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2006-03-07 第164回国会 参議院 予算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月七日(火曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  三月六日     辞任         補欠選任      輿石  東君     下田 敦子君      谷  博之君     主濱  了君      山口那津男君     木庭健太郎君      渡辺 孝男君     浜田 昌良君      紙  智子君     市田 忠義君  三月七日     辞任         補欠選任      津田弥太郎君     浅尾慶一郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小野 清子君     理 事                 市川 一朗君                 木村  仁君                 小泉 顕雄君                 鶴保 庸介君                 藤井 基之君                 小林 正夫君                 辻  泰弘君                 平野 達男君                 加藤 修一君     委 員                 秋元  司君                 浅野 勝人君                 岩井 國臣君                 岩永 浩美君                 岡田 直樹君                 加治屋義人君                 片山虎之助君                 岸  宏一君                 佐藤 昭郎君                 伊達 忠一君                 谷川 秀善君                 常田 享詳君                 南野知惠子君                 山本 一太君                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 小川 敏夫君                 喜納 昌吉君                 黒岩 宇洋君                 櫻井  充君                 下田 敦子君                 主濱  了君                 内藤 正光君                 前田 武志君                 山根 隆治君                 蓮   舫君                 若林 秀樹君                 木庭健太郎君                 澤  雄二君                 浜田 昌良君                 市田 忠義君                 大門実紀史君                 福島みずほ君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        総務大臣     竹中 平蔵君        法務大臣     杉浦 正健君        外務大臣     麻生 太郎君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   小坂 憲次君        厚生労働大臣   川崎 二郎君        農林水産大臣   中川 昭一君        経済産業大臣   二階 俊博君        国土交通大臣   北側 一雄君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策))  小池百合子君        国務大臣        (内閣官房長官) 安倍 晋三君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        沓掛 哲男君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融、        経済財政政策)        )        与謝野 馨君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣規制改        革))      中馬 弘毅君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣科学技        術政策食品安        全))      松田 岩夫君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣少子化        ・男女共同参画        ))       猪口 邦子君    内閣官房長官        内閣官房長官  鈴木 政二君    副大臣        内閣府副大臣   嘉数 知賢君        内閣府副大臣   櫻田 義孝君        防衛庁長官   木村 太郎君        法務副大臣    河野 太郎君        外務大臣    金田 勝年君        財務大臣    赤羽 一嘉君        文部科学大臣  河本 三郎君        文部科学大臣  馳   浩君        厚生労働大臣  赤松 正雄君        農林水産大臣  三浦 一水君        経済産業大臣  松 あきら君        国土交通大臣  松村 龍二君        環境大臣    江田 康幸君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        後藤田正純君        内閣大臣政務        官        平井たくや君        内閣大臣政務        官        山谷えり子君        防衛庁長官政務        官        愛知 治郎君        法務大臣政務官  三ッ林隆志君        財務大臣政務官  野上浩太郎君        文部科学大臣政        務官       有村 治子君        厚生労働大臣政        務官       西川 京子君        厚生労働大臣政        務官       岡田  広君        農林水産大臣政        務官       小斉平敏文君        経済産業大臣政        務官       小林  温君        国土交通大臣政        務官       吉田 博美君        環境大臣政務官  竹下  亘君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  阪田 雅裕君    事務局側        常任委員会専門        員        村松  帝君    政府参考人        内閣府政策統括        官        榊  正剛君        防衛施設庁長官  北原 巖男君        消防庁長官    板倉 敏和君        外務省北米局長  河相 周夫君        厚生労働省医政        局長       松谷有希雄君        厚生労働省健康        局長       中島 正治君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       松本 義幸君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        林野庁長官    川村秀三郎君        中小企業庁長官  望月 晴文君    参考人        日本放送協会会        長        橋本 元一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成十八年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十八年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十八年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十八年度総予算案審査のため、本日の委員会日本放送協会会長橋本元一君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小野清子

    委員長小野清子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 小野清子

    委員長小野清子君) 平成十八年度一般会計予算平成十八年度特別会計予算平成十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、昨日に引き続き、質疑を行います。片山虎之助君。
  5. 片山虎之助

    片山虎之助君 それでは、昨日に引き続き、質問をやらしていただきます。  三位一体について、一、二点残ったことについて確認をさしていただきたいんですが、昨日の総理答弁にもありましたように、三位一体というのは、地方自主性自立性を強化するために税源を、地方税源を増やすと、そのために国から地方税源を移譲すると、これが一つ。それから、往々にして地方に対するコントロールの道具になっております国の補助金負担金で不要不急なものはやめる、あるいは直す。それから最後に、税を移すんですが、交付税ウエートを下げると。まあこういうことなんですね。  それじゃ、何で税源を移譲するんだって。仕事は、今、地方が大体六〇から六五やっている、国が三五から四〇やっている。ところが、税の配分は御承知のように国が六〇で地方が四〇で、せめてそれを五〇対五〇にしたいというのが私の平成十四年度の経済財政諮問会議における三位一体改革の提案なんですね。  それで、そこで私は五・五兆円の税源移譲というのを言いました。内訳は、三兆円が所得税から地方住民税国税所得税から地方住民税、二兆五千億が消費税配分の比率を変えようと。今、消費税は五%ですけれども、国が四%を取って、地方が一%を取っているんですね。それを地方消費税といいます。消費税の一%というのは大体グロスで二兆五千億ですから、ネットで二兆二千億。こういうことですから、所得税から住民税に三兆円、今四対一の消費税配分を三対二にすれば二兆五千億、それで五兆五千億。五兆五千億が行きますとまあまあ五対五に近くなるんですよ。五対五になりませんけどね、恐らく五二対四八ぐらいになるんでしょうけれども。そういうことで、その三兆円の方は今回の三位一体でできたんですね。  だから、残りの仮に二期計画安倍官房長官が言うように十九年度から始めるとすれば、次の私は税源移譲はこの消費税配分だと思うんですね。ただしかし、消費税は今五%で、今、国と地方割合を変えるというわけにいきません、国の財政から見ると。そうなると、いずれにせよ、国民皆さんの理解と納得を得て消費税を上げるときにその消費税配分地方にまあ少しウエートを置くとか、こういうことに私はなると思う。  平成九年に三パーを五パーにしたんですよ、消費税を三パーを五パーに。その際に、二パーの上げたうちの一パーを国が取り、これは福祉に充てるということ。残りの一パーは、地方福祉に充てるということと、地方財源強化のために充てたんですよ。だから、二パー上げたのを一対一で分けたんですね。  だから、いずれにせよ、いずれかの時期に、何度も言いますけれども、消費税引上げということになると、それを国と地方がどう分けるかということが私は次の税源移譲じゃないかと。その間、国の補助金負担金については、なお国と地方で論議を詰めて、不要不急なものを直す必要があるものは私は直せばいいと思う。それに伴う税源移譲はまた別個考えるとしましても、基本はここだと思うんですよ。  ただ、その際に、私は、国と地方役割分担事務事業配分のもう一度見直しをやる必要があると。地方分権推進委員会平成六、七年からずっとやってもらって、それが地方分権一括推進法になって平成十二年から始まったんですけれども、もう一度、次の税源移譲に合わせて、もう一遍国と地方役割分担、今後のあるべき関係というのを見直す必要があると私は思いますが、総理、いかがでしょうか。
  6. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今補助金税源交付税改革がなされて、これからこの成果というものがどう現れるかというのには多少時間が掛かると思いますね。果たして今の補助金削減、この程度でいいのかどうか、もっとどこの分野ができるのか。税源も三兆円でありますが、五兆円要求されている場合に、消費税を回せという場合に、じゃ消費税をいつから上げるのかと。今の所得税法人税等からも一定割合地方交付税に回っているわけです。その割合をどうするかという問題も出てきます。そういうもう一段の地方への裁量権を拡大していこうという場合に、当然国の役割地方役割見直していかなきゃならない。  今道州制の議論が出ております。今回、自治体の数が約三千から千八百程度に減ったということで、市町村合併が行われていますが、その市町村合併地方議員が一万六千人程度減っていますね。これはもう大改革といいますか、よくここまで議員を減らしたなと。今後、道州制という話が出てきまして、道州制とこの地方分権、国の役割地方役割を見直すという点については重なる部分と、それから道州制と今の市町村合併とは違うと、両面あります。  私は、道州制という答申をいただきましたけども、これまだ理解するには相当時間が掛かるんじゃないかと。道州制をやるんだったらば、まず北海道、具体的に分かりやすいと。北海道、道州制というのは、こういうものを見せてからならば、ああ道州制とはこういうものかということでほかの県の合併なりができるんじゃないかということもありますので、今の段階では、まずは今回の三位一体の約四兆円の補助金削減、三兆円の税源移譲で、地方交付税、これは五兆円の改革という、この成果一定期間見た上で判断すべき課題ではないかなと思っております。  その間、様々な御意見片山議員御指摘のような意見が出てくるでしょうし、道州制との関連も出てくると思いますので、しばらくは時間が掛かるんじゃないかと。一挙にこの成果を見ないうちにすぐ次へというのには早過ぎるのではないかなと思っております。
  7. 片山虎之助

    片山虎之助君 消費税引上げというのはそう簡単にいきませんわね。だから、時間があるんです、総理、十分。だからその間に、今言ったように、国と地方役割分担見直しながら次の仮に税源移譲すると、どういう仕掛けでやっていくかと。仮に道州制ができると中央省庁も大幅に改革せにゃいけません。これはもう大改革、国と地方の。ただ、これは五年や何かの話じゃない、五年や十年、と私も思います。  それから、今、市町村合併市町村議員の減少は、総理、一万九千なんですよ。一万八千九百九十九人なんです。確認したんです。三千二百二十九あったんです、私が大臣になったときは。それが今、三月末で千八百二十一になるんです。できれば、まだ特例法があと四年間ありますから、これで千を目指すんですけれども、千まで行くか行かぬかと、こういうことには私はなかなか難しい問題もあると思いますが。  そこで、もう地方交付税は言うまいかと思ったんですが、今朝どこかの新聞を見ましたら、財政制度審議会といって財務省諮問機関地方交付税抑制を正面から取り上げると。地方交付税というのは、そういう頭から、最初から抑制するような性格のものじゃないですよね。  御承知のように、地方全部の歳出を積み上げて、歳入を一方では積み上げて、差を交付税で見るんです。積み上げるのが地方財政計画なんです。何で必要かというと、法律で決まった、あるいは法律で決まらないけれども、一定ナショナルミニマムというんでしょうかね、法定サービスはどこの地方におってもこれは国民に提供せにゃいけませんね。ところが、地方自治体税収はばらばらですから、税収が多いところと少ないところあるんで、しかし、サービスはちゃんとやらにゃいかぬと。税は少ないというところは、足りない分を交付税で補てんするんですよ。その全国の積み上げが都道府県と市町村交付税ですから、交付税は受け身で最後に決まるんですよ。だから、性格として、頭から、よし二兆円これ切ろうとか一兆円切ろうとかというものじゃないんです。それをやると大騒動になるでしょう。性格はそういうことなんです。  しかも、これは国税の形を変えた地方税って言われるように、法律で決まって地方固有財源ということになっていますよ。国会で何度も答弁してきている。だから、そこのところは、財政審のあれだけいろんな方がおられて少しも分かっていないのか、分からないように財務省が誘導しているのか、そこはあれしてください。ただですよ、ただ、財務大臣、私も地方交付税の中期の見通しを持つ必要があると思う。国も地方も見当付ける、財政運営をそれに向かって努力する、そういうことはあるんだけれども、基本的にはそういう性格ですから。  それから、交付税そのもの考え方も直さにゃいけません。難し過ぎてですよ、静態的でですよ、いろんな努力のインセンティブがない。だから、そういう問題、この際思い切って見直す必要が私はあると思う。しかし、妙にいじられると地方はひっくり返りますから。交付税に頼っている、いい悪いは別にして、地方団体、特に市町村圧倒的に多いわけですから。  その点について、今私が言ったことについて、財務大臣総務大臣、簡潔に御答弁をお願いします。
  8. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、片山先生おっしゃったこと、私は、財源調整機能というのは、これはもうなきゃならないのは当然だと思います。それから、財源保障機能というやつですが、正に今、片山先生がおっしゃったように、積み上げて地財計画を作ってその差額を補てんしていくという仕組みです。ですから、結局は地財計画がどれだけ合理的なものになっていくかということに最後は帰するんだと思いますが、私は、そこのところの見直しをきちっと進めていただいて、合理的なものにしていくと、そういう中で足らず前は国が埋めるんだというような、これは甘えのあるところもないところもあると思うんですが、できるだけそれを排していただくということではないかと思っております。
  9. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 実は、今日の夕刻、経済財政諮問会議で正にそういう話をすることになっておりますので、朝一番で大変力強い御意見をいただいて、総務大臣としては非常にうれしく思っているところでございます。  交付税議論というのは、ここでもさせていただきましたですけれども、最終、いわゆる最終支出ではございませんで、国から地方への移転的なといいますか、中間的な支出になりますので、これを減らすと、これを減らすということを目的に議論するというのは私はやっぱり誤っているというふうに思います。これは、やはり最終支出をできるだけスリム化しようと、これは国も地方努力をしてやらなきゃいけないわけであります。  ところが、今の交付税制度というのは、いろんな御批判はあるんですが、やっぱり現実に根差して、いろんな議論の積み重ねで、大変見れば見るほど良くできているという部分があるわけでございます。これは方向としては変えなければいけません。その意味で、中期的な方向を明確に示すということと、しかし、今ここにまだ、現在今日の時点でも行財政地方で行われているわけでありますから、そこに支障が生じないように、しっかりとした現実的な移行議論をする、移行のプロセスをする、それを両にらみでやはりやっていかなければいけないというふうに思っておりまして、そのための懇談会もつくり、しっかりとした議論を、総務省財務省、また経済財政諮問会議でしっかりとやっていきたいというふうに思っております。
  10. 片山虎之助

    片山虎之助君 だから、地方全体の、地方自治体歳出見直して徹底的にカットするというのか、合理化する、こういうことは必要ですね。その結果、地財計画そのもの歳出部分合理化ができる、適正化ができる、これも必要ですよ。その結果として交付税が減るんならいいんですよね。その前がなくて、交付税だけ一律にまず切るということは、これはもう発想やめていただかなきゃいかぬ、財政審にも。  それから、今、谷垣大臣、まあこれも言わないでもいいことを言うようなことになるんだけれども、いつも、財源保障機能財源調整機能を分離して、保障機能は駄目だと、調整機能はいいと。こんなもの分けれるわけがないですよ。分かりますか。Aという自治体とBという自治体に、一方はAは税収が多くてBが税収が少ないときに、交付税がAが少なくてBにたくさん行くんですよ。この多い少ないが調整機能なんですよ、多いところと少ないところあるのが。足りないものを補てんするのは、小であれ大であれ財源保障機能なんですよ。財源保障機能財政調整機能は一体なんですよ。だから、そういうことを言うことは全体を抑制せいということなんですよ。まあそれが一つは、財務省にとってみれば、そういうお考えは納得できるんですよ。できるんですけど、二つの機能を分けようと。分けれないものを分けちゃいけませんよ、それは。是非ひとつ。まあそれ以上言いません。  そこで、次の問題に入りますけれども、公務員制度につきまして、私どもは今自民党の中でそういう私担当やっておりまして、一昨年の六月に公明党さんとも一緒になって公務員制度改革考え方をまとめたんです。それに基づいて法案化をしてもらったんです。ところが、まあ去年は郵政があってちょっと待ってくれという話があったからお待ちしました。しかし、私はもう出すべきだと思うんですよ。  ただ、問題があるのは、連合公務労協附則のところの書き方について、まあクレームが付くというのか、労働基本権の中の団体交渉締結権というものをもう少し広げてくれということで、広げるように検討することはいいというんです。広げる、まあ方向でというのかな。それを附則に書いてくれと言うから、それはちょっとなかなか与党内の事情では難しいということを申し上げて。附則なんですよ。全体の仕組みや本則についてはほとんど私は異議がないと連合皆さんからも聞きました。ところが、そこだけ引っ掛かってるんですよ。これを私はずっとお蔵にしていくのはいささか問題ではないかと。  今度、総人件費カットをやる、定数を大幅に削減する。公務員のやる気や能力の発揮が、大変、これ伸び伸びとやれないようになりますよ。私は、今の風潮で問題なのは、とにかく公務員をたたけばいいと、公務員をやっつければいいと。いい公務員がいなくなったら、一番損するのは国民ですよ。いい行政の仕組みサービスがなくて困るのは国民なんですよ。  ただ、まあ公務員の方も昔と違って、まあレベルが落ちたというのか、清潔さが減ったというのか、司馬遼太郎さんによると、明治の官僚は一部を除いた痛々しいほど清潔だと書いている。日本では役人官僚というのは信用があったんですよ。まあ政治家はちょっとね、経済人はもうひとつと、しかし役人は信用できると。清潔で勤勉で能力があってと。ところが、それが大分変わってきましたね、いや本当に。それは役人の方にも反省してもらわにゃいかぬ。しかし、そういう役人をつくる仕組み環境というものも私は考えていくべきだと、たたけばいいというものじゃない。しかし、悪いところは直さにゃいかぬ、悪いところは一杯あるから。  こういうことなんで、総人件費カット定数削減も結構です。しかし同時に、その我々がまとめた法案の中身は能力実績主義なんですよ。それによって人事処遇をやると、人事配置をやると。そのためにはしっかりした評価システムをつくるということ。  それからもう一つは、退職管理ですね。天下りについては、これはきちっと内閣で一元的にチェックすると。営利法人については今人事院がやっていますよ、それを内閣府に移すと、ですよ。非営利法人、独法や特殊法人や公益法人やその他についても内閣で一元的にチェックする、事前報告を取ってチェックしていくと、こういうことをその中に書いているんです。官民の交流、あるいは国と地方の交流、中央と地方の交流、あるいは技官と事務官の交流、いろんな交流、多様な交流もその中でやろうと、出入り自由にしようと。是非私はこれは考えてもらいたいと思う。  そこで、連合公務労協に御意見があるんなら、政労交渉か何かで話をしていただいて前に進めていただきたいと思いますが、中馬大臣、どうですか。
  11. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 昨日も答弁させていただきましたが、時間がありませんでしたから簡潔に申し上げました。  今日はその議論にちょっと中心的におっしゃっていただいておりますが、今回のこの大きな改革の中の非常にベースは、やはり公務員制度改革だと思います。この公務員制度改革なくしては、これが実効あらしめられないと私も思っております。今、片山委員からお話がありましたことが、すべて私どもも合意していることでございますが、ただ、これを法案にするにつきましては、公務員制度改革、いろんな提言が入っておりますが、ただおっしゃっておりますこの労働組合との協定の問題でございますが、このところだけはもう少し詰まっておりませんので、公務員、公労協といいましょうか、公務員と労働組合との協議会を、これも私もやりました。非常に御理解を得始めております。  やはり、これはただ労使の交渉という話ではなくて、国家的には一つの大きな改革の中で、やっぱりその役割を担ってほしい、これはもう労働組合の方も非常に御理解がありまして、もちろんそうだと。そうしますと、今までのような形で労働基本権で一切の交渉権、スト権は駄目だというんじゃなくて、もう少し柔軟にしてほしいという御要望もありますし、我が党の中でもそういうことの議論が出始めております。  しかし、これは今回の法案の中で、いろんな国民の方々の御理解も得なければなりません。幅広いこうした今回の改革議論の中で国民の方々も理解をされてくるんじゃないかと思います。そこでおのずから一つのところに集約されていく、それがこの法案を通じて私はできてくるんじゃないかと思っています。そのときに、片山委員が提言されておりますこの法案も具体的に形にして、私は、できたら今国会にでもひとつ国会の方に提出したいと、このように思っているところでございます。
  12. 片山虎之助

    片山虎之助君 まあ中馬大臣ね、それだけ労働側が理解があるんなら、話合いを始めたら法案を出すという選択肢ありますよ。いや、本当に。しかし、今言ったように本体じゃないんですからね。是非そこのところは前向きに、スピードアップできるようにお願いします。  そこで、防衛施設庁の官製談合問題が出ましたが、これは簡単に言うと早期勧奨退職の問題なんですよ。今公務員は、御承知のように、特にキャリアを中心に五十三ぐらいでみんな肩をたたいて辞めてもらうわけですね。そうしますと、五十三で辞めたら、それは家のローンだってあるし、子供の教育だってあるし、御両親その他のいろんな世話だってあるし、それはどうにもなりませんよ。それはどこか第二の就職先か何かを考えてやろうというようなことになるんです。  そこで、早期勧奨退職を延ばそうということで、あれ、小泉総理のお声掛かりで、平成十五年から十九年まで五年間で三歳上げるんですよ。五年間で三歳ですよ。だから、平均五十三が五十六になるんです。五十六だってまだ早いですよ。防衛施設庁の今回問題を起こした技官の方は大体五十六のはずですよ、勧奨退職年齢は五十六。事務官は、防衛施設庁は、防衛庁もそうかもしれぬけど、五十八歳だという。だから、防衛施設庁や防衛庁の方、遅いんですよ、逆に。だから、一般は五十三、今だんだん五十四か五になってきているんだけれども。  この問題は何か考えないと。それで特にキャリアは一人が次官になったらみんな辞めるとか、一斉に上がっていくんですよね。一斉に上がっていくのが滞り出したら辞めていかない。局長クラスにみんなできませんから、何人かなったらまあ肩をたたいていくと。これはいいことなんだけれども、同時に個人にとっては大変な問題なんで、ここのところを直さないとこういう問題はまた起こると思いますね。悪いことをしているんじゃないんですよ、むしろ先輩を世話したと思っている。御本人には聞いていませんよ、聞いていませんけど、恐らく。本人が得するわけでも何でもないんで、先輩をきっちり送り込もうと。しかし、それを役所の金で役所の仕事でというところが問題ですよ。しかも、適当に配分してというところが問題なんだけれども。  だから、生涯公務員でいいと、イギリスのように。そのためには処遇も、給与その他含めて待遇も、後の処遇も考えるというような生涯公務員方式をつくる。だから、偉くなる人と専門家になる人とその他になる人と、こういろいろ分けていく、そういうことを本気で私は検討する必要があるんじゃないかと思いますが、どなたが言うんでしょうか。中馬大臣、そうしたら。
  13. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 今の御提言も、もう一部はこの一月から少し実施しようとして政府も取り組んでおりますが、これを法律の形でちゃんとしていくには、先ほど言いました公務員制度改革法律が必要だと思います。  ただ、今おっしゃったように、この役人の方々も民間準拠といいましょうか、民間的な手法でいいんじゃないかと私も思っております。これはあそこにも書いていただいております能力実績主義の人事管理、これにしていくならば、民間のように能力のある人が非常に末席の取締役でも急に社長になられたり、そしてまたある方は営業能力があるから営業部長になられたり、いろいろして、そして六十歳定年までちゃんとお勤めになる、それぞれの分野でですね。それでいいんじゃないか。  それには、これは役人の一律にずっと機械的に上がっていく、これの制度大改革ですから、これに対する抵抗なりあるいはまた評価もありましょうが、非常に大きな改革だと思います。しかし、それを何とかやり遂げてこそ、日本の国のことを、新しいまた次の時代が始まろうかと思います。
  14. 片山虎之助

    片山虎之助君 参議院は、この国会でODA特別委員会というのをつくりました。それは参議院改革というのをずっといろいろ議論してきておりまして、特に決算が、決算絡みでも、特にODAについて参議院としては本格的に取り組もうと、参議院の独自性をそこで発揮しようと、こういうことになったわけでありまして、ODA特別委員会店開きいたしましたんで、またひとつよろしくお願いいたしたいと思いますが。  そこで、一昨年から参議院では海外にODAの調査団を出しています、三班編成で。去年も一昨年も行ってまいりまして、例えば今年はエジプト・タンザニア班とベトナム・カンボジア班とインド班、三班派遣しまして、現地まで入っていろんなことを調査してまいりました。個別案件の無駄やむらの事例の指摘等もありますし、現地ODAのタスクフォースをつくってくれなんという提言もあるわけでありますが、この報告書を、外務大臣、お読みになっていますか。
  15. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 過日は二回にわたって参議院の方からODAの特別の海外の派遣等々が行われた折に報告書はちょうだいいたして、拝見、拝読をさせていただきました。
  16. 片山虎之助

    片山虎之助君 その読まれての御感想と、それを活用していただけるでしょうか。
  17. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 私ども、全部が全部、回り切れているところ、回り切れていないところ、査察官等々を使ってやらしていただいているとはいえ、別の視点からというのはすごく大事なことだと思いますんで、私どもとしては、いろいろな意味であっというところもございましたし、ほかに説明をせにゃいかぬところもございましたけれども、こういった別の視点から見ていただくというのは大変参考になりますし、私どもも大いに活用させていただきたいと存じます。
  18. 片山虎之助

    片山虎之助君 はい、是非よろしくお願いいたしたいと思います。  そこで、ODAについては昔からいろんなことが言われておりまして、例えば戦略性に欠けるとか、各省庁ばらばらで無駄が多いとか、顔が見えないとか、評価、チェックの仕組みが不十分であるとか、効率的でないとか、いろんなことが言われておりますが、私はもう一番問題だと思うものは、これだけ国民の税金を使って本当に国家戦略としてODAを使っているんだろうかなと。  例えば、国連の改革で、常任理事国入りですね、この間まで大騒動いたしましたが、特にかなりODAでもって援助をしている国がどういう態度を取ったかですよ、向こう三軒両隣を含めましてね。それからまた、北朝鮮の非難決議のときの態度も、これだってどういうことなのか。そういうことにリンクするのは不純だとかおかしいとかいう議論はありますよ。しかし、私は、ODAは国益のためでなきゃいかぬと、国益のためには思い切って戦略的でなきゃいかぬと。国ごとに差を付けてもいいと思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。
  19. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) ODAというのは、もう片山先生御指摘のあるまでもなく、これは日本にとりまして日本の国益を実現していくための外交手段としての最も重要な手段の一つと心得ておりますんで、私どもとしては、このODAというものは戦略性を持たせてやるべきという御指摘は全くそうだと思っております。  したがいまして、それに併せて、このたび総理大臣の下に、いろいろ御諮問も、御指摘をいろいろなところからいただいておりますんで、総理大臣直属のいわゆるODAの戦略会議みたいなものを、まあ仮称でございますけれども、そういったものをさせていただくことにして、それに併せて外務省の方も、今のままでは駄目ということで、経済協力局を解体する等々いろいろ今手続を進めようといたしております。あわせまして、戦略的なものをというお話は全く正しいんで、私どもそのように合わせていこうと思っております。  また、もらった金の話でちょっと時間をいただければ、インドに過日一月三日から行かしていただきまして、インドのニューデリーの真っただ中に地下鉄ができております。入口を、地下に入っていきます入口と改札口の前にどでかい看板が出てて、この日本・インドODAによる、できた地下鉄ですという、だれが見落としようがないような大きな広告が出てて、また入口入っていくと、またそこにも円グラフが作ってあって、これ七七、八%なのかと思いますが、これ全部日本のお金ですというのが書いてあって、だれがつくったか分からぬように見えないところに書いてある国とは全然違うというのが率直な実感なんですけれども。  そのときに、そこの総裁という人と一緒に地下鉄に乗って話を聞かしてもらったんですが、非常に面白かったって、私どもは大変感銘を受けましたのは、私は技術屋で、このODAによる地下鉄の第一回目からずっとこの工事に携わって四年になるんだが、初めて会議をやるときに、八時に来いと言われて八時に行ったら全員作業服を着て待ってたと。おまえ、今ごろ何来たんだって顔されて、次の日七時四十五分に行ったらもうみんな着替えておったと。三日目には七時半に行ったらみんな着替えていたと。我々は四年間にわたって、とにかくこのお金と同時に、日本から、働く、勤勉、若しくは日々いわゆる労働というものの価値観というものを日本人に教えてもらった。金の裏には労働という文化が付いてきたんだと。これに関してインドを代表して心から感謝をして、この地下鉄を我々はベストアンバサダーと呼んでいるんだという話を聞いて、何となくもっともっと造らにゃいかぬかなという気にさせるぐらい、させるぐらい感動させるものがあったんですけれども。  少なくとも、そこにいる従業員の話を、ほかの人にも聞いたんですが、とにかくこれだけ大きな工事をいわゆる納期前にできたという例は過去にインドは一個もないそうです。これだけができたそうです。だもんで、とにかく納期以前にできたといってインドじゃ話題になるほど、納期にできるのは当たり前じゃないかと言ったら、ばか、納期に、納期以内にできることなんかただの一度もないと言うんで、そういった話はやっぱりなかなか、ODAをやっておる、海外に出ている技術屋が一緒に文化を金と一緒にくっ付けてやっておるというのも、私らは非常に参考になったところでもありますので、タイド、アンタイド含めて、いろいろ今後とも検討させていただかねばならぬ大事な視点だと思いました。
  20. 片山虎之助

    片山虎之助君 いや、大変今いい話を聞きましたが、それで私も去年の十一月にトルコに総理が行かれる前に行きまして、イスタンブールで、あそこ海峡に海底トンネルを造っているんですよね。相当……(発言する者あり)イスタンブールのボスポラス海峡のこの下に、橋は二つ架かっておりますけれどもね。ところが、その現地の皆さんが困っているのは、文化財が出ると一つも進まないんですよ。そして、ずるずるずるずるおるだけなんですよ。いろいろ調べていますよ。ああいうやつはどこかがサポートしてやらないと、それは私らは参議院の調査団で行きましたから、向こうの国会議長さんにはいろいろ言いましたよ、あれ一院制ですけれども。言いましたら、いや、それは市の仕事だと、市が援助を受けているんだと。これもいかがかなと私は思いましたけれども、やっぱりいろんな、そういうODAに絡む、向こうで、現地でやっておる日本企業の皆さんの苦労や問題点があれば聞いてやって、少し親身にサポートしてやる必要があるんじゃないかと思いましたので、それ言います。  それから、日本はアンタイドがいいという考えがあるというんですね、向こうで聞いたら。しかし、国民の税金ですよ。私はタイドの方がずっといいと思う、いい加減な態度じゃ困るかもしれぬけれどもね。どうですか。そのアンタイドがいいだ、アンタイドの率は下げたらどうですか。どうしてもというもの以外はタイドにすると。
  21. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) アンタイド、タイドの話でございますが、少なくともこれ時代がいろいろ、長い間掛けて随分変遷をし、タイド、アンタイドは変遷してきているんですけれども、その長い歴史を見てみますと、昔はタイド、ゼロ%なんという時代も、九三年—九七年ぐらいまでずっと続いていたんですけれども、その後少しずつ少しずつ増えてきて、今一〇%ぐらいはタイドになっていると思っております。他国を見ましても、大体それぐらい、全然発表していない国もありますのでよく分かりませんけれども。国によってタイド、アンタイドの比率は違うんですけれども、フランスが約七%、ドイツが同じく六%、イギリスはゼロ。  そういった形でいろいろありますので、ただ片山先生基本的に技術の面を見ても、これは日本のこれじゃなきゃ駄目というものも一杯ございますので、そういったものは必然的にタイドにならざるを得ないというものもあります。ただ、アンタイドの方が安くできる部分もありますので、現場によって違うとは思いますけれども、タイドの必要性というのは昔に比べて、何でもかんでもアンタイドじゃなきゃ駄目という風潮は変わりつつあると思っております。
  22. 片山虎之助

    片山虎之助君 日本は大変そういう意味では透明度の高いオープンな国ですから、国によっては表と裏とまた別のやり方があったりいろんなことがあるようですよね。是非、しかし理屈が付くものはタイドにしていただいて、タイドの率を上げていただくことが私必要だと考えております。  そこで、せんだって官房長官の下のODAの検討会が方向を出されて、それでやるということなんでしょうが、閣僚会議を、新しい閣僚会議をおつくりになる、あるいは一応JICAで無償も円借款も含めてやると、元々は技術協力が主体ですけれどもね。  ところが、聞いてみますとどういうことになるのかと思うんですが、新閣僚会議はどこが事務局でどうやるのか。それから、閣僚会議で決めないと駄目ですよ。役所が決めたものを追認するだけの閣僚会議じゃ、数を減らした意味がない。だから、そこが本当に主体性を持ってそこで決めると、政治的に決めると、こういうことを貫いてもらいたいというのが一つありますよ。  それから、JICAにまとめるのはいいんだけれども、無償については、まあこれは長い経緯とノウハウがあるんでしょう、外務省でやると。事務だけをJICAでやる。あるいは、円借款については今までどおり、三省庁共管か何か知りませんが、三省庁がかかわりを持つ。効率的にやれるんでしょうかね。官房長官、どうですか。
  23. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 今回のODA改革につきましては、これはJBICの改革と併せて行ったわけでありますが、最初に片山先生が御質問になられたときの問題意識を十分に考慮しながらこれは改革を行っていこうということになったわけでありまして、かつてはODAを行っていくに際していわゆる国益とか戦略という考え方は排除すべきだという意見が主流であったわけでありますが、しかし、これはやはり国民の税金を使っている以上、国益あるいは税金を払っている納税者のこともしっかりと考えたODAにしていかなければ継続性は難しいだろうということで、まず戦略性を持つためにはしっかりと司令塔を持つ必要があると。  その司令塔にするには、今までの対外経済協力閣僚会議というのがございましたが、これはもう全部の閣僚が入って、これは委員も御存じのように極めて形式的なものであったわけであります。実質について、政治家同士がどういう戦略を持ってやっていくんだということを深く突っ込んで話し合っていって、国家戦略の下に、もちろん世界が求める共通の理想に向かっていくということもありますが、と同時に、この国家戦略をしっかりとお互いが、政治家同士が真剣に議論をする場、もちろんこれはほとんど場合によっては非公開にするということもあり得ると、こう思うわけでありますが、ここは安保会議と同じように考えていただいていいんだろうと思いますが、そこで総理にもリーダーシップを発揮をしていただいて戦略をまとめて、その戦略の上でこのODAを実施をしていくという意味においては、今回有識者の方々がまとめていただきました海外経済協力会議をしっかりとそういう機能を果たすものにしていきたいと、このように思っています。  そして、実施機関につきまして、いわゆる今まで円借はJBICが、そして技協はJICAが、無償は主に外務省が行っていたものをJICAに一本化いたしまして、シームレスにそれぞれの国について、その発展状況に応じて切れ目のない援助をしっかりとしていく、包括的な計画を立てながら行っていくことができるような実施機関にしていきたいと、こう考えております。  確かに、円借部分につきましては、従来からの経緯もあって一部財務省にもこれは見てもらうということになるわけでありますが、基本的には外務省がしっかりと主導権を持ってやっていくということにおいては、これは分かりやすいすっきりとした形になっていったと、後は運用次第でしっかりと実効あるものにしていきたいと、こう思っているわけであります。  そしてまた、参議院におかれましてはODA特別委員会をつくっていただきました。ここでしっかりとチェック機能を果たしていただける。また、二次にわたって派遣をして調査をしていただきました。そういう議会のチェックが今後しっかりと入っていくことがより実のあるものに、ODAを実のあるものにしていくということになっていくんではないかと、このように思っております。
  24. 片山虎之助

    片山虎之助君 是非、この新閣僚会議が本当の司令塔、ヘッドクオーターになっていただきますようにお願いいたしますし、本当は専門のチェック機関が私はあればいいと思いますけれども、これもまたなかなか屋上屋を架すようなことではいけませんので、参議院ではODA特別委員会ができますから、しっかりと専門のチェック機関としてのその使命感を持って役割を担わしていただきたいと、こういうふうに思っております。  そこで、四点セットでございまして、今日の新聞等を見ますと、四点セットをなかなか参議院ではやらないじゃないかと。あれは、もうメディアにはやされてやるというのもいささかあれでございますけれどもね。  まず、ライブドア事件なんですが、これは語り尽くされ、報道され尽くされ、いろんな番外のいろんなどたばたもございましたんで、もうくどくは言いませんけれども、やっぱりああいうホリエモンさんのような、マネーゲームというか、マネー至上主義というんでしょうか、自分さえ勝てばいいと、ああいう風潮に対する大きな私は警告になったなと。類似の行為のこれは抑止効果があるいはあるのかなと。もう本当にもてはやしていましたからね。  私は、予算委員会だったか何か忘れましたけれども、ニッポン放送の株を時間外取引で二十五分間に一千万株近い取引やったんですから、あれは前の日に相対で話を決めているに違いないんですよ。少なくとも精神は脱法なんですよ。ところが、当時の金融大臣は、いや、法律には違反していませんみたいなことを言っていましたよね。それはまあ、そういうどさくさ紛れで、脱法すれすれでも勝てばいい、もうければいいということは、これはもう私はやめないかぬなと。今の日本の本当に悪い風潮ですよ、それをもてはやす、勝ち組にする。そういう意味ではこの事件が大きなあれがあったなと思いますけれども。  そこで、今回、法律を金融庁の方から用意されているんですが、あの法律を出せば今度のホリエモン氏のようなことは一切防げますか。
  25. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) TOBの際の時間外取引については、既に昨年の国会で法律改正をやっております。今回の法律改正は、証券取引法を改正いたしまして、金融商品取引法ということで、いろいろな金融商品を横断的に規制をしていくという法律でございます。  私どもとしては、できるだけ穴の少ない法律を作っているわけでございますが、悪知恵を働かす人は次々に出てまいりますので、これで万全かどうかということは今申し上げられませんけれども、昨年来、党の方でも御議論をいただき、また金融庁の方でも議論をいたしまして、現時点ではベストと思われるものを国会にお出しする予定でございます。
  26. 片山虎之助

    片山虎之助君 あの事件で、最後に出るべき検察が最初に出たんですよね。聞きますと、証券監視等取引委員会ですか、あれも内偵をしていろんなことは知っておったけれど、出ると証拠隠滅その他があるんで検察と一緒にやったというようなお話ですけれども。  しかし、ああいうものが出る。私は、まず監査法人が機能してああいうものはチェックしていくと。あるいは金融庁、証券監視等取引委員会、あるいは東証ですよね、東京証券取引所、自主規制というのかチェックというのか、自らの。検察は最後なんですよ。ところが最初に検察出たんですね。ということは、途中がみんな弱いんじゃないかと思いますけど、どうですか。
  27. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 証券等取引監視委員会は非常に静かに行動をしている組織でございまして、これをやっている、あれをやっているというのはなかなか言えないわけですけれども、この件に関しましては、相当長期間にわたって違法性はないかという観点からきちんと資料を集め監視を続けてきた、それがまあ結実したわけでございまして、これは検察庁が主導権を取ったということよりは、やはり監視委員会が長年積み重ねてきた資料、材料を、その中からやっぱり犯罪として切り取れるものを検察庁と証券監視委員会が共同で見付けたということが私は正しい見方であると思っております。
  28. 片山虎之助

