運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2006-03-17 第164回国会 参議院 予算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月十七日(金曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員の異動  三月十六日     辞任         補欠選任      岸  宏一君     荒井 正吾君      山本 一太君     森元 恒雄君      紙  智子君     井上 哲士君      福島みずほ君     大田 昌秀君  三月十七日     辞任         補欠選任      蓮   舫君     榛葉賀津也君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小野 清子君     理 事                 市川 一朗君                 木村  仁君                 小泉 顕雄君                 鶴保 庸介君                 藤井 基之君                 小林 正夫君                 辻  泰弘君                 平野 達男君                 加藤 修一君     委 員                 秋元  司君                 浅野 勝人君                 荒井 正吾君                 岩井 國臣君                 岩永 浩美君                 大仁田 厚君                 大野つや子君                 岡田 直樹君                 佐藤 昭郎君                 関口 昌一君                 田村耕太郎君                 伊達 忠一君                 谷川 秀善君                 常田 享詳君                 南野知惠子君                 森元 恒雄君                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 小川 敏夫君                 喜納 昌吉君                 黒岩 宇洋君                 櫻井  充君                 下田 敦子君                 主濱  了君                 榛葉賀津也君                 内藤 正光君                 前田 武志君                 山根 隆治君                 若林 秀樹君                 澤  雄二君                 山本 香苗君                 渡辺 孝男君                 井上 哲士君                 大門実紀史君                 大田 昌秀君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        総務大臣     竹中 平蔵君        法務大臣     杉浦 正健君        外務大臣     麻生 太郎君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   小坂 憲次君        厚生労働大臣   川崎 二郎君        農林水産大臣   中川 昭一君        国務大臣        (内閣官房長官) 安倍 晋三君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        沓掛 哲男君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融、        経済財政政策)        )        与謝野 馨君    内閣官房長官        内閣官房長官  鈴木 政二君    副大臣        防衛庁長官   木村 太郎君        外務大臣    金田 勝年君        財務大臣    赤羽 一嘉君        農林水産大臣  三浦 一水君        経済産業大臣  松 あきら君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        愛知 治郎君        財務大臣政務官  野上浩太郎君        厚生労働大臣政        務官       岡田  広君        農林水産大臣政        務官       小斉平敏文君         ─────        会計検査院長   大塚 宗春君         ─────    事務局側        常任委員会専門        員        村松  帝君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       樽井 澄夫君        防衛庁長官官房        長        西川 徹矢君        防衛庁防衛局長  大古 和雄君        防衛庁運用局長  山崎信之郎君        防衛施設庁長官  北原 巖男君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       松本 義幸君        農林水産大臣官        房技術総括審議        官        染  英昭君        農林水産省総合        食料局長     岡島 正明君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        農林水産省生産        局長       西川 孝一君        農林水産省経営        局長       井出 道雄君        林野庁長官    川村秀三郎君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       高原 一郎君    説明員        会計検査院事務        総局次長     石野 秀世君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十八年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十八年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十八年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成十八年度一般会計予算平成十八年度特別会計予算平成十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、外交防衛に関する集中審議を行います。  質疑者はお手元の質疑通告表のとおりでございます。  これより質疑を行います。荒井正吾君。
  3. 荒井正吾

    荒井正吾君 自由民主党の荒井正吾でございます。  今日は、外交防衛集中審議ということで、まずは米軍再編協議について御質問をさせていただきたいと思います。  米国は、日本への攻撃を自国への攻撃とみなす唯一の同盟国でございます。憲法によって戦争を放棄し、また自衛のための必要最小限防衛力しか保持しない我が国にとりまして、日米安全保障体制我が国の平和と安全のかなめだと思います。この日米再編協議議論はとても大事な議論だと思っております。  昨年の十月に出されたペーパーによりますと、この三月末までに最終合意を得るというふうになっているように書かれております。具体的計画両国事務方が作成するというふうに書いております。  ところが、一方、去る三月十二日に山口県岩国市の住民投票で神奈川県厚木基地米空母艦載機岩国基地への移転計画の賛否が問われまして、投票率は五八・六八%、反対派が八七%を占めたということでございます。  在日米軍再編議論に土台となる文章がございます。昨年十月二十八日、ライス国務長官ラムズフェルド国防長官町村外務大臣大野防衛庁長官のいわゆる2プラス2の間で合意された日米同盟、未来のための変革再編という文書でございます。同文書には、2プラス2の閣僚は地元との調整を完了することを自ら約束したというふうに書かれております。英文で書かれておる文でございますが、「The Ministers committed themselves to completing local coordination」と、「completing local coordination」というのは大変重たい意味があるんじゃないかというふうに拝察されます。このような約束が2プラス2でされて、「The Ministers」、四人のミニスターが「committed themselves」と書いてあって、「completing local coordination」と書いてある文章に基づき、これは中間報告でございますが、最終合意が三月末になされると。  一方、三月十二日に岩国反対住民投票が行われたと。ほかの普天間とか沖縄についても、まだ地元合意というところまで至っていない状況でございます。  三月末の案の確定と、この地元調整コンプリーションのお約束というのは、御当人でございます外務大臣防衛庁長官のある面、責務じゃないかと思うわけでございますが、まずこの三月末に合意ができるものか、進捗からお伺いしたいと思います。  どちらの大臣でも結構でございます。外務大臣にお願いいたします。
  4. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今御指摘のありました点、確かに来る三月末までに残り二週間というところで、私どももう限られた時間しか残っておりません。今、御存じのように、細目、詰めがいろいろな形で行われておりますし、私どももいろいろな話で電話をしたり、いろいろなことでやっておるのは事実です。ただ、今交渉中のところでもありますので、これが今こうなっているとなかなか申し上げられる段階にはございません。  ただ、来週、二十何日の週に日米会議を今回東京で開く予定にいたしておりますし、再来週というところにもなってきておりますので、それまでに合意を得るべくいろんな意味で、細目、更に詰めていかねばならぬところだと思っておりますので、引き続き精力的に協議を行っていくと。まだ今検討をしている真っ最中で、今言われましたように、ローカル・アグリーメンツというものは非常に大きな重みを持っておると私どもも認識をいたしております。
  5. 荒井正吾

    荒井正吾君 これの対処、基本的な対処については後ほどまた総理からお伺いしたいと、お言葉をいただきたいと思うんですが、この協議の内容でとても重要なことが二つあると思います。一つは、日本米軍再編能力再編、それと日本自衛隊との協力関係の再構築という面が一つあると思います。もう一つは、その米軍の、トランスフォーメーションと言われる世界レベル変革に対して日本がどのような感覚といいますか、能力あるいは役割共有するかという二つの面があると思いますが、この十月二十九日の中間報告文書では再編のための勧告といいますか、レコメンデーションということで九項目、具体的な案が中間報告でされております。とても今後の日米同盟にとって重要な項目になっているわけでございますが、整理すると五つになるんじゃないかと思っております。  一つは、横田共同統合運用調整所と書いて、日本語で書いてございますが、バイラテラル・ジョイント・オペレーション・コーディネーションと、こう英語で書いてございます。これ、とても大事な機能じゃないかと思います。もう少し、日本との関係では、府中の航空司令部横田併置横田空域調整横田軍民共同使用、それぞれ地元関心、あるいは航空関係関心の深い項目が含まれております。横田関係が一群じゃないかと思います。  もう一つは、座間関係でございますが、座間には中間報告文書にははっきり書いてないんですが、ワシントン州のフォートルイスにあります米陸軍一軍団司令部を持ってくるかどうか。これが来ると、これは太平洋全体を管轄する陸軍司令部が来る、世界三つ四つしかない一つ座間に来る。大変大きな米軍機能が来るということでございます。  それから、それに対応して陸上自衛隊中央即応集団司令部移転、さらに地元の話として、キャンプ座間相模総合補給廠使用改善というふうなことが入っております。座間関係二つの。  それから、三つ目ミサイル防衛能力展開。これは比較的スムーズに進んでいるように思います。  四つ目がまたとても大事な点でございますが、米海兵隊再編普天間飛行場移設の加速、約七千人の兵力のグアムへの移転嘉手納飛行場以南の土地の返還、施設の共同使用という点でございます。  沖縄米海兵隊は約一万八千人ということでございますが、世界じゅうで米海兵隊は約十八万人弱ということでございます。米本土で十四万人いますので、世界展開している約三万八千人のうち一万八千人が沖縄普天間にいる。大変重要な基地であろうかというふうに思うわけでございます。その七千人がグアム移転すること始め、普天間基地辺野古沖への移転。大変、中間報告文書でも長いページを取って書かれておる重要な項目でございます。  最後に、五つ目として、空母艦載機厚木飛行場から岩国飛行場への移転厚木岩国関係と、この五つの分野に分けられると思うんですが、最終合意を間近に控えて、新聞でこれはああなるこうなるという記事がよく出るんですが、そのたんびに地元の人が、どうなるんだろう、よく最近ガセネタというのがはやって、これガセネタじゃないかと。実際、ガセネタというのもあるような感じも、公器たる新聞を、載った話でございますが。  公式に日本政府がこういう方向でやるとか、こういう状況だと、2プラス2の中間報告はありましたけれども、それ以降、こちらサイドの2が国民に対して公式に報告された形跡がないように思うわけでございます。  今朝の本会議西銘順志郎さん、大変重要で、地元調整を進めてくださいという質問がございました。最大限努力しますというお言葉はありましたが、こちらの2が一緒になって国民に対して共同ステートメントを発表される、こういう方向でやるというふうなことがあってもよかったのかなというふうに思うわけでございますが、まあせっかくの集中審議でございますので、この中間報告で記載された重要な、これから日米同盟にとってとても重要だと思われる五項目中心に、今どのようなことで、先ほど外務大臣から、まあ交渉なのでということですが、もうここまで来たら相当煮詰まっているんじゃないかということと、新聞であのような報道をされたのは、まあガセかどうか、本当に近いのかどうか、そのような感覚国民にお知らせ願いたいというふうに思うわけでございますが、この点について、この当委員会で是非御説明をしていただきたいと思います。
  6. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 荒井委員中間報告の重要な中身についてコメントをしていただきながら御説明をいただいたわけでありますけれども荒井委員のおっしゃるとおり、そういう日米間の役割任務能力についてお互いにどういうふうに共同運用ができるのか、情報共有していって、日米が新しい脅威とか、それから新しい安全保障環境変化対応していくかということが問われているものと思っております。  これは、米軍再編米軍アメリカ国際戦略に基づいて変革をしているわけでありますけれども、我々は我々の立場でスタンスを持って、自衛隊変革それから日米同盟関係強化という視点から今度の米軍再編に臨んでいるわけでございます。  まあ五つ指摘があったわけでございますけれども横田における第五空軍司令部日本航空隊司令部のまあ言ってみれば併置ということでございますけれども、これは、我々も日米の間で弾道ミサイル防衛についてお互いに今共通の対処方式を探っているわけでございまして、その意味では、今度の横田における日米共同併置というのは一定の役割を果たしていくものというふうに思っております。  それから、座間におけるアメリカの、まあ第一軍団司令部がそのまま入ってくるとは思わないけれども、改編された中で、司令部機能を持った陸軍司令部が来られるということでございますから、我々もその点については中央即応集団司令部との情報共有、あるいはまた対処の仕方、運用、そういうものを担うことによって、テロとか突発的な事態対応できるようにすることが大事であるというふうに思っております。  空母艦載機においても、これは岩国市のああいう住民投票があったことはよく承知しておりますけれども日米同盟関係、あるいはまた日本の安全全体のことを考えて、岩国市民、新しい岩国市が誕生した場合の岩国市民皆さん方にしっかりと説明をして御理解を得るようにしたいというふうに思っております。  あと二週間ありますから、我々は誠意を持ってしっかりと地域皆さん方に御説明をして、納得ができるような形を是非つくり上げたいというふうに思っております。
  7. 荒井正吾

    荒井正吾君 まあ、二週間とおっしゃいましたので、多分三月末に最終合意をする覚悟で交渉されているようにお聞きいたしますが、その約束したのは、コンプリーションというのは、本当に説明と、コンプリーションとは大分違うように思うのはまだ否めませんが、その点については総括的に、最後総理からお聞きしたいと思っております。  で、日米再編協議の中でもう一つ重要な部分があるように思います。  これ米軍、今、額賀防衛庁長官がおっしゃいましたように、米軍世界の中のトランスフォーメーション我が国自衛隊能力アップというのと並行してやろうというふうな御意向ともお見受けいたしました。で、その協力していろいろ考えるということ自身大変能力アップにつながるんじゃないかというふうにも思います。  で、米軍変革トランスフォーメーションは、よく言われるGPR、グローバル・ポスチャー・レビューと呼ばれる作業の一環であるわけですが、よく調べてみますと、やはり陸軍米陸軍の再配置というのが中心になっているように思います。ドイツ、韓国からの重装備の陸軍を冷戦終結したということで撤退するということでございますが、もう一つ大きなのは、脅威が不確実、不特定になってきているので即時展開をしようと。この即時展開は、やはり海軍力航空力、それと海兵というようなことの補強、あるいはロジスティックスがないとそういう能力が付与されない、あるいは陸軍自身もそういう能力を、自身持たなきゃいけない。それとこの点について各国との協力体制米国からも要請されるという大変重要な点じゃないかというふうに思います。  そこから、そうしますと、戦略思想地域の安全を守るということから、世界レベルのどこで噴き出すか分かんないテロとか大量破壊兵器の拡散後の脅威ということに目を凝らして対応しようと。ということは、即時展開力情報というのが大変重要になってくるというのが米軍戦略からあるわけでございます。我が自衛隊がそれに対応した協力関係が築けるかどうかという点が大変大きなポイントになってきているように思うわけでございます。  それで、その中間報告でも書かれておるわけでございますが、インテリジェンスコーポレーションと書いてありますが、情報でも、中でもよく分析された情報を共同して共有しよう、それを共同して使おうという面と、そこから実際の運用で、インターオペラビリティーと書いておりますが相互運用一緒にいろいろ役割オペレーションレベルで分担しよう、この二つとも大事な点だと思うわけでございます。日本自衛隊にとってこういうことができればいいなと、大変抑止力強化になるように思いますが、米軍能力から比べて、一緒にうまくやっていけるのかなというような感じもいたします。  それから、システムが統合されるので、独自色が出なくて、一緒システムの中でしか機能しないんじゃないかなというようなことがあります。それから、ある部分では米軍あっての我が国自衛隊という面があるわけでございますが、それがより進むとか明らかになるんじゃないかという面がございます。それから、現場では多分指揮とか、その米軍パーツになってしまうんじゃないか、あるいは補給基地になるだけにすぎないんじゃないかというようなことがあります。我が国自衛隊役割、それからミッションというものをどうするかという、これは防衛庁長官、大変統合的に戦略的にお考えになっているところではないんじゃないかと思いますが。  それともう少し大きな意味じゃ世界戦略米軍世界戦略の中の、そのオペレーションになるのは一パーツシステム統合の中の一機能ということになれば米軍世界戦略に巻き込まれるんじゃないか、こういう日米再編協議が進むとというような危惧もちまたではあるわけでございます。そのような大事なポイントであるが、期待と危惧が混じった部分であるわけでございます。  それらがどのような思想でどのような考え交渉を進められているのかという点について、その交渉中身だから出ないという点もありますが、むしろ一歩、我が方の基本的スタンスはこうですということをある程度明確にしていただいた方がいいんじゃないかと日ごろ思っているわけでございます。この文書によった言葉で言いますと、日米同盟における我が国自衛隊役割任務能力、ロール、ミッション、ケーパビリティーという点についての防衛庁長官のお考え、理念というものをお伺いできたらと思います。
  8. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 基本的には、米軍再編に臨む我々のスタンスというのは日米安保条約に基づくわけでございますから、自らの国、自らの国民国家の安定と同時に、その地域の安定に資するための方策を探ると、しかもなおかつ能力を上げていくために日米との共同対処方式をつくっていくということが基本的なことであろうと。その中でいわゆる役割任務能力について情報共有とか運用を強めていくということであると思っております。  最近の新しい安全保障環境変化対応した形にもなっていくものと思っております。それはまた、例えば新たな脅威や多様な事態への実効的な対応を含む日本防衛周辺事態への対応、それからもう一つはやっぱり国際的な平和協力活動、それはまた、国際的な災害派遣だとか今回のイラク派遣だとかテロ防止対策に我が自衛隊が活用されているということ、貢献をしているということ、そういうことについての日米共同対処方式、そういったことがこの我々の戦略あるいはまた目標になるものというふうに思っているわけでございます。  その中で、新たな脅威や多様な事態への実効的な対応を含む日本防衛を、周辺事態への対応については、我が国防衛計画の大綱における新たな脅威や多様な事態への実効的な対応等防衛体制強化を踏まえ、弾道ミサイル攻撃やゲリラ、特殊部隊による攻撃などを含め、自らを防衛し、周辺事態対応することというふうになるわけであります。また、有事法制等による国家緊急事態への対応対処能力強化も踏まえて、米国活動に対して事態の進展に応じて連携が切れ目のない形でつくられていくということが大事であると。それから、当然、盾と矛のような役割の枠組みが全く変わるわけではありませんから、米軍のこの変革を踏まえまして、日本防衛のため、あるいは周辺事態を抑止するため、米国前方展開能力というものをどういうふうに維持していくかということも考えていかなければならないというふうに考えているところであります。  そういう意味で、今の荒井委員が申し上げるように、情報とか監視・偵察活動人道救援活動、復興支援活動、平和維持活動大量破壊兵器等による攻撃にどういうふうに対応していくか、そういったことを我々が今度の米軍再編の中で、日本の安全と地域の安定のためにどういう対処能力を強めていくかということが問われているものと、こう思っているわけでございます。  それから、まあ言ってみれば抽象的な考え方だけではなくて、事態への対処に対してしっかりとマニュアル的にどういう行動ができるかということも具体的に今後はつくっていかなければならないということが求められているものと思っております。
  9. 荒井正吾

    荒井正吾君 ありがとうございました。  この日米同盟の中における両国、自衛隊役割任務能力という点はこの三月末という期限、文章上もございませんので、もうこれから継続的に追求、発展させなきゃいけない課題だということでございます。米軍の、あるいは周囲の安全環境の変化、あるいは我が国能力対応ということはこれからも関係すると思いますので、是非力を込めてやっていただきたい部分だと考えております。  で、先ほどの三月末の話でございますが、地域との調整を完了するという約束の同じ文書の中に「The Ministers」と書いて、「directed their staffs to finalize these specific and interrelated initiatives and develop plans,including concrete implementation schedules no later than March 2006.」と書いてございます。これがまた重要な文書じゃないかというふうに思うわけでございます。  この調整とその具体的なスケジュールを三月までに事務当局に指示をしたということでございますが、わざわざこう言いましたのは、同じ一文の中で書いてあるということと、その言い方が、やはりその地元調整を完了するというのは大臣約束になって、計画を作るのはスタッフの仕事だというふうに文書は書いてあるわけ。これは米軍米国の方が気合の入った文書じゃないかなというふうに察するわけでございます。日本語の訳の方はさらりと何となくあいまいに書いてあるように思ったものですから、その原文をちょっと確かめたところなんですが。  それで、その岩国住民投票について、これは法的拘束力はないというふうに新聞報道されております。そういたしますと、これは単なる市の住民の決議、あるいは決議のための住民投票、意思表明の住民投票ということなのか、陳情を住民投票したのかというふうな解釈になるのか。しかし、余りこう軽く扱うと、あと沖縄横田厚木座間などで地元がこの調整をどうするかということを関心持っておられる人たちが、中央政府の扱いが不満があればなかなか実行できないと。その実行できない普天間のあのトラウマが米国サイドにあって、大臣約束したよということを文章を書き込んだんじゃないかというふうにもちょっと読めたものですから、この文にちょっと執着して御説明を求めておる次第なんですが。  岩国移転に対してのこの扱いをどうされるのか、もう一度防衛庁長官にお伺いしたいと思います。
  10. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 住民投票は市長さんの裁量権でなされたものと思っております。私は、米軍再編を説得をし調整をする責任者でありますから、私自身がコメントをするのは、やっぱり今後きちっと整理していく上で適切ではないんじゃないかと思っておりますが。ただ、日本全体の安全保障を考えていく立場からすれば、これは住民投票の課題というものが空母艦載機についての移駐について賛成か反対かというだけのことでございますから、私といたしましては、この日米同盟我が国の安全、この地域の安全にとってどれほど意義あるものであるか、戦後六十年間日本が安定した中で経済成長を遂げてきたのは、一体その根拠は何なのか、そういうことをよくよく考えていただければおのずと分かってくることについて、今後、岩国市民を始め多くの国民皆さん方説明をし、この米軍再編日米同盟関係がいかに重要であるかということについて理解を得るために最大限の努力をさせていただきたいというふうに思っております。  したがって、今月末までにそういうことを各地域地域で説得をし、説明をしながら対応をしていきたいというふうに思っております。
  11. 荒井正吾

    荒井正吾君 米軍再編最後質問総理にさせていただきたいと思います。  米軍再編協議米国にとっても大変重要だと思います。これからブッシュ大統領とお会いになる機会があると思いますが、このお話をされるんじゃないかというふうに思います。今後は1プラス1の協議ということになろうかと思います。  今、三月末の最終合意地元調整のどちらを優先といいますか重きを置くかというような感じもいたしますし、その辺りをその2プラス2の上に立たれる総理から、いま一度この点についての御説明、お言葉を賜りたいと思います。
  12. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 米軍再編ということについて、日本の安全保障を図る上において、これは極めて重要なものだと思っております。特に日本の安全を確保すると、平和を守るという観点に立てば、日米安全保障条約、これを今後とも強化することは極めて重要な問題であります。  その中で、沖縄基地を抱えている自治体の負担軽減を、全国的に見て、日本全体で見て、どのように軽減していくか。侵略しようとする勢力に対して、あるいは日本、混乱させようとする勢力に対してしっかりとした抑止力と、そのような、日本を混乱させたり侵略しようとしても日本は無抵抗じゃないぞと、厳しい反撃を覚悟しないと日本を侵略できないというような、ふだんからの準備をするためにも、日本アメリカとの関係強化は極めて重要であります。  そういう観点と同時に、沖縄等におきましては、基地の負担、もう日本国の米軍基地の七割以上を沖縄県民が負担している。この沖縄県の基地の負担をいかに軽減していくか。これが極めて重要であり、抑止力と負担軽減、そういう観点から、今アメリカ当局とそして地元関係自治体と調整をしているわけであります。  この問題につきましては、まだまだ話合いも必要ですし、地元の御理解、御協力を得なくてはなりません。住民投票におきましても、どの地域でも、基地の負担を負うということに対しては反対あるいは懸念示されているところでありますので、そういう方々の気持ちをおもんぱかりながら、できるだけ日本全体の安全確保、平和維持という観点からも御協力いただけるように、誠心誠意、今後政府全体として取り組んでいきたいと思っております。
  13. 荒井正吾

    荒井正吾君 ありがとうございました。  日米同盟あるいは近所の安全保障環境を良くするためにも、基地周辺の住民の理解と支持というのは極めて重要だと思いますので、引き続きその方の努力を最大限していただきたいというふうに改めてお願い申し上げたいと思います。  この米軍再編の中で出ました情報共有情報協力の分野でございますが、国家のインテリジェンス機能ということになろうかと思いますが、その面で我が国は、まあ米軍と比較するのは無理にしても、そう過去のいろんな歴史、戦争に入ったときの経験からして、最上級の機能を持った分野だというふうに他の国からは認識されていないというふうに思っております。グローバル化の中で脅威が不確実になってくる、不特定になってくるという中で、国家のインテリジェンス機能というのはますます重要だというふうに考えます。敵を知り己を知らば百戦危うからずということでございます。  毎日のように総理のところに行っておられます兼元内閣情報調査官は長年の友人でございますが、高い志を持ち、能力の大変優れた超一流の人物だと私は思っておりますが、米国の何万人もいるような情報処理機関に比して日本国家中枢の情報処理能力、分析能力戦略構築能力というのは、米国一緒情報共有するにしても、今後我が国独自の情報からの戦略を立てるにしても、まあ多少という、もっと貧弱じゃないかという印象を持っておるわけでございます。  国家情報機能の最終ユーザーは総理自身でございます。最終ユーザーが、いや、これでいいんだとおっしゃればこれでいい国だということになるわけでございますが、最終ユーザーの立場から、この情報処理、分析の在り方あるいは今後の発展についてどのようなお考えか、一度お伺いしたいと思っております。
  14. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 情報の収集とその情報がどういうものか、正確であるか虚偽であるか、分析等は大変、情報を得る、あるいは国策を判断する上においても極めて重要なものでありますので、日本政府としても、情報収集分野というのは各担当が分かれておりますが、その分かれているところからどうして集約して正しい情報を集めて一定の対応を決めるかということについては、今までも細心の注意をしてきたつもりであります。  これで満足しているとか十分かと言われますれば、これは不断の努力と、そして新たな情報収集のための手段をどう高度化していくか、強化していくか、あるいは、これだけ科学技術が進歩した中でも人間対人間の情報、これも不可欠であります。古典的な分野の情報と最新の機器による情報を得る両面からも、私は、不断の努力なり高度化のための向上能力を高めていくという、そういう両面からこれからも努力していかなきゃならないと思っておりますし、今十分か満足しているかと言われて、常に努力していかなきゃならないと思っているんです。  それは、法的な制約もあります。外国と協力する、アメリカと協力するという点も必要でありますけれども、それはアメリカ独自の情報日本独自の情報、言っていい場合と言ってはならない場合、両方の国であると思いますから、そういう点もよく考えながら、各国と協力しながら情報を集めて、そして日本で協力すべきところは協力しながら、また日本独自でしなきゃならない点、よく判断しながらこの情報能力を高めていかなきゃならないと思っております。
  15. 荒井正吾

