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2006-03-27 第164回国会 参議院 予算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月二十七日(月曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  三月二十四日     辞任         補欠選任      末松 信介君     藤野 公孝君      浅尾慶一郎君     白  眞勲君      櫻井  充君     大江 康弘君      蓮   舫君     小川 勝也君      山口那津男君     浜田 昌良君      大門実紀史君     小池  晃君  三月二十七日     辞任         補欠選任      大仁田 厚君     坂本由紀子君      藤野 公孝君     常田 享詳君      小川 勝也君     蓮   舫君      大江 康弘君     櫻井  充君      白  眞勲君     浅尾慶一郎君      近藤 正道君     福島みずほ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小野 清子君     理 事                 市川 一朗君                 木村  仁君                 小泉 顕雄君                 鶴保 庸介君                 藤井 基之君                 小林 正夫君                 辻  泰弘君                 平野 達男君                 加藤 修一君     委 員                 秋元  司君                 浅野 勝人君                 岩井 國臣君                 岩永 浩美君                 大野つや子君                 岡田 直樹君                 岸  宏一君                 佐藤 昭郎君                 坂本由紀子君                 関口 昌一君                 田村耕太郎君                 伊達 忠一君                 谷川 秀善君                 常田 享詳君                 南野知惠子君                 藤野 公孝君                 山本 一太君                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 小川 勝也君                 小川 敏夫君                 大江 康弘君                 喜納 昌吉君                 黒岩 宇洋君                 櫻井  充君                 下田 敦子君                 主濱  了君                 内藤 正光君                 白  眞勲君                 前田 武志君                 山根 隆治君                 蓮   舫君                 若林 秀樹君                 澤  雄二君                 浜田 昌良君                 渡辺 孝男君                 紙  智子君                 小池  晃君                 福島みずほ君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        総務大臣     竹中 平蔵君        法務大臣     杉浦 正健君        外務大臣     麻生 太郎君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   小坂 憲次君        厚生労働大臣   川崎 二郎君        農林水産大臣   中川 昭一君        経済産業大臣   二階 俊博君        国土交通大臣   北側 一雄君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策))  小池百合子君        国務大臣        (内閣官房長官) 安倍 晋三君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        沓掛 哲男君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融、        経済財政政策)        )        与謝野 馨君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣規制改        革))      中馬 弘毅君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣科学技        術政策食品安        全))      松田 岩夫君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣少子化        ・男女共同参画        ))       猪口 邦子君    内閣官房長官        内閣官房長官  鈴木 政二君    副大臣        内閣府副大臣   櫻田 義孝君        内閣府副大臣   山口 泰明君        外務大臣    金田 勝年君        財務大臣    赤羽 一嘉君        農林水産大臣  三浦 一水君        経済産業大臣  松 あきら君        国土交通大臣  松村 龍二君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        後藤田正純君        内閣大臣政務        官        山谷えり子君        防衛庁長官政務        官        愛知 治郎君        財務大臣政務官  野上浩太郎君        文部科学大臣政        務官       有村 治子君        農林水産大臣政        務官       小斉平敏文君        経済産業大臣政        務官       片山さつき君        環境大臣政務官  竹下  亘君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  阪田 雅裕君        公正取引委員会        委員長      竹島 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        村松  帝君    政府参考人        内閣府政策統括        官        高橋  進君        内閣計量分析        室長       齋藤  潤君        内閣府政策統括        官        榊  正剛君        食品安全委員会        委員長      寺田 雅昭君        原子力安全委員        会委員長     松浦祥次郎君        原子力安全委員        会事務局長    片山正一郎君        防衛庁防衛参事        官        西山 正徳君        外務省経済局長  石川  薫君        文部科学省研究        振興局長     清水  潔君        厚生労働大臣官        房技術総括審議        官        外口  崇君        厚生労働省医政        局長       松谷有希雄君        厚生労働省健康        局長       中島 正治君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       松本 義幸君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        農林水産省生産        局長       西川 孝一君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院長     広瀬 研吉君        国土交通大臣官        房総合観光政策        審議官      柴田 耕介君        国土交通省総合        政策局長     竹歳  誠君        国土交通省道路        局長       谷口 博昭君        国土交通省住宅        局長       山本繁太郎君        国土交通省自動        車交通局長    宿利 正史君        国土交通省航空        局長       岩崎 貞二君        国土交通省政策        統括官      杉山 篤史君    参考人        日本銀行総裁   福井 俊彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十八年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十八年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十八年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成十八年度一般会計予算平成十八年度特別会計予算平成十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、安全に関する集中審議を行います。伊達忠一君。
  3. 伊達忠一

    伊達忠一君 自由民主党の伊達忠一でございます。  皆さんの御努力で予算も順調に審議が進んでいるようでございまして、その最後集中審議にこうして場を与えていただきましたことに、先輩また関係皆さん方に心から感謝を申し上げたいと存じます。  私が国政に参加して五年近くになるわけでございますが、この間、総理は一貫して改革に取り組んでまいられました。あるときは変人と言われ、あるときは独裁者と言われながらも、恐れずひるまず改革に信念を持って貫いてこられたことについては私は大変敬意を表したいと、このように思っております。そうして、今日大きな成果を上げられてまいりました。しかし、皆さんの大きな期待もよそに、九月の任期で退任をされるということを一貫して曲げないわけでございますが、これは多くの国民皆さん方も私は期待していることだろうと思っております。  そうしますと、私も昨日、問題の整理をしながらこう考えておりましたら、今日のこの予算委員会総理とのこの議論最後になるのかなということを思い起こしました。何となく胸がこうじいんと熱くなる思いでございまして、それだけに、この今日の議論を更に実りのあるものにしたい、こういう気持ちで一生懸命これからもひとつ議論してまいりたいと、こう思っておりますので、よろしくお願いしたいと、こう思っております。  今日は、先ほど委員長から言われましたように、安全というのがテーマでございますが、先ほど申し上げましたように、なかなかこういう機会がございませんし、今、北海道が抱えている大きな問題の一つであります道州制について、せっかくの機会でございますから、お許しをいただいて総理に一言お尋ねしたい、こう思っておりますので、お許しをいただきたいと、こう思っております。  かつて総理北海道に来るたびに、北海道はいいところだ、すばらしい、おれは北海道好きだと、こういうことを常々言っていただいております。それだけに北海道に寄せる思いも私は強いんだろうと、こう思っておりまして、御存じのように北海道経済も大変疲弊して大変な状況でございますが、そのことによって北海道が本当に活性化されて自立ができる、私はそういうことを思いながら、総理は今回の国会法案を通していただけると、こういうふうに実は思っているわけでございますが、しかし、この道州制というのは、先般の新聞の世論調査を見ましても、北海道、六七%が難しくて分からない、こういうのが実態ですし、私は、全国的に今道州制を進めていこうとしている中で、やっぱり国民世論皆さん方はそのように実は思っているんではなかろうかと、こう思っております。  北海道は、特に北海道道制特区ということで今モデルケースとしてやっていただくわけでございますが、是非この機会でございますので、テレビを通じて道民皆さん方に、道州制特区というのはこういうものだよと、そして、こういうすばらしい形になるんだよということを是非お訴えをいただければと、こう思っておりますので、お願いいたします。
  4. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 道州制というものが最近よく国会でも論議されますが、もう一つ分かりにくい点があると思うんです。今四十七都道府県、これを一つ地域として考える場合、区域をもっと広げた方がいいんじゃないかと、広域行政ということによって地方裁量性といいますか、自主性を増すことを考えたらどうかと。同時に、国の役割地方役割、こういうことを見直すと今の四十七都道府県というのは狭過ぎるということから、道と州、十前後に今の四十七を分けたらどうかと。  そうしますと、今の県というものの役割というものも拡大していく。同時に、国の役割地方役割を見直すとなりますと、今の国の出先機関というのは各地方にあります、これも地方に移譲していった方がいいのではないか。ただ、この道州制となりますと、各県の立場、県知事が四十七、今知事いますけれども、十に、仮にですよ、十に今の四十七都道府県を分けたとすると知事も十、減っちゃうわけですね。そういう点もあります。だから、どの県を合わせるのかという問題も出てきます。  そういう点から、私は、まず道州制を導入する場合一番分かりやすいのは、北海道を先に、道州制の先行例としていわゆる特区的な考え方北海道一つの道、広域行政として考えていけば、なるほどな、これが道州制かということで分かりやすいんじゃないかということで、まず、全国的な道州制、分けるよりも、北海道は、仮に将来、道州制が実施されたにしてもほかの、本州並びにほかの県を北海道に付けるということは考えられない、また北海道の一部を削って本州の各県に付けることも考えられない。道州制になったとしても北海道北海道として一つ広域行政の単位として成り立っていく地域であるということから、私は北海道をまず先行的に、道州制の一つのモデルとして特区的な考え方で実施した方がいいじゃないかという考えを持っているわけであります。  そういうことから、その検討を、その場合には国の出先機関はどういうふうに北海道考えるのかと、同時に、道議会市町村議会関係はどうなるのかと、そういう点も含めて北海道独自の振興策はどうあるべきかという点を考えていただきたいということから、まず道州制を考える場合にも、全国的ではなくて、北海道一つ先行例として考えた方がいいのではないかという考えを持っているわけでございます。
  5. 伊達忠一

    伊達忠一君 ありがとうございます。  そこで、もう一つお聞きしたいんですが、道州制、その特区ということについては大変最近脚光を浴びていろんな委員会でも議論をしております。調査会長また小委員長を始め、大変多くの方にいろいろと御心配していただいているんですが、ややもすると今週ぐらいにその法案が、まとまったものが提出されるということでございますが、先ほど申し上げたように、道民の皆様、また経済界を含めて大変はっきり分からないものですから不安がっていることも事実でございまして、そんなことから、櫻田大臣、大変何回も北海道においでをいただいてその辺のお話をしていただきました。北海道知事大変心配をしているわけでございまして、どうかひとつ北海道知事の意向もしっかりと組み入れた中で、そしてやっぱりソフトランディング的に徐々にひとつ体力に合った形でもって移行していただければと、こういうふうに思っておりますので、その辺について是非ひとつ御答弁をいただきたいと、こう思っております。
  6. 櫻田義孝

    ○副大臣櫻田義孝君) お答えさせていただきます。  北海道道制特区につきましては、道州制を北海道においてモデル的に進めるために総理が以前から御支援をするとおっしゃってきた問題でございます。平成十六年の八月におきまして北海道からの提案を受けて、政府部内で検討を進めてきたところでございます。  政府といたしましては、与党との十分な議論を進めまして政府部内の検討調整を進めていくところでございます。北海道とも十分に調整を図りつつ、議員御懸念のような、北海道の方々が不安を抱かないよう、十分考慮して検討を進めてまいりたいと思っております。
  7. 伊達忠一

    伊達忠一君 是非、ひとつよろしくお願いしたいと思っております。  今の時代ですから、確かに国から地方、そして官から民ということを進めていかなければなりませんが、やっぱり明治以来のこの日本の国の姿形、道州制というのは変えるわけでございますから、北海道は特例として特区ということでやられるんでございますけど、是非ひとつその実験台にならないように、モデルケースですから、いやあ、総理が今言ったように、うらやましいと、北海道に行ったらうらやましいなと、おれたちも早く道州制進めようと。よし、促進になるようなひとつ形にしていただかないと、もうこれは北海道の目に遭ったら大変だと、もうおれたちやめようと、こんなことになったら何もならないわけでございますし、ある政党に言わせたら、自民党がやっている北海道特区人減らしただ開発庁つぶしだと、こういうことを言っておりますが、そんなことに、見たかというふうにならないように、せっかく改革を進めて五〇%以上の支持率を保ってきている総理でございますから、最後までしっかりと仕上げていただきたいと、このことをお願いをして、実は安全の問題に入っていきたいと、こう思っております。  今日は、先ほども申し上げたように、安全そして安心な社会づくりということが大きなテーマでございますが、かつて日本大変治安がいいということから大変ほかの国々からも喜ばれていたところでもございますし、しかし最近は、BSEの問題を始めとして、鉄道に乗れば大きな事故で亡くなっていってしまう、飛行機は相次ぐトラブルが起きる、通勤の、勤務の帰りに女性の方が通り魔に刺されて殺される、また幼稚園に迎えに来て、帰りはもう死んで帰ってくる、そして元気になって帰ってこなければならないその一番大事な病院に行ったら首を絞めて殺されるというようなことでございまして、ましてや高い金で借金してマンションを買って、仕事をして疲れて帰ったところは今度は偽装だったというようなことで、一体この世の中というのはどういうことになっているんだろうと。  先般、内々の話でもっていろいろと若い者と会談をしたときに、じゃ一番安全なところって何だろうという話になったら、これは半分冗談ですけれども、留置場か刑務所かななんという話に実はなったこともあるんですが、そういうような何か社会になってしまったような感じすらするわけでございまして、これはやはり何としても、政治の責任もあるわけでございますから、安心して暮らせるやっぱり社会というものをつくっていかなきゃならぬ、こう思っております。  こういうようなことになった、最近特になったこの原因があるとすればどういうことなのか、まず総理のお考えをお聞きしたい、こう思っております。
  8. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) どういうことがこの社会の不安の原因かと言われても、一つではなかなか断定し切れない面が多いと思います。  かつては隣の家にだれが住んでいるかというのが大体分かってきた、地域におきましても、助け合い精神といいますか、お互いが何をしているか、協力体制もかなり濃密な人間関係を持ってなされていた部分が多いと思います。そして、一たび法律に触れるような犯罪を犯すと、犯罪行為になりますと、本人のみならず親戚、縁戚まで及ぶというような厳しい罰則も科されていたと。それが近代社会になりまして、今では隣にだれが住んでいるかも分からない状況、あるいは外国人不法滞在者も増えてきたと、地域人間関係も以前に比べて希薄になってきたという点もあるのかなと思います。  これについては、一方では、余り隣が何しているのか監視されるから濃密な関係を持つのは好ましくないと、やっぱり自由を欲するという人間独自の考え方もあると思います。たまに都会へ出てだれにも気兼ねなくぶらぶら歩いてみたいなと、何をしていてもいいなという開放感を味わうのも、人間ですからそういう面も近代社会になりますと出てきますね。そういうことと、やはりそれぞれの家庭在り方教育在り方、こういう点につきましても、かつての家族関係も変わってまいりました。様々な要因があると思いますが、今、伊達議員が指摘されましたような様々な本来人間法律以前に持っていなきゃならない規律あるいは自立心、そういう点についてもまあ欠けている点があったんじゃないかなと、お互い自分一人の社会ではないと、人に迷惑を掛けてはいけないという、そういう子供のころからの家庭教育、学校の教育についても問題があるのじゃないかなと思っております。  様々な点があると思いますが、こういう点につきましても具体的な事例ごとに各省、各府省が連携を取りながら犯罪の少ない安全な社会構築に向けて政府を挙げて努力していかなきゃならないと思っております。
  9. 伊達忠一

    伊達忠一君 確かに要因一つではないわけでございますから大変だと、こう思います。ただ、これ総理、こういうことが続きますと、人間というのは慣れてしまうというか、もう初めにBSE出たときにはびっくりこいて、もう肉屋さんもはやんなくなって、生産者の方も責任感じたのか、自殺してしまったり、獣医さんも自殺したりというようなことがあったんですが、もう今ですとすっかり慣れちゃって、もうまたかというような感じなんですが、こういうことに国民はさらされると、何となく今度はちっちゃいのを見逃していってしまって、それが大きな事故につながってしまうというようなこともありますので、是非ひとつ、省庁挙げてひとつ取り組んでいただきたい、こう思っております。  それで、実は偽装の問題、私どもも参議院でも随分やってまいりました。今度は福岡に続いて札幌でも実は姉歯建築士関係のない構造設計についてマンション偽装計算書についての偽装が行われたわけでございますが、この辺についてはどのように大臣として把握されているのか、実態と今の状況を説明していただければと思っています。
  10. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 札幌市におきまして、姉歯建築士ではない別の建築士による偽装報告をされました。極めて遺憾であると思っております。  この件につきましては、この建築士設計に関与した物件、既に偽装確認をされておりますのが五物件ございます。この五物件を含めまして、この建築士設計に関与した物件北海道だけでございますが、北海道内で百十二物件確認をされているところでございます。  札幌市から、札幌市今鋭意調査をしているところでございますが、報告を受けているところでは、この偽装確認をされている五物件につきましてもすぐに、早急に退去をしなければならないそういう緊急的な状況ではないというふうに聞いているところでございます。今鋭意調査をしておりまして、この五物件についても近々その耐震度がどうなのかということについても報告があるというふうに聞いているところでございます。  それから、この五物件以外の物件につきましては、札幌市また関係特定行政庁におきまして、これについても今その建物の安全性、偽装の有無、そして建築物の安全性の確認を実施をしているところでございまして、これも住民の皆様の不安をできるだけ早く解消しなきゃなりませんので、この調査につきまして迅速にやっていただくよう今要請をしているところでございます。  また、この建築士本人に対する事情聴取等も今行っているわけでございますが、この建築士本人や元請の建築士等事実関係を明らかにしまして、厳正に処分をしてまいりたいと考えております。
  11. 伊達忠一

    伊達忠一君 こういう法の網をくぐって悪いことをされるという方は本当にこう機密にやられるんですが、その姉歯建築士偽装と、その後に判明した福岡の仲盛建築士ですね、それと札幌の浅沼建築士とはどのような違いがあるんですか。教えていただきたいと思います。
  12. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 姉歯建築士のこの偽装物件というのは、現在判明しているのは九十七物件あるわけでございますが、この姉歯建築士の場合はその中に、その九十七物件の中に、設計の際に地震力を大幅に低減をいたしまして、構造計算書を差し替え、鉄筋の量を減らすことによりまして中規模地震、中規模地震というのは震度五強ですが、震度五強に対する一次設計で多くの部材が損傷し、更に大規模地震、これは震度六強以上でございますけれども、それに対する二次設計でも保有水平耐力比で〇・五を下回るような極めて危険なマンションやホテルが多数建築をされたわけでございます。  そういう意味で、この姉歯建築士物件の中には非常に危険なマンションやホテル等があったと、〇・五を下回るような、震度六強で倒壊するおそれがあると、そういう危険な建築物があったわけでございますが、それに対してこの福岡の件、そして札幌の件でございますが、こちらの方は、福岡の件で申し上げますと、三件の偽装が今判明しているわけでございますが、建物の重さを一割程度減らして計算されて構造計算書が差し替えられておりますけれども、これまでの検証では、そのうちの一件は保有水平耐力比が一・〇以上、安全であると一・〇以上、残りの二物件についても〇・九程度となっておりまして、一次設計、一次設計というのは震度五強の地震ですが、損傷する部材がほとんどないなど緊急に安全性が問題となっている状況にはないというふうに報告を受けているところでございます。  同じく、札幌市におきましても、建物の強さを割り増して計算して構造計算書を差し替えたということでございますが、これにつきましても同様に保有水平耐力比で〇・五を下回るような物件はないというふうに札幌市から聞いているところでございまして、姉歯建築士の行ったこの偽装の件と福岡、札幌の件とでは、もちろん違法な設計であることはもう極めてともに遺憾なわけでございますが、建物の危険性については相当異なっておると。姉歯建築士のように著しく危険な偽装を行った建築士がほかにも把握をされているということではございません。
  13. 伊達忠一

    伊達忠一君 それで、我々、衆議院はどちらかというとその責任的な追及のことを姉歯問題はやっておったようでございまして、主として犯人捜しといいますか、参議院はどちらかというと被害者の救済的なことを我々はやってまいりました。そういう点からいきますと、この札幌偽装の事実をやっぱり公表するということを、まあ公表しますと住民にやっぱり不安を与えるということもあるんでしょうけど、風評被害を懸念して。ですけど、周辺の皆さん方のやっぱり安全の問題ということも考えてみた場合には、やはり公表した方がいいんじゃないかと。私どもにもよく、去年私どもが求めたマンション、何ともないんでしょうねなんてよく問われることがあるんですが、これらについてはどう判断、国土交通省としてはされておられるか。
  14. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 委員のおっしゃっているとおり、しっかり調査をいたしまして、その調査結果、事実関係確認をした上で公表しなければならないと思っておるんです。逆に言いますと、今特に札幌市の場合ですと調査を一生懸命進めております。そういう途中段階で、事実関係がまだ必ずしも十分でない、明らかでない中で、逆にその一部の事実関係について公表をしてしまいますと、逆にその住民の方々の不安が広がってしまうのではないかというふうに考えておりまして、これは福岡の件でも同様にさせていただきますし、姉歯建築士の件でも同様にさせていただいておるところでございますが、まずは偽装の有無、そして偽装があった場合には、どの程度の安全性が確保されているのか、耐震度がどうなのか、その辺をきちんと調査をさせていただいて、その調査結果を確認の上で公表すると。このような段取りで行わせていただいておるところでございます。  しかしながら、早くやはりその事実関係を明らかにし、公表することが住民の皆様の不安を解消することにつながってまいりますので、それはしっかりと調査が進むように私どもの方も各特定行政庁にお願いをしているところでございます。
  15. 伊達忠一

    伊達忠一君 札幌市では、当初受理した点で指摘ができなかったことについては謝罪をしているんですが、報道によりますと、構造計算の精査できる方が少ないんだと、こういうことを言っておられます。私も、ほかの役所もこの事件が起きるまではそういう体質ではなかったかなというような気がするんですが、現在、十数件の物件に対して精査中なんですが、その数件の物件は建築基準法で定める保有水平耐力一・〇以下であることが判明しているわけでございます。  しかし、精査の方法は、許容応力度等というような方法で構造計算をやられているようなんですが、この点で基準法違反であることははっきりしているそうなんです。私もちょっと専門家でないから分からないんですが。しかし、同じ物件を限界耐力法による構造計算で精査を行うと、その結果、仮に安全度係数が一・〇をクリアしたとしても基準法違反ではないかと言われているんですが、いかがですか。
  16. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) この保有水平耐力計算というのは、一番これが建築士の方々に活用されておるわけでございますが、比較的簡易にその建物の安全性、耐震度について計算する方法でございまして、一番オーソドックスといいますか、一番よく行われている方法でございます。それに対して、限界耐力計算というのは、これは少し時間も掛かりますし、コストも掛かるわけでございますが、より高度な建物の安全性を計算する手法でございます。建築基準法上は、その建築士がそのいずれの方法でやるかというのはいずれでもよいということになっているわけでございます。  しかしながら、建築士法では、この札幌の案件もそうでございますが、その建築士の人はこの保有水平耐力の計算によって設計をし、そして建築確認申請をしているわけでございまして、それは自らが選んだこの保有水平耐力が一・〇に満たない場合にはその時点でこれ違反設計でございまして、当該設計を行った建築士建築士法により厳正に処分されることになるわけでございます。  これに対して、同じ建物を限界耐力計算で再計算して一・〇を上回った場合でも建築士法に違反することは変わっておらないんですが、しかしながら、限界耐力計算で耐震基準に適合することが証明された場合には、当該建築物自体は実態上危険性がございませんので、これは所定の手続を経て、特定行政庁において建築基準法に適合しているものと判断することができるということになっております。
  17. 伊達忠一

    伊達忠一君 次に、実は設計事務所の管理設計士が名前を登録するんですが、構造計算をする設計士はしなくてもいい制度になっているんですが、このことについてお聞きしようと思ったんですが、ちょっと時間の関係もあるものですから、大臣、これは次にさせていただいて、そして最後の質問にさせていただきたいんですが、浅沼氏は設計事務所の配下としては仕事をしたわけですから、これは無資格者として違反はまあ当然免れないわけでございます。  しかし、設計事務所の管理設計士としては、現実問題としてまあ大きな問題が私はあるんだと、こう思っております。すなわち、管理建築士は、自分の所属する建築事務所で行った設計をすべてできるという、管理できるというのは不可能な状況でございまして、例えば事務所に一名の管理建築士がいればいいという制度になっているわけでございまして、社員十名のところも百名のところも一名でいいわけでございますから、これは私は現実的には無理だろうと、こう思っております。  こういう実態をどうとらえているのか、また罰則だけを強化すれば私はそれで解決をするというものじゃないと思うんですが、その辺、併せてお聞きしたいと、こう思っています。
  18. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 建築事務所には、今委員のおっしゃっておられますとおり、管理建築士を置かなければならないわけでございます。この管理建築士につきまして一人ということになっておるということで、組織が多くなった場合に一人でいいのかという御質問でございます。  これにつきましては、これまでも行政指導等で取組はしておるんですが、今回きちんとこの設計に関与する建築士責任関係を明らかにしていくためにも、その建築士事務所の在り方につきましては、適正な業務が実施できるように、建築士の資格制度、建築士事務所の要件、業務の実施体制等を見直すように社会資本整備審議会からも御指摘をされているところでございまして、この夏を目途に検討を進めまして、今委員のおっしゃっておられますことも含めまして、必要な改善を図ってまいりたいと考えております。
  19. 伊達忠一

    伊達忠一君 ほかの質問も用意さしていただいたんですが、誠に申し訳ありません、時間ということでございますんで、厳守さしていただきます。終わらさしていただきます。大臣、済みません、どうも。
  20. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。藤野公孝君。
  21. 藤野公孝

    藤野公孝君 自由民主党の藤野公孝でございます。今日は、貴重な質問のチャンスを与えていただきまして、関連質問をさせていただきます。同僚議員の御配慮に心から感謝申し上げます。  時間が極めて限られております。今日は盛りだくさんの質問を予定しております。私も結構早口で質問することになると思いますが、答弁も簡潔によろしくお願いいたします。  まず、今、伊達委員の方からも御質問になりましたこの構造計算書偽装問題、いわゆる姉歯事件に端を発する安全問題でございますが、私は、この姉歯問題には三つの大きな要素があると。これが国民の不安を大いに今あおっているわけですが、その三つとは何かといいますと、一つは、どうしてこういう一級建築士と言われるような方がこういう偽装をやるのか、やったのかと、そういう原因がまだはっきりとしていないと。  それから二つ目が、この偽装問題につきまして、建築確認システムというのができている。公的な事務としてできている。それが見事に、まあ何というか、見逃されたと。この点につきましても、じゃ自分のところのマンションはどうなんだ、ホテルはどうなんだ、こういう不安がある。  それから三つ目は、その違反の程度であります。先ほどの答弁の中にもありましたように、想定される安全の半分以下といったような大幅な安全の、何といいましょうか、危険度の高いような建築があるんではないか。自分のところはどうなのだと。そういう被害者、被害者といいましょうか、そこへ住んでいる人たちから見ればとんでもない話だという、この三つの大きな側面があると思うわけです。  最初の点につきましては、先ほど伊達委員の方からの御質問にありましたように、衆議院の方では特にその辺、集中的にいろいろ御質問があった。参議院ではあとの二つの問題、この建築確認システム、これに重大な欠陥があったということで、この辺の問題について、特に国土交通委員会を中心にして参考人の意見もいろいろ聞きました。三番目の、その被害者といいましょうか、関係者の意見聴取ということも行ったところでございます。  そういうことで、今朝も実はNHKで、そのとき参議院の国土交通委員会参考人で出られた中川さんという、これは半田といいましょうか、知多半島の半田というところのビジネスホテル経営者、これは安全度が〇・四といいますから、六割も安全が削減されている、縮減されている危ないビジネスホテルを建てさせられたということで、建て替える、お金がたくさん掛かる、収支を償うためには七五%の何というんですか、客室利用率を確保しなきゃ返済もできないというようなことで苦悩されている姿が今日、朝、NHKでいろいろやっておりましたけれども、正にその問題につきまして今日二点お伺いしたいんでありますが、ここまで話がいろいろ広がってまいりますと、この建築行政そのものにつきまして相当根本的な、構造的なメスを入れないと、とても今のこの建築に対する不安というものは払拭できないんじゃないかと、こう思うわけでございます。  国土交通大臣、今回の構造計算書偽装問題、原因というものがどこにあると今の時点でお考えになっておりますか。それから、大きく揺らいでいるこの国民の不安に対しまして、その信頼を回復するためには、建築基準法でありますとかあるいは建築士法、関連法制の抜本的なやっぱり見直しを含めて再発防止策をやらないととても収まらないと思いますが、どう対応なさいますか。
  22. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) この姉歯建築士の耐震偽装事件につきましては、今私ども行政側も、そして刑事告発もしておりますので司法当局の方も捜査並びに調査を行っているところでございまして、その事実関係、背景、要因も含めまして、しっかりと調査をし、明らかにしなければならないと考えているところでございます。様々御指摘をいただいておりますところでございますが、コストダウンの圧力等が強かったのではないか等々言われているところでございますが、この事実関係につきましてはしっかりと、これは関係当事者も大変多いわけでございまして、解明をさせていただきたいと考えているところでございます。  で、今回のこの問題につきまして、私は大きく言いますと三つの課題があるというふうに考えております。  一つは、建築サイドの問題です。国家資格を与えられた一級建築士が建物の一番肝心な安全のところで偽装をすると、こういうとんでもない、それも非常に広範な形、広範な地域で数多い物件について偽装をしてきたわけでございます。それを建築サイドの側が、元請の設計士も含めまして気付かなかったと。この建築サイドの問題についてまずきちんと私は問題点を明らかにし、再発防止に向けて改善をしなきゃならない。  そして、もう一つの問題は、今も委員がおっしゃいましたチェックする側の行政側が見抜けなかった、その偽装を。姉歯建築士偽装物件は九十七物件。九十七物件のうち四十一が特定行政庁、残りが民間の指定機関の建築確認でございます。そういう意味で、建築確認機関が見過ごしてしまった。どこに一体問題があったのか、その実態について今点検をさせていただいておりますが、この建築確認在り方についても徹底的な見直しが必要だと思っています。  三点目に、住宅を取得するというのは、その方にとりまして、もう一生に一度あるかないかという大変大きな買物をするわけでございます。瑕疵担保責任という十年間の規定があるわけでございますが、しかし売主側が倒産をしたり、また資力がなかったら、実際、この瑕疵担保責任を果たせないわけですね。やはり消費者保護、住宅を取得する側の保護という観点から、やはり制度に不十分さがないのかと。  こうした三つの問題点が私はあると思いまして、建築士法やまた建築基準法や等々、私は建物に対する信頼、建築行政に対する信頼を回復するために、今委員のおっしゃったように抜本的な見直しをしなければならないと考えております。  今月中に、この国会で早急にやるべき事項につきましては、この国会で建築基準法等の改正をお願いをしたいと思っておりまして、さらに、抜本的な問題につきましては、この夏までに社会資本整備審議会、専門家の方々に御論議いただきまして取りまとめていただきまして、次の国会で見直しをさせていただきたいと考えているところでございます。
  23. 藤野公孝

