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2006-03-09 第164回国会 参議院 法務委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月九日(木曜日)    午後零時十分開会     ─────────────    委員氏名     委員長         弘友 和夫君     理 事         簗瀬  進君     理 事         木庭健太郎君                 青木 幹雄君                 荒井 正吾君                 沓掛 哲男君                 山東 昭子君                 陣内 孝雄君                 関谷 勝嗣君                 谷川 秀善君                 南野知惠子君                 江田 五月君                 千葉 景子君                 前川 清成君                 松岡  徹君                 浜四津敏子君                 仁比 聡平君                 長谷川憲正君                 扇  千景君                 角田 義一君     ─────────────    委員異動  一月二十日     辞任         補欠選任      長谷川憲正君     亀井 郁夫君  二月二日     辞任         補欠選任      前川 清成君     山本 孝史君      仁比 聡平君     市田 忠義君  二月三日     辞任         補欠選任      松岡  徹君     木俣 佳丈君      山本 孝史君     前川 清成君      市田 忠義君     仁比 聡平君  二月六日     辞任         補欠選任      木俣 佳丈君     松岡  徹君  二月二十日     辞任         補欠選任      松岡  徹君     富岡由紀夫君  二月二十一日     辞任         補欠選任      富岡由紀夫君     松岡  徹君  三月八日     辞任         補欠選任      浜四津敏子君     魚住裕一郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         弘友 和夫君     理 事                 荒井 正吾君                 谷川 秀善君                 簗瀬  進君     委 員                 山東 昭子君                 陣内 孝雄君                 関谷 勝嗣君                 南野知惠子君                 江田 五月君                 千葉 景子君                 前川 清成君                 松岡  徹君                 魚住裕一郎君                 仁比 聡平君                 亀井 郁夫君    国務大臣        法務大臣     杉浦 正健君    副大臣        法務大臣    河野 太郎君    大臣政務官        法務大臣政務官  三ッ林隆志君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局経理局長   小池  裕君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 英明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○国政調査に関する件 ○法務及び司法行政等に関する調査  (法務行政基本方針に関する件)  (平成十八年度法務省及び裁判所関係予算に関  する件)  (派遣委員報告)     ─────────────
  2. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  議事に先立ちまして、一言あいさつを申し上げます。  昨年十一月一日の本会議におきまして法務委員長選任されました弘友和夫でございます。  本委員会の公正かつ円満な運営に努め、その重責を果たしてまいりたいと存じます。皆様方の御指導と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)     ─────────────
