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2006-03-22 第164回国会 参議院 文教科学委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月二十二日(水曜日)    午前十時二分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中島 啓雄君     理 事                 大仁田 厚君                 北岡 秀二君                 佐藤 泰介君                 鈴木  寛君     委 員                 有村 治子君                 荻原 健司君                 河合 常則君                 小泉 顕雄君                 後藤 博子君                 中川 義雄君                 山崎 正昭君                 神本美恵子君                 西岡 武夫君                 林 久美子君                 広中和歌子君                 水岡 俊一君                 浮島とも子君                 山下 栄一君                 井上 哲士君    国務大臣        文部科学大臣   小坂 憲次君    副大臣        文部科学大臣  河本 三郎君        文部科学大臣  馳   浩君    大臣政務官        文部科学大臣政        務官       有村 治子君    事務局側        常任委員会専門        員        山口 俊史君    政府参考人        公正取引委員会        事務総局経済取        引局取引部長   舟橋 和幸君        総務大臣官房審        議官       清水  治君        法務大臣官房審        議官       稲見 敏夫君        文部科学大臣官        房文教施設企画        部長       大島  寛君        文部科学省生涯        学習政策局長   田中壮一郎君        文部科学省初等        中等教育局長   銭谷 眞美君        文部科学省高等        教育局長     石川  明君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        長        素川 富司君        文化庁次長    加茂川幸夫君        厚生労働大臣官        房審議官     松井 一實君        厚生労働大臣官        房審議官     白石 順一君        厚生労働省医政        局医事課長    中垣 英明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○平成十八年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成十八年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成十八年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (文部科学省所管) ○国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教  育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案  (内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。  去る十六日、予算委員会から、本日一日間、平成十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部科学省所管について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。     ─────────────
  3. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長舟橋和幸君外十一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 予算説明につきましては既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 神本美恵子

    神本美恵子君 おはようございます。民主党神本美恵子でございます。  今日は予算委嘱審査ということですが、時間が大変限られておりますので、特に教育をめぐる状況、大変厳しいものがございます。その中で、学校現場子供たちと直接向き合っている先生方、様々な困難に直面しながら一生懸命やっている。そういう学校現場に目を向けたときに、今回の予算で示された中で、特に定数改善の問題と、それから全国的な学力調査、これは直接学校現場に大きな影響を与えると思われますので、大きくはその二点について御質問をしたいと思います。  まず定数改善ですけれども、当初、文科省は、七次改善計画終了しまして八次改善計画ということで、二〇〇六年度から更に教育水準維持向上と、それから子供を取り巻く環境変化に応じて改善計画を立てていらっしゃったというふうにお聞きしております。これまでの七次改善でも、本当に学校現場に目を向けて改善をしてこられたということについては、文科省として精一杯の努力をされてきたというふうに私も認識をしております。特に、学級崩壊であるとか不登校であるとか保健室登校、それから一方では、学力低下などと言われながら、学力を保障しながら更に向上させるという、そういうことに七次改善でやってこられたと思うんですけれども。  また、新たな課題として、学校安全の問題、それからここ一、二年の間に、小坂文科大臣発議者になって作られました食育基本法でありますとか、それから栄養教諭制度の問題でありますとか、読書活動振興ということで専任司書配置についても、それからまた今国会に出されようとしております学校教育法の一部改正で特別支援教育充実というような新たな法的に整備されつつあることについて、それを本当に学校現場で進めていくとすれば、それに対する教職員配置がないことにはただ絵にかいたもちになるのではないかという意味で、文科省概算要求のときに予定していらした第八次定数改善というものは十分とは言えなくても一定の期待をしていたわけです。  ところが、今回の予算ではこの計画は見送りになったんではないかと思います。この予算書を見ますと、定数改善のところでは三百二十九人の定数増のみとなっているんですね。  ですから、文科省としてのこの定数改善についての認識と、それからどういう経過で、また理由でこのようなことになったのかということを、簡単で結構ですけれども、お知らせいただきたいと思います。
  7. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 文部科学省では、次期定数改善計画策定すべきとの中央教育審議会の提言も受けまして、平成十八年度から二十二年度までの五か年計画で第八次定数改善計画を作成することといたしまして、その初年度分改善平成十八年度の概算要求に盛り込んだところでございます。この改善計画内容は、ただいまお話もございました今日的な教育課題対応するために、少人数教育の推進、特別支援教育充実、そして学校運営円滑化を図るために必要な定数改善を大きな柱といたしております。五年間で総数一万五千人の改善を図ろうとするものでございました。  概算要求を進めていく中で、現下の厳しい財政事情の下で政府全体として公務員の総人件費改革ということが大きな課題となったわけでございます。そういう総人件費改革議論が行われている中で、平成十八年度予算編成に向けまして文部科学大臣財務大臣との間の協議が行われまして、第八次公立義務教育学校定数改善計画の取扱いについて結論が出されたわけでございます。その内容は、現下の総人件費改革をめぐる議論状況にかんがみまして、平成十八年度において第八次定数改善計画策定は行わないということが合意をされたところでございます。  一方、今日的な教育課題への対応のために、教職員配置見直しによりまして、特別支援教育食育充実のために必要な教職員の措置も必要であるということで、総数三百二十九人の改善平成十八年度の予算案に盛り込んでいるところでございます。
  8. 神本美恵子

    神本美恵子君 正に公務員改革の中の総人件費削減改革ということでこういうことになってしまったという御説明で、恐らく心中察するに、文科省としては、何といいますか、とてもこんなものは受け入れられないというお気持ちが、多分現場の立場に立てばおありになるかと思います。  この総人件費改革という中で、人員が多いという理由で特出しされて、人員の多い教職員について自然減を上回る純減ということになっております。これまでだって十分ではなかったのに、それを自然減で何とか補ってきたのに、それを更に上回る純減をするとすれば、今おっしゃったような新たな課題に本当に対応できるのかということを私は懸念をいたします。これまで実施してきた少人数指導や少人数学級取組ができなくなって廃止になるのではないか、あるいはさらに、四十人学級であるにもかかわらず、それを上回るような事態も引き起こされるのではないかというような懸念もいたします。  これは決して大げさな数字ではなくて、政府が言っている四・六%削減する場合、文科省も試算されていると思いますけれども、削減数は四万五千二百十二人、向こう五年間の自然減二万二千四百人を差し引きますと五年間で二万二千八百十二人削減しなければならないということになります。  大臣にお伺いしたいんですけれども、これだけ削減をすれば、現在でも十分ではない教育条件が更に悪化するのではないか、また地域財政力によって地域間の格差が拡大していくのではないか、義教費も三分の一に削減されたというこの状況の中でそういう懸念を持つわけですけれども、大臣としてはどのように認識していらっしゃいますか。
  9. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 今委員が御指摘なさいましたように、現下教育必要性改善必要性というものは、非常に皆さんの要望現場要望も強いわけでございます。そういった中で、一方では、財政再建を始めとした経済財政面での改革、そしてまた政府方針でございます総人件費改革というものを踏まえまして、私といたしましては、現場の声をしっかりと聞きながら、こういったものに対応するにはどのようにしたらいいかと大変に苦慮したことは事実でございます。  しかし、その苦慮する中で、守っていかなきゃいかぬと思うことは、やはり悪化につながってはならぬということでございまして、さらに、必要とされる特別支援教育、また食育教育、こういったものに対しての定員はしっかり確保してまいりたい、このような決意の下に取り組んでまいりました。  したがいまして、御理解を賜りたいと思うことは、十八年度からのいわゆる第八次というような名前を冠した形の定員改善計画策定は見送ったわけでございますけれども、今日的な教育課題であります食育、また特別支援への対応、またそういった意味での教職員配置見直しということで、教職員配置見直しを徹底的に行う中で特別支援教育食育充実に必要な教職員定数改善は図っていくということを難しい問題の中で実現したつもりでございまして、合理化減によりまして得られました三百二十九人は本来ならば削減の方向に向かうわけでございますが、これらを充実のために充てるということによりまして、総人件費改革の中においても、学校教育実施に当たっての根幹であります標準法対象教職員数純減については、基本的には児童生徒の減少に伴う自然減によるとしつつも、文部科学省としては、現行標準法に基づく学級編制及び教職員定数については悪化につながるような制度変更はせずにこれに対応できたものと考えているところでございまして、御指摘のような教育環境悪化地域間の格差を生じさせないという決意の下に取り組んでまいりました。  今後ともこの方針を貫いてまいりたいと考えております。
  10. 神本美恵子

    神本美恵子君 大臣から、厳しい今の財政状況政府全体の状況の中でも標準定数法配置については毅然と確保していく、さらに、学級編制が変わるようなことにならないようにという力強い決意をいただいたんですが、今日は総務省にもおいでいただいております。  三位一体改革義務教育費国庫負担議論の中で、総務省地方六団体もそうですけれども、標準定数法があれば財源地方に渡しても問題ないということを再三おっしゃってこられたと思います。全国知事会も昨年の七月に、国への要望ということで、次期定数改善計画を早期に策定することということで、これは当然、現行標準定数法を守った上で、確保した上で次期定数改善計画というふうに、同じ認識に立っているというふうに私は思っていたんですが、昨年、行革重要方針が閣議決定された二日後に総務省都道府県政令指定都市あてに発出しているその文書を読ませていただきましたけれども、その中に、「教職員など国による定員関係基準見直し等を踏まえた取組を適切に反映されますようお願いいたします。」というふうにあるんですね。  これ、どう読んだらいいのか。うがってといいますか、このまま読めば、標準定数法を変えてというふうにも読めないんですけれども、総務省としてよもやそんなふうには考えていらっしゃらないですよね。ちょっと確認したいと思います。
  11. 清水治

    政府参考人清水治君) 義務教育教職員定数関係のお尋ねでございますけれども、総務省といたしまして、昨年十一月に経済財政諮問会議において、総人件費改革基本指針において教職員定数についての厳しい状況の下での決定が行われたと理解しておりまして、その後で行革重要方針も決められているわけでございます。  そういう中で、義務教育教職員給与費につきましては、標準法に基づいて配置等基準が示されております義務教育教職員定数に係る給与費については、その所要額全額地方財政計画に適切に計上いたしまして必要な一般財源を確保してきているところでございます。  今後ともそのように対処していきたいと考えております。
  12. 神本美恵子

    神本美恵子君 事前の通告といいますか、ではこの文書をちょっとまだ手に入れていなかったものですからお願いをしていなかったんですが、この「教職員など国による定員関係基準見直し等を踏まえた取組」というのはどういう意味なんですか。標準定数法を変えろという、変えることは総務省でできないんですが、どういう意味なんですかね。
  13. 清水治

    政府参考人清水治君) 地方財政計画策定当たりましては、全体としての公務員についての行革重要方針等を踏まえた中で、決められた定数の下で標準法に基づいて適切な額を計上していくという考えでございます。
  14. 神本美恵子

    神本美恵子君 標準法に基づいて適切に配置地方財政計画に入れていくということを確認してよろしいですね。──はい。  次に、就学援助受給者が増えているというようなことや、親の所得経済格差教育格差につながっているのではないかというようなことが昨今言われておりますけれども、高校進路担当先生に聞いたという民間調査によると、このことについて、大学に行きたくても行けない生徒学力より学費の制約の方が強くなったかという問いに対して、高校進路担当先生方の約七割の方が、とてもそう思う、そう思うというふうに答えていらっしゃいます。また、家庭経済力によって高等教育を受けられる格差が広がっていると考え高校先生が、とてもそう思う、ややそう思うを合わせると約八割を超えているんですね。  文科省として、親の所得格差経済格差教育にどのような影響を与えているかということについては、総理の答弁をこの間聞いていますと、そういうことはないと、格差自体を認めていらっしゃらないところもありますし、文科省としては、この就学援助が増えているということや、それからこういうふうに高校先生が答えているような教育格差につながっていくのではないかという懸念について調査できる限りきちっと調査すべきだと思うんですが、先日、民主党でヒアリングというか御説明聞いたときには、就学援助が増えているのは、まあこれは申告主義だから、申請主義だから、親の認識、普及した、そして権利意識が高まったというような御説明を聞いて、いや、そういう薄っぺらな分析ではなくてきちっと精査すべきだということを申し上げましたが、これについてはどのようにお考えでしょうか。  保護者所得によって子供学力教育機会格差が出てはいけないというふうに、そうさせないために義務教育国庫負担できちっと裏打ちをして、この間、日本教育制度をやってきたわけですから、今こういう事態になっていることについて文科省はきちっと把握して対策を講じるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  15. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 特に義務教育につきましてはすべての国民に対して無償一定水準教育機会を提供するということが必要なわけでございます。お話にもございましたように、国としては授業料無償や教科書の無償給与に加えまして、学校教育法の規定に基づいて、市町村において経済的理由により就学が困難な児童生徒に対して就学援助を行っているわけでございます。  この就学援助を受ける子供の割合が最近増えているということに関連をいたしまして、私ども、各都道府県県庁所在地及び東京二十三区を含む全国の百二十五ほどの市等に対しまして、その就学援助担当者の方がどういう具合にこの就学援助率推移について感じを持っているのかということを自由記述調査を今いたしているところでございます。  まだ全部集まっておりませんが、これまで回答を寄せられた内容を私ども分析をし、見てみますと、一つには、やはり最近の就学援助率推移について、企業の倒産とかリストラなどによる親の経済状況変化によるものというものがありますと。それから、誠に申し上げにくいことでございますが、母子家庭父子家庭というものが最近増加をしていて、そのことが反映されているんではないかと。それから三点目には、就学援助制度というものがかなり知られるようになってきたということ。それから四点目には、就学援助を受ける保護者意識変化をしてきて、申請をしようというような意識が見られるようになったといったようなことを言っている担当者もおります。全体としては今申し上げましたような状況担当者の方からは回答として寄せられているということがございます。今、私ども、調査をお願いしているところの集計をできるだけ早くそろえて、更にもう少し詳細な分析をしていきたいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、文部科学省としては義務教育機会均等を図るということが大変大事な課題でございますので、就学援助が適切に実施をされるように、今後とも、就学援助に係る市町村取組状況把握に努めて必要な指導をしてまいりたいと考えているところでございます。
  16. 神本美恵子

