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2006-04-25 第164回国会 参議院 文教科学委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年四月二十五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中島 啓雄君     理 事                 大仁田 厚君                 北岡 秀二君                 佐藤 泰介君                 鈴木  寛君     委 員                 有村 治子君                 荻原 健司君                 河合 常則君                 小泉 顕雄君                 後藤 博子君                 中川 義雄君                 山崎 正昭君                 神本美恵子君                 西岡 武夫君                 林 久美子君                 広中和歌子君                 水岡 俊一君                 浮島とも子君                 山下 栄一君                 井上 哲士君    国務大臣        文部科学大臣   小坂 憲次君    副大臣        総務副大臣    山崎  力君        財務副大臣    赤羽 一嘉君        文部科学大臣  馳   浩君    大臣政務官        文部科学大臣政        務官       有村 治子君    事務局側        常任委員会専門        員        山口 俊史君    政府参考人        文部科学大臣官        房文教施設企画        部長       大島  寛君        文部科学省初等        中等教育局長   銭谷 眞美君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        長        素川 富司君        厚生労働大臣官        房審議官     白石 順一君        厚生労働省職業        安定局高齢・障        害者雇用対策部        長        鳥生  隆君        厚生労働省社会        ・援護局長    中村 秀一君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    中谷比呂樹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○学校教育法等の一部を改正する法律案内閣提  出)     ─────────────
  2. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  学校教育法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、文部科学大臣官房文教施設企画部長大島寛君外六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 学校教育法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 林久美子

    林久美子君 おはようございます。民主党林久美子でございます。  前回に引き続きまして、学校教育法の一部改正案についてお伺いをさせていただきます。  まず冒頭、先週は非常に幾つか前向きな御答弁もいただきました。ありがとうございました。全国障害を持つ子供さんあるいは保護者皆さんから本当に温かいお言葉というのも伺っております。どうか今日も一歩でも二歩でも前に進むような前向きな御答弁をいただけると幸いであるというふうに思っております。よろしくお願いいたします。  それでは、時間もございませんので、早速質問をさせていただきます。  まずは、前回もお伺いをいたしましたセンター的機能についてでございます。  先週の委員会で、第七十一条の三に規定をされている特別支援学校から助言又は援助を受けることのできる対象として幼稚園、小学校、中学校等々があったわけでございますけれども、あくまでも例示列挙であるという御答弁でございました。  そこで、改めて伺わせていただきたいんですが、現在衆議院の方で審議をされている幼稚園保育所一元化法案とも言える認定こども園でございますけれども、この認定こども園援助又は助言センター的機能対象となるのかどうか、教えてください。
  6. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 今回、特別支援学校の担うべき役割としてセンター的機能法律上明確に位置付けたわけでございますけれども法律において、助言援助対象としては典型例として教育機関を明示をしているところでございます。  しかしながら、助言援助対象としては、七十一条の三に規定されていない機関等を排除するものではございませんで、現在衆議院において御審議を賜っております認定こども園につきましても助言援助対象になると考えております。
  7. 林久美子

    林久美子君 ありがとうございます。  御承知のとおり、認定こども園は、地方裁量型、幼稚園型、保育所型、あるいは連携型という四つの類型があるわけでございますけれども、いずれも対象になるというふうに理解をさせていただきます。  その上で、これはお願いでございますけれども前回の御答弁と同様、保育所についても施行通知できちっと入れ込んでいただけるということでございましたけれども認定こども園についても盛り込んでいただきますようにお願いを申し上げます。よろしいでしょうか。
  8. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 林委員におかれましては、大変に勉強といいますか研究が進んでいらっしゃいまして、衆議院での審議中の法案内容についてまで承知をしていただいておりまして、今後、参議院での審議が迅速に進むことが期待されると思っておりました。  御指摘のとおりでございまして、四類型を挙げていただきましたけれども、それは認定こども園対象となるものでございまして、局長答弁のように、排除されないという形だけでは分かりにくいということでございますから、この趣旨を施行通知等により明らかにしていくことが必要と思っておりますので、そのようにしたいと思います。
  9. 林久美子

    林久美子君 ありがとうございました。是非ともよろしくお願いをいたします。  では次に、免許法についてお伺いをしたいと思います。  教職員免許法というのは非常に日本法律の中でも難解なものでございまして、理解するだけでも本当に難しいという状況でございますが、今回の法の改正というのは、障害重複化に伴って盲学校聾学校養護学校などを統合化をする、それに伴って免許総合化をしていくということであるわけでございますけれども、この免許についてなんですけれども教員養成カリキュラムにおいて一定基礎知識を付けた上に、より専門性という部分で積み上げるという、二段階方式というのがいいかどうか分からないんですが、これまで同様、小中学校等教員免許状基礎資格として積み上げていくという理解でよろしいんでしょうか。
  10. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 従来の盲・聾・養護学校教員免許状は、小中学校等教員免許状基礎資格として有している者が取得できる免許状でございました。御指摘のとおり、この点は特別支援学校教員免許状においても同様でございます。
  11. 林久美子

    林久美子君 それでは、少し具体的にお伺いをしたいんですが、では、今例えば盲の免許を持っていらっしゃる先生が、この特別支援学校というものが実際に動き出した段階で、新たにそれがそのまま特別支援学校教諭免許状というものに移行することになるんでしょうか。  だとしますと、このセンター的機能部分も併せて考えますと、LDADHDアスペルガー等発達障害についての基礎知識部分で、確かに最近カリキュラムを受けていらっしゃる比較的新しい先生方教員養成課程の中で学んでいらっしゃるとは思いますけれども、十年、二十年のベテランの先生方は、資格取得する際にはそうしたものというものがカリキュラムの中に入っていなかったと思うわけでございます。このカリキュラムにおいて取得をしていない場合においても専門知識として有しているんだというふうに理解をしてそのまま移行されるということになるんでしょうか。
  12. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 従来の盲・聾・養護学校教員免許状につきましては、当該免許状において教授等が可能な障害に関する教育の領域を定めました特別支援学校教員免許状とみなすことといたしております。つまり、今先生お話しございましたように、盲学校教員免許状特別支援学校における視覚障害について教授可能な特別支援学校教員免許状ということになるわけでございます。その点、ただいま先生からお話ございましたように、旧免許状保有者につきましては、制度上は重複障害LDADHD等を含みます幅広い障害についての知識理解に相当する部分不足をしているということになるわけでございますが、これはみなし規定でございますので、特別支援学校視覚障害が教授可能な免許状ということには取り扱うわけでございます。  ただ、今申し上げましたように、幅広い障害についての知識理解に相当する部分不足をしているということに対応するために、旧免許状保有者に対しましては不足部分を補うための研修機会設定等取組が重要であると考えております。文部科学省といたしましても、都道府県等における研修等取組に対しまして支援を行って、十分研修が行えるように配慮してまいりたいと思っております。
  13. 林久美子

    林久美子君 分かりました。研修機会を設定されるということでございましたけれども先生方にも自信を持って子供たち教育に当たっていただくためにも、また何よりも子供たちがそれぞれの障害に応じてより良い教育を受けることができるようにしっかりとそうした機会が拡充をされるように、また、先生方にとっても受けやすい機会となるように御配慮をいただきますようにお願いを申し上げます。  現行の免許制度であっても、盲・聾・養護学校教員免許保有率は六割弱、非常に、なかなか進まないという状況でございます。一方、特殊学級に至っては三割前後にとどまっているという現状がございます。こうした免許取得がなかなか進まない要因を文部科学省としてはどのように認識をしていらっしゃるのか。また、このたび中教審答申におきましては、当分の間、特殊教育免許保有を要しないという免許法附則第十六項について、時限を設けて廃止することが適当であると提言をしておりますが、結果としてはこの改正案の中では見送られてしまいました。なぜこの規定がそのまま残されてしまったのかということも併せましてお伺いをしたいと思います。
  14. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) ただいま先生からお話ございましたように、現在、盲・聾・養護学校教員において在籍する校種の盲・聾・養護学校教諭免許状保有率は、平成十七年の五月一日現在の調査によれば五八・三%でございます。これは近年、実は上昇をいたしておりまして、四年前の平成十三年度が五〇・七%でございましたので、四年の間に七・六%増加をしている、七・六ポイント増加をしているわけでございますけれどもお話のように、保有率はまだ低い状況にあると認識をいたしております。  その理由としては、教員採用試験受験者のうち盲・聾・養護学校教諭免許状保有者がやはり少ないといったようなこととか、例えば高等学校高等部のように教科や校種によりましては免許保有者を確保することがなかなか難しいといったようなことが考えられるところでございます。  それから、教員免許法附則の第十六項につきましては、ただいまお話ございましたように、昨年十二月の中教審答申におきましては、「新たな特別支援学校教諭免許状普及状況等を見極めた上で、当該免許状保有率向上のための方策とともに、時限を設けて廃止することが適当」と提言をいただいております。  今回の改正におきましては、この中教審指摘を踏まえまして、新たな特別支援学校教諭免許状取得普及状況を十分見極める必要があること、それから、先ほど申し上げましたように、免許状保有率は年々増加はしておりますが、いまだ五八%程度にとどまっておりまして、まずは保有率を大幅に向上させる必要があること等から、今回この規定廃止は行わないこととしているところでございます。  私どもといたしましては、近年、免許法認定講習、この充実によりまして盲・聾・養護学校教員免許状取得をしようとする人が増えてきているということなどから、引き続き免許状取得を促進する取組を進めまして、養成段階での取得率増加も含めまして、免許状普及状況を更に引上げをいたしまして、ある程度まで達した時点で時限を切って附則十六項の廃止を行いたいということで努力をしていきたいと思っております。
  15. 林久美子

    林久美子君 ありがとうございました。  今のお話の中で、ある程度来たところで時限を切ってというお話ございましたけれども、そのある程度というのは具体的にはどの程度なのか、もう少し具体的に教えていただければと思います。
  16. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) やはり、七、八割程度保有率が高まってきたというときに時限を切ってきちんと免許保有者が教壇に立てるようにしていきたいというふうに思っております。
  17. 林久美子

    林久美子君 分かりました。七、八割に来た段階でという御答弁をいただきました。  全国的に見てみますと、割とその取得の率も、保有率も実は差があるなというのが現状でございます。いただいた資料によりますと、低いところでは三八%台、高いところでは八三%台と非常にばらつきがある。日本全国どこにいても子供たちがひとしくきちっと障害に応じた、そしていわゆる障害のない子供たちとともに学ぶことができる、そんな環境をつくっていくためにも、少しでも多くの先生方にこうした免許も取りやすくしていただく、あるいは子供たちにいい教育をしていただけるようなお取組お願いをしたいというふうに思います。  この無免許状態というのが実際あるわけですけれども、聞くところによりますと、大学を卒業する段階でこうした専門免許状を持っていらっしゃる方と、現職の先生になられてから独自に単位取得をされまして専門性を得ていかれるという方たちがいらっしゃるというふうに聞き及んでおります。それぞれの割合とか人数とか、分かる範囲で教えていただければと思います。  あわせまして、こうした無免許解消策としまして恐らく認定講習を考えているということであると思いますけれども、より一層の推進もお願いをしたいとともに、学校先生、かなり激務でいらっしゃいますので、生活の指導もし、さすまたも持ち、あるいは多様な子供たちのニーズにこたえるために一生懸命日夜お仕事をしていらっしゃるわけですから、そういう先生方が取りやすい機会づくりというものも併せてお願いをいたします。
  18. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) まず、盲・聾・養護学校新規採用者、この方たち大学を卒業して受験をするわけでございますけれども、この新規採用者において、在籍する校種の盲・聾・養護学校教員免許状を持っている方の割合、これは平成十七年度で五六・五%でございます。これも四年前と比較をいたしますと、四年前が四七・二%でございましたので七・五ポイント増加をしているということで、新規採用者の中で免許保有者割合は高まりつつあるという状況でございます。  一方、盲・聾・養護学校において、そこに在籍をして教職員免許法に基づく認定講習を受講している教員というのは、これは少しずつ増えてきておりまして、平成十六年度現在の調査によれば二万七千五百四十八名ということでございます。ただ、この方たちはすべてその年に必要な単位を全部取得したというわけではございませんで、少しずつ単位取得しているという方も多いと思います。現実に盲・聾・養護学校在籍をして平成十六年度に在籍校種の盲・聾・養護学校教員免許状取得した人数は二千百二十四名ということでございます。ですから、新規採用者免許保有者が八百五十七人、五六%というのは八百五十七人でございますので、盲・聾・養護学校在籍をして免許状取得する人の数の方が今はまだ多いという状況にございます。  いずれにいたしましても、私ども、この免許法認定講習充実によりまして、盲・聾・養護学校免許状取得をする人、これを増やしていきたいということと、もう一つ特別支援教育のための教員養成におきましてしっかりと資格を持った教員を養成していただけるように、また各大学に対して周知を図っていきたいというふうに思っております。
  19. 林久美子

    林久美子君 是非よろしくお願いいたします。  また、あわせまして、今回のこの中教審答申には「校長のリーダーシップの下に」という文言が出てまいります。今更申し上げるまでもなく、それぞれの学校のありようとか教育の方針とか、また今回の法改正によるとセンター的機能を持つわけですから、地域の学校との連携ということを考えましても非常に重要なポイントになってくるかというふうに思います。  そこでお伺いをしたいんですけれども、現在、盲・聾・養護学校校長先生特殊教育に係る免許状保有状況がどのようになっているのか、そしてまた、いわゆる障害児教育経験はどのような形で持っていらっしゃるのか、いらっしゃらない方もおられるのか、その辺りについて御答弁お願いいたします。
  20. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 公立の盲・聾・養護学校校長につきまして、在籍をする盲・聾・養護学校教諭免許状保有をしている人の割合は、平成十七年の四月一日現在の調査によりますと五〇・三%でございます。約半分の校長先生が盲・聾・養護学校教諭免許状保有をしているという状況でございます。  なお、全国の盲・聾・養護学校校長先生がこれらの学校でどのぐらい勤務をした経験があるかとか、いわゆる特別支援教育にどういうかかわりをしているのかということについてはちょっと私どもとしては把握をしているわけではございませんけれども、人事を担当いたします各任命権者におきまして、当該校長の人物、識見や盲・聾・養護学校を含む各学校でのそれまでの取組などを勘案をして適材を配置をしているというふうに認識をいたしております。
  21. 林久美子

    林久美子君 先ほども申し上げましたように、できるだけ、これからその特別支援学校にいろいろな役割を今回の法改正で求めていかれることになるわけでございますから、その特別支援学校がしっかりと機能するように、それは例えば生徒さんたちがたくさん入ってくるからいい学校だというような表面的なことではなくて、実際にそこで学んでいる子供たちがいい教育を、自分たちのことについて、より深い理解を持った先生方による指導を受けられること、そしてその周辺の学校在籍をしている障害を持っている子もいない子も、よりこれから社会に出ていくのに足りる援助助言が受けられるようにするためにも、この特別支援学校校長先生がどのような方であるかというのは非常に大きな意味を持つというふうに考えておりますので、よりその障害について深い理解を持った方たちにそうしたポジションで力を発揮いただけるように、また、そういうところで校長になられる方にはそうした思いで取り組んでいただけるようにお願いを申し上げたいというふうに思います。  時間が参りましたので、最後一つだけお願いをさせてください。  前回就学制度の関係につきましては神本委員からもいろいろと御指摘をしていただいたわけでございますけれども大臣局長皆さん口をそろえて、保護者の方あるいは本人の御意向を十分に反映をした形でということを繰り返し御答弁をいただきました。  前回もちょっと御指摘をさせていただいたんですが、平成十四年のこの「障害のある児童生徒就学について」という通知は、これは聞くところによりますと、市町村の教育委員会等を指揮監督するものではなくて、指導助言行政指導行為であるというふうに伺っております。ですから、法的な拘束力は持っていないと。しかしながら、国としての一定の考え方を示す非常に重要な書類であるわけでございますけれども前回答弁をいただいたという内容を考えますと、この通知の中の一番最後のところにある「就学指導に当たっての留意事項」という項目におきまして、ちょっと書きぶりがこの間の積極的な御答弁に比べますと、やや消極的なのではないかなというふうに思っております。この中で、「保護者意見を聴いた上で就学先について総合的な見地から判断することが大切であること。具体的には、就学指導委員会において保護者意見表明機会を設ける等の方法が考えられること。」というような文言になっております。ですが、法的な拘束力を持たない通知という性格からくるものなのかなと思っていろいろとこの通知をじっくりと読んでみますと、いやいや、物によってはかなりずばっとも書いてある。濃淡があるわけですね、強弱がある。  前回いただいた御答弁からすると、やや、非常に文言として弱いのではないかなと。しっかりと保護者意見を十分に聞くんだ、本人意見を聞くんだ、そしてそれを尊重するんだという書きぶりに改めていただきたいということをお願いをさせていただきたいというふうに思います。  また、学校教育法施行規則第三十二条との兼ね合いも考えますと、本人保護者意見を十分に聞くということは政省令に盛り込んでも十分にいいのではないかというふうに考えておりますけれども、この点についてもお伺いをしたいと思います。  事前に伺っているところによりますと、今回新しく法が改正をされるということで、その通知も変わってくるわけですね。前回の御質問で御答弁をいただいた、その障害程度による表現なんかについてはいじらないということでございましたけれども、それ以外の部分については多少の修正も加わるというふうに伺っておりますので、その際にこの書きぶりも改めていただければというふうに考えますけれども、いかがでございましょうか。
  22. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 御指摘も踏まえまして、保護者意見を十分に聞いていくようにするという方向で検討を進めてまいります。
  23. 林久美子

    林久美子君 ありがとうございました。  本当に、そういう文言をしっかりと、より強く書き込んでいただけると本当に有り難いなというふうに思います。  今日は、ちょっと時間もございませんでしたので、通告させていただいておりました質問をすべてをお伺いすることができませんでしたことをおわびを申し上げまして、後の質問は神本委員にお譲りをしたいと思います。  本日はどうもありがとうございました。
  24. 神本美恵子

    神本美恵子君 おはようございます。民主党神本美恵子でございます。  先日の質問のときには、大臣に弱視の子供たちのための拡大教科書については大変強い決意をいただきまして、あの後、当事者や支援されている方々からメール等の反応がございまして大変喜ばれておりましたから、そのことをまずお伝えしておきたいと思います。  この学校教育法施行改正によりまして特別支援教育に変わるということについて、今日は私は、私の経験からも、障害のある子とない子がともに学ぶということが、私にとっては教師をしていたときも物すごい教育観を転換させる出来事だったという、その思いから質問をさせていただきたいと思います。  といいますのは、私自身障害のある子というのは何かが障害のためにできない子という見方をしていたんですけれども、そうではなくて、ともに学ぶという中で、私自身子供を一人一人、この子は何ができない、この子は何ができないからそれをできるようにする、それが教育だというふうに思っていたんですが、そうではなくて、一人一人無限の可能性を秘めている。その無限の可能性を、周りの人の人的環境や物的環境によって刺激を受けてその可能性が花開いていくんだというように教育というのは考えるんだということを身をもって体験させていただきました。  本会議でちょっと申し上げました、言葉を発しない子、あの子が、言葉は発しないんですけれども、その子が何を言っているかを周りが聞き取るという関係ができていく中で、あの子が言葉を発しない障害児という存在から一人の人間として周りの子と同じように無限の可能性を花開かせていくんだというような経験をしましたので、今日は時間が余りありませんけれども、そういう環境整備という観点から御質問を幾つかさせていただきたいと思います。  具体的に、まず人的、物的環境条件整備ということなんですが、就学奨励費というのがございます。今回も法改正の一本になっておりますけれども、これが特別支援教育に転換するんですけれども、通常の学級に在籍している児童生徒や、それから新たに対象となるLDADHD子供さんたちには適用対象になるように法改正されておりませんけれども、ここを変えられなかった理由は何なのか、今後、対象とするような改正の検討の方向はあるのかということをまずお聞きしたいと思います。
  25. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 就学奨励費は、特別支援学校への通学あるいは寄宿舎入居など就学のいろんな事情にかんがみまして、保護者の方々の経済的な負担を軽減をするために、経済的な負担能力に応じまして就学に必要となる経費について補助を行うことを目的といたしております。  現在、特別支援学校に通っている子供さんに加えまして、特別支援学級のお子さん、さらには小中学校の通常の学級に在籍をしている児童生徒につきましては、他校において通級による指導を受けているために交通費が必要な場合には、この交通費を就学奨励費の対象としているところでございます。  御指摘がございましたその支給対象範囲の拡大ということについては、通常の学級に在籍をしている障害のある児童生徒につきまして、通級による指導を受けるための交通費以外に保護者の方々にどういう経済的負担があるか等について調査をする必要があると考えておりまして、今後の検討課題であるというふうに思っているところでございます。
  26. 神本美恵子

    神本美恵子君 ありがとうございます。  今おっしゃったように、交通費が中心で最初スタートしたと思いますけれども、今奨励費の中身は随分拡大をしてきておりますので、交通費が掛からない地域の学校に行ってても必要なものについてはこれから調査をして、前向きに検討していただけるものと思います。  次に定数改善なんですけれども、これについては、今回いわゆる定数標準法も一部改正案として出されておりますが、名称が変わっただけのように受け止めております。  実際にこの中では、例えばいわゆる盲学校視覚障害者である児童生徒に対する教育を主として行う特別支援学校ということで、ここに例えば肢体不自由の子供さんを受け入れる、ここが総合化された学校になった場合、視覚障害学校については乗ずる数が四、それから肢体不自由は乗ずる数が七というような現状は変わっておりませんけれども、そこに肢体不自由の子供さんが来るとなれば、これまで乗ずる数が七であった分の人がこちらにも配置されないと、実際に総合化したら定数が厳しくなるといいますか、そういう状況が生まれてくるんではないかという懸念がございます。むしろ、総合化された特別支援学校センター的機能も別途持つわけですので、総合化された上にセンター的機能で地域の学校や様々な機関と交流をしていく、連携をしていくというふうになりますと、このような定数配置の状況ではとても、まあある意味で教育の質の低下までは言っていいかどうか分かりませんけれども、そういうふうになるんではないかと。そのことが一点。  もう一つ懸念は、既にもう、子供の数が減っていることもありましょうが、統廃合が各都道府県で進んでいると。この統廃合に拍車を掛けるようなことになるのではないかということも懸念をされますけれども、定数改善をするという観点から、この点についてはいかがでしょうか。
  27. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 平成十八年度は諸般の事情によって第八次定数改善が今見送られたことは非常に残念な事態であったということは、これは皆さん方には御理解いただけると思いますし、平成十九年度の予算編成過程において検討されていかなければいけない課題だということの認識も是非お持ちいただきたいと思います。  その上で、今般のこの法改正によって、特別支援学校により専門性が求められると、またセンター的機能も求められると。また、通常の学校においては、特別支援教室にもより専門性を求められるようになり、LDADHDの児童等にも対応することも求められると。こうなってくると、一人の先生の能力をより高めてもらうことと同時に、専門性を持って対応していただく以上は計画的な定数改善計画を持っていかないと法律に基づいたしっかりとしたいわゆる障害児に対する教育充実しないのではないかという認識は、これは先生も私どもも持っております。  そういうことを踏まえた上で、まさしく平成十九年度の予算編成過程に向けて、強い決意を持って、いろいろと現場のこともありますから、つまり学校の統廃合のこともございますので、そういった認識も持ちながら検討を進めていきたいというふうに考えております。
  28. 神本美恵子

