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2006-03-16 第164回国会 参議院 法務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月十六日(木曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  三月九日     辞任         補欠選任      魚住裕一郎君     浜四津敏子君  三月十三日     辞任         補欠選任      前川 清成君     富岡由紀夫君  三月十四日     辞任         補欠選任      富岡由紀夫君     前川 清成君  三月十五日     辞任         補欠選任      前川 清成君     櫻井  充君      浜四津敏子君     白浜 一良君  三月十六日     辞任         補欠選任      櫻井  充君     白  眞勲君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         弘友 和夫君     理 事                 荒井 正吾君                 谷川 秀善君                 簗瀬  進君                 木庭健太郎君     委 員                 青木 幹雄君                 山東 昭子君                 陣内 孝雄君                 関谷 勝嗣君                 江田 五月君                 千葉 景子君                 白  眞勲君                 松岡  徹君                 白浜 一良君                 仁比 聡平君                 亀井 郁夫君    国務大臣        法務大臣     杉浦 正健君    副大臣        法務大臣    河野 太郎君    大臣政務官        法務大臣政務官  三ッ林隆志君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局総務局長   園尾 隆司君        最高裁判所事務        総局刑事局長   大谷 直人君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 英明君    政府参考人        警察庁長官官房        審議官      巽  高英君        警察庁長官官房        審議官      和田 康敬君        警察庁生活安全        局長       竹花  豊君        金融庁総務企画        局審議官     畑中龍太郎君        金融庁総務企画        局審議官     谷口 博文君        法務大臣官房長  小津 博司君        法務大臣官房司        法法制部長    倉吉  敬君        法務省民事局長  寺田 逸郎君        法務省刑事局長  大林  宏君        法務省矯正局長  小貫 芳信君        法務省保護局長  麻生 光洋君        法務省人権擁護        局長       小西 秀宣君        法務省入国管理        局長       三浦 正晴君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○法務及び司法行政等に関する調査  (法務行政基本方針に関する件)     ─────────────
  2. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日までに、魚住裕一郎君及び前川清成君が委員辞任され、その補欠として白浜一良君及び櫻井充君が選任されました。     ─────────────
  3. 弘友和夫

  4. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、法務行政基本方針に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 谷川秀善

    谷川秀善君 皆さんおはようございます。自由民主党の谷川秀善でございます。  先般は、杉浦法務大臣から法務行政全般にわたりまして説明を受けましたが、そのときに大臣は、小泉総理から四点について格別の指示をいただきましたと、こうおっしゃっておられるわけでございますが、それを繰り返しますと、一番目は、犯罪に強い社会の実現のための行動計画に基づいて世界一安全な国日本復活に向けて全力を挙げて取り組んでいただきたいと。二番目、犯罪者矯正処遇の充実などによって再犯防止対策を積極的に進めてもらいたい。三番目は、不法滞在者半減の目標の達成に向かって体制構築等出入国管理対策を強化してもらいたい。四番目が、一連の司法制度改革の成果を国民が実感できるよう、改革の本旨に従った運用についてリーダーシップを発揮してもらいたいと。こういう四点でございますが、いずれも今喫緊課題であろうというふうに思いますが、なかなかこれ一口でどういたしますというのは、大臣に聞くのも非常に何かと思いますが、この四点についての取組につきまして、まず大臣からお伺いをいたしたいと思います。
  7. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 先生もおっしゃったとおり、四つの点は私ども法務行政の当面をしております喫緊重要課題でございます。この三人、大臣、副大臣政務官就任いたしまして、二人とよく相談をいたしたわけでありますが、最も大事なのはスピードであろうと。しかも、それぞれの問題、非常に根も深く、法務省全体にわたって関連している事柄でございますので、私を長とするPT、副大臣政務官、それぞれ長になっていただきまして三つプロジェクトチームを立ち上げまして、省内横断的に若手を中心にして元気な人に集まってもらいまして検討していこうということも始めました。  その四つのいただいたテーマのうち、何といっても治安の問題というのは中心テーマだろうと思います。先生方案内のとおり、我が国治安情勢犯罪件数こそこの二年ぐらい漸減傾向にございますが、凶悪犯は増えておりまして、治安について言えば依然危険水域にあると、赤信号が点滅していると言ってもいい状況であろうかと思います。総理からの指示にもございましたが、かつて日本は世界一安心、安全な国だという国際的評価があったわけでありますが、それが崩れてきている状況を一刻も早く改善をして、安心安全神話復活させたいと思っております。  年頭に当たりまして、法務省幹部職員年頭訓示で、今年を治安回復元年にしようと、我々全員で努力をしてできるだけ早く実現しなきゃなりませんが、後世から振り返ってあの年が治安回復元年だったと言われるような年にしようというふうに訓示をいたしましたし、先般、検察官会同が開催された際にもそのことを重ねて強調し、検察官一同に対しては罪の大小を問わず徹底して犯罪の捜査、検挙、立件に挙げて努力するように訓示もしたところでございます。  副大臣政務官共々、三人力を合わせて政治家の立場でスピーディーに行政に取り組んでまいりたいと、こう思っておる次第でございます。
  8. 谷川秀善

    谷川秀善君 今大臣がおっしゃったように、本当に日本の国は世界一安全であったという安全神話が崩れてきておるわけでございます。これは非常に残念なことでありますが、もう一度いろんな対策を取っていただいてこの安全である国を再び復活をさせていただきたいというふうに願う次第でございます。  そこで、大臣はただいま、法務行政を推進するに当たって、大臣首席として刑事施設収容人員適正化プロジェクト、また副大臣首席として今後の外国人受入れ等に関するプロジェクト大臣政務官首席として再犯防止対策プロジェクトを立ち上げて、これからこれを進めていくんだというふうにおっしゃっておられます。また、改造以来、大臣、副大臣政務官がそれぞれ手分けをして全国八ブロック、百六十か所余りを視察してこられたということも所信のときにお伺いをいたしました。大変御苦労さんなことであろうというふうに思いますが、それぞれについて視察の感想、そしてまたこのプロジェクトに対する抱負等をそれぞれ大臣、副大臣政務官からお伺いをいたしたいというふうに思います。
  9. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 法務省は、就任してみて改めて感じたわけでございますが、現業官庁であるということでございます。五万一千人職員がおりますが、法務本省にいるのは千人おりません、九百人ぐらいでございますか。あと五万人は全国刑務所少年院等矯正施設検察庁全国にございますが検察庁、あるいは入国管理事務所入管、あるいは公安調査庁、法務局、これも全国にありますが、そういう現場国民と対面をして法秩序の維持に当たっておるわけで、貢献しておるわけでございます。  たまたまと申しますか、就任直後、国会開催されておりませんでしたので、二人、副大臣政務官とも相談いたしまして、極力全国を回ろうと、現場を見て回ろうと、現場で働いている人たち意見も聞こうと、現場も見ようと、法務行政を先頭に立って引っ張っていくためには現場を知らなきゃいかぬということを相談いたしまして、東京周辺で重要な施設は三人で一緒に行ったところもありますが、原則として、手分けいたしまして、全国、沖縄を含めまして回らせていただいた次第でございます。  私は、八つの矯正管区がありますが、北は北海道から南は九州までございますが、私は全管区参りました。そして、刑務所少年院少女院検察庁公安庁入管等々、更生保護法人に至るまで法務省施設を、代表的なものを一つずつ視察をし、まあ土日を掛けて行った場合もありますが、現場意見を聞き、現場を見ると同時に、夜は責任者等に集まってもらいまして、皆さんから忌憚のない意見を聞くということもいたしました。  帰ってまいりまして、その意見をきちっと整理しまして、この点は改善すべきだというようなことを一々指示しておったわけでありますが、副大臣政務官皆さんそれぞれ見て、問題点指摘もあることだから、ひとつまとめて大臣指示を出してほしいということでございましたので、三人で相談いたしまして二十項目ばかり、全部局にまたがっておりますが大臣指示事項を作りまして、早急に改善措置に取り組むようにという指示もいたしたところでございます。  私の場合は弁護士しておりましたので、政治の道に入る前は刑務所等あちこち見たり弁護士会活動等視察したりして、二十年以上前のことはある程度知っておったんですが、この二十年の間にどのように変わったか、問題点は何か、関心があったわけでございます。行ってみた結果が、一言で申しますと百聞は一見にしかずといいますか、時代とともに矯正行政一つ取ってみても大変進んでおる、進化しておるなというのが実感でございます。  それと同時に、現場人たち刑務所職員にいたしましても、名古屋刑務所等の問題もあったわけですが、概していえば非常に士気は高いということも実感いたしました。正直言って、決して楽な仕事ではありません。刑務所などは特にそうでありますが、そういう中にありましても、厳しい仕事に前向きにみんな取り組んでおるなという印象でございました。まあ立派な仕事をしているなというふうに思いました。  今後とも時間を見付けては一つでも多くの施設を訪れまして、彼らの激励をすると同時に、現場意見に耳を傾けてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。  私は、九十九か所ぐらいになりますか、ダブっているところもありますので、副大臣政務官それぞれ五、六十か所は行かれたのじゃないかな、もっと行っていただいてますかね、六十ぐらいですかね、見まして、大臣が初めて来たという施設も随分多うございました。皆さんを激励する役にも立ったのではないかというふうに思っております。  私、先ほどちょっと触れましたが、総理から与えられたテーマを基にいたしまして、政治家の目で検討するということも大事だということで、三つPTを立ち上げたわけであります。  私は刑事施設収容人員適正化プロジェクト主査をすることになりましたが、刑事施設についてはもう先生方案内のとおり、現在過剰収容が問題になっております。現時点で一一六%ですか、独房は二段ベッドにしているのがかなりありますし、いわゆる雑居房と言われておるものも定数六のところを八人入ったりしておるわけでございます。  また、犯罪者再犯防止社会復帰の促進というのも大きな課題でございます。これに対してもう先生方のお力も賜りまして、刑事施設の拡充それから刑事施設で働く職員増加ということも図ってまいったところですが、こういった人的、物的体制の増強だけでなくて、刑事施設の外で有効な監視や処遇を行う新しい事後制度検討する必要があるんじゃないかというようなことで立ち上げたわけでございます。  私の大きな関心一つ保釈の問題がございます。保釈が、なかなか認めない、裁判所が、という問題が一般にも指摘されておるわけですが、保釈という制度保釈保釈しないかしかない、その中間になる手段がないわけでございまして、諸外国ではいろんなケースがあります。自宅拘禁とかあるいはパスポートを取り上げるとか、様々な要するに被告人出頭でございますとか、法廷への出頭確保、逃亡の防止について、保釈拘禁以外の措置を採用している国もございますので、そういったことを研究をして、中にいる人を少しでも減らす努力をすべきじゃないかという関心を強く持っておるところでございます。  三つチームにつきましては、できるだけ早く結論をまとめる、そして法改正が必要な部分についてはできるだけ早く法制審議会に諮問をいたしまして検討していただくという方向で、三チーム検討を急いでおるところでございます。
  10. 河野太郎

    ○副大臣河野太郎君) おはようございます。  今週の月曜日に多摩の少年院八王子医療刑務所八王子拘置支所、三か所視察に参りまして、就任以来六十五か所になります。大臣の御発言にもありましたように、非常に士気高く職員皆さん方、熱心に頑張ってくださっておりますが、大変に収容率が高く、休みもままならない。年休施設によっては平均一日、それも長期休みを取っている方がいらっしゃるんで平均一日でありますが、一日も実は年休が取れていない職員が大勢いるという施設もある現状に少し驚きまして、何とかこの改善をしなければならぬと思いました。  また、入管プロジェクトチーム主査をやっておりますので、入国管理関係空港視察に参りましたときには、外国人の方が入国するための行列が非常に長いのが目に付きましたので、羽田空港韓国からのチャーター便がたくさん着きますが、飛行機から乗客が降り始めてとにかく二十分以内にすべて入国審査が終わるようにお願いをして、今入管の方で大変な努力をしていただいて半分以上の便が今二十分以内に入国審査が終わるようになっております。同様のことを成田空港でも始めていただいておりまして、相当早く入国審査が終わるようになるのではないかと思っております。  委員の皆様が海外に視察に行かれます際は、御帰国の際、ちょっと外国人行列をのぞいていただきますと、今までとは大分様相が違うようになるのではないかというふうに思っております。  また、入国管理外国人受入れに関するプロジェクトチームでございますが、骨太の方針にも出ておりますし、第三次入国管理基本計画にも出ておりますが、これまで受け入れていなかった分野において外国人をどのように受け入れるか、あるいはそれと密接な関係がございますが、技能研修というものについてどう考えていくのか、あるいは国内に入ってこられた外国人在留管理をどうするのか。なるべく本音と建前を近づけてといいますか、建前をなくして、どういう体制がいいのか、どういう方法がいいのか、しっかり議論をしていきたいということで、今進めさせていただいております。  大体のたたき台がそろそろまとまると思いますので、各方面の御意見伺いながら、早急に取りまとめをしてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  11. 三ッ林隆志

    大臣政務官(三ッ林隆志君) おはようございます。  私は、関東及び東北の施設四十三か所を視察してまいりました。その中で、特に一線で再犯防止対策に取り組んでおられる矯正施設、また更生保護官署を興味深く視察してまいりました。  民間ボランティアの協力を得て対象者社会復帰させる更生保護の高尚な理念につきましては率直に感銘を受けたところでありますけれども、その中では民間の善意に頼り過ぎているのではないかというふうに感じるところもありましたので、今後、これらの知見を再犯防止対策にも生かしてまいりたいと思っております。  また、各矯正施設の中では収容者高齢化が進んでおりまして、それに伴いまして医療提供必要性というものが増大しているというふうなことを感じた次第でありまして、今後、これらの医療提供についても大きな課題になっていくのかなと思った次第であります。  次に、私の担当しております再犯防止対策プロジェクトにおきましては、再犯防止のための施策を幅広く検討しておりますが、主としまして満期釈放者及び仮釈放期間が終了した者を含め収容施設を出所した者に対する対処、次に収容施設を出た者の受皿作り、さらに継続的な再犯研究及び処遇効果の検証の導入などをテーマとしておりまして、既にそれぞれのテーマで具体的な検討に入っているところであります。是非、この検討が実を結びまして、真に効果的な再犯防止対策というものが打ち立てられるように努めてまいりたいと思っております。  以上です。
  12. 谷川秀善

    谷川秀善君 どうもありがとうございました。  本当に短期間の間に相当な施設をずっと、それぞれ三人の皆さんが見て回ってこられたと。非常に私は、行政というのはやっぱり、特に法務行政というのは現場がたくさんあるわけですから、現場第一主義が非常に大事であろうというふうに思いますし、また現場へ行っていただくことによって、それぞれ働いておられる職員が、本当にトップの方々が我々の仕事を理解してくれるといいますか、応援をしてくれるという気持ちが、またこれがその現場におけるそれぞれ職員士気にも影響するのではないかというふうに思っております。非常に御苦労さまでございました。今後もずっと、時間、非常に大変でしょうけれども、あれば、やっぱりずっと回っていただければなという気持ちを持っております。  それで、今日はいろいろお伺いいたしたいことがあるわけでございますけれども、時間の関係もございますので、入国管理について絞って何点かお伺いをいたしたいと思います。  平成十六年度の外国人入国者数は、SARSの流行などいろいろ影響があったようでございますけれども、国を挙げてのビジット・ジャパンといいますか観光立国のPRの結果、前年度比一八%増の六百七十五万六千八百三十人で過去最高を記録したと、こう言われておりますが、その後、十七年、十八年、どういう傾向で、そういう状況が続いておりますのか、それともダウンが始まっているのか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
  13. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) お答え申し上げます。  今委員指摘のとおり、平成十六年の入国者数は過去最高を記録したわけでございますが、平成十七年につきましても、この外国人入国者数は約四百七十五万人という数字になっておりまして、史上初めて七百万人を突破したところでございます。十六年に比べますと約六十九万人、パーセントにしまして約一〇・三%の増加ということになっております。  この要因でございますが、私ども考えておりますのは、昨年二月に中部国際空港が開港いたしました。これが一つあるかと思います。そのほか、昨年の八月には、羽田空港韓国金浦空港の間にチャーター便が定期的に飛んでおるわけでございますが、これが倍増いたしまして、増便で輸送力が増大したということが挙げられるかと思っております。  また、さらには、昨年三月から日本国際博覧会、いわゆる愛・地球博でございますが、これが開催されまして、この開催を契機といたしまして、韓国及び台湾の短期滞在者に対する査証免除措置がとられたということ及び中国に対する査証発給条件緩和策が取られたということなどが効果を現したものの要因ではないかというふうに思っております。  今後とも、ようこそ日本へのキャッチフレーズによりまして、近隣諸国、地域を中心に更に多くの外国人観光客我が国を訪問するものと見込んでおるところでございます。
  14. 谷川秀善

    谷川秀善君 去年は愛知博もあったし、いろいろございましたから、その傾向は続いているんだろうというふうに思いますが、今後とも、大いにやっぱり日本を知ってもらうということからいいますと、この入国についていろんな便宜が図れれば図ってもらって、やっぱり日本を知ってもらうということが大事だろうと思います。  それで、外国人登録者数ですけれども、平成十六年度末現在の外国人登録者数も前年度比三・一%の増で百九十七万三千七百四十七人になっているようでございまして、これも毎年だんだんと増えていっているということのようでございます。したがいまして、この外国人方々我が国の総人口に占める割合も一・五五%で過去最高を更新しているようでございますが、この外国人登録傾向はやっぱり入国状況と同じようにどんどんと増える傾向にあるんでしょうか、どうでしょうか。
  15. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) お答え申し上げます。  その前に、先ほどの御質問に対しまして、私、平成十七年の入国者数についてちょっと読み間違えて四百七十五と言ったと思うんですが、七百四十五万人の間違いでございますので、訂正させていただきます。大変失礼いたしました。  今、外国人登録の御質問がございましたけれども、確かにこのところ登録者数は増えてございまして、これは法務省で毎年一回、外国人登録者数を取りまとめて公表をしているところでございます。ただ、平成十七年末の数値につきましては、全国市区町村から登録者数に関する報告をいただきまして、これを踏まえて今集計中でございますので、確定的な数字を申し上げられる段階ではございませんが、先ほども申し上げましたように、平成十七年一年間におきます外国人の新規の入国者が過去最高を記録したということを踏まえますと、昨年末におきます外国人登録者数が二百万人を突破したことは確実であろうというふうに考えております。  また、我が国の総人口に占める外国人登録者数割合でございますが、これも、日本人の人口が減少してきているという中にありまして、外国人登録者我が国人口に占める割合は前の年を上回っているものと推測しているところでございます。
  16. 谷川秀善

    谷川秀善君 大体、外国人入国をしてくる、在留をするということになると、それが増えてきますと、考えられるのは、それと並行して同じように不法滞在者が増えてくるんではないかということが心配になるんですけれども、ところが、どうも不法滞在者は、まあ景気が悪いとか、いろんな対策を取っておられることで何か減ってきているようですね。  これは非常に私はいい傾向だと思うわけでありますが、十七年度を見ますと、前年度比で五・五%の減の二十万七千二百九十九人、この減少数は過去最高だと、こう言われておるわけであります。平成五年五月がどうも不法残留者のピークであったようでございまして、二十九万八千六百四十六人。これからずっと大体一貫して減少しているそうですけれども、この傾向は今も、何といいますか続いておるんでしょうか、どうでしょうか。
  17. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) 平成十八年、本年の一月当初の、現在の不法残留者数につきまして、現在、最終的な集計をしておるところでございまして、間もなく公表できるものと思っておりますが、これまで私どもで取りまとめたところによりますと、今年一月初頭の、現在の不法残留者総数は約十九万三千人余りであろうというふうに算出しております。一年前と比べますと一万三千人、パーセントにしますと六・五%の減少という状況にございます。  また、今委員指摘ございましたとおり、不法残留者の数は平成五年の五月がピークでございまして、それ以来一貫して減少傾向にございます。平成五年と比較いたしますと、現時点で十万五千人余り減っているということになるわけでございます。  このような減少傾向が続いておりますのは、安全、安心社会を取り戻すという治安対策の観点から、平成十六年からの五年間で不法滞在者を半減させるとの政府目標に沿いまして、私ども、水際における厳格な入国審査の実施をしておりますし、また、関係機関との緊密な連携によりまして、入管法違反の外国人の積極的な摘発でございますとか警察から入管への身柄の送致を受けることの円滑化に努め、また、不法就労防止に関する積極的な広報などを行いまして、総合的な不法滞在外国人対策を取ったことの効果が現れているものと考えているところでございます。
  18. 谷川秀善

    谷川秀善君 できるだけ正規におっていただくということは大事だと思いますが、不法におるというのはやっぱり犯罪の温床にもなるわけでございますので。  是非これは、だんだん効果が上がってきているようでございまして、この二十九万人から見ますともう十万人も減っているわけですから、これは大変な私は成果だろうというふうに思いますが、逆に、そうなりますと、この不法におる人たちがだんだんおりにくくなりますから、逆にまた凶悪な犯罪に走るということもあるんではないかというふうに思いますので、その辺のところはやっぱり上手に、上手にと言ったらおかしいですけれども、うまく管理をしていただくということが必要ではないかというふうに思いますし、この入国管理というのはその時々の、やっぱり国際環境といいますか、それにも大変影響されると思いますね。  そういう意味では、法務省では平成十七年三月に入国管理行政の施策の基本となる第三次入国管理基本計画を策定をされまして、それを実施をしておられるようでございますが、この基本計画というのは主にどういうものでございましょうか。
  19. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) 出入国管理基本計画と申しますのは入管法に規定がございまして、入管法の六十一条の十という条文がございますが、ここにおきまして、法務大臣外国人入国在留に関する施策の基本となるべき計画を定めるということになってございます。これに基づきまして各種施策を講じていくと、こういう規定がございます。  この基本計画の内容といたしましては、入国在留する外国人状況がどうであるかというまず分析をするということ、それから、外国人入国在留管理の指針を定める、その他の入国管理行政に関する施策、こういうものを定めることとされておるところでございます。  先ほど副大臣の方からもちょっと言及がございましたが、これまでこの計画は三回にわたって策定されております。今委員質問の第三次基本計画というのは昨年三月策定されたものでありまして、三回目の計画でございますが、この第三次基本計画の主なポイントといたしましては、まず、専門的、技術的分野における外国人労働者の受入れを推進するということがうたわれております。また、人口減少時代へどう対応していくかということがうたわれております。さらには、留学生、就学生、研修生、技能実習生等の適正な受入れを行うにはどうしたらよいかということがうたわれております。また、強力な水際対策を推進するということがうたわれておりますし、さらに、不法滞在者の大幅な縮減を通じた我が国治安を回復するための取組、こういったことが定められているものでございます。
  20. 谷川秀善