    神本美恵子君 前回よりもかなり、まあかなりって、ちょっと詳しく担当者に聞いて調査をしていただいたようですけれども、その担当者の方が今度はどれだけ学校現場の直接その担当している担任の先生などに聞いて実態把握していらっしゃるかということについては、是非、もっときちんとした分析するために聞いていただきたいなというふうに思います。  就学援助というこういう制度があるということはもっとすべての保護者の方にきちっと周知徹底をして、そして必要であれば、子供家庭だけで我慢をして子供の進学の希望や将来への希望を摘むようなことがないように国としてやっているんですよと、これはもう国庫負担から外されましたので、本当に地方財政がだんだんこれによって厳しくなっていくというような一方での懸念もありますけれども、法律で規定されたことでございますので、きちっと周知をして、機会均等子供の将来の希望を摘むことがないように更に精査していただきたいというふうに思います。  ちょっと時間がなくなりそうで気になるんですが、定数問題では、最後に、もう何度も文科省の方でも資料を作られたりしておりますが、OECD諸国と比較しても日本教育予算というのはやはり決して十分とは言えない。例えば、一つ平均学級数前期中等教育段階平均学級数だけで見てみましても、日本は約三十五人なんですね。実際、四十人以下で組まなきゃいけないようになっていて、実態としては約三十五人になっている。OECD諸国で三十人を超えているのは韓国とメキシコと日本だけという、三か国だけなんです。あとは全部三十人以下で、二十人を切っている国もあるようなこの状況の中で、もう繰り返しませんけれども、今の子供たちの本当に多様化している価値観や個別化している子供の生活というような中で、もっと少人数教育を進めるために定数改善をしたり学級編制基準を変えたりというようなことが必要だと思うんですけれども、それについての認識と、今後、この厳しい中だけれども文科省として頑張るぞという見通しと決意をお願いしたいんですが。簡単でいいです。
  17. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 確かに御指摘のとおり、一学級当たり児童生徒数OECD諸国で下から二番目と。実は同じような調査で教員一人当たり児童生徒数は随分この定数改善計画改善してきているということもまあ御理解いただきたいと思います。  今後とも、やはり一人一人の子供に目の届くような教育環境を整備していくことは重要と考えておりますので、努力してまいります。
  18. 神本美恵子

    神本美恵子君 馳副大臣学校現場を御経験なさったというふうにお聞きしておりますので、そのことを踏まえて、是非少人数教育、少人数学級ということに向けて御努力をいただきたいと思います。  次に、学力調査全国的な学力調査について、これも来年度予算の中で約二十九億円というふうに計上されておりますけれども、この学力調査についての目的とその調査方法。それから、これは二〇〇六年度は問題作成システム開発というような、まあいわゆるプレ調査事前のことで二十九億円計上されております。例えば、じゃ二〇〇七年度本格実施をする場合にはどのぐらいの予算が想定されるのかということについて簡単にお答えをお願いします。
  19. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) まず、全国的な学力調査目的及び方法でございますけれども、まず目的でございますけれども、一つには、国が児童生徒学習到達度あるいは理解度把握することによりまして教育施策の成果と課題全国的規模検証をするということがございます。また、地域における教育水準達成状況をきめ細かく適切に把握をすることによりまして、国の責務でございます各地域における一定以上の教育水準を確保するということの検証ができるものと考えております。また、教育委員会学校全国的な状況との関係の中において自らの教育委員会学校状況を知り、その特徴や課題把握をし、指導改善につなげていくということも目的一つとして考えているわけでございます。  実施方法でございますけれども、小学校の六年生の国語と算数、中学校三年生の国語と数学につきまして、平成十九年度の早い時期に実施をする予定でございます。  それから、予算でございますけれども、平成十八年度の予算案におきましては約二十九億円を計上いたしております。この主な内容といたしましては、問題用紙の印刷を含みます問題作成を十八年度に行いますのでそのための経費と、採点、集計システム開発のための経費、それから十八年度に小規模でございますが予備的なこのシステムを使いました調査実施をしたいと、こう考えておりますので、いわゆる予備調査のための経費というものがこの二十九億円の中に含まれているところでございます。  それから、十九年度以降本格的な実施になった場合の必要な予算でございますけれども、これは現時点ではまだ確定をしていないわけでございますが、必要な経費としては、各学校への問題用紙等の発送、回収のための経費、それから採点、集計分析等に係る経費がこの十八年度予算に加えて必要になるというふうに考えているところでございます。
  20. 神本美恵子

    神本美恵子君 そうなると、およそどのくらいになるんですか。およそ倍とかそういうのを全然、もうこの七月にもまた再来年度の概算要求になると思うんですが、その辺の見通しを持ってやらないと、この二十九億円という金額もとても無視できない金額といいますかすごい金額だなと思いますが。分からないですか。
  21. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) これから作ります採点、集計システム開発ともかかわるわけでございますので、今十九年度の見込額、いろいろと試算をしているところでございまして、ただ、やはり今年の予算に比べると倍以上は掛かるかなという感じは持っております。
  22. 神本美恵子

    神本美恵子君 人によってはといいますか、業者さんなんかも今専門家会議、検討会議にいらしているそうですけれども、どこからか百億は掛かるだろうというようなお話も聞こえてくるんですね。  これだけのお金が掛かるこの全国調査の意義についてなんですけれども、例えば愛知県の犬山市などは、この前の報道によると、これは画一的な教育につながるということでテストに参加しない見通しだというふうに報道されておりました。こういう犬山市のように不参加というようなことを言う自治体に対して、これ参加を強制する権限というのは文科省にあるんでしょうか。
  23. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 報道に接しまして、びっくりいたしまして問い合わせをし、確認を取りましたら、全国的な学力調査に不参加の意向を固めたわけではないという一応お答えはいただいておるんですよ。一応、国の責任としては、やはり教育機会均等、水準の維持向上に責任を持っておるということでありますから、すべての都道府県市町村に参加をいただきたいと。これを促していくつもりでございますし、是非参加をしていただきたいというふうに考えております。
  24. 神本美恵子

    神本美恵子君 犬山市、確かに固めるのはそのときになってでしょうけれども、私がお聞きしたかったのは、そういうふうに決定した場合、文科省はそれでも必ず参加せよというふうな権限が法的にあるのかどうかということについてお聞きしたいんですけれども。
  25. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 基本的には設置者でございます市町村教育委員会の判断ということになるわけでございます。  ただ、私どもは、先ほど申し上げましたように、全国的な子供たち学力やあるいは学習意欲、生活の状況ということを把握をし、また各教育委員会学校でも全国との対比におけるそれぞれの教育委員会学校状況把握をし、その後の指導改善に役立てると。また、保護者の方や地域の方に自分たちの学校状況というものをきちんとお伝えをして教育改善を図っていくということが今日必要なわけでございますので、今具体的な実施方法については専門家会議で検討中でございますが、その結論を得まして、それを各都道府県市町村教育委員会に御説明をしっかりいたしまして、学校がすべて参加していただけるように私どもとしては御説明を繰り返し行って理解を求めていきたいというふうに考えているところでございます。
  26. 神本美恵子

    神本美恵子君 だから、強制はできないということは確認していいですね。──はい。  文科省としては参加されるように一生懸命働き掛けるというのは分かりますが、ただ、犬山市はなぜ参加しない見通しだというふうに言っているかというと、今文科省、先ほど目的方法を御説明いただきましたが、その方法では、犬山市がやっている、それこそ文科省が推進してきた地域の特色、教育の特色を出すというようなそういうことでやってきた施策から見れば、自ら学ぶ力というのを力点を置いてきたと、そのことはこのような学力調査、今計画していらっしゃるような学力調査では測定できないというふうに判断していらっしゃるんですね。それから、特色ある教育をやっているけれども、それはそれぞれの地域の目標に応じて総合的に評価されるべきであって、こういう全国一律の、しかも国語、算数、数学だけというようなことでは評価されないということと、それから先ほどの目的の二番目にありましたが、ああ、一番目ですかね、子供たち理解度到達度学習指導要領に照らしてそういうものを把握したいということですけれども、それは私も学校にいた経験がありますけれども、もう毎日の教育実践の中で、授業実践の中で、この子は掛け算、九九が、まだ七の段がいまいちだなというのは毎日教育実践の中で評価しているわけですよね。それが、すべての子が上の学年に上がるときにはすべて到達させたいと思いながら、ああ及ばなかったな、そのことは次の先生に引き継いでいこうというふうにやってるわけですので、この犬山市もそういう視点から今文科省がやろうとしている全国学力調査には参加しない、こういう自治体がほかにも出てくるのは当然だと思いますが。  となると、でもせっかくこれだけ、まあ二十九億からその三倍ぐらい掛かりそうなお金を掛けるんであれば、有効な調査にしなきゃいけないと思うんですね。そうすると、余り今計画している方法にこだわることなく、是非有効な調査にするということを考えていただきたいというふうに思います。  時間がないので次に行きますが、その有効な調査という意味で、今行われようとしているのは小六、中三の全員対象ですね。いわゆる悉皆調査になっていますけれども、この悉皆の必要性というのをお聞きしましたら、学校評価や教職員評価や、それから子供たちに返して子供のつまずきに気付かせるというふうなことでおっしゃっていますけれども、犬山市はそれが要らないというふうに言ってるんですよね。ですから、悉皆調査はやめるべきだと思いますけれども、それについては、今すぐそういう答えは言えないでしょうね。まあそれはちょっと意見として言っておきます。  で、この調査項目の中に、私の方にも御要望いただいているんですが、調査内容やその分析ということで重要な問題が指摘されております。  それは、PISA調査でも二〇〇三年に行われたということなんですが、子供たち学力というものの規定要因の一つに、重要な要素として、家庭環境家庭の文化的な、あるいは経済的、社会的な背景が、家庭階層といいますか、そういうものが学力を規定する要因の一つとしてあるのではないかと。これは、そのPISA調査では、例えば親の職業や家庭のクラシックな文化的所有物、そういうものが得点を上げる効果が大きいというふうに指摘をされております。  これは専門家検討会議の中でもそういう指摘があったというふうに聞いておりますけれども、調査をするならば悉皆ではなくてこのような規定要因もきちっと分析できるような調査内容にすべきだと思いますけれども、それについてはいかがでしょうか。
  27. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 全国的な学力調査について、いろいろな観点から今神本先生からお話がございました。私どもは、全国的な学力調査のみをもって子供たち学力を図ろうとかそういうことではなくて、これは一つ全国共通の基盤の上に立った調査でございますので、その調査を踏まえて、様々な観点からそれぞれの学校教育委員会教育改善を図っていくための資料にしていただきたいという気持ちで今調査方法内容を詰めているところでございます。  地域が自主性、自律性を持って特色ある教育活動を展開をするということはこれは当然必要なことでございまして、ただ、全国的に共通に教育水準維持向上ということも求められているのも事実でございますし、その状況について各保護者地域に各学校がやっぱりお知らせをするということもこれもまた重要なことでございますので、そのバランスをよく取っていく必要があるというふうに考えております。  それから、PISAの調査では、家庭経済状況等と子供の言わば学力等との相関についての調査をいたしているわけでございます。先生お話ございましたように、家庭学習リソースあるいは家庭におけるクラシックな文化的な所有物、保護者教育的な背景、家庭の社会・経済的な背景というものと学力関係の強さについて、OECDのPISA調査では各国ごとに状況を報告をいたしております。  これを見ますと、OECDの平均が、その関係の強さということでいいますと、全体で二〇・三ポイントなんでございますけれども、日本は一一・六ポイントということで、OECD平均よりも影響が小さいということが結果としては出ているわけでございます。  なお、今回の全国的な学力調査におきましても、子供たち学習意欲でございますとか生活状況とか、あるいはいろいろな教育条件、こういったようなことについても調査をいたしまして、そういうものと教育活動あるいは学力、そういったことの関連ということも把握をしていきたいというふうに思っているところでございます。
  28. 神本美恵子

