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2006-02-01 第164回国会 参議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年二月一日(水曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  一月二十五日     辞任         補欠選任      喜納 昌吉君     藤末 健三君  ツルネン マルテイ君     小川 敏夫君  一月二十六日     辞任         補欠選任      藤末 健三君     喜納 昌吉君  一月三十日     辞任         補欠選任      田村耕太郎君     橋本 聖子君      喜納 昌吉君     家西  悟君      櫻井  充君     津田弥太郎君      主濱  了君     鈴木  寛君      山口那津男君     鰐淵 洋子君      大門実紀史君     井上 哲士君  一月三十一日     辞任         補欠選任      津田弥太郎君     白  眞勲君  二月一日     辞任         補欠選任      白  眞勲君     櫻井  充君      若林 秀樹君     加藤 敏幸君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小野 清子君     理 事                 市川 一朗君                 木村  仁君                 小泉 顕雄君                 鶴保 庸介君                 藤井 基之君                 小林 正夫君                 辻  泰弘君                 平野 達男君                 加藤 修一君     委 員                 秋元  司君                 浅野 勝人君                 岩井 國臣君                 岩永 浩美君                 岡田 直樹君                 岸  宏一君                 佐藤 昭郎君                 関口 昌一君                 伊達 忠一君                 谷川 秀善君                 常田 享詳君                 南野知惠子君                 橋本 聖子君                 山本 一太君                 浅尾慶一郎君                 家西  悟君                 犬塚 直史君                 小川 敏夫君                 加藤 敏幸君                 黒岩 宇洋君                 櫻井  充君                 下田 敦子君                 鈴木  寛君                 内藤 正光君                 白  眞勲君                 前田 武志君                 山根 隆治君                 蓮   舫君                 若林 秀樹君                 澤  雄二君                 渡辺 孝男君                 鰐淵 洋子君                 井上 哲士君                 紙  智子君                 福島みずほ君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        総務大臣     竹中 平蔵君        法務大臣     杉浦 正健君        外務大臣     麻生 太郎君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   小坂 憲次君        厚生労働大臣   川崎 二郎君        農林水産大臣   中川 昭一君        経済産業大臣   二階 俊博君        国土交通大臣   北側 一雄君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策))  小池百合子君        国務大臣        (内閣官房長官) 安倍 晋三君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        沓掛 哲男君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融、        経済財政政策)        )        与謝野 馨君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣規制改        革))      中馬 弘毅君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣科学技        術政策食品安        全))      松田 岩夫君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣少子化        ・男女共同参画        ))       猪口 邦子君    内閣官房長官        内閣官房長官  鈴木 政二君    副大臣        内閣府副大臣   嘉数 知賢君        内閣府副大臣   櫻田 義孝君        内閣府副大臣   山口 泰明君        防衛庁長官   木村 太郎君        法務副大臣    河野 太郎君        外務大臣    塩崎 恭久君        財務大臣    赤羽 一嘉君        文部科学大臣  河本 三郎君        厚生労働大臣  中野  清君        厚生労働大臣  赤松 正雄君        農林水産大臣  三浦 一水君        経済産業大臣  松 あきら君        国土交通大臣  松村 龍二君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        後藤田正純君        内閣大臣政務        官        平井たくや君        内閣大臣政務        官        山谷えり子君        防衛庁長官政務        官        愛知 治郎君        法務大臣政務官  三ッ林隆志君        財務大臣政務官  野上浩太郎君        文部科学大臣政        務官       吉野 正芳君        厚生労働大臣政        務官       岡田  広君        農林水産大臣政        務官       小斉平敏文君        経済産業大臣政        務官       小林  温君        国土交通大臣政        務官       吉田 博美君        環境大臣政務官  竹下  亘君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  阪田 雅裕君    事務局側        常任委員会専門        員        村松  帝君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       宮野 甚一君        内閣大臣官房        審議官      広瀬 哲樹君        内閣府政策統括        官        榊  正剛君        食品安全委員会        委員長      寺田 雅昭君        食品安全委員会        事務局長     齊藤  登君        公正取引委員会        事務総局経済取        引局長      伊東 章二君        警察庁刑事局長  縄田  修君        防衛施設庁長官  北原 巖男君        金融庁総務企画        局長       三國谷勝範君        総務省人事・恩        給局長      戸谷 好秀君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       松本 義幸君        厚生労働省労働        基準局長     青木  豊君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        経済産業大臣官        房商務流通審議        官        迎  陽一君        国土交通省道路        局長       谷口 博昭君        国土交通省住宅        局長       山本繁太郎君        国土交通省自動        車交通局長    宿利 正史君        環境大臣官房審        議官       寺田 達志君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    由田 秀人君        環境省総合環境        政策局環境保健        部長       滝澤秀次郎君        環境省水・大気        環境局長     竹本 和彦君    参考人        株式会社東京証        券取引所代表取        締役専務     飛山 康雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成十七年度一般会計補正予算(第1号)(内  閣提出、衆議院送付) ○平成十七年度特別会計補正予算(特第1号)(  内閣提出衆議院送付) ○平成十七年度政府関係機関補正予算(機第1号  )(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十七年度補正予算案審査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小野清子

    委員長小野清子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  4. 小野清子

    委員長小野清子君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十七年度補正予算案審査のため、本日の委員会株式会社東京証券取引所代表取締役専務飛康雄君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小野清子

    委員長小野清子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 小野清子

    委員長小野清子君) 平成十七年度補正予算三案に関する理事会決定事項について御報告をいたします。  本日の質疑総括質疑方式で行い、質疑割当て時間は百三十九分とし、各会派への割当て時間は、自由民主党五十九分、民主党新緑風会五十六分、公明党十三分、日本共産党七分、社会民主党護憲連合四分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  7. 小野清子

    委員長小野清子君) 平成十七年度一般会計補正予算(第1号)、平成十七年度特別会計補正予算(特第1号)、平成十七年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上の三案を一括して議題といたします。  三案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。前田武志君。
  8. 前田武志

    前田武志君 民主党前田武志でございます。民主党新緑風会を代表して総括質疑をさせていただきます。  まず、ここ一両日、報道等で一番事件として問題になっている防衛施設庁の問題でございます。  施設庁のトップクラスの幹部三人が逮捕されたということでございますが、まず額賀防衛庁長官、この事件概要ですね、今把握されている範囲で、公表できる範囲で御説明を願います。
  9. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 前田委員お答えをいたします。  今御指摘のとおり、先般、防衛庁幹部三人が逮捕されたことについては、誠に国民信頼を裏切ることであり、ざんきに堪えない次第であります。厳粛に受け止めたいというふうに思っております。  私といたしましては、東京地検の捜査に全面協力をし、事態の解明が一日も早く進むことを望んでおります。と同時に、防衛庁の中あるいはまた施設庁の中で、行政上、組織上どういう問題点があるのか洗いざらい浮かび上がらせて、二度とこういうことがないようにしっかりとしてまいりたいというふうに思っております。  事件概要についてでございますけれども、間違いがないように御報告をさせていただきますけれども、一月三十日十八時ごろ、防衛施設庁河野技術審議官及び松田総務部施設調査官、並びに生沢前防衛施設庁技術審議官が刑法第九十六条の三第二項違反、競売入札妨害容疑東京地方検察庁に逮捕された。  本件容疑については、当該職員らがそれぞれ防衛施設庁技術審議官同庁建設部長同庁建設部建設企画課長であった平成十六年十一月及び平成十七年三月当時、空調設備工事業者営業担当と共謀の上、三宿病院新設空調工事三宿病院新設空調工事その二、市ケ谷庁舎新設空調工事の三件に関し、公正な価格を妨害する目的で建設共同企業体に落札させるため、他の建設共同企業体に高い入札金額入札する旨を協定し、談合したものであると承知している。  この点については、今申し述べたように、私どもも再びこういうことが起こらないように、昨日、防衛庁の中でこの入札談合が再び起こることのないように検討委員会を作り、施設庁の中でもまた実態を浮かび上がらせるための調査委員会を設置しているところであり、早急に結論を出す準備をして国民皆さん方信頼をかち取るために全力投球をしたいというふうに思っております。
  10. 前田武志

    前田武志君 この防衛施設庁というお役所でございますが、一般国民にとっては余りなじみのないお役所だと思うんですね。防衛施設庁というのはどういうことをやっているお役所なのか、分かりやすく御説明を願います。
  11. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 防衛施設庁については、例えば米軍基地施設についての建物だとかあるいは道路だとか、そういうことについての作業、あるいはまた、自衛隊基地がありますけれども自衛隊基地関連建物、倉庫、施設等々の建築、あるいはまた基地周辺対策事業として防音校舎だとか防音工事だとか、あるいは市町村において様々な地域の振興、あるいは地域の住民の便宜を図るために道路を建設したりとか、様々な事業がありますけれども、そういうことについて事業者として、あるいは発注者として仕事をしていると。そういう事業の中身は大体二千億円程度であるということであります。
  12. 前田武志

    前田武志君 施設庁仕事、今御説明ありましたように、米軍基地関係というようなことで我々承知しておりますのは、今、日米安全保障関係において一番大きな課題になっている普天間基地の移設の問題、こういったことも現地の、あるいは施設局というんですか、沖縄防衛施設局というんでしょうか、そういうところが非常に御苦労されているということも聞いているわけです。それだけに、非常に縁の下の力持ち的な大事な仕事もやっておられる、安全保障にかかわる重要な仕事、こういうところでこの不祥事というのは誠に残念至極であります。  今の御説明を聞いておりますと、そういう機密を伴う分野であるだけにどうしても透明性というものと相反する、そして発注先仕事というのが長官の御説明だと何か専門的な、かなり専門化された分野というようなことになる。こうなれば、当然このような発注、受注に絡んで不祥事件が起こる可能性もある分野であるわけです。それだけに、防衛施設庁においても独自に何か対策に取り組んできたというようなことも聞いているんですね。  談合防止の何か取組をやってきたというような事実はありますですか。施設庁長官は来ているのかな。
  13. 北原巖男

    政府参考人北原巖男君) 御答弁申し上げます。  まず、防衛施設庁長官といたしまして、このような国民の皆様に本当に信頼を失墜する事態を生起いたしましたことを心からおわび申し上げます。本当に申し訳ございません。  それから、御質問の件でございますが、私ども防衛施設庁といたしましても、発足以来四十四年になるわけでございますが、この間、先ほど大臣が御答弁申し上げましたような各種業務を担当いたしております。その上で、やはり透明性公正性、厳正でなければいけないということで、組織体制、また公共工事入札等につきましては、各種改善を、取組をやってきたところでございます。しかるに、今般このような事態が起きてしまったということで、早急に、改めて抜本的に再発防止策を講じていくということで、昨日、副長官を長に委員会を設定したところでございます。  私どもといたしましては、これまで建設工事契約等に関する制度につきまして、政府公共工事入札改善に取り組む対応に応じまして必要な制度改正等を今日も続けているところでございますが、やはり組織は人でございまして、人の組織制度等を運用する、そういった体制が一番重要だと確信をいたしておりまして、総合的に抜本的な対応策を検討してまいりたいと、そのように考えているところでございます。
  14. 前田武志

    前田武志君 答えはいつもこういうことになるわけでございますが、随分万般の対応を取ってきたというふうに聞こえるわけですね。  ところで、長官にとっては痛恨事のことだと思いますが、あれは九八年だったですか、額賀長官が前に防衛庁長官になられたころに、あの当時は旧の調達実施本部と言いましたでしょうか、燃料関係談合事件が起きて、当時、長官は御苦労されて、その対策も講じた上で引責辞任をされた、そういう経緯があります。にもかかわらず、こういうその機密を伴う分野であるだけに、こういう体質になりがちであるということを十分承知の上で対策を講じられたと思うんですが、このようなことがまた再発している。  長官、この状況を、前回のあの処置も含めて、一体何が足りなかったのか。結局は丸投げになって、行政に、そしてあと、施設庁長官はああいうお答えをしておられますが、内部において自らを律するということはなかなか難しい、結果としてこういうことになったんではないかと思うんですが、長官の、今のこの事態の受け止め、どういうような解決の方向、また責任の取り方含めて、どういうことを考えておられるのか、お聞きいたします。
  15. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えをいたします。  前田委員指摘のとおり、八年前、調達本部水増し請求事件ということがありまして、背任問題で防衛庁幹部あるいは関連者が逮捕されたりしたわけであります。当時、防衛庁自衛隊体質というのは、戦後の、言ってみれば国民の間に自衛隊存在自体がきっちりと国民意識として認識されていなかったような中で、防衛庁は何か事が起こると臭い物にふたをするというか、なるべく表に出さないで処理をするという、そういう体質がありました。  そういう中であの調達事件が起こったわけでございますけれども、私は、防衛庁政策あるいは意思決定、そういう事業展開の上には、必ず透明性を持って、問題が起こればオープンにして説明能力を果たしていかなければならない、そういう形で当時調達本部を解体し、しかもなおかつ一人の人に発注もそれから原価計算というかコスト計算も集約しないようにする、そういう組織づくりをする、しかもなおかつ監査というかチェック体制をきちっとしていくということで、調達本部を解体し、内局に監視体制を設け、第三者機関もつくって、その後の自衛隊調達事業については私はきちっと成果が生まれつつあったと思います。  しかし、当時、防衛庁全体として、あの調達本部の教訓、反省というものを自らの問題としてこれを受け止めていかなければならなかったわけでございますけれども、一方のこの施設庁については、その問題が形骸化して自らの問題としてきっちりと消化されていなかったというふうに断ぜざるを得ない。  これはどういう生い立ちがあるかというと、今の施設庁というのは、占領軍時代のそもそも特別調達庁として発足をいたしました。したがって、米軍仕事を直接的に引き受けたものですから、その施設庁の前身の皆さん方はある意味では特権意識を持ち、あるいは人事交流でも非常に排他的であって本庁との交流がなかった。そういう中にやっぱりこういう不正を生み出す温床があったということでございます。  私は、その意味で、やっぱり防衛庁の中で現業を持っている調達本部そして現在の施設庁、これは、前段の調達本部は解体をし、新たな出発をして事業展開をこの八年間やってきた。この際、再びこういう事件が起こったものですから、施設庁については原点に返ってこれを解体する。そういう中で、そのチェック体制それから透明性を持った形でこの問題を処理していくことが最も大事であるというふうに思っております。  そのために、昨日、こういう不正事態を再び起こすことがないように検討委員会を設けて、防衛庁として総力を挙げて取り組んでいって国民信頼を取り戻していきたい。私は、調達本部とか施設庁とか、この二つの不祥事、直面したものですから、これをきっちりと仕上げて新しい出発体制をするのが私の責任であり、そして私の仕事であるというふうに思っておりますので、国民皆さん方にも是非、私は使命感に燃えて防衛庁の新しい出発体制をつくりますので、御理解をいただきたいというふうに思います。
  16. 前田武志

    前田武志君 事態がもう少し明らかになるにつれて、また我が党からもこの問題掘り下げていきたい。官と業との癒着の典型的なケースですから、これは内閣を挙げて取り組んでおられるまさしく改革の一つの大きなテーマだろうと思います。  さて、官製談合防止法というのが二〇〇二年七月にできて三年半になるわけですが、このように官製談合は後を絶たないわけですね。昨年も、旧空港公団ですか、成田空港公団あるいは道路公団、ありました。結果としては、法を作りいろいろやるんですが、進まない。我が民主党は、この官製談合防止に関して抜本的な対案を出しているんですね、昨年以来。また、自民党におかれましても、最近この官製談合防止のための政策をまとめておられるということも聞いております。是非、こういったことを含めて、国民にいささかの疑惑もないようにこの取組を進めていただきたいと思います。  特に、この施設庁の問題、前の調達庁の問題、自衛隊は今もちろんイラクにおいても民生復興のためにやっておられる、そして災害地においては豪雪の中でも一生懸命取り組んでおられると。言わば日本安全保障、そして国際的な協力も担っておるわけで、そういったところで士気を落とすようなこういう不祥事を起こすということは断じてやっちゃいかぬことなんですね。  そういう意味において、総理、この官製談合防止というものについてもう少し真剣に、本気になって内閣として取り組んでいただきたい。総理の御見解をお聞きいたします。
  17. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 前田議員指摘のとおり、今回の防衛施設庁事件のみならず、最近、国、地方を問わず相次いでこの入札談合事件で摘発が続いているということは、誠に遺憾であると思っております。  そこで、私も、昨年十二月でしたか、党に対しても、せっかく議員立法で法案を作ったけれども、なぜこのような事件が相次ぐのかということで、もう一段、改善策を検討してほしいと指示を出していたところであります。  で、今回、このような事件がまた起こったわけでありますので、できるだけ早急に政府もこの入札談合事件改善策ないか、しっかり総合的に検討するので、協力しながらこの再発防止に向けて取り組もうという指示を出していたやさきに、今回、御指摘のような、このような事件が起こって本当に遺憾でありますが、額賀防衛庁長官も過去の事件の反省も踏まえてもうしっかりとやるという意欲を示しておりますので、御指摘の点も踏まえまして、また過去の事件の反省も踏まえて、今後再発防止に向けて政府としても挙げて努力していきたいと思っております。
  18. 前田武志

    前田武志君 この分野については、我が民主党、随分前から取り組んでおりまして、もう非常にいい対案も出しているんですよ。丸のみにするぐらいの気持ちで与野党協議をして、いいものに仕上げていただきたい。  次に、BSE問題、食べ物の安全の問題に移ります。  牛肉のいわゆる輸入、BSEの汚染の問題なんですが、牛肉というとごちそうなんですね、日本人にとっては。すき焼き、ビフテキ、まあ米国人にとってはこれは日常食だろうと思います。有名な言葉に、前の大蔵大臣やられた塩川正十郎先生が、母屋でおかゆをすすって堪え忍んでいるのに、離れの方ですき焼きを食いたい放題だというようなことを言われた。これはもうまさしくこれから予算委員会のテーマになってまいります財政改革、一般会計の財政改革は一生懸命やるんだけれど、特別会計の方はもう本当に垂れ流しだということの比喩だったわけです。  私の申し上げたいのは、この日本の食の文化ですね、アメリカとはもう全く違うわけです。まずは、食べ物に対しては日本人というのは非常に厳しい目を持っています。繊細な舌を持っております。すばらしい四季と風土に恵まれて、まあ恐らく世界で一番食材なんかは豊富でおいしいものがあるんですね。それだけにまた非常に食に対する感覚というのは鋭敏でございます。  また、日本の文化そのものは、最近は大分崩れてまいりましたけどね、子供の安全にしろ、建物の安全にしろ、もう本当にみんなでしっかりとそれを支えていく、そういう価値観がずっと伝わってきているんですよ。額に汗して働いて、職人さん、自分の製品というものが絶対に安全でいいものでというような、そういう文化であるわけです。ところで、アメリカの方はそうでもない。  そこで、まずは、この前、先月の二十四日に米国のペン農務省の次官が来られて謝罪もされて、記者会見のときに、ちょっとこれはというような発言をしているんですね、この文化の違い。農林省、ペン次官の発言内容、ちょっと紹介してください。
  19. 中川坦

    政府参考人中川坦君) お答え申し上げます。  米国農務省のペン次官が去る一月二十四日の記者会見、これは東京で行っております。その会見の目的は、今回、アメリカ産牛肉に特定危険部位が入っていたと、この事件につきまして、まずは日本の関係者、消費者の方々におわびを申し上げるということと、それから、この事件のこれまでの調査で分かっていることについて説明するために来たわけでありますけれども、その記者会見の中で、記者の質問に答えまして、BSEのリスクというものは自動車事故よりもはるかに低いという旨の発言があったというふうに承知をいたしております。  この点につきましては、日本の消費者の方々の感情に配慮していない不適切な発言であったというふうに考えておりまして、この点は中川農林水産大臣から直接アメリカのジョハンズ農務長官に対しまして遺憾の意をお伝えしているところでございます。
  20. 前田武志

    前田武志君 というようなことで、スーパーに牛肉を買いに行くその車で事故に遭う確率の方がはるかに輸入牛肉のBSEの確率よりも高いという、そういうような発言だったと思うんですね。今、それで日本の消費者の感情と、こう言いましたが、感情の問題じゃないんですよね、私がさっき指摘したのは。物の考え方も文化そのものなんですから。  結局は、また後で総理にお伺いをしたいなと思っているんですが、この日米の関係というのも一方的に日本に押し付けられているというふうに日本人は思っているわけですよ。実態もそういうところがある、改革と称しながら。そこにはやっぱり価値観の違い、文化の違いというものをしっかりと相手に理解をさせた上でのものであればいいと思うんですが、その辺について、中川農林大臣、そういったことを政治家でなければ、しっかりと押さえた上で、わきまえた上で、政治家でなければ交渉ができないわけですよ。中川大臣のこの衆議院での答弁ぶり等を見ていると、その辺が非常に危うい。大臣、どのような見解をお持ちですか。
  21. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) おはようございます。  ペン次官の件でございますか、今担当局長から報告させましたように、一月二十日に成田空港で、輸入してはならない、つまりアメリカのプログラムに違反をするような脊柱付きの牛肉が入ろうとしたことを成田の動物検疫所で発見をいたし、その瞬間に、その部分だけではなくてすべての米国産牛肉の輸入を停止をさせたわけでございます。すべての米国産を停止をさせたという判断を取ったわけでございます。  その後、先ほどのように、ジョハンズ農務長官の代理としてペン次官が、あれは金曜日でございましたけれども、月曜日の夜、日本に参りまして説明をしたわけであります。これは徹底究明、それから二度と再発をさせないということに対してそういう方向でやるということでございました。おわびの言葉もございました。しかし、最後の部分で、今、前田委員指摘のような、交通事故よりも確率が低いのではないかという発言がございました。  これについては、私から、政治家でもありますジョハンズ農務長官にすぐ電話で抗議を申し上げ、そしてまた、先週末のダボスでのWTOの会議の場でジョハンズ長官にこのことを申し上げました。たまたま横に、ペン次官も横に座っておりましたんで、この発言は極めて日本の消費者にとって神経を逆なでする問題であり、仮にアメリカが早期にきちっとした対応をもって再開を希望しているとするならば、決してそれに対してプラスにならないということもはっきり発言した御本人の前で申し上げたところでございます。  ジョハンズ農務長官、それからペン次官は黙って聞いておられましたけれども、自分も政治家ですからそのことはよく分かる、決して時間を設定したり急いだりすることはしない。私から、急がば回れという日本の例えもあります、英語にも似たような言葉がございます、是非アメリカがそういう希望を持つんであれば、きちっとした、徹底した原因究明と再発防止をすることがアメリカにとってもプラスなのではないですかと。我々としては、その報告書を見てその後どうするかを判断する、現時点では全く白紙であるということを申し上げた次第でございます。
  22. 前田武志

    前田武志君 アメリカをそうやってしっかりと注意を発していただいたというのはそれで結構なんですが、私が特に言いたいのは、そういう文化の違いの下に、米国の輸出担当部局であったり生産者等への理解を深めるような働き掛けというのは、何もこの安全委員会の結論が出る前にもできるわけです、外交チャンネルを通じて、農林省の専門家、厚労省の専門家行って。そういう理解を深める作業というのをなされてなかったというところに私は政府責任があるんだと、このように思うんですよ。中川大臣責任はそこにあると思っているんです。お答えをください。
  23. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 平成十五年の十二月の末にアメリカでBSEが発生をして、発表と同時に日本では米国産牛肉の輸入をストップしたわけでございます。  その後、アメリカからは、まあアメリカの基準からいえば、一定のルール、あるいはまたOIEという国際機関のルールにのっとってやればすぐに再開できるのではないかという強い要請が農林水産大臣、そして私は当時経済産業大臣でございましたけれども、貿易担当の閣僚等々からまあいろんなお話がございました。私も当時の農林水産大臣も、政治家といたしまして、日本の閣僚といたしまして、今、前田委員指摘のように、正にアメリカと日本、あるいはそれぞれの国の食生活というのは文化そのものでございますから、当然文化が違っているんだと、したがって、文化の違いの表現方法として国民感情というものが当然あるわけでございますから、仮に科学的にクリアされたとしても、消費者がただ科学的に頭で仮に分かったとしても、文化としてあるいはまた長い間培ってきました日本人の食に関する考え方等からいたしまして、納得しなければ買いませんよと。  これは今回も申し上げましたけれども、科学的に日本の専門機関、アメリカの専門機関が日米の差は極めて非常に少ないという、まあ問題なしという結果が出たとしても、消費者が納得しなければ買いません、買わなければアメリカは売ろうとしても売れませんと。で、目的は達成できないでしょうということで、これは科学的な作業とは別に、政治家同士として、閣僚同士としては、本当の意味でアメリカが目的を達成したいんであれば、日本の食文化あるいは消費者の、今御指摘があったように世界一、食に対する、まあある意味では信頼、ある意味では危険に対する厳しい対応というものを理解しなければ、仮にオープンされても買いませんよ、したがって売れませんよということは、ずっとこれは政治ベースとして、何も科学的な日米間の交渉とは別の次元で、常に私始め総理も含めて内閣としてもずっと言い続けているところでございます。
  24. 前田武志

    前田武志君 このBSE問題について、私どもの同僚議員が議会を通じて提出した質問主意書ですか、これの実際の取扱いが、その閣議決定を経て出てきた答弁の結果と実際の扱いが違っていた、この問題について衆議院で相当混乱があったわけですね。最終的には内閣において取りまとめられて、安倍官房長官がその旨を報告をされたというふうに伺っておりますが、本院においては初めてでございますので御紹介をください。
  25. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) それでは、全文……
  26. 前田武志

    前田武志君 いや、取りまとめて。
  27. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 取りまとめでよろしいでしょうか。  ただいま前田委員から御質問がございましたように、先般、衆議院の予算委員会におきまして政府としての考え方を述べさせていただきました。川内議員に対する、質問主意書に対する答弁書、こうした質問主意書に対する答弁書を作成する際には、関係の省庁と法制局が一字一句まあ慎重にしっかりと言葉を詰めていくわけでございます。そこで、この答弁書につきましては、「現地調査を実施することが必要と考えている。」という形になっているわけでありまして、この答弁書は、農林水産省及び厚生労働省の当時の認識、そして考え方を内閣として是としたものでありまして、必ずしも特定の行為をなすことを内閣として決定したものではない、その後の事情の変化等を踏まえた輸入の再開の決定は閣議決定には当たらないというのが政府の統一した見解でございます。  しかしながら、答弁書の閣議決定以降に生じたような過程に対して、院に対する十分な説明が行われていなかったのも事実でございまして、その事実については誠に遺憾と、このように考えています。  昨日、この食の安全、安心に万全を期す観点から、今後の取組に向けまして関係省庁の連携を緊密化するとともに、国民に対するしっかりとした説明を進めるということについて指示をしたところでございます。
  28. 前田武志

    前田武志君 要は、内閣で閣議決定したこと、これについて忠実に守らなかったということであり、そしてまた国会、立法府の軽視というようなところもあるわけです。  要は、こういったことを小さな問題だと言ってこのような形で片付けるのではなしに、やはり内閣においてもっとその辺のところをきっちりとしないと、要は内閣のその決定に対して軽視する。これが、官僚政治がばっこして軍事官僚がはびこる。国会軽視、これがやがては大政翼賛会になる。官房長官のおじいさんの時代にあった、日本が非常につらい歴史を経験しているわけですよ。議会制民主主義を守っていくという点において、こういったことについては十分なこれから注意をしていただきたい。  総理、いかがですか、御見解は。
  29. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今、安倍官房長官の述べたとおり、院に対して十分説明が行われなかったという、こういう点はやっぱり反省しなければならないと思っております。
  30. 前田武志

    前田武志君 次に、証券市場の問題に行きます。  東京証券取引所をめぐっては、昨年末来、ジェイコム事件というんですか、システム障害を起こしてパンクしただとか、あるいはライブドア事件に関連して何かこの取引の高が余り多くなり過ぎて売買停止なんかが起きたわけです。  この資本取引市場における度重なる取引停止、こういう事態について、金融担当大臣、与謝野大臣、どのように受け止められておられますか。
  31. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 十一月一日にまずシステムがダウンをいたしまして午前中の取引が全くできなかったと、こういうことが起きました。また、最近では、先般のライブドア事件以降、取引高が予想以上に増えまして、短時間ではございますけれども取引をやめざるを得なかったと。これは、前田先生御存じのとおり、東京の証券取引所というのは日本の経済を支えているだけでなく、やはり国際的な存在でありますし、また国際的な存在であり続けなければならないと思っておりまして、日本の経済的な地位にかかわる重大な問題だろうと私は認識をしております。  そういう面で、東証においては惜しみなく資源を投入して人材も充実させなければなりませんし、システムもまたきちんとしたものに再構築しなければなりませんし、また考え方自体、管理体制、こういうものもきちんとしていただこうと。まあそういうことで、来週には有識者に集まっていただいて、東証に幾つか注文を出さなければならないと。また、そういうことを実際に実行していただくための人の問題、システムの問題、こういうものをきちんとしていただくということは日本経済発展のための喫緊の課題であると。多分、前田議員もそのように認識されていると思っておりますが、私どもの認識も全く同じでございます。
  32. 前田武志

    前田武志君 今の金融相の御説明に関連して、東証が来てくださっておりますが、東証にお聞きいたします。  なぜこうやって何度も取引ストップだとかシステムダウンしたのか、取引の処理能力等を含めて御説明をください。
  33. 飛山康雄

    参考人(飛山康雄君) 昨年のところで十一月一日、それから十二月八日、また今年に入りまして一月十八日と、短期日の間に三度にわたりましてシステム面でいろいろ問題を起こしまして、証券市場に混乱を起こしまして、非常に申し訳なく、大変おわびいたします。  能力の増強に関する私どもの考え方でございますけれども、これまでは、まあ経験則ということによりまして、前年の数値に対しまして余裕値として二倍程度の余裕を持っていこうということで、それを超えた場合に増強に着手するというのがこれまでの考え方でございました。  まあこれが正しいかという問題があるわけでございますけれども、そうした考え方に基づきまして基本的にやってまいりまして、具体的に申しますと、注文の受付件数でございますが、これは五年前の二〇〇〇年五月のこのシステムの稼働時には三百万件、これ一日当たりでございますけれども、そういう対応を図っておりました。で、三年ほどはそのまま推移しておりまして、これは注文も余り増えておらなかったということでございます。  それで、三年ほどたちました二〇〇三年の四月ぐらいからちょっと注文が増えておりましたので、それに合わせて二〇〇三年の四月に四百五十万件、さらにその同年の十二月に五百四十万件という対応を図ってまいりました。  で、またその後、少し安定してまいりましたので様子を見ておりましたところ、まあ昨年に入りまして、売買が非常に膨らんだということで、五月に六百二十万件への対応、それからさらに十月に七百五十万件対応と、さらに今年に入りまして一月の十日から九百万件に対応するということで注文の方はやっております。  で、注文がありまして、もう一方は、そのできた注文、取引ができますと約定になりますので、その約定処理件数も同じように、考え方で、注文件数の考え方と同じように能力増強を図ってきたわけであります。  それで、二〇〇〇年五月には、約定処理件数で百六十万件、それから二〇〇三年七月には二百四十万件、その後、十月には四百五十万件というふうに時期を合わせております。で、昨年に入りましても、九月に四百万件対応、それから十月には四百五十万件対応というふうに、二度ほど能力の増強を図ったわけでございます。ただ、このやっぱり能力の増強が追い付かないということで、一月の十八日の事態を起こしたということでございます。  それで、今回の事態を踏まえまして、一月の二十三日に五百万件へ緊急の増強を実施いたしましたし、この月曜日からは、約定処理件数は同じ五百万件でございますけれども、将来のシステムの拡張が容易である新システムへ稼働を移しております。  それで、しかしながら、まあそのような考え方、経験則で二倍ということで能力の増強を図ってきたわけでありますけれども、やはり昨年秋以降の注文、それから約定の急激な増加ということに対応できなかったというのは事実でありまして、非常に責任を痛感しておるということであります。  それで、その今後の対応策でありますけれども、これは二つの面から考えたいと思っております。  まず一つは、緊急的な対応といたしまして、現行システムにおける能力増強、今申しました注文件数九百万件というものを早急に五割ほどアップしまして千四百万件ぐらいまで持っていきたいと。それから、約定件数につきましても、五百万件というものをやっぱり五〇%ほどアップしまして八百万件ほどに持っていきたいということで考えておりまして、それを早期に実施したいということで、今ベンダー等といつできるかという時期を見定めているというところであります。  で、もう一つの対応としますと、やはりこれでは今後の取引増加に対応が不十分であると考えておりまして、やっぱり更なる増強策としまして、システム設計の基本方針を根本的に改めまして、国際競争力に負けない次世代のシステムを作りたいというふうに考えております。先ほど金融大臣からも御指摘いただいたとおりで、そういう構想を早期に取りまとめたいというふうに考えております。その際には、先ほど申し上げましたその二倍という余裕値などにつきましても、諸外国の例を参考にして、もっと大きな余裕値を持って対応していきたいというふうに考えております。  私どもの使命としますと、安定的な市場の提供というものが基本でございますので、そのためのシステム投資を惜しみなくやってまいりたいと思っております。非常に申し訳なく思っております。どうも。
  34. 前田武志

    前田武志君 今、東証の御説明でございますが、東京証券取引所というのは、金融あるいはこの資本市場の、資本市場というまあグラウンドを受け持っている役割なんだろうと私なりに理解をしているんですね。そして、プレーヤーというのが日本の個人投資家であり、あるいは投資家、世界の投資家であり、そして金融庁というところが、特に証券監視委員会ですか、ここがアンパイアの役目をしておられる。特に、日本のこの市場というのが、先ほど大臣説明のように、世界の大きなグラウンドになってるわけですから、このグラウンド整備というのは非常に重要でございます。  今まで大蔵省のトップが天下って、どちらかというと、まあもたれ合いの構造の中で、機敏にスピードアップして対応していくべきグラウンド整備ができてなかった。やっとで民間から非常に尊敬される経営者が来られて今改革に取り組んでいるというふうに聞いておりますので、期待もいたします。しかし、今の御説明だけでは、まあニューヨーク等の世界のトップレベルに比べてどうかなという気もするわけですね。是非、真剣にスピード上げて取り組んでいただきたい。東証、もう結構でございます。  そこで、金融大臣にお聞きするんですが、何か昨日のテレビ見てたら、幹事長、武部幹事長に教育を申し付けるというようなお話が出ておったようでございますが、要は金融庁、監視委員会、しっかりやってきているというお話のようですが、私どもから見たらそうは思わない。今の金融庁の体制において、ちょっともう時間がないんで多少具体的に申し上げると、その証券監視委員会、その事務局に対する人事権を持っているんですが、それともう一つは、あれは平成十年から発足しているはずですから、もう八年ぐらいたってるわけですけれど、例えば幹部クラスで五年以上職員が在籍している割合なんというのも、事務局で結構ですよ、御説明ください。
  35. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 今具体的な数値は手元にございませんが、私ども金融発足以来、財務省あるいはそれ以外の省庁、あるいは民間からの採用、あるいは任期付採用、そういったメンバーで事務を行っているところでございます。
  36. 前田武志

    前田武志君 実は、私は平成九年にこの金融庁をつくる行革特別委員会で審議をしたんですね、法案を。そのときの委員でございまして、附帯決議を全部書いたんですよ。その中で一番問題になったのは、大蔵省から出向していく、人事が交流する、結局はプロが育たなくなるんではないかと。したがって、そこはしっかりとしたプロを育てていくことということを主体にして議論を最終的にした記憶があるんですね。  しかし、どうも、まあ素人でよく分かりませんが、この数の議論ばっかりに行って、手が少ないとか言ってますが、出先に行くと大蔵省の財務局と併任でございます。本当のプロのアンパイアを育ててない。そういう面では、大臣が言われるように、まあ仕事としてはそれぞれ一生懸命個人的にはやってるんでしょうが、システム、人事を含めて改革をよほどしっかりスピード上げてやらないと今の状況に対応できないと思いますが、いかがですか。
  37. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 新しい組織をつくりました後、それが期待どおり動くまでには相当の歴史、相当の経験、ノウハウの積み上げ、先生が言われる人材の育成、そういうものが必要でありまして、紙に組織を書いただけでは組織は動かないと私は思っております。  現在、権限の面から見ますと、アメリカのSECと日本の証券監視委員会を例えば比べてみますと、紙の上では確かに日本の証券監視委員会はSEC以上の権限を私は持っていると思います。しかし、例えば人数の面で比べますと十分の一でございますし、果たして人材、歴史の面からSECと比べてどうかといえば、やはり相当まだ充実しなければならない面があると思っております。しかし、最近では、検事、裁判官、公認会計士等々、あるいは国税の専門家、あらゆる方々が来ておりますので、内容は、法制度改正を含めて、年々歳々、充実をしてきていると私は思っております。  しかし、証券市場の取引量が増え、また取引の手口が複雑化するにつれ、さらに先生が御指摘されるように、その内容の充実には心を配っていかなければならないと私は思っております。
  38. 前田武志