    片山虎之助君 その取引委員会をアメリカのSECのような独立機関にしろという議論ありますよね。しかし、私は、独立機関にしたがる人多いんだけど、アメリカは大統領制なんですよ。大統領に全部権限が集中していますから、行政委員会をつくって権限を分けるんですね。日本は議院内閣制で、十七人の大臣が、総理を除いて、みんな権力分散なんですよ。それぞれの大臣で完結しているんで、権限は。大臣の任命権や何かは別ですよ、それは別ですけれども。  だから、そういう意味で分けりゃいいというものじゃないんで、むしろ今、これから金融は複合化して、サービスも相手のいろんな役割もコングロマリット化するわけでしょう。それでこっちだけ分かれてちまちまいっちゃ駄目なんで、私は金融庁の外局がいいと思いますよ。ただ、権限をもっと強くする必要があれば強くすればいい、ある意味ではアメリカより強いのに。あるいは人が足りなければ、まあ定数カットですけれど、純減五%なんだけれども、増やせばいいと思いますけれども、どうですか。
  29. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 単純に比較をしますと、明らかにアメリカのSECより日本の監視委員会の方が権限が強い部分もあります。  ただ、アメリカのSECは何といっても大恐慌の後にできた組織でございまして、七十年ぐらいの歴史もあり、積み重ねもあって、そういう意味では監視委員会の歴史はまだ浅い。  それと同時に、片山委員御指摘のように、三百名ちょっとでやっておりまして、年間処理しなければならない案件というのは恐らく二万件を超えていると言われております。そういう意味では、権限というよりも人手不足ということが私は現在の認識としては正しいんではないかと思います。  ただし、組織の問題でございますから、こういう一連の事件が終わりましたら、どこか直すところはないのかという謙虚な気持ちで事に臨みたいと、そのように思っております。
  30. 片山虎之助

    片山虎之助君 日本という国は、問題が起こって大騒動にならないと事態が進まない、仕組みが変わらないんですよね。そういう意味では、このライブドア事件契機にその辺はしっかり整えていただきたいと、こういうふうに思っております。  そこで次に、四点セットの一つの耐震強度偽装問題ですけれども、これは分譲マンションについてはいろんな救済の仕組みをつくりましたよね。賃貸マンション、ホテルについてはどうですか。
  31. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 賃貸マンション、ホテルにつきましては、まずこれは事業者の方が建物を所有されていらっしゃいます。したがって、その事業者の方は、建築士、施工者等々についてもその事業者の方が施主として選ぶことができる、そういう立場にあるわけでございます。したがって、もちろんこの危険な賃貸マンションやホテルについて私どもは無関心であるわけじゃありませんが、しっかり関心を持っておりますが、基本はやはり事業者間でしっかりやっていただきたいと、対応していただきたいというのが基本でございます。  しかしながら、今この保有水平耐力が〇・五未満の危ない賃貸マンションやホテルというのが全部で十八棟ございます。この十八棟のうち、工事が着工済み、また予定が決まっているものが九件、半分あるわけでございますが、建て替えがいいのか改修がいいのか、その辺の技術的な判断というのはなかなか難しいものがあります。そうした技術的な支援は地方公共団体、特定行政庁としっかり連携を取って、国としてもしっかり技術的な支援はしていかにゃならない。また、どうすれば適法な建築物になるのか、その辺の手続についても明確にしていきたいというふうに考えているところでございます。
  32. 片山虎之助

    片山虎之助君 それで、分譲マンションの方は今いろいろやっていますよね、建て替えて入り直しとか。それで、一番国民から見て、安全を確保したり居住環境を安定させる必要はあるんだけれども、何でこれはそもそも施工者、施工者というか頼んだヒューザーですよね、ヒューザーみたいなところの責任を徹底的に追及しないのかと、何で一種の公金を出してこういう救済のことをやるのか。後、責任は追及するにしても、そこのところが何となく国民としては分かりにくいというのか、違和感があるというのか、すっきりしないという感じがあるんですよね。  責任追及を徹底的にやってもらわにゃいかぬと思いますけれども、これも責任が難しいわね。姉歯という人から、元請の設計士、建てた人、建てたやつと言ったらいけない、建てた人、注文したやつ、売ったやつ、それを検査がいい加減にやったかやらぬか知りませんが、その辺はどうですか、大臣
  33. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今、片山幹事長がおっしゃったように、今回のこの耐震偽装事件について、事実関係を明らかにしながら、やはり徹底した責任追及をしていく、責任の所在を明らかにしていくということが非常に大事なことだというふうに考えております。しっかりやらしていただきたいと考えております。  行政処分につきましては、既に姉歯元建築士はもちろんでございますが、元請の建築士についても、昨日も追加の処分をさしていただきましたが、免許の取消しだとか、それから業務の停止だとか、そうした厳しい処分をさしていただいております。今後とも行政処分については厳しくさしていただきたい。また、売主のヒューザーについては、先般、東京都が、これも免許取消しの処分をさしていただいております。行政処分についてはこういう形でこれからもしっかりさしていただきたい。  また、刑事の責任につきましても、姉歯元建築士は既に告発をしておりますが、刑事責任を追及しなければならない人間に対しては、これも捜査当局としっかりと連携を取りつつ、私は刑事責任についても追及をしなきゃいけないと、今は捜査当局が御努力していただいておりますが。  また、民事上の問題についても、これはやはり瑕疵担保責任といいまして、売主に一義的に買主の住居者に対する瑕疵担保責任があるわけでございまして、それが十分にされないということでこのような支援策を取っているわけでございまして、民事的にも請求すべきところについてはしっかりと請求をさしていただきたい。責任については決してあいまいにしないように取組をさしていただきたいと考えております。
  34. 片山虎之助

    片山虎之助君 それと、建築確認というのは、特定行政庁が前やったやつを、あれ平成十一年ですか、何か法律を直しまして民間もできるようにしたんですね、民間で指定した機関に。ところが、民でできることは民がいいんですよ、しかし、しっかりした民でないと、いい加減な民じゃかえって困るんでね。そこのところはどういうお考えなのかと。もう一遍全部調べ直したらどうですか、指定機関がかなりあるようですけれども。
  35. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今回の耐震偽装事件、姉歯元建築士の偽装物件に限りますと、九十七件の偽装物件がございます。そのうち、民間の指定機関が見誤ったものだけではなくて、特定行政庁、地方公共団体が見過ごしたものが四十一件あるんです、九十七件中。半分近くが特定行政庁なんですね。ということは、今回の事件というのは、民間に移行したからこういう問題が起こったということがないとは言いませんが、そうじゃなくて、そもそも民間であれ特定行政庁であれ建築確認の在り方自体にやはり大きな反省点があると、改善をしなければならないというところがあるということでございまして、その実態について今徹底して点検をさしていただいているところでございます。  そして、この建築確認行政について、やはり今国民皆さんからしますと、信頼が大きく落ちてしまっているわけでございます。この建築確認に対する信頼が取り戻せるようにしっかり徹底した見直しをさしていただきたい。  とともに、建築側の方にも私は大きな問題があると思っています。設計士が、国家資格を取った設計士がこういう偽装物件をこのように広範に出す、こういうことはもう信じられない話でございますけども、こういうことが起こってしまいました。私はやっぱり建築士のモラル等々も含めて、この建築士法も含めまして、徹底した見直しが必要である。この機会にこの建築側の問題、建築行政の問題、さらには住宅を取得するという一生に一度しかない大きな買物をされるわけでございまして、この住宅取得者の保護の問題、こうした問題について徹底した論議をし見直しをさしていただきたいと考えております。
  36. 片山虎之助

    片山虎之助君 いや、それはもう民もそうです、地方もそうなんですよ。地方にできることは地方なんですけどね、できなきゃいかぬ地方ができていないね、今の四十一件ということは。  だから、これは制度に欠陥があるのか、あるいはそれ以外なのか、しっかり検証をして是非正していただきたいと、国民に是非そういう意味での安心、安全を与えていただきたいと、こういうふうに思います。  それから次は、もう時間がだんだんなくなってまいりましたので、米国産の牛肉の問題でございまして、昨日も若干の質問がありましたが、あの報告書そのものがかなり問題だという意見がありますので、それについて質問書か反論書か知りませんが、政府はお出しになったのかなるのか、それ、基本的にあの報告書についての御所見はいかがですか、農林大臣
  37. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 二月の十七日にアメリカ側から報告書がいただきました。本体それから附属部分含めて五百ページ近い大部のものでございましたので、鋭意訳をしながら検討をしたわけでありますけれども、先週の金曜日に日本語としてきちっとしたものができて公表いたしました。  それに基づきまして、昨日の夕方、アメリカ政府に対しまして疑問点あるいは問い合わせ点、まあ約二十項目というふうに聞いておりますけれども、これはアメリカ政府に今問い合わせをしているところであります。
  38. 片山虎之助

    片山虎之助君 アメリカが売りたいんですよ。アメリカが輸出したいんですよね。その売りたい、輸出したい方がですよ、買ってくれる、輸入してくれる国の要望や基準を守らないというのは、私、話が逆じゃないかと思うんですね。  そういう意味では、今度はもう日本側がチェックして大丈夫だという施設、あるいは何ですか、そういうものしか、こういう方法であると日本が認めた方法、そういうものしか入れないということはできないんですか。
  39. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今回の事件は、日本側が要求して日米政府間で合意したルールに違反をしたということで、ルール自体の問題ではないわけでございますが、今後報告書に対する返答を待った上で、どういうふうにしていったら食の安全あるいは国民皆さんの信頼が回復できるかということで、今、片山委員の御指摘等も踏まえて、できるだけ我々としてもやるべきことをきちっとやっていきたいというふうに考えております。
  40. 片山虎之助

    片山虎之助君 それじゃ、もうだんだん時間がなくなってまいりましたんで、次は防衛施設庁の問題でございますが、防衛施設庁というのはしょっちゅう問題を起こしますよね。  長官が前、長官でおられたときも、やっぱり似たような問題が起こりましたよね。これはやっぱり構造的な問題があるのかもしれませんね。そういう意味では、もう解体したらどうですか。  今、防衛省設置というのが、省ですよ、庁から省へということがいろいろ議論されて、法案も出ていますよね。私は、この問題をしっかり片付けて国民皆さんが納得しないと、すぐ省というわけになかなかいきませんよ。いかがでしょうか。
  41. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 片山委員のおっしゃるとおりでございまして、八年前に、まあ組織は別なんだけれども、調達本部で国民的な指弾を受ける背任事件がありました。よもや施設庁でこういう事件が起こるとは思っていなかったわけでありますけれども、基本的にはそれを教訓に生かせなかったということであります。  元々、施設庁は、もう既に御承知のとおり、占領軍時代からの特別調達庁という経緯があります。したがって、人事交流も建設部に至ってはほとんどありません。垂直的に、土木部に入ったら土木部、建築に入ったら建築という形で、課長、部長、審議官というふうになっていくわけでありますから、極めて閉鎖的であったわけでありまして、そういう意味からいいまして、私は、委員のおっしゃるとおり、施設庁は解体をして、チェック体制をし、監視制度をして、防衛庁全体として新しい出発をすることが大事であるというふうに思っておりまして、そのために今洗いざらい問題点をさらけ出そうとしておるわけであります。その上で、しっかりと形を作った上で、これは長年の懸案であった防衛省、省問題についても、国会及び国民皆さん方の理解を得る努力をしたいというふうに思っております。
  42. 片山虎之助

    片山虎之助君 今、公務員全体で早期勧奨退職制度を見直すとか、あるいは退職管理制度を新しい退職管理システムにするとかということが議論されていますよね。まあ、だんだん進んでいくと思いますけれども、防衛庁独自でそういうことを特にお考えですか。一般より、全体よりも。
  43. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、委員おっしゃるように、施設庁の早期勧奨退職制度によりまして、五十六歳で、五十六・五前後で退職をしております。これは防衛庁の事務職と比べると二歳から三歳若くなっておりますので、これは早期に、総理がおっしゃるように、私どももできるだけ早く普通並みにこれを引き上げていきたいというふうに思っておりますし、それから、定年に至るまで防衛庁全体がその職に就けていくような環境づくりをしていきたいというふうに思っております。  それから、もちろん再就職については、防衛庁の幹部の皆さん方はやっぱり職にかかわりのある企業に対しては自主規制をして、五年間は就職はしないという形の環境をつくりたいというふうに思っております。
  44. 片山虎之助

    片山虎之助君 それじゃ最後に、もう時間がなくなりましたが、通信と放送の問題について若干御質問いたしたいと思いますが、今や通信も放送も国民生活に不可欠ですね。そういう意味では、大変国民皆さんの関心も強い。特に、その放送の中心でございますNHKについては特にいろんな議論が寄せられておりますし、今政府の中でも党の中でもその他でもそういう議論の場ができております。  私は、我が国の特に放送の場合には、公共放送としてのNHKと民放との二元体制というのはこれは維持すべきだと、こういうふうに思っておりますが、総理、いかがでしょうか。
  45. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 竹中大臣、後ほど答弁すると思いますが、NHKの受信料収入を元にした公共放送、それと広告収入を元にした民放、これについては両方、共存共栄といいますかね、それなりの役割があるのではないかなと思っております。  そういう中で、今NHKの受信料収入が減ってきている。あるいは、NHK、かなり多くの、ラジオにしてもテレビにしてもチャンネル持っていると。そういう中で、日本の国のことをもっと海外に発信すべきだという、海外放送の重要性ありますので、そういう点を含めて、今の体制よりも改善すべき点があるんじゃないかということで、竹中総務大臣にしかるべき改善策の方向を様々な有識者から意見を聞いて、一つのあるべき方向を出したらどうかと指示しているところであります。
  46. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) NHKの問題は、大変国民皆さん関心を持っておられると思います。公共放送、総理おっしゃいましたように、やっぱりこれは大変重要で必要だと思います。日本は公共放送と民放の二元体制でありますが、私はやはりこの二元体制を前提にして、その中でどのように改革すべきかということを議論すべきだと思います。  公共放送に関しては、世界の例を見ましても、やはりイギリスのBBCと日本のNHKというのは世界を代表する公共放送ですね。で、まあそれにふさわしいやはり役割を果たしていただかなきゃいけない。しかし、残念ながらこう国民から見て残念な事件も起こってきていると。そういう中で、ガバナンスを強化して、そして民放との役割分担、さらにはこれは通信との関係がございますから、今まではこう公共の電波で、貴重な貴重な電波で放送するということが主であったわけですが、実はIP網といいますかインターネットのインフラでも同じような映像ができるようになったと、技術的に可能になったということが重要な問題でございますので、そういう時代における新しい仕組みというのを根本的に議論する、総理の御指示を受けて今そのような作業をしております。
  47. 片山虎之助

    片山虎之助君 NHKの会長にも参考人で来てもらいましたのでね。受信料が未納が三割なんですよね。これについては大変な議論がある。民事手続で督促して徴収率を上げるということなんですけれども、効果が上がっているのかどうか。  それから、党内の一部には、例えばよその国のように放送法を直して払うことを義務付ける、法律で。契約を結ぶことを義務付けているんです、今、受信契約を。受信契約を義務付けるだけじゃなくて払うことも法律で義務付ける。あるいは、まあ強制徴収の制度を入れるなり罰則を考える。よその国はあるんです。そういうことについてのNHKのお考えを聞きたいなと。  もう時間がありませんからね。今、国際放送の話が出ましたよ。国際放送を仮に拡充する場合にお金をどうするかなんですよ。受信料でやるのか、公の補助金、政府の補助金でやるのか、有料制にするのか、広告料でやるのか、企業の寄附金なのか、いろんな選択肢がありますがね、それについての率直な御意見があればお聞かせいただきたい。
  48. 橋本元一

    参考人橋本元一君) いろいろ御指摘ございました。大変この受信料、NHK受信料の件につきましては、国民視聴者の方々始め皆様方にも大変御心配を掛けておりますが、現在の状況でございます。  支払を再開していただくお客様が増えてまいりまして、これまでの累積といいますか、これの、まあ不祥事を理由とするこの不払の積滞ですね、これがおよそ百二十八万件ございましたが、これがもう徐々に減ってきております。  そういう状況の中で、やはり大変この三割の方がまだ未払ということがございます。この大半が引っ越しによる……
  49. 片山虎之助

    片山虎之助君 簡潔に。分かったから、分かったから。
  50. 橋本元一

    参考人橋本元一君) 一時的な不払、そういうことがございます。全力投球してこの回復に当たりたいと思います。  それから、やはりこの民事の手続を導入しまして、これも含めて全力投球してまいりたいと。  国際放送につきましては、まずは三か年計画の中で英語化率一〇〇%というものを目指してこれからも尽力してまいりたいというふうに思っております。
  51. 片山虎之助

    片山虎之助君 いや、お金をどうするの。
  52. 橋本元一

    参考人橋本元一君) お金につきましては、やはり受信料というものを海外発信に対してどこまで賄っていくかということについては国民的なコンセンサスが必要だということで、いろいろ国民的御議論をいただければというふうに思っております。
  53. 片山虎之助

    片山虎之助君 あんまり答弁になってないですけど仕方がないですね、時間制ですから、質問も。  それじゃ、これで終わりますが、まあ総理、あと六か月半、是非、小泉改革の有終の美を飾っていただきたいと思いますし、我々参議院自民党、全力でバックアップいたします。  ありがとうございました。
  54. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。木村仁君。
  55. 木村仁

    木村仁君 自由民主党の木村仁でございます。  主たる質問者であります片山委員に関連する問題、中には関連しない問題もございますが、質問をさせていただきます。  しばらくぶりの登場でございますが、総理は五年間ほとんど変わることなく……(発言する者あり)まあ頑固にという声もありますが、信念を貫いて今日に至りました。誠に私は見事であると思います。  私も五年間あんまり変わりませんでした。私が変わらないと人は不勉強と言うわけでありまして、大変厳しい指弾を受けたりいたしております。その少し変わらない部分を今回の予算について御質問を申し上げますので、どうか怒らないでお聞きをいただきたいと思います。  今回の予算、小さくて効率的な政府、基礎的財政収支の黒字化、デフレの克服、こういうことを目標として、財務省の発表する今年の予算のポイントによれば、五つのことが述べられております。  八年ぶりで予算総額は八十兆円を切る、七十九・七兆円であります。  二番目に、国債発行二十九兆九千七百三十億円、五年ぶりに三十兆の大台を切る。これは小泉総理が就任直後に公約をされたことと同じであります。一度三十兆を超えたときに問題になりまして、私はそのときに三十兆を超えることは小泉総理の方針と別に違うところがないと、こういう質問をしたつもりでありましたが、新聞は私が批判をしたように報道をしておりました。私は批判をしたんじゃなくて、三十兆が数兆上下したからといって公約違反だと言う、人は言う必要はないと言ったつもりでございました。今回はまた三十兆を切ったということで、大変御同慶でございます。  四番目、一般歳出四十六・四兆円、二年連続で減額と、こういうことであります。  五番目、基礎的財政収支十一・二兆円の赤字、しかし三年連続してこれが改善されてきた、こういうことを財務省が私どもに教えてくれております。  私から見れば、これは総理財政方針が本当によく表れた予算であると思います。そして、多くの国民がこれを支持していると信じて疑いません。私も、この予算をできるだけ早く仕上げて、そして万全の体制で新年度に入っていかなければいけない、そういう努力を惜しまないつもりであります。  ただ、そういうことを前提にして、私がちょっと寂しいと思うことを申しますと、どうもこの予算財政、経済面では非常に積極的であるわけではないなという気がいたします。総理はこの予算について非常に満足しておられると思いますけれども、これくらいの満足でしょうか、それともこんな満足をしておられるかということをちょっと聞いてみたいと思います。  それから、この予算、緊縮財政と言われる、緊縮財政とか縮減予算というふうに言う方がいらっしゃいますが、そういう呼び方をしたら、総理は余り気持ちが良くないということでしょうか、まあそんなもんだということでしょうか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  56. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、今まで就任以来、予算編成責任者としてやってまいりましたけれども、別に満足しているわけじゃありません。なぜならば、これだけの赤字財政の下で四割近い国債を発行して組まざるを得ない状況ですから、満足とはほど遠い。しかし、現下の状況、経済を考えると、今取っている方法が妥当な予算ではないかと思っております。  今までのいわゆる経済理論からいいますと、あるいは財政論からいうと、現在の状況というのは理解できない状況かもしれません。というのは、不況のときには財政出動を増やして減税をすると。しかしながら、これだけデフレスパイラルと言われるような、戦後六十年間なかった、インフレが当たり前という状況からデフレになってきた状況、いわゆる不況の状況で公共事業も減らす、減税もしない、こんなことで景気が回復するわけないだろうと言われた。  しかしながら、今のような財政を考えると、これほど借金をしている中で、更に財政出動という、する余地はないと。やはり民間の活力を発揮させるよう、活性化させようということから、財政出動をできるだけ絞って、公共事業も減らし、国債の発行額もできるだけ切り詰めていこうという中で予算を編成してきたわけでありますので、今までの、ケインズ理論とかいって小泉は経済を知らないと、ケインズ理論だからこういうときにはもっと財政出動をすべきだと言っていたのが、物事には過ぎたるは及ばざるがごとしという言葉があるように、あんまりケインズ理論で財政出動をして減税をして効果がなかったんだから、結果的に今の厳しい、緊縮と言われるようでありますけれども、一見、財政の一般歳出の面においては緊縮でありますが、予算全体、一般会計を見れば四割程度国債発行しているんですから、放漫と言われても無理ないんです。これほど国債発行、借金している、して予算を組んでいる国は先進国の中にどこにもないんですから、だから、そういう点においては緊縮財政という批判は当たらないと言ってきたわけであります。  ようやく目標の不良債権処理あるいは名目・実質経済成長率、だんだん上向いてまいりました。失業率も改善してまいりました。有効求人倍率も十三年ぶりですか、〇・五から一に戻ってまいりました。景気回復の兆しが見えてきたなと。今後ますます、民間の企業なり地方なりあるいは個人がますますそれぞれの能力なり特色を発揮して、それぞれの意欲に沿った活動を展開することによって日本経済が上向きになることを期待していきたいと、またそういう環境を整備していくのが政治として極めて重要な役割だと認識しております。
  57. 木村仁

    木村仁君 私も、総理がデフレの中で不良債権処理をするのはおかしいと、そういう強い批判に耐えながらこれを断行された、そういう勇気、そして結果的にはそれが非常に良い結果に結び付いたということを高く評価したいと思います。  ただ、ちょっとこの数字を見ていて残念なのは、例えば、今実質一・九%の成長、〇・一%の物価高、それで二%の名目成長率という中で、それをどのセクションが貢献しているかというと、もちろん民間需要が中心でありまして、公的貢献というのはむしろ足を引っ張る三角のような形になっておる。これは若干その財政というものが持つ機能というものから少し寂しいなという気がいたすわけであります。  それと、やはり九州、私は熊本の選出でございますが、そういうところに住んで日々多くのそういう方々と、地元の方々と会っている者からすれば、公共事業というのがこの五年間で非常に軽視され、そして何か悪者扱いにされ、そういうことを言ったらしかられるかもしれませんが、そういう感じがあることが私は若干残念なんでございます。  で、今三つのことが国民の観念になっていると思います。一つは、日本は超財政危機の国であると。第二は、子孫にツケ回しをしてはいけない。第三に、できるだけ経費を削減して小さな政府にならなければならない。これは恐らく恵まれない地域と言われる地域に住んでいる人たちに聞いてもみんなそう言うと思います。七百九十五兆円の借金がある、これはもう目がくらむような数字でございます。  しかしながら、これらの信念に対してあえて挑戦をしている人もおられまして、まあ今年の文芸春秋三月号に論文が出ておりますが、終始一貫してそういう主張をしておられる方でありますから、その考え方等も含めながら申し上げたいと思いますが、まず、この超財政危機であるという点についての議論、何度もされたと思いますけれども、七百八十五兆円という債務は粗債務である、丸々借金であると。それに対して、日本の政府は別のポケットに四百八十兆の金融資産を持っているではないか。差引きすると三百十五兆円。で、粗債務でいえばGDPの一五〇%に当たるけれども、純債務で考えればおおむね六〇%。で、総理が就任されたころは五〇%ぐらいでした。そうしますと、それはアメリカ、イギリス、ヨーロッパ各国、それぐらいの水準であると、こういうふうなことになるわけであります。で、まだまだその七百九十五兆円の借金もほとんどすべてが、国民がこれを国債として、国債あるいは地方債として買ってくれているものであると。  でありますから、政府と国とを混同してはいけないので、日本国はどこからもほとんど借金をしていない。政府が国民からそれだけのものを借金しているのであるから、こちらに政府が債務を持ち、国民が債権を持っているという関係である。ですから、それほど悲観することはないと。どうも日本は超財政危機の国だというのは当たらないのではないか。まだ時には財政出動をして景気調整をする能力は残っていると、それだけの国債引受けの能力もあるはずだという議論でありますが、この点については総理はどのようにお考えになりますか。あるいは財務大臣、お願いします。
  58. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、木村委員がおっしゃったことは、日本は超財政危機だと、まあ財務省イデオロギーが出過ぎてるんじゃないかという御批判もあったのだと思いますが、金融資産が四百何兆あるではないかということでありますが、その金融資産、多くは年金等々の保険金をいただいたものでございまして、その対応するところには同時に年金債務というものがあるわけでございます。したがいまして、今これだけ発行している、じゃ国債を償還していくときの財源に使えるというわけではございません。また、国民が多く持っているではないかということでございますが、これだけ国、地方合わせて七百兆を超えるGDP一五〇%もの債務をしょっておりますと、金利変動などに極めて高いリスクを持っているわけでございまして、それは国民が持っているかいないかにかかわらず金利変動に対する財政の体質は極めて脆弱であるということを申し上げなければならないわけでございます。  したがいまして、今後、これだけ発行しておりますと、また安定的に引き受けるかどうか、やっぱり引き受けてくださる方の幅を広げていかなければならないという議論も出てきております。そういたしますと、個人にもうちょっと持っていただいたらどうかという議論と同時に海外にももう少し売らなければならない、まだ海外の比率は極めて低いことはおっしゃるとおりでございますが、今後国債の安定的消化のためにはそのようなことを考えていかなければならないという段階にも来ているわけでございまして、全体で、今ネットで議論すればいいというのは、必ずしもそういう今後の償還能力や金利リスクに弱いという体質を十分に表しているわけでは私はないと思っております。
  59. 木村仁

    木村仁君 第二番目に、後世にツケを回すなと、これも非常に説得力のある説明でございます。  もうだれでもが子孫にツケを回してはいけないと、こういうふうに言います。しかし、これは考え方でありまして、国債、地方債という形で借金をして仕事をするということは世代間の負担関係を調整する手続である、したがって健全なその財政、借入金を返していく力のある経済を後世に残すことができればツケ回しは少しもおかしくないんだと。  現に道路などというのは、私の地元では南九州自動車道西回り線というのを建設しておりますけれども、もう恐らく完成するまでにあと十五年、二十年。そうしますと、私はもう多分生きていないから、私は全然、全然使わない道路を私たちの税金で使っているわけであります。これは後世にツケ回しをするのが当然である、こういう考え方がありますし、また後世になるとお金は、担税力のあるところから税金を取ってそれを返す、またこれは担税力のあるところに返っていくかもしれない。  そういうことで、赤字公債はいけないけれども、建設公債ならどんどん発行しても、少なくともさっき財務大臣が言われましたような財政上の問題は別として、後世にツケを回したということにはならないのではないかと。学問的にはこの赤字公債でも同じことだと言う方もいらっしゃるようでありますけれども、我々から見ればやっぱり建設公債はツケ回しをしてもいいのかなという気持ちがします。いかがですか。
  60. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 確かに、建設国債と特例公債の差は、委員がおっしゃるように、建設公債の場合には道路であるとかあるいはいろんな公共事業の結果が残って、それが後世の世代にも、若い世代にも利益をもたらすんだからいいではないかという議論でございます。確かにそれで、委員がおっしゃるように、道路などができますと、国のバランスシート上は片っ方に債務が残りますけれども、片っ方にそういう道路とか、そういう形で資産が残ってくることは事実でございます。  しかし、私どもが考えなければならないことは、一五〇%まで国債がGDPに及んでまいりますと、先ほど申し上げましたように、いろんな変動に対して極めてリスクが多い形になってきておりまして、そのリスクは結局返せるのかねということになるわけでございます。そうしますと、確かにそういう形で資産として残っているわけではありますけれども、じゃ、そういうものを売れるかということになると、実際はなかなか売れないわけでございますね。  それからもう一つの問題は、我が国の場合は国債、そういう形でどんどん増やすのを抑えようという形で建設国債の発行も随分圧縮してまいりまして、現状は特例公債が非常に大きいという形になってきてしまっている。じゃ、建設国債をこれからどんどん増やせば、増やしていっても大丈夫かというと、ここまで大きくなってまいりますと、先ほど言ったリスクということを私どもはどうしても考えざるを得ないんではないかと。確かに後世の、次の世代にも受益は残りますけれども、そこのところは余り甘く考えるわけにはいかないんではないかと私は思っているわけでございます。
  61. 木村仁

    木村仁君 三つ目でございますが、小さな政府がいいと、私もそう思います。本当に国にしろ地方団体にしろ非常な無駄な部分があり、もっともっと効率しなければいけない部分があることは確かでございます。例えば地方公営企業のバス事業とか電車の事業、こういうものはどうして今もって公営でやられておるのか、私は理解できない。恐らく小泉総理が一番最初に手掛けられる行政改革かなと、こういうふうに思ったんでありますが、これこそ民でできることでありますから民でやってもらう。過疎バスなどという問題はもちろんあります。それは公でやってもよろしいわけでありますが、都市部の民間と競合してやっているところなどは民間に移してしまったらいいと、そういうふうに思います。そして、その意味で小さな政府になるということは非常に好ましいことで、私はそれはどんどん進めていかなければいけないと思います。  もちろん、総理の言われる小さな政府というのがいわゆる福祉国家以前の警察国家的な小さな政府ではないことは当然でありますから、そういう理解をしなければいけないと思っております。ただ、余りにも小さな政府になると、私は財政の持つ三つの機能が十分に果たせなくなるのではないか、そういうことを心配するわけであります。  一つは、これは財務省官僚がお書きになった「日本財政」という本の一番前に書いてありますから間違いないことだと思いますけども、第一は資源配分の調整、第二が所得の再配分、第三が経済の安定化と、こういうことでございます。  私も詳しいことは分かりませんが、この財政支出というのを通じて所得が再配分されると、これは恐らく非常に大きな機能ではないかと思うんです。そして、この多くの人々が格差とか言うのは、国及び地方公共団体の財政がどんどん窮迫してくるとなかなか貧乏人に、貧乏人と言ってはいけませんか、恵まれない人たちにお金が回っていくような事業ができなくなると、そういうことであると思います。それから、第三の経済の安定化、これはやっぱり、まあケインズ的な考え方かもしれませんが、やはりいざというときには財政が出動して、需要をつくり出して景気の回復を図ると、こういう機能であろうと思います。  で、日本の政府は元々決して大きくないと言われております。例えば公務員の数にしても、フランスであれば千人につき九十六人、アメリカ八十一人、英国七十三人、日本はその半分の三十五人でありまして、日本の政府は外国と比べればむしろ小さな政府であって、これ以上小さくなったらどうするんだろうかと、こういうことがあります。  もちろん、公務員の整理、そういうものはどんどんやっていかなければいけないと思いますが、この余りにも小さくなってはいけないという点についてはどういうふうにお考えでいらっしゃいましょうか。総理又は財務大臣でお答えいただきたいと思うんですが。
  62. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、木村先生のおっしゃった論点は、確かに木村先生もおっしゃいましたように、小さい国家ったって夜警国家みたいなものを私どもが考えているわけではございません。小さな国家と、確かに財政日本の政府の規模からいいますと諸外国の中でもそんなに大きい方ではない。しかし、問題の一つは、その政府の規模はそんなに大きい方ではない、比較的スリムにはなってきておりますが、負担が、負担の面においては、これはそれよりも更に小さな政府、小さな構造になっているというところが問題なのではないかと思います。  それで、それを乗り越えていくために、小泉内閣の中で簡素で効率的な政府と言っているわけでありますが、これは、先ほど繰り返しになりますが、夜警国家を目指すというわけではなくて、二つあるんだと思います。まず、国の役割として本当に国がやる必要があるのか。ないものは地方なりあるいは民間に任せようじゃないかと。そういうことで、今までと政府の役割をもう一回見直していこうじゃないかというのが一つ。もう一つは、その無駄。やっぱり長い間に、かつては有効な支出であったものが現在では有効な金の利用の仕方とは言えないというものがあるわけですから、無駄を徹底的に省いていこうと。こういう二つのことをやりながら簡素で効率的な政府をつくっていこうということでございます。  それで、その上で、じゃ社会保障や何かで徹底した小さな政府を目指すのかといえば、国民皆年金であるとか国民皆保険というようなものに対してはやっぱり国民はそれは必要だと思っておりますから、そこらは小さな政府というわけでは必ずしもないのかもしれないと、ないんだろうと。そこら辺りの合意をこれから求めていかなきゃならないと思っております。  そういう中で今の財政の現状を考えますと、さっきおっしゃった財政による所得再分配なり、あるいは地域格差の是正ということは、それは当然効率化、こういうようなことも十分考えながら予算編成の中でしていかなければならないのは当然でございますけれども、先ほど申し上げたような、今の政府の規模と、それからそれに対する負担、負担の現状ということを考えますと、そしてこれ以上公債というようなものを増やしていった場合の日本財政に対する信認ということを考えますと、めり張りを付ける中で考えなければなりませんけれども、それには相当いろんな問題点があるということも私は申し上げなければならないだろうと思っております。
  63. 木村仁

    木村仁君 大体そういう三つの点についてお話を伺いましたが、大体私は大臣の言われることが正しいと思っております。  しかしながら、なぜあえてこういうことを言うかというと、やっぱり公共事業が必要な地域、必要な人々というのが非常にいて、その人たちが今非常に苦しんでいるということを私は申し上げたいのです。  公共事業はピークの時、これは異常だったかもしれませんけれども、一般会計で十五兆円。今それが七・二兆円に十八年度にはなりました。この過程で本当に非常に多くの地方の企業が苦しみもだえ、そして倒産し、あるいは自殺者を出していったという過程があります。そういう過程を見ると、やっぱりこの財政の中にはケインジアン的な要素、それがなければいけない。いざというときには財政が出動して、そして公共事業、公共投資を立てて需要をつくり出さなければいけない。そして、今まあ日本にはなおそういう地域がたくさんあるのではないかと、そういうことを思うからであります。  あの六本木ヒルズの五十二階に行って、そしてあの夜景を見ますともう本当にびっくりして、ああ本当にもう民間に任せておけばいいなという気がいたします。しかし、地元に帰ってお城のがけの上から町を見ると、お城、熊本城でございます、来年四百年でございますから記憶をしておいていただきたいと思いますが、見ると、やっぱり行政が相当てこ入れをしなければいけないな、頑張らなければいけないなという気持ちが強いわけでございます。  そこで、御提案でございますけれども、このぎりぎりに絞り上げていく財政の中で、やはり公共投資、公営、公共事業というものを少し、ここを、地域的にでもよろしいんでありますがポイントを付けて充実していただけないか。つまり、この財政の中に小さくなっていってもビルトインされた、そういった景気調整機能があるという形が欲しいなと思うんであります。  それを、そうしたら、今この予算のどこに求めるか。もう予算は提出されております。私はそれに賛成してこれを支持するわけでありますから、手だてはないわけです。だけど、ただ一つあるのは公共事業の前倒し実施というやり方でありまして、これは随分昔に、まだ二兆、三兆円というオーダーで景気が少し動いたそういう時期にはよくやられた手法であります。今、二%の名目成長率を達成し更なる成長を遂げていこうかと、こういうちょうどその時期に、量的緩和ももう解除されるかもしれません、ここが今ターニングポイントであります。ここのところでカンフル剤的なものを地方、少なくとも地方においてどっとやってみるということは非常に効果が出やしないかな、出るのではあるまいかという感じがするのでございますが、これ、経済担当大臣、よろしいですか。
  64. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 公共事業を例えば一兆円増やせば経済に対して一兆円の効果があるということは、これは間違いないことでございます。  平成十二年に補正予算を含めて十四兆ありました公共事業の関係費は今七兆円台になっておりますから、約半分になったと。しかしながら、いろいろなことはございましたけれども、やはりその財政規律を守った、また歯を食いしばってそれに耐えた、そういう中で景気が明るさが見えてきたということはやはり大変重要な事実であると思います。  公共事業は、国民生活にとって必要なものは私はやるべきだと思いますけれども、景気対策としての公共事業、従来のように、有効需要を増やしてそれを引き金に景気回復をさせていこうという考え方は、やや今日的ではないんではないかと思っております。
  65. 木村仁

    木村仁君 今日的でないということは私もよく存じておりますし、今論ずる人は、ケインズ的な考え方で公共投資を増しても非ケインズ効果が現れてくると。つまり、かえって人が、こういう景気で景気調整をするんであればやがて増税になるだろうと、こういうことを考えてむしろ貯蓄に自分の金を回してしまう、だからかえって経済が縮小するんだという形があることも事実です。  しかし、この数年間でそういった考え方があんまり行き過ぎているんじゃないかと。本当に公共事業の実施を切望する人々にとっては、やはり公共事業が持つそういう効果というのもやっぱりしっかり財政の中にビルトインされていなければいけないと、私はそのことを申し上げたいのでございます。  この議論が、大臣、旗色が悪いということは私はよく存じております。(発言する者あり)頑張らなきゃいけないと、こういうことであります。  次に、プライマリーバランスのことについてお伺いをいたしたいと思います。  基礎的財政収支、プライマリーバランス、よく言われますが、なかなか国民一般にはお分かりいただけないのではないかと思いますので、私が説明をしてもよろしいのですが、私が説明をしてもし間違っていたら大変恥をかくことになりますので、どなたか。与謝野大臣、よろしゅうございますか。
  66. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) プライマリーバランスというのは基礎的財政収支というふうに訳されておりますけれども、これは全く借金のことを忘れて物を考えようという考え方で、その年の収入でその年の借金以外の支出が賄えるという状況を指しているわけでございます。  したがいまして、その年の収入でその年の支出、この借金の返済とか利息を除いた部分が賄えると、そういう状況にまず第一段階で到達すると。その後でやはり今度は借金の利息とか借金返しとかという話を考えるということで、プライマリーバランスというのはまず第一段階の、基礎的財政収支という言葉が果たして訳として正確かどうか、プライマリーバランスというのはむしろ第一段階として到達すべき財政の状況を私は指していると思っております。
  67. 木村仁

