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2006-06-13 第164回国会 参議院 農林水産委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年六月十三日(火曜日)    午前九時三十一分開会     ─────────────    委員異動  六月十二日     辞任         補欠選任         和田ひろ子君     千葉 景子君  六月十三日     辞任         補欠選任         段本 幸男君     荻原 健司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩城 光英君     理 事                 加治屋義人君                 常田 享詳君                 小川 勝也君                 小川 敏夫君     委 員                 岩永 浩美君                 荻原 健司君                 岸  信夫君                 国井 正幸君                 小斉平敏文君                 野村 哲郎君                 三浦 一水君                 郡司  彰君                 主濱  了君                 千葉 景子君             ツルネン マルテイ君                 松下 新平君                 谷合 正明君                 福本 潤一君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   中川 昭一君    副大臣        農林水産大臣  三浦 一水君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       小斉平敏文君    事務局側        常任委員会専門        員        高野 浩臣君    政府参考人        農林水産大臣官        房技術総括審議        官        染  英昭君        農林水産省総合        食料局長     岡島 正明君        農林水産省生産        局長       西川 孝一君        農林水産省経営        局長       井出 道雄君        農林水産省農村        振興局長     山田 修路君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農業担い手に対する経営安定のための交付金  の交付に関する法律案内閣提出衆議院送付  ) ○砂糖価格調整に関する法律及び独立行政法人  農畜産業振興機構法の一部を改正する等の法律  案(内閣提出衆議院送付) ○主要食糧需給及び価格の安定に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付  )     ─────────────
  2. 岩城光英

    委員長岩城光英君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、和田ひろ子さんが委員辞任され、その補欠として千葉景子さんが選任されました。     ─────────────
  3. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農業担い手に対する経営安定のための交付金交付に関する法律案外二案の審査のため、本日の委員会農林水産大臣官房技術総括審議官染英昭君、農林水産省総合食料局長岡島正明君、農林水産省生産局長西川孝一君、農林水産省経営局長井出道雄君及び農林水産省農村振興局長山田修路君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 農業担い手に対する経営安定のための交付金交付に関する法律案砂糖価格調整に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する等の法律案主要食糧需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 おはようございます。民主党のツルネンマルテイです。  今も報告がありましたように、本日もこの委員会では農業担い手に対する支援に対する新法について質疑が行います。私も前回、この法案に対して質問したときは、時間が足りなくなって四つも質問が残ってしまいました。しかし、後でいろんなほかの委員質問を聞きますと、その三つは、特に集落営農についての質問はほぼ同じような質問もありましたので、それをもう繰り返しません。いずれにしても、それを質問していっても、答弁も恐らく変わらないんだと思います。しかし、その残った質問一つだけをどうしても最初には取り上げたいと思います。  なぜかというと、どういうわけか、この問題はほとんどほかの委員たちはまだ取り上げてない問題であります。それは、この法案の中には第二条に書いてあることですけれども、環境調和の取れた農業生産に関する問題であります。極めて重要なことであります。なぜ重要かというと、今度はこの法案対象農業者になる人たち要件一つになっているということであります。さっき言いましたように、第二条二項二号に次のようなことが書いてあります。「環境調和のとれた農業生産に関して農林水産省令で定める基準を遵守していること。」とあります。恐らくここは、参考資料を読みますと、いわゆるこの農業環境規範一つ基準になっているんではないかなと思いますけれども、そのことについて、まず具体的にその内容とその実施について、簡潔で答弁お願いします。
  7. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 今回の品目横断的経営安定対策につきましては、農業生産持続性を確保するということを前提といたしまして担い手経営安定を図ろうとするものでございますので、本対策対象者要件一つとしまして「環境調和のとれた農業生産に関して農林水産省令で定める基準を遵守していること。」ということを要件といたしております。  具体的には、当該年産作付期間に係ります生産活動につきまして、去る平成十七年三月に策定、公表しました環境調和のとれた農業生産活動規範、いわゆる農業環境規範で定めております土づくりの励行とか、適正な防除の実施といった項目につきまして、農業者自らが点検の上、一定の様式にチェックを行い、交付金交付申請の際にこれを提出していただくということを検討いたしております。
  8. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 ここの中に、私は特に引っ掛かっていることは、農業者が自ら点検するということでありますね。それから、重要なことで、さっきも言いましたように、この対象農業者要件一つになります。しかし、この規範もここにはありますけれども、非常にすばらしいことが書いてありますけれども、これをチェックすることは完全に農業者本人に任されているということは、私は非常に足りないというか、あいまいな点ではあるんじゃないかなと思っています。  悪く言えば、これは一つは、この環境調和の取れた農業というのは、確かに法律には入っていますけれども、それは一つのうたい文句にすぎないということじゃないかなと思います。本来ならば、やっぱりこれはもっと厳しく何らかの形で本当に点検しているか、基準を守っているかどうかチェックする必要があるんじゃないかなと私は思います。これだけ、私はこの法案について今最初に取り上げたかったことです。どうしてもそのチェックが必要と私は思っています。  今日は、私はこの新法に対してこれ以上質問しないことにしています。今日は、私は社会の中でも今農業に非常に関係ある一つの大きな問題について幾つかの質問をこの三十分の中で取り上げたいと思っています。  それは牛乳についての問題です。牛乳離れが今行われているということを私たちは知っています。その牛乳離れについての原因とその対策を私たちはどういうふうに考えているかということを質問したいと思っています。いろんな理由があるはずです。  まず、私は最初には牛乳生産消費の例えば過去十年間の動きというか、行動について簡単に報告をしていただきたいと思います。
  9. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 最近十年間の牛乳生産消費動向というのはどうだというお尋ねでございます。  牛乳類生産量、これは消費量になりますけれども、その動向を見ますと、牛乳平成六年度の四百三十五万キロリットルをピークとして減少傾向で推移しておりまして、この十年間では約九%の減少ということになっております。一方、乳飲料、これはコーヒー牛乳であるとかイチゴ牛乳と、そういったことで代表されると思いますけれども、この乳飲料はこの十年間で約一四%の増加ということになっております。  この牛乳消費の減でございますけれども、これにつきましては、少子高齢化によりまして、一人当たりの消費量の多い人口層減少傾向にあること、豆乳でありますとか茶系飲料等の他飲料との競合などによりまして減少しているということが挙げられると思いますが、一方、乳飲料、増えている乳飲料につきましては、消費者の嗜好に応じた新商品の開発などによってこれは健闘しているというふうに考えているところでございます。
  10. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 今の報告にもありましたように、生産量には動きがありますけれども、それほど大きな動きではまだないというんですね。だから、どっちかというと、問題はその消費落ち込み、少なくともいわゆる飲む牛乳に対する落ち込みは、これは今新聞でも報道されていますし、大臣もこれに対していろんな心配をしているということを私も聞いています。  私も、ここで、読売の三月二十八日の新聞にも書いてあるように、やはり飲む牛乳消費は言わば前年に比べて七%減っているということですね。つまり、新聞でも報道されているように、牛乳が余っているということ、特に今年になって余っているということ、その生産過剰となっている牛乳の行方がどうなっているか。つまり、処分について簡単に説明をいただきたいと思います。
  11. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 生産過剰の生乳の取扱いというお尋ねでございますけれども、委員指摘のとおり、生乳需給が緩和する中で生産者団体によります計画生産が進められているわけでございます。  十七年度、北海道では、その達成を図るために、昨年の十二月から能力の低い乳牛の淘汰でありますとか、早期乾乳実施によりまして出荷抑制ということに取り組んだところでございます。ただ、今年の三月は生乳生産が前年を上回る、そういった中で、ちょうど学校給食用牛乳の休止時期に当たるといったことで牛乳消費落ち込みがありました。加工向けが増加したわけでございますけれども、工場がフル稼働しても加工処理できない見通しになったということでございまして、ホクレンが生乳八百九十二トンを廃棄するということを決定いたしまして産業廃棄物処理業者委託処理をしたということでございます。  なお、十八年度につきましては、生産者団体は十二年ぶりとなる減産型の計画生産に取り組むこととしておりますけれども、こうした事態を避けるためにも、やはり生産者自らが需要に応じた計画生産に取り組むことで需給なり経営の安定を図っていくというのが極めて重要であるというふうに考えているところでございます。
  12. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 とにかく、今、八百トン以上のものは産業廃棄物として処理したということは、恐らくこういう形では初めてのことじゃないかなと思いますから、これにも大臣がいろんなマスコミのインタビューでも、本当にこれは生産者のことを考えると非常に気の毒なことで、私もそう思います。私もいろんなそういう人たちに会っていて、自分がせっかく作った牛乳は焼却されるということは、これを何とかしなければならない。  今の答弁にも少し触れられましたけれども、その生産調整をもうちょっと具体的には、完全にこれは生産者に任されているか、あるいは何らかの形でそれに行政もかかわっているかどうか、これからは残らないように余らないようにどういう生産調整が行われているか、もう一回それをちょっと具体的に説明していただきたいと思います。
  13. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 生乳計画生産ということになりますけれども、これは今回そういう減産型の計画になっておりますけれども、昭和五十年代に入ってから生乳需給の緩和、それに伴います乳製品在庫過剰等、そういったものがございまして、それを契機として、生産者団体、これは中央酪農会議でございますけれども、生産者団体昭和の五十四年度に開始して以来、その後、継続的に計画生産ということは行っているわけでございます。  繰り返しになりますけれども、十八年度においては、全国的に生乳需給が緩和するということで、生産者団体は十二年ぶりとなる減産型の計画になっているというのが現状でございます。  生産者自らが需要に応じた計画生産に取り組むことは、酪農の健全な発展消費者への牛乳乳製品安定供給を図る上で重要であるというふうに考えているところでございます。  これも御案内のとおりでございますけれども、酪農というのは搾乳に至るまでに相当の手間と時間を要する分野でございまして、その時々の需給実勢であるとか価格変動等、それに応じた機敏な対応が難しい基本的な特徴を持っているというところでこういう計画生産を進めておりますし、牛乳のそういう消費拡大であるとか新たな需要分野拡大につきましては、行政としても各方面から支援措置を講じているというのが現状でございます。
  14. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 つまり、これは生産者本人あるいはそれにかかわっている団体生産調整が主なものになっている。  これは、例えば減反の場合は、その損失を国の方から何らかの経済的な支援がある、補てんですね。これは、この牛乳損失に対してそういう補てんが全くないんですか。これはちょっと余分な質問なんですけれども。
  15. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 過剰になったものについての補てんというものは基本的にございませんけれども、計画生産を進める上で、牛乳価格生乳あるいはチーズ用あるいは生クリームと、用途によって価格が違うわけでございますけれども、先ほど申し上げたとおり、計画生産の中で新たな需要に向ける、チーズでありますとか生クリーム用でありますとか、そういったものについては支援措置を講じているというところでございます。
  16. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 ありがとうございます。  ここで、次の質問大臣にしたいと思います。  特に四月には各新聞ではこの余った牛乳をどうするかといういろんなことが書いてありました。そして、大臣の発言でも、発展途上国へ何らかの形で緊急援助として送ったらどうですかという、以前にもそういうのはあったと思いますけれども、そのとき検討しているというお言葉が新聞に載っていましたけれども、その検討は今何らかの行動に移っているか、あるいは難しいなら、例えばWTOの関連では、それにはどういう問題も入っているか、そういう緊急援助でもなかなかできないとすれば、このことについて大臣からの答弁をお願いします。
  17. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) おはようございます。  今ツルネン議員の御質問の中で、WTO上の問題は多分ないんだろうというふうに思っております。  御指摘のように、牛乳生産消費ミスマッチ、つまり余っているという状況でございますが、私のところも牛乳の主産地なものでございますのでいろんな話を聞くわけであります。  牛乳は体にいい、健康にいい、もっと飲んでもらいたい、これは単なる、何といいましょうか、飲料ではなくて、体づくりあるいは健康のためにも必要だというふうに思っておりますし、そういう経験を持っている人も一杯いるわけでございますので、そういう意味牛乳をもっと飲んでもらいたい。欧米に比べてまだ消費量は何分の一、三分の一以下という状況でございます。残念ながら牛乳が余っていると。  他方、世界には栄養不足、貧困という人たちも一杯いらっしゃるので、そういう人に何とか牛乳を、そうであるならば、今、ツルネン議員が御指摘のように、千トン近い牛乳を廃棄するとか生産調整をするとかいうのであれば、取りあえずは緊急的に支援をできないだろうかということで、御指摘のように今検討をしているところでございます。  具体的にはウクライナを考えておりますけれども、実は牛乳をこうやって送ると、水がほとんどでございますので重量が掛かる、つまり運賃が掛かる。ですから、脱粉という形、脱脂粉乳という形で送った方が、それに栄養分を入れて送った方がいいのではないかと。しかし、脱粉ですから水に戻さなければいけない。昔ある民間会社が──失礼しました。ウクライナじゃなくてウズベキスタンでございます。訂正いたします。しかし、ある民間が善意で脱粉を送って、現地の水で牛乳に戻したら、その水の品質が悪くて子供たちが何人か亡くなったという悲惨なこともございましたので、水のことも考えながらということで、取りあえずウズベキスタンに緊急にお送りしたい。  緊急といっても、御指摘のように随分時間がたっておりまして、私としては早くしろと言っておりますが、これはもう外務省も財務省も、それから総理も大変この件については早くやれというふうに指示をいただいておりますので、できるだけ早く、近いうちにウズベキスタンに対して、子供たちあるいは栄養に苦しんでいる人たちに対して、脱粉プラス栄養を加えた形で早急にお送りしたいというふうに思っております。
  18. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 今の大臣答弁の中には、WTOとの関係は余りないというか差し支えがないということ。  私は、ここに毎日新聞の記事が一つありますけれども、やはり緊急援助検討しているところには、この下の方には、WTOのいわゆるドーハラウンドでは、食糧援助は貿易をゆがめる場合があるとして、緊急のものに限る方向議論されているというのはありますから、だから、あくまでもこれは緊急のときは問題がないというふうに解釈してもいいんですかね。
  19. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、ドーハラウンド議論が、食糧援助について、もう少し広い意味でいうと輸出補助金についての議論の中で行われておりますけれども、そこでも緊急、人道的あるいは現物等々という幾つかの条件を踏まえて、つまり輸出迂回ではないかとか、補助金付きではないかとかいうことはけしからぬという議論はありますけれども、少なくとも現行のWTOルールにおいては、今、ツルネン議員指摘のように、緊急かつ恒常的ではないと、人道支援であるということで、これはWTO上問題がないというふうに認識をして、早急に困っている人にお送りしたいというふうに思っております。
  20. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 そういう方向で実現すれば、これは非常にいいことだと思います、日本国際貢献にも役に立つことでありますから。成功を祈ります。  もう一つの問題は、今も大臣答弁の中にもありましたように、牛乳は健康に良い、だから是非、消費拡大のいろんなキャンペーン大臣自身もあるいは農林水産省も行っているということもいろんな資料があります。ちょうど今月の八日にも、読売新聞には一ページのキャンペーンのものも載っていました。私もこれを読ませていただきました。  この中では健康に良いということを一生懸命アピールしているということでありますけれども、私は、もちろんこれはコマーシャルというか広告ですから細かいことはこういうときはできませんけれども、一つ足りないというのは、これからそれも話したいと思いますけれども、何らかの形で、なぜ健康に良いかという、よくそういうときは医学的な根拠あるいは科学的な根拠というのは、こういうところではちょっとそこまで触れることできないと思いますけれども、もしなぜ健康に良いということを聞かれたら、大臣はもっと簡単にそれにどういうふうな根拠があるというふうに答えるんでしょうか。
  21. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 赤ちゃんがすくすくと、まだ歯が生えていない、したがって硬いものを食べられない、しかも日に日に成長をしていく過程において、本当は母乳がいいんでしょうけれども、母乳に代わるものとして牛乳というものを飲んで私たちも育ってきたわけでございますので、そういう意味で、欧米では、これはもうツルネン議員の方がよく御存じだと思いますけれども、神様が与えた完全食品であるということで、やはり牛乳というのは赤ちゃんが飲んでもすくすくと育つ必要な飲料。  それから、さっきちょっと申し上げましたけれども、スポーツ選手あるいはその新聞広告にもありますように有名なタレントさん、自分たち牛乳を飲んでサッカーで強くなった。また、私の友人でも、お相撲さんで牛乳を飲んで体を鍛えた、ラグビー選手でも牛乳を一生懸命飲んで背が伸びた、これが、体が強くなったという。ですから、私が言うよりもそういう人たち経験談で、自分たちは意識的に牛乳を飲んで見る見る体が強くなったということをもっともっと説明をしていく必要があるんだろうと思います。  農林水産大臣幾ら牛乳を飲め飲め、これはもう北海道出身中川だから言っているんだろうというふうに思われますけれども、そうじゃなくて、ラグビー選手サッカー選手野球選手牛乳を飲んで自分たちはすばらしいプレーヤーになったということをもっともっと啓蒙していくことが大事ではないか。ツルネン議員牛乳を飲んで日本で頑張っておられるというふうに言っていただければ大変効果があるのではないかというふうに思います。
  22. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 次の最後の質問に入る前には、私は、是非理解していただきたい。既に分かっていると思いますけれども、私はフィンランド育ちで、酪農農家育ちで、そしてもう小さいときから牛乳を飲んで、チーズも大好きだった。だから、これは私の牛乳に対するスタンスであります。  しかし、そう思っていない人たちも中にはいるということは、フィンランドでも健康に牛乳が、あるいは乳製品は本当にいいかどうかという賛否両論もあります。そして、それの反対運動も起きています。私は、今日はここには資料を配付したのは、実は今は「病気にならない生き方」という本をこの新谷弘実教授が、医者でもありますから、発行していますね。  この中では、なぜ私はこういうものを取り上げるかと。これは既に日本では八十万部売れています。この中では、牛乳に対して、牛乳は健康に良くないということを何十ページも彼は書いてあります。そして、この人はさらに、私たちは、いろんな人がいますけれども、この人は世界でも、この中にも紹介、たまたま私はこの本の中から参考資料を取ったら、何十ページもありますから、たまたまインタビューの中で、エコ・ピュアという雑誌のインタビューの中で非常にコンパクトに彼の牛乳に対する考え方が書いてありましたので、わざわざこれでそれをまとめましたから。  彼はここにも書いてあるようには、もう四十年間医者をやっていて、そして世界で有名になったというのは、彼は大腸内視鏡でポリープを切除することに初めて成功した人で、その後は三十万人の人の大腸内視鏡で観察して、その人はどういうものを食べたかということも記録しながら彼はそういう結論に達したということであります。そして、さっき言ったように発がん物質ですね、これは、私はもう時間が何分かしかありませんから読みませんけれども、このマジックでマークしたところだけは牛乳に対する考え、あとはそれと関係ないんですね。大体この本の中で同じようなことが書いてあるということですね。  だから、これに対して、つまり牛乳の、例えばカルシウム源としてはほかにもたくさんありますから、それは一番良いということはないというふうに彼は言っています。さらに、非常に驚いていることには、四十年前には日本では学校給食には牛乳が登場したときは、その後はアトピーとかぜんそくとかそういうものは、アレルギー体質が増えた、これは牛乳のせいかどうか私も疑っています。しかし、彼はそう言っているということですね。  このような牛乳に対する批判的なことに対して、やはり私たちは、例えば農林水産省も何らかの形で反論する必要があるんじゃないかなと私は思っています。これに対する大臣の見解をちょっと。
  23. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) 委員指摘のように、そもそも牛乳乳製品の有用性につきましては、カルシウムをまず豊富に含んでいる、それから吸収率が非常に高い、それから骨密度を増加させる、あるいは大腸がんの予防効果があるなどの研究報告が内外の医学関係者から広く行われているところでありまして、その見解は医学界でも一般的に支持をされてきているところであります。  「病気にならない生き方」、新谷弘実さんの著作でありますが、私も酪農家、熱心な酪農家から一体どうなっているんだということで度々抗議を受けまして、役所内でも確認をし、また検討もしてきたところでございます。この中には、牛乳乳製品は体に良いとは言えないという記述がしてあるところでございます。学界で通説とされております先ほど来申しますこととは大きく懸け離れた内容になっているなという認識を持っております。  牛乳乳製品に限らず、食物の効用につきましてはいろいろな見解が世の中にあるというふうに思います。この著書の見解が牛乳乳製品消費に影響してはならない、そのことが大事だというふうに感じております。  昨年七月の出版後、速やかに日本酪農乳業協会におきまして新谷氏の主張に対する反論をまとめていただき、関係者に配付するなどの対応を取られたということも承知をしておるところでございます。  牛乳乳製品につきましては、専門家の意見も踏まえながら、食事バランスガイドにも位置付けをし、その摂取を推奨しているところでありまして、今後一層、牛乳乳製品の有用性につきまして理解が深められますよう普及啓発を図っていきたいと、そのように考えております。
  24. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 時間になりますから、もう大臣のコメントもこれに対して今回は求めません。  参考までに一つフィンランドの情報だけをちょっと伝えたいと思います。  さっきも言いましたように、フィンランドでもアレルギー体質の人には特に牛乳は良くないということも異論ありました。フィンランドでは、二〇〇一年では世界で初めて牛乳の中の乳糖、ラクトースと言います、これを牛乳から完全に除去した牛乳を開発されました。そうすると、アレルギー体質の人たちも飲めるように、もう本当に売上げはどんどん伸びました。これは日本では恐らくまだそういう牛乳は開発されていないんですね。だから、私は、日本でもこういう反論があるということも非常にうれしいことだと思います。やはり私たちは、はっきりした科学的なことに基づいて何が本当かということを考えなければならないと思います。  もし一言、これに対して大臣の方からコメントがあったら、あと一分ぐらいでお願いします。
  25. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 牛乳消費拡大は、私は国民のためになるというふうに思っておりますので、随分やってきたんですね。例えば、飛行機の中で牛乳を飲んでもらおうと。ところが、朝早い飛行機で牛乳を飲むといきなりおなかがごろごろすると言われたり、あるいは銀座の真ん中に牛を持ってきて牛乳を配ったり、そういうときは結構皆さん飲むんですけれども、なかなかフィンランドにおいて、あるいはアメリカやヨーロッパにおいても飲んでいる量に比べると少ない。  そして、今の本のような、立派な先生かもしれませんけれども、我々は何百年も飲んでいるわけでありますし、欧米はその何倍も飲んでいらっしゃるわけでありますから、ちょっと私から言うとこの本は、内視鏡の先生としては立派かもしれませんけれども、ちょっと牛乳に関しては迷惑だなと率直に言わざるを得ないわけであります。  いずれにいたしましても、消費者牛乳を安定的に飲んでいただけるように正しい情報を農林省や私が言うだけではなくて、ツルネン議員や、あるいは先ほどの新聞広告のようにサッカー選手やあるいはタレントさんが自分の体験を自分の言葉で言っていただくことによって消費が増えることが私は国民のためにプラスになるというふうに思いますので、引き続きいろんな努力をしたいと思いますので、また御指導よろしくお願いします。
  26. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 ありがとうございます。  終わります。
  27. 主濱了

