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2006-03-14 第164回国会 参議院 予算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月十四日(火曜日)    午前十時四分開会     ─────────────    委員の異動  三月十三日     辞任         補欠選任      黒岩 宇洋君     大江 康弘君      大門実紀史君     小林美恵子君      福島みずほ君     近藤 正道君  三月十四日     辞任         補欠選任      松下 新平君     浅尾慶一郎君      吉川 春子君     紙  智子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小野 清子君     理 事                 市川 一朗君                 木村  仁君                 小泉 顕雄君                 鶴保 庸介君                 藤井 基之君                 小林 正夫君                 辻  泰弘君                 平野 達男君                 加藤 修一君     委 員                 秋元  司君                 浅野 勝人君                 岩井 國臣君                 岩永 浩美君                 大仁田 厚君                 大野つや子君                 岡田 直樹君                 岸  宏一君                 佐藤 昭郎君                 関口 昌一君                 田村耕太郎君                 伊達 忠一君                 谷川 秀善君                 常田 享詳君                 南野知惠子君                 山本 一太君                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 小川 敏夫君                 大江 康弘君                 喜納 昌吉君                 櫻井  充君                 下田 敦子君                 主濱  了君                 内藤 正光君                 前田 武志君                 山根 隆治君                 蓮   舫君                 若林 秀樹君                 澤  雄二君                 山口那津男君                 渡辺 孝男君                 紙  智子君                 小林美恵子君                 近藤 正道君    国務大臣        外務大臣     麻生 太郎君        財務大臣     谷垣 禎一君        厚生労働大臣   川崎 二郎君        農林水産大臣   中川 昭一君        経済産業大臣   二階 俊博君        国土交通大臣   北側 一雄君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策))  小池百合子君        国務大臣        (内閣官房長官) 安倍 晋三君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融、        経済財政政策)        )        与謝野 馨君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣科学技        術政策食品安        全))      松田 岩夫君    副大臣        防衛庁長官   木村 太郎君        総務大臣    山崎  力君        外務大臣    金田 勝年君        財務大臣    赤羽 一嘉君        厚生労働大臣  赤松 正雄君        農林水産大臣  三浦 一水君        経済産業大臣  松 あきら君        国土交通大臣  松村 龍二君        環境大臣    江田 康幸君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        愛知 治郎君        財務大臣政務官  野上浩太郎君        文部科学大臣政        務官       有村 治子君        農林水産大臣政        務官       小斉平敏文君        経済産業大臣政        務官       小林  温君        国土交通大臣政        務官       吉田 博美君        環境大臣政務官  竹下  亘君         ─────        会計検査院長   大塚 宗春君         ─────    事務局側        常任委員会専門        員        村松  帝君    政府参考人        食品安全委員会        事務局長     齊藤  登君        防衛庁防衛参事        官        小島 康壽君        防衛庁長官官房        長        西川 徹矢君        防衛庁防衛局長  大古 和雄君        防衛庁人事教育        局長       飯原 一樹君        防衛施設庁長官  北原 巖男君        総務大臣官房総        括審議官     荒木 慶司君        総務省自治財政        局長       瀧野 欣彌君        外務大臣官房審        議官       遠藤 善久君        外務大臣官房参        事官       梅田 邦夫君        外務大臣官房国        際社会協力部長  神余 隆博君        外務省北米局長  河相 周夫君        外務省経済協力        局長       佐藤 重和君        財務省主税局長  福田  進君        財務省理財局長  牧野 治郎君        厚生労働大臣官        房統計情報部長  桑島 靖夫君        厚生労働省医政        局長       松谷有希雄君        厚生労働省健康        局長       中島 正治君        厚生労働省医薬        食品局長     福井 和夫君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       松本 義幸君        厚生労働省老健        局長       磯部 文雄君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        厚生労働省年金        局長       渡邉 芳樹君        社会保険庁運営        部長       青柳 親房君        農林水産省総合        食料局長     岡島 正明君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        農林水産省生産        局長       西川 孝一君        農林水産省経営        局長       井出 道雄君        農林水産省農村        振興局長     山田 修路君        経済産業省製造        産業局次長    塚本  修君        資源エネルギー        庁資源燃料部        長        近藤 賢二君        国土交通大臣官        房審議官     高梨 雅明君        国土交通大臣官        房審議官     和泉 洋人君        国土交通省道路        局長       谷口 博昭君        国土交通省住宅        局長       山本繁太郎君        国土交通省鉄道        局長       梅田 春実君        環境省総合環境        政策局環境保健        部長       滝澤秀次郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十八年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十八年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十八年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成十八年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日は、一般質疑を百四十分行うこととし、各会派への割当て時間は、自由民主党二十九分、民主党・新緑風会七十六分、公明党十九分、日本共産党十分、社会民主党・護憲連合六分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  3. 小野清子

    委員長小野清子君) 平成十八年度一般会計予算平成十八年度特別会計予算平成十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。岩永浩美君。
  4. 岩永浩美

    岩永浩美君 おはようございます。自由民主党岩永浩美です。  質問の前に国交省にちょっと自省を促したいと思いますが、私は質問通告を出しておりましたら、昨日の夕方六時ぐらいになって、大臣出席はかなわないという、そういうことを官房の方から言ってまいりました。私は、自由民主党予算委員会理事を通し、大臣出席要請を、先にそういう話を私ども申し入れていたにもかかわらず、その理由は、衆議院法案審議があるので、どうしても大臣出席はかなわないという、そういうお話の申入れがありました。私は、そのことに、言下にそのことについて拒否をし、何としてでも大臣には御出席をいただきたい、そういうことを申し上げて、今日、大臣出席はかないましたが。  少なくとも参議院の中における予算審議、そして衆議院参議院の中で法案審議がなされていることは十分に承知をしていますが、今、何はさておいても予算審議を先に優先して諮るべきだと私は思いますが、そういう意味で、官房の方々の大臣出席衆議院に対する御配慮もあったかもしれませんが、そういう一つの経過があったことに対して大変私は遺憾な思いがいたしております。特に、私自身は前もって大臣出席も当委員会理事を通しそのお願いをしていただけに、大変残念な思いをいたしました。そういうことがあったことをまず報告を皆さん方にして、質問に入りたいと思います。  今日は、国交大臣は、先ほど申し上げたように衆議院委員会待っているようですから、先に国交省新幹線の問題について質問をしたいと思います。  今、整備新幹線について、それぞれの新幹線整備計画がなされていますが、今なお未着工になっているものがございます。それは長崎ルートについてまだ未着工になっておりますが、長崎ルートについて国交省として、大臣として、今どういう一つ思い長崎ルートについての考え方をお持ちなのか、まずお聞きをしておきたいと思います。
  5. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 九州新幹線長崎ルートを始めとする整備新幹線につきましては、これまで政府与党間で累次の合意をしてまいりまして着実に整備推進をしているところでございます。長崎ルートにつきましては、平成十六年十二月の政府与党申合せにおきまして、調整が整った場合には、着工するというふうになっているところでございます。  今、佐賀県知事が大変御努力をちょうだいをしておるところ、大変感謝しておるところでございますが、長崎ルートにつきまして今後ともこの政府与党申合せに基づきまして整備が進められていくものというふうに考えております。
  6. 岩永浩美

    岩永浩美君 これ、長崎ルートについてよく議論されることについて、採算性の問題それから費用効果、そういうふうなことについていろいろ議論されていますが、長崎ルートそのものについての由来について少し私も申し述べたいと思いますが、この長崎ルートの発議になったのは昭和五十三年の五月ですね、当時の長崎県知事さんとそれから当時の、存命中の方は中曽根先生だけですが、大平幹事長、江崎さんが政調会長の折に、長崎県が、「むつ」、原子力船むつ」が故障して、その「むつ」の修理港として長崎県に受け入れるかどうかという大変大きな問題が発生したときでございます。そういう、皆さん方案内のとおりに、長崎県は被爆県であるがゆえに、原子力船の「むつ」の受入れについては県民の世論として受け入れることに大多数の皆さん方が反対であったことは御案内のとおりだと私は思います。そういう中にあって、原子力行政推進していく上において、原子力船むつ」の改修というのは大変政治的な課題が大きかった。その原子力船むつ」の受入れを、被爆県である長崎県がその受け入れるに当たっては、将来に対する県民の夢、そういうものを具現化していくために、何としてでもやっぱり何か一つの政治的なお土産もいただきたいという、当時としてはそういう思いが為政者の皆さん方におありだったんだと私は思います。  先ほど申し上げたように、その一つ思いから、五十三年の五月に知事さんと当時の自由民主党、当時は単独の与党であった自由民主党の三役が、長崎新幹線工事着工は他の線に後れないこととするということの証書を出して、お約束をされて長崎ルート建設することに、一応政府与党合意としてなされてきたこと、そのことはもう既に御案内のとおりだと私は思うんです。そういう長い年月を掛けて長崎ルートが一応整備新幹線の中における、まだ未着工とはいえ一応了承されていることについては私自身多としたい、そういう思いがありますが、まだまだ抱えている課題もございます。  それは、先ほど大臣の方がお考えになったように、佐賀県知事は大変やっぱり長崎ルート建設に向けて努力をしていますが、地方公共団体の長としての一つ役割を十分に発揮するに至ってない部分がある。それは何かというと、政府与党合意文書の中で、並行在来線経営同意条件について、地方公共団体として、地方公共団体同意が必要だということ、その地方公共団体同意というのが県になるのか市町村になるのか、そのことについて大臣はどういう御見解をお持ちか、まずお聞きをしたいと思います。
  7. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) これは、今、岩永委員の方からお示しをいただきましたのは、平成十六年十二月の政府与党申合せ決定された内容でございますが、新たな区間着工につきましては、ほかにも要件があるわけでございますけれども並行在来線経営分離についての沿線地方公共団体同意取付け、これが基本条件で、この条件が整えられていることを確認した上で行うと、そこのところの沿線地方公共団体ということだと思います。  他の整備新幹線のところも同様のこの並行在来線の問題があるわけでございますが、それについての沿線地方公共団体というのは、その在来線が通っている市町村ということでこれまで取り扱っているところでございます。
  8. 岩永浩美

    岩永浩美君 その経営分離同意というのは、これは与党政府との同意事項であって、法律事項ではないですね。
  9. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 政府与党申合せ事項でありまして、法律事項ではございません。
  10. 岩永浩美

    岩永浩美君 それでは、やっぱり地方公共団体を代表するということは知事ということ、普通の場合は地方公共団体の長というのはやっぱり知事というふうに私たちは認識をしますけれども総務大臣にちょっとお聞きしますが、地方公共団体地方団体というのは、県会県知事市長会市議会町村長町村議会、これでいいですね。
  11. 山崎力

    ○副大臣山崎力君) おっしゃるとおり、地方団体、県を代表しての知事会県議長会、それから市長会市議会議長会、それから町村は一緒でございまして、町村長会町村議長会でございます。
  12. 岩永浩美

    岩永浩美君 大体、地方公共団体のまとめというのは総じて大体知事がおやりになるということが通例じゃないですか。
  13. 山崎力

    ○副大臣山崎力君) いわゆる地方団体を代表してということで、これは法律的とかいう問題ではないと思いますが、知事会が代表していろいろな取りまとめをしていただいて、地方の代表として声明その他行動されているというふうに認識しております。
  14. 岩永浩美

    岩永浩美君 私は、だからそういうことを踏まえて考えると、法律事項じゃないとすれば地方公共団体のあらゆる一つ責任、総じてやっぱり知事がそういう問題についての取りまとめをやっていくということが必要なことではないだろうかと思うし、そういうふうな形の中で地方自治体の運営がなされていると私は確信をするんですね。  そこで、私自身感じるのは、財政負担もやっぱり県がこの場合やっていくわけですね。その県があらゆる形の中で主導的役割を担って推進をしていくということが必要ではないかと私は思いますが、大臣はどういう御見解でしょうか。
  15. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 今委員のおっしゃったように、沿線の県が事業費の一部を負担をしていただいているわけでございまして、当然のこととして、整備新幹線整備に当たってはこの沿線の県の意向というものは無視できない、尊重されねばならないというふうに考えております。
  16. 岩永浩美

    岩永浩美君 それでは、さきの国会、三月一日の国会答弁で、フル規格化に関して県の意向を無視できないとあったが、県の意向が尊重されることは、フル規格についてだけではなく、申合せによる長崎ルート整備取扱い全般に言えると考えるが、それはどうですかね。
  17. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 一昨年のこの政府与党申合せの中で、並行在来線区間運営在り方については、長崎ルートでございますが、並行在来線区間運営在り方については、長崎県の協力を得ながら佐賀県において検討を行うこととし、速やかに結論を出すこととすると、そして、調整が整った場合には、着工するというふうになっているところでございまして、今この申合せを受けまして、冒頭申し上げましたように、佐賀県において、佐賀県知事において地元調整をしていただいておると。引き続き佐賀県が責任を持って調整努力されることを私ども期待をしているところでございます。
  18. 岩永浩美

    岩永浩美君 今大臣から御答弁あったように、佐賀県の知事は大変やっぱり長崎ルート建設に向けて大変な努力を今していただいている。その中心的役割を担って知事孤軍奮闘、正に一生懸命地元調整等々にも当たってやっていただいておりますが、特に財政負担等々についても長崎県側も一部の負担をするとか、ほかのルートとはちょっと異なるんですね、その長崎ルートの場合には。並行在来線といっても、今回新幹線が通るところと長崎本線の間はちょっと距離が遠いと思う。それから、フリーゲージトレーンを導入をしたいという、ほかのルートとはちょっとやっぱり違う形で推進をされているわけなんで、こういうふうなことを踏まえてやっていくと、どうしてもやっぱり県知事がその主導的役割を担ってやっていくという、そのことが同意条件になっていくことでなければ私はいけないと思うんですね。  それぞれ反対する地域もあるかもしれない。しかし、総じて地域全体、あるいは佐賀長崎両県のみならず、国土軸としての新幹線整備計画政府与党の中で決定をしたわけですから、国策であるその一つ新幹線整備網は、国も県も一体になってやっていくということで強力な大臣の指導を発揮してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  19. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 整備新幹線整備は、これは単に地方の問題ではなくて、やはり国としてもしっかり取り組んでいこうとしている事業でございます。したがって、任せているだけではなくて、もちろん国の方もしっかり対応をしていかねばならないと考えているところでございます。  一昨年の十二月の申合せを受けまして、先ほど来岩永委員もおっしゃっていただいておりますとおり、佐賀県が沿線地方公共団体との話合いに大変御努力をされていらっしゃいます。これまで地元調整についてかなり私は進捗が見られているというふうに認識をしておりまして、こうしたこれまでの県の御努力に大いに評価をしているところでございます。  沿線市町村道路取付けにつきましては、引き続き佐賀県が責任を持ってしっかりと調整努力されることを期待をしておるところでございます。
  20. 岩永浩美

    岩永浩美君 大臣から今御答弁いただいたように、知事中心的役割を担っていただいていることに高い評価をいただいていること、今後も知事にはなおその責任の一翼を担って、佐賀長崎両県の新幹線整備が一日も早く着工できるように努力をしていただくことを私自身期待をしておきたいと思う。  また、それに併せて、地域皆さん方にとって今やっぱり鉄道輸送によるものは、貨物と人と比べた場合に、貨物の場合には、かつては貨物鉄道で運んでいたことが非常に多かったけれども、九〇%以上やっぱり陸路での輸送が多くなってきたことは言うまでもありません。そのために長崎県までやっていく道路網整備というのが非常にやっぱり遅れているこの現実、そういうことを踏まえて有明海沿岸道路、熊本から福岡を通り、そして佐賀を通って長崎まで、今佐賀の一部のところまでになっておりますが、それを南伸してほしいという、そういう強い要請がございます。この件については、道路局長お見えいただいておりますので、道路局長の御答弁お願いをしたいと思います。
  21. 谷口博昭

    政府参考人谷口博昭君) お答えいたします。  有明海沿岸道路は、有明北部沿岸地域を横断し、福岡県大牟田市から佐賀県鹿島市を連絡する延長約五十五キロメートルの地域高規格道路であります。このうち佐賀県内の約二十八キロメートルにつきましては、国土交通省佐賀県が区間を分担して環境影響評価手続を実施中であり、事業着手に向けた準備を進めているところであります。  今、本道路長崎県方面への延伸についてお尋ねがありましたが、今後、佐賀長崎両県が中心となって、佐賀西南部から長崎県島原市周辺にかけての有明海沿岸地域における地域整備在り方社会資本整備在り方等について、学識経験者経済界の参加もいただきながら検討する予定と聞いております。道路整備在り方につきましても、その成果を踏まえて具体的に検討されることとなると考えておる次第でございます。  この検討会には九州地方整備局も参加する予定でありまして、国としましては、こうした取組に対しまして佐賀長崎両県とも調整して必要な支援をしてまいる所存でございます。
  22. 岩永浩美

    岩永浩美君 どうもありがとうございました。  新幹線の問題はこれで終わりたいと思いますが、どうか大臣におかれましては、やっぱり知事がその一つ責任を持って今推進をしています。知事にその一つ責任の権限を与えていただいて責任持ってやっていくことを私どもも強く要請をしますし、かつまた、大臣の方でも見守っていただきたいと私は思います。それじゃ、どうぞ。  それでは次に、三位一体改革について伺いたいと思います。  私は佐賀県が選挙区であり、財政窮乏県で、大変やっぱり今回の三位一体改革あるいは交付税制度の堅持等々についていろいろな私自身、私なりの一つ考え方を持っていますが、やっぱり総務省を中心とした三位一体改革や構造改革、そしてまた、そのことによって地方自治体が危機意識を持って取り組んでいただいていることは十分私自身も理解をしています。今後も、その地方公共団体の行政改革は大変必要だと私自身思いますし、今総務省として、一昨年来ずっと始まってきている三位一体の構造改革地方自治体に与えた影響、地方自治体の危機意識がどういう形でお持ちいただいているのか、そういう認識等についての御見解をまずお聞きしたいと思います。
  23. 山崎力

    ○副大臣山崎力君) お答え申し上げます。  今委員御指摘の地方行革に対する評価ということでございますけれども地方公共団体におきましては、これまでも定員管理、給与の適正化あるいは民間委託の推進など、各般の行政改革に積極的に取り組んできたというふうに認識しております。しかしながら、その一方で、少子高齢化に伴う新たな行政ニーズの発生あるいは厳しい財政状況ということがございまして、地方行革の、今どこまでやっているんだという進捗状況に対しては厳しい目があるのもまた一方で事実だというふうに思っております。  そういった中で、国民の信頼に支えられた分権型社会を確立するためにも、総務省といたしましては、平成十七年度、今年度中の集中改革プランの公表など、不断に行政改革に取り組むよう各地方公共団体要請しているところであり、また、明平成十八年度早期に集中改革プランの公表状況を取りまとめ公表するなど、今後とも地方行革の推進に積極的に取り組んでいかなければならないというふうに考えておるところでございます。
  24. 岩永浩美

    岩永浩美君 総務省ではそれなりに、それぞれの地域からの結果報告をお聞きになっていてそういう御見解になるのかもしれませんが、実態としてはもっとやっぱり地方自治体、悲痛な叫びなんですよね。  例えば、ちょっとお伺いをしたいんですけど、市町村役場等々で、やっぱり行政が肥大化した大きな一つの原因の中で、一部事務組合等々がいろいろやっぱり出てきたことによって、定員外の一つの人員を抱えることになったことが肥大化の大きな要因になったということも一面ございます。これは行政需要そのものがやっぱり変わってきたということもありますが、定数外の一つの職員の採用が事務組合を通して増員されてきたことによる大変な歳入不足等々が原因になってきた。  そういうことを考えると、今回、町村合併をしたりした場合に、そういう一部事務組合の職員とか肥大化した職員の削減等々に対して、具体的にそういう指導を役所としておやりになるのかどうか、定数制というものを、その市町村の規模による定数制というものを厳格に打ち出していこうとされるのか、それをお尋ねしたいと思います。
  25. 荒木慶司

    政府参考人(荒木慶司君) お答えいたします。  市町村合併によりまして一部事務組合が解散する場合、それまで共同処理していました事務につきましては合併後の市町村に引き継がれることとなりまして、当該一部事務組合の管理者あるいは議員は不要になるものでございます。また、これに伴って、議会の開催事務でありますとか内部管理事務などにつきましても経費削減効果が期待できるところであります。  具体的に実例で申し上げますと、宮城県の栗原市では、一部事務組合の構成団体がすべて合併したことによりまして、消防、ごみ処理などの事務を新しい市において単独で処理することとなりまして、これにより議員十九名が不要になりましたほか、年四回あった組合議会の開催も、これは当然でありますが不要になっております。また、島根県の松江市では、消防、し尿処理などを行っておりました一部事務組合の構成団体が一団体を除いてすべて合併したことによりまして、一部の事務を除き新市において単独処理をすることとなりまして、これによって議員十七名が不要になりますとともに、年三回あった議会の開催が不要になったところであります。  なお、一般の職員につきましては、合併直後、その身分は新しい市の職員になるわけでございますが、今後、合併後の市町村において行政改革が進められる中で、組織の簡素合理化等によりまして、定員管理等も徹底して行っていただくことによりまして経常経費の縮減が中長期的に実現されるように期待をしているところであります。また、私どもとしてもそのように助言をしてまいりたいと考えております。
  26. 岩永浩美

    岩永浩美君 是非そのことをお願いをしておきたいと思います。  次に、地方交付税についてお伺いをしたい。  人口、面積による配分など極端な簡素化の議論もありますけど、他方、実態に即した財源、それぞれのやっぱりその自治体の実態に即した一つの財源が確保されなければいけないというふうに私は思うんですけど、そういう具体的に地方交付税の配分についてどういう考えを持っておられるのか。
  27. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) 交付税の配分についてのお尋ねでございます。  地方交付税の算定に当たりましては、各地方団体間で財政力に相違があるわけでございますので、そういった財源の不均衡を調整すると、こういう機能とともに、国が地方公共団体に一定の事務事業を義務付けておりますので、そういった行政水準を維持できますように財源保障をすると、こういう機能があるわけでございます。そういう意味におきまして、御指摘のように、単に人口とか面積で単純に配分するということは我々は適当でないというふうに考えておるところでございまして、実態に即した算定ということが重要であるというふうに考えています。  ただ、交付税の算定につきましては非常に複雑で分かりにくいという御指摘もあることも事実でございます。したがいまして、先ほど申し上げましたような交付税の財源調整とかあるいは財源保障の機能、こういったものを十分に堅持しながらできる限り簡素化に努めていくと、こういう方向で今後とも交付税の算定に努めてまいりたいというふうに考えております。
  28. 岩永浩美

    岩永浩美君 今回、市町村合併が促進をされました。大変これは結構なことだと私は思いますね。  それは、例えば、面積は大変大きくなったけど人口が大変少ない市町村が生まれてきたこと。これまで交付税の算定基準では適切な、財政上、算定できない、今までのような算定基準ではね。非常にやっぱり難しいことが出てくるんじゃないかと私は一つ思うんですね。これまでの算定基準で財政力が豊かな市町村が合併した地域には交付税が手厚く配分されてしまうのではないかという危惧、それから、合併市町村の行財政運営の状況に、その交付税の実態として今まですごくやっぱり余計交付されていた団体、あるいは少なくされていた団体、それについてある程度調整を十分に果たしていかないと不公平がやっぱり出てくるんではないかという心配がありますね。  今までは、面積が広いところには、河川の延長とか道路とか戸数とか田んぼの枚数とか、そういうふうなもうきめ細かい一つの交付税の算定基準というのがあったけど、そういうのがやっぱりなじまなくなってきているという部分があると思うんですよ。だから、現状に合った一つの交付税の在り方ということを十分に、もっとやっぱり分かりやすく交付税の算定基準というのは示すべきだと私は思いますけど、それについては具体的に何かそういう事例を持って対処しておられますか。
  29. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) 合併した場合の市町村に対します交付税の算定についてのお尋ねでございますけれども、広域合併によりまして誕生した市町村におきましては、例えば現在の地方交付税の算定では人口十万人の標準団体というのを設定いたしまして、面積はその場合には百六十平方キロメートルということを念頭に置いておるわけでございますけれども、御指摘のように、人口十万人規模でも今回合併した中には二千平方キロメートルを超えるような非常に大きな面積を超えるような市町村も出てきていると、こういう実態があることは事実でございます。  したがいまして、そういう今まで想定してきたものと少し、大分状況が変わってくるような市町村がございますので、今後どういう形でそういったものに対応していくか、これは一つ課題だというふうに考えております。  ただ、当面は、合併市町村につきましては、十年間はこれまでの交付税の額を維持していくという特例を構えてございますし、十年後におきましても五年間は激変緩和措置を講じるという考え方でございますので、当面、交付税の総枠につきましては、それぞれ合併市町村、従来と同じような行政運営が交付税の面ではできるのではないかというふうに考えておりますが、御指摘のように非常に市町村の形態も変わってまいりますので、そういった状況を十分踏まえながら、今後、適切な算定ができますように十分検討してまいりたいというふうに考えております。
  30. 岩永浩美

    岩永浩美君 それで、今回合併できたところは合併特例債の活用等々で十分財政運営ができることがあるんですけど、合併しようと思っても合併できなかった町村がまだあるんですね。その合併特例債の活用で合併した町村はある一定の成果が上がっても、しようと思ってもパートナーに恵まれずにできなかった市町村が大変不遇をかこつようなことがあっては私はいけないと思うので、そういうひとつ合併しようと意欲はあったけれども合併できなかったところに対する財政支援措置というものはどういうふうな形で考えるのか。それはもうできなかったんだからこれはしようがないよと一方的に切り捨ててしまうということでは、それは困ると思うんです。やろうという意識はあったんだけれどもできなかった、それに対する救済措置はどうなさるのか。
  31. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) それぞれの地域の事情によりまして、合併に取り組みながらもなかなかうまくいかないという市町村があることを我々も十分認識してございます。いずれにいたしましても、こういった市町村におきましては、むしろ合併した市町村よりも危機感を持って行政改革に取り組んでいただいているというような事例も多いというふうにも聞いておるところでございます。  我々といたしましては、交付税、先ほど申しましたように、標準的な行政水準を確保する、そのために必要な地方財源をきちんと保障していこうという制度でございますので、こういった合併ができなかった市町村におきましても適切な行政ができますように必要な一般財源が確保できるということが必要でございますので、我々といたしましては、そういった市町村におきましても標準的な行政ができますようにきちんと算定をしてまいりたいというふうに思っておりますし、また交付税の中で行政改革に前向きに取り組む市町村につきましては、そういったことを十分評価したような算定ということも考えていく中で必要な財源の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
  32. 岩永浩美

    岩永浩美君 一昨年の地方交付税の大幅削減によって、地方自治体が予算編成が十分にできなかったという悲鳴がございましたね。去年はそのことを緩和されて、ある一定の緩和をされたので大変市町村としては安堵をしましたが、皆さん方にとってやっぱり交付税というのは、先ほどから御答弁もいただいているように、調整機能を果たしていることは言うまでもありません。  十六年のときは、今後地方交付税というのはなくなるんでは、制度そのものがなくなるんではないのかと。三位一体改革推進することによって税源も移譲しますよと、税収は地方で独自にやっぱり確保できるように努力をしなさいと、そういうニュアンスが非常に先行して、地方交付税制度そのものがなくなってしまうんじゃないかという心配を地方自治体の首長さん始め議員各位が強く持って懸念していたんですね。だから、地方の財政というのは東京で考えている以上に大変厳しいものがある。そういう点で感覚に非常にやっぱり少し温度差が私はあると思うんですよ。  その地方自治体でも、同じ県の中である程度やっぱり裕福とは言わないけれども余裕のある運営ができる地域と、どんなにやっていこうとしても税収に頼れないものがある。そういうところに対する地方交付税というのは、何としてでもやっぱり必要な歳入財源に充てて運営をされている首長さんたちのお気持ちを察すると、やっぱり中央から、地方交付税制度は今後も堅持をしていくんだと。その代わりにやっぱり行財政改革については精一杯の努力をしていくというそういうメッセージ、地方自治体からのそういうメッセージが来たものに対して、やっぱり東京の方からも、交付税制度を堅持していく、歳出財源というものは、歳出については抑制をしていくというメッセージが聞こえたものについては精一杯の努力をしていくということをやっぱり強くメッセージとして送るべきだと私は思うんですけれども、それはどうでしょう。
  33. 山崎力

    ○副大臣山崎力君) 委員御指摘のとおり、財政力の弱い町村、特に町村が多いということ、そういった中で税源の偏在があるということも事実でございまして、その地域間の財政力格差を調整して一定水準の行政を確保するということは、これ地方交付税の重要な役割でございまして、これはもう我々としては絶対堅持していかなければいけないというふうに認識しております。  そういった中で三位一体改革を進める中で、交付税総額というのは、臨時財政対策債も含めまして平成十六年度から十八年度にかけて五兆一千億円抑制したところでございまして、そういった現物が地方に、やっぱり額が減ってまいりますと、どうしてもいろいろなことを、削減その他の措置をとりながらも、地方自治体としては非常に厳しい状況にあるということは認識しております。
  34. 岩永浩美

    岩永浩美君 終わります。
  35. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。佐藤昭郎君。
  36. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 最初に、BSE問題について質問いたします。  これは、この予算衆議院での予算委員会の冒頭に四点セットということで喧伝されたわけですけれども、これ全然、この最後のBSE問題というのは違うんでありまして、さきの三点セットは、これは関係者が悪いことをした、この最後のBSE問題と米国産輸入牛肉の問題というのは関係者は善いことをしているということでございますんで、私はこれ、今しっかり対応していただいているBSE問題について更にしっかり対応していただくようなことで質問申し上げたいと思います。  まず、このBSE問題、二〇〇一年十月からたしか我が国の全頭検査に入ったと思うんですけれども、この一番のポイントというのは、BSEというのが人にプリオンが感染していくということで、一九九六年に英国で大パニックになったわけですね。それから十年たちまして、我が国も全頭検査にして四年半たった。今のBSE対策で使われたお金というのは、ちょっと計算してみますと、農水省関連だけでこれ三千六百億超えていますね。厚生労働省や食品安全委員会を入れると、これ四千億超えている。さらに、流通や生産者全体を合わせると、これ一兆円近い大変な対応をしている。この四年半の知見とイギリスにおける知見などを見ていきますと、我が国のBSE対策というのも見直す時期に来ているんではないかということであります。  お手元に食品安全委員会のホームページ、この二枚紙、お配りいたしました、カラー刷り。これ、配っていただいているかな、行っている。  まず一ページ目は、これBSEの発生頭数とバリアント・クロイツフェルト・ヤコブ病、CJDの、vCJDと言いますけれども、この患者の発生数ですね、イギリスで十八万頭BSEが出て、vCJDが百五十九人発症した。  次の二枚目には、このイギリスを含めて世界じゅうのこのvCJDの死亡者数の推移があります。これを見ていただきますと、左側に赤の棒線がBSEの発生頭数で、これは単位が千頭ですね。年間五万頭ぐらい発生していって終息していった。一方で、死亡者数の方はピークで三十名にとどまっているわけですね。  これ、二〇〇四年の食品安全委員会の報告書の中で、人に対するこの感染のリスクというのを初めて表現した部分があるんですけれども、全頭検査が始まる前に我が国に流入したBSE感染牛のために今後どれだけのvCJDが発症するかということでリスク評価したんですね。一億二千万人に対して〇・一人から〇・九人という数字でした。今申し上げたように、この表を見ますと、イギリスのvCJDの発症数というのは百五十九人にとどまったんですけれども、そのときに食品安全委員会が一億二千万人に対して〇・一人から〇・九人将来発症するだろうと言ったのは、イギリスが五千人、vCJDがこれから発生するだろうということを前提にこういう評価をしたわけですね。全然これが四年間の知見を含めて変わってきた。  一方、食品安全委員会は、これは私、ホームページでこれ調べたんですが、この人への感染リスクについてはホームページ等では余り公開されておりません。確かに食品安全委員会の報告書は出ていますよ。  今、この時点でこういった科学的知見を集積し、先ほど申したように、このBSE対策に大変な国費や労力を投入している中、改めて国民に、今のですよ、全頭検査を行っている、そして危険部位は取り除いている、また人がこういった危険部位を食するようなことはないという新たな条件を踏まえてリスク評価をして、国民にしっかりコミュニケーションすべきではないでしょうか、食品安全委員会にお尋ねします。
  37. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 佐藤委員御指摘のように、その時々の情勢に応じて国民の皆さんに正しい理解を得るために十分な情報提供を行っていくということは食品の安全行政の上でもとても大事なことでございまして、御案内のように、食品安全委員会といたしましても、それぞれの段階で議論を公開したり意見交換会を開催したりいろいろな努力を積み重ねてきておられます。これからもそういった努力は、当然今も行っていただいておりますけれども、私としても更にそういった努力を行うように、先般も食品安全委員会委員長を始め皆さん大臣室にお越しいただいて打合せさせていただいたところであります。  現段階で再評価というような今御質問もありましたようでございますけれども、こういった状況の中で、御案内のように、特定危険部位を除く、あるいはBSE検査をしっかり行うというようなことで、リスクが効率的に排除されていることについては既に評価においてもなされておるわけでございますが、今日現在の状況は、御案内のとおり、十七年五月に答申を行いまして、現在リスク管理機関において正にこの答申に基づいて管理措置がとられているところでございます。  したがいまして、vCJDについて、この発生リスクに関する再評価、十七年五月から見直されました国内措置による一定の科学的知見が蓄積された段階で、その必要について検討することが適当ではないかと。今日、今この段階で、すぐ再評価ということ、そういう段階には今ないのではないかと。  むしろ今のところは、この前からも申しておりますが、輸出プログラムしっかり守っていただいて、原因を究明、今一生懸命されておられます。そして、プログラムをしっかり守っていただくということが国民の食の安全という意味で必要なことであり、そういう状況が今でありますから、すぐ食品安全委員会の方でまたリスク評価そのものを見直すという事態にはないのではないかなと、今日現在はですね、そう思っております。
  38. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 一定の理解示しますけどね、昨日の新聞にも、BSE、米で新たな疑い一頭ということで、日本の消費者の間で不安が高まっており、感染が確認されると輸入再開に影響を及ぼす影響ある、こういう報道もなされ、さすが中川農水大臣は関係ないとおっしゃっていただいたんですけどね。消費者は、このBSEのリスクについて、人にうつる可能性について、一億二千万人に対して、全頭検査やられる前も含めて、〇・九人、〇・一人というのは知らないんですよ。  国立犀潟病院の池田医師という方がゼロリスク探求症候群というのを書いておられます、ゼロリスク探求症候群。BSEパニックの背景だって言うんですよね。現実には不可能なゼロリスクを求める余り、リスクバランス感覚を失って、集団的なゼロリスク探求行動によって引き起こされる重大な社会問題が見えなくなってしまうという。  こういう状況ですから、どうかひとつ国民に対して正しいリスクコミュニケーションをしていただく、そのための評価をしていただくということについては検討していただきたいと思います。  次、農水大臣、伺いますが、今のような背景でかなり知見も集積されていった中で、我が国のBSE対策、随分のお金を使っていただきまして、今懸命な努力をしていただいている。ただ、例えば一つ肉骨粉の焼却問題にしても、レンダリングに回されたやつについて今焼却処分して、百億を超えるお金を使っている。あるいは、トレーサビリティーを活用して、最終的には消費者の選択に任せていく、国産牛肉か、輸入牛肉か。いろんな道があると思うんですが、BSE対策について現時点でどういう見直す方向にあるのか、伺いたいと思います。
  39. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 佐藤委員御指摘のように、リスク管理がきちっとされているという前提で、最終的には私は消費者の判断に任せるべきだろうと。食べるなとも、食べろとも、特に国は言うべきではないというふうに思っております。他方、このBSE発生以降、御承知のように、全頭検査をやるとか、いろんなことをやってまいりました。  そして、今御指摘のいわゆる肉骨粉、まあ肉骨粉が原因ではないかというふうにも言われておりますので、肉骨粉に関しましては、御承知のように、牛由来のものはすべての牛、豚、鶏に使わない。あるいはまた、そういうような厳しい、世界的にも厳しい措置をとっているところでございますが、先ほどの三千六百億円という御指摘がありましたけれども、この肉骨粉処理にも多大の経費が掛かっているわけでございます。十五年度で二百三十二億円、しかし十六年度は百五十二、十七年度で百三十一、そして来年度要求では百九億円というふうに、年々減少をしております。これは、一つには、飼料、肥料への利用可能な豚、鶏由来の製造と、利用が規制されている肉骨粉、牛肉骨粉の製造ラインを分離することによって牛以外の肉骨粉の利用促進に向けた取組を支援をしているということで、だんだん経費の節減もしているところでございます。  そういう意味で、牛の肉骨粉については、念には念を入れて、牛だけではなくて豚、鶏にも利用を禁止をしているところでございますけれども、交差汚染という観点も考えられますので、適切にやりながら、しかし、今経費の節減ができるところは節減をしていくという努力も大事だろうというふうに考えております。
  40. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 やはり、食品安全委員会から、農水省が言うのはかなり難しい、食品安全委員会中心になって国民に啓蒙していった、その結果を踏まえて様々な措置がとられるということなんで、ひとつ両者ともによろしくお願いしたいと思います。  次に、二点目の、世界経済のこのグローバル化と地球環境問題について伺いたいと思うんですけれども、小泉内閣のキャッチフレーズが改革なくして成長なしでございますが、将来の国の姿として、やっぱり経済至上時代から一つ地球環境時代に移っていくんだ、我が国はそれに対してリードしていくんだというような、将来の国の形の在り方としてもこの問題をとらえてもらいたい、こういうふうに思うわけですが、温暖化、エネルギー、食料、環境汚染等々の状況の中で、先進国も成長を目指す、途上国は追い付け追い越せで更に成長を目指していく、これは地球の容量を超えていくわけでございまして、この問題について、気候変動枠組みの将来の取組も含めて、また二〇五〇年問題、二〇五〇年には、今二百四十億トン出しているCO2を、六%どころかこれ五〇%切らないと地球の気候は我々の子孫に引き継げない、預かっているこの地球を、子孫から借りている地球を子孫に戻せないということになるわけでして、この点、環境庁の現在の状況、そして我が国がこの問題について果たせる役割について、お願いします。
  41. 江田康幸