    谷川秀善君 だんだん、日本の国も少子高齢化でだんだん人口が減ってくるということでございますから、今までと違って、やっぱり正規に外国人たちが入ってきてもらって、しっかり日本仕事もでき勉強もできと、こういうことが必要ではないかというふうに思います。  そういう意味では、本当に、なかなか日本外国から比べると入りにくいと言われるわけですね、いろんな制約があって非常に入りにくいと。もうちょっと何とかその制限を緩和してもらえないだろうかと、私も外国行くたんびにそういう陳情を受けるわけでございますけれども。  それはそれとして、やっぱりしっかりとした方針を決めて外国の労働者を正規に受け入れるということは、これからの日本の国の発展にとって非常に私は大切なことであろうというふうに思います。その意味では、取り締まるところはしっかり取り締まる、そして緩和するところは緩和すると、この辺の緩急をちゃんと自在にやっていただくということがこれからの日本入管行政にとって大変必要ではなかろうかというふうに思います。  ところで、人身売買といいますか、人身取引だとかテロ対策のために、入管法の改正部分を含む刑法等の一部を改正する法律が平成十七年六月二十二日に公布されました。この法律の施行によって、取締りですね、いわゆる不法外国人の滞在の取締りの効果はどういうふうに上がってきたのか上がっていないのか、どういう状況になっているのか、お伺いをいたしたいと思います。
  21. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) 御指摘の改正入管法でございますが、昨年の通常国会で御審議いただきまして成立させていただきまして、昨年七月十二日に施行されているわけでございます。  この改正法の入管法に関する部分につきましてでございますが、一つには、人身取引というものの定義規定を置きまして、この人身取引の被害者である人について、上陸特別許可ですとか在留特別許可の対象になるということを明確にいたしました。また、人身取引の加害者につきましては、上陸を拒否したり我が国から出ていっていただくと、こういう退去強制の対象にするというような規定も置いたところでございます。  この改正の効果ということでございますが、昨年一年間に入国管理局が人身取引の被害者と認定いたしまして保護又は帰国の支援をした外国人は百十五名でございました。このうち、不法滞在状態となっていた方が四十七人おりまして、この方々については全員に在留特別許可を付与いたしまして、合法的な在留の状態で帰国をしていただいたということでございます。  一方、人身取引の加害者につきまして、これは一名が加害者と認定いたしまして、この者を人身取引の加害者であるという理由で退去強制をしております。  入管といたしましては、今後とも関係機関との連携を密にいたしまして、合同摘発などによる被害者の保護に積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  22. 谷川秀善

    谷川秀善君 この、結局ですね、人身取引というのは非常にこれ、分かったようで分かりにくいんですね。どういう状況で入ってくるのか。最近はともかく、過去は技芸というか芸能というか、そういう形で入ってきている人が多かったんではないかなというふうに思います。そういう意味では、その入ってくる人も、何といいますか、不法に入ってきているような感覚があるものですから、何か被害が受けた場合でもなかなか日本の警察に保護を求めるということが非常に少なくて、深みにはまっていくというような状況ではないかというふうに思います。  そういう意味では、やっぱりその辺をしっかり、まあそういう形で入ってきても、そういう事件なりなんなりに巻き込まれたらちゃんと保護をしてあげるということがPRできないとなかなか本当に、ちょっと身にやましいことがあるから、何か被害を受けたって、さあ警察に救いを求めるというのがなかなかやりにくいということだろうというふうに思いますんで、この改正で大分良くなったのかなというふうに思いますし、この改正で本当に、まあなかなか、日本は島国ですからちょっと諸外国状況が違うと思いますが、テロが本当に防止できるのかどうか、この辺を私は非常に心配をいたしておるわけでございます。いったんテロというものは起こってしまったらもうそれで終わりでございますから、それを何とか未然に防止するということが、私はこれからの日本の国の治安を守るという意味からいいましても非常に大切ではないかなというふうに思いますが。  このテロ防止対策については、行動計画を決定して十六年以降ずっとやっておられるようでございますけれども、最近のテロ、なかなか言いにくい、お答えにくい面もあろうと思いますけれども、テロに対してはその危険性があるのかないのか、これは非常に難しいと思いますが、現在、法務当局としてはどういうふうにお考えになっておられるんでございましょうか。
  23. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) 国際的なテロが各国で頻発しておるわけでございますが、我が国もアルカイダから対象国として名指しをされているという状況もございます。テロが発生しないことが最も好ましいわけでございますが、その発生をするという可能性を前提として我々としてはあらゆる手段を講じていかなければならないというふうに思っております。  実は過去に、フランス国籍を有していたテロリストが日本に出入りしていたということが、その後に外国でその者が逮捕されたということで判明したというような事案もございますので、我々、十分その点を注意していかなければならないと思っております。  その観点からも、平成十六年十二月に、政府といたしましてテロの未然防止に関する行動計画を策定いたしたところでございまして、この計画に基づきましてこの実施を鋭意進めているところでございます。  入管関係で見ますと、この行動計画の中にテロリストの入国規制などの六項目の施策が掲げられているところでございます。このうち、航空会社等に対して乗客の旅券をきちんと確認するという義務を課すということがございますが、これにつきましては、昨年の通常国会の入管法の一部改正により既に手当てがなされております。また、文書鑑識の専門家、これを外国に派遣いたしまして、諸外国で偽造旅券などを見破る技術が更に向上するようにということでこの支援策をすべしということになっておりますが、これにつきましては、平成十七年度におきまして、入管の文書鑑識指導者を三か月間タイに派遣いたしました。十八年度も引き続きタイに派遣する予定としておるところでございます。  また、入国審査等の関係で申しますと、入国審査を行う際に外国人から指紋の採取などを行いまして入国審査を強化するということがうたわれております。さらには、テロリストに対して入国を規制する制度をつくるべきであるということがうたわれておりますし、航空機などが外国から日本に来ます際に事前に我が国に乗員、乗客の名簿の提出を義務付けるということもうたわれております。これらの三点につきましては、今国会で入管法の改正をお願いしておるところでございまして、今後ともよろしく御指導をお願いしたいというふうに思うわけでございます。
  24. 谷川秀善

    谷川秀善君 なかなかその、水際でそういうテロリストを入れないようにするというのがもう一番の、私はテロ対策にとっては一番大切なことだろうと思います。そういう意味では、なかなか指紋採取についていろいろ議論があるようでございますけれども、これをやっぱりしっかりやらないと、もう国を守れないというふうに私は思うわけです。特にまた守りやすいんですよ、これ、島国ですから、そういう意味では。  だから、水際でぴしっとやれば相当な効果が上がるのではないかというふうに思いますが、それは人権の問題だとかいろんな問題もあるんでしょうけれども、少なくとも指紋採取についてはしっかりとやるということが、私はやっぱりテロ対策防止については大事なことではないか。そういう意味では御協力を、外国方々にも御協力をいただくと。別に何もあんた、悪いことをしていなきゃ別に指紋採取されたって何ら支障はないわけでございますから。  そういう意味では、やっぱり今度の改正によってしっかりやってもらうということが私は何よりも大切ではなかろうかというふうに思いますし、不法滞在者は、それはテロ対策とは直接関係があるかないかはこれは分かりません、そういう意味では。しかし、不法滞在をするということは、やっぱりある程度犯罪の温床になるわけですよ、これ。こういう人たちが、言っちゃ悪いけれども不法に滞在しているわけですから。  それで、平成二十年までに、この五年間で不法滞在者を半減するという計画を立てて法務当局ではしっかりやっていただいておるようですけれども、この現在の進捗状況といいますか、大体平成二十年までに、半減といったら大体十五万人ぐらいですか、以下に押さえ込むと、こういうことでしょうか。その辺のところはいかがでございましょうか。
  25. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) さようでございます。  今、不法滞在者半減を目指して今必死に努力をさせていただいているところでございます。平成十六年からこの半減計画の推進をしておるところでございまして、当初は、不法残留者と、それに加えましていわゆる密入国で夜中に船で海岸に来るというようなケースがありますが、こういう人たちも含めて二十五万人ほどいるのではないかと。これを平成二十年までに半分にするということで、十二万五千人を半減すると、こういうことで今やっておるところでございます。  この二十五万人を出発といたしまして、今年の一月現在ではこれが二十二万人程度になっているのではないかというふうに思っております。先ほど不法残留者の数は十九万三千人になったと御説明申し上げましたが、そのほかにこれは必ずしも明確な数字で把握し切れていない密入国者がいるものですから、こんな数字になるということでございます。  私どもは、平成十六年以来、入国管理局、地方の入国管理局に摘発方面隊というものを設置するなどいたしまして体制の整備、強化を図っているところでございます。また、警察などの関係機関とも連携した積極的な摘発を行っておるところでございます。  今後とも、この目標達成に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
  26. 谷川秀善

    谷川秀善君 今おっしゃったように、不法滞在者と、それから一番問題なのは密入国ですね。これが、密入国ですから、なかなか実態を把握するのは非常に難しいと思います。  ところが、一説によると、同じぐらいおるんではないかと言われていた時代もあるわけですね。いわゆる不法滞在者といわゆる密入国が同じぐらいの数おるんではないかということになりますと、これはもう大変なことですね。と同時に、その密入国者というのは、これは把握のしようがないですわね。まだ不法滞在者はパスポートで大体把握できるけれども、すっと入ってくるわけですからね、夜中に。だから、これは分からぬですわ。それで、顔もそんなに、黙っていたら分からないですね、黙っていたら、本当に。そういう意味では、一説によれば、一時半々ぐらいおるんではないかということになると、これはえらいことですな、これ、その数からいうと。  だから、この実態の把握というのは非常に難しいと思いますけれども、特に密入国者、これはどういうふうにして把握しておられるんでしょうか、この密入国者というのは。
  27. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) 正に委員指摘のとおり、実態の把握は非常に難しい部分でございます。  私どもが先ほど三万人、平成十六年当時で三万人くらいそういう者がいるのではないかと申し上げましたが、これは退去強制手続というのがございまして、日本在留する資格のない外国人入管が摘発したり本人が入管出頭してきて最終的には本国に帰すわけでございますが、この際に、その者がどういう状況で今在留しているかということを、もちろん本人から事情を聞いたり持っている旅券等を確認して分析をするわけでございますが、そうしますと、およそまともな旅券も何も持っていない、本人は実は船で、漁船などで夜中に日本に上陸しましたというようなことを言う者がおります。こういう者が全体の、退去強制手続を取った者のうちにそういう者が何%ぐらいあるかという一応のパーセントは、推測でございますが、出ます。そうしますと、不法残留者との割合もある程度推測は付くのかなということで出したのが三万という数字でございます。  ただ、これもあくまで推計ということでございまして、警察等とも連携いたしまして、不法滞在者の情報がありましたら我々は積極的に摘発に赴きまして、そういった密入国者の取締りに力を尽くしてまいりたいと思っております。
  28. 谷川秀善

    谷川秀善君 だから、これはやっぱりいろいろ摘発の手法というのはあるんだろうと思いますけれども、やっぱりこういう人たちはそんな田舎にはいないと思いますよ、その不法滞在者にしても密入にしても。そうすると、やっぱり都会だろうと思いますね、繁華街だとか都会だろうと思いますんで、この辺のところは、時々はもう集中的に摘発をするということしかないのかなというように思いますが。  何かこの前、新宿かどこかあっちの方で集中的な摘発をやって、何か千六百人ほど、全国でですね、不法滞在者という、密入者を含めまして摘発をしたと、こう言っておられますが、こういうことはこれからも適宜適切におやりになる予定があるのか。余り言うと、そういうまた情報が漏れて具合が悪いのかも分かりませんけれども。これはやっぱり積極的に繰り返し努力をする以外に方法がないのではないかなと思いますけれども、どうお考えでございましょうか。
  29. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) 委員から御指摘いただきましたとおり、外国人、いわゆる不法滞在の外国人が集まる場所というのがある程度ございます。私ども、そういうところを集中的に摘発をするべくいろんなことを考えておるわけでございますが、例えば、平成十六年度には東京入国管理局に摘発方面隊というものを四方面に分けて設置いたしまして、特に歓楽街を中心の摘発ということで、新宿の歌舞伎町に出張所を設けております。ここは摘発だけをする職員を多数置いておりまして、摘発に当たっているということでございます。また、東京だけではなく、その後、名古屋方面にもかなり外国人がたくさんいる状況になってきておりますので、そこにも摘発方面隊を設けるというようなことで対応していきたいと思っております。  そういう工夫をいろいろさせていただきまして、平成十六年には約五千二百名の者を摘発したところでございます。また、平成十七年は七千五百名の者を摘発できている状況でございますので、今後ともこれを推進してまいりたいと考えております。
  30. 谷川秀善

    谷川秀善君 今おっしゃったように、本当に地道な努力以外に方法がないのかなというふうに思いますけれども、是非そういう努力をしていただくことがテロ対策にもつながってくるのではないかなというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  それと、日本はかねがね、難民に対して非常に理解が少ないといいますか、難民に対して非常に不親切であると、こう言われておるようでございますが、その難民に対して、難民審査参与員制度なり、また仮滞在許可制度などをつくって、難民に対してもある程度温かい手を差し伸べる傾向になってきたことは非常に私はいいことだというふうに思いますが、平成十七年五月に改正入管法が施行されましたが、それ以後、難民に対してどういう状況であるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  31. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) 御質問の難民審査参与員の制度につきましては、ただいま御指摘ございましたように昨年五月に施行されているわけでございますけれども、審査参与員の方々から専門的な知識、経験に基づく貴重な御意見を種々いただいているところでございます。その御意見につきましては、直ちに難民認定の業務に反映させるように努めているところでございまして、大変意義の大きな制度をつくっていただいたというふうに思っております。  なお、昨年、難民審査参与員の方から意見書が提出された案件でございますが、四十八人分の案件につきまして参与員の方々から意見書をいただいております。そのうち、最終的に法務大臣が難民であると認定した者、申請者は五人ございました。これは第一次の認定で不認定になっていた者を、法務大臣に対して異議申出ができるわけでございますが、その異議申出の過程で難民審査参与員の方の意見を伺って一次の認定を覆したということになるわけでございます。  結果といたしまして、昨年一年間の難民認定者数でございますが、四十六名という数になりまして、前年に比べて相当増加しております。また、難民とは認定しなかったものの、在留を特別に許可した者が九十七名おりまして、これも前年に比べて大幅に増加しております。これらを合計いたしますと、百四十三人が難民若しくは在留特別許可ということで庇護の対象としたということでありまして、我が国に難民認定制度が発足した昭和五十七年以降、最高の数となっている状況でございます。
  32. 谷川秀善

    谷川秀善君 非常に、数字的に見ますと飛躍的に難民認定といいますか、ができてきたということでございますが、この難民と仮滞在の許可というのはどう違うんでしょうか。
  33. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) 仮滞在の許可制度も昨年やはり難民審査参与員制度と同時期につくっていただいたものでございますが、難民の申請をする方について、正規の在留資格のない方がかなりおります。こういう人につきまして、まあ一定の事由がある場合にはこの許可はできないんですが、特に問題ないというケースにつきましては、難民の認定の手続の間、仮に日本に滞在できるという、そういう資格を付与すると、こういう制度でございまして、昨年中にこの仮滞在を許可した人数は五十人となっております。
  34. 谷川秀善

    谷川秀善君 その仮滞在をしていただかないと、日本におって難民申請の手続の間、宙ぶらりんになりますから、これは非常に私は難民の方にとっても非常にいい制度ではないかなというふうに思います。どうぞ、こういうのを有効に活用していただいて、やっぱり世界に開かれた日本であるということも大事ではないかなというふうに思います。  いろいろお伺いをしてまいりましたが、そろそろ時間になってまいりましたので、最後に、なかなか法務行政というのは非常に大変だと思いますね。特に今、犯罪者が増えていますから、その収容の刑務所ももう超満員というようなことのようでございまして、この過剰収容の問題、また近々は、裁判員制度が創設をされてこれから実施に向かっていろんなことが行われるわけでございますので、それも大変だろうなというふうに思いますし、日本司法支援センターも発足をいたしました。  そういうことで、是非、これからの法務行政というのは多事多難だろうなと思いますが、最後に、この法務行政について大臣の取組に対する決意をお伺いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  35. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 先生指摘のとおり、法務行政、難題山積であります。このような時期に重責を拝命したということは、まあある意味では政治家冥利に尽きると言えるのかもしれません。河野大臣、三ッ林政務官と力を合わせまして、精一杯努力してまいりたいと思っております。  どうぞ御指導のほど、よろしく先生方お願い申し上げます。
  36. 谷川秀善

