) 理事辞任についてお諮りいたします。  和田ひろ子さんから、文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  理事辞任及び委員異動に伴い現在理事が四名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事小池正勝さん、尾立源幸さん、小林元さん及び澤雄二さんを指名いたします。     ─────────────
  6. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  経済産業雇用に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 広中和歌子

  10. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  11. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) 経済産業雇用に関する調査を議題とし、「成熟社会における経済活性化多様化する雇用への対応」のうち、雇用をめぐる現状課題について厚生労働省から、経済成長戦略大綱について経済産業省から、それぞれ説明を聴取いたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  まず、厚生労働省から説明を聴取いたします。松野厚生労働大臣政務官、よろしくお願いいたします。
  12. 松野博一

    大臣政務官松野博一君) 厚生労働大臣政務官松野でございます。  本日は、雇用をめぐる現状課題というテーマに基づき、厚生労働省における雇用政策について、お手元に配付をさせていただきました資料に沿って説明をさせていただきます。  まず、雇用失業情勢現状について御説明を申し上げます。  資料の二ページ目をごらんください。  我が国雇用失業情勢は、厳しさが残るものの、改善が進んでおります。経済が長期間低迷する中で、完全失業率が五%を上回る水準となるなど厳しい時期もありましたが、平成十四年以降の景気の回復に伴い、雇用情勢も全体としては改善が進んでおり、本年九月の有効求人倍率は一・〇八倍、完全失業率は四・二%となっております。  しかしながら、その実態については様々な課題があるものと考えています。経済産業構造変化価値観多様化などを背景に、パート労働者派遣労働者など雇用期間が相対的に短い非正規雇用者割合が高まっております。若者については、完全失業率水準が依然として高く、いわゆる年長フリーターニートの問題もあります。高齢者については、一昨年に六十五歳までの定年引上げ等措置が義務付けられたところですが、有効求人倍率は依然として他の年齢層と比べると低い水準にあり、相対的にはなお厳しい雇用環境にあります。  また、働く者の仕事生活に関する意識ニーズ多様化する中で、仕事仕事以外の活動を様々に組み合わせ、バランスの取れた働き方を安心、納得して選択していけるようにすること、すなわち、仕事生活調和実現が重要になっています。  国勢調査の結果によると、我が国の総人口が二〇〇五年に減少に転じたことが確認され、また、二〇〇七年から約六百七十万人の団塊世代が六十歳代に順次到達するなど、我が国経済社会は大きな転換期を迎えています。  このような状況の中で、労働力人口減少を抑え、経済社会活力を維持増進させるためには、若者高齢者、女性など、だれもが意欲能力を最大限発揮し、働くことができるようにすることが重要であると考えております。  まず、非正規雇用の問題について御説明申し上げます。  四ページ目をごらんください。  正規雇用者数は近年減少傾向にある中で、非正規雇用者数若年層中心増加しており、非正規雇用者雇用者全体に占める割合はおおむね三人に一人となっております。その内訳を見ると、二〇〇五年では、パート、アルバイトが千百二十万人、派遣社員が百六万人、契約社員等が四百七万人となっております。  こうした非正規雇用増加は、経済産業構造変化価値観多様化など、企業労働者双方ニーズによりもたらされているものと考えております。  五ページ目をごらんください。  非正規雇用年齢階級別の動向ですが、近年特に二十歳から二十四歳、二十五歳から二十九歳の若年者で非正規雇用の比率の伸びが大きくなっております。  六ページ目をごらんください。  非正規雇用者増加することによる社会的影響ですが、左の教育訓練実施状況をごらんいただきますと、正規雇用者と非正規雇用者の間では職業能力開発機会格差があることが分かります。また、右の有配偶者の占める割合をごらんいただきますと、非正規雇用では正規雇用に比べ有配偶率も低くなっております。  このように、若年者中心とした非正規雇用増加は、将来、社会全体としての人的資本の蓄積の弱体化晩婚化、非婚化による少子化加速につながる懸念があり、十分な注意が必要であると考えています。  七ページ目をごらんください。  これから非正規雇用について課題と具体的な取組の方向をお示ししております。  パートタイム労働者については、正社員との間で賃金などの待遇の格差が主な課題となっており、パートタイム労働者の態様に応じた均衡処遇確保正社員への転換等推進するためのパート労働法見直しについて検討を進めています。  また、有期労働契約者について、契約期間中はやむを得ない場合を除き解約できないこと等について検討しております。  さらに、フリーター等増加については、先ほども申し上げましたとおり、職業能力開発機会格差少子化加速といった懸念があります。このような状況を踏まえ、若者能力、経験の正当な評価と採用機会拡大等について雇用対策法見直し事業主努力義務を課すことなどを検討しています。  なお、いわゆる偽装請負の問題と、フリーター二十五万人常用雇用化プラン等若年者雇用対策につきましては、追って御説明申し上げます。  続いて、若年者雇用対策について御説明申し上げます。  九ページ目をごらんください。  若者雇用情勢につきましても、全体としては改善の動きが加速化しております。完全失業率は八・七%と、平成十年以来となる九%を下回る水準まで低下しております。また、有効求人倍率は一・四九倍と、平成四年以来の水準まで上昇しています。  さらに、高校生大学生就職率ですが、高校生については昨年に比べ〇・九ポイント上回る九八・一%、大学生については昨年に比べ一・八ポイント上回る九五・三%と、いずれも大きく改善しています。  十ページ目をごらんください。  いわゆるフリーターの数については、二〇〇三年に二百十七万人まで増加した後、二年連続減少し、二〇〇五年には二百一万人となっているものの、二十五歳以上の年長フリーターについてはほとんど減少しておりません。また、いわゆるニートの数は、二〇〇二年に六十四万人となってからは高止まりしており、二十五歳以上の層については増加しています。  このように、就職氷河期正社員となれずフリーターにとどまっている若者ニートなどの無業者は依然として多く、こうした若者に対する支援は極めて重要であると考えております。  このため、厚生労働省においては、本年一月に改訂されました若者自立・挑戦のためのアクションプランに基づき、関係府省と密接に連携しつつ、各種対策に取り組んでいるところです。  十一ページ目をごらんください。  本年四月からフリーター二十五万人常用雇用化プランとして、常用雇用を希望するフリーターに対してジョブカフェやハローワーク等におけるきめ細やかな就職支援等を行っております。  昨年度においては、フリーター二十万人常用雇用化プランとして目標を設定し、ハローワークによる就職者数十八・五万人を含め二十二・五万人の常用雇用実現いたしました。本年度は更に目標値を高く設定してこれらの取組推進しています。  十二ページ目には、ニート等若者の働く意欲能力を高めるための総合的取組をお示ししております。各地域地域若者サポートステーションを設置し、地域若者支援機関のネットワークの中核として各機関サービスが効果的に受けられるようにすることにより、ニート等自立支援しています。  また、合宿形式による集団生活の中で生活訓練労働体験等を通じて働く自信と意欲を付与する若者自立塾事業推進しています。  さらに、全国のハローワーク等において専門的相談体制を整備し、若者就業をめぐる悩みに対応することとしています。  そして、若者に働くことの意義を実感させ、働く意欲能力を高めるため、経済界労働界教育界地域社会政府等関係者が一体となって取り組む若者人間力を高めるための国民運動を展開しています。  このほか、若者応募機会の拡大が図られるよう、経済団体等への働き掛けを行うとともに、先ほど申し上げたとおり、雇用対策法見直しについて検討を進めるなど、若者に関する各般の雇用対策に取り組んでいるところです。  次に、高齢者雇用対策について御説明申し上げます。  十四ページ目をごらんください。  出生率の低下、団塊世代高齢化により、労働力人口は今後減少していくと見られています。また、雇用失業情勢が全体として改善傾向にある中で、高齢者有効求人倍率は、本年九月で〇・六〇倍と厳しい情勢が続いております。一方で、日本の高齢者就業意欲は各国と比較して非常に高く、二〇〇四年における六十歳から六十四歳の男性労働力率は七一%となっています。さらに、厚生年金定額部分支給開始年齢が二〇一三年までにかけて段階的に六十五歳まで引き上げられているところであります。  こうしたことから、就労意欲のある高齢者年齢にかかわりなく働き続けることができる環境の整備が必要であります。  このような問題意識を踏まえ、平成十六年に高年齢者雇用安定法を改正いたしました。その概要については十五ページ目をごらんください。  このうち、六十五歳までの雇用確保につきましては本年四月から施行されており、事業主は、定年引上げ継続雇用制度導入定年の定めの廃止のうちいずれかの措置を講ずることが義務付けられたところです。  厚生労働省では、法の着実な施行のため、事業主に対して適時適切な助言、指導支援に努めてきたところです。その施行状況につきましては十六ページ目をごらんください。  本年六月一日現在、五十一人以上規模企業の約八四%が法に沿った措置導入済みとなっております。また、この高年齢者雇用確保措置における上限年齢については、年金支給開始年齢引上げに合わせ、平成二十五年までに六十五歳となるよう段階的に引き上げることとしていますが、措置導入済み企業のうち、このスケジュールを前倒しし、六十五歳以上を上限年齢としている企業は七六・三%となっております。  十四ページに戻っていただきまして、高齢者がその意欲能力に応じて年齢にかかわらず働き続けることができる社会実現に当たっては、個人の能力や適性にかかわらず年齢のみを理由として就職機会を奪う年齢制限を是正する必要があり、合理的な理由なく年齢を考慮して採用を行おうとする事業主に対しては、年齢制限是正意義必要性の浸透を図ることが重要であると考えております。  このため、現在ハローワークでは、雇用対策法による労働者の募集、採用に当たっての年齢制限緩和努力義務改正高年齢者雇用安定法による年齢制限に係る理由の提示の義務付けを踏まえ、求人受理の際に合理的な理由なく年齢制限を課すことのないよう指導しており、本年九月の年齢不問求人割合は、平成十三年九月一日の一・六%から四五・二%に増加しております。今後ともこの指導を徹底してまいりたいと考えております。  続きまして、高齢者の多様な就業社会参加促進を図るという点につきましては、シルバー人材センターにおいて、地域に密着し、高齢者の多様なニーズに応じた就業機会を提供しているところであり、今後とも事業推進に努めてまいりたいと考えております。  こうした各種施策を通じ、高齢者が生き生きと働くことができる活力がある社会の構築に向けて努力してまいります。  次に、ワークライフバランスについて御説明申し上げます。  十八ページ目をごらんください。  少子高齢化等の中で、働く者の意欲能力が最大限発揮できることの必要性や、働く者の仕事生活に関する意識ニーズ多様化背景として、働く者一人一人が職業生活における各々の段階において、仕事と、家庭地域、学習といった仕事以外の活動を様々に組み合わせ、バランスの取れた働き方を安心、納得して選択していけるようにする、仕事生活調和実現が重要であります。  こうした観点から、厚生労働省として、ワークライフバランスにかかわる所要の取組をこれから申し上げるとおり推進しているところであります。  まず、労働時間等の現状を御説明します。  十九ページ目をごらんください。  近年、全労働者の年間総実労働時間は減少傾向にありますが、その原因は、二十ページ目にありますように、主として短時間労働者割合増加したためと考えられます。一般労働者については依然として長時間労働実態があり、労働時間の長短二極化の進展等、新たな課題が発生しております。  次に、二十一ページ目をごらんください。  近年、年次有給休暇取得率低下傾向にあります。その原因の一つとしては、年次有給休暇取得について事業場における労使意識が前向きなものとなってないこともあると考えられます。  二十二ページ目をごらんください。  これに対応するために、労働時間等の設定労働者の健康と生活に配慮するとともに、多様な働き方に対応したものへと改善するため、時短促進法労働時間等設定改善法へと改正し、今年四月一日から施行したところです。同法に基づき、労使の自主的な取組推進することを通じて、所定外労働の削減や年次有給休暇取得促進を進めることにより、長時間労働の是正に取り組んでおります。  二十三ページ目をごらんください。  ワークライフバランスへの取組の中でも、特に仕事家庭両立支援が重要となっています。厚生労働省としては、希望する者すべてが子育て等をしながら安心して働くことができる社会実現をするために、育児・介護休業法等施行事業主両立支援への取組支援労働者への支援を行っております。  二十四ページ目に参りまして、仕事家庭が両立できる働き方を実現するためには企業における取組が重要です。このため、各企業に対し次世代法に基づく次世代育成支援のための行動計画策定をお願いをしております。現在、行動計画策定届出義務のある従業員三百一人以上の大企業においては、ほぼ一〇〇%の企業に届出を行っていただいているところです。今年度は、従業員三百人以下の中小企業においても行動計画策定が進むよう積極的に取り組んでまいります。また、来年度からは、行動計画策定、届出し、一定基準を満たした企業厚生労働大臣認定する仕組みがスタートします。認定を受けた企業は、次世代認定マークをその商品や求人広告などに使うことができるようになります。  二十五ページ目でございますが、ワークライフバランス実現のためには企業意識を変えていただくことが重要であることから、厚生労働省においては、日本アイ・ビー・エム株式会社北城会長を座長として、企業経営者経営者団体、有識者の御参加の下に、男性育児参加できるワークライフバランス推進協議会を開催し、去る十月十三日に企業経営者向け提言をとりまとめていただいたところです。今回の提言には、男性も日常的に育児参加ができるような柔軟な働き方や、短くて効率的な働き方によるワークライフバランス実現によって、優秀な人材確保・定着、従業員意欲生産性の向上、仕事の内容や進め方の見直し効率化などといった企業経営にとってもメリットがあるといったことが盛り込まれております。  最後に、いわゆる偽装請負について御説明申し上げます。  二十七ページ目をごらんください。  請負とは、発注者請負労働者の間に指揮命令関係はなく、請け負った事業主がその請負労働者についてすべての責任を負うものです。  一方、労働者派遣とは、労働者派遣を受け入れる事業主、すなわち派遣先事業主派遣労働者指揮命令を行うものであり、その指揮命令に伴う責任を負うこととされております。  ここで、いわゆる偽装請負とは、請負業務委託を偽って、労働者派遣契約を締結しないまま発注者労働者指揮命令を行う労働者派遣を行うことであり、労働者派遣法等に違反するものです。これについては、安全衛生等の事業主責任の所在があいまいとなり、労働災害の発生につながるなどの問題があるものと認識しております。  いわゆる偽装請負の発生原因ですが、製造業における請負労働については、一時的、季節的な業務量の増大に対処するため、欠員補充等必要な人員を迅速に確保できるため、経費が割安なため等の理由から大企業中心に幅広く活用されております。このようなニーズにより請負事業の活用が進む中で、本来指揮命令を行うべき請負事業主ではなく、発注者請負労働者に対し安易に指揮命令すること等によりいわゆる偽装請負が生じているものと考えております。  次に、その防止、解消策について御説明申し上げます。  いわゆる偽装請負への問題に的確に対応するため、平成十六年度からは、監督指導業務をハローワークから労働局に集中化して専門的に対応する体制を整備しております。  二十八ページ目をごらんください。  請負事業主に対する監督指導の実施件数、発注者に対する監督指導の実施件数のいずれも年々増加しており、また、このうち文書による指導を実施した件数も増加しています。  また、今般、偽装請負の防止、解消を図るため、一層取組を強化することとしました。  二十九ページ目をごらんください。  本年九月四日に、厚生労働省から各都道府県労働局に対し、請負事業主発注者等に対する広報、集団指導の実施などの周知啓発の強化、職業安定行政と労働基準行政の間での情報共有化の徹底と共同監督の計画的実施を始めとする監督指導の強化、死亡災害等重篤な労働災害を発生させた悪質な違反が認められた発注者に対する司法処分、請負事業主に対する刑事告発、行政処分といった厳格な対応などの取組を進めるよう指示いたしました。  このような取組を通じて、事業主に対して法令遵守の徹底を図るとともに、偽装請負等の違法事案に対する是正指導を進めているところでもあり、今後とも違法事案の防止、解消に最大限の努力をしてまいります。  雇用をめぐる現状課題に関する説明は以上でございます。  厚生労働省としては、今後とも、だれもが意欲能力を最大限に発揮し、働くことができるような社会実現に全力を尽くしてまいりますので、皆様の御理解と御協力をよろしくお願いを申し上げます。
  13. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) どうもありがとうございました。  では次に、経済産業省から説明を聴取いたします。渡辺経済産業大臣、よろしくお願いいたします。
  14. 渡辺博道

