運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2006-06-02 第164回国会 参議院 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年六月二日(金曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  六月一日     辞任         補欠選任      林 久美子君     白  眞勲君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         広野ただし君     理 事                 景山俊太郎君                 末松 信介君                 小川 敏夫君                 山根 隆治君     委 員                 岡田 直樹君                 河合 常則君                北川イッセイ君                 関口 昌一君                 藤井 基之君                 浅尾慶一郎君                 白  眞勲君                 森 ゆうこ君                 柳澤 光美君                 風間  昶君                 木庭健太郎君                 緒方 靖夫君    国務大臣        外務大臣     麻生 太郎君        国務大臣        (内閣官房長官) 安倍 晋三君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    沓掛 哲男君    副大臣        内閣府副大臣   櫻田 義孝君        外務大臣    金田 勝年君        財務副大臣    赤羽 一嘉君        農林水産大臣  三浦 一水君        環境副大臣    江田 康幸君    大臣政務官        外務大臣政務官  山中 あき子君        経済産業大臣政        務官       小林  温君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       伊佐敷眞一君        内閣官房内閣参        事官       坂井 孝行君        内閣官房拉致問        題連絡調整室        長        内閣大臣官房        拉致被害者等支        援担当室長    江村 興治君        警察庁警備局長  小林 武仁君        外務大臣官房参        事官       梅田 邦夫君        外務大臣官房参        事官       深田 博史君        外務省国際情報        統括官      竹内 春久君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に 関する調査  (派遣委員報告)  (北朝鮮をめぐる最近の状況に関する件)  (特定失踪者問題に関する件)  (拉致被害者等支援策に関する件)  (拉致問題解決に向けた国際的連携に関する件  )  (政府拉致問題特命チームの活動に関する件  )  (米国による資金洗浄対策に係る金融措置に関  する件)  (北朝鮮との輸出入貿易管理強化に関する件  )  (日朝包括並行協議に関する件)  (六者会合に関する件)     ─────────────
  2. 広野ただし

    委員長広野ただし君) ただいまから北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、林久美子君が委員を辞任され、その補欠として白眞勲君が選任されました。     ─────────────
  3. 広野ただし

    委員長広野ただし君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 広野ただし

    委員長広野ただし君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  5. 広野ただし

    委員長広野ただし君) 北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査議題といたします。  まず、本委員会が先般行いました委員派遣について、派遣委員報告聴取いたします。末松信介君。
  6. 末松信介

    末松信介君 それでは、派遣委員報告をさせていただきます。  本委員会広野委員長景山理事小川理事山根理事岡田委員北川委員関口委員藤井委員森委員柳澤委員風間委員緒方委員及び私、末松の十三名は、本年二月二十二日及び二十三日の二日間、北朝鮮による拉致問題等に関する実情調査のため、石川県及び福井県に派遣されました。以下、概略報告いたしますが、調査概要につきましては、本日、委員皆様報告書を配付させていただいております。  第一日目の石川県におきましては、まず、谷本石川県知事と懇談した後、久米裕さんの拉致事案である宇出津事件寺越昭二さんら三名の寺越事案などの概要について、石川警察本部山岡参事官公安課長、救う会石川大口事務局長及び寺越昭二さんの御家族特定失踪者問題調査会杉野常務理事より説明を伺いました。  石川県は海岸線が五百八十キロメートルと長く、不審船も横行し、北朝鮮の軍服を着装した死体が海岸に流れ着くなど、地元住民は不安を抱いているとのことでありました。  寺越事案につきましては、御家族である寺越昭男さん及び内田美津夫さんより拉致認定要望されました。  杉野常務理事からは、石川県においては、拉致の疑いがある失踪者が名前を非公開にしている者も含め九名いること、政府拉致被害者認定のハードルが依然として高いことなどの発言がなされました。  第二日目の福井県におきましては、まず、西川福井県知事と懇談した後、福井県の品谷総合政策部長より拉致問題の経緯と地村さん御家族に対する支援状況について、福井警察本部嶋田参事官より拉致事案概要特定失踪者捜査状況について、小浜市の網本副市長さんより地村さん御家族に対する支援状況などについて、説明を伺いました。  福井県では、平成二年に美浜町松原海岸北朝鮮特殊工作船が漂着するなど、平成に入ってからも北朝鮮工作員我が国に侵入、脱出を図っているとのことでありました。  地村さん御家族につきましては、地村さん御夫妻が県庁を訪問された際に長女恵未さんの日本語による手紙を持参され、皆元気で過ごしているとの近況報告がなされ、小浜市では拉致被害者家族支援室を設置し、御家族に対する生活支援等を実施しているとのことでありました。  特定失踪者問題については、救う福井の会の池田会長福井嶺南地方の三名の特定失踪者の御家族である山下寛久さん、山下きよ子さん及び宮内和見さんより、失踪当時の状況について説明がなされ、再調査拉致認定要望されました。  また、島田福井県立大学教授からは、特定失踪者調査捜査については、帰国した拉致被害者情報を求めるなど積極的に動く必要がある旨の発言がなされました。  以上が今回の調査概略でありますが、最後に、昨年十二月の委員派遣は天候不良のためやむなく中止をいたしましたが、今般、再度の調査に当たり、石川福井両県、小浜市始め御対応いただきました皆様方に心より感謝を申し上げます。  なお、配付させていただきました報告書は、これを本日の会議録に掲載されるようお取り計らいのほどお願いいたします。  以上です。
  7. 広野ただし

    委員長広野ただし君) 以上で派遣委員報告は終了いたしました。  ただいまの報告につきまして、別途、詳細にわたる報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 広野ただし

    委員長広野ただし君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  次に、北朝鮮をめぐる最近の状況について、政府から報告聴取いたします。麻生外務大臣
  9. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 北朝鮮をめぐります最近の状況について御報告をさせていただきます。  まず、四月に東京で行われた六者会合関係国による非公式接触について御報告をいたします。  四月九日から十三日までの日程で、東京にて開催された民間主催会合である北東アジア協力対話及びその関連会合機会に、各国の六者会合首席代表等が来日いたしております。  この機会に、日朝間では、三度にわたり、合計約五時間の協議を行いました。我が方からは、拉致問題について、北朝鮮側の誠意ある対応を要求するとともに、このまま日朝関係も六者会合も進まない場合、日本国内の雰囲気はますます厳しくなることを説明しております。  また、後ほど述べます横田めぐみさんの夫に関するDNA検査結果につきましても伝達をしております。その上で、今回の検査結果を踏まえ、拉致問題の解決に向けて北朝鮮が誠意ある対応をすべきである旨改めて強く要求しました。  これに対し、北朝鮮金桂冠外務副相からは、自分は日朝関係の担当ではないが、話は本国に伝えることとしたいとの発言がありました。  また、各国代表は、今回の機会を最大限活用し、六者会合の再開につなげたいとの考えの下、鋭意話合いを行いました。  しかし、一連の会合では、北朝鮮が六者会合出席の前提として、米国による資金洗浄対策金融措置の解除に固執したため、関係国間の立場の隔たりが埋まりませんでした。  次に、四月に公表した、横田めぐみさんの夫とされる人物に関するDNA検査結果について御報告をいたします。  この検査は、昨年十一月に私が拉致被害者の御家族と面会した際に、横田さんの御夫妻より直接依頼されたものを受けて、北朝鮮による日本人拉致事案関連情報収集の一環として実施したものであります。  具体的には、韓国政府協力を得て、横田めぐみさんの夫である可能性がある韓国人拉致被害者五名の御家族から生体資料の提供を受け、これら資料横田めぐみさんの娘であるキムヘギョンさんの生体資料とのDNA型を比較いたしました。  その結果、去る四月十一日に、外務省から検査を嘱託していた国内の二つの機関のいずれからも、キムヘギョンさんと韓国人拉致被害者金英男さんとの家族の間に血縁関係が存在する可能性が高いとの回答を得ました。  検査結果の判明後直ちに、外務省より、横田めぐみさんの御両親及び韓国側家族に結果を伝達いたしております。また、韓国政府に対しても改めて協力を要請しました。  これを受け、韓国政府も独自に同様の検査を実施し、先月、五月二十六日に日本と同様の結果を得た旨公表いたしております。  こうした中、先月には、日韓拉致被害者の御家族が相互に韓国及び日本を訪問し、交流を持たれました。政府としては、両国拉致被害者の御家族の間の連携を進めていくことは、日韓拉致被害者の一日も早い帰国の実現に資するとの観点から、今後とも強力に支援を続けてまいります。また、日韓政府間の拉致問題に関する連携につきましても、韓国側の検討も踏まえ、進めていく考えであります。  最後に、四月下旬に行われた拉致被害者家族訪米結果について一言申し上げます。  四月二十七日には、米国議会下院公聴会において、横田早紀江さんが拉致被害者苦痛と御家族の悲痛な気持ちについて証言を行い、拉致がいかに非人道的な行為であるかを訴えました。  二十八日には、早紀江さん及び御子息の拓也さんが、ホワイトハウスにおいてブッシュ大統領と面会しました。大統領は、拉致問題について強い関心を示し、我が方の立場に更なる理解と支持を表明されました。  御家族の訴えは大いに米国関係者の共感を得ました。また、私より、四月三十日より訪米をした機会に、米国政府関係者及び議会関係者に、御家族への対応に感謝するとともに、引き続いての支持を要請いたしております。  こうした御家族の取組を踏まえ、拉致問題の解決に向けた国際的な連携を一層強化すべく、外務省として全力を尽くす考えであります。  政府としては、今後とも、対話圧力という一貫した考え方の下、拉致、核、ミサイル等北朝鮮との諸懸案の包括的解決に向け、関係省庁が一丸となって、総合的に粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。  委員長及び委員各位の御協力をよろしくお願いを申し上げます。
  10. 広野ただし

    委員長広野ただし君) 以上で報告聴取は終わりました。  それでは、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 自由民主党の景山俊太郎でございます。質問をさせていただきます。  まず、先般、今、末松理事の方からも御報告がございましたが、二月に石川県並びに福井県を委員派遣として調査をいたしました。その中で、いろいろな御要望がございましたけれども、今日は二点、まずお伺いをしたいと存じます。  一点は、特定失踪者捜査体制状況でございます。  警察庁では、今年に入ってから拉致問題対策室を設置されるなどして、拉致事件に対します捜査体制というのを非常に強化されて、新潟福井各県警による共同捜査も行われたと聞いておるところであります。特に、今もお話がありますように、今回福井県の嶺南地域特定失踪者の御家族にお会いをいたしまして、いろいろお話を聞きました。皆さん相当御高齢でもございますし、警察による再調査などによる真相の本当の究明というのを願っておられました。これはもう私どももそうであります。  そういった中で、今後、帰国された被害者の方々からももちろん情報を得られながら、この特定失踪者の捜索をより深くやっていただきたいと、この点をまずお伺いしたいと思いますし、特に、今日は沓掛国家公安委員長も御出席でございますので、御決意等も伺わせていただきたいと存じます。
  12. 小林武仁

    政府参考人小林武仁君) お答えいたします。  警察では、これまでに帰国した拉致被害者を始め、関係者に対する事情聴取やその裏付け捜査を実施してまいったところであります。引き続き、こうした捜査を鋭意推進していく所存でございます。  また、拉致被害者を抱える関係国との間では、例えば先般、韓国外事情報部長を派遣するなど、拉致に関する情報交換等捜査の推進のための所要協力を行っているところであります。  次に、御質問捜査体制でございますが、警察庁では、本年四月一日付けで、室長以下二十名程度の体制によります拉致問題対策室を設置してまいりましたほか、各都道府県警察におきましても、警備、生活安全、刑事部等、各部門の間の連携を密にするとともに、捜査員集中運用を図るなどいたしまして、体制整備を図っているところであります。  北朝鮮による拉致容疑事案は、我が国主権を侵害する極めて重大な事案でありまして、今後とも、警察の総力を挙げて事案全容解明に努めてまいりたいと思っております。
  13. 沓掛哲男