    ○副大臣(江田康幸君) 先生御指摘の気候変動枠組み条約の件でございますが、その究極の目的は、この温室効果ガスの大気中濃度を生態系また人類に悪影響を及ぼさない水準で安定化させるためには、世界の排出量を二〇五〇年から二一〇〇年には少なくとも現状の半分以下に抑える必要があるとの専門家からの意見が、また御指摘がなされております。このような大規模な削減のためには、中長期的な視点に立って、先生の御指摘のように、まずはこの脱温暖化社会の姿をどのような姿としていくかビジョンを示して、さらに次いで、そこに至るための社会変革の道筋をこれを明らかにし、さらには国内的にも国際的にもこれを共有化していくというプロセスが必要であると思われます。  こうした考え方に立ちまして、環境省では英国の、イギリスの環境・食糧・地方開発省、DEFRAとの共同で、低炭素社会の実現に向けた脱温暖化二〇五〇プロジェクトを本年二月十六日に発足させたところでございます。本プロジェクトでは、日英共同して脱温暖化社会の実現に向けた研究を実施するとともに、国際ワークショップを継続的に開催することを通じまして、世界各国とこの研究連携を図ることとしております。我が国としましても、この中長期的な地球温暖化対策のためにこうした国際的な研究活動や政策形成に積極的に貢献してまいりたいと思っております。  以上でございます。
  42. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 二階経済産業大臣にわざわざ来ていただいた、一問のためにですね。中国についての問題について認識と先生の対応、大臣考え方聞きたいんですよ。  中国、あらゆるエネルギー、環境、膨脹する中国が飲み込んでいく。今の地球温暖化ガスにしましても、中国は今一人当たり二・八トンCO2出しているんですが、アメリカは七倍の十九・七トン、日本は三倍の九・三トン。中国は、先進国が今の水準を減らさないなら我々はこれを獲得する権利があると言って頑張っている。このままいくといずれ地球は壊れるわけでございますが、訪中の大臣の意見交換を通した中国側の考え方、そして日本がどういうことができるか、こういう点について二階大臣に伺いたいと思います。
  43. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま佐藤議員から、経済のグローバル化に伴いこれから環境問題がいかに重要かという御指摘であったと思いますが、我々もそうした視点に立って対中国問題、エネルギー消費の急速な増大は環境問題に深刻な影響を及ぼすであろうということを懸念をいたしておりますので、中国との間には粘り強くこの問題についてお互いに協議し、またその中で日本がもし貢献できることがあれば協力していくことが、これは中国のためだけではなくて、日本のためにも重要だという認識に立っております。  我が国は、省エネルギー、公害の問題で、議員も御承知のとおり、過去大変な努力を重ねてきた。単なる努力じゃなくて、むしろ苦しみを味わってきた。そうした中で、お互いに編み出した英知を結集して、今日、省エネルギー、環境の分野では自他ともに世界一と言われるところまで技術や知見が発展してまいりました。このため、私は、この隣り合う日中の両国がこうした分野で共通の利益を見いだしていくということでお互いに意見交換を積極的にやっていくということは極めて重要であり、意義のあることだと考えておりました。  したがいまして、ちょうどいい機会に、昨年、WTO、さらにAPECにおきまして薄熙来商務部長とバイの会談をする機会がありましたので、私の側から、日中省エネルギー・環境総合フォーラムを開催する、それは日本で、中国で交互に開催していくということの提案をいたしました。  いずれも、提案の当初の段階から賛意は表しておりましたが、このことになりますと、国全体の理解、協力がなければ薄部長もこれに対して直ちに行動を起こすということは私は困難な政治情勢にあるのではないかということを心配をしながら機会をうかがっておりましたが、先般、お許しをいただいて中国訪問の機会を得ました際に、この問題に対しましては薄部長とは十分突っ込んだ意見の交換をすると同時に、さらに唐家センあるいは温家宝総理等、中国の首脳部に対しても、我々は閣僚レベルでこういうことで合意に達しておると、政府挙げて協力を願いたいと、その日は、そのときは是非、薄熙来部長にも日本にお越しを願いたいということを申し上げましたら、積極的に協力をするという首脳のお返事がありましたので、私どもは今、五月の適当な時期に開催をするということで具体的な詰めをこれから役所レベルで相談をさせていただくということに相なっております。  今後、このフォーラムの成果は、単に日中間の協力に終わることなく、このことを、先ほど佐藤議員もお話しのようなことで、国際的な分野で貢献をしていくためには、日本と中国とのフォーラムはこのような成果を得ることができた、あるいはこのような合意に達することができたということを私はできるだけ多くの各国の関係者にお伝えする、そういう努力を日本が先導的な役割を果たしていかなくてはならないのではないかというふうに思っております。  また、東シナ海の資源問題につきまして、今回の訪中におきまして中国要人との間で、東シナ海のこの海をお互いに対立の海として日中間がこれをもって緊張しておるということは私は得策ではない、したがってこれはお互いに協力の海とすべく対話を迅速に始めていく必要があるということを主張したわけでありますが、これについて中国の首脳部も全くそのとおりだということで、具体的に三月の上旬にというお話でありましたが、その後、外交ルートで御承知のとおり日程が決まりまして、三月の六日、七日、外務省と経済産業省の代表が中国に参りまして、いわゆる第四回目の局長級レベルの、局長級の会談が行われたわけでありますが、ここで何もかも結論に得るというところにまでは至っておりませんが、第五回目の会合を日本でやると、東京でやると、同時にできるだけ早くやろうということに相なっておりますので、できれば私の希望としては少なくとも今月の終わりか来月の初めぐらいに、今までのように時間を置くというんではなくて、やはり問題点をお互いに共有するというところまで議論を詰めていく必要があるというふうに考えております。  まあ、この本問題につきましては日中両国がお互いに努力をしなければならぬわけでありますが、また日中両国にそれぞれ立場の違いがあることも当然であります。我々は、そうしたことを踏まえて、日本の国益を考え、我が国の主権的権利というものを確保に万全を期しながら、同時に東シナ海を協力の海とすべく、極めて難しい交渉になりますが、それはそれでやはり英知を結集して対応すべきだというふうに考えております。  エネルギー・環境問題は、先ほども申し上げましたが、日中双方だけではなくて、これは世界的に重要な意味合いを持つ。中国の例えば公害は直ちに我々の空にも及んでくるわけでありますから、中国のことだというんではなくて、ある意味では日本のこととしてとらえていかなくてはならない。こんなケースが世界じゅうにもうたくさんの、各地でそういう状況に相なっておると思います。  我々も、それらの点につきまして、世界規模で問題を解決することができるかどうか、懸命に取り組んでまいりたいと考えておる次第であります。
  44. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 二階大臣、ありがとうございました。もう結構でございます。  次に、農水大臣外務大臣に、地球環境時代の外交の枠組み、体制というものについて意見を伺いたい。  中川大臣、御苦労さまでございます、WTOの枠組み合意が、モダリティー合意が四月末、譲許表の提出が七月末ということで、戻られたばっかりでございますけれども、これは頑張ってもらわなきゃいけないですね、もういよいよですから。  しかし、それと並行してといいますか、私はできれば変わればいいと思っているんですけれども、この自由貿易至上主義のWTO体制、これに代わる地球環境時代にふさわしい国際体制というのは何かできないだろうかと。WTOというのは、これ自由貿易マフィアと、この中で農業の多面的機能というのを幾ら力説しても、まずそばに置いておいてどれだけハードルを下げるかという議論から行っている。この点について、ひとつ農水大臣のお考えと、それから外務大臣には、この地球環境時代、持続可能な発展ということで、今の御議論をちょっと聞いていただいたと思うんですけれども、安保理改革の経験も踏まえて、日本が外交の旗印としてこれを掲げてしっかり取り組むべきじゃないかという点についてお伺いします。
  45. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 昨日、ロンドンでの会合から帰ってまいりました。佐藤委員御指摘のとおり、日本のスタンス、百五十の国はすべて自分の国の国益というものを前提にして交渉をしているわけであります。当然日本もそういう大前提で交渉に臨まなければいけないと思っております。  日本は貿易立国でありますから、しかしトータルとしての更なる貿易の拡大は、日本あるいは各国にとって有利になる。そしてまた、今回は開発ラウンドでございますから、途上国配慮という大きな柱もございます。しかし、ただその売手と買手の量をただ増やせばいいんだということではないと思います。それから、貿易というものもビジネスですから、買手と売手とが対等の立場に立って主張をし合った上で量なり価格なり物が動いていくということだというのは大前提でございます。  そういう意味で、今、佐藤委員のお言葉の貿易至上主義がWTOの今回の交渉であってはならないというふうに私は考えております。例えば、ヨーロッパの地理的表示、これはもう正に文化と一体であるという、ヨーロッパのある意味では歴史とそして文化とそして誇り、こういうものを強く主張をしているわけであります。また、途上国配慮の中の一つであります、もちろん農業の発展という観点から農村開発とか農民の生計保障なんというものも、これはコンセンサスとして得られているわけでございます。  日本の場合、例えば水田が、これはもう佐藤委員は御専門でありますけれども、水田が破壊されたら保水機能がなくなるであるとか、小ちゃな国かもしれませんけれども、それぞれ豊かな自然、それぞれの特徴ある自然、あるいはまた文化、歴史が農業、漁業、林業地帯にもたくさんあるわけでありますから、これを保全することも大事であります。  そういう意味で、対等の関係と、それから各国の多様な主張といいましょうか、その主張の後ろ側にある各国のそれぞれの特徴というものを十分認識した上で、農業交渉にしてもほかの交渉にしてもやっていかなければなりません。守るところはきちっと守り、そして譲るところは譲っていくという交渉を原点として、これからの四月、七月、十二月に向けてまた頑張っていきたいと思いますけれども、交渉の何と言っても一番大事な点は国民的コンセンサスが後押しであるということも大事だと思いますので、引き続き、佐藤委員を先頭として、当委員会、あるいはまた国会、あるいはまた国民の皆様の御支援をいただきながら、決して楽な交渉ではございませんけれども、それを支えに精一杯頑張っていきたいというふうに思います。
  46. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 佐藤先生御指摘のとおりなんだと思いますが、やっぱり戦後、このGATT、いわゆるゼネラル・アグリーメント・オブ・トレードという、この例のGATTと、それとこのWTOという自由貿易のおかげで少なくとも日本はいい思いをした方です、これがなかったらこんなに発展しておりませんので。同じく発展途上国と言われる国々もそれらをうまく利用して伸びてきたというのも事実だと思うんですね。  先ほど農林大臣が言われましたように、ただ、これは気を付けていないと、何でも原理主義みたいなのがばっこしてくることになって、市場経済原理主義とか財政再建原理主義とか、まあいろいろいますでしょうか、原理主義者というのは日本じゅうにいろいろ、いろんな種類の原理主義者がこれはいるんですけれども、別に谷垣さんがそうだと言っているわけじゃないんですけれども。  そういうところをよくよく注意しておかないと、この原理主義者というのは絶えず世の中というのを不必要にわあっと話を先鋭化させますので、私どもとしてはこの点はよく考えておかないと、今も谷垣先生と話していたんですけれども、お互いさま、地方というか、かなり田舎の部分を選挙区に持っております我々としては、やっぱり田舎の風景というのは、非常に我々の情緒等々、与える影響は極めて大きいと。だから、ああいったのが、やっぱり田園風景がきれいだなと言われる国というのはすごく大事なところだと思っております。したがって、田園風景の中からあの電信柱が最も情緒をぶち壊すので、あれをまず地下に埋めてもらうのに公共工事、公共工事を使うとか、いろんなやり方はあるんだと思っておりますけれども。  是非そういった意味で、今我々、WTOだ自由貿易だとやっていくに当たって、日本が持っておりますものは、やっぱり先進国の中で優れたものというのは幾つもあるんだと思うんです。  例えば、よく言われる靖国神社とか東郷神社とか、何でしょうね、どこでしょう、ああ、あそこがそうですね、一番分かりやすいのは明治神宮だと思いますけれども、明治神宮なんて、あれはススキの原ですよ、あれは。全くあれは、代々木の練兵場の隣で全くススキの原でしたから。あれをあれだけ大きなものに、あれ全部人工林ですから。それから、神戸の山の上の六甲の山、あれ全く明治ははげ山ですから。あれが全部人工林であれまでしてきたというのが日本の、これは農林省が偉かったというわけじゃないのかもしれませんけれども、技術なんだと思うんですね、私どもから見ますと。  だから、そういったようなものというのは、神社だからというんじゃなくて、こういった先進国で、国土の七十何%を緑で保っている先進国はほかにありませんから。そういった意味では、日本というのは黙って現実問題を示していると思いますし、マスキー法のときでも、日本だけが、あの自動車の排ガス規制をクリアしたのも日本。いろんな意味で、日本という国はこういった環境技術とか緑化技術とか、そういったものをきちんとやってきた国としてのものをもう少し、我々自身が余り自覚していない人がおられるように思いますけれども、これはもう世界に冠たるものなんであって、もっと堂々と主張してしかるべきものなんだと、私自身はそう思っております。
  47. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 外務大臣、それでどうですか、新しいそういった主張を主張できる国際体制づくりという点でいうとどうですか。
  48. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) いろんな形で、今、国連の場の中におきましても新しくそういったような、ドーハ・ラウンドの中で、これは多分中川大臣の方がお詳しいんだと思いますが、貿易と環境委員会というのがドーハ・ラウンドの中にもでき上がったりしてきておりますので、私どもは、こういったところは大いに活用して、日本として、おれたちはこんなことをやっているんだというのをもう少し、自分たち、言っているだけじゃなくてやってきていますから、日本の場合は。そこをもっとはっきり言うというのは大事なことだと思っております。
  49. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 財務大臣、お待たせしました。  この地球環境時代にふさわしい税制ということで、今、税制の抜本改革、これから取り組んでいくわけでございますが、この地球環境時代を先導する税制に変えていくべきじゃないだろうかと、例えば消費税アップよりも環境税創設と。  去年、環境部会も環境省も消費税を出したんです、ガソリン一リッター一・五円、四千九百億。しかし、十五円化石燃料に課税すれば五兆円になるわけですね。しかも、それが地球環境時代を助けていく、そういったものに私は役立つと信じているんですけれども。あるいはバイオマス由来の燃料、バイオエタノール、これに対する非課税、あるいは新エネの、エネルギーの電力問題というのがあるんですけれども、こういった環境をリードするような税制について取り組んでいくべきじゃないかと、こう思いますが、いかがでしょうか。
  50. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 税制はいつも、いろんな世の中の変化といいますか、構造変化に対応できるように工夫をしていかなきゃならないと思っていますが、そういう我々が対応を迫られる構造問題といいますか、税として対応しなければならない構造問題の私は一つの柱といいますか、幾つか柱がございますけど、一つの柱がこの環境問題であるというふうに思っているわけでございます。  これはどういう流れかなと。もう私が委員に申し上げるまでもないんですが、環境に与える負荷というものが多様化してきているということじゃないかと思います。かつては産業型公害が主流であったと。しかし、現在では、地球温暖化問題とかオゾン層の問題、もうグローバル化した対応が迫られてきていると。そういう中で、環境を守っていくというのはただではできないんだという認識も共通のものになってきていると思います。そういう中で、環境と経済というものが両立しながらやっていけるようないろんな仕組み、税制もそういう仕組みをつくっていくことが求められているんではないかというふうに考えられている、私どもも考えているわけであります。  それをどういうふうに仕込んでいくかということになりますと、これは税だけではできません。やはりいろんな環境政策と一緒になって考えていかなければいけないと思っております。  今おっしゃったエタノールの問題等も、京都議定書の中でこれを具体的にどうしていくかというようなことを書き込んでいただいておりまして、どう位置付けていくかという議論が今始まっているわけでございますが、そういう議論と言わば歩調を合わせて、税制、どう考えていくかということを私どもも一緒になって検討していきたいと思っております。
  51. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 力強いお言葉でございました。よろしくひとつお願いします。  続いて米軍再編問題、最後でございますが、日本の安全保障について伺いたいと思います。  昨日のこの委員会でも随分議論が出ました岩国の住民投票の問題、官房長官、そして防衛庁長官、お疲れでございましょうけど、よろしくお願いします。  それで、私は昨日の朝刊を見てまいりましたら、岩国移転についての総理の発言がありましたね。ぶら下がりだと思うんですけども、基地はどこでも住民投票をやれば反対だろうと、安全保障の難しいところだと、まあこの一言。まあ、ぶら下がりだったかもしれませんが、これ一言なんですね。  しかし、これは、やはり額賀長官もあのラムズフェルド長官との会談でおっしゃっているし、我々の共通認識ですけども、この米軍再編というのは、これは同盟軍の再編問題で、自衛隊に密接に絡む。そして、この再編が我が国の防衛政策の在り方、そして将来の日米関係にとっても決定する極めて重要な課題なんですね。アメリカも五年間掛かってこれ検討してきて、そして日米安全保障協議委員会の方でも三年掛けて検討して、練りに練った案を出してきた。それがこういう状況になった。確かに、住民投票については、国の専管事項で安全保障問題であるということもありますが、この大きな問題が取り組まれている中で政府首脳がこの問題に対して真剣に取り組んでいるという国民に対するメッセージ、これが少し足りないんではないかと私は思うわけでございます。  官房長官の、ひとつ今後のこの問題に対する政府としての一体となった取組について、決心をひとつお願いします。
  52. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) この米軍再編の問題は、正にこの日米安保条約をより有効に機能さしていく上においても極めて重要な問題であり、抑止力を維持をし、そしてまた地元の負担を軽減を図るという基本的な考えの下に、今この米軍の再編について日米で交渉をし、また地元の皆様の御理解を得るべく誠意を持って説明をしてきているところであります。  当然、極めて重要な問題でありますから、私も総理の御指示の下、額賀長官、また麻生大臣とも緊密に連絡を取りながら、しっかりと官邸としてもリーダーシップを発揮をしながらこの問題を解決をしていきたいと、こう思っているところでございます。  もちろん、地元の御意向というのもしっかりと私ども耳を傾ける必要はあると、このように思っておりますので、我々、先般も稲嶺知事が上京された際にはお目に掛かってお話を伺いました。また、岩国の地元の関係者の方々が上京された際には、私も皆様にお目に掛かっているわけでありますし、また神奈川県の関係者の方々にもお目に掛かっていろいろとお話を伺っております。  岩国の問題につきましては、日本がこの安保条約の中で、いわゆる空母のこのプレゼンスによって抑止力の恩恵にも浴しているわけであって、この空母の抑止力について、我々、その恩恵にあずかる以上、この艦載機の問題というのがあり、そして厚木にある艦載機を今般のトランスフォーメーションでは沖合に移設をする岩国において何とか受け入れていただけないかと。そして同時に、岩国に駐留している自衛隊の海上自衛隊を厚木に持っていく。こういうことを考えているわけでありますが、しかし地元としては騒音等の問題、不安もあり、我々としてはそういう皆様の御理解を得るべく、これからもしっかりとお願いをしていく、誠意を持って説明をしていきたいと、こう考えております。
  53. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 防衛庁長官、総理との調整も含めて一言。
  54. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 確かに、今、佐藤委員がおっしゃるように、閣議後、米軍再編の問題について小泉首相と約三十分間、意見交換をいたしました。  何としても、中間報告で決められているとおり、この三月末までに米軍との間、それから地元の調整防衛庁長官として責任を持って対応してほしいということでございましたから、私も全力投球で、日本全体の防衛と安全保障、それから基地を負担をしていただいている地域の住民、県民皆さん方に説明をし、説得をし、納得をしていただけるように全力投球をしたいというふうに思っております。
  55. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 終わります。
  56. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で岩永浩美君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  57. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、若林秀樹君の質疑を行います。若林秀樹君。
  58. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 民主党・新緑風会の若林でございます。  先週の税財政の集中審議に続きまして、まず谷垣大臣に税財政の個別の課題について伺いたいと思います。  先週、前回、小さな政府と言いながらも平年度で実質二兆円の増税の税制改革が今回行われようとしているところでございます。所得税の抜本的な見直しがない中での定率減税の廃止は法律違反であるということを申し上げました。  そして、続きまして、たばこ税について伺いたいと思います。  今回、一本一円、一箱につき二十円の増税が検討されているわけでございますが、当初、私は一円、一本一円だという理解をしておりましたところ、一本につき〇・四二六円、地方税と合わせて〇・八五二円だそうでございます。なぜ一円にしないのか、その理由をまずお聞かせいただきたいと思います。
  59. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今おっしゃいますように、たばこの税率は国、地方合わせて一本当たり〇・八五二円の税率を引き上げる、これをお願いしているわけであります。  それで、こういう引上げ幅にしたということは、一つは消費者への影響のほか、たばこの消費数量が減少傾向にある中で、小売の販売事業者は零細な方々が多いという流通の実態がございます。それから、自動販売機による販売も相当程度あるわけですが、小売当たり、小売価格というのは一箱当たり大体十円単位で設定されているのが普通でございますので、こういうことを踏まえますと、極力増収額を確保することを考慮した上で一本一円というような形での価格引上げとなるよう算定したわけです。  これは、具体的に申しますと、仮に一本一円価格を上げるということになりますと、消費税、これは〇・〇四八円になるわけですが、そのほか、通常、小売販売店のマージンが価格の一割、〇・一円とされておりますので、これらを控除した額としたと、それが〇・八五二円でございます。  たばこ税というのは、価格への転嫁を通じて、その数量に応じて負担を求める間接税でございますので、その税率引上げに当たって、今述べたような現実の流通形態をある程度頭に入れながら考えたということであります。
  60. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 今おっしゃられたように、単純計算しますと、たばこ一本一円でなく〇・八五二円でいいますと、仮に消費税が入っても、一本につき〇・一円程度がJTを含めた営業活動の後押しとしての収入になるんですね。ですから、私は、やっぱり民間企業である限り増収によって、これ二百億円程度の利益、売上げにつながることを増税によって紛れ込ませるということ自体が私はおかしいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  61. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今おっしゃったのはJTの利益まで考えて等の。
  62. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 はい。
  63. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今の〇・一円と申しました中にはJTのマージンは入ってない、小売店のマージンが、計算しているということでございます。  それで、おかしいんじゃないかとおっしゃいますが、現実の先ほど申し上げたような流通形態を考えながら算定すると、こういったところがスムーズかということでございます。
  64. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 流通の経費も含めた、ある意味じゃこのJTの営業活動の一つだと思いますし、JTのみならず、外資系の企業の流通の活動にも資するということになります。  私は、やっぱり民間企業である以上、一本一円にやって、国民も税金だからといって一本二十円で納得できるわけですから、そういうある意味じゃ、ちょっと言葉が見付かりませんけど、こそくな手段によって紛れ込ませて民間企業の増収に、増税によってやるということ自体の姿勢がやっぱりおかしいんじゃないか、やっぱりそれは透明性をなくしているんではないかということを、これは過去からの専売公社の名残かもしれませんけれど、やっぱり堂々ときちっと値を上げる必要があればやるべきではないかなと思いますが、改めてそういう認識に立てませんでしょうか。
  65. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど申し上げたように、現実の小売、流通過程というものを見た場合に、やっぱりこういう案の方が妥当かということが根本にあることは間違いないんですね。  それで、これはあくまで、税率の算定に当たっての考え方はそういうことでございますが、政府がこれ、税率引上げ後の価格の設定というのはあくまで民間事業者がやるということになっていますので、増収の後押しをしたというのは私は違うんじゃないかと思っております。
  66. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 販売店も苦しいんで分からないわけではないですけれど、やはりJTなり民間企業がやるトータルとしての営業活動でありますんで、きっちりそこは税制と営業という部分を切り分けてやるということが私は今後必要だというふうに思いますので、是非その点を指摘しておきたいなというふうに思います。  あわせて、次に印紙税について伺いたいと思います。  印紙税というのは、結論的に私の意見を申し上げますと、既に時代の役割は終わって、ほかの税制と吸収するなり、何らかの措置が必要ではないかと思います。さっき構造改革に税制も必要だというふうに言いましたけど、様々な問題点がこれは含まれております。  これは、明治六年に、地租に偏重している、農業に重いということで商工業に掛けたんですね。ですから、これは経済的な利益があるということでやったんですが、それからもうすべてのあらゆる所得に掛けてきているわけですよ。しかし、いまだに文書を作ったら印紙税を張る、領収書を張ったら印紙税を張るというのは、どう見てもインターネット時代において合わない。現実にインターネットですと、商取引をすると印紙税を使わなくていいわけですよ。もうこれ自体がおかしいと思うんですが、まず具体的に、じゃなぜインターネットで駄目なんでしょうか。
  67. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 委員おっしゃるように、私どももいろんな取引の形態の変化とか社会生活の変化に従って税制は考えていかなきゃならないと思います。  それで、印紙税というのは確かに非常に古い歴史を持った税でございまして、そういう印紙を張るようなものに経済取引が背後にあって、それだけの担税力が推定されるという理由で今まで掛けてきたわけですね。それで、確かにそういう形が長い間続いたわけですが、委員おっしゃったようにインターネット取引等も出てきている。しかし、まだインターネット上の取引が取引の主流を占めるというところまでは行っていないんではないかというふうに私は考えております。  それから、それで、ただ、これからインターネット取引がどういうふうに変化していくかというようなことは我々も十分注意しながら考えて、今後の税制を考えていかなければならないと思っておりますが、現状ではまだこれを改める必要は感じておりません。
  68. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 じゃ、インターネットが主流かどうかではなくて、現在インターネットによって行われている商取引がなぜ駄目なのかという理由をお伺いいたしたいんですが。
  69. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) これは、まあ一応説明としては、取引当事者の意思に基づいて文書を作成しない場合には、当事者が文書を作成することにより担保されるような法的安定性が確保されないと。まあ、きちっとしたその、何というんでしょうか、領収書等々がある場合には証明力、法的安定性という上で大きな意味があるわけでございます。まだ、インターネット取引は、そういうインターネット取引においてはそこまで行っていないんではないかと。  これは、電子商取引の際、取引に係る電磁的記録の真正性を担保するためには電子署名というようなものがあるわけですが、これはまだ必ずしも一般化していない。だから、紙の文書と同等の真正性を有する電磁的記録の作成というのはまだ限られた範囲にとどまっているのではないかというふうに考えているわけです。
  70. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 以前の答弁にもよりますと、商取引としての安定性に欠けると、改ざんの可能性もあるということです。  現時点でもう既に多くの銀行が電子融資取引をやりながら、世界的に共通の認証規格があって、事実上もう認められているわけですよね。それがどんどん拡大しているにもかかわらず、一方、税制が付いていないということ自体が私は非常に問題だというふうに思いますんで、事実、政府は確定申告をインターネットによって行おうとしているではないですか。税制、いわゆる税金という非常に重要な部分について、政府自体がもうインターネットやっているにもかかわらず、一方で商取引があると全然そこは抜けちゃっているということ自体が、もう全くもってこれ、役割というか、負っていくのか、税制そのものを変えるかという、どっちの手段か選択を迫られていると思いますが、どっちの立場に立つでしょうか。
  71. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今おっしゃった点は、要するに、電磁的記録について印紙税を掛けるのか、あるいは掛けないのかと二者択一を先生は私に迫ったわけですが、これは印紙税の基本にかかわる問題でございますから、今後やはりペーパーレス化の普及状態やそういうIT化の状況というものをよく見ながら、私どもは判断していかなきゃならないと思っております。
  72. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 じゃ、もう一つ、違った観点から伺いたいと思います。  クレジットカードによる支払の際はなぜ印紙が必要ないのかと。いわゆる現金の授受があると自動的に印紙を張らなきゃいけないんですが、その場でクレジットカードで払うと印紙の必要がないのはなぜでしょうか。
  73. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 一般に領収書と言われている文書は、金銭とかあるいは有価証券の受取という事実を証明するために作られるわけでありますが、これは印紙税の課税の対象となっていると、金銭又は有価証券の受取書ということですね。で、クレジットカードを払う際に作られるいわゆる領収書ですが、これは表題は領収書となってはいるわけですが、販売店が交付する時点では金銭の受領事実はまだ生じていないわけですね。ですから、金銭の受領事実を証明するために作成したものとは言えない。だから、印紙税の課税対象として現在取り扱っていないわけでございます。
  74. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 つまり、信用取引だから印紙税が必要ないということを多分おっしゃったんだろうというふうに思いますけれど、御案内のとおり、今どんどんインターネットを通じて商取引がクレジットカードを通じて行われているわけですね、まあ楽天等、そういうところにおきまして。なぜ信用取引だったら駄目なのか。じゃ、手形に印紙張るじゃないですか。あれはその場においてお金になってないんですよ。それも信用取引ではないでしょうか。
  75. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) まあ手形というのは、御承知のように制度的に金銭の支払を担保する極めて強力ないろいろな法的性格があるわけでございます、有価証券としてですね。その点に着目して担税力を認めたということだろうと思います。
  76. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 まあ、クレジットカードもやっぱりお互いに経済的な取引が了承したということで成り立っている社会ですから、それを担保するような環境が整っているからそうなっているんであって、もう正に、もう本当に課税の対象がばらばらであり一貫性がないということを今、谷垣大臣がお認めになったに等しいんではないかなというふうに思います。  改めまして、もう時代にこういうふうに付いていけない印紙税をやっぱり何らかの形で、まあ五千億という財源ですから非常に重要なのは分かりますけれど、やはり新たな形で吸収なりほかの方に転換していくということが必要じゃないかと思いますが、御決意をお伺いしたいと思います。
  77. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど申し上げたことの繰り返しになりますが、確かに今委員が御指摘のように、印紙税というのは我が国の今の税制の中で相当大きな役割を果たしております。今の税制状況では、なかなかこれを廃止するということは私は申し上げにくいわけでございます。その上で、インターネット取引とかそういうものの進展に従って印紙税というものをどう考えていくか、私どももよく見て検討を続けていかなければならないと思っております。
  78. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 いずれにしましても、歴史的な使命終わりましたし、ある意味ではこのインターネット時代に追い付いてない、ますますそこの乖離が出てくるというふうに私は思いますので、是非早急に検討お願いしたいなというふうに思っております。  以上で谷垣大臣に対しての質問を終わりますが、まあ大臣にこの立場でお伺いするのはこれがもしかしたら最後になるかもしれませんが、是非財政に対する姿勢は、今後どういう立場になろうとも変わらずに続けていただきたいなというふうに思います。  続きまして、年金についてお伺いしたいと思いますので、資料を配っていただきたいなというふうに思います。    〔資料配付〕
  79. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 まず、前回の内藤委員に対する大臣答弁で、年金という一つの大きなサイクルで考えてみればお互いに公平な負担だということを何回もおっしゃられました。私も何回もこれまで聞いております。  まず、質問の第一は、だれにとっての公平なのか、お伺いしたいと思います。
  80. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 基本的には年金を支払う人、また年金の給付を受ける人、そういう全体の国民のバランスという面では公平であると考えております。
  81. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 まあ私の質問に、御存じでお答えになってないと思うんですけれど、全体に公平な負担ということであれば、常にその保険の母集団が一定年齢、あるいは人数、所得、保険料が一定であれば常の時代においてもそれは公平ではありますけれど、そうじゃないんですね、御案内のとおり、少子高齢化でありますんで。  基礎年金の一つ大きなサイクルで見ていらっしゃると思うんですが、これによる前提は、一つは世代間の公平は仕方がないという意味でそこは公平なんだということで見ているということでよろしいでしょうか。
  82. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 世代間の公平化ということだけ取り上げれば社会保障全体で議論していかなければならないだろうと、また国全体のシステムとして議論しなければならないだろうと。  例えば、若林さんのお父さん、私の父親、その時代、どこまで公的負担というものがあったのか。当然、私の父親は、私の祖父や私のおばあさんですね、祖母に対して月々の仕送りをしながらやってきた時代、そういう意味では私的負担で世の中というものが回ってきた。子育ても基本的にそういう時代であったと。しかし、今は子育てのために児童手当を出し、子供が生まれたら一時金を出しという形で社会全体で負担をし合いながらやっていこう。私的負担の時代から公的負担の時代に変わってきている。  その私的負担の時代の方々と公的制度がだんだんだんだん成熟してきた人たちの世代間に随分差があるんじゃないですかという議論は、それぞれの制度の時代変化というものを見ながら考えていかなければならないだろうと、こう思います。  そういう意味では、世代間の年金だけを取り上げて考えればあるかもしれない、確かにね。年金、私どもの父親の世代がそう負担していないでしょうと。しかし一方で、経済的豊かさというものを我々が得ただけに負担能力は上がった、したがって掛金が上がったということも事実だろうと。そういうようなものを考えながら、世代間の公平というのは、正にみんなで議論しながら、どの程度だろうと。  しかし一方で、皆さん方からもあり、我々からも世代間の公平という意味で、例えば医療費、お年寄りの皆さん方でも現役世代と同じ所得があるならば現役と同じ負担をいただこうじゃないかという話、今度の改正で出ています。社会保障制度全体の中で、かつては老人というものはもう全部無料だという時代もあった。今は、そういう意味ではお年寄りの御負担をいただける方にもしていこうと。正に皆さん方で議論しながら、我々も議論しながら、どれが世代間の公平であるかと、こういうものを考えていかなければならぬのかな、こう思っております。
  83. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 おっしゃる意味も分からないわけではありませんけれど、要は世代間の不公平という、負担と給付の関係においてはそれは生じても仕方ないということの答弁だったと思います。  一方で、もう一つの不公平な負担という意味では、基礎年金が全部つながっちゃいましたんで、厚生年金、共済年金という立場から見れば一方で国民年金の方も半分払ってないという意味で、例えば厚生年金の立場から見れば不公平だということは言えると思いますが、いかがでしょうか。
  84. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) そこは、この間私が御答弁したところですね。要は、今の例えば年金受給者が二千何百万人、その基礎年金部分について、厚生年金を今払っている人、共済年金を払っている人、国民年金を払っている人で負担をし合おうと。そうすると、国民年金を支払っている人が、二千万人全員が払ってくれたら厚生年金を払っている人の負担分が少なくなるんではないかという御下問だろうと思うんです。  それは、そういう意味では、二千万人に対する給付を払っている人でやる。当然、今度払っている人は将来の給付というものを受ける権利が生じる。したがって、年金というものの計算を単年度でしていますか、それとも一つのサイクル、ライフサイクルの中でしていますかといえば、私どもはライフサイクルの中でしていると。  厚生年金自体取りましても、約百五十兆円の今、積立金がございます。そして、今の支払は、正直言って、積立金と積立金から生ずるものを原資としながら足らざる分を足しています。しかし、これから負担がだんだん増えてきます。そこへマクロスライドが掛かりますから、正直言って、二〇四〇年ごろには三百兆円のお金がたまるだろうという計算式になっている。計算式ですよ。そして、二一〇〇年まで年金制度はきちっと継続的に行けますよという一つの設定をしてですね、設定をして、御負担は一人当たり幾らですよと決めているわけですから、単年度の収支、会計で御負担を決めているわけではない。  もっと言えば、今六三%ですけれども、八〇%に国民年金の収納率が上がりました、八五に上がりましたからといって、今の国民年金の御負担、厚生年金からの御負担、一人一人ですよ、今掛金額をこれから十年後、二十年後設定してつくっているものが、変化がありますかといったら、変化はありません。二十年後、三十年後に給付に回るんですから、掛けた人たちは。  したがって、全体のサイクルで考えれば公平ではないですかということを申し上げているわけです。
  85. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 そういう見方もあると思いますが、一方で、やっぱり国民年金で、払っている人の感情から見れば、我々は全くまじめに払っているにもかかわらず国民年金は半分払ってないという意味での感情としての負担、不公平感はあるということは御認識いただきたいなというふうに思います。その意味で、この納付率の要は空洞化問題なんですね。  資料を見ていただきたいんですけれど、御案内のとおり、納付率がどんどんやっぱり下がってきていると。微妙に、六二・八、六三・四、六三・六と上がっていますけど、一方では、分母に免除者を含めた月数で計算すると、実質下がっているんですね。五四・二、五二・二、五一・六、五〇・六、下がり続けているわけであります。一向にこれは上がる気配が余りないですし、むしろ、もう二〇〇七年度には八〇%にしようということを前提でやったにもかかわらずこういう状況であるというこの事実があるわけでありますんで、五〇・六%の事実上払っていない年金が成り立つというのは、厚生年金がある意味で打ち出の小づちになっているというのもこれ事実でありますんで、改めて、この未納の保険料の総額は年間どのぐらいになるか、お答えいただきたいと思います。
  86. 青柳親房

