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2006-05-30 第164回国会 参議院 法務委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年五月三十日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         弘友 和夫君     理 事                 荒井 正吾君                 谷川 秀善君                 簗瀬  進君                 木庭健太郎君     委 員                 青木 幹雄君                 沓掛 哲男君                 山東 昭子君                 陣内 孝雄君                 関谷 勝嗣君                 南野知惠子君                 江田 五月君                 千葉 景子君                 前川 清成君                 松岡  徹君                 浜四津敏子君                 仁比 聡平君                 亀井 郁夫君    国務大臣        法務大臣     杉浦 正健君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    沓掛 哲男君    副大臣        法務大臣    河野 太郎君    大臣政務官        法務大臣政務官  三ッ林隆志君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 英明君    政府参考人        警察庁長官官房        長        安藤 隆春君        警察庁刑事局長  縄田  修君        法務省刑事局長  大林  宏君        法務省矯正局長  小貫 芳信君        海上保安庁次長  平田憲一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○刑事施設及び受刑者処遇等に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  刑事施設及び受刑者処遇等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会警察庁長官官房長安藤隆春君、警察庁刑事局長縄田修君、法務省刑事局長大林宏君、法務省矯正局長小貫芳信君及び海上保安庁次長平田憲一郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 刑事施設及び受刑者処遇等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 荒井正吾

    荒井正吾君 自由民主党の荒井正吾でございます。  追加質問を若干させていただきます。  参考人質疑もございまして、その中で前回質疑も併せて大きな問題点は、代用監獄冤罪温床であるかどうか意見が分かれているように思います。その中で、管理捜査が厳密に分離されているのかどうか。管理の態様が捜査の強要になっていないかどうかというようなことが大きな焦点だったと思います。  その中で、前回参考人質疑日弁連代表の方がこのように述べておられます。代用監獄は、警察の意に沿う被疑者には便宜を与え、否認している者には、いつ食事にあり付けるか分からない、いつ房に戻って眠れるか分からないという不安な状態に追いやりながら、長時間、朝から晩まで取り調べる。取調室には時計がありません。一体何時なのか分からない、こういう状況で肉体も精神もぼろぼろに疲れ果てさせ、人格が傷付けられ、破壊されまでして自白を強要する、こういうシステムでありますと。こういう供述なんですが、私、海上保安留置施設管理したことがございますが、これが事実であれば責任を取って辞任せにゃいかぬというほどの言われ方であるように感じました。このような事実でないならば、どうしてこういうことが言われるのか、大変不思議に思った次第でございます。  それで、この前の視察のときには、就寝時刻食事時刻というのはちゃんと書いてあったわけですけれども、そのような管理がどのようなものか、若干ホームページで調べたんです。それがお手元に出した資料なんですが、就寝時刻経過後の取調べ実態対応措置。その場でも言っておられたですが、夜遅く調べることはあるが、それは逮捕が夜になったときだとか、あるいは延長するときは申請があって許可すると。取調べが延びたときは注意をするとかというようなことを規則としてやっておると。外での見られ方と中での実態がどういうことなのかということが大きなことだと思います。  冤罪というのはある程度、次にまた質問しますが、ある可能性ありますが、代用監獄冤罪におとしめるというのはおかしいんじゃないかというふうに思います。冤罪温床はどこかにあるかもしれない。代用監獄がそうなのか、そうでないならば変えなきゃいけないというふうに思うわけでございますが、この日弁連の方の供述真実かどうか、真実ならば変えなきゃいけない、そうでないならば客観的に事実を示さなきゃいけない、そういうふうに思いますが、その辺りを警察庁の方、お伺いしたいと思います。
  6. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) まず、留置業務は、御案内のとおり、捜査部門とは別の総務、警務部門が担当しておるところでございまして、取調べを担当する捜査員はその被疑者処遇に関する業務に従事してはならないことになっておりまして、したがいまして、取調べにおける態度によりまして処遇内容に変化があったり、処遇状況捜査に利用されるということはございません。  また、留置業務管理者というのは、起床就寝時間、食事の時間、運動の時間等あらかじめ定めまして、これらを被留置者に告知するものとしておりまして、被留置者処遇というのは原則としてこれらの起居動作の時間帯に従って行われるということでございます。  ただ、御案内のとおり、被留置者は他方で刑事手続の対象でもございますので、やむを得ず定められた時間帯に処遇を実施することができないこともあり得るわけでありまして、例えば就寝時間にかかわるような取調べには、留置部門から捜査部門に対しまして取調べの打切りについて検討を行うよう要請するなどしておりますけれども、それでも具体的な状況によっては中断することが困難な場合もございます。しかし、このような場合にも、翌日の起床時刻を遅らせるなど守れなかった起居動作の時間帯を補完する措置をとっているわけでございます。  委員指摘の深夜までの取調べ時間についてでございますが、この引用をされました資料にございますように、これは平成十七年十月と平成十六年十二月の二回調査をしまして、二十一時以降の入場は約一%、さらに二十四時以降の入場は〇・〇一から〇・〇二%となっておりまして、すなわち九九%が就寝時間までに取調べが終了しているということでございます。このうち二十四時を超えて帰場している事例というのも、これはそれぞれ個別の、特別の事情がございまして、例えば逮捕後、夜に身体検査許可状等を取り、外部の医師により採血を実施したもの、あるいは発生時刻と同時刻における現場検証が必要となったもの、さらには事件核心部分供述を始めたことなどから取調べを継続せざるを得なかったもの、いずれも個別具体的な事情が、特別の事情がある場合でございます。  以上が現状でございまして、御指摘のような事実はございません。
  7. 荒井正吾

    荒井正吾君 日弁連言い方に対して、警察庁が国会の場でそういうことはないということを明確に言われたというふうに理解してよろしいでしょうか。もう一度御答弁をお願いいたします。
  8. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 失礼しました。  そのとおりでございます。
  9. 荒井正吾

    荒井正吾君 ある知り合いの弁護士の方から、変な遺言書が作成されたと。なぜ、介護されている家族に全財産を譲るという遺言書だそうで、ほかの家族の方からおかしいというクレームが付いて、その被相続人の方はまだ生きておられたので聞いたら、嫁が食事を与えてくれないんだと、判こを押さなきゃ食事を与えないと言われるんだからしようがないから押したというようなことがあったというふうに聞きました。  食事を与えられないで拘禁されてその行為を強要するということはあり得るというふうに思うわけですけれども、拘禁された警察留置場ではあってはならないことだと思いますが、今のような実情であれば、その日弁連の方がおっしゃるような、意に沿わない被疑者には、いつ食事にあり付けるか分からない、いつ房に戻れるか、眠れるか分からないと、不安な状況に追いやりながらというような供述は大分行き過ぎた陳述じゃないかというふうに感じました。  それともう一つ、同じ日弁連の方が国連人権委員会代用監獄についての勧告について、代用監獄を廃止すべきであるという勧告がなされたという供述がございました。  それで、原文を取り寄せてみたんですが、廃止すべきだという文言はなくて、人権委員会コンサーンがあると。代用監獄捜査管理が分離されていないので、拘禁者権利をアビューズする可能性が増すかもしれないという供述があるわけでございます。代用監獄制度は条約の人権の、拘禁者権利を守るのに矛盾しないようにしなきゃいけないということを勧告すると、コンパーティブルにしなきゃいけないというふうに勧告する。軟らかい表現のように思いますが、これは、国連の場は軟らかい表現が多いので、これはもう事実上は代用監獄を廃止すべきだということそのものでございますという日弁連の方の供述があるんですが、この英語の文章で、事実上廃止すべきだということそのものでございますという、法曹にいた方がこの文章で言い得るような文章かどうかというふうに思います。コンサーンというのとファクトというのは全く違うものでございます。コンサーンがあるということは、だからファクトだというのを言いくるめると、これは法曹の場では通らない言い方じゃないかというふうに思うわけでございます。これは意見だけにさせていただきます。  しかし、冤罪というのはやはりあるんじゃないかと思います。代用監獄のせいかどうかは分かりませんが、冤罪というのはあるんじゃないかと。冤罪というのはあってならないものだと思います。なぜそういうものが起こるのか、どういうふうにそれを対応するのかということを今後も追求していただきたいという気持ちがございます。すると、冤罪というものはどういうものなのか、どのように定義できるのか、どの程度あったのか。また、起訴されて、有罪率が低下する、有罪でなくなる、これは裁判が働いているという証拠だと思いますが、有罪率が低下するとこれは冤罪が増えたということなのか、どのように冤罪定義してどういうふうになくすのかということをお聞きしたいと思います。法務省の方からお聞きさせてください。
  10. 大林宏

    政府参考人大林宏君) 御指摘冤罪という言葉につきましては、法令上の用語ではございませんので、その定義についてお答えすることは困難であるものと考えております。社会生活上の用語例としては、冤罪とは、実際に罪を犯した真犯人ではないのに刑事訴訟有罪とされることをいうのが多いのではないかと考えております。  次に、有罪率が低下すると冤罪が増えたというふうな言い方ができるのかというお尋ねでございます。  今申し上げたとおり、冤罪については、法令上の定義はない上、仮に実際には罪を犯した真犯人ではないのに刑事訴訟有罪とされることと理解するのであれば、一般刑事訴訟手続において判断されるのは有罪無罪かでございますので、御質問に一概にお答えすることは困難であるのではないかというふうに思っております。  なお、無罪判決の理由は、被告人犯人であることに合理的疑いが残るとされたものもありますけれども、それのみならず、当該事件被告人によって引き起こされたことは認められたもののその犯罪の要件を認定するには合理的疑いが残るとされたもの、あるいは正当防衛が認められたもの、心神喪失が認められたものなど、様々なものがあると承知しております。
  11. 荒井正吾