    藤野公孝君 今、北側大臣の御答弁、三つに分けて対応を述べられました。そのとおりだと思いますが、特にじゃ三点目について更に質問させていただきます。  先ほど紹介いたしました一月十九日に行われました国土交通委員会参考人の中に、今回のこの姉歯が建てた分譲マンションの、何というんですかね、住民の代表者も見えていました。この人たちは本当に建て替えについても積極的に今協議している、ただ今のマンションのローンがある上に更に次の建て替え費用というのが、まあ何千万か知りません、それが加わったらとても生活がやっていけないというようなことで、さあどうするかというようなことについて真剣に議論をなさっている様子についての御報告もございました。  今、大臣の御答弁にもありましたように、建てて売った方の瑕疵担保責任がきっちり実行されればそれはそれで一つの方法でありますが、現実問題としては、もうその会社自体が破産している、倒産しているというような状況の中で、こういう被害に遭われた方の救済につきまして、自分たちも頑張っていると、一部にはその具体策を見いだそうということで、今の例もありますが、やられている動きもありますが、しかしそのことだけに任せておいてはとても解決できる問題ではございません。現実に困難に直面している危険な分譲マンションの居住者の安全、居住の安定、こういうものを確保することは大変大事なことだと思うわけですが、政府として具体的に講じようとしているという、あるいは手を付けている内容、またその進捗状況について御答弁をお願いいたします。
  24. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 今回の耐震強度偽装事件を受けまして、昨年の十二月にその危険な分譲マンションにお住まいの居住者の方々の支援のための総合的な支援策を取りまとめをさせていただきました。この国会、通常国会の冒頭で補正予算を認めていただきまして、五十億円その総合的な支援策に計上をさせていただいているところでございます。  私ども、当初からこの危険な分譲マンションにお住まいの方々の居住の安全、また居住の安定を確保することが最優先であるということで取り組んでまいりまして、当初この危険な分譲マンションというのは十棟ございました。その後に一棟追加されたわけでございますが、全部で今十一棟ございます。この十一棟のうち、十一棟には三百九戸、三百九世帯の方がお住まいであったわけでございますが、今九割に当たる二百七十六戸が既に退去が終わりまして、あと退去の意向がまだ確認できていないものが十八戸と。当初の十棟ではもうあと二戸だけなんですけれども、十八戸となっておりまして、居住者の皆様の御協力もいただきまして退去が進んできているところでございます。  今委員のおっしゃったように、これからこの建物を一つは解体をさせていく、そしてその後建て替えをしていかにゃなりません。それぞれの分譲マンションによって地域性とか特性とか違っているわけでございますが、いかにこの居住者の方々の追加負担を縮小していくのかということが今後の一番大きな課題でございます。  居住者の方々からは、従前と同じ面積を確保できないか、いかに負担を縮小していくのか、そうした要望をちょうだいしているところでございますが、現在、都市再生機構がこの建物の再建事業計画の二次素案というものを策定をいたしまして地方公共団体に提示をいたしました。この中で、建築計画だとか発注方式を見直してコストを低減していく、さらには、これはすべての地域で可能であるわけじゃないんですが、その地域で可能であるならば総合設計制度というものを使いまして容積率を引き上げていく等の様々な手段を講じまして、今、居住者負担の軽減を図ろうということで取組をさしていただいておるところでございます。  この十一の物件のうち、川崎のグランドステージ溝の口におきましては、建て替え事業を推進することを全員一致で決定をしていただきまして、マンション建替え円滑化法に基づくマンション建て替え事業をやるということが決まりました。民間事業者をプロポーザル方式で募集を今しているところでございます。  これからもしっかりと特定行政庁と私ども連携をよく取らしていただいて、居住者の方々とよく相談をさせていただいて、可能な限り早期に合意形成が図れるよう、しっかり取組を図らしていただきたいと考えております。
  25. 藤野公孝

    藤野公孝君 是非、今日テレビで大勢の方が見ておられます、関係者も見ておられます、今の大臣の答弁に大変期待されていると思いますので、どうぞこの実施方よろしくお願いいたします。  時間の関係もございます、次の問題に移らしていただきます。交通インフラの安全性という問題について御質問申し上げたいと思います。  道路に限らず、空港、港湾、様々な交通インフラがあるわけでございます。これらにつきましては、造ること、整備すること、その重要性についてもこの国会、様々な御議論があるわけでございますが、ひとつ視点をずらして見ますと、この造ったものの改修でありますとか補修でありますとか、あるいは年月がたてば今度は更新というようなことになってくるわけですが、これらすべて、それらの交通インフラの安全性の確保という観点が大きなウエートを占めるわけでございます。  実は私、もう二十五年ぐらい前でございますが、アメリカに、ニューヨークに三年ぐらい住んでおりましたときに、ちょうどそのころというのはアメリカの経済、双子の赤字といいましょうか、財政が本当にもう大変な大赤字の時代でございまして、国も州も大変なそういう逼迫した、困窮した状況にあったわけでございます。  私の住んでおりましたところ、これはちょっとマンハッタンの郊外でございますが、その近くのコネティカット州というところがありますが、そこにマイアナス川というのがあるんですが、これは新聞でもあるいは資料でもいろんなところに出ている大きな事故でございますけども、シルバー橋という大きな橋が架かっているわけでございますが、この橋が一九八三年にいわゆる落橋といいますか崩落といいましょうかいたしまして、トレーラー、牽引車を含む四台の車両が落下、川の中に要は落ちてしまいまして、乗員三名が死んだり、あるいは重軽傷も出たりというようなことで、えっ、ああいう大きな橋が落ちるのかというようなことで大変米国市民もびっくりしたと。  それから、そのちょっと前でございますが、八一年にはマンハッタンのイーストリバーに架かる橋がケーブルが切れてしまったというようなこともありまして、通行人が死亡するといったようなことで、老朽化あるいはメンテがほったらかしになっていたというようなことで、現実にそれが社会問題化いたしまして、米国に対しましていろんなそういう批判があったわけですが、何といいますか、荒廃するアメリカ、荒廃する米国というようなことでいろいろ取りざたもされ、批判も受けたというような状況がございました。  これは、安心、安全の国家づくりというようなことから見て大変重要な問題でございます。今我が国でも同じように財政が大変逼迫しておりまして、公共事業も、平成十年、補正で、入れてたしか十四兆ぐらいの予算がございました。この十八年度予算では七・二兆ですかね、今年度よりも一千億円増えまして七・一が七・二兆になりました。それでも半分ぐらいでありますね。  そういうことで、そういう厳しい状況の中でも大変安全問題というものは、荒廃するアメリカに、日本も同じような状況になってはいけないと、こう思うわけでありますが、これ、道路局長いらっしゃいますよね、アメリカのこの状況と、それから日本が今どんどん公共事業、特にそういう予算の厳しい中で、アメリカのこの教訓というものについてどういうふうに把握されているか、認識されているか。日本の首都高でも相当亀裂が見付かっているというようなこともありますが、その点についてどういう認識を持っておられるか、お伺いします。
  26. 谷口博昭

    政府参考人(谷口博昭君) お答えいたします。  委員御指摘のとおり、維持管理を含めまして、高速道路を始めとするニーズは高いものがあると認識をしておるところでございます。  昨年十二月に政府・与党で合意されました道路特定財源の見直しに関する基本方針におきまして、道路整備に対するニーズを踏まえ、その必要性を具体的に見極めつつ真に必要な道路は計画的に進めるとされており、国土交通省としましては、北側大臣の御指示の下、維持管理も含め、今後のおおむね十年間の道路整備の見通しを示した中期ビジョンを国民に分かりやすい形で説明できるよう夏までに取りまとめてまいりたいと考えているところでございます。  特に、御指摘いただきました維持修繕につきましては、今御紹介ございましたが、首都高速道路におきましては全体延長のうち九五%程度が高架道路やトンネル構造などの構造物であり、道路によって異なるわけでございますが、全道路で申し上げますと、建設後五十年以上を経過した橋梁の割合は現在六%でございますが、今後二十年先には四五%と推計されておりますように、これまでに建設された道路構造物の高齢化が急速に進むため、それに伴う増大が心配されるところでございます。  このため、御紹介のございましたアメリカの教訓も踏まえ、道路構造物を更新する時期の平準化等により、一層のコスト縮減を図りつつ適切なサービス水準を維持し、効率的な維持管理を行う必要があると考えておりまして、毎年度の予算の範囲内でしっかりと対応をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  27. 藤野公孝

    藤野公孝君 北側大臣にお伺いしますが、今の道路局長の答弁、それも踏まえての話ですが、道路に限らず、これから道路、空港、港湾、この新しい二十一世紀の日本の国づくりを考えるときに、アジア等との国際競争力の確保というような面での整備の促進あるいは機能の強化というような面も必要になってくる。しかし、全体の予算は大変厳しい、シーリングの問題もある。  そういう中で、この維持管理、メンテと、それから新規のそういう国際競争力への対応ということで、この交通インフラの整備は大変難しい状況にあると思うんですが、その辺につきまして、どういう今取り組んでいこうとお考えになっているか、お話しいただきたいと思います。
  28. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 限られた予算しかないわけですね。したがって、今後の新しい社会資本整備というのは、今委員がおっしゃったように、これからは維持管理コストがどんどん増えてまいります、また更新コストも増えてくる。そういう中にありまして、新規の投資については、これはやはり優先順位というものを明らかにして、どれも必要性があると思うんです、どれも必要性があると思うんですが、やはり必要性の程度、緊急性の程度、優先順位というものを、また経済効果というものをよく吟味をして、やはり選んで新規の投資は私は進めていかなきゃならない、重点投資をしていかねばならないというふうに考えております。  そういう意味で、今委員のおっしゃったように、我が国のこれからの国際競争力を維持向上をさせていくようなそうした社会資本の整備というのは、私は優先順位が高いものであると、そういうものにしっかり重点化をしていく必要があるというふうに考えております。  一方で、私どもの先輩方が戦後この日本社会資本を、これは道路だけではありません、様々な社会資本を整備してきていただきました。特に昭和三十年代、四十年代というのは、もう様々な社会資本を急速に整備をしていただいたわけですね。ところが、それからもう四十年以上過ぎ、例えば首都高だとか、首都高速は昭和三十八年、初めに造られました。名神の高速も昭和三十八年。もう四十年以上たってきているわけですね。そういう中にあって、やはり維持管理を適切にしていくということが非常に大事だと思います。  維持管理を適切にすることなく、それを怠ることによって、結果としてライフサイクルコストが大きくなってしまうということがあってはならないというふうに考えているところでございます。維持管理を計画的かつ効率的にしっかり行っていく必要があると認識をしておりまして、日ごろから施設の状況に応じた修繕を講じることによりまして、その施設ができるだけ長く安全に利用できるようにすることが結果として国民負担を少なくすることにつながってくるわけでございまして、ライフサイクルコストができるだけ小さくなるような計画的な維持管理を行ってまいりたいと思います。それと、新規投資とのこれはしっかり重点化をして、そのバランスをしっかり図りながら今後の社会資本整備を進めてまいりたいと考えております。
  29. 藤野公孝

    藤野公孝君 今大臣の御答弁にありましたライフサイクルコスト、これは本当に新しいといいましょうか、これからの公共事業の推進に当たっての指針といいましょうかね、そういうものになってくると思います。しっかりその辺を踏まえて頑張っていただきたいと思うわけですが。  最後に、観光の話を御質問申し上げたいと思います。安全と観光が何の関係があるんだと思わないでいただきたいわけでございます。  実は、国際観光につきましては、これは大変安全という、安全保障の面から各国ともこれ力を入れております。有名な言葉に、観光は平和のパスポートという言葉がございます。これは、一九六七年に国連が国際観光年というものを制定いたしましたときのこのスローガンでございます、観光は平和のパスポート。  この国際観光年を決定した会議で、国際観光の意義につきまして、もちろん国際収支の改善でありますとか発展途上国への経済成長への貢献といったような、そういう経済的な側面はうたわれておるわけでございますが、最後に、世界各国の人々の相互理解を推進して異なる文明の固有の価値をより正しく感得させ、世界平和の達成にも大きな役割を果たすと高らかにうたっているわけでございます。そういう意味におきまして、この国際観光の意義というのは今後ますます重要性を増してくると思うわけでございます。  今、小泉総理を先頭に、本当にこの国際観光、今盛り上げていただいております。観光立国の実現に向けて本当に一生懸命精力的に動いていただいておりますことを本当に評価したいと思います。  総理平成十五年の施政方針演説におきまして、二〇一〇年に訪日外客を倍増の一千万人にするということを高らかに目標を掲げられまして、ビジット・ジャパン・キャンペーンでありますとか観光立国関係閣僚会議の設置でありますとか、もろもろのアクションプログラム等に取り組まれて進めてこられまして、北側大臣も今観光立国担当大臣でもいらっしゃるというようなお立場でございます。これだけ観光振興に力入れられた総理はおられません。  総理御自身が観光振興を国の施策の中心に据えていただいたと、これは大変世界も注目しておると私は思っております。今現在、日本には六百七十四万人、七百万人弱でございます。アジアの方がそのうちの七割も占めておる中で、アジアと日本の平和友好と親善というようなことに対しても大きく貢献しておるものと思っております。若干残念なのは、その中でも中国が六十万人程度というのを、もう少し今後これ増えてくれたら、本当にこの一千万人達成の大きなこれが、中国からの訪日客の増大が大きな、何といいますか、原動力になると思っておりますが。  その点というか、もっと増やしていくという観点から、日本にやはり魅力がないと人は来てくれません。その意味で、外国人あるいは外国の、来る方の視点を、何に魅力を感じるかといったようなことについての視点が今までどうも欠けていたんじゃないかということで、総理自ら各国大使、特にフランスとかイタリアとか観光大国の大使もお呼びになって平成十六年にやられましたし、つい先般には外国人から見たまちづくりというようなことでもおやりになりました。  そこで、お伺いいたしますが、この観光立国の推進に当たりまして、国土交通大臣、国際競争力のある観光地づくりということが大変重要になっておりますが、まずその点につきまして北側大臣にお伺いして、その後、総理に今後の観光立国の推進につきまして御決意、御抱負をお述べいただきたいと思います。よろしくお願いします。できるだけ簡単にお願いします。
  30. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 今、総理のリーダーシップの下で我が国観光立国に向けてしっかり取組をさせていただいているところでございます。  昨年、おかげさまで過去最高の六百七十三万人の外国人のお客様を日本に迎えることができたわけでございます。先般も、総理も御参加いただきましたが、日本に長く滞在されていらっしゃいます外国人の方々から、もっとこうしたらいいよと、そういう御意見を聞かせていただいて、しっかりその一つ一つの御意見を参考にさせていただきたいと、今取組をさせていただいているところでございます。  観光の持つ意味は、今委員のおっしゃったように、大変大きな意味があると思います、経済的にも、また相互理解という意味でも。また、人に来てもらおうと思ったら我が町を魅力ある町にしないといけませんから、そういう町づくりも進んでまいるわけでございまして、今後ともしっかりと取組をさせていただきたいと考えております。
  31. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 観光は、老いも若きも、男も女も楽しみであり、また勉強になる。観光というのは光を観るって書くわけですから、日本にもっと外国人にとって光を観てもらいたいと、魅力ある国にしたいと。  で、東大の名誉教授でしたか、木村尚三郎先生がね、いいこと言っているんですよ。これからの日本の観光立国について大事なことは女老外の勧めだと。何だと、女老外の勧め、これ余りいいことではないんじゃないかと思うんですが、そこがまた木村先生の面白いところでね、女老外は、女性に優しい町づくり、老人にとって安心な町づくり、外国人にとって分かりやすい町づくり、これが女老外の勧めと。そうすると、外国人からはもっと来ていただけるのではないかということで、そういう精神を大事にしながらね、だれでも観光を楽しめるような日本を魅力ある国にして、多くの外国人にも日本に来てもらいたいと思っております。
  32. 藤野公孝

    藤野公孝君 質問を終わります。
  33. 小野清子

    委員長小野清子君) これにて藤野公孝君の関連質疑は終了いたしました。  以上で伊達忠一君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  34. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、小川勝也君の質疑を行います。小川勝也君。
  35. 小川勝也

    小川勝也君 おはようございます。民主党・新緑風会の小川勝也でございます。  今日は、安全がテーマということで、私の割当ては食をめぐる安全ということで時間をいただいております。  まず最初に、BSEの問題を取り上げさせていただきたいというふうに思います。  アメリカ産牛肉の輸入再開、昨年の暮れに決断をされまして、今年の一月に背骨が混入した牛肉が成田に到着をしたと。いつ再再開が起こるのか、そのためにどんな議論が必要なのか、後で議論させていただくとして、今日は資料を用意させていただきました。お手元の資料の一から二、めくって見ていただきたいと思います。  総理も鮮明に覚えておられると思いますけれども、二〇〇一年、大変国会も霞が関も、そして国民も大変苦労をいたしました。そして、私たちの国では全頭検査あるいは在庫牛肉の買入れなど、精神的にも金銭的にもたくさんの投資をいたしました。そして今、一時期は半分まで落ち込んだと言われている牛肉の消費は、何の疑問もなく国民が口にすることができる状態を保っています。  私は、先日、芝浦の屠場を見てきたわけでありますけれども、早急な検査体制の導入あるいは背割り方法の変更など、検査の方も、そして屠畜に携わる職員の皆さんも非常によくやっているという印象を持ちました。  まず、川崎厚生労働大臣にお伺いをしたいわけでありますけれども、現在の日本の屠畜体制、一言で評価をしていただきたいというふうに思います。
  36. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 担当する私が評価をするというのは大変難しゅうございますけれども、それぞれのところで御努力をいただいているという認識を持っております。
  37. 小川勝也

    小川勝也君 厚生労働大臣あっさり御答弁だったんで、全頭検査からその屠畜までの間を含めて安心だということを言っていただきたいわけですけれども、中川農林水産大臣、一言お願いしたいと思います。
  38. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 食の安全は政府責任でありますから、それぞれ厚生労働省、食品安全委員会、そして農林水産省を始め、政府全体で食の安全に責任を持って全うしております。
  39. 小川勝也

    小川勝也君 日本の牛肉は安心だということを政府から答弁をしていただきたかったわけであります。  で、どうしても、やはりこの昨年暮れの輸入再開に触れなければいけないかというふうに思います。  巷間言われているのは、食の安全と外交、政治というその二つをてんびんに掛けて、政治の方を選択したのではないかというふうに言われています。これはいろんな検証があるわけでございまして、一つ一つやり取りをする時間がありません。まず、総理とブッシュ大統領がお会いになった、そしてブッシュ大統領は大統領選挙を目前にしていた、そして日本に牛肉の輸出再開を望むそういう支援者のいる州の勝ち負けが非常に当落に影響をする、これはオハイオ州でありまして、そういうことも非常に符合が一致するわけであります。  そして、全頭検査をしていたわけでありますけれども、その基準の変更を食品安全委員会に諮問をいたしました。そして、その輸入再開を決める食品安全委員会のその会議の日に組閣を合わせて、いわゆるところの消費者の目をごまかしたなどということも言われているわけであります。  ここで議論をしても、いろいろな私の聞きたい御答弁は出てこないというふうに思いますけれども、この輸入再開が政治的に決断をされて、あるいは科学的な根拠を持ってというふうに言われるかもしれません。しかし、今回、脊柱が混入をして、輸入再開、輸入が停止したということになりますと、外交的にはまた大きな一つの命題を背負ってしまって、以前よりも大変厳しい状況に置かれているのではないかなというふうに心配をしてしまうわけであります。  今後、様々な圧力がアメリカ側から寄せられてくるはずでございますけれども、今週もいろいろな会議、会合があるようでございます。この牛肉の輸入再開問題と日米関係、担当の外務大臣に現在のところの感想というのか、問題をどういうふうに認識をしているのか、お答えをいただきたいと思います。
  40. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 米国産牛肉の輸入再開という問題に関しましては、これは国民の食の安全とか安心とかいう、いわゆる確保というものを大前提ということだったと思いますけれども、食品安全委員会で科学的な議論を尽くして、国民の意見もいろいろ聴取をした上で取りまとめられた答申というのがありましたので、それを踏まえて決定したものだと理解をいたしております。  今後の米国産のいわゆる牛肉の輸入手続の再開ということに当たりましては、これは日米間で合意したルールというのが、小川先生御存じのように、例の二十か月以下とか、いわゆる危険部位を除去とかいろんな部分がありましたので、こういったものの遵守をするというのは必要なことは当然であって、今回のようなことが繰り返されることがないようにするという必要があるのは当然であります。  おっしゃるように、確かにこの食の安全とかリスクに関しましては、各国それぞれ、食べ物の種類にもよりましょうけれども、いろいろ考え方が違いがあるのはもうその国の文化として、こちらも食べ始めてから百三十年ぐらいしかたっておらぬわけですから、それはずっと食べているのとは大分意識の違いがあるとか、いろいろ御意見はあろうと思いますが。  平成十五年でしたか、政調会長をしているときに、食育ということでこの食の安全というのを最初に政調会としてやらせていただいたときの記憶を思い出しますと、あのころは、もうもっと意識は、こんな意識はありませんでしたので、あのころ皆さん方にその意識を喚起する方が大変だった記憶が今でもありますけれども。  いずれにいたしましても、この今回の話は我が国の食の安全についての考え方でありますんで、そういった意味では、今、農林省また厚生省は苦労しておられるんだと思いますが、我々の考え方というものをアメリカ側にも理解をしてもらえる、双方での理解というのが必要だと考えております。
  41. 小川勝也

    小川勝也君 今、外務大臣から答弁がありまして、双方の立場というのがあります。  日本では、ここまで苦労してつくり上げてきた安全を国民に理解、認識をしてもらう仕組み、システムがございます。そして、アメリカの文化としては、多分、今政調会長時代の御苦労をお話しになられましたけれども、牛肉が危ないなどというのは米国民は余り感じたことがないんだろうというふうに思います。それは、外交担当者も農務省の担当者もあるいは政治家も同じではないでしょうか。単なる貿易問題、日本からは電気製品も自動車も鉄鋼もいろいろ買っているのに何で牛肉を買わないんだと。日本では食の安全問題、アメリカでは外交問題あるいは貿易問題、双方別なステージで議論しているからこの話がうまく進まないんではないかなというふうに思います。  今まで外交問題として本当に双方が理解し合えていたのか、そのことについて麻生外務大臣の率直な感想をお伺いしたいと思います。
  42. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 理解をし合えていたかというと、これは、なかなかこれは小川先生、難しいんで、向こうは、こっちは理解しているつもりでも向こうは理解していないかもしれませんし、これはなかなか、定性的に、定量的に言えることがなかなか難しいんで、なかなか、していましたとも言えぬし、していませんでしたとも言えないところなんだと思いますが。  いずれにしても、食べ物の話ですので、私どもとしては、随分、昔使っていたものも今は使えなくなってみたり、いろんな意味で技術の進歩、また時代の流れによって随分いろんなものが使えなくなったり食べられなくなったりしているのは、もう誠に私はそれなりに結構なことなんだと思いますので、発がん性の物質が入っているとかいろいろなものを含めまして、こういったのは、向こうの研究が進んでいるところもあるし、こっちの意識も進んでいるところがあるし、双方でやっぱりこれやっていかない限りはどうにもなりませんので、今後とも、こういった意見若しくは情報交換等々は今後とも引き続き丁寧に継続をしていく必要があろうと存じます。
  43. 小川勝也

    小川勝也君 分かり合えたつもりで交渉してきたというふうに御答弁いただけなかったということは、多々反省もあるんだろうというふうに思います。  そのことによって、大変、意地悪な質問になるかもしれませんけれども、農林水産省と厚生労働省の担当者が非常に苦労したというふうにいろんなチャネルから情報を耳にしています。片や、政治決着をして外交問題にアメリカとしてとらえている中で、こちらがいかに日本の国の食の安全の問題を説いてもなかなか難しい、そういう御苦労があったというふうに言われています。  中川農林水産大臣は、その外交部分と食の安全の部分がうまくかみ合わなかったという反省に立って、どんな認識をお持ちでしょうか。
  44. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、これは、今日テレビで実況中継でありますから一つはっきり申し上げておきたいのは、食の安全、これは日本にも大事です、アメリカだって大事なんです。アメリカだって食の安全が大事なんです。ただ、その基準が少し違うんです。だから二年間掛けて、去年に向かって、再開に向かって努力したんです。  アメリカの人も牛肉を食べています。でも、一定の基準の下で食べているわけであります。ですから、食の安全ということは世界じゅうで、特にアメリカも日本も含めて一生懸命その基準を政府がやっている。でも、基準が少し違うということであります。  そして、二年間いろいろ交渉をやりました。これは、広い意味では外交交渉だと思っております。しかし、これは政治交渉ではありません。お互いの科学的な根拠に立って、お互いに、日本はこういう基準だ、アメリカはこういう基準だということで違いがありましたから、最後日本の家畜衛生条件を守っていただく、輸出プログラムを守っていただくということで去年再開したわけでありますので、決して選挙がどうだとかあるいは政治がどうだとかということではなくて、日米で合意をして再開をしたということは是非とも御理解いただきたいと思います。
  45. 小川勝也

    小川勝也君 ある程度当たっている答弁だというふうに思いますけれども、一つだけ大事なことがあります。  いかに外交が重要でも、日米関係が重要でも、アメリカと日本の安全の基準が違っていても、日本国民の安全と生命をしっかり守っていくのが一番大事だということです。これだけは御認識をいただかなければいけないことだろうというふうに思います。  それで、今、様々アメリカ合衆国側とも交渉をしていくでありましょう。そして、日本の国内も、いろんな議論や作業を進めながら、輸入再々開に向けてどんなことをしていかなければならないのかというふうにしていくんだろうというふうに思います。  ここで、一つ確認をしておかなければならない点があろうというふうに思います。一月にその脊柱が混入をされて、これはアメリカからの報告書も来ています。この報告書の読み方もいろいろあるわけでありますけれども、中川大臣はしっかりと日本の立場を踏まえたその報告書の評価をしていただいているというふうに私は評価をいたします。そして、これから再々開に向けての評価は、いわゆるところの昨年の輸入再開を決めた時点までしかさかのぼらないのか、あるいはそれ以前までさかのぼるのかということでございます。そうしますと、いわゆるところのリスクが同等だというところは土台として、この脊柱の混入というようなミスがいかにないことを確認して輸入再々開に臨むのか、あるいは、食品安全委員会議論の中にも、輸入再開をめぐる議論の中には様々な議論がありました、あるいは危ぶむ声もありました、そのことを含めて戻っていくのか、この二つの考え方があろうかというふうに思います。  大変難しいテーマだろうというふうに思いますけれども、ここは食品安全委員会の担当の松田大臣考え方をお伺いしておきたいというふうに思います。
  46. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) お答え申し上げます。  今、リスク管理側でございますそれぞれの大臣から、特に今は中川大臣から答弁ありましたように、今一生懸命やっていただいているところでございまして、それを今私としては、食品安全委員会を通じ、あるいは事務局を通じ、あるいは直接いろいろ御報告を聞いている段階でございます。  今御質問のありました点については、現段階で申し上げる状況にはないと存じます。
  47. 小川勝也

    小川勝也君 現段階で御答弁がいただけないということは、これ、いつまでたっても再々開の動きにならないということでよろしいでしょうか。
  48. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 何遍も実は答弁させていただいているんですけれども、輸出プログラムが遵守されること、そのための今御努力がなされているわけでございます。  そういうことでございますので、私ども食品安全委員会がいたしましたリスク評価そのものを見直すという状況にはないという、これも答弁も何遍も実は申し上げておるんでございますが、それに尽きておるわけでございます。
  49. 小川勝也

    小川勝也君 なかなか私が納得できる答弁じゃないわけでありますけれども、寺田委員長にお越しをいただいておりますので、御質問をさせていただきたいというふうに思います。  この輸入再開に向けての答申をするに当たって、委員から各種の意見がなされました。この一月、まあ輸入再開がなされてから、まあ余りにも短いと言ってはそれまでですけれども、それ見たことかとは言いませんけれども、やっぱりというふうに思っておられる委員も、あるいは専門委員もおられるんだろうというふうに思います。今の松田大臣に対する質問を、御答弁をいただく立場かどうかは分かりませんけれども、その再開のときに答申をしたとき、それよりも以前にさかのぼるべきだと私は思うわけでありますけれども、寺田委員長のお立場からの御答弁をお願いしたいと思います。
  50. 寺田雅昭

    政府参考人(寺田雅昭君) 私どもは、米国産の牛肉のリスク評価をしているときには、御存じのとおり、国民の健康の保護が一番大事だという本当に観点に立ちまして、中立で科学的に、手に入るすべての材料を手に入れて、私どもは検討を十回にわたって専門調査会でやってまいりました。  その間、いろんな問題が出てきました。おっしゃいますように、アメリカ全体の評価の仕方ですね、ですからトレーサビリティーとかすべてのことを検討いたしまして、その上にEVプログラムを付けて、それが遵守されるようであれば、そしたら大丈夫であるという結論に達したことでありまして、この結論に関しましては皆さん、これは専門調査会の方も皆納得されておりますし、問題は、今のアメリカとの問題の話はこれは全く管理の問題でございまして、私ども評価が管理のところに入りますと、せっかく先生方が私どもの委員会をつくってくださった意味がなくなってしまうということだと思います。  以上です。
  51. 小川勝也

    小川勝也君 多分、プログラムが遵守されるという前提が付いてたわけでありまして、これ前提が壊れたということでありますので、両方僕は取れるんじゃないかなというふうに思います。  今、大変御苦労されて同等程度のというところまで作っていただいたわけでありますけれども、アメリカ合衆国のいわゆる体制あるいは対策と私たちの国との比較においては大変差があるというふうに私は考えています。  一つは、私たちの国の牛はすべての牛に耳標が付いています。いつ誕生して、そしてどういうふうに出荷をされて、枝肉あるいは内臓と、すべて分かるようになっています。アメリカではまだその対策がなされていません。それから、SRM、特定危険部位の除去、これは私ども民主党の米国調査団からの報告書にもありました。これは、処理施設がたくさんありますので、すべてがというわけではありませんけれども、特定危険部位が飛散して肉に付着をしているのを目撃したという委員もおります。それから、検査の体制であります。日本の屠畜場では全頭検査、しっかりと検査をしているわけでありますけれども、アメリカ合衆国ではこの検査体制は日本と違います。  そしてもう一点は、大変重要な点でありますけれども、飼料規制の問題であります。  私たちの国が二〇〇一年でBSE牛を発生させて大変苦労したのは、これは、かつてWHOから肉骨粉は危険ですというシグナルが送られていたにもかかわらず日本が課長通達、諸外国が禁止ということで、日本がその対策が後れていた、そのツケを二〇〇一年以降払ってきたわけであります。ですから、しっかりとした対策を今取っている。ところが、アメリカ合衆国の飼料規制の中では、当然反すう動物由来の肉骨粉が反すう動物に与えられることはありませんけれども、これを豚、鳥に投与することが禁止されていない、いわゆるところの交差汚染の心配が当然、食品安全委員会の中でも、プリオン調査専門委員会の中にもその危惧の声があるわけでありますし、これは大変重要な問題だろうというふうに思います。このことをもってしても、同等のリスクというのを今一月に脊柱が混入した肉がアメリカから届いたという私たちの国がなぜできるのか、私は不思議でならないわけであります。  寺田委員長から、大変苦しいと思いますけれども、この点についての御答弁をいただきたいと思います。
  52. 寺田雅昭