    政府参考人(青柳親房君) 国民年金の保険料についてのお尋ねがございました。  平成十六年度末におきまして納期限までに納付されなかった国民年金保険料の総額を推計いたしますと、約九千八百億円になっております。
  87. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 もう一つないですか、質問項目。
  88. 青柳親房

    政府参考人(青柳親房君) さっきのお尋ねの中で免除の分も加えろという御趣旨かと思いますので、その点併せてお答えをさせていただきます。  先ほどの金額に平成十六年度末において国民年金の保険料が免除された額を推計して加えれば、約一兆七千二百億円となります。  ただ、この場合、付け加えさせていただきたいと存じますが、免除は保険料の負担能力のない方の年金受給権の確保のために設けられている制度であるとともに、納期限から十年以内は追納することができるというふうにされております。また、先ほどお答えをいたしました年度末における納期限までに納付されなかった保険料につきましても、納期限から二年以内であれば保険料を納付することが可能な制度となっております。  したがいまして、ただいま申し上げました一兆七千二百億円が直ちに未納の保険料額となるものでない点については、改めて付け加えさせていただきたいと存じます。
  89. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 いずれにせよ、一兆円という保険料が毎年未納の状態が続いているということでありまして、十年たったら十兆円になります。さっき免除者を入れたというのは、必ずしも見方としては正しくないかもしれませんが、一兆七千二百億という膨大な保険料の未納があるということでありますんで、やっぱりこの問題をほっておいては、とてもじゃないけど年金の持続性は私はないというふうに思います。  もし仮に、国民年金保険料が一〇〇%支払われていれば、厚生年金の保険料は瞬間時に、いわゆる賦課制度ですから瞬間時に逆に単純計算でいえば下がるということの見方もできると思います。仮にもしそうだとしたらどのぐらい下がるのか、ちょっとその辺を教えていただきたいと思います。
  90. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 先ほど私、八〇%と仮定を置きました、私の目標なもんですから。  一〇〇と考えたときに、基礎年金拠出金、要は今厚生年金が御負担いただいているもの、それから共済年金が御負担いただいているもの、それは単価的には下がってくる。ですから、今年の拠出金は下がるということは事実であろうと思います。  しかし一方で、先ほど言いましたように、三、四十年、これ一つのサイクルで考えていますので、将来負担というものがそういう意味ではなくなるという計算にもなっていますので、厚生年金の一四・二八八%、国民年金の一万三千五百八十円、これは基本的には変わらない。御負担は制度全体の制度設計で考えておりますので、一人当たりの負担は変わっていかないということで御理解を賜りたい。
  91. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 そういう見方もあると思いますが、単純計算でいえば、その拠出の部分が厚生年金から少なくなるという意味においての部分においては当然あると思いますんで、その部分においては実質の部分において下がると言っても、厚生年金の保険料が下がると言ってもいいんではないかなというふうに思いますし、専門家によれば、一〇〇%払われていれば年間の保険料は二万ぐらい低くてもいいんではないかという見方もあるわけでありますんで、その点だけ指摘したいと思います。  一方では、二枚目の資料なんですが、都道府県別の納付率の差がもうすごいわけですよね。まじめに払っていらっしゃる第一番目はこれ島根県七六%、新潟、長野七〇%後半。一方では、沖縄が四三・二、東京、大阪が五〇%台という状況でありますんで、これもちょっと、こんなにばらついていていいのかなという感じもしないわけではありません。  次の質問に伺いたいんですが、昨年の合計特殊出生率の予想はどの程度なのか、お答えいただきたいと思います。
  92. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 昨年の数字を取りながら最終的に結論が出せるのが、端的に申し上げて十八年の六月ごろに結論を出そうということで、今急がせております。  正直、私の感覚として、上がることはないだろうと、一・二九より下がるだろうと。しかし、どのぐらい下がるのかということになると、やっぱりきちっとした数字が出てから、六月、国会開かれていると思いますから、そのときに御答弁申し上げたいと思います。
  93. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 まあ、二〇〇四年が一・二八八八、それよりも下がるという感覚を今お持ちだということで、ちなみにある報道によれば相当下がるんではないかというふうに見られております。  で、二〇〇四年の年金改正のときについては一・三二をベースにやられて、そのときの予想は最低下がっても一・三〇だということでありますんで、もう既に一・二八ということの台に乗っているということは、当初の予想から大きく変化しているということは言えるというふうに思いますんで、ちなみにもう六月ですよ、去年のやつが六月になんなきゃ出ないというのもおかしいというふうに思いますけれど、この出生率が更に今二〇〇五年下がるといったときに、今後の給付と負担との関係がどういう形になるか、大臣にお答えいただきたいと思います。
  94. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 一つのサイクルでやっている問題ですから、一年一年の出生率がどういう影響をするかと、もちろん多少の影響は出ると思います。しかし、実際の支払者に回るのは二十年後の社会でございますから、そういう意味ではすぐ数字がと。もっと言えば、どちらの方が影響するんですかといえば、平均寿命がどのぐらい延びていくだろうかと。国勢調査でいえば、平均寿命の方が年金の計算上は短期的には利いていくことは間違いないであろうと。しかし、そういったものを勘案をしながら、平成十六年に御審議をいただき、法律を通していただきました。平成二十一年には再計算をきちっとしなければならないだろうと。そういう意味では、かなりいろんな要素を入れながらやっていかなきゃならぬことは事実だと。出生率だけでということは、ちょっと御理解を賜りたいと。  一方で、出生率がずっとこのまま落ち続けるということになればどうなるんだと。これは、もう少子化というもの、対策をやらなきゃならぬと皆さん方から言われてますとおり、さあ、どこで歯止めを掛け、またどこで反転攻勢に入れるのかというのはこれからの議論で一番大事なところでございますので、これはこの予算委員会でも随分御議論をいただいております。また、その負担というものをどうするべきかということが一番大きな課題にもなってまいると思いますので、しっかり議論をしながら、将来というものを見据えた政策をやっていかなきゃならぬなと。また、委員からもいろいろ御指摘を賜りたいと思っております。
  95. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 言い方を換えますと、前回の年金改正によりまして、十四年間これから年金保険料を上げていくと。で、ある程度持続可能性が出たという意味においては、この程度の出生率では納付率が上がらないということでいえば、それは余り影響ないと。つまり、これから十四年間上げていけば大丈夫で、もう年金改正の負担と給付の関係を変えるということは当面ないということでよろしいでしょうか。
  96. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 正にそうであります。マクロ経済スライドというものを入れながら、給付を少しずつ抑えていく。まあ、みんなに協力してもらわなきゃならぬ。一方、掛ける若者については少しずつ負担を増やしてもらうと。そして、お互いが正に世代間調整をし合いながら修正をしていこうという過程であります。したがって、マクロスライドの最終的な数字が終わる時代、二〇三〇年ぐらいでしたでしょうか、二〇二〇年代ですけれども、終わったときに、もう一度議論しなきゃならぬ問題は出てまいるだろうと私どもは思っております。  要は、だんだん長寿化がより進み、そして先ほど言った少子化に歯止めが掛からないという現状が続くならば正に見直しをしなきゃならぬと。五〇・二というものを守るためにどうあらなきゃならぬか、若しくは五〇・二という数字が無理になっていくのか、それはもうちょっと先の議論になるだろうと。今当座の問題としては全く変えるつもりもありませんし、変更ないということで御理解賜ります。
  97. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 つまり、マクロ経済スライドが調整される二十年間ぐらいは、給付と負担との関係における年金改正はないという理解でよろしいでしょうか。
  98. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 基本的にそのときに御議論をいただくと、正に終わった時点で。
  99. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 結構踏み込んだ答弁をされたかに私も受け取っています。法的にはぎりぎり改正できると、いつでも改正できるようにはなっておりますが、基本的には二十年間、マクロ経済スライドが終わるまで今回の年金の給付と負担については手を付けないということをおっしゃったということは重いと思います。  その意味で幾つかお伺いしたいんですけれど、今免除者が増えている中には、保険料免除を、国民年金には保険料免除があるんですよね。このモデルでいうと、いろんな資料があるんですが、三百万円弱で半額免除なんですね。一方、昨日も、タクシーの運転手さん等々を見ますと、北海道ですと二百五十万ということで免除をされないわけでありますんで、なぜ、国民年金が免除されて厚生年金だと免除されないんでしょうか。
  100. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 国民年金の最大特色は、例えば私であれば、大臣ですからかなりの金額をちょうだいいたしておりますけれども、一万三千円、毎月。一方で、低所得者であっても同じ金額を納めるという理屈でありますから、基本的には低額所得者に基本的な配慮をしていこうということになるだろうと。厚生年金は、給与に掛ける金額でありますから一四%ということになる、それが第一の要件だろうと。  第二の要件としまして、正直申し上げて、例えば二百万の所得の方が一万三千円を納められる、まあ百万としましょうか、一三%を自分で納められる。逆に、給与所得者、九万八千円が最低限になっていますから、百万としまして一四%ですから、自分の負担は半分ですから七千円になると。そういう意味では、事業負担というものをも考えていれば、当然所得の低い人であっても厚生年金は掛かっていた方が得だと私は思います。  もっといえば、厚生年金に掛ける議論を、もっと低所得者も企業の雇用責任の中できちっと果たしていけと。今、三十時間でございますけれども、二十時間までもきちっとやったらどうだと。要は、社会保険料負担がないがために短時間労働の方にどんどんどんどん雇用というものが走って、これはもういつもここで私の方が実は怒られている話ですけれども、正規雇用がどんどんどんどん減っているじゃないかと御指摘いただいているように、やっぱりこの社会保険料負担があるからどんどんどんどんそっちの方に走るというのは良くない。そういうものも含めて、金額は低くても雇用主が負担は果たして、厚生年金のものをもうちょっと広げた方が、将来的な問題も考えたらいいんじゃないかと、こういう御議論もいただいて、それも含めて今御議論いただいています。  そういう意味では、国民年金には、先ほど申し上げたように一定額でございますから免除制度を設けております、また企業側の負担もございませんので設けておりますけれども、厚生年金はできるだけ多くの方々にお入りいただくような努力をしていくことが私は大事だろうなと、こう思っております。
  101. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 これで質問、取りあえず午前中、最後にしますが、全然理由になっていないんですよ。  一働く人から立場にとれば、なぜ二百五十万で一方で払わなきゃいけなくて、一方で国民年金だと免除されるかという、担税力、いわゆる税を支払う能力においては全く変わっていないにもかかわらずこういう不公平が生じているということが問題だということです。事業負担とか関係ないんですよ、それは。それに対してきちっとやっぱり答えていただきたいと思います。  これで最後で、午前中。
  102. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) ですから、申し上げましたように、国民年金自体が定額負担になっている、所得の多い人も少ない人も同額負担になっていますね。したがって、低額所得者にはそのルールを設けていると。しかし、厚生年金については、基本的な率、自分の所得に対する率で掛けさせていただいている。
  103. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 負担能力だけ見ている。
  104. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 負担能力という面だけで取り上げたらその議論は出てくるかもしれません。しかし、いろんな議論の中で、私は厚生年金をお掛けになった方が有利だろうと、また我々はもうちょっと低額の人たちでも厚生年金に入っていくような指導をしていくべきではなかろうかと、こう思っています。
  105. 小野清子

    委員長小野清子君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  106. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十八年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。若林秀樹君。
  107. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 午前と午後の一つの節目でございますので、次は外交・安全保障問題について質問させていただきたいと思いますが、一つだけ、保険料免除の問題につきましては、やはり働く側の一労働者という立場からいえば負担能力は一緒ですので、少なくとも厚生年金も選択の制度があってしかるべきだというふうに思いますので、そのことも申し上げ、そして、いずれにせよ、実質的に国民年金は破綻しているというふうに思いますので、是非抜本改革、一元化に向けた取組をよろしくお願い申し上げたいと思います。  続きまして、安保理常任理事国入りの問題につきまして質問させていただきたいと思います。  いずれにせよ、昨年、まあ政府一丸となって取り組みましたけれど、残念ながら安保理入りすることが果たせなかったという意味で、やはりきちっとした総括が必要ではないかと思いますけれど、まず、なぜ日本が常任理事国入りに失敗し、日本としてはこの一連の活動から何を学んだのか、外務大臣にお伺いしたいと思います。
  108. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 昨年、御存じのように、ドイツ、ブラジル、インド等々と日本はG4という形で四か国組ましていただいて、いわゆる国連改革の中で安保理理事国の常任理事国、非常任理事国含めましての人数の改正等々をやらせていただこうと思いました。国連ができまして、実に六十年ぶりの改正。  当時、国が、スタートいたしましたときは戦勝国のみがほとんどでして、四十五か国だか五十一か国だかでスタートしたものが今では百九十一か国になっております。その中で、まあ基本的にはもう若林先生よく御存じのように、戦勝国でつくった制度の中に敗戦国側の日本とドイツが入った形でこのルールをいわゆる話合いで解決をしようというのは並大抵のことではない、最初から私どももそう思って掛かっております。  したがいまして、私どもとしては、これが最初から成功するという確率は一〇〇%と思って臨んだわけではありません。なかなか難しいであろうということを最初から読んでおりましたけれども、現実問題として厳しいものがありました。  その中に当たって、やっぱりアフリカ諸国から、なかなかアフリカ諸国の案というのも自分たちのものもありまして、その案と私どもの案と似たようなものでありましたけれども、拒否権があるかないか等々いろいろ一番気にされているところ、我々はそれよりまずはというようなところと、いろいろ意見が違ったところが最後までできなかったことと、アフリカの中もまた意見が分かれた等々が難しかったところだと思っております。その中に手を突っ込んでアフリカを割らせるなんという説もないわけではありませんでしたけれども、私どもはそういうことではなくて、きちんとした形でやらせていただこうと思いましたけど、残念ながらそういったわけにいかなかったというのがその背景だったと思っております。  ただ、おかげさまで、少なくとも国連の総会において、国連改革の中においてこの安保理の改革は是非必要という認識だけは全会というか、参加国皆一致をしていただいたところが、私どものいわゆる国連改革全体にとっていわゆる安保理改革が必要だということが全会で首脳で理解をされたというのが私ども、昨年の中では良かったことだと思っておりますが、いずれにいたしましても、今回、第六十回の開会が、総会が行われておりますので、これに向かって私どもとしては更に努力をしていく必要があるであろう、しかもそれは間違いなく世界にとってもいいことなんだと確信をして、私どもとしては今後とも国連の安保理改革の必要性を訴えて、日本の参加の重要性を訴えて、私どもとしてはその資格を得るよう努力し続けていきたいと思っております。
  109. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 外務大臣、一連の取組の中で日本外交として、日本外交として何を学び、何を教訓として今後生かしていくのかという質問なんですが、そこについて何かお答えがあればお聞かせいただきたいと思います。
  110. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) なかなか私どもとして難しいなと思いましたのは、最初の中に名前を載せるのは勘弁してくれと、その代わり投票になったら必ず入れますとか、どっかの選挙と似たような話はこういうのに付いて回る話なのかもしれませんけれども、そこらのところは思わぬ国がそういったところを言われたのは、へえという感じがあったので、私どもなかなか、私どもの知らないところからいろいろな反対の意見があったりしているということは、私どもとして大いに参考にさせていただいたということだと思っております。  何が難しかったかといえば、日本はいいけどほかの三か国は駄目だという国もありましたし、日本だけは駄目でほかの三か国はいいという方もいらっしゃいましたし、これはなかなか四つ一緒というところが難しかったかなと思わないでもありませんけれども。いずれにいたしましても、私どもグループ4でスタートをいたしておりますんで、そういった意味では今回のあれはいろんな意味で、ちょっと一言でこれがというようなものではありませんけれども、なかなかふだんの顔と実際の顔と大分違うんだということは、まあ選挙ですから同じようなものといえば同じようなものかもしれませんけれども、改めてそういったところを思い知らされたところが正直なところです。
  111. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 個別の課題はいろいろあろうと思うんですが、もう少し戦後の日本外交を総括して、今回の六十年に一回のチャンスだったわけですから、そういう意味でのやっぱりこれからの課題というのを少しお言葉で述べていただきたかったと思いますが、ないようでございますんで、次に伺いたいと思いますが。  今回のG4の中身について、提案国にアジアが二か国と。聞くところによりますと、モルディブとカンボジアですかね、だったかと思いますけど、なぜ二か国しか我々の案に賛成してくれなかったのか、その辺についてはいかがですか。
  112. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 事実、共同提案国の中に名前を載せられなかったということに関しましてはおっしゃるとおりでありまして、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、共同提案国には名前は載せないけど賛成のときには入れますという票が一番多かったのが多分アジアからだったかなと思っておりますけれども、いろんな形で勢力が拮抗しているところもありますし、日本が入ることに反対された国もないわけではありませんので、いろんな意味でG4案というものがアジアから支持をされなかったということだと思っておりますんで、今申し上げましたとおり、二か国しかなかった。ただ、裏では賛成しますからというような話の話が圧倒的に多かったというのが正直なところです。
  113. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 やはりアジアの日本ですから、アジア諸国から賛成を得て提案国になっていただくというのがやっぱり筋だと思います。  今反対された国があったかというお話がありましたけれど、その一つが中国ではなかったかなというふうに思います。何が原因だったのか、中国はあそこまで反対の先頭に立ってキャンペーンを広げた。そしてまた、取るべき対応策がなかったのか、伺いたいと思います。
  114. 金田勝年

    ○副大臣(金田勝年君) 中国は、委員御指摘の中国でございますが、従来から安保理におけるその途上国の代表性拡大については主張されておったわけでありまして、安保理改革の必要性自体については、我が国を含む加盟国の大多数と認識を共有していたところだと、このように承知しているわけであります。  ただし、中国は、昨年の一連の安保理改革に関する議論の中で、いかなる決議案も国際社会の幅広い支持が必要だと、人工的な期限を設定して投票を強要することには反対であるという考え方を示しておりました。中国がこのような考え方に基づいて、我が国の常任理事国入りを含むグループ4の決議案に反対する働き掛けを各国に行ったと、こういうふうに承知をいたしております。  我が国と中国というのは、安保理改革の具体的な取り進め方については意見を異にする部分もあるわけでありますが、安保理を含む国連改革の実現に向けて、今後とも中国との対話を更に積み重ねて相互の立場の理解に努めることは重要であると、そのように考えております。
  115. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 その上で大臣にお伺いしたいと思いますが、靖国問題というのはやはり中国の態度を硬化させたというか、そういう一面はあったんではないかなと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  116. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) これは相手様の話ですんで、こちらから想像の域を超えないんで恐縮ですけれども、私どもとしては、個々の分野で多くの国々が全く全部が全部意見が一致するなどということはあり得ないんだと、私は基本的にまずそう思っております。  その上で、国連安保理改革とか世界の平和とか、いろんな意味でお互いさま、協力し合ったところが、日本と中国で、ともに日中両方で益を共する、共益みたいな形のものができていくのが従来の外交ですんで、すべてがすべて、日本とアメリカだってすべてがすべて話が合っているわけではありませんけれども、全体の両方の共益を考えて私どもはこれまでやってきたんだと思っております。  したがって、中国との間にも今いろんな意味で問題点があるということで双方の首脳が会えないというような形になっておるというのは事実ですけれども、私どもは、それがすべての理由で今回の中国の態度になっていったかと言われると、靖国だけが問題だったかと言われると、私どもはその一つの問題であった可能性を否定するわけではございませんけれども、それがすべての問題の原点だったというふうに理解しているわけではございません。
  117. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 まあ外務大臣の御答弁として非常に難しいと思いますが、靖国問題も今回の反対に回った一つのきっかけになったということは今お認めになったんではないかなというふうに思います。  その上で、一方で、私はやっぱりショックだったのが、アメリカが、やっぱり日本は含めてますけれど、これまで進めてきたにもかかわらず、最後の場面になって途中から水を差すようなああいう提案になったというのは私は非常にがっかりしたわけですけれど、なぜそうなったのか、なぜもっと根回しができてなかったのかということについて伺いたいと思います。──大臣に。
  118. 金田勝年

    ○副大臣(金田勝年君) 大臣、よろしいですか、今、委員長から指名がありましたから。  アメリカにつきましては、我が国の常任理事国入りについては一貫して支持しておるわけでありますが、その安保理の実効性重視の観点から、控え目な拡大を望むといいますか、大幅な安保理の拡大に対しては反対の立場であると承知いたしております。  我が国としては、安保理改革実現に向けて、現在グループ4の中で協力をしながら、そのアメリカとの間でより幅広い加盟国の支持を得られる案を模索しているところでありまして、引き続き日米間で協議を継続していく考えであります。
  119. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 副大臣の意見を大臣が補足するというのもいかがなものかと思わないわけではございませんが、あえて大臣という御指名でしたので言わしていただければ、アメリカは常任理事国が大きく拡大するということには反対です。基本的に全然今の五か国でそこそこいっておりますんで、日本だけが入ってくるとかどこどこだけが入ってくるのはともかくも、それがたしか常任理事国二十六であったと思いますんで、そういった形での拡大は元々望んでいないというのが大きな背景にあると存じます。
  120. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 問題は、そのことは分かっているんですが、最後の最後の段階になって、七月にですよ、それを言ったって実現性、可能性がないにもかかわらず水を差すような提案をしたということが問題ですが、なぜそれができなかったかという、それを回避できなかったかということなんですよ。
  121. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) G4の提案を回避できなかったかという意味ですか。
  122. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 いや……
  123. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) どうぞ座ったままで結構です、座ったままで結構ですよ、時間がもったいないでしょうから、いろいろ御計算がおありでしょうから、どうぞ。
  124. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 いや、だから、通る見込みがないのに、途中で最後になって、七月になって急にアメリカ側の提案の具体的にしてきたというのは、もうこれまで一連の経過を無駄にしていると、無視していると、日本の努力を、そういうことですよ。
  125. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) ああ、その点に関しましては、最初からアメリカは賛成していたわけじゃないんです。  ただ、日本としてこのG4の案、G4と一緒にやっていくという案に関しましては、かなり向こう側としては二十六という数字にも問題でしたし、いろんな意味でアメリカは最後の最後まで悩みに悩んでいて、日本がこれでいいというんであればというところまで来ましたけれども、計算してみたらこのG4案は丸々通る可能性、もしあるかもしらぬということになって、多分何となくそこに二十六になるのはというのが一番最後の票の読みをやったんだと。私どもには、最後の最後、七月になってというのは多分そこらの読みが、数字が違ったんじゃないかなと。これは想像でしかありません。
  126. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ですから、日本を入れていただいたのはいいんですが、実質、あの時期による提案というのは、もうG4案をやっぱりつぶしに掛かっているわけですよね。実質、安保理の拡大は必要ないという判断だった。ですから私は、もっと早くやっぱり日本としては、アメリカと落としどころも含めてきちっとやっぱり交渉しておくことが必要だったんではないかということを申し上げているんです。その意味において反省はないでしょうかということです。
  127. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今、若林先生お話ありましたように、私どもその反省に立って、今回、G4がもう一回案を再提出する提案にはうちは乗らないと、またつぶされるだけじゃないかと。そんな同じ案には乗れないということで今アメリカと一生懸命いろいろ交渉をいたしておりますけれども、これ逆にG3から見たら裏切りにしか思われませんから、そこのところが、こちら立てればこちら立たずで、そこがなかなか外交の難しいところです。  これはもうやむを得ぬところですと思いますが、しかし原案、今のまんまなんて出されたらまた同じですから、その案に乗るというようなことは私どもとしては避けたいと思っておりますんで、いろいろドイツ、この間日本に来ていろいろお話がありましたけれども、新政権の中で外務大臣は例の連立の方の負けた方の方ですんで前回と変わらない党の方ですんで、言われることはほぼ似たようなことを言われましたんでうちとしてはのめないということで、うちはうちとしてやる。G3と一緒にやっていきたいけれども、丸々同じ案じゃとてもじゃないという話で、今いろいろ交渉させていただいておるというのが実態で、内容までちょっと申し上げられませんけど。
  128. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 まあ分かりました。いずれにしても、また新たな案を検討しているというようなことでございますけれど、引き続き努力されることをお願いしたいと思います。  その関係で、ODAについてちょっと触れたいと思いますが、今回の件も含めて、途上国へのODAがこの常任理事国入りに対して、説得に対して功を奏しなかったんではないかという意見がありますが、これに際して、今後ODAを見直すべきかどうか、伺いたいと思います。大臣
  129. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今御指摘のありましたように、ODAというのは確かに途上国に対して非常に大きな貢献をしたということは、これはアジアに限らず皆一様に認めていただいているところであります。事実、日本の外交手段としては、ODAというのは最も大きな外交手段の一つとして私どもとしては今後の外交課題とこれは密接に結び付けてもっといくべきものだと、私自身は基本的にそう思っております。  したがいまして、今この外交の一元化等々のことを考えて、私どもとしては、このODAの話につきましてはまあ長い、長いそろばんといいますかね、長い計算で、ちゃんと分かるでしょうという話にしていかないといかぬところだと思っておりますし、事実ODAというのは、ただただ金を施してやるという発想とは全然違って、日本の場合は、この前の予算委員会で申し上げましたけれども、ODAのおかげで勤勉といういわゆる価値観を我々インド人に教えてくれたベストアンバサダーという、最高の大使だったという表現をインドの地下鉄公団総裁から伺いましたけれども。  そういった意味で、いろんな形での日本のODAというのは、それにくっ付いていくJICAの職員であってみたり技術指導員であったりする人たちとの連携がなせる業としては大きなものだと、私自身もそう思っておりますんで、今言われましたように、このODAというものをもっと有効に活用してという今御指摘は、私ども率直にそう思います。
  130. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 私が申し上げたかったことは、日本の言うことを端的に言えば聞いてくれるところにはやるとか、そういう発想でのODAの見直しはすべきではないということを申し上げたかったわけであります。  やっぱり日本の特徴は、ある意味、色の付いていない援助で、本当に困っている人にやっぱり援助をする、そのことが評価されて日本の評価につながっている。そのことを是非忘れない方がいいんではないかなというふうに思いますが、情けは人のためならずとおっしゃった、そのことについて何かあれば。
  131. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) ODAで援助やるから一票ちょうだいって、ちょっと買収っぽくて何となく品が良くないと思うんですね。日本の外交のセンスとしては余り品が良くないし、私も若林先生と同じで、その種のやり方はやめた方がええと、私は基本的にそう思います。  基本的に、今言われましたように、長い目で計算をとか長い目でそろばんをとか、いろんな表現あるんだと思いますけれども、今おっしゃいましたように、そういったものは結果的にいろいろやっていった結果、回り回って元に戻ってくるという、情けは人のためならずということなんだと。  私は基本的に、ある程度長期に物を考えられるというところは日本のいいところだと思いますんで、余りあからさまにこれやるからこれ寄こせというやり方はちょっと、余り柄も良くないし品も良くないんじゃないかなと、基本的にはそう思います。
  132. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 その上で、さっきお配りした資料の三枚目でございますが、ちょっと取り出して、午前中配ったんでお持ちじゃないかもしれませんけれど、我が国のODAの額の実績と推計値であります。  かつてODAナンバーワンの国であった日本がこのままいきますと、これから伸ばそうとしておりますけれど、米国のみならず、ドイツ、フランス、イギリスの後塵に拝して第五位になってしまうと。GDP比でいえば日本の三割しかないイギリスよりも抜かれてしまうというこの現実に対して、今五百億ドル上積みするとか、あるいはアフリカの援助を倍増するとか、ミレニアム開発サミットの中でGDP比〇・七%に上げるとか等々言いながら、ODAの予算にどう反映されているのかということが必ずしも見えないんで、実質一般会計予算は三・四%減になっていますが、その辺についての長期的な展望を含めてちょっとお答えいただきたいと思います。
  133. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今御指摘のありましたとおり、平成十八年度、平成十八会計年度の予算案におきましては、おっしゃるとおりに、ODAのいわゆる予算においてはマイナス三・四%というのは事実であります。その上で、私どもとしては、今言われますように、国連でGNP比〇・七%という数字のことが今いろいろ言われておりますんで、それに合わせるべく私どもとしても努力をせねばならぬ、これはもう間違いなくそういう流れだと思っております。  また、昨年の七月でしたか、イギリスのグレンイーグルズでのあのサミットにおきましても、小泉総理の方から、いわゆるODAの中期的な目標として、五年間でODA事業につきましては百億ドルの積み増し等々が既に国際公約みたいな形になっておりますんで、私どもさせていただいておりますが、是非、その意味では、今回のこの十八年度で言わせていただきますと、昨年末の補正予算の分が三百二十三億円いただいておりますんで、それを上積みして十五か月予算で計算をしていただきますと、マイナス三・四がマイナス〇・四ぐらいになっていると思いますんで、まあ大体ほぼ前年並みになったということだと思っております。  そういった意味では、他の予算が軒並み減らされている中であります中にほぼ横並み、前年並みにはさせていただいたことだと思っておりますんで、私ども、まあ財政事情いろいろある中において私どもとしては今後とも努力をしていきたいと思いますし、谷垣大臣の御理解もいただければと思っております。
  134. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 なかなか対外的な公約に対して実際どうだったかというのは見えにくいんで、是非分かるようにやっぱり説明された方がいいんじゃないかなと思います。そして、ODA予算事業量とは必ずしも一致していないという、そこに一つのポイントがあろうかというふうに思います。  基本的には、最後の質問なんですが、やっぱりJBICを今回解体しJICAに統合するということで、経協局も含めて全体どのような体制にするのか、お伺いしたいと思います。
  135. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 御指摘のありましたように、このたび、このいわゆるODAをもっと戦略的に日本として使うためには一元化してしかるべきではないかという、これは前々から御党からもお話があっておりましたし、自民党の中からもいろいろこの中には意見が分かれておりました。  そこで、これはまとめる、しないと、こっちはやめてるのにこっちだけはやっているとかといって、いや、うちの省内では決まりましたからなんて話はもうしょっちゅうあった話ですんで、それ調整するのももうあれだったんで、私どもとしては、これをやるに当たってはUSTRみたいなのをつくるべきだという御意見もあったり、いろいろ御存じのとおりあったんですが、もうそれやりますとまた屋上屋を重ねたようなことになりますんで、総理の下に直属の海外経済協力会議みたいなものの名前をつくってそこで統括しますと。そこで、企画立案は外務省でやるということで、官房長官外務大臣財務大臣経済産業大臣、四大臣と総理大臣、五閣僚ということになろうと思いますけれども、そういった形で、まあ仮称ですけれども海外経済協力会議というのをつくらしていただくというのが一つです。  もう一つは、今御存じのように国民金融公庫、中小企業金融公庫等々、いろいろな政府系金融機関をこう、しておりますんで、その中にあって、いわゆるJBIC、かつての輸銀でありOECF、一緒にしたものを、少なくとも円借とあれと分かれて、こっちの円借の部分につきましては、これはもう基本的には国の援助ですから、借りてる人は相手国であって日本の企業はゼロですから、そういった意味ではJICAと一緒にするという形にさせていただいて、技術協力、円借、無償援助というものを一本にして分かりやすくして、少なくとも緒方理事長のお話も、JICAとして現場を預かる者としては、話しに行くに当たり、役所が多過ぎて、とてもじゃないけどたまらぬと、だからとにかく一つにしてくれという話をいろいろいただいてもおりましたので、このたび、そういった形での方向に合わせ、私ども役所といたしましても、それに合わせて経済協力局を国際協力事業部、社会事業部なんかと一緒にして、国社部なんかと一緒にいたしまして、そこらのところはもう分かりやすく、すとんと分かるようにしやすくし、また無償の部分なんかからもJICAにかなりの部分、移譲してやってくださいという形で、すっきり分かりやすいようなものにしようと組替えをやろうと思っておりますんで、なるべく早くこの組替えに手を付けて、既に方向は指示をいたしておりますんで、その方向で事を動かしていきたいと思っております。
  136. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 大きな流れとしては、やっぱり実施機関の一元化ということは必要だなというふうに思いますので、その意味で、やっぱり外務省というのはある部分、国別援助政策なり外交ツールとして活用できるような形にどうやって体制を分けていくかということが必要だと思います。  そういう意味で、無償援助を一部残すようでありますが、一言だけ言うと、その草の根無償というのは大使館でやっているんですね。一方、JICAの事務所で同じようなスキームやって、そういうところでの二元化になっている部分もありますので、できる限り現地でも分かりやすく、一体となって逆にやることが必要だなというふうに思っておりますので、ODAは我が国のやっぱり最も重要な外交上のツールだと思いますので、国民にしっかりその説明責任も果たしながら、ODAの有効性をよくアピールしていただきたいと思います。  以上で私の質問を終わって、関連に譲りたいと思います。ありがとうございました。
  137. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。下田敦子君。
  138. 下田敦子

