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2006-03-28 第164回国会 参議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月二十八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩城 光英君     理 事                 加治屋義人君                 常田 享詳君                 小川 勝也君                 小川 敏夫君     委 員                 岩永 浩美君                 岸  信夫君                 国井 正幸君                 小斉平敏文君                 段本 幸男君                 野村 哲郎君                 三浦 一水君                 郡司  彰君                 主濱  了君             ツルネン マルテイ君                 松下 新平君                 和田ひろ子君                 谷合 正明君                 福本 潤一君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   中川 昭一君    副大臣        農林水産大臣  三浦 一水君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       小斉平敏文君    事務局側        常任委員会専門        員        高野 浩臣君    政府参考人        農林水産大臣官        房技術総括審議        官        染  英昭君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        農林水産省生産        局長       西川 孝一君        農林水産省経営        局長       井出 道雄君        林野庁長官    川村秀三郎君        水産庁長官    小林 芳雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○独立行政法人に係る改革推進するための農林  水産省関係法律整備に関する法律案内閣提  出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 岩城光英

    委員長岩城光英君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  独立行政法人に係る改革推進するための農林水産省関係法律整備に関する法律案の審査のため、本日の委員会農林水産大臣官房技術総括審議官染英昭君、農林水産省消費安全局長中川坦君、農林水産省生産局長西川孝一君、農林水産省経営局長井出道雄君、林野庁長官川村秀三郎君及び水産庁長官小林芳雄君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 独立行政法人に係る改革推進するための農林水産省関係法律整備に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 段本幸男

    段本幸男君 自由民主党の段本幸男でございます。  今日、独立行政法人関係質問をさせていただきたいと思いますが、この関係質問に入る前に、BSEの関連の質問を一問だけさせていただきたいというふうに思っております。  昨日の予算委員会でたしか小川委員の方からも御質問あったと思うんですが、アメリカの方で食肉加工業者BSE対応のために全頭検査をしたいんだということで米農務省を提訴されたというふうに伺っております。農水省はこれについてどのように評価されているのか、大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  6. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) おはようございます。  今、段本委員の御質問でございますけれども、アメリカ食肉加工業者が、まあ日本のユーザーにこたえたいということなんでしょう、全頭検査をしたいというふうにアメリカの中で申出をしたと。それに対してアメリカUSDA農務省はこれを許可しなかったと。それに対してUSDAを訴えたということは報道等で承知をしております。  まあ、これはアメリカの中の判断でございまして、日本としてはあくまでも輸出プログラム、つまり特定危険部位の除去、あるいはまた二十か月齢以下であること、あるいはまた日本向けに別管理をすること等の条件が守られていればいいわけでございますから、それ以上のことをするかしないかということにつきましてはアメリカ内部の問題として、日本側としては特にコメントは差し控えさせていただきたいというふうに考えております。
  7. 段本幸男

    段本幸男君 大臣、これは日本国民がやはり食の安全、安心というものに最大関心事であって、そして今までの交渉でも大臣始め農水省の担当、皆さんがこの解決なくしては結局根本的な解決はあり得ないんだと主張されてきました。恐らくそういうことが米国民の、その一部のまだ層だと思いますが、そういう人たちにも伝わってきたんだと、私はそういう評価したいと思うんですね。  是非、今後の交渉に当たっても、日本にとってはやっぱり国民自身が安全、安心を何よりも望んでいる、そういうことを強く主張していっていただきたいし、また、このことは、私は今WTO、もう最後の大詰めの段階に来ていると伺っております。四月末、モダリティー目指していろいろと交渉されていると伺っておりますけれども、これにも相通ずる部分があって、日本という国はやはり安全、安心のためにいろんな農産物に対して意見を申し上げる、そのことを交渉で主張しているんだ、やはり強くそのことを粘り強くやっていただきたいということを要望申し上げておきたいと思います。  それでは、独立行政法人関係についてお伺いしたいと思います。  農林省、今回の独立行政法人改革について、これから十九年から農政大改革をやろう、こういう折に今回の改革はどういう位置付けがなされてこれを進めようとされているか、この辺について大臣にお伺いしたいと思います。
  8. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今正に農政改革を抜本的にやっていこうということで、今後法案を御審議いただくことになるわけでございますが、日本農業構造、まだまだ改革しなければいけないことが多々あるわけでございます。そして、何といいましても、日本の場合には、日本全体としてもそうでありますし、農林水産関係につきましてもやはり研究開発技術力というものを更に充実していくことが、今後日本農業が生き残り、あるいはまた発展をしていく、あるいはまた攻め農業ができる、攻めの林政あるいは水産行政ができるという一番のコアの部分だと思います。  そういう意味で、今回、試験研究機関の更にレベルアップをするという観点から統合等を目指したものでございまして、これによって日本の農、林、水が更にレベルアップをしていくと、いいものを消費者あるいは世界皆さんに提供ができるという、欠くことのできない前提条件であるという認識で今回の改革を目指して法案の御審議をお願いしたところでございます。
  9. 段本幸男

