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2006-05-31 第164回国会 参議院 農林水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年五月三十一日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩城 光英君     理 事                 加治屋義人君                 常田 享詳君                 小川 勝也君                 和田ひろ子君     委 員                 岩永 浩美君                 岸  信夫君                 国井 正幸君                 野村 哲郎君                 小川 敏夫君                 郡司  彰君                 主濱  了君             ツルネン マルテイ君                 松下 新平君                 福本 潤一君                 紙  智子君    事務局側        常任委員会専門        員        高野 浩臣君    参考人        東京大学大学院        農学生命科学研        究科教授     生源寺眞一君        全国農業協同組        合中央会専務理        事        山田 俊男君        北海道農民連盟        委員長      西原 淳一君        岩手ふるさと農        業協同組合経営        管理委員会会長  門脇  功君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○農業担い手に対する経営安定のための交付金  の交付に関する法律案内閣提出衆議院送付  ) ○砂糖価格調整に関する法律及び独立行政法人  農畜産業振興機構法の一部を改正する等の法律  案(内閣提出衆議院送付) ○主要食糧需給及び価格の安定に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付  )     ─────────────
  2. 岩城光英

    委員長岩城光英君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農業担い手に対する経営安定のための交付金交付に関する法律案砂糖価格調整に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する等の法律案主要食糧需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  本日は、参考人として東京大学大学院農学生命科学研究科教授生源寺眞一君、全国農業協同組合中央会専務理事山田俊男君、北海道農民連盟委員長西原淳一君及び岩手ふるさと農業協同組合経営管理委員会会長門脇功君に御出席いただいております。  この際、参考人皆様方に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、大変お忙しい中、本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。  ただいま議題となっております法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜りたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  本日の議事の進め方について御説明いたします。  まず、生源寺参考人山田参考人西原参考人門脇参考人の順序でお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得ることとなっております。  また、参考人の方々の御発言は着席のままで結構でありますが、質疑者は、慣例により、起立の上発言することとしておりますので、よろしくお願いいたします。  それでは、生源寺参考人からお願いいたします。生源寺参考人
  3. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) 発言機会を与えていただきましてありがとうございます。  私は、論点を担い手経営安定新法に絞った上で、担い手づくり関連する事柄について意見を述べたいと思います。  昨年三月に決定されました新しい食料農業農村基本計画策定過程で、私自身審議会議論の取りまとめに関与した経緯がございます。その経緯も踏まえまして、新法を核とする農政改革基本的に支持する観点から、担い手づくりあるいは新法運用に際して考慮すべき点等について申し述べたいと思います。  担い手政策の柱が経営所得安定対策であり、経営所得安定対策をめぐる議論の焦点の一つがその対象をどう設定するかと、こういうことでございました。この点については、私は二つ観点が重要であるというふうに考えております。  第一は、土地利用型農業、特に水田農業の再生に向けて、担い手やあるいは担い手候補に対して農地集積する取組、あるいは集落営農グレードアップなど、農村地域の内発的な動きを引き出す力のある政策であること。それから第二に、財政の投入を伴う政策でございますので、この政策効果がいずれは消費者でありあるいは納税者でもある国民利益として還元される関係が明瞭であること、この二つでございます。  これらの観点から判断いたしまして、経営所得安定対策を始めとする農業経営育成にかかわる施策対象担い手とすることは妥当であると、こう考えております。  担い手は、農産物のコストダウンに向けた努力あるいは環境保全型農業への取組、さらには消費者の関心に敏感な姿勢といった点で、国民のニーズにこたえる農業を先頭に立って実践されている方であると、こう認識しております。現代農業は、専門的な技術あるいは優れた経営感覚を必要とする職業でございます。担い手政策は、そういう現代農業職業として選び取った農業者をサポートする政策であり、あるいは職業として農業を選び取ることのできる環境を整える、こういう政策でならなければならないと、こう認識しております。  今回の経営所得安定対策担い手経営規模安定拡大を支える政策として、あるいは担い手そのもの創出するてことして十分機能することを期待したいと考えております。幸い、担い手づくりについては、既に各地で具体的な動きが活発化しているというふうに承知しております。  無論、地域には高齢者農業あるいは安定兼業農家農業あるいはホビーの農業、様々なタイプ営農があっていいかと思います。耕作圃場の混在といったこういう非効率の発生は避ける必要があるわけでございますけれども、今や平地農業地域にも耕作放棄地拡大しているわけで、全体として農地を使い切ることができない傾向が強まる中で、担い手と様々なタイプの小規模営農の共存は私は十分可能であろうと考えております。むしろ、農業技術の面あるいは情報伝達といった面で担い手地域農業を支えている、これが多くの農村実態だろうと思います。加えまして、私の存じ上げている担い手を頭に浮かべながらということでございますけれども、大半の担い手地域農業やあるいはコミュニティーの在り方についても絶えず気配りを忘れない存在であると、こう言ってよろしいかと思います。  水田農業従事者状況は深刻の一語に尽きると思います。特に農業経験が豊富でまた層の厚い昭和一けた世代のリタイアが進む中で、耕作放棄の急速な拡大といった事態懸念されております。昭和一けたで今一番お若い方が七十一歳ということでございます。ただ、一方で、しばしば土地余り現象などとも表現される現在の状況が、担い手規模拡大担い手創出、つくり出すことでございますけれども、これにとって好条件であることも認識しておく必要があるだろうと、こう思います。  したがって、目下経営政策ポイントは、こういった条件を生かして、農地を始めとする経営資源の合理的な集積に向けた動きを加速することができるかどうか、この点にあると思うわけであります。この観点に照らしますと、経営支援策対象農家全体に拡大すること、あるいは逆に、ある時点で外形的な基準を満たしていないとして、意欲のある農業者担い手へのステップアップに門戸を閉ざすような運用は、いずれも結果的に農業の現在の構造を固定化するという意味で問題が多いと、こう考えております。  今後は、努力、精進する意欲農業経営への適性さえあれば、だれもが農業に必要な知識あるいは技術を習得し、農地や資金を確保して農業者になることができるシステム、これを充実する必要があるだろうと、こう考えております。  既に農業生産法人で働いた後に独り立ちする若者のケースも出始めております。特にゼロからスタートするようなケースについては、直ちに担い手外形基準を満たすことは難しいかもしれません。こうした担い手予備軍対象とするステップアップ支援策、こういった点も私は重要だろうと思っております。  もう一つ経営としての実体のある集落営農担い手として位置付けた点、これも私は新法方向を支持したいと考えております。  水田地帯集落半数には担い手の母体となる主業農家が一戸も存在しないという、こういう状況でございます。また、集落営農には農地を面として掌握し利用することができるという点で合理的な面もあるわけであります。あるいは様々な職業の方が集落におられると。こういった方の能力あるいは経験を生かすという点でも集落営農にはメリットがあると、こう考えております。集落営農につきましても、その育成グレードアップを図る動きがかなり活発化しているというふうに聞いております。この面でも、ある意味では政策効果新法を先取りする形で現れていると見ることもできるのではないかと考えております。  ただ、集落営農グレードアップのねらいは、あくまでも地域農業を支える担い手をつくり出していくこと、またそのための舞台を整えることにあると考えております。したがって、部門選択作物選択、あるいは生産物の販路の選択、あるいは加工などへの多角化戦略選択、あるいは収益配分の決定、こういった農業経営ポイントについて、集落営農組織自体が権限を持つことが非常に重要であろうと。そうすることで、集落営農にはそれ自身の成長に向けたエネルギーの発揮を期待することができる、また、集落営農がその活動領域拡充に進むことで、それならばということで農業に更に深くコミットする意欲のある人材を受け入れる、そういう土壌が形成されることにもなる、ここにねらいがあるんだろうと考えております。  ところで、昨年三月の基本計画にはこういうくだりがございます。これまでの政策展開においては、農業産業として振興する産業政策農村地域振興保全する地域振興政策について、その関係が十分に整理されないままに実施されてきた面があり、両者の関係を整理した上で、効果的、効率的で国民に分かりやすい政策体系を構築していくと、こういうくだりでございます。私は、これは非常に妥当な指摘だと考えております。  現代農業農村は、非常に多様な側面から構成されている言わば複合体と言っていいかと思います。したがいまして、この多様な側面に応じて農業政策も様々な施策のパーツから組み立てられる必要があるわけであります。大切なことは、その施策ごとに明瞭な目的を設定し、その目的に合致した対象と方法によってそれぞれの施策を遂行していくことだろうと、こう考えております。言うなれば、農業政策は様々な施策が適切に配置された総合的なパッケージと、こういう性格を持つだろうと思います。  この点にかんがみますと、昨年三月の基本計画方向が提示された例えば農業環境政策あるいは地域資源保全策は、政策の手法もあるいは対象の設定の考え方も今日議論になっております担い手経営安定対策とは異なっているわけでございます。これは当然だろうというふうに思っております。  また、目下農政改革流れでございますけれども、これは、農産物の市場に対する政府の過剰な介入を減らしていくという点で、あるいは農業農村の持つ食料供給以外の社会的な役割に着目した政策、これを強化していくという点で、先進諸国、特にEU農政改革とも共通項が多いと考えております。これはもう、この五年というよりも十数年の改革流れがそういう共通項を持っていると、こう言ってよろしいかと思います。  ただ、共通項があることは事実でございますけれども、他方で、日本農業固有の要素にも十分配慮する必要があるだろうと。この点で、例えば、農業用水路などの地域資源保全するための施策は、これはまあモンスーン・アジアに立地した日本農業ならでは政策であると、こう言っていいと思います。あるいは農業環境政策についても、農業粗放化基本とするEUスタンス日本スタンスはおのずから異なっていると。長年、農産物の過剰に頭を痛めてきたEUに対しまして、極端に低い自給率の下で日本農政環境に対する負荷の軽減と食料生産拡充の両面を追求する必要があるわけでございます。EUは専ら農業粗放化ということで環境政策を行ってきたわけでございますけれども、日本はちょっと違う努力を払わなければいけない面があるわけでございます。  経営所得安定対策につきましても、日本農業固有の問題に配慮する必要があるだろうということでございます。  一つは、生産性あるいは品質向上への動機付けが働く仕組みとすることでございます。この点につきましては、生産性格差を補う支払の一部を当該年生産量あるいは品質とリンクしたいわゆる黄色の政策とするということで対処するというふうに承知をしております。ここも非常にWTO協定との関係で難しいところがございますけれども、まずは妥当な方向だろうと、こう考えております。  もう一つ経営所得安定対策について留意すべき点は、経営耕地規模拡大が行われた場合の扱いでございます。ここも、農業構造が一定のレベルに達しているEUと、依然として課題を抱えている日本では事情が大きく異なっているわけでございます。  WTO協定上の緑の政策要件の兼ね合いで非常にここは難しいところでございますけれども、緑の政策であることだけに固執することでかえって担い手経営安定拡大担い手創出にブレーキが働くとすれば、今日のあるいは今回の農政改革目的には逆行することになるだろうと。この辺りは、実は審議会あるいは企画部会の場では必ずしも十分に議論できなかったといううらみがあるわけでございます。私も多少反省しなければいけないというふうに考えておりますけれども、ここは担い手あるいは担い手候補の期待にこたえることのできる、したがって国民利益にも合致する方策の工夫に全力を挙げていただきたいと、こう考えているわけでございます。  私の発言は以上でございます。
  4. 岩城光英