    荒井正吾君 定義がないからという、定義のない言葉をめぐって我々言い争っているわけでございますが、もう少しどういうものが悪いのか悪くないのかということを研究していただきたいというふうにお願いしたいんです。  先日、誤認逮捕がございました。誤認逮捕が、すぐにアリバイが分かったので、これは殺人事件でしょうか、すぐ釈放された。しかし、誤認逮捕というのはすぐに分かることですが、裁判所でないと有罪でないということは分からない場合もある。外国では日本ほど有罪率高くないので、裁判所が起訴されても有罪にしないということが大変多いわけでございます。日本は、有罪率が高いがために、逮捕されると、あの人はもう犯人らしいと、犯人だというふうにレッテルを張られてしまうというような社会的な認識があるように思うわけでございますが、そういう逮捕自身に非常に社会的な罰が加わっているという実態ですが、本来の裁判制度は、裁判有罪になるまで疑わしいけれども有罪じゃないという状況がある程度あると。  そうすると、日本における冤罪というのはどういうふうに発生するのか、どのようになくせるのかということを引き続き研究、追求してなくすように努力をしていただきたいというふうに思うわけでございますが、その冤罪が、代用監獄温床と言われる、施設温床というのはまだ腑に落ちないところがやはりあるんですが、自白偏重というのは冤罪を巻き起こす可能性はある程度高いんじゃないかというふうに思います。自白任意性が厳密に確保される必要があるんじゃないかというふうに思います。  裁判員制度が導入されると、裁判員の方は、その自白が本当のものであるのかということとともに、虚偽自白うそなのかどうかということを見抜かなきゃいけないという両方の課題があるように思うわけでございますが、先日、五月二十九日のある新聞で、ずっと検察官の特集がされていまして、うそ裁判員を惑わすということで、これ否認をした人、うそ否認をしたという、偽証したと、裁判所偽証したと、それで裁判所偽証を積極的に立件するというふうに検察の方が動かれたと。今までは自白偽証罪というのは余りなかったようでございますが、裁判員制度があると偽証というのは大変重い効果になりますので、偽証罪を適用するということになります。検察官の方が、法廷でのうそ裁判員を惑わせる、だからこそ偽証を許してはいけないということを述べておられます。  自白を強要してはいけない、同じように偽証がはびこってはいけないというふうに思います。裁判員制度が導入されますと、自白任意性がより厳しく吟味されると思います。拘禁在り方自身自白任意性を疑わせる効果が、立証ができるんじゃないかというふうに思います。今後の捜査拘禁在り方、所管の在り方というよりも、そのプロセデュアの在り方についてがより重要じゃないかというふうに思うわけでございますが、捜査拘禁在り方について、法務省の今後の基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
  12. 大林宏

    政府参考人大林宏君) 捜査当局におきましては、これまでも刑事訴訟法等法令要件を満たした場合にのみ被疑者逮捕勾留を行い、その際、刑事訴訟法第百九十八条第一項に基づき被疑者取調べを実施してきたもので、今後とも法令に基づいて適正に被疑者逮捕勾留及びその取調べを行っていく必要があるものと承知しております。  御指摘自白任意性立証に関しましては、検察当局において任意性及び信用性がある供述の確保と裏付け捜査の徹底、特に証拠物やその鑑定等の客観的な証拠の十分な収集に努めてきたものと承知しておりますけれども、裁判員制度の導入を控え、これらについて、取調べ状況の録音、録画など、更に具体的な検討を進めていると承知しております。  委員がおっしゃられるとおり、自白任意性立証については極めて厳密な吟味が必要でありますし、それを裁判に反映していかなきゃならないというふうに考えております。
  13. 荒井正吾

    荒井正吾君 日弁連代表の方が、一方、公判中心主義、直接主義近代刑事司法基本原則であるということも述べられておられます。裁判員制度が導入されますと、やはり直接主義公判中心主義がやはり基本になるんじゃないか。今まで逆に言えば調書主義という言われ方をされたようでございますが、そういう中で、捜査在り方捜査に関係する拘束の在り方というものも透明性を高め、世の中の理解をいただくようになっていくべきだと思います。そのことをお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。
  14. 松岡徹

    松岡徹君 民主党の松岡徹でございます。  先週に引き続き御質問をさせていただきたいと思いますが、今回の法改正は、前回も申し上げたように、百年に一度の重大な法改正だと感じていますし、代用監獄冤罪温床ではないのかということは古くから言われてきた課題でもあります。しかし、だからといって代用監獄制をなくせば冤罪がなくなるのかといえば、私はそうは思いません。冤罪が今でも存在をしているわけでありますから、たとえ一件でも冤罪が起きたとすれば、それをなくしていくような努力をしなくてはならない、そういう視点質問もさせていただきたいというふうに思います。  それは私自身は、自白偏重、正に先ほど荒井先生おっしゃっていましたけれども、日本調書主義といいますか、自白偏重が非常に偏っていたんではないかと。それを強要するあるいは増幅させるような制度として代用監獄という制度が働いていたのではないかというふうに私は考えるんです。代用監獄という制度そのものがすべての、諸悪の根源ではないというふうには思いますが、問題は、これまでの百年間改正されなかった監獄法に基づく代用監獄制度、その下で被疑者の諸権利が侵害されていく、あるいは制約されてきたという状況が一方にあるわけですから、そういったことをしっかりと整備をしていくということが今回の法改正の重要な視点だというふうに思っています。そのことが冤罪をなくしていく大きな取組につながっていくというふうに私も信じて御質問させていただきたいと思いますが。  まず最初に、被疑者逮捕され、そして勾留される場合、だれが決定するのかというのは、当然のように、それは裁判官専権事項だというふうに聞いておりますが、裁判官拘置所留置するのか、あるいは留置場にするのかという判断基準というのは、簡単に、どんなものなんですか、聞かせてください。
  15. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 裁判所の決定の基準と申しますか、あくまで一般論になりますけれども、事件性質でございますとか、被疑者状況、それから必要と思料される捜査内容ですとか、拘置所及び留置場収容状況弁護人等関係者接見の利便など、諸般事情が総合的に考慮されているのではないかと思われます。
  16. 松岡徹

    松岡徹君 裁判官判断する場合は、そういう諸般事情を考慮してと、特に拘置所状況でありますとかいうことも含めて判断されるというのが最近だと思うんですが、そういう意味では、全体としては九八%を超える人たち留置場留置という現状に今なっていると。そういう意味では、拘置所設備といいますか、そういったものが整っていないということですから、やっぱり一方で拘置所をしっかりと整えていくと。  先日も小菅拘置所を視察させていただきました。だんだん設備が良くなっていくのは、新しいもの、良くなっていくのはよく分かりますが、十一階、十二階へ行ったら、何かアルカトラズの要塞みたいな雰囲気、感じしましたけれども、しかしいずれにしても、古いものよりも新しいのがだんだん設備が良くなっていくというのはもちろんそのとおりであります。  そういったことに努力をしていかなくてはならないと思うんですが、特に検察捜査の側が留置場要求するということが裁判官に対してあります。その要求する根拠は何なのか。全体としては九八%以上がほとんどもう留置場留置になっているんです。それも、検察勾留する場合の勾留先を事前に裁判官要求をしている、書面であるいは口頭でということが聞かれていますけれども、その要求する根拠、なぜこの人は留置場留置でなかったらいかぬのかというのはどういうことにあるんですか。
  17. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 検察官勾留請求に当たりまして勾留すべき場所を選定して記載していることは、先生御指摘のとおりでございます。  検察官は、事案性質共犯関係捜査上の便宜被疑者の防御上の便宜施設空き具合等々、諸般事情具体的事案に即して考慮し、勾留すべき場所を選定して記載しているものと承知しております。したがいまして、裁判所の方で、裁判所判断、これと異なった場合には是正を求める必要があると判断することもある、準抗告するわけですが、と承知しております。
  18. 松岡徹

    松岡徹君 そうしたら、十一年前の事件ですが、大阪市の東住吉で起きた事件なんですね。これは、自分子供生命保険金目当てで放火して、自分の実の子供を火災を起こして殺してしまったと。その実行者が実は内縁の夫のBであって、それを共謀したとして実の母親逮捕されたと。  この事件は、当初、このAという実の母親は共謀として逮捕されたんですが、今現在最高裁で争われていますけれども、このA子は、要するに留置場留置取調べを受けるんです。受けたときに、既に首謀者のBはもう自白しているという、切り違え尋問とか偽計によっていったんはA子自白してしまうんですね。長時間の取調べによって自白をして、あるいは切り違え尋問等々をやられて自白すると。しかし、弁護人接見をして、違法な取調べのために虚偽自白のおそれがあるということで裁判所勾留を、裁判官拘置所への留置を申請した、それが認められた。認められた途端に、今度は検察官拘置所での勾留を不服として準抗告をして、再び、そういう意味では再び今度はA子留置場に変えたんです。  これは、いったんA子自白をしたと、弁護人接見したら、自分はやっていないということで、拘置所留置先を変えられた途端に、A子は、私はやっていないという自白をした、すなわち否認をしたために検察官がもう一度留置場に準抗告をしたと、こういうようなことを言われていますけれども、こういった実際に検察官が準抗告をして、いったん拘置所留置が決まったのに、もう一度留置場へ、準抗告して、異議申立てして戻したと、こういったことがあるんですけれども、これはどういう基準なんですかね。
  19. 大林宏

    政府参考人大林宏君) お尋ねは具体的な事件にかかわるものですので、私の方から答弁させていただいてよろしいでしょうか。  今委員指摘のとおり、実子を殺害して保険金保険会社からだまし取ろうとしたと、放火したという事件について、御指摘のとおり、被告人一名について勾留場所拘置所としたことについて、検察官が準抗告し変更になったという事件があったことは承知しております。  これも御指摘のとおり、今、上告審係属中でございます。具体的事件ですので、その詳細については私どもで申し上げることはできませんけれども、一般的なこととして、検察官は、勾留請求に当たり、事案性質等諸般の要素を具体的事案に即して考慮し勾留をすべき場所を選定しており、裁判所判断がこれと異なった場合には是正を求める必要があると判断することがあるものと承知しております。
  20. 松岡徹