    荒井正吾君 最終の国家意思決定者である総理情報戦略情報収集・分析に御関心を持って、引き続きまた持っていただきたいというふうに思うわけでございます。  戦場の情報をディシジョンメーカー、意思決定者に素早く正確に届けるというのは、これ国家の大切な機能でございます。まあ選挙の戦場の情報は届きやすいわけでございますが、世界の安全保障あるいは安全環境についての情報は複雑でございますので、大変深い分析が要るというふうに思いますので、この部分国家機能を是非今後強化していただきたいというふうに考えております。  経済問題について若干御質問させていただきたいと思います。  アジアとの経済連携についてでございますが、一部新聞報道で、アジアとの経済連携、FTAを中心にすると、貿易の連携を中心にするという報道があって、これ、EPAと言われる包括的な経済連携の方がいいんじゃないかというふうに考えていたところでございますのでちょっと驚いたんですが、その点を確かめたいと思うわけでございます。  EPAの方が、資本の話、人の話、サービス貿易の話、いろいろそれぞれの国の構造改革を促す大変力のある、パワーのある協定であろうかと思います。特に、アジアとの経済連携の交渉というのは大事じゃないかと思います。まあスイスが大事だという話も聞いたんですが、やはりアジアとの関係が大事だというふうに思っております。  アジア諸国との今後の経済連携の進め方について、外務大臣から御所見を伺いたいと思います。
  16. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今御指摘のありましたように、アジアとの経済連携をどうしていくのかというお話で、EPAをやめてFTAにするのかというような御疑問があっておりましたけれども、EPAを積極的に推進してまいります。  基本的には、FTAは二十世紀型、物の話で、主に境界線がある、国境があるというのを前提にしてつくり上げられた協定に対して、このEPAの方は二十一世紀型というか、基本的には境界線なしという形、国境線なしという前提で事を進めるというやり方で一体化いたしますので、形としてはこちらの方がより融合関係が強くなるということだと思っておりますんで、知的財産所有権というのはなかなか難しい問題が一杯あるんですけれども、そういったものを含めまして進めていきたい、EPAでルール作りをやっていきたいと思っています。  既にいろんなところでき上がっておりますけれども、タイにつきましては、もうこれも既にでき上がっておりますが、サインをする段階で向こうが選挙ということになりましたので、突然選挙があるのはどこの国でも似たようなところがありますので、こちらも文句の言えぬところなので、選挙が終わりますのを待って、四月末ぐらいに多分訪日を期待しております。それででき上がることになります。フィリピンにつきましても、今詰めを急いでおりまして、インドネシア、ASEAN等々につきましても、これちょっとスピードを持ってやらにゃいかぬということで、今どんどん進めさせていただいております。  ただ、一つだけ、メキシコとこの間やりましたときには、一か国とやると大体一メーターぐらい書類がこう、英語、スペイン語、日本語となりますので、物すごい数になりますので、それをやる物理的な人間がちょっと足りておりませんので、今、任期採用、任期付きの採用等々を有効に活用させてもらって、今、弁護士等々、若い人七人、八人採用してその仕事をさせていただいたりしておりますので、ちょっと人海戦術等々もやらにゃいかぬというところも置かれている状況一つとして御理解をいただければと存じます。
  17. 荒井正吾

    荒井正吾君 我が国の構造改革のエンジンが外からも来るんじゃないかというふうに思って、とても大事な分野じゃないかと考えておりますので、引き続き精力的な御活動をお願い申し上げたいと思います。  アジアとの連携を進める上で、やはり重点的に配慮をすべき点が少なくとも二つあると思います。農業と外国人労働者の問題じゃないかと思います。農水省の政務官、副大臣、また厚労省の政務官から、農業のグローバル化の中での、あるいはアジアとの経済連携の中で農業の戦略、方針、それと外国人労働者の受入れ、日本での外国人労働者の扱いについて、それぞれお伺いしたいと思います。
  18. 三浦一水

    ○副大臣(三浦一水君) 荒井委員にお答えをいたします。  農林水産省といたしましては、我が国とアジア諸国の経済関係強化が誠に重要であるとまず認識をいたしております。そのことを踏まえまして、アジア諸国との間の経済連携協定を通じまして、農業あるいは食品産業の分野で共存共栄を図りながらお互いの農山漁村の発展などを図っていくという考え方で積極的に取り組んでおるところでございます。  具体的には、各国との交渉の中で、相手国の関心農林水産分野での協力の要請には応じるところは応じながら、そして我が国の輸出関心品目などにつきましては相手国の関税撤廃をきちっと求める一方で、我が国農林水産業が果たしております多面的機能、あるいは食料安全保障の機能などはきちっと確保する。また、我が国農林水産業の構造改革の努力などに悪影響が出ないような配慮をしながら、我が国の基幹作目や地域の重要品目などにつきまして、個別品目の事情に応じた関税撤廃の相手側に例外品目扱いを求めたり、経過期間を設定するなど、きめ細やかな対応をしているところでございます。  このように、守るところは守り、譲るところは譲り、そして攻めるところは攻める、そういう姿勢で今後も交渉に当たってまいりたいというふうに考えております。
  19. 岡田広

    大臣政務官岡田広君) 荒井委員の御質問にお答えをいたします。  EPA、経済連携協定における看護・介護分野の人の受入れについては、フィリピンとの間で一昨年十一月、小泉総理とフィリピンのアロヨ大統領との両国首脳会談において、我が国の看護師、介護福祉士の国家資格の取得を前提とする受入れについて大筋合意がされたところであります。現在、日本とフィリピンの間で早期の協定署名に向けて協定条文の交渉を行っているところであります。協定署名後、実際に受け入れるに当たっては、今回の受入れがEPAに基づく初めての看護師及び介護福祉士の候補者の受入れであることを踏まえ、秩序立った受入れが実施できるような受入れ体制を確保するとともに、両国の連携に資するよう、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  20. 荒井正吾

    荒井正吾君 ありがとうございました。  もう時間もないですが、最後一つだけ、今の外国人労働者の問題、在日の日系ブラジル人の問題等々、大変問題が発生している分野でございますが、国家戦略の分野でも大変重要だと思います。統一的な国家意思が示されてない分野でもあろうというふうに思います。  入国管理とか、それぞれの部分じゃなしに、統一的な国家意思が必要じゃないかというふうに思うわけでございますが、この点について、最後総理から一言御所見を伺いたいと思います。
  21. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 労働力が足りないからといって、外国人労働者をどんどん受け入れるべきかという議論がありますが、その点については私は慎重に考えていかなきゃならないと思っております。特に、どの地域、どの国を見ても、一定の外国人労働者が超えると、増えると、必ずその国の人々との摩擦、対立が起こります。  そういう点も考えて、今、日本には不法外国人滞在者が大勢いるということ、二十万人から二十五万人が不法滞在の、法律的に問題がある、正規の許可を得ていない外国人労働者であると言われていますが、これを見ても、日本に来たがっている外国人はたくさんいるわけです。何とか日本で働きたい、パスポートを偽造してでも、あるいは犯罪者のいかがわしい組織を使ってでも日本に来たいと。強制退去してもまた来ると。またそれ、偽造パスポートを見抜けないということもあるものですから。それだけ日本というのは多くの国の人々が来たがっている。  それだけに、今後外国人の労働者を受け入れる場合には、企業主にしても、あるいは最近学校でも学業ということで実際は不法就労している部分もあるものですから、どうやったら正式に許可を持った外国人を受け入れることができるか、また一定の必要な訓練をした能力のある外国人を受け入れることができるかについては、政府としても、また受入側の企業としても学校側としても、現地の身元についてよりしっかりとした確認の方法にしても、まだまだやるべきことはありますから、そういう点をよく検討して外国人労働者を受け入れなければならないという点については、全部阻止することはできませんので、どの程度を受け入れて、どういう対応が必要か、そして日本に来た外国人がやはり日本から歓迎されると、友好関係を保っていただくと、日本とのやっぱり懸け橋、将来の、そういう温かい受入れ体制をつくっていかなきゃならないものですから、そういう点にも配慮して、外国人労働者の受入れについてはこれからも真剣に検討していくべき課題だと思っております。
  22. 荒井正吾

    荒井正吾君 ありがとうございました。
  23. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。森元恒雄君。
  24. 森元恒雄

    森元恒雄君 関連しまして、外交防衛問題について数点お聞きしたいと思います。  まず最初に、国連の安保理改革でございますけれども、昨年の秋の国連総会では、三つの決議案が出されましたけれども、結局はいずれも採決に至らず廃案ということになりました。年が明けまして、AUも決議案をさらに改めて出し直した。それからまた、G4も、ドイツ、インド、ブラジルは出しましたが日本は同調しなかったと。今アメリカ協議をしているというふうに聞いております。この常任理事国五か国の賛成を得るということが必須条件でありますし、アメリカも消極的、あるいは中国が反対という中で、ここをまずどう突破するか。  そういう意味では、アメリカを重視するのは分かりますが、同時に、三分の二の賛同を得ない限りは通らないわけでありますので、こういう進め方の中で成算があるんだろうかなといういささか心配もするわけでございますが、この辺の考え方、進め方についてお聞かせをいただきたいと思います。
  25. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この話は、森元先生御存じのように、これは戦勝国で作ったルールのものをいわゆる話合いで変えよう、五十一か国でスタートしたものが今は百九十一か国になっておりますので、ここで変えようという、この二つの点をまず頭に入れておかないと、なかなかそんな簡単にできるものではございません。  敵国条項という、いわゆるエネミークローズというのが付いております。一応これは、書いてあるけど、ないということになっておるのが現状ではありますけれども、そういったものを踏まえた上で、少なくとも私どもとしては、今の時代に合ったようなものとして変えていかねばならぬということで、昨年、いろいろ活動をさせていただいて、残念ながらG4案というのは否決をされておりますけれども、少なくとも国連総会において、国連改革の中にあって国連安保理事会というものの改革というものは必要であるという結論に至らしめたというのは非常に大きな成果だったと、私自身はそう思っております。  いずれにしても、すぐ右から左に決着付く話とは思いませんけれども、こういったものは基本的に皆認めているところでもありますので、合意を得る案を今後とも模索し続け、活動し続けていくべきものだと思っております。
  26. 森元恒雄

    森元恒雄君 改革の、国連改革の必要性は、今大臣のお話のように、多数の国が賛同しているわけでございますので、細い穴をどうくぐるかと、これからも御尽力をいただきたいと思います。  それに関連してお聞きしたいと思いますのは国連の分担金でございます。  今年は見直しの時期ということで、日本としてもこの改正案を出しておるというふうに聞いておりますが、私も改めてこの今の水準、金額が、見まして、何でこういう状態を今までほっておいたのかなといささか不思議でしようがありません。  基本的にはGNIに比例して決まっているわけですが、アメリカはキャップが掛けられている、日本だけが全くそういうものがなしに単純計算のまま一九・五というような負担をしていると。五か国でも、中国が二・一、ロシアが一・一と。一体これはどうしてこういう数字になるんだろうかなと思いたくなるんですが、この分担金問題についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  27. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御指摘のとおりに、これは経済の、経済力に応じてという、比率に割って、当時は、アメリカ世界のGNPの四九%、いや、五〇%近く持っておりましたので、それは幾ら何でもというので、まあ上限、キャップを決めた、あとのところは、残りは全部参加国で割ったという形になっておるんだと存じます。日本の場合は、御存じのように世界第二位の経済力でありますので、それに比例してずっとここまで上がってきたというのがその背景だと存じます。  今そういったものに関して、これは地位に応じて少なくともしかるべき負担をしておかしくないのではないかと、少なくとも、最貧国みたいな話になっておりますけれども、今、私どもは一九%を払っております。正確には一九・四六八%払っております。  これは、この前改定いたしました二〇〇〇年のときには二〇・五七三でしたか、ありましたので、それに比べれば一%下がった形にはなっておりますが、今御指摘のありましたように、ロシアを見ますと、今の状況では、ロシアが約一・一%、それから中国が二・〇%ということで、足して三ということになっておりますが、随分経済力も付いておられるように、御本人が言っておられますし、また、ロシアの方も石油代金も二十ドルが六十ドルになりゃそこそこ実入りも増えておられるのではないかと。他人の懐を勘定するのはあんまり品が良くありませんけれども。  そういったことを考えますと、少なくとも常任理事国をやっておられるんだったら、少なくとも五%ぐらい払っていただいてもよろしいのではないか、若しくは三%ぐらい払っていただいてもおかしくないのではないかというのが率直なところでして、何もその分おれたちのところを安くしろとは言わないから、少なくとも上がった分だけでほかの最貧国等々に回せる部分とか、いろんなプロジェクトを抱えておりますんで、そういったものに回せるようにされたらどうですというのが私どもの今回の提案の、物すごく大まかに言っておりますけれども、基本的にそういう考え方で提案をさせていただきつつあります。
  28. 森元恒雄

    森元恒雄君 是非そういう方向で進めていただきたいと思いますが、一つ懸念するのは、常任理事国入りが果たせなかったからこういう話を持ち出したんじゃないかというふうな取られ方をすることは、全体、総体としてまずいと思いますので、そこは抜かりなく、そういうこととは関係ないんだという話をしながら進めていただきたいというふうに思います。  もう一点、国連の事務総長の件でございますが、今年の暮れには改選時期というふうにこれも承知しております。現在三名、アジアからは三名の方が名のりを上げているということが報道されていますが、これはしっかりとしたルールはないにしても、次はアジア地域じゃないかというのが大方の見方であります。  そこで、せっかくそういう何年かに一度、何十年かに一度のチャンスが回ってくるとすれば、我が国としてもこれは積極的に対応しない手はないんではないかと、日本としても候補者を立てる絶好の機会ではないのかなというふうに思うわけですが、大臣の御所見をお聞かせいただければと思います。
  29. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御指摘のように、今国連の事務総長、任期満了に伴いまして今年末で切替えということになると思っております。そのときに当たって、アジアからということを、私どももそのように思っていろいろ案を考えております。  日本人という前に、まずアジアから出ましたのは、一九六一年から七一年までの間、ビルマの、当時はビルマと言ったと思いますが、ビルマのウ・タントという事務総長が出た以来、アジアから、その後はエジプトでしたし、アジアからは出てないと記憶をいたします。そういった意味では、今回はいい機会だと思いますんで、是非アジアからということを考えておりますが、今、日本人に手持ちのこまでこれがええというのが今ここに用意してあるかということが御質問の要旨だとするならば、今の段階で日本人のしかるべき候補者を抱えているわけではございません。
  30. 森元恒雄

    森元恒雄君 いささかちょっと残念なお話でございますけれども、まだ時間がありますので、これ、今の答弁は今ということで、またいろいろ考えていただければ有り難いなと思います。  次に、アジアとの関係、近隣諸国との関係について何点かお聞きしたいと思います。  まず第一点は靖国参拝でございますが、これが中国、韓国との間でなかなか総理の真意、思いというものが御理解いただけないと。批判、反発が収まらない。大変残念でございます。また、日本としても、私はこれは安易に妥協できるような筋の話ではないというふうに思っております。しかし、国際間の関係というのは、お互いに独立した、主権を持った国家間の関係でございますので、一方が他方を一方的に云々というのがなかなかできにくいのも事実であります。こういう状況の中で、今後日韓、日中間が、政治、経済、文化、あらゆる面で、健全にという言い方がまあ適当かどうかは知りません、分かりませんが、発展していき得るんだろうかといささかの心配もするわけでございまして、正にこういう案件こそ外交についてのプロ集団である外務省が知恵と力のある限りを、持てる限りを出し尽くして絶妙な糸口を付けるというチャンスでもあるんじゃないかなと。是非、そういう努力といいますか、力を振り絞っていただきたいなとも思うんですけれども大臣のお考え、お聞かせいただければと思います。
  31. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 中国と韓国の話で、今靖国の話が出ておりましたけれども、基本的に両国というのは、歴史的に見ても、また今経済的に見ましても、貿易関係で、一に中国、二にアメリカ、三位韓国かな、そんなもんだと思いますんで、そういった意味では、経済関係におきましても極めて深いかつ広い関係になっておるのは現状だと思っております。  また、文化交流と、このような面も考えましても、日韓基本条約ができましたときに年間、人の往来は一年間で約一万数百人、今は一日で一万数千人になっております。中国も同じように約四百万というような数字になってきていると思いますんで、人的交流もいいようですし、また、文化の点につきましても、向こうの、私にはよく分からぬ男前の人が入ってきて、えらく日本のテレビで受けたりしているんだそうですけれども、こちらの方もかなりな数のポップミュージック、ジャパニメーション、Jファッションと言われるような、スリーJと言われるものが今、釜山、上海等々でかなり広く、私どもの全然知らないところで日本語というのはえらく普及いたしております。  それが現状、現実でございまして、なかなか私らの世代とか、政治家なんて表しか歩いていませんから、何となく裏の世界をよく見とらぬと、ここらの世界がよく見えとらぬ人が多いんだと思います。裏って、本当の意味の、よく日本語というのはここらのところ、ここだけ足引っ掛けられるとかないませんので、裏の世界やよく現実を見ていないと、表通りじゃなくて、裏通り入って見たときの現実、カラオケなんかで歌われている歌の種類というのはどれくらいこの十年間で変わったかという等々は、これは是非、資料に上がってこないところだと思いますが、是非、そういった意味では、すさまじく文化交流というのは進んでいるというのが現実だと私はそう認識をいたしております。  したがいまして、今この靖国の話がよく例に引かれますけれども、一部話が、それによって首脳会談ができないという話まで行っておるのは、少々形としては異常だと思っております。この点に関しましては、他国にいろいろ意見の違いはあったにしても、両国首脳が会えないというような形になっておるというのは私はほかに例を知りませんので、そういった意味ではいかがなものかと思いますし、更に努力をしていかねばならぬとも思っております。  いずれにいたしましても、アジアの中において、日本というものが今後とも、これまで経済力が余りなかったからふわあっと伸びてきて、急激に伸びてくれば必ず、かつて三十年代、四十年代、日本が経験いたしましたような地域間格差とか貧富の格差とか公害の問題とか、これはみんなかつて日本が三十年前、四十年前やってきた問題ばかりでございますんで、こういったものに関しましても私どもの知見、経験というのは十分に活用し、双方でこれを利用し合うことによって円満に国内事情の問題解決にもなりましょうし、ひいてはそれがまた両国の利益、共益に資していくんだと思っておりますんで、地道にも引き続き努力をしていくべきもんだと思っております。
  32. 森元恒雄

    森元恒雄君 首脳会談が開けないということ一つ取っても、これまた相手のある話で、相手が納得、了解しない、合意しなければ、この問題だけでそこまで行くのはいかがかなと言ってみても、前へ行かないわけでございまして、そこを何とか知恵を出すべきではないかと、まあこれはお願いするしかありませんが、是非御尽力をいただきたいと思います。  次に、東アジア共同体について一点だけお聞きしたいと思いますが、アジアの国々、韓国、中国のみならず、ASEAN含めまして、この地勢的に近い関係にあるアジアとの関係を密接にすることは非常に大事な日本にとっての外交課題だと思いますが、他方、アメリカとの関係日米同盟一つ日本外交の基軸であるということ、しましたときに、このアメリカとアジアとの関係を両方うまくつなぎながら相互の関係を深化させていけるんだろうかと。  いささか、人によってはこの東アジア共同体といのは難しいんじゃないか、特にアメリカとの関係においてなかなか日本の思惑どおりにいかないんじゃないかということを言う人もおられるわけでありますが、この辺についてどうお考えか、できましたら総理からお聞かせいただきたいと思います。
  33. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 昔、マレーシアのマハティールという人がこれと似たような構想を打ち上げてつぶされたことがありました。それから約十年たったことになりますけれども、昨年の十二月の十七日、この東アジア共同体という新しい枠組みでスタートをさせていただきました。  従来と違いますのは、東洋人だけではなくて、いわゆるインド人、オーストラリア、ニュージーランド等々が入ったという枠組みが従来と違っておったと思いますが、少なくとも、これによって開かれているというイメージを植え付けるのに成功したんだと存じます。  少なくとも、民主主義とか自由主義とか、いわゆる法治主義とか、そういったようなものを基本的な概念として持っている国々がいわゆる地域において結束するということ、何の問題があるんだということで私どもとしては主張して、釜山でしたか、釜山でしたかのアメリカ国務長官との一対一の会談でこの話をして、これはその後アメリカに一月に行ったときにもほぼ同じ話をして、それ以後この種の話にアメリカからいろんなことを言われたことはないと。私どもは、基本的にこの三か月間その種の話はございません。  また、アメリカとしては、これはAPECに非常に力を入れておりますので、APECプラスこれというのに余りいま一つ分かっておられないようなところがありますが、私どもとしてはインドというのが今伸びてきているという状態を絶対無視すべきではないんであって、そういった意味では、この東アジア共同体というのは非常に大きな意味があるんで、小さく産んで大きく育てていくべきだということを今言っておりますので、今双方、日米間で双方そんなに意見がぶつかり合っているという状況ではないと、そのように理解をしております。  どのみち、この種の、全く宗教も違えば、人種も違えば、言語も違えば、背景も違います国々が一緒になるというのは、それはなかなか簡単なわけではありませんし、かつてECがEUになるまでには三十数年掛かっておる計算になります。その意味から考えましても、そんなすぐ成果が出るものとは思いませんけれども、非常に意義のあるものだと思って、長い目で大きく育てたいと考えております。
  34. 森元恒雄

    森元恒雄君 我々は、共同体という言葉を聞くとすぐ、今の大臣のお話にもありましたが、EUが頭に浮かぶわけですけれども、この東アジア共同体というものが行き着く究極の形、どういうものであるかということにもよるんじゃないのかな。今お聞きしてますと、そういうEU型のものではなくて、もうちょっとふわっとした柔らかいつながりの形というふうに理解しておりますが、だからこそアメリカの方からも今の時点でとやかく注文はないのかもしれませんが、その辺の関係はいかがでございましょう。
  35. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) おっしゃるとおり、今の段階で、スタートしてまだ半年もたっておりませんし、いろんな意味でこれからどういうものをというのをやっていくことになろうと存じますが、少なくとも共通の問題としてテロの問題とか海賊の問題とか鳥インフルエンザの問題とか感染症の問題とか麻薬の話とか、共通して持っております悩みがございますので、そういったもののまず情報交換等々から始めるということになっていくんだと思っておりますので、いろいろ一緒に仕事をしていく中で信頼関係も醸成され、結果としてより良い形を生んでいきたいものだと考えております。
  36. 森元恒雄

    森元恒雄君 あと一点、北方四島についてお聞きしたいと思います。  昨年、プーチン大統領が来日され、しかし共同声明も出せないで終わったというふうなことで、かなりまたこの解決に向けて道のりが遠くなったかなという感じを受けるわけでございますが、これからこの四島の返還あるいは帰属の明確化に向けてどういう具体的な方策をもってして前進させようとしておられるのか、今後の進め方についてお考えをお聞かせいただければと思います。
  37. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 昨年十一月に日ロ首脳会談というのを東京において行われておりますけれども、この件に、このときもそれは溝がありますことはもう間違いございません。その上で、これまでいろいろ合意をいたしております昔の、昔のというか、ソ連の時代にさかのぼっての昔からいろいろ諸文書がありますんで、それに基づいて、少なくともともに受け入れられるところはあるんだから、そういったところを認めた上で少なくとも解決する方法を考えようじゃないかということで、引き続き、日本としては我が国固有の領土である四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという基本方針というのがございますんで、それに従って交渉を進めてまいりますが。  今、例えばいろんな意味でアチェの、アチェってあのインドネシアのアチェの地震、津波によりまして、こういった火山列島の一部にもありますんで、この北方四島に地震等々がないという保証は全くございません。したがって、そういった意味では、私どもとしてはこういうようなものを一緒に危機管理をやる、いわゆる津波対策をやる、地震対策の情報はさっと流れる、そういった共同でいろいろやっていくことはあるのではないかというようなことを提案し、外務大臣じゃなくて何とか大臣だったな、危機管理担当大臣、何ていうの、そういう担当大臣というのがこの間個別に来ておりましたので、それと話をして、こういうのをやると、また各省通したりすると手間暇掛かるな、おたくはえらく手間暇掛かると。おたくら見てると日本の役所の方がはるかに効率がいいように見えるぐらい時間が掛かるから、全然返事が来ないんだから、とにかく話をここで決めたんだからちゃんとすぐ返事をもらいたいということで外務大臣に電話をして、話は来ていたかと言ったら来たということでしたんで、少なくともその面に関しまして、今事務方で交渉を開始しつつある。  いろんなところで少しずつ仕事を開始させていただきたいと思っております。
  38. 森元恒雄

    森元恒雄君 私も一昨年、当時の遠藤国際局長を団長に議員外交の一環としてロシアに行きまして、ボゴモロフ統一ロシア総評議会書記、まあ日本でいえば自民党幹事長に当たる方かと思いますが、二時間半ぐらい真剣に率直に言いたいことをお互いに言ってまいりました。そのときの印象では、我々は平和条約の締結が先だと、こう主張するんですけども、相手はやっぱりお互いに信頼関係、交流が深まることが平和条約の締結につながる、そのためには経済交流をもっと活発にすべきじゃないかと、日本は少し腰が引けているんではないか、こういうことでございましたけれども、この経済と平和条約との兼ね合いについて日本政府としてはどういうスタンスで臨もうとしているのか、一言、もしありましたらおっしゃっていただければと思います。
  39. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは卵が先か鶏が先かということにもなろうと存じますけれども、少なくともこの平和条約とか国境線の画定とかいう問題は、これは二国間においては極めて重要な問題だと、私もそう思いますんで、条約の締結というのは非常に重要な優先順位だと思いますが、同時に、それがないから何にもできないというのではちょっと話が全然前にも進まないことになろうと思いますんで、今先生言われましたように、向こう側の言い分もいろいろ、まあ経済、向こうはなかなか、資源という、石油という資源がありますけど、それ以外の点についてはいろいろ昔のまんまのシステムのところもありますんで、そういったところは是非知恵をかせ、力かせということになってきておりますんで、そういったものを出して、向こうもそういったものにそれなりの利益を、利益というか、利益を感じて、そういったところで信頼関係が醸成されて一歩進むという面も否定できないところかなという感じはいたします。
  40. 森元恒雄

