○
政府参考人(
鈴木隆史君)
産業政策局長鈴木でございます。
それでは、具体的施策につきまして、渡辺副
大臣の補足
説明をさせていただきます。
お許しをいただきまして、着席で御
説明をさせていただきます。
横長三枚紙の二ページ目をお開きいただきたいと思います。ここに書いてございますように、
経済成長戦略大綱の具体的施策は五つの
パートに分けられております。そして、これらの具体的施策は、
経済産業省の施策だけではなく、広く各省の施策から成っておりまして、それらを取りまとめたものでございます。
順次御
説明をさせていただきます。
左の上の一は、国際競争力の強化でございます。これは、先ほど渡辺副
大臣から
説明がありました技術革新、アジア等海外のダイナミズムなどにより、アジアの発展に貢献し、アジアとともに成長するための施策でございます。
二は、
生産性の向上でございます。ITによる革新で
企業経営の
効率化を進めるとともに、
生産性が低いサービス
産業等の
生産性を抜本的に強化するための施策でございます。
三は、
地域・
中小企業の活性化でございます。日本
経済を支える存在である
地域や
中小企業に焦点を当てた戦略的、重点的な施策でございます。
四は、改革の断行による新たな需要の創出でございます。これは、
生産性の向上による供給面強化に加えまして、需要を喚起する規制改革などの施策を取り上げております。
最後に、五は、
生産性向上型の五つの制度インフラでございます。ここでは、国際競争力を支える基本的な制度を人、物、金、技、知恵に分類をいたしまして、それらを抜本的に強化するための施策を取り上げております。
それでは、それぞれのパーツごとに具体的な
説明をさせていただきます。
まず第一の国際競争力の強化でございます。
ダイナミックに成長するアジア及びBRICsの市場や供給力という
機会と、
資源エネルギー制約及び
環境制約というリスク、この双方に早急に
対応することが必要であります。
機会をとらえるためには、アジアの発展に貢献し、アジアとともに成長するといった視点が重要であります。国内では、
我が国の強みであります
生産性の高い製造現場等を強化しつつ、世界最高のイノベーションセンターとして国際競争力のある新商品やサービスを次々と生み出し、新しい価値を世界に発信いたします。アジア等との
関係におきましては、効率的な協働を
実現するための制度インフラの整備等を
加速いたします。リスクを軽減し、中長期的な発展基盤を確立する観点から、エネルギー安全保障を核といたしました新・国家エネルギー戦略等を踏まえまして、
資源エネルギー政策の戦略的展開を図ります。
この①から⑤でございますが、イノベーションにより
我が国の国際競争力を強化するということでございまして、具体的には、国際競争力上欠かせない成長分野、例えばロボットとか次
世代航空機、次
世代型自動車等向け電池、先進的医療などに予算を重点的に投入いたしまして、日本の優位性を生かしつつ、迅速な開発を進めます。
制度面では、競争力上重要な技術につきまして、産学官の壁を低める連携、特許審査の迅速化、国際標準化の
推進、ガイドラインの
策定、官民政策対話の
拡大等を進めてまいります。製造業のみならず、農林水
産業、医療、観光業などについても国際競争力を強化してまいります。
⑥から⑧でございますが、これはアジアのダイナミズムの
取組でございます。
具体的には、アジアの発展に貢献し、アジアとともに成長するため、東アジアにおけるOECDのような国際的体制を確立し、東アジア
経済圏の構築に向けた
経済連携協定、EPAの早期締結に取り組むとともに、WTOドーハ・ラウンドの交渉再開にも積極的に取り組みます。例えば、EPA交渉につきましては、日・マレーシア、これが七月十三日に発効いたしました。日・フィリピン、九月九日に署名をいたしました。チリとのEPAも九月に大幅合意する等、着実に
推進をしております。
東アジアEPAについては、八月の日・ASEAN
経済大臣会合で日本政府から提案をし、来年からは専門家研究開始を予定をしております。東アジアでのOECDのような組織の設置をASEAN関連
経済大臣会合において前
大臣より提案をいたしまして、おおむね各国より賛同を得たところでございます。
次に、⑨、⑩でございますが、
資源エネルギー政策の戦略的展開でございます。
具体的には、原油価格高騰を始めとしたエネルギー制約を克服し、
我が国経済の中長期的な成長基盤を確立する観点から、省エネ、新エネ、原子力の
推進、運輸エネルギーの次
世代化、先端的科学技術分野における協力も含めました資源外交の強化等の総合資源
確保戦略の
推進、緊急時
対応の充実等に取り組んでおります。
例えば、
環境と
経済の両立を