    神本美恵子君 悉皆にやっぱりこだわっていらっしゃるような御答弁でしたけれども、例えばフィンランド、PISA調査でトップ成績を収めているフィンランドなどでは、この全国テストをやっぱりやってはいるんですね。ところが、やっているその目的というのが、日本でいえば学習指導要領、これは適切であったかどうかという、教育施策の成果と課題検証するという目的、これは文科省の今回のにもあると思うんですが。それからもう一つ、今教育条件とおっしゃいました。教育資源が正しく配分されているかという、それから教育条件が十分であったかという、そういうことを評価するものであって、子供や教員を評価する、このことについては非常に大きな懸念があるということで、それはやらないというふうに聞いております。ですから、全国調査はテスト形式でやるものは五%から一〇%の抽出方式でやっているというふうに調べたところ分かったんですけれども。  悉皆でやることの問題については、日本もこれまで、過去、学テというのがありまして、学力テストがあって、途中で中止せざるを得なくなったのは、この悉皆でやったために過度な競争や、それからテストのための準備授業になってしまうというような、それから低得点しか取れない子供学校に対して過度なストレス、プレッシャーを与えてしまって、教育そのものがゆがんでいったという経験の中であれは中止に追い込まれたと思うんですね。  そのことは今もイギリスで、文科省はどうもイギリスを参考にされているようですけれども、イギリスでもそのことはもう一杯指摘されていて、イギリスの教員組合もこれに対してははっきりと反対を表明して、ウェールズ州はもうこれから離脱を発表しているというふうにも聞いております。  そういう過去の教訓やイギリスでのもう明らかな問題について、そういうのを教訓としないでこだわろうとするその気持ちが分からないんですが、そのことは是非、検討会議の結論も出るでしょうが、それを踏まえるだけでなくて、是非検討し直していただきたいというふうに思います。  時間がないんでもう一つ、先ほど言いました、もしやるとすれば、そういう学力の背景をきちっと調査する。それは悉皆でなくていいですし、全国今、教育課程実施状況調査というのをやられていますよね。これは国際的にも大変評価が高いというふうに聞いています。  ただ、この学力というのが、学習指導要領で規定している学力が本当にこれからの二十一世紀を生きていく子供たち学力として妥当なものであるかという、そういうものを研究して、今やっている調査をもう少し深化、研究して、それに更にそういう背景的なものも質問用紙の中に入れられないかということを是非前向きに検討していただきたいんですけれども、それについて最後お伺いして、大臣、是非そういう調査にしていただきたいということをお答えいただきたいと思います。
  29. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 委員から各種の御指摘がございました。  全国学力調査に関しましては、ゆとり教育に対するいろいろな御意見、またPISAの調査に現れている読解力及び理数系の学力の低下という指摘、こういったものを踏まえながら、現状がどこにあるのかということをしっかり把握する意味で、是非とも実施させていただきたいと、こう考えております。  その実施当たりましては、専門家による検討会議を設けてそこで検討していただいておりますけれども、単にその検討結果を踏まえて実施するだけでなく、中央教育審議会における答申の意向、そしてまたこの検討会議の結論、それから市町村等の意見を十分に聞いて、そしてそういった上で、今御指摘のありましたいわゆる弊害と言われるようなものの除去に努めて、この確実な実施と、そして悉皆調査によるいわゆる御指摘のあったような単なる個別の競争を起こすような、過度の競争に入るような、そういった弊害が生じないような方法を講じて、公表等についても十分に配慮して、そういった点を配慮した上で公表の方式等も考えて、各市町村学校現場の皆さんの理解が十分に得られるような方法を模索してまいりたい、その上での実施を心掛けたいと思っております。
  30. 神本美恵子

    神本美恵子君 もう時間になりましたけれども、悉皆でやると公表の仕方をどんなに工夫してもそういう弊害が出てくるということは、これはもう過去の教訓ですから、是非そこは強い認識を持っていただきたい。イギリスの例ももう少し研究していただきたいというふうに思います。  それから最後に、私が要望しております家庭階層の問題、学力を規定する要因については是非とも悉皆ではない調査の中で入れていただきたいという要望を強く申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  31. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 民主党の水岡俊一でございます。神本委員に続いて質問させていただきます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  時間に余裕がございませんので、早速質問に入らせていただきます。  小坂文部科学大臣、当委員会で所信表明をいただきました。その中で大臣は、外国人児童生徒教育においては日本教育を始めとして充実を図りますと、こういうふうにおっしゃられました。  まず、大臣御自身の外国人児童生徒教育に対するお考え、それから日本教育のほかにどのような充実策を講じようとされているのかということについてお聞かせをいただきたいと思います。
  32. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 水岡委員の外国人児童生徒教育に着眼をしていただいていることは大変有り難いことだと思っております。私も海外駐在経験等を踏まえますと、やはり親はその赴任地においてどのような教育子供に受けさせられるかということは大変に重大な関心事でございます。  これからの日本が海外の研究者やあるいは留学生を大幅に受け入れて、そういった海外の皆さんの力もやはりかりながら、日本の科学技術の振興、そしてまた国全体の安定的な発展をこういった中で実現していくことが非常に重要な時代になってきたと認識をいたしております。そういった意味で、日本に来られる外国人の皆さんが子女の教育に対して不安を抱かれるのは当然でございますので、私どもとしては、親の状況によってもたらされる環境変化子供対応しやすいように、日本においてこれから外国人に対しての日本教育、また日本教育環境になじめるような支援というものは十分に配慮をしなきゃいけないと、このように基本的に考えております。  そういった上で、在籍する外国人児童生徒が今児童数は七万人おると言われておりまして、このうち日本語の指導が必要な外国人生徒は約二万人在籍していると、そのように言われております。その数字は今後増加傾向になるだろうと、こうも言われておるわけでございます。そういった意味で、我が国への義務教育就学義務そのものはこういった児童にはありませんけれども、公立の義務教育学校への就学希望される場合には、該当する国際規約を踏まえまして、日本人児童と同様に無償で受け入れ、そして教育を受ける機会を保障する必要があると、このように考えているところでございます。
  33. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 ありがとうございます。大臣から積極的に、条約のお話もいただきながら、国際人権規約あるいは子どもの権利条約、そういったことの中で保障されている外国人児童の教育を保障していきたいというお考えをいただきまして、本当に力強く感じているところであります。  そこで、現状をもう一度見てみたいと思うんですが、二〇〇四年十二月末で外国人登録者数というのは約二百万人になっております。十年前と比べてみますと四五%増加をしている。総人口に占める割合も一・五五%という数字が出ております。そして、出身国はどれぐらいあるかと調べますと、百八十八か国といいます。つまり、国連に加盟をしている国が百九十一と聞いておりますので、世界じゅうのほとんどの国から子供たちが、労働者がやってきていると、こういうことになるわけですね。  そういった意味からすると、正に多民族あるいは多文化の社会になっているというふうに思いますが、そういったそれぞれの国の人たちの数をとらえてみますと非常に少数でありますので、まあマイノリティーという言い方が当たっているのかというふうに思いますが、その民族的マイノリティーにとってみて、この日本の社会というのは住みやすい社会であるのか、あるいはその子供たちにとっては通う学校が楽しくて学習のしやすい学校になっているのかということについては、大臣いかがお考えでしょうか。お願いいたします。
  34. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 御指摘のような外国人児童生徒に対しては、学校の生活面や学習面での指導において特段の配慮が必要と考えておりますが、そのための教師用の指導資料や会議の場において外国人児童生徒が温かく受け入れられる配慮がなされるように指導も行っているところでございまして、今御指摘のマイノリティーという形でいいますと、マイノリティーの皆さんの言語は多様でございますが、その言語に特化した指導員の養成というのは、今の現状ではなかなか対応しがたい部分がございます。  それはまた逆に言えば、学校教員に対する過重な負担にそういったことを急激に行いますとなることも考えられますので、そういった意味では、可能な面においてまず取組を強化していくということが必要だと考えておりまして、外国人児童生徒日本指導対応した教員の配置という点におきまして、例えば平成十七年度では積算で九百八十五人これに配置をいたしております。また、学校教育におけるジャパニーズ・アズ・ア・セカンド・ランゲージ、JSLと略しておりますが、このカリキュラムの開発、第二言語としての指導方法の開発等も十八年度予算で組み込んでおります。また、これはもう以前から始めていることなんでございますが、十八年度においても千二百万円予算を確保してこれに当たるようにしております。  また、母国語を用いた帰国・外国人児童生徒支援に関する調査研究、外国で学ばれた帰国子女、またいらっしゃった外国人の生徒に対するこういった教育の仕組みにつきましても十六年度より実施をいたしておりまして、十七年度で一応の調査を完了いたしておりますが、こういった調査を踏まえて更なる指導方法の開発等を行う等、今後とも努力をしてまいりたいと存じます。
  35. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 今大臣の方からのお話をいただきまして、文科省として様々な事業を行っていただいている。次年度の予算案においても新規の事業を計画をいただいているわけでありますが、そこで一つ、現在の外国人児童生徒就学状況ということについて少し御説明をいただきたいというふうに思っております。  全体の数というお話は先ほどいただいたところですが、その子供たち就学状況はいかがになっているか。それから、今大臣お話にもありました不就学外国人児童生徒支援事業というのが行われて、それが十七年度末、中間報告をすると、こういうお話をいただいているところでありますが、それについて簡単に御説明をいただきたいと思います。
  36. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) まず、外国人児童生徒就学状況でございますけれども、先ほど大臣からもお話がございましたが、国公私立の小中高等学校、盲・聾・養護学校、中等教育学校に在籍をしている子供の数は七万五千四百七十六人でございます。そのうち公立学校に在籍をする外国人児童生徒は六万九千八百二十四人という数でございます。なお、学校種別の内訳を言いますとやはり小学校が多くて、概数で申し上げますと、小学校が約四万二千人、中学校が二万人、高等学校が約一万二千人といった状況になっております。  一方、外国人の児童生徒は、こういう我が国の学校で学ぶほかに、外国人学校とかインターナショナルスクールなど様々な場で学んでいるところでございますけれども、いずれの学校にも現在就学をしていない不就学児童生徒もいるという問題もございます。なかなかこの実態というのを把握するのは難しい状況もあるわけでございますけれども、文部科学省としては、先ほど先生からお話がございましたように、平成十七年度から、外国人児童生徒で不就学子供たちに対して、その実態把握と要因分析、あるいは就学支援の実践研究を行います不就学外国人児童生徒支援事業というものを実施をしているところでございます。  これは十七年度、十八年度の二年間で今実施をしているわけでございますけれども、この地域指定を受けました地域におきましては、その外国人の方で義務教育年齢の段階の児童生徒のいる家庭を対象とした聞き取り調査、これを実施をし、どういうことで不就学に今なっているのか、同時に、学校教育に関連する情報や通知をその御家庭にお届けをし就学案内をして、就学支援のための取組を行うといったようなことを今実施をしていただいているところでございます。  今、十七年度分の中間報告書を出してくださいということで指定された十二地域にお願いをしているところでございますが、中間報告書がまた提出され次第、私どもとしても内容を更に詳しく整理をして分析をしていきたいと思っているところでございます。
  37. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 外国人児童生徒、特に小学校、中学校義務教育段階の子供たちが一体何人いるのかということについて、なかなか精査をすることは難しいという実態もあるというふうに思います。更に難しいのは、学校というところに行っているのか行っていないのか、これも調べるのは非常に難しいということは私もいろいろこれまでの経験の中で感じてきたところでありますが。  そこで、今局長の方から七万五千人と六万九千人というお話が若干ございました。そういった意味でいくと約一割ぐらいかなというふうに見る向きもあるんですが、実はこの外国人の児童生徒の不就学問題については地方公共団体の方が非常に危機感を抱いている。特に長野県では、調査実施されて推計の結果として出ておりますけれども、二〇〇五年で不就学、つまり学校に行っていない子供たちが約二割いるんじゃないかと、こういうお話なんですね。  各都道府県調査をやられているんではないかというふうに思いますが、その辺り、文科省としては把握をしておられますか。お願いします。
  38. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) やっぱり外国人児童生徒の不就学という問題は非常に私どもも大きな課題だと思っております。  これまで各地方自治体で実施をされました調査としては、例えば岐阜県の可児市、それから美濃加茂市、大垣市、それから静岡県の浜松市、群馬県の大泉町などで行われているというふうに承知をいたしております。  それで、これ非常に難しいのは、外国人登録をしている方の数と実際の我が国の学校への就学者数の差という簡単な調査というのはこれはあると思うんですけれども、こういう市では実際にいろいろと聞き取り調査などもやっているところございまして、例えば一つ例を申し上げますと、群馬県の大泉町の場合でございますけれども、平成十五年の調査では、子供たちのうち、日本学校に通っている子供、公立学校に通っている子供が約五割、それから私学とか、ブラジルの方が多いわけでございますが、ブラジル関係学校に通っているような方が二五%ぐらい、それから転出又は帰国をしてちょっと居所がよく分からない方というのもいらっしゃいましたし、それからいわゆる不就学ではないかというふうに見られる子供も四%ぐらいいたといったような調査結果が出ているところでございます。
  39. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 現在のところ全国的な調査が行われていないという状況があるわけですが、この問題については、二〇〇七年では今の段階でよく分からないと言っていられると思いますが、これ二〇一〇年を超え出すと分からない状態にある子供たち学校を卒業する年齢になるということで非常に人口も増えるということも予想される、非常に難しい問題を抱えることに僕はなってくると思うんですね。  そういった意味では全国的な調査が非常に重要になってくるというふうに思いますが、実は総務省の方からこういうようなものが出ておりまして、外国人児童生徒等の教育に関する行政評価・監視結果報告書というのがございます。この中を少し読んでみますと、要は書いてある中の一つに、学校に在籍をしていない学齢相当な外国人子女は相当数になると見られると、こういうことが非常に明確に書いてあるんですね。  これらについて、文科省としてはこの指摘をどのようにとらえられたのか、またこれから全国調査、こういったことについてどういうふうにお考えいただいているのか、これまでどうしてそれができなかったのか、こういった辺りについてちょっとお伺いをしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  40. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 外国人のお子さん、児童生徒日本人の児童生徒と同じように、学齢期になれば設置者である市町村の方に申入れをして学校に行かせるという形になる、これは当たり前のことでありますけれども、基本的には転出とか転入の把握が非常に十分できない状況にあるという実態がございました。そういったことからも、平成十七年、十八年度とこういった全国十四地域で、外国人労働者が多いと言われている地域実態調査を進めているということであります。  そういうことも踏まえて、今後は法務省とか、実際には外国人労働者がいらっしゃるということを考えると、厚生労働省とも連携して、職場にそういう方が来られたら、あなたのお子さんで学齢期の児童生徒がいらっしゃったら、窓口はこうですから、どうぞ就学させるような手続を取っていただきたいと、こういうふうな案内、当然そうなると日本語で案内するというわけにいかないわけですから、それぞれの母国語に応じて案内ができるように推進していくのが、うまく連携を取りながら進めていくのが我が省としての務めであると考えております。
  41. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 馳副大臣全国調査については何かお考えございませんか。
  42. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 外国人の子供就学状況全国調査というお尋ねでございますが、これまで外国人の多い地域を指定をして外国人児童生徒就学状況や支援策について文部科学省としてはいろいろ調査研究事業を行ってきたところでございます。  全体的な把握につきましては、転出等の状況把握が困難であるといったようなことから、これまで全国的な把握という意味では行われていない状況にございました。そこで、先ほどから申し上げております十七年度から実施をしております不就学外国人児童生徒支援事業、これらを通じまして、不就学の要因分析や個々の事情に即した就学支援の在り方について今実践研究を行っているところでございます。  こういった成果も踏まえながら、また副大臣の方からお話がございました関係省庁との連携も深めながら、外国人児童生徒就学状況をどう把握をし、またどう就学機会を確保していくのか、この点について私ども更に検討を進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  43. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 大臣それから副大臣ともに、外国人の児童生徒であっても日本義務教育を受けさせるべきだと、こういうお考えをいただいて非常に安心をしているところですが、現実的には、日本の国籍がある子供日本の国籍がない子供の間に大きな違いが出ているということが懸念される点ですね。  今、副大臣お話もありましたように、厚生労働省も非常にこの件については関心を持っていただいているというふうに思うんですね。特に、厚生労働科学研究として平成十六年三月に多民族文化社会における母子の健康に関する研究、こういうようなものも厚生労働省から出ております。  こういった中で何が書いてあるかというと、少し見ますと、人の国際化社会が到来し、他民族及び多文化共生社会と考えるべき時期が来ている、今後我が国を支える在日外国人の数は増え、彼らの生活の質の向上が我が国の繁栄にもつながると考えられると、こういうふうにしっかりと述べられているわけですが、そこで、厚生労働省の方においでをいただいておりますので、こういう多民族文化社会あるいは多文化共生社会、こういったことを迎えている中で、厚生労働省として外国人の子供たちに対するいろんな対策についてお考えがございましたら、お聞かせをいただきたいと思います。
  44. 白石順一

