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尾辻秀久君 ただいま議題となりました
ドミニカ移住者に対する特別一時金の
支給等に関する
法律案の草案の趣旨及び主な内容について御
説明申し上げます。
昭和三十一年から昭和三十四年までの間に実施されたドミニカ共和国への移住は、国が企画及び立案を行い、財団法人
日本海外協会連合会が移住者の募集等の実施事務を行うことによりその事業が進められてまいりました。しかし、入植予定地の事前
調査や移住
条件についての情報提供が適切に行われなかったことなどにより、移住者の生活基盤の構築に多大な困難を生じさせ、移住者の方々は、長年にわたる御労苦を余儀なくされてまいりました。このように、同国への移住については、他の移住先には見られない特有かつ特別の事情があったと認められます。
この問題につきましては、国会においても再三取り上げられてまいりましたが、平成十六年三月十日の参議院
予算委員会におきまして、当時の小泉総理から、
ドミニカ移住者に対する今後の対応についてしかるべく
考えていきたい旨の発言がなされました。
また、本年六月七日、東京地方裁判所においてドミニカ共和国
日本人移住者損害賠償請求訴訟の第一審判決が下され、その判決の中では当時の
政府の対応について、入植予定地の事前
調査や移住
条件についての情報提供が適切に行われなかったとの指摘がなされました。
その後、七月二十一日にドミニカ共和国移住問題の早期かつ全面的解決に向けての
内閣総理
大臣談話が閣議決定され、
政府として反省とおわびを表明するとともに、当時の
ドミニカ移住者の方々に対して特別一時金を給付することとし、立法府においてこれを実現するために必要な措置が早急に講じられるよう
協議を進めるとの方針が示されました。
この総理談話は、七月二十九日にドミニカ共和国で開催された移住五十周年記念式典に、私、
尾辻が総理特使として派遣されました際に、現地の方々にも直接
説明をいたしたところでございます。
本
法律案は、以上の経緯を踏まえ、移住者の方々に多大な御労苦をお掛けしたことについて国として率直に反省し、また、移住者の努力に報い、移住者が幾多の苦境を乗り越えて我が国とドミニカ共和国との友好関係の発展に寄与してきたことに深い敬意を表するとともに、引き続き、両国の良好な関係の発展に資するよう、
ドミニカ移住者に対する特別一時金の
支給等に関し必要な措置を講じようとするものであります。
以下、この
法律案の主な内容につきまして御
説明申し上げます。
第一に、本
法律案には、特に前文を付し、ただいま御
説明申し上げました本案制定に係る経緯及び趣旨を明記しております。
第二に、
ドミニカ移住者又はその遺族に特別一時金を支給することとし、その特別一時金の支給を受ける権利の認定は、これを受けようとする者の請求に基づいて、
外務大臣が行うこととしております。
第三に、特別一時金の額は、
ドミニカ移住者のうち、早期の帰国者・転住者の方は五十万円、それ以外の方は百二十万円としております。さらに、移住事業の経緯及び実態、移住者の実情を明らかにするための諸活動について負担をする等特別の労苦があった者として
外務大臣が認める者には八十万円を加算することといたしております。これにより、移住者の方々による訴訟活動に伴う御労苦に報いることができるものと
考えております。
第四に、国は、ドミニカ共和国において移住者とその御家族の支援等を行う民間の団体の活動に対しまして
援助など必要な施策を講ずるものといたしております。なお、この
援助につきましては、先ほど
説明いたしました移住事業の経緯や実情等を明らかにするための諸活動につき特別の負担をした方々の費用の一部を補てんする措置への
援助として、総額で邦貨二千万円に相当する額の資金を国より供与することを含むことといたしております。
第五に、この
法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
以上がこの
法律案の草案の趣旨及び主な内容であります。
何とぞ
委員各位の御賛同をお願い申し上げます。