    森元恒雄君 それじゃ、防衛関係について幾つかお聞きしたいと思います。  まず、日本のこの防衛力の、まあ何といいますか、総量として、力量というんですかね、についてちょっとお聞きしたいと思うんですが。この独立国として必要な防衛力の量というものが何がしかあるとすれば、それに照らして今の日本の水準はどの程度かというふうに思うんですが、担当の防衛大臣としては、日本のその今の水準は必要にして十分であるというふうにお考えかどうか、まずお聞かせいただければと思います。
  41. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 防衛庁長官として思うことは、私が一番考えなければならないことは、日本国民国家の安全、安定をどうやって確保するかということであります。したがって、日本の力だけでこれをやってのけることができるか、それが適切な判断であるのかどうかということを考えた場合に、やはり米国と同盟関係を結んで、これは六十年の歴史の中で、盾と矛ではないけれども、それぞれ役割分担を担い、我が国は専守防衛に徹して、侵略国家我が国を攻めたときは国民を波打ち際できっちりと守ると、敵国に対しては米国がこれをきちっと打撃力をもって対応してくれると、そういう同盟関係を持って初めて我が国の安全を保っていくことができてきたし、今後もこの体制をつくっていくことが日本防衛、それからこの地域の安定にとっても必要であろうというふうに思っております。  まして、米国との間では自由主義とか民主主義とか、そういう価値観を共有しているわけでありますから、そういう民主主義国家群をこの地域につくっていくことは、我が国地域世界の安定、平和に貢献していくことにもなると。そういう意味で、まず同盟関係を持って対応していく。あるいはまた、人員とか整備については、これは国会の承認を得た中で、防衛大綱、中期防衛力計画というものを作る中できちっとシビリアンコントロールの下で対応させていただいているということでございます。
  42. 森元恒雄

    森元恒雄君 世界的な規模で武力紛争が起こるという、まあ脅威といいますか、リスクは非常に小さくなってきたというふうなことを背景に、今自衛隊の規模を縮小する私は方向で進めていると思うんですね。陸上が十六万七千から十五万五千、護衛艦も二十一隻から十五隻、戦闘機は三百機から二百六十機といずれも減らしますと。  で、まあそれは一応議論を政府あるいは党、与党含めて議論して、まあこれでよかろうというふうに決めたわけですが、その後、さらに行革推進法の中で五%人員削減という話が出てきているわけですね。今いったん決めた方向で進めつつあるところを、もう一段アクセルを踏むというふうになったときに、果たしてこれで今の日本防衛力がしっかりと保てるのかと、いささか心配をする向きもあるわけですけれども大臣としてどうお考えでございましょうか。
  43. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 確かに、まあ向こう五年間で五%公務員を削減するということでございます。これが政府の基本的な考え方でありますけれども、私ども自衛隊を預かっている立場からすると、人員というのは、やっぱり国家の意思として国を守る能力があるのかどうかという一つのバロメーターでありますし、あるいはまた、飛行機や艦船を造っていけば、それに伴って人員も増えていったりするわけでございますから、そういう点からすると、我々はきっちりと中期防衛力整備計画の中でこれを担保していきたいというふうに思っておりますけれども、政府の方針がそういう簡素で効率化された政府を目指すということも尊重しなければならないので、アウトソーシングを図ったり合理化を図っていかなければならないと、そういう中できっちりと防衛力を維持する形を考えていかなければならないというふうに思っております。
  44. 森元恒雄

    森元恒雄君 是非、数は大きな政府の方針として減らさざるを得ないにしても、それによって力がそがれることのないように、今のようないろんな工夫をしていただいて、国民に安心をしっかりと与えていただきたいというふうに思います。  次に、テロについてお聞きしたいと思いますが、私も昨年の秋に国連本部で開かれましたIPUの会議に参議院から出席さしていただきました。これは、列国議会同盟が、これは政府ベースだけではなくて議会ベースでも国際的な問題についてお互いに連携、協力関係強化していこうという趣旨で開かれているわけですが、そこでもテロ一つのテーマに取り上げられまして議論されたわけでございますが、テロ国家間の紛争と違って、いろんな要素はあるかと思いますが、一番の違いは私はやっぱり相手の存在が見えないということだと思いますね。それからまた、したがっていつ、どこで、どういう形で起こるかもなかなか予測が付かないと。  こういうテロを未然に防ぐということは、国家間の紛争を未然に防ぐ以上にしたがって難しいことではないのかなと思うんですが、このテロを防ぐために政府としては今どういう点に一番力を入れてやっておられるのか、お話をお聞かせいただければと思います。
  45. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) テロ発生の根本原因については、今委員もおっしゃられたようにいろいろな原因があるわけでございますが、一般論として申し上げれば、政治、民族、宗教、思想等の対立等によるものと考えられ、また貧困、経済、開発の後れ等がテロを助長しているとの指摘もございます。そういうことを踏まえて、具体的にどういう対応をしているかについて述べさせていただきたいというふうに思います。  平成十三年の米国における同時多発テロ事件以降におきまして、入国管理局等との連携による水際対策の強化を行っておりますし、国内における情報収集とテロリストの発見、検挙にも努めております。また、各国治安機関との情報交換の緊密化、さらには重要施設、公共交通機関等に対する警戒警備の強化などを推進いたしまして、テロの未然防止を図るとともに、万が一テロが発生した場合にも備えて対処能力の向上を図っているところであります。  今後とも、国内外の関係機関と連携し、情報収集、事件検挙、警戒警備等のテロ対策を強力に推進してまいりたいと考えております。
  46. 森元恒雄

    森元恒雄君 先ほど荒井委員からも話がありましたが、国全体として情報収集体制をどういうふうにこれから拡充していくかと、非常に大きな私は課題の一つだと思っておりますが、わけてもテロ関係は、今も申し上げたように、相手の存在をなかなか事前に把握し切れない、それだけに情報のネットワークといいますか、網をしっかりと張っていく必要があるんじゃないかと、その点をしっかりと取り組んでいただきたいということを最後にお願いをいたしまして、終わりたいと思います。
  47. 小野清子

    委員長小野清子君) これにて森元恒雄君の関連質疑は終了いたしました。  以上で荒井正吾君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  48. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、浅尾慶一郎君の質疑を行います。浅尾慶一郎君。
  49. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 民主党・新緑風会の浅尾慶一郎です。  総理とこの予算委員会の場で質疑をさしていただくのもおかげさまで六回目になりました。場合によっては、多分、総理質疑をさしていただくのは最後の機会じゃないかなというふうに思いますんで、是非今日は真摯な、そして実のある議論をしていきたいと思いますんで、よろしくお願いいたします。  まず、本論に入ります前に、一昨日のこの予算委員会の席上でコンプライアンスという言葉について同僚の大塚委員議論がございました。そのコンプライアンスの定義を伺うつもりはございませんけれども、なかなか難しい言葉であるということを総理もおっしゃっておられました。  調べてみましたら、金融庁にもコンプライアンス室というのがございますし、あるいは総務省にもコンプライアンスに係る部局があるようであります。そしてまた、自民党にもコンプライアンス室というものがあるということが分かりまして、総理が難しい言葉だって言っておられるわけですから、こうしたものは名前を変えられたらどうかということをまず提言をさしていただきたいと思います。いかがでしょうか。
  50. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私も常々そう思っているんですよ。今の人たちは明治の外国語の言葉日本語に訳した努力が足りないと思っているんです。ベースボールを野球と翻訳した。スピーチを演説と訳した。今もうスピーチ、ベースボール、日本語と同じようになっています。ピンポンを卓球と訳したり、テニスを庭球、庭の球、よく訳しているようですね。(発言する者あり)テーブルテニスと言うのか、ピンポンは。  まあともかく、コンプライアンスにしてもガバナンスにしても、今当たり前のように我々使っていますけれども、できるだけ外来語というものは日本人に分かりやすく、日本語に訳すような努力というのは続けていかなきゃならないと思っております。
  51. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、本論に入らさしていただきますが、今日は外交防衛ということで議論をさしていただきたいと思いますけれども、私は外交というのは、まずは日本の国が、自分の国がどうあるかというのがあって、そして外交をやっていくのがまず基本ではないかなというふうに考えております。それでは日本の国の基本は何かというと、これは長い議論になりますが、少なくとも、少なくとも言論の自由は保障しましょうと。これはどういう考え方の人であっても保障するというのが私は一つ日本の国の基本ではないかなというふうに考えております。  実は初めて小泉総理とこの予算委員会議論さしていただいたのが平成十三年の五月三十日、そのときで私が一番印象に残っておりますのは、李登輝前台湾総統の訪日に際してビザをなかなか出せないと。なぜ出せないんですかということを伺ったら、いや、それはいろんな事情があると。いろんな事情というのはどういうことですか。なかなかお答えになられなかったわけでありますが、実はこれ、いろいろ調べてみますと、我が国に台湾の要人で来られている方一杯いらっしゃいます。李登輝さんだけは問題になっていますが、連戦前国民党の主席、あるいは宋楚瑜さん、あるいは馬英九さんという方も日本に来られていますが、これは外務省に聞きましたら、把握はしていないという答えでありました。で、李登輝さんは一生懸命把握するんですが、連戦、宋楚瑜、馬英九は把握してないと。  何でそんなこと言うかというと、馬英九さんという方は、これは馬英九さんの立場ですから、私はそれは、馬英九さんが言われること自体は構わないと思いますが、尖閣諸島は、それは中国あるいは台湾のものだと。場合によっては、これはちょっと正確な報道を見てませんけれども、軍艦を出すべきだというような発言もかつてされたというふうに聞いています。そういう方が日本に来るのは自由ですよ、把握をしてませんよと。しかし一方で、李登輝さんが来られることについてはいろいろと平成十三年のときは議論になった。  今度五月に来られるということでありますが、まず第一点確認さしていただきますが、外務省として今度は何も問題なく入っていただけるという理解でよろしいですか。
  52. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 把握していないというのはビザがありませんから。ビザが(発言する者あり)いや、ビザが申告されていないから普通は分からないんですよ。ところが、特定人物は来るぞ来るぞとみんな騒ぐから、おお、来るのかということになるだけであって、一々全部が全部把握しているということはノービザですからそれはありません、基本的には。  ただ、李登輝が今回来るということを私どもは正確にまだ聞いてもおりませんから。しかし、我々は、来たときに関しては、そのことに関して、よく言われるように、民主党のお話だと奥の細道でしたっけ、何かそんな話が出ていましたけど、あれ新聞か、何か出ていましたけど、その種の話をされることに関して私どもとしては別に問題視するところではございません。
  53. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ビザがなくなったのは昨年の三月からというふうに理解しております。  私調べましたのは、その三月前のことを調べたときに台湾の要人の来日リストというのをいただきましたけれども、今申し上げました連戦国民党主席については把握をしてないと。しかし、〇一年十二月、〇二年六月、来日しているわけですよ。あるいは、宋楚瑜親民党党首、〇三年三月、来日をされております。それはそのビザを出しているわけですから、調べようと思えば調べられるわけですけれども、これは質問通告したんですが、把握してないから新聞報道で調べてくださいということで、こちらで調べました。  で、何を申し上げたいかといいますと、それは李登輝さんがどういう発言をされようと馬英九さんがどういう発言をされようと、そのことと日本国の立場とは関係がないというスタンスにしていれば全く問題はないんじゃないでしょうかということを申し上げさしていただいておりまして、例えがいいかどうか分かりませんが、先ほどの例でいいますと、馬英九さんは受け入れるけれども李登輝さんはもし受け入れないということになれば、前原さんは受け入れる国はあるけれども小泉総理は受け入れない国があったら、それは変な国だというふうに思うわけでありますよ。  ですから、今度、これからはどうぞ御自由にということでいいかどうかということを再度外務大臣に伺うのと、それから法務大臣にも同じことを伺わさしていただきたいんですが、それは何かといいますと、ビザがなくなっても入国させるかどうかは最終的には入国管理官の裁量に任されているところがあるということでありますけれども、何の条件も付けずに、来られる場合にはどうぞということで理解していいかどうかの確認の答弁をお願いしたいと思います。
  54. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 私どもは、今ノービザでもありますし、いわゆる第一線で活躍しておられる政治家でもありませんし、単なる年老いた老人が一人来るたんびにわあわあ言うのはいかがなものかというような、(発言する者あり)いや、そういうことを言っている人がいるという話してるんですよ。またすぐ人の言葉じりつかまえるからここは話がしにくいね、ここは。  基本的にそういうような考え方をして、どんどんどんどん話を難しくしちゃっているのは一般なんであってね、こういうのは別にほうっておきゃ何ということはない話でしょうが。それをだんだんだんだん難しいって、難しいじゃないかなんて言われたって、それはちょっと違うんじゃありませんかと、私どもはそう思っておりますんで、私どもは、基本的には、李登輝という人が来られるか来られないか知りませんけれども、私どもとしてはそれに直接かかわり合うつもりはございません。
  55. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 李登輝さんがお見えになれば、今はもう一般の民間人でございますから、先生のおっしゃるとおり一般の旅行者と同じでございます。  上陸申請を受けまして、入国審査官は、出入国管理法及び難民認定法、いわゆる入管法にのっとりました上陸審査を行うことになります。
  56. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 是非よろしくお願いしたいと思います。  次の質問に移りますが、東シナ海の資源開発等について日中協議がございました。で、その中国側の提案は、新聞によりますと、報道によりますと尖閣諸島を含む海域の共同提案というものがございましたが、まず外務大臣に伺いますが、そうした提案がなされたかどうか、伺いたいと思います。
  57. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 国内で持っております、鉱区権を持っているところから開発の申請があったか、それとも向こう側からあったか。
  58. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 共同開発の提案です。
  59. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 向こう、共同開発の話というのは、過日の話、過日、尖閣に関しまして、地図が極めて不明確なものだったものですから、正直、出されたのは、何です、これというようなものだったぐらい分からないものが出たことは確かです。  それに対して、後で調べてみて、これは尖閣も入ってくるのではないかということが私どもも理解ができましたので、その程度の地図だと思ってください。そうだということになりましたので、私どもとしてはなかなか理解ができませんで、これはどうも尖閣が入っているらしいというんであれば、これ、尖閣は我々の固有の領土ですから、これに関して共同開発するつもりはございませんと。少なくとも、これは領土問題として、領海のあいまいなところにあるわけじゃない、明らかにこれは日本の領土ですから、その日本の領土と明らかになっているところに関して中国と今この段階で共同開発をするつもりはないということでございます。
  60. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私がなぜそのことをまず伺ったかといいますと、先般、外務省に確認しましたら、中国側の今回の提案については公表しないでくれということになっているので公表はできないという答弁でありました。一方で、新聞報道ではいろいろと出ているわけでありまして、一方、日本側が出している提案はですね、これ公表しているわけであります。  何を申し上げたいかといいますと、これだけ国民関心が高いものについて秘密にしなければいけない理由、特に尖閣というものを出してくるというのはある意図が向こう側にあるんではないかというふうに考えれば、秘密にするということをなぜ合意したのかなということを申し上げたかったものですから今質問さしていただいたんですが。  確認さしていただきますが、秘密でなくても、この国会の場でどういう提案があったかということを発表できるのかどうか、まず確認さしていただきます。
  61. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 六日、七日に北京で行われました東シナ海に関する日中協議というのにおきまして、中国側から、東シナ海の北及び南というこの二地点、ここが非常に分かりにくいところなんですが、についての共同開発の提案がありましたというのは事実です。ただ、中国側との申合せによりましてその内容、詳細については、提案の詳細について申し上げることは双方でしないということになったというのが事実であります。  少なくとも、私どもはその中身をこれからよく吟味していく必要があると思っておりますが、少なくともこれまでの我が国の立場と相入れられないということだと思っておりますんで、日本側の提案に向こう側も問題があると、日本側の提案に対して向こう側も問題があるということでありましたので、双方ともこの提案を引き続き検討しましょうということになって今、次の、次回交渉ということになっておりますが、いずれにいたしましても、何となくどこがどこだか分からぬところで争うような話じゃなくて、少なくとも双方で、協力の海というような形で双方でやった方が利益が出ると、私どもはそう思っております。
  62. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 是非、双方にとって協力の海になるようにしていただくようにお願いしたいと思います。  私は、この東アジアの地域の安定そして外交のためには多面的な取組が必要だというふうに考えております。先ほど、それはまあ当たり前のことでありますけれども、李登輝さんのことを申し上げさしていただいたのは、先般この予算委員会麻生外務大臣は台湾について法治国家だということで、いろいろとその報道がされております。そのことについて議論するつもりはありませんが、台湾との間の経済交流はどんどん進めていくべきだろうというふうに考えております。  で、経済交流ということで今いろんな諸外国とEPAなどを結んでおりますが、国家として認めてないところとEPA結ぶというのが難しいということも理解をしておりますが、しかし日本側の法制の中でできるものはどんどんやっていくということも必要なんではないかなというふうに考えております。  一つ具体的な例を申し上げますと、この国会に出されております協定でマルチチップ協定という協定がありまして、それは日本、韓国、アメリカ、EU、そして台湾が入って、半導体の関税を無税にするという協定でありますから、そうした、何というんですかね、マルチ、多国間の枠組みの中にはどんどんその台湾も入ってもらうようなことを考えられないかということを提言さしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  63. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) フラッシュメモリーとかいわゆるマルチチップというものに関しましては、これは本当に何製か分からなくなりましたよね、本当に。プレートは、プレートは日本製で、なかなか分からぬものですから。そういった意味では、私どもとしては、こういったようなものは現実論としてはもうほとんど国境がないに等しいようなものになっていると、少なくともその種の分野に関しましては特にそう思っております。  いずれにいたしましても、双方でとにかく、貿易量で日本、中国、アメリカ、韓国、その次が多分台湾になっていると今記憶してますけれども、そういった意味では、間違いなく経済関係等々は猛烈な勢いで大きく、深く、幅広くなってきていると思いますんで、その意味では今言われたような形の方が現実的だとは思いますけれども、これは国際交渉の話でもありますんで、WTOの話、いろいろありますんで、私どもとしては、この種の話は双方の利益、共益に資するというような感じもいたしますんで、できることならば、そういった方向で進めていく方が、より経済的な面、人的な面、いろんな意味でその方がいいんではないのかなと、個人的には私もそう思います。
  64. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 冒頭申し上げましたけれども外交の基本はやっぱり主体性、日本の国がどうしたいかということを基本に考えていかなければいけない、そういう中で台湾との経済交流は進めていくと、そのためにできることはどんどん取り組んでいただきたいという趣旨の発言でございます。  次に、米軍再編の問題に移らさしていただきたいと思いますけれども、私は、この米軍再編の問題、今日、額賀防衛庁長官も参議院の本会議で御答弁を、直接ではありませんけれどもいただきましたが、その一番の問題は、やはり地元の自治体に対して説明がなされない中で報道が先行して、報道でもって地元の市長さん等々、正に小泉総理のおひざ元の横須賀も、報道でもって横須賀の市長が、例えば、これ再編とは直接はリンクしませんけれども、原子力空母が来るということを知ると、それをそうなんですかと確認すると、まだ決まっていないと言われて、しかし、しばらくしてそのとおりになっていくというのが多分不信感につながっているんではないかというふうに思いますが、そこで、報道先行ではなくて、まず最初に地元の自治体にこういう理由でこういうふうにしたいんだということをこれからは是非取り組んでいただきたいと思いますけれども、その決意はありますでしょうか。
  65. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 浅尾委員がおっしゃるとおり、我々も、今日の産経新聞のトップなんかも全く事実無根の中身が報道されておったりして、我々は即座に否定をしたわけでございますけれども、最近は余り根拠に基づかないで報道されていることもあったり、そういうことが議論されたりしているから国民的な信頼を失っているところもあると思いますし、私も日米間で米軍再編に伴って協議をしているわけだけれども、政治家としては言葉に責任を持たなければならないものですから、自らがしゃべったときはやっぱり方向性を間違えてはいけないということを注意深くしていかなければならないということ、それからきっちりと、相手のあることでございますから、相手も同意をしないうちにこれを自らの思惑でなかなかメッセージを与えることはできない。そういうまじめに真剣に取り組んでいることについては国民皆さん方にも、あるいは地域皆さん方にも是非分かっていただきたい。  我々は即座に、日米間で話がまとまれば、あるいはまた自らの考え方が決まればその地域皆さん方に率直に出向いていって説明をし、そして相手の言うことも聞く、そういう中でお互い合意点を探っていきたい、それが政治の基本的なスタンスであるというふうに思っております。  私は、新聞とかテレビで憶測とかあるいはまた断片的な情報を結び付けてそのニュースとして流されることは、極めて国民をミスリードすることであるということを委員共有するものであります。
  66. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 もう一点、実はお願いさせていただきたいんですが、その地元の自治体は様々な不安も持っています。どういうふうになるか分からないという意味でですね。そこで、その自治体の方々がいろんな御要請を防衛庁なり外務省にされる、それが米側に伝わっているかどうか分からないと。伝わったけど駄目だったということなら、交渉の途中でですよ、まだ説明が付くんでしょうけれども、要請だけして、それがどうなったか分からないというのがもう一つの不満なんではないかなというふうに思いますが、まだ協議中ですけれども、今後は地元からこういう要請があると、こういうことを伝えたけれどもこういうような回答であったとか、向こうからはこう言われたということをできる限り地元に伝えていただけるかどうか、その点、短くて結構ですから、御答弁いただきたいと思います。
  67. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) もうこれはどこの基地についても、地元皆さん方から要望もあるし、注文もあるわけであります。そういうことについては、我々は整理をして、米国側にもきちっとこれを言いまして、負担を最小限にする努力をしている。基本的に、負担を最小限にしていくということが我々のスタンスであり、その上で抑止力を維持しようということでございますから、浅尾委員と正に同じ思いで交渉に当たっているわけであります。
  68. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 思いは共有していただいたんですが、私が申し上げたのは、米側にこういう話をしたと、しかし、その途中経過も含めて、全部を言えというわけは、無理だと思いますけれども、そういう話をした方がうまくその地元も納得するんじゃないかということを申し上げたわけであります。  その米軍再編に絡んで、沖縄海兵隊のグアム移転について伺わさせていただきたいと思いますが、この海兵隊の移転については、米国との協議の中の文書をいただきましたが、それでは、日本側が何らかの形の財政的な支援について方法を含め検討するというような、まあこれ原本は英文でありますけれども、そのような文言が書かれております。  一方で、最近、様々、例えば七十五億ドル負担するんだと。これは報道だけではありませんで、米軍が正に記者に発表したわけですね、そういうことを要求したと、日本側に。  ですから、これは事実だというふうに、憶測に基づくものではないというふうに私は理解しておりますが、私は、海兵隊がグアム移転するのは、日本側の理由だけではなくて、米軍全体の再編の中でグアムに持っていくわけですから、それをなぜ日本側が七十五億ドルという巨額な負担をしなければいけないのか、非常に疑問を持っているわけでありますから、その点については是非、そういう負担はしないんだという決意をこの場で聞かせていただければ有り難いと思います。
  69. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えいたします。  今、正に日米の間で、昨年秋の中間報告に基づきまして、まあ協議を加速してきました結果、大詰めの協議をしている、打合せをしていると、詰めを行っているという段階でございます。  今、浅尾委員がおっしゃったような数字については報道されていることは承知しておりますが、アメリカの注文もあります。しかし、我々は我々のスタンス考え方もあるわけであります。  ただ、沖縄県民の立場からすれば、海兵隊を縮小していく、少なくしていくことは県民の悲願でもありました。したがって、中間報告で七千人の海兵隊を、司令部グアム移転する。その後の協議の中で八千人という提案もあるわけでございますけれども、私は、沖縄の負担を大幅に軽減できるということを考えれば、できるだけスピーディーに、早くこの海兵隊の移転を実現をしていくことが我々のプラスになるし、県民の要望につながっていくのではないか。  そのためには、アメリカさんだけに任せておくと、これは二十年も三十年も掛かるということでは、これは沖縄県民の負担が減らない。そういう中で、合理的な形で資金的な負担ができるのかどうかも考えて負担を解消していきたいということでございます。
  70. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私、今の長官の御答弁は少し違うんじゃないかなと思います。  アメリカに任せていたら二十年、三十年掛かるというのは、正にアメリカが自分のところの再編戦略に基づいて米軍再編をしているわけですから、日本側の事情だけで、日本側が負担しないから、じゃ、そこはゆっくりやろうなどということには考えていないんじゃないかな。たまたま日本が負担してくれると言ったから、それは出してもらえるものは出してもらいましょうというだけの話なんではないかなというふうに思います。  ですから、そのことを申し上げた上で、今日、本会議の席上で、麻生外務大臣に我が党の犬塚議員がICCという国際刑事裁判所条約、これを締結すべきだという申入れをさせていただきました。  そのときに、御答弁は、いや、予算的な制約、この国際刑事裁判所条約をやると日本の分担金が掛かるということでありましたけれども、ちなみにこの分担金の額を外務省に聞きました。そうすると、年間で二十五億から三十億円。億円です。一方で、先ほど報道だから分からないということでありますけれども、米側が発表した数字は七十五億ドルです。七千、八千億円ぐらい、(発言する者あり)八千八百五十億円という数字が出ましたけれども、片っ方はそれだけ多くの金額を場合によっては負担しなければいけない、二十億とか三十億円も出せないかもしれない。これは明らかに私はおかしな話だと思いますし、先ほど冒頭申し上げました、日本としてどうしたいかって考えれば、その八千億円強のお金を少しでも削ってICC条約に加盟して締結するのが正しいやり方だと思いますが、その点について、外務大臣そして総理にもその考え方、伺いたいと思います。
  71. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 考え方はいろいろあるんだと思いますが、たまたま今、二十五億というのは結構大きな金だと私自身はそう思っております。しかし、今この段階においてこの沖縄海兵隊の移転の問題というのは、これは長きにわたって日本の国土の限られた原野に、分野に日本の全基地の七五%が集中という状態がずうっと続いているという状況に関して、少なくともその状況を少しでも早く少なくしようというチャンスというものに関していまして、私どもは少なくとも積極的に何らかできることはということを申し上げているというのがその背景だと思っております。  ICCも、これすごく重要な話でもありますし、私どもにつきましても、これは国際犯罪というのは結構な数で増えてきておりますんで、そういった意味で、今後とも努力されねばならぬ問題だと思いますが、今言われましたように、この沖縄の問題とこれと一緒の話というのは、ちょっと私の感覚とは少し違うような感じがいたしますが、いずれにしてもICCは大事な問題だと思っております。
  72. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 国際裁判所に対して日本はどの程度負担するかという問題と、沖縄米軍基地の負担を軽減するために日本がどの程度の費用を負担するかという問題とは別の問題だと私は思っております。
  73. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それはもちろん別の問題ではあります。しかし、私が申し上げたいのは、片っ方で八千億円強のお金をもしかしたら出すかもしれないと、片っ方で二十五億、たしか二十五億、大きなお金ですよ。でも、二十五億が大きなお金だったら八千億というのはどんなお金なんですか、物すごく大きなお金になるじゃないですか。  ですから、そこはうまく予算を配分し、外国ともしっかり、米国ともしっかり交渉をし、日本側の負担、その負担が本当に必要なものなのかどうか、納税者に分かるような形にするべきだということを申し上げさしていただいているわけであります。  この日米の負担の在り方について探すということに、合意した文書は、これは何もお金を上げなくてもいいというふうに読み取れるわけですね。融資でも構わないというふうにこの合意文書では、ここからは読み取れると思いますんで、その八千何百億という負担を急ぐためということであれば、日本側からする提案はせめて融資という形にするべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  74. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えいたします。  今、日米の間でそういう細目について協議をしているわけでございますけれども日本側の負担が浅尾委員の言うとおり決まっているわけではありませんし、これからそれは決めていくことになります。様々な負担の形態について今詰めの作業をしているところであります。委員のおっしゃるような意見も議論されていることは事実であります。
  75. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私は、これから防衛施設庁の話に入ってまいりますけれども防衛庁そして外務省に是非しっかりと交渉していただきたいということを申し上げさしていただいて、防衛施設庁の話に入ってまいります。  実は米国との間の交渉文書で決まったことも全然守られていないということをこれからお話をさせていただきたいと思いますが、米軍基地における労働基準法違反と、お配りをさせていただきました紙があります。(資料提示)このパネルに基づいて説明をさせていただきたいと思いますが。  これ、二〇〇三年、三年前、この参議院の厚生労働委員会質疑をさせていただきました。ちなみに、説明のために申し上げますと、米軍基地で働いていられる従業員の方は、形態上、雇用主は防衛施設庁長官であります。したがって、日本の労働法制が適用されるということでありますが、違反の状況としては、時間外勤務等に関する労使協定作っていない、臨時従業員に対する有給休暇与えていない、年次有給休暇制度繰り越していない、るるあるわけです。妊産婦等の有害業務禁止、就業させているわけですね。  これについて厚生労働大臣は、二〇〇三年、三年前の段階で、平成十五年の段階で、日本の労働基準法が適用されていると、使用者は三六協定の締結、届出義務がある、就業規則の作成、届出義務があるとはっきりと答弁をされています。三年間たちました。  更に調べたら、日米地位協定にはしっかりと雇用及び労働の条件は日本国の法令で定めるところによらねばならないと書いてあるわけです。つまり、米側も日本の法制に従うということを地位協定でしっかりと認めているわけですね。にもかかわらず全然変わっていない。これはなぜですか、三年前に指摘しています。
  76. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今御指摘いただきましたように、日本国政府と米国政府との間の地位協定上の問題でございます。  政府の窓口である防衛施設庁を中心として関係省庁が連携して対応することが必要であると認識しており、平成十五年の議員の御質問を契機として、この問題の改善を図るために防衛施設庁を中心として米国側との定期的な協議を開始しております。その中にも厚生労働省も参加いたしております。  これまでに労働基準法に関して改善の必要のある項目、四項目については合意がなされました。直近では、一週間当たりの所定労働時間四十時間とすることと、これは十八年の二月でございますけれども合意を得たところでございます。  労働基準監督機関、本来、使用者への自主的な改善を促し、結果として改善が図られることが重要であると。この問題、正に改善のために努力を続けられているという中と承知いたしております。
  77. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今、地位協定上の問題とおっしゃっていますが、地位協定には雇用及び労働の条件は日本国の法令で定めるところによらなければならないと書いてあるんですよ。地位協定に全く問題ないんですよ。答弁おかしいんじゃないんですか。
  78. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) いや、日米地位協定上でそう書かれているから、労働基準法というのは適用される。それに従って民間雇用者と同じように、民間企業と同じように、その労働基準法が守られるように個別折衝をいたしておりますと。十五年から米軍との間、実質の雇用者であります米軍との間の調整もいたしております。そして、先ほど申し上げたように、四つの改善点が付きましたけれども、残された問題があることも承知いたしております。
  79. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 三年間、しかもその日本の法制守らなきゃいけないと書いているのに、なぜ三年たつのかということと、そして、先ほど申し上げました、法律はしっかりと守っていただかなければいけないわけですから、労働基準監督機関における監督指導の流れというのがありまして、労働基準関係法違反が確認された場合は、まず是正勧告というのを出すことになっています。三年間、厚生労働省は防衛施設庁長官に対して是正勧告出してないですよね。なぜ出してないんですか。
  80. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) そこは、先ほど申し上げたように、日本の国と米国との協定から始まっているわけですから、我々政府全体としてその問題に対処していると。したがって、厚生省は防衛庁一緒になって米軍交渉していますよと申し上げているんです。
  81. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ですから、まあ都合が悪いからごまかされているんだと思いますが、日米地位協定には日本の法制を守らなきゃいけないと、アメリカが認めているわけですよ。守んなきゃいけない、それに署名しているわけですよ。ですから、すぐにやればいいだけの話なのをやらないから、先ほどの、それなら要求すれば八千億も出してくるというふうに向こう側は思うかもしれない。  ですから、私は、まずは是正勧告をするなり、すぐにこの法律違反を正すのが正しいやり方だと思いますが、総理いかがですか。
  82. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そういう法律の下に今改善しようと努力して改善されている点と、いまだ不十分な点があるということで折衝中だという厚労大臣の答弁のとおりだと思います。
  83. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私は、余りこの議論をしてもまともなお答えにならないんでこれ以上続けられないと思いますけれども、もう一点だけ申し上げておきますと、別に米側と、この日米地位協定第二条五項というのがなければ、それは折衝するというのは当たり前だと思うんです。しかし、もう既に地位協定でもって日本の法律は守るということをアメリカが言っているわけですよ。にもかかわらず、三年掛かって全然進まないというのはなぜですかということを伺っているんですよ。
  84. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 先ほど申し上げましたように、委員の御指摘をいただいて十五年からこうした協議に入っております。そして……
  85. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 地位協定……(発言する者あり)
  86. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 何ですか。──現実問題として週の所定勤務時間四十時間への削減、失礼しました、先ほど二月と言いました、一月二十四日、妊娠中の業務転換、平成十六年八月二十七日、妊産婦の時間外勤務の制限及び休日勤務の禁止、平成十六年八月二十七日というような形で、四項目にわたって調整が付いたところでございます。未整備の問題も私ども承知しております。鋭意努力をしてまいりたい。
  87. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 これ以上質問しても、この答え、この問題についてまともに答えていただけないと思いますが、日本の法律だけではなくて、アメリカ側も日本の法律を守ると、しかもはっきりと雇用の問題について守ると書いてあるわけですからそれはしっかりとやっていただきたいと。併せて、高齢者雇用促進法の、これは義務規定ではなくて努力規定でありますが、そういった問題についてもしっかりと取り組んでいただきたいということを申し上げさせていただいて、次に防衛施設庁の談合問題について取り上げていきたいと思いますが。  この防衛施設庁の談合の話は、私は構造的なものだったというふうに思っています。どこに、いろんな構造的な問題がありますが、一番の問題点は、公益法人というところには天下り期間二年間が適用されないと。適用されない中で、じゃその公益法人が、その間そこに天下った人たちがどうやって食べているかということを調べてみましたのが二枚目の表であります。(資料提示)  財団法人防衛施設技術協会における調査研究業務の丸投げ状況ということで出させていただきましたが、平成十四年度、十四件受託しました。それを再受託、これ丸投げですね、十四件全部丸投げしました。十五年、十四件受託して十四件また丸投げ、十六年は十八件受託して十七件、ほとんど丸投げ。そして、その金額の差額、トータルの五億一千六百万と三億二千二百万の差額が正にその天下りをしている人たちの二年間の人件費になっています。  これ、どういう業務を丸投げしたのかというのも聞かせていただきました。いろいろあるんですけれども岩国基地の沖合移転、これの調査というのをこの防衛施設技術協会でやるということになっていましたけれども、その業務を民間のコンサルティング会社に再委託をしています。何を民間のコンサルティング会社がやっているかと調べたら、議事録の作成を民間のコンサルティング会社がやっていると。そして、じゃ防衛施設技術協会で何をやっているんですかと聞きましたら、委員の選任ということなんですが、委員の選任は実は防衛施設庁と協議してやっていると。ですから、正に何にもやっていないんだ、何にもやっていないで三年間でこのお金が行っているということであります。  これは私は、防衛施設技術協会だけの特異な事例かなと思っていましたけれども、どうもそうではないと。公益法人が随意契約、競争入札じゃなくて随意契約で受注しているいろんな事業あります。これ是非、総理にお願いしたいんですが、これ全部洗い出していただいて、その財団法人や社団法人にどういう人が天下りしていて、その各財団法人、社団法人がどういう業務をやって、そこで再委託がないかというのを是非洗い出していただきたいと思いますが、私が調べた範囲だけで申し上げますと、一番大きいのは国交省なんですけれども、国と、国交省とその国交省傘下の公益法人との間で、平成十六年だけで一千六百六十八億円の随意契約がありました。その先の中身、多分何%か抜かれていると思いますが、それでもってしばらくのその天下り禁止期間を避けているんではないかなというふうに思いますが、簡潔で結構ですから、すべての国所管の財団法人、公益法人について、今申し上げたことについて調べるという決意を伺いたいと思いますけれども
  88. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 調査してみます。
  89. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 天下りの話は、基本的には私はやっぱり人事制度につながる問題だろうなというふうに考えております。同期が事務次官になるとほかの人は辞めなければいけないという今の制度に問題点があるんではないかというふうに思っていますんで、是非、だれかが事務次官になっても残りの人が残ると、あるいはもっと言えば、定年も延長してそうした天下り対策をしなくてもいいように、官製談合がやられなくてもいいようにしていただきたいというふうに思いますが、その点、簡潔で結構ですから、総理、いかがでしょうか。
  90. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この問題は公務員制度改革の中で今検討しておりまして、五十代で肩たたき、辞めてくれというのは無理じゃないかと。また、六十歳になるまで今の高齢社会においては働いてもらった方がいいのではないかということも踏まえまして、先年、早期退職慣行、これを三歳引き上げようと、退職する年齢を三年間遅らせようということを、法律ではありませんけれども、この慣例を直そうということで進めております。しかし、今までの公務員制度という人事院の身分の問題、それぞれの今までの慣例の問題もありまして、三歳退職を遅らせようということでも五年掛かるというんですね。それで今始めています。これ将来、公務員制度改革のことで、三歳でいいのか、あるいは六十歳までやるのか、あるいは六十五歳まで延長するのかという問題も今議論されております。  それと、我々政界と違って、トップになった、事務次官が同期から一人なると、その同期生は全部退職しちゃうという、ちょっと政界では考えられないことですよね。若い人がトップになって、上全部辞めなきゃならない。これは若い人がなったら楽だと思いますけれども。そういう慣例があるようでありますので、これは独特の官僚社会の今までの慣例ですから、これも果たして改めた方がいいのかどうかというもう今議論しておりますから、そういう点も含めて、全体の、定年から今までの慣例あるいは能力、評価、そういう面を含めて、今後、公務員制度改革の中で取り上げていかなきゃならない課題だと思っております。
  91. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 まず、委員長にちょっとお願いしたいと思いますが、先ほど総理が調査すると約束をしていただいた公益法人と国との間の随意契約の調査について、そしてそれがどういうふうに再委託されているか。併せて、それぞれの公益法人にどういう人が天下りで行っているか、その調査についてはしっかりと理事会でもその中身について協議をしていただくようにお願いしたいと思うんです。
  92. 小野清子