    ○主濱了君 民主党・新緑風会の主濱了でございます。  五月の十九日の本会議、それから五月の三十日、三十一日の本委員会に続きまして質問をさせていただきます。  まず初めに、五月三十日、本農水委員会で、私の外国産米の流入に関する質問に対する答弁についてお伺いをいたします。  我が国の農業農業者減少・高齢化あるいは耕作放棄地の拡大という事態に直面している、我が国の土地利用型の農業の構造改革を進めるために、やる気と能力のある担い手に対象を絞って、こうした人たちに頑張ってもらうこととしなければならない瀬戸際にあるとの認識、こういったような御答弁でありました。  私が質問したいのは、このやる気と能力のある担い手というのはどのような担い手なのか、やる気及び能力の基準とはいかがなものなのか、どなたが判定するのか。まず、この点について大臣にお伺いしたいと思います。
  28. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) やる気と能力のある担い手とは、農業で他産業並みの所得を上げ得る効率的かつ安定的な農業経営及びその実現を目指す経営体を意味しております。  このような考え方の下、昨年三月に閣議決定いたしました新たな食料・農業・農村基本計画におきまして、施策の対象となる担い手として、まず効率的かつ安定的な農業経営を目指し、自ら計画的に経営改善を図る者として認定された認定農業者を基本といたしております。次に、土地利用型農業における地域の実態を踏まえ、集落営農のうち一元的に経理を行い法人化をする計画を有するなど、経営主体としての実体を有し、将来、効率的かつ安定的な農業経営発展していくことが見込まれる者を位置付けたところでございます。  また、品目横断的経営安定対策の対象者につきましては、対策の対象となります担い手が効率的かつ安定的な農業経営発展していく努力を加速化させるという観点から、認定農業者につきましては、都道府県では四ヘクタール以上、北海道では十ヘクタール以上、一定の要件を満たす集落営農組織につきましては二十ヘクタール以上としたところでございます。
  29. 主濱了

    ○主濱了君 一言だけ付け加えさせてもらいたいんですが、私は、百九十五万戸、今の販売農家百九十五万戸ありますけれども、この百九十五万戸すべてにやる気も能力もあると、このように思っておりますが、いかがでしょうか。
  30. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) やる気につきまして、ないという否定を百九十五万戸にすることはできないというふうに思います。さらに、今後、担い手としてあるべき姿を求める形で今のような整理をさしていただいたところでございます。
  31. 主濱了

    ○主濱了君 それでは、次に進ませていただきます。  五月の十一日、衆議院の農水委員会で壱岐市農協の吉野誠治組合長さん、参考人としていらっしゃいました、公述人でしたかね、としていらっしゃいましたけれども、この中で、経営所得安定対策大綱の「基本認識」の中の、今の政策改革は、「農業従事者の減少・高齢化、耕作放棄地の増大など我が国農業・農村が危機的状況にある」という、その部分の記述に関しまして、実は、農家が好んでそうなったのではないだろう、一生懸命頑張って農業をしているけれども、農業だけで飯が食えない、結果として危機的な状況にあると。それから、三つ目としまして、全責任が農家にあるように書いてあると感じて少し残念に思っていると、このような発言をその委員会の中でお話をしております。  この農業現場の生の声をどのように感じられるか、大臣にお伺いします。
  32. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 吉野さんがそういうふうに言われたということでございますけれども、今、やる気と能力というのは、御本人たちはもちろん、皆さんお持ちだと思います。  ただ、問題は、食料・農業・農村基本法にもあるわけでありますけれども、やっぱり業としてきちっとやっていけるかという結果の問題になるわけでありますから、これは農業だけじゃなくて、ほかの仕事でも自分はこういう仕事をやりたい、でも業として成り立たない、お客さんがいない、経営がうまくいかないということとある意味では同じでございまして。  もちろん、農業、大事です。百九十五万あるいは二百万、三百万の農業に携わってる皆さん方、それぞれ立派にやっていらっしゃると思いますけれども、業としてやっていく、つまり消費者に対していいものを供給していく、あるいは外国ともある意味では競争をしていく、そういう形の中でやっていけるようにしていこうというのがこの法律でございますんで。  確かに、農林水産省、過去から、専業とか担い手とか認定農家とか、いろんな言葉でショーアップしてまいりましたけれども、今回は私はやる気と能力という言葉を使っておりますが、要は、結果として、業としてプロ農家がやっていける、経営感覚もある、経理感覚もある、マーケティングもできる、そしていいものを作ってお客さんに売れるという経営体を是非後押しをさせていただきたい、またそういうところを目指すようなところを御支援をさせていただきたいということでございますので、まあ百九十五万全部がやる気と能力がないというふうには毛頭言うつもりはございませんけれども、百九十五万全部を支援するということも、これは果たして税金を使って支援する上でいかがなものかということで、頑張っていただけるところを御支援をさせていただきたいという趣旨でこの法案を御審議をいただいているわけでございます。
  33. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございます。  それでは、次は二十七年の農業構造の展望について若干お伺いしたいと思います。  まず、これが、五月の十九日の日本農業新聞で認定農業者がやっと二十万を超したと、こういうふうな報道がなされております。この現状からして、そもそも二十七年展望にあります効率的かつ安定的な農業経営、これが三十六万から四十二万、大体四十万と、こう私言っているんですが、この四十万経営体を確保できるのかどうか。現時点で実は二十万なわけですよね。でも、この二十万だって、よく中身を見ていくと、担い手に該当するかしないか、これもはっきりしないわけですよ。認定農家というのは、計画書を出してそれを認定されればいいんですが、規模要件に該当するかどうかも分からない。こういったような中で、二十七年のこの効率的かつ安定的な農業経営、大体四十万経営体、これが確保できるのかどうか、この見通しについてまずお伺いをしたいと思います。
  34. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) 昨年三月に公表いたしました「農業構造の展望」におきましては、行政団体の取組や支援施策の集中化、重点化を行うことを前提とした望ましい農業構造の姿として、平成二十七年に効率的かつ安定的な農業経営が、家族農業経営で三十三万から三十七万程度、集落営農経営が二万から四万程度、法人経営が約一万程度と見込んでいるところでございます。  このように、この展望の実現は支援施策の集中化、重点化が前提となっていることもありまして、農林水産省としましては、品目横断的経営安定対策を始めとしまして、予算、金融、税制など、農業経営に関します各種施策の対象をできる限り担い手に集中をしながら重点的に実施をし、効率的かつ安定的な農業経営の育成を図ることにより、この望ましい農業構造の実現は可能であると考えております。
  35. 主濱了

    ○主濱了君 是非とも頑張っていただきたいと思います。  私も、実は集落営農を進めるために各地域を歩いたことがあります。なかなかこの集落営農を理解してもらうのは難しい。でも、やはり私も同じく集落営農というのが、どうしても集落営農でやっていかなければいけない部分もあると、このように思っておるところであります。是非とも頑張っていただきたいというふうに思います。  次に、同じ展望の関係ですが、この二十七年の時点で効率的かつ安定的な農業経営、四十万経営体、これがそろったとします。そうすると、そこには計画では七割から八割の農地が集中されると、こういうふうに見込まれているところであります。  それで、この四十万経営体から次の世代の四十万経営体、そしてその次の四十万経営体、これが確保されるかどうか、これについて再度お伺いをいたしたい。  といいますのは、実は六月八日の参考人からのお話でございました、東京農工大学の名誉教授であります梶井功先生のお話によりますと、一九九〇年から九五年までの五年間、さらにその九五年から二〇〇〇年までの五年間、五ヘクタール以上の農業者から、そのうちから大体二〇%、五年間で二〇%落ちていくと、次の五年間でもやっぱり同じ二〇%落ちていくと、こういうふうな状況なんだそうですよ。  となりますと、一回四十万戸決めますけれども、じゃその次の世代も同じ四十万戸でいくだろうか、こういう私は非常に危惧の念を持っておりまして、この辺どう考えているのか、お伺いをいたしたいと思います。
  36. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) 我が国の農業の持続的な発展のためには、効率的かつ安定的な農業経営を育成し、このような農業経営農業生産の相当部分を担う強靱な農業構造を確立していくことが重要であると考えております。  先ほど来申しましたように、できる限り集中化、重点化を実施するところとしているところでありますが、こういった措置によりまして担い手が将来にわたって安定的、継続的に発展をすると同時に、次の世代の後継者や新たに農業に参入する者にとりましても魅力ある経営を実践することとなりまして、結果として次世代の担い手の育成につながっていくものだと考えております。
  37. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  にわかにはちょっとなかなかうんとは言い難いんですが、それではそもそもの担い手について伺ってまいりたいと思います。  四、十、二十ヘクタール、基準がありますね。この担い手要件、決めた経緯につきましては、実は私の前回の質問局長さんから御説明をいただいたところであります。本来目指すべき規模の二分の一程度と、そういうふうな御説明があったわけですが、このような説明で、本来目指すべき規模の二分の一程度だ、こういったような考え方で将来の運命を左右される農家の皆さん、この納得を得られるとお思いでしょうか。  これは大臣にお伺いしたいんですが、いかがでしょう。
  38. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 四ヘクタール、十ヘクタール、二十ヘクタールというのは、あくまでも、面積だけじゃございません、所得特例もございますけれども、これはスタートラインでございます。私は、やっぱり農業で一生懸命頑張ってやっていけばその町のほかのお仕事の人と同じような、あるいはそれ以上の所得が得られるというふうになってもらいたいし、そのためにこの法律支援をさせていただきたいというふうに思っているわけでありまして、そういう意味で言うと、今から他産業並みの人たちを更に頑張れということ、あるいは他産業よりも十分の一の人たちに、さあ頑張れ、頑張れといって他産業並みに努力してくださいと言うよりも、既に今ある程度、文字どおり、冒頭のやる気と能力じゃございませんけれども、それが外に見えているという、結果を出しているという農業者に対して、さあ頑張ってくださいと、他産業並みでやっていただきたいというところに対象を絞っていくということが大事ではないかと。  ちなみに、私のところの例を出すといつも申し訳ないんだと思いますけれども、私の地元では所得が二・五倍に増えて平均年収が四千万円、売上げがですね、増えて増えてどんどん増えてきたんです、頑張ってきたんですと。これは何も私のところのような畑作、酪農専業地帯だけではなくて、都市近郊の野菜農家、果樹農家、花卉農家、お花の農家もあるでしょうし、いろんなところでそういう例があるんだろうと思います。  そういうふうになってもらいたいという意味で目標として掲げまして、それがその地域の二分の一程度を一つの目安にしましょうと、どんどんどんどんよくなってもらいたいというふうに思って、まあ一つの目安として二分の一というものを設定させていただいたわけでございます。
  39. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  また、御地元の件についてはまた後ほどお伺いしたいと思います。  局長さんにちょっとお伺いしたいんですが、効率的かつ安定的な農業経営可能な規模の二分の一程度と、こういうことでしたが、この二分の一を外して本来の姿に戻すことがあり得るんでしょうか。それはいつごろになるんでしょうか。ちょっとだけお伺いしたいと思います。
  40. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 正に平成二十七年度時点での目標として構造展望を示しているわけでございますから、その二十七年度に構造展望で示した姿になるように、今定めていただいておりますこの対策担い手を、更に規模拡大なり所得向上に向けて、金融措置、税制措置も含め、予算措置も当然でありますが、そういうことで、支援していく中でそういうものに到達する、あるいは近づいていくということを考えているわけでございます。
  41. 主濱了