    神本美恵子君 副大臣から強い決意を言っていただきました。是非それが実現するように具体的な御努力をお願いをしたいと思います。  先ほど言い忘れましたが、今、地域の学校のこともおっしゃっていただきました。実際に対象となる子が五倍に増えるとこの前もお話がございました。その通常学級も定数改善が見込めない、むしろ今行革推進法の中で減らされる方向にあるというこの厳しい中で、文科省はこの学教法改正によって前へ進もうとしている、そのことを定数という形で、定数改善という形で是非実現をしていただきたいと思います。  次に、特別支援教育への転換ということで、今定数、教員のことを中心にお話をしておりますけれども、実は、学校というところは、特に障害学校で働いている皆さん方は様々な、普通学校よりも多くの職員の方たち、例えば介助員や寄宿舎があるところでは寄宿舎の指導員の方たちが本当に協力をし合って教育に携わっていらっしゃいます。  私、聞きましたところでは、例えば岩手県立の前沢養護学校というところは、先ほど校長先生のリーダーシップというお話もございました、強いリーダーシップの下で、あらゆる職種の人たちが力を合わせてすばらしい教育をされているというふうに聞いております。例えば、寄宿舎の指導員の方が、子供たちが卒業した後、寄宿舎を出た後どういうふうな生活をしているかという追跡調査といいますか支援を、卒業した後も指導員の方々がフォローをして、そしてそこから自分たち教育課題をフィードバックして学校の次の教育に生かしているというようなことも聞いております。  ところが、残念ながら中教審答申の中にもこの介助員や寄宿舎指導員ということについては一言も触れられていない。是非、文科省としては、教員以外の職員の方々の、今後特別支援教育に転換した場合、どのようにあるべきかというようなことについては検討していただきたいと思いますけれども、それについてはいかがでしょうか。
  29. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) ただいま先生からお話がございましたように、今後の特別支援学校における教員以外の様々な職員の役割は今後とも重要なものと認識をしているところでございます。  例えばでございますが、国立特殊教育総合研究所におきましても、各都道府県において指導的立場にある寄宿舎の指導員等を対象に、盲・聾・養護学校寄宿舎指導指導者講習会といったようなものを実施をしてきているところでございます。こういった方々につきましても、それぞれのお立場でそれぞれ重要な役割を今後とも果たしていただきたいと思っております。  先ほど先生からいろいろ事例の御紹介もございましたが、例えば私が承知しておりますのは、熊本の聾学校では、寄宿舎の食堂を利用いたしまして、寄宿舎指導員の方々を中心に地域住民への手話講習会などを開催をして、言わば寄宿舎のセンター的機能を発揮をしているという事例も承知をいたしているところでございます。  今後、特別支援学校への転換に際しまして、こういった教員以外の職員の方が様々なセンター的機能の発揮のためにいろんな役割を担っていくということを私ども期待をしているところでございます。
  30. 神本美恵子

    神本美恵子君 是非、期待をしている分の待遇改善も含めてやっていただきたいと思います。  私、静岡の中央養護学校の寄宿舎を実際にお訪ねをしたんですけれども、そこでもお聞きしましたら、通学困難という子供さんだけではなくて、社会に出たときに自活、自立できるようにという力を付けるということで、大変いろんな教育課題を明確にしながら取組をされているお話を聞きました。ニーズも増えているということもございますので、待遇改善と、それから充実ということを是非取り組んでいただきたいと思います。  次に、施設設備についてですが、これについても、今この国会にも高齢者、障害者等の活動を円滑にする法案がかかっております。今回、盲・聾・養護学校のバリアフリー化について、それから普通の小中学校等のバリアフリー化ということについては欠かせない条件整備だというふうに思いますが、これからどのような計画でやられるのか、現状がどうなっているかというのをお聞きしましたところ、盲・聾・養護学校はその円滑化の法案で特別特定建築物に指定をされているということもありましょうけれども、かなり進んでいるんですね。ところが、小中学校のバリアフリー化というのはなかなか、一割程度、大ざっぱに言ってエレベーターとかスロープとか障害者用トイレというようなのは一割程度しか進んでいないということで、これからどのような計画でやられるのか。例えば、私は、特別特定建築物に入れて、そして進めるというようにしたらどうかと思いますけれども、その辺の今後の方向をお伺いしたいと思います。
  31. 大島寛

    政府参考人大島寛君) お答えを申し上げます。  まず、学校施設でございますが、御指摘ございましたように、障害のある児童生徒等も支障なく学校生活を送ることができるよう配慮すること、これは極めて大事だろうというふうに考えておるわけでありまして、そのためにもバリアフリー化の推進は重要な課題というふうに認識しているところでございます。  ただいま先生指摘がございました実態どうかという部分ですが、エレベーター等、確かに一割弱といったようなことございますが、スロープでいいますと小中学校五一%、障害者用トイレでいいますと約四八%、こういった整備状況になっているところでございます。  ただ、いずれにいたしましても、この推進というのは極めて大事な課題であろうと認識しているところでございまして、従来から文部科学省では学校施設のバリアフリー化のための国庫補助をまず行っているところでありますし、今御指摘がございました平成十四年におけるいわゆるハートビル法の改正、これに伴って学校施設が新たに当時バリアフリー化の努力義務の対象になったと、こういったことも踏まえてバリアフリー化推進のための指針あるいは事例集を作成して周知を図ってきたところであります。この指針におきましては、各学校の設置者に対しまして、所管する学校施設に係る合理的な整備計画を策定し、計画的な整備を行うよう指導しているところでございます。  私ども文部科学省といたしましては、これらの整備計画の作成状況を把握するなど適切なフォローアップを行いまして、これらを踏まえて必要な取組を進め、引き続きバリアフリー化の取組を積極的に支援してまいりたい、かように存じます。
  32. 神本美恵子

    神本美恵子君 半分進んでいるとおっしゃいましたが、半分しか進んでいないという見方をして、是非一〇〇%行くように頑張っていただきたいと思います。  今、お手元に資料をお配りさせていただいておりますけれども、次に、この前もすべての子に入学通知を出していただきたい、それから、保護者意見を十分に聞いて行き先を選択できるようにしていただきたいということを質疑させていただいたんですけれども、文科省にお願いをしまして、大体就学事務というのがどういうふうになっているのかということを一覧表にまとめていただきました。  これ、もう時間がありませんので簡単にいきますが、まず学齢簿が作成されまして、就学指導委員会というものが行われまして、二十二条の三で、盲・聾・養護学校へというルートと、それから通常学校へというルートが上と下とにこういうふうに分かれて、そして通常学級へ行きます。通常学校へ行く子と盲・聾・養護学校。一番の問題に今なっているのは、右側の就学先の手前のところで、判定で、都道府県教委から盲・聾・養護学校へと通知が出されたにもかかわらず、うちの子は地域の学校で友達と一緒に学ばせたいということで、矢印がありませんが、そこから下の小中学校に行っている子供さんたち、この人たちが、違法ではないけれども、この就学制度からは外れた枠外の子ということで、そこ、点線でも書いておけばよかったんですが、下へ行っている子供さんたちなんですね。この人たちが本当につらい目に遭っているということを分かっていただきたい。  私も最近、この下で、いわゆる特殊学級で担任をしている方のお話聞きましたが、今でも、害児という言葉、皆さん御存じですか。害児と子供が言うんですね。いわゆる障害児のことを差別的に表現する言葉として害児、害児というふうに言う言葉が今でも学校の中にあると。で、一番その先生が心配していらしたのは、今度、LDADHDということで通級指導対象になる子供たちに対してまた同じような発言がもっと広がるのではないかというようなことも心配していらっしゃいます。  そこで、ここで私が一番申し上げたいのは、この前言いましたように、本当は学齢簿が作成されて就学指導委員会に入る前に、すべての子にまず地域の学校へという入学通知を出していただきたい。それが日程的にいろんな意味で無理であれば、この就学先が決められるこの前に出してほしい。すべての子に通常学級へ本当は行くんだということを出してほしい。それも無理であれば、これは最後お願いですが、左から二列目のところ、就学指導委員会が行われる、これは施行令十八条の二で専門家からの意見聴取というふうになっているんですね。この専門家からの意見聴取は十八条の二で、「市町村の教育委員会は、」、ずっとあって、最後に「専門知識を有する者の意見を聴くものとする。」というふうに施行令できちっと明記されております。ところが、保護者からの意見聴取のところは局長通知、先ほど林委員が紹介をされました局長通知になっているんですね。  これを施行令の十八条の二に、専門家の意見と並べて保護者からの意見聴取をすると。ここで十分に保護者意見を聞いて、それを尊重した判定が行われれば、最後最後になって就学指導に逆らって通常学校に行くというような状況は随分減るのではないかというふうに思うんですけれども、この十八条の二に入れるということを検討できないでしょうか。
  33. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) ただいま先生からお話ございましたように、児童生徒就学する学校を決定する際には、一人一人の教育的ニーズに応じまして、保護者専門家の方の意見を聞いて総合的に判断をするというのが基本の考え方でございます。  こういった観点から、現在各教育委員会におきましては、就学指導委員会保護者の方の意見をお聞きをしながら就学先の総合的な判断をしているわけでございますけれども中教審答申の中でも、保護者意見というのを十分に聞く、あるいはきちんと保護者の方に情報を提供するといったようなことの必要性が言われているところでございます。  私どもといたしましては、今後の就学の在り方につきましては、こういった中教審答申提言も踏まえまして、保護者意見を十分に聞くようにしていく方向で検討してまいりたいと考えております。
  34. 神本美恵子

    神本美恵子君 もう時間が来てしまいましたけれども、是非保護者意見を聞くということを形として検討していただきたいと思います。  大臣、時間ありませんけれども、短くて結構です。冒頭に、この前のときに言いましたように、インクルージョンの方向に向かうという意味で、この制度の枠外に置かれているという、このことが先ほどのような害児発言などを生み出してしまっているという点から、是非環境整備をしていただきたい、そういう意味で決意を一言お願いします。
  35. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 今局長の方から答弁させていただきましたけれども、共生社会実現のために教育関係者に課せられた役割、極めて大きなものがあると思っております。今後、特別支援教育充実に向けて、今御指摘のいろいろな観点も踏まえまして検討をさせていただきたいと、こう思います。
  36. 神本美恵子

    神本美恵子君 終わります。
  37. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 おはようございます。大臣、御苦労さまでございます。民主党の佐藤泰介です。  この法案に対する賛否への態度決定には、民主党・新緑風会として大変迷いました。その理由は、この法案が少なくとも不合格法案でないこと、しかし、もろ手を挙げて賛成する合格法案でもないこと。最終的には、民主党・新緑風会としては、これまでの答弁最後の私の質疑結果を見て態度決定することになりました。  全部で十三問確認させていただきますが、これまでの質疑と、とりわけ今、神本委員質問と重複するものもあります。なお、質問をし、回答をいただき、次にと進む場合は今日段階では確認できたもの、その反対に再質問となった場合は確認できなかったものと理解していただきたいと思います。  それでは、学校教育法の一部を改正する法律案について質問に入りますが、その前に、通告はしていませんが、一問お願いします。  過日、塩崎外務副大臣と同席する会があり、その席に副大臣から説明を受けたのですが、ブラインドウイークという言葉とその意味を知っておられますか。ちなみに私は知りませんでした。大臣、副大臣、政務官銭谷局長お願いします。
  38. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 済みません、ちょっと聞き取れなかったのでもう一度お願いできますか。
  39. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 ブラインドウイーク。ブラインド。
  40. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 恐縮ですが、ブラインドは目が不自由だという意味のブラインドに、ウイークは弱い方のウイークでしょうか、それとも……
  41. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 週、週です。
  42. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 週ですか、週間、(発言する者あり)一週間。
  43. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 ゴールデンウイークの週です。
  44. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 恐縮でございます、私は存じ上げませんで、教えていただければ幸いでございます。
  45. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 副大臣、馳副大臣
  46. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 存じ上げておりません。
  47. 有村治子

    大臣政務官有村治子君) 私も直接は伺っておりませんが、恐らく啓発のための週間なのかなという推測はいたします。
  48. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 局長
  49. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 承知いたしておりません。
  50. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 いや、私も知らなかったわけで、こういう意味らしいですね。ちょっと、そこだけ読むとよく分かりますので。  パパ、目の見えない人はどうやってミルクをこぼさずコップに入れるのか知ってる、ハーバードの大学院留学中の私は、キャンパスの中の幼稚園に通い出して間もない息子からこう聞かれた。片方の手の指をコップの中に入れ、もう片方の手でミルクをつぐと、言われてみればなるほどこれだけのことを五歳の子供に教えられた驚きを記憶している。ブラインドウイークと称し、幼稚園で一週間、目の不自由な人と生活をともにしながら体験を通した教育の成果だったと。  だから、要するにアイマスクみたいなものをするんでしょうね、全部の子供が、それで一週間、その週は。となると、先生も話し方しかできないわけですよね、教育するときに。  かなりこれに比べると、もうこれは二十年ぐらい前でしょう、恐らく、ハーバードへ留学中ですから。それに比べると、それで、タイトルは「真のノーマライゼーション」となっております。ほど遠い、日本と。後で出てきます、それがずっと。  そういう意味です。大臣、御感想があったら。
  51. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 恐らく、小学校あるいは幼稚園なのかもしれませんが、お子さんがお通いになっているところで、目の不自由な方あるいは他の障害をお持ちの方と一緒に一週間過ごすことによって、必ずしも目隠しをしていたかどうか分かりませんが、どういうふうにしてそういう人たちが生活をしているのか、また、自分たちと比較して、そういうことを知ることによって思いやりの心やいろいろなものが育つという意味で大変いい試みだと思いますが、それがシステマチックに行われているものなのか、その辺についてはもう少し知識を得たいと思いますが、試みとして大変いい試みであろうと思いますし、日本においても一部の学校ではやはりそういった体験学習も行っているものと、そのように思っております。  そういった意味で、そういったことを拡大していくことはいいことじゃないかと、こう思っております。
  52. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 更に話を聞いたんですけれども、一クラス十人ぐらいの幼稚園で、一人、目の不自由なお子さんがおみえになって、そのお子さんには一人付いて、先生が、介助員かどなたかは分かりませんけれども、酒の席でやっていたものですから、一人付いてぎっちり見ているというような話もされておみえになりました。  そういう状況からすると、この法案がそれにほど遠いということが言えるとまだ私は思います、そういう状況にするまでには。実態も踏まえなければなりませんので一足飛びにはいかぬだろうということは理解をします。しかし、方向性はそちらに向かっていくんだということだろうと私は理解するし、そうあってほしいというふうに思います。やっと一歩を踏み出したところだというふうに思います。  そんな観点で、以下質問をさせていただきます。  まず、特別支援教育の理念について伺いたい。  今後、我が国の障害児教育は、国際的な潮流となっているノーマライゼーション、インクルージョンの理念を受け止め、これを着実に進める中で共生の社会をつくり出すことに寄与するものであるべきと考えるが、どうか。
  53. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) ただいまいろいろな例も引いて御指導いただきましたが、障害児の教育につきましては、ノーマライゼーション、またインクルージョンということが国際社会の中での一つの流れになっているということを認識をいたしております。  文部科学省といたしましては、こうした国際的な動向も踏まえまして、特別支援教育充実に努めてまいる所存でございます。また、特に障害者基本法の一部改正によりまして、交流及び共同学習の積極的な推進が望まれるところでございます。  これらを更に発展をさせまして、ただいま御指摘いただきましたような事例も研究対象に踏まえながら、学校教育が共生社会の創造に寄与するように更に取組を進めてまいりたいと存じます。
  54. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 御期待を申し上げて、次に、すべての子供の特別なニーズへの対応についてお伺いしたい。  特別支援教育は、当面は障害のある児童生徒の個別のニーズに応ずるものであるが、その本旨においては、特別なニーズを有するすべての幼児児童生徒に保障されるべきものであり、ゆえに、すべての教職員が取り組むべきものと考える。すなわち、障害児への教育学校教育の核心の中核であるべきという国連の構想にこたえるべき方向を有すべきものであり、この考え方は学校教育全般に相通ずる理念である。本来、不登校や学習面でのつまずき等、すべての子供の抱える特別なニーズに適切に対応していくという姿勢が学校教育に対して課せられていると考えるが、どうか。
  55. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 御指摘のとおりであるというふうに考えております。  もう数年前から、例えば児童虐待防止法が制定され、それに応じてまた改正もなされて、教育関係者と福祉、医療、保健等の関係者が連携して取り組むというふうな機運がとりわけ市町村の現場で出てまいりましたし、また昨年四月一日から発達障害支援法が施行されて、まだまだ不十分とは存じますが、それでもすべての教職員が養成の段階からこういった問題についての知識理解を深めると、より専門性を持って、それぞれのお子さん方へ個別の指導計画等を通じながら、支援計画も作りながら対応していかなければならないという機運が高まってまいりましたし、当然都道府県においても、発達障害支援センターとの連携を通じて、教職員も十分分からないときには相談をしながら対応していくという、こういうことが本当に進められてきたと思っております。  文部科学省としても、今後とも、すべての教職員が養成段階とか研修段階を通じて十分に対応できるように、また、まさしく障害児にとっては自立と社会参加が進められていくように取り組むことが必要であるというふうに考えております。
  56. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 まあ、社会参加をしていくのは大変大切だということは言われましたが、大変難しい問題だというふうに思いますので、学校現場あるいはそれなりの専門家等に意見を聞くなどして、そこへ向けて一歩一歩前進していけるような施策をお願いしたいというふうに思います。  次に、障害児の在籍の在り方の見直しについてお伺いします。  今回の学校教育法の一部を改正する法律案に関しては、盲・聾・養護学校特別支援学校に、特殊学級を特別支援学級に位置付け、名前を変えただけではないのかという批判がある。また、LDADHD、高機能自閉症等の幼児児童生徒を新たに障害のある幼児児童生徒として加えただけではないのかとの批判もある。  それは、重度・重複障害子供たち特別支援学校へ、それより比較的軽いと考えられる障害のある子供は特別支援学級へ、LDADHD、高機能自閉症等の子供たちは通常学級に在籍しながら通級指導を受けるというような、障害程度や、時には種類に応じた分離教育になっていることを根本から見直していない。このことによる批判と考えられる。  特別支援学校小学部、中学部への就学は、改正案によっても就学義務が課されている。しかし、義務を課すということよりは就学を保障するという視点に立つことが必要であり、在籍の在り方そのものを根底から考え直すべきではないか。すなわち、すべての子供たちが通常学級に本籍を置くことを保障し、より手厚い教育を望む立場から、選択的に特別支援学校や特別支援教室を利用する、このような構想が取れないものかどうか、お伺いする。
  57. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 今回の改正は、障害のある児童生徒一人一人のニーズに応じまして、必要な教育支援を行うことを目的とするものでございます。  御指摘のございました児童生徒在籍の在り方を見直して選択的に特別支援学校や特別支援学級を利用するということにつきましては、すべての小中学校等の通常の学級におきまして個別のニーズに対応した教育を行い得る環境にはまだ至っていないことに留意をする必要があると考えております。  インクルージョンの理念を踏まえつつ特別支援教育の一層の推進を図るためには、施設設備や教職員の配置、教職員の資質、能力の向上など多くの課題が存在するところでございまして、今回の改正にとどまることなく、着実にこれらの充実に努めてまいりたいと考えております。  なお、障害のある児童生徒等の就学の在り方につきましては、昨年十二月の中央教育審議会の答申におきまして、平成十四年から実施をされております認定就学制度の運用状況や国際的な動向に留意して検討することが要請されているところでございまして、そのような要請にも留意しつつ必要な見直しを行ってまいりたいと考えております。
  58. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 私も現状を見れば分かるわけでございますけれども、いつも現状ではここまで行っていないというまくらが付くとなかなか遅くなるんじゃないかなということを感ずるわけです。  したがって、この辺まではやり切ると。子供はそのときしかないんですから。是非、現状を踏まえて一歩一歩前進していくというのは十分理解をしました。しかし、子供の側からすれば、その子供は、その一生の間にその時期はないわけですから、もっともっとピッチを上げて、そうなるとお金になって、お金が出てこぬということになるかもしれませんが、子供たち、今の子供たちは大変かわいそうですよ、そういう意味では。したがって、やっぱり文科省は何とか予算を獲得をし、今答弁されたような方向で全力を挙げて頑張っていただきたいなというふうに思います。  現状を踏まえると何もできなくなっちゃうんで、現状を突破するといいますか、それが必要であり、その一歩になる法案がこれだろうと思いますので、そんなことで。  就学手続については答弁されたですか、今。ちょっと聞こえなかった。座ったままで結構です。
  59. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 就学の在り方につきましては……
  60. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 いや、今触れられましたかということ。
  61. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 就学の在り方については答弁をさせていただきました。手続の具体的なことは申し上げておりません。
  62. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 じゃ、手続、お願いします。手続をお願いします。
  63. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 就学の手続につきましては、基本的に保護者専門家の意見を聞きつつ、当該児童生徒の自立と社会参加のために適切な教育が行われるように総合的に判断すべきと考えておりまして、就学先の指定につきましては、その手続の在り方、親の意見を十分に聞くという方向でよく検討してまいりたいと思っております。
  64. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 それじゃ、次に行きますけれども就学手続の在り方は検討していくという、そういう答弁でありましたが、この点は政省令改正となっていくものだと思います。重要な問題なので、障害児の就学手続と学校選択について具体的な答弁お願いしたいと思います。  大事なことは、行政手続法を構成している事前手続、事後手続の考え方を踏まえることだと私は思います。事前手続としては、情報の開示があることや当事者等の意見が反映される道筋が保障されること、事後手続としては不服申立ての制度があること、この考え方に従って、就学先を指定するに当たっては障害のある児童生徒保護者等の意見を事前に十分に聞き、既に今申されましたけれども、再度重ねますが、お願いします、選択可能な制度を設ける必要があると思います。  実際の就学手続に関しては、障害のある児童生徒保護者に対し選択肢を示さず威圧的な態度により事実上進学先を強制するような例もあるとされている。国策として特別支援教育への転換を望むならば、就学手続においては、障害児も多様な進路が制度上用意されていることを含め、十分な情報提供を保護者に対して行うべきであり、その上で進学希望についての事前協議を行う必要がある。特別支援教育の理念を実行に移すためにはこうしたプロセスを制度上保障する必要があると考えるが、どうか。こういったプロセスを制度上保障する必要があると考えるが、どうか。  また、特別支援教育の体制が徐々に整い、各小中学校における支援体制がある程度整うめどが立てば、就学先の決定に関し障害のある児童生徒に選択権を与えていくことなど手続を改善していく必要があると考えるが、いかがか。
  65. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 児童生徒就学する学校につきましては、先ほども申し上げたところでございますが、保護者専門家の意見をよく聞き、当該児童生徒の自立と社会参加のために適切な教育が行われるように総合的に判断すべきであると考えております。その際には、先生からもお話がございましたが、障害のある児童生徒本人及び保護者に対しまして、当該地域の小中学校等における障害のある児童生徒の受入れ状況教育状況などを、特別支援教育の実施体制につきまして十分情報の提供を行い説明を申し上げるとともに、本人及び保護者就学先について希望を表明する機会を十分確保するように取り進めていく必要があると考えております。こういったことを今後ともしっかりと行ってまいりたいと思っております。  なお、就学先の指定につきましては、障害のある児童生徒就学の在り方についての検討の中で、先生質問の御趣旨も勘案しつつ、今後、その手続の在り方を含めまして、十分よく検討してまいりたいと思っております。
  66. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 是非よろしくお願いしたいと思います。  趣旨を勘案というと、どの程度勘案するのかよう分かりませんが、踏まえて、基づいて、勘案というのはよく分かりませんが、趣旨を、一応私の申し上げたことを勘案してという答弁でしたので、次へ移ります。  次に、就学指導委員会の強制力についてお伺いします。  学校保健法の改正によれば、就学時健康診断の結果により特別支援学校への就学に関し指導を行う等適切な措置をとらなければならないとされている。確認したいが、この条文にある、助言指導などの行政指導には強制力は働かないと考えるが、どうか。  また、この指導を具体化するために市町村教育委員会には就学指導委員会が置かれているが、地方分権一括法の施行により就学事務は自治事務となり、就学指導委員会には国による法令上の根拠がないと考えるが、いかがか。  障害のある児童生徒就学先の決定に関しては、さきに確認した手続によることが望ましいと考える。従来の就学指導には、その実態などから威圧的あるいは強制力があると受け止められる節がある。それを是正するための保護者子供たちの立場に立った就学相談の機会理解してもらえるよう、その運営や名称も検討すべきものと考えるが、どうか。  以上、三点にわたっての答弁お願いします。
  67. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) まず、第一点でございますけれども、御指摘のとおり、学校保健法の第五条に規定をいたします指導等は、専門的見地から強制力を伴わない働き掛けとして行われるものでございます。  第二点でございますが、市町村教育委員会に設置をされております就学指導委員会は、就学事務が地方分権一括法によりまして自治事務となったこともありまして、国が市町村教育委員会に対しまして一律に設置を義務付けるものではなくなっております。  三点目でございますが、今回の改正法案によりまして、学校保健法の指導等の位置付けを変更するものではございませんが、障害のある児童生徒の就学校の指定に際しましては、保護者意見を聞きながら、児童生徒一人一人の教育的ニーズを的確に把握をし、適切な教育が行うことができるようにすることが大事でございまして、就学相談という機能を充実させていくということといたしたいと考えております。
  68. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 今答弁された方向で更なる取組を深めていただきたいと思います。  というのは、強制力が働くものではないのに強制と思われる事態が生じている場合が間々あるように聞いています。したがって、今答弁されたような方向で取組を進めていただきたいと思います。  では、次の質問に移りますが、障害当事者の参加について伺います。  就学相談機能を充実させていくことは大事なことであるが、文部科学省のこれまでの施策の展開を見ていると、いわゆる専門家や学校側の意見が重視されていて、当事者や保護者意見が受け止め切れない嫌いがある。国連の一連の条約等を見ても、障害当事者団体等の参加が重視されるようになっている。障害者基本法の一部改正においても、当該者団体等の参加がうたわれているところである。こうした流れを受け止め、文部科学省においても、より積極的に審議会の委員などを選任するなど、当該障害にかかわる団体の積極的な参加を進めるべきである。また、就学相談においても、当該障害にかかわる者の参加が図られ、子供保護者の立場に立った情報提供や適切な意思決定への援助が行われるべきと考えますが、いかがですか。
  69. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 今回の制度改正の基本的な考え方は、昨年の十二月の中央教育審議会の答申を踏まえたものでございます。この中央教育審議会の審議に際しましては、二つの障害者の団体の代表の方が委員として参加をいただいております。また、十一の障害者の団体の方からヒアリングも行っているところでございます。これらの団体からの御意見は、答申の取りまとめの過程で適切に反映されているものと認識をいたしております。今後とも、文部科学省審議会の委員などへの選任等を含めまして、障害当事者の団体の意見が反映できるよう、これは一層努めてまいりたいと考えております。  また、市町村の教育委員会が行う就学に関する相談機能を充実をさせていく際には、市町村によっては地域でなかなか適当な団体等を見いだす点などにおいて困難な面もあるとは考えられますけれども、必要に応じて関係団体との連携協力が図られるということは一つの方策であると考えております。
  70. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 これも大変重要な課題であろうと思いますので、是非そうした団体の声が確実に反映されるような、そんな取組等々、私どもへもそういう団体からいろんな要望が出てまいります。それは同じだろうと思いますけれども、多分、私どもに要請してくる団体は、自分たち意見は聞いてくれなかったというようなことで私どものところへ持ってくるんだろうと思いますし、文科省にもそういう意味では多くのそういう要望書があるだろうと思います。すべて実現するわけにはいかないとは思いますけれども、十分その趣旨を踏まえ、理解して、反映できるように取り組んでいただければ有り難いということを思います。  そこで、次に特別支援学校のセンター機能について伺います。  障害種を超え、重度・重複障害に対応するため、これまでの盲・聾・養護学校特別支援学校とし、この学校小中学校等教員への支援や相談、情報提供などを持たせて支援センターとしての役割を持たせるとの構想は理解できないことはない。実際に先進的な取組を行っている養護学校などでは、障害の重い子供も地域の小中学校に帰し、先ほど神本委員質問したところだと思いますが、地域に帰し、養護学校教員などはその支援に出向いている実践が進んでいるところもある。  しかしながら、他方で、重度の視覚障害のある子供をとんでもない遠隔地の盲学校就学させるのが当然と言わんばかりの就学指導に後戻りしている例も聞こえてくる。  このように、現場は文部科学省がどちらを向くのかで揺れ動いているのであり、その要因もまた文部科学省の施策の方向が明確でないことから生じていると言わなければならない。  こうしたことを考えるならば、特別支援学校の今後の方向性に関しても明確なものを示していく必要があると考えます。今後の特別支援学校は、むしろセンター的な機能を高めていくという方向を取るとするのであれば、地域の小中学校の施設設備、人員等を充実させ、特別支援教育が可能となるように変えていき、特別支援学校がセンター機能を十分に果たせるように支援していく、これがあるべき姿ではないかと私は思うが、見解をお伺いしたい。
  71. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 今回の法案の基になっております昨年十二月の中央教育審議会の答申におきましては、特別支援学校について、「基本的には現在の盲・聾・養護学校対象となっている五種類の障害種別及びこれらの重複障害に対応した教育を行う学校制度とすることが適当」としており、今回の改正法案におきましては、この答申を踏まえた制度としているところでございます。  特別支援学校センター的機能につきましては、小中学校等の要請に応じまして、必要な助言又は援助を行うよう努めるものとするとの努力義務規定を置いているところでございます。特別支援学校センター的機能に関連をいたしましては、これまでも盲・聾・養護学校におきまして様々な相談や支援が行われているところであり、今後各学校においてこうした多様な取組が行われていくことを期待をし、その取組状況を周知するなど、積極的な施策の展開を検討してまいりたいと考えております。  また、特別支援学校におきまして在籍する児童生徒等への適切な教育を行いつつセンター的機能を一層高めていくことにつきましては、各学校における今後の成果やこれにかかわる課題などを見極めながら、着実に進めてまいりたいと考えております。
  72. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 是非よろしくお願いしたいと思います。着実に、一気にはいきませんけれども、着実に前へ進めていただきたいというふうに思います。  それで、次に行くわけですけれども、神本委員とまた重複するところがありますが、確認をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  今後の方向性としてはセンター的な機能の充実を図っていくと、その点をもう一度強く確認したいと思います。  盲・聾・養護学校総合化特別支援学校とするものも、地域の小中学校との連携を考えれば、そうでなければならないと思います。そこで課題となってくる点が多々ある。その第一が条件整備をいかに進めていくかという問題であり、とりわけ教職員定数の確保が重要になってくると思います。  そこで、定数改善計画の策定についてお伺いしますが、平成十八年度予算による定数改善分では不十分であることはもう文科省自らお認めになっていると思います。特別支援学校を機能させるためには、どれだけの人員が必要となり、まずあるべき姿を明確にし、そしてその上で具体的計画を策定しなければならない、こう考えるが、どうですか。あるべき姿を示して計画を策定する、そして定数改善と、こういう筋道だろうと思いますが、どうですか。
  73. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 昨年、第八次の定数改善計画については、センター機能の充実ということの観点から、特別支援教育コーディネーターという形で人数を明示して要求を出したということは御承知いただいていることと存じます。しかしながら、財務大臣文部科学大臣の合意に基づいて昨年は出さなかった。しかしながら、二百八十二名のいわゆるLDADHDの児童に対応する永続的な定数は確保したと、こういったことで決着が図られたところでありますが、今般のこの法案の趣旨にも基づいて、どういう対応の仕方が可能かということも含めて、平成十九年度以降の予算編成において、昨年明示した人数もございますが、それも含めて、どのような対応が可能かということも含めて今後検討をしてまいりたいと考えております。
  74. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 じゃ、それが具体化するのはどのぐらいの時期ですかね、具体化するのは。具体的に作成される、計画を作成されて、それに基づいて、十九年度予算ですよね、従来どおりの夏ですか、それまでは動かないんですか。
  75. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 当然、私も申し上げましたように、この特別支援教育特別支援学校、これを充実していくと、その根拠となるのは今回の法案であるということは御理解いただけると思いますが、この成立を期してできるだけ早い段階で調整に入らなければならないというふうに考えております。
  76. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 是非早め早めに手を打って、十二月の末になってごろっと変わらぬようにひとつよろしくお願いしたいというふうに思います。  では次に移りますが、このような質疑を交わしていると、特別支援教育の理念を実現していくには、単に特別支援学校の教職員の免許制度や資質の問題だけではなく、むしろ小中学校の教職員の課題としてとらえなければならないという思いを強く私はします。  そこで、免許制度の在り方についてお伺いしたいと思いますが、小中学校における免許取得に向けた条件整備が必要と考えるが、どうか。すなわち、今後の方向性としては、特別支援学校教諭免許制度特別支援学校教諭になるに当たって必携とすることが望ましいと思う。その一方で、地域の小中学校では、特殊学級を含め、特別支援学校教諭免許保有者がいないとなると、小中学校等との人事交流を阻害することとなったり、小中学校における特別支援教育も十分ではなくなるおそれがある。したがって、特別支援学校のみならず、小中学校等における特別支援免許取得の促進も考えなければならないと思うが、この点についてお伺いします。若干もうこの問題は既に他の質問者の答弁に触れられておりますので、同じでも結構ですので、よろしくお願いしたいと思います。
  77. 有村治子

