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国務大臣(
杉浦正健君) 千葉
先生におかれましては、長年弁護士として、特に人権派弁護士として大活躍をされ、議員になられてからもこの法曹界のことについては特段のお力を賜っております。また、民主党の今シャドーキャビネット、英語を使うと怒られるんですが、最近、の
法務大臣をなさっておられると承っておるわけでございます。これからいろいろな意味で、与党、野党、立場は違いますが、御指導、御鞭撻をいただくことになると思いますので、まずもってよろしくお願い申し上げる次第でございます。
司法制度改革につきまして、
先生から資料をちょうだいして、この一覧表を見て改めて、
先生もよくぞここまで来たとおっしゃっておられましたが、私も改めてこんなにもやったのかという思いでございます。まあ、私の場合、自由民主党の中でこの問題をともかく一歩を踏み出した最初の、最初の一歩、何かのポスターに書いてありますが、最初の一歩のときに、あれは橋本内閣でしたけれども、
司法制度改革の党の組織が立ち上がったときに、保岡
先生と一緒に事務
局長でこの問題に取り組み始めたわけでございますが、あのころは、もう正直言って私は法曹界の保守性をよく知っていますから、とりわけ
最高裁判所のこの後ろ向きさは弁護士時代もう身にしみておりましたので、よもや前へ進む、こんなに進むとは少しも考えておりませんでした。ところが、いろいろいろいろと話してみますと
法務省、
法務省はいつも中立的なんですが、
最高裁は非常に熱心に進めなきゃいかぬというお
気持ちになっておられることを知りまして驚きましたが、ああ、これならできるかもしれないという
気持ちで一生懸命取り組んだ、取り組み始めたことを本当に昨日のように思い出すわけでございます。
先生おっしゃったとおり、もちろん完全なものではございませんが、しかしこれだけ様々な
課題に手を付けてここまで来たと。点数を付けるわけにはまいりませんが、もちろん百点満点ではありませんですけれども、まあ一応合格点と申しますか、のところまでは来たのではないかなというのが全体としての私の印象でございます。もちろん、このでき上がったものについて、例えば裁判員
制度、始まってはおりませんが、あるいは法科大学院にいたしましても、試行錯誤と申しますか、やってみた結果、やっぱり手直しというか、修正あるいは改正ということはあり得ると思いますが、ともかく始めて、やってみてということが大事ではなかろうかというふうに思っております。
司法試験の合格者数も、今千五百人までなりました。行く行くは三千人ぐらいをめどに増やそうと、日弁連さんもよもや賛成すると思わなかったんですが、賛成されまして、その三千人
体制、あるいはもっと
状況によっては、そのときの
状況によりますが、そこまではやろうということになっているわけですけれども、増えた場合に弁護士さんの業界どうなるのかという不安といいますか、心配なきにしもあらずなんですが、しかしそれも、弁護士という資格を持った方がもっともっといろんな意味で官庁の中とかあるいは企業の中、幅広く活躍していただくというきっかけにもなるのかなと思ってみたりしております。
激動する
社会の中で、これはグローバルに大変革が進んでおりますから、これから司法、法の支配を全うする司法の役割というのは大きくなっていく一方だと思います。自己責任型
社会、事後チェックという
社会と言われておるわけですけれども、そうであればあるほど
裁判所、
検察庁、
弁護士会、司法の果たす役割というのは重くなりこそすれ、軽くなることはないと思います。この成果を、あくまでも通過点でありますが、今後とも、もちろん
先生方の御指導をいただきながら前へ進めていく、
総理の言葉をかりれば
改革に終わりはないということだと思いますけれども、まあ戦後と申しますか、昭和の世界でいいますと、終戦直後のあの大
改革に匹敵する、あるいはそれ以上の大きな
改革を成し遂げつつあるんじゃないかなというふうに思っております。
法制の整備としてはほぼ仕上がっておるわけですけれども、今後新たに取り組むべき問題も幾つかございます。
先生方御承知のとおり、この四月から
日本司法支援センターが発足して十月から業務開始いたします。この組織については私、自民党の中でその