    ○主濱了君 結局、二分の一は元に戻すんですか、なくなるんですか、なくならないんですか。よく分からなかったんですが、そこの点だけお知らせをいただきたいと思います。
  42. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 昨年十月に決めました大綱におきましても、制度開始後につきましては、構造改革の進捗状況を定期的に点検をいたしまして、「その結果を踏まえ、望ましい農業構造の実現に向けた見直しを行うものとする。」というふうに記してございます。その趣旨に即して、定期点検、そして望ましい農業構造の実現に向けた見直しを定期的にやっていきたいと考えております。
  43. 主濱了

    ○主濱了君 私の考えからすると、本当に十分の一であってもいいと思うんですよね。これ逆方向に行って、ますます絞り込んでくるのじゃないかなと、こういうふうに思います。そういう方向で本当に日本農業が良くなっていくかどうか、これはもうじっくり、逆の方向の見直しがあっていいと思うんですよね。その辺はよろしくお願いしたいと思います。  それで、これまでの耕作、日本の様々な耕作を概観いたしますと、まず昭和当初のあの地主、そして小作制、さらにこの反省から自作農制へと、これは国の方でも支援制度があります。そして、このたび、農家の都合というよりも農政の都合で一大転換して担い手制になると、こういうふうに見ておるところであります。  それで、この中でちょっと気になるのが今目指している構造改善。大規模経営の中で品種の多様性、非常に細やかな品種一杯あります。この品種の多様性や手塩に掛けてのおいしさの追求、この点がどのように確保されていくのか。大ざっぱな、大型機械でがりがりがりっとやってしまうんじゃなくて、そういうふうな品種の多様性であるとか手塩に掛けてのおいしさ、これはどのように確保されていくか、その点についても配慮をされているのかどうか、お伺いしたいと思います。
  44. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 大規模化をした場合の稲作をどういうふうに見ているのかということだろうと思うんですけれども、一般に申し上げまして、稲作に対する依存度の高い大規模経営体ほど労働分散を必要としますし、冷害等のリスク分散の観点から、わせ、なかて、おくてといった多様な品種、これを組み合わせた営農を行っていると思いますし、正にお米に依存するわけでございますので、米の品質管理等にも意欲的に取り組んでいる場合が多いのではないかというふうに見ております。  いずれにしましても、稲作生産の相当部分をやる気と能力のある方、担い手が担うわけでございますけれども、その中で需要に即した多様な米作り、品質の向上と、そういうものが現状以上に図られるのではないかというふうに考えているところでございます。
  45. 主濱了

    ○主濱了君 これはにわかにはちょっと信じ難いんですが、やっぱり細やかなところというのは本当は残していただきたいと、私自身はそう思っております。  それでは、担い手の項目でもう一つ、所得特例というのがございます。先ほど大臣からもお話がありましたこの所得特例でございますが、この所得特例は何を目的とした特例なんでしょうかね。国民への主要食糧の供給を目指しているのか、結果として食料自給の向上を目指しているのか、一方において、ただ単にもうかる農業のお手伝いなのか。この辺、その目的といいますか、何を目的としているのか、端的にお話をいただきたいと思います。
  46. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) 品目横断的経営安定対策につきましては、将来的に他産業並みの所得を確保し得る効率的かつ安定的な農業経営発展していくスタートラインに立っていると評価できる方々を対象とすることにいたしております。  この場合、本対策の対象農産物の生産に係ります農業形態が一般的に土地利用型農業でありますことから、経営面積を規模要件とすることを基本としているところでございます。しかしながら、野菜等を含めました複合経営等によりまして、経営面積が小さくとも相当水準の所得を確保している者につきましても、同様に効率的かつ安定的な農業経営発展していくスタートラインに立っていると評価できるということから、本対策の対象とすることが適当であると考え、いわゆる所得特例を導入するところとしたところでございます。  このように地域の実態を踏まえた適切な特例を設定することによりまして、意欲と能力のある担い手に十分な門戸を開くと同時に、担い手経営改善努力を促し、その結果、力強い農業構造が確立されることが食料自給率の向上にも資すると考えております。
  47. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  ただ、いろいろ反論がありますね。その程度の特例であるとすれば、正に強い者を支援しようということになっちゃうんじゃないかなと思うんですが、この程度の特例であるとすれば、主に米とか麦とか大豆を生産している四町歩以下の、四町歩未満の担い手になれないような人たち、正に米を作っている、正に大豆を作っている、正に麦を作っている、そういう人たちをより対象にするべきじゃないでしょうか。もし増産とか食料の自給を目指しているのであれば、そちらの方を対象とするべきではないでしょうか。正に、農業における公平性というものが私は保たれていないというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  48. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) 品目横断的経営安定対策につきましては、将来的に他産業並みの所得を確保し得る効率的、安定的な農業経営ということで、先ほどスタートラインに立っていると評価できる方をという説明をさせていただいたところでございますが、この場合、基本となります経営面積によります規模要件については、他産業並みの所得を確保できる面積のおおむね二分の一を基本としましたところは先ほど述べましたとおりであります。また、同様に、所得特例の場合にも、市町村の基本構想の目標所得額の半分を超えることをその要件といたしております。  この基本となります経営面積によります規模要件と所得特例の所得要件は望ましい水準のおおむね二分の一という観点から、これは不公平なものとはなっているとは考えておりません。
  49. 主濱了

    ○主濱了君 いずれにいたしましても、総体的に担い手も含めてこの制度を見直されるわけでありますので、その際は、要件を厳しくすると、絞り込む方向だけでなくて、その逆の方向も含めて見直しをしていただければいいなと、こういうふうに思っております。  次に、対象品目についてお伺いをいたします。  まず、耕畜連携についてお伺いしたいんですが、まず粗飼料と濃厚飼料の輸入状況、まあ金額でもいいですし、それから重量でも構いません、粗飼料、濃厚飼料の輸入状況。それから、飼料の、要するに食べさせる飼料の輸入とそれから国産の割合、自給の割合ですね、この点についてお伺いをしたいと思います。
  50. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 粗飼料と濃厚飼料の輸入状況、まあ自給率ということになろうかと思いますが、十六年度需給表出ておりますけれども、それによりますと、これは、えさという、いろんな形態があるものですから、私どもはTDNベースというか可消化養分総量というところで計算をしておりますけれども、稲わらや牧草といった粗飼料については自給率が七四%、それで、トウモロコシ、大豆油かすといった濃厚飼料については一一%と、それぞれ自給率になっていまして、飼料全体では二五%ということになっております。  なお、量についてどうかというお話もあったわけでございますけれども、粗飼料では五百六十四万トンが国内で消費されておりますけれども、そのうちの輸入量が百四十四万トンになっております。  濃厚飼料は、一千九百五十万トンの、これもすべてTDNベースです、今供給されておりますけれども、千九百五十万トンのうち輸入が千七百三十八万トンということで先ほどの自給率になるということでございます。
  51. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  いずれ、かなり自給率は低いんですよね。三分の一程度でしょうかね。そういうふうにかなり低いということなんですが、この畜産関係の食料自給率、どの範囲でくくるかは別としまして、畜産関係の食料自給率とこの輸入飼料との関係で御説明をお願いいたします。  委員の皆様のお手元に、実は白書の六十八ページにあります食料自給率の表をお手元に差し上げておりますが、特にこの緑の部分ですね、緑の部分についての御説明を中心にお願いをしたいと思います。
  52. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 畜産物の食料自給率と飼料自給率の関係ということでございますけれども、畜産物の品目別の自給率はどういうふうにして出しているかと申しますと、その畜産物の国内消費量に対して、牛肉なら牛肉ですね、その消費量に対して国内の家畜からの供給量が占める割合ということで出しております。また、飼料自給率につきましては、飼料の国内需要量に対して国内供給量が占める割合と、そういったものを算出しているということでございます。  他方、カロリーベースの自給率というのが、四〇、四五といった場合、なるわけでございますけれども、これを算出するに当たりましては、国産の畜産物であっても輸入飼料によって育成された分については厳密には国内自給とは言えないことから飼料を国内で自給している部分しか算入しないと、そういうことにしているところでございます。  例えば、平成十六年度の豚肉の品目別自給率は、これは国内消費される豚肉の五一%は国内で生産されていることから品目別の自給率は五一%となるわけでございますが、一方、豚の飼料の自給率はこれは一〇・八であると。これは、粗飼料食べませんから濃厚飼料が中心になります。それで一〇・八%ということで、これに一〇・八%を掛けます。そうした結果、豚肉のカロリーベースの自給率は五・五%になるということでございます。
  53. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  もう一つ伺いたいんですが、この輸入飼料についてなんですけれども、前回ですか、谷合委員からの御指摘もありました水の関係ですね、水の関係もありますけれども、またほかから飼料を入れますと窒素とか燐が当然含まれて、入ってくるわけですよ、日本に輸入されるということになります。本来資源が調和して循環していれば一番いいわけなんですが、その調和してる中にほかから別の飼料が入ってきて、多分日本は、あるいは地域的には違うんでしょうけれども、地域的には燐とか窒素が過多になっているんじゃないかなと、このように思うわけであります。  この点について、私の懸念、こういうふうな懸念をしているんですが、これについて御見解をお願いをしたいと思います。
  54. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) これは御指摘のとおり、輸入飼料を持ってくるということは、その中に入っているたんぱく質がやがて窒素であるとか燐酸といったものに分解されて出てくるものもあるわけでございます。そういった量が、家畜排泄物由来の含まれる窒素量はどのぐらいあるかというと、大体年間七十万トンぐらいあるだろうということでございます。我が国全体の窒素の受入れ可能量というのは百十四万トンというふうにも推計をされるわけでございます。いかにこの自給飼料畑を作り、そこにそういう堆肥等で還元する中でこの循環をしっかりしていくというのは、これから大変大事な分野であるというふうには考えているところでございます。
  55. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  自給率を聞いたり今の環境問題を聞いたり、いろいろお話をさせていただいたわけなんですが。  実は、対象品目にまたお話を戻します。  この自給率の観点からも、もう一回皆さんこの表を見ていただきたいんですが、この自給率、畜産物のところ、結構な構成比を占めております。この構成比を占めているもののもし自給が一〇〇%になりますと、この緑の五〇%がそのまま日本の自給率アップの方向に働くわけですよ。  こういったような自給率の問題もありますし、それから今お話をいただきました環境の問題もあります、窒素、燐過多。環境の問題もあります。こういうふうな問題点があるとすれば、この飼料作物を国内で進めるために経営所得安定対策の中で対象品目にしたらいかがでしょうか、こういうことを言いたいんですよ。そうすれば、この部分が進みますと、自給が進みますと、食料自給率も上がるし環境問題もある程度は解消されると、こういうことを今考えておりますが、いかがでしょうか。
  56. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) 本法案におけます対象農産物の要件として、国民に対する熱量の供給を図る上で特に重要なものとしているわけであります。この国民に対する熱量の供給とは、その農産物自体が有します熱量を直接国民に対して供給することを前提といたしております。  このような観点から、飼料作物は、家畜のえさとして摂取され、最終的に畜産物の形で国民に対して供給される中間生産物でありまして、国民に対して直接熱量を供給しているわけではないことから今回の対象農産物としては考えていないところであります。  仮に、飼料作物そのものの諸外国との生産条件格差を考える場合、自給飼料の生産コストと輸入粗飼料の購入価格との比較となりますが、平均的には自給飼料として生産する方が割安となっておりまして、その点からも品目横断的経営安定対策の対象作物とはしておりません。
  57. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  いずれ、この点につきましても見直しのときにきちっと見直しをしていただきたいなと思います。  直接的であるかどうかというのは、極めて私は理由にはならないと思うんですよ。現に、これ農林水産省で出している白書の中でここのところをはっきり出しているわけですので、ここの部分を自給すれば間違いなく自給率は上がるわけですから、直接的であるかどうかというのは余り理由にならないような気がいたします。  では、先を急ぎます。米価についてお伺いをいたしたいと思います。  米価につきまして、米価が低下した場合あるいはコストを下回ったとき、現在どのような手だて、支援措置あるいは施策が講じられておりますでしょうか。それから、新しい政策の中ではいかがでしょうか。  実は、この問題は、参考人の皆さん、特に北海道から来られた参考人の方から、非常に米価が下がって経営が大変であると。おやめになった方もいる、大規模なところでもおやめになっていると、そういうお話がありました。そのほかの参考人の方からも、やっぱりこの米価について非常に関心が寄せられております。これが下がったんじゃもう元も子も何も、手も足も出せないと、こういったようなお話がありました。この観点から、現在あるいは新しい基本計画の中でどのような手だてが講じられるのか、お伺いをいたします。
  58. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) お答えいたします。  米の価格下落対策につきましては、米政策改革の一環といたしまして、十六年産米から、すべての生産調整実施者を対象としてその米価下落の影響を緩和する稲作所得基盤確保対策を講じるとともに、一定規模以上の担い手を対象に、これに上乗せして、その稲作収入の減少の影響を緩和する担い手経営安定対策を講じているところでございます。  また、十九年度以降につきましては、水田において米も含めた品目横断的経営安定対策が導入されることなどを踏まえ、稲作所得基盤確保対策担い手経営安定対策に関しまして、担い手につきましては品目横断的経営安定対策へ移行する、担い手以外の方につきましては、米の需要に応じた生産を誘導するため、当面の措置といたしまして、産地づくり対策のメニューの一つとして米価下落の影響を緩和するための対策を行えるよう措置するといった見直しを行うこととしているところでございます。
  59. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  その産地づくりの内容についても、本当はどれだけ担い手以外の人たち支援するのか、お伺いしたいところなんですが、ちょっと時間の都合上、それにつきましては触れないで、私の考えをちょっと述べさせていただきたいと思います。  米の価格については、国民の主食であると、こういうことから、生産調整とセットで、少なくともコストを下回る価格についてコストと販売価格の差額を補償するべきであると考えます。先ほど申し上げましたように、生産者である参考人の方からも多くの要望があったわけですけれども、大臣になりますか、副大臣になりますか、御所見、政務官ですか、ひとつ御所見をお願いいたします。
  60. 小斉平敏文

    大臣政務官(小斉平敏文君) 米につきましては、米政策改革の下で、効率的かつ安定的な経営体が市場を通じて需給動向を鋭敏に感じ取って、売れる米作りを行う米作りの本来あるべき姿の実現を目指しておるところでございます。  そのような中で、米価がコストを割り込んだ場合、不足払い的な支援を行うことについては、現在、米政策改革の下で需給に応じた米作りを推進していることとの関係から見ましても、これを阻害し、モラルハザードが発生する等から対応困難であると、このように考えております。  なお、このために、品目横断的経営安定対策、この中で、収入変動影響緩和対策につきましても、市場価格あるいは収量の大幅な変動を緩和することによって担い手経営安定対策を図るものでありまして、販売価格にかかわらず一定水準の収入や所得を補償するような仕組みとはしていないところでございます。
  61. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  ただ、やっぱり幾ら補償したとしても、コストを割った米価に耐えられないで離農する例があったということでありますし、これからも出てくると思うんですよ。コストを割っていれば、いかに補償してもコストを割ったらばもうどうしようもないわけです。  そういうふうな例が実は先日の参考人の質疑の中で北海道にもあると、しかも大規模な農家にそういうふうな農家があると、こういうことでありますが、こういったようなコストに耐えられずにもう離農すると、こういったような現実、これをいかにお考えでしょうか。
  62. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) ただいま政務官からお答えしたこと、繰り返しになるかもしれませんけれども、やはり需要に応じた米作りを推進するということが極めて重要だというふうに考えております。  先回の当委員会におきましても、十七年産の北海道産きらら三九七、これにつきましては、全国の作況が一〇一、北海道の作況一〇九の中で、昨年から非常に引き合いが強くて価格がかなり上がってきておるといったようなこともございます。そういったことも参考にしながら、やはり需要に応じた米作りをする、その中で米価下落の影響を緩和していく対策を講じていくということが重要だというふうに考えております。
  63. 主濱了

