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2006-03-09 第164回国会 参議院 予算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月九日(木曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員の異動  三月八日     辞任         補欠選任      大野つや子君     脇  雅史君      紙  智子君     仁比 聡平君      小林美恵子君     井上 哲士君      福島みずほ君     近藤 正道君  三月九日     辞任         補欠選任      岡崎トミ子君     犬塚 直史君      主濱  了君     水岡 俊一君      広田  一君     浅尾慶一郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小野 清子君     理 事                 市川 一朗君                 木村  仁君                 小泉 顕雄君                 鶴保 庸介君                 藤井 基之君                 小林 正夫君                 辻  泰弘君                 平野 達男君                 加藤 修一君     委 員                 秋元  司君                 浅野 勝人君                 岩井 國臣君                 岩永 浩美君                 大仁田 厚君                 岡田 直樹君                 岸  宏一君                 佐藤 昭郎君                 関口 昌一君                 田村耕太郎君                 伊達 忠一君                 谷川 秀善君                 常田 享詳君                 南野知惠子君                 山本 一太君                 脇  雅史君                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 小川 敏夫君                 喜納 昌吉君                 黒岩 宇洋君                 櫻井  充君                 下田 敦子君                 主濱  了君                 内藤 正光君                 前田 武志君                 水岡 俊一君                 山根 隆治君                 蓮   舫君                 若林 秀樹君                 澤  雄二君                 山口那津男君                 渡辺 孝男君                 井上 哲士君                 仁比 聡平君                 近藤 正道君    国務大臣        総務大臣     竹中 平蔵君        法務大臣     杉浦 正健君        外務大臣     麻生 太郎君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   小坂 憲次君        厚生労働大臣   川崎 二郎君        農林水産大臣   中川 昭一君        経済産業大臣   二階 俊博君        国土交通大臣   北側 一雄君        国務大臣        (内閣官房長官) 安倍 晋三君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        沓掛 哲男君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融、        経済財政政策)        )        与謝野 馨君    副大臣        防衛庁長官   木村 太郎君        外務大臣    金田 勝年君        財務大臣    竹本 直一君        厚生労働大臣  中野  清君        厚生労働大臣  赤松 正雄君        経済産業大臣  松 あきら君        国土交通大臣  松村 龍二君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        愛知 治郎君        財務大臣政務官  野上浩太郎君        文部科学大臣政        務官       有村 治子君        厚生労働大臣政        務官       岡田  広君        経済産業大臣政        務官       小林  温君        国土交通大臣政        務官       吉田 博美君    政府特別補佐人        人事院総裁    佐藤 壮郎君    事務局側        常任委員会専門        員        村松  帝君    政府参考人        人事院事務総局        職員福祉局長   吉田 耕三君        人事院事務総局        人材局長     鈴木 明裕君        防衛庁防衛参事        官        西山 正徳君        防衛庁防衛局長  大古 和雄君        防衛庁運用局長  山崎信之郎君        防衛施設庁長官  北原 巖男君        防衛施設庁総務        部長       地引 良幸君        防衛施設庁建設        部長       山内 正和君        消防庁長官    板倉 敏和君        厚生労働省医政        局長       松谷有希雄君        厚生労働省健康        局長       中島 正治君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       松本 義幸君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        厚生労働省年金        局長       渡邉 芳樹君        農林水産省総合        食料局長     岡島 正明君        国土交通大臣官        房長       春田  謙君        国土交通大臣官        房総合観光政策        審議官      柴田 耕介君        国土交通省総合        政策局長     竹歳  誠君        国土交通省住宅        局長       山本繁太郎君        国土交通省航空        局長       岩崎 貞二君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○公聴会開会承認要求に関する件 ○平成十八年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十八年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十八年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまから予算委員会開会いたします。  公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十八年度総予算案審査のため、来る三月十六日午前十時に公聴会開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小野清子

    委員長小野清子君) 御異議ないと認めます。  つきましては、公述人の数及び選定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小野清子

    委員長小野清子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 小野清子

    委員長小野清子君) 平成十八年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日は、一般質疑を百二十一分行うこととし、各会派への割当て時間は、自由民主党三十分、民主党・新緑風会六十三分、公明党十七分、日本共産党七分、社会民主党・護憲連合四分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  6. 小野清子

    委員長小野清子君) 平成十八年度一般会計予算平成十八年度特別会計予算平成十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。脇雅史君。
  7. 脇雅史

    脇雅史君 自由民主党脇雅史でございます。  最近、談合が随分社会的な問題になっているわけでありますが、今日は公共工事の適正な入札契約の在り方ということについて御質問をさせていただきます。  官製談合あるいは業界側談合というのがあるわけでありますが、いずれにしても、その談合ということは適正な競争を阻害するわけでありますから、これはもうやめさせるほかはないわけでありまして、そのことに私も全く異存があるわけではなくて、官製談合防止法を少し厳しくしようかということも今法案としてやっているわけでありまして、そういう方向で進めばいいんですが、ただ、今問題になっている談合というのをやめさせればそれで適正な競争が行われていくんだろうか。必ずしもそうならないんですね。実はそこに問題がありまして、そのことをきっちり議論していかなければいけないんですが、幾つか前提として考えておかなければいけないことがございます。  そこで、物品の調達公共調達という言葉を使っておりますが、それは別として、特に公共工事分野、これを、どういう分野なのかということ、その性格考える必要があるんですが、この分野は、特に竹中、これは総務大臣というよりも経済専門家としてお聞きをしたいわけでありますが、ちょっと通常市場と異なるところがある。民間側市場原理というものに任せておけばいいのだろうかというと、必ずしもそうではないわけであります。公共工事市場というのは、まず買手が特殊なんですね。買手というのは国や県や市町村、公的なセクターが買うんです。一般の人は買わないわけですね、橋とかダムとか。そういう公共の主体が購入をする。まずそこが普通の市場と少し違うわけでありまして、完全な買手市場であると。  特に、通常市場ですと、いわゆる生産者側が様々なことができるんですね。今度どんな製品を発売しようかな、いつごろ発売して何ぼで売ろうかなということを全部いわゆる生産者サイドが決められるんですが、公共工事の場合は完全に買手市場で、買う側がすべて決めちゃうと。しかもそれを、市場原理という原理ではなくて、予算という公権力の行使として決めてしまう。ですから、来年度の工事はこれだけですよと、こう決めてしまうと、国も県も市町村も決めちゃうと、業界幾ら努力をしてもその市場を広げるなんということはできない。もちろん、サボっていても下がらないというメリットは、メリットといいましょうか性格はあるわけですけれども。そういうやや通常自由主義市場とは違う部分があるわけですね。このことをしっかり理解しておかなければまずいけないと思うんです。非常に強い権限を、力を買手が持っている。  普通は、市場というのは、もう竹中大臣御存じのように、売手側の方が強くて買手が弱いというのが普通なんですが、この公共工事分野買手側が物すごく強いと。まあ正に買手独占市場みたいなものであって、独禁法というのを適用するんだったら買手の方に適用しなくちゃいけないんじゃないかと私は思うぐらいなんですが。  そのことについて、この公共工事という市場考えるのに、今申し上げたような、まあ私は必ずしも経済専門家ではないんですが、思うんですが、まず経済の深い知識をお持ちの竹中大臣から今のことについてお話をいただきたいんですが。
  8. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 脇委員から大変重要な、本質的なお問い掛けだと思います。  確かに、まあ価格マーケットで決まる、市場で決まるというふうに言うわけですけれども、その場合に、暗黙のうちにやっぱり三つのことを前提にしていると思いますね。  一つは、売手買手が多数いるということ。これはやっぱり重要な問題で、脇委員指摘のように、公共事業の場合は買手が一人しかいないというのが基本的な問題だと思います。  で、第二の状況は、要因は、情報が完全に行き渡っているということです。買物でいえば、ここのマーケットは安くて品質がいいということをみんな知っていると、そうするとそこに皆さん行くわけですから。その品質についても、公共事業の場合は恐らく非常に特殊な事業で、技術評価というのが要る。委員の先年来の御苦労というのは正にこの点にあろうかと思うんですが。  そして三番目に、実は参入が自由であるというのも重要な要件でございます。だれでも入ってこれる。実は、できるだけ競争入札しようというのはこの参入を増やそうということにもつながるわけでありますけれども。  今の、売手買手が多数いる、そして情報が行き渡っている、かつ参入が自由である、これが普通のマーケットマーケットたらしめる重要な要因でありますので、公共事業特殊性はこれをまあなかなか満たしにくいというところにあると思いますので、その辺の工夫が実は大変重要であるというふうに考えております。
  9. 脇雅史

    脇雅史君 大体、私が申し上げたような、やや、まあ特殊という言葉は使いたくないんですが、普通とは違うそのメカニズムを持った分野である。ただし、この分野でやはり適正に競争していただくことによって最終的に納税者メリットを受けるような立派な仕事をしてもらわなければいけない、これは事実なんですね。いかにしてその公正、適正な競争をさせられるか。その競争ということを純粋に考えて一番分かりやすいのはスポーツ世界なんですね。委員長スポーツの御経験の深い方ですけれども。  そこで、スポーツで適正な競争をさせるにはどういう工夫が要るかというと、まず正しいルール、適正なルールが要るんですね、いろんなルール。都合が悪いと変えるルールもあるんですけれども、そういうルールがある。そして、そのルールに基づいて、それを適切に運用できるような審判が必要なんですね。  そこで、例えば最近オリンピックがありましたけれども、スピードスケートであれば、これは割とルール単純です。フライングしちゃいけないとか、レーン間違えちゃいけないとかあるんでしょうが、時間だけ計りゃいいんですね。時間計って速い人の勝ち。それで適正な競争がなされるんです。ところが、フィギュアスケート、あのイナバウアーじゃありませんが、フィギュアスケート分野は、あれ時間計って速い人の勝ちなんて言ったらもう競技成立しません。様々な要素、美しさであるとか様々な技術をしっかりと評価をする。つまり、総合評価をして一番立派な人を決めよう、こういう仕掛けになっているんですね。これ総合評価なんです。いろんな分野があるんです。  今までの我が国公共工事見ると、どうもその辺がおかしいんじゃないかなと私は思っております。公共工事はどっちかというと、フィギュアなんですよ、スピードスケートじゃないんです。今までの公共工事市場は、フィギュアスケートなのにスピードスケート審判がいたわけですよ。安けりゃいいんだと。そうすると、参加しているプレーヤー、企業ですね、各会社はたまったものじゃないんです。幾ら努力してもだれも認めてくれないんです。いかに一円でも安く入れるかということしか発注者は見ないんだから。あるいは、ひどい人はくじ引で決めちゃう。くじ引で決めたらオリンピックなんか成立しない。そういう部分がありまして、そこの、要するに発注者が、一人一人の発注者が、今一応ルールづくりは僕は終わったと思っているんですが、その正しいルールに基づいてそれを運用する責任者なんです、発注者というのは、実は。  だから、今日おいで願った大臣は、主な公共工事発注している所管大臣、つまり審判団なんですよ、審判の親玉。で、この人たちが正しい認識を持っていなかったら、正しい競争なんか行われるわけもない。だから、今現在、我が国で適正な競争が行われていない理由の一つは、審判審判としての自覚がないんじゃないか。各発注者それぞれ、地方にもいろいろな方がおられますが、正しいルールに基づいて適正な競争をするために自分が一番いい人を選ぶんだという考えがない。  で、発注者責任という言葉がよくありますが、これも誤解されているんです。発注者責任というのは、納税者に成り代わって、今この仕事をするのに一番ふさわしい会社はどこだろうかと、様々な情報を基に、あなたにやってもらうのが一番いいんだと決める、納税者に成り代わって決めることが発注者責任なんです。何か知らぬけど、決めることに私は一切関与してませんという発注者が多いわけですが、それじゃ審判仕事を放棄していることになる。  だから、一番大事なことは、審判審判であることをきっちり自覚することなんです。今、皆さん方はおれら悪くないというような顔していますが、実は違うんだ、現在悪いのは発注者が悪いからなんだ。いや、もちろん企業が全部いいとは言いませんが。  そこで、今まで申し上げてきたような話の中で、それぞれの発注者を代表する方々としてどんな責任をお持ちなのか、今までの話に対する感想でもいいんですが、お一人お一人お聞かせをいただきたい。そして、最後に政府を代表する官房長官として取りまとめていただきたい。お願いします。
  10. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) それでは、一番の発注者から答弁させていただきたいと思います。  今、委員のおっしゃったように、公共工事というのは、ほかの様々な発注、受注とはちょっと違うところがあると私も考えております。  公共工事性格は、国民生活だとか経済活動基盤となる社会資本を整備するものでございまして、もちろんコスト縮減ということも大事でございますけれども、やはり国民の安全と安心に直結する施設を整備を行っているわけでございまして、その品質をしっかり確保していくということが極めて重要であると思っております。したがって、価格品質が総合的に優れた内容契約がなされるように努めていくことが、発注者の大きな責任であるというふうに考えているところでございます。  そういう観点から、公共工事品質確保促進に関する法律を通していただきまして、昨年の八月に基本方針定めました。また、価格面品質面を総合的に評価する総合評価方式を拡大しようということで今努めているところでございます。  一方で、受注する側の方からも技術提案をしっかりやってもらおうということで、その評価項目の拡充をしたり、また一方では、透明性が要求されますので、外部有識者意見聴取等を行っていくなど、そうした取組を今しているところでございます。昨年の九月にはガイドラインも決めさせていただいたところでございますが、この趣旨に沿いまして、今後とも公共工事品質確保に全力を挙げて努めてまいりたいと考えております。
  11. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、脇委員の御指摘のように、スポーツ世界も、また我々の仕事は全くの市場原理ではないという大前提でありますから、それぞれルールが大事である、ルールをしっかり自覚しろという御指摘でございまして、今、国交大臣からもお話ありましたように、事業の目的、工事内容に応じて参加者技術的能力、あるいは提案審査を適切に総合評価をしていくということが大事であると。そして、それに基づく品質確保法、これは脇委員が尽力された法律でございますけれども、今までもそういうつもりでやってきたつもりでありますし、特に農林水産関係市町村のような小さい単位の発注者も多いわけでございますので、そういうところにもこの法の趣旨が徹底できるように、いろいろと地方農政局等指導等も含めながら総合的に、脇委員の御趣旨、またこの法の趣旨が実現できるように、今日の御質問趣旨をしっかり踏まえてやっていきたいと思っております。
  12. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 専門家脇委員さんから適切なアドバイスをいただいたわけでありますが、正におっしゃるとおりだと思います。  防衛庁の場合は、自衛隊の基地、それから米軍基地、あるいは同盟関係をどういうふうに円滑に運営をしていくかというその基盤をつくるのが防衛施設庁防衛庁仕事でございます。したがって、地域との調整をどういうふうにしていくか、あるいは地域の住民の基地に対する理解をどう深めていくかという視点も重要でございます。一方で、今度、談合的な疑惑を国民皆さん方に生じさせたわけでありますから、この入札問題あるいは談合防止のための方策について、再発防止のために今取り組んでいるところでございます。  先生がおっしゃるように、我々も価格のみではなくて、企画性だとか技術力だとか総合的に評価される中で今後も工事発注をしていく必要があるというふうに思っておりまして、先般、中間的な形で、今後の入札方式については一般競争入札を高めていくと、そして今までの下限の七・三億円から二億円以上にすると、そうするとこの一般競争入札の範囲が六十数%になっていくことになります。本当は十七年度の工事から総合評価方式入札方式を導入しようと思っておったんでありますが、こういう事件がありまして、なかなか現実的にはいっていませんので、今後、積極的にそういう形を導入してまいりたいというふうに思っております。
  13. 脇雅史

    脇雅史君 市町村の件で。
  14. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 総務省が主たる発注者ではございませんけれども、地方公共団体の話がありますので申し上げますと、地方公共団体の場合は、地方自治法規定によります手続がございます。それに工事品質確保促進に関する法律規定にものっとって、しっかりと行っていただくことを私たちとしても期待をしております。  これ一体運用されるべきものだというふうに思っておりますけれども、先ほど国交大臣がおっしゃいましたように、我々も国交省連携を図ってそうしたことの通知を発信したところでございます。また、今後、技術者の養成とか、特に市町村の場合いろんな問題がございますので、国交省連携をして必要な助言、支援を行っていきたいというふうに思っています。
  15. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 先ほど委員が例として挙げられましたこのフィギュアスケートスピードスケートの違い、大変分かりやすい例えでございまして、私もよく分かりました。フィギュアスケートにおきましても、スピン、レベル四を出すためにもいろんな難易度のこのスピンを組み合わせると。その際、まあ私もにわか評論家になっているんですが、その際、つま先とかかと、どちらのエッジに体重を乗せているかによってもこの評価が変わると。しかし、その評価ができる審判員でなければならないと、このように思っております。  公共工事品質を確保し、また談合の排除を徹底する観点からも、公共工事調達において、価格だけでなく価格以外の多様な要素をも考慮をした上で契約を行ういわゆる総合評価方式を拡充していくことは極めて重要なことと考えております。このため、政府としては平成十七年八月に公共工事品質確保促進に関する関係省庁連絡会議を設置するとともに、公共工事品質確保法に基づく基本的な方針を閣議決定し、各発注者による総合評価方式実施等、同法の円滑な施行に努めてきております。  今後とも、この総合評価方式を拡充するためにしっかりと各省庁連携を取って進めてまいる考えでございます。
  16. 脇雅史

    脇雅史君 まあ総論としては合格かなと思うんですが、ちょっと合格点を上げにくい部分がありまして、なぜかというと、その総合評価方式という言葉、今官房長官言われましたけれども、言葉じりをとらえるわけじゃないんですが、方式なんというもんじゃないんですよ、それしかないんです。総合評価すべきものなんです。ほかのやり方があって総合評価方式というのがあるんじゃないんです。基本的には全部総合評価フィギュアスケートなんですから。品確法というのはそういうルールなんです。そのルールをつくったのが品確法なんですね。  そういうルールができているんだということの政府側の認識がやや甘いなと思うのが、これもまた揚げ足取りみたいで嫌なんですが、先般行われた調達の適正化に関する関係省庁連絡会議というのが、これは官房長クラスの会合ですね、あったわけですが、この中を見ますと、やはり総合評価方式の拡充ということが書いてありまして各省庁は、公共工事品質確保促進に関する法律趣旨を踏まえ云々と書いています。この趣旨を踏まえというのがもう完全な認識違い。趣旨を踏まえるんじゃないんです。規定にのっとってやるんです、ルールがあるんですから。その趣旨を踏まえとは一体何だと、法律を何と心得おるのかということなんですよ。  先ほど来の言葉の端々に、品確法と会計法、あるいは地方自治法と品確法ということで一体的運用というような言葉が使われましたけれども、それは全くそのとおりなんです。現在、今、日本の公共工事発注ルールというのは、基本的に会計法、地方自治法、品確法でできているんです。これがルールなんです。趣旨を踏まえもへったくれもない。この品確法の本来の精神という意味で、会計法と品確法、地方自治法と品確法と、私は、私の解釈としては、同じ入札契約に関する規定ですから、両法律にそごがあっては困るわけです。  これは実はぴたっとはまる格好になっていまして、地方自治法にしても会計法にしてもそれぞれこういう場合には、ただし書ですけどね、ただし書で、こういうときには総合評価で決めていいんだよと、こういう規定がありまして、私は初めは会計法を変えるつもりでいたわけですけれども、そこでぴたっとはまるものですから、その会計法の特例法的な性格として実は品確法が存在して、両者合わさって日本のルールができていると、こう私は思っているんですが、その辺につきまして、それぞれの法律責任者であります財務大臣総務大臣に見解を伺いたいと思います。
  17. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 公共工事品質確保促進に関する法律、大変、品確法という品格の高い略称になっているようでございますが、それと会計法の関係でございますが、品確法では、もう委員に申し上げるのは釈迦に説法でございますが、三条の二項で、基本理念三条の下で総合評価落札方式がこれ書き込んであるわけでございますね。これに対して会計法は、原則は価格競争入札だということになっておりまして、一定の場合に総合評価落札方式といった他の入札方式を認めているという仕組みになっております。  この品確法と会計法の違いは、会計法は国の入札、契約、すべてに共通する一般原則を定めているわけでありますが、品確法の方は、公共工事に関して会計法に基づく入札契約手続を行うに当たって公共工事の特性を踏まえた適切な手続によるべきだということでありまして、両者の間に委員のおっしゃるようにそごはないというふうに思っております。  で、品確法は議員立法で御苦労されて作られたものでございますが、私どもも、これは立法に当たって会計法等の既存の法令との整合性ということについてはこれは十分に検討された上でお作りになったというふうに承知しておりまして、会計法と品確法が一体として運用されることによりまして品質が確保された公共工事調達が行われるという関係にあると理解をしております。
  18. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、財務大臣が会計法についてお話しなされた話が地方自治法にもおおむね当てはまるというふうに理解をしております。  地方公共団体公共事業のこの入札、契約につきましては、地方自治法規定による手続を基本としながら、公共工事品質確保促進に関する法律規定にのっとって行われるものであると。この品確法の基本理念の第三条の二に、価格及び品質が総合的に優れた内容契約がなされることにより、確保されなければならないと明記されていることにつながると思います。地方自治法とこの公共工事品質確保促進に関する法律を言わば一体として、一体として運用することによりまして、公共工事品質の確保を図るとともに、適正な入札、契約が行われることになるというふうに理解をしております。
  19. 脇雅史

    脇雅史君 今非常に明快に両大臣からお述べいただいたんですが、先ほど申し上げた、政府部内の解釈もやや緩いですよと申し上げたんですが、これが今、県、市町村に行くと、品確法なんという法律はあったって知らないと、私は地方自治法でやっているんだからいいんだと言わんばかりの方がおられるわけですよ。それはもう許されないわけであって、正にこの両法の適用の下に公共工事というのは出されなければならないんですね。  そのことが今非常に明確になったわけですから、是非これから先も、政府部内あるいは公共団体を通じてしっかりとその辺の意思を疎通を図っていただきたいんですが、去年の四月から法律ができて、この法律は別に執行猶予といいましょうか、猶予するものは何もないですから、そのとおりで法律で運用されてなくちゃいけないわけですが、だから、どのくらい運用をされているかというのを聞くのは聞き方もおかしいんですけれども、実際、じゃ、この法律が今、各省庁どれだけ徹底されているのかということについて、申し訳ありませんが、またお一人ずつお願いを申し上げます。
  20. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 総合評価方式による発注件数でございますが、十七年度におきましては、本年一月末時点で八地方整備局、国土交通省の八地方整備局におきまして五百七十一件となっております。昨年度の実績が三百二十七件でございますので、一月末時点で超えているところでございます。  また、国交省の直轄工事だけに限らず、やはり品確法の取組を拡大していく必要があるというふうに考えておりまして、今、各地方整備局が中心となりまして都道府県と情報交換を行う連絡協議会を設置をさしていただいております。また、品確法に関する説明会、講習会の開催もやらしていただいたり、また整備局の方で地方自治体職員の研修を受け入れるなど、発注者支援の取組も今進めているところでございます。
  21. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 農林水産省といたしましては、閣議決定に基づきまして昨年十二月に取組方針というのを決めておりますが、主に土地改良関係を中心にいたしまして十件程度というふうに把握をしております。
  22. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えします。  先ほども申し上げたんでありますが、防衛庁は、こういう不祥事の発覚もありまして、総合評価方式の入札は十七年度ありません。ただ、今年度中に実施をしようと思っておったんでありますけれども、今、新しい今後のこういう不祥事の再発防止考えていく上で、これを拡大していくことを中心として対応さしていただきたいというふうに思っているところであります。
  23. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず、地方公共団体におけます公共工事品質確保促進に関する措置状況についての調査結果によりますと、都道府県においては、平成十六年度では十四団体、本年二月末時点では十九団体が公共事業について総合評価方式により入札契約を実施しているところでございます。市町村につきましては、十六年度の結果しかございませんが、残念ながら、技術者の不足等々もあると思われますけれども、十団体が総合評価方式を行うにとどまっております。  こうしたことを踏まえまして、昨年の八月に国土交通省と連携を図りまして通知を発出しております。総務大臣としては地方自治体に対して助言の機能というのがございますので、しっかりと連携をしながら、助言、必要なまた支援があれば支援を行っていきたいと思っております。
  24. 脇雅史

    脇雅史君 やや唖然としているんでございますが、我が国は法治国家で法律に基づいて国家運営、行政がなされている。今、品確法という法律があって、やるやらない、できるできないなんかは関係ないですね。やれという規定があるんです。やっていないことは許されないと。運用をどれだけやったかという聞き方はおかしいと申し上げたのはそういう意味なんであって、この法律ちゃんと読んでくださいよ。  例えば、この理念の四項、公共工事品質確保に当たっては云々ありますが、談合、入札談合等関与行為その他の不正行為の排除が徹底されること並びに適正な施工が確保されることにより、受注者としての適格性を有しない建設業者が排除されること等の適正化が図られるようやれとか、これ本当にすばらしいこと書いてある。  法律読んでいますか。法律がきちんと運用されたら談合なんか起こらないんだ。だから早くやってくださいと言っているんですよ。こんなものね、政府で関係何とか会議とかやる前に、できている法律をしっかり施行しなさいよ、運用しなさいと。法治国家なんですよ。例えば、スピード違反が今度規則変わったと、おれそんな法律知らないもんと言ったって捕まるんですよ。国が自ら法律を守らなかったら、こんなもの国は成り立たない。深刻に考えてくださいよ。  法律ができて、まあ少しの間に猶予期間があるのはやむを得ない。政府が実際に基本方針を作ったのは去年の八月ですよ。すぐ作れと申し上げたんですが、法律に基本方針を作れと書いてあって、その間作っていない間は違法行為ですよ。すぐにでも作らなくちゃいけない。八月に作った、閣議決定したんですよ、官房長官、まあ、福田さんだったんですけれども。政府としてやるよという閣議決定して基本方針を作って、それに基づいて各省庁がいろんなことを考えて、それでいまだにやるだのやらないだのふざけた話してもらっちゃ困るんですよ。法治国家なんですよ、我が国は。  だから、もしこの法律に基づかないで公共工事をやろうとしているところには予算を付けないとか、県、市町村だったらもう交付税はやらない、交付金もやらない。だって、法律違反を前提としているところに何で予算が出せるんですか。  このことについてはちょっと総務大臣にお聞きをしたい。
  25. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 御指摘のとおり、せっかくこういういい法律を作っていただいているわけですから、これは本当にしっかりと守られていかねばならないと思います。  先ほど言いましたように、市町村の場合は技術者の問題とかありますので、現実的に総務省として支援できることがあるかどうかも含めて、よく検討したいと思います。  これちょっと形式的なことを申し上げますと、私にはこの法律をやれという命令権限はなくて、助言の権限でございます。その助言の権限の範囲で何ができるかということをしっかりと勉強して進めてまいりたいと思います。
  26. 脇雅史

    脇雅史君 助言しなくてもいいですから、予算を止めてください。その権限はあるはずです。  最後にといいましょうか、この問題の取りまとめとして、官房長官、そういう状況になっているんですよ。政府として、あるいは国、地方公共団体ひっくるめて、本当にきっちりやっていくんだということをひとつ宣言をしてください。
  27. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 各発注者における総合評価方式の実施に係る現状等を踏まえまして、さらに、同方式の拡充、普及、これはもう今委員が御指摘になったとおり、これはもう当然法律にあることでありますから徹底をしなければいけないわけでありますが、本年二月二十四日に政府として、各省庁が総合評価方式の拡充に向けて評価基準や実施要領の整備を行うとともに、当面の目標値を設定すること、地方公共団体に対してもできる限り同様の改善策が講じられるよう取組を行うこと、そのために必要な条件整備を行うこと等を内容とする公共調達の適正化に向けた取組についての取りまとめを行ったところでございまして、ただいま委員の御指摘趣旨をよく踏まえまして、公共工事品質確保法を踏まえ、このような取りまとめの考え方に従い、各省庁との連携の下でできる限り速やかにこの総合評価方式の拡充、普及が図られるように努めていきたいと、こう考えております。
  28. 脇雅史

    脇雅史君 法律の適用、運用ができる限りも何もないんで、やるしかないんですから、政府として本当に深刻に考えてその実施を図っていただきたいとお願いをしておきます。また聞きますから、続けて閣僚でおられる方は今度聞くときにはちゃんと答えてください。  そこで、もう一つ今日申し上げたいことがありまして、今、我が国、大変間違った常識があるんです。流言飛語みたいなとんでもない話なんですが、どういうことかといえば、適正な競争が行われていればこの入札契約というのが必ず予定価より相当に低い価格契約できるはずなんだと。そして、予定価と契約額との差額というのは、これは当然に発注者として予定すべき利益なんだと、だから安く落とさなくちゃ駄目なんだよと、必ず安く落ちるんだよという、そういう常識があるんです。  だから、裁判所までひっくるめて落札率なんていう言葉を言っていまして、予定価と入札額を割って落札額が九割以上だったら不正がなされているおそれがあるなんて裁判所まで言っている。常識はそこまで来ているんです。それが今我が国の常識で、そうだそうだと思っている方が多いかもしれない。これは実はとんでもない間違いなんです。  そのときに、じゃ、予定価が何だと。落札率言うんなら予定価について言えよなと。予定価って何なんだと。役所は駄目だ駄目だと言っているんだけれども、予定価をはじくときだけ正しくはじいているのかということになるので、まずこの問題を論じるには、予定価とは何ぞやということから始めなけりゃいけないので、会計法あるいは予決令に書いてある話として、まず財務大臣、その予定価の性格について説明してください。
  29. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 予定価格については会計法の二十九条の六に書いてございまして、これは、契約の目的に応じて予定価格の制限の範囲内で最低の価格をもって申込みをした者を契約の相手方とするものとすると、こういう規定になっているわけです。  何でこういう規定があって上を、上限を拘束しているかといいますと、国の要するに支出原因契約というのは、国会の議決を受けた歳出予算、それから国庫債務負担行為といった債務負担権限に基づいて行われなければならないわけでありますけれども、定められた予定価格の範囲内で契約を締結するということは、予算の範囲内で年度内の支出が行われるようにコントロールしていくために必要不可欠だというのでこういう考え方が取られているわけでございます。  こういうことでよろしゅうございますか。
  30. 脇雅史

    脇雅史君 これはまた再び竹中大臣のお知恵をおかりしなくちゃいけないんですが、予定価というのは、私は、物を買うときに、こういうものを欲しいけど、どれだけお金を用意したらいいかな、そのお金の額なんですね。だから、車買うときに二百万円用意して買いに行ったら、二百万円以上買えるわけがないから、そこであきらめる。じゃ、もうちょっと質を落とすか何か、相手と相談する、それで予定価の中に収める、これが普通の商行為なんですね。  予定価というのはそういうことなんであって、価格というのは市場のメカニズムの中で決まるんだから、発注者側が勝手にこれ以上いいとか悪いとか、その市場に手を突っ込む話と違うんですね。ただ自分がお金を用意して、それしか買えないから上限拘束を有するということなんだろうと私は法的には解釈しているんですが、ちょっと大臣の知恵で説明してください。
  31. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 法律的にはもう今財務大臣がおっしゃったとおりなんだと思いますが、物事の考え方としては、こういう経済問題を考えるときに必ずバジェットコンストレイントという言葉が出てきますが、訳せば予算制約、それに非常に近い概念なのだと思います。その意味では、今、脇委員がおっしゃったとおりであるというふうに思います。
  32. 脇雅史