    松岡徹君 はっきりしているのは、確かに検察は準抗告して拘置所から留置場留置へ、準抗告異議申立てやって変わったんですよ。  私は、この流れを見たら、A子さんが逮捕されて、そのときに、そういう偽計も含めて謀られていったん自白すると、もうろうとなって。そしてこれではおかしいといって弁護士が拘置所に拘置に変えた、それは認められた、A子さんは自分は実はやっていないんだということを、すなわち否認したんです。否認したら、今度は同時に、検察官留置場留置、すなわち否認をすれば留置ということがいろいろな、もろもろの諸般事情という中に入っているんですか。
  21. 大林宏

    政府参考人大林宏君) 具体的事案によっていろいろな事情があろうと思います。  ですから、先ほど申し上げたとおり、これ、まだ事件係属中でございますので、一、二審についてはもう既に判決が出ている、有罪判決が出ているわけでございます。  ですから、それは、検察官において準抗告して勾留場所を変更するということは、それほど多いものではないんでしょうけれども、それはそれぞれの事情があってなされており、しかも、準抗告において裁判所が合議体においてその判断をしているわけですので、最終的にはその判断を尊重せざるを得ないというふうに考えております。
  22. 松岡徹

    松岡徹君 ちょっと、具体的にこっち言うているんやから答えてほしいと思うんですが。こればっかり長いことやっていられません、わずかですので、この辺で今日のところは終わりたいと思いますが、いずれにしても不思議なんですね。  要するに、否認したからやっぱり留置場留置、そしてそこで徹底的に調べる。一回目のときの取調べのときには偽計とか切り違え尋問とかすると。おまえの共犯者のBはもう白状しているぞというような取調べをやられたと。そして長時間にわたって調べられて、そして自白すると。弁護士が入って、拘置所へ変えたら、彼女は、いや、実はやっていないんですというふうに否認したと。また今度、留置場に切り替えされると。またそれで自白を強要されていくというふうな言われ方をしている。  何があったか分かりませんが、いずれにしても、拘置所に拘置が決まったからといって検察官は取り調べられないわけじゃないんですから、なぜそこでしないのかということなんです。すなわち、準抗告の趣旨、すなわちもろもろの条件の中に、否認をすればそういうふうに留置場留置をするんだということになってはいけないというふうに思いますね。それだけは申し上げておきたいというふうに思います。  それと、未決拘禁者処遇でありますが、前にも申し上げましたが、第三十一条の未決者としての地位ということを考えますと、当然、受刑者との処遇の違いがございます。  そこで、この未決拘禁者の中で具体的にどんな対応をされているのかということなんですが、例えば取調べ時間、未決拘禁者ですから当然のように取調べがあります、受刑者と違うところはそこでありますけれども。取調べ時間というのは何時から何時までというのは決まっているんですか。
  23. 縄田修

    政府参考人縄田修君) 第一線の実務に係ることでございますので、私の方からお答えさせていただきます。  取調べの時間につきましては、個別の事案内容によりましてこれは異なるものであります。一律にその時間を定めるということではございません。被留置者に対する適切な処遇を行うという観点から、留置担当部門におきまして日課時限が設けられておりますけれども、捜査主任官において、原則としてこれを十分に尊重した運用がなされているものと承知をいたしております。  また、犯罪捜査規範において、やむを得ない理由がある場合には、深夜に行うことを避けなければならないと、こういうふうな規定されておりますけれども、社会通念上、その任意性の確保に疑念を生じさせるような時間は避けるべきと、こういうふうになされております。  今申し上げた原則に立ちつつ、さらにやむを得ない事情によりまして規定の就寝時間、就寝時刻就寝を実施することができない場合には、翌日の起床時間を遅らせるなど代替措置を講じておりまして、被疑者の健康状況にも配慮をいたしております。
  24. 松岡徹

    松岡徹君 質問に答えなさいよ。何時から何時までと聞いているんです。何時から何時までと聞いているんや。
  25. 縄田修

    政府参考人縄田修君) 日課時限におきましては、これは各県によって若干異なるところがあろうかと思いますが、およそ午前九時以降、九時以降大体九時、午後九時ですね、九時が就寝時間となっております。基本的にはそれまでに取調べを終えるということでございます。
  26. 松岡徹

    松岡徹君 何時から何時までと聞いているんや。
  27. 縄田修

    政府参考人縄田修君) 大体午前九時前後だろうと思います、日課時限におきましては。
  28. 松岡徹

    松岡徹君 大体午前九時ごろから、就寝時間が九時になっていますからそれまで。大体いい加減なんですよ。何時から何時までと決まっていない。  第百八十四条規定に、「被留置者に告知するものとする。」という管理者の条文がありますね。すなわち、それは、食事は、あるいは就寝は、休憩は、そういったことは保障されているんでしょう。どうですか、保障されていないんですか。
  29. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 日課時限を、これ、留置業務管理者が定めて、基本的にはそれに沿って処遇をするということでございますので、これは各県によって多少ばらつきがございますが、それぞれ決められております。
  30. 松岡徹

    松岡徹君 この法律百八十四条の規定を各県とも守るというのは、これは当たり前でしょう。それに基づいてそれぞれの、留置場留置も含めて対応するべきですよね、当然のように。  だから言うているんです。だから、取調べ時間は何時から何時までなのか。先ほど言ったように、必要あるいはやむを得ない事情の場合はその時間を超えるという、超える取調べもあると言うている。そのやむを得ない場合というのをだれが決めるんですか。これはやむを得ないというのはだれが決めるんですか。
  31. 縄田修

    政府参考人縄田修君) 先ほども申し上げましたけれども、捜査基本的に指揮する、その事件を指揮するのは捜査主任官でございます。捜査主任官がまずは第一次的に判断するということでございます。
  32. 松岡徹

    松岡徹君 そうすると、捜査主任が決めると。  先ほど言ったように、要するに、管理者、業務管理者、留置業務管理者は、当然のように、百八十四条規定にある被拘禁者、すなわち被留置者に対して食事とか睡眠とか休憩とかいうものを取らすというのが、これ業務管理者の責務でしょう、責務というか業務内容ですね。  ですから、やむを得ない場合、捜査主任が決めると言いますけれども、本来決められている、少なくとも、例えば夜の九時までに、夜の九時になったら就寝時間ですから、それまでに終わると、そして就寝時間を保障する。そしてやむを得ない、先ほどもありましたけれども、やむを得ない事情で深夜にまでなった場合、翌朝、就寝時間をずらしてでも保障する、こう言っておっしゃっていますけれども、そうすると、業務管理者は、自分の責任の権限といいますか、それはどこまで認められているんですか。  大臣、今日もせっかく来ていただいてありがとうございます。  やはり留置業務捜査の分離というのはもう非常に大事な観点でありますし、そういう意味では、休憩時間とかがあるのか、ちゃんとあるのかということがあります。例えば食事の取り方もそうですが、よく私もテレビで見るんですが、取調べの最中に食事の、昼御飯のときにカツどん取ってとか、取調室で食べさせているということは、そんなんあるんですか。どうです、あるかないか答えてください。
  33. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) お答えいたします。  これは、捜留分離が徹底しておりますので、捜査に従事している者は被留置者の……
  34. 松岡徹

    松岡徹君 あるかないか聞いているんや。
  35. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 処遇に従事してはならないということでありますので、これは留置担当官が食事については担当するということでございます。
  36. 松岡徹

    松岡徹君 ちょっと、ふざけた答えをしたらいかぬよ。  私は、取調室食事を取らせたことがあるかないかを聞いているんや。
  37. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 今申し上げましたように、そういうことはございません。
  38. 松岡徹

    松岡徹君 そういうことはないということですね。本当にないんですね。  私は、業務管理者は、要するに百八十四条規定に、「被留置者に告知するものとする。」というふうに規定があるんです。すなわち、被留置者、未決拘禁者留置する場合、留置業務管理者はその人に何を告知するんですか。就寝時間は何時から何時までですよ、起床は何時ですよと。  この間、小菅へ行っても、おふろは五日に一回だ、休憩時間はこれだけですと。だから運動室も見ましたがな。それを告知するんでしょう。告知するということは、あなたにはこれだけのことはちゃんと人間的なものは保障しますということでしょう。それがもし取調べで奪われた場合、それはやむを得ないという場面もあるでしょう。しかし、奪われた場合、管理者は、いや、それは守ってくださいと言う側でしょう。管理者が要するに捜査の側に、時間を超えて、やめてください、もう時間を超えていますと、もう翌日にしてくださいというようなことはどういう段取りでまた実際にやられているんですか。
  39. 縄田修

    政府参考人縄田修君) 先ほども申し上げましたように、留置担当部門の日課時限が定められております。捜査部門といたしましては、先ほど申し上げましたように、やむを得ない事情がある場合にはそれを申し出る形になりますが、それよりも前に、通常、留置担当部門の方から取調べの打切りの要請がなされるということが大体現場では通常でございます。捜査部門としてはこれを十分尊重した運用がなされておりますが、更にどうしても必要だという場合は留置担当部門と協議をするといいますか、更に上の判断をいただくということになろうかと思います。
  40. 松岡徹