    国務大臣沓掛哲男君) ただいま景山理事いろいろお話がございました。その御指摘のとおり、北朝鮮による日本人拉致事案我が国主権を侵害し、被害者及びその御家族に本当に耐え難い苦痛を強いるものであり、我が国としても許し難い事件であるというふうに認識いたしております。  警察庁では、北朝鮮による日本人拉致問題の重要性を踏まえまして、これまでに判断した十一件十六名の北朝鮮による日本人拉致容疑事案及びこれら以外の拉致可能性を排除できない事案捜査等において、各都道府県警察に対し専従的に指導を行うとともに、係る事案について関係機関あるいは民間団体との調整を行うことを目的とし、本年四月一日、拉致問題対策室を設置したほか、各都道府県警察におきましても、部門間の連携を密にするとともに捜査員集中的運用を行うなど、体制整備を図っているところでございます。  先日の五月の二十二日、私も新潟県を訪れまして、特定失踪者等に関する捜査調査等を一層推進するよう督励してきたところでもございます。関係警察における所要捜査体制整備についても、引き続き最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
  14. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 もう一点は、拉致被害者支援体制でございますけれども福井県で、福井県とか小浜市から地村保志さんの御家族の御様子を非常に詳しく伺いました。御家族ともますます元気で、仕事をしたりまた勉学に励んだり、いろいろされておるようでありますが、地村保志さんはこの四月から市の正職員にも採用されたと聞いております。  ところが、地村さんの御家族は、今、拉致被害者等給付金というのが支給されております。支援法ではこれは五年の限度となっております。一定の年収を超えた場合、たしか五百八十万円だったと思いますけれども支給が停止されます。今後、定年まではそう多い年数ではないと思いますので、北朝鮮から帰国後、生活基盤を整えるのもなかなか大変だなと、苦労だなということも実感をいたしました。  給付金期限延長とか支給停止要件見直しなどを、特に県とか市の方からも強い要望がございましたが、これに対しまして政府の方は何か考えがあればおっしゃっていただきたいと思います。
  15. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 小浜市からは、拉致被害者等給付金支給期間五年間の延長及び支給停止要件見直しについて要望があったというふうに承知をいたしております。  拉致被害者等給付金支給期間延長については、昨年四月から支給が始まり、約一年を経過したばかりでございますので、当面はこの、今後、帰国被害者の自立の状況を見守っていくこととしたいと、このように考えております。  支給停止要件見直しに係る要望については、本年四月一日より、内閣府令を改正をいたしまして、帰国被害者等の恒常的な所得基準額五百八十万円を超えた場合は、これまでの給付金全額を直ちに支給停止する制度から、所得の額に応じてなだらかに減額を行う制度に改めたところでございます。
  16. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 それから、この問題は単に日本だけではもう解決できないということはだれもがよく分かっておるんですが、その中で、麻生外務大臣は、先週、カタールドーハで行われたアジア協力対話外相会合出席をされました。そこで、七月に開かれるサミット議長国ロシアラブロフ外相会談されまして、拉致問題をサミットで特に取り上げるよう、こういう提案をされたと聞いております。それから、安倍官房長官も、既に拉致問題をサミット主要議題として提議する考えを先般明らかにされております。今月末に小泉総理訪米し、今も外相報告にありましたように、横田さん親子でブッシュ大統領にもお会いになったんですけれども日米首脳会談が開催されます。  今後、米国を始め関係各国との調整ということが非常に期待をされておりますが、国際的な連携によりまして、北朝鮮への圧力強化のためにも、サミットにおいて主要先進国協力してこの解決を図ると、そういう外交的な努力が非常に必要じゃないかと思いますけれども、両大臣から御決意を伺いたいと思います。
  17. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御指摘のように、去る五月の二十三日、カタールドーハで行われましたアジア何とかフォーラム、ダイアローグアジア対話ACDアジア・コーポレーション・ダイアローグACDと言われるものの会合で、参加をさせていただいたときに、ラブロフ外務大臣とバイの、直接の会談をしたときに、今回はロシア議長国でありますんで、議場整理権等々を議長側が強く持っております。したがいまして、その議長のところで整理される段階で議題の中にこれを入れてもらいたいというのが私ども要望であります。少なくとも首脳会合における議長統括の中には、グレンイーグルズ・サミットのときには議長統括にはこれは載ったんだから、今回は少なくともこれには載せてもらいたいと。最低限はそれで、国連ですらあれ以後アブダクション、拉致という言葉が正式に国連の総会で載ったぐらいなんだから、少なくともあれよりは、前回のサミットに比べて今回はもっと一歩踏み込んだ形としてはという話を強く申し込んでおるというのが現状であります。
  18. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 私どもは、対話圧力考えにのっとってこの問題を解決をしていきたいと考えておりますが、この圧力につきましては、国内においては厳格な法の執行ということを行っております。そして、国際社会において人権問題として北朝鮮に対してこの問題を解決をするようにという圧力を加えてもらうことによってしっかりとこの問題の解決を目指していきたいと、こう考えております。  先般、横田早紀江さんがブッシュ大統領とお会いされた際にも、大統領そしてまた米国の内外に対して強力なメッセージが発出をされたというふうに考えているわけでございますが、米側もこの問題についてサミットで取り上げたらどうかという、議員の中からもそういう声があったというふうに承知をしております。私どもといたしましては、あらゆる国際会議の場においてこの問題を取り上げるようにしていきたいと、こう考えております。  例えばその一つは、最近発足をいたしました国連人権理事会もそうであります。そして、七月のサミットの場においては、ただいま外務大臣が答弁をいたしましたように、是非とも議題として取り上げていきたいと。もちろん、小泉総理はこの拉致について発言をするわけでありますが、ブッシュ大統領にも、またフランスのシラク大統領にも、さらにはドイツの新しい首相にも、そしてまた当然イギリスのブレア首相にも、そして議長国であるロシアプーチン大統領にも発言をしていただければこれは一番いいことではないかと、このように思っているわけでありますが、G8は基本的に、自由と民主主義そして基本的人権という価値を共有する会議でもあるわけでありますが、正にその真価が問われているのではないかと、このように思う次第であります。
  19. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 国際問題の連携は今おっしゃったように大変重要であろうと思いますが、韓国との、日韓両国連携も非常に今後必要になってまいります。  今外務大臣が御報告ありましたように、日韓政府DNA鑑定によって横田めぐみさんの夫の可能性が強まった金英男さんの御家族が先般来日されました。横田めぐみさんの御両親である横田滋さんとか早紀江さんにもお会いされたり関係者にもお会いになったわけでありますが、それから新潟市を訪問されて、三十一日に帰国されました。  いとしい子供が拉致されたという共通の悩みを持つ両家族が出会われたことは、日本国民は深い悲しみを覚えたわけでありますし、また韓国にもそうであったと思います。特に面会されました安倍官房長官は、韓国にも多くの拉致被害者がいることを強調したいと、こういうことを強く発言をされました。  今後、拉致問題の解決に向けましては日韓政府連携が必要でありますし、日韓外相会談において、カタールでの外相会談においても外務大臣も確認されたと思っておりますが、昨今なかなか韓国との関係も微妙でありますけれども日韓との関係、この点につきまして御見解を伺いたいと思います。
  20. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 拉致問題を解決をしていく上におきましては日韓協力が極めて重要であると、このように考えております。  今般のDNA検査につきましても、DNAのサンプルの提出等韓国側にも依頼をしたわけでありますが、私も韓国側お願いをいたしまして、韓国側の了解があって、そして日本でのDNA鑑定ということになったわけでございます。また、この鑑定をさらに韓国側でも、韓国でも鑑定をするということでございましたので、私どもも全面的な協力をしたわけであります。  正に両国がしっかりと連携をした結果、新たな真実が明らかになったと言ってもいいんではないかと、このように思うわけでございます。今後ともしっかりと日韓協力をしていくことが大切であろうと、このように思っているわけでございます。  先般も麻生外務大臣、潘基文外務大臣との外相会談を行い、またこの問題についても協議をされたというふうに承知をしているところでございます。日韓両国それぞれ立場、この拉致問題また北朝鮮との関係においても立場あるいはアプローチ、これは異なるところもあるわけでありますが、しかしながら、拉致被害者を奪還をすると、早期帰国を図らなければいけないということでは目的は一致をするわけでございますので、そこでしっかりと我々、日韓の間で情報を共有し、目的を一つにして、お互いにこの問題の解決に向けて努力をしていきたいと、こう思っております。
  21. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この拉致問題というものを解決していく上で、これは、韓国との連携はこれはもう絶対必要と存じます。先般のDNAのあの鑑定ができましたのも、これは韓国側協力がなければあれはできなかったわけですから、その意味でも、私どもはこの韓国側協力は極めて重要だと思っております。  幸いにして、日本で四月の十一日に、あのDNA検査において、先ほど御報告申し上げましたとおり、横田めぐみさんの夫である可能性が高いという極めて高い数値が出されております。したがいまして、これを契機にいたしまして、横田めぐみさんの拉致事案及び拉致問題全体の解決に向けた韓国政府との連携というものを強化していきたいと考えております。  御指摘のありましたように、五月の二十三日、カタールドーハで潘基文、韓国外務大臣と話をしたときにも、この協力について話合いを行っております。その際、潘長官の方からは、横田めぐみさんの事件には深い同情心を感じている、韓国側DNAの結果を見て、この当時は五月の二十三日であります、韓国側の結果が出ましたのは五月二十六日でありますので、まだ結果の出る前でありますので、DNA検査の結果を見て、どのような部分で協力できるか検討していきたいと述べておりました。  今の具体的な日韓連携につきましては、この答えが出ておりますので、検討状況も踏まえて話し合ってまいりますが、今官房長官からもお話があったように、立場とアプローチの仕方は違っているのは事実でありますが、どの拉致被害者家族、また拉致された方々にとりまして、一日も早い早期の帰国というのは、これは同じ思いだろうと存じます。様々な今後レベルで韓国政府との連携協力につきましては、外務省といたしまして積極的に協議してまいる覚悟であります。
  22. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 先般、政府において拉致問題専門幹事会というのがありまして、議長が鈴木政二副官房長官ですが、その中に、法執行班それから情報収集会議の二つの分科会ができまして、いわゆる圧力を強めるということを強くやろうということでありましょうし、この法執行の厳格化ということを非常に検討するということでございます。不正輸出、軍事目的に転用可能な製品の不正輸出の問題とか、食品の原産地表示の徹底であるとか、偽札の問題とか麻薬密輸、こういった情報というものを集約化して特に検討されなきゃいけないと思います。  その中で、マネーロンダリング、いわゆる資金清浄の監視強化というもの、対象になっております。この間、「ウルトラ・ダラー」という小説も読んで、ああいうものかなというふうに思ったんですけれども、現在、米国政府は、昨年九月のマカオ所在の銀行、バンコ・デルタ・アジアをマネーロンダリング上の懸念がある金融機関として認定しております。そして金融制裁を強めました。その効果は、マスコミ等によりますと非常に北朝鮮にとっては痛手であるということであり、我が国にとってもこういったことを米国と一緒にやったがいいという意見もございますけれども、その資金清浄の対策ということについてはどうお考えでしょうか。
  23. 金田勝年

    ○副大臣(金田勝年君) アメリカは、昨年の九月十五日にマカオ所在のバンコ・デルタ・アジアを主要な資金洗浄懸念のある金融機関ということで認定をいたしております。  この措置の効果についてのまず認識でありますが、アメリカによる措置、この措置が北朝鮮にいかなる影響を与えたかにつきましては、日本政府として直接承知する立場にはありませんが、本件措置をとりました際のアメリカ政府説明によりますと、BDAは、北朝鮮政府機関及び関連企業に対し二十年以上にわたりまして金融サービスを提供してきたとのことでありまして、本件措置は北朝鮮に対して一定の無視できない影響を与えたものと推測をいたしております。  また、アメリカの措置を受けまして、世界の多くの金融機関がBDAとの取引を自粛したという報道もありまして、こうした動きも北朝鮮の対外経済活動に一定の影響を与えているものと推測されるわけであります。  そしてまた、一方で、北朝鮮自身は、一連の声明等におきまして、アメリカによる本件措置に強い反発を示しておりまして、当該措置の解除を六者会合復帰の前提条件としているところであります。昨日、一日にも、外務省のスポークスマンの談話におきまして、この点に改めて言及をしているわけであります。  こうした反応も、本件措置が北朝鮮に対しまして一定の無視できない影響を与えたという見方を補強するものであるというふうに考えております。  そこで、私ども我が国としてのこれを踏まえての対応でございますが、我が国としては、諸懸案の解決に向けまして、対話圧力という考え方の下に粘り強く対応していくという考えであります。最終的な圧力は経済制裁の発動だと考えていますけれども、それに至るまでの間は、段階的に様々な圧力を掛けていくことが効果的であるというふうに考えておりまして、そうした考え方から、政府としては、更に国際的な連携強化の取組、そして厳格な法執行等の措置というものをとっていく方針であります。
  24. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 それから、今、日本海大変なんですけれども拉致問題、竹島の問題、覚せい剤の問題で大荒れですが、その中で、覚せい剤の密輸問題、この間警視庁で、先月の十二日ですか、二〇〇二年に北朝鮮からの数百キロの覚せい剤が密輸されました、東京の暴力団とか長野県の韓国籍の男が逮捕されたんですけれども、この事件で、私の地元である島根県の松江市沖、日本海沖合ではその舞台になったと言われておりますし、そういう中で地元住民も非常に不安に思っておりますし、漁業者にとっても大変な不安が募っております。  この点につきまして、現在分かったこととか今後の対処、そういうことをお伺いをしたいんですけれども
  25. 沓掛哲男