  3. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) それでは、委員異動について御報告いたします。  昨日までに、渡辺孝男君、鶴保庸介君、松村龍二君、吉田博美君、井上哲士君、長谷川憲正君及び浜四津敏子君が委員辞任され、その補欠として南野知惠子君、谷川秀善君、沓掛哲男君、仁比聡平君、亀井郁夫君、魚住裕一郎君及び私、弘友和夫選任されました。     ─────────────
  4. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 理事補欠選任についてお諮りをいたします。  委員異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますけれども、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事荒井正吾君及び谷川秀善君を指名いたします。     ─────────────
  6. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、法務及び司法行政等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題といたします。  法務行政基本方針に関する件について、杉浦法務大臣から所信を聴取いたします。杉浦法務大臣
  9. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 先生方、御苦労さまでございます。  昨年十月、法務大臣に就任いたしました杉浦正健でございます。  委員長を始め委員先生方には平素から法務行政につきまして格別の御尽力を賜っており、厚く御礼を申し上げます。  通常国会の冒頭に当たり、一言ごあいさつ所信の一端を申し述べます。  就任に当たり、小泉総理から、一つ犯罪に強い社会の実現のための行動計画に基づき、各種犯罪対策充実強化を図り、世界一安全な国日本の復活に向けて全力を挙げて取り組むこと、二つ、犯罪者矯正処遇充実などにより、再犯防止対策を積極的に推進すること、三つ、不法滞在者半減の目標の達成に向け、体制の構築など出入国管理対策強化を進めること、四つ、一連の司法制度改革の成果を国民が実感できるよう、改革の本旨に従った運用について、リーダーシップを発揮することの四点につきまして格別の御指示がありました。いずれも法務行政の喫緊の重要課題ばかりであり、私としても全力で取り組む所存でございます。  私は、年頭、職員に対し、本年を治安回復元年と位置付け、全国五万一千人の法務省職員が一丸となってこれら諸課題に取り組んでいくよう訓示をいたしました。また、就任早々から本年初めにかけまして、副大臣大臣政務官と手分けをし、全国八ブロック、合計百六十か所余りの法務省関係施設を視察し、現場の声に耳を傾けました。その結果、第一線の士気は高く、皆が心を一つにして事に当たれば諸課題を十分克服できるとの思いを深めることができましたし、職員一人一人の力を更に引き出すとともに、法務行政を支える多くの民間ボランティアの方々から一層の支援を得られるよう諸施策充実に努めたいとの決意を新たにした次第でございます。  現在、政治家の目で改めて検討を要すると思われるテーマを中長期にわたるものを含め選定し、私を首席とする刑事施設収容人員適正化プロジェクト、副大臣を首席とする今後の外国人受入れ等に関するプロジェクト大臣政務官を首席とする再犯防止対策プロジェクトをそれぞれ立ち上げ、省内で活発な議論を始めたところです。諸課題に対し、積極的かつスピーディーに対応を図る所存でございます。  皆様の一層の御指導、御鞭撻をお願いいたしますとともに、今国会に提出させていただいた法律案及び提出を予定している法律案につきましては、いずれも慎重審議の上、速やかに成立させていただきますようお願い申し上げます。  以下、幾つかの具体的施策について申し述べます。  司法法務を取り巻く現下の諸情勢に対応し、また、裁判員制度を始めとする新制度の導入に的確に対応していくためには、司法法務の各部門の充実強化が不可欠でございます。このために、今国会には、裁判所職員増員を図るための裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び仮釈放審理等を担当する地方更生保護委員会委員数の上限を改定するための犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案を提出させていただきました。  