    谷川秀善君 それじゃ、どうぞよろしくお願いします。  終わります。ありがとうございました。
  37. 千葉景子

    ○千葉景子君 民主党・新緑風会の千葉景子でございます。  今日は初めて杉浦大臣といろんな論議をさせていただくことができまして、大変光栄に思っております。高い見識をお持ちで、そして司法分野で仕事をなさってこられた杉浦大臣ということでもございますので、是非これからリーダーシップを発揮をいただきまして、より良き政策の実現に向けて頑張っていただきたいというふうに期待をさせていただいております。  また、副大臣、そして政務官、それぞれ大変精力的に様々な御視察などをなさってこれからの政策取りまとめに備えていただいているということでもございますので、これまた是非積極的な御活動、よろしくお願いをしたいというふうに思っております。  さて、資料をちょっと配らせていただきました。まず冒頭、大臣にちょっと大きな問題、三つ柱を立てまして大臣の御見解を伺わせていただきたいというふうに思っております。  そのまず最初が司法制度改革についてでございます。  皆さんのお手元に資料を配らせていただきましたが、ちょっと訂正をお願いをしたいというふうに思っております。それはどこかと申しますと、済みません、法務省から資料をいただいたもので作ったんですけど、後ほどあれがありましたので、四ページの上から二こま目の行政事件訴訟法の一部を改正する法律、その施行の期日のところに十七年四月一日、括弧で一部例外ありとなっておりますが、これ、一部例外ありは取っていただき、訂正をいただければというふうに思っております。  さて、今日、この資料を配らせていただきましたのは、見ていただきますと分かりますように、この司法制度関連法、平成十三年の臨時国会からまあ本当によくこれだけ議論をし、そして成立を期してきたものだなと、改めてこれを私も見ながら感じた次第でございます。この間、政治の場で様々な改革の取組が進んでまいりました。その中で、私は正直、この司法制度改革が最も成果を上げた改革ではなかったのかなというふうに思っております。これまでとかく日の当たらない司法の部分ではございましたけれども、司法にかかわる者、そして政治の場、あるいは国会、あるいは多くの市民、そして各分野の皆さん参加の下にこの司法制度改革が進められ、そしてこれだけの言わば果実を生み出してきたということは、日本社会のこれからの歴史にとっても大きなやはりこれは足跡になるのではないかというふうに思っております。これは正直、与野党、そして政府、垣根を越えまして共同して取り組んだということでもあろうかと思います。  ただ、正直申し上げまして、大変こういうものというのは進めるときは相当熱に浮かされると、ちょっと言葉が過ぎますけれども、そういう部分もありまして、だからこそここまでできるということもあるんですけれども、改革という、そういう波に乗って行われたという部分もございます。そういう意味では、決してマイナスに評価をするという意味ではありませんけれども、振り返ってみますと、何か少しもう改革改革という名の下で足が前に進み過ぎたかな、あるいはこれまでの良き、いい意味での司法の在り方、そういうものを少し頭からもう忘れ去ってしまって取組というか、成立をさせてしまった法律もなきにしもあらずなのかな、いろんな反省点、あるいはこれから残された課題もあるのではないかというふうに思っております。  ちょうどこれからいよいよ実施段階に移ってまいります。そういう意味では、これからがまた正念場。どうも一回できてしまいますと、その後というのはいささか熱が冷めたような形になりまして、一体成立した法律というのは、あれ、そういえば施行されたのかな、これからかなとか、そんなちょっと多少関心が薄れていく部分などがあったりいたします。そういうことになっては困るわけでもございますので、是非これからしっかりと原点をもう一度踏まえつつ、十分施行に向けての努力をこれもまたこぞってやっていかなければいけないというふうに思っております。  私も何かあるとこの司法制度改革、やっぱりバイブルとまでは言いませんけれども、司法制度改革審議会から出された意見書、これを一番やっぱり基本に私もさせていただきながら、いろんなこの制度のこれからの進み具合についてチェックを、目をやっぱり向けてまいりたいというふうに思っております。  そういうこの司法制度改革でございます。大臣にも、これからその実施に向けて大いにリーダーシップを取っていただければというふうに思っておりますけれども、これまでの経過あるいは成果、そして問題点、あるいはこれからの取組に向けての大臣としての御所見をまずお伺いをしておきたいというふうに思っております。
  38. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 千葉先生におかれましては、長年弁護士として、特に人権派弁護士として大活躍をされ、議員になられてからもこの法曹界のことについては特段のお力を賜っております。また、民主党の今シャドーキャビネット、英語を使うと怒られるんですが、最近、の法務大臣をなさっておられると承っておるわけでございます。これからいろいろな意味で、与党、野党、立場は違いますが、御指導、御鞭撻をいただくことになると思いますので、まずもってよろしくお願い申し上げる次第でございます。  司法制度改革につきまして、先生から資料をちょうだいして、この一覧表を見て改めて、先生もよくぞここまで来たとおっしゃっておられましたが、私も改めてこんなにもやったのかという思いでございます。まあ、私の場合、自由民主党の中でこの問題をともかく一歩を踏み出した最初の、最初の一歩、何かのポスターに書いてありますが、最初の一歩のときに、あれは橋本内閣でしたけれども、司法制度改革の党の組織が立ち上がったときに、保岡先生と一緒に事務局長でこの問題に取り組み始めたわけでございますが、あのころは、もう正直言って私は法曹界の保守性をよく知っていますから、とりわけ最高裁判所のこの後ろ向きさは弁護士時代もう身にしみておりましたので、よもや前へ進む、こんなに進むとは少しも考えておりませんでした。ところが、いろいろいろいろと話してみますと法務省法務省はいつも中立的なんですが、最高裁は非常に熱心に進めなきゃいかぬというお気持ちになっておられることを知りまして驚きましたが、ああ、これならできるかもしれないという気持ちで一生懸命取り組んだ、取り組み始めたことを本当に昨日のように思い出すわけでございます。  先生おっしゃったとおり、もちろん完全なものではございませんが、しかしこれだけ様々な課題に手を付けてここまで来たと。点数を付けるわけにはまいりませんが、もちろん百点満点ではありませんですけれども、まあ一応合格点と申しますか、のところまでは来たのではないかなというのが全体としての私の印象でございます。もちろん、このでき上がったものについて、例えば裁判員制度、始まってはおりませんが、あるいは法科大学院にいたしましても、試行錯誤と申しますか、やってみた結果、やっぱり手直しというか、修正あるいは改正ということはあり得ると思いますが、ともかく始めて、やってみてということが大事ではなかろうかというふうに思っております。  司法試験の合格者数も、今千五百人までなりました。行く行くは三千人ぐらいをめどに増やそうと、日弁連さんもよもや賛成すると思わなかったんですが、賛成されまして、その三千人体制、あるいはもっと状況によっては、そのときの状況によりますが、そこまではやろうということになっているわけですけれども、増えた場合に弁護士さんの業界どうなるのかという不安といいますか、心配なきにしもあらずなんですが、しかしそれも、弁護士という資格を持った方がもっともっといろんな意味で官庁の中とかあるいは企業の中、幅広く活躍していただくというきっかけにもなるのかなと思ってみたりしております。  激動する社会の中で、これはグローバルに大変革が進んでおりますから、これから司法、法の支配を全うする司法の役割というのは大きくなっていく一方だと思います。自己責任型社会、事後チェックという社会と言われておるわけですけれども、そうであればあるほど裁判所検察庁弁護士会、司法の果たす役割というのは重くなりこそすれ、軽くなることはないと思います。この成果を、あくまでも通過点でありますが、今後とも、もちろん先生方の御指導をいただきながら前へ進めていく、総理の言葉をかりれば改革に終わりはないということだと思いますけれども、まあ戦後と申しますか、昭和の世界でいいますと、終戦直後のあの大改革に匹敵する、あるいはそれ以上の大きな改革を成し遂げつつあるんじゃないかなというふうに思っております。  法制の整備としてはほぼ仕上がっておるわけですけれども、今後新たに取り組むべき問題も幾つかございます。先生方御承知のとおり、この四月から日本司法支援センターが発足して十月から業務開始いたします。この組織については私、自民党の中でその主査を務めまして法案のたたき台を作りましたので、特に思い入れが強い一つでございますが、そのチーム韓国にも視察してまいりまして、韓国には大韓法律救助公団という公団がございます。何と申しましょうか、日弁連がやっておりました法律扶助協会なんというのはちゃちなもんで、もうともかく、何と言ったらいいか、壮大な組織が立ち上がりまして立派な運営をしております。話が長くなりますけれども、韓国に負けるなが合い言葉でありまして、ついこの間も、大臣になって、三年たったもんですから、最初の訪問から、韓国へ行って見てまいりましたら、更に進んでおりました。韓国に負けないような、サイズだけじゃなくて中身でも、司法支援センターを立ち上げてまいりたい。  様々な事業、扶助協会のやっております事業以外にもたくさんの事業が付加されております。犯罪被害者に対する支援でございますとか過疎地対策とか、様々ございますので、あのねらいのとおり、最終的には、年月を掛けてまいりますが、全国津々浦々に郵便局のように、郵便局を利用したりして、ともかくこのネットワークを広げまして、国民皆さんにある、中にあるニーズ、法的トラブル多くなっております。おれおれ詐欺だとか振り込め詐欺だとか、法律相談ではこなし切れない、ああいうのは最後までやってあげないと不安なんですが、そういう皆さんのニーズに的確にこたえられるような頼りがいのあると申しますか、そういう組織にしていく必要があると思っております。  役員も内定いたしまして、全国、取りあえず都道府県単位で支部を立ち上げて準備をいたしてまいりますが、私は関係者の方に合うたびに、これはお役所仕事でないと、絶対にあってはならないと。これ特殊な法人でございますが、大体今までの公団、公社、特殊法人というのは、民間の悪いところと役所の悪いところを寄せ集めたようなものだと、こう世間が言うぐらい官僚化しやすいものでございます。あくまでも国民の方に目を向けて親切に丁寧に御相談に乗ることから始める、そういう組織でなきゃならないという、口を酸っぱくして言っておるわけですが、そういう本当に国民の目から見て、まあ駆け込み寺といいますか、頼りがいのある親切ないいところだというふうに言われるような組織に立ち上がっていきますように、先生方におかれましてもひとつ十分に目配りをしていただいて、全国各地で至らない点は御叱正を賜りたい、また様々な形で御支援をいただきたいと思っております。  裁判員制度もまだPRの段階でございまして、まあ、あれについては私もいろいろ意見があって、私はドイツの参審制度がいいと思ったんですけれどもああいうふうになってしまって、まあ参審制度は参審なんですけれども、ちょっとこの裁判員の数が多過ぎて裁判所が大変だろうと思うんですが、まあしかし決まった以上スタートしてやってみて、関係努力して、修正するとすれば何年かやってみた上で修正すればいいと思いますけれども、万全の実施準備をしてまいりたい、PRから始まってですね、そう思っております。  残っております主なものを言いますと、法令の外国語訳整備の推進、まだ始まったばかりでございます。それから、裁判外紛争解決手段、横文字使うとまた怒られますが、ADRと称するものですが、これも隣接業種にもっともっと広げていかなきゃならない作業が残っております。  法教育の推進もございます。こういう教材を作りまして、「はじめての法教育」、中学校三年生対象にしているようですが、まだ全部やっておりません、試験的に幾つかのところでやっておる教材でございます。これを先生方に読んでいただいて、例えば町内会の規約を作ろうとか、法とは何かということをここから先生に考えていただいて、まあ何単位といいましょうか何時間か教えていただくということで、一応こういうものは作ってある程度配付しておるようですが、これを更に進めて、まあできれば中学のうちに全校で進めるぐらいにしたいと思います。で、教育指導要領の書きっぷりがまだはっきりしませんので、もう少し今度の改訂に当たっては法教育をもっと進められるような書きぶりに改めるように今協議をしてもらっておるところですが、進めてまいる等、課題が残っております。  しっかりとやってまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  39. 千葉景子

    ○千葉景子君 ありがとうございました。本当に率直な大臣としての御所見を伺えたような気がいたします。  おっしゃるとおりに、もちろん本当に百点というわけではありませんし、いろんな部分でまた歩きながら見直していくという作業が必要になってくるんだろうというふうに思っております。是非この委員会にもまた節目節目でこの司法制度改革の進捗あるいは施行の状況あるいは問題点、検証するような、そういう審議の場などを是非今後も設けていくことができたらというふうに思いますので、その点はまた委員長の下で御協議をいただければ有り難いというふうに思っております。  最高裁の方も、やはりその一翼を担う担い手でございますので、御決意といいましょうか、御所見を簡潔にお願いをいたしたいと思います。
  40. 園尾隆司

    最高裁判所長官代理者園尾隆司君) ただいま法務大臣からコメントがございましたが、現在の最高裁の認識について申し上げたいというように思います。  このたびの司法制度改革は、ただいま委員から御指摘がございました司法制度改革審議会意見書にも記載されておりますとおり、我が国社会が事前規制型社会から事後チェック・救済型社会への移行を目指す中で、事後チェック及び救済の中心的役割を担う司法の役割が一層重要となり、司法の充実強化を図る必要があるという認識に立つものと理解しているところでございます。  そのために司法のあらゆる分野に及ぶ広範な改革が行われておりまして、例えば民事裁判の分野では、平成十七年四月に知財高裁がスタートしました。本年の四月には労働審判制度が施行されるという予定でございます。また、刑事裁判の分野におきましては、三年後に裁判員制度という国民の司法参加を目的とする重大な制度が施行されるということが見込まれるなど、いずれの分野におきましても改革のための様々な新しい制度の運用が開始されてきております。これらを、そのどの一つを取りましても、裁判所が全力で取り組まなければならない重要な課題ばかりでございます。  裁判所としましては、このような司法制度改革の趣旨を実現するために、事件処理体制の一層の充実強化を図ってきておりまして、既に導入されましたいずれの制度につきましても改革の趣旨に沿った適正な運用をするように努めてきたところでございます。また、今後導入される裁判員制度等の新たな制度につきましても、現在その円滑な実施に向けて総力を挙げて準備に取り組んでいるところでございます。  最高裁としましては、今後とも、法務省、日弁連その他の関係機関との連携をしっかりと図りながら、司法制度改革の趣旨を実現するように全力を尽くしてまいりたいというように思っております。
  41. 千葉景子

    ○千葉景子君 ありがとうございました。  是非、まあこれは全員のそれぞれの関係するもの、そして言わば国民、市民の中でも全体で推し進めていくという問題ですので、どうぞ積極的にお取り組みいただきますようよろしくお願いをしたいと思います。  最高裁、ありがとうございました。結構でございます。  それでは次に、大臣に、もう二番目の柱でございますが、これも国際的にも懸案事項にもなっております、日本社会でも大きな取組課題であります人権侵害救済制度、この確立、これが長らく議論になっております。政府の方からも人権擁護法案という形で提起をいただいた経緯もございます。しかし、なかなかこれが国際基準に本当に沿うものであるのか、真の意味で人権侵害救済制度として位置付けられるのかと、こういういろんな議論もありまして今滞っているというのが実情でございますが、この人権侵害救済制度あるいは法制度の確立に向けまして、総理も今国会の冒頭、民主党の前原代表の質問に対する御答弁でまず前向きなお考えを示されておられたと認識しておりますが、大臣としてはいかがでございましょうか。この国会も含めて、お取り組みの姿勢、お聞かせをいただきたいと思います。
  42. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 人権侵害の迅速な救済を図るということはもう非常に重要だと思います。犯罪も人権侵害行為なんですね。要するに、世間に広く周りを見渡せば一杯人権侵害はあるわけなんです。それを細かに抑止していけば、結局犯罪防止にもつながっていくのだと私は思っております。  そういう意味で、人権擁護法案が今のような状況なのは誠に悲しい状況で、一刻も早く提出させていただいて、修正はもちろん、議会が法律を通されるわけですから、先生方の御意向を伺って、修正すべきところはどんどん修正して結構でございますので、早期に提出させていただいて成立を期したいと願ってはおります。  ただ、御案内のとおり、今自民党の中でまずこの議論が大変盛んで収れんしていないという実情でございますので、是非とも議論を進めていただいて、修正を視野に入れた適正な結論をお出しいただければ有り難いと、こう思っております。政府というよりも、そこに突き当たって、壁に突き当たっておるという状況であることは御案内のとおりでございますが、何とか進めていただきたいと、こう思っておる次第でございます。
  43. 千葉景子

    ○千葉景子君 大臣、本当に率直な御答弁をいただきまして、滞っているのは自民党さんのところだというお話でございました。それは承知をある程度はしておりますけれども、政府としての責任ということもございますので、どうぞ積極的にこれも大臣のリーダーシップを取っていただきたいというふうに思っているところでございます。もちろん国会で議論をしまして、より良いものを作るということは当然であろうというふうに思っております。  それでは次に、三点目でございますけれども、今、人の動きというのは国を越えて非常にグローバルな活動になっております。生活も、国内にとどまらず、いろんな各国で生活をするというような実情もございます。人間関係もしかりでございます。そういう中で、ちょっと国籍に関して幾つか起こっている問題がございますので紹介をさせていただき、これについて大臣にもより一層関心と、そして解決の道を切り開いていただければというふうに思っているところです。  一つは、重国籍の問題でございます。  これは経緯がございまして、一九八〇年に女子差別撤廃条約が批准をされました。それに伴って日本の国籍の制度が、父系優先主義ですね、父の方です、から父母の両方の主義に改正になりました。そういうことも関係をいたしますけれども、その際に、国際結婚などによって重国籍が増えるのではないかと、そういうことで国籍選択制度というのを同時に採用いたしました。そういうことで、今、日本の国籍とそれからどこか諸外国の国籍を二重に持つということはかなわないと、こういう今実情でございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、大変人の関係あるいは移動、こういうものもグローバル化しているもんですから、例えば、日本に元々生活の場はあるけれども仕事関係などで諸外国で大変活躍をしている、しかし活躍をするためにはそこで資格を得たりもしたいと、そのためにはそこの国籍がないとうまくいかない、しかし日本のやっぱり自分の元々のアイデンティティーを残しておきたいと、こういうようなケースもございます。  あるいは、こういうことは御自分の意思ということもかかわりますけれども、子供ですね、国際結婚をする、そういう中で生まれたお子さんとかですね。最初に両方の、外国で、例えば日本の女性と外国の男性との間で生まれた、日本の国籍もあるし、それから外国の国籍も得ていると。ただ、これは一定の年齢になりますとどっちかにしなさいと言われまして大変その選択に悩むと、こういうケースもございまして、何とかここをできないものだろうか。まあ悪さをするというつもりは全然ないわけでして、何とか解決の道はないだろうかという、こういう悲痛な声も大分多く出てきております。  それからもう一つは、これは元々問題になったことがございます。日本の男性と例えばアジアの中でですね、の女性との間に子供ができたと。結婚をしているということであればいいのですけれども、婚姻関係にない、そして認知も生まれてから認知をしていると。ですから、父親というのは確定はしているんですけれども、国籍を持てないと。こういう今制度になっております。  そういう中で、やっぱり子供には責任はありません。そして、父親が日本人であるということは分かっているわけですから、確定をしているということですので、こういうときに国籍を持つことができない、日本の国籍を持つことができないというのは大変子供には気の毒というか、大変悲しいことなのではないかというふうに思っております。こういう問題も一部裁判などにもなっているようですけれども、やはり何とか子供のためにも道を開けないかと。こういう問題があり、国籍にかかわる問題が幾つか出ております、課題がですね。  今すぐ回答とかあるいは結論と私はここでは申し上げませんが、是非目を向けていただきまして、何か解決の道を一緒に御検討いただきますように心からお願いをさせていただきたいと思いますが、是非お取組だけはしていただけないでしょうか。大臣、いかがですか。
  44. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 先生の御意向、承りました。外国人問題PTで副大臣が取り組んでいただいておりますし、副大臣の方からお答えをさせていただきたいと思います。
  45. 河野太郎

    ○副大臣河野太郎君) 二重国籍の問題、まあ重国籍の問題でございますが、実はプロジェクトチームを立ち上げましたときの大きな問題の一つでございました。委員幾つか御指摘をいただきましたが、成人の日本人が他国で活躍するために他国の国籍をという場合は、これはやはりどちらか選択をしていただかなければならないだろうというのがプロジェクトチーム検討の方向でございます。  ただ問題は、国際結婚ですとかそういう場合に、父母のどちらかの国籍の選択を迫るというのは余りにも酷ではないかという要請は、例えばフランスの方と結婚された方から本当に悲痛な陳情を寄せられているのも事実でございまして、これを何とかできないだろうかという検討をしているわけでございますが、例えば徴兵制度のある国ですとその徴兵をどう回避するのか、あるいは外交保護権がバッティングする、これをどうするのか、それからその身分関係が別々になってしまうと重婚の問題も出てくるだろうとかですね、実は考えてみるとこれなかなか一筋縄ではいかないなと。  それからもう一つは、二重国籍の方が外国のパスポートで日本に入ってこられて日本でパスポートを取って出国すると不法残留に数字上は載ってしまいます。これは別に実害があるわけではありませんが、少なくとも統計的にはその数字が消えない。それから、外国の政府のトップに日本の国籍を持ったままなってしまうようなことも、まああのフジモリさんのように現実にそうしたことが起きたわけでございますので、これはなかなか解決は難しいのかなと。  ただ、国籍は二つあっても例えばパスポートは一つだけとかですね、何かそういう解決策があるんではないかということはそのPTでもいろいろ議論をさせていただきました。ただ、そういう場合には日本国内の法整備だけではできずに、何か国かで国同士の二重国籍はこういうルールでやろうという取決めができれば、じゃパスポートはこっちにしようとか、二重国籍だよという登録をちゃんとしてくださいとか、そういうことができれば解決に向けて前進できるのではないか。現状では、正直言って二重国籍かどうかの把握もできないということでございます。  そういうことで、これは一生懸命今検討をしているところでございますが、国内だけではなかなか難しいというのが現実だろうと思います。  それから、日本人の男性と外国人の女性の問題でございますが、確かに出生後の認知で国籍の問題どうなんだということがありますが、これ、その出生後数日で認知して明らかに親子だねというケースがあるかと思えば、二十年ぐらいたってお父さんが来て、いや実はおまえはおれの子だと言って認知するとそれで日本国籍になってしまうというのも変な話でございます。まあそれは極端な例と言われれば極端な例なのかもしれませんが、そういうことも理論上は起こり得るということだと思いますので、そういう問題があるということを、これも少し検討課題にはさせていただいて、当面はしかし現状でやらなければいけない。  しかし、これだけ国際化が進む中で、二重国籍の問題、見て見ぬふりはできませんので、しっかり前向きに取り組んでいきたいというふうに思っております。いろいろ御指導、よろしくお願いしたいと思います。
  46. 千葉景子

    ○千葉景子君 ありがとうございます。  これまでなかなか踏み込むことができませんでおりました議論をいろんな形で進めていただいているということを私は高く評価をさせていただきたいというふうに思いますし、是非これは、私も結論といいますか、こうすればうまくいくというのを私自身もまだまだ持ち合わせるまでには至っておりません。一緒に考えさせていただけたら大変有り難いというふうに思っておりますし、認知に伴う国籍の取得の問題も、まあ極端なことはあるかもしれませんが、子供の側、子供の立場ということを考えてまた御検討は続けていただければ大変有り難いというふうに思っております。  それでは、ちょっと大きな、大臣に宿題というわけではありませんけれども、今後取り組んでいただきたいという問題三本、お願いとそれから御見解をお聞かせをいただきました。  次に、別な課題に入りたいと思いますが、実は、ここのところ大変問題になっておりますのがあの情報流出の問題でございます。これにつきましては、この間、ちょうどこの委員会が今回が初めてということになりますけれども、様々な部分で経緯は私も聞かせていただいております。経緯を説明をいただくとまた時間が大変掛かりますので、もう報道などがされておりますのでそこは詳しく、結構でございます。いずれにしても、ウィニーという交換ソフト、これが一つの大きなきっかけになりまして刑務所内の様々な情報が外部に流出をしてしまったということでございます。  まずお聞かせをいただきたいんですけれども、そもそも出てしまったということ自体は、刑務所情報なんですけれども、こういう情報がどういう管理をされていたのだろうかと。  経緯を見ますと、職員が被収容者の個人情報も含まれたものを自分の自宅のパソコンに集積をしていたというか、ため込んでいたと、こういうことが一つの背景になったわけですけれども、こういうことがこの一件だけで本当だったのかと。これ、たまたまそこでウィニーを使っていて、そこにウイルスが取り付いて情報が流出したということですけれども、実態として、こういう自宅に持ち帰る、で、個人的な情報も省内、省外で自由に職員同士がやり取りをしていたというようなこういう実情、どんなふうになっていたのか、まずそこをお聞かせをいただきたいというふうに思っております。これがたまたまの一件なのか、それとも省内でこういうことはごく普通に行われていたということなのか、そこのところはいかがでしょうか。
  47. 小貫芳信

    政府参考人小貫芳信君) まず、公的な情報の持ち出しの状況から説明さしていただきますが、この事案の発生後、矯正局におきまして、再発防止の一環としまして、職員による公的な情報の外部持ち出しの有無等を調査を実施いたしました。その結果でございますが、個人情報を含んでいないものも含めまして、公的なものが約百七十名の職員によって自宅に持ち帰られていたということが判明いたしました。なお、この持ち出しが判明した情報につきましては、直ちに施設に返納させまして廃棄したところでございます。  なお、前段の御質問の中でどんな管理をしていたのかと、こういう御質問があったと伺っておりますので、まず矯正局の関係でございますが、矯正施設における情報というのは大きく分けると二つのものがございます。一つは、収容者のデータ管理システムというデータベースで管理しております被収容者情報と、それ以外に、共用パソコン等で使っております各種文書等の一般業務データというものがございます。いずれもインターネットに接続しない法務省の専用回線網を利用した閉鎖型のものでございますから、外部からはアクセスできないというものになっております。なおかつ、前段で申し上げました被収容者のデータ管理システムにつきましては、ICカード及びパスワードを導入いたしまして、管理者及び使用者を明確に限定して管理しております。  これに対して、問題になったのが今回はこの後者でございまして、一般業務データは施設内の職員であれば閲覧や複写ができる状態にございます。今回流出したのは、正にこの一般業務データが外部記録媒体に複写されまして、これがいろいろ報道されておりますような経過で外部に流出していったということであります。  なお、この個人情報の管理につきましては、情報持ち出しは原則禁止ということになっておりまして、どうしても持ち出す必要がある場合は上司の許可を受けると、こういうことになっております。しかしながら、今回は極めて遺憾な事態を生じているわけでございまして、こうした個人情報の管理が完全になされていなかったと、こういうふうに私どもは認識しております。  そういうことで、再発防止の一方策として、施設内のすべてのコンピューターに外部記録媒体に複写等を不可能にする機能を取りあえず早急に追加いたしまして、電子情報を施設外持ち出しができないような措置を講ずることとしたところでございます。  以上でございます。
  48. 千葉景子

    ○千葉景子君 今のをお聞きをいたしますと、このウィニーを通して外部に流出したことは、大変私はとんだことだというふうに思いますが、逆に言えばこれが、こういう事件がなかったら、今お話しのように、内部の情報を持ち帰ったり、あるいは個人情報の管理というのがこれはかなりずさんであったということが分からないままにこれからも推移していたんじゃないかと。逆に言えば、これもまた非常にびっくりするといいますか、遺憾なことじゃないかなというふうに思います。この流出したこと自体は大変ですけれども、内部でも逆にこういうことがなければ、個人情報がいかにずさんに扱われていたのか、管理がいい加減だったのかということをある意味では明らかにしたということになるわけで、私はこれからの対応というのが大変重要になってくるだろうというふうに思います。  そこで、細かいことはまだまだあるんですけれども、今ちらっとおっしゃいましたけれども、この情報流出の再発防止対策、これについてはどのような対策を講じられたのか、それから今後講じていくのか、そこをまずお聞かせをいただきたいと思います。
  49. 小貫芳信