    国務大臣沓掛哲男君) ただいまの御質問の件でございますが、警察におきましては、税関、海上保安庁等関係機関連携して監視体制強化し、薬物の密輸・密売組織の壊滅に向け合同捜査体制を確立するとともに、海外捜査機関とも連携するなど強力な取締りを推進いたしております。  先日、警視庁等の合同捜査本部におきまして、北朝鮮ルートで覚せい剤数百キログラムを密輸し、国内で密売して多額の利益を得ていた組織を解明し、暴力団組長ら七名を逮捕したところでありますが、本件については、なお全容解明に向け捜査を推進しているところであります。  今後とも、薬物乱用対策推進本部が平成十五年七月に決定いたしました薬物密輸入阻止のための緊急水際対策を強力に推進するとともに、潜在・巧妙化がうかがわれる密輸入事犯に対し、継続して取締りを強化するよう警察を督励してまいりたいと考えております。
  26. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 最後ですけれども、結局は日朝間の最終的なこれは話合いというものも持たれていかなきゃいけませんし、包括協議どもこれまで行われていたんですが、現在は全く進められておりません。やっぱり、最終的に日朝間、この問題をどういうふうに解決していくかという、我が国としては、もうすべての方が帰っていただかなきゃいけません。  そういう中で、外務大臣の所見を最後に伺って終わらせていただきたいと思います。
  27. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、これは景山先生、あれは二月でしたかね、包括協議において、いわゆる、何ですか、いろいろな協議ございますけれども拉致協議にしても安全保障会議にしても国交の正常化の話、三つの話題に分けてやっておりますけれども、いずれも進展がなかったというのがはっきりしております。  したがいまして、我々としては甚だ遺憾なところなんで、これは今までのところ、それ以降、二月以降の話ですが、北朝鮮側対応に変化はないということでもありますんで、これ、次回の協議の見通しが全然立っていないというのが現状であります。  最近で見ましても、四月の九日から十三日の日程で開催をされました民間主催会議が行われておりますが、これ、六者会合首席代表というのはほとんどここに全部そろっておりましたけれども、いわゆる私どもとしては、その場においてもかなり長い時間を費やしてバイの会談をやっております。その際にも、日本拉致問題に対する基本的姿勢というものはもう従来から変わらず、生存者の帰国、真相の究明そして容疑者若しくは犯人の引渡しという、この三つというものに関して北朝鮮側に誠意ある対応というのを要求し続けております。  いずれにしましても、日本政府としては、これは対話圧力と先ほど官房長官言われましたとおり、拉致問題への正常化なくして国交正常化はないということだけは基本的に合意でありますので、その点は粘り強くしつこく言い続けなきゃいかぬのだと思っておりますけれども、私どもとしては、その大前提として対話は必要ではあると存じます。対話はもちろん必要ですが、同時に圧力も必要であるということはもう間違いないというのがこの何回かの協議ではっきりいたしておると思っておりますんで、そういう覚悟で臨んでいきたいと思っております。
  28. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 一日も早くこの問題が解決することをお祈りをいたしまして、質問を終わらせていただきます。
  29. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 民主党・新緑風会の浅尾慶一郎です。  拉致問題の解決については、今るる御議論がありましたように、やはりいろんなカードを我が国が持つことが必要だと私も認識をいたしております。  そういう観点から幾つか質問をさせていただきたいと思いますが、今あるカードをいかに有効に使っていくかということが一つと、ないものはカードをつくっていくということではないかなというふうに思っていますが、まず、今あるカードという観点からいきますと、日本北朝鮮との間の輸出、輸入がどうなっているかということで、そこのところから伺いたいと思いますが、輸出額としては、やはり多いのはこの輸送用機械というのが第一位。これ質問するつもりでしたけど、ちょっと時間の関係で私の方で読み上げさせていただきますが、輸送用機械というのがずっと一位ですね、約三十億円。そして、輸入は魚介類がずっと一位であるということでございました。  まず、その輸送用機械って、いわゆる中古車ということなんですけれども、中古車を中古車として使うということであればまあ多少は理解できるところあると思いますが、その中古車のタイヤを燃料にするとか中古車の中に入っている特殊な金属を別の用途に使うとなると、これは問題だと。  このことについては、日本国内法令でもいろいろできることがありますし、経済産業省が所管している輸出に関する法令でもできることがあるんですが、まず、今日、環境副大臣お越しでございますんで、中古車の輸出をした場合に、中古車を車と使う場合はこれは当然廃棄物ではありませんが、車以外で使った場合には廃棄物になるというふうに私は思います。  廃棄物は産廃物処理法で輸出が規制できるというふうになっていますが、中古車は廃棄物に当たりますでしょうか。
  30. 江田康幸

    ○副大臣(江田康幸君) お答えさせていただきます。  先生、中古車の場合は廃棄物に相当する場合があるのではないかという御質問だと思いますが、この中古自動車の輸出の場合は、そのままでは使えないようなものでありましても、現状ではほとんどその場合は鉄スクラップとして市場価値を有することになりまして、通常は廃棄物処理法に規定されるこの廃棄物には相当しないものと考えられます。  これまでのところも、北朝鮮に対するこの中古自動車の輸出に関しましては、廃棄物として確認したものは存在しないという現状でございます。
  31. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私の今日の質問の趣旨は、いろいろ今ある法律の中でその適用ができるものはしたらいいと。今おっしゃったように、中古車はスクラップになる場合でも廃棄物にならないということになるとすると、別の考え方をしなければいけないんではないかというふうに思います。  その中で、次の質問に移らさせていただきますが、キャッチオール規制、まあリスト規制というもの、あるいはキャッチオール規制という仕組みがございます。これは安倍官房長官もお詳しいところだと思いますけれども、キャッチオール規制というのはすべてのものを対象にしましょうという概念ですね。今までのリスト規制というのは、こういうものは駄目ですよと。キャッチオールというのは、特定の需要者に対してはすべてのものをまあ規制の対象にしていきましょうと。その結果、問題ないとなればもちろん輸出していいわけですけど、問題ありだとなれば規制すると。  経済産業省令のこれは平成十三年十二月二十八日付けの第二百四十九号というものに、当該貨物の需要者、まあ輸入者ですね、需要者が、最終的な需要者が核兵器等の開発等を行う旨記載され、若しくは記録されているとき、あるいは、るる書いてあって、当該貨物が核兵器等の開発及び別表に掲げる行為とか書いてあるわけなんですけども、何を申し上げたいかというと、北朝鮮は核兵器を開発していると言っているわけですね、もう既に。その経済産業省令の中に、すべて北朝鮮の関連は核兵器等を開発する需要者だというふうにすれば、北朝鮮向けの輸出物というのはキャッチオール規制の対象になるんではないかというふうに思いますが、その上で、実は輸出者というのは、これ自己申告になってます。  まず、ここのところは、前段の部分は通告してないんで、もしお答えいただければということですが、せっかくその経済産業省令に核兵器等の開発云々と書いてありまして、行う旨明記されというふうになっていますから、需要者の中に、その範囲を広げることを研究する用意があるかどうか、その点、まあ考え方としてですね、官房長官に伺えればと思います。
  32. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 突然の質問でございますので、法令等をよく精査した上で、基本的には、我々、厳格な法執行というこの基本的な姿勢がございますので、可能かどうか精査してみなければいけないと、このように思っております。
  33. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 是非精査をしていただいて、すべて要するにその規制の対象にしていくということは一つのメッセージになるわけですから、その上で輸出が全部駄目だというわけではなくて、審査をして許可になる場合もあると。  ここから先は通告してあるものですけれども、まず、輸出者が自己申告をしたケースというのはどれぐらいありますでしょうか。
  34. 小林温

    大臣政務官小林温君) お尋ねの数字でございますが、二〇〇一年一月一日以降、北朝鮮向けのリスト規制に基づく輸出許可申請はございません。また、今キャッチオール規制については詳しく浅尾委員から御説明をいただきましたが、このキャッチオール規制に基づく輸出許可申請は二件ございまして、これ、いずれも経済産業大臣から輸出する際に許可の申請をすべき旨の通知を行った貨物となっております。
  35. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今、小林務官がお答えになられたとおりでありまして、キャッチオール規制で掛かっているものでも、キャッチオール規制というのは、先ほどちょっと申し上げましたが、外国ユーザーリストというのがありまして、そこに対象になるものについては申請をしなさいよということになっているわけなんですが、それでも、本来はその輸出者が申請しなければいけないんですが、輸出者個人が、個人というか、その輸出者が自発的に申請をしたわけではなくて、経済産業省から輸出しなさいとインフォームを受けて二件の申請があっただけなんです。  私が冒頭申し上げたのは、すべて、核兵器を開発していると、まあしているかどうか分かりませんが現に向こうが言っているわけですから、それならばそこのリストに載せるというのは合理的なことなんではないかと。そうすれば、すべての日本からの輸出のものについては、まずは許可申請を受けますよということになるだけでも大分メッセージ性はあるんではないかということで、是非御検討をお願いしたいというふうに思います。  もし御所見があれば伺いたいと思いますが。
  36. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) かつて浅尾先生と一緒に韓国に参りまして、北朝鮮の半没潜水艦に日本の企業また輸出業者からどれぐらいの部品が行っているかということを見に、調査しに行ったことがあるわけであります。その際、日本側も、このキャッチオールで規制すべきではないかという議論をしたことを今思い出していたわけでありますが。  浅尾先生の御指摘でございます。先ほど申し上げましたように、私どもの姿勢としては厳格な法執行をしっかりとしていくという姿勢でございますので、その観点からも検討してみたいと、このように思っております。
  37. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 是非厳格な観点で、しかも輸出者にとっても分かりやすくなりますから、北朝鮮に出すものは全部申請をして許可をもらうという方が、自分でリストを見てやるよりは、はるかに分かりやすいと思いますんで、是非そういう方向でお願いしたいと思います。  次に、輸入の方に移らさしていただきたいと思いますが、先ほど輸入は魚介類が一番多いというふうに申し上げさしていただきました。  農林水産大臣もお越しでございます。実は、そうは言いつつも、例えばアサリなどは、農水省に伺ったら、どこで、これはちょっと言い方が難しいんですが、一番長くアサリとしての、まあ生涯というと変な話なんですが、を過ごしたかによってその国が原産地国だというのが農水省の理解だと。したがって、日本に持ってきて少しどっかの浜につけておいただけでは本当はいけないということなんですが、実は農水省が調査されたら、北朝鮮産表示のアサリというのは余りなかったということですけれども、どこ産のアサリがまず日本で多く出ているかということと、今申し上げた私の理解で正しいかどうか。つまりは、そのアサリが本来育った地域が原産地国だという理解で正しいかどうか確認をさせていただきたいと思います。
  38. 三浦一水

    ○副大臣(三浦一水君) 浅尾委員にお答えできるところをしたいと思います。  どこ産のアサリが多いかということでありますが、ちょっと今、事前にお知らせをいただいてなかったので数字を持ち合わせておりません。その点は後ほど対応を取らせていただきたいというふうに思います。  それから、アサリの原産地表示につきましては、その他の生鮮食品も同じでありますが、委員指摘のように、どこで成育期間が一番長かったかということを原産地の根拠にいたしております。例えば、牛なんかでも、海外の成育期間より国内が長ければ、子牛で輸入したものも日本国内産となり得ることがあるということでありまして、海外が長ければ、それは日本で一定期間肥育をしましてもならないといったような区分けに、これは国際的なルールとしてなっておるわけでございます。
  39. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 昨日、ちゃんとそれ、今のは質問通告してありますんで、是非よろしくお願いします。  そして、数字、これ農水省からいただいた、財務省ですかね、から来ている数字だと思いますが、これを読み上げますと、水産品の中で北朝鮮のアサリというのは二位になって、ズワイガニが一位で、二位がアサリ、三位がウニということなんですが、実際にスーパーの店頭では北朝鮮産のアサリというのを見ることがないと。だから、どっかで表示がされなくなってしまっているということなんではないかなと思いますので、今おっしゃったような、一番どこで長く、どこ産のアサリかというのはしっかりと消費者に表示していくということも一つのメッセージになるんじゃないかなというふうに思いますが、これは所管は農水省だというふうに思いますけれども、原産地表示を徹底して消費者に知らせると、そういうためにどういう取組をされるか、そのことを伺いたいと思います。
  40. 三浦一水