    段本幸男君 大臣、去年農水省食料農業農村基本計画を改定されました。そして、その中では、政府自給率を高めるんだ、五年間に五%高めるんだ、あるいは攻めの気持ちを持って農業を進めることによって力強い農業農村をつくっていくんだ、こんなふうにおっしゃっていました。これをやるためには、大事なことは、やはりリスクの多い部分がどうしても農家に全部任せてできるわけではないですから、そういう部分行政が、あるいは試験研究機関辺りが先頭を切ってやっぱりそういうことをやっていかなきゃいけない、今、大臣おっしゃったとおりだと思うんですね。  しかし、そんな観点から見ると、大臣はそういうふうにおっしゃったけど、私が思うには、むしろ政府内のとにかく数合わせ合理化、とにかく独立行政法人は合わさにゃいかぬから農水省もほどほどの数でやらなきゃいけない、こんなふうな感じ数合わせつじつま合わせをやったようなだけの感じがして、いまひとつ本当にこれからリスクを負って農家のためにこの改革でできるのかどうか、どうも見えないような感じがするんですけど、いま一度大臣、その御決意を御答弁、お伺いしたいと思います。
  10. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 小泉内閣は、効率的な政府あるいはまた公的な部門を目指していこうということでありますから、そういう意味試験研究機関も含めまして政府系のいろいろな機関が効率的に機能ができるようにという方向を目指しているわけでございます。  しかし、それが段本委員が御指摘のように、単なる数合わせであってはこれはもう全然、先ほど申し上げたような目的にある意味じゃ逆行するということがあってはならないわけでございます。より自由度を高め、そしてまた思い切った国あるいは独立行政法人でなければできないようなリスクを覚悟しながら、大胆な研究試験をやっていくということによって世界の中で競争に伍していくということが大事でございますので、結果をきちっと出すということが大前提であることはもう段本委員指摘のとおりでございますので、そうなるようにするため、目的はそれでございますので、それに向けて研究員が、あるいは役職員がしっかりとそういう意識でやっていけるように、我々もこれからまた主務官庁としてきちっと対応していかなければなりませんし、関係者皆さんにいい成果がお渡しできるように努力をしていかなければならないというふうに考えております。
  11. 段本幸男

    段本幸男君 是非大臣おっしゃったような姿勢で臨んでいただきたいと思います。  なお、その上でまだやっぱり少し気になることがあるんでですね。細部についてお伺いしたいと思います。  今回、私自身は、どうしても数合わせ部分も多少あるのかなと、こんな感じもするんですけれども、でも大事なところがクリアできているかどうか。一つは、この改革がやっぱり農家のために本当になっているのかどうか、この辺が非常に大事だと思うんですけれども、一度でも農水省農家あるいはそういうその漁業者意見を聞かれたことがあるのかどうか。もし、その農家農業者のためにどうしていけばいいのかという対策があれば、どういう策を講じようとしておられるのか、この辺についてお伺いしたいと思います。
  12. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 今回の独立行政法人見直しにおきましては、農業生物系特定産業技術研究機構、それと農業工学研究所、さらには食品総合研究所統合することとしておるものでございます。これによりまして、いわゆる生産基盤あるいは農業生産現場から食品加工、流通まで一貫した技術開発の一体的、総合的な推進がより効率的かつ効果的に行うことができるということになるものだと思っております。この統合によりまして、先ほど御議論がありました食料自給率向上であるとか、あるいは国際競争力確保、あるいは農家消費者ニーズに合った農産物生産など、この辺で大変農家に役立つ有用な新しい技術の早期の実用化なり普及が可能となるものではないかというふうに考えております。  また、これらの独立行政法人役職員の身分の非公務員化ということもやるわけでございますが、これによりまして民間企業等との人事交流が容易になりますので、優れた人材の確保によりまして研究開発の更なる効率的な推進が可能になるというふうに考えております。  さらに、農業大学校につきましても、農業関係試験研究独立行政法人との統合を図ることによりまして研究成果活用いたしました先端的な技術の教授が可能となり、これまで以上に農業者担い手の育成に資することができると考えております。  このように、今回の独立行政法人見直しは、農家に役立つ研究開発推進に大きく貢献するものではないかというふうに考えておる次第でございます。
  13. 段本幸男

    段本幸男君 今、質問したもう一つ農家意見を今回お聞きになったのかどうか、この点だけ、簡潔に。
  14. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 今回のこの統合の図る上におきましては、農林水産省独立行政法人評価委員会というものを開催しております。この中には農家代表者たる先進的な農家も含めておるところでございますので、このような方の御意見を反映しておるというふうに私ども考えておるところでございます。
  15. 段本幸男

    段本幸男君 本当は、私は、やっぱり農家個々に当たりながら、やっぱり現場、最先端でどんな意見があるのか、これからやったとしても大変重要なところだと思います。是非心掛けていただきたいと思います。  もう一つ心配なのは、今は農家研究機関の間を言いましたが、行政研究機関において、染技術審議官はいろいろメリットもあるとおっしゃいましたが、私は、例えば非公務員化というのをやりました、どうしてもそうなると意識が希薄になる、行政のための一環の何かをやっているんだというようなそういう情報もやっぱり薄くなってくるから、どうしてもデメリット部分も出てくるんじゃないかな、こんなふうに思うんですよね。  すると、その部分について行政試験研究機関の間に何かいろんな策を講じない限り、一体意識を持って新しい農政改革のために自分らはこんな意識でやるんだという、そういうものが出てこないんじゃないかということを心配するんですが、そういう対策をどういうふうに取られようとしているのか、お伺いしたいと思います。
  16. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 今回の独立行政法人統合に当たりましては、現在の農政最大課題平成十九年度に農政改革を行うということでございます。その場合に、特に担い手を対象としたような品目横断的な経営安定対策を創設するとか、あるいは農地、水などの資源や環境の保全向上を図るための対策の創設、この辺を十分やっていかなけりゃならないということでありますので、これに対応いたしました試験研究をきちっとやっていくというのが重要であろうと思っておりまして、例えば品目横断的な経営安定対策に係るようなものにつきましては、稲、麦、大豆などを軸といたしました複数の作物を組み合わせたような水田輪作体系の確立であるとか、あるいは農地、水などにつきましては農業水利システムの全体を見据えたような施設の長寿命化技術開発なんかを行う必要があろうというふうに考えております。  このような研究課題を設定する上におきましては、当然のことながら、行政サイド意見を十分反映しながら課題設定をしておるところでございますし、また、これらの研究開発推進に当たりましては、試験研究独立行政法人行政ニーズをきちっと把握するということで、独立行政法人行政サイドとの連絡協議会的なものを設けまして、その辺を十分連絡調整を図りながら進めてまいりたいというふうに考えております。
  17. 段本幸男