    下田敦子君 民主党の下田敦子でございます。  質問に入ります前に、このたびのメール問題で、一連の動きに誠に稚拙な運びがありました。健全なチェック・アンド・バランスの二大政党化を望んでいる国民の皆様に、党員の一人としておわびを申し上げたいと思います。  ところで、このところベストセラーになっている藤原正彦氏が書かれました「国家の品格」という本がありますが、この中に、真のエリートが今の日本にはいなくなったということを嘆いておられます。成熟した判断のできる国民、あるいは圧倒的な大局観や総合判断を持って、いざというときには国民のために喜んで身を挺して働ける気概のある真のエリートだということを、私どもはやっぱり若いときから鍛えられながら身に付けていく必要があるかと思います。  さて、国民の安心と安全を求める今期国会でありますので、第一に、財務大臣、それから防衛庁長官にお尋ねを申し上げたいと思います。  日銀が量的規制緩和の解除を求めました。国民経済計算の試算によれば、バブル崩壊後、低金利によって家計が失った利益は実に累計で二百八十兆円に上るという報告がございます。低金利で預金者の得られる利子所得は大きく減少しました。家計は超金利緩和の被害者だという声も聞かれます。  高齢者の生活保護率がここのところ急増いたしまして、ここ十年間右肩上がりで、現在約二兆五千億円になっているようですけれども、厚労省は昨年の議論の中で、生活保護を受けながら長期に入院している患者さんを介護施設や在宅へ誘導することも自立支援の一方法だということをおっしゃられた場面がありました。憲法二十五条に定められている生活保護制度について、地方負担を増やすことにより保護率を下げる、これがインセンティブが働くという考え方で、地方自治体も反発を強め、私のところにも要望書その他がたくさん来ましたけれども、こういう状況下にあって、介護保険の自己負担増、あるいは引き続いて医療費の負担、それから増税も予想される昨今です。月四万の年金で独り暮らしの生活を強いられている高齢者も増えています。  財務大臣厚生労働大臣の御所見をお伺いいたします。
  139. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今、多岐にわたって、日銀の量的緩和から始められて長い御質問でしたので、どう答えようかなと思ってたんですが、確かに超低金利政策が長く続いてきたわけでございますので、家計の貯蓄をしてた方々の利子所得というのはその間減ったことは、これは間違いないことでございますが、他方、デフレ傾向が続いている中で消費者物価等も下がってきたという面がございます。それから、経済の低迷している中でこういう低金利政策によって企業等が何とかその中で頑張ってこられた、そのことがまた家計に回ってきているという面もあろうかと思っております。  その上で、今、社会保障負担等が増えているではないかというお話であったと思いますが、いろんな面がありますので一概には申し上げられませんが、片っ方で確かにいろんな負担増をお願いしております。しかし、他方、やはり年金等の支出、国家から見ると支出でございます、国民から見れば年金を受け取る額というのも毎年毎年増えていく流れにあるという、全体もごらんになっていただきたいと思っております。  それから、特に今年の関係で申し上げれば、高齢者の医療等々でいろいろ負担お願いしていることは事実でございますが、我が国の医療費、これは厚生大臣は社会保障という、医療充実という観点から一生懸命おっしゃいますが、私の方から申し上げますと、国民経済の伸びを超えて高齢者の医療費が増えていく中で何とか持続可能な制度にしなければならないと、私の立場からするとそういうことでございます。  我が国の今までの制度の立て方は、どちらかと申しますと高齢者は弱者であるという形で制度を立ててきた面が私はあると思っておりますが、今日、高齢者の中でも現役世代と比較して遜色のない所得を持ち、また元気の方もたくさんいらっしゃる。また、若い方々に負担を転嫁するというようなことで、少子化等言われておりますが、若い方々の負担をやたらに重くしてもいけない。こういうような観点いろいろ相まって今年のような制度改正をお願いしているということでございますので、御理解をいただきたいと存じます。
  140. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 先ほど、前の質問者の若林さんとも議論いたしましたけれども、社会保障制度全般でどのような世代間の公平を図っていくかと。そういった意味では、私ども団塊の世代の者があと二年で一般的には定年の年を迎える、十五年たちますと基本的には後期高齢者医療の中でお世話になっていかなきゃならぬと。人口構造の大きな変化の中でだれに負担を求め、そしてしっかりとした給付をやっていくかと、これが医療の、医療も年金も、それから介護についても同じような考え方で、一昨年から年金、昨年は介護保険、今年は医療制度改革ということでお願いをいたしているところでございます。  そういった議論の中で、世代間の公平という議論の中で出てきましたのが、現役並みの所得のあるお年寄りには我々と同じ負担お願いしたいということで、三割負担を行うということで御提案申し上げているところでございます。  しかし一方で、高額医療費等の経費につきましては、現役世代が天井が約八万円、逆にお年寄りの場合は自己負担限度額が四万四千四百円ということで抑えさしていただいております。また、入院と外来を合わせた自己負担限度額四万四千四百円のほか、外来だけで見ましたときには一万二千円という限度額を立てさせていただいております。また、住民税非課税、夫婦二人世帯の場合で年収二百十二万円以下でございますけれども、の低所得者の方については自己負担限度額を二万四千六百円、年金収入八十万円以下の方には一万五千円というような形で御負担を、現役並みの御負担お願いする方々もいらっしゃいますけど、一方で低所得者には配慮をさしていただくという中で全体の御理解を賜りたいと思っております。
  141. 下田敦子

    下田敦子君 両大臣の御答弁を伺っておりますと、大変、非常に、何とも言えない安心感を覚えますが、何とぞ、私ども政治の場にある者は、選挙は政治家を育てるということをよく言われますが、本当に様々な風景に出くわしますので、よろしく御尽力のほどお願い申し上げます。  さて、次のお伺いに入りますが、国民、安心、安全のために、米軍の新型早期警戒レーダー、Xバンド・レーダーの、航空自衛隊車力分屯地、これ青森県のつがる市に配備問題になっているようでございます。このことについてお尋ねいたします。  本年の二月の八日、青森県知事は次のようなことを申しました。Xバンド・レーダーと言われても、どのようなもので役割は何か、そもそもが分からないとおっしゃられました。まして地域の住民は全く意味が分からない状況にあります。まず、今回の同配備計画の経緯と現在の状況を防衛庁長官にお尋ねをいたします。  また、今通常国会で開会時に、財務大臣はその財政演説の中に、防衛関係費については、抑制を図る中で、弾道ミサイル等の新たな脅威への対応等重点化を図りつつ、効率的で節度のある防衛力整備を行ってまいりますとの御発言でございましたが、ところが、私のちょっと不勉強なのかもしれませんが、この防衛費予算の具体的な数字が見当たりません。どうなっているのか。また、その防衛費がGNP一%に収まっているものなのかどうか。そしてまた、新たな脅威や多様な事態への弾道ミサイル攻撃への対応予算はどうなっているのか。併せて、防衛庁長官並びに財務大臣にお伺いいたします。
  142. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 一九九八年に北朝鮮でテポドンの発射がありました。当時、私、防衛庁長官をしておりまして、ミサイルが発射された、じゃ、その後そのミサイルはどこへ行ったのか、日本海におっこったのか、あるいはこの日本列島に着弾したのか、あるいは日本列島を飛び越えて太平洋上に行ったのか、非常に心配であり、あるいはまた日本の国民、あるいは日本海や太平洋上で魚を捕ったり、あるいは輸送をしたり商売をしている方々にその被害はなかったのか、そういうことが最大の私の関心であり、また心配でありました。  その後、やっぱり日本の国民、国家の安定を考えていく場合に、弾道ミサイル防衛というものは必要不可欠であるというふうに考えておりました。その後、日米の間で共同研究をしたりなんかしているわけでありますが、委員御指摘のこのXバンド・レーダーというのは、我が国に対してミサイルが撃たれたときに、そのミサイルを探知して、追尾して、我が国に迷惑が掛からないように、被害が起こらないようにする一つの装置なのでございます。  今、このXバンド・レーダーの装置についてつがる市にお願いをしているわけでございますけれども、まあ我々も地元の木村防衛庁長官が説明に行かれたり、それから防衛庁でも順次議会の皆さん方や市長さんにも御説明を申し上げているところでございます。地元の御理解を得てそういう体制を是非つくり上げていきたいというふうに思っております。しっかりと今後も地元の皆様方に御説明をさせていただきたいというふうに思っております。
  143. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 財政演説は、予算の御審議をいただくに当たりまして基本的な考え方を述べたものでございますので、それぞれの経費の個別には必ずしも言及しておりません。今お尋ねの防衛関係費、平成十八年度予算は四兆八千百三十九億円となっておりまして、対前年度で申しますと四百二十四億円の減でございます。パーセントでいいますと〇・九%減。それから、その対GDP比は〇・九三七%と。  委員のお尋ねの趣旨が、昔はよくGDP比一%の枠内に収まるか収まらないかという議論をしていたのにこのごろはちっともそういうことを言わないではないかというあるいは御趣旨かなと思って聞いておりましたが、確かに三木内閣のときに、国防会議決定、閣議決定で、当面の防衛力整備ということで、当該年度の国民総生産の百分の一に相当する額を超えないことと決めておられました。つまり一%という枠を決めておりましたが、その後、昭和六十一年十二月三十日の安全保障会議決定、閣議決定でございますが、このGNP、三木内閣のときに決めたGNP一%枠というのは使わないことにして、それ以降はいわゆる中期防衛力計画という、中期防という形で全体の大枠を定めていくと、そういう中でその全体のコントロールをしていくという方式を取っているわけでございます。  それから、もう一つお問い掛けでございましたのは、BMDの関連経費は幾らかということでございましたが、これは千三百九十九億円、BMD関連経費として平成十八年度計上しておりまして、これは平成十年度に比べますと二百一億円の増ということでございます。
  144. 下田敦子

    下田敦子君 このような御説明が、やはり私どもを通じて地元にお伝えすることもまた必要なことだろうと思います。ただ、国の説明がない状況で強い不安を抱いていると。それで、地元では反対する住民の会がせんだって発足いたしましたようですが。  次に、お伺いいたします。具体的なお伺いです。  なぜ青森県つがる市車力なのか。ほかに検討地があるのかないのか。そしてまた、駐留する米軍の規模。これは例えば、まあ沖縄等々の意味から、駐留する米軍に対する異文化との共生、治安、あるいは、特にこのたびのこのミサイルの関係者は、米軍委託のアメリカの民間企業人も駐在するというお話であります。ですから、地位協定の関係から、果たしていろんな問題があったときにこれがどうなるのかという問題であります。  それから次に、具体的なことですが、レーダーから発せられる高い電磁波の影響、これはかなりな高熱を発する電波だと、そういうことで伺っておりますけれども、この安全基準あるいは農作物への風評被害等々について、まずどうであるのか、具体的なことをお伺いしたいと思います。
  145. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えいたします。  まず第一に、なぜ車力駐屯地にその焦点を当てたのかということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、我が国に向けられた弾道ミサイルを探知し追尾していくのに最も最適なところはどこかということを全国いろいろと検討したわけでございますが、このXバンド・レーダーを設置した後の維持管理とか、そういうことも含めて車力が一番適当であるということで、地元の皆さん方お願いをさせていただいているということであります。今後もよくよく御説明をさせていただいて、地元の御理解をいただきたいというふうに思っております。  それから、駐留が予定される米軍部隊の規模はいかがかということでございますけれども、Xバンド・レーダーの管理及び運用のために約五、六十名の人員が常駐されるのではないかと言われております。これをローテーション的に回転をしていくために、百人から百二、三十人がメンバーとしてなる見込みであります。しかし、軍人がそこに常駐するのは非常に少ないというふうに見ております。  と同時に、レーダーから発せられる高い電磁波の影響はいかがかということでございますけれども、これはいわゆる我々が健康診断をしたりするエックス線とかガンマ線なんかとは根本的に違うわけでございまして、ラジオだとかああいうテレビの電波の周波数の高いX帯、Xバンドというふうに言われているわけでございまして、これはテレビとかラジオ等には影響を与えません。一般に健康に影響があるのではないかというようなことも言われますが、一定の距離を置いとけば絶対心配がないと。一定の距離というのは、確かではないけれども、まあ数百メートルをきっちりと離しておくことによって心配ないというふうに思っております。  それから、あとは先生の……
  146. 下田敦子

    下田敦子君 農作物への被害。
  147. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) まあ、そういうことですね。
  148. 下田敦子

    下田敦子君 風評被害です。風評被害です、農作物の。
  149. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 農作物。農作物等の被害は、私はしっかりと把握していませんが、後でよく調べた上で御説明さしていただきたいというふうに思います。
  150. 下田敦子

    下田敦子君 私もさっぱり専門外の者でありますが、せんだって専門の医学者の大学の方にお尋ねをいたしましたら、このXバンド・レーダーから発する電磁波というのは十ギガヘルツ前後であると。で、この十ギガヘルツというのはどういうレベルなんだということを聞きましたら、非常に高い周波数で、国内ではほとんどの研究例がない。で、ただいまの長官の御答弁にもありますけれども、五百ないし六百メーター以外であればということは、じゃ以内であれば危険だという考え方をしてよろしいわけですか。そのことを大変心配している住民も多いわけでありますので、一つお尋ねをしたいと思います。  それから次に、米軍の三沢基地の後方支援、これがどうなるのか。  それから、これは総体的なことなんですが、アメリカの世界戦略の、いわゆる自衛隊との関係、基地問題というふうなことで考えた場合には、不安の弧ということが今言われておりますが、その対策の一環なのか。そしてまた、そうだとすれば、基地を抱えるという問題は、これはやはり昨日と同じで、沖縄と同じで、考えなきゃいけない地元では、一つの五十年単位のものだろうと思います。この点についてのお答えをちょうだいしたいと思います。
  151. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私が数百メートルぐらい離れていれば大丈夫だと言ったのは、放射線に向かっての方向についての話でございまして、レーダーが実際設置された場合は、きちっと地域皆さん方に御迷惑が掛からないように立入りができないようにするとか、完全に安全を確保しなければならない、心配がないようにさせるということが大事だというふうに思っております。  それから、このレーダーを設置するねらいは、先ほど申し上げましたように、我が国に飛来するミサイルを、これを探知して追尾して国民を守るために作るものでありまして、不安定の弧という米国が分析したような不安に対処するものではありません。
  152. 下田敦子

    下田敦子君 それでは伺いますが、去る三月三日、在日の米軍とあるいはアメリカのミサイル防衛庁関係者が約二十人ほど現地調査にいらしたようでありますが、これの実施主体はどこであるか、お尋ねしたいと思います。  それから、このことの今後の見込まれる日程、これがどういうふうな日程で運ばれて、また現実味を帯びてくるのはどういうふうに考え、計画しておられるのかもお尋ねいたしたいと思います。
  153. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 先般の車力におけます調査の主体でございますけれども、これについては米軍ということでございます。  それから、米軍としては、今月中に最終的な報告を出すということで鋭意作業をしておりますけれども、その後に地元の理解を得て、今年中には運用を開始したいという希望を持っております。
  154. 下田敦子

    下田敦子君 これ、後でよろしいんですけれども、このとき県議会等にも説明者がおいでになったようでありますが、この中に、お三方いらしてたようですけれども、三菱重工、防衛産業一般の御担当の方いらしてたようです。この三菱重工に対して防衛施設庁から退職者は何人おいでになっているか、今お分かりにならなかったら後でも結構でございます。  それから次に、せんだって、三月三日です、防衛施設庁の施設部長定例記者会見の中で、2プラス2の共同文書でXバンド・レーダーに関して日本における最適な展開地が検討されると。で、次なんです、施設企画課企画官は二月の末に、Xバンド・レーダーの件に関して二月末に合意したという記者会見をしておられるんですが、これはどことどこでもって合意されているのか、このことをお尋ねしたいと思います。
  155. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) まず、三菱重工に就職している数につきましては、後ほど調べて先生に御説明をさしていただきます。  それから、今、施設調査官が合意した云々ということにつきまして、これもちょっと詳細が、ただいま急な御指摘でございまして、きちっと把握しておりませんので、後ほど御説明をさしていただきたいと思っております。
  156. 下田敦子

    下田敦子君 急だということはどういうことでございましょうか。通告は昨日申し上げているはずですが。
  157. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) このXバンド・レーダーにつきましては、昨年の十月末のいわゆる2プラス2文書では、最適な候補地を検討するということをしておりました。ただ、その後、日米のいわゆる審議官級協議の事務的検討によりまして、先ほど大臣の方から述べました関係で、車力が最適な候補地であるということに日米間で合意した経緯がございます。その後、防衛庁外務省でそれぞれ大臣に上げましたし、米側でも同様の手続を取ったということでございます。
  158. 下田敦子

    下田敦子君 答弁がありません。これからの計画、日程。(発言する者あり)答弁漏れがあります。追加で、じゃ。  これからのスケジュールをあらましどういうふうにお考えであるかをお尋ねいたしました、先ほど。
  159. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) これからにつきましては、先ほど申しましたように三月に向けて最終的な報告書を出すつもりでございますが、地元の了解を得て、米側としては今年じゅうに運用を開始したいということで考えているところでございます。
  160. 下田敦子

    下田敦子君 ちょっと理解ができません。地元の新聞等々には、二段階構えで、この夏に取りあえず何かその第一弾として暫定的な運用をすると、年末には長期運用に入る二段階計画だということが既に報じられてあるわけです。ですから、全く私どもにいたしますと、やはり地元の住民は、一体どうなってるんだろうかなということで、私もやはりこのことはしかと確かめて、承って帰らなきゃいけないなと思いました。  ですから、後ほどで結構でございますのできちんとお伝えください。  それから、基地交付金それから調整交付金の問題なんですが、やはり先ほど申し上げた、基地になるということは五十年単位で先々考えなきゃいけない問題だろうということをお尋ねいたしましたけれども、この問題で、地域の振興になる、それは一概に否定できないものもあるかとは思いますけれども、今、地域の住民は、よく見えない、よく分からない、そういうことに対しての財政支援は、私はXバンド・レーダーの実態に果たして適合するのかなということを考えます。  これは、当初のこの車力村に対しての交付金等々もだんだん年々薄くなってきておりますので、こういうことと果たしてどういう問題がつながるのか、これを長官に最後、お尋ねしたいと思います。
  161. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えをいたします。  これまで自衛隊の車力駐屯地に関連をいたしましては、防衛施設周辺の生活環境整備等に関する法律に基づきまして民生安定施設の助成等の措置を行ってきたわけでございます。  今、地元の方々、つがる市も含めていろんな要望をいただいております。従来の措置で対応できる範囲というのは限定されておりますので、今後どういうふうに対応したらいいのかについては、よくしっかりと地元の皆さん方の御意見を伺った中で、まあ米軍再編に伴うその地元の皆さん方負担、そういうものについて我々も、政府としても、防衛庁としても考えて、勉強をしていかなければならないというふうに思っているところであります。
  162. 下田敦子

    下田敦子君 大変ありがとうございました。  次にお伺いいたします。  大変唐突なお伺いで大変御無礼でございますが、本日お出ましの各大臣にお伺いいたします。  御自身の老後はどなたに介護してもらう御予定なのか、あるいはそういう御希望があるか。本日は木村大臣もお見えのようでございますので、まだお若くいらっしゃいますけれども、併せてお伺いしたいと思います。
  163. 小野清子

    委員長小野清子君) それでは、川崎厚生労働大臣
  164. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 私の家は、女房の父親もそれから私の父親も早く亡くなっております。したがって、私は二人のおばあちゃんを抱えているんです。八十四と、昨日誕生日だったから八十三になりましたでしょうか。二人とも元気なものですから、ですけれども、まあ正直、女房がいざとなったらやってくれるんだろうと。そこで、夫婦間の争いになっている、今度私たちのときにどうするんだと。私のところ長男一人ですから議論になっていまして、いやおれの方がお前より先に亡くなるからお前がしっかりおれを面倒見てくれと。そうなると、女房の面倒は息子がしっかりやらなきゃならぬだろうなと、こんなふうに考えております。
  165. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 我が家は、我が家の現状は今いわゆる老老介護ということになっておりまして、還暦を過ぎました私の家内が家内の父を一緒に住んで見ているという状況でございます。もちろんそれだけでは荷が重くなることがございますので、ショートステイなどを利用させていただきながら、それからいろいろな介護保険などに頼りながらやっている状況でございますが、私の場合は子供がそういうことをやってくれるかどうか、まだ詰めて子供と議論したことはございませんけれども、やってくれそうな気もするし、とてもそこまでは望めないような気もいたしまして、これからよく考えなければいけないと思っております。
  166. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えします。  私は八人兄弟の末っ子でございまして、ずっと核家族でございます。老後のことについては、選挙で女房にお世話になっているから、女房より長生きして女房を面倒見たいと、自分のことはそのとき考えると。
  167. 小野清子

    委員長小野清子君) 木村大臣に関しましては手続がないようでございますので、御了承ください。
  168. 下田敦子

    下田敦子君 大変、ハッピーバースデー、おばあ様、おめでとうございました。また、大変御殊勝な、御感心な両大臣にもまた敬意を表したいと思います。  さて、なぜこういう御質問を申し上げたかというと、私の所属しております高齢社会をよくする女性の会というのが全国四十七都道府県知事に対して、自分の将来の介護はどなたに見てもらう御予定ですかとお尋ねしたところ、大方の知事は、お三方の女性知事を除いてなんですが、妻に介護してもらうとのお答えでございました。  ところが、神はそう簡単にお許しになりませんで、現実は奥様の方がお先いたします、あっ、どうぞよろしくということでお連れ合いさんを残して亡くされたというのが実際のデータでありますので、どうぞその辺を踏まえて次の質問をさせていただきます。  昨年六月の二十二日に介護保険法の一部改正する法律が成立いたしました。施行日が平成十八年四月一日とあるにもかかわらず、介護保険施設の居住費、食費、いわゆるホテルコストが保険給付から外されることとなりまして、入所者、入院者の自己負担となりました。この部分のみが昨年の十月一日から施行となりまして、わずか四か月足らずの激変に大変現場は混乱を来しました。  全国的にその施設の職員から聞かされますことは、入所者家族への説明するのに家族が共働き家庭が多いので土曜日の午後か日曜日に説明をしなければならないと。値上げ分が施設収入として誤解されているとか、あるいは減額認定証の交付が遅れて不安が施設に集中したとか、あるいは常食のみならず治療食として提供するのに付加価値を付ける必要があるわけですけれども、現場として食材や人件費の削減に厳しさが増している。あるいは利用者、入所者の利用料金の未納、不払いが増えたというふうなことが言われております。  このたびこの介護保険改定を受けまして、東北六県のすべての介護保険施設四千五百二十九施設にアンケートを実施して結果を出した団体があります。その結果が極めて大きい実態になりましたので、ちょっと付け加えさせていただきます。  例えば、負担増に耐えかねて施設を退所した方が百九十四人で、全体の一六・七%。それから、退所先が在宅で、しかも要介護の四とか五の重い症状の方が多数いらっしゃる。それから、現在退所を予定している方、これが三十五施設で一一%。それから、利用料金の滞納者が出てきた施設が百四十七施設、三〇%でございました。非常に多かったようであります。そして、施設側としても、収入が減った施設は八七%などなど、このアンケートの結果、たくさんございます。  まず、この説明責任は国にあるということを以前お伺いしておりますが、この成立後、国はどのような説明方法をもって、いつどのような内容で全国的に周知を図ったのか、厚生労働大臣にお伺いしたいと思います。
  169. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 改正介護保険法の円滑な実施につきましては、保険者である市町村、あるいは利用者、事業者の方々の御理解を得て制度の周知を図ることが必要だと我々も考えております。  このため、国におきましては、六月の改正介護保険法の成立直後から全国の介護保険担当課長会議などをこれまでに十回にわたり開催しておりまして、委員御指摘の十月の実施までには五回実施しておりまして、市町村、保険者である市町村などに対しまして、各サービスの具体的な内容も含め、制度全般にわたりきめ細かな情報提供を行うとともに、パンフレットを用意いたしまして、制度改正の周知、啓発用のパンフレットを作りまして、各市町村を介しまして関係者への配付をお願いし、さらに、自治体からの照会や相談にこたえるべく厚生労働省内に各都道府県の担当制を導入いたしまして、支援体制に力を尽くしてきたところでございます。  四月の本格的な施行を前にいたしまして、国としても、引き続きこうした周知徹底に向け努力をしてまいりたいと考えております。
  170. 下田敦子

    下田敦子君 詳しくはまた常任委員会の方で、厚労委員会の方でさせていただきますが、現場と地域社会は大変なものを抱えてそれぞれに頑張っている最中であるということをまず申し上げます。  次に、平成十七年度介護保険国庫負担総額が一兆九千五百十八億円、施設給付の見直しによって国庫負担額ベースで、施設給付の見直し、いわゆるホテルコストの入所者負担によって、その減額はどれぐらい見込んだのか、五か月間の影響はどれぐらいかをお尋ねいたします。  あわせて、十八年度厚労省一般会計予算案の中で、社会保障関係の内訳に対して、十七年度予算額あるいは平成十八年度予算案の一兆九千百四十三億円から一・九%減額になった要因、三百七十五億円、この減額内容をお伺いいたします。
  171. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) まず、最初の御質問の給付範囲の見直しに伴います縮減額でございますが、平成十七年度予算におきまして約千三百億円程度を見込んでいたところでございます。  施行後の実績につきましては、現時点におきまして実績が把握できておりますのが十月及び十一月の二か月分の給付費でございまして、これを施行直前の二か月、つまり八月及び九月と比べますと、一月当たり約二百七十億円程度の減額となっておりまして、これを十七年度に引き伸ばしますと、約千三百億円から千四百億円程度の縮減と見込んでおりまして、ほぼ最初の見込みのとおりというふうに考えております。  それから、後の方の御質問の今回の予算におきます国庫負担でございますが、全体のサービス量の、利用の増加に対応しまして、全体としては七・八%増の六兆四千六百二十二億円の給付費を見込んでおりますが、国庫負担につきましては、一つには、三位一体改革におきます介護施設等給付費に係る国と都道府県の負担割合の見直し、それから第一号被保険者と第二号被保険者の構成割合を毎年見直しておりまして、これによりまして第二号被保険者割合が一%減になりまして、それに伴う国庫負担の減、それから介護報酬の改定によります給付費減などによりまして一・九%減の一兆九千百四十三億円を見込んでいるところでございます。
  172. 下田敦子

    下田敦子君 時間がなくなりましたので、通告をいたしましたものに関してはまた次の機会をちょうだいいたしたいと思いますが、何とぞこのホテルコストの問題、それから療養病床群の問題、極めてたくさんの医療改革、法改正等々が連なっておりますので、今後ともどうぞよろしく御尽力のほどお願い申し上げたいと思います。  私の質問は以上で終わらせていただきます。
  173. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で若林秀樹君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  174. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、主濱了君の質疑を行います。主濱了君。
  175. 主濱了

    ○主濱了君 民主党・新緑風会の主濱了でございます。  今日は、BSE対策及び米国産牛肉の輸入再開の問題、さらには品目横断的経営安定対策についてお伺いを申し上げます。  まずもって中川大臣には、ロンドン御出張御苦労さまでございました。早速ですが、米国産牛肉の輸入再開問題に関連しまして、ロンドンで米国のジョハンズ農務長官と米国産牛肉の輸入再開について、あるいはBSE牛の発生についてお話しもしされたとすれば、その内容についてお伺いをいたしたいと思います。
  176. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今御指摘のように、金曜、土曜とロンドンのWTOの会合だったんですけれども、私もジョハンズ農務長官も参加をいたしましたので、その問題とは別に二人だけで、本当に二人だけで、それから途中からは事務方も入って、合計約一時間この問題を中心に話合いをいたしました。もちろんほかにも、WTOの問題とかそういう話合いもいたしましたが、ジョハンズ長官の方の話のメーンは米国産輸入牛肉問題でございました。で、具体的にどうこうしてくれとか、あるいはできるだけ早くやってくれというお気持ちはあるんでしょうけれども、そのような要請みたいなものは一切ございませんでした。この問題発生以来、電話でも何回もやっておりますし、必要があれば電話でもできるわけでございます。  率直に言って、今の日本の情勢あるいはまたアメリカの情勢について意見交換をいたしました。連日このように国会でも、私あるいは厚労大臣あるいは食品安全担当大臣等々が国会でいろいろと質問をいただいておりますと。また、国民の関心も広いということで非常に重要な問題としてとらえられている。アメリカの方も、今予算審議をやっている国会の最中でございますから、制度は違いますけれども、何回も国会に証言を求められていると、そういうような状況の意見交換をいたしました。で、私からは、これは何回も同じことを言っているんですけれども、米国側はいろんなことを言っております。制度が、BSEに対するシステムが日本とアメリカは違いますから、アメリカにとってみれば三十か月以下でいいけれども、日本との約束で二十か月以下にしたわけでありまして、これはあくまでもルール違反であるということは、これはもう弁解のしようがないということを言っておられました。  私からは問題を、先の問題、例えばこれは日本のマスコミから聞かれたから答えたんだということでありますけれども、抜き打ち検査あるいはまた再開前の日本側からの事前調査等々について前向きに応じると、これは善意といいましょうか、問題解決のために必要だというふうにお考えになって発言をされているんでしょうけれども、自分たちはそんなことは現時点では全く考えておりませんと。今我々にとってやるべきことは、報告書に対する疑問点等々を今照会中でございますから、その回答が来るということを今我々は待っているんでありまして、次のその先、そのまた先というスケジュールあるいは作業については自分たちは一切考えておりません、一つ一つ問題を解決をしてやっていくことが大事なんだと。  何回も申し上げておりますけれども、急がば回れが大事なんですよということを申し上げたところであり、ジョハンズ長官の方も、そのことは十分よく分かっているということで、何といってもこの問題の解決には、再発防止あるいはまた原因究明については、両国間の共同の作業といいましょうか、問題を真摯に解決をするという意識の共有が大事であるということを確認し合い、特にアメリカ側の場合は、そのことはよく分かっているつもりなんで、何でもいいから必要なことがあれば自分に言ってもらえれば、自分としては最善を尽くすし、回答についても誠意を持ってできるだけ早く、来週中にもというような発言もしておりましたけれども、とにかく時期のことは別にして誠意を持ってお答えをしたいというようなことをおっしゃっておられました。
  177. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  米国の輸出条件違反事件、米国が単なる例外的ミスであるといかに釈明しようとも、これまでの、このたびの事件を予想させる事柄がずっと続いてきているということでございます。  ちょっとだけ紹介させてもらいたいんですが、米国農務省監査局の監査報告では、米国基準の三十か月齢以上の特定危険部位の除去が不十分であった、こういったような報告がなされておりますし、昨年八月、やっぱり農務省の方から発表されました二〇〇四年の一月から二〇〇五年の五月までの例の百三十六件の違反事件ですね、こういったようなこと。さらには、米国の食品検査官が加盟する労働組合から警告書が発せられていること。さらに、歩行困難牛が食肉に回されたと、こういったようなことが報道をされております。加えまして、これ今日のニュースなんですが、香港でもこの米国産牛肉、肉が混入しておったということでございます。そして……(発言する者あり)骨ですね、骨が混入しておったと。こういうことで、骨が混入しておったということで、香港特別行政区から輸入が再び停止をされたと。こういったような、数え上げれば一杯出てくるような問題であります。  このように、このたびの輸出条件違反の事件は起こるべくして起こったと、私はこういうふうに思っております。これらの米国における牛肉のずさんな取扱いについて、川崎大臣はいかがお考えになっているか、御意見を伺いたいと思います。
  178. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 御承知のように、輸入再開については、一年半にわたる日米間の協議、その後食品安全委員会において十回にわたるプリオン専門調査会の開催、科学的な議論を尽くし、また国民の意見も徴した上で取りまとめられた答申、それを受けて私どもの方で輸入再開を決定したということになります。  その中の協議において、当然アメリカがお互いの安全確保についてきちっとした約束を守ると、そういう体制をしくという中でプログラムというものができ、アメリカがこれを守るべきだということで始まったわけでございます。  一方で、私ども検疫を担当する者といたしましては、農林省におけるチェック、私どもにおけるチェック、ダブルチェック体制をしきながら、一方で、当面の期間は厳重監視期間という位置付けをさせていただいてやっておったと。その中において事件が起こりました。したがって、すぐその輸入をストップさせて、アメリカからどういう形でこういうものが混入したのか、それを求めてまいりました。しかし、現実は二か所の違反問題に言及されるのがメーンであって、残りのものがきちっとこういうことで間違いありませんという言及がない、基本的なものがない。  その中で今度は香港で同じような事件が起きてきた。ただ、香港は三十か月ということと、香港自体がどういうプログラムをアメリカと間で組んでいたのか、よくまだ分かっておりません。また、現実に止めておられるのは工場の製品、すなわち、その処理場一か所だけの、会社全体を止めたわけでもない、アメリカでも全部止めたわけではない。何で一か所だけ止めたのか、よく分かりません。他のことはアメリカと香港の間で約束が守られているという認識になっているのか、これもよく分かりませんけれども、私どもは、日本とアメリカの約束が守られていないということから止めさしていただいておる。  今後、アメリカに対し、回答を待ちながら、もちろん香港でのこうした事件、今委員から御指摘もいただきましたように、二つの処理施設だけではない話が現実にもう香港で起きていますねということを前提としながら話合いを続けることになってまいると思っております。
  179. 主濱了

    ○主濱了君 はい、ありがとうございました。  この議論、また後ほどさせていただきたいと思います。  それでは、米国で三頭目のBSEの感染が確認をされました。このような状況にあるにもかかわらず、米国の農務省はBSEの拡大調査費用の要求を見送りました。このまま補正がなければアメリカのBSE調査が十分の一に縮小すると、このように報道をされているところであります。いかにも、BSEの検査がなければBSEそのものがないと、こういうことになってしまうわけでありますけれども、この時期のこういったような米国の対応、中川大臣、いかがお考えでしょうか。
  180. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 米国では四万頭分、一千七百万ドルのBSEサーベイランスの予算が今まで充てられていたわけであります。現在、予算案の審議中でございますから、まだ確定ではございませんけれども、本年におきましても、予算本体としては四万頭分、一千七百万ドルでございますけれども、それ以外に、今、追加分といいましょうか、今、主濱委員が多分おっしゃりたかった分が商品信用公社分として三十七万頭分の実質的にはサーベイランスのために行われるお金がそこから出ていたわけでございます。  これについて今後どうなるか。つまり、本来の四万頭プラス公社からの三十七万頭分が今後も同じように、今までと同じようになるかどうかというのはまだ決まっていないというふうに承知をしておりますので、現在、米国側に照会中でございます。
  181. 主濱了

    ○主濱了君 はい、分かりました。  次に、最近の問題からもう一つ、日本航空のグアム発日本着の便で、幼児用の機内食に米国産牛肉が誤って使用されていたということでございます。国内の航空会社として極めて残念なことであると私は思っております。  一般的なお話を伺いたいんですが、一般的に、国内航空会社の国際線の機内食の食の安全、これはいかに確保されているのか。また、日本を離発着する外国の航空会社ではどうなのかということで、機内食の安全の確保について川崎大臣にお伺いいたします。
  182. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今回のケースは、たしかグアムから出ております。  我が国から立たれるものについては、我が国で食事が準備される、そして機内に積み込まれるということでありますから、我が国の食品衛生法が適用されます。一方で、外国で積み込む場合、この場合には基本的に我が国の輸入ではない、機内であくまで消費されるということでありますから、基本的には食品衛生法の規制には入っておりません。  国際航空運送協会、IATAですね、IATAの作成した機内食衛生管理プログラムや積込み地の国内規制等を踏まえて、航空会社自ら食品の安全性を確保する責任があると。国内ということになれば、当然、先ほど言いましたように我が国の法律に照らしてやっていくということになります。
  183. 主濱了

