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2006-03-13 第164回国会 参議院 予算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月十三日(月曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  三月十日     辞任         補欠選任      森元 恒雄君     常田 享詳君      浅尾慶一郎君     藤末 健三君      峰崎 直樹君     櫻井  充君      若林 秀樹君     森 ゆうこ君      西田 実仁君     山口那津男君  三月十三日     辞任         補欠選任      加藤 敏幸君     主濱  了君      藤末 健三君     松下 新平君      森 ゆうこ君     若林 秀樹君      紙  智子君     吉川 春子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小野 清子君     理 事                 市川 一朗君                 木村  仁君                 小泉 顕雄君                 鶴保 庸介君                 藤井 基之君                 小林 正夫君                 辻  泰弘君                 平野 達男君                 加藤 修一君     委 員                 秋元  司君                 浅野 勝人君                 岩井 國臣君                 岩永 浩美君                 大仁田 厚君                 大野つや子君                 岡田 直樹君                 岸  宏一君                 佐藤 昭郎君                 関口 昌一君                 田村耕太郎君                 伊達 忠一君                 谷川 秀善君                 常田 享詳君                 南野知惠子君                 山本 一太君                 犬塚 直史君                 小川 敏夫君                 喜納 昌吉君                 黒岩 宇洋君                 櫻井  充君                 下田 敦子君                 主濱  了君                 内藤 正光君                 藤末 健三君                 前田 武志君                 松下 新平君                 森 ゆうこ君                 山根 隆治君                 蓮   舫君                 若林 秀樹君                 澤  雄二君                 山口那津男君                 渡辺 孝男君                 大門実紀史君                 吉川 春子君                 福島みずほ君    国務大臣        総務大臣     竹中 平蔵君        法務大臣     杉浦 正健君        外務大臣     麻生 太郎君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   小坂 憲次君        厚生労働大臣   川崎 二郎君        国土交通大臣   北側 一雄君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策))  小池百合子君        国務大臣        (内閣官房長官) 安倍 晋三君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        沓掛 哲男君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融、        経済財政政策)        )        与謝野 馨君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣規制改        革))      中馬 弘毅君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣少子化        ・男女共同参画        ))       猪口 邦子君    副大臣        内閣府副大臣   嘉数 知賢君        防衛庁長官   木村 太郎君        外務大臣    金田 勝年君        財務大臣    赤羽 一嘉君        厚生労働大臣  赤松 正雄君        経済産業大臣  松 あきら君        国土交通大臣  松村 龍二君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        愛知 治郎君        法務大臣政務官  三ッ林隆志君        財務大臣政務官  野上浩太郎君        厚生労働大臣政        務官       西川 京子君        厚生労働大臣政        務官       岡田  広君        国土交通大臣政        務官       吉田 博美君    政府特別補佐人        公正取引委員会        委員長      竹島 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        村松  帝君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      和田 智明君        内閣大臣官房        審議官      中村 吉夫君        内閣産業再生        機構担当室長   広瀬 哲樹君        内閣男女共同        参画局長     名取はにわ君        公正取引委員会        事務総局経済取        引局長      伊東 章二君        公正取引委員会        事務総局審査局        長        松山 隆英君        警察庁刑事局長  縄田  修君        警察庁交通局長  矢代 隆義君        防衛庁防衛参事        官        西山 正徳君        防衛庁防衛参事        官        小島 康壽君        防衛庁防衛局長  大古 和雄君        防衛庁運用局長  山崎信之郎君        防衛庁人事教育        局長       飯原 一樹君        防衛施設庁長官  北原 巖男君        法務大臣官房長  小津 博司君        法務大臣官房審        議官       深山 卓也君        法務省刑事局長  大林  宏君        法務省矯正局長  小貫 芳信君        外務大臣官房長  塩尻孝二郎君        外務大臣官房審        議官       遠藤 善久君        外務大臣官房参        事官       梅田 邦夫君        外務大臣官房参        事官       伊藤 秀樹君        外務大臣官房参        事官       深田 博史君        外務大臣官房広        報文化交流部長  岡田 眞樹君        外務大臣官房国        際社会協力部長  神余 隆博君        外務省総合外交        政策局軍縮不拡        散・科学部長   中根  猛君        外務省北米局長  河相 周夫君        外務省中東アフ        リカ局長     吉川 元偉君        外務省経済局長  石川  薫君        外務省経済協力        局長       佐藤 重和君        財務大臣官房総        括審議官     杉本 和行君        財務省国際局長  井戸 清人君        厚生労働大臣官        房技術総括審議        官        外口  崇君        厚生労働省医政        局長       松谷有希雄君        厚生労働省労働        基準局長     青木  豊君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    中谷比呂樹君        国土交通大臣官        房長       春田  謙君        国土交通省総合        政策局長     竹歳  誠君        国土交通省道路        局長       谷口 博昭君        国土交通省住宅        局長       山本繁太郎君        国土交通省自動        車交通局長    宿利 正史君        国土交通省航空        局長       岩崎 貞二君    参考人        日本郵政公社副        総裁       高橋 俊裕君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成十八年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十八年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十八年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十八年度総予算案審査のため、本日の委員会日本郵政公社総裁高橋俊裕君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小野清子

    委員長小野清子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 小野清子

    委員長小野清子君) 平成十八年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日は、一般質疑を百四十分行うこととし、各会派への割当て時間は、自由民主党二十九分、民主党・新緑風会七十六分、公明党十九分、日本共産党十分、社会民主党・護憲連合六分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  5. 小野清子

    委員長小野清子君) 平成十八年度一般会計予算平成十八年度特別会計予算平成十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。山本一太君。
  6. 山本一太

    山本一太君 与野党のエースの皆さんが集まっておられるこの予算委員会で初めて質問に立たせていただきたいと思います。  私の最初質問外務大臣に答えていただきたいと思うんですが、今度の政府系金融機関改革の一番の目玉は、これはODA改革だったと言っても過言ではないと思うんですが、このODA改革について、もう大臣ここで何十回もおしゃべりになっているんで相当面倒くさいと思いますが、改めて今回のODA改革の中身と、この改革に対する大臣の率直な評価をお聞きしたいと思います。
  7. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) いろいろ御論議がなされたところでありますけれども政府系金融機関の中にあっていわゆるJBICと言われるものを、少なくともその内容につきましては、ODAに深くかかわります円借の部分無償等々いろいろ輸銀でやっている部分と、昔でいうOECF輸銀でやっていた部分を分離して、OECFでやっていた部分につきましてはJICA一元化した方がODA政策の下で政府が一元的にやれるのではないかという御意見が出されて、これはいろいろ経済財政諮問会議やらまたその下にできました海外経済協力に関します委員会等々で検討された結果が出されて、過日、経済財政諮問会議に上がってきたという経緯だと思っております。  内容につきましては、JICAの下にいわゆる無償、円借、技術協力というこの三つを一緒にする、それを戦略的に使うに当たっては総理大臣の下に、名前は仮称ですけれども海外経済協力に関する戦略本部みたいなものをつくって、その下に外務省でそこの企画立案をやらして、現実JICAでやるという、すとんと上から下まで一元的にできたところが最大のみそだと思っておりますので、決まったらこっちにも聞かにゃいかぬ、あっちにも聞かにゃいかぬというような話がなくなったのが一番良かった。  外務省といたしましては、それに対応して、これまで外務省自身のところでも反省しなきゃいかぬところが一杯あるのであって、これに対応すべく、外務省としても機構改革しないと対応できないのではないかということで、外務大臣の下にその対策みたいな本部みたいなものを同様につくって、今あります経済協力局等々やら国社部等々を廃止するなり組替えするなり、いろんな形して今組替えをして現実的に対応できるようにつくり替えつつあるというのが今の現実のところで、いろいろやってみた結果、こんなやり方がもっといいのではないか等々いろいろあるんだと思いますので、緒方JICA理事長理事長とも過日話をさしていただき、現実的には詰めを今開始させていただいているというところで、一元化できるようなめどが付いたというのは大変喜ばしいことだと思っております。
  8. 山本一太

    山本一太君 今回のODA改革に当たっては、最終的な取りまとめをされたのは安倍官房長官だというふうに理解をしております。党の方では、官房長官御存じのとおり、海外経済協力に関するワーキングチームというのができまして、私も自民党の外交部会長としてかなりこの会議参加をいたしました。すべての議論に出て、平場の議論最初から最後まで聞いて、発言もいたしました。  他方政府の方ではODA検討会という有識者による会議官房長官の下につくられたということで、まあこういう二つの議論の流れを見て官房長官が最終的に御判断をしていただいたというふうに理解をしておりますが、官房長官の方から見て、今度のそのODA改革に対する評価、これはどういうものでしょうか。お聞きいたしたいと思います。
  9. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 今回のこのODA改革につきましては、山本部会長にも党で積極的な御発言をいただいたというふうに思っております。党側ともまた、従来よりこのODAについて熱心に検討してきていただいております。参議院側とも協議をしながら、そうした議論も反映させ、今回の取りまとめを行ったわけでございます。  まず、検討の前提となる情勢を基本的な視点としてまとめまして、なぜ我々はこの経済協力をしていくのかということも書き込んであります。その上で、政府内体制在り方及び実施機関在り方について有益な提言が行われていると、このように思います。今まで国民の中にも税金を原資としているODAが本当に役に立っているのか、あるいは国益との観点で本当に国益にかなっているのか、そんな疑問もあったのではないか、そうした問題意識を踏まえて今回の提言になったと、このように思っておるわけでございます。  そういう意味におきましては、今まで対外経済協力関係閣僚会議というのがございまして、ここでODA議論することになっていたんですが、これは全大臣参加をするという形になっておることから、なかなか実質について詰めていく議論はできなかったのではないか、形式的な議論になっていたのではないかと、こんな反省もございました。そこで、それを、海外経済協力会議をつくり、総理のリーダーシップの下、少数の閣僚で実質的な審議を行い、戦略をまとめる機能を果たすということになっていくのではないかというふうに考えております。  また、実施機関につきましては、円借款技術協力無償資金協力連携を更に強化するため、これは山本部会長も従来から御主張しておられましたが、実施機関を統合し国際協力機構が一元的に実施していくことになりました。これによりまして、それぞれの国の発展状況に応じて切れ目のない援助シームレス援助が可能になったのではないか、こんなように思います。さらに、国際協力銀行国際金融等部門については、簡素で効率的な政府観点から、新設政策金融機関に統合すると、こういうことになっているわけでございまして、言わば簡素で効率的な政府をつくっていくという観点からも、また先ほど申し上げましたJICA技協無償も有償も一元化することによってシームレス援助が行うことができると、そして、さらには戦略的に、あるいは国際的な世界の理想を追求していく上で有益なこのODAにしていくための正に深い議論ができる司令塔もできたのではないかと、このように評価をしているところであります。
  10. 山本一太

    山本一太君 今回のODA改革議論をめぐっては、とにかくODAにかかわっている官庁も多いですからいろいろと、名前は言えませんけれども、各省の省益争いみたいなものも水面下でありましたし、官房長官、相当苦労されたんじゃないか。いろんなところからいろんな人がいろんなことを言ってきて、もう辟易としたんじゃないかと思いますが、私は最後に非常に正しい判断をしていただいたと思っています。  私はJICAスタッフとして、あるいは国連機関スタッフとしてずっとこのODAの問題にかかわってきましたけれども、やはりどこの省庁の権益がどれだけ増えたか減ったかというのは全く私は興味がないということで、つまり日本全体として効率的なODAを実施するためにどういう体制にするのがいいかという観点でずっと考えてまいりましたので、もちろん今度の改革は完璧ではありません。これからもっともっとこれを踏まえてODA改革していかなければいけないと思いますが、現段階では間違いなくいい方向に一歩を踏み出していただいたということで、その官房長官の英断に私は感謝を申し上げたいと思います。  さて、もうちょっと細かい議論に行きたいと思うんですが、先ほど外務大臣の方から、今度の改革目玉シームレス化だと、つまり技協とそれから無償とそれから円借款、ちょっと一本化というと余り正確ではないんですけれども、これをまとめて援助ツールを一本化をしたと、こういうことに非常に意味があるというお話があったんですが、この援助ツールをまとめたことの意義といいますか、そのメリットについて外務大臣に改めてお聞きをしたいと思います。
  11. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) まず最初に、援助ツールを一本化してというのは、現場で上がってきた話が外務省まで上がってくるのが、あっち行ったりこっち行ったりこうしないですうっと上がれるようになったところが一番、時間が物すごく短縮になりますんで、それから説明する側も手間が掛からなくなるのが一つです。  それから、傍ら、政府としては全体として今回ODA戦略的に等々ということを考えたときに、政府で考えているときと現場で考えているときと話は違うことは間々ある話でもありますので、そこらのところはきちんと外務省のところでちゃんと調整をして、いや、これはちょっと待ってくださいと、これ丸々このODAはそれはいいですけれども日本と今全く全然別のことでもめていますからとか、いろんな話は実は一杯あるんで、こっちとしてみれば、一生懸命やっている真っ最中に金はこっちからどんどん行っているなんというんじゃ、ちょっとそれは違うんじゃないかという御批判もあるというところだと思いますんで、私どもとしては、きれいにシームレスになったという表現を使われましたけれども、私どもとしてはそういったところがすとんと話が通りやすくなったというのが一番の、私どもとしては今回の効率性からいきますと、そこが良かったと思っております。
  12. 山本一太

    山本一太君 まあ、今回のODA改革JBIC円借款部分部門国際金融部分が分離をされて、円借款部分、これはまあ援助機能ですから、こちらの援助機能の方はJICAと統合されるという、まあスムーズな形になったわけなんですが、他方JBICが持っていた国際金融部門、これについては新しい政策金融機関の方に入っていくわけなんですけれども、いろいろ方向性はある程度打ち出されましたけれども詳細設計はまだまだだと思うんですね。  これについて、谷垣大臣の方から、このJBICのいわゆる国際金融部門が新しいその政策金融機関の中でどういう位置付けであるべきか、この点についてお話を伺いたいと思います。
  13. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 国際金融業務につきましては、JBICの今までの機能を分割して新しい政策金融機関の中に統合していくわけですけれども、詳細の設計は今、山本さんおっしゃったとおりなんですね。  それで、今度の報告書海外経済協力に関する検討会報告書を見ますと、指摘されておりますことは、海外資源、エネルギーの確保、それから我が国の国際競争力確保といった重要課題の遂行を始め、アジア通貨危機のような国際通貨危機への対応やその未然防止のために民間金融機関が果たすことのできない重要な役割を果たしていたとされておりまして、この機能は今後とも維持されるべきであると、こういうふうに指摘されているわけですね。私、全くそこはそのとおりだと思います。  そして、今後のその実施機関の再編によっても、従来JBICというのは、それなり統合しましてからブランドイメージをつくって国際的にも認知されてきましたので、その一体であったことによって得られる連携機能、その利点を損なうことなく引き続き生かすということが重要だという指摘がされております。  それで、具体的に申しますと、今申し上げたJBICブランドをこれからもうまく活用できないかと、それから新政策金融機関国際部門の一定の組織的独立性であるとか、それから国際部門の長の対外的位置付けを含めたJBICの現在のステータスを活用できるような体制とか、それから連絡協議会設置等円借款部門との有機的な連携の維持等々に配慮して制度設計検討すべきというふうにまとめられておりまして、これをきちっと踏まえて制度設計をしていくということではないかと思っております。
  14. 山本一太

    山本一太君 今、財務大臣がおっしゃったJBICというその組織ブランドの生かし方とか、あるいはそのJBIC国際金融部門がどういうふうに独立性をこの新しい機関の中で担保していくか等々については実は山ほど申し上げたいことがあるんですが、ちょっと時間がないのでそこまでは踏み込みませんが、御存じのとおり、党の海外経済協力に関するプロジェクトチームも存続が決まりましたので、我々のサイドもきちっとこの詳細設計の経過を見守っていきたいと思いますし、何かあればどんどんどんどんこちらからも意見を発信をしていきたいと、こんなふうに考えております。  さて、もう一度外務大臣に御答弁をいただきたいと思うんですが、今回のODA改革の中で何度も出てきたキーワードなんですが、外交一元化、この外交一元化というものについて麻生外務大臣がどうとらえておられるか、御見解を伺いたいと思います。
  15. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) このODAに関係して言わしていただければ、ODAというのは日本外交ツール、道具としては非常に大きな要素を占めているものだと思っております。したがって、このODAというものをいかに有効に使うかというのを、外交をつかさどります外務省としては、これがきちんと一元化されているというのは極めて有効なことなんであって、対立しております二つの国、片っ方こっちといってやっておりますときに、全然別の役所はこっち、反対側というんでは、外から見ましたら非常な奇異な感じを受けますんで、その意味では、日本としてはもう明確なメッセージが伝わるという意味においては一元化というのは極めて大事なところ。  中でも、ODAというのは非常に大きな要素だと思っておりますんで、今度、総理の下にきちんとした戦略会議みたいなものができ上がる、名前がちょっとまだはっきりしておりませんけど、経済協力本部みたいなものがきちんとでき上がるというのは、外交一元化の上からも非常に望ましいことだと思っております。
  16. 山本一太

    山本一太君 今、麻生外務大臣がおっしゃった外交一元化、これはやはり外交を担う外務省がきちっとやらなきゃいけないということは全く私も同感なんです。特にODAは各省庁にまたがって実施をされてきたということで、極めてこの縦割り行政というものが非常に効果的なODA戦略の立案に妨げになってきたという問題意識をずっと持っておりました。  今回のODA改革で、私、自民党部会長として海外経済協力に関するプロジェクトチーム参加をして、私自身の二つの目標設定をしました。一つは、六年前に山本私案というものを当時の太田行革本部長のところに持っていって、JBICという組織は絶対つくっちゃいけないと何度も申し上げました。間違っていると。援助機能国際金融機能というものは離さなきゃいけないとお話をしたら、太田本部長が、じゃ山本私案を持ってこいというふうに、持っていったんですが、山本私案は全く相手にもされず、JBICが生まれてしまった。  今回、JBIC円借款部門国際金融部門を分離するに当たって一番大事なことは、とにかくまず円借款を切り出して、これはJICAの方にきちんとくっ付けるということ。それから、今大臣がおっしゃった、官邸につくる、内閣府につくるこの、何と呼ぶのかよく分かりません、海外経済協力閣僚会議か何か分かりませんが、これにきちっとある程度外交一元化というものを持ってくるということで、ある意味でいうと、私が心の中で描いていた形はある程度実現をされたと思っています。  そこで、大臣に御質問したいのは、今回のいろんなODA議論をやっていく中で、本来であれば外交一元化ということを大上段に掲げてやりたかった。できませんでした。なぜなら、外務省が極めて評判が悪いからです。霞が関の中で、例えば財務省とか経済産業省とかほかの省庁に反外務省DNAがあるのはこれは理解できます。これはもちろん外務省の中でいろんな省益争いをしながら政治をつくってきたのが日本のこの政治の現状ですから。ところが、一般の国民の方々の間でやっぱり外務省のイメージは、大臣、回復していません。私が地元に帰って外交一元化の話をすると、多くの人がそんなに外務省にやらせて大丈夫なのかと、こういうふうに言うんです。  私もずっと外交畑で政治活動をやってきて、外交防衛委員長をやらせていただいたり、外務政務次官やったり、今外交部会長ですが、まじめな外交官、外務官僚多いと思います。本当に使命感を持ってやっている人もいれば、例えば奥さんのように、イラクで亡くなられた、命懸けで仕事をしている外交官もいる。しかしながら、外務省全体としてのイメージは大きくこれは傷付いていまして、なかなか回復できない。  この点について、大臣がどういう問題意識を持って、もし外務省のイメージが回復されないという認識をお持ちであればどういう対策を取っていくおつもりなのか、これについてお伺いしたいと思います。
  17. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 報償費の話にさかのぼって以後、極めて多々問題がこの役所に提起されてきたことは確かだと思いますね。その後、田中眞紀子先生のときもいろいろありましたし、その後、鈴木宗男議員の話も出ましたし、これまで約七年間、六年間ぐらいにわたっていろいろな問題が外務省に起きたというのが、今言われるようなイメージをつくり上げている一つの大きな要素だと私も思っておりますし、私も反対、それをまた否定するものではありません。  で、まず最初に、ちょっと二つ言われましたんで、最初の円借の話と国際金融の話と、まあそっちから先にやらしていただきますが、私も、七年前だか六年前のときに、少なくともこの円借という話は十年据置き、二十五年返済というような種類の話ですから、これが金融かと。金融は普通五年か長くて十年じゃないかと、それを三十五年なんという、こっちは死んでいるかも、先の話のような、ちょっとこれが果たして同じようなところでやるのはいかがなものかというのが、当時OECFと一緒に、合併するのに断固反対というのを私が申し上げたときなんですが、山本先生と同じように、当時力不足で全然できませんでしたんで、なったら、今度はなったら分けるという内容を見てみますと、いわゆる円借というのは、御存じのように、借りる相手はほとんど相手国です。傍ら、国際金融の方は、約一兆一千億ぐらいのうち借りているほとんどは日本ですから、で、相手国は約一千億ぐらいですから、十対一ぐらいの比率ですんで、もう内容が全く違っておりますんで、そういった意味では、今回このように分ける方向になったのは結果として正しいと、私どももそう思って、元々こう似たような仕事だから、海外だからというんで一緒にしちゃったのがそもそもだったんではないかと、私どももそう思っています。  そこで、二番目の今問題に入らしていただきますけれども、今の点に関して言わしていただければ、基本的には、外務省としてこの六、七年間、何か萎縮していたと思いますね。有能な方であっても、何となくちょっと、物言えば唇寒しみたいなところがあったと思いますんで、やっぱりこれは、お国をしょって海外で仕事をしていく人たちにとって、萎縮している状態は国益を甚だ損ないますので、断固胸張って仕事ができるようなことをせにゃいかぬということは、就任以来、この四か月間ずっと言い続けていたところだと思っておりますんで、いろんな意味で、今の世の中というのは、冷戦時代と違って何となく従来とは違った問題が多発しておりますんで、そういった問題に合わせて、海外に行かされる方も、少なくとも安心して、道路を歩いているといきなり地雷鳴ったり爆弾テロになったりするというところに行かされる人たちの立場に立てば、私どもとしては当然のこと、その人たちにやっぱり感謝と敬意は払うべき、払われてしかるべきものなんだと、私はそう思っております。  したがいまして、そういった人たちに対してしかるべき手当が出されるのも当然だろうし、いろんな形で、行かされる国々によって対応が違って当たり前なんじゃないのかということも申し上げてきておりますんで、今、これまで長いことありました状況と違って、アフリカ諸国に非常にやってみたり、今までずうっとアジアに行ったように、今度はアフリカのODAを倍増する、いろんな形で今流れができてきておりますんで、私どもそれに合わせて、アジアが猛烈に大きくなっておりますんで、アジアの中に人材を充てないと、従来どおり同じような人数でやると、これ国の数も違いますし、人口も違いますし、内容も違うんだから人数の比率を変えて当たり前だろうがという話で、今大分動かしたりいろいろいたしてきておりますけれども、私どもとしては、もう少し外務省が自信を取り戻して、こういった形で、ODAというのが一つのツールツールって、道具にすぎませんけれども、こういった道具を一つの糧として、私どもとしてはまずこれ意識がきちんとしないと、幾ら組織作ったって魂入れなきゃ話にならぬということなんだと理解をいたして、その方向で進めております。
  18. 山本一太

    山本一太君 今の外務省に対する私の認識について、官房長官、簡単で結構ですから、御感想があればいただきたいと思います。
  19. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) まあ、なかなか難しいのは、我々国会議員として行政にかかわっているお役人の人たちとどう対応していくかということなんですが、これはやはり、この緊張関係を持ちながら、議院内閣制の下においては協力関係をしっかりと、信頼関係も構築しながら仕事を進めていくということなんだろうと思うんですが、とかく役人をたたくと世間の評判は良くなるということの中で、必要以上に、いわゆる行政が、またお役人がやっていることに問題があればそれをしっかりと指摘をしていくことも大切なんですが、必要以上に、又は自分の人気取りのためにたたいていくということは我々も厳に慎まなければならないと、このように思います。確かにいろんな問題、外務省であったんですが、しかし必要以上にたたかれてきたかなと、こんな印象もあります。  外交というのは正に日本の安全保障にとっても日本国益にとっても大変な仕事であり、それを担っているわけでありますから、やはり誇りを持って、責任感を持って省員が当たれるような、そういう環境を我々も整備していくように考えなければならないのではないかと、また外務省の職員もしっかりと自信を持っていただくと同時に責任感を持って勤めていっていただきたいと、このように思います。
  20. 山本一太

    山本一太君 ありがとうございました。  外務省組織改革ももちろん進めていただくと同時に、外務省員の、外務官僚の意識改革にもきちんと着手をしていただいて、外務官僚が余り萎縮をしないように是非大臣官房長官に叱咤激励をしていただきたいと思っております。  さて、ODA議論はこれぐらいにして次の質問に移りたいと思いますが、先日、韓国最大野党、ハンナラ党の朴槿恵党首が来日をされました。東京滞在中に総理にも会われたし、また外務大臣にも官房長官にも会われたと思いますが、まず外務大臣の方から、その朴槿恵党首に会われて何を話されたのか、簡単で結構です、それと朴槿恵党首に対する印象、この二つについて御見解を伺いたいと思います。
  21. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 私ども、長いこと自民党の場合はハンナラ党との付き合いの方がかなり長かったんだと思いますし、私の存じ上げている韓国の議員の方も総じてハンナラ党の方、まあウリ党、当時余り数がありませんでしたんで、ハンナラ党の方の方が多かったんで、付き合いもそっちの方が必然的に多くなっておると思います。  その前提で、朴槿恵という方が今回、あれは朴正熙の娘さんですかね、この人が今回ハンナラ党の党首になられて、お見えになったんですが、私ども、いろんな話に関しまして結構造詣が深かったし、私どもと話をして、まあ民主主義とか法治主義とか、何でしょうね、市場経済とか、いろんなことに関しては共通の価値観を有しております。加えて、何となく北との間の関係というのは、私どもと同じように、何となく危ないなという私どもは意識があるんですけれども、そこらのところに関しては意識をきちんとしておられるのかなという感じがいたしましたんで、私どもとして、話をしておるときには、波長が合う、何というんですかね、ハーモナイズ、合うという感じが正直いたしましたんで、言ってこられる話の内容もきちんとしておられましたんで、私どもとしては友好的な話ができたと思っておりますんで、どんな感じを持ったかといえば、話ができる相手かなという感じを持ちました。
  22. 山本一太

    山本一太君 麻生大臣おっしゃったように、朴槿恵党首は、朴正熙大統領のお嬢さんというか娘さんで、韓国ではなかなかカリスマ的な人気のある方で、当然、次の大統領選挙の有力な候補者の一人ということです。  ただ、韓国政界は、大臣御存じのとおり、とにかく変化が激しいですから、朴槿恵党首にも、最大野党のハンナラ党で、まあもうすぐ辞めるんですが、ソウル市長の李明博さんという伝説的なビジネスマンが出てきそうだったり、あるいはウリ党の方でも鄭東泳さんという前の統一相が辞めて今議長になった、鄭東泳のライバルで社会福祉大臣をやっておられた方もおられたり、あるいは高建前首相もかなり人気があったりして、相当朴槿恵さんも苦労されているようなんですが、彼女が次の韓国のリーダー候補の一人であることは、これは間違いないというふうに私も思っております。  そこで、官房長官、お聞きしたいんですが、官房長官が朴槿恵代表一行を招かれて夕食会を催されたと。そのときは私も一緒に同席をさせていただきました。官房長官の右隣に座らせていただいて、まあこれは一生こういうことはないだろうなと思いながら会談に臨んだわけなんですが、そのときに官房長官が朴槿恵党首といろんな話をされました。歴史認識の問題から参政権の問題からあるいは日韓の共通の格差の問題とか経済の問題とか、いろんなことを話されたんですが、朴槿恵党首と会ってお話をされて、これから日韓関係をどういうふうに進めていったらいいのかということを感じられたのか、簡潔で結構ですから御答弁いただきたいと思います。
  23. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 朴槿恵代表は、先ほど外務大臣が答弁されましたように、朴正熙大統領のお嬢さんで、朴正熙大統領と私の祖父、父、大変親しかったものでありますから、従来より大変親しみを感じておりまして、今回二回目の会談になったわけでありますが、率直な話ができたんではないかなと思います。  歴史認識の問題、また永住外国人の地方参政権の問題についても、意見の違いもありました、認識の違いもあったんですが、そういうことを率直にお互いが話ができるということがとっても私は大切なのではないかと、このように思うわけであります。  それぞれの国はそれぞれの歴史を紡いできたわけであって、当然認識が一致しない点もある。しかし、お互いがその違いもやはり尊重することも大切ではないかと、このように私は考えているわけでありますが、朴代表とは、両国は自由と民主主義、そして基本的人権を守り、法律の支配を認めている、尊重している、こういう基盤が同じであると、共通の価値観を持っているということを大切にしていこうということで一致をいたしました。そして、現在行われている経済交流あるいは文化交流、こうした流れはもっともっと大きなものとなっていくと、こうした土台を揺るぎないものにしていくことによって両国間の関係を安定化させることができるということで意見が一致をしたわけであります。  また、北朝鮮の核問題、拉致問題については、両国がしっかりと協力をしていくことが重要であるということについても認識を一つにしました。そして、さらには、先ほどの話と関連があるわけでありますが、いろんな問題があっても、やはり首脳間、政治家同士が会って話をするということはとても大切なことであって、それを閉ざしてはいけないということにおいても意見が一致したのではないかと、このように思っております。
  24. 山本一太

    山本一太君 私は、安倍官房長官と朴槿恵党首のこの夕食会に同席をさせていただいて、近い将来日韓首脳会談になればいいなと思いながらいろいろと話を拝聴させていただきました。私は、余り口数が少ない方ではないので、ふだんはよくそういう会合でしゃべるんですが、安倍官房長官と朴槿恵党首にできるだけ長くお話をしていただきたいと思ったので、ほとんど最後まで無口だったという非常に珍しい状況だったんですが、一度だけ手を挙げて、安倍長官の御了解をいただいて朴槿恵党首にお話をさせていただきました。予算委員会、片道ということでもう余り時間がありませんが、大事なところなんで私の方からそのときのことをもう一度官房長官に思い出していただきたいと思います。  朴槿恵党首にこう申し上げました。安倍官房長官はどちらかというと非常に強硬派のイメージがあると、そうではないという話をいたしました。朴槿恵党首には、私が個人的に考えると、日本の政界には大きく言って外交政策において三つの学派があるという話をいたしました。朴槿恵党首が非常に熱心に耳を傾けておりましたし、韓国の人たちがメモまで取っているんで非常に今心配しているんですが、このように申し上げました。一つは原理主義的強硬派だと、二つ目は情緒的融和派だと、そして三つ目のスクール・オブ・ソーツ、学派は、これは現実主義的戦略派だと、こういう話を朴党首にいたしました。そして、安倍長官はこの三番目の学派に属しているんだというお話をさせていただいたんですね。  私は、この対中政策でもそうなんですけれども、伝統的親中派、それから情緒的強硬派、そして対中戦略派という三つのスクール・オブ・ソーツがあって、やはり私は中国に対しても、外交一般についてですけれども戦略的なアプローチが必要だと思っています。そして、このいわゆる戦略的に物を考える人たちの学派を何と呼んだらいいかということを考えて、わざわざパネルまで作ってきました。(資料提示)これを朴党首に説明したんですが、あえてニューリアリストと呼びたいと、ニューリアリスト、こういう話をしたんですけども、このニューリアリストの旗手と呼ばれることについて官房長官は違和感はあるでしょうか。
  25. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 私の場合、私の不徳の致すところで、よく強硬派というふうに言われているわけでありますが、大切なことは、やはり日韓にしても日中にしても友好関係を維持をしていくことは我が国の国益にかなうわけでありまして、経済上もまた安全保障上もそれぞれの両国関係が極めて重要であると、このように思うわけであります。  しかし、それと同時に、やはりこの友好関係を維持をしていくということは国益を実現をするというためのものであって、国益を追求していく中においては時には議論をしなければいけないわけでありますし、また戦略的なアプローチもとっても大切になっていくというふうに考えております。  まあ、私自身に対する評価は自分ですることではなくて、どう評価をしていただくかということではないかというふうに思うわけでありますが、私は基本的には政治家はプラグマティックにやはりリアリストでなければならないというふうに考えております。
  26. 山本一太

    山本一太君 私は、ニューリアリストと呼ばれる政治家は与野党にいると思っておりまして、簡単にこのニューリアリストと呼ばれるための条件を考えてきたんですね。(資料提示)  一つは、現実的、戦略的なマインドがあること。国際政治の変化というものに背を向けない、国際政治の新しい変化というものをきちっと踏まえた上で外交政策を立案するというマインドがあるかどうか。  二つ目は、これは北朝鮮政策などでも言えることですが、対話と圧力のアプローチというものをきちっと分かっているかどうか、これがニューリアリストの条件だと思っています。  三つ目は、まあ脱外務省と書きましたが、当然その公式チャンネルは使わなければいけませんけれども、いわゆる、例えば外務省のプロチャイナスクールの考え方の呪縛にとらわれてない。やはり政治主導で外交をつくっていく。外務省が持っている世界観とかアメリカ観とか中国観とか韓国観にとらわれない発想ができる人をニューリアリストと呼ぶんじゃないかと思っています。  そして、四番目は、これは多様な情報ソースというふうに書きましたけれども、やはり公式ルートの、もちろんいい外交官もまじめな外務官僚もおりますけれども、公式ルートの情報だけではなくて、例えばNPOから始まって様々な情報ソースから情報を集めて、それでそれを踏まえて政治決断をする、政策決定ができる、これをニューリアリストと呼ぶんではないかと思っております。  今これは質問かというような御批判もいただいたんですが、是非、日本外交官房長官が外に説明されるときには、これはニューリアリスト的アプローチなんだということを十二分に私はPRをしていただければと思っております。  さて、そのニューリアリストの安倍官房長官、もうお時間がということなんで、長官がいるうちにちょっと一つお聞きをしたいと思います。ここで中国についての御質問をしようと思ったんですが、北朝鮮問題についてお話をさせていただきたいと思います。時間の関係で、四十五分までなんで、済みません。  ここでちょっと官房長官に先に御質問をさせていただきたいと思うんですが、ニューリアリスト的アプローチからいけばこれはもう北朝鮮に対しては対話と圧力で臨むべきだというのが、これも政府の一応方針になっていると思っております。まあ先般の日朝協議でもほとんど見るべき成果がなかったということで、我々議会の方でも、今この北朝鮮人権法案、正確に言うと北朝鮮人権侵害問題対処法というのを議論をしております。(資料提示)私が座長を務める自民党の拉致対策本部の対北朝鮮経済制裁シミュレーションチームで原案をまとめて、先般、拉致対策本部で御了解をいただきました。恐らく、今週か来週か分かりませんが、合同部会等々にかかると思います。  この北朝鮮人権法案は、まあ民主党の方でも、こうした人権法案についてかなり理解を示して、こうした圧力のカードを作ろうとしてきた方々もおられるわけなんですけども、今回は前回の人権法案に比べると拉致問題に焦点を絞っている、そしてメッセージ法的性格がある、さらには政府の対応措置、ぎりぎりのところで政府に対して人権侵害に改善が見られない場合にはあらゆる手段を使うという条項が入っているという等々の特徴があるんですけども、こうした議会のアプローチについて、もちろん議会と政府は違いますが、どのように官房長官がとらえられているかということをお聞きをしたいと思います。
  27. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) ただいま委員が御指摘になったように、北朝鮮との現在交渉を続けているわけでありますが、基本的な姿勢としては対話と圧力によって問題を解決をしていこうと、このように考えております。  そして、その圧力は何かといえば、最終的には経済制裁であろうと、こう考えているわけでありますが、かつてはこの経済制裁は我が国独自ではできなかったわけでありますが、山本委員を始め有志の方々の議員立法によってそのツールを我々は得たわけでありまして、このツールを持ったということはそれ自体が大きな圧力であったと、こう私は認識をしております。そのツールを背景に総理は昨年訪朝され、五人の被害者の方々の八人の御家族を取り戻すことに私はつながったんだろうと、こう考えております。  そこで、北朝鮮人権侵害問題、その対処法ですか、を今自民党のチームで、シミュレーションチームで御検討しておられるということでございます。もちろん、これは議員立法ということでございますから院の方でしっかりと御検討いただきたいと、このように思うわけでありますが、しかし、そういうツールを与えていただくということについては、我々交渉する者にとっては大変有意義ではないかと、こう考えております。
  28. 山本一太

    山本一太君 是非、政府の方も、この北朝鮮人権侵害対処法案の動きに、きちっとこれをフォローしていただいて、まあ政府と議会というのは異なるメッセージを出すということで複合的な外交ができるという側面もありますので、関心を是非払っていただきたいと思っております。  そこで、麻生外務大臣に同じ御質問をしたいと思うんですが、私が先ほど提示をしたニューリアリスト的アプローチ、戦略的アプローチについてどうお考えになるか。そして、それに関連して、この今なかなか膠着状態から抜けることのできない対北朝鮮外交について、外務省として、外務大臣としてどのようなアプローチを取っていくべきだとお考えになるか、それをお聞きしたいと思います。
  29. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ちょっとそのニューリアリスト、ちょっと全然、全然見てないんで、ちょっともう一回。  現実的、戦略的、対話と圧力、脱外務省の発想、多様な情報量。別に、外務省の役人以外の方、いろんな方々で外務省の発想以外の型を持っておられる方が一杯いらっしゃいますし、多様な情報ソースというのは当然でしょうし、特にニューでもないような感じで、リアリストというのはこういうものなんじゃないかと、私には、そう思っておりますんで、特にそれに関しては感想はございません。  次に、何でしたっけ、北朝鮮の人権法案の話が今出ていましたけれども、これは私どもとして頭に入れておかないかぬのは、このやっぱり四年間の間に日朝貿易というのは二分の一に減っております。それから、韓国と北朝鮮の間は一・五倍に増えている。中国が二倍ぐらいに増えていると思うんですね、貿易関係が。  したがって、その点からいきますと、経済効果というのは、ばん、どんとやったからといって従来と同じような、四年前と同じような効果があるかといえば、今言ったような比率からいけば下がるというのは当然のことだと思って、まずそこを頭に入れておかないとリアリストになりませんので、そこのところは入れておいた上で基本的には対話と圧力。対話がなきゃ話ができませんけれども、圧力なしで話が進むなんということはないです、この国は。  そういった意味では、きちんとした圧力というものをどういった形で、圧力が目的じゃありませんから、こっちなりにというのが、対応させるようにこっちなりにいい条件を引き出すための圧力なんだと思いますんで、どのような形が最もリアリスティックかという話は、現実的かというのは改めて考えねばいかぬ大事なところだと思います。
  30. 山本一太