    大臣政務官有村治子君) 今回の改正法案においては、盲・聾・養護学校から特別支援学校への一本化に伴って、今御質問をいただきました教員免許状についても障害種別のものから特別支援学校という学校の種類に対応した一本の免許状としたいと考えております。  しかし、その一方で、佐藤先生指摘のように、特別支援教育はすべての教職員の先生方に関心を持っていただいて、また理解をより一層深めていただきたい課題であることも事実でございます。このため、佐藤先生のお考えもしっかりと拝聴をした上で、今後、免許制度の在り方については、この点も踏まえて、中長期的な課題として検討を行ってまいりたいと存じます。  また、中長期的に免許制度の在り方を検討させていただきたいと明言をした上でも、その一方で、児童生徒は今日も成長して、また学校現場は今この瞬間も動き、進展しておりますので、まずはやはり小中学校等教員先生方に対する現職の研修や、養成課程において特別支援教育内容充実することに力を注いでいきたいと考えております。  以上です。
  78. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 有村務官が答えられると、力強いので元気付けられます。十分私の質問も踏まえてと言われましたので是非その方向で、しかし、いつも逃げとして中長期的なとか、そういうのが入るとがくんとなるわけでございますが、最後までそれが入らぬとすばらしいということになるわけですけれども現状を踏まえればそれまでかなというふうにも思います。頑張ってください。私も頑張ります。  次に、特別支援学校職員の役割について伺いたい。  ところで、この質問において、特定の場合を除いては教員という言葉は使わず、教職員としてきた。その意味するところは、中教審答申においても、今回の法律改正においても、盲・聾・養護学校で働いている多くの職種の問題が全く語られていないからである。  障害学校には、これも先ほど神本委員も尋ねましたけれども、介助員、寄宿舎指導員、給食調理員、用務員、運転職員など多くの人が、多くの職種の人が働いています。こうした職種は、特別支援学校になり、センター的な機能を有するようになっていく場合、現在以上の重要な役割専門性を果たしていかざるを得ない。現下の行革の流れの中で、とりわけ現業職員には民間委託や非常勤化を目的とした職の全廃などという事例も生じているだけに、制度改革への不安は強い。文部科学省はどうも教員だけに目を向けがちであるが、これら職種の今後の在り方に関してもしっかりした検討を要望する。  また、通学保障のために設けられた寄宿舎にしては、卒業した子供たちを訪ね、これも先ほど具体的な話は神本委員の方から出ていましたが、卒業した子供たちを訪ね、地域社会で生活していくことを支援していくような実践例もあるだけに、この際、今後の在り方をしっかり検討すべきではないかと思うが、見解をお伺いしたい。
  79. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 盲・聾・養護学校で勤務をしている教員以外の様々な職種の職員の役割は今後とも重要なものであると認識をいたしております。特別支援学校への転換に際しまして、これらの職種がどのような役割を持ってセンター的機能にかかわるか等につきましては、個々の学校状況によりまして多様であると考えられるため、まずは今後の取組を見守りたいと思っております。  また、寄宿舎に関しましては、先ほど来いろいろお話が出ておりますように、地域社会との結び付きや、さらには小中学校との連携などの視点からセンター的な機能を果たしている事例も多いわけでございます。今後どのような役割を担っていくかにつきましては、各学校における取組を見ながらその充実を期待をしたいと考えているところでございます。
  80. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 是非、その方向で結構ですので、しっかりと支援をしていくような形をつくり上げていただきたいと思います。  それでは次に、特別支援教室見送りの理由についてお伺いします。  分離、別学と言われる問題の一つ特殊学級、今回の改正案によると特別支援学級の問題がある。現場では特殊学級と言わず仲よし学級と名付けたりしているが、差別的な実態としては、在籍する子供が特殊さんと呼ばれたり、障害のない子供に対して特殊に行くんかなどと脅したりすることも生じている。先ほど神本委員は、害児だったかな、害児と言われるということも同じだろうと思います。これらは人権意識の問題であるが、同じ学校に通学しながら制度として区分していることも大きな起因として、起因していると私は思います。  特別支援教育構想に期待を寄せた人たちは、在籍する学級を分けるのではなく、特別支援教室として必要な時間帯で利用する制度となることを望んでいた。中教審でもそのような構想が論議されたが、今回見送られた理由は何か。一日も早く特別支援教室構想に持っていくべきと私は考えるがどうか、見解をお伺いしたい。
  81. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 御指摘のように、中央教育審議会におきましては、特別支援教室の構想について議論をされたところでございます。ただ、この特別支援教室の構想につきましては、障害の種類によっては固定式の学級の方が教育上の効果が高いとの意見があることなどを踏まえまして、今回は特殊学級の運用を弾力化していくことなどが答申をされたところでございます。  今後、特別支援教室構想に関しましては、文部科学省といたしましては、小中学校等における総合的な体制整備を行いつつ、引き続き研究開発学校やモデル校などを活用いたしまして、その優れた実践を全国に発信しながら構想の実現に向かっていくこととしているところでございまして、このたびの改正はその一歩と考えているところでございます。  なお、お話にもございました差別的な事例はあってはならないことでありまして、特別支援教育が教職員全体の課題であることを啓発しつつ、差別的な事例が払拭されるように、より一層努めてまいりたいと考えております。
  82. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 特別支援教室構想へと向かっていくと、こう理解していいわけですね、それへの第一歩だと。
  83. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 中教審答申におきましても、特別支援教室構想について引き続き検討を進めるということが言われておりますので、私ども、その具体化に向けまして、先ほど申し上げました実践研究やモデル校などを通じまして更に検討していきたいというふうに思っております。
  84. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 よろしくお願いしたいと思います。  いわゆるどっちに向かっていくかということがなかなか明確にできないがゆえに、当事者団体等の皆さん方もあるいは現場の先生方も困っているのではないかというふうに思いますので、行く先はここですよとはっきり明示をして、それにつながっていくためにはこういう取組、こういう取組、こうやっていきますよという段階的な取組を早く明示していただければ有り難いなと、そんなことを思います。  次に、これも神本委員が今日お尋ねになったところですけれども特殊教育就学奨励費の見直しについてお伺いします。  これまで特殊教育就学奨励費と言われてきた制度について、提案されている法案の一部改正は盲、聾及び養護学校への就学奨励に関する法律の技術的な改正にとどまっている。このことは就学奨励費の補助費等が特別支援学校や特別支援学級に在籍する子供に限られるということを意味している。しかしながら、今回、特別支援学校にセンター的な支援機能を付与したことは、小中学校等の通常学級にも障害のある子供たちが学んでおり、それを認めて支援するという意味を有するものと考える。改正案にある学校教育法七十一条の三は七十五条一項に規定する状態にある子供たち対象とするのだから、特別支援学級に在籍しなければ支援を受けられないということではないはずであると思う。義務無償の考え方から、障害を持つことによる経費負担については、先ほど交通費とかなんとかって言っていましたが、その経費については学校種別にかかわらず国が負担するのが憲法、教育基本法の精神に合致すると思う。この際、就学奨励費についても、その必要に応じ通常の学級に学ぶ障害のある子供たちにも補助されるよう改善すべきであると考えるが、どうですか。
  85. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 今御指摘のありました特殊教育就学奨励費でございますけれども特殊教育学校への就学の特殊事情にかんがみて、この就学に必要となる経費につきまして補助を行うこととしているものでありまして、御指摘のとおり、今回の改正法案においてはこの仕組みそのものには変更を加えてはおらないわけでございます。  一方、文部科学省といたしましては、国会におきます議論等も踏まえまして、これまでも通常の学級に在籍しておる視覚障害者、視覚障害のある児童生徒に対しまして点字教科書や拡大教科書を給付する、給与することについての取組を行ってきているところでございまして、ボランティアのお作りいただいたものについても実費でこれを受けて支給するというような取組まで行うようにしているところでございます。  今後、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒についての就学奨励費の取扱いについてどのようにすべきかということにつきましては、具体的にどのような支援が必要であるかということを総合的にまず勘案をさせていただきましてよく検討してまいりたいと、このように考えております。  なお、御指摘特別支援学校からセンター的機能として小中学校への支援につきましては、特別支援学級に在籍していなければその対象とならないというものではありませんで、お話がありましたけれども、あくまで児童生徒の一人一人のニーズを踏まえて、小中学校からの要請に基づいて、通常の学級に在籍する児童生徒を含めて支援対象となるものでございますので、よろしくまた御理解のほどお願いを申し上げます。
  86. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 ということは、障害だということを持っている方々にはすべて申請さえすれば経費が出るという理解ですか。
  87. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 前向きに御答弁申し上げたいんですけれども、今の現状では、先ほど申し上げましたけれども就学奨励費ということになりますと、具体的にどのような支援が必要かということを総合的に勘案をさせていただく。先ほど、視覚障害者の方に対する教科書の無償給付という点については、点字、拡大教科書はそのような形でできるようにさせていただいたわけでございますけれども、果たして交通費等をどのようにするかということについて、含めまして、基本的に通常学級に在籍していただいているということを勘案しますと、この支援に対してどのような部分でそういう経済的な支援として必要かということを総合的に見させていただくということから、もうしばらく検討をさせていただきたい。
  88. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 ということは、これから検討して、既に奨励費もらっている方と障害があってももらっていない方もおみえになるわけですよね。だから、これを機会に一度この奨励費というものも、今大臣が力強く検討すると言われましたので、その方向で差がないような形で、一度まず実態を調べてということを言われました、そうだろうと思います。実態を調べて、どれぐらいの人数で幾らの経費が掛かっているのか、それぞれの子供が、という実態を調べて、一度、予算化なりなんなり検討をしていただきたいというふうに強く思います。よろしくお願いしたいと思います。  十三問と申し上げました。今までに十二問過ぎました。最後質問ですけれども、残念ながら、前段での決意は伝わってくるんですが、文末になると、何々したいとか検討するとか、考えたいとか勘案するとか、最後のまとめがそうなっちゃうんですよね。そういう答弁が私はほとんどであったように思います。一度、そうでない答弁を一度伺いたいなと今思っておりますが、障害児教育の今日的な段階を考えれば、積み上げですからやっぱり、一気にいくとは思っていませんので、今日的な段階では文部科学省としては精一杯の回答、答弁であったんではないかと私は思います。  しかし、金を伴うものあるいは他の省庁と話し合わにゃいけないもの等になってくると何々したいという結びになるんだろうと思いますが、先ほども申し上げましたように、子供はそのときしかないんです。その一年は、終わったらそれは戻れないんです。大人もそれは時間的には戻れませんけれども子供よりはくるくるくるくる回転していくだろうと思いますが、子供はそのときしかいない。今、これから充実して、その充実したセンターのようなところで出てくる子と今出る子とでは非常に差が付いてしまうということは、教育問題すべてにわたって私そうだろうと思いますので、やっぱりこうしたい、ああしたいということになったらそれを即座に実行に移していく、そのスピードではなかろうかなというふうに思います。  したがって、そんな点を強く要望して、最後取組について伺うわけですが、大臣、今のところで何か感想がございましたら、大臣、どうですか。
  89. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 委員の御指摘のことはよく分かります。人間成長していくわけでございますし、その成長の段階に応じた対応がその場で行われていかなければ、正に後の祭りでございます。そういった意味で、私ども、財源が自分たちで調達できるものであればそのようにしたいと思うわけでございますけれども、必ずしも財源というのは私どもの思うようになりません。そういう意味で歯がゆい思いもしながらも、しかし現状においてできる限り前進させたいという思いを末端まで伝えることによって少しでも改善したい、そのように思って日々の職務に就いているわけでございまして、委員指摘の意味合いをしっかり頭に置きながら努力をさせていただくという決意を申し上げて、御理解を賜りたいと存じます。
  90. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 いよいよ最後質問になりました。  この質疑の中で明らかになったことは、特別支援教育構想が果たしてインクルージョンという国際的な潮流に近づいていくかどうかは、第一に就学の在り方などの制度的な問題であり、それは政省令事項にもかかわっていること、第二に特別支援学校や特別支援学級に対する具体的な充実策、第三に特別支援教室構想や免許制度の改善など今回積み残した課題の実現に向け、今後着実にステップアップしていけるかどうかに懸かっているということであると思います。また、就学できない状況に置かれている子供たちの問題も明らかになったように思います。  それらの主要な点を質問し、答弁をいただいたわけですが、国会としてもしっかりと今後の進捗状況を見なければならないと考えています。よって、第一に、文部科学省は今回の改正に伴う諸課題に対する取組や施策についてきちっとした政策評価、もう一度言います、政策評価を行うこと、第二に、政省令改正については、国会の質疑を踏まえて対応すること、国会質疑を踏まえて対応することが大切と考えます。第一、第二の点については、その結果を平成十九年四月一日の本法律案の施行後二年ごとといった一定の時期に国会に報告し説明をすることを求めるが、見解を伺いたい。
  91. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 佐藤委員には、大変多くの質問をいただいた中で、この部分については、この法案がインクルージョンという考え方に沿っていったかどうかということの評価の基準になるということまでおっしゃっていただいておりますので、政策評価につきましては、御指摘の趣旨も踏まえつつ適切に行ってまいりたいと思いますし、また今後、必要な制度改正につきまして引き続き検討するとともに、特に関連する政省令改正につきましては、国会における御審議を踏まえ、パブリックコメントなどを実施して、適切に手続を進めて、そういった評価を踏まえて着実な前進を図れるような、そういう取組を進めてまいりたい、このように考えるところでございます。
  92. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 要するに、ステップアップをどうしていくかということだろうと思います。一つ一つ障害を超えて、ステップアップし、センター的機能を十分に果たせるような、そして先ほど出たように分離でないような状況、真のノーマライゼーションというのをつくり上げていく第一歩にしていただければと思います。  そんな意味で、冒頭、賛否の件に関して申し上げさせていただきましたが、何を言われるか分かりませんが、大体賛成をして附帯決議を付けることになろうと、そう思っておりますので、鈴木理事が決める話ですが、こそっと話が来ましたんで、よろしくお願いしたいと思います。  十二時十一分までですから、ちょっと聞きたいことがあったんで、一つ二つ、通告してありませんが、よろしくお願いしたいと思います。  過日、新聞でこういうのが出たんですよね、天下り先千七十八法人、国費支払い六兆円、二〇〇四年度契約・補助金、密接なつながりというのが。この新聞は去る四月三日付けの読売新聞ですが、僕が一番気になったのは、公益法人に天下りしている、文部科学省が公益法人などへ天下りしている主な省庁のリストに挙げられ、法人への国費支払額が一兆三千三百九十七億円で、国土交通省を抑えてランキング一位とされたと。御存じですよね、この新聞は。  塩を送るわけではありませんけれども、こんなことを書かしておいていいんでしょうか。僕は、大変子供に与える影響が多いと思います、それは後で質問しますが。  したがって、文部科学省としてこの報道に対してどのように対応したのか。ウエブサイトでは何か理由を付けて出ていましたけれども、具体的に報道に対してどのようにこれは対処されたか、その点を伺いたいと思います。
  93. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 私の記憶で大変恐縮でございますけれども、その対象となった法人というのが、例えば国立大学法人でございますとか、私学も入っていたと思いますけれども、いわゆる法人の種類の範囲が非常に広くて、必ずしも巷間言われているような種類のものではないものまで入っていたというふうに記憶をいたしておりまして、その点についてはきちんと文部科学省の立場を表明したと記憶をいたしております。
  94. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 佐藤委員の御指摘はそういったことを全部踏まえた上で、佐藤委員よく御存じでございますので、独立行政法人あるいは国立大学法人等については運営費交付金等、当然、いわゆる天下り先の外郭団体とか、そういった企業等に対する契約金とは違うという意味合いをしっかり踏まえていらっしゃって、その上で、こんなことを言えば実質が、実態はそうではない、いわゆる、もう必要経費を単に予算的に渡しているだけなのにそういう批判をされることになれば、文部科学省に対する国民の間違った理解、すなわち誤解が拡大することになる、これは適切に対応しろと、こういう御指摘だと思います。  過日、予算委員会でもそういった問題が指摘をされたときがございまして、一部は私も答弁させていただきました。再度答弁しようとしたんですが、残念ながら指名を受けることはできませんで大変残念な思いをいたしましたが、委員指摘のように、この問題には適切に、そうではないということ、主張をはっきり展開をしないと誤解が拡大すると思っておりますので、広報部門を通じて理解を得られるような、そういった広報に努めてまいりたいと、このように考えております。
  95. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 そうですよね。額を足す、日本私立学校振興・共済事業団ですね、トップは。それから、宇宙何とか、これHⅡAですね。日本学生支援機構って、これは奨学金ですよね。当たり前ですよね、これ額、これらを足していけば。  また言いますが、塩を送っているわけじゃないんですけれども、なぜまずいかというと、なぜいかぬかというと、こういう新聞見ると、新聞を使って学校で授業をやれって言っておるじゃないですか、読解力向上プログラムでは。これは新しいですよ、四月二十日ですから、地元紙ですね、これは。読解プログラムで新聞を使った教育システムを現場に求めているんでしょう。これだけ確認したいと思います、まず。
  96. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) NIE教育と申しまして、新聞を使いまして、一つの事柄について様々な見方があるとか、新しい事柄についてみんなでその問題を討論し合うとか、そういう教育の推進は文部科学省として進めております。
  97. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) NIEにつきましては、私も実は新聞協会関係の方に申し上げたんですが、学校が活用するためには新聞における特集等を事前に教えてほしいと、学校に。すなわち、こういう問題について、いついつ特集を組んでそれをしますので、それを学校で活用してくださいということで、新聞の年間の編集計画の中で、あるいは年間の特集記事のスケジュール等の中で、事前に公表して差し支えないものについては学校等に、それを活用した授業ができるように事前にこれを通告してほしいという要望を私個人として申し上げておるんですね。大臣の立場ということを余り強調し過ぎるといけないと思って個人的な意見だけどと申し上げたわけでございますが、そういったことを通じて、御指摘のように新聞を活用した教育の推進等も図ってまいりたいと、このように考えております。
  98. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 だから、いろんな見方が養われてという、局長銭谷局長言われましたが、文部省無駄遣い一番というと、その見方も養われるわけですか、そうでないでしょう。  今大臣言われたように、何とか止めにゃいかぬでしょう、止めるというのは言葉良くないのかな。子供が見るわけですから。いいですよ、それを見て、文科省はどうしてもこういうお金が掛かってこういうふうだと理解すればいいですけれども、大方の見方は、見出しをばっと見て、それを記事に切ったりしていくと、僕は、大変子どもたちも、文科省に対する、何といいますか、自分たちのトップの行政機関だと思っていることは思っているだろうと思うんですよ、中学生ぐらいになれば。  今大臣は個人的にと言われましたけれども、PISA型読解力向上に直接、間接的に関連が深いと思われる関係団体として読解力向上委員会を新設するとされ、日本新聞協会や日本雑誌協会もメンバーに挙げられていると。これは事実ですか。
  99. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 今検討しているところでございます。
  100. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 検討して立ち上がれば、これ新聞協会や雑誌協会がメンバーになるわけですから、是非そういう場の中で、間違っとることを間違って教えよということじゃないですけれども、やっぱりまずいですよ、子供たちにとって。  それからもう一点は、私、前通常国会だと思いましたが、東京の学校の非常勤を調べて、非常勤講師が物すごい多いという質問を、お三人は代わられましたけれども銭谷局長は記憶にあると思いますが、私のあのときの質問が正しかった数が出てきたでしょう、最近。こういう形で、増える非常勤の先生と。めちゃめちゃ多いんですよ。何でここになって出てきたんですか、これ。私の質問のときに何で出てこなかったんですか。私は足で歩いて調べましたよ。そのときに答えられたのは、何か分からぬ数字でしたね。七千四百五十四、この辺の数字だったかな、九千二十七、そんなに増えてませんと。  しかし、更に私はこの委員会で悉皆調査を求めましたよ。県費負担のみで小学校七千四百五十四人、中学校九千二十七人、計一万六千四百八十一人と答弁されていたが、この今度の発表の県費のみで合計二万三千五百二十五人、市町村費を加えれば三万人を超えていると、こういう報道がありましたね。全く数字が違うわけですよね。前回私が国会で尋ねた質問と、銭谷局長が答えられた答弁とこの新聞とはめちゃめちゃ開きがありますよね。  なぜこんなことになったのか。かねてから集計しているならば、なぜ公表をしてくれなかったのか。公表が遅れたのか。なぜ数字がこれほど違うのか。私が求めた答弁は、質問の趣旨からして今回示された全体の非常勤講師数である。当時から分かっていた数字を示さなかったのか、それとも最近明らかになった数字なのか、お答えをいただきたいと思います。
  101. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 私、当時おりませんでしたけれども、今回の御質問も伺う中で思うわけでございますが、委員がよく足で調査をされた、そういった状況がやはり信頼性があるということで、その後の調査をしっかりやった結果としてそのような数字が訂正されたものと、このように考えております。
  102. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 だんだんうまくなりましたね、大臣答弁が。本当に、局長もかばいながら、外れないように。  例えば、愛知県で例を引きますと、愛知県では二〇〇三年から二〇〇五年の間に非常勤講師の数が二倍になり、全教職員の一割を占めるとこの新聞にはありました。全国小中学校教員六十四万七千人の五・六%、三万六千人が非常勤講師であるとされるが、これでも現実を正確に反映した数字ではないとの指摘がなされている。昨年指摘したとおり、こんなものではないというのが現場の実感です。  義務教育国庫負担一般財源化の対案として文部科学省が打ち出したのは総額裁量制であるが、その中身は常勤定数の非常勤化の勧めであって、各市町村でも非常勤講師を多く雇っている実態が明らかになりつつあります。文部科学省が非常勤講師の活用を重視するならば、現場の状況を正確に把握してなければならないはずである。さもなくば、非常勤の増加教育現場にどのような影響をもたらしているのか、客観的な評価ができない。教員減らしの閣議決定する前に、現場の実態把握に労力を傾注し、正確な情報を国会と国民に提供し、必要な教員を確保できるよう、苦しんでいる教育現場の状況を強調することこそが文部科学省の責務ではないかと、私はこう思います。  総額裁量制というのは、要するに定数崩しになっちゃったんですよ。それで三十人学級やなんかやってんですよ、二人分にして。一人の分を二人分にして、非常勤にして二人を。それで三十人だとか一クラスの定数減らしておるわけですよ。それはいいんですが、働く者の立場に立ったら物すごく厳しいですよ、非常勤になったら。  今の質問について是非お答えください。
  103. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 非常に重要な指摘だと思います。  私も、就職したときは専任教員で入ったんですが、翌年には非常勤に回されまして、非常勤になった途端に、情報も十分入らないし、職員会議にも呼んでもらえないし、机がほかの常勤の方の端っこの方にあって、プリントも回ってこないし、非常にまあ、もちろん給料も条件も下がりますし。ところが、私も教員ですから、子供たちへの対応ということについては最大限、常勤のときと変わらないように対応するべく努力はいたしました。しかしながら、学校の教職員の職務の性質を考えると、来年から自分はどうなるんだろうと、職がどうなるんだろうと心配しながら教壇に立つということは極めて私は問題だと思っています。  総額裁量制の意味というものは、良い点もあるというのは私も知っております。つまり、ちょっと高齢の教職員にとっては、子供たちと一緒に体育をしたり活動するのはつらいというときにはそれ専用の教員を配置するとか、とりわけ今回問題になっております特別支援教育ということを考えると加配であったり、継続して加配が必要な児童生徒もいますから、そういったことへの対応という、つまり機動的な対応が教育現場でできるということにおいて、総額裁量制を活用してそういった非常勤の教員を活用して、なかなか常勤になれない先生方を現場に呼んであげて力を蓄えさせるという、こういういい面があるのも私は理解しているんですが。そもそも教員を目指す、教員として責任を持って、児童生徒教育に責任を持つという心構えを持たせる上では、それは専任であるのが望ましいですし、はっきり言えば終身雇用であることが当然望ましいのは望ましいと思っております。こういった制度の中でいかに活用していくかということが、とりわけ人事をつかさどる都道府県や政令市においては私は求められてくるというふうに考えております。  こういう現状を申し上げながら、やはり望ましいものは、常任が専任として終身雇用という形で安心して研修とか子供たち教育活動に取り組める、そういう職場環境、労働環境の下で取り組むのは望ましいとは思いますが、総額裁量制といったものについてのより一層の評価を高めるためにも、具体的な実態を把握した上での最終的な判断というものも今後求められてくると私は思っております。  以上です。
  104. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 子供から見れば、非常勤であろうが正規であろうが分からぬわけですよ、そんなことは。したがって、やっぱりこれは正規の職員、待遇もしっかりして、きちっとしてなきゃいいこと教えられませんよ。今現場は物すごい講師の数。それが説明聞きに行くと、これは単費で、これは市で、これが国で。そんなことないです、子供は知らぬです、そんなことは、子供側に立てば何人ですから。是非要望しておきます。  また、銭谷局長には、数字のことを一遍調べておいてください。かなり違う数字を言われましたので。  以上、私の質問、ちょっきりで終わります。
  105. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時九分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  106. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、学校教育法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  107. 小泉顕雄