    ○主濱了君 米国産牛肉の輸入再開をめぐる交渉を見ておりますと、米国の高圧的な態度が目に付きます。日本はそれに対してかなり、これは言っちゃ失礼なんですが、隷属的であると私は感じました。  中川大臣がしきりに発言される、査察に関して米国側がやるべき義務を念のため日本もその施設をチェックしたいと考えておりますと、よくこういう答弁をされておりますけれども、この念のためという表現も実は私は隷属的な対応の一例ではないか、このように思っております。  貿易における輸出国と輸入国、売手と買手、貿易においてどちらが主導権を握るべきなのか。先ほど大臣から対等にといったような答弁がなされましたけれども、しかし今は対等までも行ってないのかなという感じがします。私自身は、買手、輸入国が中心になって進めるべきではないか、交渉を進めるべきではないか、こう考えております。少なくても、このたびの米国産牛肉の輸入再開については、輸入条件、こちらで言うと輸入条件を示すことも、輸入条件を満たす施設の認定についても、さらには、結果として輸入条件を満たしているかどうかについても、これを買手主導で査察又は検査をするべきであったと、こういうふうに思うわけですが、中川大臣、いかがでしょうか。
  184. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、一般のビジネスであれば売手と買手の立場は私は対等であるというふうに思います。買いたいもの、売りたいもの、それが合致してビジネスが成り立つ、これは貿易においてもそうだと思います。ただし、その一般のビジネスの前提として、例えば政府や自治体、あるいはほかの国々がやるべきことというのがあって、食品の場合には安全性であるとか、こういうものが最大限尊重されなければいけない。それについては、日本には日本のルールがあります、アメリカにはアメリカのルールがあります、香港には香港のルールがあります。  そこで、輸入再開に当たって、去年の十二月十二日に日本としてはこういうものでなければ輸入することはできませんよということを向こうに示し、向こう側も、先ほど申し上げたように、アメリカ側は三十か月以下であるということが、その肉がアメリカではもうどんどん食べられているわけでありますけれども、日本では二十か月以下でなければ駄目ですよということを申し上げて、アメリカ側はそういう衛生条件、そしてまたそれに基づいて結構ですと、それをのみますということで輸出プログラムが作られているわけでございますから、これは、今回の輸入再開に当たっての輸入条件は、きちっとした日本の主張に沿って、そして決められた。その前提はリスク評価機関の専門的な御判断があるわけでございます。  今回の出来事というのは、そのルールそのものに問題があったのではなくて、ルールの運用において極めて初歩的なといいましょうか、本当にあきれてしまうような、二段階にわたってのその条件を守らない作業が行われたことによって起こったことでございますんで、私どもといたしましてはあくまでもこの問題は、日本側が輸出再開に当たって日本側として確保すべき問題は、ポイントはこうですよ、アメリカはそれを分かりましたと、そのとおりにいたしますということできちっとした再開のルールに至ったわけでございます。
  185. 主濱了

    ○主濱了君 牛肉の安全につきましては、BSEの全頭検査、これは私の考えですが、BSEの全頭検査とSRMの完全除去が不可欠であると、こういうふうに思っております。米国産牛肉の輸入に関しまして現段階で実現すべきなのは、一つには、その肉質ではなくて個体識別によって月齢判定された二十か月齢以下の牛のSRMが完全に除去された牛肉を輸入できる優良業者を選定し、輸入先をここに限定をして安全の確認を政府が行うこと、最低限このことを実施していただきたい、こういうふうに考えておったわけであります。  実はここでお話を止めようと思ったんですが、先ほどお話のありました、お話をしました香港の違反事件が発覚してしまいました。これでは日本の査察も意味がない。これ、さっきのあの香港の関係もう一回見ますと、今回条件違反をした会社名は米国大手のスイフト・ビーフ社というところなんですが、このスイフト・ビーフ社につきましては、日本の農水省それから厚労省が昨年末に査察をして問題なしとしていた、そういう施設であると、こういうことも報道されております。本当、足下から信頼が揺らいでいるわけです。日本政府の査察の信頼が揺らいでいる、こういう状況にあります。非常に遺憾に思います。嘆かわしく思います。  これらについて両大臣の御見解をお伺いいたします。加えまして、その信頼を、まあ多分失われているだろうというその信頼をどのように回復しようとされているのか、併せて両大臣にお伺いをいたします。
  186. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) まず第一に、香港の問題については、先ほど少し申し上げましたように、どういう経過でそうした部位が混入したかも私ども分かっておりません。かつ、どういう経過で香港側がその処理場のみを停止処分にしたのかもよく分かっておりません。そこをきちっと私ども検証した上で香港の議論はしてまいりたいと、こう思っております。  一方で、先ほど申し上げましたように、二処理施設だけの間違いだという調査報告書が来ておりますけれども、今回の問題も含めて他の、三十七になりますか八になりますか、その施設においてきちっとされているんですかということがまだ私どもの方に確証として返ってきてない、文書の上においては。アメリカは守るという約束の下でこの作業を始めましたねと、現実二つにせよ守らなかったですねと、それを前提にしながら今議論に入っております。したがって、アメリカからどのような議論が出てくるか、私どもそれをしっかり見ながら、そしてそれに対してどういう形で回答していくか考えながらやっていきたい。  一方で、私ども予算委員会でこれ約二か月、各委員皆さん方から様々な御意見も賜っております。与党、野党も問わずいろんな御意見を賜り、また党内での議論もございます。そういったものも踏まえながら、一方で、科学的知見というものに基づきながら最終判断はしていかなければならないだろうと。しかし、今の段階でいえば、我々が疑念に思うことを返したところですので、まだ向こうから返ってきてない。ですから、簡単に言えば、私から申し上げれば、再開を前提とした話合いに入ったわけではない、まだこの問題の解明はされていない段階であると、こういうふうに認識をいたしております。
  187. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、香港の件ですけれども、私どもも今、詳細をまだ把握をしておりません。しかし、十二月十二日に再開した後、直後に実際に施設を見に行った、処理作業を見に行った十一施設のうちの一つだということのようであります。ただ、これは照会中でありますから何とも言えませんけれども、日本とアメリカのEVプログラムと香港とアメリカのEVプログラムは、結果的には中身が同じかもしれませんけれども、そもそも別のものでございますから、違反は違反としてもちろん同じなんですけれども、そういう前提が一つあるわけでございます。  いずれにいたしましても、この問題が我々にとっては注目をしなければいけない出来事でございますので、アメリカ側にこの香港の件についても照会をいたしますし、いずれにしても、それと同時に我々が今やるべきことというのは、報告書に対する質問の回答を今待っていると。それをまた精査をして、原因の徹底究明、再発防止に対して、我々の期待なりあるいは回答として満足かどうかということを精査をしていくということが目の前の我々がやるべき唯一、唯一といいましょうか、まず取りあえずはそれを徹底的にやることが大事だというふうに考えております。
  188. 主濱了

    ○主濱了君 昨年十二月の十二日に米国産牛肉の輸入が再開されました。小泉総理は、これに関しまして、食品安全委員会において科学的な議論を尽くし、国民の意見も聴取した上で取りまとめられた答申を踏まえて決定されたと、このように答弁されております。  さて、食品安全委員会評価結果の結論部分につきましては、皆様方のお手元にお上げしております、資料一をお手元にお届けしておりますので、ごらんをいただきたいと思うんですが、どの部分をどのように読んで答申を踏まえて輸入再開を決定したというのか、この点について伺いたいと思います。  まず、答申は結論の第二フレーズのところで、日本と、米国・カナダのBSEリスクの科学的同等性を評価することは困難と言わざるを得ない、このように言っております。また、同じく第二フレーズの中で、輸出プログラムが遵守されるものと仮定した上で、そのリスクの差は非常に小さいと、こういうふうに言っているわけですよね。裏を返せば、輸出プログラムが遵守されないとすれば同等性の議論など全く無意味と、私はこういうふうに思うんですよ。  さらに、プリオン専門調査会の吉川泰弘座長は、十二月八日、昨年の十二月八日の食品安全委員会の後に、結論部分の前半重視でも後半重視でもなく、両方丸ごと読んでほしい、科学は万能ではない、不確実なものは不確実だと伝えるしかない、このように述べられております。  結局、答申は米国産牛肉の摂取を安全であるとは言っていないと私には思われます。どこをどのように読んで、あるいはどのような事情を考慮に入れて政府の最終判断として輸入再開を決定したのでしょうか。答申だけを根拠とするならば、これは大きな間違いではなかったでしょうか。これ、川崎大臣中川大臣、それぞれにお伺いいたします。
  189. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 委員がもう既にお読みいただきましたように、具体的には報告書の結論において、「リスク管理機関から提示された輸出プログラムが遵守されるものと仮定した上で、米国・カナダの牛に由来する牛肉等と我が国の全年齢の牛に由来する牛肉等のリスクレベルについて、そのリスクの差は非常に小さいと考えられる。」ということから、一定の条件を満たした牛肉等について輸入を再開することが適切と私どもで判断をいたしました。したがって、輸出プログラムをその後アメリカがしっかり守ることということを申し上げながら、もちろんアメリカ大使館通じながら、様々な議論をしながら私どもで最終決断をしたということでございます。
  190. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 我々リスク管理機関は、リスク評価機関、つまり食品安全委員会の専門的な調査検討等を踏まえた上での御判断に基づいてリスク管理、そしてまた再開決定をするわけでございます。  リスクとは何か。これは食品ですから、安全性というものに対するリスクだというふうに理解をいたしますが、食品安全委員会の結論は、いろんな条件が付いておりますけれども、リスクの差は非常に小さいというのが結論でございますので、したがいまして、我々としては、非常に小さいという前提においてリスク管理機関として再開を厚生労働省とともに決定をしたということでございます。
  191. 主濱了

    ○主濱了君 「輸出プログラムが遵守されるものと仮定した上で、」と、ここを読み落としているんじゃないでしょうか。私は輸出プログラムが守られなかった以上これはもうこれまでの結論が無効になっちゃうんじゃないかなと、このように思うんですよ。前提としていたものが全部駄目になってしまった。そして、その前提としていたものが、先ほど私るる説明をいたしましたが、これは起こるべくして起こった。今回、特異な事例ではない、このように思うわけです。  そうすると、最初からひょっとして米国産牛肉、米国産牛肉といいますか、米国の例えばSRMを除去する体制がしっかりしているのかどうか、そこからきっちり確認する必要があるんじゃないでしょうか。そこをおいてこのような、「リスクの差は非常に小さい」、そこだけを取ったというのは納得できません。もう一回答弁お願いします。
  192. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 輸出証明プログラムが維持ですか、きちっと機能していないとこの評価は値しないと。今回は輸出証明プログラムが遵守されなかった、ですから輸入をストップしたんです。(発言する者あり)
  193. 主濱了

    ○主濱了君 私は、今回の輸出プログラムが遵守される、これが遵守されないとすれば結論は変わったものになってくると、こういったようなことも言っているわけでありますんで、それは結論が変わってくるはずでありますので、再々開をもし進めるのであれば、私は、再度答申をして、そして輸出プログラムが確実に守られるのかどうか、そこまでチェックをした上で再々開、これを検討するべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  194. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) もう一度諮問しなさいということですか。
  195. 主濱了

    ○主濱了君 そういうことです、はい。ええ、もう一回。
  196. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 食品安全委員会の先生方に諮問をするのは食品安全委員会の担当大臣でございますんで、担当大臣のこれ御発言ですけれども、過去の委員会での御発言では、現段階においてはこのリスク評価を改めてチェックをするというつもりはないというような御答弁でございました。(発言する者あり)
  197. 主濱了

    ○主濱了君 この件については、それでは農林水産委員会でもう一回やらしていただきます。  さて、BSEの検査対象について伺いたいんですが、国内で確認された最も若いBSE牛、これは二十一か月齢であったためBSE検査対象が二十一か月齢以上の牛にされたというふうに認識をしております。しかし、その二十一か月齢でBSEとして発見された二十一か月齢の牛ですが、これは二十一か月齢以前から異常プリオンは存在していた。そして、食肉に回された二十一か月齢でBSE検査が、発見されたというふうに考えるのが普通だというふうに思っております。  様々な研究の結果、BSE検査の精度が上がって、そして例えば五か月齢あるいは十か月齢でも異常プリオンを検出可能となれば、今後検査対象の月齢を引き下げていくべきというふうに私は考えるわけであります。クロイツフェルト・ヤコブ病の原因と言われるBSE、BSEは依然として未知の病気であり、大変な病気であると、このように思っているわけですが、この意味から、BSE検査の精度を高めつつ、二十一か月齢以上の牛のみならず全頭の検査を実施するべきであると考えますが、中川大臣、いかがでしょうか。
  198. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、このリスク評価の問題は食品安全委員会でございます。これはもう答弁逃れをしているつもりは毛頭ございません。担当が、そもそもリスク管理とリスク評価をきっちり分けることが食品安全の根本であるということで、二〇〇一年以降、食品安全委員会という全く独立のものをつくったわけでありますから、ですからあえて私からは余り食品安全委員会の発言について、発言は差し控えなければいけないとすら思っているところでございます。  他方、新しいBSE検査については我が国でもいろいろと研究されております。簡単にきちっとした抗体ができる開発であるとか高感度に検出する装置の開発でありますとか、現在は御承知のようにエライザ法という方法でありますけれども、これは過剰に反応する。ですから、エライザで陽性と出ても、ウエスタンブロットというより正確なものでやってみたら実はBSEプリオンが見付からなかったとか、他方、ウエスタンブロットの方は時間が掛かるとか、いろんな問題がございます。アメリカにはまた別の方法もあるようでございます。  そういう意味で、この検査方法、より簡易で、そして正確で、できればコスト的にも安いものをいろんなところで研究しているようでありますから、そういうものが確立されたら、積極的にそういうものは導入していきたいというふうに考えております。
  199. 主濱了

    ○主濱了君 そういうふうな導入は結構でございます。どんどん進めていただきたいんですが、私がお尋ねしたのは、要するに、二十一か月齢以上の牛のみならず全頭検査やったらいかがですか。例えば感度が五か月齢であるとか十か月齢であるとか、そこまで感度が下がってきた場合に、全頭検査やったらどうですかと、こういう質問だったわけですので、もう一回御答弁お願いいたします。
  200. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 現在は、屠畜場に入ったときに、これも厚生労働大臣の所管でございますけれども、全頭検査をやっている、脳の組織の一部を取っているということでございますから、全頭検査をやっております。
  201. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) そこのところは、今お話ございましたように、厚生労働省においては、屠畜場におけるBSE検査対象月齢の見直しについて食品安全委員会に対して諮問を行い、その答申を経た上で、昨年八月、対象月齢を二十一か月齢以上に見直しを行ったということでございますので、そこは食品安全委員会がきちっとした判断をしていくというふうに私どもは承知しております。
  202. 主濱了

    ○主濱了君 食品安全委員会は諮問に基づいて答申をしたということでございます。諮問をしたからといって、その諮問をしたからといって一〇〇%それを行政として採用するか、採用するかどうかというのはまたこれは別の問題であると思うんですよ。二十一か月齢だからといってそこで縛られることはないと、それを下げても私は差し支えないというふうに思うわけであります。  ですから、要するに、行政の立場として、二十一か月齢以上ではなくて全頭検査というのは採用できないのか。(発言する者あり)ええ、これは、しているのはよく分かっております。しているのはよく分かっているんですが、これは一応、先ほど厚生労働大臣がおっしゃったように、八月に、昨年の八月にちゃんと二十一か月齢以上の検査をするということを、通知を流しているわけですよね。それが原則なわけです。今は実質的に各都道府県がやっている、実質的にやっているわけでありますから、それを、原則を全頭検査に直していただけないだろうか、こういう質問であります。
  203. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) そこのところは、方針は決まったと。方針は決まったけど実態はどうしているんだといえば、地方のいろいろな声もございましたので、約二年間これから私どもも補助金を出してやっていきましょうということでやっている、その運用でよかろうと思っております。
  204. 主濱了

    ○主濱了君 BSE、異常プリオンはちょっと年齢がいった牛ではありますけれども、神経からも発見をされている。神経ですから、多分ひょっとすると食肉部分かもしれない。そういったようなところからも異常プリオンは発見をされているわけであります。どういったような経路をたどってそこに行ったかはよく分からないわけですが、常にそういうふうな、例えば二十か月齢以下であっても、どこにその異常プリオンが存在しているかというのははっきりしないわけです。特定危険部位だけではないはずであります。  ですから、私は全頭検査には意味があるというふうにこう思っているわけでありまして、そういう観点から全頭検査どうなのかと、こういう質問であります。
  205. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 委員がそうした考え方をお持ちだということはよく分かりましたけど、私ども役所の立場からいえば、科学的知見に基づいて食品安全委員会という、そういうきちっとしたものをつくろうという意思の中でやってきたわけですから、そこは食品安全委員会としっかり議論していただいたらいいんじゃないかなと思います。そういう御意見を委員がお持ちであることは私どもよく分かりました。
  206. 主濱了

    ○主濱了君 それじゃ、ちょっと先を急がせていただきたいんですが、今度は国内畜産農家の育成という観点からの質問をさせていただきます。  現在、日本には肉用牛を飼養している農家、これ九万戸余りあります。牛肉輸入自由化の中で、各農家は国民に安全、安心、そしてかつ、おいしい牛肉を提供しようと一生懸命頑張っております。我が岩手でも、前沢牛とか短角牛であるとか、こういったような牛も含めて、正においしい牛肉を提供しようと頑張っているところであります。  それで、安全がはっきり証明されていない米国産牛肉の輸入再開もさることながら、まず安全な牛肉を供給している国内畜産農家を支援すべきであるというふうにこう思いますが、米国産牛肉の再開だけを進めておりますと、北海道はもとより、我が岩手、あるいは仙台牛もあります、神戸牛もあります、宮崎牛もあります、そういったようなところの全国の畜産農家の反発、これも変わるんじゃないかなというふうにこう思います。  この畜産農家の支援、中川大臣、いかがでしょうか。
  207. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 二〇〇一年の九月の十日に日本でBSEが発見されたときは、国内畜産農家の皆さんあるいは消費者の皆さん、大変ショックであり、そしてまた今御指摘のようにおいしい安全な国産牛がという疑問が起こったわけであります。そして、今度は米国産牛肉が二年以上、また現時点においてもストップしているわけであります。  もとより、国産農産物、とりわけ国産畜産物を振興したいというのは、我々農政にとっても極めて強い今意欲があるわけでございます。御地元の前沢牛、時々ごちそうとしていただくことがありますけれども、大変おいしいというふうに、これはもうある意味じゃ世界じゅうの人が知っているということでございます。ですから、こういうたまたま止まったから輸入再開反対という次元ではなくて、こういうときには、本当においしいものを更に頑張って作っていくと、あるいはまた、消費者の皆さんに適正な値段でどんどん食べてもらえるようにすると。  残念ながら、現時点においては国産、国内ともに消費者物価、食料品の物価そのものは下がっているにもかかわらず、牛肉の値段は上がっているんですね、一〇%近く。ですから、ここは大いにおいしいものを適正な価格で食べてもらうために生産者側も努力をしていただきたい。そして、それを我々は後押しをしたいというふうに思っております。  具体的には、繁殖と肥育の一貫体制の強化、あるいはまた新規参入者のためのいろいろな施設や雌牛の貸付け、あるいは地域の創意工夫を生かした肉用牛生産による産地銘柄の推進ということで、良質なものを更にブランド化をすると。私は宣伝も大事だと思っております。そうしていけば、前沢牛は日本の前沢牛ではなくて世界の前沢牛になっていくと。それを目指して大いに頑張っていただきたいと思いますし、私も応援をさしていただきたいと思います。
  208. 主濱了

    ○主濱了君 今の件に関連いたしまして、引き続き質問させていただきます。  現在、SRMと肉骨粉、これは焼却処分をしております。このSRMと肉骨粉というのは私どもが、みんなですよ、みんな、私どもが牛肉を食べる限り、国内の牛肉を食べる限り必ず出るものであります。これはずうっと以降続くわけであります。  それで、このSRMと肉骨粉について、この焼却費用というのは幾ら掛かるのか。そして、その負担はだれがしているのか。もう一つ、一歩進めまして、今後この負担を畜産農家に求めることはないか。この三点についてそれぞれ、厚生労働省と農林水産省それぞれにお伺いいたします。
  209. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) SRMの焼却については、と畜場法に基づき屠畜場の設置者又は管理者が行うこととされており、焼却に掛かる経費については、同じくと畜場法に基づき都道府県知事の許可を受けて屠畜場側が屠畜申請者から屠畜場使用料又は屠殺解体料として徴収するということになります。  一方で、SRMの焼却に必要な焼却炉などの関係設備に関しては、公営屠畜場などの関係設備については国庫補助、これは補助率二分の一の補助金を出しております。民営屠畜場については固定資産税の課税標準の特例措置の対象ということで国庫として支援をさせていただいているところでございます。
  210. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) SRM除去費用は、現在におきましても、全額農家には一切負担をお掛けしておりません。来年度におきましても、百九億円の予算を今審議していただいているところでございまして、来年も同じ方針で臨んでいくという予算を組まさせていただいております。
  211. 主濱了

    ○主濱了君 はい、ありがとうございました。農家への負担はないということで安心をいたしました。  最後の質問になりますけれども……
  212. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) ちょっと答弁。  済みません、よろしいですか、委員長
  213. 小野清子

  214. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、百九億円と申し上げたのは、SRM除去ではなくて肉骨粉分のものでございます。言うまでもなく、農家に負担はお掛けしておりません。
  215. 主濱了

    ○主濱了君 はい、分かりました。ありがとうございます。  じゃ、最後の質問をさしていただきます。  昨年の十二月、米国産牛肉の輸入再開を決定した後、政府財務省所管の関税・外国為替等審議会の答申を受けまして、牛肉の輸入が急増した場合のセーフガードの発動基準の緩和を決定し、法案の中に盛り込んでいるということでございます。  これは何を意図したものなんでしょうか。現在、牛肉の供給の状況が逼迫、セーフガードの適用を緩和しなければならないほど逼迫をしているのか。少なくても国内の畜産農家にマイナスになる施策というふうに私には思われます。国民に安全な牛肉を提供している国内の畜産農家を犠牲にしてまで何を守ろうとしているのか、谷垣財務大臣中川大臣にお伺いいたします。
  216. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 牛肉関税の緊急措置の見直しについてのお尋ねでございますけれども、今回の改正に当たりまして、いろいろマーケットというか市場の様子も私ども見さしていただきました。  輸入牛肉と競合いたします国産乳用種のその価格が堅調に推移しているというまあ生産面の動向がございます。それから、中川大臣先ほど御答弁されましたけど、国産牛肉の小売価格が高水準で推移しているといったような小売価格の方の動向がございます。そういった需給動向、それから北米産牛肉の輸入にかかわる枠組みの変化もあったと。  まあこういう緊急措置をめぐる環境の変化があったところでございますが、こういう状況の下で、仮に、現行どおりの発動基準数量を維持して、緊急措置によって関税率が自動的に引き上げられるというような事態になった場合に、牛肉需給の正常化に支障を来す、そういうおそれもあるということから、先ほど申し上げたような事情を勘案しまして、十八年度に限って緊急、発動基準数量を算出する際の基礎となる輸入数量について所要の見直しを行うこととしたということでございます。
  217. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私の立場からは、米国産輸入、米国産牛肉が禁止されるまでは約二十六万トン米国から入ってまいりましたが、それがストップしている。もちろんそれが同じ外国のオーストラリア産に替わったり、あるいは日本産が少し伸びたりということもありましたけれども、あくまでも再開というときのこれは話でありますけれども、再開ということになると後は消費者の選択ということになりますから、これは分かりません。全然需要が伸びないかもしれませんし、一挙に伸びるかもしれません。しかし、この全体の輸入量が減っていた前の年のルールだけをやってしまいますと、すぐ一一七%になる可能性があります。  これはあくまでも特例措置でございまして、輸入の六〇%を占めていたアメリカがストップされた、その結果、輸入牛肉全体も落ち込んでいたという状況の中での回復が仮に正常状態、三年前に戻るとするならば一一七%になってしまうということで、緊急措置として発動要件の基準年を変えたわけでございますけれども、それ以外の自動発動であるとか、それから発動の基準が一一七%であるとかいったルールは一切変えておりません。今、財務大臣答弁ありましたように、これはあくまでも緊急の措置ということで御理解をいただきたいと思います。
  218. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  一言だけ。今の中川大臣のお話によりますと、アメリカ産牛肉の輸入を念頭に置いた措置でもあったと、こういうことでございます。これについては、農林水産委員会で更にいろいろ質問をさしていただきたいと思います。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  219. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で主濱了君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  220. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、大江康弘君の質疑を行います。大江康弘君。
  221. 大江康弘

    大江康弘君 民主党・新緑風会の大江康弘でございます。  今日は、私ども予算委員会理事の御配慮をいただきまして、こういう質問の機会を与えていただきました。二年ぶりの予算委員会質問であります。ですから、今日は質問予定になかったんですが、やはり敬意を表して、谷垣大臣、最初に一問ちょっと質問したいと思います。難しいことじゃないんです、難しいことじゃないんです、総理を目指そうという人だったらもうすぐに答弁が出る話ですから。  実は、今公務員宿舎の問題が出ていますね、いろいろ都心にあるからこれはけしからぬとかと。私はそう思わない立場なんです。私も二十二年近い地方議員のこの経験の中で、やっぱり役人というのはよくやっているんですね。それを政治家がいかに上手に使うかどうか。国も、やっぱり官僚始め役人の皆さんというのはやっぱり我が国のこれ宝ですよ。たまたまその官舎が、まあ土地が上がっていろいろいい場所にあるからそれがけしからぬ、駄目だ、もう今はやり病のように給料を安くしろ、年金をやめろ等々、いろいろもうこれ大衆迎合主義みたいなそういう一つの風潮がありますけれども、私はやっぱりこの天下りというのも、そもそも戦後政治家がしっかりと官僚を使うシステムをやっぱり築き上げてこなかったということが、それは官僚だって五十半ばでこれ肩たたき遭って、あと残りの人生をどうするかということ、これはやっぱり人間として考えますよ、家族のためにも。ですから、私はやっぱりそういうことを心置きなく心配のないようなシステムをやっぱりこれは政治家がつくっていくべきだ、しっかりと。  ですから、私はやっぱりこういう今風潮ですけれども、そこはしっかり官僚が、もう天下りの質問を作ったり、官製談合したりとか、そういう余計なところにいい能力を使うようなことではなくて、国家国民のためにどうするかということを我々政治家とやっぱり両輪になって考えていけるような環境をつくってやるのが我々政治の責任だと思うんですが、このことに対して私は大臣の冒頭ちょっとお考えをいただきたい。ただ、まあ今日は厚生労働省と外務省の質問があるんですが、ここで答弁によってはもう郊外へ持っていってもいいというふうに思っておるんですけれども、まあそこのところお願いします。
  222. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) この今おっしゃった問題は、やっぱり我々が国家公務員に何を求めてどういう国家公務員の、まあ大概今長い間勤めていただいているわけですから、その働き方、生涯というものをどう考えるかというのが背後になきゃ私はいけないと思うんですね。それなしに、じゃ天下りは全部駄目だとか数は減らせだとか、例えば都心に住むことはけしからぬといったら、何を求めているのかという議論がなきゃいけないと思います。  ですから、国家公務員の問題がずっと、この経済財政諮問会議辺りでも議論されましたときに、全体の公務員制度の中でやはりこの議論は位置付けるべきだということを私も申し上げましたし、そういう視点をこれからの公務員改革や宿舎の改革の中でも私は入れなきゃいけないと思います。  それから、今宿舎の問題は、いろんなお考えの方がいらっしゃると思います。これだけ財政が厳しいときですから、何というか、かったるい運用の仕方をしてたり、無駄な使い方をしているのはやっぱり徹底的にメスを入れる必要があると私は思っております。今、有識者会議でその辺の有効活用を見直していただいておりまして、できるだけ効率的に活用するのは私どもの義務だと思っておりますが、公務員が安心して働けないような状況をつくってしまったら、それは本末転倒であるというふうに私は思っております。
  223. 大江康弘

    大江康弘君 ありがとうございます。今日は少し予定をしておりませんでしたので、もうこれで終わります。  官房長官、記者会見ですよね、四十五分から。  済みません、それじゃ、少し順番を変えまして、官房長官にちょっとお尋ねしますが、私は後で麻生大臣にもお聞きをしようと思っておったんですが、外交問題で、私は三十年、台湾とのこの関係を自分なりにこの信頼を築き上げてたという立場であります。ですから私は、中国というのは台湾を通してしかどうしても見えない立場でありまして、それだけに、まあ我が党の中にもいろんな御意見があります。まあ自民党の中にもあるでしょう。しかし私は、もうここ昨今、中国のあのいろんな日本に対する、それぞれ官僚、我が国の官僚に対するこのいろんな発言に対する、もう本当にけしからぬ、こういう向こうからのこの発言というものに対して、私はやっぱり我が国というのは説明が足らぬのじゃないかと。国際社会でやっぱり黙っておるということは、これは認めておるということなんですね。やっぱり言われたらどうしっかりと言い返すかという、やっぱりこれがなければ国際社会の中でやはりその存在感というものはなかなか認めてもらえないと。  そういう意味で私は、官房長官が何か総裁選に関して、靖国云々も出ました、私は結構だと思います。それだけに、やはりこういう靖国問題にしても、ただ総理が言われている心の問題とかそういう情緒的な話ではなくて、なぜやっぱりA級、B級、C級という、これはやっぱり犯罪のカテゴリーだということをしっかり申し上げて、これニュールンベルグですか、ドイツのね、あの裁判でナチがこれ問われた罪というのは、あれC級なんですね、人道に対する犯罪。人道に対する犯罪なんです。C級なんです。これが国際的に見てやはり一番重いというこの結果なんですね。ですから、やっぱりA級がけしからぬという、何か日本がこのAからBからCへという順番に行くという、やっぱりこういうことに対して本当にしっかりと説明責任する、私はあなたはその責任があると思うんですけど、どうですか。
  224. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 小泉総理の靖国参拝について、総理も国のために戦った方々に対しての尊敬の念と、そして御冥福をお祈りをし、そして世界の平和を願うという気持ちで参拝をしているということは累次申し上げてきているわけでありまして、この点については中国側も誤解をしているんだろうと。まあ誤解をしているんであれば、それを努力をして、解く努力をしなければいけないと、こう考えております。  また、いわゆる東京裁判の結果、A級、B級、C級と、こうカテゴリーに分けたわけでございますが、御承知のようにA級戦犯については、今ドイツのニュールンベルグの裁判について例として挙げられたわけでありますが、いわゆる平和に対する罪と人道に対する罪で、ニュールンベルグ裁判においてドイツあるいはナチスの指導者が裁かれたわけでありまして、人道に対する罪、そして平和に対する罪それぞれでドイツの指導者たちは有罪になっておりますが、日本の場合は、A級はいわゆる人道、そして平和に対する罪で国際裁判、東京裁判において裁こうとしたわけであります。B級、C級はいわゆるそれを実行した人たち、あるいはそれを監督に当たる立場であった人たちというカテゴリーであったということであります。  しかし、裁判において、基本的には日本は人道に対する罪においてはこれは起訴されなかったという厳然たる事実がございまして、いわゆる平和に対する罪について、いわゆる共同謀議等々において有罪、起訴され何人かが有罪になったと、こういうことでございますが、罪の軽重とはこれまた別でございまして、いわゆるA級の中にも死刑になった方々七名もおられるわけでありますが、他方、極めて、それほど長くない禁錮刑の方もいれば、B級、C級で死刑になった方々もいるということ、これがそのすべてであろうと、このように思っております。
  225. 大江康弘

    大江康弘君 それじゃ、官房長官、もし総理になられたら靖国行かれるんですか。
  226. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) そのことにつきましては、官房長官になりまして記者会見でお答えをしたとおり、私も靖国神社にはお参りをしております。それは、国のために戦った方々のために、その方々に対して尊崇の念を表したいと、そういう気持ちでございまして、この気持ちは今後とも持ち続けていきたいと、こう思っております。
  227. 大江康弘

    大江康弘君 官房長官、最後に、一連の中国のあの発言というもの、我が国に対する発言というものをどういうふうにとらえておられますか。
  228. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) この一連の発言と、いろいろあるんですが、最近の一連の発言というと、まあ日本に対して非常に好意的な発言ももちろんございますから、恐らくそれは一番最近の李肇星外相の御発言だろうと、このように思います。  李肇星外相のこの御発言についていえば、いわゆる外交当局のトップの地位にある人物が他の国の指導者に対して愚かであるとか不道徳であるとかいった、こういうことは私も余り言いたくないんですが、品格に欠ける表現を用いることは、外交儀礼上これは不的確、不適切ではないかと、このように思うわけであります。  基本的には、日本と中国の二国間関係というのは極めて重要な関係であり、安全保障上もまた経済上もこの両国の友好な関係を維持をしていくということは、両国がお互いにこれは利益を享受すると。今後とも両国が未来志向で発展するように我々も努めていきたいと、このように思っております。
  229. 大江康弘

    大江康弘君 官房長官、ありがとうございました。どうぞもうお引き取りください。どうぞお帰りください。和歌山ではこういうふうに、一番丁寧語はこういうふうになるわけでありまして、済みません、まだ標準語に慣れないものでありますから。  麻生大臣、順番変えて麻生大臣も外交関係、先行きたいと思います。  川崎大臣、後にしますので少しゆっくりしておいてください。  大臣、本当に二十年前私はお世話になりました。あのときにお世話になった大臣に対しての思いというのはもう本当にずっと持ち続けておる一人でありまして、本当に感謝申し上げております。大臣のあの車の後ろに、少年ジャンプとか漫画がたくさん載っておるあの後ろに乗せていただいて、いろいろ親切にしていただいたこと、本当に忘れておりません。  そこで、余り私は大臣とそんなに価値観は変わらないのじゃないかなと、そんなふうに思います。おかげさまで私も家庭教育が良かったせいか、余り世の中を斜めに見たり色眼鏡で見たりということもなかったということは両親に感謝をしておるんですけれども。  そこで、先ほども少し触れましたが、ちょっと中国も含めてこの極東アジア、私はやはりこの座標として、もうそろそろ日本は、この極東の東に位置するんだと、アジアに位置するんだというようなこの座標のつかみ方はやめて、いわゆる太平洋を挟んだ中でやっぱりアメリカの西にあるんだという、こういうとらえ方をしたときにこの海洋国家としてどうやっていくのかという、やっぱりこういう私は見方も出てくると思うんですけれども、まあ今はアジアの東にあると言った方が皆さん分かりやすいんで、そういうふうな中で進めたいと思いますけれども、あれ、台湾というのは国ですよね。
  230. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 大変お待たせいたしました。  今御質問のあったところですけれども、これは基本的には一九七二年にさかのぼるんだと思いますけれども、そのときの日中共同声明というものに従って、台湾との関係に対する日本の基本的立場というのは、もういわゆる大使館がない、だからパレスチナと日本の関係より基本的な政府間の交渉、あれとしては薄い関係だと思っていただいてよろしいんだと思いますけれども、いわゆる非政府間の実務関係というのを維持していくというものであって、基本的に台湾又は台湾当局というものを国又は政府としては扱ってはいないというのがきちんとした日中共同声明に基づく、第二条でしたかね、そういうような形になっておるんです。  そういった意味で、今のお答えに対して、言わせていただければ、国かと言われれば、日本としては国としては扱っていないというのが正式な答弁だと存じます。
  231. 大江康弘

    大江康弘君 大臣、この間、それじゃ、ぽろっと言われたんですね、国というのはね。実は、二年前に川口外務大臣当時に、私の質問に川口大臣は二回国って言っているんですが、あのときは問題にならなかったんですね。私は、何で麻生大臣が言ったらこんなに中国からたたかれるんだろうかなと、そこが不思議でならぬのですけど。まあ、これはこれでいいです。しかし、二千三百万人住んで、もう三回もこれ、その国のトップリーダーを選挙で選んだというのは、これは私は立派な国家だというふうに私は思っております。  そこで、少し話を変えますけれども、この国連改革ですが、去年、ヨハネ・パウロ二世が亡くなったときに、だれが日本代表で葬儀に出られましたか。外務省。
  232. 金田勝年