    脇雅史君 もう一つ、予定価というのが、したがって適正に定めようと思うと市場実勢価格を調査することになるんですね。市場価格なんですよ。だから、車でいえば、このトヨタのクラウン、去年の入札、実際の納入実績を見て、その平均値を予定価という格好で定めるんですね。予定価で収まったらそれは市場価格なんですよ。だから、デフレ、インフレの状況があって、インフレのときには去年の実績で予定価決めたら買えないという事態があると。予定価で落ちないことなんか幾らでもあるんですよ。予定価より必ず低くなくちゃいけないなんてことは、こんなものは成り立たない。  だから、裁判所も言っているようですけれども、八割で、八割が正しいんだと、予定価の八割で落ちるべきだと、だからその部分は弁償しろなんてこと言っていますけれども、それが論理として成立するんであれば、予定価というのは本質的に市場価格なんですから、今年八割だと、来年その予定価で市場を実績調べて八割の八割といったらどうなるかと。五年したら三割ですよ。論理的に破綻しているでしょう。どうですか、竹中大臣
  33. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員おっしゃるように、予定価というのを過去の実績に基づいて定めて、そしてその実績が八割であったから八割であるべきだというような、御指摘のような論理構成をするならば、これはもう大変なことになるというふうに思います。そういう趣旨ではないはずであると思っております。
  34. 脇雅史

    脇雅史君 あのね、趣旨を申し上げているんじゃなくて、ちょっとこれは総務大臣、中身を御存じないのかもしれませんが、実は国交省なんかでやっているのは実績で、実績で予定価決めているんです。だから、市場価格なんです。だから、そういう論理は成り立たないんだと申し上げているんであって。ただ、個別に様々なケースがありますから、私が申し上げたいのは、必ず予定価より安く落ちなくちゃいけないのであって、落ちるのが当たり前で、その差額は当然に発注者の利益なんだ、国民の利益なんだという考え方は論理的に矛盾している、破綻しているということを申し上げている。  もしそういうことがあれば、それはケースとしてあり得ないわけではありませんからいいんですが、本当にインフレのときなんか予定価で落ちないことは何ぼでもあったんですよ、我が国でも。この数年はデフレだから、景気悪いから過当競争をやっているから今のような状態が起こっているんであって、これが本質的な性格だなんて思ったら大間違い。裁判所までそんなこと言っているということを、私は唖然としているんですけれども、冷静に、各それぞれの事案をしっかり見て、本当にそうなのかどうかということをよく御検討いただきたいということをお願いして、終わらせていただきます。
  35. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。岡田直樹君。
  36. 岡田直樹

    岡田直樹君 自由民主党岡田直樹でございます。予算委員会で初めて質問をさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。  まず、防衛施設庁と天下りの問題についてお尋ねをしたいと思います。  最初に申し上げたいことは、私は、防衛庁が防衛省に昇格することを強く願っているものでありまして、今回の国会で法案審議ができると待ち望んでいたわけでありますが、そのやさきにこの不祥事であります。大変、正直言って残念に思っております。どうかこの上は、すっきりとうみを出してけじめを付けて、国民の信頼を回復して、そして改めて省昇格へ頑張っていただきたいと、こう思います。  まず、額賀長官の出直しに向けた覚悟と、そして省昇格への思いというものをお伺いしたいと思います。
  37. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 岡田委員の本当に情熱のある話を聞かせていただいて、大変有り難いと思っております。  私どもも、長年の懸案事項でありました省移行については、今国会で是非、与党それからこの委員会等々で審議をしていただくことを望んでおったんでありますけれども、委員おっしゃるように、思わぬ不祥事が発覚いたしまして、私どもとしては、こうした国民を裏切るような事態を深刻に受け止めておりまして、再発防止に取り組んでいるところであります。できるだけ早くこの対策を打ち立てまして、二度と再びこういうことが起こらないような形をつくることによって新しい防衛庁のスタートを起こし、その中で国民の信頼をまず回復したいと思っております。  その上で、改めて防衛省の、省移行について今国会で提案をし、御審議をしていただきたいというふうに思っております。そういう準備もこの不祥事の再発防止対策の後考えたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げる次第であります。
  38. 岡田直樹

    岡田直樹君 そのためにも、けじめはしっかりと付けておかねばならないと思います。  長官は事件直後から、防衛施設庁、解体的出直しをすると、こう言っておられますが、防衛施設技術協会についてはいかがでしょうか。事件直後のテレビに出られて、つぶしていくと、そういうふうにおっしゃった。昨日も少し御発言がありましたけれども、これはやはり解体に向けて検討をしていく、それで間違いはございませんか。
  39. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今度の不祥事に当たりまして、防衛施設庁の行政上それから組織上の問題点を今調査、調査会あるいはまた検討委員会で調査をしているところであります。  私は、やっぱり人事の停滞とか、これまでの占領軍時代からの特別調達庁時代の長い停滞的な習わし、慣習等々が今度の事件を起こした背景にあると思っておりますので、これは施設庁を解体する方向で対策を立てたいと思っております。  しかし、施設庁の職員の皆さん方の大半は、日本の基地あるいはまた米軍基地の地元住民との調整等々に日々汗をかいているわけでありまして、こうした機能というものは存続させていかなければなりませんので、その中で新しい組織づくりをしていきたい、それからチェック体制がきちっとなるようにしたいというふうに思っているところであります。  一方で、今委員のおっしゃるその施設技術協会につきましては、職員がそこに二年間職にとどまり、そしてその後、いかにも再就職のための止まり木のような印象を与えている。そういうことと同時に、委託事業が九〇%に及ぶという実態、しかもなおかつ下請に出す率が多い等々を考えてみますと、そういうことの実態をきちっと洗い出した上で、委員がおっしゃるような方向で整理をしていきたいというふうに思っております。
  40. 岡田直樹

    岡田直樹君 今、止まり木という表現をなさいました。天下りの待合室、こんなふうにも言われているわけでありまして、これはやはり、長官今お示しになったように、解体の方向でしか解決の道はないのかな、こういうふうに思うわけであります。  今もお話ありましたとおり、防衛施設庁の職員が早期に勧奨退職をして、二、三年だけこの協会にいて、そして企業に天下っていく、この早期勧奨退職という制度が一つ要因であろうと思うわけであります。施設庁では平均五十六歳余りで退職をする、本庁ではもう二、三年長くいるようでありますけれども、どうしてこの五十六歳余りという退職年齢になるのか、そしてこれはどんな人事上の必要によるものか、また、どなたが判断し決定をされるのか、この辺り、施設庁長官にお願いいたします。
  41. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 御答弁申し上げます。  まず、こうした事態を生起いたしましたことをおわび申し上げます。  今の早期勧奨退職の関係でございますけれども、私ども防衛施設庁につきまして、特に建設部出身の技官の平均勧奨年齢は、先生御指摘のとおり、防衛本庁の事務官等の全体に比較いたしますと約二歳若くなっております。さらに、これをⅠ種、上級同士を比較いたしますと、大体三歳ほど若くなっているところでございます。  これにつきましては、よりこの若い理由というものにつきまして申し上げますと、背景を申し上げますと、防衛施設庁の建設部の中におきましては建築、土木、設備あるいは通信といった各職域ごとの分類が確立をしてまいっておりまして、これらのその職域内での人事管理が行われている、すなわち言い換えれば垂直管理が行われていると。そうした中で、上位職の昇任管理が大変厳しい状況にあったことも事実でございまして、こうしたことから人事の停滞を回避し、あるいは組織の活性化を図るといったことから勧奨退職をやっておりまして、建設部以外の職員に比較しまして若い年齢での勧奨退職を行ってきたというものでございます。  これを、じゃだれがそういうことを判断し決定してきたかということになりますと、私ども、自衛隊法の第三十一条に基づきまして、防衛施設庁の職員につきましては、防衛施設庁長官あるいは私からの、防衛施設庁長官からの委任を受けた者、言い換えれば各防衛施設局長が個々に判断して行ってきたところでございます。  しかし、今先生から御指摘いただきました今回の事案の背景に、今のような早い段階での勧奨退職の問題、そして防衛施設技術協会がウエーティングの組織になっているんではないかといった問題が指摘をされているところでございまして、現在、防衛庁長官の統括の下に、その原因を究明をしながら、私どもの調査委員会また副長官の下で抜本的な再発防止策を検討しておりまして、この特に勧奨退職の問題につきましては、去る二月の二十四日に、その建設系技官の退職年齢を早期に事務官等の退職年齢まで引き上げるとともに、事務官等全般について可能な限り定年まで勤務させるよう適切な措置を講ずる方向で検討するといった基本的方向性を発表したところでございます。これを受けまして、私ども防衛施設庁といたしましては、本年の四月から、来年度からできるものを早急に着手してまいりたいと思っております。  ただ、じゃ、これをいつまでに終えるかといった点につきましては、先生御承知のように新入職員、新しい職員の採用の問題ですとか、組織の活性化だとか、そういった問題等についても慎重に考えていかなければなりません。いずれにいたしましても、本年四月から着手をしてまいりたい。きちんと改革をして国民の信頼を回復すべく努力してまいりたいと、そのように考えているところでございます。
  42. 岡田直樹

    岡田直樹君 どうも組織内部の論理だけでこういう早めの肩たたきとか天下りがなされてきたような気がしてならないわけであります。どうかしっかりと見直しをしていただきたいと思います。  また、この問題は先日我が党の片山幹事長も指摘をいたしましたとおり、公務員一般の問題でもあると思います。お役所にキャリアの方が入って、年齢が上がるに従ってだんだんとこう外へ出ていかれる、そして同期のうち一人が次官になると、もう皆さんさあっとこういなくなってしまうと、こういう慣行がいまだにあるようでありますけれども、これは一体どこから来ておるのか、ちょっと人事院の方にお伺いをしてみたい。  事前に調べましたら、現在省庁の中で同期で次官と局長というのはやっぱりないそうです。同期で上下関係になるのは面白くないと。以前にそういう例があるかというと、四つだけありますといって出してこられましたけれども、そもそもこういう慣行というのはいつごろからできてきたものか、またどういう意味があるのか。ちょっと、民間から見ると非常に奇妙な感じがして理解ができないわけでありますけれども、この辺り、人事院に御説明をいただきたいと思います。
  43. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人佐藤壮郎君) お答え申し上げます。  この早期退職慣行というのはいつごろから始まったのかということでございますけれども、これはなかなかいつごろからということを断定することは難しいんでございますけれども、いろいろ資料を調べてみますと、戦前にもやはり同期から一人事務次官が出ると残りは退職するというケースが多々あったというふうに聞いております。  それから、そもそも昭和六十年までは国家公務員には定年がございませんでした。したがいまして、職員を退職させるときには、広い意味での勧奨退職、いわゆる肩たたきが頻繁に行われていたんではないかというふうに思います。  それから、退職手当は現在、勧奨退職者に対しては割増しが行われております。これが、退職手当法のその旨の改正が行われたのはやはり昭和六十年でございますので、退職手当法上でその勧奨退職というのがいわゆるオーソライズされたのが昭和六十年ではないかというふうに思っております。  それから、なぜこういう早期勧奨退職という制度ができているのか、あるいはそれが必要なのかということでございますけれども、これは各省庁の人事管理上の理由からいえば、やはり人事の停滞を防ぎ、職場の活性化をするということが第一の理由ではないかと思いますけれども、私はそれ以前に、やっぱり長年の慣行、人事管理上の慣行あるいはその構造的な問題があるんではないかと思います。  具体的に申し上げますと、やはり年功序列制、それからそれに伴う横並びの昇進制度、これがやっぱり非常に大きな要因になっているんではないかと思います。要するに、横並びの昇進制度というのを維持してまいりますと、上のポストへ行くほどそのポストの数が少なくなっていくわけでございます。現在の典型的な役所のポストの数でいえば、事務次官が一人いて、その下に数人の局長とそれから数十人の本省課長がいるという構成になっているのが普通だと思いますけれども、そうなりますと、局長になる段階あるいは事務次官になる段階で横並びの昇進制度が崩れてくるわけでございまして、したがいましてそのポストから外れた人は退職すると、そういう結果になっているんではないかというふうに思います。  それから、人事院としてこういう制度をどう考えているかということでございますけれども、やはりこの早期退職、勧奨制度というのが、今問題になっているいわゆる天下り、それに伴ういろいろな不祥事の原因になっているというのは、これは確かであろうと思います。  したがいまして、どうにかしてこれを廃止する方向へ持っていかなければならないということでございまして、まず一つは、先ほどから話題に上っておりますように、退職年齢を上げるということでございますね。で、具体的には、人事院は、たしか平成九年だったと思いますけれども、事務次官の定年を六十二歳に延ばしました。したがいまして、事務次官が六十二歳で辞めるとすれば、局長は例えば六十ぐらいまでいられるという形になるわけでございます。それから、平成十四年の閣僚懇談会による申合せで、退職年齢を徐々に上げていくという申合せがなされましたけれども、これもこれから十分取組を進めていく必要があろうかと思います。  それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、各省庁におけるポストの構成がピラミッド型になっているわけでございます。入省した新採用者はたった一人の事務次官を目指してまあ競争を繰り広げるわけでございますけれども、この弊害を除くためにいわゆるキャリアポストというものを複線化することができないだろうかと。要するに、複数のキャリアポストを用意してあげるということで、現在、専門性を生かした専門スタッフ俸給表というものを作ろうということで今検討を進めているところでございます。  それから、やっぱり最も根本的には、さっき申し上げました年功序列制、横並びの昇進というのを、これを改めなきゃいけないわけでございまして、これは現在試行を行っている能力、実績の評価制度、これの定着することを大いに期待しているわけでございます。
  44. 岡田直樹

    岡田直樹君 私は役所にいたことがありませんで、民間のことしか知りません。ですから、非常にその横並びという発想が不思議に思えるわけであります。後輩が先輩を追い抜いていく、それは民間では幾らでもあることでありまして、それがお役所の世界では通じないと。この辺り、もう少し弾力的に、古い慣行にとらわれずに人事をやっていただきたい。人事院にもまた各省庁にもそのことをお願いをしたいと思います。  また、公務員の定数削減という問題もありまして、非常に悩ましい。お役所に、もう少し退職年齢を上げて、とどまって力を発揮してほしいと思う反面、やはり定数は削減しなくちゃいかぬわけですから、少し相反するところもあるように思うわけでありますけれども、これはやはり、もう少し官民の人事交流ということを活発に真剣に行う必要があるのではないかと思っております。  特に、直接関連のある業界に天下るといろんな弊害もあると思いますけれども、公務員というのは本当にジェネラリストで、広範囲の知識とか経験を持っておられるわけでありますから、いろんな分野で働くことができると思います。この辺りは政府経済界との連携を緊密にしていただきたいと思いますし、その前段として、最近「県庁の星」という小説というか本が出ておりますけれども、あれは地方公務員が民間に研修に行く、そういう話でありますけれども、そういったことをもう既にお始めでありましょうけれども、国のレベルでもどんどんやっていただきたいと思います。  この点について、そうですね、人事院、また経済産業省からもお考えがありましたらお願いいたします。
  45. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人佐藤壮郎君) 御指摘のあったように、官民の人事交流をもっともっと進めなきゃいけないというのは、私どもも正に同じ考えでございます。  現行の制度でございますけれども、一つは、官民交流法による人事交流がございます。これは、二年あるいは三年の期限を決めて、官から民へ、それから民から官へ来ていただいて、それぞれの職場で、官の場合は例えば民の効率的な仕事のやり方や顧客に対するサービスの在り方というのを学んでもらうという制度でございます。  それからもう一つは、今の場合は期限を決めて派遣期間が終わった場合は元の職場に戻る制度でございますけれども、一方で、官の人材を活用するために透明な形で民間へ転職すると、することができるというような制度もございまして、これは私どもがつくりました公正な人材活用システムというシステムが、制度でございます。これは経団連に仲介をお願いいたしまして、民間の会社で必要な人材を登録していただいて、官の側にそういう適した人材がいるかどうかということを各省庁に調査を依頼いたしまして、それで転職をあっせんするという制度でございます。  いずれにせよ、現在こういう二つの制度があるわけでございますけれども、なかなか人数が伸びていかない、必ずしも私どもが期待するほど交流の実績が上がっていないということでございますので、これからも一層の努力をして、官民の人材交流というものを推進していきたいというふうに思っております。
  46. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) 委員長
  47. 岡田直樹

    岡田直樹君 いや、結構です。通告行っていなかったかな。行っていないですか。それじゃ結構です。
  48. 小野清子

  49. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) お答えさせていただきます。  御通告いただいていないのでございますけれども、私ども経済産業省といたしましても、官民の交流は大事だと思っておりまして、例えば特許庁などではアウトソーシングなどを行っておりまして、今後ともこれは進めてまいりたいと思っております。  それから、ここからは個人的な見解でございますけれども、先生が御指摘になりました公務員制度のいろいろな諸問題、私も同じ意見を持っておりますということだけ申し添えさせていただきます。  以上でございます。
  50. 岡田直樹

    岡田直樹君 手抜かりで通告いたしませんで、御無礼いたしました。しかし、はっきりとしたお答え、ありがとうございました。  ちょっと時間がございませんので、次のテーマに移らしていただきます。  台湾のことを麻生大臣にお伺いするわけでありますけれども、その前に、中国の李肇星外務大臣が小泉総理のことを、日本の指導者は愚かで不道徳であると、こんな暴言を吐いたということを聞いております。また先日、韓国の盧武鉉大統領も、靖国だけでなくて日本の憲法改正の動きにも厳しい言葉を浴びせてきたと。私は明らかな内政干渉であると思うんですけれども、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
  51. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) ドイツでしたかね、たしか岡田先生、たしかドイツの方の話を例に引いてという前提が付いていたと思っておりますけれども。大体、こういうどこかの人の前例を引くと、私もしょっちゅう言われますが、人の言った話をやられると、これはおれが言ったことにざっと話が作り変えられると、まあ日本に限らずどこでも皆そうなんだと思いますけれども。  これはドイツの方の言った話を引用されたんだと思いますけれども、いずれにしても、その話が出たにしろ出ないにしろ、他国の外務大臣、一国の外務大臣が他国の総理を愚かとか言うような話は余り適切な話じゃないと、私どもは基本的にはそう思っております。  また、日韓両国の話で、これは三・一節ですから、いわゆる中国の、いわゆる一九一九年に発生いたしました、三月一日に、いわゆる独立運動記念日で、三・一節というのは結構よく韓国じゃ出てくるところなんですけれども、このときに、日韓両国が真実と誠意を持って過去のわだかまりを取り除き、真の和解と協力の道に進もうと、まずは協力、協調しておられるということもはっきりしておかないと公平さを欠くと思いますんで。  その上でいろいろ言っておられるんだと、おられますのは御存じのとおりですけれども、こういった話に関しましては少なくとも、内政干渉、憲法改正等々をいろいろ言っておられますけれども、基本的には日本の国民が決めることだということに関しましては、これは韓国の大統領としても十分認識をしておられる、当然のことだと思いますんで、そういった立場として、私どもは演説後にも、政府として私ども明確にこの話はいたしておりますし、また、昨日でしたか、安倍官房長官の方からこの点はきちんと談話が出ているところでありますんで、これ以上これを反論してどうのこうのと言うつもりはございませんけれども、対応としてはそういったのが成熟した民主主義の国家同士の対応かなという感じがいたしております。
  52. 岡田直樹

    岡田直樹君 冷静な御答弁、ありがとうございました。  靖国について言いますと、台湾の方の戦没者、二万八千人もお祭りされているわけであります。その中には李登輝前総統のお兄さんも祭られているということであります。そのことに甚だ大変申し訳ないという思いを抱くわけでありますけれども、しかし、台湾の方は余りそのことを声高にはおっしゃらないと。総理が参拝されることについて、もちろん台湾の一部の方々は抗議行動をされました。しかし、むしろ参拝をしようという台湾の国会議員もおられるぐらいであります。  昨日話題になりました麻生大臣のあの、日本が台湾の教育水準を上げたという発言、これはまた中国、台湾の方からお聞きになったことをお話しになってというお話でありましたけれども、これについても、中国はやはりすぐに騒ぎましたけれども、台湾は非常に冷静に受け止めておるということを考えると、中国や韓国との関係改善はもちろん大事でありますけれども、この日本に対する深い理解を持った台湾という地域、私はあえて台湾という国と言いたいんですけれども、これを大事にしなくちゃいけないと思います。  東アジアにおける台湾の戦略的な位置付け、麻生大臣はどのようにごらんになっておられましょう。
  53. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 岡田先生御存じのように、日台関係におきましては、昨年の貿易は多分六百億ドルを超えておると思いますんで、中国、アメリカ、韓国に次いで四番目に多分取引はでかいという記憶がございますんで、極めて経済的な関係は大きい。また、人的交流も、多分日本から台湾に訪台をしておられる方々の数というのは年間百三十万ぐらい行っておると思っております。また、台湾から訪日される方々の数も百万ぐらいになっていると思いますが、昨年、岡田先生等々お世話になりました、議員立法で作りました査証免除の件ができておりますんで今年は百三十万人を超えるだろうと思っておりますんで、約三割は超えるというような関係で、前年度比でいきまして百二十何%まで増えるだろうと思っておりますんで。  そういった意味では、ここは間違いなく、いわゆる議会制というか、いわゆる選挙によって党首がとか大統領がとかいう形できちんと交代をしていくという民主主義と言われるものはかなり成熟しておりますし、経済の面におきましても間違いなく自由主義経済というものを信奉し、法治国家でもありますし、いろんな意味で日本等と価値観を共有している国だと思いますんで、私どもとしてはこういったところときちんとした関係で、経済以外の面でという面もいろいろ考えにゃいかぬところなんだと思っておりますけれども。  ただ、御存じのように、一九七二年の日中条約というのに基づいて一国として私ども、いうことを申し上げてきておりますんで、その範囲の中で、私どもとしては今後ともできる限りきちんとした両国間の関係は維持されて、両国と言うとまたおっしゃるように問題になるのかもしれませんけど、日本と台湾との関係というものに関しましてはいろんな形で、現実問題として多くの台湾の方が日本におられ、犯罪発生率は多分一番多いところで一番少ないと私どもの資料若しくは記憶では多分そうなっておりますんで、そういったことを考えますときに日台関係というのは今後ともきちんとした対応をされるべき、されてしかるべきところだと思っております。
  54. 岡田直樹

    岡田直樹君 今の日中条約もありまして、外務省ではアジア太平洋州局中国課台湾班ということになっております。台湾班の人数は二人しかいないそうであります。大変難しいこととは思いますけれども、台湾班は台湾班でいいんですけれども、これを中国課から外してアジア太平洋州局の直轄にするということは無理でしょうか。
  55. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今、私どもODAに関する関係から、外務省の中の局を、従来の経済協力局を解体しようと思っております。今、ODAは一元化ということで、今新しいJICAの下に円借、無償、技術的なところでJICAというものを一つにしてODAを一元化して日本の外交に、いろんなところで調整するのをすっとした形にする形を過日の経済財政諮問会議等々で一応の結論をいただいておりますので、外務省としてもそれに合わせてきちんとした対応をするべく、ODAを戦略的に使っていく必要等々が今迫られておるということなんだと思いますが、同時に、それに合わせまして、ODAの一番関係するところ、アジア局というところなどはこれはもう物すごい数が多いもんですから、アジア局の中にいわゆる大洋州部みたいなものにしてきちんと分けないと、とにかく島のところがわあっと入っておりますし、こっちもありますし、もう物すごい数になっておりますので、ちょっと一つの局でやれるような範囲では、とても範囲を超えております。  正確に言いますと、中央アジア、ウズベキスタンとかカザフスタンとか、あれも地図上は中央アジアと言うんですけれども、あれみんなロシアだったものですから、ソ連だったものですから、今あれは欧州局で持っておりますけれども、アジアという名前が付いているんだったら本来はあれはアジア局でやらぬといかぬことになるんだと存じますけれども、それもとてもそんなことしたらもう更に手が回らぬということになるぐらいになっておるのが状況でございます。  この二つ、中で少なくとも大洋州部というところにいたしますので、今いろんな形で、どういった形が最も日本にとりまして対応がしやすいか等々は今後の検討課題の一つだと存じます。
  56. 岡田直樹

    岡田直樹君 中国の目もあって大変難しいと思いますけれども、御検討いただきたいと思います。  国交のない中で経済協力、経済関係の強化について、今度は御通告してありますから、どうかよろしくお願いします。
  57. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) お答え申し上げます。  日本と台湾は非常に重要な経済パートナーでございます。我が国にとりまして台湾は第四位の経済相手でございます。  先生もよく御存じのとおりに、台湾との関係につきましては民間及び地域的な往来を維持していく、この立場でございまして、財団法人交流協会を通じて、貿易やあるいは投資の促進及び技術交流など、台湾との経済交流に関する様々な事業を実施しているところでございます。  具体的に申し上げますと、幅広い貿易、経済問題を話し合うための日台貿易経済会議の定期的な開催、それから日本の中小企業と台湾企業との合弁、技術提携等を促進するための交流事業の実施、それから日台間の電子商取引を推進するための委員会の開催などであります。  御存じのとおりに、電機あるいは電子部門ではもう随分前から分業が行われておりまして、OEM、委託生産などですね、これもかなり進んでおりまして、台湾と日本は私はお互いになくてはならない関係にあるというふうに思っております。  今後とも、こうした取組を通じまして台湾との経済交流を進めていく所存でございます。
  58. 岡田直樹

    岡田直樹君 あと、国土交通省に二点お伺いをしたいと思います。  愛知万博とか、ノービザになったことによって台湾からの観光客が大きく増えております。しかし、ビジット・ジャパンという高い目標を掲げておりますから、もっともっと増やしたい、そのための観光の振興の取組、また、国土交通省では、航空路線、今我々、地元、石川県なんですけれども、小松空港に定期便を飛ばしてほしいということで台湾の方と交渉をしておるところであります。石川県、ちょっと台湾ブームでありまして、温泉や雪を楽しもうという台湾のお客さん、たくさん来られるわけであります。地元の雑誌も台湾特集をやっているぐらいでありまして、どうかこの点について、国交省の取組についてお伺いをしたいと思います。
  59. 柴田耕介

    政府参考人(柴田耕介君) お答え申し上げます。  台湾におけるビジット・ジャパン・キャンペーンということでございますが、日本を訪れる外国人旅行者のうち台湾からの旅行者数は、二〇〇四年の実績で韓国に次ぎまして二番目に多い百八万人、シェアで一七・六%という割合を占めておりまして、ビジット・ジャパン・キャンペーンの重点市場一つとして取り組んでおります。  具体的には、台湾の人気タレントさんをビジット・ジャパン・キャンペーンの台湾親善大使に任命しまして、彼女などをパーソナリティーに起用いたしまして日本の観光魅力を紹介するテレビ番組の放映、マスコミ、新聞、雑誌等を通じた訪日旅行の広告宣伝、また中国語、いわゆる繁体字でございますが、ウエブサイトの充実による情報の提供、また高雄や台北で開催される旅行博への出展、こうした事業を展開しております。  これらの取組に加えまして、先ほど麻生大臣からもお話がございましたが、愛・地球博の開催を機に台湾に対する短期滞在ビザが免除されたこともございまして、訪日台湾人旅行者数は着実に増加しておりまして、二〇〇五年の一月から十一月までの累計で対前年比一七%増の百十九万人という数字になっております。  特に、石川県につきましては、能登空港や小松空港のチャーター便数が増加したこと、また、先ほど申し上げましたような取組に加えまして、輪島の朝市や兼六園などを紹介した紀行番組の台湾現地でのテレビでの放映、石川県の味、冬の味覚などを特集した観光PR宣伝の現地の新聞、旅行雑誌への掲載、こういったことによりまして台湾人旅行者の入り込みは大きく伸びてきております。例えば、二〇〇五年に兼六園を訪れた台湾人の観光客は対前年八割増の五万人、また和倉温泉にありますある旅館では対前年比やはり八割増といった成果ができております。  今後とも、台湾におけるビジット・ジャパン・キャンペーンに積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  60. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 石川県でおられるから特に御理解いただいているとは思うんですが、今、一旅館と言いましたが、あそこの旅館へ行ったら、みんな福建語できますもんね。英語もできる、そして北京語が半分、福建語が半分ぐらいかな、あの旅館。大したもんですよ。それが、客席満席率今日本一を十何年続けていません。だから全然、あれかなり、田舎なんて言うとあいつ怒るかもしれませんけど、かなり石川県の中でも、こうずうっと小松から一時間ぐらい行かにゃ駄目でしょう。あそこまで行ってあれだけ客が呼べるというのは、東京の客相手にしていないんですよ、あの人たちは。丸々向いている方は台湾なの、若しくは香港、そういったところに顔向けて商売して、売り物は温泉と白砂の砂浜と、そしてゴルフ、この三つを売りにしていますでしょう、あそこ。僕は、これを二十年以上前からやっていますもんね。僕はあの人の見識なんだと思うんです。御存じのように、台湾にも香港にも白砂の海岸はありませんから、それを売りにしてあれだけ客を呼べた。  そして、女中さんの使える言葉ぐらいは福建語でとか、まあ多分香港だったら広東語でということにしているんでしょうけれども、まあ全部一律北京というのはマンダリンにしているかどうかはよく分かりませんけれども、そういったので、行って私も一、二度泊まったことがありますが、客の八割ぐらいは外国人じゃありません、あれ。少なくとも標準語はほとんど通じているふうはありませんでしたもんね。僕は正直あれが物すごく印象に残って、女中頭の人に、あなた何か国語できるんですかと言ったら、少々でしたら四か国語と言われて、へえっと思ったんですけれども、国会議員にあんな人いません。僕は正直それが率直な実感だったんです。  まあちょっと今、先ほども台湾の話されましたけど、これは御存じのように、いわゆる日本国政府としては、中華人民共和国政府が中国唯一の合法政府であるということを承認するという前提でこれは話をしておりますので、何となく我々はすぐ台湾というと何となく一つの、あれだけの大きな経済力を持った人口も多いようなところで何となくすぐ国なんて言っちゃいますけれども、基本的にはこれはいわゆる地域と言うのが正確なところでもあるんで、私どもとしてはその前提でいろんな話をしなければならないと思いますけれども、今やっておりますのを見ていますと、何となくそういった形になってきた。  ただ一つだけ、もう一つすごいなと思いますのは、やっぱり中国本土の方も経済力が上がってきたんですよ。上がってきたのに合わせて、今度は上海からのお客というのが、香港のお客の口づてで上海に入っているんですよ。だから、今度は上海にあの旅館の広告が別の口コミで入って、上海語を今度やらなくてはならないことになるかもしれませんと女中さんの方が言うというのは、もう営業感覚が全然いいんですよ。僕は正直、わっ、すげえのがいるんだなと思って、ああいう人を外務省に欲しいなと思わないでもなかったんですけれども、そういう人がいるんですよ、現実問題として。私はそれがあそこのビジット・キャンペーンの一番を支えているのはあの人たちだと、私はそう思いました。
  61. 岡田直樹