    段本幸男君 今までも試験研究機関では、いや、行政に役立つのか役立たないのか、ずっと実験ばっかりされているなんというようなことを言われてきて久しいです。で、随分改革もされているんだろうと現実には思うんです。しかし、今回独立行政法人化すれば、更なるそういう意識を、行政そして試験研究機関、双方が持たなきゃいけないと思うんですね。実効性の高いものを是非ともつくっていただきたい。  そして、今回の改革に当たって、私は、是非検討しておかなきゃいけないのが、平成十二年に同じような第一次の合理化試験研究機関で行っておられるんですね、この辺をどう分析するかが非常に大事だと思うんですが、第一次の、平成十二年だったですか、間違っていたら十三年かもしれませんが。(「十三年」と呼ぶ者あり)十三年ですか、十三年のときの合理化、まずどのようなことを行われたのか、簡潔にお願いしたいと思います。
  18. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 平成十三年度の独立行政法人化以来、まず合理化という意味では経費の節減に取り組んできているところでございます。認可法人との統合による特殊要因を除きましては、運営交付金につきましては、人件費を除きまして毎年度平均で前年比一%以上の削減を達成してきているところでございます。  また、職員数につきましても、六法人合計で、平成十三年度四月時点で三千九百二名が平成十八年一月現在では三千八百四人と、九十八人の削減を行ってきたところでございます。この中には認可法人統合によりまして職員が百三名増加したことが含まれておりますので、これを考慮いたしますと、実際には五年間で六法人合計合計百九十七名の削減となったところでございます。  また、さらに研究支援部門等につきましても、業務の集約化によりましての効率化、あるいは資材の一括調達等も含めまして経費削減を図りますとともに、いわゆる技術専門職では七・八%、一般職では三・七%の人員削減をしてきたところでございます。  一方、研究部門の方につきましては、人員削減は約〇・二%にとどめるということでやっておりまして、よりニーズの高い研究又は重要な課題につきまして、法人内で運営交付金の重点的に配分しているほかに、競争的な研究資金などの外部資金の獲得によりまして研究加速化に取り組みまして、優れた研究成果の創出に努力してきたところでございます。
  19. 段本幸男

    段本幸男君 総合的に判断して、その平成十三年の合理化が、要は、数合わせとか数字とかは今、染審議官のおっしゃったようなとおりかもしれませんけれども、要するに農政全般日本農業農村にとってそれは効果的な役割を果たしたんでしょうか。その点についてどういうふうな評価をされているのか、いま一度お伺いしたいと思います。
  20. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 我々、評価ということになりますと、なかなか自己評価というよりも、やはり第三者機関による評価が重要ではないかというふうに考えております。  そういう意味では、農林水産省で設置しております独立行政法人評価委員会、これには第三者専門家でありますとか、あるいは経営専門家、あるいは現場の方々も入っておるところでございますので、その辺の評価をどういうふうに受け止めるかということではないかと思っております。  そういうふうに考えますと、この五年間全体を通じまして、これらの試験研究機関については総合的にはA評価ということをいただいておりますので、そういう意味では、その第三者評価委員会先生方の御評価も、やはりこの試験研究成果というものが現場で使われなければ何ら意味のないことでございますので、その辺の視点も含めてそのような評価がなされたものだというふうに考えております。
  21. 段本幸男

    段本幸男君 私は、前回合理化の中で、たしか地方試験場前回合理化で含まれていたと思うんですけれども、そのいろんな効率化合理化が行われる中で地方試験場関係が、随分効率化合理化がなされたのかもしれませんが、元気がなくなっていっているというふうな感じがするんですね。  本来、農業というのは、農村とかというのはそれぞれ地域の特徴があって、例えば私の知っているんでは、四国農試もち麦というのを一生懸命作って、讃岐うどん一緒になって麦の奨励に取り組んで、それが現地成果が出ている。現地でないと恐らくできていないと思うんですね。そういうそれぞれが頑張れるような体制をつくることが目標だと思うんですが、数合わせやっていると、どんどんそういう一番いいところが失われていくような気がするんですが、そういうことはないでしょうか、お伺いしたいと思います。
  22. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 農林水産省におきましては、やはり我が国農業が極めて多様な自然条件国土条件を持っているということではございますので、全国で五か所の地域農業研究センターを設置しているところでございます。ここでの研究開発をどういうふうにやるのかということだろうというふうに考えておりますが、やはり現場に即した研究を行うという意味におきましては、やはり国の地域農業研究センターのみならず、各地域にあります各都道府県農業研究センターとも十分連携を図りながら、現場の実態に即した研究開発推進するということが極めて重要だろうというふうに考えております。  そのために、地域農業研究センターが核となりまして、地域都道府県研究機関、あるいは現場の先進的な農業者の参画を得まして、現地での共同研究、あるいは現地での実証試験的なものを推進してきたというふうに考えております。そういうような中で、現場で役立つ技術開発というものがかなり成果として出てきておるというふうに承知しているところでございます。
  23. 段本幸男

    段本幸男君 是非そのことをお願いしたいと思います。  これは地方農試ではないんですけれども、先ごろ千葉県の山田町というところに、バイオマス利活用実験プラント農業工学研究所というのがやっていました、それを見に行きました。その場所でその研究員が言っておられたのが、地元方たち一緒にやったら、我々農工研がいろんなアイデア出す以上に、いや、もっとこれもやってみましょう、あれもやってみましょう、地元人たちがどんどんアイデア出して、研究が飛躍的に進んだと言っておられました。  恐らく、やっぱり地域人たちとどれだけ連携して、そのニーズ自分らが消化していくか、重要なところだと思います。是非地方試験場がいろんな形で地方で頑張れるように対策を講じていただきたいと思います。  さらに、加えて言うならば、繰り返し言いますが、前回の結果を見ると、やはり数合わせのそういう合理化だけでは駄目なんだというふうな感じがするんですね。すると、何が必要かというと、これから是が非も行政なりなんなりが、その試験研究機関で上手な、独立行政法人化するなら、アシストをしてやらなきゃいけないようなことがあるんではないかと思うんですね。  例えば、ちょっと試験研究機関なんかにいろいろ御意見を伺っていると、民の金も是非今回入れられるなら民の金も入れながら、産官学みたいなものをどうとらえていくかというのが非常に重要になるとおっしゃっていました。ただし、最初に取っ掛かりがなかなかないもんだから、産官学ともう言葉ではすぐ入ってきて、ここでも答弁されるかもしれないけれども、それを導入してやるようなちょっとした予算とか、いろんな細かな配慮が中央省庁に、農林省に求められるんではないかというふうな感じがするんですが、そういうところ、農水省は何か準備されているかどうか、どのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  24. 小斉平敏文