    ○副大臣(渡辺博道君) 経済産業大臣の渡辺でございます。  成長なくして日本の未来はなしを掲げる安倍政権において、経済産業省関係省庁と連携し、日本の経済の新たな成長に向けた成長戦略の策定、実施を進めてまいります。  本日は、本年七月に政府・与党で策定された経済成長戦略大綱の概要と今後の取組について御説明をさせていただきたいと存じます。  配付資料がございますが、この横長の配付資料でございます。  一ページ目でございますが、私の方から経済成長戦略大綱の基本的な考え方並びに経済成長の姿について説明をさせていただき、二ぺージ以降につきまして、具体的な施策につきましては鈴木経済産業政策局長から細かく説明をさせていただきたいと存じます。  まず一ページ目、一、基本的な考え方の項目に沿って説明をいたします。  昨今の経済回復によって経済の潮目に変化が見られます。左の下の図をごらんいただきたいと存じます。二〇〇三年以降、経済活性化によって企業の設備投資が進み八・四兆円、対前年に対して増加をしております。〇三、〇四年の対比でございます。企業の収益についても八・五兆円、従業員給与の増加につきましては六・四兆円。さらに、税収が増加をしておりまして、法人所得税が二十・六兆円となっております。これは経済活性化の成果が企業や家計に行き渡りつつあることを示していると思います。  今日、我が国は主要先進国の中でも財政状態が最悪の状態と言われており、大きな課題として財政再建がございます。財政再建というと、一九九〇年代の後半に財政再建を推進してまいりましたが、盛り上がっていた景気回復が途中で腰折れになり失敗したことは記憶に新しいところでございます。今回はその反省に基づき財政再建と経済成長を車の両輪として進めることにより、明るい兆しが出た日本の経済成長に水を差さない形で財政再建も経済成長も実現していこうということになりました。  また、現在我が国で最も深刻な課題の一つとして、主要先進国の中で初めて人口減少社会に入ったという点が挙げられます。人口が減るということは労働の需要と供給両面から大きな制約要因になります。  このページの真ん中でございますが、我が国高齢化人口減少というグラフでございます。ごらんをいただきたいと思います。赤い折れ線で示されたゼロ歳から十四歳人口比率が年々低下し、青い折れ線で示された六十五歳以上人口比率が年々増加し、急速な高齢化が読み取れます。また、棒グラフで示された総人口につきましても、二〇〇五年度以降徐々に減少をしております。  この難しい課題に直面しながら、その逆風をついて国富の増大をもたらす成長を実現していくため、大綱では生産性向上、技術革新、そしてアジア等海外のダイナミズムの三つを生かしていこうということに考えました。  まず、生産性向上でございますが、人口減少を前提としますと、人材の質を高めつつ効率的な経営を進めることで一人当たりの生産性をどれだけ高められるかという点が重要になってまいります。特に、サービス産業のように諸外国と比べて生産性が低い産業については、例えば産業全体にITの革新的な利用、活用を進めることで生産性の向上を図ることが可能と考えております。  二点目の技術革新でございますが、これはイノベーションとも言われますが、革新的な研究開発やそれを新しい製品、サービスに適用することでございますが、政府が主導し、産学官の連携による研究開発や国際標準化、知的財産の保護、活用等を促進していくことにより、我が国産業の国際競争力を高めていくことにつながります。このような取組により、我が国に世界最先端の産業を育て、世界のイノベーションセンターを目指していくことが重要でございます。  三点目でございます。  アジア等海外のダイナミズムについては、急速に成長するアジアなど近隣諸国の発展に貢献し、ともに成長するという関係を強化していく考えでございます。  右下の図をごらんいただきたいと思います。東アジア域内の工程間分業の進展の状況でございます。ここに示されているとおり、現に日本で生産した付加価値の高い中間財、例えば自動車部品や電子部品であります。これらを中国やASEANに輸出し、そしてその中間財を組み立てて最終財、それは先ほど申し上げたとおり自動車や家電製品などでありますけれども、これを生産して欧米に輸出するという三角貿易構造が我が国製造業の収益を支えております。  さらに、我が国企業が投資や取引など国境を越えた経済活動促進やアジア域内での効率的な共同体制の構築に不可欠な環境の整備などを進め、日本国内の産業構造を生産性の高い分野にシフトさせつつ、海外の人材が日本で活躍し、海外企業我が国に新しい技術、資金やアイデアを持ち込むことを進めてまいります。  これらの方向性に沿って、人口減少下でも経済成長は可能だという新しい日本型経済成長モデルを世界に示し、今後同様の課題に直面する諸外国にとって良き先例になりたいと考えております。同時に、国民に対しては、改革の先に明るい日本の未来があることを示していきたいと考えております。  経済成長戦略大綱実現を確実なものにするため、今後十年間に取り組むべき施策を、短期一年、中期三年、長期十年の三つのフェーズに分けた工程表を作成するとともに、毎年度各施策の進捗状況をチェックし、必要に応じて見直しを行うことが明記されております。  また、予算面でありますが、政府全体で経済成長戦略大綱実現に向けて、平成十九年度概算要求において三千億円規模の経済成長戦略推進要望が設けられました。経済産業省では、特に新規性の高い施策又は成長力の押し上げ効果の高い施策について三百六十三億円を要求しております。具体的には、次世代ロボットや次世代航空機のようなイノベーションを生み出す研究開発や、アジアの優秀な学生を日本国内の企業で受け入れる環境を整備するための人材交流事業などであります。  こうした基本的考え方に沿って次のページのような具体的な施策を進めていくわけでありますが、施策を示しただけでは多くの国民の皆様方には実感がわきにくいと思います。そこで、この大綱の施策を着実に実行した場合に視野に入る経済成長率の試算を紹介しております。右側のページの経済成長の姿をごらんをいただきたいと思います。今後十年間で年率二・二%以上の実質経済成長を視野にこの大綱の政策を実行すると位置付けております。  この二・二%以上の内訳は、技術革新による生産性向上で〇・二%、IT革新を通じた経営力強化、コンテンツ市場拡大等によって〇・四%、サービス産業革新を通じた生産性向上、重点サービス市場拡大等によって〇・四%以上、若者、女性、高齢者労働参加率上昇、人材の質の向上等により〇・四%以上となっております。また、この年率二・二%という数字は小さく感じられるかもしれませんが、十年続くとそれなりの数字になると思います。  国全体でございますけれども、注のところに書いてございますが、国民総所得では年率二・四%という形で、同一人当たりに直しますと二・五%が視野に入ってまいります。これを数字的に一人当たりの実質的GNIに直しますと三割増えるということになりまして、これからの将来の所得の予測が見えるわけであります。  しかしながら、これらは努力をしないで達成できる数字ではなく、本格的な人口減少を迎えるまでの残された十年の間に、生産性を上げ、イノベーションを起こすため、あらゆる政策努力を集中する必要があることは言うまでもありません。このため、経済産業省としては、関係省庁や産業界などとも連携しつつ、経済成長戦略大綱を着実に実施、実行に移すとともに、更に新しい改革を盛り込んで、一層強化させていきたいと考えております。  私の方からは以上とさしていただきますが、次ページ、二ページ、三ページ以降につきましては鈴木局長より説明をさせていただきます。
  15. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) どうもありがとうございました。  では、経済産業省鈴木経済産業政策局長、よろしくお願いいたします。
  16. 鈴木隆史