    委員長小野清子君) 理事会で協議をいたします。
  93. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 公務員制度の問題で、定年を延長するというのは私は是非あるべき方向だというふうに思っています。併せて、しかし公務員制度のおかしいところはやはり正していかなければいけないというふうに考えています。  この予算委員会の場において、私は、かつて昇給の問題あるいは休息時間の問題について取り上げさせていただきました。三年間ぐらい掛かりましたけれども、昇給については、勤務成績が良好であるという定義が、国家公務員の場合は年間四十日以上の欠勤がない人というのを改めた、あるいは、休息時間というものもなくなったというのは一つの前進だと思いますが、もう一つ残っている大きな課題がありまして、それがお配りしました資料の三枚目、退職金と年金の官民の問題であります。(資料提示)  先般、この予算委員会の中で、竹中総務大臣がこの退職金のところを所管されておりますので質問をさせていただきました。国の退職金、国家公務員の退職金を調べるときに、民間企業の企業年金分も調査の対象に含めていると。企業年金に該当するところが大体九百八十二万円ということで、国家公務員の方は民間企業二千七百九十万のところを二千九百四十八万円退職金を支給していると。  それは、確かに民間には企業年金というのがあります。一時金でもらうこともできます。ですから、それだけなら私は何もおかしいとは思いませんが、一方で厚生年金と共済年金を比較すると、単純平均でいきますと、厚生年金の報酬比例部分九万二千五百九十八円、共済年金は報酬比例部分が十七万二千二百五十六円ある。それは、正に職域加算の部分が多くなっていると。ですから、ここの退職金で一時金で支給をし、企業年金の部分を、そして企業年金に相当するようなもの、あるいはそれ以上かもしれません、のものも支給していると。ここは正に二重支給だから、どちらかをやめたらいいんではないかということを質問をさせていただきました。  そうしたら、竹中大臣の答弁は、企業年金、職域加算というのは企業年金代替ではないと、職域加算は身分上の制約があるからという答弁でありました。身分上の制約というのは労働基本権のことかなと思ったら、そのほか兼職の禁止とかあるいは守秘義務というような御答弁をいただきました。しかし、兼職禁止、これは民間企業でもすべて兼職が、大手のですね、正にこの調査に入られるようなところは就業規則で兼職は禁止されていますし、守秘義務も就業規則で禁止されているわけです。ですから、それを理由にされるのはおかしいと思いますが、いかがですか。
  94. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと今、是非できればその表を出しておいていただけると有り難いのでございますけれども。  まず、ちょっと細かいことで恐縮ですけれども、上の方につきましては、これは企業年金一時金という、これは実質的に退職金でありますから、それを含めるというのはいいと、これは浅尾委員もおっしゃる。これについても金額を調整して、要するにこれ均等化されているわけです。  下の方を見ますと、職域加算というのは確かにありまして、それで九万二千、十七万二千と、これ見るとかなり大きいじゃないかというふうにテレビを見ている方思われるかもしれないんですが、これ基本的に民間と公務員と加入年限、平均で見ると随分違うわけですよね。その差が大きくなっているわけで、ちょっとちょっと済みません、この表だけ見ると、何か職域加算で物すごく多くなっているというふうに見えますけれども、これはまずそうではございません。まず、それを統一したモデルケースで見ると、それでも職域加算というのはありますので、それは私が申し上げたようなそんなに、こんな表ほど大きくないということはまず申し上げて、その上で、その上で浅尾委員の御質問でございますけれども、これはしかし、民間でもその禁止されているところはあるではないかということでございますけれども、これはしかし、法律で禁止されているのと、それで民間で運用でやっているのとは、これは根本的に違うのだと思います。そういうことを申し上げたかったわけでございます。
  95. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今おっしゃった差が大きいというのは、しかし、この数字は厚生労働省が出したものでありまして、なおかつ二十年以上の、それぞれ二十年以上入っておられる方で比較しても四万六千円、国家公務員の方の方が多いんですよ。四万六千円、国家公務員の方の方が年金が多いというのは事実なんですから、ですから、民間企業だと期間が短いとかっていうのは変、おかしな話だと思います。  それから、もう一点申し上げますと、法律で禁止されているから多く払うと。民間企業の就業規則は守らなくてもいいというのは、これは民間企業の方に対して失礼ですよ。
  96. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) いやいや、どうしてですか。民間で守らなくていいなどと、だれもそんなことは申し上げておりません。それは、法律でそういう制約を受けているか、いろんな条件の中で任意に決めてるかということは、これは身分の保障上、根本的に違うということを申し上げているだけで、そこはもうきちっと御理解をいただきたいと思います。
  97. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 まだ様々議論をしなきゃいけないところですが、私の時間が参りましたんで、最後に一言だけ。  その法律の問題について、法律で禁止されているからこれだけ多くの特典があるというのは、民間企業の就業規則を守ってられる方に対してやはりこれは納得を得られないということだけ申し上げたいと思います。
  98. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。榛葉賀津也君
  99. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  本日は、総理防衛庁長官に、我が国の基本的な安全の管理に関する問題、そして国家の危機管理についてお伺いをしたいと思います。総理、私は直球しか投げませんから、総理も端的にお答えをいただきたいと思います。  ある先生が、今の時代は第四次世界大戦の時代だということをおっしゃった方がいらっしゃいました。まあ第一次、第二次世界大戦は御承知のとおりでございますが、いわゆる四十年間続いた冷戦が第三次世界大戦とカテゴライズされて、九・一一以降のテロとの戦いが第四次世界大戦というような表現をされた方がいらっしゃいました。私は、このテロとの戦いを戦争と言うのはいかがなものかと思いますけれども、そういう考え方も確かにあるでしょう。  私たちは、この見えない敵、テロとしっかり対峙をしていかなければならないことは言うまでもございませんが、この大変なテロとの戦いに対して一番大切なものが私は情報だと思っております。この情報の管理をどのようにするか、インフォメーションとインテリジェンス、この両方の情報をどのようにきっちりと管理をしていくか、これが極めて大事だと思っております。  ところが今回、防衛庁情報流出事件で、この日本の危機管理体制が正にぼろぼろだということが判明した。護衛艦「あさゆき」、そして輸送艦「おおすみ」を始め、陸海空すべての自衛隊から膨大な量の情報が正に流出したと。昨年の秋以降だけでも、私が調べただけでも四名からこの情報がネット上に流れている。  経緯は極めて、総理、シンプルでございましてね、今日までさんざんこの情報流出の可能性が指摘をされていたファイル交換ソフトのウィニーというもの、これをインストールした私物のパソコンに、正に防衛庁の業務で使う防衛関係のデータまで保存をして、このパソコンがウイルスに感染してすべての情報が今ネット上に泳いでいるというのが現状でございます。私が調べただけでもフロッピーに換算すると二百五十枚以上、中には五百枚くらいあるんじゃないかという方もいらっしゃいます。正に、防衛庁始まって以来、日本防衛史上最大のこの情報流出事件、大変な問題でございます。  これはウィニーの問題でもウイルスの問題でも全くありません。本来やってはいけないことを防衛庁がやっていた、本来やらなければならないチェックをやっていなかった。パソコンのシステムやウィニーの問題ではなくて、正に人的ミス、気の緩み、安全に対する甘え、正に人災であり、これはヒューマンエラーであります。  総理、このとんでもない事件、まずどのように考えていますか。
  100. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この情報管理というのは極めて大事でありまして、特に防衛庁においてはこの機密保護、しっかりしなきゃならないという点であるにもかかわらず、今回このような情報が流出したということは、大変遺憾なことだと思っております。  この原因究明と再発防止に真剣に対応するよう指示しているところでありますが、様々な御指摘も踏まえて、このようなことが二度と起こらないように対応していきたいと思っております。
  101. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 自衛官一人一人の気の緩み、ひいては防衛庁全体の緊張感のなさや危機管理意識の欠如がこの問題を起こしたのであります。  自衛隊は、当然国を軍事的に守る組織でありますから、縦の社会になっております。(資料提示)  野球でいうと、今はやりの野球でいうと、この将とか将補とか尉、こういったところは正に作戦を練る、野球でいったら監督やコーチであります。そして、実際の部隊を動かす実戦部隊、野球でいったら選手はここの曹や士に当たるわけでございます。今回の情報流出事件は正にこの幹部の尉であるとか現場のトップの海曹長、正に野球でいったらキャプテンクラスがこのとんでもない事件を起こしたという実態でございます。  本来、持ち出してはいけない情報を自分たちの電信室であるとかオペレーションルーム、若しくは組織から持ち出していた、若しくは持ち込んではいけない情報を取り入れることのできる道具を持ち込んでいた。普通では考えられないことをやっていて、ルール違反をしてこの事件が起こってしまったわけでございます。  防衛庁長官、組織の責任者として、この状況、正に、まずこの情報管理体制、一体どうなっているんですか。
  102. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えをいたします。  榛葉委員の御指摘のような海上自衛隊の護衛艦「あさゆき」の情報流出事案を始めとする防衛庁自衛隊における一連の情報流出事案というものは、国の安全保障にかかわる防衛庁の業務用データがいわゆるインターネット上に流出したということであり、誠に安全保障上、重大な事件であるというふうに思っております。  したがって、国民の信頼を失わせしめた、傷付けたという意味では大変に遺憾であり、今後、こういうことがないように全力を尽くさなければならない。秘密保全体制の点検をきちっとしなければならない。  そこで、私は、当面の緊急対策としてこういうことをまず講じました。  私有パソコンからの業務関連情報の流出を防止しなければならない、そのために職務上使用したことのある私有パソコンからファイル共有ソフトを削除すること、私有パソコンから秘密の情報、必要のないデータを削除すること、私有パソコンによる秘密の情報の取扱いの禁止を自衛隊の全機関に指示をしたところであります。  もう一つは、さらに、高木政務官中心として、再発防止についての抜本的な対策を講じるために委員会を設けて、今審議中であります。この具体的な中身はどういうことかというと……
  103. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 後で聞きます。
  104. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) はい、分かりました。
  105. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 今の答弁聞いて、そんなことを今ごろ対策しているのかという唖然とする思いでございます。各国ではこの情報管理が一番厳しい、イロハのイでございます。  具体的なことを一点聞きますが、平成十五年一月十日に事務次官通達で、私物パソコンの職場における持込みと使用について、保全責任者の許可を条件に認めると言っているんですね。この「あさゆき」の場合、具体的に保全責任者はだれになっているんですか。そして、その方は一体何やっていたんですか。
  106. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 「あさゆき」という船の中の船務長ということでございます。
  107. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 その船務長はどういうチェックしていたんですか、現場で。
  108. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 今までの調査によりますと、情報を漏洩した者が秘の資料を自宅に可搬の電子媒体で持ち帰って、それがウィニーによって流出したということでございます。
  109. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 保全責任者がどうかというんですよ。
  110. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) その状況については、保全責任者も含めて分からなかったと、こういうことでございます。
  111. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 答弁になってない。保全責任者がいて、保全責任者は、じゃ仕事をやってなかったということですか。
  112. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) フロッピーディスクの中に秘を入れた場合については保全責任者が管理しなきゃいけません。そういう規則になっております。当然、その許可を得ないで持ち帰ったということでございますので、違反ということになるわけでございます。
  113. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 全然答弁になっていない。  だから、この保全責任者はフロッピーを持ち帰っていないかをチェックしなきゃいけないんですよ。それが仕事でしょう。こんなことで時間を経過させないでください。しっかり答えてください。
  114. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 調査によりますと、本人がいろいろパソコンを使う仕事が多かったものですから、夜そういうことで自宅に持ち帰るのについて、保全責任者を含めてチェックできなかったという実態がございました。
  115. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 結局何もやってなかったんですよ。  パソコンやディスクは自由に持ち帰られる、それを取り込む媒体も自由に持ち込められる、これが実態なんです。そして、抜き打ち的に検査や、それともチェックしているかといったら、恐らくやってないでしょう。現場で実際やってないこともあったし、包括的に、それぞれのルールは現場現場に任せてあって、きちっとした防衛庁のルールがこれないんですから。  じゃ、一点具体的なこと。私物は、防衛庁のルールとして、若しくは自衛隊のルールとして、どういったものをこの電信室やオペレータールームに持ち込めるんですか。  止めてください、時間もったいないから。委員長、止めてください。
  116. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) お答えします。  今、電信室の方につきましては、これは職務上、彼が、担当者が自分の処理する仕事の中で使うものとそれから仕事で処理する、すなわち、よその部署から来た電信を他へ回すと、こういうものは彼は、彼の職分で回ってまいります。ただし、それは中身は見ないで、自分の分か、仕事の流れとして流していくと、そういう形の処理をしていくということになります。(発言する者あり)
  117. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 質問がおかしいんじゃないんです、これ。私はさんざん、昨日、この情報漏えいの問題にしっかり追及すると、しかし具体的な問題は長官はお答えできないでしょうから、参考人や政府の方はどうぞ入ってくださいとしっかり言ってあるんですよ。  この正にオペレーションルームに総理、今いろんなものが持ち込めると思うんです、電信室にも。例えば携帯電話であるとか、それも写真付きの機能も付いております。小型のモバイル、録音機、いろんなものがあります。こういったものを日本の安全保障、国防、そして自衛隊という、こういったそれを守る組織は、しっかり各国はルールを決めているんですね。入退室の際にはしっかりと持ち物検査、そしてボディーチェックまでしている。それが基本なんです。しかし、それが全くされていないのが今の現状なんですよ。  そして、先ほど防衛庁長官対応策を万全に取ると言った。しかし、ウィニーの問題点は、一度流れた情報はもう削除できないんです。いまだに二百五十枚から、ある方によっては五百枚のフロッピーの情報がだれでも検索できる状態にあるんですよ。  そして、この四十一歳の海曹長、なぜやったかといったらこう言っているんです。初めは自宅で仕事をするためだったが、そのうち情報を集めるのが趣味になってしまって、上官あてのメール添付ファイルなどを持ち出すようになったというんです。これは長官、そして総理、まずいでしょう、これは。余りにもまずいと思います。  そして、うがった見方はしたくありません。私は百歩譲ってこの海曹長が趣味のために持ち帰ったと信じたい。しかし、これはもしこの海曹長が情報を売っていたと、うがった見方をされても仕方ないと思うんですね。実際に二〇〇〇年には防衛庁の職員が五十八万円でロシアに秘密文書を売った過去もあるんです。この海曹長が本当に情報を売っていなかったか、その確信は長官、ございますか。
  118. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) その前に、今、榛葉先生おっしゃいました、趣味で、情報を集めるのが趣味になって次第に麻痺していったというお話、そういう報道があるということは承知しておりますが、我々今調べている中ではそういうふうなことはございません。そういうふうな、今現在調査している最中でございますが、そういうふうな話はないと。  それから、先ほどちょっと答弁のときに漏れましたが、携帯電話等につきましては、電信室等のところにつきましては、許可もさることながら持込みを禁止しております。それから、パソコン等についても、許可あるもの以外は持ち込ませないという格好でやっております。さらに、先ほど先生おっしゃいましたように、そういうふうなチェックをしているかという話につきましては、これは再三当方からチェックするようにということで指導はしてもおります。  それから、先生がおっしゃいました、四回これまでも通達等を出しておりまして、一番初めに出したのは平成十五年の一月でございますが、その都度それを再度リマインドしながら、そういう事態があった場合に喚起をして、そういうことのないようにチェックをさせてきたところでございます。
  119. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 またどんな説明しても苦しいのは、これ、今ごろ始まった事件じゃないんですよ、総理。  実は、四年前の二〇〇二年十一月にこの陸上自衛隊普通科連隊の情報がもう流出しているんです、しかもウィニーから。これ、全部ウィニーに関する原因ですから、事案ですから。そして、その翌年一月十日に「職場における私有パソコン等の取扱いについて」という通達出しているんです。しっかり管理しなさいよと言っているんです。しかし、このときは、これが新聞報道されるといたずらにこれを検索する方が出るかもしれないから公表はしませんでした。私は、これは正しい判断であったと思っております。  しかし、その後、二〇〇四年四月にこの事件が報道されました。そして再度通達出しているんですね。そして二〇〇五年十一月、今度は、二回通達自体を出しているにもかかわらず、総理、もう一度、今度は自衛隊中央病院の医官によって個人情報が出てしまった。で、また通達出した。過去三回も通達を出しておいて、全然この通達が現場に浸透していないんですよ。一体何やったのか。このときしっかりやっていれば、この「あさゆき」の情報流出はなかった、ほかの四件もなかった。一体、防衛庁は何やっているんですか、長官
  120. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、榛葉委員の御指摘のとおりでございまして、これは隊員、防衛庁職員の言ってみれば士気の緩みであるというふうに思っております。それから、規範だけではその浸透力がない、守れていないという実態について、私は厳しく認識した上で今後対策を立てなければならないというふうに思っておるところでございます。  例えば海曹長の場合も、電気通信室というのはいろんな情報に接することができます。しかし、その場合に、自分の職場以外の情報にも接していくことができて、そしていろんな情報を自分の私有のパソコンに入れていったという姿、これがシステムとしての問題があるわけであります。これは上司の管理責任もあります。そういうことについて抜本的に見直しをしているというのが今の現状の姿でございます。
  121. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 額賀長官の前からこの事件ずっとあったんですから、額賀長官一人を責めるのは確かに酷かもしれません。  しかし、総理、この間、中谷さん、石破さん、大野さん、そして額賀長官と来ました。すべて小泉総理の任期中であります。そして、自衛隊防衛庁の最高責任者は、防衛庁長官の上に内閣総理大臣小泉純一郎がいらっしゃる。この自衛隊の最高責任者としての総理総理の責任は極めて私は重いと言わざるを得ないと思います。  総理、最高責任者として、私はまず国民にこういう事態になったことをおわびするべきだと思いますが、どうでしょうか。
  122. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 重大な御指摘であり、そのとおりだと思っております。要するに、たるんでいたということでありますので、こういうことが二度と起こらないように厳正に対処しなきゃいけない問題だと思っております。
  123. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 陸上自衛隊で六万台、空自で五千台、海自で二千台、合計すると七万台弱のパソコンが私物で使われたという報道がございました。しかし、今防衛庁の方で詳しく調べていらっしゃって、実際に私物で、私用で使ったパソコンの台数は十二万台あったということが判明をいたしました。この十二万台のうち、実際にウィニーをインストールしていたのは何台ぐらいあるんでしょうか。
  124. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) お答え申し上げます。  十二万台の私有パソコンのうち八十台のパソコンにウィニーが入っておったということです。
  125. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 どのように確認しましたか、その八十台を。
  126. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) 各機関の方に指示をしまして、それぞれの専門の部署の者が行って申告とその中身のチェックという格好でやっております。
  127. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 つまり、そういう自己申告なんです。これだけ重大な情報流出事件になって、もう現場の隊員はこの問題の重要性を分かっていますから、何台が、十二万台のうちですよ、何台がウィニーをインストールしていたんだと言ったら、私は正直、申告をしなかった方もいてもおかしくはないと思うんです。自己申告ですから、第三者がチェックしたわけじゃないんです。容易に、この八十台以上の台数がウィニーをインストールしていたということが私は当然考えられると思うんですね。  では、この十二万台のうち、防衛庁の業務用のデータをハードディスクに入れていた台数は何台あるんですか。
  128. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) 調査いたしましたところ、九千四百台のパソコンのハードディスクに業務用のデータが入っておったということでございます。