    岡田直樹君 大臣おっしゃった旅館の玄関には今、日の丸と台湾の旗、青天白日旗が並んで立っております。ここにもうすぐ中国の五星紅旗も立って、中国と台湾でまたもめるんじゃないかなと若干の心配もあるんですけれども、これはもう地域間交流の大臣おっしゃったとおり本当にモデルになると思いますので、どうか一層の御支援をお願いいたします。  この問題の締めくくりに、鳥インフルエンザ対策、お伺いをしたいと思います。  東アジア全体で取り組むべき問題でありまして、ウイルスにはそんな国際政治の思惑なんて関係ありませんから、これは共同でやりたいんですけれども、しかし、これまた中国の反対もあっていまだにWHOにも台湾は加盟していない、国際会議にも個人派遣という非常に変則的な形で参加をしているわけであります。この台湾との連携、また台湾も人道上WHOぐらいには加盟させてやりたいんですけれども、この辺りの外務大臣のお考えをお伺いします。
  62. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今言われましたように、この何とかインフルエンザ、鳥インフルエンザ、鳥インフルエンザ等々いろいろ、何というか、もう渡り鳥は飛んできますんで、まあ国境は完全に越えちゃっている話なんで、シベリアから渡ってきたり、どこから渡ってくるのかよく知りませんけれども、渡り鳥にくっ付いてきたりするというんで、こういった大きな問題を解決するに当たっては、この地域は関係ないからといって地理的な空白をつくっちゃうというのは、そこを経由して更に南に飛んでいくという鳥もいますでしょうから、私どもとしてはこれは是非必要な協力はやらぬといかぬものなんだと、基本的にそう思っております。  今年一月に行われました東京会議、新型インフルエンザに関しますいわゆる早期対応に対する東京会議というのをやらせていただいておりますけれども、台湾からも専門家が何人か参加をしてもらっておりまして、情報が得るということは望ましいということで、専門家というのを個人的な資格で招待をさせていただいて遺漏なきようにしたところではありますけれども。  今後とも、WHOなんというようなものは、やっぱりこれは、この種の世界的に、何というか、スペイン風邪みたいな話で、鳥インフルエンザとしてまさか野鳥のあれでこんな広がるということを想像した人はほとんどいらっしゃいませんし、これが更に人から人に感染していくようなことになると、これこそ一大事だと思いますんで、私どもとしてはこういったところに関しましては、まずはオブザーバーというところだとは思いますけれども、空白をつくらないということは、これは人権の上からも非常に大切な考え方だと思っております。
  63. 岡田直樹

    岡田直樹君 どうか後押しをよろしくお願いいたします。  次のテーマ、もう時間もないんですけれども、外務大臣、もしお忙しければ御退席いただいて結構です。  日本国は借金で大変火だるまのような状態と言われるわけでありますけれども、一方では、資産も相当にあるのではないかということで、最近、この資産を売却して債務の圧縮に充てよと、こういう方が多くいらっしゃるわけであります。しかし、何が売れる財産かということが必ずしも明らかでないように思いますので、財務省の方で何が売却可能な資産であるか、御説明をいただきたいと思います。
  64. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 何が売れる資産かということですが、今後の詳細は行政改革の重要方針で平成十八年度内に改革の方向と具体的施策を明らかにするために工程表を作るということになっておりますので、その中できちっとしたものをお示しできるように今作業をしているところでございます。  これも、もう長い先じゃありません、つい先に出させていただきたいと思っておりますが、基本的な考え方を申し上げますと、今の厳しい財政状況をかんがみれば、国の資産を売却して財政健全化に少しでも役立てられることはやっていこうということは私は当然だと思います。ただ、今おっしゃったように、国のこのバランスシートを見ましても、国の資産の中には例えば道路、河川というような公共用財産がございまして、これは売却するのが極めて難しいか又は不可能なものもあるわけでございます。たくさんあるわけでございます。  こういう中で、政府としては売却可能な国有財産として未利用国有地、これ約六千億円ございます。それから、毎年度発生する新規の物納財産が二千億円程度、大体毎年あるわけでございますが、これらはとにかくきちっとやろうと。それに加えまして、今後は庁舎をより効率的に使用して不用な敷地を捻出、売却しようと、売却努力を強化していこうと。そのために国有財産法等の改正案をこの国会にお出ししているところでございます。  それから、さらに国家公務員宿舎についても今有識者会議というのをやっていただいておりまして、民間の視点から、都心部の移転に伴う跡地の売却を促進して都市再生や土地のもっと高度利用ができないかという検討をしていただいているところでございます。  そのほかに、日本郵政株式会社とかあるいは成田国際空港株式会社などの民営化法人に対する出資金についても、今後、積極的に売却していく考え方でございますが、あと個々のものになりますと、先ほど申しましたような、今後、工程表を近々出させていただきたいと思っております。
  65. 岡田直樹

    岡田直樹君 竹中大臣総務大臣であるとともに、御自分で小さな政府担当大臣と、こうおっしゃっておられますが、今の政府資産の売却について、資産の圧縮についてかなり大きな期待を持っておられるようでありますけれども、そのお考えを伺いたい。
  66. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 本当に大きな借金と財政赤字を抱えまして、これから子供たちに負担を残さないために、国民に税負担の増加をお願いするかどうかという非常に重要な判断、議論をしなきゃいけない。それに当たっては、やっぱり政府が身を削るという姿勢を明確に示す必要があると思います。企業の場合も、やはりリストラの場合は資産をまず売却して、そして財務リストラをしていくわけでございます。  そういう点からいいますと、実は借金、政府は多いですけれども資産も多いと。バランスシートの大きさは、大まかに言って、実は気が付いてみると日本の政府のバランスシートはアメリカの五倍ございます。GDPが半分であるということを考えると、GDP比で十倍の資産負債を持っているということでございますので、そういった観点から、売却可能なもの、圧縮可能なもの、証券化を含めて流動化可能なもの、そういうものはやはりしっかりとやっていくと、その姿をやはり国民にお示しする必要があろうかと思います。  そういう観点から諮問会議で私も議論をさせていただいておりまして、そうしたことを踏まえて、今、財務大臣の方で具体策の御検討をいただいているという段階でございます。
  67. 岡田直樹

    岡田直樹君 財務大臣、積極的にお願いいたします。  ありがとうございました。
  68. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で脇雅史君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  69. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、内藤正光君の質疑を行います。内藤正光君。
  70. 内藤正光

    ○内藤正光君 民主党の内藤です。  私は、この予算委員会、好きなんですが、実は二年前の選挙、そしてまた昨年は委員長という職を務めていた関係で三年ぶりに立つことになりましたが、ちょっと少々の緊張感と、そしてまた少々のわくわくする気持ちで一時間の予算委員会質疑に臨みたいと思っております。  私が本日議論をしたいと思っているのは二つあります。一つは年金、そしてもう一つは医療制度改革、この二点について質問をいたします。どうか、財務そして厚労両大臣におかれましては、無難な官僚の答弁をなぞるんではなくて、是非とも政治家として、また大臣としてその思いをお述べいただきますようお願いを申し上げさせていただきます。  さて、まず年金改革について質問をいたします。  政府・与党は、間もなく厚生年金と共済年金の統合を行う。私は、これは必要なステップだとは思います。しかし、我が国の年金制度、単に被用者年金というんじゃなくて、年金制度全体考えた場合には多くの問題がまだ内包されている。世代間の不公平、そしてまた同じ世代であっても制度間の不公平、そして、そもそも私は、国民年金を抜きにしての改革なんというのは本当にあるんだろうか、そう疑問に思わざるを得ません。  そこで、両大臣にお伺いいたします。これから厚生年金と共済年金の統合が行われる。それによってどういう問題が解決されるのか、そして逆に、まだ課題として残されるものは何なのか、お考えをお述べいただきたいと思います。
  71. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 年金問題でございますけれども、まず、一階建ての基礎年金、これは昭和六十一年四月からまず統合された、共通の基礎年金という制度にでき上がったと、こういう認識をいたしております。  その後の改革の中で、まず、国鉄、電電公社、専売公社でしょうか、共済年金というものが厚生年金に、まあ統合というか、そこに吸収されてきた、こういう事態を迎えております。そして、一昨年に厚生年金、また基礎年金部分につきましても改正をさせていただき、ある意味では持続的、持続可能な制度ができ上がっただろうと、このように認識をいたしております。  したがって、その次の課題は何ですかと。当時、様々な議論がございましたけれども、公平と国民の信頼、この二つであろうと。そういった意味では、民間のサラリーマンと公務員の方々に年金、負担と給付というものに差がある。この問題についてはやはり一日も早く解決をしていかなければならないだろうと。これが被用者年金制度の一元化という問題であります。これは公平ですね。  もう一つは、信頼という面で、社会保険庁を含めて様々な御批判を賜りました。社会保険庁自身、解体的出直しをするということで新しい法律を出させていただく。そして、それを含めて年金全体への信頼というものを取り返していかなければならないだろうと、このように思っております。  そういう意味では、政府としては、被用者年金制度の一元化、二番目に社会保険庁改革を含めて国民に年金に対する信頼を回復すると、これが一番大事なことだと今考えております。
  72. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 被用者年金の一元化につきましては、今厚生労働大臣から御答弁がございまして、公正と公平と、安定と公平という観点からお話がございました。  私の立場から申しますと、もう少しこの年金制度において被用者年金の一元化のできた後の課題、残された課題ということを申し上げたいと思いますが、まず一つですね、十六年の年金改正法附則で、平成十九年度を目途に、所要の安定した財源を確保する税制の抜本的な改革を行った上で、平成二十一年度までに実施すると、基礎年金の国庫負担割合の二分の一の引上げですね、この問題がございます。  それから、同じく十六年の年金改正法附則で検討条項が書かれております短時間労働者に対する厚生年金適用の拡大といった問題がございます。  それから、国民年金の未納、未加入問題への対応等についても検討していく必要があると。  それから、今委員もおっしゃったところですが、国民年金を含めた年金制度の一元化の問題も指摘されておるわけでございますが、年金制度を将来にわたって持続可能で安定的に運営していく観点から、こういった様々な論点について議論を深めていく必要がまだ残っているというふうに考えているところでございます。
  73. 内藤正光

    ○内藤正光君 御存じのように、民主党はすべての一階、二階も含めた一元化を主張しているわけなんですが、私は個人としてはですね、一番大事なのは一階部分の一元化だと、一元化だと、基礎年金部分の、本当の意味での、そこが大事なんだと思います。  三年前、谷垣財務大臣は覚えていらっしゃいますでしょうか。総理がいらっしゃったときなんですが、実は国民年金、四〇%の未払率と言われているんですが、五〇%なんですね、未納、未加入、未加入まで含めると。で、その穴埋めを実は厚生年金あるいは共済年金、その二階部分から損失補てんのごとくに回しちゃっているという問題があるんです。そうすると、厚生労働省の役人は、いや、そんなことはない、払わない人はもらえないだけだからと。  そうじゃないんです。年金というのは世代間の助け合いなんです。具体的に言うならば、もう国民年金の給付に必要な額は十四兆円って決まっているんです。これをすべての国民がしっかり払ってもらって、七千万の国民がしっかり払ってもらわなきゃいけない。ところが、払っているのは六千万人だけなんです。そうなると、今現在の我々現役は、割り算すると多くなるんです。これは難しい数理計算の話じゃなくて、簡単な割り算の話なんです。  この問題をどう考えるかということなんです。どのように考えますか。
  74. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今払うべき年金の負担を、国民年金、厚生年金、共済年金の各制度が保険者の数に応じて払っていると。それから、もう委員が言われたように、払わない人は将来の給付がないということの設計になっておりますから、これ御承知のとおり。  したがって、最終的に、単年度で比較すれば委員の御主張もあるかもしれません。しかしながら、年金という一つの大きなサイクルの中で考えてみれば、お互いに公平な負担をしておるもんだろうと、こういうふうに思っております。
  75. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今の点は川崎大臣の御答弁のとおりだろうと思います。  ただ、付け加えれば、未納者の増加というのは、これは制度に対する信頼を損なうものであるということは、これは間違いございませんので、負担能力に応じたきめ細やかな免除制度の導入とか、納付に理解の得られない者に対する強制徴収等をどうしていくかというような収納対策を講じることは、私は大事だと思っております。
  76. 内藤正光

    ○内藤正光君 川崎大臣は、長いサイクルの中で考えれば収支が合うと言いましたが、今現在の現役はどうなるんですか、今現在。本来は七千万で支えるべき、賄うべき十四兆円を、六千万でしたかね、六千万で支えているんですよ。  ということは、まじめな支払者が不払者のツケ回しを負わされているということなんです、今現在の現役は。そのことをどう考えているのかということを私は問いたいんです。
  77. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 正に現役の中にお支払いにならない人たちがいらっしゃる、それはいろんな理由があります。学生の特例の問題もある、また所得が極めて少ないためにというものもあると。そこに当然配慮するのは当たり前の話じゃないんでしょうか、社会制度全体として。  そして、その中において、この人たちは掛けていないんですから、当然、将来の給付というものはなくなる。片一方で、今の現役世代には将来の給付を保障しましょうという制度の中で成り立ち、かつ国は、今、谷垣大臣からお話しのように、三分の一負担であったものを二分の一まで国費で賄うという形にしながら、制度の安定性というものを目指し、そして現役世代に将来の保障というものを担保しながらやっているわけですから、そこは御理解を賜りたい。
  78. 内藤正光

    ○内藤正光君 未納者は所得が低いとおっしゃいましたが、実は未納者も、国民年金ですよ、未納者も実際にまじめに払っている人も、実は所得違いないんです。データがあるんです。  そしてまた、免除者という問題がありました。三百万、今タクシー運転手でも何でも、三百万ぐらいの所得の人一杯いる。国民年金に加入されている方々は三百万ぐらいだと免除される。ところが、サラリーマンは免除されないんです。だから、おっしゃったことはちょっと合わないんですよ。  それを未納者の穴埋めに黙って厚生年金だとか共済年金の二階部分から一兆五千億毎年つぎ込んでいるんですよ。それを黙って行うというのは私は問題だと思います。いかがですか。
  79. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 黙って行っているわけではなく、先ほどから申し上げているとおり、共済年金掛けている方々、厚生年金掛けている方々、国民年金掛けていただいている方々、その方々の数によって案分をして先輩の分の負担をしておりますと。  一方で、国は、三分の一の負担から二分の一の負担まで増やすように、今財務省と詰めながら、平成二十一年にそれが実行されるように努力をしているところでございます。
  80. 内藤正光

    ○内藤正光君 加入者によって案分されているとおっしゃいましたが、そこに実はトリックがあるんです。  基礎年金拠出金に対しては国民年金だとか厚生年金等々から拠出金を出す。本来だったら、国民年金だとか何かの加入対象者によって頭割りをしなきゃいけない。ところが、頭割り、実際に払っている人だけしかカウントしていないんです。だから、国民年金からの拠出金は実際の半分なんです。相対的に少なく済んじゃっているんです。その代わり、逆に厚生年金、共済年金、相対的に頭割り多くなりますから、たくさんの拠出金を、基礎年金拠出金に出さなきゃいけない、これ相対とすると、厚生年金等々から国民年金の不払いへのツケ回しというか損失補てんになるんです。私はそのことを問うているんです。いかがですか。
  81. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 要するに、単年度で見るか一つのサイクルとして見るかという、お互いの議論の食い違いをしているんでしょう。要は、今掛けてない人は将来給付はありませんよと。国が二分の一、今三分の一ですけれども、二分の一持っている分も出ないんですよという中でお互いが負担し合いながらやっていこうということでありますから、単年度で見れば委員の御指摘一つの一面あるかもしらぬ。しかし、全体構造とすれば、お互いが出しながらやっていく、払わない者はもらえないという一つの構造になっていることは事実だと。  しかし、一方で、年金は払わない、将来もらえないという人たちが出てきたときに、当然生活保護とかいろんな問題になりますから、年金の信頼性とそれから今掛けてない人たちの将来というものを考えたときに、当然払ってもらうものは払ってもらわなきゃならないということで私ども努力をしなきゃならぬ。そのために社会保険庁を抜本的な改革をしなきゃならぬということを申し上げているんです。
  82. 内藤正光

    ○内藤正光君 よく川崎大臣、サイクルで考える、サイクルで考える、一体何十年のサイクルで考えればいいのかということです。やっぱり、問われるべきは今現在なんです。今現在の不公平をどう対処するか、これが必要なんじゃないんでしょうか。ちょっと財務大臣のお考えをお聞かせいただきたいんですが。
  83. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) いや、この点では厚生労働大臣とは全く同一でございまして、全体のサイクルで見たら不公平が生じているわけではないと私も認識しております。
  84. 内藤正光

    ○内藤正光君 私はそのロジックが分からないんです、そのロジックが。今現在、さっき何度も説明しておりますように、現役は本来七千万で支えるべきところを六千万で支えているわけですから、一人当たりの負担額は多くなる。じゃ、それがどうやって、これ一割ぐらい多く払っているんですよ。反対給付が保障されない額ですよね。一体それがどこで回収されるんですか。それが分からないんです、そのロジックが。
  85. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 必ず受給側に回るわけですね、この人たちが、受給側に、現役が。負担をし、将来もらうと。そのときに、今度は、逆に言えば仲間が少なくなるという話でしょう。仲間が少なくなるという話ですね、払ってない人が多いと。あなたが言われるとおり、一割少なければ一割仲間が少なくなるという話の中で、年金全体のシステムとして、例えば内藤さんならあと二十年後ですか、もっと先なのかな。私で言えば六十四からですから、あと七年後ですよ。七年後の支給のときにそれはきちっと担保しましょうという形の中で制度設計をしているわけですから、どうぞ全体の流れとして御理解を賜りたい。  これ、正直申し上げて、二年前もさんざん議論をして一つの結論に至ったと私どもは考えております。
  86. 内藤正光

    ○内藤正光君 私は、そもそも我が国の社会保障制度というのは職業ごとに縦割りになっている、そこに私は問題があるんじゃないかなと思っているんですね。サラリーマンあるいは公務員は源泉徴収されるからほぼ完璧に徴収できる。ところが、自営業者の場合は残念ながらそういうシステムがない。その結果、未納率が四割、そして未加入率まで含めたら五割にも上る。この穴埋めを実はサラリーマンあるいは公務員の共済年金等々にすべて押し付けられているという現状がある。実は、医療保険制度もそういう問題があるんです。実際に払ってない人いる。それを税で納める。税は何も自営業者だけが払っているわけじゃない。サラリーマンも払っているんですね。やはりこの職業縦割りなっているというところに問題があるんじゃないかなと思います。しかし本当は、まあこれはもっと攻めたいわけなんですが、今日の本題は医療保険制度の議論です。これはまた別の機会をとらえて、またこの予算委員会でも時間をいただけるようなので、しっかりと議論していきたいと思っております。  次に、医療保険制度について議論をさせていただきたいと思います。  まず冒頭申し上げさせていただきたいのは、私は、個人的には今回の医療保険制度改革、方向性は間違ってはいないんだろうと思います。しかし、問題はその実効性なんです。本当にうまく機能するんだろうか、絵にかいたもちにはならないんだろうか、そういった観点で幾つか質問をさしていただきたいと思いますが、まずは保険者機能というものについて質問をいたしたいと思います。  その中で、特にこれから新設される後期高齢者のための保険制度、医療制度、これについて質問をさしていただきたいと思いますが、その保険者は、市町村の連合体である広域連合、都道府県単位で形成される、これが保険者、財政責任を持つ。一方、医療費適正化計画等を策定するのは都道府県。別物なんですね。計画を策定するところと実際の保険者、財政責任を負うところは逆。本当にこれらがしっかり連携取れれば問題ないんですが、果たしてそうなんだろうか。  事実、この後期高齢者の保険者の設置だとか、広域連合、広域連合の設置だとか運営について、知事会そして市長会、何でしたっけ、市長会からそれぞれ意見書が出ているんです。この意見書をまず簡単に読みます。  知事会からどういう意見書が出ているのか。「広域連合の設置・運営について」という項目でこういうふうに言っています。「都道府県単位の広域連合の設置及び運営については、地方自治法に定める広域連合の制度趣旨を踏まえ、加入者である市町村の主体性を尊重したものとすることを求める。」、これは知事会が言っているんです。市町村が主体的にやってくれ、責任を持ってやってくれということを言っている。  一方、市長会、どういうことを言っているのか。「広域連合を円滑に設立できるよう、都道府県が主要な役割」、主要な役割ね、都道府県が、「を担うことなど、設立に係る手続を改正法に明記すること。」と。  私には、県と市町村がそれぞれ、おれのところじゃないよというように言い合っているようにしか見えない。私は、こういう温度差がある中で本当に保険者機能というのが発揮できるんだろうか、不安でならないんです。どうなんでしょう。
  87. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) これは多分、意見が一致しているんだけど、違う言い方をしているのかなと思うんですね。  まず、そもそも社会保障というのをどう考えるかというときに、国、県、市町村が重層的に担いながらやっていくと。しかし、まあ年金の方、先ほど議論がありましたように、年金は基本的には国が責任を持ちますよ。八十四兆の社会保障の中で、四十六兆が年金の部分でございます。これは第一義的には国ですね。一方で、介護保険制度等が始まりました、介護保険制度。この問題については基本的には市町村が実施の主体になっていますねと。そして、医療というもの、二十八兆でございます、給付でいえば。この問題について、どこが責任の主体になっていくべきかという議論の中で、少なくともこれからは県が広域調整をしながらやっていく時代になっていったんじゃなかろうか、こういう認識をお互いに持っているんだろうと思うんです。  しかし、一方で、保険料を集めるという仕事市町村がやっていたもの、まあこれは国民年金のときも指摘されましたよね、より身近なところが良かったんじゃないかという議論が出ているように、実際、集める主体というものを市町村から県へ移行ができるかとなると、これはもう否定する人たちの方が多いんです。そうなると、やっぱり重層的な役割をやっていかなければならないと。  しかし、この時代を迎えて、やっぱり県というものがより多くかかわり合いを持ちながらこの医療というものをやっていくべきだろうと。国も医療の適正化計画を書きますけれども、県もこれからは自分の県の中の問題をしかと把握をしながらお願いを申し上げたい。そして、今まで市町村でやっていたと、しかしながら、正直言って小さいです、正直言って小さい。しかし、そういうものをやっぱり何とか抜くためには、保険制度というのは大きい方がいいからですが、そこで広域連合という形を取らしていただいたと。  まあ御指摘によれば、さあ、それじゃ一挙にもう県に持っていってしまえという議論があるかもしれないけど、そこは、先ほど、だれがやっぱりきちっとこの負担をお願いをし、徴収をしていくか。一番難しい部門ですからね、ここは、サラリーマンと違いますから。そういう意味では、やっぱり市町村責任というものと県の責任、うまくかみ合わせなきゃならないと。  そこで、委員の御質問は、本当にうまくかみ合うようにやっているのかと。そこは正に、それをやらなきゃならないという思いの中でやっています。そういう意味では、県から一番言われるのは、まず人材の提供してくれと。いい人材をまあ正直言って派遣してもらったり、いろんな形で指導してほしいと、こういう意見が出た。もちろん、大きな都道府県は違いますよ、小さな県からはそういう要請が出てきている。それから、大きな都道府県からは、もちろん、我々に任せる以上はできるだけ権限移譲しろと、我々の方にできるだけ任せろと、こういう意見が出ていると。  こういうものを合わせながら、私ども、やはり県というものが、重層的なかかわり合いはしますけれども、県がよりこの医療というものについてはかかわり合いを持ちながらやっていかなきゃならないと、こういう認識をいたしております。
  88. 内藤正光

    ○内藤正光君 私は、県が医療の責任を持つというのは、私は何の異論も唱えておりません。大体、県民の医療というのは大体県にとじている。そういった意味では、県が私は妥当なんだろうと思います。  ただ問題は、広域連合、本当にうまくいくんだろうかという、この実態がまだまだ不明確なこの広域連合と都道府県がしっかり連携を取れるかどうかなんです。この財政責任を負っているのが広域連合。ところが、都道府県はそれがない。ところが、都道府県が作るのは医療費の適正化計画。医療費の適正化というのは正に保険者の役割なんですよ。そこがどうやってうまく連携が取れるか、連携が担保されるか、これがうまくいくかいかないかで今回この法案の行方って決まってくるんだと思いますよ。  そこで、ちょっと、先ほどもちょっとお答えいただいたわけなんですが、この後期高齢者医療制度の運営に当たって、まず市町村、そして広域連合、都道府県、さらには県、それぞれがどんな役割を担い、そしてどんな互いに連携を取っていくのか、あるいは大臣として、まだ決まっていなかったらどういう連携を目指していくのか、お答えいただければと思います。
  89. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 国が基本的にまず診療報酬というものを決めています。決めています。一方で、県はベッド数等は決めています、地域の。ある意味では地域の医療計画というのは県にどんどんどんどんゆだねられていっていますね。しかし市町村は、逆に言えば実施主体という意味での役目をしょっている、自分の地域の実施主体というものの責任を負っていると。  そういう意味では、例えば入院という問題一つ取り上げると、これはやっぱり市町村というよりは県が適正化の方向をやっていかなければならないだろうと思うんです。しかし一方で、予防ということになりますと、入院と、あと一つの柱、予防ということになりますと、これはやっぱり保険者としての地方自治体というものが責任を持っていかなければならないだろうと。ですから、これとこれが重層的にかかわり合いますことは明確に申し上げられますけれども、これはここだけやるんだ、これはここだけやるんだということにはならないだろうと。  しかし、財政の責任が、言われるとおり、まず市町村長、またその議会がお持ちになっていることは間違いないわけでありますから、その中で広域連合で調整をしながらやっていこう、そのかかわり合いを知事が持ちながら、だんだんだんだん国から権限移譲も含めてやっていきましょうという流れになっていかざるを得ないだろうと思っております。
  90. 小野清子

    委員長小野清子君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時二十分に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ─────・─────    午後一時二十分開会
  91. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十八年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。内藤正光君。
  92. 内藤正光

    ○内藤正光君 では、午前に引き続きまして、残り時間、質問を続けさしていただきたいと思います。  まず、ちょっと年金のこと、簡単に触れさしていただきたいと思います。  川崎厚生労働大臣は、ライフサイクルで考えれば収支は合うと。だったらば、なぜ未納率対策をするのかということになっちゃうんです。未納対策しなくてもだれも損しないんだったらば、それはそれでいいことになっちゃうんですよ。なぜ未納対策、それだけ社会保険庁の改革までしてこれからやろうとしているのか。私は、そこは大臣のおっしゃることは、お答えいただかなくて結構なんです、これは違いますから、ちょっとまだ合点がいかない、ですから、できるだけ早い時期にまた時間を設けて質問をさしていただきたいと思います。  さて、引き続き医療制度改革について質問をしたいと思うんですが、ちょっと連携のところはまだ納得いかないんですが、ただ、後からまた改めてそこは質問したいと思います。  今回、私はこの質問をするに当たって、党の部会で本当にヒアリングを重ねてきたことは改めて言うまでもないんですが、自らも足を運んで地方の病院に行ったりとか、保険者のところに行ったり、あるいはまた長年在宅医療を手掛けられている方、そのところへ足を運んだりもしました。で、組合保険の保険者の方、この方がやっぱり一番心配されているのは、支援金がこれからどうなっていくのかということなんです。ところが、平成二十年度の初年度の支援金しか出てないんですね。だったら、見直しの時期に当たる五年後、平成二十五年はどうなるのか、そういったところを要求してもなかなか出てこない。これは運営にとってもう一番重要な問題です。今、拠出金ですが、拠出金が支援金という、名前を変えますが、組合によっては五〇%、六〇%出しちゃってるところがあるんですね。やっぱりここは明確にしてもらわないと、一体平成二十年度はどれぐらいの支援金を出すのか、あるいは二十五年はどれぐらいの支援金を出すのか、明確にお答えいただきたいと思います。
  93. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) お答えいたします。  健康保険組合に係ります後期高齢者支援金の負担の額でございますけれども、平成二十年度、二〇〇八年度におきまして一・一兆円、平成二十七年度、二〇一五年度におきまして一・六兆円と、このように見込んでいるところでございます。  この支援金につきましては、高齢化の進展に伴って高齢者医療費が増えるということに伴いまして一定程度増加することになるわけでありますけれども、新たな制度におきましては、後期高齢者支援金の割合、これは制度発足時は約四割強でございますけれども、若人人口の減少を勘案してその割合が減少していく仕組みというものも併せて中に入れているわけでございます。  それから、御指摘のありました個別の保険者ごとに見まして、後期高齢者支援金、それから前期高齢者の財政調整に関する負担が著しく高いという保険者が出てくる可能性があるわけでございますけれども、こういった保険者につきましては、著しく重い部分につきまして全保険者で再案分する措置、負担調整措置を講ずること、こういった配慮を行うこととしているところでございます。
  94. 内藤正光

    ○内藤正光君 もし分かりましたら教えてください。一・一兆円が二十七年には一・六兆円になると。でも、その間少子化がどんどん進んでいくわけですね。一人当たりに直すとどれぐらいになるんでしょう。分からなかったらごめんなさい。
  95. 小野清子

    委員長小野清子君) ございませんか。
  96. 内藤正光

    ○内藤正光君 なかったらなかったで、ごめんなさい。
  97. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 済みません。通告をいただいてなかったもので持ち合わせておりませんけれども、その額は後ほどお答えできると思います。
  98. 内藤正光