    政府参考人鈴木隆史君) 産業政策局長鈴木でございます。  それでは、具体的施策につきまして、渡辺副大臣の補足説明をさせていただきます。  お許しをいただきまして、着席で御説明をさせていただきます。  横長三枚紙の二ページ目をお開きいただきたいと思います。ここに書いてございますように、経済成長戦略大綱の具体的施策は五つのパートに分けられております。そして、これらの具体的施策は、経済産業省の施策だけではなく、広く各省の施策から成っておりまして、それらを取りまとめたものでございます。  順次御説明をさせていただきます。  左の上の一は、国際競争力の強化でございます。これは、先ほど渡辺副大臣から説明がありました技術革新、アジア等海外のダイナミズムなどにより、アジアの発展に貢献し、アジアとともに成長するための施策でございます。  二は、生産性の向上でございます。ITによる革新で企業経営効率化を進めるとともに、生産性が低いサービス産業等の生産性を抜本的に強化するための施策でございます。  三は、地域中小企業の活性化でございます。日本経済を支える存在である地域中小企業に焦点を当てた戦略的、重点的な施策でございます。  四は、改革の断行による新たな需要の創出でございます。これは、生産性の向上による供給面強化に加えまして、需要を喚起する規制改革などの施策を取り上げております。  最後に、五は、生産性向上型の五つの制度インフラでございます。ここでは、国際競争力を支える基本的な制度を人、物、金、技、知恵に分類をいたしまして、それらを抜本的に強化するための施策を取り上げております。  それでは、それぞれのパーツごとに具体的な説明をさせていただきます。  まず第一の国際競争力の強化でございます。  ダイナミックに成長するアジア及びBRICsの市場や供給力という機会と、資源エネルギー制約及び環境制約というリスク、この双方に早急に対応することが必要であります。機会をとらえるためには、アジアの発展に貢献し、アジアとともに成長するといった視点が重要であります。国内では、我が国の強みであります生産性の高い製造現場等を強化しつつ、世界最高のイノベーションセンターとして国際競争力のある新商品やサービスを次々と生み出し、新しい価値を世界に発信いたします。アジア等との関係におきましては、効率的な協働を実現するための制度インフラの整備等を加速いたします。リスクを軽減し、中長期的な発展基盤を確立する観点から、エネルギー安全保障を核といたしました新・国家エネルギー戦略等を踏まえまして、資源エネルギー政策の戦略的展開を図ります。  この①から⑤でございますが、イノベーションにより我が国の国際競争力を強化するということでございまして、具体的には、国際競争力上欠かせない成長分野、例えばロボットとか次世代航空機、次世代型自動車等向け電池、先進的医療などに予算を重点的に投入いたしまして、日本の優位性を生かしつつ、迅速な開発を進めます。  制度面では、競争力上重要な技術につきまして、産学官の壁を低める連携、特許審査の迅速化、国際標準化の推進、ガイドラインの策定、官民政策対話の拡大等を進めてまいります。製造業のみならず、農林水産業、医療、観光業などについても国際競争力を強化してまいります。  ⑥から⑧でございますが、これはアジアのダイナミズムの取組でございます。  具体的には、アジアの発展に貢献し、アジアとともに成長するため、東アジアにおけるOECDのような国際的体制を確立し、東アジア経済圏の構築に向けた経済連携協定、EPAの早期締結に取り組むとともに、WTOドーハ・ラウンドの交渉再開にも積極的に取り組みます。例えば、EPA交渉につきましては、日・マレーシア、これが七月十三日に発効いたしました。日・フィリピン、九月九日に署名をいたしました。チリとのEPAも九月に大幅合意する等、着実に推進をしております。  東アジアEPAについては、八月の日・ASEAN経済大臣会合で日本政府から提案をし、来年からは専門家研究開始を予定をしております。東アジアでのOECDのような組織の設置をASEAN関連経済大臣会合において前大臣より提案をいたしまして、おおむね各国より賛同を得たところでございます。  次に、⑨、⑩でございますが、資源エネルギー政策の戦略的展開でございます。  具体的には、原油価格高騰を始めとしたエネルギー制約を克服し、我が国経済の中長期的な成長基盤を確立する観点から、省エネ、新エネ、原子力の推進、運輸エネルギーの次世代化、先端的科学技術分野における協力も含めました資源外交の強化等の総合資源確保戦略の推進、緊急時対応の充実等に取り組んでおります。  例えば、環境経済の両立を実現するためのバイオマス由来燃料の導入に向けました調査研究、技術開発を平成十九年度の地域、宮古島における実証実施に向けた検討等も進めているところでございます。  以上が第一の国際競争力の強化でございます。  次に、左下の、第二の生産性の向上(ITとサービス産業の革新)でございます。  産業横断的に生産性向上の最重要の手段となるのは、先ほど副大臣から御説明をいたしましたITでございます。IT革新による競争力強化、中小企業の経営力の向上を促進し、コンテンツ市場の拡大を図ります。また、これらを支える産業基盤の強化を実現いたします。また、日本経済の七割を占めながら生産性向上で出遅れておりますサービス産業の革新が欠かせないと考えております。重点分野を中心にその生産性を抜本的に向上させることにより、サービス業を製造業と並ぶ双発の成長エンジンとして位置付けたいというふうに思っております。  具体的には、産学官によるIT生産性向上運動を立ち上げ、世界トップクラスのIT経営の実現を目指します。また、IT経営応援隊を通じた中小企業の経営力の向上、さらに国際コンテンツカーニバルの開催などによりまして、コンテンツ市場の拡大を図ります。サービス産業につきましては、サービス六分野、健康・福祉、育児支援、観光・集客、コンテンツ、ビジネス支援、流通・物流といったこのサービス六分野に政策を重点化しつつ、需要の創出、拡大生産性の向上の両面から重点的に政策を講じます。こういうことによりまして、二〇一五年までに七十兆円の市場規模拡大を目指しております。  例えば、観光・集客分野におきましては、事業の高度化に向けた実証事業の実施を通じた成功事例の積み上げ、成功・失敗要因分析に基づく事業運営手引きの策定等を通じまして、産業観光、文化観光、ヘルスツーリズムを含めまして、新たな観光・集客ビジネスモデルの確立を支援してまいります。  また、健康・福祉分野におきましては、地域ヘルスケアの提供体制の重点化、医療法人に必要な会計の在り方の検討や公募債の導入を始めとする市場ルールの活用を通じまして、質の高い効率的なサービス提供体制の構築に取り組みたいと考えております。  次が、右上でございますが、第三の地域中小企業の活性化(地域活性化戦略)でございます。  構造改革の中で経済状況や成長力の回復に後れが見られる地域中小企業の活性化に思い切って取り組むことが重要であると考えております。  地域資源を活用した地域産業の発展、コミュニティービジネスの振興などを総合的に推進するとともに、地域の声を踏まえつつ、地域が創造力を発揮して作成する地域再生計画について、省庁連携により一体的、重点的に支援する政策の充実を図ります。  また、特に地域経済雇用の大宗を支える中小企業を活性するため、地域資源を活用いたしました新商品、新サービス等の開発の支援、ものづくり中小企業の強化、中小小売商業や小規模零細企業支援を行います。  これらによりまして、地域の活性化を図るとともに、国内のみならず世界を視野に入れた地域の競争力強化を実現いたします。  具体的には、地域経済雇用の大宗を支える中小企業を活性化するため、地域資源を活用しました新商品、新サービスの開発、販売を多面的に支援する地域資源活用化プログラムというものを実施いたします。また、中小ものづくり高度化法に基づきまして、ものづくり中小企業の技術開発、企業間連携を支援し、ものづくり中小企業の技術力を底上げしたいというふうに考えております。  地域資源活性化企業化プログラムでございますが、これは地域資源、例えば地域の技術、農林水産品、伝統文化、こういうものを活用いたしまして、新商品、新サービスの開発、販売に取り組む中小企業地域の組合に対しまして、市場調査とか試作品の開発とか展示会出展などについて補助をするなどをいたしまして、総合的支援を実施したいと考えております。五年間で千件の新事業創出を目標としているところでございます。  次に、第四の改革の断行による新たな需要の創出でございます。  人口減少は供給力を低下させるだけでなく、需要面でもマイナスの影響を及ぼします。供給面対策と同時に、需要拡大につながる政策努力が欠かせないと考えております。イノベーションの加速による需要の創出に加え、官業の民間開放や思い切った規制改革といった改革努力により新たな需要を創出いたします。  具体的には、新たな技術の市場を妨げております規制の見直しや、市場化のためのルール作りなどを継続的に行うことにより、新たな需要を創出してまいります。  例えば、国の調達におきまして新技術を採用した製品を積極的に採用することで新技術の研究開発を促進する制度や、例えば燃料電池の市場化を妨げる規制など、イノベーションを進めるための制度の改正についても幅広く検討をしてまいります。  また、民間が担う公共料金において、社会資本の維持管理などの公的サービスを民間企業や非営利法人などが主体になって進めるための環境整備を検討をいたします。  最後に、第五の生産性向上型の五つの制度インフラでございます。  産業横断的に生産性の抜本的な向上を実現するため、思い切った制度改革が必要でございます。人、物、金、技、知恵、この五分野に関しましてIT革新も含め、世界で最も優れた制度インフラを構築したいと考えております。  具体的には、人につきましては、文部科学省と連携をいたしまして、産業ニーズに柔軟にこたえる人材育成システムを作ります。例えば、人につきまして、平成十九年度からの実施を目指しまして大学や地域の工業高校や高専における高度職業人材育成や、地元の企業技術者等と連携いたしましたキャリア教育等を検討しております。  また、文部科学省と連携をいたしまして、アジアの優秀な学生の国内就職機会拡大等を含めまして、受入れ環境を抜本的に整備するため、アジア等との若者レベルでの人材交流を進めるアジア人財資金事業、これは先ほど副大臣から御説明申し上げましたが、これをまた検討を進めているところでございます。  物につきましては、企業の投資や設備の新陳代謝を加速するための国際的に遜色のない制度見直しを行います。平成十九年度税制改正要望におきまして、減価償却制度の抜本見直しを要望しております。国際的なイコールフッティングを確保し、設備投資の拡大によるイノベーションの加速化を実現することでございます。  次に、三ページ目をお開きいただきたいと思います。  経済成長戦略大綱では、施策の着実な実現を担保するため、人口減少が本格化する二〇一五年度までの十年間に取り組むべき施策を、短期、中期、長期に分けた工程表を策定しております。この工程表に明記された具体的な数値目標や新規施策の中で、経済産業省関係するものを御紹介したいと思います。  一の国際競争力の強化では、対日直接投資の倍増、これは真ん中辺にございますが、二〇一〇年までに対GDP比増となる五%程度の対日直接投資を受け入れるつもりでございます。  それから、その下でございますが、東アジア経済統合の推進。東アジア経済圏構築などを通じまして、二〇一〇年には我が国全貿易額に占めるEPA締結国との貿易額の割合を二五%以上へと考えております。  それから、その下でございますが、企業の合併審査の透明性向上。二〇〇六年度内に企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針を改定いたしまして、企業合併審査の透明性を向上させ、企業の予見可能性を高めるとございます。  それから、その下でございますが、資源エネルギー政策の戦略的展開でございます。二〇三〇年までにエネルギー消費効率を少なくとも三〇%改善をし、また運輸エネルギーの石油依存度を八〇%へ下げる計画でございます。  真ん中の二、生産性の向上でございます。IT革新による生産性向上。これは、米国と比べ後れております日本企業のIT経営を五年以内に世界のトップクラスとする。それから、コンテンツ市場の創出でございます。これは、国際コンテンツカーニバル等の開催を通じまして、今後十年でコンテンツ市場を約五兆円拡大するということでございます。  それから、サービス産業の革新。これは、二〇〇六年度内にサービス産業生産性協議会を設立いたしまして、二〇一五年までにサービス六分野の市場を約七十兆円拡大するということでございます。  それから、真ん中の中ほどでございますが、三番目の地域中小企業の活性化につきましては、先ほど申し上げましたように、今後五年で地域の資源活用・中小企業支援策により、千の新事業創出をするとともに、ものづくり中小企業支援のための五百のプロジェクトを実現したいと考えております。  それから、五番目の生産性向上型の制度インフラでございます。  人財立国の実現ということで、専門職大学院設立などへの支援などを通じまして人材育成パスの複線化、それから先ほど申しましたアジア人財資金構想の推進によりまして、海外の優秀な人材を日本に呼び込みます。  それから、知的財産権保護でございます。二〇一三年に特許の審査順番待ち期間を現在の二十六か月から十一か月に短縮し、世界最速の特許審査を実現したいと考えております。  少々長くなりましたが、私の補足説明をこれで終わらせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  17. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) どうもありがとうございました。  以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入りたいと思います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに二時間程度行いたいと思います。質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を待って着席のまま御発言くださるようお願いいたします。  なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、答弁及び追加質問を含めた時間がお一人十分程度となるよう御協力をお願い申し上げます。  それでは、質疑のある方の挙手をお願いいたします。  松あきらさん。
  18. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。  公明党の松あきらでございます。  今日は、お話を伺っていまして、特に厚生労働省に対しまして、実は私は、これは何年前になるでしょうか、当委員会で偽装請負のことに関して御質問いたしました。まず、当時、報道で偽装請負で悩んでいる若者が百万人ぐらいいると、そして偽装請負というかその業者が三万社ぐらいあるということで、私は実態把握していらっしゃるんですかと申し上げたら、そういうのがあるらしいというのは実は聞いているけれども、実際にはそういうことをやっている業者があるのか、あるいはそうした労働者が何人いるのかという、何も数が分かりませんということで、かなり、それから大分、分からない分からないというのが続いたんですけれども、今日やっとこの偽装請負について出していただきました。  私はこれは、まあ正直言いまして、製造業に派遣がオーケーになったという、ここいら辺からやっぱり始まっているんじゃないかなというふうに思うんです。派遣業法にも守られない、前にも申し上げましたけれども、正に女工哀史のような状況若者がたくさんいると。一説では百万人あるいはそれ以上いるなんていうことで、非常に心配をしておりましたけれども、いよいよこういう形で出てきたと。何人あるいは何万社とかというその数というのは、まだこちらの後ろのここにある数ぐらいで、実際の数というのは出てないわけですけれども、実際のこの請負事業主というのが、もちろんこれは偽装でなければ社会保険、厚生年金にちゃんと入れなきゃいけないんですけれども、これが実際は入れてない請負業者もあると思うんです。これが把握していらっしゃるのかどうか、その辺も伺いたい。  それから、中小企業で、実際、社会保険、厚生年金、ちゃんと入っていたんだけど、会社の払う分がもう払えない、あるいは払いたくないというんでこれをやめてしまっている中小企業がある、これも問題になっている。この数も把握していらっしゃるのか、あるいはちゃんとこれに指導しているのかどうか。その二点をお答えいただきたいのであります。  それから、経済産業省は、私は九月の末まで副大臣を務めさしていただいておりました。今年の五月に新経済成長戦略というものを経済産業省が発表いたしまして、発表したころは、正にGDP、GNIの数値を出したということで、経済産業省が初めてこういった数値を出したということで、かなり波風も立ちまして、何だ偉そうになんていうことも言われました。けれども、私はそのときに、数値を出したということは責任取ることなんですよと。だって、数値出した以上は、その数値にならなかったら何やってんだということになるんですから、これは大きなことですと申し上げていたんですけど、正にそれが前小泉総理が非常に高くこれを評価されて、そして新経済成長戦略を基にこの経済成長戦略大綱ができたと私は思っております。  それから、たくさんあるんですけれど、今日は時間の関係で一点だけ。やはり、日本は中小企業が九九%という中で、私は、今日御説明いただいた地域資源活用企業化プログラム、これは非常にすばらしいと思っているんですね。なぜならば、トータルで支援ができると。何かこの、うちの方にこういういいものがあるんだけど、どう事業化したらいいのか分からない、こういう専門家の出会いから最後は減税まで、こんなトータルで支援できたというのは、今までするものがなかったんですね。それぞれいいことをやってくれていても、ばらばらで使いにくいとか、いろんなことあったんですけど、これを少し説明を詳しく皆様のためにしていただきたい。この二点であります。  最後に。実は、最初に会長政府参考人のお名前を個別で挙げました。経済産業省の方は一人ずつ立っておじぎをしてくださいました。厚生労働省の方は知らぬ顔でありました。やはり私は、さっき伊藤先生も、何だ、厚生労働省は何だって、こうおっしゃったんですけれど、やはり最低限、儀礼的なことはいいですよ、だけど人間ですから、せっかく前の席座っていらっしゃるんですから、最低限、名前を呼ばれたらちょっと軽く会釈ぐらいは私はあってもいいんじゃないかなと。そういう大人の態度が、やはり私は、子供たちに正に範を示さなきゃならない大人がこうであってはもう本当に情けない。これは役人だけじゃなくて、私たち議員もともにこれから心していかなければいけないことだと思っておりましたので、ちょっと一言申し上げます。よろしくお願いをします。
  19. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) それでは、最初の御質問に関しましてはどなたがお答えになりますか。鳥生職業安定局次長
  20. 鳥生隆

    政府参考人鳥生隆君) 偽装請負についての御質問でございます。  請負事業関係につきましては、届出、報告等の義務があるわけではございませんので、民事上の自由契約によるということでございまして、そのすべてを把握するということは困難でございますが、平成十七年度に実施いたしました労働力需給制度についてのアンケート調査におきまして、社会保険の加入状況を調べております。その中で、調べた結果によりますと、厚生年金保険の加入者が七九・七%、それから健康保険が八五・五%、雇用保険が九二・二%となっております。これ自体はサンプル調査でございますが、先ほど御指摘をいただきました数、全体の絶対数というのは、実際のところ、先ほど申しましたように分からないわけでございますが、今監督指導につきまして、先ほど政務官の方から御説明申し上げましたように、体制を組みましてその徹底を図っていると、是正に努めているというところでございまして、その中で各種の法令違反等の是正ということを鋭意図っているというところでございます。
  21. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) 今のあれでよろしゅうございますか。
  22. 松あきら

    ○松あきら君 ほかの、中小企業に関してはどうですか。先ほどの保険とか年金の脱退してしまっている数等を把握していらっしゃるのかどうか。
  23. 鳥生隆

    政府参考人鳥生隆君) 加入状況ということで、今申し上げたような調査でございますが、以前加入していて脱退したという数については現在のところ把握できておりません。
  24. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) よろしいですね。  じゃ、次の質問に関してのお答え。まず、渡辺経済産業大臣、よろしくお願いいたします。
  25. 渡辺博道

    ○副大臣(渡辺博道君) 松先生からの御質問、また御意見もございましたし、松先生は私の前副大臣でございまして、いろいろと御指導をいただいております。  経済産業省として、新経済成長戦略というものが六月九日に取りまとめられまして、それを受けて今度は経済成長戦略大綱ということになりました。したがって、先生がおっしゃっている二・二%という実質成長率を明示したということは大変なことだと私は思っております。これを明示した以上は、当然のことながら責任を負わなければならない。そのために全力でこの成長を目指していくということを全省を挙げて、そしてまた各省との連携の中で取り組んでいかなければならない。そういった思いで私も新たに副大臣として取り組んでまいりたいというふうに思っております。  そして、中小企業関係でございますが、これにつきましては担当の方からお話をさせていただきます。
  26. 加藤文彦

    政府参考人加藤文彦君) 松先生御指摘のとおり、全国四百三十三万の中小企業活力を高めることが我が国経済活力の源だと思っております。このため、中小企業の皆様へのこれまで円滑な資金供給あるいは新事業への挑戦支援、ものづくり中小企業の強化などいろいろな中小企業対策を実行してきております。  今般、先生御指摘のとおり、地域中小企業の活性化を図るために、中小企業による地域の資源を生かした新商品、新サービスの開発、販売などを支援する地域資源活用企業化プログラムを創設してまいります。  具体的には、地域中小企業がその産地の技術あるいは農林水産品などの地域資源を掘り起こし、磨き上げ、新たな商品、サービスに発展させる取組支援することを目指してまいります。その際に、地域に存在する強みである資源と市場をつなげることが重要であります。マーケティングの専門家によるノウハウの提供あるいは試作品の開発、展示会への出展に対する補助金、政府系金融、設備投資減税、その他各般の施策を総動員していくことを検討しております。
  27. 松あきら