    大臣政務官(小斉平敏文君) お答えをいたします。  農林水産研究を効率的、効果的に推進をし、その成果を確実に実用化産業化に結び付けていくということは、我が国農業食料産業発展にとって不可欠であることは間違いがございません。農林水産省といたしましても、産学官連携推進する必要があると、このように考えております。  そこで、このような産学官連携に資するために、農水省といたしましては、競争的研究資金活用、あるいは技術移転機関活動強化関係者交流促進、この場の設置を行っておるところでございます。  農林水産省といたしまして、引き続き種々の施策を通じて産学官連携が一層図れるように努力をいたしてまいりたいと、このように思っておるところでございます。
  25. 段本幸男

    段本幸男君 現場の方は大変それを待ち望んでおられるようですので、是非力強くお願いしたいというふうに思います。  それから、これまで試験研究機関見せていただくと、試験研究機関の方は、難しい学会論文書くのは非常にお上手なんだけれども、農家で、現場でやっているおっちゃん方に分かるように分かりやすく書くのはどうも下手なようで、いま一つ、そのせっかくの成果フィールドレベルで生かされているかどうか甚だ心もとない面があるような気がするんです。  私も三年か四年前につくば行かしていただいたら、つくばの、当時は農研センターと言いましたが、農研センターの広報室みたいなところには農家が利用してもよさそうなアイデアが一杯ありました。こんな研究もやっているんですよ、あんな研究もやっているんですよ、案内していただきました。それが十分農家に伝わっていないんではないか。  是非、この際、こういう改革をするんなら、まず農家にどうやれば伝わっていくのか、せっかく独立行政法人にするんですから、そういう点を検討してほしいことが一点。  そして、もう一つは、人事考査というんですかね、その試験研究成果評価を、学会論文を書き、難しいのを書いたら非常にこいつはようやったということではなくて、どれだけ普及、農家への普及とか、そういう農業の先端への伝わり度合い、これがやはりその人の、試験研究機関の、これは国の研究機関だったわけですから、そういう意識をこの際きちっとやっておかないと、独立行政法人にしたら全くあいまいになってますます悪い傾向になるんではないかと思うんですが、その辺の対策についてお伺いしたいと思います。
  26. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 委員指摘のように、研究成果の普及、これ大変重要なことだと認識しております。  各独立行政法人におきましては、従来から、出てきた成果につきましてはなるべく農家に分かりやすく伝えていくということから、いわゆる成果技術マニュアルを作成いたしまして、これを都道府県を通しまして配布するとか、あるいはホームページで公表するなんという努力をやってきているところでございます。  また、さらに、最近では、やはり開発した技術研究者自らが農業現場に出向いて実演するような、これ出前技術指導と言っていますが、そういうふうな取組、あるいは地域別の研究発表会の開催であるとか、あるいは普及が見込めるような地域において、これ、農業者の方とか地域の農協の方々が現地検討会なんかを開くと、そこに積極的に独立行政法人研究者が出向いていきまして、そこでいろんな説明をやっていくと、そういう様々なPRの仕方を工夫しているところでございます。  今回、独立行政法人に移行するということでございますので、今後、いわゆる適切な中期目標の設定によりまして、まあいろんなやり方あるんだと思うんですが、工夫しながら、多様な手法をどういうふうに使っていくのかということを考えながらPRに取り組んでまいりたいというふうに考えております。  それと、研究者の人事評価の問題でございますが、これも、委員指摘のように、研究論文としての学術書に発表したような研究成果、あるいは特許、あるいは品種の育成、この辺極めて把握しやすいという点もございますので、その辺の評価がウエートが高くなるような嫌いがあったわけであるわけでございますが、やはり現場活用できる技術開発であるとか、あるいはさらに農業現場に役立つという意味現場での講演会に自らが出ていく、あるいは行政サイドの会議にいわゆる研究成果を反映させるために出ていく、さらに、あるいは災害なんかの緊急時があったときに研究者が積極的に出ていって自分の持っている成果をきちっとPRすると、そういうことも極めて重要ではないかというふうに考えていますので、研究成果の、研究者の評価という意味では、今後、まあ現在もそういうふうな観点からも取り組んでおりますし、今後ともそういうふうなことを一層強化してまいりたいというふうに考えております。
  27. 段本幸男

    段本幸男君 是非、そういったものを、形式的にならずに、やっぱり心こもって農家に伝わるように努力していただきたいというふうに思っています。  次に、農業者大学校についてお伺いしたいと思うんですけれども、今、人口減少時代、そしてこれからはやっぱり担い手をどうつくっていくかというのが一番大切だ、農水省自ら言っておられます。そんなときに、農業者大学校も一緒に入れて名前も消してしまう、こんなことでいいのかどうか。あくまで独立させて、外に対して、いや、我々は担い手を育てているんだ、将来のやっぱりやりたいやつは来いとメッセージ性を伝える必要があるんじゃないかというふうな感じがするんですが、今回、こういう措置をとることによってそういうものが失われないかどうか、お伺いしたいと思います。
  28. 小斉平敏文