    委員長岩城光英君) ありがとうございました。  次に、山田参考人にお願いいたします。山田参考人
  5. 山田俊男

    参考人山田俊男君) 本日は大変貴重な機会をいただきまして、御礼を申し上げます。  私は、昨年秋に決定されました経営所得安定対策大綱を受けまして、今国会での政府提案であります農政改革関連法案について賛成の立場から意見表明をいたします。  ところで、品目横断的政策対象担い手に絞り込むという正に戦後農政の大転換と言えます。これまでも担い手育成担い手への農地集積を図ってきたところでありますが、十分な結果が得られてこなかったことを踏まえて、政策対象担い手に限定することで構造改革を進めるという、言わば最後のカードが切られたと認識しております。  我々は、これは地域農業生産者のほとんどを組織しておりますJAグループ組織基盤をも大きく左右するものであって、極めて重大な課題というふうに受け止めてきました。  では、なぜ賛成したのかということでありますが、我々は二年にわたり議論を重ねてきました。その上で次のように我々は判断したところであります。  一つは、地域実態を見ますと、水田農業で特に顕著に担い手が減少しているわけでありまして、意見開陳参考資料にも入れましたが、水田集落主業農家が一戸もいない集落半数に上っておりまして、耕作放棄地拡大しているなど、地域農業の危機的な状況は更に深刻化しているという認識であります。  二つは、地域に根差すJAグループにとりまして、地域農業振興なしにはその存立はないのでありまして、地域それぞれの実態に即した担い手育成確保による地域農業振興は、JAグループ存在意義を懸けた最重要な課題だということでありました。  三つは、こうした認識の下に、地域育成しようとする者や法人化前の集落営農受託組織など、地域ごとにつくり上げた地域実態に即した担い手がこの品目横断経営安定対策対象となることを前提に、JAグループとしても政策対象担い手とすることに一歩踏み込んで、多様な担い手づくりに自らも全力を挙げることとしたわけであります。このことは参考資料にも盛り込んでおりますが、水田農業ビジョンを各地域で策定し、その際、多様な担い手が位置付けられているわけでありまして、こうした担い手政策対象にならなければならないという認識でありました。  四つには、とりわけ我が国の農地の所有や水利用の特性からしまして、地域実態に即した担い手をつくり上げなければならないということでありまして、これも資料の一ページにありますが、八十五ヘクタールで団地の数は二百以上とか、それから十五ヘクタールで三十三か所に圃場が点在している等の、個別農家規模拡大だけでは農地が分散するなどして必ずしも効率的な経営にはなり得ないという認識の下に、集落等を単位に団地的な農地利用集積を図ることがどうしても必要だと、集落営農担い手としていくことが不可欠だという観点集落営農をきっちり位置付けていただくことを提案し、要求したわけであります。  五つ目には、こうしたJAグループ政策提案も踏まえまして、新たな品目横断的政策担い手要件につきましては、規模要件地域条件所得による特例を設けたり、受託面積規模に算入できたり、さらに、麦、大豆転作組織が位置付けられるなど、おおむね地域実態を踏まえた基準要件になったと我々として受け止めた次第であります。  以上から、この案に賛成した次第であります。  この立場から、我々は、JAにおける担い手専任担当の設置や集落営農アドバイザーづくり、それから関係機関と一体となったワンフロア化による担い手推進等々に取り組んできているところであります。二ページの資料に盛り込んでおりますが、各地域におきましても様々な努力を行っておりまして、各地域取組事例を盛り込んでいるところであります。  全中の基本方針におきましても、担い手づくりを第一番目の重点取組事項として掲げまして、全JAにおける取組推進を現在図っているところであります。また、第二十四回JA全国大会議案におきましても、担い手づくり担い手への事業対応を一番に掲げておりまして、全JAによる取組としていくこととしているところであります。  ところで、こうした取組に我々は全力を挙げているところですが、懸念されることが幾つかあります。  一つは、地域ごと取組格差が生じていることであります。取組の弱いところでは麦や大豆に大きな手取り格差が生じかねないなど、今後混乱が生ずるのではないかということを大変懸念しております。  二つは、米価が継続して低下しております。資料の三ページにも載せておりますが、担い手所得も落ち込んでいることであります。担い手経営を安定させる内容をしっかりさせないと、この担い手づくりは進まないと考えております。三ページの資料にあります米価低落状況、さらに、こうした米価下落が続きますと、この品目横断経営安定対策におきます収入変動緩和対策基準収入も低落し続けるわけでありまして、今回、対策として講じられる仕組みにおいてもおのずと限界が生ずるのではないかと心配しているわけであります。資料の四ページにもありますように、今後の担い手として想定されます三ないし五ヘクタール層の経営におきましても、コスト削減を上回るといいますか、下回るといいますか、米価下落経営を圧迫していることが見て取ることができます。  三つ懸念事項でありますが、品目横断的政策の実施と合わせまして、十九年産から生産者生産者団体計画生産に主体的に取り組むという新たな需給調整システムへの移行課題になっておりますが、政策対象となった担い手計画生産取組をどう徹底するか、さらに、米に代わる作物対策をどう充実するか、さらには、豊作分等過剰米在庫対策の充実がないと簡単には移行できないという認識でおります。これらの措置なしに移行した場合、米価低落担い手所得減という大きな問題を生じかねないわけであります。これも資料の四ページにありますが、計画生産に参加していないと見られる農家は四十二万人に上りまして、過剰生産は五十万トンを上回るのではないかと推定されます。  その結果、これは五ページにありますが、出回りが遅い東北、北海道等の主産地の米の在庫が他産地に比べて多いことが見て取れるわけでありまして、これも五ページの下の段にありますが、米価は入札の時期が遅いほど低下する嫌いがあるわけでありまして、出回りの遅い産地在庫を抱えたところが大きな米価低落に苦しむという懸念を持っております。とりわけ、そうした地域は、気候風土からしましても米に依存せざるを得ない側面があるわけであります。米価低落の中で、そうした地域稲作農家が大変厳しい環境にあるわけであります。何らかの在庫対策がなかなかないとこの移行ができない課題を抱えておると思っております。  さらに、五ページの中段にありますが、今後、主食用米に代わって何を作付けするのかが大きな課題になっていくわけで、需要減少の中で、とりわけ新しい作物対策課題であります。その下の段にありますように、麦、大豆への作付面積も実は近年低下しておりますし、飼料作物作付面積も低下、さらに、期待されるホールクロップサイレージの作付面積もここへ来て減少している事態大変心配しているところであります。  四つは、WTO農業交渉との関連であります。WTO交渉上限関税が導入され、海外から輸入米が入ることになったりMA米拡大されると、国内の需給価格に大きな影響を与えます。現状の収入変動緩和という仕組みだけで担い手経営を維持することができないと思います。WTO農業交渉でこうした事態が生じないようにすることが求められると思います。  五つは、こうした担い手づくり交付金等受取事務など、JAが大きな役割を担うことが想定されますが、システム構築等事務負担が大きくなることも心配されます。自治体、普及センター農業委員会農業共済土地改良区、そしてJA、それぞれの担当者が一か所に集まってワンフロア化して、企画し、説明会を開催し、相談に乗って、具体的に提案して、担い手明確化事務を含めた支援体制を確立していくことが必要でありまして、国の一層の指導、支援強化が求められるところであります。  六つには、最後になりますが、品目横断的政策と併せまして、車の両輪として新たに農地・水・環境保全向上対策措置されることは大いに評価されます。といいますのも、政策対象として絞り込んだ担い手だけでは地域農業を維持できないからであります。担い手以外の農業者農業者以外の地域住民も含めて、農村地域資源保全地域農業農村振興を図ることが初めてできるというふうに考えております。資源保全支援が全国的な広がりとなるよう、また地域間に格差を生ずることのないよう、厳しい地方財政を踏まえたとき、大変心配であります、特別交付税による地方財政措置も含めました万全の対応が必要と考えているところであります。  以上、懸念ばかり申し上げたような嫌いがありますが、私からの意見開陳とさせていただきます。  大変ありがとうございました。
  6. 岩城光英

    委員長岩城光英君) ありがとうございました。  次に、西原参考人にお願いいたします。西原参考人
  7. 西原淳一

    参考人西原淳一君) 今回、このような発言機会をいただきましたことを、まずもって厚くお礼を申し上げたいというふうに思います。  私、北海道のほぼ中央に当たります上川管内の中富良野町というところで、規模的には大して大きくありませんけれども、十五ヘクタールほどで、専業農家であります。妻と息子と三人で、米、大豆、主力はタマネギになりますけれども、今回の対象から外れているタマネギになりますけれども、こういう作物を中心に作付けをしているところであります。  今回の経営安定対策等を含めたこの関連法案に含めて、北海道の農業の現状をお話しさせていただきながら、担い手と言われる後継者を含めて、こういう人たちが意欲を持って農業を営んでいくというか、経営していくためには、やっぱりこの経営安定対策含めての今回の対策そのものが生産費をきちっと補えるような、そういうような対策に修正をしていただかなければならないという考え方の中で若干今回発言をさせていただきたいというふうに思います。よろしくお願いをいたします。  今回提出されております法律案の柱であります品目横断的経営安定対策農地・水・環境保全向上対策について、食料農業農村基本法で掲げている農業農村が果たす食料の供給と多面的機能の二重の役割が発揮できるような施策を盛り込んでいただきたい。そういう観点から、具体的に幾つかお話をさせていただきたいというふうに思います。  既にもうEUでは、価格支持政策の見直しの代償として所得補償政策など共通農業政策改革に取り組んでいるところでありますが、一方、我が国では食管制度を始め価格支持政策を全廃し価格形成を市場にゆだねてきたところでありますけれども、価格支持政策が廃止される中、農産物価格は市場で、所得政策で、いわゆる価格保証から所得補償へと転換が必要と言われ続けてまいりましたけれども、いまだかつてまだこれが具体化されていない、そんなように私は思っているところであります。  今回の品目横断的な直接支払についても、価格政策の見直しに伴う所得減少を補う仕組みを、どうしても、いろんなところを読んでみてもこのことが読み取るようなことができないというふうに私は思っております。  先ほどからもいろんなお話ありますけれども、北海道農業も、米など、特に米が大変な状況でありますけれども、すべての農畜産物の価格下落によって所得が大幅に減少しているのと併せて、国の施策によって規模拡大をどんどんどんどん進めてきた結果、担い手と言われる方々が大きな負債を抱えた中、価格下落の中で経営破綻に追い込まれているというのが実際でございます。  そういう中で、例えば米の今の価格下落の部分についても、セーフティーネットの機能そのものについても全く機能を果たしていない、そういうふうに我々は思っているところでありますし、そういうような状況の中、離農や後継者不足、これもあるわけでありますけれども、そういう中で農家数も激減をしておりまして、九六年のガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意のときには北海道農家戸数約八万戸ほどあったわけでありますけれども、昨年現在で生産農家で五万一千戸ほどと約もう六十何%、三五%ぐらい減っているような状況になってきておりまして、そのことが農村地域のやっぱり崩壊にもつながっていくという、そういうような大きな懸念の材料を抱えているようなところでありますし、そういう中で農業農村担い手である農家所得確保が図られる制度の確立を是非お願いをしたいなというふうに思うところであります。  経営所得安定対策農業農村が果たしている多面的機能に対する環境等直接支払政策、これを本格的にやはり導入するべきではないかなというふうに思っておりますし、あわせて品目横断的経営安定対策農地・水・環境保全対策についても制度の仕組み財政措置など、大幅な修正が必要だというふうに私は思っているところであります。  まず、品目横断的経営安定対策についてお話をさせていただきたいというふうに思います。  一点目の品目横断的経営安定対策の具体的な仕組みの中で、主業農家が将来にわたり安定的な経営が維持できるような再生産可能な所得水準を確保できる仕組みをつくっていただきたい。特に、生産条件格差是正対策における支援水準については、面積支払に替わっても各作物の再生産を可能とする支払水準にすることが最も重要であるというふうに思っているところであります。このことが、初めて農業の持続性が確保されるところでありますし、国が掲げております食料自給率、今の四〇から四五%に上げていくという、その達成にもやはりつながっていくんではないかなというふうに思っております。  また、緑の政策の面積支払のほかに、生産量品質に応じた支払も行うことでありますけれども、黄色の政策部門についても、現行予算の内枠ではなくて、やはり外枠でこのことが実施されることによって、担い手意欲を持って、そして高品質のものを生産することに努力ができるんではないかなというふうに思っているところであります。  単に、現行予算を面積支払と数量・品質支払に区分して、農家への配分方法を変えるだけにすぎないんではないかなというふうに思っております。そういうことから、数量・品質支払を生産・品質向上努力する農家に対する対価として支払われるような施策が必要ではないかなというふうに思っておりますし、そのことが所得政策でという国の公約を果たすことではないかなというふうに思っているところであります。  二点目は、生産条件格差是正対策でありますけれども、麦、大豆、てん菜、でん粉の原料用バレイショなどの土地利用型作物については、過去の生産実績をベースに面積当たり直接支払が行われることでありますけれども、しかし、過去の生産実績を超えた作付面積には直接支払が行われないことになりますし、実質的には新規の作付けが困難になってくるというふうに思っているところであります。特に、新規就農者やこれから規模拡大をされるところについては、新たな品目横断的な対象作物を事実上作っていくことができないんではないかなというふうに思っております。また、米の生産調整が、今の米の価格需給バランスから考えて、生産調整が拡大された場合、転作の受皿がなくなり、生産調整の達成をもう難しくしてしまうんではないかなというふうに思っております。  対象品目は需給財政事情などから個別作物ごとに数量や面積に対する指標が設定をされておりまして、麦にしても、てん菜にしても、大豆にしても、今以上に作付けを拡大していくということが指標で縛られていて、これ以上拡大ができないということがあります。  そういうようなところから、食料農業農村基本計画で掲げる食料自給率向上農地の有効利用といった面からも問題も抱えておりますし、我々生産者も多くの不安を抱えているところであります。規模拡大を含めて、制度対象作物の新規作付け面積に対する別途の支援対策を講ずることが必要だというふうに思います。  三点目については、今回の対策では米など、高関税を理由に生産条件格差是正対策から除外をされておりますけれども、生産費を割り込むような今の米価暴落の中では、WTO協定に基づく価格支持制度の廃止やミニマムアクセス米が大きな要因だというふうに思っておりまして、そういうような状況の中で米も生産条件格差是正対策対象にするべきだというふうに思いますし、また、できない場合についてはやはり別途の直接支払、それから価格変動緩和対策などが必要だというふうに思っているところであります。  四点目については、収入変動緩和対策についてでありますけれども、農産物価格が年々低下を続けていく中で、過去五年の最高、最低を除く三年平均を採用しても、現在の米の担い手経営安定対策と同様のように機能を発揮することができないんではないかなというふうに思っているところであります。  担い手育成のためのセーフティーネットがきちっとやっぱり機能しないで、担い手農家経営悪化に陥っていることが事実であります。農産物販売収入の下落による経営への打撃を緩和して担い手を確保するために、生産者が切望する再生産可能な基準収入を設定するなど、最低保証制度を設けることが必要ではないかなというふうに思っているところであります。  また、制度対象作物基準収入を都道府県一本で設定するという考えでありますけれども、このことについても、北海道は東北六県を超える広さを持っているところであります。これが本道一本だということになりますと、水田地帯、畑作地帯、特に北海道の中でも道南、道央、道北、道東、これらについては十アール当たりの収量についても大きな格差があります。  このような地域によって作物ごとの反収が大きく異なる中でこの制度の実効性を高めるためには、北海道の基準収入を地帯別に設定することが必要だというふうに思っているところでありますし、また制度設計であります一〇%を超えた価格下落が生じた場合には、速やかに設計を見直して補てん金の満額支払をすることも必要ではないかなというふうに思っておりますし、積立金についても、経営安定に必要な所要額が積み上がった場合には、生産者拠出金の軽減や無事戻し、このようなことも仕組むことが必要ではないかなというふうに思っております。  それから、農地・水・環境保全対策でありますけれども、これについても、現在交渉中のWTOドーハ・ラウンド開始以降、国際的な農政の潮流は価格支持に対する農業者の権利を公共財の産出に結び付けた直接支払へと移行しております。我が国農政手法も、食料の安定供給と多面的機能の発揮にも政策の視点を置くべきだというふうに思っております。  このようなところから、新たな基本法の中の食料の安定供給と多面的機能の発揮の理念に即して、これまで無償で我々が果たしてきた多面的機能に対する有償化を図り、農業者全体のやっぱり所得補償を安定させることが重要だというふうに思っております。具体的な方法としては、多面的機能に対する対価、適切に維持管理されている農地に対する直接支払を行うことが必要だというふうに思います。  また、農地・水・環境保全対策では、支援水準が低いなど、農業者の期待にこたえる仕組みとは言えません。制度の拡充を強く求めたいところであります。  品目横断的安定対策と車の両輪というふうに言われておりますけれども、なかなかこの仕組みそのものが自動車と自転車ぐらいの違いがあるというふうに思っておりまして、財政支援の在り方等についても抜本的な見直しが必要ではないかなというふうに思うところであります。  地域資源保全政策についても、地域の主体性に基づく多様で幅広い支援のできる仕組みを是非構築することが必要だというふうに思っているところであります。また、これらの財政措置についても、今地方の自治体の財政状況が非常に厳しいところでありまして、地方に対する地方交付税等でこの金額を明確化した上での交付は是非必要だというふうに思いますので、それらについても是非よろしく検討をいただきたいなというふうに思っているところでありますし、環境保全対策についても、エコ農法等も含めた中での直接支払を導入するべきだというふうに思っておりますし、財政そのものについても、やはり大きく今の公共事業等の枠組みからこういう直接支払をしていくための財政としての枠組みが必要だというふうに思っておりまして、これらを含めて、我々農業者、特に後継者、若い後継者が意欲を持って農業が継続していけるような今回の経営安定対策等を含めての対策に是非とも修正をしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げまして、私の発言に代えさせていただきます。  ありがとうございます。
  8. 岩城光英