    ○松あきら君 せっかくおっしゃるんでしたら、出会いの場を設けて、しかも専門家を常駐させて、そのある期間、一定期間できちんとそのものを、何が生まれるかというその期間も設けるんですよ、そして生み出すと。生み出した後に試作品のための資金提供あるいは本格的な事業をする場合の販路開拓、それから実際、本当に本格的にするときの融資の問題、そして最後は設備投資の減税までやる。ここまでおっしゃらないと、せっかくこれだけいいトータルの、皆さんそれぞれの地域で利用していただくために、そういうふうに説明していただきたいというふうに思います。  以上でございます。
  28. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) 何かお答え。よろしいですか。  それでは、次の方の質問に移らせていただきます。  松村祥史さん。
  29. 松村祥史

    松村祥史君 自由民主党の松村祥史でございます。  本日は、渡辺副大臣始め松野務官、詳しい説明ありがとうございました。  トップバッター、松あきら先生、さすがに経済産業大臣をお務めあられましただけあって、私も同じことを実はお尋ねをしたかったなと、こう思っておりました。  確かに経済は良くなっております。しかしながら、地方を回りますと、まだまだ中小零細というのは厳しいと。これも御認識をいただいていることと思います。しかしながら、この日本の経済が良くならなければ中小零細ももっと悪くなっていたと、私はこういうお話をさせていただくんですが、今回、中小企業戦略についても地方の経済を支えるこういう応援プログラムを作っていただいたことは大変有り難いと思っております。  これは要望にとどめますが、是非、意外とその起業家の方や地域の資源を気付いていないのが地域の方々であったり経営者の方々なんですね。この経営者の方々は今大変厳しい実情ですから、新しいものを創設する意欲というよりも現状維持に追われておるような気がいたします。そういう意味では、是非こういったアドバイザーというのが非常にこういうときに大事になってまいりますし、自分の分析ができていない方々への情報提供というのは大事だと、こう思っておりますので、その点も是非細かく、又はこういうプログラムを作っていただくのであればやっていただきたいなと思っております。  このことは是非こういったことを考えていただきたいということにとどめておきますが、中小企業戦略の中に、冒頭、松委員からも、九九%の中小企業、約七割の雇用という、まあ中小企業のまくら言葉がございますけれども、この九九%の中小企業のうちの九割は、おおよそ九割は小規模事業者であると認識をしております。せっかくこの十年間で二・二%の経済成長戦略を作ると大きな数字を掲げていただきました。この中で、小規模事業者と中堅企業の差というのはまだまだあると思うんですね。  私は経営者もやっておりましたから、やはり基本的には事業企業に、企業産業にというような思いでやはり会社を大きくしたいなという若い経営者はたくさんいると思うんですね。そのときに、自分がどの位置付けなのか、またどの枠でどの戦略が自分の戦略なのかということをもっときめ細やかにやっていく必要が今後あるんじゃないかと。せっかくこれだけ日本の経済が立ち直りました。今後、国際競争力を付けていく大企業とそれに追随する企業、その下を支える中小零細、これをもう少し細やかな分け方といいますか、そこをまず把握されているかどうかということをお尋ねをしたい。把握されていらっしゃれば、それについての今後どういった戦略をきめ細やかに打っていかれるおつもりなのか、是非お尋ねをしたいと思います。
  30. 加藤文彦

    政府参考人加藤文彦君) 最初に、先ほどの松先生の御質問にも関連するんですけれども、地域資源活性化プログラムにおきましてアドバイザー等の体制につきましてはきめ細かく対応していきたいと思っておりますが、今、予算要求でございますけれども、全国で千人以上のデザイナーとか指導員をネットワーク化するということを考えております。  それから、小規模企業でございますが、我々、小規模企業につきましては法律上の定義がございまして、製造業は二十人以下、それからその他の業種については五人以下というのが定義でございます。確かに、中小企業の中で小規模の方々のウエートは全体の八七%、企業数で占めておりますし、従業員数でも約二五%を占めております。  我々、小規模の方々については通常の中小企業の方以上の施策、例えば金融のあのいわゆるマル経とかいった施策も講じて地域の生業であります小規模対策を講じているところでございます。
  31. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) よろしいですか。
  32. 松村祥史

    松村祥史君 じゃ、せっかくですから。
  33. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) じゃ、フォローアップの。
  34. 松村祥史

    松村祥史君 十分以内で。  質問というよりもお願いですけれども、これはまた政策金融の中で国民生活金融公庫は今後セーフティーネットを図っていくということでございますが、今、マル経というお話が出ましたんで。  マル経の理解についても、およそ大体四百五十万ですから、平均貸付けが。これが不良債権率が増えたり、また借り口が減っているという話なんですね。四百五十万円を、やっぱりお金が足りないという方々はこれは小規模事業者であるわけですよ。こういった方々は、大体聞いてみますと契約書のない関係が多いんですね、仕事に関して。そうなりますと、相手の都合でなかなか資金繰りがいかないと。決して経営者の能力だけではないわけです。そのときに、是非円滑なクイックの融資が受けれるような体制も必要であろうと思います。このことが二か月や三か月融資を受けるまでに時間が掛かるようであれば非常に資金繰りができないわけですから、こういった方々が消費者金融とかああいうものに流れていっているというのが実態でございますから。ましてや、経済がいいとはいいながらも、そういう方々は、小規模事業者の方は大変まだまだ良くないという実情ですので、今後も、やっぱりセーフティーネットの充実という意味では、できるだけクイック融資ができるような状態をつくっていく必要があると思っておりますので、あえて述べさせていただきたいと思います。
  35. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) じゃ、コメントに対しまして、渡辺経済産業大臣、お願いいたします。
  36. 渡辺博道

    ○副大臣(渡辺博道君) 松村先生の御指摘、ごもっともだというふうに思います。中小で一くくりにすることなく、零細、そしてまた中堅という形のきめ細やかな政策の実現に目指してまいります。  とりわけ、マル経の問題もありましたけれども、融資についてはそれなりに弾力的に対応していくように努力していきたいと思います。
  37. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) では、次の質問者、井上哲士さん。
  38. 井上哲士

    井上哲士君 共産党の井上哲士です。時間も限られていますので、雇用の問題に絞ってお聞きをいたします。  最近、いわゆるワーキングプアという問題が大変社会問題になっております。どんなにまじめに働いても十分な賃金が受け取れない、生活保護水準以下の賃金しか受け取れないということがマスコミ報道なども通じて大変問題になっているわけですが、この問題を私ども予算委員会などで質問した際に、安倍総理は、いわゆるワーキングプアと言われる人たちを前提にコストあるいは生産の現状が確立されているのであればそれは大変な問題であろうと思いますと、こういう答弁をされました。現実は、正に前提にコストや生産の現状が確立されているということで問題になっているわけですね。  そこで、総理もこれは大変な問題だという認識をされた以上、一定の制度的な、また法制的な対応も必要でありましょうし、経済界等にも強力な要請も必要かと思うんですが、どういう取組厚生労働省として、この議論を踏まえて考えていらっしゃるのか、これが第一点です。  それから、先ほど松議員からもありました偽装請負の問題ですが、このワーキングプアと言われる事態の一つの大きな温床にこれがあると思います。  それで、先ほどの説明のペーパーを見ておりますと、この偽装請負がなぜ問題かという弊害としては、安全衛生等の事業責任の所在があいまいなことになり、労働災害の発生などが起きると、こういうことが言われております。口頭では安上がりということも言われたわけですけれども。  私、ちょっとこれだけではこの弊害のとらえ方が弱いのではないかなという思いがしているんですね。安全衛生の問題は第一あるわけですが、例えば、一年以上雇用した場合にも正規としての申入れをする必要がないというようなこともありますし、それから、単に安上がりというだけではなくて、正に保険なども全くないような働かされ方をしている、そういうことがある。そういう点で、企業としては大変、物のように扱えて使い勝手がいいという、ここが企業がやっぱりやっている問題があると思うんですね。  ここまでこの偽装請負が持っている弊害というものをとらえなければ十分な対策が私はできないんじゃないかと思うんですが、どういう弊害と認識をされているのかもう少し突っ込んでお聞きをしたいと思います。  それから三点目は、今回、国会でこれが随分問題になる中で、経団連など、御手洗会長自身が、むしろ請負法制に無理があり過ぎるんだと、是非見直すべきだというような発言をしたということも、大変これも問題になっているわけですが。  よく総理が教育問題で規範意識ということを言われるんですが、違反をしておいて法律が悪いということを財界の幹部が言われるようではどうかなと思うんですが、こういうような財界からの要請などではなくて、やっぱり、むしろきちっとこういう事態が起きないような規制こそ必要だと思っているんですが、こういう発言を受けて厚生労働省はどういうことを考えていらっしゃるのか。  以上三点、お願いします。
  39. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) それでは、最初の御質問に対して、金子政策統括官
  40. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 私の方からは、冒頭、一問目に質問のございましたワーキングプアのことにつきまして総論的なお答えを申し上げたいと思います。  今議員からワーキングプアということでお話がございました。まあ必ずしも使われ方、はっきりした定義があるわけではございませんが、私ども、幾つかの統計調査のようなものでその実態をどう見るかということでアプローチがあるかと思っております。  一つは、全国の消費実態調査というのを総務省がやっておりまして、これの勤労者世帯といったようなものを見て、収入状況を見てみますと、例えば年間収入が三百万円未満というような世帯割合というのは、平成六年で八・九%という数字でございました。これが平成十六年、十年後でございますが、一一・七%ということで、この数字が上昇しているということがございます。ただ、なかなかこれ、事態をどう見るかというのはなかなか難しゅうございまして、この間、平均の世帯人員が三・二四人から二・八二人へというふうな形で減少しております。したがって、一般的に世帯人員が減少いたしまするとその必要生計費は低下すると考えられるわけでございまして、年間の総収入三百万円未満層は増えているけれども同時に世帯人員も減っているということで、まあ必ずしもこの限りにおいて何か明確なことが言える状況ではないのかなと思っております。  また、個人の所得ということで見てみますと、例えば年間所得百五十万円未満の人たち、これは就業構造基本統計調査雇用者所得個人単位というのがございますが、これが平成四年、大分前の数字ですが、二〇・五%でございました。調査が飛びます最新時点の平成十四年は二四・〇%ということで、個人単位で見ても、これは上昇しているということでございます。ただ、これらの中にはパートで就労しております主婦層の方ですとか、定年後に嘱託で再就職をしている高齢者層といった方も含まれているんだろうと思っております。  ですから、困窮ということでどう見るかというのもなかなかはっきりしないわけでございますが、ただ少なくとも第一点申し上げられますのは、特に非正規雇用若年者層でも非常に増えていると。そういったことを背景に、若い人たちの低所得者層の割合が高まっている。これ、今の数字で申し上げますと、一七・九%から二二・六%という数字がございます。こうした動きにつきましては、将来の格差拡大少子化への影響ということで深刻な問題をはらんでいるというふうに考えております。  そうしたことで、冒頭、松野務官の方からも御説明申し上げましたような、非正規対策につきまして、正社員化の促進でございますとか、あるいはパート労働法見直しでございますとか、そういった対策に現在総合的に取り組んでいこうということで検討を進めているところでございます。  偽装請負関係につきましては別途また説明をさせていただきます。
  41. 鳥生隆

    政府参考人鳥生隆君) 偽装請負関係の質問でございます。  請負関係で、安全衛生等の弊害ということだけをとらえているんではないかということでございますが、確かに請負の場合は、勤続年数別の労働者割合を見ますと、五年未満の者が物の製造を行う請負労働者の中で八三・五%を占めているということでございまして、勤続年数が一般の労働者と比べてかなり短いと。そういう中で、能力開発の機会が得られなかったり、あるいは賃金管理についても問題があるようなこともございまして、あるいはキャリアアップの見通しが立たないといった、そういった様々な問題があるんではないかと。  そういうことで、偽装請負自体の違法な行為を是正するということは当然のことでございますが、その中でも、それに加えて雇用管理の改善といったことがやはり必要ではないかということでございまして、十八年度から、そういった雇用管理の改善のためのガイドラインを策定をするために、今研究会を開催して来年六月をめどにまとめるべく検討しているところでございまして、そういった点も含めまして、これから請負事業の適正化あるいは雇用管理の改善推進に取り組んでまいりたいというふうに考えております。  それからもう一点でございますが、先ほど御手洗会長の発言についての御質問でございます。  この発言につきましては、私ども、御手洗経団連会長指揮命令仕事を教えるということの関係に触れた発言をしているというふうに承知しておりますが、一言で仕事を教えると言いましても、その意味内容が多様であるということでございまして、指揮命令に該当するということであれば適正な請負とは言えないということでございますが、御手洗経団連会長は、他方で、法律を遵守するのは当然という発言もされておりまして、仕事を教えるといった場合に、当初生産を開始するときに機械の使い方を説明するといったこととか、あるいは災害が起きるといった緊急の事態のときにそれを回避するための指示を行うといったことを指揮命令ということでとらえるべきではないと。  そういった様々なケースがございますが、そういった点について関係者に正しい理解が深まるように私どもとしては努力したいと思っております。
  42. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) よろしゅうございますか。  それでは、次の質問者、下田敦子さん。
  43. 下田敦子

    下田敦子君 民主党の下田敦子でございます。  座ったままで恐れ入ります。三項目ほどお尋ねを申し上げたいと思います。  国際競争力の強化ということで、医薬品・医療機器産業をここにお挙げになりました。時宜を得ていることだと思いますけれども、既に海外からの、例えば医薬品の企業誘致、日本に対してのそういう働き掛けが方々で始まっております。これに対して、特別な医療あるいは医療機器産業、医薬品に対しての予算化を、事業を昨年度から厚労省はお持ちになったというふうに記憶しておりますが、そのことについて、そのアクションプラン策定というのは具体的にはどういう内容を持っておるのか、それをお尋ねしたいと思います。  それから二つ目のお尋ねでありますが、経済雇用その他がすべからくハードからソフト化しているのは御案内のとおりですが、ちょっとお尋ねを申し上げますので、少し意外な感をお持ちになるかもしれませんが、例えば今の介護保険法にちなんで、一中学校学区にそれぞれ必要とされる老人保健施設ですとか、あるいは訪問看護、あるいはデイケア、あるいは療養型病床群、今六年以内に廃止ということを言われておりますが、デイサービスセンターとか、それらのものを、住民が必要とするものを一式そこで備えたとしたならば、これの経済波及効果を幾らぐらいと見ていらっしゃるのか。これが例えば建設土木関係の公共事業のものと比較した場合に、その地域への経済波及効果をどのぐらいと見ていらっしゃるのか、お尋ねします。  これはあくまでも医療福祉を、じゃ何かの糧にするのかと、そういうことではありません。これは、医療福祉というのはあくまでもそれに携わる者の哲学が必要でありますから、決してそういう意味ではありませんが、一つのこういう調査の会においては当然ハードからソフト化への、サービス産業化への内容として考えていかなければならないことだと思います。  それから三つ目ですが、ここのサービス産業化ということで、観光立国の実現ということをうたっていらっしゃいます。これに交通アクセスの向上を図るなど、ハード、ソフトのインフラ整備に取り組むというふうに、もっともこれも必要なことではありますが、人に接する仕事をする、あるいはそのホスピタリティーを主題にして受け入れる仕事をする、これにとって一番必要なのはそういうことを踏まえた経営学を知っていた、あるいは経営学を、まあ大学院はもちろんですが、諸外国のように歴史がある。例えば、アメリカのニューヨーク州にありますコーネル大学とか、もう七十年もそれらの教育をアカデミックな中でしてきているわけでありまして、例えばヒルトンさん、八十年前の卒業生です。世界じゅうにホテルを造られました。  今、私どものこの社会の中で日本ぐらいこういうことに関する、サービス産業をテーマに取った場合に、経営学、これは国際的に言われているんですが、諸外国が大学卒だとすると、日本のそれは幼稚園だと。だれも人材がいないというふうなことで、例えばこの文章を見た場合には、余りそういうふうなことの重さが感じられません。それで、接客用語、いらっしゃいませとか笑顔をつくるとか、そういうことのレベルの問題ではなくて、まさしくその経営管理、例えば飲食業でいえばポーションコントロールまでしながら、とてもきちっとした数字管理ができる人間、これらを育てる大学が日本にはありませんでした。これは文科省にかなり責任があると思います。  このことについてどう展開されていかれるのか、以上三つをお尋ねしたいと思います。
  44. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) それでは、最初、経済産業省鈴木経済産業政策局長
  45. 鈴木隆史

