○松岡徹君 その理屈は私はちょっとおかしいなと思うんですね。要するに、
強制退去者というものは当然のように
情報として
保管しているわけでしょう。その分だけを
保管すればいいんですよ。それ以外に、それに掛からなかった人たちは出国した時点で消しゃいいんですよ。その人たちの分までなぜ八十年間も
保管せなあかぬのかというのがちょっと理屈に合わないんですね。
これはそういう方法を取り入れた場合の話でありますが、まあ時間もありませんので申し上げたいと思いますが、実はこういうシステムをやる場合、一体どれぐらいのお金が掛かるのかということが大変気になっています。しかし、それを算出する
データが全然出ていませんので、やっぱりこれはしっかりと議論しなくてはならないと思います。
衆議院でも議論しましたけども、このシステム化するための委託業者にアクセンチュアという会社が幾つかのこれに関連する調査あるいは
検討の業務を委託しています。昨年の段階では、このアクセンチュアはわずか十万円で、次世代の出
入国審査プロトタイプシステムの実証実験・試行運用の運営というのを十万円で入札しているんですね。そういう
意味では、このアクセンチュアという株式会社はどこの会社なのかということを申し上げておきたいというふうに思います。
これ、実はアメリカでも大変な問題になっている業者でございまして、これはバミューダに本社を置いているところであります。バミューダというのはタックスヘーブン、すなわち法人税の掛からないところなんです。アメリカでも、アメリカの議会でも、アメリカがこういう
指紋の
入国管理システムを導入して、US—VISITですね、それを請け負ったのがこのアクセンチュアなんです。このアクセンチュアがそれで十年間で一兆円の仕事を請け負ったというふうに言われています。このアクセンチュアが実は
日本のこのシステムについての
検討、運用についての
検討を調査する仕事を十万円で請け負ったり、調査事業を五千八百万とかで請け負ったりしています。
私は、ここでアメリカの連邦議会の予算
委員会でも議論がありまして、このアクセンチュアというのは、要するにバミューダに本拠を置いてアメリカに子会社をつくっていますけれども、アメリカへの納税額は二〇〇二年から二〇〇三年にかけて三億八千二百万ドルから一億四千三百万ドルに減少しているのに対して、アメリカからの売上げは二千四百七十三億ドルから五千六百六十九億ドルに増加しているとか、そういったことが問題なんですよ。最後には、こういった国土安全保障にかかわる問題をこういった
外国会社に委託するのはおかしいんではないかということがアメリカの連邦議会の予算
委員会等でも議論になっているんですね。
私がもう一つ心配するのは、そういう
意味では、私たちのこの
入国の
テロ防止とか不法
入国者の水際の
対策をするということは、正に
日本の国土の安全、
国民の命を守り、安全を確保するためと、こういった事業をこのような企業に委託するということはどうなのかということがありますが、まだ今本体事業は委託しているわけではありません。十万円で入札したということは、それの何か道筋を付けられたかのような気はするんですが、決してそうではないと思いますが。
こういったことと同時に、この会社は、アクセンチュアがアメリカのUS—VISIT、同じやつですね、これについても請け負っています。十年間で一兆円というふうに言われています。これが、実はここにそのアクセンチュアに
法務省が委託した
出入国管理システム刷新
可能性調査報告書というのがアクセンチュアの方から出てきている資料があります。このときに、わずか十万円でこのアクセンチュアがこの事業を入札したときに、本当に十万円でできるのかといえば、実は
法務省はそのときにこういうふうに答えているんですね。
契約業者は、
海外機関での
生体情報認証技術を
利用したシステムの設計、開発、プロジェクト管理を行った際の成果及びノウハウを活用する、すなわち
海外機関での
生体情報認証技術、これを持っている
海外の国はどこやといったらアメリカなんですね、アメリカしかないんです、アメリカしかやっていないからです。すなわち、US—VISITですよ。その技術のノウハウを持っているからそれを活用する。すなわち、アメリカのUS—VISITと同じようなやり方でこの報告書が上がっている。こういうことを、しかもその額は、それからいうと、アメリカでは十年間で一兆円、
日本がこういったことからすると、一体このシステム化した場合、どれだけのお金が掛かるのかという資料が全く我々には届いていません。
時間の
関係でもう
質疑は次に譲りたいと思いますが、それと同時にあわせて、
法務省には
法務省の
情報化統括責任者、これは各省におるそうでありますから、CIOというのがあります。そこが次々とCIO
決定という文書を出していっています。最近の新しいのでは今年の三月三十一日、「
出入国管理業務の業務・システム最適化計画」というのが
法務省情報化統括責任者、CIO
決定というふうな文書、すごい文書が出ています。
我々自身が、このシステム自身、先ほども申し上げたように
指紋、
生体情報の取得の仕方が本当に
指紋だけなのか、あるいは静脈まで
考えているんではないのかとか、その管理したものが出
入国だけに使われるのか、そうではなくて在留
外国人の管理のために使われるんではないかと、あるいは
犯罪捜査のために活用されるんではないかと、あるいはアクセンチュアのようにアメリカのUS—VISITのシステムと統合されてアメリカにも
情報が流れるんではないか、
海外への
情報の
提供の在り方とかいうことも非常に心配するんです。このCIO
決定の文書を見たら、そういうことも将来的には
可能性をにおわすことが書かれています。本当にそういうところまで道を開くようなことになるということになるならば、もっとしっかりと議論をしなくてはならないと思うんですね。
そういう
意味では、私は、この今回の
法改正についてはもっと慎重な議論と、もう一つ最後に申し上げておきますが、衆議院の我が党の方でそういった資料要求をしたときに、わずか三ページぐらいのペーパーしか来なくて、そして採決された後に、その後に
法務省のホームページでこういう資料がばっとアップされていっているということがあります。そういう
意味では、事前のこの
入管法改正の議論をするための基礎資料といいますか、
検討するべき資料が全部整っていないということからして慎重な資料要求を改めてさせていただきたい、
委員長の方で取り計らいを
お願いを申し上げたいと思います。