運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2006-03-15 第164回国会 参議院 予算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月十五日(水曜日)    午前十一時三分開会     ─────────────    委員の異動  三月十四日     辞任         補欠選任      大江 康弘君     黒岩 宇洋君      蓮   舫君     大塚 耕平君      澤  雄二君     西田 実仁君      小林美恵子君     大門実紀史君      近藤 正道君     福島みずほ君  三月十五日     辞任         補欠選任      西田 実仁君     山本  保君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小野 清子君     理 事                 市川 一朗君                 木村  仁君                 小泉 顕雄君                 鶴保 庸介君                 藤井 基之君                 小林 正夫君                 辻  泰弘君                 平野 達男君                 加藤 修一君     委 員                 秋元  司君                 浅野 勝人君                 岩井 國臣君                 岩永 浩美君                 大仁田 厚君                 大野つや子君                 岡田 直樹君                 岸  宏一君                 佐藤 昭郎君                 関口 昌一君                 田村耕太郎君                 伊達 忠一君                 谷川 秀善君                 常田 享詳君                 南野知惠子君                 山本 一太君                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 小川 敏夫君                 大塚 耕平君                 喜納 昌吉君                 黒岩 宇洋君                 櫻井  充君                 下田 敦子君                 主濱  了君                 内藤 正光君                 前田 武志君                 山根 隆治君                 若林 秀樹君                 西田 実仁君                 山口那津男君                 山本  保君                 渡辺 孝男君                 紙  智子君                 大門実紀史君                 福島みずほ君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        総務大臣     竹中 平蔵君        法務大臣     杉浦 正健君        外務大臣     麻生 太郎君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   小坂 憲次君        厚生労働大臣   川崎 二郎君        経済産業大臣   二階 俊博君        国土交通大臣   北側 一雄君        国務大臣        (内閣官房長官) 安倍 晋三君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融、        経済財政政策)        )        与謝野 馨君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣少子化        ・男女共同参画        ))       猪口 邦子君    内閣官房長官        内閣官房長官  鈴木 政二君    副大臣        内閣府副大臣   櫻田 義孝君        防衛庁長官   木村 太郎君        法務副大臣    河野 太郎君        外務大臣    金田 勝年君        財務大臣    赤羽 一嘉君        文部科学大臣  馳   浩君        厚生労働大臣  中野  清君        厚生労働大臣  赤松 正雄君        経済産業大臣  松 あきら君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        後藤田正純君        内閣大臣政務        官        山谷えり子君        法務大臣政務官  三ッ林隆志君        財務大臣政務官  野上浩太郎君    政府特別補佐人        人事院総裁    佐藤 壮郎君    事務局側        常任委員会専門        員        村松  帝君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       坂井 孝行君        国家公務員倫理        審査会事務局長  川村 卓雄君        内閣府政策統括        官        高橋  進君        内閣府政策統括        官        林  幹雄君        内閣男女共同        参画局長     名取はにわ君        警察庁刑事局組        織犯罪対策部長  米田  壯君        防衛施設庁長官  北原 巖男君        金融庁総務企画        局長       三國谷勝範君        金融庁総務企画        局総括審議官   中江 公人君        証券取引等監視        委員会事務局長  長尾 和彦君        総務省自治行政        局選挙部長    久保 信保君        総務省自治税務        局長       小室 裕一君        法務大臣官房長  小津 博司君        法務大臣官房審        議官       深山 卓也君        法務省民事局長  寺田 逸郎君        法務省刑事局長  大林  宏君        外務大臣官房参        事官       梅田 邦夫君        外務大臣官房参        事官       深田 博史君        厚生労働省医政        局長       松谷有希雄君        厚生労働省職業        安定局長     鈴木 直和君        厚生労働省職業        安定局高齢・障        害者雇用対策部        長        鳥生  隆君        厚生労働省年金        局長       渡邉 芳樹君        国土交通大臣官        房審議官     和泉 洋人君        国土交通省海事        局長       星野 茂夫君        海上保安庁長官  石川 裕己君    参考人        日本銀行総裁  武藤 敏郎君        株式会社東京証        券取引所常務取        締役       長友 英資君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成十八年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十八年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十八年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十八年度総予算案審査のため、本日の委員会日本銀行総裁武藤敏郎君及び株式会社東京証券取引所常務取締役長友英資君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小野清子

    委員長小野清子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 小野清子

    委員長小野清子君) 平成十八年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日は、まず、一般質疑を四十分行うこととし、各会派への割当て時間は、民主党新緑風会二十六分、公明党八分、日本共産党四分、社会民主党護憲連合二分とすること、また、午後二時から証券金融に関する集中審議を行うこととし、質疑往復方式で行い、質疑割当て時間は百八十分とし、各会派への割当て時間は、自由民主党二十五分、民主党新緑風会百分、公明党三十分、日本共産党十五分、社会民主党護憲連合十分とすること、質疑順位につきましてはそれぞれお手元質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  5. 小野清子

    委員長小野清子君) 平成十八年度一般会計予算平成十八年度特別会計予算平成十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。黒岩宇洋君
  6. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 民主党黒岩宇洋でございます。  さて、小泉政権が発足して五年間、様々な格差が露呈しております。競争に勝った者と敗れた者との格差、都会と地方との格差、そして大企業中小零細企業との格差、そのほかに世代間格差というものも顕著なものになってきました。子供や若者たちは、その世代にいるというだけで大変不公平な状況に置かれています。  それでは、生涯受益格差、これお手元に配っております資料一枚目でございますけれども、生涯受益格差についてお聞きいたします。  政府参考人で結構ですので、生涯受益格差とは一体何か、そして、併せて六十歳以上と二十歳未満では幾らの差が出ているのか、御説明ください。
  7. 高橋進

    政府参考人高橋進君) 生涯受益格差について申し上げます。  この試算でございますけれども、一定前提の下に、世帯主生まれ年別に、一世帯当たりが生涯に掛けて受け取る社会保障給付政府サービス及び生涯に掛けて支払う社会保障負担税負担を機械的に算出したものでございます。  で、将来の受益及び負担につきましては、現在時点制度が将来にわたって不変で維持される前提試算をしております。将来世代については、既に存在している財政赤字残高前提としまして、遠い将来にわたって長期的な財政均衡を図るために負担しなければいけない負担を考慮しております。将来の人口構成の変化は、この計算の過程で、将来世代負担額を算出する際に反映しております。  それから、その具体的な負担でございます。  済みません、いつの時点でございましょう。もう一度、御質問ちょうだいできますでしょうか。
  8. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 十六年度ですか、これ、最新のやつで。六十歳以上と将来世代
  9. 高橋進

    政府参考人高橋進君) はい。六十歳以上につきましては、受益総額が一億八千二百八万、それから負担総額が一億三千三百三十三万、純受益額がプラスの四千八百七十五万円でございます。これに対しまして、将来世代受益総額が一億七百六十五万、負担総額が一億五千三百四十九万、純益はマイナスの四千五百八十五万でございます。
  10. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 そうですね。六十歳以上の方は、要するに払うものよりもらう額が五千万近く多いと。逆に二十歳未満の人は五千万持ち出しだという、まあ若者にとってはこれたまったもんじゃないという数字なんですけれども。  それで、大変重要な指標だと思うんですが、これも参考人で結構なんで、「日本経済二〇〇四」、この内閣府が出しておりますこれでは、この生涯受益格差についてどのくらいページを割いてどんな形で説明しているのか、それをお聞かせください。
  11. 高橋進

    政府参考人高橋進君) 今御指摘の「日本経済二〇〇四」でございますけれども、こちらでは公的年金収益率につきまして計算しております。  以下、概要を申し上げます。  過去の年金制度改正が各世代にどのようなインパクトを与えているかを見るために、生まれ年別の生涯の年金収益率……
  12. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 違う、違う、違う、違う。受益格差について触れているかどうかだけでいいんですよ。
  13. 高橋進

    政府参考人高橋進君) はい、済みません。  受益格差について、年金について触れております。
  14. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 では、最新版の二〇〇五では生涯受益格差については触れていますか。
  15. 高橋進

    政府参考人高橋進君) 白書の方で生涯受益格差について触れております。
  16. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 二〇〇五では触れていますか。
  17. 高橋進

    政府参考人高橋進君) 触れてなかったと思いますけれども。
  18. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 これ、与謝野大臣にお答えいただきたいんですが、この二〇〇四を基に、私、前担当大臣竹中さんとは委員会でかなりこの議論を詰めたことあるんですけれども、せっかく二〇〇五でどういう形で触れているだろうかと思ったら触れてないんですよ。これ大変重要な指標だと思うんですが、何でこうやって触れないんですか。これについては担当大臣としてどうお考えか、ちょっとお聞かせいただけますか。
  19. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 内閣府の平成十七年の年次経済財政報告における試算結果によりますと、五十歳代以上の世代については生涯の受益負担を上回る一方、四十歳代以下の世代については生涯の受益負担を下回る結果になっている。この主な背景としては、公的年金制度を始めとする社会保障制度において、想定を超える急速な少子高齢化が進む中で高齢世代一定給付を確保する努力を行ってきたこと等によるものと考えております。  平成十六年には、若者及び将来世代負担が過重なものとならないように配慮して、給付負担の見直しを行うとの考えに基づく年金制度改正が行われておりまして、今後とも、このような考えの下、世代間の公平を確保し制度持続性を高める観点から、医療制度も含めた社会保障制度改革に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
  20. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 大臣質問にお答えください。  二〇〇四年版では、生涯受益格差が縮まることが、要するに格差の縮小についてはまだまだ不十分だと指摘しているんですよ。だから、二〇〇五年でも更に突っ込んで分析するべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  21. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 統計がそろい次第、当然検討をしてみます。
  22. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 分かりました。  じゃ、世代間格差について幾つかの分野についてお聞きしたいと思います。  まずは年金なんですが、これ厚労省にお聞きします。一九七五年生まれの方で、保険料負担額に対するもらえる給付額というのはそれぞれ何倍になりますか、厚生年金国民年金、併せてお答えください。
  23. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) お答えいたします。  一九七五年生まれの方につきまして、保険料負担額及び年金給付額一定前提を置きまして、年金制度が依拠しております賃金上昇というトレンドの賃金上昇率によって六十五歳時点、すなわち二〇四〇年度になりますが、その価格で換算して試算して比較した資料がございますので、御報告をいたします。  厚生年金基礎年金を含め保険料負担額が三千九百万円、年金給付額が九千六百万円、この場合の保険料負担額事業主負担分を含んでおりません。この保険料負担額に対する年金給付額比率は二・四倍でございます。  国民年金の方で申し上げますと、同様の計算をいたしましたところ、保険料負担額が一千五百万円、年金給付額が二千六百万円、保険料負担額に対する年金給付額比率は一・八倍、こういうふうになっております。
  24. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 済みません、今の数字資料の二枚目にあるんですけれども、次、資料の三枚目あるんですけれども、今度は内閣府の方にお聞きします。  内閣府が試算した同じ一九七五年生まれの方で、年金収益率、要は払った額に対するもらう額の割合、同じことですけれども、これについての数字をお聞かせください。いやいや、内閣府、内閣府。
  25. 高橋進

    政府参考人高橋進君) 一九七五年生まれの者の内閣府の試算でございますが、二〇〇四年改正後における給付負担比率は約〇・七八倍でございます。
  26. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 これ、おかしい話ですよね。厚労省に言わせると、要するに一を超えているということはもらう額の方が多いということですよ。内閣府の試算ですと、〇・七八ということは、もらった額よりも、下回るわけですね。これだけ大きな数字が違うんですよ。先ほど厚生年金には企業負担分を入れていないと言っていましたけれども、仮に企業負担分を入れても一・二になるわけですよ。だから、どちらにしても厚労省は一以上だと言っているんですけれども、内閣府は〇・七八だと言っているんです。これ、何でこんなに違うのか。  まず事務方、皆さんにも分かるようにこれ簡潔にお答えください。
  27. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 私の方から違いについて御説明申し上げます。  内閣府の試算は、様々な前提の少しずつの違い、前提条件あるとは思いますが、大きく申し上げて二点違いがあると思っております。  内閣府での試算は、保険料総額年金給付総額運用利回りを用いて六十五歳時点に換算されておられる、すなわち積立方式のように支払った保険料に受給までの利息が付くという考え方によって計算をしている、積立方式型の計算をされておるという点でございまして、もう一点が、御指摘のように、事業主負担分というものを含めておられる。この二点が大きな違いと思っております。  厚生労働省試算は、先ほどもちょっと申し上げましたが、現行制度賃金に連動する賦課方式であるという現行制度基本を踏まえまして、世代間の比較というのが事業主にあるわけじゃありませんで国民個々人にあるわけでございますので、本人の支払った保険料の何倍の給付が出るかということで比較をしております。  ちなみに、先ほど内閣府の関係でお触れになられましたけれども、先般の十六年年金制度改正によりまして、例えば、七十歳、一九三五年生まれの方についての給付負担倍率は先ほどの倍率でございますが、改正前は八・五倍であったのが八・三倍に、二〇〇五年生まれのゼロ歳の方が改正前は一・九倍であったのが二・三倍にということで、若干給付負担倍率の差が改正により縮小するモデルに移行していると、こういうふうには考えておりますが、大きな世代間格差の是正ということを年金制度だけでやるというのは大変困難でございます。  大幅な給付削減追加負担をする、例えば一九三五年生まれの方にはもう給付しないという選択を今から取って初めてバランスする、こういうようなドラスティックなものでございます。年金だけでなく、医療、介護を含めた社会保障全体の中で、あるいは、さらにその他の政府サービス全体の中でどう考えるかということと、私的扶養から社会的な扶養に移行してきた制度が歩んできた歴史というものもあるのではないかと思っております。
  28. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 局長、全然分かりません。今日、今いらっしゃる委員の方も多分分からないと思うんですね。  これ、一を超えるかどうかって物すごい大きな問題なんですよ。払った額より多くもらえるのかどうか瀬戸際の一に対して、内閣府の試算だと私の年代でさえ一を下回るわけですよ。そうですよ。厚労省試算だったら、どの世代でも一を上回るという数字が出ているんですよ。これだったら、本当に年金に対する信頼感はどうなるんですか。一以下だったらだれも払いませんよ。これほどすごい数字に対して、これほど、これいろいろと大体、説明が長けりゃ長いほど大体ちょっと怪しいんですよ。  本当はこれ、運用利回りとか割引率なんていうのはわずか一・〇二とかそういう数字ですからね。これが一・三であったり〇・八であったり、こんなに差が出たら話になりませんよ。厚労大臣、いかがですか。
  29. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) さあ、話を聞いてて、どういう仕組みか詳細は分かりませんけれども、一つは、企業負担というものが内閣府側は足した上で計算をしている。それから利回り問題……
  30. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 それ引いても、それ全然関係ない。
  31. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 何ですか。関係ありますよ、半分企業が払っているんですから。  それで、そこでどうだということになって個人負担と、私どもの資料個人負担ともらえる金額比較したということで、内閣府の方は個人負担企業負担を足したものともらえる金額比較をしたと、こういう説明であったと思いますけれども、それはやっぱり個人という立場からいえば、個人負担給付というものを負担すべきであろうなと、こう思います。  しかし、内閣府のことを私が間違っていると言うのも何でございますから、それは内閣府に聞いてください。
  32. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 厚労大臣、これ二・七という数字を出したんですよ、二・四か。これ企業負担を除いても、割る二なんです、一・二なんですよ。いずれにしても一を超えているんです、厚労省試算というのは、どう考えても。  それで、これ一を超えると超えないでは大きな違いが出るのは、結局今若者、二十代の前半は今納付率五割より下回っているんですよ。納付率を高めると、一を超えている場合は納付率を高めると生涯受益格差が縮まるんですね。それはそうですよ、もらえる額が多くなるわけですから。でも一未満だったら、若者はともすると年金保険料を払わない方が受益格差が縮まるという物すごい皮肉な結果になるんですよね。これについてどうお考えですか、厚労大臣
  33. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず基本は、厚生年金企業側負担を入れるか入れないかという議論ですね、厚生年金は。国民年金の話ですね、今言われているのは。厚生年金は、正直言って全部強制で、強制というか、九十何%納まっていますから問題ないわけですね。国民年金の話ですね。  国民年金の話について言えば、国庫が平成二十一年以降二分の一負担するといっているわけですから、そういった意味では、間違いなく一を超えるということを申し上げているわけです。
  34. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 今、国民年金厚生年金が少し合わさった議論になりましたが、いずれにせよ、それを合わせても内閣府の試算では一未満という数字を出していると、このことはちょっと整合性を合わせておいてください。物すごい数字が違って、この指標を見ただけでは国民、判断のしようがないですよ。年金に対する信頼というものが全くもって損なわれるというこの指摘にとどめておきます。  時間ないので先急ぎますけれども、次、社会保障全般なんですが、これよく言われる七〇対四、要は、社会保障給付に占める高齢者関係給付費というのが七〇・四%、児童・家庭関係給付費というのは三・八%、これだけの差があって、これはもう若い世代、そしてそれを支える若い親御さん世代にとっては物すごい大変な状況になっているのが今の社会保障状況です。  この格差をどうやって埋めていくのか。これも端的に厚労大臣、お答えください。
  35. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 高齢者対象給付される年金制度など、社会保障給付としてお年寄りの方々に多いということは事実でありますし、フランス、スウェーデンと比べるとかなりの数字が違いますねということは事実でございます。  一方で、それではそれだけの数字で物を言うかということになると、もちろん我々の資料の出し方ももう少し反省しろと言っているんですけれども、子育てというものに対して、少子化というものに対して、厚生労働省社会保障給付だけを取り上げてやるのか。税による控除、二番目に企業が御負担いただいている部分もありますね、それから文科省が担当されている部分、例えば幼稚園、義務教育というものをどうとらえるかということになると、やはりそういったものを総合的にきちっと資料として整理をしてやっていかなければなりませんねと申し上げております。  社会保障だけで比べれば、御指摘のように低いことは事実でございます。しかし、一方で、今年から児童手当の問題、また出産の一時金の問題等、増額をさせていただいているところでございます。  それから、問題は、先ほど局長が述べましたけれども、やはり私的負担という時代があった。これは昨日も私、この場でお話し申し上げたと思うんですけれども、私の父親の世代、我々四・三の出生率でございます。じゃ、この負担、この子供たちを育てるのに公的負担があったといったら、ほとんどなかっただろう。じゃ、自分たちの父親、母親の面倒はどうだったのかといえば、これも公的負担ありません。私的負担の時代でずっとつくり上げてきたと。それが、だんだんだんだん公的負担というものが充実して、今公的負担だけでこうだと取り上げることではなく、日本の歴史というものをもう少し御評価いただく中でいろいろな御議論をしていきたいと。  しかし、黒岩委員が御指摘される側面があることは私ども十分頭の中に入れながら、これから社会保障の在り方を検討していかなきゃならぬだろうと、こう思っております。
  36. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 ありがとうございます、力強くお答えいただきまして。  では、急ぎまして、医療をちょっと飛ばしまして、雇用ですね。  これ、お手元資料四枚目なんですけれども、やはり若い世代が非常に今苦しんでいるのは安定した雇用がないからなんですね。これ、物すごい世代間格差にとって大きな要因だと私は思っております。(発言する者あり)そうです。  で、これ四枚目ですが、これ非常に顕著なトレンドが出ているんですけれども、雇用者中に占める非正規雇用の割合という、これ全体では三三%なんですが、これ十五歳から二十四歳というのはもう二人に一人が非正規雇用なんですよ。これ、物すごい割合なんですね。これは平成十四年からずっともう上がるトレンドなんですよ。これを何とかして改めていただきたい。これについての厚労大臣、御所見をお聞かせください。
  37. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 確かにバブル崩壊後、企業経営が極めて厳しい、私はよく松下電器出身だと申し上げるけれども、松下幸之助さんが正に雇用は大事だということを言われていたと、あの企業ですらリストラをしなきゃならなかった時代というのがこの十年間の中にあった。私の実は同級生連中、半分ぐらいは辞めましたよ、会社、正直言って。そういう時代があったことは事実でございます。それは認めます。しかし、一方で、この二、三年の数字を見ていくと、やっと我が国経済は立ち直ってきましたねと。  結果として、例えば高校生の今年の卒業予定者の就職率は八五・三、前年同期に比べて三・七ポイント上がっている。大学卒は八五・八、前年同期比三・二%プラスという形に変わってきた。フリーターも確かに二百二十万近くおりましたけれども、十七年の十二月の段階で二百一万まで下がってきた。また、完全失業率もかなりの回復をしてきているということでありますので、そういった意味では、私どもの施策として、要は、今フリーターになっておられる方々、残念ながら正規雇用という就職が得られない方々にどう手を差し伸べていくかということが一番大事だろうと。  ハローワークでも、今までは二十万人という数字でありましたけれども二十五万人、そして企業から来られる場合も、この職種ならもう非正規雇用ではありませんよと、きちっと正規雇用で提出をしてくださいというお願いまでをしながら二十五万人の正規雇用というものを今年何とかつくり上げようということで、努力いたしております。  一方で、企業の皆さん方にも私は正直、率直にお話し申し上げていきたい。これは正直言って少子化の問題等考えていったときに、若者が正規雇用に就いていくということが少子化を解消していくためにも大事な仕事だと。そういう意味では、これから国全体として少子化問題に取り組むときに、若者の雇用という問題をもう少し企業もお考えくださいということは申し上げていきたいと思います。  ただ、今まで企業がつらかったことは事実ですよ、つらかったことは。やっと日が差し始めて、今年の春闘、今晩でしょうか、一つの定額回答が出てくると、こういうときに、多分プラスになってくるのかなと、こう思っております。まあ、そういう意味では、そうした背景を基にしながら、若者の雇用をできるだけ進めるように我々努力をさせていただきます。
  38. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 分かりました。  それでは、駆け足、次、教育です。  馳副大臣来ていただいておりますが、これはお手元資料の五枚目なんですが、文教科学振興費という、これは財務省が様々な費目から文教科学に関するものを集めた額というものがあるんですが、これが対GDP比で、小泉総理が就任しまして最初に予算を組んだときからずっと下がる一方なんですよ。これ一・三七とか一・三一と出ていますが、これ決して合計特殊出生率ではないんですね。出生率がどんどん同じような数字で下がってきますが、それよりもはるかにこの文教科学振興費というのは落ち込んでいるんですよ。だから、子供が少ないから教育費が少ないという、こういう言い訳は私は利かないと思っています。  馳副大臣、これ何でこんなに下がっているのか、そしてこれに対してどうやって対策を練っていくのかお聞かせください。
  39. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) おっしゃるとおりです。大変残念に思っています。  ただ、理由は、一つには三位一体改革で補助金の削減があったと、また、この間、人事院勧告による減があったと、また、平成十四年度でしたか、国立大学が法人化をされて運営費交付金が一%ずつの減があったと、こういうことが指摘として言えると思います。  ではどうするのかということを考えると、例えば、高等教育への競争的資金として科研費を増やしてきたりいたしておりますので、文部科学省としてはできる限り予算の、必要な予算の増に向けて努力をすると、こういう決意を申し上げるだけでございます。
  40. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 これ通告してないですけれども、財務大臣、どうですか。これはやっぱりキャップ制でどんどん減らしているんですけれども、少子化の率よりもどんどんこの教育費が減らされているんですよ。これ、何とかなりませんか。
  41. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今、馳副大臣が御答弁されたことでありますけれども、確かに三位一体、ああいうもので大きく減った面もありますし、それから、やはり児童の数が減っているという面は私はあると思っております。  出生率より減っているとおっしゃいますが、小中学校、義務教育なんかで見ますと、児童一人当たりのその予算というのは、ちょっと今急なお問い掛けですので手元数字は持っておりませんけれども、この何年間でしょうか、七、八年間で相当パーセンテージは増えていると思います。ですから、私は、もちろん必要なところには出さなきゃいけませんけれども、教育の質を高めていくのは、お金だけではなく、教育の質を高めるのはどうしたらいいかと、もう少し議論をしていただきたいと思っております。
  42. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 本当にいい御答弁いただいたんで、まあ教育に対して質を高めるべく財政的な措置もよろしくお願いいたします。  さて、急ぎます。  次、障害者施策お聞きしますけれども、内閣府が所管しておりますいわゆる障害者プラン、この障害者プランの今度三か年が終わるところですけれども、進捗状況を簡単にお答えください。
  43. 林幹雄

    政府参考人(林幹雄君) お答えいたします。  我が国は、障害の有無にかかわらず、国民だれもが相互に人格と個性を尊重し支え合う共生社会の実現を目指すこととしており、このため、リハビリテーションとノーマライゼーションの理念の下に障害者の自立と社会のあらゆる分野への参加に向けた施策をより総合的、計画的に推進する必要がございます。  政府といたしましては、このような基本的な考え方に立ち、平成十五年度から十年間の障害者施策の基本的方向を定めました障害者基本計画、また同計画の前期五年間に重点的に行う施策とその達成目標を定めた重点施策実施の五か年計画を策定いたしまして、その着実な推進を図っているところでございます。  五か年計画につきましては、その着実かつ効果的な推進を図るため毎年度進捗状況を調査し公表することとしており、その進捗状況につきましては、同計画が五か年の計画でございますために各年度の施策の進捗状況に違いはあるものの、全般的にはおおむね順調に進んでいるものと理解しております。  今後とも、これらの計画に基づいた障害者施策の一層の推進が図られるよう、政府一体となって取り組んでまいりたいと考えております。
  44. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 ありがとうございます。  ノーマライゼーションに向けて着実に進んでいるというこの総論はよろしいんですが、非常に障害者の皆さんにとってはゆゆしき事件が起こりましたね、あの東横インの事件なんですけれども。  これ国交省にお聞きしますけれども、本当に障害者の施設を建築確認後取っ払うというんですから、これは物すごいことですよ。それが七、八キロオーバーと言う社長がやっているわけですからもう噴飯物を通り越しておりますが、この建築確認制度ではこれ取り締まれないんですかね。ないしは、どうやってこの確認後の違法な改築について対応していくのか、お答えください。
  45. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 東横イン問題につきましては、ハートビル法等に適合させて建築物を完成させ、完了検査を受けた上で意図的に身障者用駐車スペースなどを撤去するなどをしたものでございまして、極めて悪質な行為が行われたわけでございます。誠に遺憾と言わざるを得ません。  建築行政といたしましては、建築物が着工してから完了検査を受けるまではもちろんのこと、その後、建築物が使用される段階で適法に維持管理されていることについてフォローアップをしっかりしないといけないというふうに考えております。  このような悪質な行為への対応といたしまして、建築基準法に基づく定期報告制度というのがございます。この定期報告制度をしっかり活用をしなければならないと考えておりますし、また、建築物に対する定期的なパトロールの実施をするだとか、また一般から様々情報提供もございます。こういう情報提供を基にした調査を徹底することによって完了検査後に違法な工事が行われることを未然に防ぐことができるというふうに考えておるところでございます。  それともう一点、仙台市におきまして過去に、随分昔なんですが、東横インに対する違反是正命令を行っておりました。にもかかわらず、その情報が他の特定行政庁に共有がされておらず、違法な工事が拡大した可能性があります。国交省といたしましては、こうした情報共有について徹底されるよう体制を整備しなければならないというふうに考えております。  また、今回のこの東横インの件につきましては、今関係地方公共団体とも連携をいたしまして協議会をつくっておるんですが、早期の違反是正を徹底するとともに、悪質な行為に関係した建築士等については、管理建築士の名義貸しを行っていた建築士を免許取消しの処分をもう既にしたところでございますが、さらに事実関係を把握した上で、法にのっとり厳正に対処してまいりたいと考えております。
  46. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 分かりました。定期報告等を徹底していただきたい。  和泉審議官にちょっとお答えいただきたいんですが、この東横イン物件で改造後違反が確認された物件というのは幾つありますか。
  47. 和泉洋人

    政府参考人(和泉洋人君) お答え申し上げます。  東横インのホテルは百二十二物件ございまして、完了後に改造が確認されたものが七十七物件でございました。
  48. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 そのうち違反は……
  49. 和泉洋人

    政府参考人(和泉洋人君) 七十七物件。
  50. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 そのうち法令違反が確認されたもの。
  51. 和泉洋人

    政府参考人(和泉洋人君) 失礼。法令違反が確認されたものは六十三件でございまして、内訳を言いますと、ハートビル法違反が十八件、基準法違反が四十一件、駐車場法違反が一件でございます。
  52. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 その六十三の違反の見付かった物件のうち、民間の指定確認検査機関が確認を行っていた物件は幾つありますか。
  53. 和泉洋人