    ○副大臣(三浦一水君) 全く北朝鮮産のものが表示されていないかどうかということは、全部を掌握はできておりません。しかし、委員指摘のように、北朝鮮産のものの表示されたものが少ないであろうという状況は私どももよく聞くところであります。それらにつきましては、実際に摘発したケースも多々あるわけでございまして、北朝鮮産のものが実際に日本のもの、あるいはその他のものという表示で、その業者名を公開したという実例もございます。  現在、農林水産省におきましては、アサリも含めまして、食品の原産地表示が適正に行われるように、また消費者に正確な情報が伝達されますように、全国に専従職員を配置をいたしております。また、小売店舗などに対しまして常時、監視指導を行っておりまして、その中で産地を偽るなどの不正表示がありました場合には、先ほども申しましたが、JAS法に基づきまして指示を行います。また、業者名を即刻公表するなど厳正な措置をとっているところでございます。
  41. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 是非それお願いしたいと思います。  実は、これは農水省の調査ということで、二月十六日に発表されております調査の内容ですけれども、農水省が店頭などで緊急の表示調査をした結果、国内産と表示されたアサリが圧倒的に多く、実際は、先ほど申し上げましたように六割が外国産なんですが、表示の面では国内産と表示されたアサリが圧倒的に多く、外国産と表示しても、輸入量が最も多いはずの北朝鮮産がほとんどないということであります。  農水省所管の水産庁の調査だと、国内で流通するアサリは年間約九万トンで、外国産が六割だそうです。今申し上げました、農水省が全国の小売店六百五十店と七十四の卸業者を調査したら、小売店で売られていた八百二十一点のうち、六百二十六点が国内産と、外国産わずか百六十点と。輸入の総量でいうと六割外国産であるにもかかわらず、表示はそれしかないと。そして、外国産の内訳は、中国産が百四十六点、韓国産が十四点で北朝鮮産はないということでありましたんで、是非、今厳格なと言っていますけれども、実際に御自分のところの調査の数字と輸入の量が合わないわけですから、そこはちゃんと調べていただければというふうに思います。  なお、もう一点調査に付け加えていただきたいのは、いったん中国を経由して入ってくるものもあるでしょうから、そういうものも含めて、是非調査体制をつくっていただきたいということをお願いしたいと思いますが、その点についての決意を伺います。
  42. 三浦一水

    ○副大臣(三浦一水君) 先に、中国を経由して、中国で偽装が行われて日本に入ってきているものがあるんじゃないかという御指摘でございます。これにつきまして、輸入通関の時点で関係書類等のチェックは厳正に行われているものと存じております。しかしながら、そういう可能性を全く否定はできないんだろうと。私も個人的に貿易をやった者として、インボイスの改ざん等々は比較的簡単に商売上の都合で行われてしまうということもあるようでございますので、十分意を用いながら、それらのものはより厳正に確認をしていきたいというふうに思っております。  以上です。
  43. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 是非、書類では、もっと言えば、中国側の認識では、輸出側の認識では、自国にいったん入ったものは自国産でもいいというふうな、要するに日本が取られております、どこで一番が本当の原産地かという認識ではなくて、自国経由のものは自国の原産だというふうだとすると書類上の偽造もないということになりますので、農水省が主体的になって中国経由のものについてもしっかりと、日本の法律ではそれは北朝鮮産と表示しなきゃいけないわけですから、そういう体制をつくっていただくようにお願いしたいと思います。  次の質問に移ります。  拉致問題について、先ほど申し上げましたようにいろんなカードをつくっていくことが必要だということを申し上げました。拉致問題特命チームというものもできたわけでありまして、この特命チームの内容とかあるいはスケジュールを伺おうと思ったんですが、時間の関係でカードの話に移りますが、私自身は、冒頭申し上げましたように、カードというのは二種類あるだろうと。一つは、今法律で整備されていないものについては法律を作っていく、もう一つは、法律があるものについてはその適用についてしっかりと適用していくという体制が必要だというふうに思っております。  そういう意味では、送金等の場合については外為法改正という形も取りまして、我が国が単独で経済制裁ができるようなことになったわけでありますが、例えば、先ほど景山委員が御質問をされておりましたマネーロンダリングについても、米国がこういうことをやったということは金田副大臣が御報告をされましたけれども我が国においてもそういうことをやる、あるいは体制強化してやっていくということは一つの考え方ではないか。当然、マネーロンダリング、犯罪ですから、やっていくべきことだというふうに思いますが、その点について政府考え方を伺いたいと思います。
  44. 広野ただし

    委員長広野ただし君) だれがいいですかね。
  45. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いや、どなたでも結構です。
  46. 金田勝年

    ○副大臣(金田勝年君) 先ほど答弁させていただきました、米国がとった措置の影響といいますか、それと、これを我が国においては、また同じものをどうだという御質問であるわけですか。
  47. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 我が国においても同じようなことをやったらいかがかということです。
  48. 金田勝年

    ○副大臣(金田勝年君) そうですか。そういう御質問でありますと、外為法、例えば、私の答弁であれであれば、財務省もおいでいただいていますのであれですが、アメリカと同様に、北朝鮮と例えば取引の深い金融機関を資金洗浄懸念のある金融機関認定すべきではないかという御質問であるとするならば、外為法を含む現在の法律の下ではそうした認定はできないものというふうに承知しております。
  49. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 金融担当副大臣もお越しでございますけれども、今、金田外務大臣が一つ大事なことをおっしゃって、アメリカが法律上認定できるものが日本の法律ではできないということであれば、冒頭申し上げましたように、できるように法改正をするというステップも一つのカードになるだろうと。つまり、できるように法改正しておいて発動しないということももちろんあり得るわけですから、そういうことについての考え方、法改正に向けての考えを、官房長官になるんだと思いますが、伺えればと思います。
  50. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) いろいろなカードを我々は選択肢として持つことが外交力を強めていくという意味においては間違いないんだろうというふうに思います。その意味におきまして、一昨年、国会におきまして、議員立法でそれぞれ経済制裁を可能にする法律を作っていただいたことは、私ども圧力を掛けていく上においてのカードを与えていただいたと、このように思っております。  その中で、ただいま我々は、このいわゆる経済制裁的な処置は最終的な圧力であるというふうに考えております。そして、それに至る段階で、様々な圧力が可能であるという中において、先ほど申し上げましたように、国際的な圧力を掛けていく、そしてもう一つは厳格な法執行を行っていくということを行うことによって、北朝鮮に、対話の場においてこの問題を解決をしなければならないという決断をさせるということが私どもの目的ではないかと、このように思う次第でございます。  ただいま浅尾委員が提案をされましたような、米国認定できるああいうタイプの法律を日本でもという御提案でございますが、現在のところ、我々、今行っている厳格な法執行という形での圧力をしっかりとまずは強めていきたいと。現段階では、そうした法改正については検討しておりません。
  51. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 この議論の中で何回も申し上げておりますけれども、今ある法律を厳格に適用していくというのも一つのカードでしょうし、できないことを法律を作ると、その上で発動するかどうかは別の段階ですと。法律を作る方は立法府の責任でもありますが、私としては、今申し上げた法律を作るということでもかなり、今正に御答弁いただいたように、メッセージを送ることになるんだろうなというふうに思っておりますので、我々も研究をしていきたいということを申し上げたいと思います。  続きまして、マネーロンダリングとの絡みもあるかもしれませんが、朝銀ですね、朝銀の不正について、これは現行法の中でもしっかりと摘発はできるわけでありますが、その状況について伺えればと思います。
  52. 櫻田義孝

    ○副大臣(櫻田義孝君) マネーロンダリング及びテロ資金供与防止の観点から、銀行、証券会社等の金融機関に対し、本人確認法に基づく本人確認義務及び組織的犯罪処罰法に基づく疑わしい取引の届出義務が課せられており、これらの金融機関が疑わしい取引を発見した場合には、北朝鮮関係あるかないかにかかわらず金融庁に届けられることになっているところでございます。これに関し、大量破壊兵器の不正取引、薬物密輸、外国通貨の偽造といった犯罪に関する取引についても届出の対象とされているところでございます。  金融庁においては、最近の不正資金動向についての情報を念頭に置きつつ、これらの届出の内容を分析し、必要に応じて捜査機関等に情報提供を行っている次第でございます。今後とも、金融庁における検査・監督機能とともに、連携しつつ、法令に従い適切な届出が行われるよう金融機関等を通じまして指導するとともに、外国機関情報提供先機関との協力などを通じ的確な情報分析を実施してまいりたいと思っております。  また、破綻した北朝鮮の信用金庫についてお話しさせていただきたいと思いますが、破綻した北朝鮮系信用金庫につきましては、金融整理管財人等により責任追及の取組がなされてきているところであり、これまでに二十二件の民事提訴、五件の刑事告訴、告発が行われているところでございます。また、破綻した北朝鮮系信用組合から買い取った不良債権につきましては、整理回収機構が預金保険機構と密接に連携し、厳格な債権回収作業、責任追及作業を行っているところであり、例えば昨年十一月の朝鮮総連に対する貸金返還請求訴訟もその一環として行われたものと承知しているところでございます。  いずれにせよ、整理回収機構及び預金保険機構においては、引き続き厳正に対処していくものと承知しているところでございます。  以上であります。
  53. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 次の、これは日本の中に法律がまだないものの話で、法制定をしていくべきだということで申し上げさせていただきたいと思いますが、北朝鮮のこと、これは北朝鮮がやっているというふうに考えていいと思いますが、ホームページにネナラというホームページがありまして、そこを見ますと、朝鮮民主主義人民共和国人民保安省代弁人の回答というのが出ているんですが、全部は読み上げませんけれども、その中に、日本拉致の問題を取り上げて云々かんぬんと言っていますが、その中で何を言っているかというと、日本人、まあこれは報道されていますが、数名が北朝鮮の法律で言うところの拉致罪に当たるということで起訴をしたということが書いてあるんです。この人たちは脱北者の支援をしているわけでありまして、北朝鮮に住んでおられる人民あるいは国民の人権支援の観点から、やはり脱北者支援ということも取り組んでいくことが必要なんじゃないかと。そのためには、人権法ということも必要なんではないかなというふうに思っております、これは人権の観点からも国際的にも受け入れられることだろうと思いますし。  それから、こういうホームページに書くということは、もしかしたらそういうことはあんまりしてほしくないということの、向こう側からするとですね、現れではないかなと。ホームページにわざわざ、日本拉致のことを言っているけれども自分もやっているじゃないかと、だから我々はこの人たちを犯罪者としているんだということを書くということはそういうことの現れでしょうから、そういうのを見ながら、例えば人権法というものを作ると。その後、執行についてはまたその中で適正にしていけばいいなと思いますが、そういう考えについて、時間があんまりありませんけれども、官房長官に伺いたいと思います。
  54. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) いわゆる脱北者に関しましては、特に我が国在外公館に対する支援の要請があった場合については、人道上の配慮、関係者の安全、当該脱北者が所在する国との関係等を総合的に勘案して対処をしてきているわけでありまして、今後ともこのような考えで臨んでいきたいと、こう思っております。
  55. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 民主党としても人権法というものを用意しております。これは国会の中に出していきながら、新しい立法府の責任としてのカードの提供ということで力を入れてまいりたいと思います。  時間の関係で一番最後質問、日中関係北朝鮮に対しての中国のカードという質問は多分時間の関係で伺えないと思いますので、最後に時効の認識について伺いたいと思いますが、辛光洙容疑者は逮捕状が請求されたと。この時効というものは、海外にいれば当然時効を中断するということなんですが、官房長官の記者会見のコメントで、犯罪が継続中のものについても時効は続いているんだということでありまして、そういう考え方を幅広く捜査の段階では是非援用をしていただいて、そういう捜査を続けていくということも一つの法の厳格な執行につながるというふうに思いますんで、そのことについての御決意を伺って、質問を終えたいと思います。
  56. 小林武仁

