運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2006-05-19 第164回国会 参議院 本会議 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年五月十九日(金曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第二十五号   平成十八年五月十九日    午前十時開議  第一 公職選挙法の一部を改正する法律案(阿   部正俊君外四名発議)  第二 電子署名に係る地方公共団体認証業務   に関する法律の一部を改正する法律案(第百   六十三回国会内閣提出、第百六十四回国会衆   議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、就学前の子どもに関する教育保育等の総   合的な提供推進に関する法律案趣旨説明   )  一、農業担い手に対する経営安定のための交   付金交付に関する法律案趣旨説明)  以下 議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 扇千景

    議長扇千景君) これより会議を開きます。  この際、日程に追加して、  就学前の子どもに関する教育保育等の総合的な提供推進に関する法律案について、提出者趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 扇千景

    議長扇千景君) 御異議ないと認めます。小坂文部科学大臣。    〔国務大臣小坂憲次登壇拍手
  4. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 就学前の子どもに関する教育保育等の総合的な提供推進に関する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  我が国における急速な少子化の進行並びに家庭及び地域を取り巻く環境変化に伴い、保護者就労有無等にかかわらず、小学校就学前の子供教育及び保育に関する多様な需要に、適切・柔軟に対応できる新たな枠組みが求められているところでございます。  この法律案は、こうした状況にかんがみ、認定こども園に係る制度を設け、幼稚園及び保育所等において、小学校就学前の教育及び保育、並びに保護者に対する子育て支援を総合的に提供するための措置を講ずるものであります。  次に、この法律案内容の概要について御説明を申し上げます。  第一に、幼稚園又は保育所等のうち、就学前の教育及び保育を一体的に提供するとともに、子育て支援事業を実施するものは、都道府県知事から認定こども園認定を受けることができることといたします。また、認定基準は、文部科学大臣厚生労働大臣が協議して定める基準を参酌して、都道府県が定めることといたします。  第二に、認定こども園に関する特例として、幼稚園保育所とが一体的に設置される認定こども園については、設置者学校法人又は社会福祉法人のいずれである場合にも、児童福祉法及び私立学校振興助成法に基づく助成を受けることができることといたします。また、認定こども園である保育所については、設置者保護者との直接契約による利用とし、入所する子供保育料の決定を設置者が行うことができるよう、児童福祉法特例を規定するものであります。  以上がこの法律案趣旨でございます。(拍手)     ─────────────
  5. 扇千景

    議長扇千景君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。林久美子君。    〔林久美子登壇拍手
  6. 林久美子