    山本一太君 今、麻生大臣の方から、特にニューではないという御感想をいただきました。  これ、ニューリアリストという言葉は、そのまま訳して別に新現実主義者ではなくて、戦略派ということを示すのになかなかいい言葉が見付からなくてこのニューリアリストという言葉に行き着いたんですが、大臣は新しいコンセプトではないというふうにおっしゃいますけれども、私はこういうことすらやはり戦後の日本外交はなかなかできなかったんだと思うんですね。  例えば、今大臣は、北朝鮮に対して対話と圧力で臨むのは当然だというふうにおっしゃいましたけれども、大体この圧力という言葉がいわゆる政府の中から出てきたのは極めて新しいです。私の記憶が正しければ、クロフォードで行われた小泉総理とブッシュ大統領との会談の後に、日米が北朝鮮に対しては今後対話と圧力のアプローチでいくと、これが新聞に出たのが初めてであって、もし私の記憶が間違いなければですね、そのとき、首脳会談には当時官房副長官だった安倍官房長官も行かれていたと思うんですけれども最初はこの圧力という言葉さえ共同記者会見で発表しない方がいいんじゃないかと、こういう意見まで日本側にあったと。で、ようやく、議論した末にこの対話と圧力という至極当然な話が外に出たと、こういうことだと思っております。ですから、大臣は新しくないと言いますが、こういう、その圧力カードを使うという発想すらなかったと。こういうことについては、やはり私たちは改めてこの日本外交戦略在り方というものを見直していかなければいけないんではないかというふうに思っております。  もう時間ですので、最後の、もし大臣、何か今のことでお話が──いいですか。  もう時間があと一分しかありませんので、最後質問をさせていただきたいと思いますが、対中関係、日中関係についてなかなか難しい状況になっていると思います。まあ今、日中の、貿易も含めた日中の相互依存というのはますます進んでおりますけれども、靖国問題等々でなかなか難しい状況になっておりますが、この中国に対して基本的にどういう戦略を取っていくかということについて外務大臣最後にお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  31. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、何でしたっけ、政冷経熱でしたっけ、政冷経熱とか政冷経涼、涼しいとか、いろいろ表現があっておるとは思いますけれども、私どもは基本的には日中関係というのは、これはもう隣の国でもありますし、今までと違って、アジアの中で日本だけ経済力が群を抜いていたという感じでしたけれども、今はそのような形ではなくて、少なくとも中国のGDPが一兆ドルぐらいでしょうか。したがって、日本の約四兆数千億ドルと約一対四ぐらいのところまで来ているんだと思いますので、少なくともいろんな意味で話ができる経済力を持った国としてなってきているというのは、これは誠に歓迎すべきことなんであって、物を作ったりまた売ったり、いろんな意味での関係もあると思いますので、私どもとしては、地理的な関係もちろんのこと、経済的な関係から見ましても大変重要、大事な国として考えておくべきは当然だと思っております。  今、相互、双方でトップ同士の話が合わないからということで面会ができないというふうな状態になっているというところは、こちらの方の方がなかなか普通じゃないんであって、いろいろな御批判は世界じゅうから、まあ百九十一か国もありますといろいろありますけれども、基本的には私どもとしては、そういった国の中にあって一つの問題をとらえて両国の首脳会談ができないという国はほかにありませんので、そういった意味ではこの問題に関しまして今後とも、経済の面からいきましても双方とも重要な国だということは認識を、向こうのいろいろお話を、最近出ました話を見ましても、利益をますます拡大していくといういろんな御意見も出ておりますが、向こうからも出されておりますので、私どもとしては、これまでの二〇〇一年からこの間の日中貿易の伸びというのを見ましても、とにかくほかの国の伸びとはけたが違って大きい形になっておりますし、中国の中におけるシェアも間違いなく増えてきておりますので、そういった意味におきましては、投資関係の意味からも、私どもは、中国への外国投資が減っている中で日本からの投資は一九・八%伸びておる等々いろんな数字がここにもあるとおり、現実問題としては確実に伸びてきているという現状でもありますので、粘り強くこの種、話は進めていかねばならぬと思っております。
  32. 山本一太

    山本一太君 ありがとうございました。終わります。
  33. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。大仁田厚君。
  34. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 おはようございます。自民党の大仁田厚です。  まあ、最近よく考えるんですけど、この国はどうなっていくのかなってよく考えるんですけれども。僕の好きな時代が幕末でして、やっぱりあの時代、多くの英雄を生み、またすごいエネルギーが日本じゅうを充満した時代だと、こう私は思っています。あの時代、身分を問わなかったと思うんです。新しいエネルギーが、何かが自由を求めたり、いろんなした時代だと思うんですけど、それによって新しい時代の幕開けが来たと思うんですけれども、ちょっと時代が似通っているかなという部分なんですけれども。  まあ、明治維新政府は、試行錯誤しながらも明治五年に義務教育制度を確立されて、それから、まあこの義務教育制度とは日本におけるやっぱり財産だと思っております。そんな中で、今この国が発展があるのも義務教育制度があったことだと私は思っております。  そこでお聞きしますが、義務教育国庫負担金制度についてどのような認識を持っておられるか、それぞれのお立場で、谷垣大臣、竹中大臣、小坂大臣にお聞きします。
  35. 小野清子

    委員長小野清子君) では、谷垣財務大臣から。
  36. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、明治の時代から説き起こしになられましたけれども、明治五年に学制ができまして、家に不学の人なく、村に不学の戸なからしめようと、すばらしいことだったと私は思っております。今後、国際競争が一層激しくなることが見込まれておりますので、魅力ある日本をつくっていくために、やはり教育に力を入れていく、人づくりに力を入れていくというのは当然なことだろうと思います。  その中で、今、義務教育国庫負担制度をどう位置付けるかというお問い掛けでしたけれども、これは、子供への教育というのは個人の人格形成の上でも、それから自由とか民主とか平和とか経済発展といった我が国の基底を成す価値をつくっていくと、涵養していくという上でも私は極めて必須のものだと思っておりますので、国が責任を持って制度設計やあるいは基盤整備を行う必要があるのではないかと思っております。  憲法二十六条が義務教育制度を定めて、すべての国民がこれをひとしく享受できるようという、その無償制を規定しているというのは背景にそういうことがあると思いますし、その無償制を担保するために、義務教育費国庫負担法によって義務教育に要する費用の一部を国が負担することとされてきたわけであります。  これがどのぐらいをカバーするかという議論はいろいろあると思いますが、平成十八年度、累次の変遷を遂げてきましたけれども平成十八年度から負担を二分の一から三分の一に変更するということを国会で御審議いただいている状況でございますが、その根底を成す考え方、つまり国が義務教育の無償制を保障して国民がひとしくこれを享受し得るよう図っていくという点については、今後とも堅持していかなくてはならない点だと思っております。
  37. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 今大枠もう財務大臣お話しくださいましたけれども、私自身も和歌山の地方都市の出身で普通の公立の小学校でございます。その小学校というのは、正に明治五年に教育令でできた学校で、改めまして、地方出身の私のような立場の者が本当にしっかりとした教育を受けさせてもらえたということに私自身も感謝をしております。  その中での国庫負担金でございますけれども、これやはり、義務教育の根幹を維持する上で重要な役割を果たしてきたことは間違いないと思います。一方で、昨今の議論としては、地方の自由度の拡大、その地方分権を進めるという観点からどのようにかかわっていくかという議論があることも承知をしております。  いずれにしても、全国的な教育水準、機会均等の維持等、その根幹をその義務教育制度が成しているわけでございますので、総務大臣としては、その際のその財源をどのようにしっかりと確保していくかということが重要であると。それをどのような形で確保するかという点については昨今いろんな議論が行われておりますけれども、教育制度の、義務教育制度の重要性、そして財源を確保することの重要性というのを痛感しております。
  38. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 大仁田委員から御指摘をいただきましたように、義務教育は一人一人の人格形成と国と社会の形成者である人材の育成を行うものでございまして、極めて重要なものであるという認識を持って、憲法二十六条に保障された義務教育の機会均等、水準確保、そして無償制という、この根幹を維持するために義務教育国庫負担法というものがあってこの制度があるわけでございますので、昨年の十一月末の政府・与党合意のように、今後ともしっかり堅持をしてまいりたい。国と地方の負担において義務教育費の、義務教育の、給与費の国庫負担をしっかりと今後とも維持してまいりたい、このように考えております。
  39. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 谷垣大臣が言われたように、やっぱり人づくりなくして国づくりなし。僕は、国というのは不思議なもので、父親と考えます。やっぱり昨今、いたいけな子供が殺されたり、父が、親が子供を殺したり子供が親を殺すという事件、いわゆるこれは根本的に幼児教育までさかのぼらなきゃいけないんですが、やっぱり教育という部分は国の国益だと私は信じております。  そういったもので、義務教育の根幹を維持するものだと、この義務教育費というのは、やっぱり義務教育の根幹、機会均等、水準保障、無償制を維持するものだと私は思っております。  今回の改革案で国庫負担金の負担率の、三分の一になり、文科省としては、この反対意見もたくさんあると私は思っております。文部大臣、私は、反対意見というのはいまだに根強いものがあると思っております。維持すべきは、義務教育の根幹とは何か、根幹を維持するための国の責任とは何か、小坂大臣、お伺いします。
  40. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 先ほどの答弁と若干重複することもあるかと思いますけれども、今委員御自身がおっしゃいましたように、機会均等、水準の確保、そして無償制というこの義務教育の根幹を制度的に担保するために義務教育費国庫負担制度というものがあるわけでございまして、国と地方の負担によりまして義務教育費の全額を、給与費の全額を国と地方の負担で確保する、これが正に根幹であると、このように考えておりまして、この流れの中で、負担率は二分の一から三分の一に変わりましたけれども、この根幹をしっかり守ってまいりたいと存じます。
  41. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 三位一体の改革は一応決着を見たと思いますが、地方案で示された全額一般財源とはならない認識でよいのか、また今後、国庫負担率が引き下げられることはないのか、谷垣大臣、小坂大臣にお聞きします。
  42. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 三位一体の議論の中ではもういろんな経緯がございまして、もう委員もよく御承知のとおりでございますけれども、一昨年の政府・与党の合意であるとか、それから〇・八兆円の税源移譲を求めた地方案をどう考えるか、それから中教審の答申で義務教育費国庫負担制度は堅持すべしとあった、そういうことを踏まえてこのような結論を得たものでございます。  もちろん、未来永劫変わらないという制度はないんですが、私どもは、議論を積み重ねた上、政府として決定してこういう形で御審議をいただいているわけでございますので、この形でしっかり取り組ませていただきたいと考えているところでございます。
  43. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 谷垣大臣から御説明いただきましたように、この話はそもそも平成十四年末の総務、財務、文科の三大臣合意におきまして、「改革と展望」の期間中、すなわち十八年度末までに国庫負担金全額の一般財源化についての所要の検討を行うということがございました。  議論が重ねられたわけでございますけれども、累次の基本方針や政府・与党の合意においても、義務教育費の国庫負担制度の取扱いについてはあくまでも検討するとされておりました。教育界から、教育論からしてしっかりと議論すべきという考えで、十六年末の政府・与党合意で、中教審で結論を得ると、恒久的な結論を得るというふうにされておりました。この中教審の審議をいただきまして昨年の十月の二十六日に答申をいただきましたけれども、この中でも、現行の国庫負担制度を維持すべきという結論に至っておったわけでございます。昨年末、十一月三十日の政府・与党合意におきまして、初めて義務教育費の国庫負担制度は堅持するということが明記をされました。  私としては、このことによりましてこれまでの義務教育費国庫負担金をめぐる議論はすべて終結したと、このように認識をいたしておりまして、国民全体を巻き込んだ義務教育費の国庫負担金の議論は、学校現場や保護者の皆さん、いろいろな不安定な状況にございましたけれども、今回の決着により安心して教育に取り組んでいただけるものと、このように思料しているところでございます。
  44. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 竹中大臣と小坂大臣にお聞きしたいんですが、今、国が景気回復に向かっているという認識の下にやっておられるかどうか。僕は、地方はやっぱり東京と、大都市と違い、やっぱり地方はまだまだ財政が多難です。まだ景気回復したとは絶対に思われないような状況です。だって、そうじゃないですか。やっぱり駅前の商店街を見ると、空洞化現象でどんどんどんどん空いた、店舗が空いている、そういった状況です。  そういった中で、地方財政の激しい中、地方交付税の見直しにより、財政力の違いによって、財政不足による義務教育の地域格差が出るといった問題は起こらないのか、竹中大臣、小坂大臣にお聞きします。
  45. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) まず、大仁田委員が前半でおっしゃった地域の経済の状況、そしてそこから経済全体の格差が生じているのではないかという、この点に関しては我々も強い問題意識を持っております。今、地方二十一世紀ビジョンの懇談会やっておりますけれども、その中でもそういう議論を前面に出して、しっかりと議論をしているところでございます。  それを受けて、じゃその格差の問題等々やはり出てこないんだろうかという御質問でございますけれども、地方交付税については、教職員の給与費を地方財政計画にこれ計上しているわけでございます。そして、交付税を含む必要な一般財源を確保していると。そういう、全体として必要な財源を確保するという仕組みになっております。法令で教職員配置等の基準が示されている、義務教育についてはそういう法令で示されているわけでございますから、それについてはその財源の中で地域間格差は出ないような仕組みに現状はなっているわけでございます。  近年、国も地方も歳出をスリム化しなきゃいけないということでそれにずっと努めてきて、結果として交付税が抑制されてきたという経緯はございますけれども、その間もこの教職員の給与費等々は適切に地方財政計画に計上されてきております。そういう点踏まえて、我々も対処しているつもりでございます。
  46. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 二分の一から三分の一に負担率を、負担割合を引き下げたことによりまして、減額分の八千四百六十七億円につきましては、十八年度において所得譲与税として地方に税源が移譲されるわけでございます。また、各道府県ごとに見ますと、三十九道府県でこの不足が生じるわけでございますが、これにつきましては地方交付税により措置されると、このように理解をいたしておりまして、必要な教職員給与費を確実に予算措置すること、また義務標準法を踏まえて適正な教員数の配置が行われること、これについての周知、指導をしているところでございまして、来年度における各道府県の必要予算額は確保されるという見込みでございますし、また、今後とも義務教育の水準の維持向上のために各道府県における予算の措置状況について把握し、必要な指示、助言を行ってまいりたいと存じます。
  47. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 ありがとうございます。  敗戦後、敗戦後、地方分権の名の下に義務教育費を地方に押し付けた、その結果、地方の教育力の格差が余りにもひどくなり、全国の知事からの要請で今の国庫負担制度ができたということなんですが、この時期に、昭和二十八年のあれですけど、茨城県を一としたら一・七六という数字が出てるんですけど、やっぱりこういったものを考えた場合に、竹中大臣、小坂大臣、こういった資料の下に、この地域の教育力の格差ということがひどくなるという予測は立たないもんでしょうか。
  48. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 結論から申し上げれば、そういった懸念のないように措置をするということでございますけれども、御指摘のように、義務教育費の国庫負担制度はシャウプ勧告によりまして昭和二十五年にいったん廃止をされました。地方財政の平衡交付金と、地方交付税の前身に当たるものでございますが、これに吸収をされたわけでございます。この制度の下では、都道府県は必要な財源を十分に確保することが困難なため、財政状況によりまして教育格差、あるいはこういったものを基づく社会問題が発生をいたしました。このために、昭和二十七年に義務教育費の国庫負担制度が復活をしたわけでございます。現在のような形の、二分の一という形で県を通じてやることが復活をしております。  しかしながら、今回の措置は負担割合が二分の一から三分の一に引き下げられるという形になったものでございまして、このために義務教育の水準は、まあ引き下げるということだけでございますので、義務教育費の国庫負担制度そのものは堅持されておりますし、また、国と地方の負担により義務教育費の先ほどから申し上げている水準の維持とそれから必要不可欠な教職員給与費の全額を保障するというこの仕組み自体は維持をされておりますので、義務教育の水準は維持されるものと考えております。
  49. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 大仁田委員御指摘のように、これまでの経緯をやっぱりきちっと踏まえて評価をしておくことは私も大変重要だと思います。  御指摘のように、二十五年、昭和二十五年にシャウプ勧告に基づいて廃止されて、現在のいわゆる地方交付税の前身であります地方財政の平衡交付金制度にいったん吸収されたわけですけれども、やっぱり二十七年度から新たにこの国庫負担法が制定されてそして二十八年から施行されていると、まあ元へ戻ったわけです。  当時の一つの背景ないしは反省としては、教職員定員を確保するための、それに関する法整備が未整備であった、法律がなかったということ、そしてもう一つは、先ほどから必要な需要をきちんと見込んでますよということを申し上げましたけれども、データの未整備等々によって義務的な経費についても適切な見積りが行われないというような形で、その平衡交付金の総額の確保のルールが確立していなかったと、財源が確保されなかったということが指摘されているというふうに承知をしております。  その点、現在は標準法が昭和三十四年に定められていると。そして、その下で地方財政計画でしっかりと見るようにしているということ等々でございますので、そういう時代の変化も、状況の変化もあろうかと思います。
  50. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 今、竹中大臣が時代の変化と言われましたが、ゆとり教育を実施したとき、まあアメリカで一九七〇年代にゆとり教育を実施して、すぐに学力低下ということで廃止し、元に戻したんですけど。  ちょうどそのころ、議論されているころにちょうどインドに行きまして、あちらはカースト制度がありますよね、身分制度があるんですけど、一番下の、末端の人たちにも教育を与えよう、これ画期的なことなんですけど、アジアの国としてインドが今どんどんどんどん伸びている状況というのは、やっぱり教育なんですね。やっぱりゼロを生んだ国、インド。やっぱり教育を根本的に国益だと思って推進しているわけですね。地域でこう、地域から、全国から、インドの全地域からそういった優秀な子供を集めて、一日十三時間から十四時間徹底的に勉強させるわけです。で、礼儀作法から全部与えるわけです。  それで、その子供たちに聞いたんです。なぜここまで勉強するの。そうしたら、国のためだと。おい、それはないだろう、ね、おい、自分のためだろうと言ったら、家族のためだと言う。だけど、その子たちの感じからして、自分のためだ、これは、何のため勉強するんだというのは自分の将来のためであり、自分の未来のためであるということを確実に分かっている目なんです。  これは、例に挙げたのは、インプット、アウトプットなんですけど。確かに、情報や知識を頭に詰め込むのは確かに今の子供は物すごく速いです。テレビから情報が入り、インターネットから入り、いろんなところから情報や知識が入ります。だけど、何が必要か。何が必要なんですか。表現するためにはアウトプット、いかに、どういう場面で、社会的な場面で、いろんな場面で出すか、表現するかじゃないでしょうか。そういった部分を教育の一端として文科省はどういうふうに考えているのか、大臣
  51. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 委員がおっしゃるように、今日の学力の低下の原因というのはいろいろ言われますけれども、やはり一番の問題は、学ぶ子供たちが、何のために自分は毎日勉強しているのか、これが将来どのように自分の身に付いたことによって役に立つのかということを実感できないこと、そしてまた今日の生活環境その他から好奇心がなかなか育ちにくい状況にあって、そしてこの勉学の意欲というものがなかなかわいてこないと、こういったことに原因があるように思います。  委員が御指摘されたように、このインドを始めとしたこれから頑張ろうという国々は、それぞれの国民が、自分たちが将来豊かになりたい、そして先進国に見られるようないろんな文化を高揚させたい、向上させていきたいという意欲が国民全体に伝わってきて、そして国民一人一人が自分たちは頑張るんだという心構えがあるんだと思うんですね。そういうところから、今の貧しい家庭を家族のために自分は支えたい、そのために自分を向上させたい、そういうことが勉強の目標になって、そして頑張る。そういう頑張るこの根っこですね、スポーツ精神にも通ずるその頑張るというその気持ちが養えるような教育をこれから推進することが私は必要だと考えております。
  52. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 後で、ちょっとフリートークなんですけど、谷垣大臣と竹中大臣には是非残っておいてもらいたいんですけど。  僕は、いかにも、予算委員会もそうですけど、質問を考え、役所の方に質問を考えてもらって、そして答弁をするというやり方というのは余り好きではないんです。基本的には、人が何を考えているかという本質を、本質をですね、引き出すのもおれたちの役目だと思っていますので。(発言する者あり)いやいや、だってそうじゃないですか、だってそうじゃないですか。僕はですよ、僕は、こう質問をする、竹中大臣質問をする。それに対して、やっぱりボキャブラリーをどのぐらい持っておられるかというのが必要だと思うんですよ、僕は。  ちょっと質問をちょっと休憩して、ライブドア事件の方でちょっとお聞きしたいんですけど。  僕、このライブドア事件というのは、まあ世間でやっぱりある意味で問われたと思うんですよ、IT業界というのは何だったんだろうと。風説の流布や想定内などの言葉も生み、結局ふたを開けてみれば粉飾決算という結論に達したんですけど。まあ僕はですね、ある種、もう一回認識の中でITというのは何だろうと。  僕は、この間、デジタルハリウッドというところ、一万人ぐらい生徒さんがいるところに行ってきて、校長と話をしたんですけど、私たちはこのパソコンの中で物づくりをしているんだと。もう一回このIT業界というものが物づくりに目覚めなければ僕は駄目だと思うんです。やっぱり物をつくって何ぼ。人間ってそうじゃないですか。従来から人がこつこつこつこついろんな物をつくり、考え、そこではぐくみ、そして物を出すことによって利益を得る。そうやってやってきたわけじゃないですか。架空の物を売って何ぼ、そんな商売は僕ははっきり言って根付かないと思っております。  だけど、僕はあえて竹中大臣に御質問したいんですけど、IT業界のですね、IT業界は今後どうなっていくのか。僕自身は必要なものだと思っております。だから、どんどん変化しながらも、そこにヒューマニズム、アナログの部分がこの業界に根付かなければ、このIT業界の進歩、発展はないと思うんですが、竹中大臣、どう思われますか。
  53. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) ボキャブラリーが試されているということでもあろうかと思いますので。  私、その御質問は大変本質的だと思います。ITというのは情報産業というふうに訳すんですが、私はやっぱり正確ではないと思うんですね。今起こっていることというのは、ITという言葉は付いてますけど、要するにデジタルな情報、デジタル化されているというところにもう極めて大きな本質があると思います。デジタル化されているから今までとは格段に違う情報の処理、伝送、速度等々が可能になるわけで、それを活用していろんなことが可能になっている。つまり、デジタルな情報を活用する技術を活用してバイオが出てくるし、そしておっしゃったように物づくりが出てくる。私は、だからIT産業というくくりそのものではなくて、すべての分野にIT、デジタル情報の技術革新が入ってくるというふうに考えなければいけないんだと思います。  で、もちろん情報を伝送するそのものが一つの産業にはなり得るわけでございますけれども、この正にデジタルな革命が起こっているわけで、で、デジタルな革命というのは何かというと、要するに数字に換える革命ですね。数字に換えるから、音声でも映像でも何でも、もう今までとは違うこと、速度で、そして電算処理で議論されるわけでありますので、それがすべての、物づくりを含むすべての産業に影響を与えているというのが今正に起こっている私は革命であろうというふうに思っています。  そういう本質の中で私たちも対応していかなければいけないというふうに認識をしております。
  54. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 あえて質問させていただいたのは、今、やっぱり学校内でもパソコンやどうのこうのの教育がされているわけです。彼たちが安易に、パソコンをいじることによって安易に二十億稼いだり三十億稼いだり、そういったものではいけないと思うじゃないですか、大臣。やっぱり、汗を流し、人間努力し、やっぱりやっていかなければ、本質的な人間というのはでき上がらないと思うんです。是非、国庫負担制度、義務教育という日本のシステムを崩さず、是非頑張ってもらいたいと思います。  ちょっと谷垣大臣に御質問したいんですが、僕は、ニートとフリーターというのは基本的に違うと思うんです。マスコミがよくニートやフリーターと言われます。だけど、フリーターとニートは全く違いますから。僕はニートの子に質問したことがあるんです。君、仕事しなきゃ駄目だよと言ったら、仕事って何だって、何で仕事する必要があるんですかって。だけど、フリーターはまだ、仕事をしようじゃないかと、夢のために仕事に就かないでフリーターとして働いている子たちもいるわけです。それを一緒くたにせずに、やっぱり僕は、ある意味区別化しながら解決していこうかなと思っているんですが、それに国のお金が七百六十一億使われますね。  谷垣大臣、この百六十一億を使うということは、これははっきり言って世間から見ると、税金を払っている人から見ると、何をこんなに使わなきゃいけないんだっていう反発論もあると思います。それに対してどういう御意見でしょうか。
  55. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 結局、我々の社会が複雑になってきていますから、昔はあれですよね、おやじがどうやって汗流して苦労しているのかというのを見れば、ああ、こういうふうにして食わしてもらっているんだと、育ててもらっているんだとすぐ分かりました。だけれども、やっぱり家庭と仕事の場が切り離されてというか、まあそういう形にどんどんなってますよね。私も今の子供たち見てて、本当に働いているところって余り見られないんだと思うんですよね。だから、自分がどうやって生きていくかというイメージもなかなかつくれない。また、そういう教育も必ずしも十分に今まで行われてこなかったというふうに私は思うんです。  そういうところで、やはり働くことの意義、自分がどういう仕事を選んで自分の生涯のものとしていくかということについてしっかり教育するというか、しっかり自分で考えるゆとりもない。それをどうやって道筋を付けていくかということだろうと思うんです。これはやっぱり本来は家庭や何かでできれば一番いいんですけれども、なかなかできなくなっているところがあると。そういうものに少しでも道を付けていくというのは、やっぱり政治が考えなきゃいけなくなってきているんじゃないかなと、私はそんなふうに思っております。
  56. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 こういう社会問題ですから、社会が一致しながら物事を考えていかなきゃいけないと思うんですけれども、やっぱり厳しさは僕は必要だと思います。やっぱり、どうしたら、飢えたらどうして人間は働いて御飯を食べるんだということを根本的に教えないと、安易に、自民党でそう言った代表の方がおられますけど、やっぱり努力して汗を流さなければ人間は食べられないんだよということを社会が教えなければこの問題は根本的に解決しないと思いますので。そのニートは、甘えから生じることもたくさんありますので、そしてまた地域によってニートの考え方も違いますので、地方は地方で職業がないからという考え方もありますので、是非そういった部分で有効的に財政を使うことが僕は国民にとって信頼を得ることだと思っておりますので、是非頑張ってください。  それから、ちょっとごちゃごちゃしましたけれども、僕は参議院になりましていろいろ考えているんですけど、参議院の在り方、参議院というのはどうして存在するのか。竹中大臣そして谷垣大臣は次の総理だと目されていますけど、代表として目されていますけど、僕は参議院というのは、やっぱり議院内閣制として二院制である以上、参議院としてもちゃんと意見を言えるような参議院であってほしいと思っております。まあ前回の総選挙で多量に衆議院が増えましたので、参議院はちょっとこう、何というのか、陰に隠れているような存在であっては絶対にいけないと思うんです。まあ、それは民主党さんのあれもあるものですから。  ただ、僕は思います。参議院として、まあ率直にお伺いします。僕は、まあ各会派の意見もあると思いますけど、参議院として、竹中大臣、もし僕らが、じゃ総理に立ってくれよと言った場合に、自分自身として総理に立つ意向はあるのかどうか、ちょっとお聞きしたいんですけど。  それと、谷垣大臣に、総理になった場合、今後どういった国づくりをしていくのか、お二人にお聞きしたいんですけど、よろしくお願いします。どうも。
  57. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) かねてから記者会見等々で申し上げておりますように、私はそのような立場にはない、そのような器ではないというふうに認識しております。  参議院そのものについては、私も参議院議員の一人として大変誇りを持って仕事をしているつもりでございます。参議院の非常に深みのあるしっかりとした政策論議、これからもやはり更にそれを強化していきたいと、私もそういう形で貢献をさせていただきたいと思っております。
  58. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 突然のお問い掛けで答えにくい質問ですが、二院制の問題に関しては、衆議院議員として非常に言いにくいです。だけれども、決算重視なんというのは、どこに参議院としての特徴を出そうかいうことで随分お考えいただいた結果だと思います。今まで、予算は真剣に議論するけれども決算はとかくなおざりにされがちだった、そこからやっぱり少しでも、我々財務省、財務大臣としても、いいものを出していかなきゃ、酌み取っていかなきゃいかぬと思っております。  それから、これからどういう国づくりをするのかというのは、総理でもない者が余り口幅ったいことは言いにくいから遠慮して申し上げますが、私はやっぱりどんなことをやるにしても、先ほどのお話にも通じると思いますが、自分は一人で今日あるわけじゃないんですね。親のおかげや地域社会のおかげや、あるいは先人のおかげです。ですから、自分がどういう仕事をしていようと、政治家や行政マンだけが天下国家を担えばいいというもんじゃありません。民間の一私人としても、どうやったら公のために、あるいはみんなのために少しでも自分のやってきたことが還元できるか、役立てるか、そういうようなことがもう少し議論をされ、できるような仕組みというものは何なのかということは常に頭の中にございます。
  59. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 最後に一言だけ。(発言する者あり)ああ、もうない。
  60. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で山本一太君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  61. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、小林正夫君の質疑を行います。小林正夫君。
  62. 小林正夫

    ○小林正夫君 民主党・新緑風会の小林正夫です。  今日は、少子化対策と安心、安全な社会づくり、この二つのテーマについて質問をさしていただきます。  まず、少子化対策です。  猪口大臣にお聞きをしたいと思います。ちょっと出席まだですか。
  63. 小野清子

    委員長小野清子君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  64. 小野清子

    委員長小野清子君) 速記を起こしてください。  それでは、小林正夫君。(発言する者あり)いや、聞いておりませんので。小林君。
  65. 小林正夫

    ○小林正夫君 通告をきちんとしてあったんですが、大変貴重な時間、大臣が遅れること、本当に遺憾に思います。  まず、少子化対策について質問をいたします。  この十年間で少子化対策で使ったお金は幾らなんですかという質問を二月二日の予算委員会で私行いました。そのときに、猪口大臣は、二〇〇〇年度から新エンゼルプラン、合わせて予算規模は総額において二兆八千億円を投じてきたと、このように答弁されました。三月六日の日に同僚の蓮舫さんが、平成十八年度の少子化対策予算は幾らですかという質問に対して、平成十八年度の少子化予算対策は一兆五百八十億円と答えられました。  平成十八年度一年間で一兆五百八十億円を使うというお話でしたから、私が質問をした過去十年間でどのぐらい使ったのですかという質問の答えが二兆八千億円という数字は間違えているんじゃないですか。
  66. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 申し訳ございませんでした。  では、小林先生にお答え申し上げます。  先日お答え申し上げましたとおり、一九九五年度からエンゼルプラン、そして二〇〇〇年度から新エンゼルプランに基づきまして、保育関係事業を中心とします取組を進めたわけでございます。で、目標値など達成できたのですが、その計画的な整備に取り組んだときの国の予算規模、これが総額二兆八千億円でございます。  それで、十八年度の少子化予算ですけれども、これは一兆五百八十億円、お伝えしたとおりでございます。で、この予算は、子ども・子育て応援プランを中心に考えておりまして、保育関係事業のみならず、より幅広い観点から、いつもお伝えしていますとおり、仕事と家庭の両立支援や奨学金事業及び児童手当等の経済的支援など、政府全体の少子化対策に要する予算を集計したものであります。  ですから、その計画のベースが違っているということで、子ども・子育て応援プランはより幅広い観点からの施策を総合したもので、それに基づく予算規模が一兆五百八十億というところでございます。
  67. 小林正夫

    ○小林正夫君 今日お手元に資料を用意をさせていただきました。「少子化社会対策関係予算の概要」ということで、これは平成十七年度版の少子化社会白書であります。平成十六年度、十七年度予算がここに書かれておりまして、平成十七年度は一兆三千四十億円予算計上をしてあるわけであります。  小泉総理の方も、専任の少子化担当大臣をつくった意味合いは今までの予算委員会の中で何度もお聞きをしております。大変重要な政策の推進に当たって専任の担当大臣が必要だと、こういうことでつくられたわけですが、私がお聞きをしてるのは、この例えば平成十七年度の一兆三千四十億円は、これはあらゆる関係する、例えば厚生労働省とか文部科学省など十の関係省庁で少子化対策社会を目指すために使うお金が計上されているんです。平成十八年度もこのことを全部まとめたお金を表したんだと思うんです、この間。ですから、これと同じように比較すると、過去十年間で少子化対策予算少子化対策のお金は幾ら使ったんですかという質問なんです。答えてください。
  68. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 先ほど申し上げましたとおり、少子化対策の枠組みが子ども・子育て応援プランで大きく変わったわけです。で、これは二〇〇四年の十二月に策定されまして、二〇〇五年度、今年度が実施の初年度になっているということでございます。ですから、過去十年のその予算額をあらゆる意味で現行の枠組みでちょっと計算し直すことは非常に困難であるというところでございます。  若干、では補足説明させていただきますと、例えば児童手当、それから児童扶養手当、それから奨学金ですね、こういう項目を今回十八年度の予算枠、及び十七年度の予算枠もそうですけれども、そういう予算枠を総合しているわけでございます。  そして、その背景にあります考え方は、先ほど申し上げましたとおり、やはりエンゼルプラン、新エンゼルプランというのは保育関係事業を中心に構築されておると。それから、その中でも、例えば放課後児童の対策など厚労予算だけではない部分も実際に入っていますので、その広がりがしかしエンゼルプラン、新エンゼルプランではやはり限られたものである。先生御存じのとおり、子ども・子育て応援プランでは、例えば若い人たちの経済不安感から未婚化が進んでるんではないかというような考え方の下に、若者の自立支援などの対策費も盛り込んでいるところです。ですから、かなり幅広い少子化対策の分析をして、それに基づく考え方が応援プランには反映されているのでこういう予算規模になっているということでございます。
  69. 小林正夫

    ○小林正夫君 枠組みが違ったといっても、税金を過去十年間少子化社会対策のために使ってきたお金が明らかになって、その結果どうだったのかということをきちんと総括をして次の手を打っていくというのが大変大事なことだと思うんですね。だから、そういう意味で、過去十年間の少子化社会対策のために関係省庁が幾ら使ってきたのかという把握ができてなくて、この場で答弁ができないということはどういうことですか。
  70. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) ですから、十年間にわたって少子化社会対策としては、最初にお答えしておりますとおり、二兆八千億円という規模でございます。それは主として保育関係事業でありますけれども、関連のその他の省庁の予算もその中の項目に含めてございます。
  71. 小林正夫

    ○小林正夫君 少子化対策はあらゆる各省庁との連携が必要だ、そのために専任の担当大臣を置いた、このように総理は答えております。ですから、関係省庁でどれだけのお金を使ってきたのかという把握がされていないということは、あるいはその集計ができにくいということはちょっと理解できないんですが、いかがですか。
  72. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) ですから、繰り返しになって申し訳ないんですけれども、エンゼルプランと新エンゼルプランのプランの考え方に基づきます各省施策はその枠内に入っているということなんですね。応援プランは、その二つの前身のプランがあったにもかかわらず、そしてそれは一定の成果を上げたという分析は目標値達成などを見てしているわけですけれども、にもかかわらず少子化の流れを変えることができなかったという認識に基づきまして、かなり違う観点からデザインした、それが子ども・子育て応援プランであります。  ですから、その予算の規模はそこでかなり大きくまた変わってきているし、その中に含まれる項目がどういうものかということの概念整理ですね、これもそのときに大きく変えたということでございます。
  73. 小林正夫

    ○小林正夫君 いずれにしても、各省庁でいろんな少子化対策をやってきたはずなんです。そういう各省庁で少子化対策としてやってきたお金の過去十年間使ってきたトータルは幾らなんですかと聞いているんです。これは出ないんですか。
  74. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 一九九〇年代で各省庁が考えた少子化対策の基本的な課題は、やはり働く母親のための保育関係事業の拡充、これの著しい不十分な問題がまずは先決という理解であったわけです。  ですから、エンゼルプランと新エンゼルプランはそのような考え方に基づいて、それの限りにおいて、関係省庁にかかわる予算は先ほど申し上げた金額の中に含まれております。
  75. 小林正夫

    ○小林正夫君 私自身納得ができませんが、時間の関係もあるんで次に行きますけれどもね。  いずれにしても、過去それだけのお金を使ってきた、また平成十八年度一兆円を超すお金を使う、今までの猪口大臣あるいは総理大臣の答弁を聞いていても、少子化の流れを止めることができなかった、このように発言されています。それだけの税金とお金を使ってきたんだけど少子化の流れを止めることができなかった、これは何が原因だと思いますか。また、そのことはどのように総括をしたんでしょうか。
  76. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 基本的には、保育関係事業の拡充及びそれに関連することだけでは不十分であるという総括でございます。そして、より幅広い観点からということでそもそも子ども・子育て応援プランは考えられているということです。  少子化の原因といたしましては、もう既によく論じられていることではございますけれども、まず結婚しない若者が増えている、これ未婚化の進行、それから結婚年齢が高くなっている、晩婚化の進行、それから最近は夫婦の子供の数も減少傾向にあると。  では、なぜこういう現象が進行したのかということの分析があります。それは一つには、男性も含めた例えば長時間労働などの働き方の見直しが、保育関係事業は順調に拡充したにもかかわらず、そちらの方がやはり改善できなかったと、その取組が遅れたんだと、こういうまず分析です。それから、子育て関係の保育関係事業は拡充したとはいえ、子育て支援サービスが十分ではやはりないと。それからさらに、いわゆる専業主婦の方も育児の中で孤立感を深めている、そういう方たちですね、働く女性という観点ではなく、より幅広い地域での子育て支援サービスの拡充が十分ではなかったという分析と反省ですね。  それから、先ほど申し上げましたように、若い方々の経済社会的な自立がなかなか難しい中で、やはり非常に長期的なコミットメントをするということについて、その段階でちゅうちょがあり先延ばしにする、それが未婚化、晩婚化につながっていると。  このような分析をしておりまして、政府としての対策につきまして、もし御質問があればまた説明申し上げたいと思います。
  77. 小林正夫