    政府参考人(寺田雅昭君) 今先生が指摘されましたアメリカと日本の管理状況の差ですね、どちらかというと日本の方が厳しいということはおっしゃるとおりだと思います。  私どもの専門調査会の先生方も、そういうことも含めて、EUからの肉骨粉や動物性油脂の輸入によるアメリカあるいは日本のBSEのプリオンの侵入リスク、ちょっと難しい言葉でございますが、どれほどエクスポーズされるかと。それから、今おっしゃいましたように、飼料規制の下で、アメリカの中ではBSEに、BSEのプリオンにどれほど暴露されるか、あるいはそれが増幅されるかと、日本の場合はどうだというようなこと、ほかの立場から検討いたしまして、それから、食肉処理における月齢確認やSRM除去等のリスク回避の措置も検討いたしました。その上で、SRMをアメリカは三十か月以上を除いているだけですけれども、日本の場合ゼロ歳からやっておりますから、アメリカもそうしてくださいと。それから、月齢は二十か月以下にしてくださいと。その場合にはSRMの中にプリオンが残る可能性は非常に少ないものですから、そういうことで検討いたしました。  以上です。
  53. 小川勝也

    小川勝也君 総理にお尋ねをしたいというふうに思います。  これは、ブッシュ大統領も選挙に勝ちましたし、一回の決断としてはきちっと面目を果たしたんだろうというふうに思います。そして、私たちの国の食の安全、国民の生命を守るということが一番大事であると同時に、私たちの国は、例えばミニマムアクセス米と比較しては申し訳ありませんけれども、アメリカの牛肉を輸入したくないと言っているわけではないんです。安全が確認されたおいしいアメリカの牛肉を安く消費者に提供していただきたいと私も思っていますし、消費者も待ち望んでいるわけであります。しっかりと腹を割って日本の事情もお話をしていただいて、双方納得のいく形で私は輸入再々開をするべきだろうというふうに思います。  総理の御判断はいかがでしょうか。
  54. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そのとおりにやっているんですが、先ほど中川農水大臣もお話しされたように、安全基準について日米の意識の差があると思うんですね。これはお互いどう理解し合うかということでもある問題だと思っています。  特にアメリカ人にとっては、牛肉もう毎日のように食べている。そして、ほとんどの人がアメリカの基準について問題ないと思っている。で、アメリカ側にすれば、アメリカ人は日本人以上に肉を食べていて問題ないんだ、安全なんだと、どうして日本というのはそんなに厳しくするんだという気持ちもあると思いますが、日本人は食については非常に敏感といいますか、繊細であります。  アメリカ人にとってみれば、アメリカ人自身もこれだけアメリカの基準は安全だと思って食べて平気なんだと、日本人だってアメリカ、外国、すればアメリカの基準に従って平気で食べているじゃないかと。そういう中で、日本というのはアメリカとは違った、安全に対してはアメリカとは、もっと厳しい基準を持っている。  で、日本の牛というのは全部人工授精です。アメリカは広大な国土ですから、人工授精もありますけれども、ほとんどが自然交配だと。だから、月齢二十か月以下だって、自然交配だって、全然先まで見えないんですから。日本に行ってみて、それで牛もたくさんいる、いつ交配していつ生まれているか一々何十万頭いるのをはっきり確認できないという、そういう事情もあります。  まあしかし、そういう中でもできるだけ日本の基準とアメリカの基準というものをよく調整して、お互い食の安全というのは日本人もアメリカ人も大事なんですから、そういう点をしっかりしなきゃならないということで食品安全委員会にお願いして、こういう基準を守れば大丈夫だと。その判断に従って科学的知見に基づいて安全な基準を守った上で日本に輸出するなら、それは結構ですよということでありますから、その遵守というのは大事であるし、日本に輸出したいのだったら日本の基準を守ってくれるように、今しっかり対応しなきゃならないという調整なり協議を進めているところでございます。
  55. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) アメリカの事情は今総理がおっしゃられたとおりでございますけれども、しかしそれが日本では受け入れられない。ですから、日本が衛生条件を出して、日本としてこういうルールでやってもらいたい、アメリカも分かったということでございます。そして、そのルールが、EVプログラムが一月二十日に壊れてしまったわけでありますから今ストップして、そしてそれを回復するために、今、日米が双方、日本の条件を守るようにアメリカ側に対していろいろと要求を出して、再発防止あるいはまた原因究明を徹底的に求めているということでございますから、日本のシステムそのものは何も変わっていないということは是非とも御理解いただきたいと思います。
  56. 小川勝也

    小川勝也君 昨年、輸入再開を決めたときも、いわゆるビジネス界、いわゆる牛肉を使って商売をされる人たちは私の感想からいうと冷静だったろうというふうに思います。それは、日本の消費者がアメリカ産牛肉が入ってきたぞということで飛び付かないということを肌で感じているからだろうというふうに思います。ですから、中途半端な再開はアメリカの輸出を望んでおられる人たちの利益にもつながらないんじゃないか、こんなことも考えるわけであります。  しっかりと信頼関係ができて、安心だと思える牛肉を輸入して日本国民に食べてもらう、これが大事だろうというふうに思うわけでありますけれども、そんな中で、私は、クリークストーン社、今裁判を起こして話題の最高経営責任者の方の話を伺う機会を持ちました。これは、日本の消費者が納得する、あるいは日本政府が満足するそのプログラムで日本向け輸出牛肉を生産したい、これはトレーサビリティー、全頭検査であります。しかしながら、アメリカ農務省から意地悪をされて検査キットを買わせてもらえない、全頭検査をすればほかの牛肉が安全を確認できない肉にされてしまうということで、いわゆる業界団体からの圧力もあって大変苦境に立たされているというふうに言われています。  私は、この二十八、二十九の両日、専門家会合があろうというふうに思います。これは大変政治的に難しい課題でもございますし、アメリカの国内の政治状況も幾分かは把握しているつもりであります。専門家同士の会合になじむかなじまないかは分からないわけでありますけれども、そんなこともひとつ、逆提案じゃありませんけれども、こういうところを改善して、日本国民日本消費者が納得する形で輸出プログラムをつくってくれというふうに言うのも一つの僕は考え方だろうというふうに思います。中川大臣、いかがでしょうか。
  57. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) クリークストーン社が全頭検査をするということは、もう去年、おととしからそういう主張をされていることは知っております。しかし、今、食品安全委員会の専門家の先生方のリスク評価の中で、日本としてはこういうEVプログラムが守られればリスクの差は非常に小さいという答申をいただいたわけでありますから、その中でクリークストーン社がそういうことをやることは、日本側から見れば御自由であります。御自由でありますけれども、それをアメリカ側に対して、これを特別扱いにしろとか、そういうことを言う必要は日本としてはないという立場であります。  そういう中で、あしたからアメリカ側が日本に来るということでございますから、会わないという必要もございませんから、会って専門家同士で専門家としての話合いをやります。この目的は、あくまでも一月二十日に起こった再発防止をするため、あるいは原因究明のための会議でございまして、EVプログラムそのものを変えるという会議ではないというふうに理解をしておりますので、何としてもこのシステムがきちっとまた元に戻れるようにしていく。小川委員も御指摘になったように、おいしい安い牛肉が消費者に、安全な牛肉が確保されるんであればいいじゃないかという御指摘がありましたけれども、私どももできれば、そういう前提に立ってやっていくんであれば、そういう方向にしていきたいというふうに思っているわけでございます。
  58. 小川勝也

    小川勝也君 今の御答弁を伺いますと、また、人のうわさも七十五日じゃないですけれども、こういう脊柱の混入が消費者の皆さんが忘れただろうというときを政治的に判断して決めてしまうのかなと暗たんたる思いであります。  その一つの事柄だけではなくて、少し大きな話をしてみたいというふうに思います。  先ほど総理の御答弁で、いつ交配をしたのか、いつ生まれたのか分からないという話がありました。資料二を見てください。これ、パッカーと呼ばれる屠畜場でありますけれども、処理能力がけた違いであります。そして、表二のフィードロットというのは、子牛を買ってきてさくの中で育てる、まあいわゆる牧場のことであります。例えば、これは牧場と言い換えますけれども、一番大きいところは、これ五十二万頭でしょうか、十の農場で五十二万頭、一つの農場で五万頭飼育しているということです。  そうしますと、私はかつて本会議で総理と、養鶏を例に出しまして、農業と工業が近づいているんではないかと、食料を生産するということが本当にこの流れでいいのかという哲学的な禅問答みたいな質問をさせていただいて、総理からも御答弁をいただきました。  私たち東洋人あるいは仏教のこれは用語だろうというふうに言われておりますけれども、いただきますと、これはその生命をいただく、そのことに感謝をするいただきますという言葉であります。そして、ごちそうさまと言います。牛を、命あるものを食べてしまって、まあごめんなさいというわけじゃありませんけれども、いただきましたと。で、アメリカに、あるいは英語にその言葉に代わる用語はあるのかというと、フィニッシュだそうです、まあ終わったと。これが文化の違いだろうというふうに思われます。  そして、榊原英資さんの本にこんなことが書いてありました。アングロサクソンの人たちは食料を資源と考えている、で、資本主義市場の中で食料生産をその利益追求の中でとらえていくと、どんどんどんどんその規模が大きくなっていきます。そのことがこの表に表れているんだろうというふうに思います。  これは感傷的な話をしているわけではありません。そのことによって、いろんな弊害が起きてくるんではないかなというふうなことを心配をしています。たまたま今日の朝日新聞に、アメリカの移民の方々のその気持ちの揺れが出ていました。  で、アメリカ合衆国のパッカーと呼ばれる屠畜場の一つの問題点にその労働力、労働者の質の問題が挙げられている、こういうふうにも言われています。当然、資本家が農場やパッカーを経営をして、ヒスパニック系と呼ばれている安い賃金で不安定な立場で働かざるを得ない方々が、短期間で離職をする労働環境の中でその職務に専念をしている。日本の屠畜場がいかに優秀な人たちで運営されているのかということを冒頭お話をさせていただいた理由がそこにあります。そんなことも含めて、いかに立派なプログラムを作ったとしても本当にできるのかどうかという疑問がぬぐい去れないわけであります。  これは、資本主義が抱える、あるいは小泉総理が進めようとしている効率化優先の社会や市場経済万能主義の弊害がこの部分に現れているんではないかなというふうに私は考えるわけであります。自由経済は悪くありません。しかし、もうけることが善という考え方の中では、たまに、残念ながら悪い人たちが出てきます。証券市場の中でもうけを得ようとしたライブドアの堀江社長、あるいはこのBSEに関連して輸入牛肉以外の国産牛肉の基準日以前の食肉の処理に国がお金を払ったときにも犯罪が発生をいたしました。そういうふうに考えると、自由主義経済を守るためには、小さな政府というお題目はありますけれども、監視とか監査とか検査とか監督とか、こういう部分はしっかりしなきゃならないというのは言うまでもないことだろうというふうに思います。  時間もありませんので、最後のページ、見てください。  これは、食肉であれば家畜、例えば野菜であれば植物、大変食の安全が大事なテーマというふうに言われている昨今でありますけれども、微増はしていますけれども、この安全の確保に本当に十分だろうかという疑問があります。しっかりと食の安全や国民の安全を守るために、私は、水際あるいは外国まで行って検査をする人たちが日本の食の安全を守るべきだというふうに考えています。  時間がございませんので、それぞれの立場から短い御答弁をいただければというふうに思います。十八年度はこれじゃ私は不服でありますけれども、将来的にもっと監視体制を強化すべきだ、かかわる検査官の数を増やすべきだという御答弁をいただければ幸いです。よろしくお願いします。
  59. 小野清子

    委員長小野清子君) どなたから。  中川農林水産大臣
  60. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 小川委員御指摘のとおり、国民の暮らしと安全を守るための一つの大きな柱が食という生命に直接かかわる問題でございます。そのリスク評価、リスク管理、これは政府責任でございます。分担して今一生懸命やっているところでございます。  そういう中で、農林水産省に関しましては、この家畜防疫官、植物防疫官が大変厳しい状況の中でございますけれども、こうやって十八年度の案の中でも増やしていただいて今御審議をいただいているということでございますから、厳しい状況でございますけれども、この点については政府としても重要視しておりますし、是非委員会の皆様方にも御理解をいただければ有り難いというふうに思っております。
  61. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 食品衛生監視という仕事がございます。この仕事は、各都道府県が計画を書き、そして保健所に人を置きながら生産現場その他をしっかりチェックをしていく仕事でございます。そういった意味では、厚生労働行政と地方都道府県がよく連携を取りながら、協力し合いをしながらやっていかなければならないと。その中で、厳しい予算のときでございますけれども、増員しながらしっかりとした体制を構築するために努力してまいりたいと考えております。
  62. 小野清子

    委員長小野清子君) 食品安全担当ですか。
  63. 小川勝也

    小川勝也君 食品安全担当はいいです。  いずれにしても、アメリカからの牛肉を輸入する問題は大きな外交テーマ一つであることは承知をしておりますけれども、大変この安全、安心が実感できない世の中にあって、せめて食べ物ぐらいはいつでも安心して食べられる社会をずっと維持し、つくり上げていきたいというふうに私どもは考えますし、その一番大事なものは、やはり自分たちの国の国民が食べる食べ物はできるだけ多く国内で生産するということだろうというふうに思います。日本国内の農業をしっかり守っていくこと、そして経済や資本市場に任せることなく一人一人の生産者が安心を国民に与えるんだという誇りを持って続けられる農業生産、農業であるべきだと私は考えます。そのことをもって民主党がしっかりとした法律案を作らせていただいたことを報告をさせていただき、次の安全のテーマ、同僚の大江委員にバトンを譲りたいと思います。  ありがとうございました。
  64. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。大江康弘君。
  65. 大江康弘

    大江康弘君 おはようございます。小川議員の関連で質問をさせていただきたいと思いますが、こうした御配慮をいただきました民主党・新緑風会の役員の皆さん始め先輩の皆さんにお礼を申し上げたいと思います。  総理、私は五年近く総理を眺めてまいりまして、今日は初めてこうして総理と相まみえ、意見を開陳をさせていただくわけでありまして、昔我々運動会のときに、明日は楽しい運動会、待ちに待ちたる運動会、そんな思いを持って運動会を待ったんでありますけれども、そんな思いで実は今日は立たせていただいたわけであります。  総理、いささか旧聞に属しますが、十年余り前に、総理と私は関空でお会いをさせていただいた。そのとき総理は一人でとぼとぼと歩いておられましてね、まあそれで私声掛けたんですよ。小泉先生、どこへ行かれたんですか。私の和歌山の郷土の大先輩でありました野田実先生のところに応援に行かれた帰りに関空から東京へ戻られる、あのときのとぼとぼした後ろ姿と今と比べて、やはりやればできるんだという、まああの言葉というのは正に総理が自分の座右の銘にしてやってこられたんじゃないかなと、私はそういうふうに思って、まあ野党ですから、余りやんややんや言う、これもやっぱり仕事ですけれども、やっぱり褒めることもこれ仕事ですから、やっぱり私は政治家というのはやっぱり原体験というのがあるんですね。  おかげさまで、総理、私、老けて見えるでしょう、老けているんです。もうおかげで地方合わして今年で二十七年になります。当時は二十五歳で若々しかったんですけれども、まああの当時だったら小泉チルドレンでもしかしたら呼んでいただいていたかも分かりませんけれども。そういう経過をたどったときに、政治家というのはやっぱり原体験というのが非常に体の中に身にしみ付いてくるということで。  まあ、いささか私どものこの党内の先輩の先生方や同僚の皆さんと多少やっぱりこれは、自民党でもそうですけれども、我々も意見の違う部分がある。そういう中で、私は今回、安全ということがテーマであります、安心。ただ、私はいささか国家の安全という部分に大変心配をしておる一人でありまして、最近、藤原先生という方が書かれた「国家の品格」ですね、これが百万部以上売れたという。まあ、戦後六十年、これ、日本国民が国家だとか品格だとかということは恐らく忘れ去って、ずっと時代の流れで来た。それが今こういう本が売れるということは、やっぱり国民も本当にこの国はこれでいいんかな。  あの九・一一のテロ以降、私は総理一つ評価をしておるのは、やっぱり日米同盟というのはこれは大事なんですね。戦後、我々、国民も政治家もやはりもう一歩、あと一歩の覚悟がなかった、この覚悟がなかったばっかりに、本当に日本は独立国家かという、正に自問自答するような私は六十年間であったと思うんです。そういう中で、これから政治の方向がやっぱりどこへ行くか分かりませんが、これは我々の責任ですけれども。  私は、実は中国という国が余り好きじゃないんです。中国というのは、私は台湾を通してしか見たことのない政治家で、人間でありまして、それだけに、私は今、中国が覇権国家としてこの東アジア共同体などという、この正に、聞こえはいいですけれども、中国がこのアジアの宗主国になろうとしておる。私は、そういうところに日本が巻き込まれるんだったら、まだアメリカとしっかりと日米同盟を組んでやっぱり自由主義を守っていくという。  私は先週台湾へ行ってきました。これは環太平洋の自由主義の国が集まってのセミナーで、不肖、意見を述べさしていただいたんですけれども。私は、やっぱり日本という国がいつまでもアジアに、東に位置するんだという、こんな座標軸をお互いがいつまでも持っている間は中国とは私は対等な国家になれない。むしろ、アメリカの西にあるんだ、そしてオーストラリアの正に北西にあるんだという、この太平洋を挟んだやっぱり環太平洋という、このやはり海洋国家としてどう生きていくかというこの座標を我々が持ったときに、やはり違った戦略も出てくると思うんです。  もう時間がありませんから余り余計なこと言いませんけれども、そういう中で、これは、総理、私の原体験なんです。これはもう民主党の仲間の皆さんも、私がライトフライよりも、もっとライトのファールフライを飛び越えて、まだライトの座席へ行くぐらいに皆さん認めていただいておりますから、これはもう仕方がないんですね。ですから、私は、靖国参拝、これは私は、総理、私は評価をしておる一人です。おしかりを受けるかも分かりません。  私も八月の十五日にはお参りをしております。それだけにこれは、総理ね、心の問題ということで私は片付けてほしくない。あの世界で正にひどいことをしたナチス・ヒトラーがニュルンベルクで裁かれたこの罪は、いわゆるC級の人道に対する罪なんですね。これが世界で最も重いじゃないかと言われている常識あるC級の罪なんです。A、B、C、これは正に犯罪のカテゴリーであって、やっぱりここのところは、総理は、私はしっかりと説明責任を果たしてほしい。そして、友好というのは大事ですから、そういう意味で総理に、やっぱり国際社会で黙っておるということは、これは認めるということになるわけですから、そういう意味でひとつ総理、これは最初に私は予定しておりませんでしたけれども、激励を込めて、ひとつ総理、ちょっとそこらの考えだけをまずお聞かせいただきたいと、こういうふうに思います。
  66. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、日米同盟は日本の外交の基軸でありますが、同時に、中国との関係、中国との友好を重視している立場であります。日中友好論者でもあり、日韓友好論者でもあります。ただ、中国が、私が靖国神社参拝するから首脳会談を行わないというのは、これはおかしいと思っております。  靖国神社に参拝するというのは、現在の日本の立場、戦争の反省を踏まえて二度と戦争を起こしてはいけないと。同時に、今の世の中というのは、現在生きている人だけで成り立っているんではないし、戦争で亡くなられた戦没者の方々に対して哀悼の念を持って靖国神社に参拝する。これは人間として決して批判されることじゃない。一人の国会議員として、同時に、総理大臣であるとしても一人の人間であります。戦没者に対して哀悼の念を持って靖国神社参拝するのがどうして外国から批判されるのか。  憲法第十九条において、「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」とはっきり憲法でも規定されているんです。それを日本の進歩人、進歩的な文化人と言われる人までが、心の自由、外国から批判されてやめなさい、やめなさいと言う日本人も私は理解できないんです。なぜ表現の自由、精神の自由を尊ばないのか、どうして靖国神社参拝するのが日本の軍国主義を正当化したり、戦争を賛美するのか、全くそうじゃないんです。  私は、そういう意味から、戦没者に哀悼の念を持って、日本の一施設です、日本総理大臣が、日本国会議員が、日本人がどこに行こうが、ここには行っちゃいけないとかね、戦没者に対して参拝してはいけない、これをしている限りは首脳会談に応じない、そんな国いませんよ。  だから、問題があれば、意見の相違があれば、話し合ってお互い日中友好を考えて両国の友好関係を増進していきましょうということで、様々な分野において会談をし、財務大臣もつい先日、財務大臣との中国との会談はしてきた。だから、そういう意味において私は、日中友好論者でありますし、こういう問題についても話し合って解決していく問題だと思っております。
  67. 大江康弘

    大江康弘君 済みません、ちょっと力水を与え過ぎたようで。まあ、ありがとうございます。  そこで、もう民主党の立場に戻ります。  実はちょっと安全で看過できない話が新聞紙上で出てまいりました。二十四日の金沢地裁のいわゆる北陸電力の志賀原子力発電所、これが二号機で差止め判決が行われたということでありますけれども、今、日本は五十五基の原発が稼働中であります。一基が建設中、そして十二基が着工の準備中であります。  二年前の数字ですけれども、今、日本は中東から原油を二億二千万トン輸入をしておるんですね、LNGも含めて。これは二十万トン級のタンカーが三隻毎日、日本のどっかに入らなければお互いがこういう文化的な生活ができないという、これほど我々はエネルギーを消費をしておる。中東から総理、九十日掛かるんですね、日本に着くのに。今この瞬間に三隻どっかに入るということになれば、二百七十隻日本に向かってどんどんどんどん三隻から四隻これタンカーが来ている。そういうやっぱりエネルギー事情を考えたときに、私はやっぱり原子力というのは、いろいろ危険性があっても、これはお互いのこの生活レベルを維持していく上では大変大切な私はエネルギーのこの問題であると思うんです。  それだけに、我々は、世界で唯一の被爆国として、長崎、広島、この尊い犠牲を出して我々は大変な教訓を得てまいりました。それだけに、私は、かつて政府が作った、この原子力発電所を立地をするときに耐震設計計算書指針という、これが原子力安全委員会で作っているんですね。これに基づいていわゆる原発がしっかり造られていくという、私は、そういう経過を踏んでおる、正に学習効果をしておる我が国の国民でありますから、私はしっかりとこの計算書は作られておるというふうに思っております。  それで、造られて、電力会社が造ったやつが今度は裁判所が駄目だという判決が出たんですね。まあこれの是非はいろいろあろうかと思いますけれども、私は、やっぱりこういう判決というものは、ちょっと国民を戸惑わすんじゃないかなと。それだけに、五十あと四基、原発を抱えておられる地域皆さんにとってはこれ大変不安な話であります。このことに対して、一体国は、この設計指針書というものをしっかり示して造らしたという一つのこの責任上、どうやっぱりこの不安をこれ取り除いていくのか。  それと、この設計指針書というのは、一九七八年ですからもう二十八年前に作られているんですね。やはりあれからいろんな科学の知見だとかいろんなことで時代が進んだ、そういう中で私は見直しというものがある意味必要ではないか。まあ基本的なことはこれは見直しにはならぬでしょうけれども、やはりそういうことに対して政府はどういう考えをお持ちなのか、ちょっと聞かしてください。
  68. 広瀬研吉

    政府参考人(広瀬研吉君) お答え申し上げます。  我が国の原子力発電所の耐震設計につきましては、原子力安全委員会が定めた耐震指針に基づき、想定すべき最大の地震動に対しても安全性が確保されることを確認いたしております。  三月二十四日に、金沢地方裁判所で、志賀原子力発電二号機の運転差止め訴訟における被告北陸電力側の敗訴の判決が言い渡されました。判決の主な理由として、志賀原子力発電所二号機の耐震設計において最新の知見が考慮されていないことが挙げられております。しかしながら、原子力発電所の耐震安全性を含む安全性の確保に当たりましては、常に最新の知見を踏まえて安全性を確認することが重要であり、これまで、安全審査に当たっては、耐震指針への適合性はもとより、最新の知見を踏まえて安全審査を行っており、運転開始後も適宜その時点で得られた最新の知見を踏まえた安全確認を行っているところでございます。  志賀二号機を始め、原子力発電所の最新の知見を踏まえた耐震安全性の確保の状況は地元の皆様に御理解をいただくことが重要でございます。地元の皆様が無用な不安を持たないよう、各地域で耐震安全性の確保についてよく知っていただくための事業者の努力を徹底させるようにいたします。  また、経済産業省といたしましては、今後とも厳格な安全規制を行うとともに、耐震安全性の確保の状況について、地元の皆様を始め国民の皆様に十分に説明してまいる考えでございます。
  69. 松浦祥次郎

    政府参考人松浦祥次郎君) 原子力安全委員会の松浦でございます。お答えいたします。  耐震設計審査指針と申しますのは、原子炉施設の基本的な設計の妥当性を審査します安全審査の際に用いられる指針類の一つでございます。現行の耐震設計審査指針と申しますのは、昭和五十六年、一九八一年七月に策定されたものでございます。  ただし、この安全委員会の審査指針類と申しますのは安全審査の際の判断の基礎を示すものでございます。すなわち、指針の規定内容だけに基づいて安全審査を行っているわけではございません。安全審査に当たりましては、そのときそのときの最新の科学技術的知見に基づきまして厳正に安全審査を進めてきているところでございます。  さらに、原子力安全委員会といたしましては、最新の地震学、地震工学の科学技術的知見を反映させ、原子炉施設の耐震安全性に対する信頼性を一層向上させることを目的といたしまして耐震指針検討分科会を設置いたしまして、平成十三年七月以来、耐震設計審査指針の改定に向けた議論を極めて精力的に進めてきております。現在、議論はほぼ大詰めの段階に至っております。  原子炉施設の耐震安全性に関しましては国民皆さん方も非常に高い御関心をお持ちだということを我々も深く認識しておりまして、是非とも早期に改定指針を取りまとめるように努力する所存でございます。
  70. 大江康弘

    大江康弘君 一つ要望しておきます。  やはりこれはもう本当に安全ということについてはしっかりと説明責任をしていってほしいということを重ねてお願いをしておきたいと思います。  それでは次に移りますが、実は昨年の一月の二十七日、総理、御記憶があるかどうか分かりませんが、衆議院の方で実は我が党の石井一先生が危機管理都市の構築、いわゆるバックアップシティーをどうするかということの質問をされました。今我が国は、やはりテロの危機だとかあるいは自然災害、これ昔は、災害は、総理、忘れたころにやってくる。今、日本は、災害は忘れたいほどやってくる。もうこれだけやっぱりいつも災害に恵まれ、恵まれたと言ったらおかしいですね、これ。災害に恵まれるなんてこんなばかな、これは取り消します。災害に襲われまして、本当に犠牲になられた皆さんやそういう地域の方々にお見舞いを申し上げるわけでありますけれども。  私は、やっぱり日本が不幸中の幸いであったのは、やっぱり首都東京という正に中枢機能がある、この中核機能があるこの東京都が幸いいまだにまだ大きな災害、まあ地震もそうですけれども襲われてない。ですから、二年前の中越地震だとか福岡西方沖の地震だとか、あるいは旧聞になりますけれどもあの阪神・淡路大震災、やっぱりそのときはしっかりとここでいわゆる情報管理もできて、指令系統というものができ上がっておってやっぱりそういう中で行動ができたという、私はやっぱりそのことが不幸中の幸いであったと思うんですけれども、しかし、いろんな話を聞きますと、やはり次はこの東京、首都直下型というものが非常に、私は危険をあおるわけではありませんが、こういうことが言われておる。私は、やっぱりそのときに本当に、石井先生の御指摘ではありませんけれども、総理もあのときに大変興味を持って質問を聞かれて答弁をされました、面白い考えだ。面白いというのは前向きな方の面白いという考えだということの中で、私はやっぱりこのことに対して、総理、あれから議連ができました。三百五十名余りに及ぶ議連ができまして、小里先生が会長でずっとやってまいりました。  ところが、昨年のあの郵政民営化の解散で、総理は公約を破って、自民党をぶっ壊すなんて言って、自民党が壊れるどころか民主党がぶっ壊れてしまって、もう本当にあれは公約違反じゃないかと私は思うんですけれども。あれから実はこの形を立て直しまして、今、逢沢先生がこの会長をしていただいて我々活動しております。この議連のいわゆるバックアップシティー、この提案というのは、総理、どうですか、一年たって。
  71. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私はかねがね、東京一極集中、何でもかんでも東京に集まってくる、政治機能も経済機能も文化機能も、これは余り好ましいことではないと思っているんです。  そういう中で、昨年たしか、石井一議員ですか、その危機管理都市構想という問題を提起されました。東京に万が一大きな災害がやってきた場合、災害に見舞われた場合に、そのあらゆる機能、特に国民の安全を守っていかなきゃならない政治機能、中枢機能が壊滅的打撃を受けた場合、どういう手だてがあるんだと。そこで、万が一東京に大きな災害が起こった場合にも、その危機管理的な機能がほかの都市でも、災害に見舞われないところでもしっかり機能して国民に安全対策をしっかりしなきゃいかぬ、同時に、災害の復旧事業もしっかり政府はやっているという体制をつくっておかなきゃならないという考えには、私はこれは大変重要なことだと思っております。  そこで、これからその危機管理機能というものをそれでは東京以外にどこに置くかという問題については、それはもう様々な利害が絡んできますので、利害よりも国民の安全を確保する、災害に強い都市をつくろう、災害に見舞われても、そこが壊滅的打撃を受けても、次の機能は残っている、作用する、機能するという、そういう地域なり都市なり整備していくことは重要だということについては、私は賛同しております。
  72. 大江康弘

