○松下新平君 どうもお疲れさまでございます。
私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、審議してまいりました
農業の
担い手に対する
経営安定のための
交付金の
交付に関する
法律案等三
法律案に対して、反対の立場から討論を行います。
小泉政権スタート時からうたわれてまいりました官から民へ、地方にできることは地方にとの勇ましい掛け声が、今ではむなしく聞こえます。五年経過して明らかになったのは、真の地方分権どころか、逆に都市と地方の大きな格差社会を生み出してしまったことであります。特に、人口
減少社会の到来は農村を直撃しております。多面的な機能を有する農村の崩壊は、
日本の崩壊を
意味します。
五月、六月は総会時期で、多くの方々が地方から上京されました。そこで必ずお聞きするのは、地方の厳しい
状況、特に農村の衰退でした。また、国会と御地元との往復をされている
委員の皆さんも御認識のとおり、それぞれの農村が過疎化、高齢化、その影響によって、そのものが維持できずに崩壊するおそれさえある、待ったなしの
現状であります。
そのような中、この
法案は、農政の大転換と大きな期待が寄せられ、疲弊する農村の救世主となるべきものでしたが、この
委員会審議の
状況でも明らかになったように、野党
委員からだけではなく、与党
委員からも厳しい
指摘が繰り返しなされました。また、様々な
分野の八名の参考人の貴重な御意見を伺いました。地方公聴会、視察で訪問いたしました比較的有利とされた
北海道でも、心配な声、失望する声が相次いだわけであります。
取りあえず法案を成立させて、小手先の修正を加えて何とかなるような悠長な
状況ではございません。真の
農業再生のためには、流されるのではなく、踏みとどまって考える勇気が必要であります。このような状態で、政治の責任として、賛成するわけにはまいりません。
以下、大きく三点、食料自給率、
担い手の
要件、米の
生産調整の観点から、反対の理由を述べます。
第一に、本
法律案が、食料自給率の向上に資するどころか、低下させるおそれがあるからであります。
本
法律案の考えの基本となっている昨年の新しい食料・
農業・農村基本
計画では、食料自給率四五%を目標に掲げております。しかし、本
法律案では、目的規定はおろか、どこにも食料自給率の向上につながる規定が置かれておりません。むしろ、
支援対象を
担い手に限定する結果、はじき飛ばされた
担い手以外の
農業者が意欲をなくして離農、耕作放棄を引き起こし、自給率を低下させるおそれすらあります。
第二は、
支援対象を四ヘクタールなど一定の面積
要件を満たす
担い手に限定しているからであります。
我が国の
農業は、
欧米先進国と違って、稲作を中心とした小規模兼業農家が大部分であり、その中には意欲のある
農業者はたくさんおります。にもかかわらず、このような線引きで
支援対象を限定すれば、彼らは意欲を失い、離農、耕作放棄が続出するおそれを生じますし、実態を無視した強引な
集落営農の集積のやり方は、農村集落の崩壊さえも招くことを危惧されております。このままでは、現実には
農業の
担い手は育たず、
農業の空洞化を招くことは明らかであります。
第三は、事実上、米の
生産調整を
支援の前提条件としているからであります。
本
法律案のナラシ
交付金はもちろん、本
法律案と併せて
平成十九年度から講じられるとされる米政策改革推進
対策でも、産地づくり
交付金を始め、各種の
支援が
生産調整を条件としております。しかし、稲作農家、特に専業的な稲作農家に米を作るな、補助金をやるから麦、大豆に転作しろといっても、現実には簡単にはいきません。
生産調整はこの際廃止すべきであることを強く訴えます。
以上、反対の理由を申し上げてまいりましたが、食料自給率の向上に資するよう米の
生産調整を廃止するとともに、主要農産物その他を地域の実情に応じて
計画的に
生産する
農業者であれば、最低限
生産費を保障する
交付金制度を設けることが必要であります。それは、財政的にも
WTOとの整合性においても可能であると考えます。
我々は、
農業、農村の持つ多面的な機能を、納税者の皆さんの理解を得て、この新しい
交付金制度の確立に向けて今後も努力する決意であることを申し上げまして、反対の討論といたします。よろしくお願いします。