    委員長岩城光英君) ありがとうございました。  次に、門脇参考人にお願いいたします。門脇参考人
  9. 門脇功

    参考人門脇功君) このような機会をいただきましたことに対しまして、心から感謝、御礼を申し上げる次第でございます。  私は、いわゆる現場の者として、この経営所得安定対策等大綱等への取組を御紹介申し上げ、そして取り組んでいる中での課題と思われますことについて述べさせていただきたいと、そのように思っております。  どこの馬の骨が話をするのかということになりますので、私とロケーションについてちょっとお話をさせていただきます。  私自身は、三・五ヘクタールの水稲を一人で経営をいたし、耕作をいたしております。農協の経営管理委員会会長ということを務めさせていただいております。  住所地でございますが、岩手県奥州市、今年二月二十日に広域合併をし発足したほやほやの市でございますが、農協の方は平成十年七月一日に、書いてございますように一市三町一村の広域合併をしました農協でございます。  経営管理委員会制度の導入は十七年六月二十九日でございまして、役員につきましては、女性二名の経営管理委員を含めまして二十六名、それから業務執行役員、いわゆる理事でございますが、五名、監事は六名というふうになっておりまして、職員は五百四十七名、十年の七月合併でございますが、九百数十名の職員から現在こういう職員になってございます。  組合員の数は、団体を含めまして一万八千四百。  販売高につきましてはごらんのとおりでございますが、米が百十億という正に米単作地帯でございます。三年前から販売高二百億を割れてしまっておりまして、その主たる要因は、生産高は伸びておりますが、畜産を除きまして価格下落ということで、どうにもならず、二百億を切っております。  基礎条件でございますが、下の表にもありますけれども、全国のキャパシティーの中で岩手がありまして、ふるさとはどれぐらいの位置かということで書いてございます。パーセントで書けばよかったなと今思っておりますが。専業農家、第一種、第二種ございますが、ここの数の合計と組合員数の数、これは戸数でありますし、組合員でありますが、大体組合員と戸数は一致するんでありますけれども、家族組合員等々ございますので、千ほどの違いあるというふうに御理解をいただきたいと思います。  農協自体につきましては、第二次農業振興計画、「大地に命を・農業に夢を」を掲げまして、販売を核とした事業運営をするのだということをいわゆるビジョン・ミッション、目標にいたしてございます。  それで、安心、安全も含めまして、売れる農産物ということを言われるわけでありますが、こうすれば売れるであろうというものについては、これはいわゆる実験の段階といいますか、であろうととらえておりまして、私どもは、今までお世話になっております卸を始め実需者の皆さんから、前年の秋に来年の欲しい、いわゆるいろいろな形、天日干しもあれば、栽培形態、農薬の使用量、いろいろございますが、それらのメニューに基づきまして注文によって作る、そして完売をする、そして米政策改革大綱にありましたように、売り切って次の年のいわゆる数量配分を少しでも多くいただくという戦略で実はやってきております。米卸等々の需要に基づきまして八十万俵の注文があるわけでありますが、生産調整等々の関係で七十三、四万俵しか作って納めることができないという。新潟のコシヒカリに次ぐ岩手いわゆるひとめぼれでございますが、日本穀物検定協会の食味ランキング連続十年の特A評価という地帯でございますので、いいものを国民消費者の皆さんに是非届けたいという思いでありますが、今の制度ではなかなか達成することができないという条件一つございます。  二ページに入りまして、「集落営農組織等担い手育成に向けて」でございますが、政経一体、あるいは政経不可分という言葉が以前から使われておりまして、農協は農業部門の経済の部門だろうというふうに過去から認識をいたしておりまして、地方自治体と一緒になって農業振興推進に尽力をしてまいっております。そういう意味で、今回も一緒になりましていろいろと施策を進めておりますので、その御一端を御紹介まず申し上げたいというふうに思います。  ①でございますけれども、生産調整支援策と。水田農業推進協議会、これはいわゆる新しい市ができましたものですから、五市町村の関係水田農業推進協議会が五つありますので、これを一本化まずしていかないと調整が取れないということで進めておりますし、広域の共補償、市、受益者、JAによる合同事業の実施をいたしております。  新しく出てきます産地づくり対策への対応も今から取り組まぬといかぬということでおりまして、これらについても手を掛けております。  品目横断的経営安定対策への取組につきましては、出荷用麦、大豆対象一〇〇%を目標にしたい。これは今年にやっておかないと、いわゆる過去の作付面積という要件が出てまいりますので、ですからこの辺は、取れる、取れない、一方には品質、数量という問題もあるわけでありますけれども、今年度は取りあえず作付けをしないといかぬということで、実は取組をせざるを得ないという状況でやっております。  集落ビジョンと整合する担い手への水稲でございますけれども、これは六〇%程度でございまして、百集落が今名のりを上げておるという状況であります。  十八年度においていわゆる生産条件格差補正対策交付金該当実績確保につきましては、これは今申し上げました、作っていかなければならないということでありますが、ただ、今現場で思っておりますことは、この過去の実績と品質、数量、品質とのバランスがどういうふうに変わるんだろうと、どっちにシフトしていくのか、そのことによってころころ毎年変わっていくのか、この辺が物すごく気になっておるということであります。  それから、地域づくり啓発運動でありますが、東北農政局の平野局長さんが突然二回おいでになりまして、いわゆる安定対策につきまして局長さん自ら一から十まで説明をされまして、何とか農業者の皆さんに啓発をしてほしいということがございました。  私ども、どうしたらいいか、理論では幾ら言っても、分かったつもりでも分かってもらえないと、もっとストレートに入る方法がないかということで、お配りしておりますが、「なんじょすっぺ、おらほの集落営農」と、こういうことであります。「なんじょすっぺ」というのは、どうしたらいいだろうというのが「なんじょすっぺ」、「おらほ」というのは自分たちの方という意味でありますが、これを県内の劇団と提携をしましてやっております。協賛とございますけれども、これは名前だけの協賛でございまして、費用はうん百万農協の持ち出しでやっております。  それから、もちろん県、市町村関係と一体での説明会等々は何回となくやってございます。  それから、水路等々の問題等いろいろ入れておりますけれども、うちの方の胆沢平野土地改良区においては既に、アドプト協定と申しまして、民間活力の導入をやってございます。  それから、持続性の高いいわゆる環境負荷軽減のことにつきまして、これはエコファーマー等、当然やっております。  ここに人間性の回復と涵養とありますが、これは食育基本法の方にも関係があるかもしれませんけれども、当委員会等々においては関係がないかもしれませんが、昨今にぎわしております非常に殺伐とした子供たち等々の事件、事故が多過ぎます。やはり農村社会という今現在あるところというのは、人間性の回復なり涵養、子育ての場としては絶対日本人にとって必要なものであろうかと思います。グリーンツーリズム等々ございますが、こららを包括して、もっと実効性のある強力な体制といいますか仕組みを構築するべきであろうというふうに思っております。  それから、総合力を発揮した相談活動体制でございますけれども、書いてありますとおりに、設置をいたしております。もちろん中央会等々もありますし、県でも派遣をしていただいておりますが、万全の体制をしいておるつもりでございます。  三ページに参りますけれども、さらに、それだけではなかなか進まないということで、JAのプロパーで運転資金あるいは資本整備資金というものを創設いたしておりまして、一件五百万までと、金利は短プラでございまして、運転資金は一年償還、施設については十年償還というふうにしております。また、新たに信連、農林中金等からも制度が出てまいりました。  それから、物流改革による新たな生産資材購買システムということでございまして、これは農協からもう一括、いわゆる新しい集落営農等々になりますと伝票が一枚になります、集落からの注文がですね。個人、構成員は何十人あっても、そういうところに一括資材を購入して、どうしても資材を安くしたいという願望が出てまいります。一方においては、組合員であっても、いわゆる組合員というのは出資者であり、農協の運営者であり、利用者であるわけでありますけれども、全国津々浦々自由主義経済、市場原理経済に染まっているといいますか、この中にあっては、そういう組合員であっても農協といえども高きゃ買わないよ、安けりゃ買うという現状でございますものですから、これらに、いわゆる新しく出てくる集落営農なり法人に対しての便宜を図るということで、倉庫用のハウスを貸し出して一括注文いただいて安く納入するとか、いろいろなシステムを講じております。  最後に生産現場での課題でございますけれども、いわゆる米政策改革大綱が出されそうだ、出されるの辺りから、先ほども申し上げました実需者からの注文というのは八十万俵あります。ですから、それをどうやって実需者に対応するかということで、生産力を上げるしかないということでやっておったわけでありますが、ここに来ていろいろな制約が出てきましたものですから、これをどうやっていったらいいかということが、必ずしもこれが集落営農なり法人化されたあるいは特定農業団体であればきめ細かい対応ができるということにはなりません、ということを現場としては申し上げたいと思います。  それから、現在の政策等をツールとしてどう活用するか。いろいろな制度がございます。農地流動化から始まって、まつわる制度が一杯ありますが、これのどれとどれとどれを組み立てて、どうやったらいいかということについては、物すごい高度な判断が必要、知識と判断が必要であります。これらはやっぱりもっともっと、何といいますか、簡略にあるいはもっと丁寧な御指導をいただけるような仕組みが必要だというふうに思っております。  それから、一定規模の確保ということでございますが、中核的農家集落経営体との優良農地の取り合い、始まっております。いわゆる貸しはがしであります。農協としましては、中核的農家の方を説得して集落型の方へという勧めをやっておりますが、正直、これが妥当なのか後で間違ったとなるのか、はっきり決断できないながらも、全体を何とかしようという感覚の中でやっているというのが現状であります。  しかしながら、数年経ずして崩壊のおそれがあるのではないか。やろうとしている、いわゆるこの大変革、農政の大変革期にジャパン・ドリームということでやろうと、つかもうという勇気ある人というのはほんの一握りです。それから、条件不利地帯はもう初めからやりませんから。やろうということは相談はします。じゃ、やっぱりこの方がいいねと、バラ色な夢はかきますが、じゃだれがやるのということになると、だれも手を後ろにして踏み込もうとはしません。  ですから、それらこれらで四割は決まります。あとの六割というのは、やはり日本人の特性かもしれません、あるいは東北人なのかもしれませんが、実際どのようにこの制度、政策が生かされてくるんだろう、マーケットの方はどういう反応をしてどういう価格を出してくるんだろう、それに対してまたさらに国はどういうふうな、その辺少し見ないうちはどっちにも行けないね。ですから、相談もビジョンも作るし計画も作ってはいるが、本腰でやろうとしないというのが六割。これが現状なわけであります。  時間になりましたんですが、それからもう一つですね、⑥でありますけれども、ここのところ、今申し上げましたので、⑦の会計、いわゆる企業会計でというのは何だろうと思われると思いますので、これをお話しして終わりにさせていただきたいと思いますけれども、この企業会計、会計の適正をこれ否定するものではございませんで、いわゆる企業会計ができるようにしなさいということが明示されてございます。そうしますと、家族経営と違いまして、時間外労働とかいろんなことが出てきた場合に、全部百分の十二だ、百分の二十五だ、これをやっていかなきゃなりません。労働基準監督署に堪えられるようなすべてのことをやらなきゃなりません。これではとても四町や二十町の規模で堪えられません。というのが現状であります。  もっと言いたかった次第ですが、話し下手で、時間になりましたので、ここで終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  10. 岩城光英