    ○小泉顕雄君 自由民主党の小泉顕雄でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。  法案質問に入ります前に、一点、大臣の御所見というか、決意というものをお聞かせをいただきたいと思うところがあります。  といいますのは、先日、また大変悲惨なといいましょうか、信じられないような事件が起こりました。十五歳の少年が十三歳の少女の命を奪うという事件であります。少年が本当に凶悪な犯罪に走ってしまうというこのような事件が相次いでおるわけでありまして、神戸での事件もありました、あるいは佐世保でも二つの事件が連続して起こったわけであります。子供が自分の年下の子供の命を奪うという大変深刻な事件が次々と起こる。日本教育というものが突き付けられた課題というものは非常に大きいものがあるというふうにも思うわけであります。  一人の人間の行動というものは、もちろんそれぞれの生まれ付きの個性ということによるところも大きいんでありましょうけれども、しかし一方では、その子に及ぼしてきた教育の影響というものも非常に大きいと思うわけであります。ある意味では、人間の行動というものは、その一人の人間が受けてきた教育一つの集大成のようなものである。学校教育、家庭教育、地域教育の結果が十五歳の少年の殺人という動機を抑えることができなかった。その意味では、その一人の少年を取り巻くあらゆる人が本当に反省をしなければならないと思うし、とりわけその子供を担任をし、あるいは指導をした学校先生方も、自分の教え子の中から殺人者が出てしまったということについて、やはり自分の教育の在り方というものを深刻に反省をしなければならないと思います。  どちらかというと、私、そういう反省が今まで足らなかったのではないのかなというふうに思うわけでありますが、いずれにしても大変こう悲しい事件が相次ぐ中で、文部科学省として、今何をしなければならないのか。とにかく今どうすることができるのか。中期、長期的にはいろいろなことが考えられるんでしょうけれども小坂大臣、短期的に自分ならこれやりたいというようなお考えがあれば、是非御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  108. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 大変重い課題をいただきましたけれども、御指摘のように、最近新聞を読んでおりまして、本当に読みながら自分の顔がゆがんでくるのが分かるような、また本当にかわいそうで身のすくむような、そういう思いをしながら新聞を読むことが増えてきて、非常にそういったことを憂慮しているわけでございますが。  御指摘の岐阜県におきます中学二年生の女子生徒の方の事件に関しましては、まずもって本当にかわいそうで、女子生徒の方の御冥福を心からお祈りをしたいと思うわけでございますが、同時に、なぜこのようなことになってしまったんだろうかと。本当は楽しい明るい青春の時期であるべきなのに、なぜこのようなことになってしまうんだろう。加害者の生徒の事件後のいろんな状況等はこれから分かってくるんだと思いますが、まずもって、そういったことに対して深い反省と謝罪の気持ちをまず持ってもらいたいと思いますし、またそういった加害者のこういった事件、一般論としてのこの事件の加害者等を見ますと、やはりその教育環境、そして生活環境、それも幼児期から小中学校の時代の生活環境、そして、そこにおける教育環境というものが大きく影響をしているという事例が多く見られるように思います。そういった意味で、教育を担当する文部科学省大臣としての責任も痛感をするわけでございますが、学校教育現場において、それでは何が必要で何ができるのかという御質問でございます。  私としては、まず教育の現場にある皆さんに、生徒たちにしっかりと向き合って、生徒たちの気持ちをしっかり聞いて把握していただきたいというふうに一つは思うわけでございます。子供たちもストレスがたまり、そして自分が理解されないといういろいろなフラストレーションの中から、非行の道に走ったり、あるいは犯罪に手を染めるということが多いようにも感じております。  そうは言うのはあれでも、なかなか教育現場でそういうふうにやろうと思ってもいろんな環境が許さないということで先生方も御苦労されていると思うわけでございますが、私としては、まず命の大切さというものをしっかり教えていただきたい。私も周りの人たちにそういう話をしたいと思っておりますが、同時に、何が善くて何が悪いか、善悪の判断というものの基準をしっかりさせていきたい。  やはり日本の場合しつけが、私も海外での生活が多かったわけでありますが、外国の家庭に比べて最近の日本の家庭は、早く寝なさいと言うことにしても、勉強しなさいと言うことに対しても、やはり一つの一貫したけじめがないように思うわけで、親がそのときの気持ちで子供をしかったり、早く寝なさいと言ったり勉強しなさいと言ったりすると子供は反発をするものでありますから、一つの信念を持って、一つの基準をしっかり親自身が持ってそれに接していくことが必要だと思いますし、教育者においても、また同じように一貫性というものが求められているように思います。  まず、命の大切さがしっかり把握できるような教育の仕組みをつくっていきたい。また同時に、子供たちが日々悩んでいる、そういう状況をしっかり把握できるような学校取組というものを私どももしっかりつくっていきたいと、このように考えるところでございます。
  109. 小泉顕雄

    ○小泉顕雄君 まあ特効薬というのはそう簡単には見付けられるものではないと思うわけでありますけれども、私は、是非大臣のリーダーシップを発揮をしていただいて、特に、教育現場に向けて、あるいは子育てをしている親たちに向けて、強烈なメッセージを送っていただきたいなということを期待をしておきたいと思います。  さて、今審議をされておりますこの法案でありますけれども、非常に重要な法案だというふうに改めて思います。教育の面だけではなしに、福祉という面からも、あるいは規制緩和という面からも、様々な角度から検討されなければならない内容も含んでいるというふうに思うわけであります。  当委員会では、実際に視察もされ、また参考人の質疑もされ、こうして委員会も二度にわたって開催するということで、非常にこの重要な法案に対して熱心な審議がされているわけでありまして、その点私も誇りを持つわけでありますが、確かに多くの問題があるわけで、いろいろ細かい点もお聞きをしたいわけでありますが、時間も限られておりますので、特に重立った事項についてのみ私は質問させていただきたいというふうに思うわけですが。  この法案に言うところの特別支援という対象者は、知的障害、あるいは盲、聾の方々というのが対象になろうかと思うわけでありますが、精神疾患、心の病というわけではないですけれども、いわゆる病気としての精神疾患というようなものを持っている子供たちもだんだん増えているような話を聞くわけでありますが、こういうような精神疾患を持った児童生徒もこの法案に言うところの特別支援学校対象となるのかどうか、この点についてお聞きをしたいと思います。
  110. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 精神疾患のある児童生徒につきましても、その障害の状態に応じまして特別支援教育対象になるものと認識をいたしております。  これらの児童生徒につきましては、その児童生徒障害の状態によりまして、主として病弱の養護学校や小中学校の情緒障害特殊学級、あるいは通級による指導により教育が行われているものと認識をいたしております。また、知的障害を併せ有する精神障害、精神疾患のある児童生徒につきましては、知的障害養護学校において教育を行っている実態もございます。  精神疾患に特化した組織等は設けられていないわけでございますが、それぞれの場におきまして、児童生徒教育ニーズに応じて指導がなされていると認識をいたしております。
  111. 小泉顕雄

    ○小泉顕雄君 ありがとうございました。  盲、聾あるいは知的障害、さらには精神疾患という方々がこの特別支援教育対象となるということでありますが、こういった方々が日常の生活においてどのような困難な問題を持っていらっしゃるのか、あるいはどのような課題があるのかということについては、これは広く国民すべてが十分な理解をしておくということがどうしても私は必要だというふうに思うわけでありますけれども、国民の一般的教養というのか、義務教育段階でこういう方々についての理解ということについてはどのような教育が現在実施をされているのか、お伺いをしたいと思います。
  112. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 学校教育、とりわけ義務教育におきまして、子供たち障害のある人に対する正しい理解を促すということは大切なことだと思っております。特に近年、障害や病気の種類は極めて多様となってきていることから、一人一人の障害等の状態は様々であることをまず十分理解させることが必要だと思います。  御指摘いただきました精神疾患につきましては、例えば、ストレスなどから発症するケースが多いといったようなこととか、早期に発見し早期に治療することにより回復が図られること、周囲の適切な理解が必要であること、こういったようなことについて正しく理解をさせるということが重要だと思っております。  学校教育におきましては、特別活動とか社会科等におきまして、差別や偏見のない社会の実現に努める態度をはぐくむ、あるいは福祉の重要性について理解をさせる、こういったことを中心に指導を行っているわけでございますし、また、道徳の時間などにおきましてこういった心を育てるということにしているわけでございます。  精神疾患を含めまして、今後、関係者の意見も踏まえつつ、広く理解、啓発が図られるように努めてまいりたいと考えております。
  113. 小泉顕雄

    ○小泉顕雄君 特に今は精神疾患ということにこだわって、重点を置いてお答えをいただいたわけでありますが、私、ある精神的疾患を持たれた方々の施設に行きましてお話を聞いたわけでありますけれども、どうも国民が精神疾患についての理解が深くないと。で、こういうふうに本格的に発病してしまうと非常にこれは治療がしにくい。ところが、前兆がいろいろあるそうでありまして、そういうものを確実に見抜ける人がいればその病気というのは発症を抑えることができるというような話を聞いたわけでありまして、どうしてもやっぱりそういうものを抑えていくためには精神疾患についての国民の理解というものをもっともっとできるように、例えば、学校の教科書の中でそういうものについてのその特性なりといったものを知識として与えておいていただければ、実際にそういう仕事に従事しておられる方々も非常に心強いというような話を聞きましたのであえて御質問をしたわけでありますが、十分な対応をお願いをしておきたいというふうに思います。  さて、この特別支援学校というのがいよいよスタートをしますと、これは自治体が学校の設置をしていただいて運営をしていただくということになってくるわけでありますけれども、この特別支援学校という制度の導入について、これまで自治体の方からはどのような反応とか評価があったのか、まずこれについてお答えをいただきたいと思います。
  114. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 特別支援学校につきましては、平成十五年の三月の文部科学省調査研究協力者会議等からいろいろとその構想が検討されていたわけでございますけれども、現在、各都道府県におきましては、新たな特別支援学校の構想、制度を積極的に受け止めていただきまして、これを視野に入れつつ域内の盲・聾・養護学校特別支援学校への転換等について検討が始められていると承知をいたしております。
  115. 小泉顕雄

    ○小泉顕雄君 安心をいたしました。もう随分昔のことになるわけでありますけれども、私は京都府の出身でありますが、新しく養護学校がつくられるときに随分議論がありました。賛成、反対、取り混ぜていろんな方々の意見を私も聞きましたし、非常に大きな混乱があったわけであります。そのことを思い起こしながら今の質問をさせていただいたわけでありますが、安心をできる状況であるということを聞きましたので、私も安心をしたわけでありますが。  ただ、この学校が実際に設置をされてスタートをしていくということになりますと、既存の盲学校でありますとか、聾学校でありますとか、養護学校と、こういったものの統廃合ということがひょっとすると出てくるかもしれないわけであります。そうしますと、ひょっとすると、今までの学校よりも遠くなってしまうというようなことが起こるかもしれないし、また、通学に時間がより長く掛かってしまうというようなことになって、制度としては非常に良いものができたけれども、実態としては実は不便になってしまったというようなことが起こりかねないわけであります。そんなことはもう絶対に避けていただきたいわけでありますけれども、この点について文科省としてどのような指導を考えていらっしゃるのか、見解を伺いたいと思います。
  116. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 今般の特別支援学校の導入は、あくまでも設置者の判断によりまして、地域のニーズに応じた、あるいはそれを踏まえた柔軟な取組を行えるようにすることが目的でございまして、御心配いただいております学校の統廃合の促進を目的とするというものではないわけでございます。  この点に関しまして、各都道府県の今後の特別支援学校の設置につきまして把握をしている限りでは、児童生徒数の自然減への対応ということはあると思いますけれども特別支援学校制度の創設を契機とした統廃合を掲げる方針ということは承知をしていないところでございます。文部科学省といたしましては、今回の法改正の趣旨が徹底されまして、地域のニーズを踏まえた適切な取組がなされるように設置者に促してまいりたいと思っております。  また、特別支援学校の配置に関しましては、できる限り地域の身近な場で教育を受けられるようにすべきだとの視点も重要であると認識をいたしております。昨年十二月に出された中教審答申においても同様の指摘がなされているところでございまして、この点を含めまして、各設置者に対して特別支援学校の設置に際しての留意事項について周知をしてまいりたいと思っております。
  117. 小泉顕雄

    ○小泉顕雄君 良い制度になるわけでありますから、結果として不便になったというようなことが決して起こらないように、これはお願いをしておきたいというふうに思います。  次に、免許の関係についていろいろ御質問をしたいわけでありますが、午前中に林先生ほかいろいろな先生方からこの辺のことについてはかなり細かくお話もありましたので、あるいは重複をしてしまうかもしれませんが、お許しをいただいておきたいと思います。  以下、免許については、教員経験の豊かな副大臣に是非お答えをいただきたいなというふうに希望もしながら質問させていただきたいと思いますが。  現在、盲・聾・養護学校教諭免許状というものを保有をしていなくても、臨時免許というような形でしょうか、当該学校教員として教壇に立つことができるというふうになっておるわけであります。午前中の議論にもありましたけれども、ただ、免許保有状況というものが決して高くないというようなことであります。何とかこれは向上させていただかなければならないというふうに思うわけでありますけれども。  この特別支援学校は来年の四月から実際にスタートをすると。教員免許のというか、教員の養成というのを同時にスタートするということになれば、当面の間はみなし的にやっていかなければいけないということになるわけだけれども、私は、教員免許の弾力的な運用というか、言葉を悪く言えば無原則化というのは、これは決して好ましいことでは私はないと個人的に思っております。もう少し踏み込んで言えば、今、校長先生とか教頭先生、管理職に民間の方々を登用するということがいろいろやられておるようにも聞くわけでありますけれども、私はそのことについてもろ手を挙げて賛成はできないという考え方を持っておる。どちらかというと、免許ということについては、あるいは教員養成ということについては非常に私は大切なことだと、これはしっかり原則的にやっていただきたいという気持ちを持っておりますので、そういう気持ちを持ちながら質問をしたいわけでありますけれども。  やはり、障害をいろいろ持っていらっしゃる児童生徒、そういう者についての教育ということになれば、これは極めて専門性が高いわけであります。だから、教員養成段階においても、これは本当に真剣に養成ということをしなければならない、私はそういう要請があると思うんですね。にもかかわらず、実際ふたを開けてみると免許保有率が非常に低くて、臨時免許というような形で対応しているということは、これはかなり私は問題が大きいというふうにも思うわけでありますが、この点についての副大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  118. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 御指摘のとおり、現状では五八%程度、該当免許状保有率は、にとどまっております。恐らく、現場で要請される教員として専門性を有する教諭が必要であるにもかかわらず足りない、免許を持っている人が少ないという、ここからちょっとスポットを当て、なぜこんなに少ないのかということをまず、もうここから議論のスタートをまず始めなければいけないと思っています。  私も数々現場の話を伺いますけれども、やはり正直言って、不承不承ながらも人事によって養護学校等に配置をされて、しかしながら、現場に行ってほかの教員から指導を受けたり、保護者皆さんとの連携、それから子供たちとの触れ合いによってより一層理解を深めて、この盲・聾・養護学校における教員としての役割を深く認識するに至ったという声もたくさん聞くのでありますが、現状五八%にとどまっているということをよく考えてみたいと思います。  基本的に二つ、こんなに少ない理由がございました。教員採用試験受験者のうちに盲・聾・養護学校教諭免許状保有者が少ないこと、それからその教科や校種免許状保有した上で盲・聾・養護学校免許状取得する必要があるため、免許保有者を確保することが困難であったことと。つまり、小学校や中学校教員免許取得する、その上で更なる単位取得しなければならないということで、恐らく養成段階において負担が重いということが学生さんのやっぱり心理的な一つの負担感になって少なかったのであろうというふうなことは分析できると思います。  当然、この法案を成立させていただいて、来年度から特別支援学校、またセンター的な機能の充実、特別支援学級といった形で専門性をより強化していくということを考えれば、これは、免許保有状況は一〇〇%に近付けるように計画的に努力をしていくことが必要というふうに考えております。
  119. 小泉顕雄