    大江康弘君 ありがとうございます。  やっぱり私は、世の中でも何でも中心地というのが大事なんですね。ですから、今東京一極集中ということはいろいろ言われますけれども、私は、この首都機能というのは、これはしっかりと私は大事にしてやっていかなければいけない。ですから、今総理が御答弁いただきましたけれども、首都機能とは別な観点の中で我々は今考えておるわけでありまして、ひとつどうかこれに対して、今後ともまた高いひとつ御理解もいただきたいと思いますが、私は、少し気になるのは、この問題で実は三年前にこの予算委員会でも質問しましたけれども、いわゆる職務継承者、職務権限法に基づくいわゆる職務継承者。これは、アメリカは御存じのように大統領から始まって十七番まで職務権限法であるんですね。日本はこれ総理が毎回閣僚を選ぶたびに五人しか選んでおらない、内閣九条で。  私は、三年前に、たしか石破防衛庁長官だったと思いますが、いわゆる防衛出動を出すときに、これもしこういう人たちがいなかった場合にこれだれが出すんだと言ったら、私は、あのときの記憶違いだったら申し訳ないんですが、石破長官はたしか国会を開催して決めてもらう、こういう答弁であったと思うんです。  私は、これは大変こういうことは危険なことでありまして、本当にテロでも何でも、やっぱりそういう五人の人たちが一度にもし職務をするような機能をなくしたときにどうするのか。国会を開いて総理を決めるのか。そうではなくて、やっぱりアメリカはもう大統領と副大統領までが別行動をするとか、やっぱりそういういろんなやっぱり工夫をしております。もう我々は、テロとの戦いに総理が入るということを宣言したんですから、これ二〇〇一年にですね。やっぱりこのこと一つ取っても、私が質問させていただいた三年前から何ら変わっていないということは大変、それこそ不安に思う一人でありますけれども、総理、どうですか。これをこれから変えていくという、職務継承者。
  73. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、日本はアメリカの大統領制と違って、大統領が欠けたときには副大統領、あるいはまたその次の順番が決まっていると。日本は今、臨時代理が決まっているんです。総理大臣事故あった場合とか、あるいは日本に滞在しない場合と。しかし、もし総理大臣が生存しているけれども事故があってその総理大臣の職が執行できないという場合については、臨時代理は決めることができますけれども、その後だれが総理大臣をするかという場合に、小渕総理大臣の場合、簡単に申し上げますが、小渕総理大臣が病気入院したときに、これは総理大臣事故あるときに該当すると。そこで、臨時代理に指定された当時の青木内閣官房長官が四月三日から五日の間、わずかの期間ですが、その職を務めたんです。しかし、医師団の報告を受けて、近い将来に回復の見込みがないことが判明したために、青木当時の臨時首相が内閣総理大臣が欠けたときに該当すると判断して臨時閣議において内閣として総辞職する決定を行ったんです。  だから、今イスラエル等ではシャロン首相が総理大臣として職務を執行できない状況ですが、いまだに総理大臣代行です。で、日本ももしそういう場合どうなるのかと。やっぱりそのときは国会としてもどういう判断するかというのは、常識もあると思いますけれども、政治の機能が不能に陥らないようなしかるべき対応が取られるんだと思っておりますし、それを法律でだれにするかというのは、今の段階で決めるということは私も考えておりませんし、そのときはしかるべき判断がなされるであろうと。そのぐらいの常識は、私は日本国会議員におきましてもあるのではないかなと思っておるんです。
  74. 大江康弘

    大江康弘君 総理、その常識は分かるんですけれども、そういう常識で決められる状態になったときにどうするかということでありますから、これはもう今日はどうしろということは言いません。これはやっぱり総理一人じゃなくて、我々国会がやっぱり真剣に考えていかなければいけない私は喫緊な課題であるというふうに思っておりますので、総理、頭の隅っこにひとつ置いておいていただきたいと思います。  次に、規制緩和と安全性について、北側大臣、私、大臣にはもうこういう場でなくて日ごろは委員会で随分お世話になっており、いろいろいい答弁もいただいておりますし、私は大臣を褒めるわけではありませんが、褒めますが、本当に時宜を得たやっぱりスピード感ある対応、そして、本来ならやっぱりその省庁の大臣であったらその省庁をかばいたがるんですよ、これ人間としてね。だけどやっぱり、駄目なものは駄目という、やっぱりしっかり言う、それ言われるから我々委員会で余りきついこと言えないわけですね。  そういう意味で、私は今回、あの姉歯の問題、これは正に官から民へという、本当に本来、総理、行政の役割だとか政治の責任だとかというものが本当に果たすことをしてこなかったことの一つの大きな象徴であると思います。そういえば、総理はこういう民間に任すベクトルは間違いがないんだということを恐らく言われると思いますけれども、やっぱりそうではなくて、やっぱり純粋な民間とあるいは公共的なもの、後にこれ航空関係も触れますけれども、やっぱりそういうものと私はしっかりと区別していかなきゃ駄目だ、こういうふうに思うんです。  そんな中で、この姉歯問題が我々に教えてくれた教訓というのは大変大きいものがあります。これ、こんなことを続けておったら、これ建物がつぶれるだけじゃなく、今正に国民生活がつぶれたり日本の安全がつぶれていっているという、やっぱりこういうことに私はつながっていっていると思うんですけれども、今回いろんな、あの事件以降、国交省としては新しい法律を出すそうですけれども、大臣、ちょっと簡単に、私はまだ残された部分もあると思うんですけれども、その点ちょっとお答えいただきたいと思います。
  75. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 今回の耐震強度偽装事件については、様々な課題を与えていただいているというふうに思っております。一つは、建築サイド、建築士を始め建築サイドの問題点、そして、その建築をチェックする行政の側の問題点、そしてもう一つは、住宅を取得する方々の保護という観点、それぞれ大きな課題があると思っておりまして、今社会資本整備審議会で専門家の方等入っていただいて議論していただいております。  緊急にやるべきことにつきましては、今月中に是非、今国会是非成立をお願いしたいということで国会法案を提出をさしていただきたいと思っておりますし、残された課題につきましても夏までに取りまとめをさしていただきたいと思っているところでございます。  もう詳細は省かしていただきますが、緊急にやるべきことといたしましては、ある一定の高さ以上の建築物についての構造計算、建物の安全性のチェック、ここのところはダブルでやってもらう。ピアチェックと言いまして、第三者機関における構造計算審査を義務付けをしていく等々、こうしたことも緊急にやるべき措置ということで考えているところでございます。  いずれにしましても、建物の安全性に対する信頼又は建築行政に対する信頼を回復すべく全力を挙げて取組をさしていただきたいと考えております。
  76. 大江康弘

    大江康弘君 また委員会でいろいろ議論も我々もしていきたいと思いますが。  もう一点、大臣、飛行機の問題、航空会社、これはJALを含めてもう大変なこれ不祥事であります。これも私はやっぱり民営化という一つの大きなマイナス効果であったというふうに思いますけれども、私はやはりこのJALグループ一連の不祥事、まあJALだけに限りませんけれども、こういうような本当に公共的な乗り物である航空機というのがこういうような、こんな不祥事ばっかり出しておって、こんなことでいいのか。一体これどこに問題があるのか。私、やっぱり監督官庁として、これはまあ民間会社だからということだけでやっぱり済まされないと思うんですけれども、これ、大臣、どう思いますか、これ、一連の不祥事。
  77. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) これは航空だけではなくて、公共交通にとりまして、安全の確保、安全に利用者の方々を目的地まで送り届けるというのは最大の役割であり使命でございます。そこが一番大事なところであると思っております。幾ら規制が緩和されようが、民間事業者がやっていようが、その公共交通の安全性に対するチェックというものは、規制というものは、安全面での規制というものはしっかりとやっていかねばならない、堅持をしていかねばならないというふうに考えているところでございます。  航空につきましては、今委員の方から御指摘がございましたように、トラブルが続いているわけでございますが、私どもも、しっかり立入検査、抜き打ちの立入検査等も含めまして、しっかりと航空事業者に対して監視、監督を強化をしてまいりたいと考えております。
  78. 大江康弘

    大江康弘君 まあ、もう余り時間がありませんので、もう一点。  タクシーのこの安全についてですが、やはりここも規制緩和で、平成十四年のこの需給調整の撤廃から大変しわ寄せの来ておる業界であります。今、全産業の平均の給料が五百万余りのところで三百万前後だということで、最低の、これ法律で定められた時給の賃金さえもそこに至っていないという、やはりこういうことで本当に利用者に対して安心して乗ってもらえるんだろうかという。私は、タクシーのこの業界の皆さん、運転手の皆さんも含めて、やっぱりこれは、本当に今回の規制緩和というのは、私はちょっと方向が間違っておったんじゃないかなというふうに思うんですけれども、その点はどうでしょうか。
  79. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) タクシーの経済的な規制の緩和をさせていただきました。しかし、それによって、観光タクシーだとか福祉タクシーだとか料金の多様化だとか、それは利用者にとっては非常にプラスの面もあります。  一方で、安全面の規制はしっかりやってっていかにゃいけない。特に、おっしゃっているとおり、最低賃金に反するだとか、労働条件が極めて悪化しているだとか、そういうところは今厚生労働省と密に連携を取らせていただきまして、しっかりと厚生労働省、私どももしっかりと、ともに監督をしてまいりたいと思っております。
  80. 大江康弘

    大江康弘君 もう簡単に言います。  総理、私は、やっぱり安全、安心、安全というのは、やっぱり私はこれはハードな話だと思うんです。これがしっかり構築されてこそ安心というやっぱり国民が意識を持ってくる。どうかひとつ、このことに関してこれからもひとつ政治力を発揮していただいて、国民のために頑張っていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  81. 小野清子

    委員長小野清子君) これにて大江康弘君の関連質疑は終了いたしました。  以上で小川勝也君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  82. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、加藤修一君の質疑を行います。加藤修一君。
  83. 加藤修一

    ○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  本日の集中審議は安全をテーマにしているわけでありますけれども、公明党は、安心、安全な社会構築に取り組んできておりますし、本予算におきましても、警察OBを活用したスクールガードリーダーの増員、あるいは地域安全安心ステーションモデル事業、こういった面におけます拡充、子供の命を守る、そういった意味では安全対策、あるいはアスベスト対策の関係や耐震化など、様々な角度から取り組んできているわけであります。また、今国会におきましてがん対策について法制化等を目指しておりまして、国民皆さんが安心してがん治療ができるようにと取り組んでいるところでございます。  さて、今日は、鳥インフルエンザ、こういった面も非常に速いスピードで地球規模に広がっております。新興感染症が地球温暖化問題の深刻化する中でも注目されているわけでありますが、G7サミットにおいても議題になっているところでございます。(資料提示)  パネルを見てお分かりのように、最近の三十年間、三十数疾患が世界のあちこちで発生しております。可及速やかに感染症対策を行い、国民の生命、健康を守るためには、やるべきことは中途半端にしないでしっかりとやると、こういうことが極めて重要であると、このように考えているわけでございます。  この次のパネルをお願いいたします。(資料提示)このパネルには、様々な分類が病原体あるいはウイルスについてなされておるわけであります。2のレベルより3のレベルが危険でありますし、あるいは更に4のレベルが最も危険なレベルになるわけであります。  この4レベルの感染症が国内に発生した場合、国民の生命、健康を守るという、そういった意味では初動段階の機敏な対応が極めて重要である。検疫あるいは患者の隔離、このP4レベルの施設を使って未知の感染症ウイルスの分離あるいはウイルスの正体を知ると、さらに抗ウイルス剤とかワクチンの開発を行うに当たりましてはやはりP4施設が極めて必要不可欠であると、このように考えているわけでありまして、我が国は感染症対策のためのP4施設が二か所あるというふうにとらえておりますが、しかしP4レベルで病原体は扱えないと、こういう凍結の状態にあるわけでございます。そういった意味では、役立たずの施設になっていると。建設以来二十数年間もP4レベルが使われず、たなざらしになっているわけでありまして、誠に残念な実態であるというふうに理解しております。  何か事があると、海外、特にアメリカのCDC、疫学予防センターでありますが、ここを頼っていると、こういうことになっておりまして、そういった意味では、初動対応に遅れる、機敏性に欠くと、そういうふうに言わざるを得ないわけであります。やはり、ウイルスの正体を知るのが遅れると、そのCDCも今後、検体ですけれども、患者の体液などでございますが、そういう検体やあるいは研究員も受け入れないと、そういうふうに聞いております。  こういった意味では、非常に日本状況というのが大変な形になるわけでありまして、この4レベルの感染症対策が今まで以上に難しくなってしまうと。やはり、我が国の危機管理は非常に甘いとよく言われるわけでございますが、状況としてはこれをやはり解消していかなければいけないと。  そこで、厚生労働大臣に質問でありますが、アメリカの同時多発テロ九・一一以降、バイオテロやあるいは新興感染症など、改めてこれ考えてまいりますと、P4施設整備、これは極めて重要である、必要であると、こういうふうにとらえておりますが、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
  84. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 御指摘いただきましたように、P4レベルの施設を稼働させなければならない、厚生労働省の管轄では村山の庁舎一つでございます。住民の皆さん方の御理解をいただいて何とか進めていかなきゃならないと、こんな段階を迎えております。  バイオセーフティーの措置を要する実験対象は、病原性微生物のほか、組み換えDNA研究等がございます。国内では、病原性微生物に関するBSL、バイオセーフティーレベル4施設を保有するのは、今申し上げた国立感染研究所村山庁舎のみでございます。この施設がP4レベルの病原性微生物を対象とした施設としては、残念ながら今使用されておりません。P4レベルの病原性微生物に感染した患者の確定診断ができない、アジア地域で発生したP4レベルの感染症対策に対する貢献ができていないなどの問題点が今生じております。  委員の御支援もいただき、いろんなことで御発言もいただいておりますけれども、地域皆さん方に御理解いただくように努力をしてまいりたいと考えております。
  85. 加藤修一

    ○加藤修一君 仮に国内にあります二つの施設が稼働したとしても、やはりアメリカのP4レベルの感染対策と比べまして極めて見劣りが私はすると思うんですね。アメリカの場合は、大学等の研究所にはありますし、あるいは陸軍のいわゆるUSAMRIID、あるいは国防省の生物兵器研究所等々でやはり感染症対策についての様々な研究を進めている段階であるわけでございます。  そういった意味では、私は、日本もそういった危機管理に対応を十分するために、予算措置をするあるいは研究員の拡充をするということが極めて重要であることを指摘し、また要望しておきたいと思います。  それで、厚生労働省にお尋ねいたしますけれども、P4レベルの感染者に対応しまして、P4レベルの隔離施設、これは当然必要になってくるわけでありますけれども、これについてはどうでしょうか。
  86. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) P4レベルの患者さんへの対応の問題でございますが、P4レベルの実験室で扱う感染症としてはエボラ出血熱あるいはラッサ熱などがございますけれども、これらの感染症につきましては、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律、いわゆる感染症法でございます、これにおきまして一類感染症と規定をしております。特定感染症指定医療機関及び第一種感染症指定医療機関にある病室に入院、隔離をさせることとしておるところでございます。  これらの病室につきましては、病室に入る前に前室を設けまして二重扉にする、それから病室内を陰圧にするというような病原体を病室内から出さないようにするための措置がとられておりまして、現在、全国で特定感染症指定医療機関は三医療機関、八床、それから第一種の感染症指定医療機関は二十四医療機関で四十五床が整備をされているところでございます。  また、感染症法におきましては、このような感染症の患者が発生した場合には、診断した医師は速やかに最寄りの保健所へ患者発生の届出を行う、また届出を受けた保健所は当該患者に接触した者に対する健康調査や健診を行い、他に同様の症状を持つ者がいないかを確認する、更に必要があれば物品等の消毒を行うなど、感染症を蔓延させないための措置を行うこととしているところでございます。
  87. 加藤修一

    ○加藤修一君 今、少数の数字が出てきたわけでありますけれども、地域的なバランスを考えてこれで十分であるかどうか、その辺はどうでしょうか。
  88. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) これは、こういった施設の整備状況にもよるわけですけれども、まだ必ずしも十分これでいろんな事態に対応できると言い切れるところまではできておらないと思いますけれども、例えば新型インフルエンザ対応などにおきましても、不測の事態に備えてそれなりの計画を立てているところでございます。
  89. 加藤修一

    ○加藤修一君 是非、危機管理上、極めて重要な点でありますので、積極的な対応をよろしくお願いしたいと思います。  それでは次に、額賀防衛庁長官にお尋ねしたいわけでありますけれども、これもあえてお聞きするわけでありますけれども、バイオテロも決してないとは言い切れないと。それから、感染症対策は極めて重要でありますが、防衛庁はP4施設あるいはP4レベルの隔離施設等をお持ちでしょうか。
  90. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 防衛庁としては、今、加藤委員のP4施設についての御発言は極めて重要な問題提起だと受け取っておりますが、残念ながら、御指摘のP4レベルの施設は保有しておりません。  今防衛庁が持っている施設というのは、防衛医大病院に治療検査用のP3施設を持っております。また、陸上自衛隊部隊医学実験隊に研究用のP2施設を保有しているところであります。  今後どういうふうにするかということについては、自衛隊中央病院の建て替えに伴って臨床検査用のP3施設を、十九年度秋にこの病院はオープンするのでありますが、そういうことを考えております。それから、技術研究本部にP2施設を新たに平成二十年度末までには完成をさせたいということで考えておることであります。  P4施設については、これは厚生労働大臣もそうでしたけれども、国民世論とか全体的な流れを見ながら考えていかざるを得ないところだというふうに思っております。
  91. 加藤修一

    ○加藤修一君 防衛庁にもP4施設はないということで改めて聞いてみたわけでありますけれども、別件で今防衛庁長官は大変お忙しいと思ってございますが、やはり国民の生命、生活に、健康にかかわる問題でありますし、ある専門家がやはりこういうふうに言っておりました。P3施設は全国に百か所ぐらいあると、しかしP4施設はないと、やはり防衛庁がこういった面についても十分対応していくことが望ましいと、こういうふうに話しておりましたので、是非ともこの面についても積極的な対応、計画の中に取り入れていくということも含めまして、是非お願いをしたいと思います。  次に、厚生労働省、文部科学省にお尋ねするわけでありますけれども、先ほど来から二か所のP4施設の関係についてお尋ねしているわけでありますけれども、二十数年間にわたりまして凍結状態の施設でございますし、ただ今後、調査、修繕等の整備検討を、当然これはリスクコミュニケーション等含めて、あるいは説明責任をしっかりとやっていかなきゃいけないことは当然の話であるわけでありますけれども、適切な場所に新たに施設を建設すると、そういったことも含めて国内でP4施設を稼働させるということも早急に私は検討をしなければいけないと、こんなふうに考えてございます。  その整備とかあるいは新規立地展開、これに当たりまして必要な条件をどういうふうに厚生労働省及び文部科学省は考えていられるでしょうか。よろしくお願いをいたします。
  92. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 国立感染症研究所村山庁舎に設置されたBSL4施設につきましては、P4レベルの病原体を対象として使用することはしておりませんが、P3レベルの病原体を対象とした研究には使用しており、設備や機械の点検やフィルターの交換等、BSL4施設として必要な定期的なメンテナンスも入念に行っております。  したがいまして、P4レベルの病原体を対象とした稼働の条件としては、関係者の御理解をいただけることが最も重要なことと考えております。現在、新しい立地についての検討はしておりません。
  93. 加藤修一

    ○加藤修一君 新しい立地については検討していないということは、残りの二つ、今止まっているものを何とか稼働させるというそういう意味合いでおっしゃったんでしょうか。どういう意味合いでしょうか。
  94. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 現時点では、関係者の御理解をいただいて村山庁舎のBSL4の施設の稼働をすることが優先だと考えておりまして、村山庁舎以外のBSL施設の設置は想定していないということでございます。
  95. 加藤修一

    ○加藤修一君 厚生労働省と防衛庁にお願いでありますけれども、先ほど防衛庁に若干のお願いをしたわけでありますけれども、例えば、アメリカでの話、これは背景が異なりますから簡単に同じにしてくださいというわけには当然いかないわけでありますけれども、アメリカでは、国防省とCDC、疫病予防センターでありますけれども、人事交流を行っていると。あるいは、陸軍の研究所では迅速診断技術の開発、普及、ワクチンの開発あるいは薬剤開発をしているわけでありますし、また、普及という観点につきましては、米国の厚生省と国防省とが情報交換をしながら一緒に実施していると。  そういった意味では、日本におきましても、政府内でこういった情報交換をしっかりとやりながらバイオハザードの関係あるいはバイオテロの関係含めて十分な対応をしていくべきであると、このように考えておりますが、もし何かございましたら是非コメントをいただきたいと思います。
  96. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 他の研究所との関係で、やはり首都圏にこのものを、こういう設備を置きたいと、こういう気持ちがあるものですから、何とか村山の御理解をいただきたいという気持ちで担当者頑張っているところでございますので、御理解を賜りたいと思います。  一方で、今回の鳥インフルエンザ対策をとりましても、やはり各省との連携が一番大事だと。特にこの問題になりますと、文科省との関係が一番大事だろうと。つくばの施設もございますので、そういった連携はしっかりしていかなきゃならぬと。いや、危機管理上から考えたら、防衛庁とももうちょっとしっかりせいという委員の御提言でございます。その御提言を取り入れながらやらせていただきたいと考えております。
  97. 加藤修一

    ○加藤修一君 今の段階で考えますとP4施設はないと、そういうことで、これは極めて重要、重大な現実だと私は考えておりまして、そういったことから考えてみますと、こういった不測の事態が生じたときにどうするかと。  官房長官、こういった面については、鳥インフルエンザの関係では厚生労働省というよりは官房長官の方で一まとめにしてやるという話がございますけれども、こういったP4レベルの感染症が発生した場合についてはどのように機敏に対応しようと考えているのか。その辺について、よろしくお願いをいたしたいと思います。
  98. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 政府におきましては、健康危機管理の基本的枠組みに関する指針を厚生労働省が策定するとともに、感染症により生じる国民の生命、健康の安全を脅かす事態について感染症健康危機管理実施要綱を定め、緊急時の初期対応方針の決定や関係省庁への協力要請等の対応を行うことを定めております。  また、国立感染症研究所を中心に病原体等の診断技術の向上、迅速診断方法の開発等を行いまして、不測の事態においても緊急に対応できる体制の整備を進めているところであります。  なお、国立感染症研究所村山庁舎に設置されたBSL4施設におけるP4レベルの病原体を対象とした稼働については、関係者の御理解が得られるよう精力的に協議を進めていく考えでございます。
  99. 加藤修一

    ○加藤修一君 よろしくお願いをしたいと思います。  それでは、最後に、もう時間がございませんので、今できなかった質問もございますが、最後総理から言葉をいただきたいと思います。
  100. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 加藤議員、P4って今何げなく当たり前のように使っておられますが、国民はP4って何だという気持ちを持っている方多いんじゃないでしょうか。これは私も前から、災害は忘れたころにやってくると言いますけど、今こんな病気は来ないだろうと思っている方多いと思うんですが、P4というのは、これは人や動物に重篤な疾病を起こして、患者よりほかの人間へ、あるいは動物へ直接、間接に起こりやすいと。で、今エボラ出血熱なんて日本に来ないだろうとか、あるいはちょっと日本にはないような病気は来ないからそういう施設はいいよと言ってますけど、これ困っているのは、住民が反対するんですよね、関係者が反対するんです、自分たちが危険になるから。だから、これは理解を求めながら、万が一こういう病気が起こったら防ぎ得るような体制はつくっておかなきゃならないと、やっぱり取り組まなきゃならないと思っております。
  101. 加藤修一

    ○加藤修一君 よろしくお願いします。
  102. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で加藤修一君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  103. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、紙智子君の質疑を行います。紙智子君。
  104. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。食の安全とBSE問題について質問いたします。  今年、米国産牛肉が輸入が再開されて、直後に危険部位が入った、この危険部位の脊柱ですね、入った牛肉が入ってきて輸入停止となりました。で、二か月を今既に超えています。二か月以上になります。  そもそも、この輸入再開をした日本政府の判断が正しかったのかということでは、重大な疑問を呈する文書を我が党が要求して情報公開で入手いたしました。資料を配付しています、ごらんいただきたいと思いますが、(資料提示)このお配りした資料は、米国のBSEステータス評価書と二〇〇二年十一月のBSEに関する技術検討会の議事録の一部です。この議事録は、今まで農水省が国民に全く隠していたもので、米国でBSEが発生する一年以上前の二〇〇二年当時、この技術検討会の専門委員が米国でのBSE発生の可能性について指摘をしているわけです。一人が「アメリカで将来出ないという確証はないということか。」と質問に対して、別の委員が、「出る可能性があるが、それが高いか低いかということ。」だと可能性を指摘しているわけです。  このような資料を、議事録を隠しながら、その一年後、ちょっとパネルを見てほしいんです。(資料提示)こういう形でここで指摘をしているわけですけれども、二〇〇三年の十二月、アメリカでBSEが発生するまでの間、これは一貫してこの輸入を続けて危険部位が日本に入り続けているわけです。厚生労働省の資料でいいますと、この牛の脳ですね、これが一番危険ですけれども四十キログラムと、で、骨付き肉が七十トンと、これがずっと入り続けて、そして国民は知らない間に食べさせられていたということなわけですよ。  これ、総理が知らないはずはないというふうに思うわけですけれども、なぜこうしたステータス評価や議事録、検討会の議事録を隠していたんでしょうか。答弁は端的にお願いします。
  105. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) アメリカのステータス評価、二〇〇二年十一月の議事録が公表されなかったことにつきましては、これは、アメリカの同意なしにこれらを公にした場合には米国との信頼関係が失われるというふうに判断したからでございます。議事録は非公表、議事録要旨を公表というふうに決めていたからでございます。
  106. 紙智子

    ○紙智子君 そんなことは理由にならないんですね。やはり参加している委員からも公表すべきだという声が出ていたということは、議事録の中に出ているんですよ。  アメリカからの牛肉輸入のリスク評価をやってきた食品安全委員会も、この間、ほとんどの資料と議事録は公開していると、すべて。もしこの資料が公開されていたならば、少なくともアメリカからこの危険部位が入ってくるその輸入についてもっと早くストップすることができていたと思いますし、そして輸入再開の判断にも影響を与えていたはずです。  当時、アメリカ国内でこのBSE発生の可能性について様々な報告書が出されていましたよね。二〇〇一年の米国食品安全医薬局の、医薬品局の調査報告や、さらに、二〇〇二年の二月の米国会計検査院の調査報告、これらの資料というのは、日本のこの技術検討会に出されて検討されていたんでしょうか。これ、イエスかノーで簡潔に答えてください。
  107. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) これは、既に平成十六年の二月十八日の予算委員会での質疑の中でもう答弁がございますけれども、米国、カナダの意向を確認して、提出に異存のない旨の回答があった場合には提出するということで国会で答弁をさせていただいております。
  108. 紙智子

    ○紙智子君 検討会に出していなかったですよね。技術検討会には出していなかったんですね。
  109. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 技術検討会には出しておりませんでした。
  110. 紙智子

    ○紙智子君 出されてもいないし、検討されてもいないということだったと思うんです。  この二つの報告書にじゃどういうことが書いてあったのかということで、もう一つこれ見てほしいんですけれども、(資料提示)ごらんのように、一つは医薬局の調査、飼料工場における肉骨粉の牛の飼料への混入防止について対策不十分と、それから、二〇〇二年の会計監査の方は、牛の検査体制の不備、肉骨粉規制の不徹底などを挙げて、米国でのBSE発生の危険性を指摘と、こういうふうに指摘をされて、これは米国の国内の中でも報告が上がっていたものなんですよ。それを、日本の中では検討会にも出さないで議論もしていなかったということなんです。  そうなりますと、初めから、これ検討会自身がアメリカのその牛肉、アメリカは問題ないという結論を導くためにやった検討会じゃないかというふうに指摘をしている当時の委員もいるわけですよ。幾ら政府がまあ都合のいい資料だけでやろうとしても、実際のでも検討会の会議の中では、これはBSEの発生の可能性はあるということが議論されていたわけです。  総理、EUは一九九九年から実は、このアメリカのBSEの危険性ということで、もうその当時から危険部位のその輸入については止めていたわけです。しかし、日本では、これは危険性を知りながらも、それを隠したままアメリカの言わば危険部位の輸入を続けていて、国民はこの危ないものを食べさせられ続けていたと。これに対してどのように国民に釈明をされますか。総理
  111. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) アメリカでのこの二つの報告書は公になっている報告書でございます。ですから、隠したとかそういうことではなくて、当時食品安全委員会という組織はございませんでしたから、農林省の中の検討委員会での検討の中の資料としては提出しませんでしたけれども、決して隠したものではございません。
  112. 紙智子

    ○紙智子君 今、私、総理に聞いたんです。EUはこういう対応を取ってきたけど、日本ではこれ食べ続けていたということに対してどう釈明するんですか。総理
  113. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 中川農水大臣の答弁したとおりであります。
  114. 紙智子

    ○紙智子君 それじゃ全然納得できないですよ。ちょっと、もう一回ちゃんとやってください。
  115. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) ですから、二〇〇一年の三月に、日本の中で当時は食品安全委員会という組織はございませんでしたから、リスク管理、リスク評価という仕分はきちっと政府の中でできていませんでしたから、そういう中で農林水産省がリスク評価的な仕事をやっていたわけであります。それが検討委員会でございます。  そういう中で、二〇〇一年の三月から始めている、始めたわけでございますけれども、その間に報告書が出たわけでございますけれども、その間に今度はカナダでBSEが発生をしたと。そして、その間に、日本で調べた報告書、あるいはアメリカで調べた報告書を訳しているうちに発生をしたので、これはもう報告書としての意味を成さないということになっていったわけでございまして、したがって、検討委員会報告をする必要がなくなってしまった。もちろん、公表されていますから、決して隠しているわけではございませんけれども、その間に日本で発生し、カナダで発生し、そしてアメリカで発生するという、次々に日米、カナダ、アメリカで発生をしてきたということでございます。  それと、今回の米国産で発生を、二年前の十二月に発生をしたということによってストップをしたと、それによって今徹底的に食品安全委員会を中心にしてリスク評価の作業に入ったという、新しい作業の段階に入ったということに御理解いただきたいと思います。
  116. 紙智子

    ○紙智子君 いろいろ言われましたけど、全然理由にならないですよ、はっきり言って。実際に国民の中ではそのことを知らされないで食べされ続けていたわけです。検討会に出されていて議論になっていたら、もっと早くストップすることできていたわけです。そのことに対する反省が全然ないと。  それで、私はやっぱりこの問題については過去の問題じゃないんですよね。今につながる問題だと。過去そういう誤った対応をしてきたことに対してちゃんと正していかなければ、また同じことを繰り返すことになると、そういうふうに思うんです。明日から米国産牛肉の輸入再開の日米協議が始まるということでは、これまでのこういった誤った態度を本当に変えて臨んで、間違いのない、誤りを繰り返さないということを指摘をさせていただいて、私の質問を終わります。
  117. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で紙智子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  118. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、福島みずほ君の質疑を行います。福島みずほ君。
  119. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  総理とは憲法について議論をしたいと思います。  憲法とはそもそも何か。憲法とは国民の基本的人権を守るために国家権力を縛るものです。総理、そう思われますね。
  120. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 憲法とは何ぞやと。日本におきましては、あらゆる法律の基本となるものですから、自由と民主主義を守り、国民の基本的な人権の重要性を規定した大事な基本法であります。
  121. 福島みずほ

