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宮下参考人 御指名をいただきました、
参考人の
宮下創平でございます。
私は、本日
議題になっております戦後未
処理問題の一つである、
恩給欠格者連盟というのが
全国にございます、それの
会長を仰せつかっておる者でございます。したがって、その
立場から
意見を申し上げたいと思いますが、まずもって、
参考人として
お呼びいただき、この権威ある
委員会で
審議をいただくということに対しまして、恩欠連を
代表いたしまして、心から厚く御礼を申し上げます。よろしく御
審議のほどを
お願いします。
さて、本問題は戦後未
処理問題と言われますが、その
内容は三つに分かれております。ただいま
相沢参考人等から御
説明のあった
抑留者問題が一つ、私
どもがタッチしております
恩給欠格者、恩給がもらえないための不公平さの是正という問題と、それから
引揚者という三つのグループに分かれて、
平和祈念基金法でも、この三つのグループに対する
慰藉事業等が
規定されているところであります。
それぞれ皆、歴史ないし考え方も違います。したがって、それに
対応する対策も当然
主張が違ってしかるべきでありますが、今回、戦後未
処理問題を
処理しようということで御決断をいただいて、
法案が
提出されることになったわけでありまして、私
どもとしては、大変
感謝を申し上げております。
さて、この問題がなぜこのように長期にわたって最終的
解決がおくれてきたかといいますと、まず第一に、私も政治家を二年前までやっておりまして、この問題の取り組みをしておりましたのでありますが、政治家は、やはり物事の
解決に公平公正でなけりゃならぬという視点がどうしても必要だと思うんですね。
その意味で、公平公正という点から見ると、第一は、恩給法の中で受給資格年限が原則十二年以上に限られるということでありまして、十一年十一カ月でも、私の選挙区でもそういう方が一、二名おられましたが、絶対にこれを回復できないんですね。そういう受給者と未受給者との不公平。受給者の方は、申し上げるまでもなく、恩給の
内容を国家公務員の給与改定等があるたびに改定をしてまいりましたから、その所得の累積額はかなりなものになります。しかし、未受給者の方は何ら
措置されなかったという、恩給法上の不合理。
それからもう一つは、国家公務員及び地方公務員と、
軍人恩給を
支給されていない民間の
方々との
関係であります。
余り長くなっても恐縮ですから簡単に申しますと、国家公務員については、共済年金法上、
軍人恩給期間というものが受給資格を得る年限の中に通算されております。それからまた、受給額についても反映する仕組みになっております。国家公務員がそうでありますので、地方公務員も当然それに倣って行われておるということでありまして、民間の恩給未受給者のグループは何らその点の恩典に浴していないという不公平感があります。
したがって、本件は、大変かわいそうだという問題はあります。
平均年齢八十四歳になって、足も不自由なのにかかわらず、我々のところへ本当に何回も何回もおいでいただくということで、我々国民の一人としても、軍に参加した人たちに、その政策の正否はともかくとして、理解を示し、応分の何か
感謝の、
慰藉の気持ちをあらわさなければならぬということでございます。
したがって、まず不公平感がありますから、これを是正したいということで、いろいろ我が党においても、五十年代、私は五十四年の当選でありますが、当選した年月の二、三年前から、先輩諸兄がこの問題を提起しておられました。私も、大蔵省の主計局で退職金あるいは年金の問題を扱いまして、国家公務員、地方公務員の退職金も
軍人恩給期間を通算しておる事実を知っておりますし、私もやりました。そんなことで、直ちにこれは不公平だなということはわかったのでありますが、いかんせん、制度を定立するときは、では
軍人恩給ももうちょっと下げたらどうか、三年ぐらいまで下げてやったらどうかなという検討もいたしました。
それから、国民皆年金時代で、国民年金、厚生年金も国民皆年金に三十六年ごろからなりましたので、その上乗せでみんなに均等に少しでも気持ちをあらわせないかとかいう検討をいたしましたが、これは、恩給よりも後で国民皆年金、国民年金法というのはつくられたわけでありまして、そういうわけにはいかぬという激論をやったこともあります。
また、それでは、仕方がないから独自の一時金の
支給案を段階的に設けて
支給すべきではないかというような考え方もありまして、かなり党の幹部等で議論したこともございます。しかし、いずれも、なかなかそういうわけにいかない。
そこで、ただいま
相沢参考人から御
説明がありましたように、平和懇というところで
基金をつくったらどうかという話がございまして、我々も、とにかくできることは何でも、筋の立つものであればやりたいということで、
基金法の
成立に賛成いたしました。そして、二百億、次いで四百億の累積額を目指して、その
基金を運用して、その利回りによって
慰藉事業をやろうということで開始したわけであります。
したがって、御承知のように、
恩給欠格者、これは
シベリア抑留も及びますけれ
ども、三点セット、つまり、
書状、総理大臣の
感謝状と、
銀杯、それから
旅行券その他のサービス券の
支給、金額は大したことはありませんけれ
ども、これの
支給を続けてきたわけであります。
そして、現在は、
支給率、申請率もありますけれ
ども、おおむねこれが山を越しました。そして、
高齢化が進んでおる。それからまた、これを扱う総理府の機構も、利潤のうちの半分くらいを事務費で使ってしまうような状況になってきて、私から言うのもおかしいですけれ
ども、いわば
行政改革の一つとしても、この際幕を閉じた方がよかろうと。私
どもとしても、八十四歳の
高齢者を抱えて、
皆さんの真剣な気持ちを全く無にしてここで解散というわけにいきませんので、何らかの国の真摯な気持ちをお示しして、そしてこの際
幕引きを図りたいというのが率直な気持ちでございます。
そういう意味で、これ自体は、整合性に欠けているとか理論的にどうだとかいろいろ議論はございますけれ
ども、どうか、
恩給欠格者の
方々が今日まで本当に真摯な努力を続けていることに思いをいたされまして、御理解を賜り、本
法案を速やかに
成立していただきますように
お願いを申し上げまして、簡単でありますが
参考人の
意見とさせていただきます。
ありがとうございました。(
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