刑法犯の総認知件数、同検挙数等の数値には改善の兆しが見られるとはいえ、路上における児童の誘拐、殺人等国民の身近で発生する凶悪重大事犯がなお後を絶たず、多くの国民が肌で感じている体感治安は依然深刻な状況にあると言わざるを得ません。これを改善するためには、各種犯罪対策非行対策に係る法整備に緊急な対応が求められていると考えます。  このために、衆議院において継続審議中である犯罪国際化及び組織化並びに情報処理高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案のほか、窃盗罪選択刑としての罰金刑を導入することなどを内容とする刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案触法少年等に係る事件調査手続整備などを内容とする少年法等の一部を改正する法律案を新たに今国会に提出させていただきました。  再犯防止対策については、現在、矯正更生保護の両面で処遇充実強化に取り組み、中でも性犯罪者に対する処遇については、性犯罪者処遇プログラム研究会の成果を踏まえ、平成十八年度から本格的な処遇プログラムを実施することとしています。更生保護については、地方更生保護委員会を含め、その体制強化を目指すとともに、保護司に対する実費弁償金充実を図るなどの措置を講ずることとしておりますが、より抜本的な改革に向け、現在、有識者会議を設けて幅広く御議論をいただいているところであり、その御提言をも踏まえ、時代の要請により即応できる更生保護制度の確立のための施策を早急に取りまとめたいと考えております。  再犯防止は、法務行政のみにより果たし得るものではございません。このため、昨年来、省庁間の垣根を取り払った取組を進め、出所者等についての警察との情報共有や、犯罪を犯した者に対する就労支援についてのハローワークとの連携等を進めてまいりました。出所者等が職を持って勤労に励むことが立ち直りの出発となることはだれしも異論のないところと思われます。実際にも、出所後に職がなかった者は再犯に至る可能性が高く、他方で、出所後に職を得ることができた者については再犯に至る可能性が極めて低いということができます。このため、行政として今以上に何ができるか、これに民間からどのような支援を得ることができるか、地方自治体の協力をどのように仰ぐか、そのためにはどのような仕組みが必要かなどについて一層真剣に検討してまいりたいと思います。  犯罪被害者やその御家族などのための施策については、政府において、昨年、犯罪被害者等基本計画を策定いたしました。その着実な実施に努めるほか、今後の検討が求められた課題につきましては、犯罪被害者等の方々を始め各方面の御意見を十分伺いながら積極的に検討を進めてまいります。そして、犯罪被害者被害回復支援するため、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益規制等に関する法律の一部を改正する法律案及び犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律案を今国会に提出させていただきました。  テロにつきましては、昨年、サミット開催中の英国における事件のほか、各地でテロが頻発するなど、国際テロの脅威は拡散しております。我が国アルカイダ等によってテロの標的として名指しされており、国際テロ組織攻撃対象となる可能性があります。こうした状況を踏まえ、国内外の情報の収集に努めるとともに、テロ未然防止のため、厳格な入国審査を実施してまいります。これを担保するためには、バイオメトリックスを活用した入国審査制度を導入することが不可欠であり、そのための措置等を盛り込んだ出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案を今国会に提出させていただきました。  出入国管理及び難民認定行政につきましては、他方で、観光立国等の観点から、出入国審査の一層の円滑化が求められております。前記法案において、併せてそのための措置を講ずるほか、利便性の向上、国際協力・協調にも配慮した取組を進めてまいります。  民事行政につきましては、現在、行政改革大綱等に基づき基本法制現代化の作業を進めてきておるところでありますが、社会経済活動多様化国際化に対応すべく、法の適用に関する通則法案、いわゆる法例でございますが、これを今国会に提出させていただき、また信託法案を提出することとしております。  また、都市再生の円滑な推進に寄与するため、全国の都市部における登記所備付け地図の整備を強力に推進いたします。  司法制度改革につきましては、一連の改革の成果を国民が十分に実感できるよう更なる努力を積み重ねていかなければなりません。