    前田武志君 私は権限とかそういう問題について言っているわけではございませんでして、その辺ではおっしゃるとおりでございます。  例えば、この一年間ずっとこの証券等で、あるいは政治の上でも大いににぎわしたそのホリエモン、堀江元社長、ニッポン放送の買占め問題のときなんか、あれは今から思うとルール違反だったというような感じになっているわけですけれども、やっていたことが、金融庁あるいは監視委員会においてイエローカードぐらい出せたはずなんですが、それすらやってない。そして、いよいよ検察が入った。まあ言ってみりゃ交通整理のお巡りさんの役割を期待していたのに、ある日突然重戦車がどおんと入ってきたというような印象ですよ。これで本当に金融庁、監視委員会が役割を果たしていたのかなという感じがいたします。  そこで、ちょっとこのパネルを見ていただくわけでございますが、これは去年の自民党の本部における堀江さんが候補者になったときの会見ぶりでございます。(資料提示)  この中では、幹事長おられませんので、たしか二階経産大臣が当時総務局長で、この選挙を全部仕切った一人であるというふうに承知しておりますが、このときこれ、幹事長が無所属の堀江さんの横に立って記者会見しているわけですが、自民党の公認の候補者はこういうふうに幹事長なり総務局長、陪席して記者会見をやったわけですか。
  39. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 他の公認候補につきましても幹事長が立ち会って記者会見をしたのかと、こういうお尋ねであろうと思いますが、幹事長不在のときを除いて党本部におられるときにはほとんど同席をされて会見に立ち会われたというふうに記憶をしております。
  40. 前田武志

    前田武志君 そこで、竹中大臣にお聞きをするわけでございますが、私とホリエモンさんと小泉さんと三人で改革をやる、これはもう放映ずっとされているわけですが、と言った責任は非常に大きいと、竹中氏がホリエモンを政府保証したみたいな形になったと、自民党の加藤紘一元幹事長がこのように言っているんですね。竹中さん、いかがですか。このように言わば、幾ら選挙といえ、経済の専門家がここまで持ち上げて株価に影響をもしも与えたとすると、これはゆゆしい問題ですよ。
  41. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) お答えを申し上げます。  さきの総選挙は郵政民営化に賛成か反対かを問う国民投票的な選挙であったというふうに考えております。私たちは民営化に賛成でした。民主党の皆さんは反対でございました。私はそういう観点から公明党候補を含む多くの賛成派候補の応援に赴いた次第でございます。まあ全部で八十か所ぐらい応援をさせていただきました。堀江氏は無所属ではございましたですけれども、郵政民営化賛成という観点からそのような立場での応援をさせていただきました。  前田委員は今、政府保証を与えたというふうにおっしゃいましたですけれども政府保証を与えたというふうにはもちろん考えておりません。株価等々についてもほかにお尋ねがございましたですけれども、株価等について、これいろんな要因で動きますから、それがどのような要因で動くかということをお答えする立場にはございませんが、いずれにしましても、今回のようなことが起きたということに関しては、これはもう大変遺憾であり、残念であると思っておりますし、その候補者についてこのようなことが起こるということをまあ私自身は見抜けなかったわけですから、この点の不明については反省すべきをしっかりと反省していかなければいけないと思っているところでございます。
  42. 前田武志

    前田武志君 株価の動き、このパネルは株価の動きなんですが、やはりこの記者会見の前後に株価が上がってきているんですね。(資料提示)  そこで、私は専門家でないので、この竹中さんの専門家の答弁に対して精緻に議論をする能力を持っておりません。  しかし、まあここで私が非常にいろいろ勉強させていただいた、早稲田大学の上村教授がこう述べておられるんですね。証券市場はその扱いを誤ると国家の行く末を誤ることになる。要するに、企業破綻、失業、社会不安、犯罪、戦争すら起こるわけですよ。第二次大戦に至るあの証券市場の破綻というのは、もう学者であるあなたなんかは一番よく分かっているわけだ。それくらいの影響がある。しかも、この金融改革に一番責任を持ってこられたこの竹中大臣が風評をあおるようなことをやっているわけですよ。竹中大臣が動いたら、それだけやっぱりこの会社に対して皆さんこれはもう期待を持ちますよ。こういう軽々しいことをやるもんじゃありません。  今、日本の国の経済、まさしくこの間接金融から直接金融へということで、それをやってきたのがあなたじゃないですか。郵貯改革も、三百五十兆円の日本金融資産、これアメリカに持っていかれるんじゃないかと、そういう懸念があったから、自民党の中においても反対があったわけです。これがしっかりした、本当にこの日本の国の将来をもう自ら死ぬ覚悟でちゃんと守っていくよというぐらいの政治家がやっていただいているなら信用もいたしますがね、こんな軽々しいことをやるような人が一番の責任を持っている、誠に危うい話ですよ。  もう一度、大臣、腹を据えて答えてください。
  43. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) まあ、金融の改革等いろいろ今お話をくださいましたが、金融担当大臣のときは金融担当大臣として、そして今、郵政民営化を担当する大臣として、この国の将来を思い、一生懸命その方向に向かって運営をしているつもりでございます。  先ほども申し上げましたように、今回の件、堀江氏の逮捕ということを私は見抜けなかったわけでございますから、その点の不明に関しては反省すべきを反省しなければいけないと思いますし、また、こうしたことに至ったことについては大変遺憾に、残念に思っております。私としましては、正に、正にそうした反省も踏まえながら、今自らに課された職責を全うすることが自分の責任であるというふうに思っております。
  44. 前田武志

    前田武志君 残余の質疑は同僚議員に譲ることにいたしますが、最後に総理にお聞きしたいんです。  三点について議論をしてまいりましたが、やはりこの政治の結果はもう政治が責任を持つ以外にないというふうに思います。もう総理も全くそのとおりだと思います。  どうしても、政治がある政策を決める、官僚に任せる、今までのしきたり、政権も動きませんから官僚が処理する。結果としては同じような過ちを何度も繰り返す。そして、食べ物の問題にしても、幾らアメリカを非難しても最後は日本国民が口に入れるわけですから、これは日本の政治が責任を持つ以外にありません。そして、総理が言われるように、我が民主党、このSECについてもしっかりした法案を提案しているんです。お互いに国会で、国会のことではありますが、議論をしながら一歩でもいいものにしていくというこの議会政治の在り方について、やはり総理としてももっとそれをまあサポートするような、そういう姿勢を見せていただきたい。  最後に総理の御見解を聞いて、質問を譲ります。
  45. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今までの前田議員の御指摘も踏まえまして、やはり改革を止めてはならないと、反省も踏まえながら改革を続行しなければならないということを痛感しております。
  46. 前田武志

    前田武志君 終わります。
  47. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。鈴木寛君。
  48. 鈴木寛

    鈴木寛君 民主党新緑風会鈴木寛でございます。  冒頭、改めて中川農林水産大臣の閣議決定違反問題について伺います。  先ほどの総理の答弁では全く納得できません。小泉総理自身が、公約を破ろうが大したことないと公言して以来、日本中の至る所で約束違反、ルール違反が横行し、専門職のモラル崩壊が起こっています。証券取引法違反、牛肉輸入で開き直り会見をした米国農務省のペン次官、そして閣議決定違反の中川大臣、これ、みんな小泉総理と同根であります。  閣議決定という文言が条文に含まれている法律はですね、百二本あるんです、百二本。その中には、自衛隊の出動や派遣を閣議決定で決めているというイラク特措法、テロ特措法、周辺事態法なども含まれます。今回のように、一閣僚の恣意的な判断で閣議決定が変更できるということをいったん認めれば、我が国の自衛隊に対する文民統制すら危うくしかねません。現に防衛庁幹部は刑法すら守っていないわけでありますから、閣議決定はなおさらです。  正に、今回の問題はこの国の統治構造を根底から揺るがす大問題ですが、中川大臣にも、そして総理のさっきの答弁にも、閣議決定の誠実かつ忠実な遵守は閣僚としての極めて重大な任務であり義務であるという基本認識が欠如しています。  改めて、今回のことを中川大臣国民の皆さんに陳謝をしてください。
  49. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 言うまでもなく、閣議決定に閣僚が拘束されるというのは言うまでもないことでございます。  おとといの件につきましては、先ほど安倍官房長官が御説明申し上げましたとおり、今回の十一月十八日に閣議決定された川内議員の質問主意書に対する答弁、これは閣議決定された答弁でございますけれども、これについては私並びに厚生労働大臣は反していないというのがこの政府統一見解でございます。ただし、質問をいただきました川内委員、そして政府として、お答えをいたしました院、この場合、衆議院でございますけれども、これに関しましては、状況が変更をしたということについての十分な説明がなかったということについては総理からも御注意があったところであり、私も現在、農林省内で調査をしているところでございますが、改めて院並びに、そのことにつきまして国民の皆様にはおわびを申し上げたいと思います。
  50. 鈴木寛

    鈴木寛君 私は、誠実かつ忠実にというところを伺っているわけでありますが、お話にならない。この問題はあした以降、同僚の蓮舫議員がしっかりとやらせていただきますので、御承知おきください。  そして、こうした大問題に対して昨日、自民党の武部幹事長は、野党が質問主意書の数が多い、野党からのこれを制限すべきだというとんでもない発言をされています。言語道断です。であれば、我々は全法律について審議時間を倍要求しますよ。  安倍官房長官、この件について政府の陳謝を求めます。
  51. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) まあ質問主意書制度はですね、もう言うまでもなく国会法に基づく議員の権能であります。政府としては、議員から提出された質問に対しては、制度の本旨にのっとり誠実にお答えすべきものと考えております。  近年、まあ他方、近年ですね、その数が相当な量となってきていることもまあ事実であり、政府においていかにしてこれに、いかにしてこれに適切に対応するのかという課題があるというふうにまあもちろん認識をしているわけでありますが、制度そのものの在り方についてですね、我々政府からそれは例えば制限すべきだと言うことは適切ではないと、このように考えております。まあ、あくまでも議院において判断がなされるべきものであるというふうに承知をいたしております。
  52. 鈴木寛

    鈴木寛君 あくまで、質問主意書が増えているのは審議時間を自民党が削っているからだという基本認識をきちっと了解しておいていただきたいと思います。  それでは、民主党補正予算対案について皆様方に御紹介を申し上げたいと思います。  その前に、防災担当大臣、昨年の中央防災会議で首都直下地震の被害想定を行っていますが、その概要についてお答えをください。
  53. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) 首都直下型地震につきましては、マグニチュード七クラスの地震に対しまして中央防災会議で被害想定を行いました。この中で、発生の切迫性が高く、被害が広域に及ぶと想定される東京湾北部を震源とする地震について被害想定を見ますと、最大で、建物全壊・焼失棟数約八十五万棟、死者数約一万一千人、経済被害約百十二兆円、うち直接被害約六十七兆円、避難所生活者数約四百六十万人、帰宅困難者数約六百五十万人という甚大な結果となっております。  以上です。
  54. 鈴木寛

    鈴木寛君 これ大変な、大変な数字、そして大変な状況だと思うんですね。これは総理も御理解をいただいていると思いますが、これ耐震の問題というのは、これ政府を挙げて、国を挙げて最大の課題だと思います。  このパネルをごらんください。(資料提示)公立学校の耐震化の状況でございます。昭和五十六年に建築基準法が変わって新耐震基準になってから既に二十五年たっています。一千百万人の小中学生が毎日学び、そして万が一の場合に市民の唯一のよりどころになる学校施設。正に防災施設の六割が学校です。その学校の四八・二%が実に、これ六万三千棟に当たるわけでありますが、耐震性が確認をされていないという驚くべき事態になっている、状況になっている。  私は、新潟中越地震の直後、二〇〇四年の十一月二日の文教科学委員会の場で、文教施設の耐震化を積極的に進めるべきだと、さらにこの状況を国民の皆様方にきちっと御説明をしてこの問題の重要さということを理解していただくべきだということで、文教科学委員の皆さんと一緒に視察もさせていただきました。  文部科学大臣にお伺いをしたいと思います。  新旧文部科学大臣はこの重要性を国民の皆様方にお知らせをして、そして世論の後押しを得るためにどういう努力をされてきたのか。そして、今回の補正予算案においてこの公立学校の校舎の耐震化のために予算を幾ら計上して、そしてこのことによって耐震化が何%進むのか。お答えください。
  55. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 鈴木委員お答え申し上げます。  ただいま御質問のありました新旧大臣はマスコミを通じてどのようなということでございますが、具体的に申し上げますと、大臣として直接マスコミでそういう発言をするということではなくて、文部科学省として広報を通じてこの耐震化の促進について訴えておるところでございまして、具体的に申し上げれば、まあテレビ局の名前を言うのがどうか分かりませんが、昨年九月あるいは十一月のそれぞれのテレビあるいはラジオ等の番組、あるいは政府広報というもの、文部科学省の文部科学時報等あるいは教育委員会報、こういったものを通じてこの耐震化の促進について訴えておるところでございますし、また、委員が御指摘ございました中越地震の以降ということで申し上げますと、中越地震以降十六年の、平成十六年十一月一日に公立学校設置者であります都道府県教育委員会施設の主管課長あてに、平成十五年度を初年度とする三年以内に耐震化診断を完了するよう耐震化診断実施三年計画、三か年計画の策定をお願いしたところでございます。  しかしながら、平成十六年四月一日現在での耐震状況の調査においては、半数以上の建物が耐震化診断が実施されていないという状況でございましたので、さらに、私どもといたしましては、平成十七年度に向けて公立学校施設の耐震化診断における予算の確保に努めていただきたいというその旨をそれぞれの学校設置者にお願いを申し上げたところでございまして、そういった意味で、委員が御視察を賜りましたように、中越地震における学校の耐震化の問題というのは私どもも大変重要な問題であると。学生が、児童がその生活の大半を過ごす場所でもありますし、また避難場所にも指定されると、そういうことで、その重要性については認識を共有しているところでございます。(発言する者あり)  予算につきましては、平成十七年度の補正予算におきまして二百七十七億、これを計上しているところでございまして、また、平成十八年度本予算におきまして一千百三十七億という形でこの計上をしているところでございまして、それぞれ耐震化の促進に努めているところでございます。(発言する者あり)  具体的に申し上げますと、現在の、十七年四月現在で五一・八%であったものが、当初予算で二・四%改善がされて五四・二%、また、十七年度補正の今、ただいま申し上げた二百七十七億円で一%上昇し五五・二%まで向上することができると、このように考えております。平成十八年度当初予算で更に二・八%上がり五八・〇%というところまで上がります。これはすなわち、それぞれの施設の耐震化設計とかそういったものがございますので、そういった意味で、危険度の高いもの、そして耐震化設計が完了して施工に入れるもの、こういったものに対して予算付けを行っていく、このようになっておるわけでございます。
  56. 鈴木寛

    鈴木寛君 一年間で三%なんですね。これだとあと十五年掛かっちゃうんですよ。  私は、現在、民主党の次の内閣文部科学政策の担当をさせていただいております。今回の政府補正予算では全く子供の安全が確保できない、したがって衆議院で我々はこの予算案に反対をいたしました。  私たちがこの日本建築構造技術者協会の調査を参考にさせていただいて試算をさせていただいたところ、特に危険性が高いと、緊急性が要するのが一万三千棟ぐらいあるんです。したがって、そうした校舎に対しては、緊急に診断をして改築、補強をするために、我々民主党は六千三百一億円の補正予算対案をまとめました。  総理にお伺いをいたします。一月二十六日の衆議院の予算委員会で、我が党の松本剛明政調会長の質問に対して、考え方としては共有する部分も多々あるという御答弁をいただきました。であれば、私たちが求めている校舎の耐震化のスピードアップ、そのためにこの参議院の場で補正予算組替え、是非お願いをしたいと思いますが、いかがですか。
  57. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 民主党の考え方について共有する点もありますが、予算につきましては、各省庁いつも多額の予算を要求してまいります。しかし、民主党もできるだけ歳出については削減せよという点について私どもも共感を覚えるところもあります。財源の問題もあります。そういう点から、現在の補正予算の組替えは考えておりません。
  58. 鈴木寛

    鈴木寛君 私たちは、実は二〇〇四年の十一月の奈良の事件以来、子供の安全対策について検討を重ねてまいりました。昨年の十二月十四日に学校安全対策基本法案をまとめました。十二月の党大会で児童の安全にかかわる緊急アピールを申し上げて発表し、そして政府も十二月の二十日に「犯罪から子どもを守るための対策」を発表されております。しかし、今回の補正予算案の中で子供の安全対策、一円も計上されていません、通学の安全です。  同僚の林久美子議員の算定によりますと、全国で危険箇所に防犯灯を設置したとしてもわずかに十七億円、中山間地域にスクールバスを手配、あるいは路線バスの活用も含めて、これ十億円手配するとかなりの程度通学時の児童の安全が向上する。  政府のこの対策をまとめられたのは安倍官房長官だと伺っておりますが、この程度の予算も計上できないのか、お伺いしたいと思います。
  59. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 子供の命と安全を守るということは国、政府の重大な使命であり責任であると、このように考えております。この観点から、この子供の安全対策政府全体で取り組むべき課題であると、こう認識をしております。  そこで、ただいま鈴木議員が御指摘になられましたように、昨年の十二月に、まず喫緊の課題としては登下校時の児童の安全確保であるという観点から、緊急対策として六項目を掲げました「犯罪から子どもを守るための対策」を取りまとめ、犯罪対策閣僚会議においてその着実な推進を確認をしたところでございます。  緊急対策六項目の中心は、全通学路の安全点検など、既に各地域で取り組まれている対策を緊急かつ網羅的に、しかも関係者が一致協力して実施するように求めるものであります。これらは補正予算による新たな予算措置がなければ対応できないという性質のものではなく、既に各地域で現に実行に移されているわけであります。また、対策に盛り込まれた施策のうち予算を必要とする施策については、平成十七年度予算での対応に加えまして、平成十八年度予算案においても適切に計上をしているところであります。  しかし、その十八年度予算に計上しているものを、ではなぜ補正予算に計上しないかという御指摘もあったわけでありますが、しかし、これを実際に実行に移すためにはしばらくの時間的な経過が必要でありまして、そうした準備はもう既に始めているということでもございます。  今後とも、子供の安全確保のためにこれらの対策を適切かつスピーディーに実施をしていくために全力を挙げていきたいと、このように考えております。
  60. 鈴木寛

    鈴木寛君 子供の安全の解決策は、私は地域の住民、保護者の皆さんのコミュニティー活動、これがかぎだと思っています。しかし、その地域の熱意を支えるのが政治家の役割だと思っております。  実は、私は慶応大学の助教授のときに、これは竹中先生と同じキャンパスにおりましたけれども、金子教授と一緒にこのコミュニティ・スクール構想という提案をさせていただいて、そして出版もさせていただきました。この経緯は竹中大臣もよく御存じだと思います。その後、二〇〇一年に私が国会に入り、そして民主党のマニフェストになって、しかし、ここは河村建夫元大臣あるいは下村元政務官の御協力も御理解もあって、コミュニティ・スクール法案が一昨年成立をし、そしてこの四月には百五十校が指定されます。いろんなところでコミュニティーができてきます。土曜学校運動というのも始まっていますから、それについては一万か所ぐらいになっています。  そして、しかし、こういう方々に是非活躍をしていただきたいし、既に大変活躍をしていただいています。そのためにも、私は予算が、そして人の手当てが必要だということを申し上げています。  特に、防犯対策の専門知識、能力を有する学校安全専門員、これが我々の対策基本法の骨子ですが、この配置は不可欠でありますし、ボランティアの方々の必要経費、例えば腕章代とかあるいは保険、こうした予算措置は必要なんです。我が党はこれを補正予算で提案しています。  総理も駄目でした。安倍官房長官も駄目でした。谷垣財務大臣に伺います。せめて子供の安全対策でも、今回の補正予算で組替えをしていただけませんでしょうか。これは本当にお願いです。よろしくお願いします。
  61. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 委員のおっしゃるように、子供の安全対策というのは、将来の国づくりということを考えても極めて重要だと思っております。  今委員のお尋ねは、補正を組み替えるべきではないかということでございますが、既に官房長官から御答弁がありましたように、十二月二十日に作りました私ども対応も、予算措置を待たなくて十分できるものである、補正措置をとらなくてもできるものである、十七年度の当初予算と、それから十八年度のこれから御審議をいただく予算、これをつなげればできるはずであるという認定に立っております。  先ほど来の御議論の中で、例えばバスの借り上げというような問題がございました。これは自治体の判断にゆだねられているわけではありますけれども、地財措置の中にこういうものが含まれているということでございますし、また、おっしゃいますように、コミュニティーをつくってボランティア等に呼び掛けていくということの重要性も私どもよく認識しておりますが、これにつきましては、学校安全ボランティア等々の呼び掛けというようなこともございまして、十七年度、十八年度予算、それぞれ所要の額は計上しているというふうに考えております。
  62. 鈴木寛

    鈴木寛君 私どもには、腕章代もないんですと、これ何とかしてくださいという声が届いておりますので、是非御再考いただきたいと思います。  次に、格差問題であります。  総理は、明確な格差の拡大を確認されていないと本会議で答弁されています。この問題は、昨年の予算委員会でも私から総理にお願いを申し上げました。  このパネルをごらんください。(資料提示)経済援助が必要な御家庭がこの十年で二倍に増えているんですね。東京、大阪ではもう全家庭の四分の一です。こうした中で、要保護者への国庫補助も昨年の三月なくなりましたし、学校保健法による疾病の治療費も国庫補助がなくなって、結果、そうした家庭の児童の虫歯が増えているんです。  総理、これでも格差は拡大していないとお思いですか。お答えください。
  63. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 格差の問題についていろいろ議論がされている状況におきまして、識者からもどういう状況だと私も聞いております。先般も、政府・与党の会議におきましても、この格差の問題が話題になりまして、識者から現実のデータに基づいて説明を受けました。  そういう状況において、所得格差あるいは資産格差等、巷間言われているほど、今の日本の社会において格差はそれほど各国に比べてもないという報告を受けておりますが、今後とも、生活保護世帯等増えているのも事実であります。そういう点について、予算も増えております。さらに、フリーターとかニート等の問題、こういう問題について、将来の状況を考えるとおろそかにはできないなということから、この問題についても今後よく注視していく必要があると思っております。
  64. 鈴木寛

    鈴木寛君 総理がそういう認識ですから、昨年の秋に義務教育費の国庫補助金を二分の一から三分の一に引き下げているわけです。我々は今国会に国及び地方合わせた義務教育費総額を確保するために義務教育財源確保法を提案したいと思いますので、またそのときに御議論させてください。  このパネルをごらんください。(資料提示)教育費の対GDP比各国比較です。日本は初中等教育段階で二・七%です。アメリカでは、あるいはフィンランドでは三・八%です。日本はOECD平均最低です。もう一枚ごらんください。(資料提示)公共事業の対GDP比率です。我が国の公共事業費は教育費より二%高い。世界最高、四・五七%。ドイツより三%高い。だから我々民主党は、コンクリートから人だと、これは谷垣大臣も昨年の委員会で御理解をいただいている。  政治家とは、ある意味で、こうしたマクロの正にこの社会制度、統治構造をどういうふうに設計していくか、これ一番重要な課題なんです。この国は、自民党長期政権の中で国家の屋台骨である人づくりをおろそかにしてきた。その結果がこれです。  自民党の有力な総裁候補三人にお伺いをいたします。安倍官房長官、そして谷垣大臣、そして麻生大臣。他の方は申し訳ございません。一政治家としてこの教育問題をどう考えるか。そして、是非、総裁選のマニフェストでこのことを数値も年限も盛り込んで議論していただきたいと思います。お願いします。
  65. 小野清子

    委員長小野清子君) それでは、安倍内閣官房長官からお願いします。
  66. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) ただいま鈴木委員が御指摘されましたように、確かにOECDの調査によりますと二〇〇二年における我が国の学校教育に対する公財政支出の対GDP比が諸外国と比較して極めて低いのは事実でございます。  小泉内閣といたしましては、小泉総理総理に就任した際、施政方針演説において、米百俵の精神でこの教育を進めていきたいということをおっしゃったわけであります。我が国において、将来、子供たちをしっかりと教育をしていくことが将来の日本につながっていく、そのように認識をしております。  一方、細かく今、鈴木委員が御指摘をされました数字を見てまいりますと、一人当たりのそれでは公費負担はどうなっているかということになりますと、初等中等教育段階におきましては欧米諸国と比べて遜色のないものとなっておりますが、他方、高等教育におきましては確かに私費の負担は高くなっていると、このように思うわけでありまして、国家資源をどのように配分をしていくか、やはりもう少し子供たちに厚くすべきではないかというのが国民の声であるということは十分に私も承知をしているわけであります。その中でしっかりと我々も、できる限り、高等教育におきましても公的なこの負担、公的な給付、公的に国が負うべき責任はどうか、また地方と合わして公的に負うべき費用はどうなのかということについてしっかりと考えていかなければいけないと、こう考えているところでございます。  また、総裁選につきましての御指摘でございますが、これはまだまだ全く決まったわけではございませんので、今の御質問については一政治家としてお答えをさしていただきました。
  67. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 私は、今年度の文教予算あるいは補正予算に関しても責任があるわけでございますので、小泉内閣財務大臣としてお答えをさしていただきたいと存じます。  これからのやはり日本の国づくりということを考えます場合に、やはり国際競争の環境も非常に厳しくなっておりますから、魅力ある日本をつくっていくということが私は大事だと思います。それで、その基本は最後はやはり、日本は資源もない国でありますから、人づくりだということに結局はなってくるというふうに思うんですね。  そういう中で今の日本の教育予算の在り方を考えてみますと、今委員が御指摘になりましたように、確かにGDP比で見ますと、OECD諸国の中で必ずしも高いところにあるわけではないということは御指摘のとおりでございます。  ただ、今、安倍長官もおっしゃいましたけれども、一人当たり、まあ子供の数も減っておりますので、一人当たりで見ると必ずしも遜色があるわけではない。むしろ問題は、これだけ子供の数が、児童数は減ってきている。しかし、統計を見てみますと、生徒数一人当たりの公教育費支出、これ小中の推移で見ますと、平成元年から十五年間に五一%増加しているわけですね。で、この原因はどこにあるかと考えますと、少子化が進む一方で教師の数、給与水準、ここが横ばいに推移しているということが要因の一つではないかというふうに私は思っております。  しかし、そういう中で、子供の数が少なくなってきても教育は充実しろというお声があるのは事実ですけれども。ですから、一人当たりの教員数とか教員の待遇ということをあれしてみれば上がってきているわけですが、教育の、じゃ危機がそれで回避されているというふうには私は思わないわけでございます。  そうしますと、むしろ今後の問題点は、そういう教育の質をどうやって高めていくのか。数だけの問題では、金額だけの問題ではなくて、教育の質を高めるシステムをどうつくっていくかということにあるのではないかと私は考えております。今後も、予算編成に当たりましては、そういう観点から私どもも議論をしていきたいと思っているわけでございます。  それから、先ほど公共事業の数字を挙げて、日本は公共事業のGDP比が高いという御指摘がございまして、私も確かに、コンクリートから人へという、去年も議論をさせていただきましてですね、鈴木委員のそういうお考えは私は共感するところがある、去年も申し上げたとおりでございます。  で、公共事業費もずっとこの抑制をしてきた、御承知のとおりでございますが、ただ、最後の悩みになりますのはですね、いろいろな災害対策もございますけれども日本はやはり地形も急峻である、そういう中で公共事業のコストも諸外国に比べて掛かるということもございまして、その辺をどう考えていくかと、今後やはりきちっといろんなところで煮詰めた議論をしていきたいと考えております。
  68. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 義務教育のお話ですが、御存じのように、イギリスに先立つこと三年も早く義務教育制度を世界に普及させ、国費留学生という制度を世界で最初に考え出して、義務教育というものはいろんな形で、義務教育に限らず教育費に金を掛けてきたというのが日本の歴史。それは資源がないから、ほかに人材以外資源がなかったといえばそういうことになるんだと思いますが、そういった状況が、資源のある国に比べて状況が厳しかったために教育に非常な時間を掛けてきた。  明治時代は多分国家予算の三割近くは教育費に突っ込んでおりますから、そういった時代で、国防費に三割、教育費に三割、残りのすべてを残り四割でやったというのがあの時代の大まかな背景だったと記憶をいたしますけれども、そういった状況と今とは少し状況は変わってきて、あのころは近代工業化社会ですから、とにかく皆同じようにということだったんですが、今は時代が変わってきておりますので、教育の仕方も随分変わってきておりますので、子供の育て方も母親のしつけの話から始まっていろいろ方面、教育という言葉の意味が幅広くなってきておりますから、そういった意味では、今、谷垣大臣のお話にもありましたように、教育の在り方につきましては、これはもう一回再考してみなければならぬというところだと思っておりますが、いずれにいたしましても、金を掛けるにしても、金の掛け方の話もしていただかぬと、一律幾らという話とは少し違うんだという点も配慮して考えていかねばならぬ問題だと思っております。
  69. 小野清子

    委員長小野清子君) いいですか。  小坂文部科学大臣
  70. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 鈴木委員の御指名の大臣ではございませんけれども、教育担当といたしまして、ただいま委員が御指摘がございましたGDPと教育予算の比率についてのOECDとの比較という点についての考え方。  私も教育予算の充実については鈴木委員と同様でございまして、これは多ければ多いほどいい、充実させたいと、この希望は変わらないわけでございますけれども、このOECDの統計とのですね、読み方の部分で気を付けなければならないことは、一つは、我が国のですね、GDPに対する公財政支出の割合が小さいということ、それからもう一つは、児童生徒数が総人口に占める割合が小さいと、就学人口のこの相違という問題。それから大きな点はですね、私立大学等の比率が高いということですね。例えば、フランスは大学の在籍者の比率が一・四%、いわゆるその私立大学のですね、私立の構成比が一・四%、あるいはイギリスは〇・一%未満でございますけれども、我が国は大学の七七・四、短大で九二%と非常に高いわけですね。これらが教育費に影響を与えていると。  そういう意味で、この指標として否定はいたしませんけれども、そういった読み方の上で構成の違いがあるということだけ指摘させていただきたいと思います。
  71. 鈴木寛

    鈴木寛君 小坂大臣、失礼しました。是非総裁選、頑張ってください。  子供の数が減っている、そうおっしゃられると思っていました。  次のパネルをごらんください。(資料提示)  日本は高齢化で患者の数が大いに増えています。アメリカにもドイツにもフランスにも比べて患者の数は圧倒的にこれから増えていますし、今現在も大変多くなっています。  医療費の対GDP比です。日本は八%、アメリカは一五%。もちろん制度は違います。しかし、ドイツは一一%、フランスは一〇%です。この統計発表後、イギリスも増加に転じました。  もう一度お三方、プラスアルファでどなたでも結構ですが、伺います。小泉・竹中路線、正に経済財政諮問会議は対GDP比率を据え置く、増やさない、この路線を踏襲するのか変更するのか、お答えください。
  72. 小野清子

    委員長小野清子君) 厚生大臣でよろしいですか。さっきの……
  73. 鈴木寛

    鈴木寛君 いえ、安倍、谷垣、麻生三大臣。プラス、総裁選に出る竹中大臣もどうぞ。
  74. 小野清子

    委員長小野清子君) はい、分かりました。  安倍内閣官房長官
  75. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) ただいま委員が御指摘になられました医療費とGDP比との関係でございます。  国民にとって、いわゆるセーフティーネットがしっかりと張られているということが心の安心にとりましてもとても大切なものであるというふうに私も認識をしております。人間は不幸にして病気になる場合もあるわけでありますから、そのときにしっかりと公的な給付がある、そういう制度があって初めて安心して仕事もできると、このように考えております。  そこで、我が国の医療保険制度はどうかといえば、これは、もう世界に冠たるこれは皆保険制度であると、このように思っておりますし、国民信頼も高いんではないか、こう思います。そこで、この制度をしっかりと維持をしていく、国民の安心を確保するためにも、給付と負担の関係について国民的なこれは納得がなければならないと、こう考えています。国民が納得できる範囲での負担があって初めて安定的な給付ができるということではないか。  そこで、医療給付費の伸びに関しまして、経済規模と照らして国民にとって安心のできる医療の確保の観点や、また国民負担の観点から評価をしながら、五年程度の中期を含めて将来の医療給付の規模の見通しを示し、これを医療給付の伸びの実績を検証する際の目安となる指標とするということにしたわけであります。  いわゆるキャップのような形にして、これを超えたら自動的に減らしていくというものではなくて、一つの目安を作って、果たして、例えばレセプトの電子化等々をしっかりと図っていって、そして事務費の軽減を図る、あるいは診療報酬の配分の仕方が本当にいいのか、また、いわゆる指摘をされているようなターミナルケアの在り方、後期高齢者の方々への医療費のこれは高、そしてまた、あるいはベッド数等々について、そうしたことに対する医療費の適正化施策がはっきりと有効的に効果があったかどうかということを検証する数値は必要だろうということからかんがみ、そうしたいわゆる目安となる指標を示したものであって、この政策そのものは私は決して間違ってはいない。しかし、一方、委員が御指摘になったように、日本のこの医療保険制度は必ずしもこれは各国と比べてGDP比高いものではないと、私はこのように認識をしております。
  76. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 私は、全体としてなかなかいい医療制度日本はつくってきたんじゃないかというふうに思っているんです。ただ、高齢化等も非常に速いスピードでございますし、現実問題として医療費はもう年々大きく増えてきていると。社会保障全般とすると、一般歳出の四十数%という額になっているわけですから、これ、やっぱり社会保障というものは本当に持続ができるんだとみんなが思わなければ、セーフティーネット、国民の安心、安全につながらないということがございます。  そういう意味で、今年、医療改革をみんなで議論しまして、今官房長官がおっしゃったことでございますけれども、キャップのような固いものにしていくとやはりいろいろ問題があるだろうということで、下から積み上げて、目安を作って、何年かに一回はやっぱりチェックをする体制をして、身の丈に合ったものにできるだけしていこうという努力は必要だろうと思います。それで、無駄を省いていく努力はもちろん必要でございますから、今後も多面的にそういうところを考えていかなきゃならないだろうと思います。  他方、小さな政府の議論がございますけれども、私は恐らく、これから、これもよく議論しなければならないところだと思いますが、国民の多くの意識として、国民皆保険のような体制、これはやっぱり必要だなと思っておられる方が大部分なんじゃないかなというふうに思っているわけですので、そこで先ほど申し上げたように身の丈に合ったものにしていく努力が必要だと。  そこでもう一つ。そうなると結局、そうであっても負担との関係でどうなるのかという議論がやっぱり他方であると思います。これが今年、経済財政諮問会議で議論をしていきます歳出歳入一体改革を選択肢も示してやっていくということになっておりますが、大きなテーマの一つになるのではないかと考えております。
  77. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 基本的には、この話はこの三人で、特に谷垣大臣と一緒に財政諮問会議等々でやってきましたんで、一番最後に言うと、また全然別のことを言うのもなかなか難しい、難しい立場にありまして、基本的には同じことを言ったって、さっき聞いたよって話になっちゃいますんで。  基本的には、国民皆保険制度を維持しつつ、かつ、今、高額医療、終末医療、そういう特殊単語があるんですけども、そういった単語の状況のものが増えてきておるというのは確かなんです、これは、技術が進歩した結果。しかし、そのために医療費がぶわっと増えていくというのも事実ですから、そこらのところは、それは本当にやらなきゃいかぬのかという話は、患者の方が要らないと言って選択して尊厳死を与えろなんて話になると、また話がどおんとまた別の倫理観の話や何やになりますんで、これは鈴木先生、本当に難しいところなんだと思いますが、国民皆保険を維持しつつという前提でどれだけ負担し得るかというバランスの話というのは、これは時間を掛けてやらないかぬ大事なところだと思っています。
  78. 鈴木寛