    政府参考人鈴木隆史君) 第一番目の御質問と第三番目の御質問にお答えをしたいと思います。  第一番目の医薬品・医療機器産業関係でございますけれども、私ども厚生労働省の方とこの問題について承知しておりますのは、十九年度予算におきまして、臨床応用基礎研究、医療機器開発推進研究及びがん臨床研究の推進ということで百十四億円の要求をしております。それから、治験拠点病院の整備充実などの治験実施環境の整備で十一億円の要求をしております。それから、ジェネリックでございますが、後発医薬品の品質に関する情報提供等の推進ということで一・一億円という予算要求が厚生労働省の方からやっているということを承知しております。  したがいまして、この予算が通ってから、恐らくこれは執行段階に入る段階で、先生御指摘のようなアクションプラン等をですね……
  46. 下田敦子

    下田敦子君 済みません。各委員会において、私どもはその先生という呼称はやめましょうと。恐れ入りますが、メディカルドクターでもないしティーチャーでもないわけでして、恐れ入ります、委員です。
  47. 鈴木隆史

    政府参考人鈴木隆史君) はい、失礼いたしました。  委員おっしゃるように、具体的なプランが作られていくのではないかというふうに承知をしております。  それから、三番目のサービス人材、ホスピタリティーということでございますけれども、正に委員おっしゃるとおりだと思います。やはり、日本でサービス産業を振興していく上で、一つはサービス産業に携わる人材の育成確保が非常に重要でありまして、それは、委員御指摘のように、経営者だけではなくて、やはり観光ということで行いますと、やっぱり地域全体を通じてそういうホスピタリティーを持つ、例えばボランティアとかNPOの方々の育成というのは非常に重要だと考えております。  その面で非常に進んでおりますのは京都でございまして、そういうNPOとかボランティアたくさんおられまして、例えば外国人が多いわけですから、いろんなことを聞かれたら、道を案内するとか名所の解説を簡単にするとか、そういうようなことも取り組んでおられるように思います。  それから、委員おっしゃるように、経営者、これはまた非常に重要でございまして、私聞いたところによりますと、例えば観光学部というのを、まだ日本では目立ったところがないようでございますけれども、一、二、大学にそういう観光学部というのができたというふうに聞いております。そういう観光学部におきまして、正にその観光業をいかに進展していくか。資金調達の面から非常に後れている、それぞれの旅館におきます会計の問題とか、それからホスピタリティーの問題とか、広範な勉強をしておるようでございますので、私どもも、関係省庁に働き掛けて、広い意味でのサービス人材育成の観点からそういう面についても今後努力してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  48. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) では、二番目の質問、厚生労働省、どなたかお答えに。  それでは、金子政策統括官
  49. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 介護保険によります地域への経済波及効果の点でございます。  大変申し訳ございませんけれども、今日、介護保険の担当部局の者が出席しておりませんで、適切なる答えができない状況でございますので、改めて御報告をさせていただきますが、雇用の点から申し上げますと、医療、福祉、介護といった分野はこれからも、現実に雇用労働者が大変増えている分野でございます。それから、今後も増えることが当然予想される分野でございまして、私どもとしては地域における雇用機会という点でも非常に大事な分野だろうと考えております。雇用管理の適正化その他を図りながら、できるだけ魅力ある雇用機会にいくよう、雇用対策の観点からも取り組んでまいりたいと思っております。
  50. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) 雇用だけじゃなくて波及する、経済波及効果という、雇用だけではなくてほかの。
  51. 下田敦子

    下田敦子君 具体的な数字、お持ちでなかったら。
  52. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 冒頭申し上げましたように、大変恐縮でございますが、今日、介護保険の所管部局の者が出席しておりませんので、改めましてそちらとも協議をいたしまして御報告をさせていただきます。恐縮でございます。
  53. 下田敦子

    下田敦子君 十分以内ですので。
  54. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) はい。それじゃ、下田さん。
  55. 下田敦子

    下田敦子君 実は今、地方は疲弊しています。大変、従来の建設業にかかわる方々も、今私は土日、土日、国政報告会をやりますと、もうほとんどそういう人たちは、もうこの仕事は辞めた、この会社は辞める、そういう声がたくさん聞かれるわけなんですが、それと入れ替わるというわけではありませんが、例えば地方それぞれにおいては高齢化が非常に進んでいる地域が多うございますので、こういう方々への安心と安全を得るための施設は現在のままではとても足りません。  ですから、そういうことを借財をしながらでも造ろうという奇特な方々もいらっしゃるわけですけれども、いらっしゃるわけなんですが、実はこの医療法の改正並びに介護保険法の改正等々に伴って、許可をして造ればそれによって自治体がまた負担をしていかなければならないという悪循環に至るものがあるものですから、許可が出ません、あるいは受け付けません。ですから、地方自治体のその財政悪化ということにおいて、非常にある部分でネックになってしまっている。これの部分の経済波及が多分ここに書かれたような状況では地方においてはかなり進みにくい現状があるのではないかと思います。  個々の詳しい数字は別としても、どのように厚生省お考えであるか、お答えをいただきたいと思います。
  56. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 重ねての回答で恐縮でございますけれども、介護保険の様々な、特別養護老人ホームでございますとか老人介護施設その他につきましての設置につきましては、厚生労働省の老健局の方で所管をしておりまして、今、具体に責任持ってお答えできるだけの材料を持ち合わせておりませんので、大変恐縮でございますが、改めて御説明させていただければと思っております。
  57. 下田敦子

    下田敦子君 じゃ、次回にお願いをいたします。
  58. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) よろしいですか。  では、次の質問者、渕上貞雄さん。
  59. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 社会民主党の渕上でございますが、まず厚労省にお伺いをいたしますけれども、安倍総理が所信表明の中で、二〇一〇年までにはフリーターをピーク時の八割に減らすと、こういうふうに積極的に数字を示されましたね。やはり、具体的に二割の人は何とかなるでしょうが、残り八割の人たちのフリーターに対して厚労省はどのようなお考えを持っておるのか、どういうふうにこの八割という数字を評価されているのか、一点御質問を申し上げておきたいと思います。  二つ目の問題は、最近、雇用多様化ということを言われておりますけれども、実態はやはり正規労働者の縮小と非正規労働者拡大というのが実態ではないかと、このように思っているところでございまして、いろんなアンケートを取ってみても、非正規労働者から正規労働者に変わりたいという人は大変多いわけですね。やはり、そのことの対策は私は大変必要なことではないか。  したがって、労働の、雇用多様化というふうに言われますけれども、結果的にはやはり非正規で働く人たちも正規で働くような賃金や労働条件で働きたい、こういう意欲は持っているわけですから、やはり具体的には労働者の均等待遇を保障していくべきではないか、このように思うわけです。均等待遇を保障しようとすれば、やはり資本の論理というんでしょうか、安い方向へと、こういうふうに行くことはまず世の中の常でございますが、そうならないようには、やはり最低賃金のところをもう少し充実したものにするのか、産業別最賃などというものをきちっとやはり設定をして設けていくというようなことを考えるべきだと思うんですが、その点、二つ目にお伺いをします。  それから、三つ目の問題としては、今日のタクシー労働者実態、マスコミでも言われておりますし、まじめに一生懸命働いたとしても二百万から三百万程度。一般の正規労働者から比べて、労働時間、賃金にしても、二百五十時間から、金額にしても二百五十万円程度低いということになっておりますし、こういうことについて、この現実についてどのように考えるのか。とりわけ、まあ最低賃金にも抵触するというふうに言われているわけですから、そこら辺の対策がどのようになっておるのか、お伺いをいたします。  それから、最後の質問になりますが、非常に単純で基本的なことです。最近、私は、労働時間に対して非常に柔軟な考え方を持つ人が多くなってきておりますが、そもそもやはり労働時間を八時間としたことについて、そういう経緯だとかというものをしっかりやはり考えていくべきではないか。したがって、今、厚労省ではこの労働時間を八時間としたことについてどのように認識されておるのか、厚労省にお伺いをしておきたいと思います。  それから、次に経済産業省にお伺いをいたしますが、経済産業省がまとめました新経済成長戦略で、やはり我が国人口減少下においても国富の増大を図るし、新しい成長を実現する、世界に存在感のある強い日本の経済ということをうたわれておりますけれども、やはりこれは先ほども質問あってたように思いますが、大手といいましょうか、大資本中心の戦略ではなかったのかと。やはり依然として中小が苦しい状況にあるということを考えますと、やはり大資本に対する全面的な支援といいましょうか、言うなら財界が喜ぶような政策ではなかったかというふうに思うんですが、その点どう考えているのか。その新経済成長戦略の考え方を踏まえた上で経済成長戦略大綱というのをまとめたと思うんでありますが、含めて、これは財政再建とのかかわり、車の両輪として推進していくというふうに決められておるようでありますけれども、この新経済成長戦略と経済成長戦略大綱との共通点と相違点はどこにあるのか、その点をお伺いします。  それから、最近、景気は大変良くなったというふうに言われていますけれども、必ずしも実感としてそういうふうに国民が感じていないというところが問題なのでありまして、一向に、景気は回復したと言われながら、肌で感じないというところは一体どのようにお考えになっているのか。やはり一部のところには富が集中するけれども、多くの人たちは痛みを感じているというのが実態だと思うんです。そこから抜け出し切れないというふうに私は思っているところでございますが、それはやはり企業間の格差とか地域格差だとか、いわゆる格差問題というものがあるのではないかというふうに考えているんですが、その点いかがかお伺いして、質問を終わります。  以上でございます。
  60. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) 四つぐらい質問があるんですが、順番に答えていただきたいと思います。最初の御質問につきましては鳥生職業安定局次長
  61. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 簡単で結構です。
  62. 鳥生隆

    政府参考人鳥生隆君) はい。最初、フリーターを二〇一〇年までに八割という水準で、二割減らすというお話でございます。  これは御承知のとおり、フリーターの数が年々増加して、年に十万人といったような平均的な数字でずっと増勢にあったと。そういう中で、それを減らしていこうということで、昨年は二十万人常用雇用化プランということで取り組み、また二十五万人常用雇用化プランということで本年度も取り組んでいるというところでございます。  その結果、二百十七万人というのが二〇〇三年の水準でございますが、二〇〇五年に、先ほども御説明いたしましたように、二百一万人という数字になってきていると。  具体的な取組の対策は、先ほどの資料で政務官が御説明した中の資料に入ってございますが、ジョブカフェ、ハローワーク等においてきめ細かな就職支援を実施する、あるいは若年者トライアル雇用事業を実施する等の施策をこれからも行っていくと、あるいは常用化に向けて経済界へも働き掛けを既に行っているところでございますが。  それで残った八割をどうするんだという話は、増勢を止めてこれから減少させていくということでございまして、二割減ればいいということではなくてそれ以上減らすべく、特に今、新規学卒者の採用改善してきている中で、二十五から三十四歳の就職氷河期就職できなかった方々が減少していないということもございますので、そういった方々に力を注ぎながら、そこが減少すれば更に拡大を期待できるのではないかということで取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  63. 森山寛

    政府参考人森山寛君) 委員の方から労働時間の関係、それから最賃の関係、御指摘ございました。  労働時間につきましては、もう委員御指摘のように、長時間労働が高まってきている、それから年休の取得率も下がってきているということで、いろんな課題があるというふうに考えております。  そのために、私ども、いわゆる労働基準法に基づいていろいろな法定労働時間、そういうものをしっかりと指導を行うとともに、また昨今、労働時間設定改善法に基づきまして、いろんな時短の促進あるいは年休の取得促進というようなことを進めているところでございます。  ただ、一方で、そういう長時間労働の問題とともにやはり働き方の見直しということで、今そういう感じで労働時間の全体の法制の見直しというのを行っているところでございます。  また、最賃につきましても、これも委員御指摘のように、産業別最賃の在り方、あるいは地域別の最賃の在り方、これにつきましていろんな課題があるというふうに承知をしております。これにつきましても現在審議会の方でいろいろ御議論いただいているというところでございます。
  64. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) 次の御質問に対しては、よろしいですか。  それでは、渡辺副大臣
  65. 渡辺博道

    ○副大臣(渡辺博道君) 委員御指摘の中で、人口減少下で新しい経済成長戦略を目指しているのは大手中心ではないかという御指摘でございますが、決してそのようなことはございません。  先ほど説明しましたとおり、具体的な施策の中には一から五項目ありますその中の三項目の中に、地域中小企業の活性化ということで、これは大変重要な課題であるということで取り組んでいるわけであります。とりわけ中小企業のものづくりの高度化法、こういったものを作って中小企業の技術力を底上げしようということや、また地域資源の活用企業化プログラムというものを創設して地域の活性化に図ろうということで、地域中小企業中心としたこういった施策に全力で投球して、投入してまいりたいというふうに思っております。  したがいまして、この経済の活性化そのものは大企業のみでは活性化できないことはもう事実でありまして、中小零細、そして並びに地域が一体となって経済の底上げをしていかない限り景気の回復は実感できない、そのように私も認識しておりますので、そういった形でしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。
  66. 鈴木隆史