    ○小林正夫君 十年間で一定のお金を使った、そして少子化の流れを変えることができなかった、このように閣僚の皆さんおっしゃいます。これは政府の政策に誤りがあったんじゃないですか、そのことはどのように思われますか。
  78. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) お答え申し上げます。  保育関係事業を中心に計画的な整備を進めてきたということが今までの実績でございます。それによって、そのような保育サービスの必要な家庭はそのようなサービスを受けることができるようになった部分が非常に大きいと。待機児童の問題につきましては、待機児童ゼロ作戦を……(発言する者あり)はい、済みません、待機児童ゼロ作戦を二〇〇一年、小泉政権下で推進しております。  で、今までの政策についての評価でございますけれども、計画的な整備につきましては目標値をおおむね達成しているという評価でございます。そして、待機児童の部分につきましてもまだ残っていますが、目標値は達成する中で、そのような新たな社会政策の拡充の可能性をやはり市民社会は理解して、今まではあきらめていた女性たちが、では自分も働こうかと、そういうことが可能な時代なんだと、そういう新たな認識を喚起することにつながったのかと思いますので、必要な保育関係事業のサービスも含めて拡充していく必要を感じておりますが、しかしそれだけでは少子化の流れを変えることはできないと。  ですから、そうですね、まあ評価と問われますと、私としても非常に厳しいという感じはいたします。少子化の流れを変えることに成功できている国は、世界でもつい最近成功してきているというところでございます。ですから、そういう国々の取組、特に両立支援でありますとか先ほど申し上げたような働き方の見直しでありますとか、参考にしながら、今後、六月の少子化社会対策推進会議におけます議論取りまとめがありますので、そのようなところでの議論取りまとめを踏まえて更に深く考えていかなければならないと感じておりますが、今までこのような社会政策の分野において実施した政策が不十分であったということは、部分的にあるかもしれませんが、それが適切でなかった、あるいは方向性が間違っていたということは私としては絶対にないと感じております。  必要なことはやってきたと、それが十分条件にはなってないと。しかし、必要なことをやっていることについて、それは批判の対象になるべきではないと思います。非常に重要なことだったんです、そこでたくさんの女性が助かったわけですから。それはやはり大事だったんじゃないですか。
  79. 小林正夫

    ○小林正夫君 端的にお伺いします。  対策、これからやっていく、今までやってきた。猪口大臣は、日本の出生率を、今一・二九ですね、この一・二九を守っていこうとして政策を考えられているのか、一・二九よりか万が一下がったとしてもどのぐらいの出生率で日本はやっていきたいと思っているのか、それとも今の一・二九を上げたいと思っているのか。これ、いかがでしょうか。
  80. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 小林先生にお答え申し上げるんですが、私といたしましては、民主主義社会において結婚と出産は個人の自由な選択及び状況の結果であると考えております。ですから、出生率につきまして、その水準を数値目標なものを設ける、あるいは現状を断固維持する、あるいは現状を上乗せする、あるいは下がったとしてもここまでだというようなそのような数値的な議論をすることは、私は出生率の議論というのはそのような性格のものではないと考えております。  他方で、過去三十年にわたって出生率下がり続けているわけですね。ですから、これは何とかして少子化の流れは変えなければならない。そのために、もうあらゆる深い議論を積んで積極的に対応していきたいと考えております。
  81. 小林正夫

    ○小林正夫君 流れを変えたいんですから、流れを変えてどうするのかということを聞いているんですよ。どういう流れに、どういうふうにしていく。  官房長官にお聞きをしたいと思います。  出生率の関係、今大臣答えられましたけれども、やはり私は、国の税金を投入をして少子化対策を手を打つ、でもなかなかその流れは止められなかったということですね。したがって、何でもそうですけれども、何か事を起こすときにはおおむね大きな目標をつくって、これに向けてみんなで頑張ろうという意思統一をした上で、いろんな税金を使ったりお金を使ってその対策をやっていくんだと思います。  そういう点で、日本の人口の適正規模という質問は大変難しいと思いますけれども、でも、少子化対策をこれだけの税金を使ってやっていく中で、将来の日本の人口がどのぐらいのイメージを持ってこの少子化対策をやっていくのか、そういう頑張りどころを示していかないと、結局、あと十年やっても十五年やっても税金これだけ投入しても少子化の流れはまた変えられなかったということになるかもしれない。頑張りどころを示す必要があるんじゃないでしょうか。  そういう意味で、日本の将来の人口規模、どのぐらいのイメージを持って頑張りどころとしているのか、官房長官にお伺いします。
  82. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 今、小林先生からございました質問は大変難しい質問でございまして、今、猪口大臣が答弁いたしましたように、そもそもこの出生率を上げていくということに関して、それはやはり目標として数値を置くかどうかというのは、これは議論になったところでございますが、かつてこれは自民党、社会党、さきがけの連立政権当時、このエンゼルプランを策定をしたわけでありますが、当時の認識としてはいわゆる産めよ増やせよ政策はやるべきではないと。基本的には子供を産み育てやすい環境をつくるべきであると、そこに力点を置くべきだということで当初は政策を策定をしたわけであります。  そして、もちろん費用対効果、そうはいいながらやはり、そうはいってもやはり子供が増える、子供を産みたいと思う社会をつくるという中にあっては、結果としてそういう成果が出るようにしなければいけないと。費用対効果の観点からも考えなければならないのは当然でありますが、しかし、では全く政策をやらなかったときとやったときの比較というのはこれまた想定として難しいわけでありますが、ある程度やった結果が今の成果、成果というか一・二九なんですが、それよりやらなかったら更に下がったということも当然想定されるんではないかと思います。  そこで、ただいまの人口規模でございますが、これは小泉総理からもお答えをいたしましたように、かつては日本の人口というのは多過ぎるんではないかということを言われた時期もありまして、私も子供のころは、日本っていうのはとても人口密度が高い国であって、ほかの国々は人口密度が低くて何となく豊かな国もあるというふうに教えられたことを思い出すわけでありますが、しばらくの間は人口増加を抑制することが課題と言われていたわけでありますが、近年、少子化が進行する中で人口減少社会への不安も指摘をされているわけでありまして、要は人口の水準というよりも急激な人口変動を緩和することが重要であると、このように考えております。  その中で、最近の急速な少子化の進展については経済成長の鈍化や税や社会保障における負担の増加、地域社会の活力の低下など、将来の社会経済に今深刻な影響を及ぼすことが懸念されることから、国の基本にかかわる重要な問題であるというふうに認識をしております。  このような少子化の流れを変えるために、先ほど来猪口大臣より説明をしておりますような施策を展開をしているところでありますが、適切なこの人口の水準というよりも、要は急激な変化をこれは何とか緩和するということに政策の重点を置くべきではないかと、このように思っております。
  83. 小林正夫

    ○小林正夫君 私は、日本の国の大変大きな課題ですから、やはり一億二千万人の国民の方が、どういう目標を持ってこの少子化対策を進めて幾らぐらいのお金を使っていくのかな、それなら納得しようという、こういうきちんとした説明と、国民に理解を求める、そのことが今の政府に欠けていると思います。是非、そういう今政府が私は欠けている点だと思いますので、そのことを指摘したいと思います。  次に、厚生労働大臣にお聞きをいたします。  今日お手元に、少子化対策大綱として、これは前回二月二日の予算委員会で提出をさせていただいた資料ですけれども、それを今回使わせてまたいただきます。  特に、もう端的にお聞きをします。  勤務時間の短縮などの措置ということもあるんですが、実際には会社に出ていくと急な残業を命じられて予定の時間に帰れない、そのときに自分の子供をどうやって面倒を見てもらえる、このシステムをどうつくっていくのかということが一つ。  それと、待機児童ゼロ作戦のさらなる展開とありますけれども、ここでやはり悩んで、職場復帰ができにくいという方が一杯いらっしゃるんですね。待機児童ゼロ作戦をやってきたというふうに総理大臣からも答弁がありましたけど、まだまだこういう人が残っているという、この点について取組、意気込みについて是非お聞きをしたい。  それともう一つは、乳幼児の医療の無料化の関係なんですが、これもやはり子供が成長をする、あるいは小学校に入る、入っても病気をする、入る前は特にいろんな病気をする。この無料化の拡大について私は大変大事な政策だと思いますけど、この平成十八年度の予算含めて、この取組についてどのようにされるのか、お聞きをしたいと思います。
  84. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 三点の御質問でありましたんで、少し長くなりますけど、お許しを賜りたいと思います。  一つは、待機児童ゼロ作戦で、十四年度から進めてまいりまして、十五万人の受入れ児童数を増やしたところでございます。一方で、当時の数字として二万五千人が待たれている。今現在が二万三千人でございますから、十五万増やしたけれども二千人しか減っておらぬと、こういう話になりますけど、もちろん女性の社会進出が増えてきたという背景に、保育所に行きたいという人が増えてきたということは間違いないと思っております。  今、百九十九万人の児童を保育所で受け入れております。その数字を見ますと、一つは、横浜市なんかが一番悪かったわけですけれども、かなり改善をしてきたなと。しかし、大都市と地方で比較してまいりますと、やはり大都市の待機者が多い。したがって、都市部に集中的な投資をしていかなきゃならないだろうと思っております。  十七年度補正予算、十八年度予算で四百十五億施設整備費を確保したところでございます。また、教育と保育というのを一体してとらえろという中で、認定こども園、文科省と一緒に法律を出しますけれども、この本格実施へ向かって今国会で御審議をいただこうと考えているところでございます。  それから、この保育園の施策と別に、子供は保育園には通ってはいないと、例えば幼稚園であっても、しかし母親がどうしても帰れないときがあると、仕事が出てきたと、このためにファミリー・サポート・センター事業というのを行っております。十七年九月現在で、全国四百三十四市区町村で実施されておりまして、二十二万人が会員として登録していただいて、十七万人の方が現実に御利用をいただいております。  これは、例えば、私のうちで預かってもいいよと。私のところは、もうおじいちゃんおばあちゃん二人生活になったと、孫の面倒を見てやってもいいけど自分の孫は実は東京に住んでいると、それじゃ近所のお手伝いをしようかと。こういう会員の方を募りまして、お互いで協力し合っていこうということでさせていただいて、今申し上げたように、二十二万人の会員、十七万人の方がこうした制度を御利用になっております。  そういう組合せを進めながら、子育て、子ども・子育て応援プラン、今四百三十四市と申し上げましたけれども、二十一年度までに七百十の市区町村でお願いをしたいと、こういうふうに思っております。これは、何でも国がやるということではなくて、お互いに協力し合いながらやっていきましょう、民間のボランティアの皆さん方の協力を得ながらやっていくと、町全体で、地域全体で子供を支えようという考え方でございますので、御理解賜りたいと思います。  それから、医療費の問題でございますけれども、国の施策に加えまして、各都道府県が施策上乗せを行っております。今、大体七割近くの地方自治体が上乗せをいたしておると思っております。二千四百十八市町村の中で千六百八十一市町村が上乗せ、要するに県はほとんどやっておりますから、そこへ市町村が乗せて、場合によっては全額公が負担をするという制度にしたり、所得制限を入れたり、実は様々であります。例えば、所得制限があるもの、なしが二十二県、ありが二十五県、こういう状況にございますし、自己負担があるのが十七県、自己負担なしのが三十県と。そういう意味では、各地域がこの小児医療の問題についてそれなりの努力をしている。したがって、既に、今お話ございました窓口負担の話も既に実施しているところがあります。払わなくていいと、今度の高額医療と同じようなシステムをつくっているところはあると。  こうした動きを見ながら、厚生労働省としてもアドバイスをすることもあるだろうと思いますけど、今は、それぞれの自治体がそれぞれの考え方の中でやっておりますので、そうしたものをしっかり把握しながら方向性を誤らないようにしていきたいと、このように思っております。
  85. 小林正夫

    ○小林正夫君 少子化になっている原因は何かと、ある報道機関がアンケートを取りましたら、やっぱり子育てに費用が掛かると、これが大変大きな理由でした。今の乳幼児無料化の問題を含めてしっかりした対策の取組が必要だと思います。今までの取組では足らないということだと思います。  それでは、午前中の質問、これで打ち切りたいと思います。また午後に残余の質問は行います。
  86. 小野清子

    委員長小野清子君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  87. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十八年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。小林正夫君。
  88. 小林正夫

    ○小林正夫君 過去十年間、各省庁で少子化対策として使ってきた金額、この資料請求をしたいと思いますけれども委員長、いかがでしょうか。
  89. 小野清子

    委員長小野清子君) この件に関しましては、理事会で協議させていただきます。
  90. 小林正夫

    ○小林正夫君 はい。  それでは、少子化対策についての質問はこれで終わります。  次に、安全、安心な社会づくり、このテーマで幾つか質問をいたします。  まず、障害者支援についてお尋ねいたします。特に自閉症対策について中心的にお聞きをいたします。  私は、自閉症の小学校二年生の女の子の親御さんから長いお手紙をいただきました。この手紙によりますと、この長女の知的レベルは三歳程度、奇声を発したりパニック状態になり、人とのコミュニケーションができないということが訴えてありました。さらに、奥さん共々大いに悩み、地獄の思いを味わった。なぜなら、医者に行っても満足な説明は聞けないし、施設に入りたくとも入れない、こういう訴えでした。途方に暮れたという内容でした。本当に、この手紙を読んで、涙なくして読めなかった、これが私の実感です。  そこで、この人が私に提起をしてくれた自閉症に関する諸制度の問題点を参考にしながら、幾つか質問をさせていただきます。  まず、厚生労働大臣にお聞きをいたします。  自閉症の現状ですけれども、今、自閉症と認定する人はどれぐらいいるのか、また、程度によって分けるとすればその実態はどうなのか、お聞きをいたします。
  91. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 自閉症の数や障害が出現する率などについては、正直様々な説があります。我が国でも正確な数は把握されておらず、欧米の調査では、自閉症やアスペルガー症候群など広汎性発達障害については約一万人に百二十一人、約一%と報告されている例がございます。  このように、自閉症の数などについては把握に困難がありますが、発達障害者支援法の制定をきっかけに厚生労働科学研究において発達障害者の発生率などを把握する研究を行っているところであり、その結果が出次第、報告をさせていただきたいと考えております。
  92. 小林正夫

    ○小林正夫君 自閉症の知的障害レベルをどのように判定をしていくのか、このことについてお聞きをいたします。  自閉症は、知的障害でもあるにもかかわらず公的な判断基準がない。現在は、知的レベル、知的障害レベルを判定する療育手帳を用いて判断しているのが現実だと思います。この判定方法は、自閉症の障害レベルを判定するのにはなじまないのではないのか、このように考えます。  例えば、象の絵を見せて、これは何、あるいは色紙を見せて、この色は何ですかという、こういう質問に答えることを行っているんだけれども、親が子供にお金と時間を使って療育すると、その質問には反射的に回答できる。障害はそのまま、ここが大事なんですよ、障害はそのままなのに、答えられると知的レベルの判定が良くなり、それに伴って医療費補助、手当が受けられなくなる。逆に親が子供を放置した場合に、反射的に答えられないから障害が重いと判断され、医療費補助あるいは手当が受けられるということになっている。不公平であり、基本的な制度上の問題があるのではないかと思います。また、自閉症は人とコミュニケーションができない障害なのに、知的障害と判定された人に交付されている療育手帳を基にこのような判定がされている。この判定方法としては成立をしないんじゃないか、このように思います。  知的障害者全般について判定方法を検討していく方向が打ち出されておりますけれども、特に自閉症の知的障害レベルの判定をどうしていくのか、厚生労働大臣にお伺いします。
  93. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 御質問の中にありましたように、現在はこのような方法になっております。  自閉症者のうち児童相談所又は知的障害者更生相談所において知的障害者との判定を受けた方に対しては、各都道府県及び指定都市において療育手帳の交付を行っております。療育手帳を交付する際の知的レベルの判断基準については、国が行う知的障害児基礎調査において知能指数おおむね七〇以下を想定しているところであり、各自治体においても、これを踏まえた判定基準を設定しているものと考えております。  なお、WHOにおいても大体この基準において今現在はしているというのが実態でございます。
  94. 小林正夫

    ○小林正夫君 自閉症対策として予算はどのぐらい計上しているのか、また、これはこれまでの比較と比べてどうなっているのか、お聞きをします。
  95. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 予算がですね、一つは、今度の障害者自立支援法によって地域生活支援事業等で一括交付ということになりますので、発達障害者支援センター運営事業、十七年度予算で四億四千三百万円、それから発達障害者支援体制整備事業、十七年度予算二億四千七百万、これ十八年度で二億五千万という数字でございます。それから、研修、普及啓発ということで一千五百万、十八年度が一千二百万という数字を計上いたしております。  支援対策全体として、ここはなかなか先ほどの議論と難しいところなんですけれども、発達障害をできるだけ早期に発見し、適切な支援を行うと、そういう意味では、今委員が指摘されましたように、早くから訓練することによって実は向上していくということは間違いないと思います。  それから、発達障害への理解を促進すること、専門的知識を有する人材を確保することが重要だと考えております。十八年度予算においては、発達障害者やその家族に対する専門的な支援、医療、保健、福祉、教育、雇用などの複数の分野にわたる総合的な支援を行う発達障害者支援センター運営事業の実施、乳幼児から成人期までの各ライフステージに対応する一貫した支援体制の整備を図るため、都道府県内の各地域で教育、雇用を含む複数分野の関係者によるネットワークを構築する発達障害者支援体制整備事業、発達障害者について一般国民に正しい理解を求めるための啓発資料作成、このようなことを行っております。  いずれにせよ、こうした取組について、まず専門的、中核的な機能を持つ発達障害者支援センターが各圏域におけるネットワークを支援していく体制をつくりたい。法律ができ上がって様々な準備を今進めているところですけれども、基本的にまだ全体の理解が進んでいないという認識は委員と同じような考え方を持っております。
  96. 小林正夫

    ○小林正夫君 自閉症に対する教育現場の対応について文部科学大臣にお尋ねしたいと思います。  自閉症とダウン症とでは原因や症状が大変異なるわけですけれども、一般的に特殊学級あるいは養護学校では、施設の数や教職員の数の問題から一緒に扱われていることが多いんです。それぞれの症状に合った対策が必要であると思います。どのようにこの問題について取り組んでおられるのか、お聞きをいたします。
  97. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 御存じのように、ダウン症は染色体異常による知的発達の遅れなどの障害でございますし、自閉症は中枢神経系の何らかの要因による機能障害が発生しているということからの症状でございますので、本質的には違うわけでございますが、いずれにいたしましても、今日、自閉症あるいはダウン症のお子さんの児童生徒につきましては、障害の状況やあるいは発達段階に応じて、主として養護学校が中心になり、また小中学校の特殊学級又は通級指導教室・学級において対応が行われて教育が実施されているわけでございます。  自閉症の児童生徒は、対人関係の困難、先ほど御指摘のありました、また言語発達の遅れ、あるいは興味や関心が限定されているなどの障害特性がございます。このため、一人一人の障害の状況に応じて学習内容が分かりやすい教材あるいは教具の作成など指導の工夫や配慮が行われる必要がありまして、そのような指導を行って対応しておるわけでございますが、小集団による指導や個別指導というものも実施をいたしております。  私も、過日、東京の小集団による指導を行っている学校を視察してまいりましたけれども、実際には、指導を中心になられる先生がお一人、それをアシストしながらそれぞれの子供に対応して補助を行っていただけるそれぞれの担任の先生方が一緒に来られて、五人のお子さんを五人のそれぞれの方が見守りながら、中心になって一人の先生が一つの指導をして、集団で対応できるようなことをできるだけなじませるように努力をされている姿を見ましたけれども現場でそのような努力をされているというふうに認識をいたしております。  文部科学省では、自閉症の児童生徒に対する指導の充実を図るために、国立特殊教育総合研究所における研究の実施、そして手引書や事例集の作成、そして教員に対する研修の実施、また筑波大学の附属久里浜養護学校を研究開発学校に指定をいたしまして、この指導内容・方法の開発等に取り組んでいるところでございます。さらに、十七年度の四月に成立をいたしました発達障害者支援法の施行に伴いまして、この指導上の留意すべき事項について通知を発出して周知を図っているところでございまして、今後とも自閉症の特性に応じた適切な指導の推進に努力をいたしたいと存じます。
  98. 小林正夫

    ○小林正夫君 厚生労働大臣にお伺いします。  この自閉症の原因が分かってないというところに大変な不安があるし、この原因究明を早くしてほしいと、こういう要望も強く寄せられております。  去年の四月一日に発達障害者支援法も施行されまして、その法の中にもこの原因究明をやっていくんだと、このようにうたわれているわけですけれども、自閉症の原因の究明、これらの取組の進捗状況についてお聞きをいたします。
  99. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 先ほども御答弁を申し上げましたように、また委員から御指摘のように、自閉症の原因は今現在究明されておりません。発達障害者支援法においては、「国は、発達障害者の実態の把握に努めるとともに、発達障害の原因の究明、発達障害の診断及び治療、発達支援の方法等に関する必要な調査研究を行うもの」と第二十四条に定めていただいております。  これを踏まえ、厚生労働省においては、平成十七年度厚生労働科学研究において広汎性発達障害などの原因究明と効果的発達支援・治療法の開発などを行っております。今、研究といたしましては、広汎性発達障害、ADHDの原因究明と効果的支援・治療法の開発、これは今東京大学で二千五百万の予算でやっていただいております。それから、自閉症の病態診断・治療体制構築のための総合研究、これも一千九百万の予算でやっております。アスペルガー症候群の成因とその教育・療育的対応に対する研究、一千五百二十万ということで、それぞれ研究費を付けながら今懸命な努力をしていただいているところでございます。
  100. 小林正夫

    ○小林正夫君 自閉症のお子様を持つ親御さん、今回の手紙もそうなんですけれども、やはりこれからの不安を考えると、自分たちが年老いていく、あるいはこの世の中から卒業していく、そういうことを考えると、この自閉症の子が将来どうなるのかという大変不安を持っているんです。これは自閉症に限らずいろんな障害を持っている親御さんが感じているところですね。  したがって、そういう対策のためには一定の受入れ施設の建設など、このことが大変重要になってくると思いますけれども、この取組などについての考え方、これについて厚生労働大臣にお聞きをします。
  101. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今回の改革に当たりまして、自閉症の方も含め障害者が地域で安心して暮らすことができるようサービス基盤の整備を進めることが重要であると考えております。このため、地域での暮らしを支える居住サービスの充実、とりわけグループホームの拡充を図ることといたしております。  今までは世話人一人のみの配置するという現在のグループホームの仕組みを改め、新たに介護が必要な方を対象とするケアホームを制度化し、利用者にふさわしいサービスが提供されるよう、利用者の数や障害程度に応じ介護サービスを提供する生活支援員を配置する、夜間の支援体制確保している場合には報酬上の加算を行うといった仕組みに改めました。あわせて、ケアホーム等の充実を図るため、自治体に対し障害福祉計画の策定を義務付け、サービスの量を見込むことにより計画的なサービス提供体制の整備を図ることといたしております。  いずれにいたしましても、こうした施策を通じながら、自閉症の方々が障害の程度に応じて地域で生活できる体制づくりに進めてまいりたいと考えております。
  102. 小林正夫

    ○小林正夫君 今日、お手元に資料をお渡しをいたしました。実は、この障害者の方が施設、建物を使えると、こういう世界的なシンボルマークであります。  ただ、このマークを見て、全部の障害者の方が利用できる、そういうふうに感じ取ってない人たちが大変多く思います。私、先週末、ある国会報告のために二百名ぐらいの働く女性を中心とした方に集まっていただきまして、このシンボルマークを見ていただきました。やっぱり半分以上の方は車いすかあるいは手足に障害のある人が利用する建物、施設だというふうにやっぱり誤解しているんですよ。  そういう意味で、厚生労働大臣、このマークが付いているのは全障害者の方が、自閉症の方も含めて使えるということでいいんですよね。
  103. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 私も、委員からの事前通告を受けまして、少し考えさせられました。  障害者が利用できる建築物、施設等を表す全世界共通の国際シンボルマークは、国際リハビリテーション協会において一九六九年に採択されたものであり、障害者が住みよい町づくりに寄与することを目的としております。日本では、厚生労働省所管の財団法人日本障害者リハビリテーション協会がRIに加盟しており、シンボルマークの導入、広報、使用の管理など一元的に行い、シンボルマークの趣旨や使用方法が一般の方に適切に理解されるようガイドラインを作成し、ホームページの掲載も行っております。  ただ一方、ひょっとしたら肢体不自由な方だけ、身体に障害を持つ人だけという誤解も生じるかもしれないと。そんなことから、ガイドラインで国際シンボルマークの使用対象はすべての障害者を対象にしており、当然ながら自閉症者も対象となることから、協会としてもその周知に努めるようにということでお話をさせていただいております。  もう少し工夫があるのかなという感じもいたしますけれども、いずれにせよ、今はそのマークが障害者全体が御使用いただけるという中のシンボルマークであるという徹底はしてまいりたいと、このように思っております。
  104. 小林正夫

    ○小林正夫君 国土交通大臣、高速道路のパーキング場、特に障害を持っているお子さんを親御さんが車に乗せて移動するということが大変多いもんですから、その場合に高速道路を使う、パーキングに行く、そうすると、このマークも付いているところの駐車場がある。でも、先ほど言ったように、自閉症の方も含めて多くの方がこのマークが先ほどのように誤解されていることが非常に多いと思っているんです。もちろん、このパーキングに自閉症の方、あらゆる障害者の方が車を止めていいということでいいんですよね、大臣
  105. 松村龍二

    ○副大臣(松村龍二君) お答えを申し上げます。  ただいまの厚生労働大臣の答弁とダブる部分があろうかと思いますが、先生御指摘のように、現在、建物、道路又は高速道路等の駐車場で障害者が利用できる駐車スペースには、その旨表示するマークとして車いす利用者をデザインした各種施設に共通する国際シンボルマークが多くの場合使用されております。  この国際シンボルマークは、日本工業規格においても、障害者が利用できる建築物及び施設であることを表示する案内用図記号として定められておりまして、車いす利用者に限定されるものではございません。しかし、車いす利用者専用などと誤って認識されている方もいると思われます。  一方で、このような障害者用の駐車スペースは通常のものより広いスペースが確保されるとともに、建物の出入口などから近い位置に設けられます。このため、自閉症などの方で、駐車スペースからトイレなどへ行こうとする際に途中でしゃがみ込みしばらく動けなくなるなど、移動に当たり困難を生ずる方を乗せた車は、障害者用駐車スペースを利用していただくことが適切であると考えております。  現在、交通バリアフリー法とハートビル法を統合いたしまして、更に拡充した新しい法律案、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案を提出しておりますが、今後、これに関連いたしまして、政令、省令あるいはガイドラインといった形でこの整備を予定している施設設計に関するガイドラインなどの検討に当たりまして、障害者団体等と意見をよく交換しながら、障害者が利用できる施設である旨の表示方法やその意味の周知方法などに関してどのような工夫があり得るのか検討してまいります。
  106. 小林正夫

    ○小林正夫君 今、川崎厚生労働大臣あるいは副大臣の方から工夫をする必要もあるかなと、こういう答弁もありました。もう正に私そこが大変重要だと思います。したがって、先ほど言ったように、このマークを誤解されている方が多いものですから、これはこのマークとして定着している部分もあるのでこれはいいんですが、先週厚生労働省はマタニティマークというのも発表されて、広く妊娠されている方の御理解をいただこうという、こういうマークもできるという話も聞きました。  したがって、私、提案なんですけれども、あらゆる障害者の方がこの建物、施設を使ってもいいと、こういうふうに、もっと分かるというんですかね、これの補助的な何か工夫するマークなど、あるいはこういう障害者の今の国際的な共通のマークのわきに、あらゆる障害者の方もこれは利用していいんですよというようなそういうものを表示するとか、そういう工夫が必要じゃないかと思います。  特に、何か分かりやすい図柄の、この図柄からいくとどうしても車いすだとか手足の不自由な方というイメージになっちゃうものですから、もうこの辺について、そういうマークなどを作ることを提案したいと思いますけれども大臣、どうでしょうか。
  107. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 先ほど御答弁申し上げたように、基本的には私どもがやっている仕事ではないんですけれども、正に関連する団体がやっていることですからよく勉強してみたいと思います、御質問いただいた趣旨はよく分かっておりますので。
  108. 小林正夫

    ○小林正夫君 社会的弱者あるいは障害を持っている方に政治がどのように手を差し伸べられるのか、このことが大変私たち政治家にとって大きな課題だと思います。そういう意味で、もう少し幾つか質問をさしていただきます。  国家公安委員長にお聞きをいたします。  障害者の方が駐車禁止除外指定車の標章の交付を受ける、こういう方もいらっしゃいますけれども、改めてこの交付はどのような条件が必要なのか、あるいはどのような手続をすればよいのか、そしてその交付をもらえば全国どこでもその交付証で、駐車しちゃいけないところなんだけど駐車していいというふうに認められるのかどうか、この点についてお聞きをいたします。
  109. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) お答えいたします。  道路標識による駐車禁止規制の対象から除外する車両につきましては、都道府県公安委員会の道路交通規則等で定められております。  三十五都道府県におきましては、介護を要するなど一定の要件を満たす知的障害者の方が現に使用中の車両で都道府県公安委員会が交付した標章を掲出しているものについて、道路交通規則等で除外の対象とされております。したがって、これらの都道府県、三十五の都道府県におきましては、自閉症の方のうち介護を要するなど一定の要件を満たす知的障害者であると判断された方については、駐車禁止除外指定車標章の交付を受けることが可能であると承知しております。  まあ、今厚生大臣等から自閉症の方がどれぐらいあるかということがはっきりしないというお話ではございましたが、一般的に自閉症の方はかなりの確率で知的障害の合併症にもなっておられますので、まあしかし知的障害者であっても、今申し上げたように介護を必要とするとかあるいは歩行が困難であるとか、そういう方でないとこの恩典が受けられないというものでもございますので、かなりこれでカバーされているんじゃないかというふうに思います。  そして、この標章の交付手続についてでございますが、知的障害者の方の看護者から都道府県公安委員会に標章の交付申請書を提出していただき、都道府県公安委員会でその内容を審査した上で交付の可否を決定するものでございます。  そこででございますが、三十五の都道府県ではある程度知的障害者に対してこのような措置を講じていますが、残りの十二県においてはまだ講じておりませんので、これは障害者福祉の観点から、是非こういう制度は導入するように残りの県にも勧めていきたいというふうに思っております。  なお、先生おっしゃられましたように、じゃ隣の県の公安委員会で標章をもらっている人が別の県へ行ったとき有効かどうかということについては、既に三十五県、今この制度を導入しておりますが、そのうちの三十三県では隣の県でもよくなっております。二つの県ではやはり自分の県で出した標章しか有効でないと、効力がないというふうになっておりますので、この二県についても、できる限り他の県でも標章を受けているそういう車についてはこの適用をするようにこれからいろいろな面で検討、指導していきたいというふうに思っております。
  110. 小林正夫

    ○小林正夫君 障害者の関係で最後質問をさしていただきます。  厚生労働大臣にお聞きします。障害者全体の話です。  学童クラブの入所枠の関係なんです。私、平成十六年の十一月三十日の厚生労働委員会、また平成十七年の三月十八日の厚生労働委員会でも、障害者の入所枠があるので障害を持っている方が学童クラブに入れない実態がある、これを改善すべきだと、こういう訴えをしました。当時、尾辻前厚生労働大臣から、枠を設けていることはいいことではない、好ましいことではないから、今後各自治体に対して随時そういう枠を外すべく私どもも指導してまいりたいと、こういう旨の答弁がありました。  ところが、この三月期に入りまして、新たに四月から学童クラブ入りたいと思って手続をしようと思ったら、二名の枠があるのでそれは受けられませんということを言われた人たちがいるんです。この問題についてどう取り組んでいるのか、お聞きをいたします。
  111. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 放課後児童クラブにおける障害者の受入れに当たっては、一人一人の障害の種類や程度、各クラブの職員配置、施設の構造等を総合的に考慮する必要があり、人数に限りなくというのはなかなか難しいんだろうと思っております。一方で、厚生労働省として一律に障害児枠を設定することは適当でないと考えております。  昨年四月、地域の実情や放課後児童クラブの実態に応じて適切な受入れを図るよう、地方自治体に通知を出しました。そして、今年の三月、全国児童福祉主管課長会議においても、障害児の受入れに当たっては柔軟な対応をお願いをいたしました。さらに、来年度早々に実施する放課後児童クラブの全国調査においては、障害児の受入れ枠の実態を把握したいと、こう考えております。  いずれにせよ、従来より、放課後児童クラブにおける障害児の受入れを推進するため、国庫補助の加算を行っております。平成十八年度予算案においても補助対象となる人数要件を撤廃することとしており、こうした取組により障害児の受入れ機会の確保に努めてまいりたいと思っております。  実は、御要請いただいております東京都の例だけ多少違いまして、各県は国が三分の一の負担、県そして市町村が負担をし合いながらやっておる。東京都だけは東京都が二十三区に交付金を出してやっておりますものですから、必ずしも国の助成金を使っていないと、こういう問題もございます。ただ、豊島区に対しても、柔軟な受入れについて、この間お話もございましたので、少し考えていただきたいということで要請をいたしているところでございます。
  112. 小林正夫

    ○小林正夫君 安全、安心な社会づくりというテーマの次の質問に移ります。個人情報保護法の関係です。  まあ世の中、個人情報保護法の、正しく理解されているのか、いろんな課題があって混乱していると思います。特に、インターネットのファイル交換ソフトから個人情報が大量に漏れちゃうと、こういう報道とかこういう状況を聞けば、自分の名前、電話番号、住所なんか教えたくないと、このように思うのはみんな当然だと思うんです。そういうこともあって、最近この個人情報保護法に過剰な反応が示されているんじゃないかという報道もあります。  この担当大臣として、このことをどう受け止められているのか、お聞きをいたします。
  113. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 小林先生にお答え申し上げます。  昨年の四月にこの個人情報保護法が全面施行になりました。これによりまして、個人情報の保護についての重要性に関する国民の関心、認識、高まっていると思います。また事業者の取組も進んできていると思いますが、しかし、依然として事業者から個人情報漏えい事案が発生しているという状況がございます。今先生御指摘のように、同時に、法律に対する恐らくは誤解等から起因しているものと考えられますけれども、必要とされる個人情報の提供までもが行われないなど、いわゆる過剰反応と言われている状況が見られているわけですね。  これにつきまして、まず法律にはこのように第一条に書いてございます、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を適切に保護すると。ですから、やはりこの法律の目的を実現するために法を着実に施行していく必要があると。ここに「個人情報の有用性に配慮しつつ、」という文言が入っているということを認識しつつ、この法律を着実に実行していくということでございますね、実施していくと。  このために、先生御指摘のような懸念も指摘されていますので、これは二月二十八日に行った連絡会議ですが、関係省庁の局長級で構成してもらった個人情報保護関係省庁連絡会議というものを行いました。そこにおきまして、いわゆる過剰反応への対応も含めまして、この法の適切な施行につき、実施につきまして政府一体となって更に取組を強化していくということを申し合わせたところでございます。
  114. 小林正夫

    ○小林正夫君 なかなか法律を逐一国民が知るというのは難しいことだと思います。要は、本人の同意が得なければ調査できないとか、あるいは本人の同意もなくても調査できるとか、そのことを明確に今まで政府として国民に周知がしてこなかったということが私は大きな混乱を招いていることだと思います。  そういう意味で、この周知をしていくことの取組をしっかりやってもらいたいと、こういうお願いをしておきます。そうしないと、卒業アルバムができない、これから新学期迎えて学校の連絡網もできない、本当に社会のコミュニティーが損なわれていくと、こういう社会じゃいけないと思います。是非、今まで政府が、私はその辺の周知をやってこなかったツケがこのような社会を招いているんだと思いますから、是非その取組をしてもらいたいと思います。  そこで、竹中大臣に是非、国勢調査の関係、去年の十月行いました。それで、この国勢調査で調査員の方の非常に負担が大きくなったと。例えば、マンションもオートロックで入れなかったり、あるいは夜間何回も行かないとそういう調査に協力してもらえないということがあった。そういう意味で、二〇一〇年の調査では家計の収入の種類とか学歴の質問が追加されるという、こういう調査になると思いますけれども、この国勢調査の在り方、今回をやってみていろんな意見が出ると思います、出たと思いますけれども、その反省の上に立ってどういうふうな国勢調査をやっていくのか。私たちにとって大変大事な調査ですから、このことをどうやっていくのか、お聞きをしたいと思います。
  115. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 今回の国勢調査でございますけれども、全国的には皆さんの御協力を得て順調に進んだというふうに思っております。ただ、今委員言われたように、オートロックのマンションが増えて不在世帯が増加したとか、それと、やはりプライバシー意識の高まりを背景にして一部でなかなか記入をしていただけなかったりという事例、確かにございました。  そういうことを受けて、これは今後につながる問題でありますので、次回以降の円滑な調査の実施に向けまして今年の一月から有識者による懇談会を開催しています。そこで、今回発生した様々な問題を含めて、これは調査員の業務の在り方をどうするかと、それと国民の周知方法をどうするかと、そういう幅広い検討を行っていただいております。この懇談会、夏ごろまでに改善の基本的な方向取りまとめる予定でございますので、しっかりと今議論していただいて、そして取り組むべきことに取り組んでいきたいと思っております。
  116. 小林正夫