    政府参考人小林武仁君) お答えいたします。  今私どもが判断しておる北朝鮮による拉致容疑事案というのは十一件十六名でございます。これの個別の事件におけるいわゆる公訴時効の問題につきましては正にケース・バイ・ケースと思います。  ただ、一般論で申し上げますと、今委員指摘のように、被疑者が国外におる場合には、刑事訴訟法第二百五十五条の規定によりまして公訴時効の進行は停止することとされているわけでございます。ただし、また被疑者が国内にいる場合、これについてどうするかということでございますが、当該拉致国内で行われ、被害者北朝鮮に移送された後、現在もなお北朝鮮内のいずれかの場所において監禁状態に置かれているものと解される場合には、当該犯罪行為は継続しているものと考えられます。  そうしたことから、当該事実に関しては公訴時効が進行していないという立場から鋭意捜査を進めているところでございます。
  57. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 民主党・新緑風会の森ゆうこでございます。  五月二十八日に日比谷公会堂におきまして、めぐみさんたちは生きている、拉致被害者を救う全国集会、国民大集会が開催されました。この国民大集会、何度も開催されているわけでございますが、今回の大集会には官房長官は出席をされず、メッセージを寄せられました。圧力対話対話圧力ではなくて圧力対話というメッセージを会場に寄せられました。  これまで、我が国対話圧力と言いながら、我が国の外交力は大きな決定打に欠けてきたというふうに思います。これは、外務省が悪いとか単純なそういう問題ではない。むしろ日本には、主体的かつ戦略的な外交を行う前提としての国家としての情報力、またそういった情報力に基づく外交戦略というものが欠けているのではないかと考えます。  国全体としての総合的な情報機関情報体制というものがない中で、外交官の個人的な人脈を通じた秘密外交を行わないといけない側面があったのは仕方がないことであり、今更その批判を行うことは適切ではないと考えますが、むしろ外務省のみならず、国全体としての総合的な情報収集、分析体制の構築といったものが必要ではないかと考えます。  まず、外交を担う担当大臣としての麻生外務大臣の見解を伺いたいと思います。
  58. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 国家が国家として国家社会の中、国際社会の中において様々な活動をやっていくに当たりましては、これは今御指摘のありましたとおりに、いわゆる戦略を持って、国益に沿って戦略を立てる。そのためには、情報収集は必要。加えて、それを分析する能力も必要。その上に立って初めて国家戦略が立てられるんだと存じます。したがいまして、その意味では、政府全体として取り組むべき課題であることははっきりといたしております。  国際情報に関しましても、外務省以外いろいろ情報収集しているところはあるわけで、そういった意味では分析能力というものを更に強化していくという必要は大切でありましょうし、情報を収集して分析して戦略を立てると、これがつながってないと意味がありませんので、今後とも、在外公館のネットワークというのは当然ですけれども、それ以外にもいろんな形の情報網というのは、商社始め、NGO始め、いろんな形で現地の経済情勢等々を、また治安情勢、いろいろな情報というのを持っておられる方が多いんで、私どもとしては大局的な見地から、情報収集とかそういったようなものはもちろんのことですけれども、分析能力というものも更に高めていく必要があるだろうなと、基本的にはそのように私ども考えております。
  59. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 そういう体制をきちんと構築した方がいいというふうに私は思うんですけれども、何か具体的なビジョン等ございますでしょうか、大臣は。
  60. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 体制っていいますと、これは一番最初に情報を収集するというのに当たりまして、一番の問題としては、これ何といっても人の人脈ということになります。この人脈というものがきちんとできておりませんと、すぐすぐローテーションがころころ変わっていくようなところでは人間関係はきちんとして確立することもできませんので、そういった意味ではいわゆる人脈、またそれの基本となります人材等々が必要となるんですが、今外務省五千人体制でそれだけの、百七十一か国ありますが、いろんな国の中で、例えばアフリカ五十三か国中、今大使館がないのが二十四かな、いろんな意味で絶対量が不足しているというところが一番のきついところですから、その分を全部ほかに回しますので更にきつくなっているという状況もあります。  しかし、そういった前提条件の上に立って、なおかつやらねばならぬところが外務省として置かれている立場ですから、そういった意味では、世界百九十一か国中、国連加盟国百九十一か国中、今ないところというのはかなりな数にありますので、そういったものを含めまして情報収集を、集めるところにあって、情報統括官の部分とその現地にいる人の部分との横の連絡等々を含めまして、いろんな意味でこの情報収集というのを幅広くやらないと、今アメリカにかなり頼っていた部分につきましては、イランなんかの場合は日本なんかの情報の方がよほど正しい情報はつかんでいるということにもなってきていると思いますので、いろんな意味で総合的に立て直しをやっていかにゃいかぬことだと思っております。
  61. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 申し訳ございません。外務の問題の評論家の御意見を承っているわけじゃなくて、大臣としてどういうふうに構築したいかと、何かそういうものをお持ちなのかというふうに私は今質問したつもりでございました。  官房長官、そのような取組の現実的な案の一つとして、現在非公式に記録が残らない形で意見交換だけ行います合同情報会議、この事務局機能を拡充していくことを検討するお考えはないでしょうか。
  62. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 我が国におきましては、内閣直属の情報調査機関であります内閣情報調査室のほか、情報を担当する各省庁が内閣の下に相互に緊密に連携を保ちつつ、政府一体となって情報の収集、分析を行っております。収集をいたしました情報のうち、必要なものについては内閣情報官の下に集約され、総合的な評価、分析を行う体制が整っているというふうに考えております。また、このようにして収集、評価、分析された情報については、内閣情報官から総理と私など官邸幹部に報告される体制も整っております。国全体としての総合的な情報機関情報体制というものがないとの批判は、これは当たらないのではないかと。  また、御指摘の合同情報会議は、我が国又は国民の安全に関する国内外の情報のうち、内閣の重要政策に関するものについて総合的な把握をする目的で設置をされた内閣情報会議の下に置かれた会議として、機動的にその時々の重要なテーマについて情報を共有する目的を担っております。その結果が内閣情報官による官邸報告に反映されるなど、所期の機能を十分に果たしているというふうに認識をしております。  さらに、私は、内閣情報会議を主宰しているほか、拉致問題を含め、随時情報関係省庁のトップを招集するなどして、政府としての情報の総合的な把握に努めているところでございます。
  63. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それで、事務局機能を拡充していくことを検討するお考えはないということですか。このままでよいということなんでしょうか。
  64. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 現在のスタッフで機能は十分に果たされているというふうに考えております。
  65. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 余りそのように私は思えないんですけれども、是非検討をいただきたいと思います。  先ほど、官房長官のメッセージ、私もこの国民大集会、すべてではありませんが、ほとんど参加しております。メッセージが当日読み上げられました。ここにそのメッセージがあるんですけれども政府としては、拉致被害者が全員生存していることを前提に、圧力対話という基本方針の下、拉致問題の解決へ向け、あらゆる努力をしているところでありますと、こういうメッセージとなっております。平成十八年五月二十八日、内閣官房長官安倍晋三というふうになっております。  官房長官が届けられたメッセージでございますから、これは政府としての見解ということでよろしいんですよね。
  66. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) いや、官房長官としてのメッセージでございます。
  67. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 いや、ですから官房長官がこれを送ってくださって、その中で政府としては、拉致被害者が全員生存していることを前提に、圧力対話、この圧力対話というメッセージが読み上げられたときに、その会場では、これは政府は今まで対話圧力対話圧力と言ってきたけれども圧力対話、むしろ圧力の方を強めていくんだというふうに会場にいたほとんどの方はそのように受け取られたと思います。  ここで、政府としては、というふうに書いてありますし、官房長官が寄せられたメッセージですから、政府としては圧力対話という基本方針ということでよろしいんですよね。
  68. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) これは同じことでありますが、我々は対話圧力あるいは圧力を掛けることによって対話を促していくということでございますが、現状といたしましては残念ながら対話の場が設けられていないと、こういうことでございますので、その中で私たちは様々な今圧力を掛けておりますから、その現状を踏まえて圧力対話と、このように表現をした次第であります。
  69. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 分からないんですけれども。先ほど外務大臣の御報告の中に、政府としては、今後とも対話圧力という一貫した考え方の下という御報告がございました。官房長官の、政府としては、というメッセージは圧力対話というふうになっております。なぜ、じゃこれは順番を変えてメッセージを寄こされたんでしょうか。
  70. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) それは今私が申し上げましたように、現在のところ残念ながら対話はない中において、私が官房長官になりましてから厳格な今法の執行を行っております。それを私どもは今正に圧力を掛けながら対話を促していると、こういう状況について私はあえて、あえて、あえて圧力対話ということを申し上げたわけであります。もちろん、対話をしなければこれは最終的な解決がしないというのは当たり前の話でありますから、政府としては対話圧力という考え方でありますが、現状を踏まえて私はそういう言い方をしたと、こういうことでございます。
  71. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 官房長官個人としてのというのはよく分かりませんけれども、ある政治的な決意を示されたということなんでしょうか。
  72. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) そのようにメッセージとして、私は北朝鮮に対してそういうメッセージを発出したつもりであります。
  73. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それなら理解できます。単なるリップサービスでないことを期待させていただきます。  経済制裁の効果について、続いて伺いたいと思います。  先ほど来、私がさせていただきたいと思っておりましたバンコ・デルタ・アジアについての質問、先にされましたので繰り返しは避けたいと思いますけれども、今まで経済制裁の実施について議論してきたときには、我が国だけでやっても意味がないということが経済制裁をやらない理由というふうにされておりましたけれども、先ほど大臣も、政府もそれなりの効果があった、アメリカによるマカオの銀行バンコ・デルタ・アジアに対する金融制裁はそれなりの影響があるというふうに認識を述べられたというふうに思っております。  つまり、米国による経済制裁が強化される中で、我が国だけでやっても意味がないというふうにばかり言ってもいられないんじゃないか、そう言っても仕方がないんじゃないかと思いますけれども我が国としては、米国による金融制裁がじわじわと利いている中で何らかの有効手段はあると考えていらっしゃるのか、外務大臣の見解を伺いたいと思います。
  74. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 日本としては、いわゆる諸懸案というものの解決に向けてよく言われております対話圧力というのをずっと継続しておって、粘り強く対応していく以外に方法がないわけだと存じます。  最終的な圧力というものが経済制裁の発動だとは考えておりますが、それに至るまでの間、段階的に圧力を掛けていくということは効果があると思っておりますし、国際的な圧力として、アブダクションという言葉が正式に国連総会に認めさせたのは日本、またジョージ・ブッシュ大統領のところに横田早紀江を面会ということをセットいたしましたのも日本ということだと思っておりますんで、政府としては、国際的な連携強化というものは、こういった形でいろいろ取組をやって、法執行の処置などもとってきておるところだと思っておりますんで、現在、官房副長官か、鈴木官房副長官の主宰する拉致問題特命チームの下に法執行班を設けて検討を進めておられると存じます。
  75. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 厳格な法執行ということに関しては、先ほど同僚の浅尾委員からもいろいろな提案がございました。さっきの安倍官房長官の御答弁を聞いていて思ったんですけれども、厳格な法執行、厳格な法執行というふうに度々繰り返されるんですが、具体的に官房長官の方からどのような指示を出されたのか、その辺が何かはっきりしないんですけれども、官房長官、いかがですか。
  76. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) この法執行班がどういういわゆる厳格な法執行に取り組むか、私がどういう指示を出したかということについては、これは、その指示自体をこれはつまびらかに今ここで御説明いたしますと相手方はそれに対抗手段を取るわけでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  77. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私が聞きたかったのは、先ほど浅尾委員からもいろいろ提案がございました。そういうありとあらゆる、何というんですか、法律を厳格に執行することによって北朝鮮に対してできるだけ効果的な何か影響を与える、そういうことについてすべて点検しなさいと、各省の管轄する法律についてすべて点検しなさいというふうな具体的な御指示は出されましたか。
  78. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) そのメンバー構成でございますが、これは国税庁も、またあるいは金融庁も入っておりますし、経済産業省も入っております。今それぞれ法執行にかかわる、警察庁はもちろんでありますが、法執行にかかわる部局の言わば実務者レベルも参加をしておりまして、そういう部門におきましてありとあらゆる厳格な法執行をしっかりとするようにと、また人員配置等々についてもしっかりと厚くするようにという指示をいたしております。  その結果、私はそれなりの成果が出てきているというふうに考えております。
  79. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 先ほどの浅尾委員からの提案についての官房長官の御答弁聞いていますと、まだまだそういう意味では厳格に執行できる法があるんじゃないか、その点検が足りないのではないかと思いますので、更なる督励をお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  80. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 私どもといたしましては、むしろこれ相当の厳格な執行をしているというふうに認識をしているわけでございまして、その中で私どもがやっていることを十分によく見ていただければ分かるのではないかと、このように思うわけでございます。  この半年間とそれ以前とは、これは相当、いろいろな法律の適用、執行については大きな違いが出てきていると、こう考えている次第でございます。それを今ここでつまびらかに一つ一つ申し上げることは差し控えさせていただきたいと思うわけでありますが、そのことにつきましては、これは御理解をいただいている方々には十分に御理解をいただいているというふうに認識をしております。
  81. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 御理解いただいていない方々なんでしょうか。済みません、理解よくしてないんじゃないかなというふうに思いますが、では、次の質問に移りたいと思います。  北朝鮮体制の今後の見通しと我が国対応について、外務大臣に伺います。  北朝鮮体制がアメリカ等の経済制裁により揺らいでくるとともに、一部の国民にも海外の事情が伝わる中で、金正日の独裁体制が崩壊するといった予測もある程度は現実味を増してきている感じもいたします。我が国としては、北朝鮮の金正日独裁体制について崩壊する予測を立てていらっしゃるのか、また北朝鮮体制が崩壊するための前兆としては、外交のプロである外務大臣としてはどのようなことに着目する必要があるとお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  82. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 金正日という人は、少なくとも今、国家主権の最高機関北朝鮮ではされております国防委員会委員長、そして朝鮮労働党と、唯一の政党だと思われますが、最高位であります総書記を兼務していると理解をしております。金正日の場合は、これは先軍政治といって軍最優先の政策というのを取りつつあるという体制を維持して、これに全勢力を集中しておると見られておりますんで、現時点でその体制崩壊の兆候を見ることはできません。  また、政府としていろいろな事態を想定して情報やら意見交換やらしておりますけれども、例えば金正日本人の動静、後継者をめぐる動き、軍部を含む北朝鮮要人の人事、経済状況、特に食糧、エネルギーの事情、脱北者の状況等々、中国との関係等に着目をしていくことが重要と考えておりますが、それらの総合して直ちにこれが崩壊に結び付くような前兆、兆候を感じているわけではありません。
  83. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私は、例えば本日の報道されております、「北で列車が正面衝突 死亡一千人超か」という、御存じですよね。今日の新聞ですけれども韓国民間団体「良き友達」は、一日発行の情報誌「きょうの北朝鮮ニュース」で北朝鮮中部で乗客の軍人千人以上が死んだというふうに書いてありますけれども、旅客列車と貨物列車の正面衝突事故があったと。こういう大きな事件は、なかなか確認難しいんだと思うんですけれども、私は注目に値すべきだというふうに思っておりますが、大臣、この情報は御存じでしたか。
  84. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) その事故を正確に、どれだけ、その事故の裏付けが正確でありませんから何ともお答えようのしようがありませんが、仮に事故が起きて千人亡くなったとか、炭鉱の落盤事件で千何百人死んだとかよく聞く話でありますけれども、過去にもいろいろ多くの人が死んだ事件はありましたけれども、それが直ちに経済崩壊なり政治崩壊なり体制の崩壊につながったというような話は、その当時もありましたけれども、結果としてそれ以後変わった様相はないというのが現状だと思っております。
  85. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 仮に北朝鮮の金正日体制が崩壊することになれば、旧東欧諸国の状況を参考にすれば一時的には国内の内乱も生じるものと予想されます。その一方、抑圧された民衆が解放されて情報公開が進んでいくものと考えられますが、そのような中で拉致問題の解決にはプラスになるものと考えていらっしゃいますか。外務大臣の見解を伺います。
  86. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 重ねて申し上げますが、体制の崩壊を非常に期待しておられるお気持ちは分かりますけれども、兆候は見られないということは重ねて申し上げておかねばならぬと思っております。  この、対する政策というものは、これは日朝平壌宣言に宣言をいたしました、現政権下との間でいわゆる対話圧力という基本方針の下で、私どもとしては拉致問題というのが優先順位の一番になっていますから、拉致問題の解決がないとこれは国交正常化というのにはつながっていかないんで、これ崩壊いたしますと、それがどのような政府ができるかによります、更に悪いのができないという保障はありませんから。  そういった意味で、仮定の前提で話をするのは極めて危険だと思っておりますが。
  87. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ということは、現体制がこのまま維持されていくということで、取りあえずは今の段階ではそのような前提に立っているということになりますね。そうすると、金正日独裁体制と引き続き交渉していかなければならない。どのような見通しを立てることができるんでしょうか。賠償金の支払や経済支援を求めている北朝鮮に、甘い言葉を掛けながらこのまま交渉をお続けになるのか。  拉致問題の解決は国交正常化交渉の前提であるとの考え方に変わりはないと思いますけれども、官房長官には、そのほかにも核開発の停止、そして麻薬製造や偽札の製造の禁止の約束などについても、その前提に入ってくるのではないかと思いますけれども、御見解をいただきたいと思います。
  88. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 北朝鮮との関係におきましては、平壌宣言にのっとって正常化を進めていくということでございますが、この精神にのっとるということは、もちろん拉致問題を解決をする、そして核の問題、ミサイルの問題を解決をするということでございます。また、今委員の御指摘になった覚せい剤の問題あるいは偽札の問題、これはもちろん全く非合法な話でありますから問題外と言ってもいいことだろうと。こういう問題がすべて解決をされなければ、これは言わば平壌宣言の精神にのっとってのこれは正常化ということにはならないと、このように思っております。  また、付け加えさしていただきますと、日本北朝鮮との間にはいわゆる賠償の問題は生じていないわけでございまして、我が国と戦争状態にあったわけではございませんので賠償ということはないわけでありますが、言わば平壌宣言に基づき、一括解決、経済協力方式にのっとって行われるということでございます。
  89. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 済みません、もう少し幾つか質問あるんですけれども、せっかく山中外務務官にお越しいただきましたので、先日、横田早紀江さんと一緒にアメリカにおいでになったと思いますので、そのときのことを少し伺っておきたいと思います。  先ほど申し上げました国民大集会での報告がされたんですけれどもブッシュ大統領からは非常に感動的なメッセージが発せられたというふうに思っておりますけれども、それについてはいかがでしょうか。
  90. 山中あき子