    政府参考人(白石順一君) お尋ねの厚生科学研究等々も参考にいたしまして厚生労働省ではいろいろ対応を取っておるところでございますが、児童福祉法では、すべての児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならないという規定がございまして、こうした観点から、我が国の子供の福祉サービスにつきましては、法律に基づき入国をいたしました外国人の子供さんは日本人と同様のサービスを受けるということができるようになっております。例えば保育所の入所であるとか、あるいはいろいろな児童福祉施設ございますが、児童福祉施設の最低基準におきましては、入所している者の国籍、信条、社会的身分又は入所に要する費用の負担の有無によって差別的取扱いをしてはならないということになっておりまして、その形で対応をさせていただいております。
  45. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 ありがとうございました。厚生労働省としては国籍のあるなしにかかわらず差別はしないと、こういう考え方をいただいているというふうに私も理解をさせていただきたいと思います。  そこで、話戻りまして、それでは、外国人児童生徒が実際に学校に行くことになるときどういう手続が行われるかということが一つ問題になってくると思うんですね。要は、日本国籍がある人たちは住民基本台帳というものがありますから、その住民基本台帳に基づいて就学通知が参ります。そして、外国人児童生徒の場合は就学案内というのが行くと、こういったことはよく知られていることでありますが、その就学案内というのはずっと昔からあったかというと、実はそうではないんですね。一九八〇年代以前はそういった就学案内もなかったというのが現実だというふうに私はとらえていますが、その辺り、戦後の通知、通達の中でこういったことについてどのような取扱いをしてきたのか、またなぜそのようになってきたのかということについて大臣の方からお聞かせをいただいたら有り難いと思うんですが。
  46. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 経緯でございますので、私の方から御説明させていただきたいと存じます。  日本に外国人登録をされている外国人の子供さんでいわゆる学齢期に達した子供につきましては、現在就学案内の送付というものを行っております。  これは、先生お話しのように、一九九一年の日韓外相覚書交換に伴う教育通知に基づきまして、在日韓国人の方はもとより、それ以外の外国人の方にも就学案内というものを出すということになったわけでございます。それ以前は、まあ一部の市町村において就学案内を発給していたというようなことはあったようでございますけれども、全員の方にこの案内を出すというのは比較的、この一九九一年以降の話であるというふうに思っております。  これは、公立の義務教育学校への入学年齢に達した外国人の児童生徒がその機会を逸することがないように、保護者に対しまして入学に関する事項を記載した案内を発給をするということでございまして、私どもといたしましては、市町村教育委員会におきまして適切に就学案内が発給されるように今指導しているところでございます。  また、そのために必要な各国語日本語を対比をいたしました就学ガイドブックというものを文部科学省としても作成をして、各教育委員会の方に送付をしているところでございます。今、これは七か国語、七つの国の言葉ですね、ポルトガル語とか中国語とか、そういう就学ガイドブックを文部省としては作って各市町村に送っているという状況でございます。
  47. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 今お話をいただいた日韓外相覚書交換、これを機に在日韓国・朝鮮人の方々にも非常にきちっとした形で案内が行くようになったということでとらえておりますが、それ以前についてはやはり、資料をひもときますと、やはり文科省から、当時文部省からの通知、通達の中にはかなり差別的な扱いが記されているということが読んで取れるというふうに思うわけですね。  例えば、一九五三年、昭和二十八年の四月十一日に非合法居住外国人の就学防止についてというような通知が出ておりまして、非常に厳しい言い方をしているんですね。  その中で問題になっているのは、少し紹介をしますが、外国人の入学を許可する場合、学校当局等において本人の所持する外国人登録証明書の閲覧を条件とすることは、当該外国人の国籍、居住等を証明する最も重要な憑拠であることから、何ら支障がないものと思料しますと、こういうふうに書いてありまして、つまりどういうことを言っているかというと、就学手続をするときに外国人登録証明書を見せなさいという手続を行っているわけですね。これは、法律に基づくとそんなことはできないよということがあるから、市町村教育委員会からこれはどうしたらいいんですかという問い合わせがあった。その答えが、実際、決まり上はできないんだけれども、学校としては入学を許可するか許可しないかという権限を持っている側だから何ら問題ないじゃないか、要するに見せろと言えばいいじゃないかと、こういうような取扱いがされたという過去の経緯が私はあるんだというふうに思うんですね。  ここで問題なのは、もう一回確認をしてみたいんですが、外国人登録法の第十三条二項は証明書の提示を求めることができる権限を入国審査官あるいは警察官、海上保安庁職員その他法務省令で定める公務員に限っている、こういうのが正しい理解だというふうに思いますが、これについて法務省からちょっとお答えをいただきたいんですが、教育委員会の事務局の職員はこういった権限を持っているんでしょうか。お願いをいたします。
  48. 稲見敏夫

    政府参考人(稲見敏夫君) お答えいたします。  登録証明書の提示を求めることができる職員につきましては、外国人登録法は、委員指摘のとおり、入国審査官、入国警備官、警察官、海上保安官、法務省令で定める国又は地方公共団体の職員と規定しております。これを受けまして、省令でございます外国人登録法施行規則で、外国人登録事務に従事する職員、麻薬取締官、公安調査官、公共職業安定所の職員と規定しております。このように、登録証明書の提示を要求できる者につきましては法令上限定列挙さしていただいておりますので、委員御質問の教育委員会の職員につきましてはこれに含まれておりません。
  49. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 ありがとうございます。明確なお答えをいただきました。  そこで、文科省にお尋ねをしたいんですが、子供たち学校に入学をしたいという手続をするときに、教育委員会が許可をするという立場ですね。教育委員会は許可をするという立場の中において、一定の要件を満たす場合に許可をするというふうにとらえていいと思うんですね。じゃ、この一定の要件というのはどういうことなんでしょうか。お願いをいたします。
  50. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 例えば、その町に転入をしてまいりました外国人の方が自分の子供を小学校に入れたいということで教育委員会の方に来るわけでございますけれども、そのときに、一定の要件というのもちょっときつい言い方かもしれませんけれども、あなたここの町にお住まいになっていますかというのを普通に聞くことになると思うんですね。それから、どちらの国の方ですかといったようなことで、入学を希望する子供保護者である方の国籍や住所といいましょうか居住といいましょうか、そういうものが確認をするということが、通常、要件というふうに考えられるのかなというふうに思っております。
  51. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 先ほど私述べましたように、かつて差別的な扱いがあったということを申し上げたところでありますが、今、一定の要件の中で、明確に申し上げると、外国人登録証明書の提示を求めているかどうか、この件についてはどうでしょう。
  52. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 外国人の方が、自分はここに住んでいる何々国の者であるということで、自ら外国人登録証を提示をして、それを教育委員会の方が見てなるほどというようなことは、それは当然あることだと思っております。  ただ、先ほど申し上げましたように、外国人児童生徒就学につきましては、当該外国人の児童生徒就学希望した場合は、日本人の児童生徒と同様に市町村がその区域内にある学齢児童を就学させるということになっているわけでございますから、当該外国人の国籍、居住等の確認が取れればそれは入学を認めることが可能でございますので、外国人登録証の提示ということがない場合、他の方法において確認をするということができれば外国人児童生徒の入学を認めることは可能であるというふうに考えております。
  53. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 非常に慎重におっしゃっていただいたんではないかというふうに私は思いますが、要は、法務省からのお答えもあったとおり、教育委員会事務局にはそういった権限は一切ないというのが実情でありますから、自らの提示というような言い方がありましたけれども、やはりこの線はしっかりと引いていかなきゃいけないと思うんですね。ですから、就学手続に外国人登録証明書の提示を求めるということはしてはならないというふうに是非おっしゃっていただきたい、こういうふうに思うわけですが。  そこで、一つ、私なりの思いを申し上げると、なぜ私がここにこだわるか。先ほど、外国人の登録が正確ではない、人数把握が正確ではない、その理由は転居であるとか不明であるとかいろいろある。もっと言えば、不法滞在者がいるわけですね。不法就労者がいるわけです。非常にたくさんになっているというふうに皆さんももう御理解いただけるんではないかと思うんですね。  だから、子供学校の手続のために外国人登録証明書を出しなさいと言われたら、不法滞在をしている親は行きませんよね。絶対行きません、これは。公務員の通報義務がありますから、そこで通報されたら、不法滞在者として逮捕されて本国送還になってしまう。そういった部分が現実的にあるわけですよね。だから、子供たちが、学校に行きたくても行けない子供たちがどんどんどんどん増えてくるんですよ。それが不就学問題としてこれから大きく大きくとらえなきゃいけない問題となってくると私は理解をしているんですが、その辺りを、大臣、お考えをいただきたいと思いますが。
  54. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 極めてセンシティブな私課題だと思っています。  まず、この通知の問題に関しましては、ちょっと検討させていただきます、表現ぶりも含めましてですね。これは検討すべきものであるというふうな認識は持っております。  それから、やはり、ところが不法滞在者、入国者、これは法務省の方でしっかりと管理をしていただくというのが前提になってくるのですが、基本的にはそのお子さん方の就学ということに関しましては、これは外国人登録証明書の閲覧、これは条件というふうな書き方になっておりましたけれども、これは、先ほども政府委員として申しましたけれども、公共料金入金証明書などのそういったものでできるようにすべきではないかというふうな認識は持っております。  ただ、それと不法滞在者のお子さんが就学できないという問題はちょっと混同されているような私も気がしますので、これこそ、これこそ法務省と厚生労働省と我々文部科学省で十分な検討をして対応しなければいけない課題であるというふうに、そういう認識を持って臨みたいと思います。
  55. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 確かに不法滞在という問題は重要な問題でありますから、それに目をつぶってどうこうしろということでは私はないんです。ただ、子供には責任がないんですね。子供には責任がない。その子供たちが、これからの成長を見守る中で、是非学校に行かせてやってやりたい、こういうふうに皆さんも思っていただけるんではないかと、こういうふうに思うんですね。  ですから、各国際条約あるいは子どもの権利条約から見ても、子供教育を受ける権利を是非とも認めていく、保障していくということの観点でこれからの取組を是非お願いをしたいと、こういうふうに思っております。  さて、時間もございませんが、実際にじゃ学校に行った、学校子供たちを受け入れた、これは大変な状況に陥るんです。私も学校で教員をしていた経験もありますので、そういった意味からすると、ある日突然ですよ、ある日突然自分のクラスに二名ないし三名の自分の全く知らない言語を話す子供たちがやってくる。突然やってくるんですよ。そうすると教員は全くお手上げ状態。どうしてかというと、トイレはどこだとか時間割がこうなっているよとか、あるいは下校はどうしてするんだとか、そういったことを説明する手段が何もないんですよね。これ幾ら日本語でやっても通じないんですよ。そして、困ったことに、その親と連絡を取ろうとしても、親も日本語ができないという実態もあるわけですね。  こういった中でどういうふうに対処するのか。それはもちろん十分なる人員配置をお願いしたいと、こういうふうに思うんですが、まずは教育委員会と、あるいは学校にソーシャルケースワーカーというような形で配置をいただくということは一つの大きなアイデアではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  56. 有村治子