    松岡徹君 やはり、私はその業務をきちっと明確化すべきだというふうに思うんです。捜査捜査で当然必要でしょう。しかし、捜査部門管理業務はきちっと分けるべきだというふうに思います。  当然のように大臣にその辺の考え方、きっちりと分けてそれを法文に明確化すべきだというふうに思うんです。捜査の側からすればずっと取り調べたいという気持ちはあるかもしれません。先週も申し上げたように、あのウィニーで流出した愛媛県警のあの取調べマニュアルみたいなの見たら、相手を弱らせるんだというふうに書いてあるんですから、捜査のする側は手を替え品を替え人を替え何ぼでもできますけれども、調べられる側は一人ですから、それは長時間にわたったら体力も気力も弱ってくるでしょう。しかし、そんなことはあってはならないと、そんな調べ方はあってはならないと思うんです。  そういう意味では、やっぱり管理する側がしっかりと百八十四条規定を、告知するものとするということではなくて、やっぱり義務化する、しっかりと告知してそれを守りなさいという義務化するということが大事だと思います。同時に、捜査の側がそれに、管理業務にかかわってはならないということもきちっと明文化すべきだというふうに思いますけれども、大臣沓掛大臣、お考えを。
  41. 沓掛哲男

    国務大臣沓掛哲男君) 管理業務捜査業務を明確に分けて分離していくということは、これはもう基本で非常に大事なことです。今委員おっしゃられたようなことについて、いわゆる管理業務者がいわゆる捜査業務はしてはいけないということになっております。では、その反対はということですが、捜査業務関係の人が管理業務をやるとすれば、それは今度は管理業務をする人は捜査業務をしてはいけないことになっていますから、それは明らかに管理業務者が捜査業務をしていけないということできちっと整理されることになるんだというふうに思います。  そこで問題は、いわゆる管理業務者と、そして、しかしここに被留置されている方は留置されていると同時にいわゆる捜査を受けている、そういう立場にもあるわけですから、やはりその管理業務捜査業務とどちらを優先するかというぎりぎりのときというのがあると思います。基本的には、いわゆる通常の場合は当然管理業務者の主任の、したがって起居はきちっとされる。  そしてまた、整然として捜査もされるということですが、場合によってはそのぎりぎりという場合がいろいろ出てくるというふうに思います。例えば、夜遅く逮捕してきたとか、あるいはまた、いわゆるその現場検証する場合に夜であったので夜行って見てくるとか、そのほかいろいろなそういうぎりぎりの場合というのがいろいろ出てくるというふうに思います。  そのときどうするかということでございますが、それについては、捜査留置のどちらを優先するかについては個別具体的事情に照らして警察署長が判断を行うということになっております。警察署長は捜査の責任者であるとともに、また留置業務の責任者でもあり、留置業務についても適切な判断が期待されるところであります。特に、留置業務に関して、被留置者処遇に問題があるなどその遂行に当たって不適切な点がある場合には、当然警察署長の責任を問われることにもなるというふうに考えております。さらに、留置業務に関しては、被留置者の出入り等の被留置者処遇状況については留置担当者が記録することになっており、警察署長の判断の厳正さ、適正さは客観的に担保されるものというふうに考えております。  また、今回の法整備においては被留置者処遇に関しましていろいろな手続がきちっと取られて、拘置所における場合と同様な処遇が、対応ができるように留置所においてもされておりますので、そういういざというときのぎりぎりは警察署長という、最後の決め手はそこになるというふうに考えております。
  42. 松岡徹

    松岡徹君 要するに、それは気持ちは分かりますけども、それをどこで縛っていくのかというのが、今回法改正ですから、やっぱりそこで明確にしていかなくてはならないというふうに思うんです。  沓掛大臣がおっしゃったことについても、趣旨としては私たちも理解します。だからこそ改正時のこのときにしっかりと法の中に整備する、原則をしっかりとするということなんです。この原則をするということは、別に捜査機関の捜査状況まで邪魔するということではないんですね。そういうことなんですよ。だからやっぱり、それを、いや、しないんだということになれば、またぞろ何か問題が残っていくんではないかというふうに思います。  時間がだんだん過ぎてきましたんで、ちょっと次に行きますが、今回、不服申立て制度が未決拘禁者にやって、制度されます。簡単に申し上げますのでお答えいただきたいと思うんですが、この不服申立ての内容なんですが、基本的には処遇内容になりますが、その処遇内容の中で、例えば長時間にわたって食事も取る時間もないとか、昼御飯をずっとずらして二時、三時ぐらいになったとか、あるいは取調べ時間が長過ぎるとか、そういったことも不服申立てとして申し立てられるのかどうか。  そして、申立て先なんですが、拘置所の場合は最後は法務大臣、そして留置所の場合は公安委員長、そして海上保安庁の場合は長官のところに行くんですね。問題は、法務大臣のところは拘置所管理責任者ですから分かるんです。しかし、公安委員会の方は、これ捜査の側なんですね。そこでしっかりと不服申立てを受けた場合に対応をするような体制としてきちっと分けられているのかどうか。それは同時に海上保安庁の方もなると思うんですが、その辺についてそれぞれから簡単にお答えいただきたいと思います。
  43. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) どなたですか。答弁者。
  44. 松岡徹

    松岡徹君 特に国家公安委員会。
  45. 沓掛哲男

    国務大臣沓掛哲男君) 国家公安委員会は、いわゆる民主的な警察運営をきちっとさせていく、また政治的な中立を、そして警察全体を管理していくという立場にあるわけでございますから、まあ、ある程度第三者的な機能も持ちつつ警察全体についてのいわゆる管理体制をきちっとやっていけるということで、警察本部長においていろいろ、十分の申請、裁決等が得られなかった場合において更に都道府県の公安委員会にそれを出すということは、私はきちっとした形での、仕分けした形でのそういう次の判断がなされるものというふうに考えております。そういうところですね。  以上です。
  46. 平田憲一郎

    政府参考人平田憲一郎君) お答え申し上げます。  海上保安留置施設におきましては、被勾留者の代替収容を行わず、被逮捕者の四十八時間以内の短期留置を行うものでございますが、この限られた期間内でありましても、不服申立ての制度につきましては人権上当然保障されるべきでございまして、したがいまして刑事施設警察留置施設と同様に不服の申立て制度を設けることで被留置者人権擁護を図っているところでございます。  具体的に申し上げますと、自弁の物品の使用又は摂取を許さないなど、処分性のある措置につきましては審査の申請、留置担当官による暴行など被留置者に対します違法な有形力の行使に対しましては事実の申告、これらの審査の申請及び事実の申告のいずれもが対象としていない措置その他の処分全般につきましても苦情の申出ということができることとなっておりまして、これらの制度によりまして海上保安留置施設におきましては適切な形で不服申立てができることとなってございます。  さらに、委員の方から御質問がございました不服申立ての手続についてでございますが……(発言する者あり)はい。失礼します。
  47. 松岡徹

    松岡徹君 手続なんか聞いてないです。  指摘だけしておきたいと思うんですが、要するに、不服申立ての中身、要するに処遇内容とはどんなところまでできるのか、そしてどういう手続でできるのかということは次の問題なんです。要するに中身、その不当な長い取調べ内容まで、あるいはそこで暴行を受けたとか、そういったことも当然のようにあると思うんですよね。  問題は、そのときにだれが受けるのか。法務大臣は当然のように受刑者処遇のところでもありますが、しかし、国家公安委員会が、その留置場留置されている人たちがやるとき、国家公安委員会というのは元々調べる側なんですけれども、それが管理業務のところの不服、起きたときにちゃんとそういう分けて対応できるような体制になっているのかどうかというのが非常に心配なんです。その辺の整備をしっかりとやっていただきたいというふうに思っています。  次に、時間がございませんので、可視化の問題について御質問したいと思います。  今般、裁判員制度導入に伴う可視化制度が導入されました。先週もそのことについて若干のやり取りがありましたが、そこで、私はそのときにも申し上げましたが、例えば米軍関係者が犯罪を犯した場合、日本捜査当局としてどういうふうに対応になるのかといったときに、必ず日米地位協定に基づく合意内容が働きます。  そこで、米軍関係者の、この犯罪を犯したときに、最近なんですが、実は強姦とか殺人の重要事案については米軍関係者の取調べのときに立会いを認めるということが日米地位協定に基づく事務方の合意内容として決まって、今年の一月の事案についてそれが実施されたというふうに聞いておりますけれども、それは事実かどうかというのを簡単にお聞かせいただきたい。
  48. 河野太郎

    ○副大臣(河野太郎君) お尋ねの本年一月の事案というのは神奈川県横須賀市で発生しました米軍構成員による強盗殺人事件だと思いますが、平成七年合意に基づきまして起訴前に米軍から身柄の引渡しを受けております。そして、今御指摘ございましたように平成十六年合意に基づきまして捜査当局取調べ捜査権限を有する米軍司令部の代表者の同席を認めております。
  49. 松岡徹

    松岡徹君 この日米の地位協定の、あるいはその合意の議論の中で、私は一つ、前にも申し上げましたけれども、アメリカの国内では要するに日本捜査の仕方が非常に偏っているというような批判があって、その取調べについて日本捜査の側に一〇〇%ゆだねるということについては抵抗があったというふうに言われているんですね。そういう背景を受けて、今回重要な事案についてはアメリカの軍関係者の立会いを取調べのときに認めるということで、今年一月にそれが実施されたということです。  私は、その被害者は日本人、日本の国民なんですね、犯したのが米軍関係者であるということでありますが、私は別にこのことは、立会いを認めたということが悪いと言っているんじゃなくて、今回の裁判員制度導入に伴う可視化、部分的可視化ということでありますけれども、私はより積極的に進めなくてはならないと思うんですね。ですから、今回の可視化制度、七月から実験されるということでありますけれども、可視化というのをどういうふうに考えているのか。例えば、ビデオとかで残すのか、テープ、音声なのか、それ以外の方法を考えられているのか、それはちょっと簡単に聞かせていただきたい。
  50. 大林宏