    大臣政務官(山中あき子君) 人権問題担当の外務大臣政務官であり、先ほどの拉致特命チームの一員ということで、このたび横田早紀江さん始め拉致家族の方々と一緒に、四月末、米国へ渡米いたしました。  ブッシュ大統領とのその会談の中の話をまず最初にいたしますと、横田早紀江さんは、めぐみさんがどこへ行ったか分からないという時点で非常に悩んで頭がおかしくなりそうなときがあって、そしてクリスチャンになったということを、ブッシュ大統領のお顔を見たときにふっと、宣誓式で聖書の上に手を当てて宣誓をなさっているそういう大統領の姿をぱっと思い浮かべたので、私もクリスチャンですというところから話が始まったとおっしゃっていました。そして、こんなお忙しいのに会っていただいてというふうにおっしゃったところ、人間の尊厳と人権問題について話ができないほど忙しくはありませんという見事な答えをなさった。そういう大統領の気持ちと横田早紀江さんの気持ちがぴったりと合ったというふうに感じております。
  91. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ありがとうございます。  人権についての話を聞く暇もないほど忙しくはない、これは非常にすばらしいメッセージだと思います。  政務官、いかがですか。小泉総理は、人権のお話を直接、拉致被害者家族から聞く暇もないほどお忙しいんでしょうか。
  92. 山中あき子

    大臣政務官(山中あき子君) 私は総理の御日程については承知しておりませんけれども、この拉致家族皆様がお帰りになったというきっかけをつくられたのは小泉総理というふうに承知しておりますから、その問題についてお話ができないという状況ではないのではないかと思います。
  93. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それでは、それだけ先ほどのお話で感動されたというふうにホームページにもいろいろ書いてございますから、山中政務官から、やっぱり小泉総理拉致被害者家族の皆さんと、望んでいるわけですから、お会いしたいと、直接、で、ずっと会ってないわけですけれども、会うべきだというふうに政務官の方からおっしゃるべきではないですか。
  94. 山中あき子

