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塚田参考人 おはようございます。
東京都
産業労働局金融部長の
塚田祐次でございます。本日は、発言の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。
私は、地方自治体の
立場で、
貸金業の登録、指導を担当するという
立場で
意見を申し述べさせていただきます。
まず、
東京都の
状況について申し上げますと、ことしの三月末現在、都知事登録の事
業者数は三千百六十七でございまして、これは、財務局登録を除く
全国の
都道府県知事登録
業者一万三千五百三十四の約四分の一を占めております。
東京都におきましては、平成十四年六月の都議会における所信表明におきまして、石原都知事が、業務の停止や登録の取り消しなど厳格な処分をかつてない規模で行い悪質な
業者を排除したいと発言されるなど、
貸金業対策の強化に取り組んでおりまして、同年八月には、違反情状が特に重い
業者に対し、
全国で初めての登録取り消し処分を行いました。現在では、産業労働局
金融部の中に
貸金業対策課を設けまして、三十七名の体制で業務を進めております。
東京都が受けております
相談や苦情の件数は、平成十四年度に二万件を超えました。これがピークでございまして、その後、平成十五年度の
貸金業規制法の
改正により減少し、平成十六年度には七千件を切るまで減少いたしました。一方、平成十七年度には一転して増加に転じまして一万件を超え、本年度も月平均大体一千件程度で推移をしております。
その増加した原因を考えてみますと、これは無登録
業者による
融資保証金詐欺、これを私
どもは貸します詐欺と呼んでおりまして、貸しますと申しますのは、大手
金融機関や登録
貸金業者を装って、
お金を貸しますといいながら、実際に
融資をせずに、逆に保証金や保険料名目で
お金をだまし取る、こういう手口でございます。この増加に対応しまして、昨年十一月に、貸します詐欺
被害ホットラインという電話
相談窓口を開設し、
全国にこのホットラインをPRしたことなどによるものと考えております。
相談、苦情の最近の傾向について申し上げますと、
二つほど例を挙げてみます。
まず
一つが、複数の
貸金業者からの
債務を一社に借りかえたいけれ
ども、こういう名前の会社は大丈夫だろうかという御
相談でございます。これは、よく話を聞きますと、実は
多重債務者の方の場合が多く、
関係の
弁護士会等を紹介している次第でございます。
また、もう
一つ主なものは、契約書の見方がわからない、さらに、どうも返済金を払い過ぎているような気がするけれ
どもどうかと。これは、
東京都内の方であれば、窓口に来て一緒に計算をしてさしあげることもできますが、対象の方が
全国に広がっておりますので、それぞれの
相談機関を御紹介するなどしております。
また一方、取り消し処分の内容を見ますと、やはり高
金利の事例が多く、例えば、二十万円の
融資を申し込んだ男性に対しまして、一カ月当たり一万八千円の利息を二十三回、約二年近くでございます、これで支払わせ、法定利息の二・六倍に当たる四十一万四千円の利息、
融資は二十万円、利息が四十一万四千円でございます、これを支払わせたという事例があります。これにつきましては、法定利息の超過分を返還するよう指導いたしますとともに、
業者の登録を取り消す処分を行いました。
また一方、
東京都におきましては、本年の三月に、
東京都議会が
国会及び政府に対しまして、
出資法及び
貸金業規制法の
改正に関する
意見書を提出するなど、行政、議会を挙げた取り組みを行っております。
最近の登録の
状況を見ますと、若い
人たちが安易に登録をするという傾向があります。この間の事例では、繁華街を一人で歩いていたらば、一緒に事業をしようと誘われた、それで、手続を、一緒に登録をしたと。起業家精神が旺盛なのは結構でございますけれ
ども、その辺は十分事業の内容を吟味していただきたいと
思います。
貸金業の健全化のためには、法
制度や事業の内容をきちんと理解しているか否かを登録の段階でチェックする必要があると考えます。そうした意味から、特に、
貸金業務取扱主任者の
制度の充実が有効というふうに考えております。この
制度は、平成十五年度の
法律改正で設けられましたが、資格取得まで登録後六カ月の猶予期間があることなどから、法令に対する知識などの検証が十分になされないままに営業が行われる例も見受けられます。
東京都が最近行った行政処分の
状況を見ますと、平成十七年度には、違反情状が特に重い者に対する取り消し処分を二百六十六件行いました。そのうちの約八二%、二百十七件が登録後三年未満のいわゆるトイチ
業者でありました。昔は、トイチといいますと、十日で一割の利息ということで定説でございましたが、最近は、
東京都の一回目の登録
業者もトイチという名前で
関係者の間では有名のようでございます。
東京都は、かねてから、
貸金業務取扱主任者
制度につきまして、資格試験を実施すること、
貸金業務取扱主任者の配置を
貸金業の登録及び更新の条件とすることなど、
制度の
改正を国に要望してまいりました。このたびの
改正案でこれらの要望を
改正案に反映していただき、感謝申し上げる次第でございます。
また、
東京都に寄せられる
相談の八割が、実は都外在住者からのものでございまして、
都道府県知事登録
業者と申しましても、ダイレクトメールや電話勧誘、インターネット上の広告など、業務の範囲は
全国に広がっております。まさに、北は北海道、南は沖縄から
相談を受けております。
その中では、遠隔地で
情報が少ないことを悪用しまして、
東京都知事登録の
業者の登録番号をかたる者、実在しない登録番号を使う者な
ども少なくありません。こうした不心得な者に対する対策についても、ぜひ
実現していただきたいと
思います。
都民を初め、国民の
皆様から数多くの声を聞かせていただいている行政実務に携わる者といたしまして、
被害者を一人でも少なくするため、そして登録
業者の健全化を速やかに進めるため、このたびの
法律改正を一日も早く成立させ、また、一日も早く実施していただきたいと切に望む次第でございます。
貸金業の健全性を確保するためには、まじめに事業を行っている事
業者が事業をしやすい
環境を整備する必要もございます。そういった点で、
東京都といたしましては、今後とも、
東京都
貸金業協会、
関係行政庁と十分な連携をとりながら、
貸金業の適正化を進めてまいります。
以上で私の
意見陳述を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(
拍手)