    ○主濱了君 これもひとつ見直しの際に、これは、コストを下回ったんでは幾ら補償したってこれやっぱり届かないと思うんですよね。きっちりした見直しをしていただきたい。裏返しますと、まだまだ現段階では不十分だというふうに評価せざるを得ないというふうに思っております。  次、自給率の向上でございます。  皆様方のお手元に資料を差し上げております。やっとここにたどり着きましたんですが、まず油脂類の自給率ですけれども、現在は残念ながら下から三つ目、四%と、こういう状況になっております。でも、昭和四十年では三三%、現在の方、平成十六年度の方は構成比も非常に大きくなっております。  この供給熱量の上位を占める油脂類の自給率の向上、これをどのように考えているのか、これについてお伺いしたいと思います。ただ、いずれこういうところを小まめに埋めていかないと自給率というのは上がらないと私は思うんですが、いかがでしょうか。
  64. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) 今御指摘のとおり、油脂類につきましては食生活の変化によりまして大豆油や菜種油を中心として国内消費量は増加しておるわけでございますけれども、一方で大豆及び菜種の国内生産はそれに見合った増加が見られず、御指摘のとおり結果として油脂類の自給率は低水準にあります。  しかしながら、これら油脂生産に必要な大豆及び菜種を国産で賄うためには広大な農地が必要であり、その自給率の向上にはおのずと限界があると考えております。試算でございますけれども、現在、搾油用に輸入されている大豆及び菜種を国内で生産する場合、約三百三十万ヘクタールの農地が必要であるというふうに試算しておるところでございます。  したがいまして、我が国といたしましては、大豆、菜種などの生産の確保に努める一方で、これだけでは限界があることから、油脂及び油脂原料の安定的な輸入により国民への油脂の安定供給に努めているところでございます。
  65. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  次、麦類についてお伺いしたいんですが、麦類の自給率というのは、結局、これは小麦とか、実はここにありませんが大麦とか裸麦とかあるわけですけれども、今一四%程度なんですけれども、この麦類の自給率、一四%程度で了としているんでしょうか。この点について端的にお答えをいただきたいと思います。
  66. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 小麦の場合が一四%ということでございますし、大・裸麦については九%を一五%にということにしておりますが、これも、小麦につきましては、我が国の小麦そのものが実需者が求める品質の向上や安定供給に十分対応し切れていないという現状がございますので、そこをやはりしっかりと品質なり生産性の向上、安定供給を図るという中で、この八十六万トンを確保したいというところで一四%にしているということでございます。  なお、小麦の場合は用途がございまして、日本産の小麦は主として日本めん用というところに仕向けられると。最近、パン用とか中華めん用の品種も開発されてきたということで、こういったものを拡大する中で八十六万トンを確保するという考え方で一四%としているところでございます。
  67. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。端的に見て、過去の実績から見てもうちょっと上がっていいのかなというふうに思うわけであります。  次に大豆なんですが、大豆は、ずっと構成比少なくなってきますけれども、今は一六%であると。目標を見ますと、二四%を目標にしていると、こういうふうに思いますが、この麦にしろ、それから大豆にしろ、特に大豆の場合は、かつて昭和四十年のころは四一%なんですよね。四一%だった。それが今一六%まで落ちて、目標が二四%である、その中間辺りを目標にしているということ、こういうことでよろしいんでしょうかね。もうちょっと私、上げるべきではないかなと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  68. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 大豆については、先ほど来お話がございましたように、消費の面は油用と食用と二つに分かれるわけでございますけれども、その二四%というのは食用の自給率について二四%を目標にするということでやっているわけでございます。確かに二十七万トンを瞬間的に超える水準までに達したわけでございますけれども、大豆につきましては、その供給が非常に不安定であるということと、品質がかなり、大豆そのものの国産大豆の評価はいいんですけれども、出てくる産物の品質が良くないということ。そういう御批判もあるわけでございまして、何としてもこの場合、大豆につきましては実需者が希望する安定供給にこたえていくというところを基本にこの数量を出しているというところでございます。  いずれにいたしましても、外国からはすぐ来るわけです。要するに、カナダは売り込みに来るときは、日本のユーザーが希望する大きさであるとか、色の白さでありますとか、煮たときの軟らかさとか、すべてオーダーしてくれればそのとおりに持ってくるよと。そういうところと戦っていくというわけでございますので。ただ、幸いなことに日本の国産の品質はいいというか味はいいと言われておりますので、それを生かす中でしっかりと安定供給の中で国産の需要を確保したいということが基本でございます。
  69. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございます。  先ほど、畜産物については私のお話もしましたし、皆さんのお話を聞きました。実は、畜産物にしろ油脂類にしろ、それから小麦、大豆、こういったようなものについては本当はすべて経営安定対策の中の対象品目になるべきだと、こういうふうに思っておるわけなんですが、実はこの件について私は一つの懸念を持っております。この経営安定所得対策の対象品目と支援の総額ですが、これはひょっとして今ある農林水産省の予算の範囲を絶対はみ出さない、その範囲内でやろうとしているのではないかと、こういったような懸念であります。現行予算の中で支出額をできるだけ絞り込んで、予算を今の予算からはみ出さない、こういうふうなことをお考えになっているのではないだろうか、このような方針ではないだろうかというふうに思いますが、後でお伺いします。  それで、具体的には、なぜそういうことが思い付くかといいますと、まず担い手を規模で絞り込んでおります。さらに、担い手になったとしても、その対象品目、今言ったような例えば飼料作物であるとか菜種であるとか、そういったようなものはそもそもなったとしても対象にはなっていない、対象品目にはなっていない。対象品目になっている大豆、麦においても、これは対象品目になっているといっても、十六年から十八年までの間に作付けをしていなければ、それ以外は全く対象にならない。ここでも絞り込まれている。  担い手として絞り込まれ、なおかつ、何といいますか、対象品目から絞り込まれ、対象品目になったとしても、さらにその過去実績といいますか、十六年から十八年までのこの間で作っていなければ後は全部駄目ですよ、後に作って増産のために一生懸命やったとしてもそれは品目にならないと。そうしますと、何を望んでいるのかよく分からない。今の予算の範囲内で何とか農政を展開していくと、これにすぎないのではないかと、こういうふうに思うんですよ。はっきり言って、増産であれば、食料自給率を上げようとするのであれば、例えば麦、大豆であっても、以降に作ったらば、それを対象にしてどんどんどんどん推奨していけばいいわけですので、なぜそれができないのか。  私のこういったような懸念、あるわけですけれども、これについてお考えを伺いたいと思います。
  70. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) 品目横断的経営安定対策は、構造改革が立ち遅れている土地利用型農業に係る品目を対象としながら、担い手支援を集中的に講じ、その経営の安定を図ることにより強靱な農業構造を確立し、国民に対する食料の安定供給を確保しようとするものであります。  また、国内支持に対します国際規律の制約の中で、本対策を長期的にわたり安定的かつ継続的に講じていくためには、現行のWTO農業協定におきまして削減対象とされていない緑の政策に該当する過去の生産実績に基づく支払を基本とした仕組みに変更することが必要であると考えております。  このように、本対策の枠組みはその政策目的や国際規律を考慮したものでありまして、支出総額を絞り込むためのものではないかという御指摘は当たらないものと考えております。
  71. 主濱了

    ○主濱了君 一つだけ反論させていただきます。  WTOの緑の政策をねらうのか、それとも、今、日本農業は極めて窮状、大変な状況になっております。これを救うのか、どちらが大事かということだと私は思うんですよ。それで、WTOの方を優先すると確かに過去実績になるかもしれないわけですけれども、やはり今の、じゃ日本の農政の現状、農家の現状、農村の現状、これをどうするか。これについてお答えをいただきたいと思います。
  72. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) WTOのために日本農業を犠牲にするつもりは毛頭ございません。  主濱委員が御指摘のように、多分、個別的な意見の違いはあっても、方向性は私は主濱委員と我々と間違っていないんだろうというふうに思っております。したがって、そういう前提で、しかしWTO整合性というものも配慮をしていくということで、ベースは緑、でもあえて黄色も導入しているわけでございます。  それから、予算についても、そういう、今度は今までのように四品目の価格消費者に転嫁するんじゃなくて、国民の税金からいただいてということでございますから、国民の理解をいただいてやっていくということでございます。そういう要件の中で目的に対してやっていくわけでございますから、前回の委員会でも同じような御指摘がございましたけれども、決して予算を絞り込むと、これは財務省はそういう御志向でございますけれども、我々は政策を遂行するために必要であればどんどんどんどん予算を投入していきたいというふうに思っております。
  73. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  参考人の東京農工大学の梶井功名誉教授、この法案は施策対象を一定規模以上に限ることで構造改革を加速させるというが、逆に減速させるのではないかと、こう述べておられました。  私は、新しいこの基本計画、実はちょうどもう二年近くなりますが、この新しい基本計画、それから経営所得安定対策担い手に対する交付金交付に関する今回の法律、これ様々質問させていただきましたが、一大転換ではあるけれども、やっぱり日本農業の、これからどんどんどんどん発展していく方向にはないのではないかと、このように考えているところであります。  WTO農業交渉もまだ交渉中であるということで、この中では、今まで私、話題にしてこなかった米の部分が大きく左右される可能性があるわけであります。そうしますと、実はWTO農業交渉の結果を待ってから措置したらいかがでしょうか。これが一つ思うところであります。  それからもう一つ、今回の措置について農家の皆さんが十分理解をし、そして納得をしているのかという問題。私は、これいまだに地元に帰りますと、どうなんだと、これは困るというふうなお話を随分聞きます。こういったようなことで、今すぐ結論を出す必要はないのではないかというふうに、こう思いますが、御意見を伺いたいと思います。
  74. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、WTOとの関係におきましては、今交渉をやっている最中で、十九日にもモダリティー案が出るというふうにも報道されているところでございます。日本としては、きちっと守るところは守っていきたいというふうに思っておりますので、どういう結論になるか分からないものを前提にしてこの法律を御審議いただいているわけではございません。あくまでも現状と将来に対してこういうふうにしていこうということでございますので、そこはもう全く切り離して考えてございます。  それから、説明については、私も日曜日に札幌でタウンミーティングをやってまいりましたけれども、北海道の場合は比較的分かっていらっしゃる方が多いなとは思ったんですけれども、ほかのところへ行きますと、というか多くの、全国ではよく分かっていらっしゃらない方がいらっしゃると。中身そのものがよく分からないので判断ができないという方も大勢まだいらっしゃるということでございますので、我々は、この法律は対象農家のためにプラスになります、あるいはそういう対象農家になっていただきたいという目的でやっておりますので、こういう御指摘に対しては、主濱委員の御指摘に対しましても謙虚に受け止めて、来年の実施に向けて更に御判断の前提として分かっていただけるように努力をしていかなければならないというふうに思っております。
  75. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  私は、効果的な、効率的な農業を否定するものではないと、これは本会議の際も述べさせていただいたところでありますけれども。  農業というのは命を扱う産業なんですよね。やっぱり自然は決して優しくない、その中で命を扱う産業であるということ、一つ一つの作物、あるいは動物もあるかもしれません、それらは一つの命のリズムを持っているんですよ。それを大事にして育てていかなくちゃいけないというふうに思うんです。これを早くおいしくしようということで一生懸命やり過ぎると、BSEになったり様々な問題が起きてくる。やっぱりリズムというのを、命のリズムというのを大事にしていかなければいけないと、こういうふうに思っております。  いずれにしても、今やるべきことは国民に国産の農産物を供給して、やる気も能力もある販売農家全体を農政の対象にして、そして直接支払制度というのは私はいいと思う、これを実施していくべきであると、このように思っております。このことによって、農業、農村全体を活性化していく必要があるというふうに、こう思っております。  やっぱりここでもう一つ考えなくちゃいけないのは、日本の特徴だと思うんですよ。狭小で、なおかつ急峻な日本であります。ですから、アメリカとかEUとはやっぱりちょっと事情が違うわけであります。そういったような狭小かつ急峻な日本の国土の特徴、これを考えた、十分とらえた、日本に合ったスタイルの農業、これをやっていく必要があるというふうに思っております。  そして、もう一つ忘れてならないのは農村文化です。食文化、それから伝統文化、こういったようなものが農村を中心に一杯出てきたわけであります。こういったようなものも守っていかなくちゃいけない。それから、何といいますか、多目的機能というんですか、こういったようなものも守っていかなければいけないと。いずれ裾野の広い、幅の広い多様な担い手生産だけに着目した担い手ではなくて多様な担い手ですね、いろいろな文化を担う、環境も担う、そういったような多様な担い手を確保していくべきだと、このように思っております。  これらを訴えまして、私の質問を終わります。
  76. 郡司彰

    ○郡司彰君 民主党・新緑風会の郡司彰でございます。  今日は、議事日程を見ますと採決までということでございますので最後の質問になるわけでございますけれども、前の主濱委員が品目ごとについても細かく質問をいたしましたので、私は別な観点から質問をさせていただきたいと思っております。  まず最初に、大臣にお伺いをしたいと思いますが、自作農主義の原則ということについて少しお話をし、大臣のお考えをお聞かせいただければと思っております。  一九六一年の旧の基本法、制定をされましたときから選択的拡大、規模拡大、あるいは構造改革ということは常に言われてきたところであります。なぜそれが余り進まなかったのかといえば、その当時のやはり日本人たちが望んでいたものはお米、主食の生産でありますから、それがどのような形で生産増につながり、皆様方の食卓にきちんと上っていくか。これを行うに際して、しばらくの間農業を続けていく中で、これは兼業でもできるんだというような形になってきたわけであります。例えば、化学肥料が多量に安価で出回ることもありましたし、あるいはまた機械化が進んだ、圃場整備がきちんと行われるようになった、これまでと違った労力でもってお米の生産ができるようになった。しかし、それとは別に、私は、土地の集積、農地の集積が進まなかったというのは、これはひとえに国の土地政策の失敗があったんではないかと、そのように考えている思いがございます。  今日、農水省の方で毎年「農林水産業ひと口メモ」というのを作っておりまして、私もいつもわきに置いていろんなときに見ているんでありますけれども、日本で農地を一アール当たり買うのにそれを一〇〇とすると、アメリカは一・九で買えるんだと。つまり、五十倍買えるんですね、農地が。こういうような形の中で、やはり土地というものは財産を生むんだ、お金を借りるときには、日本の金融は間接金融で、担保に土地をあればお金が借りられるんだと、こういうことが結局農地の集積につながらなかったんじゃないかというふうに思っているんです。  その都度、時代ごとに農政が変わって、いろいろな言い方をしてきたけれども、今のところこの自作農主義というものはやはり農地改革以降貫かれてきていて、また時に、説明によりますれば耕作者主義というようなことにもなったというけれども、私は、そこのところは基本的には個と個の関係でもって成り立つ関係でもって来ているんだろうと。  私は、十三年三月以降、農地法の改正等によって株式会社の形態でも参入ができるようになった、もちろんいろんな法人も出てくるようになった、つまりこれまでと違って資本の参入というものがこの農業という分野にも相当程度入ってくるような形になってきたんではないかと、そのように思っているところなんであります。  このような一連の流れからすると、今後、これまで私たちの国で自作農主義、あるいは耕作者主義と言っていいのかもしれませんけれども、私は、そこのところ厳密な違いはもちろんあるんでしょうが、これまでと違ったような形の流れが出てきている。農水省は、あるいは中川大臣はこの流れに対してはどのようなお考えなのか。私は、一概にすべて悪い、それを言うつもりもございません。大臣の考えをお聞かせいただければと思います。
  77. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 基本的には、問題意識は郡司委員と同じでございます。  日本農業に限らず、土地というものに対して非常にスティックといいましょうか、執着しているといいましょうか、私、元銀行員でございますけれども、銀行でお金を貸すときには土地をベースにしてとか不動産をベースにしてということで、土地に対して日本人は非常に執着が強い。したがって、農業もどんどんどんどん小さくすると田分け者というような言葉まで生まれているわけでございます。これがいいか悪いか。ある意味では日本人の良き伝統かもしれません。  他方、自作農というのは小作に対しての自作でありますから、これは、小作というのは地主さんに搾取されてということから解放するという意味があったんだろうと思います。  いずれにしても、多分御指摘になられておられるのは、昭和二十年代の初めから連綿としてあります農地に関する法律、いわゆる農地法、あるいは自作農維持法等々に関しておまえはどう思うんだという御指摘ではないかと思います。私は、これについても、この法案が御審議をいただき、御可決をしていただいた後、この問題にもまた委員の皆様方にもいろいろと御審議をいただかなければならないのかなと、法律としてかどうかは別にいたしまして、いろんなお知恵を拝借いたしながら、この農地というものについても、この二十一世紀の日本農業にこたえられるような、ニーズは何なのだろうかということを党派を超えていろいろと御指導いただきたいというふうに思っております。
  78. 郡司彰