  129. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 その九千四百台のうち八十台、私は実際はこれ、自己申告ですからあいまいなんですよ。  しっかりと検査してくださいと言うのは、別に犯人捜しをするからではないんです。きっちりと本当に正直に言ってもらわないと新たに情報流出がする可能性があるから、これをしっかりとチェックしなければいけないんです。ですから、自己申告ではなくて、これからはもう絶対に情報は流れないというために、現場でしっかりチェックしなければいけないんですよ。その覚悟はありますか。
  130. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) これは現在も着々と最終チェックはしております。自己申告といいながらもチェックをしています。  これ一定の時間を切って、切って、とにかく実情を確実に把握し、打てる対策を打つためにやっていることでございますので、さらに確実を期すための対応は取っていきます。
  131. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 岡山県警でもこういうことがありました。しかし、岡山県警は保有者や家族の了解を得て、三千台あったわけですけれども、全部のパソコンを直接チェックすると。ウィニーが本当に消えているか、情報が、データが保存されていないか、岡山県警でさえ全部やると表明しているんです、岡山県警も当然やると言っているんです。当然、防衛庁国家の安全を守っているわけでございますから、より厳しいチェックをするのは当然だと思いますが、これは長官の決意をお願いしたいと思います。
  132. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えをいたします。  私はこの海上自衛隊の「あさゆき」が問題になったときに、海上自衛隊の幕僚長に対しては、海上自衛隊それぞれの上司が一人一人チェックをしろというふうに言ってあります。ですから、これは幕僚長、三幕、それは必ずやっているものと思っております。
  133. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 是非それは履行していただきたいと思いますが。  この九千四百台のパソコンのうち、許可を得て情報を取っていた方々は何台ですか、若しくはルール違反をして自分の判断で無許可で保存をしていた方は何台ですかと昨日聞きましたら、これは把握できていないとおっしゃいました。  私は、これは重大な職務違反ですから、これもきちっとチェックする必要があると思いますが、長官どうですか。
  134. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今私どもその検討委員会で再発防止のための議論をしておりますが、そのときにどういうことをやっているかというと、一つは秘密保全について、これはすべて所持品を検査をし、保全検査の強化、それから秘密指定あります、機密、極秘、秘、この見直しをする。秘密文書等のスリム化を図る。それから、情報保証技術の分野において業務データの比較化による流出防止策を講じる。それから、一つは、先ほども言いましたように、規範、訓令だけでは守らないという実態が明らかになったわけだから、そこは処分基準について、きっちりと漏えい事案に係る人事上の処分基準を明確化にすると、そして管理責任者を明確にしておくということをやっていきたいというふうに思っております。
  135. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 情報分類の再検討や管理者の問題はいいんですけれども、そうじゃなくて、これ、もう無断で持っていた人がたくさんいるんですから、九千四百台のうち。で、それ把握していないんですから、まず現状認識をすべきでしょうと、それを長官の責任においてやってくださいということであります。  先ほども言いましたけれども総理、このウィニーの厄介なのは、一度出てしまうともう取り返し付かないんです、今の技術では。ですから、どんなにダメージコントロールをする、今後気を付けると言っても、今出ている膨大な量のデータは世界中からだれでもアクセスできるんです。恐ろしいことであります。正に日本の安全管理や危機管理が今、丸裸になっている。こういったことが現実に起こってしまった。今防衛庁が、削除することはできませんから、一体どういう情報が漏れたということを一生懸命、このネット上の膨大な海の中をこつこつこつこつ探しているんです。ああ、これも見付かった、あれも見付かった。しかし、見付かっても、これが出ていたという把握ができるだけで、それに対するカウンターは打てないんです。  長官にお伺いします。  具体的に、どんな情報が出ていっていたか、どれだけ把握されているんですか。
  136. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) 今御指摘の、どういうデータが出ておったかにつきましては、榛葉先生おっしゃいましたように、これはアクセスすればするほど上位に浮いてくるような格好になりまして、むしろアクセスされないことがどんどん情報の下へ入っていきますので、できるだけそういうものにつきましては、当方としましてはそれを表には出さないという格好で対応しておりまして、その辺り御理解いただきたいと思いますが。
  137. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 そういう他力本願のことしか実はできないんですね。  私もこの質問をする際、悩みました。今新聞報道されていない部分でもいろんな情報が見付かるんです。ところが、いたずらに日本防衛に関する情報を外に漏らしたくありません。しかし、把握されているんですか、されてないんですか。ここで全部列挙して言えとは言いません。把握されているか把握されていないだけ答えてください。
  138. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) すべてというようなことは言えませんが、可能な、我々としては可能な限り、しかも、それも先ほどちょっと先生の答弁のときに漏れ落としましたが、九千台とか、そういうこちらで押さえて、彼らが申告してきたものにありましては全部コピーを取りまして、その中に、秘にわたるもの、あるいは仕事にどれだけの影響があるものかということを全部調べるためにもコピー等をしっかり取っております。それに対するカウンターチェックを、カウンター対策を取るような形も考え対応をしてきております。  ただ、その個々のものについては残念ながら、出すと更に被害が大きくなるということで御理解いただきたいと、こういうことでございます。
  139. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 十二万台の私有パソコンが使われていて、九千台に情報が入っていた。実際はウィニーを何人がインストールしていたか明確ではない。つまり、確かに今の段階でどういう情報が漏れていたか分かるかもしれないけれども、一〇〇%確信ができないんです。どんな情報がいまだに流れているか分からないんですね。ということは、これは自衛隊法九十六条の二に、九十六条の二に当たります防衛秘密も流れている可能性があるんじゃないんですか。
  140. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 海上自衛隊の事案では、ネット上、秘の情報が流れたということを確認しております。
  141. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ですから、今の段階ではそうかもしれません。しかし、私が調べただけでも報道にある以外のものがたくさんあるんですから、当然今後はどういう情報が出るか分からないんじゃないんですかということです。
  142. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) それは、先生御指摘のとおり、どれだけのものが出ているかということは最終的に全部は押さえ切れませんので。ただ、我々は、現時点において、先ほど申しましたように、いわゆる申告した、そういう押さえたパソコン等の中からは今のところ漏れているのは、先ほど防衛局長が言いました部分だけのものであるということでございます。
  143. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 総理、これが現実なんです。いまだにどんな情報が出ているか分からない。  実は、私もウィニーを使ってこの情報にアクセスしてみました。ところが、一歩間違うとこれ大変なことになりますから、こちらも、新しいパソコンで、何も入っていない真っさらの状態で検索いたしました。これ、ミイラ取りがミイラになる可能性が大なんですね。実際、そうやって更にたくさんの情報が出てしまっている。私が調べただけでも、これはあえて私が新しく見付けたものは入れてません、私も責任がありますから、あえて新聞報道だけでございます。しかも、これは長い間ちょっと表示しておくとまた変なことになってもいけませんので、これがリストです。(資料提示)  委員の皆様方にはリストが行っておりますので御確認をいただきたいと思うんですが、実は委員の皆さんに配付する資料も最小限にいたしました。これ、秘密情報や個人情報にかかわる問題がたくさん出ているんですね。今日、私がここにお持ちしたのは、持ち込んだのは、総理、ほんの一部であります。今日、理事の先生の御了解を得て、これを総理長官だけにはお渡ししていいという許可を得ましたので、是非ごらんをいただきたいと思います。(資料手交)  先ほども言いましたが、これはほんの一部であります。フロッピーにしても数百枚に上ります。正直、プリントアウトできないような、言葉があれですが、やばい情報もたくさんありました。個人情報もありました。  まず、総理、一を見てください。これはトリスタンといって、日本領海での対潜哨戒用に開発されたソフトで、我が国周辺の海底の地形や水深を瞬時に表示できる、日本列島の断面図もすぐに分かる、GPSと連動して目標艦船の軌道データも図上に取り込めるといったソフトであります。防衛庁によりますと、これは市販をされているデータでそんなに心配はないということでございますけれども、私は専門家ではありませんから分かりません。  そして、二を見ていただきたいと思います。これはドリルパッケージというフォルダから見付けたやつでございます。委員の皆様にはこの表紙しか申し訳ありませんがお渡しをしてありません。総理長官にはこのすべての資料が載っております。これを見ますと、海自の戦闘運転であるとか戦闘能力、戦闘応急訓練計画の内容がすべて分かりまして、私が見ても自衛隊の戦力や評価を、戦力や能力を評価、推測できてしまうという代物ではないかと思います。  こういったものならまだいい方でございまして、実は先ほど長官が言いましたが、秘に当たる情報、秘に当たる情報の側方観測換字表であるとか、秘の指定輸送船の航路計画なんかも、こういうのも海自の補給路が分かってしまうんですよね。こういったものも出ている。そして、コールサインであるとか暗号表なんかもあります。それはこの三の資料ですが、総理にお渡ししてあると思います。少し、隠しますけど。(発言する者あり)はい。  長官総理、まず総理にお伺いします。この現状を見てどう思いますか。この事実を見て、総理、恐らく実際のものを見るのは初めてだと思うんです。これを見られてどう思いますか。
  144. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私はどれが秘密でどれが秘密でないかというのは分かりませんが、秘密情報はきっちりと管理しなきゃならないし、今、榛葉議員が指摘された点、これは大変重大な問題でありますので、当然行われていなければならない情報管理をしていなかったということでありますから、よく反省して、こういうことのないようにきっちりと今後対応していかなきゃならないと思っております。
  145. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 これは、先ほど総理が冒頭いみじくもおっしゃいました、たるんでいると思うんですよ、たるんでいる。長官、この現実をどう思いますか。
  146. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えします。  これはもう榛葉委員指摘のとおり、こういうことが、あってはならないことが起こってしまっているわけでありますし、小泉総理が言うように、これは言ってみれば、防衛庁それから自衛隊のそれは管理システム、あるいはまたそれぞれの緊張感が足りない、あるいはまた国民国家を守っているというそういう自覚が足りない、そういうことにつながっていくことであると思っております。  したがって、私は、「あさゆき」事件が、事案が発覚した翌々日の二十四日、小泉総理とよく相談をいたしまして、夕方、幹部数百人を講堂に集め、と同時に、日本全国の隊員にマイクを通じて、この防衛庁において、施設庁の不祥事、そしてまた秘密情報流出等々の相次ぐこのたるみの事態を重く受け止めなければならない、隊員として国の安全を保っていく先頭を歩かなければならない我々がこれでいいのか、そしてきちっとこの我々の規律を正して国民の期待にこたえていかなければならない、そして再びこういうことが起こることがないような再発防止と自覚を持ってほしいという訓示をしたところであります。  訓示だけでは駄目だから、今度はシステム的にきっちりと今させるために検討委員会、調査委員会議論をしているところであります。
  147. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私は、長官のまじめなお人柄をよく存じ上げておりますし、先輩方からもそう聞いています。  しかし、七年前、談合事件があって、長官は自ら責任を取られて長官を辞職なされた。これは政治家として大変な決断でございます。そして、もう絶対談合をやらない、プロジェクトチームをつくった、しかしその並行して、先ほど浅尾委員指摘のあった談合が連綿として続いていたわけでございます。正に役所側が、政治家が覚悟を決めて訓示を出し、そして職を辞したにもかかわらず、それが伝達されていなかった、これは大変重いことであります。今回はそういうことが絶対ないように、私は防衛庁の職員の皆様にも、こんなことがないように絶対にしていただきたいと思う。  そして、長官が先ほど、機密や極秘はなかった、秘は出ていたけれどもという話がありました。しかし、それは私たち日本側や防衛庁側のカテゴリーの区分であって、この情報を受ける例えばテロリストであるとか悪い連中には、秘密であろうがそうでなかろうが、宝の山がたくさんあるんですね。どういうふうに利用されるか分からないわけでありますから、それが今お渡しした四や五の資料であります。部隊に関する情報基地の警備計画や非常呼集の連絡網、それとか緊急呼集表なんかも全部流れているんです。電話番号もメールアドレスも、そして基地をどうやって警備しているかも全部出ているんです。こういった問題は、長官、これらの電話番号やメールアドレスというのはすぐに変更しているんですね。
  148. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 榛葉委員指摘のとおり、当然即座にこれは中身を変更させております。
  149. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 いや、そうはいっても、私ちょっとこれ中開けられないんですが、その中に第五分隊緊急呼集表ってありますね。何人かつながりますよ。しかも、私はつい数日前に電話したんですが、輸送艦「おおすみ」の携帯番号がそこにはあります。輸送艦「おおすみ」につながっちゃうんですから。(発言する者あり)そういうことは言わないでください。やじでもそういうことは言わないでいただきたい。  是非これは、私はダメージコントロールをするために、私は今日は長官や政府の揚げ足取りのためにやっているんじゃないんです。これはオールジャパンでダメージコントロールやらないと大変なことになるんですよ。与野党の攻防だとかどうこうと言っている場合じゃないんです、この問題は。正にしっかりとダメージコントロールをしていただきたい。その決意を長官、お述べいただきたいと思います。
  150. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 榛葉委員の本当に国を思い、そして日本の安全を考える、その適切なアドバイスを重く受け止めてきっちりと対応させていただきたいと思います。
  151. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 加えて、そちらにも個人情報が幾つか出させていただいております。委員の先生方には申し訳ありませんが当然出しておりません。そこにはプライベートな住所、氏名、本籍、そして最終学歴、家族構成、そして宗教、様々なデータがすべて載っております。家のメールのアドレスも載っております。  こういった方々が、今私が聞いただけでも嫌がらせの電話やいたずら電話があると聞いております。そして、これがどういう犯罪に使われないとも限らない。もっと言えば、スパイが、これ正直出せないようなプライベートな個人的なデータも出ていますから、弱みを付け込まれる可能性もあるんですよ。部隊や組織の電話番号やメールアドレスは、長官の命令で変えることができるでしょう。しかし、今度は個人情報、プライベートですから、どこまで踏み込めるかもこれ大変難しい問題もある。少なくともこの方々にはあなたの情報漏れていますよということは、防衛庁としてきっちりと御連絡されているんですか。
  152. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) 先生御指摘のただいま個人情報関係につきまして、非常に我々の方につきましても、現在こういう事案が発生し、我々の方に分かった段階でそれぞれのルートを通じまして、被害、直接御本人に教えるなり、関係者に教えるなりの格好で対応してきております。
  153. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 これ想像できない様々な被害があると思うんです。これはまた後日の委員会でしっかり議論をしたいと思いますので、今日はこの場ではこれくらいにしておきますけれども、私がこの問題と並行して心配する大きな一つの問題は同盟国、近隣国からの信頼の失墜であります。私たちは、防衛力、そして政治力、民間力、ソフトパワーを集積して同盟国との信頼関係をここまで構築してまいりました。しかし、この情報流出、言葉は悪いけど、こんなことも管理できない組織やこんなことをやっている自衛隊同盟国が信頼するでしょうか。私はしないと思います。  米軍再編交渉も大詰めであります。ミサイル防衛、MD計画も共同開発している。アメリカ、そして近隣諸国に与えるこのダメージ、外交に関するダメージは計り知れないものがある、私はそう言わざるを得ませんが、総理、この同盟国や近隣諸国との信頼関係をどのように考えていらっしゃいますか。
  154. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今回、今御指摘防衛庁情報管理のみならず、外務省、全省庁含めて情報管理しっかり対応しないと、今後の同盟関係につきましても、あるいはまた国民の信頼、どれを言っても大変大きな打撃を政府は受けますので、しっかり対応するように指示しているところでありまして、今回の榛葉議員の指摘というものは大変重要なものであると思っておりますし、その御指摘をよくわきまえて、このようなことが起こらないように対応していきたいと思っております。
  155. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えをいたします。  榛葉委員指摘のとおりだというふうに思っております。これから日本の安全、それから地域の安定を考えていく上で同盟国との情報共有とか様々な運用展開していかなければならないときに、こういうことは正に信頼を失墜しかねない、いや、信頼を失墜させているというふうに思っておりますので、こういうことがないように全力を尽くしていきたいというふうに思っております。
  156. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 以前、防衛庁には独自のOS、まあ、これ問題は幾つもあるんですが、一つは絶対的にパソコンが足りなかった。まあイージス艦に今一千七百億くらい一隻使う。そして、MD計画には大体一兆、八千億から一兆と言われている。これもそれぞれ大事であります。しかし、正に灯台下暗しではないですが、これだけ膨大な税金を国を守るために使っていながら、パソコンが足りなかったというのは、これしゃれにならないんですね。本当にしゃれになりません。  そして、もう一つの問題は、機密性の高い情報を扱っているにもかかわらず、独自のOSを使わずに、ウィンドウズを共有、共通のOSとして使っていた。まあ他国にもこういったところはあるようでございますけれども、私はきちっとこういった管理をするべきだったと思うんですね。  以前、こういった独自のOSを開発するべきだという議論があったと聞いています。しかし、財政上の理由によって財務省のある主計官からストップが掛かってしまった。これ、私、報道で知りましたから本当かどうかは知りません。  しかし、私は、様々な、イージス艦やMD計画もこれは大事でございます。しかし、その前にやることがあると思うんですよね。この基本的なパソコンという媒体の共有、そして配備、これはしっかりとやらなければならないと思います。  そして、官房長官の記者会見にもありました、ウィニーを使わないでください、ウィニーが問題です、これ、ウィニーが問題じゃないんです。ウィニーに入り込んできたウイルスが問題であって、ウィニーが問題ではない。ウィニーも様々な問題が今指摘をされて、それが裁判になっていますけども、少なくともウィニーだけでは感染することはないんですから。  そして、もっと言うと、様々な、テレビ局であるとか銀行であるとか、他の省庁であるとか警察であるとか、この同じ被害に遭っているところがたくさんあります。しかし、ウィニーのせいにしては絶対にいけないと思うんですね。これはまず危機意識の問題でありますから。  残りが短くなってしまいましたが、先ほど総理がたるんでいるとおっしゃいました。長官もおっしゃいました。正に私は、最近の自衛隊防衛庁、たるんでいるんじゃないかと思わざるを得ません。  最後に、昨今、自衛隊員による犯罪状況、刑事事件で検挙された検挙人数だけでも、平成十六年、陸自で八百四人、海自で二百一人、空自で百八十七名、計千百九十二名もいるんですね。これ、平成十六年だけではなくて、大体これくらいの推移でいっているんです。  昨年の夏に麻薬事件がありました。私も防衛庁長官質問をさせていただきました。そのときも、襟を正す、もう不祥事は起こさないとおっしゃった。しかし、その後からこの情報流出が出るまでの六か月間だけでも、今六十件以上の事件が実は起こっているんです。中には万引きをやって、イラクに行きたくなかったからというような報道もありました。  しかし、こういった細かい問題で揚げ足を取るつもりはありません。根本的に何が問題なのか、どうしてこういうことになるのか、それをきっちりと、この情報流出の問題と並行して、これは全く危機管理のなさ、緊張感のなさが起こした問題でありますから、これをきちっと対処していただきたいことをまず長官に要望したいと思いますが、いかがでしょうか。
  157. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 綱紀粛正のために、今、榛葉委員の御指摘を踏まえまして、しっかりと人事教育のシステムをきちっとしていきたいというふうに思っております。
  158. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 最後に一言申し上げます。  今、民主党は確かにピンチであります。民主党は自己管理がどうなっているんだと言われた。その問題を私たちは甘受をしなければいけない。そして、きっちりとこれからやっていかなければいけない。  しかし、今私たちが直面している問題は、国の危機管理そのものが大変なことになってきているんです。この問題は与野党超えてきっちりとダメージコントロールをしていきたい。そして、この問題によって、実際はほとんどの自衛官がまじめにひたむきにしっかりと現場で努力されているんです。そういった自衛官がしっかり評価をされるように、政府や正に政治家がこれから気概を持ってこの問題に当たっていただきたい。そのことを強く申し入れまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  159. 小野清子