    鈴木寛君 引き続き、パネル六をごらんください。(資料提示)一ベッド当たりの医師数です。日本は臨床医が足らないんです。開業医はそうでもないんです。米国の五分の一、ヨーロッパの四分の一か三分の一です。看護職員もほぼ同じ傾向であります。  そしてもう一枚、七、パネル七。(資料提示)特に専門医、臨床医、とりわけ臨床専門医の数が足りません。例えば、小児科でいうと二分の一、大体、人口比でいいますとね、麻酔科が二・四分の一、放射線科が三・六分の一と、こういうことになります。  この臨床医不足、臨床専門医不足が、医療過誤、救急救命体制の不備、三時間待ちの三分診療、患者さんに対して十分に説明をしてくれない医療、小児医療の不備、がん治療の後れ、このすべての原因がここにあるんです。医療政策も、優秀な医療人材の人づくり、これが重要だと。自民党が長期間、臨床現場と臨床医をないがしろにしてきた結果がここにある。  厚生大臣に伺います。今回は厚生大臣で結構です。正に、臨床現場の医師と看護師、医療スタッフのマンパワー不足が今回の医療改革でいつまでに何人改善をされるのか。そして放射線医、特にこのがん治療については放射線医と腫瘍内科医が足りません。これ大問題になっています。これがどう改善されるのか。正に、麻酔科、小児科、放射線科、腫瘍科、この医師不足が今回の医療改革でいつまでに何人改善されるのか、具体的に御説明ください。
  79. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) まず、パネルをお示しいただきましたので、まず医師の数は足りているのか足りていないのか、この認識が大事だと思います。今、約二十七万、私どもは正直言って、今七千八百人ほどの新しいお医者さんが生まれている、リタイアするのは三千人から四千人ぐらいでしょうか、そうした数をずっと引いていきますと、基本的には今の医師養成数でいいんだろうと思っております。  じゃ、どう違うのかと申し上げれば、やはり病床数の問題でございます。人口千人当たりの病床数、日本は十四・三、アメリカは三・三、日本は四倍あるわけでございます。したがって、病床数で割れば医師の数は足りないよという数字にどうしてもなる。そこはもう委員が一番御存じのとおり、入院が我が国は三十六日、平均、そして欧米が大体五日から一週間、そこのところをしっかり直しながらやっていかなきゃなりませんねというのが今回の医療制度改革のまず基本になってまいるだろうと思います。  それから次の問題として、まず小児科でございますけれども、この小児科医については、この十年間で千三百三十一人、一〇%ほど増えてきております。これは人口、子供の人口が減っていく中で増えてきている。そういう意味では、急性医療、救急の小児医療の現場、要は開業される方多くて病院へお勤めの、そういう問題になってきておりますから、そこをこれから地域でやっぱり変えていかなきゃならぬだろうという考え方を持っております。そういう意味では、小児科の医師全体が足りないかといえばそうではない。偏在の問題、そして、言われるとおり、開業からできるだけ救急の方へ変えていくということが必要だろうと。  基本的にはそういう認識でありますけれども、問題はがんの問題になります。正直言って、アメリカと比べて、がんの特に放射線、それから抗がん剤の治療、この分野については人材が我が国は育っていないという認識をいたしております。  それで、今緊急の話としては、まず、がんセンターを中心にしながら、地域の今外科医、内科医来ていただいて勉強してもらう、そして即戦力になってもらう、そして地域へ帰ってまたそれを広げていくという手順で育てていきたいと思っておりますけれども、最終的には、委員の御指摘のとおり、教育機関も通じながら、研修体制を通じながら、がんの専門医、特に内科、放射線、こうした者を育てていかなきゃならないと、こういう認識でございます。
  80. 鈴木寛

    鈴木寛君 いつまでに何人という答弁は全くありませんでした。そして、今の大臣で、OECD平均医師数、人口十万当たり、OECD二百八十人が平均です。日本は二百人。こういったこともきちっと踏まえてこの後きちんと議論していきたいと思いますが、もう一枚ごらんください。(資料提示)  がん治療に関しては、専門医不足の問題に加えて、未承認薬、抗がん剤の問題があります。この背景はいろいろ複雑です。しかし、その中の一つの重要な要因に医薬品審査機構の審査官が足らない、アメリカに比べて医薬品については十三分の一です。ここをどうするのか、厚生労働大臣に伺いたいと思います。  そして、そうやって調べてみますと、我々の安全にかかわる問題、その職員、体制というものがいかに貧弱か、このパネルで分かります。  今の医薬品審査は十三分の一、食品検疫は二十八分の一、証券取引は七分の一、航空安全は百九十四分の一、鉄道安全は二・四分の一、裁判官十三分の一、検察官二十三分の一です。  これ、まず厚生大臣、そしてそれぞれのこのつかさつかさの担当大臣に、このまさに我々の命を守る体制を具体的にどういうふうに改善していくのか、お答えいただきたいと思います。
  81. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 医薬品の医療機器審査体制でございますけれども、アメリカからもいろいろな議論がありまして、話を煮詰めております。  そういった中で、今百七十八人の定員を二十一年三月までに二百二十名にすると。審査体制全体として、アメリカと比較してスピードはどうだと、こういう問題については大体似たような状況に変わってきているだろうと。しかしながら、御指摘のように、できるだけこういうものを効率化を進めなきゃならないだろうと。しかし同時に、安心というものは、最初に議論をいただきましたが、安心というのは大事ですから、あんまりスピードばかりに頼り過ぎてはいかぬということは御理解を賜りたいと……
  82. 鈴木寛

    鈴木寛君 少人数でやると拙速になるんですよ。
  83. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) まあ、それでも、ある程度治験なりいろいろやっていくには時間が掛かるということだけは御理解を賜りたいと存じます。
  84. 鈴木寛

    鈴木寛君 農林大臣
  85. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私の所管は食の安全、あるいはまた動物検疫、植物防疫ということでございますが、いろいろな国あるいは独立行政機関が日々一生懸命仕事をしております。  まず、数字、数字というか従事する人間を、厳しい予算ではございますけれども、そういう中で、来年度におきましても、例えば家畜防疫官七名を増員させていただきまして全国で三百二十六人と、いろいろと御配慮をいただきながら、食の安全あるいはまた動物、植物の安全に貢献していきたいと思っております。  質的には、研修あるいはまた外部からのいろいろな指導又は諸外国の視察、それからそういう目的に資するようないろんな機器の充実ということも図っていって、総合的に食の安全あるいは動物、植物の国内に対する水際、あるいは国内での安全について更にレベルアップしていきたいというふうに考えております。
  86. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 現在の、先ほども答弁申し上げましたけれども日本の証券監視委員会の権限、これはアメリカのSECと比べて私は遜色がないと思っております。  例えば、アメリカのSECは告発の権限はございません。日本の証券監視委員会は告発の権限があります。それから、監視委員長に伺いましても、やはり年々歳々その体制は充実してきておりますし、課徴金を課すという権限を持つなど、権限自体も増えてきております。ただし、人数の問題から申し上げますと、まだ三百人ちょっとでございまして、人数もさることながら、人材もこれから育てていかなければならないという必要性は感じております。  今、社会的な問題になっております案件につきましても、証券監視委員長は非常に長期にわたって監視を続けてきたと、十分役割を果たせたと私には言っております。
  87. 鈴木寛

    鈴木寛君 国交大臣
  88. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 私の方からは、航空並びに鉄道についての安全管理体制について御報告を申し上げます。  平成十八年度予算におきましてそれぞれ増員をお願いをしておりまして、航空におきましては、この安全に関する審査、監視、監督を行っておりますのは三十四名でございますが、十八年度は二十七名増強しまして、これで六十一名。さらに、鉄道に関しましては、現在百七十二名でございますが、プラス十名で百八十二名。さらに、この十八年度予算では、航空、鉄道だけではなくて交通モード、横断的に、大臣官房に運輸安全政策審議官というのを設置をさしていただきまして、この大臣官房に二十六名、安全監督組織をつくらしていただく予定でございます。これは、やはり事業者事業者自らが安全マネジメントの体制をしっかりつくっていただく、そしてそれを評価をしていくというふうなシステムも今回新たにつくらせていただきました。
  89. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) お答えいたします。  法務行政一般につきましては、治安の確保の緊急の必要性から、今回の予算においても大幅な増員を認めていただいております。  裁判所については、過去十年間で合計四百二名の増員を図っておりまして、来年度予算には裁判官七十五人の増員を計上しているなど、裁判所における人的体制の充実にも努めてきておられると承知しております。また、司法制度改革の進捗状況やその時々の事件数、社会の需要などを踏まえて適切な措置がとられるものと承知しております。検察官につきましても増員を図ってまいっております。来年度予算では四十三名の増員を計上しております。現在の犯罪情勢、司法制度改革に適切に対応していくため、人的体制の充実、整備を行っておるところでございます。  しかしながら、現下の状況を見ますと、日本がかつて安全において世界一安心、安心な国という評価があったわけですが、落ちております。これを回復するためにはまだまだ十分ではない、今後とも増員して充実を図っていかにゃならない。エールを送っていただいてありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
  90. 松田岩夫

    国務大臣松田岩夫君) 食品安全委員会を担当させていただいております。  正直、二年半余り、皆さんにつくっていただいて、今およそ、ちょっと正確な数字を申し上げられませんが、百人余り。いただいているリスク評価要請四百八十件ほど、済みましたお仕事半分ほど。BSEはその一つでございまして、そういう意味で、今年度、来年度も若干名増やしておりますが、更に頑張っていきたいなと。御支援をよろしく。
  91. 鈴木寛

    鈴木寛君 いや、本当に若干名なんです。アメリカ並みになるのにこれは何十年も掛かります。  総理、私はこれをすべて公務員でやるというようなことは申し上げるつもりは全くありません。しかし、それぞれの分野で、高度の専門職をだれが育成をするのか、そしてだれが確保するのか、そしてその人たちが倫理観を持って、誇りを持って、責任感を持って仕事に打ち込める仕組みと環境をどういうふうに構築して、だれが責任を持つのか、これが大事だと。この青写真を持って行政改革をやるべきだと思いますが、総理の御意見を伺います。
  92. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) どのような制度をつくっても運用するのは人間でありますから、人材の育成は極めて重要なことだと認識しております。  今までの公務員の削減の問題につきましても、削減しておりますけれども、増やすべきところは増やすということで、増やすところが出れば削減するところはもっと多くなるわけでありますが、今御指摘の安全面、重要な施策の点で足らざるところは増やしていくと、その分不要なところを減らしていくということが大事でありまして、人材の面におきましても、本人の経験、能力に加えて、やはり人格、人柄の点も大事だと思います。そういう面に配慮しながら、人材の育成、養成には十分今後も配慮していかなきゃならないと思っております。
  93. 鈴木寛

    鈴木寛君 この国のトップには、日本国民の安全の確保、向上に明確なビジョンとマニフェストを示せる人材がなるべきだということを強く申し上げまして、私の質問を終わります。
  94. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。家西悟君。  どうぞ着席のまま御発言ください。
  95. 家西悟

    家西悟君 ありがとうございます。血友病のために、関節障害のために、立ったり座ったりすることは私できませんので、座ったままの質疑をお許しいただいたことに感謝申し上げます。  それでは総理、本年はあの薬害エイズ問題から、国、製薬企業、私どもが当事者として和解してからちょうど十年がたちます。血友病患者は、治療の過程で使用したアメリカから輸入された血液製剤、非加熱の血液製剤ですけれども、を使ったために、HIV、エイズに感染させられたわけです。私も一人です。そして、その被害者は一千四百三十五名、既に五百八十六人が亡くなりました。昨年だけでも二十一人が亡くなっています。  十年前和解が成立した後、その後継者として、厚生大臣として恒久対策、法改正等々に御尽力いただいたのは小泉総理御自身だったと思っています。本当に感謝申し上げます。そして、私が衆議院議員として初めて質問したのは平成八年十二月の補正予算の審議の予算委員会でした。当時、小泉大臣、厚生大臣として御丁寧な御答弁をいただいた記憶もあります。このたびも質問に対し、当時のように御丁寧な御答弁をいただけるものと信じて質問させていただきます。  さて総理、私は今もそのときの被害を受け続けています、私たちは。HIV感染とともに、多くの患者がC型肝炎にも感染するという重複被害を受けてます。  まず、この薬害エイズ問題をどのように認識されているんでしょうか。総理お答えいただきますようお願いします。
  96. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私も、厚生大臣当時、家西議員からこの薬害エイズ等の問題について、悲痛な経験を基に質問されたあの状況において、強く家西議員の迫力ある質問を印象深く今でも記憶しております。  あのような血液製剤によって被害を受けた方々、亡くなられた方々も、現在なお苦痛を伴う生活を余儀なくされている方々を思いますと、この悲痛な経験を二度と繰り返してはならないと、裁判で指摘された点も十分反省して、今後こういうことが起こらないように、再発防止を含めたしっかりとした体制対策を取っていかなきゃならないと痛感しております。
  97. 家西悟

    家西悟君 川崎厚生大臣にもお伺いいたします。
  98. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 家西委員お答え申し上げます。  血液製剤によるHIV問題については、裁判所の所見において、当時、血液製剤を介して伝播されるウイルスによりエイズに罹患する危険性を始め、エイズについての認識が十分でなく、期待された有効な対策が遅れたため悲惨な結果に、被害につながったことは否定し難いと指摘されております。  厚生労働省といたしましても、この指摘を真摯に受け止め、医薬品安全性情報の収集体制の強化など、医薬品の安全対策の強化に取り組んでまいりました。和解から十年を迎えた現在でも、血液製剤によるHIV問題が悲惨な被害であるという認識は全く変わっておりません。被害に遭われた方々や御遺族の皆様方の深刻な苦しみを十分に認識するとともに、今後とも、こうした事件が二度と発生しないよう、医薬品の安全性、有効性の確保に最善の努力を重ねてまいりたいと考えております。
  99. 家西悟

    家西悟君 小泉総理、現在、国が薬害エイズの被害者であるということを認めていながら、いまだにすべての患者が、被害者が救済をされてませんという現状があります。そういったことを御存じでしょうか。幼いときに危険な血液製剤を投与され、HIVに感染されるという事実を成人するまでの長い間告知されなかったというケースです。そういった人たちが多くおられます。  HIV感染から長期間の潜伏期間を経てエイズが発症する病気であることは小泉総理もよく御存じだと思いますけども、被告である国や製薬会社と、被害者である、被害者で、確約された和解及び確認書に基づき、いまだ和解を国が拒否しているケースがあるという。  小泉総理是非とも強いリーダーシップで早急に国が動いていただきたい。そして、薬害エイズの問題の全面解決を図っていただくよう総理に強くお願いする次第ですけども総理、いかがでしょうか。
  100. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 和解が成立した後でも、いまだ、まだ様々な対策がなされなければならないという点については、十分その意見を踏まえて、今後、この被害に遭われた方々に対する救済並びにこの蔓延の防止に全力を挙げて取り組んでいきたいと、よく話合いを続けていきたいと思っております。
  101. 家西悟

    家西悟君 あの和解がなされない人たち、もう拒否しているのは国です。この事実をやはり、小泉総理、知っていただきたい、そしてリーダーシップを取っていただきたいわけです。そして、全員を救済するんだというあのときの思いに立ち返っていただきたいし、あの思いはいまだに変わらないということを御発言いただければと思いますけれども
  102. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 和解に至るまでも度々話合いを重ねてまいりました。そして、被害に遭われて苦痛が緩和されないと、これからも続いていくんだということを思いますと、このような悲惨な被害というものをどのように防止していくかという点と同時に、今なおその和解についてしっかりとした合意ができていない点も踏まえまして、今後どういう解決策があるか、この点につきましてもよく検討を続けていきたいと思っております。
  103. 家西悟

    家西悟君 ありがとうございます。  それでは、このパネルを見ていただけますでしょうか。(資料提示)これは、このパネル、ごらんいただきまして、世界のHIV、生存HIV感染者を世界地図に示したものです。昨年の十二月、国連合同エイズ計画が報告した数です。  特に、中国、日本で感染拡大が懸念されています。世界で四千三十万人が感染し、累積で二千五百万人が死亡しています。昨年の死亡者は約三百十万人。私も再々厚生労働委員会でHIV対策について質問していますが、改めて感染者、感染予防とHIV、エイズの正しい啓蒙啓発のために政府はいま一層取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。総理、よろしくお願いします。
  104. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) エイズの問題、HIVの病気、患者の問題につきましては、これは先進国の首脳会議、サミットの会議でも首脳同士でよく話し合われます。そしてなおかつ、この問題については、サミットの会議のみならず、ASEANにおける会議におきましてもアフリカ諸国等の会議においても、世界の首脳の大きな関心事であります。  こういう点について、日本は比較的そのような世界の国々と比べては感染者が少ないということを言われますが、これは世界の各国と協力して取り組まなきゃならない課題だと私は認識しておりまして、日本も、国際社会の責任あるメンバーとして、この世界的な関心事であるHIVの問題に今後とも各国と協力しながら取り組んでいきたい、なおかつ、日本国内のみならず、そういう世界との連携もよく考えながら取り組んでいかなきゃならない大きな課題だと思っております。
  105. 家西悟

    家西悟君 是非とも取組をしっかりやっていただきたい。なぜならば、昨年、一昨年と日本は一千人を超えました、感染者数。こういう状況であるということを踏まえて、やはり国民の皆さんが分かりやすい状況に啓蒙啓発をしない限り蔓延は防げないだろうと思いますので、是非ともお取り組みをお願いします。  それから、BSE問題に関連して質問をさせていただきます。薬害エイズ問題や現在のHIV政策についてお伺いしたわけですけれども、新たな薬害を起こさないためにも、医薬品などにおけるBSE問題についてお伺いをさしていただきたいと思います。  まず、このパネルをごらんいただけますでしょうか。(資料提示)お手持ちにも配付をさせていただいています。これは、平成十三年、厚生労働省からいただいた資料なんですが、牛や、牛の内臓や骨などを原料とする医薬品、医薬部外品・化粧品並びに医療器具の一覧表です。厚生労働省は最近このような表は作っていないそうですが、これを使わせていただきます。  ごらんのとおり、この中には、ドリンク剤などにも使われる肝臓エキス、五黄、それからインスリン、コラーゲン、カプセルなどに使われるゼラチンといった国民の方々が日常使用しているかなりメジャーな医薬品が含まれています。これらは実は牛の内臓や骨から作られているもの、臓器を含めて作られているものがあります。  今、世間では、米国、アメリカ産牛肉に禁止された骨が入っていたということで大問題になっているわけですけれども、大々的に取り上げられているわけです、マスコミを含めて。BSEの危険性があるのは生肉だけではありません。この場で、牛から作られた医薬品などの危険性と、業界任せの厚生労働省の生ぬるい対応について問題提起させていただきたいと思います。  厚生労働大臣にお伺いしますが、本来なら、BSEの危険性がちまたでこれだけ問題になっているんですから、この医薬品リストも当然最新のものに更新しておくべきではないんでしょうか。何で作らないんでしょうか。本当は国民の前に出したくないんじゃないんでしょうか。厚生大臣お答えください。
  106. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 米国でのBSE発生後、平成十六年当初に切替えが必要なものとして把握した米国産の牛等を原材料とする医薬品は、今お話ありましたように、肝臓エキスなど牛等由来物が主成分として使用されているもの約二百五十品目、遺伝子組換え製剤などの培養、製造工程の過程など牛血清などが使用されたもの百品目、カプセル等の成分として使用されているもの千七百五十品目という形で認識しております。  その中で、今日まで、原産国のいかんにかかわらず、リスクの高い牛の部位は使用しないこと、BSE発生国等の原料は使用しないこととし、その内容を承認申請書類に記載させ、厚生労働省も承認時に確認をするという手順でやってまいりました。  二千五百五十品目あった中、四百五十品目についてはリスクは極めて低いとして切替え不要といたしました。残り二千八十品目については他の原産国又は他の原材料への切替えが行われました。今御指摘いただきました十七品目が米国産牛由来の原材料を使用しております。この問題について、できるだけ早く切り替えるように指導をいたしております。
  107. 家西悟

    家西悟君 先回りしてかなり質問を言っていただいたようです。はっきり言って、私はここに書かれているものはどうなんですかというふうにお伺いしたわけです。新たなものを作らないんですかということ、そして、(発言する者あり)ええ、一覧表をという話をしたんです。
  108. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 後から御指摘いただくようでございますけれども、その十七品目、それからこの二年で二品目が追加になっておりますが十九品目、きちっと出すようにさせていただきます。
  109. 家西悟

    家西悟君 答弁、全く違う答弁されています。一覧表をお出しくださいと私は言っているわけです。出さないんですかということを聞いているのに、別の答弁をされています。
  110. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今申し上げた十九品目の一覧表を出せということですか。
  111. 家西悟

    家西悟君 いや、違います。この新しいものは作らないんですか、十三年ですから五年たっています。  現状としてはこの、新しく品目が増えてませんかって、だから、こういったものを新しいものに更新されないんですかということを聞いているんです。
  112. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) ですから、作って出しましょうと申し上げた。今、あの……
  113. 家西悟

    家西悟君 で、その後に……
  114. 小野清子

    委員長小野清子君) ちょっとお待ちください。こちらの方から、作らないかというところで切りまして。
  115. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) はい。ですから、作ってお出ししましょうと。
  116. 小野清子

  117. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) はい。御指摘いただいたように、きちっとさせていただきます。
  118. 家西悟

    家西悟君 それでは、今回の御説明のこの一覧表を出していただけると、そして公表するということで、それは非常に感謝申し上げます。  そして、このパネルに記載されている医薬品の基準をクリアすることを条件に承認されている輸入品目があるわけですけども、個々の製品について原産国や使用部位をどうやって掌握しているんでしょうか、お尋ねします。
  119. 小野清子

    委員長小野清子君) お答えは。
  120. 家西悟

    家西悟君 答えられないんですか。
  121. 小野清子

    委員長小野清子君) それでは、川崎厚生労働大臣からお答えをしていただきます。
  122. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 多分この後に出るんだろうと思いますけれども、今後の問題については、基本的に現地審査できるように法律改正がなされました。今現状においては書類審査でございます。
  123. 家西悟

    家西悟君 今御説明いただいたとおり、承認されるものというのは書類審査ですね。書類審査ということは、現地視察も何もしていない。要は、企業がこれはここの部位、ここの原産国であるということをうのみにして使われているということですよね。違いますか、お答えください。
  124. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今申し上げましたように、十七年四月以降は外国の製造業者についても立入調査を行うことが可能なようになりました。したがって、今後のものについては立入調査を行う、しかし、現状のものについては御指摘のとおり書類審査でやっております。
  125. 家西悟

    家西悟君 非常に大問題ではないでしょうか。アメリカで発生して、しかも発生国というものは非常に世界でも多くBSEが発生され、危険部位であるとか、発生地域であるというふうに指摘をされているわけです。そこを確認も取らずに、医薬品の原材料や化粧品、健康食品、そういったものに供給されている可能性を確認をしていないなんていうことが、どうしてそういうものが承認されて市場に出ているんでしょうか、お答えください。
  126. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今申し上げましたように、従来は、承認審査時に書類申請により原料の原産国等について承認を行ってきた。十四年の改正によりまして、十七年四月以降、昨年の四月以降は立入検査ができるようになったということでございます。
  127. 家西悟

    家西悟君 要は、何もしていない。要は、メーカー側がこういう申請を出してきた、それをうのみにして承認をされ、そして供給をされている、市場に出回っているということと理解しますけども、間違いないですね。
  128. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今度のBSEの牛の問題と医薬品の問題、同列にやれと、こういう議論であろうと思います。ですから、原産地まで行って、それを全部確認しろという御質問だろうと思うんですね。  ですから、今後の承認については、そうした制度がきちっと担保されましたという御答弁を申し上げております。
  129. 家西悟

    家西悟君 今までの問題とこれからの問題は違うというふうに言われているわけですけども、私は違うなんてことじゃないと思う。これほど世界で騒がれ、世間でも日本でも問題になっている。生肉だけの問題ではないということを御提起した。そして、実際に使われているものがこれだけあるんだということを今申し上げた。にもかかわらず、これからと、以前はというふうに言われる。これはおかしいんじゃないですか。納得いきません。
  130. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今申し上げましたように、薬事法の改正という法改正をもってきちっと担保できるようになったと申し上げております。したがって、これからの承認についてはきちっと法条に生かしていただくということを申し上げております。
  131. 家西悟

    家西悟君 答えてないですね。(発言する者あり)
  132. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) これ、薬事法の審議のときにも御議論いただいたと思いますけれども、過去に遡及して既に承認したものについて検査ができるかと、こういう御質問だろうと思うんです。薬事法の改正ではできません。(発言する者あり)
  133. 小野清子

    委員長小野清子君) 家西悟君、もう一度質問をお願いします。もう一度御質問願います。
  134. 家西悟

    家西悟君 だから、ですから、もう一度申し上げますけども、過去の云々じゃなくて、その原産国やそういったものについて、どこの部位を使っているのかということの表示等々をされるんですかということを聞いている、それを掌握されてますかということを聞いたんです。  答えてないですよ。
  135. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 要は、先ほど申し上げましたように、薬を承認するときに、どこの原産国を使っているかという、承認申請ですね、そのときにしてるのかと。ただ、こちらが見に行っているのかといえば、見に行ってないとお答え申し上げました。書類で審査をいたしておりますと。
  136. 家西悟

    家西悟君 ということは、見に行ってないって自慢げにおっしゃいましたけど、非常にリスクがあるんじゃないですか。BSEという問題はvCJDになるんじゃないですか。だからこそ、今食肉を、アメリカからの食肉を輸入を停止した。そして、一日でも英、イギリスに滞在歴のある人たちに対して献血をやめてくださいというふうに政府は言っているんじゃないですか。どうして検査しないんですか、確認しないんですか。それを聞いているんです。
  137. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) ですから、食品検査と薬の問題について基本的な法対応が違う、したがって薬事法の改正の中で法にのっとってさせていただいておりますと。十四年に改正さしていただきましたので、十七年四月からはそうした形でやらしていただく立入調査を、これから出てくればさしていただくということでございます。
  138. 家西悟

    家西悟君 じゃ、もう一つ具体的にお尋ねします。  先ほども大臣お答えいただきたいわけですけれども、医薬品でいまだに米国産由来の原料、アメリカ産の牛の臓器を原料として、原材料として使用している医薬品があることはお認めになりました。一体何があるのか、御説明ください、もう一度。
  139. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今、十七品目と申し上げました。お読みしますか、それとも提出いたしますか。お読みしますか、それとも提出……
  140. 家西悟

    家西悟君 読んでください。
  141. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) インターフェロン製剤が二種類、それから乾燥ガスえそ抗毒素、乾燥ボツリヌス抗毒素、乾燥濃縮人活性化プロテインC、乾燥弱毒生おたふくかぜワクチン、乾燥濃縮人血液凝固第Ⅷ因子、インフリキシマブ、ムロモナブ―CD3、肺炎球菌莢膜ポリサッカライド、オクトコグアルファ、ルリオクトコグアルファ、イミグルセラーゼ、A型ボツリヌス毒素、サキナビル、トラスヅズマブ、リツキシマブと、十七でございます。  基本的に、薬事法に基づく現行の基準においては、米国産の牛等に由来する原材料を医薬品に用いることは原則として認められないが、治療上の効果が当該原材料を用いることによるリスクを上回る場合等については、その使用が認められておるという薬事法になっております。
  142. 家西悟

    家西悟君 皆さんにお手元のこの下の二つの医薬品については、平成十七年七月二十五日、上の方ですけれども、に認可されています、承認されているわけですけれども、そしてもう一つは、平成十七年一月十九日、アメリカのBSEの問題で真っただ中の中認可されている、この問題についてはどうお答えになりますか。
  143. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 十七年一月に承認いたしました抗リウマチ医薬エタネルセプト及び十七年七月に承認した白血病治療薬ゲムツズマブオゾガマイシン、この二品目については製造工程において米国産の牛血清が用いられております。  これらの医薬品については、そのリスク及び治療上の効果について十分な検討を行い、いずれも当該医薬品の使用により伝達性海綿状脳症に感染するリスクは極めて低い一方、既存治療では効果が不十分な難治性の疾患に効果が示されていること等から、その治療上の効果はリスクを上回るものと判断し、薬事・食品衛生審議会の意見を聞いた上で薬事法に基づく承認を行ったものであります。  いずれにいたしましても、十七品目プラスこの二品目については、できるだけ早く、例えばオーストラリア製の血清に替えてもらうと、このような形で指導をいたしているところでございます。
  144. 家西悟

    家西悟君 九七年三月、WHO、伝達性海綿脳症に関する世界保健専門家会議での勧告が出ています。  この勧告書には、牛を原料とした医薬品並びに医療用具の製造は可能な限り避けるべきである、また、牛を原料とすることが避けられない場合は、BSEの出現率が低いかあるいはないことが有効な牛の防疫監視システムにより確認されているとともに、材料の収集段階で混入の可能性が最小限に維持されている国を生産国とすべきであるとの勧告が出ています。  この九七年以降、一体何をやっていたんでしょう。
  145. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今私の方から御答弁いたしましたように、そうした勧告も受けた中で、今薬事法に基づきながら、そのリスクと、一方でこの薬を使うことによって効果がある、そしてもちろんこの患者等への適切な情報提供をしながら、今日、十九品目については承認をいたしているということでございます。
  146. 家西悟

    家西悟君 オーストラリア産、ニュージーランド産にほとんどの医薬品は今切り替えているそうです。どうしてそれができないんですか。
  147. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 正に御指摘いただいたとおりでございまして、できるだけオーストラリア産、ニュージーランド産に切り替えるように今指導を行っているところでございます。
  148. 家西悟

    家西悟君 これは五年前だったと思いますけれども、衆議院厚生労働委員会で当時坂口厚生大臣にも私は同じような質問をしました。五年たっても変わってません。このことについて御答弁ください。
  149. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 切替えを早くしろという御質問だろうと思います。それに関しましては、安定的な原材料の供給確保、それから原材料を替えたことにより医薬品の品質、有効性、安定性、これをきちっとチェックした上でできるだけ早く切り替えるように今指導を行っているところでございます。
  150. 家西悟

    家西悟君 私は、先ほど、冒頭申し上げました。血友病治療では確かに血液製剤使います、必要です。そして、C型肝炎にも感染をしたわけです。HIV、エイズにも感染をしたわけです。この上、三つ目の重荷を背負わせないでいただきたい。そして、多くの人たちに同じような苦しみを与えないでほしいということで今質問をしているんです。どうですか。
  151. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 先ほどから御答弁申し上げておりますとおり、情報開示をきちっとしながら患者の皆さん方にもそうした状況にあるということはお伝えいたしております。医療機関にもきちっとお伝えいたしております。その上で、感染するリスクの問題とこの医薬品の効果というものを考えて承認をいたしました。  しかしながら、家西委員が御心配いただいているような正にそうした御議論が当然あるわけでありますから、できるだけ早く切替えをしようということで、今様々な機関に働き掛けをいたしているところでございます。
  152. 家西悟

    家西悟君 血液部門会議やプリオン部会で報告をされていたはずです、厚生労働省の。にもかかわらず、この間やってこなかったということも事実ではないでしょうかということを御指摘申し上げて、次の質問に移ります。  それでは、障害者雇用の状況について、実態について質問をしたいと思います。  大変残念な報告小泉総理にしなければなりません。国は、三年連続、障害者の法定雇用率を守らず違反し続けている実態です。十五年、十六年にわたり厚生大臣の勧告を受けている省庁があります。  このことを小泉総理報告を受けていますか。
  153. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この報告を受けているかどうかという御質問ですが、国及び地方公共団体は障害者の雇用を実行すべき立場にあると考えておりまして、ほとんどの機関が法定雇用率を達成して、全体としても法定雇用率を上回っている状況にあるという報告を受けております。
  154. 家西悟

    家西悟君 昨年の審議の際も、障害者の社会参加のため、国は率先して障害者雇用に全力を挙げると言いました。私の厚生労働委員会の質問でもそう答えました。  金融庁は悪質です。竹中大臣金融担当大臣をされている在任期間中です。竹中大臣は厚生大臣の法定雇用遵守及び改善の勧告を無視し続けてきた、どういうことなんでしょう。竹中大臣お答えください。
  155. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 委員指摘のように、厚生労働大臣から金融長官に対して、その障害者雇用の法定数が未達であるという勧告を二度受けているというふうに承知をしております。そのうちの一度目が私が在任期間中のもので確かにございました。  当時を振り返りますと、これ、それ以前からハローワークを通じた採用等によりまして障害者の雇用増加に努力はしてきたところでございますけれども、当時、組織発足以降の危機的な金融状況の退行のために定員がどんどんどんどん増えていくわけですね。定員が増えて母数が増えていきますので、その目標とされる法定の雇用者、障害者の雇用者数も増えていくということで、残念ながら、大変遺憾でありますけれども、それが追い付かずに目標を達成できませんでした。  私は、第一回目の勧告をいただいた後、金融庁の担当は退任しておりますが、その後は、別途お答えがあるかもしれませんが、金融庁も努力を、更に努力をして、別の形での努力もしまして、今、それ以前に比べてやはり増えているという状況であるとは聞いております。しかし、それでもまだ未達でありまして、更に更に努力をしなければいけない、そういう状況であるというふうに承知をしております。
  156. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 本年一月三十日現在では十四名、雇用率一・〇九%でございまして、目標は達成されておりません。  このような障害者の雇用率は少しずつは改善してきておりますけれども金融庁としては、障害者の雇用の促進等に関する法律の趣旨に沿って更に障害者の雇用に努力をしてまいる覚悟でございます。
  157. 家西悟

    家西悟君 一・九と言われましたでしょうか。〇九ですか。一・〇九ということははるかに、ですよね。二・一、法定雇用率二・一じゃないんですか。それからするとはるかに割ってないですか。
  158. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 法定雇用率は二・一でございますけれども、現在達成しておりますのは雇用率一・〇九でございます。
  159. 家西悟

    家西悟君 なぜ法律を守れないんですか。
  160. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) もちろん、過去の金融担当大臣も努力をしてまいりました。更に努力をしてまいる決意でございますし、ハローワークで人を探すということだけでは十分でないということもだんだん分かってまいりましたので、そういう意味ではもう少し広く人を求めるという努力もしておるところでございます。
  161. 家西悟

    家西悟君 障害者だからとかいう話でお考えになってないでしょうか。お答えください。障害者だからいいんだとか、こういったものは無視しても大した問題ではないとお考えになっているようなことはないですかということを竹中さんも含めてお答えくださいよ。そんな、竹中さんのときからやっていたらこんなことないんですよ。
  162. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 法律の趣旨に沿って過去から今まで努力してきたということは是非御理解をいただきたいと思っております。  しかしながら、現在の達成率は先ほど申し上げましたような数字でございまして、これから私どもとしては更に努力をしてまいる決意でございます。
  163. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 私の担当のときもそうでございましたし、私の後任もそうだと思いますが、こうした問題を軽視をしてきたというようなことは、これはもう絶対にそういうことはございません。その点は御理解をいただきたいと思います。ただし、更に努力が必要だと、これはもう真摯にその御指摘は受け止めてこれは対応していかなければいけないと思っております。
  164. 家西悟

    家西悟君 真摯に対応していただいていたならこれは守れたはずです。そこはどうなっているんですか、本当に。そして、障害者自立支援法案で今回四月から、この四月から法律が施行されます。応能負担から応益負担になるわけです。雇用促進をしなきゃならないというふうに言いながら、一方ではこんなことをやっている、自分たちが守らない。これどうするつもりなんでしょうか。総理お答えください。
  165. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 先ほど、ほとんどの機関で二・一%の法定雇用率を上回っているという状況にありましたけれども、たしか今の点におきまして、金融庁そして警察庁においては、まだこの達成率に達していないというのか、達成率を実現していないということでございますので、今後とも御指摘の点を踏まえまして、障害者の雇用促進に積極的に取り組んでいかなきゃならないと思っております。
  166. 家西悟