    木村仁君 その年の収入でローン支払を除く経費は賄っていこう、それがとんとんならばゼロ、経費の方が大きければ赤字、収入の方が大きければ黒字と、こういうことだと思いますが、裏返しに言えば、新しい借金として借りてくるお金とお返しするお金の差を出しても同じ数字になるんですか。そうですね。新しく借りる……。
  68. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) その段階に到達しますと、新しい借金は利息の分だけになるということでございます。
  69. 木村仁

    木村仁君 だんだん難しいですね。私がこう図で見ると、その年の、その月の、その年の収入で通常の仕事を賄うことができるという関係と、新しく公債を起こす総額と公債金の総額を比べても同じ数字が出てくるんじゃないですか。まあそれは結構です。  そのプライマリーバランスが国の……(発言する者あり)はい。
  70. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) そのように考えていただいて結構でございます。
  71. 木村仁

    木村仁君 安心しました。私が間違っていたのかと思って、ちょっとどぎまぎしたのでありますが、まあ、どちらで計算しても同じだということのようでありますが。  このプライマリーバランスの回復というのが当面の課題であるということであります。その当面の課題であるプライマリーバランスの回復は、要するに幾つかの要素があって、経費を削減すれば黒字に近くなっていく、収入が上がれば黒字に近くなっていくと、そういう関係にあるんだろうと思います。今、政府が努力しておられるのは、専ら経費を削減すれば黒字に近くなっていくであろうというような感じが私には見えます。で、収入の方についてはあんまり自信がないから増税論がそこから出てくると、こういうのが今の姿ではないかと思いますが、やっぱり私は基本的には税収の方を増す努力をすることによってプライマリーバランスを好転させていくと、こういう努力が必要であって、税の議論をするのはいささか早いのではないかと。  これは、税については慎重論と、それからすぐ準備しなければならないと。財務大臣は早く準備をしたいとおっしゃっておりますけれども、これは準備をなさるということで、実際にやるのはいろんな状況を見ながらお決めいただくんだと思いますから、それほど私は心配はいたしませんけれども。  やっぱりどうしても、この国民の状態を見れば、経費を削減する方だけでプライマリーバランスがどんどん良くなっていくとは到底考えられないと。ある程度やっぱりケインジアン的財政支出もしながら経済成長を果たし、どんなに借金があっても、あれはドーマーの法則というんですか、借金のコストよりもちょっと高い経済成長率を確保しておればうまく回っていくと、こういうことであると思いますので、その辺りの見込みは、これも政府の中で、一ないし二%成長は大丈夫だという方と、いや三ないし四%まで大丈夫だという方があると思いますけれども、私もどっちかといえば、うまくやれば三ないし四%、(発言する者あり)まあ高い、高ければ高いほどいいのかどうか分かりませんけれども、私は三ないし四%程度の経済成長を確保する努力国民にしっかり示しながらプライマリーバランスの向上を図っていくというのが良いのではないかと思いますが、二〇一〇年代の初頭に回復できるという自信がおありになるのですか。
  72. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 相当いろんな、いろいろなことをお願いしないとプライマリーバランス到達することは大変な作業だと思っております。  一つは、やはり歳出削減というのをやりませんと国民の理解は得られないという部分があります。今、先生は経済成長をやれと、そういう成長政策をやれという御趣旨だと思いますが、私は、成長政策を伴った財政再建というのは当然考えなければならないことでございます。  ただ、高い成長率を達成しますと自然増収は増えますけれども、金利で国債費は増えるだろうと、それから物価連動になっているいろいろな支出項目は増えるだろうとか、その辺のプラスマイナスというのはきちんと計算してお示ししなければならないわけでして、その際に、成長率と金利の関係、これを幾種類か学問的に裏付けのある、これも流派がたくさんございまして、そういういろいろな考え方に基づいた考えをお示しをして、国民の皆様方に御議論をいただくという方法を取りたいと思っております。
  73. 木村仁

    木村仁君 量的緩和の政策が日銀の方で九日ぐらいには解除になるかもしれないと。日本は、少し、何でも早く早く変えてしまうものだからうまくいかないという説もありますから、慎重にお考えいただくんだろうと思いますが。  この量的緩和の政策が放棄されたときには、一方では、インフレターゲティングを作った方がいいのではないか、つまり少し物価を高めに操作するようにした方がいいのではないかということを言う人もいるやに、私はその関係はよく分かりませんが。まあ歴史的に見れば、大きな借金が生じたときにはインフレにするのが一番簡単なんでしょうから、少しその物価を高めに誘導するという、そういう方針はお持ちでしょうか。
  74. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 日銀の政策自体についてはコメントする立場にありませんけれども、国民は、金融政策がどうなっていくのかという予測可能性を持たなければ経済活動ができないわけでございまして、そういう国民が予測可能性を持てるようなやはり説明責任は日銀にあると思っております。
  75. 木村仁

    木村仁君 私は、小野委員長のお供で昨年の暮れ、オランダとイギリスに参りまして、英国議会のプライムミニスターズクエスチョンというのを傍聴してまいりました。非常に感心したのは、三十分の間に、野党党首が六回、与野党の議員が十六回、二十回ですか、十六回ですね、合計二十二人が、延べ二十二人が総理に質問をし、そして総理がそれに答えるわけです。ということは、質問も答弁も極めて短いわけですね。  私も、今日やっていて自分で反省しております、やっぱりしゃべり過ぎるなと。あのイギリス国会の習慣、恐らく長くしゃべったらブーイングが起こるんじゃないかなと、そういう雰囲気だったと思います。これは委員長も経験されました。今後はひとつ短い質問をいたしますので、短くお答えいただければ幸いでございます。  プライマリーバランスについて、これ、地方財政で見ますと、平成十八年は黒字になっちゃったんです。だから、これは非常に困ったことで、地方財政の立場に立つ人から見れば、プライマリーバランスが黒字になっちゃったということは地方財政は大変楽だということでございます。  それで、先ほど、経費を削減するか収入を上げるかでプライマリーバランスは良くなると、こう申しましたけれども、もう一つか二つ要素がある。繰上償還をする、借金を早くばあっと返してしまうと瞬間風速黒字になるということのようでございます。  そこで、それはよろしいんです。経済財政諮問会議委員の中に、プライマリーバランスが黒字になった以上は地方財政ゆとりがあるんだからもっと切り込めと、こういう議論があるやに伺いますが、総務大臣、そんなことがあるんですか。
  76. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) そういう意見があるかということでございましたら、まあいろんな御意見があるということだと思います。  ただ、プライマリーバランスの議論をするときに、実は、技術的ですので余りもう詳細にしませんが、大変難しいのは、片山委員も御質問された、交付税をどのように考えるかということなんだと思うんですね。  これは実は、この交付税性格で、これをそもそも当初から地方の収入だというふうに見込むかどうかということも含めて考えると、いやいやそれは国から来たお金だというふうに考えるか等々を含めて、これ、実はなかなか神学論争的な問題がありますので、実は、国がこれだけ、地方がこれだけだというそのプライマリーバランスの赤字黒字の議論をするときは、専門家の間でも大変注意をしていただかなければいけないという性格があるということを是非申し上げておきたいと思います。技術的な問題ですのでこれ以上申し上げませんが。  それと、もう一つ重要な点は、国は大変な借金を背負っている、地方も大変な借金を背負っている。で、国と地方というのはそもそもどのぐらい借金を背負う性格のものなのかということなわけでございます。  つまり、国は大変借金を背負っているわけですけれども、実は、諸外国と比べると、諸外国も借金を背負っている国はたくさんありますけれども、相対的に見て、借金を背負っている地方政府というのは世界の中で見ると非常に少ないわけです。だから、相対的に比べると、むしろ借金の残高は国よりも地方の方が多いというふうな言い方も諸外国との相対的な比較では日本の場合できるわけでございますので、そういう点もやはり考えて、正にどういうことを目標にするのか。単にプライマリーバランスの回復だけではなくて、第二段階、第三段階に行くわけでございますけれども、そのときにどのぐらいの借金まで減らすということを国と地方が責任を持ってやるべきなのかということまで含めた、非常にやはり国と地方双方が納得できるような歳出歳入の一体改革をしなければいけないというふうに思っております。  そういう問題意識を是非共有できるような、表面上の一つの数字で地方がこれだけだからあとはどうこうだというような議論にならないような、目配りをした議論が必要であるというふうに思っております。
  77. 木村仁

    木村仁君 今大臣御指摘のとおりでございますが、国の借金というのは、相当大きくても、これは本当にいざとなれば方法があるわけでしょう。あるんですよ。それは高橋是清とかなんとか、いろんな人がやったやつがある。ところが、地方の借金というのは本当にもうぎりぎりでどうしようもないわけです。  ですから、今私は一番地方にとって深刻な問題は、もう借金が多い、何か仕事をすると借金が多いということで足かせになって、で、だんだんだんだんプランナーの心がなえてきて、もう地方公共団体のプランニングをやる人たちにいろんな話をしても全然受けてくれない。もうお金がありません。そうすると、そうしているうちにだんだんだんだん地方公共団体の計画機能というのがなえてしまって、いざ今度は何かやれるときになってみたら何の準備もなかったということになりはしないかと私は非常に心配をしております。そのことは申し上げるだけにいたしておきたいと思います。  で、これは片山委員がしっかりお話しいただきましたので地方交付税のことは省略いたしますけれども、実は地方交付税は、片山委員がおっしゃられましたように、需要を積み上げ、収入と比較して差額をどうするかということを考えるのが地方交付税だと。しかし、学者の中には、それが間違いだと、収支差でもって均衡を保とうという発想自体が間違っているという、そういう極端な議論をする方もいらっしゃいますので、どうか大臣、そういう議論に惑わされないで、しっかり片山理論と共通のことにしていただきたいと思います。  市町村合併と道州制のことについて簡単な質問を申し上げたいと思いますが、市町村合併一巡いたしました。しかし、まだまだ小さな市町村が残っていて、そして本当にこの合併が、地方日本地方自治というものを市町村中心の地方自治にしていこうという、こういう流れの中で私はこの平成の大合併というのは進められてきたと思うんです。それ、もしそうでないとしたらそうであってほしいと思いますが、この今の状態、千八百にこの三月末になります。それでもなお、私は、日本の本当の基礎的地方自治を担う姿としてはまだ十分でないと思います。  それで、もう第三次の合併努力が始められていると思いますけれども、その御決意を御披瀝いただきたいと思います。
  78. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 市町村合併でございますけれども、木村委員がおっしゃった交付税議論で一言だけですけれども、これやっぱり議論制度が複雑で、いわゆる評論家とか研究者と称する人でもどうもよく理解しないで発言している人が本当に多いと思うんですね。そういう点、この委員会での非常にレベルの高いというか精緻な議論について私は感謝をしております。  それで、市町村でございますけれども、まあこれは地方分権を進める上で重要なのは、住民にやはり最も身近な総合的な行政主体ということになると思いますけれども、その意味で市町村役割は大変重要であると。その市町村がやはり一定の、地方でできることは地方でできるための行財政の基盤を持つことが重要であって、そのためにまあ合併というのはやはり一つの、一つの重要な手段であるというふうに思っております。  大分こう進んで千八百二十一、十八年三月になるわけでございますけれども、それでも地域ごとに進捗状況にはかなり差異があるというのが現状であろうと思います。与党で実は町村合併自治体数を千を目標とする方針をお示し、かつてしておられまして、そうした方針を踏まえて、合併新法にも基づいて自主的な市町村合併を私たちとしては積極的に進めたいと思います。  同時に、合併とともにその基礎的自治体に対して権限と財源がしっかりと移っていくような、そういう議論を同時にしていくことが必要であると思っております。
  79. 木村仁

    木村仁君 市町村合併をもう一度しっかり進めていただいて、権限、財源、そして人的な配置もしっかり固めていく、そして市町村中心の地方自治の形が整っていくと、何となしに都道府県が空洞になっていくと思いますね。そこに道州制が私は入っていくんだろうと、そういうふうに考えておりますが、最近、地方制度調査会が道州制の答申をいたしました。これをどう評価されますか。これはできれば総理、お答えいただけませんでしょうか。
  80. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この道州制の問題は、まだ漠然とした点がかなりあると思っております。市町村と都道府県と、都道府県を幾つにまとめるか分かりませんが、その際、今の都道府県をなくなって県会議員はどうなるのか、市町村議員はどうなるのか、知事かその道州制のトップはどのようにして選ぶのか、道県議会、市町村議会、国会議員関係はどうなるのか、幾つの都道府県をまとめるのかという問題が幾つか出されております。  ということから、将来、地方分権、今の都道府県の境界では狭過ぎると、広域行政、さらに地方裁量権を拡大する、地方に真の自治の意識を持ってもらうということから道州制という議論が出ていると思いますが、その際に、全国的な道州制を幾つかにまとめるよりも、私は、まずやるんだったらば北海道からやったらどうかということを申し上げているわけです。で、全体、全体でやると。そうすると、北海道でも賛否両論があるんです。これだと国から強制するというよりも、地域が自主性を発揮したいという中にも、自主性を発揮するのにはまだ金をくれと、国から。それじゃ真の地方自治になんないんですよ。そういう点があるから、私は今北海道自主性を見守っているんです。  私は、まずやるんだったら、北海道は道州制になっても本州のどこの県も北海道にくっ付けるという発想は出てこない。同時に、北海道の一部を本州のどこかの県にくっ付けるという発想は出てこない。道州制が仮に施行されたとしても、北海道北海道だけで一つの道として、地域として権限と税源と獲得する、自主性を発揮するという一単位になりますから、そこで国の機関はどういうものが要らないのか、自分でやるのか、道会議員と国会議員との関係はどうなるのか、道会議員市町村どうなるのか、こういう点を整理してもらって、北海道が是非こういうことをやってくれというんだったら考えてもいいと、国が押し付けるものじゃないと。地方が嫌がることを国がやるという、そういう発想は私はないものですから。やりたいんだったら、北海道、出してきなさいと。そうしたら、積極的に私は応援しますということを言っているわけです。
  81. 木村仁

    木村仁君 是非その姿勢でですね、じっと見守っていただきたいと思うんです。  私は、道州制というのは日本の国家の統治の在り方の基本を変えていく仕事でありますから、もっと慎重な、全国政を挙げての検討の結果あるべきものであると、そういうふうに考えております。ですから、特区制度でもって試みるような代物ではない、私はそう思っております、意見が違うかもしれませんけれども。  ですから、今我々も自民党の中で議論をいたしております。しかし、いろいろその過程を見る限りでは試行に値する試行ができるようにはとても思えませんので、是非辛抱強く見守って、そしてむしろ道州制全体の議論を、地方制度調査会の議論だけでは私はとても間に合わないと思います。全体の議論を始めていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  82. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 地方制度調査会の道州制に関する答申は大変貴重な御答申であると思っております。いろいろ御答申くださっていますけれども、大きくは二点書かれております。  一つは、今後、市町村合併が進む、進んだ、進むということを受けて、より広域的な、広域自治体の在り方として道州制というのはやはり方向として適当な方向であろうと、適切な方向であろうというふうに書いているのが一つのポイントです。  第二のポイントは、同時にこの問題、やはり非常にすそ野が広くて困難な問題もありますから、国民的な議論をしてくれというふうなのがこの二点目であったというふうに思います。  総務省としましては、まず、今回こういう非常に貴重な答申が出たということを国民皆さんに十分知っていただくと、そういう、そのような活動を皮切りにしまして、正に国民的な議論が深まるような、そういう方向に是非持っていきたいというふうに思っております。
  83. 木村仁

    木村仁君 是非そのようにお願いしたいと思います。  昭和三十一年に地方制度調査会は地方制というのを出しました。そのときには知事は任命制なんです。数千万の地方団体ができて、そしてその長が直接公選、で、国の方は議院内閣制度だと。そういうので本当に日本の国の行政ができるのか、そこ辺りはやっぱり相当真剣に考えなければいけないことであると思います。  ちょっと飛ばしまして、国民生活の安全と安心について質問をしておきたいと思います。  テロ対策という分野で非常にいろんな議論が始まっていると思います。恐らくテロ対策というのはいろんな分野で行われており、そして取り組まれていると思うのでございますが、どうも総体的な体系ができていない。したがって、そろそろテロ対策基本法みたいなものを作ってはどうかという声が上がりつつありますが、これはどのようにお考えでございましょうか。
  84. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) テロ対策において最も重要なことは、これを未然に防ぐことであり、一昨年十二月に私が本部長を務める国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部において策定をいたしましたテロの未然防止に関する行動計画に従い、必要な法律改正を行うことなど、テロ未然防止対策の確実な推進に努めているところであります。テロの未然防止対策に係る基本方針等に関する法制についてもこの行動計画に沿って検討を行ってきたところであります。  御指摘のようなテロ対策基本法の必要性、内容等については引き続き政府内で検討を行っていきたいと、こう考えております。
  85. 木村仁

    木村仁君 ちょっと関連をして……
  86. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) 通告を受けていなかったものですから、申し訳ございません。失礼いたしました。  テロ対策の要諦は、今官房長官のお話のありましたとおり、未然防止にあるところでありまして、その重要性に対する国民の認識、理解を深め、その対策の推進に資するため、テロの未然防止に関する国の基本的姿勢等を規定する基本法は必要と思料いたしておりますが、御指摘の基本法につきましては、関係省庁が多岐にわたるところから、政府が一体となって検討すべきものと考えております。  警察といたしましても、関係省庁の一つとしてこの検討に積極的に参画してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  87. 木村仁

    木村仁君 武力攻撃事態対処法でありますとか国民保護法等、既に整備されておりますけれども、今後、多分戦争中に、アメリカの人が日本に来て、空襲に一番弱い都市は東京であろうと、こう言ったそうでありますが、この間NHKでやっておりましたけども、今はテロに一番弱い都市は東京であるかもしれないと、そういうことを考えて是非進めていただきたいと思います。  で、関連してテロその他のことについて、自衛隊、警察、そういったいろんな分野が関係してくるわけでありますが、注目したいのは海上保安庁でございます。これは本当によくやっていただいていると思うんですが、残念ながら規模が非常に小さいんです。予算が一千七百九十億、十八年度で一千七百九十億。自衛隊がほぼ四・八兆円、十八万人。警察が大体三・三兆円、二十七万人、これは国も地方も全部入れてです。それから、消防が一・八兆円、これは十五・六万人の常備消防と九十万人の団員。海上保安庁は一万二千人。  で、日本の海岸線は三万三千九百キロメートル、これは米国の二万一千七百キロよりも多い。米国は国柄が大きいから大変だと思いますけれども、しかし艦船にして千五百隻と四百隻、そういった非常に大きな差があります。一万二千三百二十四人、今度二百五十人ほど増員になったそうですが、一方でそれほど、減員になりましたんで、変わっていないそうです。  で、これは富山沖の、能登半島沖の、戦いと言うといけません、あの追撃戦、そして九州西南海の不審船の事件、日本の危機管理の組織で本当に二十ミリ銃器で戦う組織は海上保安庁、今のところ、だけなんです。それがこのような小さな組織では本当に気の毒だと思いますが、これは、私が心配しますのは、ひょっとして、ひょっとしてですから余り怒らないでいただきたい、国土交通省という大きな組織の中にいてシーリングの制約にあって大きくなっていけないということがありやしないかと思って、そのことをお尋ねします。御方針を承りたいと思います。
  88. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 海上保安庁に対する大変御理解ある御質問をいただきまして、ありがとうございます。  今委員のおっしゃっていただきましたように、日本は海洋国家でございます。もう四囲が海に囲まれた国で、海岸線の延長はもう世界で六番目に長い、アメリカや中国よりも海岸線はたくさんある、そういう国が日本でございます。  この日本におきまして、日常の海の安全、また海の警備をやっているのは、おっしゃっていただいたように海上保安庁でございます。テロ対策、不審船対策、不法入国対策、さらには海難救助、領海警備、また排他的経済水域の警備等々、こうした広範な仕事をしておりますのが海上保安庁の職員でございまして、非常に私も士気が高い官庁だということを認識をしておるところでございます。それだけに、そういう重要な業務をやっているだけに、人員と装備等の体制確保が必要であると考えておるところでございます。  国土交通省全体の予算は、公共事業の抑制もございまして大幅に抑制をしているところでございますが、海上保安庁の予算につきましては、先ほど一千七百九十億というお話がございましたが、これは百億増やした予算でございまして、そういう意味では、国土交通省の予算の中でも非常に重点的に予算を付けさしていただいているところでございます。  今、特に装備の点で老朽化、旧式化が著しくなっておりまして、この代替整備をしっかり計画的にやらせていただきたいと考えております。  ありがとうございます。
  89. 木村仁

    木村仁君 御答弁をいただいて安心をいたしましたけれども、これは総理及び谷垣財務大臣、お聞きいただいたと思います。御質問はいたしませんが、頭の隅に、隅でなくて頭の真ん中の辺りのところへ置いていただきたいと考えます。  それからもう一つ国民の安心、安全を守っているところで、気の毒と言うといけませんけど、整備を急がなければいけないのが、私は、法務省関係の行刑施設、矯正施設、そういうものだと思います。刑務所は今、九十数%、超満員な状態であるそうでございまして、再犯の問題が非常に深刻な問題になっております。  刑期を終えて出てしまう人は、これは権力として管理をするわけいきませんけれども、仮釈放の方、それから執行猶予中の方、それから少年の保護下にある方、こういう方が努力をしておられる。そして、私は、再犯が起こるのは、やっぱり刑務所とかそういう施設の中で行われる教育的な環境、これが整備されていかなければいけないと思うんでございますが、この点について法務大臣、どのような御方針であられるか、お聞きしたいと思います。
  90. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 木村先生には法務部会、党の法務部会長として大局的見地から適切な御指導をいただいておりまして、感謝しておるところでございます。  刑務所の問題は、今先生おっしゃったとおり、もう大変深刻であります。凶悪犯が増え、裁判所はどんどん送り込んでまいります。現時点で収容率一一六%、独房に二段ベッドで入っているとか、六人の、まあ雑居房と言っておりますが、それに八人、九人入っておるとか、そういう状況であります。大体限度は八〇%と言われておりますが、超過密であります。したがって、職員の労働も過重でありまして、四週間で七休、普通、皆さん取っておられるんですが、八休を取っておられるんですが、七休しか取れない、大変厳しい状況でございます。  したがいまして、その刑務所から出所される方々、社会復帰される人たちの再犯率も、それが理由だけではありませんが極めて高い、大体再犯率は五割と言われております。  犯罪防止、総理から法務大臣就任の際に言われました世界一安全、安心な国、日本を取り戻せと、その先頭に立てと言われたわけでありますが、正にこの刑務所の問題を、今現れておりますが、これにチャレンジいたしまして、そして再犯を防止する。入ってくる人が半分減れば刑務所空くわけでありまして、これ全力を挙げて頑張らなきゃいけないと思っております。  当面は刑務所を増設しなければ間に合いませんので、現在建設している刑務所、全部二年後に完成しますが、それが完成するとやっと収容率九五%ということになるわけでございますので、これはこれで増やしていただかなきゃいけませんが、再犯の防止、全力を挙げて頑張ってまいりたいと思います。  先生のおっしゃったような刑務所の中での教育、新しい監獄法を春に施行いたしますが、これで義務付ける部分がたくさん出てまいりました。薬物の依存症から離脱する指導だとか、被害者の視点を取り入れた教育ですとか、性犯罪者に対する教育ですとか、これは強制することになります。今までは必ずしも強制ではございませんでしたが、きちっと教育をして社会に出ていってもらうというふうにいたします。  また、出てからが問題でありまして、世間は厳しいものですからなかなか就職できない。今までたくさん引き受けてくれておった土木建設業が全国的に不振であります。篤志家が面倒を見てくださっているんですが、それも少なくなってまいりました。ですから、その再犯して戻ってくる半分の人のうち、ほとんどの部分が無職者です。逆な言い方しますと、世間へ出まして就職した方は再犯率が極めて低い、大体二割と言われております。  そうしたことから、国として、あるいは地方と相談しながら、あるいは民間と御相談しながら、出てからの仕事をどう確保するか、それも真剣になって考えようと。私がPTの長になりましてそれをやっておりますし、政務官に再犯防止の方はPTの長になって今省内で議論をしておるところであります。いずれ御相談いたしますが、どうぞ御支援のほどよろしくお願いいたします。
  91. 木村仁

    木村仁君 質問の順番を間違えましたが、不法滞在者が二十五万人、あと三万人違法入国者がいるそうでありますが、それを半減するというのが小泉内閣の目標のようでありますが、進捗をちょっとだけ教えていただきたいと思います。
  92. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 余り長々と答弁するとおしかり受けるかもしれませんが、この不法入国者の問題も極めて大きい問題であります。二十五万人、二年前ですね。内閣で、小泉総理のイニシアチブでこれを、二十五万人を五年間で半減させるという方針を決めました。入管、我々も全力を挙げて取り組んでおります。タスクフォースをつくり、重点区域をつくり、この間、新宿は、総理も行かれましたが、一掃いたしました。池袋が今度ひどいというので、石原知事に言われまして私も池袋へ見に参りました。重点区域を決め、タスクフォースを編成して、徹底的に取り締まっております。  今年の一月一日、二年たって、二十五万人が二十二万人に減ったという数字が出ております。今加速しておりますから、どんどん強制退去をしておりますから、あと三年間で九万人減らさなきゃいけないということで、これから大いに馬力を上げて頑張っていかなきゃいかぬと思っておるところでございます。警察や地方自治体と協力して全力を挙げて頑張ってまいります。
  93. 木村仁

    木村仁君 ここでも、その違法滞在者を取り締まる係官というのは非常に少ないですね。ですから、どうしても警察その他の地方公共団体の協力をしっかり受けるような体制を整備していただきたいと思います。  順番が変わりますけれども、まちづくり三法の改正について、一、二御要望を入れて御質問をいたします。  今回の改正で都市計画法が変わりますと、大店、例えば一つ、都市計画区域内の市街化調整区域における大規模店舗の立地は、今まで許可制であったものが、五万平米以上持って、五ヘクタール以上持ってくれば許可でやられたものが、この改正後は地方公共団体が用途地域という都市計画を積極的に設置しなければ立地できなくなると、そういう裏返しの関係になると理解しますが、大臣に聞くような質問ではないかもしれませんけれども、イエスかノーかでお答えいただきたいと思います。
  94. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) そのとおりでございます。これからは、これからはというか、この法案が通りましたら、例えば市街化調整区域においては今まで許可制でございましたが、これからは地区計画等の都市計画手続をきちんと経ていただくと、そうすることによって大規模集客施設についても立地が可能ということになります。
  95. 木村仁

    木村仁君 長年の懸案でありましたこの関係、本当に、この法律ができて地元が本当に収まるのかどうか、それは地元次第でありますけれども、一つの大きな前進であろうと思います。  しかし、それ以上に大事なことは、中心市街地を今後どうつくり直していくかということ。私ども関係者とお話をしておりますと、自分たちは本当に、TMOですか、そういう組織をつくってイベント等も精力的にやっているけれども、どうしても、どうしても時代の大勢に追い付いていくことができない、やはりここは一歩踏み込んで、環境をつくり直すとか、交通システムをしっかり再構築していただくとか、そういう物的な整備ということも非常に重要ではないかということをよく言われるわけであります。  今回、今度は大店舗自身を中心に入ってきなさいとか、あるいは周辺に居住する人々を増やしていこうとか、いろんな戦略をお持ちであると思いますが、もう時間がありませんから、簡単にその基本的な方針だけお述べいただきたいと思います。
  96. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 昨年から人口減少社会、突入いたしました。また、これはこれから本格的な高齢社会がやってまいります。やはりこれからは、コンパクトシティーというふうに我々は言っておるんですが、公共交通等を利用して、バスとか電車とか自転車とかそういうものを活用して、だれでも自分が必要なものは自分の居住空間の中で手に入ると、また利用できると、そういうふうな町づくりを志向しなければならないと考えております。  そういう観点に立って、例えば中心市街地にやはり人が住んでいただくことが私は非常に大事だと考えておりまして、そういうインセンティブをしっかりつくる制度を今経済産業省としっかり連携取ってやらしていただこうと検討しておるところでございます。
  97. 木村仁

    木村仁君 時間が参りますので終わりにいたしたいと思いますが、今の町づくりの問題は、ひとつ道路特定財源の問題とも直接関連ある問題として理解いただけないかなと思います。道路特定財源を一般財源化するという方針でありますけれども、やっぱりその中心市街地の整備のための交通網の整備とか、あるいは中心市街地の環境整備とか、そういうものに今一千五百億ぐらい使っておられると思います、道路特定財源から。それをオーダーを変えて使えば、一般財源でありますから、ひとつよろしく御検討をお願いいたしたいと思います。  終わります。ありがとうございました。
  98. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。藤井基之君。
  99. 藤井基之

    ○藤井基之君 片山幹事長の関連質問ということで質問に立たせていただきます。藤井基之でございます。  今日は社会保障問題とそれから科学技術の問題、そして安心、安全にかかわる問題、多分テレビをごらんの方々、非常に関心があると思える、そういった健康食品でありますとか、あるいは鳥インフルエンザの問題等についてお尋ねをさしていただきたいと存じます。  まず最初に、社会保障の問題からお尋ねをさせていただきたいと存じます。  もう並ぶお歴々御案内のとおりでございますが、医療保険の制度でありますとか公的年金の制度などのこの社会保障と言われているもの、これらの改革の問題、これは、人口減少社会が現実のものになりまして、急速な勢いで高齢化社会へ突き進んでおります我が国二十一世紀の最優先に対応しなければいけない検討課題の一つであろうと存じます。  今国会には、そのうち、医療制度改革に関しまして、七十五歳以上の方々の、いわゆる後期高齢者という言われ方をされるようですが、その方々のための新しい保険の制度を創設しようとする、あるいは患者さんの目線に立った医療の改革、効率化、あるいは医療の情報をより積極的に提供する社会、医療安全を確保するような、そういった良質な医療を確保するための法律と、このような二つの法律が関連法案としてこの国会に提出をされております。また、各法の議論の際にこれらの議論についてはさせていただきたいと存じますが、いわゆる本質について少しお尋ねをさせていただきたいと存じます。  御案内のとおり、我が国の、我が日本国民の平均寿命あるいは健康寿命と言われているもの、これは世界のトップであります。また、保険医療制度、これにつきましても世界保健機構、WHOは、世界で最も優れた制度日本制度であるというふうに保証をしております。今、人生八十年は当然、とっくの昔に現実のものとなったと思っておりますが、女性に限りますと人生九十年です。  この時代に国民は一体何を求めるんだろうか。間違いなく、健康で元気に長寿を全うしたいんだと、そのためのセーフティーネットを国はどのように構築してくれるんだろうか、それを願っているわけです。医療に限りますと、全国どこにいても非常に良質な均一な医療が、均一な、そしてそれも廉価な自己負担で診療を受けることができる、そしてこの制度が、未来永劫とは言いませんけどかなりの長い間持続的に永続してもらう、そういった制度が欲しいと、このように思っているのだと思います。  これから進めようとする政府の医療制度改革の方針というのはどういった理念で進められようとしているのか。この問題につきましては、過去厚生大臣を何度かお務めになられまして、本問題に非常に造詣の深い、まず小泉総理大臣のお考えをお尋ねしたいと存じます。
  100. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 日本の医療制度は世界でも最も先進的な高水準にあると評価されているわけでありますが、この高齢化社会、これも、戦後日本の大きな目標の一つとして長生きできる社会をつくろうと。  その長生きできる社会をつくるためには、栄養失調で亡くなるような食料不足を直していかなきゃならない、病気にかかってお医者さんに掛かるお医者さんもいなきゃならない、病院もなきゃならない、伝染病が蔓延しないようにきれいな水が安定供給されなきゃならない。だから、長生きできる国はいい国だということで、長生きできる国にしようという目標を掲げて今日までやってきました。多くの国民努力、医療関係者の御努力によりまして、その目標は達成することができました。今や世界で一番長生きできる国になった。  長生きできる国になる一つの目標を達成しますと、それでいいという状況でもございません。政治の難しさはそこにあるんだと思います。目標を達成してしまうと、目標を掲げたころとは違ったまた困難さが出てきた。それが現在の、このままの状況で果たして医療保険制度が持続可能かどうかという、そして、長生きできたことはいいんだけれども、長生きできても元気でなかったら、これは果たしていいんだろうかと。長生きできるんだったらば、やっぱり元気で長生きしたい。そして、これからの医療保険制度をしっかりとした永続、持続できるような制度にしていこうということが今新しい課題であります。言わば長生きを喜べる社会。  そういう中で、医療制度をもろもろ改革をしてまいりましたけれども、これは当然、医療保険制度、持続可能な制度にするためには負担と給付の問題があります。  患者さんにとってできるだけ、病気になったらばその医療費というのは少ない方がいいと、そのためには税金を投入しなきゃならない。そして、多くの健康な人が、病院に行かなくてもお医者さんに掛からなくても必ず保険料を負担してくれる人が多くないと、患者さんが病気になって医療費は軽くなりません。そのような税金投入をどこまでするのか、保険料はどの程度にするのか、患者さんの負担はどの程度にするか、この組合せしか永続的に医療制度を持続可能なものにすることができないわけですから。  そういう中で、先端医療、実に高度な医療が発達してまいりましたし、その機械だけ導入するにしても、もう億単位であります、高い。それをすべての人に賄うためには保険適用をどの程度にすればいいか。また、医療供給体制におきましても、どの程度まで医療を細やかにきめ細かく患者さんに提供できるか、その費用はどの程度にすべきか。また、日本にない薬、海外からどのように調達するか、また日本はいい薬をどのように作っていくか。まあ様々な問題があります。  最近におきましては、小児科の医師も不足している、産科の医師も不足している、あるいは過疎対策、様々な意見がありますが、こういう問題についてしっかりと医療保険制度を持続可能なものにしていくと。で、負担もできるだけ軽くするためには、給付の面もありますけれども、同時に提供者側の効率も考えていただきたいと。  もう様々な問題点がありますし、そういう具体的な各論に踏み込んで、今医療保険制度改革に取り組んでいるところであります。
  101. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。今総理からお答えいただいたこと、すべておっしゃるとおりだと考えます。で、問題は、これをいかに具体的な各論的なものとしてどういう制度設計にしていくかということになろうと思います。  昨年の骨太方針二〇〇五、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇五でございますが、この議論のときに、社会保障制度をどういったものにしようかという大きな議論がなされました。そして、最終的に閣議決定をいただいたわけでございますが、その中で持続可能性を確保するために過大な伸びの抑制が必要だということが明示されております。  骨太の基本方針を取りまとめをいただいた経済財政諮問会議基本的な考え方、これは名目GDPというものを一つの根拠に挙げられて、これが経済の規模だということでございました。いかなる歳出も未来永劫これを超えて伸び続けること、こんなことあり得ない。そういった中で、社会給付費の伸びというものをどのように管理するか、あるいはそれを制度の中で運用していくかと、そういった議論をいただいたわけでございます。  財務大臣がよく言われるように、経済の身の丈に合った社会保障制度にならなければどこかで破綻が起こるよと、こういうような御指摘をいただいたわけでございます。社会保障制度が、今総理から御指摘のあったように、その財源として税と保険料、これを中心に、それに自己負担を一部加えることによってその財源が成り立つ以上、経済、財政と調和の取れたものにすべきことは極めて当然なことだと考えます。  ただ、一つお尋ねしたいのは、我が国の現在の国民医療費というものの大きさでございます。現在三十一兆円から三十二兆円程度というふうに多分推定されているんだろうと思いますが、これをOECDが取りまとめました、二〇〇四年に出しましたヘルスデータ二〇〇四、このデータによりますと、世界各国と医療費を比較しております。具体的に言うと、絶対値としても比較もあるわけですが、それを経済指標であるGDPに対する比率で示した数表がございます。  御案内と思いますが、御紹介いたしますと、二〇〇一年の数字を使いまして、最もその医療費の対GDP比率が高いのはアメリカでございます。一三・九%。次いでスイスが一〇・九%。そうですね、スイスが一〇・九%。ドイツが一〇・八%というふうに続いておりまして、じゃ我が国はどうなんだと。我が国の順番は十七番目だそうです。つまり、半分より下の方だと。その数値は、OECDの計算では七・八%というふうに言っております。GDP比で見れば、我が国は国際的に見ても決して高い、身の丈に合ったかどうかという話をするとき、そんな大きなお金を使っているとはGDP比で言う限り、これはそういった判断はしづらいのではないかと思います。  私は、財務大臣にまずお尋ねしたいんですが、身の丈に合った社会保障給付費と言われるときに、例えば医療給付のレベルというものは、我が国の経済の身の丈に合った給付とは一体どのくらいのレベルを想定されているのか。あるいは現在の国民医療費というものは、この給付は我が国の経済の身の丈に合っているとお考えでしょうか、それとも合っていないとお考えなんでしょうか。いかがでございましょうか。
  102. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 身の丈というのはかなり漠然とした言葉でございますので明確に定義しにくいところがございますが、問題意識は、先ほど委員もおっしゃいましたように、経済の成長率を超えてどんどんどんどん伸びていると。社会保障関係費で毎年一兆円の自然増というものが見込まれる状況であります。そのほかにも個人負担等々があるわけでございますから、このまま放置しておいたらうまくいかないと。そういう問題意識、何とか抑制する必要があるということを身の丈という言葉で申し上げたわけであります。  そして、今OECDの統計を引いて医療費の対GDP比等々から見ると日本は十七番とおっしゃいましたか、決して高い方では必ずしもないんではないかという、私もそれは確かにそうだと思っております。  ただ、医療費の国際比較というのはなかなか難しいところも、専門家に伺うと難しいところもあるようでございますが、一つは、国民一人当たりどのぐらい掛かっているかという観点で見ますと、主要先進国の中でも比較的高水準にあるということを伺っております。  それから、高齢化等、これから日本はかなり速いスピードで伸びていくことが想定されますので、今後とも医療費の増大は経済の伸びを大きく上回って増大するだろうということが見込まれる、医療費の対GDP比も今後急速に伸びていくだろうということが想定されるわけでございますので、いずれにせよ、そういうものに対する持続可能性という観点からの手だてが必要ではないかと。明確にこれで身の丈に合ったかどうかというのを申し上げられる数値は、私自身は今持っておりません。
  103. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。  引き続いて、担当なさっていらっしゃいます与謝野大臣にちょっとお尋ねしたいと存じますが、昨年のこの骨太方針を決定する際にいろいろ原案から、素案がありまして、原案がありまして、そして最終的に閣議で決定をいただいたわけでございます。その間、いろんな議論があったように私ども伺っております。  例えば、経済財政諮問会議の中におきまして、いわゆる医療費の抑制のために、手法として、例えば医療費の総額を決めてしまう。よくキャップ制というような言葉で言われます。医療費の絶対的な上限を決めて、その中で医療費の給付を賄おうとする。あるいは、少額の金額においてはいわゆる保険の免責制度のような感じで、そこは一定の額はまず自己負担してもらおうじゃないかという、そういった制度も検討なさったというふうに伺っておりますが、最終的には、閣議決定された骨太方針ではこれらすべてなくなっております。これはどういった経緯でこのようなことになったのでございましょうか。
  104. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) その当時、私は政調会長をしておりまして、諮問会議等、いろいろ下打合せをしなければならなかったわけですが、そのときは医療費をGDP比そのものと連動するという考え方が書かれていたわけでございますが、自民党の医療関係の方から病気はGDPと連動しないという意見を強く言われまして、なるほどそうだということで、しかし、一方ではやはり制度の持続可能性というものを追求しなきゃいけないということで、現在お手元にあるような骨太方針の表現に落ち着いたと、そのように覚えております。
  105. 藤井基之