本年は、改革の重要な柱の一つである総合法律支援構想の中核を成す日本司法支援センターが発足いたしますが、真に国民に愛され頼りにされるセンターとすべく、関係諸団体や自治体との連携を深め、その準備に万全を期する所存でございます。また、裁判員制度については、国民制度の意義を御理解いただき、快く参加していただけるよう、その広報啓発と環境の整備に努めてまいります。そして、これら新たな制度を円滑に実施していくための基礎となるのは法教育であると考えております。新たな時代の自由かつ公正な社会の担い手をはぐくむため、法教育を普及発展させてまいります。  矯正行政につきまして、刑務所過剰収容問題は、法治国家である我が国の根幹を揺るがしかねない問題であると認識しており、その解消のため、引き続き全力で取り組んでまいります。また、懸案となっておりました監獄法改正につきましては、昨年、刑事施設及び受刑者処遇等に関する法律を成立させていただきました。その施行準備に万全を期してまいります。また、残された課題である未決拘禁者等処遇等に関する法整備を行うため、刑事施設及び受刑者処遇等に関する法律の一部を改正する法律案を今国会に提出することとしております。  このように、法務行政課題メジロ押しでございますが、すべての法務行政の根底には国民権利擁護の理念が流れております。二十一世紀は人権の世紀とも言われております。人権啓発に関する施策推進するとともに、現実に生起する人権侵害の適正かつ迅速な処理及び実効的な予防を図ってまいります。人権侵害被害者の実効的な救済を図ることなどを目的とする人権擁護法案については、できるだけ早期に提出できるよう努めてまいります。  政府が推し進める構造改革規制緩和の時代においては、国民社会生活を規律するルールの明確化事後監視・救済の充実が強く要請されるところであり、その屋台骨を支える司法法務の役割はますます重大であります。広く国民の理解をいただく中で、法務行政を強力に推進するよう努めてまいります。重ねて、御説明申し上げました今国会に提出させていただいた法案及び提出を予定している法案につきましては、慎重御審議の上、速やかに成立させていただくようお願い申し上げます。委員長を始め委員皆様方の御理解と御指導をよろしくお願い申し上げ、ごあいさつといたします。
  10. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 次に、平成十八年度法務省及び裁判所関係予算に関する件につきまして順次説明を聴取いたします。  河野法務大臣
  11. 河野太郎

    ○副大臣河野太郎君) 昨年十一月に法務省の副大臣を拝命をいたしました河野太郎でございます。杉浦大臣の御指示の下、一生懸命取り組んでまいりたいと思います。委員皆様の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。  それでは、平成十八年度法務省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、法務省所管一般会計予算額は六千二百七十九億五千万円であり、登記特別会計予算額は一千六百九十七億七千八百万円でありまして、そのうち一般会計からの繰入額が七百六億七千百万円でありますので、その純計額は七千二百七十億五千六百万円となっております。  この純計額を前年度当初予算額七千二百十九億六千五百万円と比較いたしますと、五十億九千二百万円の増額となっております。  次に、重点事項別予算内容について御説明申し上げます。  まず、定員関係でありますが、平成十八年度の増員は一千二百十六人となっております。  その主な内容組織別に申し上げますと、矯正官署で、刑務所等保安業務体制等充実強化のため六百三十三人、地方入国管理官署で、出入国管理体制充実強化のため百九十六人、検察庁で、検察体制充実強化のため、検事四十三人を含め二百五十七人、更生保護官署で、保護観察体制等充実強化のため五十五人、公安調査庁で、国際テロ調査体制充実強化のため三十八人、法務局で、地図整備事務処理体制充実強化等のため三十七人となっております。  他方平成十七年十月四日の閣議決定に基づく平成十八年度定員合理化等により九百三十二人を減ずることとなっており、増員との差引きにより、前年度定員と比較いたしますと純増二百八十四人となります。  次に、主要事項経費について御説明申し上げます。  第一に、法秩序の維持、確保につきましては三千九百八十四億九千五百万円を計上し、前年度当初予算額と比較いたしますと五十六億三千九百万円の増額となっております。  その内容について申し上げますと、まず検察関係では、検察活動充実を図る経費として一千四十一億百万円を計上しており、この中には公判体制充実強化経費などが含まれております。  