    福島みずほ君 近代憲法、憲法とは何か。国家権力を、基本的人権を守るために国家権力を縛るものです。だから重要。ただし、自民党の新憲法草案が発表されました。国民は国家と社会に対し愛情と気概と責任感を持てという中身になっています。これは逆転をしています。国家が個人に命令をするものであってはなりません。近代憲法ではない。自民党の新憲法草案は、国家が国民に対して責務を要する、愛情を持てと命令をする。これは近代憲法として認めることはできません。  家族が愛している、あるいは私も日本の自然は大好きです。この国の行方をとても案じています。しかし、そのことは強制をされてはいけない、国民は強制をされてはいけないのです。日の丸・君が代、国旗・国歌法で強制をしないと言ったにもかかわらず、現場は音量チェックや一人一人歌っているかどうかをチェックするすざまじい事態になっています。これを強制と言わずに何と言うか。教育基本法に国を愛する心を育てると書けば、それが現場でどんなひどいことになっていくか、どんな強制を生むのか。  憲法に国を愛せよと責任、責務を設けることが、それが国民の内心に国家が介入をしていく。教育には公権力は入ってはいけない、これは日本の戦前の教育の反省から生まれたものです。国家が個人の内心に入っていく、これは問題だと考えますが、いかがですか。
  122. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、憲法にしても国家にしても、国民の権利を守ると、基本的人権を守ると同時に、その守るためには権力というものが必要なんですね。この両面が必要なんです。権利が大事であるということと同時に義務も重要であると。権力がなければ国民の安全守れないんです。その辺の調整、よく考えないと、単なる国家が国民を支配するということだけじゃないんです。そこを、ただただ国民の権利を守る、で、国家の義務がなかったら国民の権利守れないじゃないですか。そう思いませんか。その辺はよく考えていただかないと。
  123. 福島みずほ

    福島みずほ君 憲法は政教分離と思想・良心の自由、信教の自由を規定をしています。政教分離は権力に対して、行政権に対して、国家権力、権力者、あなたに対して政教分離を守れということが規定をされています。国民の思想・良心の自由や信教の自由は今かなり危ない、どんどんどんどん制限されている。学校現場はどうか。個人の内心に本当に踏み込んでいるんじゃないか。そういうときに、政教分離はあなたに課されている。しかし、国民の権利を守るのはあなたなんだから、政教分離をきちっとして国民の信教の自由を守るべきなんです。そこが逆転をしています。  自民党の憲法草案前文は、今の日本国憲法の次のような条文を削除しています。「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、」という文章が削除されています。なぜ過去の戦争への反省と政府が戦争を起こさないようにというこの条項が削られているんですか。
  124. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これから議論される問題であります。
  125. 福島みずほ

    福島みずほ君 しかし、憲法前文でこれが削られていることが問題です。過去の歴史認識を踏まえない、戦争への反省をなぜ削除するのかと思います。国家と国民の魂の自由を守る日本国憲法の大事さを国会の中でこそ実現すべきです。  以上で質問を終わります。
  126. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で福島みずほ君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて安全に関する集中審議は終了いたしました。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  127. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  平成十八年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日午後は、締めくくり質疑を六十分行うこととし、各会派への割当て時間は、民主党・新緑風会四十一分、公明党十一分、日本共産党五分、社会民主党・護憲連合三分とすること、質疑順位につきましてはお手元の通告表のとおりでございます。     ─────────────
  128. 小野清子

    委員長小野清子君) 休憩前に引き続き、平成十八年度総予算三案を一括して議題といたします。  これより締めくくり質疑に入ります。平野達男君。
  129. 平野達男

    ○平野達男君 民主党・新緑風会の平野でございます。  いよいよ十五日間にわたって行われた予算委員会審議も締めくくり総括ということになりました。今日は、主として財政再建その他に焦点を絞りまして、その他にというのを入れたら焦点絞れるのかどうかという感じもしますが、ちょっと質問させていただきたいと思います。  この予算委員会の開催中の大きな出来事といいますと、何といってもやっぱり日本銀行による量的緩和の解除ではなかったかというふうに思っています。  そこで、通告申し上げた事項とちょっと順序が違いますけれども、量的緩和解除をされまして約二十日間過ぎました。一部には長期金利、国債の長期金利がちょっと上がり過ぎじゃないかということを懸念する向きもございましたけれども、総理、日銀の判断、尊重されるというふうにマスコミのインタビューに答えておられましたけれども、二十日過ぎて、この量的緩和の解除、結果的にどういうような印象を持っておられるか、ちょっとお聞かせ願えるでしょうか。
  130. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 市場を見ましても冷静に判断していると、的確ではなかったかなと思っております。
  131. 平野達男

    ○平野達男君 片道らしい極めて短い答弁ですね。  この量的緩和の解除が終わりますと、次はいよいよデフレ脱却ということが併せて大きな焦点になってくるかと思います。そこで、この今の現下の経済の状況それからデフレ脱却の出口に向けた道筋、総理はどのようにごらんになっておるでしょうか。
  132. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) デフレ脱却というのは、専門家の分析はともかく、我々素人から判断すれば、物価が持続的に下落している状況を直していくといいますか、もうこれ以上物価の下落はないであろうと、ゼロ%以上の状況が続いていくというのがデフレ脱却というような定義と一般的にはとらえていいと思うんです。  しかし、正確に、専門家的に判断すれば、これは経済財政を担当する内閣府が関係府省と連携して政府として判断する問題だと思っております。
  133. 平野達男

    ○平野達男君 構造改革と経済財政の中期展望、いわゆる二〇〇五年度基本指針というんでしょうか、これにデフレのことが書いてありまして、ちょっと分かりづらい表現をしているんですね。構造改革を推進し、デフレからの脱却を確実なものとしつつ、新たな成長に向けた基盤の重点強化を図ると言っているんですが、これは小泉内閣としてデフレ脱却を目指したものなのか、デフレ脱却を確実的なものにするという基盤強化を宣言したものなのか、これはどちらなんでしょうか。ちょっと細かい問題で申し訳ありませんが。
  134. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これはデフレ脱却を確実なものにしていきたいと、そのための様々な改革を進めていると、経済活性化策を取っているというふうに御理解いただきたいと思います。
  135. 平野達男

    ○平野達男君 そうすると、二〇〇五年度、二〇〇六年度の二年間でデフレ脱却を目指したものではないと、あくまでも脱却を確実的なものにするための基盤強化だというふうに理解してよろしいんでしょうか。
  136. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 確実なものにしていきたいと思っております。
  137. 平野達男

    ○平野達男君 そうすると、マスコミは、小泉内閣は九月までにデフレ脱却宣言したいんじゃないかとかいろんなことを言っていますけれども、そういうことは今のところ頭には、念頭にはないと、そういう理解でよろしいでしょうか。
  138. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私の任期中に何かをしたいとか宣言をしたいとか、そういう考えを私は持っていないんです。要は、必要な改革をしっかりしていきたいと、改革の路線をしっかりした軌道に乗せたいと、そして経済を活性化させていきたい、国民生活を豊かな方向に導いていきたいと、そういう気持ちでおります。
  139. 平野達男

    ○平野達男君 なかなか、答弁の裏を読めという答弁なんでしょうか。取りあえずは素直に取っておきたいと思います。  そこで、デフレ脱却の定義ということでございますけれども、これについては三月六日の基本的質疑のときに私が質問いたしまして、理事会扱いという形になりました。三月十五日でしたか、十六日でしたか、その見解が政府の公式見解ということで出されております。それを御紹介いただけるでしょうか。
  140. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 理事会でお配りした紙のとおりでございます。
  141. 平野達男

    ○平野達男君 委員会ですから、これを今聞いている方は紙見てませんから、それをやっぱり紹介するのが筋じゃないでしょうか。片道ですからゆっくり時間掛けていただいて結構ですから。
  142. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) まず、デフレ脱却宣言ですけれども、これは桜の開花宣言とか梅雨明け宣言とかというものとは多分全く違うものだろうと思っております。  それは、デフレを脱却したかどうかというのは、ここに書いてありますとおり、物価の継続的な下落が歯止めが掛かったと、またそういうことが将来起こらないだろうという十分な予想が付く、そういうことでございますけれども、そのために一つ二つの指標だけで判断するものではなく、たくさんの経済指標を見ながら、また景気全体を考えながら、日本経済が到達したところはもはやデフレではないという考え方を総合的に判断するということだろうと私は考えております。
  143. 平野達男

    ○平野達男君 いろんな指標の中で、このデフレ脱却の定義と判断についてどういう指標を挙げられているか、それだけちょっと御説明いただけるでしょうか。
  144. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 当然のごとく、消費者物価指数、卸売物価指数、また株価の水準、為替の水準あるいはGDPの動向、また輸出の状況、デフレーターはどうなっているか、もろもろのことを全部見渡して総合的に判断するというのがデフレを脱却したかどうかということには必要なんだろうと思っております。
  145. 平野達男

    ○平野達男君 単純な疑問ですけれども、そんな指標を総合的に見渡して判断できる人なんていますかね。
  146. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) グリーンスパンさんはおふろにつかりながら五十ぐらいの指標を眺めていたと言われていますから、多分みんなで取り掛かればたくさんの指標に基づいて判断できると私は考えております。
  147. 平野達男

    ○平野達男君 そんな指標持ち出してみんなで議論したら話なんかまとまらないんじゃないですか。最終的に判断されるのは多分与謝野大臣だと思うんですが、それは御自身そういう要素をどのように判断されるんですか。
  148. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 私は、経済学者でもありませんし、ただの政治家でございますから、世の中の識者の意見をよく聞きながら判断していきたいと思っております。
  149. 平野達男

    ○平野達男君 先ほど桜の開花宣言ではないというふうに言いましたけれども、デフレ脱却というのはそうしたらどういう形で内閣から情報を発信されるんでしょうか。月例経済報告という形なのか、あるいは別途記者会見でもやられてやる予定なのか。
  150. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 桜は、九段辺りの桜の木一本に目を付けて、ここが咲けば開花宣言に東京ではなりますけれども、デフレの場合は、ただ一つの指標で物を決めるということでは多分ないんだろうと思います。それと同時に、経済指標というものは、実際の経済の動きより更に数か月遅れて出てまいりますから、多分そのデフレ脱却の判断も、ああ、あのとき脱却したんだなという判断に私は多分ならざるを得ないんじゃないかなと、そのように思っております。
  151. 平野達男

    ○平野達男君 いや、ですからその判断はどういう形で情報発信をするかということをお聞きしているわけです。
  152. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) それは政府全体として判断をして、政府としての経済見通しの中であのとき脱却したという判断は多分できる時期が来ると思いますけれども、それはいつになるか分かりませんし、また先ほどから申し上げていますように、言わば一つの指標に基づいてやることではなくて、いろいろな指標の総合的判断、また景気、経済に対する見通しの上に立っての判断であると私は思っております。
  153. 平野達男

    ○平野達男君 ちょっとかみ合っていませんが、要は単純な話なんです。デフレ脱却しましたということを国民は何を見れば分かるんですか、何を聞けば分かるんですかということをお聞きしているわけです。
  154. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 要するに二つございまして、一つは名目で見た場合の日本の経済全体が一九九七年を頂点にしてずっと下がってまいりました。で、ようやく二〇〇五年になりまして五百兆の線をもう一度超えたと、そういう意味での名目での日本の経済の大きさの問題もありますし、それから、そこに書いてございますような物価の下落が継続的に起こるということはもうないと、そういうことを確信できるそういう段階、また将来そういうことが引き続き起こらないという確信、これはもう言わば総合的な判断でありまして、一つ二つの指標ですべてが分かるというものではないと私は思っております。
  155. 平野達男

    ○平野達男君 そういうことを聞いているんじゃないんです。いずれ政府は、難しい判断だけれども、どっかでデフレ脱却ということを言うわけです。それを、例えば月例経済報告という形で出すのか、あるいは閣議決定しました、閣議決定というか記者会見という形で発表するのか、そういうことまで頭の中に入れながらもやっているんですかということです。
  156. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) いつも政府は経済に関する見通しについては淡々と発表しております。この件につきましても、多分、どういう場で発表するかどうかということは決めておりませんけれども、そういうことを国民に対して申し上げることが必要だと思われる時期に確実な根拠に基づいて申し上げると。そういうときはいずれ来ると思いますけれども、いずれにしても、先ほど申し上げましたように、経済の指標は遅れて出てまいりますから、脱却の瞬間ではなくて、数か月遅れた指標に基づいてお話をすると、そういうことになると思っております。
  157. 平野達男

    ○平野達男君 今の各要素の中の需給ギャップ、消費者物価指数、GDPデフレーター、それからユニット・レーバー・コスト、この四つの要素が重要だとは与謝野大臣は言いませんでしたけれども、この四つの要素が今どういう状況になっているか、ちょっと御説明いただけるでしょうか。
  158. 高橋進

    政府参考人(高橋進君) お尋ねの四つの指標でございます。  まず、消費者物価指数、これは生鮮食品を除く総合で見ておりますけれども、昨年十一月以降、前年比でプラスが続いております。しかしながら、石油製品価格が押し上げ要因として働いていることや前年に実施された公共料金引下げの影響が剥落したことと、こういった特殊要因を除きますと、前年比でゼロ近傍で推移しております。  二つ目でございますが、GDPデフレーターでございますけれども、こちらは前年比で三十一四半期連続のマイナスが続いております。  三番目、GDPギャップでございます。これは経済全体の需給状況を示すものでございまして、潜在的なGDPと実際のGDPの差で計算いたします。  こちらは、景気回復の継続により改善傾向にあり、推計では二〇〇五年十—十二月期にはプラスに転じたと思われます。ただし、GDPギャップは推計方法によりその結果が大きく左右されることから、その水準については符号も含めて幅を持ってみる必要があるというふうに思います。  四番目でございますが、賃金面からの物価上昇圧力を示すユニット・レーバー・コスト、単位当たりの労働費用でございますが、こちらは前年比でマイナスが続いておりますが、基調としては下落幅は縮小傾向にあると思います。  以上でございます。
  159. 平野達男

    ○平野達男君 与謝野大臣に一点だけ確認します。  GDPデフレーターは非常に重要な要素だと私も思っていますし、一般にもそういうふうに思われています。GDPデフレーターがマイナスという状況の中でもデフレ脱却というのはあり得るんでしょうか。
  160. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 実は、GDPデフレーターには経済の状況を本当に表しているかどうかという部分がございまして、それは原油価格が上昇をいたしますと、国内物価は上がるんだけどGDPデフレーターは下がるということがありまして、そういう意味では国内だけのデフレーターを使ったらどうかという説をなす方もおられます。当然のこととしてもちろん重要な数字でございますけれども、やはりそのほかにも消費者物価の動向、あるいは景気、経済全体の動向というものを総合的に判断していくということであり、また内閣府だけではなく関係省庁あるいは官邸ともよくお打合せしながら最終的な判断を下していくということが私は正しい道筋ではないかと思っております。
  161. 平野達男

    ○平野達男君 何ともはやストレートに、質問をストレートにやっているつもりなんですが、答えがストレートに返ってきませんね。もう一度だけお聞きします。GDPデフレーターがマイナスの状況でもデフレ脱却宣言というのはあり得るかどうかということです。
  162. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) それは、当然のこととして理論的にはあり得る話だと思います。
  163. 平野達男

    ○平野達男君 ここまでるる何でこういうふうにデフレ脱却の定義とか各要素について議論したかというふうにいいますと、今皆さん方お聞きになって分かると思いますけれども、デフレ脱却の宣言、宣言というか定義というのは一応されていますが、どういう形で判断するかというのはよく分からないんですよね。(発言する者あり)それで、難しいという言葉が後ろに出ていますけれども、難しいじゃ困るんですよ。今、これからの経済の動向を見たときに、デフレ脱却がどういうタイミングでされるか、いつされるか、どういう判断でされるかというのは見ていますから、市場が。それが今みたいに五十の要素だとか、この要素だと言えばいろいろ総合的な要素で加味してどうのこうのといったら、だれがどうやって判断するのかいよいよ分からなくなります。  今の与謝野大臣の答弁聞いていますと、いろんな難しい難しいと言って、最終的な責任者としては与謝野大臣ですよ、本当に判断できるのかというふうに疑問になってきます。そこをどのように判断されるか、もう一度ちょっと。
  164. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 一つの指標で判断できる状況であればそれは簡単なことでございますけれども、デフレかどうか、デフレを脱却したかどうかというのは日本経済に対する総合的な判断そのものでございまして、それは当然いずれはせざるを得ないと思いますけれども、ただ一つの指標に頼ったり二つだけの指標に頼ったりということではなくて、例えば物価とあるいは景気全体というような考え方できちんと判断をする時期が来ると思っております。
  165. 平野達男

    ○平野達男君 私が気になるのは政治的バイアスです。タイミングねらって政治的な理由でデフレ脱却をされたらたまらぬと思っています。今のお話でしたら、いかにでも政治的バイアス掛けられる、何にも今説明していませんから。今の御答弁を聞いて、私が、じゃデフレ脱却と、何を見ようかといっても何の手掛かりもないです。とにかく要素をだらだらだらだら一杯挙げましてどれを見ても分からないと、総合的だ総合的だと言われますから。  そこで、私は、与謝野大臣責任者であるともう私はまずいと思っています。なぜかといいますと政治家ですから。これはプロが判断するべき話だと思うんです。だから、これは、こういった経済のいろんな学者、専門家集まって、是非このデフレ脱却の定義というものについての指標の見方というのをこれ議論していただきたいと思うんですが、どうでしょうか。
  166. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 先ほど答弁申し上げましたように、識者のお考えも十分聞いた上で、また関係省庁ともきちんと連絡を取り、意見を伺った上で判断するということであると思っております。
  167. 平野達男

    ○平野達男君 ですから、識者の意見を伺うのは、デフレ脱却しましたかということを意見を伺ってもしようがないと思います。多分、人によって言い方が随分違いますから。  その中で、デフレ脱却というのはどういう基準で判断しますかというようなことを識者に聞いて、ある程度透明化した形でやっぱりすべきだと思いますけれども、どのように思われますか。
  168. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 理事会にお配りし、また先生のお手元にあるとおり、「デフレ脱却の定義と判断について」は紙でお答えしておりますけれども、このデフレ脱却の判断は政府として判断するということでございます。
  169. 平野達男

    ○平野達男君 いや、ですから、私は何でこの公式見解もらって、何で時間を掛けてこんな質問しているかというと、これで納得していないからです。政府として判断すると言われても、どういう判断で、どういう基準で、どういう考え方というのがさっぱり見えていませんから、私は。多分、聞いている方も見えていないと思います。だから、それを透明化する努力をしてくださいと言っているわけです。  もう一度お願いします。
  170. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) デフレ脱却の判断の言わば公式があれば、それは大変説明しづらいわけでございますけれども、デフレ脱却をしたかどうかというのは言わばいろいろな指標を見、また日本の景気、また日本の経済の将来等をすべて総合的に勘案した上での判断であり、これは政府として判断をし、国民の前に明らかにする時期が来ると、これは申し上げているわけでございます。
  171. 平野達男

    ○平野達男君 この議論、もっともっと続けたいんですけれども、いずれ水掛け論に終わるかもしれません。  ただ、気になるのは、繰り返しになりますけれども、政治的バイアスです。これだけです。これをなくすためにどうすればいいか、それが国民にも見えるようにしていただきたいということを再度申し上げておきたいと思います。  今日は日銀総裁にもおいでいただきました。デフレという用語を日本銀行は余り使っていないように思います。むしろ意図的に避けているように思いますけれども、それはどのような理由からなんでしょうか。
  172. 福井俊彦

    参考人(福井俊彦君) お答え申し上げます。  私ども、デフレーションという言葉、インフレーションという言葉、ともに経済のバランスを欠いた状況でありますので、余り好きな言葉でないことは確かでございます。しかし、現局面で無理にデフレという言葉を避けているわけではございません。  委員からもしばしば御質問をいただきまして、私どもも真剣に考えておりますが、やはり何回考えましても、デフレ脱却の時点というのは、やはりごらんになられる様々な方々によってどうもやっぱり見解が多少分かれると。恐らく、専門家を集めた場合でも、かなり見解は違うんじゃないかなというふうに推察できるわけでございます。  つまり、あらゆる人がある時点で全員納得されるというふうな、そういうポイントを見いだすことというのは容易でないような気がいたしておりまして、したがいまして私ども、金融政策運営上一番大切なことは、景気が持続的な回復を続ける下で物価が基調として下落から安定的にプラスに行くことだと。物価指数だけがいい格好になっても駄目で、経済そのものがいい方向に動くということと合体してやっぱり判断しなきゃならないということであるというふうに思っています。  私ども、難しい判断ですけれども、政策決定会合を回を重ねるごとに、あるいはふだんからもそういう判断を磨く努力をしておりますが、現状におきまして日本経済、特にこの物価の動き、こうした望ましい方向に向けて着実に歩みを進めているというふうに判断いたしております。
  173. 平野達男

    ○平野達男君 そうしますと、デフレ脱却というのは日銀として判断をすることはないと、むしろ政府が判断をして、それに従うという、そういう理解でよろしいんでしょうか。
  174. 福井俊彦

    参考人(福井俊彦君) 量的緩和政策枠組み脱却のときにも委員会でしばしば答弁させていただきましたけれども、金融政策というのは、刻々と連続線上で変化する経済ないし物価情勢に対して最もいいタイミングできめ細かく政策を打ち出していく、これが物価の安定の下で経済が持続的な回復ないし拡大をたどっていくために最も決め手になる金融政策だと、こういう考えを持っております。  したがいまして、デフレ脱却の時点を定義し、かつそこに縛りを設けて金融政策をため込んで行うということは決して好ましくないんだろうというふうに考えております。
  175. 平野達男

    ○平野達男君 安倍官房長官にお伺いします。  官房長官は、十五日か何かの記者会見で、ゼロ金利はデフレ脱却まで続けるべきである、続けてもらいたいという発言をされたということがいろんなマスコミに載っておりますけれども、この真意はどこにあるんでしょうか。
  176. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 私が記者会見で申し上げましたことは、ゼロ金利をデフレ脱却まで続けてもらいたいということではなくて、正確に申し上げますと、現在の物価の基調的な動向を総合的に見ますと少しずつ改善をしている、しかしまだ緩やかなデフレ状況にあるという認識でございまして、このような中で、三月九日の量的緩和政策の解除に当たっては、日銀から、解除後もいわゆるゼロ金利を継続することにより、引き続き経済を十分に支えるとの姿勢が示されたわけでありまして、その日銀の判断を尊重するとしたところであります。  金融政策は日銀の所管でありますが、平成十八年度中のデフレ脱却という重要な政策目標が達成され、逆戻りすることのないよう、日銀において政府と一体となって引き続き責任を持って取り組んでいただきたいというふうに考えています。具体的には、ゼロ金利の継続により金融面から経済を十分に支えていただく必要があると、このように考えているわけでございます。
  177. 平野達男

    ○平野達男君 そうすると、デフレ脱却とゼロ金利の継続ということをリンクさせたわけではないと、こういう御答弁ですか。
  178. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) リンクさせたわけではございません。
  179. 平野達男

    ○平野達男君 マスコミの報道の仕方が間違っていたということですね。そこで、今ちょっと矛盾をつこうと思いましたけれども、どうもその試みは空振りに終わったようであります。その今のような説明であれば、与謝野大臣のゼロ金利解除を議論するのは早過ぎる、それから谷垣大臣の言う、ゼロ金利解除云々はもう日銀の判断するマターであるということと平仄は合っていると思います。ただ、この新聞記事でありますと、内閣不統一、内閣不一致と言われかねませんので、この辺りは自分の本意ではないということだったんですけれども、気を付けられた方がいいんじゃないかなというふうに思います。  日銀総裁、私は、委員長がよければ結構でございますので。  それから、総理にお伺いしますけれども、これから政府と日銀との一体性ということを考えていく上で、日銀の金利調整を果たす、金利調整方針を定める上で今まで大きな違いが一つあると思います。それは、国がすごい借金を抱えたことです。日銀の金利調整方針が国の財政にはすごい影響を与えます。これからの日銀の独立性と政府と日銀の一体性といいますか協調性というのは、それをどうやって両立させていくのか、その見解をちょっとお伺いしたいと思います。総理に。
  180. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 政府としての政策、これをやっぱり日銀もよく理解していただきたいと。政府の政策におきまして様々な政策手段はありますが、金融におきましては日銀が大きな権限を握っております。  そういう観点から、財政金融政策等政府の方向としては目指す方向があるわけでありますが、専権事項である金融政策の具体的な手段におきましては日銀の判断を尊重していきたい、しかしその方向性、よく協力しながら見極めていこうということでございます。
  181. 平野達男

    ○平野達男君 与謝野大臣は、エコノミストには流派があるというふうにおっしゃいましたですね、エコノミストでしたか経済学者でしたか、流派があるということをこの予算委員会でおっしゃったと思います。竹中大臣はどういう流派に属しておられますか。
  182. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 御自分で家元を持っておられるんじゃないかと、竹中流のようでございます。
  183. 平野達男

    ○平野達男君 竹中流の流派の中身を聞きたいんですが、まあそんなこと言っている時間がありませんので、その流派という言葉が出ましたんで、私は財政再建の方針をめぐって少なくとも政府内には二つの流派があるんじゃないかと思います。名目成長率と名目金利との関係で、一方で名目金利をちょっと高めに設定する、一方で名目成長率を高めに設定するという二つの流派がありますが、これについての御認識、与謝野大臣、どのように持っておられますか。
  184. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) まず、日本の経済を発展させようということを考えた場合の成長率、これはやや高めの成長率を目指してみんなで頑張ると、これは非常に大事なことですし、むしろ目標を低くするとかえっていけないと思っております。そういう意味では経済として到達すべき目標は高く置く、ただ国の財政は一種の家計でございますから、その部分はやはり用心深い前提を置く、こういう二つは考え方として両立すると私は思っております。  そこで、成長率と、名目成長率と名目金利の関係は財政諮問会議でも非常に学問的な議論もいたしましたけれども、想定としてはいろいろな組合せの想定、計算をいたしたいと思っております。
  185. 平野達男

    ○平野達男君 仮に成長率を高めに設定して余り増税に頼らない流派をそれ行けどんどん派として、名目金利を名目成長率より少し高く設定して余り、失礼しました、成長率を高めに設定し、増税に頼らない方を、増税に、それ行けどんどん派ですね。ごめんなさい、何を言っているのか分からなくなりました。それから、名目金利を名目成長率より高く設定して、どちらかというと最終的には幾分増税に頼るというのをこれ堅実派としますと、総理はどちらの流派にくみしますか。
  186. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 政策目標として、できるだけ将来、増税をする場合におきましても低く抑えたいと。日本の様々な潜在力を顕在化させることによって経済活性化を図っていく。その際に、経済成長率を低めに見積もって堅く見て、高ければそれだけ増税幅が少なくて済むという見方と、ある程度できる可能性があるんだから決して高くはないと、この程度の成長率は見込めるというのを、人の見方によってはこれは高過ぎるんじゃないかという見方があると。そういう見方がありますから、私は一つに決め打ちする必要はないと。選択肢を提示している。それは長期的な見通しですから、五年先、十年先、この想定が当たったためし余りないんですから、決め打ちする必要はないと。選択肢を提供して、毎年度の予算というのは、どの項目を削減してどの項目を増やすかというのは年度ごとに、一年ごとに決まってくるわけです。そういうことやった方がいいのではないかと。  ですから、余り一つの方向を決めることではなくて、複数提示して、それに向かって年度ごとにあるべき成長率を目指して努力していった方がいいのではないかなと。これは何流かと聞かれても、小泉流とも言えないしね。常識的な見方じゃないでしょうか。
  187. 平野達男

    ○平野達男君 いろんな試算を提供するというのはいいと思います。しかし、問題はそこからどうするかでありまして、つまり増税をどのタイミングでやっていくか、どの程度をやっていくか、いや余りやらなくてもいいんじゃないかという判断は、その試算の中からどれを選択するかによって変わってくるわけです。この選択をどこかの段階でせにゃいかぬと思います。  今私は、今の総理の御見解を伺っていますと、一杯試算出して、その毎年毎年数字見ながらやっていけばいいんだという話なんですが、それでは政策立てられないと思うんですが、総理は九月までにそのいろんなある試算をこうある程度狭めていく、決め打ちはしないと言いましたけれども、そういう作業をやるおつもりありますか。
  188. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは選択肢ということを考えれば、専門家の見地から立てば何通りもできます。しかし、限度があるでしょう。国民に理解しやすいような選択肢となれば、十や二十という選択肢を提示するわけじゃありません。二つか三つか四つか、まあせいぜい多くても五つかそこらでしょう。そういう中で、こういう方向で将来このような試算だとこのぐらいの歳出削減が必要だと、歳出削減が無理だったらこれだけの増税が必要だというのはその試算によって出てくるでしょう。  しかし、現実にこの年度末、十二月の予算考えると、来年度はどうなるかと、どういう歳出削減が必要か、足りない場合はどういう国債発行が必要か、増税が必要かというのは一年ごとに政治の場で決まってくるんですから。そこは専門家で一つの線に沿って来年度を決めるというんじゃなくて、将来を眺めながら来年度はどうするかという政治判断が必要だと、そういう点で複数の選択肢が必要だということを申し上げているわけです。
  189. 平野達男

    ○平野達男君 その複数の選択肢というのは、具体的に言ったら、例えば増税がどの程度必要であるとか、歳出カットがどれだけ必要であるっていうレンジを設けて示すとか、そういう形になって出てくるんでしょうか。
  190. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは五年後、十年後によって違うと思いますし、その志向、目標というのは、具体的な、じゃどの事業費を削減してどの事業費を増やすかというのは政治判断が大きく左右します。その点によっても違いますから、その点を勘案しながら数年先の一つのあるべき姿、実現可能性の姿を示して、そして今年の十二月の予算編成のときには、それでは来年はどうするかという、削減幅をどの程度にするか、国債発行枠をどの程度にするか、増税はどの程度にするかということを考えるべきじゃないでしょうか。
  191. 平野達男

    ○平野達男君 いずれ、前の基本的質疑のときにも申し上げましたけれども、これからの財政上の最大課題というのはこの膨れ上がった債務をどうやって処理していくかということだと思います。そのためにいろんな今試算をしているんだと思います。試算を出してそれで終わりではなくて、ある方向性、かなり、まあ一つの選択肢にならないというのはそのとおりだと思うんですけども、ある方向性が見えるような形にするというのが少なくとも九月までの私は総理大臣としてのやっぱり使命だと思いますので、そのところの覚悟をもう一度御披瀝願いたいと思いますけれども。
  192. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、九月までには大体の想定はできてくる、姿が出てくるんじゃないかと思っています。  私が就任したときの想定と現在は違っているわけですから。わずか五年間でも全然違っているわけですよ。予想よりもかなり改善されて、良くなっているんです。だから、これから五年先の見た場合に、計算、こう政策判断なしに技術的に一定の前提を置いてやる目標と、政策努力によって、政治の努力によって違ってくる部分が随分ある。その点を考えなきゃいけないと思っています。
  193. 平野達男

    ○平野達男君 別なテーマ、ちょっと関連して別なテーマなんですけれども、GDP比に対する債務残高の比率、これやっぱり私は下げるべき、下げる目標というか、ある一定の目標をやっぱり持つべきではないかと思いますけれども、与謝野大臣、どのようにお考えになっているでしょうか。
  194. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 当然、対GDP比債務残高が増え続けるということは、それは日本の財政の持続可能性を失わせることですから、平衡にするないしは若干対GDP比下げていくというところまで最終的な財政再建の目標はあるんだろうと思っております。
  195. 平野達男