    大臣政務官有村治子君) 現場の経験に裏打ちされた御質問、敬意を持って拝聴いたしました。  御質問にありましたスクールソーシャルワーカーの機能は、おおむね各人が尊重されて持てる力を十分に発揮することができるよう支援する役割を担ったものというふうに理解しております。外国人児童生徒については、日本社会や日本学校への円滑な適応を図る観点から、学校生活や学習面での指導において特段の配慮が必要だと私も感じます。  このため、文部科学省では、平成十八年予算案について、母語の分かる指導協力者やコーディネーター、専門的なコーディネーターを配置するモデル事業の予算を計上しております。このモデル事業においてその効果性を検証することとしております母語の分かる指導協力者やコーディネーターが、正に水岡先生のおっしゃった外国人児童生徒に対するスクールソーシャルワーカーのような機能を担っていただけるものと把握しております。
  57. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 ありがとうございます。  母国語理解できる教員配置というのは非常に早急に求められている課題だと思うんです。  二〇〇三年五月、千葉県のある小学校で五年生の女の子が校舎から落ちて大けがをしました。これは、この五年生の子供の親がほとんど日本語が理解できないという状況下にあって、担任が提出物のことを要求をしたと、ところがやっぱり親も理解できない、で、子供は持っていけない、そういった中で非常にもう悩んでしまって飛び降りてしまったというようなことでないかと私は思うわけですね。  こういったことについて、各地方公共団体は厳しい状況の中でいろいろ頭をひねっています。例えば神戸市なんかでは、十八言語、百八十人を超えるボランティアの方々を登録をしたりして、突然やってきた子供たち対応する施策を一生懸命やっています。そういったことを全国的に是非とも展開ができるような御配慮を文科省にはお願いをしたいというふうに思うんですが、最後に大臣に是非お答えをいただきたいと思っております。  外国人の子供をめぐる不就学問題は、これは就学の要件をどうするのかというそういう問題から、やはり子供教育を受ける権利を保障するという論点から少し視点を変えて取組を新たに展開をしていくと、こういうことが必要だというふうに思うんですが、大臣のお考えをいただきたいと思います。
  58. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 委員指摘のように、外国人の子弟でありましても、国際人権規約、そしてまた児童の権利に関する条約等を踏まえまして、日本人と同一の教育を受ける機会を保障すべきだと、こう考えております。  総括的に申し上げますと、外国人児童生徒が公立の義務教育学校就学希望する場合には、これらの条約、規約を踏まえて、無償で受け入れ、そして就学機会を保障するということにしておりますけれども、一方、憲法及び教育基本法は、国民はその保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負うというふうに規定しておることから、義務教育を受けさせる義務は我が国の国籍を有する者に課せられていると考えるべきでございます。したがって、学校教育法に基づく保護者就学義務は外国人には基本的には及ばないと解されております。これは、我が国における義務教育が一人一人の人格形成とともに国家社会の形成者の育成という役割を担うものであるために、外国人に対して日本人と同様の就学を義務付けることは適当ではないと考えられているからでございます。  しかしながら、今御指摘がありましたように、また先ほど最初に申し上げましたように、日本人と同一の機会を保障するということが非常に重要だと考えておりますので、私ども文部科学省としても、就学機会を、先ほど御指摘のありました外人登録等の登録証の提示を求めるという単一的な方法でなく、それが居住しているということが証明されれば積極的に受け入れるような、そういう指導も行ってきているところでございます。  また同時に、この権利が行使できるように、就学ガイドブック、先ほど局長の方から説明しましたように、七種類の言語で作成をいたしておりますが、その他マイノリティーの皆さんに対しての言語も対応できるように市町村努力もまたお願いをするということも考えますし、また不就学の外国人児童生徒の支援事業ということに対しても、今後とも充実を図ってまいりたいと考えております。
  59. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 委員長、一言だけ。  大臣、ドイツ、フランス、アメリカ、先進国どの国も国籍のあるなしにかかわらず子供学習を受ける権利を保障しておりますので、是非とも日本もこれからそういった方向で積極的に取り組んでいただきたい。お願いいたします。  終わります。
  60. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時三十五分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  61. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部科学省所管についての審査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  62. 浮島とも子

    浮島とも子君 公明党の浮島とも子です。よろしくお願いいたします。  本日は主に文化芸術の振興についてお伺いをさせていただきたいと思います。  まず初めに、「人材こそ国の宝であり、教育はこの国の将来を左右する国政上の重要課題であります。」と大臣の所信にもございましたように、私もこれからは、物やお金ばかりではなく、人に光を当てていく、人に投資をしていく、人を育てていくことがいかに重要かということを常に考えております。  そんな観点から、昨年夏、夏休みが終わった後、たくさんの子供たちに、この夏休み何をして遊んでいたと聞きました。そしたら、たくさんの子供たちが、パソコンあるいはテレビゲームをして遊んでいたという答えが多く返ってございました。私は、これからIT社会が進めば進むほどこの機械でのやり取り、便利なことはどんどん進めればいいと思います。でも、小さいときからパソコンやゲームなど好きなときにスイッチを入れて、また自分が飽きたり嫌になったらスイッチ一つでその世界からいなくなるというのもどうかなということを考えております。  そんな観点から、子供たちに言葉にも温度があるということを伝えていくことがとても大切なことだと考えております。そんな観点から、文化芸術は子供たちにとってとても大切だと思うのでございますけれども、この言葉に温度がある。  例えば、パソコンで子供たちがだれかに「ありがとう」、たった五文字です。ありがとう、この五文字をパソコン、機械に打ち込んで送信します。でも、受けた側はその画面を見て、その「ありがとう」、文字しか目には入りません。その温度というのは伝わりません。でも、同じありがとうでも、何かとてもすごい、自分にしていただいて本当に心から、その方の目を見ながら「ありがとう」と伝える本当のありがとう。それか、あるいは何かちょっとしてもらって、「あっ、ありがとう」、何気なく言うありがとう。あるいはまた、この人余り好きじゃないんだけれども、何かしてもらっちゃったから、ああ、お礼言わなきゃいけないな、何かこう、嫌々ではないんですけれども、「あっ、ありがとう」という、このたった五文字のありがとうにも温度があるんだよ、言葉には温度があるということを子供たちに伝えていかなければならないと考えております。そんな観点から、小さいときから本物を見て聞いて触れる、この文化芸術の振興は極めて重要かつ必要であると考えます。  そこでまず、文化芸術の振興に関する基本的な方針について、諸情勢の変化等も踏まえ、本年に適切な見直しを行いますと大臣の所信にもございましたけれども、この審議のスケジュール、そしてどのような方向で審議を進めていくのかについて大臣にお伺いをさせていただきます。
  63. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 浮島委員が今言葉には温度があるとおっしゃいました。いい言葉だと思います。情熱とかあるいは熱意と言われるように、感情にやはり熱がこもっているかどうかということが人に訴える力を持つんだと思いますから、御指摘のとおりだなと感じて聞いておりました。  文化芸術の振興に関する基本的な方針は、文化芸術振興基本法に基づきまして、文化芸術の振興に関する施策の総合的な推進を図るために平成十四年十二月に閣議決定されたものでございますが、同方針はおおむね五年間を見通して定められておりまして、また諸情勢の変化や施策の効果に関する評価等を踏まえまして柔軟かつ適切に見直しを行うこととされていることから、本年二月、文化審議会に対して基本的な方針見直しについて諮問を行ったところでございます。すなわち、平成十九年度からの第二次基本方針実施するためには平成十八年度中に基本方針策定する必要があると考えたからでございます。  現在、文化審議会の文化政策部会において年内の取りまとめを目途に審議をいただいております。この審議におきましては、次のような点に留意をしていただくようお願いを申し上げました。子供たちの文化芸術活動の充実の方策について、また地域文化の振興方策と、その中において教育、観光との連携について、また民間の文化芸術支援活動の充実の方策について、さらには文化芸術による国際交流の推進の方策について等々でございます。文化芸術の振興における国の役割や今後重視すべき方向など、幅広い観点からこれらを踏まえて御論議をいただきたい、御審議いただきたいと考えております。  今後とも浮島委員の御指導をお願いしたいと思います。
  64. 浮島とも子

    浮島とも子君 ありがとうございます。  次に、文化予算についてお伺いをさせていただきたいと思います。  文化予算の適正規模はどの程度か、単純な比較ではありますけれども、一つの参考として諸外国における文化行政関係予算について調べてみました。二〇〇四年度のデータでは、アメリカにおいては七億九千六百十万ドル、イギリスでは十一億五千二百万ポンド、フランスでは二十六億三千三百十万ユーロ、ドイツでは十一億三千五百万ユーロとなっております。それぞれ国家予算に占める割合は、アメリカでは〇・〇四%、イギリスでは〇・二六%、フランスでは一%、ドイツでは〇・四四%となっております。  そこで、我が国はどのような状況なのか。文化庁予算額は平成十二年度で約八百八億円、十三年度で約九百九億円、十四年度では約九百八十五億円、そして平成十五年度の約一千三億円、平成十六年度、一千十六億円、十七年度も同じ一千十六億円でございました。そして、平成十八年度予算案では一千六億円となっております。予算に占める割合は、平成十八年度予算案での約〇・一三%でございます。  この日本での文化関係の支出は、今回比較の対象とした国々と、他国と比較すると非常に少ない額であると思います。平成十五年度に文化庁予算が一千億円台になったとき、文化関係者の方々は非常に喜ばれました。しかし、それ以後はこの一千億円台を上下しているといった現状でございます。  また、このたびは誠に残念ながら一千十六億から一千六と減っております。まだまだ文化予算は少ないと考えておりますけれども、大臣の所信の中でも、文化芸術立国の実現に向けた取組を推進されると言われたのでございますけれども、大臣の御見解をお伺いいたします。
  65. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) いろいろな方面からの考察を加えて御質問賜りました。  文化芸術の振興は、国民の心を豊かにし、社会に活力を与えるとともに、世界に日本の魅力を発信して我が国のアイデンティティーを高めるとともに、外国の皆さんに日本人が誇りを持って評価されるその基準にもなるものだと考えておりまして、我が国の地位向上に寄与する意味から、予算を含めて文化政策の一層の充実を図ることは重要な課題認識をしているわけでございます。  しかしながら、一方で財政再建を始めとした厳しい環境の中でございます。したがって、平成十八年度予算案においては、この厳しい財政状況の下にあっても子供の文化芸術体験活動の充実を始めとした必要な予算の確保を図ってきたところでございまして、今御指摘のように総額といたしましては一千六億円ということで対前年度十億円のマイナスとなっておるわけでございますけれども、委員が御指摘をされました各国の国の予算全体に占める割合といたしましても、フランスの〇・九六あるいは一%という数字には及びませんけれども、アメリカの〇・〇四%と御指摘のその割合と比較すればましな方でございますし、全体的に見れば文化先進国と言われる国々と比べ必ずしも高い水準にはあるとは言えませんし、またむしろ低い方にあると認めざるを得ない状況でございますので、なお一層の充実に努めてまいりたいと存じます。
  66. 浮島とも子