    林久美子君 民主党林久美子でございます。  質問の前に、昨日は、秋田県で小学校一年生の男の子が遺体となって発見される大変痛ましい事件がございました。心より御冥福をお祈りいたします。また同時に、私たち民主党、しっかりと子供の安全を守っていく決意を新たにしているところでございます。  さて、民主党・新緑風会を代表いたしまして、ただいま議題となりましたいわゆる認定こども園法案について、関係大臣にお伺いいたします。  私にも三歳の息子がおります。本日は、全国のお母さんの気持ちを代弁するつもりで、また民主党は対案を提出させていただいておりますので、私たち提案をお示しをいたしながら、質問をさせていただきます。  幼稚園保育所一元化に関する議論は、少なくとも戦後六十年続けられてきました。一九四六年には、既に帝国議会において幼保一元化議論が行われています。議事録によりますと、衆議院予算委員会の場で、幼稚園託児所保育の面で内容は本当に同じことをしているのでありますから、これを一つにして子供を育てていただきたいと委員一元化を求めて発言しています。これに対し、当時の厚生大臣は、社会情勢変化に伴いまして、保育所に一面的、文化的要素を注ぎ込むということも必要でありましょうし、それから幼稚園に向かってまた社会的の分子を入れるということも必要であると思いますが、ただいまのところではこの二つを一緒にして一つにしてしまうというほど進んだ考えは持ちませぬと答えています。  こうした議事録からも分かるように、少なくとも六十年前から、同じ年齢就学前の子供たちがひとしく教育保育を受けるのが自然であるという素朴な願いはかなえられず、かたくななまでに今日まで、幼稚園保育所二元化体制が維持されてきました。その最大要因はどこにあると考えていらっしゃいますか。所管する文部科学省厚生労働省が、子供にとって最善の利益は何かを考えず、権益争いを続けてきたためではないでしょうか。まず、文部科学大臣厚生労働大臣に御所見をお伺いいたします。  そもそも幼稚園保育所の違いは何でしょうか。保護者、とりわけ母親が働いているのかいないのかによって子供たち居場所が分けられ、文部科学省厚生労働省という二つの省が別々に所管しているにすぎません。  既に、幼稚園保育所における教育保育内容は接近しています。幼稚園であっても、保護者就労しているために預かり保育で通常八時間保育を受けているケースもありますし、一方で保育所において、就労していない保護者子供保育を受けているというケースもございます。また、三歳児から五歳児に関して言えば、幼稚園教育要領保育所保育指針によって、健康、人間関係環境、言葉、表現というふうに、指導上のねらい、保育上のねらいは全く同じとなっています。こうした現状は既に国の二元化行政形骸化を意味しており、幼保一元化の実現は正に時代の必然であると考えます。  にもかかわらず、今回の政府案を見てみると、依然として実権を握る担当省庁一元化はなされていません。文部科学省厚生労働省が密接に連携して幼保連携推進室設置すると伺っておりますが、担当する省庁窓口はしっかりと一本にするべきではないでしょうか。私たち民主党は、子ども家庭省設置を理想としていますが、それまでの間、内閣府に担当部局を置くことを提案しています。こうした担当する省庁窓口の一本化について、内閣担当大臣であり、少子化対策を担当されている猪口大臣から御見解をお伺いしたいと思います。  さて、この法案の名称は、就学前の子どもに関する教育保育等の総合的な提供推進に関する法律とされています。しかし、法案内容を見てみますと、総合的な提供は何らなされておらず、ただ単にこれまでの幼稚園保育所認定こども園という看板を掛け替えるだけとしか読み取ることができません。  小泉政権においては、待機児童の未解消幼稚園定員割れが依然として続いており、地域における幼稚園保育所の偏在問題も一向に解決されていません。  認定こども園待機児童解消のための一つの方策ともされていますが、幼稚園型こども園では、待機児童のうちの六七・八%を占めるゼロ歳児から二歳児の保育に欠ける子供受入れも認められていません。本当にこの認定こども園によって待機児童解消されるのでしょうか。具体的にどの程度の待機解消期待できるのか、厚生労働大臣にお伺いいたします。  また、児童虐待の観点からも効果は期待できません。児童虐待の実態を見てみると、保護者が働いていないケースも多く、虐待を受ける子供の六七・七%はゼロ歳児から二歳児となっています。しかし、政府案では、幼稚園型、保育所型のいずれの認定こども園においても、保護者就労していないゼロ歳児から二歳児の受入れは認められていません。  一方、民主党案では、多様なニーズ対応するために、ゼロ歳から就学前までの希望するすべての子供たち受入れを可能としているほか、一時保育、病時・病後時保育などへの支援強化することなども提案しています。  政府案ではどのように多様なニーズ対応することになるのか、文部科学大臣及び厚生労働大臣にお伺いいたします。  次に、認定こども園の将来像について伺います。  仮に、認定こども園が多様なニーズにこたえ得るのだとすれば、いずれ幼稚園認定こども園に、保育所認定こども園にと収れんされていくのでしょうか。それとも、幼保一元化への願いに対する免罪符施設として認定こども園をつくることこそが大切なのであって、将来のことは利用者任せ、成り行き任せなのでしょうか。認定こども園の将来像が見えてきません。  文部科学大臣認定こども園の将来像について、是非明確な御答弁をお願い申し上げます。  そして、認定こども園就学前の子供保護者の多様なニーズにこたえる有効な選択肢となるためには、十分な供給がなされる必要があります。行きたくても近くにないのがこども園などという状況では、選択肢とはなり得ません。就学前の子供に対して教育保育を行う施設として、それぞれの地域認定こども園が誕生してこなくてはなりません。  しかしながら、昨年度、政府が実施した総合施設モデル事業に取り組んだ全国施設に対しまして独自に聞き取り調査を行いましたところ、幾つかの施設からは認定こども園に手を挙げる予定はないというお答えが返ってまいりました。積極的に参加したいというお答えはむしろ少数でございました。最大問題点財政措置でした。  政府案では、公立の認定こども園については一般財源で、その他の私立幼稚園型こども園については文部科学省私学助成保育所型こども園には厚生労働省保育所運営費負担金と、各省補助制度活用することとされています。そのため、幼稚園型こども園における保育所機能保育所型こども園における幼稚園機能など、新たに機能を拡充した部分については、認可を取らない限り施設側の持ち出しにならざるを得ず、経営的に非常に困難な状況に追いやられる可能性も否めません。その結果、利用料が高くなったり、子供たちに対する教育保育の質が低下するのではないかと懸念されています。政府案による財政措置によって、どのように利用料の高騰を避けつつ、教育保育の質を守ろうと考えていらっしゃるのでしょうか。文部科学大臣にお伺いいたします。  また、認定こども園施設利用者の直接契約となる予定ですが、保護者に対する支援は、主に私立幼稚園に通う方を対象とした幼稚園就園奨励費補助しかありません。これでは、私立幼稚園型こども園に通う子供保護者には支援が行われますが、私立保育所型こども園に通う子供保護者には支援が行われないということになります。子供たちはどちらも私立認定こども園に通っているのに、その施設幼稚園保育所のどちらを母体とするのかによって保護者への支援が異なるというのは、利用者の側に立って考えれば非常に不公平ではないでしょうか。保育所型こども園所管される厚生労働大臣にこの点についてお伺いいたします。  民主党案では、補助金担当部局で一元的に管理することにしています。機能を拡充した部分についても、認定こども園という制度の中で十分な支援を行い、教育保育の質を十分に守りつつ、認定こども園に参加しようというインセンティブを働かせていく考えです。さらに、認定こども園に通う子供保護者に対してもひとしく支援を行ってまいります。  こうした一本化された担当部局における補助金の一元的な管理、保護者に対する支援在り方について、いかがお考えでしょうか。文部科学大臣厚生労働大臣、それぞれにお伺いいたします。  同じ年齢子供が、保護者、とりわけ母親が働いているのかいないかによって、あるいは正社員なのかパートなのかという就労形態によって、教育保育を受ける場所や内容財政的支援が異なるというのは本当に不自然です。小学校はどうでしょうか、考えてみてください。母親が働いているか否かによって、学ぶ学級が違ったり学ぶ内容が異なったりするでしょうか。すべての幼稚園保育所に良質な教育保育が備えられ、子供たちに権利としてより良い居場所が与えられなければなりません。  今回の法案は、幼稚園保育所を一体とすることを可能とし、法律上明確に位置付けたという点については一定の評価をすることができると思っています。しかし、決定的な一元化を行わず、文部科学省厚生労働省既得権益を守りつつ、一元化願望を吸収しようとしている、形式だけを整備した、非常に巧妙な、抜本改革先送り言い訳完備の正に妥協の産物であると言わざるを得ません。  幼稚園保育所一元化は一体だれのためのものなのでしょうか。省庁既得権益を温存するためのものではなく、子供たちのため、正にチルドレンファーストでなくてはなりません。  小泉政権には子供たちの視点に立った一本化はできないということが今回の法案によってより一層明らかになりました。小泉政権によって置き去りにされてきたのは、正に未来ある子供たちでございます。私たち民主党こそが子供たちの育ちを支えていく、私たち民主党にしかできないんだということを強くお訴え申し上げまして、私の質問とさせていただきます。(拍手)    〔国務大臣小坂憲次登壇拍手