    ○副大臣(金田勝年君) 川口補佐官と受け止めております。はい。
  233. 大江康弘

    大江康弘君 そうなんですね。ここが外務省の外交センスのなさなんです。あの当時、日本は常任理事国入りを目指していたんですね。  各国はだれが来てるか、四千五百人参加をして。ちょっと眼鏡を掛けます。いわゆる、まあ覚えてるから言いますわ。アメリカはブッシュ大統領親子、そしてイギリスはブレア首相、この北東アジアからは陳水扁、正に中華民国の総統、そしてフランスだとか、あるいはミッテランですね、それから、とにかく各国の主要な閣僚が全部参加をした。それを我が国は、私は、あのときに皇太子殿下でも何で行かせていただけなかったのか。  あのとき、カトリック教徒というのは世界で十一億人あると言われているんですよ。しかも、カトリック教国というのはすべて親日的な国が多いという。そういうときに、常任理事国をやろうかといったときに、私はやっぱり、川口さんというのは悪いというふうには思いませんけれども、なぜこんなセンスしかないのかと。そういうセンスがすべてやっぱり日本の外交を私は狂わしていると思うんですけれども。  大臣、私は本当に残念なんです。私は川口大臣も、少なくても外務大臣をされたんだったら、いや私は、私じゃなしにもっとやっぱりという適切なアドバイスをやっぱりしてほしかった、当時。しかし、そういうことは全くなくて自分が受けられて行かれて、私はやっぱり皇太子殿下だったら、それなりに王朝を大事にするああいう国ですから、それなりにやっぱり私は日本というものがアピールできたと思うけれども。  この外交センスのなさというものを、大臣、どう思いますか。
  234. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 世界最大の葬式だったんですよね。はっきり言って世界最大の葬式ですよ、あれは。で、何となく目立ちたがり屋の方も、これは断固行きたいという方もこれは世界じゅういた。もうこれは物すごかったと思いますが、日本の場合は国会開会中もあって内閣総理大臣が行くというわけにもいかなかったんだと、あのときはそう理解したんですけれども。じゃ、代わりにだれが行くのかということになって、いきなり、いきなり皇室に、ほとんど数日間の日程でちょっと、私たちのように朝電話掛かって夕方クウェートの葬式に行ってくださいなんて言われる外務大臣というのとは、ちょっとそういう扱いなわけにはとてもいきませんので、やっぱりそこらがちょっと何となく二の足踏んだ。  多分いろんなものが重なったんだと思いますけれども、おっしゃるとおり、あれはもっとしかるべききちんとした対応をすべきだったのではないか。当時外務大臣じゃなかったから何とも、外から言う、総務大臣だったかな、何か、総務大臣でしたか何かだったんで、ちょっと正確なあれはありませんけれども、えっという感じは正直、もう少し対応が違ったのではないかという感じは私もいたしました。
  235. 大江康弘

    大江康弘君 そこで、今年またこれ安保理を目指しておるんですか。何か改革を出されたというんですけれども、これは一体どんな改革ですか。
  236. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 前回、大江先生御存じのように、G4というののグループでやらしていただいたんですが、なかなかうまいこといかなかったのは御存じのとおりです。  ただ、結果として、少なくとも百九十一か国になんなんとする国になってしまいました。昔は、できました一九四五年は五十一か国だったんですが、それの約四倍ぐらいな大きな組織にのし上がっておりますけれども、そこの中にあって、日本、ブラジル、ドイツ等々とインドと組ませていただいて、残念ながらうまくいかなかったんですが。  今回の中で、今、G4がもう一回、前回の案と全く同じ案で提出をしようとしておるのに対して日本としては、それは前回と全く同じじゃもう意味がないではないかと、おれたちとしてはもっと別の案を考えたいということで、今、G3と言われる方を、さよならというわけにはいかず、みんなで一緒に、おれたちの案はこういう案だという案を今作って、四か国には内々提示をいたしております。少なくとも、今からちょっと交渉する段階でございますので、まだ内容を、手のうちを全部申し上げるわけに、段階にはありませんけれども。  私どもとしては、少なくとも、大江さん、これは戦勝国でつくった組織を負けた国が外交でひっくり返そうという話なんですから、そんな簡単な話じゃないんですよ、この話は。だから、そこらのところは、かなりいろいろ手段やら手口やら、もうちょっと品のいい表現があるんでしょうけれども、交渉やら何やらでさせていただくことになるんでしょう、だと思いますけれども、ちょっとこれは時間を掛けてやらないかぬと思いますけれども。  幸いにして昨年は、この種の話で、とにかく六十年ぶりの大改革というのでわあっと火が付いて、少なくとも、最後に国連の総会で、安保理理事会の改革なくして国連の改革はないというところまで行く発言を取り付けることまで行ったというのは大きな成果だったと、私自身はそう思っていますけれども、今回の第六十回の総会の、総会というかこの会期中の間に更に一歩進めて何らかの形の結果を得たいと、私どもはそう思って努力しております。
  237. 大江康弘

    大江康弘君 いや、大臣、私、それを言おうと思ったんです。戦時中にいわゆる連合国が、いわゆるしかも今、勝ったあのいわゆる三つの国のトップが、どう第二次大戦を終了させるのか、その後どう自分たちが分割してやっていくのかという、正にそういうときにできたものが、本当に私は平和的なこんな時代に変わるとは思わぬ。正に私は大臣と同じ意見なんです。  それだけに、私は、もうこういう無駄なことをやめて、もう本当に、これ憲法も変えないで、これ今、日本が常任理事国になったって、例えば警察でいえば、駐車違反は扱いますけれども、捕まえますけれども殺人事件は私はやりませんよというんでしょう、これ、憲法との絡みで、軍隊も出せぬわけですから。だから、そういうような無駄なことはもうやめて、私は、もうしっかりと、本当に日本としてやっぱりどうあるべきかということを、もういい加減夢を追い続けることはやめて、やっていくべきじゃないかと。  その中で、国連の分担金の三%から五%とのこの下限ですか、この提案をされたというんですけど、このことについてちょっと聞かせてください。
  238. 金田勝年

    ○副大臣(金田勝年君) 委員御指摘の件でございますが、国連分担金の下限枠を三%から五%にして提出をしたということについての理由をお尋ねと思いますけれども、基本的に、二〇〇六年末までに、分担率の算定方式の見直しに当たりましては、地位と責任に応じた負担の要素を加味するということによりまして、より公平かつ公正な分担率を実現するための我が国案というものを国連総会の第五委員会、行財政担当の委員会でございますが、ここに提出をいたしております。  我が国案のその主要なポイントというのは、ただいま正に御指摘ございました安全保障理事会の常任理事国につきまして、その特別の地位と責任にかんがみて、三%又は五%の下限を設けるということであります。  その下限として適当と考えられる水準につきましては、五常任理事国の現行分担率の平均が今、約七・五%ということになっておりますので、これを念頭に、それを下回る妥当な水準であります五%を下限として想定したものであります。  また、その下限を過度に高くすることについての考え方というものもいろいろとあるという点から、三%という水準も考えられるということを示しまして、加盟国の間の議論に問題提起をすることを意図したものであります。
  239. 大江康弘

    大江康弘君 これ今世界でアメリカに次いで二番目の二〇%近いこれ拠出金ですけれども、これは国連にもう断るということはできるんですか。
  240. 金田勝年

    ○副大臣(金田勝年君) それはできないということになっております。
  241. 大江康弘

    大江康弘君 これはどうしてですか。副大臣じゃなくてもいいですから、これなぜできないのか。
  242. 神余隆博

    政府参考人(神余隆博君) お答え申し上げます。  分担金は、国連憲章上、あるいは国連の総会におきます手続におきまして、支払をすることが義務ということになっておりますので、その義務を果たすという意味におきまして、総会によって割り当てられた分担金につきましてはこれを支払うのが義務でございますし、我が国は従来そういう方向でやってまいりました。
  243. 大江康弘

    大江康弘君 その義務だという裏付けはどこなんですか。
  244. 神余隆博

    政府参考人(神余隆博君) 国連憲章にございまして、国連憲章、たしかあれは十七条だったと思いますけれども、によりますと、国連加盟国は、国連総会が決めるその方式に従ってその割り当てられた分担金を支払うものとするということになっておりますので、その国連憲章及びその総会の手続、総会の決議に基づいて分担をしております。
  245. 大江康弘

    大江康弘君 今、我が国はこの分担金に見合うような位置付けをされております。
  246. 神余隆博

    政府参考人(神余隆博君) たしか今年は国連五十周年を迎えますけれども、これまで日本が営々と、国連分担金を始めとして国連加盟国として課せられている義務を積極的に果たした結果、日本としましては、国際の平和と安全はもとより、その他の面におきましても非常に高い評価を得られております。  例えば、国連の経済社会理事会につきましては、この委員、経済社会理事会のメンバーに多くの支持を得まして選出され続けておりますし、昨年一月からは、九回目となりますけれども、安保理の非常任理事国を九回にわたって務めております。こうしたことは、我が国が果たしてきた義務と責任ということを勘案して加盟国が我が国に対して下した評価というふうに考えております。
  247. 大江康弘

    大江康弘君 今言われたことは、ほかのどの国も、日本よりも少ない国でも与えられてるんですよ。しかし、二番目にこれ高い分担金を払っている日本というのはそういうことで私はないと思う。だから、どうしていくのかという問題も起こってきたと思うんですけども、私は、もうこういう、常任理事国入りなんかあきらめて、とにかく分担金ももうそれなりの私は負担にして、そういうことを変えていってくれよということを、まずそういう改革を求めていくのがこれ第一歩じゃないですか。
  248. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今御指摘のように、一九・四六八%、四六七だったかな、%なんだと記憶しますけれども、そのパーセントを日本としては払っております。それに対して中国、ロシアは、いずれも一%と二%だったかな、何かそういう形になっております。そういうのを見ますと、少なくとも今経済的にも力を持ち始めているんだから、最低でも三%か五%ぐらいは払ってもいいのではないかと。その分だけ、日本はまけてもらわなくていいですよと、うちは今のまんまでもいいですよと、その代わりそっちを上げてくださいと、それで上がった分だけ国連はあれが入りますから、入った金でアフリカ対策やりますとか、アフリカの国々の上納金じゃなかった、負担金を下げるのにもやれるとか、いろんなやり方があるのではないかと。うちは何も下げてくれなんて言わなくてもいいと、下げなくてもいいからその代わり上げてくれと、しかるべき国が、それだけ常任理事国をやるんならそれくらいのお金をやっても当然ではないかという言い方もできるんだと思います。  だから、これはいろんな言い方ができるんだと思いますんで、私どもとしてはその言い方はいろいろ、交渉の仕方なんだと思いますけれども、私どもとしては何もまけてくれまけてくれという話じゃないと、払うべきやつはもっと払ってもいいのではないかという言い方をする方が品がいいんじゃねえかなとちょっと思いますけれども
  249. 大江康弘

    大江康弘君 もう大臣言われたら、たまにはやっぱり言うことを聞かないけませんので、まあそのとおりだと思います。  それで、ちょっとほかに、次に行きます。  中国脅威論について。大臣、中国が脅威という立場は変わりませんか。
  250. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) これは二つ分けて考えぬと、大江先生、いかぬのだと思いますけれども。  経済力としては、少なくとも、中国という国は今GDPで約一兆ドルちょっとぐらいになり始めましたんで、日本との比率は一対四ぐらいのところまで来ていると思いますんで、そういった意味では、中国の経済力というものが上がってきたということは、これは誠に結構なことなんだと思っている。アジアの中で日本だけぽおんと抜き出たような経済力ではなくて、そこに拮抗するような形でざあっと上がってきた中国がある。しかも、人口が約十倍ぐらいありますんで、それからいきますと、まあ一人当たりのGDPでいくとまた別の言い方もあろうかと思いますけれども、国全体として見ますと、総合的には日本という国の経済、総合、GDPを超えるということは、このまま伸び続けるという保証はありませんけれども、伸び続けるという前提で、経済の場合はすべて前提数字が問題になりますんで、そういけばそういった形になり得ると思いますんで、その意味では私どもはいいチャンスだと。これ、もうずうっと申し上げております。  で、脅威の点は、多分私は国防費というものが、少なくとも今四兆円ぐらいの国防費だと思いますけれども、これがこのまま二けた台、今年は一四・七でしたけど、仮に一〇%としても、四兆掛けるの十年で、それでいきますと十年間で四十兆、済みません、そんな行きませんね、十兆、十兆になりますね、十兆。それで、加えて七年、八年足しますと多分二十兆になる。で、四兆円の国防費が二十兆というものになった場合、その内容が、いわゆる兵器の、新しく買った装備率なんというのは一切内容が全然私どもには分かりませんので、その内容が明らかにされない限り、二けたでずっと伸び続けられた後の十八年後どうなるかということを考えたときには、それは、その内容が不透明なままでなるということは、他国にとりましては甚だ脅威を感じる、若しくは恐怖を感じさせる、そういったことになり得ると思いますんで、その内容は是非透明性を保ってもらいたいというのが私どもの言い分であります。
  251. 大江康弘

    大江康弘君 我が党にもいろんな意見がありますけれども、私は、前原さんが脅威だと言ったことは私は正しい認識だったと思うんです。ただ、私は物足りなかったのは、もう一歩踏み込んで、やっぱり我が国のシーレーンのかなめであるこの台湾というものがやっぱり非常に大事だということまで私は突っ込んでほしかったんだけども、そこまで彼は、代表は言われなかった。  そこで、この今両岸関係というのは、これ現状維持ということを言われますけれども、今この現状維持だというふうに思いますか。この現状維持というのはどういうこと、定義なのか、ちょっと私には分からぬのですけれども
  252. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 過日、陳水扁代表の方からいわゆる両岸関係の委員会を停止するでしたっけね、停止だったというのが正式な表現だったと思いますけど、表現した。その前に、国家分離法、いや、何だ、分離は反対の方が中国側の方から出た。まあ向こうが言ったからこっちも言ったという話にしかなってないように見えますけれども。  基本的には、これはアメリカも日本も多分ほぼ同じようなものだと思いますけれども、台湾ストレート、台湾海峡というものが今の状況の中において、まあ、トウ小平じゃない、江沢民訪日のときにも当時の小渕総理の方から出ておったと記憶しますが、とにかく今の現状を一方的な都合で、武力によるんであろうと何であろうと、一方的にこの現状を変更するということは望まないというのが多分正確な言い方なんだと思いますが。私どもとしては、これは、何というの、台湾と日本との関係からいきますと、これは今、先ほども申し上げましたように、これは九九年でしたか、李登輝総統の話から、たしか発言以来なんだと思いますけれども、私どもとしては、一方的な現状変更というものを両国、両岸関係というのが正確な表現になっていると思いますが、両岸関係において私どもは変更というものを望まないのであって、是非この種の話はいかなる変更があろうとも平和的に双方で話し合い、納得ずくの上でやってもらうのが望ましいということを申し上げ続けてきております。  で、現状としては少なくとも、まあ緊張感が、大統領選挙の真っ最中にミサイルが台湾海峡へ飛んできたり、いろいろした経緯がこれまでありますけれども、少なくとも、それ以後双方とも一応現状を維持して、一方的な変更が行われてはいないというのが現状だと理解をしておりますので、現状というのは、今の状況が維持されているというのが現状というのが多分表現としてはそういうことになろうと存じます。
  253. 大江康弘

    大江康弘君 実は一年前の今日は、先ほど大臣言われた反国家分裂法が中国でできたんですね。二千八百九十六人が賛成をして、たった二名しか棄権をしなかったという、まあそういう形の中で、あれは世界に向けて台湾というのはおれたちの国なんだぞということを宣言した法律だと思うんですけれども、私は、一方的にこの現状を変えているのは中国だと思うんですね。  二〇〇〇年に陳水扁が大統領、総統に就任したときには二百しかなかったこのミサイルが今七百八十四基向けられておる。そのうちの幾つかは日本に向けられておる。そして、十五年以上これ二けた続くこの軍事費の、これ一体、中国なんかこれ襲っていく国、この東南アジアにあると思いますか、大臣、どうですか。
  254. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 武力というものとか軍事力というものは二つの要素で成り立っております。一つは能力、一つは意志です。  したがって、能力があっても意志がないとか、意志があっても能力がないとか、これは両方ないとできないんでして、その意味では、少なくともその能力は、台湾に対して中国が内政問題として攻め入る能力があるということは確かだと存じますが、果たして今その意志があるかどうかは私どもの分かるところではありません。  しかし、逆に中国に対して入っていこうという能力のある国がアジアにあるかと言われると、さあ、意志がある国はあるかもしれませんよ、少なくとも中越戦争なんというのは一九七九年に中国と越、越って今のベトナムと戦争していますから。そういった意味では、あれも中国が侵入していった方ですけれども、一九七九年にさかのぼってそういった例がないわけではありませんけれども、逆に中国に攻め入ろうとした国が過去六十年間であったかというと、少なくともその能力は今有している国が近隣諸国に見えるかというと、私どもにはちょっとそれが正直見えないというのが、今の現状から申し上げたらそういうところだと存じます。
  255. 大江康弘

    大江康弘君 そうなんですよね。あれだけ軍事費をどんどん増やしたりいろんなことをしていて、絶えずこれ中国というのは、現状を変えているのが中国の方なんですね、一方的にね。  そして、今やっぱり向こうが何をしようかということは、要するに我が国の日本の国民を分断をしていく、意識のですよ、そして日米間を分離をしていくという、これが一つの戦略でしょうけれども。私は、やっぱりそういう中にあって、これ台湾が何かをすれば、これ日本も外務省なんかが追随をして台湾に文句を言っていく、現状を変えるな、何をするなかにするな。私は、これはけしからぬと思うんです、日本の外務省というのは。  そういう中で、この二〇〇三年の十二月にあのレファレンダムですね、やっぱり住民投票が行われたときに、これ一九七二年以降、日台が分断をして一度も足を踏み入れたことがなかったあの総統府、日本で言う官邸へ当時の所長が行ってこれをやめろと言っているんですね。あれは政治介入ですよね。  大臣、それじゃ、ちょっと補足します。  要するに、交流協会というのは向こうのカウンターパート、亜東関係協会なんです、これ。そして、お互い政治的なことはやめましょうということの了解の下で一九七二年以降やっているわけなんですね。だけど、住民投票やめなさいなんていうことは、これ正に政治的な内政干渉じゃないですかということを聞いているんです。大臣、どうですか。やっちゃいかぬことをやっておるんですよ、日本の外務省は。
  256. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) いろいろな言い方はあるんだと思いますけれども、少なくとも実務者レベルにおいての付き合いというのはそれなりにありますんで、それに対して、今現状で向こうがわあっとなってきたときに、こっちもそれに呼応していって、不必要なナショナリズムがわあっとあおられて変なことから戦端が開かれるなどというのは私どもの望むところでもありませんから。  また、御本人方も望むところで、双方望むところでもないということなんで、私どもとしてはそういった状況は望まないということなんで、そういう状況の中においては、少なくとも政治介入というんではなくて、昔からの付き合いもありますんで、そこのところは我々の考え方はこういうもんですという言い方をしたんであって、それで介入したから止まったかと、日本のおかげで止まったかといえば、それは一つのサジェスチョン、そういう考え方もあるとは思ったでしょうけど、日本のおかげで止まったとはとても思えませんので。  そういった意味では、私どもとして、友人として、いや、今ここですべきではないのではないかというんであって、今、例えばイランのモッタキにしてもイラクのズィバーリにしても、私どもよく電話なんかしますけれども、その電話しているときで、こうじゃないかと言ったのがそれ全部政治介入かと言われると、ちょっとそれは政治介入じゃなくて国際世論としてはこうよという話をしているというようなんであって、それが政治介入かと言われると少し違うのではないかという感じはします。
  257. 大江康弘

    大江康弘君 大臣、私は、それはお言葉を返すようですけれども、正に政治的な内政干渉ですよ。それまでは、これは日本は、交流協会というのは正に文化とか経済ということに限定されてたんですよ、これ。中国の顔色ばっかり見て、これ、日本は。しかし、のこのこのこのこ、これ、アメリカもこれ台湾けしからぬと言うから、それに追随をしてやっちゃいかぬことやってるんですよ。ルビコン川渡ったんです、これ。  だから、そこまで日本が、まあ外務省も含めて、日本がそういうことをするんであったら、もうこれ、交流協会というものを見直す時期だと思うんですね、もう。もう一歩これ次の段階に進めていくと、発展的進歩で。そういう考えないですか。
  258. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今幾らになりましたかね。中国と日本との関係というのは、多分大江さんの方がお詳しいのかもしれませんが、今、日本と台湾との関係は、多分貿易からいったら中国、アメリカ、韓国、それと台湾ぐらい、多分六百億ドルぐらい行っていると思いますんで、そういった意味では大きな経済関係もありますし、人的交流も、ビザなし渡航というのを認めましたんで、前年度比二割増しぐらい、百何十万人こっちからも行くようになりましたんで、随分状況は変わってきているとは思いますけれども。  先ほど政治介入の話ありましたけど、あのときは同時に中国に対しても同様に、これ以上エスカレートするのは駄目ですよという話は中国に対しても同様に外務省としては言っておるという経緯でもあります。  したがって、この亜東協会というのの立場を法律的にどうするかというところは難しいところだとは思いますけれども、いろんな意味で関係が深まっていくというのは、現実問題として、人間関係はもちろんのこと、経済関係、人的交流、文化の面ではもう私どもは二十年前に比べればはるかに大きく深いものになってきておりますんで、その意味で、力としては間違いなくこの交流協会、亜東協会というものの存在というのは大きなものになってきていると、私どもにはそう見えます。  したがって、今ここで名前を変えるとか何を変えるとかいってちょっと具体的なところを考えているわけではありませんけど、現実論としてはかなり大きなものになりつつあるんだと思って、これは経済が発展し人的交流が増えてきた結果だとは思いますけれども、それが現状だと思っております。
  259. 大江康弘

    大江康弘君 いや、だから、大臣ね、もう政治介入をしたんですから、いい加減、もう政府の高官が行っちゃ駄目だとか向こうも来たら駄目だとか、こういうような、もう中国の顔色ばっかり見て、もうそんなことばっかりしなくて、もうしっかりと私は、ここで本当に日台の関係をどうかということをもうそろそろ私は正面向いて築き上げていくときじゃないですかというふうに思うんですけども大臣、どうですか。
  260. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 私どもとして、いろんな形で中国、台湾、双方いろいろお互いさま、言い分がおありになりますんで、もう少しちゃんとすりゃいいじゃないかと、大江委員はそう言われるけど、ちょっとでも言うと、いろいろ私のところにはあらぬもない話もくっ付けて、尾ひれ背ひれ付いて一杯飛んできますんでね。それで何となく守ると言ってくれる人が頼りになるかなと思ったり、いろいろ心配もしているんですけれども、正直そんなところじゃないわけじゃないんですが。  いずれにしても、二国間関係というのは、大江さん、基本的には、今私どもの場合は、経済力が拮抗してきて、片っ方はずうっと伸びてきた国というものと現状あります国との関係というのは、隣国であればあるほど、これは常に話は難しいのは避けて通れないんです、これは。たまたま一つとかなんとかの話が象徴的に出ているわけですけれども、二国間関係というのは常に、経済力が拮抗したドイツとフランスとが似たようなもんでしたし、いろんな意味で、ドイツが急激に戦後復興してきたときに、やっぱりフランスは非常な勢いでドイツに対してはいろいろあったわけですから、そういった意味では、東西ドイツも分かれていましたし、いろんな意味でそういうものは難しいもんだというのを前提にして二国間関係を考えていかないと、なあなあでべたべたの関係が常にずっと続くなんというのは、それはこういう関係なら幾らでもあり得るでしょうけど、こうやって拮抗してくるとそれはなかなか難しいんだと、私どもはそう思っておりますんで。  何となく小さな子供は、子供のときはかわいらしいけど、だんだんだんだん一丁前な口利いてくりゃ、親に対してタメ口なんか利いてきて面白くないなと。何となく親子関係具合が悪くて、そのうち子供の方が親より大きくなったりして、よくありますでしょうが。例えとしてはいかがなものかと思わないでもありませんけれども、最近そういう世代の息子を持っておりますんで、特に最近そうひしひしと感じておるところなんですけれども。  いずれにしても、かつて経済力関係からいったら大分彼我の差があったものがざあっとなってくれば、どうしたってそういったものは難しくなってくるのはある程度やむを得ぬと思った上でどうするかという話をしていかないと、何となく一つ一つのことを突き上げていくと、言いたいことは両方とも、向こうもあればこっちもあるわけで、なかなかそこのところ、隣が嫌なやつだから引っ越しゃいいやというわけにもいかぬわけですから、そこのところは国という関係はなかなか難しいんだと思いますけどね。  これ以上言うと危ねえからやめろと言うのが一杯、いろいろおりますんで、この程度にしておきます。
  261. 大江康弘

    大江康弘君 大臣、ありがとうございます。もうそこから先はあうんの呼吸でひとつやりたいと思います。もう少し大臣に信頼していただけるまで精進を積んで、次回に質問またさしていただきたいと思います。  厚生大臣厚生労働大臣、ちょっとグリーンピアのことについてお聞きしますけれども、今、年金局長、厚生年金と国民年金、社会保険庁の収入は幾らぐらいありますか。
  262. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 恐れ入ります、今手元に詳細な会計書類はございませんが、公的年金、厚生年金、国民年金の保険料収入というのは大体年間二十六兆円程度でございます。それに基礎年金に対する国庫負担というものがございますので、それが約七兆円弱、十八年度予算案に計上さしていただいておりまして、それが両方の特会に入っていくと、こういう三十数兆円の規模でございます。
  263. 大江康弘

    大江康弘君 いわゆる年金福祉施設の建設ですね、いろいろあった。これが、全国にある施設の数と、それから使われた金額、総額、ちょっと教えてください。
  264. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 今おっしゃいましたのは大規模年金保養基地と呼んでおりますいわゆるグリーンピアでございますが、全国十三基地建設されました。しかしながら、先生御承知のように、平成十三年の特殊法人等整理合理化計画の閣議決定及び一昨年の十六年年金改正法によりまして、本十七年度内にすべて廃止、売却するということが確定いたしまして、既にこの十三基地については廃止、売却を済ませたところでございます。  投じた費用でございますけれども、全体として三千六百億円ほどの数字に上ったかと思っております。
  265. 大江康弘

    大江康弘君 その三千六百億円、これはいわゆるグリーンピアだけの関係ですか。
  266. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 今申し上げましたのは全国のすべてを足し上げた数字でございますので、今先生御指摘ございましたグリーンピア南紀はその十三基地のうちの一つでございます。このグリーンピア南紀に関しましては、建設費の総額が約百二十二億円投ぜられたというところでございます。
  267. 大江康弘

    大江康弘君 それは私が次に聞く質問だったんです。  それじゃ、これ、グリーンピアのこの譲渡、それぞれ譲渡に至る経過というのはどういうふうになっているんですか。
  268. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) お答えいたします。  十三基地それぞれにいずれも固有名詞の付いた経緯がございますけれども、一例といたしまして、先ほどもお触れになりましたグリーンピア南紀について申し上げますと、先ほど来の、申し上げた閣議決定の方針に沿いまして、十五年三月に運営を停止し、その後、運営に当たっている年金資金運用基金が昨年六月三十日に和歌山県那智勝浦町及び太地町と施設の譲渡について協議をまとめ、売買契約書の締結を行い、そして同年七月十一日に両町議会が施設の取得の議決をし、八月一日に両町が売買代金を支払い、施設の引渡し、所有権移転が行われたという経緯で両町に移管されておるわけでございます。
  269. 大江康弘

    大江康弘君 これ、町側の譲渡された価格というのは幾らですか。
  270. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 結論から申し上げます。  グリーンピア南紀につきましては、不動産鑑定による時価評価額から、この処分方針に基づきまして、自治体に譲渡する場合には五割減額というルールを用いまして、その上で建物等に掛かる消費税相当額を加えた約二億七千万円を譲渡価格としたところでございます。
  271. 大江康弘

    大江康弘君 二億七千万で勝浦町と太地町にこれ譲渡されたんでしたね。それが今どうなっているんですか。
  272. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 売買契約は、年金運用基金とその両町との間で結ばれたものでございます。その契約に基づきまして、その公共公益的性格を持つ当該施設をその趣旨に沿って両町が責任を持って運営をするということになっておるわけでございますが、その後の経過の中で三段階ございますので、簡単に申し上げます。  本年一月下旬に、年金運用基金から那智勝浦及び太地両町に対しまして、その後の状況報告を求めております。本年一月三十一日に、両町から、昨年末に結んだ賃貸借契約書の写しの提出を受けるとともに、契約締結の経緯等についても御報告をいただいております。  また、その後、二月二十七日には、両町が譲渡を受けた施設を活用した事業実施に当たりまして必要となっている年金運用基金に対する報告、こういう、これの一環といたしまして、実施計画の提出を受けているところでございます。
  273. 大江康弘

    大江康弘君 いやいや、要するに今どうなっているのかということで、要するに、町が今どこと売買契約したのか、賃貸契約したのか、そこのところはどういうふうに把握されているんですかということなんです。
  274. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 那智勝浦町におきまして、株式会社BOAOと賃貸借契約を締結して、当該会社におきまして、譲渡されたこの施設を那智勝浦町との契約の趣旨に沿って運営を始めるべく準備をしているものと承知しております。  私どもと、年金運用基金と両町との間の売買契約書では、毎年夏に状況報告をいただくことになっておりますので、その準備を進めた後に、この夏に改めて正式に御報告があるものと承知しております。
  275. 大江康弘

    大江康弘君 どういう契約内容ですか。
  276. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) この契約につきましては、基本的にはその町と当該企業との間の契約書でございますので、私ども年金運用基金を通じまして那智勝浦町と当該企業の方の御了解を得まして、今申し上げたいと思いますが、失礼いたします、土地建物等賃貸契約書と題する契約書類でございます。これによりまして、契約企業の方は、町のグリーンピア南紀施設利活用基本計画及び当該企業が立案した事業計画書に基づき本件物件を使用するものとすると。当該企業は、本件物件が公共性、公益性を有する特殊な物件であることを常に考慮し、適正に利活用するよう留意しなければならない。以下、賃貸契約書としての様々な条項が設けられていると承知しております。
  277. 大江康弘

    大江康弘君 いや、だから、賃貸料が幾らだとか、一回ちょっとそれ説明してください。
  278. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) お答え申し上げます。  当該契約書の第四条におきまして、本契約期間、十年間でございますが、賃料の総額が一億六千万円と記載されております。
  279. 大江康弘

    大江康弘君 その一億六千万というのは、どういう方法でいわゆる町との賃貸のやり方になってますか。ちょっと詳しく言ってくださいよ。
  280. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 那智勝浦町から私どもの年金運用基金に提出された報告書によりますと、賃貸借料決定に関しまして、この那智勝浦町の物件の不動産鑑定価格である一億六千五百三十七万六千円を適正価格とし、それをベースとした上で、固定資産税相当額の減額、あるいは将来にわたって町の財産として所有しなければならないものが含まれておりますので、そういうものの減額を図った上で、最終的に一億六千万円になったという報告を受けております。
  281. 大江康弘

    大江康弘君 ちょっと理事、あのね、どういう町とのその賃貸の仕方に……(発言する者あり)いやいやいや、だって答弁になってないよ、これ。いやいや、答弁になってないよ、これ。
  282. 小野清子

    委員長小野清子君) 具体的な答弁お願いします、質問に対して。
  283. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 十年間の賃貸借契約でございます。一億六千万円の賃借料をもってする十年間の賃貸借契約を町が当該企業と結んだという報告を受けております。
  284. 大江康弘

    大江康弘君 いや、だから、その一億六千万はどういう支払い方をするんですかということをさっきから聞いてるんですよ。一億六千は分かってる。
  285. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 申し上げます。  当該賃貸借契約書に基づきまして、第五条でございますが、前条の賃料を当該年の七月三十一日までに口座に振り込むという条項がございまして、具体的には、賃料の計算、それから支払に関しまして、総額は一億六千万でございますが、十七年度一億三千万、十八年度以降二十七年度まで三百万円ずつと、こういうふうに記載されております。
  286. 大江康弘

    大江康弘君 私は、自分のふるさとが良くなっていくということに関してはこれは何も言わぬのです。ただ、このことに関しては、いろんなことを実は私のところにやっぱりあるわけなんです。それだけに、十年間でですよ、十年間借りたら要するにあなたのところに上げますよという、これ契約なんでしょう。それが、十年間で一億六千万払ったら十年後にはあなたのところに譲渡しますという、これ契約なんですよ。その中で最初に一億三千万なんて、これ頭金じゃないですか、これ。十年後にこれ譲渡するなんという話、最初から譲渡ありきの話じゃないんですか。
  287. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 報告を受けた年金運用基金におきまして当該賃貸借契約を精査いたしておりますけれども、基本的にはこれは賃貸借契約であり、十年後の賃貸借契約終了時点で一定の条件を満たして初めて当該契約書にある特約条項に基づく所有権の譲渡というものが行われることとなっており、その際には町議会の審議、判断も重ねて行っていくと。また、十年間の間のこの契約の趣旨に沿った運用が当該企業を中心になされるかどうかということを十分確認の上譲渡するという規定の内容であるというふうに承っております。
  288. 大江康弘

    大江康弘君 いや、あのね、もう私時間ないからちょっと早口になるけれども、要するに十年賃貸料を払ったら十年後にはおたくのところに上げますよという内容なんです。そうしたら、普通だったら、十年間ということだったら、一億六千万というのを十で割ったら千六百万じゃないですか、これ。千六百万ずつ毎年毎年払っていって十年後に一億六千万になると。しかし、最初に一億三千万なんて、これ、要するに十年後に必ずあなたのところに上げますよという、これ頭金じゃないですか、これ。違うんですか、これ。
  289. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 年金運用基金からの売却契約上、十年間の用途の制限というものを付しております。その間は所有権の移転等はしちゃいけないということで、十年間しっかり公共目的に沿って運用していただくように町の方にお願いしており、その間にそうでない事態が発生した場合には契約の解除、違約金の徴収等を行うこととされております。  十年後に当該物件がどのような扱いをされるかというのは、譲渡を受けた町が主体的にまず判断をし、そして適切にその間、十年間の運用に影響のないように配慮していただくべきものであると考えております。
  290. 大江康弘

    大江康弘君 もうこれ僕時間がないから、これね、昨日やんややんや言ってやっとこれ契約出してきたんですね、これ。こんなもの最初からこれ取っとかなおかしい話じゃないですか、これ。  そういう中で、この契約の第十五条に、甲は乙に対し受取済み賃料の倍額を支払う。これは十年間じゃないですよ。途中でその借り手の方がこんなものけしからぬじゃないかと言ったら、これ町が倍、倍払わにゃいかぬという、これこんな一項まで書かれている。これおかしいよ、これ、こういうことは。違います。
  291. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) ただいま御指摘になりましたのは、土地建物等賃貸契約書の十五条であるといたしますと、ちょっと別の違約金という条項でございますが、同一でありますかどうかでございますが、本契約が解除されたときには次の方法で違約金を解除すると、そして受取済み賃料の倍額を支払う、こういうようなこととなっておるわけでございます。それは賃貸借契約の一環であろうかと思っております。
  292. 大江康弘

    大江康弘君 大臣、これどう思いますか、この契約の仕方というのは。
  293. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) まず第一の基本は、国からこのグリーンピア南紀を売却する価格がこの那智勝浦と太地町でしょうか、両者に適正な価格でなされたかということが第一。これは全体の数字をもう委員もごらんになっていると思う。  非常に残念です、正直言ってね。みんな安い金額で売らなきゃならぬ。しかし、これは国の方針としてやったことですから、これは私どもが決めたことということで、それに従って年金基金はやってもらっている。要するに、将来に禍根を残さないようにここできちっと整理しようということでありますから、極めて安い金額になってしまっていることは誠にあの、と思います。  一方で、この施設というものが、その後十年間はきちっと運営してくださいよと、福利厚生施設としてきちっとやってくださいと、これ、そこを担保されているかという問題、これは担保されているんだと思います。  あとは、今度は町と委託業者との関係でありますから、そこがどうあるかという御質問がメーンになっておるようでありますけれども、そこのところは正に町議会等できちっとおやりになることであろうと、こう思います。
  294. 大江康弘

    大江康弘君 大臣ね、町議会って言ったって、町議会はこれ秘密会議しているんですよ。町民の皆さんが見たいと言ったってこれ町議会が見せなかった。こういう契約書も見せてくれといったって見せなかった。  そういう形の中で、百二十二億円もしたものが町に二億七千万でこれ譲渡をされて、そして、しかも企業に一億六千万、十年間それを賃料として払ったらあんたに上げますよという、こんな本当にこれ、年金の使われ方なんというのはこれ本当に私はおかしいと思う。これ、どう思います、最後に。
  295. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今御指摘いただいたのは、地方行政が正に秘密裏でこの問題を進めていると、これは問題であるから厚生大臣そこに介入していってやれという話に聞こえますよ。町議会が、問題あるなら町議会がきちっと整理されるものであろうと、こう思います。
  296. 大江康弘