    家西悟君 私は、総理、申し上げます。こういった問題を避けるためにも、是非とも法改正が必要じゃないでしょうか。民間企業はこういう勧告を受ければ即座、悪質であるというふうになれば公表されます、すぐに。  今回、昨年の障害者自立支援法案に関連して、その前段として障害者雇用促進法というものをやったときに、私は委員会で、これ一体どうなっているんですか、国全体として見たとき、地方自治体全体として見たときには二・一を超えている、しかし各省庁それぞれに見たときにどうなっているんですかということを言ったら、二・一割っている省庁が多くありました。都道府県も多くありました。そして、それを改善するんだと、努力はいただいた。そして、金融庁にもそれなりの答弁をいただいたわけです。改善に努力をする、そしてこういったこの内容にこれから進めていくんだということを言われたわけですけれども、やはりこういった問題がないようにするためには公表であり、しかも初めて公表したと言われたんですよ、省庁ごとの。そして、金太郎あめのようにどこを切っても二・一ちょっと超えているとかいう話ではおかしいんじゃないでしょうか。やはり三のところがあったり、二・一かもしれないところもある、場合によっては四、五というところがあってもこれは当たり前じゃないでしょうか。そういうような雇用体系を作っていくことが政府に今求められているんではないでしょうか。総理、最後に御答弁ください。
  167. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 御指摘の点も踏まえまして、達成していないところにつきましては、どうしたらこの目標の達成率を守ることができるかという以上に、超えることができるかと、促進できるかどうかという点について、今後積極的に取り組むためにはやはり作成計画というのも必要じゃないかと思っております。そういう点も含めて雇用促進を図っていきたいと思っております。
  168. 家西悟

    家西悟君 ありがとうございました。質問を終わります。
  169. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で前田武志君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  170. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、市川一朗君の質疑を行います。市川一朗君。
  171. 市川一朗

    ○市川一朗君 自由民主党の市川一朗でございます。  まず、総理にお伺いいたしたいと思いますが、総理は、今国会冒頭から、今国会冒頭からという意味は、これから一年間にわたる政策運営全般について各般にわたる議論を行うために開催された通常国会の冒頭において、自ら九月ごろに退陣するということを明言されておられます。その真意をお伺いしたいと思います。
  172. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 真意と言いますけれども、私の自民党総裁の任期は九月なんです。それは、総裁選挙の日程もまだ定かではありませんけれども、私の総裁任期は九月下旬だと承知しております。ですから、新しい総裁が総裁選挙によって決まれば、そのときで私の任期が切れるわけであります。  政党政治の観点から、単独過半数の議席を有している政党の総裁が議院内閣制において総理大臣に選ばれるというのは、これは普通の状況だと思っております、多少幾つかの例外があったとしても。私は政党人として、その政権政党の総裁の任期が終われば、それは総理大臣を退任するのが自然ではないかと思っております。
  173. 市川一朗

    ○市川一朗君 総理のお言葉として受け止めておきたいと思いますけれども、やはり通常国会の冒頭に、先ほどもありましたように、次の総理・総裁候補について答弁を求めるとか、やっぱりそういったような話になっていくことに対していささかちょっと気になる部分がありましたのでお尋ねしたわけでございます。  九月退陣ということになりますといろいろ気になる点が多々あるわけでございますが、郵政民営化、これ総理、実現しましたですね。それで、やっぱり小泉内閣になって非常に大きなテーマだったのは幾つかあるわけですが、その中で総理がよく言われておりました、改革なくして成長なしと。この考え方で果たして景気は回復できるだろうか、デフレ脱却はなるだろうかというのが一つの大きなポイントだったと思います。その辺につきまして、少し掘り下げてただしたいと思います。  余り時間がございませんので途中で切れるかもしれませんが、与謝野大臣にちょっとお尋ねしますが、まず日本の景気の現状は、昨年は竹中大臣だったんですが、今は、昨年の今ごろは踊り場にあるというお話でございましたが、現状はどうなっているという認識でございましょうか。
  174. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 表現としては、緩やかな回復過程にあるという表現を使って日本の経済の現状を表現をしております。これは、企業部門の好調さが、少しずつではございますが家計部門にも及んできたと。それから、やはり消費者物価も、二か月でございますが連続して、わずか〇・一でございますけれども、低落ではなく〇・一プラスになったということで、そういう意味では緩やかな回復基調にあると、これが今の政府の見解でございます。
  175. 市川一朗

    ○市川一朗君 踊り場は脱したという意味かなと思いますが、これから、今後の見通しについてはどういうふうに見ておられますか。
  176. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 予算をつくりました前提というのは、実質成長率一・九%、そして名目成長率二・〇ということでございますから、これは一年間全体の予想でございますから、これから数か月間どういう基調をたどるかということは判然としません。それは、石油価格等、予想できない部分もありますけれども、全体としては、私は日本の経済は明るい方向に向かって進んでいるものと確信をしております。
  177. 市川一朗

    ○市川一朗君 現在の景気の回復は民間企業の努力、また小泉内閣としての全力投球の成果というふうに評価できると思いますが、一面でアメリカや、特に中国の好景気に引っ張られたという部分もあると思うんですが、私としては気になるんですけれども、アメリカ、中国、この好景気はどんなふうになると担当大臣としては認識しておりますでしょうか。
  178. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) アメリカの経済は依然として好調さを保っております。中国は、統計上は非常に高い成長率を誇っていることは御存じのとおり。で、私どもの経済は外需に頼っている部分もありますけれども日本の経済が回復した過程では、やはりそれぞれの企業が懸命に経営の合理化を図ってきたということのほかに、内需を中心とした景気回復もまた定着しつつあると、そのように考えております。
  179. 市川一朗

    ○市川一朗君 この一月に内閣府が発表した月例経済報告にもいろいろ書いてありますが、結果として物価は上昇に転じたけれども、今大臣の話にありましたように、石油製品など一部の製品の値上がりというのが原因になっているので、物価全体として見るとデフレーターも一%ぐらい下がっています。そういったようなことで、まだデフレ状況にあると、こういう話でしたが、確認しておきたいと思いますが、結局のところ、何がどうなればデフレ脱却宣言ができるということになるんでしょうか。
  180. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 消費者物価はゼロより上に行ったわけですけれども、これは言ってみれば、まだまだそれがずうっと続くということを確信を持って皆様方に申し上げられない、もう少し観察期間を置きませんと確信、自信を持ってこれはデフレを脱却したと言うところまではいかない、まだまだデフレのことを心配しながら用心深くいろいろな経済指標を見ているという状況でございますが、全体として見れば、回復基調にある日本経済は、私は更に明るさを増していくものと思っております。ただ、これを公式に宣言するにはまだ材料は足りないと、そのように考えております。
  181. 小野清子

    委員長小野清子君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  182. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十七年度補正予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。市川一朗君。
  183. 市川一朗

    ○市川一朗君 午前中ちょっと時間切れになってしまいましたが、つまるところ、総理といたしましては、いわゆる改革なくして成長なしとずっとやってきて景気も回復基調になったと、デフレ脱却はまだ達していないが、その道筋が見えてきたと、そういう御認識でおられるのではないかなと思うわけでございますが。  そこで、よくもう御質問いろいろ出ているわけですけれども、いわゆる改革に伴う光と影という意味において、今景気回復に伴ってやはり私は地域格差が相当出てきたなと思っているわけでございます。  元々、日本列島、地域格差問題というのは大きなテーマでございまして、政治の世界ではもう長年取り組んできたテーマでございますが、小泉構造改革は基本的には自助自律という基本でございますから、いわゆる弱い地域への補強策というものはなかったということの結果でもないかなと思うわけでございます。最近テレビ、昨日辺り見ますと、求人倍率等も回復しつつあるようですが、地域によってそういった問題について格差が出てきているということでございます。  この辺、これから改革を加速するということで更に改革を進めていくべきであると小泉総理内閣としては表明しておられるわけでございまして、改革加速という点では、私どもも自由民主党という立場も含めまして基本的には賛成でございますが、このまま一本やりでいったんでは地域格差問題、やはり問題が出るんじゃないかなと思うわけです。  各担当大臣にお聞きするのも一つの方法ですが、ひとつ一括して、総理として、その辺について、今後改革一本やりで本当にいいのか、加速一本やりだけでいいのかという質問に対してどうお答えいただけますか、お願いしたいと思います。
  184. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は格差が出るのは別に悪いこととは思っておりません。今まで悪平等だということの批判が多かったんですね。能力のある者が努力すれば報われる社会、これは総論として、与野党を問わずそういう考え方は多いと思います。  基本的には、企業も国も地域も個人も、自助と自律といいますか、自らを奮い立たせて自分のことは自分でやるんだと。自らを助ける精神、自助の精神と、かといっても他人もいるんだと。その根はおのずから、自分を律する精神、自らを律する、他人に迷惑を掛けない。いわゆる自助と自律、自らを助ける精神と自らを律する精神、欲望なりを抑える、律する精神、自助と自律の精神は、どの時代にあろうともどの国であろうとも、どの地域においてもどの社会においても個人においても変わらない大事な精神だと思っております。  そういう中で、どうしても自らの努力によっては立ち行かない、そういう人に対しては、どうやってお互いが助け合うか、あるいは公共の機関なり国が支援の手を差し伸べるか、これが大事であります。いわゆる社会保障制度ですね。こういう前提において、努力をしても報われない社会じゃどうしようもない、努力が報われる、創意工夫が発揮される社会をつくるということで改革が必要だと、時代の対応が必要だと。  しかしながら、改革をしようとすると、現状がいいと。現状において恵まれている人は、常に現状維持がいいというのは、それは当然だと思います。そういうところで、改革を進める際に、現状の権益が阻害されるグループは必ず抵抗なり反対します。それを、全体のことを考えて、どのように、多くの人が活力を発揮できるような、自ら持っている潜在力を顕在化させることができるような、あるいは自分の能力が生かせるようなチャンスの機会が、機会が提供されて、そのチャンスをつかむ機会をたくさん提供するか、こういうことが大事であると。でありますので、私はそういう点に配慮しながら改革を進めてきたつもりでございます。  現に、就任当初から改革に対する反対、抵抗が強かったわけでありますけれども、ようやく今光が見えてきた。光が見え出すと影のことを言う、これはまた必要であります。しかし、今まで影ばっかりだと言われたところをようやく光が出てきたんですから、この光を更に伸ばしていく。で、影と言われた部分に対してどうやって手当てをしていくかというのが大事だと思っております。
  185. 市川一朗

    ○市川一朗君 総理のお話は、テレビをごらんになっている皆さんもしっかりお聞きになったと思います。私は、地域格差問題は若干意見を異にしますので、今日で予算委員会が終わり、国会が終わるわけではありませんので、またいろいろ議論が出てくると思います。その場に譲りたいと思うわけでございますが、もう一つ、九月退陣となりまして、やっぱり私気になりますのは、いわゆる中国と韓国の関係ですね、これがどういうふうになるんだろうと。  それで、施政方針演説、私もお聞きして、今日は読み上げませんけれども総理の基本的考え方はまあ私は賛成であります。ただ、具体的に、じゃ本当にあの方針でうまくいくのかなと。聞いた感じでは、おれは九月退陣するから後はよろしく頼むよというふうに言っているようにも聞こえるんですが、九月在任中までの間に具体的な行動計画をお持ちでしたら御披瀝いただきたいと思います。
  186. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、就任前も総理大臣に就任してからも、中国、韓国は日本の大事な隣国であると。日中友好論者であり、日韓友好論者であると。そのとおり、各般の分野において交流は拡大しております。ただ、靖国参拝の問題をめぐって意見が違うのは事実であります。だから、一部の意見の相違や対立があったからといって、全体の友好関係、交流関係を阻害してはならないと、今でもそう思っておるんです。  私は、中国首脳にも韓国首脳に対しても一切条件を付けたことは一つもありません。靖国参拝しなければほかの問題はうまくいくよと、靖国参拝するなと。それは言うことを聞けば中国とも韓国とも友好関係が進展する部分もあるでしょう。しかし、靖国参拝を批判する方々はどう思っているのか、その辺を。私は何も条件付けていませんよ。  今までいろいろな分野において友好関係は深まっています。交流も拡大しております。中国と日本との関係は、今やアメリカと日本の関係を抜いて貿易の面、経済の面においては第一位に、日中関係、日米関係を抜いて第一位になりました、経済関係においては。韓国との間も、人の交流もスポーツ、文化の分野でも拡大しております。  そういう関係で、靖国参拝自身がいけないのか。これは戦没者に対する敬意と感謝の念を一国の総理大臣である小泉純一郎が、また一人の国民である小泉純一郎が、そういう戦没者に対して哀悼の念を持って参拝するのがいけないのかどうか、改めて私は聞いてみたいんですよ。  二度と戦争を起こしていないと、第二次世界大戦の反省を踏まえてこの六十年間、平和国家として発展してきたんです。日本は敗戦国なんですよ。戦勝国じゃないんです。敗戦の反省を踏まえて経済大国になって、もう二度と軍事大国にならないと、それを現実の行動で示してきたんです。  それをただ一点、靖国神社参拝することがいけない、それに同調する日本人が大勢いる、これも私は理解できない。こういう点も私は戦没者に哀悼の念を表しながら、二度と戦争を起こしてはいけないという、この参拝がなぜいけないのかも分からない。中国がいいと言えばそれじゃいいのか。その辺はどうなんでしょうかね。中国がいけないからいけないと言うのか、そういう点もあると思います。  私は、一切、中国、韓国に条件を付けてこの問題で日本と意見が違うから会談をしないとか、交流をしないという考えは全くありません。日本と中国は友好関係を発展させていかなきゃならない。日本と韓国も友好国、隣国として友好発展を増進したいという気持ちには全く変わりありません。こういう姿勢で、これからも日中間、日韓関係の友好発展を増進していきたいと思っております。
  187. 市川一朗

    ○市川一朗君 一国の総理としての御発言でございますので、重く受け止めたいと思います。  補正予算にちょっと入りたいと思いますが、三年連続で経済対策が盛り込まれておりません。景気対策の議論もさっきからしておりますから分からないわけではありませんが、財務大臣としてのその理由を明快にお願いしたいと思います。
  188. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 午前中、委員と与謝野大臣との間でも御議論がありましたけれども、我が国の経済は国それから民間、双方の努力のおかげで財政出動にも頼らなくても国内民間需要を中心に緩やかに回復過程をたどっていると、私もそのように認識しております。  これからの見通しにつきましても、企業業績が個人消費あるいは家計に回っていく流れができてきておりますので、これからもそのような緩やかな回復過程をたどるのではないかと、国内の民間需要を中心にたどっていくのではないかと、そういう見方を前提として、三年連続でございますが補正には経済対策を織り込まないということで編成をいたしました。
  189. 市川一朗

    ○市川一朗君 最初に織り込まれなかったころに最も心配した議員の一人でございますが、これで三年来ましたね。物の見事に回復軌道に乗るということですから、まあ受け入れざるを得ないのかなと思っておりますが。  この補正予算、私、いろいろ細かいことが決められているという理解しているんですが、どうもいただいている資料から見ても、大臣のお話聞いても、余りそういう、何が入っているのかよく分からないんで、ここでちょっと大臣に言うのは恐縮なんですが、是非どういう内容が含まれているか、少し具体的、項目だけでいいですから、金額まで要らないですから、御紹介いただきたい。  それで、併せまして、この雪害が起きているときの雪害対策が災害対策費五千七百億円には入っていないということなんですが、雪害対策はどうするつもりなのか、これも併せてお願いしたいと思います。
  190. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど申しましたように、補正には経済対策を含まず、やむを得ざる必要な経費に限定するという方針で作成したわけでございますが、具体的な中身としますと、一つは災害対策費ですね。これは台風十四号等による被害の復旧や、それから再度災害が起こることを防止するため、それから首都直下型地震対策大綱を作ったわけですが、この決定等を受けた緊急震災対策等と、これはさっきおっしゃった五千七百三十三億ということであります。  それから、義務的経費の追加ということで、これ医療とかあるいは生活保護といった社会保障関連の義務的経費が不足が出てまいりますので、その不足見込額を追加するというようなこと。  それから、もう一つはアスベスト対策でございます。アスベストによる健康被害への救済対策として三百八十八億円、それから学校などの公共施設、そういったところのアスベスト除去対策、これが千四百十七億、こんなふうになっております。  それから、次、もう一つの項目が新型インフルエンザの対策でございます。これは抗インフルエンザウイルス薬の買上げ、それからユニセフなどを通じました国際支援費等に係る経費であります。  それから、もう一つは漁業経営体質強化緊急総合対策費というのを入れておりまして、これは大型クラゲ被害対策、それから漁協の、漁協系統の燃油、原油が上がってまいりまして、その流通効率化というようなことを図ろうというようなことで計上いたしました。  これらはいずれも緊要性が高い経費で、速やかに御賛同いただいて、一日も早く執行していきたいと、このように願っております。  それから、雪害の方でございますが、確かに今回の補正には、雪害の対策費というのは入れてございません。それで、これにつきましては、既定の制度、それから当初予算等に含まれておりますのをまず活用して迅速に対応していくということが第一番でございますが、大変な豪雪でございまして、まだ、引き続きこれはまだ雪がやんだわけではございませんので、今後ともよくその雪害等々、精査もしていかなければならないと思っております。その上で、足らないということになれば予備費の使用等をきちっと検討して遺漏のないようにしていかなければいけないと考えております。
  191. 市川一朗

    ○市川一朗君 大変きめ細かい補正予算になっているなという印象を改めて持つわけですが、私感心しますのは、これだけの予算、まあ経済対策織り込まれてないということもあるんでしょうが、国債の新規発行なしで、この財政需要の中で国債新規発行なしでやっているということは大変評価できると思うんですよ。で、大体この補正予算とそれから十八年度本予算も通じまして、いろいろ私なりに勉強もし説明を聞いてみまして、いわゆるプライマリーバランスの確保のための努力というのは、私は今回は素直に評価できると思っているんです。結果も出ているんじゃないかなと思うんです。  ですけど、プライマリーバランスというのは、テレビをお聞きの皆さんがどの程度分かりますかね。これは非常に大事な問題ですよね。そういったことはこういう意味で非常に大事なんですということと、まあ私言ってもいいんですが大臣の方が非常にプロだと思いますので、そしてやっぱりどういう努力をしているのかと、特に今度の予算編成でこういう努力したんだよというようなことを、まあ私の顔を見ないで、テレビ向けにちょっとひとつよろしくお願いします。
  192. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) プライマリーバランスというと大変難しい言葉でございまして、日本語に訳しますと基礎的財政収支と言っていますが、日本語で言ってもなかなかよく分からないんですね。  で、これは砕いて言えばどういうことかというと、その年の政策経費、つまりその世代に向けてやっていくいろんな政策手段はその年にいただいた税金で賄えるようにする、これがそのプライマリーバランスが取れている、基礎的財政収支のバランスが取れているという状況でございます。  現状はそこまで行ってないわけでございまして、二〇一〇年代の初頭にそこまで持っていこうという目標で今いろんな努力をしているということでございますが、じゃこの基礎的財政収支のバランスを取るとどういうことになるかと。先ほど申しましたように、今年いただいた税金で今年の政策を打っていくということですから、ツケを、一応その限りにおいてはツケを先送りにしない、子供たちや孫たちの世代にツケを先送りにしないということがそれで果たせるということになるわけであります。  ただ、問題はそこから先にあるわけでございまして、今まで残念ながら日本は国債という名前で膨大に長期債務をしょっておりますので、今年いただいた税金でとにかく賄おうというだけではそういった借金を返すことにもなりませんし、借金していると利息が増えていきますから、その利息がやっぱり増えていくという状況は依然として続いているわけでございますから、それをどうするかというのは次の問題としてあるわけでございますが、第一段階として、一里塚としては極めて重要なのがこの基礎的財政収支のバランスを取るということでございます。  そこで、どういう努力をやったかといいますと、十七年度の新規国債発行額というのを当初予算つくったとき予定しておりましたけど、景気が良くなってまいりまして若干税収も増えてきましたんで、もう不必要に増やすまいというんで、それはもう新規にはできるだけその不必要な分は減額しようというようなこと、それから十六年度決算をしましたら剰余金が出てまいりましたのでそれをあの国債の整理の方に、整理基金特別会計に繰り入れる、こういったようなことで、先ほど申しました基礎的財政収支は二・一兆円、十七年度全体で二・一兆円改善しておりますが、それでもまだ十三・八兆円、このバランスからいいますとマイナスに、赤字になっております。  それから、十八年度予算は、歳出歳入両面からいろんな努力をいたしまして新しい国債、新規国債発行額を三十兆下回ると。これは八年ぶりだったと思いますが、そこまで持っていくことができまして、この平成十八年度はその基礎的財政収支はマイナス十一・二兆円と。ですから、十七年度よりは数兆改善をしたという形になるわけでございます。
  193. 市川一朗

    ○市川一朗君 ありがとうございました。  総理にお尋ねしたいんですが、今、話ございましたように、プライマリーバランスの改善の問題ですが、私、今手元に一つのシナリオを持っております。これは内閣府が発表したものでございますので総理もごらんになっているかと思いますが、いろいろと政策努力をします、それで景気も良くなります、税収も増えますと。いろいろ前提条件あるんですが、とにかく一生懸命頑張ると、平成二十三年度には今のプライマリーバランス、いわゆる基礎的財政収支、国、地方合わせて黒字化しますと、そういうシナリオがあるんです。ただし、そうなっても、国債の残高が増えまして、国債費は一・五倍になるということですから、本当にまだこのまま行きますと財政再建の道は険しいなと言わざるを得ないと思うんですね。  それで、私も年末年始、まあほかの同僚議員みんなそうだと思いますが、いろんな方にお会いしましていろいろ意見交換しました。それで、その中で、特に御年配の方々だったんですが、税金の使い道がはっきり見えて、年金とか医療など先行きが極めて不透明で不安に思っている問題にめどが付くというのであれば、消費税を二けた台に上げることも国民は納得するんじゃないかなという意見もあるんですよ。  これはいろいろ意見分かれる点でございますが、これを聞いて小泉総理としてはどう思われますか。
  194. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 消費税を引き上げない時点においてはそういう意見が度々出されます。報道でも報じられます。しかし、いざ消費税引上げになると、逆の意見が出てくると思います。とんでもないと、消費税引き上げるのは。もっとほかにやるべきことがあるだろうといって、消費税引上げ反対論が顕著になってくると思います。その辺をよく考えながら、将来、消費税、法人税、所得税、資産税、これは今から議論をしていかなきゃならない。どういう税体系を取ったらいいかと。  そういう点を考えて、二〇一〇年代初頭にはいわゆる基礎的財政収支、一般歳出はその年度の税収等で賄うような形に持っていきたいと。これは今機械的な試算はできます。しかし、見通しと現実というのは往々にして違ってまいります。今年度でも、見通しよりも税収は経済の好況を得て増えてまいりました。経済成長率も見通しよりはプラスになって、いい面がある。逆に、いい面ばかりじゃなくて、見通しよりも税収が減る場合もあります。そういう中で、機械的に試算をしてみると、こうやればこうなるという数値は出せますが、現実においては必ずしも見通しどおりいくとは限らないということは市川議員もよく承知のことだと思うんであります。  そういう中で、しかし私は、現実的な予想というものは、見通しというものはやはり政府としてもしておいた方がいいだろうと。そういう中で、どういう選択肢を取ったらば財政健全化と経済の発展を両立できるかということがこれから大事な政府としての仕事だと思っておりますし、そういう中で歳出削減だけでこのプライマリーバランス、基礎的財政収支がプラスに転ずるというのは、これは難しいということも私も認識しております。  そういう中でありますけれども、私の任期中はまず増税ありきということよりも、できるだけ歳出削減努力をしていこうと。そして、規制改革通して民間の活力を発揮させるような体制を整えていくということが私の大きな役割でないかということで、私の任期中は消費税は引き上げないと。しかし、議論は今からしておかないと、今議論せずに来年から消費税上げますよなんてできるわけないんです。  私は来年度も消費税を上げる環境にないと思っていますから、後継者の手足を縛るわけじゃありませんけれども、少なくとも私の任期中は消費税を上げない。来年、消費税を上げるかどうかというのは、これから総裁候補の大きな課題でありますから、議論していただくのは結構であります。議論を妨げるものではありませんが、私も現時点で見て、来年度も消費税を上げる環境にはないと見ております。  しかし、だからこそ、今増税ありきではなくて、歳出の削減努力を必死にやっていかなきゃならないと。それでないと、消費税上げてもいいと、あるいは年金、医療、介護に限ってならば今消費税を上げてもいいと言う方がおられると思いますけれども、そういう方の理解を得るためにも、現時点においては歳出の削減努力を懸命にする時期ではないかなと思っております。
  195. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 済みません、先ほどちょっと言い間違えたので、訂正させていただきます。  国債発行額を平成十八年度三十兆以下に圧縮したのが八年ぶりだと申し上げたのは、五年ぶりの間違いでございました。八年ぶりの方は、一般会計の規模が八十兆円台から七十兆円台になったのが八年ぶりでございまして、混同いたしましたので、訂正させていただきます。
  196. 市川一朗

    ○市川一朗君 総理の今の御答弁ですね、いや分かります。でも、私の想定内なんですね。想定の範囲内の答弁で。これで総理、九月退陣されて、次の方はやっぱり取り組まざるを得なくなると思うんですよ。このままですと、やっぱり小泉総理は一番厄介な消費税問題逃げまくったというふうに言われるかもしれませんから、もう一回答弁お願いします。
  197. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今までの選挙の争点でも、消費税を上げないというのは無責任だとさんざん批判されました。私は、消費税、今上げる方が無責任だと思っています。歳出、足りない分を消費税で上げろ。何で無責任だと言うか。私は、むしろ今削減努力、無駄な部分をまだまだ削減する余地があるのではないかと思っているから、増税の前に歳出の削減で努力する余地を見いだすべきだと、その努力をするべきだと思っております。
  198. 市川一朗

    ○市川一朗君 まあ、いずれにしても、増税の問題ですから、テレビをお聞きになっている国民の皆さんも賛否両論だと思いますので、これはまあいろいろ議論を深めていくテーマだと思っております。  では、耐震強度偽装問題に入りたいと思います。  主として北側国土交通大臣にお尋ねいたしますが、この問題は全くと言っていいほど私自身も考えてみなかった事件でありますが、しかし、考えてみればあり得る事件なんですね。だから、私の最初の直感は、関係者はぐるならやれるなという感じがしたんですよ。まあ私は今でも姉歯独りではやらなかったんじゃないかなと思っているんですが、その辺の真相究明は、司法当局の捜査中でございますから、それにゆだねるよりないと思っております。  それで、この問題、もう既に衆議院も含めて、同僚議員、参議院も国土交通委員会を開いていろいろ議論してまいっておりますが、しかし、国民の関心も非常に高いですから、私もややポイントを絞って二、三お尋ねしてみたいと思います。  まず、被害者救済と周辺住民も含めました居住者の安全確保といった問題が非常に重要な問題だと思っておりまして、それに対する北側大臣の強力なリーダーシップ、これは非常に私は評価できると思っています。いわゆる政治主導型の一つの見本ではないかなと思っているんですが。  その前提として、ちょっと細かなことをお尋ねして恐縮でございますが、姉歯元建築士が設計に携わった建物について、耐震偽装されたものは百件前後あるということは何回もお聞きしているんですけれども国土交通省としては、姉歯が関係していなくて、他の建築士によって耐震偽装されたものがあるかどうかをも調査しているはずなんですね。  姉歯と関係なく、耐震偽装しているもので今分かっているものは何件ぐらいでございましょうか。
  199. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 姉歯元建築士が設計をした物件というのは二百七物件あるわけでございますが、そのうち、現時点で偽装物件と判明しておりますのは九十七物件でございます。  今御指摘の姉歯設計士が関与していない物件で偽装物件があるのかという御質問でございますが、国土交通省の方で周辺の業者の方ですね、この姉歯元建築士がかかわった物件にかかわっておる周辺の方、例えば木村建設、ヒューザー、さらには平成設計、総合経営研究所、この四つの企業が建設に関与した、そして姉歯元建築士が関与していない物件について、これ合計で六百四件ございます。で、この六百四件について今調査をしているところでございますが、今調査が終わったものが二百二十六件ございまして、この二百二十六件は偽装は一件もございません。残りの物件についても今鋭意調査をしている段階でございます。
  200. 市川一朗

    ○市川一朗君 まあ、ううんとうならざるを得ない調査結果ですね。この問題、またちょっと別な角度から研究しなきゃいけないなと思いますが。  この被害者救済といいますか、居住者の安全確保とかいろんな問題の中で、政府側はホテル対策は一生懸命やっているけれども、失礼、マンション対策は一生懸命やっているけれども、ホテルも大変な状況であるにもかかわらず、どうも民民の世界だからということで余り見てもらえないと。で、国会でも参考人として呼ばれて行ってみたけども、余り国会もホテルには関心がないということで、大変不満であるというようなことを言っておられるという情報があるんですが、その点、まあマンション対策、かなりよく進んでいると私は思っていますが、もちろん居住者の方にとってはいろんな不満の部分はあると思いますけれども、ホテル対策についてはほとんど政府側は取り上げてないんじゃないか、国会もやってくれないんじゃないかという御不満に対して政府側はどういう見解を持っておられるか、お願いしたいと思います。
  201. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 政府が取っている今の支援対策は、主なものは、今委員のおっしゃったように分譲マンションの居住者の支援を念頭に置いております。分譲マンションが耐震偽装がされた、そして通常一・〇必要な耐力が〇・五以下ということを基準にして今支援をしているわけでございますが、それじゃ、なぜその分譲マンションに限っているんだと、なぜ、そのホテルだとか賃貸マンションにもあります、そういうところについて支援をしておらないのかということでございますが、まずその分譲マンションの居住者の場合は、この耐震性に非常に問題がある、そういう建築物が造られたことについて全く責任がございません。そして、住居という、個別の区分所有権があるその住居という生活の基盤にかかわる問題であるということ。さらには共同住宅でございますので、取壊しをするにも、また建て替えをするにも、これは区分所有者全員の合意形成が必要でございます。この合意形成がなかなか容易ではないという問題もございます。  そうした分譲マンションに比べて、一方、ホテルの方とか賃貸マンションの場合は、そのオーナーの方がそもそも建築主、事業者でございます。建築主として、事業者として、そもそも施工者を選び、また設計者を、問題のある設計者を選びということをされている方々でございまして、そういう意味では、やはりここは事業者間で事業者責任において今回の事態について対処していくということが、これはまず基本だというふうに私どもは考えております。  しかしながら、決して、私どもがこのホテルや賃貸マンションに無関心だというわけでは決してございません。当然、これ危険な建物であるわけでございますので、早くやはり解体すべきものは解体する、改修すべきものは改修するということをしていただかないといけないわけでございまして、そこは当然私どもも関心を持っておりまして、今、ホテルの所有者の方々等から、是非その専門家の支援をお願いしたいと、こういうお声もちょうだいしているんです。専門家の支援というのは、自分のこのホテルがもう取り壊して建て替えた方がいいのか、それとも改修で済むのか、その基準というのはマンションの場合と大分基準が違っております。そういう建て替えなのか改修なのか、また改修による場合はどんな方法でやることが適当なのか、そうした判断について是非専門家の助言をいただきたいと、こういうお話もちょうだいしておりまして、これはもう当然の話でございまして、私どもも建築物の構造強度の専門家のアドバイスができるように是非させていただきたい。財団法人の建築物防災協会に建築の専門家で構成する委員会というものを設置をいたしまして、建築物の耐震性の判断につきまして、これはもう賃貸マンションであれホテルであれ、しっかり支援をさせていただきたいと考えているところでございます。
  202. 市川一朗

    ○市川一朗君 北側大臣、頼りにしておりますので、どうぞしっかりよろしくお願いしたいと思います。  問題は再発防止だと思うんですね。私もそうなんですが、恐らくほとんどの人が建築基準法で定められている耐震基準を守られてないにもかかわらず確認が下りていたと。これはちょっとみんなびっくりしたと思うんですよ。だから、そこのところをどういうふうにしたらいいかという、これは相当もういろいろ皆さん専門家も議論しておりまして、政府側もいろいろ検討しておられると思います。  基本的には、その検討の状況をお尋ねしたいんですが、先日、参議院の国土交通委員会参考人といたしまして東京工業大学の和田章教授をお呼びしたんです。教授は再発防止策についても私見を述べておられまして、とにかく本当の専門家を絡ませなければ駄目ですよと。そして、例えばという例まで挙げましてね、高さ二十メートル以上の建物は建築確認の際に専門家同士がチェックし合うシステム、それを教授はピアチェックと言っていましたかね、ピアチェックを義務付けるぐらいのことをしなきゃいけないと。あの教授は建築学会の構造委員会委員長でもあるそうでございまして、私は非常に説得力ある話だなと、なるほどと思って聞いた次第でございます。  これを多分検討されておられると思いますが、法案改正、そういったところへ織り込むくらいの検討を進めるべきだと思いますが、併せまして大臣から検討状況をお伺いしたいと思います。
  203. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今お話ございました和田先生のお話でございますが、大変貴重な、検討にまさしく値する私は御意見であるというふうに考えております。  今も、委員も御承知のとおり、高さ六十メートルを超える建築物の場合にはやはりダブルチェックといいますか、別途専門家の方々のチェックが建築確認とは別に──はい、入っているわけですね。これを高さ二十メートル以上の建物についてもそういうダブルチェック、まあピアチェックですね、をしっかりやっていくべきじゃないかという御提言でございまして、これにつきましては今、社会資本整備審議会のところでこの建築確認の在り方の改善について御議論いただいております。その中でもまさしく論点の一つでございまして、この構造計算書等の審査の徹底をしていくために建築確認機関、これは建築主事の場合もあれば指定検査機関の場合もありますが、そういうその検査機関のチェックだけではなくて、別途この構造計算の部分については一定の要件の下でダブルチェックを別の専門家にやってもらうと、こういうことをやるべきではないか、今まさしく御議論いただいている最中でございます。  また、民間機関への、民間指定検査機関への指導監督の強化についても御議論をいただいておりますし、さらには今回のような危険な建築物を設計した設計士に対する罰則の強化についても今御議論をいただいているところでございまして、今幅広い分野で様々御議論をいただいておりまして、至急やるべきことについては、これにつきましては二月中に中間報告をいただきまして、この国会で建築基準法等の改正案を是非提出させていただきたい。そして、さらにはこの夏ぐらいまでに最終的な取りまとめをいただいて、本格的な見直しもさせていただきたいというふうに考えております。
  204. 市川一朗