    ○内藤正光君 これは、まあ本当に保険者の運営にとって大切なことです。また、組合員の理解を求める上でも大切なことですので、是非とも、一人当たり各保険者から幾ら拠出するのか、そういったものは法案審議までにしっかりと出していただきたいというふうに思います。  さて、保険者の一元化についてお尋ねをしたいと思います。  御案内のように、医療制度改革大綱では、市町村国保やあるいは政管健保などを指しながら医療保険制度の一元化を目指すと明言をしているわけでございます。  そういったことを踏まえると、今回の保険者の再編統合というのはまだまだ道半ばなんだろうなというふうに理解はするわけですが、市町村国保を含め、政管健保、あるいは組合健保、いろいろありますが、今後どうなっていくのか、その将来的な再編統合の姿をお示しいただけますでしょうか。
  99. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 後期高齢者医療制度、これについては、基本的には県というものを一つの広域連合という形で考えながら市町村が協力し合いながらやっていく。政管健保も県を一つの単位、県にお願いするわけじゃなくて県という一つの単位の中でやらしていただく。そうしますと、市町村国保の問題がどうしても残ってまいります。  基本的には、市町村国保も実質的に都道府県単位の財政運営を推進するという観点から、今回ワンレセプト三十万円以上の医療費、これは医療費の約四割を占めておりますけれども、都道府県単位で共同事業化する保険財政共同安定化事業の創設を盛り込んでおります。そういった意味では、保険の、先ほどから議論しておりますけれども、できるだけ大きい方がいいという概念から立てば、市町村国保についても将来的にはできるだけ大きく財政運営をしていくというのを進めていかなければならないだろうと。  しかし、今回、後期高齢者医療制度がスタートをする、それから政管健保の県単位の再編をするという中で、今みたいな仕組みで少し市町村国保も連携に入り出した、連携に入り出したという形で御理解をいただければと。将来的には、委員も多分私も同じ方向を考えているんじゃないかなと思いますけれども、やっぱり県ぐらいのレベルに大きくしていった方がいいだろうとは思います。しかし、住民とのつながりという面を切ってしまいますと、今まで改革の中でおしかりいただいた部分もございますので、そこはしっかり住民とのつながりを大事にしながら、財政運営というものの健全化を、できるだけ大きい方がいいわけですから、図っていかなきゃならぬなと、こう思っております。
  100. 小野清子

    委員長小野清子君) 大臣、よろしかったらこちら側のいすに少し移動をどうぞ。  内藤君。
  101. 内藤正光

    ○内藤正光君 確かに、今回の法改正では、市町村国保も県単位で財政調整をするようになったと、しっかりと。将来的な姿は、その単なる財政調整にとどまることなく、保険者そのものを都道府県単位の規模に再編統合をしていくという、そういう理解でよろしいでしょうか。
  102. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 正直言ってそこまで議論が煮詰まっていない。方向付けとしては私も委員も同じような方向付けをしているんだろうと思いますけれども。  しかし、実質、市町村と住民とのつながり、先ほど言いました。事実上、介護保険制度の料金、介護保険制度の納めていただくのと同じようなシステムになっております。年金から徴収できる形になっておりますので、今の国保制度よりは、御負担をお願いをしてそれを徴収するシステムというのはより高いシステム、収納率が高いシステムになっておりますけれども、ただ、全部中央でまとめてしまう、県の中央でまとめてしまうということになると、やはり市町村とのつながりの問題もありますので、どういう形がいいのか正にこれから議論をしていくことになるだろうというふうに思っております。
  103. 内藤正光

    ○内藤正光君 しっかりと現役が加入する市町村国保の再編統合についてもいろいろな問題点を踏まえて議論をし、私は個人的にはやはり都道府県単位の規模に再調整する方が、再編統合する方がいいと思っておりますが、是非議論を進めていっていただきたいと思います。  さて、唐突ですが、ちょっとお考えをお伺いしたいんですが、例えば企業ですね、たくさんあります。競争がないとどうなるか。ある分野でも、何でも、どの分野でもいいんですが、競争がないと企業はどうなっていっちゃうんでしょう。
  104. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 基本的には、私は家電業界出身ですから申し上げますと、激しい競争がありますから、メーカーの皆さん方は国内で、今テレビの話が盛んでありますけれども、一%ぐらいの利益しか出ないな、激しい競争の中でと、こういう認識をされていますよね。そういう意味では、国民から見れば、競争があって各メーカーが競争し合うことによって国民に安いテレビや品質のいいテレビが届くということになるんでしょう。逆にメーカーから考えれば、独占であれば、かつてNTTさんが御批判食ったように、電電公社で独占であったら、東京から大阪へ電話掛けても一通話四百円掛かった時代があったと。今幾らぐらいになったんでしょうか。相当下がって、まあそれは委員の御専門。  ですから、独占というものがある意味では自由主義経済の中では弊害があるというふうに考えている。しかし、確かに独占の方が安定した経営ができることは間違いないだろうと。しかし、そこは、私どもは競争、自由競争というものを選択をしてやってきていると、こういうふうに思います。
  105. 内藤正光

    ○内藤正光君 やはりどんな人であれ企業であれ、やはり競争を通じて効率性が高まり、そしてお客さんにはより品質の高いものを安価に提供できるようになるんだと思います。  そこで、今の保険者の在り方、振り返ってみたいと思います。  今保険者、我が国にどれぐらいあるのか。まずは市町村、自治体の数、二千ありますね。そして、そのほかに企業の持っている組合健保、千五百、三千五百。そして、中小の企業が入る政管健保ありますね。まあ三千五、六百あると。  ところが、根本的な問題は、我々国民は加入する健康保険組合を選べないんです。組合健保から、健康保険組合保険者から見てみると、選ばれるという緊張感がないんです。それはそれ、それぞれの保険者は頑張っているんでしょう。しかし、そこに競争がないことは確かなんです。  大臣も御存じだろうとは思いますが、ドイツで改革しましたよね。例えば企業の組合健保、一般人たちも加入できるように広げた。それによってどうなったのか。地域の人はその地域の保険に入ることもできるが、例えばBMWの組合健保に入ることもできる。選べるわけです、国民は。逆に言えば、保険者は選ばれるという緊張感の中で切磋琢磨していくんです。医療機関にしっかりと監視の目を光らせ、より品質の高い医療を提供できるように、あるいは適正な価格でというふうに監視機能を高めるようになってくる。私は将来的にはそういった保険者選択というものを導入していくべきだと思います。  ですから、大臣にお伺いしたいのは、そういった保険者選択の是非を含めて保険者再編の将来のありようについて、思うところを語っていただきたいと思います。
  106. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 委員の御提案、今日五時半にドイツの次官が来ますので、少し議論してみましょう。  基本的に、お互い分かりやすい話をしますと、携帯電話がつながらない地域がある。これは競争によって早くなったけれども、サービスも行き届いたけども、しかし一方で、どうも採算の合わないところはなかなか携帯電話、幾ら言ったってつながらない、私の地域も随分。そうすると、公的援助をしてそこに何とかつながるようにしていく。そういう意味では、電電公社一社でやっていた時代は、電電公社、きちっと北海道から沖縄までやれと言ったらやったという時代がありますよね。  そこは我々の制度に翻って考えると、国民皆保険制度というものをきちっとつくり上げる、特に低所得者層にきちっとやっていくということになると、競争原理が働いたことによってそれがうまくいくのか、競争原理が働いたがゆえにアメリカのように崩れてしまうのか、ここもお互い議論をしなければならない話なんだろうと思うんです。そこが漏れちゃったから、競争の結果漏れちゃったから、それを、そこだけを国がまた出張っていって救うんだよということになると、そこはどうなるのかなという議論が出てきますよね。そこは、例えば通信で言えば、ユニバーサルサービスという形で基金をつくってやりましょうというような議論も出てきますけれども、いずれにせよ、一つの御提案だろうと。  しかし私どもは、今立っておる立場は、国民皆保険制度というのはやっぱり守りながらやっていきたいというところにありますので、ドイツがそういう競争の結果、本当に漏れてくる人がないのかどうか、少し検証もさせていただきたいと、こう思っております。
  107. 内藤正光

    ○内藤正光君 私は、保険者が一方は公的なもので一方が民間だとこれは具合が悪いと思うんです。民間が保険者を務めると、当然、効率の悪い被保険者の加入は断りますから。ただ、やっぱり両方が公的同士、そして自動車保険にもありますよね、強制加入のようなもの、そういう枠組みをつくれば私はそういうのは防げるんだと思います。是非ともまた次回ちょっと議論をしてみたいと思いますが、やはり公的な、国民皆保険は私はすばらしいことだと思います。日本が世界に誇れる制度だと思います。だから、だれもが皆安心して医療を受けられる。それは守っていかなきゃいけない。そんな中でも、やはり効率性を促していかなきゃいけないということもありますので、そういった点で是非保険者選択というものも検討課題としていただきたいと思います。  さて、次の課題ですが、適正化計画、中でも平均在院日数の短縮についてということでお伺いをしたいと思います。  今回の法改正の柱の一つが、改めて言うまでもありませんが、病院での診療から広い意味での在宅診療へと転換を図り、もって平均の在院日数を短縮を図ると。今、日本は三十五日ぐらいですよね、欧米は六日とか七日ぐらいのところを。もう極めて高い。それを下げていって医療費を適正な規模に抑えていこうということなんです。一方で、都道府県は医療費適正化計画を策定をするということなんですが、ここで考えなければいけないことがあろうかと思うんですね。  私、先日ある地方の病院、総合病院を訪ねてみました。で、この件について聞いたところ、本当にこれ可能なんですかと、先生のお考えからするとどうなんですかと、地域の事情も含めて教えてくださいと言ったら、なかなか難しいと。というのは、大体地方にいくと、もう夫婦、若夫婦は共働きでないと生きていけない、暮らしていけない。かといって、例えばおじいちゃん、おばあちゃんが退院しようにも自宅では受け入れられない。じゃ、そういう福祉施設があるか。そういったキャパもない。だから病院側としては早くお帰ししたいんだけども帰すに帰せない、こういう状態だというんです。  ということは、この在宅医療への転換というのは、単に医療の問題にとどまるものじゃない、介護の問題。だから、スウェーデンのエーデル改革でもそうですよね。高齢者の医療と介護は分かち難いということでともに市が担った、これがエーデル改革です。医療と介護は分かち難いという理由でね。  そこで我が国を振り返ってみますと、介護問題の主体は市町村、一方、医療計画を作ったりするのは都道府県、またここで連携の問題が出てくると思うんです。この辺の連携、本当に十分に取らなきゃいけない。私などは、市と県のまず行政担当者のみならず、介護サービスを展開している人たち、あるいは病院、医療関係者、実際の現場で働いている人たち、そういった人たちと定期的に協議の場を設けて定期的に情報交換していく、こういう場をつくり上げることが大事だと思いますし、今回の医療制度改革がしっかり魂の入ったものになる一つのポイントだと思うんですが、大臣はお考えはいかがでしょうか。
  108. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 後段のお話は正にそのとおりだと思います。  医療と介護というものを介護保険制度ができて以来いろんな議論をしてまいりました。しかし、一方で医療側からの改革というものを考えますと、欧米に比べて明らかに長い入院日数というものを是正していかなきゃならぬ。簡単に言えば、ベッド当たりのお医者さんの数は正直言って少ないじゃないかと、こういう御批判をいただくことになりますね、正直言って。それはやっぱり、医療が必要な人にベッドが提供され、そして医療、お医者さんの医療、看護師さんの医療というものがきちっと提供される形をつくらなきゃならぬ。  そうなりますと、今入っておる療養病床の中で、本当に医療が必要な人たちと介護できちっとケアすべき部分とを仕分をしなければならないだろうと。したがって、今の療養病床全体を全部介護とは言っていません。療養病床の中で、十五万はきちっとそれは入院、正にお医者さんがケアする部分として残す。それでは、移行の過程の中において今持たれている、実質はベッドがあるわけですね、入院という形のベッドがあると、これを介護型のものにどう変化をさせていくかということを今回の中に入れさしていただいている。そして、これが例えば老健施設に変わっていく、病院自体の一部が老健施設に変わると。そのときに今度は老健施設、まあ特養は医療が完全にかんでますから、老健施設なりケアハウスにおいて医療が全く必要ないかというふうになると、これ要るんですね、言われるとおり要るんです。したがって、そこはどういう関与を、今度は医療の方から、介護というものをきちっと立てた上で医療、今までは医療の中に介護が入っていた、今度は介護というものを立てながら医療がここにどう関与しようかということ、そういう意味では、言われるとおり、本当に医療と介護をぱさっと切れるのかとなると、それはもう言われるとおりですよ。  したがって、どういう連携にするかという角度の中から、一方で医療制度改革を今日やるわけですから、その中で入院日数というものをきちんとしなきゃならないねという中で分ける。分けるだけに、今度はこの介護施設に対して医療のかかわりをどうするかと、そこはきちっとやれるようにしていかなきゃならぬだろうと、このように思っています。  一方で、そうしたものを書いていく中で、都道府県が書いていく中で関係者としっかり話合いをしながらやってもらわなきゃならない、これはもう当たり前のことですし、また重ねての御指摘でございますので、都道府県にしっかりこうした関係者と話合いをしながら計画を書くようにということは私どもから徹底をしてまいりたいと、このように思います。
  109. 内藤正光

    ○内藤正光君 この問題を続ける前にちょっとわき道へそれるんですが、ひとつ議論をしておきたいことがあるんですね。勤務医の置かれた現状なんです。私、勤務医の方何人もと話をしてきたんですが、この勤務医、病院の勤務医ですね、このままだともう倒れてしまうということをもう叫びにも近い訴えをしているんですね。  彼らが言うのはどういうことか。診療所の先生方、開業医は十二分な収入が得られるということもあって大体夜間とか深夜診療しない、土日も休んじゃう、だから全部そのひずみが勤務医に来ちゃう。元々勤務医の数が少ないですから、夜間働いてもその翌朝からまた夕方までしっかり働かなきゃいけない。そのほかにも病院運営上の様々な書類、手続だとかいろいろなものを、あるいは各種委員会に出なきゃいけない。こういうのがもう大変で、大体中堅ともなるともう本当疲労こんぱいの極みで、みんな開業していってしまうと、更にまた勤務医の置かれた状況がひどくなってしまう。  そういった状況を厚生労働省としてはどのように認識され、また既に検討しているのか。検討しているんであれば、いつまでにこの問題の解決に向けて何か結論を出すのか、お答えください。
  110. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) お尋ねの勤務医の状況でございますけれども、先生御指摘のとおり、かつての診療所と申しますと地域に密着した医療機関ということで、土日や夜間においても、あるいは往診をするというようなことで日常的な対応をしていたわけですけれども、次第次第に、一つには患者さんの病院志向というものが高まった、要求水準が上がったという面もあろうと思いますけれども、病院志向が非常に拡大をしてきた。  それから、今先生御指摘のとおり、診療所の側はなかなか、往診をする、患者さんが増えたこともあるんだと思いますけれども、皆保険に伴って、外来だけで手一杯になって往診がなかなかできなくなった。あるいは土日は休むようになったと、あるいは夜間を開かなくなったと、ビルで開業して家と分離するようになったというようないろいろな状況などによって、患者さんが病院に集中をして、結果として病院の勤務医の勤務環境が厳しくなっているというふうに私どもも認識をしてございます。  ただ、病院の勤務医の方が開業する数が増えているかというと、これは調査をしますと必ずしもそうではなくて、かつての開業の度合いとそれほど変わってない。かつてもやはり中堅の方が次第次第に開業するというのは昔からそういうことで、今何か急に増えているということではございませんけれども、勤務医の勤務環境が非常に厳しいということは、御指摘のとおりだというふうに考えてございます。  これに対する対応でございますけれども、一つには、やっぱり病院は本来入院医療を行うところであるということ、あるいは外来にしても専門の外来をするところであるということ、そして診療所につきましては、その地域に密着をして家族ぐるみで患者さんを診るところ、外来のケアをするところという、そういう役割分担を明確にしていくということが一番大事な基本的な考え方だと思います。  特に、これからの診療所の在り方、病院の在り方も今病床の問題等ございますけれども、診療所の在り方といたしまして、これからは在宅の支援、先ほど先生も御指摘ございましたけれども、在宅を支援をしていく、かつての往診とはまた違う形の在宅の療養を支援していく、あるいはゲートキーパーとしての役割ということがこれから診療所には求められてくると思います。  そのための手法は、かつてのように一人ではなくてグループを組んで、あるいはチームを組んでというふうないろいろなやり方があろうかと思います。これらその診療所側の取組、それから患者さんにとってみても病院ではなくて診療所にまず行っていただくというような、その病気の度合いによる認識というものを深めていただくといったようなことをしていく方向にあるんじゃないかと思います。  今回の医療法の改正、御提案を申し上げていますけれども、その中でも、その第一歩といたしまして、土日や夜間の診療体制につきまして地域の医療関係者や住民が参加いたした上での協議をしていただきまして、具体的な病院と診療所の連携を検討して、その内容を医療計画において十分に住民に明示をすることを進めることを通じまして、住民、患者さんに地域医療の状況を理解していただくということがまず第一義かと考えてございます。もちろん各般の夜間診療あるいは休日診療の体制を小児等含めて進めていくということが大事だと考えていまして、今後とも適切な病院と診療所の役割分担の推進に努めていきたいと考えております。
  111. 内藤正光

    ○内藤正光君 おっしゃることを制度的に担保するものとして在宅療養支援診療所という報酬上の制度があろうかと思います。今回新設されました。  しかしこれですね、病院の勤務医、ちょっと心配しているところがあるんです。つまり、連携をする。で、診療所は例えば月曜、火曜はやってもあとは全部病院任せとかいうことになると、これはもう、もう勤務医が破綻してしまう。連携もうまくいかなければ二十四時間往診体制もうまくいかない。だから私は、診療所の開業医の方々にも本当十二分なこれ自覚を持ってもらわなきゃいけない。その辺のことはしっかり取組されますね。
  112. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 在宅療養支援診療所についてお問いでございますので、これにつきましては今回の診療報酬改定で設けた仕組みでございますけれども、患者に対します二十四時間の窓口として、必要に応じて他の病院、診療所との連携を保ちながら、二十四時間の往診、訪問看護等を提供できる体制というものを構築しようというものでございます。  ただ、これが、二十四時間対応の体制というものが形式的にならないように、往診に当たります担当医の氏名でありますとか担当日と、こういったことを患者に対して文書で提供するということでひとつ実効性を確実に担保しようと考えてございます。  それに加えまして、具体的な診療報酬の点数の算定に当たりましては、こういった体制そのものを評価するのではなくて、この在宅療養支援診療所が自ら患者の求めに応じて実際に往診を行った場合に高い評価とすると、こういうことを考えております。  また、このほかに、この在宅療養支援診療所がターミナルケアを行って高い評価を算定しようといたしますならば、自ら患者の死亡診断まで行って在宅でのみとりを現に行うということを求めておりまして、単に病院に回すんじゃなくて、この在宅療養支援診療所が自らこういった診療行為をするというこの実績を評価するという形で御懸念を避ける、避けられるものと考えてございます。
  113. 内藤正光

    ○内藤正光君 その在宅療養支援所に何人の開業医の方々が協力いただけるか、これが大きなポイントです。これインフラですから、基本的な。  で、ある在宅医療に長年従事されている方がこんな試算をしていたんです。例えば、毎年百万人ぐらいの方が亡くなられる、ほとんどが自宅以外。この少なくとも三分の一を自宅でみとるためにはどうしたらいいのかと。一人のお医者さんがみとれるのは多くて年間二十四人、月二回。少なくとも三分の一の方は在宅でみとれるようにしようとした場合、一万四千人の方々には協力いただかなきゃいけない。開業医十二万人いますから、大体一割強。一割強の方々、開業医の方々に協力してもらわなきゃできない。  厚生労働省、これ一つの試算だと思いますが、考え方だと思いますが、厚生労働省としては何かそういう試算ありますでしょうか。ないということはないと思うんです。というのは、これ本当に在宅医療を整えるための基本的なインフラですから。目標値並びにそれを実現するためのどういう努力をされるのか、お答えください。
  114. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 御指摘の在宅療養支援診療所の数についてのお尋ねでございますけれども、現在の診療報酬におきまして、寝たきり老人在宅総合診療料と言っておりますこの二十四時間連携体制加算の算定でございまして、こういった連携体制があると届け出ている診療所が約一万か所あることを踏まえますと、これらにつきましてはこういった在宅療養支援診療所に移行していただけると、このように期待し得るものと考えてございます。  こういった事柄につきまして、先ほどの診療報酬上の高い評価ということも併せまして、積極的に開業医等の医療関係者への働き掛け、あるいは国民への情報提供に努めてまいりたいと、このように考えてございます。
  115. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。犬塚直史君。
  116. 犬塚直史

    犬塚直史君 民主党の犬塚でございます。  BSEや鳥のインフルエンザ、不安が高まる中で、どのようにして国民の食の安全を守っていくかという観点から、カネミ油症の問題を取り上げたいと思っております。  このカネミ油症の問題、三十八年前起こった未曾有の食中毒事件でありますが、このときの、本当に新しい未知の病因物質があったために非常に初動が遅れてしまったという事実があります。今で言いますとBSE、鳥のインフルエンザ、それから、これからどういう病気が出てくるか分からないという中で、過去に我々が、PCB、ダイオキシンの複合の被害という正に人類始まって以来の被害を受けた我が国がどのような対応をしたかということは、正に、過去の問題ではなくて現在の問題、そして将来につながる問題、そんな観点から質問をしていきたいと思っております。  まず、この事件の概要なんですけれども、一九六八年、東京オリンピックが終わって四年後です。日本が経済成長を本当にひた走っているとき、西日本各地の養鶏場で鶏が大量死いたしました。この事件は九州、中国、四国の各県など岡山県以西の十六県三百十七養鶏場で発生し、農水省が一九七五年に行った第二次調査によると、被害を受けた鶏の数は推定二百六万九千羽、このうち約四十九万羽が死んだということになっております。  そして、その後、八月十六日、厚生省予防衛生研究所技官主任研究官は、家畜衛生試験場のダーク油の病性鑑定書を読み、米ぬか油でも人体に被害を及ぼすのではないかと思い、十九日に農林省流通飼料課の技官にサンプルを依頼したそうであります。しかし、このサンプル、この損害賠償は、鶏の死亡に対する損害賠償は賠償済みです、解決済みですと、ダーク油は廃棄処分にしたので今はもうないと答えて、ダーク油のサンプル提供を拒否したという事実があるんですけれども、この件については既にもう裁判で争われておりますので、両大臣、まず、こうした事件があったかどうか、認識されているかどうかだけお答えください。
  117. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 認識しておりますし、また、今各党内でいろんな議論が出ていることも承知いたしております。
  118. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私もカネミ油症事件というのは当時から報道等で知っておりましたし、また、農林水産大臣としても、米ぬかが原因であり、それが鳥のえさになっていったということ、そして多くの方々が食中毒が発生をして、裁判そのものは今御指摘のとおり終わったわけでございますけれども、今なお関係者の皆様が大勢いらっしゃるということについても認識をしております。
  119. 犬塚直史

    犬塚直史君 大臣おっしゃるとおり、今なお、三十八年たった今なお、関係者の皆さん被害に遭われておりまして、今日も実はここに傍聴に来られております。  この事件の公式な記録、非常に少ないんです。実はこれだけしか見当たりません。これは「全国食中毒事件録」であります。昭和四十三年のものなんです。これ、厚労省の方は多分お持ちだと思うんですけれども、この七十八ページのBのところ、二、四、六行しかありませんので読んでいただけますか。
  120. 松本義幸

    政府参考人(松本義幸君) Bのところ、食中毒発生の探知というところですね。  昭和四十三年十月四日、福岡県大牟田市に居住する一市民から大牟田保健所に届出があり、原因食品は食用油と推定されるという申出があった。同保健所では直ちに福岡県に報告するとともに調査を開始し、患者が九州大学附属病院において治療を受けていることが判明した。一方、福岡県衛生部が九大附属病院で事情を聴取したところ北九州市からも同様の患者が来院していること、さらにこれらの患者がカネミ会社製一斗缶入りライスオイルを小分けして使用していることが判明し、食中毒事件として調査を開始したということでございます。
  121. 犬塚直史

    犬塚直史君 私、この昭和四十三年の事件録を読んでおりまして、非常に不思議に思いました。  お手元の資料をごらんください。これは同じ昭和四十三年に起こりました食中毒事件二つを比べております。一方は四十三年六月六日八時から十三日の間に起こったかまぼこ事件、そしてもう一つがカネミライスオイル事件であります。  これごらんになって一目でお分かりになると思うんですけれども、カネミライス事件だけが不明、記述なし、記述なしというものが非常に多いんです。まず、摂食者数、これは一体何人の人たちがこの原因食品を食べたかということなんですが、かまぼこでは八百三十名。ほかにこの四十三年に事件は千九十三件起こっております。患者数が三万三千四十一名。そうした中で、この摂食者数が不明というのは本当にこのカネミオイルぐらいなものなんです。これがまずおかしい。そしてその次、原因食品の汚染経路の究明、これもかまぼこ事件は十四ページにわたって詳述しておる、カネミライスは記述なし。原因食品の回収命令もなし。注意喚起も記述がない。回収品の処置も、これも記述がない。  これ、厚労大臣、これは本当にカネミライス事件というのは食品衛生法の対象となる食中毒事件なんでしょうか。
  122. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今部長が読みました昭和四十三年食中毒事件については、取りまとめた当時から四十年近くたっておりますので、どういう経緯で書いたかということについては今の時点で確認はできません。  カネミ油症事件については、昭和四十三年の事件発生以降、厚生省が関係自治体と連携し、被害の拡大防止、原因究明、患者発生状況の調査結果を本事件録に掲載し、公表したものと承知しております。  なお、本事件に対する原因食品の回収命令、消費者への注意喚起、回収品の処置については本事件録に記述されておりません、御指摘のとおりであります。厚生省からの指示に基づき、関係自治体において必要な行政措置が実施されたと承知しております。
  123. 犬塚直史

    犬塚直史君 川崎大臣、これは大臣が三十八年前のことですから承知しておられないというのはよく分かるんです。しかしこれは、私もこれを調べれば調べるほどこの資料というのが本当に出てこないんですよ。今おっしゃったように、それは官僚の方が書いた文章なんですけれども、今おっしゃったように、報告の義務というのがあるんですね。第一発見者である医者がいれば、医師は保健所に報告しなきゃいけない、保健所は市町村に、市町村は県に、そして県は当時の厚生省に報告をしなければいけないんです。  この当時の厚生省に集まってきた報告書というのは今手元にあるんでしょうか。
  124. 松本義幸

    政府参考人(松本義幸君) 事件が起きまして非常に、四十年近くたっておるということもございまして、そこの部分は不明でございます。ただ、本件事件につきましても、通常の食中毒の調査と同様に疫学調査を行いまして、油症患者の年齢階級別罹患率等の疫学調査の結果は、今委員指摘の昭和四十三年の食中毒事件録で公表されているところであります。  また、事件が起きまして五年後に「食品衛生研究」という、食品関係の方が、あるいは都道府県の食品担当の者がよく見ておるものがございますけれども、そこに食品衛生課の方でそれまで過去五年、これまでの発生してから五年間のものについても記載をして公表してきておるというところでございます。
  125. 犬塚直史

    犬塚直史君 そういう答弁は全く納得できませんね。当時のことは多分御存じないと思いますよ。しかし、この中に入っているカネミオイルの報告書、これが唯一の公の記録なんですよ。で、今お示ししたとおり、全くこれ記載がないんですね。ほかに一生懸命調べても、当時の厚生省の担当の方が書いた論文みたいな数ページの論文、これが三つしかないんです。  比べて、その前、一九五五年、昭和三十年に起こった岡山県の森永砒素ミルク、これは県単位だけでもこれだけ厚いA4判で三百五十ページ、こういう報告書が西日本の各県から出ているはずなんですよ。お手元にないんでしょうか。
  126. 松本義幸

    政府参考人(松本義幸君) 患者、食中毒患者発生に係ります調査につきましては、食品衛生法の、現在では五十八条、当時の法律でいえば第二十七条のところで、保健所長及び都道府県知事等が作成して厚生労働大臣に報告するということをされています。厚生労働省におきましては、その報告を基に全国食中毒事件録を取りまとめるところであります。  今議員御指摘の岡山県の森永砒素ミルク事件の報告書、報告本につきましては、「岡山県における粉乳砒素中毒症発生記録」という本であろうかと思いますけれども、食品衛生法に基づく食中毒症に係る報告というものでなくて、県独自に作成されたものという具合に聞いております。
  127. 犬塚直史

    犬塚直史君 国民の健康とそしてこの未知の食品中毒から守っていくという意味において、どこが作ろうと、それは国民を守るために被害者の立場に立ってやっていかなきゃいけない当然のことだと思うんです。  今日、実はここにおいでになっている患者さんの一人の方が、どうしても納得できない、三十八年後、長崎県にそうした疫学調査ないんだろうかと申入れをして、やっと出してもらったのがここにあるんですよ。どうしてこういうのが厚労省にないんですか。今、長崎県にあるということは福岡県にもありますよ、西日本一帯ですから。どうしてこういう資料が、しかも中を見ると、当時大変な事件ですから一日に二回、午前十一時と午後の四時に厚労省に報告をしているんですよ。資料がないなんていうことはあり得るわけがないじゃないですか。どこにあるんですか。
  128. 松本義幸

    政府参考人(松本義幸君) 一応それまでのそういう事件が発生してからの報告書につきましては、その経緯等につきましては先ほど大臣から答弁いたしましたけれども、四十年前のことでちょっと詳しい、ああいうまとめ方したことはちょっと分かりませんけれども、それ以後、五年後、昭和四十八年だったと思いますけれども、「食品衛生研究」というところに時系列的にかなり詳しいところも書いております。  また、その長崎県の報告の疫学調査のところにつきましては、その四十三年の全国食中毒事件録のところでそのデータにつきましては掲載させていただいております。
  129. 犬塚直史

    犬塚直史君 全く、全く答えていないですよ。「食品衛生研究」というのはわずかB5判の三ページか四ページのものなんです。そんなもので疫学調査ができたとはとても言えないと思います。一体、どういう対応になっているんでしょうか。これが今の本当に食中毒事件として扱われたとはどうしても見えないんですね。  もう一つ不思議なことがあります。それは未認定食中毒患者がいるということなんです。未認定の食中毒患者、つまり原因の食品がはっきり分かっている、そしてそれを食べたということがはっきり分かっている、何らかの症状がある、こういう人たちは普通、食中毒の被害者として当然のことながら登録をされていくんですけれども、このカネミ禍事件だけは未認定の食中毒患者というのがいるんですよ。大臣、これどういう意味だと思いますか。
  130. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) この事件発生当初、患者の治療に当たっていたのが九州大学関係者と承知いたしております。その関係者を中心として油症研究班が組織され、同班がまとめた油症患者の診断基準を参考にして、関係自治体において油症患者の認定を行い、食品衛生法に基づく中毒患者数等の報告が行われたものであると承知しております。その後、適切に判断基準の見直しが行われてきており、最新の医学的、科学的知見に基づき都道府県において油症患者の認定を行っております。  御指摘の、届け出た一万四千のうちカネミ製品を摂取していない人も、そうした数字自体もなかなか不明だと思っております。(発言する者あり)
  131. 小野清子

    委員長小野清子君) 犬塚君、もう一度質問をお願いいたします。
  132. 犬塚直史

    犬塚直史君 いや、そういうその外部機関に依頼した話ではなくて、未認定の食中毒患者というのはどういう意味なんでしょうか。
  133. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今申し上げましたように、専門家によって研究がされ、関係自治体において油症患者の認定を、診断を行ったと、診定を行ったと、それに基づいて食品衛生法に基づく患者の報告が行われたと、その数ということであろうと思います。
  134. 松本義幸