    委員長岩城光英君) どうもありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 国井正幸

    ○国井正幸君 自由民主党の国井正幸でございます。  今日は、本当に参考人の皆さん、お忙しいところお出掛けをいただきまして貴重な御意見を開陳いただきまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。  私、与党でありますので、今回のこの経営所得安定対策ですね、この法案は政府と一体となって作ってきた立場でありますから、基本的に今次国会で何としても成立をさせなければならぬと、こういう立場であることは冒頭申し上げておきたいと思います。  ただ、私も自民党の中でそれなりの農政上の立場をいただいて、政府と一体となってこの法案の作成に努めてまいりました。そういう中で、今日的な国際規律との整合性、特にWTO交渉のこれまでの経過、今日的な状況等を考えると、やはりこういう形での直接支払の方法を導入せざるを得ないだろうということですね。AMSの削減の水準等を含めて、こういう方法を入れざるを得ないだろう。さらに、今日的な我が国の財政状況から見て、やはり対象者を含めてこの法案にあるような形にせざるを得ないだろうということで、ある意味で、これは政府資料等にも出ているわけでありますが、麦、大豆等の支援水準、これから来年度予算を今年の暮れに政府と一体となって我々編成をする予定でありますが、その編成過程における支援水準というのが問題になってくるわけでありますが、基本的に現在政府資料として出しているのは現状追認ですよ、ね。現状追認の中で組み替えたということですよ。ゲタというものを、いわゆる過去の実績とそれから品質、数量に組替えをしたということ。あわせて、対象者を、これまでは同じ行為をしたらだれにも対象になった支援が、今度はだれがどういうことをしたかということによって対象を限定すると、こういうことにせざるを得ないと言った方が私の気持ちからすれば正確かなと、こう思っておるわけでございます。しかし、これは国民の合意と納得の中でありますから、そういうことをせざるを得ない。  そこで、まず冒頭、山田参考人にお伺いしたいと思いますが、山田さんは全国農協中央会の専務という立場にある。ですから、多くの農業者の代表として今日来てもらっている一人だというふうに思っています。私も、賛成はするんだけれども、もろ手を挙げて、これですべて良かったのかと、これがすべて何かバラ色の幻想を振りまくがごとき話ではないと、こう思っているんです。後で生源寺さんにもお伺いしたいと思いますがね。  そういう意味からしてむしろ賛成であってくれることは有り難い話なんだが、この政策に対して、全中として、農業者の代表として注文付ける部分というのはないのかねと、こう思うんですね。特に、山田さんもね、今はこれ注文付ける立場だけれども、これからは自らやってもらう立場にこれなってもらわなくちゃならない。そういうことを含めて、しっかりと、この政策だけで本当にいいのかという思いが我々自身があるんですが、あなたの立場から見てどうですか。率直のところ、そこらに対する思いがあったらちょっと言っていただきたいと思います。
  12. 山田俊男

    参考人山田俊男君) ありがとうございます。  先ほど私、冒頭、懸念の材料ばっかり申し上げまして、大変失礼したわけでありますが、率直に言いまして、今各地で議論をしておりまして、農業者の気持ちは懸念が一杯であります。  もちろん、政策基本につきましては担い手地域の中でどうしてもつくり上げていかなきゃいかぬと。農業者自身が見ましても、地域の中で将来背負っていける農業者がいるのかといったら、農業者自身もこれはいないぞと、この地域は大変だぞという認識でいるわけでありますので、そういう意味からしましても、とりわけ水田農業について地域の中で徹底して話し合って、そして話し合った中でこの農家に、この人に、意欲あるこの人に育ててもらおうじゃないかと、支えていってもらおうじゃないかという取組をどんなふうにつくり上げていくかということだと思っております。  そういう意味では、そうしたつくり上げていく担い手に対して経営を、今国井先生おっしゃいましたように、直接支払の仕組みをつくり上げていくんだぞという政策手法は、やはり一つの大きな前進というふうに基本的には受け止めているところであります。  同時にまた、集落営農をつくることで、要は、小規模農家であってもそこへ加わる中でちゃんとした経営体をつくり上げていく可能性が出てくるわけでありますので、そこにつきましていろいろな措置をしていただいたことも十分評価できるところであります。  ただし、残念ながら、本当に話合いを進めることと、その内容を十分理解することと、さらに、措置される内容が今国井先生おっしゃいましたように、おい、現状水準の組替えかという部分について大変心配があるということであります。
  13. 国井正幸

    ○国井正幸君 じゃ、生源寺参考人にお伺いしたいと思いますが、先ほど担い手育成に努めてほしいという、そういう課題の提起もあったというふうに思いますが、今回のこれ、麦、大豆、バレイショ等、こういう作物対象にしているわけでありますが、今日役所の方々も傍聴でおるけれども、当初は稲作はこの対象の概念に役所は入れてなかった、入れてなかったんですよね。我々は党で話をした。しかし、私なんかは、やっぱり日本最大の、我が国最大の土地利用型作物は何だといったら、稲作だと。いわゆる現在ゲタを履いているか履いてないかの話ではないだろうと、これはね。土地利用型作物に対しての外国との生産性格差という部分で議論をしていく上では、今ゲタが履いているとか履いてないとかという、そんなものとは違うはずだと。だから、稲作という概念は入れろと。ただしかし、具体的な政策として支援をするかしないかの部分は、これは予算措置との関係だからまた別なんだというふうな形で一応整理をして今日に来ているということですよ、これね。  そういうことでありますけれども、頑張った人が、頑張った人がしっかり報われる形でなかったらやっぱり駄目なんだろうというふうに思うんです。そういう意味からすると、これは、なかなか今の予算状況からすれば、そんなに幻想を振りまくほどしっかりしたあれは組むことは難しいと思っているんです、率直なところ。ですから、やっぱり現状水準はせめて維持する、このことはしっかり我々もやらなくちゃいけない。  そのときに、現状の生産性の中でそれを上回る生産性を持っている人は、一応それで固定すれば、努力をして生産性向上に努めればやっぱりそれだけ所得が増えるという構図ができるわけですよね、固定することができればですよ。そして、それを上回る水準の生産性を上げることができれば所得を上げることができるということになるはずなんですね。  そういう意味からすると、支援水準というのは、いわゆるゲタの部分をそっくり持っていった部分ですが、これはやっぱりある程度の期間固定をする必要があると私は思うんです。固定をする必要がある。そして、生産性がそれを下回っていれば、結局クリアできないから赤字だから、やっぱりリタイアせざるを得ないと。だってペイできないんだから。そして、それを超していった、生産性がそれ以上に高い部分がやっぱり規模拡大なりなんなりしてより効率的にいい経営ができるようになるであろうと、そういう状況を具現化せざるを得ないと、こう思っているんです。  それらに対する考え方が一つどうかということと、それから担い手育成に努めてほしいという中で、過去に対する実績払いというのは、これからやろうという人にはなかなかうまい具合にいかない部分があるんです。したがって、今、役所と私どもの間では、同じことになっても、ダブルスタンダードにならざるを得ないけれども、得ないけれども、WTO協定上の緑の政策とは別の形にしても、産地づくり交付金かなんかの形で、同じ行為をして新たに努力をした者に対しては、しっかりやっぱりそういう支援水準をここの中でくっ付けてやらなかったら、これできないだろうと思うんですよ。過去の年金みたいな発想だけではこれはできない、そういうふうに私は思っておるんです。  先生も、これ審議会等でやってこられた立場からして、その辺も恐らく議論一つになったんだろうと思うんですね。過去ということで一つの区切りを付けるということになれば、過去がない、これから努力をする人たちがどうするのかという問題も大きな問題なんですね。その辺に対して、もしこれまでの中で御議論があれば聞かせてもらいたいし、先生個人の思いがあればちょっとお聞かせをいただければと思います。
  14. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) まず第一点目でございますけれども、確かに努力するなり、その結果が出た方にその部分がきちんと帰属するという、こういう考え方は非常に大事だというふうに思っております。したがって、ある時期固定するということも必要なことであろうというふうに思っております。  同時に、これは日本の予算制度との関連でどういう形になるのか、ちょっと私不明なところもございますけれども、例えば三年とかある期間については、言わば予示するというか、この政策はこういう形でセットするという、ヨーロッパなんかは比較的そういう形になっているかと思いますけれども、そうしますと、比較的農業者の方も、これならばこの期間はこういう形の下で仕事ができるという形で計画が立てやすいという、こういうことがあるだろうと思うんですね。  それから、お米を対象にしたこととも絡みますけれども、今回の施策、私自身はもっと早くにというふうに思っていたわけでございますけれども、しかしいずれにせよ、WTOの交渉の帰結がどうなるかということは、ある意味では分からないところがあるわけでありますけれども、どんな形になっても、今引き出しの中に置いてあるものであっても、いざとなればきちんと使えるというものを用意しておくことによって、農業者の将来の不透明感、先行き不透明の状況を除去してあげると、こういった意味でも私は意味のあることではないかというふうに思っております。  それから、二番目は大変難しい問題でございまして、私の冒頭の発言の中でも申し上げましたけれども、審議会企画部会の中で、WTO協定にきちんと整合させるというこういう要請と、それから日本農業の持っている固有課題をどうバランスするかというこういう議論はもちろんございましたけれども、ただ、施策の具体的な組み方というところまでは実はなかなか踏み込めなかったというふうに思っております。むしろ、対象の設定のところで随分議論のエネルギーを費やしたような感じがしております。  この点は、したがいまして、私の個人的な見解でございますけれども、確かに、こういう形で、全体の生産量から見ますと、ある一部について直接支払の権利といいますか、これが付与されるわけであります。そこでの大きくなる、小さくなるというこういう話をしているわけでありますけれども、全体としての生産量というのはあるいは動かないかもしれないというこういう中での政策の設定になっているという場合に、今度の法律の設計の仕方とはちょっと違うのかもしれませんけれども、いったん権利を設定して、ある部分は国が保留しておいて後で使うとか、そもそものWTOの緑の政策の発想と日本農業に求められていることの間に若干のギャップがありますので、そこを埋める何かの知恵が必要であるというふうには思っております。  それから、今、日本農業にとって、言わば規模拡大という形で経営を充実していただきたいというこういう願いの政策であるわけでございますので、今言ったような配慮を、二枚鑑札でということもあるいはあるかもしれませんけれども、必要だというふうに思っておりますけれども。  同時に、これは、WTOの規律の中では緑に入っております言わば構造調整というか、そういう側面もある意味では持っているんだろうと思うんですね。これも、リタイアに対するバックアップとかそういう形の施策について、これはグリーンのボックスであるというふうに理解しておりますけれども、そういう観点も加味しながら、冒頭に申し上げましたように、せっかく、じゃやろうかというふうに考えている方ががっくりくるようなことがないような施策の工夫をする必要があるかなと、こう思っております。
  15. 国井正幸

    ○国井正幸君 WTOの規律との関係では、それはWTO協定上緑だ、いや黄色だ、青だと、こう言われても、やっぱりこれは、現実的な政策は国内で取るわけでありますから、幾らWTO協定上緑だからといったって、そればっかりにいくわけにはいかぬと思うんですよ。  過去の実績というだけで、現実的には作付けも何にもしない者に対して国費でもって金払うと、食料自給率向上にも何にも役立たないと、そんな政策は、これは幾ら国際規律との関係でどうだといったって、我々はやっぱりそんなものは選択できない。やっぱり国民の合意と納得があって、かつその中でならば国際規律との整合性をできるだけ取っていくということで、合計助成数量を削減すれば、全部削減しろと言っているわけではないんでありますから、そういう意味では、やっぱりその枠内でできればこれをよしとするということになるんだろうというふうに思っておるわけなんです。  ただ、やっぱり、非常に私個人としても懸念をしておりますのは、我が国もいよいよもう昨年から人口減少期に入ったんですよね。ですから、去年は一万人ほどでしたよ、自然減が。だけれども、恐らく今年はそれ以上の人口減があるであろうということになると、しかも、高齢者が増えていますから、やっぱり食べる量ということで、国内消費という側面で見ていくと、間違いなく消費減の社会にならざるを得ない。そういう中で、食育基本法を作りいろいろ、米の消費拡大等々についてもいろんなレベルで拡大努力をしておりますが、残念だけれども、現実的に需給政策を決める段階では、需要が拡大するという計画はちょっとやっぱり現実的に組めないだろうというふうに思っているんです。  そういう中で、この需要減少の中で今日的な米の問題がある、米の価格下落もある。しかも、やっぱり、何だかんだ言ってみても、土地利用型全体で見ていくと転作率は大体三五%ぐらいですよ。三五%というのは、六五%は水田ですよね、全体から見ると、転作率が三五なんだから。その六五%を占める米価がやっぱり下がってきているというところに問題があるわけでございまして、そういう意味で、これは西原参考人ですかね、むしろこの政策の修正を、できるんなら考え方をもう少し直してほしいという要請も先ほどあったやに聞いておりますが、その辺を含めて、もし端的に、全般的にと言われてもなかなか難しいんですが、この部分のこういう部分がむしろこういうふうに直すべきじゃないかという具体的な何か提案でもあったらお聞かせいただければと思うんですが、いかがでしょうか。
  16. 西原淳一