    政府参考人大林宏君) お答えいたします。  検察庁における取調べの録音、録画の試行につきましては、検察当局裁判員制度における分かりやすく迅速な主張、立証在り方検討する一環として、自白任意性についても効果的、効率的な立証を遂げるための方策を検討するために行うものであると承知しております。  今お尋ねの具体的にどういう形でやるかというのは、今検察庁において検討中でございまして、夏ごろから試行を考えておりますので、ある程度明確になった段階で御説明できるのじゃないかと思います。
  51. 松岡徹

    松岡徹君 そこで、可視化されたビデオなりテープなりが、その事案証拠能力としてはどのように考えているのか、大臣
  52. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) このいわゆる可視化、取調べの録音、録画につきましては、検察官の挙証責任を全うするという趣旨で裁判員制度が導入された場合、裁判員に対して、裁判官も含みますが、自白任意性について効果的、効率的、分かりやすい立証を遂げるというための方策として検討を行うものでございます。ですから、裁判において被告人供述調書の任意性が争われた場合には、供述調書の任意性立証するための証拠、物的証拠ですね、証拠として提出されて取り調べられることになるというふうに考えております。
  53. 松岡徹

    松岡徹君 取調べ調書の任意性、信憑性といいますか、それを証明する証拠として採用されるんではないかというふうに言われました。  自白の調書の信憑性というものがどういうふうに今回の可視化で証明されていくのかというのを是非しっかり、私は心配するのは、確かに立証責任は当然検察の側にあるわけですからやるのは分かりますけれども、しかし、都合のええ部分だけをビデオやテープにだけ撮って、そしてその調書の信憑性を証明する証拠として出すというのは、これは一体だれのための証拠なのか、ということになれば、これはそれこそ自白調書の信憑性が疑われると思うんです。だから、部分的に例えば最後のところで、何時間掛かってでもこうやって、最後のところで署名するところをビデオで写して、さあ見てくださいとかになってはならないと思うんです。  やはり、可視化というか、そういうふうな自白調書の信憑性をいうなら、取調べ時間の最初から最後までしっかりとビデオなりテープで残すべきだというふうに思いますけれども、大臣、いかがですか。
  54. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) もちろんどのような部分を録音、録画するかという、それが適当かという点についても試行の結果で検証されることになるかと思いますが、いわゆる検面調書、提出された検面調書についての信用性の問題ですから、先生が御指摘になったように、署名の部分だけ出してそれで任意性信用性が実証されるとは到底思えません。検察官としては検面調書全体が裁判官裁判員にとって信用されるという程度のものを出さない限り逆効果になると思いますね。それは十分考えた上で試行が行われるというふうに私は考えております。
  55. 松岡徹

    松岡徹君 これで終わりたいと思いますが、今回の可視化の取組については、我々としても評価はしていきたいというふうに思っています。  ただ、それが恣意的な使われ方をすると駄目だというふうに思っておりますので、今大臣おっしゃったように、逆のことにもなってしまいますので、しっかりとしたこの事案の事実をしっかりと映し出すようなものになるように是非とも期待をいたしておきたいというふうに思いまして、最後にそれを申し上げて終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  56. 河野太郎

    ○副大臣(河野太郎君) 申し訳ございません。一点だけ手短に、明確にしておきたいことがございますが。  先ほど、米軍の立会いの件で日本側の取調べの信頼がないから米側が取調べに立ち会っているかのような御発言がありましたので、そうではないということだけ明確にしておきたいと思います。  米軍は、日米の地位協定に基づきましてほかの国に認められていない起訴前の被疑者の引渡しを日本側に認めているわけでございまして、この米側の捜査権限を持っている者が立ち会うということは、万が一日本側が一次裁判権を放棄した場合に、二次裁判権を円滑に行使することができるように捜査権限を持っている人間が立ち会っているわけでございます。決して、日本側の取調べに疑念があってだれかが立ち会っているわけではないということを明確にさせていただきたいと思います。
  57. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 質疑二回目、前回刑事施設及び留置施設の視察もさせていただきました。見させていただいて、随分いろんな面で改善もされている、収容の面でも人権その他に配慮するようなものも新しいものは整ってきているなという実感もいたしました。その上で、法案に絡みながら、この刑事施設留置施設の問題、お聞きしていきたいと思っております。  まず、最初にお伺いしておきたいのは、刑事施設留置施設における処遇の差異の問題をお聞きしておきたいと思います。  未決拘禁者処遇に関して、刑事施設における場合と留置施設における場合で例えばどのような点で違いが出てくるのか、警察庁にまず伺っておきたいと思います。
  58. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) お答えいたします。  拘禁される者はその身分と拘禁性質に応じまして適切に処遇されるべきでありまして、もちろん原則として、施設にかかわらず同一の処遇を行うことが望ましく、処遇の多くはそのように規定されているところでございます。しかしながら、留置施設刑事施設とではやはりその組織系統とか規模、有する機能などに差異があることから、そうした合理的な範囲内で処遇に差異が生じることはやむを得ないと考えております。  このようなことから、新法におきましては両施設との間で差異としては、例えば留置施設におきましては原則として受刑者留置せず矯正処遇を行えないこと、あるいは刑事施設におきましてはその職員である医師等が医療を行いますけれども、留置施設では留置業務管理者が委嘱する医師等が行うこと、あるいは刑事施設におきましては保護室が整備されているため防声具は使用しませんが、留置施設におきましては保護室が整備が十分ではございませんので、その保護室が整備されていない施設に限り防声具を使用できることなどの点において相違があるものでございます。
  59. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 保管私物の問題も聞いておきたいと思うんです。  未決拘禁者が保管する物品についてはこの法律案でも、法務省令で定めるものを除き、その結果刑事施設の長が制限することができるというふうにされているわけでございます。この点について、未決拘禁者被告人という当事者の立場にあることを踏まえて考えますと、訴訟記録等については法務省令で除外することが必要ではないかというようなことも考えるんですけど、これ日弁連の方から、未決拘禁者の防御権保障の観点から保管私物の制限において訴訟記録など防御活動に必要な私物は制限の範囲外とすべきであると、日弁連もこういう意見を述べているわけでございますが、この点について法務省としてどう考えているか、御答弁をいただいておきたいと思います。
  60. 小貫芳信

    政府参考人小貫芳信君) この法案では、被収容者の私物でありまして施設内で使用するもの等々については保管もその被収容者にゆだねるということにしております。  ただしかし、いろいろ場所的な制約があるということと、被収容者の公平を図るということから、一定の制限はやむを得ないと、こういう事情もありまして、その点は規則で定めるということにいたしている次第でございますが、しかしながら、未決拘禁者につきましては防御権の尊重が極めて重要でございますので、未決拘禁者が当事者となっております係属中の刑事裁判の記録は総量制限の対象となる保管私物から除外するのが適当であると、このように考えておりまして、その旨規則で定めるのが相当であると思っております。  ただ、一点だけ、訴訟記録等ということでございましたけれども、その中には裁判関係の書籍も含むと、こういう御質問だと、こう理解いたしました。  書籍につきましては、いろいろな関連性だとか必要性の面におきまして種々雑多なものがございますし、一方的に増えるというようなことにもなりかねない事態が想定されますので、これを一律に制限の範囲外に置くというのもまたどうかなと、こう思っております。  ただ、実際の運用につきましてはその必要性等を重々考慮いたしまして、訴訟進行等々、遂行に影響のないように柔軟に対応さしていただきたいと、このように考えているところでございます。
  61. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 次は、運動の機会の保障の問題でございます。  未決拘禁者が健康な心身を維持するためには一日に最低一時間ぐらいの運動の機会を与えることが必要でないかというような指摘があるわけでございます。法律案では、特にこうしたところまでの規定はないわけで、五十七条に、「被収容者には、日曜日その他法務省令で定める日を除き、できる限り戸外で、その健康を保持するため適切な運動を行う機会を与えなければならない。」などと規定しているわけでございますが。  ただ、現実ちょっと現場を見させていただくと、あれ運動する場所かなというような気もしないでもなくて、この辺どう考えればいいか、ちょっと難しいところもあるなと。もしきちんとその運動の機会をというんであれば、施設そのもの在り方変えないと、実際留置所の方を見させていただいて、ここで何するのと聞きましたら、たばこを吸うだけというお話もあったり、これで健康な運動とどうつながりがあるのかというようなちょっと疑問も抱かざるを得ないような面もあったんですけれども、ともかく、こういう一つの考え方、つまり健康保持のためにどうするかというようなこともございますし、この点について法務当局の見解を一応伺っておきたいと思います。
  62. 小貫芳信

    政府参考人小貫芳信君) 委員指摘のとおり、本当に難しい問題だというふうに考えているところでございます。一時間一日に当たり運動時間を確保せよと、こう言われますと、これは受刑者の場合も同様でございますけれども、場所的な制約あるいは職員配置の問題等、これいろいろございまして、直ちに実現するのは困難であるなというふうに思っております。  ただしかし、重要な御指摘でございますし、行刑改革会議あるいは未決拘禁者等の処遇に関する有識者会議等におきましても同様の指摘がなされたところでございます。  したがいまして、当局としては、できる限りその運動時間の拡充と充実に努めてまいりたいと、このように考えております。
  63. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つは、処遇の問題、作業、教育機会の保障の問題でございます。  これは、未決拘禁者処遇等に関する有識者会議ですか、ここで一部の御意見としてあったのは、未決拘禁者に関してもその希望に応じて受刑者と同様の作業を行った方がいいんではないかとか、薬物の害悪についての教育の機会、こういったのを是非未決拘禁者に対して付与すべきだという意見が出されたというふうにお聞きしております。  これ、そのままできるものなのかどうなのか疑問を抱くところもあるんですけれども、この点について当局としてどう考えていくか、これも伺っておきたいと思います。
  64. 小貫芳信