    政府参考人鈴木隆史君) 委員の二番目と三番目の御質問にお答えさせていただきたいと思います。  大綱と、それから経済産業省が作りました新経済成長戦略との共通点と相違点ということでございますが、大綱の方は経済産業省の新経済成長戦略を基にしまして、例えば、ほかの内閣府が作りましたグローバル戦略とか、それから農水省が作りました二十一世紀新農政二〇〇六とか、各省がそれぞれ成長戦略をいろいろ作っておりますんで、それをまとめて政府・与党一体化して作ったというのが大綱でございます。  したがいまして、内容はそういう意味で成長のためにどういう施策が必要かということで書かれておりまして、基本的に共通の思想で作られたものだというふうに理解をしております。  それから、三番目の御質問でございまして、経済成長五十七か月続いていろいろと日本も景気が良くなったけれども、なかなか実感として感じないというところの原因がどこにあるかという御質問でございますが、一つ、イザナギ景気のときには名目で、大体実感として感じますのは名目成長率でございまして、イザナギのときは大体、景気回復時、大体名目で一八%の成長をしていたわけでございます。今回はイザナギ超えということで、期間的には長いですけれども、名目で見ると一%ぐらいの成長しかしておりません。したがって、景気回復の期間は長いけれども非常に厚みに乏しいというところがなかなか景気を実感できない原因じゃないかと思っております。  その具体的な理由といたしまして、委員御指摘のように、例えば公共事業が非常にカットされましたものですから、従来から公共事業に頼っておりました地域というのは非常に疲弊しているとか、それから企業格差の問題もあるでしょう。そういうことで、地域産業構造の違いがそういう地域間のいろんな景気感とかに出てきたんじゃないかと思います。  したがいまして、私どもとしましては、全体的な景気が良くなってくればそこら辺の意識も解消してくるんじゃないかということで、私どもといたしましては、先ほどから申し上げております経済成長戦略を是非実施をしまして、景気の安定的、持続的な成長に心して頑張ってまいりたいというふうに思っております。  以上でございます。
  67. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) では、次の御質問に移ります。  小池正勝さん。
  68. 小池正勝

    小池正勝君 自由民主党の小池正勝です。  私の方からは二点、質問をさせていただきます。  まず一点目は、今も鈴木局長さんから御答弁がありましたけれども、イザナギ景気は超えたんだけれど実感がないということなんです。それの説明として、今局長さんがおっしゃられたように、イザナギ景気のときは二けたも成長があったわと。しかし今回は一%程度しかないわと。これが理由だということをおっしゃられました。これはいろんなところでそういう説明がされているわけですけれども。  今度は経済産業省ではなくて労働省の方にお伺いしたいんですが、そもそも雇用の面で見てどうなのか。つまり、イザナギ景気のときの失業率と今の失業率がどうなのか。今は失業率からすれば変わらないんだけれども、要するにイザナギと同じなんだけれども、むしろ失業率の問題じゃなくて、雇用形態が非正規が顕在化して困っているんだというふうに理解した方がいいのか、失業率もやっぱりよくないんだと、それから形態も非雇用が多いんだと、二重苦になっているんだというふうに理解した方がいいのか、どちらなのか。そして、逆にもし失業率の問題がもしあるとするなら失業率対策ということも考えていかなければならないんではないか、単に非雇用対策ばっかり考えるんじゃなくて、失業率対策ということも考えていかなければならないんではないかと思うんですが、その事実関係はどうなのかということをまず一点お伺いいたします。  もう一点は、その実感がないということで、私は徳島ですけれども、徳島県も実感はありません。土地は相変わらず下がり続けているし、商店街はシャッターが閉まりっぱなしだし、実感はありません。そこで、その象徴的な事例として、商店街が疲弊している、シャッター街になっているという点について、これは象徴的な事例ですから、これが活性化すれば地方も良くなったなというようなことがイメージできるんですが、そこはできてない。  中心商店街対策というのが言われてもうずうっと久しいわけですけれど、中心市街地活性法ができたりなんかしていろんなことやってきたんですが、なかなか功を奏していない。そして、まちづくり三法も今回できたわけですから、これはこれからという話になるんでしょうけれども、具体的に、この戦略大綱では百のモデルとなる商店街の確立と書いてありますけれども、具体的にどんなことをしようとしておられるのか。その中心商店街対策として具体的な中身、必ずしも、まちづくり三法の中だけでは外への立地規制をして中へ誘導するという抽象的な議論に終始していまして、具体的なイメージがないんですけれども、ここでおっしゃるモデルとなる商店街、百のモデルとなる商店街の確立というのはどんなことをおっしゃっているのか、その二点をお伺いしたいと思います。
  69. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) それでは、最初の御質問に、厚生労働省金子政策統括官
  70. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 失業率の点でございますが、イザナギ景気の際の失業率と申しますと、総じて申し上げれば一%台の失業率でございました。現在は四%ということで、なかなか四%の壁は越えないというような状況になっているかと思います。そういう意味で申し上げれば大分その様相は違ってきているだろうというふうに言えると思います。失業率の問題について見るときに、やはり摩擦的な失業率と申しますか、そういった部分が少しずつ高まってきているということも背景にあるようでございます。  そういったことで、単純に比較はなかなかできないとは思いますが、やはり四%を超える失業率にあるということは大変重い問題でございますので、経済全体の回復に併せて雇用のミスマッチ対策をきちんと取り組みまして、委員が御指摘のように、非正規の問題だけではなく、全体の雇用情勢改善ということに更に一段と取り組む必要があると思っております。  なかんずく、その地域におけるアンバランスというのは非常に大きいというのが特色として今回出てきております。そういった意味で、地域雇用対策という視点につきましても十分意を配していく必要があるんではないか、こんなふうに考えております。
  71. 加藤文彦

    政府参考人加藤文彦君) 委員御指摘のとおり、中心市街地を始めとした商店街の活性化につきましては、今後、まちづくり三法の見直しを行ったわけでございまして、高齢者でも暮らしやすいコンパクトでにぎわいのある町を構築するための対応というのを図っていきたいと思っております。法律は八月に施行されました。  この法の運用をしっかりやっていくというのが中心的な対応になると思いますが、中心市街地活性化法に基づきまして認定を受けた地域で行われます商業施設の整備あるいは活性化協議会の設立、運営に対しまして、選択と集中の観点から重点的に支援を行ってまいりたいと思っております。  特に、このための事業といたしまして、中心市街地の中核となる商業施設の整備、あるいはイベントの開催等を補助する戦略的中心市街地活性化事業を今年度は五十九億円の予算でやっておりますが、これを格段に増やしていくということで、来年度九十六億円の要求をしているところでございます。あわせまして、その中心市街地以外の商店街につきましても、地域コミュニティーを支える商店街の振興ということで、別途、少子高齢化等課題対応するための空き店舗を活用した幼児施設とか、起業、就業のためのオフィススペースの設置に対する支援というのも併せ行っているところでございまして、今年度は二十九億円の予算、来年度は三十三億円の要求ということで、両方対応していくということにしております。
  72. 小林元

    小林元君 民主党の小林元でございます。  非正規雇用の問題についてお伺いをしたいと思います。  まず、この非正規雇用化といいますか、というのは、先ほど来御説明がありましたように景気が大変低迷をしている。そういう中で国際競争力が低下をしては大変だというふうなことで、規制緩和というんでしょうか、そういうことで非正規化が進んだということではないかと思いますけれども。先ほど来、経産省の方のお話によりますと、景気回復というものが続いておりますというようなことでありますが、この非正規雇用率というんでしょうか、以前は五人に一人、現在は三人強に一人というようなことで大変に増加をしておるわけでございますけれども、大体こういう数字がいいのか悪いのかというか、まあそういう評価の仕方というのがあるのかないのか分かりませんが、やはり経済成長戦略というからには経産省の方でも、例えば以前は終身雇用、日本型経営の典型というふうにも言われて胸を張ったわけでございますが、まあ今はそうではないのかもしれませんけれども、そういう何といいますか目標というものを、この中には全然入っておりませんけれども、景気が回復したんであればきっちりした雇用関係、正規化というものもあり得るんではないかと。したがって、そういう目標数値というものも必要なんではないか。フリーターだけ二十五万人減らすということではなくて、全体の話としてどうなんだということをお伺いしたいと思います。  それからもう一つは非正規雇用化、これは厚労省かもしれませんけれども、によりまして社会保障といいますか年金とか健康保険とか、厚生年金から国民年金、あるいは健保組合から国保というふうなことで大変そちらの財政問題も苦しいわけでございますよね。全体としてはやはりそちらの収入も減をしている。そして支出については、そういう社会保障費の支出については、景気の問題というよりは少子高齢化の問題というようなことで、高齢化の結果、受給者が増える、医療費の支払患者が増えるというようなことで財政が悪化している。一方では、税金は最近は増えてきていますよと、法人所得税は。ですが、現実にはそのような社会保障の特別会計は国民の負担によって穴埋めをするという手法でこれまで来て、これがずっと続いているわけでございます。  その辺の関連について、先ほど申し上げました要するに非正規雇用率というものの目標数値、あるいはそういうものについて、この社会保障費の関係のシミュレーションというんでしょうか、どういう状態に、これがどういう、雇用率の関係がどういうふうになったとき社会保障の方はどうなるというようなことを試算というかシミュレーションをやったことがあるのかどうか、その辺、御見解があればお示しをいただければと思います。  以上でございます。
  73. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 非正規雇用の問題をめぐりまして二点ぐらい御指摘があったんだろうと思います。  一つは、非正規雇用が増えてくることをどう見るかという評価の問題ということだろうと思います。  この点につきましては、非正規雇用正規雇用というものが、正規雇用が良くて非正規雇用が悪いという性質のものではないと思います。これは、やはり働く側、雇う側双方の要因で増えてきたという、非正規が増えてきたということだろうと思っておりますが、ただ、この景気回復の過程の中で非常に非正規雇用若者中心に増えてきたということが間違いない事実としてあるんだろうと思います。  その際に、非正規雇用に、本来であれば正規雇用正社員になりたいんだけれどもこの間のいろいろな事情で非正規雇用にならざるを得なかったという人たちが特に就職氷河期などの際に相当数おられたんではないかというようなことがありますので、私どもとしては、今三人に一人という数字になっていますけれども、この評価はなかなか難しいわけでございますが、そういったことで、非正規から正規に希望されておられる方々、こういった方々については、やはり大変厳しい時代に就職活動されたということでございますので、やはり全力を挙げて支援をしていく必要があるのではないかというふうに考えております。  そういったことで、具体的にどの辺の数値目標設定するかということについては、これはなかなか率直に申し上げて一律に申し上げられないのかなと、こんなふうに考えております。  それから、社会保障への影響ということでございます。  これは、厚生年金等につきましては、やはり短時間の方につきましては現在加入できないということになっておるわけでございまして、そうしたことで非正規の方々が増えていけば、当然のことでございますけれども、加入対象者も相対的に減ってくるというようなことで、強い影響が出てくるんだろうというふうに考えております。  大変申し訳ございませんけれども、今手元にそういったものがどういうふうに跳ねるかという影響につきまして資料は持っておりませんけれども、今後安心して持続できる社会保障制度を構築していくという観点からも、やはりこの非正規化の問題というのは非常に検討する上での重要な視点だと、こんなふうに認識をしております。
  74. 小林元

    小林元君 先ほどの問題につきまして経産省のお考えも、この正規雇用か非正規雇用かと、あるいはその割合といいますか、その辺についての評価の考え方といいますか、私は目標を作ってもらいたいというふうに考えておりますけれども、その辺についてのお考えをお聞かせいただければ。
  75. 鈴木隆史

    政府参考人鈴木隆史君) 私ども、今厚生労働省の方からお答えございましたように考えております。  それと、一つ補足でございますけれども、正規雇用者と非正規雇用者の数の推移でございますけれども、二〇〇二年から二〇〇六年の一月から三月、これ四半期までずっと下がってまいりましたが、この二〇〇六年の四月から六月にかけましては、本年第一・四半期から第二・四半期で正規雇用者数が百十四万人増加をしております。それで、非正規雇用者はその期間十六万人減少しておりますので、景気が一般的に回復してまいりますとやはり正規雇用者雇用というのもだんだん増えてくるんじゃないかというふうに考えておりまして、私ども、先ほどから申し上げておりますように、持続的、安定的な成長のためのいろんな施策を今後いろんな形で打っていくことが非常に重要だというふうに認識をしております。  付言させていただきました。
  76. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) よろしゅうございますか。  それでは、澤雄二さん。
  77. 澤雄二