    ○小林正夫君 これで質問を終わります。  ありがとうございました。
  117. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。喜納昌吉君。
  118. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 民主党・新緑風会の喜納昌吉です。よろしくお願いします。  まず初めに、昨日、岩国市で実施された住民投票で、住民の圧倒的多数は岩国基地の米軍機能強化に反対しました。この結果を、地域エゴイズムなどという認識不足の発言が与党の国会議員の口から早くも出ていますが、とんでもないことです。この結果こそ、三月末と期限を定めての政府の地元説得工作が無理なことを証明したと言えます。  額賀長官、まず、岩国住民投票の結果をどう受け止めているのか、端的に伺いたい。
  119. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えをいたします。  昨日、岩国市民の住民投票が行われまして、過半数の投票率の中で空母艦載機の移駐について反対が上回ったということの報告は聞いております。  私といたしましては、日本全体の安全保障、国防関係の責任者として、日本の国民を守り国家の安定を図るという意味から、日米同盟関係をきちっとしていくことが重要であるというふうに思っております。もちろん、国民の皆さん方の理解を得ることが前提でありますけれども、今後とも、岩国市民の皆さん方に御理解を得るように誠心誠意、今、日米関係で話合いがされておりますのでその状況等々を報告しながら、説明を誠意を持って行っていきながら、理解を得ることに全力を尽くしたいというふうに思っております。
  120. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 岩国市民は、いみじくも米軍再編に絡む地元の世論を象徴する形で反対意見を明らかにしたのではないかと思っています。  長官、米軍再編のいわゆる最終合意の期限を延長させるつもりはないですか、長官
  121. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先週末も日米間で審議官クラスで精力的な協議を続行中でございます。様々な課題がありましたけれども、それぞれお互いが理解を得るために今全力を尽くして最後の詰めを行っているところでございますので、私といたしましては、当初の目標どおり、今月中に日米間の合意を得、また日本国民の理解を得るために全力を尽くしていきたいというふうに思っております。
  122. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 米軍再編についてはまた後で詳しくお伺いします。  次は、検察当局によるライブドア事件の捜査について聞きます。  政府は、検察がライブドア捜査を開始する前に連絡、打診、通報などを受けましたか。また、捜査をめぐって打合せはしたのでしょうか。法相に聞きたい、法相に。
  123. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) ライブドア事件につきましては、捜査に入る直前に、ただいまから捜査に入るという報告を受けました。それ以前は一切報告を受けておりませんし、関知もしておりません。
  124. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 それはどれくらいに前のことですか。
  125. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 時間はちょっと記憶定かじゃございませんが、捜査に入ったのは六時ちょっと過ぎておったと思いますが、五時あるいはもうちょっと前だったかもしれません。
  126. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 事実上の寝耳に水だったということですか。
  127. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) そのとおりでございます。
  128. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 この捜査を、政治の大きな流れを変えるための国策調査と見る有識者がいます。この国を真に支配しているのは検察だということを示すために捜査を開始したと言う識者がいます。また、小泉政権の経済イデオロギーである貧富格差を拡大させる弱肉強食の新自由主義政策の最たる結果として世の中に躍り出たライブドアをたたいて、汗水垂らして働く価値観を守るとの姿勢を検察は表向き示したと分析する識者もいます。  いずれにせよ、昨秋の総選挙で自民党及び自民党最高幹部らとあれほど緊密な関係にあった新自由主義の化身であるライブドアの堀江元社長らが逮捕されたということは、検察当局が小泉政治の大きな部分、すなわち経済政策ないしイデオロギーに打撃を与えることにならないか、あるいは修正を迫ったことにならないか。この点の認識を、次期首相の最有力候補の一人とされる状況を踏まえて安倍官房長官に聞きたい。長官、どうぞ。
  129. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 検察当局におきましては、法と証拠に基づき適正に対処したんだろうと、このように思っております。
  130. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 それだけではなくして、その一つの国策という観点はどうですか。
  131. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 検察においては、一定の意図、例えば政治的な意図を持つということは厳に慎んでいるというふうに思います。  今申し上げましたように、あくまでも法と証拠に基づいて適正に対処をしたと、このように認識をしております。
  132. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 政府は、ライブドア捜査に踏み切った検察当局の意図は何だと思うのか、官房長官にもう一度伺いたい。
  133. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) それは、あくまでも検察当局は恐らく違法行為が行われていたという認識の下に、法と証拠に基づいて捜査を行ったと、こういうことではないかと思います。
  134. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 犯罪に対する平等性は守られているということですよね、長官
  135. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) そのとおりでございます。
  136. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 では、改めて米軍再編について質問します。  日本は、サンフランシスコ条約調印と同時に日米安保条約を結ばされて、潜在的な日本の軍事的脅威を外側から封じ込まれました。一方、内側には輝く平和憲法の第九条があって、日本の軍事的暴走の可能性の歯止めになってきました。ところが、日本に関する限り、現在の米軍再編計画が自衛隊の米軍への一体化あるいは日米軍事一体化を意味するのは疑いないでしょう。これは、日米安保体制を柱とする日米同盟の関係の新たな大きな変質にほかなりません。政府・自民党は一方では憲法九条改定による集団的自衛権の明確を目指しており、日本を戦争のできる国に変えようと思われても仕方のないような行動がうかがえます。つまり、日本の軍事的台頭や暴走を抑え込んできた内外の瓶のふたが今外されようとしています。国際社会、とりわけアジアの近隣諸国には、自衛隊が米軍の先兵化することを制度化するものと映るでしょう。このような重大な軍事的変化を招く米軍再編への関与を一体日本人のだれが望んでいるでしょうか。  先ほど質問したように、憲法改定と米軍再編は軍事面において表裏一体です。改憲には国民投票が不可欠です。今回の米軍再編を含め、日本の軍事状況を大幅に変えてしまう重大な決定をする場合、国民投票をすべきではないか。その必要性は、かつての名護市民投票や今回の岩国住民投票の結果からも明らかです。現在議論されている国民投票法案にこうした改憲以外の重大案件についても国民投票を義務付けることを考えるべきではないか、この点について安倍官房長官に考えを聞きたい。
  137. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) ただいまの御質問は、日米の、この米軍の再編について国民投票を義務付けるべきではないかという質問ですか。
  138. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 そうです。はい、はい。
  139. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 米軍の再編につきましては、従来から政府が御説明をしてきておりますように、抑止力の維持と住民負担の軽減という目標を持って再編を行ってきているわけでございまして、今後ともしっかりと住民の皆様にその意図とまた具体的内容について説明をしていきたいと、このように思っております。  そもそも、現在、住民投票、いわゆる法律としてはないわけでございますので、この案件が将来そういう法律を作ったらどうかというその前提で御質問なのかと、このように思いますが、現段階ではそういう法律もございませんので、そういういわゆる国民投票はできないということではないかと思います。
  140. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 自民党が次に憲法改正するときにはその条項を盛り込んでくれますか、官房長官
  141. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 憲法改正の議論においては、自由民主党において現段階で草案を取りまとめ、更に国民的な議論を行っているというふうに思うわけでありまして、政府としては、今後まず党の、また与党の議論を見守っていきたいと、このように考えております。
  142. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 もう一つ、非常に危険な問題は、日本政府日本人の利益と日本国益を踏まえた明確で確固たる長期的な外交、軍事政策、戦略が欠けていることです。一体どんな長期的な政策や戦略があるのか、外務大臣防衛庁長官に聞きたい。
  143. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ちょっともう一回質問意味を言っていただけませんか、質問の趣旨がちょっとよく理解できないんですけれども
  144. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 前回、私の言葉が余り聞き取れないということであったんですけれども、ゆっくりしゃべりますのでよろしくお願いしますね。  さっきと関連するんですけれども官房長官に話したことと、やはり日本にとっては、今、一つのその戦略というのがアメリカに余りにも戦略的におんぶしているんじゃないかということですけれども、それゆえに一体どんな長期的な政策や戦略があるのか、外務大臣防衛庁長官に聞きたいと言っているんですね。
  145. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 日本の場合は、先生よく御存じのように、日本にというよりこの極東の中におきましては、韓半島の問題、台湾海峡の問題等々、まだ不確実、不安定なものがあるというのは、これはどなたも認めていただけるところだと存じます。そこの中にあって、日本に対して、やれミサイルを持っている、原爆を持っている、また頭越しに何とかドンとかが飛んでいく、不審船はどんどん乗り込んでくるというようなところを、私どもとしてはきちんと日本の国を防衛するという責任が政府にはあります。  したがいまして、私どもはそれを日本一国でやり切るだけの力があるかといえば、核に対して、核を持っていると言っておられるわけですから、それに対して私どもとしては核というものを持っていないわけですから、私どもとしては米軍の核の抑止力というものと手を組んで過去五十数年間、日本の安全を守ってきたという経緯だと思いますし、冷戦構造が終わった以後、その構造が果たして終わったかといえば、さような状況にはないというのが背景だと存じます。
  146. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えいたします。  今外務大臣が申し上げましたように、私は日本の国民の安全と日本の国家の安定を考えるのが最大の責任でございます。日米安保条約は元々、まあ盾と矛との関係ではありませんが、日本の自衛隊は国民を守り国家の安定を考える、しかし日本の能力以上の、例えばミサイルだとか核の問題についてはアメリカの力をかりてそういう攻撃が行われないようにする、攻撃が行われた場合はアメリカの力をかりて日本の国民と国家を守るというのが安保条約の基本的な考え方であり、それを逸脱して我々は日米同盟の再編の問題を考えているわけではない。  と同時に、米国とは自由主義とか民主主義とかそういう共通の価値観を持っているわけでございまして、日本の将来の、このアジア地域、世界の中で国民の皆さん方が安心して生きていくためには、やっぱりそういう自由主義・民主主義国家群をこの世界の中に広めていく、そういう大きな視野に立って日米同盟関係というものが基盤がなされているというふうに承知をしております。
  147. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 外務大臣防衛庁長官お話聞くと、最初に攻撃ありきで、それから核のバランスがないと平和が保てないということに聞こえるんですけど、もっとその別の道があるんじゃないでしょうかね。ちょっと麻生大臣、この辺を聞きたいんですけれども
  148. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 別の道という定義は何でしょうか。
  149. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 もっと外交を強くしていくという、それを優先していくという、防衛よりも外交をもっと強くするという方法はないでしょうかね。
  150. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 国防だけに限らないじゃないかという御意見でございますか。
  151. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 外交を優先にしてほしいんです、これはもっと力を入れるという意味で。
  152. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 外交を優先にしろと。外交を優先に一生懸命やっておるんで、やっておるつもりなんですけれども、今いろんな形で日本の場合は外交をやっておる結果、日本といたしましては、過日のBBCというイギリスの国営放送の、世界に対して世論調査をもちましても、日本という国は世界で最も貢献している国として挙げられておるという状況を見ましても、私どもの努力というのはそれなりの、この六十年間の努力というのはそれなりに評価をされていなければあれだけ高い評価は出るはずがないと存じますんで、私どもとしてはそれなりの外交評価をいただいておるものだと思っております。
  153. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 分かりました。  政府は九条改憲方針、自衛隊と米軍の一体化、自衛隊の軍への昇格、防衛庁の防衛省への昇格などの政策を、日本人と国際社会、特にアジア諸国にどう説明するのか。かつて日本軍が侵略したアジア諸国であるからこそ、日本はアジアに対してもっと説明責任があるんじゃないかと私は思っていますけど、官房長官、どう説明するのか、ちょっと聞きたいです。
  154. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) まず、憲法改正の問題につきましては先ほど御答弁申し上げたとおりでありまして、自民党において草案をこれを発表し、そして更に国民的な議論を今行っているところであり、その目指すべき方向として、平和主義、国民の主権、基本的人権を守っていく、こうした基本的な考え方は変わらないということについては、いずれにせよ自民党側も近隣諸国を始め諸外国に説明をしているというふうに承知をいたしております。  また、防衛庁の省昇格の問題におきましても、これは言わば現在五兆円近い予算を使っていると、そして、日本の国防の任に当たっているこの自衛隊を含む防衛庁が庁のままでいいのかどうかという議論を行っているわけであって、これが省になったからといって大きく性格が変わるわけではなくて、あくまでもこれは法律的な存在としての立場が変わるということであって、これが省に昇格したからといって、例えば防衛予算が増えるという性格のものではないということについては、私も、来日する方々にはもし聞かれた場合には説明をして、そしておおむね大体御理解をいただいているんではないかと、このように思います。
  155. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 昨年十月末、日米政府間で、日米同盟、未来のための変革と改編という合意文書が公表されました。以下、便宜上、十月合意と呼ばさせていただきます。  米側がこれを最終的な合意ととらえているにもかかわらず、日本政府は中間報告と位置付け、今月三月末に最終合意がなされると不可解な発表をしてきました。その後の経緯を見ると、十月合意が事実上の最終合意であるのは明白です。政府はあたかも地元との話合いで新たな合意が生まれて十月合意の変更が可能になるとの幻想を与えようとしたのではないか、世論を欺いてきたのではないか、麻生外相の考えを聞きたい。
  156. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 十月の2プラス2が中間報告ではなくて最終合意で、例えばいろんな意味で、あれ以後、決定であるがゆえに、もう全く変わることはないというようなつもりで言っておられるのかと存じますけれども、少なくとも私どもとしては、地元住民との話やら何やらいろいろ今後させていただくことになろうと思いますんで、少なくともあれから十センチも一センチも全く動かないと、このまま以外は全く動かないというようなことはないんであって、私どもとしてはいろいろな形で交渉し得る余地はあるものだと思っております。
  157. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 まあ私は十センチの話をしているんじゃないんですけれどもね。ただ、たまたま局長クラスや審議官クラスの裏話がたまに聞こえてくるから、そういう引っかけをしたのかなと思うんですね、そこはね。  まあ日米間の十月合意には、閣僚は地元との調整を完了させることを確約すると書かれており、地元の合意の取付けはうたわれていません。政府は盛んに地元の説得に当たっているようですが、説得しても地元の同意が得られない場合でも地元との調整が完了したと言うつもりですか。額賀長官に聞きたい。
  158. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 日米間でも精力的に話を続行しているわけでございまして、例えば中間報告以降で、海兵隊がグアムに移転するのも、当時七千人と言いましたけれども、今度は八千人、兵隊さん、司令部が移転をするというふうになってきておりますし、あるいはまた、嘉手納以南の米軍基地は相当規模の土地を返還するということのように具体化がどんどん進展をしているわけでございます。  そういう経過措置についてよく地元の皆さん方に説明をしながら、そして負担の軽減を図ると同時に、当初から言っているように、日本の安全保障をどういうふうに維持していくかということについてきっちりと今も誠意を持って話合いが続行されているというふうに御理解をいただきたいというふうに思います。
  159. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 安倍長官は今月六日の記者会見で、最終合意は日米が協議しており、その協議が調い次第、それが最終合意となると言いました。まあ長官の、額賀長官の話と関係をしてお聞きしたいんですけれども。  これは最終合意までに地元を説得するのが困難との見方を示したものか、安倍長官の見解を聞きたい。
  160. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) この米軍再編につきましては、いわゆる中間報告がなされたわけでありまして、現在ただいま中間報告に基づきまして地元での説明、説得を鋭意、誠意を持って行っているところであります。また、地元の皆様の御意見も伺いながら、それも頭に置きながら、今、日米で交渉を行っているということでございます。そして、当然のことながら、日米で交渉が最終的に調えば、これは日米間においての最終的な結論になると、こういうことではないかと思います。
  161. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 十月合意には、この三月に合意がなされ次第、実施開始となると書いてあります。安倍長官、あなたの六日のこの会見発言は、地元同意なしに日米合意を実施するのも仕方がないという意味だと受け取れますけど、長官のこの御見解をただしたい。
  162. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 政府としては、防衛庁を中心に地元に対して、先ほど申し上げましたように、今中間報告にのっとって誠意を持ってできる限り御納得をいただけますように説明を今行っているわけでありまして、今後ともこの姿勢をもちろん堅持をしていく、誠意を持って説明をしていきたいと、このように考えております。
  163. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 地元合意が難しいのは、政府が地元との事前の話合いや同意なしに、一方的に米国と十月合意したのが原因だと私は思っています。政府は、今でも本気で地元の同意を得ようと努力しているのですか。安倍長官にもう一度お伺いしたい。
  164. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) この問題につきましては、基本的に先ほど申し上げましたように、抑止力を維持をし、そして地元の負担を軽減するという大きな目標を持っております。その中で、先ほど額賀大臣が答弁いたしましたように、海兵隊も七千人から八千人の規模で削減をする。これはもう今までにない大規模な削減につながっていくわけでありまして、その中で全体的なこれは負担の軽減になっていくわけでありますが、個々の地域によりましてはその個々の地域のいろんな事情があるわけでありますが、そういう中で、政府は今まで誠意を持って説明をしてきているというふうに認識をしております。
  165. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 今も努力しているのならば、地元との事前の話合いを避けたことは政府の職務上の怠慢ではないか。安倍長官の考えを聞きたい。
  166. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) この問題については、もう総理も申し上げておりますように、安全保障の難しい点でありまして、日本全体の安全保障について、防衛庁長官も、また私どもも責任を持っているわけでありますが、他方、米軍基地の存在する地域の住民の皆さんには騒音の問題等大変な御負担があるのも事実であります。そうしたことの中で、今まで一生懸命防衛庁を中心に政府は説明をしてきているというふうに考えております。
  167. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 もし政府が本気で地元の意見を大切に考えていたのならば、十月合意になぜ閣僚は地元との合意を完了させると書き込まなかったのか。最初から地元合意を取り付ける意思がないか、あるいは取り付ける自信が政府になかったのではないかと思うんですけど、安倍長官にもう一度、しつこいですけど。
  168. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 十月のいわゆる中間報告における合意については、日米でこれは鋭意交渉した結果であったというふうに思うわけであります。その中で、もちろんすべて住民との合意が調っていればいいわけでありますが、しかし、日米で交渉する中においては、もうパッケージで全体を決めなければいけないという中にあってはなかなかそこまでは行かなかったということではないかと、こう思います。我々はこの中間報告について、これからもしっかりと説明をしていきたいと、こう思っております。
  169. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 まあどうやら地元を説得できないままに今月末を迎えようとしているように見受けられます。  政府は、地元を十月同意に強引に従わせることが不可能と判断すれば特措法という強圧手段を発動するつもりか、安倍長官に聞きたい。
  170. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 現在、日米で最終的な合意に向かって協議中でございますし、また鋭意地元への説明も行っているところでございます。今後とも、まず誠意を持って地元の皆様に御納得いただけるように最善の努力を尽くしていかなければいけないと、こう考えております。
  171. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 特措法を発動しないと確約できますか、長官
  172. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 先ほど申し上げましたように、我々は現在、地元の皆様に対しまして、この中間報告に基づいて誠意を持って説明をしている最中でございまして、現時点で今委員が御指摘になったようなことは全く考えておりません。
  173. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 なぜ、なぜ約束できないんですか。
  174. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 我々としては、現段階ではとにかく誠意を持って地元の皆様としっかりと話合いを行っていくということに全精力をつぎ込んでいきたいと、こう考えております。
  175. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 もう本土では、一九六〇年代末から関東地方にあった米軍基地を統合する関東統合計画が実施され、多くの米軍基地を日本人の視界から隠し去った。沖縄では、人口過密地帯の沖縄本島中南部の米軍基地を、できるだけ人口過疎の沖縄本島北部の山原、これは山書いて原書いてヤンバルと読みます、山原といいますが、そこに移そうとしています、今。そこで、私はこれを沖縄版関東統合計画として、山原統合計画と名付けます、私は。  額賀防衛庁長官、特に海兵隊基地の北部への統合のねらいは何ですか。
  176. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 海兵隊のグアム移転についてですか。
  177. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 いやいや、その山原に統合していくという流れで、どういう計画があるのか聞きたいんですね。
  178. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) この問題は、国全体としても、日本の安全保障の体制を維持しながらどういうふうに負担を軽減をしていくかということが最大のターゲット、目標であります。沖縄県においてもそのとおりであります。特に、沖縄県の場合は米軍基地のほとんどが集中しているということがありますから、この軽減負担をどういうふうに図っていくかが最大の目標であるわけでございます。  したがって、海兵隊のグアム移転とか嘉手納基地以南の基地を返還をしてもらうとか、今最大限の努力をしていることでありまして、北部の方に集中させるとか、そういうことがねらいではありません。
  179. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 分かりました。まあ、またゆっくりゆっくりこの辺は暴いていこうと思っております。  米軍基地は安保条約によって存在しますが、基地撤廃を求める私たちの真剣な訴えとは裏腹に、基地の存在から利益をむさぼろうとする安保利権が幅を利かしています。  現在、防衛施設庁の談合事件の摘発によって、組織的な建設業界との談合、癒着の実態が明るみに出ています。政府がもし本気で誠実に沖縄と基地問題などで話し合いたいのなら、真っ先に沖縄の安保利権に群がる業者や人物の名前を公表し、居ずまいを正すべきではないか。それらを公表する意思があるか、防衛施設庁長官に聞きたい。
  180. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 御答弁申し上げます。  私どもの防衛施設庁で生起いたしました談合事案につきまして、先生始め国民の皆様に御迷惑をお掛けいたしておりますことを改めておわびを申し上げます。  なお、今先生御指摘の点等を含めまして、私ども現在、この防衛施設庁の談合にかかわる事案につきましては、検察当局の捜査が進んでいる状況でございますので、私ども、捜査に影響を与える可能性がございますのでコメントは差し控えさしていただきたいと、そのように考えているところでございます。
  181. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 分かりました。  防衛施設庁は防衛庁の外局であり、防衛庁が施設庁の談合事件を知らなかったはずはないと思っています。額賀長官、どうですか。──もう一度言いますか。
  182. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私が今回の施設庁の談合事件について知ったのは、新聞報道によって、防衛施設庁にその談合事件の、成田空港事件、成田公団の問題でありますけれども、が波及していくんではないかという報道があって初めてこの問題について意識をしたところであります。
  183. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 防衛長官が談合事件を知らされていなかったとすれば、長官はもう裸の王様という、ではないかと思ってしまうんですけど、どうですか、長官
  184. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) いや、まさか施設庁においてそういう事件が起こっているとは夢にも思わなかったと。まあ、職員を信じていることから仕事が始まるものと思っておりますから、そういうことはよもや起こってはいないだろうというふうに想定するのが普通じゃないでしょうか。
  185. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 それとも、防衛施設庁にすべての責任をなすり付けなければならない事情があったのか。
  186. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私は、この事件が発覚したときに、あるいはまた東京地検が捜査に入ったということを耳にしたときに、まず捜査に全面協力をすると、もしそういう疑惑があるのであれば、すべてのうみを出し切って、防衛施設庁、防衛庁の再生を図るということをまず国民の前にお約束をしたところであります。
  187. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 捜査の談合があったということはないでしょうか。
  188. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 捜査の談合、これどういう意味ですかね。よく、承知しておりません。
  189. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 失礼しました。たまに言葉が過ぎてしまうところがあるので、失礼しました。  一部情報によると、政府は、辺野古崎に基地を建設する見返りとして、沖縄県内の高速道路料金の無料化、那覇空港での航空機の離発着料金の無料化、沖縄県内でのカジノ建設認可など考えているということです。このような見返りをするつもりなのか否か、小池大臣に伺いたい。
  190. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) まあ、今幾つかの具体例を出されたんだと思いますけれども、地域振興というのは、そもそもやはり地元の積極的な取組ということが欠かせないと思っております。  今、この米軍再編に絡んでの地域振興策のお話でございますけれども、まずは何よりも合意案の内容について今正に鋭意にその説明に取り組んでおられる最中でございますけれども、やはり何よりも理解と協力を得ていくというその努力が必要かと思います。その過程の中から地元からの御要望があれば、それに対しての対応を検討することが適当ではないかと考えております。
  191. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 実際はもう準備がされているんではないでしょうか、小池大臣
  192. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 地元の御要望にあれば、それに対応するということでございます。
  193. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 私は、すべて政治は談合じゃないかと思っているんですけど。  まあ、沖縄返還前に日米間に密約があったことは内外に周知のことですが、政府は密約がなかったと言い続けています。うそがあっては日本外交は信頼されません。外交は軍事、経済だけでなく、文化や抽象的な価値などソフトパワーも重要だというのは今や世界の常識です。密約はないと政府が言い張る限り、政府は自らうその文化を高く掲げているわけで、ソフトパワーを捨てていることになります。国益を粗末にしているわけで、許し難い。  麻生外相、まだ密約がないと言い張りますか。
  194. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) えらい話が飛躍していますんで、ソフトパワーと密約との関係を聞いておられるんですか。
  195. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 はい。
  196. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 私ども昨日の答弁でも申し上げましたとおりでございまして、私どもにはそのような密約等々の書類、一切ございません。
  197. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 密約の存在を示す資料はないということを聞いているんじゃ私はないんですね。密約の存否、密約があったのかなかったのかを明確に聞いているんです。よろしく。
  198. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) それも昨日御答弁申し上げましたが、ございません。
  199. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 麻生さんも次期首相の有力候補の一人とされていますが、ならばうそをうそとはっきり認め、今日の朝日新聞の投書にもあるように、小中学生でも分かるような密約の存在を認めるべきではないかと私は思っています。そうすれば日本外交評価は上がり、麻生さんの首相候補としての株も一気に上がるんではないかと思っております。  麻生外相、密約の存在を認める勇気がありますか。
  200. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 重ねて申し上げますが、ございません。
  201. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 まあ、それじゃ一人外れたということですね。自民党の次期総裁候補は四人、これはいると聞きますが、次期総裁の絶対条件を沖縄密約の存在を認めることにしたらいかがでしょうか。日本外交のためにどうですか。  ごめんなさい、安倍長官、あなたも密約の存在を否定していますけれども、密約の存在を認める勇気がありますか。
  202. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) これは勇気があるかないかではなくて、密約は一切存在しない。これは沖縄返還国会以来の歴代の外務大臣がお答えをしているわけであって、ただいま麻生大臣が答えたとおりであります。
  203. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 まあ近い将来アメリカは明確にばらすだろうと思っているんですけれども、私はね。そのときどうするのか非常に楽しみにしています。  小泉首相は、昨秋来日したブッシュ米大統領に対し日米関係至上主義を強調しました。安倍長官、あなたも対米関係を最大限に重視していますか。
  204. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 日米は、日米安保条約を結び、いわゆる同盟関係にあるわけでありまして、日本がもし外国から侵略をされたときには共同対処するということが安保条約の五条に書いてあるわけでありまして、日本が攻撃されたときに日本のために武力を行使する、ある意味では若い兵士が日本のために命を懸ける、それをはっきりと義務として宣言をしているのは米国だけでございます。ですから、がゆえに同盟関係ということになるんだろうと、こう思うわけでありまして、そういう意味においては日米関係というのは極めて重要な、最も重要な関係であろうと、こう思っております。
  205. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 安倍長官は米政府を信頼してますか。
  206. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) このいわゆる同盟関係というのはお互いの信頼関係があって初めて機能することになるわけであります。そして、それが正しく機能していることによって抑止力をこれは発揮をするということではないかと、こう思うわけでありまして、現在、日米関係は正にお互いが信頼するに足る関係になっていると、こう思っております。
  207. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 ならば、米政府発言や公式文書を信用しますか。
  208. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) ただいま私が申し上げた、基本的に日米関係を重視する、そしてまた、お互いが信頼関係をしっかりと構築をしていくということと個々の問題については、日本は当然言うべきことはきっちりと言っていくということではないかと、こう思っております。
  209. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 いや、米政府発言や公式文書を信用しますかと聞いているんです。
  210. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) いわゆる米国の、これはいわゆる公文書等々は、これは米国の文書であって、日本政府の立場としていろいろとそれに対してコメントする立場にはないと、こう思っております。
  211. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 私は、これは何も、何も密約の、まあそうすると、まあ確かに、まあさすが、さすがだなと思いました。いや、よく引っ掛かりませんでしたね。そうですね、さすがという。まあ、(発言する者あり)いや、それは答弁がさすがだなと思って。参った、参った、参った。ごめんなさい。基本的にはいい方だなと思っているんです、僕は。  ただいま、それでは、こういうことを質問したかったんです、次に、引っ掛かったならばね。それが、なぜ米国で公開された沖縄密約の存在を明記した文書の信憑性を認めないんですかということですね。まあお答えしなくてもいいんですけど。本来であればね。答えますか。本当はでも官房長官、本当は分かっているんじゃないですか。どうでしょう。
  212. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) ただいまお尋ねの文書については、その性格について政府としては承知をしていないわけでございまして、政府としてこの内容についてコメントする立場にはないということでございます。
  213. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 まあ、それどころか、密約の当事者だった外務省の吉野文六氏が既に密約の存在等、どのようにして密約が生まれたのかを詳細に明らかにしています。政府が密約の存在を否定することは吉野氏の人格や発言を否定することになると思いますけど、政府は、外交機密である密約の存在を認めた吉野氏は国家公務員法違反に該当すると思いますか。法務大臣、よろしく。
  214. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) もう突然の御質問で、何ら用意いたしておりませんので、よく調査した上で御回答させていただきます。
  215. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 ちょっと。国家公務員法は、もう一度言いますよ、それじゃね。政府は、外交機密である密約の存在を認めた吉野氏は国家公務員法違反に該当すると思いますか。法務大臣、よろしくお願いします。
  216. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 国家公務員法に基づいて犯罪が成立するかどうかという御質問でございますが、もし告発があれば、法と証拠に基づいて検討することに相なろうかと思います。
  217. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 まあ該当するならば吉野氏を起訴すべきだと思うんですけどね、法の平等の名の下にね。ただ、それを告発する勇気が政府にあるかなということはちょっと聞きたいんですけどね。まあそれはいいとして、文書を持ち出さなくても、まあまあ公務員法は整理しますから、是非、この機密問題を解決することは非常に重要な日本の私は未来にかかわるものだと思っていますので、努力をお願いします。  安倍長官、西山太吉氏に申し訳がないという気持ちがありますか、答えてください。
  218. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 今御質問の人物は毎日新聞の記者でございますか。
  219. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 はい、はい。
  220. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) そもそも私ども、この密約はないという立場でございますので、西山太吉記者に対して特別の感情を持っておりません。
  221. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 麻生外相、西山氏に済まないという気持ちがありますか。
  222. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 西山太吉氏に済まないという気持ちがあるかとお聞きになったんですか。
  223. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 そう、そう。
  224. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 特にございません。
  225. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 いや、まあ、まあ分かっていますけどね。  現在進行中の米軍再編絡みで米海兵隊のグアム島移転の巨額の費用を、もう一回言います、ゆっくりね。現在進行中の米軍再編絡みで米海兵隊のグアム島移転の巨額の費用を政府は負担させられようとしています。米軍は費用の内訳を示しておらず、つかみ金としてもぎ取るという考えのようです。すると、また沖縄返還時のように、使途不明金ないし密約が生じる可能性が小さくありません。  安倍長官、米軍再編交渉や合意をめぐって密約はしてませんか。明確に答えてください。
  226. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 現在正に最終合意に向けて交渉中でございます。当初の目的でございます抑止力の維持、そして地元軽減の負担に向けて、なるべく地元の皆様からも御納得いただけるように、そういう合意を得るべく努力をしていきたいと、このように思っております。
  227. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 ちょっと時間が余ったので、麻生大臣に。  麻生大臣は靖国参拝問題に関して、批判を受けずに天皇や首相も参拝できるようにするためにはA級戦犯の分祀も必要だという認識を示した。非常に私は、個人的には偉いなと思っています。実際にそんなことは考えない人だと思っていたんですけどね。だから、前の質問は失敗だったなと思っております。  ただ、しかし私は、首相が、まあ厳密に言えば、首相が靖国神社を参拝することよりも靖国神社に問題があるんではないかと思っています。だから、その靖国神社の、それができ上がっている過程、まあ招魂社の問題、遊就館の問題とか明治天皇の問題とか、それから戊辰戦争の問題、あるいは何というのかな、坂本竜馬は祭られてるけど西郷隆盛は祭られてない、日本精神の半分しか祭られてないということをひとつ私は今後明確に質問していきたいと思っていますんで、よろしくお願いします。  ありがとうございました、どうも。
  228. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で小林正夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  229. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、櫻井充君の質疑を行います。櫻井充君。
  230. 櫻井充

    櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井充です。  今日、まず最初に感染症対策についてお伺いしたいと思いますが、現在の国の体制について御説明いただけますでしょうか。
  231. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 厚生労働省における感染症対策のまず予算でございますけれども、感染症の発生予防・防止措置の充実、良質かつ適切な医療の提供体制の整備、人材育成の充実及び国際協力の強化、調査研究体制の強化などの内容となっております。  特に、十八年度予算においては、近年アジア地域で流行が見られるSARSなどの新興・再興感染症やウエストナイル熱、高原性鳥インフルエンザなどの動物由来感染症の発生に備え、感染症発生動向の把握、検疫による水際対策、迅速かつ機動的な対応を図るための国内機関との連携、合わせて百十二億円。ただし、補正予算で新型インフルエンザ対策として二百四十億円。C型肝炎、これ十八年度予算五十三億円、エイズ対策として八十九億円、その他として国立感染症の予算、これはまた別計上でございまして六十億という状況になっております。
  232. 櫻井充

    櫻井充君 感染症対策の基本そのものは、いかに予防に徹するかということだと思っております。つまり、日本国内に菌なりウイルスなりを持ち込まないようにするためにはどうしたらいいかということですが、その点についての対策は十分取られているとお考えでしょうか。
  233. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 海外で発生した感染症を国内に侵入させないことが大事であると、こういう御指摘でございます。  各検疫所において、エボラ出血熱などの重篤な感染症について、当該感染症が発生している地域から帰国した者等に対し診察等を行う。これは当然、鳥インフルエンザが正に人から人へうつる段階も同じことであろうと思いますけれども、海外からの感染症を早期に発見し国内への侵入防止を図るということでやっております。  また問題は、発生情報、これを早く入手することが大事でありますから、先日、今年になりまして北京で会合、東京で会合を開きました、各国との会合。そして、それの軸になりますのはWHOが軸になります。また、そこへ我が省から、我が国から人員を派遣しているのは御承知のとおりでございます。そういった意味では、国際ネットワークをしっかりしきながら情報を早く入れて、そして緊急時の場合について対応を練るということで対応を準備をさせていただいております。
  234. 櫻井充

    櫻井充君 検疫所のところでチェックをするのはもうこれは至極当然のことでして、むしろ大事な点は、その発生地域に行って日本の職員がそこのところで感染症の治療なりをきちんと行っていくとか、そういう指導することがもう一歩進んでいくと極めて大事なことではないのかと思いますが、その点についていかがでしょうか。
  235. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 確かに、アメリカのやり方と我が国のやり方が、まあ規模的にももちろん違いますけれども、やり方違うことは事実でございます。  我が国が、基本的にはまずこのWHOに対する拠出、これはアメリカが百億ちょっとでありますけど、二番目の約、日本も九十六億ということで、諸外国に比べてWHO、国際機関というものにお金を出していることは間違いないと。その中で、WHOができるだけの仕事ができるように経済的支援をする、人的支援をするというのは大事なことだと思っております。  一方で、米国のCDC、フランスのパスツール研究所、こういうところとの研究の協力体制をしく、それから海外への、この間もございました感染症専門家チームの派遣、こういう形でやっていることは事実でございます。ただ、常駐をしながらその地域のものを先につぶしていくんだということについては、当初申し上げたように多少アメリカの考え方とは違うということは事実でございます。  一方、人員の面では、東アジア地域を管轄するWHO西太平洋地域事務局にも感染症サーベイランス部門の責任者として厚労省の技官を現地へ出しております。また、事務局長としてフィリピンに尾身さんという人材も提供しているということでございますので、人的な面はある意味では、研究チームそのままざあっと行っているということではありませんけれども、各所各所に日本から人材を派遣していることも事実でございます。
  236. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) ただいまの川崎厚生労働大臣から御説明をいただきました厚労省の取組に加えまして、私ども文部科学省といたしましても、海外に感染症研究拠点を設けることは、発生国とともに我が国が発生国において感染症の研究に取り組むことによりまして、病原体に関する科学的知見の取得、蓄積ができるということ。それから、国際的な情報交換を可能とする研究者のネットワークを構築することができるだろうと、こういうこと。また、人材の、我が国の人材の養成にもつながる。これらの観点から、我が国の感染症予防及び当該発生国への貢献につながるものと、こういう認識も持っておりまして、平成十七年度より、新興・再興感染症の研究拠点形成プログラムというものをスタートをいたしまして、タイ、ベトナム、中国の海外三か国に研究拠点を構築をしたところでございます。  厚生労働省を始め外務省など関係省庁とも積極的に連携を図りつつ、更にこの感染症対策に貢献してまいりたいと考えております。
  237. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  極めて僕は大事な取組だと思っていて、今、国際貢献の点から文部大臣がおっしゃいましたが、国際貢献というとすぐ自衛隊を派遣してとかそういう話になりますが、むしろこういう対策を取っていくことの方が大事ではないかと、そう思いますが、麻生大臣、いかがでございましょう。
  238. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御指摘のとおり、今、日本では感染症対策というものに関しましては、これODAの重要な課題の一つだと考えてやらしていただいておりまして、沖縄でしたから二〇〇〇年だと思いますが、沖縄のサミットのときに、沖縄感染症対策イニシアチブを出させていただき、二〇〇五年に同じく保健と開発に関するイニシアチブ等々をやらしていただいて、感染症対策の支援というのをずっとやらしてきていただいているんですが、今、現地医療施設を活用するということが重要だという御指摘なんだと思っております。この認識は私どももそう思っておりますので、今例を挙げればタイで、今タイとガーナとケニアで三つやっているんだと思いますが、タイの大学の中でASEAN保健開発研究所、ガーナで野口記念医学研究所、ケニアで中央医学研究所等々で、いわゆるエイズ、寄生虫、HIV等々の医療施設の整備やら機材の供与、人材育成というのをずっとやらせていただいているんですが、今後ともこういった援助のまあ需要も是非やりたいというところもないと、押し付けるわけにもいきませんし、そういったところでは需要と、それに対してやらしていただくだけの効果というのはある程度踏まえないといかぬところだと思いますけれども、保健分野に関しましてはこの種のODAというものを使うのは非常に重要な点だという御指摘は、私どもも同じ、同感であります。
  239. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  その上で、お手元に資料を配らしていただきましたが、アメリカと日本との体制、人員的なもの、それから予算の規模を比較しておりますが、私はもう全然足りないんじゃないだろうかと、そう思っております。  そういう点において、谷垣財務大臣そして竹中総務大臣、この点についていかがお考えでございましょう。
  240. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今お示しのそのCDCセンター等と比べますと、随分数字の上で違いがあることは事実ですけれども委員もお書きになっておりますように、このCDCは感染症対策のほかにいろんな部門を抱えているということもございますし、それぞれの国でどういうところに重点を置いていくかということも若干違いがありますので、一律の比較は難しいと思います。  ただ、委員が御指摘になりましたように、そういえば、お顔を見て思い出しましたけれども委員もハイチのことを一生懸命やっておられますが、私もハイチにエイズ等々の見に行ったことがございますが、感染症をどう対応していくかというのは、実は財務大臣のプロセスにおけるG7等でも、これが国際的な経済にどういう影響を与えるかというのは極めて今日的な大きなテーマでございまして、私どもも、乏しい予算の中からやはりこういう問題にはきちっと対応していくべきだと考えております。
  241. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 予算に関しては財務大臣に、人員、定員に関して私への御質問だと思います。  国の行政機関については、御承知のように、簡素で効率的な政府を実現するという中で、全体としてスリム化に取り組もうという大きな方向がございます。しかし、そうした中でしっかりと必要なところにはしっかりと人員を付けたい、私たちもそのつもりでおりまして、正にめり張りを付けた、しっかりとした人員対応したいと思います。  まあ確かにこの数字、一万対四百ということでございますから明らかに差はございます。この差をどのように埋めていくかということは、厚生労働省からもいろいろ毎年具体的な要求をいただいておりますので、その厚生労働省からの具体的な要求内容をよく伺って、これはもうできる範囲で是非一生懸命適切に対応してまいりたいと思っています。
  242. 櫻井充

    櫻井充君 先日、国立感染症研究所に行ってまいりました。いまだに二十年前のパソコンが使われているんですよ。しかも人手が足りなくて、そして自分たちはいろんなことで貢献していきたいけどもなかなかできない。なおかつ、ここの人を増やすためにはほかの研究所の人間を減らさなきゃいけないという話もされておりました。  アメリカは鳥インフルエンザ対策だけで八百人の人員を増強しているわけですね。そういう点でいえば、日本ももっともっと財源そして人をこういうところに使うべきだと思いますが、改めて、いかがでございましょう。財務大臣総務大臣
  243. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今の私どもの抱えている予算の中でできるだけ工夫をいたしたいと思っております。
  244. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 先ほど申し上げましたように、本当にいかにめり張りを付けるかということだと思います。厚生労働省とよく相談をして、精一杯の対応をしたいと思います。
  245. 櫻井充