    大臣政務官(小斉平敏文君) ただいまの質問でありますけれども、先ほどの先生の、今回の独立行政法人見直し、これが農家のためになるのかどうかという質問がございましたが、その中で染総括審議官の方から御答弁をいたしておるところでありますけれども、重ねてのお尋ねでありますから答弁をさせていただきたいと思います。  今回の農業者大学校の統合に際して、その事業について抜本的に見直しを行って、生産技術高度化のための指導体制の強化といった昨今の農業者ニーズ、これにこたえる観点から、政府機関である独立行政法人ならではの先進的な技術経営管理手法を中心とするカリキュラムに改定するとともに、対象者を現行のいわゆる青年農業者に限定することなく、広く受け入れるということにしたわけでございます。  農林水産省といたしましては、魅力のあるカリキュラムを通じて、最新の農業技術経営管理手法に関する幅広い知識を有し、これらを駆使することのできる担い手の育成が図られていわゆる農業の構造改革に結び付くと、このように考えておるところでございます。
  29. 段本幸男

    段本幸男君 伺うところでは、東京大学の就職希望にも農業と書く生徒が現れたというぐらい、農業に対して新しい魅力を持っている時代、是非、政務官おっしゃったように、魅力を失うことのないような運営をお願いしたいというふうに思います。  いろいろ聞いてまいりましたが、そうはいったって、今回法案出されて、政府全体の進めている合理化を進めていかなければいけない、これは厳然たる事実だろうと思うんですね。ならば、むしろこの際、AとBをくっ付けりゃええんだとか、そんなふうな安易な組織再編ではなくて、むしろこれからは、大臣おっしゃっているように、十年先、十五年先にどういう人がおって、農業農村守れるようにするのかとか、あるいは人口減少時代ですから、半分の人でも同じ農村が活力を持てるような、そんなことも意識しながら動いていかなきゃいけないとすれば、むしろこの際にいろんなことをくっ付けて、中も徹底して見直して、新しい形での、中をただA、B、C、それで部の数も一緒というんではなくて、むしろ中をうんといらって新しいものに改編することが、次の農村を切り開くのに今回の改正が非常に役に立った、これは非常に大事なことだということになるんではないかと思うんですが、その辺の意気込みを大臣に最後にお伺いして、この質問で終わりたいと思います。
  30. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、段本委員の御質問をずうっと拝聴さしていただいておりまして、日本試験研究、科学技術立国としてやっていかなければならないと、そして試験研究というのは固定的なものであってはならないと、もう常に柔軟に、よく最近言われますプラン・ドゥー・チェック・アクションというものをやって、外部評価あるいは自己評価含めてより良い成果を上げられるような、成果というのは成果物と同時に人材の育成も多分入ってくるんだろうと思います。私の地元農業者大学校の卒業生が誇りを持って農業をやっている人がいるわけでありますけれども、そういった人材も含めてやっていかなければならないわけであります。  日本には、古くからのノウハウもあるわけでありますし、それから、今、段本委員が御指摘になったように、私の父親も農学部出身でありますけれども、昔の農学部と違って、今は、これはもう一次産業ではなくて、四次産業、五次産業、社会科学も含めてもう総合科学だと思いますね。  そういう意味で、常に試験研究機関、しかも国の機関でありますから、基礎研究から、あるいはまた食品加工、流通まで一つにまとめようということでありますから、それこそどんと、一足す一足す一が三になるんじゃなくて、ひょっとしたら組織は二・五になるかもしれないけれども、果たす役割は五にも十にもなっていくんだということが私は大変この本来の目的だろうというふうに思っております。競争だと思っております。世界に負けるわけにはいかない。  そのために、こういう今回の統合合理化を、効率化をしてきたわけでございますから、段本委員がいつも御指摘になられているような緊張感、あるいはまた柔軟性、あるいはまた人材の育成、そして成果、コシヒカリあるいはまたふじといったリンゴは、これは国の機関が作ったんじゃなくて、県やあるいは民間の農業者が作った、そして世界に冠たる農産物になってきたわけでありますから、ある意味では、国と公立の機関、大学、あるいは民間の熱心な農業者がいい意味競争をしながら、そして成果としては、知的財産権の問題もきちっと確立しながら成果を共有をしていくという関係を、この機会を契機としてつくっていくことによって、より力強い農業、林業、水産業が世界を視野に入れてやっていくということが極めて大事でございますので、先ほどのように、数合わせとか、一足す一足す一が一体幾つになったんだとか、こうすべきであるというような行政の発想だけでこの問題を考えると、また何年かたつと同じような議論になってしまいますんで、常に柔軟に、私は、この問題はまるで組織自体が生きているように私は柔軟にやっていかないと、これはもう本来の目的、あるいはまた国家的な損失になっていくというふうに思いますので、緊張感を持って、この法律が成立さしていただきましたならば、きちっと今の段本委員の御指摘に背かないように我々も緊張感を持って取り組んでいきたいというふうに考えております。
  31. 段本幸男

