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船田議員 自民党の
船田でございます。
与党案提出者を代表いたしまして
発言をさせていただきます。
この
国会におきまして、
与党案、
民主党案それぞれが
提出になっておりますが、それに対して、
委員会、小
委員会等で真剣な
議論が展開をされ、大変
意義ある
国会であった、このように
理解をしております。
その中におきまして、私ども、
与党案原案を出しておりますけれども、さらによりよき法案となるために、幾つかの点におきまして、これまでも
修正の方向性について論じてまいりました。これまでの
委員会、小
委員会での
議論、そして私どもが
修正を加えたいと言った
部分について改めて整理をして御説明を申し上げ、皆様の御
理解をいただきたい、このように考えております。
皆様のお手元に要綱対比表がございます。
与党案の
原案と
修正の方向を示した案でございます。それに基づいて説明をいたしたいと思います。
まず、一ページ目でございますが、
国民投票の
投票権につきまして、やはり諸外国の趨勢、大勢が十八歳以上ということでありますので、そのような
観点を踏まえまして、私どもとしても、本則十八歳以上ということで、日本
国民で年齢満十八歳以上の者は、
国民投票の
投票権を有するものとする、このように改めたいと思っております。
なお、三年間の
経過措置というものがありますが、これについては附則に
表現をしたいと思っております。
次に、一ページ目の一番下でございますが、
広報協議会につきまして、この名称につきましては、
原案では広報をする対象物を取り上げまして
憲法改正案広報協議会と称しておりましたけれども、広報の機会といいましょうか、何のために広報をするかということに着目をいたしまして、
国民投票広報協議会と名称を変更したいと考えております。
二ページ目でございますが、その
広報協議会が作成をする
公報の
内容でございますけれども、私ども、
原案におきましては、その
一つに「
解説等」というものを入れようとしておりましたけれども、
解説ということにつきましては、恣意的な
部分というのがなかなかぬぐえない、こういったことも勘案をいたしまして、「
解説等」の
部分を次のように変えたいと思っております。すなわち、「
憲法改正案に係る新旧対照表その他の参考となるべき事項」、このように変更させていただきたいと思っております。
二ページ目の一番最後でございますが、
投票の方式であります。
私ども、
原案におきましては、マル・バツ自書式で
賛否を
表現していただくということでございましたけれども、これを改めさせていただきまして、
投票用紙には賛成の文字及び
反対の文字を印刷したものを使用したいと考えております。
三ページ目になりまして、その上で、
憲法改正案に対し賛成をするときは賛成の文字を囲んでマルの記号を付す、それから
反対の場合には
反対の文字を囲んでマルの記号を自書する、このようなことで
賛否をあらわしていただきたいと考えております。
なお、
反対の文字にバツをつける、あるいは賛成の文字にバツをつける、こういうことでそれぞれ賛成、
反対の意思表示をした場合にも、あるいはまた他事記載におきましても、
賛否がはっきりわかるようなものについてはできるだけ有効ということにいたしまして、多様な表記を認めることといたしたいと思います。この結果として、白票あるいは無効票をできるだけ少なくすることが可能になるのではないか、このように感じた次第であります。
次に、三ページ目の後段でございますが、
公務員の政治
活動の
禁止規定の
適用除外であります。
国家
公務員法と地方
公務員法で政治
活動禁止の対象が若干違っております。このばらつきをなくすという必要が生じているわけでございますので、私どもとしては、いずれにしても、政治
活動の
禁止規定の
適用除外を
修正として申し上げたいと思っております。
具体的な文言としては、
公務員が
国会が
憲法改正を
発議した日から
国民投票の
期日までの間に行う
国民投票運動については、国家
公務員法、地方
公務員法等の政治
活動の
禁止等に関する
規定は
適用しないものとすること、このように
修正を加えていきたいと考えております。
次に、
国民投票運動の
禁止される
特定公務員の種類でございますけれども、四ページにありますように、これまで私どもは、選管の職員等に加えまして、裁判官、検察官、
公安委員会の