    政府参考人(松本義幸君) 一応、食中毒、今回の事件、カネミ油症が起きたときに約一万四千ほどの患者さんがライスオイルを食したということで届出がありまして、非常に事件発生当初、患者の治療に当たっておりまして、発生当時、非常に患者の発生が広範囲でございましたし、患者の届出を受けた保健所において届出者が油症患者であるかどうかを決定する決め手がなかったということ、またその決定は臨床的所見、使用油の分析試験、疫学的特性等を総合する必要があったけれども、あの当時は不明な点が多かったと。そのため、特定のお医者さんが診断できればいいわけですけれども、そういうことができないということで非常に治療に当たっておられた九州大学の方にお願いして診断基準を作って、それでカネミ油症による、そういう特にカネミライスオイルによるそういう症状があるかどうかということを認定いただいたということで、そういう認定いただいた方、それ以外の部分がその非認定ということになろうかと思います。
  135. 犬塚直史

    犬塚直史君 食中毒被害者の人たちを、食べたということがはっきり分かっていて、そして何らかの症状を訴えているという一万四千人の人たちをこの認定基準というもので振り分けて、今の時点で一万四千人の被害者が千八百六十八人にしかなっていないんです、約六%。この認定基準の法的な根拠を教えてください。
  136. 松本義幸

    政府参考人(松本義幸君) 食品衛生法におきましては、食中毒が発生した場合には、都道府県知事等は、患者の数、症状等を国に報告するということがされています。  で、油症事件につきましては、先ほど申し上げましたように、非常にいろんな、一万四千ほどの届出がありましたけれども、その中でどういう方が該当するのかということがよく分からなかったということで、九州大学の関係者を中心とした油症研究班が組織されておりましたので、そちらにその班がまとめた油症患者の診断基準を参考といたしまして……
  137. 犬塚直史

    犬塚直史君 法的基準を聞いているんです。
  138. 松本義幸

    政府参考人(松本義幸君) あります。  だから、そういう意味においては、法的基準というものではありません。
  139. 犬塚直史

    犬塚直史君 ただ単に、売られていたライスオイルを食べて、そして法的な裏付けのない認定基準で振り分けられてしまったわけです。  今、この未認定食中毒患者というのはどういう人なのか、ちょっとここで、早口になると思いますが、読ませていただきます。これ、私が五島列島の奈留島に行って、実際にその食中毒の患者さんにいただいてきた当時の陳述書なんです。  私は、小さいときからとにかくおてんばで丈夫でした。兄弟は九人いますが、私は下の妹や弟を背負って学校に通ったものです。  そのころの私は本当に元気で、体重も四十八キロあり、ころころ太っていました。子供たちも健康そのもので、主人は船頭として信頼を受けるようになっていました。  昭和四十三年三月ごろだったと思うけど、近所の方が安か油が来とるけん、要らんかと言ってきたので、あんなら二升ぐらい分けてくれんかと言って分けてもらいました。油は、てんぷらや野菜いため、魚の空揚げなどに使いましたが、泡が出てからっと揚がらなかったのを覚えております。御飯を一緒に食べたのは、主人、そしておばあちゃん、二人の子供、そして私の五人です。だから、おかずは同じものを食べるわけです。  昭和四十三年五月ごろ、溝を作る仕事に出ていました。そのころから私は体がだるくて仕方がなく、そこの仕事を一週間ぐらいしたところ、きつくてされんよと言ってとうとう辞めてしまいました。とにかく体がだるくて仕事がしとうなかったとです。  私は心配になり、奈留病院に行って注射を打ってもらい、何か薬をもらいましたが、治りませんでした。また、顔に吹き出物が出て、人が見ても同じやろうか、目に付いてとても恥ずかしかったとです。顔や皮膚の軟らかいところに黒いものが一杯出てきた。髪の毛はしょっちゅうぼさぼさ抜けてしまう。どうなるんだろうかと不安で、何か皮膚病にかかったのかと思い、無理して嬉野温泉に行ったりもしました。  頭の痛みがくるとぶっ倒れるがごとあります。朝起きたときに目やにが一杯出て見えんごとなるのは昭和四十三年五月ごろからずうっと続いています。昼ごろになるとちかちかして痛く、両手で押さえることがあります。足の関節も痛く、夜にじんじん眠られんときがあります。このじんじんするのは冬に多い。  耳鳴りがひどく、昭和四十六年の夏ごろ宿輪病院に四十日ぐらい通院し、メニエール氏病と言われました。毎日薬をもらって、注射してもらい、どうにか収まりました。夏になったら、日に当たられんです。当たると頭がうずく。とにかく割れるごとなります。つめは、足のつめが割れて血が出ます。  昭和四十四年九月十日に私は油症と認定されました。この検診のとき、私と子供たちが行ったわけですが、子供にも私と同じような症状があるのに、子供は認定されませんでした。  長女も長男も、私が仕事を辞めた辺りから、体がだるくてだるくて外に遊びに出なくなりました。家の中でごろごろ横になってばかりいるのです。長女は、四年生のころからはしょっちゅう病院通いで、年じゅう風邪ぎみで、いつも鼻汁が出て、朝起きるとくしゃみをしています。耳のできものからは汁が出て耳鼻科に行ったり、歯が悪くて歯医者に通ったりが多いのです。四年生のころ、肩の骨が出ていると言われ、レントゲンを撮りました。学校の健康診断では心雑音があると言われました。学校の先生から、授業中ぼやっとしているとよく言われます。運動場を一周走ってもひどくきつくて、きつかよと言ってはすぐに横になります。  もう全部飛ばします。  私の家では、私のほかに、今話したように、油症の症状があるのに認定してもらえない主人と子供二人、それにおばあちゃんがいます。  何回検診に行っても駄目です。  これ、検診って年に一回やっているんですね。  子供の検診のとき、私がそばで説明しようとしたら、親はそばにいなくてもよいときつく言われたときは驚きました。子供のことを思うと、夜眠れんとです。  これ、こういう体験談がですね、本当にたくさんあるんですよ。別に私は特別なのを持ってきたわけじゃないんです。こういう体験談がごまんとあるんですよ。こういう人たちが、このお母さんのだんなさんとおばあちゃんと長男と長女が未認定食中毒患者なんです。  大臣、これ、どう思いますか。
  140. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 先ほど申し上げたように、まず、九州大学の関係者で基本的なことをお取りまとめいただき、各地方自治体がその基準に基づいて行った。それによりますと、被害者届出数は一万四千三百二十。その時点で認定されたのは九百十三名、その後、昭和四十三年の事件発生からまた再度の基準の、診断基準にて油症研究班による研究を中心とした医学的、科学的知見の集積に伴い、適切にその見直しが行われてきたと。その結果として現在千八百九十二名というふうに承知いたしております。
  141. 犬塚直史

    犬塚直史君 今の体験談は時間が掛かったんで質問時間なくなってしまいましたが、もうどうしてもしかし、読まないと内容を分かっていただけないと思って読ましていただいたんです。疫学調査がない、しかも法的根拠のないこの診断基準をもって被害者の人たちをえり分けてしまう。  そして、お手元の資料をごらんください。その基準の医学的な根拠も薄弱なんですよ。同じこのダイオキシンに侵された韓国とアメリカの枯れ葉剤の被害者の方たちのこの病気のリストをごらんになってください。そして、これと同じく付けておりますある油症患者の診断書に書かれた病名、これをどうぞ比べてみてください。この油症患者の診断書に書かれた病名、これはたった一人の方の病名なんですよ。油症は正にPCBとダイオキシンの複合の食中毒で全身症なんです。幾つかの症状をもって認定したり認定しなかったりということは、医学的に見ても根拠が薄弱なんです。  韓国の枯れ葉剤後遺症支援等に関する法律によりますと、この下の特記を見てください、上記が立証されない限り、疾病は枯れ葉剤によって発生したものとみなすと、こう書いてあるんですよ。そして、上記というのは、軍務に服する前にかかったとする病気やけがなんかしかないんです。要するに、未知の病気ですから、分からないことは患者の体に聞かないと分からないんです。九州大学の先生がどんなにやったって、これ分からないんですよ。  大臣、どういうふうに思いますか。
  142. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 私の立場で申し上げれば、科学的知見に基づいて一つの判断基準を作り、それを地方自治体、都道府県知事がおやりになる、それを私どもが認定をしていく、最終的には報告をもらっていくということでございますから……(発言する者あり)何ですか。(発言する者あり)いやいや、私として事実関係を申し上げているんですよ。事実関係に基づかないで大臣が発言できますか。感情的発言なんかできないじゃないですか。科学的知見に基づいてしっかりやらなきゃならない。  したがって、判断基準というものをしっかりしながらやっていかなければならないという判断の中で、先ほど申し上げたように、科学的知見の集積に伴い、適切にその見直しを行ってきたというふうに私は今判断をいたしておりますと申し上げたんです。(発言する者あり)
  143. 犬塚直史

    犬塚直史君 大臣ね、私は、もちろん三十八年前のことですから、大臣厚生労働大臣されていない、そして官僚の皆さんもみんな知らないんですよ、これ。しかし、私が申し上げたいのは、こういう取組が三十八年前にありましたと、そして今その責任者として、政治家としてどういうふうにこれを思われますかということを聞いているんです。
  144. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) その都度、事実関係をきちっと解明しながらやっていかなければならないと。先ほど御懸念いただきましたように、各県に資料があるはずじゃないかと。逆に厚生労働省にその資料が集まってないという事態があれば、それは私の方からきちっと資料を調べさせてその実態を明らかにさせると。それから、冒頭申し上げたように、各党でいろんな御意見が出ていることも私も十分承知していると、こう申し上げた。
  145. 犬塚直史

    犬塚直史君 大臣、ありがとうございます。  是非、これは是非調べさせてください。必ずあるはずなんです、必ずあるんです。これは本当に不思議な事件なんです。今、先ほどお見せしましたこれ、これを取るのも、非常に苦労して公文書の写しを長崎で取ったそうなんですよ。是非調べてください。必ず厚労省にあるはずなんです。  それでは、次の質問に移りますが、今おっしゃった科学的知見というのは疫学調査のことなんです。一体どの地域に何人ぐらい被害を訴える方がいて、どういう自覚症状があって、そしてこのカネミライスオイルの販売経路はどうだったのか。ドラム缶が何本行ったのか、一斗缶が何本行ったのか、一升瓶が何本行ったのか、そして在庫はどのぐらいあるのか。こういう分布をすべて調べ上げてこんな厚いものを作るんですよ、疫学調査。そして、こういうところがない母体と比べて病気の発生率を見ていくという疫学調査なんです。これ、調べていただけますね。
  146. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 御指摘いただいたような資料がまず厚生労働省にあるか、もう一度調査をさせましょう。その上で、各県がお持ちになっている資料で我々がまだ未入手の資料があれば、それを手に入れるように努力をいたします。
  147. 犬塚直史

    犬塚直史君 それでは、今度は官僚の皆さんに伺います。  昭和四十四年七月一日までに、全国で届出受理したカネミ油症患者の数は何名だったでしょうか。
  148. 松本義幸

    政府参考人(松本義幸君) 事件発生当初から昭和四十四年七月までの間における被害者届出数が一万四千三百二十名であります。このうち、カネミ製品を使用していなかった者等が九百八十六名であり、さらにカネミ製品を使用した者一万三千三百三十四名について健康診査その他の方法による調査の結果、カネミ油症患者と認定された者がその時点で九百十三名と承知しております。
  149. 犬塚直史

    犬塚直史君 おっしゃるとおりなんです。持っているじゃないですか。それは長崎県の資料にも入っているんです。  昭和四十四年七月一日までに全国で受理をして、届出が受理された方が一万四千三百二十名。これ被害者の届出です。これを先ほどの診断基準なる法的基準のないもので振り分けて、そして結局認定された者が当時で九百十三名、届出受理者の六・三%だったということなんです。  それでは、もう一つ厚生労働省では黒い赤ちゃんは何人出生したと把握していますか。
  150. 松本義幸

    政府参考人(松本義幸君) 御指摘の黒い赤ちゃんの数については把握しておりません。  ただ、事件当初から、先ほど申し上げましたけれども、昭和四十四年七月までの間における被害届出者数が一万四千三百二十で認定された者が九百十三名と。これまで、四十三年の事件発生当初から、事件発生から今日に至るまでの認定患者が千八百九十二人となっておると。これは本年の一月末現在であります。  以上です。
  151. 犬塚直史

    犬塚直史君 これ、黒い赤ちゃんというのは、母体から子供が生まれるときに真っ黒い赤ちゃんが生まれてしまうという事件なんですね。PCBとダイオキシンがやっぱり次世代に移っていく、二世、三世の問題なんです。  今、把握してないと言われた。しかし、これ、あるジャーナリストが事件当時、現場に住み込んで取材をした資料に基づくと、五島列島の玉之浦という場所だけでこの調査の時点で二十三人の黒い赤ちゃんが生まれた。そのうち認定をされたのがわずか三人にすぎないと書いてあるんです。  三人認定されたという数字さえも把握されてないんでしょうか。
  152. 松本義幸

    政府参考人(松本義幸君) そこの詳細のところまでは承知しておりません。
  153. 犬塚直史

    犬塚直史君 あなた、詳細という言い方は言い直した方がいいんじゃないですか。自分の赤ちゃんが生まれて黒い子供になったら、詳細という言い方はちょっとやめた方がいいと思いますよ。患者さん見ているんだから。
  154. 松本義幸

    政府参考人(松本義幸君) 失礼いたしました。  千八百数十名、今年の一月末現在で認定されておると申し上げましたけれども、二世と、要するに赤ん坊で生まれて認定されたという方が三名だという具合に聞いております。
  155. 犬塚直史

    犬塚直史君 三名というのは、この当時の玉之浦町だけで三名の認定なんですよ。それはもう今日はいいですから、後できっちりと大臣に報告をできるように調べておいてください。これ、ちゃんとね、質問通告しているんですから。  それでは、今、認定基準の話をしましたけど、今度は食品衛生法で定められた食中毒被害者の拡大防止措置、要するに、原因食品が分かって、そしてこれを何とかして食い止めなきゃいかぬ、一刻も早く皆さんに知らせて食べさせるのをやめなきゃいけないという拡大防止措置の発動、この辺りを質問していきたいと思います。  まず、行政のこの拡大防止責任、被害を最小限に食い止める責任は果たされたという認識があるんでしょうか。
  156. 松本義幸

    政府参考人(松本義幸君) 本事件につきましては、当時厚生省と言っておりましたけれども、厚生省といたしましては、事件発生の報告を受けて、直ちに米ぬか油中毒事件対策本部を設置し、関係自治体と連携しつつ、被害の拡大防止とともに、原因究明、診断基準の作成並びにこれに基づく患者発生状況の調査を行いますとともに、関係都府県に対し、カネミ倉庫会社製米ぬか油について、食品衛生法に基づく販売停止及び移動禁止の行政措置の実施を指示するなど、食品衛生法にのっとり適切な対応を行ったものと考えております。  また、関係自治体におきましても、当省と連携しつつ、必要な調査報告や食品衛生法による営業停止命令などの行政措置を実施しており、行政として食品衛生法上の責任は果たしていたものと考えております。
  157. 犬塚直史

    犬塚直史君 そういう認識では困りますね。  今、この資料、昭和四十三年十月十六日、厚生省は確かに販売停止及び移動禁止の行政措置を行っているんですよ。販売禁止及び移動禁止の行政措置を行ったにもかかわらず、各家庭ではまだまだ米ぬか油があって食べ続けていたという現実なんですよ。私も現場に行っていろんな方の話を聞きました。行政の方から、カネミライスオイルは危ないから食べるのをやめなさいということを覚えている人はただの一人もいなかったんです。そこの点はどうなんですか。それでも行政の責任を果たしたと、あなたは言うことはできるんですか。
  158. 松本義幸

    政府参考人(松本義幸君) 繰り返しになりますけれども、昭和四十三年の十月四日に福岡県大牟田保健所に届出があった後、旧厚生省は担当課長等を現地へ派遣しますとともに、十月十六日には関西以西の府県等に対しまして、カネミ倉庫会社米ぬか油についての食品衛生法上による販売停止及び移動禁止の行政措置の実施を指示いたしましたし、患者の発生については、その使用油の報告及び分析の実施を行い、また患者の人数及び症状等について旧厚生省に報告するよう指示しております。  また、旧厚生省から指示を受けまして、関係府県等におきましては、旧食品衛生法の二十二条に基づきます同社製品の販売停止及び移動禁止などの措置、また同社製品を使用しないよう、一般消費者に対する告知等の措置を講じたと承知しております。福岡県でありますれば、保健所を通じまして、同社製品の販売停止、使用禁止及び一般家庭に対するPRを実施したと、これは十月十六日であります。ただ、長崎県の方は、同社製品の販売停止と卸小売店の移動禁止を決定して、保健所を通じて措置を実施したという具合に、これは十月十五日ですけれども、聞いております。  また、カネミ倉庫会社を管轄いたしております北九州市は、そのカネミ倉庫の製品の販売停止ですとか一般消費者への告知に加えまして、その同社に対しまして、十月十五日、営業停止命令の措置を行っております。
  159. 犬塚直史

    犬塚直史君 当時の厚労省から回収命令が出ていない、廃棄命令が出ていない。そして、患者さんたち、被害者たち一万四千人以上、何も知らないで食べ続けていた。新聞で知った、テレビで知った。しょうゆを配達に来た、その配達に来たその人が、この油危ないからやめろって言ってやめたというような話ばかりなんです。移動の停止、販売の停止というんではない、回収命令、廃棄というようなことをしなければいけなかったんだと思います。  時間がなくなりました。まだ言いたいことは山ほどあるんですけれども、最後に、今患者さんたち、被害者が何を求めているかということを最後に申し上げたいと思います。これだけ言わせてください。  大臣、五点あるんですよ。これは立法も含めて、公明、自民の案と、今我々民主の案も作っているところなんです。是非ここを検討していただきたいんです。この五点をやらないと恒久的な対策にならないんです。  まず、国の責任において被害者の全体像を把握すること、これは当たり前なんですけれどもね。おかしな診断基準を設けない。二番が、原因食品に暴露し何らかの症状がある全被害者を対象とし、三番、油症手帳を刊行、発行して全国どこの病院でも受診できる体制をつくる。今は指定病院じゃないと駄目なんですよ。四番、PCB、ダイオキシン等の健康被害専門研究医療機関をつくり、研究協力金を患者さんに支払ってあげる。これは、どこに行っても自分の症状を全部言うと、あなたね、精神的な問題だと言われるんです、ノイローゼだと言われるんです。ノイローゼだからと言われて、何を言っても駄目なんです。それで本当にノイローゼになった人がいるぐらいなんです。最後に、仮払金については、債権管理法の弾力的な運用をお願いして、そして実質的な債権放棄と、そして既に払ってしまった人には同等の見舞金の支払、これをお願いをしたいと思います。  各大臣の最後のコメントをお願いしたいと思います。政治家としてお願いします。
  160. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今までの議論に出ていませんでしたので、私から付け加えさせていただきますと、一つは、裁判がずっと行われて、原因者であるカネミ倉庫に責任があるという判断はされた、もう一つは、食品衛生法上、国及び自治体の責任はないとの司法上の判断が示されたと。これが前提にある中で、今各党が御議論いただいていることを私どももしっかりウオッチしながら、注意深くやっていきたいと、こう思います。
  161. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) この油症事件の直前に鳥が大量に死亡したと、当時は因果関係が分からなかったということが裁判の一つの焦点だったわけでありますけれども。  裁判自体は終わりましたけれども、農林水産省としては、五点のうちの五点目ですね、については、患者さんの今事情も考慮して、債務免除の適用の検討を含めて、この管理法に基づく事務を、今、実情もまた改めてお聞きをしましたので、できるだけ政府としてよく相談をしてやっていきたいというふうに思っております。
  162. 犬塚直史