    政府参考人(和泉洋人君) 済みません、ちょっと特定行政庁が確認したものと民間との仕分のデータ、持ってございませんので、後ほど御報告をさせていただきます。
  54. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 これ、私、事務方に聞いておったんで持ってきてくださっているかと思ったんですけど、十一件なんですよ、六十三のうち十一件が民間の指定機関なんですね。  これ、大臣、やはり建築基準法の改正によって民間の指定機関に開放したことによってずさんな審査を行われたとか、そんなことはないんでしょうか。大臣、御答弁ください。
  55. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今回のこの東横インの件につきましては、完了検査後、建物ができ上がりまして完了検査が行われます、この完了検査後に違法な改修をすると、無断でやるというような事案でございます。  したがって、今、事実関係、確定をしなければならないということで調査をしっかりさせていただきますが、やはりこの建築主の、この東横インの経営者ですね、その経営の在り方にやはり大きな問題が私はあるのではないかというふうに考えております。
  56. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 いや、マンションだけでなくて、こういった民間の指定機関の確認というのは本当に種々なところまで及んでいて不安を感じるわけでございますが、これについてはまた国交省の方でもいろいろと対応してください。  先に進みます。  障害年金についてお聞きしたいんですが、この障害年金というものについて国民にはどのくらい周知徹底されているのか、どのくらいの方がこのことについて理解をしているのか、これについて厚労省、お答えください。
  57. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 年金の切り口としてのもう一つの制度を取り上げていただいたわけでありますけれども、公的年金制度には、高齢期を支える老齢年金だけでなく、病気や事故で障害が残った場合の障害補償や亡くなられた場合の遺族補償などの役割もあり、こうした点について国民に正しく理解していただくことは重要と認識しております。様々な機会をとらえ、各種の媒体を通じて障害年金の意義や仕組みについて広報を展開しております。特に若年者など、老後保障に実感のわかない、先ほど議論ありましたけれども、こういう方々に公的年金は老齢年金だけでないということを強調した広報を心掛けております。  いずれにせよ、障害を負った場合の生活保障の柱となっている障害年金について、公的年金制度の有する重要な役割の一つとして積極的な広報に努めてまいりたいと思います。
  58. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 これ、大臣ね、ほとんど皆さん、一般の国民は、年金というともう老齢年金のことだけですよ。まあ強いて言うと遺族年金のことを思い浮かべる方々もいますけれども、ほとんど年金について障害年金という概念がない。  先ほど申し上げた五〇%未満納付率若者というのは、今日でも障害を負えば障害年金もらえないわけですよね、明日から。生活の主柱となる障害基礎年金がもらえないわけですよ。今日、多くの皆さん、学生時代多分払ってなかったと思うんですね、任意加入時代の。あの時代も任意加入ですから、国民年金入っていなかった。でも、障害を負ったら、それは皆さん無年金障害者なんですよ。年金ももらえない、そしてなかなか就労にも就けない。これはもう若い時分から所得がないという、もうこれこそ世代間格差の私は元凶になると思っているんですね。  先般、私もこの無年金障害者問題、ずっと取り組ませていただきまして、特定障害者給付金支給法案が通ったんですけれども、これは福祉的措置といいながら未納、未加入の方や在日外国人の方を含んでないんですね。福祉的措置というのは、何で年金に加入しなかったという、そんなことに着眼するんではなく、生活困窮という、この生活状態に本来は着眼をして所得保障を払うという、私はこういう考え方だと思うんですが、この特定障害者支給法案において、何で今言った未納、未加入やそして在日外国人の方々が除外されたのか、お答えください。
  59. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 除外されたのかというよりも、議員立法でお作りいただいたわけですから、そのときの議論としては煮詰まらなかったということでいいですね、基本はね。  本法律の対象となる方は、国民年金制度の対象になっていたが、任意加入であったために結果として障害基礎年金等を受給していない学生及び被用者の配偶者という、国民年金制度の発展過程において特別な事情が生じた方々となっている、こういう法律をお作りいただきました。  一方、御指摘の在日外国人の方々については、昭和五十七年一月前は元々国民年金制度の対象となっていなかった者、また、未納、未加入により年金を受給していない方については、納付義務がありながら保険料を納めていなかった方、必ずしも学生や被用者の配偶者と同じような特別な事情にあったとは言えないという当時の判断であったと思っております。  いずれにせよ、そのときにこうした方々についての福祉的措置は、本法律の附則第二条の規定を踏まえた立法府その他関係者の方々における今後の御議論をいただきながら、制度全体の整合性の問題もございますので、十分留意をしながら検討すべき課題であると考えております。  こうした点を見ながら、政府としても引き続き検討してまいります。
  60. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 これ、無年金障害者問題というのは学生や在日外国人の方だけではないんですよ。いっとき我々国会議員も、ある時期、国民年金に加入できないという、除外されていた時期があったんですね。そのときに障害を負えば、国会議員も無年金障害者になったわけですよ。だから、こういうような制度の不備に対して、私は事後措置としてはもう少し優しく手当てしていただきたい、このことは重々お願いしておきます。  さて、安倍官房長官いらっしゃるので、北朝鮮拉致問題、私の方からお聞きしたいと思います。  私も新潟県の選出議員ですので、第一回の総理の訪朝以降、内閣委員会で福田官房長官、その後、細田官房長官に、常にこの拉致問題についてお聞きしてきたところでございます。今日は、官房長官と、予算委員会ですのでようやく外務大臣にもお聞きすることができますので、何点かお聞きしたいと思っております。  第一回の日朝包括協議が二月に行われまして、現在のこの拉致問題の真相解明や実行犯の引渡し等についての現状の日本そして北朝鮮両国の対応状況について、外務大臣そして官房長官、お答えください。
  61. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 先月の二月の二十三日、地村夫妻拉致事案に関しまして辛光洙の逮捕状、蓮池夫妻の拉致事案に関しましてチェ・スンチョルに逮捕状、それぞれ発付されております。  これを受けまして、二十四日、翌日ですが、外務省では捜査当局と協議の上、北京の大使館ルートを通じて北朝鮮側に対して辛光洙とチェ・スンチョルの二名について引渡し要求、これに対しまして先方は本国に報告すると述べております。また三月三日、政府は、国際刑事警察機構、いわゆるインターポール、ICPOを通じまして二名を国際指名手配されておるというのが今のこのことに関しましての現状であります。
  62. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) ただいまの委員の御質問は、先般の包括協議について、またそれに対する評価と今後の対応という御質問だったというふうに思うわけでありますが、先般の包括協議について言えば、私どもも決して楽観視をしていたわけではなかったわけでありますが、残念ながら、最大の課題である拉致問題の解決、そしてまた安全保障の問題、そして正常化の問題、それぞれのトラックにおいて残念ながら進展がなかったわけであります。特に拉致問題については誠意ある態度を示したとは言えないと、このように考えており、そのことは大変遺憾に思っております。  今後とも、我々、もちろんこの包括協議を進めていくというこの門戸を我々は閉じるつもりもございませんし、対話を行わなければ問題は解決をしないわけでありますが、彼らがしっかりと誠意を持ってこの問題に取り組むようにしかるべき圧力は掛けていかなければいけない、対話と圧力の姿勢でこの問題を解決をしていきたいと、こう考えております。
  63. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 官房長官の方からは、進展がない、すなわちゼロ回答であったという評価をお聞きしました。  実は、この拉致問題が、北朝鮮が認めたときに、十三人のうち五人が生存し、八人が死亡だということが本国に流されたわけです。私、じゃ、この方々十三人が日本にもしも住んでいたならば、このように八人も亡くなるなんということがどのくらいの確率であるんだろうかということで電卓をたたいて調べたんですね。  例えば横田めぐみさん、一九七七年に十三歳で拉致されましたと。そのとき十三歳で住んでいる日本の同じ年の方、この方が、めぐみさんが亡くなったと言われる九三年に、じゃどれだけ生存していたか、裏の言い方で言うと、どれだけ亡くなったかと調べますと、二%亡くなっている。お若い世代ですから、大体二%ぐらい十何年のうちにはお亡くなりになる方がいると。そのほか、例えば田口八重子さん、この方の年齢ですと、同じときに日本にいた方が、じゃ田口さんが亡くなった年でどれだけ亡くなったかというと、わずか〇・二四%しか亡くなってないんですね。これが例えば市川修一さんになりますと、一・八%なんですよ。  これが、簡単に数学の確率統計で掛け合わせますと、じゃ五人が生存して八人が亡くなる確率というのは、ゼロコンマの後にゼロが十四個並ぶという、一京分の一以下なんですよ。よく万が一と言いますが、万が一の一兆倍あり得ないという、科学統計上、絶対あり得ないということを出してきたわけですね。  今では安倍長官も、とてもとても信じられるわけじゃないと、全員生きているんだと、こういう力強い言葉をいただいていますが、こういうもう本当に科学的にもいい加減なことを言ってくる。そして、今回も、遺骨の返還や脱北支援団体の幹部の引渡しを要求するなどという傍若無人なことを言ってきているわけですよ。このことに対して怒りを感じないのか、どうお考えか、これは外務大臣、官房長官、お答えください。
  64. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) この種の話というのは、今回の交渉に関しまして、少なくとも拉致被害者五名がこちらに帰ってから以降の話というのは、まあ言い方としては、通常の外交交渉でいろいろな話というのはありますけれども、この種のいわゆる科学的な裏付けのない話とか、一方的な情報を管理した上での向こうからの一方的な言い分というのはもう度々の話でもありますし、誠意は全く感じられないというところは、もう私どもとして同じようなところ、感じは、これは多分日本人、皆同じような感情なんだと思っておりますけれども。  ふざけているという話はこういうところで使う言葉じゃありませんかもしれませんけれども、まあ正直、この種の話に関しましては、いわゆる対話だけではとても前に進む話ではないと。それは、したがって対話と圧力という言葉が使われるようになった背景も、基本的には対話だけで、理屈で通る話ではなかなかない相手なんだというのが正直な実感なんだと思って、だんだん国民感情としても更に悪くなってきておるというのは過日の会議でも先方にかなり激しく言っておるというのが、正直、外務省としての感じであります。
  65. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) ただいま委員が御指摘になられましたように、生存者五名、そして八名の方々が死亡していると先方が言ってきたわけでありますが、確かに委員がおっしゃるように確率としては極めて低いわけであります。たとえ北朝鮮の状況が過酷であったとしても、これは確率的にはなかなか考えられないなと。  そしてまた、もう一つ特徴があるわけでありますが、生存していると言われた方々も死亡していると言われた方々もみんな一家丸ごとでございまして、御主人が生きていれば奥さんも生きているし、子供たちもいると。一方、御主人が亡くなっていると言われた人は奥様も死んでいるし、子供たちも死んでいるかいないかと。果たしてこんなに一家丸ごとずつということがあり得るかどうかと。ここに一つの意図を感じざるを得ないというのが私の感想でございます。唯一の例外が横田めぐみさんであろうと、このように思うわけであります。  また、遺骨、めぐみさんの遺骨の件につきましても、御主人と言われる人物の証言をとても信じることができないと、このように思うわけでございます。埋めていた遺体をまたしばらくたってから掘りに行って、それをまた持ってくると。しかも、そのときに焼いた温度を正確に知っているということ自体も極めて不自然であろうと。この温度で焼いたんだからDNA検査ができるわけがないというのはどういうことなんだろうと。こういうことからいっても、もう既にDNAの調査の結果、はっきりしているわけでありますから、もうそれ以前の問題だろうと、こう思うわけでありまして、だんだん被害者の御家族の方々は年を経て高齢化してきました。めぐみさんの御両親も、お父様、滋さんも最近体調の不調を言っておられるわけでありまして、こういうことで北朝鮮側が時間稼ぎをしようとしているのであれば、我々はそれは決して許してはならないと、このように考えております。
  66. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 いや、本当におっしゃるとおりで、同感です。今、答弁の中でも幾つか、対話から圧力へという、こういうシフトだというのは、私もこれ大賛成なんですね。  このことを受けてか、政府の拉致特命チームの中に二つの新組織ができたと。これ、通告してないんですが、安倍長官、この組織というのは一体どういうもので、どういったことを目的としているのか、これお答えできますでしょうか。お願いいたします。
  67. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) ただいま委員指摘のように、私ども、対話と圧力の姿勢でこの問題を解決をしていきたいと、こう考えておりますが、その一環といたしまして、三月十三日開催されました拉致問題特命チームにおきまして、ただいま御指摘の法執行班と情報収集会議の設置を決定いたしました。  法執行班は、鈴木官房副長官の下で、対話と圧力との基本的な考え方に基づき適切な法執行のための協力体制をより一層強化していくために設置したものであります。法執行を担当する警察庁、金融庁、法務省、財務省、経済産業省及び海上保安庁の部長、審議官級のメンバーで構成されております。  一方、情報収集会議は、鈴木官房副長官の下で、拉致問題の解決に当たっての様々な判断の基礎となる情報を収集、集約するため設置したものでありまして、構成メンバーは、内閣情報官、警察庁長官、公安調査庁長官及び外務次官でございます。  今後とも、新設をいたしました二つの組織を効果的に活用し、拉致問題特命チームを中心に関係省庁の有機的な連携を図りつつ、政府一丸となってこの拉致問題解決のために取り組んでいきたいと、こう考えております。
  68. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 現行の法律を適正化さしてですとか厳格化するという話で、今日様々な省庁を呼んでいるんですが、ちょっと質問する時間ないんで。私、昨日聞くと、なかなかその効果ということは今言及できないと言っているんです。  安倍長官、これ率直に今の、要は最終的な外為法の改正とか、あとは特定船舶のあの経済発動をしない、今現在の圧力というものがどのくらい効果があるものとお考えか、その点ちょっとお聞かせいただけますか。
  69. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 最終的な圧力は、議員立法で作っていただきました船舶の入港禁止等々を含む経済制裁のための法律を使った制裁でございますが、これは最終的な圧力と考えております。  それに至る過程での様々な圧力についてでありますが、これにつきましては、例えば国際社会の場におきまして北朝鮮の人権の問題、国連の場を利用して、活用して、しっかりと国際社会で理解をいただき、国際社会全体で圧力を掛けていくと。そしてまた、我が国の国内におきまして、北朝鮮側のいわゆる不法行為をしっかりと、これは当たり前のことでありますが、それを更に厳格にしっかりとやっていくと。  しかし、これについてどれぐらいの効果がということでありますが、確かにこういうことを行ってきた結果、日朝間の貿易量は相当減ってきております。ただ、ほかの国々が代替しているではないかという意見もあるわけでありますが、しかし日本との貿易によって得る利益は必ずしも中朝間でそれを完全に代替できるというふうには考えていないわけでありまして、それなりの打撃もあるでしょうし、北朝鮮側は非常に嫌がっているのは事実なんでございまして、嫌がっているということはそれなりの効果はあると、このように考えておりますし、私どもの国の意識として、この問題を解決をしなければ、だんだんだんだん北朝鮮の置かれている立場は悪くなっていく、そして私たちは、その方向に必ず私たちの政策を動員をしていくという意思を示すという意味においては意義があるのではないかと、このように思っております。
  70. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 まあ言っても分からない人にはやはり圧力を加えていく、これは当たり前なことだと思います。ですから、相手が嫌がることをやっていくのも一つの外交ですから、是非その点は進めていっていただきたいと思っております。  さて、最後にお聞きしますけれども、やはりこの拉致問題の真相解明、解決というのは、私はこの姿勢というのは次期総裁レースでも問われることだと思っているんですね。次期総裁レースでもこれは一つの指針になるものだと思っております。  今日は谷垣財務大臣もおいでなので是非お聞きしますけれども、外務大臣、官房長官、谷垣大臣、この拉致問題の真相解明、そして問題解決に向けての自信のほどをお聞かせください。安倍長官はニューリアリストとして御答弁いただけると大変助かるので、よろしくお願いします。
  71. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) これは大変国民の関心事ですから、私ども、今対話と圧力ということでありますけれども、この方針の下に政府がやっぱり一致して当たらなければならないと思っております。なかなかこれは今までの御議論のように難しい問題でありますが、粘り強さと決意をうちに含んでやらなきゃいかぬ、こう思っております。
  72. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) これは度々御答弁をさせていただいておりますとおりなんですが、基本的には問題点は三つなのであって、いわゆる生存者の引渡し、真相の究明、そして犯人の引渡しと。私どもに、これらを含めて今余りにも不明朗な点が多過ぎますので、この点がきちんとしてもらわぬとなかなか納得し難いところであります。  したがって、これまで誠意ない返答がずっと続いてきていますので、それに対して、現実問題、官房長官からお話がありましたように、貿易関係でいけばこの四年間で二分の一になっておると思います。かなりな額が減っておるというのは事実です。  その他いろいろな形で、朝鮮総連の家宅捜索始めいろいろな形でこれまで法を執行させていただいたことになっておりますので、それが皆圧力と言うんであれば圧力になっておりますし、アブダクションという、この拉致という単語は国連の総会できちんと採択されたというのも過去に例がありませんから、そういった意味では、一つ一つのものが間違いなく上がってきていることは確かなんだと思いますけれども、今の状況では、それに代わるものとして韓国、中国からの貿易量は二・五倍、一・五倍になっていると思いますので、そこらのところが助けているじゃないかということに関しては、私どもの方として、外務省としては何の目的でそんなことをしておるのかよく理解が我々としてはできないと。そういった意味では、きちんとした理由を提示してもらいたい等々は、外務省としては中国外交部に対しても申し込んでいるところでもありますし、さきの会議でもこの話は話題にいたしております。  いずれにしても、これは相手のある話ではあるとは思いますけれども、お願いします、はい、分かりましたという相手でないことだけははっきりしておりますので、そういった意味では、今後とも、圧力というものをどういう具合に使うかというのは、これはちょっと黒岩先生、圧力のために圧力を掛けるんじゃなくて、これは効果が上がらなきゃ意味がありませんから、その目的は生還させることですから、そこらのところが私どもとして、これは皆さんが全員亡くなっておられるという前提で交渉するのと生きておられるという前提で交渉するのでは交渉の仕方が全く違いますので、そういった意味では、私ども、いろいろ手を替え品を替えということにならざるを得ないというところだと思いますけれども。  これは風化させないというのがすごく大事なところであって、日本海沿岸に、私どもそうなんですけれども、日本海沿岸の方はこの種の話には非常に関心が高いということなんですけれども、是非、この種の話は時とともに話題からなくなっていく、風化させていくというのが最も私どもとして避けねばならぬところだと思いますので、粘り強くきちんとやり続けるというのが大事なところだと思っております。
  73. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) この拉致問題について言えば、黒岩先生の御地元である新潟において、当時十三歳の少女であった横田めぐみさんがその後の人生を奪われたわけであります。我々、国家として一人の日本人の命といえども決しておろそかにはしないんだという国の意思をしっかりと示していく必要がある、こう思います。そのことによって、例えば海外で活躍をしている多くの日本人のこれは生活と安全を守ることにもつながっていくのではないかと、こう考えるわけでありまして、この問題解決なしには、北朝鮮は、もちろん日朝の国交正常化もないわけでありますが、北朝鮮は決して国際社会から受け入れられない。そのために、先ほど申し上げましたように、国際社会においても国連の場においても、この北朝鮮の拉致問題を含む人権の問題を日本は強く訴え掛け、だんだんこのスクラムを組めつつあるわけでございます。  要は、北朝鮮がこの問題を解決をしなければ、結果として国際社会から受け入れられない、そして今抱えている多くの困難、食糧の問題、経済の問題を解決をできないということを分からせなければいけない。結果として、拉致問題を解決をさせ、そして彼らの政策を変えさせることが、結果としてはですね、北朝鮮で今困難な目に遭っている多くの北朝鮮の国民にとっても、それはとっても幸せにつながることではないかと、また日本で心配しておられる多くの在日の方々にとってもそういう方向に進んでいくことがよいのではないかと思います。  そのためにも、今後ともしっかりと対話と圧力の姿勢でこの問題を時間稼ぎさせずに解決をしていきたいと、こう考えております。
  74. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 最後に、本当にこの問題解決を心からお願い申し上げて、犬塚議員に譲りたいと思います。  どうもありがとうございました。
  75. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。犬塚直史君。
  76. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 民主党新緑風会の犬塚直史でございます。  引き続きまして、私は雇用の年齢差別撤廃という観点から質問をさせていただきます。  今国会いろいろな視点から格差の問題が論じられてまいりましたが、私はこの中でやはり一番今注目しなければいけないのは、一つには雇用の年齢差別の問題ではないかと思っております。  そこで、まず事務方の方で結構ですから、雇用対策法第七条、これを少し御説明いただけますか。
  77. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 雇用対策法第七条という御質問でございますが、雇用対策法第七条につきましては、事業主の責務といたしまして、事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するため必要であると認められるときは、労働者の募集及び採用について、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えるように努めなければならないと、そういうふうに規定をしております。
  78. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 この雇用対策法第七条、雇用の年齢差別を禁止をすると、そういう趣旨の法律なんですが、大臣も先ほど御自分の経験から、一たびリストラされたときの厳しさということをちょっとお触れになりましたけれども、実は一たびリストラされたときに一番問題になるのがこの雇用の年齢差別であります。  私も、これアメリカで七〇年代に雇用の年齢差別を禁止する法案ができているんですけど、それを知らないで失敗をした経験もあるんですけれども、まず大臣、この雇用の年齢差別、経験の中身を問わないで年齢で足切りをしてしまうというこの雇用慣行は日本には色濃くあると思うんですが、この件についての御認識をまずはお願いいたします。
  79. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 例外的に年齢制限が認められる場合のことの御質問だろうと思います。  長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、新規学卒者等の特定の年齢層を募集、採用することは例外的に認められております。これは、我が国において募集、採用形態を多様化させる動きが見られるものの、新規学卒一括採用が雇用慣行として一般的に広く行われており、社会的には合理性が認められると考えられていることによります。  本指針を策定する際に、労使、学識経験者で構成された労働政策審議会で御議論をいただき、新規学卒者にかかわる点についての特段の異論なく御賛同いただいたものと認識しております。そうした意味では、労働政策審議会を通しながら、新規学卒採用のときのみは、まあ年齢というものを指定してやっておるということで本制度が動いておるという認識をいたしております。
  80. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 雇用の年齢差別をまずは規制をして、その例外として今おっしゃった、先におっしゃっていただいてありがとうございました、年齢指針というものを設けて、日本の雇用慣行に合うように例外規定を設けていこうというのが今大臣説明いただいた年齢指針なんですけれども、この年齢指針の中に新規学卒一括採用、つまり、まず日本の場合は新卒の採用というものがあって、中途採用というものがある。この二つが明らかに違う市場になっているわけですね。これは日本的な雇用環境としてすごく特殊な部分だと思うんですけれども、これは一応このままにしておいて、今年、この改正高齢法の施行に向けた企業の取組ということをやっておるんですけれど、これちょっと事前に通知していないんですが、大臣、この改正高齢法に基づく雇用確保措置、これはどういったねらいで今進められておるんですか。
  81. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 改正いわゆる高年齢者雇用安定法でございますが、これにつきましては今年の四月から施行になる予定でございますが、その内容といたしましては、現在、定年制六十歳、これは義務化されております。ただ一方、年金の支給開始年齢が引き上げられつつある中で、その年金と雇用の間のすき間をなくす観点から、年金の支給開始年齢に合わせて高年齢者六十五歳までの雇用確保措置、これを企業に義務付けるものでございます。
  82. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 一方では、雇用の年齢差別に対して、新規学卒の一括採用についてはこれは例外とする。ということは、毎年毎年四月になりますと、大きな会社ですと何百人、何千人という新社員、新入社員が入ってくるわけであります。それに対して、言わば社長は一人ですから、巨大なピラミッドになるわけですね。しかし、この上の方の高齢、御高齢になられた方々の引き続きの雇用というのを事業者に対して義務付けるという法律が来年の四月の一日から行われると、そういうことでよろしいんですね。
  83. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 御指摘のとおりでございます。
  84. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 言わば、実態としてはこの大きなピラミッドであるところを、下の方はどんどん入ってくると、上も同じように四角に持っていきなさいと、こう無理やり押し付けるような形になりはしないかと私は心配しているんですけど、大臣、どのような御所見をお持ちですか。
  85. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今、回答いたしましたが、法施行はまだでございますけれども、一方で、ハローワーク等で年齢制限を書くなという指導をいたしております。結果として、一番新しい数字を私見てきたんですけれども、今、国全体、失業率が四・四、対して五十五から六十四、これは四・〇か四・一という失業率になっております。そういう意味では、高齢者を再雇用していこうという考え方、また年齢に関係なく採用していこうという考え方はかなり企業で進んできたなと、こう思っております。  それは、ある意味ではその六十年配の人たちの数が物すごく多い。私ですと同期が千人です、会社入りましたら。言われるとおり、集団で、正にところてんのように入りました。千人採用された時代ですから、そこがいろんな理由でだんだん退職していっていると。私のところ、同期でいえば、五十五ぐらいで半分ぐらい肩たたきに遭ったんじゃないでしょうか、今、先ほどお話ししました会社全体のリストラの中で。しかし一方で、やっぱり戦力は要るねということで、かなり再雇用が進み出したのかなと。そうした数字がだんだん反映されてきていると。  一方、それでは同じ会社なのかというと、必ずしもそうではないですね。特に技術がある人たちは必ずしも同じ会社ではない。そういった意味ではいろんな職種が広がりつつあるなと。  さあそこで、多分御下問は若い人の問題で、若い人の失業率が十五歳から二十四歳で八%を超えておると思います。平均が四・四の中で八%を超えていると。この問題にどう対応しようかという中で、委員は思い切ってこの制度まで変えてしまうことがいいんじゃないかと言われますけれども、我々、逆に今年卒業される人たちの就職率が八三、高卒、大卒とも三%以上改善をして上がってきていると。この人たちは、逆に言えば、学校を卒業して一回無職というんですか、そして会社に順次雇われていくということになるんで、ある意味では無職時代をいったん経験することになりますね。それがなくて、四月からもう会社にそのまま入っていくと。そういう意味では、日本型雇用という面では役立ってきた側面もあるんだろうと。したがって、雇用改善が進んでいく中で、この役立ってきた、終身雇用という役立ってきた制度を今取っ払えというのは、正直言ってなかなか難しい議論だなと思っております。  問題は、今八%になっている若者の雇用を、特に正規雇用という形でどうこれから我々が拾い上げていくことができるか。また、産業界全体が確かに五年前は厳しかった、十年前は厳しかった、若い人を採っていなかった。そういった中で、必ずしも就業の経験はないけれども、人生経験も少し積んできた若い者をなるべく採ってやろうという対応をしてくれるように話をしていかなきゃならないかなと。また、企業自体もそうした機運が少しずつ出てきていることは事実であると。これは、間違いなく景気というものが少し良くなってきて、企業考え方、雇用に対する企業考え方が少しずつ変化してきていると。そういった中で、しっかり我々としても話合いをしていきたいなと、こんなふうに思っております。
  86. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 今大臣指摘になった、役立ってきたという部分が今大きく変わりつつあるんだと思うんですね。  役立ってきたという意味は、新卒で会社に入る、言わばその大きな会社の中で新卒で入ってきた人たちが会社内でトレーニングをされる。そして、仕事を覚えるというよりも言わば社風になじんでいく。そして、子飼いとしてどんどんどんどんいろんな職場を経験しながら上に上がっていくというのが今までのやり方で、非常にこれは日本の経済の大きな力になってきた、正に役立ってきたやり方だと思うんです。総合商社等々を見ても、本当に企業戦士と呼ぶしかない、セブンイレブンで働いてきた人たちがたくさんいるわけなんですね。  しかし、その反対、その裏側で家庭はそのまま放置されてしまう。そして、パートの人たちが非常に生涯賃金は低くなっていく。一たびリストラされると、今度は四十五歳過ぎるとまず仕事がない。私もハローワークに行って見てきましたが、四十五歳と入れると、ほとんど仕事出てまいりません。この辺りをそろそろ変えていかないといけないんではないかという、今回はこの年齢指針の変更をすべきではないかということを今日はメーンにして質問をしたいんですが、もう一度お伺いします。  この年齢指針、三の①、これをもう一度御説明いただけますか。
  87. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 年齢指針の第一番目でございますが、これは新規学卒者等を募集対象としておりまして、その期間の定めがない労働契約、そういった場合を対象にした規定でございます。
  88. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 今この年齢指針があるために、ハローワークに行っても年齢の中身、自分が一体どういう仕事をしてきたかということは見てもらえない。四十五歳を過ぎたら、まず仕事はない。  この間もタクシーに乗ったときに言われたんですけれども、自分は二十年間不動産をやってきて、不動産に関しては賃貸だろうが売買だろうが武芸百般何でもできるって言うんです。ところが、いざ会社が倒産したり、あるいはリストラされたりしたときに、ハローワークに行っても何ら、年齢四十五と入れると何も出てこないと言うんですよね。やっぱりこれから年齢の中身を何とかしてマッチングさせていくようなハローワークの取組というのがどうしても必要になる。そのためには、年齢指針をまず撤廃させる。  これ、年齢指針のところを見てみますと、これは努力目標になっているんですね。指針であるからこれは決して強制力は持っていない、努力目標だとここに書いてあるので、そういう理解でよろしいんでしょうか。
  89. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) これは指針でございますので、完全に強制するというわけにはいきませんが、雇用対策法の中でやはり具体的に、求人の際にはその中身を明示しなければならないということも規定されております。そういう中で、ハローワークの窓口ではその記載された内容につきまして、それが適正になるように指導をしておりますし、できる限り年齢不問求人が増えるように、窓口で事業主に対してお願いをしているところでございます。
  90. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 これは、先ほど申し上げたアメリカの例でいくと、仕事を探しているときに自分の履歴書に生年月日を書くことは法律違反になっています。面接のときに年齢を聞くことも法律違反になっております。これは、どういう形で日本になじむかという問題があるんですが、実はこれ、公務員制度、民間だけではなくて公務員制度にとっても大変大きな問題になっておると思います。  国家公務員倫理審査会会長の平成十七年二月八日に出された意見書、この最後から二番目のパラグラフのところ、事務方の方、読んでいただけますでしょうか。
  91. 川村卓雄