  7. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 林議員から五点の質問がございました。  最初に、幼保一元化が実現されていない要因についてのお尋ねでございますが、幼稚園は満三歳児からの学校でありまして、また、保育所はゼロ歳からの児童福祉施設であるというように、幼稚園保育所は異なる目的役割を持つ施設でありまして、それぞれの社会的ニーズにこたえてきたものでございます。しかしながら、両施設とも就学前の子供対象としていることから、教育保育内容整合性確保など、その連携強化を進めてきておるところでございます。  幼児期の多様な教育保育ニーズに適切に対応するためには、制度一元化して一律な対応を求めるのではなく、利用者のための新たな選択肢提供することが重要であると考え、今般の法案提案をしているものであります。  次に、虐待防止、多様なニーズへの対応についてのお尋ねがありました。  認定こども園では、ゼロ歳から二歳までの子供中心とする在宅の子育て家庭への支援認定必須要件としております。認定こども園における親子の交流の場の提供子育て相談事業などは、児童虐待防止に資すると考えておるわけであります。  また、多様な保育ニーズへの対応につきましては、子ども子育て応援プランに基づき、一時保育、病後児保育、育児不安について相談などを行う地域子育て支援センターなどの取組について着実な推進を図っており、認定こども園もこうした取組拠点一つ考えております。  次に、認定こども園の将来像についてのお尋ねがございました。  認定こども園は、地域実情に応じた対応が可能となるよう、利用者のための新たな選択肢提供しようとするものでありまして、今回の法律案により、幼稚園保育所認定こども園に統合しようとするものではなく、今後、幼稚園保育所認定こども園が相まって、地域実情に応じて、就学前の教育保育機能充実が一層図られることを期待をいたしているところでございます。  次に、利用料在り方と良質な教育保育の保障についてお尋ねがございました。  認定こども園については、教育保育基本的機能法律の規定に基づき確保されること、具体的な認定基準は、国の示す指針を参酌して都道府県議会の審議を経て条例で定めることとしているものであり、教育保育の質の確保が図られるものと考えております。  国の財政措置は、幼稚園保育所認可を受けた施設に対して行うこととしております。幼稚園保育所が一体的に設置される認定こども園に関しては、幼稚園保育所が円滑に移行し地域ニーズに柔軟に対応できるよう、財政措置特例等を講ずることとしております。  利用料については、施設において、利用するサービス等を踏まえ、地域実情に応じた適切な利用料が決定されるものと考えております。  最後に、財政措置保護者に対する支援一元化する民主党案提案についてお尋ねがありました。  就学前の子供に関する教育保育については、小学校以上の教育行政地域子育て支援などの福祉行政、働き方の見直しなどの労働行政と一体的に推進していく必要がございます。したがって、一つ省庁所管一元化するのではなく、文部科学省厚生労働省が密接に連携し、これらの関連する分野も含めきめ細かく対応していくことが適当であると考えております。このため、両省が協力して幼保連携推進室を設け、一体的な事務処理体制を整えるなどの措置を行い、両省で緊密な連携協力を図りつつ、保護者への支援も含めた財政措置の適切な運用に努めてまいりたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣川崎二郎登壇拍手
  8. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 林議員から五問の御質問がございました。お答え申し上げます。  幼保一元化が実現されない要因についてのお尋ねがございました。  文科大臣からも答弁がありましたが、保育所幼稚園は異なる目的役割を持つ施設であり、多様化する教育保育ニーズに適切に対応するために、制度一元化して一律な対応を求めるよりも、利用者のための新たな選択肢提供することが重要であると考えております。本制度の積極的な活用により、就学前の教育保育及び子育て支援機能充実が一層図られることを期待いたしております。  待機児童解消についてお尋ねがございました。  平成十四年度から待機児童ゼロ作戦を進め、平成十七年四月の待機児童数は二年連続で減少し二万三千人となっており、引き続き、待機児童五十人以上の市町村を中心保育所の重点的な整備を行い、受入れ児童数の拡大を図っております。  これに加えて、認定こども園においては、四つの類型を通じた受入れ児童の増加を期待しております。特に、今回の法律による幼保連携型の認定こども園となる場合には、保育所認可定員施設設備基準特例を設けることとしており、こうした特例活用することにより、幼稚園が低年齢児保育に取り組むことになれば、待機児童解消に資するものと期待をいたしております。  次に、虐待対策、多様な保育ニーズに係るお尋ねがございました。  児童虐待を受けた子供については、認定こども園である保育所を含め、保育所に入所する児童を選考する場合に、保護者就労していなくても特別の支援を要する家庭として優先的に扱うこととしており、今般の認定こども園児童虐待防止に資するものと考えております。  また、多様な保育ニーズへの対応については、一時保育地域子育て支援センター、病後児保育等取組について、子ども子育て応援プランに基づきその着実な推進を図っているところであり、認定こども園もこうした取組拠点一つ考えております。  保育所型認定こども園に関する財政支援についてお尋ねがございました。  認定こども園に対する国の財政支援は、幼稚園保育所認可有無に応じて行うこととしており、幼稚園認可がない保育所型の認定こども園については、幼稚園認可はないため幼稚園就園奨励費補助金助成対象とはなりません。  保育所型の認定こども園については、既存施設活用などコスト増を避けられることなどから、保育に欠けない子供に対しても施設において地域実情に応じた適切な利用料が決定され、そうした不公平は生じないと考えております。  最後に、所管財政措置についてお尋ねがありました。  文科大臣からも答弁がございましたが、就学前の子供に関する教育保育については、教育行政福祉行政労働行政と一体的に推進していく必要があり、一つ省庁所管一元化するのではなく、厚生労働省文科省が密接に連携し、きめ細かく対応していくことが適当であると考えております。このため、厚生労働省文部科学省協力して幼保連携推進室を設け、一体的な事務処理体制を整えるなどの措置を行うとともに、財政措置については必要に応じた適切な運用に努めてまいりたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣猪口邦子登壇拍手
  9. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 林議員から少子化対策に関する担当省庁窓口の一本化についての御質問ありましたので、お答え申し上げます。  少子化対策につきましては、各省にわたる幅広い施策を総合的に推進していく必要があり、全閣僚が参加する少子化社会対策会議中心に、政府を挙げて少子化対策に取り組んでいるところでございます。  認定こども園制度についてですが、両大臣からも答弁がありましたとおり、これは小学校以上の教育行政地域子育て支援などの福祉行政、そして働き方の改善などに関する労働行政と一体的に推進する必要があります。したがって、一つ省庁所管一元化するのではなく、文部科学省そして厚生労働省が密接に連携し、関連分野も含め、きめ細かく対応していくことが効果的であると考えます。  また、内閣府が特命担当大臣の下で政府少子化対策全般を調整する役割を負っており、そのような現在の体制を有効に積極的に機能させていくことが重要であると考えます。認定こども園につきましても、専任の少子化担当大臣といたしまして、関係閣僚と密接に連携しながら、制度の円滑な施行にも努めてまいります。(拍手
  10. 扇千景