    犬塚直史君 ありがとうございます。
  163. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で内藤正光君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  164. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、浅尾慶一郎君の質疑を行います。浅尾慶一郎君。
  165. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 まず最初に外務大臣に伺いたいと思いますが、日中関係につきまして、昨年、日本の在外公館に対して様々な国際法上違反の行為を中国国内において行われているというふうに承知いたしておりますが、この点について、認識及び原状回復、そして謝罪をどのように求めていくか、お答えいただきたいと思います。
  166. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今御質問のありました中国国内で生じたデモに、言わせていただくと、公館に対する暴力行為というのに当たりましては、累次にわたって損害というものが、賠償金を含めて中国側に責任のある対応をせいということで求めております。中国側は、中国側が責任を負うという態度を取っております。  国際慣例及びいわゆる国際法に関連するいわゆる原則にのっとって責任を負ってもらうということですが、適切に処理の旨述べておりまして、原状回復作業につきましては、在中国大使館、大使公邸の修復が昨年十二月をもって基本的に終了、また、上海総領事館につきましても中国側と技術的な調整を進めているというところでありまして、順次修復を進めているところで、今外壁パネルが少し残っていると思っております。  陳謝につきましては、現時点で中国側よりそのような表明というのはなされておりません。引き続き中国側に、適切な対応は必要だということで、私ども、相互信頼の上からもこれはしてもらいますということで、過日の日中のときもこの話は出させていただいております。
  167. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 続きまして、日本とイランとの関係について伺いたいと思いますが、イランの核開発について、まず現状をどのように把握されているか、お伺いいたします。
  168. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 極めて憂慮するべき事態になっておると思っております、イランの現状につきましては。  で、浅尾先生御存じのとおりに、六日夜に、今日が九日ですか、六日夜にラブロフ、ラブロフというのはロシアの外務大臣ですけれども、モッタキという人と会っております。私が会ったのはその前に会っておりますんで、ラブロフに対して電話をして、ちょうどカナダに行っておりましたんで、あしたからライス国務長官と会うという話だったんで、電話をしておりますんで、私どもがモッタキと話した内容とモッタキがロシアに言っている内容と裏が違ってたら、きちんとしておかぬと、向こうの話にそのまま、口車とか、向こうの言い分をそのままうのみにするわけにはいきませんので、ラブロフに、どのような話をしたのかという話の、私どもとして裏を取らしていただいたと。裏を取るというのはあんまり品のいい言葉じゃないですけど、まあ大体お分かりいただけると思いますんで、確認をさせていただいたというのが正確なところだと思いますが。  ロシアとしてもいろいろ条件を出して、濃縮の段階で、御存じのように遠心力を掛けて、遠心分離ずうっとあれ上げていくやり方になっておりますんで、そこのところで、いわゆる研究開発的なものは断固維持するというイランに対して、IAEA含めロシアも駄目と、そこのところの、途中のところについてはロシアの国内でやられたらどうですかという話がロシア側の提案であります。それで、そういった内容なんですけど、その詳細なやり取りにつきましては、これ両方黙っている約束をしておりますんで、内容をちょっと申し上げられませんけれども。  いずれにいたしましても、イランの今のまんまいきますと、これは国連の安保理に付託されることはもう間違いないということになっておりますんで、そうなりますと、これから後は、これは、技術的な話から今度は政治的な、国際、安全保障理事国での話になりますんで、日本も理事国の一つでもありますし、いわゆるこの種の話の議長もさせていただいておるところでもありますので、これはちょっと正直、極めて深刻な事態になりつつあると私ども認識をいたしております。
  169. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 仮に安保理に付託になった場合に、まあ最悪のケースは、イランが頑張って、結果として経済制裁になるということだと思います。これは我が国にとっても余り望ましいことではないというふうに思いますが。  まず、仮に経済制裁になった場合、日本の輸入の原油の一四%はイランから来ているということだと思いますが、経済産業大臣に伺いますが、そもそも原油というものは、これは、LNGじゃなくて、原油は国際市況商品なのか、あるいは長期的に確保しておかなければいけない商品なのか、どちらの理解かということをお答えいただきたいと思います。
  170. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) まず、イランの石油問題につきまして私たちも重大な関心を持っておりますので、先般、モッタキ外相が来日の際に私どもにもお訪ねがありましたので、お目に掛かってイランの核問題に対しての我が国の懸念について十分意見を述べるとともに、モッタキ外相には、帰国後、上層部にもしっかりこの日本の意向を話してもらいたい。同時にまた、イランの日本駐在の大使が私どもの省をお訪ねになりまして西野副大臣と応対をいたしております。  そこで、御質問でありますが、我が国は現在、国内消費量の百六十九日分の石油備蓄を保有をいたしております。他方、イランからは日量、御承知のとおり、五十八万バレル、これは全輸入量の一四%、先ほど議員が御説明になったとおりでありますが、輸入しております。  そこで、仮に、仮定の問題でありますが、イランからの石油輸入が全く途絶えてしまったというふうな状況のときには、この石油備蓄を取り崩せば千二十七日間は耐えることができる、これが計算上そういうことになっております。  そこで、まあ万一そういうことになった場合にはどういうことになるか。お互いにこのことは大変憂慮すべきことでありますが、他の国々とも協力、協調しながら、特にサウジアラビアなどの供給余力のある産油国に増産の要請をする。さらに、国際エネルギー機関の加盟国と協調しながら石油備蓄を活用するなど、エネルギー政策を所管する大臣として石油の安定供給確保に万全を尽くす所存であります。
  171. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いや、私の質問はもう少し簡単な質問でありまして、つまり、長期契約がないと入ってこないというものなのか、それともスポットで市場で買えるというふうに考えておられる。まあこれは一かゼロかで答えられないかもしれませんが、どちらに比重があるか。それによって日本の資源外交あるいは資源戦略というのは変わってくるだろうということなので、その点についてお答えいただきたいと思います。
  172. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) それはケース・バイ・ケースでありまして、今後私ども、先ほども申し上げましたように、エネルギー政策を所管する省として国民の皆さんに不安感を抱かせることのないように努力をしてまいりたい。  したがって、核の問題等において、これを今外交努力を続けておるところでありますが、しっかり対応していくことがまず一番であって、そして技術的な面での購入問題についても十分配慮してまいりたいと思っています。
  173. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いや、もう少しはっきり申し上げますと、仮に国連の安保理が経済制裁をした場合に日本が付いてくるだろうかというのが国際的な心配が若干あるわけであります。で、私は、これは仮にそうなったら、これは日本は付いていかざるを得ない、付いていくべきだというふうに考えておりますが、その中で石油というのは、むしろ多分その多くの考え方というのは、今はいろんなところで買えるんだという考え方が民間の間では主流になりつつあるんではないかなというふうに思いますが、大臣はそれをどういうふうに考えるかということです。
  174. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) お答えいたします。  現に我が国の輸入量のイランは一四%を占めておるわけでありますから、我々はこのイランとの関係というものは極めて重要視をいたしております。したがって、どこからでも買えると、それは平時のことであって、いったん国際的に紛争あるいは核の問題をめぐって等、国際的な新たな展開がなされた場合に、これは予断を許しませんから、慎重の上にも慎重に、二重三重の購入の道を常に整備しておく、整えておくことが大事だと思っております。
  175. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ちょっと議論がかみ合いませんので外務大臣に伺いますが、私、今安保理で仮にそういう制裁決議が出た場合には日本は従うべきだ、当然従うべきだというふうに思っていますが、外務大臣はどのようにお考えですか。
  176. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) これは浅尾先生、ゼロか一かみたいな話でなかなか難しいところだと思いますが、仮に国連安保理事会で全会一致で決められたときには、日本もそれに従わざるを得ません。
  177. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、次の質問に移らさしていただきたいと思いますが、今日は与謝野経済財政担当大臣もお越しでいらっしゃいますし、竹中総務大臣もお越しでいらっしゃいますが、まず与謝野大臣に、名目成長率、これはどういう式で出されるか、ちょっとお答えいただけますか。
  178. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 名目成長率の定義ははっきりしておりまして、実質成長率プラスインフレ率を加えたものでございます。
  179. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、名目金利はどういう定義でございましょうか。
  180. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 名目金利は市場で決まる金利でございまして、デフレーターその他を考慮しない、実際に市場実勢として存在している金利のことでございます。
  181. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 名目金利は、実質金利プラス期待インフレ率で決まるということでよろしゅうございますか。
  182. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) それプラスリスクプレミアムでございます。
  183. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 リスクプレミアムはそのとおりでしょうけれども、国の場合はリスクプレミアムゼロと、例えば国債の金利の場合はリスクプレミアムゼロと考えてよろしいでしょうか。
  184. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) それは、それぞれの国の金融政策、財政規律等で決まってくるわけでございまして、すべての国のリスクプレミアムがゼロということはあり得ないと思っております。
  185. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、日本の場合のリスクプレミアムはいかがでしょうか、円で。
  186. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) それは、財政規律が緩むとか、あるいは中央銀行の金融政策があいまいであるとか、中央銀行の金融政策自身が世界の信認を失うような場合は、リスクプレミアムが当然高くなるというふうに考えております。
  187. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 我が国であっても、しかも円表示であってもリスクプレミアムが出る可能性があるというふうに御答弁だというふうに理解しますが、確認のためにもう一度。
  188. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) それは今後の財政規律、金融政策によるものだと思っておりますし、日本の経済が上がったり下がったりという不安定な状況ではリスクプレミアムは当然増えていくと思っております。
  189. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 なぜその二つを細かく伺っているかといいますと、竹中大臣もお越しでいらっしゃいますが、名目成長率の方が名目金利より高くなると主張をされておられます。  これ、まあそれはそうなれば理想的なんですが、実際にはこの名目成長率、先ほどおっしゃっていただいたように実質成長率プラスインフレ率、名目金利は実質金利プラス期待インフレ率、リスクプレミアムゼロとしてもですね、期待インフレ率であります。  だとすると、どういう場合にどういうふうに分けたら名目成長率は名目金利より高くなるのか、御説明いただけますか。
  190. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず、名目金利と実質金利に関して言うならば、実質金利というものが目に見える形で存在しているわけではありません。我々にとって目に見えるのは名目金利だけでございます。そこから計算をして、期待インフレ率を何らかの形で計算して引いたものを実質金利というふうに呼んでいるわけでございます。したがって、名目金利、実質金利の関係というのはそもそもそういう関係であるということをまず認識しなければいけないということ。  どうすればできるかということでありますけれども、委員おっしゃったように、名目成長が高くなればその方がよい、理想であると。現実に、長い期間を取りますと、名目成長率の方が日本の場合は高かったと。今この瞬間を取っても日本は名目成長率の方が名目金利より高いと思いますが、これはまあ、実は水掛け論といいますか、高いときもあれば低いときもあると、もうそれ以上のことは言えないんだと思いますが、それを実現するためには、実質成長率をできるだけ高く保って、そして一方で穏やかな適度なインフレ、デフレを克服してインフレにする、一方で通貨供給等々をしっかりと安定させて名目金利をできるだけ低く保つような金融政策を行う。つまり、適切な経済政策と適切な金融政策を組み合わせてできるだけそうなるように努力するということだと思っております。
  191. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 大変言葉は多いんですけどね、なかなか理解しづらい説明だというふうに思います。  具体的に言いますと、実質成長率と実質金利、実質成長率の方が実質金利より高くなるという説明であればよく分かるわけでありますが、実質成長率が実質金利を超えるということは、お金を持っている人からすると、じゃ何でその人にお金を貸さなきゃいけないんだということになるわけでありますから、そうならないんではないか。  あるいは、インフレ率の方が期待インフレ率よりも高くなるから名目成長率の方が名目金利より高くなるという説明だとすると、市場に参加する人が期待値で持っているインフレ率よりも実際のインフレ率の方が常に高いということは市場が万能ではない、市場参加者がある種政策を作る人よりも愚かであるということになると思いますが、その点についていかがですか。
  192. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 大変難しい御質問ですけど、本質的な御質問で、そういうことがあるのかどうかということを多くの経済学者が分析しております。そういうのをデフィシットギャンブル、デフィシットギャンブル、赤字をやる方が得だという議論になるわけでございますけれども、そういう議論に対して、これはいろんな、より高度な解答あり得ますけれども、歴史的な事実としては名目成長率の方が高かったということ。そして、区別しなきゃいけないのは、そういう議論をするときの金利というのが、ともすれば民間の金利を想定した成長率の議論をしているわけでございますけども、民間の金利と国債の金利は違う。したがって、理論的な、今、浅尾委員は理論的なお話をしておられますけれども、理論的な分析の帰結としてどちらの方が、つまり国債金利と名目成長率とどちらが高くなるということに関する確立された考えはないというふうに承知をしております。
  193. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いや、確立された考え方がないとかあるとかという話をしているわけではなくて、そのことをベースにもう既にいろいろ政策を決めておられるわけですね、あるいは主張をされているわけですね、名目成長率の方が名目金利より高くなるということを、竹中大臣はそのことをベースに主張された、少なくともそういうふうに報道はされております。  そうだとすると、今も、繰り返しになりますけれども、実質成長率の方が実質金利より高くなるのか、インフレ率の方が期待インフレ率より高くなるのか、それは別に確立されてなくても、どういう形でそういうふうに考えられたか。過去十年間そうだったというのは、過去十年間日本がデフレだったからそうだったわけでありまして、ずっとそうだったということにはならないと思います。
  194. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 理論的な頭の整理としては、これはいろんな整理ができるということだと思います。私は、それに関して特定の頭の整理をしていると、それについてこういう構図であるということをお話ししたことはございません。  そもそも名目金利と、そして名目成長率に関してはいろんな事実がございますから、私としては、私が申し上げているのは、長期的な事実としては成長率が高かったということと、したがって、高い低い、いろいろあるだろうけども、今後とも名目成長率が高くなるような運営をすることが望ましい、私が申し上げているのはその二点のみでございます。
  195. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 一つ一つ伺っていきますが、今、長期的に高かったとおっしゃっているのは九〇年代以降のことではありませんか。
  196. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) いや、長期というのはもっと長期でございます。日本の場合で私が長期と申し上げるのは、まとまった統計が取れる一九六〇年代から約四十年間ぐらいの数字、アメリカ等々では百二十年とか、もっと長い、失礼、百二十年とか七十年とか五十年とかありますけれども、そういう長期について高かったと。これは先ほどのデフィシットギャンブルの議論等々でもよく引用されるケースでございますので、そのことを引用として御紹介させていただいております。
  197. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 なぜこのことにこだわるかといいますと、名目成長率の方が高くなるという、あるいは名目金利の方が低くなると、特に国債金利というふうに置き換えて言った方がいいかもしれません。だとすると、そのときに国債を買う人というのは、まあリスクプレミアムがゼロだから買っているということなのか、それとも、要するに名目成長率の方が高くなるんであれば、お金持ってる人はもっといい投資先があるはずなのにもかかわらずなぜそういう投資をするということ、まあ歴史的にそうだったということであるかもしれませんが、その背景はなぜそうだったかというふうに。
  198. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) それはリスクに対する評価ないしはリスクをテークする情報がどれだけあるかということもありますし、これを一つ要因で説明することは、これはやはりできないと思います。歴史的事実がそうであったということ、その事実に対してなぜそのような投資行動を取ったのかということに対して今委員質問をしておられるわけでございますが、そのときにアベイラブルな情報、そのときに利用可能な他の代替資産、それに対する期待等々が当然違ったわけでございましょうから、それに基づいてそういう投資家としては行動を取ったと、ちょっと私としてはそれ以上申し上げる材料はございません。
  199. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 一点だけ確認させていただきたい。  理論的に説明することはなかなか難しいという答弁でよろしゅうございますか。
  200. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 画一的な形で説明するのは難しい。それに対していろんな形で理論的に説明しようという試みはいろいろなされて、幾多の論文が書かれていると承知をしております。
  201. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 理論的に難しいということで、幾つかの論文があるけれどもなかなか統一的なものがないということだと思いますが、一方で竹中大臣は、そうなるように政策運営をするというふうにおっしゃっています。理論的に説明できないのに、どうやって政策運営するんですか。
  202. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 私が説明できないというのは、投資家の行動としてコンシステントに説明できる考え方がないというわけですけれども、そういう行動があったというのは事実でございますから、そういう行動があり得るということを前提にすれば、政策の側としては安定的な経済成長、安定的な金融政策を行うということが求められている、そのように申し上げております。
  203. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 確認させていただきますと、政策として、名目金利を常に名目成長率より低くするということを政策的にできる手だてがあるというわけではないという理解でよろしいですね。
  204. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) そういう手だてがあれば、各国そのようにしているんだと思います。現実にはいろんな場合があるわけですから、いろんな外的なショックもございましょう。  ただ、政策当局としては、正に委員もそれが理想的だとおっしゃいましたから、そういう時期もあったわけですから、そういうことを目指して経済の運営の概念を構築すべきであろうというふうに考えております。
  205. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 まあ理想的というふうに申し上げたのは、少し訂正させていただきますと、国の財政にとっては理想的ですが、資本家にとってそれが理想的かどうかは、資本家からするとそれは間抜けな行動というふうに取られてもおかしくはないと思いますが、そこはちょっと訂正させていただきたいと思います。  与謝野大臣に伺いたいと思いますけれども、今経済財政を担当されているわけでありますけれども、この点に、今の議論について、本当に名目金利の方が名目成長率より低くなるのか、そうなれば確かに国債がいろいろあっても何とかもつということだと思いますが、それが本当に実現できると考えておられるかどうか、お伺いします。
  206. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 理論的には、名目金利が名目成長率より低いという状況が長く続くと仮にいたしましたら、それは平均的企業に投資をしていれば幾らでももうかるという話でございまして、多分そういうことが長期に続くということはあり得ないと思います。  戦後の金利の歴史を見ますと、やはり戦争が終わった後は統制経済でございまして、金利は統制されていた、長期金利が市場で決まるということはなかったと私は理解をしております。その後、市場が少しずつできましてからも、やはり歩積み両建てというのがございまして、表面的な金利は低いけれども、金融機関は歩積み両建てで金利を稼いでいたということですから、実際の金利水準がどの程度であったかということは、もちろん研究はありますけれども、その数字をそのまま引用すると間違うんだろうと思います。  私どもは、一九八〇年以降の日本の金利水準を取ってみますと、やはり名目金利の方が若干成長率より高いと、こういうことは言えるわけでございますけれども、最近のアメリカの情勢を見てみますと、これはグリーンスパンさんも不思議な現象だというふうに言われたわけでございますが、明らかに名目成長率の方が名目金利より高いという現象が、まあここ三年ほど起きているわけでございます。これはまあいろんな説明ができるわけでございます。  そこで、私どもとしては、財政再建をやるためのいろいろな計算はいろいろ、成長率、金利、こういうもののパラメーターをいろいろ変えながらいろんなケースについて御提示をいたしたいと、そのように思っております。
  207. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 経済財政諮問会議委員の中でも意見が違うということは、それはいいことだと思いますが、同じメンバーである官房長官ももし今の件について御意見があれば伺いたいと思います。
  208. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) この件につきましては、総理がもう既に答弁をしているわけでありますが、六月に向けて、歳出歳入の一体的な改革に向けて取りまとめを行っていくわけでありますが、あらゆるケースについて幾つか選択肢を提示をしてもらって、その上にあるべき姿を考えていきたいと、こんなように思っております。
  209. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 この点についてはこれ以上質問しませんが、是非その合理的に考えられるような説明のやり方で経済政策をつくっていただきたいということを申し上げたいと思います。  次に、ライブドア問題、耐震偽装問題について伺っていきたいと思いますが、私は、この問題はいろんな問題があると思いますが、とにかく法律違反ぎりぎり、あるいは法律の線を越えてもばれなければいいというような風潮が、ある種そういうものを生んできているんではないかなというふうに思います。そういう中におきまして、じゃ、どういう抑止があったら、抑止的な制度があればそういう行為を取らないかということも、やはり今後、真剣に国会の場においても議論をしていかなければいけないというふうに考えておりますが、まず、その議論のための材料として英米法、特にアメリカにおいて取られております懲罰的損害という考え方がございますが、このことについて法務大臣、御説明いただけますか。
  210. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) お答え申し上げます。  懲罰的損害賠償の制度は、イギリスに起源を発しましてアメリカで発達した制度でございます。英米法に特有のもので、大陸法系にはございません。  アメリカで発達したのは陪審制度が関係しておりまして、陪審員が損害賠償額をケースに応じてどんどん上げていくということがございました。この制度は、加害行為の質が悪い、悪性が強い場合に、加害者に対する懲罰を加えると。それから、そういう行為、悪性の加害行為に対する一般的抑止効果を目的とするということでございまして、これがアメリカの古き良き時代等々で非常に一定の効果を現したことは間違いないようでございます。  ただ、最近は反省もあるようでございまして、余りにもその懲罰、賠償額が高額過ぎるとか、あるいは余りにも高い賠償金額で倒産すると、会社が、そういうのも多く出てまいりました。訴訟社会をつくる原因の一つでないかとか、そういう批判もございまして、今のところ、アメリカの方では州によっては大体実損の三倍ぐらいを目安に、法律的に上限はないわけですが、取ったのが、州によってはそれを金額の上限を設けるとか、あるいはその二倍とか三倍を限度とするとか、あるいは両方を取って、そのどっちか多い方とかいう制約を加えている州も幾つかございます。で、連邦でも制約を加えるべきだということで、いったん法律が通過したようでありますが、大統領が拒否をして実施に移されてないというようなことでございます。  この制度を、先生はこれを導入したらどうかというお考えのようなんです。検討したらどうかというお考えのようなんですが、我が国の民法に導入することについては、まあ御案内のとおり、我が国における損害賠償制度が被害者に生じた実害、実際の損害のてん補を目的とするというものでございまして、加害者に対する制裁はむしろこれは刑事罰でやるべきじゃないかとか、刑事罰と混同されているところもあるわけでございまして、そういう制度を設けようとしたらいろいろ批判がございます。  で、最高裁の判例がございまして、平成九年の七月十一日の最高裁判決。これは、アメリカで懲罰的損害賠償を命じた、日本の企業に対してですね、その判決を日本で執行するために執行裁判になった事件でございますが、ここでは、最高裁判決は、不法行為の当事者間において、被害者が加害者から、実際に生じた損害の賠償に加えて、制裁及び一般予防を目的とする賠償金の支払を受けることは、我が国における不法行為に基づく損害賠償制度の基本原則ないし基本理念と相入れないものであるとしまして、棄却しております。そういうこともございます。  それから、我が国の場合、特に名誉毀損に対する損害賠償に著しいんですが、いわゆる損害のうちに精神的損害、慰謝料ですね、この金額を、交通事故においてもその他においても、特に名誉毀損においては裁判所が増額している傾向がございます。その精神的損害、無形の損害の賠償額を増やすことによって、事実上、何といいましょうか、この制度の考え方に近い方向に向いているやに見えますが、しかし、実際、形の上では実損をてん補するというのが我が国の不法行為の制度の原則だと思います。  したがいまして、検討するに際しましては、先生のような意見は学者の中にもございますが、もし導入する場合には慎重の上にも慎重に検討するべき問題があるというふうに考えております。
  211. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 一つだけちょっと数字を通告してありますんで伺いたいと思いますが、アメリカのその実際の損害、判例でですね、実際の損害と懸け離れた懲罰的損害の額でどれぐらい差があるか、一番大きいケースで把握しているところ。
  212. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 法務省に調べてもらったんですが、いろいろあるんですけれども、一番多いと目されるものは、BMWの新車を購入した者が、購入後数か月たってから、販売会社がこの車を輸送中に傷ができた、それを補修した上で、それを隠して新車として販売したと。で、販売会社が訴えられたんですが、実際の実損は四千ドルと認定したのに対しまして、陪審は四百万ドルの懲罰的賠償の支払を命じたと。で、下級審はこれを維持したと。ただし、これは連邦最高裁で差戻しをしております。  それからもう一つ挙げますと、ドライブスルーで、マクドナルドのドライブスルーで買ったコーヒーを車の中でこぼしてやけどを負った八十一歳の女性が、熱過ぎるコーヒーは欠陥商品だとして製造物責任訴訟を提起したと。十六万ドルの実損を請求したと。裁判所は、陪審ですね、陪審はそれに対して、十六万ドルの実損以外に二百七十万ドルの懲罰的賠償が命じられたというケースがございます。ただし、これは裁判官が減額しておりますが、陪審ではそういう結論を出しているのがございます。
  213. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 少し、ちょっと誤解があってはいけないので、私はその懲罰的損害を直ちに入れろということを申し上げているわけではありません。しかし、今の日本の世の中、あるいは例えば会社法の体系そのものも大陸法から少し英米法的になってきていると。なおかつ、規制をなくして、原則自由という方向になってくると、皆さんが性善説に基づいて真っ当に行動していればそんなことは要らないんだと思いますが、そうでない事例が多いんではないか、だからそれは検討するべきだということで、研究をするべきだということで申し上げました。今のような極端なケースがいいかどうかと、これはいろんな議論があると思います。  その中で、ライブドアあるいは耐震偽装といったことについて、具体的に現行法令上で、まずライブドアについてどのような損害が発生を、これは株主ですね、株主が発生をし、そして証取法の中で多少の損害賠償規定というのは粉飾決算の場合はあるんですが、どの程度今の法令で戻すことができるか、その点をお答えいただきたいと思います。
  214. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 有価証券報告書の虚偽によって損害を被った方に関しましては、損害額の算定が極めて難しいので、損害がどのぐらいかということをみなし規定によって算定できるようにしてあります。
  215. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 その具体的な金額も、通告をしてありますので、お答えいただけますか。
  216. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) ただいまの推定規定の概要をお話し申し上げますと、有価証券報告書等に重要な虚偽記載があったことによる場合の発行者の責任を無過失責任として、虚偽記載等の事実の公表前後一か月の有価証券の価額の平均値の差額を損害額と推定することとしております。これは証券取引法第二十一条の二でございます。
  217. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ライブドアのケースで額を実は通告してありますので、今の証取法で認定される額としてお答えいただければと思います。
  218. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 恐らく、損害賠償請求が法廷に提出された、公判請求、まあ損害賠償請求を裁判所で行うという場合、これは、このみなし、推定規定を活用して最後には裁判所が判断するものでございまして、ライブドア事件そのものについて数字を申し上げる段階ではもちろんございません。
  219. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今の法律に基づいて、法律どおりに今日例えば訴訟が提起された場合に、額として幾ら、これは法律に書いてありますから、なるかということを伺っています。
  220. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) それは、もちろん理論的に計算できるかもしれませんけれども、果たして行政当局がそういうことを計算していいかどうかという問題が多分あるんだろうと思います。
  221. 小野清子

    委員長小野清子君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  222. 小野清子

    委員長小野清子君) 速記を起こしてください。
  223. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 今のお話ですけれども、虚偽記載の事実の公表前の価格と公表後の価格の差額ということを申し上げましたが、その公表の時期というのは一体いつなのかということは、実際裁判になってみないと分かりませんので計算ができません。その時期が確定すればもちろん計算はできると思いますけれども、この時期は実際の裁判所の認定になると私は思っております。
  224. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、後ほどこのライブドアについて伺います。  まず、耐震偽装の方で、現行法令上の瑕疵担保責任、販売主の瑕疵担保責任で賠償されることが命じられる額というのはどういうものになりますでしょうか。
  225. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 民法上、瑕疵担保責任規定があるわけでございますが、さらに住宅取得の場合はこの瑕疵担保責任について更に強化充実をしております。住宅の品質確保促進に関する法律というのがございまして、新築住宅の基本構造部分の瑕疵について、売主又は請負人が十年間修補や損害賠償の責めを負うこととする民法の特例がございまして、この十年間というのは強行規定でございまして、短くすることはできないと、短くしても無効だというふうになります。
  226. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いろいろ伺ってきているんですが、なぜこういうことを伺っているかといいますと、もう少し分かりやすい例で申し上げた方がいいかもしれません。  ライブドアだと被害者が投資家であって、これはよく分からないとか、耐震偽装については、これ被害者は購入者ということになると思いますが、例えば、東横インというホテルが、身体障害者のための施設を造ると言いつつ、造った後、そんなものがあっても利益にならないからというような発言をされて、それを改装した。そういうことについて、その後の記者会見で、六十キロ道路のところをせいぜい数キロオーバーしたというような発言を社長が当時されておられました。  何を申し上げたいかといいますと、規制がどんどん緩やかになると、その中で利益を極大化しようと考えるのは企業家として当然かもしれませんが、しかし、利益極大化の中で、もしちょっとグレーゾーンに入っても、罰が緩いのであればそっちの方に入ってしまうのではないか。だとすれば、規制をなくす流れの中で、懲罰的損害というような、現行の法令の中で、それを超えた場合には実際の得た利益の何倍も失ってしまうという考え方を導入すべきではないかということで、この考え方を議論したらどうですかというお話をさせていただきました。民法の中で入れるのが難しいということであれば、個別の法規の中に入れていくべきではないかなというふうに思いますが、まず、杉浦大臣、民法の中に入れられる可能性があるかどうか。
  227. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 国会は立法者でございますので、国会がそうしろとおっしゃれば、そうなります。  ただ、法務省として、先ほど申し上げたような事情で、検討をするとすれば、慎重の上にも慎重に、最高裁判例もございますので、検討することに相なると思います。
  228. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、例えば、民法には入れないけれども国土交通省が所管している業法の中に入れていく、あるいは証取法の中に入れていくという考え方について、それぞれ、北側大臣、与謝野大臣、いかがですか。
  229. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 委員の御質問は、違法行為があった場合、違法行為を抑止をしていくためにやはりその制裁を強化をしていく場合があるのではないかと、こういう御質問だというふうに考えます。  違法行為があった場合の罰としては、大きく分けまして三つあるんだろうと。一つは民事罰、損害賠償。もう一つは刑事罰、刑事責任を問う。もう一つ、行政罰というのがございます。これは制裁金を科すというまあ例でございます。  一つ、まず民事罰の話は、先ほど建築基準法の関係では、品確法の規定があって十年の瑕疵担保責任というふうに申し上げました。刑事罰については、今この建築基準法の罰則強化を検討させていただいております。今の罰則について、不十分なところについては強化をさせていただきたいというふうに考えております。  ちなみに、東横インの場合、違法な建築が全国で多数なされております。これ一件ごとに百万円以下の罰金になっておりますので、仮に刑事事件として立件されますと一件ごとに百万円以下の罰金、これが併科されますので、それはそれなりの罰金額になるのかなというふうには思っております。  問題は、その行政罰でございます。これにつきましては、確かに委員のおっしゃっているように、東横インのようなケースですが、違法な建築をして、例えば容積率を法律で定められているものよりも超えて、そしてそこに部屋を造って収入を上げたと、こういう違法行為を行って収入を上げているのを放置していいのかと、行政としてと。ここは私は検討の必要があるのではないかというふうに考えております。今の日本の法制度の中で、例えば独禁法とか証券取引法の中にはそうした行政罰としての制裁金を科すということがあるわけでございますが、私は、この建築基準法の世界の中でも、やはりそうした違法行為、違法な建築を行って一定の収益を上げている場合に、それはやはり行政として制裁金として科すようなこと、これが立法上検討できないか、これは少し時間が掛かると思いますけれども、専門家の方々の御意見をちょうだいしながら検討してまいりたいというふうに思っております。
  230. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 懲罰的損害賠償制度というのは、まあ恐らく法務大臣が御答弁になったとおり、なかなか今の民法の考え方では取り入れられないわけでございますけれども、まあこの問題については更に相当議論が必要だというふうに思っております。  ただ、もう一つの刑事罰によっていろいろな不法行為を抑制するということに関しましては、この国会で提出して御審議をいただく証取法の改正の中では、最高刑懲役十年というのを導入することにしておりまして、この十年というのは、今までの刑法の考え方ですと、ほぼ自然犯のみに適用されていた刑のレベルでございまして、そういう意味では相当の重罰化ということになると思っております。  なお、北側大臣がお触れになられました行政罰に関しましては、証取法には課徴金という制度がございます。
  231. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 先ほど私の考え方は申し上げさせていただきました。世の中の流れが変わってくる中で、懲罰的損害というものが日本の中に今までは余りなじまない考え方だったということだと思いますが、それがいいかどうかは別として、場合によってはそれが必要になってくる。それが必要になってくる世の中が望ましいかどうかというのは、また議論が分かれるところだと思いますが、そうだとすると、そういうことも含めて検討すべきではないかということも申し上げさせていただきたいと思います。  あわせて、これは御答弁をいただかなくても結構なんですけど、行政罰と民事罰といったときに、その主体がだれかということもその哲学が変わってくるところかなと。つまり、行政罰でもって国が悪いことを、あるいは違法行為をした者に対して課徴金を課していくというのは、やはり大きな政府にある種つながっていくところもあり得るのかなと。その懲罰的損害というのは、民事民事で、民間同士のものを裁判所が認定をし、それがいいかどうかは別として、先ほどの例えば四千ドルのもので四百万ドルの損害を訴えた人にそのお金が行くという、それは必ずしも大きな政府とは違う、だからそこは恐らく哲学が違うんだろうなというふうに考えております。  で、これはこの段階で、この短い時間でどっちがいいとかと言うつもりはありませんが、その両方を含めてもし内閣として御検討することを考える可能性があるかどうか、官房長官に伺うのが一番適切だと思いますが、もし何も、あれで、御意見がなければ結構でございますが、伺えればと思います。
  232. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) もう既に所管大臣から答弁をさしていただいておりますので、それで十分ではないかというふうに思っております。
  233. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、次の質問に移らさしていただきたいと思いますが、先ほど名目金利、名目成長率という話をさしていただきました。これは、財政再建との絡みでそういう議論になっているんだろうというふうに思います。  私は、財政再建といったときに、まずは増税の前に資産を売却していくべきだというふうに思っていますし、また国として減らせる支出は、あるいはこれは多少苦しくても減らしていくべきだろうというふうに思っています。そういう意味で、公務員の人件費についても度々予算委員会の中でも取り上げさしていただきました。  まず、かつて私が取り上げさしていただきました休息時間の状況について、是正ということを決められたそうでありますが、人事院総裁に伺いたいと思います。
  234. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人佐藤壮郎君) たしか昨年十月のこの予算委員会だったと思いますけれども、休息時間について多々御議論をいただきました。そのときの御指摘を踏まえ、また民間企業の実情を勘案して検討いたしました結果、やはり現行の休息時間制度というのは、これは国民に説明ができないと、これは廃止すべきであるという結論に達しました。そして、その結論にのっとりまして休息時間を廃止して、休憩時間で一本化するという形で人事院規則を改定を先般行ったところでございます。で、実施時期につきましては、若干の準備時間が必要だと思いますんで、七月一日ということにいたしております。
  235. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 国家公務員の休息時間が廃止になると、地方公務員の休息時間についてどういう取扱いをすべきかということを各自治体に総務省からお話をされるんだと思いますが、どのような話をされるか、その点、まず伺いたいと思います。
  236. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 地方公務員の勤務条件につきましては、地方公務員法の第二十四条第五項に規定がございまして、国との権衡を失しないように適当な考慮が払わられなければならない、つまり地方公務員についても国家公務員に準じて考えると。そういう意味で、これまでもいわゆる例の休息時間が設けられておりました。  で、今般、国家公務員において休息時間が廃止されるということになりましたので、この対応にかんがみまして、地方公務員においても休息時間を廃止する必要があると考えております。このため、地方公共団体に対して休息時間を廃止するように助言をしたところでございます。具体的には、公務員部長の名前で各知事、担当にレターを発出しております。今後とも、地方公共団体において適切な対応がなされるように私としても助言をしてまいりたいと思います。
  237. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 一点だけ、その休息時間の中で細かい点を伺いたいと思いますが、国家公務員の休息時間はお昼休みに集中をしていました、基本的にはですね。ですから、事実上、お昼休みのうち、一時間のうち三十分は有給の時間と、勤務時間としてカウントされる時間であったと。  そもそも休息時間というのは、勤務時間中の軽度の疲労からの回復を図るための措置ということで、午後三時とか午前十時に十五分間ぐらい体操をしながら休むという考え方で設けられたんだと思いますが、実際の運用ではそうなってなかったということだと思いますが、地方自治体の中には、三時、午後、要するに昼ではない時間に本来の趣旨にのっとった形で運用しているところもあると思いますが、そういうところも含めて廃止の助言をされるのかどうか、総務大臣に伺いたいと思いますが。
  238. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これは、国に準じて対応する必要があると思っておりますので、実態いろいろだと思いますけれども、均衡を失しないようにやってもらうつもりでおります。
  239. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは次に、先ほど内藤委員からも年金の統合について御質問、御質疑をさせていただきましたが、共済年金と厚生年金の統合で、職域加算の今後の在り方についてどういうふうに考えておられるか、所管の谷垣大臣に伺いたいと思います。
  240. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 共済年金の職域部分、これは何で設けられているかというと、公務員にいろんな身分上の制約が課せられている、こういうことから昭和六十一年に設けられたものでございます。当時の竹下大蔵大臣の国会での答弁を見てみますと、職務専念義務とか私企業からの隔離とか信用失墜行為の禁止等々というようなことを挙げておられるわけですが、そういう身分上の制約を理由に昭和六十一年に課せられたと。  そこで、今後どうしていくかですが、職域部分の取扱いにつきましては、被用者年金一元化等に関する政府・与党協議会というのがございますが、そこで政府が検討・作業方針というのを出しまして、そこでは、現在の公的年金方式としての職域部分については更に検討すると、そして職域部分を廃止する場合には民間の三階部分に相当する年金を創設する必要があると、その際、公務員制度全般の在り方や民間の企業年金の実態を踏まえることとすると、こういうふうになっておりまして、この検討・作業方針を踏まえて、これからの一元化に向けた議論の中で検討を進めていきたいと考えているところでございます。
  241. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今、職域加算を廃止する場合には民間の三階建て部分のようなものを導入すべきだという御答弁をいただきましたが、総務大臣に伺いますが、公務員の、国家公務員の退職金を計算するときに、民間の三階建て部分を含めて調査し、計算していませんか。
  242. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 国家公務員の退職手当は勤続報償を基本的性格とする、その支給水準については、官民均衡を図る観点から民間企業の退職金の支給水準を調査して、これを参考にというふうに決定をされております。  民間企業の年金、企業年金の多くは、退職一時金と代替的であるということなど、退職金制度の一環として機能しておりますので、民間企業退職金の実態調査におきましては、退職金に相当する企業年金の企業負担分もその対象に含めていると。  一方で、国家公務員共済年金の職域加算部分というのは、公的年金の中で公務の能率的運営に資するという観点から、国家公務員に様々な身分上の制約が課されているわけでございますので、兼業禁止とか再就職の制約とか、そういうものでありますので、その給付水準は民間企業の退職金としての企業年金の支給水準との関係で設定しているものではないというふうに理解をしております。  したがって、国家公務員共済年金の職域加算部分、そして勤続報償を基本的性格とする国家公務員の退職手当とは異なる性格のものでございますので、退職金の給付水準の官民比較の対象に含めていない、まあ今現状はそうなっているわけでございます。
  243. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いろいろ読まれていますけれども、要するに簡単に申し上げますと、民間企業の退職金を調査します、その退職金は民間の中のいわゆる退職一時金と、そして退職金という形、一時金としてもらうか年金でもらうか両方を含めて調査をしているはずなんです。年金でもらえる部分を一時金でもらうと大体九百八十二万だと、それも調査に入れて国家公務員の退職金を決めているんじゃありませんか。
  244. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) さっき読んだのは正にそういうことでございます。国家公務員の退職金の分、それと企業部分は年金の中にそういうものが含まれておりますので、年金の中に含まれておりますので、それはそれとして考慮をしているということでございます。
  245. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 なぜそこにこだわったかといいますと、先ほど谷垣財務大臣が、仮に職域加算を廃止する場合には民間の三階建て部分、正に企業年金の部分も含めて代替措置を入れなければいけないと。もう既にその部分は調査し払っているものに更に乗せるということを言われたのかどうか、もう一度確認させていただきたいと思います。
  246. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) そこはこれからの検討でございます。
  247. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 これから検討されるということであれば、これは何回かこの予算委員会の中で指摘をさしていただいておりますが、これは、この部分は完全に二重支給なんですよ。二重支給でないという言い訳のために、公務員の方は現役のときに身分上の制約があるから退職した後に余計年金を払いますよと、それが職域加算なんですよという説明になっています。  ちなみに伺いますが、厚生年金と国家公務員共済年金の例えば平均支給月額の差は幾らぐらいですか。そして、地方公務員共済と厚生年金の月々幾ら差があるか、それぞれお答えいただけますか。
  248. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これはまず、決して二重計算といいますか、そういう観点ではないというふうに私たちは理解をしております。  お尋ねは金額でございますので、地方公務員共済年金の退職年金の受給一人当たり平均支給額は平成十五年度末で月額十八万八千五百九十八円となっております。  ほかのも必要でございますか。
  249. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 差を知りたいので教えていただきたいと思います。
  250. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) はい。厚生年金九万二千五百九十八円、国共済十七万二千二百五十六円でございます。  これは、平均の標準報酬月額の差そして平均加入期間、これもかなり違いますので、その差の反映だと理解をしております。
  251. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 つまり、職域加算がある結果、厚生年金の平均が九万二千五百九十八円、地方公務員共済の平均は十八万八千五百九十八円、国家公務員共済は十七万二千二百五十六円ということで、九万円近い差があるわけですよ、そこで、既に職域加算の部分で。それはそれで、職域加算は例えば企業年金の代替措置だというふうに説明されれば世の中の人は理解するかもしれませんが、それはそうではなくて身分上の制約があるからもらっているんですと。だから、普通の企業が出している、あるいは大企業しか出してないかもしれません企業年金について、それもそっちの方は退職一時金として支給するというのは正に二重支給ではないかというふうに思っています。  ちなみに、その身分上の制約については人事院に伺いますが、制約があるからこそ人事院が民間企業を調査し、それに遜色がないような給与を出しているんではないでしょうか。
  252. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人佐藤壮郎君) 人事院は、国家公務員の給与水準につきまして、公務員の給与水準と民間企業従業員の給与水準と均衡させることを基本に勧告を行ってきているところでございます。この際に、身分上の制約があるからとか、どうかということについては余り実は私どもとしては念頭にございません。  御承知のように、勧告に当たりましては、人事院は民間企業の給与を正確に把握した上でラスパイレス方式により精密に官民給与の比較を行っているところでございまして、勧告どおりの給与改定が行われることによって適正な給与水準が確保されているものと考えているところでございます。
  253. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 特に、身分上の制約といったときに、守秘義務等は民間企業も課されられているわけですから、一番大きいのは労働基本権なんです。ですから労働基本権を付与すれば身分上の制約はほぼ民間企業と一緒になるというふうに理解していますが、その点について、どなたに、総務大臣でしょうか、どのように考えておられますか。
  254. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 労働基本権の問題は問題として大変重要な問題だと我々認識をしておりまして、中馬大臣厚生労働大臣とともにいろいろ議論しておりますが、今の話に関して言うならば、その制約という部分は、例えば兼業の禁止でありますとか再就職に対する制約でありますとか、そういうことを含めた総合的なものであるというふうに理解をしております。
  255. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 まあ官に厚いということは少し改めていかなければいけないということだと思います。  もう一点だけこの点について伺って終えたいと思いますが、なぜ年金が高くなるかということについて、追加費用があるから事実上そうなっているんだと思いますが、現在の追加費用の額はどのような計算になりますか。
  256. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 十六年度の単年度で申し上げますと、国共済が四千九百十八億円、地共済が一兆二千四百六十五億円、合計しまして一兆七千三百八十三億円でございます。
  257. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 これ追加費用、今後厚生年金と共済年金統合した場合に、まさか厚生年金側にその分を負担するということにはならないでしょうね。その点をちょっと厚生労働大臣に伺いたいと思います。
  258. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 当然、共済年金と厚生年金統合される、一つの年金制度になりますから、同じ掛金、同じ給付ということになりますね。  その中において、追加費用が全くゼロになってしまったときに、厚生年金側から持ち出しをしなければ公務員のOBの年金払えないという状態になることは、これは我々受け入れられない。当然、財政的な処置というものはなされなきゃならない。一方で、どのぐらいストックありますかと、ストックの問題もあります。それを勘案しながら、少なくとも厚生年金にしわ寄せが来るということだったら私はお断り申し上げます。
  259. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 終わります。
  260. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で浅尾慶一郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  261. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、澤雄二君の質疑を行います。澤雄二君。
  262. 澤雄二