    政府参考人(川村卓雄君) 御指摘の箇所は次のとおりでございます。  「倫理審査会が検討してきたことは、あくまで対症療法であって、原因療法ではない。公務員不祥事が起こる原因には根が深いものがある。例えば、事務次官以外の同期職員が早期に退職する慣行、天下りの問題、キャリア・ノンキャリアの区分が退職するまで適用されること、官民・省庁間の人事異動の少なさ等の諸問題がある。これらについて、徐々に改善が図られてはいるが、早急かつ抜本的な取組が必要である。これらを放置したまま、倫理規程のみによって公務員不祥事を根絶しようとすることは現実的でない。」。  以上でございます。
  92. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 日本型の自由な労働市場、これからどうやってつくっていくかということについての深い示唆があると思うんですが、今日は人事院の総裁来られておりますので、今指摘された早期退職、天下り、肩たたき、省庁間・官民交流の少なさ、そして中途採用の問題、その一つ一つについて今どんな取組をこの意見書の後されているのか、お答えください。
  93. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人佐藤壮郎君) まず申し上げておきたいのは、倫理審査委員会の会長と私とは基本的な部分で全く共通の問題意識を持っております。ただ、審査委員会の会長は倫理の面から今紹介された問題を提起しているわけでございまして、私の立場としては、その制度を担当する者として、やや会長とはニュアンスの異なった部分もあろうかと思いますけれども、順次お答えをしていきたいと思います。  まず、早期退職慣行とそれから天下りの問題でございます。  これについては人事院も大いに関心を持っておりまして、三年ほど前に、英、米、独、仏の調査を行いました。私もイギリスとフランスに参りましたけれども、そのときのこれらの国々の状況というのは大変示唆に富んだものでありますので、若干これらの国の状況を御紹介したいと思います。  これらの国々でも、程度の差こそあれ、公務員の再就職については規制を持っております。ただ、総じて日本の規制よりはかなり緩いという印象を受けました。  例えば、アメリカでは、御承知のように事後の行為規制でございます。それから、ドイツでは年金受給資格、ドイツではまだ恩給でございますけれども、恩給受給資格の前に、四十代、五十代で退職する者に対しては全く規制が掛かっておりません。しかしながら、各国の担当者が口々に言うには、国民からの批判というのは、皆無ではないけれどもほとんどないということでございます。  これはどういう理由であろうかということを大変興味を持ったわけでございますけれども、一つは、すべての国で、いわゆるポリティカルアポインティーは除いて、職業公務員についてはほとんどが定年まで、あるいは年金の受給資格発生するまで公務員として働いているということでございます。  ちなみに、定年の年齢でございますけれども、アメリカは定年制はございません。それから、ドイツ、フランスは六十五でございます。しかも、年金がかなり公務員の年金、優遇されておりますから、ほとんどの公務員は退職まで在職して、その後悠々自適をするかあるいは週何日かのボランティア活動をして社会の接点を持つということで、フルタイムで民間企業に転職する公務員というのはほとんどいないということでございます。  それからもう一つは、もちろんこれらの国々でも四十代、五十代の若さで民間へ転職する人がおりますけれども、それらの人々に関しては、自力で、自分の意思で、自分の経験、知識を生かして民間に転職するわけでございます。あるいは、民間からヘッドハンティングを受ける。したがいまして、そこにいわゆる利益誘導型の官民癒着という問題が発生する余地がないわけでございますね。これは非常に日本にとっても参考になろうかと思います。  したがいまして、これら、この問題に対処するためにはやはり公務員の退職年齢を引き上げていく、定年まで職場にいられるようにするということがまず第一であろうと思います。それに関しての施策といたしましては、閣僚懇談会の申合せ事項で、平成二十年までに退職年齢を三歳引き上げるという申合せがなされましたけれども、これをもっと推進する必要があろうかと思います。  それから二番目の、いわゆる自力で、組織の世話にならずに民間へ転職すると。これも今人事院では経団連の協力を得まして公正な人材活用システムというものをつくっておりまして、それで透明な環境で民間へ転職できるようにしております。これも推進する必要があろうかと思います。  いずれにせよ、なるべく早い時期にこれらの諸外国の状況の水準に合わせるような、いわゆるグローバルスタンダードに向けたいろいろな施策が必要であろうかと思います。  それから、二点目のキャリア制度とそれから官の人事管理が非常に閉鎖的であるという問題でございますけれども、キャリア制度については、これは大変いろいろな批判がなされておりますけれども、なかなかこれ改善は進んでおりません。問題は、現在のそのキャリア制度というのがⅠ種試験の合格者に限られて、ほとんど限られているわけでございまして、二十代の初めにⅠ種試験に合格すれば、一生その特急券が得られるということが大きな問題だろうと思います。  一方で、やはりどんな組織でもそうでありましょうけれども、幹部候補生を早期に選抜して育成するということは、これも必要でございます。したがいまして、問題は、その幹部候補生をどういうような方法でいつの時期に選抜をするかということでございます。これに関しまして、現在人事院として取り組んでいるのは、Ⅱ種、Ⅲ種試験からの合格者を選抜して幹部まで登用するということを推進すると。で、これについての研修制度についても充実させる方策を取っているわけでございます。徐々に効果は現れておりますけれども、必ずしも抜本的な対策にはなっていない。根本的にはやはりその評価制度、それから試験制度というものをどのように考えていくか、そして……(発言する者あり)はい、失礼いたしました。ということでございます。  それから、官の閉鎖的な人事管理の問題でございますけれども、これについても、官と民の交流については官民交流法、それから任期制任用の、任期付任用の制度をつくったことによってかなり進んでいると思いますけれども、抜本的な解決にはまだなってないと思います。  いずれにせよ、これらの問題につきましては、国民各層の幅広い意見を取り入れながら、十分に議論を進めていくことが肝要であろうと思っております。
  94. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 先ほど申し上げた、この倫理審査会の会長が非常に抜本的な新しい視点で提案をされた内容がやはり組み入れられてないんじゃないかなというような気がいたしました。  一番聞きたかったのは、余り複雑なことじゃないんです。どんな組織でも非常に大きなピラミッドになっていますので、下から必ず毎年四月に何千人も入ってくると。上は一人しかいないと。そしたら当然その間たくさんの人たちが外に出なきゃいけない。一生懸命やってきた仲間なんだから何とかしてあげよう、天下り世話しよう、あるいは関連会社に就職世話しようというのはこれは人間として当たり前の感情だと思うんですね。そこのところを何とか抜本的に変えて、組織に就職するんじゃなくて、自分のキャリアをあらゆるところで持っていけるような、そういう形に持っていこうというような発想はないんでしょうか。
  95. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人佐藤壮郎君) 先ほどお答え申し上げましたように、まず民間への転出についてはやはり透明性が確保する必要があるということで、現在、人事院として行っている公正な人材活用システムというのをこれからも十分活用していきたいと思っておりますし、それから官民交流法等に基づいて官民の交流をますます推進していきたいというふうに思っております。
  96. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 それでは話題を変えます。  今取り組んでおられるこのバウチャー制度個人の選択を機能させた若年者の能力開発に関する調査研究という意味で、今バウチャー制度の研究をされているというふうに聞き及んでおりますが、これについての概略教えていただけますか。
  97. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 職業訓練のバウチャー制度でよろしゅうございますね。  若者向けの職業訓練、バウチャー制度については、昨年六月に策定された経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇五、まあ骨太の方針と呼ぶやつでございますけれども、そこにおいて、外国や都道府県における取組を検証しつつ、有効性及び問題点等について今後一年以内に、目途に検討し、結論を得るとされております。このため、現在、内閣府と共同で海外の取組や、日本では現実に栃木県でやっております、栃木県のモデル事業の取組について検証を行っております。  厚生労働省としては、こうした取組の検証等を踏まえ、若者向け職業訓練、バウチャー制度の有効性及び問題点等について検討し、その後に適切に対処してまいりたいと考えております。
  98. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 このバウチャー制度について、例えば生涯学習、職業訓練をやるときに、これはいろいろな業種、職種、あるいは取扱商品、いろいろあると思うんですけれども、その辺はどういうふうに分類をされて職業人を育てようとされておられるんでしょうか。
  99. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) ちょっと通知いただいてなかったものですから。  今、栃木県の例を見ているんですけれども、栃木県では、三十五歳未満の就労の不安定な者及び職業に就いてない者、定員百名として、県の就職支援機関であるとちぎ就職支援センターに配置されておるキャリアカウンセラーがやっているということでございますけれども、具体的などの分野に分けながらというまで、手元に、正直言って承知しておりません。後で御連絡申し上げます。
  100. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 通告してない質問で失礼しました。  この質問をいたしましたのは、ハローワークの自分の経験を登録する際に、その職種、業種、取扱商品等々の分類が余りにも今の現代の仕事を探している人たちとちょっと懸け離れているという問題があるんですね。これ、いろんな地域でそれぞれの地域性も加味して今おっしゃった取組もあるようなんですけれども、やはりこれはその業界に長くおられた人たちが専門性をしっかりと発揮して、このハローワークの内容の職種、業種の分類等にやっぱりしっかりとアドバイズしていく、非常にダイナミックなものですから、この内容が陳腐化しないような取組がどうしても必要だと思うんですね。  こういう取組プラス、先ほどの年齢指針、努力目標を撤廃するということを同時にやっぱりやっていかないと、自由な労働市場といいますか、若い人たちが例えば新卒で就職できなかったとする、それでフリーターになってしまう、ニートになってしまう、希望をなくしてしまうという世界ではなくて、やっぱりどこからでも再スタートできるということのサポートにはならないと思うんですね。  この年齢指針のこと、もう一回お伺いします。これは努力目標なんですから、そろそろ撤廃されたらどうでしょうか。
  101. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先ほど違う議論から入ってしまいましたけども、一括採用という方式ですね、ここについて今の労使慣行を変えてまでやるかということになると、私も少し、もう少し勉強させてください、正直申し上げて。  一方で、ハローワーク等、今いろいろ指導しながら、年齢というものについて一つの規制がないような形でやるようにということで企業も随分協力してもらえるようになった。  あと、パーセントは分かっておるね。──パーセントを後で報告させますけれども、かなり上がってきて、先ほど申し上げたように高齢者の雇用という面ではかなり役立ってきている面はあるだろうと。  それから、今御指摘いただいたハローワークできちっとたまった一つのノウハウというんですか、それを、先ほど言った、県がああいう、分けながらやるときに、ハローワークでやってきたものの業種っていうんですか、それをしっかりお互い連携取りながらやっていけという御指摘ですね、先ほどの御指摘。そこはもう正に御指摘のとおりで、県も各地域の雇用を上げるためにいろんな面で御努力いただいております。その仕事とハローワークがやっている仕事と整合性を持ちながらきちっとやれという御指摘でございますので、そこはきちっとやるようにしていきたい。  それから、その指針を要するにもうきちっと法律にしてしまえというところまで踏み込むかというお話ししますと、これはもう、ちょっと審議会等の問題がありますので、勉強さしていただくということで。
  102. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 企業の側から見ますと、年齢差別をしてはいけない、募集を、求人票を作る際に年齢については書いてはいけないという指導がありますので、それはもちろんそのとおりにやっていこうという姿勢になっていくわけですね。で、その中で、それでは新規学卒一括採用については今までどおりでいいんだよと、特に努力はしなくていいんだよということを今言っているわけですから、これは別だよということになるのは当然の話だと思うんです。  私は、今全国の九九%は中小零細企業だと言われております、企業数ではですね。で、雇用者数でいきますと七割ぐらいは中小零細に働いているんだと言われております。そして、その中で、中小零細で働くという意味は、これはすべて、ほとんどすべてはやっぱり中途採用になってくるんですよね。本当に毎年毎年新規学卒を定期的に採用していくという中小零細はほとんどないと思うんです。  そうした中にあって、一たびリストラされた、あるいは、流通業に激しいんですけれども、何十年やっても自分の時給が変わっていかない、パートという待遇において何十年やっても時給が変わっていかない、そして昇進するっていうチャンスもない、管理職になっていくというチャンスもない。多分これは流通業によっては八割ぐらいの人がパートというところもたくさんありますので、そういうところの人にとってみて、上の二割の人たちはすべて新卒、しかも一括採用の人たちと、残りの八割がパートであり中途採用でありというこの慣行をやっぱり徐々に変えていく時代が来たんではないかと思っておるんです。  先ほど年齢指針を法律化しようといったことではなくて、努力目標なんですから、そこはさっきのバウチャー制度とかあるいはハローワークの対応と併せながら、これはそろそろ変えていくべきではないかというふうに申し上げているつもりなんですが、大臣、もう一度いかがでしょうか。
  103. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 要するに、指針の中に例外規定を設けていると、それを取ってしまえと、こういう御趣旨ですね。ですから、それは先ほどから申し上げているように、一括採用というこの採用の労使の慣行というものが、今、日本の国一挙に変えるべきかという議論はもう少し勉強させていただかないと、そうですねと言うわけにはいかないだろうと。  そういう意味では、先ほど言いましたように、高卒、大卒の数字自体も国民に安心感を与えるのも事実ですし、そこはしていきたい。しかし一方で、中途採用に対してもう少しきちっと温かい施策というのはないのかという御議論だろうと思います。そこは何ができるか、正直もう少し詰めていきたいと、こう思います。
  104. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 それでは、平成十七年度版労働経済の分析、「仕事につけない理由、年齢階級別完全失業者数」という紙が今手元にあるんですけれども、この最も要するに仕事に就けない理由、上から三つ教えていただけますか。
  105. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 今、手元にその資料がございませんが、記憶では年齢というものを挙げたのが一番多いというふうに理解をしております。
  106. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 年齢は二番目なんですけれども、済みません、希望する種類・内容の仕事がない、これが一番初めに来ております。二番目が、求人の年齢と自分の年齢とが合わない。これが二番目に来ているんです。この二つを合わせるともう五〇%以上がこの理由で再就職できない、あるいはフリーターから正社員にはなれないということになっているんですね。  まず、この年齢と自分の年齢が合わないという、これはもう論外だと思うんですが、しかし、希望する種類・内容の仕事がないというときに、求人票を登録するときに自分のまず年齢を登録しなきゃいけない、そしてこの年齢で足切りされてしまうということは、求職と求人がやっぱりマッチしてないということなんですね。  ここに、この点についてだけ最後にもう一度、ここを何とかするために年齢指針、もう一度見直していただきますように、最後、コメントひとつお願い申し上げます。
  107. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 要は、努力義務で年齢指針はきちっとやれという話の中で、一括採用だけちょっと先ほど申し上げた答弁を変えるわけにはいかないと思いますけれども、できるだけ年齢というものによって差別される就職でない、正にその人の技術、能力によって就職が得られるという制度を目指して我々も努力していきたいと思います。
  108. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 終わります。
  109. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で黒岩宇洋君質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  110. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、西田仁君質疑を行います。西田仁君
  111. 西田実仁

    西田仁君 公明党西田実仁でございます。  今日は、今国会でも話題になっております格差の問題に関しまして、まず、小泉内閣としては格差の固定化は避けるべきであると、こういうことを言っている中で、社会的弱者への配慮として総理がこの参議院でも次のような答弁をされております。どうしても自分だけでやっていけない人に対して国としてどのような支援の手を差し伸べられるかが重要だと。正にそのとおりであると私も思うわけであります。  この視点から、本日は、児童養護施設を退所した未成年者の身元保証人制度につきまして、厚生労働省質問させていただきたいと思います。  先日、私、地元は埼玉でございますが、埼玉に在住している児童養護施設を退所したある青年と話をいたしました。この人は、児童養護施設を退所した後、会社経営をしておられます。やっとの思いで高校に進学して、そして困難をいろいろありましたけれども乗り越えて会社を起こした、こういう方であります。ただ、同じようにこの養護施設で育った仲間の中には、親も見付からず、また就職する際、またアパートを探す際にも身元を保証してくれる人がいないと、こういう状況の中で、まともな仕事にも就けず、結果、やみの世界に入り込んでいく、そういう仲間が少なからずいるという、大変に悲しいお話もいただきました。  施設にいる間は当然施設が保証してくれます。しかし、中学あるいは高校を卒業した後、就職する際、この身元保証してくれる人がいないために、結局どうなるかといえば、その就職先の会社が身元保証をしてくれる、あるいは、社宅、社員寮とかがあって、そこに住まわしてくれる、こういう会社に就職をしなければならない。そういう意味では選択肢が大変に狭まれているということが一つございます。  また、必ずしもすべてがそうではありませんけれども、そうして就職した際には、ある意味で、保証人にもなってもらって社宅もある会社でありますので、足下を見られて過酷な労働を強いられる、そういうケースもあるやに聞いているわけであります。  これに対しましては、厚生労働省といたしましては何もしてないわけではございません。一つは、生活福祉資金の貸付けの際の特例、あるいは当面の生活費の援助としての就職支援費の給付等、一定の支援はなされておりますし、また、平成十六年度、十七年度におきましてはモデル事業も実施されております。  このモデル事業の実績状況につきまして、まずお聞きしたいと思います。
  112. 中野清

    ○副大臣(中野清君) 今、西田委員の御質問にお答えいたしますが、今の団体がやっておりますモデル事業については、この十六、十七年については実績がありませんので、よろしくお願いいたします。
  113. 西田実仁

    西田仁君 実績がないということであります。モデル事業をつくっておるけれども実績がないと。また、まあこれはもう御答弁いただかなくて結構ですが、都道府県においてもいろんな条例が昭和三十年代前後にこの身元保証に関してありますけれども、これも、厚生労働省、事前にお聞きしたところでは、全国でどのような実態になっているのかという実態は把握されていないと、こういうことであります。  私は、今日、厚生労働省に是非お聞きしたいと思っておりますのは、これは厚生労働省内での社会保障審議会でも議論をされました。こうした児童養護施設を卒園した人に対して公的な保証、機関としての保証をしていくことによって、未成年者の間、やる気のある人がいろんな選択肢を持つことができるんではないか、このように思っているわけでありますが、こうした新たな制度につきまして厚生労働省としてのお考えをお聞きしたいと思います。
  114. 中野清

    ○副大臣(中野清君) 今委員の御質問でございますが、児童養護施設に入所をしている子供が施設を退所する際に自立のための支援を行うことは重要なことであるということは認識をいたしております。このために、退所後、保護者等から支援が見込めない場合には約二十万円相当の就職に際する必要な住居費等の給付をしております。また、施設退所後の子供の相談、指導及び就業支援を行う自立援助ホームの設置の促進などの支援を実施しているところでございます。  施設を退所した子供が就職する際の身元保証人につきましては、施設関係者等が実情に応じて助力に努めているということは聞いておりますけれども、今委員が御指摘のとおり、まずは施設に入所をしている子供の身元保証に関する実態や、また自治体における独自の取組などの把握に努めてまいりたいと思いますが、それとともに、いわゆる国の身元保証制度創設につきましても、国がこれからどのような支援ができるか、そういう立場に立ちまして研究をしてまいりたいと考えておりますので、どうかこれからも御支援を賜りたいと思います。
  115. 西田実仁

    西田仁君 施設長が個人的に身元保証をして就職をし、あるいはアパートに入居しているというケースはもちろんございます。しかし、やはりこの個人的な対応ではなくて制度的な対応をしていくということが大事ではないかと思うわけであります。  今、様々な特例あるいはいろんな制度というものはございます。しかしながら、それは多くの場合、そうやって保証した人が、万が一その被保証人、すなわち施設を卒園した人が経済的な損失、損害を与えた場合に、その補てん、その損害補償分を補てんするという、そういう雇用主に対する補償にしかすぎないわけであります。そうではなくて、少なくとも未成年のうちは、その未成年者の本人に対して公的な制度として保証していく、こういうことによって、自分だけの努力では何とかならない、そういう人への支援の手を差し伸べるという、この小泉内閣における社会的弱者への配慮ということにつながるんではないかと思いますが、もう一度、副大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  116. 中野清

    ○副大臣(中野清君) 今委員の熱い思いについてはよく認識しておりますし、なかなか今ここで必ずやりますということまで言うのはまだ、決まっておりませんけれども、やはり委員のおっしゃったことについては、これは当然な私たちの国の義務だと思いますから、そういう意味で前向きに研究してまいりたいということで今回については御理解願いたいと思いますが、しかしこの問題については、是非、委員を始めとした議員の皆さんの御支援をお願いをしたいと思います。
  117. 西田実仁

    西田仁君 これは既に先進的に市として取り組もうとしているところもございまして、そうしたところのことも含めて、是非前向きな御研究をお願いしたいと思います。  次に、AED、すなわち自動体外式除細動器につきまして御質問をさせていただきたいと思います。  もう、今は議員会館にもこれが設置をされました。このAEDの普及については、もう効用等については申し上げません、皆さんもうよく御存じのとおりだと思います。  まず、厚生労働省にお聞きします。  AEDの公共施設における設置状況、また公共交通機関におけます設置状況について現状をお教え願いたいと思います。
  118. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 御指摘のAED、自動体外式除細動器でございますが、これは、心臓の心室細動によって血液の流れが止まるものに対しまして、電気ショックを施すことによって心臓の動きを復活して正常に取り戻すための携帯用の治療機器でございます。生命にかかわる重大な不整脈が生じた際に、AEDによる救命処置を直ちに行うことが救命率の向上に大きく貢献するというものでございます。  救命の現場に居合わせた一般市民がAEDを適切に使用するということにつきましては、厚生労働省においても推進しているところでございまして、平成十八年二月末までに、鉄道、空港十八施設など全国で約五百二十四施設に設置されていると聞いております。
  119. 西田実仁

    西田仁君 公共交通機関、例えば鉄道事業者のAEDの設置状況についてはいかがでございましょうか。
  120. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 平成十八年二月末、救急医療財団で調べたものでございますけれども、鉄道、空港が分かれておりませんで十八施設という統計になっておるところでございます。
  121. 西田実仁

    西田仁君 地元でいろいろとお聞きしてみますと、この交通事業者では、なかなか大手事業者といえどもいま一つ積極的に取り組めない状況、あるいは取り組まない状況があるやに聞いております。  そこで、今日は法務大臣にもお見えいただいておりますのでお聞きしたいと思いますが、このAEDを設置するに当たりまして、これはもう非医療従事者にも開放したという経緯があります。制度的な担保というか、仮にその非医療従事者がAEDを使って緊急措置をとった場合に、万が一の場合というのも当然あるわけでございます。その場合に、こうした刑事あるいは民事におけます積極的な免責というものがなければ、なかなかこれを使おうという状況にならない。強いて言えば、そうした例えば鉄道事業者においてもこれを積極的に導入していこうということにもならない、こういうことではないかと思います。この刑事、民事におきますAEDを使った場合の免責、積極的な免責ということにつきましてお聞きしたいと思います。
  122. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 先生御指摘の場合についての法律上の明確な措置はなされていないと承知しておりますが、AEDを使用した場合に犯罪に問われる可能性というのはゼロじゃございませんが、そういう場合は個別の事案に応じて、収集された証拠に基づいて判断されるべきことであることは一般的に申し上げるまでもございません。  しかし、人の生き死ににかかわる事態でございますから、緊急行為と申しますか、そういうことですから、処罰されることはまあまずないんじゃないでしょうか。
  123. 西田実仁

    西田仁君 大変に積極的な免責が、当然個別のケースでございますけれども、今大臣から御答弁いただきまして、誠にありがとうございました。  このAEDの普及啓発事業、厚生労働省に今度はお聞きしたいと思いますが、この普及啓発事業予算が昨年度も、また今年度も増えて出ております。この普及啓発事業の今の進捗状況について政府参考人にお聞きしたいと思います。
  124. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 公共機関等への普及でございますけれども、救急医療体制は、医師を始めとした医療従事者、あるいは搬送を担う救急隊員、それからその場に、救急の現場に居合わせた一般市民を含めた多くの方々の参画によって、協力し合って傷病者の救命処置をつなげていくということが大切だというふうに考えております。  このため、普及を行うということで、厚生労働省としては、医師の資格を有しない一般市民が心停止の状態にある者に対してAEDを使用して救命処置を講ずることは医師法違反でないことを解釈通知の形できちんと示すとともに、AEDの使用方法の講習会の開催、あるいは関係機関への啓発等を進めているところでございます。  例えば、ちょっとお待ちくださいませ、平成十六年、ちょうど通知を出した後でございますけれども、公共機関の代表の方々、JRの各社の方々、あるいは私鉄の関係者の方々、そういった方々を対象に、二十五社四十三名を対象に説明会、講習会を行ったり、その後、一般市民を対象にする講習会を救急医療財団その他を通じて、あるいは日本赤十字社を通じて行っているところでございます。
  125. 西田実仁

    西田仁君 厚生労働大臣にお聞きします。  国を挙げての設置、普及に対する決意をここで再度お聞きしたいと思います。
  126. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 西田委員を始めとして、公明党にはAEDの普及に大変熱心な議員が大勢いられるということはよく承知しておりますんで、私が答えるよりも大臣が答えていただいた方がより満足されると思いますけれども、大臣としっかり打合せをいたしまして、御承知の、今医政局長からもお話がありましたように、しっかりと、この長い経緯がございますけれども、今後AEDの普及に向けて全力を挙げて取り組んでまいりたい、そのように思います。
  127. 西田実仁

    西田仁君 最後に、中国語による医療提供につきましてお聞きしたいと思います。  中国からの帰還者から訴えをいただいておりまして、帰還者の多くは病院に行っても言葉が思うように通じないと、また病状とか痛み、不安を医師に明確に伝えられない、薬の飲み間違いも少なくないと。多大な精神不安から帰国者の罹患率が同世代の日本人よりも高いと、こういうような指摘もございます。こうした中国語で受診できる医療環境を整えるための情報提供、これにつきまして整備していく必要があるんではないか、こう思っております。  この国会では医療法の一部改正も盛り込まれておりまして、そこの中においてこうした情報提供をすべきでないか。ひいては、中国語だけではなく、外国語全般にわたって、外国語で医療を提供できるような、そういう情報提供のサービスを伴うべきではないかと思いますが、厚生労働省、いかがでございましょうか。
  128. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 西田委員から外国語に対する対応、こういった点で情報提供をしっかりしろ、こういうお話でございます。  私どもも極めて重要なことであると考えておりまして、今般の医療制度改革におきまして、すべての医療機関に対して医療機能に関する一定の情報を都道府県に報告することを義務付けて、都道府県がそれをインターネットなど、地域住民に広く提供する、そういった制度を創設していきたい、こんなふうに考えております。  対応可能な言語に関する情報につきましては、外国人の患者が医療機関を選択する上で非常に重要な情報でありまして、現在でも医療に関して広告可能な事項の一つとしているところでありますけれども、都道府県、例えば東京とか茨城、こういったところではホームページにおいて医療機関が対応可能な言語に関する情報を既に提供している、こういう例もございます。  新たな情報提供の制度の対象となります情報の範囲につきましては、患者による医療機関等の選択を支援する観点から今後具体的に定めることにしておりまして、御指摘の、医療機関において対応可能な言語、中国語だけではなくていろいろあろうと思いますけれども、情報を対象とするということにつきましても積極的に前向きに検討していきたい、そんなふうに思っております。
  129. 西田実仁

    西田仁君 ありがとうございました。  以上で終わります。
  130. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で西田仁君質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  131. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、大門実紀史君の質疑を行います。大門実紀史君。
  132. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。  今日は、午前午後を通じて、サラ金、クレジットの高金利、高過ぎる金利について取り上げたいと思います。  この間、多重債務、自己破産あるいは自殺ということで、やみ金だけではなくてサラ金、クレジット被害の問題も社会問題化しているところでございますけれども、こういう中、最高裁がこの間相次いで、いわゆるグレーゾーンの撤廃に向けた、そういう方向の判決、あるいは高金利を引き下げる、を促すような方向の判決を出してきているところでございますけれども。  まず金融庁に伺います。いわゆる上限金利のグレーゾーンの存在がいろいろ引き起こしてきたわけですけれども、このグレーゾーンそのものについて分かりやすく説明をしていただけますか。
  133. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) お答え申し上げます。  いわゆるグレーゾーン金利でございますが、これは一般的に、刑事上の上限金利を定めました出資法と民事上の上限金利を定めました利息制限法、この二つのそれぞれの上限金利の間の金利を指すものとされていると承知しております。  なお、貸金業規制法四十三条一項におきましては、いわゆるグレーゾーン金利に当たります利息の支払につきまして、一つは債務者が利息として任意に支払ったこと、二つは契約締結時及び弁済受領時の書面を交付していること、この二つを要件として有効な弁済とみなすこととされているところでございます。
  134. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  与謝野大臣に伺いますけれども、なぜ日本にこういうグレーゾーンが今まで存在してきたのか、どういうふうに思われますか。
  135. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) これは、出資法と利息制限法という二つの法律があって、貸金業者は利息制限法で規制されているわけでございますが、出資法ではそれより高い制限が掛かっているわけでございます。その際、これらの法律を改正するときも、二十年近く前だったと思いますけど、いろいろ議論があって、それではそのグレーゾーンについては契約のときの任意性とかあるいは支払のときの任意性とかということが条件でそれでは認めようと、そういう経緯があったというふうに覚えております。
  136. 大門実紀史

    大門実紀史君 もう少しリアルな経過、調べてみましたので申し上げますと、いわゆる八三年のサラ金二法ですね、貸金業規制法と出資法が成立したときですけれども、これは当時から議員立法でございました。この議員立法の提案者の大原一三議員がこういうふうに国会でも発言されています。これは初めて貸金業者に規制を掛ける法律だと、それをのませるためのあめとして、あめとしてこのグレーゾーンを設けたんだと言っております。当時の新聞も調べてみましたけれども、八三年四月二十八日に法律成立したんですけれども、三十日の新聞には、もう業界が大喜びの、業界にとっての悲願だったと、この法律の成立はというふうに大変業界が歓迎して、逆に、サラ金被害に遭った人たちの弁護士さんとか団体は、これじゃ何が一歩前進だというふうに言っていたわけです。  つまり、経過とその後の事実からしても、この貸金業規制法、議員立法でやられたものは、今のグレーゾーンの被害につながるものをつくってしまった。そして、逆に言えば、今のサラ金業界、もう世界で類のない発展を、急成長ですけども、そういうものをつくってしまった背景にこの八三年の立法があり、グレーゾーンの設定があったというふうに言えると思います。  私はそもそも、これは法務大臣にお聞きしたいんですが、出資法や利息制限法のことですから、議員立法じゃなくって政府、法務省が提案すべきだったものだと思いますが、いかがですか。
  137. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) いや、べきであるとかべきでないとかは別にして、法律は国会がお決めになることでございますから、議員提案であって、それに政府が協力をして制定されるに至ったと承知しております。
  138. 大門実紀史