    澤雄二君 公明党の澤雄二でございます。  経産省と厚労省の御説明を伺っていて思い付いたまま質問いたしますんで取り留めございませんが、できるだけ短く質問いたしますんで、御答弁も簡潔にお願いをしたいなと。委員長には、ちょっと多く質問しますので、時間が来たらそこで答弁を終わってくださって結構でございますので、よろしくどうぞお願いします。  最初に、今日は財務省いらっしゃいませんのでざっくばらんにお答えいただきたいなと思うんですが、経済成長と消費税の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。  八九年に消費税が導入されて、あれ増収のために導入したんですが、九〇年に少し税収増えましたが、あと全部減収が続いていますよね。それで、九六年に五%に引き上げたらなおさら減収の度合いが大きくなっていますよね。これはいろんなこと言われていて、もう共産党の方いらっしゃいませんけど、法人税の引下げに全部使われたんじゃないかとかという意見もありますし、いや、景気に水を差したんだとかと言われていますけれども、しかし、去年は消費税の税率上げないけど五兆円税収増えていますね。  これの、増税と言っていいんですか、減税分がなくなったというか、それで増えた分もありましょうし、もっと大きいのは、やっぱり景気の回復、それと雇用拡大だろうというふうに言われております。ですから、非常に経済成長を続けるということと消費税というのはすごく大事な関係にあるんだろうと。今やもう消費税の税率上げるのが当たり前だという議論が通っていますので、ちょっと一石を投じたいなというふうに思って質問をさせていただきます。どういうお考えなのか。  それから、今度の政府税調その他で法人税率の引下げが議論されるだろうということが言われています。必ずしも法人税率の引下げに反対するものではありませんが、その場合にはやっぱり、今この時期に法人税を引き下げるというのは非常に分かりにくいことだと思うんです。ですから、国民の皆さんにとって非常に分かりやすい説明が必要だと。その分かりやすい説明というのは、税率を下げたらどれだけリターンがあるのかと、経済成長、雇用その他にこれだけ貢献するんだという数字を是非経産省に示していただきたいなと、そういうものがなければこれはすごく難しいなというふうに思っております。  それから、経産省最後の質問でありますけれども、エネルギー戦略ですね。エネルギー戦略で一つ心配なのが、ここに来て、石油、天然ガスだけではなくてウランの価格が急騰しています。日本は代替エネルギーの、ここにも、戦略の中にもありますが、柱が原子力でありますから、それの燃料であるウランの高騰というのは、もしかしたら抜本的にこの戦略を見直さなきゃいけないかもしれないと思っておりますので、その辺のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  それから、厚生労働省に移りますが、最初、若年者雇用でありますが、これは一つの提案であります。大学の新卒者に対して、年齢制限というのが必ず採用条件の中にありますよね、こういうものは外すことできないんだろうかというのが一つの提案でございます。  それから、ニートフリーターの方の雇用促進してくれということを今お願いを企業にしているわけでございますが、この場合のその雇用の、採用の条件ですね、これも、同一労働同一賃金というのは守りたいなとは思っていますけど、ただし、年齢を取っているから初任給をその年齢に見合った初任給で与えなければいけない、つまり、三十歳以上で雇用した場合に、その企業が三十歳以上に与えている基準賃金と同じ条件である必要があるのかと。むしろ、フリーターニートの方たちを採用するためにはそこのところはもう少し見直してもいいんじゃないかと、それは世間も認めてくれるんじゃないかなと思っておりますので、そういう提案をしたいなというふうに思っております。  それから、高齢者雇用対策、どんどんやっていただきたいと思います。私もあるテレビ局におりましたが、一千万、二千万の年収の人が六十歳の定年で再雇用してもらえるんですけど、年収が一気に三百万になる。三百万になるんだけれども、三十何年間のスキルというのは大変なスキルを持っておりますから、企業にとっても物すごく大きな力だろうというふうに思いますんで、是非これはもっと推進していただきたい。  ただ、一つ、中小企業対策なんかも含めて、六十五歳以上とか七十歳以上の高齢者雇用したときの何か税制上の優遇措置みたいなものは考えられないのかなというふうに思っておりますので、そういうことを考えていただければよろしいかなというふうに思います。  それから、年次有給休暇でありますけれども、こんなに年次有給休暇を取っているところが、時間が少なくなっているというのはびっくりいたしました。これは正規社員の統計だと思うんです。もしこれが正規社員じゃなくてフリーターの方たちとか非正規社員の方を入れると、それを統計の中に合わせると、とんでもなく年次有給休暇取得する時間が短くなっているんだろうというふうに思います。  これを長く取れるようにといういろんなことを考えていらっしゃるのはやっていただきたいなと思いますが、いずれにしても、これも多分雇用促進正規雇用拡大するということが多分この数字を改善していくことだと思いますので、そこの対策をまず力をやっていただきたいというふうに思います。  以上です。
  78. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) 多岐にわたる御質問でしたが、まず、お答えを渡辺経済産業大臣、お願いします。
  79. 渡辺博道

    ○副大臣(渡辺博道君) 委員御指摘の第一番目の問題でございます。  消費税、八九年に導入し、そしてまた九六年に税率を変えてきたということで、その辺の経過もお話ありましたけれども、先ほどの税収の五兆円近くがかなり増えたということであります。これは消費税のみでなく、法人税を含めて税収として増収になったということでありまして、トータルでやはり景気回復がいかに税収に大きく影響しているかということが、御認識のとおりでございまして、まあ基本的には消費税の税率のいかんの問題につきましては政府一貫して骨太方針の中で述べておりますけれども、将来の歳入歳出一体となって、まずは歳出削減を徹底して行うということで考えております。  そしてまた、抜本的な税制改革につきましては、現在、検討をこれからしていくということでございますので、事消費税については今の段階では特に議論をしているわけではありません。ただ、大事なことは経済成長をいかに促進していくかということに我々は全力を投入していきたいというふうに思っております。
  80. 鈴木隆史

    政府参考人鈴木隆史君) 委員御質問でございますが、法人税引き下げた場合にどういう家計とか成長に影響があるのかという御質問でございますけれども、これは法人税率だけじゃなくて、やはり経済成長がどうなるのかとかいろんな要素を多面的に検討しなければいけませんので、委員御指摘踏まえまして、私ども問題として勉強したいと思っております。
  81. 平工奉文

    政府参考人(平工奉文君) 資源エネルギー関係でウランの価格に関して御質問がございました。  委員御指摘のとおり、最近におきましてかなりウラン価格も急騰しております。その背景としましては、一つは石油を始めとする資源価格への連動というものがございます。また、需給のタイト化という面もございます。こうしたものに対応するために、一つはやはり探鉱を含めた自主的な開発、その他供給ルートの確保というものを積極的にやっていくということで、先般の小泉総理のカザフスタン訪問等もその一環でございますし、十九年度の予算要求におきましては海外ウランの探鉱支援事業というものを新たに要求をさせていただいておるところでございます。  また、既に出てきておりますウランの有効活用というのも極めて重要でございまして、プルサーマルの着実な実施、あるいは更には高速増殖炉サイクルの実証・実用化に向けた技術開発、こういったものにも取り組むことによってこうした問題に対応していきたいというふうに考えております。
  82. 鳥生隆

    政府参考人鳥生隆君) まずは、最初の若年者雇用への問題でございます。  年齢制限是正のお話ございました。この点につきましては、再チャレンジ推進会議の中間取りまとめの中でも新卒一括採用システムの見直しということで取り上げられておりまして、第二新卒、フリーター等新卒者以外にも広く門戸を広げた複線型採用導入採用年齢引上げについて、法的整備等の取組、あるいは好事例の提供、経営トップへの働き掛けを進めると、こういったことで取組を進めるといった内容が盛り込まれておりまして、これを受けまして経済団体あるいは経営トップへの働き掛けということは講じているということは申し上げましたが、それから先ほど政務官説明の中で法的整備という話申し上げましたが、若者能力、経験の正当な評価及び採用機会拡大等事業主努力義務に加えるといった内容について、雇用対策法の改正について今審議会で御議論いただいているといった状況がございます。  それとも関連いたしますが、二番目の、ニートフリーターといった場合に、年齢が高くてもその年齢の賃金でというようなことでございますが、やはり正当な評価という部分においては、それまでのフリーターの経験等で能力が上がっているといったケースもありますし、それを初めからマイナスイメージでとらえるということではなくて、そこは正当な評価といったことで、トライアル雇用等を御利用しながらその人の能力を見極めるといったことも施策としてございますし、そういう意味で門戸を広げてということでございまして、賃金面として年齢だからということでは必ずしもないと考えております。  それから、高齢者雇用についてでございます。六十五歳までの継続雇用導入というのが義務化されて、定年あるいは定年以外の継続雇用制度導入も含めて、今、継続雇用制度、先ほど八四%ということを申し上げましたが、定年延長を六十五歳までするという形になれば、全員が必ず六十五歳までということになるわけでございますが、そういう六十五歳までの雇用というのが確実に進むように、定年延長を中小企業が行った場合にいろいろな労務管理、人事管理制度の見直し等の費用等もございますので、そういった定年延長の奨励金というものを中小企業について要求しているということがございますが、そういったこと以外にもいろんな人事労務管理の見直しについての支援、助言等を行う高齢者雇用についてのアドバイザー制度もございますし、ソフト面からも支援を行っていきたいというふうに考えております。
  83. 森山寛

    政府参考人森山寛君) 委員の方から年休の御指摘がございました。  委員御指摘のように、年休の取得日数の減少、それからまた、取得率低下というのが続いているわけでございまして、その理由でございますが、調査いたしますと七割の労働者が年休の取得にためらいを感じております。その理由として、大体六割程度の人が周りに迷惑が掛かる、あるいは職場の雰囲気が取得しづらいというのが例えば四割弱ぐらいございまして、やはりその職場の雰囲気という、それを前向きにするようないろんなことをしていかなあかぬと思っておりまして、私どもいろんな労使意識改革を図るためのシンポジウムとか、あるいはいろんな計画的に年休を取っていただくというような形のことを、機運を醸成をしていくというような形を進めておりまして、今後とも努めてまいりたいというふうに考えております。
  84. 尾立源幸

    尾立源幸君 民主党・新緑風会の尾立でございます。  若干後半になってまいりましたのでダブるところあるかもしれませんが、そのときは該当の部分だけでお答えいただいて結構でございます。よろしくお願いします。  まず、渡辺副大臣鈴木局長には熱のこもった経済成長戦略大綱を御説明いただきまして、ありがとうございます。  若干感想を申し上げますと、松委員からございましたように、年率二・二%というこの数値を挙げられたということで、初めてだというふうにお聞きしましたけれども、私は、初めて挙げられたことにびっくりしておりまして、これまでになかったのかという感想を持った次第でございます。  その中で、このA3の大きなカラフルな紙でございますが、十年間で二・二%成長と、その中で四つ目の黒ぽちで、若者、女性、高齢者労働参加率上昇、人材の質の向上等により〇・四%程度以上を期待すると書いてございますが、この辺の、若干、簡単で結構ですので、なぜ〇・四%が達成できるのか、ロジックを教えていただきたいなと思います。  といいますのも、厚生労働省さんの方からお話がございましたが、労働人口が減っていくというマイナス要因、さらに非正規雇用増加するということですね。さらに、高齢者雇用、これはプラス要因だと思うんですが、さらにワークライフバランスで休暇を取りやすくするというようなことも含めますと、またIT経営化、プラスとマイナスに働く部分がいろいろ入り交じっておりまして、どうすればこの〇・四というプラスになっていくのかなと、このような疑問を持ったもので、御説明をいただければと思います。お互いの省庁でよくすり合わせをされているというふうに聞いておりますが、その辺、実際どうなのか教えていただきたいと思います。  もう一点は、国際競争力を付けるというところで、グローバル化に対応する制度の整備の中でございますが、昨今、いわゆる移転価格税制の件で、非常に企業のリスクが増えているように思います。聞くところによりますと、二千六百億とか、二千八百億円ぐらいの税金が追徴されているということで、こういうことが度々起こりますと、安心して企業が海外との取引ができないのではないかと、ルールをしっかり作ってもらいたいと、このように思っておるところでございます。  そういう中で、この前初めて会合、何かこれに関して開かれたというふうに聞いておりますが、今後どのような方策を考えられておるのか、一刻も早くこの辺は整備をしていただきたいと思いますし、国税庁とどのような協議をされているのか、進捗状況を教えていただければと思います。  そして、あと厚生労働省さんの方には非正規雇用現状ということで御説明をいただいておるわけでございますが、今、プレゼンテーション資料の中の四ページ目は二〇〇五年の年平均ということで、三二・六%が非正規雇用になっておりますが、これをもう少し細かく分析は当然されているんだと思いますが、その中身を教えてもらいたいと。  どういうことかといいますと、例えば業種別でどうなのかとか、年齢別、さらにはその平均在職期間と、こういったことをどこまで細かく把握されているのかと。これは、後に、ここで書いてございます社会保険の適用拡大ということとも非常に密接に絡んでくる問題だと思います。  というのも、外食産業の方とお話をする機会ございまして、例えば月一千五百万円の売上げがあるお店で、正社員は一人で、登録が百名で実際に常時働くのが十名と。細かくシフトを組んでやっていると。中には二か月ぐらいで辞めていってしまう人もいると。こんな中で、本当に保険加入の手続というのが拡大をしていきますと、現実性があるのか。また、払ったのに払っていないみたいな話が起こるんではないかと、こんなことも考えられますので、どの程度のことを把握されているのか教えていただきたいと思います。  そして、最後に、これは、今日は調査会ですので余りきついことは申し上げたくないんですが、昨日の読売新聞の一面に、「五省所管の財団 天下り同士 契約独占」というのが出ておりました。御承知のとおりかと思います。天下り財団が集金機構になっておると、こういうことでございます。これは両省に関係することでございます。外国人の研修生を受け入れるのにこの財団に加入しなければスムーズなビザが下りないということで、中小企業から年十一億会費として集めていると。また、入管も、そこに聞いた方がいいよみたいなあっせんまでしているというふうに書いてありますけれども。私が心配しているのは、日比経済連携もこれから実行されていきますが、この中にまでまた同じような仕組みが予定ということで組み込まれております。日本の受入れ機関で社団法人国際厚生事業団というんですか、(予定)と書いてありますが、先ほど力を入れて説明していただいたわけでございますが、こういうことのために力が入っているというふうに思われないようにしっかりやっていただきたいですし、独占をすることによって民業圧迫、さらには民間に余計な負担を掛けるような構図をつくらないようにしていただきたいと。  この辺りは要望でございます。今後、時間があるときに別の委員会等々でまた質疑をさせていただきたいと思いますが、是非、知らぬ間にこういうビジネスがどんどん増殖していくというようなことがないように、特に政治家のお二人に関してはよろしくお願いをいたします。
  85. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) それでは、お答えをいただきます。  まず、鈴木経済産業政策局長
  86. 鈴木隆史

    政府参考人鈴木隆史君) 先生の御質問の若者、女性、高齢者労働参加率の上昇、人材の質の向上等により〇・四%程度以上という根拠についてお尋ねでございますが、この数字は、ここで先ほど私、御説明いたしましたような制度を完全に実施すればここまで可能になるという一つの見通しでございまして、ちょっと今手元にそこら辺の詳しい積算根拠等ございませんので、また先生、改めて御説明させていただければというふうに思います。  それから、第二番目に、移転価格税制の問題でございますが、これは委員御指摘のように、非常に大きな問題でございまして、結果的に戻すことになっても、それまでの間、企業というのは非常に負担を被るわけで、そういう意味で、現在国税庁の方の対応といたしまして、相談窓口というのがございまして、そこで事前に相談をしながらいろいろやっていくということでございますが、なかなかその相談窓口の人員についても限りがございまして、円滑にいっていないというふうな状況がございます。  それから、委員御指摘のように、いろんなルールがはっきりしていない、裁量のところが非常に多いと。特に税務当局の方での裁量が多いということで、企業の方でも予測可能性とかそういうものがないという不満がございます。そういうこともございまして、私ども、移転価格税制研究会というのを設置をいたしまして、十一月一日に第一回会合を開催しましたところでございます。  今後、委員が御指摘のように、実態をきちっと把握した上で、だれにもよく分かるような改善策を取りまとめまして、関係省庁の方に積極的に働き掛けていきたいということで考えておりますので、御理解を賜りたいと思います。
  87. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) 次のお答え。  金子政策統括官
  88. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 非正規の内訳ということでお尋ねがございました。  非正規といいましても、パート、アルバイト、派遣、契約という社員というようなことで、いろんなパターンがありまして一様ではないかと思いますが、少しざっくりしたところで御紹介を申し上げますと、一つ、委員から御指摘がありましたけれども、産業別でどうなんだということでございますが、これは全く委員御指摘のとおりでございまして、飲食店、宿泊業という分類ですと、二〇〇五年で非正規割合が六二・七%という数字になっております。また、これに類する高い数字を示しておりますのが卸・小売関係でございまして、これが四四・二%、そしてサービス業が四五・三%といったような数字になっております。一方、製造業につきましては二一・九%ということで、やはり第三次産業、飲食店、サービス業、卸・小売関係中心に非常に非正規の割合が高いということが言えるかと思います。  それから、年齢別に見てどうかということでございますが、これは何度も御紹介をさせていただいておりますが、やはり男女合わせまして若い人の非正規割合が高いということでございまして、男性でございますと十五歳から二十四歳層で大体、在学中の学校のアルバイトの人を除きますと、二八・五%というような数字が非正規割合になっております。また、高齢者層でも高くなっております。一方、女性につきましては、十五歳から二十四歳層で、在学中の方を除きますと、大体四〇%の人が非正規と。女性の場合には、やはり中年層でも比較的これは主婦のパートの方が多いというようなこともあって割合が高うございまして、例えば三十五歳から四十四歳層でいいますと五四・四%というような数字になっているということで、これは男女の間でやはり働き方が大分違うといった辺りも見えてくるんだろうと思います。  いずれにいたしましても、それぞれの態様がどうなっているかという実態をよく見ながら対策を進めさせていただきたいと、こういうふうに思っております。
  89. 尾立源幸