    ○澤雄二君 公明党の澤雄二でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。  今日、世界じゅうに広がりました鳥インフルエンザ、そしてそのウイルスが変異をして出現をしますヒト型新型インフルエンザについてお伺いをしたいというふうに思います。  この新型インフルエンザは今までのインフルエンザと違いまして、今までのインフルエンザのウイルスは弱毒性でありました、この新型インフルエンザは人類が初めて立ち向かうわけでありますが、強毒性であります。今までがマイルドであったのに対して、大変シビアになってきております。したがって、厚生労働省がお作りになりました対策の行動計画でも最大死者は六十四万人、我が国でであります。二千五百万人が感染すると予想をされております。それから、この死者の数それから感染者の数でございますが、それぞれ倍以上になるという指摘も実はございます。人類にとっても我が国にとっても初めて対面する脅威でございます。    〔委員長退席、理事市川一朗君着席〕  しかし、私は、いたずらに国民の不安を助長するためではなくて、国会議員として、また五人の家族を持つ父親、夫としてそれぞれを守るために、具体的な客観的な事実に基づいて最悪の事態への対応、認識についてお伺いをしたいと思います。  最初にこのボードを見ていただきたいと思いますけれども、(資料提示)これは近代になって我が国が遭遇しました戦争それから病気等による犠牲者になった人の数でございます。太平洋戦争のときに国内で亡くなった民間人が八十万人でございます。今度のインフルエンザで厚生労働省が予測している最悪の場合には六十四万人、これをはるかに上回るという予測もございます。  したがいまして、もうこれは一厚生労働省公衆衛生の立場で対策を考えるというよりも、アメリカ、ヨーロッパがそうしていますように、強力な政府のリーダーシップによって国家の危機管理レベルで対策を考えるべきではないか、そういう視点で今日は質問をさせていただきたいと思います。  最初に、ちょっとショックでありますが、今はやっている鳥インフルエンザに感染した患者の方の写真を見ていただきたいと思います。男女二人の写真が皆様にお渡ししてございますが、これは女性でございます。もう一人見ていただくのは男性でございます。これはお二人とも生還をされました。三週間入院をされたんでございます。  この姿を見れば何が分かるかというと、もう今までのインフルエンザの印象では全く、認識では判断を間違えるということでございます。今までのインフルエンザは弱毒性でありましたから呼吸器でとどまっていました。しかし、今度のインフルエンザ出てくる可能性が高いのは、先ほども言いました強毒性でありますから、血流を通して全身に感染をいたします。呼吸器、脳、腸管、肝臓、腎臓というふうに全身に感染をしていきます。  三年前に流行が懸念されましたSARS、これも呼吸器系にとどまっていました。ですから、今度もしこのH5N1が、同じようなものがヒト型に変異するとすると、それをはるかに上回る厳しい症状が予想をされています。この写真の青年たちは生還をいたしましたが、今のところの鳥インフルエンザに感染した人の致死率は五三%であります。でも、ヒト型に変わったときには多分こんな大きくはないというふうに予想をされています。  大変恐縮でございますが、何人かの大臣の方に、この新型インフルエンザに対する認識と対応についてのお考えをお聞きしたいと思います。官房長官厚生労働大臣については後ほどすぐお伺いをいたしますので、文部科学大臣経済財政担当大臣総務大臣防衛庁長官、お願いできますでしょうか。
  263. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 澤委員の御指摘のとおりに、私ども今まで遭遇したことのないこの新型のインフルエンザでございますけれども、まずもって、私も危機管理の担当をしたことがございますが、危機管理の要諦は危機管理の担当の責任者がそれが危機であるということの認識ができるかどうか、それが一番の問題だと思うわけでございます。その意味で、各般にわたるその各レベルの危機管理の担当をする者に的確に情報が流れるとともに、その人間がそれを危機と認識できるような正しい情報を流すことと、パニックを避けながらも、しかしその深刻度を的確に把握できるようにすることがまずもって大切だと考えております。  その意味におきまして、私自身はこのインフルエンザという名前の付け方そのものがそもそもいいんだろうかという疑問も持ちつつ、現在のところ文部科学省新型インフルエンザ対策本部というものを昨年十一月十四日に設置をいたしまして、その後会議もいたしておりますが、近くまた再度会議を開く予定もいたしております。  そういった中で、各都道府県教育委員会に対して本年の一月十六日に、また同時に文部科学省のホームページに同一内容が掲載をされておりますが、新型インフルエンザについて、またその性格、予防をどうしたらいいのか、また学校及び設置者が必要とされるその注意というものは、また感染が見られる地域に渡航する児童生徒に気を付けるべきこと等についての当面の第一次的な指示を出しているところでございます。  また、引き続き、さらに今後どのようなガイドラインを設定するか等々、また後ほど御説明の機会を得られれば説明させていただきますが、そのような取組もしているところでございまして、この問題については正に、ある意味で、パニックを招いては決していけないことだと思いますが、本当に国家の重大な危機が訪れる可能性のある危機であるという認識を持って取り組みたいと思っております。
  264. 市川一朗

    ○理事(市川一朗君) 澤先生、次、どなた。
  265. 澤雄二

    ○澤雄二君 ずっとお願いをしましたが、文科大臣経済財政担当、総務大臣防衛庁長官
  266. 市川一朗

    ○理事(市川一朗君) 次、与謝野経済財政担当大臣
  267. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) これは全く新しいウイルスでございますから、世界じゅうの方、ほとんどの方がだれも免疫力を持っていない。これが流行しますと、本当に世界じゅうの異常な危機になると思っておりまして、日本にとりましては国家としての危機管理が必要であると思っております。
  268. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、澤委員の御指摘のありましたように、また各大臣がお答えになられましたように、私も国家の危機管理としての体制整備が本当に必要な場面であるというふうに改めて思います。  このため、総務省としても、これまで全都道府県で策定済みの行動計画に即しましたタミフルの備蓄等の体制整備を遺漏なきように進めてまいりましたし、また地方財政上の措置も講じているところでございますけれども、引き続きしっかりとした問題意識を持って対応したいと思っております。
  269. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) もう委員指摘のとおり、防衛庁というのは国民の安全、安心をつかさどる役所でございますし、その体制を常時整えていなければならないというのが職務でございます。  今度の新型インフルエンザにおきましても、そういう事態が起これば、これは政府を挙げて取り組むべき問題であるというふうに思っております。そういう中で、防衛庁としては、我々が持っている装備、能力をフル稼働して対応していきたいというふうに思っております。
  270. 市川一朗

    ○理事(市川一朗君) よろしいですか。
  271. 澤雄二

    ○澤雄二君 はい。  官房長官にお尋ねをいたします。  インフルエンザというのは鳥型が現れて、それが変異をして人に現れて、五年から十年、四十年の周期で新しいインフルエンザが人類に襲ってまいります。  この鳥インフルエンザが非常に心配されているのは、先ほど申しましたように、これまでは弱毒性であったものが強毒性に変わったから。で、この強毒性について、人類、今総務大臣言われましたように、免疫がございません。しかも、致死率が非常に高い。何とか鳥インフルエンザの段階で抑え込もうとしましたが、失敗をしました。世界じゅうに広がってしまいました。  ですから、もうこのインフルエンザが人に変わるのは、導火線に火が付いたと言われています。どれぐらい爆弾に近づいたかというと、一月で、トルコで発見されましたウイルスについては、それまで四十二度、鳥の体温で一番増殖していたウイルスが三十六度、人間の体温で一番増殖するウイルスに変異をしています。  ナイジェリアでたくさん鳥が死にました。内乱がありますから、サーベイランスがちゃんとできていません。しかも、飢餓、その鳥を食べています。で、七十度以上では滅菌をされますが、それまでに羽をむしったりするわけですから、間違いなく感染をします。つまり、人にうつるということは、ヒト型が出てくる可能性が高いということであります。  また、この二、三日、ニュースで騒がれておりますが、ドイツ、イタリア、フランス、オーストリアでは猫に感染をしました。  ドイツでは、五つの州で外に出すなと命令しました。これに従わなければ罰則を与えるとまでヨーロッパでは考えています。ですから、もういつ爆発してもおかしくない段階までこれが来ています。  フランスでは、この中旬、多分、だから来週だと思いますが、全土で演習が行われます。これについてはドビルパン首相が陣頭指揮を執ると明言をしています。  アメリカでは、もう既にブッシュ大統領が陣頭指揮を執っています。これは、ホームランド・セキュリティー・カウンシルというところが出したガイドラインでございますけれども、大統領直属で関係の長官大臣が全部入っている決定機関でございます。ここですべてのガイドラインが出されております。  というふうに、アメリカ、ヨーロッパではもう既に公衆衛生の立場をとっくに通り過ぎて、一省庁ではなくて、国家的な危機管理として対応がされているところでございます。  そこで、官房長官我が国でもそういう対応をできるだけ早くすべきだと思いますが、お考えを聞かしていただけますか。
  272. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) ただいま委員指摘のように、人から人へ感染し世界的大流行となる新型インフルエンザの発生については、諸外国においても国家の危機管理としてとらえられており、疾患が重症化することも想定し、国家の危機管理としての体制整備を進めていくことが重要であると、このように考えております。  そこで、新型インフルエンザ対策については、全省が一体となって迅速な対応が取れるよう、内閣のリーダーシップを発揮すべく、関係省庁による対策会議及び関係閣僚による会合を開催をしております。この対策会議において政府の行動計画を策定し、そしてその上で関係閣僚による会合において行動計画に基づき政府一丸となって万全の備えと対策を講じていくことを確認をしたところであります。  引き続き、関係省庁が連携し一丸となって取り組んでまいりたいと、このように思います。  この問題については、先生御指摘のとおり、いわゆる公衆衛生という問題ではなく、多岐にわたる影響があり、諸外国においても、今先生が御指摘になったような、そういう大変危機管理的な対応を取っているわけでありますので、我々も、内閣による強力なリーダーシップによる国家的危機管理対策として対応を考えていきたいと、こう考えております。
  273. 澤雄二

    ○澤雄二君 もう一言お願いをしたいかなと思うんですが、内閣による強力なリーダーシップというよりも、官邸、官房長官の強力なリーダーシップによって対策を考えていただきたいんですが、御答弁いただけるでしょうか。
  274. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 当然私も責任を持って取り組んでまいります。
  275. 澤雄二

    ○澤雄二君 九月に総理大臣が替わるということになっておりますけれども、国民も自分の生命を守ってくれる人を間違いなく支持をするだろうと思っておりますので、大臣等皆様方にはどうぞよろしくお願いをしたいと思います。  それでは、厚生労働大臣にお伺いをいたします。  厚生労働省が短い期間の間にあれだけの行動計画をまとめられたということについては敬意を表しておりますし、評価もいたします。そこでお伺いしますが、あの行動計画で想定されている被害というのは、どれぐらいの確率で日本にやってくるとお考えでございましょうか。
  276. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 先ほどお示しいただきましたように、一九一八年がスペイン風邪、一九五七年がアジア風邪、一九六八年が香港風邪、基本的には十年から四十年の周期となっておりますから、インフルエンザというものに対する認識からいえば、先ほどお話しいただいておりますとおり、来る可能性が高いだろうという認識の下で準備をしていると。しかし、正直申し上げて、いつ来るとは申し上げられない。基本的には、私どもの認識では、アジアのどこかで起こるかもしれない、さあそれがどのぐらいの速さで我々に知らされ、体制が取れるか。WHOが中心でありますけれども、こことの連携というのが一番大事であろうと。様々な問題を判断するとき、やはりWHOを中心にしながら、アジアの国々がまず協力しながらやっていくと、この体制がまず大事だろうと思っております。
  277. 澤雄二

    ○澤雄二君 この厚生労働省の行動計画はアメリカの疾病管理センター、CDCが作成したモデルによって想定をされております。このCDCモデルについて御説明いただけるでしょうか。
  278. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 澤委員の今指摘されたCDCモデルについて説明をしろということですが、CDC、アメリカ疾病管理センターということで、日本でいうところの国立感染症研究所ということになろうかと思いますが、ここで作られたCDCモデルというのは、一九六八年、昭和四十三年、澤委員が大学へ入られたころだろうと思いますけれども、その香港風邪の流行の際の状況を参考にして、重症化や死亡のリスクの高低及び年齢階級によるグループごとの人口を用いて死亡者数、入院患者数等を算出するモデルということで、このCDCモデルを推計の根拠としている国はフランス、ドイツ、カナダ、オーストラリア、こういうことでございます。
  279. 澤雄二

    ○澤雄二君 CDCモデルが基礎にしているインフルエンザの流行期というのはいつでございましょうか。
  280. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 先ほど申し上げた一九六八年ということになります。
  281. 澤雄二

    ○澤雄二君 一九六八年にはやりましたインフルエンザは香港風邪でございます。そして、このCDCモデルはその後のインフルエンザの流行の度合いというものを加味されて作られています。しかし、香港風邪もその後のインフルエンザもどちらも弱毒性のインフルエンザでございます。  それで、更にお聞きをいたしますが、CDCのモデルでは感染率を一五%から四〇%と幅を持たして提案をしておりますけれども、日本は二五%を採用されました。この二五%を採用された理由について、厚生労働大臣、お願いできますでしょうか。
  282. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) これは平成五年、一九九三年、ベルリンで開催された第七回ヨーロッパ・インフルエンザ会議で、国民の二五%が罹患、発病すると仮定して行動計画策定するよう勧告が出されていることなどから、我が国においても二五%と想定をいたしました。これを基に、CDCモデルを用いて我が国の人口、罹患率二五%を当てはめた結果、医療機関を受診する患者数は千三百万人から約二千五百万人と推計され、この推計の上限値二千五百万人を想定する罹患者数として、すべての行動計画を設定をいたしました。
  283. 澤雄二

    ○澤雄二君 それでは、アメリカとカナダ、オーストラリアは、行動計画で感染率を最悪の場合何%と想定をしていますか。
  284. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) お尋ねの各国の行動計画の中で想定されている最大の罹患率は、アメリカにつきましては三〇%、カナダについては三五%、オーストラリアについては二五%とされております。
  285. 澤雄二

    ○澤雄二君 今、副大臣から御答弁をいただいたとおりでございます。(資料提示)日本が二五%、アメリカが三〇%、カナダ三五%、オーストラリア二五%でございます。  ボードを変えていただけますでしょうか。  通常、感染率というのは人口密度が高くなれば感染率が上がります。そこで、アメリカ、カナダ、オーストラリアの人口密度を見てみます。人口密度の、アメリカ、カナダ、オーストラリアは日本の人口率、日本はこれらの国の十倍から百倍でございます。これらの国が日本よりも感染率を高くして見ているのに、日本が二五%ということについて御説明いただけますでしょうか。
  286. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 各国のモデルが委員の御指摘とまた逆になるわけですね。そこにイギリスの例えば人口密度、フランスの人口密度ということを並べていただくと、逆に日本と近い人口密度になると。そういう意味では、ヨーロッパが大体二五%、我が国も二五%。アメリカが何ゆえに高い可能性を秘めたか、私どもよく分かりませんけれども、基本的にはヨーロッパと同様な考え方で私どもは進んでいいんだろうと、このように思っております。
  287. 澤雄二

    ○澤雄二君 それでは、一九一八年、これまで人類が遭遇した中で最悪のスペイン風邪がはやった年でありますが、このとき日本の罹患率は何%だったでしょうか。
  288. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 当時の関係資料によりますと、日本、我が国では約二千三百八十万人の患者と約三十八万人の死亡者が報告されておりまして、当時の人口から算出した罹患率は約四三%であります。
  289. 澤雄二

    ○澤雄二君 当時の日本の人口は五千五百万でございます。今は一億三千万です。当時の弱毒性のスペイン風邪で罹患率四三%であります。罹患率というのは感染率よりも厳しい数字でございます。したがいまして、その当時よりも電車その他のラッシュ、スピードはとてつもなく速くなっておりますし、人が集まる地域も大変多くなっております。さらに、国立感染、それはないですね、国立感染衛生研究所、国立感染症研究所と東大の生産技術研の共同チームによりますと、満員電車に乗って通勤通学をすると、いろんな前提がありますが、最大で六六・四%まで感染率が上がるというシミュレーションが報告をされています。  もうこうなると決定的な被害を国民は受けるわけでございますが、厚生労働大臣に伺いますが、あの行動計画は大変評価をいたします。いたしますが、これから出てくる新しい知見、情報、試算のモデル、そういうものによって常にあの行動計画の前提というのは変えていく必要があるんではないかと思っていますが、その点についてどうでございましょうか。
  290. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 危機管理というのは、一つのマニュアルを決めて、それをきちっと実行していく、それを下部段階まで徹底をするというのが一つであろうと。もう一つは、戦いでありますから、柔軟に対応しなければならないだろうと。  今はタミフルという薬が効くだろうと言われております。しかし、現実、我が国でも他の薬の備蓄も始めてます。また、医療機関とも、他の有効な手段がないかと。これは正に医学が発達しているアメリカとか日本とかヨーロッパが、この鳥インフルエンザの正にH5N1が人間に感染する段階、人から人へうつった段階でどうなっていくかといろいろ考えながらやっていかなきゃならぬと。そういう意味では、もう既に、違う薬をためてみたり、またワクチンというものに対して、多分昨年の十月とは今年やった手段は違うと思います、もう既に卵の備蓄を始めましたので。  そういう意味では、委員の御指摘のとおり、柔軟性を持ちながらやっていきたいと。これは、私どもトップに立つ者は硬直した頭を持ってはいかぬと、このように思っております。
  291. 澤雄二

    ○澤雄二君 それでは、具体的な対応策についてお伺いをいたします。厚生労働大臣、恐縮でございますが。  被害者を少なくする最大の目的は、感染率を少なくすることが最大の効果を呼びます。そうした意味で、アメリカ、ヨーロッパではそれぞれこんな分厚い行動計画を、まあ厚生労働省に代わるところ、国立感染症研究所に代わるところが出しております。(資料提示)すべてそうであります。これは国の段階ですから、これが州やコミュニティーに行きますとこんな分厚くなってまいります、具体的な対応策。  で、これを日本と比べると、決定的に違いが一つだけあります、感染率を減らすための方法として。それは、各国が、被害が、被害といいますか、症状が軽い感染者は病院に行くなと指示をしています。つまり、病院に行くことによってアクセスその他でもってほかの人にうつすからであります。ところが、日本の行動計画にはこのことは一切ありません。各国の行動計画の中には、行くなと。その理由は、人にうつす。できるだけ感染率を減らしたいためにあなたは病院に行かないようにしなさいということを指示をしております。で、日本の行動計画にはありません。  こういうことを今後考えられる可能性はございませんでしょうか。
  292. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) もちろん、御指摘の中で、こうした状況になれば学校を休校にする、集会を禁止する、まあ様々な手を最終段階は打っていくことになるだろうと。  一方で、国民の意識の問題なんですよね。それはもう、何かあったらすぐお医者さん、今小児救急の問題が一番言われていますとおり、電話で相談する前にもう先へぱっともう走ってしまうと、こういう国民意識がございますので、来るなという徹底ができるかというのは、なかなか正直言って今段階は難しいだろうと思っています。  しかし、言われますとおり、本当は大丈夫な人はなるべく家にいてくださいと、これらの風邪が収まるまで余り外へ出ないでくださいよという指示の方がある意味では正しいかもしれないと。その辺は、先ほど申し上げたように柔軟に各国の動きも見ながら考えていきたいと思います。
  293. 澤雄二

    ○澤雄二君 今、大臣の御答弁にあったとおりでございます。非常にこれを徹底することは判断として難しいところがあるだろうというふうには思います。思いますが、アメリカなんかの場合には、最低十日間の水と食料の備蓄をそのために用意するようにということを指示しております。栄養のバランスを考えて、具体的な缶詰の中身まで行動計画の中で指示をしております。    〔理事市川一朗君退席、委員長着席〕  それから、これは行動計画には、欧米では出ていませんが、もう一つ側面的な効果がございます。つまり、重症でない患者は病院に行くなということを指示することは、パンデミックになったときにだれが病気になるか分からないわけですから、基本的には全国民が備蓄をするということであります。全国民が備蓄の用意をするということは、不要不急のときに外に出なくても全国民が済むという別の側面もありますので、是非どうか、難しい点があることはよく知っておりますが、前向きに御検討をいただきたいというふうに思います。  それでは、次の質問でございますが、今度は経済財政担当大臣に伺います。  感染者の数が増え続けると経済も大変な打撃を受けます。運転手がいなくなって大変だったというのはスペイン風邪のときの日本の状況でございます。  アメリカ議会の予算局は、新型インフルエンザのパンデミック、大流行が起きた場合、最も深刻なケースでは年間五%GDPを押し上げると予測をしています。世界銀行の試算では、最初の一年間に全世界で八千億ドル、九十二兆円の減少を予想しております。我が国では第一生命の総合研究所の予測では、GDP四・一%、二十兆円の減少が予想されています。  正に世界恐慌と同じように経済は大打撃を受ける可能性があるわけでございますが、今後この経済の打撃に、予想される打撃に対して検討を進められる必要があるかと思いますが、どのようにお考えでございましょうか。
  294. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 御指摘のような試算があります。二十兆円の損害だと、そういうことでございますが、まあこの試算には試算の前提がありますので、そのとおりになるかどうかは分からないとは思いますけれども、これは仮に鳥インフルエンザが流行した場合の被害の大きさというものをみんなに知らしている、警鐘を鳴らしているという意味で大変重要な試算だと私は思っております。
  295. 澤雄二

    ○澤雄二君 この対策を考えるときに大事なことは、緩やかな被害予測に対する対応ではなくて、最悪の事態に対応するということがすごく大事だと思います。そうでなければ、あのハリケーンのときのブッシュ大統領の対応と同じことになってしまいますので、最悪の事態での対応を考えていただきたいというふうにお願いをいたします。  また、経済の関連で申し上げますと、証券取引市場の対策も極めて重要と考えます。大臣、どうお考えでございましょうか。
  296. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) ある研究、これは海外の機関の研究で、金融の世界に一体どういう影響があるかということを考えたレポートがございますが、それによりますと、多数の従業員の欠勤による経済的供給サイドの崩壊、それから輸送取引決済システム及び基礎的ライフラインの崩壊、消費の落ち込みや投資の差し控え、金融的な反響は経済的な影響を増幅と、こういうことで、経済世界、あるいは金融、証券の世界にも極めて大きな影響があるということは我々理解しておりまして、それぞれの業界にはこういうことにも十分注意しながら危機管理を行っていただきたいと。また、業界でも自主的にそういうことを御相談になっていると私は思っております。
  297. 澤雄二

    ○澤雄二君 ライフラインの対策も非常に重要でありますが、その中でも電力が止まればすべての産業が止まってしまいます。それ以上に、医療機関がすべて止まってしまいます。  この電力のライフラインについても早急に対策が必要と思いますが、どうでしょうか。
  298. 小野清子

    委員長小野清子君) 与謝野大臣でしょうか。
  299. 澤雄二

    ○澤雄二君 いや、松副大臣
  300. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) お答え申し上げます。  電気事業者は、例えば猛暑などによります需要の増大、これなどの事態が発生した場合であっても、電力が安定的に供給されるように適切な供給予備力を確保することとなっております。ちなみに、ガスも同様に供給を確保いたしております。  しかし、仮に供給予備力だけでは対応できない想定外の事態が発生して十分な電力の供給が困難な状況となった場合には、電気事業者は事業者間の電力融通の実施、あるいは休停止中の火力発電所の立ち上げ、そして一部の工場の稼働の停止、やめてもらうということですね、これらの措置を講ずることによりまして、病院を始めとする国民生活に不可欠な施設への電力供給に支障が生じないよう最大限努力することとなっております。  当省といたしましては、仮に新型インフルエンザが発生した場合を含めまして、国民生活に不可欠な施設への電力の安定供給が図られますよう、電気事業者に対しまして適切な指導や助言、あるいは情報の提供など、必要な措置を講じてまいる所存でございます。
  301. 澤雄二

    ○澤雄二君 電力供給のシステムについてはよく分かりました。ただし、大感染をいたしますと電力供給に携わる人員がいなくなるという意味でございます。その対応をよく検討していただきたいというふうに思います。  国家公安委員長と総務大臣にお尋ねをいたします。  同じように、感染が広がりますと、警察官、消防士の数も足りなくなります。町の治安をどうやって守るのか、消火活動をどうするのか、救急活動をどうするのか、これを検討する必要があると思いますが、お考えをお聞かせください。
  302. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 私の方から消防につきまして。  まあ本当にインフルエンザが、新型のインフルエンザが流行したような場合には、消防職員、最前線に出ていろいろもう活躍をしていただかなきゃいけない、その方々の感染予防対策は極めて重要でございます。  これは、考えてみれば新型インフルエンザだけではございませんで、いろんな災害時において職員自身が大量に被災した場合には、これは消防本部、大変なことでありますので、その本部ごとにそれぞれ対策を講じてこれまでもまいりました。  一般的な考え方としては、現場要員以外の職員の消防隊員への配置換えを行う、さらには非番職員を招集して補充する、さらには消防団員を非常招集する、そして都道府県内の広域応援で緊急消防援助隊の出場などなど、これはいろんなことを組み合わせてやる。で、必要な消防力の確保を図っていると承知をしております。  いずれにしましても、今日御議論いただいていますように、この新型インフルエンザという新しい事態、これは本当に重大な問題でございますから、総務省消防庁としても、十分にその対応について、御指摘の点を踏まえて検討、研究をしてまいりたいと思っております。
  303. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) 新型インフルエンザが発生、流行した場合におきましては、国民の生命、身体、財産を守り、公共の安全と秩序の維持を図ることを責務としております警察といたしましても、現場体制の確保をしっかりと守り、そして執行力の低下をしないように日ごろから十分の対策を立てていかなければならないということで、いろいろ対策を講じております。  その一つは、やはりこの新型インフルエンザがどういうものかということを周知させることが必要でございますので、都道府県警察に対し、その危険性や症状を十分理解するように周知の徹底を図っております。また、抗インフルエンザ薬の確保については、実は厚生労働省にもいろいろお願いしているところでもございます。また、都道府県警察では、いわゆる防護マスクなど装備資器材の整備に努めておるほか、衛生担当部局と連携を取りまして職員の感染防止対策も推進いたしておりますし、万が一職員が感染した場合は、職場内での感染拡大の防止対策を、隔離などすることでやるようにいたしております。  いずれにしろ、どのような状況下にあっても、国民の安全を守る警察といたしましては、十分な現場執行力の確保を図る体制を整えております。  私、いろいろ考えるんですが、確かに、こういうもののほかに我が国で一番脅威だった過去のものが何か、それにどう対応したかというのも大変参考になるんじゃないかと思います。我が国というか世界ですけど、それはコレラとペストだと思います。コレラは非常な猛威を振るってきて、日本でも江戸だけでも十万人を何度も死んだりしていますし、ペストにおいては欧州の人口の四分の一が死ぬというようなすごいものだったんですが、昭和三十年後、それがぴたりと減少してきたんだけど、これをそういうことにした私は偉大な人が二人いたと思います。  一人は北里柴三郎博士で、コッホの下に血清学を学び、そしてペストについても、明治の二十七年、香港で大発生したときは、自ら、自分が六人と一緒、まあ助手も連れていき、三人がかかって一人が死ぬ、そういう中で対策を立ててくれた人だと思いますし、もう一人はそれを後押しした後藤新平だというふうに思います。何といっても、ペストとコレラを減らすためにはやはり公衆衛生が非常に必要です。昭和、二十七、八年といえば日清戦争、日露戦争ですから、お金が要る要るということですけれども、後藤新平は、このままほうっておけば日本の国力がなくなってしまうと、やっぱり健康を守ることこそ国力の源泉ではないかということで、そういう公衆衛生などにもやってくださったわけで、やっぱりこれから、先生おっしゃるように、この問題は国民の認識、その中でもやっぱりリーダーシップを取って常にそのことを訴えていく、そういうことが是非必要だと。備えあれば憂いなしだというふうに思っております。
  304. 澤雄二