    政府参考人小貫芳信君) まず、今回の事案を反省していまして、重要なことは情報を施設外に持ち出させないことを徹底することにあると、こう考えまして、個人情報の外部への持ち出しを改めて厳しく禁止して、今回の事案を踏まえた速やかな教育、研修を全職員に対して実施するように指示して、現在行っている最中でもございます。また、職員が自宅等のパソコン等に保存している職務上の情報の有無を調査いたしまして、これについては職場返却あるいは消去という手段を講ずることを指示したところであります。  更なる抜本的な対策として早急にやるべきものと考えておりますのは、先ほども触れましたとおり、矯正施設等のすべてのパソコンに対しまして、保存データを外部記録媒体に許可なく複写することを防止するための漏えい防止ソフトを追加すること、二番目は、パソコン本体を施設外に持ち出すことができないようなセキュリティーワイヤで固定するというようなハード面の施策、さらに、最新の情報セキュリティー対策に関する資料を作成いたしまして矯正施設提供して職員に徹底することとしております。さらには、実際、日常こういったことは徹底して行われているかどうかということをチェックする必要があると、こう考えまして、予告なしの特別監査を実施し始めたところであります。  さらには、今回の流出事案の動機をよく調べてみますと、研修あるいは執務の参考資料に使用したいとして職員が個々に情報を集めたことが原因の一つになっているように考えられましたので、職務執行力の向上に役立てることのできる、個人情報に関係しない、それらを抹消した矯正実務に即した執務の手引も早急に作って、そういう動機が生じないような方策も講じたいと、このように考えているところでございます。
  50. 千葉景子

    ○千葉景子君 ちょっと確認ですけれども、百七十というのは矯正関係での数でしょうか。
  51. 小貫芳信

    政府参考人小貫芳信君) そのとおりでございます。
  52. 千葉景子

    ○千葉景子君 今、矯正関係で百七十と、横からもお話がございましたけれども、本当にそうすると、今日ちょっとあれしませんけれども、法務省全省で一回どうなっているのかということはまた改めてチェックをいただきまして、御報告をいただく機会を持ちたいというふうに思いますが、本当に驚くべき数字だというふうに思います。  これまでも結局は持ち帰ったり持ち出しは駄目と、そうはなっていたけれども、これだけあるわけですから、今いろいろな対応策ということもおっしゃっておられますけれども、本当にそれが実効性を持つようにやるために、相当なやはり意識改革も含めて努力が必要なのではないかというふうに思います。  特に私は心配をするのは、この流出した情報というのは言わば刑務所、受刑者の個人情報が含まれているわけですね。それで、出所なさった人の情報もあると、こういうことも言われております。これは非常にセンシティブな個人情報だと思うんですね。せっかく社会に出て更生を図り、そして平穏な生活、頑張っているというようなときに、こういう情報が万が一にもいろんなところで目に触れる、あるいは第三者に渡っていくということになったときに、どれだけのやっぱり個人にとっての被害なのかということは計り知れないものがあります。で、これ消すことができないということですから、今日明日というんじゃなくて、十年先、二十年先に、えっというときにまたそういう情報がどこからともなく出てくるということだってあり得ないわけではないんですよね。  やっぱり、特に今回、刑務所等の個人情報というのは、情報を流出された側に対して一体どういう姿勢を持って対応していこうとされているのか、大変難しい問題だというふうに思います。その点についてはどんなふうに今考えておられるのでしょうか。
  53. 小貫芳信

    政府参考人小貫芳信君) 現時点におきましては、一般の方々のところに流出した情報が現実に入手されているという事実は把握できておらないところでございますが、こういった点について継続して情報収集に努めまして、そういった事実の把握に今現在努めているところでございます。  そういう状況の中で、情報の主体になっておられる方々にどのように対応すべきか、現在鋭意検討中でございます。
  54. 千葉景子

    ○千葉景子君 まさかこちらから、こういう情報が漏れているんで名のり出てくださいなどということはとてもできる情報ではありませんし、先ほど言ったように、いつ、どういう形で情報が、だれかが取得をするかもしれないと、こういう状況です。  ただ、少なくともこの情報の主体となっている人については、非常にこれは自らのプライバシー、そして人権を損なわれると、こういう問題にかかわるわけですので、是非そこは、的確に対応を取ることができるように是非、検討中ということでございますので、何か私どもも部内でお話を伺った際に、損害賠償をするんだなどという、割と軽々しくそういう言葉を使われた部分もあります。本当にそういうことも含めて検討なさっているのかどうかあれですけれども、是非そこはまた、検討状況は今後もまた御報告をいただいてまいりたいというふうに思っております。  大臣、ちょっとお聞かせいただきたいんですけれども、このような問題、再発防止にとっても非常に、何かほかいろんなところで今回は情報流出しているんですけれども、刑務所などで被収容者ということで、まあ刑務所の中の人だから何か少し個人情報を安易に使われていたというか対応されていたんでないかと、こんなことすらちょっと懸念をするわけですが、いずれにしても、まず刑務所情報などは非常に配慮をしなければいけない、高い配慮を求められる個人情報なんだと、そういうことがやっぱり部内にどれだけ徹底されているか、それから徹底していかなければやはりいろんな対策を講じましても繰り返されるという、そういうおそれもあるわけですが、その点について、特に行刑施設などではこういう点が大事だというふうに思います。その点、大臣、どうでしょうか、どういう形でその辺を徹底なさっていかれるか、是非そこはお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  55. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 先生指摘のとおり、職員の意識改革が基本的には必要だろうと思います。本当に遺憾な事態でございまして、そんなに悪気があってやっていたとは思えないんですが、しかし規則に違反したことは間違いございません。規則で、職員が職務上の情報を上司の許可なく、許可を要すると、持ち出す場合には。それに、庁外に持ち出していたことは間違いございません。改めて指示徹底しておりますけれども。  先生指摘の、どういうふうに今後取り組むか、全体どう把握するかということについては、先月の十七日ですが、省内に事務次官をトップとする情報流出防止緊急対策連絡会議、省議メンバーを中心ですが、立ち上げまして、全省的な情報管理の在り方についての緊急点検を行う、そして、今後情報流出を未然に防止するための必要な対策を講じるということを指示してございます。作業始まっております。  また、これはたまたまですけれども、昨年十二月に、政府機関の情報セキュリティー対策のための統一基準が策定されておるわけでございます。これを受けて、これはたまたまですが、並行して法務省でもこの統一基準に基づく新しいセキュリティー対策基準の策定作業を進めておるところでございます。このセキュリティー対策基準におきましては、情報の重要度に応じたアクセス制御をするほか、職員に対するセキュリティー教育の実施など、様々なセキュリティー対策が盛り込まれることとなっております。目下、策定作業を進めておるところでございます。これからはこれらの対策を徹底させまして、適正な情報管理に努めてまいりたいと思っております。
  56. 千葉景子

    ○千葉景子君 こういうところで、大臣、是非胸を張ってリーダーシップを取っていただきたいと思うんですが。  悪気があったらとんでもない話です、もうこれは。ただ、逆に悪気がなくてやるということは、やっぱり情報というのが一体どういうものか、それから行政機関でその情報をたくさん集積をしている、一体それはだれが、だれのものだということから含めて、やっぱり情報とは何かというそこの意識、しかも刑務所等は極めてプライバシーにかかわると、こういう基本的な個人情報に対する意識、ここをやっぱりもう一度徹底をすることが必要なんではないかというふうに思います。是非、これからそういう部内の意識改革あるいはその徹底、十分にしていただきたいというふうに思っているところでございます。  それから、今回はこの情報流出事件というのは行刑施設ばかりではなくて、私も報道等で見る限りではありますけれども、検察とかそれから警察、たしか裁判所もありましたよね。それから自衛隊関係、これもありました。今度は民間の方でも、これはウィニーということを通じて今大変な問題になっているわけですけれども。その民間の問題は別としても、やっぱり政府、行政機関全体で、やっぱり情報の扱い、持ち帰りとかあるいは自分のパソコンに保存をしてしまうとか、こういういろんな問題が行政全体に今存在をしているのではないかというふうに思っております。  政府も、昨年末からですか、一つの取組を進められてきているということですけれども、世界一安全な国日本と言っている中で、一番、何かこれじゃ世界一、一番不安な国ということになってしまいかねないわけですので、これ政府全体としてももう一度こういう情報の管理あるいは意識の徹底、こういうことをしていただかなければならないと思います。  たまたま法務省、この問題で、変な意味で一番最初にこの流出問題で大変な事態になったということもありますので、大臣、是非、政府の全体で、これは大変なことだと、取り組んでいかなければいけないということを是非、閣議等も含めてで提起をいただいて、そして総理もそういう何かお考えちょっとお持ちのようですけれども、是非、政府全体として情報管理のシステム、在り方、こういうことに取り組んでいただくように是非リーダーシップ取っていただきたいと思いますが、御決意のほどをお聞かせいただきたい。
  57. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) もう先生のおっしゃるとおりでございます。微力ですけれども、一生懸命頑張ってまいりたいと思います。
  58. 千葉景子

    ○千葉景子君 ありがとうございます。  この問題はちょっと今日はこの程度にさせていただきますが、まだまだ根深い、あるいはどう対応していったらいいのか難しい問題もあると思いますので、今後もまた引き続き、それぞれ議員が、お聞かせをいただく機会もあるかというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。  さて次に、大臣も安全な国づくりということをおっしゃっておられます。そして、実は民主党でも、この国会、まあ安全国会といいましょうか、やっぱり生活のいろんな不安を取り除いていく、とりわけ子供の安全などを実現をしていくためにいろんな議論を展開をしていきたいと、そして問題提起もさせていただきたいということで取り組んでいるところでございます。  そういう中で、性犯罪者に対する様々な再犯防止策、こういう点についてこの間幾つかの施策が進み始めておりますので、これらについて何点かお聞かせをいただきたいというふうに思っております。  大きくは、一つは出所者情報の提供ということが昨年から行われております。それから、これからという、実際はそうなんですけれども、性犯罪者に対する処遇プログラムの実施ということがもう一方の柱として行われるということになろうかというふうに思います。  そこで、まず出所情報の提供についてお聞かせをいただきたいと思いますが、昨年六月から性犯罪者の出所後の情報開示が開始をされておりますが、その実施状況、それからそれによる所在確認の状況、どんなふうになっておりますか。警察庁の方でよろしくお願いいたします。
  59. 竹花豊

    政府参考人竹花豊君) お答え申し上げます。  御指摘のように、昨年六月から法務省より十三歳未満の子供を対象とする暴力的性犯罪の前歴者の出所情報の提供を受けまして、出所後の居住状況等の把握に努め出所者の動向を見守るとともに、子供に対する声掛け、付きまといなどが発生した場合には、この情報を警察活動の参考として生かしているところでございます。  制度が始まりまして九か月を経ました本年二月末までに受けました、出所者情報の提供を受けました者のうち、百二十三名が出所をいたしておりまして、このうち百十三名については所在確認ができているところでございます。残りの十名については所在は確認をされておりません。  以上でございます。
  60. 千葉景子

    ○千葉景子君 この数がどうだろうかというのはなかなか評価が難しいところですけれども、百二十三のうち十が不明だということでございます。これにはやっぱりいろいろまだ難しい、難しいというか、要因があるんだろうというふうに思いますが。  まず、今回のこの犯罪者情報開示では提供の対象が十三歳未満の児童に対する強姦、強盗強姦、強制わいせつ、わいせつ目的の略取誘拐の四種類ということでございます。この問題が生じた背景は、きっかけは、二〇〇四年十一月に起きた奈良の少女誘拐殺人事件ということでもございました。こういうこともありますもんですから、まずは子供の安全をということだったかというふうに思います。  それと、軽微な、余り軽微なものにこういう情報をどんどん提供していくというのが、またこれも人権などの面でいかがかということもあり、こういう重大な大きな犯罪ということに限られたのではないかというふうに思われますけれども。  どうなんでしょうか、こういう非常に制約的な中で、しかも、なかなかその百二十三名のうち十名は所在不明ということでございます。警察としては、やっぱりこういう地域の安全、子供の安全を図る、あるいは全体としての安全な社会犯罪防止という観点では、この辺は御苦労があるのではないかというふうに思いますけれども。  どうでしょうか、この当面、当面行われているこの非常に制限的な中での情報提供ということですが、それについてはどんなふうに御認識なさっているでしょうか。
  61. 竹花豊

    政府参考人竹花豊君) 子供の安全を守るという大きな課題社会は全体として取り組んでおりまして、そのやり方につきましては、様々な角度で取組が進められているものと承知をしております。地域、保護者、あるいは学校、警察といった多くの関係者が連携をして子供の見守りの活動が進められているとも承知をいたしております。  そういう中で、昨年六月から始められたこの制度は、新しい制度でありますけれども、今申し上げました、先生指摘のように、一定の限界と申しますか、もございますけれども、この間の取組の過程で、こうした出所者が声掛けをした事案につきまして、それを、その出所者情報を生かしてその者を特定をいたしまして、これに対して警告を加え、その後の事案の拡大を防いだというものも現に生じております。そのような意味で、この制度は、子供に対する犯罪の抑止の上で一定の効果があるものと私どもも考えているところでございます。
  62. 千葉景子

    ○千葉景子君 これだけですべてを防止をするということではなく、今御答弁ありましたように、様々な見守りとか、地域でのお互いの、何というんでしょうね、協力の下で地域社会をつくっていくということであろうかというふうに思いますので、その中で、一つのこれは何というんでしょうね、取組の形ということなのかなというふうに思います。  ただ、これは効果を上げなければ意味がないという反面、やっぱり出所者の人権、プライバシーなどへの配慮はこれは欠かすことができません、ちょっと、もう当たり前の市民の一人なわけですので。その辺の配慮はどういう形でなさっておられるでしょうか。
  63. 竹花豊

    政府参考人竹花豊君) 御指摘のとおり、法務省から提供を受けました出所者情報につきましては、出所者の人権、プライバシーにも配慮をする必要がございます。警察部内におきましてその情報を厳格に管理するようもう絶対的な要請があるものというふうに考えているところでございます。  そのため、この情報を生かして様々な活動をする場合には、その責任者を担当する警察署の再犯防止担当官として、警部以上の階級にある者を指定をいたしまして、この者が指定をする補助者とともに、ごく限られた数でこうした情報を知る範囲を限りまして、彼らがこの対象者の、居住しているかどうかについての確認等を行うという形で、出所者の更生あるいは社会復帰等の妨げとならないように配慮をいたしているところでございます。
  64. 千葉景子

    ○千葉景子君 この難しいことの一つには、この出所者の居住予定地の申告というのが、任意の申告制といいますかね、になっていると。それから、なかなかその居住地ですね、予定地というのが、必ずしもやっぱり出所後なかなか自分の家に帰るという人は少なく、定まらないというような実情もあるということもございます。  そういう意味で、この出所者の居住予定地ですね、この帰住予定地の在り方というか、申告の在り方というか、これも余り縛るわけにはいかないとは思うんですけれども、この辺について今の制度上なかなか問題があるのではないかと思いますが、法務省は何かその辺はお考えはあるでしょうか。
  65. 小貫芳信

    政府参考人小貫芳信君) 今の御指摘の点、二つに分けて説明申し上げた方が分かりやすかろうと思いますので、まず帰住予定地についての仮釈放者、これについては、御案内のとおり、地方更生保護委員会において帰住地が指定されると、こういうことになっておりますので、これについては相当の実効性があるだろうというふうに思います。  もう一つ悩ましいのは、満期出所者でございます。この帰住地の把握は、基本的には受刑者の任意の申告によらざるを得ないと、こういうことであります。実際にいろいろ実情を調べてみますと、何々方面に帰りますというような申告にとどまる例もございまして、これがあるいは、先ほど警察庁から説明があったような所在不明に結び付いているのかもしれませんが、その辺はまた分析した上で検討したいと思います。そういうことで、行刑施設の中でこの満期出所者について帰住地を完全に把握できると、こういうシステムになっていないことは実情でございます。  ただ、そんな中で、満期出所者についても、受刑中に将来の仮釈放を前提にした環境調査ということを多くの場合お願いしてございます。そういう場合については保護観察所等でいろいろ帰住地についての調査をしていただいておりますから、この部分については、たまたま仮釈放にならずに満期出所しても帰住地についての情報の精度というのはかなり高いものがあるだろうというふうに思います。そうでない者については、通常、施設では、満期出所をしますと、その際に緊急の保護措置といいますかね、そこへ行くまでの、帰住地までの交通費を面倒を見る、あるいは、寒いところに帰るんであればいろいろ衣服の手当てもこれ必要だというようなことで、いろいろ受刑者と相談します。その中で帰住地情報を正確に把握できるようなやり取りをしていると、こんな努力をしているというのが実情でございます。  以上でございます。
  66. 千葉景子

    ○千葉景子君 これは本当に受刑者が満期で出所をして、社会の中にスムーズに復帰をする、まあ就業ができるとか、そういう環境であれば、この帰住先もある程度安定をしたり、そして落ち着けると。それがまた、情報、警察の方でも所在を確認をする大きな手掛かりになるということなんでしょうけれども、なかなか出てもすぐに仕事がない、そうするとまたどこかへ移動していく、いろんなそういう悪条件があると思いますので、難しい問題だなというふうに私も思います。できるだけこういうことが、何らかの形で所在の確認ができるような環境整備をしていく必要があるのかなというふうに思っております。  警察の方では、先ほどちょっとお触れがありましたけれども、こういう情報の下に、何か危ういなというような行動などがあれば警告をするなどの取組をされているわけですけれども、これも、何というんでしょうね、強制力があるわけではありませんし、それからやはりプライバシーの問題があって、まさか隣近所にいろいろと、よろしく監視してくださいと、そんなことを言うわけにはいかない問題でもございますし、難しいところが、御苦労がおありだろうなというふうに思いますが、その辺、先ほどちょっと効果のあった例もあるというお話でしたが、いかがなもんでしょうか。
  67. 竹花豊

    政府参考人竹花豊君) 情報を生かして居住先を確認をする、しかもそれを継続的に確認をしていくわけでありますので、それなりの工夫なり努力が警察としても求められているものと承知をいたしております。  しかもそのやり方は、こうした出所者の人権を十分配慮しながら行われなければならないということを考えますと、おのずから限りがあるわけでございます。しかし、そういう中でも様々な工夫をいたしまして継続的にこうした情報を得ました出所者について居所の確認等の作業を続けているわけでございまして、それは基本的に順調に推移しているものというふうに承知をいたしております。  その中で、先ほど少し申し上げましたけれども、子供に対する声掛け事案が発生した際に、その出所者情報を参考にいたしまして当該出所者がその声掛け事案の当事者であるということを解明いたしまして、その者に対して警告の措置を講ずるといったことを行った事例が、一件でございますけれどもございます。  こういう形で、積極的な意味でもこうした子供に対する犯罪防止するという、そうした効果も既に現れているものでございまして、この制度全体といたしましてはこの種犯罪防止に一定の効果を発揮しているものというふうに私ども考えておるところでございます。
  68. 千葉景子

    ○千葉景子君 ありがとうございました。  いろいろと試行錯誤といいましょうか、そういう中で御努力をいただいているという御様子でございます。是非、私どももその取組のいろんな問題点等もまた折々お聞かせをいただいて、より良き制度といいましょうか、にしていきたいというふうに思っております。ありがとうございました。  さて、もう一つの性犯罪者に対する教育プログラムの方ですね。これも細かい点はちょっと省かせていただきますけれども、十八年度からこの教育プログラム、性犯罪者に対するですね、をスタートをするということで、基本的には認知行動療法と、こういう手法を取り入れて行われるというふうに認識をさせていただいております。  ところで、この認知行動療法を含めて性犯罪者に対する教育ですけれども、初めての取組ということにもなりまして、一体これがどういうやっぱり具体的な中身で行われ、そしてどういう効果を持つものであるのかさっぱりまだ分からないというのが実情ではないかというふうに思います。実は、DVの行為をやった者に対するいろんな教育が必要だと、再生の教育が必要だという話があるんですけれども、なかなかこれも、じゃどういう中身が、それからどういう手法が効果的なのかということもなかなかこれまだ解明といいますか、はっきりとしたものはつかみ切れていないというのが実情ですから、この認知行動療法というのも一つの手法なんですけれども、これが本当に効果があるのかどうか、その辺はこれからやりながら考えていくということになるのかなという気もいたします。  これだけの大きな問題になったもんですから、何かまずはスタートをしなければと、こういう本当に気持ちと、そのためのスタートだというふうに思います。  そういう意味で、大事なのは、このプログラムについて、それから教育の実施の状況について不断にやっぱり検証し、そして見直しをしていく、あるいは他の手法などもまた検討していくということが必要なのではないかというふうに思いますが、このプログラム実施に当たって、今後のその検証とか、それから更なる手法の検討等含めてどんなふうにこれを進めていこうとなさっておられるのか、お聞かせください。
  69. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) お尋ねの性犯罪者処遇プログラムにつきましては、昨年、矯正局と保護局で合同でこのプログラムの開発の研究会を行いました。専門家の先生に御参加をいただきまして外国で先進的な取組をなさっている国等にも視察に行っていただきまして、今般プログラムの内容が固まりつつございます。平成十八年度から、矯正局におきましては行刑施設の中で、それから保護におきましては保護観察所におきまして、この性犯罪者プログラムを実施することにいたしております。  先生指摘のとおり、この性犯罪者処遇プログラムを実施いたしまして成果を上げていくにつきましては、何よりもその検証を行ってより良いシステムにしていくことが大事であると考えております。  そのような観点から、先ほど法務大臣政務官の方からも御説明がございましたけれども、再犯防止対策プロジェクトチームの方で、そのテーマ一つといたしましてこのプログラムの検証を行っていただくということになっております。そのプロジェクトチームの方でこの検証方法等につきまして御検討いただくことになっておりますので、それを踏まえて更に良いプログラムになるように努めてまいりたいと考えております。
  70. 千葉景子