    大臣政務官(山中あき子君) 私どもといたしましては、総理は総理のお考えがあるとは思いますけれども、今回の成功は、まず拉致家族の方の長い間の御辛抱と、支援をする会の皆さん、議連の皆さん、そしてそこに、今回官房長官を始め政府、そして外務省も一体となって麻生大臣の訓令の下、本省も、そして大使館も一体となって国全体で動いたからこそ今回のようなことが実現しましたから、そういう形で動いていくというのが私どもの与えられた役割と思っております。
  95. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ブッシュ大統領でさえ人権についての話を聞く時間がないほど忙しくはないとおっしゃったわけですから、小泉総理も会うべきだと思いますし、そのようにそれぞれの閣僚の皆さん、政務官の皆さんが働き掛けるべきだと思います。  拉致問題は政治家のアクセサリーじゃありません。何か、拉致問題のために一生懸命やっていますというようなポーズを取るだけではこの問題解決しないんです。本当に、一緒に行かれてこれは何とかしなければいけないというふうに思われたんであれば、山中政務官の方から積極的に働き掛けるべきだと思います。  時間になりましたので、これで終わらせていただきます。
  96. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 久しぶりのこの拉致特でございます。  この間というか、この間一番やはり話題になったのは、今もお話があっておりました横田早紀江さんとブッシュ大統領のこの面会でございます。この面会、拉致問題が正に日朝二国間の問題でなく国際的な人権問題であるということをある意味では強く世界へ印象付けたと思っております。早紀江さんが帰国後面会された安倍長官、世界への強力なメッセージになったと応じたとされております。更に長官は、拉致問題を七月のロシアでのG8サミットでの主要議題として提起する旨の考えを明らかにされて、先ほどもお話しされておりましたが、麻生外務大臣も、先週のカタールでございますか、ラブロフ・ロシア外相との会談で、このサミットでの北朝鮮、この拉致問題を取り上げることを議論をされたというふうにお伺いしましたし、先ほど若干の報告もございました。  安倍官房長官おっしゃったみたいに、圧力というものは、一つは国内的には法の厳格な適用でしょう。ただ、その一方でやはり、お話しされたように、この拉致問題で国際的な包囲網をどうつくっていけるかがある意味では本当の圧力になっていくことなんだろうと思います。もちろん、当面はこのサミットに、この機会にどれだけこの拉致問題をきちんとできるか、これが大事な課題ですが、これを含めて、言わば圧力のための国際的な包囲網を強化すると、これに向かってどうこれから取り組むつもりでいらっしゃるのか、安倍長官及び麻生外務大臣、それぞれの御認識を伺っておきたいと思います。
  97. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) ただいま先生が御指摘になられましたように、しっかりと国際的な連携を構築をしていくことが極めて重要であると、このように考えている次第であります。  先般、横田早紀江さんが米国に参りまして下院で証言をされました。下院での証言につきましては、早紀江さんはその前にもう何回も何回もどのように証言すればいいか考え、悩み、そして正にこの下院での証言を通じて米国の国民に訴えたい、そして世界の人たちに訴えたい、正にその気持ちが伝わったんだろうと私は思うわけでありますが、強いメッセージが発出をされたというふうに承知をしております。米国側も、ブッシュ大統領はそもそもクロフォードの小泉総理との会談におきましても、北朝鮮によって拉致をされた人たちの行方が一人残らず分かるまで米国日本を完全に支持をするという立場を鮮明にしているわけでございます。  こういう中で、我々は更に国内における厳格な法執行とともに、国際社会において北朝鮮に対して、この問題を解決をしなければ北朝鮮が抱えている問題を決して解決することはできない、ますます国際社会において孤立化を深めていくし、もっと状況は悪くなっていくと、そういう認識を持たせ、この拉致問題を解決をしなければならないという最高の判断を、決定を金正日委員長以下が下すようにしなければならないと、こう考えております。来るサミットの場におきましてもしっかりと議題とするように、そしてサミット参加国のこれは出席者発言をしていただくように現在働き掛けを行っている次第であります。  また、国連人権理事会の場におきましても、是非とも私ども、理事国となったわけでございますので、この場におきましてもこの問題の解決を訴えていきたい、そのためにも各国の首脳、私も来日した各国の要人にはすべてこの問題を訴えて協力を要請し、基本的にすべての国々から協力について快諾をいただいているところでございます。
  98. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この拉致問題を解決するためには、これはもう木庭先生、国際協力またいわゆる連携、これは不可欠です。もうこれははっきりしております。したがって、政府としてはこれまでもいろんな機会をとらえて、国際社会の場でこの拉致問題という話は正式に取り上げられたことはありませんでしたから、少なくともアブダクションという英語が国連の総会の場で使われたというのは過去に一回もありません。何となくこれ日本だけの話に皆考えていますが、現実問題確認されているだけでも、レバノンとかシリアとか韓国含めて約四か国、そのほかに証言だけでいきますと十六か国ぐらいあろうと思っております。したがいまして、これは国際問題であることはもう間違いないと思っております。  したがって、最近では小泉総理とスウェーデンの総理大臣との間で提起、それから島サミットが沖縄で開かれた二十六、七でしたか、このときにおいても各国代表の前でこの協力を依頼等々させていただいたと思います。私の場合は、二十三、二十四か、カタールで行われましたアジア・コーポレーション・ダイアローグという、ACDという会合において韓国、中国、ロシア、ほかにも外務大臣等々に呼び掛けておりますけれども、やっぱり人権理事会の理事国にこれ正式に今度日本というものは選出をされたということにおきましてもこれは非常に大きいんでして、こういった意味では、北朝鮮の人権問題というものは積極的に提起していくという場を得たんだと思っております。  いずれにしても、これは冒頭に申し上げましたように、国際社会との連携協力が不可欠、はっきりしておりますので、その点は御趣旨も踏まえてきっちり対応していきたいと思っております。
  99. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 先日、衆議院の拉致特の方では、横田めぐみさんの夫の可能性が高い韓国拉致被害者家族がわざわざ来日をされまして参考人としてお話もされる、またいろんな会合にも出られる。極めて感銘を受けるとともに、今もお話あったように、正に拉致問題というのは日本の問題だけじゃなくて本当に国際問題だという認識を深くしたわけですが、官房長官も直接お会いになられて、日韓協力の大事さも訴えられたようでございます。  ただ、私が感じるのは、そういう民間レベルのそういう拉致に対する意識の共通というのは日韓の間でかなり進んできたとは思うんですが、一方、政府間の問題になると、韓国がこの拉致に対する問題、また北朝鮮に対する問題という意味では日本政府とのギャップみたいなものをどうしても感じざるを得ない。そんなギャップがある中で、これ、日韓協力しながらどうやっていけるのかというのは、これは極めてなかなか、取組その他含めてどういうアプローチの仕方をするか、またどう強めていくか、いろんな課題があると思っています。  先ほど御指摘あったように、日韓のぎくしゃくしたもの、まあそれもそれとして、でもそれ以上に乗り越えなければいけないのは、この拉致問題に対する日本政府韓国政府の認識の一致みたいなことを早急にやり上げないとこの問題に取り組むのは難しいと思うんですが、その辺について官房長官、外務大臣、御意見があればそれぞれ伺っておきたいと思います。
  100. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 日韓拉致問題を含め北朝鮮に対する言わば外交姿勢でございますが、北朝鮮の現在置かれている状況等々の認識については共有しているというふうに思います。そのために、例えば核の問題を解決をするためにも、六者協議において日米韓で認識を一致させるために情報の共有をしておりますし、なるべくこの日米韓においては一つの方向性を打ち出すべく努力を、事前に努力をしているところであります。また、拉致問題におきましても、正に韓国にも拉致問題が存在するわけでありまして、共通の問題としてお互いに認識を一つにしなければならないということだろうと思います。  ただ、北朝鮮へのこの考え方、アプローチの仕方は、御承知のように韓国は平和繁栄政策を取っておりまして、我が国の言わば対話圧力姿勢、対話圧力、これは日本米国は同じ姿勢でございますが、韓国は違うわけであります。しかし、そこは違いは違いとしてお互いに尊重する必要はあるんだろうと、こう思うわけでありますが、しかし、拉致問題を解決をしなければいけない、そしてその問題は存在するんだ、そしてこれは北朝鮮が国家として犯した犯罪であるという認識については基本的には大体一致をしている。ただ、その発表ぶりについてはもちろん違いはあるわけでありますが、その中でお互いに協力をしていくということの有効性を私ども見いだしつつあると、こう思っております。  今般のDNA鑑定の結果におきましても、まずは日本鑑定するに際しましても、韓国側協力がなければ、サンプル提出がなければ実現できなかったわけでありますが、これは私も韓国側お願いをし、最終的には御了解をいただきました。そして、今度は、向こう側で鑑定するに際しましてはこちら側からサンプルを出さなければいけない。この両国のお互いの協力によって一つの真実が浮かび上がってきたわけでありますし、また解決に向けて前進することもできたのではないかと。  今後、是非とも日韓でしっかりと協力をしていくよう、情報交換等々を進めていきたいと、このように思っております。
  101. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 日本韓国双方間で拉致問題に関するアプローチの仕方に差があるというのは、私も同じように感じます。  ただ、両方とも、拉致問題解決しないと、何となく朝鮮事変以来の話としてわだかまっている部分も含めまして、いろいろ韓国の御年配の方々含めてお話を直接伺うと、この拉致の問題というのは結構引っ掛かっている部分だというのは私どももいろんな会話で感じているところでありますので、被害者帰国を願うという気持ちに関しましては双方、双方というのは日本韓国に差はないと私は基本的にそう思っております。  四月の北と南の南北閣僚会談の席におきましても、韓国拉致問題取り上げております。そして、その存在そのものを認めたわけではないんですが、北の側は、行方不明者の存在は認め、その解決協力することに合意したということだけは承知をいたしております。  したがって、五月の二十三日、潘基文外交部長官でしたっけ、話をしたときもこの件には、横田めぐみさんの話に同情を示し、DNAの話はいろいろしたんですが、今官房長官も言われてましたように、DNA検査をこちらがきちっとした証拠を出せるようになったのは、これは韓国側協力がなけりゃこれはできませんでしたし、そういった意味では日韓、この問題に関してはかなり手を携えてこの問題に対処しつつある過程にあると思っております。  いずれにいたしましても、相手が対話に応じてこないというところでもありますので、一番最初に言われました国際的な圧力、またDNA鑑定等々の事実を一つ一つ積み上げていくというのが大事なところだと、私どももそう思っております。
  102. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 本当に、これから韓国とどう連携しながらこの問題に取り組めるか、本当大事になっていくと思いますし、その意味では、これ警察の方だと思いますが、金英男さんのDNA鑑定が判明したのを受けて警察庁の方は担当者を韓国に派遣すると、日韓両国間の捜査協力について協議するというようなお話も伺っておるんですが、どういう現状になっているのか。  まだ、お話しできる部分で、今後の進め方の問題含めて、日韓がどう連携しながらやっていけるような流れになっているのか、話せる部分があったらお話をいただきたいし、それとともに大事なことは、先ほど、圧力のもう一つの方は法の厳格な適用の問題、この問題について警察庁の方でも今年は正に一つの大きな動きをしていただいておりまして、辛光洙容疑者に対して地村さんの拉致容疑で新たに逮捕状を取る、正に捜査を強めているところでございますが、報道によりますと、この問題、単に辛光洙容疑者だけの問題でなく、国内に数十人の協力網の問題等、組織的な拉致というような問題の御指摘もあるようでございますが、こちらの方も話せる範囲内で、捜査状況についてこちらも御報告をいただければと思います。
  103. 小林武仁

    政府参考人小林武仁君) お答え申し上げます。  まず最初の御質問でございますが、各国関係機関との協力の問題でございます。  警察は、拉致容疑事案全容解明のためには、国内捜査だけではなく諸外国、とりわけ韓国関係機関との協力連携が極めて重要であると認識しております。こうした拉致事案発生の当初から所要情報交換をしてきておるところであります。  このたび、先ほどから両大臣申されたように、DNA鑑定により、横田めぐみさんの夫とされる人物が一九七八年に北朝鮮拉致された韓国人、金英男さんであるという可能性が高まったこと、こういった事態の進展を踏まえまして、日韓両当局間における協力関係を更に一層緊密にしていくことを目的に、本年五月十日から数日間ではありますが外事情報部長韓国に派遣したところでございます。  今回の韓国当局との具体的な協議の内容についてはお答えを差し控えさしていただきたいと思うのでありますが、今後とも韓国との一層の連携強化を図りながら、北朝鮮による日本人拉致容疑事案全容解明に努めてまいる所存でございます。  次の御質問の、一連の拉致容疑事案についての捜査状況でございますが、この一連の事件事案につきましては、もう御案内のとおり、北朝鮮による拉致というものは我が国に対する知見が深い工作員が中心となって敢行されたものであること、また国内にはこうした工作を可能にする支持基盤が存在していたことなど明らかになっているところでございまして、警察としてはこうしたネットワークの解明にも現在力を注いでいるところでございます。  こうした中、委員指摘のように、警察は本年二月に、帰国した拉致被害者であります地村さん夫妻及び蓮池さん夫妻拉致実行犯として、それぞれ辛光洙及び通称チェ・スンチョルの、また三月には原敕晁さん拉致容疑事案に関しまして国内関係先六か所を捜索いたしまして、四月にはその実行犯として辛光洙及び金吉旭の逮捕状を取得いたしまして国際手配を行うなど、現在警察の総力を挙げて全容解明に向けて捜査を行っているところでございます。
  104. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 最後外務大臣に伺っておきたいんですけれども、人権大使の問題でございます、人権大使。我が国もアメリカもこれ人権大使というのをそれぞれ新設したわけでございますが、どうも何か、アメリカの方はブッシュ大統領、すぐ何か、先ほどもお話があったみたいに早紀江さんと会ってみた、その後は脱北者会見ですか、そんなことを記者会見するとか、何か人権に関して、正に人権を重視して北朝鮮圧力掛けているのは日本よりもアメリカだみたいなイメージが強いぐらいに、人権という問題についての様々な取組している。  我が国も、もちろん人権問題、国連に先ほどお話があった人権委員会も新設されたり、いろんな問題もあって、一つ日本でもそういう人権大使という新設ポストを設けながらやっている。  別に頑張ってないということを言うわけじゃないですけれども、姿が見えないんですよね。せっかくつくったこういうものは、やはりこういうものをやり、まして北朝鮮拉致問題を抱える日本であれば、こういった立場の方をもうちょっと国民に分かるように、使い勝手の問題含めて、これきちんとやった方がいいんじゃないかなという気持ちを強く抱いているものですから、これについての答弁をいただいて質問を終わりたいと思います。
  105. 金田勝年