    ○郡司彰君 私の懸念を少しお話をさせていただきたいと思いますが、これまでいろいろな団体農業に対して提言をしていただいております。もちろん経済団体も同様でございまして、例えば経団連の主張というのは三十数年来変わっていないわけであります。基本的には、農地は厳しいゾーニングを行って、これは厳しく管理をしろと、しかしだれが農業をするかは、これは自作農主義を撤廃をして株式会社が参入をして、そのような農業の形態をこの国にきちんとやるべきだ、こういうような考えがあるわけでございまして、私はそこのところが、今までは農水省は必ずしも経団連あるいは経済団体が言うような形での考え方の中で農政を進めてこなかった。しかし、この一連の流れの中で、今回の法律に云々ではなくて、どうもそうした流れに農水省もかじを切りつつあるんではないか、そのような危惧を抱いておりまして、そのことについてまた改めて大臣からお考えがあればお聞きをいたしますが、限られた時間でございますので、ちょっと先にも進まさせていただきたいと思っております。  今回の法案でありますけれども、WTO関係があるやなしやが随分議論をされております。私は、基本的に価格政策から経営政策に変わるんだというようなことは、今までのこの価格政策というのは、言葉としてばらつきかどうかというような議論もありましたけれども、そういう問題をおいても、これはいずれにしてもほかの国から見れば、先ほどからの緑とか青とか黄色ではなくて赤じゃないかと、赤に近い政策だというような批判を受けてきたということもあるわけであります。そこのところをやっぱり直さなければいけないというようなこともあったんだと思います。それは間違いなかったんだと思います。  だから効率よく、どこにもだれにもではなくて、集中をして選択をして国の政策を行っていこう。これはこの間の文字の中にも出てきたし、私どももそのように認識をしているんでありますけれども、この今回のところは、当初の考えの中には多分に認定農業者担い手、これでできないだろうか、しかしどうもそれだけではうまくいかないという声もあったり、それでは困るんだという声もあって、集落営農という形態も取り入れていこうということにもなったんだと思うんです。集落営農、これまでの衆議院の答弁その他では、農家の三割、農地の五割とか、いろんな言い方がありましたけれども、国がそういうようなことでやるんならば、すべからくの農家を集落営農に組織しましょうという考え方だってあり得るわけですね。国は集中をし選択をして投下をしよう、だけど受け取る側の方は全員が、全戸が集落営農に入りましょう、これは良しとするんでしょうか、あるいは農水省の考え方とすると悪しとするんでありましょうか。
  79. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私はやっぱり日本農業、長い間の日本農業の伝統、これは守っていきたい、それは家族農業がやっぱり原点だろうと。アメリカも結構大規模だとかいろいろ言っておりますけれども、アメリカも結構家族農業のウエートが高いんですね、ヨーロッパも言うまでもなく。そういう意味で、日本においてもやっぱり自然とともに、水、土地と一緒に何百年も暮らしてきた家族農業がもっと良くなってもらいたいということでこの法案を提案しているわけであります。  そういう意味で、家族営農をやめさせて集落営農あるいは法人化あるいは法人が入ってくるということは、これは次の選択であって、そういう選択もありますよということでございまして、あくまでもベースは今後も家族営農の中でもっともうけてもらいたいというための法案だということで、目的を是非御理解いただきたいというふうに考えております。
  80. 郡司彰

    ○郡司彰君 これまでも議論の中で、たしか国井委員だと思いますけれども、全体の予算規模もどういうふうになるんだというような厳しい指摘もございました。  これ例えば、今私が仮定の、仮説の話として、全戸が集落営農に参加をするというような形を取ったとき、これは集中して施策を行っていきましょう、全戸になってしまった、これ予算その他も相当考え方が違ってきてしまうんではないか、その辺のところについてはどうなのかというような疑問を私は思っているわけでありますけれども、少し別な観点からこの集落営農について具体的にお聞きをしたいと思っております。  これ説明に伺っている方が質問をされたり、あるいは自分説明をするときにどうもここのところが分からないというのが幾つか出てくるんだと思いますが、私の場合には、この集落営農、これは任意組合になるんでありましょうか、みなし法人になるんでありましょうか、お答えをいただきたいと思います。
  81. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 集落営農組織につきましては、今委員指摘のように、その組織の実態によりまして、税務当局によりますと、任意組合等として構成員に課税するという場合と人格のない社団等として集落営農組織自体に課税される場合があるというふうに言っております。この集落営農組織が課税対象となる人格のない社団に該当するかどうかというポイントは、単なる個人の集合体ではなくて、団体としての組織を有して統一された意思の下に活動を行っているかという運営実態に基づいて税務当局が個々に判断をされるということでございます。
  82. 郡司彰

    ○郡司彰君 よく分からない説明なんですよ。  例えば、判断をするのは税務当局ですねということになりますね。じゃ、今説明をするときに、何が違うんですか、任意組合とみなし法人は。今おっしゃったように課税の額が違ってくるんですよ。つまり手取りが違ってくるんですよ。努力をしたけれども、どっちに認定をされるんだということによって、今の説明がきちんとできるかできないか。多分できてないんだと思うんです。細かく言うと、いろんな作業をみんなでやろうということになる、そのときに、私は今日この作業だったらば六時間出られるよ、私は二時間しか出られないよ、一元経理でもってどういうふうになるんですか、みなされるんですか、出日当の計算はどういうふうになるんですかということになれば、これはもうおおよそみなし法人というふうにみなされるんじゃないんですか。そこのところをきちんと地域でもって説明できない状態でこの法案、制度を発足させようというのは非常に私はおかしいと思っています。
  83. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 今委員指摘のような、組織体としてしっかりしたルールが決まっておりまして、その出役の観点あるいは単価とか、そういうものもしっかり決まっているということであれば、正に統一された意思の下に活動を行っている団体であるということで、人格のない社団として認定されるのではないかと思います。人格のない社団に認定されれば、法人税法上は一般的には法人税を払うということになりますけれども、これについても収益事業を営む場合に限り納税義務があるというふうにされておりますから、この人格のない社団等から農協などの特定の集荷業者に農産物の売渡しだけを行う場合については税務当局において収益事業に該当しないということをはっきり言っていただいておりますので、この法人、みなし法人であるといたしましても、米等を農協等の特定の集荷業者に売り渡すだけの場合には課税されないという扱いが確立いたしております。
  84. 郡司彰

    ○郡司彰君 そのような解釈を間違いなく税務当局がしているんだとすれば、説明に行っている各都道府県の担当者、JAの説明の方々もみんなそのようにするはずですね。実際にはそうなっていませんね。税務当局の判断によるしかないというような形になっているから皆さんお困りになっているんじゃないんですか。本当に今その答弁で間違いないですか。
  85. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) これは郡司委員の御指摘を受けるまでもなく、私も随分議論したんです、省内で。要は御指摘のように税務当局の判断でございます。でも、判断がこれから、スタートしてから判断だと、徴税時期になってから判断だということじゃ集落営農組織のインセンティブがございません。それから、地域によって違うというのも困りますんで、これは、まあ今日は、こういうことを言うと怒られるかもしれません、一応最終日だということなのかどうかは別にいたしまして、税務当局と我々行政がきちっと約束をして、農家の皆さん方に分かりやすく説明をしないと、これはなって意味があるのかないのかと、集落になっても税金のメリットがないとか、逆に重くなっちゃうとかいうことになりかねませんので、これはもう私自身も実はかねてから疑問に思っていたと言うと大変申し訳ない話でございますが、きちっと委員の皆さん方をスタートとして、農家の皆さん方に分かりやすく、こういうルールであると、きちっと、我々が判断するというよりも多分徴税当局、そして徴税当局ができるかどうか分かりませんけれども、これはある意味じゃ一つのポイントだろうというふうに思っております。
  86. 郡司彰

    ○郡司彰君 大臣答弁でも、私も大体そういうところだろうというふうには理解するんですよ。ただ、この前、共補償の関係か何かも、結局申告をする時期になって、結局それはどうなんだということでもって大変現場ではやり取りがあったんですね。今回も同じような制度を発足をさせるときに、そこのところはきちんとしていただかないと私は正直困るな。だから、この問題がはっきりしなければどうのこうのということではないんです。ないんですけれども、やっぱりそういうふうな問題が今抱えている中で今日の採決になってきてしまったという私どもの思いもお伝えをしておきたい、そのようなことにさせていただきたいと思います。  時間の関係で、また次の方に移らさせていただきますけれども、資料をお配りをしておったかと思います。二枚のつづりでございますけれども、一枚目のところの下の方の表をごらんになっていただきたいと思いますが、農家の集落がどのような変化をしてきたかということを表している表でございます。  これもう、ごらんになっていただくともう一目でお分かりになると思いますけれども、総農業集落数は約五千、四千九百五十九減っております。五戸以下が逆に三千二百四十一増え、六戸から九戸が四千五百十八増え、この二つを合わせると七千八百九、集落増えているわけですね。一方、五十から六十、七十から九十とか幾つかありますけれども、この五十から百以下のところを見ると二千九百、一千八百七十四、計四千七百七十四、三分の二減少をしております。百戸以上は千五十一数が減って、これは半減をしております。  こういうのが、この法律によらずともここ十年間の現状なんです。これにさかのぼれば更にこの数は増してくるわけでございまして、これまでは、この数字はどういう時代の数字かというと、まだ人口が増えているときの数字なんですよ。これから人口減が本格的に始まる。そうしますと、私は、この人口減、少子の時代というのは都市よりも農村の方が急激に来るんではないか、そういう危惧をしております。  こういう現状の中で、今回の施策に当たって農水省は、農家の方々だけではなくて地域の皆さん方にもお手伝いをしてもらって、環境面その他、用水の払いその他をやってもらいましょうということなんですね。これは、考え方としては分かるんであります。しかし、集落に農家が全然いなくて農業用の用水をやってくださいなんということにももちろんならないわけでありますけれども、基本的に私はこの政策、法律のことに関してよりも、大臣は経産相も務められましたし、ずっとこの間、小泉内閣の下で大臣を務められておるわけでありますから、少子の問題はこちらでやる、いろんな問題も別々にやる、農水としては今回の法律に当たってこの地域の問題をこのように考える、私はこれでは少子の時代に地域はたまったものではない、もたないというような感じがしておりまして、この法の施行の問題以前に、日本の国から農村が集落として消滅をしていっている。これは何が原因なんでしょう。ほかの国も同じようなんでありましょうか。  私は、日本の中で特にそのようなものが顕著にあるとすれば、それは何が原因かということを、農水だけの問題ではなくて、全閣僚が頭を絞っていただいて、そして、水を供給をしたり、あるいは空気をきれいにしたり、人の供給まで行ってきた地域がつぶれないようにするということが農業だけではなくて国の大事な話だと思っておりますけれども、このことについて大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  87. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) 近年の農村の現状を見ますと、高齢化、混住化の進行に伴いまして、集落機能そのものが低下をいたしております。平成十六年度に実施をしました農家の意向調査におきましては、農地、農業用水等の資源につきまして、将来にわたって維持し続けることが難しくなると答えた方々が約八割、また維持管理するため農業者以外の方々と連携協力したいとする方々が約九割となるなど、農業者だけでこれらの資源を保全管理することは難しくなりつつあると認識をいたしております。  こうした状況を踏まえまして、農地・水・環境保全向上対策におきましては、集落単位や水系単位などで地域の実情に応じまして共同活動の範囲を定めて、農業者のみならず地域住民なども含めました多様な主体が参加する活動組織を設立し、地域共同の取組として農地、農業用水等の資源を適切に保全向上するための活動を支援することといたしております。これらを通じまして、集落機能の維持向上を図り、農村集落の振興にも貢献するものと考えております。  なお、少子化対策や国土保全施策は政府全体で取り組むべき課題と考えておりますが、農林水産省としましては、農林水産業の発展を通じて集落が存続をし、国土の保全などに寄与していくことが極めて重要であると考えております。このため、農林水産業の担い手の育成確保、中山間地におけます直接支払などの条件不利地域の振興、生産基盤及び生活環境の整備、これらの施策を講じているところでございます。
  88. 郡司彰

    ○郡司彰君 作家のお亡くなりになった司馬遼太郎さんが言うのには、文化は農民、農村、そういうものがつくるんだというようなことを書いているところがございました。私は、もう地域で、農村、農民のところでお祭りさえもできないような、伝統文化も失われているようなところが出てきているのじゃないか。  例えば、私はよく存じませんけれども、物の本などによりますと、ヨーロッパではコミュニティーというか集落というか、決まって幾つかもう要素があるんだと。教会があったり学校があったり郵便局があったりがその地域を成り立たせる元なんだと。ところが、私たちの国においては、学校も、郵便局のことはもうもちろん言うまでもないことでございますけれども、教会そのものはまあそういう形としていろいろなお寺その他が残っているかもしれませんけれども、こういうふうなものをトータルでとらえていかないと、農水省がこういうような法律を作って、こういうような制度をつくって、さあやりましょうと言うだけで本当に地域はそれに対応できるような力をまだ持ってるんですか持ってないんですかということを、これ、省を超えてきちんとやっていただきたいという要望だけしておきたいと思います。  それから次に、時間の関係で、認定農業者のことについてお話をさせていただきたいと思いますが、これ先ほど主濱委員も行いましたので、重複する部分については割愛をいたします。  もう十年ほど前に認定農業者という制度をつくって、これからは生産の八割はこの認定農業者に担ってもらうようなこの国の農業をつくるんだということで始まったと思っております。しかし、先ほどの数字は駆け込みも含めて二十万ぐらいになったということでありますけれども、大臣の話をかりれば、なぜこういうふうなことをやるんだといったら、業として農業というものが成り立つかどうかなんだと、つまり収入がきちんと確保されるかどうかなんだという話がございました。  しかし、この間、当初の数字、例えば地域によって一千万というような収入目的は、大体七百五十万とか何か四分の三ぐらいに減ってきてますよね。そういう条件の緩和というのは、本来の目的、大臣が言ったように、農業も業として他産業と同じように成り立つような形にするんだ、認定農業者をつくるんだ、八割の生産を任せるんだ、しかし一方で、どうもうまくいかないから条件だけは緩和をしてやってきて、今回はこの政策の対象にする、これまでの十年間の実績と反省をきちんとお話しいただきたいと思います。
  89. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 反省というか、たまたま平成十一年に食料・農業・農村基本法を作ったときも担当大臣でございまして、自給率を四五%にしようという基本計画を作ったのも私でございました。それが、自給率が向上しなかったということについて、いろいろ状況がございます。そういう意味では反省というか、目的どおりにならなかったということでございます。  だから今回は、こういう法律実施させていただいたならば、きちっとプロとしてやっていけるような、農業が業として成り立つようにしていきたいというふうに考えて、それがもうかる農業、そして自給率の向上につながっていくというふうに考えているわけでございまして、何もしなかったらこの状況がもっと悪化をしていくということを考えますならば、是非ともこの施策の中でもうかる農業を大いにやっていただきたいと、そのための施策を法律の中でいろいろと盛り込んでいるということでございます。
  90. 郡司彰