    参考人西原淳一君) 今、国井先生からおっしゃられたように、北海道も、特に今先生からおっしゃったように、米の部分が大変な状況がありまして、昨年も、我々生産者に支払われた、北海道ホクレンから支払われた価格については、一俵一万円、本体価格では九千三百円しか一俵してございません。そういう中からそれぞれの単協の中でやっている乾燥調製の調製料等を引いていくと、我々の手元に米の代金として入ったのは一俵七千五百円ほどしかありません。  そういう中では、規模拡大していった米農家ほどもう昨年、離農せざるを得ない状況が生まれてきておりまして、そういうことからいくと、やっぱり米も含めた中で今回のその対策も是非講じてほしいというのは、土地利用型の米の面積が北海道でも、昨年の面積で、水田面積二十二万七千ヘクタールの中の十一万九千ヘクタールしか米作っておりませんけれども、この米の面積は、やはり土地利用型としてこの面積を確保して守っていかないことには、二十二万七千ヘクタールを確保していくというのは非常に難しいんだと我々は思っています。そういう状況の中で米が今そういう状況になってきて、どんどんどんどん離農が進んでいくと、その受皿がないというのが実態であります。  そういうことからいくと、やっぱり今の少子高齢化の中で消費もどんどんどんどん落ちていっていますから、そういう中では、我々もやはり、消費者の皆さん方に喜んで食べてもらう、北海道の米でも喜んで食べてもらえるような努力をしていかなければなりませんけれども、そのことと併せて、やっぱり自分の経営が維持できるような価格体系、それに伴うようなやっぱり最低保障、ここを是非今度の制度の中でつくっていただきたいのと、もう一つは、今の麦、大豆の、それから北海道でいうてん菜含めての過去の生産実績面積でありますけれども、これらについても、やっぱり今先ほど門脇さんの方からもお話ありましたけど、来年からの対策の中で、今の農地の流動化の中でも、もう麦、大豆の作っているところについては農地流動化も積極的に進んでいくんですけれども、それ以外の面積については全く動かないというのが実態であります。  そういうことからいくと、もう来年からは農地の流動化は、国が求めているように規模拡大を進めても農地の流動化は逆に起きていかない、そういうことになってしまうんでないかなというふうにも我々は思っております、今の現状、今の農地の流動化の状況を見ていくとですね。  そういうことからいくと、やっぱりある程度、後継者、担い手、今回も担い手育成施策を集中するわけでありますから、担い手意欲を持てるような、そういうようなやっぱり支援水準というのが必要ではないかなと思っております。まあ財政上の問題がありますから、この今の支援水準がある程度のものだというふうには思っていますけれども、しかしながら、現場の中では、もうそれではやっぱり農業やっていかれないよと、農業やっていかれないんだったらもうやめざるを得ないと、そういうことが、特に若い人、四十代、五十代の中にそういう問題が起きてきているというのは事実であります。やっぱりそういうことからいくと、農地の荒廃につながってまいりますし、北海道でも、土地利用型で専業農家といえども、一年間にやっぱり三千四百ヘクタールぐらいずつ耕作放棄地がどんどんどんどん出ていっております。  そういうことからいくと、やっぱり農地の維持ができなくなってくるというふうに思いますので、今回の対策で是非、支援水準そのものを、やっぱり担い手意欲を持って次、営農を続けていく、そして隣の農地が出たときに積極的に求めていく、そういうような支援水準にしていただきたいなと思いますので、よろしくお願いしたいなと思います。
  17. 国井正幸

    ○国井正幸君 私は、さっき生源寺先生おっしゃられたように、予示価格制度、これしっかりできればいいなと、こう思っているんですよ、米を含めてね。やっぱり米は、国境措置で守っているからこれには手を付けないということではなくて、今までのいわゆる生産調整の面積配分ということよりも、今度はポジ配分ということになって、あなたはこれだけ作ってくだされと、こういうふうな配分にしてきたわけでありますから、これだけの価格のものでこういう品質のものをあなたはこれだけ作ってくだされというふうな、そういうポジ配分に予示価格制度の中で私はできるようになれれば我が国の農政ももうちょっといいかなと、個人のレベルでありますが、私はそんな思いを実はしているわけでございます。  最後に、門脇参考人にちょっとお聞きしたいと思いますが、いろいろ今回、私も純農村地帯におりまして、本当に担い手だけに絞り込んじゃっていいのかいなという思いを持ちながら、まあ何とか集落営農ということで、協力、共同してみんなで頑張る人、この人たちは支援していこうではないかと、そういうことになって今日的な提案があるわけであります。農業栄えて農村滅ぶような政策があったんでは私はならぬというふうに思っているんです。やっぱり、欲張りだと言われようが何と言われようが、農業振興しなくちゃならない、農村もやはりそれなりの機能を維持しなくちゃならぬ、その両方相まって我が国のこの農政というものはあるんだというふうに思っております。  そういう意味で、なかなかこの集落営農、大変御苦労をなさっているようでありますが、私はそういう思いを持っている一人でございまして、現場で大変御苦労をいただいているわけでございますが、私どもでできる部分で、むしろそれらをやっていく上で、もうちょっとここのところをこんなふうにしてくれればなというふうな、そういう具体的な御提案でもあればちょっと伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  18. 門脇功

    参考人門脇功君) 具体的には、答えから申し上げますが、二つあります。  一つは、条件不利地域において米、大豆だけというのでは何ともならないという点、その辺をお考えいただきたいと思います。いわゆる義経、弁慶の衣川が私の市の一番南端なわけでありますが、衣川は今リンドウで特産化をしているわけでありまして、それらをもっと伸ばしたくても伸ばせないという現実が出てくるわけでありまして、何とかその辺は考えていただくべきことというふうに一つ思います。  それから、土地の流動化でありますが、非常にこれ矛盾した話になりますけれども、昭和三十六、七年のいわゆる構造改善事業で、七割二分五厘の補助事業でやった三十アールの田んぼ等々についてはもう償還が実は終わっておりますけれども、近年のいわゆる基盤整備ということの一町歩とか二町歩、農政で今やっています。かなりやられましたけれども、これらは貸し借りの部分であればいいんですが、売買となりますと、当然償還も含めていわゆる抵当権付きを買わなきゃねというふうな問題等々が出てまいります。それで、後、担い手になりましても、土地改良区の水利費であるとか農業共済の掛金とかで全部持ってやるということについては、現在の価格あるいは価格が当然下がっていかなきゃならない政策でありますから、そうなると太刀打ちいかなくなるなと。いずれは、せっかく構築しても崩壊は目の当たりというふうに認識せざるを得ないということがあります。  周りが支援をして何とか優良農家といいますか、担い手を育てていくんだということでありますけれども、私どもの地方の人間性かもしれませんが、やっぱりいろいろ話して、ずっと、そうだよねって、この人に任せようよというところまで行っても、結果、最後に出てくることは、その人から国がもらうなり、あるいはいわゆる交付金なり補助金って、おれたちが協力しているから出るんだろうと、やっぱりおれたちにも何がしかもらわないと、何なのよと、必ずそこへ行って、最後最後つまずきます。今、現実そこで苦労しております。  以上でございます。
  19. 国井正幸

    ○国井正幸君 終わります。
  20. 小川勝也

    小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。  民主党は、衆議院で民主党案なるものを提出をいたしまして、政府案よりよっぽどいいぞというアピールをしたわけでありますけれども、参議院の方ではどのような審議に努めようかいろいろ相談をさせていただいた結果、今も参考人からも、あるいは与党の委員からも御懸念が示されましたように、この法案の将来に向けての懸念材料を浮き彫りにして、我々国会も課題とする、あるいは農林水産省にも課題として認識をしてもらうと、そういう質疑の仕方を心掛けていこうということにさせていただきました。参考人からも様々な懸念が出されております。  限られた時間ですので早速お伺いをしたいわけでありますけれども、まずやはり米の問題が心配でございます。  生源寺参考人山田参考人にお尋ねをしたいわけでありますけれども、この品目横断の政策法律が通った後、米価はどういうふうな推移をたどるというふうにお考えでしょうか。両者にお伺いしたいと思います。
  21. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) これは、この新しい政策がある場合とない場合という、こういう意味合いというふうに理解していいのか、あるいはその前と後というふうに理解していいのか、ちょっと分かりづらいところありますけれども、まず全体の状況としては、残念ながら市場そのものが縮小しているということ、それから川下の側が以前に比べれば市場での力を持ってきているということ、特にもうお米でも外食が三割というこういう状況でほかのものとの競合が激しくなっているという、こういう中で、趨勢的に全体として下がっていく傾向というのはなかなか止まらないという、こういうことかと思います。  それで、今回の施策効果でありますけれども、私の今持っている認識といたしましては、かつての稲作経営安定対策、米を対象とした一種の補てんの仕組みに比べますと、所得を確保する力は、まあどれほどというとなかなか難しいわけでありますけれども、以前の稲経の持っていた問題点は比較的除去される面があるんではないかと。  これ、どういうことかと申しますと、品目についてある価格を設定なり手取りの額を設定しますと、結局買う側も売る側もそれを織り込んでだんだん何か価格が下がってしまっていくという、こういう構造があるわけです。そういう状況があったと思います。今回はいろんなものをミックスするという意味と、それからまあ対象が限定されるという意味で、その意味でも、まあ役所はモラルハザードというふうに言っているようですけれども、この言葉を使うことがいいかどうかちょっと私は疑問に思っておりますけれども、そういう関係は少し和らげることになるだろうと。  それからもう一点のみ、私、もう一つ米価との関係で今見極めておくべきことは、これは需給がバランスする価格というのはどこかにあるはずでございます、そういう状況というのは。そのことが今きちんと読み切れていないというところが一番問題かと思います。したがって、生産調整もという話になります。  もう一点だけ申し上げます。  お米の品種は、今市場に出回っているものだけで二百を超えているはずです。しかも、いろいろな銘柄がございます。恐らく、平均の価格は今申し上げたようになかなか上向かないというのが現実だと思いますけれども、恐らく、品目によっては、むしろ堅調にいくもの、それからそうでないもの、こういう形の分岐が割にはっきりしてくるような、こういうことを見込めるんではないかと、こんなふうに思っております。
  22. 山田俊男

    参考人山田俊男君) 私は、ここ数年来の米の作柄は需給も含めまして大変幸せに推移してきたというふうに思っております。変な言い方しますが、平成十四年産が一〇一の作柄、そして平成十五年が九〇の作柄、平成十六年が九八、そして十七年が一〇一です。この間、大きな不作がありましたので政府在庫を充当しました。実はこの間も豊作があったわけであります、過剰分があったわけでありますが、政府買入れに充当することができたものですから、それが市場に出ることを抑えることができました。しかし、それでも米価は下がっているわけです。  要は、こういう幸せな需給環境にありながら米価は下がっているということであります。制度的には、需要減、先生がおっしゃいました需要減、それから計画生産が緩むこと等々からいたしまして、米価は下がっていくというふうに思って大変危惧しているところであります。  とりわけ、今年も実は下がる可能性は大いにあったわけでありますが、北海道が大豊作で下がったかもしれません。しかし、北海道は豊作分の処理につきます集荷円滑化対策の加入率が大変高くて、そして統制もできていますので、きちっと集荷円滑化対策で豊作分を処理することができました。その結果、まあ一定の水準に米価が維持できています。もしも、集荷円滑化対策の加入率が非常に低い県も大変ありますので、そこで豊作が生じましたらもう手の打ちようがありません。こうした極めて、まあ何といいますか、不安定な中での最近の米価の水準であるというふうに認識しています。
  23. 小川勝也

    小川勝也君 ありがとうございました。  山田参考人参考資料の七番の米価下落が続けばというこの図を見るとぞっとするわけでございます。  今、私どもの懸念一つが、今回のこの品目横断の施策にかまけまして生産調整の失敗の修正がうまくいかなかった場合、北海道、特に米価のその手取りは、天候にも左右されますけれども、府県の作付面積にも大きく左右をされるわけであります。そして、例えば、今後制度が進んで、集落営農あるいは担い手集積ということで、生産コストがこのグラフのように下がってまいります。しかしながら、北海道は規模拡大が比較的早く済んだわけでありますので、生産コストのぎりぎりまでの圧縮というのがもう既に織り込み済みでございます。ですから、このグラフのような状況になったときに北海道の米産地は太刀打ちいかないような打撃を受けてしまうだろうというのが様々ある懸念の中で最も大きな懸念でございます。  そこで、西原参考人にお伺いをしたいわけでありますけれども、道内には米の主要地帯もございますし、その主要生産者の中にも北海道農民連盟の役員をされておられる方もおられるかと思います。北海道の主要米農家の、この法案に、あるいは法案の対策後に対する懸念を代弁をしていただきたいというふうに思います。
  24. 西原淳一