    ○平野達男君 いや、ですから、その比率をある一定の枠、目標を定めるべきではないかという、そういう御質問だったんですが。
  196. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) ですから、どの程度ずつ下げていくのかということによってそのプライマリーバランスの黒字の幅が決まってまいります。どの程度のプライマリーバランスの黒字を達成したらいいかというのは、まだ諮問会議でも議論は終わっておりません。  したがいまして、断定的なことは申し上げられる段階ではありませんけれども、やはり国債が対GDP比少しずつでも下がっていくという状況をつくり出すということが極めて大事なことだろうと思っております。
  197. 平野達男

    ○平野達男君 今日はちょっとドーマーの定理とか何かもちょっといろいろ議論したかったんですが、時間がなくなってきましたんで一点だけ申し上げますけれども、竹中大臣はよくザ・デフィシットギャンブルという論文の名前を出しまして、この委員会でもいろいろ御紹介いただきましたけれども、ドーマーの定理とかのあれには債務残高という規模がすっぽり抜け落ちていて、名目成長率とそれから名目金利の関係だけになっちゃっているんですね。  ちなみに、このザ・デフィシットギャンブルという論文を読みますと、債務残高というのはGDP比にどれだけの比率だったら大丈夫かといったら一・〇から一・五だという目の子で、そういうふうに言っているわけですね。だから、今これだけのGDP比の中で債務残高が増えている国というのは今では多分日本だけですから、ここはもうちょっと真剣に議論してもいいんじゃないかということを申し上げておきたいと思います。  竹中大臣、何かコメントがございますれば、どうぞ。
  198. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 私たちはストックの議論をきちっとしております。そのドーマーの定理そのものも、金利と成長率の関係によりますけれども、ある条件下でストックを減らしていくことができるんだと、それを示しているのがドーマーの条件でございますので、そういうことを経済財政諮問会議で今しっかりと議論をしております。
  199. 平野達男

    ○平野達男君 しかも、このザ・デフィシットギャンブルについてもう一つ言いますと、これはあくまでも、長期的に見れば名目成長率は名目金利よりも高いんだという前提で議論しているんです。アメリカがそういうデータがあるからということで。だけど、日本の場合はそうならないかもしれない。いよいよもって、GDP比に対する債務残高をどういうふうに扱うかというのは非常に重要なテーマになってくるということを改めて申し上げておきたいと思います。  ちょっと次のテーマに移ります。  義務教と児童手当の補助率引下げがなされました。これは暫定的措置でしょうか、恒久的措置でしょうか。恒久的措置であれば、その恒久的措置の定義も併せて文科大臣と厚労大臣にちょっとお聞きしたいと思います。
  200. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 以前にも平野委員から御質問をいただいておりますけれども、今回の義務教育費の国庫負担制度の変更は、そもそも義務教育費の国庫負担制度そのものが、平成十六年末に政府・与党の合意におきまして、中教審の答申を得て十八年度に恒久措置を講ずるとされていたところでございます。これを踏まえまして、昨年末の政府・与党合意では、義務教育費の国庫負担制度はこれを堅持すると、このようにしておりまして、これを確認し、したがって今回の措置は恒久的なものと認識をいたしているところでございます。  また、このことにつきましては、そもそもが平成十四年度末の総務、財務、文部科学、三大臣合意において、「改革と展望」の期間中、すなわち十八年度末までに国庫負担金の全額の一般財源化についての検討ということになってスタートしたことでございます。それが昨年の政府・与党の合意で、これを、義務教育費国庫負担制度はこれを堅持するということが明記されたことによりまして、この議論は終結したものと私は認識をいたしているところでございます。
  201. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 三位一体改革をめぐる議論、生活保護、児童手当をめぐる議論の中で、最終的には知事さん、市長さん、そして総務大臣財務大臣入った下、官房長官の最終提案を受けて決定をいたしたものでございます。そういった意味では、法律改正もなされて、暫定的なものではございません。  しかし、一方、国会での議論考えていきますと、若い二人の夫婦に対する経済的支援、子供に対する経済的支援でございますけれども、諸外国と比較したときに、我が国は、税控除と、それから児童手当という手当と、それから企業による手当と、この三つで児童に対する手当というものは構成されております。そういう意味では、将来、この見直しがあるかと言われれば様々な議論が出てくるだろうと、こう考えております。
  202. 平野達男

    ○平野達男君 財務大臣総務大臣、どうですか。
  203. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今も御答弁がありましたように、いろんな観点からの議論がこれにはございました。しかし、議論を尽くして、こういう結論を出して、法案修正、法案も新たにお願いしているわけでございますから、この仕組みできっちり、まあ未来永劫全部、どこまでかと言われると私も答えに詰まりますが、私どもは今この打ち出した方針でしっかりやっていくべきものと考えております。
  204. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 財務大臣の御答弁のとおりでございます。
  205. 平野達男

    ○平野達男君 三位一体改革は、一連の政府・与党の基本方針なんかを踏まえてやっています。ただ、その政府・与党の基本方針、どこを見ても、補助率の引下げ、それから税源移譲という言葉はありません。それから、税源移譲についても、廃止したものの中でなおかつ継続が必要なものについて税源移譲をするということで、そういう記述しかないんですね。ところが、今回の義務教と児童手当についてはそれにないことをやっていますから、これは本当に恒久的措置なのか暫定措置なのか、ちょっと気になりましたんで御質問しました。恒久的措置だということで理解しましたので、そのように、それでよろしいかと思います。  それで、安倍官房長官、片山委員との質疑の中で、三位一体改革の二期対策をどうするんですかという質問に対して、これからも国から地方への税源移譲を当然更に進めていきたいと、こう考えていますというふうに答弁されています。このときの当然更に税源移譲ということなんですけれども、これ、具体的には何を、何か念頭に置いておられますか、何を財源にしているかということは。
  206. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 基本的に、更に地方分権をこれからも進めていく、たゆまぬこの改革を進めていくという中から、具体的にいわゆる税源移譲について、これを税源移譲していくということを決めたものではないわけでありまして、今後どのような改革を行っていくかは政府・与党でしっかりと議論をしていくわけでありますから、基本的には地域が、地方がいわゆるその地域の特性を生かして、自立的な精神の下に地方分権を進めていくと、そういう方向で更に政府としても進めていきたいという考えの下に申し上げたわけでございます。  具体的にどの税源を移譲するということの方針が決まっているわけではございません。
  207. 平野達男

    ○平野達男君 先ほどの答弁、各大臣の答弁を踏まえますと、まず仮に税源移譲をやるとしても、義務負担金、義務教の国庫負担補助率、補助金制度はこれ廃止しないと、補助率の見直しで一応決着付きましたんで。それを廃止した上での税源移譲というのは当面ないという、こういう理解でよろしいですね。
  208. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 補助率、今回の決定の補助率の問題でありますが、既に大臣から答弁申し上げているとおりであります。
  209. 平野達男

    ○平野達男君 それでは、引き続きまして、公正取引委員会による新聞の特殊指定見直しについて質問をしたいと思います。  まず先に基本的な認識としてちょっと総理にお伺いしておきますけれども、新聞の戸別配達システム、あるいはそれを支える同一紙同一価格制度というのは、これは情報が満遍なく伝わるという意味において、手段としての新聞、これを国民に同一価格で提供する、こういうシステムというのは重要な社会インフラではないかと思いますけれども、総理はどのように認識されておるでしょうか。
  210. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 新聞が各家に戸別に配達されるサービスというのは、私は望ましいと思っております。
  211. 平野達男

    ○平野達男君 同一紙同一価格制度というのはどのように、についてはどのように思われますか。
  212. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは公正取引委員会と新聞業界の意見が今違っているわけですけれども、再販制度、特殊指定制度、それぞれ議論があるところでありますので、よく協議していただきたいと。  私は、新聞の戸別配達、これは好ましいサービスだと思っております。
  213. 平野達男

    ○平野達男君 後で公取委員長にも答弁いただきますけれども、公取も再販制度は維持したらいいと言っているんです、同一紙同一価格制度いいじゃないかと。ただ、それを民民でやったらいいじゃないかと言っているのが公取の立場です。  総理は今の御答弁の中ではこの同一紙同一価格については答弁されませんでしたけれども、それでよろしいですか。
  214. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 同一紙同一価格でなければ戸別配達サービスが維持できないのかどうか、その点についても十分協議していただければいいんじゃないかと思っています。
  215. 平野達男

    ○平野達男君 じゃ、初めてお聞きの方もおられるかもしれませんので、竹島委員長、今どういう点で見直し、特殊指定の見直しが必要になっているのかということをかいつまんでちょっと御紹介いただけるでしょうか。
  216. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) ただいま公正取引委員会は、約五十年たっている古い特殊指定、全部で五つございましたが、それをゼロベースから見直しをさせていただいています。その中の一つが新聞の特殊指定ということでございます。  で、これについては今までも何回も議論したことがあるわけですが、今回私どもが提案しているのは、同じ公正取引委員会言うにはおかしいじゃないかという御批判もありますが、私は今の新聞の特殊指定というのは、独禁法に根拠を正当付けて説明できないというたぐいのものではないかということを申し上げているわけです。戸別配達が大事だとか、新聞の特殊性に十分配慮せいとか、活字文化について十分配慮せいと。十分にわきまえているつもりでございますが、それをやるための手段として現行の、およそ価格値引きはやっては独禁法違反になるということを決めている現行の新聞特殊指定というのは、これはおかしいということを申し上げている。何となれば、独禁法の規定によりますと、そういう値引きというのはよほどのことがなければ、不当廉売というようなことであれば別でございますが、そのまともな値引きというのは公正な競争を阻害するものでは全くなくて、むしろ多様な価格というのは消費者が望んでいるところであり、独禁法はそういう社会、経済取引を目指しているわけでございますので、それを丸々価格は値引きは一切いかぬというような新聞の特殊指定というのは、これは法的に難しいと。  一方、同一紙同一価格にするかどうか。これは新聞各社がお考えになることでありまして、公正取引委員会を含め私は政府が口出しをする話ではない。それは、売手と買手の間でどういう値を付けるのがいいのか。現に、消費者の中には長期購読割引というものがあってもいいではないかとか、口座振替をすれば割引でもいいじゃないかとか、そういう議論があるわけで、そういうことが今のこの特殊指定があるがゆえに一切できないことになっているわけです。そういうのではおかしいと、こういうことでございます。
  217. 平野達男

    ○平野達男君 今の竹島委員長の御答弁は、いわゆる独禁法の法律の体系の中に特殊指定、要するに価格競争をやってはいかぬという法的なその根拠を与えるのはなじまないという、こういう御説明だったと思いますね。ただ、私は言わせれば五十年もやってきて何を今更という感じはちょっとします。それから、あともうこれだけやってくればこれは十分市民権が、市民権という言葉が適切かどうか分かりませんが、法律としてその純粋に法理論的に問題はあるかもしれませんけれども、十分これは生きているんじゃないかという感じも、表現の妥当性は別として、強くします。  今、問題なのはですね、じゃ百歩譲って、それは私、法律の専門家ではありませんから、法律上確かに問題だといえばそれは見直しが必要かもしれません。ただし、この同一紙同一価格制度、これを民民でやるというのがこれ再販制度です。この再販制度だけではこれが維持できないと言っているのが新聞業界でもありますし、地域について、地域の、地方の方も、これはやっぱり同一紙同一価格制度っていいねという声があるんです。こういう声はしっかりとらまえて、独禁法の法律上の理由だけでこれを外してしまうというんじゃなくて、同一紙同一価格、これを民民に任せるんじゃなくて、法的に担保することも必要かもしれないということをしっかり議論した上で、独禁法だけの議論だけでこれを先行させるというのはちょっとこれは危険では、危険って言ったら言葉悪いんですけれども、今の現場のニーズ、地域のニーズに適合したものになっていないのではないかという思いが強くしますけれども、総理の御認識をちょっとお聞きしたいと思います。
  218. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、公取委員会と新聞業界との意見も今対立しているわけでありますので、今の御意見も踏まえてよく協議していくべき問題だと思っています。
  219. 平野達男

    ○平野達男君 私が言いたいのは、公正取引委員会と新聞業界だけの問題ではないんじゃないかということなんです。  つまり、竹島委員長のおっしゃっているのは、独禁法の法体系になじまないとおっしゃっているわけです。それは多分、法条の問題だろうと思うんです。しかし一方で、同一紙同一価格制度と、じゃ別な制度で多分担保する措置もあるんじゃないかと思うんですね。だから、その前に、この同一紙同一価格制度というのが本当に法的に担保すべきなのかどうかということも、独禁法の体系とは別に、別なカテゴリーでやっぱり議論していくことが私は必要だということを言いたいわけです。  もう一度、簡単でいいですから御答弁をお願いしたいと思います。
  220. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) それは私は、たばこのように定価法があって幾らだよというようなことに新聞がなっていいのかということと同じでございまして、私はそういう方法は良くない。各新聞社が価格政策、価格戦略として、自分のところは同じ、どこでもだれにでも同じ値段で売るというのはこれはもう自由でございますけれども、それでなければならないということを何らか法的な枠組みで決めるということはまずいのではないかと思っております。
  221. 平野達男

    ○平野達男君 私は、そのそういう法的枠組みで決めるのがまずいというのは、独禁法の体系の中ということでは理解しますが、少なくとも私は五十年間やってきたというこの実態の中でこれが定着してきたということは、これはやっぱり尊重しなくちゃならないというふうに思います。  この問題は、まだこれから六月までかけていろいろ議論するようですから、また折を見ていろいろ議論させていただきたいと思いますけれども、取りあえずはそういう意見であります。  次の質問に移ってまいります。BSE問題でございます。  午前中、小川勝也委員がかなり突っ込んだ議論を、いい議論があったかと思います。そこで私は、総理にまず冒頭お伺いしたいんですけれども、ライス国務長官日本の対応は過剰なんではないかというような、まあライスがビーフを語るのか何かよく分かりませんが、そういう発言があったようであります。総理は、この対応は過剰なのではないかということについて、どのように思われますか。
  222. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それはアメリカ人の立場から、感覚から話されたんだと思います。日本日本にとって必要だということで基準を設けているわけでありますので、その辺はやっぱり考え方、感覚の違いじゃないかなと思っております。
  223. 平野達男

    ○平野達男君 日本の対応は当然適切なものであると、そういう認識だということですね。──はい。  それで、これまでアメリカから報告書が出てきまして、それに対する質問書を出して、また回答が返ってきました。これまでの対応で、どの点がクリアになって、どの点がまだ問題点として残っているかも含めて、アメリカのその対応というのがどういう対応なのかという評価をちょっとお聞きしたいと思いますが、中川大臣、お願いします。
  224. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) この問題は、農林水産省にかかわる問題と厚生労働省にかかわる問題がございますけれども、農林水産省関連で申し上げますと、五百七十ページ、いや五百ページ近い大部の報告書が参りましたけれども、その中で、原因の究明あるいはまた再発防止に関して我々としてはまだ納得できない、つまり更に照会しないといけない部分があるということで再質問を出したところでございます、二十項目前後でございますけれども。  それが先々週届いたわけでありますが、その内容について、現在、まだ中身を精査をして、余り何回もやり取りをするということもいかがなものかと。決して急ぐつもりは毛頭ございませんけれども、日本側としても徹底的に精査をした上でアメリカ側に問い合わせをする、アメリカの方も、あしたですか、専門家が来られるという話もあるようでございますから、日本側としてこの事実関係をきちっと、なぜこういうことが起きたのか、なぜ起きて、そしてこれを二度と発生させないためにはどうしたらいいのかということについて、リスク管理機関として今精査をしている最中でございます。
  225. 平野達男

    ○平野達男君 今の答弁の中での、なぜこんなことが起きたかということについての説明は私も極めて不十分だとまだ思っていました。是非その点は詰めていただきたいと思います。  それから、食品安全委員会の答申では、何回も出てきますけれども、EVプログラムの条件の下に出荷された米国産牛肉と国内産牛肉とのリスクの差は極めて小さい、EVプログラムは、極めて小さいということで、EVプログラムが遵守されるという前提で今回輸入牛肉再開したわけですね。  それでは、このEVプログラムが遵守されるというそのリスク、リスク管理は、これはだれが、どこの国が負うんでしょうか。アメリカなんでしょうか、日本なんでしょうか。
  226. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) アメリカでBSEが発生して日本が輸入をストップをいたしまして、約二年間掛けて日本側で徹底的に調査をする、アメリカとも協議を行う、そして日米で協議をしながら、しかし有権的には、食品安全委員会が去年約半年間掛けて評価をし、答申を出していただいたわけでございます。  その答申に基づいていわゆる衛生条件というものが出たわけでございまして、衛生条件に基づいて、これは日米で合意された衛生条件、その合意された衛生条件に基づいてアメリカ側がEVプログラムというものを日本向けに、あるいはまた香港向けに、各国向けに出しているわけであります。最終的には、このEVプログラムというのは、日米で合意されたものに基づいてアメリカがきちっと責任を持ってその遵守を負うべきものというふうに理解しております。
  227. 平野達男

    ○平野達男君 安全基準に日米格差があったんじゃないかと、あるいは安全に対する認識に対して日米格差があるんじゃないかということについては中川大臣も認められていると思います。  このEVプログラムが、基本的にアメリカが遵守するというのは、これはそのとおりだと思います。しかし、日本も、そういう前提があったとすればEVプログラムの遵守をするということに対してしっかり監視する責務があったんじゃないかと思いますけれども、そこはどうでしょうか。
  228. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) ですから、十二月十二日に再開決定した後、順次アメリカの認定施設をチェックをする、これが途中でストップしてしまったわけでございますけれども、あるいはまた、EVプログラムが守られていないということが一月二十日に発見されたわけでございますので、すべての米国産牛肉をストップをして、そして、今、再発を二度としない、そしてまたなぜこういうことが起きたのかということを今徹底的にアメリカに調査をさせているということでございまして、正にルールにのっとって日本がきちっとやるべきことをやっているというふうに理解をしております。
  229. 平野達男

    ○平野達男君 国会でも再三答弁ありましたけれども、食品安全委員会はリスク評価しかしません。じゃ、そのEVプログラムが日米間の協議でできました、それはどこが遵守するかというのは、これはアメリカが遵守するというのはおっしゃるとおりです。  しかし、繰り返しになりますけれども、今だんだん分かってきたのは、アメリカの屠畜場というのはどうも日本の屠畜場と違うんじゃないかと。今日も小川勝也委員の質問の中にもありましたけれども、英語も分からないような方が屠畜場にいるとかいろんな、アメリカの本にはスローターハウスブルーという本がありますけれども、そういう中で紹介されています。  それから、繰り返しになりますけれども、安全基準、安全認識に格差があるということは分かっていたはずです。そういうにもかかわらず、EVプログラムはアメリカが守るべきだというふうに丸投げしちゃったんですね。その態度が結局こういう事態の一番最初の私は原因だと思いますけれども、総理、じゃない、失礼しました、中川大臣、どのように認識されますか。
  230. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 屠畜場の中の作業というのは、日本日本の国家行為といいましょうか主権でやってまいりますし、アメリカはアメリカの主権でやっていく。しかし、アメリカとしては、それについて査察をしてもいいぞ、日本も査察を受け入れますよということでやっているわけでございます。  そういう意味で、再開後、順次チェックをしてきたわけでございますけれども、いずれにしても日本としては、今後、安全性あるいは食の信頼、国民の信頼に対して、日本側としても今後何ができるかということについては、一切何もこれでしませんと、アメリカ側が、すべて責任がアメリカ側にあるんですから日本側としてはもう一切しませんよということではございませんで、日本側としても、この食の安全に更にこたえるためのリスク管理機関としての日本側がやるべきことがあれば、今後これはもう全く排除しないということではございませんで、いずれにしても、今このアメリカ側の回答を精査して、今後日本側として何ができるかということは今後検討していかなければいけないというふうに考えております。
  231. 平野達男

    ○平野達男君 私は、五年前のBSEの発生以来、消費者は農水省、政府の動きをじっと見ていると思います。今回の問題も、私に言わせれば、これだけ日米間に牛肉の安全の認識に格差があるにもかかわらず、EVプログラムが守られるという前提だけで輸入再開してしまったことです。それが、私に言わせれば、政府がもうちょっとしっかり責任を持ってもよかったんじゃないかと。それが中途半端であるために、事前の、再開された後の施設も中途半端に終わってしまいました。全部の施設、結局、査察が入ることはできませんでしたね。だからそこは、EVプログラムは本当にアメリカが守ってくれるんだかどうかという評価をだれもやってないんです、政府は。だから、ここの答弁の中は議論が常に、常に擦れ違うんです。だから、松田大臣にお聞きしますと、食品安全委員会はリスク評価だけしました、後はEVプログラムが遵守されるということが前提で、それはリスク管理省庁がやられるもんだと思いますということで終わっちゃってるんです。  じゃ、アメリカは、繰り返しになりますけども、EVプログラム本当に守るんだろうかということは、じゃ全部アメリカさんにお任せしますよとやってしまったことが私は今回の一つの大きな、誤りとは言いません、ちょっと足りなかったところではないかと思います。それで、今その足りなかったことをやっているわけです、実は。なぜこういう問題が起きたのか、本当に遵守されるのか。実はこういうことは一番最初にやっておかなくちゃならなかったことだと思うんです、私は。だから、一番最初にやっておかなくちゃならなかったことを今やっている、やっているから、私は結論からいいますと、慎重に時間を、時間を掛けて、じっくり消費者に分かるようにやらなくちゃならないと思います。そのことに対する見解を農林大臣と厚労大臣にひとつお伺いしておきたいと思います。
  232. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今回の一月二十日の出来事は、EVプログラムに食肉処理施設が違反をしたと、しかも査察すべきアメリカの農務省の国家公務員がそれを知らなかった、見過ごしたと、ダブルでこういうことが起きて、日本の水際で発見されたわけでございます。もう完全に機能していなかったと。これを特異というふうに先方は呼んでおりますけれども、余りにもずさんな出来事であったと。だから、我々としては、徹底的な今再発防止、原因究明策をやっているところでございます。したがいまして、今後二度と、再開するに当たっては二度とこういうことが起きないように徹底的に今やっているところであります。  現時点ではアメリカも誠意を持って我々の対応にこたえているわけでありますけれども、しかし納得しなければ次の作業には進みません。そういう意味で慎重に、そして特に国民皆さんにきちっと説明をして、そして状況を把握していただいた上で一つ一つ前へ進んでいくと。何回もこの委員会でも申し上げさせていただいておりますけれども、急がば回れだぞということを先方にも申し上げたところでございます。
  233. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 一年半にわたって日米間で協議をしてまいりました。それは、日本向けの肉をアメリカでどういう形にしたら日本は受け入れるんだと。我が国は、食品安全委員会に意見を求めて、そして答申を得て、そしてそのルールに基づいてアメリカがやってくださいよと。当然守られるべきものという思いの中で一月二十日の事件が起きたと。  それじゃ、一〇〇%信用してたんですか、厚生労働大臣はということになれば、三か月間、確かに強調期間できちっとせいといって増員をしながらやってまいりましたんで、そういう意味では万が一の場合というものも考えていたということも事実です。結果としてはそっちの方が当たってしまったと、両国の信頼というものが崩されてしまったという中で、二施設だけが悪いんですよという今回の報告書になってますので、残りの施設が間違いないんですよというのはどこにあるんですかというのを私どもは問うてます。そこがやっぱりきちっと担保されないと、我々、正に管理する方としてはとても受け入れられる話ではないなと。私自身、そんな急いでやろうという気はございません。しっかり話合いをしながらやってまいります。
  234. 平野達男

    ○平野達男君 検疫を一生懸命やられているのは私も承知しているつもりです。ただ、検疫をやる中で、日本人の検査官の中にこの牛が二十か月未満かどうか、以下かどうかというのを多分判断できる人というのはまずいないんじゃないかなと思います。それ、そういう問題があるんです。  何を言いたいかといいますと、それだけにEVプログラムがアメリカでしっかり遵守されてるということが重要なんです。それをアメリカに任せるということじゃなくて、今厚労大臣の中に一〇〇%任せたわけじゃないというお話ありましたけれども、今まで以上にもっともっとやっぱりコミット、中に入っていって言うべきことはやっぱり言うということで、繰り返しになりますけれども、BSE問題は科学的知見の問題じゃないです。行政がやるべきことをしっかりやっているか、政治がやるべきことをやっているか、これに私は尽きると思ってますので、そういう対応をやっていただきたいというふうに思います。  それで、ちょっと時間もなくなってきましたけれども、額賀大臣、ちょっと通告申し上げてありませんでした。今回の予算委員会の中で最も輝いた答弁というのは、私は額賀大臣だったと思ってます。下田敦子さんが、将来、介護をどなたさんにやってもらいますかという質問をしたときに、奥さんには、政治、選挙で大変お世話になったと、最後は、最後ぐらいは自分が長生きして、奥さんの介護は自分がやりたいと。思わず私は拍手をしてしまいまして、次の新聞でもあれがちゃんと載りました。その関連でちょっと一言、家庭の中に入るようで申し訳ありませんけれども、それを聞かれた奥さん、何て言っていたか、ちょっと御披露ください。
  235. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) あれは公約ですよって言われました。
  236. 平野達男

    ○平野達男君 御家庭は多分周りがうらやむほどしっかりしていると思います。ただ、しっかりしてないのは防衛施設庁ですね。だから、防衛庁ですよ、防衛施設庁ですよ。是非、談合問題は早く片付けていただきたい。そして、私は今国会で多分省昇格という法律が出てくるんじゃないかと思ってたんですが、もうそれどころじゃなくなってしまいましたね。それと、まだ、でも、まだ期間はあるから分かりませんが、是非家庭と同じぐらい防衛施設庁の基盤を強固なものにしていただきたいという、ちょっと御覚悟だけお伺いしておきたいと思います。
  237. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 平野委員と同じ、共有の認識を持ってしっかりと、これだけは民主党と一緒にやりましょう。よろしくお願いします。
  238. 平野達男

    ○平野達男君 まあ奥さんに対する公約と同時に、今のも公約でありますから、守っていただくようお願いを申し上げます。  最後になりますけれども、総理、明治維新の話を若干、二、三分ちょっとやらしていただきたいんですけれども、明治維新の幕末、明治維新のときに、奥羽越列藩同盟というのができました。これは御存じでしょうか。
  239. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 幕末、越後と、奥羽越列藩同盟、多少は承知しております。
  240. 平野達男

    ○平野達男君 奥羽越ですから、今の奥州と越後の国ですね、これが官軍に対抗して同盟を結んだんですね。勝てば官軍、負ければ賊軍じゃないですけれども、要するに、もうその当時の国政の状況に認識の違いがあって官軍に対抗した。  で、何を言いたいかなんですが、明治維新というのは薩長土肥の田舎武士が起こした革命です。で、その田舎武士が起こした革命で中央集権国家というのができました。これが延々と百五十年、百五十年以上続いたんでしょうか、続いていましたが、今いろんなひずみが出ているんです。  そこで、私は岩手県の選出の国会議員ですが、平成版新奥羽越列藩同盟をつくろうと言っているんです。それは心は何かといいますと、先ほど言いましたように、今の国家の基礎は南から起こってきた。今回はこの国家そのものを変えるために北から変えようじゃないかということを言っていまして、ただ、そんなことを言っているのは私一人だけで、だれも賛同してくれません。ただ、気分として、今これから国を変えるというのはやっぱり北国生まれで、明治国家のずっとこう流れを引いていますから、これを変えるのは今度北国からやろうな、やりたいなという思いで今論戦をやっているということを最後にちょっとお披瀝申し上げまして、安倍官房長官、どうですか、その平成版新奥羽越列藩同盟に自民党を脱藩して来られませんか。
  241. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 私は長州の出身でございますので中に入れていただけないのではと思うわけでありますが、是非また奥羽越列藩同盟と長州及び薩摩、新しい同盟で国をつくっていきたいと、このように考えております。
  242. 平野達男

    ○平野達男君 終わります。
  243. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。内藤正光君。
  244. 内藤正光

    ○内藤正光君 民主党・新緑風会の内藤正光です。小泉総理最後予算委員会の場に質疑者として立てること、大変光栄に思いながら、早速質問を始めさせていただきたいと思います。  まずは社会保障、特にその中でも年金制度改革について質問をさせていただきたいと思います。  今、聞くところによれば、厚生年金と共済年金の統合が進むやに聞いております。私は、それは正しい方向だと思います。しかしながら、一方で、国民年金を抜きにしての年金制度の抜本改革などあり得るんだろうか、そういった疑問も私は一方で持っております。  で、この表をお見せをさせていただきたいと思います。(資料提示)実は、総括、テレビが入るものと思って、こうしっかりしたものを作ってきたんですが、テレビ入らなかったんですね。ちょっと気を取り直して続けさせていただきたいと思います。  で、今の年金制度、言うまでもなく職業縦割りですよね。自営業者は国民年金、サラリーマン、厚生年金。で、よく国民年金は一元化されているとは言いますが、実際、サラリーマンの国民年金、公務員の国民年金というのはバーチャル、仮想的なものなんです。それぞれの三角の部分から基礎年金拠出金というものが拠出されて国民年金というふうになっているんです。しかし、ここ見てください。国民年金、もう半数近くの人が未納、免除、未加入。サラリーマンに免除なんという制度はありません。で、これを実は厚生年金、各種共済で穴埋めしているという現実があります。  これを言うと厚生労働省は何と言うのか。こういう文書をよこしてきたんです。現在必要な給付費のみならず、将来の給付費も見込んだ上で財政計算をしている。だから、こういう肩代わりはさせてないんだということを言っています。しかし、これは、この穴埋めをする手段を言っているにすぎないんです。  そして、一方、払わない人は将来反対給付がないから財政上は問題ない。でもこれ、根本的なことを間違っているんです。預貯金とは違うんです。年金というのは今給付に必要な額、これ十三・七兆円、これを今現在の現役で支えるというのが年金の基本的な仕組みなんです。簡単なことなんです。この半分、半分近くの人を実は制度的に言えば厚生年金、各種共済で賄っている。もっと言えば、まじめに払っている人が全部この未払分を補っているという現実があるんです。  で、これは何をどういうことになっているか。ほかの制度、ほころびが出てきます。そして、更に言うと、国民年金そのもの、一体何なのという根本的な哲学の問題になるわけです。払える人で払ってない人が多い、これは三年前の総理との質疑の中でちゃんと支払証明書がなければ確定申告のときに控除できないということを私の質疑を通じて総理は即刻決断をしていただいた。私は、それを評価します。しかし、払えない人も一方でいる。でも、皮肉なことに、国民年金保険料を現役のときに払えない人は将来的に実はそういった国民年金ぐらいのものに頼らざるを得ない人が多いんです。ここに矛盾が生じちゃうんです。  そこで、私は、こういう今払わない人が、払えない人ができてしまうというのがそもそも国民年金の制度設計に問題があるんだろうと思います。  そこで、私は、これは本当に名実ともに消費税を財源とする一元化、これ一階部分、そして現役時代、どんな人もしっかり払っていただく、そして六十五歳以降になったらちゃんと一定額をもらう、私はこれが国が果たすべきナショナルミニマムだと思っているんですが、総理の年金改革に対するお考えをお尋ねします。
  245. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは今までの議論の繰り返しになりますが、そういう考えがあるから一元化の議論が出てきて、どのようにしたら一元化可能かということで国会において協議会が設けられたと思うんであります。  手段として、まず厚生年金、共済年金の一元化が先ではないかというのが我々の考え方です。これを同時にやれというと、自営業者の皆さんとサラリーマン、公務員、全部違いますから、保険料の負担も給付も、そこが非常に難しいから、まずはサラリーマン、国家公務員、これを一元化して国民年金を考えればいいではないかというのと、最初からやれといったら、国民年金の負担料と給付、厚生年金、共済年金、どっち合わせるかで全然保険料の負担も違ってくる、給付も上がるか下がるか分かんない、そこを決めないで一緒にやれったって無理ですよ。現実的なこと考えてください。  だから、まずは、なぜ厚生年金と共済年金を先に一元化するというのに反対するのか私は分かんない。これができてから国民年金やればいいじゃないですか、どういう問題があるか。納税者番号一つ取っても賛否両論あるんですよ。納税番号だけだって難しいのに、社会保障番号言っただけでこれまたすぐ賛否両論出てきたじゃないですか。納税者番号の前に社会保障の番号だけ、もっと簡単なはずですよ。その簡単な問題でも反対出てきちゃうじゃないですか。  そういう点が考えて、まず現実的に政治論として、国民年金、共済年金、厚生年金一緒にやれというよりは、厚生年金と共済年金をまず一元化することを考えた方が現実的ではないでしょうか。
  246. 内藤正光