    ○郡司彰君 私は、反省をすべき点は二つだと思っているんですよ。一つ生産調整。例えば、北海道で二町歩の生産拡大をしようと思ったら四町歩買わなければできないわけですね。しかも、そのときに買うためのお金は先ほど言ったようにアメリカの五十倍必要なんですよ。この二つがやっぱりきちんと日本にそういう業として成り立つような農業者をつくってこなかったと思っているんです。そこのところは、農水省だけじゃなくて、国土計画、利用計画その他を含めて、その辺のところの反省というのはこれからしませんと、これからも同じことを繰り返すんじゃないかというふうに思っているところでございます。  それから、大臣にだけちょっと数がなくてお渡しをさせていただきましたが、今回のこの法律説明をいろいろ読ましていただきました。こちらもう何度も読ましていただきました。どこにも今農業者にかかわっている方以外は出てこないんですよ。これ、新しく、東京の高校にいて、そうだ、農業をやろうと急に思い立った人がこれを読むと、何が分かるのかというと、何も分からないんですよ。それで、今大臣にお配りしたものを作ってもらったんです。一週間掛けて作っていただきました。  これですね、見ていただくと、大変よく努力をしていただいたんだと思いますが、この波線の上のところ、就農準備段階はどのぐらい掛かるか分からないですよね、確かに。人によって、また何を学ぶか、何を作るかによっても、どの地域でやるかによっても違うんだと思うんです。しかし、その後は、その準備段階が終わるとどのぐらいでこの新しい政策の制度の対象者となり得ますかということの問いに対して、農地の取得、農業委員会に申請をして出てくるのが一か月掛かりますと。それから、認定農業者の資格を取るのに書類の審査が二か月掛かりますと。つまり、うまくいけば、準備段階終われば三か月でこの制度の対象者になりますというような図なんであります。すばらしいです。  これで新しい対象者がどんどん出てくれれば有り難いんでありますけれども、現実はこれはあり得ませんですね。三か月でということはほとんどあり得ないと思います。なぜかと言えば、その土地を取得をするためのお金その他をいつどうやって確保するんだというと、村上さんや何かは別にして、通常ではこんなに簡単に三か月ではできません。じゃ、どういうふうな流れで行くと、例えば東京のまるっきり農業に縁のない家庭の方の息子さん、娘さんがこの新しい政策に感じ入って農業に飛び込もうというときにどういうふうになるんだということになると、それが今回なかったんですよ。  なかったのはなぜかというと、先ほどの大臣答弁で私はほとんどいいんだろうと思うんです。そんなことやっているよりも、とりあえず今農業をやっている人の中でもっとしっかりやってもらう人をつくるんだというのは、これは当たり前なんですよね。だから、これはこれでいいと思うんです。しかし、数は少ないけれども、新しい農業に飛び込んでくる方のうち三割は株式会社の方に行っちゃっているんです。しかし、また逆に、三割はまるっきり農業関係ないところから飛び込んできている人もいるんですね。この人たちに対してきちんとした門戸を開いておくような形の考え方を農水省で取ってないというのは私はおかしいと思う。  だから、今回のことをどうのこうの言うのではなくて、常にこういうふうな政策、制度を新しくするときに、新しく農業者以外の方にも理解をしてもらう、新しく農業者以外の方にも今回こんなことを農水省は考えているんだということを示すような基本的な姿勢というものが少し足らないんじゃないかと思うんですよ。  だから、前回も、最初に、冒頭言いましたように、なぜこれだけ、農政の大転換で地域社会が変わるかもしれない、昔だったら日本じゅうがみんなこの問題でどうしよう、こうしようと騒いだかもしれないけれども、今回の法案についてはだれも興味を持たないんですか。ただ単にGDPが下がって、そういう割合が低下をしたというだけではなくて、農水省もかなり内向き内向きに自ら知らずになってきたんじゃないかということでこのような指摘をさせていただきましたけれども、もし大臣からコメントでもございましたらば。
  91. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 気持ちは郡司委員と同じですね。今国会で上がった重要法案なんて新聞に時々出ますけれども、また審議をしている法案の中にこの法案が入っていないというのは、私にとっては大変残念な気持ちで一杯でございます。  御指摘のように、農業の中だけではなくて、どうぞ農業が業としてもうかりますよと、生きがいと同時にやる気と能力で努力をすれば他産業並みあるいは他産業以上にもうかりますよというインセンティブをこの法律によって後押しをさせていただいているわけでございまして、そういう意味で、こういう今ペーパーいただきました。これも私の自分で作っているファイルの中にきちっと、郡司委員が著作権をお持ちだという前提でファイルさせていただきたいと思います。  外からも、新規就農のためにお金と技術と農地が必要ですというだけじゃなくて、もうかる農業、つまり今回の法律の対象となるような農業を目指す人に対しても是非とも後押しできるように、これからも説明あるいはまたいろんな対策を考えていく必要があるというふうに思っております。
  92. 郡司彰

    ○郡司彰君 済みません、幾つ質問をしたいものですから、次々とまた新しい質問をさせていただきたいと思いますが、次に食料の安定供給ということについてお話をさせていただきたいと思います。  もちろんこの大目的が、先ほど主濱委員質問にもありましたけれども、国民の食料の供給に資するためにすべての政策がつながっているわけでございますから、その点からいきますと、私たちの国は四〇%と熱量計算で言われておりますけれども、実際にじゃ今現在その四〇%というものをならして、口に入れる、ほかの国から入ってこないときにはどういうような数字が出てくるんだということも、これは国の方で何度か試算をしております。お配りをしておりますところには、農地の面積の見通しというものが出ておりますけれども、ここにそれぞれ実は伴う数字が作られておりました。  例えば一番下の農産物の需要生産の長期見通し、平成七年十二月というふうに書いておりますけれども、これ農地面積四百八十から四百九十万ヘクタール、この後、平成十年の六月に新しい基本計画その他の議論をしているときに、農地面積が四百九十五万ヘクタールで今最大限熱量を供給するとすれば、千七百六十キロカロリー私たちの国は供給できるんだという数字が出されました。その上の、平成九年に作られた見通し平成二十二年、これは農地の面積が四百七十万ヘクタールに減るわけであります。しかし、供給可能の数量はどうなっているかというと、試算一、試算二の数字でありますけれども、千八百九十から二千三十キロカロリーに増えるんですね。それで新しい基本計画、見通し年が平成の二十七年でございますけれども、農地の面積は四百五十万ヘクタールにこれまた減ります。しかし、供給可能な熱量は千八百八十から二千二十キロカロリー、ほとんど減らないんですね。すばらしいと思います。  農地は減る、この計画法律からいうと、説明では遊休農地は増えない、耕作放棄地も増やさないんだというようなことでありますけれども、なぜかこの農地の見通しは若干減っております。しかし、それにもかかわらず、やればこれだけ供給できるんだというんですね。これは耕地利用率も高まるんでしょう、単収が高まるようないろいろな努力もするんでしょう、もちろんやる気と能力がある方だけがやるからこういう数字が出てくるのかもしれませんが。一般的に言うと、うまく作るよなというふうに取られかねないですよね。  私は、今の現在のところで、普通に作っているのを合わせると何キロカロリーになるんだという計算ももちろんある。しかし、いざというときには、一年以内にやり方を変え、農地を最大限使ってやればこれだけ供給可能だというのは、これはこれでいいんだろうと思うんですけれども、ただ、余りこういう数字を見せられると、すべからくほかのものも何か信用できるんだろうかというふうに、私どもは大変にげすの勘ぐりをしてしまう癖がありまして、いや、そうじゃないんだと、きちんとできるんだということの数字の裏付けをお話しいただければ有り難いと思います。
  93. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) 今委員が出されました農地面積の見通し、まずこれが減っておると、その中で、先ほどおっしゃられましたそれぞれ試算値でございますけれども、供給熱量が上がってくるということでございます。まずトレンドとして、トレンドというか、各段階において供給熱量上がったという要因につきましては、委員おっしゃられたとおり、一つ生産努力目標で見込まれている単収、それがやはり近年の技術水準の向上などを反映して、ほとんどの品目において、前回、五年前に立てたものよりも単収が向上しておるということが一つ。  それからもう一つはやはり人口の減少。これがその時点で見込んでいた目標年次の人口よりも、例えば平成二十二年に見込んでいた人口よりも平成二十七年の人口は百三十六万人減っておるというようなことがございます。  それからもう一つは、先ほどおっしゃられました平成十年に出した数字ですね。平成七年のときのあの千七百六十キロカロリーというものでございます。それは前提といたしまして、基本的には水田の全面積で米を作付けるということで出しております。その後の平成二十二年、平成二十七年見通しではそういったケースをケース一として出しておりますけれども、もう一つ、ケース二というケースを出しておりまして、これは水田のうち湿田以外の二分の一に米よりも供給熱量が高い芋を作付けると。ですから、米は生産を減らしてでも芋をとにかく思いっ切り作るということにしまして、残りの米で作付けると、そのことによりましてかなり供給熱量に差が出てきておるということでございます。
  94. 郡司彰

    ○郡司彰君 今御説明をいただいたところは、私も大体理解をしております。今のような説明なんだろうと思います。それでも私は少し違うのかなという感じがしているんですよ。  それは、例えば人口が減ってくるとか、そういうふうな要素というのはこれは現実の問題ですから当然カウントされてしかるべきだと思うんですね。しかし私は、この熱量そのものが、例えば先ほどの牛乳の話もありましたけれども、どういう生活を何年できるんですか、その食べ物で、こういうふうなことも計算の中に入れておくべきだろうと思うんです。  例えば、大臣も御存じだと思いますけれども、戦時中に、普通、表で生活をしている人たちはなかなかお米が手に入らない。しかし、日本というのはすばらしいなと思ったのは、その当時でも、刑務所にお入りになっている方々には一日六合のお米は必ず支給していたと、それは決まっているから、もうほかの人が食べられなくてもそこには支給していたんだと。ところが、そちらの方はお米を六合毎日与えられているから、これは健康なのか元気なのかといったらば、そちらの方がやっぱり亡くなる人は相当多かったらしいんですよ。唯一亡くなる刑務所が、少なかった刑務所というのは網走刑務所だと。なぜだといったらば、敷地が広いから、その中で野菜や何かを作って、お米だけじゃなくてそういうものも一緒に取ったから生き残ることができたんだと。ただお米の量だけやっていたところの人たちは、かなりバランスを崩してお亡くなりになった方が多いというようなことなんですね。  だから、熱量も、人間が生存するのに必要な熱量というのはどのぐらいかといったらば、昭和の戦争のころのカロリーもよく出されますね。このぐらいしか取ってなかったんだ、このぐらいしか取ってなかったから、今この数字を見れば十分だろうという数字でいつも出されるんですよ。そういうふうなもう時代じゃないんじゃないですか。そういうふうなことを含めて、いざというときに国民が安心できるようなものをきちんと出しておくというふうなことが私はやっぱり安心した食の供給というふうなことにつながる。  そういう意味では、数字の、うまく作ったとかなんかということだけを言うつもりじゃもちろんないんです。しかし、その数字がどういうカロリーの摂取をすれば、それだけではなくて、どういうバランスで取れば、つまり逆なことを言えば、生産を上げるだけでなくて、今もう一度食生活を見直しましょうという運動とこの数字は連動していなくちゃいけない、そのように思っているというふうなことを申し上げたいというふうに思います。  それから、もう時間がなくてまた次の方に入らしていただきたいと思いますけれども、大臣、経産大臣をなさっておりました関係で、昨日の朝日新聞の記事等をごらんになりましたでしょうか。このような記事が出ておりました。  これは五月の三十一日の毎日新聞でございますけれども、中身は御存じのように、輸送用エコ燃料の普及拡大についてというようなことでございます。今日お配りをした二枚目のところに、その具体的な供給見込みと長期的供給可能量ということで出ておりまして、環境省、経産省、農水省、それぞれから私お話を伺いました。この数字の見方は、二〇一〇年度というのは、二〇一〇年度はありますけれども、長期的供給可能量というのは二〇三〇年を指すというような説明でございました。  これを見ると、今バイオマスエタノールの関係で盛んに取りざたされている糖みつの関係、これもうほとんど増えないんですよ、幾ら頑張ったって。残念ですけれども、絶対量がやっぱりこれしか取れないんですね。ところが、この間にミニマムアクセス米というのがありますね。これでかなり作る。稲わらで作る。これはでん粉ではなくて、別なセルロースで作るということになりますね。それから、生産調整面積(稲)というのがありますね。それから、ソルガムというのはこれはコウリャンで、日本では今のところ現実には作ってないんだけれども。  ただ、これを環境省が大々的に発表をして、関係するところはもちろん、経産省もある。しかし、これを耕作面積として考えれば、農水省も多大な貢献をしているというふうになるんですね。この面積を合わせると相当な面積になります。これ、今まで議論をしてきた中にこの面積のことは全然出てまいりません。これは、農水省としてはどういうふうな認識でお持ちなんでしょうか。
  95. 染英昭

    政府参考人(染英昭君) まず、この表についてでございますが、この表の出典というところに書いてありますように、これ、エコ燃料利用推進会議というところで取りまとめられているというふうにお伺いしております。この会議は、環境庁の局長の私的諮問機関で設置されておりまして、そこで検討してきたというふうに聞いております。  私どもも、この表、実は大変恥ずかしいことでございますが、本日初めて見まして、一体この根拠は何なんだというふうに環境庁に問い合わせたところでございますが、環境省がおっしゃるには、いわゆる、現在のここに書いてあるようないろんな糖みつ以下の品目の利用状況、これはさておいて、また一方でこれが一体幾らのコストでバイオマスの原料として使えるのかというような、その辺のコストも、それもわきに置いた上で、現状の単純に物理的な面から可能性をはじいた結果がこれであるというふうに聞いておりますので、私どもといたしましては、このような数字は現に可能になるのかどうなのか、その辺は極めて疑問に思っているところでございます。  私どもといたしましては、まず、現状でこのようなものをやるとすれば、この辺の現在の生産コストがどうなっているのか、あるいはそれはさらに物理的にもエタノールに変換が可能なのか、そういうものも十分検討した上で最終的にこの辺の見込みを出すべきものだというふうに考えておりますので、現在はそのような検討をやっている最中でございますので、このようなものについては今後の検討課題というふうに考えておる次第でございます。
  96. 郡司彰

    ○郡司彰君 先ほど言いましたように、環境省と経産省と農水省と、それぞれ担当の方からお話を伺いました。農水省の方の説明は今のとおりでございます。かなり違います。  環境省は、まあ一応、審議会とか諮問機関とかそういう会議がどの位置付けだとか何とかということは別にして、これはやるつもりなんだと、やっぱりやりたいんだと、やらなくちゃいけないんだと。  経産省の方はといいますと、これをやるんなら日本の場合には米でしょうねと。もうサトウキビとかそういうものでは実際にこれだけ作るのは無理でしょうねと。技術的にはインフラの問題がありますねとか、例えばスタンドの手直しとか、車も、E3だったらいいけれども、E10、E20になると幾らか技術的にやらなくちゃいけないとか、いろんな問題はありますけれども、やるとすれば米でしょうねという。それから、自動車会社の問題とか、いろんなところをクリアされている、クリアされていない、そういう話もされましたけれども、農水省が一番冷たいといいますか、現実的な話にはなっておりませんでした。  例えば、これ、MA米は三五七〇〇というような見込みの数字が出ておりますけれども、これ、MA米に換算すると幾らかというと、十万トンなんだそうです。それから、初めて見たというのでもしかしたら御存じないのかもしれませんが、この生産調整面積というのはどのぐらいなんだというと、これは何か十二万ヘクタールを最大見積もって三十万キロリットル可能なんだと。しかし、そのうちの四分の一から二分の一の数字をここに示すとこの七万五千から十五万という数字になるんだ、これは最大十二万の四分の一から二分の一という数字なんだと。じゃ、具体的には単収はどのぐらいを見ているんだというと、単収は三・七トンですよと。ほかの平均が五・三トンですけれども、その七掛けで計算をして、歩留り含めてこのぐらいの数字は出ていたんです。その下のことについても、事細かく面積や何かも出ています。それから、先ほどの税制の問題も含めて、コストの問題もそれなりに、かなり計数幾つも出してやっております。  私は、基本的にはこれはいいことだと思っているんですよ。耕作放棄地は増えない、遊休農地は増えないという政策だというふうに言っているけれども、そうじゃないだろう、やっぱり増えるだろうと思っている人たちもたくさんいるんですよ。私は増えると思っている。そこのところで、基本的にはやっぱり条件が良くて労働力を投下して、何もカロリーだけの計算、あるいは担い手とかこの制度の適用かどうかは別にして、立派にやっていける農業者というのは幾らでも育つ地域はあるんですよ。しかし、条件が良くなくてやはり撤退をする、そういう地域も出てくるんですよ。そこのところは農地として保全をしてお米を植えさして、そしてバイオエタノールの方に活用をして、いざというとき、先ほどの不測の事態が起きたときには農地として使っている、水田として使っているわけですから、熱量に換算できるものも植えられる。これは私はすばらしい政策だろうと思っているんですよ。  なぜ今回の政策の中にこういう形の、環境とエネルギーと食料という問題が一緒にクリアできるような方法を入れないのかということで何度もお話をさしていただきましたが、正直言って残念でなりません。経産省は極めてリアルに、現実的な対応として、こことこことこの問題がまだクリアされていません、しかし自動車の業界あるいは石油の業界、あるいは天然ガスのときにはこれを変えて、エタノールという状態でほっておくと、どうも水が出ると。それを出ないような状態の性質のものに変えることもできるんだから、ブタンやなんかも混ぜてとか、これは現実的な話でやってくれております。  一番私が期待をしている農水省だけは先ほど御答弁をいただいたような感覚なんでありますけれども、私はやっぱりこれは真剣に考えるべきだろうと思っております。経産省もなさっておりました。農水大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
  97. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 農水省が冷たいとか後ろ向きだという御指摘があるとすれば、これはもう否定をしたいところでございますし、そのとおりだとすれば、これはもう大変私の思うところと違うわけでございます。  この表は、今お答えいたしましたように、環境省であって、農水省が知らなかった。これはどっちが悪いということじゃないんですけれども、私はこのバイオエネルギーというのは政府全体が一体となってやっていかなければいけないわけでありますので、そういう意味で、バイオですから農業、生物系、あるいはエネルギーですから経産省、そしてこれはもうCO2固定、非常にクリーンなエネルギーだということで環境省ということで、一体となってやっていかなければならないんで、これを農水省が知らなかった、あるいは環境省が独自に作った。私は、環境省もけしからぬし、農水省も知らなかったことは結果的に御指摘を受けるまで問題であったというふうに思います。  そういう意味で、私自身、郡司委員とも経産委員会でも何回かやり取りをさしていただきましたが、バイオマスエネルギーというのは環境にいいし、石油あるいは化石燃料に特化している日本のエネルギー事情を打開する上でも、あるいは農政上も非常にメリットがある。五月にブラジルに行ってまいりまして、ブラジルで大変なサトウキビエタノールを作って、石油が上がっちゃったものですから、逆にガソリンよりもエタノールだというふうにシフトし過ぎて、逆に砂糖の値段が上がっちゃったという状況すらあったわけでございまして、アメリカでもオーストラリアでもヨーロッパでも、バイオエタノールということを熱心に取り組んでおります。ブッシュ大統領の年頭教書でも脱化石燃料だというふうに言っているわけでございます。  日本のように資源がない国がこの問題に取り組んでいかなければなりませんので、この問題は何省ということではございませんけれども、農林水産省が先頭を切ってやっていかなければいけないというふうに思っております。
  98. 郡司彰