    ○藤井基之君 先ほど財務大臣がおっしゃられました、自然増というものが大きいんだよというお話がございました。  確かに、今年度の十八年度予算案決定のプロセスを考えますと、社会保障費につきましては、シーリングによって、自然増が八千億円あるところ、それを二千二百億円削減合理化することによって、結果として十九兆三千九百八十三億円に圧縮されて今回国会に法案が提出されてきております。  一方で、この四月に、四月一日から実施が予定されております診療報酬とか調剤報酬の改定、あるいは薬価の引下げ等、これによりまして、総医療費のベースでは三・一六%の引下げが決定されておりまして、これは過去における引下げの最も大きな数字となっております。  御案内のとおり、医療費を引き下げることは、先ほど総理もおっしゃられましたが、そのコストを負担する患者にとっては安くて済むわけですから、これは福音なんですね。安いことは、少しでも一円でも安いということは、それは患者にとっては非常にすばらしいことなんだと。  ただ、じゃ一方の側である医療を提供する側にとってはどうなんだろうかと。医療費をこういうふうに削減するということは、医療を提供する側にとって、例えば病院であるとか診療所であるとか薬局においては、今まで以上のコスト削減をしなきゃいけないということを意味しているわけでございます。  厚生労働大臣にお伺いしたいと存じます。こういった医療費は下げるよと、しかし医療の質を落としちゃいけない。特に、国民は、こういう医療費が下がることはいいことだ、だけど、この結果として医療の質がもしも下がることがあったら、これは何のために、少しぐらい安くなったってとんでもない話だと、こう言うと思うんですね。御苦労いただいていると思いますが、厚生労働大臣は、このマイナス改定の中で医療の質を確保するためにどのような手だてを講じているのか、御披露いただきたいと存じます。
  106. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) まず、長期的には先ほど総理がお答えいただきました。  私も委員も昭和二十二年、団塊の世代の生まれでございます。二百六十八万人生まれた。去年が百六万人の子供しか生まれていないと。現実社会、二十年たったら、この若い子供たちに我々が支えられなきゃならない時代が来る。今、七十五歳以上のお年寄り一千二百万、掛かる経費は二十八兆円の医療給付の中で十一兆円、約四〇%と考えておりますけれども、我々がお年寄りになったときは、多分五〇%を我々七十五歳以上の医療費だけで掛かることになるだろうと、まあ、それも多分二十兆円を突破するだろうと。こういう中で、正に今、藤井委員が御指摘いただきましたように、今日までの苦労、しかしこれから次なる目標へ向かってスタートしなきゃならぬ、こういう位置付けの中で短期的な議論財務大臣といたしました。  物価の動向、人件費の動向を踏まえた中で下げるべし、こういう議論の中で私どももいろんな数値を出して議論をいたしましたけれども、一番申し上げましたのは、増やさなければならない部分がありますと。総理から御指摘いただきましたように、小児科とか産科とか麻酔科とか救急医療、ここへ最低〇・三ぐらいは増やさなきゃならない部分がありますので、そこをどうぞ理解をしてもらいたいと。それから、やはり低所得者への配慮というのはやっぱり全体的には議論していかなきゃならない問題ですから、どうぞこれも御理解くださいと、こういう形でやってまいりました。まあ、そういう意味では、医療関係者には大変でございます。増やすところも出しましたので、増やすところも出しましたので、逆に減らすところは余計、実は三・一六ではなくてそれ以上削り込まなきゃならぬという中で、最終的に将来への展望も含めながらまとめさしていただいたと。  いずれにいたしましても、小児科、産科、麻酔、救急、それから看護の配置、IT化、在宅医療、また予防と、こういうものに配意をした今回の改定にさしていただいたと、御理解をいただいた上で進めてまいりたいと思っております。  一方で、薬価でございますけれども、薬価等で一・八%の引下げ、一つは後発品のある先発品について、ジェネリックについては市場実勢価格以上の引下げをお願いをいたしました。一方で、新薬の実効性を適切に評価するため、画期性、有用性の高い新薬の加算率の引上げ、加算要件の緩和、小児加算の新設などをして、優れた新薬を開発する製薬企業にとっては新薬の研究開発のインセンティブが働くような配意をさせていただいたと理解をいたしております。
  107. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。  今、後段の方でお薬の価格の問題について言及していただきました。これ、たしか昨日だと思いましたが、昨日の官報で、四月一日からお薬の値段が幾らになるかという告示がなされたと記憶しております。というふうに私は見ましたので間違いないと思いますが、それによりますと、今回のお薬の価格、先ほど一・六%、いわゆる材料で全体一・八%の引下げだというふうに申されました。これは医療費その他に占める比率の割合の数字でございます。お薬だけは一体幾ら下がったんだと、こう言われましたら、平均的には六・七%下がっているわけです。全体のお薬、保険で使われるお薬、これは厚生労働省のような式でカウントしますと、一万三千三百品目以上の品目が保険で使えるような品目として品目名と価格が収載をされているわけです。それを今回、昨日の官報で改定をなさっております。そうしますと、その一万三千品目のうちかなりの品目、一万品目以上の品目、これはすべて値下げをしているわけでございます。しかも、これがまあ物価の変動、物価に対応する程度の下がり方ならそれはもう我慢せよと、こういうこともあろうかもしれませんけれど、中には一割以上下げられているお薬の群があるわけですね。これは特定品目というのではないんです。一定のグループががさっと一割以上下がっちゃう。このようなことが毎回今繰り返されているわけでございます。もちろん、自分たちが価格に対して責任を持てと言われていた。だから、自分たちが価格をこれで売りました、例えば五%値引きで売りましたと、そしたら、五%値引いているということは価格としてそれだけ安くしたんでしょうと。だったら、それだけ償還価格下げますよ、薬価下げますよと、これはそうでしょうと、ルールがそうだから。  でも、今回は、その自分たちが売った物以上に値段を下げるような状態になっているわけです。これは、自分の商品の価格を自分で原価が幾らだと、研究開発に幾ら投資しなきゃいけない、だから売り価はこれだけにしなきゃいけないと、そういう計算をした根底が二年ごとに壊されることを意味しているんですよ。  私は、このような繰り返しがはっきり言って我が国製薬産業に対してどういう影響をもたらすかということを危惧しております。といいますのは、何も私が薬を学んだから製薬産業好きだからということじゃないんですよ。何かというと、二十一世紀はこれからどういった産業群を中心にして我が国の産業構造を興していくのかというふうに考えたときに、御案内のとおり、この製薬産業というのは非常に付加価値の高い産業群なんです。そして、技術力が高ければ、これは中国やあるいは、言葉は悪うございますが、そういった非常にローコストで生産することが強い国と競争しても十分勝っていける。だから、今は製薬産業で一番強い国はどこですかといったら、アメリカでありヨーロッパなんですよ。日本の産業、これから我が国が国民、世界の国民に対して、優秀ないいお薬を研究開発して作っていくんだと。その原資をここでそいでいくことにならないんでしょうか。  厚生大臣の御見解をお尋ねしたいと存じます。
  108. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今御指摘いただきましたように、市場実勢価格というものを基本にしながら、特に、正直申し上げて、最終的な三・一六の政治交渉の前に積み上げ方式で決めさせていただきました。これはもう委員が一番御承知のとおりでございます。  結果について御批判を賜りましたけれども、私ども、先ほど申し上げたように、新薬を開発する製薬企業にとって研究開発のインセンティブが働くという方向で、一層委員の御意見も体しながら努力をしてまいります。
  109. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。  先ほど一番最初に申し上げましたが、医療において非常に重要なテーマというものは、いかにして医療の中においての安全を確保するかということだと存じます。  厚生労働省は、少し古くなりますが、平成十一年に実施をいたしました医療安全につきましてのデータ、これは看護業務を中心にしましてヒヤリ・ハット事例の集積というふうに言われております。何かと。医療において冷やりとしたり、はっとした、ひょっとしたら大きな事故につながったかもしれないと、そういった事例を集めたわけです。そして、それを解析された。そういった研究を十一年になされました。そのとき集められた事例が一万を超えております。一万一千百四十八例お集めになられました。そうしたら、その中で何と半数近い四四・三%が、このヒヤリ・ハット事例というのは実はお薬に関するものだと、そういうことが明らかになっております。  その後、平成十四年に厚生省の医療安全対策会議が医療安全推進総合対策というものを取りまとめられました。その中で、今申し上げました薬剤に関してどのようなことをコメントしているか、二、三紹介させていただきたいと思います。  一つは、医療事故の中では薬剤関連のものが最も多いんだと。だから、薬剤は、それを病院に採用する段階からそれを保管して、そして使用に当たる全過程というのをもう一度見直さなきゃいけないんじゃないかと、こう言われました。そして、病棟において、お薬を管理を徹底させるためには、薬剤部門がその供給と使用期限だとか保管状況を点検すべきであると言ってる。そして、処方に関する薬剤師による疑義照会という、いわゆる何か問題点があったらそれを処方されたお医者さんに聞くような、こういった仕組み、これを徹底する必要があるんだと。医師と薬剤師の意思疎通を十分に図って、相互に協力して対応する必要があるんだと、このような指摘をなされております。的確な指摘だと私は思っております。  じゃ、こういった指摘が、このような対策に対する指摘がどの程度徹底されたんでしょうか。その後の厚生労働省の発表によりますと、医療安全対策ネットワーク事業、ヒヤリ・ハット事例の報告制度ができて、十六年の十一月二十四日から十七年の二月二十八日まで、約一年前でございますが、この三か月間に報告があった事例が二百九十一例だったそうでございます。つまり、月約百例のヒヤリ・ハット事例は引き続いて起こっている。年間これは千例を超えるという大きな数字になります。  昨年の十月三十一日に医療事故情報収集等事業という報告書が出されております。これは事故でございますが、これによりますと、平成十六年十月から平成十七年の九月末までの一年間に、この事業による報告の内容だけで見ても、五十四件の薬剤にかかわる事故が報告されております。そのうち二例は、非常に不幸なことですけど、死亡例でございました。そして、三例は重篤な障害が残った例でございました。  病院や診療所には一体薬の専門家である薬剤師というのは何人勤務しているんでしょうか。これらにつきましては法的に規定があります。薬剤師の配置につきましては、平成十年に医療法施行規則の改正によりまして、入院患者七十名につき患者さんを一名配置しなけりゃいけない、このような、まあそれ以下は、細かい点は割愛しますが、そういった基準が規定されました。そして、この規定につきましては三年後に見直しをしますよと、こう言われておったんですよ。  三年後になりました。十三年、残念ながら見直しはありませんでした。そのとき、参議院の厚生労働委員会で当時の厚生労働大臣にお尋ねしました。見直しはどうなったんですかと言ったら、あと三年たったら見直しをしますと、たしかこういうふうに約束をしていただいたと記憶しております、これは記録を見れば明らかでありますが。しかし、その後、待てど暮らせど、平成十六年も平成十七年も一切このような改正はなされておりませんし、検討さえもされておりません。  総合医療安全対策、そこがレポートしたように、薬剤にかかわる事故の防止に対しては、これは薬剤師であるとか薬剤部門の活用というものは不可欠であります。そのためには、薬剤師の配置というものについては私は早急に改善されるべきだと考えております。厚生労働大臣のお考えをお伺いしたいと存じます。
  110. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今御指摘ありました薬剤師の配置基準、第十八条で、病院又は医師が三人以上勤務する診療所にあっては専属の薬剤師を置かなければならない、医師二人以下の場合は薬剤師の配置は必要ないと、この趣旨の問題について直すべきであるというお話でございます。  病院薬剤師の人員配置基準については、平成十年の見直し以降、平成十三年の検討会の報告で、今言われましたように、三年後を目途に検討を開始すべきとされた。  今回の医療制度改革に向け、社会保障審議会医療部会においてこの件について御審議をいただきました。その結果、昨年十二月に取りまとめられた意見書では、医療安全対策については、医療の質と安全性の向上の観点から、医療機関の管理者に対し、医薬品及び医療機器の安全使用及び管理体制に関する一定の基準を新設する、病院薬剤師の人員配置基準については、検討会を設置し、これまでの経緯等を踏まえた具体的検討を行うとされました。  これを受け、具体的には、病院に勤務する薬剤師の業務の在り方及び配置基準の在り方について、これまでの経緯、医療安全の確保の観点等を踏まえた検討を行うため、本年中に検討会を立ち上げ、検討を進めたいと考えております。今日までいろいろ議論をいただいて、難しい問題とは承知しておりますけれども、検討会を立ち上げ、しっかり議論してまいりたいと考えております。
  111. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。是非前向きな御検討をお願いしたいと存じます。  医療の経営する側にとっては、人を雇用するというのは、実はコストアップ要因でございまして大変なことなんです。ただ、患者さんは何を望んでいるのか、患者の目線で医療改革をしようとする以上、やはりある程度それにふさわしい専門家の処遇あるいは専門家の雇用というのはあってしかるべきだと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  最後、時間が余りなくなりましたので、午前中の最後のコメントにさしていただきたいと思いますが、今大臣、これからもやられるというふうにおっしゃられました。ただ、今からやられるという以外にも、今回の改正法案の中でも実はそのようなことは実は出てきております。  今回の診療報酬改定におきまして、医療安全対策の一環として、これは先ほどの診療所とは別かもしれませんが、急性期の入院医療に係る安全対策加算というものを新たに創設するということをお決めいただいております。このような財政事情厳しいときに新たな加算をするということは大変なことだと思います。御努力を多としたいと思います。  そして、それはどういった条件かというと、医療安全対策に係る専門の教育を受けた看護師、薬剤師等を医療安全管理者として専従配置した場合についてこの加算というものは発効するんだと、このようにもう規定されているわけでございますが、具体的に、このような専門の教育を受けたそういった看護婦さんとか薬剤師さんというのは、具体的にどのような教育を受けた人間を想定されているんでしょうか。今から細かい点はなかなか難しいと思いますが、非常に漠然とした答えで結構ですけれども、お考えをお教えいただきたいと存じます。政府委員お願いします。
  112. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 委員御指摘のとおり、医療安全対策につきまして、今回の診療報酬改定の中でも、看護師、薬剤師等を、特に専門の教育を受けた方について医療安全管理者として専従できる配置の場合の新しい設定がなされたところでございます。  御質問のどのような教育かということでございますけれども、もちろん看護師、薬剤師でございますので、基礎的な医療に関する知識、経験は持っているという前提の下で、医療安全についての認識を、更に自らないしは他律的に研修を受けた方ということで認識をしてございます。
  113. 小野清子

    委員長小野清子君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  114. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十八年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。藤井基之君。
  115. 藤井基之

    ○藤井基之君 では、午前中に引き続きまして、質問をさせていただきます。午前と少しテーマを変えまして、別な観点の質問をさせていただきたいと存じます。  つい先日終わりましたトリノのオリンピック、深夜の時間帯がライブ放映になったためにずっと国民がかなり寝不足になったというふうに言われております。私も連日テレビの前に張り付きになりまして見ておりましたが、最後最後までメダルに届かないで、最後の組までは何とかメダルに入っていると思ったら、最終組が滑ったらぱっとメダルがなくなってしまうという、非常に残念な思いをして、眠い目をこすりながら国会に来た記憶がありますが、最後になりましてフィギュアスケートの荒川静香選手が金メダルを取ってくれました。そして、本当に良かったなという国民意識を共有できたわけでございます。総理もお電話で直接、荒川選手に感動を伝えられたというふうに伺いました。また、オリンピックの後、我が国におきますアイススケートリンクに活気が戻ったと、そして若い者があのイナバウアーのまねをしているんだと、そういう状況になっているそうでございます。  スポーツの世界に限らず、日本人が世界のトップになると、そういったニュースというのは国民に、ある意味で喜びと、また国民の民族としての誇りというものを与えてくれると思うんですよね。そして、後に続く子供たち、後輩の諸君に対して大きな夢を与えてくれることになると思っております。  スポーツに限らず、科学技術の分野も同様だと思います。我が国は、二十一世紀最重要な戦略として、政府は科学技術創造立国ということを唱えられました。平成七年に科学技基本法を制定をされまして、そして平成八年から、科学技術に関する基本法、基本政策、これを定め、それに基づきまして科学技術の基本計画を作成し、総合的な施策を進められました。その十三年からスタートしました第二期の計画におきましては、今後五十年間で三十名のノーベル賞を目指すんだと、こういう方針を打ち出しております。実際に、我が国におきましては十二年に白川博士、十三年に野依博士、そして十四年には小柴博士と田中博士という四名の方が連続してノーベル賞を受賞されました。残念ながら、その後その種のニュースに接していませんが、いずれにしましても、このようにノーベル賞をもらっていただくと、非常に科学技術界が活気付く、そういった状況にあると思っております。  来年の平成十八年度から始まります第三期科学技術の基本計画におきましては、この最重要課題としましては、優れた研究者の養成、これを第一の目標に掲げております。優れた研究者の養成、これは資源の乏しい我が国にとって唯一の資源とも言える人材を幅広く活用することになります。ノーベル賞にしましても、オリンピックの金メダルにしましても、やはりトップが出てくれる、その人の努力も大切だけれども、それに対するそういった環境をつくるかどうかというのはこれは政治であり、あるいは我々、政府がどのような努力をするかと、そういうことにかかわるんだろうと思っております。オリンピックにおけます感想も含めまして、総理の人材育成に対するお考え方をお伺いしたいと存じます。いかがでしょうか。
  116. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 一定水準の学力といいますか一般の方々の能力、スポーツについてもそうなんですが、これが高くて、多くの国民が勉強なりスポーツなり、あるいは芸術なりに取り組んで、それが盛んになり、楽しむということは喜ばしいことでありますけれども、同時に、普通の人には及ばない超人的な能力と訓練をしながら世界で活躍する日本人の姿を見るというのは、大変励まされます。荒川選手のあのスケートでの金メダルもそうでありますし、夏のオリンピックでの北島選手の水泳での金メダル、あるいはまた、オリンピックではありませんけれども野球界での松井選手やイチロー選手の活躍、こう見ますと、ああ、日本人が活躍してうれしいなと思うのは多くの日本人の共通した感じじゃないかと思っております。一流選手が出ることによって励まされ、何か自分も一流選手になったような気がするというだけでも楽しいことではないかと思っています。  そういう面において、一般的な人々の水準を上げていくということ、環境を整えていくことと同時に、優秀な能力を持った人材をどんどんその能力を発揮してもらうような体制なり整備をすることは、ノーベル賞のみならず日本国の発展、また日本人の希望を持ってやればできるというようなそういう精神的な活力を、意欲を高めるという意味において私は必要だと思っています。  先年も、ノーベル賞を受賞された白川博士、野依博士、小柴博士、田中博士等と会談した折にも、我々ぐらいのノーベル賞を受賞する学者は日本にはたくさんいる、たまたま我々はノーベル賞という受賞を得た、幸運に恵まれたがという、謙遜されていましたけれども、日本科学技術水準、決して低いものではないと。いずれ、毎年ノーベル賞が一人や二人出てもおかしくないと受賞された方がそう言っているわけでありますので、今後とも、日本の経済発展も環境保護も、これは科学技術によるところが多いわけでありますので、スポーツ、芸術のみならず、科学技術の振興というのは日本全体の力を高める上において不可欠なものだと思っております。
  117. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。  荒川選手の活躍したトリノで今週からは障害者のオリンピックでございますパラリンピックが始まります。日本からも選手団が行っております。是非、国民皆さんとともに応援を、頑張って声援を送りたいと、このように思っております。  先ほど、科学技会議の第三期の計画が来年度からスタートするということを申し上げました。十八年度、人を育て、そして基盤を強化するという方向での施策の展開を図られるわけでございます。第一期基本計画におきましては、科学技術研究開発投資の拡充を掲げられました。第二期では、競争的研究資金の倍増計画を掲げて予算の拡充に努められました。  そして、第三期基本計画、この根幹というのは、昨年暮れに総合科学技会議基本政策答申を出されまして、それに基づくものでございまして、今後五年間の政府開発研究費総額の規模を約二十四兆円までに増額しようとする、そしてこれはGDP比率に対しては一%を目指すんだと、こういう大きな方向というものは大いに評価するところでございますが。ただ、今回提案されました予算案を見ますと、第三期の初年度となる十八年度予算において、その額はといったら三兆五千七百億円、これは前年度に比べたらこれマイナスになっているんですね。どうも第三期だというと、鳴り物入りで初年度を迎えるのに、最初からどうも腰が引けているんじゃないかという、そんな気がしてなりません。  総務省科学技術研究調査によりますと、我が国の科学技術研究費、平成十五年は十六兆八千四十二億円という、四年連続してこれは増加をしております。しかし、その研究費の財源の内訳を見ますと、これは民間が負担していますのが十三兆三千六百三十三億円、つまり全体の約八割は民間の支出なんです。しかも、この十五年度、一番直近の数字が出ているわけで、十五年度なんですが、民間は一・五%増やしたんですよ、これ。しかるに、国や地方公共団体の研究費支出というのは何かといったら、一・七%下がっております。  外国におけるこういった特に基礎研究を中心として研究費に対する助成の負担の割合、これを見ますと、二〇〇三年の数字について申し上げますと、アメリカでは三一・〇%、ドイツでは三一・一%、イギリスでも三一・三%、フランスは四〇%を超えて四〇・八%となっています。日本における二〇〇四年の政府負担、わずか二〇%にすぎません。科学技術創造立国を、それをうたう我が国としてはいささか心もとない。もっと政府の財政的支援を強化すべきと考えますけれど、いかがお考えでしょうか。
  118. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 藤井委員御指摘のとおり、資源に乏しい日本にとりまして、また少子高齢化を迎える中で、正直未来を切り開いていく道は、いかに知恵を創造していくかに懸かっておると思います。その知恵の根幹が正に科学技術だと、科学技術の発展なくして我が国の生きる道はない、全く私も同感であります。  お話しのように、昨年末の総合科学技会議の答申で、第三期の五年間、これからの五年間の科学技術への投資総額、二十五兆円とさせていただきました。これによりまして、科学技術創造立国実現に向けた力強い旗印ができた。外国からも評価され、また国内的にも大きな期待をいただいたところでございます。  今、その初年度に当たる平成十八年度のお話がございました。一般歳出が御案内のように前年度に比して一・九%減額される中で、科学技関係予算は三兆六千億円、ほぼ前年並みでございます。マイナスとおっしゃいましたが、厳密に申せばマイナス〇・一%。しかし、ほぼ前年並みの予算を調達する、確保することができました。そのうち、とりわけ研究開発そのものに充てられる科学技術振興費は対前年度一・一%の増額となっておりまして、科学技術の振興が明日への投資だとして強く期待されているものと重く受け止めておるわけでございます。  これからももちろん、今おっしゃったように、我が国は世界最高水準の科学技術創造立国を目指していく、それしかないという思いの中で、いただきました予算、本当に選択と集中を徹底し、一円たりとも無駄にならない、最も優れた成果を上げるようにということで頑張っていくつもりでおりますが、いずれにいたしましても、これからの五年間、二十五兆円という目標を立てました。年々この目標が実現されるように頑張っていきたいと思っております。  それから、もう一点付言させていただきますが、我が国におきましては民間の研究開発費というものが大変立派にそれぞれ頑張って出していただいております。そういう意味で、全体の、国全体の官民合わせての研究開発費というものは、正直、欧米先進国に比べて高いものがありますが、その中で政府の占める割合が低いではないかという御指摘もございました。それも事実でございますが、しかし、私は、民間部門のこの旺盛な研究開発活動というもの、それ自体は正に我が国の経済、活力の源泉でありまして、高く評価すべきであり、また民間のこうした活動が思い切り発揮できるような、来年度も税制改正面でも皆さんのお力でいい制度をつくっていただきました。  いろいろな意味で、民間の活動を促進する、同時に官は官でその役割を果たす、そして産官学合わせて大きな成果を上げていくと、そんな努力を一層していきたいと思っております。
  119. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。頑張っていただきたいと存じます。  ただ、今お話ありましたように、確かに税制のいわゆる研究開発優遇、投資優遇等々やりまして民間のいわゆる研究開発投資というのは活発になっているのは事実でございます。ただ、じゃそれが国の姿として、研究開発の姿としては本当に健全かどうかという話というのはあろうと思います。  といいますのは、やはり民間が試験研究費を投入しますと、どうしてもその事の性格上、基礎研究よりは開発研究費になるんですよ。だから、我が国の基礎研究比率が非常に低いというのは、正におしてなべて国や地方自治体の負担が低いからということも一つの要因だろうと思いますので、その辺に対しても十分な配慮をお願いしたいと存じます。  それから、この新しい五か年計画におきましても、また予算編成にしましても、引き続きまして科学技術の重点分野というものが示されております。四分野を重点分野として積極的な推進を図るというふうに決められております。その四つとは、一つはライフサイエンス、一つは情報通信、一つ環境一つはナノテク・材料と、こう四つになっているんですが、どうも十八年度見ましたら、これ文部科学省の予算だと思うんですけど、この四つ全部増えていると思ったら、ライフサイエンスだけ増えていない。残念ですね。  ライフサイエンスというのは、今世界が最もこぞって力を入れようとしている分野ですよ。その中で、かなり限定的なヘルスサイエンスの分野で申し上げますと、大体各国とも総開発研究費の一〇%から三〇%近い比率というのがヘルス研究費に費やされているんですよ。ところが、日本というのは七・三%にすぎません。ちなみに、アメリカは二六・三%、イギリスは二〇・一%、フランスは一〇・二%、ドイツは一三・七%なんですよ。バイオテクノロジーであるとかライフサイエンスというのは、これから物すごく進展して、国民にその裨益がもたらされると言われている分野でございます。是非、引き続き今まで以上の積極的な研究支援をお願いしたいと存じます。  これらのライフサイエンスの成果というものがどこに出てくるんだと言われたら、一番早く我々に関係するとしたらそれは医療界に対する貢献でありまして、新しいお薬が開発されることになろうと思います。世界じゅうすごい開発競争をやっております。  我が国の製薬産業、残念ながら国際水準に比べると小さい。研究開発に一生懸命やっているけれど、やはりおのずからサイズに限りがあります。どうも欧米の多国籍企業というところに比べると負けてしまう。ただ、小さいなりにも、じゃ研究開発どうですかと言われたら、それは国際医療に物すごく貢献するような薬もちゃんと開発しているんだと。例えば、大腸がんの治療薬であるお薬であるとか、あるいは臓器移植に不可欠なお薬であるとか、あるいは世界で初めて認可を受けたアルツハイマーの治療薬のお薬など、これらは我が国の製薬企業が開発して国際社会に貢献しているお薬でございます。  ただ、問題も幾つもあります。  一つは、こうして我が国で開発された新薬が、残念ながら我が国で使われるより先に外国で販売されて外国の患者さんが先に使って、使っちゃうと言ったら言葉が悪うございますけれども、先に国際社会で評価されてしまう。で、日本の患者さんが使うのはその後になってしまうという。  例えば、先ほど申し上げましたアルツハイマーのお薬、確かにアルツハイマーという病気がどちらに患者さんが多いですかと言われたら、日本よりも欧米の方が多いのは事実。でも、日本にも患者さんはいらっしゃいます。このお薬、我が国が開発して我が国の企業が認可を受けたわけですが、世界で最も厳しい認可をすると言っているアメリカで一九九六年の十一月に認可を受けている。じゃ、日本では一体いつ認可されたのかといったら三年後れているんですよ。一九九九年の十月、やっと日本で認可を受けている。  これに関係しては、つい先日の二月の二十八日、総合科学技会議でどうも総理御自身が、せっかく我が国で頑張って開発した薬が外国で先に患者さんの手に入ると、日本の国内の患者さんが後になるというのは何かおかしいんじゃないだろうかと、どうもそういった御趣旨のお話をなさったというふうに伺っておりますが、総理のお考えを改めてお尋ねしたいと存じます。
  120. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 後で担当大臣から話しますが、私は率直な疑問をその会議で呈したわけでありまして、日本がいい薬を開発していながら治験の段階でどうも対応が後れると、それが外国で先に使われてしまうと。なぜそういうことが起こるのかということについては、私が話すよりも担当大臣によく聞いていただきたいと思います。
  121. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 藤井委員の御指摘のございました科学技術全体の予算につきましては、先ほど松田大臣の方からお答え申し上げましたように、一般歳出一・九%の減額の中で科学技術振興費については一・一%増となっているということを申し上げました。  その中で、ライフサイエンスも減っているではないかという御指摘でございましたが、これにつきましては、宇宙ステーション、国際宇宙ステーションの生命科学実験施設、セントリフュージと呼んでおりますが、これが日本の担当でございまして、これの支出を昨年までやってまいりました。そして、造ってきたわけでございますが、この計画自体が、打ち上げが当面見込めないということになりまして、これを米国に納品することになりましたが、まだ完遂いたしておりません。その分、十七年度予算で百十七億あったわけでございますが、これが大部分消えたということになります。したがって、そういったことが影響してライフサイエンス全体では御指摘のように減額になっております。九十三億の減額でございますけれども、しかしこれを除きますと実質的な予算は増額となっておりまして、ライフサイエンス分野における研究も、たんぱく質の解析基盤技術研究あるいは重粒子線のがん治療研究あるいは新興、再興の感染症、再び興るですね、感染症研究の拠点プログラムあるいは脳科学と社会研究の開発領域あるいは統合データベースプロジェクト、こういったものがライフサイエンス分野では予算が新しく付いて強化をされる。  また、治験についてでございますけれども、今回の第三期におきまして、汎用スーパーコンピューターが認められることになりました。この汎用スーパーコンピューターは、現在の地球シミュレーターの、地球のシミュレーションができるこのコンピューターの約二百五十倍の能力と言われるテン・ペタ・フロップスという驚異的な計算速度がございまして、人体におけるいろいろな影響をシミュレーションすることがこれによってできるようになりますと、実際に臨床治験を行わないでもかなりの部分これで、コンピューターによってシミュレーションができるような時代がやってまいります。  こういったものも踏まえまして、これは厚生労働省の治験の分野でございますけれども、科学技術分野においてもこのような支援を行って、日本における製薬産業の振興又は新薬開発に支援をしてまいりたいと存じます。
  122. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。  今、総理から治験の問題という御指摘がございました。確かに、医薬品開発における我が国のネックはここにあるというふうに言われておるんですね。しかも言われて久しゅうございます。御案内のとおり、治験というのは臨床の、つまり患者さんの協力を得てボランティアとして参画していただいてお薬の効果とか安全性を調べるという、そういった臨床に密接に結び付いた研究でございます。この問題点、どうして日本が遅いのか、あるいはお金が掛かるのか、あるいはどうして日本の臨床研究は国際社会で評価されないのか、いろいろな角度から検討がなされておりますが、これの解決なくして我が国の製薬産業の研究開発力の強化にはつながらないと私も思います。  しかし、この治験だけの問題で限局的に考えるというのも、またこれも問題じゃないかと思っております。これはやはり皆保険制度という我が国の誇る制度の中において、この治験に対するインセンティブがどうか、あるいはこの制度の中において、医療費抑制策の中でお薬の価格を下げるとか、あるいは総括払いの導入であるとかという、個別の単価をだんだんだんだん評価しないような、そういった包括的な医療費の支払の問題、これによって我が国の医薬品のマーケットが伸びてない。  今、製薬企業は一体どう言っているかというと、日本の伸びないマーケットをおいておいて、非常に大きく伸びているところで、例えば北米域のマーケット、今世界で伸びている製薬企業というのは、研究開発して、そうした新しい薬ができたらそれをまずどこで販売するのかというと、北米域で販売をするんです。そして、我が国のトップ企業でも売上げの四割以上は外国で売り上げた金額で、それによって我が国である意味では税金を払ってくれているんです。もっともっとたくさんの売上比率が高いところが実はあります。確かに、自動車産業のようにもう過半がそうだとは、そうは申しません。でも、日本の製薬ビジネスのスタイルも大きく変わってきておると思うんですね。そして、これらについてはいろいろな問題があると思うんですよ。審査の問題もあります、あるいは大学教育の問題もある、いろいろな問題があるんです。だから、この問題を治験だけだというふうにはいかない。  厚生労働大臣、この問題についてどういうふうにお考えでしょうか。大臣の御見解を伺いたいと思います。
  123. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 委員何でも御存じでございますから申し上げますけれども、まず、新医薬品の審査期間、これについては委員も取り組まれて、結果として二〇〇四年のデータで見さしていただくと日米の差はほぼなくなってきたと、まあ若干日本の方が掛かるかなと、約一年、十二か月ぐらいと。そういう意味では、何年か前言われた、これが大きな原因であるという一つは解決できたと思っております。この間、アメリカの大使もいらっしゃいまして、我々この分野、アメリカに負けないように取り組むという形で御回答申し上げたところでございます。  二番目の課題として、総理からお答えございました治験の問題でございます。この問題は、明らかに我が国は三年から七年アメリカに比べて大きく後れているということは間違いないであろうと思っております。その理由の中で、今御指摘いただきましたように、医療供給体制が違う、我が国は薬価も国が決めている、それから国民皆保険制度、アメリカは自由診療、薬の値段もただですよという形で患者の理解を得やすいというのが随分違うんだろうと思っております。  それはそれとして、やはり安全で優れた医薬品を迅速に国民に提供するために、その研究開発の基盤を整備するということが大事であろうと。その中で、平成十五年四月に文部科学省とともに全国治験活性化三か年計画を策定し、国内治験のより一層の活性化に向けた体制整備や環境改善等に取り組んできており、複数の医療機関をネットワーク化する大規模治験ネットワークの構築や医師主導治験の体制整備を行っております。  特に、国立病院等における治験の実施体制に関して、独立行政法人国立病院機構は治験実施相談業務を行うとともに、百四十六施設すべてでございますけれども、平成十六年度に治験等に関する連絡調整を行う治験ネットワークを確立いたしました。また、国立高度専門医療センター、ナショセンにおきましては、治験責任医師の支援等を行う治験コーディネーターを輩出する等、治験実施体制の整備を今進めております。  いずれにいたしましても、治験実施環境の整備や実務上の負担軽減等の課題に対応するため、昨年三月、改めて治験のあり方に対する検討会を設置して、今検討を進めております。いろいろな課題がございますけれども、やはり何とか欧米に負けないような体制を整備していかなければならぬだろうと思っております。  また、もう一つの問題は、我が国の医薬品産業の規模が小さいと御指摘いただきました。研究開発費が正直言って減少、新薬の数が減少してきている。大手製薬企業一社当たりの研究開発費は残念ながら外国の大手製薬企業の約六分の一、新薬の候補物質は外国の大手製薬企業の三分の一という実態にあります。  委員御指摘のとおり、全体の構図をしっかり考えながら我が国の医薬品産業を育てるべく努力をしてまいりたいと考えております。
  124. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。  この科学技関係一つだけコメントしておきたいと思います。  何かといいますと、韓国の去年起こった事件の件でございます。ソウル大学の黄教授が発表しておりましたヒト胚のクローンからES細胞を取り出すことに成功したというデータ、これノーベル賞ものだと言われている内容なんですね。残念ながら、このデータがどうも捏造だったということらしい。韓国政府は多大な補助金を先生のところに研究費として提供していた、それが全部無駄になってしまったということで大きな問題になっている。  確かに、科学技術において一日でも早く、これは国際競争ですから、一日も早くデータを出したいという気持ち、研究者の気持ちはよく分かるんです。でも、こういった研究倫理にもとるようなことをやっていたら、その後のしっぺ返しの方がはるかに大きいわけでして、我が国におきましては、つい先日、これ二月の二十八日ですか、総合科学技会議が「研究上の不正に関する適切な対応について」という意見書を提示されている、いただいております。この内容については、もうある意味で当たり前のことを当たり前に書いていただいたんだと思っております。  その当たり前のことができなかったから韓国の問題は起こったんでありましょうし、日本におきましても東京大学におけるそのデータがどうも信憑性がはっきりしないということも言われている。かつて遺跡の発掘で古代の歴史を変えたと言われたそういった発掘品がどうも模造であったという話もございました。  科学技術のこういったものというのは、余りにも功を焦ったり、あるいは周辺がそういったプレッシャーを掛けると研究者というものはあるとき倫理を忘れるのかもしれないと思います。それについても是非適切な御指導をいただきたいと思います。  時間の関係で次に移させていただきたいと思います。鳥インフルエンザ、私、昨年の秋まで厚生労働省の政務官を拝命しておりまして、ちょうど鳥インフルエンザ問題が大問題になってきておりまして、WHO等を中心にしましてこれ大きな問題と、こう言われて、そして対策本部を立ち上げていただきました。この鳥インフルエンザについてお尋ねしたいと存じます。  御案内のとおり、世界保健機構が発表されました二〇〇三年から二〇〇六年の二月二十七日までH5N1型の鳥インフルエンザ、世界じゅうでこれに感染した人の感染症例というのは、たしか百七十三名を数えていると思います。多くの数になりました。鳥が鳥に感染する、まあそれはある意味でやむを得ない、やむを得ないと言うと言葉が悪うございますけれども、そういうことがあり得るのかなと思うわけですが、その感染はアジアから出発しましてヨーロッパ等々にも広がっておりまして、つい最近では、フランスではカモや七面鳥も感染が起こる、そしてドイツでは猫にまでH5N1型の鳥インフルエンザが確認されているということでございます。人だけじゃないよと、ほかの鳥の種類もそうだと、あるいは動物類まで感染が起こるということだと。これに伴って、日本におきましてはフランスから鳥や七面鳥とともに世界の三大珍味と言われているようなフォアグラも輸入禁止にされたそうでございまして、食通の方々については残念なのかもしれません。  ただ、いずれにしましても、世界的にこれ大きな問題になっておりますが、この大きな問題の根底はどこかというと、この鳥から人にうつる、鳥から動物にうつるという状況じゃなくて、もしもこのウイルスが変異をして人から人にうつるウイルスに変わったら大問題と、こういうふうにWHOは指摘しているわけですね。この可能性が否定できない、ただいつ起こるかは分からない、明日起こるかもしれない、あるいは一年後かもしれない、二年後かもしれない、だけど間違いなく起こるであろうと多くの科学者が、識者が想定しているわけです。そして、それに対して各国が、ある地域が、あるいは世界がそれに対して対応を取ろうとしているわけです。  我が国におきまして、厚生労働省、昨年十一月、このインフルエンザに対する今特効薬と言われておりますお薬、このお薬の備蓄計画を発表なさいました。二千五百万カプセルを備蓄するという計画でございました。そして、これは国と都道府県知事と民間とで分担してやるということだと。今までこの備蓄計画に伴いまして実際にこのお薬の備蓄の状況はどのような状況になっているか、お答えいただきたいと存じます。
  125. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) ただいまの問題でございますが、このタミフルの備蓄に関しまして、政府と都道府県でそれぞれ一千五十万人分でございますが、を備蓄することとしておりまして、国内流通量を含めまして平成十九年度までに二千五百万人分の備蓄を完了する予定でございます。  政府備蓄量の一千五十万人分のうち、平成十七年度補正予算におきまして抗インフルエンザウイルス薬、タミフルでございますが、約七百五十万人分の備蓄に必要な経費を計上したところでございますが、このうち二百五十万人分を今年度中に調達をいたしまして、残りの五百万人分につきましては十八年度に製造会社が新規製造するものにより確保する予定でございます。  都道府県備蓄分の一千五十万人分につきましては、十八、十九年度に備蓄をすることとして各都道府県において備蓄計画が出されているところでございます。  製薬会社の発表によりますと、十八年の世界での生産能力は十七年の約三倍でございまして、その中には我が国の十八年度備蓄計画量も含まれており、全量供給可能であると聞いております。また、十九年からは生産量に十分な余裕があるということでございまして、十九年度までに備蓄を達成することは可能と考えております。
  126. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。是非計画を着実に実行していただきたいと存じます。そして、何かあったときにはそれが使えるような、そういったスムーズな供給についても配慮いただきたいと存じます。  このお薬につきまして、今お話がございましたが、このお薬、元々作るとき、植物から作られたんですね。植物材料から作られておりました。一番最初、このお薬の成分は、中国で生産されております、中国の植物であるトウシキミという植物の果実から得られるシキミ酸という化合物質、ここから、この物質をベースにして作り上げる、そういったお薬だったんですよ。だから、生産量がなかなか伸びなかったと言われておりました。  これについては、今このシキミ酸という物質は大腸菌に作らすという、そういった方法で作らすことによって植物由来の状況からもっと量産できる形になってきた。  このことに関して、つい先日ですけれど、報道によりますと、東京大学の薬学系大学院の柴崎教授のグループが、これを全く合成で作ってしまうという、そういった製法ができたと、開発に成功したと、こういうニュースが報道されました。  これで、私は、ちょっと古い話ですけど、思い出した報道がございました。何かというと、二十世紀の終わり、一九九七年にアメリカでですね、NCIという国立センターが中心となりまして、がんセンターが中心になって、がんのお薬を開発したんです。これを企業に生産計画を立ててほしいと、こう言ったわけです。  この薬というのは、元々イチイという植物の樹皮を取って、それから作らなきゃいけない。ですから、薬を作れば作るほど樹皮を取っちゃうので木が枯れてしまう。それで、これ何とか木の樹皮を取らないで、はがないでも作れる方法を開発しないかということで、企業頑張って研究しまして、結果として、これを別な方法で作り上げることに成功しました。そして、世界じゅうでこの制がん剤は使われております。我が国においても使われているわけですね。  先ほどのインフルエンザのお薬もそうだと思うんですね。製造方法というのはより廉価に、より量産できる仕組みがあれば、このお薬、世界じゅうの会社が、会社が一生懸命作ろうと思ったけれども、なかなかできないと言われたお薬なんですね、このインフルエンザのお薬は。それが日本の技術によって量産できることが可能だということが言われております。これから先、このインフルエンザの発症に対しては、インフルエンザのお薬の安定的な供給問題、それからもっともっと根幹的に言えば、ワクチンの開発をしなければいけない状況にあると思うんです。  いずれにしましても、これは世界じゅうの国民がこの問題に対応しようとして苦慮しております、日本科学技術を使ってですね。例えば合成方法でもできるんだったら、これっていうのは途上国でも生産可能になるわけでございまして、厚生労働大臣、是非、こういった生産の技術向上のための施策についても御支援をいただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  127. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) WHO等の機関との話合いの中で、現状においてはタミフルという薬が一番有効であろうと。したがって、我が国も二千五百万人を備蓄しようということで補正予算も組ましていただき、また地方が備蓄する場合には総務省から交付税等の措置もしていただいて、しっかりやっていこうと考えております。  一方で、それじゃ、このタミフルが完全にできた、もし人から人へうつる段階になって効くかということになると、これは一〇〇%保証されている話でありません。したがって、新たな診断方法や治療法と、これやはりチャレンジをしていかなきゃならないし、そこに対してしっかり国としても支援をしていかなければならないと、このように思っております。  そういった意味では、東京会議、北京会議も開きながら、世界全体が力を合わせながら、今想定されるもの、また新しい技術開発によって対応できるものと、そんなものを不断の努力をしながらやっていかなければならないと思っております。  一方で、東大で研究をしたということで、既に製法特許が申請され、ロシュとの協議、先ほど会社の名前は委員はお後、伏されましたけれども、ロシュとの協議にもう入ったようでございます。二年後にロシュが我が国でも生産を開始するという話もございますので、そうしたものとうまく整合性が取れればいいなと、このように思っております。
  128. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。大臣の積極的なお力添えをよろしくお願いしたいと存じます。  今日、ここに店開きをしました。もう眠くなる時間なので、眠気を止めるような、こういうものないかなと思っておるんですが、実はこれ、近くの薬局で、あるいはスーパーマーケットで買ってきたものでございます。  総理、こういうのはお好きでございますか。(資料提示)ちなみに、ここにあるのは、これ何か御存じですか。これは、御存じというか、これ見て分かるように飲物です。これは、ここに書いてあるんですけど、栄養機能食品と書いてあるんです。だから栄養機能食品なんだと思います。  じゃ、これは何でしょうか。これ、お茶なんですけれど、このお茶は何て書いてあるかというと、これ小さい字なんで、見ますとですね、特定保健用食品と書いてあるんですよ、これ。じゃ、これは何でしょうか。これ、コエンザイムQっていうんですね。中を開けますと、カプセルになっていまして、これは何でしょうか。あるいは、ここにこれアガリクスという、何かキノコ、キノコっていうんですか、それの錠剤なんですが、アガリクス。それから、これはビタミンCのこういうものなんですが、これは何か書いてあるんですが、これは栄養補助食品って書いてあります。それから、これは何かといったら、ノンシュガーCのどあめって、だからあめですよね。こういうものなんです。それから、ここには大豆イソフラボンというのがございます。ローヤルゼリー配合されています。これは錠剤です。それから、これはいわゆるアミノバイタル、これはアミノ酸の総合的な、粉で飲むという、こんなものなんです。  これ、いろいろ持ってまいりました。これ実は、先ほど二つのお店だと言いましたが、実は一つのお店でもこれ全部売っているところがあります。  つまり、何が言いたいかというと、国民の健康志向って非常に高くなってきているんですよ。そして、家計調査を見ますと、この種のいわゆる健康にいいと言われている商品群の売上げが伸びてきております。これは、民間調査だと市場規模が約二兆円になっているそうです。ちゃんと正規に認可を受けているお薬とかというものの市場マーケット、一兆円に届いておりません。それの倍以上というのは、実はこういった商品群を国民皆さんは取られている。そして、体にいいということですから。  これが今申し上げましたように、これは健康食品だと言われている、全部健康食品ですけれども、これはどういった言い方をされるのかといったら、いろんな言い方があるんですね。先ほど申し上げました、これは特保とよく言われる特定保健用食品です。これは栄養機能食品です。ほかは、これ俗にサプリメントと呼ばれたり、エナジードリンクと呼ばれたり、健康補助食品と呼ばれたり、栄養補助食品と呼ばれる、いわゆる健康食品と言われておりますが、これだけいろいろなものがあったら、大体どれが何かというのは訳が分からぬと言いたい。  そして、かつて中国からこの種の健康食品と言われているものが輸入されまして、それによって健康被害が発生しました。死亡例まで日本においては出ました。  何でそんなことが起こったのか。現在でも、ここにあります商品を含めまして、実は幾つかのものが、これも安全評価は、リスク評価機関であります内閣府の食品安委員会に諮問されているというふうに伺っております。内閣大臣、どうなんでしょうかね。
  129. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 今委員御指摘のように、いわゆる健康食品につきまして、本当に食品の安全という意味からも、私ども食品安委員会中心に正にしっかり対応していかなきゃいけないと思っているわけですが、今のおっしゃったアガリクスでございますけれども、厚生省所管の研究機関で毒性試験を実施されたところ、この一製品について動物実験で発がん促進作用が疑われたということで、この二月に、製品の販売を禁止する場合、まあ食品安委員会に食品健康影響評価を諮問することになっておりますが、諮問がございまして、今その安全性について評価に着手したところでございます。三製品あるんですが、その他の二製品につきましては、今諮問を受けてその準備に掛かったところでございます。  今おっしゃった大豆イソフラボンについても、一月、去年の一月及び五月に諮問がございまして、それについても、今食品安委員会の方でこの二月に専門調査会設けてやっておりますけれども、その評価結果案が出まして、近く安全委員会の方で審議されて結果が出てくると思って、そういう段階に今ございます。
  130. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。  つまり、この種の健康にいいと言われている商品でも安全性に問題ある、そういった事例がどんどんどんどん出てきているということだと思うんですね。これ国民にとっては体にいいと思って、これ結構高い値段のものもあるわけですよ。これ一つ一万円以上するものもここにあるんですが、そういった値段のもので家計支出しているわけです。それで病気にでももしもなったら、何のためにこんなの飲んでいるかという話になると思うんですね。  この健康食品と言われる、いわゆる健康食品と言われるもの、これは、これじゃ問題だということで、これ一九九一年、約十年ちょっと前なんですけれども、その食品の人への健康増強効果とか機能強化について評価して、特保という制度をも作ったわけですね。そして、一定の効果があるものについてはこういうもので書いていいですよと特定の個別承認をするようになったわけですね。中国から来た健康食品の問題があったときに健康増進法を変えて、誇大な広告しちゃいかぬというふうに法律を変えたわけですね。  しかし、もしも時間があったらインターネットをのぞいてみてください。一体どんな広告がされているか、これらについて。これらを見ていたら、もうがんなんか治りますよ、全部。もう全然必要ないですよ。もうがんがけろっと治った話ばっかりですよ。そんなことがあったら平均寿命もう百歳まで行っちゃいますよ、簡単に。でもね、やはり私はこういった商品群の在り方、これ健全に育てるためにもこのままでいいとは思えないんですね。  私は、やはりこの際、国民のこういったものに対するニーズが高いんであるなら、それにこたえるだけのちゃんとした制度設計をする時期にもう来ていると思うんですが、厚生労働大臣、どうお考えですか。
  131. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) アガリクスの話を食品安委員会に持っていくときに、私も随分議論をいたしました。  御承知のとおり、特定保健用食品、これは個別評価型、一方で栄養機能食品、規格基準型、これは厚生労働省はかみながらきちっとした基準を決めさせていただいております。既に特保だけで六千億の市場になってきております。  一方で、それ以外、実は私も悩んでいるんですけど、私、朝食べてきたのがヨーグルトとトマトジュースとそれから梅干しを食べてくるんですね、朝ね。これも健康食品かなといったら、やっぱり健康食品なんでしょうね。さあ、これうちの役所で縛るのかと言われると、なかなか難しい範疇だなと。ただし、お医者様から、医療機関から今回の問題は情報をいただきました。そして、本当はがんにいいはずが、現実問題は逆にがんを促進してしまうという疑いがあることから、今、食品安委員会でお調べをいただいているところでございます。  そういった意味では、しっかりウオッチしながら、問題があればきちっと食品安委員会とタイアップしながらやっていかなきゃならないなと思いますと同時に、今委員が言われたことも大変な課題でございます。特に、誇大広告、これはきちっと厳正に対処しなきゃならぬ。がんに効くとか言えば、これは薬効違反ですから薬事法できちっと縛らせていただくことになりますけれども、まあいずれにせよどういうふうに考えるか、もう少し我々なりに議論はしていきたいと思います。  ただ、国民の皆様方がテレビ見ているところでありますから、医療機関にもうお世話になっている、そして薬の投与ももらっていると、その中でこういうものに自分の判断で手を出されるとかえって医療効果が出ない、こういう声が聞かれておりますので、どうぞ医療機関なり薬剤機関なりにしっかり御相談をしながらこういうものを使っていただくという基本だけは国民皆さん方にどうぞお守りいただくようお願い申し上げたいと思います。
  132. 藤井基之

