○北良治君 御紹介賜りました奈井江町長の北でございます。
本日は、道州
制特区推進法案の審査におきまして、公述人として
意見を述べる機会をいただきましたことを感謝申し上げる次第でございます。
私ども奈井江町は、
北海道の米どころ石狩平野の、ちょうど札幌と旭川の中間に位置いたし、人口が七千人弱であります。道内の多くの
自治体と同様に、近年、人口の減少や高齢化が進んでおりますが、
行政サービスの
効率化と質を高めるため、
平成十年に、介護保険、
国民健康保険、老人保健等を含めながら、近隣一市四町と空知中部
広域連合を立ち上げ、現在、共同で進めているところでございます。
また、
広域連合以外にも、隣の町、二万人ぐらいの人口になりますが、砂川市の中核病院、
北海道は医師不足、医療問題、大変深刻な問題でございますが、病院同士、病病連携をとらせていただき、多様な
自治体間連携の強化を進めているところでございます。
一方、
市町村合併につきましては、旧法下においては結果として
合併には至りませんでしたが、現在、新法下における道の
合併推進構想に基づきながら、新たな組み合わせにより研究会を設置いたしまして、鋭意
議論を交わしているところでございます。
住民とのかかわりにおきましては、
地方分権が進められる中、町民とともに意識
改革に取り組むべく、
平成十七年には奈井江町まちづくり自治基本条例を制定いたしました。情報の共有、
住民参加を追求いたしまして、
住民自治の強化に主眼を置いて町づくりを進めているところでございます。
本日は、こうした町の現状を踏まえて
意見を述べさせていただきますが、まずは、道州
制特区推進法案と並行して昨年六月、
北海道庁は道州制
推進道民
会議を設置いたしましたが、私もその一員に加えていただきまして、
議論に参加してまいっておるところでございます。この中で私が一貫して主張していることを申し上げます。
この道州制については、
地方分権の観点から、いわゆる
住民参加を基本としつつ、どう
行政サービスを高めていくか、どう自治を高めていくのか、そこに視点を置くべきであるということであります。可能な限り、
住民の最も近いところに
権限、
財源を置きながら、自主的、自覚的
地域自治をつくることが国の発展にもつながるという観点から道州制、そして道州
制特区を
検討すべきと
考えておりまして、国の財政再建のいわゆるツールとして使われては困るということを申し上げておきたいと思います。
道内における
分権といたしまして、この道州制の
議論と並行して道庁では、二千項目にわたる
事務事業、
権限をリストアップいたしまして、その
移譲について道内
市町村との協議を進めております。奈井江町においても、農地法に基づく事務など、これまで十の事務、三項目の
移譲を受けまして、来年四月以降、十数項目の
事務事業を受ける予定になっております。
また、当町に事務局を置く空知中部
広域連合においても、指定居宅介護支援事業者にかかわる事務などの
移譲を受けておりまして、これまで
道内分権を協議した中で非常に重要と
考えることの一つは、役所の机上の許認可に関する
権限だけでなく、
住民に見えるもの、
住民が実感できるものが必要だということであります。
そこで、当町では、近隣
自治体との連携によりまして、道道の維持管理について道庁に申し入れを行いました。
北海道においても、冬場の除排雪を含めた国道、道道、町道の維持管理は、道路法に基づきましてそれぞれ別々に実施しているのが現状であります。奈井江町は、明治の開拓におきまして道路は碁盤の目に整備がなされました。これと同時に、国道と道道、町道が相互に交差いたしております。道道は、五路線、総延長にいたしますと三十二キロぐらいになりますが、町内だけでなく四つの
自治体とつながっております。
町道の除排雪につきましては、従来から、
行政と
住民そして業者の三者による計画を立てながら、
住民の
意見を組み込んだ手法で実施をいたしております。しかしながら、国道、道道、町道におきましては、それぞれ作業にタイムラグがございまして、
住民から、交差点に残る雪の処理などに苦情が寄せられます。その都度、道道、町道区別なく
対応をしていた経過がございます。
こうした現状から、一昨年以来、道庁建設部、土木現業所と協議を進め、
分権担当の
地域主権室にも調整に汗をかいていただきました。来年四月以降、モデル委託として隣町の浦臼町とともに六路線、二十五キロメートルの管理を行うことになりました。道道、町道をそれぞれが面として管理することによりまして、さらに効率的かつ
住民ニーズに合った
対応が可能になると
考えております。
こうした実例を
住民が目の当たりにすることによりまして、道と
市町村の
役割分担、
分権の効果について
理解が深まり、結果として
行財政改革に結びつくものであると
考えております。
法案につきまして、今回示された
法案を見ますると、その趣旨に、
地方分権の
推進、あるいは
北海道の自立的発展に寄与するものと記されております。基本的な
考え方は
評価するものでありますが、ここに記された八項目はやや小粒と言わざるを得ないわけでございまして、今後、
地域の
課題を加味しながら新たな項目をふやしていく努力が必要だろうと思います。
また、今後の展開のイメージといたしまして、
特定広域団体となります
北海道が
市町村の
意見を聞いた上に提案していくこととなっておりますが、これらの
議論をよりオープンにしながら透明性のあるものにすることが適正な法の運用につながるものであり、何よりそれが
市町村、
地域住民の道州制協議への参加に欠かせないものと
考えております。
私どもは、厳しい財政状況の中、
住民とともに自己
改革にも努めております。今回の特区
法案、将来にわたる道州制の
議論、直面する
市町村合併の問題、それぞれ切り口は違うものの、
住民自治を高める手法、自立的発展のツールとして
地域事情を加味しながら
検討し、自治の向上、
課題の解決につなげていきたいと
考えております。
先ほど申し上げました道道のモデル委託の
検討とあわせて、奈井江、浦臼両町では、来年度からの町営バスの共同運行についても今話を進めております。これは、高齢者や通学の足を守る観点ばかりでなく、
地域医療連携、高校の配置問題とも密接にかかわってくる問題でもあります。
また、本年の障害者自立支援法の改正によりまして、障害程度区分の審査会の設置が
自治体に義務づけられましたが、これまでの経過から、中核病院である砂川市立病院の協力を得て、必要な精神科医を確保しながら、空知中部
広域連合で審査会を設置することができました。
このように、
道内分権、あるいは
制度の改正においても、
地域の知恵と工夫、協調が重なりまして、現実にさまざまな相乗効果を上げているものもあります。こうした流れが
地域の自立を醸成し、ひいては
行財政改革、必然的にはまた
広域連合、
市町村合併にもつながるものだと思います。
道州制
議論においては、国の出先機関の見直し、あるいは
市町村に対する
行財政改革をさらに進めるためではないかなど、不安視する道内の報道もございます。それぞれ
市町村も不安視されているところも事実でございます。
今後の
議論に当たっては、単に国と
都道府県のやりとりでなく、ぜひ、
住民や
地域が自治の主体であるという観点、理念に立ちまして、
権限、
財源の
移譲をしっかり
検討していただきたいとお願いを申し上げます。そして、その思い、手法を道民に逐一発信することにより、道州
制特区あるいは道州制の道内
議論がさらに高まっていくことを期待いたしておるところでございます。
以上、私の
意見とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)