    ○市川一朗君 私どももしっかり取り組みたいと思いますので、北側大臣是非よろしくお願いしたいと思います。  農林水産問題に入りたいと思います。  ちょっとWTOの話等をお聞きするつもりでおったんですが、一昨日来ちょっともめ事が起きておりますので、そのことについてお尋ねしてみたいと思います。  私は、この質問主意書と米国産牛肉の輸入再開問題に関しまして、冷静に聞けば理解できる話ではないかなと思うんですが、しかし午前中もありましたように、答弁書で答えているのと違うじゃないかという部分もまあ分からぬでもないと。ここはやっぱり丁寧にいきさつを説明して、午前中聞いておられた人もいると思いますが、午後またチャンネル変えて聞いている国民もいますので、中川大臣、いわゆるいきさつはどういういきさつだったのか、分かりやすくでいいですよ、余り長く要らないんですが、それと、大臣としてどの問題について、どんな問題について責任を感じておられるのか、国民向けに分かりやすくお願いしたいと思います。
  205. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 市川委員からの御指摘をいただきまして、改めまして、この問題につきましてできるだけ分かりやすく御説明をさせていただきたいと思います。  まず、平成十五年の十二月の末に米国でBSEが発生をいたしました。直ちに、当時約二十七万トンの米国産牛肉が日本に入っておりましたけれども、輸入をストップをいたしました。そして、十六年、十七年とかけまして、米国からは一刻も早く再開をしてもらいたいという要請がございましたし、日本には日本の経験に基づいて法制度、またルール、そして最終的には国民の皆さんの御理解という前提があるということで約二年間、十六年そして十七年とかけまして、いろいろな日米間あるいは米国内、日本国内の作業を進めていたわけでございます。  最終的には、いわゆるリスク評価担当でございます食品安全委員会の最終的な報告書というものが出まして、それによって実質的に再開オーケーであるということを受けて、リスク管理担当でございます厚生労働省と農林水産省が最終的な再開の決定をするという手続に日本としてはなっているわけでございますが、リスク評価担当の食品安全委員会の作業が、まだ報告書が出ていない、作業中の段階でございます十月二十八日に衆議院の川内議員から、米国産牛肉の安全性について、また再開に当たっての安全性のいろいろな問題提起といいましょうか、こうしたらいいのではないかというような質問書を政府にいただいたわけでございます。  で、十一月十八日付けで、川内議員への答弁書で、厚生労働省及び農林水産省におきましては、米国産牛肉等の輸入を再開することとなった場合、輸入再開以前に、また、輸入再開後も定期的に、担当官を派遣して米国における我が国向け牛肉等に係る食肉施設に対する現地調査を実施することが必要と考えているという答弁書を、これは衆議院議長に対して政府として閣議決定をしてお出しをしたわけでございます。これは午前中、官房長官の方からも答弁がございましたように、これは厚生労働省及び農林水産省の責任、当時の認識、考え方をお示ししたものでございます。  で、その後、実際には、日本向けの牛肉輸出プログラムにつきましては米国が行う施設認定という手続が必要でございますけれども、それも日本が向こうへ行ってその認定の調査をすることができるということ、それから、御承知のように、二十か月齢以下あるいは特定危険部位の除去、さらには日本向けには別管理をしなければいけないといったルールというのは、実際にその日本向けに米国産牛肉、牛を屠畜したり加工処理をしたりという作業が始まらないときちっとした確認作業ができないということ等もございまして、したがいまして、日本といたしましてはそういう考え方に立っておりましたけれども、これは再開後にまあ念のために調査をするということで、冒頭の、川内議員の質問の御趣旨であります安全性の確認というものは米国側の責任においてできると、そしてまた、念のために再開後に調査をすることによってより担保されるという判断に至ったわけでございます。  これにつきまして、政府としては、午前中の官房長官答弁にもございますように、考え方、認識を示したということでございまして、当初のお答え、答弁書の趣旨に反したものではなかったわけでございます。  しかしながら、責任という言葉につきましては、まず、この院に対して、そういう趣旨には反していない、したがって、答弁書の内容には反していないにもかかわりませず、しかしながら、その状況の変更について院に対してきちっとした御説明をしなかったこと、それから、私が現在与えられている使命であります食の安全という責任に対して今まで以上にその責任を全うしたいという決意を今新たにしているところでございます。
  206. 市川一朗

    ○市川一朗君 まあ、この問題は後ほどまた同僚議員が質問すると思いますので、ほかのテーマに移りたいと思いますが、まあ大臣も大分お疲れでしょう。  それから、WTOの問題ですね。先週帰ってこられたばっかりで、非常にもめている問題が一杯あるわけですが、まあ私なぞは、あの例の上限関税問題ですね。各国の裁量の幅の大きい関税率について、輸出国を中心として一律に一定の制限を加えるべきだという話とか、それから、まあ日本でいえば米のように、各国それぞれ重要作物ございますが、それについて、できるだけ各国がそういう重要な問題はある程度幅を持って自由に、自由といいますか、柔軟性を持って取り扱えられるようにすべきだということでセンシティブ品目の柔軟性の確保と、大体こういう問題が日本との関係ではまだ残っていると思うんですが、まあ我々からしますと、もう譲る余地ほとんどないんですよね。だから、簡単にオーケーはできないと思うんですよ。ですから、今日はまあ答弁聞かなくても大体、まだそこでデッドロックですからね。(発言する者あり)ああ、そうですか。平野さん、そう言うからね。  じゃ、まず、そう簡単には譲れない問題ですよということについて、大臣の決意を参議院みんな聞きたいそうですから、お願いします。
  207. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) WTOにつきましては、二〇〇一年の十一月にドーハでスタートいたしまして、これは貿易あるいはサービスあるいは知的財産、いろんな分野で更に各国間の間でいわゆる貿易を広げていくことが加盟各国にとってプラスであるという大前提で今度のラウンドがスタートいたしました。  さらには、いわゆる開発ラウンドということで、途上国に対する特別な扱いであるとかいわゆる支援、十二月の初めに総理自ら発表されました開発パッケージというのは大変に対象国には期待と評価が高いわけでございまして、この面だけでも大変貢献をしているというふうに思っておりますが、まあ農業その他幾つかの分野がございますが、今、市川委員からは、特に農業の分野の中で三つの分野がございます。いわゆる輸出競争、国内支持、そして市場アクセス、マーケットアクセスという中で、御指摘のマーケットアクセスの分野について議論が三つの中では一番進んでいない。しかし、日本にとっては一番文字どおり大事な関心事項でございます。  そういう中で、去年の十二月十八日のいわゆる香港閣僚会議の宣言文の中には、いわゆる本文の中に、御指摘の重要品目につきましては、おととしの七月末のジュネーブ枠組み合意において、重要品目というのはいろんな要素があるから、そういうものを勘案しながら、しっかりそういう要素を取り入れながらこれから議論を進めていくべきだというふうに明記をされております。つまり、重要品目というのは、まあこれは輸入国にとっての関心事項であります、守る方の関心事項でありますけれども、これについてきちっといろんな要素を配慮していかなければならないということでございます。  上限関税につきましては、御承知のように必要だと言っているグループもございますし、日本みたいに全く必要がないと、日本だけじゃございませんが、いわゆるG10その他の国々のように、これは設定すること自体が、多様な農業、多様な関税構造の国々に対して一律に何%でキャップを掛けるということは、これはもうある意味じゃ悪平等であるという主張を日本を始め各国が強くしているところでございます。  したがいまして、上限関税については宣言文には書かれておりませんが、附属書Aという農業だけの附属書の中に、いろんな議論がありましたという項目の中に、上限関税についても導入すべきという国もあったし導入をするなという国もあったと。それから、重要品目についてもアメリカのように一%と言っている、関税品目の中の一%と言っている国もあれば日本やG10が説明しているように一五%ぐらいは必要だぞと言っている国もあって、幅が非常に大きいというようなことが附属書の中のいろんな議論がありましたという中に、まあ各論併記という形で記されているわけでございます。  いずれにしても、日本の立場は、重要品目は一五%は必要である、根拠はこうである、上限関税は設定することはおかしい、理由はこうであるということを先週のダボスを始めあらゆる機会で申し上げているところでございまして、これは是非まず各国と共同歩調を取る以前に国民的な御理解、特に参議院を始め国民の代表である院の皆さんの御理解をいただきながら、それを支えとしてこれからも一生懸命頑張っていきたいので、御指導をよろしくお願いいたします。
  208. 市川一朗

    ○市川一朗君 非常にすっきりした話だったと思います。今回、開発途上国と、まあ何と言いますかね、先進国との対立という非常に重要なテーマありますので、この問題でWTOがもめているわけではないんで、小泉総理、誤解しないようにひとつお願いします。日本の抱えている問題を今日は議論したわけでございまして、これだけでWTOがもめているわけじゃないと。日本はむしろ譲るべきものはいろいろ譲っていると。その中の問題点を今農林大臣と私どもが議論し合っているということで、まあ総理は当然御承知だと思いますが、念には念を押しておきたいと思います。  それで、中川大臣、時間が余りなくなってきたんですが、WTOだFTAだ、今FTAと言わずにEPAと言うんですが、そのたびに、我々は食料、農産物の世界最大の輸入国であるにもかかわらず、もっと輸入しろもっと輸入しろと言われているわけですね。それで、自給率は今四〇%です。イギリスは七〇%台です。それ以外の欧米先進国はみんな一〇〇%かそれ以上ですね。これらの国はみんな輸出国なんですね、食料の。  だから、日本は、まあ米おいしいでしょう。それから、リンゴは中国で高く売れているっていうのは、総理も御紹介ありましたように相当最近よく知られてきました。私が農林水産省の副大臣のときに、島根県の益田農協が台湾に米を輸出しまして完売したという話を聞いて、目からうろこが落ちました。日本の食料は輸出できるんだと。輸出できるようにすることが最大のテーマじゃないかと。もう最近は確信に近いんですよね。どうでしょうか。昨年もこの問題取り上げたんですが、この一年間の成果といいますか、今後の見通し、プロの大臣としてどう思っておられますか。
  209. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 正に市川委員も大変農政にお詳しいわけでございまして、副大臣のときに大変御尽力いただきました。  今は、日本の国内でもそうですけれども、おいしいものを好まれる、当たり前ですけれども。しかし、おいしいぞといって作っただけじゃ駄目なんでありまして、これを販売する努力、あるいは広報宣伝する努力というものが必要でございます。ただ作っておしまいという時代ではなくて、お客さんにいかに買ってもらえるかと。これは、日本国内での競争を勝ち抜く上でのブランド力という観点からもそうでありますし、正に世界に向かってもそうだということでございます。  御指摘のように、日本は輸入が二十に対して輸出が一という状況でございます。世界一の食料純輸入国であるわけでございますが、しかし、そういう観点から総理が非常にこの問題にも強いリーダーシップを取っていただきまして、攻めの農業であるということで、いいものは世界じゅうで売れるんだと。一個何千円のリンゴ、一粒何百円のイチゴということで、総理自らが最大の広告マン、広告マン、何というんですか、(発言する者あり)広告塔、広告塔じゃないでしょう、おしゃべりになる広告塔ということで、強い発信力を持った広告塔で、総理自ら言っていただいております。外国のお客さんが来られたときにも必ずそのことを言っていただいておりますし、世界じゅうが見ております施政方針演説でもはっきり言っていただいております。そういうことで、今の島根のお米にしても、イチゴにしてもリンゴにしてもミカンにしても、私の地元ですけれどもナガイモにしても、非常にどんどんどんどん売れております。  たまたま昨日、去年、二〇〇五年の、カレンダーイヤーで言う二〇〇五年の食料の、農林水産物の輸出の統計が発表されましたけれども、対前年比一二%ということで、初めて三千億を超えまして三千三百億ということでございます。これは、総理が決定されました二〇〇五年から二〇〇九年までの五年間の間に倍増すると、つまり三千億弱だったものを六千億近くまでやっていこうという意味では、最大のいいスタートを切れたものと思っております。その中には、おいしいからということもありますし、それから日本型食生活が非常に評価をされているということで、例えば去年の伸び率でいうと、高いのが日本茶でありますとか和菓子でありますとか、そういったものの伸び率も非常に大きいわけでありますし、水産物、林産物も非常に大きいわけであります。  しかし、冒頭申し上げたように、それはただ勝手に売れているんじゃなくて、アンテナショップをつくったり、展示会、商談会をアジア、アメリカで積極的に展開しているところがより顕著に伸びているという結果が出ておりますので、この後御審議いただきます来年度予算案におきましても、更にそういうアンテナショップ的な、海外に積極的に打って出る、そしていいものを知ってもらって買ってもらって食べてもらうという攻めの農政を更に総理のリーダーシップの下でまた進めていきたいというふうに思っております。
  210. 市川一朗

    ○市川一朗君 総理は、もう広告塔と言うよりはセールスマンじゃないかなと思うくらい熱心でございます。昨年もお聞きしましたが、総理の意気込みは私よりでございますので、もう一度国民に聞かせてやっていただけますか。
  211. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、先ほど市川議員が言われたように、日本人にとってはコシヒカリというと新潟を思い出すでしょう。それが、島根県産のコシヒカリが台湾で、台湾産のお米よりも倍以上高いのに売れてるということに驚きと同時に感銘を受けたんです。  これは、ただおいしいからということで黙っていちゃいかぬと、いかに買ってもらうような努力をする、広報宣伝。最近は日本のお米は輸入阻止ばっかりに専念していたけれども、もっと、島根県産のコシヒカリだけじゃなくて日本にはおいしいコシヒカリはほかの県にもあるんだから、それを外国に輸出することを考えたらどうかと。お米は炊き方によっておいしいお米でもまずくなるし、炊き方が難しいと。最近は炊き方知らない人が多いと、日本人でも。だから、外国に売るときには自動炊飯器とセットで、炊き方を知らない外国人にもおいしいお米なんだということをやろうと今力を入れているところであります。これはほんの一例であります。  だから、北海道の中川農水大臣の地元のナガイモが輸出されて、本州に持っていく分がなくなるぐらい外国に輸出しているというんですから、何でも輸出できるんじゃないかと。輸入していたものを、日本はおいしくても高くても売れるんだという、そういう気を持って、輸入を阻止するばかりじゃなくて、輸出をもっとできるように頑張っていかなきゃならないと思っています。
  212. 市川一朗

    ○市川一朗君 治安問題、お尋ねしたいと思います。  最近子供たちの不幸な事件が多発しております。それから空き巣も多くなっています。もう本当に大変な状況なんですが、沓掛国家公安委員長、しっかりしてもらわないといけませんね。  警察官一万人増員計画、ああいうの、どうなっていますか。
  213. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) 御激励いただいてありがとうございました。  昭和の時代から見ると、平成に入ってきてからだんだんこの治安状況は悪く、いわゆる刑法犯認知件数も増えてまいりましたし、検挙率も下がってまいりました。それがちょうど転換を迎えたのが平成十四年でございました。平成十四年からいわゆる刑法犯認知件数もだんだん減ってきましたし、検挙率も急速に上がってきました。  私は、その大きな原因は幾つもあると思うんですが、その一つは、平成十三年から警察員の増員を始めていただいたんです。平成十三年に増員、それから十四、十五、十六と一万人増員計画でやっていただきました。現在、十七、十八、十九と、これも一万人増員という形でやっていただいております。このことが一つ大きなプラスになっているというふうに思っております。まあ、この一万人増員については、重要凶悪事件とか来日外国人組織犯罪あるいは街頭犯罪など、凶悪粗暴少年事件あるいは大規模繁華街対策等の対応のために、大規模テロの未然防止を図るような目的でいろいろ配置させていただいておりますが。  一つ大きな問題、今申し上げた数値をもうちょっと、少し申し上げますと、平成十四年と十六年で検討させていただきますと、刑法犯認知件数は、十四年が二百八十五万件あったのが、十六年、二年で二百五十六万件と三十万件減っております。それからまた、検挙数も、五十九万件が六十七万件と二年で約八万件増えております。検挙率も、二〇%が二六%と急ピッチで良くなっていますが、まあ、これから目に見える形で増員を生かしていく上において、空き交番をなくするというのも非常に大きな効果があるというふうに思っております。  空き交番というのは、勤務員が不在になっているのが常態化しているような交番でございますが、この対策としても、十六年四月には全国で千九百か所の空き交番があったんですけれども、十七年四月、一年間でこれを千二百か所として、一年間で七百か所減少しております。  十九年の春には空き交番をゼロにするなど、そういう対策を打ちながら、特に子供の通学路とか、その他のいろいろな対策を的確にやって、安全な、かつて世界一安全と言われた日本復活のために全力を尽くしていきたいと思っています。
  214. 市川一朗

    ○市川一朗君 どうぞしっかりやっていただきたいと思います。  子供の安全の問題がこれだけ出てまいりますと、やっぱり防犯教育、これ非常に重要ではないかと思いますね。ある民間の警備会社が無償で小学校へ行っていろいろやって、大変反響を呼んでいるという話も聞いております。  小坂文部科学大臣、担当大臣として、防犯教育の徹底といいますか普及といいますか、どう考えておられますか。
  215. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 市川委員お答え申し上げたいと思います。  御指摘のように、防犯教育を徹底することが子どもの安心プロジェクトの中でもその一番の基礎になる部分だと思っております。実践的な防犯教育の開催のためには、警察官OBの方々やスクールガードリーダーとして、そういった方々に、スクールガードのボランティアの皆さんにいろいろな助言、指導をしていただく、こういうようなことを行い、また、お子さんたちに対して、どういうところが危ないところであって、そこはどのようにして避けていくか、そういった、身をもって体でそういうものを体得していただくような、そういった教育を推進していくことが子供の安全な環境をつくっていく上で必要なことだと思っております。  引き続き、こういったプロジェクトを、防犯教育の開催を支援することを、支援したり後押ししたり、十八年度の予算においても、このスクールガードリーダーの事業については十七年度で七億五千万でございましたけれども、十八年度は十四億を投下して更に強化をしていく、このような形で取り組んでまいりたいと存じます。
  216. 市川一朗

    ○市川一朗君 この間、仙台市で新生児の誘拐事件がありまして、御承知の方も多いと思います。  しかし、今、病院経営大変厳しいですから、病院で安全管理を徹底しろというとまたなかなか大変じゃないかと思うんですね、経営上の問題も含めますと。  どうですか、所管大臣としてその辺どういうふうにやっていくおつもりでしょうか。このままではまた病院危険なんですよね。
  217. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) まず、基本的には医療法で、病院、診療所、助産所は、その構造設備は、防火上、保安上安全と認められるものでなければならないと、こういう規定が入っております。  一方で、今、お地元で、仙台で新生児、生後十一日目の新生児が誘拐されるという事件が起きました。宮城県、仙台で今いろいろな対応策を練っていただいております。一方で、各地域のこうした状態、状況に対する対案、こんなものを今聞き取りをいたしているところでございます。  実は、アメリカの例で申し上げますと、基本的にはやっぱり職員が写真入りの職員証をぶら下げる、どれが職員であるかということを明確にするということがまず必要であろう。逆に、出入りする人は必ずナースセンターの前を通らなければならない。例えばベッドから子供が離れると自動的にブザーが鳴るとか、要するに、大きくお金を掛ける話ではなくて、工夫でやれないかということで取り組んでまいりたいと思っております。
  218. 市川一朗

    ○市川一朗君 本当に治安の確保は国家の基本だと思っておりまして、小泉総理も施政方針演説で世界一安全な国日本の復活を目指すと言っておられます。是非、その心構えでお願いしたいと思いますが。  ちょっと最後にイスラエル・パレスチナ問題をお聞きしたいと思うんですが、総理は一月初めにイスラエル、パレスチナ自治区ですね、訪問される予定でございました。シャロン首相の病気で取りやめになったと承知しておりますが、訪問のねらいは何でございましたでしょうか。
  219. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 昨年もパレスチナのアッバス大統領が日本を訪問された際に会談をいたしましたけれども日本はパレスチナ、イスラエル両方とも良好な友好関係を維持しております。そして今まで、地理的には遠い国でありますけれども、それだけに歴史的にも民族的にも宗教的にも関与してこなかった。支配関係もないし、支配された関係でもない。比較的、他の国から比べれば公平性といいますか、日本の好意なり善意が理解されております。そして、日本の支援に対してイスラエルもパレスチナも高い評価を下してくれております。  そういうことから、日本は今までの他の国と違った、日本日本独自のイスラエル・パレスチナ和平に協力できるのではないかということから、私は、訪問するならば片っ方だけでなくて両方訪問して、両首脳と会談して、日本の支援どうあるべきか、またイスラエル、パレスチナがどのような支援を日本に期待しているのか、また世界全体が中東和平に大きな関心を寄せ、イラク問題のみならず、このイスラエル、パレスチナの和平というのは中東全体、ひいては世界の平和と安定に大きくかかわってくるという問題でありますので、日本としても今までの良好なイスラエル・パレスチナ関係を更に発展させていく必要がある。そして、日本協力というものも、国際社会の中での協力と同時に、日本日本独自でできることと国際社会とともに協力していること、両方あるのではないかという観点から、両国を同時に訪問した方がいいと。その際にはアッバス大統領ともシャロン首相とも会談するのが適切だろうと思って準備を進めていたところ、シャロン首相があのような病に倒れて、片っ方だけ会談するというのもどうかと思いまして、延期して、今回の訪問は中断、中止したわけであります。  将来、日本としても、イスラエル・パレスチナ共存共栄、中東和平に向けてどういう支援ができるか、どのような支援が必要か、じっくりと検討していくべき課題だと認識しております。  時期が来れば、イスラエル、パレスチナ両者が都合のいい時期に、また日本としても都合のいい時期に訪問して会談ができればなと思っております。
  220. 市川一朗

    ○市川一朗君 ねらいといいタイミングといい非常に良かったなと思うんですが、実現しないで残念でした。是非よろしくお願いしたいと思います。  一月二十五日にパレスチナで立法評議会選挙が行われまして、武装闘争によるパレスチナ国家建設を目指しておりますハマスが第一党になりました。大変難しい問題になっておりますが、政府はこの問題に今後どう対応されるおつもりなのか。非常に微妙な外交問題も絡む問題ではございますが、ひとつ麻生外務大臣に、外務大臣の立場で結構でございますから、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  221. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 比例区六十六、地方区六十六、合計百三十二議席、そのうち七十四議席が今度ハマスが取っております。したがいまして、連立内閣を組む必要のない第一党になっておりますんで、ハマスがこれは組閣をするというのは常識的にそういうことになります。  したがいまして、ハマスとしてはちょっと勝ち過ぎたなというところが正直な実感と御本人たちが言っておられますんで、BBC、CNN、いずれもそういう表現を使っておられますんで、勝ち過ぎだったなと。そこのところは正直な気持ち、こんな勝つ予定ではなかった。事実、比例区ではほとんど同じ数なんですが、地方区で圧倒的に差が付いたというのが今回の選挙の内容でありますから、どっかの国と似たような話じゃないかとお思いでしょうが、そういうことになっておりますんで、これハマスとしては、今から政権を維持するときは、先ほど言われたように、武力闘争路線の方が政権を取りますと、これ、そのままではなかなか難しいんで、それ以後の発言を見ておりますといろいろ発言の内容は少しずつ変わってきておるのは確かであって、そういった意味では、武力解放側の方が現実をしょう立場になりましたので、しばらく落ち着いて様子を見てみないと分かりませんけれども。  私どもとしては、伊藤外務務官を選挙の監視団に送っておりますけれども、極めて、極めてというと表現があれですが、日本に比べて、平穏というのはなかなか難しいんですけれども、まあ爆弾騒ぎもなく、投票率も七四、五%行っておりますんで、そういった意味ではかなり平穏裏に選挙が行われておりますんで、そういった状況からいきますと、この選挙はいわゆるインチキだったとか何だとかいう話にはなりませんので、そういった意味では選挙で決められたルールに従ってやらざるを得ぬということになりますんで、現実問題として外交をやっていく形になりますと、先ほど総理からも御答弁がありましたように、両国、両方、両方というのはイスラエル側もパレスチナ側も、他国が入って仲介をしようとすると、アメリカが入ってきたらイスラエル、イランが入ったらパレスチナで、なかなか難しいんだと思う、ファタハということになって難しいんだと思いますんで、そういった意味では、しばらく落ち着いた上で、最も関係のない国でいいますと、大国というか、経済大国としては日本ということはもう両方も、両方というのはイスラエル側もパレスチナも両方、双方認めているところでもありますので、しかるべき、私どもとしてはそれを、外交努力をしてみる価値があるのではないか。  なぜなら、この地域の安定というのは、日本は今エネルギーの輸入量の約八割を中近東に依存をしております。その中近東の安定というのにこれは非常に大きな要素でございますんで、私どもとしてはそういった機会というものを考えてもいいのではないかと思っております。
  222. 市川一朗