    議長扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。      ─────・─────
  11. 扇千景

    議長扇千景君) この際、日程に追加して、  農業担い手に対する経営安定のための交付金交付に関する法律案について、提出者趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 扇千景

    議長扇千景君) 御異議ないと認めます。中川農林水産大臣。    〔国務大臣中川昭一登壇拍手
  13. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 農業担い手に対する経営安定のための交付金交付に関する法律案趣旨につきまして御説明申し上げます。  近年の我が国農業をめぐる情勢を見ますと、農業従事者減少高齢化による農業生産構造脆弱化が進む中、その構造改革を加速するとともに、WTOにおける国際規律強化にも対応し得る施策への転換を図ることが喫緊の課題となっております。  政府といたしましては、このような課題に対処し、国民に対する食料の安定供給確保に資するよう、これまですべての農業者対象品目ごとに講じてきた施策を見直し、認定農業者等担い手経営全体に着目してその安定を図るために必要な交付金交付する措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、交付金交付対象となる農産物及び農業者の範囲であります。  対象農産物として、米穀、麦、大豆、てん菜、でん粉の製造の用に供するバレイショのように、国民に対する熱量の供給を図る上で特に重要であって、相互の組合せによる生産が広く行われている農産物を定めるとともに、対象農業者として、認定農業者又は特定農業団体その他の一定要件を満たす農作業受託組織、すなわち一定要件を満たすいわゆる集落営農であって、その耕作の業務の規模が一定基準に適合する等の要件を満たすものを定めることとしております。  第二に、我が国農業における生産条件に関する不利を補正するための交付金であります。  我が国地理的条件が悪いこと等に起因する諸外国との生産条件の格差から生ずる不利を補正するため、対象農産物のうち、その生産費販売価格を上回るものについて、両者の差額に応じた交付金交付することとしております。  第三に、収入の減少農業経営に及ぼす影響を緩和するための交付金であります。  豊凶変動等による対象農産物に係る収入の減少農業経営に及ぼす影響を緩和するため、自ら一定の積立てを行っていることを要件として、収入減の一部を補てんする交付金交付することとしております。  第四に、交付金交付業務の適正な執行の確保についてであります。  交付金交付業務の適正な執行を確保するため、不正の手段で交付金交付を受けた者に対し交付金の返還を命ずるとともに、必要な場合にはその徴収ができることとしております。  なお、これらの措置を講ずることに伴い、大豆交付金暫定措置法を廃止することとしております。  以上、農業担い手に対する経営安定のための交付金交付に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)     ─────────────
  14. 扇千景

    議長扇千景君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。常田享詳君。    〔常田享詳君登壇拍手
  15. 常田享詳