    浮島とも子君 更なる文化予算拡充のため、全力で力を注いでくださるようお願いを申し上げます。  今おっしゃったように、アメリカは国家予算に占める割合は〇・〇四%と日本より低くなっておりますけれども、アメリカは寄附文化が発展しております。日本でも是非この寄附文化を発展させていかなければいけないと私は考えております。  次に、活力ある社会の実現のためには文化力の向上を図ることが経済力と並ぶ車の両輪として極めて重要であるとおっしゃられておりましたけれども、その文化と経済関係についてお伺いをさせていただきます。  昨年、経済財政諮問会議日本二十一世紀ビジョン、報告書を出されました。その中で文化についても次のように述べられております。  過去の高度成長期のように公共事業主体で文化や地域を振興してきた時代には、需要や雇用を生み出す利用価値が重視されてきた。しかし、今後、情報化が進み知的な価値が重視されるようになる中では、文化資本や自然環境のように、存在すること自体に価値があるとか、後の時代に残すことに価値があるといった非利用価値を適正に評価しなければならないとございます。  先ほど文化支出の国際比較について述べさせていただきましたけれども、文化支出の適正な水準を決定する際に、このような非利用価値などを適正に評価していく必要があるのではないかと考えます。  そこで、文化庁では文化と経済に関する調査研究を行っていると聞いておりますけれども、この非利用価値等の評価についてどのような議論をされているのか、審議の状況についてお伺いをさせていただきます。  また、今後、文化と経済関係について継続的な調査研究が必要かと考えておりますけれども、この研究会の後、具体的な予定はあるのか、併せてお伺いをさせていただきます。
  67. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) お答えをいたします。  文化の在り方につきましては、委員指摘がございましたように、経済活動に大きく影響を与えるものでございますし、新たな需要や高い付加価値を生み出すという観点からも、産業の発展にも寄与する側面を持つものでございます。  こういったことから、私ども文化庁では御指摘にもございました平成十六年度より文化芸術の振興による経済への影響に関する調査研究を行っておりまして、この研究を政策研究大学院大学に委嘱をしておるところでございます。  私どもとしましては、この成果を踏まえまして文化政策の充実に役立てたいと思っておるわけでございますが、現在の研究状況について申し上げますと、この委嘱研究では、文化の経済波及効果及び仮想市場評価法という手法を用いまして経済評価を行いつつ、それを前提としましてケーススタディーを行いながら調査研究を現在進めておるものでございます。  この調査研究、委嘱研究でございますが、間もなくまとまる予定でございまして、私どもとしましては、この報告ができ上がりました後、公表になりますけれども、その成果を踏まえながら適切な活用を図ってまいりたいと思っております。今後の更なる研究につきましては、今後まとまることが予定されておりますこの調査研究を踏まえまして更に検討していきたいと思っております。
  68. 浮島とも子

    浮島とも子君 この非利用価値については適正な評価が必要であると考えておりますので、是非ともよろしくお願いいたします。  また、幼児期から子供たちの好奇心を伸ばす教育環境をつくり、子供たちが学ぶ楽しさを感じながら、一人一人がそれぞれの得意な分野を伸ばし、社会で自立していく力を身に付けることが極めて大切であると大臣の所信にもございましたとおり、私も、小さいときから、見て聞いて触れる、教科書や本で学ぶこともとても大切だと思いますけれども、心で感じて成長していくということがとても重要であると考えます。日本はまだまだチケットが高い等などいろいろ問題があり、欧米諸国のように週末に家族でいろんな劇場に行っていろんなものに触れる習慣があるとは言えません。  そこで、豊かな心の育成、どの子供にも豊かな教育をという幅広い体験、環境をつくるという観点から、国立劇場や国立博物館に訪れる、そしてまた国立劇場、新国立劇場の舞台をより行きやすく、見やすくする。私は、かねてより子供たちが最低年に一回、本物の文化芸術に触れる機会を増やしてもらいたいと訴えさせていただいてきておりますけれども、文化庁が行っている本物の舞台芸術体験事業等もその実施件数は増えております。でも、まだまだこの最低年に一回子供たちが触れるというところまでは来ておりません。その意味で、様々な事業を組み合わせ、この最低年に一回を達成すべきであると私は考えております。  例えば、前にも一度御質問させていただいたんですけれども、よく国会内を歩いていますと修学旅行でたくさんの学生たちがいらっしゃっております。この修学旅行に来た際に、その午後あるいは午前中には劇場に行き、いろんなものを見て聞いて触れる、この文化芸術体験事業とするなど方法はたくさんあると思います。この最低年に一回、文化芸術体験活動という方向に向けて、年ごとの数値目標を立てていくことも大切であると考えておりますけれども、御見解をお伺いいたします。
  69. 河本三郎

    ○副大臣(河本三郎君) 浮島先生、ありがとうございます。  子供たちに本物の芸術を見てもらう、これを提供していくことは大変重要だと思っております。  修学旅行の鑑賞機会の確保については、従来の特別団体割引に加えて、十八年度より、新年度より国立劇場等に新たに修学旅行生の優待席を設けることにしたところでございます。
  70. 浮島とも子

    浮島とも子君 これからは修学旅行に来た子供たちが是非とも見れるように全力で力を注いでいただきたい、そう考えております。  また、数値目標に関してですけれども、これは難しい点が多々あるとは思いますけれども、いろいろな様々な事業を組み合わせて、最低年に一回というところに近づけていけるよう御検討をお願いしたいと考えております。  人を育てる、今から子供たちに投資をしていくことがとても大切だと心から考えておりますので、どうか文科省としても全力で取り組んでいただけるようお願いを申し上げます。  また、子供たちの文化芸術体験活動の機会という意味で、国立、新国立劇場等では子供たちを対象とした鑑賞教室、これを低料金で行っておられると伺っております。また、国立の美術館、博物館でも平常展では中学生以下は無料にしていると伺っておりますけれども、なぜか資料によりますと、東京国立博物館、上野にありますけれども、ここだけは高校生以下が無料になっております。なぜこれはこの国立博物館のみ高校生無料になっているのか。これには何か特別な理由があるのでしょうか。ほかの博物館、美術館は高校生以下にはできないのでしょうか。もし期間があるのであればその期間を外す、また平常展だけではなくて特別展に対しても低料金で子供たちが触れる機会を増やしていただきたいと思いますが、御見解をお伺いいたします。
  71. 河本三郎

    ○副大臣(河本三郎君) 特別な事情がございます。  東京国立博物館につきましては、国立博物館の中でも最も収蔵品や施設が充実しておりまして、立地条件にも恵まれ利便性もいいことから、多くの入館者が確保されております。ですから、高校生の無料化が可能となっておりますが、他の国立博物館等ではこれはなかなか具合が悪いところがございまして、研究の課題だとは思いますが、よく調べてみたいと思います。  低料金のことについては加茂川さんの方から答えてもらいます。
  72. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 博物館、美術館の低料金化について検討をしてはどうかという御趣旨だと思いますが、現在、高校生が平常展に入る際に払っております入場料が、美術館の場合には七十円、博物館の場合には百三十円という額になってございますので、これを更に低料金化する場合にはどういう工夫があり得るのか、その際には料金全体の中でどういう見直しが必要なのか、そういった観点からの検討も必要だと思いますので、これは料金を主体的に決めることになる独立行政法人に検討をお願いをしたいと、こう思っております。
  73. 浮島とも子

    浮島とも子君 今多分言われたのは平常展の料金だと思うんですけれども、私がお願いしたいのは特別展の料金を低料金にしてもらいたいということでございますので、どうかその点も御検討いただけますよう、よろしくお願いいたします。  今、副大臣の方から御答弁ありました特別な意味があるということで、この東京国立博物館が東京という立地条件を踏まえと今お話がございましたけれども、この東京という立地条件から踏まえましたら、国立美術館、東京国立近代美術館も東京に、竹橋にございます。また、国立西洋美術館も同じ上野にございます。なので、どうかここだけが特別ということではなく、もし東京という立地条件ということを踏まえるのであれば、ここの東京にある美術館等もできるのではないか、できることからすべて進めていっていただきたい、強くお願いを申し上げたいと思います。  次に、学校施設のバリアフリー化対策整備の整備状況についてお伺いをさせていただきます。  学校施設のバリアフリー化については、障害者基本計画の重点施策実施五か年計画に、小中学校の施設のバリアフリー化の参考となる指針の策定計画、設計手法等に関する事例集の作成が挙げられ、指針の策定、事例集の作成も既に完了しているとお伺いしております。学校は投票所などとしても使われますし、災害時は緊急避難場所としても使われる場所でございます。耐震化、アスベスト対策と併せて、バリアフリー化を進めていくことが必要不可欠であると考えます。  文部科学省が作成された学校施設バリアフリー化推進指針では、学校施設のバリアフリー化について各設置者で適切な整備目標を立てていくべきとされております。このバリアフリー化に関する整備計画の作成状況並びに現在の学校施設のバリアフリー化の進捗状況についてお伺いをさせてください。
  74. 大島寛

    政府参考人(大島寛君) お答えを申し上げます。  学校施設のバリアフリー化についてのお尋ねでございますが、やはり学校施設は障害のある児童生徒等も支障なく学校生活を送ることができるように配慮すること、あるいは、御指摘ございましたように、災害時の避難場所として計画することを求められておりますので、バリアフリー化の推進は大事なことと認識しているところでございます。  まず、実態でございますけれども、平成十七年度の調査によりますと、全国の公立小中学校等のうち、七四%の学校におきましてスロープ、障害者トイレ等の何らかの整備がなされているという状況にございます。より具体に申し上げますと、スロープで申し上げれば五五%、それから障害者用トイレで申し上げますと五一%の整備がなされるという状況にございます。  これらの事柄につきましては、従来から、文部科学省におきましてはバリアフリー化のための国庫補助を行ってきたところでありますし、また、御指摘ございましたように、平成十六年の三月には、学校施設のバリアフリー化等の推進に関する基本的な考え方及び学校施設のバリアフリー化等を図る際の計画、設計上の留意点をまとめました学校施設バリアフリー化推進指針、これを策定いたしまして各学校の設置者に対して周知をしたというところでございます。この指針におきまして、先ほど御指摘ございましたように、学校設置者は、所管する学校施設に係る合理的な整備計画策定することが重要と、こう記載しているところでございまして、これについての作成状況は、現時点では文部科学省としてはまだ把握してございませんけれども、今後、御指摘の整備計画の作成状況について把握するなどいたしまして、適切なフォローアップを行っていきたいと考えております。  引き続き、バリアフリー化のための国庫補助についても行うなどいたしまして、バリアフリー化の取組を積極的に支援してまいりたいと存じます。
  75. 浮島とも子

    浮島とも子君 聞くところによりますと、障害を持つお子さんが車いすで学校に行ったときには、先生方が電動車いす、この重たいものを数人掛かりで持ち上げて教室までお子さんを運んでいるという現状があるといったことも聞いております。  ノーマライゼーションという考え方で障害者の方々が地域で生活していきやすい環境をつくる上で、この学校のバリアフリー化は非常に大切であります。その意味で、文部科学省として更なる推進と指針の適正かつ迅速なフォローアップをお願いいたします。  次に、国立劇場についてちょっとお伺いしたいんですけど、先日、国立劇場大劇場に民族芸能フェスティバルの公演を見に行かせていただきました。その際に気付いたんでございますけれども、公演の休憩時間に、ロビーの左右にエスカレーターがあったんですけれども、両方とも上に向いて上がっておりました。階段で二階に上がられた方は下りるしかなくて、下りれない方もいらっしゃいました。また、二階に食堂があるために、二階に上がられた方が食堂に上げられて、下りる方も、もう上がってくるエスカレーターしかないもので下りられないという状況も見受けられました。例えばこれを片方だけでも下りられるようにするなど、細かいところに気を配っていくことこそがバリアフリー化の趣旨と思いますけれども、そのことについてお考えをお聞かせいただきたい。  また、国立と言われる劇場あるいは美術館、博物館、これにおいては、すべての国民が利用できるようバリアフリー化されていて私は当たり前と思います。バリアフリー化について、施設の整備があるなしだけではなく、施設の使い勝手の面、また案内の表示の面、点字等、また介助犬の同伴が可能かなどを含めて現状を御説明していただきたいと思います。
  76. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 委員指摘のように、障害者やそして高齢者に優しい社会を実現するという観点において、とりわけ今のエスカレーターのお話に関して言えば、高齢者の皆さんが上向き、下向きそれぞれのエスカレーターに乗って移動できるということは大変重要なことだと思いますし、障害者のためのエレベーターの設置推進ということも同様でございます。  それらの観点を踏まえまして、この御指摘の国立劇場、国立博物館及び国立美術館等の各施設において文化芸術を鑑賞しやすい環境を整える上で大変重要な課題であると認識をいたしまして、またこれらの施設においては、車いす利用者のための客席スロープ、トイレの整備など基本的な施設整備については、現在までのところでおおむね対応はできているわけでございますが、その運用に関してのきめ細かな配慮というものが必要だという御指摘を踏まえて、更にその点についての指導を行ってまいりたいと存じます。  また、そのほか、例えば国立の能楽堂等の場においても、また歌舞伎等の上演においても、点字、字幕の設置というものが最近進んでおりまして、中には、舞台の横の字幕だけでなく、座席の、前の座席の背中に字幕を付ける等の施設も推進をされているというふうに認識をいたしておりまして、これらの施設の一層の普及につき更に努力をしてまいりたいと存じます。
  77. 浮島とも子