    ○市川一朗君 私も、パレスチナ問題はアメリカ辺りとはまた別な意味日本がしっかり役割を果たせると確信しておる次第でございます。  同僚の谷川議員と代わりたいと思います。
  223. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。谷川秀善君。
  224. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 自由民主党の谷川秀善でございます。  市川議員の時間をちょうだいをいたしまして、平成十七年度補正予算案、平成十八年度予算案につきまして、小泉総理を始め関係閣僚にお伺いをいたしたいと思います。  まず初めにお伺いをする前に、近来にない豪雪で大変な被害を受けておられます。百名以上の方がお亡くなりになり、また今も大変雪と闘っておられるという方々に対し、お悔やみとまたお見舞いをまず申し上げたいと思っております。  さて、政治の目的は、私が言うまでもなく、国民の安全、安心をどう担保するのか、国民の生命、財産をいかに守るかということでございます。  小泉総理は大変御努力をされ、本日で総理になられて千七百四十三日という日数が経過をしたわけであります。その間、これはもう歴代総理の中で、佐藤、吉田、中曽根総理に次ぐ大変長期政権でございます。その間、我々また国民もなかなか実行できないだろうというあの道路公団の民営化の問題、そして、特に郵政民営化については、我々自民党国会議員でもそれはちょっと無理であろうというふうに皆思っていたわけですよ。それを敢然と実行をされて今日に至っているということにつきましては、私は大変敬意と尊敬の念を感じておるところでございます。皆さんもそうだろうというふうに私は思っておるところであります。  しかしながら、最近になりまして、やっぱり世の中というのは非常にまあいろいろなことがありますからね。いろいろなことがありますから、まあああいうようにはっきりとした政治をやってくると、非常に勝ち組と負け組がはっきりしてきたと、どうも小泉さんはちょっと情がないのではないかというようなことをまた言い出されているのでありますが、私は、それはやっぱりはっきりすべきものははっきりすると。まあ今も、さっきもお答えになりましたが、影の部分と光の部分が出てくるのはしようがない、しかし影に光を当てるんだと、これも大切なんだということをおっしゃっておられますから、私はこの批判はためにするものだと思いますけれども小泉総理、今現在、どういう御心境であるのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  225. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、私が総理大臣に就任以来の改革路線、これを続行しなければならないと思っています。手を緩めてはならないと思っておりますし、私の後を継ぐ総理大臣も改革なくして成長なし路線を歩むべきだと思っております。  私が改革を進めなきゃならないというその前提は、これは改革を進めなかったら、将来もっと大きな痛みがくると。だから、当面、今のままがいい、現状で十分生活できるじゃないかと、現状で利益も上げているじゃないかという人たちは改革の必要性ないということもあるかもしれませんけれども、それで全体が立ち行っていくのかと。だから、この現状を変えていこう、現状を打破していこう。そのためには、既得権を持っている人たちが不満なり抵抗するのはある面では当然かもしれませんが、それではいけないと。  今までの体制を、日本は世界全体を視野に入れた活動をしないと発展はないということで、勝ち組、負け組を固定しようというのではいけないと。一たび挑戦して敗れた者も次はまた勝ち組になるんだというような機会を提供していくような、そういう社会にしていきたいと。それが日本経済の活性化につながり、ひいては全体の国民生活を豊かにしていくということで、まあ成長を先に考えて、公共投資ももっと増やして、地域の景気が悪いところも予算をもっと手当てをして、良くしてから改革を考えろ、いわゆる成長なくして改革なしなんだという議論が盛んに行われてきましたけれども、結果を見れば、やはり今このような財政状況ではどんどんどんどん予算を増やしてください、財政の手当てをしてくださいという要望にはこたえられなかったやもしれないけれども、民間の皆さんも頑張ってくれて民間主導の景気上昇過程に入ってきたと思うのであります。  ですから、今後は、言わば今まで駄目だ駄目だと悲観論が数多く言われましたけれども、これは影ばっかりを指摘されればそういう雰囲気になっちゃうんですね。国会におきましても、私はむしろ景気のいいとか明るい話よりも、駄目だ駄目だ、こんなに状況が悪いじゃないかと悲観論の方をよく質疑を受けて聞いておりましたけれども、最近ようやく悲観論というものは影を潜めて、むしろやればできるというような状況になってきた。  そうなりますと、今度は光だけでなくて影の面を手当てしろということでありますから、その部分にもよく注意して、勝ち組、負け組という二つに分けないで、先日来、猪口大臣も言っておられましたけれども、勝ち組、負け組じゃなくて待ち組もあるんだと。それで、負け組というのはむしろ責められるべきじゃないと。というのは、戦ったから負けたんだと、戦う意欲があるということは褒められるべきだと。なるほどなと、そういう明るい見方もあるんだなと。むしろ、負けることを恐れて戦おうとしない人の方が問題だと。これ、私、いい言葉だと思うんですよ。待ってるばかりじゃいかぬと。  あるときは、総裁選挙に出ないで少し待とうという人もいるかもしれませんけれども、それは、待っていい場合と待って駄目だったという場合は歴史の問題でいろいろありますから、それはその人に、判断に任せますけれども、私はチャンスがあったら逃げないでつかむような、挑戦するような努力が必要だと。  だから、負け組と言われている人たちも、これからチャンスを一杯提供するような社会にして、再度負けを恐れず挑戦してみようという、そしていずれ勝ち組になるんだというふうな、そういう機会をたくさん提供するような社会にしていきたいと。  そして、どうしても立ち行けない人には、社会保障制度、お互い助け合う、公的機関が、政府が助け合うというような基盤をつくっていって、みんながそれぞれの持てる力を発揮できるような社会にしていきたい、これが改革なくして成長なしの進むべき道だと私は思っております。
  226. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 ありがとうございます。  今年の自由民主党のテーマも「改革、加速。」であります。あのポスターどんどん張っておりますが、「改革、加速。」でございますから、これからもしっかりとその改革のスピードを止めることなく加速することが、光が当たるところは当たる、光がなかったら影もできないですから、それはやっぱり影は影でしっかりとまた手当てをするということをお願いをいたしたい。  さて、最近いろいろ問題になっておる数点の問題についてお伺いをいたしたいと思いますが、まずアスベストの問題であります。  今補正予算でも予算が組まれておるようでございますが、このアスベストというのは、なかなかこれ、なじみにくい言葉でございまして、我々は子供の時分は石綿石綿言うておったんですね。だから、何となく石綿の方が私はよく通用すると思うんですけれども。アスベストというのは、これは調べてみるとギリシャ語やそうでございまして、永久不滅ということを意味すると。だから非常に長もちをするんですね、アスベストは。  我々子供のときは、理科の実験のときに何か焼き芋の網に白い何か付いていた、あれがどうもアスベストのようでございますが、そういうことでこれは古代から非常に珍重がられまして、それで土器を作るときにひびがいかないようにそのアスベストを混ぜたということですね。アスベストを混ぜますとひびがいかない。だから土器が非常に長もちをする。  それで今回も、このアスベストが発見、いわゆる非常に問題になったのは尼崎の神崎工場なんですね。クボタ、総合機械メーカーのクボタの神崎工場でございまして、これは例のJRのあの事故が、大変事故が起こったすぐ近くなんですよ。あのJR西日本がわあっと突っ込んだんですね、あの福知山線。あのすぐ近くにあるので、どうも尼崎はそういうことがいろいろ起こるものかなと私は思うんです。  それで、あれは結局、なぜクボタでああいうことが、あの周辺で非常に被害者が出た。あれは、クボタというあそこは鋼管を作っているんです、水道管。その水道管にひびがいかないためにアスベストを混ぜてたんです。そういうことで、あのクボタ周辺のところの人たちが中皮腫がたくさんできてきて、二年ほど前に大変な問題になったということで、この素材というのは大変昔から使われておりまして、あの竹取物語、平安時代の。あの竹取物語のかぐや姫が、燃えないひねずみの皮衣を持ってきてくださいと、これがどうもアスベストではないかと、こう言われているんです。(発言する者あり)いやいや、それはちゃんと、ええ加減なことないです、ちゃんとはっきりとした証拠があるわけです。それで、これは奇跡の鉱物だと言われて最近珍重がられてきた、こういう経緯があるわけです。  それで、この問題は、私がまだ役人をしてたときに、もう三十数年前ですね、その発がん性があるということで、WHOでいろいろ発がん性があるから注意しなきゃいかぬと、こう言われてたんですけれども、大変安価で非常に実用価値のあるものだということでこのアスベストが何となくずっと使われてきてたという経緯があるわけですが、今までにそのアスベストを吸って肺がんになったり中皮腫になったりして亡くなった方が、正確には分からぬと思いますけれども、どれぐらいおられるのか、環境大臣、お願いいたしたいと思います。
  227. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 分かりやすく石綿が原因で亡くなった人数ということでお答えしたいと思いますが、正確な人数はなかなか把握しにくうございます。  そこで、石綿の使用量、それから、既に中皮腫という明確な病気として患者発生との関連性に関しての海外の研究事例がございます。それから、厚生労働省が実施しているあの人口動態調査、こういったことを基に試算、試みの算をするということにいたしますと、過去に中皮腫で亡くなった方の人数でございますが、一万人程度だというふうに考えられます。  それからもう一つ、石綿が原因で肺がんで亡くなった方、こちらの人数がどうかということでございますけれども、こちらについても統計データがございません。そして、同じく海外の研究事例などの例から引っ張ってきますと、過去に肺がんで亡くなった方の、石綿が原因で肺がんで亡くなった方についても同じく一万人程度ということだと考えられるところでございます。
  228. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 なかなか正確な数字は分からないと思うんですけれども、大体政府の方でつかんでおられるのが一万、一万ぐらいじゃないかということでございますが、早稲田大学の村山先生は、この石綿のいわゆる潜伏期間が三十年ないし四十年ぐらいあると、だからこれからどんどん出てくるのではないかということをおっしゃっておられまして、今後三十五年間で十万人ぐらいそれが原因で亡くなるのではないかと、こう言われてるんですけれども、その辺のところ、政府は、あと五年ぐらいで一万五千ぐらいになって、ちょっとそこから中休みするんだと。これ相当差があるように思われますが、いかがでございましょうか。
  229. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 今回御審議をいただくこの制度でございますけれども、対象者数の見込みということで、吹き付け石綿の禁止、それから石綿の発生施設におけます敷地境界基準というのを設けておりますけれども、この遵守の義務付けなど、これまで行ってまいりました様々な規制、そして対応の結果をどう見込むかといった技術的になかなか難しい点が多いんですけれども、そういった意味では政府として公式に予測を行ったものというものはございません。  ただ、我が国の石綿の輸入実績、一九七〇年から九〇年というのがピークであったということ、それから石綿によります病気が、先生御指摘のとおり、潜伏期間が三十年から四十年というかなり長期にわたること、それから、近年中皮腫によりますお亡くなりになる方が増えてきているという事実もございます。こういったことを考慮いたしますと、少なくとも当面はこの石綿による健康被害者の数は増加はしていくということが分かるわけでございます。  そこで、具体的に石綿の使用量と中皮腫患者の発生との関連性に関しまして海外でも研究が行われております。そして、厚生労働省が人口動態調査などを基にして実施しているものでございますけれども、二〇〇六年度以降数年間にわたりましては毎年二千から三千人、これは中皮腫とそれから石綿を原因とした肺がんの方の合計でございますけれども、毎年二千から三千人の新規発症者が発生するのではないかという、そういう予測が立つわけでございます。  村山教授、今後五年間というよりは四十年間で十万人の被害が出るという御報告でございますけれども政府のこれからの見通しということでは、今申し上げましたような数字を基にして大体の予測ということになろうかと思います。
  230. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 ありがとうございます。  この石綿の被害をなくするということは大変大事なことでございまして、このなくするためには、今後被害者を出さないようにするということと、今被害を受けておられる方をいかに救済するか、この二つだと思うんですね。この二つをしっかりやることによってこの石綿の被害者が救われるということでございますが、今次法案が提出をされておられますが、この法案でこの二つが、目的が達成されるんでありましょうか。
  231. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) この石綿の問題、先ほど数字などを申し上げましたけれども、既に中皮腫などを患っておられる方々の救済の措置、そしてまた今後被害が新しく出てこないようにするということなど、いずれにしてもスピーディーな対応が必要だと認識をいたしております。  そこで、今後の対応といたしまして、石綿使用の実態がどうなっているのか、そしてまた、その問題につきまして国民の皆様方に広く周知徹底をしてまいるということ、さらには建築物の解体時の対策など、また解体をすることによってそこで石綿が飛び散るというようなことで発生を控えると、発生させないと、そのためにこれまでにも幾つか既存の法律に基づきまして対応できる対策を取りまとめて、直ちに実行している部分がございます。  で、それに加えまして、昨年の十二月にはアスベスト問題に係る総合対策を取りまとめさせていただきました。そして、十七年度の補正予算案、十八年度の予算案などにおきましても必要な措置を講じさせていただいているところでございます。  そして、今回二本法案を提出させていただいているわけでございますけれども、この御審議をいただくということから、今申し上げました幾つかの累次の対策をしっかりと実行していくことによりまして、総合的な石綿対策を進めて、新たなこの石綿による被害などを生じさせないように努力してまいると、このように考えております。
  232. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 それでは、どうぞよろしく、しっかりとお願いをいたします。  戦後建った建物が大体五十年、六十年ぐらいたって耐用年数が来ておりますから、やっぱりそれは建て替えをする時期に入ってきておると思うんです。そういたしますと、どんどんどんどん校舎にしろ何にしろ、改築、壊しますから、壊すと石綿が散ると、それで被害がまた拡大をするということに相なろうと思いますんで、どうぞよろしく、その対策もお願いをいたしたいと思います。  次に、鳥インフルエンザについてお伺いをいたしたいと思いますが、最近また何となく毒性の強い鳥インフルエンザがはやり出しているというふうに思われますが、鳥から鳥にうつるのが鳥インフルエンザなんで、そのインフルエンザが人間にうつると、ここが問題なんですね。その人間にうつっている間はまだいいんですけれども、人間と人間にうつるというのは、これは一大の問題でございまして、何とかこの人間から人間にうつるのをどう防ぐのかということが一番関心、最近の関心事ではないかと思いますが、それをやっぱり、そうするためには水際で防がなきゃいかぬ。そういうことにつきまして、どういう現在対策をお取りになっておられるのでございましょうか。
  233. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 鳥インフルエンザでございますけれども、今御指摘いただきましたように、毒性の強いH5N1、このウイルスを基本的に対象として考えております。これが今、鳥から人へうつっている段階、アジアとヨーロッパ、トルコですね、六か国で発生をいたしております。  したがって、まずアジアを一つの大きな視点として、東京と北京で会合を開きました。そして、WHOを中心にしながら、こうした、もし発生をした、人から人ですね、その段階において、WHOを中心にしながら、我が国も協力しながら封じ込めを行うということが一番大事であろうと。医療機関や、例えばタミフルを集中的に投下するとかという形で、いずれにせよ、封じ込めというものをまず第一な大きな施策という形で考えさしていただいております。
  234. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 是非、その水際で封じ込めをしていただきたいと。もう、これが人から人へうつるとこれ大変なことになるのではないかと言われておりますので、是非よろしくお願いをいたしたいと思います。  それで、新型インフルエンザにはタミフルが非常に有効だという話がずっと出ておるわけで、このタミフルをどれだけ今、日本で備蓄をするのか、地方自治体でどれだけ備蓄をさせるのかということがいろいろ議論されておられるわけでございますが、現在、国と地方で大体どれぐらいのタミフルを備蓄しておられて、これから将来にわたってどれぐらいを目標に備蓄をしようというふうにお考えになっておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  235. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 御指摘いただきましたタミフルは、ロシュという会社が製造いたしておりますけれども、多くを我が国が今のインフルエンザ、この病気に使うという目的で使用いたしております。しかし、このタミフルが有効であろうというWHOの判断の中で、世界の国がこのタミフルを求める状況に変わってきていると。したがって、お得意先である日本またアメリカ等のわずかな国の段階から、多くの国がこのタミフルの備蓄を進めたいという中で、まず、我が国は国内に流通在庫というものが現在かなりのものがあるということは事実でございます。  しかしながら、一方で、ロシュとの話合いの中で、二千五百万人分を十八年、十九年度で我が国は備蓄をしたい。流通在庫を四百万人ぐらいと考えております。残りの二千百万をこの二年間で基本的に備蓄をすると。しかし、地方の方々にお願いするのは基本的には第二段階と考えております。第一段階はやはり国がまず優先的に持つ。この補正予算で七百五十万人分、百六十二億円の予算措置をしていただいて、何とか三月に七百五十万の備蓄ができるように話合いを進めているというのが現状でございます。
  236. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 是非、まず第一義的には国の方で備蓄をしていただく方がいいのではないか。地方地方でまた頑張ると思いますけれども、まずそれぐらいの量は備蓄をしていただいて、いざというときにはすっと手が打てるようなことに是非していただきたいというふうにお願いをいたします。  次に、牛肉輸入の問題でございますが、これは今まで相当同僚の市川議員もいろいろとおっしゃいましたが、私は、結局、安全、安心をどう担保するかという点にやっぱり議論を集中さすべきだと思うんです。  その意見書に、それは意見書に対するしっかりとした返事も必要だろうとは思いますがね。だから、この二年間、最初に牛肉、BSEが発生をして、それで輸入禁止をしたわけですね、あの十五年の十二月二十四日に輸入禁止をした。それからいろんな安全性がどうなのかということで、食の安全委員会を含めまして、二年、大体二年ぐらいですね、非常に大変な議論をされたと思うんです。どういう形であれば再輸入を許可ができるのかということを議論されたと思うんです。その議論されたことがあんまり今回、それで輸入を解禁した、すると不幸な事件がぱっと起こった、それでまた輸入を禁止したと、こうなっているんです。時系列的に言うと、そうなっている。  だから、私はむしろ、まず二年間でどれだけの議論をされて輸入再開に踏み切ったのか。大変、何となくマスコミは、いや、あんまり議論せぬと、要するに、いろんな問題あるんだけれども、米の圧力で結局再開に踏み切った、そうしたら事件が起こった、それ見てみろ、おかしいじゃないかというような議論が先行しているんで、少なくとも私は、二年間真摯に食の安全委員会等を含めて検討されてきて、結果こういうことで輸入再開に踏み切ったのかどうか、踏み切ったんだということであれば、是非大臣、その経過を分かりやすく、今日はテレビ入っておりますから、国民是非語り掛けるつもりでおっしゃっていただきたいというふうに思います。
  237. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、谷川委員おっしゃられたように、一月二十日に、再開された米国産牛肉の輸入を、いわゆる輸出プログラムという日米で約束された条件に違反を、違反が発見されたということで、即すべての米国産輸入牛肉をストップいたしました。それはあくまでも、今申し上げました日米間で、約二年近く掛かっていろんな手続、話合い、そしてアメリカの手続、日本の国内の手続にのっとってやったわけでございます。  それでは、今御指摘のように、じゃ、去年の十二月十二日に再開決定に至るまでの過程はどうかと、きっちり説明をせよということでございます。  そもそも、一九七〇年代からヨーロッパを中心にBSEという問題が大変大きな問題になりまして、そして日本でも二〇〇一年の九月に日本の牛にBSEが存在することが確認をされ、あのときも消費者の皆様、あるいはまた生産者、その他関係業界の皆様を含めて大変な社会的に大きな問題になって、そのとき以来、日本としてもシステム、法律、あるいはまた、またいわゆるリスク管理機関であります厚生労働省あるいは農林水産省、そしてまたその前提となりますリスク評価をいたします食品安全委員会の手続というものが確立したわけでございます。  話が何かあちこち飛んだようで恐縮でございますけれども、そういう中で、米国におきまして平成十五年の十二月二十四日にBSEの牛が確認されたということで、即、日本においては米国からのすべての牛肉をストップをまずいたしました。そして、その後、厚生労働省及び農林水産省が中心になりまして、米国への現地調査あるいは日米のBSEの専門家等の会合を行いまして、平成十六年の十月に日米局長級の会合において、今後日米間の牛肉貿易再開にかかわる条件と枠組みについて、科学的、科学に基づいて双方向の牛肉貿易を再開するとの認識を共有いたしました。もう一度繰り返しますけれども、あくまでも科学的根拠に基づいてその合意が日米間で成ったときに再開のプロセスを進めるという認識を共有したわけでございます。  この結果を踏まえまして、日米の実務担当レベルでの協議を重ねまして、輸入再開条件の詳細につきまして、平成十七年、昨年の十七年の五月にその内容に対する意見交換を開催した上で、そこで五月二十四日にこの米国産牛肉のリスク評価につきまして食品安全委員会日本食品安全委員会に諮問をしたところでございます。で、専門家の皆さんの長期間また何回にもわたる御議論を踏まえまして、いわゆる米国の輸出プログラムというものに合致しているという条件の下で、日米の間にこのBSEに関するリスクは非常に小さいという御結論をいただいたわけでございます。  そしてまた、パブリックコメントというのを一か月間やったわけでありますけれども、その結果、食品安全委員会におきまして、日米の間にこういう条件で、決められた条件で守っていけば日米の間のリスクは非常に小さいという答申をいただきました。これを踏まえまして十二月十二日に輸入再開を決定をいたしました。  なお、先ほど申し上げたように、日本においても既に二〇〇一年に発生をしておりましたので、日本から米国に対する牛肉もずっと輸入禁止になっていたわけでございまして、この再開についても日本側から米国側に強く求めていたわけでございますけれども、同日をもって、またこれも条件を両国間で決めた上で日本から米国に対しての日本産の牛肉の輸入も再開をされたということで、双方向で去年十二月十二日に再開をしたところでございます。  繰り返し、最初に戻りますけれども、しかし、そのシステムに基づいた手続を米国側が取らなかった結果、これはシステムの問題じゃなくて、運用上の大きなミスによってこれ問題が発生した結果、一月二十日にすべての米国産の牛肉の輸入をストップしたところでございます。
  238. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 ありがとうございます。よく分かったと思います。  だから私は、いろんなことをやってやっと再開したと、ところが不幸なことに部位が入っておったと、こういうことで、私はむしろ、で、それを即停止した。今までの政府やったら、何やかんや言いながらまだ停止していないかも分かりませんよ、それは本当に。私はそう思いますよ。だから、そういう意味では即刻、これは危ないということになれば、国民の健康にかかわる、よくですね、僕は厚生労働大臣また農林水産大臣総理、よく決断されて即、即もう中止だと、再開中止だと。私は良かったと思っているんです。  こういうところを何か、危険だからどうもけしからぬとか、前にさかのぼってけしからぬというのは、だから僕はマスコミも、僕はやっぱり、私はやっぱりよく見て、何も、危険だったら即やめたらいいんですよ。過ちを正すに何にもちゅうちょすることないんです。これを私はやっぱりやっていただいたということは、国民の食の安全、安心を十分現政府は考えておられるというふうに私は思っております。  そういう意味で、今後の再開も、是非国民の納得のできる点で再開をしてもらいたいということをお願いをしておきたいと思います。  それで、次に米軍再編をお伺いをいたしたいと思ってたんですけど、その前に、防衛施設庁の問題が、大変な問題が起こって、いろいろな委員から質問がございますが、私は、基本的にはこれはまず根本を正さない限りこういう問題は何ぼでも出ます。私はかねがね申し上げている、天下りをやめなさいと、こう言うているんです。この天下りをやめない限り起こりますよ、こんなのは。当たり前ですよ。  大体、もう高齢化になっているんです。高齢化。高齢化してきて、それであれでしょう、その定年六十、それを今の官僚制度といいますかね、大体四十五ぐらいからキャリアについては肩たたきやっているんですよ。たった四十五ですよ、八十に、平均寿命が八十になんなんとしようとしているところに。それで辞めなさいと。どこか世話をしなきゃ、辞める方もあんた、家族養えぬでしょう。そうするとどうするかというと、天下りの先をお世話をして、辞めてくださいと、こう言うているわけでしょう。ずっと、これは何も中央省庁だけやないですよ、都道府県、市町村に至るまで全部そうですよ。  肩たたきをしたら、必ず次の再就職先を世話しないと生活できませんがな。だから世話しましょう。何も好き好んで何もあんた、肩たたきしているわけやないんです。そやけど、そうせざるを得ないような状況でやってきた。だから、私は常々申し上げてた、委員会でも。六十まで皆働いてもらいなさいと、まずそれをやらないとね、官民の癒着は断ち切れませんよと。  だから、今回でもそうでしょう。大体ですね、そのいろいろ新聞情報で見ていますと、天下りをしている数の多いところから順番にその指名するんだと、それを参考にしているんだと、こういうふうに書いていますね。それはそうなんですよ。魚心あれば水心だ。これは笑うてるけどね、これが世の中なんや。世の中をやっぱりしっかり見ながら、それを止めるのにはどうするか。それは、やったらいかぬでしょう、そんな汚職なんてやったらいかぬに決まってはる。決まってはるけれども、そういう土壌をまず取っ払わないと、いろんな、それは防衛庁長官が、いや構造改革します、施設庁を廃止するぐらいの努力でやりますと言いはったって、まず最初の、まず根本の原因を取り除かぬ限りまた起こりますよ。十年、二十年たったらまた起こりますよ。この前、防衛庁長官防衛庁長官になられた後すぐ起こったでしょう、いろいろと。またそれから十年ほど。結局、この原因を止めなきゃいかぬ。  これは総務大臣ですかな、その天下りをやめさせる、じゃ各省庁全部にかかわる問題ですけれども、公務員全般を所管しておられるのは、どこだ、総務省ですかな、だから、総務大臣の一応御決意をお伺いをいたしたいと思います。
  239. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 公務員の天下り、その本質、背景は正に谷川先生御指摘のとおりだというふうに思います。  この公務員のその天下りのルールそのものは、公務員法にもきちっと書かれておりますし、実際の判断、人事院に託されているところもございます。そうした点をどのようにするかということに関しては、これは、今の法律を所管して運用する私の立場と、それと公務員制度をどのようにしていくかという中馬大臣のお立場と両方、両者がよく話し合って更なる改善を議論していかなければいけないと思っております。  今回の額賀大臣のところの御議論と併せて、我々もそのつかさつかさでの努力をしっかりとしたいと思っております。
  240. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 是非、これは私はもう議員になってからずうっと言い続けているわけです。だから、それはやっぱり天下りをやめさせるためには肩たたきをやめさせなきゃ駄目ですよと。だから、ずっと、まあそれは適材適所ということもございましょうし、いろいろありますけれども、原則的には六十までいてもらったらどうですかということを、まず、これを実行しない限りね、非常に、その再就職先をお世話せないかぬという非常に悩ましい問題があるわけです。  まあそういう意味で、是非、これは各省庁一緒になって御努力をいただければ何とか、ちょっとでも、それはそれでも悪いやつはおりますからいろいろあると思いますんで、是非、どう決意を、どうぞ総理、最後に、これは各省庁でこの問題はやっぱりしっかりここを押さえていただいたらある程度防止できるというふうに私は思っていますんで、是非最後に総理の御決意をお伺いをして、私の質問を次の橋本聖子さんに代わりたいと思います。
  241. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 谷川議員のただいまの御指摘、いい指摘をしていただいたと思っています。  私もそういうことから、先年、今六十歳なんというのは、もう老人よりも壮年でね、ばりばりしている人が多いと、それを四十代で辞めさせるという慣例、これを直したらどうかと言って、たしか三年ですかね、延ばしなさいと、肩たたきを。それでも大変だというんですよ、この慣例を直すのは。しかし、現実にその退職年齢をできるだけ定年まで働いてもらうような慣例をつくるためにも、わずか三年か数年を延ばすだけでも大変だというんですけれども、それやるようにしています。  今後、今の御指摘踏まえて、公務員制度全体の在り方、天下り、これは今一定の制約掛かっておりますけれども、今のこの制約でいいのかどうかも含めて検討していくべき課題だと考えております。
  242. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 どうぞよろしくお願いします。
  243. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。橋本聖子君。
  244. 橋本聖子

    橋本聖子君 関連をいたしまして、自由民主党質疑に立たせていただきます橋本聖子でございます。  私の方からは、特に子育て支援の問題、また教育の問題、そして今月から、もうすぐでありますけれども、イタリアのトリノでオリンピックが開催されるわけでありますけれども、スポーツという観点から質問をさせていただきたいというふうに思います。  そういった観点からでありますけれども、まず最初に、大変今問題に追われております雪害対策について冒頭質問をさせていただきたいというふうに思います。  この冬、もう例年にない寒波とそして大雪のために全国各地、百名を超える死者を出すことになってしまいまして、大変残念に思っているところであります。お亡くなりになられました皆様方に対しまして心からの御冥福をお祈り申し上げますとともに、御家族の皆様、そして関係者の皆様方にお見舞いを申し上げる次第でございます。  そういった中で、昨年暮れ、十二月の二十八日ですけれども政府・与党は、ライフラインをしっかりと確保するためということになりまして、主要幹線道路の除雪・防雪体制、そして鉄道や飛行場といったことなどの公共機関整備の安全を点検し、さらには、公共団体による除雪作業の経費というものを確保するために特別交付税や補助金の追加配分などを行うことになりました。これは今までに寒波、雪害としては異例の速さで対策をまとめていただきました。このことにつきまして心から御礼を申し上げます。  ですが、この雪といいますのは、とにかく同じ地域が一年間同じ一定の量だけを降ってもらえれば、その対策というものに関してはそれだけの対応が可能であるというふうに思うんですけれども、今回のように一年間のうちに一定の時期に今までにない大変な雪が降ってしまうということになると、当然これは大変な状況になってしまうことで、なります。  私自身も北海道で生まれ育ちまして、雪というものに関してはある意味での共生というものをしてきた一人なのかもしれませんけれども、こういった中で、今までこの対応というものを見させてもらいますと、一時的な災害に対しての対応というものには力を注いできたわけでありますけれども、長年にわたって常にハード面、そしてまたソフト面という観点の積み重ねというのがまだまだ政府としては足りなかったんではないかなというふうに見ているわけなんですけれども、例えば春になりまして雪がなくなってからそういった対策を、インフラ整備というのは行うわけでありますので、雪のない時期にしっかりとしたハード面、そしてまたソフト面の積み重ねを是非お願いをしたいというふうに思うわけでありますが、今までこういったライフラインの整備というもの、インフララインの整備というものを国土交通省はしてきていただいたわけでありますけれども、これからそういった雪害といいますか、町づくりというものの観点から雪害対策というものをもう一度再点検する必要があるんではないかなというふうに思いますけれども、この点につきまして北側大臣に御見解をお伺いしたいというふうに思います。
  245. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今年の冬は雪がもう昨日、今日の時点で平年の二倍の雪が降っております。お亡くなりになられた方々も、消防庁の発表でございますが、百十五名に至っておりまして、その三分の二が六十五歳以上の高齢者の方々でございます。かつ、その亡くなられる又はけがをされた原因というのは屋根の雪下ろし、そして除雪等々の中で被害に遭われている方がたくさんいらっしゃるわけでございます。  私もこの冬、豪雪の現場幾つか行かせていただきました。私は南の方の人間なんでなかなかこの豪雪の御苦労というのはよく分からなかったんですが、本当に大変だなということを痛感をいたしました。毎日毎日の屋根の雪下ろし、そして家の玄関先、そして道路の除雪、毎日毎日のお仕事でございます。また、今豪雪地帯というのは高齢化、そして過疎化が日本全体の平均よりも先にこの豪雪地帯では過疎化や高齢化が進んでいるわけでございます。お聞きした話によりますと、いつもは御近所の方に屋根の雪下ろしをお願いするんだけれども、お隣も若い方がいなくなってお隣に頼むこともなかなかできなくなって困っていますというふうなお話なんかも聞かせていただいているところでございますけれども、今委員のおっしゃったように、当面の豪雪対策はきっちりとやらせていただきたいと思いますが、更にこの高齢化、過疎化というのはこれからますます進んでいくわけでございまして、そういう高齢化、そして過疎化がますます進む中で、今後のこうした雪の対策、豪雪対策というものをやはりしっかりと検討していく必要があるというふうに考えております。  例えば、今後のインフラ整備の在り方なんかもそういう高齢化、過疎化ということを念頭に置いた上で除排雪をどう円滑に進めていくかだとか、それから今後の住居だとか住宅のありようについてもやはりこれは検討をしていく必要があると思いますし、またその地域コミュニティーという観点からも、ボランティア等々の問題、しっかり検討していく必要があるというふうに思っておりまして、こうしたハード、ソフト面の雪対策につきまして是非検討してもらいたいということで懇談会をつくらせていただきました。町づくりや高齢者対策、また雪害などの専門家の方々に入っていただきまして、また雪国の自治体の代表にも入っていただいて今御議論をいただいているところでございまして、四月中にこの取りまとめをいただきたい、そして今後の予算、制度の改革に反映をさせていきたいというふうに考えております。
  246. 橋本聖子

    橋本聖子君 ありがとうございます。  大変前向きなお考えを提示をしていただきまして有り難く思っておりますけれども、今もなお大変な状況に置かれている地域の方たちに対しまして早急かつ、そしてまた手厚い対策是非ともお願いをしたいというふうに思っております。  この雪というのは、常に雪害雪害ということで公害と同じような取扱いをされてしまいがちなんですけれども、実は大変なエネルギーを私どもは持っているというふうにも思っているところもあるわけであります。かつてこの国会議事堂も、衆議院におきましては昭和三十年代の終わりまで、そして参議院においては昭和四十年代の初めころまでは雪氷を使った冷房設備が使われていたということでありまして、我が北海道でも新しいエネルギーとして、バイオマスエネルギーと同じように新しいエネルギーとしてこの雪氷エネルギーの活性化に向けて各取組が活発に今行われているということでありますけれども、そういった地域エネルギー・温暖化対策推進会議というのもつくっていただいて前向きに今検討していただいているところでありますけれども経済産業大臣に、これからどのような考え方でこの雪氷エネルギーに対して取り組んでいっていただけるのか、是非その御意見をいただきたいというふうに思います。
  247. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) お答えいたします。  お説のとおり、私も北海道の開発庁の関係に携わって以来、北海道のあの雪を何とかできないものかということをしばしば考えておりました。今、北側大臣もおっしゃったように、私も南の人間でございますから、雪があんなに積もって、そして町を挙げて、例えば札幌市なら札幌市でも雪を解かすという仕事がもう市の重大な仕事なんですね、予算もたくさん使っておるわけでありますが。そうしたことから、何かあれが活用できないかということを考えたことがありますが、今お話しのように、雪氷エネルギーを冷房、冷蔵に利用することについては、これは初期の投資額が高額であるために経済性の面で課題を有しておることは御承知のとおりであります。  そこで、それはそれとしても、環境に与える負荷というものは極めて少ないものでありますから、この利点を活用し、今後、新エネルギー法上の新エネルギーに位置付けをして、国としてもその導入を支援しておるわけでありますが、これは国が事業者に対して三分の一の支援をする、自治体の場合には国が二分の一、自治体が二分の一ということで支援を始めておるところであります。平成十八年度の予算におきましても、新エネルギーに対する導入支援の一環として、雪氷エネルギーにかかわる事業可能性調査や設備導入に対する支援の予算を計上しております。  経済産業省といたしましては、引き続き自治体や事業者の皆さんの御意見、御協力をいただきながら雪氷エネルギーの導入促進に積極的に取り組んでまいりたいと考えておりますので、橋本委員を始め北海道、特に関係の皆さんの御協力をお願いしておきたいと思います。
  248. 橋本聖子

    橋本聖子君 ありがとうございます。  これからのやはりこの地球規模で考えた、まあ環境というものの観点から立ちますと、是非、この雪というものもやはりいずれはエネルギーとして利用価値の高いものになっていくんではないかなというふうに思っております。そういったことをもう既に今北海道では前向きに検討し、そして活用に踏み切って調査研究をしているところでありますので、是非お力添えをいただきたいというふうに思っております。  続きまして、社会保障、特に少子化対策について質問をさせていただきたいというふうに思います。  少子化社会白書は、出生率、合計特殊出生率ですけれども平成十六年、過去最低を記録してしまった日本の現状について「超少子化国」という表現を使いました。これはやはり、死亡数が出生数を上回る人口減少社会が十九年ぐらいに来るんではないかなというふうに予想していたのが、それよりも早く来るという可能性をこの白書で示されたわけでありますけれども、結局は、もう昨年からそういった現象が起きてしまっているということであります。  平成十六年の出生数は約百十一万一千人で、これは前年比で見ますと一万三千人がもう既に減少をいたしております。人口動態統計速報によりますと、この十七年の上半期の速報値だけでも死亡者数が初めて出生数を上回ってしまったということで、実質、人口減少というものがもう既に始まってしまったということでありますけれども内閣府の調査によりますと、平成十四年、社会全体が子育てに支出した費用総額というのは三十八兆五千億円であります。国と公共の負担というのは約二十兆円ということでありまして、これを対GDP比で見ますと四%ということになりました。  こうした状況について、子育ての支援メニューというのはしっかりとそろってきているけれども、欧米諸国の内容と比較すると必ずしも十分ではないということを白書も訴えて強化をお願いをしているということでありますけれども。  我が自由民主党といたしましても、これから国民の皆さんに育児休業取得促進、そして待機児童ゼロ作戦の継続、また子育て支援税制の拡充、検討というようなことを支援策と掲げまして、一生懸命に今取り組んでいるところであります。特に、児童手当の支給の引上げですとか、又は出産育児金の引上げということの対策を打ち出して、自民党の一人として、与党の一人としてこういった政策を着実に行って実行を遂げていくということをお約束し、そしてさらには、創意工夫をしてこれから着実に少子化対策について、歯止めを掛けるべき努力をしていかなければいけないというふうに思っているところでありますけれども。ただ、これだけ我が国は十五年間にわたりまして、少子化というものの問題について対策を十五年間もやってきているわけですけれども、一向にこの歯止めが利かないというのが現状であります。  この一つの問題としまして、私は、一つ一つのそれぞれの少子化対策について十分にまず評価がなされてから次の対策にということになってないんではないかなというふうなことを思うわけですけれども、これに対して政府はどのようにお考えでしょうか。
  249. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今御指摘いただきましたように、この五年間を振り返りましても、保育所の整備費予算拡充の中で受入れ児童数が約二十万人増えております。延長保育予算、これも五千か所を増加させております。放課後の児童クラブ予算、これも四千か所を増やして、予算的には三十億円を使ってきた。また、児童手当については、支給対象、三歳未満から、平成十二年に小学校就学前、それから小学校第三学年修了前と、二回にわたり拡大をいたしてまいりました。しかし、そして仕事と家庭の両立ということで支援してまいりましたけれども、御指摘いただいたように、数値としては成果が上がっておりません。  今、欧米の御比較をいただきましたので、私どもも勉強いたしているところでありますけれども、例えば出生率低下で悩んでいる国は、日本、ドイツ、イタリア、そして韓国、台湾であろうと思います。また、フランス、イギリス、そしてアメリカ、こうした国々は成果が上がっている国と考えていいんだろうと思います。  その中で、例えば児童手当を取り出しますと、ドイツ、フランス、お互いに二万円ぐらい、第一子から二万円ぐらいと、同じような支給になっております。しかし、ドイツは一・三、フランスはこの間発表ありました、たしか一・九四まで上昇したと。その違いは何であろうかということになります。  そういった意味では、フランスにおいては、児童手当制度等、集団託児所や認定保育ママと各種の保育サービスが充実し、幼稚園も学校も全日制で、仕事と子育ての両立のしやすい環境が整備されている。ドイツは、今申し上げたように児童手当はフランスと同様でありますが、子育ては家庭でという基本的な認識がございます。そうしたものの中で、保育サービスというものの整備水準が低い。幼稚園や学校も基本的には半日制で給食がない、家庭へ帰るということが基本になっております。そういった意味では、やはり一つの施策ではなかなか進まないですね、複合、様々な施策を組み合わせながらやっていくことが大事であろうと。  また、フランスの特徴と言われておりますのは、国民全体がフランス人を増やすことが重要である、国家として大きな目標である、こういう概念を持たれている。ドイツは、やはり戦争の反省から、産めよ増やせよという時代ではないという認識が強い。ここがやっぱり大きく私どもは利いているんだろうと思っております。  したがって、今回の予算案におきましても、御指摘いただきましたように、出産一時金を三十万円から三十五万。また、小学校三年生までだったのを小学校修了まで拡大をしてきた。また、育児休暇というものの特に男性の取得率が極めて低い。こうしたものを取った人に対しては、例えば中小企業の場合は資金的な援助をしましょうというところまで今回の政策で打ち出させていただきますと同時に、従来ですと一月一日に人口はこうなりますよと発表をいたしておりましたけれども、十二月の末に発表させていただきました。国民意識としてこの少子化問題をどう考えるか、お互いに考えながら次の時代をやっぱりつくっていくためには、子育てなり結婚というものが重要であるというのをお互いに認識していく社会をつくっていかなきゃならぬと、こんな思いで今取り組んでいるところでございます。
  250. 橋本聖子

    橋本聖子君 ありがとうございます。  今、大臣の方から、欧米諸国の出生率が少しずつ上がってきているというその国についての例を挙げていただいて、分かりやすく説明をいただきましたけれども、まあ、今までの対策の柱というのは両立支援と経済支援というこの二つがポイントになってきているんではないかなというふうに思いますけれども、この三十年間を見まして、例えば女性の労働力率、これは日本は五・二ポイント上昇しているわけです。ですが、出生率というのは二・一三から一・二九まで落ち込んでしまっているということ。こういった観点から見ましても、両立支援というものについてもまだまだ実効性に欠けるという面が多々あるかというふうに思いますけれども、目に見えて、経済支援というものはまだまだ先進国から見て最下位のグループ以下であるというのが我が国の現状であるわけです。  そういった観点から見ますと、今、全国見まして、日本という国、社会保障給付制度、この予算というのは約八十四兆円なわけであります。このうち、高齢者関係に対しましては実に全体の七〇・四%の五十九兆円が給付されております。高齢者へのこの割合を低くしてほしいというようなことでは全くないわけでありますけれども、児童そしてまた家庭関係に対してのその率を見ますと三・八%、実に三・二兆円にしかすぎないということであります。  これまでエンゼルプラン、そしてまた新エンゼルプラン、また子育て・子ども応援プランというのが逐次実施されてきておりますけれども、当然児童の受入れ数の増大だとか、そういった成果を表しているようなところはまだたくさんあるんですけれども、ですが、先ほど大臣もおっしゃられましたように、もっともっと諸外国と比較して目に見える給付というのが我が国は少ないんではないかなというふうに感じるところであります。  フランス、スウェーデン、イギリスということにつきましても、いずれも所得制限がなしにあらゆる支給対象になっているということでありますけれども日本は例えば支給対象が六年生まで今望まれているところですけれども、諸外国は十六歳から二十歳までこういった給付が行われているということ、そういうことを見ましても、もっともっと日本はこの目に見えるサービスというものが必要になってきているんではないかなと、そういったことをいま一度大臣の方からお聞かせいただきたいというふうに思います。
  251. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今回の予算も、財政厳しい中でございましたけれども、子育て支援という一つの対策の中から児童手当、これを小学校六年生まで拡大をさせていただきました。ただ、額的にどうですかと言われますと、確かにフランス、イギリスにしましても、先ほど言いましたドイツにしましても、第一子から二万円を超えておるというのが現状でございますので、今、橋本さんから、橋本議員から御指摘いただきましたように、こうした制度を一つ一つ積み上げながら、さあこの過程でどのぐらいいったんだというものを検証しながら議論をだんだんだんだん煮詰めていかなければならないだろうと。  そういった意味では、昨年来、予算編成という中で、自民党、公明党さん一緒になって考えてきて今度の対策を打ち出させていただきました。また足らざる点があればまた次の施策として積み上げていかなきゃならぬ、そして検証しながらやっていかなきゃならぬと、このように考えております。
  252. 橋本聖子

    橋本聖子君 ありがとうございます。  やはり先進国のデータから読み取るべき点というのは、これは出生率を確実に上げている国からということでありますけれども、そこから見習うべき点というのは、やはり働くことへの社会制度や価値観など、社会環境が大きくやはり作用しているということは背景にあるんではないかなというふうに思いますけれども、でも、一番は、出産後の女性が働く場というのがしっかりとされているかされていないか、こういうことも相当な問題になっているんだというふうに思います。  先ほど大臣から御指摘がありましたフランス、これは、どちらかの親が、お母さんかお父さんがですけれども、子供が三歳になるまではしっかりと育児休業をする。でも、それに対してフランスは、しっかりと国から毎月五百十二ユーロ、約七万円ですね、第三子が生まれれば月十万円を支給するという方針をしっかりと打ち出して、着実にこの手厚い支援によって出生率がアップしているということであります。  こういった少子化の理由というのは、それぞれの国、またそれぞれの立場で様々であるというふうに思いますけれども、今回、私の地元、北海道ですけれども、小学校四年生、五年生、六年生、そして中学、高校生といった生徒の皆さんに対して、道内約四十九万人なんですけれども、子育てに対しての関心を持っていただこうというような少子化対策へのリーフレット、パンフレットを配付をしたわけですね。そして、そういった調査をしたところ、実に子供たちは、十五歳から十九歳の七割以上は結婚し子供を持ちたいというふうに答えているんです。でも、その反面、だけれども、子育ては楽しくないだろう、難しそうだというような、そういったもう先入観があるということが調査結果で現れている。これは全国的に言えることだというふうに調査結果をお聞きしたわけなんですけれども。  やはり、今までの世とは違って、核家族化が進みまして、一人で家で子供を育てるという悩みを持ったお母さんが増え、そして幼児虐待というようなそういったニュースを子供たちが見ますと、やはり子供を育てるのは難しいんだ、どうしようかなというふうに考えるのは当たり前だというふうに思うんですね。  これから国としては、子育て世代への対策というのはもちろんなんですけれども、子供たちの時代から少子化という問題についてしっかりとした教育の中に盛り込むべきではないかなというふうに思いますけれども、それについてどのようなお考えでしょうか。
  253. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) ちょっと訂正だけしておきます。フランスの児童手当は二万円ですけれども、第二子からのようでございます。それだけちょっと私、間違えましたので、訂正させていただきます。  今御質問いただきましたように、私もいろいろな制度の組合せと申し上げました。それから、国民意識というのを変えていかなきゃならぬ。国民意識を変えなきゃならぬ一番やっぱりメーンテーマは、子育ては正に夫婦でやっていく、そして女性も子育てと仕事をする、両立する時代になっていくんですよと。そういう中で会社の経営する皆さん方にも理解をしてもらわなきゃならない。そういった意味で、今国会も男女雇用均等法、これの改正をさせていただきます。  それから、少し若者の結婚が少なくなっている。やはり若者の自立というものをどうやって支援するかということがもう一つ大きなテーマになってまいるだろうと。  それから、今御提案いただきましたように、やはり家庭の温かみというものをやはり小さいころからしっかり教育をしていく。家庭とか親子とか、そんなものをやっぱり教育の現場でしっかり、そういう意味では、子育て体験というんですか、そういうものを小さいうちから、実は、子供がたくさんいればそんなことする必要ないんですけれども、いない社会ですから、正に小さな子に中学生、高校生の時代から触れ合いをしていくということは極めて大事な施策だろうと思いますので、小坂文部大臣にもよくお願いをしておきたいと思います。
  254. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 橋本委員指摘のとおり、そういう暗いニュースや何かの中で、子育てというのは大変だなというイメージばかりが膨らんでしまっては、これは困ることでございます。  少子化対策として、学校教育の中で子育ての大切さを教えることは大変重要だと、このように考えておりまして、小中学校では生活科やあるいは家庭科等において、家族や家庭生活の大切さ、そしてまた子供を産み育てることの意義や重要性というものについて指導していくと同時に、また幼稚園や保育所等に出向いて、そして幼児との触れ合いを持っていただくような活動をする。あるいは、子育てについての実感を伴った理解ができるような、そういった教育現場にそういったものを持ち込んで教育の指導をしていく。また、文部科学省として、保育体験等を推進する事業やあるいは教師用の子育て理解教育指導資料、こういったものを刊行するなどの取組を行っているところでございます。  今後とも、子供を産み育てることの意義や家族の役割の重要性、そして温かみを持ったいたわりの心が育つような、家庭や地域に対する愛情、そういったものを育てる教育に力を注いでまいりたいと存じます。
  255. 橋本聖子

    橋本聖子君 ありがとうございます。是非よろしくお願いしたいというふうに思います。  限られた質問の時間、もう短くなってまいりまして、簡潔にお願いを、私の方からの質問は簡潔にさせていただきたいというふうに思うんですけれども。  済みません、教育基本法の改正についていきなり入らせていただきたいというふうに思います。  中教審からの答申、約三年がたつわけでありますけれども、我が国のグランドデザインを考える上でこれは必要不可欠となってきているわけですけれども総理に改めて、この法律改正の提案について、提出について御見解をいただきたいというふうに思います。
  256. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 教育基本法については、現在、自民党、公明党、与党でよく協議をしていかなきゃならないと。この数年、真剣に協議を続けてまいりましたけれども、まだ両党ですっきりと合意できる段階になってないものですから、更に精力的に議論を重ねながら、教育の重要性、基本的な問題について、日本がここまで発展してきたのは教育による力が大きいということを再認識しながら、今国会において早く結論が出せるように精力的に取り組んでいきたいと思っております。
  257. 橋本聖子