    櫻井充君 先日お伺いしたときに、本当に余りに悲惨な状況だったので何とかしていただきたいと、重ねてお願いしておきますし、これがやはり私は日本国益にもつながるし、それだけではなくて世界全体の利益にもつながっていくことだと思っておりますし、日本の貢献すべき道だと思っておりますので、是非御検討いただきたいと思います。  次に、福島県立病院で産婦人科の医師が逮捕、起訴された事件について質問させていただきたいと思います。  この件でお亡くなりになった患者さんに心からお悔やみ申し上げたいと思いますが、医療には、元々、患者さんというリスクもありますし、それから治療法にもリスクがあります。そのリスクがある中で我々は診療に当たっているわけであって、こういった何か問題が起こったときに医師個人だけが責められるような体制というのは私は大きな問題があるんじゃないかと、そう感じております。  その点で、今回の逮捕、起訴に関して、厚生労働大臣、いかがにお考えでございましょう。
  246. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 本件、公訴中の案件にもうなってしまっております。そういった意味では、具体的なコメントを私が言う立場にないということは委員も御理解いただけると思います。  一方で、地域の病院が正に限られた人員、また予算の中で地域住民の生命、安全を守るために懸命な努力をされているということには敬意を表しておきたいと思います。  今御指摘のように、医療にはリスクが伴うものである、医師が患者の安全を確保した上で、萎縮せず安心して医療の提供を行うことができる体制をやはり我々もしっかり構築するように努力をしていかなければならないと、このように思っております。
  247. 櫻井充

    櫻井充君 その言葉はいつもおっしゃるんです。しかし、残念ながら全然実現されていきません。  今回のような事件が起こると、地域医療、私は崩壊すると思いますが、そのぐらいの危機感はお持ちでしょうか。
  248. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) この事件だけをとらえてどうのということではありません。  産科、小児科を含めまして救急医療が各地域不足をしている、もっと言えば、そのところで働く医師の皆さん方が、看護師の皆さん方も含めて大変厳しい労働条件の中にあるということは承知いたしております。そういうものをどうやって解決するかということで、今回の医療制度改革も含めて、地域の皆さん方としっかり話をしながらやっていかなきゃならないと、このように思っております。
  249. 櫻井充

    櫻井充君 済みません、これは、根本的に言うと医師不足がまず私は原因にあると思っているんですが、厚生労働省として医者の数が足りないという認識はお持ちでしょうか。
  250. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) まず、医師全体の話といたしましては、平成十年に医師の需給に関する検討会、遅くとも平成二十九年ごろから供給医師数、必要医師数を上回るであろうと。今現在で、七千人、八千人の新しい方々、リタイアされる方々、差引きして四千名ぐらいの新しいお医者さんが増えていることは事実でございます。一方、平成九年に行われた閣議決定において、大学医学部の整理・合理化も視野に入れつつ、引き続き、医学部定員の削減に取り組むとなっております。  そういった意味では、医師数全体としては足りるか足りないかという御質問でしたら、医師数全体としては、偏在の問題、それは地域的、また医療の科目によってあるということは承知をいたしております。
  251. 櫻井充

    櫻井充君 どういう計算方法で医者の数が足りるということになるんでしょうか。
  252. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今、数字は、正確なものは持っておりませんけれども平成十年に検討会を行い、これから医師の養成、それは当然医学部の問題になってきますから、そういったものを総合的に見ながら我が国の医師数というものをどう考えるかという中で結論を得たものと、こういうふうに考えております。
  253. 櫻井充

    櫻井充君 医師定数の中で、例えば病院ですと、入院患者さん十六人に医者一人、外来に四十人に医者一人という形で病院で割り当てられています。しかし、手術をやる医者の数、検査をやる医者の数、それから当直をする医者の数、これは全然含まれていないんですよ。そういう計算方法で出されたとしても適正な医師数は確保できないんじゃないですか。
  254. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) そういう細かい議論をする資料を私今日は用意しておりませんけれども、正直申し上げて、それぞれのお立場で、医師の数が多いと言われる方もいらっしゃるし、櫻井先生の御主張をされる方もいらっしゃいます。  しかし、私どもとしては、もうそろそろ医師の数を急増させていくことはないなということで、年間四千人ぐらいの医師数増で全体の日本の医療というものに対応していけるだろうと、このように考えております。
  255. 櫻井充

    櫻井充君 今のやり方で地域医療は守れると大臣はお考えですか。改めてお伺いします。
  256. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 地域医療がそろそろ考え方を変えていかなきゃならないということは考えております。  私のところでも、例えば十万都市と九万都市でございますけれども、三重大学の方からは、小児科の救急は一か所に集中してくださいと二市の市長さんにお話がございました。しかし、残念ながら、やはり両市にその体制は持ちたいというのが住民の声です。そういった意味では、市長さんは住民の声に従って一つの結論を出された。  しかしながら、現実問題、子供の数も減ってきている中で、やはり医療というものは集約しながら、お医者さんが複数いながら対応できるような体制をしいていかなければならないだろうと。そういう意味では、産婦人科におきましても、やはりこうした手術を行うということになれば、それだけの人数を対応していかなければならないだろうと。しかし、それでは一つ一つ、五万、六万の都市にすべてその機能を持たせるということになると、それは不可能であろうと。  そういう意味では、集約化というものをどうやって進めていけるかと。今まで二十分走れば産婦人科があったけど、三十分走ってもらわなきゃならないと、四十分掛かるということをどう御理解をいただけるかと、こういうアプローチをお互いにしながら医療というものを考えていかなきゃならないと。その核になりますのは、我々が考えるのか、県が考えるのかということになれば、今度の医療制度改革の中で、やはり県というものが主体になりながら、大学の医学部、そして高度の機能を持った病院と、こういうものを連携しながら県全体の枠組みをつくっていただいてやっていこうというのが今度の医療制度改革でございますので、どうぞ御理解を賜りたくお願い申し上げます。
  257. 櫻井充

    櫻井充君 私は、医者の仕事が大変だからということを申し上げているんではなくて、医療提供体制そのものが崩壊するんだということを申し上げているわけです。  気仙沼に大島という島がありますが、人口約五千人、この島に医者は一人しかおりません。このお医者さんももうすぐいなくなるというふうに言われている。産婦人科の医者はもっともっと足りない。今、複数提供、医療提供体制の中で二人配置しようと思ってもなかなか難しい。それだけ地方に医師が足りないんだということを本当に認識されていますか。
  258. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今申し上げましたように、研修医制度の問題もあると思うんですけれども、一つの変化を迎えております。私の県でいえば、やはり大学を出て、その大学の医局に残ってくれるという人は少なくなってきた。その中で、知事さんから御相談を受ければ、思い切ってそれぞれの国立大学で地元枠というのをもう少し増やして、本当に地域に残ってもらえるようにしていかなければならないんじゃなかろうかと。そういう意味では、六年掛かる政策になってまいりますけれども、そういったものもやっていかなきゃならない。  ただ、先ほどから申し上げているとおり、総量としてどうですかと言われたらば、私どもは足りているという認識をしている。毎年四千人ぐらい増えていけば足りると。しかしながら、偏在の問題や、科目によっていろんな問題が出ていることは私ども承知いたしておりますので、その改善に取り組まなきゃならぬと、このように認識をいたしております。
  259. 櫻井充

    櫻井充君 現場のもう少し声を聞いていただきたいと思います。  私は医者が足りないと思っておりますし、それからもう一点、御検討いただきたいことですが、先ほど申し上げましたが、リスクのある患者さんが来られてリスクのある治療を行うと、必ず何らかのミスが起こり得る確率はあるわけです。そのものに関して医師個人が問われるということになってしまえば、リスクの高いものに関して医療従事者側は何もできないことになってしまうんじゃないか。ましてや、地域で一人でやらなきゃいけない危険性をはらんでいる人たちにとってみたら、地域には行きたくないという声が出てくるんじゃないかと、私はそういう心配をしておりますが、大臣、改めていかがですか。
  260. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 確かに個人のみに帰する問題ではないだろうと、したがって全体の体制をしなきゃならない、このように思っております。そのためには、住民の皆さん方にも御理解をいただかなきゃならないと。  集約をするということは、お医者様が一名ずつ散らばっている体制をどっかへ集めなきゃならぬ。三人、四人の医師が相談をしながら、そして二十四時間体制ですからね、二十四時間、三百六十五日体制ですから、正直言って四人でも足りないのかもしれない。そこへ看護師さんも付けなきゃならぬ。それを各地域全部用意しなさいといったら、それはもう櫻井さんの言うとおり医師不足ですよという話になってしまうと。しかし、そこは集約をしながら、御理解をいただきながらやっていかなければならないと。  そういった意味では、やはり地域挙げていろんな意味で話合いをしながらやっていかなきゃならないだろうと。正に御指摘いただいたように、現場のお医者様の話も聞かしていただき、看護師さんの皆さん方の話も聞かしていただき、住民の皆さん方の話も聞かしていただきながら、知事さんと十分相談しながらやってまいりたいと思いますので、またいろんな意味で御指摘を賜りたいと思います。
  261. 櫻井充

    櫻井充君 いい医療を提供したいという点では同じ思いなんだろうと思います。是非御検討をいただきたい、そう思います。  次に、建築基準法の改正についてお伺いしたいと思いますが、平成四年以降、随分建築基準法が改正されていますが、これはどういう理由で改正されているんでしょうか。
  262. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 平成四年から建築基準法が何度か改正されております。  ポイントだけ申し上げますと、平成四年は、用途地域の細分化並びに木造建築物に関する規制の見直しをさしていただいております。また、平成七年及び平成九年に関しましては、土地の合理的かつ健全な高度利用等を図るため、容積率規制の合理化をさしていただいております。平成十年は、建築確認検査の民間開放、また中間検査の導入、さらには建築基準の性能規定化等を行っております。平成十四年は、新築やリフォーム住宅の入居者のシックハウス症候群の問題に対応するため、その原因となる建材や換気設備を規制をしております。平成十六年は、既存不適格建築物対策といたしまして、建築物に係る報告・検査制度の充実強化、また是正勧告制度の創設等の改正をしております。平成十八年、今年の法改正では、アスベストに関する規制を導入をしておるところでございます。
  263. 櫻井充

    櫻井充君 済みません、御丁寧にありがとうございます。  前段の平成四年からそれから平成十年にかけて、改めてお伺いしますが、どういう理由でこの建築基準法を改正しなければいけなかったんでしょうか。
  264. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 平成四年から平成十年までですか。平成四年の改正に関しましては……
  265. 櫻井充

    櫻井充君 そんな答弁じゃなくて、同じ答弁ですか。それなら……
  266. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 平成四年に関しましては、都市化の進展に対応した良好な市街地の環境の整備を図るために、先ほど申し上げたように用途地域の細分化をやっていますし、また木造建築物に関する知見の蓄積を踏まえまして木造建築に関する建築規制の見直しをしております。平成七年及び平成九年は、先ほど申し上げましたが、土地の合理的かつ健全な高度利用を図るという目的のために容積率規制の合理化をしております。平成十年は、建築確認や検査等の充実、建築規制の実効性の確保を図るために、先ほど申し上げたような建築確認検査の民間開放等を実施をしております。
  267. 櫻井充

    櫻井充君 そういうことではなくて、これはアメリカから言われて改正している部分もあるんじゃないんですか、じゃ具体的にお伺いしますが。
  268. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) これ、それぞれの改正は、建築基準に関する、それぞれ審議会で、その改正の前年若しくは前々年ぐらいから審議をしていただいて改正をさしていただいたところでございます。
  269. 櫻井充

    櫻井充君 「日米構造問題協議と建設行政」といって、これは建設大臣官房政策課が監修したものでございます。ここの中にちゃんと書いてあるんですよ。アメリカから、スーパー三〇一条に基づいて林産物、この技術的な障壁を認定したので何とかしろと、赤字を解消するために何とかしなさいと。そのために平成元年十一月から平成二年の四月まで七回、林産物専門会合が開催されて、合意を見て、こういう方向にしていきましょうという約束を平成二年にしているじゃないですか。このためにこれは改正されている部分が随分あるんじゃないですか。
  270. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 建築基準法の改正も多岐にわたっておりますのでね。例えば用途地域の細分化というのが平成四年の最大のポイントだったわけですよ。また、木造建築物に関する規制の見直しも。こうしたことは、今委員のおっしゃったような趣旨ではないと思いますよ。それぞれ、建築審議会で諮問なされ、そして専門家の方々の御論議を経て建築基準法の改正をさしていただいております。
  271. 櫻井充

    櫻井充君 ここの中にも随分いろんなことが出てましてね。例えばですね、例えば平成十年に改正しました、仕様規制から性能規制に改正するときに、原則として建築基準は性能規定とすることが望ましいということも明記されておりますし、それから木造建築物に関しても、共同住宅など、こういったものが木造建築でできるとか、様々なことが合意されていて、そしてそれに従って日本の建築基準法なり規制が解除されていっていると、そういう実態があるんじゃないですか。
  272. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) それぞれの、今おっしゃったことが全くないとは言いません。言いませんが、これは様々な理由でそれぞれ建築基準法の改正がなされているわけでございます。今委員のおっしゃったようなところを背景にしながら建築審議会で論議されているものもあると思います。
  273. 櫻井充

    櫻井充君 それでは、これは日米林産物協議における建築基準の合意の概要ということをこの本にちゃんと載せてあるわけであって、まずこの合意がされていることはお認めになりますよね。
  274. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今委員のおっしゃった合意はしております。  ただ、この建築審議会でその後御論議をいただいて、そして改正案を取りまとめているわけでございます。
  275. 櫻井充

    櫻井充君 合意文書若しくは、ここのところでずっと七回、林産物専門家会合が開催されたので、その議事録を出していただきたいというお願いをしたところ、これは出せる文書かどうか分からないというお話でございました。  国会の議論も全部見てみると、こういう赤字解消のことが問題でとか、そういうことは議論の俎上には全く上ってこないんですね。我々、立法府にありながら、なぜそういうことの改正が行われるのかということをきちんとおっしゃっていただかなければ、立法府としての意味がないんじゃないのかなと、私はそう思いますが、大臣、いかがですか。
  276. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今委員のおっしゃっているのは、具体的には何年の改正のどの部分をおっしゃっておられるんでしょうか。  これはそれぞれ建築審議会で御論議され、その審議会の答申については、当然国会に、だけではなくて公表されているわけでございます。そして、その建築審議会の答申に基づいて法律案が改正されて、国会で御論議をいただいているわけでございまして、決して何かを隠しているとかそういうことはないというふうに考えております。
  277. 櫻井充

    櫻井充君 先ほど、その前に、じゃ、合意文書があるんだと。そして、しかもそれは何かというと、日米の赤字を解消して、貿易赤字を解消していきましょうということに基づいてということで議論が始まったんだと、そこの点はまず、じゃ、お認めいただけますか。
  278. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 先ほど来申し上げておりますとおり、これは建築審議会で、諮問し、そしてそこで専門家の方々、これは日本の専門家の方々に御論議をいただき、答申をおまとめいただき、そして国会で法改正を提案をいたしまして、御論議をいただき、改正をしているものでございます。  具体的に、例えば委員のおっしゃっているのがどこどこの部分についての改正についておっしゃっているのか、それを是非指摘していただければというふうに思います。
  279. 櫻井充

    櫻井充君 そういう細かいこと一つ一つに関しては、そちらで御答弁することなんではないんですか。私たちは、大きな流れの中でこうではないのかということを申し上げているだけです。  そしてもう一つ、それでは、アメリカの通商代表部が外国貿易障害報告というのを議会にしておりまして、その中でもちゃんとどこまで進んでいったのかということを逐一報告しているんですよ。そこの中で、例えば平成八年のときには、まだ仕様規制であって、そのために、建材と工法の利用を拡大するためには一層の措置が必要だと。そして、翌年のところには何て書いてあるかというと、米政府機関は、日本が基準を性能規定に基づくものに努力をするよう厳しく監視をしていくと、そこまで報告までされているんですよ。だから、この国は一体だれのための改正をしているのかということをお伺いしているんです。
  280. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 委員のおっしゃっているのは、恐らく平成十年改正のことをおっしゃっておられるんでしょうね、平成四年とか七年、九年のことではなくて。  で、平成十年につきましては、先ほど申し上げたように、大きなポイント幾つかあるんですけれども、そのポイントの中の一つとして、建築基準の性能規定化等の基準体系の見直しをさせていただいております。  だから、これについても、建築審議会で、これは平成七年十一月に諮問をいたしまして、そして平成九年の三月に答申を経て、そして平成十年の改正とつながっているわけでございます。
  281. 櫻井充

    櫻井充君 別にその審議会そのもの自体がある最初から方向性を持ってやってすれば、別にその会合を開いたからここで決まったということにはならないんじゃないでしょうか。これ、村田駐米大使からヒルズ大使あてに、要するに林産物の合意でこういう形にしたいけどどうだろうかというまず手紙が送られていて、そこの中に、今後あなた方の政府とともに作業することを楽しみにしておりますと、まあこういう文書も送られているわけですよ。だから、私は、最初だれのため、どういう目的でこれが改正されたのかとお伺いしてるんです。
  282. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 何度も申し上げていますとおり、この建築審議会でこれ相当長い間御論議をいただいて決めていただいておるわけですね。当然その時点での専門家の方々が入られて、我が国の建築基準の法制の在り方について御論議をいただいて、そうした方がいいという御判断でそうした性能規定化についても答申をいただいているわけでございます。
  283. 櫻井充

    櫻井充君 では、そうすると、合意されていて、それに従ってやったわけではないということなんですね。
  284. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 最終的に法改正に至るまでは、当然日本の建築に関する専門家の方々の御論議を経て、そしてまとめさせていただいたと思います。
  285. 櫻井充

    櫻井充君 お手元に輸入住宅の供給戸数という表をお配りしていますが、これ見ていただければ分かるとおり、どんどんどんどん輸入住宅、これがどんどん輸入されるようになってきているわけですね。ですから、何らかの協議がなされてそういう方向に行っていることだけはこれは私は間違いないんだと思っているんです。  もう一点申し上げますが、これ、実は合意している文書そのもの自体、ここに原本があるんですよ、ちゃんと。こういう形で、私は証拠を持って皆さんにおかしいんじゃないかということを申し上げている。これは去年の郵政民営化のときもそうでしたが、かなりいろんな部分でアメリカから物を言われて改正してきているんじゃないか。本当にこの国がこの国の国民のために改正しているのかどうか怪しいからお伺いしているんですが、もう一度いかがですか。
  286. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 何度も申し上げますが、建築審議会で諮問なされ、そして長時間掛けて御論議をいただき、答申を経て国会で御論議をいただいて法改正を認めていただきました。
  287. 櫻井充

    櫻井充君 まあ情報の公開がやはりもうちょっときちんとしていただきたい。アメリカは議会にここまで進んだとか進んでないとかいうことまで報告しているわけですから、我々にもきちんと知らせていただければ有り難いと、そういうふうに思います。  その中で、もう一つ申し上げますが、例えば、じゃ今政府が進めている構造改革というのも、これはアメリカから言われているからなんでしょうか。竹中大臣
  288. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと私がお答えするべき問題かどうか分かりませんが、私はそのようには全く考えておりません。
  289. 櫻井充

    櫻井充君 随分今日から構造改革、構造改革というコマーシャルが出ているようですけれども、あれは政府の方針なんですか、政府の政策なんですか、政府の主義なんですか。
  290. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 政府の政策であります。方向性を示しているものであると、こう認識をしております。
  291. 櫻井充

    櫻井充君 ちょっと違う視点でお伺いしたいことがありますが、伊藤元国土長官が政治資金規正法で訴えられて、まあ元秘書からいろんなことを言われておりますが、これ、政治資金規正法で言うその政治団体のちょっと定義をまず教えていただけますか。
  292. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと急なあれですので、正式な準備はしておりませんけれども、基本的にはその届出をするということになっていると思います。
  293. 櫻井充

    櫻井充君 これは政府委員で結構ですよ。
  294. 小野清子

    委員長小野清子君) 政府委員、いない。
  295. 櫻井充

    櫻井充君 後で遅れて通告してあるはずなんですけどね。
  296. 小野清子

    委員長小野清子君) 呼んでない。どうしましょうか。大臣しか登録がなかったようです。
  297. 櫻井充

    櫻井充君 ああ、そうですか、じゃ分かりました。済みません、じゃ、まあいいや。  済みません、後から通告してあるので落ちているのかもしれません。  そこの中で、三条の中に、「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体」と、こういうふうに規定されているわけです。そうすると、例えば私たちが自分の政策を何か実現したいということを後押ししてくれるような団体があれば、これはやはり政治団体として認められるべきというものでございましょうか。
  298. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 済みません、法律に基づく厳密なちょっと答弁、今準備はございませんのですけれども、基本的には、政治資金の規制対象とかそういうことを除けば、今政治に関してその目的を持った集団というのが考え方であろうかと思います。
  299. 櫻井充

    櫻井充君 そうすると、政治資金規正法に掛かってくる政治団体というのはどういう場合に、もう一度改めてお伺いしますが、政治団体と、政治活動そのものというのは一体何になるんでしょうか、じゃ。
  300. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 大変申し訳ありません。その政治資金規正法関連の質問、ちょっとこちらの方には全部、全く事前の御登録がなかったということになっておりますので、その正式な法律上の解釈、ちょっと私の方から自信を持って申し上げられるものはございません。  ただ、そこの規定に基づいて政治資金の、その活動について特典を与えられる団体なわけでございますから、それについては、政治資金規正法にのっとって、例えば収支の届出をするとか、しっかりとした手続を踏んでいなければいけないというふうに思います。
  301. 櫻井充

    櫻井充君 じゃ、済みません、この法律に従って一点お伺いしたいのは、ここに書いてある、もう一度三条一項を読みますが、「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体」ということであれば、その政治、政策なり、そういったものを後押ししてくると、そういうような団体は政治団体と、この法律上政治団体ということになるんでしょうか。
  302. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 何度も申し上げますが、その法律の厳密な解釈についてのちょっと準備をしておりませんので、正確なお答えはちょっとしかねる状況でございます。  ただ、一般文言からして、政治的な意図を持って活動することに対する、その活動をする団体というのは政治団体でございますと。ただし、政治資金規正法というのは、それに対してある種の枠組みをはめて特典を与えるための法律でございますので、その特典を受けるためには、まあ後にいろいろ法律では書かれたはずでございますけれども、収支の届出とか、そういうことをしなければいけないということだと認識をしております。
  303. 櫻井充

    櫻井充君 我々随分議論になっていて、政治団体そのものとは一体何なのかと、そういうことでいつも議論しているところであって、例えば私がいい医療を提供したいと、そういう形の会をつくってお医者さんたちと仲間で集まったと、こういうものは政治団体ということになるんでしょうか。
  304. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 政治団体というのは、届出がなされた後でなければ政治活動を、これは選挙運動を含むもののために、いかなる名義を持ってするを、いかなる名義を持ってするを問わず、これは政治資金の話でありますから、寄附を受けて、又は支出することができないということになっていると思います。
  305. 櫻井充

    櫻井充君 ですから、もう一度改めてお伺いしますが、そうすると、政治団体そのものが政治団体と認定されるかどうかということがまず第一条件になりますよね。その認識でよろしいでしょうか。
  306. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) あの法律に、届出がなされた後でなければというふうに書いておりますので、その届出が条件であると思います。
  307. 櫻井充

    櫻井充君 いや、その届出する届けないはお金の後の問題であって、そうではなくて、政治団体とはというその定義のところでいえば、ある政策を後押しするような、を目的としているような団体は政治団体ということでよろしいんですよね。
  308. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 済みません、厳密な政治、政策、法律の解釈のあれが手元にございませんのですが、今委員がおっしゃったようなその考え方でよいのではないかというふうに思います。
  309. 櫻井充

    櫻井充君 そうすると、例えば竹中平蔵大臣の進める構造改革を後押しすることを目的とするとか、そういう書き方をした場合には、これは政治団体に当たるんですか。
  310. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 政治活動をするんであるならば政治団体だと思いますし、政治活動をしないんであるならば政治団体ではないと。そのことに対して、構造改革に賛成、反対、それはいろんな立場があるのではないかと思います。
  311. 櫻井充

    櫻井充君 済みません、これは、賛成する人たちも反対することも本来の目的とする団体とあるので、別に推進しようがそれをやめさせようが、これは政治団体の中に入りまして、改めてお伺いしますが、竹中大臣の進めている、進める構造改革を後押しすることを目的としているということになると、これは政治団体ということになりますか。
  312. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 政治活動をするかどうか、政治活動をすれば、私の選挙を手伝ってくれるとか政治活動をすれば、多分政治団体でございますけれども、政治活動をしないということであれば政治団体ではないのだと思います。
  313. 櫻井充

    櫻井充君 済みません、ここのところは、定義のところは、「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、」ということになっているわけですよ。ですから、先ほどの構造改革を、構造改革を後押しすることを目的とするということになったとすれば、これは政治団体に当たるんですか。
  314. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) いえ、ですから、それが政治活動をするかどうかということなのだと思っております。
  315. 櫻井充

    櫻井充君 政策をつくることと政策を推進することは、これ全く別ですよね。政策をつくることとそれからそれを推進することは全く別なことですね。それはいいですか。
  316. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) ちょっとどういう趣旨の活動か分かりませんが、政策をつくるというのは、これは政策の立案と立法でございましょうし、政策の推進に関しては、これは行政の部分もありますでしょうし、推進としては、例えば私が不良債権の処理というふうに言った場合に、民間金融機関が不良債権の処理を進めるわけですから、民間の機関としてそれを推進するという場合もございますでしょうし、そこはいろいろではないかと思います。
  317. 櫻井充

    櫻井充君 我々政治家の活動の中で、どういったものがそれでは政治活動というふうに言われるものになるんでしょうか。つまり、私は医師として診療もしていますから、診療している部分は恐らく政治活動には当たらないんだろうと思うんですが、どこが政治活動と政治活動でないところの境になるんでしょうか。
  318. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) その問題、まあちょっと質問通告を受けておりませんので、全体的な答えはちょっと準備をしておりませんですが、例えば、私でいうならば、小泉内閣が掲げる郵政民営化に賛成してこちらに投票してくださいというのは非常に分かりやすい政治活動でございますし、私が大学等々で、例えば需要と供給がこういう構造になっているのかということを、これは今でも講義を頼まれてすることがございますが、これはまあ政治活動ではない。そこは個々の問題によって判断をされるべきだと思います。
  319. 櫻井充

    櫻井充君 日常のそういう講演の中でも、場面場面によってはそれは違ってくるんじゃないのかなと、そう思います。つまり、例えば街頭なら街頭の場で演説される場合と、それこそ本当の意味で大学で授業をされるときと、これはまあまた違ってくるんだろうなと、そういうふうに思います。先ほどの御答弁はあくまで選挙活動であって、政治活動ではありません。  そうすると、日常の……(発言する者あり)まあそうですけど、日常の、ごめんなさい、日常の、日常の政治活動においてどこまでがそうすると政治活動ということになるんでしょうか。
  320. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと体系的な答えを準備しておりませんけれども、それは正に個々の、個々の行動によって判断をされるべき問題だと思います。
  321. 櫻井充

    櫻井充君 竹中大臣、トリガー・ラボという有限責任中間法人の存在については御存じですよね。これは何をする法人ですか。
  322. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) その存在は承知をしております。その中間法人は、正に非営利の団体として、しっかりと世の中を改革していこうと、そういう活動をしているための正に非営利の法人であるというふうに思っております。
  323. 櫻井充

    櫻井充君 それだけの団体でしょうか。大臣とは何も関係のない団体ですか。
  324. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 私、そこの主催の会に何度も出させていただいたことがございます。そこで例えばシンポジウムをするとか、そこでまあ去年もたしかお正月に討論のようなことをやりましたけれども、そういうところにゲストに招かれて討論をさせていただいたり議論をさせていただいたことは何度かございます。
  325. 櫻井充

    櫻井充君 竹中大臣のホームページからは、このトリガー・ラボに対してはアクセスすることが可能です。それから、トリガー・ラボのホームページには竹中大臣のあいさつの文章も載っています。ですから、そんな程度の関係ではないんじゃないでしょうか。
  326. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) そんな程度の関係とおっしゃいますけれども、私は、構造改革を進める人たちと、それはどんな形であれ連帯、連携をしたいと思っておりますし、しっかりと構造改革をしたいと、日本を良くしたいというところには行ってあいさつして、頑張ってくださいということは当然言うでございましょうし、それ以上の関係どうこうというのは、少なくとも私はそこの役員でもございませんし、そこから何か献金を受けてるということもございませんし、そこは正に非営利のそういう法人、NPOを含めて、そういうものはこれからまた、ますます出てくるんじゃないですか。構造改革に反対する、そういう非営利法人も出てくるかもしれません。  少なくとも、そういう構造改革、世の中を良くしたいと思っている非営利法人でございますから、それについて私は、やはり呼ばれて趣旨の合う講演とかだったらこれは当然やらせていただくべきだと思いますし、シンポジウム等々にも必要があれば出させていただくと、そのような方針で臨んでおります。
  327. 櫻井充

    櫻井充君 済みませんが、ここは通称竹中平蔵経済研究所だと、そうホームページのトップに書いてありますよ。それだけではなくて、ここのところの政策、活動概要のところに、「竹中平蔵国務大臣の進める構造改革を後押しすることを目的として、以下の事業を行います。」とはっきり書いてありますよ。これ、政治団体じゃないんですか。だから、先ほどから何回もお伺いしてるんです。  こういう活動をしているのはまさしく政治団体じゃないでしょうか。
  328. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) いや、それは、私がかねてから主張してきた構造改革が必要だと、非営利の観点からそういうことをしっかりとしたいと、これはそういう趣旨でお書きになっているのだと思います。私のこの経済政策としての構造改革を非常に強く支持してくださっている方々がそのような形で中間法人をおつくりになっているということだと思います。
  329. 櫻井充

    櫻井充君 先ほど構造改革内閣の政策であると、そうおっしゃいました。そうすると、これを推進、後押しすることを目的としているということは、このことの定義からよれば、これはまさしく政治団体に当たるんだろうと。  それから、竹中大臣はそのようにやられているというお話をされますが、ここで竹中塾も開催されているじゃないですか。ですから、大臣、やっていることは、これは政治活動じゃないんですか。
  330. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 竹中塾というのは催しの名前だと思います。私を呼んで四回とか五回とかシリーズで講演をさせて、させてというのはおかしいですけれども、私が講演をしてそれを勉強しようと、これはこれで私は大変有り難いことだと思います。そういう催しに私はスピーカーとして呼ばれているわけでございます。
  331. 櫻井充

    櫻井充君 それじゃなくて、前段答えていないよ。  済みません、前段の質問に答えておりませんよ。先ほどの政治資金規正法の中のこの文言からすれば、ここは政治団体じゃないんですかと。  それからもう一点、竹中塾に関しては大臣自らこういうことをやりたいと持ち掛けておりませんか。
  332. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 私から少なくとも持ち掛けて頼んで頭を下げてどうぞやってくださいというような経緯は全くなかったというふうに承知をしております。これはいろいろ当事者でお話しになって、そしてそういうんだったら私は講師として行ってもいいですよということは当然合意をしたわけですけれども、それ以上のものではございませんでした。  そのトリガー・ラボが政治活動をしているかどうかでございますけれども、これは自分の主張を、例えば環境を良くするためのNPOというのは、環境を良くするというのもこれ政府の重要な方針ですけれども、じゃ、環境を良くする活動というのは、NPOの活動というのは、これは政治活動かというと、これはやはりそうではないんだと思います。環境を良くすること、世の中を良くすること、世の中を改革することというのは、それは一定の、何といいますか、特定の政治活動に結び付くことではなくて、もっとジェネラルに、公益を大事にして、そして世の中を良くしていこうということでございますから、私はそこは、その中間法人そのものの活動の全部を私は承知しているわけではありませんけれども、少なくとも世の中を良くしていろいろやっていこうというのは、私は政治活動とは少し違うと思っております。
  333. 櫻井充

    櫻井充君 それは大臣のあくまで主観的な判断であって、法律から照らし合わせてみれば、まさしく政治団体の私は要件を満たしていると思いますよ。  もう一点、この有限責任中間法人は基金をつくっておりまして、これが平成十六年十月の二十九日には五千万であった、それが平成十七年の四月の二十八日の当期では九千万円まで増えております。つまり、こういうものをつくって、こういうものをつくって、これは財務諸表等の公表義務はありませんから、お金の流れが極めて不鮮明になっていくんじゃないだろうか。つまり、我々も、何かの活動をする際にみんなこういう法人をつくってしまえば、政治資金規正法そのもの自体が形骸化するんじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。
  334. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと私は、そこから頼まれて、そこは、私を、構造改革に熱心な法人ということは承知をしておりますし、また、そこから頼まれて講演をしたことはございますけれども、その財務がどのようになっているかということはちょっと私は承知をしておりません。  いずれにしても、これは中間法人として法律に基づいて活動しておられるんだろうというふうに思います。
  335. 櫻井充

    櫻井充君 私の政治団体にも私は加入しておりません。いいでしょうか。そして、私の政治団体は私を支援する団体ですから私が入っているわけじゃないんですよ、大臣。ですから、この団体だって大臣が入ってなくていいんですよ。  そして、もう一点申し上げますが、こういうことをやったら政治資金規正法なんか何の必要もなくなりますよ。こういうものは、全部が私の政治活動じゃないんだと、私の一方の事業活動ですと、そういうふうに言われて、私はそういう思いでただ講演して歩いているんですということになったら、政治資金規正法そのものがざる法になるじゃないですか。伊藤公介議員は政治資金規正法の虚偽記載か若しくは不記載だったか忘れましたが、それで訴えられてますが、私は大臣そのものがこれを政治団体として届けてない方がよっぽど罪は重いと思いますけど、いかがですか。
  336. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) いや、櫻井委員の政治団体というのは、そこで政治資金をお集めになって、そして政治活動、櫻井さんの政治活動にお使いになるわけですよね、どういう形か知りませんけれども。トリガー・ラボというところは、これ、私に献金しているわけでも、私に何かその給料、特に出しているわけでも全くありません。そこは独立の法人としては活動しておりますので、これはどのような財務になっているか、ちょっと私は知る立場にございません。  いずれにしても、そこは、その団体は、私の知る限りではしっかりと構造改革、世の中を良くしたいと思っていること、そしてまあこう言っちゃなんですけれども、私の政策に、まあ私のファンだと言うと、ちょっと私が言うのはおかしいかもしれませんが、私に対して非常にいい政策だと思ってくれていること、そしていろんな催しをしてくれていること、政治資金の規正法で言うその政治団体で、それは正に政治資金のやり取りがあるからそこにそういう政治団体というのは出てくるわけで、そういう関係は一切ないわけですから、一切そのお金の関係なんかないわけですから、私としてはこれはちょっとコメントのしようがございません。
  337. 櫻井充

    櫻井充君 どこまでが政治活動で、ここだってお金の支出は一杯あるんですよ。例えば事務所も構えてるんですから、相当立派なところにですね。こういった事務経費だって何だって支出に入るんですよ、これは。だから、あとはここのところが政治資金規正法にかかわる団体なのかどうかということだけになるんじゃないでしょうか。  これは竹中大臣の、ここにちゃんと書いてあるんですよ、構造改革を後押しすることを目的としてつくられている団体なんだと。そして、以下の事業をやりますというふうに書いてあるんですよ。だったらここのところは政治団体に当たるんじゃないですかということですよ。
  338. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) ですから、そこは、その個別の中間法人の概要についてちょっと私はそれ以上のことを知る立場にはございません。頼まれて講演はいたしました。しかし、それ以上の立場には、知る立場にはございません。  それぞれ中間法人の法律があります。政治資金規正法による、その政治団体を縛る法律がございます。その法律にのっとって適切にやっているかどうかというのは、それは当然しっかりと個別に判断をされるべき問題だと思います。
  339. 櫻井充

    櫻井充君 この有限責任中間法人の履歴事項のところには、少なくとも政策はつくるということは書いてあっても、推進するということはこれ書いてないんです。ですから、やってることと、言ってることとやってることは全然違います。  時間がないのでもう一点御紹介しておきますが、ここの、トリガー・ラボのメンバーはそうそうたるメンバーでして、ちょっといろいろ問題がありますのでお名前は今日のところは伏せておきますが、金融庁顧問、経済財政諮問会議議員、それから税制調査会専門委員、この方は別なものも兼ねていらっしゃいます。内閣府特命顧問、IT戦略本部委員、二十一世紀ビジョンに関する専門調査会のワーキンググループの委員、それから郵政民営化に関する有識者会議議員と、木村剛さん以外は全部政府の何らかのこういう審議会なりに入っていらっしゃる方なんですね。  つまり、竹中大臣の構造改革を応援するような人たちしかそういう会議に入れなくなってるんじゃないですか。
  340. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと、どういう方々がメンバーに入っておられるとか、これ正に私がちょっと、直接関与しない法人ですから、ちょっと私も分かりません。分かりませんけれども、それに対して、例えばそういう構造改革を進めておられる方が有志で公益法人をつくって世の中を良くしていこうということそのものをだれも止めることはできないのではないのでしょうか。  それは、ちょっともう一度メンバー等々、私、見ますけれども、少なくともちょっと、今、私に質問されていますけれども、私とは関係のないこの法人についてちょっといろいろ聞かれましても、私としては、一般論として、そういう構造改革を進めようとして、いろんなその審議会にもコミットしておられる方々、正に有志が世の中を良くしようと思って中間法人をつくっている。そのために中間法人という仕組みがあるわけですから、そのようなことをしておられるのではないでしょうかとしかちょっと申し上げようがございません。
  341. 櫻井充

    櫻井充君 まず、これは竹中大臣のホームページからちゃんとリンクすることもできるんです。竹中大臣のコメントも書いてあるんです。ここのトップページには、「通称竹中平蔵経済研究所です。」とも書いてあります。そしてなおかつ、活動概要がホームページ上にですね、「竹中平蔵国務大臣の進める構造改革を後押しすることを目的として、以下の事業を行います。」と、そういうふうに全部書いてあるんですよ。だから、関係ないなんて言えないでしょう。
  342. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) いや、もう何度も申し上げましたですけれども、そういう公益法人がいろいろ活動をしておられます。それ、我々は、構造改革を進めるためにそういう公益法人といろいろと連携をして、お手伝いできる講演会等々はお手伝いすると。このことはこれまでもやってきましたし、これ以降も変わらないというふうに思います。  ちょっと改めてですね、どういうことになっているかというのは私もよく見ますけれども、少なくとも私の政治資金を面倒見たりとか、私の何か活動を経済的にサポートしたりとかですね、そういうこと、組織ではこれは全くございません。
  343. 櫻井充