矯正関係では、刑務所等矯正機能充実を図る経費として二千百九十三億九千二百万円を計上しており、この中には再犯防止対策経費や被収容者増加に伴う諸経費などの過剰収容緊急対策経費が含まれております。  更生保護関係では、保護観察活動充実を図る経費として二百四億七千五百万円を計上しており、この中には再犯防止対策経費等が含まれております。  入国管理関係では、出入国管理機能充実を図る経費として三百七十六億七千六百万円を計上しており、この中には、出入国在留資格審査体制充実強化経費不法滞在者特別対策経費等が含まれております。  第二に、司法制度改革推進関係では、主要事項について百三十二億七千四百万円を計上し、前年度当初予算額と比較しますと七十七億二千四百万円の増額となっております。  その内容について申し上げますと、まず、総合法律支援充実強化を図るため、日本司法支援センターの設立、運営に要する経費等として百二十七億一千九百万円を計上しております。  また、裁判員制度啓発活動推進を図るための経費として三億二千三百万円を計上しております。  さらに、司法試験制度改革推進に要する経費として二億三千二百万円を計上しております。  第三に、国民権利保全充実につきましては、登記特別会計を含め一千八百九十三億六千三百万円を計上し、前年度当初予算額と比較しますと三十九億四千九百万円の減額となっております。  その内容について申し上げますと、まず登記関係では、登記事務処理適正迅速化のための経費として、登記事務コンピューター化経費表示登記事務処理体制充実経費などを中心に一千六百九十七億七千八百万円を計上しております。  さらに、人権擁護活動充実を図るための経費として、人権擁護委員活動充実強化経費を含め三十九億五千九百万円を計上しております。  第四に、施設整備につきましては、過剰収容解消に向けた刑務所等矯正施設拡充整備等のため、施設費として二百十二億七千七百万円を計上しております。  以上、平成十八年度法務省所管予算概要を御説明申し上げました。  ありがとうございます。
  12. 弘友和夫

  13. 小池裕

    最高裁判所長官代理者小池裕君) 平成十八年度裁判所所管歳出予算について御説明申し上げます。  平成十八年度裁判所所管歳出予算の総額は三千三百三十一億六百万円でございまして、これを前年度当初予算額三千二百五十九億四千九百万円と比較いたしますと、差引き七十一億五千七百万円の増加となっております。  次に、平成十八年度歳出予算のうち、主な事項について御説明申し上げます。  まず人的機構充実、すなわち裁判官及び書記官増員等でございます。  司法制度改革が進展し、裁判所体制充実強化が求められている中で、増加し、かつ複雑困難化している民事事件刑事事件等の適正迅速な処理を図り、また裁判員制度導入のための態勢整備するため、裁判官七十五人、書記官七十八人、合計百五十三人の増員並びに振替による書記官七十人及び家裁調査官三人の増員をすることとしております。  他方平成十八年度には七十五人の定員合理化をすることとしておりますので、差し引き七十八人の純増となります。  次は、司法体制充実強化に必要な経費でございます。  まず、裁判事務処理態勢充実を図るため、二百六十二億二百万円を計上しております。  その内容について申し上げますと、第一に、裁判員制度広報関係経費として十三億五千二百万円を計上しております。この中には、新聞・雑誌広告タウンミーティング経費等が含まれております。  第二に、知財事件関係経費として一億一千八百万円を計上しております。この中には、IT化専門研究等経費、外部への情報発信のための経費等が含まれております。  第三に、民事事件関係経費として八十二億九百万円を計上しております。この中には、民事調停委員手当労働審判員経費専門委員経費等が含まれております。  第四に、刑事事件関係経費として九十五億三千四百万円を計上しております。この中には、国選弁護人報酬精神保健審判員等経費鑑定入院命令に伴う入院経費等が含まれております。  第五に、家庭事件関係経費として六十九億九千八百万円を計上しております。この中には、家事調停委員手当等が含まれております。(発言する者あり)失礼いたしました。申し訳ございません。六十九億八千九百万円を計上しております。この中には、家事調停委員手当等が含まれております。  また、裁判員制度導入のために必要な施設整備し、庁舎の老朽狭隘化対応するための経費として二百二十二億二千三百万円を計上しております。  以上が、平成十八年度裁判所所管歳出予算概要でございます。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  14. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 以上で法務大臣所信並びに平成十八年度法務省及び裁判所関係予算説明聴取は終了いたしました。  法務大臣所信に対する質疑は後日に譲ることといたします。     ─────────────