    政府参考人小貫芳信君) 有識者会議の提言におきましては、一方においては、未決拘禁者に対して作業を行わせたり、あるいは改善指導等を実施することについては、刑が確定していないというその地位に照らして、そのこと自体が問題となり得る余地もありますよと、こういう御指摘もあります。したがいまして、その提言においては、現状では、拘置所における適当な作業の確保が困難であること、改善指導等を実施するための人的、物的な体制が整っていないと、こういう実情にあることからしますと、直ちにその実施等を求めることは適当ではなくて、今後の検討課題とすべきであると、こういう御指摘を受けたところでございます。  したがいまして、法務省といたしましては、先生特に御指摘の薬物教育等については大変魅力のある施策だというふうにも思っておりますので、今後いろんな角度から検討してまいる所存でございます。  ただ、いずれにいたしましても、未決拘禁者に対しては施設の秩序あるいは管理上の支障が生じないという場合には、自己契約作業あるいは通信教育等の知的、教育的な活動について施設の長は援助すべきであると、こうされておりますので、この件については前向きに対応してまいりたいと、こう考えている次第でございます。
  65. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つ、先ほど警察庁の、少しお触れいただきましたが、留置施設においていつも問題というか、よく言われるのは何かというと、被留置者に対して行われる医療の問題でございます。これに対して、全く責任取ってないんじゃないかというような批判は結構ございました。  こういう問題に対して、この法案においてこの医療という問題について、被留置者に対する医療問題、どういうふうに改善されたと認識されているのか、伺っておきたいと思います。
  66. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) もちろん、被留置者の健康を保持するということは、その身柄を拘束しております各都道府県警察の責務であると考えております。  留置施設におきましては、刑事施設とは異なりまして、先ほど申し上げましたように、職員たる医師を有していないということでありますので、外部の医師に診療行為を委託することが一般的であるということでありますが、この判断は、例えば診療の時期とか診療を行う医師等、医療の提供の形態については留置施設側が判断することになっております。そして、この警察判断警察のとりました措置、医師による医療行為、これらにつきましては当然都道府県警察が負うものと考えておりまして、新法でも留置業務管理者の委嘱する医師という文言を規定で用いておりますが、これはそのような責任を負う旨を示したものでございます。
  67. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 こういった問題も、是非きちんとした取組をしておいた方がいいと思うんです。野党の方から、弱らせてというような話があったり、そういう問題、言われること自体が極めて、ウィニーの愛媛県警が言っていた中にそういう指摘があるという御指摘が野党の方から正確に言うとございましたし、そういったことを言われること自体が私は警察にとって極めて不名誉なことだと思うし、そこは、きちんとそういう医療体制みたいな問題は整備をしておかないと批判を浴びるんではないかという危惧をいたしておりますので、是非そういった点は配慮をしていただきたいと思っておりますし。  また、もう一つの問題、防声具の問題なんですね。  これ、品川分室でもちょっと見さしていただいて、使用する場合もあるということをお聞きしたんですけども、なぜ使用できるのかということも伺っておきたいんですけれども、保護室の問題との絡みになるとは思うんですが、やはりああいうのを見るとちょっと、何とかあんなものはできる限りない方がいいに決まっているんであって、そうなると、保護室、どれだけ整備するのかという問題にもつながっていくんですが、その辺も含めて、なぜ警察の場合というか留置施設においては防声具を使用するのかということを一応伺った上で、なぜこういうものが、使わざるを得ない状況があるのであるならば私はできるだけ使わないでいいような方向で改善への努力を続けていただきたいと思うんですが、その点も含めて御答弁をいただいておきたいと思います。
  68. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 御案内のとおり、刑事施設におきましては保護室が整備されているということによって防声具を使用する必要がなくなったということでございます。他方、留置施設におきましては、現在、一割強の留置施設におきまして保護室が整備されているということであります。現実に保護室がございませんと、被留置者が大声を発することによって留置施設内の平穏な生活を乱すおそれがあると、こういう現実的な現場の要請がございます。でございますので、やはり引き続き防声具を使用することが我々としては必要であるというふうに考えております。もちろん、保護室が整備されている留置施設におきましてはこれは使用しないということにいたしております。  いずれにしましても、先ほど言いました一割強ということでありますが、これをできるだけ増やしていくと、つまり整備を加速していくということを今警察庁から各県に指示をしておりますが、御案内のとおり、厳しい地方財政でありますので、なかなかすぐにいかないところはありますけれども、これは強力に促進するように努力してまいりたいと思います。
  69. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 未決拘禁者から弁護人に対する信書の検査の問題を当局にちょっと伺っておきたいと思うんです。  この法律では、弁護人から未決拘禁者に対する信書につきましては、その弁護人からのものであることを確認する限度で検査を行うのに対して、未決拘禁者から弁護人に対する信書についてはその内容まで検査するというのがこの法案でございます。未決拘禁者から弁護人に対する信書についてその内容まで検査すると、必要であるという理由を伺っておきたいと思います。
  70. 小貫芳信

    政府参考人小貫芳信君) 委員指摘のとおり今回の法案は取り扱うことにしておるわけですが、未決拘禁者弁護人等に発する信書につきましては、罪証隠滅の結果を生ずるおそれがある記載や施設の規律、秩序を害する結果を生ずるおそれがある記載など、不当な内容の記載がなされることがある上に、これが弁護人等以外の第三者に転々流通するおそれも否定はできないところでございます。このような事態になった場合には、未決拘禁者弁護人等以外の第三者に対して直接信書を発したのと同様の結果になることから、単に弁護人に対してあてたものであることの確認のみならず内容の検査を行うこととしたと、こういうことでございます。
  71. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 この弁護人に対する信書の問題については、やはり証拠隠滅の結果を生ずるおそれがあるなどという、その不当な内容の記載の有無の判断ですか。  これは信書を受け取った弁護人にゆだねてもいいんじゃないかなという意見もあるようで、この辺はどんなふうにお考えになるのか。私もこれは一理あるような気もしてならない部分なんですけど、これについて当局の考えを一応伺っておきます。
  72. 小貫芳信

    政府参考人小貫芳信君) 委員指摘のような主張があることは重々承知しております。  それについて当局が考えております一点目は、本法案におきます信書の内容の検査は、刑事施設の長がその専門技術的な知識と経験に基づいて行うものでありまして、例えば施設内の警備や保安に関する事柄などにつきまして、弁護人といえども十分な知識等がないことから、その判断が常に施設の長の判断と一致する保障がないこと。  二点目においては、例えば隠語を用いた信書あるいは暗号で書かれた信書、弁護人事件の全貌を把握していないというようなことをいいことにして、いかにも業務上の指示のような信書などのように、弁護人が信書の内容を了知することなく、善意の下に第三者に交付することも想定される。  三番目には、またあってはならないことでありますし、ないと確信はしておりますけれども、罪証隠滅の結果が生ずるおそれがあるということを認識しつつも、弁護人が未決拘禁者からの信書を第三者に交付したりするということも全く想定できないわけじゃなくして、実際の懲戒事案等を見てみますと、そういう事案もあったやに伺っております。  こういうことを考えますと、いわゆる罪証隠滅が行われてしまったということになりますと、実態的な真実追求にいろいろな影響を及ぼす、あるいは誤った裁判を導く可能性もまた否定できないと、こういうことでございまして、こういった罪証隠滅の結果の防止は公益性の高い要請であると、このように考えておりまして、でき得ることであれば事前に防止すべきものでありまして、不正行為が行われた場合に弁護士会による懲戒処分などによりまして事後的に対処すればそれですべて足りるということにはならないのではなかろうかなと、こんなふうにも考えている次第でございます。
  73. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  74. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  今日は私は、未決拘禁者の地位にふさわしい収容という観点から、この審議の中で与野党立場を超えて問題提起をされております拘置所収容状況についてお尋ねをしたいと思います。  前回資料もお配りをしたんですけれども、現在の代用監獄においての被留置者延べ人員の身分別割合、これ平成十六年度でいいますと、被告人が五七%を占める、そして全国平均で既に移監待機中の被留置者がおおむね二割を占めるという状況となっています。  そこで、矯正局長に、この二割という移監待ちの状況をどう考えておられるのか、その原因、今後の対応について、時間ございませんので端的にお答えいただければと思います。
  75. 小貫芳信

    政府参考人小貫芳信君) 二割という数値がどうかということは、私自身は十分把握してないんですけれども、ただ、警察留置施設の増加状況からすると、二割という数字も認識の中でそう違和感のない数字だというふうに思っております。いろいろ、起訴後の移監、今では移送と呼んでおりますけれども、これをゼロにできるだけ近づけていく努力というのは必要だろうと、こういうふうに思っております。  ただ、現実論としてですけれども、地域によっては拘置所の収容能力が十分でないためもございまして、警察の移送の要請に対応し切れていないという実情もあることもまた実態でございまして、その解消に向けての努力が必要だというふうに考えております。
  76. 仁比聡平

    仁比聡平君 ただいまの起訴後の移監待ち、これをゼロにすべきと、限りなくですね、解消すべきという認識が示されたということは、これは大変大事なことだと私は思うんですね。  今局長の御答弁の中にもありました、地域によっての拘置所の逼迫状況について、法務省に随分御苦労をいただいて資料を作っていただきまして、お手元に、一枚目ですけれどもお配りをしております。  これを見ますと、全国見渡せば、地域によって過剰収容が逼迫しているところとそうでないというところがあって、この表の1、2、つまり東京、大阪、名古屋などを始めとして過剰収容が問題になっているところでは、既決収容者を受刑施設に送れずに、それが大きな原因で逼迫しているという状況が見受けられるわけです。その点がどうなのか。どうなのかというのは、つまりそういう理解でいいのか。  そして、こういう中で法務省として、矯正局として、拘置所の適正な収容率というものをこれまで過去示したことがあるのか、この点をお尋ねしたいと思います。適正な収容状況として、よく言葉として六割ないし七割というようなことが言われますので、三番目のところに福山拘置支所がそういう例であるということで、法務省に調べていただきました。こういう規模であれば移監待ちなどという状況は起こらないということかと思うんですね。局長、いかがですか。
  77. 小貫芳信