    ○澤雄二君 ありがとうございました。  防衛庁長官にお伺いをいたします。  鳥インフルエンザのときに、鳥の死骸の処理のために災害出動されましたですね。
  305. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) おっしゃるとおり、これは都道府県の要請、知事さんの要請によりまして、京都、そしてまた茨城県で出動いたしまして、鳥インフルエンザにかかった鶏の処分に従事をいたしました。  その際には、マスクとか様々な用具を身に付けたり、あるいはその前に健康診断をしたり、場合によっては抗インフルエンザウイルス薬を飲んだり、そういうことを体制を整えながら処理をさせていただきました。
  306. 澤雄二

    ○澤雄二君 この問題でも本当に物すごいいろんな対策を考えなければいけないんですが、その中の深刻な問題で、死んだ方をどうやって埋葬するかという問題がございます。  スペイン風邪のときには、地方で火葬に付するために、上野駅にそのひつぎが山になったという記述も東京日日新聞にございます。東京都では、最悪の場合には都の公園に穴を掘ってそこに仮埋葬するということも行動計画に示しています。しかし、そんな穴を掘る人なんかいないわけです。  したがいまして、先ほどの治安、消防を含めて、あらゆる形で自衛隊に出動要請が自治体から来ることが考えられると思うんです。どういうふうにお考えでしょうか。
  307. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) もちろん、そういう日本にとって非常事態のような状況になれば、国を挙げて対応していくことになるだろうというふうに思っております。当然、手続的には都道府県の要請による災害派遣の要領で対応していくことになりますけれども、むしろ、そういうことではなくて、しっかりとそういう政府を挙げた対策の中できっちりと国民の安心、安全のために仕事をしていくことが我々の役目であるというふうに思っております。
  308. 澤雄二

    ○澤雄二君 文科大臣にお尋ねをいたします。  先ほど言いました国立感染研究所の情報センターの試算でございます。(資料提示)それによりますと、一%の欠勤率で学校閉鎖、学級閉鎖をした場合には四九%、それから二五%で欠勤、閉鎖した場合には五三・一で、そこから以上だともう学校閉鎖しても意味がないという数字がございます。これについてどうお考えでございましょうか。
  309. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 残りの質問時間もございますので、関係の部分も踏まえて説明をさせていただきたいと存じます。  まずもって、文部科学省は、子供の安全を守りますと同時に、この研究についても担当しているわけでございまして、新興・再興感染症研究拠点形成プログラムを十七年、平成十七年から二十一年の予算を取りまして毎年推進をしているわけですが、ここで得られました知見を現場及び関係省庁に提供することによりまして迅速な対応ができるように備えてまいりたいと存じますが、学校の対策に関しましても、ただいま御指摘がございましたように、その感染率とそれから学校閉鎖との関係及び学校の欠席率と学級閉鎖等、学校閉鎖等の関連ということを考えますと、これは今までの知見で対応しますととんでもないことになるというふうに思いますので、まずもって私どもとしては、その閉鎖のガイドラインを整備する必要があると考えておりまして、このガイドラインと、それからフェーズ4、いわゆる人―人感染がWHOの基準に従って世界のどこかで確認をされたという、その発動のタイミングというものを併せて考える必要があると、このように考えました。  したがいまして、フェーズ4の発動が発表をされ、あるいは何らかの形で連絡が入り、それについて文部科学省といたしましては、私ども大臣から次官、どこに連絡が入るか分かりません。それが入った場合に、それに基づいて省内でどのような手続の順番を取るか。そして、それが各都道府県の教育委員会、そして学校現場、どのように流れるか。それをシミュレーションして、時間的経過と、それに必要な手続について事前に検証することということを指示を出しております。  したがいまして、現在の省令の改正を必要とする、学校保健法施行規則を改正をする必要があると思われますので、この文案等につきまして事前に検討を進めるということ、そしてこのフェーズ4の確認をどのような経路で厚生労働省を通じてするのかという手順も踏まえまして、それらを確認をした後にどのような省内の手続を経、そしてこの規則を改正し、その後の国内の感染等の状況を見ながら、どのようなガイドラインに従って対応するかを順次これを追いながら指示を今詰めておるところでございます。  そのような対策を講じることによりまして、学校における安全と、子供たちのですね、安全な、この維持、健康の維持と、そして感染を最小限に食い止めるための措置というものを万全を期してまいりたいと存じます。
  310. 澤雄二

    ○澤雄二君 ありがとうございます。  一%の欠勤率で学校閉鎖する決断するか、そうでないかというのは、わずか四%の差でありますが、四%の感染率で実は子供五十万人の命が救われるという決断が必要だと思います。  最後に、厚生労働大臣にお伺いをいたします。  万全の体制で臨んでおられますので、医療機関その他医師会とも話は進められていると思います。  それから、続けてお尋ねしますが、SARSのときには指定病院でも診察を断ったということがございます。これに対して何か今対策を考えておられますかということが二つ目。  で、三つ目は、医療従事者が決定的に不足することが予想されています。で、欧米の行動計画では、そのための対応として、医学生、獣医、看護師その他についても特別にそのときだけワクチン注射をする許可を与えております。こういうことも今後検討されるお考えがあるかどうか、お聞かせください。
  311. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 対策でございますけれども、基本的には縦と横であろうと。医師会等の団体に私どもからまず要請をする。一方で、各地方において全体の医療機関との連携体制をつくっていくと。一番大事だろうと思います。  実は、昨年の暮れ、知事さんがお見えになったときに、タミフルの備蓄問題に随分御心配をいただきまして、国が全部やるべきではないかというときに、私は、先ほど委員が言われたように、できるだけ近くにあった方がいいと。したがって、まず国が七百五十万きちっと備蓄しますけれども、その後については総務省の協力も得てなるべく各県が近くへ持ってほしいということでお話をいたしました。  もう一つは、実はそれよりもっと大変なのは今申し上げた話ですよと。医療の連携体制なり、学校の問題なり、公民館の話なり、全体の問題がもっと大きな課題ですから是非よろしくお願いしたいと。まあそういう意味では、私どもの考え方と各地域の知事さん、市長さん、トップに立たれる人たちが同じレベルに早くならなきゃならないなと、こういうふうに思っております。  今日御質問いただいたことも一つの契機にしながら、しっかり各地域にもお願いをしてまいりたいと思います。  それから、SARSについては、あのとき急に来ましたんで、どこの病院でその患者を受け付けるんだということで、実は都道府県で選んでしまいました。そうすると、他の病院に行った人が、いや、ここで受けられなかったというような対応があったように思います。今回は全医療機関が、今お話しのように、ちょっとやそっとの話じゃありませんからね、すべてでやれるようにしますのでそんなことは起きないだろうと思っております。  それから、最後の話はなかなか難しい話で、そういう問題も含めて検討していきたいと思います。
  312. 澤雄二

    ○澤雄二君 これで質問を終わります。どうもありがとうございました。  SARSのときは指定病院でさえ診察拒否をしたということがございますので、綿密な計画でよろしくお願いをいたします。  質問を終わります。どうもありがとうございました。
  313. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で澤雄二君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  314. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、仁比聡平君の質疑を行います。仁比聡平君。
  315. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党仁比聡平でございます。  一昨日、札幌でも浅沼建築士による耐震偽装事件が発覚し、衝撃を広げています。現在までに明らかになった状況と今後の対応方針についてまずお伺いをいたします。
  316. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 札幌市からの報告では、今回の姉歯の事案を契機といたしまして札幌市内のマンションの建築主が自社物件の検証を行っておりましたところ、構造計算書に疑義が生じ、下請の構造設計者から構造計算書の偽装を行った旨の発言があったとして、去る二月六日に札幌市に対して報告がなされました。  札幌市におきましては、同一の構造設計者の関与した物件の把握、調査を踏まえて、専門組織に再計算の委託、それから事実関係等について慎重に調査を進めてまいりまして、去る三月二日に市が建築確認した五件について偽装があったものと判断したところでございます。  浅沼建築士が設計に関与した物件は、既に偽装が確認されております五物件を含め北海道内に百十二件、百十二物件あることが確認されております。この百十二物件が所在する特定行政庁でございますが、札幌市が七十九物件、そのほかの道内の特定行政庁所管区域に十三物件、北海道庁が所管する区域に二十物件でございます。  で、浅沼建築士自身が偽装を認めておりますのは百十二物件のうちの三十三物件でございまして、これらの物件はすべて札幌市内に存在しております。札幌市においては、この三十三物件の建築物の安全性の確認を最優先に調査を実施しているところでございます。残りの七十九物件につきましては、それぞれの物件が所在する特定行政庁において偽装の有無及び建築物の安全性の確認を実施しているところでございます。
  317. 仁比聡平

    仁比聡平君 政府の今後の対応方針についてはいかがですか。
  318. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 今回、北海道においてこのような偽装物件が出たということは、もう極めて遺憾なことというふうに考えております。まずは、この浅沼建築士それから元請の設計事務所等に対する事情聴取をしっかり行わしていただきたい。また、浅沼建築士が関与した、今住宅局長が答弁いたしましたが、関与した物件についても調査をしっかりとさしていただきたい。  今、札幌市並び北海道等の特定行政庁と連携を取らしていただいておりますが、しっかり連携を取らしていただいて、まずは事実関係を明らかにすること、これを努めてまいりたいと思っております。
  319. 仁比聡平

    仁比聡平君 道民、住民は、北海道でもあったという地域的広がりとともに、信頼のブランドであるはずのいずれも名の通った最大手のディベロッパーの名前がこの中で挙がっているということについて、大きな衝撃を受けています。やはり、マンション業界全体の問題なのではないかと。ここを徹底して明らかにすることなしに信頼を回復することはできないのではありませんか。  真相究明に当たられる大臣の認識をもう一度お伺いしたいと思います。
  320. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) この北海道の件におきましては、今事実関係を明らかにすべく調査をしているところでございます。いずれにしましても、この北海道の案件、事実関係を明らかにして厳正に対応をさしていただきたい。その事実関係が明らかになる中で、問題となるところについてはしっかりと指摘をし、また再発防止に向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。
  321. 仁比聡平

    仁比聡平君 根本に、コスト削減のために数をこなすという業界の実態があるのではないでしょうか。ヒューザーは、広くて安いといううたい文句で売り込んできました。九州のサムシング物件のディベロッパーは、これパンフレットですけれども、プライス以上に計り知れない価値がある、こういう売り文句です。  過当競争の中で、売上げを伸ばすということを至上目的に、工期を短縮し建築棟数を増やして事業資金の回転を速くする。徹底したコスト削減を図るためには、建築士をも住み手ではなくてディベロッパーの利益に従わせ、なりふり構わぬやり方で利益を追求する。そういう業界全体の風潮の中で、地域を問わず起こっている事態だととらえる必要があるのではないでしょうか。我が党は強く反対をしましたが、この間なされた規制緩和がその風潮を後押しいたしました。  マンションは国民にとって一生の買物です。夢のマイホームです。なのに、命と安全にかかわる耐震強度と構造計算が犠牲にされた。だからこそ、安全、安心のルールづくりが重要なのではないでしょうか。大臣にお伺いします。
  322. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 建築物にとりまして、安全が最も大切な性能でございます。経済性のみを考えて安全を犠牲にすることはあってはならないわけでございまして、当然のことながら、建築士また施工者等々は関係法規を遵守して業務を行うことが当然でございます。  また、建築基準法におきましては、建築主事等が、建築確認においてその履行義務が適切に果たされているかどうかを公権的に確認をすることとなっているわけでございますけども、今回、姉歯元建築士の件も含めまして、これは民間の機関だけではございません、特定行政庁も含めまして、この偽装があったことを見抜けなかったということが広範に広がっているわけでございまして、建築確認の在り方についても抜本的な見直しをしなきゃならないということで、先般も社会資本整備審議会の中間報告をちょうだいいたしました。この国会で緊急にやるべきことは建築基準法の改正をお願いをしたいというふうに考えているところでございます。  また、建築サイドの側、設計士、建築設計士というのは、これは国家資格を与えている人間でございます。そういう国家資格、国家試験を受かって国家資格を与えられている、そういう人間が故意で偽装をするということは、これはもう本当にこれまで想定もしていなかったわけでございますが、あってはならないことでございまして、私は、この建築士法の在り方についても抜本的な見直しは必要だし、また建築そのものに携わる方がたくさんいらっしゃいます。そういう施工者、またディベロッパー等々、こういう方々についても、建築物にとって安全が最優先、安全が最も大切な性能ということを徹底をしていくための見直しはしていかねばならないというふうに考えております。
  323. 仁比聡平

    仁比聡平君 今大臣がおっしゃられる点でも、私は、建築士の自主性、独立性ということをよく考えていただくことが大事ではないかと思っています。  というのは、今度の札幌の事件で、事実の問題として浅沼建築士本人がこう言っています。試行錯誤する間に納期が来て、途中経過のものを出した、そしたら確認を通ってしまったと言っているわけですね。コスト削減のために納期が何より最優先され、それが確認審査で通ってしまうと、ここに正に構造的な事態があるのではないかと思うんです。大臣、うなずいていらっしゃいますけれども、大手ディベロッパーの担当者は、この浅沼氏に対して、仕事ぶりが良かったと、こういうふうにおっしゃっているそうです。  一方、サムシングは、一万件を超える構造設計をしたというふうに言われていますけれども、ここの売りは、一件当たり一週間という特異な早さなんですね。ここをしっかり見るべきだと思います。大臣、いかがですか。
  324. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 委員がおっしゃっている、特に構造設計の方々でございますけれども、私は、やはり構造設計の方々のポジションといいますか、そういうものをしっかりと引き上げていくといいますか、そういうことが必要であると思います。  ただし、一方で責任も、責任の所在も明確化していく必要があると思っておるわけでございますが、そういう設計士の方々がきちんとモラルを持って、また誇りを持って仕事をしていただけるような、そうした建築士法の在り方をこれは検討していかなきゃいけないというふうに考えております。
  325. 仁比聡平

    仁比聡平君 早く安くという過当競争に住民の安全をゆだねることは私はできないはずだと思います。  次に、偽装の公表から一か月余りたちましたサムシング物件の実態把握についてお伺いしたいと思います。  これまでどのように調査をし、その到達点はどうなっていますか。
  326. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 二月八日でございますが、福岡県が、サムシング株式会社の管理建築士でございました仲盛一級建築士が現在所属しております設計事務所に立入検査を実施しましたほか、同日福岡市が、それから福岡市が二月八日と三月一日、それから国土交通省の九州地方整備局が二月九日に仲盛建築士本人に事情聴取し、事実関係の解明を進めております。  で、仲盛一級建築士の発言によりますと、サムシング株式会社は昭和五十五年から平成十四年までの間、最盛期には年間五百件から六百件の設計に関与していたということでございます。  福岡市におきましては、二月八日に偽装があったと考えられるとした三件、それから耐震安全性について疑義があるとした一件の四件を公表しまして以降、既に調査を進めておりました姉歯建築士の関連物件の二件に加えまして、福岡市において建築確認図書が保管されておりました七件の合計九件について、第三者に委託して偽装の有無等の調査を行っているところでございます。  福岡県におきましては、建築確認図書が保管されておりましたもの、そのほか合わせまして三十八件について偽装の有無等の調査を実施することとしております。現時点では、偽装について三件把握されているほか、まだ報告には至っておりません。
  327. 仁比聡平

    仁比聡平君 サムシング物件というのは約一万二千棟あるというふうに言われているわけです。そして、本人がそのうち多くの部分で差し替えをやったというふうに言ってるんですね。ところが、当初から構造計算書が確保されている、今御紹介の、合わせて四十七件ということになるのでしょうか、これについてすらですよ、公表から一か月を超えて、たって、いまだに報告ができないと。こういう事態では、一万二千棟の不安解消どうやってするのか。これ、展望どこにもないんじゃないか。大臣、いかがですか。
  328. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 委員も御承知のとおり、この福岡の件に関しては、今偽装とされているものも、緊急に安全性、安全性が緊急に問題となると、そういう物件ではないというふうに聞いておるところでございます。  ただ、今委員がおっしゃっているとおり、これは急いで調査をする必要があるわけでございまして、国の方からも福岡市、また県に対しても、できるだけ早くその専門機関での調査をするように督促をしているところでございますし、また、その他の物件についても関係団体等に照会をし、まず、このサムシングがかかわった物件について特定作業を今しているところでございます。
  329. 仁比聡平

    仁比聡平君 大臣の今の御答弁は御本意なのでしょうか。保有水平耐力が〇・五を切っていないと、しかし一は切っているという物件が一体どういう実態にあるのか。ここしっかり見て、政府が、私、責任を果たさなきゃいけないと思うんですよ。  大臣が、御存じでしょうか、福岡県の篠栗町というところに、県がようやっと調査対象に入れましたサムシング関与のエイルヴィラ、イーストサイド、ウエストサイドという二棟のマンションがあります。ここでどんな被害が起こっているか、御存じですか。
  330. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 御指摘いただきましたマンションについては、マンションの瑕疵についての損害賠償請求訴訟が起きておりまして、その瑕疵について指摘されておりますことは、水漏れ、屋根からのですね、漏水、それから床のたわみ、そういったようなマンションの基本的な部分についての瑕疵についての損害賠償の訴訟が提起されていると伺っております。
  331. 仁比聡平

    仁比聡平君 私も現地を訪ねてきましたけれども、九九年に入居を皆さんされました。その直後から、台所の天井には大きなひびが入って、天井がたわんで蛍光灯が落ちてくるわけです。あるいは、床にゴルフボールを置きますと、見る間にごろごろごろっと、こう転がっていって、部屋の中央に向かっていくわけですね。雨漏りあるいはひび割れ、こういったものに一つ一つ住民が手を打っていきます。例えばコーキングをする。だけれども、次々に被害が広がっていくわけです。それはなぜかといえば、床スラブが最大四十九ミリ沈下をしているなど、構造部分が大きくたわんでいるからなんですね。管理組合が依頼した再計算では、保有水平耐力は〇・八九しかないということが明らかになって、先ほど御紹介にあったように訴訟に至っています。理事長さんは、ここで住んでいる歴史が闘いの歴史ですと、こんなふうに言っておられました。  大臣にお伺いをしたいんですが、福岡県のマンションの二割に当たる五百十二棟、三万六千戸、十万人の管理組合がつくっています福岡県マンション管理組合連合会、ここは、安心してマンションで暮らすという生活上の基本を根本から突き崩された思いだとして、分譲マンションを対象にした構造の総点検を求めています。八一年以前のものは耐震診断、以降のものは再計算、問題が発見されれば耐震改修の支援、私はもっともな要求だと思います。  早急な調査をやるとともに、この不安にこたえて、それぞれの管理組合のニーズに応じた再計算や破壊検査を含む耐震診断、あるいは耐震改修への本格的支援に踏み出すべきだと思いますが、いかがですか。
  332. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) まず、事実関係を明らかにしていくということが大事だというふうに考えております。それをしっかりと急いでやるようにさしていただきたいというふうに考えているところでございます。  サムシングの案件については、先ほど述べましたように、今確認し、保存されているものは当然でございますけれども、そうでないものにつきましても、サムシングが委託した案件についてしっかり調査をさしていただきたいというふうに考えております。  また、先般の補正予算、成立しました補正予算でも予算を付けていただきましたが、三十億でございますけれども、この耐震診断、そして耐震改修の事業というのは元々ありまして、これを大幅に、先般の補正予算、そして今御審議いただいている予算でも大幅に予算を付けさしていただきました。この耐震診断の補助事業、耐震診断、改修の補助事業をしっかり活用して、耐震診断をまず進めさしていただきたいというふうに考えております。
  333. 仁比聡平

    仁比聡平君 特定行政庁の現場のことを考えれば、特定行政庁任せにすることは私できないと思います。住民は、万が一問題が判明したら偽装マンションとされて資産価値が急落する、だけど出口は見えないという強い不安の中にあるわけで、サムシング偽装は極めて大規模な事件である可能性が極めて高いと思います。ここをしっかり徹底して調査をし対応する、そして、札幌の偽装問題がこれまでと同様のような展開を取ることがあっては断じてならないと思います。  しっかりした対応を要求し、我が党、全力を尽くすということを申し上げて、質問を終わります。
  334. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で仁比聡平君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  335. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、近藤正道君の質疑を行います。近藤正道君。
  336. 近藤正道

    近藤正道君 社民党・護憲連合近藤正道でございます。  防衛予算の中でミサイル防衛関連の予算の伸びが極めて顕著でございます。基地再編に伴いまして、横田の米軍基地内に共同統合運用調整所、こういうものが設置されることになりました。  額賀長官は、ミサイル防衛レーダーシステムについて日米で情報を共有するため、情報共有協定、この締結を指示されております。締結されますと、日本側が配備するレーダーとアメリカが今度青森の車力に設置をいたしますXバンド・レーダーなどが連結をされることになります。これは初めてのことでございます。Xバンド・レーダー、この配置はアメリカ本土以外では日本が初めてでございます。  私としては大変な事態ではないかというふうに思っておるわけでございますが、このことを指摘をして質問に入りたいというふうに思いますが、まず、米軍が横田に設置をする、日米が横田に設置をする共同統合運用調整所、これはどういうものなんでしょうか。
  337. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えをいたします。  御指摘の共同統合運用調整所ということでございますが、昨年の十月の二十九日に開催されたいわゆる2プラス2、日米安全保障協議委員会で発表された共同文書の中で日米の司令部間の連携向上を掲げております。この点を踏まえまして、横田飛行場において、自衛隊と在日米軍の連接性、調整及び相互運用性を不断に確保するため、共同統合運用調整所を設置することといたしたわけでございます。  この中身はどういうことかというと、情報共有などを通じて自衛隊と米軍の司令部間の連携向上を図るためのものでありますけれども、この具体的なことについてはまだきちっとまとまっているわけではなくて、その構成とか機能のことについては目下調整中であるということでございます。
  338. 近藤正道

    近藤正道君 質問主意書等でもなかなかこの中身がよく分からない。このことについてはいろいろのところでマスコミも書いておりますが、端的に申し上げまして、この調整所、ミサイル防衛の運用の拠点あるいは司令部の役割を果たすんではないかと思えてならないんですが、いかがでしょうか。
  339. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これはもう御承知のとおり、我々は弾道ミサイル防衛について不断の努力をしているわけでございますけれども、特別に日米間の間において間断なく情報収集をする、あるいは情報を共有する、あるいはまた運用をしていくことによって国民の安全を確保することができる、あるいは弾道ミサイル防衛に資することができる、そういうことの目的のためにこのことを考えているということであります。
  340. 近藤正道

    近藤正道君 質問は、司令部的な機能を果たすのかどうかということでございますが、どうでしょうか。
  341. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 米国の司令部と日本の航空総隊司令がお互いに情報を交換をし、共有していくことは極めて大事なことであります。
  342. 近藤正道

    近藤正道君 司令部的な機能という点の質問についてはどうなんでしょうか。
  343. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 我が国の主権に基づいて我が国の安全保障は約束をされていくわけでございますから、我が国我が国の司令に基づいて防衛体制をしいていくということでございます。
  344. 近藤正道

    近藤正道君 米軍のXバンド・レーダー等と日本が新たに配置する四基のレーダー等が連結をされます、この運用所で。そして、共有化されて一体的運用が図られるということになるわけでございますが、これは、自衛隊のレーダー情報米軍の武力と完全に一体のものと評価される余地がこれで出てくるんではないか、米軍の武力行使につながった場合、集団的自衛権の行使に当たる、そういうふうに評価される余地がこれで大きく出てくるんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  345. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先ほども申し上げましたように、我々は日本の国の安全と国民の安全を守るために日米同盟を結んでいるわけでございまして、そのために日米間で情報の交換あるいは情報収集あるいは運用体制をしいていくことは、憲法上何の問題もありません。
  346. 近藤正道

    近藤正道君 ふだんであればそういうことも言えるかも分かりませんが、この共同運用所で情報が共有化され、そして運用が一体化をされるということになると、そういう武力行使との一体性の問題が出てくるんではないか、そういう可能性は今までに比べて大きく出てくるんではないかと、こういう質問でございます。
  347. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先ほども申し上げておりますように、我々は、弾道ミサイルを始め日本の防衛、安全保障をきちっとしていくために、日米関係で不断の情報収集をし、あるいはまた共有をし、運用体制を高めていくことは、日本の安全保障にとって不可欠のことであります。  一般的に、そういう日米間で情報の交換をしていくことが、それは武力行使の一体につながっていくとは思えません。憲法上も問題ありません。
  348. 近藤正道

    近藤正道君 日本の防衛のことを聞いているんじゃなくて、情報が共有化されることによって情報がアメリカにもたらされる、そしてその結果、それがアメリカの武力行使とつながったときに集団的自衛権の行使の問題が出てくるんではないか、それが今回の共同運用所の設置によって大きくその可能性が高まるんではないかと、こういう質問でございます。いかがでしょうか。
  349. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 我々は我々の主権、主体的に日本の防衛とこの地域の安全保障のために日米安保条約を結んでいることでございます。  一般論として申し上げれば、自衛隊がその任務を遂行するために行う情報収集活動によって得られた情報米軍等に対して提供することがあったとしても、それが結果として米軍等による武力の行使との関係で問題を生ずるということはなく、憲法上も問題がないというふうに思っております。
  350. 近藤正道

    近藤正道君 Xバンド・レーダーは、アメリカの本土防衛の側面、これもやっぱり否定できないというふうに私は思っております。そういう日米の巨大な情報の共有が、安保の極東条項の範囲を逸脱をして対岸、アジアにどんな影響をもたらすのかということを懸念するわけでございますが、このことについて外務省はどういうふうに考えておられるのかということが一つ。  それと、こういう背景の下で、最近、今月に入ってからでございますが、総理の靖国参拝について、中国の李肇星外務大臣、あるいは韓国の盧武鉉大統領が厳しく批判をされております。このことをどういうふうに受け止めるのか、あるいはどうやってこれを打開するのか。官房長官と、それと財務大臣と、そして外務大臣、それぞれ次の総裁候補でございますが、政治家としての一つの御所見をひとついただきたい、こういうふうに思います。
  351. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) ゼロ分を切ってこれだけ全部答えるのはかなり、手慣れた方としてはなかなかと思って、いかがなものかと思いましたけれども。  まず最初の話から、2プラス2の話からXバンドの話につながるんですが、まず先生御存じのとおり、このXバンド・レーダーというのは、昔でいうUHF、ウルトラ・ハイ・フリークエンシーのバンドの話ですから、いわゆるこの種の高い周波数を持ちますバンドを使いますと、高速で小さなミサイルというものの対して索敵、追尾若しくはおとり等々を見分けるのに極めて適したバンドというのがこのXバンドの一番持っておる大事なところであります。  そのバンドというものを使うというのは、これはかかって迎撃弾道ミサイル、BMDに使いますものですから、これは専守防衛の極みみたいなバンドだということだけはまず頭に入れておいていただかないと、何というかこれを使って攻撃するという話じゃありませんので、そこのところだけまずきちんと整理をしていただいた上で、いわゆる弾道ミサイル迎撃というものの可能性があるわけですから、それに対しまして、私どもは、決定的な重要な役割を果たすのがこの迎撃ミサイル、国家の安全のためにということでありますので、私どもとしては、こういったものに対してきちんとした取組を日米でやっておくというのは大事なことだと思っております。  もう一点につきましては、中国の発言につきましては、先ほどもどなたか御質問があっておりましたけれども、李肇星外交部長が七日の全人代の記者会見におきましてドイツの政府関係者の発言として言われたのが正確で、御本人が言われたわけじゃありませんので、そこのところはよく、御本人が言った話によくすり替えられる立場の経験者としては、きちんと言わぬと公平さを欠くと思いますんで、御本人が言われたわけではなくて、ドイツのある高官という名前で、その名前は正確では私ども知るところではありませんが、その方が、少なくとも我が国の指導者に対して愚かとか、また不道徳とかいうような言葉を使われるのは余り品のいい話じゃありませんので、いかがなものかということで、私どもの方から駐日王毅大使に対して、この点に関しては厳重な抗議を行っております。  それから、盧武鉉大統領の話につきましては、これは日韓両国が、これは三・一節というのは御存じのように一九一九年の話ですが、三・一節の記念に基づいて日韓両国が真実と誠意を持って過去史のわだかまりを取り除き、真の和解と協力の道に進もうとまず強調しておられるという大前提の上に立たないと、これまたその部分だけとらえられますと非常に公平さを欠くと思いますんで、戦後六十周年の中でこの演説を見ますと、いろいろ指導的な立場にある方も、そういった前提がありつつもいろんなことを言われるということだと思いますんで、私どもとしては、今後、この問題に関して、まあ憲法改正の話とかいろいろ昨日の官房長官の談話にもあっておりましたけれども、一方的な話をされましても、私どもとしては、これは内政干渉という話というように一言で尽きることになっちゃうんだとは思いますけれども、少なくとも未来志向という友好関係というものを考えますときに、やっぱり私どもとしては真摯に話合いを進めていかないかぬということなんだと思いますので、いろいろ試行錯誤が今両方の上で取り交わされているとは思いますけれども、少なくとも韓国の場合は選挙によって大統領が代わる、また選挙によって政治が動かされているという民主主義とか法治国家とか自由主義経済とかいう点に共通点を一杯持っているところだと思いますので、昨日もハンナラ党の党首の方お見えでしたけれども、話合いとしても極めて価値観を共有している分だけ話がスムーズにいっているような感じがいたしているというのは率直な実感です。
  352. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) もう既に麻生大臣から答弁しているとおりでありますが、盧武鉉大統領の今委員指摘の御発言につきましては、我が国のこの六十年の戦後の歩み、自由と民主主義、そして基本的人権を守り、世界の平和構築のために貢献をしてきた日本の姿を十分に見ておられないんではないか、そんな気がするわけでもありますし、また韓国の国民の皆さんの総意を果たして代表する発言なのかと、こんな印象を持ったような次第でございます。  そしてまた、李肇星外務大臣の発言でありますが、外交のトップにある人物として、一国の指導者に対して愚かであるとか不道徳であるとか、そういう言葉を投げ付けるということはやはりこれは品位に欠けるのではないかと、こんなように思います。  また、先ほど外務大臣がおっしゃったドイツの政府の高官にあのような引用するような言葉を発する人がいるということは私は寡聞にして存じ上げません。
  353. 近藤正道

  354. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) もう時間もなくなっておりますし、外務大臣官房長官がお答えになった後、何で私がお答えしなきゃならぬかもよく分からないんですが、もう付け加えるべきことは、お二人の答弁の上にほとんどございません。  簡単に申し上げれば、私は、官房長官がおっしゃったように、いろんな今ミサイル防衛の関係で御議論がございましたけれども、戦後の日本の六十年の歩みというものをしっかりと見ていただきたいと思っております。  それから、日中、日韓の関係は申すまでもなく大事な関係でございます。しかし、長い歴史がございますから、いろんなことがそこにあるのは私は自然のことだと思っておりますが、お互い、日中、日韓、切っても切れない大事な関係だと両方の指導者が思えば解決する道は必ずあるんだと思っております。
  355. 近藤正道

    近藤正道君 終わります。
  356. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で近藤正道君の質疑は終了いたしました。  明日は午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四分散会