    大門実紀史君 御存じなければお教えしますけども、一九六四年に、あるいは六八年に最高裁判決が出ておりました。つまり、もう利息制限法以上は駄目だよ、民事上駄目だよという明確なすぱっとした判決が出ていたんです。で、業界団体はそれでは困るということで、適用を除外してくれと、登録したら適用を除外してくれという強い要求をしておりました。それで、八三年にこういう適用除外とみなし弁済のグレーゾーンを認めてあげるというふうになったわけですね。  このときに、当時自民党のサラ金小委員でした藤井裕久さん、こうおっしゃっています。これは、最高裁の趣旨を割り引くような、骨抜きにするような法改正内閣とか法制局とかはできないと、だから議員立法でやってもらったんだと。もう逆に言えば、その最高裁の判決どおりやるつもりだったらば内閣でも法務省でも提案できたというふうに私は思います。いかがですか。
  139. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 当時の事情は承知しておりませんが、重ねて申しますけれども、議員提案であろうと内閣提出であろうと、法律案は国会で審議されるべきものでございます。  ただ、法務省の場合は、最高裁判所の判断があれば、それは尊重しなければならないということはあり得ると思います。
  140. 大門実紀史

    大門実紀史君 私は、議員立法一般を否定するわけではございません。活性化すべきだと思いますが、こういう議員立法はちょっと問題ではないかと思って質問しているわけですけども。  今おっしゃいましたんで聞きますけども、そうしたら、早い話、今回も最高裁判決が出てグレーゾーンを撤廃する方向で考えろとなっております。法務省の所管ですから、すぱっと出資法の上限を利息制限法に下げるという提案を、最高裁判決どおりやるんでしたら、提案されたらいかがですか。
  141. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 私は、この平成十五年のやみ金融対策法には議員の一人でかかわっておりましたのでその経緯は承知しておりますが、当時、もうやみ金融がはびこっておると。上限金利を超える、何倍もの金利を取って庶民を苦しめているやみ金融をいかに退治するかという点に一つの焦点を置いて議員立法であのやみ金融対策法を作ったわけでございますが、国会は通ったわけですが、その法律には、施行後三年、すなわち平成十九年一月を目途として所要の検討を加え、必要な見直しを行うものとされております。  最高裁の判例は、そのグレーゾーンについて、任意性その他について厳しい判断をされておるわけですが、グレーゾーンそのものを否定されているとは私は考えておりませんが、上限金利の在り方については、資金需要の状況金融業者にも悪いのと良心的にやっている人がおられます、資金需要の状況、その他の経済・金融情勢や貸金業者の業務の実態等を勘案して検討する必要がございます。  今後とも、関係機関と協力しながら必要な検討を行ってまいりたいと思っております。
  142. 大門実紀史

    大門実紀史君 せっかくいろいろ申し上げたのにお分かりになっていないようでございますけども、続きは午後の第二ラウンドでやりたいというふうに思います。  ありがとうございました。
  143. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で大門実紀史君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  144. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、福島みずほ君の質疑を行います。福島みずほ君。
  145. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  猪口大臣にお聞きします。出産費用無料化について言及されていますが、実現はいかがですか。
  146. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 福島先生にお答え申し上げます。  出産無料化あるいはそれに類似する考え方、様々ございますけれども、これは私に広く寄せられ、頻繁にまた寄せられる多くの意見の一つでございます。私は、このような少子化対策のような課題につきましては、まず地方の声、それから現場の声、地方に出向いています、現場の視察もたくさんやっております、そしてやはり若い世代の声、これを可能な限り政策プロセスに反映したいと考え、積極的にそのような声を聞いてきておりますけれども、そういう中で頻繁に寄せられる意見の一つでございます。  少子化社会対策の推進会議というのがございます。六月に取りまとめますので、広く集めてきた声を分析し、議論し、また反映させていく機会もあろうかと思います。今般、厚生労働省の方から、これは出産育児一時金の引上げを、少子化対策の観点から見ても非常に有意義と思われますこの引上げをされることとしております。
  147. 福島みずほ

    福島みずほ君 猪口大臣、頑張ってください。  男女平等政策の獲得目標を挙げてください。(発言する者あり)
  148. 小野清子

    委員長小野清子君) ごめんなさい、私が早く申し上げた、もう一度御質問をお願いします。
  149. 福島みずほ

    福島みずほ君 男女平等政策の獲得目標を挙げてください。
  150. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 男女共同参画の行政につきましては、第二次基本計画を年末に閣議決定いたしました。その中には非常に重要な施策が多々盛り込まれています。例えば、二〇二〇・三〇と呼んでいるんですけれども、二〇二〇年までに指導的地位に占める女性の割合三〇%になるようにという考え方でありますとか、いったん家庭に入った方も再びどうぞ社会にカムバックしてその個性や能力を生かしてくださいというような考え方、たくさん盛り込んでございます。  目標値といたします場合には、それぞれの施策によって異なりますけれども、この基本計画に基づきまして、積極的に男女共同参画政策進めてまいりたいと考えております。
  151. 福島みずほ

    福島みずほ君 女性差別撤廃委員会から二〇〇三年、勧告を受けていることについてお聞きをします。  労働市場における法整備について、非正規雇用、パート労働の問題、ワーク・ライフ・バランスの問題、間接差別の法制度化、コース別雇用管理制度、これらについて残っている問題はありますか。
  152. 小野清子

    委員長小野清子君) 厚生労働大臣でいいですね。
  153. 福島みずほ

    福島みずほ君 はい。
  154. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 平成十五年、国連女子差別撤廃委員会の最終コメントにおいて、日本政府に対し、間接差別について女性に対する差別の定義に取り込むように勧告がなされております。委員会三百五十八条というんでしょうか。  それを受けて何が残っているかという中で、私ども男女雇用機会均等法の改正案を提出をいたしました。今般、改正案の規定は、いわゆる間接差別、その概念を定めるものであり、女子差別撤廃委員会の最終コメントに沿ったものと考えております。改正案においては、間接差別の概念について定めております。また、そこで触れております女子差別撤廃委員会の最終コメントにおいて指摘がなされているコース別雇用管理制度についても、厚生労働省令に規定することを予定していることから、女子差別撤廃委員会の最終コメントに沿った改正考えております。
  155. 福島みずほ

    福島みずほ君 マイノリティー女性のための実態調査の必要性を言われていますが、進捗状況はいかがですか。
  156. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) これは、二〇〇三年八月に出ましたいわゆる最終コメント、コンクルーディングリマークスのところに記載されていることをお指しのことと思いますけれども、我が国は次回の条約実施状況報告において、日本のマイノリティー女性に関する状況の包括的な情報を提供するということが求められております。これらを踏まえまして、その第六回の実施状況報告は本年中に作成し提出することとしておりますので、現在、その作成方針につきまして関係各省庁と連絡、そして協議しているところでございます。
  157. 福島みずほ

    福島みずほ君 実態調査、特に直接マイノリティーの人たちの声を聞く機会を設けてください。いかがですか。
  158. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 実施状況報告書の作成のプロセスにおきましては、例えばNGO等の意見を聞く会議なども開催しております、年末にやっております。それから、これからもNGOとの情報あるいは意見交換のための会議等、積極的にやっていく予定にしております。
  159. 福島みずほ

    福島みずほ君 ユニセフが世界の子供に対する差別を六つ挙げています。その一つに、何と日本の婚外子の法定相続分の差別が入っています。文部大臣、子供の人権問題として解決すべき問題ではないですか。このことを御存じでしたか。
  160. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) ユニセフの英語のホームページにおきまして、子供に対する差別の事例として六つの事例が挙がり、その中にバースステータスという形で、日本の嫡出でない子供の相続分が嫡出である子供の半分しか認めてないというようなことが記述されていることは承知をいたしております。  この民法における嫡出でない子の法定相続分の問題につきましては、現在、法務省において検討がなされていると承知をいたしておりまして、教育の現場におきましては、人権の尊重の精神にのっとって差別のない、一人一人を大切にする、そうした教育を実施しているところでございまして、今後とも差別のない社会実現のための教育の分野における努力を続けてまいりたいと存じます。
  161. 福島みずほ

    福島みずほ君 文部大臣、法務省に対しても子供の人権の観点からもっと取り組んでくれと言っていただけませんか。
  162. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 法務省におきましては、世論等の動向も踏まえ、適切に対処していただけるものと考えております。
  163. 福島みずほ

    福島みずほ君 婚外子の法定相続分差別があるのは、世界で日本とフィリピン以外にありますか。
  164. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 他国のことは存じておりません。
  165. 福島みずほ

    福島みずほ君 日本とフィリピン以外には存じ上げてないという、ないということでよろしいですね。
  166. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 私は存じておりません。
  167. 福島みずほ

    福島みずほ君 世界で日本とフィリピン以外にはないんですね。  官房長官、婚外子の法定相続分差別は解決すべき問題だと思われませんか。
  168. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 先ほど文部科学大臣が答弁したとおり、世論の動向も踏まえて、法務省において適切に対処するというふうに思っております。
  169. 福島みずほ

    福島みずほ君 適切な対処をよろしくお願いします。  女性差別撤廃条約──ごめんなさい、じゃ、もう一回質問やり直します。  法務大臣、どうすれば解決すると思われますか。
  170. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) この問題は、婚姻制度や家族の在り方にかかわる重要な問題でございます。各方面でいろいろな御意見があると承知しております。私としては、大方の国民の理解を得ることができるような状況制度改正を行うなどが望ましいと思っており、法務省としても努力しておりますが、各方面でも御議論がより一層深められることを切に願っております。
  171. 福島みずほ

    福島みずほ君 たくさん勧告を受けてまして、日本だけこう出ております。是非、解決するようお願いいたします。  女性差別撤廃条約選択議定書の批准がなかなか進みませんが、批准の障害は一体何でしょうか。外務大臣、猪口大臣、お願いします。
  172. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 女子差別撤廃委員会より、同条約、いわゆる選択議定書の批准の検討を継続することを奨励するとのコメントが提出されているということは承知をいたしております。  この制度の、いわゆる議定書の中に定める個人通報制度というところが一番問題なんだと思うんですが、条約の実施のいわゆる効果的な担保というんですかね、弁護士用語で言うと。多分そういう言葉なんだと思いますけれども、注目すべき制度であると考えられるということは確かなんだと思いますが、同時に、これは司法権の独立という話と絡んでくるんで、日本の場合、司法制度との関連で問題が生じるおそれがあるということで慎重に検討すべきであるという指摘もありますので、これらの点につきまして今慎重に検討がなされていると承知をしております。
  173. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 私が執筆しました男女共同参画基本計画第二次版でございますけれども、その中の重点分野の一つに、地球社会、平等・開発・平和への貢献部分がございます。そこにおいて、女子差別撤廃条約等の積極的遵守を具体的施策として掲げております。女子差別撤廃条約選択的議定書の締結の可能性についても検討を行うことを明記してございます。  内閣府といたしましては、この男女共同参画基本計画を着実に各省庁と協力しながら推進していくということでございます。
  174. 福島みずほ

    福島みずほ君 諸外国で司法権の独立を保障している多くの国々も選択議定書を批准をしております。  外務大臣、司法権の独立がなぜ障害となるのでしょうか。
  175. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 司法権の独立がなぜ問題になるのか。司法権の独立というのは大事なことじゃないですかね。司法にいらっしゃいましたんでよくお分かりと思いますけれども。  これは、個別の事案について、いわゆる、何というんですか、条約に基づいて設置された委員会等々、まあ審議会等々が見解を示すという場合に、これが、その当該事案というんですかね、又は、何でしょう、関連する事案について、いわゆる日本の裁判官の自由な審理とか、何でしょう、判断等々に影響を及ぼすおそれがあるという場合、裁判官の職権の行使かしら、職権の行使の独立との関係上問題になると。  ちょっと、弁護士の用語の方がもっと正確なんでしょうけど、そういったことから、多分司法権の独立というのはすごく大事なんじゃない、いや、そっちの方がよく分かっておられると思うんで、その上で聞いておられるんでしょうけど、私ちょっと弁護士そんなに詳しくないんですけれども、基本的にはそういうことだと。三権独立、そんなところだと思いますが。
  176. 福島みずほ

    福島みずほ君 選択議定書の批准の障害にはならないと思います。  たくさん勧告受けていて、婚外子差別撤廃を始めとし、きちっと問題を解決し、男女平等の実現をしてくださるよう心から申し上げ、私の質問を終わります。
  177. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で福島みずほ君の質疑は終了いたしました。(拍手)  午後二時に再開することとし、休憩いたします。    午後一時十九分休憩      ─────・─────    午後二時開会
  178. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  平成十八年度一般会計予算平成十八年度特別会計予算平成十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、証券金融に関する集中審議を行います。  これより質疑を行います。田村耕太郎君。
  179. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 今日は証券金融がテーマなんですが、この証券金融という技術を使って国有財産を売却、圧縮していこう、こういう試みが今進んでいます。自民党の中でもプロジェクトチームができまして、私、そのメンバーの一人なんですが、財務省の中でも検討会をつくられて進められているということですね。  党の総裁でいらっしゃって、政府のトップでいらっしゃる総理に、この国有財産の売却、圧縮、この試みに対するまずは決意、意気込みをお聞かせいただきたいと思います。
  180. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 国有財産をいかに有効に活用していくか、そしてまた、売却してもいいところは売却するという方向で政府としても、また与党としても検討されていると。この動きは私も支持しているし、特に東京都内におきましては、もっと現状よりも有効に活用できる方法があるんではないか。また、各地区に、土地の高いところに分散している公務員住宅等、公共的な施設等におきましても、売却できるところを売却すれば財政的にも少しでも貢献できるのではないか、あるいは、集中することによって有効的に活用できるのではないかと。  そういう観点から、私は、見直すべきだとかねがね指示しているところでありまして、今後、そういう観点から、売却なり有効活用なりを積極的に進めていきたいと思っております。
  181. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 ありがとうございます。  自民党のプロジェクトチームも志高く意気軒高に頑張っていますんで、是非支持いただきたいと思います。  そこで、財政再建という目標ももちろんあるんですが、私、仮に日本が財政的に大きな黒字を生む、そういうシチュエーションであっても、国としての資産負債管理というのはしっかりやっていくべきだと思うんですね。なぜかといいますと、もう家計でも企業経営でも、収入と支出だけじゃなくて、資産、負債、これ一体管理するのはもう普通のことになっているわけです。  予算衆議院で、決算は参議院、これ大変結構なことだと思います。しかし、今まで資産負債管理はしっかり国でやってきたんでしょうか。どこのだれがどういうふうに今までやってきたんでしょうか。財務大臣にお伺いしたいと思います。ちゃんとやってきましたか。
  182. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 委員の御質問のポイントは、資産の管理、国有財産の管理等に証券とか金融のやっぱり技術もよく使って、旧態依然たる方法ではなくて、そういう手法を使ってもっと斬新なものにしていくべきじゃないかという意味がこもっていたと思うんです。  今、先ほど総理からも御答弁がありましたけれども、財務省の中にも有識者のチームをつくっていただきまして、民間の手法等をどう活用しようかということで検討していただいておりますし、また、今委員がおっしゃった党の方の、与党の方のプロジェクトチームでも、ねらいはそういう新しい技術をどこまで入れられるかというところに一つあるんだろうと思いますから、双方で活発に議論をし合って、今までよりも良い手法を生み出していきたいと私も思っております。  今まで国の方は、それぞれ国有財産、いろいろ管理者がおりますけれども、それぞれの管理者が管理されるわけでありますが、統一的といいますか、省庁横断的に見てまいりましたのは財務省でございます。したがいまして、財務省としましても、今委員のおっしゃったような意識改革をやりながら新しい手法をできないかと研さんしてまいりたいと思っております。
  183. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 是非、党のチームと……
  184. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 一言、言うのを忘れました。
  185. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 はい。
  186. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) それで、それもありまして、今国会では国有財産法の改正をお願いしておりますので、ひとつよろしく御審議のほど、また御賛成のほどをお願い申し上げます。
  187. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 党のチームと財務省の中の検討会と切磋琢磨しながら、協力できるところは協力してしっかりやってまいりたいと思います。  この党のプロジェクトチームで、この前、都内の、総理がおっしゃられたように庁舎とか公務員宿舎見て回りました。テレビカメラもたくさん来られてまして、メディアの方の関心は場所がいいとか賃料が安いとか、そういうことだったんですけど、我々はそういう見方はしてないんですね。どういう見方をしたかというと、有効に活用されているかどうか。そういう観点で見ますと、まあ端的に感想を言わしていただければ、まあ宝の山なんですね。裏を返せば、今宝の持ち腐れなんですね。立地や容積率を生かし切ってないわけです。もうスリーDでね、ビジュアルで浮かぶんですね、ここに商業施設かましたら面白いんじゃないかとか、ここに住宅だけじゃなくてオフィスもかましたら面白いんじゃないか、そういうアイデアがわいてきたわけです。  まあこれ、詳しい数字は三月一杯にプロジェクトチームの方でも出しますんで、財務省さんも頑張られて出されると思います。まあ同じような数字になるか全く違った数字になるか分かりませんけど、是非総理、財務大臣、見ていただきたいと思います。  その中で公会計の話、こういう国の資産負債管理の話をしていると必ず出てくるのが、田村議員ね、公会計は違うんですよと、企業会計とは違うんですよと。資産、負債、貸借対照表を作っても、資産見てやってくださいと。公共用財産が百三十一兆円あります。ちょっといいですか、パネル。これですね。(資料提示)
  188. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 分かりやすい。ゆっくり話して。
  189. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 済みません、はい、分かりました。  公共用財産、これね、よく言われるんです。川や山やダムや道路やトンネルや港ですよと、こんなのだれが買うんですかと。売れませんよ、現金化できませんよ。そういうことを必ず言われるんですね。総理、こういうもの、絶対現金化できないですか、売れないですか。総理、どう思われますか。
  190. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 売れないものもあるし、売れるものもあると思いますから、すべてが売れない、売れないという前提考える必要はないと思います。
  191. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 ありがとうございます。  私もその意見に賛成なんですね。二つのやり方が私はあると思うんです。ちょっと下ろしてくれますか、二枚目お願いします。(資料提示)一つは、ネーミングライツを使うというやり方ですね。命名使用権です。ここに例を出しましたけど、野球場とサッカー場をここに書き出してみました。これ、名前を付ける権利なんですね。宮城県営野球場、フルキャストスタジアム、これ結構稼げるんです、年間二億円入ってくるんですね。サッカー場、これ横浜総合競技場、これは上から三つ目です、日産スタジアム、年間四億七千万円、結構稼げるんですよ。これ、日韓ワールドカップサッカーの決勝の地です。じゃ国立競技場、ここですね、もう総理も御案内のとおり、サッカー日本代表のメッカですよね、聖地です。つまり、代表のスポンサーカンパニー、必ず名前付けたいと思うんですね。横浜が四億七千万ですから、国立競技場に名前を付ける権利、これ売り出したら十億ぐらいで売れるんじゃないでしょうか。  競技場だけじゃないと思うんです。橋とか道路とかトンネルでもそうですね。例えばレインボーブリッジ、あれはライトアップされた色のことだと思いますけど、レインボーとか呼ばせてたって一銭にもならないわけですね。明石大橋、あれ、場所の名前そのままです。明石大橋ができたために私の選挙区である鳥取県になかなか高速道路ができないんですけど、まあ明石大橋も通行料だけじゃなくて、稼いでいただかなきゃいけないと思うんですね。日本じゅうの道路や橋やトンネルやダム、功成り名を遂げた方が名前を付けたい、企業が名前を付けたい、こういうニーズだってあるかもしれないんですね。しっかり命名使用権、これ是非使っていただきたいと思います。  またですね、済みません、大臣、もう一つだけ言わしてください。インフラの買収とか売却というのは今世界で結構起こっているんです。金融にお詳しい三大臣、お聞きになったことあるかも分かりませんけど、オーストラリアにマッコリーという銀行ございますね。オーストラリアでは一番大きな銀行で、投資銀行なんです。そこはインフラファンドの専門の銀行なんですね。世界じゅうの道路や橋やトンネルや港や空港を買収して、ファンドの中に入れて手数料を稼いでいるんですね。彼らの言い分では、インフラというのは独占的であり安定的な収入が得られる、通行料とか使用料ですね、これは非常にうまく運営すればもうかるんだということを言っているわけです。  例えばヒースロー空港ですね、今民営化されて売却されて上場企業の一部になっていますけど、年間の売上げが千八百七十億円、営業利益は八百二十億円の高収益企業になっています。  じゃ、日本で事例はないのかといいますと、箱根ターンパイクという道路がありますね、これバイクのツーリングのメッカです。非常に景色のいい道路なんですけど、あそこは国有地じゃなくて民有地だったんですね、東急が持っていたものだったんです。これを今度完全民営化が決まりました政策投資銀行とこのマッコリーという銀行が共同出資で買収したんですね、インフラファンドの中に入っているんです。で、彼らは、日本のインフラもっと買収して、うまく管理してもうけていきたいと言っているんですね。  政策投資銀行、完全民営化されます。一つのビジネスチャンスだと思うんですね。インフラに名前を付けさせる権利を売る、またインフラ自体を有効的に活用する。この手法は今世界の証券金融技術を使えば十分可能ですから、これ積極的に検討をしていただきたいと思います。  で、済みません、大臣、次が肝心なんですね、済みません。  今まで不動産の話ばっかりしてきました。不動産というのは国有財産の一部なんですね。一番大きなのは金融資産なんです。次のパネルをお願いします。(資料提示)これ、ちょっと数字小さ過ぎてテレビにも出ないと思うんですけど、政府保有の貸付金ですね。二百九十兆円あるんです。二百九十兆円、一般会計の三年半分ぐらいありますね。これね、何とか稼げないですかね。  まずちょっと金融にお詳しい金融専門の与謝野大臣にお伺いします。証券化、その中でも手法の一つとしてCLOというのがありますね、貸付債権証券化というものです。これ、端的に分かりやすく御説明いただけますか。
  192. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 簡単に申し上げますと、CLOとは、一般に多数の貸付債権を裏付け資産として発行される証券のことを呼んでおります。債権の速やかな資金化などの効果が期待できる、そういう商品でございます。
  193. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 つまり、貸付金を現金化できる技術がもう既にあるということですね。  そのCLOの中に、またちょっとマニアックな議論で申し訳ないんですけど、ローンパーティシペーションというやり方がありまして、債権と債務者の関係をそのままにしたまま、その間の経済的利益だけ証券化して投資家に売ることができるというやり方があるんですね。  債権、債務者の関係を変えないというのは、国の債権の場合重要なわけです。なぜかといいますと、債権者が国である、政府保証があるからつくれた貸付金なわけですね。ですから、CLOの中のローンパーティシペーションという一番新しい技術を使えば、この政府保有の二百九十兆円の貸付金ですね、何とか使えると思うんですが、財務大臣いかがですか。
  194. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) たくさんおっしゃいましたのでどこから答えていいのかと思うんですが、まず、今度の国有財産法の改正では、行政財産を貸付けできるということにしておりますので、今おっしゃったようなことを考えていく上では、国有財産法のこの改正は非常に大事だと思います。  それから、ネーミングライツの問題ですけれども、国が管理している例えば国立競技場みたいな、大概今は独立行政法人になっておりますので、国が直接できるものは数が限られております。それで、行政目的と抵触しないかどうかということは十分考えなきゃいけませんが、独立行政法人、これは総務大臣がその解釈者でございますから私が余り言ってはいけないんですが、独立行政法人自体の仕組みからすれば、ネーミングライツを使うということは全く考えられないわけではないと思います。技術的には可能だと思いますが、あとはそういう行政目的等々との調整ということはよく考えなきゃいけない問題だろうと思います。  それから、今おっしゃった金融資産ですね、金融資産をどうするかということですが、二百九十兆とさっきおっしゃいました。その大宗を占めるのが財政融資資金の貸付金で、これが二百七十五兆ございます。  それで、今おっしゃったようなその技術をどう使うかという場合に、検討しなきゃならないことが幾つかあると思います。これは貸借対照表の両方に載っているものですから、処分していっても全体のそのリスクというものは少なくすることができますが、財政再建上のメリットは余りないということはまずよく理解をしていただく必要があろうかと思っております。  その上で、権利関係が変わらないというのは確かに大事なポイントでございまして、やっぱり財政融資というのは、貸し付けていて、一つはこれはその目的に従った使用をしてくれなければ、あとはもう借りただけで自由に使うよというんではこういう国が財政融資というものをやっている意味がないわけでありますから、その行政目的に照らした使用をしてくださるかどうかということはやっぱり確保できないと、財政融資の本来の目的が達せられなくなるという問題点があります。  それからもう一つの問題点が、今委員がおっしゃったその資金を得てくるときに国の信用等々を背景として資金調達をしているコストの問題がございます。ですから、私どもとしましては、今申し上げたような、今のような、今おっしゃったような金融技術を使った上で、コストとかそれからもう一つは行政目的に照らした財政融資の活用が可能かどうか、この辺りは十分研究しなければいけないと思っております。
  195. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 大臣、今の答弁の中で一言だけ確認したいんですけれども、一言で結構です。債務圧縮に貢献できる可能性はあるということでよろしいですね、その理解でよろしいですね。
  196. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) はい。検討しなきゃならない問題点はございますけれども、使えない、使えないということではないと、いろいろ検討してみる必要があると、こう思っております。
  197. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 ありがとうございました。  次に、端的に、ちょっと現金化できるんじゃないかというものに関しまして、短い質問財務大臣に幾つかしたいと思います。  一つは、独立行政法人と民営化法人に三十六兆円出資金出していますよね。これもう売却してしまえばいいと思うんですよ。国が一〇〇%持つ必要もなくて、五一%まで落としてもいいものもあるわけですね。なぜ売却しないんですか。もう民間が買ってくれないようなものばっかりに出資しているんですか。そういうことじゃないですよね。政治決断で私、売却できると思うんですけど。三十六兆円ですよ。消費税の三年半分ぐらいありますね。今の公共事業の三年五か月分ぐらいあります。是非よろしくお願いします。
  198. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 民営化された法人、それから民営化が決定された法人の出資金、これはもう積極的に売却を進めていく方針でございます。  それから、それ以外の政府出資については、国の政策目的の実現とどう関連してくるかということをよく検討しなきゃなりません。国際機関とかあるいは独立行政法人の事業の的確な運営、あるいは経営基盤の安定、こういった出資は利益配当を目的としているわけではありませんから、民間の投資対象とするのはなかなか難しいんじゃないかという問題点もあると思います。  しかし、今後、独立行政法人なんかの中から収益性の改善がなされて民営化ができるというものが出てくれば、大いに検討しなきゃならないことだと思います。
  199. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 もう一つ、外貨準備ありますよね、外貨準備。これ、韓国やシンガポールでは外貨準備を積極的にもう運用を始めているんですね、海外投資にして運用したり。中国では外貨準備を国内のインフラの整備に使っています。日本も外貨準備、八十兆円あるわけですね。これは政府短期証券、この債務が原資になっているので、両建てだからなかなかできないという議論になっているわけですね。まあそれはそれで分かるんですけれども。  そもそも、谷垣大臣、八十兆円も外貨を持つことが必要なんでしょうか。為替リスクとか考えられたことはありますか。また、円建てベースマネー、金融政策に与える影響を考えられたことありますか。八十兆円もなぜ持つんですか。
  200. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) これは、なぜ持つというよりも、今までの為替介入の結果としてこういう額が積み上がってきているわけでございます。ですから、今委員のおっしゃった観点とはちょっと違っておりまして、政府が必要に応じて実施してきた為替介入と、今後もだから必要であるということになれば為替介入はしなきゃならないわけでございますが、そういう結果として積み上がってきたというふうに考えております。
  201. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 もう一つ具体的なお金の話をさせていただきます。  これ、総務大臣、公営金融公庫、完全廃止が決まりましたね。これ、今キャッシュで二兆五千億ぐらい残っていると聞きました。それは元々政府保証で引っ張ってきたものを市場金利で超長期に貸してきて、二十年、三十年ですから、こんな低金利になると思われなかったかもしれませんけれども、結果としてさやが生じて、政府保証で一〇〇%安全債権に貸し付けてきたわけですよね。その結果さやが残って二兆五千億ぐらい残っているわけですが、それ、私、元々は政府保証でできたものですから国庫に返すべきだと思うんですけれども、どう思われますか。
  202. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 公営公庫を今回廃止をいたします。そして、その後の仕組みをどのようにつくるかということを今実は我々としては考えているわけです。これは当然、まず地方の、私はできるだけ資本市場を活用したメカニズムにしたいと思っています。そして、国の関与をできるだけしないような形で、地方が自律的に資金調達するというような仕組みに持っていくのが本来だと思っています。その仕組みづくりを、これは公営公庫を廃止してやりますので、今制度設計を行っています。我々として総務省としての考えをある程度まとめた上で、これは、その後はやはり財務省といろいろ御相談をしなければいけないと思っています。  これ、当然このお金が欲しいと思っている人はたくさんいるわけでありますけれども、ここは私たちとしては資本市場を活用してフェアにやると。しかし、残っている債権もありますから、それをどうするかという観点からしっかりとオープンな議論をしていくつもりでおります。
  203. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 財務大臣、どうですか。国庫に返すべきだと思われませんか。
  204. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 返すべきだと思うという答弁はのどまで出掛かっているんですが、やっぱり今後の制度設計にかかわってくると思うんです。これで全く廃止してしまうということであれば、国庫に返していただくのが一番筋だろうと思いますが、やはり何かこういうものが必要で形を変えてやっていくとなると、これだけ積み上がってきたものは一種の、民間にしていけば資本みたいな役割を果たしていくわけですね。そういう資本は一体どこが出していくのかということも考えなきゃなりません。ですから、そういうようなことを今後の制度設計と併せて議論をしていかなければならないことではないかと思っております。
  205. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 最後に、総理に是非御提言申し上げたいんですけど、結局は売り方によるわけですね。いい物を、これは売るべきだという選定までうまくいっても、うまく売らなかったら、全く、安く売ってしまう、そういう事例、今までたくさんあったわけですよね。  ちょっと最後のパネル、お願いします。(資料提示)資産の選定まで国が行って、今までここで放してきたわけです。ここで、ここからもう民間が入ってきたわけですね、資産の選定のすぐ直後に。だから旧長銀、新生銀行みたいなケース、スパウザ小田原みたいなケース、非常に残念なケースが相次いだわけです。  買手の民間企業というのは付加価値まで見越して買いに来ますから、付加価値を民間に渡すか、国庫に落として取り込むか。私は、できるところまで国がやって、国庫にできる限り大きなお金を移すべきだと思うんですね。ですから、付加価値づくりまで私は国がやるべきだと思います。  このプラン、もう今日の日経新聞の一面に出ちゃいましたけれども、資産の選定から私は資産の加工まで是非国がやって、さっきのCLOとか、不動産物件だったら証券化とか、証券化の中でもリースバックとかREITとか、是非国が資産の加工までやってできるだけ高く売って、付加価値も取り込んで、そして国庫を潤す、そういうことを私はやるべきだと思うんですが、総理、いかがですか。
  206. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 様々な民間の資産の運用なり御提言というものをよく参考にして、要するに、いかに有効に活用するかと。そして、国庫に編入できるものは編入して負担を軽減していくという考え方を持ってこの問題に対応する必要があると思っております。
  207. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 最後に、資料の一番最後になると思いますが、給与明細書への広告の掲載についてというのがあると思いますけれども、(資料提示)これ、北海道庁の新たな取組なんですね。北海道庁、これから道州制特区なんかが認められて財政が厳しくなるかもしれないということへの準備かもしれませんけれども、給与明細の裏に、給与明細の裏に広告を取ろうとしているんですね。広告を取って、給与明細の裏で広告代金を取っていって、それを収入にしていこうという試みなんです。  我々の試みがある大手の新聞で紹介されたときに、焼け石に水だとか絵にかいたもちだという論評があったんですね。しかし、もってのほかだと思うんですね。焼け石に水のようなことを積み重ねてちりも積もれば山となると、一生懸命やっているのが今の民間企業であり、地方公共団体なんですね。  是非、国も、焼け石に水だと思わずに、できることは何でもやっていくんだと、そういう覚悟でやるべきだと思ってプロジェクトチームも進めていますし、財務省ともしっかりやっていこうと思いますので、総理、一層の応援をよろしくお願いします。
  208. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) よく、資産の売却やったって数千億だよと、兆円単位にはならないから焼け石に水だという議論も聞きますが、そうじゃない。たとえ数千億だろうが数百億だろうがプラスになるものは取り入れていきたいと思っております。
  209. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 終わります。ありがとうございました。
  210. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で田村耕太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  211. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、櫻井充君の質疑を行います。櫻井充君。
  212. 櫻井充