    ○藤井基之君 済みません、時間になりました。本当は麻薬の、薬物問題やりたかったんですけれど、時間がなくなりましたので、次の方に譲りたいと思います。  ありがとうございました。
  133. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。加治屋義人君。
  134. 加治屋義人

    加治屋義人君 自由民主党の加治屋義人でございます。藤井先生に引き続いて、質問をさせていただきます。  私は、先般、米国の不手際によって牛肉の停止が再び行われた、そのことについて、米国産牛肉の現地視察を党の調査団の一員としてお伺いをさせていただいて、米国の生産農家あるいは肥育の農家、そして二か所ではございましたけれども施設のセンターを視察をさせていただきました。  私は、国内の日本の施設をいつも見ておりましたのでアメリカとの施設の比較がしっかりできたと、まあそういうふうに自負させていただいておりますが、もちろん搬入された牛の健康状態、あるいは危険部位の除去の状態、あるいは月齢の肉質の判定の問題などなどしっかりチェックできたものと思っております。  搬入されたこの牛の健康状態、そのときにはしっかり、いろいろ前後があるんでしょうから確認はできなかったんですけれども、ただ私どもは、皆さんもそうなんでしょうけど、アメリカに対する畜産のイメージというのは、何かだらしないよねと、どうもずる賢いよねと、そういう気持ちでイメージを持って行ったんですけれども、あに図らんや、例えばこの施設の広さあるいは清潔度、そして輸出プログラムにしっかり対応をする状況にあったと、まあ少しは逆に驚いた次第でしたけれども、やはり百聞は一見にしかずと、こういうことを思う次第でございましたが、ただ、二か所の施設でございましたことも付け加えさせていただきたいと思っております。  確認の意味で川崎厚生労働大臣にお伺いしたいと思いますが、脊柱が付いたままの牛肉が輸入されたことについて、米国農務省の報告書では、検査官や食肉業者などが日本向けの輸出基準を十分に知らなかったことによるもので例外的なケースだと、こういうふうに言っているんですが、これは本当に例外的なケースと言えるのかどうか。  二点目は、今回のケースは子牛の肉を専門に扱う業者であった、そもそも子牛肉は急遽EVプログラムの対象に加えられた、問題の工場はその第一号であったとジョハンズ農務長官は語られているんです。米国の危険部位の規制から見れば、子牛の肉には脳や脊髄、そして脊柱の除去義務はないのであります。この工場は我が国向け牛肉を輸出できるような特定部位を取り除くだけの設備と技術を備えていたのかどうか。このことを農林水産省若しくは厚生労働省は米国農務省に問い合わせるなど何かの確認をされたのかどうか。  三点目に、報告書では検査官及び食肉業者が輸出条件を十分に知らなかったということが原因とされているんです。また、これまでに米国農務省が対日輸出認定を行った四十施設、このうちの脊柱混入に関与した二施設のほかに別の一施設も品質管理プログラム違反ということで認定が取消しをされているんです。そもそもそのような施設を認定する米国農務省の調査に問題があるのではないかと、そういうことを思っておりますが、どのように確認をされておりますか、お尋ねいたします。
  135. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 手順の問題として、まず、我が国に危険部位が混入した肉が送られてきた、したがって農林省、厚生労働省で輸入を止めました。それに対して、米国から、二月十七日、全体を調べた結果として報告があったと。しかし、その報告書を見る限り、言われるとおり、まず第一番目に、それではその二つが問題あったとして、その他の問題はなかったんですかということについては言及がされていないということが一つ。もう一つは、何でそのような手続ミスを犯したの、他でも起こしている可能性があるんではないかという問題。それから、委員も御指摘いただいてますとおり、子牛のところで、アメリカでは外す必要がありませんから、したがって外すこと自体の設備等があったのかどうかという問題も含めまして回答が返ってきたところでありますから、精査しながら、昨日打ち返しをいたしたところでございます。委員の御懸念の問題については、すべて今打ち返しをしたと御理解いただいて結構でございます。
  136. 加治屋義人

    加治屋義人君 中川農林大臣にお伺いしたいと思いますが、米国農務省は再発防止に向けて、今お話ありましたけれども、私どもの見た範囲では十五項目から成る対策を報告をされているわけですけれども、施設への対日輸出条件の周知徹底あるいは検査官の再訓練、輸出証明による必要な担当者の署名を一人から二人に増やすと、こういうことを御報告いただいているんですけれども、これらの対策で十分なのか、プログラムの実効性は本当に確保をされるのかどうか、そのことをひとつお伺いをいたします。  また、小泉総理は輸入再開について、科学的見地に基づいて判断すると述べられました。輸入再開に当たっては、科学的な見地からその是非を判断するために、今回米国が示した原因と対策の効果について食品安委員会に評価を求める必要があるのではないかと思いますが、その点どうでしょうか。
  137. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 一月二十日に日本の水際で特定危険部位の牛肉が発見をされまして、直ちに輸入を、米国産の牛肉の輸入をストップしたわけでございますが、その時点でジョハンズ農務長官から私の方に、今御指摘のような、第一弾として、再研修をきちっとやるとか人数を増やすとかいうような方針を私自身聞いております。そして、二月十七日に、米国側からいわゆる正式の原因究明、再発防止の報告書が来たところであり、先ほど川崎大臣からもお話ありましたように、昨日の夕方、米国側に更なる問い合わせをしたところでございます。  したがって、その回答がきちっとしたものが来なければ、日本側としては十分な原因究明、さらには再発防止ということにならないわけでございますので、今、日本としては米国側からの問い合わせに対する返答を今待っているという状況でございます。  二点目に、総理から、この科学的見地に基づいて安全性が担保される、これはもう言うまでもないことでございまして、まず科学的な前提で食の安全というものが担保され、その上で国民の信頼というものが食に対してあるわけでございます。  我々は、厚生労働省と農林水産省はリスク管理という仕事を担当しているところでございまして、科学的見地そのものにつきましては、リスク評価、食品安委員会の方のお仕事でございますけれども、大前提としてこの安全性がきちっと担保されなければいけないということでございますが、衆議院等での御議論を通じましても、これは担当は松田大臣の方でございますけれども、食品安委員会の方としてはリスク評価については改めて検討する必要はないというのが現時点での安全委員会の評価でございますが、いずれにいたしましても、これは安全委員会の方の御判断だろうというふうに考えております。
  138. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 加治屋委員御案内のことと思いますけれども、輸出プログラムが遵守されるという下で諮問をいただいております。今、輸出プログラムが遵守されるということで、いろいろ輸出管理部門の方で御苦労願っているわけでございます。遵守される限りにおいてはリスク評価そのものは変わりませんので、そういう意味で、食品安委員会としては評価をし直すとかそういった事態には至らないと、こういう関係に相なるわけでございます。
  139. 加治屋義人

    加治屋義人君 よく分かりました。  中川大臣日本の施設からアメリカに輸出する、アメリカ、日本で認定されている施設というのは四か所あるんですね。鹿児島二か所、宮崎一か所、群馬一か所、四か所あるんです。私は、どのぐらい輸出をしているのかねといって調べてみたんですが、まあ今はBSE発生国になりましたので輸出なってないんですけども、一番ピークで一九九九年十四トン、金額にして一億八千万、これの輸出しかアメリカにしてないんです。  ところが、アメリカ、その日本の認定をする工場の条件というのが非常に厳しいんですね。アメリカ自らの手で年に一回査察をしている。そして、我が国の農林水産省と厚生労働省、これも年一回ずつしっかり査察をされている。そして、出荷をする二、三日前にまた出荷のチェックをされて、義務付けている。このぐらい厳しいんです。  そういうことを踏まえて次お尋ねするんですけれども、輸入再開する前提として、農林水産省及び厚生労働省が事前に査察をした上で輸入再開を認めるような声が私どもに入ったりしてくる、一部で言われているんですけれども、しかしながら今後輸入が継続的に続いていくことを考えると、我が国の査察については事前に行うだけでなくて輸入再開後も適切に行わなければいけない、そう思っておりまして、抜き打ち的な査察もこのプログラムの実効性確保のために必要なのではないかと、私はそういうことを思ったりしているんですけれども、米国に対してこのことについて求めていくお考えがないのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  140. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 日本からも、昨年十二月十二日に、米国産の牛肉を日本に輸入することを決定した同じ日に、日本からもアメリカに向けて日本産牛肉が輸入をされているわけでございます。既に、今、加治屋委員御指摘のように微々たる数字ではございますけれども、現在日本からは禁止はされておりません。そういう状況の中で、日本から、総理もよくおっしゃっております、いいものを世界じゅうに売ろうよという観点から、安全でおいしい日本産の農産物、とりわけ日本産の牛肉を輸出したいという声は大変強いわけでございます。  そういう中で、日本としても、きちっとした安全管理、輸出プログラムの下でこういうものを大いに輸出をしていきたいというふうに考えておりますが、御指摘のような米国と日本との間で取り交わされておりますこの安全プログラムの遵守ということにつきまして、今回はリスク管理機関としてアメリカがそれを遵守しなかったという問題でございますから、これをきちっと遵守させる、また二度とこういうことを起こさないようにするためにはどうしたらいいのかと。  これは一義的にアメリカの責任でありますけれども、日本としてもやるべきことが、国民の信頼、安全の担保という観点から日本としても更に何かやることがあるかどうかにつきましては、先ほど申し上げたように今報告書の返答を待って、問い合わせに対する返答を待っているところでございますので、日本はきちっとしているんだから日本はもう何もやらなくていいんだということでは決してございませんで、国民の食の安全のためにリスク管理機関として、更に政府としてやるべきことがあれば、これは当然やっていかなければいけないと思っておりますが、いずれにいたしましても、現時点ではアメリカ側からの再回答といいましょうか、報告書に対するこちら側からの問い合わせの回答を今待っているという時点でございます。
  141. 加治屋義人

    加治屋義人君 少し角度を変えての質問をさせていただきますが、今春のOIE総会で骨なし牛肉を無条件物品として、月齢による制限や無検査でも貿易を可能とするBSEコード改正が提案されているんですね。  この提案について、科学的な根拠が全く明らかにされていない、あるいは国内の専門家からも強い反対意見が出ている。そういう、このことが決まりますと、骨なし牛肉についてもBSE発生国からの輸入であっても認めざるを得なくなるわけでして、我が国のこの食品安全、安心の根本が根本から揺るがされることになりはしないかと大変心配もいたしておるんですが、どうしても阻止するという我が国がどのような対処を今後考えておられるのか、そのことについてもお伺いしたいと思います。
  142. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 加治屋委員御指摘のように、過日、OIE、国際獣疫機関がこの牛肉のBSEコードの改正案というものを各国に打診をしたところでございます。この中には、三十か月齢以下ということの条件を削除したり、あるいは患畜やその疑いのある牛由来でないことといった条件を除去するということでございまして、日本におきましては今こういう状況でございます。二〇〇一年に発生をし、そしてまた米国で発生をして、昨年十二月にやっと米国から日本日本から米国への輸出が再開した直後にこういう事態が発生をしたわけでございますから、日本といたしましては、専門家の皆さんの御意見も聞いた上で、このOIEの改正案については日本としてはこれは納得しかねるということで、二月十七日にそういう趣旨の日本の立場を、条件の緩和に反対するという内容のコメントを出したところでございます。
  143. 加治屋義人

    加治屋義人君 今回の視察で感じたことを一つだけ申し上げてみたいと思うんですけれども、この米国の生産農家、肥育農家、施設の経営者ですね、時間を十分取って懇談する機会がございました。異口同音して、米国にとって日本というこのマーケットは大変魅力を感じているんだと、そう言います。そして、我々は輸出プログラムに沿って今努力をしている。既に、私ども見てきたんですけれども、人工授精によってトレーサビリティーもしっかりもう一部で行われているんです。  そこで、ちょっと不安になったんですけれども、このアメリカの資本力で、例えば仮に日本向けに対して全頭検査をしますよと、人工授精によって母親を管理してトレーサビリティーを始めますよと、そうなったときには、日本に対するアメリカの安心、安全、しっかり確保できるんではないかねと。そうなったときに、我が国の畜産界というのはどう将来が見通せるのかねと、こういうことを正直に感じて帰ってまいりました。  もちろん国内対策をしっかりやらなければいけませんけれども、国内対策として一点だけお伺いしたいと思っております。  今度の新たな農政改革の中に、知的財産の活用等の推進というのがあります。これは、山形県のサクランボの種子が流出されて外国で生産されて日本に逆輸入をされている。そしてまた、黒毛和牛の精液が流出をされて、もう既に日本への子牛の輸入がどんどんどんどん進んでいる、こういう実態にあるんです。数字を挙げますと、この輸入子牛なんですが、平成十四年、一万三千八百五十五頭だったものが、平成十七年、もう既に二万四千五百八十八頭に増えているんです。まだ価格的なことは確認してないんですけれども、話によりますと子牛一頭十五万ぐらいなのかねと、こういう話も出ておりまして、これは大変なことだと、そういうふうに思っております。  御承知のとおり、この黒毛和牛というのは、戦前の役牛に改良を重ねてこういう今日の地位を築き上げた苦労もあったわけでして、しかしこの近年の日本の黒毛和牛の精液が海外に流出して交雑種として子牛が入ってくるというのは本当に許し難いと、そういうふうに思っているんですけれども、この黒毛和牛精液の海外流出を知的財産の侵害あるいは権利侵害として阻止できないのかどうか、そのことについてお答えいただければ大変有り難いと思います。
  144. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、遅れましたけれども、加治屋議員始め、アメリカの食肉施設あるいは牧場を詳しく視察をされまして、私も報告書を興味深く読ませていただきました。本当に御苦労さまでございました。  今御指摘の黒毛和牛あるいは山形のサクランボといった生物に関する知的財産、これは、ある意味では世界的に非常に今重要な戦略になっております。WTO上も大きな議論の柱になっているぐらいでございまして、日本のような、自然に恵まれ、またいろいろな生物資源が多い日本としても是非守っていきたいというふうに考えております。  御指摘のように、この山形のサクランボにつきましては、これは種苗法違反ということで告訴されたという、きちっとした法制度、育成者権が国際的にも担保されているわけでございますが、残念ながら、この黒毛和牛については国際的な保護ルールがなくて、知的財産という観点から輸出制限をすることは法律上また条約上、現在困難だという状況でございます。  アメリカにおいて、日本産牛肉が輸出されていない数年間の間にも大分コーベビーフが売れていたという話がありますけれども、やはりこの動物の特性からいってなかなか難しい。これはもう先生よく実情は御存じのことだろうと思います。  ただし、手をこまねいているわけにもいきません。むしろ、悪意を持って優良品種を、植物であろうが動物であろうが生物を海外でつくって、世界じゅうに売ったり、また日本に逆流していくということは、これは何としても私は防ぎたいというふうに思っております。  先月末に農林水産省の中に知的財産に関する本部をつくりまして、三浦副大臣を本部長にして今研究をしているところでございまして、現時点では、この動物、特に黒毛和牛のこの育成者権というのはなかなか難しいんですけれども、何とかこの掛け替えのない日本の知的財産、無体財産権を何とか保護できるようにできないかということで研究を始めたところでございます。
  145. 加治屋義人

    加治屋義人君 先ほど私が感じたことを、例えばアメリカの安心、安全が確保されて日本のこの畜産界脅かされる、そういうことも考えたときに、私は一時、日本で残れる畜産というのはもう正直言って黒毛和牛なのかなと、そういう気持ちも一人で持っていたんですけれども。黒毛和牛までここまで追い詰められてきますと、これはもう我が国の畜産、本当に崩壊してしまうと、そういう心配もしておりますので、中川大臣、是非御努力をいただきたいとお願い申し上げる次第です。  次に、我が国の森林・林業問題について伺います。  もう御承知のとおりでありますが、我が国の国土の七割は森林であります。国土の保全、水資源の涵養、環境の保全など重要な役割を果たしております。特に、最近では、地球温暖化防止の観点から森林に対する期待が更に高まっておりまして、昨年四月に閣議決定をされました京都議定書目標達成計画では、我が国の温室効果ガス削減目標六%のうち森林が三・九%を確保するとされておるわけであります。  一方で、森林の整備を支えている国内の森林経営、これはもう、今は正に採算割れしている、いると言って過言でないわけでして、例えば杉の立木価格、これは昭和五十五年、今から二十五年前でありますけれども、杉の一立方メートル当たりが二万二千七百円あったんです。現在幾らかといいますと、三千六百円。このぐらい大幅に下落をしているわけでして、森林所有者の経営意欲は全く低下をしていると。  今、山は、間伐の不足から山に草が生えてないんです。本当に草がなくなっているんです。もやしのようになっている杉なんですね。それから、ヒノキが密生して放置をされている。そして、経営難から林業従事者も高齢化などしている。農林水産省も間伐対策とか緑の雇用とか大変御努力をいただいて、成果はそれなりに上がっているんでしょうけれども、しかし間伐がまだまだ不十分だと、後継者も不足している、このままでは国土の七割の森林が守れるかねと、現場の声、本当、涙そのものだと思っております。このことを御理解いただきたいと思います。  こういうこの現場の声を払拭する意味でも、森林・林業政策について更なる取組が必要だと考えますが、政府では、森林・林業基本計画に基づいた、この森林・林業基本計画、これを、平成十三年十月でございますので、以降五年を経過をいたしております。今私が申し上げた現状を踏まえて、この計画見直しにどう反映されようとしているのか、そのことを踏まえてお伺いをしたいと思います。
  146. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今御指摘のように、日本は年間千七、八百ミリの雨が恵みの雨として降ってくるわけでありますけれども、特に国土の大半が細長くて、真ん中が三千メートル級、そしていきなりすとんと海に落ちているということで、極めて急峻な地形であるわけであります。ほかの大陸の大きな川に比べて日本の川というのは滝であるというふうに言ったヨーロッパの地理学者もいるぐらいでございまして、そういう中できちっと水を涵養して、そして農業、工業、生活に安定的に水を供給するためには、文字どおり森林の果たす水源涵養機能というものは極めてこれは大事である。これは何も農業や林業だけじゃなくて、工業用水、生活用水といった観点からも、これはもうすべての国民関係のある大事なことだろうと思います。  他方、今御指摘のように、林業をめぐる経営状況というのは大変厳しくなってきているわけでございます。他方、不在村の山林地主の方の数もどんどん増えてきておりますし、高齢化も進んでいるという状況であります。山は絶対に守っていかなければいけない、木は守り育てていかなければいけない、他方、経営は非常に厳しいと、このミスマッチをどういうふうにしていったらいいのかと。いったん山を荒らすと、あのレバノンの杉のように二度と回復することがない、もう歴史がこれは証明しているわけでございます。  したがいまして、御指摘のように、五年に一遍の森林基本計画を、今見直しの作業を秋に向けまして進めているところでございますけれども、やはり、国産材需要というものはやっぱりあるんだという前提で、自給率を二〇%割っております日本の森林資源でありますけれども、やはり木の地産地消でありますとか、あるいはまた教育的観点でありますとか、あるいはまた国産材を使って、川下の方の住宅産業、木材メーカーが国産材が欲しいんだというニーズも強いわけでありますので、いわゆるデータベース化をして情報が双方向で行けるようにして川上と川下の連携を取っていくとか、本予算でもいろいろと御配慮をいただいて御審議をいただいているところでありますけれども、少しでも、川上から川下に至るところで、みんなで知恵を出し合って、この共通の国産材の振興、そして国土の保全、そしてまた教育的見地から幅広い御意見を当委員会あるいは国会、そして基本計画の中の御審議をいただきながら、できるだけいい基本計画を改めて作っていきたいと。引き続き御指導をよろしくお願いいたします。
  147. 加治屋義人

    加治屋義人君 林野庁長官、今日おいでいただいておりますが、一点だけ簡単に質問申し上げます。  今申し上げましたとおり、林業、木材産業の振興というのは、木材生産について川上から川下に至るまで徹底したコストダウンを進めて、高品質かつ安定的に木材を供給するシステムを構築するなど、国内の林業、木材産業のしっかりした体制をつくっていくことが極めて重要だと思っております。この森林の持つ多面的機能の増進、あるいは農山村地域の振興という視点でもこういったシステムの構築が必要だと思っておりまして、林業の再生、国産材の復権に向けて新生産システムの構築にどのように取り組んでいかれるのか、と同時に、国産材の利用促進、どう図っていかれるのか、両方御答弁いただきたいと思います。
  148. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) お答えいたします。  今お尋ねの新生産システムでございますが、木材産業の一番の課題は、生産、流通、加工が非常に小規模で分散的でかつ多段階ということで、大型ユーザーを始めとしてその対応が十分できておらないというところがございます。  このため、十八年度予算におきまして、まず川元の方、川上の方の森林組合とか林業事業体によります施業の経営の大型化、こういうものを図っていくというのがまず一点ございまして、これによってできるだけ低コストで安定的な原木供給をしていくと。それからまた、合板、集成材、プレカットなど、いろんな加工、川下のニーズがございますので、それに応じた流通・加工体制、その合理化を図っていくと。こういうことで、来年度、モデル地区におきまして集中的な施策を実施しまして、林業の再生、木材産業の構造改革ということを図っていきたいと思っております。  また、国産材の利用拡大でございますけども、これは委員が申されましたとおり、車の両輪として非常に重要だと思っておりますので、私ども農林省も木材利用拡大行動計画というものを作りまして、それに基づいて、公共事業でありますとか庁舎等の公共施設、事務用品への木材利用の拡大、また、国民的な盛り上がりを図るという意味で、国民運動としての木づかい運動というものをやりまして消費者に直接訴えていくということをしております。  今後とも、関係府省と一体となって取り組みますとともに、木材住宅などの推進をされております地方公共団体の連携、これも一層図りまして、地域材の需要拡大というものを図ってまいりたいと思っております。
  149. 加治屋義人