    政府参考人小貫芳信君) 大都市を中心にいたしまして、今度は、拘置所内で有罪が確定して刑務所に移送すると、この滞留が起こっていることは事実でございます。今資料にありましたとおり、犯罪の多発地区、あるいはまた高裁所在地、これは各管内の未決の方々が控訴すれば集まってくるということで、なかなか収容し切れないという事態が生じているのが先ほどの表でございます。  これらにつきましては、移送待ちの受刑者の停滞の減少策といたしまして、まずは刑務所の増設ということをここ数年来取り組んでまいりました。受刑者につきましては、御案内のとおり、改善のための処遇あるいは社会復帰のための教育等々が必要でございまして、これを拘置所に収容さしておくということは、また十分な処遇ができないということにもつながりますので、まずは受刑者を早く矯正処遇施設である刑務所に送っていくこと、これが大事だと、こういう認識でございます。実際、近年、それに向けて大車輪で努力をしてきて、一定の御理解を得つつ、刑務所の増設等を行っているという実情にございます。
  78. 仁比聡平

    仁比聡平君 各地で、今局長お話なかったけれども、拘置所の増設も計画を持って進めておられると存じています。  一方で、人的な逼迫状況というのはどうなのかという観点で、二枚目に、いわゆる行革推進に関する有識者会議に法務省が出された提出資料をお配りをいたしました。  現状という項目の(2)行刑施設職員の勤務負担増という項目でございます。これを拝見しますと、拘置所も含めて行刑施設刑事施設処遇職員は年休が三・九日しか取れないという事態であり、四週八休が確保できない施設が六十五庁もある。職員負担率は平成七年から十六年の間に一・六倍化して四・四人。つまり一人当たり四・四人の収容者に対応しなければならないという事態なんですね。これを国際比較で見ますと、アメリカが三・〇人、ドイツは二・一人、フランス一・九人、イギリス一・六人、これに対して日本は四・五人。私は、異常な超過勤務あるいは休日出勤というのが常態的であるとともに、国際的にも極めて異常で、これ著しく高いと思うんですが、局長、いかがですか。
  79. 小貫芳信

    政府参考人小貫芳信君) 先ほど行刑施設が足りないということを説明申し上げました。それ以上に深刻であるのは人員の足りなさだというふうに私は認識しております。先生が挙げられた数値、正にそのとおりでございまして、世界各国隅々まで調べたわけではございませんけれども、先進国の中で職員の負担率がこれほど高度な国はないという実態でございます。  しかも、問題なのは、ここ、まあ忙しいけれども休み取らずに頑張ってくれというのも、これはやっぱり期間的な制約といいますか、限界があるんだろうと思うんでございますけれども、不幸なことにここ数年来このような三・九日程度の年休取得率にとどまっているという実態にございまして、現場には大変な御苦労を掛けているというのが局長の認識であります。
  80. 仁比聡平

    仁比聡平君 前回参考人質疑で、元東京拘置所所長の参考人からもこの過剰収容と職員の大変深刻な状況が語られて、一方で、その中でも被収容者の地位にふさわしい処遇をするためにしっかり努力をされているというお言葉に私も大変感銘を受けたわけでございます。  私は、こういう状況を踏まえて、法務省があるいは政府が、国として拘置所の増設の計画、これしっかり持って臨むべきだと思うんですが、これまで文書によって拘置所の増設等の計画あるいは政策みたいなものを発表したこと、国民に問うたことというのはございますか。
  81. 小貫芳信

    政府参考人小貫芳信君) 中期的あるいは長期的な計画なるものを作成して国民に御説明申し上げたということはなかったんじゃなかろうかなというふうに認識しております。
  82. 仁比聡平

    仁比聡平君 計画すらないんですよ。これ、大臣お尋ねしても同じです。  私、ここが重大だと思うんですね。被収容者の推移、これは増加の傾向にあって、特に大都市で激増と言ってもおかしくない数字を皆さん示されています。  その現状をどう見るのか、今後どのような対策、見通しを持つのか、そしてその中で地域別に特に手だてを打たなければならないところ、あるいはこの収容率、職員の負担率の国際比較にも照らして、我が国の地方の在り方としてどのような予算を確保をし、人員を確保しなきゃいけないのか、このことを政府の中でも、そして国民的にもしっかり説得力のある計画を私は示すことなしに、この事態を解決していくことはできないと思うんですね。そういう意味で、計画すらないというのは大変重大だと思います。  この点で、この参議院の委員会での法案の審議入りに際して、第二東京弁護士会が会長声明を出していらっしゃいまして、ここでこんなくだりがございます。被勾留被疑者のほとんどを収容するようになったのは、これはつまり代用監獄にという意味ですけれども、むしろ拘置所の収容能力の増強に努めて代用監獄に収容される例を漸次少なくするとの一九八〇年法制審議会の答申を尊重せず、捜査便宜を優先させてきた実務の結果であるとおっしゃっているんですね。  局長、違うと言うかもしれないけれども、大臣も違うと言うかもしれないけれども、増設の計画すらないというのは、こう言われたって仕方がないじゃありませんか。私は、この代用監獄あるいは拘置所の過剰収容の事態を受けて、しっかり事態を分析して、計画を立てて、それをこの委員会にちゃんと報告をしていただきたいと思いますが、局長、いかがですか。
  83. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 刑事施設の過剰収容の状況は深刻でございまして、現在、大臣直轄の過剰収容対策プロジェクトチームをつくって検討しておるところであります。  計画がないのはけしからぬと、こうおっしゃるんですが、法務省施設予算はここ十年ぐらいは年額大体二百億を計上しておりましたが、犯罪者が増えて受刑者が増えたのに合わせまして、この五年ぐらいは補正予算で年間三百億円から五百億円投入して増設を図っております。  ともかく、現状で手を付けておる刑務所等の施設が二年後に完了しますが、そういたしますと、大体収容率が九八%になるんじゃないかと、なっております。今年度も補正予算組むとすれば計上していただくことになると思いますし、施設の増強には努めてまいるわけですが、一方、犯罪者を減らして刑務所へ入る人数を減らせばいいわけですから、計画的に増やすとかそういうことは、この犯罪の成否あるわけで、計画的にどうこうというのはなかなか難しいわけであります。  我がPTでやっておりますのは、現在諸外国でこの過剰収容と申しますか、いろいろの受刑者に対する対応を精査しております。私もこの連休にその関係ではノルウェーへ参りまして、ノルウェーの収容状況を見てまいりました。ノルウェーは、恐らく、これは行った課長が驚いていましたが、受刑者一人に一人です、職員。これ、マン・ツー・マンでやってます。一ですね。非常にゆったりとした運営をしておりました。  様々検討しております。例えば、過剰収容に一つ加担しておりますのが労役場留置です。罰金が高くなって……
  84. 仁比聡平

    仁比聡平君 短くしてください。
  85. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) はい。  前は一日ぐらい入ったら払ったものなんですが、最近は最後までいるという人が増えて増加要因になっております。それから、ノルウェー、ドイツ等でもあるんですが、社会奉仕命令というのを裁判所の命令で出せると。ノルウェーの場合は懲役一年以下のもので、収容しないで命令出して、草刈りとかそういうのをさせるという刑って、今出せることになっていますから、労役場留置とか、あるいは軽いものに対しては収容しないで市役所で働かせるとか、現場で、そういう措置もとれるんじゃないかとか、様々検討いたしておるところでございます。
  86. 仁比聡平

    仁比聡平君 大臣の御見聞や、あるいはその中で抱かれている思いということは私も大事だとは思います。ですけれども、今、政府全体の予算の縛りだとか逼迫だとか、その中での有識者会議や行革推進の動きだとか、そういう状況を踏まえた上で、そしてもちろん犯罪発生率を抑えるということが国民にとっても願いですけれども、現実にそうなってないと、現実が。そういう下で、その上に立ってしっかりとした責任を持った計画を立てるということなしに、勾留場所裁判官の裁量で原則例外ありませんなどと、こういう答弁をなさるのは私は問題のすり替えにほかならないと思うんです。  時間がなくなりましたので警察庁安藤官房長に、ちょっと実は通告をしておりました問題とちょっと違う、無通告なんですけれども、二つ、時間なくなりました、指摘だけしたいと思います。  というのは、先ほど荒井理事の質問に対しての中で、日弁連の実務家としての経験に基づく意見に対して随分なことをおっしゃった。私は、先ほどの資料で言いまして、この九九%の取調べ就寝時間までに終了している、これが当たり前だというふうに思われているのがまず大問題だと思います。十二時間近くの取調べを当たり前だと言うのかという問題があります。  もう一つは、こういう実態を調べるのであれば、否認事件についてどういう時間になっているのかということを調べるべきじゃありませんか。
  87. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 時間が過ぎておりますので、おまとめください。
  88. 仁比聡平