    ○千葉景子君 もう一つ大事だと思いますのは、こういう教育ですので、やっぱりそれに関与する専門的な人材の育成というのが欠かせないというふうに思います。  この間の視察などで拝見して、刑務所内でも刑務官の皆さんが自ら教育の内容を開拓をして、いろんな努力をなさっておられる。いろんな自分たちが勉強してそして教育プログラムの展開をされてきたという経緯もございます。本当にそういう努力は私も大変貴いものだというふうに思いますが、これはやっぱりプログラムとしてきちっと位置付けていくとすればやっぱり人材が必要だというふうに思うんですね。それなくしてやっぱり教育というのは成り立ちませんので。  その辺について、どうもこの間のこの取組のいろんな計画の中にほとんど人材の育成の部分が余り見受けられないように思います。その点についてしっかりしていただきたいというふうに思いますが、いかがですか。
  71. 小貫芳信

    政府参考人小貫芳信君) 現在考案しておりますプログラムの実施については、相当の専門性が要求されると私どもも認識しております。そして、この専門的な人たちの活躍がなければこのプログラムの成功もないというふうに承知しているところでございます。  そういうことで、本年度まだ予算が上がっておりませんが、本年度の予算に計上しておりますのは、教育専門分野の方、更には調査、これは心理技官ということになりますが、そういう方の任用をお願いしていると。  具体的にどうするかということでございますが、全国刑務所の中で従来もこういった方面でいろいろパイロット的にやってきている施設がございます。これは川越少年刑務所と奈良少年刑務所でございます。そういうところにいろいろ専門家を育て得る人材をまず配置いたしまして、それを指導をする指導機関と、こういうことで、東は川越、西は奈良というようなことで仕組んでまいりたいと思います。  なおかつ、すべての刑務所でやるというわけにまいりませんので、専門家を配属できる刑務所をそれぞれ重点施設にしまして、そこには教育専門、あるいは心理専門の人たちを配属して人育てをやってもらうと、こういうことを考えております。  さらには、それだけでもまだ不十分だろうと、こういうことでございますので、幸いにプログラムを作るに当たって外部のお医者さんだとか心理学者等々の研究者の助力を得ました。いろいろ経験おありな方もおられますので、その方々現場に出向いていただいて、実際やっているところで指導者を指導していただくというようなこと。  さらには、矯正と保護の連携必要でございますので合同の研修、これも企画しておりますし、さらには、海外では先進国がいろいろございますので、その辺りから講師をお呼びしていろいろ現状の問題点等をチェックしていただきながら、何とか職員のスキルを上げて成功に導いてまいりたいと、こんなふうに考えているところでございます。
  72. 千葉景子

    ○千葉景子君 この問題もスタートをすると、これからがいろんな問題点を検証しながら進めていくということだというふうに思いますので、またこれも節目節目でいろいろと議論をさせていただきたいというふうに思います。  もう時間がなくなりました。今日は大臣に本当に率直に冒頭、心情、御所見を御披瀝いただいたもんですから、済みません、若干予定をしていたものが残ってしまいました。  特に、資料を、先ほどの司法制度改革の次に、ちょっと今政府全体としての点検を私どももさせていただいている中で、天下りの実情、これは法務省の方でアンケートというか調査票に記入をなさったものと聞いておりますので、私が勝手に作ったものではありませんので、衆議院の調査局に集約をされた一部でございます。  これを見ますと、法務省も、ああそう、こんなにやっぱり数としては、まあ天下りといいましょうか再就職というのがあるんだなと。ただ、実態としては、補助金と余りつながっているとも思えませんし、あるいは行った先が非常に利権などに富んだ行き先かといえばそうでもないようですし。ただ、ある一定の団体、組織に恒常的にポストとして法務省から必ずそこには行っておると、そういうどうも構造があるのではないかなと、そういうことは見受けられるところでございます。  今日はそれ以上もう時間がありませんので、是非皆さんにもこれ参考にいただいて、一体法務省とその関係組織というのはどうなっているのかということはいずれまた教えていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げて終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  73. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 千葉景子君の質疑は終了いたしました。  午後一時三十分に再開をすることとし、休憩をいたします。    午後零時三十三分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  74. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、櫻井充君が委員辞任され、その補欠として白眞勲君が選任されました。     ─────────────
  75. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 休憩前に引き続き、法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、法務行政基本方針に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  76. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 午後の質問でございます。  杉浦法務大臣は、午前中も御答弁なさっておりましたが、就任に当たり、小泉総理から、四点、是非と、格別の指示伺い指示を全力で取り組むということをおっしゃったということでございます。四項目、再度繰り返しますが、一つが世界一安全な国日本復活再犯防止対策の積極的推進、出入国管理対策の強化、司法制度改革についての改革の本旨に従った運用という四点でございますね。  これから具体的に一項目ずつお聞きしていきたいと思うんですけれども、まず、世界一安全な国日本復活を第一に挙げられておるわけですが、具体的にどういう取組をなさるつもりでいらっしゃるのか。先ほど、治安が最大のテーマだと、凶悪犯罪も増えていると、危険水域だというお話もございました。これまでの取組の中で、例えば不法外国人の取締りの問題等、取組はなさっているようですが、意外になかなか治安の回復というのは難しいテーマでもあると思うんです。具体的に、どういう方向からこの世界一安全な国へ向かって進もうとなさっているのか、まずこれについて伺っておきたいと思います。
  77. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 治安の確保、回復は、もちろんこれは法務省独りでできるものではございません。警察も大事でありますし、地域の様々な問題、地域の協力、教育も関係してまいります。非常に根の深い複雑な問題でございますが、法務省は、少なくとも治安を維持するかなめでございますので、その中でも果たすべき役割は大変大きいと思っております。  まず、犯罪を減らすと、減らすといいますか、第一線に立っておるのは検察庁でございます。先日の検察官会同でも訓示いたしましたが、世界一安全、安心国日本安全神話を取り戻すために全力を挙げるように指示いたしました。罪の大小を問わず、徹底して、大きい悪小さい悪を問わず取り組むようにということを指示した次第でございます。  今、一番頭を痛めているのは、刑務所過剰収容だと、今年の年頭の時点で一一六%という、大変過酷な状況でございます。これは収容されている人たちにとっても人権問題であります。独房、狭い三畳の部屋に二段ベッドで生活している、雑居房も定員六のところを八、入る、いびきの大きい人はできるだけ集めるようにしているんですが、そういう過密状態にありますと、どうしてもストレスがたまるわけでありまして、それを見ている看守と申しますか、現場人たちの苦労も並大抵のものではございません。休みも、年休、四週八休普通の方は取るんですけれども、七休しか取れないと。年次有給休暇も、平均して矯正全体で三・六でしたか、取れていない。刑務所現場では一日取れればいい方だという声すら聞かれました。  そういった状況にかんがみまして、これは特別に予算で配慮していただきまして、この五年ぐらい、刑務所は大増設であります。現在着手しておりますもの、あるいは今年度の補正予算、通常予算でいただいているものを、二年以内に完成いたしますが、それ全部完成して約七万人、収容能力が。現在、七万人弱収容しておるわけですから、その時点でも九五%の収容率でございます。これは、刑務所収容率は、上限、もうともかく八〇%超えたら過剰だと、波がございますから、年末になると増えますし、というようなことから、これだけ全部完成してもなお過剰状態だということでございます。  この収容している人たちを減らすこと、つまり犯罪を減らすことが一番でありますが、そのための努力を、これはもう警察、検察が中心になるわけでありますけれども、社会全体で減らしていく。と同時に、中へ入っている人を例えば仮釈放とか様々な手法を駆使しまして外で処遇するという方策も勉強をいたしております。  犯罪防止について申しますと、これは再犯防止プロジェクトチーム、三ッ林チームでやっていただくわけでありますが、そこで特に力を入れようとしておることは、刑務所を出た人。年間一万何千人出るんですかね、そのうち再犯を犯す人は約五割、それから少年院の場合は再犯を犯す人が二割、八割更生しているわけですが、しかし二割の人は再犯を犯すということでございますので、この人たちに再び犯行、犯罪を犯させないということができればこれはもう犯罪が激減することに相なるわけですので、これに力を注ごうということを考えておるわけでございます。  再犯を犯して戻ってくる人たちのほとんどは無職です。職がありません。逆に言いますと、世間へ戻りまして職を得ることができた人は社会復帰をする、再起をするという可能性が非常に大きいということでございますので、現在満期で出所した刑務所少年院人たちは国としては手を出せないわけですが、そこで何とか仕事をつくり出す努力を国としても考えなきゃいかぬのじゃないかと。地方自治体や民間企業、民間のボランティア等と協力をして、協力者がいらっしゃるんですけれども、篤志家の、しかしその方の数も限られております、最近減ってきているような感じがするわけでありますが、そういう努力をしていこうと。具体的にいろいろあちこち声を掛け始めており、現在報告できるものはまだございませんが、その点について力を入れていこうというふうに思っております。  再犯防止に向けての処遇プログラムも、性犯罪についてはともかく一応プログラムができましたが、そのほかの、麻薬、覚せい剤とかそのほかのことについても将来検討しまして、刑務所の中で再犯防止に向けた教育をする。それから、仮釈放後、あるいは保護観察に服している方々にもそういう教育をするということで、保護観察対象者の再犯、ここのところ保護観察下にある人が重大な犯罪を犯すことが社会問題になっておりますが、保護観察下の対象者の更生を実効性の高いものにしていきたいと思っております。  それから、外国人犯罪も依然として増えております。先日、東京都の石原知事から、池袋が大変だから見に行けと、新宿はある程度めどが付いたけれども、大変だぞというあれがございまして、池袋へ副大臣政務官とともに行って見てまいりました。外国人犯罪の温床となっているのがいわゆる不法滞在者であります。不法入国した人、それから不法滞留者、ビザが切れて滞在しているという人たちでありますが、国としては平成十六年から五年間で半減という目標で取り組んでおりますけれども、これも力を入れてまいりたい。  刑務所の方も入管の方も、この厳しい中で増員を認めていただきました。入管は、今年度は予算認められれば百五十人純増でございます。  地域ごとに重点地域を決めて、タスクフォースをつくって、警察と協力してびしびし摘発をしておりますが、そちらの方も充実いたしまして、政府の目標、あと三年残っておりますが、不法滞在者半減に向かって努力していきたいと思っております。
  78. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 いいですよ。あと個別に聞きますから。
  79. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) はい。一生懸命やっておるところでございます。
  80. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 何かまとめて答えていただいて、再犯防止の問題も別途聞こうと。  やっぱり大臣おっしゃったみたいに、再犯防止の中でやっぱり一つの問題は、この満期釈放者の問題なんですよ。これはもう二十八年間ぐらいの統計見て、一二パーから一〇パーの間、再犯率ずっと一貫しているわけですよ。ほとんど変わらないんです。ここにやっぱり問題があるんで、ある意味じゃ矯正の限界とも言われているんですけれども、逆に言えば、大臣が今御指摘いただいたように、やはりこの人たち、本来は就職あっせんとか、そんなことは満期ですから関係ないんですけれども、今大臣がおっしゃっていただいたような満期の方々に対してもどう施策するかというような取組をしていただければ、もしかしたら効果が出るかもしれない、新しい視野が開けるかもしれないという意味では、もうお答えいただきましたんで、是非そういった取組を再犯防止のところでは取り組んでいただきたいと、こんなことを思っております。  そして、出入国管理の強化の問題、是非強化もしていただきたいんですが、その一方で、これは先ほど副大臣がおっしゃっておりましたが、それはテロの未然防止については厳格の入国審査って必要だと思いますよ、それは。ただ、その一方で、問題のない外国人の方たちについてはできるだけ円滑な手続で、さっと入れた方がいいに決まっているんですから。ある意味では、厳しくする一方で円滑な入国審査実現のためにどのような取組を行っているのか、また今後どのような取組を予定しているのかというお答えをいただいておきたいと思います。
  81. 河野太郎

