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加治屋義人君 ありがとうございました。
先日行われました党首討論を聞かせていただきました。その中で教育についての
議論がありまして、モラルの低下という表現でしたけれども、心の教育の必要性を指摘がございました。私は、この党首討論はどう見てもメール問題にぎんぎんしてですね、心の教育問題は何か
国民向けに飾り付け的なものだったように思っておりまして、党首討論だっただけに残念で実はなりませんでした。今の世相を見るだけに、この問題をしっかり党首討論でやっていただきたかったと、そう思っておりました。
私は、心技体の心、知徳体の徳といった心の教育をどうするかについて、まあ戦前派の私の
考え方をその夜にですね、残念だったものですから、少し作文にさせていただきました。今日はテレビも入っておりますので、是非
国民の
皆さんにもお聞きいただいてですね、
国民の
皆さんと一緒に考えてみたいなと、そう思っておりまして、
最後に
小泉総理の所感をお伺いしたいと思っております。
昔、衣食足りて礼節を知ると教わりました。今の
日本は衣食足りても礼節知らず。このごろ、礼節という言葉さえも聞かれなくなりました。耐震偽装、ライブドア、防衛施設庁談合などの事件にも礼節の欠如を感じますが、先般、国会を空転させたメール騒ぎなどは礼節以前のしつけのレベルではないかとさえ感じました。
戦後六十年、我が国が物質的に豊かになったことは否定できない事実でありますが、反面、その間に失ったものの大きさもまた計り知れないものがあります。ある人が物で栄えて心で滅びると表現しましたけれども、全くそのとおりだと思います。あの有名な、もはや戦後ではないという言葉は、昭和三十一年、今から五十年も前のことですが、心の荒廃という面では今なお戦後と言わざるを得ません。
今、
日本は世界第二の経済大国と言われ、その豊かさを背景に国連の拠出金やODA、国際援助などで多大な国際貢献をしているにもかかわらず、常任理事国にもなれず、尊敬も感謝もされない有様では情けない限りであります。戦後六十年間、豊かさと幸せを追い求めて汗を流した
日本民族が、その
努力の結果手にしたものが豊かさの実感がない繁栄と世界のさげすみだとしたならば、ほとんど現代版イソップ物語ではないでしょうか。それでも物と金を増やせば幸せになると信じてひたすら今までの道を突き進むとすれば、幾ら食べても満腹感のない病気に国ぐるみでかかっているとしか言いようがありません。
私たちの先人たちは、足るを知るという知恵と、ほどのよさという思想をもって物や金の行き過ぎを戒めています。十六世紀の宣教師や十九世紀の外交官、通訳などが
日本人の資質について正直だ、勤勉だ、清潔だと褒め、読み書きそろばんなど教育水準の高さにも驚いております。戦後復興の目覚ましさと高度経済成長までは世界の奇跡として称賛と敬意を受けたのであります。先人である
日本人が外国から評価されたのは、物質的貧しさの中での心の豊かさでした。その背景には、儒教、仏教、神道などから、天の道、人の道といった道徳、さらには武士道といった精神文化であったと思われ、寺子屋や塾などで学問とともに習得されたのであります。
例えば、志、責任感、使命感、思いやり、感謝の心、公徳心、正直、勤勉、
努力、忍耐、奉仕といった徳目などが学習され、習得されたのです。そして、こうした精神教育の伝統は今から六十年前までしっかり続いていたのでありますが、敗戦と同時に廃棄されてしまいました。
私は、
日本が物も豊かで心も豊か、そして世界の国から尊敬される、そんな国になってほしいと願っています。どうすればいいのか。そのかぎを先人が教えてくれています。温故知新、古きをたずねなさいと。
戦後民主教育が軍国主義の源として捨てた精神文化や教育
制度は、
日本民族が一千年有余掛けて培い育てた掛け替えのない宝物であり、その価値は計り知れないものがあります。今、冷静に考えてみますと、本来、軍国主義と全く
関係のないものまで十把一からげに捨てられた節があり、むしろそんなぬれぎぬを着せられた冤罪のものが大
部分だったのではないでしょうか。
例えば、大和心のように、桜の花にさえ例えられた気高い精神が大和魂という悪名の下、否定されたこと、また軍国主義のシンボルのように言われた教育勅語でさえ大
部分は人の道を説いておりまして、一体どこがいけないのか。このようなぬれぎぬと冤罪をそのままほうっておくことは先人たちに申し訳ないことであり、この際ぬれぎぬを晴らし、古き良き
日本文化の名誉回復を図ることが必要で大事なことです。
しかも、今やらなければ永久にその機会を失うのではないか。今なら戦前教育の生き証人である高齢者の方々がまだ辛うじて御存命であり、そうした人々の証言と知恵を伺いながら、古き良き
日本を参照した教育
改革を実現することは可能だと思っております。
数ある政治課題の中で、将来の
日本はどうあるべきかという国家像と、それを構成する
日本人をどう育てるかという教育問題が最重要、最優先であると考えます。
小泉総理の構造
改革も言わば世直しであり、教育
改革はその主軸であるはずであります。
小泉内閣の手で進められている教育
基本法の
見直しの中で是非古きをたずねるという視点が生かされ、
日本国再生につながることを期待をいたしたいと思っております。
長くなりましたけれども、私の正直な気持ちでございます。
小泉総理のお考えをお聞かせください。