    仁比聡平君 もう一つは、取調室での食事はないと断言をされたけれども、昨日預かった監獄人権センターの皆さんが被拘禁者に調査をしたアンケートでは、三十二件の回答のうち五件が取調室での食事があると、こう書いていますよ。そういう答えがあります。  さっきの答弁は虚偽ではありませんか。私はこの点も理事会でちゃんと対応を求めたいと思います。  以上です。
  89. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 後刻理事会で協議いたしたいと思います。
  90. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 国民新党の亀井でございますが、連日御苦労さんでございますけども、先日は拘置所やら、そして代用監獄も見学さしてもらったわけでありますけども、昔聞いたことに比べたら随分施設が良くなって、冷暖房も完備で随分住みやすい状況になっているなという感じがしたわけでございますけども、しかし、今日も指摘がございましたように、特に代用監獄での調査の時間というのが二十一時過ぎて二十四時までが、含めたら、これも含めたら十数%あるということでございますから、このことは私はやはり問題だと思うんですね。    〔委員長退席、理事谷川秀善君着席〕  人が足りない中でいろいろやっておられるので大変だろうと思いますけれども、やはり夜九時には寝かしてやると、そのためには七時か八時にはやめるというのが普通だと私は思うんです。警察官だって調べるの大変だろうと思うんですけども、そういう意味では、人が足りなければ、それに対する対応をしっかり考えてもらって、やってもらいたいと思うわけでありますが。  そういう意味で、警察署の留置場の問題、いわゆる代用監獄について一つお聞きしたいのは、留置捜査の分離の問題ですね。  この問題に絡んで、留置担当官はその留置施設留置されている被留置者にかかわる犯罪の捜査に従事してはならないというふうに規定されているんですけども、逆に捜査をやっている人間が留置をしてはならないということは書いてないわけで、そういう意味では冤罪を防ぐためにもはっきりすべきではないかということを話しましたら、説明に来た人が、あるんだそうですね、これはね。留置した人間を見ている人間は捜査できない、捜査してはいけないんで、ほかの人間は捜査できるということですね。自分の担当している人間の捜査をしちゃいけないということだけなんだということですから、どうも私もおかしいと思うんですけれども、この辺について、もうちょっと明文でもって明らかにすべきだと思いますけれども、これについてはどうお考えでしょうか。
  91. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 捜留分離の規定の十六条三項で御指摘の点でございますが、ここで言う留置担当官というのは、留置管理係に現実に所属している者だけではなくて、現に留置業務に従事する者をいうということであります。そういう留置担当官はその被留置者捜査に従事してはならないということをここで定めておるわけであります。  したがいまして、現に被留置者捜査を行っている捜査官がその当該被留置者処遇を行いますと、その捜査官はここ十六条三項に言います留置担当官に該当することになるため、この規定に違反するということの、まあそういう仕組みでございます。したがいまして、御指摘の趣旨は法案の文言により既に満たされておると考えております。
  92. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 私が申し上げているのは、捜査留置を分離するということが大事だということは弁護士さんも言っているんだけれども、例えば私がAさんを捕まえてきて留置したと、そのときはその留置した人間を私は留置所で担当はしない。その代わり今度ほかの人間を、ほかの人ならできるということですが、業務が簡単に言って分かれていないわけですね。捜査担当の人がほかの人間であれば留置をしていいということですから、おかしいんではないかと私は思うんですね。    〔理事谷川秀善君退席、委員長着席〕  だから、別々だと言うけれども、留置担当の課があって、また捜査の担当の課があって、別々だと思ったらそれがどうもはっきりしないと。違う人間の留置をしている人間はほかの人の捜査をしちゃいけないということで、業務として分けていないからやはり疑義があるんだと思うんで、やはり業務を分けることを考えたらいいんじゃないかと、考えなきゃいけないと思うんですが。  だから、署長さんは一人でしょう。そうすると、何か業務がチャンポンではおかしな話で、会社でも総務の人間と経理の人間は別々なんだけれども、これはもう一緒でもいいということですよね。たまたまその人間についてタッチしなければいいということはおかしいんじゃないかと思うんですが、それについてはどう考えておられますか。
  93. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 今最後の、署長について同一の判断、つまり、一方は捜査責任者であり、他方は留置業務の責任者ということで、同一人であるではないかという御指摘もあったと思いますが、これにつきましては、留置業務に関して不祥事があってはならないんですが、例えばそういうことが万一あれば、これは当然、留置業務管理の責任者であります署長が当然責任を、重い責任を負うということとか、あるいは今回の法整備におきましても、被留置者処遇については不服申立て制度、先ほど御指摘もありましたが、そういうものとか、あるいは留置施設視察委員会の視察がございます。そこでいろんな意見が述べられて、そういうことでいろんな担保措置がございます。  もう一点は、最初の御指摘で、捜査員であっても被留置者に係る捜査をしている者以外であれば留置に携わってもいいというような御指摘でありますが、これは、捜留分離というのは基本的にきちっと、捜査を担当する、まず被疑者に係る留置業務に従事してはならない、つまり留置処遇を利用して、捜査取調べにそれを利用して取調べに不正があってはならないというそこの大原則といいますか、そこをきちっと守るために、こうしたやはり被疑者に係る留置業務に、つまり当該被疑者を担当している捜査官というのは留置業務に従事してはならないということであります。  ただ、基本的にはできるだけそういうことで完全に分離を、組織的に分離を、捜査員といえども、関係ない捜査をしている人たち基本的には留置業務をしない方がいいわけでございますが、小規模の警察となりますと、例えば女性被疑者逮捕とか夜間の被留置者の緊急の診療護送と、こういう場合はやむを得ずやはり捜査に、捜査の一部ですね、非常に周辺部分を携わった警察官というものを護送等の留置業務に臨時に緊急に従事させると。ここは、やはり体制上の問題はやむを得ないんじゃないか。  ですから、基本的なところはきちっと守る必要があると思いますし、またそれを徹底してまいりたいと思います。
  94. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 今のお話を聞いて、どうもはっきりしないんですよね。同じ警察署だからチャンポンやったらいいと。たまたまAさんを捕まえてきたらAさんの留置はしちゃいけないとか、Aさんの留置をしている人間はAさんの捜査しちゃいけないということだけであって、Bさんについての捜査はしていいということになりますと、やはりおかしいんじゃないかと。  警察の場合は、例えば交通と刑事は分かれているでしょう。警備も分かれていますよね。それだったら、留置というのをもうちょっとはっきりやはりやっていいんじゃないかと。だから、交通の人と兼務でもいいけれども、全く別の格好で業務として別にすればいいのに、業務としての分離じゃなくて人間としての、人間としてというか、やっている人間が二つやってもいいけれども、たまたまそれじゃいけないということですから、これやっぱり留置捜査の関係が明確になっていないんで、署長が一緒だということも大きな問題ですよね。だから、それでは、留置関係についてはある人間がまとめて見るとかなんかして、できるだけ留置捜査を分けるような方向を検討すべきだと思うし、そのことについてはどうお考えになりますか。
  95. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 先ほど申したとおりでございますが、一点補足しますと、もう一つ、警察官というのは、もちろん当然いかなる場合も現行犯人を現認した場合というのはそういう逮捕をすべき責務を負っておりますので、留置担当官といえども一切の捜査活動に従事しないと、こういうことは妥当ではないわけであります。  その上で、先ほど申し上げましたように、基本的にやはり捜留分離の目的の一番の原則である、取調べに当たって留置処遇というものが利用されてはならないと、ここをやはりきちっと確保するということでございます。その上で、できるだけ捜査留置が組織的にも、もちろん組織的には分離をされておりますが、捜査員の中には、先ほど言いましたように小規模警察署なんかではやはり臨時に護送業務に当たらざるを得ないと、こういうことまではやはり認めませんと現実の対応ができないということで、そういう現実的な判断をいたしております。
  96. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 今の点についてはやはり、今分けているんだということを言われますけれども、もうちょっとはっきり分かれるようにしてほしいと私は思いますし、それをお願いしたいと思います。  それから次には、法案第百九十条で反則行為に対する禁止措置を定めて、これについては、三日を超えない期間は自弁のものも摂取させないということを規定しておりますけれども、その趣旨は何でしょうか。同時にまた、自弁のものというのはどういうものかということについてお尋ねしたいと思います。
  97. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 現行監獄法の下でも、留置場におきましても規定上懲罰の実施が可能ではあるんですが、これ、警察におきましては代替収容に関する議論が続けられていることなどにかんがみまして、その必要性は認識しておりましたけれどもこれを実施してこなかったというのがこれまでの実情であります。  しかしながら、先ほど来お話が出ていますが、近年の過剰収容状況の悪化ということ、そして問題被留置者の増加、こういう現場で大きな問題がございまして、被留置者の共同生活の場である留置施設において規律及び秩序を保つことは他の被留置者の平穏な生活を保障するためにも必要なことでございます。現実にそういう要請が来ております。そうしたことを踏まえて、新法では御指摘の禁止措置制度を設けたわけでおります。  さらに、自弁のものはどういうものかということでございますが、これは、被留置者の大部分というのは捜査中の未決拘禁者であることにかんがみまして、禁止の対象は嗜好品に限定させていただき、具体的には、菓子とか清涼飲料水、たばこなどを想定しております。
  98. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 次にお尋ねしたいのは、百九十条三項のところで、禁止措置については都道府県が捜査のために使ってはならないということが明記されておるわけでございますけれども、この措置について担保できるような仕組みを考えておられるかどうか、その点についてお尋ねしたいと思います。
  99. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 今御指摘のように、警察としても禁止措置の濫用は厳に慎むべきものと考えておりまして、法律上もその趣旨を明らかにしておるわけであります。また、禁止措置要件を限定しておりますし、さらに厳格な手続を定めております。その上で、適正な運用を担保するために、一つは、禁止措置の運用状況に関する留置施設委員会への情報提供、もう一つは、被留置者による不服申立ての対象とすると、主にこういうものでございますが、そうした法的手当てを行っているところでございます。
  100. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 時間が来ましたのでやめますけれども、犯罪が増える中で大変だろうと思いますけれども、人の問題が足りないという話がありますけれども、こういうことについては自信持って要求していって、やはり夜夜中まで自分の都合で調べることはやっぱりやめた方がいいと思いますから、ひとつよろしくお願いします。
  101. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午前十一時五十二分散会