    加治屋義人君 森林の質問の最後でございますが、小泉総理に伺いたいと思います。  今、中川大臣お話しのとおり、山がそれこそ荒廃して保水力を失っている。我が国のこの狭い国土の中で森を守る、山を守るということは正に喫緊の課題と、そういうふうに思っております。森を守り、泉に洋々とした水を蓄えて、きれいな空気をつくり、水をつくり、大地をつくる、このことは我が人類の命の根源であるのではないかと、そういうことを思っておりますので、我が国のこの森林、林業に対する総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  150. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 森林の重要性を加治屋議員が訴えているわけですが、森を守るということは、ひいては海を守るということにもつながると思っております。  魚一つ取ってみても、サケやウナギは川から海へ、また海から川へ戻ったり、行きつ戻りつしているわけであります。そういう意味から、森と川、森と海というのは密接な関係があり、環境を守る意味においても、また我々の生態系を守る上においても極めて重要な資源だと思っております。  森林がよく守られてないということでありますが、先年から、和歌山県ですか、緑の雇用と。東京で職のない若い人に和歌山県に来てもらって森林作業、一定の訓練を受けた後してもらおうと。それが気に入ってですね、この緑の雇用というのはかなり好評だと聞いております。中には定着して、地元の人と結婚して定着している方もおられると。  さらに、最近の話ですが、宮崎県の、先ほど加治屋委員から杉、ヒノキという話が出ましたけれども、最近は宮崎の杉、ヒノキが中国、香港と、日本の何倍かの値段で売れていると。かつては日本は輸入を阻止するという立場から、リンゴやイチゴだけじゃないと、杉やヒノキまでが何倍かの値段でどんどんどんどん今注文が来ていると。シンビジウムというラン、鉢植えの、このぐらいのランの一種ですよ。日本では四、五千円、中国へ行くと四、五万円だそうです。だから、私は、輸入阻止だけじゃなくて輸出も考えるべきだと、攻めの農政を考えるべきだと言っているのは、そういう話も聞いているからであります。  これから森林をいかに健全な状態に置いていくか。さらには、そういう中で、日本では売れなくても外国では売れるという状況になってきているわけでありますので、いいものは高くても売れるという形で頑張っていく余地もあるのではないかと思います。  いずれにしても、森林というのは極めて重要な自然の資源でありますので、健全な状態に保つということを我々は心していかなきゃならないと思っております。
  151. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございました。  先日行われました党首討論を聞かせていただきました。その中で教育についての議論がありまして、モラルの低下という表現でしたけれども、心の教育の必要性を指摘がございました。私は、この党首討論はどう見てもメール問題にぎんぎんしてですね、心の教育問題は何か国民向けに飾り付け的なものだったように思っておりまして、党首討論だっただけに残念で実はなりませんでした。今の世相を見るだけに、この問題をしっかり党首討論でやっていただきたかったと、そう思っておりました。  私は、心技体の心、知徳体の徳といった心の教育をどうするかについて、まあ戦前派の私の考え方をその夜にですね、残念だったものですから、少し作文にさせていただきました。今日はテレビも入っておりますので、是非国民皆さんにもお聞きいただいてですね、国民皆さんと一緒に考えてみたいなと、そう思っておりまして、最後小泉総理の所感をお伺いしたいと思っております。  昔、衣食足りて礼節を知ると教わりました。今の日本は衣食足りても礼節知らず。このごろ、礼節という言葉さえも聞かれなくなりました。耐震偽装、ライブドア、防衛施設庁談合などの事件にも礼節の欠如を感じますが、先般、国会を空転させたメール騒ぎなどは礼節以前のしつけのレベルではないかとさえ感じました。  戦後六十年、我が国が物質的に豊かになったことは否定できない事実でありますが、反面、その間に失ったものの大きさもまた計り知れないものがあります。ある人が物で栄えて心で滅びると表現しましたけれども、全くそのとおりだと思います。あの有名な、もはや戦後ではないという言葉は、昭和三十一年、今から五十年も前のことですが、心の荒廃という面では今なお戦後と言わざるを得ません。  今、日本は世界第二の経済大国と言われ、その豊かさを背景に国連の拠出金やODA、国際援助などで多大な国際貢献をしているにもかかわらず、常任理事国にもなれず、尊敬も感謝もされない有様では情けない限りであります。戦後六十年間、豊かさと幸せを追い求めて汗を流した日本民族が、その努力の結果手にしたものが豊かさの実感がない繁栄と世界のさげすみだとしたならば、ほとんど現代版イソップ物語ではないでしょうか。それでも物と金を増やせば幸せになると信じてひたすら今までの道を突き進むとすれば、幾ら食べても満腹感のない病気に国ぐるみでかかっているとしか言いようがありません。  私たちの先人たちは、足るを知るという知恵と、ほどのよさという思想をもって物や金の行き過ぎを戒めています。十六世紀の宣教師や十九世紀の外交官、通訳などが日本人の資質について正直だ、勤勉だ、清潔だと褒め、読み書きそろばんなど教育水準の高さにも驚いております。戦後復興の目覚ましさと高度経済成長までは世界の奇跡として称賛と敬意を受けたのであります。先人である日本人が外国から評価されたのは、物質的貧しさの中での心の豊かさでした。その背景には、儒教、仏教、神道などから、天の道、人の道といった道徳、さらには武士道といった精神文化であったと思われ、寺子屋や塾などで学問とともに習得されたのであります。  例えば、志、責任感、使命感、思いやり、感謝の心、公徳心、正直、勤勉、努力、忍耐、奉仕といった徳目などが学習され、習得されたのです。そして、こうした精神教育の伝統は今から六十年前までしっかり続いていたのでありますが、敗戦と同時に廃棄されてしまいました。  私は、日本が物も豊かで心も豊か、そして世界の国から尊敬される、そんな国になってほしいと願っています。どうすればいいのか。そのかぎを先人が教えてくれています。温故知新、古きをたずねなさいと。  戦後民主教育が軍国主義の源として捨てた精神文化や教育制度は、日本民族が一千年有余掛けて培い育てた掛け替えのない宝物であり、その価値は計り知れないものがあります。今、冷静に考えてみますと、本来、軍国主義と全く関係のないものまで十把一からげに捨てられた節があり、むしろそんなぬれぎぬを着せられた冤罪のものが大部分だったのではないでしょうか。  例えば、大和心のように、桜の花にさえ例えられた気高い精神が大和魂という悪名の下、否定されたこと、また軍国主義のシンボルのように言われた教育勅語でさえ大部分は人の道を説いておりまして、一体どこがいけないのか。このようなぬれぎぬと冤罪をそのままほうっておくことは先人たちに申し訳ないことであり、この際ぬれぎぬを晴らし、古き良き日本文化の名誉回復を図ることが必要で大事なことです。  しかも、今やらなければ永久にその機会を失うのではないか。今なら戦前教育の生き証人である高齢者の方々がまだ辛うじて御存命であり、そうした人々の証言と知恵を伺いながら、古き良き日本を参照した教育改革を実現することは可能だと思っております。  数ある政治課題の中で、将来の日本はどうあるべきかという国家像と、それを構成する日本人をどう育てるかという教育問題が最重要、最優先であると考えます。小泉総理の構造改革も言わば世直しであり、教育改革はその主軸であるはずであります。小泉内閣の手で進められている教育基本法の見直しの中で是非古きをたずねるという視点が生かされ、日本国再生につながることを期待をいたしたいと思っております。  長くなりましたけれども、私の正直な気持ちでございます。小泉総理のお考えをお聞かせください。
  152. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 古きをたずねて新しきを知る、温故知新。確かに現代に生きる我々も、何百年前、何千年前の人物の教えというものは、今もなお現代に住む我々にとって大事な言葉が数多くあります。先哲の教え、これをどのように我々も体得していくか、極めて大事なことだと思っております。  衣食足りて礼節を知る、これも先哲の言葉でありますが、衣食足りて礼節を忘る現状を憂えておられるんだと思いますが、様々な教育があると思いますが、教育の重要性を幾ら指摘しても指摘し過ぎることはないと思います。  まあしかし、教育というものは長く掛かるものでありますし、子供の教育というのは大人が責任を持つ場合もあります、大人の背中を見て子供は育つわけでありますから。古き良き時代ということを懐かしむばっかりでなく、今の若者にも立派な若者もたくさんおられます。そういう中で、大人がやはり社会の中で行動をもって若者に日ごろ生活している姿を見せる。知育、徳育、体育という言葉がありますけども、それに加えて食育というものを推進しています。食べることがいかに情操教育にとって大事かと。親子そろって、家族そろって食物をともにする、そういう中での教育というものも大事であります。  先哲の言葉だけでなくて、実際の活動の中で大人が子供に対して恥ずかしくない姿を見せるということが子供に対しての一番の教育だと私は思っております。
  153. 加治屋義人

    加治屋義人君 何か党首討論で議論しているようでうれしく思ったわけでありますけれども、しかし、党首討論、これからしっかりとそういうものも含めてやっていただければ有り難いと、そう感じた次第でございます。  最後でございますけれども、農業の経営所得安定対策大綱について農林水産大臣にお伺いしたいと思います。  現在品目別に講じられている対策を見直して、直接支払の手法を、いわゆる品目横断的な経営安定対策を十九年度から導入するとしておりまして、政府・与党で大変な回数の濃い議論を行って、その大枠について昨年十月に大綱が決定されたところです。  今回の改革は、もちろん農政の大転換であります。この大綱に記された品目横断経営安定対策、それから米政策改革推進対策、農地・水・環境保全対策、この三本柱が一体的に実施されてこそ我が国の農業の未来というのは展望が開かれるんだと、そういうふうに理解をいたしております。  この法案によって目指すところはどのようなものなのか、また、大変御苦労して作っていただいた大綱の内容に沿ったものなのか、農林大臣のお気持ちをお聞かせください。
  154. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) これは、今から七年前に、当時の農政の憲法ともいうべき農業基本法という法律がございましたが、これを抜本的に新しい法律にしようと。つまり、生産サイド、農業者だけではなくて、国民あっての日本農業、農村、そしてまた、日本の食料生産あっての国民の健康と安心という観点から、川下と川上一体となって食料・農業・農村の発展、ひいては国民全体の健康と安全、安心という観点で法律ができたわけでございます。そして、五年後の見直しということで、昨年から基本計画そして大綱というものをいろいろと御議論をいただいたところでございまして、その柱が今、加治屋委員の御指摘のような品目横断的な経営所得安定対策ということでございます。  これは、一つには、やる気と能力のある、先ほど総理からもお話ありました、積極的に頑張っていく人がもうかってやっていけるような農業を更に推し進めていこうということが一つでありますし、またこれは、今WTOの交渉の大詰めでもございますけれども、日本がいち早く農政改革をやっているんだということを世界に示すことにもなるわけでございます。そういう意味で、まだ農家の皆さん、農業地帯の皆さんには一体どういうものだろうかという情報不足、あるいは場合によっては不安があるかもしれません。現時点でもう既に三千数百回全国でいろいろな説明会をやらしていただきましたけれども、まだまだその実態がよく分からない。  これから法律の御審議もいただくということでございますので、国会での御審議も踏まえながら、さらに国民皆さんにとって、あるいは農業地帯にとってより力強いものになっていくという観点から、この法律案の御審議、そしてまた、これが成立することによって更に足腰の強い日本農業あるいは日本の農業地帯、そして国民皆さんへの食のいいものを安定的に供給していく、輸出も含めて力強い農業生産を行っていくということの目的達成のために、是非ともこの法案の御審議と、また国民的な御理解をいただきまして、農政を進めさせていただきたいというふうに思っているところでございます。
  155. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございました。  やはり、大転換でありますだけに、現場でスムーズに新しい制度への移行が行われることが最も大切だと。三千回、四千回の説明会、私もよく存じておりますけれども、そのことが必要ではないかと、そういうふうに思っております。  今国会で農政改革関連三法案が提出をされておりますので、そこでも議論あろうかと思っておりますが、ただ、現場を歩いてみますと、特に集落営農組織のところがどうも分かりにくいよねと、よく分からぬと、まあこういう声をよく聞きます。このことに是非御配慮いただいて、勇気ある行動をしていただきたいと思っております。  それと、もう一点お伺いしたいのでありますが、やはり良い成果を上げるには、きちんとした制度をつくることも大切なんですけれども、一番重要なことは、その制度をいかに確実に実行していくかと、ここが最も大切なことでして、私、あの大綱を見さしていただいて、工程管理という言葉が出てまいります。この工程管理というのは本当に大切だよねと、そういうふうに自分なりに思っているんですけれども、大臣の、この工程管理の意義と今後の進め方について、御答弁いただきたいと思います。
  156. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 御指摘のように、新しい基本法に基づく基本計画、大綱、それらに基づきます法律の改正、何よりも農業者の皆さんには新しい世界に入っていくことになりますので、この部分についてきちっと御理解をいただきながら、この法の趣旨、またメリットをよく理解をしていただくということが、ある意味ではこの法律の目的の成否を握っているんだろうというふうに思います。そういう意味で、この工程管理といった言葉が随所に出てくるわけでありますけれども、きちっきちっと関係者の皆さんによく説明をし、また双方向でいろいろな情報交換をして、何もこの計画を作ったら一字一句もう変えないんだということではなくて、実態に合った形で柔軟に目的達成のために実現をしていきたいというふうに思います。
  157. 加治屋義人

    加治屋義人君 中川大臣には大変ありがとうございました。この改革、農家にとって最も大切なものだと思っておりますので、今後の御努力をお願い申し上げて、私の質問を終わらしていただきます。  ありがとうございました。
  158. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で片山虎之助君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  159. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、木庭健太郎君の質疑を行います。木庭健太郎君。
  160. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 公明党の木庭健太郎でございます。総理並びに関係大臣に質問をさせていただきたいと思っております。  まず最初は、毎日のように報道されております情報の流出事件についてでございます。ある日は刑務所かと思えば、次は県警、次は自衛隊、一体、我が国の情報管理というのは一体どうなっているのかと思うぐらい悲惨な状況だと私は思っております。  特に、その中でも自衛隊の軍事情報がインターネット上に流出する、これは安全保障上から考えれば前代未聞というか、あってはならないようなことも起きている。これが今の日本の現実でございます。しかも、私が御指摘したい点は、これは護衛艦の幹部クラスがその防衛秘密を平気で自宅に持って帰ってるわけでしょう。午前中から論議になってますけど、モラルという問題に関して言うならば、これは徹底した再教育やいろんなことが必要なときに来ているということを痛感をします。  この情報流出、総理防衛庁の事務次官呼んで叱責されたという話も聞いておりますが、ともかく二度と起きないような体制をもう早急にどう組み立てるのか。さらに、再発防止ということで防衛庁にその再発防止のための委員会つくられたという。委員見ますと、全部防衛庁関係者だけじゃないですか。これで本当に抜本的にそういう情報流出ということを防ぐための策ができますかね。私は、こういうときは抜本的に外部の有識者の意見も入れながらきちんとした対策を取るべきだと思いますが、総理のこれについてのお話を伺いたいと思います。
  161. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 木庭先生の御指摘はもう当然であります。我が国の、あるいはまた日本国民の安全、安心を最も職務にしている防衛庁において情報流出事件が相次いだことは、私にとっても極めてショッキングなことでありましたし、これは何としても今後防止していかなければならないと思っております。  即座に私は私有パソコンに秘情報が入っていることについては削除をさせました。そしてまた、今後、私有パソコンを業務用に使っていくことは禁じました。しかし、残念ながら、これまでの海上自衛隊とか陸上自衛隊、航空自衛隊において、官で供給するパソコンが間に合っておらなかったものですから、私有パソコンが使われていることが実態でありましたので、この十七年度中に、陸海空、きちっと業務用、私用パソコンが使用されることがないように措置をさしていただきました。  その上で、よく考えてみると、今御指摘の海上自衛隊の幹部が、確かに通信関係の仕事をしておったものですから秘情報に触れることになったんでありますが、問題は、その自らの職域の情報を触れることはいいけれども、その他の分野の秘情報についても自らが知ることができるような管理体制は問題であったと思いますから、今後そういうことについては、例えばチェック体制、例えばアメリカの国務省、国防省なんか行っても、もうそれは三重、四重のチェック体制があります。そういうことをきちっと我々はやっていかなければならない。日本人の場合はどうも性善説的な形で人を信用しがちでありますけれども、これだけ国際社会の中で安全保障とかあるいは経済活動をしていかなければならないときでありますから、しっかりとそこは再発防止のために頑張っていきたいというふうに思っております。  それからもう一つ、調査会のことでありますが、高木政務官を中心としていろいろと研究をしております、あるいは調査をしております。当然、外部の専門家、情報セキュリティーの専門家が日本の経済界とか学識経験者の中にたくさんおりますから、そういう方々も呼んでその万全の体制をしきたいというふうに思っております。
  162. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 情報管理また情報漏えいについて、木庭議員の御指摘、もっともなことであり、これが防衛庁のみならず他省庁でも出ていることについては大変遺憾に思っております。  これは、今、額賀防衛庁長官お話しになりましたけれども、私は、単に防衛庁だけの問題じゃないと。外務省、警察含めて全省庁、公務員としての守秘義務、これが甘いんじゃないかと。いわゆる使命感ですね。そして、役所としても、秘密でいいものと秘密にしなくてもいいもの、余りにも秘密書類が多過ぎるんじゃないか、実際は秘密でないのにもかかわらず。そういう点も含めて、秘密はしっかりと守ると、秘密でなくていいものはマル秘とか極秘などというような扱いはしない方がいいと。  そういう点も含めて、全省庁、公務員としての使命感、守秘義務、よく考えながら情報管理を徹底するように全省庁に指示を出しているところであります。
  163. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 同じように、モラルという問題でいうなら、もう一つのやっぱり今回大きな問題になっているのは、これも防衛庁関係ある、施設庁から始まったこの官製談合の問題ですよ。やっぱり、ここも一つのこのモラルという問題が私は問われていると思いますし、与党としては、この官製談合防止の問題につきましては、私たち公明党も自民党さんと一緒になりまして、この官製談合の防止法、罰則を強化するなど法案の改正、そして改善の、向けて一つの成案は得たところです。  しかし、私どもも、そんな法律一つ変えたってこの問題解決できるかって、できないということは、それは分かっておりますし、その意味ではこの官製談合の問題、やはりこれも政府としての取組が極めて今求められているところだと思いますし、この再発防止そして真相究明へ向けた総理の決意を、この際、官製談合防止へ向けての決意を伺っておきたいと思います。
  164. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今年になってから防衛庁の官製談合が問題になり、国会でも厳しい御指摘をいただいておりますが、実は昨年の十二月に、私は自民党の中川政調会長に、公明党とよく相談して、党として、与党として現行法で十分なのかどうか、改善策あるいは罰則強化等、必要な点があるかないかよく点検して、自民党、公明党として案をまとめるように指示していたところであります。  これについては政府としても今しっかりと対応しなきゃなりませんが、今後、国会におきましてこの官製談合防止のための法案が審議されると思いますので、その段階で政府としてもいろいろな御指摘、御意見を伺いながら、再発防止のためにしっかりとした対応をしていきたいと思っております。
  165. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 総理、あえておっしゃらなかった。もうこの原因の一番大きいところは天下りの問題だという認識は当然おありになるんであって、だからこそ問題になっている早期退職勧奨の問題についても、総理自身提案もされて一つ方向性は出されている。  やっぱりこの問題の根源にある問題というのは、やっぱり一つは、その公務員の定年制というか、生涯公務員で働き続けていただけるだけの環境をどう整備していくかという論点が一つ。それともう一つは、やっぱり現段階では、防衛庁長官が防衛施設庁の問題でおっしゃっているように、その天下りするまでの期間の問題というのは、緊急避難的に今は、私はこの天下り期間の、今は二年ですよね、これを法律で位置付けるかそれとも自主規制にするか、いろんな方法あると思うんですよ。ただ、少なくともこの二年というのを延ばす方向というのは取り組まなければならないんではないかと私自身は感じております。  そういった意味で、この官製談合の根にある天下りをどうきちんと整理していくかという問題について、私は今申し上げました二つ、一つは、早期退職勧奨の問題をどう解決して生涯公務員として働けていけるかというようなシステムづくりを一つ取り組むこととともに、やはりこの天下り禁止期間というのを長くする方向で検討すべきだと思っておりますが、総理の御見解を伺っておきたいと思います。
  166. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 天下りの問題について、現在二年であると。二年間の猶予期間がいいのか、あるいは五年がいいのか三年がいいのか、それぞれ今議論が出ているところであります。  それに関連して、早期退職の問題を、五十代前半で退職する、これはちょっと問題があると。定年まで働けるようにするためには、六十歳なりそれに近い年齢まで勤めたい人は勤められるようにすべきだと。今のところ、三年間、五十三歳ぐらいから三年間延ばして五十六ぐらいまでは働けるようにするというのを慣例にしようということで、それには公務員制度とかいう問題がありまして、五年掛かるというんですね。三年間の退職を延長するだけで五年掛かる。更に六十まで延ばすとなるとどのぐらい掛かるのかという問題もあります。  そういう点も含めて、まあ天下りがこの談合に対して一つの要因であるならば、しっかりとした公務員として働いてもらうためにもこの早期退職慣例というものを見直す必要もあるのではないか。いずれにしても、今、何年制限するかという点も含めて、そういう点もよく検討して改善策を講じていきたいと思っております。
  167. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 是非私どもも、与党にも課題を与えていただいておりますから、きちんとした取組をしながら、やはり国民の信頼回復、これをするためには、こういった問題、今国会中に一つ結論を出していく課題だと思っておりますので、我々も努力します。是非ともこれについては一つの解決の方途を見付けていきたいと、このように決意を表明もしておきたいと思います。  昨日、総理は、あと残された任期というか、その間、課題は何かと言われたら、総理というのは目の前に次々に課題が来ると、それへ向かっていかなくちゃいけないということもおっしゃいました。そのとおりだと思いますし、御苦労されているとも思う。  ただ、その一方で、小泉総理のときでなければ道筋が付けられない問題というのも私はあるような気がしてならない。正に郵政はそういう課題だったと思います。  外交では、やはり道を小泉総理が拉致問題を含め開いた北朝鮮の問題は、やはり小泉総理のときにある程度の道筋を付けなければならないんではないかという思いが深くいたします。  もちろん大変な、外交問題ですから、難問です。でも、そのことを私自身深く思いますし、そうやって今の現状を見たときに、総理がおっしゃるように、この北朝鮮の問題、対話ということをもちろん筋として持っておかなくちゃいけないと思いながらも、先日の日朝交渉の状況などを見ると、やはり対話と、もう一つおっしゃっていた圧力という問題についても、一気に経済制裁をしろということではないんです。圧力を掛ける選択肢は幾つか提示、私たち国会もいたしました。そういったことを今やはり検討する時期に来ているんではないかと思いますし、私は、是非とも小泉総理の任期中にこの問題、拉致問題含めてある程度の道筋を付けていただきたい。この強い希望があることも含めて、総理の決意を伺っておきたいと思うんです。
  168. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 外交交渉ですから、我が国の立場と相手の立場もあります。特に、正常化交渉について、北朝鮮との問題につきましては難しい問題が山積しております。拉致の問題、核の問題、ミサイルの問題等、長年の懸案でありますから、できるだけ早くこの問題に決着を付けて国交正常化の実現を目指すべきだという御指摘は当然でありますし、そのためにも私は日朝平壌宣言を金正日氏との間でまとめてきたわけでありますが、現状は必ずしも思うとおりにはいっておりませんし、まだまだ意見の隔たりは多いなと。  そういう中で、これは六者協議にも見られるように、日朝間でできることと関係六か国で協議していかなきゃならない問題もあります。拉致された御家族の悲痛な胸中を思うと、一日も早く解決しなきゃならない問題であると日ごろ感じておりますが、こういう問題について現在の法律できちっとできること、そして日本の立場というものに対して誠意ある対応を求めていくこと、日本としては今までもう一貫してきて日本側の主張を北朝鮮側に申し入れてきたわけであります。  こういう中で、期限を区切ってということではなくて、できるだけ早いということにこしたことはありませんけれども、この問題につきましては粘り強く交渉していかなきゃならない問題だと思っておりますし、日本の立場は私が北朝鮮を訪問して以来一貫して変わっておりません。
  169. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今、もう一つのその六か国協議の問題も触れていただきましたが、六か国協議も今なかなか厳しい、状況は厳しい状況です。ただ、昨年末、実務者レベルでやってきたこの六か国協議ですけれども、初めて共同声明を去年の末に出しました。  その意味では、六か国協議は一応スタートラインには立ったところまで来たと思うんです。今、非常に難しい状況ですし、これホスト国中国でございますが、ここの重要度というのはますます増しているわけで、ここに対して日本がもちろん強く働き掛けていく、これも大事なことですが、これは一つ御提案でございますが、ある意味では一つの共同宣言、スタートラインに立ったということであるならば、今までは実務者レベルでこの六か国協議やってまいりました。この六か国協議、ある意味では舞台を変えて、一つ格を上げるなり閣僚級なり首脳級なり、そういったこの六か国協議の質を一回ばっと転換してみる、例えばそこに国連である、IAEAである、そういった方がオブザーバーで入ってもいいと思うんですが、そういう舞台を変えて一つの取組へ挑んでみるというようなことを日本から提案するのも一つの手段だと思いますが、総理、この提案についての御意見を伺っておきたいと思います。
  170. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 現在、六者協議という枠組みができているわけですので、これでの中でいかに成果を上げるということがまずもって大事なことではないかと思っております。
  171. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 まあそれはそれとして、やはりいろんな方法をちょっと考えていかないと、いま一つ、そういう意味ではこの問題については一つ角突き当たっているようなところだと思いますし、私は本当にこの問題に関していうならば、小泉総理の時期ということが一番解決できる、残りはあとわずかでございますが、是非ともその中での道筋をお願いしたいと、このように心から思う次第でございます。  さて、この国会でもう一つのというか後半国会の大きな課題は何かと申し上げれば、行政改革の問題であると。我々与党は景気の対策のためにもできるだけこの予算は早く上げさせていただいて、この行革論争をさせていただきたいというような思いを深くしているわけでございます。  この行革に関する推進法案につきましては、間もなく政府の方でおまとめいただくということでございます。  私たち公明党は、この行革に当たっては何が一つの大きな視点になるかといえば、それは事業の仕分だということを言ってまいりました。やはり、無駄を省き透明性を確保する。単に人間、公務員削減するといったって、それは簡単に削減できませんよ、仕事強化になるわけですから。一体やる仕事がどれなのか、やらなくていい仕事は何なのかという、その仕分をまず先にすることがこの中での一番大事なことだと、こう申し上げてまいりましたが、今後というか、近々提出される推進法案には、この事業の仕分という問題、どう取り入れていただいておるか、御説明を簡潔にお願いいたします。
  172. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 公明党さんの方もこうして今回のこの行政改革推進法に大変な御尽力を賜りまして、その際、かねてから御主張いただいておりますもろもろの事務事業の仕分、この問題につきましては、この過程におきましても、各推進委員会とか、推進会議とか、あるいはいろんな推進委員会、それぞれのところもその手法を使わせていただきまして、もうこの機関はもう要らないじゃないかとか、これとこれを合わせてやる方が効率的じゃないか、あるいはこれは民間に移せるじゃないか、これは地方自治体に任せたらいいじゃないか、また、地方の仕事もこれ同じことでございますが、一律にシーリングを掛けてぱんと五%削減というんじゃなくて、それぞれやっていくことの手法を取らせていただいております。  そのことを受けまして、今回の法案、いよいよ今週末に何とか成案を得ると思いますが、行政改革推進法につきましても現在提出に向けて作業中でございますが、事業の要否及び実施主体の在り方につきましては、態様等に応じた仕分を踏まえて検討を行うことになるよう、法案にかなりはっきりとしてその言葉も使って盛り込みたいと、このように思っております。  それから、そのことにつきましても、ただそうするだけではなくて、いろんな審議の過程も、議事録にもしておりますし、またはっきりと皆様方にも公表する形を取っておりますから、そのことも含めてよろしくお願いする次第でございます。
  173. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今、担当大臣言っていただいたように、この仕分をやる際に何が大事かというと、仕分という結果じゃなくて、どうやって仕分をしていくかという方が大事なんですよ。  今おっしゃったように、一つ大事なことは、これを国民に見える形でどう公開しながらやっていくかというのが一つの大きなポイントであり、それについては是非という、やっていこうということもおっしゃっていただきましたし、もう一つは、この仕分という仕事は、総理、やっぱり官僚にとっちゃ余り楽しい話じゃないですわね。自分がこれまでやってきた仕事を、要らないといって吐き出す、これは地方自治体でいいんだって吐き出す、やめてもいいんだみたいなことになれば、それは仕分そのものを官僚皆さんに全部これお願いするようなことになる、それは酷な話であり、また難しい話だと思うんです。  だから、この仕分をやるときに大事なのは何かというと、役人自身、まあ入れても構いませんが、それ以外にやっぱり民間の知恵をかりる。さらに、地方自治体とも調整することが必要になってくるわけですから、地方自治体の知恵もかりる。こういったことが一番大事なポイントになると思っておりますが、総理の御意見を伺っておきたいと思います。
  174. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 役所は確かに様々な権限を放す、手放したくないという姿勢が強く見えるんですが、みんな何々省ですからね、省の字をもっとよく考えればいいんですよ、省くんですから。  どうして仕事を省くのを嫌がるのかと、私不思議に思っているんですよ。省事にしかずという言葉あるんですね、事を省くにしかず。上に立つ人ほど下に仕事を任せなさいと、余計なことに口を出すのをやめなさいと。にもかかわらず、役所はもう仕事を抱えて、地方がちょっとこの仕事は渡してくれというと、絶対駄目だ、今の機構は全部必要だと。要らないと言うと、もう必死になって必要性を訴えるわけですね。各省、何々省といっているんだから、もっと仕事を省くことを考えて、人に任せればいいと思うんです。  公明党、いい提案したじゃないですか、先日。学校の建築も、なぜ教室は三メートル以上なきゃいけないのかと。三メートルの背のある人間なんて少ないはずだと、大人も子供も。それを、学校を建てる場合には、教室は三メートル以上なきゃいかぬと。これを少し、三十センチでも低くすれば、もっと費用は安く、広く、同じ値段で教室を造ることができるというのを公明党から提案いただきまして、早速そうしましたよ、規制緩和。こういういい提案がある。むしろ、こういうのはもっと役所の方から言い出すべきことなんだけども、こう一定の規制があるとできない。ほかにも似たようなことあると思いますよ。  でありますから、民間の力もかりながら、地方意見もかりながら、まあ様々な意見を、いいものは取り入れてできるだけ中央の役所は省くことに専念して、民間に何も、地方に何も渡していくという、正に省に省たるにふさわしい仕事をしてもらいたいと思っております。
  175. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 すばらしい見識を示していただきましたし、我々も是非この精神で仕分を本当に進めていきたいと、こう決意をしており、やはり無駄がない、そういう政府というものをつくり上げていきたいと、こう決意をしております。    〔委員長退席、理事市川一朗君着席〕  そこで一つ、今回、この推進法の中には政府系金融機関の統合というか、この問題も含まれてくるわけです。これは、一つの時代の流れの中で私どもも取り組まなければならない課題だと思っておりますが、これまでこの政府系金融機関が例えば中小企業に果たした役割というのをどう位置付けていくかというのは、私はこれからの議論だろうし、大事な視点だと思っております。  その意味で、これまで政府は様々な中小企業に対する融資制度やっていますが、ちょっと一例として、マル経という制度がありますね。中小企業長官いらっしゃれば、簡単にこの制度、どんな制度なのか、そしてこの制度が一体どういう推移をたどって今どんなふうになっているのか、この辺の説明を簡潔にお願いします。
  176. 望月晴文