    尾立源幸君 平均在職期間は。
  90. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 平均在職期間の数字、今ちょっと手元に持っておりませんので、改めて御説明をさせていただきます。
  91. 奥田久美

    政府参考人奥田久美君) 委員から、読売新聞の記事に関しまして御要望がございましたけれども、記事の中にも一部、私どもの担当室の最後にコメントが載っておりまして、この部分につきましては十分な、この記事をお書きになった記者さんの御理解を得られなかったというふうに思っておるわけでございますけれども、この辺りのことも含めまして、一度、委員の下に参りましてこのことにつきまして御説明をさせていただきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
  92. 尾立源幸

    尾立源幸君 政治家としての決意をちょっと。
  93. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) 政治家としての御決意ということで、渡辺副大臣
  94. 渡辺博道

    ○副大臣(渡辺博道君) 政治家として、やはりそういったものをしっかりと私どもはチェックしていかなければならないと、そういうふうに思っております。
  95. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) ありがとうございました。  それでは、大野つや子さん。
  96. 大野つや子

    大野つや子君 自民党の大野つや子でございます。  大変稚拙なそれこそ質問になるかと思いますが、お許しをいただきたいと思いますが、先ほど六十五歳定年延長というようなお話も実はございました。私は、高齢者雇用対策、まあ自営業、農業には定年というものはないとも言われているわけでございますけれども、今後更なる少子高齢化が進むことによりまして、高齢者はもちろん、高齢化による障害者も増加してくる中、まだまだ労働意欲社会貢献への意欲がある高齢者の方々の活躍の場としてNPOやボランティア団体が考えられますが、一つ一つこれは取り組んでいかなければならない課題もあるとは思いますが、その点のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  また次に、ワークライフバランスについて少しお聞きしたいと思います。  仕事家庭両立支援対策は、事業主及び労働者意識改革が重要だと思います。法整備をいたしましても、出産、育児や介護などでの休暇を取ることが後々労働者の不利になるようでは意味がないと思います。そうならないように個々の職場づくりが必要であると思いますけれども、企業任せだけでは果たしていいのかなと、そんなようなことも思うわけでございますが、その点もいかがお考えか、お聞かせいただけたらと思います。
  97. 鳥生隆

    政府参考人鳥生隆君) まず、高年齢者の雇用就業対策ということでございますが、先ほど六十五歳までの定年延長あるいは継続雇用制度導入といったことでの雇用の場の確保ということで、これは高齢期になお継続して雇用をしたいという意思をお持ちであれば六十五歳まで何らかの形で雇用をするということでございまして、ただ、高齢期になりますといろんな就業形態、健康状態あるいは体力等いろいろ個人差も出てくるという中で、短時間の勤務とか、雇用の中でもいろいろな形態を導入して雇用を延長しているというような企業が見られるわけでございます。  ただ、それは、元気な限り社会での活動をするという、活躍の場を持つと、雇用以外の場でもというお話でございますが、私ども、労働政策の中では、先ほどの資料でもシルバー人材センター事業といったものが載せてございますが、様々な臨時的、短期的な、あるいは軽易な就業を行うといったことに対して、地域の日常生活に密着した仕事といったものを提供するといったことで高年齢者の就業機会の増大を図るといった事業をしてございます。その他のNPOといったところについても、高齢期にいろんな形で就業ができるような場を紹介するような機能をそういったシルバー人材センターの中に持ったらどうかといったことでの今要求もしてございますが、いずれにしても、雇用だけではなくて、活躍の場が得られるといった、退職後に高齢者がいろんな選択ができるような情報を提供していくと、そういったことも行っていくことが必要だというふうに考えております。
  98. 村木厚子

    政府参考人村木厚子君) 仕事家庭の両立の問題でございます。この問題、もちろん育児休業その他法律で決まったことを企業にしっかり守っていただくということも大事でございますが、委員おっしゃいますように、企業意識とか職場の雰囲気、風土というものは非常に大事になってくると思っております。  私ども、一つ次世代法ができましたので、これで企業自ら行動計画を作っていただいて、自分の企業の方が家庭仕事を両立しやすいような具体的な目標企業自ら定めていただくと、こういう取組をしたり、それから、これ来年度の予算要求でお願いをしていることでございますが、中小企業で、特に仕事家庭を両立しやすい風土づくりに企業が取り組んだときには助成金をお出しできないかというようなことも検討をしているところでございます。  また、特に男性の場合は早く帰りにくいとかお休みを取りにくいということがございますので、これは先ほど政務官からも御説明をいたしましたが、企業の経営者の方に中心になっていただいて、男性もそういう育児とか家庭のことにかかわる、そういう働き方をする方が企業にとってもメリットがあるというようなことを提言の形でまとめていただきましたので、それも周知を図るというようなことで、いろいろな形で企業への御理解をお願いをしていこうと思っております。
  99. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) ありがとうございました。  それでは、伊藤基隆さん。
  100. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 民主党・新緑風会の伊藤でございます。  今日は質問とか発言するという意識がなかったものでいろんなものを調べてこなかったんですが、両省の政策の取組状況又は状況認識についてお聞きしまして、さらに皆さんの質問を聞いていて触発されて、一点、二点、ちょっとアバウトになりますが、話してみたいと思います。  私は、通産省の存在、日本の経済産業省の存在について意識したのは、一九八〇年代の産業政策という本に行き会ったときです。大変感銘を受けまして、私、全逓信労働組合の委員長をそのころしていましたが、通産省にお願いして若い課長補佐に来てもらって説明を受けました。労働組合の本部に来るわけですから、大変緊張して来られたんですが、その人の話を聞いていて、今でもまだ現役で大変偉くなっているんだと思いますが、大変積極的に主張を述べて、通産省が描いている日本の将来、産業政策じゃないですよ、日本の将来を語ったんですね。  私は、その一九八〇年代の産業政策というのは実現していったと思うんですよ。それを実現する過程で日本は非常に豊かになった。国民もみんな将来に自信を持った。その基本に製造業を中心とする安定的な社会実現したんだと思うんです。  ただ、皆さんの立場からすれば非常に残念なのは、デタントからバブルの発生、バブルの崩壊、低金利政策、円高、これ矢継ぎ早にアメリカからの攻勢によって、日本は、当時財政的な対応をしないで金利政策だけに依拠したために塗炭の苦しみにそれから入るわけですよね。だから、一九九〇年代の産業政策はもっといいことを書いてあったのに、これはとんざをしたんだと私は思っています。  今、それと異質なんですが、先ほど副大臣から話があったように、総合的な話があったように、産業政策というものが打ち立てられた。どこが異質かというと、若者がこれに夢を描いて身をゆだねようとするだろうかと。それが一九八〇年代の産業政策と違うところなんじゃないかと。  日本の製造業は、もう一つ言えば、産業政策というものは、金融政策の失敗によって塗炭の苦しみを与えられたという経過だったんじゃないかと思います。しかし、今、経済成長の戦略大綱という大層な名前が付いたものが出てきまして、これは非常に、中身については私は、じゃ、例えば二ページ五の生産性向上型の五つの制度インフラの中で人、物、金、技、知恵と、こういうふうにありますが、物、金、技、知恵と人が同列になっているということは大変気になるスタンスじゃないかと。人をどうするかというふうに思って、それで発言したわけです。  厚生労働省資料厚生労働省の総括的な見解がお聞きしたいんですが、政務官がおいでになるので、五ページの非正規雇用年齢階層別の動向で、若年層で非正規雇用の比率の伸びが大きいと。六ページで、非正規雇用増加社会的影響ということで、教育訓練と有配偶者の占める割合が出されております。これは大変鋭い着目でありまして、このことは、厚生労働省資料によると、人的資本の蓄積の弱体化少子化を招くと、少子化を進めてしまうということが書いてありますが、それは産業政策的な立場からいえばそうなんですけど、社会政策的立場からいったら、社会弱体化が如実にここから表れてくるんだというふうに分析できると思うんですね。  この調査会が昨年一年間、雇用の問題又は社会全般の問題をずっと議論したんですが、到達したところは格差社会になっていると。学者は何人か来て格差はなってないんだと言うけど、それはもう生活実感として、社会状況としてそうなっていると。その根幹となっておるのが雇用形態、雇用制度ということだと思うんですよね。  私は、労働組合をやっていてつくづく残念だったのは、労働基準法という法律が労働組合の必死の努力と一人一人の労働者の大変な勇気によってかろうじて守られていると。守られていないところは一杯あるというような状況ですよね。労働行政は労働基準監督署があって厳しくやっています。最近では、いわゆるサービス残業というものの摘発を大変やりまして、それが社会的によく理解され、問題になったと。この是正企業は一生懸命図ろう、図らなきゃならなくなってきたと、それはもう大変な少人数でやった努力だと思うんですよ。  そういうところから、非正規雇用者というのは、非正規雇用者になるから若者弱体化が起こっておるのか、若者弱体化が起こっているから非正規雇用に走っているのかというようなこともありますけれども、将来の社会弱体化につながっていくだろうということは、経済産業省が言っているこの経済成長戦略大綱、あるべき日本の道筋、私は違和感を感じながらも、これは、あるいは雇用形態、この格差社会がもたらす社会的な弱体化によって達成できないんじゃないかと、とんざするんじゃないかと、これは日本の社会にとってゆゆしきことになるというふうに思うんですよね。もう二度と失敗は許されないと。  かつて、一九九四年だったと思うんですが、この辺が資料がないところの弱みなんですが、クリントンが経済演説の中で、かつて我が国は国が富むと国民全体が富んだと、今、国が豊かになっても国民は豊かな者と貧しき者に分化していると、経済政策の転換をしなきゃならないと。一九九七年に転換を図ろうとして、その後、大統領選で民主党は敗れていくわけですね。小泉政権ができて、小泉改革によって格差拡大したというのは、それは加速させたということはあると思いますが、成熟してきた経済活動の中で格差というものが起こらざるを得なかったか、また起こる方向に経済政策が進んだか、どちらか私は分析できませんが、そういう延長線上で日本の今、格差社会が出ていると。だから、この調査会も、雇用の形態が諸悪の根元とは言いませんが、根幹となって格差が起こっているんだということを認識すべきだということでは、ほぼ全体が一致したんだというふうに思っております。  そこで、では経済成長期の大綱その他を見まして、産業政策を立てるときに、その雇用形態、社会問題又は金融政策ということに思いをはせているのかどうか、経済産業省が。それに対して影響力を行使しようとしているんだろうか。また、厚生労働省は自分たちが分析したこの分析に基づいて、これを放置したら日本は正に立ち上がれないような状況になるんじゃないかということについて、どれだけ強く認識しているのか私は知りたい。  今、通商産業省の、経済産業省の出した資料の一ページ③、東アジア域内の工程間分業の進展、資本財、消費財の貿易額の推移が出ています。今までも資本財の輸出が消費財、大型家電製品を含めても、自動車を入れても資本財の比率が多かったんですよね。今でもそうだと思います。これは日本が世界の工業の中心にいるということですよね。だから、日本の工業が駄目になると世界の工業は駄目になるという相関関係にあると思うんですよ。資源がないから弱いんじゃなくて、日本が、この有用なすぐ使える資源を提供しているんだという意識を持つべきだと。だから、世界の全体の生活産業というものに対する影響力を持っていると。これが今、正規雇用者が減っているために、今、製造業で自動車のトラブルだとか何かのトラブルだとか、有名メーカーのトラブルが一杯起こっていますわね。わざとやっているのもあれば、見過ごしてやってしまったのもあれば、これはやはり正規雇用者が少ないということだと思うんです。これが弱体化しているんです。だから、労働行政とそこはうんとつながるんじゃないかと。  是非その辺についてリンクさして、政府部内で是非考えていただきたいと思いまして、これは副大臣と政務官に、感想でもいいですから、お答えいただきたい。
  101. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) それでは、まず渡辺経済産業大臣、よろしくお願いします。
  102. 渡辺博道

    ○副大臣(渡辺博道君) 伊藤委員経済産業省に対して大変御評価をいただいた部分がかつてあったということで、大変私どもうれしく思っておりますけれども、実は今回の経済成長は経済産業省のみがやるわけではありません。ありとあらゆるセクションの連携を持ってやっていかなければならない、それほど重大な時期に来ているというふうに思っております。  したがって、産業政策並びに金融政策そしてまた労働政策、それぞれの連携し合った形で今後の経済成長を目指してまいりたいというふうに思っております。
  103. 松野博一

    大臣政務官松野博一君) 本調査会を始め、今政府内でありますとか、また各党、各所におきまして、活発に雇用政策の問題、とりわけこのいわゆるフリーター問題等々が活発な議論をされているということは、この問題が単に産業政策や雇用政策だけではなく、今後の日本の社会政策また社会の体系に関して大きな影響力があるということが広く認識をされた結果だと思います。その点は私も伊藤委員の御指摘に同じ考えを持っているものであります。  個々具体の内容に関してはもう既にお話がありましたけれども、非正規雇用者フリーターと言われる層の増加によりまして、こういったフリーターの皆さんには職業能力開発機会正規雇用と比べて大変少ないという状況もございますので、国家トータルとしての人的資本の蓄積の弱化というのは、これは長いスパンでの経済政策上も経済の弱体につながるという要素でありますし、少子化問題に関しても、このフリーター問題というのが晩婚化、非婚化の大きな要素であることも挙げられております。  そういった意味から、私どもも社会全体の政策を考えたときに、非常に重要なこの分野に関して具体的な目標を立てて今後も取り組んでいきたいというふうに考えております。
  104. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 長くなりまして済みません。
  105. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) どうもありがとうございました。  他に御発言もなければ、本日の調査会はこの程度にとどめ、これにて散会いたしたいと思います。    午後三時五十三分散会