実現するためのバイオマス由来燃料の
導入に向けました
調査研究、技術開発を
平成十九年度の
地域、宮古島における実証実施に向けた
検討等も進めているところでございます。
以上が第一の国際競争力の強化でございます。
次に、左下の、第二の
生産性の向上(ITとサービス
産業の革新)でございます。
産業横断的に
生産性向上の最重要の手段となるのは、先ほど副
大臣から御
説明をいたしましたITでございます。IT革新による競争力強化、
中小企業の経営力の向上を
促進し、コンテンツ市場の
拡大を図ります。また、これらを支える
産業基盤の強化を
実現いたします。また、日本
経済の七割を占めながら
生産性向上で出遅れておりますサービス
産業の革新が欠かせないと考えております。重点分野を
中心にその
生産性を抜本的に向上させることにより、サービス業を製造業と並ぶ双発の成長エンジンとして位置付けたいというふうに思っております。
具体的には、産学官によるIT
生産性向上運動を立ち上げ、世界トップクラスのIT経営の
実現を目指します。また、IT経営応援隊を通じた
中小企業の経営力の向上、さらに国際コンテンツカーニバルの開催などによりまして、コンテンツ市場の
拡大を図ります。サービス
産業につきましては、サービス六分野、健康・福祉、
育児支援、観光・集客、コンテンツ、ビジネス
支援、流通・物流といったこのサービス六分野に政策を重点化しつつ、需要の創出、
拡大、
生産性の向上の両面から重点的に政策を講じます。こういうことによりまして、二〇一五年までに七十兆円の市場規模
拡大を目指しております。
例えば、観光・集客分野におきましては、
事業の高度化に向けた実証
事業の実施を通じた成功事例の積み上げ、成功・失敗要因分析に基づく
事業運営手引きの
策定等を通じまして、
産業観光、文化観光、ヘルスツーリズムを含めまして、新たな観光・集客ビジネスモデルの確立を
支援してまいります。
また、健康・福祉分野におきましては、
地域ヘルスケアの提供体制の重点化、医療法人に必要な会計の在り方の
検討や公募債の
導入を始めとする市場ルールの活用を通じまして、質の高い効率的なサービス提供体制の構築に取り組みたいと考えております。
次が、右上でございますが、第三の
地域・
中小企業の活性化(
地域活性化戦略)でございます。
構造改革の中で
経済状況や成長力の回復に後れが見られる
地域や
中小企業の活性化に思い切って取り組むことが重要であると考えております。
地域資源を活用した
地域産業の発展、コミュニティービジネスの振興などを総合的に
推進するとともに、
地域の声を踏まえつつ、
地域が創造力を発揮して作成する
地域再生計画について、省庁連携により一体的、重点的に
支援する政策の充実を図ります。
また、特に
地域の
経済と
雇用の大宗を支える
中小企業を活性するため、
地域資源を活用いたしました新商品、新サービス等の開発の
支援、ものづくり
中小企業の強化、中小小売商業や小規模零細
企業の
支援を行います。
これらによりまして、
地域の活性化を図るとともに、国内のみならず世界を視野に入れた
地域の競争力強化を
実現いたします。
具体的には、
地域の
経済と
雇用の大宗を支える
中小企業を活性化するため、
地域資源を活用しました新商品、新サービスの開発、販売を多面的に
支援する
地域資源活用化プログラムというものを実施いたします。また、中小ものづくり高度化法に基づきまして、ものづくり
中小企業の技術開発、
企業間連携を
支援し、ものづくり
中小企業の技術力を底上げしたいというふうに考えております。
地域資源活性化
企業化プログラムでございますが、これは
地域資源、例えば
地域の技術、農林水産品、伝統文化、こういうものを活用いたしまして、新商品、新サービスの開発、販売に取り組む
中小企業や
地域の組合に対しまして、市場
調査とか試作品の開発とか展示会出展などについて補助をするなどをいたしまして、総合的
支援を実施したいと考えております。五年間で千件の新
事業創出を
目標としているところでございます。
次に、第四の改革の断行による新たな需要の創出でございます。
人口の
減少は供給力を
低下させるだけでなく、需要面でもマイナスの影響を及ぼします。供給面対策と同時に、需要
拡大につながる政策努力が欠かせないと考えております。イノベーションの
加速による需要の創出に加え、官業の民間開放や思い切った規制改革といった改革努力により新たな需要を創出いたします。
具体的には、新たな技術の市場を妨げております規制の
見直しや、市場化のためのルール作りなどを継続的に行うことにより、新たな需要を創出してまいります。
例えば、国の調達におきまして新技術を
採用した製品を積極的に
採用することで新技術の研究開発を