    政府参考人(望月晴文君) お答えいたします。  小企業等経営改善資金融資制度という、いわゆるマル経制度は、昭和四十八年から、商工会、商工会議所の経営指導を受けた小規模事業者がその商工会などの推薦に基づきまして、国民生活金融公庫から無担保無保証人で小口資金の低利融資を受けるという制度でございます。  融資実績は、平成十六年度で二千八十四億円になっておりますが、先生御指摘のとおり、平成十年度のピーク時の四千三百二十四億円から約半減をしているわけでございます。その主な要因は、小規模事業者の資金需要全体が落ち込んでいることにあると考えておりますが、また他方で、担保や保証人を必要としない他の融資制度が順次実施されていることなども要因の一つかと考えられます。  その中で、マル経制度は、今申し上げましたように、商工会などの経営指導と一体という特色を持った融資制度であり、小規模事業者の資金調達や経営改善に大きな役割を果たしてきたと認識をいたしております。しかしながら、現状を踏まえまして、この制度の在り方につきましては、有識者を含めました関係者の意見を聞きながら、より良いものにしていくべく考えていきたいというふうに考えております。
  177. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 二階経産大臣、つまり何を私が今言いたい。結局、中小企業の皆さんは、政府系金融機関、本当使い勝手いいし、使おうとしているんですよ。ところが、一つ制度をつくると、制度を変更しないままでずうっとやっているんです、同じ制度。どうなるかと。制度、だんだん使わなくなるわけです。使いにくくなっているから、時代に合わせて。どうなるかといったら、これ、十六年の実績言うと、融資額五千五百億を用意したんですよ。それが結局二千八十四億しか使えなかったという結果なんですよ。  こういうことがあると、財界とか財務省から付け込まれて、もう政府系金融機関という中小企業役要らないじゃない、こんなことやられるわけですよ。これであっちゃならないんだ。だから今回、本当にそういうことをきちんと、政府系金融機関の問題、今回整理するわけですから、こういうときに本当に現場に合った使いやすい制度に変えてもらいたいんです。きちんとしてもらいたいんですよ。このことを言いたかったんで、一言あれば。
  178. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 木庭議員から、中小企業金融に対しまして力強い御声援をいただいたと理解しております。  政策金融改革につきましては、かねて私どもも申し上げてまいりましたように、閣議決定した小泉内閣の方針のとおり、我々は完全民営化に向けてしっかりと取り組んでまいります。しかし、それと同時に、中小企業者が改革をしてむしろ良かったと思っていただけるようなものにすることが重要であります。今議員おっしゃるとおりであります。これは是非御支援を願いたいと思います。  中小零細企業、個人の資金調達支援について、昨年末の行政改革の重要方針においても政策金融の分野の一つとされております。改革後の新しい機関も、今後とも不動産担保や保証人に依存しない融資の推進など、中小企業への円滑な資金供給の確保に今後とも役立つようなものに仕上げてまいりたいと考えております。
  179. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 なかなか今の流れは厳しい状況の中で、中小企業を守って頑張らなくちゃいけないのは二階大臣でございますから、大変なこともいろいろ起きるでしょうけど、御支援いたしますから、是非御努力をお願いしたいと、このように思っております。  さて、話変わりますが、四月からいよいよ障害者自立支援法、いろんな枠組みがスタートするわけです。私は、様々な点で国が責任を持ってこの障害者の自立へ向かっての一つのシステムをつくったということではとてもいい法案なんですが、ところが、中身がどう変わっていくのかというのがなかなか現場までまだ浸透していないようでございまして、そういう意味ではいろんな不安を皆さんが持っていらっしゃる。  今日は、その中で一つ、小規模作業所というのがございます。全国で今六千か所ございますが、これが自立支援法が始まりますと変わっていかざるを得ないような法になっているようでございまして、それに基づいて一体どんなふうに変わっていくのかというのを教えていただきたいし、また、その変わっていくときに新たないろんな要件が出てきているようでございまして、そういうものに合致するかどうか。この六千か所の小規模作業所の皆さん、非常に不安も持っていることも事実でございまして、そういう意味では、その人たちがきちんと移行できるまでの間の柔軟な対応や経過措置も、私どもにも強く求められております。  そういった点含めて、厚生労働大臣に、この小規模作業所どうなっていくのかという問題、また、柔軟な対応というのはできるのかということを含めて御答弁をいただきたいと思います。
  180. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 昨年、一昨年の通常国会においても、小規模作業所の地域で果たしている役割の大きさと支援の必要性について議員から御指摘をいただき、厚生労働省としても検討を進めてまいりました。  障害者自立支援法においては、良質なサービスを提供する小規模作業所については、例えば定員等の要件を満たす場合には、自立支援給付事業や地域生活支援事業等、法定の事業の実施が可能であると考えております。  御指摘の地域活動支援センターについては、平成十八年度予算においては、小規模作業所六千というお話でございました、四千二百か所が移行するものと見込んでおります。  この地域活動支援センターは、障害者自立支援法において市町村が必ず実施をしなければならない事業として位置付けられており、その補助要件については、何らかの法人格を取得すること、その利用定員がおおむね十人以上であること、小規模作業所としての運営実績がおおむね五年以上であることなど、最小限必要な要件を設けているところでありますが、実施主体である市町村が運営の安定性並びに提供するサービスの質や効率等を勘案しつつ、今お話がございました、柔軟に設定することができるものであります。  なお、平成十八年度に限り、利用定員が五人以上十人未満の小規模作業所については、利用定員の増加等、地域活動支援センターへの移行計画を作成した場合は、これも一定の配慮をいたすことにいたしております。  また、こうした制度内容が関係者に適切に理解されるよう、十分周知徹底、今委員が御指摘ございました、三月一日に決めましたので、今各地域に職員派遣をしながら周知徹底をいたしております。  新事業体系への移行をしない小規模作業所においても、引き続き、これは今度は自治体の単独事業になりますけれども、補助が行われると。そういった見地からいきますと、六千全部が仕事はしていくという形でつながってまいるだろうと思っております。
  181. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 厚生労働大臣から今配慮のある御答弁をいただいたと思っています。ただ、厚生労働大臣、知っていただきたいのは現場の実態がどうなるかということなんです。  つまり、今回新しく、その小規模作業所というのは、元々、市町村厚生労働省から言われて、親御さんたちが、もう場所もないけど、とにかく何人かだけでも集めて一生懸命つくってきて六千か所にようやくなったんですよ。ところが、今回、自立支援法が始まるとなったら、いや、それは理想的には法人格があった方がいいに決まっていますよ、十人以上あった方がいいに決まっていますよ。でも、そんな条件にならないで必死になってつくってきたわけですよ。  ところが、こういう新しい要件が決まるとどうなるかと、役所の対応というのはね。概してどうなるかというと、いや、要件がありますよと、あなた方ちょっと足りませんから今回ちょっとどいといてくださいと、こう言いかねないんですよ。  ここが、ある意味では現場と離れがちなところでございまして、今、厚生労働大臣、きちんと各市町村も含めて徹底をするとおっしゃっていただきました。是非そうしてください。是非こういう法人格が取れるように、十人以上のそういう施設になれるように、ある意味ではそういう小規模のところを励まし、指導してもらうぐらいのことをやってもらいたいんです。いいでしょうか。
  182. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 基本的に国が責任を持ちながら指導していく、障害者自立支援法の基本に基づきながらやってまいりたいと思いますので、御懸念ないようにお願いしたいと思います。
  183. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それともう一つ、今回、自立支援ということで、障害者の就労支援ということを全般的に始まるわけでございますが、これはケネディ大統領が、その就労、障害者の問題でよく言われたのは、この障害者をタックスイーターからタックスペイヤー、つまり税金を払える、障害者もそういう立場へということを進めていくべきだということを言われたということを聞いておりますが、そういう意味では、そういう方向へ位置付けるためには何がこの障害者にとって一番大事かというと、実は、自宅で、在宅で就労ができるかというような問題が実は大きなポイントになっていくんです。  この意味では、いわゆる今ITというものが進んでいる。これを活用することでこの就労、自宅就労、在宅就労というのは大きく変わっていく、こういう要素があります。その意味で、是非とも、この在宅就労を目指す障害者がこのIT技能を習得するための様々な方策を講じていただきたいと、こう思っておりますが、厚生労働大臣答弁を願います。
  184. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 御指摘のように、IT技能の習得をするためにITを使うと、こういう切り口でございますけれども、十六年度が四県二十二人、十七年度も八県九十人、まず受講していただいて、検討をしてまいりました。その結果に基づきまして、e—ラーニングによる効果的な訓練の在り方、それをとらえた上で、現在実施している障害者の態様に応じた多様な委託訓練の中で、障害者の在宅就労を支援する機関等へ委託し、e—ラーニングによるIT技能付与のための訓練を実施したいと考えております。  いずれにせよ、今申し上げたように、十六年、十七年で大体モデル事業ができ上がりましたので、この成果を十八年度広げてまいりたいと考えております。
  185. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 いや、本当に障害者にとってこのパソコンというか、ITというのは劇的な変化をもたらすんですよ。  私は、自分のおいが、全く目が見えないおいなんですけれども、七年間一緒に暮らしたんですけれども、彼が大学に進学して私の宿舎に来たんですけれども、そのときに何が一番大変だったかというと、一冊の辞書ですよ、この小さな英語の辞書。これがどうなるか、点字になると。本棚全部、一冊の辞書が本棚一杯分の、点字にするとこんなんですよ。辞書引くといったら、それからこうやって引くわけですよ。もうこれは大変だなと正直思いましたよ。ところが、パソコンが導入されて、そのパソコンに点字が浮き上がるようなシステムがあるんです。これつないでやるとどうなるかというと、するともう辞書で引きたい文字を打ち込む、そしてさっと触ればそれが出るわけですよ。本棚一冊分何にも要らない、もう捨てていいわけですよ。こんな変化起きたし、もう一つ申し上げたいのは、目が全く見えない人としゃべれない人が人を介さずに会話をするためにはどうすればいいかと。パソコンを使うんですよ。しゃべれない人の方は打ち込むわけです。画面で字を見るわけです。打ち込まれて送られてきた目の見えない人はどうするかというと、今度は点字で拾ってもいいし、パソコンは音声で聞くこともできるんです。パソコンを使うと対話ができるんですよ。そういう意味で、物すごくある意味ではこのITというものが障害者にとっては大切なものになっています。  今お話がありましたし、是非ともその点を更に進めていただきたいという気持ちを深くいたしております。  そして、厚生労働大臣にもう一つ、これ全然話変わるんですけど、もう一問、高額医療費の窓口払いの問題についてお尋ねをしておきます。  これ何かというと、我が党、井上政調会長も前国会で質問しておりましたが、現在はこの高額療養費制度、つまり、入院して高額な医療が例えば掛かったとします。そうすると、現在はどうなるかというと、患者はいったん三割の費用を窓口で支払わなければなりません、三割を。そして、後から自己負担限度額を超える分が償還されるという仕組みになっている。つまり、必ずいったん窓口で三割負担分を払わなきゃならない。このために、わざわざこれを払うためだけに借金をしなければならないというような事態が現実に起きている。何とかこれぐらいは改善できないのかということを私ども何回も申し上げてきた。どう変えればいいのか。窓口の支払は自己負担限度額のみにとどめれば、随分これでいわゆる掛かる人たちの負担が変わってくる。こういった取組を是非できないかということを主張し、検討するというようなことをおっしゃっていただいておりましたが、どうなったか、検討の結果を是非御報告をお願いしたいと思います。
  186. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今御指摘いただきました高額療養費制度、この件につきましては、総理、前の尾辻厚生労働大臣答弁をさせていただきました。政府・与党で取りまとめていただいた医療制度改革大綱においても検討事項になっておりました。いずれにせよ、七十歳以上は既にできておりますけれども、七十歳以下の者について患者の負担を軽減するため何とかできないかということで検討を進めてまいりました。  私どもとしては、御指摘のように、入院して高額な医療費が掛かった場合に、医療機関の窓口での支払を高額療養費制度における自己負担限度額にとどめ、償還払いされる分を支払う必要がないようにしたいと考えております。  また、その実施については、事務処理体制の整備に要する期間、これは市町村でございますけれども、期間も考慮し、来年の四月から実施をさせていただきたいということで、今準備に入ったところでございます。
  187. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 分かりました。ありがとうございます。  さて、これからひとつ、昨日も論議を民主党の方がされておりましたが、子供の通学の安全、言わば子供の安全をどう確保するかという問題でお伺いをしたいと思います。  一応、写真を撮ってきましたので、何かといったら、スクールバスでございます。スクールバス。(資料提示)  我が党も、通学路の子供の安全を確保するという問題で、このスクールバスというのがどう役に立つかなというようなことで、実際に現地に行って調べさせていただきました。    〔理事市川一朗君退席、委員長着席〕  現在、スクールバスというのはへき地教育振興法というもので、小学校の場合は四キロ以上、中学校の場合は六キロ以上の通学距離の子供を対象にしてこういうスクールバスというのが導入をされ、実際に利用されていると。ところが、現地へ行って聞いてみるとどんなことになるかというと、小学校だったら四キロでしょう、中学校六キロ、その離れた子供を乗せるんだそうですよ。じゃ、六キロ未満、四キロ未満、そこに子供いるわけですよ。その子たちはどうするのといったら、これは法上は駄目だというわけですよ、法律上は。あるわけですよ、バスは。でも乗せられないというような運用をしているところが現実にあるわけです。こればかな話ですよね。  もちろん、弾力的な運用を当然していただきたいと思うし、さらに、子供の本当に通学路の悲惨な問題が起きたことを考えると、何とか通学路の安全をどう確保していくかという武器の、ツールの一つとしてやはりこのスクールバスの問題というのは検討をしていただきたい問題だと思うし、現在の法律でいくと、へき地教育振興法に基づいてしまうと地域が極めて限定される。これ、どうにかへき地教育振興法だけじゃなくて何とかできないかなという根本的な思いはありますよ。  そういう検討も是非していただきたいとともに、昨年十二月でございましたか、政府が取りまとめた「犯罪から子どもを守るための対策」というのを見させていただきましたが、その緊急対策の六項目の一つが何かというと、路線バスを活用した通学時の安全確保という問題が掲げられておりました。こういった問題含めて、子供たちの安全確保という観点から、このスクールバスの運用という問題、運行という問題、どう推進していけばいいのかと、我々は是非推進すべきだと考えておりますが、文科大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  188. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) ただいま御指摘いただきましたスクールバスの問題につきましては、学校の安全という観点から、猪口少子化担当大臣からもいろいろなアイデアもいただいておりますし、また、公明党の皆さんからも御支援をいただいているところでございまして、ただいま御指摘のように、へき地教育振興法では、へき地の児童生徒の通学援助のために、通学距離、児童四キロメーター、生徒が六キロメートル、ただし、豪雪地帯は児童が二キロで、生徒、すなわち中学校は三キロなんですが、御指摘のように、この地域のお子さんをまずピックアップしましたら、その沿路、その沿道にあるお子様も拾ってくるということの運用を通達を出しまして指示を出しております。昨年末にも出しておりますし、今ここにちょっと紙が付いておりませんが、出しております。  それから、同じように、先ほど御指摘のありましたスクールバスの代わりに路線バスを活用することにつきましても、二月の十七日、これと同じ、先ほどのと同じですね、これ二月の、今年の二月の十七日に出しておりますが、各都道府県の指定教育委員会の教育長あてに通達出しまして、路線バスをスクールバスとして活用するための指針というものを出しました。地域の自治体とそれから交通機関とお話合いをいただきまして、その活用方策について進めていただくようにいたしております。  また、スクールバス、ボート、離島の場合にはボートも使いますが、これらの支援につきましては、十七年度の予算額が四億でございますが、これを更に強化いたしまして、スクールバスの運行費、一台当たりの総務省の支援が五百八十万、これにつきましては、へき地であるなしにかかわらず、いったん導入をして、購入をしていただきますと、先ほど購入費ですから、購入をしていただきますと、運営費の五百八十万、措置するようにしておりますが、地方自治体の配慮でそのバスを購入していただきますと、同じように、学校設置者が買っていただきますと、これに対して五百八十万円の交付税が、措置がされるということで支援をしてまいります。  今後とも、この充実につきまして、関係皆さんと御相談をしながら、しっかりと取り組んでまいります。
  189. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それと、子供の安全というか、通学路の問題のときに緊急提言も見させていただいたんですけれども、何でこの組織を使わないのかなと、ふと思ったのがあるんですよ。  それは何かというと、一昨年法律改正で、文科省は学校運営協議会、コミュニティ・スクールというのをつくっているんですよね。若干予算も付く制度なんです。これ、地域で学校の運営その他をPTA、地域、商店街含めて一体となってやろうというようなのがコミュニティ・スクールだと聞いているんですよ。こんなの、子供の安全の問題なんかで一番使い勝手がいいような、こういう協議会なのに、調べさせてもらったら、何か法律改正があった割には、全国で三万三千ぐらい小中は公立ありますよね。でも、コミュニティ・スクールってどれぐらいあります。何か、ほとんどないんじゃないですか。ちょっとその辺、実情を説明してください。
  190. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 御指摘の学校運営協議会、すなわちコミュニティ・スクールと呼んでいる件でございますが、現状は、実際には四十一校が指定をいたしております、十二市町村、四十一校。これは、言ってみればモデルケースのような形になっておりますので、平成十八年度はこれを更に増強する予定でございます。十八年度中、検討している市町村は、一県二十二市町村、また、十九年度以降に指定を検討しているところが三県六十五市町村となりまして、合計二百三十五校に拡大をする予定でございますが、まだまだ少数でございます。  しかし、御指摘のように、こういったコミュニティ・スクールにおきまして、学校運営協議会が中心となって地域と学校が連携をして登下校時のパトロールを行うなど、子供の安全確保のための取組を行っている例もございまして、今御指摘をいただきましたように、今後この学校運営協議会の検討会等におきまして、この登下校時のパトロール等の強化について私どもからも積極的に支援をしてまいる予定でございます。
  191. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 是非、そういう既につくってる組織というのはできるだけ活用した方がいい、子供の安全、登下校を守るためにですよ、まあ幾つかの緊急提言もしていただいたんですけど。じゃ、それをやるため、例えば地域の人たちが子供を守るために腕章を用意しようとすると。どうなるかというと、自分たちでやるしかないんですよね、お金ないから。だったら、例えばこの運営協議会というのがあれば、そこに小さいけども予算があるんですよ。そしたら、それくらいのこと出してあげれるじゃないですか。だから、やっぱりあるものをどう使うかという視点も私はとっても大事じゃないかなという気がしましたんで、もったいないなという思いがあってちょっと御提言をさせていただいた次第ですが。  それとともに、この子供の安全という問題は、昨日も御指摘があってました。本当に一歩出れば、その通学路というのはどこが管理しているかといったら国土交通省であることは事実ですよ。で、問題があればやっぱり警察がかかわるし、学校の問題ですから文科省がかかわるし、さらに性犯罪者の問題であれば法務省がかかわる。もうありと、ありとあらゆるとは申しませんが、各省庁がまたがっていろいろかかわる問題にこの問題はなっていくわけですし、ある意味では、私は、我が国にとってこういった子供の安全というような問題は、政府一体挙げて一つの象徴的取組が必要じゃないかなという思いもするんです。例えば、来年度の骨太の方針でこの子供の安全、安心というような観点をきちんと位置付けて、例えば子供の安全、安心に対する施策については特別重点化枠みたいなことを考えるとか、そういったある意味では思い切った取組もこの子供の安全というような問題については必要になってるんではないかなと思いますが、総理から御意見を伺っておきたいと思います。
  192. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 子供の安全対策の重要性は我々も木庭議員と共有しておりまして、今各省庁連携して取り組まなきゃならない問題だと認識しております。また、費用の点につきまして、政府だけでなく民間が、金の面、財政支援は要らないから自分たちの取組を応援してくれという民間団体も出てきております。言わば官民一体となって、地域全体となって子供の安全対策を図ろうということでありますので、そういう動きを支援しながら、政府として今後全体で取り組まなきゃならない問題だと。  一つの例として、魔の八時間対策。これは、午後二時から午後、夜の十時まで、保育園、幼稚園、まあ幼稚園は早いんですけれども、保育園も大体六時ぐらいまで、せいぜい長くて八時ぐらいまでだと。まあ、そこで間に合う親御さんもおられるけれども、そうじゃなくて五時なり六時で会社の仕事をやめて帰ってくるまで、六時までだと、六時から十時までは一人で子供が過ごさなきゃならない。あるいは午後二時、学校から帰ってきて手持ちぶさただと。そういう午後二時から夜十時までの八時間というのは、子供にとっては非常に犯罪に、犯罪の手に掛かりやすいということから魔の八時間と呼ぶそうでありますが、この対策を強化していきたいという動きが民間の間で広がってきておりますので、これはいいことだなと。政府としてどう支援ができるかというものも、その民間の識者も交えて、こういう点、子供の安全対策に各省庁連携を取って全力で取り組んでいきたいと思っております。
  193. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今年、いぬ年なんで、一問。(資料提示)  これ、犬使うのは、例えば盲導犬がいたり聴導犬がいたり、麻薬犬がいてみたり介助犬がいる、いろいろ犬いますけれども、これ何というかというと、災害救助犬だそうでございます。  総理、何か、この災害救助犬というので聞かれたこととか何かございますか。
  194. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私はじかに使ったことありませんが、その活動を見て、もう本当に犬に対して頭の下がる思いです。いや、盲導犬にしても災害救助犬にしても麻薬対策犬にしても、人間以上の活躍をしていますよ。ああ、本当に犬に対して拝みたくなる気持ちを感じます。この姿を見ても、本当に犬もいい顔していますね、優しくて、忠実で。こういう犬というのは本当に貴重だと思っています。
  195. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 おっしゃっていただいたとおり、これ、災害救助犬というのは何かというと、においをかぎ取る力を使うんです。何のにおいかというと、人が生きている、生存しているという、そういうにおいがあるんだそうでございまして、地震が起きている現場、生き埋めになっている人たちを捜すというようなことをこの犬がやるわけであって、我が国でも民間団体の方々がこの災害救助犬というのを随分いろいろ訓練をし、育てていただいたり、もちろん警察にもあるんですよ、九頭ぐらいいますけれども。日本部分でいうと、トルコのあの大地震のときとかインドの大地震のときも、実際に日本のこの災害救助犬が行って活躍して、いろいろ実際に生き埋めになった人を助けたケースもあるし、もっと有名なのは阪神・淡路の大震災のときですよ。フランスとスイスが送ってきたのは何かというと救助犬でしたから、それがどうだったかといういろんな評価はありますよ。でも、国際的な問題でそういう問題が起きたときに、まず国の意思として送ってきたのが救助犬だったというようなこともございました。  私はその意味で、国家としてこの救助犬、災害救助犬に取り組んでいる国もあるんですけれども、日本の場合はまだまだそこまでいろんな意味で行ってないところもございます。ただ、それこそ先ほどお話、総理のお話じゃないですけど、民間の皆さんがいろんな意味でこういう災害救助犬を育て、やっていらっしゃいます。ただ、今のところは公的な補助というのは一切ございませんから、そういう意味ではいろいろ苦労しながらやっていらっしゃるというのが現状である。こういう問題に対して、やはりどういう形でこういう災害救助犬のようなものを援助できるのかというようなことを国、日本としてもそろそろ検討していい時期ではないかなと思いますが、担当大臣のお答えをいただいておきたいと思います。
  196. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) 災害救助犬でございますが、日本におきましては今おっしゃいました警察の方で約三十頭、警察が直接保持しているものは九頭、嘱託しているものが二十一頭でございます。千頭以上いる警察犬の中で災害救助犬として活動できるのはこれだけでございまして、非常に災害救助犬というのはセンシビリティーな動物なんだそうでございます。  また、民間団体の方ではボランティアとしてたくさんのものを保有しており、あるいはまた育成いたしております。この民間団体の保有しているこの災害救助犬については、都道府県が将来いざというときに備えて救助してもらう、あるいは生きている人の、生存者を発見してもらう、そういうために協定を結んでいるところがございます。約九県、それから市としても九つ、消防団体では四つ契約をしております。  ただ、この犬、救助犬というのはすごい犬でございまして、やっぱりいざというときには救助隊と、それからその救助犬、そしてその救助犬を扱うハンドラー、これが一体とならないと機能し得ない。特に、ハンドラーというのは常に救助犬と一緒にいないと機能していただけないというようなものでございます。  そして、非常に集中力を短期に集中するものですから、行動時間というのは大体十五分から三十分で休まないと続かないという問題もございますし、今おっしゃりましたように聴覚が物すごく発達している、嗅覚も聴覚も発達しているんで、いざやるときには百メートル四方に騒音があると行動できませんので、それをどいていただくというような、いろいろな実働の際に制約などがございます。今、日本では、消防の救助隊というのはファイバースコープを使ったり、あるいは電磁波でその生存を発掘するようなシリウスなどを使ったりしているんですが、何といっても災害では生命、生きている方を少しでも早く見付けてこれを助けるということは非常に重要な課題だというふうに思っています。  フランスやスイスからも来ていただいて阪神でいろいろしたんですけど、なかなか生存している人を見付けるというのは物すごい難しいことで、というのは、やっぱり人間というのは大体一日なんですね。もうほとんど一日超えてから助けられるというのは奇跡的なんですよ。ですから、早く来ていただくとか、そういういろんなことの制約がいろいろあるんだろうというふうに思いますが、何しろ災害ではいろんな選択肢を持っていることが非常に大事でございますので、私たちの方としても、今までのいろんなことは十分これからもう少し勉強したいと思います。  何も支援がなかったわけでなくて、外国へ行くときに外務省で二件、プラットフォーム等に、ジャパン・プラットフォーム等に支援した例もございますけれども、ともかくそういうのをしっかり、過去における出動をしっかり勉強し、それから、地方公共団体と一緒に合同訓練やっていますから、それにも私たちも参加しながら、これから国として何ができるかを研究していきたいというふうに思います。  それでは、どうも。
  197. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 よく勉強していただきました、大臣。ハンドラーなんという言葉が出てくると思いませんでしたから。是非、研究をしてください。  私の質問の最後に、同じように救急の問題、ドクターヘリの問題、ちょっと厚生労働大臣、なかなかこのドクターヘリが広がらないんですよね。私は一つのツールとして本当大事な問題だと思っているんですけど、まあ運航費用が高いとかいろんな問題あります。ただ、このドクターヘリというのは欧米ではかなり広がっている、日本ではまだ広がりが薄い。そんなことを考えると、このドクターヘリの普及へ是非とも努力をいただきたい。また、どういうことでドクターヘリに対してもまた大きく支援ができるのかということについても研究してもらいたいと思うんですが、一言御答弁をいただいて。
  198. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 現状は、九自治体で十機が運航しております。十八年度はもう一つ増えて十自治体十一機。現状は、十三年が六百回だったものが、十六年で三千三百回、一機当たり五百回になりましたから、一日二回の出動になっています。そういう意味ではだんだんだんだん成果が上がってきていると。そういう意味では認知も上がるだろうと。ただ、地方自治体によっては防災ヘリとのあれもありますので、よく勉強しながら推進してまいりたいと思います。
  199. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。浜田昌良君。
  200. 浜田昌良

    浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  私からは地域コミュニティー、また町づくりの基本的な在り方について関連質問をさせていただきたいと思います。  今、福祉の世界では、自ら助ける自助や公が助ける公助だけではなくて、いわゆる近所付き合いや共々に支え合う共助の世界が、介護予防拠点整備や徘回高齢者対策を始め広がり出しております。共助が重要なのは福祉の分野だけではありません。教育の分野でも学校教育、家庭教育と並んで子供会などによる地域の教育、この重要性が指摘されています。また、防犯の分野でもいわゆる声掛けやまた見回りというものが再見直しされています。  そこで、小泉総理にお聞きしたいと思いますが、福祉、教育、防犯における共助の役割が大きくなる中で、今後求められる地域コミュニティーの在り方について御見解をお伺いしたいと思います。
  201. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 福祉のみならず、今、木庭委員がお話しされたように、子供の安全対策にしても、あるいは地域のボランティア活動を見ても、警察、消防、公的機関だけに頼らないで、地域の力をかりていい町をつくっていこうという動きが広がっているということは大変心強いことだと思っております。防犯対策にしてもしかりであります。こういう地域の力というものをできるだけ発揮していただくような対策なり対応なり施策というものはこれからますます重要になるのではないかと思っております。
  202. 浜田昌良

    浜田昌良君 今御答弁いただきましたように、地域コミュニティーの役割は今後ますます大きくなっていくと思います。  そこで問題なのは、だれがその地域コミュニティーを担っていくのかと、核となるのかという問題であります。私は、その一つの選択肢として商店街というのが一つ大きな選択肢だと思っております。ある商店街では、高齢者の方に買物の代行をして配達をすると、そういうサービスをしたり、またボランティアと地域通貨を連動させると、こういう仕組みをしているところもあります。また、ある商店街では、子供が危険を感じたら駆け込みやすい店づくりとか防犯見回りをしていると、こういう商店街もあります。さらには、空き缶、ペットボトル、そういうものの収集と、それと割引券を組み合わせると、そういう商店街とか、また空き店舗を、商店街の中の、これを活用して小中学校の総合学習の時間、こういう学習時間に働くことの意義を教えると、こういった商店街も出だしています。元々、商店街の対面販売という関係自体が地域コミュニティーをつくるのに良好であると、そういう指摘もあるぐらいです。  そこで、経済産業大臣にお聞きしたいと思いますが、この地域コミュニティーの中での商店街の役割というのは私は大きいと思いますけれども、御見解はいかがでしょうか。
  203. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま浜田議員が御経験に基づいて商店街の問題についてお述べになりました。誠にそのとおりでありまして、商店街は人々が集まり、またお互いに語り合い、そしてコミュニティーとして、また夏とか秋が来ればお祭りをやったりしてお互いににぎわいを創造しているところでありますが、正に今議員御指摘のように、私は商店街の特色ということは正に町の顔だと思っております。古い歴史のある町、文化の薫りのする町、また地域がみんなでこの商店街を盛り上げようと努力している町、それはそれぞれ頑張っていただいておるわけであります。  ですから、私は、今祭りという話をしましたが、商店街が自ら元気を出して祭りをやるぐらいのところはやっぱり商店街もはやっておるんです。歯抜けになって、そして空き店舗がずっと目立つようなところ、これは地方がそうだということを皆一概に言われがちですが、そうではなくて、都会にもそういうところがやっぱりあるわけです。ですから、これは共通の問題として、経済産業省として、関係省庁、特に国交省と連携して、コンパクトでにぎわいのあるまちづくりを進めようということで取り組んでおりますことは議員も御承知のとおりであります。今国会に中心市街地活性化法案を提出しているところでありますが、地域の皆様の実情に耳を傾けながら、真剣にこの商店街の活性化に取り組んでいきたいと思っております。  そして、かつて議員もそういうお立場で御活躍をいただいたわけでありますが、私は、全国に幸い経済産業省の出先があるわけですから、地域の皆さんの必要に応じて相談相手になる、一緒に物事を考える。そういう意味で、何か陳情や要望あったら役所へ来なさいというような態度ではなくて、どんどんこっちから出向いていって御相談にこたえていくぐらいのことをやろうではないかということを言いました。  そして、かつての古巣の経済産業省では、何といいますか、発展途上国の皆さんのために今いろんな支援策をやっておりますが、先日は、職員全体がそういう意識を持つために、経済産業省の中で、発展途上国の皆さんにお店として提供しまして、そして大使などがみんな来てくれまして、二十七か国来ました。これは浜田議員の古巣ですからちょっと御紹介をしておきましたが、そういう感覚で役所も取り組まなきゃいけない。法律を作ったからそれでいいというようなことを私は決して考えておりません。どうぞ御一緒に御協力をお願いします。
  204. 浜田昌良

    浜田昌良君 ありがとうございます。最近の状況まで教えていただきまして、心強い限りでございます。  今、二階大臣からの御答弁で、商店街は町の顔であり歴史であるという御答弁もございましたが、政府としては、一九九八年にいわゆるまちづくり三法というものを作りました。制定したり改正したりしました。改正都市計画法、中心市街地活性化法、そして大規模小売店舗法でございますが。そして、てこ入れをしたわけでありますが、じゃ商店街は繁盛したかと、そう聞きますと、最近の商店街実態調査、平成十五年でありますけれども、これで、繁盛していると答えたのはたったの二%なんですね。それ以外が、停滞している又は衰退しているという、そういう正にシャッター通り商店街という状況でございます。  そこで、再度二階大臣にお聞きしたいと思いますが、こういう数字について、商店街が今厳しい状況にあるということについてどのように評価され、今後どういうことにすれば今までの流れを転換できるか、これについてお答えをいただきたいと思います。
  205. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 商店街の活性化が進まない原因というのはそれぞれの町ごとにいろいろ理由があろうと思いますが、総じて申し上げれば、郊外の居住者が増えていること、また車社会の進展、アメリカ型といいますか、車社会によって随分遠くまで買物に出掛けるというようなことがこのごろ平気でありますし、一週間分まとめて買ってくるというようなこともありますから、近所の商店街に足を運ばないような人もおられるということ。  あるいはまた、病院とか学校とか市役所、その地域の目玉になっているようなところが郊外に突然移転してしまった、こういう例もあるわけでありまして、これを町の郊外化と呼ぶか、地域としては、その町全体、市全体としてはいろんな要因で発展のためにそういう方策を取っておられるんでしょうが、そこの商店街に限って言えば、それがぽっかり抜けることは大きな痛手になっております。  そしてまた、中心市街地の商業者が顧客、住民のニーズというものに対して、まあ大変失礼ですが、十分対応できていないのではないかと思われる節もある。また、中心市街地のコミュニティーとしての魅力が低下しているのではないかと、こういう指摘もあります。郊外に大規模な集客施設が立地して中心市街地と郊外との競争が極めて厳しくなっている例もあります。  そんな様々な複合的な要因といいますか、いろいろな理由が重なり合っておるわけでありますが、これらを私どもは放置しておくわけにはいかない。このやり方だけでうまくいくかどうかは分かりませんが、中心市街地の活性化のために新たな法案を提出して、正にコンパクトかもしれませんが、にぎわいを創造していくということにチャレンジしてみようと思っております。先ほども申し上げましたが、これは法律を作るだけが意味があるわけではなくて、この法律をきっかけにして、経済産業省、国交省相協力して役所を挙げて対応してまいりたいと思っております。  その終着点といいますか一番大事なところは、要はその商店街の皆さんに奮起していただくこと、そして若い人たちもまた帰ってきてもらえるような、そういう商店街であってもらいたいと望んでいるところであります。
  206. 浜田昌良

    浜田昌良君 正にその若い人たちに奮起してもらおうと、そういうことが重要と思っておりますが、そのタイミングでありますけれども、この地域コミュニティーを維持発展させるためにも、その核となる商店街の活性化やそのための基盤づくりが私は今こそ求められていると、そう考えています。  その背景として言えるのは、人口が減少するという状況です。二〇〇五年の国勢調査によれば、人口が前年より二万人減少したと言われています。この人口減少は東京都といった大都市部よりも地方都市を直撃すると、そのように言われています。地方の都市では、この人口減少化に備えて町づくりを抜本的に見直すと、そういう動きが出てきています。  例えば、青森市では、都市部を中心から三つの層に分けまして、人のにぎわう施設を商店街と連動させて、そして中心部に集中させるいわゆるコンパクトシティーと、そういうものを実現しています。また、金沢市とか京都市とか福島県では、大規模小売店舗を中心市街地に誘導して商店街と連動させる、共存共栄させると、こういうことを考えているところもあります。  一方、二〇〇七年から二つ目の状況として団塊の世代が退職し始めると、こういう現象が出始めます。そういう中で今起きているのは、どこの地方都市でも駅前にマンションが建っているんですね。駅前マンションブームでございます。これは、一時期はニュータウンに住んでいた、子供がたくさんいて良かった、ところが、子供がもう巣立っていった、そして自分がもうすべて車で運転するのも大変だ、そうすると、駅前のマンションで町中居住しようじゃないかと、そういう動きが出てきているわけでございます。そのような今こそ、私は、国としての二十一世紀の町づくりのビジョンを示すときだと考えます。  そこで、国土交通大臣に質問させていただきますが、この人口減少化、高齢化の中での町づくりとして、いわゆるコンパクトシティー、歩いて暮らせるまちづくりというビジョンが重要と考えますが、御見解はいかがでしょうか。
  207. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今委員のおっしゃったように、人口減少社会そして本格的な高齢社会の到来、これは今後の町づくりにも大きな転換を与えるというふうに私は思っております。  これまでは、人口が増加をしてきまして都市機能がどんどんどんどん拡大をしていく、拡散をしていく、郊外にどんどん町が広がっていく、こういうことがあったわけでございますけれども、私はもうこれからこれは終わりにしないといけないというふうに思います。むしろ既存のストックをいかに有効に活用しリニューアルするかと、そういう観点で町づくりを進めていく必要がある。  都市機能が無秩序に拡散をしていきますとどうなるか。例えば公共交通の維持はこれからはもう困難になってまいります。また、ますます自動車依存型の町になるわけでして、これは高齢社会にはふさわしくないと考えます。また、環境面からも、郊外に町が広がれば広がるほどエネルギー消費量というのは拡大をいたします。一人当たりのエネルギー消費量は町が拡大すればするほど消費量は上がってしまいます。また、当然郊外の自然環境への負担も大きくなる。三点目には、やっぱり公共サービスの効率化ということでございます。町が広がれば後追い的なインフラ整備が多くの場合必要となりますし、当然その整備された道路であれ何であれ維持管理が必要になってまいります。  そうしたコストが増大してくる等々を考えますと、これからの町づくりの在り方というのは、今委員のおっしゃったように、コンパクトシティー、歩いて暮らせるまちづくり、やっぱり高齢者の方々が徒歩や自転車や、場合によっては電車やバスや、そういう公共交通を使うことによって必要なものは充足する、利用できる、そういう町づくりをこれから志向していかなきゃならない。そういう観点から、今回都市計画法の見直しを含めたまちづくり三法の見直しをさせていただきたいと考えております。
  208. 浜田昌良

    浜田昌良君 ありがとうございます。是非コンパクトシティー、歩いて暮らせるまちづくりを実現するために都市計画法等の準備をお願いしたいと思っております。  このコンパクトシティー、歩いて暮らせるまちづくりを実現するには、何よりもやる気のある町づくりの主体者、これが必要です。それは住民、商店主、ディベロッパー、多様な主体の協調が重要です。これと併せて必要なのは秩序立った都市計画であると考えます。アメリカやイギリスでも、しっかりした都市計画があるから自由なようでも町づくりが整然と成っていると。都市計画は百年の計であります。農地の真ん中に大規模店を立地させて、周辺の商店街を衰退させたころにはまた移転してしまうという焼き畑農業のような短期的な視点で行われるものではありません。  そこで、小泉総理に質問したいと思います。このコンパクトシティー、歩いて暮らせるまちづくりを実現するために、まちづくり三法をこの国会で抜本強化し、商店街、中心市街地の活性化を図ることが重要と考えますが、御意見はいかがでしょうか。
  209. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今国会にいわゆるまちづくり三法を提案して御審議をいただく予定になっていると思いますが、やはり法律を作っても必ずしもその地域が発展するとは限らないと浜田議員言われましたけれども、地域の人が主役になっていただいてこの法律を生かしていただく、そのための様々な創意工夫が必要だと思っております。  今までの商店街におきましても、全国見てみますと、やはりかなり廃業しているところが多く見られます。外国へ行くと、どうして日本のように小売店が少ないんだろうとけげんに思っておりましたけれども、だんだん日本もそういうことになってくるのかなと危惧しております、商店街には商店街の良さがあるわけですから。ただ、商店街に商売やっていればいいかというと、商売やらない人の、人もどうやって呼び込むかという工夫も必要じゃないでしょうか。  そういう点も含めて、この法律を生かして、非常に寂しくなっていく商店街の人たちも奮起していただいて、何か今までとは違ってにぎわいを取り戻すことができるような工夫を是非とも凝らしていただきたいと期待しております。
  210. 浜田昌良

    浜田昌良君 ありがとうございます。  今御答弁いただきましたように、この国会でまちづくり三法を出していただくわけですが、九八年のときに改正、制定したときにも、何とかそれで商店街が盛り上がっていくと、そういう期待をしたわけです。そういう意味では、今回の改正案も慎重に審議をして、本当に実のあるものにしていくことが重要と考えています。  先ほど言いましたように、イギリスではPPG6と呼ぶんですが、いわゆる都市計画法が整然としている。アメリカではきめ細やかな用途地域の制限がされていて、それでそれによって都市計画がうまく成り立っていると。こういう実例もありますんで、こういう例を勉強して、是非この国会でいい法案をさしていただきたいと思います。  改めて経済産業大臣にまちづくり三法の改正について最後に御決意をお聞きして、終わりたいと思います。
  211. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 今まではこの失敗例といいますか、だんだん歯抜けになっていっているような商店街のことがよく話題になっておりましたが、成功している例も全国各地に相当数存在しているわけですが、その中でよりによって大体百ぐらいの立派な商店街をピックアップして、これを一冊のパンフレットにまとめて、全国の商店街等に是非奮起の材料にもしていただこうということで今取り組んでおります。  あわせて、私たちは今中小企業に力を入れておりますから、中小企業も成功例、これは国際社会でも活躍している中小企業、そういうところへこの視点を置いて全国三百地域を今選んでおりますが、三百を選ぶというのは大変なんです。大変というのは数が大変じゃなくて、三百に絞り込むのが大変なんです。しかし、商店街も百ぐらいは立派なのは十分ありますから、これを中心にして全国の皆さんにアピールして、御一緒にみんなで立ち上がると、こういう商店街の明日に希望を持っていただきたいと、このように思っております。
  212. 浜田昌良

    浜田昌良君 終わります。
  213. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で木庭健太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  214. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、市田忠義君の質疑を行います。市田忠義君。
  215. 市田忠義

    市田忠義君 日本共産党の市田忠義です。  今、国民の大きな批判を浴びている防衛施設庁の官製談合についてまずお聞きします。  岩国基地の拡張工事、一九九六年から二〇〇五年までの間に既に契約された請負額、予定価格、その総額はそれぞれ幾らか、端的に金額だけお答えください。
  216. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 御答弁申し上げます。  平成八年度以降本年の、十八年の二月末現在までにおきます岩国飛行場滑走路移設に係ります工事の契約概要でございますが、請負金額は約千四百十七億円でございます。また、予定価格は約千四百四十八億円でございます。
  217. 市田忠義

    市田忠義君 請負金額は予定価格の九七・八%、岩国の工事は初めから談合でやられていたという指摘がありましたが、今の落札率を見ても談合の跡が歴然としている。  公正取引委員会がこう言っています。談合が指摘されて是正されると、平均一八・六%安くなると。この基準からすると、工事を請け負ったゼネコンに総額幾ら潤わしたことになるか。単純計算でいいですから、幾らになるか。
  218. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) まず、本件につきましては、検察当局の捜査が今継続いたしておりますので、捜査に影響を与える可能性がありますので、全体としてはコメントを差し控えさせていただきたいと思っておりますが、ただ、単純に、その今先生御指摘の一八・六%安くなるといった前提に立ちまして、先ほど私が申し上げました千四百十七億円、これに一八・六%を掛けますと約二百六十四億円になります。
  219. 市田忠義

    市田忠義君 私は、すべての契約を見せていただきました。ここにありますが、もちろん物品や業務などもありますが、ほとんどが埋立てなどの工事であります。談合が摘発されても、不当に手にした、今言われた二百数十億円、これはぬれ手でアワで懐に入れたままと。納税者である多くの国民は、自分たちの税金がそういうところへ行っているんだから返してほしいと。総理、この国民の声にどうお答えになりますか。
  220. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この談合をいかに防止していくか、排除していくか、国民の税金というものを有効に使っていくか、無駄を排除していくかということを考えますと、我々としても、政府としても、談合防止のためにどのような改善策を講じていかなければならないか、今真剣に検討しているところでございます。  与党におきましても、昨年の十二月から談合防止に対して今よりもより良い改善策はないかと検討していたところでありますので、現在捜査中でありますけれども、今後ともこのような貴重な税金を使う事業がこのような談合によって被害を受けることのないように、今後公正な競争を促進するように、そしてまた談合排除のために全力で取り組んでいきたいと思っております。
  221. 市田忠義

    市田忠義君 もう、このお金は結局、防衛施設庁の高級職員の天下り先を確保するために使われた。国の防衛どころか高級官僚の退職後の生活防衛のために国民の税金が使われた、そういう性格の問題であります。  今、米軍再編について関係する自治体では、どうしてこういう人たちと話し合わなければならないのか、防衛庁解体ということを言われているけれども、なくなる省庁と話して一体何になるのかと、関係する多くの自治体でそういう声が聞かれる。防衛庁長官、この怒りの声にどう答えられますか。端的に。
  222. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私は、こういう再発防止のために、施設庁のこれまでの歴史的な経緯あるいはまた人事の停滞、あるいはチェック体制がなかったこと等々を総合的に考えて、施設庁の出直しを図った方がいい。そのためには、解体をして、きちっと庁内のチェック体制をしき、監視体制を整備することによって出直す。と同時に、入札制度を競争原理を働かせる、再就職問題についてもそれ相応の対応措置をとっていくこと、そういうことを総合的に考えていきたいと思っているわけでございます。  一方、施設庁の職員三千百人は、やっぱり一部の高級幹部によって信頼を失墜させてしまったわけでありますけれども、大半の人は米軍基地あるいは日本の基地の所在するところで、毎日毎日騒音防止あるいはまた地域の活性化のために、あるいは地域の安定の促進のために、一軒一軒歩きながらサービス、あるいはまた地域の総合的な発展のために努力をしているということも忘れてはいけないと思っております。
  223. 市田忠義

    市田忠義君 ところで、米軍の岩国基地というのはどういう規模の航空基地かと。  外務省にお聞きしますが、アメリカの国防総省の基地構成報告二〇〇五年版、米軍が海外に展開する航空基地の中で米軍岩国基地は面積でどういう位置にあるか、それだけ端的にお答えください。
  224. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) お答えいたします。  お尋ねの米軍基地構成報告、これの二〇〇五年版の従いますと、米国以外に所在する航空施設の中で、面積でいうと岩国飛行場は第三位に入っております。ただ、この面積につきましては、提供水域の部分も含めた数字になっておるようでございます。
  225. 市田忠義

    市田忠義君 これは、私、アメリカの国防総省の報告によって作った資料ですが、提供水域も含めると岩国が六千五百六十七エーカー、嘉手納空軍基地が四千九百三十、世界最大規模の航空基地であります。そして、軍人数でいうと、あるいは常駐する戦闘攻撃機の機数ですね、これはここにありますが、これでも世界有数であります。今行われている移設拡張工事で、陸上部分はこれまでの一・四倍であります。まあ東京ドームの大体百六十八倍の大きさになる。  人員も大幅に増えるし、常駐する戦闘攻撃機は今、嘉手納約百機ですが、ここへ五十七機来るわけですから、最大規模の戦闘攻撃機がこの岩国に来ると。まあ百機態勢。その他の米軍機や自衛隊機を合わせると、およそ百三十機と言われています。これは防衛施設庁の報告でもそうなっている。  これだけの軍用機が集中している基地が、米軍が海外に展開している航空基地の中にほかにありますか。
  226. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) お答えいたします。  今、突然の御質問で、具体的に航空機がどの程度基地に配備されているかということは、手持ちの資料ちょっと持っておりませんので、答弁は差し控えさせていただきます。
  227. 市田忠義

    市田忠義君 世界にないんですよ。改めて調べてくださいよ。我々、自主的に調べました。客観的な資料で調べました。世界一なんですよ。  そして、岩国に移駐してくる五十七機の空母艦載機、そのうちFA18という戦闘攻撃機が四十九機です。既に配備されているFA戦闘機と合わせますと、合計、FA18だけで八十五機になります。これ、大変危険な戦闘機なんです。  防衛施設庁は、関係する自治体の問い合わせに、厚木飛行場所属の空母艦載機の日本国内における過去五年間の事故は非常に少なかったと。墜落及び着陸失敗はない、部品落下及び物件投棄は五件、日本近海における墜落一件と、そうお答えになっています。大したことないんだと。  そこでお聞きします。これ、外務省でしょう。  米海軍の公式ホームページでは、FA18ホーネットのクラスA、クラスAというのは死者あるいは墜落などによる被害額が百万ドル以上、そういう重大事故にランクされる事故、二〇〇三年度と二〇〇四年度、それぞれ年度別に、件数だけ端的にお答えください。何件か、それだけでいいですから。
  228. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) お答え申し上げます。  米軍航空機の運用については日本政府の方で個々説明する立場にはございませんけれども、御指摘の米海軍のホームページによれば、FA18の事故、クラスAに関して言えば、二〇〇三年度十三件、二〇〇四年度十四件というふうに記載されております。
  229. 市田忠義