    参考人西原淳一君) 先ほども申し上げましたけれども、北海道の中でも、米については主産地が空知、上川支庁管内、それと道南と言われている渡島・檜山地方が米の主産地なわけでありますけれども、そういう中でも、やはり空知それから上川管内の一部については、米についても国の政策に向かって規模拡大が急激に進んだ地域もあります。しかしながら、道南地区と言われている渡島・檜山地方のように小規模水田農家が大半を占めている地域もあります。  そういう中で、やっぱり今の米の価格の中では到底規模の大きい人も小さい人も成り立たないというのは事実なんですけれども、特にやはり、先ほども申し上げましたように、規模拡大をされたところ、ここがこの生産費を今下回っている状況、北海道の生産費は、昨年でいうと一俵一万三千四百円ほどの生産費でありますけれども、これをも大きく下回っている状況であります。そういう中では、家族労働費が出ないぐらいであれば何とかやれるんでありますけれども、それをも大きく下回っているという状況でありますから、そういう中では今の米の面積十一万九千ヘクタールを維持していくのももう困難な状況に追い込まれているというのが事実であります。  我々の組織の中にも、やっぱりもうそういう状況の中で、三十ヘクタール、四十ヘクタール作っている方々がやめていかざるを得ないということで昨年もやめていっているような状況の中では、何としてもやっぱり米政策の中で出された対策、稲作所得基盤確保対策担い手経営安定対策があるわけでありますけれども、この担い手経営安定対策は全くこの一〇%の価格下落に機能していない、それ以上の価格下落が起きてしまったということが現実としてあるわけでありまして、今度のこの収入変動緩和対策の中でも、やっぱり米を含めての四品のそれぞれの作物があるわけでありますけれども、北海道でもやっぱり、米単作な方々がそういう規模大きい方々の中ではかなりいらっしゃいます。その人たちがこの収入変動緩和対策の中で、米だけが対象になって、この一〇%の下落だけの今回の対策であれば、また米の担い手経営安定対策と同じような状況が起きてしまっていることが現実としてありますので、この辺の是非制度の改善をお願いをしたいなというふうに思います。
  25. 小川勝也

    小川勝也君 参考意見のとおりだというふうに思います。  それともう一点、この政府案の決定的なところは、例えば人口減と、まあ需要の予測もしづらいわけでありますけれども、例えば米の作付面積が多過ぎるというふうになった場合に、そのシフトがなかなかできないようになっているわけであります。  本来でしたら、日本の品目別食料自給率から考えますと、米をやめて例えば麦を作ってもらいたいというのがその思惑だろうというふうに思いますけれども、今議論をされております法案の中には、例えば麦の生産には過去実績というポイントが加わっているわけでありますので、新しく麦に変える人には何らインセンティブが働かないというのが大きな問題だというふうに指摘できるわけであります。  それともう一点、大きく話をまとめますと、例えば耕作放棄地を含めて今よりももっと経営効率のいい農業推進するということになります。そうしますと、農作物価格は下がるわけでありますし、生産量が増えるわけであります。これ以上米が作れないということになると何にしたらいいのか。これは先ほど申し上げましたように、増えていいのは麦、大豆、えさ、菜種油、こういう面を国として本当は増やさなきゃいけないわけであります。  ですから、私ども民主党案では、この麦に対する部分、当然飼料、それから象徴的な品目として菜種も挙げさせていただきました。これは、日本食料を供給するということが法律の趣旨でありますけれども、石油の自給率がゼロの我が国に関係すると、この豊富な耕作地を食料と同時にエネルギーの供給にまで充てるということも考えることができるその農地でありますけれども、麦が決定的に増えることができないというのがこの法律の決定的な欠陥でありますし、農水省のこれからの今後予測でいうと、麦は増えなくてもいいという予測なんだそうでございますけれども、その辺、西原参考人、補足がありましたら一言お伺いしたいと思います。
  26. 西原淳一

    参考人西原淳一君) 小川先生からもお話ありましたように、やはり大変化のこの品目横断的経営安定対策に向けての状況、それから今置かれている現状からいっても、米の価格、そして米の消費減退の状況の中で、需給調整をどんどんどんどん進めていかなければならない状況の中で、次の作物、作る作物がないというのが現状であります。  北海道においても、次何を作ったらいいかというのが今それぞれの地域の中で非常に今議論されているところであります。特に、麦についても、ここ三年ぐらいの麦も、全国的な豊作の中、まあ米もそうでありますけれども、豊作の中、生産量が上がったということで、麦の指標面積についても、北海道だけ見ても、昨年よりも今年度、十八年度、三千二百ヘクタールの麦の面積の削減が求められております。そういうことになると、いよいよもう作っていくものがない。  そして、北海道の主力の作物一つでありますてん菜でありますけれども、これについても、面積としては六万八千ヘクタール何とか維持をすることが国の理解をいただきながらもされているわけでありますけれども、しかし、産糖量が、昨年十七年度の六十七万六千四百トンから今年度は六十四万七千トン、来年は六十四万トンということで、産糖量がどんどんどんどん、交付金対象産糖量が減らされております。そうすると、六万八千ヘクタール、これもやっぱり維持していかれないというのが事実であります。  そうなると、作る作物がない、そういう状況だというふうに我々は思っておりまして、何としても麦、大豆、これらのやっぱり自給率の低いものを、その関税差益だけということじゃなくして、国内でどうやってそれをもう少し維持拡大をしていくかということがやっぱり大きくこれから求められるところでありますし、この対策の中でもそこをやはりきちっと、自給率向上のために、生産抑制をするんじゃなくして、自給率を上げるために、この麦、大豆も作付けを増やすというところに是非向かっていただきたいなというふうに思っています。
  27. 小川勝也

    小川勝也君 終わります。
  28. 主濱了

    ○主濱了君 民主党・新緑風会の主濱了でございます。  今日は、貴重な御意見を賜りまして、参考人の皆様四人に対しまして、私からも感謝を申し上げたいと思います。  早速質問に入らせていただきます。  まずは、生源寺参考人山田参考人にお願いしたいんですが、今、日本では耕地が減少し続けております。そして、現状ではずっと下がってきている中で、四百七十万ヘクタールまで耕地が下がってきております。  私は、この農地すべてが耕作をされなければいけない、限られた農地ですから耕作をされなければいけないと、このように思っております。また、販売農家、この販売農家がこの十五年間で三分の二までに減っております。これも御承知と思いますけれども、三分の二まで減ってきている。このように、農業基本指標というのはどんどんどんどん落ちてきていると、こういったような状況であります。  このような中で、政府が進めております新しい基本計画あるいは経営所得安定対策ですけれども、ここでは、一定の要件を満たした担い手に対してだけ、政府が言うには、やる気と能力のある担い手対象を絞って集中的、重点的に施策を講ずるということにしております。  私は、この支援の内容として、直接支払をすることについては大賛成であります。一方、この担い手に対してだけ集中的、重点的に施策を講ずるということは、農業の衰退傾向に拍車を掛けるのではないかと、このような考え方もあるわけであります。  この考え方によりますと、一定の要件を満たした担い手だけではなくて、要するに販売農家国民食料を供給している販売農家すべてを対象にしたらどうだろうか。このことによって、農村農業、あるいは農村全体を活性化し、日本を活性化したらいいんじゃないか、このような考え方があるわけであります。  この考え方につきまして、お二人の参考人からの御意見をいただきたいと思います。
  29. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) 今の点でございますけれども、事実として、耕地それから農業農家の減少、全くそのとおりでございます。  私は、この変化は、ここ二、三年とかあるいは五年、十年の短期的な変化ではないというふうに思っております。そういう要素全くのゼロとは申しませんけれども、むしろ、三十年前あるいは四十年前の若者が農業職業として選ぶかどうか、そこの判断がいろいろあった。それがずっと積み重なってきて今の農家の人口構成なりそういう状況になっているというふうに思っております。  施策によっては、むしろ地域全体を対象にするべきものもあるというふうに私は思っておりますけれども、これは言わば経営といいますか、人、言わば農業職業として選ぶ、そういう人をバックアップするという、こういう施策だというふうに理解をしておりますので、この施策については、私は対象をこういう形で明確に設定するということについては賛成でございます。  ただ、私の冒頭の発言でも申し上げましたけれども、何といいますか、対象の範囲をどんどん広げて、数は何となく多くなるというのも、逆に今の農家規模でもって足りないと、例えば三割足りないと、じゃあなたはもう育成策の外ですよという、こういう形を取ったとしても、これも全く今と変わらない結果になるわけであって、今既にもうそういうレベルになっている方については、これはもちろんバックアップするということになるわけでありますけれども、私はむしろそれを、例えば二割、三割少ないというような人を、今土地余りというような状況もありますので、何とか盛り上げてその形まで農地集積なり経営資源集積を行っていく、そのむしろバネになるような施策としてこれは使用されるべきだろうと、こういうふうに思っております。  その意味で、余り静態的といいますか、にとらえるのではなく、むしろ動きをどうやってつくっていくかという、こういう観点でとらえるということが重要ではないかと、こう思っております。
  30. 山田俊男

    参考人山田俊男君) 高齢化と、それから担い手が本当に水田農業でいなくなっているという実態からしますと、正に主濱先生がおっしゃいましたように、こうした傾向が続くという心配を、懸念を持っております。  ところで、現状の麦と大豆の作付けの動向を見ますと、相当な団地化なり、それから受託組織が作業を請け負うという仕組みが進んでいるのも実際であります。これは、麦にしても大豆にしても、一定の面積規模があって、かつ団地的に作って初めて効率化できますし、品質もいいということがあるわけでありまして、そういう面からしますと、一定の規模をどんなふうに確保するかということと農業生産の振興は切り離せないというふうに思っております。  今の水田農業の実情が、ともかくこのまま小規模零細なまま農地の利用が動かないということであれば、先生がおっしゃった現状がそのまま続くわけでありますので、ともかくここは農業経営で、ないしは農作業で食べていける主体を、それは個別農家であったり、それから必要であれば集落営農でやったりということは何としても必要というふうに考えております。もちろん、対策の内容でもっと運用改善、その他で改善すべき部分は一杯あるわけでありますが、基本的な水田農業振興方向としてはこの方向しかないのかと、こんなふうに考えてます。
  31. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  それでは、今度は生産者の皆さんにお伺いしたいんですが、昭和、平成二十七年の農業構造の展望の中では、いわゆる担い手につきましては大体四十万戸を想定されております。その四十万戸の担い手の中から、次の世代の四十万戸、あるいはさらにその次の次の世代の四十万戸、これが再生産されて、この四十万戸体制がずっと継続していくのだろうか。私は、その他の販売農家から十年後以降にこの担い手に入ってくる率というのは、極めてこれはちっちゃいと思うんですよ。そうしますと、その四十万戸体制の中で再生産をしていかなくちゃいけない。そういうふうに考えるんですが、この点、いかがお考えになっているか、いかに実際営農されておってお感じになっているか、西原参考人門脇参考人にお伺いをいたします。
  32. 西原淳一

    参考人西原淳一君) 私の考えでありますけれども、今担い手を四十万戸に国の方は絞るということでありまして、それぞれの地域の中で、それぞれの今まあ農協を中心にそういう作業が行われております。北海道でもすべてが、北海道は専業農家が、主業農家が約八割占めておりますけれども、そのすべてがやっぱり担い手として今回の安定対策で全部が対象になるかといったら、そうではありません。結構小規模地帯もありますから、今回の対策にも乗れない地域もあるわけでありますけれども、そういう中で、私も北海道全体というよりも自分の町だけのことを考えても、私の町、中富良野町だけ考えても、今の担い手の数から十五年後には三分の一に減ってしまう、これはもう事実としてあります。今の世代の二十歳から、今の農業を営んでいる後継者から六十代までの年齢構成を検証していくと、十五年たたないうちに三分の一の担い手しかいなくなってしまうというのは事実であります。  これがやっぱりうちの町だけではなくして北海道全体としても起きるんではないかな、そういう心配がされますし、そうなりますと、やっぱり農地、今先生からおっしゃったように、そしたら農地、今の現状の農地そのまま守っていけるかと、これも非常に不可能な状況になってくるんではないかなというふうに思っておりまして、私のところでは、やっぱり今回の対策の部分もあるわけでありますけれども、北海道、専業農家個別農家が主体といっても、十年、十五年後の、今の年齢構成を見ていくと、どうしてもそういうところに置かれていくということから、私のところではやっぱり個別経営プラス北海道型集落営農ということも進めているんですけれども、集落営農なども私のところは取り組んで、そのことによって、担い手が三分の一に減ったときにも農地を維持していくためにはやっぱり集落営農も必要ではないかなということで、北海道としても私のところは取り組んでおりまして、事実、昨年、一昨年、集落営農から今年も、今月の十六日だったと思うんですけれども、農水のメールマガジンで紹介していただきましたけれども、うちの町、集落営農から特定農業団体法人になった地域があります。  この地域も十戸で集落営農を組んでいたわけでありますけれども、ここが七年後にもう二戸しかいなくなってしまいます。あとはみんな担い手から高齢化になってもうやめていかざるを得ないような年齢構成になってしまって、それはもう十年もたないうちに二戸しかいなくなってしまうということで、急遽集落営農から法人まで組んでしまったわけでありますけれども、そういうことが現実に起きているのは事実でありますから、やっぱり個別経営だけの規模拡大型だけでは到底農地は守っていかれないのではないかな、そんなように私は現実としては感じております。
  33. 門脇功

    参考人門脇功君) 御質問の趣旨をちょっと取り違えて聞いているかもしれませんが、四十万戸だよと、で、これが世代交代されるように再構築されていくかというふうに私受け取ったんですが、よろしゅうございますでしょうか。
  34. 主濱了

    ○主濱了君 はい。
  35. 門脇功

    参考人門脇功君) ということを何とかしたいというのがいわゆる法人化なり、何というか、有限会社なり会社化ということでつないでいこうというふうに考えて、それだけではないと思いますが、その一つとして考えておられるのではないかというふうに思います。  ただ、非常に恐れながら、経済というのはどう動いていくかというのはとてもじゃないけれども占い切れないものがございます。そう思っていても、そうなるかならないかというのは、単に担い手を育てればとかどうのこうのではない、周りのあらゆる要因が関係をしてきますから、そこを注意深く、時代の推移なり日々の推移なりを見て施策を講じていただくのが政治ではなかろうかというふうに思っております。
  36. 主濱了

    ○主濱了君 私、冒頭の質問の中で、農業構造の展望、昭和二十七年とお話ししたんですが、これは平成二十七年の誤りでありましたので、訂正させていただきます。  終わります。ありがとうございました。
  37. 福本潤一