促進する制度や、例えば燃料電池の市場化を妨げる規制など、イノベーションを進めるための制度の改正についても幅広く
検討をしてまいります。
また、民間が担う公共料金において、
社会資本の維持管理などの公的サービスを民間
企業や非営利法人などが主体になって進めるための
環境整備を
検討をいたします。
最後に、第五の
生産性向上型の五つの制度インフラでございます。
産業横断的に
生産性の抜本的な向上を
実現するため、思い切った制度改革が必要でございます。人、物、金、技、知恵、この五分野に関しましてIT革新も含め、世界で最も優れた制度インフラを構築したいと考えております。
具体的には、人につきましては、文部科学省と連携をいたしまして、
産業ニーズに柔軟にこたえる
人材育成システムを作ります。例えば、人につきまして、
平成十九年度からの実施を目指しまして大学や
地域の工業高校や高専における高度職業
人材育成や、地元の
企業技術者等と連携いたしましたキャリア教育等を
検討しております。
また、文部科学省と連携をいたしまして、アジアの優秀な学生の国内
就職機会の
拡大等を含めまして、受入れ
環境を抜本的に整備するため、アジア等との
若者レベルでの
人材交流を進めるアジア人財資金
事業、これは先ほど副
大臣から御
説明申し上げましたが、これをまた
検討を進めているところでございます。
物につきましては、
企業の投資や設備の新陳代謝を
加速するための国際的に遜色のない制度
見直しを行います。
平成十九年度税制改正要望におきまして、減価償却制度の抜本
見直しを要望しております。国際的なイコールフッティングを
確保し、設備投資の
拡大によるイノベーションの
加速化を
実現することでございます。
次に、三ページ目をお開きいただきたいと思います。
経済成長戦略大綱では、施策の着実な
実現を担保するため、
人口減少が本格化する二〇一五年度までの十年間に取り組むべき施策を、短期、中期、長期に分けた工程表を
策定しております。この工程表に明記された具体的な数値
目標や新規施策の中で、
経済産業省に
関係するものを御紹介したいと思います。
一の国際競争力の強化では、対日直接投資の倍増、これは真ん中辺にございますが、二〇一〇年までに対GDP比増となる五%程度の対日直接投資を受け入れるつもりでございます。
それから、その下でございますが、東アジア
経済統合の
推進。東アジア
経済圏構築などを通じまして、二〇一〇年には
我が国全貿易額に占めるEPA締結国との貿易額の
割合を二五%以上へと考えております。
それから、その下でございますが、
企業の合併審査の透明性向上。二〇〇六年度内に
企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針を改定いたしまして、
企業合併審査の透明性を向上させ、
企業の予見可能性を高めるとございます。
それから、その下でございますが、
資源エネルギー政策の戦略的展開でございます。二〇三〇年までにエネルギー消費効率を少なくとも三〇%
改善をし、また運輸エネルギーの石油依存度を八〇%へ下げる計画でございます。
真ん中の二、
生産性の向上でございます。IT革新による
生産性向上。これは、米国と比べ後れております日本
企業のIT経営を五年以内に世界のトップクラスとする。それから、コンテンツ市場の創出でございます。これは、国際コンテンツカーニバル等の開催を通じまして、今後十年でコンテンツ市場を約五兆円
拡大するということでございます。
それから、サービス
産業の革新。これは、二〇〇六年度内にサービス
産業生産性協議会を設立いたしまして、二〇一五年までにサービス六分野の市場を約七十兆円
拡大するということでございます。
それから、真ん中の中ほどでございますが、三番目の
地域・
中小企業の活性化につきましては、先ほど申し上げましたように、今後五年で
地域の資源活用・
中小企業支援策により、千の新
事業創出をするとともに、ものづくり
中小企業支援のための五百のプロジェクトを
実現したいと考えております。
それから、五番目の
生産性向上型の制度インフラでございます。
人財立国の
実現ということで、専門職大学院設立などへの
支援などを通じまして
人材育成パスの複線化、それから先ほど申しましたアジア人財資金構想の
推進によりまして、海外の優秀な
人材を日本に呼び込みます。
それから、知的財産権保護でございます。二〇一三年に特許の審査順番待ち期間を現在の二十六か月から十一か月に短縮し、世界最速の特許審査を
実現したいと考えております。
少々長くなりましたが、私の補足
説明をこれで終わらせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。