    浮島とも子君 ありがとうございます。  点字ブロック、エレベーター、段差の解消、また車いす席の設置、障害者の介助犬法に基づく表示など、障害者の方々の目線に立った運用の工夫、表示の工夫など、全力で対応していただけるよう、すべての国民が利用しやすいよう、またできるよう取組を進めていただけるように強く要望させていただきたいと思います。  また、劇場内のことなんですけれども、障害者用のスペースというのがございます。でも、これはなぜか、国立の能楽堂だけは前にあるんですけれども、ほとんどの劇場は一番後ろの端っこの方にこの障害者のスペースがございます。特に子供の場合、車いすに座ってその席で見るということは、たくさん前にお客様がいるのでほとんど舞台が見れないということが現状でございます。このような点にも配慮をしていただけるようにお願いを申し上げるとともに、先ほど述べたように、エスカレーターはあってもニーズに合っていないとか、そういうこと、建物や物ばかりつくることが目的ではなく、それぞれが生かされるようにどうか全力でよろしくお願いいたしたい、そう考えております。  また次に、ちょっと時間もなくなってきてしまいましたので、英語教育についてお伺いをさせていただきたいと思います。  文部科学省では、「英語が使える日本人」の育成のための行動計画策定され、取組を進められておられます。その行動計画の中で、小学校における英語教育実施状況、進捗、目標の達成状況について、そして、中教審の外国語専門部会での議論状況を含めてその進捗状況について御説明をいただきたいと思います。
  78. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 委員指摘の英語教育に関しましては、私も過去の海外駐在経験等々を踏まえながら、今日のインターネット社会において、日本人がインターネットで見ておりますのは日本語に変換されたウエブページばかりでございまして、それ以外に世界には多くのウエブページがあるわけでございます。やはり外国の英語を使える国々と同等にそういった情報が駆使できる日本人の活動環境というものを整備していく必要があると、こういう認識も併せて持っておるところでございまして、ただいま委員指摘のように、平成十五年三月の「英語が使える日本人」の育成のための行動計画に従いまして順次進めておるわけですが、平成十七年度に英語活動に取り組んだ公立小学校の割合は九三・六%、また平均実施時間数は六年生で年間十三・七時間というようになっておりまして、指導方法に関しましては、全体の授業時間数に対するALT、外国語指導助手でございますが、の参加割合が六年生で六三%、平成十五年度の調査では六〇%でございました、と比べて若干上がっているわけでございます。また、地域人材等の参加割合は一三・四%で、平成十五年の一二%に比べ一・三ポイントほど増加しているという数字もございます。  また、小学校における英語教育の在り方につきましては、現在中教審外国語専門部会で検討していただいておりまして、開始学年、実施の時期、指導者の確保の在り方、またその教育の目標と内容、ICTの利活用の方策等について専門的に検討を行っていただいておりまして、今月中、すなわち平成十七年度末までを目途に、外国語専門部会における検討状況を整理した上で、学習指導要領全体の見直しの中で広く意見を伺いながら結論を得るように努力をしてまいりたいと存じます。
  79. 浮島とも子

    浮島とも子君 私も、今からもう二十年以上前になってしまいますけれども、初めて海外に出たときに英語が話せなかったということで、中学、高校で英語は習ってきたんだけれども話せなかったということでとてもショックを受けたことがございましたけれども、本当にこれからますますグローバル化が進んでいく中で、話せる英語、使える英語がとても必要だと考えております。是非よろしくお願いいたします。  また、多様な意見がある中で、小学校の英語教育地方で様々な取組がされております。地方で様々な小学校での英語教育取組が行われているということは、それだけ要望があるということでもあると思います。また、どこに住んでいるかで小学校段階から英語教育を受けられるのか、あるいは受けられないのかが決まってしまうということは、教育機会均等という意味でも考えるべきところがあると思います。その意味で、この小学校段階での英語教育の必修化をしていくべきであると考えておりますので、どうかよろしくお願いいたします。  また次に、放送大学のラジオ教材のインターネット配信についてお伺いをさせていただきたいと思います。  近年、インターネットの急速な発展により、放送と通信の融合という言葉が言われております。その一つにインターネット上でラジオ番組が聞けるインターネットラジオというものがございます。このインターネットラジオはかなり前からある技術でございますけれども、最近はこの番組を丸々パソコンや携帯用のオーディオプレーヤーにコピーして、いつでもどこでもその番組が聞けるというポッドキャスティングが急速に広がっております。海外の教育機関では、スタンフォード大学が講義の内容をこのポッドキャスティングとして全世界どこからでも聞けるようにするなどの取組が行われております。放送大学でもこのようなインターネットを通じた番組の配信実験を昨年行われたとお聞きしましたけれども、この実験の概要と今後の計画についてお伺いをいたします。
  80. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 放送大学のインターネットを通じました配信実験についてのお尋ねでございますけれども、ラジオの教材の配信実験につきましては、インターネットを活用することによりまして、御指摘のように学生の都合に合わせて受講あるいは再受講の機会を提供しようというものでございまして、今回の実験では著作権上問題のない二十科目を対象といたしまして、同時アクセス数、すなわちアクセス集中がどの時間にどの程度になるのかといったこと、あるいはインターネットに不慣れな学生からの問い合わせ状況等を調査しておるところでございまして、現在、放送大学ではその実験結果について解析をしているところでございます。  また、十八年度におきましては、今回の結果も踏まえまして、配信番組を来年度は三十科目に拡充いたしますとともに、教育効果をより上げるために、音声に合わせて文字や静止画像を提示するといった実験も行うこととしておるところでございます。
  81. 浮島とも子

    浮島とも子君 ありがとうございます。  放送大学学園法第一条では、「この法律は、放送大学の設置及び運営に関し必要な事項を定めることにより、大学教育機会に対する広範な国民の要請にこたえるとともに、大学教育のための放送の普及発達を図ることを目的とする。」とされております。  この放送大学には、平成十八年度予算で約百六億円近くの国費が投入されております。その意味で、放送大学が所有するコンテンツは国民の財産でございます。これを広範に提供することは国民全体の利益にかなうものと考え、さらに海外で利用できる日本語のコンテンツとして非常に有用ではないかと思います。  今後とも、自発的な学習者の拡充を図り、国民の生涯学習機会を増大させていくためにも、このインターネット配信に積極的に取り組むべきと考えますけれども、大臣のお考えを、御見解をお伺いいたします。
  82. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 放送大学は、委員指摘のようにいつでもどこでもだれでも学習できる、そういう放送の機能を生かした学習の場として二十代から八十代までの幅広い国民の皆さんに御活用いただける、このように考えておりまして、過日私も放送大学の卒業式に伺いましたけれども、それぞれの年代の皆さんが意欲的に取り組んで、そして卒業式に、修了証の授与式においでになった様子は大変ほほ笑ましい、また私どもに感動とまた勇気を与えていただける雰囲気でございました。そういった中で、この利便性をなお一層向上させるという観点で、インターネットの活用は重要な課題だと思っております。  今実験の課題説明させていただきましたように、今後とも検討をしなけりゃいけない課題として、今委員がポッドキャストとおっしゃった部分について、十万人という規模のこの学生の規模に対する対応が、現在のIPマルチキャストと言われるインターネット放送の形式で徐々に対応できる環境は整いつつありますが、まだ十分ではないということで、こういった面での検討が必要なこと、また実験段階では著作権的に、著作権の面で問題のないコンテンツを使用させていただきましたが、幅広いコンテンツをこれから流すということになりますと、著作権処理が通信・放送融合時代の在り方として問題になってまいります。  これらの検討が進んでおる著作権問題についての方向等をしっかり踏まえた上で、全国どこにおいても入手可能なインターネットの施設を通じた教材の提供ということに今後積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
  83. 浮島とも子

    浮島とも子君 是非ともよろしくお願いいたします。  初めにも述べさせていただいたように、これからは物やお金ばかりではなくて人に光を当てていく、人に投資をしていくこと、人を育てることが非常に大切、重要だと考えております。今日人に、子供たちに今日、今投資をしたから、人に投資をするということは、今投資をしたからあした、あさってから変わるというわけにはいきません。五年後、十年後を見て今からしっかり一人一人の人を大切にしながら育てていくことが大切であると考えます。  中でもこの文化芸術の振興は、皆さんがいいもの、とても子供たちにとって教育上でもいいものと皆さんおっしゃって、必要と言われます。でも、言われつつもなかなか大きくは前進いたしません。是非前進をさせていただきたい、強く大臣にお願いを申し上げます。  また、幾つか質問もあったんですけれども、時間が来てしまいましたので、もう一つだけ要望というかお願いがあります。  先日、この「日本の心を世界に伝える」、先ほども国際交流が必要だ、重要だとおっしゃっていただきましたけれども、この第三回文化庁の文化交流使活動報告会に行かせていただきました。とてもすばらしい活動を、海外で日本の文化を知らせるためにとてもすばらしい活動を皆様がしていてくださるということで、とても感動いたしました。この日本の文化を伝えるためにも、是非とも今後ともこういうような催物に力を入れていただきたい、人、そして日本の文化、伝統を世界に知らせるためにもどうか全力でやっていただきたい、そう強く要望させていただき、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  84. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  まず最初に、公正取引委員会に教科書の特殊指定廃止問題でお聞きをいたします。  先日、この問題での意見募集を行うことが発表されまして、教育関係者から大変不安の声が上がっております。なぜ教科書の特殊指定廃止の意見募集に至ったのか、御説明をいただきたいと思います。
  85. 舟橋和幸

    政府参考人舟橋和幸君) 御説明申し上げます。  私ども公正取引委員会におきましては、昨年の秋から、いわゆる特殊指定、これは特定の事業分野において不公正な取引方法とは何かということをそれぞれの事業分野ごとに定めておる、そういうものでございますけれども、当時の時点で七つございました。  そのうちの、ここ一、二年で制定された二つを除いた五つについて見直しを行うということで五か月ぐらいがたったわけでございますけれども、見直しの観点としましては、制定されたときの事情が今もあるかどうか、制定理由があるかどうか、そして、それから二番目に、特殊指定とは別に一般指定というのがございまして、一般指定で対応ができないかどうか、仮に特殊指定で対応すべきという場合でも、今の特殊指定が過剰規制になっているかどうか、そういった観点から見直しを行ってきておるところでございまして、七つのうち二本を除いた五本あったわけでございますけれども、うち一本はもう既に廃止をいたしました。それから、一本は検討中でございます。それから、三本につきましては、先生今御指摘がございましたとおり、パブリックコメントに付しておるというところでございまして、このうち教科書の特殊指定、これは現在パブリックコメント中でございますけれども、今から五十年前の昭和三十一年に制定されたものでございまして、背景としては、昭和二十四年に国定教科書から検定教科書に移行したということに伴って、教科書の採択関係者に対する金品等の提供行為が横行、激化したと、そういった背景を踏まえて今から五十年前に制定されて、そのまま今も来ておりますけれども。  その後、五十年が経過いたしまして、この五十年という期間の間に、地区ごとにまちまちであったそういう採択の体制というものも、昭和三十八年の教科書無償化などを契機に整備されてきておると。それから、最近では、教科書の採択に関する国民の関心の高まりも踏まえ、手続の透明化も図られてきておるということがございますし、さらに、近年では公務員の倫理に対する規制、これも一段と強化をされてきておるということがございます。  こういった中で、特殊指定が禁止をしております教科書採択関係者への利益供与、それから他の教科書に対する誹謗中傷、そういったことによって教科書の採択がゆがめられるおそれというものは五十年前のこの特殊指定制定当時と比べて著しく減少をしてきているんじゃないかと、こういうことでございまして、教科書の分野に特殊指定を設けて特別に規制を行う必要性はなくなってきているんではないかという考えで、三月十六日、先般、規制簡素化の観点から、廃止についての意見募集を行ったところでございます。  今後、これ四月十七日が締切りになっておりますので、寄せられた御意見等を踏まえて、この特殊指定の取扱いについては適切に判断をしてまいりたい、そういうふうに考えております。
  86. 井上哲士

    ○井上哲士君 特殊指定を外しますと、宣伝や営業活動に大きな費用を掛けることができる大手発行社が一層有利になって教科書の寡占化を招くんじゃないかという不安の声が寄せられております。  この特殊指定の制度が公正な教科書採択に果たしてきた役割について、文部科学省としてはどういうお考えでしょうか。
  87. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 独占禁止法に基づきます特殊指定の果たしてきた役割についてのお尋ねでございますが、私ども具体的には大きく二点あろうかと思っております。  一つは、教科書発行者が自らの採択を有利に導くために採択関係者に対して物品の提供などの利益供与を行ういわゆる取引誘因行為、これが禁じられるわけでございます。それからもう一つは、他の教科書発行者や教科書に対して中傷誹謗等の妨害を行うようないわゆる取引妨害行為、こういった行為も不公正な取引方法として指定をされるわけでございます。  こういった行為が明確に不公正な取引方法としてこの告示を受けまして禁止をされるということで、文部科学省としても、毎年、採択の公正確保に向けて教科書発行者に対して通知を発出し、独占禁止法に基づく規制を遵守するよう指導してきたところでございまして、その意味で、教科書採択の公正確保を図る上でこうした規制は重要な役割を果たしてきたと認識をしているところでございます。
  88. 井上哲士

    ○井上哲士君 現状でも、見本本をすべての教育委員会に五冊ずつ送るのも非常に負担がありまして、経済的理由から送付できずに採択対象から外される発行者も少なからずあるわけですね。そういう点でも非常に大きな役割を果たしてきたと思うんですが、今後、公正な教科書採択を維持をしていく上で、その対応について大臣から御見解を伺いたいと思います。
  89. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 今、特殊指定についていろいろ述べていただきましたが、仮に現時点で特殊指定が廃止された場合、これまで長年にわたりまして運用され、またその中で蓄積してまいりました運用に関する細部の考え方等もあるわけでございまして、規制が急に廃止されたことによりまして採択の関係者の間に混乱を招かないか、そういうことが若干懸念をされておるわけでございます。  現在、公正取引委員会において特殊指定の廃止に関する意見募集を行っているところと承知しておりまして、公正取引委員会における手続を注目をしながら、引き続き、教科書採択の公正確保が図られるようによく検討してまいりたいと考えております。
  90. 井上哲士