    櫻井充君 そうすると、結局のところは、我々もこういう法人をつくって、どんどん政治活動かどうか分からないグレーゾーンに関しては活動していって構わないということですね。そういうことですね。
  344. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) いや、その政治活動かどうかというのは個別に判断をされるべき問題だというふうにかねて申し上げているとおりでございます。  例えば、しかし中間法人という仕組みがあってですね、現実にあるわけです、そして有志が集まってその公益のために何々しようということを、これは止めることはできません。その法律の趣旨にのっとってちゃんとやっているかとか、一方で政治活動の団体を縛る法律があるわけですから、その法律にのっとって活動しているかどうかということが個別に判断されるべき問題であろうというふうに申し上げているわけです。
  345. 櫻井充

    櫻井充君 公益とおっしゃいましたが、ここのところは、「竹中平蔵国務大臣の進める構造改革」と、公益じゃないですよ。政治家竹中平蔵じゃないですか。
  346. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) それは、彼らが言う構造改革という中身を分かりやすく説明するためにそういう説明の仕方をしているんだと思いますけれども、それも私が書いたわけではありませんから、ちょっとその趣旨はよく分かりません。
  347. 櫻井充

    櫻井充君 まあ所管大臣が自らこういう形のことをやられると、政治資金規正法そのもの自体が私はざる法になるんではないのかなと、そう思います。政治資金と関係あるかないかは、それでは、ここの流れをちゃんと見せていただきたい。つまり、ここの社員がどういう方で、そしてそこの財務諸表が一体どうなっているのか。  その点について、それでは資料を請求したいと思います、委員長
  348. 小野清子

    委員長小野清子君) この件に関しましては、理事会において協議いたします。
  349. 櫻井充

    櫻井充君 大臣はそのようにお話をされますが、ここは解釈の問題論もあろうかと思います。私は、ここの目的を読む限りにおいては、これはまさしく政治団体に当たって、その場合、ここにお金の出資がある場合にはですね、きちんと届出して報告しなければ、政治資金規正法そのもの自体が意味のなくなる法律だと思っています。  そのことを指摘して、質問を終わります。ありがとうございました。
  350. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で櫻井充君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  351. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、小川敏夫君の質疑を行います。小川敏夫君。
  352. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 官房長官にお尋ねしますが、ヒューザーの小嶋社長がですね、昨年十一月十七日に官房長官の議員会館の部屋に来られて、飯塚秘書官が対応したということがございました。  これについて、飯塚秘書官が国土交通省に対して電話をしたことはありますか。
  353. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) これにつきましては、もう従来から答弁をいたしておりますように、電話を含めて一切の働き掛けはしておりません。
  354. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 電話を含めて一切の働き掛けをしていないというと、働き掛けをしていないということが答えの内容になるわけですけれども、私が聞いているのは、電話をしましたかという事実を聞いてるんです。
  355. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) ただいま、電話を含めて働き掛けをしていないということは、当然電話もしていないということではないかと思います。
  356. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 国交大臣はどうですか。電話を受けてませんか。
  357. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) これも衆議院の方では何度か御答弁しておりますが、本省の局長級以上、また住宅局の職員に確認いたしました。そういう電話は受けておりません。
  358. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 いや、そういう電話と言われると、電話は受けたんだけれども働き掛けというものじゃないという解釈の下に働き掛けの電話を受けていないというふうに、言葉のニュアンスで事実をごまかしているんじゃないかというふうな疑いもあり得ますので、ただ単に事実として確認しただけです。働き掛けかどうかという解釈は除いて、電話は受けていないかと聞いているわけです。
  359. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 電話は受けておらないと聞いております。
  360. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 先般、民主党の輿石委員質問しましたミサワホームグループの産業再生機構の点についてお尋ねしますが、十二月二十八日、平成十六年ですね、この日に申込みがなされて、その日のうちに支援決定がなされていると。この事情について御説明いただけますか、担当大臣
  361. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 御承知のように、産業再生機構は、一般的に申し上げれば再生機構は事業者、メーンバンク等が広く案件を持ち込みまして事前相談等が行われるわけでございますが、これに厳格な資産査定などを通じて案件の検討作業を行うことになっております。その後、機構は専門家から成る産業再生委員会、これは外部有識者七人で構成しておりますが、ここにおいて公正かつ中立的な立場で機構法等にのっとりまして、対象となる事業者が事業再生計画を実施すれば再生可能であり、かつ事業再生計画の実現性も高いと判断できるか否かを審議した後に事業者、メーンバンクから案件の正式の申込みを経て機構の支援決定に至ることとなっております。  この申込みの即日支援を決定したような印象でお話しになりましたけれども、御承知のようにこれは上場企業でございますから、途中プロセスは対外的に極秘になっております。私どもも、所管大臣といえどもその経緯、経過等は全然報告になっておりません。  持ち込まれてからいろいろと水面下で、今言いましたような交渉が行われた後、そしてそれが大体関係省庁との合意も得ましたときにこれが正式に支援決定ということになるわけでございまして、その何といいますか、即日支援ということとはちょっと意味が違うかと思います。
  362. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 事前に持ち込まれて事実上の審査を行ったということですが、その事前という時期をお聞かせいただきたいんですが。
  363. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 私が知る限り、事前に持ち込まれた日にち等も私自身には直接報告を受けておりません。
  364. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 国交省の住宅局長、いらっしゃると思いますが、産業再生機構によるミサワホームホールディングスの支援についてという文書が住宅局で作成されておるようですが、これは御承知ですか。
  365. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 御指摘の資料について、住宅局内部の事務的な打合せ用の資料として作成したものであることが明らかになっております。
  366. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 時期はいつごろでしょうか。
  367. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 正確なタイミングは分からないんですけれども、十二月になってからだというふうに考えております。
  368. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 この文面を見ますと、どうも住宅局の方で作成したと。しかし、それは事業所管大臣である国交大臣等が意見を述べるというこの制度の仕組みを国交大臣に説明している、そのための資料じゃないかというふうに読めるんですがね。  国交大臣、いかがですか。この文書を、住宅局なりそうしたところからこの資料を基に説明を受けたことはありませんか。
  369. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) その書類は、実を言いますと今朝初めて見させていただきました。委員の御質問があるということで、初めて見させていただいたところでございます。  私は、この件に関しては、ちょっと一昨年の話ですので私自身の記憶にはないんですが、秘書官に調べさせました。そうしたら、十二月の二十七日に、私のところに、ミサワグループの事業再生計画は住宅産業の実態に考慮して問題が認められないとの報告を担当局から私が受けて了解をしております。
  370. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 住宅局長にお尋ねしますが、内部の方で作ったということですが、もう少し、内部で作った資料ということですが、資料を作成した目的は、どういうことで作成したんですか。
  371. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) この産業再生機構のシステムの制度自体、非常に新しい制度でございます。私どもも、その特に手続について熟知しておりません。で、事は企業の再生、生死にかかわることでございますので、手続を間違っちゃいけないという観点から、担当が手続的なことをきちんと確認するために事実関係を整理したものだと認識しております。
  372. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 そうすると、事実関係を整理するに当たっては、これは事実が、当然事実かどうかは確認した上で作成した文書ですから、ここに記載してある文書の中身は、これは事実をそのまま記載したものだと、このように理解してよろしいわけですね。
  373. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) どういうことを企図して作ったのかという御質問でしたので申し上げましたけれども、中身の確実性についての御質問でございますが、文書の中にございます事実のうち、支援が内定した日付が十一月十六日とありますのは、この文書の前後の文脈からも明らかに誤りであると考えております。
  374. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 日付が間違っているんであれば、正しい日付はいつだったんですか。
  375. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) そこも正確には作成者も記憶していないのでよく分からないんですが、文書の文脈からいたしますと、まず最初の概要というところで、十一月十六日に支援内定、ミサワホールディング等に通知予定とありまして、第二段落で、今後の予定と当面の見込みというのがありまして、十二月十七日ごろより産業再生機構が関係筋に説明開始とあります。  それから、第三段落としまして、これまでの動きというのがございます。十一月二十七日に、ミサワホームが機構活用という報道とかいろいろございまして、これまでの動きの一番最後が十二月一日、ミサワホールディングスの水谷社長が云々というのがございますので、恐らく十二月一日以降十二月十七日までだと思います。
  376. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 いや、必ずしもそうは言えないと思うんですよね。確かに、第二段落、第三段落でそういうことがあるから、この文書作成そのものは、この今言われた十二月一日の後十二月十七日の以前かもしれないけども、しかし、時日の経過として十一月十六日に支援の内定があったって、時日の経過を示しているだけだから、そのこと自体で間違いだとは言えないですね。
  377. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 先ほど申し上げましたようなことを前提といたしまして、十一月十六日というのは明らかに表示の錯誤があったというふうに思っております。
  378. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 いや、文書は今後の予定とこれまでの動きと書いてありますけどもね。それはだから、この文書を作成した日が言われた日であることは分かりますけどね、産業再生機構が支援内定した日が十一月十六日だっていつだったって別に矛盾はしないでしょう、過去の時日のその日のことを記載しているだけなんだから。だから、文書の作成日とこの十一月十六日の支援の内定の日が異なったって、別にそのこと自体何の不思議でも何でもないんで、この文書の記載から明らかにこの十一月十六日支援内定がおかしいとは言えないと思うんですがね、どうですか。
  379. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 先ほどから御説明いたしておりますように、これは産業再生手続が間違いないようにということで、私どもの担当が整理をした全体の流れについての文書でございます。  その文書の性格、それから先ほど説明しました三つの段落それぞれの記載事項、そういうことを考えますと、十一月十六日は明らかに表示の錯誤があったというふうに私どもは考えているわけでございます。
  380. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 表示の錯誤があったと言うんだったら、錯誤がない日にちはいつだと聞いているんです。
  381. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 繰り返しで恐縮でございますけれども、十二月一日以降十二月十七日までの間だと担当者は認識していたのではないかと推測しているわけでございます。
  382. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 じゃ、何でそれが十一月十六日に表示の錯誤が生じるようなことになったのか、その原因は何ですか。
  383. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) それは住宅局の中でもいろいろ問いただしたりいろいろしましたけれども、いずれにしても、この時点で正式に産業再生機構からいろいろな事柄を教えてもらうわけではないわけでございます。ですから、事務方でいろいろやり取りをしながらこういう文書を作ってくれたと思うんですが、その中でなぜ表示の錯誤を生じてしまったかということについては今現在つまびらかでございません。
  384. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 担当大臣にまた質問が戻るわけですが、ですから、支援の申立て、支援決定が十二月二十八日と、しかしその事前に持込みがなされて事実上の審査を行ったと。で、私は先ほど聞いたわけです。その持込みがなされたのはいつですかと聞いたわけですが、いつでしょうか。
  385. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 先ほど申しましたように、いろいろと上場企業として株価形成にも非常に問題がありますから、そうしたものが持ち込まれたとか、その事実関係も含めて一切私どもには報告ありません。
  386. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 じゃ、担当大臣じゃなくて、今日は内閣府来ていますね、どうですか。
  387. 広瀬哲樹

    政府参考人(広瀬哲樹君) 機構が審査いたします案件につきましては、持込みあるいは相談の日付等は対外的に公表しておりません。
  388. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 なぜ公表できないんですか。
  389. 広瀬哲樹

    政府参考人(広瀬哲樹君) 個々の案件につきましては、上場企業につきましては、特に株価等の影響があるものですから事後的にもそういうことを公表しておりません。
  390. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 だって、これ、支援決定しているという客観的事実があるわけですよ。支援決定をしているという客観的事実があって、それの持込みがいつなされたかということを公表したところで、別に持込みがなされるのは当たり前のことなんだから、それによってどういうふうに株価形成に影響があるんですか。
  391. 広瀬哲樹

    政府参考人(広瀬哲樹君) 機構が審査いたします個々の案件につきましては、政府は、産業再生機構の中において中立公正な立場で議論いたします産業再生委員会審議の結果を尊重しております。そういった関係から、個々の案件の推移あるいは審査のプロセス等につきましてはコメントをしないことにしております。  また、先ほど来議論がございますように、産業再生の計画につきまして案件がまとまり、加えて個々の案件の中身について資産の厳格な査定を行いました後、産業再生機構の中の産業再生委員会において議論が煮詰まり、各省、担当省庁において審査する段階になりましたところで、関係主務省庁に連絡し意見を求めることになっております。  いずれも法の手続に従いまして、適正に行うように努めているところでございます。
  392. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 そんなことは聞いてないですよ。支援決定をした。その前で、事前段階で持込みがあった。客観的に明らかですよ。その持ち込まれた日がいつですかと聞いているんですよ。関係ないじゃないか、ちゃんと答えなさい。
  393. 広瀬哲樹

    政府参考人(広瀬哲樹君) これまでも個々の案件のプロセスについてはお答えしていないところにしておりましたので、今の段階では時日等についてお答えできるような資料は持ち合わせておりません。
  394. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 今の段階で答えられないんだったら、いつの段階で答えられるんですか。
  395. 広瀬哲樹

    政府参考人(広瀬哲樹君) 機構が審査いたします個々の案件につきまして、採否ともございます。そういった関係で、決定した個々の案件につきましてどうお答えするのか、過去の答えぶりもございますんで、整合的にお答えできるよう検討しました後にお答えしたいと思います。
  396. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 このミサワホールディングスについては、十一月十九日に中間決算予想が公表されて百億の利益と。これは上場会社ですから相当株価の形成に影響があるはずなんですけれども、その直後の十二月七日に修正されていると。わずか五億五千万円の利益というふうに修正されていると。まあ、こうした公表を基に投資している一般投資家から見れば、とてもじゃないがひどい話だと思うんですが、この国交省の資料で十一月十六日に支援内定ということであれば、その後に、これ、決算予想が百億から五億五千万に減額修正されていると。  後々述べるように、そもそもこれ支援決定、支援する必要があったのかどうかという重大な問題があるわけですけれども、そうした意味で、何か産業再生機構がこうした支援決定の内定に向けて、あるいは内定後の作業において、そうした利益の見込みについて修正するというようなことについて関与、あるいは関与しなくても知っていたというような事情があるんではないかという疑念を持っているんですけれども、その点はどうですか。
  397. 小野清子

    委員長小野清子君) どなたに。
  398. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 じゃ、担当室長に、いや大臣でも、どちらでもいいですよ。
  399. 小野清子

    委員長小野清子君) 中馬大臣
  400. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 先ほどからのお話があります、そうした案件が持ち込まれた、あるいは相談があったといったことまでも含めて、株式会社産業再生機構がそれを独自で調べたり、また各省庁に相談したりしているんだと思います。  この件につきましても、最終的にこれを決めますのは、先ほど言いました産業再生委員会、第三者がこうした形で公正な中立的な形でこれを決めるわけでございますから、私どもはそれを信じて、そしてそこにお任せしている。その手続がおかしければ問題でございますけれども、私どもはこの手続は間違ってなかったと思っております。
  401. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 まあ総論的なことで、なかったと思っていますという意見だけで、私の質問には具体的に何にも答えてないんですけれども。  例えば、この支援決定について、産業再生機構はこのようにその支援決定理由について述べている。「本件事業再生計画の実施により、有利子負債のキャッシュフローに対する比率は十倍以内となり、かつ、経常収入は経常支出を上回るものと見込まれる。」と、このように支援決定理由に書いてある。  しかし、経常収入は経常支出を既に申立てあるいは持込み段階で上回っておるわけです。百億円の利益、あるいはこれを減額して五・五億円の利益でももう既に上回っていると。それから、この有利子負債のキャッシュフローに対する比率は十倍以内となっていると。これも既に持込み時点あるいは申込時点において十倍以内と既になっている。既になっている事柄について再生計画を実施したらそのようになるという、この決定はおかしいと思うんですけれども、これはどうですか、室長。
  402. 広瀬哲樹

    政府参考人(広瀬哲樹君) 個々の支援決定基準につきましては、担当部署もございますけれども、我が方で把握している一般的なところを申し上げますと、支援決定につきましては支援決定基準がございます。六項目ございます。御指摘になられました財務健全化基準、それは二つの基準を満たすことになっております。有利子負債のキャッシュフローに対する比率が十倍以内、経常収入が経常支出を上回ること、こうした基準ではございますけれども、これは事業再生計画が実施され三年、買取り決定後三年以内に達成する目標でございまして、支援決定時において満たしている満たしていないというのは支援決定に対する影響はございません。
  403. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 いや、そうじゃないですよ。支援決定した三年以内にこの目標を達しなさいという目標が申立て時点で既にもう達成されているんですよ。すなわち、支援の必要があったのかどうか、重大な疑問が生じるじゃないですか。どうですか。
  404. 広瀬哲樹

    政府参考人(広瀬哲樹君) 我々、個々の支援決定の中身についてコメントする立場にはないんですけれども、しないことにしておりますが、当日、十二月二十八日にミサワホームズから公表されております資料に基づきますと、十八年三月期に導入されます有形固定資産の減損会計などが導入されることを念頭に置きますと債務超過になるおそれがあるということでございますので、今おっしゃったような基準がどこから出ているのか我々詳細承知しておりませんけれども、再生機構において検討された事業再生計画がない場合、やはり十八年三月期において債務超過の可能性があったという当事者の申入れがございますので、それを尊重しますと支援が必要であったと考えられます。
  405. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 これ、まずこの財務健全化基準についてお尋ねしているわけですよ。すなわち、既に十倍以内となって既に経常収入は経常支出を上回っている会社に対して、本件事業再生計画を実施すれば上回るものと見込まれるというこの文章そのものがもう論理的におかしいんじゃないかと聞いているわけです。
  406. 広瀬哲樹

    政府参考人(広瀬哲樹君) 繰り返しになりますけれども、ミサワホームズから公表をいたしました当時の十七年三月期の決算の見込みにつきましても業務が大幅に悪化するということを見込んでおります。こういった関係から、ミサワホームズの支援の決定内容について厳格な審査が行われ、産業再生機構内の産業再生委員会において適切な判断が行われ、支援決定がされたんだと考えております。
  407. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 この決定書を見ますと、十七年三月期見込み百八十七億円の営業利益の見込みと書いてあるじゃないですか。これ、ひどい悪化なんですか、これ。
  408. 広瀬哲樹

    政府参考人(広瀬哲樹君) 我々、この支援決定におきまして、再生機構から公表されました資料については承知しておりますけれども、再生計画の中身につきましては専門家によって厳格に検討された結果でございます。それを尊重しております。
  409. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 いやいや、十七年三月期はひどい決算になると、だからというふうに言ったから私は質問したんですよ。決定書に書いてある十七年三月期の見込み、経常利益百八十七億円と見込みが書いてあるじゃないですか。どうですか。
  410. 広瀬哲樹

    政府参考人(広瀬哲樹君) 個別の内容についてはなかなかお答えできないんですが、ここで公表されていること、十七年三月期のみならず、企業というのは今後も事業再生を行っていくことになっております。そういったプロセスでございますんで、十七年三月期のみの数字ではなくて、ミサワホームズにおいて、当時の経営者、今も経営続けている方々において判断され、それを根拠に再生機構に支援を申し込まれ、その中で作られた事業再生計画において支援が必要であると判断されたわけですから、我々はそれを尊重しております。
  411. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 ですから、支援する必要が客観的にはなかったものについて支援決定がなされたんじゃないですかと私は聞いているわけです。
  412. 広瀬哲樹

    政府参考人(広瀬哲樹君) 繰り返しになりますけれども、専門家において、事業再生の専門家それから法曹界の経験者等を集めて、かつ事業再生の計画といいますのは、三年の大きな目標がございますけれども、五年、十年といった長期にわたる事業の再生可能性について検討した結果と聞いております。中身につきまして必要であるということから支援決定したということでございます。
  413. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 全く中身がない答弁ですけれども。  国交省のこの文書ですと十一月に支援決定が内定したとあるんですが、この点はどうですか。──当然室長ですよ。
  414. 広瀬哲樹

    政府参考人(広瀬哲樹君) 恐縮でございます。  国交省の文書を我々見ておりませんので内容を何とも申し上げられませんけれども、ミサワホームに対する支援というのは、今まで何度もお答えしておりますけれども、適切であったと考えております。
  415. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 質問に答えてないじゃないですか。内定のことについて聞いているんですよ。
  416. 広瀬哲樹

    政府参考人(広瀬哲樹君) 若干ダブりますが、国交省の作成した文書というのは我々は見ておりませんが、内定といった手続はございません。また、そういうものがないと聞いております。
  417. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 国交省に聞きますが、内定なんというものはないそうなんですよ。ないものを国交省は勝手に、言わば捏造して作ったんですか。ない手続を殊更あるように文書を作ったんですか、そうすると。
  418. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) ここは私、推測するしかないわけですけれども、担当が手続を間違いないようにということで、いろいろな方々に、報道も含めてですね、いろんな情報を整理をして、そういうふうにこの資料を作った人間が認識していたのではないかと思います、内定ということを、そういう手続があるものと認識していたのではないかと思います。
  419. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 室長にお尋ねしますが、内定という、内定決定みたいな手続はないですよ。だけれども、案件が持ち込まれて、それで事前にいろいろ協議して進めていくわけですから、そこでこれは支援決定できないとなれば、これは申込みをさせないわけですよ。だから、申込みをさせるんだったら、じゃ、まあこれでいいだろうという、それは法律的な内定決定という意味の内定じゃないけれども、まあいいでしょうという部内の意思の統一はあるわけですよ。そういう意味での内定はどうですか。それについて答えてください。
  420. 広瀬哲樹

    政府参考人(広瀬哲樹君) 繰り返しになりますけれども、今おっしゃったような内部での合意等々については外に公表しておりませんし、またそういう手続というのは必要でもございませんし、実際やったとは聞いておりません。
  421. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 国交省の方は、十一月十六日の日にちが錯誤だったと言っているわけで、中身を間違えているとは言っておらないわけで、だから、内定という、法律上の決定という意味での内定とは言わないけれども、しかし事実上、じゃそういうことでいこうやという部内の意思統一があったんでしょう。それが国交省に伝えられたから、国交省の方で内定という言葉を使ってこのことを記載したわけじゃないですか。どうですか、室長。
  422. 広瀬哲樹

    政府参考人(広瀬哲樹君) 繰り返しになりますけれども、何を、私どもは国交省の文書を拝見しておりませんし、事実関係に、国交省のお書きになったことについての事実関係よく分かりません。そういったことから、実際、内定ということを行うような手続になっておりませんので、どういうふうな形を指して内定としたのか、思い当たる節がございません。そういったことから、今私の方では確認できません。
  423. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 このミサワホームに関しては、債権、銀行が持っている債権の買取りという支援が実行をされたと。したがって、国は債権者として言わばその債権を保全するという義務を負ったわけだと思いますが、この債権者として、債務者であるミサワの財産の保全という点に関しまして、当然債権者としての管理責任があると思うんですが、この点はいかがですか。室長でも担当大臣でもどうぞ、結構ですが。
  424. 広瀬哲樹

    政府参考人(広瀬哲樹君) 支援対象になりました企業の資産の処分でございますけれども、第一義的には、当該企業が市場においてできる限りの努力をしながら行っていくというふうに考えております。一個一個の資産売却等につきましては、政府としましては言及する立場にはございませんし、また、機構においては、支援対象企業が行います資産売却の選定について適切なモニタリングをやっていると聞いております。本件につきましても、問題がなかったものと承知しております。
  425. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 先般、輿石委員が指摘した簿価五十億円の八王子市内存在の所有地が二千五百万円あるいはそれ以下の価格で売却されたということについてはどうですか。
  426. 広瀬哲樹

    政府参考人(広瀬哲樹君) 繰り返しになりますけれども、支援企業が行います資産の処分につきましては、第一義的には当該企業ができるだけ高値で売るという努力をやっていると考えております。  具体的に一個一個の売却等につきましては言及する立場にございませんし、また、売却価格等については分かりません。加えまして、機構におきましては、先ほど来のお答えのとおりでございますけれども、支援企業が行っております資産売却につきまして、外の専門家等導入したりしながら適正に売却進めているというふうに考えておりますし、また、モニタリングも適切に行っていると聞いております。
  427. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 国は債権者として、債務者の資産保全について当然それを管理する責任があると思いますが、その点はどうですか。
  428. 広瀬哲樹

    政府参考人(広瀬哲樹君) これは、立法時の経緯にかかわることだと理解しております。  産業再生機構におきましては、民間の知恵、それから民間の専門家を導入しまして、民間の力によって主として行うと。産業再生機構内においても、産業再生委員会をつくり、民間の専門家、それから法曹界の方々を中に置いて中立公正な立場からそのプロセスを見守っていくと。政府はそのプロセスを外で見ながら、問題があれば報告を受け、それを是正するといったような第二次、第三次的な間接的な関与を行いながら民間の力を利用していくということで立法されたものでございます。  そういった観点から、今議員御指摘のようなことにつきましては、民間の知恵をかりながら保全を行っているというふうに考えております。
  429. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 結論、どっちなんですか。国が債権者でしょう。債権者だったら、債務者の資産が流出しないようにきちんと管理する。もし、財産が流出すれば詐害行為取消しなり何なりの対応する責任があるでしょう。そのことについて、端的にあるかないかを聞いてるんですよ。
  430. 広瀬哲樹

    政府参考人(広瀬哲樹君) 再生機構の法の作りを概説したわけでございますけれども政府は、今申しましたような手続面の公正、それから公平、中立性を担保しながら国民負担が最小になるように努めているところでございます。
  431. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 だから、国が持っている債権が取りっぱぐれちゃえば責任が、被害が及ぶわけですよ。だから、そういうことがないように債務者の資産について適切に管理する義務があるでしょうと聞いているわけですよ。じゃ、ないんですか、これは。国が債権者としても、この債務者の資産に関して何ら監督する責任も権利も義務も何にもないんですか、これは。
  432. 広瀬哲樹

    政府参考人(広瀬哲樹君) まず、個々の再生案件につきましては、事業再生計画を作りますときに主管官庁から適切な検証を行い、それについて合意を与え、その範囲内において産業再生機構が主となって今のようなその国民負担が生じないような形で債権を保全し、それから適切な売却を行っていくということを行っております。  これまでのところ、その機構から受けております報告あるいはモニタリングを通じましても適正に行われたというふうに聞いております。
  433. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 答えたような、答えてないような。国が債権を保全する責任があると言いましたね。だから、債権を保全するために債務者の資産に関して不当な流出がないように、これもしっかり監督するあるいは管理する責任があるんでしょう。あるかないか、言ってくださいよ。
  434. 広瀬哲樹

    政府参考人(広瀬哲樹君) 産業再生機構の成立に際しまして与野党が併せて、衆院、参院、両院から意見をいただいております。その中でも、政府においては過剰な関与がないように、しかしながら、案件の支援においては適正な手続を守るように、かつ産業再生機構においては適切な手続で行うようにということを担保しながら、国民負担を最小にするようにしております。
  435. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 ちゃんと答えてないじゃないですか。  質問をちょっと先に行きますが、その八王子の不動産の処分の件ですが、これはそういう事実を知らなかったということですか、それとも、そういう事実を把握していたけれどもこれは問題ないということですか、どちらですか。
  436. 広瀬哲樹

    政府参考人(広瀬哲樹君) 我々は、企業再生計画において様々な残余財産の処分を行うというふうに理解しておりました。また、その中で今議論になっている財産が処分されるだろうというふうに予想しておりました。その処分に当たっては、適切なやり方を当該企業において行われるように機構においてモニタリングがされているというふうに聞いております。  そういった意味で、我々はその資産が売却されるということについては承知しておりましたけれども、個々の内容あるいは売却価格等についてはコメントする立場にございません。
  437. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 コメントする立場にないじゃないですよ、あんた。国は債権者として、国の負担、税金をつぎ込んでいるわけでしょう。それが取りっぱぐれちゃ困るわけで、それをしっかりと、正に税負担が最小になるように努力する義務があると言ったじゃないですか。そのためには債権者としてその権限を行使する、債務者のその資産の不当な流出を防止すると、それだけの責任があるでしょう。コメントする立場じゃないですよ。知らなかったのか、それとも、知っているけれどもこれは問題がないというのか、どちらですか、はっきり答えなさいよ。
  438. 広瀬哲樹

    政府参考人(広瀬哲樹君) 個々の資産の売却につきましては、当該支援企業において厳格な売却手続を行っていると聞いております。また、そういった観点から、機構においてもきちんとモニタリングしていると考えております。  そういった適切なプロセスを経て売却していると聞いておりますので、本件については問題がなかったというふうに承知しております。
  439. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 本件については問題がなかったと聞いているというのは、だから要するに、この簿価五十億円の土地を二千五百万円を下回る価格で売却したという事実を知っていると、知っているけれどもそれは問題がないと、こういうことを言っているわけですか。
  440. 広瀬哲樹

    政府参考人(広瀬哲樹君) 繰り返して申し上げておりますけれども、個々の売却金額等についてはコメントしないことにしております。  しかし、この資産を持っておりました企業の清算というのを行っておりまして、そのプロセスで適切な手続により売却されているというふうに聞いております。そういったことをかんがみますと、本件の売却につきましては問題がなかったと考えております。
  441. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 金額はね、コメントしなくて結構ですよ、こちらで調べて分かっているわけですから。金額を聞いているんじゃないんで。この土地についての売却について、じゃコメントしなくてもいい、ここでコメントできない、内容はコメントできないとしても、その売買契約の事実は把握した上で問題がないと言っているのか、そうじゃないんで、ただ手続論でそういう問題が起きないような手続になっているはずだと、だから問題がないと言っているのか、どちらなんですか。
  442. 広瀬哲樹

    政府参考人(広瀬哲樹君) 先ほどからお答えしておりますが、第一義的には先ほど申しましたミサワホームスにおいて適切に売却の手続を行い、一番高く売却するということに努めることになっておりますし、その手続行う者につきましては、産業再生機構が専門家を擁しましてモニタリングしているところでございます。政府は、それを報告を受け、プロセスについてきちんとした対応をしたというふうに聞いております。
  443. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 全く中身については答えてない。  大臣、この再生機構、結局、このミサワは例えば野村が出資しているということになっているんですが、この再生機構、この再生委員の中に野村の出身者がいるというようなことがあるんですが、こういったことについてはどう思われますか。
  444. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 先ほど申し上げましたように、この再生機構の社長が野村御出身であるかないか、そういうこととは別にしまして、それが決定権を持つわけじゃないんです。  御承知のとおり、産業再生委員会、有識者ら七人で構成して、その合議制によってその再生が可能かどうか、あるいはまた、そこにどのスポンサーにゆだねるか、こういったことを決めるわけですから、その特定の方がどこ出身であったからどこだというようなことじゃなくて、私はそういう意味で、合議制という非常にいい形のシステムの中で決められていくわけですから、そういうことは私はないと確信いたしております。
  445. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 例えばこの増資引受けで、これ上場企業だから株価があるわけです。その上場、付いている株価の約半分ぐらいの値で実際にこれ出資引受けされているというんですが、このこと、出資引受けについてはどうですか、どう思いますか。
  446. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 先ほど言いましたように、このことの、この再生機構という機構自身、そしてこうした大きな経済混乱を、また社会的な混乱を起こさせないために何か国が関与して、こうして出資をして一時的でもそれを再生できることであれば、再生すればそうした危険性も、あるいはまた混乱も防げるわけでございますから、そういうことで最終目的ははっきりしているわけですね。そのことの認定をした上でこうしてスポンサーを決めたりするわけでございますから、一時的にどの資産が少し安く売られたとか売られてないとかいう話ではなくて、トータルとして私はそれが再生されて日本の経済も安定されればそれでいいんじゃないか、このように判断して、そのとおりやっていただいていると私は確信いたしております。
  447. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 まあ大臣が確信するのはそれは御自由ですけどもね、先ほど私が冒頭で述べたように、そもそもこの支援決定手続をする必要があったのかどうかというその出発点からの疑問があるわけです。  それで、出口においては、今言いましたように野村とかトヨタが実際の上場されている株価の約半値近い値で出資を引き受けていると、こうした事実があるわけで、この辺について、大臣が確信するということはそれは結構でございますが、国民すべてが納得できる、こうした説明をしっかりとしていただきたいと思っているんですが、もう一度答弁をお願いします。
  448. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) これは、今回のこの機構のシステム自身に問題がなければ当然問題ないわけでございまして、今までにももう再生を完了したところはたくさんございます。ほとんどのところは損を出しておりません。いろんな途中経過は私も存じませんけども、そしてこれも国民の負託にこたえて経済の混乱を起こさせずにこうして再生できるところはどんどんと再生してやっていただいている、そのことを私は実績としても評価しておる次第でございます。
  449. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 まあミサワの場合には支援決定する前から利益を上げていたんですからね。  竹中さんに、大臣にお尋ねしますが、先般、輿石委員からも質問がありましたけれども大臣そのものはこの再生支援を受けるように創業者の三澤千代治さんに勧めたりと、あるいはそういうことで三澤さんがだれかトヨタの関係者に会いに行くようにというようなことを勧めたりしたことはございませんか。
  450. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 今御指摘のようなことは全くございません。
  451. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 どうも、私が三澤さんからお話聞いたところでは、電話をいただいたと言っておりまして、ここは話が食い違っております。  それから、委員長に申し上げたい。  そうした意味で、三澤千代治さんを当委員会に証人として呼んでいただきたい。また、このミサワホームトレーディングの社長であります水谷和生さん、これについても証人喚問していただきたく要望いたします。
  452. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまの件に関しましては、理事会において協議さしていただきます。
  453. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 金融担当大臣にお尋ねいたしますが、大臣の収支報告書を昨年度見ましたところ、村上ファンドの村上さんから四十万円寄附を受けているという記載がありましたが、これについて説明していただけますか。
  454. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 私を応援する意味で、私の選挙区支部に個人献金をしていただいた、それを政治資金規正法にのっとって報告をさしていただいたと、こういうことでございます。
  455. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 マスコミの報道によりますと、昼食会で、一回十万円の会費の昼食会に四回出席していただいたと、それで四十万円になったと、このような報道がありましたが、そういうことでよろしいんでしょうか。
  456. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) そういう会合はやっておりますことは事実でございます。私の政治資金は、個人が選挙区支部に御寄附くださる場合もありますし、また、企業が五万円以下の寄附をしてくださいます場合もございます。また、勉強会という形での言わば政治資金規正法上の言わばパーティーで資金を集めるという形式を取る場合もございます。この場合は、ストレートに御寄附をいただいたと。ただ、勉強会には御出席をいただいておりますが、そちらの方は二重取りになりますので会費はいただいておりません。
  457. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 そうすると、十万円四回じゃなくて、四十万円一回ということですか。
  458. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 十万円ずつ四回いただいていると報告を受けております。
  459. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 その十万円の四回は昼食会の日時と重なるんじゃないですか。
  460. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 個人の資格で勉強会に参加したいというお申出がありましたので、会計上は選挙区支部に直接個人献金をしていただいたと、こういうことでございます。
  461. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 そうすると、四回そうした勉強会に村上さん、顔を出されたと、大臣とお会いしたと、こういうことでよろしいわけですね。
  462. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 個人としての参加は四回でございます。
  463. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 そうすると、個人としてではない資格での参加もあったんですか、この四回以外に。
  464. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) この勉強会は私の落選中に始まった勉強会でございまして、そのときから参加をされておりますから、いろいろな企業、中小企業が主ですけれども、そういう方々のお一人としてそういう勉強会に参加をしていただいた。そのことは別途政治資金規正法にのっとって報告をしてあることでございます。
  465. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 その勉強会で村上さんと大臣、大体どういうことをお話しされるんですか、差し支えないで、もしお話しできる、その勉強会で村上さんと大臣、どのようなお話をされるんですか。差し支えない範囲でお聞かせください。
  466. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 私から政治とか経済の話を四十分ぐらい報告をしまして、あとは参加者からいろんな質問を受けるという形式を取っておりますから、特定の方と特定の話題を話すわけではございません。
  467. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 外務大臣にお尋ねしますが、昨日の福島委員質問にもありましたいわゆる沖縄返還交渉での密約の話でございますが、四千万ドル、まあ密約はないということを既に繰り返し答弁されておりますけれども、この支払そのもの、つまり三億二千万ドルをアメリカに支払ったと。その中に問題の四百万ドルが、四百万、四千だったかな、四百万ですね。さっき四千万と言ったのは四百万の間違いです。四百万ドルが含まれているのではないかということですが、この三億二千万ドルの支払は当然これは完了した、行ったということですね。
  468. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) そのように理解しております。
  469. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 その中にこの現場復旧費の四百万ドルも含まれているということでしょうか。
  470. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 三億二千万ドルの話と四百万ドルの話と一緒になるようですけれども、四百万ドルに関しては密約というような話がありますけど、そのようなことはございません。
  471. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 だから、密約かどうかは別にして、この復旧費の四百万ドルが含まれているんじゃないですかと、含んで支払っているんじゃないですかと聞いているわけです。
  472. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 会計上、勘定区分がそのように分かれているというふうには理解しておりません。
  473. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 アメリカの、米国の公文書ですと、その当時の局長の吉野文六さんの、局長のですね、署名があるということですが、この署名はこれは吉野さんの署名ということでよろしいんでしょうか。
  474. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) アメリカ側の文書のことですので、私どものかかわり合うところではございませんし、その内容についてしかと知る立場にございません。
  475. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 いやいや、アメリカ側に保管されている文書だとしても、局長が署名した文書ですよ。すなわち日本外務省が関与した文書じゃないですか。それについて答えられないことはないでしょう。
  476. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 度々お答え申し上げておりますように、そのような文書は私どもの方にはございませんので、向こう側に出され、向こう側にあってもこちら側には全くありませんので、お答えのしようがないと。したがって、向こう側に出された文書に私どものかかわり合うところではないと申し上げております。
  477. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 かかわり合うかどうかじゃなくて、アメリカに保管されている文書に吉野さんの署名があると。だから、局長の吉野さんが局長として署名したのかどうかを聞いているわけです。
  478. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) それも度々お答えいたしておりますように、私どもは向こう側にそのような文書があると言われて、出されたという話は聞いておりますけれども、私どもにはそれを裏付けるような文書を私どもの方にはございませんと申し上げております。
  479. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 質問に答えてない。  吉野文六さんかな、局長、当時のことを新聞紙上でも事実を語っておりますので、この吉野さんについても是非、証人として事情を聞いていただきたく申請しまして、私の質疑を終わります。
  480. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまの件は理事会において協議いたします。  以上で小川敏夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  481. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、山口那津男君の質疑を行います。山口君。
  482. 山口那津男