    ○櫻井充君 民主党新緑風会の櫻井充です。今日は、金融問題を中心に質問させていただきたいと思います。  まず最初に、ライブドアがニッポン放送株を時間外取引をいたしました。その際に、伊藤あの当時の金融庁の大臣、そして係争中でもあるにもかかわらず金融庁の方からこの時間外取引そのもの自体に問題はないんだという金融庁がコメントを出しました。その個別の案件、しかも係争中のときに、金融担当大臣、そして金融庁がこのようなコメントを出すのは極めて異例なことです。なぜこの時期にそういう発言をされたのでしょうか。御説明いただきたいと思います。
  213. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) これは伊藤大臣が新聞記者会見のときに問われたことでございまして、政治家として法律の解釈について問われれば一定の範囲内でお答えするということは私は当然のことだと思いますし、また伊藤大臣の発言を子細に点検いたしましたけれども、個別の案件というよりも一般的な法解釈を述べたものと私は考えております。
  214. 櫻井充

    ○櫻井充君 基本的には個別の案件についてはお答えしないと、国会の場で我々が質問するとそのように答弁されるわけですよね。記者の人たちに囲まれたときには個別の案件についてもお話しされるんですか。
  215. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) これは、ああいう取引があったわけでございますが、一般的な法解釈の問題を述べただけでございまして、特定のことに私は触れる意図は全く伊藤大臣としてはなかったと思っております。
  216. 櫻井充

    ○櫻井充君 先ほどの御答弁ですと、あのときに、ああいう時期に聞かれれば、政治家として何らかの発言をしなきゃいけないということになれば、このライブドアが時間外取引を行ったことについて記者の皆さんから聞かれているという認識をするのは、私は至極当然のことだと思いますが。  そしてもう一点は、金融庁が、まさしく係争中のときに、金融庁として、その時間外取引そのもの自体が、まあ問題がないんだという発言もされているわけですね。私は、なぜこういうことを申し上げているのかというと、一連のライブドアの事件を調べてくると、こういうときにもう少しきちんとした対応をしてくると、これだけの被害にならなかったんじゃないだろうかと、そういう思いがあるから質問しているわけです。  もう一度改めてお伺いいたしますが、係争中にこういう個別の案件に対して金融庁がコメントしたことに対して、何も問題がないとお考えでしょうか。
  217. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 伊藤大臣の御発言を正確に引用させていただきます。私が記者会見等でお話しさせていただいているのは、個別の取引ではなくて、一般論として、制度論として、今回の立会い外取引、時間外取引というものが今御指摘になられたTOB規制の対象となるかどうか、この点について議論のあるところでございますし、そのことについてお答えをさせていただいた、そういう答弁をされております。
  218. 櫻井充

    ○櫻井充君 これは担当大臣だけではなくて、その後に金融庁からもこういうコメントが出されているんです。  じゃ、与謝野大臣、別な観点からお伺いしますが、現在の法規制の中でライブドアのあのような時間外の取引は可能ですか。
  219. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 昨年の証券取引法の改正によりまして、これは認められないことになったと私は考えております。
  220. 櫻井充

    ○櫻井充君 つまり、おかしいと思ったから法律の改正をしているはずなんですね。そうでなければ改正、法律の改正の必要性がありません。  ですから、おかしいと思っていることに対して、あの当時の法律上は許されるか許されないか、一般論で、しかも一般論でおっしゃるとは言うけれど、その後の、まあ何というか裁判や何かそういうものに関してだって、私たちはかなりの影響を及ぼしているんだと思っているんです。  もう一度申し上げますが、あの問題が契機になって、この部分に関してはきちんと規制を掛けなきゃいけないということで法律の改正が行われました。そういうことに対してなぜ、もう一度お伺いしますが、金融庁がその係争中の間にこういうコメントをしなきゃいけないか。時間外取引で行われた場合には基本的にその取引上、市場内取引だということでありますので、公開買い付け規制の対象と考えていくのは難しいと。これは法律上そうかもしれません。しかし、係争中にあえてなぜ金融庁がこういうコメントを出さなきゃいけなかったんでしょうか。
  221. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 私はその当時、自民党の政調会長をしておりまして、あの取引自体が証券取引法に、TOBの規制に適合しているかどうかということについて随分考えておりました。場合によってはこれは脱法的なことなのかもしれないということも考えておりました。  しかし、これに関しましては、実は私の疑問を解消してくれましたのは裁判所での一連の判決でございまして、特に東京高裁の三月二十三日の判決、これは、後段の重要な部分だけ読みますと、売主に対する事前の勧誘や事前の交渉があったことが確認されるものの、それ自体は証券取引法上違法視できるものではなく、売主との事前売買合意に基づくものであることを認めるに足りる資料はないことから、この点の証券取引法違反という主張はその前提において失当であるというのが高裁の御判断でございまして、この判断を伺って私自身も得心をしたわけでございます。
  222. 櫻井充

    ○櫻井充君 それは、その制度の中で判断すればそういうことなのかもしれません。しかし、その後、制度は変えられるわけです。つまりは、自民党の中でも多くの方、多くの方というか、おかしいと言われる方もいらっしゃったわけであって、そうすると、そのことについてその担当の行政があのような発言をされることは私はおかしかったんじゃないか。  選挙のときに堀江さんを自民党が支援といいますか、そういう形で応援して、彼にブランド化させたと、そういうことが大きく取り上げられてはいますが、実際問題とするべきところは、政治上問題とするところは、例えば過度な株式の分割をするとか、こういった脱法まがいのことをしてきたときに、きちんと規制さえすれば、今回被害者の救済の会ができ上がったようですけど、これだけ多くの被害者を生まなかったんじゃないだろうかと、私はそう考えています。  総理、その点について御所見がありましたらお伺いしたいと思います。
  223. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 法律は守る、これはもう当然であります。しかし、法律以前に大事なこともあるんじゃないでしょうか。法律さえ守ればいいというもんじゃないと。法律以前にやっぱり社会的責任とか常識とか、これは人間としてどうかなと、こういう人間的な感性というんですかね、責任感というんですかね、それがなければ健全な社会は成り立たないと思っております。法律は大事なんですけれども、法律がすべてではないということを考えなくてはいけないと思っております。
  224. 櫻井充

    ○櫻井充君 いや、総理、今私はそのことをまさしく申し上げてたんです。つまり、法律に今は違法していないからこのことに関しては問題がないんだということではないんだと。つまり、その後から、おかしいと思っているから法律そのもの自体を改正しているんですから。だから、そういうモラルの欠如みたいなものがあったから、こういう事件はどんどんどんどん私は大きくなっていったんじゃないんだろうか。そういうことを指摘させていただいているんですね。  もう一点ですが、こういうそのライブドアの不正そのもの自体、例えば株式分割などはもっと前に行われているわけであって、その不正をもうちょっと早く発見できなかったんだろうか、そうすればこれだけの被害が及ぶことはなかったんじゃないだろうかと思いますが、この点について金融担当大臣、いかがでしょうか。
  225. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 商法の改正等もございまして株式分割というものが可能になったということは、委員御承知のとおりでございます。  しかしながら、株式分割が言わば株価をつり上げる手段として使われるということについては、このことは比較的早く気が付きまして、東証がこれについては、発行体に対してそういうものは、例えば百分割するというようなことは自粛してくれと、認められないということを申し上げまして、それ以来そういう多く分割するということは例がなくなりました。  それともう一つは、やはり株式分割をする、株券の印刷が間に合わない、そのことの時間差によって株価がつり上がる、この問題についても一応制度的に解消いたしました。しかしながら、株式分割というのは多くの方に株主として企業経営に御参加いただくと、こういう元々の趣旨でございましたけれども、分割自体を株価を上げるための手段として使ったということは、これはやはり制度の目的、趣旨には反していたと私は思っております。
  226. 櫻井充

    ○櫻井充君 答弁になってません。  私が申し上げたのは、こういうおかしいやり方をしているから、まあ法律上問題ないのかもしれないけれども、どうも皆さんから見ればおかしいことだった、だからその後どんどんどんどんその穴を埋めていくようなやり方をしている。であったとすれば、そういう企業なんだという目で見れば、もう少し早く不正を見付けることは可能だったんじゃないんでしょうかと。  ですから、今の検査体制等も含めてそれが可能だったのかどうかということについてお伺いしているんです。
  227. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 当然、幾つかの株式分割の例を見ましたときに、そのこと自体はおかしいことだということはみんな認識は持っておりまして、これは東証、東京証券取引所の内部秩序の問題でございますけれども、東証もそのことに気が付いて、それを是正するためのいろいろなことをやったわけでございます。  これは、先ほど申し上げましたように株式分割ということは必要な場合があるわけでございますけれども、株価を技術的につり上げるというために使うような株式分割というのは元々の制度の趣旨に反している、そのように私は思っております。
  228. 櫻井充

    ○櫻井充君 そういうことを申し上げているんではなくて、つまり、これから大事なことは、今後ですよ、やはり問題のある企業を早期に発見しないと、それこそその市場の信頼性を失うことになるわけですよね。ですから、これから間接金融から直接金融へというのがこの国の、この政府の方針なんだろうと思います。ですから、そういう点でいったら、いかにその公平性、透明性を保っていくのか、そして株、投資してくださる皆さんにどれだけその信頼を得るのかということがすごく大事なことですから、そういう意味で不正はもう少し早く見付けられなかったんですかと。  それから、若しくは、もう一つ大事な点は、今後きちんとした対応が本当に取れるんでしょうか。そこ、そのことがきちんと今の答弁でないと、やはり市場の信頼性というのは私は回復しないんじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。
  229. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 株の取引で私は二つの柱があると思っております。  それは、真実性の高い情報を投資家が入手すること。すなわち、情報を開示する側が誠実な情報開示をする、それによって投資家が合理的な判断ができる、そういう情報開示の面が一つ。それからもう一つは、やはり取引をフェアなやり方でやると。これは証取法もそういうことを担保するためのいろいろな規定を作ってありますし、また東証の規則も、そのための幾つもの規則を持っております。  こういう情報開示と公正な取引という二本柱がやはり証券行政をやっていく上で最も大事なことであると私は思っております。  そのために、ここ数年起きましたいろいろな、証券取引の上で起きましたことを一般抽象化してやはり法律改正を行う必要があるということで、今般、金融商品取引法という法律を出させていただいて、更に金融商品の取引で投資家が不測の損害を被らないようにやっていく責任があると、こういう趣旨で我々はやっております。
  230. 櫻井充

    ○櫻井充君 ちょっとよく分からない御答弁でございました。どうすればいいのか、今まで問題がなかったのかどうか、もうちょっとはっきり御答弁いただければ有り難いと思います。まあ、ちょっと済みません、時間がないので。  今回のもう一点の問題は、投資事業組合なんだろうと思います。我々もチームをつくって検討してまいりましたが、その投資事業組合そのものの事業活動の問題もあります、問題というのはきちんとやれるかどうかということ。しかし、ここに本当に規制を掛けなければ、様々な今回のような形で隠れみのにもなると。ですが、我々の今の制度設計上の中でいうと、なかなか、例えばマネーロンダリングに使われるとか、そういう悪用されるようなことをなかなか規制し難いなと、そう思っているんですが、今回の新しい法律でこの規制は可能になるんでしょうか。
  231. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 金融庁としては、証券市場に対する投資家の信頼性を確保するためには企業財務情報等の適正な開示が行われることが極めて重要であると考えておりまして、仮に投資事業組合を活用して自社株の売却益を売上げに計上すること等を通じ有価証券報告書の虚偽記載が行われた等の法令違反の事実があれば、法令に基づき厳正に対処されるべきものと考えております。  今回、今国会に提出いたしました証券取引法等の一部を改正する法律案においても、ファンドについては、例えば投資事業組合等のファンドについても包括的に法の対象とし、主として投資家保護の観点から、ファンド持分の販売、勧誘、投資運用等について登録制度を導入する、そのほかたくさんの制度を新たに導入しようとしております。
  232. 櫻井充

    ○櫻井充君 それはよく分かるんですが、その上で、こういう形で本当に悪用されるということを防ぐことは可能なんでしょうか。つまり、海外などにファンドをつくられたりした場合ですね、そういうものもきちんと追い掛けることが可能なのかというと、私は難しいんだろうと思っているんですね。これは、全部が全部制度で本当に規定できれば一番いいわけです。それは今の証取法の改正だけで十分なのか、私たちは、税制も併せて、企業そのもの自体がどういう活動をしているのかということもきちんと押さえ込んでいかないとこういう問題は解決しないんじゃないだろうかと、そう考えていますが、大臣、いかがですか。
  233. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) あらゆることを考えて法改正をお願いをしております。悪いことをする方の悪知恵よりも上を行くような法改正をしたいと思っておりますけれども、将来どういうことが起きるかということは完全な形では予測できないというのが誠に残念なことでございます。
  234. 櫻井充

    ○櫻井充君 確かに悪知恵を働かせる方々が数多くいらっしゃって、それは一般の人たちだけではなくて、本当に政治家の方の中にもいらっしゃるところに問題があるのかもしれません。後でそのことについては指摘さしていただきたいと思いますが。まあいずれにしても、今回こういう形でいろいろ検討していますが、アメリカのエンロンの事件の際に一体どういうことになったのかというと、やはりその個人個人のモラルが極めて大事なんだと。そこの部分を何とかしなければ、こういう制度だけでは難しいという、そういう結論になっているのかなと思います。  その意味で、先ほど総理からちょっと御答弁ございましたが、私は率直に申し上げまして、総理自ら、例えば公約を守らないことは大したことじゃないとか、それからフセイン大統領が見付からなかったときには、元々いらっしゃったフセイン大統領とそれからあったかどうか分からない大量破壊兵器とを一緒にされて、フセイン大統領が見付からないから大量破壊兵器が見付からなくたってそれがなかったと言えないじゃないかとか、それから、まあ言い出せば幾らでもあります。自衛隊がいる、存在しているところが非戦闘地域であるとか、それからお姉さんの車の不正使用とか、様々な問題があって、総理自ら、私は、割とグレーなところを、行動を取られているから、発言されているから、社会全体がおかしくなってきているような気がしますが、総理としてはいかがですか。
  235. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、私、今言ったことはみんな本当じゃないかと、大体。自衛隊が活動している地域は非戦闘地域だと、これがどうしておかしいのか、いまだに分からないんですよ。戦闘地域では自衛隊は復興支援活動を行わないんですよ。それが問題にされるところがおかしいと思っているんですね。私はできるだけ分かりやすく答弁しているつもりでございます。
  236. 櫻井充

    ○櫻井充君 総理は今回のライブドアの件に関してだけ、私は五年半の総理の発言を聞いていて、今回の堀江さんの擁立に関してだけ謝罪されたというか、反省すべきところは反省したいとおっしゃった。それ以外は全くそういう言葉がなかったんで、今回は極めて、何というか、異様に感じた点もございます。  それはそれとして、もう一つ、格差社会が広がってきているんじゃないだろうかという、この指摘が随分あります。  そこの中で、今回の税制を見てくると、私はやはり問題があると思っているのは、中小企業のその同族企業ですか、その人たちの役員給与が、損金今まで算入できたのが不算入になってしまったと。大企業の場合には、その役員報酬はどうかというと、損金に算入することができて、なぜ中小企業そのものに、中小企業だけ、まあいろんな要件は掛かっていますが、中小企業にそのような税制を掛けなければいけなかった理由をきちんと説明していただけますでしょうか。
  237. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 中小企業といっても同族会社、典型的には一人会社を考えていただかなきゃいかぬのですが、いわゆるそういうオーナー企業におきましては、オーナーが自らへの役員給与を法人段階で経費として計上する、つまり損金算入することができる。そして、その自分がもらった役員給与について、今度は個人所得課税の段階で給与所得控除を得ることができるということがあるわけで、これがいわゆる二重控除じゃないかということで、個人事業者からは不公平ではないかという御指摘が今まであったわけでございます。  それで、今度、会社法改正によりまして法人成りというものが非常にしやすくなってきたということになりますと、そういうオーナー企業のようなところが法人成りをして、そういうような二重控除を受ける。その二重控除を受けるということだけではなくて、そのことによってオーナーがいろいろな税の操作、所得の操作というものを可能にするような余地を、法人成りが簡単になると広がっていくわけですね。その弊害を防ごうということでございますが、今回の立法はあくまで一人会社ないしは実質上一人会社というものに限定をしておりまして、いわゆるオーナー企業でも、オーナーの片腕のような方を、言わば番頭さんのような方を役員に登用したり、社員の持ち株会をつくっているとか、そういう開かれた体質を持っているようなところは入らないようにしているということを御理解いただきたいと思っております。
  238. 櫻井充

    ○櫻井充君 竹中大臣は、大臣に就任する前にヘイズリサーチというそれこそ個人事業主でもあられました。そこのところに収入が入ってきて、それで、一方、個人所得なら個人所得の部分もございましたし、個人が持っていたマンションと、それから、それを企業に売買し、企業というかその法人、個人事業のところに売買したと。これは記者会見で全部述べられているところから私が今申し上げているところですが。つまり、こういう個人事業主に対して、今までであれば割と、優遇税制とは言いませんが、法の盲点をついた形でやってきているから、そういうものに関してやはりおかしいので制度設計を変えなきゃいけないということでこの税制が変わったということですね。  私はただ、今個別具体例を申し上げましたが、しかし、そういうことをやられている方がいらっしゃるから、具体的に、こういうことをやられている方がいらっしゃるから税制改正になっているわけですよね、今の御説明は。
  239. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) いや、今個別の例をお出しになりましたので、私はそういうものにコメントすることは差し控える立場でございますので、それについては申し上げません。  ただ、確かに、法人というものを、実体が変わらないのに法人成りというものを税制の上で、何というんでしょうかよく言えば活用、悪く言えば税逃れをされる方があったことは事実でございます。
  240. 櫻井充

    ○櫻井充君 今のやり方で税逃れをされている方がいらっしゃるから網を掛けました、そこまでは分かります。その網を掛けたことによって、元々真っ当に会社をつくって事業をやっている人たちまでその網の範囲に入ってしまって、そして、そのために今回また課税されるということになるということは極めておかしなことです。  そして、大臣、今回の税制の最大の僕はおかしいと思うところは、まず最初に、この方々は役員の報酬としてまず支払うわけです。支払った後に、今度はその役員報酬とそれから企業の利益とを合わせてみて、そしてその上で、八百万円でしたか、それ以上を超えると、じゃもう一回改めて損金不算入ということになりますねということをやっているわけです。つまり、これは法人税とそれから所得税をごっちゃにしているようなやり方であって、本来であれば所得税なら所得税の方で課税することが私は筋なんだろうと、そう思います。  でも、いずれにしても、ちょっとここの税制の話になると長くなるので、もう一度元に戻ってお話ししますと、確かに、法人成りのその二重控除を受けている人たちがいて、そこに網を掛けなければいけないという僕は大臣の意図はよく分かります。しかし、そのことによって、私が調べた範囲でいうと約三〇%ぐらいでしょうか、その中小企業の方々が増税になる。これは財務省と見解は違いますが。  もう一度申し上げますが、制度上何かの規制を掛けることによってまじめにやっている人たちまでその被害が及ぶような制度設計の仕方は私はおかしいんじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。
  241. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) そこは櫻井さんと見解が違いまして、今三〇%とおっしゃったのはどういう調査を前提とされているのかよく分かりませんが、そこは違います。  それで、先ほどの繰り返しになりますが、あくまで一人会社又は実質上一人会社ということにしておりますし、したがいまして、オープンにいろいろ役員をつくったり、従業員持ち株会社をしたりして、そういう会社は除いております。それから、もう一つ、今八百万ということをおっしゃいましたけれども、極めて小さなところは除いているということでございますから、委員のおっしゃったような弊害は私は出てこないと考えております。
  242. 櫻井充

    ○櫻井充君 これは結果を見てみなければ分からないことだろうと、そう思っています。  ただ、いずれにしても、ここの数字そのもの自体の議論をしても始まりませんが、私は、多くの方々が調査いたしています。例えば、宮城県なら宮城県の税理士会、それから中小企業家同友会というところも調査されていますし、いろんな税理士さんが調査した結果、ほとんどの数字が二八%から三〇%ぐらいであったということだけは申し添えておきたいと、そう思っております。  税制の点について言うと、もう一つは、サラリーマンの皆さんとそれから株主の方々との税制で私は不公平じゃないのかなと思うところがあります。つまり、サラリーマンの皆さんに対していうと定率減税は打ち切られると、そして株主の方々に対しては税額控除がまだいまだに継続されていると。  確かに、株主というもの、それは株式市場を上げていかなきゃいけない、そのお金を市場に流入させていかなきゃいけないという意向は分かりますが、しかし、会社は一体だれのためなのかということを考えてくると、私は、アメリカのような株主至上主義みたいなものではないんだろうと思っています。  そういう点でいうと、今の税制の在り方で本当にいいと大臣はお考えでしょうか。
  243. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 個人所得課税の基本的枠組みとしては垂直的公平という観点から総合累進課税が基本だというふうに私も考えておりますが、今おっしゃったのは金融商品ですね。これについては、金融所得を始めとする一定の所得については、その発生の在り方あるいは性質などに応じて分離課税をやっていると、御承知のとおりでございます。  それで、それは一つは、貯蓄が減っていく中でそういったものの積極的な活用は今後日本が必要になる、そういう中で貯蓄から投資への流れを推し進めていく必要があるということで、五年間の時限立法という形でやらしていただいてまいりました。  いずれにせよ、今後そういう辺りもよく議論をしていかなければならないと思っておりますが、今の流れの中で私は適切なことをやってきたというふうに思っております。
  244. 櫻井充

    ○櫻井充君 その辺のところも、税の公平性ということでもう一度考えていただきたいなと、そう思います。  それはなぜかというと、働いたこともない方が、パソコンの前で何かちょっと打っていたら何十億も稼ぐというような社会そのもの自体、私はやはりどう見てもおかしいと思っています。そのことに対して不満を感じている方は一杯いらっしゃって、そして、まじめに働いている方々だけ増税されていく、社会保障負担も強いられると。そういうことになったら、まじめに働く方が私はいなくなってしまうんじゃないだろうか。そういう社会をこういう税制上で生み出しては私はいけないと思っております。良識派の大臣ですから、きちんとした御検討をいただきたいと、そう思います。  それで、もう一つ今日は、私は月曜日にも質問させていただきましたが、政治資金規正法そのもの自体がざる法になってしまうんではないのか、そういう懸念を持っている案件について質問させていただきたいと、そう思います。  まず、お手元資料を配らしていただいておりますが、まずそこの中で、この間も指摘いたしましたトリガー・ラボという、これは有限責任中間法人がございます。これは、有限責任中間法人という形を取っておりますが、私はこれは政治団体ではないのかと、そういうふうに思います。  そこの法人について何が問題なのかということをまず御説明したいと思います。(資料提示)  ここにありますとおり、まず最初に、普通の政治団体であるとすると登録を必要とします。そして、登録が必要で、そうするとお金の流れがあれば収支報告書を提出する。このことによってお金の流れがはっきりすることになるわけです。つまり、政治と金の問題ということが様々言われてきましたから、それを解決するためにこういう制度ができ上がっています。  ところが、トリガー・ラボというのは有限責任中間法人ですから、登録の必要すらありません。ですから、収支報告書の提出も要らない。つまりは何かというと、資金の流れが不透明になってしまうと。こういうところを使ってくれば、まあこれが政治活動でないと言い張ってこういうやり方をすれば、私は政治資金規正法そのもの自体が形骸化してしまうんではないか、そういうことを指摘さしていただきました。  そこの中で、竹中大臣の、私は、応援隊であって竹中大臣の政治団体ではないのかということを指摘させていただきました。しかし、竹中大臣は直接関与しない法人だから分からないというような月曜日の答弁でございました。  その答弁の中で私はおかしいと思っている点が幾つかあります。  まず、このトリガー・ラボというところは、資料をお配りしていますが、トリガー・ラボのホームページのトップページには、通称竹中平蔵経済研究所であると、まずそういうふうに言っています。それから、竹中大臣がこのトリガー・ラボのホームページ上できちんとしたコメントも出されています。それから、竹中大臣の公式のウエブサイトに相互リンクが張られています。お手元資料のこちらの別刷りの二枚めくっていただければリンク集というのがあって、自民党や首相官邸、幾つか並んでいますが、その中に一つ、有限責任の中間法人トリガー・ラボもある。そういう形で竹中大臣が極めて近い関係であるということがよく分かります。  そしてもう一つは、中心メンバーはいわゆる竹中ブレーンと言われる方々です。これは議員の皆さんに資料としてお配りさしていただいていますが、もう一つ問題は、ここのトリガー・ラボのメンバーのほとんどがその経済財政諮問会議の議員であるとか、今度は郵政民営化の委員になられる方もそこの中にいらっしゃいます。もう内定されている方もいらっしゃいますが、こういう形で、竹中ブレーンと言われる方々が全部構成されるということになると、内閣そのものが私物化されていくんではないかという問題もありますが、少なくとも中心メンバーはいわゆる竹中ブレーンという方々で構成されている、このトリガー・ラボがですね。  それからもう一点、この間は何も分からないとおっしゃっていましたが、竹中平蔵、竹中大臣の参議院の総支部がございますが、竹中総支部と実はこのトリガー・ラボが入っているビルは同じビルでございました。(資料提示)これが一応ちゃんと写真を撮ってまいりました。ここにあるとおり、こちら側が竹中大臣の総支部、それからこちら側が有限責任中間法人のトリガー・ラボでございます。  これだけのことから見れば、大臣が、私が直接関与しない法人だから分からないというふうに御答弁されましたが、私は全然違うんじゃないのかなと、そう思いますが、いかがですか。
  245. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 先般も丁寧に御答弁させていただいたつもりでございますが、にもかかわらず、今日、虚偽答弁というような紙が配られて、これは私、五年間大臣やらせていただいておりますが、さすがにテレビが入っているこの場で、しかもパネルを作って、虚偽答弁というような紙が配られて、これは私もやはり声を大きくして反論せざるを得ません。これは虚偽答弁であれば、これは私にとって大変大変なことでありますし、当然のことながら、そういうような証拠と覚悟を持って櫻井さんも質問をしておられるのだというふうに思います。是非しっかりと答弁をさせていただきたいと思います。(発言する者あり)
  246. 小野清子