    ○常田享詳君 私は、自由民主党、公明党を代表して、ただいま議題となりました農業担い手に対する経営安定のための交付金交付に関する法律案担い手経営安定新法について農林水産大臣質問いたします。  BSE問題では、私たちは改めて食の安全、安心について考えさせられました。米国と日本との食に対する感覚の違いが明らかになりました。この問題は私たちの生活に大きな衝撃を与えましたが、一方で、生産者と消費者の距離が近い日本農業を見直す良い機会になりました。  農業基本法制定以来、日本農政は他産業並みの所得を目指してまいりました。しかし、残念ながら、農林水産省が他産業並みとする年間五百三十万円の所得が得られる農家は、北海道を除く都府県では三・数%にすぎません。なぜ日本農業者経営体として強くならないのでありましょうか。  現在、WTOではモダリティー確立に向けて真摯な交渉が続けられておりますが、日本農業にとって厳しい時代が続くのは避けられません。農業を国家の中でどのように位置付けるのか、明確な目標とそれに向かう政策手段が必要であります。農業の崩壊は、日本の食料安全保障のみならず、文化、伝統、そして環境を始めとする国の土台そのものが崩れるということであります。日本農業の現状をどうとらえ、どのような将来像を描いているのか、農林水産大臣にお伺いいたします。  担い手安定新法案は、これまですべての農業者対象として品目ごとに講じてきた価格政策を見直し、農業担い手対象を限定した上で、その経営安定を図るために交付金交付するというものであります。生産者に区別を付けず、一律品目ごと支援してきたこれまでの生産支援策を転換するという点で、戦後農政の一大転換であります。  確かに担い手の育成は必要なことでありますが、担い手支援は、昨年の農業経営基盤強化促進法改正の例のように、農地の利用集積への支援などの面で今までも支援策が講じられてきたところであります。本法律案では、国庫から農家に直接所得が支払われることになります。納税者の理解も必要であります。所得の減収補てんという直接的な支援まで必要とすると判断した理由を改めて伺います。  本法律案では、生産条件格差交付金、収入変動影響緩和対策交付金の二種類の交付金担い手交付されることになっています。  前者は、麦、大豆、てん菜、でん粉原料用バレイショを対象としていますが、品質格差を重視する余り、極端に生産者、地域間で交付単価にばらつきを生じさせることになれば、生産意欲の低下につながりかねません。  また、収入の変動による影響の緩和対策の対象品目は、現在も経営安定対策が講じられている米を加えた五品目としています。その仕組みは、米の担い手経営安定対策と同様、対象品目ごとに算定し、マイナスとなった場合にその減収額の九割を補てんするということであります。財源は、生産者と国が一対三の割合で拠出することとなっております。従来の施策に比べかなり有利な仕組みとなっておりますが、加入する担い手が増えるのかどうか懸念する声もあります。こうした懸念が無用であるのかどうか、お伺いいたします。また、対策が始まる二〇〇七年度までにどこまで増やすことができるのか、伺っておきます。  品目横断的経営安定対策の対象となる担い手対象は、農林水産省令で定める一定規模の農業経営基盤強化促進法の認定農業者特定農業団体、その他委託を受けて農作業を行う組織と限定されています。さらに、担い手要件としては、このほか、一定規模以上の水田又は畑作経営を行っているものであることが要求されています。対象者として認定農業者などいわゆる担い手に限定する結果、対象とならない兼業、零細農家の位置付けをどうするのか、大きな問題であります。  我が国農業は零細、兼業の家族経営中心であり、これが農業の低い生産性の原因とされる一方、これらの零細小規模農家が全体として日本農業を支えているのが実態であります。そして、生産現場では切り捨てられるのではないかという不安に駆られているのが現状であります。  制度運用に際しましては、こうした我が国農業の特性や地域実情に応じた多様な政策の展開が必要であります。今後の運用について、本法律案と車の両輪に位置付けられる農地・水・環境保全向上対策の具体化を含め、どのように展開していかれるのか、お伺いいたします。  また、地域実情に応じた柔軟な運用も必要であります。地域に応じ規模要件を緩和すれば、集落営農の組織化が促進され、地域の零細農家、兼業農家の営農参加が期待できます。しかし、対象要件は経理の一元化等かなり事務手続も必要となり、加入が難しくなりはしないかと心配があります。また、過去に国の補助事業等により機械を導入した集落営農等の組織が法人化し、当該機械を法人で利用する場合、財産処分しなければならないため法人化のためのネックとなっています。これらについて配慮が必要と思いますが、御見解をお伺いいたします。  さらに、地方自治体による対象の拡大や追加支援措置が可能となるよう基準地域の自主性が働くよう簡便化するなどをすれば、国の基準としては交付金対象となる担い手でなくても、地域にとっては担い手たり得る農家も数多くあると思います。それらを自治体独自の判断により、本法律案のような交付金でなくても、農業経営基盤強化措置特別会計等を有効活用し、担い手に準じた支援ができるようにすれば地域農業も活性化するはずであります。こうした地域実情に応じた多様な担い手確保が必要と考えますが、御見解をお伺いいたします。  戦後農政の大転換とされるこの対策の内容について、正確かつ迅速に生産現場に周知徹底を図り、農協、自治体等関係団体と一体となって取り組んでいかなければなりません。しかし、現場での理解はまだまだ不十分であります。また、この対策の導入で、農業構造改革を進めることこそが食料自給率の向上や食の安全、安心の確保につながることを、農業者農業関係者はもちろんのこと、広く国民各層に分かりやすくアピールすることが必要だと考えます。徹底したこれらの対応が求められるところでありますが、御見解をお伺いいたします。  最後に、WTO農業交渉について伺います。  今日までの中川大臣の献身的な御努力に対し、心より敬意を表したいと思います。  現在、WTOは、関税削減率や詳細な要件等を定めたモダリティー確立に向け交渉が行われておりますが、上限関税を阻止し、センシティブ品目を少しでも多くかち取り、また、その代償に低関税枠の異常な拡大を強いられるようなことがないよう、これらを防がなければなりません。  日本は、各国の異なる生産条件や社会経済事情を踏まえ、多様な農業の共存を掲げておりますが、この日本提案をどのように実現されるのか、それが問われているわけであります。最終段階に差し掛かっている大臣のWTOへの御決意をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣中川昭一登壇拍手
  16. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 常田議員の御質問お答えいたします。  まず、農業の現状と将来展望についてのお尋ねでありますが、我が国農業につきましては、農業従事者減少高齢化し、耕作放棄地が増加する一方、農業経営の規模拡大が遅れるなど農業生産構造脆弱化が進行しており、効率的かつ安定的な農業経営農業生産の相当部分を担う強靱な農業構造を構築することが待ったなしの課題となっていると認識をしております。  このため、昨年三月の農業構造の展望におきましては、望ましい農業構造の姿として、平成二十七年に効率的かつ安定的な農業経営が、家族農業経営が三十三万戸から三十七万戸程度、集落営農経営が二万から四万程度、法人経営が一万程度と見込むとともに、これらの経営によりカバーされる農地が七から八割程度になると見込んでいるところであり、この展望を目指して、担い手への支援の集中化、重点化等必要な施策を講じることとしている、でございます。  次に、担い手に対する直接的な支援についてのお尋ねでありますが、農業従事者減少高齢化等による農業生産構造脆弱化が進む中で、幅広い農業者を一律に対象とし、品目ごとに価格補てんを行うようなこれまでの政策体系の下では、農業経営の規模拡大等による望ましい農業構造を実現しにくいといった面がありました。  このため、今回の法案により、やる気と能力のある担い手対象を絞り、このような担い手が将来にわたり安定して農業を営めるよう、直接支払の手法により品目横断的な経営安定対策を導入し、望ましい農業構造を実現してまいりたいと考えております。  次に、収入変動影響緩和対策の加入見込みについてのお尋ねでありますが、今回の新たな経営安定対策において講じることとしている収入変動影響緩和対策につきましては、米政策改革の一環として措置している現行対策に比べ、米に加え、麦、大豆等を対象品目とすること、おおむね一対二から一対三に国の負担割合を引き上げること等により担い手のメリットを拡大したところであり、多くの農業者に加入していただけることを期待しております。  その加入者の数につきましては、今後の担い手育成の取組の進展度合いにより大きく変わることから見通すことは困難でありますが、いずれにいたしましても、本対策のメリットの周知を図りつつ加入促進に努めてまいりたいと考えております。  次に、我が国農業実情を踏まえた政策展開についてのお尋ねでありますが、新たな経営安定対策の対象者については、我が国農業構造改革を加速化する観点から、認定農業者又は一定要件を満たす集落営農組織であって、一定経営規模以上のものを基本としていますが、零細、兼業の農家などにつきましても対策の対象となる集落営農に参加することは可能であり、本対策による支援を受けるという門戸は開かれております。  一方、十九年度から実施することとしております農地・水・環境保全向上対策などの地域振興政策は、担い手以外の農家も対象となり得ます。  今後とも、新たな経営安定対策や農地・水・環境保全向上対策などの関連施策の連携を図ることにより、我が国農業の特性や地域実情に応じた施策の展開を図ってまいりたいと考えております。  次に、集落営農の組織化についてのお尋ねでありますが、新たな経営安定対策の対象者となる集落営農については、経理の一元化農業生産法人となる計画を有することなどを求めております。  経理事務につきましては、農業関係団体等において支援や指導等を行っているほか、農林水産省としても平成十八年度予算において支援措置を講じております。また、国庫の補助により導入した機械等の処分につきましては、一定の条件を満たす場合に補助金の返還を求めないということとするなどの措置を講じております。このような取組により、集落営農の組織化、法人化を更に進めてまいりたいと考えております。  次に、地域実情に応じた担い手確保についてのお尋ねでありますが、新たな経営安定対策の対象となる担い手は、認定農業者又は一定要件を満たす集落営農組織であって、一定経営規模以上のものを基本としておりますが、集落の農地が少ない等、物理的制約から規模拡大が困難な地域にあっては、都道府県知事からの申請に基づき国が別途基準を設け、対象とすることができることとするとともに、経営面積は小さくても複合経営等により一定農業所得がある場合には対策の対象となることができるなど、地域実情に応じた多様な担い手対象となれるよう配慮しております。  次に、経営安定対策の内容の周知の徹底についてのお尋ねでありますが、本対策は戦後農政を大きく転換するものであることから、農業団体等の関係機関とも連携協力して、全国地域における説明会の開催や集落座談会の実施等による対策の周知徹底と理解の浸透に努めているところであります。  この結果、担い手育成の機運は相当程度高まっているところでありますが、今後とも、十九年産からの対策の円滑な導入に向けて、対策の趣旨内容について一層きめ細かな説明に努めるとともに、我が国農業を担う意欲と能力のある担い手の育成確保に全力を挙げて取り組んでまいります。  最後に、WTO農業交渉についてのお尋ねでありますが、我が国は、御指摘のように、多面的な機能を有する各国の多様な農業の共存が可能となるような交渉成果を得ることを基本理念としており、柔軟性があり、輸出国と輸入国のバランスの取れた貿易ルールを確立すべく交渉に臨んでいるところであります。  我が国といたしましては、本年十二月末のドーハ・ラウンドの最終合意に向けまして、積極的に交渉に貢献しつつ、守るところは守る、譲るところは譲る、攻めるところは攻めるという姿勢で戦略的かつ前向きに対応し、我が国の主張がドーハ・ラウンドの成果に最大限反映するよう努めてまいりたいと考えております。(拍手)     ─────────────
  17. 扇千景