    ○副大臣河野太郎君) 一般の外国の方にスムーズに入っていただくのは観光立国にとりましても大変大切なことでございますし、大臣からも、羽田の現状を見ていただいて、強い御指示をいただいております。  まず、円滑な入国を図るために日本人の審査ブースを閉めました。日本人がスムーズに通って外国人が六十分から九十分並んでいただいているというのが成田の現状でございますので、申し訳ございませんが、二ないし三のブースを日本人用から外国人用に振替をいたしました。これによって少し日本人の入国審査行列ができております。これはもう私の責任でございますが、若干日本の方にもお並びをいただいて、しかし外国人の九十分待ちを何とか短くしたいということで、ブースを振替をさせていただいております。  それからもう一つは、入国審査官と相対で、スムーズにいけばいいんですが、そこで止まってしまう慎重審査が必要なケースがございます。以前はそこで止まっていたものですから後ろの人がみんなつかえておりましたので、この方々を別室に御案内をしてセカンダリー審査をやらせていただく、そういう設備がようやくでき始めておりますので、一分以上掛かる場合にはセカンダリーに回させていただいております。  それから、もう一つつっかえる原因になっておりましたのが出入国カードの記載漏れでございます。特に韓国、中国、台湾の方は、今、日本語と英語でしかカードが書いてなかったものですから、何を書いていいかよく分からぬということで記載漏れになっておりましたので、その出入国カードに韓国語あるいは中国語の繁体字、簡体字を入れたカードを作りまして、韓国、中国、台湾の方にも記入しやすいように、記入漏れがないようにしていただいております。  それから、チャーター便でございますが、調べますと、地方へ行っておりますチャーター便のほとんどが台湾発でございますので、台湾に入国審査官を派遣をいたしまして台湾の空港で事前確認をやる、その情報を通知しておいて、入るときにはスムーズに入っていただく、そういうことをこれまで入管のそれぞれ現場の英知を結集してやっていただいております。  今後でございますが、今回お願いをしようとしております入管法の改正で、指紋を使った自動化ゲートというのをやりたいと思っております。一つは、日本人の中で希望する方、それから特別永住者、再入国許可を取った外国人はその指紋とパスポートで自動化ゲートを出入りすることが、失礼、入国することができるようになりますので、その分ブースを審査の方へ、外国人の審査の方へ振り向けることができますので、外国人入国審査、少しスムーズにいくのではないか。身元のはっきりしている特別永住者と再入国許可をもらった外国人は自動化ゲートでスムーズに入国することができる、そのようにしてまいりたいと思っております。
  82. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 その今の指紋の問題も、こういうメリットもあるんですよと、どっちかというと指紋の問題言われると何か人権の問題引っ掛かってきて嫌がる方向性もあるわけですよ。でもその一方で、テロの防止とかいろんな意味もあるけれども、その意味とはまた別の意味でそういう迅速化させる、いろんな意味でも効果があるんだということは、是非それは宣伝をしていただきたいなという思いが若干ございます。  法務大臣が言われた四点の最後は何かというと、司法制度改革について、改革の本旨に従った運用についてということでございます。国民に身近で、早くて頼りがいのある司法の実現を目指して、司法制度の構築、司法制度を支える法曹の在り方、国民的基盤、国民の司法参加というのが三本柱でございますが、その中で一番の柱は、やっぱり裁判員制度という新たな制度の導入だと思っております。  これまた後ほど細かく議論はさせていただきたいんですけれども、ただ、この裁判員制度につきましては、なかなか世論調査をやりますと参加したくないという人がいまだに多い。去年の四月のときでしたか、これは七割が嫌だというような話があったりしているわけでございまして、この辺どうこれから理解を入れていくかというのがこの裁判員制度が本当に円滑に無事にできるかどうかの最大のポイントだとも思いますが、現在どのような準備作業を行っているか、まず総括的に法務大臣に伺っておきたいと思います。
  83. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 現在は、国民皆さん制度の趣旨を御理解いただくと、広報が主たるものでございます。裁判所の方は設備を、ちゃんと裁判員の方が乗れるように改造するとか、いろいろなさっておられます。人的手配等もなさっておられますが、国民皆さんには御理解いただくように努力することが大事だと思っております。  野沢元法務大臣が出演いたしましたビデオも、五万作りまして、全国に配付してなかなか好評のようでございますが、パンフレットを作るとかいろいろやっております。  また同時に、この制度を維持する環境をつくることが大事じゃないかと思いまして、先日、日本経団連会長にお目に掛かった際には、裁判員休暇というのを検討していただけないかと。年次有給休暇とは別に、まあ一生に一回当たるかどうかということであるから、しかもできるだけ裁判短縮してやろうというふうにしているんだから、そうしていただけると参加しやすいんじゃないでしょうかと言ったら、検討するということでございます。で、来週の木曜日、二十二日、経団連役員総会、二百人ぐらいお集まりになるそうですが、そこでいろいろと、裁判員の問題、日本司法支援センターの問題、それから再犯防止で企業で雇ってほしいと。少年院卒業したのなんか本当にいいですよと、例えば、というようなことを力説したいと思っておりますが、そこでも裁判員休暇のこと、裁判員休暇の設立についての御検討、あれは就業規則でやってもらわなきゃいかぬですから、民間企業は、お願いしようと思っておりますなど、国民皆さんが参加できる環境の整備もいろいろと考えていきたいと、こんなふうに思っております。
  84. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 是非、多方面にいろんな方途を使いながら、是非御理解をいただけるような努力を更に続けていただきたいと、こう思います。  総括的な、まず冒頭の中でもう一つ、先ほどちょっとお触れになりました性犯罪の再発防止対策の問題です。  当委員会でもこの問題随分論議をしてまいりまして、午前中も議論がありましたが、一つは、処遇プログラムの問題等、様々な取組ができてきた経過はございます。ただ、最近各国の事例を見ると、これで本当にここまでやっていいのかなぐらいの取組をしている国が結構増えているわけですね。  例えば、アメリカとかイギリス、これ、韓国検討中なのは、例えば性犯罪者の氏名、住所、写真、個人情報は登録してすべて公開するというような方向を取っている国もございますし、それから、同じアメリカやイギリス、フランス、そしてこれは韓国検討中だと聞いておりますが、これはGPSの発信器を性犯罪前歴者に装着させて常時監視するシステムを導入しようかと、こんなことまで考えている国も出てきていると。社会の安全を守るために、加害者の人権、ここまで制約することもやむを得ないのかなというような思いもあるんですけれども、ある意味ではこの人権というものとこういう犯罪防止というバランスの問題について大臣はどんなふうにお考えになるか、御見解を聞いておきたいと思います。
  85. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) ほかの国がやっているからといって日本に導入するかどうかは別問題でございまして、その国の実績を見ながら慎重に検討すべきことだと思います。  ただ、再犯防止チームでもいろいろ議論しているんですけれども、やっぱり教育が大事だろうと。性犯罪プログラム、防止プログラムを刑務所少年院等で教える、きちっとやると。この四月から始めるわけで、試行錯誤しながらやっていくわけですけれども、大事だろうと。  それから、保護観察中の方々でも性犯罪人たちには特別の教育を行うと。今度、保護観察付執行猶予の人たちにも遵守事項を決められるようになりましたから、保護観察付執行猶予の人たちも遵守事項にちゃんと入れて、(発言する者あり)これから審議していただくわけですが、併せてやるという教育は、これは徹底しなきゃいけないと思っております。  ただ、今度また私、外国視察してこようと思いますけれども、やはりいわゆる先進国の司法関係者の話聞きますと、やはりこの性犯罪者の人は繰り返し繰り返しリピートする可能性は強いと、なかなか直らないということで、それ以外に何か方法はないかと。GPSを付けるとか氏名を公表するというのもいかがなものかと思うんですけれども、何かないだろうかと。  これは一つの案で議論しているんですけれども、満期出所後、これはもう手を付けられなくなるわけですが、それでも例えばそのプログラムを受講しなきゃならないという義務を課する、保護観察を出所後にも性犯罪者については設けるとか、これは法改正して、その旨宣告しなきゃいけませんが、例えばそういうようなことを考えたらどうかと、いろいろと議論をしている最中でございます。いい考えがございましたら、お教えいただければ検討させていただきたいと思っております。
  86. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それでは、少し個別のことをそれぞれまずお伺いしていきたいと思うんですが、まず最初は四月から立ち上げます日本司法支援センターでございます。  正にこれは、国民の期待にこたえる司法制度の構築という意味ではこの司法支援センターというのが大きな一つの柱になることになりますし、今年四月にこのセンターが発足して、大臣もさっきおっしゃっていたように、十月から事業が開始されるようにようやくなったわけでございます。私たち公明党だけでなく、本委員会含めてですが、是非とも、このセンターの設立は長年のある意味では念願でございましたから、そういう意味では期待も大きいし、是非とも、大きく国民皆さんに理解されて、大いに使われるセンターになることを期待を申し上げておりますが。  この中で、事業が開始する中で、このセンターの役割について、真に国民に愛され頼りにされるセンターとすべく、関係諸団体や自治体との連携を深め、大臣もその準備に万全を期するとおっしゃっておりますが、具体的に、この関係諸団体や自治体との連携を深めというようなことでは、現在、具体的にどのようなことを行っていらっしゃるか、御説明をいただきたい。
  87. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) これまでも度々当委員会でも御報告してまいりましたが、現在の準備状況を御説明させていただきたいと思います。  支援センターは非常に広範な事業を扱います。これを円滑に進めるためには、まず関係機関、団体との連携、協力が不可欠であります。これまで日本弁護士連合会、日本司法書士会連合会、それから財団法人法律扶助協会等々とも協議を重ねつつ今日まで準備作業を進めてまいりました。  しかし、一番大事なのが、地域の実情を反映させる、地域に密着したものとすると。国民と司法をつなぐ懸け橋となる組織をつくるわけですから、それが一番大事だというふうに承知しております。  現在、そのために、各地域に、五十か所に地方の準備会というものを設けました。ここには、地域の司法を支える人、それから地方公共団体にも参画をいただいておりまして、場所によっては知事や市長が自ら進んで参加してくれるというところもございます。この準備会が中心になりまして地方の協議会というものをこれまで開催してきております。現在も、いよいよ大詰めだということで、二月から三月にかけて全国で開催しておりますが、これにはそれぞれの地方で非常に個性的な活動をしている相談窓口、それから地方公共団体でも様々な窓口がございます。そういったところに全部来ていただいて、それから地域の方の声を聞き、どういう支援センターにしてほしいかという声を聞き、それから、我々としてもこういうことで連携をしていきたいので、今後とも協力体制をつくっていきたい、情報交換をしたいということを働き掛けながら、地域との連携の構築に努めているところでございます。  それから、中央レベルでは関係省庁連絡会議を開きまして、これも中央レベルでもきちっと結束をしてその情報が地方に流れるようにと、こういった様々な努力を重ねているところでございます。
  88. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 特に、その関係機関との連携の確保強化という問題で、国会でこれ修正でございました。連携の確保強化を図る対象として、特に「高齢者又は障害者の援助を行う団体」というのを加えました。ある意味では、こういう団体が司法という意味では過疎というか外れがちになりそうなんで、是非ともということでこれは入れていただいた経過がございます。そういう意味では、この高齢者又は障害者の援助を行う団体との連携確保強化ということで現在どのような準備をなさっているか、御説明をいただきたいと思います。
  89. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 全国にどのような団体があるのか、どのような機関があるのかというのを調査をいたしました。  高齢者、障害者の関係の団体というのは非常に多うございます。非常に個性的な活動をしておりますが、公的なところから挙げますと、もちろん社会保険事務所があります。児童相談所、それから社会福祉協議会、それから消費生活センター、これも最近高齢者の関係が非常に多いようでございます。それから、成年後見サポートセンター、それから障害者就業・生活支援センターと、たくさんの団体がございます。こういったところと連携を取りながら、むしろそういったところからいろいろ教えていただきながら、国会で高齢者、障害者については配慮せよということが入ったということを踏まえて十分にやっていきたいと思っております。  一番大事なのは、そこでそういう連携を組みながらどういう情報を提供するのが一番いいのかと。もちろん、一般的な成年後見制度というのはこういうものですよというのがあろうかと思いますし、それから、高齢者、障害者の方々が来られたとき、あるいは電話連絡が来たときに、どういう対応をして、その個別の事案に応じてどこまで応じられるのかというようなことも、かなり細かい詰めた議論を進めているところでございます。
  90. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つ日本司法支援センターというのは、名前が、愛称が法テラスですか、という名前が付いて、こんなマークですね、私もしっかり宣伝をしておりますから、傘、太陽、どこでもきちんと、司法過疎にならないように、だれでも行ける、こういうのを作って宣伝もなさっているようでございますが。  要するに、だれでも利用できることができるという、言わば総合法律支援構想の中核でございまして、やることは、それは窓口で相談もする、民事の法律扶助もやる、司法過疎の対策もやる、犯罪被害者の支援もやる、国選弁護の態勢整備もやる、ADRを含めた関係機関との連携も、そんなものもやると。言わば幅広い窓口になるわけでございますが。  その中でも、直接国民が一番かかわってくるところは相談の受付であり、言わば窓口ですよね。その情報提供を受けられる場所、関係機関へ自分がその後振り分けていくわけでございますが、この相談窓口というのが一番大事なポイントになっていくと思うんですが、今もちょっとお話しされていましたが、五十か所という話もありました。そういう意味では、この相談窓口、どんなふうな形で設置していくのか、その設置したことをどう国民に周知徹底するのか。もちろん五十か所というのは中心地であり、私たちが指摘していたゼロワンの問題なんかについては、一体この窓口をどう確保しようとしているのか、含めて御答弁をいただいておきたいと思います。
  91. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 先ほど申し上げました五十か所、これは本来の拠点でございます。それ以外にもちろん司法過疎、事務所、これを設けてまいります。それから、そのほかにも、例えば裁判所の支部があるところがございます。五十か所というのは裁判所の本庁所在地なんですが、支部があるところで非常にそこのニーズが高いようなところ、そういうところも検討してまいります。それから、例えば東京都の例でいいますと、東京事務所は一つ設けますが、そのほか、これは今後、支援センターにおいて具体的にニーズ等を勘案しながら決めていくことですので今の段階で具体的には申し上げられませんが、例えば新宿であるとか池袋であるとか、人が集まるところがございます。そういうところを情報拠点にしていこうというようなこともセンターの方で検討していくというふうに承知しております。
  92. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つ、法テラスというやつは情報提供の充実というのもあるんですけれども、もう一つは、実際紛争を解決するという問題になってくると、これも午前中ちょっと議論の、ADRの問題がやっぱり大きな一つの、これをどう拡充していくか、活性化していくかというのが重要なテーマになってくると思うんです。司法制度改革にいろいろ取り組んできましたけれども、私たち、このADRの問題についてはいろいろ論議もしながら、結局、国会ではどうしたかというと、民間に限られて法整備がようやくできたというのが現状だと思っております。  今後はやはり、このADRの問題というのはどうなっていくかというと、やっぱり行政型ADRの整備の問題であるとか、ADRのこの代理人の在り方とか、いろんな課題が出てくるでしょうし、これはある意味では、関係省庁とも情報も交換も連携も十分に図ってやらなければならない課題だろうと思うし、ともかく方向は何かというと拡充、活性化すべき問題だと、このように考えておるんです。  この問題については大臣から是非、関係省庁との連携、協力含めて、これまでのこのADRの問題の取組、そして今後どうこのADRを拡充、発展させようと考えていらっしゃるのか、ここは大臣に伺っておきたいと思います。
  93. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 日本司法支援センターの活動の中でも、横文字を使うと総理に怒られるんですが、いわゆるADRとの組合せも大事になると思うんですね。地元で国政報告会をやるとしょっちゅう出るんですけど、振り込め詐欺とかおれおれ詐欺、もう迷惑しているんだとか言うんですね。で、法律相談したらいいじゃないかと。いや、相談に行ったら、相談だけで面倒見てくれないと、だからあんたに聞いているんだというような言い方する方もいらっしゃるんで、例えばそういうことでしたら、相談に乗るだけじゃなくて、こういうふうに処置しなさいと、引き取って処理してあげるところまでやらないといけないと思うんですね。ADRなんかも、そういうことで利用できるシステムになるんじゃないかと思うんですけれども。  先生の御指摘のADRの拡充ですけど、一昨年ですか、制定された法律で、法務大臣による認証制度が設けられたわけですが、まだ一部に限られております、業種は。それを、士族だけでもまだ税理士もありますから、そちらへ拡大していくと。それから、各省庁、経済産業省は経済産業省で中小企業診断士とかいろいろいらっしゃいますから、そういうところへも拡張するとか、各省庁よく連絡を取って、拡張し、広げると同時に中身を良くしていくということは残された大きなテーマだというふうに思っております。  日本の場合、調停委員という制度が、裁判の解決に民間の人が入って話合いで解決するというのが非常に大きな役割を果たしている、諸外国にない例ですが。それと同時に、この日本型ADRというのもこれからスタートしていくわけですけれども、調停委員に勝るとも劣らないいいものに育っていくような感じがしますし、また育てなきゃいけないというふうに思っております。
  94. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つ、この法テラスというか、ここがやる仕事一つが、これまで財団法人の法律扶助協会が今行っております民事法律扶助制度、これを今後はこの支援センターが引き継ぐことになっていくわけでございますが、引き継ぐことによって、私は是非とも事業内容そのものも、量的にも質的にも当然拡大するものだろうと思いますし、拡大していただきたいと、こう思っておるわけでございますが、ある意味では、これはもう協会からセンターに変わる、もうそれで不安に思っている方たちがいるのも事実でございまして、どういう形できちんと引き継ぎ、これを質的、量的にどう拡大しようとなさるのか、センターにおいて。この点について方針を伺っておきたいと思います。
  95. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 民事法律扶助業務を司法支援センターが引き継ぎます。私どもとしては、司法支援センターがこれを引き継ぐことによって、これはもう国民に身近な司法という意味では一番大事な仕事でございまして、民事法律扶助の理念がより一層拡充することになるし、仕事の中身もより一層充実していくと、こう思っております。また、そうしなければならないと思っております。  現在の民事法律扶助事業といいますのは、個別の事件ごとに一般の弁護士さんが来られて、そして一つずつ処理しているわけでございます。これが司法支援センターになりますと、常勤の弁護士を置くということもできます。この常勤の弁護士が専門的にあるいは類型的に似たような法律扶助の事件というのをまとめて統括的にやると。あるいは、類型的に考えながら全体を総合してやるということもできます。これはかなり事務を効率的に回していって、中身の仕事も充実してくるだろうと思いますし、それから支援センター、職員ももちろん雇います。そうすると、これは法律扶助を中心にやる職員というのも当然プロパーの職員として育っていくと思います。そういう人たちが担当することによって更に事務処理体制の強化につながるだろうと思っております。  その他いろんなことを考えながら、仕事を始めてみるとまたいろんなことが起こると思うんですが、そういうことを踏まえてフィードバックしながら、民事法律扶助事業の充実に尽くしていきたいと思っております。
  96. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つのこの犯罪被害者支援の方では、国会で修正をここ行っております。どんな修正を行ったかというと、「被害者等の援助に精通している弁護士を紹介する等被害者等の援助が実効的に行われることを確保するために必要な措置を講ずるよう配慮すること。」という文言をわざわざ加えたわけでございます。  これからこの犯罪被害者支援をやっていくわけですが、どういう形でどんな業務を予定しようとされていらっしゃるのか。私たちからすれば、この修正の趣旨をきちんと生かしていただきたいと、こう思うわけでございますが、この点について伺っておきたいと思います。
  97. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 犯罪被害者支援の業務、これも基本的には情報提供の業務ということになりますが、それプラス法律で加わったものがあります。しかし、単純な情報提供ではないと、こう思っております。様々な取組をしている、犯罪被害者支援のために様々な取組をしている組織がございますが、そういった組織と緊密な連携関係を構築して、何よりも大事なのは、個々の犯罪被害者が受けておられる心身のダメージ等に十分に配慮しながら対応していく、そして必要な情報を提供するということでございます。そのためには、それに当たる職員の研修であるとか、いろんなことをまた総合的に考えていかなければなりませんし、これはセンターにおいて適切に対応していくものと考えております。  一番大きな仕事として上がっておりますのが犯罪被害者支援に精通した弁護士を紹介するということでございます。この点につきましても、各地の弁護士会日本弁護士連合会と提携をいたしまして、そうした専門の弁護士を紹介できるような体制を整備することとしておりまして、必要な場合には、犯罪被害者がお金がないということであれば、民事法律扶助事業も活用しつつ対応するということになりますが、いずれにいたしましても、そうした適切な弁護士を紹介して、損害賠償の実現であるとか、あるいは犯罪被害者によっては刑事手続に何らか関与していきたいとか、そういう要望もあるでしょう。そういったことを少しでも反映していくようになっていきたいと思っております。  法務省といたしましては、全国被害者支援ネットワーク、日本弁護士連合会、財団法人法律扶助協会、警察庁等を構成員とする事務連絡会議というのを開催しておりまして、この中でこの犯罪被害者支援業務の在り方について意見交換を進め、更により良い形になるように準備を進めてまいりたいと思っております。
  98. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つ司法制度改革の二つ目の柱といいますか、大きなテーマが、いわゆる司法制度を支える法曹の在り方の改革という問題でございました。  つまり、何かといえば、法科大学院の設置であり、新司法試験の問題でございます。言わばこれは点による選択というか、試験による選択から、プロセスで養成していこうという考え方で、法科大学院、司法試験、司法修習と連携した新たな法曹養成制度が導入されまして、平成十六年には全国で六十八の法科大学院が開校し、十七年には新たに六校が新設されて、合計七十四校になったと。本年はこの二年コースの修了者がいよいよ新司法試験を受験することになりますが、本年の新司法試験への出願者数及び新司法試験の合格予定者数をどう予想されているのか、何人か。また来年度以降の見通しはどういうふうに予想されているか、伺っておきたいと思います。
  99. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) まず出願者数でございますが、昨年の十二月二十一日が締切りでございました。その結果、二千百三十七人でございます。もっとも、法科大学院の課程を修了すること、これが受験資格でございますので、実際の受験する方はこれよりも減ってくるであろうと思っております。  司法試験合格者数の方でございますが、この司法試験の合否というのは実際に試験をやってみなければ分からないと、こういうことにはなるわけでございまして、あらかじめ予定数を申し上げるということは極めて困難でありますけれども、御承知のとおり、司法試験委員会平成十七年の二月に司法試験を受験しようとする人に目安を与えようといったような様々な趣旨から数字を出しました。これは現行の司法試験と新司法試験が並行して行われます。  そうすると、受験者の皆さんにもどちらを選ぶのかなというようなおおよその見込みを与えないといけないだろうと、そういったこと、様々なことを配慮した結果でございますが、それによりますと、概括的な数値ということでございますけれども、いずれもあくまで一応の目安として、本年、平成十八年は九百人ないし千百人程度、新司法試験の数でございます、を一応の目安とするのを適当とし、来年、平成十九年はその二倍程度の人数を一応の目安とするのが適当であると、こういうふうに答えておるところでございます。
  100. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 この辺もいろいろ、制度発足からいろんなことがありましたので、ただ、最初にこの制度が、法科大学院というシステムをつくるとき、大体法科大学院行けば七、八割ぐらいが合格するみたいな話、それはだれが言い出したか分かりませんし、どうこうという問題あるのかもしれないけど、最初はそういう希望を抱かせておいて、途中なんかは物すごく厳しい最初は数字が出て、何か三割程度しかならないんじゃないかみたいなことが一時期出て、この委員会で議論したことありますよ。せめて受験者の半分ぐらいのめどは考えられないのかみたいな議論をしたことが正直ございます。そういう意味では、今回一つの目安ということも出していただいておりますし、一つの方向性は出てきていると思うんですけれども。  でも、そういう背景の中で、例えばどんなことが起きているかというと、今法科大学院で定員割れを起こしてくる、実際に入学する人が、起こってくると。それは、大学、法科大学ができ過ぎたと、いろんな学校がつくり過ぎたということを言うかもしれませんが、逆に言えば、定員割れを起こすというのは、じゃ、そこに行ったとしても、じゃ、その新司法試験で採ってくれるのはどれくらいか、半分ぐらいじゃなみたいな気持ちが起きてきているのも事実でございまして、この辺はちょっとなかなかいろんな論議が分かれることだと思うんです。  ともかく、何が大事かといえば、今も一つの目安として発表もしていただいたわけですが、今後の見通しみたいな問題はある程度長いレンジで、どう採っていくのか、どれくらいの人数になっていくのかという今後の見通しの問題については少し長いレンジで見通した形で言ってあげることが、逆に言うと弁護士を目指す、検察官を目指す、裁判官を目指す、司法の世界を目指す人たちにとっての一番の一つの目標になっていくでしょうし、そういう意味では少し長い見通しというものを示すことがとても大事だと思いますし、併せて大臣にこれお伺いしておきたいんですけれども、この見通しとともに、どう法曹をやる人たちを増やしていくのかというか、今後どういう、もう増やしていかないでいいんだと言う人たちも何かいたりするものですから。既に弁護士になられた方たちは何をおっしゃるかというと、そんな大量に採ったら質が低下するんじゃないかなということを平気でおっしゃる方もいらっしゃいますし、そういう意味では今後の方向性を示すとともに、国として今後のこの法曹の、携わる人たちをどうしていくのかという点について、大臣から見通し及びそういうものも併せてお伺いしておきたいと思います。
  101. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 司法試験の合否は、当然のことですけれども、司法試験の結果に基づいて判定されます。御承知でしょうけど、司法試験考査委員が新司法試験の場合九十六人いらっしゃって、出題から採点、やられるわけです。その答申に基づいて司法試験委員会が何人合格されるかということを最終的に決めるわけでございまして、あらかじめどうなるかというのはなかなか難しいわけであります。  それから、法科大学院、いささかでき過ぎたというか、これは自由設立、原則として、それを条件にして認めたようなところはありますから、国が割り当てるとかそういうことなしにいいものをつくる競争をする。いい法科大学院は残るし、駄目な法科大学院は淘汰されていくという基本思想の下に自由設立にしたわけですから、たくさんできていますが、法科大学院がどういうことをしっかりと教えて、厳格に成績評価をして、修了認定、これ卒業、今までの大学みたいにゆるゆると卒業させるのか、入るのは易しいけれども卒業厳しくしてやるのか。要するに、その法科大学院が一体どういう優秀な人材を世に送るのかということによっても変わってまいります。  ただ、私どもは、もう先生方と同じでありますけれども、法曹人口が、数も必要だ、足りない、それから質も問題だと。だから質、量ともに飛躍的に増大させなきゃいけないという点では一致しておったわけでございまして、一応の目安としては三千人合格ぐらいまでは持っていこうと。別に法律のどこで決めたわけじゃありませんが、そういう一応の目安、これはもう弁護士会も了承して取り組んでおるわけですし、何年後でございますか、今は千五百人、私のときは五百人、今は千五百人、いずれ増えていって三千人までは増やそうという点で法曹界の合意は得ておるわけなんですが、それを四千にするとか五千に、将来ですね、考えられないわけではないわけです。今のところは三千人という合意でございます。そういう枠の中でこの法曹の道を志す人たちが志を持ってこの道に参加していただくことが大事でございます。  もちろん、先生案内のとおり、第三の道もあります。資格試験通って、新司法試験でも資格試験を通って法科大学院へ行かなくて予備校へ行く、予備校へ行く人は、予備校が盛んですが、そんなお金の掛かるところへ行かないで自分で勉強して資格を取って挑戦という道も残っております、これは。  ですから、そういういい意味での競争を法科大学院がして、チャレンジしていただいて、いい質の教育をしてもらって、いい人材を司法試験に挑戦させれば、司法試験考査委員会が、いや、成績優秀だから、じゃ、今年は千五百人じゃなくて千七百人にしようとか、あの方々は問題を作ると同時に採点していますから、質が分かるわけですね。いや、今年は悪いから千三百人にしようとか、そういう中身までできる大学教授とか、いろんな専門家の方ですから、そういう方々の目から見て、三千人来たけれども、みんないいよと、質も。そういうふうになっていけば人数も増やしていけるというふうになるんじゃないでしょうか。別に法律で決まっているわけじゃございませんので、これは。ということではないかと思っておりますが。
  102. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 是非この点は、いろんな意味で、今年が本当にそういう意味では初めてですから、どういう結果が出るかというのは極めて今後の流れの中で一番大事な年になるだろうと思いますんで、そこはきちんといろんな状況を見ながら判断をしていっていただきたいなということを思います。  裁判員制度について、一、二点ちょっと伺っておきたいんですけれども、先ほど大臣からは御自分で努力されている点、休暇制度の問題を含めてお話がありました。ともかく、あと三年ございます。この三年間に一体何をどうつくっていくかが本当に大事なことなんだろうと思いますし、その意味で、法務省の方は刑事局長から是非、この三年間、どんなプランでこの裁判員制度の実施を迎えようとしているのか、最高裁の方も是非、この三年間、どんなプランを持って裁判員制度の導入まで臨もうとされているのか、それぞれ御答弁をいただいておきたいと思います。
  103. 大林宏