    大江康弘君 そういうこと、大臣、言うてないやないの。こういう使われ方をして、いろんな町民の人たちがいろんな不信感を持っている。そういうことの中で町がどうしようかということを、どうしているかということを、これ知りたくても、聞きたくても、町がそういうことを教えない。  そういう中で私は、国として、これは元々はこれ国からスタートした話じゃないですか。だから、これはもう町に譲渡したんだからあとは町議会の問題やからなんて、こんなその問題意識、これはおかしいですよ、これ、大臣。ちょっと取り消してください、それ。
  297. 小野清子

    委員長小野清子君) 申合せの時間、超過しておりますので、簡潔にお願いいたします。
  298. 大江康弘

    大江康弘君 大臣、答えてくださいよ、それ。そんな、町議会の問題やなんて、何おっしゃるの。
  299. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 我々は、基本的にこの施設が町に譲渡されて、十年間、福利厚生のためにきちっと使われるかどうかというのは毎年ウオッチしながらやってまいります。
  300. 大江康弘

    大江康弘君 終わります。
  301. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で大江康弘君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  302. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、加藤修一君の質疑を行います。加藤修一君。
  303. 加藤修一

    ○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。私は、環境問題、特に有害化学物質問題を取り上げたいと思います。  ストックホルム条約、この条約は、世界的に有害な化学物質、その拡散毒性あるいは難分解性、生物蓄積性等を持っている、特に早急な対応が必要であると考えられるダーティダズン、すなわち十二の残留性有機汚染物質、これによります地球環境汚染の防止のために締結された条約であるわけでございます。  言うまでもなく、この条約が有害化学物質を十分フォローするものではありませんが、今や化学物質の地球的規模の拡散は刻一刻と厳しさを増していると。治安の悪化からいわゆる子供たちをどう守るかが大きな課題でありますが、同様に、このごく微量の有害な化学物質の脅威からいかにお子さんたち等を守るかと。子供環境のいわゆる増大するリスクをいかに削減するか、これは優先すべき重要な課題であると、このように考えてございます。  私、今手元に「胎児の危機」という本を持っておりますが、この化学物質に被曝し、その生殖障害に不安を抱く人々についてこれは述べているわけでありますが、この初め書きにはこのようにあります。生殖の問題を抱えていることは分かっていると。米国では十二組のカップルのうち少なくとも一組が不妊に悩んでいると。妊娠の三五%から五〇%が自然流産となり、重い構造的先天異常は出生時の二%から三%も占めると。  即断はできませんが、日本における少子社会には別の面が現れているかもしれません。子供環境のリスクの増大が進んでいる今、胎児、子供を守るために有害化学物質に対しても機敏に対処をすることが強く求められているというふうに私はとらえているわけでございます。  そこで、まず最初に小池環境大臣に伺いますが、今年の二月にドバイにおいて、化学物質のリスク削減のために国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチが必要であるということで決議されたわけでありますが、これがSAICM、すなわち三つの文書の概要と、法的拘束力がないことを日本政府はいかなる位置付けをするか、これが第一点であります。  また、このSAICMの行動計画の二〇二〇年の達成に向けまして、政府は、関係省庁が一体となって取り組むために、機敏にかつ実効性を担保するためにも国内関係法で位置付けることも必要でありましょうし、とりわけ省庁横断的なSAICM実行計画等の推進チームを設置すべき、これが二点目でございますが、御答弁お願いをいたします。
  304. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) お答えをいたします。  まず加藤委員におかれましては、環境大臣の前後からこの有害化学物質に対しては大変な真剣な取組を続けてこられましたことに敬意を表したいと存じます。  御質問でございますが、今年の二月、ドバイで開催されました国際化学物質管理会議でございますけれども、元々このSAICMは、国際的な協調の下で化学物質のリスク削減、それから情報提供、体制を整備する、それから途上国の支援といった形の取組を進めてきた組織でございますけれども、ここで、御指摘のように三つの文書が採択をされました。一つが国際的な化学物質管理に関してのドバイ宣言、二つ目が包括的方針の戦略、そして世界行動計画でございます。  我が国としての立場はどうかということですが、このドバイの会議でSAICMの採択を積極的に支持をいたしました。そして、この政府の政策にこれを位置付けまして、その実施に努めるべきと考えておるのが私どもの姿勢でございます。  具体的にですけれども、この現在中央環境審議会で環境基本計画の見直しを御審議いただいているところでございます。そこでSAICMに沿って、国際的な観点に立ちまして化学物質対策に取り組むということを、この基本計画の中に取り組むべきこととされております。こうした審議会の議論を踏まえながら、環境基本計画の改定に合わせましてSAICMを適切に位置付けをしていきたいと考えております。  それから、それぞれ省庁で横断的にやるべきではないかという御質問でございますけれども、関係省庁におけます推進体制として、これまで国際会議におけます議論にも対応しなくてはならないということからも、関係省庁から成る会議を開催をしてまいりました。今後ともこの省庁横断的な体制を整備いたしまして、SAICMに沿った化学物質対策を進めてまいりたいと、このように考えております。
  305. 加藤修一

    ○加藤修一君 ところで、胎児や乳幼児、これは子供等を含めまして環境弱者と言われているわけでありますが、つい最近、東京都の調査でありますが、子供向けに販売されている指輪やネックレス、そういった金属アクセサリーの六割以上に高濃度の鉛が含まれているということが分かったわけでありますが、この辺の調査について経済産業省、よろしくお願いいたします。
  306. 塚本修

    政府参考人(塚本修君) ただいまの先生の御指摘の東京都の調査でございますけれども、金属製アクセサリー類の中に鉛を高濃度含有するものや、それから胃酸を想定しました溶液に溶出するおそれがあるということが判明したということでございます。  具体的には、東京都の調査結果ということで、都内の百円ショップや玩具店で購入されました価格が百円から千円程度の金属製のアクセサリー類、これ五十検体、それから金属製の玩具類の二十六検体につきまして、合計七十六検体について調査を行ったと。そのうちその鉛につきましては七十六検体中約六割といいますか、四十六検体中において米国の消費者製品安全委員会の指針であります含有量〇・〇六%以上の濃度のものを検出し、そのうち中国及び韓国製のもの、台湾のものがほとんどを占めたということになっております。  また、溶出試験でございますけれども、四十六検体のうち二十一検体について実施をして、そのうち十七検体から鉛が溶出したという、このように承知をしております。
  307. 加藤修一

    ○加藤修一君 今お話がありましたように、そもそも昨年の二月に米国の消費者製品安全委員会が警告を発していたわけでありますが、東京都がいち早くこれ機敏に対応したわけでありますけれども、そういった意味では政府の対応は非常に遅れておりまして、今後いかなる実態調査を含めて対応策、規制措置をとるのか伺いたいわけでありますが、経済産業大臣、そして厚生労働大臣によろしくお願いをいたします。
  308. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 経済産業省においては、三月六日でありますが、担当部局が東京都から、今議員がお示しのとおり、金属製アクセサリー類等の安全確保に関する提案を受け取りました。  これを受けて、経済産業省としては、十四の関係団体に対し、乳幼児が金属製アクセサリー類等を口に入れることにより鉛を摂取することのないよう注意喚起を行ったところであります。厚生労働省においても、十五の関係団体に対し、金属製アクセサリー類中の鉛の含有量を低減するよう要請されたと承知をいたしております。また、両省が連携して、鉛を含有する金属製アクセサリー類等の製造、販売等に関する実態調査を実施することとし、二十三の関係団体を通じて調査に現在着手をいたしたところであります。  今後とも、厚生労働省と連携しながら適切に対応してまいりたいと思います。
  309. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 金属製アクセサリー等に含有する鉛について、十七年四月二十六日付けで、鉛を含有する輸入玩具に関する調査ということで、カナダの状況、アメリカの状況の自主回収の状況をお知らせしながら、輸入の有無について調査を依頼したと。その後、動きが少し御指摘のように弱かったように思います。  その後、東京都から厚生省にも提案がございまして、私ども、三月八日、製品中の鉛の含有量の把握に努めること、外箱への表示や使用上の注意等により適切な情報提供を行うこと、製品中の鉛含有を低減させるよう努めることを要請する通知を三月八日付けで出しました。さらに、経産省と連携して、両省でこれらアクセサリー類等の製造や販売等に関する実態調査も実施いたしております。この実態調査は四月中に中間的な取りまとめを行いたいと思っております。  厚生労働省としては、これらの調査結果等を踏まえ、経産省と連携し、必要に応じ適切な対策を講じてまいりたい。基本的には方向性としてはできておるようでございますので、いろんな実態をつかまえながらきちっとした対応をしてまいりたいと、このように思っております。
  310. 加藤修一

    ○加藤修一君 よろしくお願いいたします。  次に、配付資料の①の図にありますけれども、サリンなどの神経ガス、当然これは鉛以上に恐ろしいものでありますが、配付資料の②に示すように、神経ガスに近い構造をしているわけでありまして、殺虫剤やプラスチックに含まれます燐酸エステル、これはサリンに似た有機系化学物質でありますが、これによると、人間の生体内の酵素に対する阻害作用というのがあると。国際会議でも非常に大きな話題になっているわけでありますけれども、この有機燐中毒におけます急性毒性と慢性毒性の症状について、酵素の役割、そして阻害などの作用機序の視点から説明と御見解を厚生省に賜りたいと思います。
  311. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) ただいまの御指摘の点でございますが、これは研究報告として出されておりまして、平成十五年度から十七年度まで三か年の計画の研究でございます厚生労働科学研究費補助金、微量化学物質によるシックハウス症候群の病態解明、診断・治療対策に関する研究の分担研究として有機燐化合物について報告されたものの中でございます。  一般に、有機燐化合物の急性毒性につきましては、神経伝達物質のアセチルコリンを代謝をいたします酵素であるアセチルコリンエステラーゼの阻害によりまして、呼吸困難でありますとかけいれん、情動不安、精神的に不安定になることでございますが、等の症状を引き起こすとされております。  また、この有機燐化合物の慢性毒性の作用機序につきましては、この報告によりますと、例えば情動や精神活動などといった高度な脳機能に深く関与する物質群の調整をつかさどる酵素であります脂肪酸アミド加水分解酵素や、肝臓等に主に存在いたしまして体内に入ってくる様々な化学物質や体内で作られる多様なエステル、アミドなどの生理活性物質を代謝をいたします重要な酵素であるところのカルボキシルエステラーゼなどの酵素の慢性的な活性の低下が起こりまして、それによって種々の生理活性物質の過剰でありますとか欠乏が生じまして様々な慢性の障害を引き起こすおそれがあるとされております。  こういった報告があることにつきましては、引き続き注視をしていく必要があるというふうに認識をしているところでございます。
  312. 加藤修一

    ○加藤修一君 以上のように、極めて重大な新しい知見でありまして、この知見成果は厚生労働省の努力の結果でありまして、大変重要な成果を上げたと私は評価してございます。私が当委員会でこの問題を取り上げた理由というのは、従来からいわゆる有機燐のコリンエステラーゼ阻害作用による急性中毒の研究、これは非常に進んでいたというふうに理解しておりまして、ただ慢性毒性に対する関心が示されなかったと。  このような成果が示されたことは非常に大きいということでありますが、そこで環境省にお聞きしたいわけでありますが、配付資料の③にありますように、あらゆる分野でこの有機燐の揮発が続いている、都市部においても有機燐による外気の大気汚染等が既に常態化していると、そういう指摘があるわけなんですが、どのように認識しているか、伺いたいということでございます。  それから、そもそも総合的な実態調査をしたことがあるかどうか、また実施していなければ実態調査を行うべきでありまして、こういった面については積極的な答弁をよろしくお願いをしたいと思います。
  313. 滝澤秀次郎

    政府参考人滝澤秀次郎君) 有機燐の関係の調査でございますが、環境省におきましては、有機燐を含めまして化学物質のリスク削減対策に資するために化学物質環境実態調査を実施してきております。  昭和五十年以降、四十種類程度の有機燐化合物について、大気、水、底質等の測定を行ってきております。このモニタリングの結果、複数の検体があるわけでございますが、いずれかの検体で大気、水、底質又は生物から検出された物質は十五物質程度ございまして、これらの濃度はごく微量でございまして、健康や生態系への影響が問題になるレベルとは考えておりません。また、複数年にわたって測定されている物質につきましては、いずれも濃度の減少傾向が確認されております。  今後とも、こうした化学物質環境実態調査の中で有機燐化合物を含む化学物質の環境モニタリングに更に努めてまいりたいと考えております。
  314. 加藤修一

    ○加藤修一君 しっかりやっていただきたいと思います。  経済産業大臣それから厚生労働大臣にお尋ねしたいわけでありますが、有機燐系化合物は小児や妊娠初期への影響等未来に重大な問題を引き起こす可能性があるわけでありまして、室内では長期に存続するという可能性が高い、あるいは家電製品の樹脂などに使用されている有機燐系を含む難燃剤、可塑剤についても注意を払うべき時期に来ていると、そういう警告があるわけでありまして、どのように対応しているか、また、今後どのように規制するか伺いたい、これが一点でございます。  また、特に子供をめぐる生活環境、ゲーム機などの普及や塾通いによって室内での長期間滞在が常態化していると、パソコンや家電製品からの有機燐剤の暴露が指摘されているわけでありまして、化学物質に対する低容量連続暴露あるいは反復暴露のリスクは非常に私は増大しているというふうに考えているわけでございます。  有機燐剤における室内環境汚染調査やあるいは子供に対する暴露影響調査、これを行うとともに、子供環境における何らかの規制を検討する必要があると思いますが、御答弁のほどよろしくお願いを申し上げる次第です。
  315. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 有機燐剤がシックハウス症候群といった室内環境汚染に関係するのではないかという御指摘でありますが、国民の安全確保は重要な課題であると認識しており、こうした御指摘については真摯に受け止めていくことが重要だと考えております。したがって、現在、厚生労働省におきましても、有機燐剤が室内環境にどの程度残存し、子供を含めた人の健康にいかなる影響を与えているか等も含め、シックハウス症候群の実態解明の重要性を認識しておられると伺っております。  経済産業省としては、こうした厚生労働省の御認識に踏まえ、有機燐剤の家電製品からの揮発に関する調査等について、厚生労働省と今後連携して取り組んでまいりたいと考えております。
  316. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今局長からも御答弁さしていただきましたけれども、室内環境汚染の問題については、居住者の健康を維持するためのシックハウス対策の観点から、これまでも全国規模の疫学研究等を実施してまいりました。平成十八年度以降も、疫学研究も含めたシックハウス症候群の実態解明のための研究を実施する予定であります。その際、有機燐化合物による室内環境汚染の実態についても、一般的には子供は化学物質に対する感受性が高いことから、子供の安全、健康にも配慮したいという点も含めて、これらの一環として研究を進めてまいりたいと考えております。
  317. 加藤修一

    ○加藤修一君 積極的な答弁ありがとうございます。  そこで、環境省と農水省にお願いなんですけれども、二〇〇〇年の六月に米国のEPAは、四百六十九種類の農薬について毒性の再評価作業を行うとともに、有機燐系のいわゆる殺虫剤でクロルピリホスがありますけれども、その子供への影響を重視する考え方から、家屋内や庭での使用を禁止、あるいは農業使用も制限。で、カナダのトロントでは、二〇〇四年の四月から市立公園での殺虫剤散布を廃止だと。あるいは、英国でも、フェニトロチオンとダイアジノンが使用禁止になっているわけでありまして、ジクロルボスの安全性の見直しを行っているわけでありまして、こういった意味では、欧米の対応に比べて有機燐剤への対応が非常に私は我が国は遅れているんではないかなと、そんなふうに考えておりますが、環境省そして農水省の積極的な答弁をよろしくお願いをいたします。
  318. 滝澤秀次郎

    政府参考人滝澤秀次郎君) 御指摘の農薬その他の化学物質につきましては、各国におきまして有害性あるいはリスクの評価を行いまして所要の規制を行っていると、あるいはリスク管理をしているというふうに認識しております。  御指摘の有機燐化合物につきましては、国内におきましては、農薬取締法でありますとか建築基準法等に基づきまして、所管省庁において所要の対策が講じられていると承知いたしております。  環境省におきましては、先ほど申し上げた化学物質の環境実態調査によりまして、有機燐化合物を含めた様々な化学物質のモニタリングを行っておりまして、また一方、水質汚濁という意味では、要監視項目として指針値を設定している六種類の有機燐化合物等につきましては、都道府県等による水質モニタリングの実施も行っているところでございます。  今後とも、環境保全の観点から、多様な化学物質による環境リスクの評価を進めまして、化学物質の適正な管理に努めてまいりたいと考えております。
  319. 中川坦

    政府参考人中川坦君) お答え申し上げます。  有機燐系農薬につきましては、先生もおっしゃいましたが、アメリカそれからEUにおきまして、それぞれ、やや手法は違っておりますけれども、リスク評価が行われております。我が国におきましては、EUと同じように、個別の農薬ごとにリスク評価を実施をいたしまして、ADIを設定しているところでございます。  日本におきましては、平成十二年に、有機燐系農薬の特徴的な毒性でございます神経毒性につきまして、急性遅発性神経毒性試験成績の拡充などリスク評価項目を拡充をいたしまして、新規の登録、あるいは三年ごとに行っております更新登録の際にその安全性の確認を行っているところでございます。  この有機燐系の農薬につきましては今世界じゅうでも注目が集めておりますし、私ども農林水産省におきましても、引き続き有機燐系農薬の毒性等について新たな知見の集積や情報の収集に努めまして、リスク管理の観点から適切に対応していきたいというふうに思っております。
  320. 加藤修一

    ○加藤修一君 今の答弁に余り満足しているわけじゃございませんが、しっかりとリスク管理含めて推進をしていただきたいと思います。  ただ、農薬の関係については、これ今、先ほども言いましたように、禁止とか制限しているとか廃止の関係ありますけれども、この中で私が言った農薬についてはまだまだ日本においては十分な対応ができていないという私の認識ですので、しっかりと今後は対応するように強く要求しておきたいと思います。  それで、次に環境大臣にお尋ねでありますが、以上のようなことからも、いわゆるアメリカにおいての話でありますけれども、小児の食品経由の農薬暴露や小児の感受性に着目して、ADI、これ一日許容摂取量でありますけれども、成人の十分の一とする見直しを行っているという段階でございますし、あるいは、環境保護庁ですけれどもEPA、小児が直面する蓄積性あるいは複合暴露に対応する政策を整備するとしているわけでありまして、さらに、欧州では、小児の脆弱性への配慮が必要であることなどから小児への対応が始まっているわけでありまして、特に小児の化学物質に対する脆弱性に対する我が国の対応というのはもっともっと積極的に私はあるべきだと考えております。  この辺については、大臣としてはどのような取組を今後とも含めてお考えでしょうか。
  321. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 御指摘のように、子供の脆弱性という観点からも、子供に関しての環境保健対策というのはとても重要な課題であるというふうに考えております。  そこで、平成十四年度からでございますけれども、子供の環境保健に関する暴露評価手法の検討などを含めた調査研究を行い、それに加えまして、最新の知見を共有すること、それから、国内の専門家の人材育成を目的としまして、小児等の環境保健に関する国際シンポジウムを毎年開催してきたところでございます。ちなみに、加藤委員におかれましては毎回御出席ということで、ありがとうございます。  こうしたこれまでの取組の成果を踏まえながら、今年、本年度でございますけれども、有識者から成ります小児の環境保健に関する懇談会を設置をいたしました。子供の特性に着目いたしましたリスク評価について議論を進めているところでございます。  今も、冒頭ございましたように、子供の脆弱性という観点から細かな点を検討していくということは必要でございます。国内外の状況を踏まえながら、環境保健対策、特に子供に関しての充実を努めてまいりたいと考えております。
  322. 加藤修一

    ○加藤修一君 今の懇談会の話は、あれですか、関係省庁というのは具体的に言っていただけますか。
  323. 滝澤秀次郎

    政府参考人滝澤秀次郎君) 加藤先生は副大臣のときにこの懇談会を設置を強く御指示いただきまして、環境省内の小児環境保健問題に関する懇談会ということでございます。環境保健部会長の佐藤洋先生が座長でございますが、そういった構成で進めておるところでございます。
  324. 加藤修一

    ○加藤修一君 化学物質に関係する省庁はほかにもあるわけでありまして、それが小児に対する健康被害への影響ということも考えざるを得ない。そういった意味では、それを拡大してやっていくことも一つ考え方だと思いますので、是非その辺について検討していただきたいと思いますが。
  325. 滝澤秀次郎

    政府参考人滝澤秀次郎君) 懇談会の御審議の経過の中で、当然いろいろ省庁にまたがる課題もございますので、私ども、庶務、事務方がきちっと関係省庁と連携しながら、この懇談会が有機的なものになるように、有機的な成果が上げられるように頑張りたいと思います。
  326. 加藤修一

    ○加藤修一君 国土交通省農林水産省にお聞きしたいわけでありますけれども平成十五年の九月でありますか、農林水産省は、「住宅地等における農薬使用について」と題しまして、消費・安全局長名で各方面に通達を出しております。  あるいは、その九月に、同じ九月に、国土交通省地方整備局を通しまして、地方公共団体を含む都市公園管理者に対して通達を出して、都市公園管理に当たっての参考例としていただきたいということで、有機燐系のものについての注意喚起を行っているわけでありますが、ただ、一例を取り上げますと、その八か月後でありますけれども、これは平成十六年の五月から六月の段階でありますけれども、群馬県の前橋市の関係でございます。公園などで農薬散布後に頭痛や吐き気、不整脈などを訴える子供や大人が出たということで、これは要するに公園に対する処置がうまくいっていなかったという話になるわけでありますけれども。  こういった意味で、ここだけの話じゃなくて、比較的私が調べた範囲でも、地方自治体に対する浸透が進んでいないと、通知の関係でございますけれども、やはり私は現実的な対応をしていかなければいけないと。やはり、経済産業省が今回PSEの関係で周知徹底を欠いたという話がありますけれども、やはりもっと周知徹底をしていくべきではなかろうかということで、是非この面について、二省について御答弁お願いしたいわけであります。
  327. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 平成十五年九月の先生が今御指摘をされました住宅地等における農薬使用についてというこの消費・安全局長の通知でございます。  それまでこういった農薬使用についての通知がありませんでした。住宅地の周辺等での農薬の使用によって周辺住民の方々の健康被害が出てきている、そういったことにも着目をしまして、できるだけ農薬使用の回数やその量を削減すること、あるいは使う場合であっても風速や風向、風向きなどに注意すること、あるいは事前に住民の方々に十分周知をして、通知をして、それから防除するようにと、こういった留意点について、都道府県を通じまして市町村あるいは関係の農薬使用者等にその周知を図った、そういう通知でございます。  これは通知を出すということだけではなくて、毎年六月には農薬危害防止運動という、そういう月間を設けておりますけれども、こういった折にも、ポスターなどを通じましてこういった局長通知の趣旨については私ども広く周知をしてきたところでございます。  ただ、先生今御指摘のように、十分本当に現場にまで行っているかどうかという御指摘もございました。この点は私どもきちっと受け止めまして、さらに関係の方々、また広く住民の方々を含めてより一層周知されますように、また今年の六月にはこういった農薬の危害防止運動も行いますから、そういった際にも是非生かしていきたいというふうに思っております。
  328. 高梨雅明

    政府参考人(高梨雅明君) 都市公園における農薬使用に当たっての留意事項の取扱いにつきましては、今ほど委員の方から御指摘がございましたように、平成十五年の九月に農水省から発出されました住宅地等における農薬使用についての通知につきまして、国土交通省といたしまして、地方整備局等を通じて各地方公共団体の都市公園管理者に周知を図ったところでございます。    〔委員長退席、理事市川一朗君着席〕  公園内の農薬散布に当たりましては、公園利用者のみならず、周辺の住民に健康被害が及ぼさないように適切な措置を講ずるよう、その旨を周知することが大変重要であるというふうに認識しているところでございます。  このため、国土交通省といたしましては、毎年開催しております全国都市公園主管課長会議等の場を活用いたしまして、再度地方公共団体の都市公園管理者に通達の周知を図ってまいる所存でございます。
  329. 加藤修一

    ○加藤修一君 よろしくお願いをいたします。  それから、同じような問題でありますけれども平成十六年の十一月に厚生労働省は、東京都が行ったつり下げタイプの有機燐系の殺虫剤のいわゆる室内環境測定内容、これを受けまして、ジクロルボス、DDVPでありますけれども、蒸散剤の安全対策及びその取扱いについてという、そういう通達を出して警告を発しているわけなんですけれども、そういった意味では機敏な対応をしているわけなんですけれども、これまた最終的な段階ではなかなか周知が徹底されていない、私が調べた範囲でもそういう話は聞いていないということが非常に多くありますので、私は通知の強化とともにこういったいわゆる有機燐系のものについては法規制を含めて強化すべきではないかと、このように考えておりますけれども厚生労働省、どうでしょうか。
  330. 福井和夫

    政府参考人(福井和夫君) お答え申し上げます。  まず、法的規制の方からでございますけれども、御指摘のジクロルボスでございますが、これを成分といたしまするこの殺虫剤、薬事法上の医薬品に該当いたします。その安全対策につきましては、委員御指摘のように、一昨年、平成十六年の十月でございますけれども、東京都からの要望を受けまして、厚生労働省といたしまして専門家による検討会を開催をし、その検討結果に基づきまして、一般の住宅におきまする居室あるいは客室、事務室、教室、病室、さらに食堂、調理場、食品倉庫、食品加工場などでは使用しないように製造販売業者に対しまして用法、用量を変更するなどの措置を講ずるよう通知をいたしたところでございます。製造販売業者は、この通知に基づきまして、承認事項でございます用法、用量の一部変更申請をしまして、厚生労働省が審査を行った上でその変更が行われたものでございます。こうした当省の指導による用法、用量の変更でございますが、薬事法第十四条第九項に基づきまして厚生労働大臣の承認により行われたものでございまして、薬事法に基づく規制措置でございます。  それから、通知の周知という点でございます。今申し上げました措置に併せまして、製造販売業者に対しまして消費者向けの説明文書を作成し薬局等へ配布するよう指示をいたしますとともに、日本薬剤師会等に対しまして、薬局、薬店における販売時の当該文書を用いての個々の消費者への情報提供を依頼するなど、その周知を図っているところでございます。委員の御指摘も含めまして、なお意を尽くしてまいりたいと思います。
  331. 加藤修一

    ○加藤修一君 次に、また同じように厚生労働省に質問でありますけれども、世界的に著名な日本の有機燐学者の指摘でありますけれども、日本では有機燐慢性毒性にほとんど注意が払われなかったと、今でも規制は緩いと言わざるを得ないと、こういう指摘があるわけなんですけれども、先ほど紹介申し上げましたように、欧米の先進的な取組に対して我が国の取組はやや機敏性に欠けるなという印象を私自身は持っております。  そういった観点から、やはり、特にでありますけれども、発育途上の小児の健康と安全を考えたとき、やはり全廃を含めて、それはいろいろなものがありますから簡単ではないわけでありますけれども、有機燐の化合物の室内使用とか、あるいは住宅地での散布、こういった面については早急に法改正を含めて規制すべきではないかと、このように考えておりますけれども、どうでしょうか。
  332. 福井和夫

    政府参考人(福井和夫君) 薬事法上の医薬品ということでお答え申し上げたいと思います。  ハエ、ゴキブリ等に用いまするこの有機燐系殺虫剤でございますけれども、私ども、こういった製品、市販後もこの副作用のモニタリングをやっているわけでございますけれども、少なくとも最近三年間、これ書類の保存期間という意味での三年間でございますが、少なくとも最近三年間は副作用報告が、こういった有機燐系殺虫剤については私ども受けておりません。  それから、委員案内のとおりでございますけれども、この蒸散性を有しまするジクロルボスでございますが、専門家の意見を伺いましたところ、全面的にこの使用を禁止するということまで行う必要はなく、人体への暴露量を低減させるため、先ほど申し上げましたが、居室等で使用しないといった措置を講じることが適当とされたこと、そういったことから、現段階で有機燐系殺虫剤の住宅等の使用をすべて禁止する必要はないものと考えておるところでございます。  厚生労働省といたしましては、国民の安全確保に万全を期すため、有機燐系殺虫剤に関しまする副作用報告の収集等に努めまして、必要があればその都度、薬事法に基づく措置も含めまして適切に対応してまいりたいと考えております。
  333. 加藤修一

    ○加藤修一君 同じく厚生労働省に質問でありますけれども、急性毒性とは異なるいわゆる慢性毒性の仕組みについては、先ほど述べたように新しい知見が明らかになってきているわけでありますけれども、すなわち従来の急性中毒から更にリスク分析、それを進めていく必要が当然あるんではないかなと、こんなふうに考えております。  ですから、①としては、第一番目には現行の試験法においてより注意深いチェックを行うためのガイドラインの作成、あるいは同時に長期の障害を今まで以上に鋭敏に評価する手法の開発の取組、三点目としては子供環境の安心、安全のために更に明確かつ効果的な規制措置の実施、以上をまとめて考えてまいりますと、今後の政府の政策決定システムの中にどのように積極的に具体的に生かしていくのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  334. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) 先ほど御指摘いただきました研究報告等における評価を踏まえまして、この中でシックハウス症候群に関連して病態解明等の一環として報告されておるわけでございますが、こういった指摘、報告等を受けまして、今後、十八年度から実施予定をしておりますシックハウス症候群の診断・治療法及び具体的対応方策に関する研究におきまして、有機燐化合物による健康影響の知見も含めたシックハウス症候群の診断・治療法の手引を作成するなど、総合的に対応を検討してまいりたいと思っております。
  335. 加藤修一

    ○加藤修一君 ガーデニングで使う殺虫剤、いわゆる消毒剤や、あるいはハエ、ゴキブリ等の衛生害虫の駆除用の殺虫剤は薬事法でございますが、そこで規制されているわけですけれども、ユスリカとかハチ、ガ、そういった不快害虫、その駆除用殺虫剤には何らの制約、規制がない、あるいは使用上の注意事項の表示義務もないと伺っているわけであります。また、農薬成分を蒸発させて害虫を退治するいわゆる携帯用の虫よけ器は農薬成分を使っていながら単なる雑貨扱いと、こんなふうになっているわけでありまして、そういった意味ではなかなか私の頭の中が整理されないわけでありますけれども。  環境省にお尋ねしますが、同じ農薬成分を使っていながら使う場合によっては規制が異なる、あるいは規制が甘いのではないかと判断し得る状況があると。そういった意味では、有機燐剤がある意味での無造作に使われているのではないかなと、そんなふうに考えているわけでございまして、こういった今申し上げました規制が掛かっていない等を含めまして、今後どう取り組むか具体的な対策を伺いたいと思いますが、どうでしょうか。
  336. 滝澤秀次郎

    政府参考人滝澤秀次郎君) 御指摘のように様々な用途の殺虫剤がございます。で、現在対応している、あるいは規制しているという意味では、農薬取締法でありますとか、あるいは薬事法による規制がそれぞれ行われていると承知しております。  なお、これらの法律の対象とならない化学物質でございますが、様々な、るる申し上げたモニタリングでありますとか環境汚染実態調査でありますとか、そういうデータを基礎に、我々として規制法として持っております化学物質審査法、これは製造、輸入の関係でございますが、そういったものに、必要に応じて、そのすき間に落ちた化学物質あるいは農薬関係等について適用ができるものであれば適用していくということになろうかと考えております。
  337. 加藤修一

    ○加藤修一君 時間がありませんので飛ばしますけれども農林水産省にお聞きしたいわけでありますけれども、有機燐系に代わる新しい素材の開発ということについては、日本はまだまだこれからという段階の部分もありますが、欧米においては代替品の開発含めて進めている最中であります。  欧米の農薬メーカーは有機燐系の殺虫剤の販路縮小、販路をだんだん縮小していくという、そういうこととか、あるいは低毒性で効果の高いピレストロイド系などの代替製品への生産転換の試みは既に始まっていると、これは数年前に報告されているわけでありますけれども、これは農水省はこの報告について承知しているでしょうか。  それから、欧米の農薬メーカーは機敏に対応していると私は印象を持っておりまして、少し違った視点からいいますと、日本の農薬メーカーの対応の動きは鈍いということで、これは将来的には国際競争力を失うおそれがあるのではないかと、そういう懸念を持っておりますが、農林水産省はどのようにこういう代替品の開発について指導をしているか、その辺についてお聞きしたいと思います。
  338. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 先生が今引用されました報告書については、私どもも承知をいたしております。  まず、具体的な数字で申し上げますけれども、日本の国内の有機燐系の農薬の生産量も、ここ十年間を取りましてもかなりこの有機燐系のものにつきましては減少してきておりますし、また新たに登録をされます農薬の成分、これは過去十年間で百六十五種類ぐらいございますが、その中で有機燐系というのは二種類ということで、現実、実態問題としまして新たな有機燐系の農薬が出てくるというふうな状況ではございません。  私ども、具体的にどういう農薬を開発するかというのは、農薬メーカーの販売戦略なりそういった企業のまあ考え方によるところが大きいわけでありますけれども農林水産省といたしましては、新規登録あるいは三年ごとに行います更新登録の際に最新の知見に基づいて新たなその基準を設定するかどうかという、そういったところでむしろコントロールをしていきたいというふうに思っております。
  339. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは、経済産業省にお尋ねいたしますけれども、有機燐系、有機燐の化合物が含まれておりますのは可塑剤とかいわゆる難燃剤についてでありますけれども、最近は植物原料プラスチックや、あるいは非有機燐、非ハロゲン系の安全性の高い製品が既に国内の数社によって開発され商品化されていると、そういった意味では代替化が進んでいるというふうに理解できるわけでありますけれども、また最近、そのデルコンピューターは化学物質使用方針で、予防的措置と代替による製品中の有害物質使用の回避、それを表明すると、そういったことも行われております。    〔理事市川一朗君退席、委員長着席〕  あるいは、欧米の電子機器産業などは先進的に有害化学物質の排除に努めておりまして、欧州のいわゆるREACH動向を踏まえ、安全な物質開発に力を入れているわけであります。  こういった状況というのは我々真剣にとらえなければいけないわけでありますけれども、我が国の産業にとって国際的競争力の維持のためにも国際的な動きにいち早く対応すべきでありまして、そういった意味では有機燐系の化学化合物の代替品の研究開発、あるいは代替品への切替えが必須であると。  今後、この点について経済産業省はどのように取り組んでいくか、お聞かせいただきたいと思います。
  340. 塚本修

    政府参考人(塚本修君) ただいまの先生御指摘のように、一部の企業におきまして有機燐系の化合物を使わない難燃剤を開発している動きがあるということにつきましては、当省としても承知をしております。ただ、まだ用途が限定されるなど完全な代替には至ってないというような状況ではないかと考えております。  いずれにいたしましても、当省といたしましては、可塑剤、難燃剤から揮発します有機燐系の化合物に関する調査の結果等を踏まえまして、先生御指摘の代替品の開発も含め、必要な対策を検討してまいりたいというふうに考えております。
  341. 加藤修一

    ○加藤修一君 新しい知見に基づいて私は規制をすべきではないかなと思いますが、まあそれ以前に実態調査をしっかりとやっていただきたいと思います。それに基づいてリスク評価をすべきであると考えておりますので、この点についてはよろしくお願いをいたします。
  342. 塚本修