    議長扇千景君) 主濱了君。    〔主濱了君登壇拍手
  18. 主濱了

    ○主濱了君 民主党の主濱了でございます。  ただいま議題となりました農業担い手に対する経営安定のための交付金交付に関する法律案に対しまして、民主党・新緑風会を代表して質問します。  日本農業の基本指標を見ますと、販売農家は、平成二年から平成十七年のわずか十五年間で三四・三%減少平成二年の三分の二になってしまいました。また、販売農家の経営耕地総面積は、同様に、この十五年間で二一・二%も減少しています。さらに、耕作放棄地率は、平成七年は三・八%、平成十二年は五・一%、平成十七年は一一・二%と急上昇しています。加えて、食料自給率は、昭和三十五年の七九%をピークに、平成十年の四〇%まで三十八年間で実に三九ポイントも急激に低下し、以降四〇%で低迷しています。  これらの状況を踏まえ、新しい食料・農業・農村基本計画を中心に、特に担い手について質問をいたしますので、明快かつ日本農業の再生を目指す積極的な御答弁を願うものであります。  まず、食料自給率が四〇%で低迷している理由についてお伺いします。平成十二年策定の、前の基本計画を推進したにもかかわらず、結局、食料自給率は上昇しませんでした。この点について、大いなる反省と国民に対する説明が必要であります。最初に、食料自給率が上昇しなかった理由をいかに考えておられるのか、中川農林水産大臣、お伺いします。  また、平成二十七年には食料自給率四五%の目標を達成しなければならないわけですが、目標達成への御決意とその具体的な方策について併せてお伺いします。  さて、新しい食料・農業・農村基本計画に基づく経営安定対策は平成十九年産からの導入が予定されています。諸施策中心になる品目横断的経営安定対策の対象者、すなわち担い手は、様々な特例はあるものの、その要件は厳しいと思います。規模要件では、認定農家が北海道では十ヘクタール以上、都府県で四ヘクタール以上、特定農業団体が二十ヘクタール以上。さらに、集落営農などが担い手になるためには、二十ヘクタール以上という規模要件のほかに、地域の農用地の三分の二以上の利用集積を図ることや、農業生産法人への計画を有することなどをも満たさなければなりません。導入までもう一年を切っていますが、農業生産に途切れがあってはならないのであります。  この観点から、本制度導入時、平成十九年当初の担い手の数及び担い手へ集積される農地をどの程度と見込んでいるのか、また、導入時において国民への国産の農産物供給に支障を来すことがないのかについて、中川大臣にお伺いします。  次に、新しい基本計画の下で一定要件を満たした担い手に対してだけ集中的、重点的に施策を講じるとしていることは農政の大転換と考えられますが、このことを全国の農家に十分周知し、理解を得ているかについて伺います。  古いデータで恐縮ですが、昨年十一月中旬の日本農業新聞の調査では、農家モニターが品目横断的経営安定対策についてよく知らないとする回答が七割を超えているとのことであります。現在どの程度全国の農家の理解、納得を得ていますでしょうか。もし周知が十分でない場合は平成十九年産からの導入を延期することも必要と考えますが、中川大臣、いかがでしょうか。併せてお伺いします。  このことが問題になるのは、現在の販売農家の平均経営耕地面積が一・七六ヘクタールだからであります。これを集落営農の場合二十ヘクタール以上に集積をしなければ、経営安定のための交付金交付対象である担い手にはなれないのです。しかし、農地集約には時間が掛かります。すべての農家の理解を得るために時間を十分掛ける必要があります。  次に、米が品目横断的経営安定対策の中の諸外国との生産条件格差是正対策の対象品目に入っていないことについてお伺いします。  これは、米には国境措置がなされていて諸外国との生産条件の格差を議論する余地がないという理由からでしょうか。確かに、現在は精米の関税は一キログラム当たり三百四十一円、関税率にすると七七八%で、ミニマムアクセス米を除いては実質輸入が難しい状況にあります。他方、WTO農業交渉の中で、日本はG10とともに、重要品目についてその数を幅広く確保すること、関税削減率を低く抑えることなど、各国の農業生産条件を反映した関税構造が尊重されるよう提案をしています。私は、米は当然この重要品目に位置付けられるものと考えております。  しかし、WTO農業交渉の結果、米の関税を大幅に引き下げざるを得ない状況になり、外国産米が日本に流入し、生産条件の格差が顕在化した場合、一般的な考え方として外国との生産条件格差是正対策の対象品目として米が加えられるのか、まずお伺いいたします。  この場合、関税率の大幅な引下げは、担い手のみならず担い手以外の農家にも影響を及ぼしますが、この影響については担い手以外の農家にも対処するべきであります。すなわち、担い手以外の農家も品目横断的経営安定対策の対象とするべきであると考えますが、いかがでしょうか。併せて中川大臣の御所見をお伺いします。  次に、新しい基本計画では兼業農家の位置付けはいかがなっていますでしょうか。販売農家は百九十五万戸、うち兼業農家は百五十一万戸で、販売農家の七七・六%も占めています。兼業農家を切り捨てるなど、抜きにして日本農業は語れないと思いますが、中川大臣、いかがでしょうか。  また併せて、十年後の生産体制についてお伺いします。平成二十七年の農業構造の展望に示されております効率的かつ安定的な農業経営、すなわち担い手は三十六万戸ないし四十二万戸だけであります。この担い手中心とした生産体制で、日本国民一億二千万人に対して国産の安全な農産物を十分にかつ継続して供給できるとお考えでしょうか。食料の自給率向上に影響しませんか。中川大臣、お伺いします。  次に、今の日本、耕地が減少し続けていますが、私は、現在ある四百七十万ヘクタールの耕地すべてが活用されることが必要であると考えます。一定規模などの要件を満たした担い手が耕作する農地だけが特に大事なのではないと考えます。担い手でなくても、五反歩、〇・五ヘクタール、一ヘクタールであろうが、意欲を持って農業に真剣に取り組む農家、国民に国産の農産物供給する農家であれば、農政の対象支援対象とすべきと考えますが、いかがでしょうか。中川大臣の御所見をお伺いいたします。  なお、農政における支援に対して、ばらまき行政との批判があることは承知しています。しかし、国民のために国産の安全な農産物供給している販売農家、これら農家に対する支援については、日本が食料の面でも自立し、真の独立国家として存続するために、国策として守っていかなければならない是非必要なものと考えるものであります。  次に、中川大臣、このたびの新しい基本計画がすべての農家に勇気と希望を与え、日本農業を元気にするものであるとお思いでしょうか。私は、残念ながら、そうではないと考えます。反対に、多くの農家が、農政に見放されたということで生産意欲を失い、耕作を放棄するのではないかと懸念するものであります。私の在職中に結果が出る可能性もあります。  この耕作放棄地が増大するのではないかという私の懸念が的中した場合、どなたがどのような責任をお取りになるのか、中川大臣、お伺いいたします。  私は、この法律案策定の契機になっている農業生産構造脆弱化を招いた原因が何であったか、これが本来問われなければならないと考えています。昭和三十六年の旧農業基本法以来、生産性の向上や規模の拡大、あるいは価格政策による所得向上を目的とした農政が進められてきました。しかしながら、農業所得、特に主食である米の生産農家の所得は向上せず、生産規模の拡大もさほど拡大せず、結果として農業後継者を育てることもできなかったと評価せざるを得ません。どなたが進めてきたかについては、今日はこの辺に置いておきます。  農業の基本指標は依然低下し続けています。このような中で担い手だけに支援を集中する政策は農業の衰退傾向に拍車を掛けるものと、大いに懸念するものであります。富士山を例に取るのは恐縮ですが、今進めようとしている担い手中心とした生産体制は、富士山の八合目より下のすそ野を切り捨てるようなものであります。  私は、効果的、効率的な農業を否定するものではありません。ただ、今やるべきは、国民に国産の農産物供給している販売農家全体を農政の対象として、直接支払制度を導入して支援することであります。このことにより、農業、農村全体を活性化し、日本の農業を再生することであります。  そのためにも、日本に合ったスタイルの農業を目指すべきであると考えます。農業生産はもとより、農村文化や食文化、あるいは豊かな自然環境の保持や国土の保全をも担う、すそ野の広い、層の厚い、多様な担い手確保するべきであると考えます。これは正に、与党とか野党の問題ではなく、日本の存亡にもかかわる重大な問題であると考えるものであります。  最後になりますが、狭小そして急峻な日本の国土に合った、日本独自スタイルの農業及び農政の在り方について、中川大臣の御所見をお伺いします。  なお、御答弁が不十分な場合には再質問をさせていただきますことを申し添えまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣中川昭一登壇拍手