  15. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 次に、去る一月十六日及び十七日の両日、本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員報告を聴取いたします。荒井正吾君。
  16. 荒井正吾

    荒井正吾君 先般行われました委員派遣につきまして、その概要を御報告申し上げます。  去る一月十六日及び十七日の二日間、司法行政及び法務行政等に関する実情調査のため、長崎県及び福岡県を訪れました。派遣委員は、弘友委員長簗瀬理事木庭理事仁比委員及び私、荒井の五名でございます。  一日目は、まず、長崎県の大村入国管理センターを訪れました。  同センターは、旅券を有していないなど送還までに時間を要する人たちが収容されておりますが、その大部分は中国人が占めております。収容定員は八百名でありますが、視察当日は、女性三十六名を含む七十六名が収容されておりました。また、昨年の平均収容日数は一人当たり二十六日でしたが、収容の長さによる不満等はほとんど生じていないとのことでありました。  同センターが抱える課題としては、常勤の医師がいないことから、夜間、休日の病人には対応し切れず、せめて常勤の内科医師が欲しいとのことでありました。  不法入国者等を我が国に来させない、あるいは入れさせないためには、不法入国の実態の把握が重要であります。収容施設においても、被収容者の入国の動機や背景等の情報を入手する機会はあると考えられますので、これら情報の収集、分析に積極的に取り組み、関係部局との緊密な連携を進められることが期待されるところであります。  次に、福岡県に移動し、福岡少年院を訪れました。  同少年院は、初等・中等少年院であり、十四歳から二十一歳までの百三十八名が収容されておりました。収容定員は百五十名で、昨年始めまでは定員オーバーの状況が続き、最多では二百名近くを収容していたとのことであります。非行別人員を見ると、窃盗が約半数を占め、再犯率は全国統計と同様二割程度とのことでありました。  こちらでは、様々な教育活動が行われていましたが、中でも介護サービスと育児福祉の実習は、男子少年院としては全国で初めて導入されたものであります。これらを通じて弱者の気持ちの理解や思いやりの心をはぐくむことに効果があるとのことでした。  少年非行の背景には保護者の問題も挙げられているところですが、保護者としての責任を自覚させるため、保護者会を入院当初と退院前の二回実施しているほか、非行少年を持った経験者で組織する「非行と向き合う親の会」のメンバーを招き、苦労話等をしてもらうことを始めているとのことでありました。  次いで、福岡高等裁判所を訪れ、裁判所、検察庁及び法務局からそれぞれ管内の概況等について説明を聴取した後、実際の裁判員法廷を視察いたしました。  裁判所からは、地裁民事第一審訴訟事件の新受件数は、平成十六年の人事訴訟の家裁への移管、簡裁の事物管轄の引上げの影響もあって、同年から減少傾向にあるとのこと、その一方で、簡裁の同事件増加傾向にあること、刑事第一審訴訟事件は、地裁、簡裁ともに増加傾向にあるほか、凶悪重大事件が増えていること、破産事件平成十五年をピークに減少傾向にあるが、個人再生事件は急速に増加していること、家事審判及び家事調停事件は減少傾向にあること、少年事件についても、一般保護及び道路交通事件ともにおおむね減少傾向にあることなどの説明がありました。裁判員制度につきましては、法曹三者のほか、マスコミの協力も得て積極的な広報活動が進められておりましたが、現実に制度を実施するとなると、裁判官増員が是非とも必要であるとの要望がありました。  検察庁からは、最近、凶悪重大事件の発生が後を絶たず、特に複数の被害者が殺害される事件が目立っていること、少年事件では小中学生による憂慮すべき事件が相次いでいることなどの説明がありました。  また、最近の暴力団には、徹底した反警察の方針を取る傾向もあるとのことでした。このような暴力団の存在は、市民からの協力者が得られにくくなるほか、今後の裁判員制度の円滑な実施にも大きな障害となる問題を含むものであり、対応強化が求められるところであります。  法務局からは、最近の登記制度をめぐる動きへの対応等について説明を聴取しました。