    ○福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。  もう参考人には様々、また質問各党からいただきまして、課題の多くが出てきたというふうに思います。  生源寺先生、特に今回の、食料農業農村基本計画のときから今回の新しい担い手の直接補償のような形の仕組みづくりまで、中心的に頑張って政策つくり上げていただいたということをお伺いしましたし、今後の農政、先行き不透明の中、どういう方向が今後の農政なのかということを出すことに大変大きな効果があるということも言っていただきました。  先ほどの言葉の中に、自民党の委員の方から、農業栄えて農村滅ぶということのないようにというお話がございました。私も、この新しい基本計画が次の時代の農業、また日本農家、また食料問題をどういうふうに解決していける一つのインパクトになるかというときに、分かり切れない問題、一杯あります。むしろ、農学栄えて農業滅ぶとなっちゃいけぬという従来のことをかみしめながら、今日は最初に聞かしていただきたいと思うんですけれど。  生源寺先生と山田専務理事は賛成と、残りお二方の西原さん、また門脇参考人はまだどちらかな、まあ反対が強いのかなというふうにも聞かしていただきましたけれど、懸念の中に、次を担う農業担い手、これは育成するときになかなか難しい面が、今後これが適用されていったときに出てきそうだという話がございました。ゼロから、新しい新規参入のときに、なかなかこれが担い手としてきちっとなるまでにいくまでに大変な時間、労力掛かるだろうと、今後、将来的にそういうことになるとまたいけない。  小川委員の方からも先ほどありましたけれど、ほかの提案もいろいろ考えれるということでございました。民主党案も出てきたこともありはします。  そこで、今回の政策の中には入っておりませんけれど、あえて四方に、門脇専務の方から、逆方向から聞かしていただきますけれど、担い手、認定農業者、先ほど御意見の中あったように、すべての方に直接補償できるようにしたらどうかという話もありましたけど、そういう育成するという意味では、この基準を作ることが大変だった中で、例えば準認定農業者とか、滑らかにするんではなくて階段的に作る、若しくは集落営農基準に入ってないところも準というような形で次の育成のところを作る、こういうような形のシステムを取り入れたときに、現場の意識、また研究者の意識として、またJAの意識としてどういうふうに考えれるかというのを、門脇参考人の方から順番にお伺いしたいと思います。
  38. 門脇功

    参考人門脇功君) 準いわゆる認定人ということでありましたけれども、やるんならやるでやった方がいいんですね。そういう言葉で何となく柔らかく、雰囲気でというのは逆だと思います。私は、もう認定農業者なら認定農業者で、始めたら始めたでいくべきだと思います。  ただ、私は反対も何もしておりませんが、現場でぶつかったことを申し上げておったつもりでありますので、やや反対だと申されましたことに対しては、ちょっと心外でありました。
  39. 西原淳一

    参考人西原淳一君) 担い手が認定農業者ということでありますけれども、この認定農業者もそれぞれの地域でそれぞれの考え方があって、一つ、同じようなレベルでないというのがあるんではないかな。そのことがやっぱりそれぞれの地域間の中でいろんな問題が起きてくるんだと思いますし、逆に私、一番懸念されるというか心配されるのは、心配されるというか、このこともクリアできるんだと思いますけれども、後継者を抱えている経営者であります。  今回のこの対策も認定農業者一つ対策の該当者でありますから、経営者が認定農業者になりますけれども、後継者は認定農業者になりません。経営者でありませんから。これをやっぱり、その農業委員会で進める家族協定だけじゃなくして、今先生がおっしゃったような、そういう認定農業者に、予備軍みたいな形でそういう人たちもきちっとやっぱり担い手という位置付けをしていく必要があるんではないかな。今回のその担い手四十万戸の中でも、そういう後継者が、経営者が認定農業者であれば、その後継者はこの四十万戸の中の担い手の中の位置付けの中には入っていないわけでありますから、このことがやっぱりもう一つ必要ではないかなというふうに思っています。
  40. 山田俊男

    参考人山田俊男君) 結論から言いまして、福本先生の準認定なり準集落営農の形を考えるというのは、大変率直に言いまして魅力的であります。  実は、集落営農組織等につきましても、特定農業団体になれば間違いなく対象になりますよと。しかし、その一歩手前の集落営農もあるわけで、現行ではその集落営農対象にできるほどの比較的幅の広い要件が設定されていますので、運用上大きく幅を取り上げるという観点で進めてもらえるのであればわざわざ準を設けなくてもいいわけでありますけれど。  しかし、心配なのは、先ほど私も申し上げましたが、地域間の格差が相当出てくるんじゃないかという心配をしております。ましてや十九年度から実施というときになったときに、本当に地域で限定された者しか対象にならなかったというときの混乱は計り知れないというふうに思っておりますので、是非運用に当たりまして幅広い弾力的な対応があってもいいんではないかというふうに思います。
  41. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) 今の準認定農業者というような考え方でございますけれども、こういうアイデアを評価する視点は、もう基本的にはどうやって担い手なりあるいはしっかりした人をつくっていくかというその一点から評価するということになるかと思います。私自身も、ここからここは一〇〇%、例えば経営所得安定対策を受けることができて、ここから下はゼロというような形ではないやり方もあるのではないかということを、私個人としてではございませんけれども、論じたこともございます。  ここは一つの判断、そういうやり方を私は否定いたしませんけれども、一つは、この要件としてどのレベルに設定するかによって段階制をしく必要があるかどうかということの判断が出てくるかというふうに思っております。現在の四ヘクタール、十ヘクタールは、ある意味主業農家、昔で言いますと第一種兼業農家に必要な大きさというふうに考えますと、その観点から言いますと、そんなに無理のあるところではないということが一つございます。  それからもう一つは、ゼロ、一〇〇と言うと非常に極端なような印象を受けるわけでございますけれども、要はこれは土地利用型農業の問題であって、土地を集積することにいろいろな問題があるということでありますけれども、農地制度の方のバックアップということも含めて、ある意味では相当スピードを持って集積することが可能な状況になっているだろうと。また、そういう取組が行われるということであれば、あえてこの二段方式、三段方式という形を取らなくても今回の場合には差し支えないんではないかと、こういう判断をしております。
  42. 福本潤一

    ○福本潤一君 貴重な御意見、ありがとうございました。  今回、この基本計画作るときにおきましても、むしろそこの基準を作るところにエネルギーを注いだ、注がざるを得なかったということでございました。生源寺委員山田俊男参考人にお伺いしたいんですけれど、今後、二本柱と言われているもう一方の環境保全農地・水・環境保全、こちらの方に対する地域資源確保という意味からも支援策、またこれ基準の組み方というのはなかなか、イメージとして想像はしておるわけですけれど、具体的に出てきていないけれど、この農地・水・環境保全という観点からの経営安定政策の方の話をお伺いできればと思います。
  43. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) これはやはり性格の違う政策だというふうに考えておりまして、経営支援策の考え方とそれから地域資源保全の考え方は基本的には分けて考えるべきだろうと、こう思っております。  それで、日本農業、恐らくこれから先のアジアの水田農業、同じような性格を持っていくかと思いますけれども、一方で非常に市場への対応が求められる、こういう経営者としての、個々の経営者としての力量が求められる面がありますけれども、もう一方では、水を確保するという意味では、コミュニティーの共同の力というものの下で仕事をしていくという、こういう二面があるわけで、農地・水・環境の方はその後者の方の政策だというふうに思っております。  それで、基準等についてはまだいろいろ詰めているということかと思いますけれども、基本的には、国民の目から見ておかしくないような支払の単価の設定、それから、せっかくの共同の営みをむしろこれを応援し、更に輪を広げていくような形で使っていただくということが非常に重要ではないかと、こういうふうに思っております。
  44. 山田俊男

    参考人山田俊男君) アジアの水田農業実態日本も全く例外ではないわけでありまして、そういう面では、集落で水管理しております、集落その他でやはり国土の保全をしておりますという事情があるわけであります。今般、担い手が特定されて集落の中に一つ担い手二つ担い手しかいないぞという段階において、集落環境や資源保全が維持できるとは到底思いません。集落地域住民全体の中で維持されるというふうに思いますので、担い手対策が徹底すれば徹底するほど、一方におきます環境資源保全対策地域全体で担うこの対策の重要性は高まるというふうに思っておりますので、車の両輪を動かしていただきたい、こんなふうに思います。
  45. 福本潤一

    ○福本潤一君 この基準も大変期待している向きも多いですし、中山間地への直接補償、非常に大きな西日本農政支える基盤になっておりますので、この基準の詰め方もいろいろ今後国政、農政でも頑張っていく必要があると思います。  それと、生産現場におられる西原参考人門脇参考人に、先ほどからありましたけれど、米についてはこの生産者団体が主役ということだというふうになっておりますが、これ品目横断と重なって大変だろうと。先ほどもお話しいただきましたけど、現場での混乱ぶり、状況というのはどういうふうに現状はあるのかというのをお伺いできればと思います。
  46. 西原淳一

    参考人西原淳一君) 米については、先ほども申し上げましたように、北海道に置かれている米の現状についても先ほど申し上げましたような実情でございます。規模拡大されている方、それから、先ほど山田専務さんからもお話ありましたように、やっぱり水田地帯、米が作っていくような構造になっておりますから、どうしてもやっぱり米を作っていきたい、そういう思いの方々は我々の仲間、生産者は非常に多いわけであります。  しかしながら、今のこの需給調整の中で米をやっぱり自分の思うだけ作れないというのが実態であります。そういう中でも何としてもやっぱり今の北海道の置かれている米の面積についても、先ほど申し上げましたように、我々生産者もやっぱり消費者の皆さん方に喜んでもらえるような米を作るというのが最大のまず問題でありますけれども、この最大限の努力はしなければなりませんけれども、そのことによってやっぱり経営が維持できるような、この米の面積を守れるような対策が是非必要だというふうに思っておりますので、その辺についてもまたよろしくお願いしたいなと思います。
  47. 門脇功

    参考人門脇功君) 特に困っておりますというのは、今も西原参考人さんが申されたとおり、お届けする注文のくらい作れないという、冒頭申し上げましたけれども、そういう環境に我が地帯もございまして、そこを何とか乗り切るようにさせてほしいということであります。  あとは、やはりこの今打ち出されております政策がうまくいくとして、どのぐらいの価格になるのか、これはグローバルな観点からも当然出てくることだと思いますが、その辺がよく、私ども田舎ではなかなか占い切れないといいますか、見えませんので、いろんな情報開示を早く的確に行っていただければというふうに思っております。
  48. 福本潤一

    ○福本潤一君 この今回の大きな、最近では特別に大きな大変革が、革新が始まってくるんだと思います。  山田俊男専務、参考人の方にお伺いしたいんですけれど、専務理事でしたね、済みません、参考人にお伺いいたしますが、認定農業者と同時に集落営農組織、かなりハードルが高い形になってきております。さらに、全体としては賛成ではあるけれど懸念がたくさんあるということで、この六点にわたって述べていただきました。なかなかこの政策、現場では思った以上に懸念、また不安、更には問題点あるのかなというふうに思いますが、ここらの懸念、不安という意味ではむしろ逆に、反対になりそうなところがあるんじゃないかというぐらいのことでございますけれど、そこらのところの決断、まあ状況としては決断せざるを得ないということがありましたし、また次の参院選では第一次公認されているということでございますので、何か農政、現状では不満だというようなところがあればこれを総括的に言っていただければと思います。
  49. 山田俊男

    参考人山田俊男君) 先生、実は我々、JAの段階まで含めまして二年間にわたりましてこの対策の是非について議論をしました。そんな中で、ぎりぎり議論した上で、やはり地域農業振興させるためには担い手がどうしても必要だということだったわけであります。  とりわけその中で、特に強調したかったのは、先生も御指摘いただきましたように、小規模農家がそれは集落の中で集落営農をつくり上げていくと。それが認められれば一つの可能性があるという観点で、集落営農要件につきましてもかなり細部にわたって主張してきた経緯があるわけであります。今般、集落営農要件については相当弾力的な取組ができたわけでありますから、そういう面では比較的取り組みやすいというふうに認識しておりますが、先ほども言いましたように地域によってやはり格差があります。  そういう面からしますと、先ほど先生がおっしゃいましたような準を付けた取組もまああるのかというふうにおっしゃるわけでありまして、一体これをどんな基準にすれば準になるのかどうかということがありますが、そういう面では幅のある取組が必要だというふうに思っております。  ところで、幅のある取組をした途端にそれはばらまきじゃないかということで周りから非難されたり、周りからだけじゃなくて、やはり政策当局からも批判されることは大変耐え難いことであるわけでありまして、今、十九年からこの新しい仕組みに出発する、この出発の方向は間違ってないということで我々も賛成し、政策提案が、法案提案がなされているわけでありますので、そこに確信を持ちながら、やはり運用面で課題解決できる部分は大いに課題を解決していただいてスタートできるようにしていただきたいというふうに思っておりまして、私が懸念として申し上げましたことは、先生方の審議なり、それから御尽力によって実現可能だと、こんなふうに思っておりますので、是非どうぞお願いしたいと、こんなふうに思っております。
  50. 福本潤一