    政府参考人(塚本修君) 当省としても、先生の御指摘を踏まえながら、できる限りの対応を取ってまいりたいと思っております。
  343. 加藤修一

    ○加藤修一君 終わります。
  344. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で加藤修一君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  345. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、小林美恵子君の質疑を行います。小林美恵子君。
  346. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党小林美恵子でございます。  私は、今日、耐震強度偽装事件の被害者救済問題について質問をさせていただきます。  姉歯物件以外のいわゆる偽装、そしてまた耐震強度不足の物件が福岡、熊本、横浜そして北海道と次々と発覚をしてきました。結局、この姉歯物件も含めて耐震強度の偽装、そしてこの不足の物件というのはそれぞれトータルで何件、そのうちマンションは何棟で何戸あるのでしょうか。精査中、調査中も含めてお答えいただけますか。
  347. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 姉歯元建築士が関与した物件の調査対象数は二百五件でございますが、うち調査済みが二百一件、調査中四件でございます。調査済み二百一件のうち、偽装が判明した報告件数は九十七件でございます。このうち竣工済みマンションは、既に公表しているもので四十七件、千二百九十四戸でございます。  姉歯以外の関係者が関与した物件の調査対象数は五百八十二件で、うち調査済みが四百二十八件、調査中は百五十四件でございます。調査済み四百二十八件のうち偽装が判明した報告物件数は、福岡市から報告のあったサムシング一級建築士事務所が関与した賃貸マンション三件でございます。物件公表しておりませんので、戸数については未公表でございます。  それから、偽装はございませんけれども、構造計算の誤りによる強度不足が判明した報告物件数は、横浜市より報告のあった株式会社田中テル也構造計画研究所が関与した分譲マンション一件、三十八戸でございます。  このほか、札幌市より浅沼良一二級建築士が関与した五物件について偽装の報告がありました。  以上でございます。
  348. 小林美恵子

    小林美恵子君 熊本などはどうですか。
  349. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 熊本につきましては、偽装は認定されておりませんけれども、耐震強度に問題があるというものがございまして、今いずれの物件も精査中でございます。
  350. 小林美恵子

    小林美恵子君 では、そのうち政府が示されておられます〇・五未満の危険性が確認されたマンションの、その何棟で、何戸で、分譲それから賃貸別、それぞれ教えていただけますか。
  351. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) これはいずれも姉歯元建築士が設計したものでございますが、構造計算書の偽装によりまして強度不足が判明している物件のうち、保有水平耐力の指数が〇・五未満である物件はマンション十八件、五百四十五戸でございます。このうち分譲マンションは十一件、三百三十二戸、賃貸マンションが七件、二百十三戸でございます。
  352. 小林美恵子

    小林美恵子君 こうした偽装や耐震強度の不足の物件が今の御説明でも増えています。そしてまた、精査中、調査中もあり、これからも増える可能性がございます。  今、国民の中では、自分のところの住まいは大丈夫なのかと、こういう不安が広がっていると私は思います。できれば安心したいから本当は自分のマンションも耐震診断をしたい。でも、診断をすれば、ひょっとしたら改修しなければならないかもしれない、ひょっとすれば解体しなければならないかもしれない、診断もすることができない、本当に今不安が広がっていると思います。そこで、私は今、政府が取り組んでいる被害者救済に国がどういう責任を果たしていくのかということを今全国民は注目しているというふうに思います。  そこで、私は大臣に、国交大臣にお聞きしたいと思いますけど、大臣はこの間、行政の責任として、いわゆる居住者と周辺住民の安全のための早急な解体を繰り返しおっしゃってこられました。解体してからも、建て替えて戻って入居ができるように、やはりそこまで政府責任を果たすことは当然だと私は思いますけど、この点、大臣いかがでしょうか。
  353. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 今危険な分譲マンションというのは十一棟あるわけでございまして、この十一棟にお住まいの入居戸数、三百九戸ございました。今もう約九割の方々が退去なされておりまして、退去の意向が確認できないものはもう二十一戸というふうになっているところで、居住者の方々の退去が進んできたところでございます。  今委員のおっしゃったように、この退去を進めて、お願いをしていくためにも、総合的なパッケージを出していかないと解体もできませんし、そしてまた、その後の建て替えについての支援策をやはり出さないと、これまでのこうした退去もスムーズに進まなかったというふうに考えているところでございます。  いずれにしましても、これから解体そして建て替えへと進むわけでございまして、居住者の方々の御意向をよくお聞きしながら、特定行政庁、地方公共団体とよく連携を取りまして、早期の危険な分譲マンションの解体、そして建て替えの実現に向けてしっかりと努力をさせていただきたいと考えております。
  354. 小林美恵子

    小林美恵子君 早期の解決をとおっしゃっておられましたけれども、国が出された支援でいきますと、十二月六日に発表されました。もう三か月もたちますけれども、本当に、時がたてばたつほど被害者の皆さんの精神的負担も募ると私は思います。一刻も早いその解決を国が責任を持って行うということは本当に大事だと思います。  この点、改めて大臣、確認したいと思いますが、どうでしょうか。
  355. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 今、特定行政庁の方々と頻繁に連携を取らしていただきまして、居住者の方々がお住まいであった建物を早く解体できるように、そして建て替えができるように、特定行政庁とよく連携を取り、居住者の方々の御意向をよく聞かしていただいて進めさしていただきたいと思います。  いずれにしましても、解体するにしても建て替えをするにしても居住者の方々の合意形成が必要でございます。合意がなければ解体もできないわけでございます。そして、もちろん建て替えもできないわけでございまして、この合意形成をできるようにしっかりと特定行政庁と一緒になって取組をさしていただきたいと考えております。
  356. 小林美恵子

    小林美恵子君 先ほど合意形成というお答えがございました。  では、お聞きしますけれども、この間政府がお示しになられました解体・建て替えスキームの事例で住民の合意がなされたところは何件あるでしょうか。
  357. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 十一棟のうち、川崎市のグランドステージ溝の口におきまして、政府として提示した地域住宅交付金の活用によるワンパッケージの支援策を活用して建て替え事業推進することを全員一致で決定いたしました。マンション建替え円滑化法に基づく建て替え事業の個人施行者となる民間事業者のプロポーザル方式で募集しているところでございます。  今、居住者が合意された事例はこの一件でございます。
  358. 小林美恵子

    小林美恵子君 それは、最初に政府がお示しになられました都市再生機構を使ってのというものとは違いますよね。確認です。
  359. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 今御説明申し上げましたように、円滑化法に基づくマンション建て替え事業の個人施行者となる民間事業者のプロポーザル方式で建て替えようというものでございます。  なお、十二月六日に支援策を提示しました後に、公共団体が施行し独立行政法人都市再生機構が受託するスキームはあくまでも例示でございまして、個別マンションの状況に応じて公共団体が施行し民間事業者が受託する方法、区分所有者で建て替え組合などをつくり民間事業者の協力を得て自ら事業を実施する方法を選択した場合についても同様の支援の対象とすることとしております。
  360. 小林美恵子

    小林美恵子君 溝の口の住民の皆さんの私は御努力があるというふうに思いますけれども、実は、私が川崎市の担当者にお聞きをしますと、こうおっしゃっていました。住民合意は民法上の扱いとし、全員の合意で成立するもので、今後、業者が幾らで応じてくれるか、その提案もし、諮るもので、現段階では合意に至ったということにはなかなか言えないと、今後も苦労があるんだというお話がございました。  それで、私は、改めて大臣国交大臣にお聞きしたいと思いますけど、溝の口を一件としましても、あとまだ合意ができていないところがございます。その要因はどこにあるとお考えでしょうか。
  361. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) この耐震偽装の事件が公表されましたのは十一月の十七日でございました。そして、十二月の六日にその総合的な支援スキームを政府として発表さしていただいたわけでございます。その後、補正予算について、この国会、通常国会が召集されてから補正予算について御審議をいただき、成立を見たところでございます。  まずは、居住者の方々、危険な分譲マンションにお住まいでございますので、その方々の退去を促していく、ここを最優先にして今まで取り組んできたところでございまして、まだ残っていらっしゃる方がいらっしゃいますが、今、その方々の御協力を得るべく全力を挙げて取り組んでいるところでございます。  建て替えについての交渉ももちろんそれと並行してやらしていただいております。現時点は、再建事業計画の検討素案の策定作業を都市再生機構が行わしていただきまして、これを基に各地方公共団体が提示をしたと。これはあくまでも素案、一次的な素案でございまして、これでないと絶対いけないということではございません。まだこれから、それぞれの地域地域で事情も大分異なっているわけでございますが、居住者の皆様との間で更なる詳細な検討作業を進めて、行わしていただきたいと思っています。  居住者の方々にとっては、やはり一つは、追加負担がどれぐらいなのかというのが大変大きな問題ですし、もう一つは、前と同じような面積が確保できるのかと、こうした問題にも非常に関心が強いというふうにもお聞きをしているところでございます。こうした御要望も出されておりまして、これを踏まえた、都市再生機構が二次検討素案というものを策定をするとともに、一部の地方公共団体に対しましてはその案について提示を始めたところでございます。  これは、いずれにしましても、先ほど申し上げたように、居住者の方々の合意形成、マンションの建て替えというのはこういう問題でなくても元々難しいわけですね、多くの方々の合意形成が必要でございますから。その合意形成が必要でございまして、二次案の提示と併せまして、都市再生機構が地方公共団体との間で協定を結びまして、居住者への対応や、より詳細な計画案の検討等について地方公共団体に対する技術的支援を行ってまいりたいと考えているところでございます。発注方式を見直すことによってコストを低減するだとか、また建築計画を見直すことによってコストを低減するだとか、それから総合設計制度による容積率の引上げができるところ、できないところがあるんですが、そういうことをやることによって居住者負担を軽減するだとか、そうしたことをしっかりとその地域地域の特性に応じて検討していきたいと考えております。
  362. 小林美恵子

    小林美恵子君 追加負担が重いんだというお話がございました。その負担というのは、要するに今抱えているローンに新たな負担が掛かるということが大きいことだと私は前回もここで申し上げましたけれども、少なくとも、私がお会いした被害者の方で、例えば残債が今二千八百万円ある方については二千五百万掛かってくると、追加負担がそうなると五千三百万円にもなると。これはまだ少ない方ではないかと私は思います。  ここの負担をやっぱり軽くすると、軽くしないとここはやっぱり合意が進まないというふうに思うんですけど、この負担の軽減、ここをどうするのかという点、もう一度、国交大臣と金融担当大臣にお伺いしたいと思います。
  363. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) この総合的な支援策を円滑に進めていくためにも、今の既存のローン、それから建て替えの際の新規のローン、両方あるわけでございますが、住宅金融公庫等についても当然しっかりとした対応をしていかなきゃなりませんが、民間の金融機関の御協力も得なければならないということで、これはもう当初より問題意識を持っておりまして、与謝野金融担当大臣にも十二月の段階で私の方からお願いをいたしまして、そして是非金融機関の団体である全銀協等に対してその辺の協力お願いしたいということでお願いをいたしました。  与謝野大臣が本当にそれを受けていただきまして、全銀協等の金融機関加盟団体に対しまして様々御要請をしていただいて、そして全銀協の方でも、全銀協等でも様々な支援策について考え方取りまとめていただいたというふうに聞いておるところでございます。
  364. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 今、北側大臣が御説明されたとおりでございます。北側大臣から強い御要望がございましたので、金融庁としては、被害者である住宅ローン債務者の方々の窮状にかんがみまして、民間金融機関として可能な範囲で協力することが望ましいという認識の下、事態をよく理解して対応をしていただくように金融機関にお願いしてきたところでございます。  こうした中、二月十四日に全国銀行協会などの金融業界団体が、構造計算書偽装マンションに係る住宅ローンへの対応として、第一に既往ローンに係る負担軽減措置、二番目は抵当権抹消への協力、新たな設定のルール化、第三番目として新規ローンの弾力的な対応、この具体的な三点について新たな申合せを行ったところでございます。この申合せの中には、既往ローンに係る負担軽減措置に関連して、返済据置期間中における可能な範囲での金利の引下げも含まれております。  金融庁としては、金融界が国からの要請も踏まえこのような対応を取られたことを評価するとともに、本申合せを踏まえ、個々の金融機関が真摯に対応されることを期待をいたしたいと思います。
  365. 小林美恵子

    小林美恵子君 与謝野大臣、今のお話で本当に今抱えているローンの重い負担がなくなるとお考えですか。
  366. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 金融機関はお金の貸手でございまして、この件に関しまして貸手が間違いを犯したということではありませんけれども、できるだけ金融機関として協力できる範囲で協力をしてほしいということでお願いをしてきたわけでございまして、金融機関としては精一杯の誠意ある対応をしてくださったものと私は思っております。
  367. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は責任の話を聞いているんじゃありません。今の案で本当に今被害者の皆さんが抱えている重たい既往のローンが、負担がなくなるのですかということを聞いているんです。
  368. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 当然のごとく既往ローンの元本は残りますし、また建て替えをする場合には新たなローンは設定しなければならないということで、元本に関しまして負担は当然軽減はされておりません。
  369. 小林美恵子

    小林美恵子君 私、やっぱりだからこそ住民の皆さんはなかなか合意ができないんだというふうに思うんですね。  そこで、住民の皆さんが本当に御努力をされているところがございます。私もお聞きをしてきましたけれども、被害マンションのグランドステージ川崎大師の皆さんは、本当にみんなで建て替えて戻って入居し、また戻って入居しようということで、住民の皆さんが自らのローンの返済の実態を出し合っておられます。どこまでなら負担ができるのかとシミュレーションまで行っておられました。  その点、既往のローンについて全銀協さんにこうしてほしいという要請も出されていると思うんですけれども、この要請の内容、担当大臣、把握されていますか。把握されておられたら教えてください。
  370. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 私どもも、もちろんマンション購入者の窮状は十分理解しているつもりでございます。  また、被害者である住宅ローンの債務者からは、貸手である民間金融機関にいろいろな御要望、御相談があるということも報告をいただいております。例えば、今先生の御指摘になったグランドステージ川崎大師の住民からは、一月二十八日、全銀協に対しまして、住宅ローン残債の債権を五割以上放棄、金利一%以下への減免、新規ローンについて三十五年固定金利、二%以下の新商品の開発、抵当権の抹消、設定のルール化について御要望があったと聞いております。  残念ながら、本件については現時点で金融機関に責めを負わすべき明確な事由は認識されておらず、このような中で民間金融機関として一律の損失負担を申し合わせることは困難であると考えております。全銀協としては、こうしたことも踏まえその後の申合せを行ったものと承知しております。
  371. 小林美恵子

    小林美恵子君 北側大臣、この今の抱えているローンをせめて五割は何とか免除してほしいという、そういう被害住民の皆さんの御要望は北側大臣は把握されておられますか。
  372. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 私のところには直接そういう御要請はちょうだいしておりませんけれども、自民党のワーキングチームの方に対してそういう御要請があったということは聞いておるところでございます。
  373. 小林美恵子

    小林美恵子君 先ほど与謝野大臣がおっしゃいましたけれども、全銀協の皆さんがいろいろ申合せをされておられますけれども、やはり元本は残るとおっしゃっておられました。元本は残るし金利も減らされても残ると。返済期間が仮に延びても、据置期間が延びても、結局はだから総額は増えるわけです、返済総額は。被害者のある方はおっしゃっておられました。その据置期間の利息だけで毎月六万円払わないといけないというふうにもおっしゃっていました。私は本当に大変なことだと思うんですね。  そこで、被害者の皆さんですけれども、偽装事件で何の落ち度もないと私は思います。その皆さんがせめてものと、自己負担を覚悟してまで一生懸命に再建の方策を練っておられます。先ほど申し上げましたけれども、例えば既往のローンを、仮にですよ、五割免除されたとしても、二千八百万円の残債のある方は一千四百万になり、仮に建て替える場合の追加負担が二千万になっても三千四百万でやっぱり増えるわけですよね。ですから、そういう点では、自らの自己負担を覚悟してでも何とか再建をしないといけないという思いで一生懸命頑張っておられる。  私は、政府がこの労苦に、この住民の皆さんの労苦に報いてこそ解決の道が開けると思います。その責任の果たすことを北側大臣にお約束していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  374. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 先ほど申し上げましたように、これから建て替えに向けての更なる詰めた打合せ、協議を特定地方公共団体、特定行政庁とよく連携取って住民の方々とやらせていただきたい、しっかり努めてまいりたいと考えております。  これ、いずれにしましても、建て替えをしていくためには合意形成がなくてはならないわけでして、そこは合意形成を図っていくためには、当然この追加負担には、これは居住者の方々によって資力等も違いがあると思いますので多様だと思いますが、そうはいっても、合意形成をしていくためにはやっぱり一定の限度というのは当然あるんだろうと思います。そこの一定の限度負担を、可能な負担をしていただくために、どういう案だったら可能なのかということを、これしっかりと計画を立てないといけませんし、御説明もよくさせていただかないといけないというふうに思っているところでございます。
  375. 小林美恵子

    小林美恵子君 改めて住民の皆さんの合意が大事だというふうにおっしゃっておられますけど、その合意を得るためにも、住民の皆さんの必死の再建の方策の、そこにやっぱり寄り添って国が責任を果たすことを改めて約束をしていただきたいと思います。大臣、いかがですか。
  376. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 合意形成ができるようにしっかり取組をさせていただきたいと考えております。
  377. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、この問題を解決する上でも本当にあらゆる知恵を出さなくてはならないというふうに思います。事件発覚から三か月余りがたちました。正に被害住民の皆さんは、危険マンションの周辺住民の方々も不安な日々を送っています。  先ほど北側大臣もおっしゃいましたけれども、自民党内の耐震偽装問題検討ワーキングチームが建て替えの促進に関する緊急措置法案というのも出されました。そこには措置法が、特別な措置が大事なんだと、そして住宅ローンの債権も機構が買い取るべきだということまで書かれていました。私は、この自民党内のワーキングチームの皆さんでさえ、今抱えているローンの軽減策を示して、そのための特別立法を提言されているんですね。私もやっぱりネックは今抱えているローンにあると思います。  そこで、提案をさせていただきたいと思います。  被害者の方々は個々人で銀行と交渉するのは大変だとおっしゃっています。やっぱり、だからまず被害住民の既往ローンの負担を軽減するためにも、銀行に応分の責任を果たさせるためにも、銀行などと交渉する救済機関をつくること、第二に、銀行などへの返済は、その救済機関、瑕疵担保責任のあるヒューザーはもちろん、事件にかかわった関係者からも徴収し、銀行や不動産関係業界などからも基金などを募って返済に充てる、こうした救済システムを国の責任で特別立法措置を含めて今検討すべきではないでしょうか。北側大臣、どうでしょうか。
  378. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 自民党内の御議論につきましては、これはまだ進行形のお話だというふうに私は理解をしておりまして、まだ議論の途上にあるものだというふうに思っているところでございます。  十二月の六日に、支援、総合的な支援策を打ち出させていただきまして、補正予算も認めていただきました。既存の地域住宅交付金制度等、この既存の制度を精一杯活用することによって対応するということで今やらせていただいているところでございまして、特別立法を行う必要はないというふうに私は考えております。
  379. 小林美恵子

    小林美恵子君 しかし、私はやっぱり、時がたつと本当に被害者の皆さんの精神負担は募る、経済的負担が重いままでは住民の合意形成はなされないと思います。周辺住民の安全も確保されないというふうに思います。やっぱり今、政府国会も知恵を出し合って被害者救済に当たらないといけない。特別立法措置も含めて検討すること、改めて申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  380. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で小林美恵子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  381. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、近藤正道君の質疑を行います。近藤正道君。
  382. 近藤正道

    近藤正道君 社民党・護憲連合近藤正道です。  私は、防衛庁、施設庁の官製談合の問題を中心質問をいたします。  いわゆるその防衛庁の背任事件以降も合計十二件の水増し請求事件が発覚をしております。金額でいいますと約一千億円近い金額になるわけでございますが、こういう事態を見ますと、防衛施設庁のことを言う前に防衛庁自身改革、この改革もまだ効果が上がっていないんではないかと思えてなりませんが、いかがでしょうか。いや、大臣
  383. 小島康壽

    政府参考人(小島康壽君) 御指摘の平成十年の調本事案の後、平成十一年四月に調達改革の具体的措置を防衛庁において策定し、それに基づきまして防衛庁においては過払い事案処理の基準の策定、それから企業の過大請求を抑止するための違約金の制度等の創設を講じたほか、調本を解体し、契約部門と原価計算部門を分離する、あるいは内外の監視体制、防衛調達審議会、あるいは内局の調達監察室等、そういう制度、組織両面における様々な調達改革を実施しました。  御指摘の過払い事案につきましては、調本事案以降、以外にも十二件発生して、判明しておりますけれども、これらの多くは調本事案以前の契約でございますが、これらは防衛庁が自ら定期的調査を行ってそれを発見したものが七件、それからその他のものにつきましても部外からの情報に基づいて防衛庁が調査して発見したものでございます。  いずれにしましても、先ほど申しましたような様々な措置を講じまして、過払い事案の未然防止、抑止に努めているところでありまして、新たな事案が発生した場合には自ら調査をするほか、取引停止処分、あるいは取引額が算定可能な契約すべてを対象とした過払い額に対する返還請求、さらに過払い額と同額の違約金の徴求など、引き続き、これまでも毅然とした態度で臨んでおるところでございますが、引き続きそういった過払い事案に対しては毅然とした態度で臨む所存でございます。
  384. 近藤正道

    近藤正道君 今回の防衛施設庁の官製談合事件をきっかけにいたしまして、私は東京防衛施設局の過去三年の入札状況を調査をしてみました。そうしましたら、一〇〇%の落札率のところが三十七件ありましたし、こういうものを含む平均九七%の高落札率、そして再入札の場合のいわゆる一位不動の原則、不動、そして一発入札の場合の落札者のみ予定内、それぞれ談合の有力な徴憑というふうに一般的に言われているものでございますが、その占める割合が非常に高いことが分かりました。  こういう事態、徴憑がたくさんある事態をどういうふうに受け止めておられるのか。おかしいとお思いになりませんでしょうか。
  385. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 御答弁申し上げます。  御答弁の前に、本日、私どもの現職の職員二人を含む三名が追起訴をされました。その点につきまして、改めて国民の皆さんにおわびを申し上げます。  それから、先生今御指摘の東京防衛施設局の過去三年間の工事、建設工事についてでございますが、若干計算の仕方もあるかもしれませんが、まず、私ども、その数字的には、過去三年間の建設工事に関しましては落札率が平均九四・三%になっております。それから、先生御指摘の一位不動の案件につきましては二百九十一件でございまして、これは全体の中でのシェアは四七・九%になっております。それからまた、これも先生御指摘の落札者のみ予定価格内の案件といったものにつきましては八十九件ございまして、全体の一四・七%を占めております。  それでなお、この点につきまして、私ども今一番最初にも申し上げましたが、防衛施設庁をめぐる談合事案につきまして、現在、検察当局の捜査が行われているわけでございますので、我々としてはこれに全面的にまず協力をすると。それで、他方におきまして、防衛庁長官の統括の下、私、防衛施設庁長官委員長といたします現在、調査委員会、これを一月三十一日に立ち上げまして、本当に懸命な事実関係の徹底的な調査に今努めているところでございます。  さらに、木村長官を長といたしまして、正にこういった事案が起こらないよう抜本的な再発防止策を今検討しているところでございまして、その検討の中におきまして、一つの節目といたしまして、先月二十四日の日でございますが、先生が今触れられた点に大変関係してくるわけでございますが、一般競争入札の拡大等の入札手続の改善、あるいは入札契約過程におきます監視・チェック機能の強化等の検討の中で、第三者から成る入札監視委員会を、これを、現在中央だけでございますが、さらに地方にも設置すると。  それで、それだけではとどまらないで、今の入札監視委員会そのものの強化をする、調査監視機能を強化するということで、実は今日まで防衛施設庁としては実施してこなかったわけでございますが、入札執行段階を始めといたします契約過程全般にわたる監視、さらには入札結果の統計分析を行う。  これは統計分析と申しますと、先生御指摘の、今おっしゃいました一位不動がどうなっているかとか、あるいは落札者のみ予定価格の中ではないかとか等々の統計分析も、これを任務に加えて行うといったことを発表したところでございまして、我々といたしまして、本当にこのような事案を起こしたことは誠に申し訳ございませんけれども、これから国民の皆さんの目線で本当に疑いのないようにしっかりと新しい再発防止策を確立して国民の皆様の信頼を回復してまいりたいと、そのように考えているところでございます。
  386. 近藤正道

    近藤正道君 まず、実態をしっかり把握していただきたいというふうに思いますが、素人の私たち、私や私のスタッフが見ただけでも、本当に談合を疑わせる非常な不自然な点が、まあ後で幾らでもサンプリングはお見せいたしますけれども、一杯ありますわ、山ほどありますよ。なぜこのことが見過ごされてきたのかと。  入札の経緯だとか落札状況を十分に注視しろと、これもそういう通知も出ているにもかかわらず、これは全く見ていないとしか思えないような、そういう入札状況が散見されるんですが、一体何を見ていたのか。そしてまた、入札監視委員会は一体機能していたのか。何を見ていたのかと思えてならないんですが、もう一度御答弁願います。
  387. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 御指摘の点でございますけれども、私ども、入札監視委員会、これにつきましては、その委員会が抽出いたしました建設工事等につきまして御審議をいただいているわけでございますけれども、結果としてこのような事態を生起しております。談合に係る監視体制が十分ではなかったということを問題と認識しておりますので、先ほども申し上げたような改善点を含めまして徹底的に分析し、このようなことがないようにしてまいりたいと思っております。
  388. 近藤正道

    近藤正道君 少し過去にこだわりますけど、落札率一〇〇%、こういう契約は二千件も実は以前あった。そこで、〇四年五月に改善を求める通知を出した、こういうことなんですが、確かに一〇〇%は減ったけれども、その後も一〇〇%に限りなく近い九九・九九九何%なんというのがたくさんある。  通知は果たして効果を上げたのかどうか、私は疑問に思えてならないし、私が調べた東京防衛施設庁の過去三年の土木建設でも一〇〇%の落札率三十七件もあった。これは一体どういうふうに皆さんは受け止めておられるのか。この一〇〇%などというのは公正な競争と言えるのかどうか、御答弁いただきます。
  389. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 私どもといたしまして、これまでの契約の実績等を十分に踏まえまして、今後こうしたことがないように、こうしたことと申しますのは、国民の皆様から本当におかしいではないかとか、そういった御指摘を受けることがないよう、全力でその契約業務の公正を期してまいりたいと、そのように考えております。
  390. 近藤正道

    近藤正道君 一〇〇%の落札率が三七%もあるということは公正な競争かどうか聞いているんですよ。どうですか。
  391. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 私どもといたしまして、現在、平成十六年度あるいは等におきまして、落札率が一がゼロ件になっているといったこと等につきましては、我々といたしまして、今後、今御指摘の点等を踏まえましてきちっと積算をしていく必要があると、そのように考えているところでございます。  それで、なお、十五年以前につきましては、予定価格の有効けた数を実は少なくしておりまして、入札価格と同一となる可能性が高うございました。で、これを、十六年度以降につきましては、有効けた数を増加さしたことによりまして、落札率一となる案件が減少しているところでございます。  いずれにいたしましても、我々といたしましては、今回の事案等を十分踏まえまして、入札契約過程におきます監視、チェック機能の強化等の対策を講じてまいりたいと、そのように考えております。
  392. 近藤正道

    近藤正道君 全国で談合が行われているわけでありますが、佐世保、岩国で米軍施設をめぐる官製談合事件が発覚しております。事件の概要を聞かしてください。
  393. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 御答弁申し上げます。  御指摘の佐世保、岩国におきます事案の概要でございますが、ちょっとお時間をいただきたいと思いますが、防衛施設庁の、私どもの河野前技術審議官、それから松田前総務部施設調査官、それから生沢前財団法人の防衛施設技術協会理事長、彼は元防衛施設庁の技術審議官でございます。この三名は、広島防衛施設局施工の岩国飛行場滑走路移設工事五件及び福岡防衛施設局施工の佐世保米軍岸壁整備工事二件の一般競争入札に関し、いずれも刑法第九十六条の三第二項違反、談合により本日起訴されたところでございます。──ちょっと待ってくださいね。ちょっとお待ちくださいませ。大変失礼いたしました。  それから、佐世保、岩国に係ります事案の起訴事実は次のとおりになっております。  上記三名は、それぞれ防衛施設庁建設部長、同庁建設企画課長及び同庁技術審議官であった当時、元同庁技術審議官及び会社の担当者らと共謀の上、次の七件に関し、公正な価格を害する目的で特定の建設共同企業体に落札させるため談合を行ったものでございます。  岩国飛行場、十五年度の滑走路移設中央地区地盤改良工事の一般競争入札。それから岩国飛行場、十五年度の滑走路移設北地区埋立て工事の一般競争入札。それから岩国飛行場、十五年度の滑走路移設北地区地盤改良工事の一般競争入札。それから岩国飛行場、十六年度の港湾施設新設土木工事の一般競争入札。さらに岩国飛行場、十六年度の滑走路移設中央地区埋立て工事の一般競争入札。それから佐世保米軍、十五年度の岸壁整備、これは第一工区でございますが、その工事の一般競争入札。それから、最後でございますが、佐世保米軍、十五年度の岸壁整備第二工区の工事の一般競争入札。  以上でございます。
  394. 近藤正道

    近藤正道君 沖縄の米軍基地は大丈夫でしょうか。談合はないと断言できますでしょうか。
  395. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 報道によりますと、沖縄の米軍基地・施設についても疑惑が生じているといった報道があることは承知をいたしておりますが、この点につきましては検察御当局の捜査にも影響を与える可能性がございますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思っております。
  396. 近藤正道

    近藤正道君 検察に丸投げしないで自ら捜査してくださいよ、実態調査を。強く申し上げておきます。  米軍基地の工事費用は、いわゆる思いやり予算から支出されております。日本の防衛という、そういう美名の下で実は思いやり予算にたかって高級官僚の保身と談合が繰り返されている、これが実態ではないでしょうか。談合の温床にもなっているこの思いやり予算は廃止すべきだと思います。防衛庁長官、いかがでしょう。
  397. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 委員御指摘のとおり、今回施設庁においてこういう談合事件が相次いだことについては極めて遺憾に思っておりますし、今後こういうことが再び起こることがないようにきちっと今再発防止策を講じているところでございます。それは入札の透明性、競争性、それから再就職等々の問題についてでございます。  もちろん、思いやり予算というのは、我が国の防衛とこの地域の安定のために日米安保条約というのは不可欠の問題であると認識をしております。この日本とアメリカの同盟関係を円滑に推進していくために必要であるというふうに思っております。
  398. 近藤正道

    近藤正道君 先ほども実態調査をやっていただきたいと、防衛施設庁の方でもやっているということでありますが、私はなかなか数が多くて大変だと思います。せめて一〇〇%の高落札率のケース、あるいは一位不動のケース、そして落札者のみ予定価格内と、こういう疑わしい案件に絞って実態調査をすべきだというふうに思いますが、いかがでしょう。
  399. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 現在、私ども調査委員会におきまして一連の事案の徹底的な事実関係を究明しているところでございます。こうした中で、我々、行政上、組織上の問題点も洗い出しまして、国民の皆さんの目線で一点の疑いもないように、本当に実効性のある再発防止策を講じ、確立してまいりたいと、そのように考えているところであります。
  400. 近藤正道

    近藤正道君 実態調査はやるんですか、やらないんですか。
  401. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 現在、調査委員会を立ち上げております。調査委員会は、正にこうした事案が起きた背景等について、本当に防衛施設庁としての自浄能力を国民の皆様に示す本当に唯一の機会だと考えております。そうした中で、我々は、国民の皆さんにきちっとした形で報告ができるように調査をし、御報告申し上げたいと、そのように考えております。
  402. 近藤正道

    近藤正道君 天下りの問題がこの背景にあるとしばしば言われております。五年間の自粛という話も出ておりますけれども、独立行政法人、公益法人等を経由した迂回の天下りも含めて私は五年間天下りをしっかりと禁止する、そういう法律をしっかり作るべきだというふうに思いますが、お考えをお尋ねします。
  403. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 御承知のとおり、いわゆる民間企業への再就職につきましては、一般公務員は国家公務員法、自衛隊員につきましては自衛隊法で規定をされておりまして、御指摘のとおり二年間の規制になっております。これを五年間なりなんなり拡大することにつきましては、職業選択の自由及び勤労の権利と公務の公正性確保の調和の観点を踏まえる必要がございますので、極めて慎重な検討が必要であるというふうに考えております。
  404. 近藤正道

    近藤正道君 実に後ろ向きな答弁だというふうに思っています。  会計検査院にお尋ねをいたしますが、会計検査院は、いわゆる防衛庁の背任事件のときに大きな衝撃を受けたと、こういうふうに報告をしているわけでありますが、今回の官製談合については全く無力だったというふうに思っています。防衛庁、防衛施設庁の入札談合に伴う不祥事に対してどういう役割を今後発揮されていくのか、会計検査院の決意をお伺いしたいと思います。
  405. 大塚宗春

    会計検査院長(大塚宗春君) まず、会計検査院が行う会計検査について御理解いただきたいと思います。  会計検査院が行う会計検査は、検査対象の会計経理について、その適正を期し、是正を図るために行うものでありまして、入札業者による談合の存在自体を究明するために行うものではないということを御理解いただきたいと思います。  その上で申し上げますと、本院の検査は、基本的に発注官庁から契約等の会計経理に関する帳簿資料の提出を受け、また、それらを基に当局から説明を聴取するなどすることにより行っておりまして、検査においては、入札契約事務は適切か、競争性は確保されているかなどの観点から実施しております。そして、検査の結果、入札契約方式の実際の運用方法について競争性の確保の点で問題ありとして指摘した場合には、検査報告に事態を詳細に記述しているところであります。  そして、防衛庁に関しましては、自衛艦の検査、修理等の指名競争入札において、すべての入札で長年にわたり契約業者以外の指名業者のすべてが入札を辞退していたという事態、航空タービン燃料の調達に係る事務手続において、当初の指名競争入札が不調となり、最終の商議で提示された価格をそのまま再予定価格として再入札を実施していて、予定価格を推定し得る結果を招いているという事態を指摘しまして、二つの事例がございます。  本院といたしましては、国の契約方法について、御承知のとおり会計法令に基づき競争契約が原則とされておりますから、可能な限り競争性が確保されることが望ましいと考えており、今回の事件を踏まえ、入札契約事務が適切に行われているか、会計法令等に照らして競争性が確保されているか、当局に改善を促す点がないかなどに留意して、引き続き厳正に検査してまいりたいと思っております。
  406. 近藤正道

    近藤正道君 最後の質問でありますが、防衛庁と防衛施設庁の発注、入札に伴う一連の不祥事が原因で本国会での防衛庁の省への昇格は断念したと、こういうふうに正式に受け止めていいかどうか、お尋ねをしたいというふうに思っています。  あわせて、防衛庁長官責任についてお伺いしたいと思います。これだけ不祥事を起こしながらだれも責任を取らない、これで果たして政治の責任が果たせるのか、こういう思いが私はしてなりません。いかがでしょうか。
  407. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) この委員会でも申し上げてまいりましたけれども、今度の施設庁の不祥事については、誠に国民の皆さん方に御批判を浴びるような事態になってざんきに堪えない次第でありまして、私としては、再びこういうことが起こることがないように施設庁を解体する中で再生を図っていきたい、そして国民の皆さん方の信頼を取り戻すことにまず全力を注ぎたいというふうに思っております。  その上で、長い間、防衛庁を省に移行するということは懸案の事項でございましたので、国民の皆さん方におかれましても、防衛庁が、例えば日本の国の防衛だけではなくて、国際的な災害派遣、あるいはまたPKO活動、さらにはイラクの復興支援活動、アフガンのテロ撲滅作戦への参加等々、国際社会の中でも高い評価を受けているわけでございますので、国際社会並みに省として移行し、きちっと位置付けた上で、今後の我が国の防衛体制、安全保障、国際的な平和協力活動に自信を持って日本の代表として国際的な社会の中で働きができるような環境づくりをしたい、そのために、この国会においても与党としてよく議論をした上で法案を出させていただくように今、この後準備をさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げる次第であります。
  408. 近藤正道

    近藤正道君 こんな状況の中で省への昇格なんというのはあり得ない、国民はとてもそんなものは納得するものではないと。そのことを強く申し上げて、私の質問を終わります。
  409. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で近藤正道君の質疑は終了いたしました。  明日は午前十一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十五分散会