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松岡徹君 ただいま議題となっております
出入国管理及び
難民認定法の一部を
改正する
法律案に対し、民主党・新緑風会を代表して修正の動議を提出いたします。その
内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
今回の
政府案の提案理由とされております国民の生命と安全を守るために
テロの発生を未然に防ぐこと、利便性を高めるために出
入国手続の簡素化、迅速化を図ること等につきましては、民主党としても異論はありません。しかし、その具体的方策として盛り込まれた
内容については、個人の自由な生活や民主主義社会の維持発展、
外国人との友好、共生という観点に照らして重大な問題を含んでいると言わざるを得ません。
まず、上陸審査時に特別永住者等を除くすべての
外国人に
指紋等の
生体情報の提出を義務
付けるということについては、人権、プライバシー権や自己
情報をコントロールする権利の保障という観点から慎重に検討することが必要であると考えます。特に二〇〇〇年に廃止された
外国人登録法の
指紋押捺制度の歴史的経過を十分に踏まえるべきです。少なくとも、現在のところ同様の措置を講じているのは世界的にも
米国のみであり、国際社会が
合意に達しているとは必ずしも言えない
状況であることに照らし、熟慮
期間を設けるべきであります。
また、
政府案では、上陸審査時や自動化ゲート利用のために採取した
指紋等の
生体情報保存
期間や
入管業務目的以外での利用範囲、
外国入管当局への提供範囲などが極めてあいまいと考えます。特に行政機関等への
情報提供について、
指紋などの
生体情報が捜査機関など、その利用範囲が無原則に拡大されるおそれが極めて高いと考えます。行政機関からの
個人情報等の流出事件が相次いでいることを踏まえると、プライバシー流出のリスク、影響評価や
生体情報を
外国へ提供する場合のガイドラインや法整備がなされておらず、個人の
生体情報を余りに軽く扱うものと言わざるを得ません。
さらに、
テロリストと認定された
外国人の退去強制事由の整備についても、
政府案では
テロリストの定義は極めてあいまいであり、恣意的な認定がなされるおそれや誤認が多発するおそれが多分にあると言わざるを得ません。また、退去強制手続において認定の具体的な証拠となる資料の開示も明確でなく、告知、聴聞の機会、不服申立て、
異議の申出の手続においても極めて不十分です。
本修正案は、こうした
問題点について必要最小限の修正を行うことにより、本来の目的である
テロの未然防止策などを円滑かつ的確に進めようとするものです。
以下、その
内容を御説明いたします。
第一に、上陸審査時に提供を義務
付ける個人識別
情報の種類について、
法務省令への委任規定を削除し、法律で明記するものに限定することとした上で、当分の間、
指紋利用を凍結することとしております。
第二に、上陸審査時に
取得した個人識別
情報は、提供者が
テロリストと認定されるなど上陸拒否事由に該当する場合を除き、提供者が
出国後若しくは永住者となった
時点で直ちに削除することとしております。また、自動化ゲート利用者から
取得する個人識別
情報については、登録が効力を失った
時点で直ちに削除することとしております。
第三に、削除されるまでの間の個人識別
情報については、
出入国管理のための業務以外への利用を原則として禁止することとしております。
第四に、新たに追加される退去強制事由について、
法務大臣の裁量を狭めることとしております。
以上が本修正案の提案理由及びその
内容の概要であります。
何とぞ各
委員の御賛同をよろしくお願い申し上げます。