    橋本聖子君 ありがとうございます。  公共心の希薄化、少年犯罪の低年齢化そして凶悪化、こういったものを食い止めるためにもやはりしっかりとしたデザインが必要ではないか、早急に今年にも是非ともこの教育改革というものをしていかなければいけないというふうに思っております。  私のライフワークの一つとして幼児教育というものがあるわけでありますけれども、今年は特に注目される法案といたしまして幼保の統一の統合型の施設の法案があります。そのことについてちょっとお伺いをしたいというふうに思うんですけれども、この統合施設ども園が設置されることに対して大変な期待を持たれているわけでありますけれども、ただ、施設の種別や地域ごとの施設設備といったことを考えますと、やはりどうしても格差が生じやすいんではないかというような心配がありますが、配置そしてまた配慮が必要だというふうに思いますけれども大臣、いかがでしょうか。小坂大臣、お願いします。
  258. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 幼児期の教育に対して、地域と都市といろいろな違いが出てまいりますし、またそのニーズについても、共稼ぎ世帯の多い地域あるいはそうでない地域、いろんな形で保育園に期待する部分あるいは幼児教育としての幼稚園に期待する部分、いろいろございます。そういった意味で、幼保の一貫教育、一体化ということについては、それぞれの地域がそれぞれのニーズに合った形で要望を出していらっしゃいます。  そういった中で、言ってみれば中山間の地方になりますと、幼稚園というものがほとんどない、保育園しかないというような状況も出てまいります。そういった中で、それぞれのニーズが、格差が生じないように、私どもといたしましては、保育士の皆さんに幼児教諭の、幼稚園教諭の免許の取得を容易にするような働き掛けを行ったり、あるいは逆に、幼稚園教諭の方々に保育士としての免許を取得していただくような形を厚生労働省の方で進めていただいたり、お互いに協調しながら保育園、幼稚園に対してそういった働きを行う。  また同時に、一体化の施設、総合施設を推進していくというふうなことを併せてやっていくことが今、橋本先生が、橋本委員がお話しになったような格差を生まない形での幼児教育を推進することにつながっていくと、このように考えておりますので、そのような働き掛けを積極的に行って推進してまいりたいと存じます。
  259. 橋本聖子

    橋本聖子君 厚生大臣、お願いします。
  260. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今、小坂大臣からお話がございましたけれども、今年は法案を出させていただいて御論議をいただくことになりました。今までいろんな御議論を踏まえながら、正に幼保教育というものが一つの施設で行われるという時代を迎えることになりました。これが本当にうまく進んでいくように、両省しっかり気配りをしながらやらなきゃならぬと、こう思っております。
  261. 橋本聖子

    橋本聖子君 ありがとうございます。  続きまして、最後になりますけれども、スポーツについてお伺いをしたいというふうに思います。  もうすぐイタリアでのトリノ・オリンピックが開幕をしまして、全国民が、世界がいやが応にもこのスポーツへの関心が高まるというところではないかなというふうに思っておりますけれども、やはりこうした国際舞台で活躍するアスリートというものが、もっともっとセカンドキャリアの面も含めた中でこれから考えていかなければいけないということでありますけれども、今までやはり、どちらかといいますと、政府はスポーツをまだまだ文化としてとらえていただくことが少ないんではないかなというふうに思います。  ちょっとだけこの数字を述べさせていただきたいというふうに思うんですけれども、スポーツ産業を活性化としたその市場というのは、我が国は約四兆四千億円なんですけれども、米国ではこのスポーツ産業の規模というのは約十五兆円にも達しておるわけですね。やはりそういった世界をPRすることのできるスポーツの選手を育成をするということが、少ない投資によって莫大な市場を活性化させるという大きな力を持っているのがこのスポーツでありまして、是非そういったスポーツの選手のセカンドキャリアというものが医療や福祉や教育にしっかりとつながっていくんだという観点から是非考えを見直していただきたいというふうに思いますけれども、小坂大臣、いかがでしょうか。
  262. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 委員指摘のとおり、スポーツで輝かしい成果を上げた選手の皆さんがセカンドキャリアとして地域のスポーツに対して指導的な役割を担っていただく、あるいは後進のスポーツ選手の育成に携わっていただく、このことは大変重要なことだと思っておりますし、私どもといたしましても、この総合型地域スポーツクラブ、こういったものを推進して、そして全国二千二百余りの市町村それぞれに少なくとも一つ以上そういった総合施設を造って、施設を造る、あるいはそのソフトの、ソフト面の、必ずしもその施設だけではなくて、クラブを、スポーツクラブというものをつくり出していきたい、そういう推進事業をやっているわけでございますけれども、そういったものに対する指導者が不足をいたしております。  そういった指導者の役割を果たしていただく上でも、セカンドキャリアとして携わっていただくことは大変重要だと思っておりますし、それから外国の例を見ますと、金メダルを取れば国が生活を保障してくれて、そして国民のスポーツに対して余生をつぎ込んで一生懸命取り組んでいただくというような国もあるわけでございますので、このスポーツ選手の活躍というものを、現役の輝かしい部分だけを光を当てるんではなくて、その後のセカンドキャリアとして、今度は逆にその選手たちのそれまでに培った力を国民に返していただく、このことは大変重要なことだと思っておりまして、そういった面の育成についても、施策についても私の立場として努力をいたしたい、このように考えております。
  263. 橋本聖子

    橋本聖子君 どうぞよろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  264. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で市川一朗君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  265. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、加藤修一君の質疑を行います。加藤修一君。
  266. 加藤修一

    加藤修一君 公明党の加藤修一です。  まず、少子社会についてでありますが、昨年、公明党はマニフェストで児童手当の拡充をお約束いたしました。児童手当は公明党が情熱を持って取り組んだ長い歴史があります。いよいよ、小学校六年生終わりまでの一千三百十万人に支給の予定になっているわけでございます。  ところで、子育てについて、そのコストを全部かぶって産むことでは低出生率になるのは当然という意見、あるいはコスト拡大をどうするかと、自由時間を削られて、働く女性は退職に追い込まれると、あるいは、そういった意味では仕事と生活が調和する社会、社会全体でいかに子育てを支えるか、これらを考えてまいりますと、しっかりと制度をつくり上げていくことが非常に大事であると考えてございます。  総理は演説の中で、一部の利益を目指すものではなく、国民全体の利益を目指すとありましたが、少子化問題も正にこれに当たるわけでありまして、総理の御見解と御決意をお伺いしたいと思います。
  267. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 子育て・子ども応援プラン等、公明党の皆さんが積極的に支援していただいていることは今までの連立政権の中でも十分承知しておりますし、この努力に対して敬意を表しているところでございます。  少子化の問題というのは、今質疑の中でもいろいろ述べられましたとおり、一つの原因ではなくて多様な様々な要因があると思います。また、各国の事情を参考するにしても、その国の事情も日本とはまた違った事情もあると思って、なかなか難しい状況でありますけれども、やはり子供はもう国の宝といいますか、社会の宝という、そういう認識をお互い持ちながら、今、核家族ですから、我々の子供の時代だったらば、近所の子供も多かった、家族も三人、四人は当たり前だったと、相談する相手も地域のおじさん、おばさん、あるいはおじいちゃん、おばあちゃん、そういう状況でありましたけれども、今や若い親御さんにとっては相談相手がいないと。初めての子育てで、何で泣いているのか分からないとか、様々な問題も出ているようであります。それだけに社会全体でこの子育てを応援するという、そういう状況になってきたと思います。  何よりも子育ては楽しいという、子育ての喜びを感ずることができるような社会が必要であって、今、子育ての苦労ばっかりが取り上げられておられますけれども、やはり子を育てるというのは、苦労だけでなく、ほかには代え難い喜びがあるはずであります。また、生きがいがあるはずであります。そういう点も含めて、社会全体で子供を守っていこう、子育てしていこうと、子供を支援するという状況と子を育てている親を支援していこうという対策も必要だと思っております。  今回、少子化対策の担当大臣として猪口氏を起用いたしましたけれども、厚労省とかあるいは文科省だけでなくて、この問題は各府省連携して努力していかなきゃならない問題であり、予算面におきましても、公明党の皆さんが主張した、小学校三年から六年まで児童手当を拡充せよと、あるいは出産一時金も今まで三十万円だったのを三十五万円に引き上げろという点につきましても予算で手当てしておりますので、こういう点につきましては、今後ともまだ様々な支援が必要だと認識しております。
  268. 加藤修一

    加藤修一君 フランスなどが非常に参考になると思いますが、総理にお聞きしたいわけでありますけれども、今後、更に児童手当の拡充など、子育て支援にどのように対応されるかお聞きしたいと思います。
  269. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今後も、この子育て支援策あるいは児童手当等の拡充策でありますが、よく状況を見ながら判断していかなきゃなりませんし、先進国になる、生活水準が豊かになってくると子供の数が減少するという、こういうことから、一様ではないと思っておりますし、私は子育ての拡充策は必要だと思っておりますし、それが何歳まで児童手当を拡充するか、あるいは額をどのくらいにするかというのは、今後よく財源との見合せも考えながら拡充策は考えていかなきゃならないと。  また、これはフランスとかイギリスとかドイツの例を出されますけれども、フランス、ドイツ、イギリスも日本に比べて移民がはるかに多いんです。アメリカもそうです。日本がほかの国と比べて移民が少ないという状況もありますし、逆に、高齢者と女性の社会参加の割合が少ないということは、まだまだ高齢者の社会参加、女性の社会参加の余地があるということであります。この点はやっぱり社会の活力ということから考えて、急に移民を拡大するということじゃなくて、国内でできること、移民を拡充する場合にはどういう手当てが必要かと。  若い人の婚期も遅くなっています。結婚したがっている男女が多いのに、その割合が少ない、結婚すれば必ず子供は増えると言う人もいますので、そういう点も含めて多様に考えていく必要があるのではないかと思っております。
  270. 加藤修一

    加藤修一君 多様に真っ正面から取り組んでいただきたいと思います。  それでは、川崎大臣にお尋ねいたしますけれども、二人目を産んだら家計がもたないという、こういう声も決して少なくはないわけでありまして、子育ての特に年金の保険料免除、こういった面についても思い切った対応を考えていく必要があるんではないかなと思っておりますが、この辺についての御見解をお願いいたします。
  271. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今委員の御指摘は、例えば育児休業中の期間中の厚生年金保険料の免除対象を一歳未満から三歳未満へ拡充ということで、育児休業を取りやすいようにしようということで対応を打ったと。したがって、この間については年金保険料が免除されると同時に、代わって国の方から納めるという形になります、担保されるということになります。  多分、委員は、この育児休業を産休中まで拡大したらどうだと……
  272. 加藤修一

    加藤修一君 産前産後。
  273. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) これは、御承知のとおり、育児休業の場合は担保が、給料が四割の担保になっておりますけれども、産休の場合は六割相当の出産手当金が出ます、一つの理屈は。もう一つは、産休自体は労働基準法の規定に基づき義務付けられているんです。したがって、これは当然受けられるものと。そういう意味では、インセンティブを育児休業の方に付けたいという意味で今回施策を打ちました。  しかし、委員の議論はよく分かっておりますので、またこれから、私ども、次の政策に取り組むときに十分議論をさせていただきたいと思っております。
  274. 加藤修一

    加藤修一君 よろしくお願いしたいと思います。  次に、日本地域におけます雪害の関係でありますが、過疎・高齢化集落等を直撃いたしまして、先ほど来話がありましたように百人を超える犠牲者を出したわけでございます。亡くなった方の御冥福を心からお祈り申し上げますと同時に、関係者の皆さんにお見舞い申し上げる次第でございます。  私たち公明党は、現場の把握が大事であると、こういう思いから一月八日には群馬県のみなかみ町、そして翌九日は新潟県の南魚沼市、十日町、そのほか全国各地で現場で実態調査をしてきたわけでありますが、そして一月十一日には独居老人対策を含めた八項目について政府に申入れをしたところでございます。  そこで、北側、竹中、中川大臣にお聞きいたしますが、切実な要望の強い除雪費用や農林水産被害などの豪雪対策の予算措置は果たして十分なんでしょうか。この辺についてよろしくお願いをいたします。
  275. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 市町村道の除雪費につきましては、今調査をしております。調査もほぼ取りまとまっておるところでございますが、当初予想、予定した予算を使い切っている市町村も続出をしておる状況でございます。市町村道の除雪費につきましては、基本的には地方財政措置によるわけでございますが、今年のような豪雪の場合には補助制度の活用ということもさしていただいておりまして、今総務省また財務省と連携を取りながら、近々市町村道への補助措置が実行できるように今準備をしているところでございます。
  276. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 総務省としましても今回の雪害、大変深刻に受け止めております。我々は、地方公共団体のその雪害、排雪等々の経費などでございますけれども、従来から基準財政需要の算定において、いわゆる寒冷補正というのを行っていますから、積雪の度合いに応じて所要額を措置するような仕組みは持って、既に持っていることは持っております。  しかし、それにしても、今回様々な需要が膨らんで、地方公共団体からもいろんな要請を受けております。我々としては、そうした点も踏まえまして、特別交付税により所要の措置を講じる必要があるというふうに思っております。  今年度の特別交付税につきましては、現在、三月分の算定作業中でございますけれども、各地の豪雪によって除雪、排雪経費が多額に上っているところがこれは現実にございますので、地方公共団体の運営に支障が生じないように適切な算定を努めてまいる所存でございます。適切に対応するようにという指示を重ねて出しているところでございます。
  277. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 農林水産関係につきましても、生産あるいはまた施設、それからいわゆる春以降についての準備で大雪で大変影響を受けているところであります。そしてまた、いわゆる農道が大雪で交通ができないということの影響も大きいわけでございますので、これは一つには市町村の除雪にお願いをするわけでありますが、そのための財源としてのいわゆる交付税の裏打ちを総務省の方に今鋭意お願いをしているところでございます。
  278. 加藤修一

    加藤修一君 万全な対応を重ねてお願いしたいと思います。  それでは、二階大臣、除排雪に関するほかの件でございますが、独り暮らしのお年寄りなど、除雪作業の関係について、そういう話を持ち掛けて、後で法外な料金を請求する悪質な業者が出ている可能性もあるわけでございますが、この辺についての対策についてはどのようにお考えでしょうか。
  279. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) お答えします。  事業者がこの消費者のお宅を訪問などして行う雪かきでありますが、役務提供契約は当然特定商取引法の対象となっております。そこで、事業者には契約の内容についての書面を交付するなどの義務があります。消費者は、その書面を受け取った日を含めて八日間は実際に雪かきの作業が行われた後でもクーリングオフが可能であります。また、既に作業が済んだ部分も含めて、その対価は請求されません。  以上の見解につきましては、既に一月の初めに全国の消費生活センター等に周知を行ったほか、一月の三十日付けで改めてその旨を明確にする通達改正を行ったところでありますが、この判断が徹底されますように更に努めてまいりたいと考えております。
  280. 加藤修一

    加藤修一君 よろしくお願いをいたします。  それから、被災地においては、川崎大臣にお尋ねいたしますけれども、高齢者が一人で除雪作業をして命を落とした例もあるわけであります。また、独居老人が、いわゆるその老人世帯の関係でありますけれども、そういった面に訪問するとか声掛けをするとか、そういった意味では防災と福祉の中間に位置する話になるかもしれませんが、切実な問題だと思うんですね。そういう豪雪地域の今後の福祉的な取組、これについてはどのようにお考えでしょうか。
  281. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 一つは、高齢者の住宅の雪下ろし問題、実は一昨年まで予算を持っておりましたけれども、基本的にはこれは税源移譲をして地方がやるべきであろうということの整理をいたしております。  それからもう一つは、阪神・淡路大震災からボランティアというものの活動が非常に大きくなってまいりました。そうしたものの受皿をしっかりつくりながらボランティアに活動していただくという意味で、新潟、長野、福井、鳥取、秋田、富山において、まず県がボランティアセンターを、本部なりセンターを設置いたしております。それから、各市町村が福祉協議会を単位にボランティアセンターをつくり、そして今お話がございましたように、独居老人に声を掛けていくとか様々な活動をしていただいているところでございます。
  282. 加藤修一

    加藤修一君 ところで、小池大臣、非常に大寒波という話でありますけれども、昨年京都議定書が発効いたしまして、CO2削減、これは政府が先頭を切って目の色を変えてやらなければいけない極めて重要な問題でありますけれども、私はあえて取り上げるわけでありますけれども政府の実行計画、この状況、非常に極めて厳しい、怠慢と言われてもしようがないなというところもあるやに聞いておりますけれども、その関係と、それから、やはり私は、総点検してどのように大きくこれを改善していくかということが極めて重要だと思っておりますので、この点についてお願いいたします。
  283. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 御承知のように、我が国は京都議定書におきまして二〇〇八年から一二年の第一約束期間で国全体としてマイナス六%ということで、国民の皆様方にも御協力をお願いし、そしてチーム・マイナス六%という、そのような運動体も進めているところでございます。  一方で、足下を見ますと、政府の温室効果ガスの排出量というのは、平成十六年度においては十三年度と比べまして何と四・六%増えているというようなことで、今おしかりをちょうだいしているんだと思います。床面積が増えてきているとか、環境省の場合ですと、例えば地方支分部局を新たに設けるなどということになりますとその分増えたりもするんですけれども、電力使用量の増加、それから電力一キロワット当たりのCO2の原単位の悪化、この二点がそういったかえって増えてしまった原因にあろうかと思っております。  そこで、昨年の十二月二十七日、暮れの押し詰まったところでございますけれども内閣官房において、これではいかぬということで、関係省庁の局長級から成ります地球温暖化対策推進本部幹事会を開催いたしまして、政府として一層の取組を進めていかなければならない、まずは原因の究明を行う、それぞれ一つ一つの役所で。そしてまた一方で、冷暖房の適切な運転管理、それから消灯を進めていくといったようなソフト面、それから省エネ改修、新エネ、省エネ機器の導入といったようなハード面、二酸化炭素の排出削減を考慮いたしました電力購入ということなど、各分野での各省庁でのなすべきことということを整理をいたしまして、そして三月末までに取組の具体化を図ることといたしております。  国民の皆様方にウオームビズだ、クールビズだとお願いしているわけでございますので、政府自らがきっちりとした数字が出せるように取り組んでまいりたいと考えております。
  284. 加藤修一

    加藤修一君 緊張感を持って取り組んでいただきたいと思います。  今の答弁を踏まえまして、北側大臣にお願いでありますけれども政府施設のグリーン化、例えば断熱工法、そういった新技術、省エネ機器、あるいは自然エネルギーの導入、そういった削減大作戦をすべきでありまして、また別の大きな観点からしますと、私は気候変動に適応する国土形成についても取り組む必要が十分あると思っていますので、この辺についてよろしくお願いいたします。
  285. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今、小池大臣が申しましたように、政府自ら率先して、この温室ガス、温室効果ガスの削減に努めていかにゃならないと考えております。  官庁施設につきましては、太陽光発電だとか雨水利用システムだとか断熱材の活用だとか、そうした環境負荷を低減する技術を活用した庁舎をグリーン庁舎というふうに言っておりまして、この整備を今推進をしているところでございます。また、既存の官庁施設につきましては、そうした環境性能がどうなのか、その辺の診断をしようということで、これはグリーン診断と言うんですが、このグリーン診断を促進をしておりまして、その結果を踏まえまして、エネルギー効率の高い機器への更新などのグリーン改修工事を計画的に今実施をしているところでございます。  さらに、委員の方から今おっしゃいました国土形成計画、昨年法律を通していただきまして、これから国土形成計画の策定に当たるわけでございますが、その中で、地球環境の保全に寄与する豊かな環境の基盤となる国土を形成していくということを基本理念として明示をさせていただきました。今後、具体的な計画策定の中でしっかりと環境に資する計画を作ってまいりたいと考えております。
  286. 加藤修一

    加藤修一君 よろしくお願いいたします。  それでは、二階、小池大臣、両大臣にお願いいたしますが、日本の将来、可能性が高くて期待ができる道、国の形ということになりますけれども、世界的に優れているいわゆる環境技術あるいは環境ビジネス、あるいは環境保全に関する知的財産権、あるいは、さらに環境教育や環境文化、こういったものを最大限に生かして、やはり経済的にも強い環境立国、そういう道が考えられると思っておりますが、いかなる展望、お考えをお持ちか、お願いいたします。
  287. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 我が国は、御承知のように、省エネルギー、新エネルギー、リサイクルなどの環境技術、日本人の物を大切にする心など、優れた特徴を生かしながら環境エネルギー問題に積極的に取り組んでまいりました。その結果、例えば新エネルギーの分野では、我が国は御承知のとおり太陽光発電の生産量、導入量で世界の約半分を占めております。燃料電池自動車を二〇〇二年から世界に先駆けて市販するなど、世界をリードしております。  今後、燃料電池自動車につきましては、更に積極的に省を挙げて取り組むようにという総理からの御指示もいただいております。また、鉄鋼やセメントなどの産業界のエネルギー消費効率につきましても、世界的に優れた水準になっております。さらに、現在、私たちの経済産業省で策定中の新経済成長戦略におきましても、このような日本の強みを生かすべく検討をいたしております。また、我が国の環境技術を国際的に展開し、世界の環境問題の解決に貢献してまいりたいと考えております。  今後とも、我が国の最高水準の技術を生かしながら環境と経済の両立を図り、加藤議員御指摘のとおり、私たちは環境立国を目指して着実に歩みを進めてまいりたいと思っておりますので、今後とも一層の御協力をお願いしたいと思います。
  288. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 今、二階大臣の御答弁の中にもございましたけれども、環境を良くすることが経済を良くし、また経済を良くすることが環境を良くするという、このような好循環をつくっていくことで環境立国の基盤をつくっていきたいと思っております。  また、既に、もったいないといったような日本の美徳、昔からございます、こういった美徳など心の部分と、それから環境技術といった技の部分と、うまくこの二つを加味、両立させることによって日本という国の環境立国という基盤を更に強固なものにできるものと考えております。  また、海外においての環境の面での支援と申しますか、それはやはり日本におけますこれまでの経験などを十分に生かして、そして海外におけます、世界におけます環境支援というのも日本の世界における大きな役割であろうと思っております。昨今、ODAなどもいろいろと議論になっているようでございますけれども、各国のニーズの中には環境というテーマが多々あるわけでございます。是非ともその閣僚会合の中に環境大臣もレギュラーメンバーとして入れていただかなければ、うまく我が国としての環境外交ということのメッセージにつながらないのではないかということで、こういったことを国家として考えるべきだと思っておりますし、また環境立国として更に世界にメッセージを発していきたいと、このように考えております。
  289. 加藤修一

    加藤修一君 しっかりとお願いしたいと思います。  それでは、総理にお尋ねでございますが、公用車の総入替えとかあるいはハイブリッド、先ほど話が出てまいりましたように、燃料電池車の購入等々、そういった意味では環境に大変御熱心で非常に評価が私は高いと思っておりますが、ただ、先ほどの政府の実態報告にありますように極めて残念な成果になっておりまして、また、今の環境立国日本ということに対しても、総理自身、どのようにお考えをしていらっしゃるか、教えていただきたいと思います。
  290. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 環境保護と経済発展を両立させるという、これに小泉内閣として特に力を入れているんです。  御承知のように、今まで高度経済成長の時代には環境保護に余り投資すると会社の製品が高く付くと、やっぱり製品はいかに安く売るかということで、環境保護に重点を入れると売行きが悪くなるという、こういう考え方を転換していかなきゃならないと。やはり、多少製品が高くなっても、環境に優しい、あるいは使えるものはまた使うというリサイクル社会、こういう環境保護は必ずしも経済発展を阻害しないと。そういう社会をつくりたいということで、私は各国の首脳会議、サミットにおきましても、日本の四十年前の高度成長に対するいい点と、それから公害を引き起こした悪い点を両方例に挙げまして、発展途上国の皆さんも環境投資は経済発展を阻害するという考えは持たないでほしいということを常に訴えているんです。  先ほども小池大臣からお話ししましたように、もったいないというこの言葉にケニアのノーベル賞を受賞されたマータイさんも感銘を受けて、むしろ自分からこれは世界の言葉にしたいということを訴えておられるように、もったいないと、物を大切にするということと経済発展、これを結び付けていくことが、今後、日本は国際社会の中でも環境先進国であると、科学技術を考えるにおいても環境保護を常に重視していかなきゃならないと。  この掛け替えのない地球を後の世代に残すということでありますが、去年の愛知における万博におきましても、たしかフランス館でしたかね、この地球を後の世代に良い状況で残していくというよりも、むしろ後の子供たち、孫の世代、若い世代に我々は地球を借りているんだという、こういう意識が必要だということは傾聴に値する。今後、環境保護と経済発展の両立を図り、日本は世界から環境大国であると、環境投資、環境をあれだけ重視しても経済発展しているというような国にしていかなきゃならないなと。  最近、小池大臣は、ウオームビズとかクールビズじゃなくて、ペットボトルを使ってふろしき作って、余り包装紙をどんどん捨てるんじゃなくて、ふろしきで経済の発展と環境保護できるんじゃないかと、パリでふろしき展を展示しようという大ぶろしき掲げてやっておられるようですけれども、そういう動きもいいんじゃないかなと思っております。
  291. 加藤修一

    加藤修一君 非常に大ぶろしきの話は感銘いたしました。また、お考えについても感銘いたしました。全く賛同でございます。  それでは、次に、耐震偽造問題について北側大臣にお伺いいたしたいと思います。  今後の未然防止の関係でありますけれども、建築確認時の審査あるいは施工段階の検査の徹底、さらに瑕疵担保責任や罰則の強化がありますが、これについてどのような方針でいかれるのか、教えていただきたいと思います。
  292. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今回の耐震偽装事件、極めて遺憾なことでございまして、二度とこうした事件を起こさないために建築確認の事務の総点検を今やらしていただいております。その総点検の結果も踏まえまして再発防止策を取りまとめたいと考えております。  現在、社会資本整備審議会で御議論をいただいているところでございますが、例えば建築確認時の審査につきましては、一定の建物につきましては構造計算書の再計算をやってもらう、また構造設計の専門家によって審査を別にやっていただく。こういうダブルチェックをやって審査の徹底を図っていくだとか、また、施工段階の検査、これ中間検査でございますが、この中間検査につきましても、今は地方団体が条例で義務化することができるわけでございますけれども、これにつきまして、一定の建築物につきましては中間検査をもう法律で義務付けをすることも検討すべきと。また、中間検査そのものの厳格化もしていく必要があるというふうな議論もなされているところでございます。  また、住宅の品確法で瑕疵担保責任、十年の、売主は十年の瑕疵担保責任を負っているわけでございますが、しかし、この瑕疵担保責任あるといっても、その売主が財産がなかったり、さらには破産をしてしまったならば、幾ら瑕疵担保責任があるといっても実行できないわけですね。この瑕疵担保責任の履行を実行していく対策をやはり検討していく必要がある。これは消費者保護という観点からそういうことも今検討していく必要があるということで、これにつきましても、社会資本整備審議会におきましては、一定の住宅の売主による瑕疵担保責任保険、保険への加入などの措置を検討するだとか、また罰則の強化につきましても、こうした重大な建築基準関係法令に違反した設計者また建築主等に対しては懲役刑の導入も含めた罰則を大幅に強化していく、こうした議論も今行われているところでございます。  その他建築士法の見直しについても今御議論をいただいているところでございまして、早急に実施をすべきものにつきましては、二月下旬に中間報告を取りまとめていただきまして、今国会で建築基準法等の見直しをさせていただきたい。そして、それ以外のものにつきましても、今年の夏ごろまでには取りまとめをいただきまして、所要の改正を行っていきたいと考えております。
  293. 加藤修一

    加藤修一君 国民注視の極めて重大な問題でございますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  それでは、額賀大臣にお伺いいたしますけれども、今回の防衛施設庁の問題についてでありますが、一九九八年の談合問題のときも、徹底究明、再発防止に取り組むことになったわけでありますが、今回その教訓が生かされていないと。私は、やはり税金の無駄遣いにもつながっている話でありますので、抜本的な対応をしっかり考えていかなきゃいけないと思ってございますが、この辺について御見解をお示ししていただきたいと思います。
  294. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 加藤委員の御指摘のとおり、八年前に、自衛隊の装備等を購入する調達本部において水増し請求事件というのがありまして、業界の言うとおり水増しをして国家に損害を与えたということで背任事件があったわけであります。  この点について、私は当時、二度とこういう事件を起こしてはいけないということで、調達本部の中で原価計算部門と契約部分を分離いたしまして、そして原価計算部分と監査部門を内庁に置きまして万全のチェック体制をつくり、そして第三者的な監視体制もつくりまして、今日まで自衛隊の調達部門については透明性を持った形で運営がなされてきたというふうに思っております。  当時、防衛庁については、国民的な指弾があって、防衛庁の出直しをしろということでありましたから、我々もそういう万全の体制をしいて防衛庁内の問題として取り組んで、こういう事態が起こらないようにしたわけであります。  もちろん、当時の施設庁も含めた話のことでありますから、それが今日また再び、今度は同じ米軍施設だとか自衛隊の今度は施設部門においてこういう案件が起こったということは、当時の教訓が全く生かされていないということをまざまざと見せ付けられたわけであります。私は、その意味におきまして、これは防衛庁職員それから施設庁の職員が国民を裏切る形の現象であるというふうに認識しておりまして、ある意味では怒りを覚えております。  したがって、昨日私は、防衛庁のそういった行政上、組織上の中でどういう問題点があったのかということをチェックしなければならない、そういうことで再発防止検討委員会というものをつくりまして、この問題に積極的に取り組んで早急に結論を出したいというふうに思っております。  そこで、いろいろ考えてみたんですけれども、あるいは調べてみたんですけれども施設庁というのは、占領軍時代特別調達庁として、米軍のまあ言ってみれば要請に応じて、あるいは建物を造ったり道路を造ったり資材を供給をしてきたりした経緯があります。したがって、そういう歴史的な経緯の中で、ある意味では特権意識が植え付けられた。そして、防衛本庁と施設庁の間では、特に建設部門においては全く人事の交流は行われていなかった。  したがって、当時の教訓が正に生かされていなかったわけでありますから、私はその再発防止検討委員会の結論を踏まえて、この前も様々な意見がありましたけれども施設庁を解体する、そういう中で、再びこういうことが起こることがないようにチェック体制と、新しい防衛庁としての、政策官庁としてのスタートを切りたい、そういうふうに思っているところであります。
  295. 加藤修一

    加藤修一君 いずれにしても、国民の皆さんが納得できる形に収束をさせていただきたいと思います。  それで、今回、官製談合防止法の改正ということも議論になっているわけでありまして、発注者等の罰則の強化ということの視点もございます。  これに関連しまして竹中大臣にお伺いいたしますが、罰則の強化としては、より根本的には私は国家公務員法であると思っておりまして、公務員の守秘義務違反の罰則を格段に重くし、さらに当該公務員を監督指導する上司も処分対象とすると、そういった意味での改正をすべきではないかなと、このように考えておりますが、どうでしょうか。
  296. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) お答え申し上げます。  今回のようなことが起こるたびに、本当に国民の不満、不安はますます高まっていると思います。今、額賀長官が、国民を裏切る行為であるという言葉を使われましたですけれども、そのような非常に悔しい思いというのは我々も同様に持っております。  国家公務員法百条の第一項、これは、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。」、正に守秘義務が規定されておりまして、それに対する罰則としては、国家公務員法第百九条の十二号でございます、十二号で、その秘密を漏らした者を「一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。」と規定をされております。恐らく、国民感情から見て、これはいかにも弱いのではないかと、そこはやはり大変理解できるところがございます。しかし、同時に、これも委員御理解いただけると思いますが、この罰則というのはほかのいろんな罰則の、刑法の体系の中の全体の体系の中で決まっているというなかなか難しい側面があって、これだけを取り出してというのは技術的に大変難しいという面がございます。  いずれにしても、こうした問題の防止に関してはやはり総合的な対応が必要だというふうに思います。これは先ほど額賀長官もおっしゃいましたけれども、罰則ももちろんその中の一つだと思います。そうした観点から閣内でよく話し合っていきたいと思っております。
  297. 加藤修一

    加藤修一君 横並びで罰則が決まっているわけでありますけれども、国家公務員法のこの罰則が極めて根本的なところにあると思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。  それでは、中川大臣、BSE問題でありますが、原因究明等徹底した再発防止策、これは強く当然ながら求めたいと思っております。  まず、米国牛の輸出証明プログラム、これは一体どういう内容でしょうか。
  298. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今日、先ほどから私が何回か輸出証明プログラムというふうなことを申し上げておりますが、改めまして御説明を申し上げます。  これは、本来でありますと、昨年十二月十二日の再開に向けまして、米国産牛肉を日本へ輸出する際に米国が遵守しなければいけない条件を規定したものでございます。これは米国政府が定めまして、日本向けの牛肉を処理する米国の事業者等に適用されるものでございます。  具体的には、すべての日本に向けての特定危険部位の除去、あるいはまた二十か月齢以下であると、牛が二十か月齢以下であるということ、あるいはまた日本向けにはほかの米国内向けとかほかの国向けと別管理にしなければいけないといったような、約二年間にわたるいろいろな作業の結果として、再開するに当たっての米国が守るべきルールであるということでございます。
  299. 加藤修一

    加藤修一君 今の答弁を踏まえまして、再発防止策の一つとして、日本はやはり全施設を査察する、あるいは定期的に年数回行う、そして日本国民にそれを開示するということ、そしてまた牛の月齢判別ですね、これは目の判別によらないで、誕生年月で明確なトレーサビリティー、そういったものを含めてやっていくべきだと考えておりますが、どうでしょうか。
  300. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先ほど申し上げました日本の条件であります二十か月齢以下であるということはどういうふうに確認するかというふうに申し上げますと、一つ目は、生産者が何年何月何日に生まれたという証明書、これはもちろん虚偽であってはならないわけでありますけれども、それをきちっと米国の検査官が確認をするということが一つでございます。  それから、まあ、そういう場合がない場合もあるわけでございますので、そういう場合には、アメリカの農務省がシステムとしてつくっております生理学的熟成度という制度がございます。これは科学的に根拠のあるものであるというふうに日本でも食品安全委員会でも議論の末、この制度も承認されたわけでございます。これによりまして、A40という成熟度の牛が二十か月齢以下であるというふうに判定をしているわけでございます。  なお、これにつきましてはアメリカの農務省の格付官というのが認定をするわけでありますけれども、この格付官をきちっと研修したり指導するためのアメリカの農務省の監督官というものが存在をしているというシステムになっております。
  301. 加藤修一

    加藤修一君 目で判別するというのはなかなか理解しがたいわけでありますけれども。  次に、川崎大臣にお伺いいたしますけれども、鳥インフルエンザ等の新興感染症の関係でありますけれども、P4施設が、これは防疫上大変重要な施設であるというふうに理解しておりますけど、これについて御説明お願いいたします。
  302. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 委員お尋ねのP4施設でございますけれども、国におきましては、感染症対策の中心的研究所として国立感染研究所を設置し、これまで感染症に対する基礎的研究や各種病原体等の分離などを行ってきております。  国立感染症研究所村山庁舎ではP4レベルの病原体等の取扱い可能な施設設備を有し、国立感染研究所病原体等安全管理規程により適切な取扱いを行っております。ただ、地元との問題がございます。P4レベルの病原体等の取扱いについては、地元武蔵村山市、同市議会、住民団体の了解が今日得られておりませんので、いまだ実際に取り扱われたことはございません。
  303. 加藤修一

    加藤修一君 関連。関連でお願いします。
  304. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。鰐淵洋子君。
  305. 鰐淵洋子

    鰐淵洋子君 公明党の鰐淵洋子でございます。私からはアスベストに関する質問をいたします。  初めにアスベスト疾患により亡くなられた方々の御冥福と闘病中の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。  公明党は、昨年七月にアスベスト対策本部を設置いたしまして、現地調査を行い、被害者、関係者の皆様から実情を伺ってまいりました。そして、その対応策政府にいち早く申入れいたしました。  私も先日、環境委員会といたしまして尼崎市の方に行ってまいりましたが、患者や関係者の皆様から救済を求める訴えに私自身も胸に迫るものがありました。政府に対しまして改めて迅速で誠実な対応を強く要望し、また私たちもしっかりと全力で取り組んでいきたいと思っております。  今後の本格的な対応に臨む小泉総理の御決意をお伺いいたします。
  306. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) アスベスト問題について様々な観点から質疑がなされており、政府としてもこのアスベスト被害に遭っている方の救済と、そして今後の防止対策、これをしっかりやっていかなきゃならないというふうに考えております。  まだまだこのアスベストに対しての様々な要因というもの、そして治療というものに対してこれだと確認できない点もあるもんですからなかなか科学的知見といっても理解しにくい点もあると思います。しかしながら、御指摘の点、様々な質疑の中での点も十分に参考にして、今後アスベストの救済なり防止策、各府省連携の下に内閣挙げて取り組んでいきたいと思っております。
  307. 鰐淵洋子