    市田忠義君 そのとおりであります。二〇〇〇年からの五年間を見ますと、クラスAの事故は何と四十八件で、年平均十件であります。しかも、今のは世界でありますが、在日米軍関係のFA18の事故も頻発しているんです。  いろんな資料で調べてみました。一九八九年以降の十五年間に、確認できるだけで二十三回に及んでいます。このパネル、見にくいでしょうけれども、見えないぐらいたくさん起こっているんです、見えないぐらい。(資料提示)それぐらいたくさんFA18ホーネットというのは事故を起こしていると。  これでどうして安全と言えるのかと。防衛施設庁は関係自治体への説明で、離発着訓練、夜間の離発着訓練、いわゆるNLP、これは岩国でやるのは低騒音、騒音の少ないE2Cだけだから大したことはない、そういう趣旨のことをおっしゃっています。  そこでお聞きしますが、E2C以外の他の艦載機のNLP、夜間離発着訓練は絶対にやらないと、硫黄島が天候不良など緊急時にも絶対やらないと断言できるか。岩国市への防衛施設庁の回答ではどうなっているか、どういう回答をしたかという、その箇所だけ読み上げてください。
  230. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 御答弁申し上げます。  私ども、先生御指摘の山口県知事あるいは岩国市あるいは……
  231. 市田忠義

    市田忠義君 そこだけ読み上げてくれたらいいんです。別の、ほかのことは要りません。
  232. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) はい。三者から御質問いただきましたので、それにつきまして、十二月の二十一日に、次のように回答さしていただきました。  2プラス2共同文書におきまして、空母艦載機離発着訓練のための恒常的な施設が特定されるまでの間、現在の暫定的措置に従う旨が示されており、現在も岩国飛行場が予備飛行場として指定されていることや空母艦載機が所在する厚木飛行場が予備飛行場として指定されていることから、空母艦載機の移駐後の岩国飛行場についても予備飛行場として指定され、硫黄島で天候不良等により十分な訓練が実施できない場合には空母艦載機離発着訓練が実施されることがあり得ると考えていると。  なお、2プラス2共同文書において、空母艦載機離発着訓練のための恒常的な施設が特定されるまでの間、現在の暫定的な措置に従う旨が示されていることから、厚木飛行場と同様の措置がとられ、岩国飛行場で、いわゆる低騒音機E2Cでございますが、これの空母艦載機離発着訓練が実施されるものと考えている……
  233. 市田忠義

    市田忠義君 委員長、いいです、いいです。
  234. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) その旨、御答弁さしていただいておるのが一点。  なお、ちなみに、岩国につきましては、十三年度以降、空母艦載機の発着訓練は行われておりません。
  235. 市田忠義

    市田忠義君 あのね、往復方式になったんですから、聞いていることだけに答えればいいんですよ。聞いていないことまで長々やられたら私、質問できないんですから、それならもう聞かないで、私から言ってイエスかノーかだけしか聞きませんよ。そういう姿勢、あなた駄目ですよ。ちゃんとここだけ答えてくれと昨日言っておいたでしょう。無駄な別のところあなた答える必要ないんですよ。今後そういうことなら、もう委員長、注意してください、ああいうやり方には。  今、重大な答弁なんですよ。ジェット戦闘機による夜間離発着訓練、NLPをやる場合もあると。やらないやらないと言っていたけれども、やる場合もある。これ重大なんです。  そこで、お聞きしたいんですが、じゃ、昼間の離発着訓練は岩国で行うのか、これ端的にお答えください。やるのかやらないのか。
  236. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) いわゆる空母艦載機離発着訓練につきましては、硫黄島でやることが原則でございます。
  237. 市田忠義

    市田忠義君 そういう説明を聞きますと、岩国ではほとんど飛ばないんじゃないかと、多くの国民皆さんはそういう錯覚に陥られると思うんです。  そこで、私、大事な問題が、一体離発着訓練とは何かということだと思うんです。政府は、広島に対する、広島県への説明で、空母艦載機離発着訓練とは、着艦信号官が着艦ごとにパイロットを監督し評価する訓練、すなわち監督官が試験をして、テストをする、そういう場合のことを空母艦載機離発着訓練というと、その中で夜間にやるものだけをNLPというと、こういうふうに答えています。そして、空母艦載機発着訓練が実施される場合には、在日米軍司令部からの連絡を受け、公表するとともに、各防衛施設局を通じ速やかに関係自治体にお知らせしていると。  要するに、分かりやすく言うと、政府が原則として硫黄島でしかやりませんと言っている離発着訓練というのは、空母への着艦を正しくできるかどうかの言わば技能検定試験なんですよ。練習は含まれてないんですよ。試験と練習、試験のことを空母離発着訓練というと。試験の前には猛勉強するんです。その技官が見てないやつは、すなわち事前の訓練はこの離発着訓練には入らないんだと。徹底的に練習しなかったら、すなわちタッチ・アンド・ゴーなんてしょっちゅうやられているんですよ。艦載機が着陸態勢に入って、車輪が地面に着くと同時にエンジン最大限吹かして再び急上昇する。これタッチ・アンド・ゴーと呼ばれています。  厚木基地の現状を見ますと、例えば空母キティーホークが横須賀に入港するのは、過去五年間のデータを見ますと、年間平均二百十一日間です。その間、正式な離発着訓練が行われるまで事前訓練、タッチ・アンド・ゴーが頻繁に行われていると。どれぐらいやられていますか。事前訓練、どれぐらいやられていますか。
  238. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 御指摘の事前訓練につきましては、私ども、米軍の運用にかかわる問題でございますので、その正確な状況は把握はいたしておりません。
  239. 市田忠義

    市田忠義君 極めて無責任なんですね。それでよく、騒音被害はないなどと私よく言えたものだと思うんです。  どれぐらいやっているか。NLP直前の一か月間の厚木基地周辺の朝六時から夜十時までの騒音発生状況、NLPがやられる前ですよ、いわゆる練習ですね、事前訓練。その時期の厚木基地周辺の朝六時から夜十時までの騒音状況調べたら、大体どれだけの事前訓練やっているかは類推できます。  そこでお聞きしますが、二〇〇四年七月七日から十六日にかけてと昨年の一月十八日から二十三日にかけて行われたNLP訓練の直前一か月間の騒音発生状況はどうだったかと。これは広島にも、山口、岩国にも説明されています。その中で、長々言われると困るので、九十デシベル以上及び百デシベル以上の騒音はこの期間に何回あったかと、それだけ端的にお答えください。
  240. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 御答弁申し上げます。  十六年度におきましては、先生おっしゃるように、二回硫黄島にてNLPが行われております。一回目は十六年七月でございますが、その直前の一か月につきまして、先生御指定の九十デシベル以上の騒音発生回数は、九十デシベル以上百デシベル未満が千八百八十三回、百デシベル以上が千百九十六回となっておりまして、二回目のNLPが十七年一月に行われていますが、その前に行われました事前訓練におきまして、九十デシベル以上を申し上げますと、九十デシベル以上百デシベル未満が千四百十二回、百デシベル以上が千四百九十九回となっているところであります。
  241. 市田忠義

    市田忠義君 これ、すごいことなんですよね。今、このおよそ一か月間のことを言われましたけれども、一日にしますと、例えば九十デシベル以上が六十四・九回。これは〇四年六月八日から七月六日の間です。そして、百デシベル以上が一日四十一・二回。これ、およそ一か月間の合計の騒音回数は、これ、いろんなデシベル全部合わせますとその騒音回数は何と六千二百二十九回なんですね。〇四年十二月十九日から〇五年一月十七日までですと、何と五千二百八十五回。およそ一か月ぐらいの間にこれだけの騒音回数が事前訓練、これ事前訓練というのは通告も何もないんですよ。勝手に米軍が練習と称してやるやつなんです。  で、離発着訓練は硫黄島でやりますやりますと、だから大丈夫だ大丈夫だと言っているけれども、政府はなかなか沈黙して語らないタッチ・アンド・ゴー、少なくとも、今言っただけでもこれだけあるということが明らかになったと。  私は、岩国でこういうことをやらないという説明がいかにいい加減かと。幾らNLPやらないといっても実際には事前訓練の名で物すごい騒音がまき散らさられている。しかも、その範囲、離発着訓練やらなくても日常の離発着でも騒音はまき散らされているんですよ。しかも、その範囲は大変広範囲です。  広島県、防衛施設庁への質問書で、岩国基地の至近距離には、世界文化遺産であり、雅楽や神能、これ神さんの神と能と書きますが、広辞苑読むとカミノウと読むそうですが、雅楽や神能など歴史のある無形の文化財を今に伝えている厳島神社が所在する、米空母艦載機の移駐による騒音の増加等が本県の文化・観光・産業や瀬戸内海の静穏な環境に及ぼす影響は計り知れませんと、こういうふうに広島県が述べています。  大体、日本が世界に誇る文化遺産、その上空を米軍の戦闘攻撃機が我が物顔で飛び回ると。今でも飛んでいるんですよ。だから、厳島神社では、あそこで修行しているお坊さんまで修行にならないと、こんなことでは困ると。お坊さんや、あそこにはお寺もあります。神社もあります。弥山というところに真言宗の修行場があるんです。(発言する者あり)ちゃんとそんなことは分かっているんです。何も神社だけなんて、安倍さん、言ってないですよ。そんなやじ飛ばさないでくださいよ。修行もできないと現に言っているんです。  そこでお聞きしますが、絶対に厳島神社、弥山、あの辺りに飛ばない、騒音の被害はないと、そういうふうに言い切れるのか。広島県にはどういう回答しているか、回答したその文を読み上げてください。それもほかのことは要りませんよ。ここだけ読んだらいいんです。もし変なところ読むんだったら私の方から言いますから。
  242. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 先生、変なことといいますか、一点ですね、先ほど私が申し上げた九十デシベルにつきましては、御承知のように厚木の話でございまして、これが岩国へ行きますと沖合移設に出ますので、今申し上げたような数字はぐっと少なくなる。また、すべての数字は海上になりますので、是非御理解ください。  それから……(発言する者あり)済みません。それから……
  243. 市田忠義

    市田忠義君 ちょっと、あなた要らない、あなた要らない。委員長
  244. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 御指名でございますので……
  245. 市田忠義

    市田忠義君 委員長、いいです、いいです、いいです、いいです、いいです、いいです。委員長
  246. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 御指名でございますので。  宮島等につきまして回答した内容でございますが、航空機騒音が宮島及びその周辺地域における生態系への影響、厳島神社及び同神社における雅楽等無形の文化財への影響及び宮島及び周辺観光地に与える影響について確たることを申し上げることは困難であるが、今回の日米間の検討の過程においては、地元の状況も踏まえ、基地周辺に住む住民の生活環境が現状よりも著しく悪化することがないよう十分留意したところである。  岩国飛行場滑走路……
  247. 市田忠義

    市田忠義君 そこまででいいです、そこまでで。そこまででいいです。委員長
  248. 小野清子

    委員長小野清子君) はい、よろしいそうです。  市田君。
  249. 市田忠義

    市田忠義君 あのね、先ほどの私、事前訓練の厚木の話を聞いたのは、事前訓練というのは米軍の運用にかかわることだから承知してないと言ったから、そんなことはないと。事前にこれだけの騒音が起こっているじゃないか。それが岩国でそのままイコールで起こるなんてだれが言いましたか。そういうごまかしの答弁やったら駄目ですよ。私は、厚木で事前訓練やられてこれだけの騒音が起こっているでしょうと、そういうことを言ったんですよ。だから、離発着訓練という技官が見てやるやつだけじゃなくて、事前にそういうことやっているというのよく分からないと、自分らでは米軍の運用にかかわることで知らないと言ったけれども、これだけの騒音があるということを発表しているじゃないかということを言っただけの話なんです。  今、厳島神社の上を飛ばないとは確たることを申し上げることは困難だと。十分に留意してと。何が留意かと。今も飛んでいるんですよ。そして、これからも確たることは言えないと。これからも飛び続けますということを言っているのと同じじゃないですか。大体、政府の説明には根拠がないんですよ。騒音の予想図、コンター図を作って騒音被害は少ないということを証明しようとしているけれども、宮島だけがすっぽり外れているというのは恣意的なんです。  この騒音予想図を作る際の飛行経路についての説明、これ広島にどういう説明しているか、私読みました。沖合移設に伴う環境影響評価、これは一九九五年の話ですよ、十年前の際に想定した飛行経路と同一でありますと、そう言っているんです。一九九五年当時のアメリカ側と調整した飛行経路だということなんです。十年前の想定で作られたもので将来の安心を担保するなど絶対にあり得ないと、いい加減なこと言ったら駄目だと思うんです。  広島はもう一つ懸念表明しています。本県においては、低空飛行訓練による騒音被害の実態があり、艦載機の移駐により、こうした訓練の増加につながることが予想されますと、こういう質問、これは当然の疑問だと思うんです。そんなことはないというふうに言えますか。  これは外務省、防衛庁が返事出しているそうですけど、管轄は外務省だそうですから、北米局長でも結構です。広島にどう答えたかと。
  250. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) お答え申し上げます。  昨年十二月二十日付けで広島県から御質問をいただいておりまして、これに対して政府より、一月三十一日付け、防衛施設庁から県知事あてに回答をしております。その中で、今御指摘の低空飛行訓練に関しましては、米軍の運用にかかわる問題であり、御指摘のような状況が生じるかについて政府として一概には申し上げられないが、いずれにせよ、改めて米側に訓練に際しては安全面に最大限の考慮を払うよう申入れを行う考えであるという回答をしております。
  251. 市田忠義

    市田忠義君 要するに、米軍の運用にかかわる問題だから、政府として一概に低空飛行訓練、やるかやらないか、増えるかどうかは言えないと。  アメリカ本国では、低空飛行訓練、どこを飛ぶかって全部明らかにしているんですよ。ヨーロッパでも明らかにしているんですよ。日本国内だけ、これは米軍の運用にかかわることだからといって、飛行経路も明らかにしない。そして、地元への説明でも、御指摘のような状況が生じるかについて政府として一概に申し上げられないと。いずれにせよ、改めて米側に対して訓練に際しては安全面に最大限の考慮を払うよう申入れを行うと。ただ申入れを行うというだけの話。結局、何にもはっきりしてないんですよ。何にもはっきりしてないのに大丈夫だと、安全だと、騒音はこれ以上ひどくならないと、そう説明しているだけであります。  そこで、私、総理にお伺いしたいと思うんです。そもそも一九九六年に始まった岩国基地の拡張工事というのはどういう目的だったか。これ、岩国市への政府の説明はこうでした。騒音や安全性の問題を改善、除去するため、地元の長年の要望にこたえて実施するものであり、基地機能の強化を意図したものではないと、そういう説明を岩国は受けていたと。ところが、その米軍岩国基地に、要するに負担の軽減やるんだと、そのために沖合一キロに新しい滑走路造るんだと。ちょっとはましになるかなと思っていたと。そこに世界最大級の攻撃機を受け入れると。基地機能の強化を意図したものでないと言いながら、最大級の攻撃機受入れ可能な基地になっていると。  総理、基地の強化そのものじゃないでしょうか。これ以上の基地強化はやらないと言いながら、これだけの米軍機、戦闘機がたくさん来ると。これ、基地機能の強化と言わずして何と言うんでしょうか。総理、いかがですか。
  252. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは日本全体における米軍基地の再編の問題であって、一部が減れば、沖縄が減ればほかのところに移転しなきゃならない。今までなかったところに飛行場ができれば、それは今までなかったところにできた地域においては基地のある程度の負担になる。  厚木の問題においても、厚木の部分は減るかもしれないけれども、新たに持ってこられた地域においては負担にはなり得ると。しかし、全体で考えれば、抑止力の維持と基地負担の軽減を考えてやらなきゃならないのが、これの、日米間の米軍の再編成であり、日本にとっては安全の保障のための抑止力の維持であり、沖縄の基地負担の軽減であるという全体を考えていただきたいと思います。
  253. 市田忠義

    市田忠義君 そうすると、やはり岩国は基地機能の強化をやらないと言っていたけれども、今度は基地機能の強化だということを事実上今お認めになりました。これは重大だと思うんですよ。基地機能の強化やらないと言いながらやると。約束違反じゃないですか。いかがですか。いや、総理、どうですか。いや、総理答弁に、聞いているんですよ。
  254. 小野清子

    委員長小野清子君) では、最初に額賀防衛庁長官
  255. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは今の、今度の米軍再編というのは、小泉総理がおっしゃったように、負担の軽減と抑止力の維持のバランスをどう取るかという話でございます。  この岩国基地につきましては、委員御指摘のとおり、騒音とか、一方で周辺に工業地帯があるとか危険性もあるので一キロ沖出しをして、地域の安全を図るということの目的のために沖出しをしたわけであります。今回、厚木基地から空母艦載機を岩国に移転をした場合、一方で海上自衛隊の飛行機十七機を、これをまた厚木の方に持ってきたりいたします。  そういうことを総合的に考えてみますと、私どもが調べたところによりますと、岩国飛行場の滑走路移設事業が完了し、空母艦載機が移駐された後の騒音状況を予測した結果によれば、陸上部におけるいわゆるうるささが七十五以上の区域ですね、住宅防音装置が必要なところの区域というのは、現行の区域と比べてほとんど、そのほとんどの区域が減少し、具体的に面積的に言えば、現行の千六百ヘクタールから約三分の一の五百ヘクタールに減少します。また、この区域に所在する住宅防音工事の助成対象世帯については、現行の一万七千世帯から約四千世帯に減少すると。総合的にはそういう騒音値的なものは減少していくということになります。
  256. 市田忠義

    市田忠義君 先ほど飛行経路を、今の騒音をどうなるかという調査する上で十年前の飛行経路でやったと。新しい飛行経路について米軍ともう取決めやったんですか。そんな騒音予想図が、だれが信用できるんですか。ええ加減なことを言ったら駄目ですよ。
  257. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今その具体的な、まあ言ってみれば、飛行経路とかあるいは訓練の状況については日米間で協議中であります。  大詰めの作業をしているところでありますけれども、住民の皆さん方に具体的なデータに基づいてどういうふうに説明するかを考えた場合、やっぱり既存の飛行経路あるいはまた既存の訓練、そういったことを参考にして示すのが当然だと思います。
  258. 市田忠義

    市田忠義君 まだ交渉中で、どこを飛ぶかも分からないんです。しかも、米軍というのは飛行経路どおり飛ばないんですよ。天候が悪かったら別のところを飛んだり、傍若無人な飛び方しているというのは日本国民全部知っていますよ。そういうええ加減な、十年前の米軍と相談したそういう飛行経路で今度も計算して大丈夫だ大丈夫だと、そういう言い分は国民はだれも納得しない。  それから、負担の軽減、軽減と言うけれども、何も岩国基地が負担が増大するだけじゃないんですよ。直接関係している自治体だけでも、北海道、青森、茨城、神奈川、東京、石川、山口、広島、福岡、宮崎、鹿児島、沖縄。全国十二都県、自治体数にして四十三という空前の規模です。  そして、その周辺の自治体も含めて百三の自治体が、例えば安保オッケーだと、基地オッケーだと、これまで基地の重圧に耐えてきたけれども、これ以上の基地負担の増大は御免だと言って、いわゆる保守的な立場の首長さん、圧倒的ですよ、そういう方々もこんなことは御免だと、沖縄の県知事もそう言っている、座間の市長さんも相模原の市長も。座間の市長は何と言っているか、ミサイルを撃ち込まれても断固阻止すると。相模原の市長は何と言っているかと、戦車でひき殺されても私は反対すると。  沖縄では、この間の日曜日、三万五千人の人々が集まって、あのシュワブ沿岸基地反対で多くの人々が集会を開いたと。あるいは鹿児島県の鹿屋には空中給油機が移駐される予定だと。市長さん先頭に市民の一割が集まって、八千二百人の人が集まって大集会が行われた。何と言っているかと。鹿屋の市長さんは、国は地域の理解なしに進めないと言ってきたが、地元に何の説明もなく頭ごなしにやってきたと、二十年、三十年、五十年先を見て対応しなければなりませんと、町づくりに米軍は要らない、そういうあいさつをいたしました。基地強化のオンパレードであります。  それから、先ほどの私は空母艦載機の訓練の問題でもう一言言っておきたい。あの岩国でも、基地強化、基地機能の強化はやらないといって約束しておきながら、世界でも最大規模の戦闘機が配備される。そして、提供水域も含めれば面積も世界最大規模のそういう基地になると。言わば、これ、市民だましのやり方だと思うんです。  大体、空母艦載機の訓練そのものが国民だましから始まったと。アメリカが十二隻の航空母艦を持っておるけれども、海外に母港を置いているのは日本だけであります、一隻だけであります。横須賀です。恒常的に艦載機の訓練をやっているのも、アメリカ本国以外では日本だけであります。  空母ミッドウェーが横須賀に母港化されるとき、外務省は何と言ったかと。当時の大河原北米局長は、アメリカ局長ですね、大河原さん、こう言っています。これは参議院の決算委員会で、おおむね三年だと、しかも母港化じゃないんだと、家族居住計画だと、こう言ってごまかして三十二年間もいまだに居座り続けていると。そのときも、艦載機の訓練はやりませんと、おおむね三年だと言いながら傍若無人に日本の空飛び回っているじゃないかと、そんな政府の言うことを一体だれが信用するかと。  空母艦載機による騒音被害というのは耐えられない状態なんです。私は厚木基地周辺の住民の皆さんにお聞きしてきました。今こうして質問している瞬間にも騒音被害に苦しめられている。  例えば、神奈川県座間市では、今年一月、耳元で電話が鳴り続けるぐらいの七十デシベルの騒音が何と五百七十七回であります。大声の会話ぐらいの八十デシベル以上が二百三十三回。騒々しい工場の中、もう学校では授業にならないと、これぐらいの九十デシベルの騒音が六十八回。自動車のクラクション、電車の通るガード下、そして耳が痛くなるような百デシベル以上が三回あったと。先ほど紹介したNLPの事前訓練が行われた昨年の一月には、何とこの百デシベル以上が五十二回あった。東京町田市の第五小学校では、二〇〇四年の一年間で九十デシベル以上の爆音が三百三十二回あった。厚木基地の滑走路の中心から十四キロも離れた神奈川県藤沢市の辻堂小学校では、昨年の十月下旬、九十デシベルの騒音を記録しているんです。  私、こういう声も聞きました。我が家には一歳の娘がおり、通常の生活のリズムであれば午前中と午後に一時間ぐらいのお昼寝をする日課となっておりますが、寝掛かったところを騒音で起こされてしまい、お昼寝はしない、食事中に飛行機が飛べば、音に驚き食べるのをやめる、洗濯物を干すのにベランダに出れば、子供の泣き声も聞こえずに、けがをしていても気付かないでいる、危険を子供に知らせようとしてもその声が騒音で聞こえないと。  しかも、先ほど言ったように、新しく配備されるスーパーホーネットの爆音というのは、これまでのホーネットと比べても出力が違うんです。三五%もレベルが上なんですよ。  厚木基地の周辺に住む人々の爆音被害というのは一刻も早く解消しなければなりません。だからといって、この人たちは騒音を岩国に持っていってくれればいい、そんなことは言っていないし望んでいない。基地被害を訴えて騒音をなくせと頑張っている住民はこう言っておられます。痛みを知る人間として、岩国に持っていけ、それは言えないと、人の道に外れる。関係自治体の首長さんも、移転先の住民の憤りと不安の思いを察すると手放しでは喜べないと。  国民のだれ一人にもこんな思いをさせない、これが総理、政治の役目じゃないんですか。米軍機による爆音被害を日本の空から全部なくしてほしいと、この願いを受け止めて責任を果たすのが政治の役割じゃないでしょうか。  そのことを最後に述べて、私の質問を終わります。
  259. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で市田忠義君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  260. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、福島みずほ君の質疑を行います。福島みずほ君。
  261. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  まず、税制についてお聞きをいたします。  竹中平蔵大臣が二〇〇二年に出版された本に「経済ってそういうことだったのか会議」という本があります。その中にこういうのがあります。人頭税、みんなに等しい金額を掛ける人頭税が理想だと書いています。税による所得の再配分はずるいと書いています。  例えば、子供たちが砂場で遊んでいるんです。ある子はおもちゃをたくさん持っている。その子はお金持ちの家の子なんですよ。もう一人の子は家が貧しいからおもちゃを一個しか持っていないんです。しかし、だからといって、自分の子に向かって、だれだれちゃん、あの子はおもちゃをたくさん持っているから取ってきなさいなどと言う親がいるかというわけです。ところがそんなことが、国の中では税という形で実際に行われているという言い方をしているんですね。  税による所得の再配分はずるいのでしょうか。この考えは今も維持されていますか。
  262. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 御答弁の前に、その本はもっと前に出された本が文庫版化されたことだというふうに思っております。  そこで、多分対談形式でいろいろ話していると思うんですけれども……
  263. 福島みずほ

    福島みずほ君 短くて結構です。維持されているかどうかで結構です。
  264. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ええ。それに対して私は、その中でも、人頭税というのは一つの形であるけれども、現実にはそういう、そういうふうに社会はいかないんだと。  私は、理念としていろんな考え方の整理をお話しするための本ですから、その中ではそのように書いておりますけれども、同時に、社会というのは現実的な方法で考えなければいけないので、行き過ぎた再配分というのは私はいかがなものかというふうに思っておりますけれども、再配分は必要だということは、その本もそうだと思いますけれども、その他の場でも重ねて申し上げているつもりでございます。
  265. 福島みずほ

    福島みずほ君 税による所得の再配分はずるいとはっきり書いています。  一月一日に住民票をアメリカに移せば日本では住民税が掛かりません。そのようなことをした人がいるということを聞いたことがありますけれど、こちらの方がずるいんじゃないでしょうか。税による所得再配分はずるいのでしょうか。  ところで、定率減税は中低所得者層に手厚い減税措置であり、所得税額は二十五万円、個人住民税は四万円を限度としたものです。つまり、低所得者であればあるほど廃止の影響は大きく、高所得者ほどその影響は小さいです。  一方、定率減税の実施と同時に所得税の最高税率が五〇%から三七%、個人住民税の最高税率が一五%から一三%にまで引き下げられ、高所得者が優遇されてきました。  これをちょっと見てください。所得税の税率構造の推移です。(資料提示)  一九七四年は十九段階、一九九九年から四段階になっています。所得税の最高税率は、七五、七〇、六〇、五〇、三七。現在は三七が所得税の最高税率の一番、三七%です。このように、所得税の最高税率はどんどん下げながら、で、これを今回、定率減税は廃止をしながら、法人税の引上げはやりません。  政府は、これまで格差を容認してきたばかりか、今後更に拡大させようとしております。到底容認できません。せめて所得税の最高税率を一九九九年の前の段階まで持ってくる、五〇%にし、この段階に法人税を戻すだけで二・三兆円増収になるということを社民党は計算をしています。なぜ今回、高所得者には優遇、しかし低所得者には負担、これを取るのでしょうか。
  266. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 所得税、それは三七%と書いてございますが、地方税、個人住民税ですね、合わせると、今所得課税の最高税率は五〇%になっております。  それで、四段階にしてきた、こういうことはなぜかといいますと、国際的に所得課税をフラット化する流れであるとか、あるいは最高税率を高くし過ぎると個人の勤労意欲や何かにやはり影響があるのではないかという議論の流れの中から、地方住民税と、個人住民税所得税合わせて五〇%と。これは、まあ世界的に見ても大体こんなもんですから、これを動かす必要は特別今あるとは私は思っておりません。  それから、法人税についてもお触れになりました。これはやはり国際的な競争との関係がございますので、これはなかなか高くするというのもしにくいところがございますので。今定率減税のことをお触れになりましたけれども、これは小渕内閣のときのあの景気、底が抜けるような景気を何とか税の面から下支えをしようということでやったものでございます。ですから、当時に比べて経済状態が良くなってきた現在、これを廃止するというのは自然ではないかと私は考えております。
  267. 福島みずほ

    福島みずほ君 冒頭、税による所得の再分配機能に関して、竹中大臣がかつてよりフラット化にする方がいいという旨言ってらっしゃることを御紹介しました。私がそのことを今日冒頭質問したのは、今の税制の考え方がやはりよりフラット化になっている。法人税は引き上げない、定率減税は廃止をして、これは明らかに低所得者に負担になる、そして最高税率に関しては維持していくという、この方向が所得の再分配機能、税の所得再分配機能をやはり害しているというふうに考えます。貧しい人たち、今所得の格差が拡大している中で、より貧しい層にやはり負担になっています。  次に、三位一体改革に伴う税源移譲についてお聞きをいたします。  平成十九年より所得税から住民税税源が移譲され、税率構造が改正されます。政府税調で議論された資料を見ますと、夫婦、子供二人の世帯の所得税と個人住民税の増減額試算では、大多数の納税者が従来と変わらない負担となる一方、年収一千二百万円を超える高所得者が逆に減税となっています。これは一体どういうことでしょうか。このような改正案では低所得者の納得を絶対に得られません。なぜこのようなことをするのか、説明をお願いします。
  268. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今回の税源移譲は、その前後でそれぞれの税負担をできるだけ変えないという方針でやりました。ですから、今度のあの案は、今それは全部を完全に、個人住民税の方はフラット化いたしましたし、所得税の方は、あるいはこれは福島委員の御主張にかなうことかもしれませんが、もう少し税率を立てる方向にいたしました。それで、なかなか調整できないところがあって若干そういう面が現れておりますが、全体としては税負担が一番変わらない仕組みを選んだわけでございます。
  269. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、納得できません。さっき申し上げたとおり、普通は一千二百万以下の人たちにとっては変わらない、しかし一千二百万円以上の人にとっては減税となるのです。やはり、高所得者には優遇、低所得者には困るという状況が続いていて、そのことには納得ができません。  格差拡大社会、このことが今国会では大変問題となっています。これは、格差がなぜ拡大をしているか。これは、経済構造、経済政策、そして大きいことは雇用の規制緩和だと思います。小泉さんの政権下で労働法制の規制緩和、労働者派遣事業法の改悪が行われ、非正規雇用、パート、派遣、契約社員の人たちが五百万人増えました。  実態としても、ユニオンなどに寄せられる現場の実態はひどいものです。仕事内容は正社員と全く同じだが賃金は正社員の三分の一。三分の一の賃金で正社員以上の仕事をさせられる。社員と同じ仕事をしているのに社員と格差がある、退職金もない、有休もない、ボーナスの格差が一番頭にくる。パートで十年、半年更新で働いてきたが、会社から、次回は更新しない、期間満了で終了と言われた、五十代女性。息子は正社員になりたいがハローワークに行っても派遣の仕事ばかり、母親からの相談、三十九歳男性、派遣。上司から営業所が赤字なので社員からパートになってほしいと言われた、女性、正社員、事務職、勤続十三年。このような相談が非常に多いです。  ジョブカフェの話を聞きますと、なりたい職業、正社員なんというのが出てくる。月収がせめて十五万円あるいは十七万円あったらいい。二十万円以上なんて望まない。そんな相談例をたくさん見てきました。若い雇用、特に若い人たちの雇用を壊して、このことが今本当に問題です。  タクシーの規制緩和の問題も、タクシーの運転手さんたちの労働条件の悪化を明らかに生みました。ヨーロッパなども、グローバリゼーションは、波は受けましたけれども、労働法制に関しては制度仕組みをちゃんとやっています。差別禁止と均等待遇、この二つの柱が必要ですが、日本はこのことに着手をしておりません。労働法制の規制をちゃんとやっていくべきだと考えます。  つまり、今起きていることは、格差拡大社会の中で所得の再分配機能である税と社会保障が金持ちに有利であり、そして福祉の切捨ての結果、一般の人たちが本当に困っているという状況が起きています。去年、障害者自立支援法が成立をいたしました。現実に障害者の皆さんが今困っているということを現場からたくさん聞いております。  格差拡大社会がなぜ問題なのかということを総理はおっしゃいます。しかし、格差が拡大をすれば、小さな政府で格差拡大であれば、社会は大きなコストを払わなければなりません。貧しい人ほど病気になりやすい、健康格差社会ということも言われています。アメリカでは格差が拡大している州ほど殺人率が高いというデータがあります。社会の中で絶望が広がっていくということが社会の中でいろんな負の問題を起こす、あるいは社会が大きな負担を強いられる。生活保護受給者が今増えています。  こういう政策の結果、天然現象ではない、政策の結果生じている格差拡大と、所得の再分配機能が壊れていっているということ、これが今の日本の社会の最大の問題の一つだというふうに考えております。  この点で、例えば教育のことですが、この委員会の中で子供たちの就学援助の割合が高くなってきていることを申し上げました。  今日は大学のことをお聞きをいたします。各国における大学生の援助を調べたところ、授業料は、日本とアメリカ、まあアメリカは高いです。ただ、アメリカの場合は奨学金や貧しい人たちに対する援助がやはり充実をしています。スウェーデンやノルウェーは大学の学費無料ですし、生活ローンも組んでおります。日本においてこの教育の場面における教育ローンを例えば導入するなど、日本として教育における機会平等をもっと保障する必要があると考えますが、いかがですか。
  270. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 教育格差を是正するためには奨学金の制度を充実するということでございますけれども、そのために我が国においては、十八年度の具体的に予算からまず入ってまいりますが、事業費として七千九百九十九億円。これは対前年比でいいますと、十七年度が四百八十九億円でしたから大幅増でございますが、奨学金事業の充実を図るためにこのように予算を増強しております。  この日本学生支援機構が行っております奨学金事業でございますけれども、学生に利子の負担を求めない無利子貸付事業、利子は国が負担するわけでございます。また、長期、二十年以内で低利である、十八年三月でこれは変動いたしますが、〇・七%から、今この時点で、三月で考えますと一%になると思いますが、在学中は無利子であるというこの有利子奨学金、この二種類がございます。  この両事業を合わせると、貸与基準を満たす希望者のほぼ全員に貸与をすることができておるわけでございます。ちなみに、十八年度の、先ほど申し上げた七千九百九十九億円で貸与人数を計算いたしますと、百九・二万人に相当するようになります。  今日、大学、短大への進学率を、最近変化を見てみますと、平成十二年で四九・一%、十六年が四九・九%、平成十七年が五一・五%と、若干、わずかではありますが、上昇してまいっております。  今後とも、意欲のある、意欲と能力のある学生生徒が教育を受ける機会をしっかり確保できますように、奨学金事業による支援を続けてまいりたいと存じます。
  271. 福島みずほ

    福島みずほ君 年収二百万円以下の世帯が今五分の一、日本の貧困率はOECDで三番目となっています。しかし、国立大学の授業料は今五十四万円、お金がなければ本当に大学に行けないという状況が広がっています。奨学金だけでは不十分です。諸外国の制度に比べて、例えば生活費ローンなどもう少し抜本的にしなければ、親の財布の大きさが子供の未来を決めるということになってしまいます。  子供たちにどういう社会をプレゼントするかということを正に政治が決めていきます。私たちが子供たちにプレゼントしたい未来は、それは教育、そして信頼、で、平和ということです。希望のある社会を今の政治がつくっていない、そのことこそ小泉構造改革の最大の欠陥であるというふうに考えております。  次に、基地の問題についてお聞きをいたします。  五日の日に岩国へ行ってまいりました。十二日に住民投票が行われます。米軍陸軍司令部がやってくると言われている座間キャンプでは、毎週のように行動が提起をされています。そして沖縄では、先ほどもありました頭越しにやることに反対、三万五千人の人たちの大集会が開かれました。  地元の人たちが納得しないことがうまくいくわけがありません。私は、全国を駆け回って全国の首長さんたちと話をしてきました。大分県知事、神奈川県知事、玖珠町長、北海道副知事、千歳市長、先日は岩国市長に要請をいたしました。すべての首長さん、首長さんたちはやはり基地の強化に非常に不安を感じています。事前に説明がなかったこと、事後についても判断をする材料すら十分与えられていない。皆さん、大変不安を持っています。地元の人たちはみんな反対です。こんな状況で最終報告書を出すことができない、そう思います。しかし、安倍官房長官は昨日、地元との合意が得られなくても日米両政府で最終報告をまとめる考え方を示しました。  小泉首相、地元の合意が取れなくても最終合意をまとめるのでしょうか。地元が反対をしていても、基地問題について強引に最終報告を出すのですか。
  272. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 随分一方的に話されましたね。  税金も五〇%、今、最高税率ですよ。五〇%以上取るのは税金じゃなくて罰金だと言う人もいるし、ヨーロッパの国では今全部、持てる者、持たざるもフラット税率になっている国ありますね。そして、法人税も所得税も課税最低、下げると。どんどん企業ももうける企業は町にやってくる、富める者もやってきて、ひいては住民全体が潤うから歓迎だという一部のところもあるぐらい、税というのは、ただただ上位者に課税を強化すればその国が繁栄するというものとは限らないんです。  それと、正社員なりたい。この三年間連続してパート労働者は減ってきています。連続して正社員が増えています。失業者も、私が就任してから今や減ってきておりますし、就業者数が増えてきております。採用する企業も増えております。有効求人倍率も〇・五から一に戻りました。こういうふうにだんだんだんだん明るい兆しも見えております。  そこで基地の問題でありますが、これについては、日本の安全を確保する上において日本としては日米安保条約は必要だと。日本一国では安全は確保できない。であるから、アメリカと協力して日本を攻撃させないような抑止力を持たなきゃいけないと。日本を攻撃する、侵略する場合はアメリカと一緒に戦うということを覚悟して日本を攻撃しなきゃならないという、抑止力を持たないから、日本とアメリカは安保条約を結んで、そして日本はアメリカに基地を提供しております。その代わりアメリカは、日本が攻撃されたら、それはアメリカへの攻撃とみなすといって日本と共同体制を取ると。これが今、日米再編、米軍基地の問題であります。  住民の皆さん方はなかなか御苦労が多いと思います。その住民の皆さんの御理解と御協力を得るような形で今、誠心誠意努力しているところでございます。
  273. 福島みずほ

    福島みずほ君 非正規雇用が拡大をしていること、大学を卒業した時点で、学校を卒業した時点でかつてよりも特に女性は非正規の人たちが増えていること、そして貧困層が増えていること、格差が拡大をしていること、これは事実です。それはやはり労働法制の規制緩和の結果生まれていて、実態がやっぱりそれは分かっていない、そう思います。  そのことについては、今現実に、じゃ、ジョブカフェやいろんなところにどういう相談が来ているのか。女性のパートの問題も極めて深刻です、自分たちで食べていけないんですから。そういう問題について政治がきちっと取り組むべきだということを改めて言います。格差拡大して、いい社会ではありません。  基地の問題です。  住民がなぜ反対をしているのか。これについては、住民の反対のことで、そして住民が反対をし続けている中で、これだけ反対が起きている中で強行するというのはやっぱり地元の意思を無視している。私は最終的には民主主義を無視しているというふうに思います。  小泉首相の靖国参拝と心の問題について聞きたかったのですが、政教分離は権力者こそ縛るものであると。憲法の政教分離の規定は権力者こそ縛るものであると。国民の思想、良心の自由、信教の自由を保障するために権力者の政教分離こそ制限されているということを申し上げ、私の質問を終わります。
  274. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で福島みずほ君の質疑は終了いたしました。(拍手)  明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十四分散会