    山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。  まず初めにいわゆる官製談合防止法、これは平成十五年一月から施行されて既に三年間たつわけでありますが、その間、現行法を運用する立場から、公正取引委員会として、その立法目的がどれぐらい達成されたと考えていらっしゃるか、あるいはその実効性がどのようなものと評価をされているか、まずこの点お答えいただきたいと思います。
  483. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) お答え申し上げます。  いわゆる官製談合防止法が施行されて満三年を経過しております。それ以前は、役人が入札談合等に関与しているということが分かった場合でも、事実上、関係省庁に対して是正方を要請するということで公正取引委員会は対応してまいりまして、それなりに尊重されてはいたんだと思いますが、やはり実効性を上げるという意味で、この官製談合防止法が議員立法によって十五年の一月から施行されるようになって、やはり意識改革という意味でそれなりの効果があったというふうに思っております。    〔委員長退席、理事市川一朗君着席〕  それで、三年たっておりますが、公正取引委員会は、北海道の岩見沢市、それから新潟市、それから昨年は旧日本道路公団、この三件について具体的にこの法律を適用いたしまして、それぞれの長に対しまして、どういうことであったのか調査をしてほしい、それから必要な処分等もしていただきたいという法律に基づく措置要求をしておるわけでございまして、そういうことを通してこの法律は所期の目的は達しているというふうに思っております。  現に、関係する公務員においても、これは十分に研修もいたしましたんで、これからは、今までは代々引き継いでいたことであってもこれは駄目なんですよという意味での、何といいますか、意識なり研修ということではこの官製談合防止法が大変大きなきっかけになったということも申し上げられると思います。  さはさりながら、このところの事件を見てみますと、残念ながらその官製談合自体をやめるという点から見ますとまだやっぱり不十分なのかなということで、昨年の独禁法の改正のときもいろいろ御議論いただきましたけれども、また経済界からも、一方的に事業者だけじゃなくて、関与している公務員に対する処罰というものがこの官製談合防止法自体にはないではないかというようなことで、官製談合であっても一方的に事業者だけ処罰されるというのはいかがなものかというような御批判もありました。  私どもとしましては、やはりそういう意味で、官製談合防止法自体がもう少し抑止力を高める、やはり公務員がそういうことに関与してはこれは正に罪を犯すことになるんですよということがもっと鮮明になるようになった方がいいのかなというふうに思っておりまして、このたびの与党、野党それぞれ官製談合防止法の改正案がこの国会に提案をされているわけでございますが、私どもは大変それを期待をして、成立するように待たしていただいているということでございます。
  484. 山口那津男

    山口那津男君 今お挙げになりました岩見沢市、新潟市、そして旧日本道路公団、これらについて改善措置を要求したということでありますが、対応してとられた改善措置、これをどのように評価をしていらっしゃるか。場合によっては公取として意見を述べることもできるという制度になっているわけでありますが、これをどう評価していらっしゃいますか。
  485. 松山隆英

    政府参考人(松山隆英君) お答えいたします。  公正取引委員会は、これまで岩見沢市、新潟市、旧日本道路公団に関しまして、入札談合等関与行為防止法に基づきまして改善措置要求を行ってきております。  岩見沢市につきましては平成十五年一月三十日に措置請求を行いまして、六月十一日付けで改善措置の報告を受けております。新潟市につきましては平成十六年七月二十八日に措置請求を行いまして、平成十七年四月二十八日に改善報告を受けているわけでございますが、いずれも職員の意識改革なり入札制度の改善、業者との接触の制限等を規定しておりまして、当委員会としてはその改善措置の内容について具体的に意見を述べる必要はないと判断をしたところでございます。  それから、旧日本道路公団に関しましては平成十七年九月二十九日に措置請求を行いまして、去る二月十六日、旧日本道路公団の業務を承継いたしました高速道路三会社の方から措置し、調査結果及び改善措置が公表されまして、当委員会にも通知がされたところでございます。  その内容検討いたしましたところ、調査結果につきましては、公正取引委員会が昨年九月の改善措置請求時に通知した事実関係をほぼ同じ内容で認定をしておりまして、また改善措置につきましても、再就職に関する規制の導入、入札方法等の見直し、チェック機能の強化、役職員からの不正行為の不関与等の誓約書の徴取なり倫理行動基準の厳格化等々、全役職員への定期的コンプライアンス教育、倫理教育、監査機能の強化など行われておりまして、現時点において取り得るべき施策等を網羅しているものと考えております。特に意見を申し述べる必要はないと考える次第でございます。
  486. 山口那津男

    山口那津男君 官製談合事件の場合は、今の改善措置要求が取られた場合には、受けた省庁側として損害賠償責任の有無についていろいろと調査をする義務が法定されているわけであります。  さて、具体的な事件で日本道路公団の橋梁談合事件あるいは成田空港公団事件、これらを監督する立場で国土交通省は、この損害賠償責任の有無等について調査をさせてこれを公表する用意があるかどうか、これについて御答弁いただきたいと思います。
  487. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今委員のおっしゃいましたように、官製談合防止法では、改善措置が求められた場合、国等の損害の有無について調査をしなければならないと規定をされておるところでございます。  公団の、旧道路公団に関しましては昨年の十月一日に民営化されまして、公団の業務を承継いたしました東日本、中日本、西日本高速会社では三会社共同の調査チームを設置をしておりまして、調査を実施しているところでございます。  先ほど公取の方からお話ございましたように、二月の十六日に調査報告を取りまとめましたが、これで終わりではなくて、まだ今公判が係属中でございます。今後とも、三会社連携の下、調査検討を進めていくこととしておりまして、この調査結果が取りまとまり次第、適切に公表したいというふうに考えております。  それともう一点、済みません、失礼しました。新東京国際空港公団、成田公団の件でございますが、この旧成田公団につきましては、これは改善措置要求があったわけではございません、公取から。したがって、官製談合防止法の適用があるわけではございませんが、こちらの方につきましても、民営化されました空港会社におきまして事実関係全般にわたる社内調査を実施中でございます。この調査の中で、会社として不正事件によりどのような損害を受けたかという点につきまして適切に扱われるものと考えております。調査が取りまとまり次第報告をいただき、公表されるものと考えているところでございます。
  488. 山口那津男

    山口那津男君 防衛施設庁の談合事件について、これは防衛庁として、公務員の、関わった職員の損害賠償責任の有無等について調査をして公表する用意があるかどうか、これについてお考えをお述べいただきたいと思います。
  489. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 防衛庁の案件は今公判中のものと捜査中のものがあります。それから、公取の措置要求はないわけでございますけれども、いずれそういうものが進展していけば行われる可能性もあるわけでございますが、我々としてもよく調査をし、法律に基づいてきっちりと対応していくことが望ましいというふうに思っておりますし、新しい与党の考え方では前向きに取り組んでいるということも聞いておりますし、我々も職員のその状況、どういうかかわり合いをしているかどうかが明確でないと明言はできませんけれども、前向きに取り組んでいくことが好ましいというふうに思います。
  490. 山口那津男

    山口那津男君 今御答弁がそれぞれありましたように、いわゆる橋梁談合事件については独禁法が適用されまして、公取が当初から入っている、改善措置要求もなされるということでありますから、いずれ損害賠償責任の有無等の内容は調査の義務もあるし、またその結果についてはしかるべき公表もあり得るということでありますが、この成田空港公団事件と防衛施設庁事件、談合事件については刑事摘発が先行したために、まだ公正取引委員会はこれについていろいろ調査を着手していないようでありますが、公取としてこれからこのいわゆる官製談合防止法を適用していく考えがあるかどうか、これについてお答えいただきたいと思います。
  491. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) いずれにしても、関係法律を厳正に執行する立場にありますので、そういう具体的な事案に接すれば当然執行するということでございますが、今具体的に御指摘の成田公団それから防衛施設庁それぞれの事件について公取が調査に着手するかどうか、それはこれからの話でございます。  確かに、官製談合防止法を発動するためには、公正取引委員会として事件として取り上げて調査をして、必要な改善措置要求をしなければこの法律は適用されないということは十分に認識しておりますし、別途また課徴金という問題もあることも十分に認識しておりますが、具体的な事件についてこれからどう対応するかは言及を差し控えさしていただきたいと思います。
  492. 山口那津男

    山口那津男君 問題なのは、この改善措置要求がなされなければ損害賠償責任の有無について調査も公表も法律制度上担保されていないということであります。一方、刑事摘発をきっかけにして自主的に再発防止策を検討し発表するということは当然のことであろうと思いますが、それが行われそうだからといって、あるいは行われたからといって、それで必ずしも十分かどうか分からないと思います。是非この点は公取としても、その問題となった省庁の対応をよく見極めた上で、この官製談合防止法の発動について適切な措置をとっていただきたい、こう思うわけであります。  で、防止策講じられたとしても、やはりこの損害賠償責任の有無というものがないがしろにされてはならないわけでありまして、これはその官製談合防止法の適用の有無をまたず、問題となった省庁においてはやはり誠実にこれを調査をして公表するという必要があると思うわけでありますが、先ほど御答弁にも触れられましたが、再度、国土交通大臣そして防衛庁長官からその在り方について御答弁をいただきたいと思います。
  493. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 先ほど答弁申し上げましたように、それぞれの会社におきまして現在も調査を継続中でございます。調査の結果が取りまとまり次第、きちんと公表をさしていただきたいと考えております。
  494. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えをいたします。  先ほども申し述べたとおり、職員等の関与の度合い等についてまだ明らかになっておりませんので、具体的に申し上げる段階ではないわけでありますが、私どもとしては、当該違約金条項とか職員に対する損害賠償要求との関係において、法律に基づいてきちっと対応していくつもりであります。
  495. 山口那津男

    山口那津男君 ところで、この入札談合につきましては、入札に参加する人は違約金規定、違約金条項が契約にもあらかじめ設けられているというケースが多いわけであります。先ほど御指摘のあった日本道路公団の橋梁談合事件についてもこの違約金支払義務を課しているところであります。しかし、この事件では、業者のこの違約金支払義務とそれに関与した職員の損害賠償責任の関係がどうなるかということ、そしてまた国土交通省の直轄のこの入札案件につきましても一般に違約金条項が設けられているわけでありますので、それにかかわった業者とかかわった職員との損害賠償責任、違約金支払義務との関係、これをまずお尋ねしたいと思います。  それと、道路公団の事件については、別途背任で損害が起訴状に指摘をされているという面があるわけですね。これは必ずしも業者の被った損害、業者の与えた損害とは、違約金とは必ずしも関係のない面があるかもしれません。  こういう点について、国土交通省としてどうお考えになるか、御答弁をいただきたいと思います。
  496. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) この日本道路公団の橋梁談合事件については、現在公判が継続中でございます。今後、この公判の状況もよく踏まえまして、この関与した職員の賠償責任については厳正に対処をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。  直轄のお話されましたが、直轄では官製談合等はあったわけではございませんので、恐らくそういう場合どうなるのかという御趣旨かもしれませんが、この違約金については、これはあくまでその当該企業との間で入札契約の際に違約金の予定を、損害賠償の予定をしているものでございまして、これは当然それはそれとして、そういう予定がある以上は違約金についてその企業に対しては当然請求をしていくということになりますが、関与した職員についてどうなのかと、関与した職員との損害賠償責任との関係はどうなのかということでございますが、これにつきましては事実関係について公判が今進んでおる、その中でその事実関係をよく踏まえた上で厳正に対処していきたいというふうに考えております。
  497. 山口那津男

    山口那津男君 道路公団の関係は具体的な事件でありますのでなかなか言及しにくい面もあろうかと思いますが、一般論として、違約金規定を設けた契約において官製談合がなされた場合に、違約金の支払義務とそれにかかわった職員の損害賠償責任との関係がどうなるかということをお尋ねしているわけであります。それについていかがでしょうか。
  498. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) ちょっとこれ法律論なのかもしれませんが、違約金の方はこれは損害賠償の予定でございます、対企業との間の。入札業者ですね、契約をした企業との間の損害賠償の予定。そこで談合等の違法行為があった場合には、その損害賠償の予定について実行していくという権利が当然あるわけでございます。  それに対して、談合に関与した職員があった場合に、公務員があった場合に、その損害賠償の予定との関係をおっしゃっていらっしゃるんでしょうか。  それについては、ちょっとこれはもう法律論の議論になるかと思うんですが、やはりその職員の関与行為の度合いだとか、どういうことに関与したのかとか、そういうことを、事実関係をやはりよく見た上で、その損害との因果関係をやはり明らかにして求めていくということになるのではないか。損害賠償の予定があるからといって、直ちにその損害賠償についてその職員に対して求められるのかというと、そこはよく勉強さしていただきたいと思いますが、なかなか直ちにはつながらないのではないかというふうに思っております。
  499. 山口那津男

    山口那津男君 違約金条項があれば損害賠償の予定というのはおっしゃったとおりでありますけれども、この官製談合が行われた場合には、その違約金条項があらかじめあることが分かっていながら、その職員が関与をしてこれをともに談合してやっているというわけでありますから、言わば違約金支払義務を公務員は知りながらこれを生じさせたと、こういう責任は法的に免れないと思うんですね。  実際、だれがその義務を履行するかというのはいろいろあろうかと思いますけれども、やはりそれにかかわった違約金関係義務者というものが例えば倒産して義務を履行できないというような場合に、抽象的には職員の責任というものをやっぱり具体的に問われる余地もあるわけでありますから、この点は法的に明確にしていただきたいと思うんですね。  公取委員長、何かお考えありますか。
  500. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) 確かに、職員に対し、当該職員に対して損害賠償請求をするということは、法律上もそういうことはできるようにはなっていますが、具体的な事例というものは私、承知しておりません。  むしろ、損害賠償で一体損害額が幾らその職員の故意なり過失によって生じたのかということを計算するというのはなかなか難しいことだろうと実際問題思います。実際は、損害賠償というよりは、その任用、任命権者による懲戒処分ということの方がまあ現実的であり、そういう方途が取られているんではないかというふうに思っておりますが、それ以上は今お答えする用意はございません。
  501. 山口那津男

    山口那津男君 この関係、法的な関係というのは政府としてきちんとした見解を示していただきたいと思います。文書で示していただきたいと思いますので、理事会で協議していただきたいと思います。
  502. 市川一朗

    ○理事(市川一朗君) この点につきましては、後刻理事会で協議いたします。
  503. 山口那津男

    山口那津男君 次に、その官製談合に関与した民間業者に対しては損害賠償請求がなされることになっているわけでありますが、一方で、この談合によって生じた利益、移転した利益というのは不当利得だと、こういう考え方もありまして、不当利得返還請求がなされる場合も具体的にあるわけですね。  この損害賠償請求と不当利得返還請求との関係は、公取としてどうお考えになるでしょうか。    〔理事市川一朗君退席、委員長着席〕
  504. 伊東章二

    政府参考人(伊東章二君) お答えいたします。  先生御指摘のように、入札談合行為によって損害を被った場合、その回復の方法として損害賠償請求訴訟と不当利得返還請求訴訟と、この二つがあるということでございます。  損害賠償請求は、御案内のとおり、民法七百九条等に基づきまして、入札談合が不法行為に当たるとしてそれによる損害の賠償を求めるものでございますし、また不当利得返還請求というのは、同じく民法の七百三条等に基づきまして、入札談合の結果としての発注契約が無効であると、したがって、法律上の原因なくして利益を受けている、発注者は損失を被っているとしまして、その不当利得の返還を求めるものでございます。  御指摘のとおり、いずれの請求も可能でありますし、例もございます。認容した判決もあるところでございますが、私どもが承知している限りでは、一般的には損害賠償請求が行われることが多いということでございますけれども、不当利得返還請求の例も見られるということでございます。
  505. 山口那津男

    山口那津男君 官製談合が行われた場合に、いわゆる違約金条項がなかった場合、これは関係業者と職員いずれにも損害賠償責任が生じる場合があるわけでありますが、その場合のその両者の関係、これはともに不法行為を行ったんではないかと思われるわけでありますが、この法律関係についてお答えいただきたいと思います。
  506. 伊東章二

    政府参考人(伊東章二君) お答えいたします。  入札談合等関与行為を行った職員に損害賠償責任があるとされた場合のその責任と業者の損害賠償責任の関係ということでございますが、いろんなケースがあり得るんだろうと思いますけれども、一般的には共同して入札談合という不法行為を行った、あるいは不法行為を教唆、幇助したということになりまして、いわゆる共同不法行為といたしまして連帯して損害賠償責任を負うものと考えております。
  507. 山口那津男

    山口那津男君 防衛施設庁談合事件について、防衛施設庁が職員約三千人余りにアンケート調査を行ったということが最近公表されました。これによりますと、官製談合防止法の内容とか、あるいは職員に損害賠償責任があり得るという認識は極めて低いと、四割の人がこれをほとんど知らないと、こういう結果が出ているわけですね。私は、この際、職員の皆さんにもしっかり自覚をしていただくためにも、この制度の内容及び損害賠償責任の生ずる可能性、こういうものをしっかり認識していただく必要があると思うわけであります。  したがいまして、この職員の損害賠償責任の調査制度というのが今の現行法では関係省庁の調査義務しか法定されていないわけでありますが、より抑止力の効果を高めるためにはその結果を公表する、そして国民一般の判断も仰ぐと、こういうものを制度化する必要があると考えるわけでありますが、公取としてはどうお考えでしょうか。
  508. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) 確かに、現行の官製談合防止法では、それはそれぞれの行政機関の長の自主性にゆだねられておるということで、公表している場合もない場合もあるということでございますが、私は、今回の官製談合防止法の改正の一つのポイントであって、その当事者の対外説明責任という意味からも、きちんと損害賠償をしたのかしないのか、懲戒処分をしたのかしないのか、これは公表するというのがルール化されるのが望ましいと思っております。
  509. 山口那津男

    山口那津男君 近年、官製談合事件で公務員や公団等の職員に対する刑事事件の摘発が行われているわけでありますが、これには現行法、刑法その他を適用して行われているわけでありますが、幾つかの類型があるようなふうに思えるわけであります。これを事例を挙げてひとつ説明をしていただきたいと思います。
  510. 大林宏

    政府参考人(大林宏君) 御指摘の公務員に対し刑事事件として刑事責任を追及する場合としては、大別すると、主として独占禁止法違反の場合、刑法上の競売入札妨害罪の場合、刑法上の談合罪の場合の三つの場合があると承知しております。また、それぞれの場合の代表的な事件といたしましては、まず独占禁止法違反についてはいわゆる橋梁談合事件、競売入札妨害罪についてはいわゆる成田空港事件、談合罪についてはいわゆる防衛施設庁事件の三つを挙げることができると思います。  なお、そのうち橋梁談合事件におきましては、公団の元副総裁及び元理事について、独占禁止法違反のほか、背任罪にも当たるものとして公判請求しているものと承知しております。
  511. 山口那津男

    山口那津男君 それらの類型、これは民間も関与をしている部分があるわけでありますが、実際の処罰としては、職員の方の責任が重いとして公判請求をなし、民間に対しては略式で罰金で済ましていると、こういう事件があるのではないかと思うわけであります。そういう場合には、やはり違法性が具体的に異なる、重い軽いがあるということを認識して処分をしたものと思われますが、この点についてどうなっていますでしょうか。
  512. 大林宏

    政府参考人(大林宏君) 今申し上げました事件の中でも、公務員等と民間人の処理に軽重が付いたものがございます。  まず、成田空港事件につきましては、平成十七年十二月十五日に旧新東京国際空港公団の元工務部付職員二名がそれぞれ競売入札妨害の罪により東京地裁に公判請求されましたが、業者側の担当者ら三名は同日、同罪により東京簡裁に罰金の略式命令を請求され、また防衛施設庁事件については、本年二月二十日に同庁元技術審議官等三名がそれぞれ談合の罪により東京地裁に公判請求されましたが、業者側の担当者ら四名は同日、同罪により東京簡裁に罰金の略式請求を請求されたものと承知しております。  検察官による処分、求刑は、具体的事件ごとに犯罪の軽重、犯行の動機、目的、態様、利得の有無、内容、諸般の事情を総合的に考慮して決められているものでございまして、個別の具体的事案についていかなる処分等が適切であるかについて一概に論じることは困難だと思われます。  しかしながら、あくまで一般論として申し上げれば、いわゆる官製談合事件については、発注を適正に行うべき立場にある公務員であるか否かなどの犯人の身分、立場についても、検察官が犯罪の軽重を判断するに当たり考慮をすべき事項であり、処分、求刑を決定する重要な判断要素の一つであると考えております。
  513. 山口那津男

    山口那津男君 今お述べになった現行法を適用しての刑事摘発というものは、これは関与した公務員に対しては、正犯としてといいますか、刑法に直接当たるという起訴の仕方もありますし、あるいは民間がやったことに対する共犯として処罰したと、こういう事例もあるわけであります。  いずれにしても、現行法を適用する限りは、これは民間の人たちと法定刑は同じものとして基本的に扱っていくということになるわけでありますが。しかし、今御指摘のあったように、現行法、背任罪も含めていろいろと事案の内容によって違法性の軽重を吟味しながら具体性を期していると。こういう在り方を考えると、私はやっぱり官製談合と言われる分野においては公務員を重く処罰する規定というものを創設する必要があるのではないかと思うわけでありますが、この点、法務省としていかがお考えでしょうか。
  514. 大林宏

    政府参考人(大林宏君) 官製談合を防止することを趣旨とする刑事罰の新設につきましては、現在、与党案と民主党案とがそれぞれ提出されているものと承知しておりまして、法務当局といたしましても、今後の国会における御議論の推移を見守らしていただきたいと考えております。  ただ、お尋ねでございますので、あくまで一般論として申し上げれば、発注を適正に行うべき立場にある公務員が、それに反して談合等の入札の公正を害すべき行為を行うことについて、より悪質であるとしてこれを重く処罰する規定を設けるという考え方も十分あり得るところであると考えております。
  515. 山口那津男

    山口那津男君 この官製談合事件は、その動機の主たるものとして天下り先確保ということが背景にあると、こう言われているわけでありますが、例えば成田空港公団事件で検察側の冒頭陳述ではこの点をどのように御指摘しているでしょうか。
  516. 大林宏

    政府参考人(大林宏君) お尋ねの成田空港事件につきましては、平成十八年三月八日、東京地方裁判所において、被告人二名に対し、それぞれ懲役一年六か月と懲役一年、いずれについても三年間執行猶予に処する旨の判決が言い渡されております。  この事件においてなされた冒頭陳述についてお尋ねですが、例えば、公団の発注事務担当者らは、重電メーカーから天下りの受入れを断られることのないようにするためには、天下りを受け入れる重電メーカーに相応の見返りを与える必要があると考えており、さらには、公団OBが天下りをしている重電メーカーの工事の発注件数が少ないと、既に重電メーカーに天下っていた公団OBに肩身の狭い思いをさせるのではないかとの懸念を有していた旨の記載があるものと承知しております。
  517. 山口那津男

    山口那津男君 今の御指摘の一審判決におきましてもその同様の指摘がなされておりまして、天下り先を確保するための配慮がなされたとか、あるいは談合を職務行為の一環として行っていたとか、あるいは公団内部の反復継続した行いの一部にすぎないでありますとか、そういう組織的構造性というものを明らかにしているわけであります。  さて、そこで、この談合事件、官製談合事件の抑止ということを考えた場合に、今までるる申し上げましたように、官製談合防止法を改正して、民事、刑事両面から制裁の実効性を高めるということも必要だと私どもは思っております。しかし、また一方で、この天下りについて抜本的に規制することも必要と考えるわけであります。  先ほど引用しました防衛施設庁のアンケートによりましても、早期退職を定年まで勤められるようにしてほしいと、このように半分近くの人が望んでいるわけですね。また、事件が起きた根本的要因として、OBの働き掛けがあること、あるいは退職職員の再就職の問題があること、これをやっぱり五〇%弱の方が指摘しているわけです。さらに、再発防止策としても、この再就職の在り方を見直すべきだという方々が半分に上っているわけであります。  ただ、一方で、この規制をすべきだと言うのは簡単でありますが、行政改革の基本的な方針としては、公務員の数を純減する、あるいは総人件費を抑制する、削減すると、こういう大きな方針も示されているわけでありまして、相矛盾する要請になるわけでもあります。  この点について、これから、国土交通大臣そして防衛庁長官はどのようにこの再就職、天下りの問題に対応されるか、御答弁いただきたいと思います。
  518. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) もう詳細は省かしていただきますが、道路公団についても、それから成田公団につきましても、現在、それぞれ民営化された会社の方で再就職に関する規制というものを当然これは行わせていただいておるところでございます。それはしっかりと実行されるように私どももしっかり見てまいりたいというふうに思っておるところでございます。  また、私ども国土交通省の場合、直轄の事業もたくさんやっております。そういうその受注企業に対する再就職につきましても、国土交通省の直轄事案で、これは官製談合ではございませんが、談合事案がございました、やはり橋梁談合でございますが、そういうことも受けまして、こうした企業への再就職をしない、また直轄工事受注企業への幹部職員の再就職をしないと、そうしたことも昨年の七月二十九日付けで再発防止策として取りまとめをさせていただいているところでございます。  ただ、今委員のおっしゃったように、この天下り、再就職の話は、やはりその早期勧奨退職を、早期退職慣行をこれはやっぱり見直していかないといけないと。そういう意味では、公務員制度改革全体の中でこの早期退職慣行というものをどうしていくのか。公務員の方々ができるだけ長く公務の世界でやっぱり働けるような、そういう公務員制度にしていかないといけないというふうに思っているところでございまして、今その平均勧奨退職年齢について、国交省の場合は、本省においてもまた地方整備局の方においてもこれを引き上げていこうということで今やっているところでございます。  ただ、一方で若い人たちも採用していく必要があるわけで、また、今委員のおっしゃったように公務員の純減という大きな目標もあるわけでございまして、そういう中で円滑な人事をもしていく必要がある。やはり、この全体としての公務員制度改革の中でこの問題を是非位置付けて論議をしなければならないと考えているところでございます。
  519. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えをいたします。  事件が起こった防衛施設庁においては、おっしゃるような、言ってみれば再就職のために企業の便宜を図ったりとかそういう疑惑を持たれているわけでございまして、そういうことが起こらないようにするために、施設庁の建設技官の退職年齢というのは五十六・五歳で、防衛庁全体から比べると二歳から三歳ぐらい若くなっているわけでございまして、そういうところは早期勧奨退職年齢をこれは引き上げる必要がある、そういうふうに思っております。  一方で、もう一つは、やっぱり自主的に建設関係の仕事に携わった人たちは、退職後五年間はそういう部門の企業には再就職しないという自主規制的なことも考えていく必要があると。  それから、防衛施設技術協会についても、これは言ってみれば、公務員規制の二年間だけそこにとどまって、後、天下り、再就職をするということの構想もあったものですから、構図もあったものですから、そういう点については改革をしなければならない、この公益法人の在り方を抜本的に変えたいと、そういう作業をしながら、この再就職問題について今いろいろと勉強中でございます。抜本的に改革ができるように考えていきたいし、公務員全体との整合性も考えていかなければならないと。  それから、自衛官の特殊性というのも、若年定年制という特殊性ということもありますので、そういうことを整合性のある形をどういうふうに作り上げていくかということについて、今様々な外部からの意見を聞いたりして、まとめているところでございますので、委員の御指摘のような視点を大事にしながら対策を考えてまいりたいというふうに思います。
  520. 山口那津男

    山口那津男君 是非この職員の皆さんが明確な基準の下に仕事ができるように、そして再就職を迫るようであれば、やっぱりその再就職先について心配事が募らないように明確な対応を望みたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  さて次に、障害者手帳のカード化についてちょっと伺いたいと思います。  障害者手帳を発行する目的あるいはその用途というものはどのようなものなのか。これが法の趣旨とまた実際に使われている実態というものは障害の種別や程度によって異なっているんではないかとも思われるわけでありますが、この点の認識をまず伺いたいと思います。
  521. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 障害者手帳は、山口委員御承知のように、障害の種類に応じて、いわゆる身体障害の方に対する身体障害者手帳、そして知的障害者・児に対する療育手帳、また精神障害をお持ちの方に対する精神障害保健福祉手帳と、こういったものがあるわけですけれども、種類や程度を証明するという意味をもって、原則として障害保健福祉サービスの利用をするに当たって発行される、こういうことでございます。  そういう本来的な用途に加えまして、障害者手帳を提示することによって、JRの旅客運賃や高速道路料金の割引、また所得税や住民税の障害者控除といった障害者に対する各種のサービスを受けることができると、こういうものでございます。  また、昨年成立いたしました障害者自立支援法の成立によって、障害者手帳によって受けられる福祉サービスは原則として三障害共通になったところでございますけれども、障害の種別に応じまして、身体障害者手帳については機能障害を補う補装具の交付が受けられるとか、また障害種別によって受けられる公費負担医療が違う、こういった違いがございます。  以上です。
  522. 山口那津男

    山口那津男君 一方で、身障者手帳の場合、紙で作ることになっているんですが、まあ汚れたり破れたりとか、あるいは大きくて携帯しにくいと、こういう不便を語る声もあるわけですね。で、運転免許証や健康保険証のようなカードにしてほしいと、こういう要望も受けるところでありますが、諸外国でこのカードの利用例というのはありますか。
  523. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 山口委員のそうした御指摘を受けまして、急遽、世界の状況を調べてみました。そういう中で、その範囲でございますが、障害者であることを証明するカードを発行している例としてはフランスがあると、こんなふうに掌握をいたしております。  内容としましては、保健省が発行元になりまして、身体障害者、知的障害者、精神障害者共通に永続的な障害があることを証明する障害者カードを交付していると。オレンジ色の厚紙で、縦十二・五センチ、横八・五センチ、ですから、日本の場合よりもちょっと大きいということだろうと思います。  障害者カードの所持者は、税金の減免、電気料金基本料割引、駐車の優遇措置などのサービスを受けることができると。一方で、各種の手当てや福祉サービスを利用しようとする場合は各施策ごとに、別に手続を行う必要がある、こんなふうに掌握をいたしております。
  524. 山口那津男

    山口那津男君 私は聾唖者のある会合に行きまして、韓国の聾唖者のカードというのを見してもらいました。顔写真があって、いろんな記載があるわけでありますけど、非常にハンディーで便利であると、こういう話でありました。  是非この利用の実態をお調べいただいて、この交付事務そのものは国の仕事ではないわけでありますけれども、この様式を定めるのは国が行っているわけであります。是非この便利なカード式も選択できるような様式を検討していただきたいと思うわけでありますが、御答弁お願いいたします。
  525. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 今、山口委員御指摘になった韓国のケースは、早速細かく調べてみたいと思います。  障害者に関する各種手帳は、先ほどおっしゃったように法律に基づく厚生労働省令等に記載事項が定められて、これに基づいて各都道府県の知事が発行するところになっています。そうしますと、その具体的な記載事項が、障害の種類及び程度、名前、住所、発行日といった基本的情報に加えまして、身体障害者手帳については補装具の交付状況とか、あるいは療育手帳については成長過程における相談、判定の記録など、加筆していく事項が多いということで、表裏のみのカードではなくて、現在手帳形式になっている。  こういう事情があるわけですが、先ほど御指摘ありましたようにカードが非常に便利であると、こういうふうな見方もあり、現行の法令等に規定する必要事項を記載するということにこだわりますと、カード化は直ちにはちょっと難しいという側面あるんですけれども、御指摘のように平成十二年に自治事務ということになって以来約六年ぐらいたっている、そういう状況の中で、かたくなにこだわらないで、都道府県等における柔軟な対応ということを進めていく、こんなふうにしたいと思っております。  御趣旨、しっかり踏まえて対応していきたいと思います。
  526. 山口那津男

    山口那津男君 追加の記載が必要のない、そういう利用者もいるということで、その実態に即した対応を是非お願いしたいと思います。  次に、ODA改革と地雷除去支援活動についてお伺いしたいと思います。  この地雷除去については、我が国の技術を応用して、その機材の開発あるいは探知機の開発等々を行ってきたわけでありますが、現時点における研究開発の状況について、これは経済産業省のかかわる部分と、それらを支援し、かつ実用機を使うと、現場で使うという外務省の立場とそれぞれあると思いますが、それぞれからお答えをいただきたいと思います。
  527. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) 日ごろから、地雷除去機、探査機に関しまして、その開発に関しまして、力強い御支援をいただいております山口議員に心から感謝を申し上げます。  一九九六年のデータでございますけれども、国連が出したデータです。世界には一億一千百万個の地雷が埋まっていると。二十分に一人の人が犠牲になっている。それ以降のデータは出てないんですけれども、残念ながら、まあ数は、もちろん処理はされていますけれども、新たにばらまかれているものもありますので、数にしますと、今もそれほど変わっていないのではないかというふうに思っている次第でございます。  世界に冠たる技術を持っている我が国でございます。経済産業省といたしましては、これまで我が国の優れた民生技術を活用して、アフガニスタン復興支援のための対人地雷除去機の技術開発、平成十四年から十六年まで総額七億円の予算措置により実施をいたしました。アフガニスタンでの現地実証試験を踏まえ、機材改良等も終了しまして、技術開発としては成功したものと考えております。  また、平成十七年度からは、例えばアフガニスタンとは異なる土壌、沼地、湿地、あるいは草が生えている、植生地というんですか、カンボジアなどそうなんでございますけれども、そうしたところ向けの地雷除去機をただいま開発中でございます。  まずはアフガニスタン向けの機材について、これにつきましては、今後、外務省と協力しつつできるだけ早期に現地に機材を導入して、地雷除去を通じて現地の方々に安全に暮らしていただけますように環境を整えて、アフガニスタンの復興支援に貢献できるように努力してまいる所存でございます。
  528. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これ、御存じな方に説明するのもなんですけれども、こういったものが基本的なもので、御存じない方も多いと思いますんで。これが日本が開発した地雷除去機ということになっているんですけれども、どれくらい手作業に比べて効率がいいかというところがほとんど素人には分からぬところなんだと思うんです。  これは、現実問題、日本に地雷がばらまかれているわけではございませんので、これをニカラグアの政府の資料に基づきますと、一日、人海戦術では一日五つから六つの地雷除去が大体六十平方メートルの中でできると。しかし、この機械でやりますと五十から六十、約十倍の地雷が除去できるということになっておりますんで、そういった意味では安全、若しくはいわゆるコストの面からも非常に安くできるということで、先ほど副大臣の方からお話があっておりましたように、この点に関しましては日本ODA等々いろいろな形で支援をさせていただいております。  乾燥地用と湿地用と二つ開発したところが大きなところだったと思いますけれども、今後とも、こういったものができますと、今あちらこちらからの悲惨な話というのは余り新聞に出ませんけれども現実、旧、何ですかね、旧、戦争のあった跡地におきましてはまだ一杯ばらまかれている状況で、一日に何人かというような比率になっておりますんで、こういったものができますと、きちんと掘り上げた後、かつ、この機械でやりますと、沼地の場合はあとそれが農地として使えるというところがこの機械の新しいみそみたいなところでして、掘り返した跡をかなり農地として、ニカラグア等々はコーヒー園に変えたりいろいろな形にしておりますんで、そういった意味ではODA等々として今後この機械を使うことによって一元化された中においては非常に効率のいいものになるであろうと期待をしております。
  529. 山口那津男

    山口那津男君 今大臣からるる御答弁がありましたように、この地雷除去の現場だけを見ますと、機械は初期費用がたくさん掛かると、お金が掛かって導入しにくいと、むしろ雇用の場をつくり出して、多少安全や効率は犠牲になってもその方がいいんだと、こういう現地の考え方というのはいまだにあるわけですね。しかし、今大臣がおっしゃったように、ニカラグアで地雷除去機を使って効率を上げた、コストも相対的に低くなった、そしてその後の農業開発によって安全な村ができた、豊かな村ができたと、これは画期的なことだろうと思います。ですから、この除去とその後の開発、経済開発、これを組み込んだトータルなプランとしてこれから支援を実施していく必要があると、こう思いますので、今回のODA改革におきましても是非その点を視野に入れていただきたいんです。  それで、御答弁いただきたいんですが、かつて、その地雷除去実施の部門というのがいろんな、外務省のいろんな部門に分かれておりました。これを企画立案を統合する必要があるということでお願いをしたところ、通常兵器室というのが作られて一定の成果を上げてきた。すばらしいことだったと思います。しかし、この除去機あるいは探知機を応用するということを考えますと、むしろこの軍縮の面からオタワ条約の枠組みを強化するという視点ばかりではなくて、人間の安全保障という見地に立ってその現場の安全とそして経済開発と結び付けていく、そういう視野に立った支援の枠組み、体制というものを外務省の中でももう一度再検討する必要があるのではないかと思いますが、この点についてお考えをお述べいただきたいと思います。
  530. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ODAに関しまして今いろいろ御意見をいただきましたけれども、私どももこれ効率的にやる必要があるというのは全くおっしゃるとおりだと思いますので、私どもも地雷除去プラスJICAのいわゆる技協技術協力等々とを一緒にして、今おっしゃられましたように効率の面については重視してまいりたいと考えております。
  531. 山口那津男

    山口那津男君 イラクの復興支援活動について伺いたいと思います。  イラクの治安情勢というものは、全体のイラクの状況の中で特にサマワの周辺がどうなるかという認識がこれからの判断に非常に重要だと思いますが、防衛庁長官として現時点でどう認識されていらっしゃいますか。
  532. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えをいたします。  イラク全体では様々なところだと思いますが、特に中部、いわゆるスンニ・トライアングルと言われているところ、あるいは北部地方においては、テロ行為とか爆破事件が相次いだりして極めて不安定だと、こう言われているのは事実だと思います。  それからまた、聖廟爆破事件等々が起こって、若干我々も今後どうなるんだろうという不安も抱いたことも事実でありますけれども、しかし、全体的には予断を許さないところありますけれども、イラクの治安部隊も次第に成長をしてきている、あるいはまた自らの能力を高めているというふうに認識をしているわけでございます。  特に、自衛隊が行っている南部地域は相対的に安定をしていると。聖廟爆破事件が起こった後、デモが行われたことは事実でありますけれども、極めて平和的なデモ行進だったと聞いておりますし、これは相対的に見て安定をしているというふうに思っているわけでございます。そういう中で粛々と自衛隊の人道復興支援活動が展開されているというふうに思っております。  したがって、イラク全体の政治プロセス、本格政権がどういうふうにつくられていくのか、これを今、関心を持って見ているところでございます。
  533. 山口那津男

    山口那津男君 正にお触れになった政治プロセスの進展、これからの見通しというのが重要なポイントになろうかと思うわけでありますが、一方で、先ごろオーストラリアの外務大臣が現地を訪れまして、報じられているところによれば、その治安維持活動を明年まで継続する可能性もありとか、あるいは仮に日本が撤収した場合には復興支援活動を代わってやる考えもあると、そういうことは報道としてはなされているわけでありますが、この点についてはやはり、日、それから米、イギリス、オーストラリアと緊密な連携の下に調整を図っていく必要があると思います。  近々、外務大臣としてオーストラリアに赴いて関係者との意見交換、意見調整の場があると伺っておりますが、それに臨む外務大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  534. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、防衛庁長官からお話がありましたように、二月の二十二日の爆破事件以後は内乱寸前のところまで行ったと思っておりますけれども、今はかなり、それ以後三週間たちまして、状況はそのときの一触即発みたいな状況ではなくなった。やっぱり内乱を好まないというところに関しては、それまで選挙終わった後の国会召集を拒否しておりましたところもサインをしておりますんで、一昨日。したがいまして、三月の十六日に国会は多分召集されると思います。召集されたからといって、即、組閣ができるかどうかはまた別問題なんですけれども、いずれも、召集されるところまで来たというふうに思っております。  そこに当たって、それができませんと、なかなか治安状況やら何やら、なかなか言えないところでもありますので、私どもとしては、国会の御許可をいただければ、この週末にシドニーでライス、ダウナー等々と話をして、私どもの立場やら向こうの状況判断やら意見交換をしませんと、私どもはこう思っておるのと向こうの思っておるのと違うこともあろうと思いますので、よく意見調整をさしていただいて、その上でどうするかを検討させていただきたいと存じます。
  535. 山口那津男