    ○副大臣(金田勝年君) 昨年十二月に任命をいたしました齋賀富美子人権担当大使であります。齋賀大使は、国連を含む国際的な人権関係会議、人権問題に関する政府間の対話といったものを通じまして人権問題への対応を行っておるところであります。  また、北朝鮮の人権問題にも取り組みまして、拉致被害者の御家族そして関係国との情報・意見交換、他国の北朝鮮人権特使等との意見交換、国際機関との連携強化また国際社会に対する北朝鮮の人権状況に関する啓発活動を行っておるところであります。  例えば具体的には、これまで北朝鮮の人権問題に関する国際会議、これは去年の十二月にソウルで開かれました。そして三月にはブラッセルで、そして五月にはノルウェーで開かれておりますこの国際会議において、また欧州議会におきます北朝鮮人権問題に関する公聴会、これは今年の三月にブラッセルで、そして北朝鮮人権問題セミナー、今年の五月にニューヨーク、こういったそれぞれの場に出席をいたしまして、拉致問題の早期解決に向けましてその深刻さを国際社会に訴えてきたところであります。さらに、国連強制的失踪作業部会、これは四月、ジュネーブで開かれたのでございますが、これにも出席をいたしまして国連情報の提供も行っているところであります。  今後も、齋賀人権担当大使を積極的に活用いたしまして、拉致問題を含む北朝鮮の人権問題の解決に向けまして、国際社会の理解と協力を得るよう、姿が見えるよう、最大限努力をしていく考えであります。
  106. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  107. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 拉致問題では、この間、日韓双方のDNA鑑定の結果、横田めぐみさんの夫が韓国人拉致被害者金英男さんである可能性が高いことが判明するなど、新たな進展がありました。先日も、韓国被害者の御家族が国会で問題の早期解決を訴えるなど、拉致問題は国際的な広がりを見せていると思います。それだけに、北朝鮮に対して拉致、核、ミサイル問題を解決して、日朝平壌宣言にも、六か国協議の共同声明にも明記されている関係正常化が展望される方向に関係諸国との協力を強めていくことが一層重要になっていると考えております。  そこで、麻生大臣にお伺いしますけれども大臣は先日、先ほどからもお話ありましたけれども韓国の潘基文長官との会談を行われ、会談では北朝鮮問題についても意見交換され、韓国協力強化についても話し合われたと伺っておりますけれども、その概要について伺っておきたいと思います。
  108. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今御指摘のありましたように、去る五月の二十三日、カタールドーハで開かれましたACD会議におきまして、潘基文韓国外務大臣と個別の会談をさせていただく機会がありました。  この話は、拉致問題というのは、あの当時御記憶かと思いますが、まだこの時点ではDNA鑑定が出る前であります。で、日本から行った人も、韓国の統一大臣だったっけな、何だか会わぬと言ったという話だけがやたら新聞に出ていましたけれども、それは、韓国側にしてみりゃ自分が調査したわけじゃないのに日本側の調査だけ信用して、丸々大変ですねなんて言っちゃったら、それはいかにも、いかにもですから、自分のところのきちんとした鑑定が出るまではそれはうかつなことは言えぬというのは当然の立場だと思っております。  このまた、会ったとき、まだその鑑定が出る前ですので、その前提でお聞きをいただかないといかぬところだと思いますが、いずれにしても協力を進めていかねば、まず間違いなく出るよと、これは。その上で、出た上は、これは日本韓国だけの話じゃなくて、これはもう確認されているだけでシリア、レバノンと四つあって、ほかにも十二だか、足して全部で十六ですから、十二ほかにもあるんだから、これは何も日韓だけの話じゃ何でもないと、ほかにもあるんだから、ちょっと真剣にこの話は考えてもらわぬといかぬという話を私どもの方からしております。  そして、少なくとも両方、双方って韓国日本の双方で、これは両方で手を携えていかないと、向こうの方は拉致されていると思われる人の数の量が何百という数になっておるんだそうですから、そういった意味では向こうの方が被害としては大きいんで、何となく南北統一のためにここの点を避けて通るというようなことが長期的にいいかどうか、よくよく考えないといかぬところなんではないのかと。多分、向こうの気持ちとしても同じようなところだと思います。あっ、ごめん、シリアじゃない、タイだ。タイ、レバノン、済みません、タイ、レバノンでなっております。  したがって、共同声明のあの作業というのは、これは日朝平壌宣言でやったんだから、あのとおりやってもらわにゃいかぬわけなんで、そういった意味で日韓連携を更に一層、この拉致問題で一生懸命一緒に手を携えていこうではないかという話をして、向こうも横田めぐみさんの事件には深い同情心を感じている等々の話があっておりました。  すごいかいつまんでおりますけれども、以上です。
  109. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 先ほど冒頭、麻生大臣からも報告がありましたけれども外務省では今後の日朝包括協議それから六か国協議、これについて、まあこれまでの経過については報告がありましたが、今後どういうふうな見通しとか行動していくというふうにお考えになっているのか、伺います。
  110. 梅田邦夫

    政府参考人(梅田邦夫君) お答えいたします。  二月の日朝の協議の後、日朝間では様々なやり取りはしております。実際に特定失踪者の方について資料を渡して調査を要求する。それから、警察の方で、先ほど話がありましたけれども、新しい容疑者が出てきている、それを要求する。それから、金桂冠次官が来られたときにいろいろ新たに誠実な対応を要求しているということがございますが、今までのところ残念ながら北朝鮮側から誠実な対応を出すという兆候はございませんので、現時点では次回日朝協議の開催の見通しは立っていないということでございます。  それから、六者協議も続けて、もしよろしければ言わせていただきたいと思いますが、御承知のとおり、北朝鮮はいわゆる金融制裁が解除されない限りは帰らないと、その立場は依然として崩しておりません。ただ、日本も、先ほど大臣も御説明申し上げましたけれども、いろんな様々な働き掛けをしておりますし、それから議長国中国も、米中首脳会談の後、唐家セン国務委員が平壌に赴かれて説得に当たる。それから、今、白南淳外相が北京に行かれておられます。その場でも多分、中国側はいろいろ働き掛けを行っているものだと思いますが、これにつきましても北朝鮮は今のところ、先ほど申しました条件を変えるということは一切様子はございませんので、これについても開催の見通しは今付いておらないという状況でございます。
  111. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 麻生外務大臣にお伺いいたします。  難しい相手との交渉というのは、その国の外交力、国の総合力が試されるものだと思います。アメリカはどんな事案に対しても様々なオプションをすべて用意する、そういう国ですけれども北朝鮮についてホワイトハウスも、朝鮮半島の恒久的平和を構築するための交渉はどんなものであれ北朝鮮が六か国協議に復帰してこそ可能になる、こういうことを最近も繰り返し述べて、六か国協議の枠組みに北朝鮮を引き戻し、外交的、政治的解決を現実的に追求すると、そういう道を取っていると思うんですね。そうしつつも、同時に北朝鮮のマネーロンダリングを取り締まり、そういう形で硬軟両様ですね。もちろん、法律を守るということ、法律を執行するということですね、そういう当然の態度を取っているんだろうと思います。  アメリカは、六か国協議に並行して、朝鮮戦争による停戦協定を平和協定に変える、そういう新しい提案を含めてかなり幅広いアプローチを用意して検討しているとも伝えられております。中国とも、各分野での利害を出し合って調整しつつ関係を深めるという方向です。この問題について言えば、北朝鮮に対するポジションを、いいポジションを確保するために中国といい関係を持つという、そういう発想もあるわけですよね。ですから、そういうふうにして考えていく。あるいは、話は変わりますけれども、イラン問題でもイランとの直接対話に踏み切る。なかなか柔軟でリアルで、同時に思い切った決断をする、そういう戦略を持った、そういう判断ができる力を持った、外交力を持った国だと思うんですね。まあ私が言うのも変かもしれませんけれども、そうだと思うんですよ。なかなかおもしろいと思うんですね。こう見てくると、この分野ではアメリカはなかなかの外交力を発揮しつつある、そう思われます。  そこで、外務大臣は、こうしたアメリカの外交的な動きをどのようにごらんになっているのか、伺っておきたいと思います。
  112. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 久しぶりに緒方先生と意見が合ったなと思って聞いていましたけれども、なかなかの外交力です。大したものだ、大したものだと。少なくとも、二十五年前でしたかね、あのイランのアメリカ大使館人質事件というのはたしか私、国会議員になっていたぐらいだと思いますので、あの人質事件、あれ以来イランとアメリカは全く没交渉ですから、それまでの間は、いわゆる外務大臣じゃない、我々が、いわゆる日本外務省が通して話をしていましたので、そういった意味ではこれまでの中ではかなり思い切って向こうから出てきたというような感じが私もいたしますし、総合力とかいろいろな表現はあるんだと思いますけれども、非常にこの面に関して柔軟に対応してきているというようなのが率直な私も実感です。
  113. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 安倍官房長官にお伺いいたします。  六か国協議の、確かに停滞しているように見えますけれども、また別の見方をすれば重要な到達もつくっていると言えると思うんですね。昨年九月の六か国協議での共同声明では、日朝平壌宣言の内容が、六か国間の合意へ拡大させられ、その位置が高まったということがありました。それから、北朝鮮に対しては、昨年十一月の六か国協議の際、日本側が拉致問題を始めとする諸懸案の解決による日朝関係の進展は六か国協議の進展に肯定的な影響を及ぼす、同時に六か国協議での核、ミサイル問題の進展が国交正常化の展望を容易にすると、言わば車の両輪という性格を持つものであるということを強調した経過もありました。  問題解決のためには、日本としてやはり関係国のバイ、マルチの様々な協力が、協議が必要だと思います。日本は、経済力と地政学的なポジション、正に非常に大事ないいポジションを持っていると思います。これまでもいろいろやられてきたと思うことを前提にして話すわけですけれども、それだけに政府が、外務省を始め各省庁を束ねて連携して、柔軟かつ効果的な外交を総力を挙げて行うということが正に必要だと思いますけれども、官房長官の御見解をお伺いいたします。
  114. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 日本といたしましても、この北朝鮮との問題を解決をするために全力を尽くしてまいる次第でありますし、各省庁ともしっかりと連携を取っているところであります。  十一月の第五回の六者会合の第二回目のセッションにおきまして、北朝鮮が資金洗浄という六者会合とは無関係の問題を持ち出し、残念ながらそれ以来、議長国中国を始めとする関係各国による働き掛けにもかかわらず、北朝鮮は同会合への参加を拒んでいるわけでございます。また、本年二月の日朝包括並行協議においては、拉致協議、安全保障協議、国交正常化交渉のいずれについても残念ながら目に見える具体的な進展は得られなかったわけでありまして、甚だ遺憾でございます。  また、その後、北朝鮮対応の変化の兆しがないことから次回協議の見通しは立っていないわけでありますが、我々といたしましては、先ほど来答弁いたしておりますように、対話圧力の姿勢でしっかりと北朝鮮側の態度を変えていくために努力をしていきたいと。また、この六者協議と日朝の協議は正に車の両輪でありまして、この二つの会議を、これは何とか動かしながら北朝鮮との関係における問題を解決をしていきたいというふうに考えています。  日本は、決して硬直的な姿勢ではなくて、平壌宣言に見られますように、北朝鮮がしっかりとこの精神を守っていけば、我々は将来北朝鮮との国交を回復し、そしてその先にはもちろん経済協力もあるということはお示しをしている。また、六者協議の場においても、我々からの提案として、北朝鮮の言わば核の平和利用については認めているわけであります。もちろん、北朝鮮側が核を全面廃棄をしなければいけないということもあるわけでありますが、そういう意味におきましては現実的な対応をしているんだろうと、このように思っております。
  115. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 重ねて官房長官にお伺いしますけれども、そういう外交努力を進める上で、私は二つ大事なことがあるのかなと思いますね。  一つは、六か国協議議長国である中国に対してしっかりと働き掛けること。  それからもう一つ、やはり日米韓の枠組み、これが非常に大事であって、六か国協議の中でもですね、やはり共通して言う話では、共通の価値観を共有しているこの三か国が一致してやると。ところが、先ほど麻生大臣の方からも、立場とアプローチに違いがあると。そう見えます、確かに。そういうことが言われました。しかし、とりわけ、この日米韓の中でも韓国との間でやはりしっかりとした関係を持っていく。しかし、現状では、このバイの関係で見たときに、やはり中国とも韓国ともやはりどう見ても満足できる状況にあるものではない、このことは明確だと思います。  別に両国関係というのはこの問題に限るわけじゃありませんけれども、私は、やはり今周知のそれぞれのバイの関係の問題、このことがもっといい関係になるならば、これが改善されるならば、やはりこの北朝鮮に対する問題、六か国協議の中での協力、これがもっともっと効果的になるだろうと思います。  ですから、私は、その点でやっぱりより良い関係をつくることが、やはり日本の国益というそういう立場から、その点からも努力いただきたいと思いますけれども、その点についてお伺いして、質問を終わります。
  116. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 六か国協議の場におきましても、日米韓でしっかりと事前に協議をしながら、そしてその中で更に議長国である中国に働き掛けを行っております。また、会議開催中に日本も、米国と中国とのすり合わせにおいて重要な役割を担っていることもあるわけでありますし、また米韓の話合いにおいて日本はそれなりに触媒的な機能を果たしているということもあるわけであります。ただ、それを表につまびらかにはしていないだけでありますが、そういう努力は積み重ねていると。  もちろん、その根底において日韓、日中の関係が、それはお互いに信頼関係が構築をされているということはもちろん大前提になっているわけでありまして、この交渉を進める上においては十分に信頼関係はあると、このように思っておりますが、更なる、更なる信頼関係を構築をしていくためにも努力をしていきたいと、このように思っております。
  117. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 終わります。
  118. 広野ただし

    委員長広野ただし君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時十七分散会