    委員長小野清子君) これにて榛葉賀津也君の関連質疑は終了いたしました。  以上で浅尾慶一郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  160. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、山本香苗君の質疑を行います。山本香苗君。
  161. 山本香苗

    山本香苗君 公明党の山本香苗です。  まず最初に、先ほどから情報の話が出ておりますが、ちょっと角度を変えて情報インテリジェンスに関しましてお伺いさせていただきたいと思います。  昨年、小泉総理の愛読書として織田信長に関する本が書店に並んでおりました。その信長に関するエピソードの一つ情報に関するエピソードがございます。戦国時代といえば敵の大将の首を取った者が一番の手柄とされておりましたけれども、信長はその常識を大きく覆して、あの今川義元を破った桶狭間の戦いの後の論功行賞で、敵の大将の今川義元の首を取った者ではなくて、今川義元の動向をつぶさに調べて、そして桶狭間に行くと、そういう情報をいち早くキャッチして信長に報告した梁田正綱という情報戦の責任者を一番の手柄といたしました。  総理が信長がお好きだとお伺いしておりますが、この信長の情報感覚というものを総理はどうお考えになられますか。
  162. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、信長のみならず、戦国武将は情報、実に大事にしていると思うんであります。情報をいかに集めるか、正確な情報を収集するか、分析するか。正に勝敗を決する大事なものとして様々な情報を取っていたと思いますので、これは信長に限らないと思っております。情報は極めて重要であります。
  163. 山本香苗

    山本香苗君 もう一つ、基本認識をお伺いしたいんですけれども、第二次世界大戦中のヨーロッパを舞台にいたしました「梟の朝」というノンフィクションの小説がございます。この小説では、山本五十六元帥の副官であった光延東洋という実在した主人公が、必ずしも軍人としては情報戦、機密戦というものは華々しい舞台ではございませんけれども、祖国のために懸命に戦って異境の山中に果てたことが書かれているものであるわけなんでございますが、この光延東洋がたまたま同じ高校出身でございまして、ある先輩から薦められて読んでみたんですが、改めて、先ほどからのお話ありますように、情報インテリジェンスというものの重要性というものを痛感いたしました。この本の最後のところに歴史学者である山内昌之東大教授が後書きを寄せておられまして、日本人ほど国家機密という観念に鈍感な国民も少ないと指摘しておられました。  総理は、こういった国際政治におけます情報というものにつきまして、どのようなお考えをお持ちでいらっしゃいますでしょうか。
  164. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 国際社会の中で情報収集合戦と言われるぐらい、すさまじいものがあると思っています。つい最近も、中国の上海領事館での事件が報道されました。  あのような機密の情報に携わる人に対して、各国の対応は実に厳しいものがあります。信じ難いぐらいな、その本人を疑って様々なチェック体制を取っている。当然、そういう機密に携わる人は誘惑があるであろうと、スパイからの誘いがあるであろうと、様々な手段によって籠絡される可能性があるだろうという前提で各国はそういう人に対して様々なチェック体制を持っているんです。そういう点に比べると、日本はまだまだその点は足りないなと思っております。
  165. 山本香苗

    山本香苗君 いい御答弁ありがとうございます。そっちの方に今から動いていこうとしているわけなんですけれども、近年、特にこういった九・一一のテロ以降、情報インテリジェンスの重要性というものが非常に共有されてきたと思うんです。そういう中で、様々なインテリジェンスの在り方、体制の在り方というものを論じた報告書が出されております。  二〇〇四年十月に提出されました安全保障と防衛力に関する懇談会、これは内閣官房に設置していただいたものでございますが、この報告書の一つの大きな論点も情報能力の、情報機能強化でございました。  また、昨年九月に取りまとめられました町村前外務大臣の私的懇談会、対外情報機能強化に関する懇談会報告書、ここにおきましては、もう明確に我が国の対外情報機能に関する体制は不十分と指摘されておりまして、対外情報機能強化に向けた具体的な提言がしっかり、短いペーパーですけれども、入っております。  報告書を提出された後、我が国情報体制が変わったように余り見受けられないわけなんですけれども、これらの提言を受けまして、具体的にどういった取組がなされているんでしょうか。
  166. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 昨年九月に町村外務大臣に提出された対外情報機能強化に関する懇談会の報告書の件でございましょうか。失礼しました。  国際情勢が御存じのように変化する中にあって、この機能強化というのは喫緊の課題ということで、外務情報機能強化について提言をいただいております。それに合わせまして、外務省としてはこれを進めていくことは大切ですということで、情報に関する企画、収集、分析、評価、伝達、秘密保全、すべての過程で、これは要員とシステム、加えて先ほどありました機材の話、それから環境面での整備拡充を進めていくということで、予算も減らされる中、少しずつ増えておりますけれども山本先生先ほどお話がありましたように、この情報ということに関しましては我々は基本的に認識が余り高くないというのは、これはもう昔からそうなんじゃないでしょうかね。  小説をよく読んでおられるようですから、あれでいきますと、乱波とか草とかいうのは大体あんまり上等な役職じゃありませんでしょう。イギリス行ったらMI5とかMI6とか、みんなサーが付くんですよ、あれ。もう全然扱いが違いますから。防衛庁でも将官になったのはいつからでしたっけね、榛葉さん。将官なんてしないんですから。みんな佐官で終わったぐらい。それぐらいだったものがやっと将官にするぐらいになったので、このところやっとこの情報とか諜報とかいろんなそういうインテリジェンスというものに関して物すごく上がってきたのは僕はとてもいいことだと思っておりますが、まだ一般にこの種の重要さが理解されるところまでとても行っておらぬと、基本的にはそう思っております。
  167. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 山本委員が御指摘のとおり、安全保障と防衛力に関する懇談会報告書において情報能力強化しなさいという提言があったわけでございますけれども、これに基づきまして、防衛庁としては、従来あった情報本部というものを防衛庁長官直轄の機構に、システムにいたしまして、庁全体の視点から広範な情報を収集し、そしてまた各機関のニーズに応じた総合的な分析をする、そして私に、防衛庁長官等により迅速かつ的確に報告ができるという防衛庁の中央情報機関としての役割と地位というものを高めているわけでございます。  特に、情報収集・分析能力の向上については、我が国南西方面の情報収集能力強化のための電波監視装置の整備とか分析に役立つ空間情報機能の向上等々にきちっと対応がなされつつあるところでございます。
  168. 山本香苗

    山本香苗君 総理、ちょっと今考えていただきたいんです。  この質問をするときに、今外務省としてはこうやります、防衛庁としてはこうやりますという答えしか返ってこないんです。先ほど、個々の組織の情報能力強化ってもちろん大事だと思うんですけれども、これらをまとめる情報体制の在り方ですね、ここのところで何かお考えはないのかなということを聞きたかったわけなんです。  先ほど荒井議員の御質問の中でも、そういう趣旨を踏まえて何か新しいものをというお考えだと思うんですけれども、先ほどの御答弁は、この情報機関、各担当分かれているけれども、まあうまく機能させるために常に努力していくよというような御答弁がございましたが、ここでもう一度確認させていただきたいんです。  総理としては、こういった情報体制の在り方、まあ現在の、従来の体制というものを変えるというお考えはないんですか。
  169. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今、山本議員が言われたようなことは政府としても検討しているんですが、各省庁としても、これを一つの統一機関にするという点というのはまた別の難しい問題が起こってくるんです。というのは、各省庁、自分だけが知っていなきゃならない情報、これを人に漏らしたらその情報は取れなくなる情報があります。そして、この情報収集の過程におきましては、確認する場合も、だれから取ったのかと言ったらこれから取れなくなる情報もあるんです。各省庁連携して、ほかには知らせないからというのを、トップだけで知らせなきゃいけない情報と知らせなくていい情報がある。両方あると思いますよ。そういう点もありますから、全部統合する機関というと、情報が取れない場合もあるわけです。そういう点も含めて、よく連携はしなきゃいかぬと。  だから、今この時点で、全部省庁にまたがる、連絡が全部分かるような一元化というようなことの組織をつくる、機関をつくるというのは、今の時点においては考えておりません。
  170. 山本香苗

    山本香苗君 一元化と言っているわけじゃないんです。現在ある我が国の体制というものがありますね。それで、その中でどういうふうにやっていったらいいかなというのをもうちょっと考えていただきたいと思うんです。各省いろいろあると、そんなせせこましいことを言っている場合じゃなくて、しっかりやんなくちゃいけない状況にあるんだと私は認識しております。  そこで、対外情報機能強化に関する懇談会報告書においては、具体的に、イギリスの秘密情報機関、SISを念頭に、特殊な対外情報収集活動を行う固有の機関を外務大臣の下に設置することが妥当だとし、まあ置けと言っていて、すぐに置けとは言っていないんです。今後更に議論が積み重ねられ、政府全体における取組として結実していくことを要望されておりますが、総理、この考え、これは外務大臣だけの枠じゃできない、政府全体として取り組まなくちゃいけない話なので総理に御答弁いただきたいんですが、この提案を生かしていくというお考えはありますでしょうか。
  171. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 先ほど答弁したとおり、そういう意見はよく伺っているわけですが、現実の対応として、今即断できる問題ではないということを先ほど答弁いたしました。非常に難しい問題であります。人の問題もあるし、各国との対応もありますし、様々な問題を含めて今検討しているところで、今こうやると言う段階にはまだありません。
  172. 山本香苗

    山本香苗君 いや、今こうやるじゃなくて、これをつくることが妥当であろうという提案があるわけです。それをつくるかどうかも含めて検討するようなところをつくったらいかがですかと言っているわけなんです。
  173. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今そのような意見もありますから検討しているんであって、それをどのようにつくるかというのはまたこれからの段階なんです。人の問題もあります。なかなか今ここで、はいそうします、こうしますと言う段階にはありません。
  174. 山本香苗

    山本香苗君 外交政策を立てるにしろ戦略を練るにしろ、判断の基礎となる情報って物すごく不可欠であるわけなんです。特に、この九・一一以降、テロやミサイルといった新たな脅威対応するには、こうした国の情報能力のレベルというものが決定的な意味を持つと言われております。是非、今というのは無理だとしても、総理の御在任中に何らかのアクションを取っていただければなと要望しておきまして、また後日この議論についてはさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、防衛施設庁の入札談合事件に移りたいと思っております。  このたびの防衛施設庁の入札談合事件は、国民の信頼を著しく裏切る行為でありまして、断じてこのようなことがあってはなりません。我が党は三月九日に額賀防衛庁長官に対しまして徹底した再発防止策を求める申入れを行ったところでございますが、その五日後に、元防衛施設庁技術審議官ら三人、再び起訴され、同時に天下った元防衛施設庁OBを含む業界担当者九人が略式起訴されました。起訴された元審議官らは、OBの天下りを受けた企業にその見返りとして工事を割り振っていたという、そういった実態が徐々に明らかになってきているところでございますが、今回、再び起訴がなされたことで、さらに防衛施設庁のOBがその官と民との間の連絡先、連絡役を務めて、防衛施設庁のいわゆる現役とOBが一体になって談合をし続けてきたと、そういった構図がもうより鮮明に浮かび上がってきたんではないかと思っております。  他方、総理は、今回の防衛施設庁入札談合事件において、天下りが談合に対して一つの要因ならばとか、天下りと談合事件とは全く無関係とは言えないと、天下りと談合の関係について明言を避けておられるように見えるんですが、総理に改めてお伺いしたいんですけれども、一般論ではなくて、今回の防衛施設庁の入札談合事件において、天下りと談合の関係をどのように見ておられますか。
  175. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今回指摘されているような談合を見ますと、これ、天下りと関係があると思っています。ただ、人材交流、人材、適材適所という考えから見ますと、全般的に言って役所の有能な人間がどこかの民間の企業へ行くということはあり得るし、それと談合とは関係ないという面もあります。  しかし、今回指摘されているようなあの技術協会とか、防衛技術協力協会とかね、ああいうのを見ると、これは談合と関係があると思っております。
  176. 山本香苗

    山本香苗君 今回の防衛施設庁入札談合事件では、捜査中ではありますけれども、長年続けていたと、かつ、現役とOB、それもいずれもこのいわゆる防衛施設庁の技術系のトップが主導して行っていたと、行っていた談合だということで、いろんな官製談合ありますが、その中でも悪質さが際立つわけなんです。  十四日の記者会見で北原防衛施設庁長官が、自らの手で国民の信頼回復に総力を挙げて取り組むと記者会見でおっしゃっていらっしゃいましたけれども、今回、これだけ物すごい根の深いような状況で本当にそれはできるのかなというふうに疑問に思うわけです。現在、防衛庁が当面の再発防止策というものを取りまとめられまして、四月には最終的な防止策を取りまとめられるとは伺っておりますが、本当に、額賀長官を前にして言うのも大変申し訳ないなと思うんですけれども、本当にそれを、そのまま出てきたものを信じることができるだろうかというふうに思うわけなんです。  総理は、今回のこの一番最初、一月三十一日、この施設庁の幹部が逮捕されたときの未明に、今回の入札談合事件については額賀長官に任せるというふうに述べられたわけでございますけれども、一月三十一日の時点ではそれで良かったかもしれないんですが、これだけいまだかつてないほど広範かつ長期にわたる極めて根深いような問題に発展してきている中で、防衛施設庁、防衛庁にだけ任せておくというのが本当にいいのだろうかと。むしろ内閣として、つまり総理としてどうするかということをきちんと考えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  177. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 防衛施設庁のことは額賀大臣に任せると言ったんです。天下りとか、ほか全体の問題は政府全体の問題であります。
  178. 山本香苗

    山本香苗君 いや、しっかりやっていただけるということでよろしいんでしょうか。総理がトップに立って主導してこの問題を、天下りの問題を含めてやられるという認識でよろしいんでしょうか。
  179. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは各担当、役所には大臣がいますから、省のことは大臣が責任を持ってやってもらわなきゃいけないんです。政府全体のこと、天下りの全体のものも、あるいは行政改革全体の問題、公務員制度改革全体の問題、これは政府全体として、私が最高責任者でありますから、これはしっかりやらなきゃいけないと。しかし、役所に関することは担当大臣が責任を持ってやる。これが当然のことだと思ってます。
  180. 山本香苗

    山本香苗君 三月十二日付けの新聞、毎日新聞一面に、今回の防衛施設庁入札談合事件に関連いたしまして、「検査院課長天下り仲介」と大きな見出しが付いた記事がございましたが、この記事は事実でしょうか。
  181. 大塚宗春

    会計検査院長(大塚宗春君) 当時の状況を調査いたしましたが、会計検査院から職員の再就職先のあっせんを依頼した事実は認められないところであります。  このような報道がなされましたことは大変遺憾でありまして、今後とも厳正な検査に努めるとともに、職員の再就職については、国民の信頼を損なうことのないよう十分配慮してまいる所存でございます。
  182. 山本香苗

    山本香苗君 どういった調査をなされたんでしょうか。
  183. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 当時の人事課長にその再就職の際の状況を確認するというふうなことでして、状況を聴取するなどしまして確認したところでございます。
  184. 山本香苗

    山本香苗君 どなたが聴取されたんですか。
  185. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 私どもの人事担当の課長も聴取しておりますし、私も含めましてその辺の事情は聞いております。
  186. 山本香苗

    山本香苗君 事実でないのであれば、新聞に対して訂正、抗議、謝罪要求などされたんでしょうか。されてないんでしたら、なぜでしょうか。
  187. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 会計検査院からそういった要請をしたという事実は認められないというふうに説明したわけでございますけれども、結果としてこういう報道がなされたということは誠に遺憾であるという旨のことは申し入れておるところでございます。
  188. 山本香苗

    山本香苗君 会計検査院というのは国民の代わりに税金の無駄遣いを厳正にチェックする財政の番人と呼ばれる機関でございますので、検査の公正性に疑念が持たれることがないよう、しっかりと厳正なチェックをしていただきたいと思っております。  外務大臣にお伺いしたいと思います。  イランの核問題につきまして、IAEAから安保理に今協議の場を移して、まあ今、この議長声明というものは法的拘束力はございませんけれども、一応これ安保理の統一した公式見解となるものでございまして、政治的メッセージとして強い、重みのあるものだと私は認識しているわけでございますけれども、この議長声明のこの取りまとめ、採択に向けての話合いが今難航しているというふうに伺っておりますが、この議論の見通し、また我が国がこれからこの対イラン外交という点でどのようなことを具体的になされていこうとお考えになっているのか、これを圧縮して、三問実はお渡ししてたんですけれども、圧縮いたしましてお答えしていただければと思います。
  189. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) お詳しいんだと思いますんで、IAEAが三月八日に終了し、理事会のあれを受けまして国連安保理事会というのに付託ということになって、非公式の会合が開催されているのはもう御存じのとおりですので、ちょっと採択された文書の性格っていうのがありますんで、ちょっと非公式ということもありますんで、内容を安保理のメンバーであります日本としては知らないわけではありませんけれども、非公開ということでもありますんで、ちょっと内容は全部申し上げられるわけにいかないところですが、いわゆる、とにかくP5というのは、常任理事国五か国ほぼ一致しておりまして、基本的にはイランの再考を促すということに関してはロシア、中国含めて同じ立場に立っております。  日本としては、イランとは友好関係もありますので、ほかの国で外交関係のないところもありますが、日本の場合はありますので、電話が二回ほど、本人も日本に呼びましたし、いろんな形で話をさせて、総理にも会っていただいておりますんで、このままいったらおたくは孤立しますよと、孤立した場合、独りで闘うと、かつて六十年前日本も同じことやりましたけれども、えらいことになるんじゃないんですかと。まあ、簡単にはそういう話です。  だから、ここらのところは都合のいい情報だけ取らないで、結構都合の悪い情報もお取りになっておかないと非常に偏ったことになるということで、ロシアとはうまくいっているということでしたので、ロシアからもいろいろ、どういう情報を取っているんだか知らないんで、ロシアの外務大臣と話をして、裏を合わせた上で、きちんとこの常任理事会の方でこういうああいうって、内容までちょっと申し上げられませんけれども、申し上げさせていただいて、今確実に積み上げてきつつあるというところでありますけれども、安保理に行ったからといって、直ちに即制裁というような話ではなくて、アプローチをだんだん強めていっているという段階だと御理解いただければと存じます。
  190. 山本香苗

    山本香苗君 最後に、二〇〇八年のサミットのことについてお伺いしたいと思っております。  主要国首脳会議、いわゆるG8サミットは二〇〇八年我が国で開催される予定となっております。この二〇〇八年サミットに向けまして幾つかの都市がサミット誘致活動を始めておりますが、このサミット開催地選定の手続はどうなるのでしょうか。また、選定の要件並びにスケジュールはどうなるのか、お伺いいたします。
  191. 金田勝年

    ○副大臣(金田勝年君) ただいま御質問ございました二〇〇八年のG8サミットの開催地決定につきましては、必ずしも確立された手続というものはありません。現時点で政府部内の具体的な検討、選定作業はまだ行われておりません。  なお、最近のサミットの例でまいりますと、すなわち二〇〇〇年の九州・沖縄サミットの例におきましては、前年の一九九九年の四月末に開催地決定を発表いたしております。したがいまして、開催一年前のサミットまでには開催地の発表が過去の例からいきますと行われているということであります。
  192. 山本香苗

    山本香苗君 現在まだ行われていないと、確定した手続はないということでございますけれども、現在私の地元の関西におきましては、二〇〇八年関西サミット誘致委員会というものが設置されておりまして、谷垣大臣もいらっしゃいます京都、大阪、神戸の三都で開催されるよう関西が一丸となって今取組を進めているところでございます。このような「三都三昧」というパンフレットももう既にできておりますので、是非また見ていただければと思うわけでございますが、サミットにおきましては蔵相また外相、首脳、この三つあるわけですね。三会合ありまして、ちょうどいいことに京都、大阪、神戸と三つあると。それぞれが異なった魅力を持って、先ほどいろいろと御説明いただきましたけれども、サミットを開催するに当たって、いろんな警備だとか、いろんな文化カリキュラムをするときに見るようなところもたくさん豊富にそろえているところが関西だと思うんです。  谷垣大臣も同意していただいているようでございますので、昨年四月には京都の迎賓館、小泉総理も来ていただきまして開館もいたしましたし、十一月には外務省の通常、大阪担当大使って言っていたんです、それを関西担当大使という形に変えていただきまして、また神戸空港もできましたし、今関西に世界の首脳の方々をお迎えする態勢は着々と整っていると思っております。  二〇〇八年のG8サミットは是非関西で開催していただきたいと思いますが、総理、いかがでしょうか。
  193. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そのころは私はもう総理辞めているんですけれども。  今までのサミット出席した中で、次のサミットというのはそのとき発表するのが大体慣例ですね。翌年は、出席の首脳が来年は自分の国のここでサミット開催しますということで別れるようになっていますから、日本として二〇〇八年のサミット開催だと二〇〇七年のサミット、まあドイツだと思いますけれども、そのサミットまでには決めた方がいいと思います。  今、関西だと言いますけれども、京都迎賓館は喜ばれていますね。実に喜ばれている。ところが、京都の人たちは苦情が来るんです。もう交通渋滞で大変だと。ましてヘリコプターをすると騒音で大変だと。その点も国民から理解を得て、しかるべき場所に決めるべきだと思っています。
  194. 山本香苗

    山本香苗君 はい、ありがとうございました。
  195. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で山本香苗君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  196. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、井上哲士君の質疑を行います。井上哲士君。
  197. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  二月一日の当委員会で私は、防衛施設庁の内部で発されたメールを示しまして、地方自治体が米軍再編反対の意見書を上げないように圧力掛けているじゃないか、これやめるべきだということを申し上げました。防衛庁長官は、調査を約束されまして、このメールが実在するものだということを認められました。  全国的には、こういう様々な圧力を超えまして自治体の運動が発展をしております。先日は、岩国住民投票が成功し、米軍移設ノーという審判が下されました。地元新聞は、「民意を重く受け止めよ」という社説を書きまして、移転容認の見返りに地域の振興策を求めるべきだとする声よりも、基地機能の拡大・強化への不安や負担増の懸念が勝ったからではないかと、こう書きました。  正に、この民意を重く受け止めるべきだということをまず総理に申し上げた上で、今日はこの基地再編に伴う日本の経費負担についてお聞きをいたします。  この岩国基地では、滑走路の沖合移設工事が行われております。そこにFA18戦闘攻撃機などが五十七機も移転するということに対して住民のノーの声が上がったわけでありますが、この滑走路沖合移設工事に伴う総工費は幾らなのか、そしてアメリカ側の負担額は幾らなのか、お答えください。
  198. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 御答弁申し上げます。  その前に、先ほどのメールの件につきましては、調査をいたしまして、先般、先生の事務所に御説明をさせていただいたところでございます。  それから、滑走路の件でございますけれども平成五年度からこれを沖合約千メートルに移設をいたしまして、これによりまして岩国飛行場運用上あるいは安全上、さらには騒音上の問題を解決しようということで今鋭意工事を進めております。平成八年度から工事に着手をいたしまして、工期十三年の予定でございますので、平成二十年完成を目指しておりますが、先生御指摘の総事業費は約二千四百億円を見積もっております。これはいずれも日本の提供施設等整備費によって実施をするものでございます。
  199. 井上哲士

    井上哲士君 アメリカが使う施設なのになぜ日本がすべて経費を払う必要があるんでしょうか。
  200. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 御答弁申し上げます。  私どもの現在行っております岩国飛行場でございますが、まず基本的に、地位協定二十四条に基づきまして私どもが、アメリカ側の負担をさせるということはなくて、日本側がこれを負担していくといった大きな原則があるわけでございます。そして、ただ、それは大きな原則でございますが、個々の具体的な事業につきまして、これを私ども日米安保体制の円滑また効果的な運用を図るといった観点から、今申しました地位協定の範囲内におきまして、米側の希望も聴取しながら、そして今申しました安保条約の目的の達成と、それから我が国自身の財政負担との関係、それからこの基地を取り巻く社会的、経済的影響、もろもろの問題点等を総合的に勘案をいたしまして、そして個々の施設ごとに我々日本側が自主的に判断によって対処してきているものでございます。
  201. 井上哲士

    井上哲士君 かつては地位協定上は滑走路の延伸工事などはアメリカが負担するものだという答弁もあったわけですけれども、どんどんどんどん日本の負担する範囲が広がっています。  そこで、防衛庁長官、お聞きいたしますけれども、今回の米軍再編に伴って新たな建設が必要な施設がどれだけあるのか、そして日本の負担の総計はどれだけになるのか。いかがでしょうか。
  202. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えをいたします。  今正に日米の間で中間報告に基づきまして最後の詰めを行っているわけでございまして、これが決まらないとはっきりとした負担が、経費がどれくらい掛かるかということの明確な数字は出てきませんので、今答える段階にはありません。
  203. 井上哲士

    井上哲士君 ここは予算委員会なんですよね。どれだけの負担なるのかと、予算支出があるのか示していただかなかったら審議にならないんです。  それで、答えられませんので、この米軍再編中間報告に明示をされた新たな施設の建設が必要なもの、私、拾い上げますと、まあこのぐらいありました。例えば、じゃこの辺野古への海兵隊の新基地の建設、これはいわゆる沿岸湾の、沿岸案の建設費用は、これは日本が負担することになるんですか。
  204. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 普天間の施設の移転でございますから、日本側の負担であります。
  205. 井上哲士

    井上哲士君 これも約一兆円と報道される、大変な額なんです。  で、例えば、この中にも新田原、それから築城、こういう基地の建設がありますけれども、これはいわゆるアメリカの戦争の際に輸送基地や施設を造ると、まあこういうふうに中間報告に記されております。これまでの費用負担の範囲を大きく超えた中身になっているわけですね。  報道によりますと、在日米軍再編にかかわる日本側の経費について総額三兆円を超すと、こういうふうに言われております。そういう政府試算があると。それをアメリカ側に先日説明をしたと報道されております。  アメリカ説明ができて、なぜ日本予算委員会説明ができないんでしょうか。長官、どうですか。
  206. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 例えば、先ほどもキャンプ・シュワブの普天間移転、代替施設移転について一兆円ぐらい掛かるとか言っておりましたけれども、それは前にですね、当初のSACO案、二千数百メートル沖合に造る場合は相当お金が掛かるというような話のときに新聞とかで報道されていた数字ではないかと思いますが、キャンプ・シュワブの沿岸でやればそんなにお金は掛かりません。  そのように、今、日米の間で協議をしているわけでございますから、これが細目きちっと詰めていかないとそういう経費が幾らぐらい掛かるかということは全く出てまいりません。報道でなされているけれども、根拠のない数字であるというふうに思います。
  207. 井上哲士