    ○井上哲士君 公正取引委員会には、廃止を前提にした意見募集ではなくて、広く関係者の意見も聞くし、募集期間も大幅に延ばして、性急な決定がないように、無用な混乱を招かないように強く求めておきます。  次に、医師不足と医学部定員教育についてお聞きをいたします。  今、医師不足の問題が非常に深刻でありまして、私の住まいする例えば京都府の北部地域、京丹後市の市立弥栄病院の産婦人科、それから舞鶴市の独立行政法人国立病院機構舞鶴医療センターの産科診療が廃止をされまして、安心してお産ができない地域になろうとしております。先日、静岡の伊豆の地域お話も伺いましたけれども、例えば東伊豆町、診療機関や科目がなくなって、産婦人科、小児科、泌尿器科、脳外科などは地域外に行かなくちゃいけない、二次救急は一時間も掛けて搬送する。それから、富士川町の共立蒲原総合病院、これは医師が八人も一遍に減りまして、三月から内科、小児科、それから時間外・救急医療、この縮小、そして一部病棟の休止ということが出ておりまして、非常に地域住民から不安の声が上がっております。  まず厚生労働省にお聞きしますけれども、こういう医師不足の実態をどのように把握をして対策を考えていらっしゃるんでしょうか。
  91. 中垣英明

    政府参考人(中垣英明君) ただいま委員指摘の医師の不足あるいはその偏在の問題につきましては、へき地等の特定の地域でありますとか、それから、今も御指摘もございましたが、産科、小児科等の特定の診療科において偏在による医師の不足感が非常に強く、その確保に困難を伴ってきておるということで認識しております。  このような問題に対応するため、私どもといたしましては、文部省及び総務省とともに関係省庁連絡会議を開催いたしまして、昨年八月には医師確保総合対策を取りまとめるなど各般の取組を進めてきております。中でも早急な対応が求められております小児科医及び産科医の確保につきましては、昨年末に各都道府県に対しまして、公立病院を中心に、小児医療、産科医療の機能を集約化、重点化するための検討を十八年度末までに行うようお願いしたところでございます。  また、今国会に医療制度改革の一環として提出しております医療法等の改正法案におきましては、救急医療、へき地医療、小児医療、周産期医療等の従事者の確保を推進するために医療対策協議会というものを制度化するということで、法制度面からも必要な措置を講ずることといたしております。  このほか、平成十八年度予算及び十八年度の診療報酬改定においても必要な措置を講じてきておりまして、こうした取組を通じまして引き続き総合的な医師確保対策に取り組んでまいりたいと考えております。
  92. 井上哲士

    ○井上哲士君 医療改革法案が果たして医療の確保に役立つのかどうかは、これはまた別のところで議論をしたいと思いますが、新しい研修制度影響もあって、特に地域医療を支えてきた自治体病院が大変医師不足が深刻になっております。  全国自治体病院開設者協議会などの三者が、文部科学、厚生労働、そして総務省、三つの大臣あてに医師不足・偏在の是正に関する要望を出しておりますけれども、その緊急要望のトップは医師数の確保であり、そのための大学入学定員削減方針見直しということになっておりますけれども、この入学定員の問題、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  93. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 御指摘のように、地域における医師不足、とりわけ診療科の偏在というような問題が大きく指摘をされておりまして、私どもも、ただいま御指摘のように、厚生労働省、文部科学省総務省の三省で検討を進めておるわけでございますが、現在、厚生労働省におきまして医師需要の見通しの見直しについて先ほどのお話のように検討をされております。医学部の入学定員の在り方については、その検討結果を十分に踏まえることが必要だと考えております。  そもそもの昭和五十七年の閣議決定の合理的な養成計画を踏まえ、六十一年に一〇%削減という基本的な方針策定をされ、そして現在はまだその一〇%の目標達成の道半ばでございます。しかしながら、一方で委員今御指摘のような事情が出ておりますので、文部科学省におきましては、この見直しの結果及び医学教育改善充実に関する調査研究協力者会議調査研究を踏まえながら、今後、医学部の入学定員の在り方についての検討を行ってまいりたいと存じます。
  94. 井上哲士

    ○井上哲士君 今もありましたように、厚生労働省が一九八六年に将来の医師需給に関する検討委員会を発足さして医学部定員削減というものが打ち出されましたし、その後の閣議決定も行われてまいりました。  しかし、国際的に見ますと、例えば、OECDに加盟している二十九か国のうち、人口比の医師数というのは日本は二十六番目で、下から四番目ということになっております。そして、今、日本よりもむしろ医師数が多いOECDの先進国は、むしろ医師を増加させるという傾向にあります。そういう中で日本は逆行しているわけでありますけれども、厚生労働省は現時点においても医師が過剰になってきていると、こういう認識でおられるんでしょうか。
  95. 中垣英明

    政府参考人(中垣英明君) 医師数につきましては、近年、大体毎年三千五百名から四千名程度、順調に増加してきておるところでございます。  私ども、平成十年に取りまとめられました医師の需給に関する検討会報告によりますれば、遅くとも平成二十九年ごろからはもう供給医師数が必要医師数を上回って、将来的に供給過剰になるという報告を受けておるところでございます。  その一方、今委員からも御指摘ございましたような医師の偏在の問題等もございますので、私ども、今、医師の需給につきまして、女性医師の増加とか、そういった医師の需給を取り巻く状況とか、そういった先ほど来ございました地域、診療科における偏在等を総合的に勘案した需給見通しを行うために、平成十七年二月から医師の需給に関する検討会を新たに開催いたしまして、その場で検討を行っておりまして、現在最終報告書の取りまとめに向けて検討を行っておるというところであります。
  96. 井上哲士

    ○井上哲士君 過去の閣議決定自身が医療の必要性というよりも医療費の抑制という観点からなされた側面が強くて、それ自体が私は妥当でなかったと思うんですが、今もありましたように、その後、医療と医師をめぐる環境は非常に大きく変化をしております。その点からも見直しが必要だと思うんですけれども、その定員削減が打ち出された一九八六年と現在と、医学部の学生数、その中で女性の占める割合はどうなっているでしょうか。
  97. 石川明

    政府参考人(石川明君) 医学部の入学者における女子学生の割合についてお尋ねがございました。  一九八六年、昭和六十一年度におきましては、入学者八千二百八十三人中千六百八十一人、割合にいたしまして二〇・三%が女子学生でございました。直近の二〇〇五年、平成十七年度でございますけれども、この時点で見てみますと、七千三百七十二人の入学者の中で女子学生が二千三百七十四人、割合にいたしまして三二・二%ということで、一一・九%ほどポイントの増加を示しているところでございます。
  98. 井上哲士

    ○井上哲士君 一九六五年の時点ではわずか一〇・三%なんですね。今、実に三割。  女性の進出自身は大変すばらしいことだと思いますし、また医師不足が深刻な産婦人科や小児科に希望する方も大変多いということであります。ただ、やはり女性医師は出産とか育児という場面で一定の制限や中断を余儀なくされる場合が少なくありません。そうなりますと、医師総数が同じでありますと、要は現場のマンパワーとしては不足をせざるを得ないという状況も出てまいりますし、厳しい労働条件の中で辞めざるを得ないという状況もある。このこと一つ取っても私は定数削減ということは見直しがされるべきだと思います。  もう一つ、労働条件の問題です。非常に今、深夜、交代制の過酷な労働実態の中で、医療事故も後を絶ちませんし、研修医の過労死ということも相次いで起きました。厚生労働省として医師の労働基準法違反について調査指導をされていると思いますけれども、その結果を御答弁願います。
  99. 松井一實

    政府参考人(松井一實君) 医療機関の監督状況でございますけれども、医療機関におきまして、特に宿日直勤務、こういったものにかかわる問題が監督署に対しまして申告が出てくるとか、あるいは報道機関などで取り上げられ社会的な問題になりつつあったというふうな状況がございまして、実は平成十四年以降に宿日直勤務の適正化を図るという観点から各般の取組を進めてまいりました。  その取組の一環といたしまして、平成十五年度から十六年度にかけまして五百九十六の医療機関に対しまして個別に監督指導を行いました。その結果、四百三十の機関におきまして何らかの労働基準関係法令違反というものがございましたし、二百四十九の機関では宿日直の許可基準を満たしていないというふうな状況がございました。  こういった違反とか法違反につきましては、まず是正を図らせるとともに、宿日直勤務に係る許可基準、これにつきましては遵守をするようにということで、今粘り強く指導を行っているところでございます。
  100. 井上哲士

    ○井上哲士君 約四分の三の医療機関でこの基準法違反があったということです。今、厚生労働省は同じお役所なわけですけれども、一方でそういう労働基準法違反の実態の上に献身的な医療関係者の奮闘の上に医療が成り立っているという状況でありますけれども、アメリカなどは医療事故多発の原因を医師や看護師の過労と分析をして定数見直しなどをしてきているわけです。  いろんな若い医師の状況などを見ましても、やはりこの労働基準法の遵守ということが今後必要でありますし、さらに、病気の複雑化、インフォームド・コンセントの強化、これも患者当たりの時間を増やすということになっているわけですから、私は諸般の事情からいいますとこの定数見直しは当然だというふうに思います。  同時に、厚生労働省としての結果待ちになるのではなくて、文部科学省として、医師不足の解消、特に地域医療をどう守るか、それから産婦人科や小児科をどうするのか、こういう対策を考えるべきだと思います。  地域ごとの入学定員の在り方、それから医学教育をどう改善をしていくのか、この点での文部科学省としてのお考え、そしてその上で、全体としての医師不足を解決するための大臣の御決意をそれぞれ聞いて、質問を終わりたいと思います。
  101. 石川明

    政府参考人(石川明君) まず、私の方から我が省関係対応策について御説明をさせていただきたいと思います。  地域における医師不足、あるいは産科、小児科等の特定の分野の医師不足等指摘されておりますが、大変大きな問題であると認識しております。  現在、大学の医学教育におきましては、委員も御案内と存じますけれども、医学生が卒業までに最低限履修をすべき内容を定めました医学教育モデル・コア・カリキュラムというものがございます。これに沿いまして、地域医療、小児科、産科領域、これについても必要な知識、技能、態度、これを修得するための内容が定められておるわけでございますけれども、各大学におきましては、これにのっとりまして、これらの分野の重要性に関する教育を含め、カリキュラムの改善充実に努めているところでございます。  また、先ほどお話がございました入学定員内に県内の高等学校卒業生を対象といたしました入学者枠、いわゆる地域枠でございますけれども、これを設ける動きも出てきております。これも地域の医師不足問題の対応策の一つであろうかと私どもも考えております。平成十七年度は国公私立七大学において実施されておりましたものが、平成十八年度からは新たに国立九大学において導入されるなど、実施大学も着実に増加の様相を見せているところでございます。  一方、文部科学省におきましては、平成十七年度から地域医療等社会的ニーズに対応した質の高い医療人養成推進プログラム、こういったプログラムをスタートさせておりまして、国公私立大学が地域医療ですとかそういった医師偏在の問題を担う医療人を養成するために行う特色ある優れた取組に対して重点的な財政支援を行っているところでございます。平成十八年度には、特に医師不足が著しいと言われております小児科、産科などに焦点を当てましてこの事業をやりたいと思っております。  そして、平成十七年の五月からは、先ほど大臣の方からも御紹介申し上げましたけれども、医学教育改善充実に関する調査研究協力者会議、こういったものも設けまして、今後の医師養成の在り方などについて検討を行っているところでございます。  引き続き、厚生労働省や総務省とも連携をいたしまして、地域医療に貢献する医師の養成につきまして積極的に取り組んでまいりたいと、このように考えております。
  102. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 今答弁させていただきましたように、文部科学省といたしましては、厚生労働省、総務省ともしっかり連携を取りながら、適正な医師配置について更に努力を重ねてまいります。
  103. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 以上をもちまして、平成十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部科学省所管についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  105. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。小坂文部科学大臣
  106. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) このたび、政府から提出いたしました国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  資源の少ない我が国にとって、人材育成こそ国家の存立の基盤であります。特に義務教育は、子供たちが社会の一員として将来の日本を支えていくための基礎的資質を培うものであり、政府としては、その充実を目指し、義務教育の構造改革を推進しているところです。  また、国及び地方を通じた行財政の効率化を図る観点から、三位一体の改革に取り組んでいるところであります。このうち、国庫補助負担金の改革としては、義務教育国庫負担制度を堅持するという方針の下、その国庫負担の割合を改めるほか、公立文教施設整備費について一部交付金化等の改革を進めることとしております。  この法律案は、こうした政府方針等を受け、公立の義務教育学校等の教職員の給与及び施設の整備に係る費用負担等に関する制度を改めるものであります。  次に、この法律案内容の概要について御説明いたします。  第一に、義務教育国庫負担金の国庫負担率を二分の一から三分の一に改めるとともに、公立の小中学校、盲・聾学校国庫負担制度と養護学校国庫負担制度を統合するものであります。  第二に、市町村立の小中学校等の教職員は、都道府県が給与を負担して任用していますが、これに加えて、現在、構造改革特別区域においては、市町村が給与を負担して教職員を任用することが可能となっております。この措置を全国展開するものであります。  第三に、公立の義務教育学校等の施設の整備に充てるため、学校等の設置者に対し、一括して交付金を交付する制度を創設するものであります。  以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  107. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     ─────────────
  108. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案審査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回は明二十三日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時五分散会