主査を務めまして法案のたたき台を作りましたので、特に思い入れが強い
一つでございますが、その
チームで
韓国にも
視察してまいりまして、
韓国には大韓法律救助公団という公団がございます。何と申しましょうか、日弁連がやっておりました法律扶助協会なんというのはちゃちなもんで、もうともかく、何と言ったらいいか、壮大な組織が立ち上がりまして立派な運営をしております。話が長くなりますけれども、
韓国に負けるなが合い言葉でありまして、ついこの間も、
大臣になって、三年たったもんですから、最初の訪問から、
韓国へ行って見てまいりましたら、更に進んでおりました。
韓国に負けないような、サイズだけじゃなくて中身でも、司法支援センターを立ち上げてまいりたい。
様々な事業、扶助協会のやっております事業以外にもたくさんの事業が付加されております。
犯罪被害者に対する支援でございますとか過疎地
対策とか、様々ございますので、あのねらいのとおり、最終的には、年月を掛けてまいりますが、
全国津々浦々に郵便局のように、郵便局を利用したりして、ともかくこのネットワークを広げまして、
国民の
皆さんにある、中にあるニーズ、法的トラブル多くなっております。おれおれ詐欺だとか振り込め詐欺だとか、法律相談ではこなし切れない、ああいうのは最後までやってあげないと不安なんですが、そういう
皆さんのニーズに的確にこたえられるような頼りがいのあると申しますか、そういう組織にしていく必要があると思っております。
役員も内定いたしまして、
全国、取りあえず都道府県単位で支部を立ち上げて準備をいたしてまいりますが、私は
関係者の方に合うたびに、これはお役所
仕事でないと、絶対にあってはならないと。これ特殊な法人でございますが、大体今までの公団、公社、特殊法人というのは、
民間の悪いところと役所の悪いところを寄せ集めたようなものだと、こう世間が言うぐらい官僚化しやすいものでございます。あくまでも
国民の方に目を向けて親切に丁寧に御相談に乗ることから始める、そういう組織でなきゃならないという、口を酸っぱくして言っておるわけですが、そういう本当に
国民の目から見て、まあ駆け込み寺といいますか、頼りがいのある親切ないいところだというふうに言われるような組織に立ち上がっていきますように、
先生方におかれましてもひとつ十分に目配りをしていただいて、
全国各地で至らない点は御叱正を賜りたい、また様々な形で御支援をいただきたいと思っております。
裁判員
制度もまだPRの段階でございまして、まあ、あれについては私もいろいろ
意見があって、私はドイツの参審
制度がいいと思ったんですけれどもああいうふうになってしまって、まあ参審
制度は参審なんですけれども、ちょっとこの裁判員の数が多過ぎて
裁判所が大変だろうと思うんですが、まあしかし決まった以上スタートしてやってみて、
関係者
努力して、修正するとすれば何年かやってみた上で修正すればいいと思いますけれども、万全の実施準備をしてまいりたい、PRから始まってですね、そう思っております。
残っております主なものを言いますと、法令の
外国語訳整備の推進、まだ始まったばかりでございます。それから、裁判外紛争解決手段、横文字使うとまた怒られますが、ADRと称するものですが、これも隣接業種にもっともっと広げていかなきゃならない作業が残っております。
法教育の推進もございます。こういう教材を作りまして、「はじめての法教育」、中学校三年生対象にしているようですが、まだ全部やっておりません、試験的に幾つかのところでやっておる教材でございます。これを
先生方に読んでいただいて、例えば町内会の規約を作ろうとか、法とは何かということをここから
先生に考えていただいて、まあ何単位といいましょうか何時間か教えていただくということで、一応こういうものは作ってある程度配付しておるようですが、これを更に進めて、まあできれば中学のうちに全校で進めるぐらいにしたいと思います。で、教育指導要領の書きっぷりがまだはっきりしませんので、もう少し今度の改訂に当たっては法教育をもっと進められるような書きぶりに改めるように今協議をしてもらっておるところですが、進めてまいる等、
課題が残っております。
しっかりとやってまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。