    段本幸男君 大臣是非力強い御指導を期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  32. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 民主党の和田ひろ子でございます。  まず、役職員の身分についてお伺いをいたします。  独立行政法人役職員の身分というのは、本来は非公務員というふうにされていますが、独立行政法人の通則で、業務の停滞が国民生活又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすものについては公務員であるというふうになっています。  現在、農林水産省が所管する二十一法人のうち十七法人は、さきの十三年度の制度導入時以来、この条項が適用されて役職員の身分は公務員とされておりました。今回の法改正で、民間との研究交流の一層の促進を進めるとして、十四の法人について一括して身分を非公務員化するということですが、今後公務員としての身分を持つ者は農林水産消費技術センター等の三法人ということになってしまうわけですが。  そこで、まず、この改正で非公務員化する十四法人のうちに、今回の改正で業務の見直しとかあったんでしょうか。何で通則二条第二項の、今まで非公務員でなかった、公務員であるということに今度は該当しなくなるんですか、これが。何か新たな事情がこの五年間のうちにあったんでしょうか。今回の非公務員化を決定した理由を、本当は十四法人一つ一つ、業務の見直しがあったのか、何で国民生活又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼしたのか、それを一々聞きたいんですけれども、十四法人全部聞くわけにはいかないので、まとめて教えてください。
  33. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 今回、非公務員化いたします独立行政法人委員指摘のとおり、元々国の機関であったものを平成十三年に独立行政法人制度が発足した際に国から分離いたしまして独立行政法人化したものであります。  その当時は、独立行政法人という従来にない新たな制度を始めるということから、制度についてはきちんと国民の理解を得ていくべきという段階にあったこと、また、労働争議の発生によりまして独立行政法人業務の停滞が国民生活又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすおそれがあったことから公務員型の独立行政法人として発足したところでございます。  しかしながら、独立行政法人制度化後五年間を経まして、独立行政法人の制度に対する理解が国民に浸透し、役職員の身分が非公務員であっても独立行政法人が公的な仕事を行うことについての認識が形成されていること、また、五年間、独立行政法人当局と職員の間に良好な労使関係を維持していること、また、同じく試験研究を行う国立大学や経済産業省所管の独立行政法人産業技術総合研究所が非公務員化したこと、さらには、独立行政法人の原則であります非公務員化を行うべきであるとの指摘が外部からもなされたこと、このようなことから、民間企業との人事交流が容易になるなどの非公務員化のメリットについても十分検討した結果といたしまして、今回の業務の見直しにおいて非公務員化をすることとしたことでございます。
  34. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 非公務員化する理由の一つとして、民間の共同研究の促進を期待されておりますよね。非公務員化しただけで民間との共同研究というのが促進されるという根拠は何なんですか。
  35. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 独立行政法人役職員の身分の非公務員化によりまして、まず、民間企業との人事交流につきましては、これまで官民人事交流法に基づきまして必要とされておりました手続を行うことなく、法人自らが自由にできるようになることとなったことです。それと、また、民間企業との兼業につきましても、法令に基づく制限がなくなることによりまして、法人の判断によりまして柔軟な兼業制度を策定できるようになることとなります。また、さらには、職員の勤務条件や給与につきましても、国家公務員の勤務条件や給与体系に縛られることなく、法人の判断により弾力的な運用ができるようになること、この辺のことから、制度上は民間企業などとの人事交流が促進されまして、優れた人材を確保することが可能になるものと考えております。  ただ、しかしながら、実際に民間との人事交流を行うためには、民間企業との話合いあるいは法人内部での受入れ体制の整備など、この辺が必要であると考えられますので、各法人の次期中期目標によりまして、人事交流に向けて積極的な取組を行うよう指示することを検討しているところでございます。
  36. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 人事交流の中で、今までの公務員の中で何でそれができなかったのか。その人事の交流をどうしてこれからも続けていくことができないのか、とってもその根拠が分からないんですけれども、民間との人事交流について、例えば任期付公務員制度とか任期付研究員制度ということもあったと思います。こうした制度を活用すれば、役職員の身分を非公務員化しなくても民間との人事交流が十分に可能だというふうに考えられますけれども、今回の改正で役職員の非公務員化で今後どんな人事交流が活発になってくるのか、また、これで人事交流が活発、今まで活発化しなかったのはこういう理由で活発化しなかった、しかし、非公務員化になれば活発になると言うその根拠とかそういう、何でできなかったか、その原因とかそういうのを教えてください。
  37. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 国と民間企業との間の人事交流につきましては、従来は官民人事交流法に基づきまして行われてまいりました。この官民人事交流法につきましては、いわゆる人事院が実施いたします公募に対して応募のあった民間企業の名簿と人事交流条件を人事院が各府省に提示いたしまして交流者を決定するなどの手続が必要であったということもございます。また、そもそも行政官の民間への交流派遣、あるいは民間従業員の行政官としての交流採用によりまして、行政運営の活発化等が制度の主目的でありまして、研究という特殊な分野に対しては民間からの交流希望はなかったと、こういうことから、農林水産省所管の試験研究独立行政法人におきましては官民人事交流法に基づく交流実績はなかったという状況にございます。  また、任期付研究員制度は、研究者として高い質を有すると認められる若手研究者を主体に活用することを目的としておりまして、離職を前提とした制度でもあるため、民間との人事交流目的とした制度にはなっておりません。  このような制度的ないろんな制約もあったということもございまして実態的に交流がなかったということでございますが、やはり非公務員化後は国家公務員法に基づく制約がなくなりますので、弾力的な人事交流の実施が期待されるというふうに考えておる次第でございます。
  38. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 任期付公務員制度や任期付研究員制度というのが離職とかそういうものを伴うのであれば、そういうことこそ直すべきであって、何かこのままの状況でもっともっと人事の交流ができたらよかったんじゃないかなという思いがありますので質問しました。  次に、今回の非公務員化によって、例えば国レベルの公務員というのがあって、都道府県には県職員という研究員制度の方がいらっしゃるんですが、そういうところとそごは生じないんですか。都道府県研究職員と県職員皆さん、今度は国家公務員の皆さんは民間になってそういった人たちと交流をしなければいけないというふうに思いますが。
  39. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 例えば、農業生物系特定産業技術研究機構にありましても、平成十三年度の独立行政法人化にして以降、それ以前と同様に、正に都道府県との連携した試験研究を進めるとか、そういう意味共同研究推進都道府県研究者の受入れなどの措置は極めてうまくいってきたというふうに考えております。  今回、独立行政法人の非公務員化によってこのような事務事業の方針に変更が加えられるものではないというふうに理解しておりますので、これらの両者の関係は変わるものではなくて、独立行政法人都道府県との人事交流などに必要な手当てもこれもしているということもございますので、新たな問題が生ずるということは現段階では考えておりません。  そういう意味では、国におきましてはやはり国の試験研究機関として先導的な研究であるとか基礎的な研究をきちっとやるという点もございますし、都道府県におきましては県の立場として現場に直結したような研究をやるというふうな役回りでございますので、両者が相互に連携を取りながら現場に役立つ研究をやっていくということで、従来と何ら変わりのない現場に役立つ研究成果が出てくるものというふうに考えておる次第であります。
  40. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 それはもちろん、そごがあります、生じますというふうにはお答えにはならないというふうに思いますけど、きっと何か不便はあるんじゃないかなというふうに思います。  国民の生命に関する重要な食料、安全、そしてまた安定的に供給していくための基盤づくりに不可欠な研究機関はむしろ国が行うべきだというふうに私は思っています。身分保障や職務専念義務などが法律で定められている公務員が絶対に担うべきだというふうに思っています。  例えば、お答えは要らないんですが、諸外国でこんな、こんな日本のような国が、研究機関を国が持たないなんというところがあるんですかね。例えば王室研究所があったり、例えばロックフェラーが、あんな財団が大きく出資するなんというところがない日本は、やっぱりそういうものは国が持つべきだというふうに思っています。  そして、例えば総務省が所管する独立行政法人の消防研究所は、人命とか財産にかかわることなので、これは五年の見直しで国にもう一度戻すということを仄聞しましたが、そうですか。そうだとすれば、私たちの農林水産というのは安全、安心食料を供給するところだし、水も空気も食料も作るところだといえば、これは国民の命にかかわることなんだから、もっと消防署みたいな議論があったのかなというふうに思いますが、ありましたか。
  41. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 消防研究所のお話として申し上げればいいですか。
  42. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 いや、もう言わなくていいです。  私たちの農林水産省こそ人の命を守るものなんだから、例えば消防庁がそういうふうにきちんと守って、自分たちの独立法人を国に戻したということを仄聞したんですけれども、そうしたら農林省だって、もう本当に開き直って、人命を守るのは農林省なんだという意見は言わなかったんですか、皆さんは。
  43. 染英昭