委員及び警察官の皆様については、これを
国民投票運動禁止ということでございましたけれども、やはり
国民運動が萎縮することを避ける
意味でも、あるいは、そういう
特定公務員の方々も、
意見を表明する権利と
投票運動とが非常にあいまいである、区別がつきにくいということも考えまして、裁判官、検察官、
公安委員会の
委員並びに警察官の
部分を削除するということといたしました。
それから、次の項目でございますが、「
公務員等・
教育者の
地位利用による
国民投票運動の
制限」でございます。
これにつきましては、
原案よりもさらに
要件を厳格化させていただくということで
修正を加えたいと思っております。具体的には、「
公務員等及び
教育者は、その地位にあるために特に
国民投票運動を効果的に行いうるような影響力(
教育者にあっては、学校の児童、生徒及び学生に対する影響力)又は便益を利用して、
国民投票運動をすることができないものとすること。」このようにいたしたいと思います。ただし、これまでの
議論でもありましたように、違反した場合の
罰則は設けないもの、このようにしたいと思っております。
次に、
広告放送の
制限、
有料の
意見広告でございますけれども、これを
投票日前何日間か
制限をする、こういうことで、私どもは七日間を
原案としては申し上げておりましたが、これにつきましては、先ほども話がございましたように、
量的制限の一部に資するため、あるいは
期日前
投票の開始にそろえる、このような
意味合いから、
国民投票の
期日前十四日に当たる日から
期日までは
禁止をする、このように
修正をしたいと考えております。
次に、「
広告の条件に関する
配慮」ということで、これは先ほども、量的な
バランスをとるというのは難しいとしても、その取り
扱いの平等を一定の
規定として設けることが重要ではないかということで、具体的には、一般
放送事業者等及び
新聞社は、
国民投票運動のための広報を
放送し、または掲載するに当たって、料金その他の条件について、
憲法改正案に対する賛成の
広告または
反対の
広告のいずれであっても同等のものとするよう
配慮するものとすることというような
配慮規定を新設したいと考えております。
次に、「
政党等による
放送及び
新聞広告」、いわゆる
無料枠の配分でございます。
私ども、
原案におきましては、
議席数案分、
議席数を踏まえて案分する、こういうことを考えておりましたけれども、これまたこれまでの
委員会でのさまざまな
議論の末、やはり
賛否平等ということを
原則としたい、このように考えております。
具体的に、第一は、「
国民投票広報協議会は、
憲法改正案及びその要旨等の広報を客観的かつ中立的に行うものとすること。」こういうことで、中立
部分をまず設けたいと思っております。第二には、「
憲法改正案に対する賛成の
政党等及び
反対の
政党等の双方に対して同一の時間数及び同等の時間帯を与える等同等の利便を提供しなければならないこと。」、
賛否平等を書かせていただくこと。そして第三には、これもまた、
政党以外の
団体の皆様にもこの広報を行う機会を提供する、このような
意味で、具体的には、「
政党等は、当該
放送の一部を、その指名する
団体に行わせることができるものとすること。」というふうに新たな
規定を設けたいと思っております。
なお、
新聞広告につきましては、
放送の
広告と同様の取り
扱いとしたいと考えております。
次に、五ページの後段
部分でございますが、「組織的多数人買収及び利害誘導罪」についてでありますが、これにつきましても、やはりその影響力が大きいわけでございますので、十分に
要件を限定した形で対応していくべきである、こう考えまして、次のような
修正を加えたいと思います。
「
憲法改正案に対する賛成又は
反対の
投票をし又はしないよう勧誘し、」というのが
原案でございましたが、私どもとしては、「積極的に勧誘し、」という
修正を加えたいと思っております。また、「影響を与えるに足りる物品その他の財産上の利益」ということにつきましては、限定をいたしまして、「(
国民投票運動において
意見の表明の
手段として通常用いられないものに限る。)」という限定をつけたい、このように考えております。
次に、六ページ目になりますが、「
国民投票の効果」というところで、過半数の
意義ということがございました。
原案におきましては、有効
投票の総数の二分の一を超えた場合、承認されたものとみなすということでございましたが、