    ○郡司彰君 事実の関係でありますから一言言い加えますと、これは農水省も会議にはいつも参加をしております。経産省も参加をしております。ただ、オブザーバー的に資料を提供するとか、それに対して政策的な意見を差し挟むとかいうことはないにしても、これは参加はしております。資料も間違いなく細かい資料が相当程度農水省から出されたものとして付けられております。そういうことでは、知らないというふうなことを言われると、ちょっとそれは経産省も環境省もそれは違うでしょうというようなことになるんだと思いますので、付け加えたいというふうに思っております。  もう時間がございませんので、これは先ほど主濱委員も同じような発言をいたしておりました。今回のものは、大臣の先ほどの御答弁でありますと、WTOのいかんにかかわらず、この制度変わるというようなことではないんだ、きちんと積み上げてきているんだと、そのような話がありましたけれども、私は、そうは言っても、これは重要品目から外れる、外れない、お米がですね。これはその後の予算措置その他も相当違ってくるんではないかというような感じもしているんであります。  そういうふうなことも含めて、私、冒頭のときの委員会で、やはり私たちもこうした問題にはきちんと責任を持つべきだろう、持たなければいけないだろうというふうな思いがございまして、今回の法案は、この後、採決になるわけでございますから、いずれにしましてもその後に、半年でありますか一年でありますか、政省令もきちんと最終的なものが出てくる。そういうふうなものが出てきて動き出したときに、予定をされた農家の数あるいは農地の面積がどのような形でもってこの制度に取り入れられているのか、あるいはそこから外れてしまうのか。その辺のところについては、法の修正とか、そのようなことは形の上からも言えるわけではないわけでありますけれども、きちんとこの場で継続的に議論をしていく、そのようなことを最後に大臣の方からお話をいただければ、質問を閉じたいというふうに思います。
  99. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 当然のことだろうというふうに思っております。これから政省令を詰めますし、それから先ほど課税対象の話もございました。そういう意味で、是非、来年に向かってこの場で御議論をいただくということが関係者の皆さんに対するある意味ではいい情報になりますので、引き続き当委員会でも、今日成立させていただいたといたしましても、その後も引き続き御議論をお願いいたしたいと思います。
  100. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  今日は、この法案が審議をされる最初のときにお聞きした食料自給率の問題、この法案と食料自給率の問題についてお聞きをしたいと思います。  六月八日の参考人質疑の際に、参考人の方から、政府の農業政策というのは反省もなく進められてきたという指摘がございました。私も全くそのとおりだというふうに思います。この担い手に農地を集約していこうということで最初に政策として打ち出したのが、一九九二年にスタートした新政策でした。この政策の下で認定農業者制度も生まれました。それだけではなくて、様々な農業制度がこの政策の下で政策変更をされました。  当時、食料自給率が四六%であったわけです。政府は、この新政策を実施すれば食料自給率は二〇〇〇年には五〇%にする、この目標は達成できるんだというふうにしていたわけです。しかし、二〇〇〇年の食料自給率は結局四〇%まで下がりました。ですから、上げるどころか六%下がったわけです。  まず、このことに対する反省があったのでしょうか。
  101. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 反省があるから、この法案の御審議をしていただいているわけでございます。  先ほども申し上げましたように、新しい基本法を作って基本計画で四五%を目指そうというふうに思って設定をしたわけでございますけれども、自給率というのは供給サイドだけではなかなか決まらない、消費者の皆さん方のニーズというものもあるわけでございますから。そういう意味で、今回の法律消費者に好まれるようなものを作ればもうかる、そういう農業を目指そうということでございます。  時々、くるくる猫の目行政なんていう御批判をいただくわけでございますけれども、我々は反省をして評価をして、そして新しい政策に取り組んでいくということでございまして、猫の目行政でもございませんし、反省もきちっとして、これからの農政をきちっとやっていくという対応を常にしていくということも大事だというふうに考えております。
  102. 紙智子

    ○紙智子君 今、反省をしたからこそ、この法案があるんだというお話がありました。私は、反省をしたということであれば、どういうことが反省されたのかという中身が非常に問われると思うんですね。反省した中身が間違っていたら、出てくる方向も違ってくるというふうに思うわけですけれども、大臣が反省した中身というのはどういうことなんでしょうか。
  103. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) 前基本計画の下での取組の検証と課題ということで現基本計画の中にも書いておるんですけれども、大きく分けますと、消費面と生産面に分けられると思います。その中で、消費面につきましては、まず食生活の見直しという面、この面が一つの課題だろうと思います。それから二つ目には、国産農産物の消費拡大という面でどうだったかという面。それから三点目といたしましては、品質、安全性などについての情報提供等がどうだったかといったようなことについて課題だというふうに考えたところでございます。  それから、生産面につきましては、やはり消費者や実需者のニーズに対応した生産の推進でありますとか、加工・業務用需要への対応が的確だったかどうか、あるいは効率的な農地利用がどうだったかと。特に担い手の育成確保等についてどうだったかというような点について検証し、課題として取り組んでいるところでございます。
  104. 紙智子

    ○紙智子君 結局、反省したと言うんですけれども、言われるのはいつもそこなんですよ。消費者消費面と生産面なんだということで、じゃ、出した政策そのものがどうだったのかということについてのその分析や見返りということがいつも言われないんです。私はそこが問題だというふうに思うんですね。  結局は、自給率が達成できなかったというその責任というのは、じゃ消費者が食べ方が変わったからなのかと、じゃ生産者がニーズに合わないような生産をしてきたからなのかって、そういうところに行ってしまうわけです。でも、もっと本当は出した政策そのものがどうだったのかということの見直しが必要なのに、そこがされていないんじゃないでしょうか。  大臣、いかがですか。
  105. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 反省はしておりますけれども、国民にこれを食べなさいと言うことも言えないわけです。例えば、米はほぼ一〇〇%近いわけでありますが、消費量は一人当たり半分以下に減っているわけで、もう六十キロを切っているわけであります。消費者に私や総理大臣がお米を食べなければ駄目だなんていうことは言えないわけで、できればお米を食べてくださいと。  ですから、需要と供給というものがあるわけでありますから、我々は生産サイドから今までいろんな施策をやってまいりました。最近は消費サイドにも、六月は食育月間でございますけれども、こういう形で、牛乳あるいはまたバランスのいい食事を取りましょう、日本型食生活がいいですねということを言っておりますけれども、これは共産国家じゃないんですから、命令できないんですから、是非ともその辺も御理解いただきまして、我々としても自給率向上のために努力をしていきたいというふうに思っております。
  106. 紙智子

    ○紙智子君 だれもこれを食べなきゃいけないというふうに押し付けろということをやれと言っているわけじゃありません。  やっぱり現在の食料・農業・農村基本法のこの審議をめぐって、これは一九九九年の通常国会のときに、先ほども大臣も言われていましたけれども、当時、大臣中川大臣であったと。そのときに、審議の経過については自分がかかわっているわけですからよく御存じだと思うわけですけれども、ここでも食料自給率の問題が議論になって、この中で結局、食料自給率の目標の達成にどう責任を持つのかということに対して、大臣はこう答えているわけですね。「我々は責任転嫁はしません。」と。「最終責任は政府、そして、政府の中でだれだといえば、農林水産大臣たるこの私であります。」というふうに言われているわけです。そして、農水大臣である私自身が責任を取るということを申し上げ続けておると、こういうふうに言っているわけですよね。我々が責任を持ってこの基本計画を作り、自給率を設定していくわけでありますと。  こうやって二〇〇〇年にできた基本計画で、食料自給率の目標というのは二〇一〇年までに四五%ということで打ち出したわけです。しかし、五年間で食料自給率は上がらずに結局横ばい、四〇%のままで推移をしたと。この責任というのはどのようにお取りになるわけですか。
  107. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私が最終責任だということは申し上げた記憶ございます。ただし、新しい法律あるいはその法律をできる前の審議会、食料・農業・農村審議会の議論、私は一番印象に残っているのは、消費者の皆さんと生産者の皆さんが同じ方向で長時間御議論をいただいたことだと思っております。あの法律の中には、生産サイドの責任あるいは消費サイドの責任、中間段階の責任、自治体の責任、そして国の責任と、みんなで自給率と安定供給のために頑張っていきましょうというふうに書いてあるわけでありますから、責任逃れをするつもりは毛頭ございませんけれども、みんなでやっていきましょうというのがあの法律の趣旨であります。最終的には食料政策は私が責任を負っていることは言うまでもございません。  そういう中で、四〇%を四五%にしようという目標を立てましたけれども、これは我々にももちろんやるべきことがもっとあったのかもしれません、それからほかの要因もあったのかもしれません。現実問題、上昇しなかったということでございまして、だから今度はこの法律でもってプロの農業者消費者により好まれるようなものを作ってもらおう、で、もうけてもらいましょうというインセンティブをつくって、自給率向上にもカロリーベースで上げていきたいというふうに考えております。
  108. 紙智子

    ○紙智子君 だから、結局、じゃみんなでやりましょうと。しかし、その法案の中では政府自身の責任ということも当然言われているわけですよ。  もうちょっと具体的に見てみますと、新基本法ができた九九年と二〇〇四年までのこの期間を比べてみますと、品目別の目標自給率でいいますと、米が九五%から九五%です。これは動いていないわけです。小麦がこのとき九%から一四%に上がったんです。それから、芋類は八三%が八三%。大豆が四%から三%に下がった。それから、野菜が八三%から八〇%に下がりました。果実が四九%から三九%に、これ一〇%下がっているわけです。そして、肉類が五四%から五五%に、これは一ポイント増と。鶏卵が九六%から九五%。牛乳及び乳製品が七〇%から六七%にこれ減少しているわけです。  この中で目立つのは、小麦が五%上がっているということ、それから、肉類を除きますとあとは全体が、横並びのもありますけれども、全体は下がってきていて、特に果実が一〇ポイントも減少しているわけです。肉については米国産牛肉がこのとき輸入禁止になったということが大きいわけですけれども、牛肉だけ見ると三六%が四四%にこのとき上がっているんです。  大臣、小麦以外の大体ほかの品目というのがこの自給率を下げていると、これについてどのように受け止めますか。
  109. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、紙委員指摘のように、牛肉については二〇〇一年の日本でのBSE、あるいは二〇〇三年のアメリカのBSE、いろんな問題、あるいは鳥インフルエンザ等々がございます。野菜がどの程度カロリーベースに貢献しているか私はよく分かりませんけれども、いずれにしても、我々は自給率向上しましょうと、国民の意識も自給率に対して不安があるというコンセンサスがあるわけでございます。他方、消費者の好みもあるわけでございますから、是非とも国産をより食べていただくようにする、またそのために生産者も努力をしていくということが自給率向上の一番の私はポイントではないかというふうに考えております。  個々の状況についてはいろいろとそのときのアドホックな事情もあると思いますけれども、やっぱり生産者消費者が協力して、つまりマッチングして自給率向上に努めていく、そのための政策を我々は推し進めていきたいというふうに考えております。
  110. 紙智子

    ○紙智子君 小麦以外が全体が下がっているということについてどうかということは、ここはおっしゃらなかったわけですけれども、じゃこれからということで、この法案が成立した場合に、大臣は二〇一五年の食料自給率目標四五%、これ達成できる具体的な年次別のステップ、どんなふうにして具体的に実現していくのかということについてお示しいただけますか。
  111. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) 前回の基本計画の反省点といたしまして、やはり自給率向上の取組をできるだけ関係者が一体としてなってやる、その中で取組を迅速かつ着実に実施して、できるだけ早期に向上に転じるように施策の工程管理を適切に実施するということでございまして、そのために地方公共団体農業者農業団体、食品産業事業者、消費者消費者団体、もうとにかく関係者の方々皆様の役割を明確化した上で、関係者から成る食料自給率向上協議会を設置して、工程管理を実施しているところでございます。それに基づきまして十七年度の取組を実施し、十七年度の取組についてそれぞれがどうであったかというのを検証して、先般、十八年度の行動計画も立てたところでございまして、こういった工程管理をきちっとしながら関係者が連携して食料自給率の向上に取り組んでいくというふうにしているところでございます。
  112. 紙智子

    ○紙智子君 目標がいきなりできるわけじゃないと思うんですけど。やっぱり段階踏んで実際にこれだけの引上げのためにこういうことをするということで示していただきたいんですけど、その具体例というのはお示しになれないんですか。
  113. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) 先ほど御説明しました食料自給率向上協議会においてかなり詳細な行動計画を立てて、それぞれの主体がどういうことをこれから取り組んでいくかということを工程的に示しているところでございます。
  114. 紙智子

    ○紙智子君 結局、みんなで作っていろいろ話合いをしようというだけであって、全く具体性も何もないというふうに思うわけですよ。担い手が形成されれば、先日も厚く形成されれば達成されるというふうな話の範囲なわけですから、これは何の説得力もないと思うわけです。  新基本法が成立して以降、唯一自給率が五ポイント上がった麦について見ますと、これ今回のこの制度で、この担い手にならない場合は生産費を大きく下回った価格しか得られないということですよね。担い手から外れた場合は今まで出ていたものが出ないわけですから、作れば作るほど赤字になるということになって、これは生産費を大きく下回った価格しか得られないので生産を継続できないことになってしまうと。この担い手になるのは、例えば北海道でいいますと三割程度、都府県でいいますともっと少ないと思われるわけです。せっかく自給率五ポイントを努力して上げてきた小麦の生産が、そうなると結局大きく打撃を受けることになるんじゃないのかと。そうすると、小麦の自給率はこれ確実に下がることになる、そしてこれはカロリー自給率の引下げにつながっていくというのは必至じゃないかと思うんです。同様に、大豆の場合もこれ同じ状況になるんじゃないのかと思うわけですけど。  先日、北海道で公聴会やった際に、四人の出てきた公述人の方は、この今度の政策で自給率が上がると思うか下がると思うかという質問に対して、四人が四人とも下がるというふうにおっしゃったんですよ。そういう実感があるからなんですよ。これでどうして食料自給率が上がるんですか。大臣
  115. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 今回の経営安定対策の導入によりまして、この生産性の高い担い手生産の相当部分を占めるようになると、生産コストが下がり品質の向上が図られる、あるいは消費者や食品産業の需要に的確に対応して農産物を安定的に供給できる体制が確立すると、そういう中で国内農産物の生産拡大等自給率の向上が図られると、こういうふうに考えているわけでございます。
  116. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) なぜ小麦の自給率が上がったか。私は、幾つかの要因があるのかもしれませんが、最大の要因は実需者に好まれるものを生産をしたからだというふうに思っております。  このように、この法律、今御審議いただいている法律におきましても、メリットがあると思ったら是非対象農家あるいは対象集団に入っていただきたい、メリットありますよと。黙って何もせずにいたら、それは対象から外れるというのは言うまでもございませんけれども、是非入ってくださいと。こういうことがメリットにあるわけでございますので、それを前提にして自給率は向上していくというふうに理解しております。
  117. 紙智子