    政府参考人染英昭君) まず、独立行政法人の制度がどういうものなのかということでございますが、要は、独立行政法人は、公共上の見地から確実に実施されることが必要であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要がなく、また民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがある業務を行うこととされておるわけでございます。したがいまして、いわゆる国の公権力の行使に影響を及ぼすような業務であっても、いわゆる業務自身が自ら強度の公権力の行使を伴うものに当たらなければ、国が自ら主体となって実施すべきものとは考えておりません。  そういう意味で、農林水産省関係試験研究は、いわゆる国民の食料の供給に係る重要な研究を行っておりますが、強度の公権力の行使を伴うものではないことから、引き続き独立行政法人で担うべきものというふうに整理をしたものでございます。
  44. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 大臣にお尋ねします。  行政改革という名の下に、先ほども質問ありましたが、何でも非公務員化して数合わせ的なことを進めていくことは、我が国農業の基本的な基盤である研究活動を萎縮させてしまうんではないかというふうに思います。農政の基本方向とも矛盾するというふうに思います。このことは将来にとって物すごいもう本当に問題になることだというふうに思いますが、大臣はどう思われますか。
  45. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 何でもかんでも民間に任せばいいというものではないことは、私も全く同じ考えでございます。  今の消防研究所のように、いったん外に出してみたけれども、やはり消防という文字どおり国民の生命、財産に直接的に影響を及ぼす、また危険な任務を遂行するための研究所であれば、これはやっぱり改むるにはばかることなかれということで今回こういう形にしたというふうに聞いております。  それから、例えば経済産業省ですと、今、特許業務を、任期付特許審査官というものを、百人を五年間、これは一般の法務事務をやっている人、ある程度の資格、経験を持っている人を特許庁の審査官にして特許業務、特許審査業務をやっております。  そういった意味で、どうしても国がやらなければいけないこと、この定義はきちっと私申し上げられないかもしれませんけれども、例えば、今、技術総括からもお話ありましたように、ペイしないであるとか、民間がやらないであるとか、巨額の資金が掛かって余りにもハイリスクであるとか、あるいは公権力を伴うとかいった、とても民間ではできないということについては、やはりこれは、しかも国民の生命、財産、国の安全にかかわるような国家的な仕事であれば、これはやはり国がやる責務があるんだろうと思います。  先ほどの食品安全委員会リスク評価なんというのは独立した機関がきちっとやるようになったわけでございまして、そういう国でなければできないという限定的な範囲ではありますけれども、そういうものについては、試験研究も含めまして、先ほどから申し上げておりますように、世界の中で競争して勝ち抜いていかなければいけない試験研究等々につきましては、これはやはり国としてやっていくということで、もう農林水産省の仕事は何でもかんでも独立行政法人、非公務員型にしていくんだということではなくて、これはそういうふうにやった方がいい、またそういう方向にしていこうという方針は政府としてあるわけでありますけれども、何でもかんでも全部外にほうり出しちゃおうということではないということは和田委員のお考えと全く違うということではないというふうに私は理解をしております。
  46. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 何でもかんでも外に出すというのではないとすれば、何でもかんでも外に出さないでほしいんですね、私は。本法案では、四つの独立法人が、農業生物系特定産業技術研究機構とか農業工学研究所とか食品総合研究所農業者大学校が統廃合になって、独立行政法人農業食品産業技術総合研究機構というふうになりましたよね。これは農業生産から食品加工、流通まで一貫した技術開発の一体的な総合的推進ということだけれども、例えば、農林水産省の中で農業生産から食品加工、流通まで一貫した技術開発の一体的な総合的推進でないものはないんじゃないですか。  たまたまこの統合について平成十六年の十二月に総務省の政策評価独立行政法人評価委員会で勧告されていることも私は承知しておりますが、改めて、この四つの組織を統合の対象にした理由は何なんでしょうか。これだけが生産から加工、流通に属するものなのか、何でこれだけが選ばれたのか、勧告の方向にあることがちょっと分からないんですが、効率的かつ安定的なということに私はもう本当に反対ですけれども、あえてお尋ねすれば、この四法人以外の法人統合が対象にならなかった理由は何なんですか。
  47. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 農林水産省試験研究を考えますと、やはり農業現場あるいは食品産業の現場で必要な技術開発してきたという点がございます。例えば農業生産におきましては、農業生産性を上げる、あるいはより良い、品質の良いものを作る、そういうことのための技術開発をやってきたと。また、食品加工、流通等につきましては、いかにその食品加工して品質のいいものを作っていくのか、そしてそれを消費者ニーズに合ったものとしてきちっと流通していくのかというようなことを正にそれぞれの研究機関でやってきたというふうな点がございます。  ただ、最近の状況を考えますと、やはり農業の構造改革は極めて遅れておるという状況もございますし、また、BSE問題を始めといたしました食の安全、安心への対応、この辺を考えますと、いわゆる農業生産現場だけあるいは流通のところだけというようなことをやっていましたらなかなか問題の解決にはなっていかないだろうと。そういう意味で、農業生産から加工、流通を含めた一気通貫の研究開発をやることによっていわゆる農業食品産業が結び付き、それが消費者ニーズに合った食品の供給をやっていくと、そういうような世界をつくるのが必要であろうということで、この農業生物系特定産業技術研究機構農業工学研究所、それと食品総合研究所統合したわけでございます。  ただ、一方で、統合してない農業生物資源研究所とか農業環境技術研究所はどうなのかと申し上げますと、いわゆる農業生物研究所は生物科学一般、あるいは農業環境技術研究所は環境科学一般とした極めて専門性の高い仕事をやっておりますし、またもう一つの国際農林水産研究センターは林、水を含む一元的な海外における農林水産分野の研究を担っておりますので、いわゆる統合法人とはそういう意味では性格がかなり違っているんじゃないかというふうに考えています。そういう意味で、それぞれの分野の研究推進等の連携協力の下で研究推進する必要があるということから、今申し上げた残りの三法人は単独で残すということを決定したわけでございます。