    ○小泉顕雄君 ありがとうございました。  計画的に向上するようにというお話でありますが、具体的にどのようにされるのか、もし御所見があればお伺いをしたいわけでありますが、いずれにしても、この免許専門性というのは本当に極めてもう重要であるわけでありまして、やはりどちらかといえば、免許保有をしているということはこれ必須の条件ではないのかなと思ったりもするわけであります。  今、前向きなお話がありましたけれども、じゃ、この免許保有率の向上ということについて何か具体的な方策というものはお考えなのか、お願いしたいと思います。
  120. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) これまでは盲・聾・養護学校それぞれ別個の教員免許を持って現場で指導するという形になっておりましたが、今後は学校制度自体が特別支援学校という形になりますので、教員免許状についても一本化をしていくということにまずいたします。  その上で、その特別支援学校教員免許状に関しますと、重複障害児童生徒等の増加、また小中学校等への支援への対応のために、重複障害LD等を含む幅広い障害についての知識理解が必要であるということ、特定の障害の分野における専門性を深めること、この双方を担保する必要があるというふうな認識に立っております。  その上で、大学での単位修得の状況に応じて担当できる一つ又は複数の障害教育領域を定めることとしております。例えて言えば、視覚障害と聴覚障害とか、聴覚障害と肢体不自由とか、知的障害と肢体不自由と病弱など、そういった形での教育領域を定めて免許を与えていく、そういうふうな形にしていくということでございます。
  121. 小泉顕雄

    ○小泉顕雄君 やはり、この免許を持つ先生方対象とされる領域というのは非常に広いわけですね。今、先生は重複の方もいろいろあるでしょう。だから、理科の先生を養成するとか社会科の先生を養成するということとはかなり異なって、非常に難しい内容が私はあると思うんですね。  だから、やはりここのところをきちっと、どういう障害を持たれた子供に対しても対応できるような訓練というか、教養とかといったものを与えるために、私は、この免許というものについてはもう十分真剣に取り扱っていただきたい。必要とする必須科目でありますとか選択科目についても、もう本当に一から考え直すようなつもりで私はつくり替えなければならないのではないのかなというようなことも思ったりするわけでありますけれども。  大学でこういう先生方を養成をしていくわけでありますけれども全国にいろいろそういう課程を持った学校もあるでしょうけれども、この特別支援教諭というのか、の養成ということについて、全国的に養成機関というものは格差がないのか、本当に満遍なくそういうものが配置をされて、どこでもそういうニーズに対応できるような養成機関といいましょうか、といったものが配置されているのか、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。
  122. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) おっしゃるとおり、教員を養成して配置すると。まさしくこれこそ教育機会均等ということを考えると、全国的に養成の場所も考えられなければならないわけで、現状を申し上げますと、全国教員養成系国公私立の大学、どうなっているかという配置状況を申し上げます。  北海道、東北で十八、関東で二十二、中部で十八、近畿十五、中国、四国で十二、九州で十三、合計九十八の大学教員養成のための課程を有しておるということでございますので、まさしく特別支援学校教員を養成するに当たって、これらの九十八の大学それぞれにおいて、教育課程も充実をして、専門性もそうですし、重複した教育領域も認定していくことができるように配慮しながら養成も進めていくことを考えております。
  123. 小泉顕雄

    ○小泉顕雄君 私も実は教育学部の出身でありまして、教員養成課程学校を出ているわけでありますけれども、どういうのかな、先生もそう採用がないような少子化の中でなってまいりまして、教員養成系の学校というのはどちらかというと縮小の方向にあるわけですけれども。私の母校などは養護教諭の養成課程がありました。今はどうなっているのかは知らないわけでありますけれども、恐らくそういう縮小化の波の中にのまれていったのではないのかなと思うわけでありますが。  かつての国立大学は非常に多くの私は資産を持っているというふうに思うわけでありまして、そういった資産を十分に活用をして人材の育成ということには今後も当たっていただきたいというふうに思うわけであります。  ただ、ちょっと視点を変えますけれども、精神疾患の話を先ほどしましたけれども、予兆があるという話をしました。あるいは、発達障害のいろいろな子供たちもいろいろなこの予兆の、何というのかな、現象があるのではないのかと思う。  新任の先生方が教壇に立たれて、三十人なら三十人、四十人なら四十人、三十人の子供を担任をされたときに、その一人一人の子供の中にやっぱりその何か予兆的な、発達障害の予兆的なものが出てくるかも分からぬ。ところが、要するに、そういう今で言うところの特別支援教育についての一般教養的なものを持たずに先生が現場に出ていったときには、そういうような予兆とか、そういった問題行動に対してなかなか適切な初期対応というものができない、失敗をしてしまう可能性がある。ところが、こういうような問題は初期に失敗をしてしまうと非常に深刻な問題を後に残してしまうということがありますから、できるだけ早めに早めに指導をしていくということが大切になるわけであります。  そうすると、これも特別支援教育というものをその担当される先生方知識としてではなしに、やはり学校先生すべてが特別支援教育ということについての十分な理解を持って教壇に登らなければならないわけです。つまり、教員の養成課程で、あるいは免許を授与する要件として、この辺のところにも十分配慮した単位数を確保するとかというような私はことがどうしても必要ではないのかなというふうに思うわけでありますけれども、こういった教員養成課程上における特別支援教育に対する配慮をしたカリキュラムの編成といったことについて御所見をお伺いをしたいと思います。
  124. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 委員指摘のとおり、やはりすべての教職員が障害児教育に対する基本的な認識理解が必要であるということは言うまでもありません。既に平成十年に教育職員免許法施行規則、これを第六条を改正いたしまして、障害のある児童等の心身の発達や学習の過程にかかわる内容の必修化を措置したところであります。  また、小中学校教員免許状取得する際に、教育実習先として小中学校だけでなく特別支援学校を可能といたしますし、それから既に特別支援学校等における七日間の介護等体験を義務付けることとしております。これ、御承知かと思いますが、田中眞紀子先生が主導的に役割を果たされたあの議員立法でこういったことも今後可能とするということにいたしております。  文部科学省としては、すべての国公私立大学等に対して、小中学校等教員養成課程において発達障害に関する内容も含めて取り扱うこととして、その充実に努めるよう通知したところでもございます。  今後とも教員養成カリキュラムにおける特別支援教育に関する内容充実の促進等を通じて、すべての教員特別支援教育に関する資質、能力の向上に努めてまいります。
  125. 小泉顕雄

    ○小泉顕雄君 どうもありがとうございました。  私もいささか認識が甘かったようでありまして、勉強不足をおわびを申し上げたいというふうに思います。  さて、この特別支援教育障害を持たれた子供たちへの教育というのは、子供たちの自立、さらには社会参加ということに非常に大きな貢献をしなければならない教育だというふうに思うわけでありますけれども特別支援教育児童生徒学校を卒業したときに、社会参加という観点から、やはり就職ということについても十分な配慮をしていかなければならないというふうに思うわけでありますけれども特別支援学校卒業者の就職の支援あるいは改善といったことについての見解をお伺いをしたいと思います。
  126. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 障害のある生徒の職業的自立を促進をするためには、社会の変化や生徒障害等の状態に応じた職業教育や進路指導の改善充実を図る必要があるわけでございます。このため、現行の盲・聾・養護学校の学習指導要領におきましては、例えば第三次産業に対応した専門科目、流通サービスを新設をしたり、コンピューターや情報通信ネットワークの活用、産業界との連携を図った就業体験の機会の拡充などの改善を図ってきているところでございます。  また、障害者基本法に基づきまして、盲・聾・養護学校において教育、福祉、医療、労働の関係機関の連携による個別の教育支援計画の策定ということも進めているところでございます。  さらに、現在、盲・聾・養護学校小中学校等特別支援教育に係る教育課程の基準の改善につきまして、中央教育審議会の教育課程部会の下に特別支援教育専門部会を設けまして審議を進めているところでございまして、その中で、障害のある児童生徒の自立と社会参加を促進する観点からの職業教育等の充実について、主な検討課題の一つに位置付けて検討を進めているところでございます。  今、カリキュラムの面から申し上げましたけれども文部科学省としては、これらの取組を通じまして、障害のある子供たちの職業的自立を促進するための施策の充実に努めてまいりたいと思っております。
  127. 小泉顕雄

    ○小泉顕雄君 どうもありがとうございました。  もうそろそろ時間が迫ってまいりましたので、これで最後質問にしようかなと思うわけでありますけれども、これは大臣も繰り返し述べてこられたことだろうと思うわけでありますが、改めて特別支援学校というものの導入の意義、さらにはこの学校の円滑な、この制度の円滑な導入ということについて御決意をお伺いをしたいと思います。  同時に、今就業についての質問をさせていただいたわけであります、局長から丁寧な答弁をいただいたわけでありますけれども、この障害者の方々への細やかな支援というものが非常に重視をされる中におきまして、特にこの就労につきましては厚生労働省始め関係各省とどのように連携を深められ、そしてどういうような支援策を講じていかれるのか、これについても御決意をお伺いをしたいと思います。
  128. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 委員から特別支援学校の円滑な導入についての御質問賜りましたけれども、今回の法改正におきましては、児童生徒障害重複化ということが最近増加しておりますので、これに適切に対応ができるように、盲・聾・養護学校障害種別を超えた特別支援学校と、このようにすることによりまして、設置者の判断によりまして、地域のニーズに応じた学校を設置することが可能になる制度としてつくったわけでございます。  文部科学省としては、今回の法改正の趣旨が徹底され、地域のニーズにしっかりと対応した適切な取組がなされるように各設置者に対して促してまいりたいと存じますし、また、特に障害者を持つ保護者の立場になってみれば、この自立支援ということをもっとしっかりしてほしいという御要求も非常に強いものと受け止めておりまして、そういった観点から、障害のある生徒の職業的自立を促進するために、社会の変化や生徒障害の状態に応じた職業教育充実や進路指導の改善を図ることが必要であろうと考えております。  文部科学省、そしてまた厚生労働省が連携をすることが大変重要でありまして、各都道府県に特別支援連携協議会を置いていただきまして、この両省からのそれぞれの立場における通知がしっかりと現場において対応できるような、そういう協議会というものを機能していただくようにしているわけでございます。地域の労働関係機関や企業等と連携を図りつつ、養護学校等の卒業後の受入れ体制についての取組も進めてきているところでございます。  また、養護学校等の生徒の職場実習の受入れの協力につきましては、本年一月に主要な経済団体に対し呼び掛けを行ったところでございますし、また過日、私も、関西の経済団体との協議がございまして、その機会にも私の方から、実習、職場体験、そしてまた就労の枠の拡大につきましてこの経済人の皆さんお願いをしたところでございますけれども、あらゆる機会をとらえましてこのような働き掛けを行ってまいりたいと、このように考えております。  文部科学省といたしましては、引き続き、厚生労働省を含む関係各省との連携によりまして、障害のある子供たちの職業的自立を促進するための施策の充実について、委員の御支援もいただきながらしっかりと進めてまいりたいと、このように考えております。
  129. 小泉顕雄

    ○小泉顕雄君 どうもありがとうございました。  まず一つ、立派な先生を一人でも多く養成をしていただきたいということをお願いをするとともに、特別支援学校に学ばれる方々が安心して学べる、そしてまた安心をして卒業ができるような学校として発展をしていくように、文部科学大臣の一層の御指導、リーダーシップを御期待申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  130. 後藤博子

    ○後藤博子君 お疲れさまでございます。小泉先生に引き続きまして、後藤博子、質問させていただきます。よろしくお願いいたします。  私は、障害を持つ子供たちにとって、一人一人の人間として自活をしていく、そのための教育は、どういう教育があれば、その子供たち学校を卒業した後に、先ほど小泉先生もおっしゃいましたように、職業なり何なり、夢を追い掛けながら一人の人間として生きていける、そのための教育はどうあるべきなんだろうかと、そういうことを中心にして質問させていただきたいと思っております。  障害を持つ方が学校に入ってきました。学校生活の中でどういう仕組みがあれば、どういうシステムがあれば、どういう教育が施されていけば、その障害を持った子供たち社会で、私は自立とは言いたくありません、自活と言いたいんですね、活性する。自分で立つことはなかなかできないんです、障害を持つ子供たちは。だから、自立というのは余りにも私は残酷なような気がいたしますので、自立という言葉はなるべく使いたくないという思いで取り組んでまいりました。その障害を持つ子供たちも、社会の役に立ちたいと一生懸命思っております。守られる立場から守る立場になりたい、自分がいることで周りの人に喜んでもらいたい、役に立ってもらいたい、そういう思い子供たちは日々障害を克服するために一生懸命勉強したり、励んだり、訓練をしたりしております。  今日、私は一つの本を持ってきました。これは私の友人、中島伸子さんが書いた本です。以前、私もこの本は紹介させていただいたことがあるかと思いますけれども、「立子とともに歩んだ道」、「あなたの母親になれたことに感謝します。」、最後の締めくくりはそういう本でございました。この立子さんは、生まれながらにして胎盤機能不全症候群と呼ばれて、母子手帳に書かれました。その親子の壮絶な闘いがこの本の中に記されておりますので、具体的にその本を引用させていただきながら質問に移りたいと思っております。  紹介したいのがあります。この本の中に書かれておりますが、立子さんが書いた作文の中にこういうのがあります。題は「自由」という作文です。全部読みますと時間が掛かりますので、途中はしょって読ませていただきますけれども。  物心が付いてからいろいろないじめがあった、仲間に入れない経験を通して感じたことは、障害を克服すれば、いじめにも遭わず、友達もでき自由に楽しく過ごせると自分なりに結論を付けていました。そのために厳しい訓練をやり、それなりの結果を出したのですが、現実はそう甘くはありませんでした。中学、高校と過ごしてきた結果分かったことは、自由とは、障害の有無や仲間ができるなど外に求めるのではなく、一番大事なことは、自由とは自分の心の中にあるものだということを分かりました。  この作文を書くまでに至り、ずたずたになった立子さんの言葉を紹介します。途中、その作文ができ上がるまでに立子さんの言葉にこういうのがあります。  お母さんは、思いを強く持てば、必ずそれは実現する、立子にはそれができると私に言い続け、今まではそうなってきたけれども、今回は無理。もう疲れた。夢を持たないことにする。その方が楽だもの。  済みません、これを読むといつも涙が出るんですけれども。そういう子供たちが一生懸命に自分の障害を克服しようとしております。そういう子供たちのために私たちはどういう教育をすればいいんでしょうか。それに対して──ごめんなさい、すごく感情的になって、年を取ったのかもしれません。これに対して、お母さんからの手紙があるんですね、この本の中にありますけれども。  あなたの頑張りは、本当にすばらしい。あなたの頑張りは、常に人に勇気を与えてきました。でも、どんなに頑張っても現実はそれほど甘くなく、とても厳しいものだということを、年齢とともに、知らされました。今の日本は、弱者にとって、まだまだ住みにくい社会です。何とかしなければなりません。弱者にとって住みやすい社会になるということは、すべての人間にとって住みやすい社会になることなのです。いろいろな経験をしたあなたは、まぶしいほど輝いています。あなたの人生、これからですね。今までは準備期間。今やっとスタート地点に立ちました。立子という名前は、名前の由来の前半はうまくいったと思います。今後は後半の、生きていくための自立に向かって出発です。一回きりの人生、大いに楽しんでください。立子、あなたの母親になれたことに感謝します。  こういう手紙がこの本の中に書かれております。こういうことをしっかりと私たちの胸に刻みながら、この学校の基本法の一部改正を取り組んでいかなきゃならないと思っております。  そこで、いよいよ質問に移りますけれども──済みません、このたび、障害の種類や程度に応じ、特別の場で指導を行う特殊教育から、一人一人の教育的ニーズを把握し、適切な教育支援を行う特別支援教育へと転換をいたしました。その経緯を教えてください。簡単によろしくお願いします。
  131. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 後藤委員に、ただいま中島さん親子の社会との取組障害を持ったお子さんを持たれたお母さんの社会との対応のそれぞれの場面における苦労や感情の動きや、そしてまた障害をお持ちの立子さんのたくましくも、まただんだん輝いて、そして大きな節目を越えた後の、ある意味で、世間との調和の中で自分の一つの対応の仕方をある意味では社会から、何といいますか、そこにいなければならないような部分もあっての理解かもしれませんが、そういった状況をつぶさに物語る文章を御紹介をいただきまして、胸に迫るものがございます。  私ども、健常者と言われる私ども障害者の立場に立って、障害者が常に一緒の社会で生活をしている状況をしっかり踏まえるということの重要さを今御紹介をいただいたと思っておりますが、御質問特殊教育から特別支援教育へ転換することとなった経緯について説明せよということでございます。  手短にということでございますので要約して申し上げますが、最近の状況といたしまして、障害をお持ちの皆さんの多様化というものが進んでおります。障害の多様化、それから障害重複化というものが進んでおりまして、これらに対応するために今回の特別支援教育への転換となったわけでございますが、具体的に申し上げますと、重複化という点におきましては、盲・聾・養護学校の小中学部で約四三%の生徒皆さん重複障害をお持ちでございます。また、特に肢体不自由の養護学校におきましては、これらの割合は七五%でございまして、また小中学校におきまして学習障害LD、あるいは注意欠陥多動性障害、いわゆるADHDと呼ばれるこの皆さんのための特別な教育支援の必要性が生じておりまして、これらの児童生徒皆さんが通常の学級に相当数の割合、約六%と言われておりますが、で在籍している可能性が示されておりまして、実数の把握はまだできておりませんけれども障害の多様化という問題が顕在化しておるわけでございます。  こういった状況に対応するために、中央教育審議会で御審議をいただきまして、昨年の十二月に「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」の答申をおまとめをいただいたところでございまして、文部科学省では、この答申も踏まえた上で、障害のある児童生徒教育に関する基本的な考え方を転換をいたしまして、一人一人の教育的ニーズに応じた指導及び支援を一層推進していくことと、このようにしたわけでございまして、現行の学校制度についての見直しを行うこととしたわけでございます。
  132. 後藤博子

    ○後藤博子君 大臣、ありがとうございます。  そこにはやはり、大臣の今お言葉の中にも国の責任という意味も入っていたと思いますけれども、やはり子供たちを育てるために、親や周りや地域や地方の行政や、そういうことももちろんなんですけれども、やはり国がどこまで、どういう形でその責任を持っていくのか、あるいは自立のスタートを切るためにどこまでの教育は国としてやっていくのかというところの国の責任について、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  133. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 国の責任についてでございますけれども、まずもって、特別支援学校の設置につきましては、具体的にどのような障害種別を対象とする特別支援学校というふうにするかにつきましては、これは設置者の判断にゆだねられております。  一方で、改正後の学校教育法の第七十四条におきましては、現行の盲・聾・養護学校同様に、都道府県が視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱障害者に対して必要な特別支援学校の設置をしなければならない旨を定めているわけでございます。  このため、都道府県におきましては引き続き必要な学校設置がされることとなるとともに、条件整備の面において、教職員や学校施設について国の負担や補助などを引き続き行うこととしているわけでございます。これらによりまして、全国において求められる特別支援教育の水準を確保した上で、設置者において地域の実情や障害のある子供のニーズに応じた特別支援教育が行われるというふうに考えておりまして、国としてはこの水準の確保という点において特に配慮をしていくことが必要だと認識をいたしております。
  134. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございました。  法案には目的があると思います。現在の学校教育法の第七十一条では、障害の欠陥を補うためにとあります。今回の改正案では、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るためにということが書かれております。一口に学習だけではなくて生活上の困難を克服し自立を図るという、これは簡単じゃないですね。本当に、今大臣がおっしゃっていただきました水準を確保する、じゃ水準って何なのかということになってまいるかと思うんですけれども、この法改正で、この法案の目的が、障害を持つ人のために何がどのように変わり良くなるのかということを具体的に教えてください。長くならないようにお願いいたします。
  135. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 学校教育法の七十一条は盲・聾・養護学校の目的を規定をしているわけでございますが、今回の改正によりまして特別支援学校の目的を規定するということになりました。御指摘の、従来、欠陥を補うという部分につきましては、障害のある子供の欠陥を補うという表現が特別支援教育の理念にふさわしくないと考えられることから、困難を克服し自立を図るという表現の適正化をまず図ったものでございます。  その上で、特別支援学校の目的の意味といたしましては、障害の状態等に応じまして自立した生活を営むことができるように、障害による困難を克服するための種々の学習や活動を行うことであると考えております。具体的には、例えば障害による困難を克服するための学習や活動といたしまして、例えば視覚障害者につきましては、点字の学習あるいは白いつえを用いた歩行学習等々、そういった学習や活動があるというふうに考えているところでございます。
  136. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございます。  補うという言葉から何か困難とか自立を図るとかいう言葉に変えたという、言葉を変えただけではなくて、その言葉の持つ意味をしっかりと目的を果たすために使っていただき、現実にもその言葉が生きていくようによろしくお願いをいたします。  銭谷局長が先ほど答弁させていただきましたから、銭谷局長についてのちょっとお答えをいただきたいものがございますので、よろしくお願いいたします。  特別支援学校の設置について、前回衆議院の予算委員会の第四分科会で答弁をされている銭谷局長の言葉があります。「この特別支援学校制度では、すべての特別支援学校がすべての障害種に対応するということを求めるのではなくて、それぞれの学校対象とする障害を明確にしながら、得意分野を持って教育活動を行い、そして、設置者の判断により、地域の実情に応じた多様な学校の設置を可能にしたいというふうに考えております。」。  私、よく分かんないんです、これね。どういうことを言われているのか、どういう意味なのか、分かりませんでした。私のその理解ができなかったのではないかと思いますが、じゃ、そういう銭谷局長お話を、このことを聞いて、では、近くに、地域の中に、例えば目が見えなかった、その養・聾・盲を一緒にするということはいろんな障害に対応した学校をつくるということですので、その学校の中に養・聾・盲もあるわけですけれども、例えば目が悪い人が、耳が専門なんだよというその学校が、専門的なものが耳であれば、幾ら目の対応してくれるといっても、やっぱりその親は専門的にやっているそちらの方の学校に行かせたいと思うのではないかと思うんですよね。だったら、そうなるとまた遠くに行かなければならないと。遠くに行くとリスクも掛かるしコストも掛かると。じゃ、そのリスクやらコストはだれが払い、親がやっぱり責任を持っていかなきゃならないんじゃないかと。そういう親の心配があるかと思うんですけれども、その意味と、私の解釈でいいかどうか、教えてください。
  137. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 先般の私の答弁、必ずしも分かりやすくなかったかと思いますので、ちょっと少し丁寧に御説明をさせていただきたいと存じます。  特別支援学校は五つの障害種に対応して設置をするものでございますけれども一つ特別支援学校がすべての障害、つまり視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱というこのすべての障害種に対応して、五つの障害種全部に一つ特別支援学校が対応するというわけではないんでございます。具体的には、個別の特別支援学校がどのような障害種別を対象とするかにつきましては設置者の判断にゆだねられているところでございます。  ですから、例えばこれまで知的障害養護学校ということでありました学校が、その知的障害教育というのは一種のその学校の得意分野ということになろうかと思いますけれども、それを生かしながら、更に肢体不自由の子供も、そういう障害子供対象とする、二つの障害に対応した特別支援学校になるということもあります。それから、地域の事情によりましては、更に病弱も加えて三つの障害に対応する特別支援学校になることもあるわけでございます。それぞれの圏内の学校の配置の状況、それから障害を持つ児童生徒のニーズ、こういうものに応じましてそれぞれの設置者が、この学校はこの障害とこの障害特別支援学校にしよう、この学校は従来どおり場合によっては視覚障害だけの特別支援学校にしよう、この学校は三つの障害を受け入れる特別支援学校にしよう、あるいはここに新しくまた三つの障害を受け入れる特別支援学校をつくろうといったようなことで、それぞれの教育的なニーズ、地域の実情に応じて学校の設置を考えていくということができるようになっているという制度でございます。
  138. 後藤博子

    ○後藤博子君 ということは、これからまだたくさんの学校ができるということですか。
  139. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 現在ある盲・聾・養護学校がまず特別支援学校に転換していくわけですけれども、そのときに対象障害の種類を増やしたりするということがまず一つ考えられます。それから、新しい特別支援学校をつくるという場合もございます。それはいずれも、それぞれの教育的なニーズとか地理的な状況に応じてそれぞれの設置者が必要な学校の配置を考えていただくということになります。
  140. 後藤博子

    ○後藤博子君 設置者が必要ではないですよね。障害を持っている子供たち、親が必要な学校が必要なわけですよね。設置者はその環境、その地域の要望に合わせてつくるということの理解でいいんですか。設置者がとはちょっと違うと思いますが。
  141. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 若干説明員が替わった方が分かりやすい場合もありますので申し上げますが、例えばお近くに、後藤さんの近くに盲学校があったとしますね。その近くのお住まいの方が肢体不自由のお子さんをお持ちで、肢体不自由についても是非とも預かってほしいということを盲学校校長先生に何度か陳情に行ったといいますか、要請をされたとしますね。そうすると、今回のこの法律の施行に伴いまして、その学校校長先生が、じゃ、うちは今度は盲学校だけれども肢体不自由のお子さんも受け入れるようにしようと。そして、看板は、後藤さんの地域の後藤という場所だったとすると、後藤盲学校特別支援学校という看板を掲げるような形になって、従来から盲学校としてやってきたから、目の不自由な方に対する学校としてのその受入れは従来どおり行いますと。しかし、これに加えて、特別支援学校という形の中で他の者も受け入れるという可能性があるということを示唆して、そして地域に対して、今度は肢体不自由のお子さんも受け入れますということをパンフレットやいろいろな形で広報していただいて、そういう方の募集を掛けていただくと、これが具体的な流れになっていくと思うんですね。  ですから、同じように複数の障害を地域の要請に従って、それでは設置者としてはそういうふうにしようと、校長先生が設置者でない場合が多いんですが、設置者の最終的な判断になるわけですが、設置者がそういった要望を聞き入れて、それじゃこういうふうにしましょうと、そういうふうに決定をするわけでございます。
  142. 後藤博子