    井上哲士君 いわゆる思いやり予算による米軍施設の整備費というのは二十七年間で約二兆円と。三兆円ということになりますと、これはるかに上回る規模なわけですね。それをアメリカには説明しながら日本側の予算委員会でも全然説明できないという、そういう秘密主義に私は岩国でもノーの声が突き付けられたんだと思うんです。  もっと問題なのは、この在日米軍再編に伴う海兵隊のグアム島への移転経費の負担です。これは報道ではなくて、正にアメリカ国防総省の当局者が記者会見をされたわけですね。経費の総額は百億ドル、約一兆一千八百億で、日本政府に七五%、八千八百五十億円の負担を求めたということを自ら日本人記者に説明されました。  総理にお聞きしますけれども、このアメリカ側からの要求にどうこたえるつもりでしょうか。
  208. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 現在、その点につきまして、沖縄海兵隊の一部をグアム島へ移転する、そういう経費はどのぐらい掛かるかという話合いをしている最中であります。  アメリカ側はアメリカ側の意見として言ってきているんだと思いますが、日本側としては日本側の考えがありますので、日本側の考えも伝えて今話合いの最中だと私は報告を受けております。
  209. 井上哲士

    井上哲士君 午前中の審議でも、沖縄の負担減のためだから払うんだと、こういうようなお話もありました。しかし、このグアムへの基地移設というのはそもそもアメリカ側の大きな構想の中にあるんです。  で、今朝の新聞にも、ローレス・アメリカ国防副次官の会見が出ておりましたけれども、こう言っています。グアムには海兵隊だけでなく空軍、海軍も合わせた主要なハブ、拠点をつくろうとしていると。沖縄からの海兵隊の移転はその一要素にすぎないと。要するに、アメリカグアムに大きな拠点をつくる、その一部としてこの計画があるというわけですね。正にアメリカ戦略に沿ってつくられたものなんです。そのために日本がお金出すというのは全く道理がないと思うんですね。しかも、アメリカが出している金額に全く道理がありません。  総理にお聞きいたしますけれども、私ここにアメリカ議会の海外基地見直し委員会が昨年五月にブッシュ大統領に提出をした米軍再編に関する報告書というのを持っておりますけれども総理、これ御存じでしょうか。
  210. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いえ、詳細については私はよく読んでおりません。
  211. 井上哲士

    井上哲士君 朝から情報収集能力ということが議論になっておりますけれども、こういう大事なものが総理のところに行ってないというのは大変、その能力に大変危惧感じざるを得ないんです。  この中でどう述べているかといいますと、沖縄海兵隊のグアム移転に関して、これはかなりの建設費が必要で、最大で二十九億ドルと言っているんです。最大で二十九億ドルですよ。これは去年の五月。ところが、今年の二月上旬には七十六億ドルになって、二月の下旬には八十億ドルになって、三月になったら百億ドルに膨れ上がっているんです。国内向けブッシュ大統領への説明日本に言っている金額、三倍の開きがあるんですね、この五月の時点と。ですから、積算根拠も示さずに、欲しいものを言い値で要求していると言わざるを得ないんです。  そして、私驚きましたのは、今朝の新聞に久間総務会長の発言が出ておりました。いいチャンスだから、幾ら掛かったとしてもこの時期にやるべきだと述べたと。幾ら掛かったらって、久間さんの財布から出すんならいいですよ、国民の税金で出すんですから。  こんなことで、財務大臣、いいんでしょうか。
  212. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 先ほどからいろいろ御答弁ございますように、三月末を目標にして今、防衛庁長官外務大臣、一生懸命やっておられますので、私から今まだ決まっておりませんことをどうのこうのコメントすることは今持ち合わせておりません。
  213. 井上哲士

    井上哲士君 幾ら掛かってもいいと、こういうことを言っているんですね。今国民向けには様々な、定率減税の全廃とか、そして医療費の負担増とか様々な負担掛かっているんですね。そして、これ財政厳しいからといって国有財産の、売り払うと、こんなお話もあるわけです。そういうときに、こういう全く根拠のない、国内向けと日本向けには三倍もの金額を出してきていると。こういう発言があるから、日本には何言ったってどんどんどんどん受けるということになっているんじゃないですか。  しかも、この昨年の五月の時点で最大八千人の移転計画だということもはっきり述べているんです、この文書で。ところが、アメリカ側は最近、移転計画は当初の七千人から八千に増えたと、費用も八十億ドル、だから百億ドルになると、こういうことを言ってきているわけですね。  総理、そもそもこういうアメリカ戦略アメリカ海兵強化に基づく負担、しかもそこに全く金額上が非常にでたらめな要求されている。こういうものについては私はきっぱりと拒否をするべきだと思いますけれども総理の所見をお伺いします。
  214. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 日本としては、沖縄米軍基地の負担軽減のためにある程度費用は持つという用意はあります。海兵隊の沖縄からのグアム島への移転等、これからの話合いですから、額については今後折衝をしていきたいと思っております。
  215. 井上哲士

    井上哲士君 国民には様々な負担増を押し付けておきながら、一方でアメリカから言われたら、先ほど言いましたように国内向けに言っている金額と日本に示している金額が三倍も違うんです。こういう負担に唯々諾々とこたえることは許されないし、岩国の問題でも、住民投票の結果をしっかり示して、これは白紙撤回を求めるべきだということを申し上げまして、私の質問を終わります。
  216. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で井上哲士君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  217. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、大田昌秀君の質疑を行います。大田昌秀君。
  218. 大田昌秀

    大田昌秀君 最初に、小泉総理にお願いいたします。  ちょっと古い話で恐縮でございますが、二〇〇二年三月十二日の本委員会におきまして、総理沖縄観についてお伺いいたしました。そうしましたら、総理は、元京都産業大学教授の若泉敬氏の「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」という本をお読みになって、若泉氏らが本土並み返還に向けていかに御苦労なさったかということを理解することができたという趣旨のお答えがございました。そのときに時間切れで質問できませんでしたので、続けて若干質問させていただきたいと思います。  まず、なぜこういうことをお聞きするかと申しますと、総理もよく御承知のとおり、若泉氏は、一九六〇年代末の沖縄返還交渉に際し、佐藤総理の密使として吉田と名のって米政府のキッシンジャー補佐官とじかに交渉に当たった方であります。その方が、返還実現後、一九九四年五月に「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」という本をお書きになったわけですが、その内容が、今話題となっております四百万ドルをめぐる密約とは別の密約と関連しているからであります。  問題のその本の中で、核の持込みを容認する以外に、沖縄に対してですね、核の持込みを容認する以外に沖縄の返還を実現する方策はなかったと信じたと述べておられます。若泉氏と交渉に当たったキッシンジャーさんは「ホワイトハウス・イヤーズ」という本をお書きになっております。私は、この若泉先生の本とキッシンジャーの本を比べて読みましたら、ほとんど一致しておりますが、キッシンジャーさんの本はいま一歩進んで、非常事態沖縄に核を持ち込んで配備するだけでなくて、非常事態以前にも沖縄に核を持ち込むことができるということを書いてございます。そういう約束をしたということが書かれております。  そして私は、アレックス・ジョンソン国務次官に、退任された後じかにその点についてお話を伺いました。そうしましたら、ジョンソンさんは、そんなのは当たり前じゃないかということを言われたわけです。  結局、日本は非核三原則というのを国是としておりますけれども、結果的に、要するに沖縄はその例外だということになるわけなんですね。  若泉さんは、沖縄が返還されて後、政府の沖縄基地問題に対する解決策が思わしく進展していないことに対して半ば絶望的になりまして、晩年は大変悔やまれて、毎年沖縄の国立墓苑に、戦跡公園の国立墓苑にお参りして、沖縄県民に謝罪するということをされたわけですね。これは、毎年のようにそういうことをなさったわけです。  それで、本を刊行されて二年後の九六年七月にお亡くなりになりましたけれども、実は、お亡くなりになる前に沖縄県民と沖縄県知事あてに遺書を残しております。つい最近、御遺族の御好意でその遺書が公表されるようになりましたが、その中でこう述べておられます。拙著の公刊によって沖縄県民の皆様に新たな御不安、御心痛、御憤怒を起こした事実を切に自覚しつつ、一九六九年日米首脳会談以来歴史に対して負っている私の重い結果責任を取り、武士道の精神にのっとって、国立沖縄戦没者墓苑において自裁します、つまり自決するということを述べられているわけなんですね。実際には御病気でお亡くなりになったわけですが。  私はこれまで、政府首脳が自らの取った責任に対してほとんど結果責任を負わないという事例を何度も見てきておりまして、この若泉先生のこの責任の取り方に対してある種の深い感銘を受けたわけでございますが、総理はその点についてどのような御感想を、まあ突然で失礼ですけれども、お持ちでしょうか。
  219. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、生前、若泉教授に親しくしていただき、様々な点で御指導いただきました。そして、今、大田議員言われている「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」という本も読んでおります。かなり大部の、沖縄返還交渉において、当時の佐藤総理と自分との、密使の役割を果たされたという、全く外務省とは別のルートでキッシンジャー補佐官、ニクソン大統領と接触された、大変興味深い書物であります。  「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」、ほかに策はなかったんだと、これしかないという、たしかこの本は、この言葉は陸奥宗光ですかね、外相、明治時代の、「蹇蹇録」から取ったのかな、ちょっとそれははっきりしませんけれども、そういう先人の言葉を使って「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」という本を物されたわけでありますが、私もあの本で、外交交渉というものはこういうものかと、機微にわたっている、大変興味深く読みまして、今の時点からいうと、あのような密使的な役割を果たす方は当分出ないだろうと思っておりますが、今、大田議員が言われたような、大変潔い立派な方であると、若泉敬教授は立派な方であると今でも私は思っております。
  220. 大田昌秀

    大田昌秀君 沖縄返還交渉をめぐっては、日米間で様々な密約があったことがこれまで政治、国際政治の研究者たちによって明らか、あるいはマスコミによって明らかにされております。沖縄県立公文書館には、アメリカでトップシークレットとされていた文書類が三十年たって次から次へと解禁されて、いろんなのが集まっておりますけれども、例えば一例を挙げますと、一九六八年というのは沖縄で戦後初めて公選による主席公選、知事選挙が行われたわけですが、実はそのときに、基地を容認する保守派の候補者を勝たしめ、そして基地を否定する革新派の候補者をつぶすために、ライシャワー大使がCIAの金を七十二万ドルぶち込んでやったということ、それから政府がまた八十万ドルくらいの金をそれに使うということをアメリカ側と話し合ったという、そういう記録なんかもあるわけなんです。  ですから、我々は、これから沖縄の問題がいろいろと進展すると思いますが、二度とこの種の密約めいたことがないように是非お願いしたいと。もちろん外交交渉ですから、秘密にする、秘密にしなければいけない部分は大事ですけれども、ありますけれども、それはだれでも知っていることですが、しかし、アメリカ側がきちっと何十年かたって機密文書を解禁することによって、歴史家や研究者に対して政治の実態を知らしめ、それによって権力者を拘束するという、一つのけじめにできるという形になっているわけです。ですから、そういった意味で、アメリカ側と比較しますと、日本文書類の解禁状態というのは話にならないほど劣っているというふうに考えるわけですね。そういった点について、私は是非とも、国民的な裏切り、つまり密約を重ねることによって国民的な裏切りをしないように、是非お願いしたいと思っております。  時間がないので、最後に一問だけ是非お伺いしたいのは、先日の外交防衛委員会長官に、防衛庁長官にお伺いしましたのは、今の普天間のいる二千七百人、三千人足らずの海兵隊をアメリカグアムに移そうとする八千人の中に入れた方が非常にいいじゃないかと。新たに基地を造る必要は全くないわけでありまして、普天間基地は老朽化して、建物なんかもう使えないのがたくさんあるわけですよ。それを北部の方に新たに基地を造るということは、恒久化するおそれがあるわけなんです。  ですから、そういう意味で、いま一度、なぜグアムに移す八千人の中に、そのグアムに移す八千人の中には司令軍も一緒に移っていくわけですから、なぜその中に三千人足らずの普天間のその海兵隊を入れて移さないと、その理由について、もう一遍お願いします。
  221. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えをいたします。  これはもう前から言っておりますように、今度の米軍再編に当たっては、この地域、なかなか不安定要因もあるわけですから、ある意味ではその抑止力の維持、空白地帯というものを設けてはいけない、それは我々の、毎日時々刻々そういうことに心を配っていかなければならないわけでございますから、そうすると、海兵隊を移転する場合も、そういう能力を維持しながら、能力を維持しながらグアム移転をしてもらうということを協議しているわけでありまして、その中で八千人移転をする場合に、どういうところの部隊をどれくらい選抜して移転させるかということも、その能力を維持する中で考えていくわけでありますから、それは今協議中である、中身については協議中であるということでございます。
  222. 大田昌秀

    大田昌秀君 ありがとうございます。  終わります。
  223. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で大田昌秀君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて外交防衛に関する集中審議は終了いたしました。     ─────────────
  224. 小野清子

    委員長小野清子君) この際、平成十八年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日は、一般質疑を二十一分行うこととし、各会派への割当て時間は、民主党・新緑風会十七分、公明党四分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  225. 小野清子

    委員長小野清子君) これより質疑を行います。  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  226. 小野清子

    委員長小野清子君) 速記を起こしてください。  これより質疑を行います。主濱了君。
  227. 主濱了

    ○主濱了君 民主党・新緑風会の主濱了でございます。  三月十四日に引き続き、農業関係について質問をいたします。  まず、それでは品目横断的経営安定対策についてお伺いをいたします。  その前に、世界の食料事情、特にアジアの食料事情について、中長期的にどのように認識をされているのか、中川大臣にお伺いいたします。
  228. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 現在でも約八億人の人たちが飢餓に苦しんでいる、その大半がアフリカとアジアでございます。それ以外にも、ある意味では食料よりもっと厳しい、水が満足に確保できない人たちがその何倍もいるという状況でございまして、やっぱり世界の中で日本として食料の、まあ飢餓からの脱却に日本としても人材あるいはまた技術力等々を最大限支援をしていかなければならないというふうに思っております。  そういう中で、とりわけアジアは中国、インドを始めとして経済的にも発展をしております。インドにおいても、中国においても飢餓の人口、あるいはまた多くの農民が小規模でやはり非常に厳しい経営をやっているというふうに承知をしておりますが、そういう中で、他方、インド、中国は経済発展をしておりますので、穀物から鶏あるいは豚、そして牛肉へとどんどんどんどん食料の水準が上がっていくことによって、世界の食料事情は非常に厳しい状況にますますなっていくんだろうと。人口も増えてまいりますし、それから食物、食べるものの投入エネルギーもだんだん増えてまいりますので、そういう意味で、日本は御承知のとおり世界の食料を最大輸入している国でございますから、日本が安定的に中長期的に国民に対して安全、安心な食料が確保できると同時に、アジアを始め世界の食料状況の厳しい見通しに対してもできる限り日本としてもやれることは貢献をしていかなければならないというふうに考えております。
  229. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  今、中国、インドを中心に経済発展が進んでいると、そして世界の食料事情は厳しい方向に向かっているというお話がありました。これを前提にいたしまして、平成十九年産から適用されます品目横断的政策のその担い手について伺います。秋まき小麦などはもうスタートまで一年を切っているわけであります。そういう状況であります。  まず、担い手の要件について御説明をお願いいたします。これはちょっと事務的なものですから、政府参考人の方にお願いをいたします。
  230. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) お答え申し上げます。  品目横断的経営安定対策につきましては、認定農業者でありまして、都府県では四ヘクタール以上、北海道では十ヘクタール以上の者、又は一定の要件を満たす集落営農でありまして二十ヘクタール以上の者といった要件を満たす者を基本的に対象として支援を行うこととしております。
  231. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  実は、皆様のお手元に資料をお渡ししておりまして、資料一、資料一の中の上の方の加入対象者というのがあるんですが、これは実は担い手のことを言っているんでありまして、ポツ一の認定農業者とか特定農業団体、それからちょっと下がったもう一つポツがありますが、一定規模以上の水田又は畑作経営を行っている者であることと。これを見ますと、認定農家にあっては、北海道で十ヘクタール、それから都府県で四ヘクタール、さらに特定農業団体等については二十ヘクタール以上なければならないと。これが担い手の要件の概要であります。  それでは、これらの要件を満たした担い手には集中的、重点的に施策が講じられると、このようにありますけれども、どのような施策が講じられるのか、説明をお願いいたします。これも事務的ですから、政府参考人の方でお願いします。
  232. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 新たな食料・農業・農村基本計画におきましては、農業の構造改革を進めていくに当たりまして、農業を産業として振興する産業政策と、他の政策の関係を整理した上で、効果的、効率的で国民に分かりやすい政策体系を構築することが必要だとされております。  このため、産業政策の観点からは、望ましい農業構造の実現に効果的に結び付けるために、品目横断的経営安定対策を始めとしまして、農業経営の改善のための規模拡大や、機械や施設の導入等への支援につきましては、農業経営に関する各施策についてその支援をできる限り担い手に限定し、集中的、重点的に実施すべきものと考えております。  すなわち、担い手を対象としての融資事業でありますとかリース事業、あるいは基盤整備やカントリー等の乾燥調整施設等を導入する場合には、担い手が一定の受益割合を満たしているといったことを要件とすることを考えております。
  233. 主濱了

    ○主濱了君 そういうことなんですが、具体的なちょっと事業名が出てこなかったんでよく分からないんですが、皆様のお手元に配付させていただいております資料の二をごらんください。  今説明のありました担い手でありますけれども、これは資料二の右側の方になります。右側の方の上になります。効率的かつ安定的な農業経営、これは農業構造の展望、平成二十七年の中にありますが、この枠内の効率的かつ安定な農業経営、これが担い手なんですよ。そして、この担い手に対してだけ集中的、重点的な施策が講じられると、こういうわけでございます。  それで、伺いますが、この担い手を中心とした体制、この担い手を中心とした体制というのは、この箱の中の数字、家族、法人、それから集落営農、これを足しますと三十六万経営体から四十二万経営体になります。これが中心になるわけです。この担い手体制で、要するに日本の一億二千万に対して国産の安全な農産物を十分にかつ継続して供給できるか、こういったような問題。それから、自給率、今上げなくちゃいけない、四十で張り付いております、この自給率を引き上げることができるかどうか、お伺いいたします。  これ、大臣、よろしいでしょうか。
  234. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 御指摘のように、平成二十七年度をめどにいたしまして、効率的かつ安定的な農業経営ということで、家族農業経営、集落営農経営、法人経営、まあ若干の幅がありますので、三十六万から四十二万というふうに御指摘になったんだろうと思います。これは、いわゆるやる気と能力のある農家に、先ほど答弁いたしましたように施策を重点化するということがポイントになるわけでございます。  つまり、それによってより効率的な農業、つまり、いいものをできるだけ安くコストを抑えてやっていくということで、これによって、消費者あるいはまた食品産業関係のニーズに十分こたえられるような、つまり、作っただけではなくて売れるものを作ると、消費者あっての日本の農業であるという観点から、こういう経営体が中心となって目的が達成できれば自給率の向上に役立っていくというふうに考えております。
  235. 主濱了

    ○主濱了君 担い手はやる気と能力のある人と、こういうことなんですが、これ、担い手でなくても今一生懸命農家やっている、まあ農家ですね、農家はやる気と能力があるんですよ。ただ、それが報われないがゆえに、いろいろ兼業の方に走ったり、そういうふうな状況にあると私は認識をしております。  次は、農地、すべての農地をできるだけ活用しようと、こういう点についてお伺いしたいんですが、今、センサスとはちょっと違うんですが、四百二十万ヘクタールの農地があります。これがすべて活用されることが大事だと、このように思っております。私は、選定された、先ほど言った三十六万から四十二万の選定された担い手だけが耕作する農地、それだけが大切なんじゃないんだ、その四百七十万ヘクタールすべてが大切なんだと、こういったような考えを持っているものであります。  それで、一定規模などのその要件を満たした担い手でなくても、日本の四百七十万ヘクタールの農地を構成している農地の一部、例えば五反歩、〇・五ヘクタールになりますよね、とか、一町歩であったって、まあ、はたまた五十町歩だっていいわけですけれども、その四百七十万を構成している農地、それを一生懸命耕して、そして意欲を持って真剣に農業に取り組み、日本国民に食料を供給している農家、これは担い手と考えてよろしいんじゃないか、農政による支援の対象者と考えていいんじゃないか、私はこう思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  236. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今までも、プロの農業、農家とか、あるいは専業、あるいは兼業、いろんな仕分の仕方がありましたけれども、やはり日本の食料政策、あるいはまた食料の安定供給、それから、先ほど申し上げましたように、消費者やいわゆる買手のニーズにこたえられるというところに施策を絞るということが、ある意味では今回、今までのように一律にやることによっての問題を克服できるというふうに考えております。  これは、そもそもは農業基本法から九九年に食料・農業・農村基本法という抜本的な法制度を改革をしたわけでありますけれども、先ほども申し上げましたように、消費者あっての日本の農業生産であり、日本の国内農業あっての国民の健康と安全という観点から、両方共生していくんだという大前提で基本法を作ったわけでございます。  ですから、もちろん規模だけでは今回はないわけでございまして、二十ヘクタールがまとまった集落営農体というものの位置付けもありますし、規模は小さくてもいい経営をやっているというところについては、施策をそこに対して行うわけでございますから、規模だけではもちろんございませんけれども、しかしまあ十ヘクタールとか、まあ十ヘクタールで幾らの売上げがあるのかにもよるのかもしれません。十ヘクタールで例えば五百万も六百万も売上げがあれば、それはそれでいいんでしょうけれども、十ヘクタールで十万とか仮に十五万とかいう売上げであれば、果たしてそれが日本の我々が目指していく食料政策、もちろん農業に携わることについては御自由でございますけれども、施策を重点化するという観点からは、やはり一定の要件の下で頑張っていただけるところには更に頑張っていただきたいというふうな政策を目指したいというふうに考えております。
  237. 主濱了

    ○主濱了君 それでは、担い手の方から今お伺いしたわけですが、今度は逆側から、資料二の、先ほどの資料をごらんいただきたいんですが、効率的かつ安定的な農業経営でない経営、これがその他の販売農家、下にあります、百三十万から百四十万というところですね。この担い手以外の農家、要するに担い手になれなかった、ならなかった農家に対する農政の支援というものはどんなものがあるでしょうか。これを御説明いただきます。
  238. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 担い手に対象を限定しない施策ということでございますが、例えば具体的には中山間地域等直接支払などの地域振興政策でございますとか、病害虫防除とか農業災害補償制度を始めとする災害対策、それから米の需給調整に対します支援策、さらに農家を、担い手向けの資金を除く一般的な制度資金、さらに協同農業普及事業等々が該当すると考えております。
  239. 主濱了

    ○主濱了君 それでは、ちょっと具体的なものでお伺いしますが、農地の集積、農地の集積というのは支援としてあるんでしょうか。さらには、例えば転作による支援といったようなものがあるんでしょうか。この辺、ちょっとお伺いいたしたいと思います。
  240. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 転作の支援は、先ほど申し上げました米の需給調整に対する支援の一部であると考えておりますし、農地集積につきましては、あくまで担い手へ農地を集積していくというのが目的でございますが、その他の農家については農地を出していただく側でございますので、その出し手農家に対して一定の助成をいたしまして担い手農家への農地の集積を応援していると、そういう仕組みになっております。
  241. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  それではちょっと、大変申し訳ないんですが、ここで話題を変えまして、BSEの関係の話題に移らしていただきたいと思います。長崎県におけるBSEのスクリーニング検査結果が陽性であったという件でございます。  長崎県のホームページによりますと、佐世保食肉衛生検査所で実施したBSE検査、これエライザ法ですね。これで陽性反応が出たということ。三月十四日、火曜日ですね、国立感染症研究所でウエスタンブロット法など病理学的検査を行うことということでございます。  まず、これらの概要につきましてお知らせをいただきたいと思います。川崎大臣、お願いいたします。
  242. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 佐世保市の屠畜場に搬入された牛、黒毛和牛、十四歳、百六十九か月でございます。国立感染研究所において確認検査を実施いたしました。確認検査の結果については、本日午後二時からBSEの検査に係る専門家会議を開催し、御審議いただいたところ、当該牛はBSEであるとの確定診断をいただきました。なお、確認検査の一部においてこれまで確認されたBSEとは異なる所見が見られたため、今後、研究所において当該異常プリオン、タンパク質の生物学的性状などを確認することといたしております。  なお、牛の食肉、内臓等、当該牛に由来するものは焼却処分するため、市場にはもちろん流通はいたしません。  いずれにいたしましても、今後とも食肉等の安全の確保と国民の不安の解消に努めるよう努力してまいります。
  243. 主濱了

    ○主濱了君 BSE決定ということでございます。黒毛和種ということで、和牛としては初のケースだというふうに思います。  三月十四日に紹介いたしました、実は岩手県の前沢牛、これも黒毛和種なんですよね。非常に残念に思うわけですが、このたびの件で、和牛はもとより、牛肉全体の消費面、生産面、あるいは食品業界などに風評など様々な影響が予想されるわけであります。  現段階でいかなる対応をされるのか。これを川崎大臣中川大臣、それぞれお伺いをいたしたいと思います。
  244. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 私も三重県で、松阪牛の産地でございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  厚生労働省においては、BSEに関するQアンドAをホームページに掲載するとともに、国内でのBSEが確認された場合には、正確かつ分かりやすい情報を、透明性の確保にも配慮しつつ提供すると、これが第一だろうと思っております。専門家会議を公開で行うこと、結果については記者会見等を行い丁寧に説明すること、速やかに事実関係をホームページに掲載すること、報道関係に対し地元への取材について配慮を呼び掛けることなどにより、風評被害を広げることのないよう努めてまいったところでございます。特に、先ほど申し上げました十四歳ということでございますので、よく御理解をいただくようにお願いしたいと思っております。  今後とも、BSEに関する正しい知識を普及するため、リスクコミュニケーション等を積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  245. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) リスク管理機関の農林水産省としては、厚生労働省あるいは各自治体とよく連絡を取ってやっているわけでありますけれども、今の厚生労働大臣の答弁に加えまして、直ちに、本件につきましても、出荷農家に対して移動制限を行い、また疑似患畜の特定を急ぎ、順次殺処分を行うこととしております。また、当該患畜牛及び同居牛の由来あるいはえさ等を調査して原因究明を進めていかなければならないというふうに考えております。
  246. 主濱了