    ○福本潤一君 終わります。
  51. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。今日は四人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。  お話を聞きながら、また、やり取りを聞きながら、私自身もこの間ずっと足で歩いてあちこち状況を聞いてきましたし、そういう意味では本当に、現場でいろいろ実際に農業をやりながら今回の出されている政策に対して感じられている懸念ということでは、やっぱりそうだなということを思いながら聞いていたわけです。  先ほど西原参考人が、北海道の戸数も今五万一千戸になったというのを聞いて、元はピークのとき二十三万戸あったし、ついこの間まで私、七万戸を割って大変だと思っていたばっかりだったので、五万一千までなったという話を聞いて、物すごいスピードで減り続けているんだなということを痛感しました。  それで、ちょっと四人の方それぞれにお聞きしたいのは、一つは、今度のこの品目横断の経営安定対策をやった場合に、自給率ですね、自給率が上がると思うのか、下がると思うのか、上がるとすればなぜ上がると思うのか、下がると思う方はなぜなのかというところをそれぞれの方からお聞きしたいと思います。
  52. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) 自給率の上がるか下がるかにはいろんな要素がございますけれども、基本的には、生産面で今回の施策が貢献できるか、あるいは逆になるかということかと思います。  私は、担い手農家がある一定の厚みでもって形成されるということであれば、これはむしろ自給率の維持向上につながっていく、こういう理解をしております。  生産面とはいいながらも、消費者あるいは、今は飲食費支出の五割は加工食品でありますし、三割が外食ということでありますので、消費者プラス実需者のニーズにどれだけこたえられるかという、こういうことも自給率の引上げに非常に重要だというふうに考えておりまして、その点でいいますと、私の冒頭の発言でも申し上げましたけれども、しっかりした農業者は生産面でも優れているわけでございますけれども、消費者あるいは実需者をつかむという点でも優れた取組をされている方が多いという、こういう面からも、私は自給率にとってはむしろプラスに働くだろうと、またそう働くようにいろんな形でバックアップするということも大事だろうと、こう思っております。
  53. 山田俊男

    参考人山田俊男君) 率直に申し上げまして、これは生源寺先生と同じなんですが、担い手が相当の厚みでつくられてくれれば自給率を上げていくチャンスが大いにあり得るというふうに思っております。ともかく、米で自給率を稼ぐという事態は、需要減退の中でこれはなかなか望めないというふうに思います。そういたしますと、麦だったり大豆だったりするわけで、これは担い手がしっかりつくり得れれば、これは集落営農も含めて拡大可能であります。  それからさらに、この制度でありますが、単に麦、大豆、米だけに対象を絞り込むのではありませんでして、先ほど来先生方から議論もありますが、菜種を対象にするとか、場合によりましたら牧草を対象にして、そして水田地帯に大家畜を導入していくということで循環型農業をつくり上げる、それに対して直接支払をしていくということで、この制度、いったん導入したこの制度の内容充実が今後図られていくということが可能であれば、私はもっと自給率拡大につながっていくというふうに期待していいというふうに思っています。
  54. 西原淳一

    参考人西原淳一君) 正直言って、上がるか下がるかは実際のところは分からないと言った方が正直なところだというふうに思っています。  なぜかというと、やっぱり今の人口減少といいますか少子高齢化の中で需要がどんどんどんどん落ちていくわけでありますから、それに伴って生産力が現状のまま維持ができれば上がっていくかもしれませんけれども、今回の対策の中で、先ほど山田専務さんからもお話ありましたように、その該当にならない、政策に該当にならない小規模農家のところの方々が、きっと今そういうところでも麦、大豆作っているわけでありますから、そういう人たちが例えばきちっとした集落営農なんかを組んで、そこで麦、大豆をきちっと生産して作付けしていくということが可能であれば、自給率はやっぱり向上方向に向かっていくんだと思いますけれども、そのことがきちっとできなければ、担い手だけ、認定農業者だけということになると、やっぱり若干下がっていくのかなと。そういう懸念、両方抱えているような状況ではないかなと思っていますけれども。
  55. 門脇功

    参考人門脇功君) 新しいいろいろな制度が今出されているわけでありますから、これらによって構造が定着するまでは落ちると思います、下がると思います。それが定着すれば、麦、大豆に限って言っているということになりますと、上がってくるだろうと。いったん下がって上がると。  あとは、やっぱり価格がどう出てくるかということで、やっぱり意欲が必ず、最終的にはすべて、どんな机上で考えても結局は経済ですから、価格のところ、いわゆる所得のところに行ってしまうのだと思いますが、一にそう思います。
  56. 紙智子

    ○紙智子君 ありがとうございました。  今回出されているこの品目横断的な経営安定対策によって、この品目別の価格、今までは品目別の価格の制度があったわけで、これを廃止すると。で、議論があったように、限定した施策を集中する対象を決めてやるということなんですけれども、この間の議論でいいますと、現在のところでいうと、個別の農家といいますか、それから個別経営体といいますか、それと集落営農ということで、どれくらいの今の時点では見通しなのかということでいうと、個別でいうと三割ですよね。それから、土地のカバー率でいうと五割という話がされてきていると。  そういう状況の中で、じゃ、そこから外れたところというか、今の話にも関連するんですけれども、外れた人たちがこの麦とか大豆対策を受けることができないということになった場合、心配されているのは、その人たちが、じゃ、実際には採算が合わないという、再生産できないという中においてずっと麦や大豆を作れるかというと、そうじゃなくて、やっぱり米の方に行くんじゃないのかと、こういう心配、懸念がなされているんですけれども。  そうすると、米の方にこのシフトがずれていきますと、今、さっきもお話あって、北海道では相当の人たちが、過剰米が出たときの集荷安定の対策ですね、この対策に加わって、やっぱり価格を引き下げないために努力をしているわけだけれども、こういうこと自身がそういう今のこの流れによって壊れてしまうという心配があるんじゃないかというふうに思うんですけれども、この点、四人の方それぞれにお答えいただきたいと思います。
  57. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) 特に小規模の方の作付けの行動なりというのはなかなか経済的な論理だけで割り切れないところがあって、なかなか予測し難いところもあるわけでありますけれども、麦、大豆について、恐らくこれはかなり機械化体系があるなしでコスト水準なんかが違いますので、担い手なり現在の受託組織が更にカバレッジを広げていくということになるんではないかというふうに思っております。  問題はお米ですけれども、実は生産調整へ参加されていない方のかなりの部分が言わば、飯米農家というような言い方もいたしますけれども、小規模農家ということが現実に既にあるわけであります。今の生産調整は、ある意味ではそこも織り込んで行っているところもありますので、今回の施策によって劇的に何か供給の構造が変わるということはちょっと考えにくいんではないかというふうに思っております。  生産費なりがどこまで農家の実感と合っているかということはあるわけでございますけれども、長年にわたって小規模の方というのは、経済的にも完全に赤字の中で作っておられるという、こういう状況がありますので、今回の施策で大きく変わるということは少し考えにくいんではないかなと、こんなふうに思っております。
  58. 山田俊男

    参考人山田俊男君) 先生の懸念される予想は我々も大きな心配を持っているところであります。  ただし、麦にしましても大豆にしましても、相当の産地は、現行でもそうでありますが、受託作業組織や集落営農による取組が進んでおりますので、それら作業組織や集落営農がきちっと対象に乗っかってくれれば、先生、その心配はないように思うんです。  ところで、なかなか難しいのは、例えば麦は関東平野が大産地であります。その関東平野で個別経営による麦の対策も大変多くあります。それは関東の空っ風の暴風対策も含めて麦があるとか、こういう特色があるためでありますが、そういう地帯でもしも集落担い手対策にならないということになれば、もう麦を作らないという事態ないしは耕作放棄事態が生じかねないという心配をしております。  そういう面では、まだまだこの対策の内容を今後とも運用上工夫していく余地は一杯あると、こんなふうに思っております。
  59. 西原淳一

    参考人西原淳一君) 紙先生からおっしゃられたように、北海道としても懸念材料はあります、間違いなく。今、空知、上川の米地帯の中でも、今後のこの制度に乗っかれないぐらいの経営規模の方々が麦、大豆を作っていらっしゃるわけでありますけれども、この対策に乗っかれないで品目横断的経営安定対策対象にならなかったら米を作るというふうに言っておりますから、そうなりますと、逆に今度米の方が、今先生からおっしゃられたように、集荷円滑化対策を含めて大変な制度そのものが崩壊してしまうわけでありますから、やっぱり今、山田専務さんおっしゃったように、北海道といえども、この米地帯を中心に、そういうところについては積極的に集落営農を進めていくということがやっぱり必要ではないかな。  そのことによって、やっぱり米の方も守られるし、そういう制度に乗っかれない人たちも対象になって救われるわけでありますから、そのことによって、集落営農やなんかの要件緩和やなんかもやっぱり必要ではないかなというふうに思っております。
  60. 門脇功

    参考人門脇功君) 私どもの方では、いわゆる市街化地域、いわゆる町場の方々の農家につきましては、もはや、生産数量、おまえのところ幾らよとか、それから集落営農に参加してほしいとか、一切もう何にも言わないでくれと、おれが好きなようにやるんだよというふうに市街化地域はなってきております。理解を得るのに非常に苦労をいたしておりますが、その方々はそれなりのやり方をしますけれども、当然稲作というのは機械化体系がきちんとできておりますから、手っ取り早くやれるのは水稲ということに当然なります。  ただ、そのことがまた制度等々に影響を及ぼすのではないかと、こういうことでありますが、これはちょっと違う意見になるかもしれませんけれども、私も冒頭に申し上げましたとおり、全国、日本人、津々浦々、市場原理、自由主義ですから、そういう中では当然競争の原理の中で行かざるを得ませんので、いろいろな問題が当然併発するのではないか、それは感じております。
  61. 紙智子

    ○紙智子君 もう一つお聞きしたいんですけれども、先ほどもお話の中にあったんですけれども、過去実績ですね、過去実績ということで、これが三年間で固定されるということで、そうすると、これから新しく作付けしていってから作ったとしても、それが乗っかっていかないということになると土地がそもそも動かなくなるという、流動化しなくなるという話があったんですけど、流動化しなくなるし、放棄地ということにもなりかねないと。そうすると、やっぱりその辺で土地の価格なんかも安くなったりということなんかも出てくるんじゃないのかというふうに思うわけですけれども、この点はどうですか。  これは、じゃ生産者の方と山田参考人にお聞きします。
  62. 西原淳一

    参考人西原淳一君) やっぱり私たちも、先ほど私の要請の中にも、意見陳述の中にもお話ししましたけれども、過去実績ということでありますから、今回の支援水準がですね。そうなりますと、やっぱりこれからの規模拡大、それから、特に、定年帰農じゃありませんけれども、今団塊の世代の定年を迎えた中でのやっぱり新規就農というのが相当これから起きてくるというふうに思っています。うちらの町も相当今打診が来ておりますから、そういう意味では、一つ農地流動化のためにもそういうのも必要だというふうには思っていますけれども、そういう人たちというのは非常に小さい面積の中でやっぱり入ってくるというのが実態であります。だから、そういう中でも、やっぱり、例えば施設園芸だけをやっていって、あとの農地については麦だとか大豆、土地利用型作物を作っていって維持管理をしていくということが起きてくるわけでありまして、その代わり、そういう人たちが、その面積が対象にならないということが起きてきます。  だから、そういうことがこの三年間固定される中で、過去実績はそれはそれとして、新規就農だとか規模拡大をされて新たに土地を求めたところについて、過去実績のないところ、そういうところでも作付けをやっぱりしていくということが起きてくれば、それはやっぱり別途の支援策というのが必要ではないかなというふうにとらえております。
  63. 山田俊男

    参考人山田俊男君) 私は元々、WTO協定の直接支払のルール、すなわち貿易歪曲的でない緑の政策に何とかこれを合致させようという観点で過去支払にこだわり過ぎるのは、大変無理があるんじゃないかという思いは持っております。  元々、WTOルールの中で輸出国の主張と輸入国の助成金の扱いについて違いがあって当然ではないかというのは日本提案の思いでもあるわけでありますので、やはり国内の自給率の低くてかつ輸入国でありますその中で、自給率向上のための助成金について、一律的に黄色でありますから削減しなきゃいかぬという観点だけでルールを受け止めてしまうのはやはり十分な仕組みではないというふうに思っておりますので、是非、今回のこの仕組みにつきましても今後の対応の中で十分可能であるわけであります。法律法律、制度は制度としましても、内容の改善の中でやはり新しい作付け拡大等について措置されてしかるべき、こんなふうに思っています。
  64. 門脇功

    参考人門脇功君) 県全体のことを言えません。私どもの地帯を申し上げますが、新たに作付けをする土地というのはそんなにございません。現状であるということであります。
  65. 紙智子

    ○紙智子君 ずっとお聞きさせていただいて、今の山田参考人のお話というのは私も全くそういうふうに思っていまして、やっぱりWTOとのかかわりで、そこにとにかく合わせないといけないというような形で今回こういうことをやられているんだけれども、おっしゃるように、枠の中で考えてみてもいろいろクリアできることというのはあるわけで、そういう意味では、我が党としてはWTOそのものをもっと改定をしていくべきだというふうに思っていますけれども、そういうふうに思います。  あと、やっぱりこういうふうにいろいろ懸念材料が出されて、このままではいけないということがはっきりされている中では、やっぱり今度の国会の中においてこれは決めるのではなくて、もう少しちゃんと出し直しをするべきじゃないのかなということなんかも、御意見をお伺いしてますますそういう気持ちを強く持っております。  そのことをちょっと述べさせていただいて、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  66. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人皆様方に一言御礼を申し上げます。  本日は、長時間にわたりまして御出席賜り、誠にありがとうございました。その上、貴重な御意見を拝聴できましたことに対しまして、委員会を代表して一言厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  本日の審査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十九分散会