    ○後藤博子君 銭谷局長、ありがとうございました。また、大臣のことでよく分かりました。それが一般的な人が聞いたときに分かりやすいんですね。銭谷局長お話も分からぬじゃないんですが、なかなか理解しにくい。だから大臣程度が悪いとかいうことじゃないんですよ、言葉が、一般的な人に分かりやすい言葉で局長が使っていただくと、より庶民的な回答をいただくといいと。より庶民的な大臣にお答えいただきまして、ありがとうございました。失礼をいたしました。でも、それでよく分かりました。ありがとうございます。  ということは、非常に前向きな学校ができるということで、子供たちにとっても親にとっても明るいニュースが飛び込んでくるということでよろしいですね。──ありがとうございました。  では、そういうことをお聞きして、今度は七十五条についてなんですが、第七十五条の一項に加えてということが法律の中にありました。第七十五条第一項に加えて、「小学校、中学校高等学校、中等教育学校及び幼稚園においては、次項各号のいずれかに該当する児童、生徒及び幼児その他教育上特別の支援を必要とする児童、生徒及び幼児に対し、文部科学大臣の定めるところにより、障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うものとする。」ということで、加えられました。  では、こういう第七十五条第一項に加えた今読んだことを実現するためには、学校における学習指導要領が私は大事じゃないかなと思っております。そのためには、どのようなカリキュラムで、どのような指導の下で困難を克服するのでしょうか。現行の幼児教育幼稚園教育、小中高あるいはまた公立や私立の違いなどあるのでしょうか。学習指導要領は今、現行ではどうなっているのでしょうか。また、この法改正に合わせてこれから学習指導要領の改正もあると思いますけれども、その改正はあるのでしょうか。そういうことについてお尋ねをしたいと思います。
  143. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) どうも本当、回りくどい説明いつも申し上げて、大変恐縮をいたしております。できるだけ分かりやすく努めたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。  そこで、お尋ねの件でございますけれども、七十五条の一項の規定でございますけれども、これは小学校や中学校高等学校におきまして、障害のある児童生徒に対する教育を一層充実をさせるという観点から、こういう小中学校在籍をする特別な支援を必要とする児童生徒に対して障害による学習上及び生活上の困難を克服するための教育を行うということを明確に規定をしたものでございます。  現在、小学校、中学校等に在籍をしている障害のある児童生徒は、一つは、ここで言いますと、「次項各号のいずれかに該当する」と書いてございますが、いわゆる特別支援学級ですね、そこに在籍をしている子供たちがおります。今でいうと特殊学級、これからは特別支援学級と言いますけれども、その特別支援学級に在籍をしている生徒、これがまず一つ一つのパターンとしております。それからその次が、通常の学級に在籍をしておりまして、通級と言いまして、ある時間特別の指導を受ける、そういう子供たちがおります。それから三つ目といたしましては、通常の学級に在籍をして特に通級指導を受けていない障害を持つお子さんもいるわけでございます。こういった通常の小学校、中学校等に在籍をする障害を持つお子さんに対して小学校、中学校等においてしっかり教育をしていこうというのが七十五条の規定でございます。  そこで、具体的には、そういう子供たちに対しまして学習指導要領ということに基づいて指導が行われるわけでございますけれども、この学習指導要領は、国公私立を問わず、すべての小中学校に適用されるものでございます。それから、まず一つのパターンとして先ほど申し上げました、小中学校特殊学級とか、それから通常の学級にいて通級の指導を受けている子供さんたち、こういう子供さんたちにつきましては、学習指導要領上、特別の教育課程を編成したり、あるいは教師間の連携に努めて効果的な指導を行うということが規定をされております。  ですから、特別支援学級では特別のカリキュラムを作って、ほかの通常の学級の子供とは、いろいろ内容をその子に合わせて編成をして実施をするということができるようになっております。それから、通常の学級に在籍をしている子供たちにつきましても、個々の障害に配慮した指導を行うようにということが定められておりますので、実際の指導に当たりましては各学校でいろいろと工夫をして指導を行うということになっております。  なお、今回の法律改正等にも関連いたしますけれども、現在文部科学省では学習指導要領の改訂の作業を進めております。盲・聾・養護学校や小中学校特別支援教育に係る学習指導要領につきましても、今中央教育審議会の教育課程部会というところに特別支援教育専門部会というのを設けまして、どういう学習指導要領の改訂を行うのか審議を進めているところでございます。その中で、先ほど来申し上げております小中学校等における障害を持つ児童生徒への指導充実についても、非常に大事な検討課題の一つとして今検討を進めているところでございます。まだ改訂の時期等はこれからでございますけれども、今精力的な審議に入っているという状況でございます。
  144. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございました。  いろいろなそのための手法的なことになるのかなと今お聞きしておりまして、しっかり学習指導要領の中身をこれから、専門部会ですか、つくってやるということですが、それは大事なことだと思っております。  では、局長、あるいは文部科学省、あるいは大臣が考える、これは質問にないかもしれませんけれども、自立というところをどこまでを自立と考えているのか。学校に入ってきて、入ってインプットして、システムで受けてやって、出ていったところの自立というところの自立という、それぞれのまた障害に応じてというようなこと、答えが返ってくるかもしれませんけれども、その自立とは教育の中でどこまでを言うんでしょう。障害者にとっての自立、ちょっと教えてください。
  145. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 私ども教育を行う上で、障害による学習上又は生活上の困難を克服をして自立を目指すと、こうよく言うわけでございますけれども、どこまでが自立かということにつきましては、やはりその障害の状態等に応じて、教育がなし得る内容あるいは教育として目標にすることもやっぱり多少違ってくるのかなという部分はあるのかなと思っております。
  146. 後藤博子

    ○後藤博子君 大臣、分かりました、済みません、時間がないので後で一緒に聞きます。
  147. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) ちょっと、不規則発言は駄目よ。
  148. 後藤博子

    ○後藤博子君 あっ、済みません。不規則発言、済みません。  時間がどんどん迫りますから行きますね。  そういうことを議論していてもなかなか行き届かないと思うんです。でも、やはりどこかに自立というこの目標がなければ、この立子さんの自立というのは、社会に出て自分も役に立ちたい、友達をつくりたい、それが自分の自立だったんですよね。しかし、自立というところのスタートラインに来たんです、二十四年間掛けて。でも、自立のスタートラインに来たんだけれども、来たんですが、そこからまた困難があるわけですよ。だから、自立というところまで来ているにもかかわらず、社会で出ていって仕事をする、それは自分が自立できたからって仕事をする、しかしそれは障害者雇用の場でただ雇われるだけなんです。そこには夢も希望もないんですよ、希望もね。  だから、夢や希望を抱かせ、夢や希望のために自立して働く。働くということは、周りの方々にとって、また国にとって、税金も納めていきたいし、一人前の人間になっていきたいという思いがある。しかし、職場ではただ単に安い給料をもらって働いているだけ。その子は夢を実現することも、逆に夢を見ることもできない現実がそこにあるわけですよね。そういうことなんです。  だから、私も自立は何ぞやと聞かれても難しいんですけれども、そういう危機感とか思いとか、そういうものが、専門部会の方々、そういう今から学習指導要領を作っていく方々がどこまで考え、どこまで思いを実現するかというぐらいの強い気概がないとこの障害者のための教育なんてできませんと私は思っております。  そこで、今、幼稚園もそうですし、小学校、中学校、高校と、それぞれが、子供たち学校の生活をしております。健常者というか、普通の子のための小中一貫とか中高一貫とかいうのがありますけれども、私は、生まれてから障害を持った子供たちが本当にさっきのアウトプットに至るまで一貫した教育のシステムが、仕組みがあってもいいんじゃないかと思うんですよ。そこは国がしっかりと無償をして、本当にこの子が社会で生きていけるんだというところになるまで時間も手間も暇もお金も掛けて一貫で教育をやるという、そういう障害者のための一貫教育についてのお考えがあるでしょうか、お聞かせください。
  149. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 障害を持つ子供につきまして、その一人一人のニーズに応じた適切な支援ということは、本当にこれは必要なことでございます。ですから、教育、福祉、医療、労働、こういった関係の機関が連携をいたしまして乳幼児期から学校の卒業後までの一貫した支援を行うということが必要になってくると思っております。  平成十四年の十二月に閣議決定をされました障害者基本法に基づく障害者基本計画におきましては、障害のある子供の発達段階に応じて、関係機関が適切に役割分担をした上で、一人一人のニーズに対応して支援を行う個別の支援計画というものを策定をして効果的な支援を行うということが盛り込まれております。  文部科学省におきましては、全都道府県に委嘱をして現在推進をしております特別支援教育体制推進事業におきまして、平成十七年度から、幼稚園から高等学校までをにらみまして、障害のある子供の長期的な視点に立って、今申し上げましたような個別の教育支援計画を作成をするということを促進をしているところでございます。これには厚生労働省ともよく連携をして、一人一人のニーズに応じた支援計画というものをやっぱりそれぞれ作っていく必要があると思っておりますので、その方向で今取り組んでいるところでございます。
  150. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございます。  一人一人のニーズに合わせるということの難しさを局長はもう御存じだと思います。本当に一人一人のニーズというのに合わせるという教育は国でなければできませんし、国の援助、補助、すべてのものを結集しなければできません。それは人的にも物的にも、そういうことに集中してやらなければできませんし、そういうシステムをつくりますよ、幼稚園から高校までありますよ、大事なことなんですが、その立子という、この人が生まれてずっと一貫した教育が受けなければならないんですね。そういう意味です。だから、学校にずっと小学校から高校まで行けますよというのが一貫教育じゃなくて──ですよね、今ぱあっと振りました、ありがとうございます、振っていただきましたので。そういうことです。  そういうことをしっかりと厚生労働省という省と一緒に連携して、今おっしゃるということなんですが、すべての省庁が私はこれは教育のために連携するべきだと思っております。農林水産だって、学校の、障害を持つ子供たちが農業に行ったり体験学習をしたりするわけですから。それとか今はやりの、はやりといいますか、何か学校教育の、英語教育をやろうかということだって、じゃ障害者のための英語教育をどうするんだということだってあると思うんですよね、具体的に。  そういうふうなことを、本当にニーズに合わせたものを、ニーズ以上に、その子を一人前にするものというのは何なのかということが大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。  ということは、小中高一貫教育幼稚園から高校まではしっかりとできますよと、やりますよということで理解してよろしいでしょうか。一言お答えください。一言、お願いします。
  151. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 一人一人の支援計画をしっかり作って取り組んでまいります。
  152. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございました。  そういった一貫校が逆にできたとしても、まだ今すぐはなかなか難しいものがございます。障害を持つ子供たちもやはり受験というものが今抱えております。高校受験もしなければならないし、あるいは大学に行くためには大学受験もしなければならないと思っております。  今日はこの例を挙げた後、ほかに、今年の三月十四日付の朝日新聞に、発達障害のある長男が元気に私立一貫校、私立はもう一貫校があるんですけれども、私立一貫校に通っている母親について、同じような障害がある人に息子の受験経験を知ってもらいたいとの記事が掲載されております。  この息子さんはアスペルガー症候群。知的発達の遅れはないが、対人関係やコミュニケーションなどが取りにくいとされる。小三の三学期から不登校が始まり、四年生のときはほとんど登校していない。治療中は先生の手をかんだり、机やいすを倒したり。家でも暴れた。ずっと学校に行かないかもしれない、それならフリースクールや自宅でできる学習法を考えなければ、母親はそんなことを考えていた。四年生で通った補習塾には暴れて迷惑を掛けてしまい、一か月しか続かなかった。ところが、息子は六年生になったとき、中学を受験したいと言い出した。びっくりした。何言ってるの、学校にも行っていないのに。息子は自分のことを知られていない新しい環境でやり直したい気持ちがあったようだ。だが、進学塾に入ろうとしてアスペルガー症候群だと打ち明けると、何かあったら困ると断られた。見返したい気持ちも生まれた。通いやすく、心の教育に力を入れる一貫校に照準を絞った。九月に受けた模擬試験では志望校合格に十分な成績が出た。見学に行った文化祭で夫が、発達障害でも入学できるかを尋ねた。その子の個性としてとらえる、合格すれば問題ないという教師の言葉に励まされた。受験したのは一校だけ。合格発表の掲示板に番号が見付かったときは涙がこぼれた。息子は人が変わったように毎日伸び伸びと学校生活を送っている。小学校時代は駄目だったスキー教室や文化祭などの行事もこなせるようになった。同じような障害の子がもし迷っていたら、あきらめないでと言いたい、息子はこう話している。  発達障害は適当な配慮がなされれば十分普通校に入学できる可能性があると思います。この記事について、こういうふうな学校があるのかないのか、本当はあらなければならないはずなんですけど、こういうふうな門戸を開いている学校があるかどうか、それと、この記事についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  153. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) こういう学校もあることは望ましいというふうに考えております。この記事のことも十分承知しておりますし、武蔵野東学園という私立の一貫校があるということも承知しております。  また、私、政務官の時代に文京区の区立駒本小学校に訪問をし、あそこは文京区内二十校ほどの小学校から通級の指導として受け入れている「いずみ」、あの学級も見てまいりました。非常にすばらしいと思ったのは、少人数での教育プログラムがあるということ、必ずマンツーマンの時間を取るということ、一週間に一回通級をすることによって、子供たち障害があるということを一つの個性としてとらえて、何とか通常学級に戻ったときにほかの児童生徒とともにやっていけるようにしむけて努力をしているということ、こういうことがあるということは非常にすばらしいと思いますし、文部科学省としても、そういった取組がより一層広まることも期待しておりますし、支援すべきものと考えております。
  154. 後藤博子

    ○後藤博子君 副大臣、力強い御答弁、ありがとうございました。  ですから、本当は受験をしないことも大事かなと。片方では、受験をすることによって、自分が一生懸命勉強してこの学校に通ろうという、そういう気持ちも植え付けるのも必要だと思っております。今の副大臣のお言葉で、よろしくお願いいたします。  少し時間がなくなりましたので順番を入れ替えます。せっかく厚生労働省の方から御答弁をいただくようになっておりますので、先に障害を発見するための取組についてお伺いいたします。  障害をいち早く発見し、いち早く対応し、いち早く回復できるものは回復するというのが障害を持っている子供たちにとって大事です。厚生労働省におかれましては、障害を発見するための取組は行っているのでしょうか。乳幼児健診とか、一・六とか三歳とかありますけれども、その発見されるための対応と、発見された後の通達はどのようなことを行われているのかを、済みません、短くで申し訳ないんですけど、お願いいたします。
  155. 白石順一

    政府参考人(白石順一君) 発見するまでのことを私の方から手短に。  今御指摘ありましたように、一歳六か月の健診、それから三歳児健診といった形で乳幼児の健康診査を行っておりまして、そこでの早期発見、経過観察、発達相談、指導ということがございます。  ただ、発達障害に関しましては、集団生活を行う年齢になるまでちょっと明らかにならないようなケースもございますので、一歳六か月あるいは三歳児ということでは早期発見が困難なケースもあるという指摘がございます。このため、最近は五歳児等の年齢を拡大した健診ということについてもちょっと研究と一部地域支援体制の試みをしております。こういう形で発見ということをやっております。  その後の支援については、また譲ります。
  156. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 発見された後の対応につきまして御答弁申し上げます。簡潔に申し上げます。  発見されました後、やはり保健、医療、福祉、教育、雇用、様々な場面でのサポートというのは、それぞれの発達段階に応じてすることが必要でございます。そのためには、関係者が連携をして当たっていくということが重要でありまして、まず私どもがやっておりますのは、そこの相談の窓口、これを都道府県、政令市レベルで必ずつくっていくと、全都道府県、政令市につくるという事業に着手しておりまして、進捗をしております。  それから、モデル的に、やはり個別的などういう支援計画を立てるのかと、こういうモデル事業を昨年度から開始しておりまして、発達障害支援体制整備事業というものでございます。これらをどんどん進めまして、早期に発見をされた方に適切なサービスを提供していくと、これに努めてまいりたいと思っております。  以上でございます。
  157. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございました。  親にとって早く発見すること、また親が、障害を持ったということで、やっぱりレッテルを張られてしまうという心配がありますが、その親の心配を払拭してあげていただきたいと思います。そのためには、しっかり窓口で相談に応じてあげていただきたいと思っております。  もう時間がありませんので、最後に、抜かした八番と最後の十番になるかと思いますけれど、今言ったように、立子さんのお母さんは伸子さんとおっしゃいますけれども、そのことは今日、本を例に挙げて話しましたが、もう障害を持っている子供とか持っていないとか何とかかんとか、そういうことではなくて、親というのはその子の幸せをどんなに願っているかということですよね。親は必ず先に死にますね、年齢的に。障害の子を残してやはり親は先に死ななければならないんですよ。その親の安心をどうやって本当にぬぐってあげるかという、大臣、副大臣、それが一番大きな問題というか、解決しなければならない、なかなか解決はできませんけれども、そう思っております。  ですから、親に安心してもらうためのシステムをどうつくっていくのかということなんですが、そのために適切な情報を提供しまして、また啓発活動も行っていくことが急ぎの課題と考えておりますので、その所見をお伺いをいたします。  それと同時に、今、先ほど立子さんの話をしました。学校でもいじめられ、職場に出てもいじめられ、幾らノーマライゼーションや共生社会教育のインクルージョンや、あるいはインクルーシブ教育を行おうとか、ともに生きることの大切さがあるんだとかいろいろやっても、現場に受け入れてくれる体制、現場じゃなくて現場のいる人たちがどれだけ障害者の方のことを理解するか。障害者を理解するんじゃなくて、その人をどれだけ受け入れていくか。それは性格もあり、いろんな性格がありますから、障害だけじゃなくて、その方々とどんなコミュニケーションを取っていけるか。そのただ友達が欲しいといういちずな思いで頑張った立子さんが、まだいまだにそういうことで苦しんでいます。  そういう社会をつくったのはだれでしょうか。そういう社会にしたのは私たちなんですよ。今、この二十一世紀、今、先ほども冒頭に小泉先生が言われました、十三歳の子が殺されてしまうようなこと、子供をあやめてしまうような親、親を殺してしまうような子供、これはこの障害者問題だけではなくて、今の教育の在り方について非常な大きな私は問題をいただいていると思っております。  そういうことで、地域の方々にじゃどれだけの啓発をするのか、地域の方々にとってそういうものはどうなのかということ。ある大学生に聞きましたら、その障害者の施設に行ったそうです。臭いです、すごく汚かったと。しかし、それを克服して、自分だって寝たらよだれが出るじゃないか、自分だって何かしたときには粗相するじゃないかと……
  158. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 時間が迫っていますから、簡潔にお願いします。
  159. 後藤博子

    ○後藤博子君 あっ、ごめんなさい。  ということですので、その親に対しての啓発と、地域や社会や周りに対しての啓発について、済みません、お伺いいたします。で、これで私は終わります。  ありがとうございました。
  160. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 今までもしておりますが、これからもしっかりしてまいります。  普及啓発について、四点だけ申し上げておきます。  平成十八年度の事業でも、特別支援教育全国フォーラムの開催、交流及び共同学習指導資料の作成、配布、社会参加と自立・就学啓発推進会議の開催、これは都道府県です、啓発冊子の作成、配布などを通じて、より一層の普及啓発を教職員や保護者皆さんやまた社会に向けて発信していきたいと考えています。
  161. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 一言だけ。先ほど自立のお話がございました。  私は、障害者の生活面での自立、すなわち自分の身の回りのことができるようになれること。また、精神的な自立、すなわち自分が生きがいを持ってこの世に生まれて良かったと思っていただけるような、そういう自信を持っていただけること。また、社会的な自立ということで、これは職業的な自立かもしれませんが、これは自分の能力で働いて給料を得ることであります。その給料の額が高い少ないではない、自分で給料を得ていること、それによって自分の生活の支えをしっかりと自分でつくっていること。それを支援するのは国の務めであり、また地方自治体の務めであって、そういう枠組みがやはり一つの自立ということにつながっていくと、こう考えております。
  162. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございました。是非、夢のある、希望のあるシステムをつくってください。お願いいたします。  ありがとうございました。
  163. 山下栄一

    ○山下栄一君 公明党の山下でございます。  今日は、財務省から赤羽副大臣、総務省から山崎大臣、また厚労省からも局長部長来ていただいておりまして、たくさん来ていただきまして、お忙しい中、申し訳ありません。  まず、特殊教育から特別支援教育へと大きな理念の転換、先ほど来お話ございますように、特別の場で障害のあるお子さんに対する教育から、一人一人の、一人一人のニーズに合った適切な指導、必要な支援を行うと、こういう理念の転換を行う法律なわけですけど、そのためには、まず専門性を持った教職員の配置ということが極めて大事だというふうに思います。これはもう抜本的に考え方を変える必要があるというふうに考えております。ところが、実態は、なかなかそれがやりにくい現実があるというふうに先ほど来主張されているとおりでございます。  学校がある限りそこには生徒がおり、生徒がおる限り教員は配置せないかぬ。それは、公務員の定数削減という考え方が一方にあるわけですけど、そういうこととは全く考え方を別にしてこの問題考えないと、この理念は実現しないというふうに考えております。  定数配置改善計画は予算措置でやってまいりました。昭和三十年代から標準法ができ、五年ごとに行われ、また五年が継続しないで途切れたり、十八年度も途切れるわけですけれども、私は、従来のこの定数改善計画とはちょっと違う考え方をもう一遍検討してみる必要があるのではないかというふうに思っております。  それは、冒頭申し上げましたように、学校がある限り必ず最低の教員生徒数に応じて配置する。生徒数といいますか、クラスといいますかに応じて、基礎定数という言い方があるんでしょう。もう一つは、特別な教育目的に応じた教員の配置と、これは普通、加配と言われておりますけれども、この必要最低の学校教育を行うための基礎定数、これが一つ。  もう一つは、不登校とか外国籍の子弟に対する指導とか、様々な加配の考え方があるわけですけど、時代が変わっても常に配慮しなくちゃならない、そういう加配の観点といいますか、それが私は特別支援教育にかかわる人の配置ではないかというふうに思っております。  そういう意味で、根幹的な基礎定数と生徒数に応じた先生方の配置です。もう一つは、もう一つは、時代とともに変わるニーズじゃなくて、時代が変わっても変わらない教育ニーズ、これが今回の特別支援教育という理念転換における教員の加配定数ではないかというふうに考えております。  どの学校にもそういう特別配慮をする必要のあるお子さんがいらっしゃる。それに合わせて教育しようとするわけですから、人権にかかわることで特別の配慮をする、そのための教員の配置が加配定数として必要ではないかと。この基礎定数と加配の観点、私申し上げていますのは、時代が変わっても変わらない。人間の権利にかかわる、生きる権利にかかわる特別の配慮をする障害を持ったお子さんへの、すべての学校で対応すべきこのプラスアルファの加配の観点というのは、法律事項として、予算措置ではなくて法律事項としてきちっと計画を立てて、国そして自治体ともに計画を立て対応すべきではないかと。  どうお金を出すかということは、これは三位一体の改革その他の考え方あるでしょうけど、全力を挙げて次代の子供を育成するためのこの教員、教職員の配置は、今までの定数配置改善計画とは考え方を新しく見直しをして、法律に伴う計画として位置付けるべきではないかと、このことを強く訴えたいと思いますけど、初めに文科省、それから後に財務省からお考えをお聞きしたいと思います。
  164. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 教職員の定数につきましては、ただいま山下先生からお話がございましたように、いわゆる標準法によりまして配置基準を定めているわけでございます。  この配置基準は、今先生お話しございましたように、学級数に応じて定まってまいります基礎定数と、それから時々の教育課題に応じた教職員の配置という観点からの加配定数の二つから成っているわけでございまして、ただいま先生の方から、時代が変わっても変わらない本当に必要な加配という考え方をむしろ法律において明記してはどうかという御提案をいただいたわけでございますが、今後、教職員の定数につきましては、大変全体として厳しい状況の中で考えていかなければいけないという事情の中で、今後とも計画的に措置をしていきたいと私どもとしては思っているわけでございます。ただ、その具体的な方法につきましては、今後十分に検討をしていく必要があると思っております。  ただ、本年度につきましても、第八次の教職員の定数改善計画は見送りということになったわけでございますが、特別支援教育につきましては二百八十二人の定数改善を図るなど、その充実については私どもとしても努力をし、また今後とも十分検討していかなければならない課題だと思っております。
  165. 山下栄一