    ○主濱了君 今回で二十四頭目になるわけですね。それで、二十四例あるわけです。で、二十二頭目は肉骨粉を給与したということが分かっている。それから、八頭目、九頭目というのは肉骨粉を禁止した後に発生をしております。いろいろな状況にあります。  で、今その原因究明がどこまで進んでいるのか、端的に御説明をいただきたいと思います。
  247. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まだいろいろな研究が行われている最中でございますけれども平成十五年九月のBSE疫学検討チームの報告では、感染源としては英国から入ってきた成体牛、これを原料とする肉骨粉、あるいはイタリアから輸入された肉骨粉が想定されます。また、感染経路につきましては、これらの肉骨粉が肉用配合飼料に混入したという可能性があるというふうに報告をされております。  まだまだ分からない部分もありますし、いろんな研究が世界的にも行われております。日本でも行われておりますので、徹底的に研究を進め、また各国ともよく情報を交換をしながら、この問題、原因究明を更に深めていきたいというふうに考えております。
  248. 主濱了

    ○主濱了君 今、中川大臣おっしゃったとおり、BSE、まだまだ分からないところがある病気だと、私もそう思っております。  ところで、私、先月の下旬、中川大臣の選挙区であります十勝地方でBSE関連の施設を視察をさせていただきました。北海道立畜産試験場では、人為的にBSEを感染をさせたと、これに成功したということでございます。その結果、生きたままでBSEの研究ができると、こういう状況で、その成果、期待しているところであります。それから、磁石に反応する磁性粒子と、それから蛍の発光酵素、これを用いたことで、いち早くBSEの異常プリオンを検出できるような研究も進められている、成果が出ている、こういうことでございます。  こういったような研究の成果を大いに期待したいなということで考えているところですが、ここでお伺いしたいんですが、川崎大臣中川大臣、それぞれにお伺いしますが、二十か月齢の牛は原則BSE検査をしないで、これ原則ですよ、現実にはやっているんですけれども、二十か月齢以下のものはBSE検査をしないで食肉に回してもいいことになるわけであります。  それでは伺いますけれども、二十か月齢以下のBSE感染の牛肉を食べられますか。要するに、二十か月齢以下のこれ、今は道立の試験場にその二十か月齢以下のBSEに感染した牛がいるわけです。そういった分かっている牛の牛肉、食べることができますか。いかがでしょう。
  249. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 専門家の知見では、特定危険部位以外、例えば肉とかいったところは、これはプリオンがないということでございます。したがって、科学的には、まあ、食べられますかということは、要するに危険を承知で食べるかという、何かこういう意味でお聞きになっているんだろうと思いますけれども、危険ではないというのが大前提でございます。  他方、二十か月齢、今全頭検査をやっておりますので、二十か月齢以上であろうが以下であろうが、仮に感染牛だと分かったらこれは市場には入ってこないので、市場に入ってこないものを無理して食べるということはなかなか難しいというこの現実もございますので、なかなか食べられないのではないかなというふうに思っております。
  250. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 両省でしっかりやっていますので、そのようなものは食に供することはないと考えております。
  251. 主濱了

    ○主濱了君 それは全頭検査を前提にしたお話だと私は思うわけであります。  それで、実は国内で九十四か月のBSE感染牛の神経、神経、それから副腎、特定危険部位以外の部位からも異常プリオンが発見されているということであります。結局、神経ですからその食肉部分かもしれないわけであります。こういったような状況。で、それが二十か月齢以下にないとは限らないと、私はこういうふうに思うんですよ。ですから、私は分かっていれば食べません。はい。はっきり言って食べません。  そういうことで、もう一回、三月十四日の提案の繰り返しになりますけれども、二十か月齢以上の牛のみならず、全頭検査を原則として継続するべきであると強く訴えますが、川崎大臣、いかがでしょうか。
  252. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 現在、二十か月齢以下の牛について地方自治体が自主検査を行う場合について国庫補助の対象といたしております。この国庫補助は、国内におけるBSE検査の対象を二十一か月齢以上の牛に限定するに当たって、対象月齢の改正に伴い生じかねない消費者の不安感を払拭するとともに、生産、流通の現場における混乱を回避する観点から経過措置として行っているものであることから、最長三年間という期間を設定して対応することが現在適当であると考えております。  なお、食品安全委員会のリスク評価では、BSE検査の対象月齢を二十一か月齢以上にした場合であってもリスクは変わらないとされており、BSE対策を含め食品の安全確保に当たっては、食品安全委員会の科学的知見を尊重しながらやってまいりたいと考えております。
  253. 主濱了

    ○主濱了君 今、三年間に限るというふうなお話ありましたが、今地方公共団体が現に実施しているそのBSE検査、これも三年で打切りと、こういうことでございましょうか。
  254. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 自主検査でございますから、国庫補助が三年間で打切りと。
  255. 主濱了

    ○主濱了君 はい、分かりました。厚生労働大臣にはどうぞお忙しい中ですからお引き取りいただいて結構です。  それではまた、食料・農業・農村基本計画の方に移らせていただきます。  次、新しい基本計画の中で、あるいは品目横断的な経営安定対策の中で、兼業農家の位置付けはどうなっているかということでございます。日本の農家数は二百九十三万、そしてそのうち販売農家は二百十六万、そのうち兼業農家は百七十二万ということで、販売農家数の約八〇%を占めている、八割を兼業農家が占めている。ですから、この兼業農家を抜きにしては日本農業は語れないと私は思っております。中川大臣、いかがでしょうか。
  256. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 専業、兼業、兼業の中にもいわゆる一種、二種、それから今までのやつトータルで販売農家、それから販売をしてない農家、いろいろあるわけでありますけれども、やはり広い意味の農家が農村地域を支えているということは事実だというふうに思いますので、兼業農家の位置付けというものも、もちろん兼業農家として意味のある位置付けであるというふうに理解をしております。
  257. 主濱了

    ○主濱了君 この担い手になるんでしょうか、それとも担い手以外のその他販売農家になるんでしょうか。
  258. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) ですから、四ヘクタール、十ヘクタールという規模は規模といたしまして、それ以外の面積の方々であっても、一定の要件を満たす集落営農であったり、また小規模あるいはまた兼業であっても、経営面積が小さくても一定の農業所得がある、例えば、米を作り、あるいはまた野菜を作り、あるいはまた果物を作って高収益を上げている農業というものも日本の中にも一杯あるわけでございますから、こういうところに対しては、この冒頭申し上げたような日本農業に対する、施策に対する重要な位置付けとして、今回の対策の中でも対象になるというふうに御理解いただきたいと思います。
  259. 主濱了

    ○主濱了君 私、この担い手政策というのは、今二百九十万戸の農家がある、これを端的に四十万、まあ平均的に四十万経営体に絞り込むことだというふうに、こう思っております。そして、担い手にだけその経営安定対策の支援をするというのは選別政策にほかならないのではないか、結果としてプロ経営だけに対する経営支援、強い者だけに対する更なる補強、そういう政策ではないだろうかというふうに、こう思っております。  私、今、日本農業かなり苦戦をしているというふうに、こう思っておりますが、着実に再生させるためには、遠回りなんだけれども、当面この担い手というその絞り込みはしない、担い手要件は発動しない、当面凍結をする、これしかないんじゃないかなと思っているところであります。そして、その他の販売農家、先ほどの百三十万から百四十万、ここも農業政策の対象にするべきだ、このように思っておりますけれども中川大臣、いかがでしょうか。
  260. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、主濱委員は、絞り込む、あるいはまた、それ以外は排除する、入れない、外すという、まあそこまでいろんなこと言っていませんけれども、おっしゃっていませんけれども、そういう御趣旨の御発言ありましたが、そうじゃなくて、どんどんどんどん認定農家になってくださいといって、今一生懸命、全国で意欲ある認定農家あるいはまた集落営農ができるような体制をつくってもらいたいということで、十九年度スタートに向けて、今一生懸命そちらの方に来てくださいというお願いをしているわけであります。  三十万から四十万、これがもっと増えれば、我々にとってはより力強い農家がどんどん出てくるわけでありますから大歓迎であるわけでございまして、決して絞り込みではなくて、どうぞこの認定農家、あるいはまた今回の対象になるような経営体になっていただくように、今一生懸命、国と自治体と農業団体とが今ある意味じゃお願いを、お願いといいましょうか勧誘といいましょうか、入ってくださいという努力を今しているところでございますので、是非その辺は、この委員会の様子を、農業者の皆さんも主濱委員と私とのやり取りを大変注目して聞いていらっしゃると思いますので、是非ともその点は御理解をいただきたいと思います。
  261. 主濱了

    ○主濱了君 現場の声を一つお届けしたいと思います。  実は、これ農業現場の声なんですが、今農産物価格は低迷をしている、そして関税も、米を中心とした関税もどうなるか分からない、こんな中で、認定農家であれ集落営農であれ、人様の農地まで預かって十町歩とか二十町歩とか、それは耕作していくのは無理である。例えば、今二十町歩でぎりぎりやっている人が、更に十町歩預かってやってくれよと、これは無理であると、こういうふうに言っているんですよ。規模拡大による新たな投資とか他人の農地を預かるという社会的な責任も出てくると、これは御免被りたいと。  自分の分はきちんと農作物を作る、しかし他人の農地を預かってまでやることはできない、こういったような話がなされておりますが、聞いたことありますか。で、感想はいかがでしょうか。
  262. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) そういう方もいらっしゃるのかもしれませんけれども、むしろ私は、事例をということで御紹介いただきましたが、むしろ、私の地元は畑作と畜産の専業地帯でありますが、今から二十年前一万戸あった農家が六千戸になっちゃったんですね。ところが、逆に農地が足りない、もっと規模拡大したいというところもありますし、私の友人の兵庫の農家は、自分のところは二十ヘクタールしか持ってませんけれども、いろんなところから土地を借りて、家族経営で五十ヘクタールを米その他でやって、もっと農地が欲しいと言っている意欲的なところもありますんで、私は、そういうところに対してよりインセンティブを与えることによって、日本の食料政策をもっと攻めの観点から消費者とともに共生できるような方向に行くことが日本のこれからの農政のポイントではないかと。  もちろんそういう方もいらっしゃることは、私は知りませんけれども、否定はいたしませんが、そうではない方々もいらっしゃるというふうに考えております。
  263. 主濱了

    ○主濱了君 それでは、政策の中身、品目横断的経営安定対策の中の諸外国との生産条件格差是正対策について伺いたいんですが、これには米が対象品目になっていないということでございます。  皆様方には資料二の裏側の②の対象品目のところを見ていただきたいんですが、対象品目は麦と大豆とてん菜とバレイショだけであります。これは、米が関税措置がなされておって、諸外国との生産条件の格差を議論する余地がないからなんでしょうか、伺います。
  264. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 米というのは、御承知のとおりウルグアイ・ラウンドのときにミニマムアクセスということで、あのときは一粒たりとも入れないということで国会決議までしてやりましたけれども、ああいう形でミニマムアクセスを導入し、しかも国家貿易として管理をしているということでございます。  そういう意味で、米というのは日本の農産物の中でも特別のものであり、そしてまた制度としても特別のものであるということでございまして、今回の広い意味での五品目の中には米も入っているわけでございまして、引き続き日本のこの米についてはきちっと守り、また水田という多面的機能という観点からも十分確保をしていきたいと思っております。  何といいましても今農業交渉をやっている最中でございますんで、そういう観点で農業交渉について最大限努力をしていきたいというふうに、努力をしているところでございます。
  265. 主濱了

    ○主濱了君 現在、精米の関税率、これはキログラム当たり三百四十一円、七七八%、実にかなりの国境措置が講じられているということでございます。  WTO交渉の中で、日本はG10を通じまして、米を重要品目に位置付けること、そして重要品目については関税削減と関税割当てとを組み合わせたスライド方式とすること、こういったようなことを提案しているということでございます。  ところで、米もスライド方式、要するに関税削減とかあるいは関税割当ての拡大であるとか、その対象として考えているんでしょうか、伺います。
  266. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今正にWTO農業交渉で行われている、とりわけマーケットアクセスにつきまして、幾つかのポイントがありますが、削減方法を重要品目と一般品目とに分けてやっていこうという議論が土台としてあるわけでございます。  米は、先ほども申し上げましたように、日本の農政あるいは社会あるいは文化にとって極めて大事な、まあ一番大事と言ってもいいでしょう、一番大事な農産物でありますから、そういう意味では重要品目であります。  しかし、重要品目の取扱いがどう決まるかということは正にこれから議論をするわけでございますので、どの品目を重要品目にするかということについては日本としてはまだ決定をしておりません。ほかの国も、多分ほとんどの国々が決定をしていないというふうに私は理解をしておりまして、いずれにしても米を守っていくために何がベストの方法かと。スライディングスケールという御指摘もありましたし、またいろんな方法があると思いますけれども、重要品目でありますけれども、WTO交渉上の重要品目に何が入るかということについては現時点ではまだ決めておりません。交渉中身によって判断を今後していきたいというふうに考えております。
  267. 主濱了

    ○主濱了君 重要品目に入れるかどうか、まだ決定していないということなんですが、重要品目以外の品目、一般品目になるんですか。米を一般品目、まあ重要品目と一般品目しかないとすればですね、米を、何というんですか、一般品目にする可能性もあるということでしょうか、今の御答弁は。
  268. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 米が重要品目であるからこそ、米の日本の実態あるいは世界日本に対する、例えば米についてはいろんな要望が各国からあるわけでありますけれども、それらをトータルとして日本の米作をどう守っていくかということが最大のポイントであります。  重要品目であっても、例えばG20とかアメリカのように、削減方法は一般品目と同じでいいみたいな主張も片っ方ではあるわけでありますから、そもそも重要品目すら余り認めないと。重要品目の数を、アメリカはタリフライン、千七百幾つありますけれども、一%でいいと言っているところもあります。EUはタリフラインが二千二百を超えておりますけれども、八%程度でいいと言っております。  そんないろんな主張の中で交渉をやっていきますから、最初からこの方式でいくと言って、その方式の中で大変厳しい交渉になるということも予想されないわけじゃございませんので、最初から確かに各交渉者は私に対して米が大事なんだろう、米が大事なんだろうと、逆に言うと米さえ守ればいいんだろう。もちろん米は大事だと。米は大事だからこそ、我々としては一番大事な米をどういうふうにやっていったら一番米が守れるかということでございまして、これ以上は、大変恐縮でございますけれども交渉の今中身にだんだん入ってまいりますので、ここだけじゃなくて、多分このやり取りは、主濱委員とのやり取りは世界じゅうが注目しちゃうかもしれませんので、これで御勘弁いただければというふうに思います。
  269. 主濱了

    ○主濱了君 じゃ、最後に一言だけ。  誤解を招くので申し上げますが、実は十二月十二日及び十五日、WTOに関する議員会議・香港会合に私、参議院から派遣を受けまして行ってまいりました。そして、上限関税の設定は行わないこと、それから重要品目の数はWTO各加盟国の実情を十分勘案した適切な数とすること、このような主張をしてまいりまして、何とか実は日本の米を守りたい、このような立場にありますので、その辺誤解のないようにお願いをいたします。  それから、できれば日本の農業を、日本の農業を再生するために、私は、担い手というのはすそ野が広い方がいい。一回四十万に、四十万戸に絞り込んじゃうと、その先十年後、二十年後、三十年後、四十万のままでいくか、これは甚だ私は疑問に感じている。すそ野は広い方がいい、このように思っているものでございます。  ありがとうございました。
  270. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で主濱了君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  271. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、加藤修一君の質疑を行います。加藤修一君。
  272. 加藤修一

    ○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  今国会におきましては、総理答弁の中にも環境大国を目指す、あるいは環境立国ということで環境大臣が所信表明の中に使っているという、また二階経済産業大臣も環境立国に対しての深い理解をしているように私はとらえてございます。  それで、京都議定書におきましても、森林の吸収源というのは極めて重要な視点であると思っておりまして、やはり森林がもっともっと元気にならなければいけないという観点は大事なわけでありまして、我々公明党もこのバイオマス推進プロジェクトということで、そのバイオマスをいかに推進できるかということで懸命にやっている最中でありますが、なかなか、印象としてはまだまだ大変な状況だなという、そういうことでございます。  そこで、農水大臣に、中川大臣にお伺いしたいわけでありますけれども、環境と経済の好循環、あるいは国際的な競争力、これは強めていかなければいけないわけでありますけれども、やはり私たち党が期待しているものの一つの政策的な、戦略的なものの一つとしてはバイオマス・ニッポン総合戦略、これ極めて私は大事な部分を持っているなと、そんなふうに考えてございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、この点についてもまだまだこれからという段階で様々な課題があるというふうに理解しておりますけれども、この件に関しましての認識、それから今後どのように取り組むかと、まあただいま見直しをしているということでありますけれども、そういった面を含めまして是非大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  273. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私も加藤委員と全く認識は同じでございます。  まあ、私は前、経済産業大臣をやっておりまして、例えば石炭が発生する二酸化炭素の量が一〇〇とすれば石油は六〇、そしてまた天然ガスは四〇というようなデータがございますが、この再生可能なエネルギー、とりわけバイオエネルギーというのは炭素を固定するわけでありますから、環境に極めて優しいということでございます。いろんな形のバイオマスがありますけれども、やっぱり化石燃料からの脱却、ブッシュ大統領が今年の一般教書でも脱石油だと、これは水素エネルギー、バイオマスエネルギー、またいろんな風力も含めて、いろんなことを大統領が教書で言っておりますけれども、元々化石燃料のない日本ですから、この問題にむしろ取り組むのが遅過ぎたとすら私自身思っております。あの農業大国であり石炭や石油がどんどん出ているブラジルでも、今やエタノールガソリンというもの、一〇〇%エタノールのサトウキビ由来のああいうものを世界じゅうに輸出をしようと、日本にも買ってくれ、中国にも買ってくれという時代でありますから、正に環境技術、エネルギー技術があって、しかも化石燃料の資源のない日本がこれからやっぱり先頭を切ってやっていかなければ、ちょっと後ればせかもしれませんけれども、挽回をしていかなければいけないというふうに考えております。
  274. 加藤修一

    ○加藤修一君 農水省は過去にC1プロジェクトとかC2プロジェクトとかCNプロジェクトとか、そういう形で言ってきて、第一次バイオマスブームとか第二次バイオマスブームとか、まあ今回が第三次かもしれませんが、言っている中身は非常に私は挑戦的でいいとは思っておりますが、なかなかこれが進まないという現状があると思うんですね。是非、これ課題があると思いますが、課題を明確に示していただきたいと。  政府参考人、どうでしょうか。
  275. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 幾つか、これはもう加藤委員も御承知だと思いますけれども、幾つか実は課題がありますね。一つはコストの問題があります。それからもう一つは、日本の場合には非常に作付面積が小さいといいましょうか、ある意味じゃ地域型の小エネルギー、小さなエネルギーという特性があります。  さっき言ったように、ブラジルのように何万ヘクタール、何十万ヘクタール一挙にサトウキビを作って、そして国内消費どころか輸出までしちゃおうというのに比べまして、日本の場合、大分良くなってまいりましたけれども、例えば沖縄の伊江島とか宮古島、ここはその村の、島の中でC3、C5程度のガソリンに混ぜたエタノールをやろうとか、私の地元でも、小麦の残りを使って、あるいはビート大根、砂糖を使ってやっていこうということでありますけれども地域エネルギーという問題があるということ等々、幾つかの問題がありますけれども、さっき申し上げた総論として、これはやっていかなければいけないと、政府全体としてやっていかなければいけないということで、今省内にも三浦副大臣を本部長にして、今全力を挙げて、農、林、水一体でこのバイオエネルギー問題に取り組んでいっているところでございます。
  276. 加藤修一

    ○加藤修一君 よろしくお願いをしたいと思います。  ちょっとスキップいたしますけれども、それでは次に、アジアの発展大国等あって驚異的にエネルギーが消費されているわけでありますけれども、今後ともエネルギー需要は極めて厳しいと。そういうことで、特にこのバイオマスエネルギーに関してでありますけれども、東南アジアなどと緊密な協力を進めまして、エネルギー安全保障カードになり得る部分も私はあるんではないかなと、そんなふうに思っておりまして、そういった観点から新しいスキームを是非つくるべきだと考えておりますが、これ経済産業省、どうでしょうか。
  277. 高原一郎

    政府参考人(高原一郎君) お答えを申し上げます。  輸送用のバイオ燃料などのバイオマスエネルギーというのは、太陽光発電あるいは風力発電と並んで非常に重要なエネルギーでございまして、おっしゃるとおり、エネルギー安全保障上もその導入促進というのを一生懸命努めていきたいと思っております。  もちろん、経済産業省では、国産のバイオマス由来燃料のコストの削減のために技術開発あるいは実証事業ということを行っておりますけれども、これに加えまして、例えばブラジルからのバイオエタノールの輸入可能性といったものについても検討をいたしております。  加えまして、御指摘のとおり、地域的な規模で見ましてアジアにおけるバイオマス資源というのは大変多く存在をいたしておりますので、これらのアジア諸国においても国内においてそのバイオマスエネルギーについて取組が始まっておるところでございますけれども日本の技術と、そしてアジアのバイオマス資源を有機的に結び付けるということで我が国エネルギーの安全保障ということを高めていきたいというふうに考えております。これまでも……
  278. 加藤修一

    ○加藤修一君 答弁、簡潔に。
  279. 高原一郎

    政府参考人(高原一郎君) はい。  いわゆるNEDOで、フィリピンあるいはタイなどの機関とココナツあるいはヤシなどでバイオディーゼルの燃料の製造技術をやっておりますけれども、こういった動きを更に加速させていきたいというふうに考えておるところでございます。
  280. 加藤修一

    ○加藤修一君 公明党のアクションプランには、クリーンエネルギーを二〇二五年までに何とか第一次エネルギーの二〇%にしようという考え方がございます。政府には超長期的なエネルギー技術ビジョン、特に、特にですね、新エネルギー産業ビジョン二〇三〇というものがございますが、これに向けたロードマップを作るべきであると思っています。スケジュール化するということでありますけれども、どのようにこれを具体的にやっていくか、太陽光、風力、バイオマス、それぞれについて見解をお示し願いたいと思います。
  281. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) 加藤委員におかれましては、新エネルギーの導入、普及に大変御熱心にライフワークとして取り組まれておりまして、私ども経済産業省に対しましても日ごろから厳しくも温かい御指導をいただいておりまして、感謝申し上げます。  お尋ねの新エネルギー産業ビジョンにつきましては、新エネルギーに関する現状把握、課題の整理及び二〇三〇年に向けた新エネルギー産業のビジョンとして平成十六年六月に取りまとめているところでございます。このビジョンを踏まえまして、例えば太陽光発電につきましては、そのコストを二〇一〇年には家庭用並みの電気料金キロワットアワー二十三円、それから二〇二〇年には業務用並みの電気料金キロワットアワー十四円、二〇三〇年には火力発電並みのコスト七円、キロワットアワーですね、引き下げるべく技術開発を強力に支援しているところでございます。  平成十八年度予算案におきましては、太陽光発電の公共部門、産業部門への導入を加速化するための実証事業に加え、千キロワット級の太陽光発電による大規模な実証実験等のための予算を計上しておりまして、技術革新と低コスト化を支援してまいります。  他方、風力発電、バイオマスにつきましては、それぞれの特性に応じた技術開発導入を強力に支援をしてまいります。具体的には、済みません、ちょっと長くなりますけれども、風力発電につきましては、台風や落雷が多い我が国に適した風力発電システムや出力安定化のための蓄電池等の開発、活用にも取り組むとともに、洋上風力の設置可能性に関する検討も鋭意進めてまいります。これは海に囲まれているわけですから、ここに建てるというわけでございます。  また、バイオマスにつきましては、エネルギーの変換効率の向上やバイオマス資源の収集、運搬コストの低減等を目指した技術開発実証実験を進めてまいります。加えて、運送用燃料としてのバイオマス燃料の導入を円滑に行うための環境整備にも取り組んでまいります。  このように、経済産業省といたしましては、新エネルギー産業ビジョンにおいて、二〇三〇というのはないんです、産業ビジョンまででございます、課題の解決に向けて技術開発や実証実験などの取組を通じて、今後とも最大限努力をしてまいる所存でございますので、引き続き御支援のほどよろしくお願い申し上げます。
  282. 加藤修一

    ○加藤修一君 極めて積極的な答弁ありがとうございます。  それでは最後に、農林水産大臣にお願いしたいんですけれども、京都議定書目標達成計画の中には、先ほどのバイオマス・ニッポン総合戦略、これは閣議決定ということで入っているわけなんですけれども、全国にバイオマスタウンを五百か所造るという話でございますが、これは今後どういうふうに取り組んでいかれるか、その辺の御見解をお示ししていただきたいと思います。現在で四十か所未満というふうに聞いておりますので、なかなか進み具合が心もとないなという印象を深くしておりますので、よろしくお願いいたします。
  283. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 御指摘のように、二月末で三十五市町村が構想を発表しておりますけれども、これはさっき申し上げたように分散型ということですので、やっぱり市町村、自治体の取組が何といっても大事だろうというふうに思います。これが全体が目標が達成されますと、百万トン分のCO2の削減ということで、約束量の一・三%に貢献するということでありますから、農林水産省としても、この実現に向けて更に積極的に取り組んでいきたいと思います。
  284. 加藤修一

    ○加藤修一君 終わります。
  285. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で加藤修一君の質疑は終了いたしました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十九分散会