    政府参考人大林宏君) 広報啓発活動につきまして、法務省最高裁判所日本弁護士連合会などと連携協力しながら大きく三つの段階に分けて実施していくことにしております。  第一段階では、制度の存在、意義等を周知し、国民関心を高める活動を行うということで、今この段階にございます。  第二段階では、世論調査などによる検証結果をも踏まえ、状況に応じて重点対象、例えば女性とかあるいは高齢者の方、あるいは若い世代とか、あるいは今度は重点地域、やや消極的な意見の多い地域などの、こういう分類をしまして、こういう重点を中心とした広報を進めていきたいと、このように考えております。  そして、最後の第三段階では、国民全体を対象に制度に対する理解を深め、参加意識を高めていただくような活動を行うことを考えております。また、裁判員の負担が過重なものとならないように、法務省及び検察庁では裁判所及び弁護士会とも協力しながら、迅速で分かりやすい裁判の実現に向けて刑事裁判手続の運用の在り方の見直しにも現在取り組んでいるところでございます。
  104. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 先ほど委員から御指摘がありましたとおり、世論調査によりますと、刑事裁判への参加について約七割の国民皆さんが消極的な回答を今されているという状況にありますが、その理由を見ますと、有罪、無罪の判断が難しそうだからとか、あるいは人を裁くということをしたくないと、こういう回答が非常に多くを占めております。こういった実情を踏まえまして、最高裁といたしましては、裁判員の役割を具体的にお伝えするということに力点を置いた広報を行ってまいりました。  具体的には、裁判員の職務について分かりやすく説明したブックレットを刊行いたしましたほか、各地の出張講演会や、あるいは全国五十か所で実施いたしました裁判員制度フォーラム等の機会を通じまして、裁判員の職務というのが決して特殊な知識、経験を必要とするものではないこと、それから一人で判断するのではなく、裁判員と裁判官がチームを組んで一緒に議論し結論を出していくものであると、こういったことについて広報を努めてきたところでございます。  さらに、裁判員裁判の言わば実像をお伝えするという観点からの新たな広報メニューといたしまして、このたび裁判員の役割を目で見て体感していただくという趣旨から、「評議」というタイトルの映画を制作いたしました。この映画は、殺人未遂事件に参加した裁判員が、それぞれの経験や考え方に基づいて裁判官と一緒になって結論を出していくまでの過程をドラマとして描いたものであります。できるだけ多くの国民の皆様にこのドラマを見ていただいて、裁判員ができるかもしれない、あるいはもっと進んで裁判員を是非やってみたいと、こういうふうに思っていただければと思っております。  このように、裁判員の具体的な役割をきちんとお伝えするという姿勢で今後も広報活動を一層強化していかなければならないと考えていますが、同時に、裁判所からの一方方向的な広報ではやはり十分ではなく、新たなステップとして分かりやすい裁判、あるいは参加しやすい制度運用といった点につきまして、国民の側からの御要望、御意見をきちんと受け止めて運用等に反映させていく努力も必要であると、このように考えております。  今後はそうした問題意識に立って、国民から参加しやすい刑事手続の運用や環境整備について意見を聞くこと、こういったことを目的とする説明会や模擬裁判を開催することを軸としながら広報活動を展開する、このように予定しております。
  105. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 その映画ですかね、それから野沢さん、野沢前法務大臣が出られた映画ですかね、いずれを見ても何に感動するかというと、裁判官が立派なんですね。ある意味では平衡感覚を持ってうまくその人たちを巻き込みながらやっていくんですよ。中村雅俊ですね、だれがやっているかというと。いや、実に見事だったですよ。あんな裁判官だったらみんな参加したがると思うんですよね。  そういう意味じゃ何が大事かというと、国民に対する啓蒙も大事なんですけれども、失礼な言い方になるかもしれませんけれども、裁判官の方たちが、そういう社会的常識も含めて、そういう人たちも巻き込んで訴訟指揮が執れるということになると、これは今までの裁判の在り方とまた違う面が出てくるわけですよ。そういう意味では何が一番大切かというと、実は最高裁にとって何が一番大切かというと、裁判官に対する教育じゃないかということを非常に、逆に映画を見させていただいて実感をいたしました。  じゃ、この三年間、この裁判官に対してはどうやっていかれようとするのか。それができれば、私は裁判員制度に対する理解というのは本当に深まってくるんじゃないかなと思いますが、どうされるつもりか。
  106. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 裁判員裁判の評議におきまして、裁判員が自由闊達に意見を交わす、そういう雰囲気を確保することというのはやはり不可欠であろうと思いますし、そういった評議を実現するには刑事裁判官の力量が言わば問われていると、このように思っております。  この点につきましては、刑事裁判官、実際に事件を今担当している刑事裁判官の認識も一致しておりまして、昨年多くの刑事裁判官を集めて実施した研究会あるいは協議会でも評議の在り方をめぐって突っ込んだ議論を行ってもらいました。その中では、例えば、打ち解けた雰囲気づくりを心掛けて裁判員が抱いた疑問を何でも出してもらう、審理の過程で随時意見交換を重ねながら九人の共通認識をつくっていくことが重要であるといった指摘が多くの賛同を得ておりましたし、また、評議において裁判員に自由に意見を言ってもらうためには、何よりも審理を裁判員にとって分かりやすく迅速なものに大きく見直さなければならない、こういうことについても異論がなかったところであります。  ところで、今委員からも御指摘がありましたけど、こうした姿勢を裁判官の言わばDNAに取り込んでいくというためには、各裁判官が実践の場でこれを検証していくという必要があろうかと思われます。この観点からは一つのツールとして模擬裁判というものがあり、非常に重要なツールであると考えておりまして、この模擬裁判を今後とも重ねていくことが何よりも重要であると思っております。そうした模擬裁判での体験、反省を踏まえて、更に研さんを深めるために研究会等を繰り返す、そういう場をまた最高裁としても今後更に積極的に設けていきたいと、このように考えております。
  107. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 是非、大臣、見守っていただいて、この裁判員制度が本当にきちんと導入できるように。  大臣、答弁長くなってしまうと私の時間が超えてしまいますので、一言答弁いただいて、質問を終わりたいと思います。
  108. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 裁判員制度というのは、国民の参加、国民の健全な感覚を裁判に反映させるのが目的ですから、私の立場で裁判官に向かって言っちゃいけませんが、裁判官は謙虚に裁判員の声に耳を傾けていただきたい。  昨日の調査に出ていましたが、感覚ばらばらですね。罪に対する、重く言う人、それが国民ですから、そういう実情をよく取り入れて健全な判決をしていただくということに尽きると思いますので、お上のごとく高いところから裁判員をお説教するんではなくて、やっぱり対等の立場で気持ちを通じ合わせて、本当の実のある合議をしていただくことが大事だと思いますし、これは一人の人間として申し上げているわけですが、そういう裁判員制度として発展していくことを心から期待しておる次第で、私もできる限りのことは、努力は、環境整備やってまいるつもりでおります。
  109. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  110. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  今日は、金融被害とその対策についてお伺いをしたいと思います。  まず、公的機関を装って架空請求をするという、これ振り込め詐欺の一つというふうにとらえられているようですけれども、この問題について資料を皆さんのお手元にお配りいたしました。  最初の二枚に付けています四枚、四つのはがき、これが、私の所属します法律事務所の相談の中で寄せられたものから見繕ったものなんですが、例えばこの一枚目の右側見ていただきますと、一番下に差出人名として法務省民事局総務課総合消費管理組合というふうにあるんです。  民事局長おいでだと思いますが、こんな管理組合というのが省内にありますか。
  111. 寺田逸郎

    政府参考人寺田逸郎君) ございません。
  112. 仁比聡平

    仁比聡平君 このように、実際に公的な機関があるかのように装って国民をだます、これほど卑劣で悪質なものはないと思うんですね。  文面見ていただきますと、民事訴訟を受けましたとか、御連絡がない場合には云々で強制執行させていただきます、あるいはこの管理組合が訴訟の正当性を確認する機関であるというふうに、知識のない市民を誤信させるのに十分な文言をこれ含んでおりまして、せんだって質問主意書を出させていただきましたら、これは刑事上も民事上も詐欺行為に当たるという明快な御答弁をいただいたところなんですけれども、実際に法律事務所に相談に来られる多くの方々は、これは本物だというふうに誤信をしておられるわけです。地方自治体の消費生活センターへの問い合わせも大変急増しているというふうに伺っております。  そういった意味で、具体的に、このはがきの郵送に連絡をしてしまって被害が出てしまったという場合はこれはもちろんのことですけれども、こういうはがきが郵送されているという、言わば未遂の段階でも積極的に被害届として受理をして厳正に捜査、摘発をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  113. 和田康敬

    政府参考人和田康敬君) 先ほど御質問ございました、公的機関を装うなどして架空の文書を送付する詐欺等のそういった相談につきまして、多数各都道府県警察に寄せられております。  この中で、既に金銭を振り込んだものにつきましては、被害者の方から事情聴取をし、被害届を受理をして捜査をしております。金銭を振り込まれない場合については、こういうはがきが来たんだけれどもどうしたらいいだろうかということの御相談でございますので、まずもって連絡をしないようにと、それから自分の個人のそういった情報を絶対にその相手方に出さないようにということでのアドバイスをいたしまして、それで被害者の方が、これは詐欺未遂に当たりますので、被害届を出すということがありましたら、その被害届を受理をして、既遂の場合と同様捜査をいたします。  こういった相談に基づいて集められた情報というのは、各都道府県警察から警察庁の方に、こういう被害届のないものも含めて情報はこちらで集約をして、それを分析をし、そういう内容について更にまた改めて各都道府県警察の方に還元をいたしております。それから、寄せられた情報に基づいて、そういった架空の団体、公的機関、あるいは会社といったものについての名前につきましても、これらを警察庁のホームページに載せて国民方々の被害防止のために役立てるようにいたしております。
  114. 仁比聡平

    仁比聡平君 こういった事態を根絶するというためには、未遂の段階でこれ厳格に厳正に事に臨むということが極めて大事だと思うんですね。その装われた公的機関自体が断固たる措置をとるという姿勢を取らなければ国民の不安は解消されない。引き続き厳しく事に臨んでいただきたいということを強く求めておきたいと思います。  我が国の多重債務問題ですが、これは自己破産件数だけで見ましても、八九年から毎年激増を続けておりまして、〇二年以降三年連続で二十万件を超えるという事態となっております。この予備軍は二百万人にも及ぶと言われております。二〇〇四年の自殺者が約三万二千人、そのうち約八千人は経済苦、生活苦が理由だと言われておりまして、多重債務問題がその背景となっているということは明らかだと思うんです。これをなくす方向で最高裁判決も相次いでいるわけですが、この中で金融庁に貸金業制度等に関する懇談会が置かれて、そこで様々な勉強がされていると聞いています。  せんだって金融庁から、担当の課長補佐さんをアメリカとイギリスの監督官庁や業者あるいは消費者団体などの調査のために派遣をして、その報告も受けたとお伺いをしました。その課長補佐さんが「月刊消費者信用」という雑誌の二月号と三月号に「アメリカ・イギリスの消費者金融事情についての調査報告」という文章を書いていらっしゃいまして、これは私拝見して大変な力作だと思いました。  金融庁からのレクも含めて勉強してみますと、これまでいろいろ言われてきましたアメリカの金利規制が一体どうなっているかという点について、アメリカの最高裁が、連邦銀行は本店登記をした州の金利を他州でも請求できるという趣旨の判決を出して以降、金利が自由な州に本店が集中をする。ですから、その銀行はアメリカ国内では自由金利。ノンバンク、日本の消費者ローン、消費者金融に類似していますペイデーローンなども含めて、ここはその銀行から名義貸しを受けて自由金利で営業している。実態としては、年利が四〇〇から五〇〇%になる。アメリカの全国消費者法センターというところが作りましたペイデーリポートによりますと、平均で四七〇%という高金利の実態が報告をされています。  金融庁おいでだと思いますが、そういう実態報告ですね。
  115. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) お答えを申し上げます。  今御指摘のペイデーローンと申しますのは、小口で短期のローンで、借り手は次の給料日、二週間後までと言われておりますけれども、その間に返済することを約して小切手を切ると。ペイデーと、給料日払いというようなローンを指すようでございます。  これにつきましては詳細は存じておりませんけれども、英国のDTIと、これは貿易省でございますが、欧米の貸金業の実態を調査しておりますが、この記述の中でも、ペイデーローンは通常二百ドルから三百ドルという小口で、一般的には十四日という非常に短期間にわたって提供されると。手数料は店舗ごとに大きく異なり、その地域における競争の程度によって大きく影響を受ける。ペイデーローンの平均手数料は業界平均で一六%程度であると、一年間で四〇〇ないし五〇〇%と、そういう記述がございます。
  116. 仁比聡平

    仁比聡平君 アメリカでは一千百万世帯が銀行口座を持てないというふうに言われています。これはつまり、クレジットカードが利用できないということであって、クレジットカードが通常でありますアメリカ社会においては貧困化の、二極化のその象徴なわけですね。  一連の報告などを拝見をしますと、アメリカの国民の二割から三割を占めているこの貧困層がそのペイデーローン、四、五〇〇%というそのキャッシングを利用せざるを得ない。ですから、この課長補佐さんが実際に訪ねられたようですけれども、貧困層が集中して居住をしている地域、ここに入りますと銀行の店舗は全く見当たらない、ペイデーローンなど消費者金融の店舗が集中をしている、そういう町並みになっているそうでございます。  アメリカの連邦取引委員会、規制当局ですが、ここからレクを受けられていますが、そういった低所得者層の借換えローン、この実態についてどんなふうに聞いていらっしゃいますでしょうか。借換えローンというのは、債務一本化とかおまとめローンなどと言われているものだと思いますが、どうでしょう。
  117. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) お答えを申し上げます。  アメリカの国内におきまして、所得の低い人々の間においてどれぐらいローンの借換えが行われているかというデータは持ち合わせておりませんが、今委員指摘の米国連邦取引委員会、FTCと申しますけれども、ここから入手した資料によりますと、いわゆる低所得者の借換えのうちおよそ半分、五六%がこれまでよりも金利の高いローンで借り換えているという記述がございます。  なお、このローンの中にはいわゆる略奪的レンディング、略奪的取引と、プレダトリーレンディングということの直訳でございますが、まあ詐欺……
  118. 仁比聡平

    仁比聡平君 略奪的貸付け。
  119. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) 略奪的貸付けでございます。失礼しました。  この中には、一般的には低所得者向け住宅担保貸付け市場において起きているというような記述もございまして、今御指摘のデットコンソリデーション、一本化というふうに訳しておりますが、他の債務を統合する借換え目的の借入れでございますとか、多目的での借入れのために自宅を抵当に入れる方法、こういった手法も取られているという記述がございます。
  120. 仁比聡平

    仁比聡平君 ありがとうございました。  今、御紹介いただいたのは言わば触りの部分でございまして、この多重、一本化ですね、おまとめローン、借換えローンというのは、これ多重債務者が最後の返済の道を求めて行うものだということは、我が国でも容易に想像の付くことかと思うわけです。その一本化の中で、五六%もの債務者が極めて高利の、四、五〇〇%もの高利のローンを組まざるを得ない、ここに深刻な実態があると私は思います。  我が国でも、金利の自由化あるいは上限金利の引下げの議論があるようでございますが、私たちの国をそんな社会にしては絶対ならないと。しかも、既に我が国の実態も決して容易でない状況にあるわけです。私は、現行のグレーゾーンをなくして、利息制限法による金利規制に一本化をするとともに、ルールを厳正に適用して、無法な貸金業者を称する無法者を排除するという点で、国がしっかり責任を果たしていただきたいという思いでございます。  私自身も、このような多重債務、あるいは金融被害の問題に取り組んできましたが、その原因は異常な高金利、そして過剰融資、そして違法な取立て、この三つの重要な特徴があると思うんですね。債務者が正当な法的解決、あるいは手続の上での解決を行って経済的更生を図っていく上でまず重要なのは、無法な暴力的、脅迫的取立てから解放することです。  私自身の経験で言いましても、拘束をされてしまった保証人さん、支払を強要されるために業者の事務所と称する場所に何時間も監禁をされている。だけれども、これ解放してくれないからという知らせを受けて、私駆け付けて、そこで談判をして、ようやっと解放させるというような経験を何度もしてまいりました。  あるいは、やみ金の大きな柱であります、携帯電話の番号しか分からない〇九〇金融というものに対して、これを数十件、あるいは百件近くの債権を持って相談に来られる方があります。これどうにもなりませんから、電話を直接そこに掛けて、その被害者を前にして電話で談判をして、取立てを何とか、何としても止めさせるというような経験をしてまいりました。  私、今日お願いをしたいのは、第一線でそういった被害と、あるいは違法に向き合われる警察官の方々、特に警察署の生活安全課や交番が第一線になると思いますけれども、こういった違法取立てにどう臨むのかということが重要だと思うんですね。  この点で、民事不介入である、あるいは元本くらいは返すのが当然ではないか、こういった対応がありました。あるいは、違法取立ての現場に居合わせても、取りあえず今日のところは帰りなさいと説示をして、その場は帰してくれるんだけれども、だけれども、警察官がいなくなれば違法取立てが繰り返されるという実態があります。あるいは、支払わないように頑張りなさいという一般的な教示にとどまって、それでは現実には無法取立てが止まらないから、だから債務者はなお追い詰められるという実態の中で、心中あるいは自ら命を絶つ、一家離散というような深刻な被害が繰り返されてきたわけですね。  やみ金対策法によってその犯罪性は一層明白になったわけですが、私は厳正な摘発、検挙と処罰こそがこのような無法を正す道だと思います。そこで、現場の相談、あるいは被害申告に当たっていらっしゃいます警察庁の構えを改めてお伺いしたいと思います。
  121. 巽高英

    政府参考人(巽高英君) 個々の現場状況が様々であるため一概に申し上げることはできませんけれども、平成十六年一月に施行されました改正貸金業規制法によりまして、正当な理由のない夜間の取立てとか、勤務先への電話等の違反行為が列挙されました。また、これを無登録貸金業者にも適用するということが規定されたところでありますから、これらを適用しての取り締まりを指示しているところであります。  正当な理由なく夜間に取立てを行うとか、暴行、脅迫を現に行っているなど、現行犯として逮捕できる場合もありますけれども、警察官が現場に臨場いたしましたときにはそうした脅迫的な言動が終わっているなど、即座に検挙できないという場合も多いわけであります。しかしながら、そうした場合でも事後速やかに被害者から事情聴取し、違法な取立て行為があれば積極的に立件するように努めているところであります。  今後とも、警察といたしましては、犯罪として立件できるものは立件し、違法な取立てを見逃さないよう厳正に対応してまいる所存でございます。
  122. 仁比聡平

    仁比聡平君 その違法取立ての場合に、現行犯としては逮捕できない場合のお話が今ありましたけれども、その際は、つまり取立てに来ている業者のいわゆる社員でしょうか、従業員、これに対して人物が特定できる人定事項は、これは聴取をして証拠として残すのか、あるいは逮捕に至らないまでも任意同行を求める、その違法性をその中で明らかにするというような対応をちゃんとやっていらっしゃるのかという点について。  それから、先ほど私が申し上げました民事不介入であるとか、あるいは元本くらいは返すのが当然だというような、こういう言葉はこれはあってはならないことだと思いますが、いかがですか。
  123. 巽高英

    政府参考人(巽高英君) 現場状況は様々でございますけれども、現場で検挙できない場合であっても、もちろん任意同行をして事情をしっかり聞く、あるいは少なくともその取立てに来た人間の人定事項を確認するというようなことは、現場において当然やるべきことであろうというふうに考えているところであります。  また、民事不介入というような文言につきましては、警察といたしましては、やはりこういったやみ金の、やみ金融の相談者の心情に十分に配意しつつ、その訴えを誠実に聴取して、犯罪の成否やそのおそれの有無を適切に判断して対応していくべきものであるというふうに考えているところであります。
  124. 仁比聡平

    仁比聡平君 つまり、民事上の問題ではなくて、刑罰法規に触れるか触れないかの問題なんだと。そこを現場の捜査官は証拠を踏まえて判断しなければならないと、そういうことですね。
  125. 巽高英

    政府参考人(巽高英君) 議員御指摘のとおりでございます。
  126. 仁比聡平

    仁比聡平君 厳しい社会的批判の下でやみ金対策法が作られました。その前後の被害と検挙の実態について警察庁から資料をいただきまして、三枚目にお配りをしています。  これも踏まえて、警察庁は平成十年以降の推移をどう見ていらっしゃるか、そして今後どう対応されるのか、お答えください。
  127. 巽高英

    政府参考人(巽高英君) 平成十五年七月に貸金業規制法及び出資法の一部改正がなされましたが、警察では、この改正に合わせまして全国で強力な取締りを推進いたしました。  平成十五年中の検挙は五百五十六事件千二百四十六人と、統計を開始した平成二年以降最多ということであります。その後はやや減少しておりますが、平成十六年中は四百三十二事件九百十九人、それから平成十七年中は三百三十九事件七百六人の検挙ということでございます。  一方、私どもは、やみ金融に関しまして全国警察における相談件数の推移というものを、全国のものについて把握する統計はないわけでございますけれども、八都府県において、集計の対象範囲は若干異なっているものではありますけれども、やみ金融に関する相談件数を把握しているところでございまして、それらを単純に合算いたしますと、平成十五年七月は約二千三百件相談件数がありましたが、これが徐々に減少いたしまして、平成十六年四月以降は毎月七百件ないし八百件程度で推移しているというところでございます。  こうした状況を見ますと、やみ金融に関する相談は、限られたデータに基づく推計ではありますけれども、最盛期に比べて沈静化の傾向にありまして、法改正及び取締りの効果も現れているのではないかというふうに認識しております。  ただ、やみ金融に関しましては依然多数の相談があることや、違法なやみ金融事件も後を絶たないことでありますので、今後とも警察の総合力を発揮した取締りを推進していく必要があると考えております。
  128. 仁比聡平

    仁比聡平君 今なお史上三番目という数字が上がっていて、平成十五年のピークからは確かに下がっているんだけれども、被害額というと二百三十七億七千万なんですから、これは極めて悪質な状況があるということだと思います。厳しく当たっていただきたいと思いますが、この実態は、言うまでもないことですけれども、厳正な対応をすれば一定の効果を生むということを示しているわけですね。私は、上限金利違反やあるいは違法取立て、こういった問題について同様の厳正な対応を厳しく求めていきたいわけです。  出資法で、上限金利の規制について、業として貸金業を行う者の金利規制、これがどうなっているか、時間がありませんので端的にお答えいただけますか。
  129. 大林宏

    政府参考人大林宏君) 出資法第五条第二項、第三項の規定により、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合においては、年二九・二%を超える割合による利息の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは一千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとされております。  特例がありますが、これも読みますか。  さらに、その特例として、同法の一部を改正する法律附則第八項は、日賦貸金業者が業として行う貸金、金銭の貸付けにおける利息の契約の締結又はこれに基づく利息の受領については、年五四・七五%を超える場合に処罰することとし、同第十四項は、電話担保金融における利息の契約の締結又はこれに基づく利息の受領についても、年五四・七五%を超える場合に処罰することとしているものと承知しております。
  130. 仁比聡平

    仁比聡平君 極めて異常な高金利なんですね。かつての一〇九・五%はもちろんですが、五四・七五%という金利だって、今の市中金利から考えて到底考えられない異常な金利だと思います。これを受けて、この金利を支払いながらまともな営業ができる自営業者が一体どこにあるのか。  そういう状況の中で、この高金利を取り立てるために、そこで暴利をむさぼるために、何人もの保証人を付けさせて、それを暴力的に脅して実際に支払わせていっている、追い込みを掛けているという実態が今広がっています。いわゆる日掛け被害というふうに言われる被害は、九州、沖縄を中心に今全国に広がりつつあると言われているんですが、今日は時間がなくなってきましたので、この今の無法な取立ての実態を紹介をして、次回、また別の機会に質疑をさせていただきたいと思うんですが。  全国クレジット・サラ金問題対策協議会が紹介をされている下級審判決例に現れた無法取立ての事案としては、やみ金対策法の施行後、施行後の二〇〇一年の七月に起こった事件ですが、二〇〇二年十月二十五日に神戸地方裁判所でこういう事実認定がされています。  弁護士に債務整理を依頼をした債務者が、たまたまその日掛け業者の従業員に捕まって、その日掛け業者の社長が連絡を受けてやってきて、他の日掛け業者と一緒になって車で事務所に連行をし、監禁をした。そこで債務者は裸になることを強要されて、そして全裸の写真をポラロイドカメラで何枚も撮られて、これをばらまくと言って脅かされた。この間約三時間。ここで精神的に大きな打撃を受けたという趣旨の事実認定ですね。これ慰謝料請求が認められているわけです。  宮崎地方裁判所の二〇〇三年十一月二十八日の判決でいいますと、日掛け金融業者が債務者の承諾なく、午後九時から午前零時ころまで連帯保証人の居宅に居残って、連帯保証契約を結べ結べと強要する。最後は、たまりかねて債務者である兄弟、妹さんが土下座をして懇願をする。そういう中で、後に公序良俗違反であるということで無効とされた連帯保証契約が締結をされ、それに基づく取立て行為が行われると。こんな実態がやみ金対策法の施行後もあるわけですね。  先ほど警察庁に御紹介いただいた統計は、こういった日掛け問題も含めた出資法、貸金業規制法違反の事件をトータルに取り組んでいるものだと理解をしていますけれども、私、こういう日掛け金融の暴力的な取立て、無法な実態、ここをそれ自体としてちゃんとつかんでしっかり対応をしていかなければ、せんだって時効間際に犯人の逮捕、検挙に臨んでいます大阪のやみ金心中事件のような、本当に絶対に繰り返してはならない悲惨な実態が起こるのではないか、既に起こっているのではないか。その八千人の自ら命を絶つ方々のうちの生活苦、経済苦を原因としていらっしゃる方々、その方々数字の中にはこういう実態があるのではないのかということを強く思うわけですね。  大臣、これ金融被害の問題は、金融庁の金利の問題やあるいは業者への監督指導の問題ももちろん深くかかわっております。改めてお伺いをしたいと思いますが、あるいは警察、そして検察、やっぱり政府を挙げてトータルで取り組まなければこれは根絶できないと思うんですね。こういう無法金融は絶対に許さないという決意をお伺いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  131. 河野太郎