    ○山下栄一君 財務省。
  166. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) 財務省として文部科学省を越えて踏み込んだ答弁をするのはいかがなものかと思いますが、山下委員の御質問というかお訴えは、恐らく加配については、私も神戸選出の議員といたしまして、十一年前の阪神・淡路大震災以後、教育復興担当教員の加配ということで十年間、私も努力をさせていただきました。そういうテンタティブというか、ある一定の特殊状況下の中での加配制度と、山下さんが言われるのは、この特殊教育特別支援教育への理念の大きな転換に伴う抜本的な改革のとらえ方が違うのではないかという、こういった御指摘だったのではないかと思います。  もちろん、財務省が文部科学省に先んじてどうこう言うのはこれは大変間違った話かと思いますが、私どもといたしましては、もちろん行政改革の中でこの公務員の総定数の削減という問題は、これは今御審議もいただいているところでございますし、粛々と前に進めさせていただきますが、この特別支援教育関係の予算につきましては、この主管である文部科学省とともによく連携をしながら、山下さんの御指摘をいただいてしっかりと前向きに取り組んでいきたいというふうに考えております。
  167. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) ただいまの局長、また財務副大臣の方からも答弁ございましたが、やはり特別支援教育というものはこれからの社会の中で避けて通れない問題でございます。根幹的な問題でございます。山下委員が御指摘なさいましたように、本来的にこの問題については学校側、教育側としてどのような形でこれを受け止めるかということを今回の転換とともに私ども真剣に考えなきゃいけない問題だと考えておりまして、今日の課題であります総定員、総人件費削減という大きな流れはあるわけでございますけれども、計画的に特別支援教育充実を図っていくということにおいてはこれを譲ることはできないわけでございますので、そういった観点から、ただいまの財務副大臣答弁もございます。私どももこの充実に向けて計画的に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  168. 山下栄一

    ○山下栄一君 標準法の中にこの計画を位置付けるという考え方もあるのではないかということを是非御検討いただきたいと思いますし、この特別支援教育教員配置というのは加配の考え方よりも基礎定数の中に位置付けるというのはいいのかも分かりません。時々の時代の変化とともに、先ほど赤羽副大臣もおっしゃいましたような、そういう教員の配置の仕方と考え方の違う定数的な、基礎定数的な配置の仕方が特別支援教育には問われておるのではないかということを含めて、是非、非常に前に進める観点からの財務副大臣、また文科大臣お話ございましたので、御検討をお願いを申し上げたいと思います。  次に、特別支援教育コーディネーターの件ですけれども、これは参考人質疑のときにも私申し上げたんですけど、最近、これは学校教育全般的に学校と地域の連携ということが問われておるわけですね。地域の教育力を高めるためにも、地域の教育力を高めるためにも学校を応援するという、子供のためにみんなで、市民ぐるみでということが地域の結束を促す面もあるというふうに、これは両方お互いに関係し合うのかも分かりません。もう、そうしないとこれからの教育というのはなかなかやりにくいなと。保育所幼稚園も含めて、地域の住民の応援を得るということが非常に大事な時代になってきているなと感じておりますが。  この特別支援教育というのは、特に今そういうことが必要な分野だなと。先ほど来おっしゃっていますように、医療との連携、保健との連携、福祉との連携、また就業、就労の観点から、雇用、労働との関係、様々な連携の中で、だけど、軸はやっぱり学校教育ですから学校教員だというふうに思うんですけど。  この特別支援教育コーディネーターというのは、やはり教員免許を持っている人が望ましいんでしょうけど、場合によったら、特別支援学校におきましても、また通常の小中学校におきましても、地域のことをよく分かっている、経済界も商店街のこともよく分かっていると、また、保健所との連携、警察との連携もあるかも分かりませんけれども、福祉との連携、ハローワークとの連携、そういうことがよく分かって、なおかつ子供の観点からも対応できるという、ソーシャルワーカー的な、そういう能力が問われるんじゃないかなと思いまして、場合によれば教員免許を持たなくても、そういう考え方の特別支援教育コーディネーターの配置もあり得るということも含めて、これはすべての学校にこういう役割を持った人がやっぱり配置される必要があると。  特別支援学校ではこれが今のところ着々と進んでいるようですけど、一般の小中学校でほとんどこういうことはまだ根付いていないというふうにも思いますので、この特別支援教育コーディネーターが期待される役割、そしてその教員免許が要るか要らぬかも含めて、考え方を文科省からお聞きしたいと思います。
  169. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 特別支援教育コーディネーターは、LDADHD等を含む障害のある児童生徒への支援体制の構築に際して、校内の教職員や医療、福祉等の関係機関との連絡調整や保護者からの相談窓口などの役割を担うことが期待されております。  平成十六年一月に文部科学省において公表した小中学校における支援体制整備のためのガイドラインにおいては、コーディネーターの役割として三点申し上げております。一つ、校内の支援体制整備のかなめとして、障害のある児童生徒支援を検討するための校内委員会の推進役、一つ、学級担任への指導法に関する助言等の支援や校内研修の企画運営、一つ、外部の関係機関との連絡調整役や保護者に対する相談窓口として示しております。また、平成十七年一月の国立特殊教育総合研究所の研究ではコーディネーターとして特殊学級の担任が小中学校ともに約四割近く指名されていることから、コーディネーターには、外部の関係機関等との連絡調整のほかに障害のある児童生徒に対する教育専門性も求められているものと考えております。  コーディネーターに期待される役割に照らすと、ふさわしい者としては、障害のある児童生徒の発達や障害全般に関する知識及びカウンセリングマインドを有し、学校内外の関係者の力を結集できる力量を有する者であると考えておりまして、先生指摘のように、地域においてそういう方がいらっしゃれば、あるいは退職教員などでそういう方がいらっしゃれば、極めて教育と福祉、医療等に連携できる、そしてそういう方々の英知を結集できる、また教育現場と連携できる、それをリードできる方がいらっしゃれば、それは資格があるなしを問わずに必要であるというふうに考えておりますし、そういう人材を発掘し、またお願いしていくことが適当と考えております。  その上で、現状委員はすべての学校に配置すべきじゃないかということを指摘されましたので、現状をまず申し上げたいと思います。  平成十五年度から各都道府県に委嘱して実施している特別支援教育体制推進事業を通じて各学校における特別支援教育コーディネーターの指名を促進しているところでありますが、平成十七年九月一日現在で約八割の小中学校において指名されているところであります。また、平成十七年四月の発達障害支援法の施行に合わせて各都道府県等に発出した関係局長連名通知においても、特別支援教育コーディネーターを校務分掌に位置付け、指名することを促しているところであります。  すべての学校においてコーディネーターがその職務に専念できるよう、必要な配慮が行われることが望ましいと考えております。現状の各学校における運用状況を踏まえつつ、その在り方について引き続き検討してまいりたいと考えております。
  170. 山下栄一

    ○山下栄一君 ありがとうございました。  スクールカウンセラー的な配置、これは予算の観点ですけれども、そういう考え方もあるなということも含めて御検討願えればと思います。  次に、地域の方々の応援を得て、これ特別支援学校においてもそうでしょうし、小中学校における特別支援教育にかかわる人として、教員免許を持つ持たないにかかわらず支援員として、特別支援教育支援員として、また介助員、介助職員として配置するということは、特別支援学校の方ではそういう考え方があるようですし、また、地方単独予算で支援員として小中学校に配置されている、これ通級指導とか、また特別支援学級ですね、そういう観点もあるとは思うんですけど。特に総務省にお聞きしたいんですけれども、現在、交付税措置で介助員の地方財政措置が行われているというふうに思うんですけど、これはあくまでも今までの、今までの特殊教育という考え方に立った配置だったと思うんですけど、すべての学校において特別支援教育が行われるという理念の転換に合わせたこの支援員、また介助員の配置を交付税の中に入れて考えていただきたいと、こういうふうに思っております。  そういう意味で、その支援員、介助員の特別支援教育に果たす役割は文科省から、そして財政的な、地方財政措置については総務省からそれぞれお聞きしたいと思います。文科省から。
  171. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 委員指摘の介護を必要とするような障害程度の重い児童生徒につきましては、現状においては、基本的には盲・聾・養護学校において適切な教育を受けることが適当であると考えられておるわけでございます。  これらの学校へ介助員など教員児童生徒支援を行う職員を配置するための経費が地方財政措置をされているところでございまして、ただ、この介助等の支援を必要とするような障害程度の重い児童生徒等についても、各市町村教育委員会において認定就学制度の活用を含めた総合的な判断を行った結果として、普通の小中学校就学している場合もあるところでございます。  こうしたその児童生徒に対する教育は、関係機関等連携をしつつ、学校外の様々な人的資源、今御指摘がありましたような人的資源を活用して推進していくことが適当な場合もあると考えております。  なお、小中学校における介助員などの教員児童生徒支援を行う職員の配置につきましては、各市町村の教育委員会において適切に判断されるべきものと考えているわけでございます。これに対して、国としてどのような支援が可能かにつきましては今後の検討課題として取り組んでまいりたいと存じます。
  172. 山崎力

    ○副大臣山崎力君) 今の文科大臣のところと重なるところがかなりあると思いますが、今、山下委員指摘の点でございますが、御指摘のとおり、今現在、いわゆる盲・聾・養護学校における介助職員については交付税措置がとられているところでございます。  そういった中で、ちょっと言葉の問題でいえば、いわゆる職員として正規の場合の人が今現在どれだけ市町村の一般の学校にいるであろうかという部分、いわゆる正規の職員でない、先ほどの言葉でいえば支援員又は介助員という言葉になろうかと思いますが、そういったものを残念ながら当方としては実態を把握しておりません。  それから、今後どのような形で小中学校等のいわゆる支援学校等に、特別支援学校等にどのような形でなるのかということも残念ながら承知しておりませんもんですから、今後、特別支援教育がどのような形で、具体的な形で充実していくかというところを見据えながら、本法案改正の趣旨等を踏まえまして、文部科学省のお考えを伺いながら、財政措置、交付税算定の基礎に、項目にするということについては考えていきたいというふうに思っております。
  173. 山下栄一

    ○山下栄一君 家族の御負担が大変重いわけでございますので、こういう意味でも、支援員、介助員の配置というのは私はこれからますます必要になってくる。特に、特別支援教育という理念の転換に伴って地域の皆さんの支えといいますか、もかりる必要があるのではないかという観点から、ちょっとこういう面の文科省と総務省との連携がこれからまだまだ必要になるなというふうに感じましたので、今副大臣お話を通してですね。どのような方がいらっしゃるのか、人数はどうなっているのかということも文科省に調査していただきまして、総務省と連携しながら取り組みをお願いを申し上げたいというふうに思います。  それで、総務省に重ねてお伺いいたします。  発達障害支援法、一昨年成立したわけでございます。また、見直しの時期が三年後に、来年ですか、来るわけですけれども、これはこの対応は、実情はもう極めて現実厳しい、これはもう厚労省もよく掌握されておるわけですけれども。私がおります大阪においてもそうでございます。この発達障害専門性を持った人というのはもうニーズは山ほどあるわけですけれども、実情は発達障害支援センターが何とか四人の職員の方が都道府県、政令市にやっとできつつあるというふうな実態でございます。ここに専門性の高い人が本当に配置されておるのかというふうに考えましたときに、まだまだだなということを実感しておるわけでございます。  発達障害支援法が施行されて一年、これは国の責務が明記されておるわけでございまして、総務省として、この発達障害支援法の観点からの取組状況、そして今回の特別支援教育の理念の大転換にかかわる、また発達障害の対応の一般小中学校における人の配置ということも今大きく取り組まれようとしている中で、発達障害支援法の国の責務の観点からの総務省の取組、今後の取組の計画等、お話し願えたらと思います。
  174. 山崎力

    ○副大臣山崎力君) 発達障害支援法の観点からいきますと、当総務省といたしましては、今御指摘発達障害支援センターの運営に係る経費について、その地方負担分については地方交付税措置を講じてきております。  それに伴って、それ以上、今の委員の御指摘ですと、今回の法律等の趣旨も踏まえて、より総務省の方で地方財政措置を拡充すべきではないかという御指摘かと思います。  ただ、その点に関しまして、それでは具体的に発達障害支援についてどのような施策をするのかというのは、やはりこれは地方団体等が主体的でまずやられるものでございますので、具体的にこれからどういうふうにしていくかという地方団体の意見を伺って、それに伴って関係省庁、文科省あるいは厚労省その他出てくると思いますけれども、よく相談しながら、そういったものに対応した形での総務省としての必要な取組方をしていきたいというふうに思っております。
  175. 山下栄一

    ○山下栄一君 この分野におきましても、この発達障害支援法という枠組みを使った他省庁との連携ということが、文科省軸になってこの学校教育の観点からの取組を是非お願いしたいと思います。  それから、今度、施設の観点なんですけど、これも午前中からお話がありましたが、私は、エレベーターとかスロープ、自動ドアも大事なんですけど、最も深刻に取り組むべきは障害者用のトイレだというふうに思っております。  施設の整備につきましては、地震対応、アスベスト対応、これは緊急に取り組んでまいりました。特に小中学校においては、これは単に教育の場だけではなくて、もう地域のシンボルといいますか、地域のコミュニティーを高めていく拠点としての小中学校という位置付けがあるというふうに思いますし、防災拠点にしろ、また様々な地域の取組の、空き教室の活用もそうでしょうけど、小中学校というのはそういう位置付けがあるというふうに思います。そういう意味で、この障害者用トイレというのは、障害をお持ちのお子さんもそうですけど、これ毎日のことですし、切実なものであるわけですね。  以前、入学試験をそこを目指そうとしたけども障害者用トイレがないから入試を断念したという、そういう、これ私学の大学を目指す生徒さんからお手紙をいただいたことがあって、私、訴えたことあるわけですけど、この障害者用トイレの設置というのは、今は特に小中学校の場合は、先ほどもお話がございましたけど、四八%と。耐震対応の学校よりもまだ低いという状況でございます。  これは極めて切実な、人権にかかわる、これも施設の整備をする必要があるというふうに思いまして、これはちょっと通常の施設の、国庫負担にしろ交付金にしろ、そういう対応ではちょっとこれもやりにくいなと。先ほどの大臣お話じゃありませんけど、きちっと計画を立てて、特にバリアフリーの中でも障害者用トイレの設置については、緊急にこれは計画を立てて特別予算で取り組む必要があるのではないかということを考えておりまして、文科省そして財務省からそれぞれ御答弁お願いしたいと思います。
  176. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) まず、障害者用トイレについてですが、障害児、児童生徒学校で学ぶに当たってやはり必要な条件であるというふうに考えておりますし、山下委員指摘のように、地域の皆さんが集っていろんな活動をされるときの場としても学校の施設は活用されておりますし、災害のときにもいざというときにはそこで生活するわけですから、必須の条件であるというふうに考えるのが自然だと私も思っております。  現状は、障害者用トイレに限って申し上げても、国立学校で六二%、公立学校で四八%、私立学校で三三%と、理想からこういう現実を見てみますと、まだまだ整備が遅れていると言わざるを得ないというふうに認識をしております。  当然、文部科学省におきましても、従来から障害者用トイレを始めとして学校施設のバリアフリー化のための国庫補助を行ってきております。今後とも、合理的な整備計画を策定して計画的な整備を行うように指導をしていきたいと思っておりますし、当然、計画的な整備を行うよう指導するに当たって、そのフォローアップもしっかりしなければいけないと考えております。  障害者用トイレということに着目していただきましたが、平成十四年にハートビル法ができまして、そういった観点から考えても、例えばスロープもそうですし、エレベーターもそうですし、手すりなどもそうでしょうし、段差の解消もありますし、自動ドアの設置と、やはり障害のある方がいざというときにお使いになる、また障害児、児童生徒にとってみれば、日常の生活において必要な対応を考えて計画的に整備を進めていくことは極めて重要な問題であるというふうに考えております。
  177. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) 学校のバリアフリー化を推進するということは、私は、障害を持たれたお子さんたちが支障なく学校生活を送ることができる、こういった観点、また、今、馳副大臣の御答弁にもありました、学校施設が地域住民にとっていざというとき公共の施設として役割を果たす、大きな役割を果たすということ、それに加えて、私は、バリアフリーというのはやっぱり啓蒙、何というかな、考え方の啓蒙の問題だと。ですから、小中学校のときからバリアフリー化が設置されている、障害者用のトイレがある、そういったところの学校で育った生徒さんたちというのは、バリアフリーというのは当たり前のものとして、何というか、備わっていくと。そういった意味での大変教育的な効果も大きいというふうに考えておりますので、学校のバリアフリー化を推進していくことは大変重要だというふうに認識をしております。  そうした観点から、今年度の予算案では公立学校施設整備費千百三十七億円を計上し、所要の財源を措置しているところでありますし、これは一義的には新築、増築、新増築についてはバリアフリー化というのはほぼ義務的に設置をされているというふうに思いますし、その中でも、これは耐震化を中心としたものでございますけれども、安全・安心な学校づくりの交付金化ということで五百四十九億円の計上もさせていただいております。これは耐震化にかかわらず、ある意味では自由な事業選択を可能としておりますので、そのそれぞれの地域の実情や事業の優先度に応じて、今、山下委員指摘のこの障害者用のトイレを計画的な整備を進めていくということは私は可能であるというふうに認識をしておりますし、今後も文部科学省連携を取りながら積極的に推進をしていきたいと考えております。
  178. 山下栄一

    ○山下栄一君 非常に御理解のある答弁を本当にありがとうございます。  耐震、アスベストでもう精一杯で、もうなかなか交付金も限られている予算の中で、現状はなかなか難しいということはよう分かっておりまして、そういう意味で、こういう理念の転換に伴う、人の配置もそうですけど、施設におきましても、圧倒的に全国で多い公共建築物は学校ですので、そういう意味で文科省予算だけでやるというふうなことは本当にもう限界に来ているなということをしみじみ感じておるわけでございますけど、他省庁等の御理解も得ながら、特に文科大臣が訴え続けていただいて、この一番地域コミュニティーの拠点、大拠点が学校であるという、そういうことは皆さんお分かりなんでしょうけど、私はこのバリアフリー、なかんずくこの障害者用のトイレというのは整備はもう緊急を要する、それすらできない国は文化国家と言えないという観点からお訴えしたわけでございますので、全力の取組お願いを申し上げたいと思います。  財務副大臣、総務副大臣におかれましては、私の質問これで終わりでございますので、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。
  179. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 両副大臣、御退席いただいて結構です。
  180. 山下栄一

    ○山下栄一君 児童相談所の件なんですけども、この児童相談所は、私は今物すごく使命が高まってきているというふうに思っております。児童福祉法において位置付けられているわけですけど、この児童相談所が高まっている割には専門性の配置が付いてきていないというふうに感じております。特に児童虐待、児童虐待の原因が、例えば発達障害を、小さいお子さんの、それが発達障害なのかどうかも分からない形でお母さんが対応していたということが悲劇につながるというふうなこともある程度考えられますし、少年非行等の観点からも児童相談所は極めて重要な役割を果たすわけで、非行のたんびに所長さんが出てきてインタビューを受けているというようなよく光景を見るわけですけど、この観点からも発達障害にかかわる専門性を持った人が児童相談所にいらっしゃるということは極めて重要だと。  ところが、現実は、お医者さんが所長さんということは多いのかも分かりませんけど、児童福祉司さんが中心でございます。児童福祉司というのは、専門性は持っておられるんでしょうけど、これは公務員になられてからそういうお仕事をされてきたかということが前提の専門職、専門職なのかなとも思いますけど、そういう意味では日本の国は子供にかかわる専門職というのは極めて貧弱だなということを感じております。もちろん、保母さん、幼稚園教諭学校先生はそうなんでしょうけど、福祉、医療もそうでしょうけど、子供の観点からの専門性を持った人というのは本当に貧弱で、まあ小児科のお医者さんもそうかも分かりません。少ないですし、胎児医療の観点からも専門性を持った人は少ないと。  私はこの児童相談所が果たす役割の中で、この発達障害専門家が配置されるということは時代が求めておるというふうに思います。発達障害支援センターですら専門性を持った人の配置がままならぬ状況の中ではあるわけですけど、児童相談所に発達障害にかかわる専門性を持った人を配置するということを、これは厚生労働省挙げて取り組んでいただきたいと。そして、そういうところと連携取って特別支援教育を行うということが大事なんではないかというふうに考えておるわけでございます。  厚労省のお考えをお聞きしたいと思います。
  181. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) お答え申し上げます。  児童相談所につきましては、今委員から御指摘ございましたように、近年、相談件数も増加しており、また虐待問題、児童虐待問題の相当の部分委員指摘のとおり発達障害の関連があるのではないかと、そういう御指摘もあり、非常に重要だと考えております。発達障害につきましては、早期発見を行って保護者への支援を含め適切な支援をしていくことが大事でございますし、保護者の方から考えましても、相談を受け持つ児童相談所に頼ることが大きいと、こういうことであり、正に委員指摘のとおりだと思います。  しかしながら、発達障害の問題で今識者から不足していることの筆頭に挙げられておりますのが専門家、あるいは専門的な支援機関の不足でございまして、残念ながら、発達障害支援センターも含め、専門支援のノウハウについて十分に蓄積されていない現状にあるわけでございまして、我々この点について努力を重ねてまいりたいと思います。  現在、国の唯一の知的障害専門機関でございます国立秩父学園におきまして、児童相談所の職員を含む都道府県の職員の皆様に対しまして専門的な知識の付与等を目的とした研修を実施しているところでございますが、それも充実するほか、児童相談所や発達障害支援センター等における専門家の獲得、確保に努めてまいりたいと、そういうふうに考えております。
  182. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 改正児童虐待防止法の取りまとめをした一人として、また副大臣として、是非これは厚生労働省の担当者がいる場で答弁をさせていただきたいんですけれども、必ずやはりこの連携は、教育と福祉関係者の連携は必要なんですよ。そして、児童福祉法の改正で今年の四月からは中核市でも児童相談所も設置できるようになって、より現場においては教育と福祉、時には医療、あるいは警察関係とも、司法関係者と連携協力体制を取って対応していかなければいけないということになってまいりました。やはりそこで問題になってくるのは、やはりセンターにおいても人材がなかなかいないんですよ。  そこで、実は今現場で少しずつ取り組まれているのが保護者会の活用なんですよ。保護者会というのは、自分の子供がこういう状態であると、相談するところがない、保護者同士で情報を共有し合って、どういう対応したらよいのかという研修等もしながら取り組んでおるわけでありますから、その専門家をよこせ、配置をしろということもこれは大事なことですし、要求は続けるべきだと思っておりますが、その保護者会の皆さんとも連携しながら、こういう場合にはこういう対応ができますねと。  と同時に、これ児童虐待の場合には、これも先般の児童福祉法の改正によって、いかにいわゆる家族を再統合させるかと、これは法律用語でありますけれども保護者に対して虐待した子供といかにまた一緒に生活していけるように導いていくかと。この指導も児童福祉法によって必要な機能として求められることになったわけでありますが、そういったときの相談相手としてもこういった保護者会等を活用しながら、是非教育と福祉関係者の連携をより一層強めていかなければならない、文部科学省としてもそういったことについて厚生労働省と連携していく必要があると、こういう認識を申し上げさせていただきたいと思います。
  183. 山下栄一