    委員長小野清子君) お静かに願います。
  247. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず先般、私は、自分が直接関与しないということを申し上げました。これは本当に私が直接関与している法人ではございません。これは、私が聞いている限りは、いわゆる私たちが考える構造政策、構造改革の政策の方向性に共鳴している、共鳴している学者や民間人が設立をして、そして改革に関する研究や社会貢献に関心を持つ若者の支援等の活動を行っているというふうに聞いております。  私とのかかわりは、その限りにおいては、これは私に共鳴してくれているわけですから、これはこれで大変結構なことで、彼らが行っているその活動について、私は講演会のシリーズで四回ぐらい講演をさせていただきました。これはちなみに、大学とこの中間法人が共催して私は大学で四回ぐらい講演をしております。それ以外のことは私はちょっとよく分かりません、だから全体としてどんな活動をしているか。  同じビルの中に入っているから分かるんですか、そんなこと。同じビルって、同じ部屋じゃないんですよ。同じビルには何十ものオフィスがあって、そこにはほかの国会議員の方もたくさん入っておられるオフィスですよ。それで、同じそのビルに入っているから、それがその関与、分からないというのはおかしいとか言われても、これは私にはちょっとよく分かりません。  そして、通称云々の話がありましたが、委員の一番最後に配っている、委員のその紙の一番最後に、履歴事項全部証明書、まあこれ定款とか寄附行為に当たるものだと思いますけれども、その中にここは何を目的としているかちゃんと書いているじゃないですか。構造改革に関する研究と具体的・実践的な政策提言の作成・公表、ベンチャー起業支援、そして地域活性化のためのコンサル等々を行っていると、書いているじゃないですか。実態は、これが本来の目的なんです。だから、あとは、実態が政治活動しているかどうかということだから、私は政治活動していないと聞いています。  で、今日のあれがありますので、先ほどもその理事をしておられる跡田教授に電話を掛けて政治活動しているんですかと聞きましたら、政治活動はしていない、先般国会で政治活動しているというようなことを断定されたので、自分としては弁護士と相談をして櫻井議員に抗議文を出したというふうに言っておられました、届いているかどうかは知りませんけれども。  その意味では、繰り返し言いますけれども、何が虚偽答弁なんですか、これ。私、関与してないし分からないんですよ。これのどこが虚偽なんですか。どこにその証拠があるんですか。是非証拠を示していただきたい。
  248. 櫻井充

    ○櫻井充君 私は、これは虚偽答弁とは書いて、虚偽答弁かと、私は、私はちゃんとそこのところに疑いでちゃんと書いております。ですから、断定しているわけじゃなくて、国会は議論が、議論をする場であって、議論をする場であって、そのことまで封じられるということになったらおかしな話だと思いますよ、これは。ですから、私はそういうふうに申し上げているだけです。  いいでしょうか。ここの定款は、大臣のおっしゃるとおり、目的のところはそのような形になっているんです。このような目的でやられてくれば私は何の問題もないと思っているんです。何も問題ないんですよ、このような定款どおりであれば。ところが、そのホームページに何と書いてあるのかというと、ホームページに書いてあるのは、トリガー・ラボの目的、活動目的の中にちゃんとはっきりと竹中平蔵国務大臣の進める構造改革を後押しすることと書いてあるじゃないですか。そして、これは平成十三年の衆議院財務金融委員会で村上副大臣が、政治活動の定義として、政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対すること、これが政治活動だというふうに国会でちゃんと答弁もされています。  つまり、おとといお伺いしましたが、構造改革は内閣の政策であると、つまりは内閣の政策を、個人の、内閣、政策を後押しすることをちゃんと目的とすると、つまり定款と違うことをここのところはやっているわけです。ですから、私は何もそのことについて虚偽を申し上げているわけではありません。  じゃもう一つですね、じゃ竹中大臣は、私は今のようにその議論は、招かれていろいろお話をさせてもらっているという話がございましたが、これは竹中塾、第一回の竹中塾、ある大学のところで講演したときに、そもそも、竹中大臣の秘書官の発言でこうありました。そもそもこの竹中塾、これは竹中大臣の思い、思いで始めようということになりましたと。これはちゃんとですね、ちゃんとコメントされているんですよ。私はそれを確認いたしました。ですから、竹中大臣は、いや私はたまたまそこのところで言って、言われて何とかだということではなくて、竹中塾は元々御自身の発案で始まったことじゃないですか。ですから、こういうことを通じて、例えば第三回のゲストで、まあ名前を言うとあれですが、これは自民党の参議院議員の方も来てお話もされていると。  そういうような一連の流れの中を見てくると、これが私は通常の政治活動と何が違ってくるのかが全く分かりません。竹中大臣は政治活動でない、政治活動でないとおっしゃりますが、それは御自身の判断としてそうなのかもしれません。それをそういうふうに御自分がおっしゃれば全部政治活動でなくなるんであれば、我々だってこういう団体をつくってお金の流れを不透明にすることは簡単なことになるんじゃないんですか。  そしてしかも、大臣は、大臣は政治資金規正法の、政治資金規正法のところの所管大臣なんです。ですから、先ほどのですね、先ほどの要するに個人事業主個人事業者というものをつくって、個人事業者というものをつくって、もしかすると、これは節税対策といえば言葉はいいけれど、そういったものと同じような形になるんじゃないのかなと、私はそう思っています。  もう一つ申し上げます、申し上げますが、それからもう一点、じゃ、竹中大臣がこれは政治活動じゃないとおっしゃいますが、竹中大臣竹中平蔵の会という政治団体はちゃんと持たれているんですよ。その政治団体は持たれていて、竹中平蔵政経セミナーというのもやられているんですね。  つまりは、つまりはですね、何が違うのかが分からない。何が、全然、竹中大臣の、こちらはですね、こちらはその構造改革を後押しする、つまりは政策の後押しをすると言っているわけですから、つまりは同じような政治活動ではないんでしょうか。ですから、私は同じように政治団体として届け出るべきではないのかと思いますが、いかがですか。
  249. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 櫻井さん、この間の答弁、ちゃんと聞いてくれてなかったんですか。全部これお答えしてますよ、私。  まず、金の流れが不透明になるって言ってましたよね。何が不透明なんですか。だって、献金も全く関係ない、もらってないしですよ、そこから経済的支援ももらってないわけだから、金の流れ云々というのは私には分かりようがないじゃないですか。それで、聞かれたときに、財務について私は、自分とは違う人格だし、関与してないから分かりようがないというふうに答えているんですよ。だから、金の流れ云々というのを持ち出されると、何か私の金が不透明みたいに聞こえますけれども、それはそうではないということは前回も御答弁したとおりですよね。  それともう一つ、例えば構造改革を支援すると書いてますけれども、例えば、これもこの間御説明しましたよね。私が不良債権の処理をやるときに、例えば私は政治の場で政策を通してそれを実現したんです。しかし、そのときに、金融の専門家が不良債権の処理をやらなきゃいけないということで新しい金融手法を生み出して、不良債権処理の現場でそれをやったんです。そういうことをやるのが何で政治活動なんですか。それと同じではないですか。例えば、それは政治の場でやるから政治活動なんであって、政治の場というのは国会であり、法律を作ることであり、例えば選挙である。  しかし、例えば、例えば小泉総理の政策でですよ、これもこの間も説明しましたよ、櫻井さん、地球環境を良くしましょうと、そのために、地球環境を良くするための政策として公害車を入れましょう、これは政治の場で私たちがやったことです。しかし、そのための技術開発、地球環境のための技術開発で貢献している人もいるんです。これはでも、構造改革のその流れに共鳴して貢献しているけれども、政治活動ではないんです。そういうことをこの組織はやるんだというふうに私は聞いています。それ以外のことは私は分かりません。そういうことで、地域開発等々でやるということを私は聞いております。  それと、秘書の言葉を引用されました。私は、自分から持ち掛けたような経緯はない。これ虚偽答弁じゃないですよ。持ち掛けてないです。いろんな話があったときに、私は若者に対して語るということは、これは私としても、まあ教育の世界にいた人間としてやりたいことであるから自分の思いで是非始めようというふうに言ったんですよ。これと、これとどうして持ち掛けることと一緒なんですか。全然違うじゃないですか。私は持ち掛けてないんです。先方から話があったときに、それをお引受けするときに、私の思いでお引受けをするというふうに言ったわけですから、まあこれももう全然今委員がおっしゃったことと意味が違うわけです。  もう一つ、もう一つ大事なことを申し上げたいと思います。  この中間法人、私は今申し上げましたように、献金をもらっているわけでもありませんし、経営に参加しているわけでもありませんし、関与してもいないから詳細は分かりません。ただ、私は、ここは政治活動は行っていないと聞いています。しかし、櫻井委員はこの二ページで、活動の中心は私の講演活動であるというふうに断定しています。これは、私はそうは聞いておりません。いろんな活動をやっていますよ、ここ。これ民間の機関で、いろんな活動をやって、地域に対するそのコンサルティングとか、それとソーシャルアントレプレナーの育成とかやっているわけだけれども、それは、活動の中心は竹中大臣の講演活動というのは、これは私は非常に違うというふうに聞いております。まあ、これは民間の活動に対して国会で委員は断定しておられるわけですから、何か証拠があるんだと思いますけれども、これについては私は違うと聞いております。
  250. 櫻井充

    ○櫻井充君 私は、これはホームページからちゃんと引いてきているんです。ホームページに、ちゃんとここに、竹中平蔵国務大臣の進める構造改革を後押しすることを目的として、以下の事業を行いますと。だから、以下の事業を行っていますよ。ですが、そこの頭のところに、活動概要、アウトラインのところに、一行目にそう書いてあるんですよ。そう書いてあれば、いろんな事業をやられているかもしれないけど、この書き方をされたらだれだってそういうふうに思うじゃないですか。  それから大臣は、私はちょっとおかしいと思っているのは、大臣は、その竹中平蔵の会という政治団体から個人的にお金もらっていますか。政治団体とはそういうもんじゃありませんよ。政治団体というのは政治活動をしているところを政治団体と呼ぶんですよ。ですから、そこから、そこからお金をもらっているとかもらっていないということは全く関係ないわけですよ。  つまり、例えば講演一つするときに、講演一つするときに、じゃ、そこの会場を借りたりとか、それから人を集めるためにいろんな告知をしたりとか、そうやって我々は集まってもらって国政報告ということをやるわけですよ。それは、その国政報告そのもの自体が結果的には政治活動ということになるわけですよね。ですから、その政治活動をやる上において、政治団体の人たちが協力してくださることもあるわけですよ。ですから、今のところ、今の、竹中大臣がおっしゃっているとおり、いろんな場面でそうやって講演されていっているわけですね。これは、私は国政報告だと思っております。つまり、政治活動なんです。そして、その政治活動そのもの自体を支援してくれているじゃないですか。何回も申し上げますが、別に、ここのところに書いてあるとおり、その国務大臣の構造改革を後押しすることを目的とすると書いてあるわけです。  そしてもう一つ、もう一つ、この履歴のところを見ていただければ分かりますが、基金の総額が平成十六年十月二十九日に五千万円であったと。それが平成十七年の四月の二十八日には九千万円まで増えていると。これだけ、半年の間に四千万もお金が増えているわけであって、こういうこと自体の流れをきちんとしていただかないと、政治資金規正法そのもの自体がざる法になってしまうんじゃないのかということを私は申し上げているわけでございます。いいですか。  もう時間がありませんから、最後に、最後に総理にお伺いしたいと思いますが、我々は政治の透明性、お金との関係の中で透明性を図るために政治資金規正法というものを、そういう法律を定めて、ちゃんと政治団体というもの、形で登録しなきゃいけないという規制を掛けているはずです。しかし、今のような形で、私も例えばいろんな場所で講演したりなんかしたときに、別なその中間法人に頼まれて行ったから全部政治活動でありませんということになれば、政治資金規正法そのもの自体がざる法になってしまうんじゃないかと思いますが、総理としては御所見いかがでございましょうか。これは総理に、総理にお答えいただきたいと思います。
  251. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 政治活動は活発に、自由に、それぞれ行われなければならないと思います。言論の自由、民主主義の発展のために国民が政治を支えていると。運動にしても資金にしても、国民の支援なくして民主政治は成り立ちません。そういう中で、自由な活動が阻害されることのないような法律が必要だと思いますし、その中できちんと法を守りながら政党なり個人なりが活発に展開していただきたいと思います。
  252. 櫻井充

    ○櫻井充君 何をおっしゃりたいのかということが相変わらずよく分かりませんが、ただ問題は、我々はきちんとした責任を果たしていかなきゃいけないということは、これは皆さん同じ思いなんだと思います。そして、政治とお金ということで様々な問題があったから、だからそこのところはきちんとしていきましょうということで、我々は皆さんきちんと活動しているんだと思います。こういう形で中間法人をつくれるんであれば、私もこれから中間法人をつくっていって、政治資金の流れそのもの自体をあやふやにしたっていいんじゃないだろうか、そういうふうに思っています。  まあいずれにしても、政治資金規正法の所管大臣からこういう形の活動をされることは私はいかがなものなのか、そのことを申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  253. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。大塚耕平君。
  254. 大塚耕平

    大塚耕平君 民主党新緑風会大塚耕平でございます。  今日は、証券金融に関する集中審議でございますので、ライブドア事件の教訓なども含めて関係大臣及び総理と議論をさしていただきたいというふうに思っております。  まず、事前に通告をさしていただきました質問の二番目からお伺いをしたいんですが、この五月から去年大変議論になりました会社法制が施行になりますが、このライブドア事件を受けて、あるいはその他の最近の金融証券の不祥事に関連した事項に対応して、この五月に施行される関連会社法制を修正する部分があるのか、あるいは五月には間に合わないので修正はしないけれども今後修正が必要とされるような部分があるのか、法務大臣にお伺いしたいと思います。
  255. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) さきの通常国会で成立いたしました会社法は、御指摘のとおり、本年五月の施行に向けて現在全力を挙げて準備を進めておるところでございます。政省令の整備等、その円滑適正な施行に向けた準備作業を行っておるところでございます。  法務省といたしましては、今国会においてライブドア事件などを受けた会社法の改正をすることは現時点考えておりません。と申しますのは、ライブドア事件は大体起訴が終わって、これから公判において実情が明らかになる、まだその全貌がつかめていないという状況でございます。もちろん企業のコンプライアンスとかコーポレートガバナンスの確保は会社法制における最も重大な課題の一つでございます。会社法の施行後の状況も注視しながら、また、ライブドア事件の全容の解明を終えた後にもし見直しが必要な事項があれば適切に対処してまいりたいと考えております。
  256. 大塚耕平

    大塚耕平君 今法務大臣からもコンプライアンスという言葉が出ましたし、先ほど櫻井委員と総理の御議論の中でもそれにかかわる総理の御発言がありましたが、改めて総理大臣にお伺いをしたいんですが、昨今よく言われますこのコンプライアンスの意味あるいはその定義について、総理はどのように御認識されておられますでしょうか。
  257. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) よくこの言葉をみんなが使うなと、あれは不思議に思っているんですよ、国会議員として。一般の国民が分かるかどうかと。私も最初聞いたとき、よく分からなかったですよ。私も少し英語を勉強しましたけど、何でこんな分かりにくい英語をみんな平然として使うのかなと。まあ法令遵守。(発言する者あり)まあ私は感受性がないのかどうか分かりませんけど、国会議員というのはできるだけ英語を勉強していない人に対しても分かりやすい言葉を使うべきではないかと思っております。特にこういう国会の審議で、分かった人だけが議論しているんじゃないんですから、英語の分からない人でも分かりやすいような質疑をしていただきたいと。コンプライアンスとかガバナンスとか、分かったつもりで言っているようでありますけれども、もっと分かりやすく議論はしていただきたいと思っております。
  258. 大塚耕平

    大塚耕平君 いや、ちょっと総理、待ってくださいよ。国民の皆さんがお分かりにならないから、だから、総理はコンプライアンスをどういうふうにお考えになっているのかと私は真摯にお伺いしたんですよ。ちゃんとお答えください。  この言葉の意味が、会社法制や先ごろ閣議決定された金融商品取引法の中にどのように込められているかという議論を今からしたいんですよ、私は。答弁になってないじゃないですか。
  259. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まあそんなに怒らなくたっていいじゃないですか。私も国会議員ですよ。あなたに怒られる理由はないですよ。そうでしょう。  コンプライアンスなんという言葉は、もっと国民に分かりやすい言葉が、使った方がいいんじゃないですかと言っているんですよ。総理大臣に定義は何かと言うのも、本当に定義分かっている人に聞いた方がもっといいですよ。  簡単に言えば法令遵守でしょう。こういうことも、私より大塚さんの方がよく知ってんじゃないですか。こういう場を通じて、大塚さんが、コンプライアンスというのはこういうものですよと国民説明して、そして私に聞けばいいじゃないですか。私より大塚さんの方がよく知ってんじゃないですか。
  260. 大塚耕平

    大塚耕平君 総理よりよく知っているというふうにお褒めをいただいて光栄でございますが、法令遵守だけではなくて、いやいや総理、先ほども法律には書いていないことでもやってはいけないというふうに、それでもやっていけないことがあるというニュアンスのことをおっしゃったわけでありますが、やはり企業には企業の倫理とかあるいは価値とか、そういう追求すべきものがあって、それが全部、おっしゃるように、総理のおっしゃるように、非常に分かりにくい片仮名の中に全部込められているから、コンプライアンスという言葉だけが独り歩きして、法令遵守という、法律さえ守ればいいという誤解を生まないようにしなければならない。私もそう思います。  そこは、総理はそういう御理解でよろしいですか。
  261. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 法令は遵守しなくてはいけないと思います。  まあ多くの国民は現在でもコンプライアンスというのはあんまり理解して、分かりにくい言葉だ、理解していないでしょうね。分かりにくい言葉だと思っているでしょうね。そういう点についても、やっぱりこういう国会の場では最初からよく分かりやすい議論をした方がいいと思います。  法令は遵守されなくてはなりません。
  262. 大塚耕平

    大塚耕平君 それでは、その法律に必ずしも禁止はされていなくてもやってはいけないこともある。それはその倫理として、あるいはその常識として。そういうことが今度の会社法制やあるいはこれから審議さしていただく金融商品取引法の中にどのようにその心が込められているでしょうか、そこを御説明いただきたいんですが。
  263. 小野清子

    委員長小野清子君) だれにですか。  与謝野金融担当大臣
  264. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) まず、総理が御答弁されたように、法令遵守というのは基本であるわけでございますけれども、それぞれの会社の社風とかやはり取引慣習とか慣行とか、そういう歴史とか長い間の取引関係から出てきた良きものが多分あるんだろうと思います。ですから、私もコンプライアンスという言葉は、英語は相当できるつもりだったんですけれども、意味は全く分からない。ガバナンスについてもなかなか意味が分からないということで、多分国民の多くの方々は直接的には理解できないようなニュアンスを含んでいるんだろうと私は思っております。  しかしながら、それぞれの会社の経営者、またそこで働く方々は、やはりこの社会のルールを守る、あるいは良き慣行を守るという、やはりそこがやはり日本の社会の大事なことでありますし、またそういう社会こそ世界の中で通ずる社会であると私は思っております。  で、今回の法律改正、幾つかやりますが、一つは罰則の強化でございまして、最高十年という刑を入れましたことは、経済法規としては異例のことでございまして、古典的な刑罰理論からいいますと、極めて重罰化したと私は思っております。  それから、いろいろな情報開示も、昔は一年に一回でいい、その後は半年に一回やろうと、今回は三か月に一回ということですから、投資家は正しい情報を迅速に手に入れるようにするということもやっております。  またそれから、我々予想しなかったようなファンドというのは、まあ二十年も前にはファンドなんということはどんなものかも分かんなかった、そういうものが姿を現してきまして、仲間内だけでやっているファンドはともかくとして、それが他人を勧誘したり投資家を誘ったりということになりましたんで、こういうものに対する一連の規制、これも今回の証取法で入れさせていただいております。
  265. 大塚耕平

    大塚耕平君 罰則の強化ということを今お話しいただきましたが、もちろんこの金融商取法の詳細はこれから委員会審議をさせていただくわけでありますが、先ほど来、冒頭からの話にありますように、つまり法律ですべての網を掛けるわけにはなかなかいかないので、倫理的に考えて、常識で考えて、顧客や国民やお客さんに損害を与えるような悪質な行為に対しては罰則を強化することで抑制をすると。これが最大自由の証券法制をつくっているアメリカにおける、最大自由だから罰則も最大である、つまり悪質なことをやったときには何百億、何千億という与えた損害額に合わせた罰金が掛かるよという、こういう仕組みなんですね。  だから、今、与謝野大臣が御説明いただいた部分は、それはそれで抽象論としては分かります。日本はアメリカ型にもしかじを切ったということであれば、罰則についてもそういう方向でいくということなんでしょうけれども、詳細は、この金融商取法の詳細はこれからじっくりこの国会で議論をさせていただきますが、せっかく罰則のことをおっしゃったので、ここだけお伺いをしたいんですが、個人に対しては例えば五百万から一千万ということで倍増されているんですが、法人に対しては五億が七億あるいは三億が五億ということで、個人には倍の罰則を掛けているのに対して、法人は一・何倍という罰則強化に差を付けているこの理由は何なんでしょうか。
  266. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) これは法務省と御相談をしながらつくった罰金でございまして、むしろ私よりは罰則に詳しい法務大臣に聞かれた方がいいと思っております。
  267. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 罰則にそんなに詳しくないんですけれども。  御質問の予定がなかったものですから、私……(発言する者あり)いや、罰則は経済法規がいろいろあって、罰金も様々あるんですね。ですから、法務省は相談を受けて、協議しながら決めたことなんですけれども、ほかの罪の例えば罰金がこうだから、それとバランスを取りながら、余り重くしちゃいけない。まあ、倍率はともかく、金額的には物すごく増えていますからね、企業も。そういうようなことをいろいろ勘案しながら、よく御相談して決めたことだと思います。
  268. 大塚耕平

    大塚耕平君 いや、重要なところなんですよ、総理、コンプライアンスのところで大分興奮してお答えいただきましたけれども。  この三億から五億というこの水準ですけれどもね、総理。例えば、最大自由を認めるアメリカの証券法制においては、罰則は二〇〇二年のサーベンス・オクスリー法で百万ドルから五百万ドル、法人に対しては、今のは個人に対してですよ、法人に対しては二百五十万ドルから二千五百万ドルに十倍になっているんですよ。つまり、日本のこの証券法制あるいはこれから施行される会社法制がなるべく自由に認めて、行動を、活動を認めていくというこのアメリカ型にもし移行をするという、これが国家としての、総理大臣としての御判断であるならば、罰則のところについてもやはり同じようにかなり強化をするべきではないかと。罰則のお話になったのでお伺いをしているわけでありますが、そこはどういう哲学で法律を作っておられるんですか。
  269. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 刑法全体を読んでいただきますと、経済法規違反で十年というのは見受けられない、大体懲役十年という刑は自然犯に対して今までは科せられた刑でございます。詐欺でも懲役十年以下になっておりまして、今回の証取法の十年というのは清水の舞台から飛び降りるぐらいの気持ちで法務省が合意してくださったものと私は思っております。
  270. 大塚耕平

    大塚耕平君 総理にお伺いしたいんですけども、今の私の質問でもし御理解いただければ幸いでありますが、企業の活動、証券市場の活動についてはできるだけ自由度を高めて効率的な経済をつくる、これは分かります。だから、アメリカ型の証券法制や会社法制にしていく。しかし、その一方で罰則のところは緩いというのは、これは私はアンバランスだと思うんですが。  それはどういうことかといいますと、日本の証券法制というのは抑制的な活動を求めるというヨーロッパ型でずうっと運営してきたはずなんですが、これを橋本改革以降、とりわけ竹中さんが内閣に入られて以降、急速にアメリカ型にかじを取った。これは国家として、政府としてそういう判断であれば、それはいいですよ。そうであれば、どのようにその自由な活動が投資家や国民の皆さんに迷惑を掛けないかという、その抑止力の部分についても同様に最大自由と最大罰則、そのバランスを取ることが必要だと思いますが、総理はどのような御指示をしておられるでしょうか。
  271. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、どの程度の罰則が必要かというのは、これは専門的な法律家等の議論聞いてもなかなか分かりにくい点があると思っているんです。  というのは、バランスがあるとよく言うんですよね、全体のバランスが。バランスも、それは実際の刑法なり民法なりそういう点を考えて法律家というのはそれぞれあるんですけども、その点についてはどういうバランスがいいのかということ、それは私はよく専門家の議論を聞いて考えなきゃいかぬと。  まあ具体的に言えば、懲罰の法令でも、除名の後は三十日の登院停止だという議論が今、国会で行われていますね。除名は国会議員にとっては死刑宣告みたいなものだと。その次の段階は登院三十日以上はできないと、これは軽過ぎるじゃないかと。もう少し段階が、三十日じゃなくても、あるいは二か月なり一年なりあってもいいじゃないかという議論がありますから、こういうのも一つのバランスでしょう。だから、よく検討していただきたいと。  私は専門的な議論は分からないから、これも含めて、民法なり刑法なり、まあ今自然犯とか難しい言葉使いましたけども、そういう犯罪等全体のことを考えて専門家は考えているんですから、私はこれでは軽過ぎると思うときもあるし、もっと変えてもいいんじゃないかという疑問を呈して聞くんですけども、やっぱりバランスを考えてやらなきゃいかぬという答えが返ってくるもんですから、そのバランスというのは政治家よりも法律家の方が詳しいですと言われると、私も余り法律に詳しくないもんだから、ああ、そうですかというところにとどまっちゃうんです。
  272. 大塚耕平

    大塚耕平君 いや、総理、まじめにお伺いするんで、是非もう一回だけお答えください。この質問はこの質問でやめますから。よろしいですか。  どのような一国の宰相として価値観をこの会社法制等、金融商品取引法に込められたかということをお伺いしたいんですよ、総理の指示で法律は決まるわけですから。もちろん、いろんな方が御議論されて。そして、最大自由を求めるという、片方でそういう指示を出しつつ、片方の抑止力のところでは罰則等々について総理はどのようなお気持ちでどのような御指示をされたかということを教えてください。
  273. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、法律を破ったならばしかるべき罰則は科されなければならないと。犯罪はペイしないと、犯罪からは利益は生まないという基本的な考えを持たなきゃいけないと思っております。
  274. 大塚耕平

    大塚耕平君 抽象的な意味としてはそういうことですが、どのような、片仮名は使わない、使わないようにしまして、均衡、行動の自由とそして罰則の均衡をどのように総理が御指示されたかということについては分からなかったということだけ申し上げておきます。いや、次に進ませてください。
  275. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 今の点でございますけれども、やはり懲役十年にした方がいいというのは与党からの強い御要望がありまして、私ども金融庁としては、懲役十年というのは、多分法務省として刑罰の均衡ということをいつも考えていますから、受け入れるかどうかということはまあ非常に悩んだわけでございますが、やはり法務省と金融庁でよく相談をいたしまして、現在のこういう市場の状況等を見ますと、やはり異例とも言えるべき懲役十年は証取法の中に入れるべきだと、そういう判断をいたしまして今般国会に法律を提出いたしました。  全体としては、委員指摘のように、自由な経済活動、こういうものを促進しつつ、やはり違法なことをする方に対しては社会的な制裁を加えると、そういうことでやってまいったわけでございます。
  276. 大塚耕平

    大塚耕平君 今回、ライブドア事件でいろんな物議を醸しているわけでございますが、今日はその背景について、短い時間でございますので三点、是非、皆様方、とりわけ閣僚の皆様方と議論をさせていただきたいと思ってこの時間をいただいております。  今まで二つ出ました。一つは、企業が法律さえ守ればいいという形で、もう一回だけ片仮名使いますが、コンプライアンスという言葉を誤解しているがために、法律にはやってはいけないとは書いてなくてもやってはいけないことがあるんだという点についての思いが十分に至っていない。これは倫理とか企業の価値、信用ということと言ってもいいかもしれません。  それからもう一つは、今申し上げました、活動の自由に対して被害を与えたときには一罰百戒ですよというその罰則の均衡が保たれていない。これが二点目であります。  三点目は、実は大きな経済の流れの中で金融緩和をやり過ぎると金融証券不祥事というのは起こりやすくなるというその環境のお話をさせていただきたいと思います。(資料提示)  お手元のグラフは、プラザ合意のあった一九八五年から今日までの赤い線が株価、そしてビルのようになっております青い線が公定歩合、そしてこの折れ線グラフのように右にほとんど一直線に伸びているのが財政赤字であります。そして、この八七年から九三年まで、グレーのシャドー、失礼しました、影を掛けてございますが、この時期は、一九八八年に、先輩の議員の皆様方は御承知のとおりリクルート事件が起きまして、その後、様々な金融証券の不祥事、それは株にまつわることもあれば、土地にまつわること、あるいは絵画にまつわること、そして九一年にはその資産にかかわる様々な大手銀行の不正融資事件が続発をして、結局、衆議院と参議院に証券金融問題特別委員会が設置をされたわけでございます。私はこのころ金融証券の現場にいましたので、そういうことの調査もやりましたし、これは大変なことだなと思っておりました。そして、その後の白い期間、これが失われた十年とか失われた十五年とか言われているその期間であります。  総理は、在任中に不良債権の処理をして経済を立て直したと、そういうお話になっておりますが、これはどのように立て直されたかといえば、この公定歩合の階段がどんどんどんどん下がってきて、もうほとんど下に付くぐらいまで来てしまった。この金融緩和に支えられたということは、これはどなたも否定できない事実だと思います。  そして、その間にどういう金融緩和が行われたかというと、先ごろ量的緩和政策の解除で随分話題になりましたが、これも国民の皆さんには日本語で言っても分かりにくいと思いますよ。しかし、九九年にゼロ金利政策が始まり、量的緩和政策が行われ、それだけが注目されておりますが、その後、財務省が行った為替介入の非不胎化政策、介入自身は日銀がやりますけれども、しかし財務省と日銀が行って、つまり介入した資金をじゃぶじゃぶにマーケットに残した、市場に残した。そして、国債が事実上の貨幣と同じような役割を果たすという物すごく前例のない金融緩和が行われて、ようやく二〇〇三年の小泉政権のちょうど真ん中辺りで株価が七千円台を付けたところから今日上がってきているんですが、実は株価というのは絶対水準じゃないんですよ。どのぐらい上がったかという比率、その比率によってやはり不祥事が起きやすいか起きやすくないか、この私は指標があると思いますよ。  ちょうどこの八七年は、二万円からそしてピークの三万八千円に行くこの過程で、世の中の人が、あるいは株式にかかわる投資家や企業の方が、これは上がるぞということを前提にして様々な経済活動をやったことが不祥事につながっていったんですね。このときは株だけじゃないです。さっき申し上げたように、土地とか絵画とかいろいろありました。今日、小泉総理の在任中の一番ボトムのところからちょうど今二倍ぐらいに来ているんですよ。そこで起きたのがライブドア事件であります。  こういう経済環境が金融証券不祥事に非常に大きな影響を与えているというふうに私は思いますが、その点についての総理のお考えをお伺いしたいと思います。
  277. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは随分大きな質問でね、時間をいただければゆっくりやりたいんですけども、あんまり時間を掛けちゃいけないでしょう。  財政・金融政策をこの経済の停滞を脱するために最大限活用しようということでやってきたわけであります。平時の経済政策では現在の経済状況というのはとても理解できないほど複雑であります。また、日本だけの対策では一国の経済状況を改善するには限界があると。国際情勢、国際経済にも大きく影響されます。  そういう中で、今言われた今までの過去の対策ずっとこのグラフにして示されましたけども、端的に言えば、金融政策も財政政策も今までの経済理論から理解できないほど目一杯使ってますよ。そして、目一杯使っても想像できない事態が起きています。なぜならば、普通だったら、これだけの国債を増発して財政政策やっていると、そう言われながら緊縮政策だという批判を受けている。これも理解できないでしょう、普通から考えれば。これだけのゼロ金利のみならず量的緩和、こういう財政・金融政策を打ったなら、普通だったらばインフレですよ。インフレ起きておかしくない状況ですよ。それが今デフレ。これも今までの経済理論から言えば理解できないことです。  しかし、そういう中で様々な経済・金融対策を打って、ようやく今景気回復の足取りがしっかりしてきたと。デフレ脱却の兆しが見えてきたという状況になってきているわけであります。  でありますので、現在のは、現在の対策というのは平時の対策ではないと、非常時と言ってもいい、様々な、むしろ常識外れの非常識な対策を打ってでも今の経済状況を正常なものにしていかなきゃならないと。ここがまた難しいところで、正常な財政・金融政策では経済が正常な状況に戻らないから、あえて非常識な異例な対策を打たざるを得ない。それだけ、なかなか経済というのは生き物であり難しいなと感じております。
  278. 大塚耕平