昨年の不動産登記法の改正により、オンラインによる登記申請手続が可能となりましたが、まだ利用件数が少ないとのことで、より使いやすいものとして、利用を拡大していくことが課題とされております。地図整備課題となっておりますが、精力的に作業を進めているとのことでありました。  二日目は、まず、福岡保護観察所を訪れ、五名の保護司の方々との意見交換等を行いました。福岡県における昨年の保護観察対象者は三千名余を数え、人口割合から見て多いこと、少年対象者が全国平均と同様の六割程度であるものの、少年のシンナー事件が相当多いことなどの特徴が見られますが、ここで活動している保護司は、定員二千八十名のところ、現在員は千九百十七名であります。  最近、保護観察対象者による犯罪が相次いで発生し、対象者を隔離するというような風潮も感じられますが、意見交換を通じて、保護司の方々が、地域の理解を得ながら、対象者の立ち直りのため、日夜尽力されておられる姿がうかがえました。一部の更生保護施設では、保護司が交代で宿直を引き受け、対象者の様々な相談に乗っているとの紹介もありました。  課題としては、保護司の確保が難しくなっていること、中卒程度の学歴ではアルバイト的な仕事になりがちであるという雇用上の問題から、休みの日が多く収入がなくなると再非行につながりやすいこと、保護司と学校の連携が重要であるが、学校が閉鎖的であることなどが挙げられました。  また、経済面では、マンションに住んでいると、対象者を自宅に呼べないので、面接場所の確保に費用が掛かっていること、保護司会の活動が多岐になっているものの、予算がなく、会の運営に支障を来しているとの紹介があり、個人、組織両面における財政援助が要望されました。  次に、福岡刑務所を訪れました。同刑務所は、福岡矯正管区内の医療センター及び分類センターも兼ねております。収容定員は千六百八十三名のところ、平成十三年以降、収容率が一〇〇%を超え、最近は約二千名を常時抱えるという過剰収容状況が続いております。平均収容期間は二年十か月、平均入所回数は四・五回とのことで、最多三十回という者もおりました。また、六十歳以上の割合が一三%と、全国平均よりも高いとのことでありました。  処遇面では、職員に対する暴力事案が増えているとの説明がありました。平成十六年は十一件、昨年は十七件生じ、刑事公判事件にまで至ったものもあったとのことで、受刑者同士では命を失う危険があるが、職員であれば手出しはされないという背景もあるとのことでした。  居室については、単独室が二割余りしかなく、単独室に入るために偽けんかを仕組む者もいるとのことでありましたが、本年度補正予算で独居棟及び浴室の増設が手当てされるとのことであります。  また、医療関係の問題としては、外部の病院での治療を要する者が多くなっており、昨年、外部の病院に出向いた日数は延べ三百六十三日に及んでおります。受刑者一名につき一日当たり六名の職員の配置を要するため、職員の年次休暇の取得も難しくなっているとの説明がありました。  最後に、福岡入国管理局福岡空港出張所を訪れました。国際化時代の中で我が国を訪れる外国人増加しておりますが、福岡管内でも外国人登録者数は年々増加しております。また、出入国者数についても全体としては増加傾向にあり、福岡空港の外国人入国者数は、昨年、アジア諸国を中心に約三十二万人に至ったとのことでありました。  入管行政には温かさと同時に厳格な対応が求められています。虚偽申請等が疑われ、入国審査官から特別審理官の上陸口頭審理に付した件数は増加しており、昨年、福岡空港では九百一件を審理に付し、その結果、百九十三名の入国を認めなかったとのことでありました。入管法違反外国人の摘発件数も増加しており、平成十六年は管内全体で二百七十二件、平成十七年は四百十三件となっております。  国際化推進策の一つとして、地方空港の国際チャーター便の円滑な受入れが挙げられますが、その際の課題である審査待ち時間の短縮化については、応援体制充実を図るなど努力しているとのことでありました。  また、空港内の審査ブース及び偽変造文書鑑識の現場を視察いたしましたが、鑑識技術の先進性に感銘を受ける一方、ますます巧妙化する偽変造の手口に対し、一層の対策強化の必要性を改めて実感いたしたところでもあります。  以上が調査概要であります。  最後に、今回の調査に当たり、御協力をいただきました関係各位に対し、この席をおかりして厚く御礼申し上げ、報告を終わります。
  17. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) ありがとうございました。  以上で派遣委員報告は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十二分散会