    ○内藤正光君 私は何も二階部分の一元化を言っていません。一階部分を言っているんです。即できるんです、こんなのは、納税者番号とかそういったものなくても、消費税に置き換えれば。で、国民年金はこういう問題があるからこそ早急にやらなきゃいけないと申し上げているんです。
  247. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) すぐできる、そんな簡単にできるわけないじゃないですか。消費税上げればいい、消費税にそんな賛成するんですか、国民が。これ一つ取っても無理ですよ。
  248. 内藤正光

    ○内藤正光君 今は国民年金の保険料、まあ一万三千円ですね。で、じゃ消費税に置き換えるとどれぐらいになるのか。まあ大体十三・七兆円、五%ぐらい。大体一家庭の月間の支出三十万ぐらい。三、五、一万五千。その一万三千何がしかは一万五千円の消費税に置き換えるんです。別にそんなに負担が上がるとか、バランスで考えたら私は違うと思いますが、いかがですか。
  249. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) じゃ、消費税はどうやって引き上げるんですか。年金だけの目的税をやるんですか。何%にするんですか。その議論だけでもすぐなんかできるもんじゃありません。
  250. 内藤正光

    ○内藤正光君 ほかにもちょっと特別会計をしなきゃいけないんで、議論しなきゃいけないんで。  じゃ、一つだけ、最後伺います。  総理は、この国民年金のこの問題、放置しておける問題ではないという意識はおありですね。
  251. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) その未納、未加入の問題は大きな問題であります。放置できる問題ではありません。
  252. 内藤正光

    ○内藤正光君 納得できる答弁得られませんでしたが、またちょっと機会を改めて質疑をさせていただきたいと思います。  次、医療制度の問題、特にレセプトの電子化についてお尋ねをしたいと思います。  私の手元にはIT戦略本部の議事録があります。で、その中を見てみますと、総理は特にレセプトの電子化に大変関心を寄せていらっしゃって、そして是非とも推進すべきだという旨の発言をされております。  そこで、総理にお伺いしたいのは、レセプトの電子化の意義、特に医療の構造改革、そういった点における意義について総理のお考えをお尋ねします。
  253. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 川崎厚労大臣は具体的に答弁していただけると思いますが、私から分かりやすく簡単に申し上げますと、作業の手間も省けますね。それと、どのような病気に対してどのような診療が行われているか、これレセプトでやりますと調査しやすいです。と同時に、経費の点においても負担が軽くなる。ということは税金投入も保険料負担も軽くなる可能性が大いに高い、このレセプト電子化やることによって。こういう点にもつながる。  より具体的な、どういう点があるかというのは厚労大臣に譲ります。
  254. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 委員も分かって御質問だろうと思いますが、一年間レセプトの数が十六億件、こうした数に上ります。したがって、事務の合理化にまずつながることは間違いない。これは医療機関もそうですし、支払機関もそうであります。  あとは、十六億件のデータがまとまる。これを二、三年分析することによって、日本の医療というものが進むべき方向というものがしっかり出していけるだろうと。そういう意味では、経費的な問題と将来的な方向性をしっかり定めることができるということで、二十三年までにやっていただこうということで、今、医師会、歯科医師会、各団体と話合いを鋭意続けているところでございます。
  255. 内藤正光

    ○内藤正光君 お二人おっしゃったように、レセプトの電子化って、コスト削減、これも一つなんですが、それだけじゃないんですね。情報を集めて、そして分析をする、そしてその先が大事なんですね。  私は、ある医療保険、健康保険組合を訪ねていろいろ話をした。そうしたら、そこの理事長さんがこういうことをおっしゃっていたんですね。レセプトを審査しようにも、月一回の検査が妥当なのか月二回の検査が妥当なのか、判断基準がないから分からないというんです。なるほどなと思いました。これが物語っているように、日本の医療には基準というものがないんですね、基準というものが。  ということで私は、レセプトの電子化というのは単なる効率化のみならず、データの蓄積、分析を通じて医療の標準化作りというものを推し進めてくれるんだろう、で、医療の標準化というのは質の向上、そしてさらには医療費の適正化には不可欠なステップなんだろうと思います。  そこで、私は総理にお願いをしたい。このレセプトの電子化、更に推し進めて適正医療に関するガイドライン作りまで私は進めるべきではないかと思いますが、総理のお考えをお尋ねします。
  256. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この電子化は必要だと思っております。なかなか遅々として進まないじゃないかという批判があるからこそ、できるだけ早く進めるように今指示を出しているところでありますし、そういう点から様々な医療改革に資するものだと思っております。
  257. 内藤正光

    ○内藤正光君 適正医療に関するガイドライン作りはいかがでしょう。総理あるいは川崎大臣からお願いします。
  258. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 確かに、データ集積がきちっとできて、そして二、三年間分析したら、そのデータ分析に基づいて物が言えるようになるだろうと、どういう形で例えば高齢者の医療が行われるか、若い人たちの医療が行われるかと。そういう意味では、分析結果でいろんなことが行えますから、ただ一つの適正化だけではなくて様々なのが行われる。医療の種類もいろいろございます。それは正に期待できるものが出てくることは間違いないだろうと、このように思いながら、関係者を説得して二十三年までにやり遂げるということでやっております。
  259. 内藤正光

    ○内藤正光君 川崎大臣のそういう答弁でしたが、是非ともやはりこの情報を二年ないし三年蓄積して、そして分析をする、で、それを予防医療に反映さしたりとか、あるいは標準的な医療のガイドラインを作ると、そういったことを是非進めていただきたいんですが、総理、改めて、うなずくだけだと議事録残りませんので、言葉で残してください。
  260. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 医療改革にとって様々な適正化があるんですが、電子レセプト化、これを進めていくということによってその様々な分野の中の一定の適正化は進めていけるし、また進めていかなきゃならないと思っております。
  261. 内藤正光

    ○内藤正光君 続きまして、特別会計についてお尋ねしたいと思います。  御存じのように、塩川前財務大臣が、母屋ではおかゆを食べているのに離れではすき焼きを食べていると、こう言って特別会計の現状を批判をされました。確かに、特別会計、各省の既得権益になってしまっている。そして、潤沢な資金繰りを背景として無駄な事業や天下りの温床になっているという批判もあるわけでございます。  そこで、総理に基本認識、問題認識をお伺いしたいんですが、なぜ今特別会計を改革しなきゃいけないのか、その問題認識についてお伺いをします。
  262. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 資源の適正配分、税の適正配分をする上においても、特別会計と一般会計と重複する点があるのではないか。また、特別会計だけで果たしてその分野に偏って税金が使われる必要はないのではないか。特別会計から一般会計に繰り入れる分、あるいは一般会計から特別会計に繰り入れる分、分かりにくい点がある。そういう点を整理合理化する必要があるんじゃないか。そういうことによって無駄な部分を排除していこう、重複部分は避けていこう、そして簡素で効率的な政府実現に向けて改革をしていこう、その一環であります。
  263. 小野清子

    委員長小野清子君) 財務大臣から。
  264. 内藤正光

    ○内藤正光君 ありますか。
  265. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今総理がおっしゃったとおりでありますが、元々はある特定の事業を区分経理をして明確化しようという目的であったわけですが、現在批判がありますのは、たくさんあり過ぎて、それぞれ何をやっているのか実はよく分からないじゃないかと、一覧性といいますか、そういう透明性といいますか、そういうのが足らないじゃないかと。  それから、今総理のお話の中にもあったところですが、固有財源等を持っておりますと、必ずしももう特会に経理区分する必要がなくなっているにもかかわらず、固有財源を持っていると不要不急の事業に使われやすいとか、それから、中でたくさんお金をため込んでいるけれども、積立金なんか多額に持っているけれども、それが言わば死蔵しているというと言葉はおかしいですが、財政が厳しいときにもかかわらず、有効に使われていないじゃないかというような御批判があったわけでございます。  したがいまして、できるだけそれを簡素に、不必要なものはなくしていく、統合していく、あるいは民営化していくというようなことをやって、全体の明確性、説明責任をはっきりさせて、そして財政再建にも、効率化によって財政再建にも資することができれば非常にいいじゃないかということでございます。  今度、そのために、今三十一ある特別会計を大体二分の一から三分の一に圧縮していこうと、それから、今後五年間で二十兆ほどの財政再建に対する寄与をしていこうじゃないかと、こういうことで、今回、今度の国会に行政改革の基本法をお出ししている、その中にこの特会改革も書き込ましていただいているので御審議をいただきたいと、こういうことでございます。
  266. 内藤正光

    ○内藤正光君 私も、この行革推進法、いろいろ見てみますと、統合による事務の合理化、あるいはまた独法化の検討、あるいはまた在り方検討というふうに書いてあるんですね。どうも本来この特別会計の改革の命題は、それを本当に存続させるべきかどうか、これが命題だったんですが、ところが、存続することを前提とした議論になってたり、あるいは在り方検討検討という文字が結構躍ってるんですね。だから、具体的なイメージ、方向性がはっきり言って分からないんです。  そこで、お尋ねします。  例えば、公共事業関係、五特会の統合というものがあります。これがどういう統合になるのか確認をしたいんですが、まあ言うまでもなく、道路整備ですとか治水、港湾整備、空港整備、そしてそれに加えて都市開発資金融通、これら五特会を統合するということなんですが、本当に勘定まで統合して事業の優先順位付けをできるのかどうか、これがポイントになってくると思います。  ところが、一番目から四番目は公共事業ですね、特に国土交通省の局縦割りの中に特会が位置付けられている。そして、五番目の都市開発資金融通というのは、これは公共事業というよりもむしろ融資ですよね。全く違うんですよね。本当にこれら五つの特会をしっかりと融合、溶け込ませることができるのか、私は統合の中身が問われるんだろうと思います。  そこで、お尋ねしたいと思います。  統合の在り方なんですが、先ほどどなたかの答弁のときに、都会のマンションとかいう話が出ましたが、隣は何をする人ぞのような、都会のマンションのような、つまり、同じところに住んでいても部屋は別々というタイプの統合なのか、あるいは同じかまの飯を食べるような統合なのか、そして更に伺いたい、食べる御飯はすき焼きなのかおかゆなのか、どんな統合なのかお尋ねします。
  267. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今おっしゃった五つの特別会計は、社会資本整備重点計画法に位置付けられた共通点がございまして、これを一本にまとめていこうということで今作業をしているわけでございます。それで、これで縦割りの弊害等を解消して無駄の排除ができるような制度設計をしていかなければいけないと思っております。ただ、どういう形でやっていくかはまだ十分姿は明らかになっておりませんので、今後適切な措置を検討していかなければならないと考えております。
  268. 内藤正光

    ○内藤正光君 総理、お尋ねします。  で、これを踏まえて、来年は、来年度は特別会計整理合理化法案、具体的に進めていくわけです。ところが、残念ながらそのときはもう小泉総理総理ではない。だからですね、だからこそ総理改革に懸ける思いを今具体的に語らなきゃいけないんじゃないかと私は思います。  そこで、例えばこの五特会の統合なんですが、私は少なくとも勘定を一つにして事業の優先順位付けをできるようにしていかなきゃいけないと思います。それは最低限の条件だと思いますが、どんな統合にしていくおつもりなのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  269. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、総理として基本方針を決めるのが大きな責任だと思っています。具体的な点につきましては担当大臣がいますし、大枠として整理合理化、この方針に沿って次の総理もしっかりやってくれると思っております。
  270. 内藤正光

    ○内藤正光君 通告はしてないんですが、担当ということで国土交通大臣、何かお考えをお示しください。
  271. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) やはりこの特別会計を統合することによって、例えば各事業に共通する業務というのがございます、調査研究、こういうのを例えば一緒にやれば無駄が省けるじゃないかというのもございますし、また各事業が一体となった事業間連携の強化にも資するようにしたいというふうに思っております。  ちょっと具体例を申し上げますと、先般、北九州空港、新北九州空港が開港になりました。あそこはもちろん空港ですから空港特会になるわけでございますけれども、あそこは関門海峡の港湾の土を北九州空港に持ってきて埋めたんです。港湾事業とそして空港事業が連携しています。かつ、空港はこれ海の方に造りました。道路とのアクセスが必要です。道路と港湾とそして空港と、この三つが連携した事業がこの北九州空港であったわけでして、非常に少ない負担で空港ができたというふうに思っておるんですが、こうした連携を特別会計が統合されることによって、よりメリットが出るような形で事業間連携が進められたらいいというふうに思っております。
  272. 内藤正光

    ○内藤正光君 ということは、勘定まで統合することをしなくても十分効率化はできるということですね。
  273. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 勘定間の統合をどうしていくかというのは今後の議論になっております。ただ、それぞれやはり分かりやすく、国民から見て分かりやすくするということも一つ大事なことでございまして、そうしたことをどうしていけばいいのか、どうした方が国民に分かりやすいのか、勘定、別勘定にした方がいいのかどうか、そこは今後の検討課題でございます。
  274. 内藤正光

    ○内藤正光君 じゃ勘定の、済みません何度も、勘定の統合も一つ検討課題だというふうに理解してよろしいわけですね。
  275. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 財務大臣の御答弁の方がいいのかもしれませんが、今後の課題の一つだと思っております。ただ、国民に分かりやすくすることも非常に重要なことでございますので、別勘定にした方が国民に分かりやすいという判断もあるかもしれません。
  276. 内藤正光

    ○内藤正光君 全体を所管する財務大臣、お尋ねします。
  277. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 来年度にこの法案を出すことにしておりますので、具体的な制度設計はこれからでございます。確かに、今国土交通大臣がおっしゃった問題点はそのとおりだと思います。やはりいろんな形での地方の分担金とか、そういうものが入ってきておりますので、その対応関係をどうさせるかということも一つの課題だと思いますし、しかし並べておいたんでは今までと違わないじゃないかということもありますので、そこらはこれからの議論の重要なポイントだと思っております。
  278. 内藤正光

    ○内藤正光君 じゃ、一つ、もう一つ財務省所管の地震再保険特会についてお尋ねをしたいと思いますが。  大変技術的なことで恐縮ではございますが、地震再保険特会の設置経緯を始め、積立金、今どれぐらいになっているのか、あるいは過去の支払実績についてお答えをいただきたいと思います。
  279. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 地震保険というのは、どこの国でも再保険契約によってリスク分散を図るということが商品設計の前提となっているわけですが、これは地震がどれだけの頻度で起こるかとか、あるいはそれがどのぐらいの規模であるとか、なかなか予測が難しゅうございますからそういうふうになっているんですね。  ところが、日本は、今日も実は大分で震度五弱の地震があったと聞いておりますが、世界有数の地震国である我が国では再保険の引受手が現れなかったということがございました。国民からこういう保険をつくってほしいという要望はあったんですが、民間損保会社では長年にわたってなかなかそのリスクを引き受けかねるということがあったんだと思います。  ところが、昭和三十九年に新潟地震が起こりまして、そのときにやはり地震保険というものをつくらなきゃいけないと、こういう議論になりまして、一定額以上の巨額な地震の損害は国が再保険しようと、再保険をすると、こういう仕組みを前提として現行の地震保険制度がつくられたわけでございます。それで、昭和四十一年に国による再保険事業の経理を明確にしようということで、地震再保険特別会計が創設、創設されたわけでございます。  そこで、今までどういう実績が、支払実績があったかということを申しますと、この再保険の支払がありましたのは阪神・淡路大震災の際に六十二億円を支払いました。このときは地震保険金の支払総額は七百八十三億円でございまして、その中から、そのうち六十二億を再保険金出したということでありますが、これが今までの唯一の例でございます。  それから、本特会は巨大地震発生の際の再保険金支払に備えると、こういう理由から積立金を持っているわけですが、平成十六年度末現在での積立金残高は九千四百四十億円ということになっております。
  280. 内藤正光

    ○内藤正光君 現在はほぼ一兆円近い積立金があると。  そこで、じゃ、どこまで積立金を積んでいくつもりなのかということなんですが、大体この歳入は毎年五百億円から六百億円あるわけですね。じゃ、事務費はというと実は一億円しかない。ほとんどすべてが剰余金として積立金に積み立てられていく。毎年数百億円の勢いでぼんぼんと伸びていく。財務省としては、関東大震災級を想定して積立金を積み増している。関東大震災、およそ四兆円から五兆円の被害があるだろうということで、その程度まで積立てを続けていくというお考え。つまり、裏を返せば、これからも剰余金が次から次へと積み上がり、そして積立金としてこれは財投運用されていくということなんですが、しかし、私は、これは本当に必要なのかという観点で見直しを行っていかなきゃいけないんだと思います。  で、本特会、先ほどもおっしゃっていただきましたが、設置後四十年たっていると。当時は各保険会社は足腰弱かった。しかし、今、十分に強い。そして、今では国際的な再保険のシステムもでき上がっている。再保険再保険とおっしゃいますが、実はこれ正確に言えば再々保険なんです。再々保険特会なんです。じゃ、再保険をどこがやっているか。民間がやっているんです、民間がしっかりと、日本地震再保険株式会社。だからこそ阪神・淡路大震災のときのその特会からの拠出金が六十数億で済んだわけなんです。  ということを考えると、私は、特会を存続を前提としなくても、私はいろいろな仕組みが考えられるんだろうと思います。  例えばどういうことか。日本地震再保険株式会社、お金が足りなくなったら政府保証の借入れができるような仕組みを法律でちゃんと担保する、これも一つでしょう。もう一つ具体的な例があります。ここにあります。原子力損害賠償補償契約というものがあります。これはどういうものか。原子力事業者それぞれは保険契約しなきゃいけないんです、民間の会社と。しかし、規模が、損害の規模が大きくなって、それじゃ手に負えない場合、国が補償するんです。二兆円まで補償するんです。約束する。別にそのお金どこにも取っちゃいないんです。補償することを約束をするんです。じゃ、原子力事業者はということで、毎月補償料というものを払う。大体、全事業者年間八億円ぐらいなんですね。そんな何百億円も取っちゃいません。八億円ぐらい払って、そして万が一のときは国が出すよ、二兆円まで出すよという補償を約束しているんです。  私は、そういった仕組みを使えば十分この地震再保険特会は廃止できるんじゃないかと思いますが、どうですか。
  281. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、さっきおっしゃったように、私どもは首都圏で関東大震災規模のこと起こったとき、これ大体五兆円と見積もっておりまして、やはりそこまでは、何というんでしょうか、基礎がしっかりしていないと地震保険制度というものに対する信頼が高まらないなという考え方で今まで制度設計をし、また積立金の、何というんでしょうか、蓄積にも励んできたわけでございます。  今後それを、それで、今現在のその保険金総支払額五兆円の場合には、今民間ももちろんその再保険をやっていただいている、それから個々の保険会社も持っておりますが、国が支払うものでは三兆一千六百九十三億円ぐらい足らないと。まあこれをここからどこまで積み上げていくかというのはやっぱり一つの論点だと思いますし、今委員がおっしゃいましたように、民間における再保険事業の動向とかあるいは民間保険会社の支払能力なんかも注視しながら、今後議論していく一つのポイントにはなると思っております。  ただ、今、我が国はまだ地震保険というものをもう少し普及し促進をしていく必要があるんではないかという局面にあるんだろうと思います。そのときに、やはりこのしっかりした再保険制度と、確かに民間でやっておりますけど、その上に更に、我が国の場合、地震国であるということを考えると、国が、再々保険と今おっしゃいましたが、そういう形でしっかりやっていかないとなかなか民間の方々が安心してその地震保険に入っていただけないような状況にあるのではないかというふうに考えているわけでございます。要するに、それだけの信認をきちっと取り付けるようにしておきたいというふうに考えているわけです。  それから、今はもうそれは取り崩しても補償制度のようなもので賄えるじゃないかというお考えだったと思いますが、これは、今までお預かりしたものはあくまで地震保険に充てるということでお預かりしてまいりましたから、それは不要だということで取り崩してしまうことは負担と受益の関係が明確でなくなってしまうというふうに私どもは考えておりまして、もちろん、今後よく議論していかなければいけませんけれども、私どもは以上のように考えております。
  282. 内藤正光

    ○内藤正光君 私は、ほかの省庁は財務省の、財務大臣の出方を待ってるんだと思います。その財務省のこの地震再保険、存続を前提とした議論をするということは、ほかの省庁、本気で改革なんかしやしませんよ。  私は、財務大臣自らのリーダーシップでもってこれを民営化できるんじゃないかとか廃止できるんじゃないかと、そういう強いビジョンを私は示すべきだと思いますよ。
  283. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 財務省、財務省のだけを守ろうと言っているわけではありませんで、我が国は大変な地震国でありまして、今までも海外の、だんだん民間も力が付いてきたとはおっしゃいますが、海外の保険会社等もなかなかこの地震の再保険は引受手が現れなかったということがあるわけでございます。そういうことを考えますと、まだこの制度を動かしていいような状況になっているというふうには思っておりません。
  284. 内藤正光

    ○内藤正光君 総理、もう具体的に私お示ししたつもりですが、官から民へ、あるいはまた国の資産の圧縮という観点から考えても、私はこの地震再保険、単に検討するというんじゃなくて、廃止できるかどうかに向けての検討、進めるべきだと思いますが、いかがですか。
  285. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今の御提言、質問も含めて、検討すべき課題だと思っております。
  286. 内藤正光

    ○内藤正光君 時間もありません。  先ほど剰余金の話が出ました。実は、登記だとか農業経営基盤強化あるいは特許、これ政令でまず基準を定める、で、その基準以上の剰余金が出た場合はそれを一般会計に組み入れるという実は法律がある。ところが、これ政府の怠慢だと思います。その基準すらまだ決めてないんです。だからまだ繰戻しもしてない。  この現状をどうお考えですか。
  287. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 繰入れの基準ですか。
  288. 内藤正光

    ○内藤正光君 ええ。
  289. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 繰入れの基準、あれ、ちょっと私、今突然の御質問ですので資料を十分持っておりませんが、農林関係にそういう例があったと思いますが、それは今回の特会改革の中で見直しの対象になっていたと記憶いたします。
  290. 内藤正光

    ○内藤正光君 済みません、済みません。最後一つだけ、総理にお考えをお尋ねしたいと思います。  もう現下の厳しい情勢の下で、私は剰余金、当分の間、五年か十年かは分かりません、私は一般会計へ繰り戻す、あるいは国債の償還に充てる、こういう時限立法を作るべきだと思いますが、総理のお考えをお尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。
  291. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そういう点も含めて、統廃合、整理合理化、取り組んでいるところでございます。
  292. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で平野達男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  293. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、加藤修一君の質疑を行います。加藤修一君。
  294. 加藤修一

    ○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  今日は限定的に項目を絞って質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、小坂文部科学大臣にお尋ねでございますが、我が国には国連の持続可能な開発のための教育の十年と、こういうものが、我々も一生懸命関心を持ってやっている最中でございますが、二〇〇二年の十二月にこれは国連で決議されまして、二〇〇五年の一月から十年間、この教育の十年ということになっているわけでございます。  ただ、二〇〇五年の十二月に政府の中に関係省庁連絡会議というのがつくられまして、ただ、私がいろいろとヒアリングしたり様々な協議をしていく中で、なかなかこの問題については積極的な姿勢が出てきていないなという、そういう実は印象を受けているわけでございます。それで、最近ようやっと実施計画案という形で作られたわけでありますが、体制の強化の必要性を強く私自身感じてございます。  強化策の一つといたしまして、第一点は、その実施計画の閣議決定、これをすべきではないかと。また第二点は、今回の実施計画は三か月ほどで作られているわけでありますので、ステークホルダー、利害関係者等含めてですね、相当の議論があったわけではないように私は理解しておりまして、今後やはり双方向で議論を徹底してやっていく対象でないかなと、そんなふうに思っておりますので、具体的な施策の展開になったときに、やはり私は市民の立場も踏まえた形で徹底して議論をやっていく必要があるんではないかなと、そういったことが二点目として考えられます。三点目は、この実施計画それ自体には政府の推進体制が明確になっていないと。人権の十年のときには関係省庁が一体となりまして、例えば私どもの提案といたしましては、関係省庁すべてが参画する政府の推進本部、これを内閣府に置きまして、さらに推進本部長を内閣総理大臣にしていただく、こういったことを通して強化を図っていくということも一つ考え方ではないかなと、こんなふうに思っているわけでございます。  そこで、小坂文部科学大臣には強化策として、特にこの辺についてですね、どのようなお考えをお持ちか、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
  295. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 加藤委員には、この問題を通じて日ごろから御関心をお持ちいただくことに感謝を申し上げたいと思っております。  国連持続可能な開発のための教育の十年の取組は、我が国の提案により始まったものでございまして、我が国が率先して実施していくべきものと考えております。二〇〇二年のヨハネスブルグ・サミットで小泉総理が御提案をされたものでございます。  現在、関係省庁連絡会議におきまして、国連持続可能な開発のための教育の十年を政府地方自治体、企業などが連携協力して効果的に実施するための我が国としての実施計画の策定に取り組んでおりまして、今月中に取りまとめる予定でございます。  文部科学省としては、本実施計画に基づいて、教育関係者の普及啓発や研修の実施などについて積極的に取り組んでいく所存でございます。  御指摘の閣議決定、あるいは徹底した議論、あるいは政府の推進体制等につきましては、御意見を踏まえながら、今後この取りまとめに当たりまして更に検討を進めさせていただきたいと存じます。
  296. 加藤修一

    ○加藤修一君 今の答弁の中にございましたように、これは二〇〇二年のヨハネスブルグ・サミットにおきまして小泉総理が世界に向かって提案をされたわけでございます。そういった意味では、非常に総理がこの教育の分野についても非常に関心をお持ちでありますし、あるいはこの教育の中身それ自体が非常に幅が広いと、人権の問題、あるいは貧困の問題、あるいはエネルギーの問題等々含めて広範な内容になっているわけでありますけれども、最近この問題については、とりわけ環境の問題に焦点を絞ってやっていこうかという、そういった話もございます。  ただ、私は、これは我が国、小泉総理が本当にイニシアティブを取りまして世界に向かって発信した、提案した内容でございますので、小泉総理が更にこの面についても積極的になっていただきたいと、このようにお願いをするわけでございますが、御見解をお示ししていただきたいと思います。
  297. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 小泉内閣が発足してから、環境保護と経済発展を両立させる、これは小泉内閣の最重要課題の一つであるということから、南アフリカ、ヨハネスブルグのサミットのみならず、私はG8サミットでも、度々この日本の過去の経済発展の成功と公害を発生した失敗両面を具体的な例を挙げながら、発展途上国も先進国もともに取り組んでいくべき重要な課題だということを訴え続けてきております。こういう点につきましては、科学技術のみならず教育、あらゆる面にわたって日本としては世界の中で主導的な役割を果たせることができるのではないかということで取り組んでおりますので、今の御意見も踏まえまして、今後も、私の在任中はもちろん、後を継ぐ方も環境保護と経済発展、どの国も将来のことを考えて重要なことであります。こういう点については日本政府の、日本国家の大きな課題として取り組むべきものだと考えております。
  298. 加藤修一