    大塚耕平君 非常に分かりやすい御説明をいただいたと思いますが、確認をさせてください。ということは、まだ日本の経済は正常になっていないという理解でよろしいですね。
  279. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まだまだ正常にはほど遠い状況だと思っております。
  280. 大塚耕平

    大塚耕平君 私も全く同感でございます。  総理の組んでおられる予算が緊縮型だなんて私は全く思っておりません。  このもう一枚のグラフをごらんください。(資料提示)後でまた先ほどの折れ線グラフはテレビをごらんになっている皆様方にもお見せをいたしますが。元々、財政赤字がどんどんどんどん膨らんでいってしまった、その理由はいろいろあったと思いますが、与党の皆さんも昨今では無駄遣い削減ということに取り組んでおられますので、無駄遣いの横行から始まった財政赤字です。  その財政赤字があったから、プラザ合意の後の円高不況のときに、財政ではもうアクセルが踏めないから金融緩和をしろといって行き過ぎた金融緩和が起きた。そのことによって、よし、これは株が上がるぞ、土地が上がるぞ、絵画が上がるぞ、それを担保にしていれば銀行の融資は焦げ付かないぞということで、企業の皆さんの、先ほどの、法律を守るということではなくて、価値観とか倫理観が崩れて金融証券不祥事が起きてしまった。そして、それが発覚したことによって株価、地価が下落して経済に対する国民の不信が増して、そして景気が低迷した。  だから、亡くなられた小渕総理のおやりになった政策やあるいは日銀のこの間の金融緩和、やむを得ぬ景気対策かもしれない。しかし、その間は、日銀の金融緩和を別にすれば、景気対策に便乗した無駄遣いがないとも言えない。国債増発による財源確保もかなり行われた。その結果、また財政赤字は拡大して、財政赤字はずっと右上がりですよ、財務大臣。このことが、実はこのことを是正するのが最大の構造改革だったはずなんですよ。(発言する者あり)  だから、今、横で同僚の平野議員がこれから始まるんだとおっしゃってくれましたが、全くそのとおりですが、総理にお伺いしたいんです。国民の皆さんに宣言してください。構造改革は今までは地ならしを終えただけで、経済はまだ正常じゃないし、これから構造改革をやるということですね、本当の構造改革を。
  281. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今までも考えられないような構造改革をしてきたんですよ。道路公団民営化にしても郵政民営化にしても、これは今までは考えられないような構造改革ですよ。後になって必ず私は評価されると確信しています。  今まで、不良債権処理だって、これを進めればますますデフレスパイラルに陥るとか企業倒産はどんどん増えていくとか失業率は二けたになるとか、間違っているとさんざん批判されましたよ。しかし、現実に不良債権処理は目標どおりに進んで、既に目標を達成している。そういう中で、じゃ失業率は増えているのか、実際、減っている。企業倒産は増えているのか、減っている。有効求人倍率も、もう十数年ぶりに一に戻った。やっぱり批判されたこととは違って、この構造改革を進めながら、経済は私の就任時より好転してきているのは事実です。それは認めているでしょう。  そういうことで、構造改革に終わりはないんです。これで、民主党だって、これだけ財政赤字を抱えてけしからぬと今批判しているけども、民主党も三十兆円枠というのはまだ三年掛かってやれというのを、もう早くやっちゃってるんですよ、今年は。民主党の進めている目標以前に、今年度、来年度予算で達成してるんですよ。だから、民主党がたとえ仮に政権取ったとしても、いつ取れるか分かんないけども、仮に政権取ったとしても、それでは財政健全するのが大事だと言って、経済を考えないで、国債発行を三十兆円から二十兆円へ減らす、もっと財政赤字を減らす、できるかどうか。私は疑問に思ってます、できるわけがないと。  そういうことから、現実を考えて難しい状況をいかに、財政健全化も大事だけども、財政健全化をなすためにも経済を活性化させていこうという対策を打ってるんです。これからも構造改革に終わりはありません。
  282. 大塚耕平

    大塚耕平君 国民の皆さんにテレビを通じて申し上げたいと思います。(資料提示)最大の日本経済の疲弊の原因はこの財政赤字がずっと増え続けていること、そしてこれは将来の世代にも大きな禍根を残すので、このことを削減する、まともな水準に戻すということが今の世代の政治にかかわっている人間の非常に大きな仕事であると、そのことを申し上げたいと思います。  その上で、今の総理の御発言ですと、国民の皆さんが誤解する点がございます。不良債権の処理はある程度進みました。それは認めます。しかし、これがだれのコスト負担で実現したかということについては、総理はどのように思っておられますか。
  283. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、あらゆる改革を進めていく上には、痛みを感ずる層と利益を受ける層と、恩恵を受ける層と両方ありますよ。すべて恩恵を受ける対策なんてあり得ないと言ってもいいぐらい。現在のことだけ考えて、将来も良くなるということを考えられない。将来を良くするために現在ある程度の痛みを耐えようということでやることも必要だ、これは様々な改革にすべて言えることです。既得権を奪われるところについては、改革をすれば嫌だと、現状維持がいいという人もたくさんいる。しかし、ある程度改革を進めて、現在の既得権を打破しても将来のことを考える。財政健全化なんというのはいい例ですよ、財政改革なんというのは。  税金を現在増税しなければ痛みがないと思っているけれども、必ずしもそうじゃありませんよ。国債発行ということは、今もあそこで若い方々見ている、若い方が負担しなきゃならない。だから、今、皆さん野党、批判されるけども、野党の皆さん政府を批判されるけども、増税はけしからぬ増税はけしからぬって。国債を発行する、これは若い人が負担しなきゃなんないんですよ。  そういうことで、今言っている、財政状況を直せと民主党言うんだったら、どの程度それじゃ国債発行を減らしてどの程度増税をするかと言わなきゃ、財政健全化なんかできないじゃないですか。財政、無駄なところを削減する、総論はいいですよ、みんな賛成。借金を減らせ、しかし必要なところは税金を使えと言ってるんですから。そういうところを現実に考えてやっていくのが政権政党であって、要は、民主党の言っていること全部やって、財政赤字を減らしなさい、増税は駄目です、歳出削減やりなさいと、どれだけ具体化やったらどうなのか。そういうことを考えれば、簡単に、総論は賛成でも各論反対のところをやんなきゃなんないのが政府なんですよ。それを今までやってきたんです、小泉内閣で。
  284. 大塚耕平

    大塚耕平君 私は今批判なんかしてないですよ、総理。この不良債権の処理がだれの負担で、経済全体から見たらだれの負担で行われたかということを国民の皆さんが冷静に認識をしていただかないと経済の今進んでいることが分からないということを申し上げているので、総理の御認識をお伺いしたかったんです、先ほどの法令遵守の話と一緒で。  申し上げましょう。先ほど、ごめんなさい、与謝野大臣、私に話をさせてください。日銀から、一九九一年を基準にすると、この十五年間で金利収入が家計から、家計を中心に金融資産を持っている人から三百四兆円逸失したという答弁がありました。そして、九一年は少し基準として高過ぎるかもしれない、それは私もそう思います。そこで、ちょうど世界の平均あるいは日本の平均である金利水準であった九三年を基準にすると、テレビをごらんになっている家計の皆さんを中心に百八十兆円の金利収入が失われたという日銀答弁がありました。そして、この失われた十五年間で不良債権処理に投入された資金が実にちょうど百八十兆円ぐらいなんです。  マクロで見ますと、家計の皆さんが金利収入を失って、それが銀行を含む企業部門に言わば転嫁をしている。しかし、これは経済が破綻しては困りますからやむを得ないことだったかもしれない。しかし、この企業や銀行の立て直しのために使う財源というのは本来は政府が負担するべきもの、そのように考えますと、この十五年間で本来政府が負担すべき財源を国民の皆さんの金利収入を放棄するという形で捻出をした、そういう認識でいいんですねということを私は総理にお伺いをしたかったんです。そうかどうかということを国民の皆さんにお話しいただけませんか。
  285. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 最初からそう言ってくれれば分かりますよ。漠然とした質問するから、こっちも漠然とした大きな答弁しかないでしょう。  今、金利の、これも一面だけで見ちゃいけないんですよ、家計のことばっかり言っているけども。預金が、ゼロだと、金利が。家計の負担だと言っているけれども、国民の中には預金している人もいるし住宅ローン借りている人もいるんです。金利が低いといって、預金者は損している損している、こういう人たちを犠牲にしていると言われますけれども、同時に、ローンを借りているのは低いから得しているわけですよ。全部プラスマイナスあるんです。それを一面だけ見ているのはいけないから両方見なきゃいかぬと。  そして、企業を優遇していると言うけども、企業が発展するからこそ雇用も増えていくんです。企業が業績を上げれば賃金も上がって従業員も潤うわけです。  ですから、一面だけ、金利がゼロだと、だから預金者は損している損していると言うけども、借りている人は金利が低いから得しているんですよ。で、金利がこれ上がってくればまた批判しますよ、借りている人はどうするんだどうするんだと、一方だけ批判する。  だから、両面を見なきゃいけないということを私は言いたい。大塚さん、いい指摘してくれましたよ。
  286. 大塚耕平

    大塚耕平君 私は片方だけ見ていただきたいなんて言っていません。おっしゃるとおりで、いや、実にいい答弁をしていただきました。  過ぎたるは及ばざるがごとしなんです、金融政策も財政政策も。だから、金利も上げても下げても、損をする人もいれば得をする人もいる。だから、金利はそこそこの水準になければならないんです。それが今なぜそこそこの水準にできないかというと、それは谷垣大臣が所管しておられる国債の発行残高がこんなに増えてしまって、そのことが金利が上げられない最大の理由なんですというふうに言っていただければ非常に国民は分かりやすいわけなんですが。  そこで、今日は日銀の武藤総裁においでいただいておりますので、財務大臣、後ほどお伺いしますので、ちょっと待っててください。  先般の量的緩和の解除で、当面ゼロ金利を維持すると、そして物価安定の目安として消費者物価上昇率がゼロから二%と、このように発表されたわけなんですが、この物価安定の目安というのが意味がよく分からないんですね。二%を超えるまではゼロ金利を続ける、つまり消費者物価が二%を超えるまではこの異常な金融政策、過ぎたるは及ばざるがごとしのその過ぎたる金融政策を続けるのかどうかというのが次の大きな課題になります。そして、いや、低いんだったら、ローンの金利も低ければ、総理のおっしゃるように双方、借りている人、預けている人、得するからいいんですよ。ところが、預金金利は〇・〇〇一%、普通預金、そして定期預金でも〇・〇三%とか、そこは据え置かれたまま既に住宅ローンの金利は上がり始めているわけですよ。企業に対するプライムレートも上がり始めているわけですよ。つまり、均衡が取れていないんです。  そこで、ここは日銀副総裁財務大臣に両方にお伺いしたいんですが、財務大臣には質問の内容が少し変わってしまって恐縮ですが、日銀には、二%を超えなくても、場合によってはゼロ金利を解除する可能性があるのかどうかということをお伺いします。  そして、財務大臣には、やはり今財務大臣の上司であられる総理大臣が過ぎたるは及ばざるがごとしということをおっしゃったわけですから、日銀の副総裁のこれから御発言される答弁に対してどのようにお感じになるかを御答弁いただきたいと思います。
  287. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) ただいま、日本銀行が公表いたしました中長期的な物価安定の理解、それがゼロから二%だということで、その関連の御質問がございました。  この理解についてちょっと御説明させていただきますが、これは、現時点において政策委員各自が中長期的に見て物価が安定していると理解するその物価上昇率はどのぐらいなのかということを、全体としてどのぐらいの範囲になるかということを明らかにしたものでございます。各政策委員はこの物価安定の理解を念頭に置いて経済、物価動向全般について情勢判断を行い、金融政策を決定していくということになります。  で、この新しい枠組みは、物価安定の数値的な目標を定めてある期間内にこれを達成するということを目指すいわゆるインフレ目標ではございません。これがそのインフレ目標的なものとして独り歩きすることのないように、日本銀行としても十分注意しなければならないと思っております。  現時点で、我が国経済の現状を考えた上で、かつ透明性を確保して適切な金融政策運営を行うというためには、この中長期的な物価安定の理解という考え方のフレームワークが最もふさわしいものだというふうに思っているわけでございます。  そこで、仮に二%を超えるまではゼロ金利を続けるのかという御質問がございましたが、そういう趣旨ではございません。  では、今後の金融政策はどのように運営をされるのかということについて申し上げたいと思います。それは、無担保コールレート、これがおおむねゼロ%ということで推移しているわけでございますが、その期間を経た後に経済・物価情勢の変化に応じてこの金利が徐々に調整されるということになります。この場合に、経済がバランスの取れた持続的な成長過程をたどる中にあって物価の上昇圧力が抑制された状況が続いていくということで、そういう判断であれば、極めて低い金利水準による緩和的な金融環境が当面維持される可能性が高いと、そういうことでございます。
  288. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 先ほどから大塚さんの議論を伺っておりまして、課題は共通なんで、ぐるぐる回る輪廻からどうやって脱して解脱できるかと、その解脱の道を探ろうということですよね。  それで、大塚さんの御診断は、解脱するためには金利を正常化しなきゃいかぬと、まあこういうことだったと思うんです。その金利によって大きく国民が、失われた十年を抜け出す間に金利によって国民が大いに負担を被ったじゃないかという御議論でした。  私は、そういう面も確かにあると思います。しかし一方、これだけ国債発行残高が積み上がってきたというのは、私は財政演説で四つ目の過剰だって言いましたけれども、この日本の今の財政赤字はですね。過剰債務や過剰雇用、過剰設備、こういうものを乗り越える間に、やっぱり国の国債も、国もそれだけある意味では犠牲を被ってきたということだろうと思います。それで、これは最終的には国民負担になっていく。  今、金利が正常化できない原因は財政だとおっしゃった、赤字国債がこれだけ積み上がっているからだとおっしゃった。実は、私はちょっとそれは一面的だと思うんですね。お互いに因となり果となってこの因果の連鎖があるんですよ。それをどうやって断ち切っていくかということが問題だろうと思います。  で、私は、日銀が専門家が集まって慎重に判断されたこの結果、これは当然尊重しなければならないと思っております。今後、じゃゼロ金利がどうなっていくかと、これもまた慎重に判断されて、自然に金利の調整が行われていくでしょう。私の立場としては、その際に、やっぱりマーケットが変なふうに暴れられちゃ困るということであります。やっぱり安定的に推移して、落ち着くべきところに落ち着いていっていただきたい。そのために日銀も頑張っていただかなきゃならないし、私どももやるべきことはやらなきゃいけないと、こう思っております。
  289. 大塚耕平

    大塚耕平君 誤りなき金融政策、財政政策の運営こそが、残された総理の在任中における総理の大きな仕事だと思います。是非在任中に、次の総理ではできないかもしれないゼロ金利の解除をされることを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  290. 小野清子

    委員長小野清子君) これにて大塚耕平君の関連質疑は終了いたしました。  以上で櫻井充君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  291. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、山本保君の質疑を行います。山本保君。
  292. 山本保

    山本保君 公明党山本保でございます。  今日は、私は各論から入って総論に行きたいと思っております。  今、日銀副総裁からもお話がありまして、まあゼロ金利政策は続くわけでございますから、実態的に通貨の量が減るわけでもないと。まあ、今すぐに金利が上がるということはないというふうに私も思いますが、景気というのは気のものでございますから、既に思惑というようなことで金利が上がるのではないかという心配がございます。  で、それは特に中小企業の経営者などにとっては大変ではないかという気がいたしますので、まずここで経済産業省の方から、この中小企業に対してこういうもし金利というようなことで問題が起こってくるのに対して、どのようにその資金供給の円滑化を進めていくのかというふうなことについてお話をしていただきますと、全国の中小企業の方、御安心されるんじゃないかと思いますので、それをお願いいたします。
  293. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) 我が国の経済は踊り場を脱却いたしまして、全体といたしましては回復されてきておりまして、そして、中小企業におきましても、地域や業種にばらつきは確かに見られますけれども、緩やかに改善をしてきております。こうした中で、中小企業の資金繰りにつきましても、同様に総じて改善傾向にございます。しかし、今回の量的緩和政策の解除に伴いまして、中小企業あるいは小規模企業の方が、自分たちの生活やあるいはその仕事がどうなるのか、影響が出るんじゃないか、まあそういうふうにお気持ちになってらっしゃるのではないかというふうに思います。  先ほど日銀の副総裁も御答弁になりました。あるいは極めて低い金利が維持される等とおっしゃいましたけれども、しかし福井総裁は当面ゼロ金利を続けるというふうに明言をされておりますし、私どもといたしましても、以前のような貸し渋りや貸しはがしができないようにしっかりと注視をしてまいる所存でございます。  中小企業金融に関しましては、不動産担保やあるいは保証人に過度に依存しない融資制度の促進、またセーフティーネット貸付け等の機動的な活用を行うことによりまして、中小企業の資金供給の円滑化に今後とも万全を期してまいりたいと決意をいたしております。
  294. 山本保

    山本保君 是非これは、起こってからでは遅いわけでございますから、早く手を打つ又はそのことをアナウンスメント、英語は使うなということですから、皆さんによく周知するような手を打っていただきたいと思っております。  では次に、経済の中で特に雇用、働く側からいけば就労、働く場の確保ということについてお聞きしたいと思っております。  特に、この場合、私、専門でもありますけれども、障害を持った方の働く場の確保ということが大変今厳しくなっておりまして、是非ここでそれを飛躍的に拡大できないのか、まあ欲張ったことかもしれませんけれども、これが一番大事だと思っております。  私も、こういう点でお父さん、お母さんからの困ったお話というのを聞いておりますし、心配されております。で、今までの福祉行政といいますのは、施設ですとか学校で何かをやったので後は頑張ってくださいというところがあったんじゃないかなというふうに私自身も非常に反省しているわけであります。ただ、今厚生労働省となりまして、正にその職業に就いて、そしてそれを生きがいとして、働きがいとして人生を送っていくことを応援しようという、このことが一体的に行われるようになったと大変喜んでおります。  最初にまず、この障害者の就労支援を強化する、そして雇用を促進するということにつきまして、厚生労働省の認識と、そして政策を充実していくことについての決意をお聞きしたいと思います。
  295. 中野清

    ○副大臣(中野清君) 山本委員の御質問にお答えをしたいと思います。  委員が御指摘のとおり、障害者の方の自立を実現していくためには、就労支援を強化し雇用を促進していくことが極めて重要であると認識をいたしております。  こうした考えの下で、昨年、精神障害者に対する雇用対策の強化等を柱とした障害者雇用促進法の改正が行われるとともに、障害者に対する就労支援の強化を一つの柱といたしました障害者自立支援法が制定されたところでございます。また、障害者の地域における自立を実現するため、これらの制度改正を踏まえながら、例えばハローワークと福祉施設が連携して、就職を希望する個々の障害者に対しまして一貫して就職支援を行う仕組みを構築していくなど、雇用政策と福祉政策との連携を一層強化することといたしております。  今後とも、障害者の就労支援を強化し、雇用の促進がより一層図られるように努めてまいりたいと、こう決意しておりますので、どうか委員の御指導をよろしくお願いしたいと思います。
  296. 山本保

    山本保君 ありがとうございます。  そこで、私は、今まで少し利用されていなかったといいますか、そういう分野について御提案をしたいと思っております。  といいますのは、障害を持った方の働く環境ということを考えますと、まあもちろん個々に違われるわけでありますけれども、正に毎日八時間労働で毎日毎日会社へ行くというような形の方もおられますけれども、非常に、そうではなくて、様々な職場体験をしながらやっとそれに慣れていくということもございます。施設の方なども、大変その辺苦労されているわけであります。そうしますと、現在、法律も整備されてまいりました派遣労働型の仕組みというものをこの障害者雇用の中に取り入れることが必要ではないかと思っているわけでございます。  もちろん、今の制度でもそれについては対応はされていると思いますけれども、まだまだ不十分だと思っておりますので、まず私最初に、いわゆる派遣会社などの派遣元が障害者をスタッフ、いわゆる派遣労働者として雇用することを促すための方策としてどんなことが今行われているのかについて担当の方にお聞きしたいと思います。
  297. 鳥生隆

    政府参考人鳥生隆君) お答え申し上げます。  議員御指摘のとおり、派遣労働を含め、多様な雇用形態の活用を図りながら障害者の雇用の促進を図ることが重要であると考えております。  障害者雇用促進法におきましては、障害者の雇用の促進を図るため、事業主が介助者の配置等を行い障害者を雇用する場合に障害者雇用納付金制度に基づく助成金を支給しておりますが、派遣労働におきましては、派遣労働者を雇用する派遣元に助成金が支給されるというところでございます。しかしながら、派遣労働におきましては、派遣先の指揮命令の下で就労するという特殊な雇用形態であることを踏まえまして、どのようなときに助成金を活用できるか等につきましてこれまで十分な整理が行われたとは言い難いと、こういった状況がございますことから、こうした点を明確化した上で、派遣元において助成金が活用され、障害者の雇用が促進されるように努めていきたいと、そういうふうに考えております。
  298. 山本保

    山本保君 そのように、実は今でも、派遣会社などで障害者をスタッフにされまして派遣させるためには、そのために必要な機材ですとか、また人材に対する助成があるということでありますけれども、私も名古屋などでいろいろお聞きしましても、ほとんど知られていないのではないかなと思っております。まあ、これまでのことはそうしまして、是非これをもっと活用できるように具体的に周知していただきたいということをお願いしておきます。  次に、まあそうはいいましても、今度はその受け入れる側の企業に対してどういう対応があるのか。正に障害の方に是非ここは働く場を拡大していただきたいというわけでございますから、この企業を応援していくような、そういう施策が必要ではないかと思っておりますけれども、この辺についてはどうでしょうか。
  299. 鳥生隆

    政府参考人鳥生隆君) 議員御指摘のとおり、派遣先が受け入れた障害者に積極的な支援を行い、障害者の職業的自立を進めていくということは、障害者雇用の促進を図る上で有効な方策の一つであると考えております。  このため、例えば派遣先が、福祉施設の派遣する労働者を受け入れながら福祉的就労から一般雇用への移行を促進する取組を行う場合等につきまして、派遣先に対して何らかの支援を行うことを検討していきたいというふうに考えております。
  300. 山本保

    山本保君 今要点をお話しになりましたけれども、つまり、今まで例えば作業所とか又は授産施設という形で、施設でそういう方を訓練なりまた支援してきたと。これをできれば、もちろんすべてではないと思いますけれども、できるだけその目標を持って一般の会社に勤めていただくと、こういうようなことをこれから政策として確立したいということだというふうに聞いております。  そのときに、それを受け入れる企業の方にそれまたその応援の体制を取ろうということだと思いますので、これはどうでしょうね、今年中にでもまず、今年度中、来年度中ですね、まあ十九年ぐらいには、十八年度中にその幾つかの試行をしていただいて、それを次の年には実現していくというようなことをお願いしたいと思いますが、見通しはいかがですか。
  301. 鳥生隆

    政府参考人鳥生隆君) 現在、迅速に実現すべく鋭意検討中でございますので、是非御理解いただきたいと思います。
  302. 山本保

    山本保君 そこで、今、私説明しましたように、実はそれはまだ施設というようなところからということになっております。で、ここで私、一つ法律の制度関係することなんですが、もっと踏み込みまして、障害者を受け入れているその派遣先の企業がもっと評価されるように制度改正すべきではないかと思っているんです。  といいますのは、今、御存じのように、ある規模以上の会社というのは、障害者を雇い入れるということを義務付けられております。で、それを、そのところに達しませんと、納付金という形で一月五万円ぐらいですか、そういうものを出さなくちゃいけないと、こういうふうになっているわけであります。  ですから、これは、頑張ってくださいよ、そしてもしそうでないときには少しペナルティーを掛けますよと、こういう制度なんですけれども、今もし派遣の会社から障害を持った方を受け入れましても、実際にはそのための費用は、まあ言うならばその会社が、派遣を受けている会社が派遣料という形で出すわけです。しかも、そのためにその仕事を何とか開拓しているわけです。しかし、今の制度ですと、それをやりましても、そしてそこで働いていましても、お話あったように、実はそれを雇っているのは元の派遣会社なんだと。だから、この働かせている方の会社はそれを働かせていないんだと、今の法律からいったらそれは駄目なんだというふうに言われまして、また納付金も払わなくちゃいけないと、こういう制度になっているわけですね。  この辺は、法律の仕組みというのがそうだとは言われましても、ここはやはり両方、例えば一緒にしてでもいいですが、頑張ってその障害者のための仕事をつくってくださる企業の方に何かメリットできるような形をつくらなくてはならないのではないかと思いますけれども、いかがでございましょう。
  303. 鳥生隆

    政府参考人鳥生隆君) 障害者雇用率制度におきましては、派遣労働全般に関して、派遣先をどのように評価するかにつきましては、職場定着に相当の配慮や時間を要することがある障害者にとって派遣労働という働き方がどのように評価されるべきか検討するとともに、派遣先においてその指揮命令の下で就労するという派遣労働の特性が派遣元における障害者雇用にどのような影響を及ぼしているか等の実情についても把握を行うことが必要であるというふうに考えております。  こうした検討や実情把握を行った上で、改正障害者雇用促進法の附帯決議等を踏まえまして、障害者雇用の促進を図るという観点から、障害者雇用率制度の在り方を含めた障害者雇用分野における派遣労働の取扱いについて今後検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
  304. 山本保

    山本保君 法律事項なんですよというふうにも聞いておるわけです。  ですから、法律を直す必要があるとなればこれは至急考えたいと思っておりますし、できれば、納付金という制度があって、それをまた障害者を受け入れてくださっている企業に出すような制度もあるわけですから、できれば法律改正の前に、実態的にそういうふうにして障害者のための仕事を提供してくださる会社の方に何かメリットがあるような、そういう対応策というものをやっていただきたいなと思っておりまして、これは是非検討していただきたいと思っております。  もう一つ、もっと、もっと進んでということを考えますと、今特例子会社という制度がございます。これは、自分の会社で障害者をいろんな部署で働いてもらうというよりは、そのための会社を自分のところに子会社としてつくりまして、そしてそこで正に障害者のための仕事の場、いろんな方がございまして、例えば精神障害でありますとか発達障害の方ですと、なかなか大部屋で一緒に仕事をするというようなことについては大変だと。これはアメリカ型の小部屋でした方がよろしいし、対人関係というよりはいろんな仕事が、機械を使ってくる方がいいと、こんなことも聞いているわけですね。  ですから、働きがいのあるような職場をつくるということで私はこの子会社をつくっていくという方法は大変いいと思っておるわけですが、今、実は役所の方では、一〇〇%子会社でつくった場合には、その会社、元々の会社が雇わなければならないというその障害者のカウントに入れましょうということで特例子会社という、ちょっと差別的な名前だなと思うんですが、そういうものをつくっておられます。しかし、お聞きしますと全国で百八十しかありません。まあ、だれが聞いても知っているような大きな会社だけでございます。これでは、本当に地域で生活している、そしてその地域の中で働こうとしている障害者にとっては足らないと思うわけです。  そこで、一つ二つほど提案は、例えば地域の中小企業の方たちが、二社、三社、四社、それが一緒になってその障害者のための会社をつくると、こういう場合に、きちんとその場合でもそれは元の会社で雇ったことと同じようにするというふうに、これ当然だと思うんですが、法律的にはそうなっていないと。こういうことを大至急直していただきたいと思っていますし、また、そのときに実は一つ問題がありまして、障害者の方を会社に雇っておりますと、その方たちに実際のところいろいろお金も掛かったりする、そういうのが一つの会社でやっていますとそれは会社の経費全体に入りますので、言わばそれを通算した形で税金が掛かってくるわけですが、子会社というふうに分離しますと、実はその分、会社の方は持ち出したとしましても、それは利益ですよということで税金が掛かるという。つまり、それを邪魔しているような制度になっているわけですね。  何とかならないのかなと考えておりましたら、昨年の夏ですか、LLPという有限責任事業組合という制度ができまして、つまり組合ですけれども仕事をする。そのとき、それの出資している方と、まあ言うならそこの組合員ですが、その会社でもいいわけですけれども、ここがお金を出していればその分は元会社の方の損益に通算でいたしますよという制度が実はもうあるわけでございます。  是非、まず地域での共同型の子会社のようなものを認めていただきたいし、またこのLLPというようなものもこの厚労省が認めております特例子会社の中に入れていただいて、是非障害者の働く場をつくっていただきたいということを提案いたしますけれども、いかがでございましょうか。
  305. 鳥生隆

