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大塚(拓)
委員 自由
民主党の
大塚拓でございます。
本日は、
貸金業の
規制等に関する
法律等の一部を
改正する
法律案の
政府提出案と、これに対する
民主党の
修正案について質問させていただきたいと思います。
まず、なぜ今回こういう
規制が必要になってきたのか、こういう背景について少し
議論をさせていただきたいなというふうに思っております。
よく
貸金業者の
方々であるとかがおっしゃるのは、やはり日本は市場経済であって
基本的に自由競争である、こういうところで、
金利、プライシングを
規制していく、こういうことは市場経済の原理原則にもとるものである、そういう介入は非常によくないという
議論があるわけですけれども、しかし、
我が国において、そういう競争が適正に機能しているのかな、こういうことを見てみますと、どうもしていないようである。
例えば、
金利の分布を見ましたときに、二%近傍の大きなボリュームゾーンに加えて、その先なだらかにリスクに応じたプライシングのカーブがあるかというと、そうではない。
上限金利で
規制されている二九・二%に非常に近いところに大きな二つ目の山ができているというような形になっておるわけでございまして、競争がうまくいっていない。これは、市場が失敗しているケースだろうというふうに考えられるわけでございます。したがって、市場の失敗に対しては、これは自由競争の中においても
政府が介入するということに正当性があるということになると思います。
しかしながら、なぜそういう市場の失敗が起きているのかな、こういうことの
原因を考えていくということが必要なんだろうと思いますが、
基本的に、競争が働いているならば、ミドルリスクの人にはミドルの
金利をつける、ハイリスクの人には高い
金利をつけるという形になるはずであるけれども、これはきのうの参考人
質疑の中でも出てきましたように、逆選択と呼ばれているような
状況が起きている。すなわち、貸し手側が借り手側の信用状態というものがよくわからないために、高目高目の
金利をつける。そのことによって、市場の中から、そこそこ、ミドル以下のリスクである借り手というものは退出してしまって、ハイリスクな借り手ばかりが残っていく、市場が劣化している、そういう問題が起きている。しかしながら、それにもかかわらず、なぜ
消費者金融業者が高い収益を上げることができるんだろう。
本来であれば、市場が劣化すればそれに応じて貸し倒れも高くなっていくわけであって、そんな高い収益が得られないのではないかというふうに思われるわけですけれども、それにもかかわらず高い収益が得られている。恐らくそこには日本特有の、固有の文化的、社会的背景というものがあるのではないかなというふうに考えておるわけでございます。
すなわち、本来であれば、正規の
貸金業者が貸している顧客というものが、もう払い切れませんというふうになったときには、そこで破綻をする。そうすると、貸し倒れが
発生するということになるはずであるけれども、なぜか破綻をした人たちにまだ貸す人たちがいっぱいいる。それがやみ金業者と言われるわけですけれども、では、やみ金業者がそれで貸してなぜ商売が成り立つかというと、非常に
暴利をつける、時には一〇〇〇%を超えるという
利息をつけ、そういうものは普通払える借り手はいないと思われるわけですけれども、これを極めて過酷な取り立て、場合によると臓器を売れとか、女性の場合は風俗で働いて返せ、こういった形で取り立てることが可能であることによってやみ金
業界が成り立っている。そのやみ金
業界に依存する形で、市場の失敗が起きている
消費者金融業者というものが高収益でビジネスをやることができる、こういうことになっているんだと思います。
では、なぜそういう人たちは、そういう過酷な取り立てを受けたときに、場合によると
自殺をしてまで返してしまうのだろうか。ここに日本の市場の失敗の
原因があるのではないかな、こういうふうに考えているわけでございます。
よく、これも
業界の
方々がおっしゃるのは、イギリスとかアメリカには
金利規制がないではないか、正確に言うと、アメリカの場合は州によって
規制があったりしますので、連邦法で、ないというだけの話でございますけれども、ないではないかと。日本で入れるのはおかしいじゃないか、こういう話になるわけでございますけれども。アメリカなどはやはり、個人破産の件数というものは日本とはけた違いに多い。要するに、
自殺をしてまで返そうという日本人的な責任感とか、借金を返さないのは恥ずかしい、そういう恥の文化みたいなものがある国とは違って、比較的たやすく破産する。こういう中において初めて、自由にプライシングをさせてもそういう社会的な問題が起きない、こういうことになっているのではないかなと。
振り返って、日本と同じような間接金融型のシステムをとっている国を見ますと、ドイツであったりフランスであったり、韓国、中くらいというところもあるかもしれません、韓国であったり、見てみると、軒並み
金利規制があるというところなんだろうと思います。
日本のこうしたマーケットというものを考えていくときに、英米を参考にするというよりは、やはりむしろ、似たような間接金融型のシステムをとっているドイツ、フランスといったところを参考にして、そういうところと比較しながら検証していくべきものなのではないかなというふうに思いますけれども、御所見をお伺いしたいというふうに思います。