    鰐淵洋子君 ありがとうございました。  今総理からもお話ございましたが、この救済対策の一つといたしまして、このアスベスト疾患の治療法の確立が私も重要であり急務であると考えております。  で、昨年、がん対策推進アクションプランといいますこのがん対策の強化推進が図られておりますけれども、このアスベスト疾患につきましても治療法の確立、また予防法の確立に向けましてこの研究、予防法、治療法の研究、また専門医等の養成を含めて総合的に取り組む基本戦略をしっかりと構築しまして、それを強力に進めるべきと考えますけれども、これに対する総理厚生労働大臣の御見解をお伺いいたします。
  308. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) アスベストの中で、肺がんと中皮腫がございますけれども、中皮腫が最も問題だと考えております。  中皮腫はがんの中でも発見、治療が難しいと言われております。中皮腫に関しましては、これまでがん研究助成金による研究、労災病院における臨床研究等を進めてまいりましたが、いまだ十分な治療効果のある治療方法の確立には至っておりません。このため、昨年秋から、文部科学省と連携しつつ、国立がんセンターを中心に、中皮腫の病態の把握のための症例を登録するシステムの構築等に関する研究を行うなど、早期診断と有効な治療法の開発に向け取組を強化しているところでございます。  また、予防の問題でございますけれども、これから様々な建築物の解体作業に入ることになります。労働者等が石綿を吸い込むことのないように暴露防止対策を徹底してまいりたいと考えております。
  309. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) もう厚労大臣が答弁されたとおりでいいでしょう。
  310. 鰐淵洋子

    鰐淵洋子君 ありがとうございました。  先ほども申し上げましたが、やはりこの救済対策の一つの大きな柱といたしまして、是非この予防法、治療法、国を挙げて基本戦略として取り組んでいきますことを再度要望いたしまして、次の質問をさせていただきたいと思いますが、北側国土交通大臣に質問させていただきます。  国民の皆様から、この自分の家はアスベストは使われてないか、大丈夫だろうか、そういった不安の声もいただいておりまして、その不安にこたえるためにも、公営住宅、民間建築等に対しまして更にこの相談体制の充実と調査、除去費用への支援が必要であると思います。  今回の補正予算での対応を含めまして、今後の本格的対応をお伺いいたします。
  311. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今般の建築基準法の改正によりまして、吹き付けアスベストが使用禁止となるのはもちろんでございますが、既存の今ある建築物の所有者の方々に対しましても、今後の増改築時における除去等の義務付け、更にはアスベストの飛散のおそれがある場合に勧告、命令等を実施できるだとか、また報告聴取、立入検査ができるだとか、そうした対応、措置も講じられているところでございます。  こういう措置をとったわけでございますので、一方で、今委員のおっしゃった所有者の方々に対する相談体制、支援体制をしっかり取っていく必要があるわけでございまして、この十七年度の補正予算案におきまして、多数の方々が利用する建築物における吹き付けアスベストにつきましては、その調査費用、除去費用に対する助成制度を図るほか、また融資制度の創設も図らせていただきました。また、地方公共団体と今後連携をいたしまして、地域住宅交付金制度等の活用によりまして、今委員のおっしゃった公営住宅におけるアスベストの除去や戸建て住宅等に対する支援についても対応をしっかりしてまいりたいと考えております。  相談体制の整備、また、そもそもこのアスベストの除去方法をどうやってやっていくのかという講習会の実施、これは専門家の方々に対する実施でございますが、こうしたこともしっかりと関係省庁と連携を取りながら実施をしていきたい、そして国民の不安の解消を努めてまいりたいと考えております。
  312. 鰐淵洋子

    鰐淵洋子君 ありがとうございました。  今御説明いただきました対応をしっかりと、また周知徹底も併せてお願いいたします。  最後に、小泉総理に御質問させていただきたいと思いますが、先日、新聞報道にもございましたが、WHOが電磁波対策の必要性やその具体策をまとめて公表、勧告することになりました。これは健康被害の有無など、科学的解明を待たずに被害防止策を進めるということでございますが、今後このアスベスト問題等を教訓に健康や環境への被害が発生する前に対応する予防原則、この考え方をしっかりと浸透させまして、それに基づいた対策を講じることが重要と考えますが、御見解をお伺いしまして、私の質問を終わります。
  313. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 被害が発生する前に予防対策をしっかりせよということでありますが、これは今までの議論も踏まえ、さらに世界でのこのアスベスト問題に対する取組、WHO等のそれぞれの論点等をよく整理しまして、このような被害が生じないように今後どのような予防対策が必要か、二度とこのようなアスベスト被害を起こさないようにいわゆる科学的な対応はどうあるべきか、しっかり検討していきたいと思っております。
  314. 鰐淵洋子

    鰐淵洋子君 私の質問を終わります。
  315. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で加藤修一君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  316. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、井上哲士君の質疑を行います。井上哲士君。
  317. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党井上哲士です。  まず、防衛施設庁官製談合問題についてお聞きします。  額賀防衛庁長官は、前回も防衛庁幹部不祥事辞任をされました。先ほど、その教訓が生かされてないことに怒りを感ずると人ごとのように言われましたけれども国民はもっと怒っているんです。あなた自身の責任はどうお考えなんでしょうか。
  318. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 防衛庁幹部の三人が逮捕されたということは誠にざんきに堪えない次第でございまして、厳粛に受け止めているわけであります。  二度と再びこういうことがないように、施設庁の問題について行政的に、あるいはまた組織的にどういう問題があるのか。昨日、再発防止検討委員会をつくりまして、しっかりとその中身を精査して問題点をえぐり出していきたいと。その上で、この対応を考えていきたいというふうに思っております。  防衛施設庁は、占領軍時代からの経緯がございまして、ある意味では特異体質であり、特権意識があり、極めて排他的な中で行政が行われてきた経緯があります。そういうところを考えて、きちっと検討委員会で精査の上、私は施設庁を廃止する。そういう形の中で、チェック体制と再びこういうことが起こらないような仕組みをつくっていくことによって、新しい政策官庁としての防衛庁を再スタートさせることが私の仕事であり、責任であるというふうに思っております。
  319. 井上哲士

    井上哲士君 それでは国民は納得しないと思います。  総理、この企業への天下りへと引換えにした不祥事というのは前回と同じ構図なんです。再びこういう事件が起きた以上、天下り禁止、全面的に踏み込むべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  320. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 現在でも天下りに対して、在職中の関連する企業に対しての制限というのは設けられているわけであります。この制限がいいかどうか、改善策がどうか、何があるかということをよく今後検討する必要があると思っております。
  321. 井上哲士

    井上哲士君 それがざるだから今回のことが起きているんです。  で、防衛施設庁、解体すべきだと言われましたけれども、ここはエアコンの取付けしているだけじゃないんですね。今、大問題になっている在日米軍の再編問題ではどういう仕事をしているのか、お答えください。
  322. 北原巖男

    政府参考人北原巖男君) 御答弁申し上げます。  また、ただいまの防衛施設庁の生じました逮捕者の件につきまして、改めて国民の皆さんにおわびを申し上げます。  それで、米軍の再編につきましては、私ども防衛施設庁本庁はもとより、全国八つの局の総力を挙げまして、三千百名総力を挙げまして、去る十月二十九日に発表になりました共同文書につきまして、地元の御理解を得るべく懸命に努力をしているところでございます。  現在、基地が所在する市町村等を中心に、五十五の自治体を中心に御説明をしてまいってきておりますが、我々といたしましては、中間、共同文書に示された考え方を御説明するとともに、地元から出されました御質問に丁寧に答えていく、また日米協議を加速しなければならない、協議を待たなければならない話につきましては、今大臣を先頭にその加速に全力を尽くしております。  そういった形につきまして、その協議を踏まえて地元に丁寧に丁寧に御説明をし、三月までに御理解を賜るべく努力してまいりたいと、そのように考えているところであります。
  323. 井上哲士

    井上哲士君 その中身について今日はただしたいと思いますが、まず昨年の日米政府間の合意により、どの基地がどのように再編強化されるのか、具体的にお示しください。
  324. 北原巖男

    政府参考人北原巖男君) 御答弁申し上げます。  2プラス2で示された共同発表文の中におきましては、全部で勧告、項目が九項目出されております。その中で、関係する日米施設につきまして、その九項目の項目に従いましてちょっと御説明をさしていただきたいと思っているところであります。  まず、項目、訓練の移転といった内容の勧告につきましては、関係してまいりますのが米空軍の嘉手納飛行場と三沢飛行場、それからまた米海兵隊の岩国飛行場。それから、自衛隊施設といたしましては航空自衛隊の千歳基地、三沢基地、百里基地、小松基地、築城基地、新田原基地がございます。  さらに、勧告の項目でございますミサイル防衛につきましては、関係してまいりますのが航空自衛隊車力の高射教育訓練場がございます。  また、項目三つまとめて恐縮でございますが、共同統合運用調整の強化並びに航空司令部の併置、また横田飛行場及び空域ということになりますと、米空軍の横田飛行場が関係してまいります。  さらに、次の勧告の項目でございますが、米陸軍司令部能力の改善ということになりますと、米陸軍キャンプ座間、また陸上自衛隊では朝霞駐屯地、座間分屯地が関係してまいります。  それからさらに、項目の在日米軍施設の収容能力の効率的使用ということになりますと、米陸軍の相模補給廠が関係してまいります。  さらに、項目の空母艦載機の厚木飛行場から岩国飛行場への移駐という点につきましては、米軍施設では米海軍厚木飛行場、それから米海兵隊岩国飛行場、さらに海上自衛隊の鹿屋航空基地、岩国航空基地、それから厚木航空基地が関係してまいります。  それから、次の勧告内容といたしまして、柔軟な危機対応のための地域における米海兵隊の再編ということになりますと、米海兵隊キャンプ・シュワブ、それから普天間の飛行場、それからキャンプ・コートニー、あるいはキャンプ・ハンセン、牧港補給地区が関連してまいりますし、米空軍の嘉手納飛行場、それから米陸軍の那覇港湾施設、さらに自衛隊の関係では、海上自衛隊の鹿屋航空基地とそれから航空自衛隊の築城基地、新田原基地が関係してまいります。  そして、これらの基地に、また勧告の内容に関連する関係自治体でございますけれども、ただいまお答え申し上げましたそれぞれの個々の米軍基地並びに自衛隊施設が所在する自治体を中心といたしまして私ども説明をしてまいりましたが、その内訳といたしましては、十二の都道県そして四十三の市町村のトータル五十五の自治体に対して、大臣を先頭に、副長官長官務官を先頭にいたしまして説明を鋭意しているところでございます。  なお、現在までに、これらの自治体のほかにも、我々といたしましては、共同文書の配付、あるいは同文書の内容あるいはそこに示された方向性等につきましても説明をしてきているところでございます。  以上であります。
  325. 井上哲士

    井上哲士君 たくさんの基地名挙がりましたけども、(資料提示)これが今回の米軍再編計画に関係する基地になります。世界的に再編される米軍日本自衛隊が一体化する大変重要な問題でありますが、その影響は正に全国に及んでおります。関係自治体に説明行っていると言われましたけれども防衛庁長官、一体どういう反応が返ってきているんでしょうか。
  326. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えをいたします。  私も長官就任直後に、一都七県、そして三十八市町村長さんとお会いいたしました。また、防衛庁本庁をお訪ねをしていただいた市町村長さん、議会の皆さん方とも直接お会いをしておりますので、ほとんどの方々に会って、これまでの経緯、それから我々の考え方等々について御説明をいたしております。  基本的な今度のキーワードは、地元負担を軽少する、縮小していくこと、それからもう一つは、この日本の安全を含めて地域安全保障のための抑止力を維持するということがキーワードでございます。それぞれの自治体の皆さん方とお会いした私の印象は、知事さんを始め多くの市町村長さんたちは、日米同盟を始め安全保障がしっかりしているから、日本の安全が確保されていて、自由が確保されていて我々の日常生活とか経済活動が行われているという基本的認識は持っている。しかし、基地がある、あるいは様々の負担があることについては、これ以上の負担を引き受けるわけにはいかないからできるだけ縮小してほしい、そこのところの注文はいただいております。  私は、日本全国の安全保障を考える立場、国の立場と地方を考える皆さん方の立場の接点をどういうふうにきちっとつくり上げるかが私の今の仕事でございまして、日米協議、さらにはその協議に基づいて地元の皆さん方にしっかりと誠心誠意説明をして納得がいけるようにしたいと思っております。
  327. 井上哲士

    井上哲士君 負担の縮小と言われましたけれども、これ沖縄の地元紙でも、これは削減でなく機能強化だという社説を書いております。今言われましたけれども、結果として再編への合意が得られた自治体というのはあるんでしょうか。
  328. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 十月、昨年の十月の末に日米間の間で中間報告という形で今米軍再編に伴う日米同盟の在り方あるいはまた米軍基地日本自衛隊の在り方等々についての概念というか基本的な考え方が合意されたわけであります。  詳細についてはまだ決まってないところがたくさんあったわけでございますから、それ以来十一月、十二月、そして今年の一月と精力的に会合、協議を続けておりまして、この三月末までにはきちっと最終合意に取り付けようとしておるわけであります。  今正に、先日一月十七日に米国のラムズフェルド長官と私、直接お会いをいたしました。この問題を解決することが日米同盟、この地域の安定には不可欠であるから是非成功させなければならない、日本側も努力するけれども米国側もきちっと譲歩すべきところは譲歩してもらわなければ困るという話をいたしました。そして、最終的にはお互いにリーダーシップを発揮してまとめようじゃないかということになっておるわけでございます。  今、その正に日米協議が継続中でございますから、その継続中の間で相当煮詰まってはおるんですけれども、ここの、この場で申し上げるのは控えさせていただきたいというふうに思います。
  329. 井上哲士

    井上哲士君 いや、合意した自治体があるのかどうかを聞いているんです。もう一回答えてください。
  330. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) まだ最終的な結論を得て地元の皆さん方に提示をしているわけではございませんで、できるだけ分かる範囲で全部御説明をして協議中であります。  でありますから、まだこの地域の問題でこういうふうに合意したということはありませんけれども、合意に向かって協議が進捗中であるというふうに理解していただきたいと思います。
  331. 井上哲士

    井上哲士君 全部の自治体に説明したといいながら、一つも合意した自治体がないというのが今の御答弁だったと思うんですね。  これ、一方、自治体の首長、若しくは地方議会が反対を表明している自治体というのは、私ども調べますと全国もう百三にわたっております。(資料提示)私も、先日、相模原市の市民大会にも参加し、座間市も行ってきましたけども基地の強化、恒久化反対というのはもう政治的立場の違いを超えた自治体ぐるみの叫びなわけですね。そして、こういう反対の声、現に上がっているという下で、総理地方自治体の合意がなしに強行すべきではないと思いますが、いかがでしょうか。
  332. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私も、基地を抱えた地元選挙区出身の議員でありますから、基地問題の困難さというのはよく認識しているつもりであります。なかなか合意を得るのは難しい状況でありますが、やはり日米安保条約の重要性、そして平和と独立を守るための抑止力、そういう中での基地負担の軽減というものを粘り強く、現在反対している自治体とも協議して、協力できるような方策を見付けるべくこれからも全力を挙げていきたいと思っております。
  333. 井上哲士

    井上哲士君 平和の対価と総理は言うわけですが、今回のこの再編は日本米軍基地を世界的な規模でイラクのような戦争に出撃していく根拠地にしようという米軍再編と一体に自衛隊がなろうというものです。そしてもう一つですね、やはり自治体の皆さんは事前に何の相談もなしにこういうことが押し付けられようとしていることに怒りを、声を上げておられます。  で、ここに二〇〇四年十月の共同通信加盟社の編集局会議での総理の講演の記事があります。(資料提示)ここで総理は、政府は自治体に事前に相談し、自治体がオーケーした場合には米国と交渉すると、こうはっきり言われているんですね。ところが、全く今手順が逆になっていると。こういうことからいえば、自治体がオーケーしない限り強行することは絶対ないと約束すべきじゃないですか。
  334. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 自治体と合意できるように努力をしていかなきゃならないと。これはなかなか難しい問題なんです。沖縄の基地負担を軽減しようということに対してはみんな賛成してくれるんですが、それでは沖縄以外に、本州なり他の地域に、その沖縄の基地負担軽減分を負担してくれるかというと、ほとんどの自治体は反対ですね。沖縄の負担軽減は賛成だけど、おれのところだけは持ってきてくれるなと。そういう中で、安保条約は重要性分かっていると、平和の重要性、日本一国で安全と独立を確保できるのは難しいのは分かっていると。しかしながら、自分たちのところだけは嫌だと、ほかに持っていってくれという自治体をどうやって協力を得るか。これから難しい問題でありますが、できるだけ合意が得れるようにアメリカ側とも交渉しておりますが、地元の自治体ともよく協議をしていきたいと思っております。
  335. 井上哲士

    井上哲士君 先ほど言いましたけれども、沖縄の新聞だって、これは県民無視であり、むしろ新たな負担を強いているとしか受け取れないと、こういうふうに言っているんです。今、さっきから誠心誠意協議とか言われてますけれども、よもや自治体に、地方自治体に対して国として圧力を掛けると、このやり方は取らないということはいかがでしょうか。
  336. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) よく対話を重ねて、理解、協力を得れるように様々な働き掛けをしていきたいと思っております。
  337. 井上哲士

    井上哲士君 理解と言われますけれども、私、ここに一通のメールのコピーを持っております。昨年十二月十三日に防衛施設庁の地元調整本部事務局総括班長という方が関係者に出したもののコピーでありまして、我が党の志位委員長のところに届けられました。  驚くことが書いてありますけれども米軍再編に関し地元議会が反対の意見書を議決しそうな動きがあるか否かについて常にウオッチしていただき、そうした動きがある場合には速やかに本庁担当窓口にお知らせ願いたいと。つまり、地方議会を常に監視しておけと、こういうものであります。さらに重大なのは、そのような議決をしないよう関係者の理解を求める動きをしてほしいと。つまり、決議を上げそうな自治体に圧力を掛けろと、そして地元の小さな動きに対しても敏感に対応してほしいとの御指導もございますと、こう書いてあります。  この御指導というのは防衛庁長官じゃないんですか。
  338. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私はその文言を見ておりませんけれども、私どもは、地元の議会議員の皆さん方、あるいは地元の住民の皆さん方の意向については率直にお聞きして、どういう考え方をなさっているのかということを把握するのは当然のことであります。
  339. 井上哲士

    井上哲士君 これは違うんですよ。議会を監視をして反対決議を上げないように圧力を掛けるという。意見書を上げた自治体に行って声を聞くのは当然ですよ。そうじゃないんですよ。上げるなって圧力を掛けているんです。これ当然だと言うんですか。
  340. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私はそういうことをやったことはありません。
  341. 井上哲士

    井上哲士君 それでは聞きますけれども、この発信人の肩書である地元調整実施本部というのをつくったのは一体いつで、その目的は何でしょうか。
  342. 北原巖男

    政府参考人北原巖男君) 地元調整本部、実施本部につきまして御説明を申し上げます。  今御指摘いただきました地元調整本部につきましては、先ほど申し上げましたその十月二十九日の共同文書、これが発出、承認されましたので、これを受けまして、地元自治体との調整を円滑に行うといった趣旨から、防衛施設庁に十一月の一日に設けたものでございます。そして、これと仕事を一緒にやる形で、その八つの局の方にも同じ名前の地元調整実施本部といったものをつくりました。十一月の一日のことでございます。  それで、この調整本部につきまして、十二月の十四日までそれでやってまいりましたが、十二月の十五日に、この再編見直しにつきまして防衛本庁、そして防衛施設庁、これが本当に一体となって業務を行っていく必要があると言った防衛庁長官の御指導の下に、私ども、今申し上げました十一月一日につくりました地元調整実施本部につきましては、本庁に設置したもの、また局に設置したもの、いずれも廃止をいたしました。それで、改めて今、今日、防衛庁長官の指導の下に米軍再編等に関する検討委員会といったもので全力を挙げて地元調整等に今当たっているところでございます。  なお、局に設置しておりましたのを先ほど申しました十二月十五日に廃止いたしましたが、改めて発展的に、その名前は同じでございますけれども、地元調整実施本部といったものを八つの局につくったところでございます。  したがいまして、中央におきましては米軍再編等に関する検討委員会、そして八つの局におきましては米軍再編に関する地元調整実施本部といったことで今動いているところでございます。
  343. 井上哲士

    井上哲士君 まあ、メールの発信にある地元調整実施本部があることは認められました。  このメールには十五人のあて名がありまして、肩書してありました。そうしますと、仙台、東京、横浜、大阪、広島、福岡、那覇、この防衛施設局施設部長がすべて並んでおりますが、今言われた各防衛施設局の本部の作業チームの責任者は一体だれですか。
  344. 北原巖男

    政府参考人北原巖男君) まず、先生御指摘のそのメールにつきましては、私も今突然拝聴いたしましたので、確認が取れておりません。分かりません。ただ、地元の調整実施本部におきまして、作業チームのチーム長は各局施設部長になっております。
  345. 井上哲士

    井上哲士君 つまり、このメールは地元調整実施本部の本庁から出先の責任者へのあてたものだということが今のでもう明らかになったと思うんですね。官製談合を繰り返す一方で、一方で地方自治体には圧力掛けると、こういうことがいいんですか。防衛庁長官、いかがですか。
  346. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私は、この米軍再編に伴う基地の問題については、地元の理解を得ることに全力投球することが政治家として当然のことであるし、また政府としてもそういう姿勢の下で臨んでいるわけでありますから、出先の施設局において地元の住民の皆さんや議会の皆さん方と一緒に意見交換をしたり、あるいは状況を把握する、そのための一環として様々な行動が行われているというふうに理解をしております。
  347. 井上哲士

    井上哲士君 意見聴取じゃないんです。決議を上げないように働き掛けると、事前に。それを圧力と言うんじゃないんですか。もう一回、もう一回答弁してください。
  348. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) まあ文書を直接読んでいるわけじゃありませんから分かりませんけれども、基本的には、地元に対するその配慮、地元の理解を得るための一環として様々な行動が行っているというふうには理解をします。
  349. 井上哲士

    井上哲士君 これすべて名前は明らかですから、長官、実物調査してください。
  350. 小野清子

    委員長小野清子君) もう一度おっしゃってください。
  351. 井上哲士

    井上哲士君 すべて名前も明らかになっていますから、このメールについて是非調査をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  352. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) それがどういうメールなのかどうかについては調べてみたいと思います。
  353. 井上哲士

    井上哲士君 地元自治体の皆さんも今回の質疑は見ているわけです。誠心誠意といいながら、地元自治体を常に監視をして、そして反対決議が上がらないようにこれに圧力を掛けると、こういうやり方は絶対に私は許すことができない。一方で官製談合などを繰り返しながら、地方自治体の自由な意見表明に圧力を掛けるようなやり方で日本をこの地球規模での先制攻撃基地の拠点にするようなこういう再編を強行することは絶対に許されないということを申し上げまして、質問を終わります。
  354. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で井上哲士君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  355. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、福島みずほ君の質疑を行います。福島みずほ君。
  356. 福島みずほ

    福島みずほ君 格差、元祖格差是正の社民党としてお聞きをいたします。  総理は格差が拡大しているデータはないとおっしゃっています。では、貧しい人が増えている、貧困層が増えている、これはお認めになられますか。
  357. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、その格差是正の問題についていろいろ質疑が重ねられておりますので、識者から実際どういう状況なのかと、先日も政府・与党の会議で識者から実際の現在あるデータを基にしてお話を伺ったところ、言われているような日本は格差社会ではないと、ほかの国と比べても生活水準も高いと。しかし、一方では生活保護世帯も増えている、フリーターあるいはニートという状況もあるから、これにはよく注意して、こういう方々たちに対してやはり仕事の重要性、就業機会をいかに増やしていくか、またやる気を持って取り組んでもらうかということが必要だという認識はしておりますし、私は、ある程度人には違いがあると。地域においても格差といいますか特色があります。そういう違いとか多様性を認めて、できるだけ地域なり企業なり個人なりが持っている能力を引き出していく努力が必要ではないかと。  そして、どうしても対応できない、自力ではやっていけない方々に対して、どうしてお互いに助け合い、あるいはまた政府の機関、公共団体、公共の機関なりがそういう方たちに対してどのような保障なり対策をしていくか。この両面が必要だということを言っているんであって、むしろ悪平等というものをどうやってなくしていくかということが必要でないかという視点も踏まえて、日本の持っている力というものを、あるいは創意工夫というものを発揮させていくことによって更に日本の経済が発展し、国民生活も豊かになるのではないかということを目指しているのが小泉内閣の改革であって、更にこの貧困を増やすとかいうよりも、失業者をいかに減らしていくか、就業機会を増やしていくか、経済を発展させていくか、そのための潜在力をいかに引き出していくかというのが我々の目指す改革であるということも御理解いただきたいと思うんであります。
  358. 福島みずほ

    福島みずほ君 貧困率が高くなっている、貧しい人が増えているという認識は総理にはありますか。
  359. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そのデータを拝見し、データに基づいた説明を伺ってますと、私は、その各国と比較の話でありますけれども、これがますます増えていくという状況ではないと。現に、就任以来改革を進めて、失業率も減ってきております。そして、有効求人倍率といいますか、これは一に近づいているよりも一を最近超えてきたということは、企業が人を求めるといっても仕事を探したいという人が少ないという状況、改善されてきていると。ミスマッチが問題ということは事実であります。  私は、これはあってはならないというのは、どの時代におきましても成功する人としない人います。また、それぞれの人の持ち味が違います。力も違います。ですから、今後、我々は気を付けていかなければならないのは、貧困層を少なくするという対策と同時に、成功者をねたむ風潮とか、能力のある者の足を引っ張るとか、そういう風潮は厳に慎んでいかないとこの社会の発展はないんじゃないかと。できるだけ成功者に対するねたみとかそねみという感情を持たないで、むしろ成功者なり才能ある者を伸ばしていこうという、そういう面も必要じゃないかと。  同時に、これから、生活保護世帯が最近増えておりますけれども、そういう人たちに対する対策も含めて、今後、生活保護を受けないで新たな仕事に就けるような対策、これが大事ではないか。特に、フリーター、ニート等の問題については力を入れて、若い人にどんどん仕事の機会を提供をして仕事に就く機会を持ってもらうような、またやればできるというような意欲を持ってもらうような教育といいますか訓練の場というか、そういうのが必要ではないかなと思っております。
  360. 福島みずほ

    福島みずほ君 貧しい人、貧困層は増えていないというのが総理の認識ということでよろしいですね。いや、総理。ごめん、総理に聞いています。結構です、結構ですよ。(発言する者あり)
  361. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 日本の経済は確実に拡大しているわけでございます。完全な自由経済の社会では当然格差は生じますけれども、例えば戦後六十年の日本の社会は、やはり所得再分配というものをよく考えてきた私は社会であって、それは一つは、道具としては、ツールとしては所得税制があり、またいろんな社会保障制度を通じて所得再分配を行ってきたと。そういう意味では、私は、直観ではございますけれども日本の社会というのは、いろいろな制度、税制を見ましても、世界の先進諸国の中では極めて格差の少ない社会であると思っております。また、先般、学問的に御説明しましたジニ係数もそのようなことを物語っていると私は思っております。
  362. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 与謝野大臣も答弁されましたように、所得格差においても賃金格差においても、国際比較においてはそのような拡大は言われているほど見られないという報告を受けております。ただ、日本の所得格差は緩やかな拡大を示しているということでもあります。そういう点によく注視しながら、今後様々な対策を打たなきゃいけないと思っております。
  363. 福島みずほ

    福島みずほ君 貧困層、貧しい人が増えているという実感は総理にはないということですね。
  364. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、今までも申し上げておりますように、所得格差は緩やかな拡大を示しておりますが、英米のような賃金格差の拡大は見られないということであります。国際的に見ても、賃金格差は大きくも小さくもないという報告を受けております。
  365. 福島みずほ

    福島みずほ君 いやあ、非常にがっかりしています。  ジニ係数は拡大していますし、貯蓄残額ゼロが今四分の一です。貧困率は、二〇〇〇年には一五・三%と先進国中日本は三番目の高さ。所得再分配調査は、八〇年代前半までは高所得層の当初所得は低所得層の十倍でしたが、二〇〇二年には百六十八倍となっています。非正規雇用は小泉さんの政権下で五百万人増えました。地域格差も、自民党の議員からも出ています、拡大をしています。  公立の小中学校で文房具、給食費、修学旅行費などの援助を受ける子供の数、二〇〇四年度までの四年間に四割増。東京、大阪、山口、これは四人に一人。足立区は二〇〇四年、四二・五%です。子供たちが援助をもらわないと修学旅行に行けない、文房具買えない。卒業文集の作成、これは新聞に出ていたものです、クラスの児童、将来の夢、三分の一の子供が書けない。自分が成長してどんな大人になりたいのかイメージができない。  総理に貧困層が増えているという実感がないんだったら、総理はもう裸の王様ですよ。国民の実感とずれている。国民見ずして改革なし。政治をやる資格はないですよ。  所得再分配やそれを政治がどうするか、それについてどうですか。問題を認識しないんですか。
  366. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 問題を認識しているからこそ……
  367. 福島みずほ

    福島みずほ君 だって、貧しいと認識してないじゃないですか。
  368. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そのような対策をしていかなきゃならないと言っているわけであります。
  369. 福島みずほ

    福島みずほ君 改めて聞きます。  では、所得の格差の拡大を認めるんですか。貧しい人が増えているというのを認めるんですか。
  370. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは比較の問題ですから。それは、世界全体から見れば日本は豊かな社会であるけども貧困層があると、そういう点については対策をしっかりやっていくということであります。
  371. 福島みずほ

    福島みずほ君 貧困率が二〇〇〇年には一五・三%と先進国中三位、これはどうですか。
  372. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 確かに、生活保護者等は増えているということは事実でございます。マクロのいろんな数字を勉強しますと、格差はそんなに拡大されているというふうには確認されませんけれども、やはり我々としては、そのマクロの数値に表れてこない格差拡大を示唆する動き、こういうものが指摘されている。それはどういうことを背景にしているかということは、政治としては考えていかなければならないと思っております。  一つは、バブル崩壊後の長期にわたる大変厳しい経済状況の下で、先生も御指摘になられましたように、人件費削減のため非正規雇用を拡大したこと、これが一つです。それから第二番目は、かつてのように必ずしも年功序列型で賃金が横並びで上昇していくという状況にはないこと。こういうことにはやはり我々は注意をしながら政策を考えていかなければならないと思います。  また、それと同時に、若年層においていわゆるニートとかフリーターというものが増加している。これは、将来の格差を拡大するものとして我々は考えていかなければならない、また政治として取り組まなければならないと、そのように考えております。
  373. 福島みずほ

    福島みずほ君 今、五世帯に一世帯が年収二百万円以下です。それを見ない、格差は拡大していない、そして貧困層の問題が分からない、こういう小泉首相、もう政治をやる資格はないと思います。  次に、BSEの問題についてお聞きをします。  一月二十五日、代表質問をいたしました。なぜ査察を輸入再開決定後に行ったのかと質問をしました。総理、その段階で質問主意書の答弁に反しているという自覚はあったんでしょうか。──いや、総理
  374. 小野清子

    委員長小野清子君) それでは、まず中川農林水産大臣
  375. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) これは十二月十二日の再開に関しての話でございますね。
  376. 福島みずほ

    福島みずほ君 はい。
  377. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) はい。十二月十二日にいろいろな諸手続を終わった後、輸入再開手続を決定をいたしました。アメリカ側も日本からの日本産の牛肉の輸入再開を決定をいたしました。食品安全委員会の答申におきましても、再開前に調査を米国へ行ってするということは条件になっておらない。念のために、十二月十三日以降に四十、当時四十施設のうち十一施設について調査に行ったわけであります。  今後も全施設を調査をする方向で検討しておりますが、これは、安全についてはアメリカ側の責任でございまして、事前に施設を調査するということは日本側の義務ではございません。
  378. 福島みずほ

    福島みずほ君 総理の認識はどうですか。答弁したときに質問主意書に反しているという意識はありましたか。
  379. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いつの答弁か分かりませんが、この問題が質疑をされた中において、質問主意書にある答弁に反していると思ってはおりません。要は、日本としては、食品安全委員会報告に基づいてしっかりとした対応をしているということだと思っております。
  380. 福島みずほ

    福島みずほ君 質問主意書での答弁では事前にと書いてある。それをやってないわけです。  この点について食品安全委員会は、輸出プログラムが守られるとすればというふうに言っています。この守られているとすればというのを日本政府は確認する必要があるんじゃないですか。食品安全委員会プリオン専門調査会座長は、政府が査察して条件遵守を確認した上で牛肉が輸入されると理解していたと述べています。アメリカがちゃんとやるだろう、日本はやらない、これではアメリカに丸投げです。どうですか。
  381. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、質問主意書というのは一杯あるんで、どの質問主意書か確定して質問してください。
  382. 福島みずほ

    福島みずほ君 川内衆議院議員が出した、十一月十八日に答弁書が出たものです。
  383. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) これはおとといも衆議院で長時間議論をいたしましたけれども、川内議員の質問主意書に対して政府として出したお答え書には、これは午前中も官房長官からも答弁がありましたように、輸入再開に当たっては輸入再開前にアメリカの諸施設を調査する、また、そして云々と、こうあるわけでございまして、と考えておりますということで、これは政府統一見解といたしましてこの日本政府の考え方、認識を示したものであると。その後、状況が変わったということでございまして、答弁の趣旨に反したものでないということは官房長官からおととい正式に発表があったところでございまして、他方、食品安全委員会の最終答申におきましても、再開の前後を問わず米国諸施設をチェック、日本側がチェックをするという義務についてはこれは決められておりません。それをしなくていいと。これはひとえにアメリカ側の責任、義務であるということで、日本側としてはそれは念のためということで、再開後に十一施設についてやったわけであります。
  384. 福島みずほ

    福島みずほ君 食品安全委員会の結論は、輸出プログラムが守られているとすればリスクが少ない。守られているとすればというのを、日本政府日本人の食を守るために確認すべきではないですか。なぜ再開決定前に査察をやらなかったんですか。
  385. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 輸出プログラムというのは、アメリカ側がやるべき義務を決めている、日米で合意をしているわけでございまして、アメリカ側の義務をやるべきものについてなぜ日本側がやらなければいけないのか、私には御質問の趣旨がよく分かりません。
  386. 福島みずほ

    福島みずほ君 アメリカ側に丸投げをしているから今回のような事件が起きたわけです。四十か所の調査、事後の査察でも四十か所のうち十一か所しかやっていません。しかも、三つの大手をお仕着せの査察しかやっていません。ずさんなお仕着せ査察です。だからこそ、今回、こんな問題、二十九か所の、残りのところから出てきたわけです。現に出てきたじゃないですか。査察が不十分だから、アメリカに丸投げしていたからこれが起きたわけです。
  387. 小野清子

    委員長小野清子君) 時間です。
  388. 福島みずほ

    福島みずほ君 日本政府日本人の食の安全を守るという気概が全くないのだと。現にこういう危険部位が付いた牛肉が輸入された。千五百トン輸入されているわけです。査察の結論が出る前に日本に肉は来てますよ。
  389. 小野清子

    委員長小野清子君) 時間ですので、締めくくってください。
  390. 福島みずほ

    福島みずほ君 大臣はこの責任辞任すべきだと考えます。
  391. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今回の再開については、アメリカ側が守るべき義務と日本側が守るべき義務とはっきり分かれておりますので、混同しないでいただきたいと思います。
  392. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で福島みずほ君の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  393. 小野清子

    委員長小野清子君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十七年度補正予算案審査のため、明二日の委員会株式会社東京証券取引所代表取締役社長兼会長西室泰三君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  394. 小野清子

    委員長小野清子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  明日は午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十六分散会