    ○加藤修一君 極めて積極的な御答弁をいただきましたんで、我々もしっかりと更に力強くやってまいりたいと、このように思ってございます。  それでは最後の質問になりますけれども、今回の予算委員会の中で公聴会が当然ございました。その中で、国民生活のテーマについて、これは三つのテーマがあったわけでありますけれども、国民生活がそのうちの一つでございます。中川恵一公述人、東大の助教授、緩和ケア部長に来ていただいたわけでございますが、今や、がんの関係に話が入りますが、死亡者の三人に一人ががんで死亡するという、そういった意味では非常に国民病というふうに考えていいと思います。  そういった意味では、やはり国家戦略をきっちりと立てて更に強力に進めていかなければいけない、こんなふうに考えてございまして、実は先週の二十三日でありますけれども、我が党が、がん対策の推進に関する法律要綱骨子、これを発表をさせていただいたわけでございます。これは非常に、これからの時代考えてまいりますと、非常に大事な側面が非常に多く含まれているというふうに私は理解しておりまして、是非、若干の紹介をさせていただきたいと、このように考えてございます。  骨子には、昨年の十一月でありますけれども、公明党がん対策プロジェクトチームとして政府に申し入れたものを下地にしておりまして、それは、国民の声を反映したがん対策の推進に関する提言、これを正にベースにして作られている骨子案でございます。  第一点は国と都道府県、これががん対策推進計画を策定すると、二点目は内閣府にがん対策推進本部を設置する、あるいは三点目は国と地方公共団体が講じる施策、四点目は医師の責務、五点目は国民の責務、そういったものから成っているわけでございますが、もちろん、今後与党の協議の中で与党案として法案化し、更に今国会の成立を目指していきたいと、このように決意を深めている最中でございます。  最大のその骨子のポイントというのは、やはり我が国で対策が遅れているとされている点をどうするかという話になっているわけでございまして、まず第一点は緩和ケアですね。ペインクリニックなんかも含めまして、あるいはモルヒネの使い方なんかも含めまして、そういった緩和ケアの関係をどうするかと。非常にここはまだまだ発展途上国並みと言うと誤解されますけれども、そういう緩和ケアについてどういうふうに今後発展を図っていくか。二点目は、放射線のいわゆる使用医ですね、その専門家の育成、ここについてもまだまだ遅れている状態であると。三点目は、これは非常に私も重要な点であるなと思っているわけでありますけれども、がん登録制度の実施、こういったものの以上三点が大きな柱になっているわけでありますけれども。  このうち、がんの痛みをコントロールする緩和ケアにつきまして、やはり患者の人格を尊重する、あるいは生活の質、クオリティオブライフ、生活の質を高める、こういった面を考えてまいりますと、激痛にさいなまれて死んでいくような状態ではいけない、やはり緩和をいかに図っていくかというのが極めて重要だと考えておりますし、そういった面についての積極的な取組が求められていると。  そういったことを指摘しているところでございますし、また、がん治療がいわゆる外科的治療、メスを入れてがんを切除するというのはどっちかというと日本が主流になっているわけでありますけれども、世界の標準的な在り方というのはそうではないと、やはり放射線治療というのがやはり主体になりつつあると。そういった意味では、外科的な治療から放射的治療へと移行すると、そういう中にあるわけでありますけれども、そういった観点から放射線の使用医ですね、使用の医者、そういう専門医、そういう方々をたくさん育成すると、あるいはそういった意味で医師の研修機会の提供促進が不可欠であると、こんなふうに実は考えておりまして、さらに、三点目になりますけれども、がんの登録制度、これは非常にこの法案の骨子になるというふうに私自身は理解しておりますが、やはりだれもが質の高い医療を受けられる医療の均てん化、そういったものをしていくためには、やはりがん登録を義務化しなければいけない。  そういったことから、やはり法制化という話になってきているわけでございますが、我々としては、やはりこういった国民病と言われるような形になっている現段階、しかもそれがどんどん増えているような状態でありますので、やはりこういう法制化を含めて十全な対策をしていかねばいけない、このように考えているわけでございますが、厚生労働大臣、そして総理にこの辺についてのお考えを聞かせていただきたいと思います。とりわけ、法制化についてどのような御見解をお持ちであるか、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
  299. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 多岐にわたる御質問がございました。  まず、がん登録でございますけれども、がんの実態というのをしっかり把握するという意味で必要なことだと認識いたしております。今までは、患者の調査、人口動態統計、地域がん登録、関係学会による臓器がん登録などのデータを使ってまいりました。今回、厚生労働省の施策で進めておりますのは、まず一つの山をつくらなければならない。中央センター、がんセンターにその機能を置く。医療技術とそれから情報収集、情報発信、両方をがんセンターに持ってもらう。そのがんセンターの下に地域診療連携、がんの診療連携拠点病院を各県におつくりをいただくと。  実は、去年まで進めてまいりました施策の中で、七県ががんの連携拠点病院というのはでき上がっておりませんでした。今回、文科大臣にお願いして、文部省関係の国立大学にも入ってくれということでお願いをして、どうやら四月以降、全県で整備ができるようになったと思っております。それを加えて、しっかりそうしたネットワークをつくりながら情報を入れていくということは大事だろうと。  それから、今御指摘ありました、手術療法はうまくいっているけれども、化学療法それから放射線療法、これどうするんだということでございます。これも同じことになりますけれども、将来的な人材育成と今どうするんだという課題。今どうするんだということになれば、やはりがんセンターから地域拠点病院に下ろしていくと。そこへまたいろんな方に来てもらって様々な技術を習得してもらうという方法と、最終的には、学界がお進めになっておりますとおり、専門医をどんどん育てていくという方向付けが当然考えてまいられるだろうと思っております。  それから、緩和ケアにつきましては、患者と家族が可能な限り質の高い療養生活を送られることが大切であり、痛みの除去等を積極的に行うことが重要と考えております。そのため、緩和ケアの重要性について医療従事者の認識を高め、医療の現場において適切な実施をされていくことが必要であると。もう、そういう意味では、まず医療従事者に緩和ケアの大事さというものをまず理解をしてもらうことが第一。それから、医療臨床研修制度において、基本的な緩和ケアができることが一つの医師の仕事ですよということを位置付けしていかなきゃならぬ、マニュアルも作る。それから、一番肝心なのは、在宅医療における緩和ケアに必要な、これは麻薬を使わなきゃなりません、麻薬の適切かつ円滑に提供される体制を整備しなきゃならないというようなことを進めていかなきゃならないと思っておりますし、そうしたものを総括して公明党さんが一つの案をお書きになっているということは十分承知しておりますし、また、委員もお触れになりましたように、与党との調整がこれからされるんだろうと。我々もしっかりそれを見ながら、がんの将来像、そして今やらなきゃならぬ課題、突き進んでまいりたいと思っております。
  300. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) がん対策については、公明党の皆さん熱心であります。こういう点も踏まえて、今自民党と協議していこうと。今、国民的な大きな関心事でありますので、政府としても、その協議を踏まえて、対策法というのが必要かどうかも含めて検討していきたいと思っております。
  301. 加藤修一

    ○加藤修一君 時間が参りましたので、ここで終わります。
  302. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で加藤修一君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  303. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、小池晃君の質疑を行います。小池晃君。
  304. 小池晃

    小池晃君 日本共産党の小池晃です。  将来の医療費が過大に膨れ上がって大変だという議論があるんで、その前提となる医療費推計の問題を取り上げたいと思います。(資料提示)  これはパネルにしましたが、医療費の将来推計ですね、二〇二五年どうなるか。で、一九九四年には百四十一兆円という数字が示されていたのが、九七年には百四兆円。で、二〇〇〇年には八十一兆円、そして今回は六十五兆円と、どんどん減ってきているわけですが、なぜこうなっているのか、説明してください。
  305. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 医療費の将来見通しについては、内外を通じて確立された手法はなく、作成時点における足下の医療費から過去の一定期間の実績から得られた一人当たり医療費の伸び率を当てはめて、機械的に算出をいたしました。言わば、過去の実績を将来にそのままトレンドしていくという手法を取っております。そういった意味では、大幅に伸びたときの数字を取れば当然将来見通しも高くなるという話でございます。  この見通しにつきましては、いろいろ財政諮問会議としても議論したところでありますけれども、見通しとして示すことはできるけど、はっきりとした目標と出せるかということになると、なかなかその手法は難しゅうございますという回答を私どもいたしております。そういった意味では、目安という形で整理をさせていただいているところでございます。
  306. 小池晃

    小池晃君 目安という随分腰の引けた表現になっているんですが、要するにこれは、この間の制度改革によって二〇二五年の医療費の規模が半分以下になるようなすさまじいことがやられてきたということの証左でもあるというふうに思うわけです。  この経過を見ますと、この六十五兆円という一番最近の推計にも疑問符付くわけですが、今回どういう推計方法を取ったのでしょうか。
  307. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今回の推定に関しましては、従来そのような御批判もいただいてまいりまして、特に、平成十二年、介護保険制度の創設、平成十四年、健保三割負担の導入、医療費に大きな影響を与える制度改正が行われたと。したがって、従来ですと直近を取ってまいりましたけれども、今回の推計は平成七年から十一年度、一九九五年から一九九九年、このときの数値をもちまして一人当たり医療費の伸び率をはじき出しました。それを前提にしながら、十八年度予算に基づく医療費、すなわち国民医療費というものをひとつ出さしていただいて、六十五兆円、それに対して給付は五十六兆円と、こういう数字をはじき出しております。
  308. 小池晃

    小池晃君 配付資料に示さしていただきましたけれども、今御説明あったように、今までは推計するときは直近の足下の数字でやっているのに、今回なぜか一九九九年以前という古い数字を使っている。これは介護保険というお話ありましたが、これ説明書きにあるように訪問看護それから老人保健施設は除外されているわけですから、私はもう問題ないはずだと思います。しかし、百歩譲って、だったらその二〇〇〇年度だけ除外して計算すればいいんじゃないですか。
  309. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) この議論は、正直申し上げて、過大見積りだという御質問をいただいた方々もいらっしゃる、かといって、片一方で、過小過ぎるぞという御批判もいただいたこともある。その中で私どもは〇七年から十一年度という比較的安定をしていたときを取って、そこから一つの医療費の伸びをはじき出しながら将来見通しを出さしていただきましたと申し上げております。  委員の言うように、そこだけ取ったらどうだという御議論もあるかもしれませんけれども、私どもは今申し上げたような数式に立ちながらやらしていただいたということでございます。
  310. 小池晃

    小池晃君 いや、だから、これ大事な数字だから恣意的あるいは非科学的なやり方じゃ駄目でしょうと。今までは直近、足下でやっていたんだから、今までどおりのやり方でやればいいじゃないですかと。それよりも、何で昔の、五年も前の数字を使うのかと。だったら、今までの数字で、介護保険が導入というのが大きなファクターであるならば、その年だけ除いた直近五年間でやるとかいうやり方だってあるんじゃないか、あるいは十年間という幅で今までやったこともございますよね、そういう形で取ったっていいじゃないかと聞いているんです。
  311. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 先ほど表、そこにありますよね、百四十一兆円、百四兆円。足下の数字の見誤るからこういう数字になっちゃったんだと、こういう御批判をずっといただいていたんですね。私どもは、そうした反省もありながら、七年—十一年という数字が適当だなということで選びました。  それに対して委員は違う数字を持ってきて選べと、それは委員の御主張でございますから聞かしていただきますけれども、私どもはこうした根拠に基づいて数字を出さしていただきましたということを申し上げております。
  312. 小池晃

    小池晃君 非常に恣意的だと私、思います。  総理は、二〇〇一年のときも二〇〇二年のときも、医療改悪で必要な医療は抑制されないとおっしゃっていましたが、結果としては、実際には深刻な影響出ているからそこは使えないんだというぐらいの深刻な影響出ているということでもあると思うんですね。  しかし、いろいろとおっしゃいますけれども、私、今の説明では到底納得できない。今までやった医療改悪をやめて負担を元に戻すというんだったらともかく、そのままでやるわけでしょう。だったらば、足下で起こっている変化がこれからも今後も続くというふうに見るのが当然であって、今の伸び率を当てはめて計算すればよいと。今まで過去三回だって全部そういうやり方でやってきたんだから、それで多く見積もっちゃったわけですからね。逆にそれよりも多く見積もるような計算の仕方をするというのは逆に誤りを上塗りすることになるんじゃないですか。少なくとも今までの考え方でやるというのが私は当然ではないかと思いますが、いかがですか。
  313. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今そこに表に出していただいたように、そういう見積りの仕方が誤ったんじゃないかというさんざん御批判をいただいて我々はおしかりいただいてきた。その中で……
  314. 小池晃

    小池晃君 多く見積もったせい……
  315. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) その中で、私どもは七年から十一年という数字を使わしていただいたと。委員は違う御主張をされているということはよく分かりますけれども、私どもの数式はそういう形で出さしていただいたと申し上げているわけです。
  316. 小池晃

    小池晃君 今の質問に、ちょっと私の聞いたことに直接答えていただきたいんですけれども。  大臣は、要するに、いろんな制度改革の影響だからそれは除くんだという説明されたんですけれども、その制度改革をやめて元に戻すんだったらともかく、それは続くわけですから。だとすれば、そのトレンドが続くと考えて計算するのが自然な考え方ではないですかと聞いているんです。
  317. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 医療制度改革を行ったときに次年度に大きく影響が出るということは事実でございます。一方で、二年後、三年後には一つの普通のペースに戻っていく、そうした過去の経験法則もございます。そして、十二年、十四年と大きな改革をしてきただけに、そのときの数字を使うのはどうであろうかという中で、私どもは数字を取りました。  そして、この数字に対して、先ほど申し上げたように、余りにも大きいんではないかという御批判もある、しかし一方で、余りにも過小に見ているんじゃないですかと、これから人口構造ももっと変化しますよと、とてもこんな数字で収まるようには思えないと言う方々もいらっしゃる。そういった中で、いろいろな御主張がございますけれども、私どもはこうした数式を用いましたと、この数字でやりましたということを申し上げているわけです。
  318. 小池晃

    小池晃君 制度改定の影響は一時的だからなんだという説明ですが、一時的でなかったから今までの推計も失敗を続けてきたと思うんですよ。今回の推計というのは、その誤りの上に更に誤り重ねることに私はなると思う。  お聞きしますが、過去のように、今までのやり方で直近五年間で延ばしていったら、二〇二五年の医療費は四十三兆円。これ、厚労省に計算式確認して数字入れて出した数字ですが、間違いございませんね。
  319. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 間違いございませんねと言われても、急に質問されて、あなた計算しましたかと……
  320. 小池晃

    小池晃君 通告してありますよ。
  321. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 私は計算していませんので、その数字は存じません。
  322. 小池晃

    小池晃君 通告していますよ、ちょっと。通告していますよ。  ちょっと、質問通告していますから、ちょっと調整してください。
  323. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今言われた数式に基づく数字を出せと言うならば、その数字を計算をしたものは出したいと思いますけれども、通告はいただいておりません。
  324. 小池晃

    小池晃君 この五年間の伸び率を当てはめればこういう数字になるということを質問すると、私通告してありますよ。
  325. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) そういう数式でやったらどうだという御提案はいただいているけど、これによれば、そうした将来見直しをやり直すということを考えていないという答弁になっております。
  326. 小池晃

    小池晃君 ちょっと、これじゃ駄目ですよ。ちゃんと答えてくださいよ、ちょっと。これ、国会をばかにした話ですよ、ちょっと。ちょっと、時間ないんだから、困るよ、これ。ちょっと、答えてくださいよ。(発言する者あり)
  327. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 質問取りに行った者と委員との食い違いかもしれませんけれども、幾らの数字になることを示してくれという御質問にはなっていなかったから私は数字は持っていないと申し上げた。だから、計算をして、委員が必要ならばお出ししましょうと申し上げました。
  328. 小池晃

    小池晃君 じゃ、直近五年間でいうと、医療費の伸び率は七十歳未満で〇・六六%、七十歳以上で〇・八二%になる、これは間違いないですね。
  329. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) ですから、その数字は持っていませんと申し上げているんですよ。  ですから、そこは委員と……
  330. 小池晃

    小池晃君 それはちょっとひどいな。
  331. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 委員と質問取りの間の中で細かい数字までやりますよという話にはなっておりませんから、私が御答弁させていただいたとおり、その数字に基づいて出せと言うなら出しますよと申し上げているんです。
  332. 小池晃

    小池晃君 直近五年間で当てはめると、総理、これ四十三兆円という数字になるんですね。直近五年間当てはめるというのは別に特殊なやり方ではないんです。今までそういう手法だったんです。  総理に私、お伺いしますが、この医療費の今回の推計方法には問題があると思いませんか。
  333. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 推計は当たるときもあるし外れる場合もあると思うんですよね。ですから、どういう推計に基づいてやれと言うんだったらば、今の川崎大臣の答弁のように、共産党がお示しいただいた前提とかあるいは数字を基にして出せば出せるというのが答弁だと思うんです。  私は、この推計が当たるかどうか、今はっきりは答弁できないということもお許しいただきたいと思います。
  334. 小池晃

    小池晃君 当たるかもしれないし当たらないかもしれない、そういうでたらめなことで、これ今回の医療改革の前提の数字なんですよ。それをそんないい加減な言い方では納得できません。
  335. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、今もこの表を出して、当たらなかったという前提を出しているわけでしょう。だから当たっていないと。だから、当たるときもあるし当たらないときもあるということを申し上げているわけであります。
  336. 小池晃

    小池晃君 今まで一度も当たったことないんですよ。それが実績なんですよ。  私、今回急に推計方法を突然変えたのは、これは結局、今までの方法でやると、二〇二五年の医療費というのは四十三兆円になっちゃうんですね。そうすると、今回制度改正しなくても目標を下回ってしまうんですよ。ちなみに、医療費ベースで四十三兆円ということは、給付費では経済財政諮問会議の民間議員が示している数字よりも低くなるんです。これ共産党が計算したとおっしゃいますけれども、日本医師会もこれ計算して四十三兆円になるんじゃないかと言っているんですよ。  私ね、過大な、こういう過大な、今回のように正に計算方法を意図的に変えてまで過大な医療費を設定をして、これを前提としてこれ以上国民負担を増やしていくということをやれば、医療のゆがみが本当にひどくなると思うし、国民には大変な痛みを押し付ける、暮らしの悪化になるということになる。  医療費推計の誤りが、これ当たらないかもしれないというふうにお認めになるように、これ非常にずさんなものであるという以上、この医療費推計が根拠である医療改悪法案は私は撤回するしかないというふうに思います。そのことを申し上げて、質問を終わります。
  337. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で小池晃君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  338. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、福島みずほ君の質疑を行います。福島みずほ君。
  339. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  入管法の改正法案の立法趣旨について説明をしてください。
  340. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) お答えを申し上げます。  今回の入管法改正は、米国同時多発テロ事件後の国際情勢の激変を受けまして、出入国の公正な管理を図り、ひいては国民の生命と安全を守るために、テロの未然防止対策といたしまして外国人の入国、上陸時に指紋の提供等を義務付けるものでございます。  その立法趣旨には十分な合理性があり、かつ必要性もあるものでございまして、憲法十三条が定めております公共の福祉のため必要がある場合に当たると考えております。
  341. 福島みずほ

    福島みずほ君 日本人のデータも集めていきますね。望む人は、ピッと押せばピッと通れるように日本人の指紋のデータも集めますね。
  342. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 日本人で頻繁に出入りされる方が、希望される方については登録をした上で自動化ゲートというのを設けることになっております。
  343. 福島みずほ

    福島みずほ君 外国人日本に入国する外国人、七百万人、年間。この膨大なデータ、外国人日本人合わせた指紋データはいつ消すのですか。
  344. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 当分の間、必要な期間は保存することといたしております。
  345. 福島みずほ

    福島みずほ君 当分の間とはどれぐらいですか。衆議院の法務委員会では七十年、八十年と言われています。
  346. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 当分の間で、まだ決めておりません。  ただ、この時期を明らかにすることはテロリスト等を利することになりますので、公表は差し控えさせていただきます。
  347. 福島みずほ

    福島みずほ君 何千万人という人のデータを結局は集めるわけですね。消去するのがいつか、当分の間、今答えられない、おかしいですよ。
  348. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 当分の間は保存します。いつかは消去いたします。
  349. 福島みずほ

    福島みずほ君 答えではありません。決めてないんだから、問題ですよ。
  350. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 委員会におきましても、当分の間保存すると答弁させていただいております。
  351. 福島みずほ

    福島みずほ君 テロリスト対策ということで膨大な人の指紋を入手して、滞積して消さないわけですね。日本政府は、規制改革イニシアチブ第三回報告書、日米間の関係においては米国が取得した日本の指紋はすぐ消去せよと言っています。だけど、日本政府法案作ったら消さないんですよ。この膨大なデータはどうされるんですか。
  352. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 具体的な保有期間につきましては、施行後その結果を踏まえまして最終的に決定いたすことといたしますが、当分の間は保存いたします。現時点で見込んでいる保有期間につきましては、テロリストや犯罪者に有益な情報を与えることになりますので公表を差し控えることとしたいと思っております。いただいた指紋は、個人情報保護法に従いまして厳重に保管させていただきます。
  353. 福島みずほ

    福島みずほ君 テロリストの対策のために持っている情報と照合をする、だからすぐ消すのだ、そういう議論もあるわけです。なぜデータをいつ消すのか言えないんですか。ずっと持っているんでしょう。
  354. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) まあ、委員会でもその点議論に相なっておりますが、具体的な保有期間につきましては、施行後その結果を踏まえて最終的に決定することとしております。  なお、現時点で見込んでいる保有期間につきましては、テロリストや犯罪者に有益な情報を与えることになりますので公表を差し控えることといたしております。
  355. 福島みずほ

    福島みずほ君 指紋押捺拒否の大きな運動がありました。外国人、入ってくる人取る、そして日本人でもどんどん取っていくわけですね。それを消すことを今言わない。当分の間は持っておくということで、衆議院では八十年間保存するってひどいこと言っていますよ。  入管法六十一条の九、海外にデータを出すことはありますか。
  356. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 個人情報保護法に基づいて、厳正、適切に管理をいたします。
  357. 福島みずほ

    福島みずほ君 個人情報保護法だとどうなるんですか。
  358. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 御通告ございませんが、今度の入管法改正では提供できることになっておりますが、それは個人情報保護法との関係で厳正に取り扱うことといたしております。
  359. 福島みずほ

    福島みずほ君 六十九条九は、外国人入管当局から請求がある場合は指紋データも全部提供できるんですね。結局、日本に蓄積された大量のデータはアメリカでもどこでも行く可能性があるわけです。
  360. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 法務委員会で御審議いただいておりますが、六十九条一には限定が付いております。よくごらんいただきたいと思います。無制限に出るものではございません。
  361. 福島みずほ

    福島みずほ君 個人情報保護法でどのように限定するんですか。
  362. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 前項の規定による情報の提供につきましては、当該情報が当該外国入国管理当局の職務の遂行に資する目的以外の目的で使用されないよう適切な措置がとられなければならないとされております。
  363. 福島みずほ

    福島みずほ君 資するとはどういう意味ですか。
  364. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 資するとは、資することでございます。
  365. 福島みずほ

    福島みずほ君 これは重要な問題だから聞いているんです。外国人七百万人、日本人の多くのデータ、指紋データを取っていて蓄積し、そして保存するとしているわけでしょう。資するってどういう意味ですか。外国に情報が流れるんですよ。
  366. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 日本に来日される七百万人と言われる方々のうち、大部分は善良な方々でございます。テロリスト等の情報と照合いたしまして、そういう悪い方々はチェックしようという趣旨でこの法律を作るものでございますので、そういうテロリスト等のチェックに資するシステムだと思う次第でございます。
  367. 福島みずほ

    福島みずほ君 テロリストを口実に膨大なデータを集積するわけです。善良な人の、すべての人の指紋も採取するわけです。そこが問題でしょう。
  368. 小野清子

    委員長小野清子君) 杉浦法務大臣。(発言する者あり)  もう一度質問をお願いいたします。
  369. 福島みずほ

    福島みずほ君 問題ではないですか。
  370. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 問題ではないと考えます。
  371. 福島みずほ

    福島みずほ君 小さな政府と言いながら、大きな権力を持った監視社会をつくっていくわけで、重要な指紋の問題なので聞いているのです。こんな法案は認められません。  次に、耐震設計審査指針の見直しについてお聞きをいたします。  これについて、なぜ見直しをしているのか、教えてください。
  372. 片山正一郎

    政府参考人片山正一郎君) 委員御質問の耐震設計審査指針は、原子炉施設の基本設計の妥当性についての安全審査の際に用いる指針類の一つとして、原子力安全委員会において策定されているものでございます。  現在、原子力安全委員会は耐震指針検討分科会を設けまして、最新の地震学、地震工学の科学技術的知見を反映させて、原子炉施設の耐震安全性に対する信頼性を一層向上させることを目的に、平成十三年七月以来、耐震設計審査指針の改定に向けた議論を精力的に進めており、現在議論は大詰めの段階であると、こういう状況でございます。
  373. 福島みずほ

    福島みずほ君 審査会の委員の人たちで、今のままでいいと言う人はおりません。今回の金沢地裁の判決は常識的な判断です。耐震指針が古い、新しい知見が出てきた、古いものでやっていて危ない。欠陥自動車が今走っているようなもんですよ。やめて、とにかくきちっと審査基準が出るまではやめるべきだ、どうですか。
  374. 片山正一郎

    政府参考人片山正一郎君) 原子力安全委員会の指針類は安全審査の際の判断の基礎を示すものであって、指針の規定内容だけで審査が行われるということではなくて、常にその時点における最新の科学的知見を専門家が持ち寄って個別審査案件ごとに厳正かつ十分な客観性を持った審査が実施されているということで、指針が二十年前以上に策定されたものであったとしても、常に最新の知見を加味して実施される安全審査であって、直ちに問題となるものではないというふうに考えております。
  375. 福島みずほ

    福島みずほ君 阪神・淡路大震災があり、みんな地震について新しい知識が出たわけです。やり直せと審査会は言っています。きちっとそこで基準を出し、そして補強し、そこの安心が出るまで欠陥自動車のように原子力発電所が操業することをやめろと裁判所は言ったわけです。常識的な判断です。  プルサーマルも含めて差し止めるべきだ、やめるべきだということ、命を大事にする政策をやるべきだということを申し上げ、私の質問を終わります。
  376. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で福島みずほ君の質疑は終了いたしました。  これにて締めくくり質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、平成十八年度総予算三案に対する質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  377. 小野清子

    委員長小野清子君) それでは、これより討論に入ります。  討論の通告がございますので、これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。主濱了君。
  378. 主濱了

    ○主濱了君 民主党・新緑風会の主濱了でございます。  私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました平成十八年度予算三案に対して反対の立場から討論を行います。  平成十八年度予算案の正体は、巨大な無駄を放置したまま国民にいたずらに負担を押し付けるものであり、到底評価できるものではありません。  まず第一に、巨額な無駄の放置であります。  三十一の特別会計の歳出の純計額は二百二十五兆円で、破綻の危機に直面している一般会計の三倍弱であります。特別会計は不透明で、無駄遣いの温床にもなっていると指摘をされています。しかし、一般歳出の一兆円弱の削減に対して、特別会計は前年度に比べて四十八兆円も拡大しており、根本的な見直しがなされておりません。  なお、小泉総理は、新規国債発行額を三十兆円以下に抑制したとしておられますが、これは電源開発特別会計から六百億円の新たな借金をしてようやく達成したもの、まやかし以外の何物でもないと思っております。かかるこそくな手段、全く嘆かわしい限りであります。  さらに、官製談合が明らかになっています。加えて、政府調達の落札率が高い率で推移しております。このように、巨額の無駄が存在しているにもかかわらず、政府はこれを放置しています。  第二に、ただいま申し上げました巨額の無駄を放置したまま、定率減税の縮小、廃止など、増税を進めていることであります。  所得税については、去る一月から控除率が二〇%から一〇%に縮減、また来る六月からは個人住民税の所得割額の控除率が一五%から七・五%に半減されます。正に増税であります。この上、定率減税が廃止されますと、個人消費に悪影響を及ぼすこと必至であります。回復の兆しが見えてきたと言われている日本経済ではありますが、失速のおそれもあります。  なお、定率減税については法第一条の趣旨に規定がありますが、所得課税の抜本的な見直しを行うまでの間の特例であります。しかし、税制の抜本見直しを行わないままに国民に負担だけを押し付ける暴挙は、法に反し、許されるものではありません。  第三に、地方でできることは地方でとの御答弁にも相反する施策、三位一体の改革が進められています。政府目標の三兆円の税源移譲は行われることになりましたが、国と地方役割分担など、本質的な議論は行われていません。数合わせに終始した国庫補助負担金の削減であります。特に、義務教育国庫負担金など、義務的な経費の補助率を引き下げることにより、税源の移譲をしたとしても地方の自治は強化されません。地方の裁量は広がりません。全く改革に値しない代物であります。  加えて、平成十八年度までに地方交付税及び臨時財政特例債の合計額が五兆円余りも削減されます。地方公共団体は、さきに述べました地方でできることすらできなくなりますし、住民の要望に的確に対応することをも困難にする措置であります。  第四に、民主党は、様々な事件や事故の頻発に多くの国民が不安を抱いていることから、今次第百六十四国会を安全国会と位置付け、特に子供、建物、食べ物、乗り物の安全を確保するために質疑を続けてまいりました。しかし、平成十八年度予算案はこれらの安全の確保に対応できていません。小泉政権の姿勢及び施策は強い者への支援と弱い者の切捨てそのものであります。このまま格差拡大を助長し、格差放置の政策を取り続ければ、日本社会の混乱と経済の停滞を招くこと必定であります。ゆえに、平成十八年度予算三案に反対するものであります。  以上で討論を終わります。(拍手)
  379. 小野清子

    委員長小野清子君) 加藤修一君。
  380. 加藤修一

    ○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  私は、自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました平成十八年度予算三案に対し、賛成の立場から討論を行うものであります。  小泉内閣は、発足以来改革なくして成長なし、この一貫した方針の下、構造改革に全力で取り組んでこられました。既に構造改革の成果が着実に現れてきており、我が国経済は輸出、設備投資の回復に加えて個人消費が増加するなど、民需主導の実にバランスの良い持続的な景気拡大への道を歩み始めております。今や我が国社会には新しい時代に挑戦する意欲と、やればできるという自信が芽生え始め、改革の芽が大きな木に育ちつつあります。  私は、これまで推し進めてきた改革の動きを、セーフティーネットを整備しつつ、決して止めてはならないことを申し上げ、以下、本予算に賛成する主な理由を申し述べます。  賛成の第一の理由は、財政健全化に大きな一歩を踏み出した予算になっている点であります。  本予算では、五年ぶりに国債発行額が三十兆円を下回り、公債依存度も三七・六%と、四年ぶりに三〇%台まで低下いたしました。加えて、三年連続して基礎的収支の改善を実現するなど、財政再建に向けた歩みは着実に進んでおり、かかる政府の努力を高く評価するものであります。  賛成の第二の理由は、国民の安全、安心に配慮した予算となっている点であります。  本予算には、耐震偽装問題を受けて、耐震改修の地域要件撤廃や補助の拡充、税制上の優遇措置などが盛り込まれているほか、警察OBを活用したスクールガードリーダーの増員、地域安全安心ステーションモデル事業の拡充など、子供の命を守る対策にも積極的に取り組んでおります。加えて、ニートを対象とした地域若者サポートステーションの設置やフリーターの正社員登用の促進など、喫緊の課題である若者の雇用にもきめ細かな配慮がなされております。さらに、水俣病対策の充実強化経費を前年度より十一億円増額しているほか、アスベストの飛散抑制対策として三億円を新規に計上するなど、環境問題にも積極的に取り組んでおり、国民の安全、安心に重きを置く政府の対応を高く評価するものであります。  賛成の第三の理由は、子育て支援に積極的に取り組んでいる点であります。  本予算では、児童手当の支給対象を小学校六年生修了前までに拡大するほか、出産育児一時金の引上げ、保育所の受入れ児童数の大幅な増加、放課後児童クラブの拡充などのきめ細かい措置が講じられております。さらに、仕事と子育て両立のためのマザーズハローワークの新設、育児休業を適用する中小企業への助成制度の創設などの新規の施策も盛り込まれており、子育てに十分な配慮が行われております。  賛成の第四の理由は、医療制度改革に取り組んでいる点であります。  我が国は少子高齢化が更に進み、今後、社会保障関係経費の増加は必至であります。政府は、新たな高齢者医療制度の創設に着手するほか、本予算では、診療報酬の一・三六%削減、薬価等の一・八%削減などにより、約二千四百億円もの国庫負担の削減を実現しております。これらの改革が超高齢社会を展望した新たな医療保険制度への大きな一歩となることは間違いありません。  以上、本予算に賛成する主な理由を申し述べました。  政府におかれましては、本予算成立後、迅速かつ適切に執行されることを強く要請いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  381. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で討論通告者の発言はすべて終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  平成十八年度一般会計予算平成十八年度特別会計予算平成十八年度政府関係機関予算、以上三案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  382. 小野清子

    委員長小野清子君) 多数と認めます。よって、平成十八年度総予算三案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  383. 小野清子

    委員長小野清子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十五分散会