  19. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 主濱議員の御質問お答えいたします。  まず初めに、食料自給率の低迷理由についてのお尋ねでございますけれども、我が国の食料自給率は、御指摘のとおり、現在、カロリーベースで四〇%と、主要先進国の中で最低の水準になっております。  このように食料自給率が低い水準にとどまっている理由は、まず生産面におきましては、国内生産が消費者ニーズに十分に対応できていないということが考えられます。また、消費者面におきましては、米の消費量が減少をする一方、畜産物や油脂の消費が増加するなど、食生活が大きく変化しているということ、生産面、消費面、両面での変化が大きな原因というふうに考えております。  また、自給率目標達成への決意とその具体的方策についてのお尋ねでありますが、我が国の食料自給率は主要先進国の中で最低の水準であり、また世論調査でも国民の八割が将来の食料供給に不安を抱いているという結果も出ております。このため、昨年三月に閣議決定されました食料・農業・農村基本計画におきまして、平成二十七年度のカロリー食料自給率目標を四五%と設定し、この目標に向けて重点的に取り組むべき事項を明確化したところでございます。  具体的には、消費面では、日本型食生活の推進に向けまして、食事バランスガイドの普及、活用に努めるなど、分かりやすく実践的な食育の普及を進めているところでございます。また、生産面では、担い手への農地の利用集積等を通じまして効率的な農地利用推進するとともに、食品産業と農業連携強化や、経営感覚に優れたやる気と能力のある担い手の育成確保を図ることにより、需要に即した生産を進めていかなければならないと考えております。  次に、新たな経営安定対策の導入時における担い手の数や農地面積及び導入時における農産物供給への支障についてのお尋ねでありますが、本対策の対象につきましては、経営耕地が四ヘクタール以上といった一定の前提を置いた場合、現時点におきまして対象者、対象面積の割合はそれぞれ三割、五割と試算されておりますけれども、今後の担い手育成の取組の進展度合いにより大きく変わることから、対策導入時における担い手の数や面積の見通しを申し上げることは現時点では困難でございます。  いずれにいたしましても、本対策につきましては、担い手農業経営の安定を図ることにより、生産性の向上が促進され、国民に対する食料の安定供給確保が図られるものと考えており、その円滑な導入に向けまして、引き続き担い手の育成確保に全力で取り組んでまいりたいと考えております。  次に、新たな経営安定対策の周知状況についてのお尋ねでありますが、本対策は戦後農政を大きく転換するものであることから、農業団体等の関係機関とも連携協力して、全国地域における説明会の開催や集落座談会の実施等による対策の周知徹底と理解の浸透に努めているところであります。この結果、対策への理解は現場レベルまで相当程度浸透し、担い手育成の機運も高まっていると認識しておりますが、今後とも対策の趣旨内容につきまして一層きめ細かな説明に努め、十九年産からの対策の円滑な導入を図ってまいる所存でございます。  次に、米を生産条件格差是正対策の対象としていないことについてのお尋ねでありますが、米につきましては、現行の国境措置により、諸外国との生産条件格差が内外で顕在化していないことから、生産条件格差是正対策の対象としてはおりません。  次に、WTO交渉の結果との関係についてでありますけれども、WTO交渉につきましては、引き続き積極的に交渉に参加しつつ、我が国の主張がドーハ・ラウンドの成果に最大限努めてまいりたいと考えております。  この御質問につきましては、正に交渉中の問題であり、これを前提とした議論は交渉に影響を及ぼすことも考えられるわけでございますので、お答えは差し控えたいと思いますが、一般論として申し上げますならば、諸外国との生産条件格差が国内で顕在化することと仮になった場合には、法案上、米につきましても生産条件格差是正対策の対象となり得ると考えております。  また、今回の経営安定対策については、我が国農業構造改革を進めるために、やる気と能力のある担い手対象を絞って実施することとしているものであり、担い手以外に対象を広げることは考えておりません。  次に、新たな基本計画における兼業農家の位置付けについてのお尋ねでありますが、昨年三月に決定した新たな基本計画におきましては、農業を産業として振興する観点からは、農業経営に関する各種施策対象をできる限り担い手に限定し、集中的、重点的に実施することとしておりますが、兼業農家につきましても、集落営農に参加することで担い手の一員となることができます。  一方、中山間地域等直接支払制度などの地域振興施策につきましては、兼業農家など担い手以外の農家も対象となり得ることとしており、兼業農家も地域農業において一定役割を担っていただきたいと考えております。  次に、食料自給率の向上についてのお尋ねでありますが、やる気と能力のある担い手施策を集中的、重点的に実施することにより、生産性の高い担い手生産の相当部分を占める強靱な農業構造の実現を通じて、生産コストの低減や品質向上が図られるとともに、消費者や食品産業の需要に的確に対応し、農産物を安定的に供給できる体制が確立され、食料自給率の向上に資すると考えております。  次に、担い手以外の農業者についてのお尋ねでありますが、農業従事者減少高齢化等による農業生産構造脆弱化が進み、このままでは農業のみならず地域社会の維持発展にも支障が生じかねない状況の中で、農業構造改革を進めるためには、これまでの幅広い農業者を一律に対象とする施策体系を見直し、担い手に各種施策を集中的、重点的に実施していくことが重要と考えております。  施策対象となる担い手につきましては、やる気と能力のある農業者に対しては門戸は十分に開かれているところであり、農業に真剣に取り組む農業者の育成確保に努めてまいりたいと考えております。  次に、耕作放棄地についてのお尋ねでありますが、耕作放棄地につきましては、農業従事者減少高齢化の進行等により、その一層の増大が見込まれる中で、新たな経営安定対策の導入により、集落営農を含む担い手による農地の有効利用が図られ、耕作放棄地の発生防止に資するものと考えております。本施策によりまして、放棄地が有効利用されていくことということを現時点で期待しているということでございます。  最後に、我が国農業及び農政についてのお尋ねでありますが、我が国におきましては、農業従事者減少高齢化が進行するなど、農業をめぐる情勢が大きく変化しております。こうした中で、国内農業の競争力の強化を図っていくことが急務となっております。このため、効率的かつ安定的な農業経営農業生産の相当部分を担うような農業構造を早急に確立するとともに、農業生産の基盤となる農地、水の保全などを通じて農業の多面的機能の健全な発揮を図ることが重要であります。  こうした観点に立って、平成十九年から、担い手対象を絞り、経営全体に着目して講ずる品目横断的経営安定対策への転換や、地域の共同活動により農地、水等の資源や環境の保全向上を図る対策の導入を行うこととしており、我が国農業実情を踏まえた施策を強力に推進してまいりたいと考えております。(拍手
  20. 扇千景