    ○副大臣河野太郎君) 先般、内閣府の後藤田正純大臣政務官法務省にお越しいただきまして、こうした問題について意見交換をさせていただきました。特に日賦の問題につきましては、法務省としても懇談会にオブザーバーとして参加をしておりますので、金融庁がそうした例外的な、特例的な貸金業の市場における存在意義があるかどうかの御判断があれば、法務省はそれに従いたいという旨の意見交換をさせていただいております。  それ以外のこうした利息の問題につきましては、関係法令が複数ある中でいろいろな省庁も関与しておりますので、ここは懇談会のリーダーシップの下、法務省としてもしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
  132. 仁比聡平

    仁比聡平君 終わります。
  133. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 国民新党の亀井でございますが、大臣、大分お疲れのようでございますが、あともう少しだけ、よろしくお願いしたいと思います。まだまだほんの触りですから、頑張っていただきたいと思います。  今日最後でございますけれども、今日いろいろとお話がございましたし、多くの問題を抱えておられること、よく分かるんですが、私は大臣の所信表明の中に書いてありましたことで、人権擁護法案についてはできるだけ早く提出するように努力したいという表現がございましたので、私は、この人権擁護法案をこねたから、具体的な法案出ておりませんけれども、昨年、法務省の方から自民党に対して出されたたたき台がありますので、それを基にしながら、どういうお考えかお聞きしたいと思うんです。特に大臣は先ほど、法案が出ておりませんから、自由な立場で大臣のお考えを是非聞きたいというふうな思いでございますので、ひとつ自由闊達に、大臣、お願いしたいと思うわけでもございます。  御案内のように、去年は自民党の法務部会に掛かって随分もめました。そして、急にこれが提案されたものですから、もうどういうことかということで随分議論されたわけでございまして、結局そのためにこれは法案提出に至らなかったということでございますので、慎重にこの問題については考えていただかなきゃいけないと基本的に思うわけでございますけれども、どういうことがこれまでの議論の過程で問題であったかということを考えながら大臣にお尋ねしたいと思うわけでもございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  一つは、人権侵害人権侵害、確かに人権侵害を除いていくということで、それ非常に名前はいいんですけど、非常に名前はいいんですけれども、この法案の中身は非常に問題があるわけでございまして、そういう意味で一つは人権侵害の定義が非常にあいまいなんですね。例えば、提案された法律の二条には要するにどういうことが書いてあるかというと、人権侵害とは虐待その他の人権を侵害する行為ということとか、人権侵害は人権侵害する行為だという、ばかげた定め方が法務省ともあろうものがやっておると。そして、それ以外に、前各号に規定する人権侵害に準ずる人権侵害、これは四十二条ですけれども、それから第三条には、不当な差別的取扱いをすることを助長し、又は誘発する目的で云々ということで、これも非常にあいまいです。それから三十八条では、人権侵害を受けるおそれがあるときというような格好で書いてありますし、そういうことから非常に人権侵害の定めがあいまいであるものですから、このことを何度もついたんですけれども、法務省としては明快な回答を得ることができなかったわけであります。  こうなりますと、だれでも人権侵害者にされてしまう可能性も出てくるわけでございますから、そういう意味では人権侵害についての定義が非常に大事だと思いますけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  134. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 昨年ですか、自民党の法務部会等でこの提案が議論されました。その際、先生は堂々の議論を展開されまして、終始今日お聞きいただくことについて御意見を述べておられたことはよく承知しております。  広島県の場合、かつて校長先生が、高校の、亡くなられたような悲惨な事件があって、僕の地域にはああいう事件は起こっていないんですけれども、だから全国、地域によって差があると思うんですね。それぞれの先生が、先生の場合は恐らくお地元の事情を踏まえて議論されるわけでしょうし、いろんな方がいろんな立場から御意見をおっしゃっておられるというふうに私は思っております。  人権擁護法案は私は必要だと思っていますが、もちろん中身が問題なんですけれども、いわゆる先進国の中でこういう法制を持っていないのは日本だけと言ってもいいんじゃないでしょうか。その国によって様々な法制がありますけれども、人権侵害とはすなわち人権を侵害することであって、私は民法とか刑法で違法とされる行為だとしか読めませんが、違法な行為。で、その人権侵害の最たるものが犯罪でしょう、犯罪だと思うんですね。ですから、これはどこの地域でも見回せば、犯罪までは至らないけれども人権侵害は多々ございますですよね。そういう問題を、まだ犯罪にまで至らない状態のものを、こういう、これは三条機関ですが、つくって迅速に処理する、それで警告するものはする、しても直らないのは適時措置を取って、人権侵害というか、犯罪に至らない段階で効率的に早くスピーディーに処理するということが大事なことだと思うんですね。これは犯罪の予防にもつながっていく問題だと思うんです。  あんまり言うと法務省を批判することになっちゃうんであれなんですけど、私は、先生方の議論を聞いていて、ともかく、じゃ、亀井先生がこういう定義をしろと法務省を督励すれば法務省は出しますよ。例えば例示をですね。最後にそれに準ずる事項というのが必ず付きますが。その心配されておることを、心配されておることをぴしっと御心配がないように、人権侵害とは例えば例えば例えば例えば等と、人権を侵害する行為というふうに、法律の例でもありますから、例示をして、そういう議論をしていただけないかなという感じをしながら伺っておったんです。まだほかにも先生たくさん御主張なさっていますが、人権侵害についての御心配をあるとするとすれば、やっぱり具体的な例示じゃないでしょうかね、抽象的な表現ですから、だと思いますが。
  135. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 大臣おっしゃるように、人権侵害を定義することは難しいかもしれませんけれども、それだけに法務省は簡単に人権侵害とは人権を侵害する行為だなんて考えないで、今おっしゃったように具体的にこういうことがいけないんだよということを明記していく必要があると思うんです。  今おっしゃった私の広島県の場合も大変困ったことは差別という言葉ですね。差別はいけませんね。差別はいけないんだけれども、何が差別なのかということを明確にしないで、特定団体、部落解放同盟ですけれども、それがこの問題を取り上げて非常にひどいことになってしまった。それが教育の現場でぐちゃぐちゃなことになってしまって、高校の先生が、校長先生や多くの人が自殺するということになったわけで、こういう問題はやはりよくよく定義をしっかりしてもらわなきゃいけないんで、そういう意味で、今度法案出すときには、我々も一緒に考えますけれども、大臣、ひとつよく慎重に考えてもらって、局長以下の皆さん方がいい加減なことを言ったって、そのとおりやっちゃ困りますから、ひとつよろしくお願いしたいと思いますよ。  それから、今ちょっと大臣から言葉が出ましたけど、もう一つ問題は、この委員会が、非常に独立性が高い三条委員会にしているということですね。御案内のように、三条委員会ということになりますと、これは事実上法務省の外にある外局で、非常に独立性が強くて、そして令状なくて個人の家を検査したり、名前こそ検査といいますけれども事実上家宅捜査し、そして尋問という言葉は使いませんが質問するという形で、留置という言葉は使わないけれども留め置くというような形で、非常に大きな権限を持っておるわけでありますね。  そういう意味では、警察以上の権力を持ってやれるような権限をこの三条委員会は持っているわけで、今委員会一つありますけれども、そのために非常に困っておるところもあるわけでございますけど、それはそれとして、やはりこういう委員会をつくられるということは、ある意味では法務大臣の指揮から全然人権擁護というものがなくなっちゃうわけですね。今まだ人権擁護局があって大臣が具体的に指示できるんですけれども、これができたら大臣は何も言えなくなっちゃうという状況ですね。これで、しかも言うことを聞かなければ三十万円以下の科料が科せられるということですから、大変な権限を持ってしまうことになりますので、そういう意味では、大臣が本当に、本当に人権擁護が大事だと考えておられるのであれば、大臣の手元でいろいろと指導できるような会議、形にして考えてもらわなければいけないと思うんですけれども、なぜこれを法務省としては三条委員会にこだわるのか、どうも理解できないんですよね。  だから何度聞いても分からないんですが、頭が悪いせいかもしれませんけれども、ひとつよろしくお答え願いたいと思うし、もう一つ、同じように三条委員会をつくるんだったら、法務省から外して内閣府に置いたらいいんじゃないかという意見さえあるわけでございますから、やはり法務省がこういった人権問題についてはしっかり頑張っていただきたいと私は思うんですけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  136. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 法務省が閣法でこういう提案をしたのは、申し上げるまでもないと思いますが、審議会ですね、審議会をつくって審議いただいたわけですが、その答申に、新しい人権救済制度を担う組織は政府からの独立性を有し、中立公正さが制度的に担保された合議制の組織とする必要があるという御指摘があったのを受けてそうしたんですね。  考え方、いろいろあるのは私も知っております。国によっては人権裁判所と、司法権の一部として独立の裁判所を設けている国もございますし、それから、法務省、要するに政府から独立の委員会、政府から独立と言ったら語弊がありますが、公取みたいな、要するに、省庁から独立した委員会にしている国の方が立法例としては多いんじゃないでしょうか。恐らく、民主党の御提案は外へ出せと、法務省から、そういう御提案だと私は理解しておったが、最近の民主党の態度は知りませんが、そういう御提案だと理解しているんですね。かつてはそうだった。(発言する者あり)今でもそうですか。  ですから、それは考え方の問題であって、この推進審議会の御意見が私は絶対に正しい、一〇〇%正しいとも思っていませんが、ですけれども、一応独立のものであっていいんじゃないかという答申をされたわけですね。恐らく、委員の中も御意見が分かれたんじゃないでしょうか。  私は、今人権擁護局長皆さんに言っているのは、どんどんやりなさいと、勧告にしろ指導にしろ、できるんだから。世間、新聞に出ないよと。この間、意見、勧告したんですね。小さく出ましたですけれども。法的効力はあろうがなかろうが、悪いことを見たらやめなさいと声を出したらいいじゃないかと。相談に乗っています。よくやっていますよ、私も八管区全部人権擁護関係の機関も行きましたけれども、使命感を持った方が一生懸命やっています。だから、それはそれなりに余りブレーキ掛けないで、効力はないけれども、勧告はできるんですね。これはやめなさい、こうしなさいと言えるんだから、もっともっと、それで人権侵害止まる場合もあるんだから。止まらない場合もあるだろうと。やるんだから、ありとあらゆる今与えられた権能でやるべきだということは機会あるごとに申し上げております。  法務省の中にあっても、権限はありませんね。勧告といっても従う義務はなし。今のままでは駄目だと思うんですけれども、改善した方がいいと思うんですが、ですけど、告発することは何人も告発できますから、違法行為だと思ったら警察に告発したらいいんですね。これは犯罪だからやれということはできるんですから。それは工夫する、やるべきことはそれなりに今でもできるとは思っています。  三条委員会でも私はいいと思うんです。ですけど、国際標準からすると、ちょっとこれは従属し過ぎていると、政府に。そういう御批判が民主党辺りから必ず出ると思うんです。ですから、これは国会で御審議いただくわけですから、まず与党で、亀井先生今自民党どかれちゃったけれども、ともかく御審議いただいて、また国会へ出て国会で御審議いただいて、現実を踏まえてどういう人権擁護の推進する組織があるべきか、御検討いただければいいと思っています。  私は、ある意味では、その面では白紙に近い考えなんです。ただ、推進しなきゃいかぬことは間違いない。それは国民の意思を代表される国会で最終的にはこうあるべきだという方向が出ればそれに従ってやればいいわけで、今でも私はやれると思っていますから、人権擁護局にはそういうふうに督励をいたしております。
  137. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 大臣、ありがとうございます。  今大臣がおっしゃったように、今でも法務省がやる気になってやれば二万人の人権擁護委員を使えるわけですし、何でもできるんですよね。それをやらないでおいてこういった第三条委員会をつくってなんという考え方は私はいけないんじゃないかと思うんですね。だから、どんどんやるべきだと思うんです。何が問題なのかということがはっきり分かれば、それなりに法案を直していけばいいと私は思うんですね。  そういう意味では、順序ちょっと違いますけれども、いろいろと法案が、人権擁護についての法案はたくさんあるわけですから、現実に。例えば人権擁護施策法だとか、例えば人権教育及び人権啓発の推進に関する法律だとか、人権擁護委員法だとか児童虐待の防止に関する法律とか、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律、たくさんあるわけですね。裁判所もちゃんとあるんだし、そういう意味で、今度は裁判官、司法関係の人間も増えてくるわけですから、そういう場でやっぱりどんどんやっていけば、私はできると思うんです。こういうあいまいな分かりにくい文章を作ってやられたら困ると思うんです。  実際、さっきの話に戻りますが、広島の場合には、やっとこさ部落解放同盟を落ち着かせたと思ったら、本人たち今一生懸命待っているんですよ、この法律ができるのを。法律ができたらおれたちの時代だということでまた頭をもたげてくると、またせっかくおとなしくさせているのが、広島県またひどいことになってしまうんですよ。だから広島県の心ある人はみんな、これだけは何とかしてくれと言っているのが実態ですから、大臣、ひとつよくよく考えていただきたいと思います。これ出されたら、大臣辞めちゃったら困りますからね。それは冗談として、そういうことでひとつよろしくお願いしたいんですが。  それから、同じように今のに関連しまして、人権擁護委員の問題でございますけど、人権擁護委員外国籍の者が簡単に選任される可能性がある。外国籍を取ってあるわけですね。これもおかしいじゃないかということを言っているので、日本人の人権は日本人で守っていけばいいんで、外国人の力まで借りる必要、僕はないと思うんですね。こういうことをやりますと、例えば今拉致問題等についていろいろ頑張っておりますけれども、拉致問題なんかについても、朝鮮総連がこの人権擁護委員に入って、あの問題はもう解決した問題なんだと、だからそれが不当な差別言動だとか、あるいは困惑させるとか著しく不快にさせると、こういったことを言って差別的言動だと言って責めてこられますと、拉致被害者の家族の運動も事実上できなくなってくるということさえ考えられるわけであります。  そういう意味では、日本人としての帰属意識なり国益意識のない者が公権力を振るうということは認められませんので、そういう意味では、人権擁護という大切な仕事を依頼するのはやっぱり主権国家として日本人に限定してほしいというふうに思うわけでございますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  138. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 先ほど先生がおっしゃられた、いろいろな法律があるじゃないかと、取り締まる。だから、こういう法律に新しく作る必要はないんじゃないかという御意見は、私、その前に申したように、刑法があるわけ、刑法に違反する、いろいろ特別法で決めている。そういう違法な行為を人権侵害という、程度の問題ですから、ひどくなれば犯罪になっちゃうわけですが、その前でもそれに触れていると。違法性は薄いけれども、逮捕、起訴までは行かないけれども違法だという行為はあるわけですね。それを人権擁護委員会はどんどん指摘をして、みんなで総力を挙げて、それで警告をしたり指導をしたりしたらどうかと言っているわけで、その点は先生と全く、この法律を作らなくても人権擁護委員会はできるじゃないかということだと私も思っております。  それから、国籍条項なんですが、これも大変もめた事案だということは知っております。ですけど、何といいますか、諸外国の法律の例では、国籍条項はない方が多いということも聞いておりまして、私、一々詳しく当たったわけじゃありませんが、どちらかといえば、(発言する者あり)いや国籍条項はない方が多いというふうに聞いておるんですね。  で、まあ北朝鮮の問題とか在日韓国人、まあ北朝鮮系の方が多いですから、地域によっては偏在していますので、そういう方が入ってくるのじゃないかと恐れている方々が声高におっしゃっているわけなんですね。まあ多少、地域事情等いろいろあるからだと思うんですけれども。これも審議会の答申にあったものですから、それをそのまま御提案したと、法務省としてはそういうことだと思います。  まあ、いろいろ考え方はあると思うんですけれども、私個人的には、議会の意見を聞いてじゃなくて、議会の議決事項にしたらどうだと。例えば、助役の選任とか収入役だとか、議会の議決事項にいたしますと変な人はならないんですよ。議会議決できないですよ。意見を聞いて、だから首長は、聞いて、どこをどういうふうに聞くのか訳の分からない形で推薦するケースもあるようですね。だから、そうしたら、例えばもう人権擁護委員の権威高まりますよ。もう助役や収入役と同じ、議会の同意ですね、同意人事だと。だから、ちゃんとした人を選ぶようになるんじゃないでしょうかね。首長が同意を得て、議会の同意を得て任命するようにしたらいいじゃないかぐらいに個人的には思っているんです。  ただ、答申が意見を聞いてというふうになったから、そうなったんでしょうけど。あるその反対論者の方に同意人事にしたらどうと、それならいいとおっしゃる方もあったものですから。例えば、そういうふうに修正する余地はないわけじゃないと思うんです。それは、やっぱり国会が法律を作り、最終的にお決めになるわけですから。このままの形で、先生の疑念がぬぐえないとするならば、じゃどうしたらいいのかと、どうしたら。法律決めるのは亀井先生始め皆さんでございますので、そういうことを自民党の法務部会にも申し上げておるんです。修正はしていただける。まあ、ある程度修正案もできているようですけどね。法務省が作っておるようなんですが、大体の御理解をいただいているところも幾つかあるらしいんですが、この点はまだ駄目のようですね。ですから、まあこれは民主党の先生方どう思われるのか、大変重要な問題だと、ポイントであるとは思います。  まあ私は、どちらかといえば国際派でございますので、その一応国籍条項は、世界の大勢に従って外すとしても、じゃどうしたら皆さん安心していただけるかと、同意人事にしたらどうかなと思ってみたりしておる次第でございます。
  139. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 ありがとうございました。  もう外国人ももちろん人権があるという話、それはもちろんそうですけれども、しかし日本に来たら日本でちゃんと守ってもらえるという体制日本人の手でつくることが大事なんで、外国人の手までかりて人権擁護する必要は僕はないと思うんですね。我々が守っていかなきゃいかぬ。それだけの自負を持ってやる必要があるだろうと思うんですが、特にもう一つは、人権擁護委員が、今の規定だと一部に偏った人間になる可能性が、ということですね。これも最初の原案からちょっと削除されましたけれども、最初はもっと具体的に書いてありましたけども、しかしそれでも人権に関して高い見識を有する者を推薦しなければならない。これについても、さっきおっしゃったように、大臣おっしゃったように議決を、議会の議決を得るんであればもういいんですけども、そうでなければ何か地域によってはそうした特定の団体の者が入ってしまうと、その人の意見に大きく左右されてしまうということになって、広島なんかではこのことを物すごい心配しておるわけですね。だから、下手するとそのために糾弾闘争の対象にされてまた自殺者が出てくるんじゃないかということさえ心配しておりますので、それについては十分お考え願いたいんで、一部に偏った人間が来ないということをやはり考えてほしいと思うんですね。それはもちろん、私が言ったから法律どうこういうんじゃありませんが、しかし我々の声もやっぱり十分考えて法務省としてもいいものを作ってほしいと思うんですね。  そういうことに絡んで、もうあと時間幾らもありませんから、そのことと絡んでもう一度お尋ねしたいのが、一つは法案の提出時期ですけれども、これについてはできるだけ早くということでございますが、どのような内容でどのような形で提案され、現在どうしておられるのかということをちょっとお聞きしたいのと、それからもう一つは、報道関係についての規定が、一応別に定める日までは実施しないという格好で凍結されておるわけで、そういうことですけれども、こういうことで本当にいいんだろうかと。いつごろまで、別に定める日というのは百年先なのか一年先なのか分かりませんし、これについてはどういうお考えなのか、これについてお尋ねしたいと思います。
  140. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 先ほど申し落としましたが、外国人の方が非常に増えています、定住者そのほか。それから外国人の方の中にも人格識見ともにすばらしい方がいらっしゃるんです、たくさん。ということも含めて国籍条項は、まあ国際的潮流に従って外したらどうかと個人的に考えていると付け加えさせていただきます。  それから、いつということなんですけれども、もう先生案内のとおり、自民党の法務部会は現状では通りませんから、ですから修正はいたしますと。まあ民主党に行ったらもっと通らないかもしれないです。ですから、自民党から、あと与党の協議ですね、このプロセスをともかくクリアしないと国会へ提出できませんから、このまま出したんではまた二の舞だということがあって、ある程度修正点も伺っておりますけれども、完全にそれじゃいいというところまでまだ行っていないようですから、正直言っていつ出せるかは、努力はいたしますが、いつ出せるかどうかは現時点では何とも申せない。お話し合いが付けばすぐでも出せるようには相なっております。  マスコミの点は、このマスコミと本当に真剣に協議する必要があると思いますね。この審議会にもマスコミの方が入っているんですよ。そうすると、それでマスコミはオーケーかと思ったら駄目だと、こう言われるわけで、マスコミもいろいろいらっしゃる方があってあれなんでしょうけれども、まあマスコミとは特別にまた特別な何かでよく御相談をして、あの部分ですね、解除するとしてもあの内容じゃ駄目でしょうから、どうしたらいいかは、法案が仮に成立した場合でも、より真摯な議論が必要になるんじゃないでしょうかと思っております。いつできるかはマスコミの皆さんとの話し合い次第だというふうに思いますが。
  141. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 ありがとうございました。  今度は自民党の方に陳情しなきゃいけませんけど、是非とも与党の皆さん方、十分審議して、変な法律作らぬようにひとつよろしくお願いしたいと思いますけれども、そのように、ああそうか、こちら言っちゃいかぬのか、こっちから言わなきゃいけませんね、大臣ひとつよろしくお願いしたいと思います。  もちろん外人の問題も、立派な人がおられるのは分かりますけれども、しかしそれ以上に日本にもたくさん立派な人がおるんですから、日本人で立派な人を使ってほしいと言っているわけで、外人より以下なら仕方ありませんけれども、だからそういう意味では外人崇拝も適当にしてもらって、やはり日本人らしくやっていこうじゃありませんか。  それから、報道関係についても、やはり一緒に議論して、これはというものを作ってもらって、みんなが守れる法律を是非とも作ってほしいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  これをもってやめます。
  142. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時二十八分散会