表現上、有効あるいは無効という言葉をなるべく使わないというような
観点から、ここに書いてありますように、「
国民投票において、
憲法改正案に対する賛成の
投票の数が
投票総数(
憲法改正案に対する賛成の
投票の数及び
反対の
投票の数を合計した数をいう。)」、こういう限定をつけた上で「
投票総数」という言葉に変えたい、このように考えております。
次に、七ページ目でございます。
憲法審査会の設置についてでありますが、
原案におきましては、
憲法審査会の
役割の
一つとして、「
日本国憲法の
改正手続に係る
法律案等を
審査する」となっておりましたけれども、より正確な
表現が必要であったのと、あるいは
議論にもございましたけれども、予備的
国民投票の検討もここでできるようにする、こういうことを取り込んだ形で、次のように
修正をしたいと思います。
「
日本国憲法及び
日本国憲法に密接に関連する
基本法制について広範かつ総合的に調査を行い、
憲法改正原案、
日本国憲法に係る
改正の
発議又は
国民投票に関する
法律案等を
審査するため、各議院に
憲法審査会を設けるものとする」、このようにいたしたいと思っております。
次に、八ページ目でございます。「附則」でございます。
施行
期日、
原案では二年と考えておりましたけれども、これまでの
議論の中で、この第二段階をできるだけ丁寧に行う必要があるということで、施行
期日を「公布の日から起算して」二年ではなくて「三年を
経過した日から施行する」、このようにいたしたいと思っております。
次に、「検討」の項目でございますけれども、私どもは、予備的
国民投票というあり方について、これはきちんと
憲法審査会においても
議論する必要がある、このように
判断をいたしまして、「
日本国憲法の
改正を要する問題及び
日本国憲法の
改正の対象となり得る問題についての
国民投票制度に関し、」「検討を加え、必要な措置を講ずるものとすること。」と明記をさせていただきたいと思っております。
次に、「法制上の措置」でございますけれども、これは
投票年齢のことであります。十八歳とするときにも
経過措置三年間ということを明記したいと思いまして、次のように
修正をしたいと思います。
「国は、この法律の施行の日」、これは三年後の
意味でございますが、「施行の日までの間に、年齢満十八年以上満二十年未満の者が
国政選挙に参加することができること等となるよう選挙権を有する者の年齢を定める
公職選挙法、成年年齢を定める民法その他の法令の
規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとすること。」といたしたいと思っております。
なお、この点につきましては、
経過措置としまして、以上のような措置が講じられ、年齢満十八歳以上満二十年未満の者が
国政選挙に参加すること等ができるまでの間、年齢満二十年以上の者が
国民投票の
投票権を有するものとする、このようなことでただし書きを書かせていただきたいと考えております。
最後に、四番目のところでございますが、「
憲法審査会の
憲法改正原案の
審査権限の凍結」についてであります。
これも、先ほど申し上げましたように、
憲法改正原案そのものを
議論する、あるいは議決する、こういう機会は三年後からということになりますので、当然のことながら、ここに書いてありますように、
憲法改正原案の
審査及び
提出をこの三年間は行わず、
日本国憲法及び
日本国憲法に密接に関連する
基本法制についての調査をなお行うということを明記させていただきたい、このように考えております。
以上、
修正案の方向につきまして、私
ども与党として考えていることを整理して申し上げさせていただきました。
この後、
民主党の
提案者からも、
修正の方向性についてお話があると思っておりますが、お聞きをいただければおわかりになると思いますが、
修正部分の隔たりというのはあとわずかである、このように
認識をしております。今後、鋭意、検討あるいは
協議をして、できるだけ早く
修正部分の合意を得たいと考えておりますし、またそれは十分に可能である、このように考えております。
次期通常
国会におきましては、この
修正合意の上に立って、衆議院において議決がなされ、参議院においても慎重審議の上結論がいただけるように心から期待をいたしておるわけでございます。
以上、
与党の
提出者を代表いたしまして、
修正部分についての説明をさせていただきました。
ありがとうございました。