    政府参考人鳥生隆君) 近年、中小企業における障害者の実雇用率が低下しておりまして、障害者の雇用を進めていくためには、中小企業における障害者雇用を促進していくことが必要となっていると考えております。  このような中にありまして、議員御提案のような共同で障害者雇用の場をつくっていくことは、中小企業における障害者雇用を進める観点から有効な面があると考えております。このため、まずは地域において中小企業が共同して仕事を提供し合いまして、障害者雇用を推進するモデル事業を実施するということを検討していきたいと考えております。  また、これは障害者雇用率制度上の制度として位置付けていくということにつきましては、複数の出資企業の間で障害者雇用に関する責任をどのように持つか等について制度面での整理を行う必要があると考えておりまして、このような整理を行いながら、障害者の雇用の場を拡大するという観点から今後幅広く検討してまいりたいというふうに考えております。
  306. 山本保

    山本保君 是非、これはなるべく早めにその実を上げていきたいというふうに私も思っておりますので、よろしくお願いいたします。  次に、平成十年にできましたいわゆるNPO法におきまして、地域の中で新しい仕事、社会、人のために尽くすという、そういう非営利公益型の仕事のNPOがたくさん出てまいりました。今、全国に二万五千、約二万五千でございます。しかし、この仕事というのは元々利益が出るようなことはなかなか少ないわけでありまして、そのために地域の方からいろんな形で寄附をいただく、その寄附をもって仕事をするということが原則になるわけですね。しかし、日本の場合、といいますか、寄附をしますと、その分税金の方が安くなるのは当然なわけです。というのは、つまり、税金を出しておいてその税金でその団体を応援するのか、直接寄附を出してそこで地域の皆さんに応援していただくかと、この両方の見合いになるわけですから。  で、税金を言うならば安くする、寄附をした人の税金も安くなるというような制度、これが認定NPOということでできてるわけですけれども、実は全国にまだ四十ぐらいしかないと聞いているわけです。これを是非これから拡大していく必要があると思っているわけですけれども、実は昨年末、与党合意ができまして、今度の税制改正の中で、この認定NPOになることを認めるパブリックサポートテストというものを、まあ言うなら緩和することにいたしまして、この認定NPOを拡大していく方針を決めているわけでございます。  まず、このNPOを担当しております内閣府から、今回の改正のねらいというようなもの、そしてどのような効果があるのかということについてお話をいただきたいと思います。
  307. 山谷えり子

    大臣政務官山谷えり子君) お答えいたします。  NPO法人は、国民の多様化するニーズに効果的かつ機動的にこたえる主体として重要な役割が期待されておるところでございますけれども、その活動においては資金基盤の強化が大きな課題となっております。認定NPO法人制度は、市民や企業からNPO法人への寄附を促す仕組みとして重要でございますが、今、山本委員おっしゃいましたように、同制度に基づく認定数は四十法人にとどまっております。  こうした状況の下、NPO法人の中には零細な事業規模の団体が多いことや、また行政とパートナーシップを組んで活動する団体も増えているといった活動の実態を踏まえまして、平成十八年度税制改正では、パブリックサポートテストなどの認定要件の緩和や小規模法人の特例の創設など、大幅な改善措置が盛り込まれたところでございます。  したがいまして、内閣府としては、こうした税制改正の結果、小規模法人を含め、より多くのNPO法人が活用しやすい仕組みになり、NPO法人の資金基盤の強化が図られていくものと考えております。
  308. 山本保

    山本保君 今のお話にも出ましたけれども、私、特に注目いたしますのは、小規模の法人に対する認定NPOを拡大していくということが盛り込まれたことであります。  四十団体ありますけれども、皆大きな団体でありまして、地域、小さなNPOは、大きなものしかこれは当たらないんだというような感じがもうこの数年あったわけですけれども、是非ここで、地域の本当に皆さんに身近なところのNPOに寄附をすればその分そのお金も返ってくるというような、こういう社会をつくっていきたいと思っているわけです。  具体的にこれ与党合意で決めたことは、事業費八百万円以下の小さなNPOにおいて、例えば記名の方、はっきりした方、五十人の方から一人三千円以上を寄附されていると、こういうことを土台としたNPOの場合は、これまでは、例えば寄附金を下さいといって、いただいたりする少額のものですとか、それから、いや、名前を出すのは、日本人の場合特に寄附をしたということで名前を出すのはどうもという方が多いわけでありまして、匿名で寄附をいただくと。今までは匿名で寄附していただいても、それはパブリックサポートテストというのがありまして、全体の事業費のうちで寄附金が幾らになるのかと、この割合で、この割合が高ければこれは公益的ですから税金をまけましょうという制度になっているんですが、そのときに、本当に寄附いただいているのに、匿名であったらそれはいただいたことにならないというような制度になっているんですね。  それを今度は、小規模法人については、小さなところだけですけれども、まずまあ試しかなと思うんですが、それも撤廃しまして、匿名の寄附であっても、また一人一人が少額の寄附であったとしても、それも全部寄附に入れますと、こういうことで非常に取りやすくなってくるという制度になるわけであります。  個人的なことを申し上げますと、実はこれ平成十年にNPO法をつくるときに、私、当時野党で、野党案を私、参議院に出しまして、参議院法制局の協力を得まして作ったんですね。そのときの実は大事なNPO要件の中心は、あのときはまだ二十人の方から一万円をいただくという、そういう大衆的な広がりがあることをもってこれをNPOだという法案を作ったんです。  しかし、当時はなかなか理解されませんで、結果的に、その与党案の最終日に、政治活動ですとか宗教活動の禁止というものを緩めるといいますか、実質的に担保する交渉が、今の、片山虎之助当時国対委員長と直前にできまして、最終的にそれを認めていただける修正が成りましたんで、私の法案は下ろしたわけなんですけれども。今、八年たちまして、そのときの考え方がここに入ってきたのかなという、自分では大変喜んでいるわけでございます。  そこで、余分なことはよろしいんですが、財務省にちょっとだけここでお聞きしたいんです。つまり、今申し上げたような形でできてくる今回の制度でありますけれども、実際に動かす場合には、地域の税務署が見てこうだこうだと、こういうことになってまいります。ですから、ここはこれから動かすときのいわゆる法律、政令、省令と、又は具体的な指導と、こういうようなものが必要になってくるわけでありますが、是非、与党といいますか、私どもにまたよくその辺についてあらかじめ御相談をいただいて、きちんとこの目的が達成できるようにお願いしたいと思うんですが、大臣、いかがでございましょうか。
  309. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) もうこの問題に長い間取り組んでこられた山本委員が今問題点、るる御説明がございまして、私どももそういう検討を経て、これ政省令にきちっと反映させていかなければならないと思っております。  もう細かい論点については申し上げませんが、その際に、今おっしゃいましたように、現場が混乱をして、せっかく工夫をしたものが使えないということでは、使いにくいということではいけませんので、よく御相談しながら改正を進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  310. 山本保

    山本保君 じゃ、どうぞよろしくお願いします。  あと四分、まあ三分ぐらいでということなので、最後に総理に時間だけ注意していただいてお話を伺いたいと思います。ですから、簡単にします。  今度の正に骨太方針が勝負だと思っております。二〇一二年、一三年のころに、言うならばプラスマイナス、そこで国債、借金は減る、減り始めるんだと、それからの計画を今度立てるんだと、こういうふうになっておりますね。これは大変注目しております。是非それに対して、国民に分かりやすい方法をしていただきたい、出していただきたい。  つまり、気になりますのは、つまりそこではっきりして、例えば何年後ぐらいにこうなるのだとか、この場合こういう歳出歳入、つまり税も上がるかもしれないが、こういうことによって何年ごろまでにこうなっていく、若しくはこれをこう緩めればこうなるというような、いろんな形で幾つかの案を国民に示して、そしてそれで議論をしていくような形が必要ではないか。どうも見ていますと、そんなこと抜きで消費税を上げるというようなことがもう議論されている。これは全くおかしな話でありまして、いつまでにどういう形でいくのかということをきちんと決めていただく必要があるのに、この辺はちょっと注意をしたいなと思っているわけですけれども、最後の総理の改革の総仕上げについての決意をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  311. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 我々も、まず消費税増税ありきではないと、できるだけ削れる部分、無駄な部分、歳出削減に取り組んでいくべきだという考えで進めているんですが、どうも私が在任中は消費税を上げませんと言うと、無責任だとよく批判されますが、私は、消費税を増税するということについては国民の理解と協力を得るようにできるだけの努力をしなきゃいけないと、政府としてね。  そういうことから、まずは、どの程度歳出を削ることができるかと、あるいは無駄な部分を削ることができるかという考え方から、一般会計と特別会計の議論が出てきて、公明党も、事業の仕分をしろと、国でやるべきことと、民間に任せることができる部分と地方に任せることができる部分と。そうすることによって、国がやらないものは民間にやって、できるだけ無駄なことは役所がやらなくてもいいようにしなさいと。これもその一環だと思うんです。  特別会計にしても、今整理していますけれども、三十一ある特別会計を半分以下にしようと、あるいは三分の一にしようと、それで、特別会計のあるお金をいかに一般会計、国庫に回すことができるかという部分と、一般会計から特別会計に入れている部分をどれだけ減らすことができるかということを今十分仕分して、与野党の協力を得ながら、民主党も提言していますし、公明党が一番熱心でこれやっていますけれども、そういう点も聞き、よく参考にしてやっていきたいと。  ただ、消費税を導入しろという人の議論も分からないではないんですよ。これだけ財政赤字があるから歳出削減だけでは無理ですよと、ある程度将来を見越して消費税を上げなきゃ無理じゃないですかという、非常に頭のいい人たちが先を見通して考えれば、歳出削減だけではできないというのは分かっていますけれども、私の在任中はできるだけ歳出の削減を熱心にやっていきたいということを考えているわけであります。
  312. 山本保

    山本保君 ありがとうございました。
  313. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で山本保君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  314. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、大門実紀史君の質疑を行います。大門実紀史君。
  315. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党大門実紀史でございます。簡潔な答弁をお願いしたいと思います。  午前中に続いて、サラ金、クレジットあるいは銀行カードの高過ぎる利息、高金利の問題を取り上げたいと思います。  多重債務や異常な高金利による自己破産、自殺というのがマスコミでも取り上げられてきているところでございますけれども、消費者金融白書によりますと、これはもう一部の人の問題ではございませんで、この消費者金融の利用者は働く人の四人に一人になっていると。約二千万人が利用している問題です。そのうち多重債務に陥っている人が二百万人、毎年二十万人が自己破産をしているという大変な問題でございます。  この白書によりますと、借り手の平均年収は約四百五十万円と言われています。中堅所得以下で生活に余裕のない層が銀行から借りられなくて、こういうサラ金に高い金利を払わされているのが今の実態でございます。一方、サラ金各社は、報道されているとおり、莫大な利益を上げておりまして、また高額所得者のトップクラスにサラ金の社長とその親族が名を連ねるという、そういうことも起きております。  ただ、この間、最高裁が相次いでこういう高金利引下げを促す判決を出しておりまして、法律の改正も今求められているところでございます。どれだけ高い金利かということをまず見てもらいたいと思います。(資料提示)これは大手サラ金四社の中身を表にいたしました。  調達金利わずか一%台で調達したお金を、貸出し金利二十数%で貸していると。もう暴利と言ってもいいと私は思います。それで営業利益を、これ半期ですけれども、これだけ稼ぎ出しているわけでございます。しかも、主な借入先というふうに書いてありますけれども、ほとんどが大銀行グループでございます。中にはアメリカも入っていますし、ちゃっかり新生銀行までこういうところに顔を出しているわけでございます。  与謝野大臣にお聞きいたしますけれども、なぜこういう異常な高金利が日本では許されているんでしょうか。
  316. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 貸金業者の金利につきましては、刑事上の上限金利を定めた出資法、民事上の上限金利を定めた利息制限法等により規制はされております。  貸金業者の貸出し金利の水準や、いわゆるグレーゾーン金利問題を含む金利規制の在り方など、貸金業制度等をめぐる諸問題については、現在、貸金業制度等に関する懇談会において勉強をしているところでございまして、引き続き議論を深めてまいりたいと、そのように思っております。
  317. 大門実紀史

    大門実紀史君 今お話ありましたグレーゾーンということが許されてきたからでございます。  グレーゾーンという仕組みを簡単に説明いたします。  今、出資法の上限金利は二九・二%です。利息制限法の上限金利が、借りる額によって変わりますが、一五%から二〇%でございます。この間をグレーゾーン金利と申します。で、グレーゾーン金利というのは、本来、利息制限法からすると無効な金利の設定でございますけれども、ただ、本人が任意にその利息を払うということを言えばこの金利を取っていいということになっておりますが、実際問題、借り手の弱みに付け込んでこのグレーゾーンの範囲の高い利息を押し付けているのが今の実態でございます。これが今問題になっていて、最高裁も、このグレーゾーンの金利を取る場合はよほど厳格に本人の任意性を確認しなければならないと、そういう判決を今出しているところでございます。  事はサラ金だけではございません。(資料提示)これは大手銀行系のキャッシングのカードローンでございますけれども、何とサラ金よりも高い二七・八%という利息を取っております。ですから、サラ金問題だけではなくて、このカードローンの問題、これも今問われているというところになります。これは、グレーゾーンがあるんで、それをいいことにこういう二七・八%という高金利を取っているわけでございます。  もう一つ銀行の問題でどうしても触れなきゃいけないのは、これは新聞広告でございまして、(資料提示)今や銀行とサラ金会社が一体になってこういう個人向けの消費者金融に乗り込んできているというこれは新聞広告で、朝日新聞の新聞広告でございます。三井住友はプロミスを傘下に入れているんですね。しかも、先ほど言ったように資金を提供して、リスクの低いところ、つまり優良なお客は三井住友でカードで貸すと。リスクが高くなればアットローンで貸す、更に高ければサラ金のプロミスに回すと。こういうことが、もう大手の銀行戦略としてリテールの中でずっと行われているわけでございます。  私は、これでいきますと個人情報も、銀行の預金者の個人情報もどうなっているのかということを非常に心配いたしますが、これ三井住友だけではございません、ほかの大銀行もこういうサラ金との提携に今ずっと進んでいるところでございます。  一言言っておきますけれども、この写真の女優の木村佳乃さんには罪はございません。私もファンでございますけれども、こういう方のイメージを使って、イメージを使って安心させると。銀行の信用ブランドを出して、で、サラ金のノウハウを使ってこういうことが行われているということでございまして、私は異常な事態が進んでいると思います。  先ほどから量的緩和の話がありましたけれども、日銀がじゃぶじゃぶにですね、じゃぶじゃぶに銀行に回したお金がこんなことに使われていると。これは与謝野大臣、いかが思われますか。
  318. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 近ごろ不愉快なことは、やはりテレビコマーシャルにそういう高い金利で貸すサラ金業者の広告が堂々と載っていることと、かつては私は超一流銀行だと思っていた銀行がサラ金業者と一緒に広告を出しているというのは、私の気持ちとしては、最近不愉快のことの一つでございます。
  319. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。これからこういう広告がなくなればいいというふうに思います。  この最高裁の判決を受けて、グレーゾーンの見直しが、法改正が求められることになってまいりました。この法改正は議員立法で提案することになるようでございます。私、議員立法一般は国会議員の仕事として活発にやるべきだという考え方ですが、この議員立法については大変危惧を抱いております。  なぜなら、午前中も指摘いたしましたけれども、この議員立法、最初から、貸金業法規制法ですけれども、議員立法ですが、八三年の制定ですね。そのとき、そのときの提案者自身が、これは業界向けに、業界に向けたあめだと、業界に向けたプレゼントだと。そんなことをしちゃってできたのがこのグレーゾーンで、それによって日本の貸金業が世界で類を見ないほど巨大産業になってしまったと、サラ金がですね。そういうことになっているわけで、たくさんの人がまた苦しんでいるのもそのせいだと思います。  今回も、貸金業界は金利の引下げに強い危機感を抱いております。貸金業団体の政治団体、全政連というのがございます。これは全国貸金業政治連盟でございますけれども、与党の議員の皆さんに働き掛けを活発化しているようでございます。この組織は元々、この貸金業法が議員立法であるということを想定して、議員立法に向けて取り組むことを目的としてつくられた政治連盟でございまして、例えば全政連の第五回定時総会議案書にはこういうふうに書かれています、これ去年の五月ですけれども。当連盟は政治団体として貸金業界と議員立法を担う国会議員とのパイプを築き、それを盤石なものとしていく役割を担っていると。創立以来の活動によって、与党議員連盟を始め多くの議員が業界に理解を示してくれて、要望を国政に展開させる環境は整ったのであると。これは実は今回の見直しに向けての発言でございます。  今回も、利息の上限を下げないような議員立法を求めて活動しておりますけれども、もしもその議員立法が、こういう一部の団体から献金を受けたり、あるいはパーティー券を買ってもらっている議員が中心になって業界に有利な議員立法を作るということになると、私は大変だというふうに思います。与党が、もし与党が作った議員立法でしたら数の上から実現可能性高いわけですから、そんなことで作られたら大変だという認識を持っているところでございます。  自民党の中には、金融サービス制度を検討する会という議員連盟がございます。〇五年四月に再開といいますか、できたわけですけれども、その三か月前の一月に、先ほど言いました全政連の名誉会長である小倉利夫貸金業団体の会長は、日本金融新聞の中でこんなことを言っています。全政連では議員の方とパーティー券購入などのお付き合いをしているが、前回の法改正と同様に、前回の法改正と同様に議員連盟をつくってほしいと何人かの議員にはお願いをしていると。先ほど言いました議員連盟ができる、金融サービス制度を検討する会ができる三か月前の発言でございます。そして、四月にできたということでありますので、私は、この全政連の働き掛けが強く働いたんではないかというふうに思っておりますし、以来、何度も全政連のメンバーとこの自民党の議員連盟が懇談をされております。  ちなみに、この議員連盟、参加されているのはほとんど衆議院議員の皆さんで、参議院の皆さん余りおられませんですけれども、小倉会長がここで言っている何人かの議員とつくってもらうように、議員連盟をつくってもらうように頼んだ何人かの議員とはだれかというふうに私は思います。  そういうことで議員連盟つくって議員立法つくっていいのかなというふうに思うわけでございまして、最近、この議員連盟の中心メンバーによってさらに、一応超党派という形の金融システム整備による経済活性化を推進する議員連盟というのが呼び掛けられました。高金利引下げの一文字もない議員連盟でございます。我が党にもいったん話がございましたけれども、やはり共産党は入れない方がいいというふうなことらしいでしたけれども、もう上等でございまして、こちらの方からお断りでございますけれども。  全政連はこの議員連盟にも大きな期待を寄せているわけでございまして、率直に申し上げます。サラ金被害に苦しんでいる人たち、消費者団体の人たち、弁護士さん、戦ってきた弁護士さんの人たちは、この議員連盟の動き、あるいは中心になっている与党議員の動きに非常に心配されております。前回のように、業界寄りの投書とか業界に譲歩したものが出てきて、せっかくの最高裁の判決があって高金利引下げのチャンスなのに、それが業界寄りにぶれてしまうことを大変心配されているところでございます。  我が党は、こういう議員の方々の動きについて調査をいたしました。各県の貸金業界、貸金業団体の顧問になっている方、あるいは全政連に三年間続けてパーティー券を買ってもらっている方などおられます。さらに、ある議員は、事もあろうに引き下げるんじゃなくって出資法を引き上げると、そんなことを言っているということまで全部調べました。  今日は武士の情けで名前は言いませんですけれども、これから何をされるかが問題でございますから名前を伏せておきますけれども、要するに、私、一般論として、議員が、国会議員が特定の団体から献金受けたり、パーティー券買ってもらって政府に国会質問をしても、今や受託収賄罪に問われる例もあるぐらいでございます。ましてや、自ら議員立法の立法をすると、特定の団体からそういう関係がある人がですね。私は、それ非常にもう大変なことだと。質問して受託収賄罪に問われた方いるわけですからね。それよりも、自ら法律作るとなると、これは大変なことだというふうに思います。  最後に、総理にお聞きしたいんですけれども、これは本当に被害を受けてきた方とかの高金利引下げはもう本当に切望されていることで、弁護士さんたちも頑張ってこられましたし、国民のこの高金利引下げに対する要望はもう強いものがあると思います。私は、国会の責任として、むしろ超党派で本当にどうやって利息制限法に持っていくかという議論をして、真っすぐに最高裁の判決にこたえるのが国会の仕事だと思いますが、総理のお考えをお聞きしたいと思います。
  320. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この問題は党派を超えて、わずかなお金を借りて多額の借金を返さなきゃいけないという、高金利むさぼっている業者、これに被害を受けないような対策を講じなきゃならないと思っております。
  321. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございました。終わります。
  322. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で大門実紀史君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  323. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、福島みずほ君の質疑を行います。福島みずほ君。
  324. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。(資料提示)  「小泉内閣の規制緩和のおかげで、非常に商売がしやすくなっています。」、この言葉は、ライブドアの前社長堀江さんがライブドアの機関誌で去年の十一月、武部幹事長との対談で言っているせりふです。小泉内閣の規制緩和と商売が直結して言われています。規制緩和の仕方、方向が間違っていたのではないでしょうか。
  325. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これも、典型的に一部だけを取り抜いて、あたかも全部規制緩和が悪いというような大変好ましからざる論理だと思うんであります。規制緩和で恩恵を受けている方々もたくさんいる。  まあ仮に、例えて言えば、今まで一千万円の資金がないと会社をつくることはできなかった、株式会社つくることできなかった。三百万円ないと有限会社もつくることできなかった。それでは、一円以上あれば会社をつくることができるように規制を緩和しましょうといって、その恩恵を受けてたくさんやる気のある人が会社を立ち上げることができている。これも規制緩和の一つですよ。  今まで、地方の民宿で自分のうちのいいお酒を造る、ところが、これはお客さんに自分の造ったどぶろくを飲ますことができない。密造酒になってしまう。何とかそういう、お客さんに自分のところで造ったお酒、どぶろくなども提供できるようにしてください、たしかこれは岩手県ですかね。そういうのも規制緩和しましょうといって、逆にその民宿の皆さんも経営者も喜んで、お客さんも、ああ、そういう規制緩和をしてくれれば、ああ、たまには田舎のよさを味わってみたいと、東京では飲めない、お酒じゃない、どぶろくだと、地域の、飲んでみようといって、増えて喜んでいる人もあるわけですよ。  で、今回の堀江さんの例で、規制のおかげでいける。堀江さんだけじゃありませんよ。株式も多少分割した方が個人で低額で株を購入したい人も購入できるようにしましょうということの一環の規制緩和でしょう。これ、ちっとも悪いことじゃない。ただ、法律に触れなくても、どんどんどんどん細かくしていけばいいんだということではない。そこら辺は企業の経営者としての責任感とか使命感を持ってもらわなきゃならぬと。  一部をこれ今取り上げた、でかでかと、規制緩和がすべて悪い悪いというふうには私は思っておりません。
  326. 福島みずほ

    福島みずほ君 ライブドア事件を契機に今規制の強化が言われています。今国会にも法案が出ております。規制の強化が言われている。今までのやり方で問題があったということですよ。どぶろくは私はいいと思います。しかし、この問題に関しては規制緩和に問題があったということですよ。公正な市場ルールがつくられておりません。  また、これも堀江さんと武部さんが十一月の段階で対談をしています、機関誌に。これは株主に対しても配られています。タヌキが木の葉を紙幣に化かしてだまして使ったように、自民党はこのようなある種の錬金術に加担をしたのではないですか。
  327. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 全然そう思っていませんね。  これはもう社民党と私どもとの考え方違うんですけれども、がんじがらめで全部法律で縛ればいいというもんじゃないですよ。企業の自由な創意工夫をいかに発揮させて、それぞれの政府なり役所、公務員、役人では考えの及ばないような民間の知恵を活用していこう。規制でがんじがらめにしちゃいかぬ、ある程度規制を緩めて活性化させよう、証券市場で活性化していきましょうということで、多くの投資家が恩恵を受けるような規制を緩和してきたんです。それを悪用しちゃいかぬと。規制緩和すればすべて悪用するというのは、これは誤った考えじゃないでしょうか。もし規制を緩和して悪い部分ができたら、どういう方法があるか、改善策を講じるのは、これは必要だと思います。
  328. 福島みずほ

    福島みずほ君 すべての規制緩和悪いなんて言っているのではありません。むしろ、労働法制などはきちっと強化をすべきところはあります。しかし、労働法制は規制緩和をしながら、今回の規制緩和やそもそもの規制緩和の方向が正しいかという議論をしているのです。  武部幹事長は、この対談の中で、事後チェック型の行政に変わることが大事と言っています。消費者保護の観点は守ってくださいと述べています。  では、お聞きします。  消費者保護の観点が重要だと言いますが、ライブドアの問題で被害を受けた消費者はどう救済されるんでしょうか、株主はどう救済されるんですか。
  329. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 規制緩和で仕事がしやすくなった、そういうことをおっしゃっているわけですが、その後に付け加えるべき文章があって、それでもやり過ぎると捕まるということはやっぱりお考えいただかなきゃいけないと。  今回の事件というのは全く新しい形の犯罪ではなくて、証券取引法が昔から予想していた風説の流布、偽計、また有価証券報告書の虚偽の報告という証取法上の典型的な犯罪だと私は思っておりまして、小泉内閣の規制緩和とは何ら関係がないと私は思っております。  しかしながら、一連のことの中から、やはり投資家を保護する、そのことについてのやはり法律は強化をしなければならないと。典型的なのは、やはりきちんとした情報開示をしてもらう、それからもう一つは公正な取引と、これは非常に難しい法制でございますが、両方とも今回は国会にお願いすることとなっております。
  330. 福島みずほ

    福島みずほ君 今回被害を受けた人たちは本当に被害救済が困難なんですね。被害を受けた人間は自己責任なんでしょうか、それとも小泉総理や武部幹事長にも責任があるのでしょうか。
  331. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 何やっても私の責任になるわけですけれども、投資するときにはリスクなり損をするんだということも考えてもらわないと、民主主義、市場経済、自由主義経済成り立たないんです。  株を買う。全部上がるなんてあり得ないんですよ。そこら辺はよく注意して、自己責任で株は買ってもらう。株、損した人、政府面倒見てくれったって、それはできません、はっきり言って。預金、これはちゃんと一定の金利が付きますよ、一千万円以内だったらちゃんと保証されますよ、しかしこれからは、一千万円以上預けた場合はそれは分かりませんよということになっているんですから、そこら辺は自己責任というのはあるんですよ。  これから、今日はテレビ入っているようですけれども、株買う人、損したから政府に面倒見てくれなんて、絶対政府はしませんから。株を買う人は必ず、上がるときは黙っているけれども、下がったときは自分で責任を持って、覚悟して株買ってくださいと。株買うことは悪いことじゃない、そう申し上げたいと思います。
  332. 福島みずほ

    福島みずほ君 二つ問題があります。そもそもの規制緩和、規制がちゃんとしていたのかどうかという問題。二つ目は、このように去年十一月だって対談しているんですよ。自民党の幹事長が対談をしていて、やはりこれは人は信用しますよ。少しは信用しますよ。ああ、武部さんがやっているんだからと、それは信用しますよ。  ところで、私の疑問は、証券監視委員会がやはり非常に遅れたんじゃないかということです。これに関しては、与謝野大臣は、平成十五年の秋ごろから監視を始めた、着手をしたのは去年の秋ごろだと言われています。なぜ去年の秋ごろなのか。なぜ、一杯あった事件の一つだというんだったら、よくある事件だというんだったら、なぜ、例えば時間外取引などライブドアは非常に目立っていました。なぜこれが遅れるのか。選挙があったので控えていたということはないですか。
  333. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 先生は弁護士であられるので、刑法のことはよく御存じだと思いますが、刑罰規定を発動するためには構成要件にきちんと該当していないと発動できないということで、構成要件に該当する事案はないかということは証券監視委員会は常に考えていたわけですが、昨年の秋ごろになりまして構成要件に該当する事案をようやく発見したと、こういうことだと思っております。
  334. 福島みずほ

    福島みずほ君 秋で、やはりちょっと遅かったんじゃないか。事後的チェックでやるのだ、消費者保護が大事だというのであれば、何とか事後的チェックシステムそのものも、あるいは事前の規制もきちっと考えられるべきだと思います。  以上で質問を終わります。
  335. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で福島みずほ君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて証券金融に関する集中審議は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二分散会