    山口那津男君 最後官房長官に伺いますが、このサマワの陸上自衛隊の復興支援活動、これは一応形式的には継続して行うということにはなっているわけでありますが、非常に大きな成果を上げて、そろそろ卒業の時期が来ているんだろうと私は思います。その上で関係者は、撤収のタイミングあるいはその条件がどうなるかということをかたずをのんで見ているという状況だろうと思います。  一方でまた、治安の状況や政治プロセスの進展というものもよく考えなきゃいけないし、国際的な我が国の態度の影響というものも深く考慮しなきゃいけないと思いますが、その撤収のタイミングあるいは条件等について官房長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  536. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) ただいま委員御指摘のように、サマワにおける自衛隊の活動、復興支援活動は大きな成果を上げてまいりました。サマワの住民の皆様からも大変な評価をいただいている。是非ともこのまま続けてもらいたいと、そういう要望もあるわけであります。  その中で、イラクにおける政治プロセスも進んでまいりまして、昨年の十二月十五日に行われました国民議会選挙を受けて、ただいま新政権に向けて言わば最後の段階に至っている、非常にある意味では最も大切な時期に差し掛かっていると、このように思うわけでございまして、正にこの今イラクの国民の皆さんが国づくりに励んでいて、そして政治プロセスの最終段階を迎えている段階で、今この時点で自衛隊の活動の終了について、あらかじめ決めてここで申し上げるという状況にはないわけでありますが、いずれにいたしましても、自衛隊がしっかりとサマワの多くの人たちに感謝をされ、そして国際社会からも評価される中で任務を終了すると、こういうことが一番ベストであろうと、こう思っています。  ただいま委員が御質問になられましたこの任務終了の条件でございますが、一つはイラクにおける政治プロセスの進展の状況でございます。この政治プロセスについていえば、正に今最終段階に入っていると、このようにとらえております。  そしてもう一つは、現地の治安に係る状況でございます。治安状況がどうだと。もちろん、この治安の状況が自衛隊の活動を、法律で活動しているこの法律を超える状況になれば、それはもちろん法律にのっとって撤退をということになるわけでありますが、この治安の状況、また、この治安を管理する業務について、イラク人にしっかりと権限がうまく移譲されているかどうかと、ここも当然勘案をしていかなければいけないと、こう考えております。  そしてもう一点は、委員も御指摘になられました英国軍及びオーストラリア軍を始めとする多国籍軍の活動状況でございまして、こうしたことを勘案しながら、諸事情をよく見極めつつ、現地の復興の進展状況等を勘案して、最終的には適切かつ主体的に判断をしていきたいと、こう考えております。
  537. 山口那津男

    山口那津男君 条件についても詳細な御答弁をいただきました。  しかし、今、第九次の復興支援群が現地に赴いているわけでありますが、派遣期間というのがそれぞれありますので、例えばこの五月辺りですと交代の時期を迎えるわけですね。第十次の支援群を派遣するのか、だとすれば、今、方面ごとにローテーションでやってきておりますから、次の部隊がやっぱりいろいろ準備をしなければならないわけですね。いざ撤収となれば、むしろ今現に行っている部隊に、その支援を手伝う支援の部隊を補強するという形でやるという方法も考えられるわけでありまして、自衛隊としては淡々とその準備に備えると、そういうことでやられるとは思いますけれども、やっぱり関係者、家族も含めて非常にそこは心配しているところだろうと思います。  今お述べになったその幾つかの判断のポイント、これに対して具体的な状況を認識しながらどう当てはめて判断をしているかということは、可能な限りやはり外に出していくということは、日本の国民に対しても、また国際社会に対しても私は必要なことであろうと思いますし、今後のこの国際的な活動を考えるに当たっても非常に重要な試金石であろうと、そう思われますので、是非これは、政府当局におきましては緊密な連携の下で的確な判断をしていただきますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  538. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で山口那津男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  539. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、吉川春子君の質疑を行います。吉川春子君。
  540. 吉川春子

    吉川春子君 日本共産党吉川春子です。  まず、防衛庁長官、お伺いいたします。  昨日行われた厚木基地の米空母艦載機の岩国基地への移転計画の賛否を問う住民投票におきまして、受入れ反対が八七%を占めました。反対票は当日有権者の五一・三%と、これも過半数を占めました。  防衛庁長官は、今日の御答弁でも、住民の同意を得ることが前提と言われました。住民の反対の意思が明確になったのでありますから、政府は民意を尊重し、この計画を撤回するように、それが民主主義だと思いますが、いかがでしょうか。
  541. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えをいたします。  岩国市における住民投票の結果についてはよく承知をしているところでございます。  私としては、日本国民、そして日本の国の安全、安定をどういうふうにつくっていくかが最大の使命と責任でございます。したがいまして、日本のそういう安全、安心をつくり上げていくための安全保障全体のことを考えることと、いわゆる総論を考えることと、あるいはまた各市町村の段階での意思表示ということについては、地域の皆さん方の負担を最小限にする形で日本全体の防衛基盤というものを崩さない形をつくっていくことが大事だと思っておりますので、今後も、岩国市民あるいは基地のある市町村の皆さん方に是非納得がしてもらえるように、御理解を得るように全力投球で誠心誠意話合いをしていきたいというふうに思っております。  しかも、なおかつ、この米軍再編については、日米の間で目下協議中でありまして、大詰めの段階を迎えている段階でございますので、住民の皆さん方にその過程過程、一つ一つを説明しながら理解の努力を求めていきたいというふうに思います。
  542. 吉川春子

    吉川春子君 市民の良識が鮮やかに示された歴史的な勝利だと私は考えております。新たな段階に入ったと言えます。地元の合意を得なくてもいいというその考えを改めて、計画を撤回するように強く求めて、次の質問に入ります。  格差、最賃問題を質問いたします。  厚生労働大臣、正規と非正規の賃金の格差が広がっています。一般労働者男性とパート男性の時給は、一九九〇年、九五年、二〇〇四年、それぞれ幾らですか。また、一般労働者の賃金を一〇〇として、パートの男性の賃金は何%になるでしょうか、お示しください。
  543. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 最賃に関しまして、一般労働者につきましては、平成十五年、千八百二十円、パートタイム労働者九百十五円、これは企業規模十人以上の賃金構造基本統計調査によります。
  544. 吉川春子

    吉川春子君 今の答弁に、ちゃんと答えるように、委員長、言ってください。  答えてないですよ。きちっと答えてください。通告もしてあるじゃないですか。
  545. 小野清子

    委員長小野清子君) 青木局長
  546. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 失礼しました。  賃金構造統計基本調査の結果によって、所定内給与に年間賞与を加えた一時間当たりの賃金を推計いたしますと、一般労働者では、男は二千五百五円、女は一千六百八十二円、パート労働者について見ますと、男は一千三十九円、女は九百三十七円となっております。
  547. 吉川春子

    吉川春子君 格差はどうなってますか。  ちょっと、ちゃんと答えてよ。時間がもったいないじゃないですか。
  548. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 失礼しました。  一般労働者に対して、男で四一%、女で五六%の水準となっております。
  549. 吉川春子

    吉川春子君 ちょっと、一遍にちゃんと答えてくださいね。  これ厚労省が、大臣、出されている表を私はこれを棒グラフにしたものですけれども、(資料提示)一九九〇年、九五年、二〇〇四年という形で比較しますと、一般の労働者とそれからパート、男性ですけれども、両方とも、格差がこんなに広がってきているということが明らかです。  それから、一般労働者の賃金も下がっているわけです。一般労働者とパート労働者の賃金格差が、九〇年は四五・九だったんですけれども、二〇〇四年は四一・五%に下がって、確実に広がっています。  しかも、非正規雇用の労働者が増え続けています。この推移も、九五年、二〇〇〇年、二〇〇五年の一般労働者と非正規労働者の人数の推移を示していただきたいと思います。
  550. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 非正規労働者の推移でございますが、一九九〇年からでよろしゅうございましょうか。
  551. 吉川春子

    吉川春子君 いいです。
  552. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 八百八十一万人。一九九五年が一千一万人、二〇〇〇年が一千二百七十三万人、二〇〇五年が一千五百九十一万人というふうになっております。
  553. 吉川春子

    吉川春子君 一般労働者の方もお伺いしましたよね。どうなってますか。
  554. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 正規職員につきましては、一九九〇年が三千四百八十八万人、一九九五年が三千七百七十九万人、二〇〇〇年が三千六百三十万人、二〇〇五年が三千三百三十三万人というふうになっております。
  555. 吉川春子

    吉川春子君 九五年と二〇〇五年と比較しますと、一般労働者が、正規が四百四十六万人減って、非正規が五百九十万人増えています。小泉内閣の構造改革、規制緩和路線の結果、非正規労働者が大幅に増えております。  そこで伺いますけれども、非正規雇用労働者の賃金は最低賃金が基準となります。低賃金労働者の割合について聞きます。  一般労働者、パート労働者に、最賃以下、あるいは最賃以上でも一一五%未満の労働者は各々何人ですか。
  556. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 最賃の一一五%未満の労働者については、一般が五十六万二千人、パートが百三十四万二千人ということになっております。
  557. 吉川春子

    吉川春子君 パート労働者が、最賃以下及び最賃より一五%程度にいる人が二八%もいると。これは、パートの三割近い労働者が最賃ぎりぎりのところで働かされているということで、大きな問題だと思います。  それで、ヨーロッパの各国では一般労働者とパートとの時間当たりの賃金の格差はほとんどありません。同一労働同一賃金の原則が守られているからです。しかし、日本では、初めに指摘しましたけれども、同じ一時間働いてもパート労働者は一般労働者の四割にも満たない賃金です。しかも、賃金格差は年々拡大してきております。で、一般とパートの均等待遇を定める法律はないわけですね。最賃が非正規労働者の賃金の基準として大きな役割を果たしています。  そこで聞きますけれども、東京の最賃は月額に直すと幾らになりますか。
  558. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 平成十六年度の東京の最低賃金は時間額で七百十円でございますので、月額にいたしますと、推計でございますが、一日八時間、月二十二日労働を前提にしますと十二万四千九百六十円となります。
  559. 吉川春子

    吉川春子君 ここから更に税と社会保険料を差し引いたらどうなりますか。
  560. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) これも推計でございますが、税、社会保険料について、個々のケースで異なりますのでございますが、一定の条件で推計しますと、税、社会保険料控除後の月額は約十万九千五百円ということになります。
  561. 吉川春子

    吉川春子君 今の数字を前提にして、厚労大臣、一か月一生懸命働いて十万から十一万ということでは独りで自立して暮らせないと思いますが、いかがお考えですか。
  562. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 最低賃金の状況がそういう数字で、もう一方で生活保護の数字と比べると、まあ正直似たような数字になっているかなと、こんな感想を持っております。
  563. 吉川春子

    吉川春子君 大臣、これで一か月独りで暮らせますかということについてはどうお考えですか。
  564. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 生活保護の場合は……
  565. 吉川春子

    吉川春子君 最賃でいいです。
  566. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 先ほど申し上げたように、基本的には暮らせる数字ということになっております。問題は、最賃と生活保護の基準の問題、そこが当然議論になってくるんだろうと、こういう認識をいたしております。
  567. 吉川春子

    吉川春子君 暮らせるかどうかという点についていかがお考えですか。その点ちょっとお答えください。
  568. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 暮らせるかどうかという基本的な考え方になりますと、生活保護費というものの算定が一つの議論かなと、基準としてね。ですから、そこの議論と最賃というものはいろんな議論が呼んでいることは承知いたしておりますけども、どのぐらいだったら暮らせるんだと、メジャーはあるかと言われると、あくまで生活保護費というものが一つの目安にならざるを得ないなと、こう思っております。
  569. 吉川春子

    吉川春子君 それでは、東京都の二十三区の場合、一級地の場合、生活扶助と住宅扶助で一か月幾らになりますか、単身で。
  570. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 平成十六年度の東京二十三区、単身の生活扶助は八万六千七百二十八円でございます。  なお、ちょっと最低賃金法について申し上げますと、「最低賃金の原則」として、「最低賃金は、労働者の生計費、類似の労働者の賃金及び通常の事業の賃金支払能力を考慮して定められなければならない。」とされておりまして、そのように妥当に定まっているものと考えております。
  571. 吉川春子

    吉川春子君 非常に答弁があれね。  配付資料の二を見ていただきたいと思うんですが、これは厚労省で配っている資料に私が色を付けたものです。で、上の方は生活保護基準、下の方は最賃なんですね。つまり、最賃より生活保護基準が下回っていると。実はこの問題は五年前にも私質問しまして、当時の坂口労働大臣はこれは問題だと、何とかしなくてはならないとおっしゃっていますが、何とかしたんでしょうか。
  572. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 十三年の三月二十一日でしょうか、吉川委員から当時の坂口大臣が御質問をいただき、検討したいという答弁をいたしております。  その後、最低賃金制度については、学識経験者で構成される最低賃金制度のあり方に関する研究会、その在り方について研究していただき、昨年三月に報告書取りまとめていただいた。その後、昨年六月から、これはもう吉川委員が一番御存じでありますけれども、各地域地域で決めるということでありますから、公労使三者構成の労働政策審議会で、生活保護と最低賃金との関係を含め、今後の最低賃金制度の在り方について今検討していただいております。  そういう意味では、坂口大臣がお答えになったとおり、私も、この最低賃金問題と生活保護費というもの、両面からしっかりした議論をしていかなければならないなという認識をいたしております。
  573. 吉川春子

    吉川春子君 このパネルを大臣見ていただきたいんですけれども、(資料提示)これは最低賃金の国際比較なんですね。それで、日本は六百六十八円、購買力平価で計算していただきました。で、イギリスは千三十九円、そしてフランスは千百四十八円。大体フランスの五割台。これは、生活保護基準の比較はさておいて、国際基準においても大変低いと思いませんか。こんなお金で経済大国の日本の最賃が恥ずかしいと思いませんか。
  574. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) そこは先ほど御答弁申し上げたように、あくまで都道府県単位に公労使で話し合いながら決めていくという一つの制度になっておりますので、どこまで私どもが踏み込んでいくのかというのは一つの議論としてあるであろうと思います。その中におきまして、一方で今日の実勢の状況がどうなっているのかというものをしっかり勉強してみなきゃいかぬなと、私自身思っております。
  575. 吉川春子

    吉川春子君 公労使三者で決めているということですが、最賃法の中に最賃を決定する条件として企業の支払能力というものが入っています。この企業の支払能力などということを諸外国で入れている国があるでしょうか。
  576. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) まず、お答え申し上げますけれども、そこで言っています通常の事業の支払能力といいますのは、個々の企業の支払能力ではございませんで、その産業、地域において正常な経営をしていく場合に通常の事業に期待することのできる賃金支払能力を言うものでございます。  で、四十七か国が批准しておりますILOの百三十一号条約の三条におきましても、最低賃金の水準の決定に当たって考慮すべき要素として、経済的要素、経済開発上の要請あるいは生産性の水準並びに高水準の雇用を達成し及び維持することの望ましさを含むと規定されておりまして、我が国の通常の事業の賃金の支払能力はこれに対応しているものでございます。
  577. 吉川春子

    吉川春子君 ILO百三十一号条約の見出しはどうなっていますか。名前を言ってください。
  578. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 見出しといいますか、ILO条約の正式名称は、百三十一号条約は、開発途上にある国を特に考慮した最低賃金の決定に関する条約ということでございます。
  579. 吉川春子

    吉川春子君 日本はいつから開発途上国になったんですか。
  580. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 条約上の規定が、先ほど申し上げましたように、水準の決定に当たって考慮すべき要素ということで三条に規定されていることが経済的要素ということで規定されているものでございます。
  581. 吉川春子

    吉川春子君 開発途上国に特に適用する条約、そこにその経済云々かんぬんということは載っているし、しかしそこに企業の支払能力を込めよなんていうことは絶対言ってないじゃないですか。そんなことを理由にして生活保護基準にも達しないような最低賃金の水準を示しているということは、大臣、非常に恥ずかしいことだと思いますが、いかがですか。
  582. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 先ほど私の方から切り出してしまいましたけれども、生活保護費と最低賃金の問題、これは与党側からも議論一つございます。しっかり私ども受け止めながら、生活保護と最低賃金との関係含め、今後の最低賃金制度の在り方、しっかり勉強してなるべく早く回答を出さなきゃならぬだろうと、こう思っております。
  583. 吉川春子

    吉川春子君 今でも、生活保護基準で生活している人がこれで生活できないと、裁判も一杯出ているんですね。その生活保護基準より更に四、五万も低いような最低賃金というのは、もう本当にどうにもならない、国際的にも恥ずかしいものです。是非、最賃法を改正して、生計費に見合うそういう内容を決めていただきたいと思います。もう一度、どうですか。
  584. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 委員の御意見は御意見として、先ほど申し上げましたように、公労使三者構成の労働政策審議会で今議論してもらっております。できるだけ早く結論を出すように進めてまいります。
  585. 吉川春子

    吉川春子君 この最賃よりもっと低い賃金で働かされている労働者がいます。  国土交通大臣、北海道で起きましたタクシー労働者の水揚げなどがその最賃以下だとして解雇された事件がありましたが、こういう企業に対してどういう指導をされましたか、お伺いします。
  586. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今タクシーをめぐる経営環境が非常に厳しい中で、特にタクシー運転手の方々が歩合制になっているということもございまして、タクシー運転手の収入にも大きな影響を与えているという指摘を受けているところでございます。  そうはいっても、最賃に違反するようなことはあってはならないことでございまして、昨年来、厚生労働省と連携を強化をしているところでございます。昨年も厚生労働省と様々連携を取ったところでございますが、さらに、今年の四月の一日からは地方運輸局と労働基準監督機関との合同監査、また監督を実施をしていこうと。また、最賃違反の疑いがあるような場合には相互通報制度を拡充をしていこう。さらには、最賃だけではなくて社会保険に入っていないと、そういうふうなことについても通報制度を創設しよう。こうした取組を厚生労働省と強化をしてこの四月一日からやろうということで決めているところでございます。さらに、これはタクシーだけではございませんけれども、バス、トラックにつきましても、もう無通告で監査を実施をしよう。抜き打ち検査でございます。こうしたこともしっかりやっていこう。さらには、特に新規事業者については早期監査を実施しよう。こうした取組もしようとしているところでございます。  タクシー事業全体の今置かれている問題につきましては、昨年来、タクシーサービスの将来ビジョン小委員会というのをつくらせていただいて、規制緩和後の実態把握、分析を今行っているところでございます。今後の望ましいタクシーサービスの在り方、またその実現のために必要な環境整備、方策につきましてこの六月を目途に取りまとめをしていきたいと、そして今後の施策に反映をしたいと考えております。
  587. 吉川春子

    吉川春子君 厚労省にお伺いしますけれども、タクシーは公共交通機関として国民が安心して利用できるようにする必要があるんですけれども、不景気、景気が回復が思わしくない、雇用事情が悪い等の北海道におきまして、道の労働局が北海道タクシー運転手の賃金の実態を分析しましたけれども、その結果はどうなっているんでしょうか。
  588. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 北海道におきまして北海道労働局が、北海道の地方最低賃金審議会で自動車運転者の産業別最低賃金の決定の必要性の有無の審議に資するために、お話にありましたような推計をいたしまして、資料を出しております。  それによりますと、平成十六年では、北海道のタクシー運転者について地域別最低賃金未満の労働者の割合を算出したところ、八・七%でございました。これを今お話ありましたように地域区分別に算出しますと、道東地区では二八・二%ということになっております。
  589. 吉川春子

    吉川春子君 厚労省からいただきました資料をお配りしてあります、資料四と五なんですけれども、タクシー運転者の年間給与が、全国的には男子が五百三十四万円であるにもかかわらず、タクシー運転手は三百八万円だと。で、北海道は二百四十二万円、宮城では二百四十二万円、大阪府でも三百八万円と、こういう非常に低い水準になっております。  そしてもう一枚、資料五をお配りしてありますけれども、ハイヤー・タクシー事業における最低賃金の五条違反状況ということで、全国では六百七十八、一二・七%が五条違反、北海道では三十九の中で九、実にその四分の一が最賃以下の労働者ということになっております。  最賃というのは懲役刑にも絡む問題で非常に重要なんですね。こういう問題について、厚労省、どういう指導を今後されていくつもりですか。
  590. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 私が就任する前、昨年の九月でしょうか、厚労省と国土交通省と両省で調整を持ちました。そして、九月から両省、力を合わして入るということで仮の調査を行った。その結果は、吉川委員が指摘されるような数字もございましたので、今年の四月から両省でしっかり調整をし合いながらやっていこうということになっております。  一方で、先ほど国土交通大臣がお答えになりましたように、全般的な規制緩和の一つの流れの中でやってきたものでありますけれども、今、全体的な見直しを国土交通省でされているというふうに私ども承知いたしております。  いずれにせよ、我々は法に照らしてきちっとした対応をしていかなきゃならないと、このように思っております。
  591. 吉川春子

    吉川春子君 憲法二十五条は、言うまでもありませんが、健康で文化的な最低限度の生活を営む生存権を保障しておりますし、労働基準法の第一条におきましても、人たるに値する、そういう生活ができるような労働条件、賃金ということを規定しております。  最賃、日本の最賃自身がその水準より非常に下回っている、そしてその最賃以下で働かされている人もいる、それを理由に解雇される人もいる、こういう非常にその規制緩和の中で集中的にその矛盾がしわ寄せされている業種だということが言えると思います。  国土交通大臣厚生労働大臣が御答弁になりましたけれども、きちっとこの問題を解決して、やっぱりこういう労働者の生存権を守るということを強く要求して、私の質問を終わります。
  592. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で吉川春子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  593. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、福島みずほ君の質疑を行います。福島みずほ君。
  594. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  岩国で画期的な住民投票、反対の結果が出ました。今回の結果を山口県選出の官房長官としてどう受け止めていらっしゃいますか。
  595. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 今回の住民投票は、市長また市議会が尊重するというふうに承知をいたしております。  いずれにいたしましても、政府としては、今回の米軍再編の問題についてしっかりと住民の皆様に御理解をいただけるように誠意を持って説明に努めていきたいと、こう考えております。
  596. 福島みずほ

    福島みずほ君 ラムズフェルドさんは、歓迎されないところには行かないと言っています。アメリカに対して伝えていただけますね、この結果を。
  597. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 岩国市は今度、市町村合併によって四月の二十日、新しい市が誕生するというふうに承知をしているわけでありますが、今回の住民投票は旧市のみで行ったと、こういうことだそうでございます。また、いわゆるこの三月の二十日に既にこれ消滅をしてしまう効力について、わざわざこの住民投票をやる必要があるのかどうかという反対運動もあったと、こういうふうに私も聞いているわけでありますが、いずれにいたしましても、一人でも多くの方々に御理解をいただけるように我々は努力をしていきたいと、こう思っております。
  598. 福島みずほ

    福島みずほ君 ラムズフェルドさんに伝えるかどうか、答えてください。
  599. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) その予定はございません。
  600. 福島みずほ

    福島みずほ君 三月一日、衆議院予算委員会麻生大臣、このことについて答えていらっしゃいますね。
  601. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 三月一日にこの問題に答えているね、ですか。
  602. 福島みずほ

    福島みずほ君 はい。
  603. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この問題って、どの問題ですか。
  604. 福島みずほ

    福島みずほ君 地元の結果、住民投票の結果があれば外務大臣からもアメリカに伝えていただくことをお願いしたい、これに対して答えていますね。
  605. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、地元の事情等々につきましては、ラムズフェルドに限らず、アメリカに対してこのような結果が出たということは伝えることになります。
  606. 福島みずほ

    福島みずほ君 平岡委員質問に対して大臣は、当然だと存じますというふうに答えています。  先ほどの官房長官と不一致ですが、いかがですか。官房長官、どうですか。官房長官、どうぞ。
  607. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 私から、どちらにしろ、この結果をお伝えするという今考えはございませんと、このようにお答えを申し上げたわけであります。  いずれにいたしましても、当然もう米側はこの結果は知っているのではないかと、こう思います。
  608. 福島みずほ

    福島みずほ君 官房長官政府です。政府として伝えるかということを聞いたわけです。
  609. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 米側との交渉等については、主に外務省が責任を持ってやっているということでございます。
  610. 福島みずほ

    福島みずほ君 外務大臣、きちっと伝えていただけますね。
  611. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 先ほど御答弁申し上げたとおりです。
  612. 福島みずほ

    福島みずほ君 官房長官は、地元の意見を尊重する、誠意を尽くすとおっしゃいました。なら、なぜ三月末に最終報告書が出せるんですか。
  613. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 私どもは、昨年の中間報告にのっとって地元への今説明を一生懸命誠意を持ってやっているところで、防衛庁中心になってやっているところでございます。  他方、最終報告に向けて日米で最終的な調整を行っているということでございまして、基本的に三月中をめどに最終報告に向けて協議を進めていると、こういうことでございます。
  614. 福島みずほ

    福島みずほ君 地元は納得していないんですよ。もう三月の半ば、なぜこれから地元を説得して三月末までに最終報告書が出せるんですか。
  615. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) この安全保障の問題というのは非常に難しい問題でありまして、日本全体の安全を何とか確保するために安保条約を我々は結び、それが今抑止力となっていると、こういうことでありますが、他方、基地を抱える地域は騒音等でいろんな負荷があるわけでありまして、その負荷を少しでも減ずるために今度のいわゆる米軍再編があるわけでありまして、そのことを御理解いただくべく努力をしてきているところであります。岩国の市の市民の皆さんは今まで米軍と共存をしてきたわけでありますが、その中で今回も沖合移設を進めているところでもございます。
  616. 福島みずほ

    福島みずほ君 質問に答えてください。岩国の住民は基地負担は嫌だと、基地強化は嫌だと判断をしたわけです。それを尊重するのであれば、三月末に最終報告書はできないじゃないですか。
  617. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) いずれにいたしましても、地元の方々に努力をして我々も誠意を持って説明をしていきたいと、こう思っております。
  618. 福島みずほ

    福島みずほ君 三月末までに説得できないと思いますが、三月末までになぜ最終報告書を出すんですか。
  619. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 何とか地元の皆様に御理解をいただくべく努力をしていきたいと、こう思っております。また他方、これは中間報告を出した段階で三月末を目途に何とか日米でこの協議が調うように鋭意協議を進めているというふうに承知をしております。
  620. 福島みずほ

    福島みずほ君 昨日、住民はノーと言ったんです。なぜ三月末に最終報告書が出せるんですか。
  621. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) ただいまその目標に向けて努力をしているところであります。
  622. 福島みずほ

    福島みずほ君 常識的に考えて、この二週間の間に説得することはできないと思います。三月末の最終報告書になぜ固執するんですか。沖縄でも三万五千人大集会がありました。地元無視でやることに地元は怒っています。住民ははっきりノーと言っています。なぜ三月末に最終報告書が出せるんですか。
  623. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 三月末に向けて我々も住民の皆様に説得、御理解をいただけるように努力をしていきたいと思っております。
  624. 福島みずほ

    福島みずほ君 無理ですよ、期間がないのに。それが官房長官のおっしゃる尊重するということでしょうか。
  625. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) いずれにいたしましても、防衛庁を中心に今地元の皆様に御説明をする努力をしている最中でございますので、これからもその努力をしていきたいと、こう思っております。
  626. 福島みずほ

    福島みずほ君 今まで努力をしてきたんじゃないですか。でも地元は、頭越しに怒って、はっきり住民投票でノーです。三月末の最終報告書を出すというのを撤回をしてください。ゼロからやり直すべきです。
  627. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 中間報告の際に、中間報告の中に三月末までにということが書いてありまして、それを今目指して日米で協議を進めている、そしてその協議を進めていく中において、我々も地元の皆様に対しての説明、また御理解をいただけるように努力をしていると、こういうことでございます。
  628. 福島みずほ

    福島みずほ君 三月末に最終報告書を出すことは変わるわけですか。変わり得るわけですか。
  629. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 現在、三月中に最終報告を出すべく努力をしているということでございます。
  630. 福島みずほ

    福島みずほ君 決定事項ですか。
  631. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 三月末に今協議が調うべく日米で協議をしている、そしてまた地元の皆様にも御理解をいただけるように、これからさらに誠意を持って御説明をしていきたいと、こう思っております。
  632. 福島みずほ

    福島みずほ君 地元無視がなぜできるんですか。SACO合意から十年以上たって、辺野古の沖にくい一つ打つことはできなかった。地元の声を無視した計画は絶対に成功しません。今すべての自治体が反対です。この最終報告がうまくいくわけはないんですよ。これから十年以上たてばまたアジアの状況も変わります。これをなぜごり押しするのか。いかがですか。
  633. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 当然、この円滑な再編を行うためには地元の住民の皆様の御理解が不可欠であると、このように思っております。そのために今後とも我々も誠意を持って努力をしていきたいと、こう思っております。
  634. 福島みずほ

    福島みずほ君 地元の理解が得られなかったんです。誠意というのはそれを尊重することではないですか。
  635. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 現在のところ、まだこの途中経過であると、このように考えております。これからも誠意を持って防衛庁を中心に努力をしていきたいと、こう思っております。
  636. 福島みずほ

    福島みずほ君 官房長官、住民が住民投票に出掛けて投票して、その結果を尊重しないということですよ。これは納得できません。最終報告書はゼロからやり直すべきです。これらの計画は絶対にうまくいきません。  次に、密約についてお聞きをいたします。  この点について三億二千万の内訳が分からないということでよろしいですか。だとしたら、四百万ドルがなぜ入っていないと言えるんですか。
  637. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) お答えいたします。  三億二千万ドルの構成といたしましては、これは沖縄返還協定そのものに、七条に書いてあるわけでございますけれども、一つがいわゆる残置財産、米軍が沖縄においてつくり残していったその財産に関連するもの、それから沖縄返還に伴いまして在日米軍で働いている日本人従業員の給与体系が変わる、これに関するもの、それから三番目がいわゆる佐藤・ニクソン共同声明の第八項、いわゆる核抜き返還等に関する費用が、その合計として三億二千万ドルあるというふうに返還協定そのものに規定されているわけでございます。
  638. 福島みずほ

    福島みずほ君 内訳を詳しく言ってください。
  639. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 三億二千万ドルの内訳につきましては、項目としては今御説明した三つの項目が入っている。その総額として三億二千万ドルがあるということでございまして、当時の沖縄返還国会において外務大臣等からも御説明しておるように、その総額については政治的判断として決めたということで御説明をしてきているところでございます。
  640. 福島みずほ

    福島みずほ君 総額なんて聞いていません。内訳を教えてください。
  641. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 繰り返しの答弁で申し訳ございませんけれども、先ほど申し上げたように、その内訳の項目としては三つの項目がある。そして、総額として三億二千万ドルになる。この総額については、沖縄返還国会でも御答弁しているように、政治的な判断として決めた額であるということが説明しているところでございます。
  642. 福島みずほ

    福島みずほ君 内訳は教えられないんですか。
  643. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 沖縄返還国会でも御説明しているとおりのことを繰り返しているわけでございまして、総額としての三億二千万ドルというものを政治的な判断で決めたというのが当時の外務大臣から御説明しているところでございます。
  644. 福島みずほ

    福島みずほ君 三億二千万ドルについて明らかにしてください。実はこれは明らかにできないんです。なぜか。四百万ドルも入れているからです。総額としか言えないんです。  三百五十ファイルあるというふうに外務省は言っていますが、財務省にも覚書ファイルはありますか。
  645. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) お答えします。  沖縄返還協定に関する行政文書で財務省において保管しているものはございません。
  646. 福島みずほ

    福島みずほ君 では、四百万ドルの支払をアメリカがしたという証拠は外務省財務省にありますか。
  647. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 私どもが保管している資料の中には今のところそういう資料は見付かっておりません。
  648. 福島みずほ

    福島みずほ君 外務省どうですか。──今のが外務ね。
  649. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) 三億二千万ドルに関する財務省の資料としましては、予算に計上しておりました四十七年度から五十一年の予算書及び決算書、これがあるのみでございます。したがいまして、四十七年度から五十一年度まで合わせまして九百八十五億六千万円でございますが、これを国会に予算でお願いし、その決算をしたということしか財務省には残っておりません。
  650. 福島みずほ

    福島みずほ君 外務省財務省にアメリカが四百万ドルを支払ったという証拠はない。にもかかわらず、なぜ吉野さんの証言を覆すのか。  要求いたします。吉野文六さんの証人喚問を要求します。  外務省にある三百五十のファイルを出してくださるよう要求します。  財務省にあるファイルを出してくださるよう要求します。  それから、三億二千万ドルの内訳について、資料として出してくださるよう要求します。
  651. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまの件に関しましては、理事会において協議をいたします。
  652. 福島みずほ

    福島みずほ君 今回の在日米軍基地の再編についての総額の予算を教えてください。
  653. 小野清子

    委員長小野清子君) だれになりますか。  河相北米局長
  654. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 米軍再編につきましては、今、日米間で事務当局でいろいろな協議をしておる段階でございます。そういう状況にございますので、総額でどれだけの予算が必要となるかというのは現時点では確たることを申し上げられない状況にございます。
  655. 福島みずほ

    福島みずほ君 報道では三兆円と出ていますが、いかがですか。
  656. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) お答え申し上げます。  政府内部でそういう積算をしている事実はございません。
  657. 福島みずほ

    福島みずほ君 なぜ積算もしてないのにこの最終報告書が出せるのか理解ができません。  ところで、イラクに派遣された自衛隊員の人たちで五人、派遣された人たちで帰ってきた人で五人自殺者が出ていると聞きましたが、そうでしょうか。
  658. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) イラクに派遣された経験のある者で自殺をした者が五名ということでございます。
  659. 福島みずほ

    福島みずほ君 内訳を教えてください。それから、全体の数との関係を教えてください。
  660. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 内訳は、陸上自衛隊が四名、それから航空自衛隊が一名でございます。  それで、全体の延べの派遣隊員は七千名でございまして、これと、数の比較ということでございますが、これは原因が一概には特定できないということでございますので、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
  661. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、率が高いんですね。  平成十六年の自殺者九十四名ということでよろしいですよね、全体では。
  662. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 御指摘のとおりでございます。九十四名でございます。
  663. 福島みずほ

    福島みずほ君 イラク戦争に、イラクへ派遣されたことと自殺との間の因果関係はどう把握していらっしゃいますか。
  664. 西山正徳

    政府参考人(西山正徳君) お答え申し上げます。  自殺の原因ですけども、いろんなことで自殺されます。したがって、イラク派遣との関連についてははっきりしてないというようなことが現状でございます。
  665. 福島みずほ

    福島みずほ君 極めて数が多いので、この二年間の間に帰ってこられて五人自殺ですから、原因究明についてやケアを今後よろしくお願いします。  ところで、次に法務省に聞きます。  刑務官などの労働条件と現場担当者削減について、大臣の御所見をお伺いしたい。
  666. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 先生御案内のとおり、現在過剰収容で、刑務所等、大変な状況でございます。一一六%。  刑務官の一人当たりの業務量も増大しておりまして、例えば職員一人当たりの被収容者数は、平成七年末の二・八人から平成十七年度末は四・五人と約一・六倍になっております。四週八休のところが七休しか取れない、年次有給休暇も三・九しか取れておりません。非常に厳しい状況でございます。  今度の行刑改革の中でも、こういう状況にかんがみまして、公権力行使の部分、収容者を監督して働かせたり懲罰を加えたりする部分については、刑務所増設で増加する傾向こそあれ減らせないということで御理解をいただいて、その部分については五%削減の対象にしないということで御理解をいただいております。その余の総務的部分については、受付とか運転士とか警備、外の警備ですね、そういうところはアウトソーシングをどんどんやりまして減らしていこうという努力をすることにいたしております。  そういう状況でございます。
  667. 福島みずほ

    福島みずほ君 東京拘置所の工事発注時に法務省大臣官房営繕課長だった人物が同工事を受注した中堅ゼネコン副社長になり、さらにその建設会社が東京入管建設工事を受注していたというのは事実ですか。
  668. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 事実でございます。  その方は、定年退職後、公務員法により定められた二年の期間を経過した後に御指摘の建設業者へ再就職いたしております。もっとも、この再就職に法務省は全く関与しておらず、再就職先の業者における元職員の活動状況についても把握いたしておりません。
  669. 福島みずほ

    福島みずほ君 東京拘置所、東京入管の工事は、平均すると落札率が九八・五%、骨組みの場合という、高いというのは本当ですか。
  670. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 建設工事に関しますと高うございますが、設備工事等を、全体を平均いたしますと、そんなに高うはございません。
  671. 福島みずほ

    福島みずほ君 ちょっと済みません、最後
  672. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 高くはございません。
  673. 福島みずほ

    福島みずほ君 何%ですか。
  674. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 建設工事だけでございますと九八%でございますが、全体で、設備・電気工事等合計十一件ございますが、その工事の平均落札率は九二・五六%で、東京入管の場合は九〇・八九%でございます。
  675. 福島みずほ

    福島みずほ君 建設の場合は九八でよろしいですね。
  676. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) よろしゅうございます。
  677. 福島みずほ

    福島みずほ君 本日付けの東京新聞によると、防衛施設庁ですが、OBの天下り受入先の貢献度などによって決められていた受注配分表に防衛庁内局の関与が疑われるということが報道されています。このような事実はあるのでしょうか。
  678. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 御答弁を申し上げます。  ただいま先生御指摘の報道につきましては、私ども承知をいたしております。  ただ、御承知のように、ただいま防衛施設庁におきます談合事件につきまして現在検察当局が捜査を進めておりますので、私どもはこれに対してまた全面的にこれまでも協力しているところではございますが、いずれにいたしましても、本件につきましては、捜査に影響を与える可能性がございますので、コメントは差し控えさしていただきたいと思います。
  679. 福島みずほ

    福島みずほ君 防衛施設技術協会なる公益法人がありますが、ここに防衛施設庁又は防衛庁から役員として天下った者の最高年俸と退職金金額、その在籍期間を示してください。
  680. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 御答弁を申し上げます。  先生御指摘の中で、個々の個人の報酬額等につきましては、御承知のように個人に関する情報でございますので、これは回答は差し控えさしていただきたいと思っております。  なお、そうした中で、俸給が高い者につきましては、これ具体的に申し上げますと理事長でございますが、それの最長在籍年数は三年という形になっているところであります。
  681. 福島みずほ

    福島みずほ君 終わります。
  682. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で福島みずほ君の質疑は終了いたしました。  明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十四分散会