    ○紙智子君 入ってくださいと言うんですけど、それができればだれもその苦労しないと思いますよ。実際には入れないような状況があるわけじゃないですか。だって、先ほどからのやり取りで聞いていても、結局その全体を、じゃ集落営農に入れるということでそれは認めるのかといえば、全部は対象にするつもりはないという話がされるわけですし。そうですよね。だれでも入りたい人は入ってくださいということじゃないわけじゃないですか。どうなんですか。
  118. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 個々の農家にいたしましても、集落営農にしても、もちろん数さえそろえばいいとか、面積さえそろえばいいということじゃございません。逆に言うと、面積だけの要件ではないということを重ねて申し上げなければいけないと思います。つまり、もうかる農業消費者にいいものを供給しようというやる気と能力のある方は対象になりますよと。やる気と能力のない人で、今までと同じようにしていて、いや外れたというのは、業としては私は、国民の税金を使わしていただいて対象にするということにはならないわけで、どうぞ入ってくださいと、いろんな要件がございますのでどうぞ入ってくださいということを我々としてはこれからも強く訴えていきたいというふうに考えております。
  119. 紙智子

    ○紙智子君 私はやる気と能力というのは皆さん持っていると思いますよ。本当に必死になって頑張っておられると思います。  前回も質問したんですけれども、担い手を絞り込むことによって、例えば転作の大豆や麦などのブロックローテーションもこれ回していくのが困難になると、対象から外れた農家というのは米生産に走らざるを得なくなるんじゃないかという懸念が参考人の方からも出されました。結局、生産調整も機能しなくなっていくんじゃないかと。米価は下落を一層強めて、農業生産現場ということでいいますと、多くの混乱を招くことになるということですよね。  それから、米価の下落ということでいいますと、規模拡大農家に一番打撃を与えて、ナラシ対策ということを言われるんだけれども、これがあっても下がっていくと。これこの前も、昨日、おとといですか、質問でやり取りしましたけれども、結局は価格が下がればそれに合わせてどんどんどんどん下がっていくという仕組みですから、そういう中で影響は防ぐことはできないと思うわけです。  一体どこにこの食料自給率の向上の具体的な根拠があるのかというふうに思うわけです。食料自給率の低下につながるむしろマイナスの要因の方が今回のこの政策から見てもはるかに多いんじゃないかと。これで本当に食料自給率が上がるということで言うのであれば、その具体的な根拠を再度明らかにしていただきたいと思います。
  120. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 委員の御指摘の中で、ブロックローテーション等が崩れていくんじゃないかという御指摘がありましたけれども、私どもは生産調整をより確実に実施していただくという観点から、今回も生産調整を担っております転作集団、こういうものについては規模要件等を大幅に緩和をするという形で、ブロックローテーション等の担い手についてはこの対象にしていくという考え方をはっきり示しております。  ただ、地域によって、先ほど来御議論、御意見がございますように、どうもその特例部分についての政策浸透が十分でないという点もあろうかと思いますので、その点については、私どもも残された時間、真摯にそれを受け止めてその周知徹底に努めていきたいと思いますが、あくまで生産調整の現場の現状を乱さない、あるいは生産調整から、近い将来には米も含めて集落全体の集落営農発展していっていただきたいと、そういったものについても対象とすることとしておりますので、それによって生産調整が緩んだり崩れたり米が過剰になったりするということは、その観点からは防ぐべく努力をしているということでございます。
  121. 紙智子

    ○紙智子君 希望的な観測では物事が進まないと思うんですよ。実際にやっぱり具体的な根拠ということでは、いろいろお話はされるんだけれども、あくまでもそういう努力をするということを言われるだけであって、何らやっぱり示されていないというふうに思うわけです。  この法案が仮に実施をされて、その結果、食料自給率が下がった場合、大臣はどのような責任をお取りになるつもりなんでしょうか。
  122. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 自給率の向上は基本計画に基づいておりますので、基本計画どおりにいかなかったときは、更に自給率の向上に向けて努力をしていかなければならないというふうに思っております。
  123. 紙智子

    ○紙智子君 もうそれでは全然納得できませんね、はっきり申し上げまして。結局みんなが納得するような何ら説得力のある説明がされていないというふうに思いますよ、この間。繰り返しそのことは指摘をしてきましたけれども、これではとてもやっぱり食料自給率達成ということにはならないというふうに言わざるを得ないわけです。  やはり、このような内容について、私は今回のこの審議で採決をして次に進むということはすべきでないと、もう一回やっぱりちゃんと検討し直すべきだというふうに言わざるを得ません。そのことをちょっと指摘して、あとちょっと時間もわずかになりましたので、あと二点お聞きしたいと思います。  農地・水・環境の向上対策についてです。  この対策については、地方自治体がこの間、危機感を持っております。農水省はこの対策の全体の予算規模について、おおむね四百億円というふうに伝えられているわけですけれども、国と地方の負担割合がおおむね一対一ということになりますと、まあ仮に四百億とした場合に、地方負担というのは二百億になるわけですよね。地方としてみればこれ大変な負担なわけです、金額なわけです。それも、東京や大阪などの大都市の県ではほとんどこの負担額が出てきませんけれども、特に農地面積の多い過疎地域を抱えている自治体の負担は大変重いものがあるというふうに思うんです。  この新たな負担に対する地方自治体の財源について、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  124. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) 地方自治体から地方財政が厳しいとの声があることは承知をいたしております。  農地・水・環境の保全と向上を図る取組は、国、地方のそれぞれが適切に役割分担を行いながら、それぞれの視点に立って実施すべきものでありまして、国の支援と併せ地方にも応分の負担を求めていくことが適切かと考えております。  今後、平成十八年度のモデル支援での検証を踏まえまして更に地方の裁量を尊重する枠組みにつきまして検討をし、地方の負担について理解が得られますように努力をしてまいりますとともに、地方からの要望もきちっと勘案をしつつ、具体的な予算規模につきまして平成十九年度の概算要求に向けまして検討をしてまいりたいと考えております。
  125. 紙智子

    ○紙智子君 これについては、当初非常に期待があったと思うんですよ。ところが、実際に具体的な話になってきますと非常に不安の声が出されていて、先日の公聴会もやっぱり全額国負担でやってほしいというような声も出ておりました。  先日、農業委員会の大会があって、その参加者の皆さんも今度のことをめぐって訴えがありましたけれども、農業委員会に対する例えば補助金などの場合も一般財源化されると、具体的に言えば地方交付税に一本化されてきているわけだけれども、その結果として、農業委員会に渡るべきお金が渡っていないような事態も起こっていると、農業委員会の運営に支障を来しているということなんですね。それほど、やっぱりこの間、地方自治体に対しての三位一体改革によって、地方交付税の削減ということの中で非常に財政が逼迫しているわけです。そのしわ寄せが農業関係の予算に出てきているわけです。  加えて、結局財政措置されずに新たに二百億円の地方負担ということで今回の対策で求めたとしても、本当に地方にそれを受け入れていく条件があると思われているのかどうか、もう一度お願いします。
  126. 山田修路

    政府参考人山田修路君) 先ほど副大臣からお答えをいたしましたけれども、この対策につきましては、国、地方それぞれが利益を受けるということでございますので、地方におきましても応分の負担をしていただきたいと考えているところでございます。  なお、地方財政につきましては、例えば地財措置なども一つの課題かと考えておりまして、十九年度の予算編成に向けて地財措置等についても検討してまいりたいというふうに考えております。
  127. 紙智子

    ○紙智子君 全体通じて私は、最初大臣答弁にもありましたけど、反省はしたんだと。しかし、その中身は、本当にこれまでの政策の打ち方がどうだったのかということの反省に立たない中身として打ち出されているし、今回のこの最後に聞いたことについても、要望は聞いてということですから、先ほどのやり取り聞いても、その中でもっと実際にかみ合うように変えるということであればそのことは是非ともやってほしいことですけれども、やっぱり本当に多くの皆さんから出されている不安に、懸念にこたえるものでないというふうに思います。  その意味では、今回のこの法案については、私はやっぱりいったん取り下げるべきだということを強く申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  128. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終局したものと認めます。  この際、中川大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中川大臣
  129. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 委員の皆様方には、長時間にわたり熱心な御議論を賜り、誠にありがとうございました。  議論の過程でもありましたが、農政の大転換として導入されるこの新しい経営安定対策は、その実効性に未知の部分も少なくないことから、今後、その政策効果をしっかりと検証し、必要に応じて適切な見直しを検討してまいりたいと考えております。よろしく御承認のほど、お願い申し上げます。     ─────────────
  130. 岩城光英

    委員長岩城光英君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、段本幸男君が委員辞任され、その補欠として荻原健司君が選任されました。     ─────────────
  131. 岩城光英

    委員長岩城光英君) これより三案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  132. 松下新平

    ○松下新平君 どうもお疲れさまでございます。  私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、審議してまいりました農業担い手に対する経営安定のための交付金交付に関する法律案等三法律案に対して、反対の立場から討論を行います。  小泉政権スタート時からうたわれてまいりました官から民へ、地方にできることは地方にとの勇ましい掛け声が、今ではむなしく聞こえます。五年経過して明らかになったのは、真の地方分権どころか、逆に都市と地方の大きな格差社会を生み出してしまったことであります。特に、人口減少社会の到来は農村を直撃しております。多面的な機能を有する農村の崩壊は、日本の崩壊を意味します。  五月、六月は総会時期で、多くの方々が地方から上京されました。そこで必ずお聞きするのは、地方の厳しい状況、特に農村の衰退でした。また、国会と御地元との往復をされている委員の皆さんも御認識のとおり、それぞれの農村が過疎化、高齢化、その影響によって、そのものが維持できずに崩壊するおそれさえある、待ったなしの現状であります。  そのような中、この法案は、農政の大転換と大きな期待が寄せられ、疲弊する農村の救世主となるべきものでしたが、この委員会審議の状況でも明らかになったように、野党委員からだけではなく、与党委員からも厳しい指摘が繰り返しなされました。また、様々な分野の八名の参考人の貴重な御意見を伺いました。地方公聴会、視察で訪問いたしました比較的有利とされた北海道でも、心配な声、失望する声が相次いだわけであります。  取りあえず法案を成立させて、小手先の修正を加えて何とかなるような悠長な状況ではございません。真の農業再生のためには、流されるのではなく、踏みとどまって考える勇気が必要であります。このような状態で、政治の責任として、賛成するわけにはまいりません。  以下、大きく三点、食料自給率、担い手要件、米の生産調整の観点から、反対の理由を述べます。  第一に、本法律案が、食料自給率の向上に資するどころか、低下させるおそれがあるからであります。  本法律案の考えの基本となっている昨年の新しい食料・農業・農村基本計画では、食料自給率四五%を目標に掲げております。しかし、本法律案では、目的規定はおろか、どこにも食料自給率の向上につながる規定が置かれておりません。むしろ、支援対象を担い手に限定する結果、はじき飛ばされた担い手以外の農業者が意欲をなくして離農、耕作放棄を引き起こし、自給率を低下させるおそれすらあります。  第二は、支援対象を四ヘクタールなど一定の面積要件を満たす担い手に限定しているからであります。  我が国の農業は、欧米先進国と違って、稲作を中心とした小規模兼業農家が大部分であり、その中には意欲のある農業者はたくさんおります。にもかかわらず、このような線引きで支援対象を限定すれば、彼らは意欲を失い、離農、耕作放棄が続出するおそれを生じますし、実態を無視した強引な集落営農の集積のやり方は、農村集落の崩壊さえも招くことを危惧されております。このままでは、現実には農業担い手は育たず、農業の空洞化を招くことは明らかであります。  第三は、事実上、米の生産調整支援の前提条件としているからであります。  本法律案のナラシ交付金はもちろん、本法律案と併せて平成十九年度から講じられるとされる米政策改革推進対策でも、産地づくり交付金を始め、各種の支援生産調整を条件としております。しかし、稲作農家、特に専業的な稲作農家に米を作るな、補助金をやるから麦、大豆に転作しろといっても、現実には簡単にはいきません。生産調整はこの際廃止すべきであることを強く訴えます。  以上、反対の理由を申し上げてまいりましたが、食料自給率の向上に資するよう米の生産調整を廃止するとともに、主要農産物その他を地域の実情に応じて計画的に生産する農業者であれば、最低限生産費を保障する交付金制度を設けることが必要であります。それは、財政的にもWTOとの整合性においても可能であると考えます。  我々は、農業、農村の持つ多面的な機能を、納税者の皆さんの理解を得て、この新しい交付金制度の確立に向けて今後も努力する決意であることを申し上げまして、反対の討論といたします。よろしくお願いします。
  133. 岸信夫

    ○岸信夫君 私は、自由民主党及び公明党を代表いたしまして、農業担い手に対する経営安定のための交付金交付に関する法律案砂糖価格調整に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する等の法律案及び主要食糧需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律案の三法案につきまして、一括して賛成の討論を行います。  我が国の農業は、現在、農業従事者の減少や高齢化、耕作放棄地の増加が進むとともに、土地利用型農業を中心に農業経営の規模拡大が後れております。このまま手をこまねいていたのでは、農業のみならず、農村地域の維持発展にも支障を来しかねない危機的な状況になっております。このため、効率的かつ安定的な農業経営農業生産の相当部分を担う力強い農業構造を構築することが我が国の農業にとって喫緊の課題であり、これにはやる気と能力のある担い手に施策を集中化、重点化して実施していくことが肝要であると考えております。  今回のいわゆる農政改革関連三法案により導入される新たな経営安定対策については、正に戦後農政の大転換となるものであることから、現場では、零細農家や兼業農家の切捨てであるといった指摘や、担い手要件の緩和を求める意見、集落営農の組織化が難しいといった声なども聞かれているところであります。  しかしながら、我が国の農業現状を踏まえれば、今こそ勇気を持ってこの改革を推し進め、将来に向けて明るい展望を切り開いていくことは避けて通れないものと考えます。  今回の三法案は、これまですべての農業者を対象として、麦、砂糖、でん粉等、品目ごとに講じてきた価格政策を見直し、やる気と能力のある担い手に対象を絞った品目横断的な直接支払を導入するとともに、これに対応し、国内産麦の政府無制限買入れ制度の廃止や、でん粉の価格調整措置の創設等を行うものであり、力強い農業構造を実現し、国民に対する食料の安定供給を確保する観点から是非とも必要な措置であると考えます。  三法案実施に当たって留意すべき事項又は一層の努力を要する事項等につきましては、各委員質疑に対する政府側の答弁において、新たな対策のねらいや内容を各地域の実態を踏まえ、きめ細かくかつ分かりやすく説明することにより、農業者及び国民の理解を一層深めることとするなど、政府において万全を期して対処していくことが明らかにされたところでありますので、今後の政府の一層の努力に期待いたしまして、三法案に対し賛意を表するものであります。  何とぞ各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げまして、賛成討論といたします。
  134. 紙智子

    ○紙智子君 私は、日本共産党を代表して、農業担い手に対する経営安定のための交付金交付に関する法律案及び砂糖価格調整に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する等の法律案及び主要食糧需給及び価格の安定に関する法律案に対する反対討論を行います。  まず、農業担い手に対する経営安定のための交付金交付に関する法律案についてですが、この法案は、対象農産物の価格支持制度を廃止するとともに、品目横断的経営安定対策実施法案として小泉構造改革を推し進めるものであります。そして、経営安定対策の対象を担い手に限定することによって担い手以外の農家を切り捨て、日本農業を一層荒廃させ、食料自給率を低下させるものであり、決して認めることはできません。  さらに、この法案は、WTO農業交渉での上限関税の導入などの関税障壁の大幅削減の事態を想定し、それに対応するために関税引下げを直接支払でカバーするという仕組みを導入するものであり、関税障壁なしのWTO体制に日本農業をはめ込むことを前提とした法案であり、強く反対するものであります。  次に、糖価調整法等一部改正案ですが、この法案は甘味資源作物、でん粉原料用芋のすべての生産者を対象とした最低生産者価格制度を廃止し、一部の担い手に限定した直接支払に転換するもので、原料作物生産から多くの農家を排除し生産縮小に追い込み、地域経済に大きな打撃を与えるものであり、認めることはできません。  また、主要食糧需給及び価格の安定に関する法律案につきましては、一九五二年から続いてきた政府買入れ価格による国内産麦の政府無制限買入れ制度を廃止するというもので、麦の生産流通への政府の責任を放棄するものです。とても認めることはできません。  日本共産党は、大多数の農家の経営が成り立ち、国内生産拡大を保障する農政こそ国民の願いにこたえる道であることを確信し、法案の撤回を強く求めるとともに、併せて危機的事態にある農業と農村を守るために関係者が力を合わせることが緊急に必要であることを指摘し、反対討論といたします。
  135. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、農業担い手に対する経営安定のための交付金交付に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  136. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、砂糖価格調整に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する等の法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  137. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、主要食糧需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  138. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十五分散会