    ○山下栄一君 局長、また副大臣、ありがとうございました。  いろいろお話を聞くにつけ、ただやっぱりこの学校教員が、私も教師の経験があるわけですけど、やっぱり社会に開かれた、様々な地域のことをよく知り、そして保護者と地域の諸機関とも連携する、打って出ていくということがなかなか、また教員そのものがそこに住んでいたらいいんですけど、遠いところから出勤している場合もありますし。だから、軸になるのはやっぱり教員かなとも思いまして、そういう意味でも、教員免許の在り方も含めて、また教員先生方研修の中身もそうですけど、たくさん求められることがあるわけですが、だけど、そういう意欲のある、情熱のある、そして前向きの先生方いらっしゃったら、もう子供保護者は一変するわけでございますし、それに様々な方々の御支援を得ながら、軸は、コーディネーターといいますか、それはやっぱり教師かなと思うんですけど、本当にこの特別支援教育の様々な議論を聞けば聞くほど家庭、地域、学校連携はもう本当に大事な時代が来ているなということを感じております。  最後に、先ほど神本委員がおっしゃった、就学指導委員会保護者からの意見聴取と専門家からの意見聴取が扱いが違うというのは、これはもう根本的なおかしいところだと思います。これは、要するに、保護者からの意見聴取が局長通知で、専門家の意見聴取は政令事項だと。完全にこれは差を付けているわけでございまして、これは今回の法律の理念転換を考えるときに、もう真っ先にやらないけない、そういう御意見だというように思います。  これは直ちに大臣のリーダーシップで政令改正をやっていただきたいと、いかがでしょうか。
  184. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 障害のある児童生徒就学する学校につきましては、度々答弁をさしていただいておりますが、当該児童生徒の自立と社会参加のための適切な教育が行われるように総合的に判断をすべきと考えておるわけでございまして、御指摘の趣旨をしっかり踏まえながらも、保護者意見を十分に聞くようにしていく方向で今後とも十分な検討を進めていく、すなわち保護者意見を聞く方向でということで対処をしてまいりたいと存じます。
  185. 山下栄一

    ○山下栄一君 終わります。
  186. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  前回に続いて質問をいたします。  まず、特別支援学校での教育課程について質問をいたします。  一人一人のニーズに合った教育ということが強調されているわけですが、一つの施設に集めるだけではこれは意味がないわけで、この特別支援学校における教育課程の在り方は非常に重要だと思うんですが、これはどのような検討がされているんでしょうか。
  187. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 今現在、中教審初等中等教育分科会教育課程部会特別支援教育専門部会において以下七点検討されております。  一、社会の変化や児童生徒等の障害の重度・重複化や多様化等に対応した教育課程の改善。二つ、特別支援学校における効果的かつ弾力的な教育課程の編成。三つ目、特別支援学校が地域の小中学校等への支援などを行うセンター的機能の在り方。四つ目、一人一人のニーズに応じた指導を推進するための個別の指導計画、関係機関との連携を図るための個別の教育支援計画の在り方。五つ目、障害のある児童生徒等の自立と社会参加を促進する観点からの職業教育等の充実。六つ目、小中学校等において、LDADHD、高機能自閉症等を含めた障害のある児童生徒等への指導充実。七つ目、障害のある児童生徒等と障害のない児童生徒等の交流及び共同学習の推進。こういった以上七点の観点において検討がされております。
  188. 井上哲士

    ○井上哲士君 今、弾力的ということもあったわけですが、昨年十二月の中教審答申では、障害種別を超えたグループ別の教育課程編成の可能性ということも述べられております。  今後、この学級編制は障害種別ということになりますので、つまり学級を超えた教育課程ということになるわけですね。その際に、担任の教師が自分の受持ちの子供の授業を余り担当しないということも出てくることがあります。そうしますと、一人一人の子供を複数で見ながらも、やはりその発達をトータルに見極める人というのが非常に大事だと思うんですが、そのことが困難になるんじゃないかというおそれを持つんですが、その点いかがでしょうか。
  189. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 障害のある児童生徒指導に当たりましては、障害の状態や発達段階、学習の進度等を考慮いたしまして、チームティーチング、個別指導、グループ別指導など授業形態や集団の構成を工夫するとともに、教師の協力的な指導によりまして学習活動が効果的に行われるようにすることが重要であると思います。  小学部では学級担任制を原則としているわけでございますが、学級担任による指導を中心としつつもグループ別指導等を工夫することとなりますけれども、この場合においても学級担任とグループ別の担当教師との密接な連携協力を図る必要があると思っております。また、中高等部では教科担任制を原則としていることから、学級担任と各教科を担当する教師間の連携協力を図る必要があると思っております。  いずれの場合におきましても、児童生徒指導に当たる教師間の連携協力の下に、最も効果的な指導を展開していくということが重要だと思っております。
  190. 井上哲士

    ○井上哲士君 京都市でいろいろお話を聞いてきたんですが、既に個別の指導計画に基づいて一人一人の時間割が作られております。クラススタディー、ライフスタディー、ワークスタディーに分けてグループ指導が行われているんですが、場合によっては担任していても週の半分以上は自分の担任の子供の授業を見ないというようなケースもあるということもお聞きをいたしまして、一人一人の子供の発達を見極めるのは困難だというようなことも現場からお聞きをしたわけですね。  教師間の情報の共有というのは必要なわけですけれども、その結果言わば書類書きに忙殺をされると、そんなことになったらこれはまた本末転倒なわけでありまして、やはり一人一人の子供に対してしっかり寄り添えるような状況というのをこの教育課程の面でもしっかり見極めていただく必要があるということを思います。  その上で、次に、ちょっと順番を変えまして、特別支援学級の問題でお聞きをいたします。  今回、特殊学級が特別支援学級ということになるわけでありますけれども、今後いわゆる特別支援教室という方向が打ち出されております。先ほどの答弁にもありましたように、中教審の中でも現行の特殊学級等を直ちに廃止することに関して、障害の種類によっては固定式の学級の方が教育上の効果が高いとの意見があることなど、配慮しなくちゃいけないということが打ち出されております。  今、やはり障害児学級というのは障害を持つ子にとっては大変大切な場になっておりまして、終日学級にいることが必要な子供もいれば、学級をホームベースにしながら比較的多くの時間を通常の学級で過ごせる子供もおります。いずれにしても、こうしたことは担任の教員が安定的に配置をされて丁寧に子供にかかわっているからこそ可能だと思うんですね。これがなくなって、安定した担任の配置の保障がなくなるということになりますと、子供たちの健やかに育つ上での非常に重要な問題だと。そういう点でいいますと、私たち障害児学級をなくしていくということについては反対であります。  それで、こういう今回の中教審答申でも言われたようないろんな意見を考えますと、特別支援学級においてもやはり引き続き安定的な教員の配置というのは非常に必要だと思いますけれども、その点がどうかということが一点。同時に、今後特別支援教室の検討もされていくわけでありますけれども、その際の固定式学級の機能の維持という点についてどのようにお考えか、その点お答えください。
  191. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) まず、特別支援学級における教員の配置につきましては、従来の特殊学級における教員の配置と同様に、障害種別に特別支援学級が編制され、そこに教職員が配置をされるということになるわけでございます。  次に、特別支援教室構想につきましてお尋ねがございました。  中央教育審議会におきましても、障害のある児童生徒が原則として通常の学級に籍を置き、必要に応じて指導を受ける特別支援教室という構想について随分議論をいたしました。ただ、昨年の中央教育審議会の答申段階におきましては、特別支援教室につきましては、現行の特殊学級廃止することに対して固定式学級の機能の維持を求める声があること、児童生徒が籍を置く学級である特殊学級がなくなることに伴いまして必要な教職員配置をどのようにするのか、特別支援教室の担当教員には従来の障害に加えLD等に関する知識理解が必要になりますけれども、その専門性をどのように確保するのか等々なお検討すべき課題があるということで、今後の引き続きの検討の課題になったところでございます。  ただ、文部科学省といたしましては、特別支援教室につきまして、今後とも、研究開発学校制度やモデル校などを活用しつつ引き続き検討して、将来的に特別支援教室という方向を実現できるその可能性について引き続き検討していきたいというふうに思っているところでございます。
  192. 井上哲士

    ○井上哲士君 これまで障害児学級が果たしてきた役割というものをしっかり生かしていただきたいと思います。  この特別支援学級ですが、障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育というふうに条文では位置付けられておりますけれども、これにとどまることなく、障害のない同年齢の子供たちと同等の学習内容を保障していくと、これは当然必要だと思うんですけれども、こういうことで確認してよろしいでしょうか。
  193. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 特別支援学級は小中学校に置かれる学級であることから、従来の特殊学級と同様、小中学校の学習指導要領に基づく教育課程を基本といたしております。その上で、児童生徒障害状況等に応じた教育を行うために、特に必要がある場合には、障害に基づく種々の困難を改善、克服するための指導領域、いわゆる自立活動を設けるなど、特別の教育課程を編成したきめ細かな教育が行われるということになるわけでございます。
  194. 井上哲士

    ○井上哲士君 軽度発達障害子供たちでも、場合によっては通級ではなくて特別支援学級で対応することが必要な場合ということもあると思うんですが、それは対応されるということでよろしいでしょうか。
  195. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 軽度発達障害子供につきましては、この四月一日から通級による指導対象としたところでございます。  これは、軽度発達障害につきましては、知的障害者等、特別支援学級の対象となっている障害のある者に比して、比較的学習上又は生活上の困難が軽微と考えられるために特別支援学級に籍を置く対象とはせず、通級による指導対象としたものでございます。したがって、LDADHD児童生徒につきましては、他の障害を併せ有する場合はともかく、基本的には特別支援学級に籍を置くことまでは必要がないと、こう考えております。  なお、LDADHD児童生徒に対する通級の指導の形態は、これまでの他の障害のある児童生徒に対するものと同様のものとすることを想定をしておりまして、LDADHD児童生徒も場合によりましては特別支援学級において通級による指導を受けることはあり得ると考えております。
  196. 井上哲士

    ○井上哲士君 次に、軽度発達障害への対応についてお聞きをいたします。  LDADHD、高機能自閉症など軽度発達障害と一くくりにしますけれども、その悩みというのは決して軽いものではないわけですね。なかなかその行動が理解されない。周りの大人からも親からも怒られ続けて一層深刻な状況になることもありますし、保護者教員も、周囲から育て方が悪いとか、教え方が悪いとか、そういうことで自信を失うなど、関係者の非常に悩みも深刻であります。  今回、法案でこういう軽度発達障害への指導ということが位置付けられるわけでありますが、今もありましたけれども、この四月から既に施行規則の改定をしているわけですね。その内容について、もう少し詳しくお答えいただきたいと思います。
  197. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 今年の三月に学校教育法施行規則の一部改正を行いまして、LD及びADHD児童生徒については通級による指導の新たな対象としたところでございます。また、併せて告示の一部改正を行いまして、児童生徒障害に応じた適切な教育を実施をする観点から、通級による指導指導時間数の弾力化を図ったところでございます。  この中では、LD及びADHD児童生徒につきまして、月一単位時間程度でも指導上の効果が期待できる場合があることから、指導時間数の下限の標準を月一単位時間程度としたところでございます。
  198. 井上哲士

    ○井上哲士君 今ありましたように、既に施行規則の改定で軽度発達障害子供たちへの指導改善をしたわけですね。その上で今回法改正をするということは、どういう意味があり、何がどう変わるのか、この点、大臣、いかがでしょうか。
  199. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 文部科学省といたしましては、児童生徒が通常の学級に在籍しながら障害に応じた特別の指導を受ける、いわゆる通級による指導対象障害種別に平成十八年度からLD及びADHDを加えたところでございまして、これは御指摘のとおりでございます。  一方、改正案の第七十五条第一項は、小学校、中学校等において、同条第二項に規定する特別支援学級に在籍する児童生徒、その他通常学級に在籍し通級による指導を受ける児童生徒、また通常の学級のみに在籍する児童生徒など、教育上特別な支援を必要とする児童生徒等に対して障害による学習上及び生活上の困難を克服するための教育を行うことを明確化したものでございます。  各学校におきましては、既に障害のある児童生徒等に対する支援が行われてきておりまして、今回の改正は、こうした取組について法律上も明確化することによりまして、LDADHD児童生徒への適切な対応を含め、各学校における取組がより一層充実することを期待をいたしているところでございます。
  200. 井上哲士

    ○井上哲士君 各学校での取組充実をしていく、その推進力になっていくということなんだと思いますが、やはり具体的な教育条件の整備が伴わなければ掛け声倒れになってしまうと思うんですね。現場では、教職員の皆さんもいろんな努力をされておりまして、困った子と見るんじゃなくて、困っている子なんだということでいろんな手を差し伸べております。  ただ、なかなか単純に解決する問題ではありませんで、担任教師に求められていることも多いわけですし、不適切な指導が二次障害を起こすこともある。それから、学校のすべての教師にその課題や対応についても理解をしてもらわなくちゃならない。それから、周囲の子供保護者にも理解を得る必要があるわけですが、理解をしてもらっていても、やっぱり現実には子が暴力を振るわれたりした場合にいろんな抗議が寄せられる場合もある。それから、教室で特別に手当てをしていると、その子ばっかりかかわっていると言われることもある。本当にいろんな悩みを抱えながら、現場では苦労をされていると思います。  参考人質疑の中で、LD親の会の山岡さんも、長期的な取組の中の第一段階であるととらえたら合格点だと、こういう御発言でありました。ですから、今後、具体的な教育条件の整備をどう進めていくかということがやはり大問題だと思うんですが、そこでまず聞くんですけれども、この四月一日から施行規則が変わったわけですが、それまでの通級指導対象児童生徒数、それから通級教室の数、さらにその担任教員の数、さらに四月一日からこのLDADHD等対象になったわけですが、それによって増えた数が今の三つについてそれぞれどうなっているか、お答えいただきたいと思います。
  201. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 文部科学省におきまして調査をいたしました平成十七年五月一日現在における各小中学校の通級による指導の実施の状況は以下のとおりでございます。  まず、対象児童生徒数は、小学校で三万七千百三十四人、中学校で千六百四人、合計で三万八千七百三十八人でございます。教室数は、小学校で二千三百二十三教室、中学校で百四十七教室、合計で二千四百七十教室となっております。担当の教員数は、小学校で二千七百六十五人、中学校で二百一人、それから盲・聾・養護学校で七十七人、合計で三千四十三人となっております。これが昨年度の通級指導の児童数、教室数、担当教員数でございます。  四月から学校教育法施行規則改正によりまして、新たにLDADHD児童生徒も通級による指導対象となったところでございますが、まず教職員定数につきましては、平成十八年度予算におきましては、特別支援教育充実への対応のため、LD等への対応について二百八十二人の定数改善を図ったところでございます。  ただ、本年度における通級による指導対象児童生徒数等につきましては、基本的にはこれまでの通級による指導対象となっていた児童生徒数等に新たに通級の対象となったLDADHDに係る児童生徒等が加わったものになると考えられるところでございますけれども、新たな制度の開始から間もないこともございまして、現時点ではまだ数の把握はできていないところでございます。例年実施をいたしております通級による指導の実施状況調査を通じまして把握に努めてまいりたいと思っております。
  202. 井上哲士

    ○井上哲士君 まだ新たな増加の実態の把握はこれからだということでありますけれども、先ほどの答弁にありましたように、施行規則の改定に加えて法改正やったことがより学校でのこの充実につながっていくということを考えますと、この法改正により更に通級指導を必要とする、求める児童生徒の数は相当数増えるんだろうと思うんですが、それはどの程度文科省としては予測をされているんでしょうか。
  203. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 改正案の七十五条一項におきまして、小中学校等における教育上特別な支援を必要とする児童生徒に対する教育について明示を行ったわけでございます。これによりまして通級指導も増えるのではないかと、こういうお尋ねでございますけれども児童生徒障害の状態に応じまして通級は各学校長の判断により実施をするものでございまして、今回の法改正による直ちの影響についてはちょっとにわかには判断できないところがございます。  なお、先ほど申し上げましたように、LDADHD対象とした通級による指導につきましては、数も調べますし、今後、趣旨の周知に伴いまして増加も見込まれるのではないかというふうに思っているところでございます。
  204. 井上哲士

    ○井上哲士君 そのLDの親の会の資料などを見ておりますと、学校に対応を求めてもなかなか理解されなかったというような苦労も随分出ておりました。大変今回の法改正皆さんその点では歓迎をされているわけでありますが、そういう法改正によるアナウンス効果というんでしょうか、も含めて、やはり必要な皆さんがこれを、こういう通級指導などを求めていくということが広がらなければどこが充実かということになろうかと思うんです。  当然、今年度の予算については、先ほどから議論ありますように、まだ法改正前の段階でいろいろ財政当局との折衝も御苦労があったかと思うんですが、法改正がされるということになりますと、やはり来年度予算の中で、今年はLD加配二百八十二人にとどまっているわけですけれども、相当十分な体制の強化ということが当然必要だと思うわけですが、その点での大臣の御決意をお聞きしたいと思います。
  205. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) LD等に対する通級による指導の拡充への対応につきましては、これを含めて第八次公立義務教育学校教職員定数改善計画を策定することといたしておったわけでございますけれども、総人件費改革を進めるとの政府の方針の中で、やむを得ず十八年度からの第八次としての計画の策定は見送ったところでございます。  しかしながら、一方、平成十八年度予算におきましては、大臣折衝におきまして、教職員配置を見直した上で、LD等への対応につきまして二百八十二人の御指摘のとおり定数改善を図ることとしたところでございまして、文部科学省といたしましては、今日的な教育課題への対応のために、すなわち食育、またこのLD等への対応を含めたこういった対応のために、今後とも計画的に特別支援教育充実を図っていくことが必要であると考えておりまして、このため、総人件費改革に取り組みながら、今後の教職員定数の在り方についてどのような対応が可能であるかを含めて、十九年度以降の予算編成過程におきまして検討してまいりたいと、このように考えております。
  206. 井上哲士

    ○井上哲士君 是非これは強い決意で必要な教員体制の整備ということに取り組んでいただきたいと思います。  それで、先日、大人のADD&ADHDの会というところがアンケートの発表をしておりました。  それで、既に大人になっている方が学校時代にどういうことがあったのかということでいろんなことが書かれておりますが、ADDやADHDの症状のために学校に通うのがつらいと感じたことがあるかという答えに、八四%の方があると答え、そして、そのときに先生理解してくれましたかということに、九二%が理解してくれなかったと答えております。今大人の方ですから、まだまだこういう問題が十分に学校現場で認知をされてなかったときのことかと思いますけれども、しかしここには非常に悲痛な叫びもあります。その中でも、なぜつらいと感じたかというトップは友達との関係ということになっております。これはもちろん先生理解で解決できる事柄もあるわけですね。しかも、私が注目しましたのは、気付いてから、そういう症状があるんじゃないかと気付いてから実際に診断を受けるまでの平均期間というのは四十一・四か月なわけですね。ですから、気付いても三年以上の方が診断を受けるのを戸惑っていらっしゃる。なかなかこの軽度発達障害であることを認めるのには、本人も親もいろんなハードルもありますし、また、ほかに知られたくないというような気持ちも働く部分もあるんだろうと思います。  ただ、今回の法改正などで特別な支援を受けることになりますと、それは明らかになることもあるわけですね。それから、教員の側のこれは支援が必要だという認識本人保護者との認識の違いということもいろいろ出てくると思うんです。その辺の様々な配慮、丁寧な対応が必要だと思うわけですけれども、こういうことはどのように考えられているんでしょうか。
  207. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 今、大人になったLDの方々の学校時代の感じにつきまして先生の方からお話がございました。  このLDADHD児童生徒を通級による指導対象にするに当たりましては、保護者専門家の意見を聞きつつ、やはり総合的な見地から慎重に判断をするということが重要だと考えております。  文部科学省におきましては、平成十六年にLDADHD児童生徒支援体制を整備するためのガイドライン試案を作成をし、この中で行政機関や学校における保護者への理解推進や相談の必要性、保護者における子供障害理解子供とのかかわり方など必要な配慮事項を示しているところでございます。  今、友達関係あるいは先生との関係、いろいろ当時のことがお話ございましたけれども障害のある児童生徒保護者のみならず、障害のない児童生徒保護者への理解を進めること、あるいは障害のある児童生徒保護者の気持ちの受け止め方、保護者への支援体制などいろいろ配慮すべきことはあろうかと思っております。  今後とも、このガイドラインの活用を促すとともに、先進的事例の情報提供を行うことなどを通じまして、必要に応じて保護者に対する支援も行いつつ、LD等の児童生徒に対する適切な指導及び支援が行われるように取り組んでまいりたいと思っております。
  208. 井上哲士

    ○井上哲士君 新しい取組にふさわしい教育条件の整備に格段の力を発揮をしていただきたいということを改めて求めまして、時間ですので質問を終わります。
  209. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本案の修正について井上君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。井上哲士君。
  210. 井上哲士

    ○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、学校教育法等の一部を改正する法律案に対する修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。  まず、修正案の提案理由を御説明申し上げます。  本法律案で、軽度発達障害への対応を従来の障害児教育も含め、特別支援教育として学校教育全体で取り組むことを法文上初めて明記することは、適切な支援を進める契機となり、関係者の願いにこたえたものであります。  しかし、障害児教育の新たな取組を進めるにもかかわらず、教職員の配置の充実は今後の課題とされています。文部科学省調査では軽度発達障害子供たちは普通学級に約六十八万人が在籍していると推計されており、その対応のためには、通級指導担当教員の増員、さらには四十人となっている通常学級の学級編制基準の引下げなど、抜本的に教職員を増員する必要があります。  また、盲・聾・養護学校特別支援学校となり、新たに小中学校等在籍する障害のある児童生徒教育について助言援助を行うセンター機能を位置付けています。しかし、特別支援学校在籍する児童生徒への教育を行いながらセンター的機能を果たすためには、担当する教職員配置が必要になります。  このような観点から修正案を提起するものであります。  以下、修正の概要を申し述べます。  本法律案附則に、小中学校等での学級編制基準の見直し、通級による指導充実特別支援教育コーディネーターの配置、特別支援学校の教職員数を現在の水準から後退させることなく、新たに取り組まれるセンター的機能を担う教職員の配置を進めることを、法施行後の状況等も勘案し、政府に検討と必要な措置を義務付けるものであります。  以上が修正案提出の理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、委員各位の御賛同を心からお願いを申し上げます。
  211. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより学校教育法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、井上君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  212. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 少数と認めます。よって、井上君提出の修正案は否決されました。  それでは、次に原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  213. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、鈴木君から発言を求められておりますので、これを許します。鈴木寛君。
  214. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 私は、ただいま可決されました学校教育法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党民主党・新緑風会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     学校教育法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び関係者は、国際的な障害者施策の潮流となっているノーマライゼーションやインクルージョンの理念を踏まえ、特別支援教育の定着・発展を図り、障害のある子ども一人一人のニーズに適切に対応した教育を保障するために、次の事項について特段の配慮をすべきである。  一、特別支援教育が、就学教育から高等教育までのすべての学校において取り組まれるべきものであることから、すべての教職員の人権意識の高揚と資質能力の向上に努めること。特に、小学校、中学校高等学校及び特別支援学校においては、必要な教職員定数の確保や支援体制の確立、学校のバリアフリー化の促進を始めとした施設設備の整備等教育諸条件の維持・向上に努めること。  二、特別支援学校センター的機能が十全に発揮されるよう努めること。特に、幼稚園とともに保育所などの児童福祉施設、保護者等に対する支援にも万全を期するとともに、医療・福祉・労働等関係諸機関との連携にも努めること。  三、特別支援学校教員免許状取得促進を図るとともに、特別支援学校教員免許状の在り方、幼稚園、小学校、中学校及び高等学校教員免許状における特別支援教育の扱いなどについても更に検討を進めること。  四、特別支援教育の開始により、新たに教育上の特別な支援対象となる子どもについては、支援の場や方法などについて本人保護者の意向を十分に聴取し、配慮するよう努めること。  五、就学先を指定するに際しては、事前に本人保護者の意向を十分に聴取し、各学校状況等を説明して理解が得られるよう努めることなど、相談機能の充実を図ること。また、就学先の指定について、手続の在り方を含め検討すること。  六、教材・教具の研究開発とその普及に努めること。特に、視覚障害者への拡大教科書普及充実を図ること。  七、就学奨励費等、障害のある子どもへの支援措置に関しては、高等学校拡大教科書の自己負担軽減など、必要な具体的支援を把握しつつ、総合的な検討を進めること。  八、障害者基本法に基づき、障害のある子どもとない子どもの交流及び共同学習を更に積極的に進めること。また、特別支援学級に関しては、対象となる子ども増加教育の困難性などに十分配慮した施設整備に努めるとともに、特別支援教室にできるだけ早く移行するよう十分に検討を行うこと。  九、障害をもつ生徒の卒業後の就労を促進するため、厚生労働省との連携を強化するとともに、職業体験教育や就労のための個別指導及び卒業後も継続した就労支援に努めること。  十、各般の施策の進捗状況を確実に把握し、政策評価を適切に行い、引き続き制度の改善に努めること。また、政省令改正に当たっては、国会における審議障害者団体等の要望、専門家の意見などを踏まえるとともに、パブリックコメントなど適正な手続に従って見直しに努めること。  十一、障害に対する理解の促進と認識の共有を図るため、教職員、子ども保護者、就労先、その他社会全体に対する普及啓発活動に努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いを申し上げます。
  215. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) ただいま鈴木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  216. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 多数と認めます。よって、鈴木君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、小坂文部科学大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。小坂文部科学大臣
  217. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意いたしまして対処してまいります。
  218. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  219. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回は来る二十七日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十八分散会