    議長扇千景君) このまましばらくお待ちください。  主濱君から再質疑の申出があります。これを許します。主濱了君。    〔主濱了君登壇拍手
  21. 主濱了

    ○主濱了君 再質問の機会を与えていただきまして、感謝申し上げます。  早速、中川大臣に対する質問に入ります。  WTO農業交渉の結果、生産条件に格差のある外国産米を輸入せざるを得ない状況になった場合、一般的な考え方として、米が諸外国との生産条件格差対策の対象品目になるのかどうかの項目について、改めてお伺い申し上げます。質問項目四であります。  先ほど御答弁いただきました。今、中川大臣、WTO農業交渉、一生懸命頑張っておられまして、そして農業交渉の早期決着を目指しておられるとのことでございます。当然、この中には米の検討も入っていると思います。  実は、私も、昨年十二月、本院の派遣をいただきまして、WTO農業交渉の香港会合に出席をさせていただきました。その中で、上限関税は設定しないこと、そして、重要品目についてはそれぞれの農業生産国の実情に応じた数を確保すること、このような主張を申し上げてきたところでございます。  ただいまの御答弁の中では、安い外国産米が輸入されることになり、米が麦や大豆と同様の状況に置かれた場合、一般的な考え方として格差是正対策の対象品目になり得ると、このような御答弁をいただいたところであります。  もう一つお伺いしたいのは、安い外国産米の輸入の影響は、担い手だけではなくて、担い手以外の稲作農家にも当然及びます。一般的な考え方とすれば、担い手以外の農家をも経営安定対策の是正対策の対象者とするべきであると考えますが、改めて中川農林水産大臣の御見解をお伺いいたします。  以上、再質問いたします。(拍手)    〔国務大臣中川昭一登壇拍手
  22. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 主濱議員にお答え申し上げます。  現在、外国との格差というものが国境措置によって守られておりますので、したがって、この四品目とは違う扱いになっているということでございますが、仮に、交渉の段階でございますから、これはあくまでも仮定の議論といたしまして、内外価格差の影響が米についても受けるといった場合には生産格差是正対象になり得ると先ほど答弁をいたしました。このなり得る対象者は、これは認定農家等の担い手でございまして、それ以外の農家については対象にならない。これはほかの四品目と同じ扱いでございます。(拍手
  23. 扇千景

    議長扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。      ─────・─────
  24. 扇千景

    議長扇千景君) 日程第一 公職選挙法の一部を改正する法律案(阿部正俊君外四名発議)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員長泉信也君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕     ─────────────    〔泉信也君登壇拍手
  25. 泉信也

    ○泉信也君 ただいま議題となりました法律案につきまして、政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、参議院選挙区選出議員の各選挙区の定数の配分について、東京都選挙区の議員定数を八人から十人に、千葉県選挙区の議員定数を四人から六人にそれぞれ増員する一方、栃木県選挙区及び群馬県選挙区の議員定数を四人から二人にそれぞれ減員しようとするものであります。  委員会におきましては、北澤俊美君外四名の発議の公職選挙法の一部を改正する法律案と一括して議題とし、参議院創設時における地方区の定数配分の考え方、四増四減案により較差是正を図る必要性、合区による較差是正とその評価、投票価値の平等要請と参議院の選挙制度の基本的枠組みの維持、都道府県単位の選挙区が果たしてきた役割、参議院の在り方にふさわしい選挙制度の構築の必要性等について質疑が行われました。  本法律案について質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して井上哲士委員より反対する旨の意見が述べられました。  討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  26. 扇千景

    議長扇千景君) これより採決をいたします。  本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  27. 扇千景

    議長扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  28. 扇千景

    議長扇千景君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百二十六     賛成            百三十八     反対             八十八    よって、本案は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕      ─────・─────
  29. 扇千景

    議長扇千景君) 日程第二 電子署名に係る地方公共団体認証業務に関する法律の一部を改正する法律案(第百六十三回国会内閣提出、第百六十四回国会衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。総務委員長世耕弘成君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕     ─────────────    〔世耕弘成君登壇拍手
  30. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、電磁的方式による申請、届出その他手続における電子署名の円滑な利用の更なる促進を図るため、行政機関等及び裁判所に対する申請、届出その他の手続に関し、利用者電子署名を行ったことを確認することができる者の範囲を拡大する等の措置を講じようとするものであります。  委員会におきましては、利用者の視点に立った電子申請の普及促進策、団体署名検証者を定める基準と確認体制、司法書士等の士業団体を署名検証者とする理由、署名検証者等の範囲拡大と個人情報保護への配慮等について質疑が行われました。  質疑を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法律案に対して五項目から成る附帯決議が付されております。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  31. 扇千景

    議長扇千景君) これより採決をいたします。  本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  32. 扇千景

    議長扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  33. 扇千景

    議長扇千景君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百二十九     賛成           二百二十四     反対               五    よって、本案は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────
  34. 扇千景

    議長扇千景君) 本日はこれにて散会いたします。    午前十一時二十六分散会