  48. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 別の観点から考えていきますと、いわゆる行政組織のスリム化など行政改革の潮流に従って統合することにしたのであれば、その統合によってかえって業務が肥大化したり迅速な意思決定や地道な研究に支障が生じるのではないかというふうに考えられます。したがって、農林水産関係研究機関の統廃合に当たっては、国民に安全な食品を安定的に供給するためにどのような研究機関が必要なのか、それをどう組み合わせて連携させることがいいのかということを試験研究の原点に立ち戻って丁寧に取り組むべきだと私は思います。迅速な意思決定や着実な研究を担保するためにどのような対応を考えているのか、また食品や財政の効率化の見通しについて認識があれば教えてください。
  49. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 独立行政法人統合の在り方は、先ほど申し上げましたように、やはり現場に近いところの研究、それが農業分野、食品分野等分かれておったものを、これを一気通貫でやることによって正に農業現場でも食品産業でも役立つ研究を担っていくというふうなことをねらった上でやっておるわけでございます。  ただ、それが、御指摘のように、いわゆる統合によって業務の肥大化等を招くんじゃないかということにつきましては、やはり統合によりまして新しくできます農業食品産業技術総合研究機構等のいろんな組織の改革等もやっていかなければならないんではないかというふうに考えております。  そういう意味で、新しい農業食品産業技術研究機構におきましては、いわゆる研究部門の組織を見直しまして、現在は三、四名程度の室の上に部を配置いたします二階建ての部室制を取っておりますが、これを統合後は十名程度のチームから成るフラットなチーム制に移行しまして組織の機動性を高めるというようなことを考えています。  また、組織全体の共通事項については内部研究所長を含みます役員会で決定いたしまして、日常の業務運営につきましては各内部研究所長への権限を移譲するというようなことによりまして、迅速な意思決定なり研究開発推進に支障が生じないようにやってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  50. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 それでは、今回廃止が決定されました独立行政法人農業者大学校についてお尋ねをします。  定員割れの恒常化とか各県の農業大学との機能分担が不明確であるとかいうのが挙げられていますけれども、しかし定員割れについては、平成十三年度にもう既に定員割れについて、独立法人化されたときにも、十三年のときにも定員割れは出ていたんですよね。今回もまた定員割れというふうに挙げていますが、十三年のときは何で廃止しなかったのか、それをなぜ今回廃止するのか、十三年のときに残した議論がもう一回議論として残らなかったのか、お尋ねします。
  51. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 農業者大学校につきましては、委員指摘のとおり、平成十三年現在で定員割れが生じておりましたけれども、この大学校が講じております青年農業者に対する教育そのものが非常に大切なもので、確実かつ適正に実施される必要があると判断をされまして、しかしながら必ずしも国自らが主体となって直接実施する必要はないのではないかということで、平成十三年に独立行政法人に移行いたしました。  今回、この五年間の推移を評価いたしますと、入学者数は残念ながら更に減少いたしまして、定員割れの状況に歯止めが掛かっておりません。また、そのことによりまして学生一人当たりの費用も非常に高いコストになっております。さらに、都道府県に置かれています農業大学校との機能分担も不明確であると。さらに、昨今、農業者のアンケート調査等によりニーズを把握いたしますと、先端的な農業技術等の教授をしてほしいという希望が非常に強いということもございまして、この際、農業者大学校を廃止いたしまして、こういったニーズにこたえるために先端的な農業技術等の教授を中心とする担い手育成事業に改正をいたしまして、農業食品産業技術総合研究機構に移管をしてこういった事業を実施するということにしたところでございます。
  52. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 定員割れとかそういうことを根本的に考えて、日本農業がどんなにお若い方たちにも魅力がないか、日本農業でどんなにみんな苦労しているかということを考えないで、いつも定員割れだから廃止する、こうだから何するという、そういう安易な考えというのが私は物すごい危惧を感じています。我が国農業を取り巻く問題は、農業者の高齢化や後継者不足、耕作放棄地の増大、国際化の進展など様々な問題が起きています。農業構造改革とか、そういうものの必要性や、担い手の育成確保というのが物すごい必要だというふうに思います。  青年である農業者に対して、近代的な農業経営に関する学理及び技術の教授を行うことにより農業を担う人材の育成を図る、これが農業者大学校の目的だとすれば、何でもっと若い人たちに魅力のある農業者大学校にしなかったのか。その五年間の、どういうことをされたか。そして、何かもっと、この大学校を卒業すると担い手になれるとか認定農業者になれるとか、何かメリットを考えていく方法はなかったんですか。
  53. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 農業者大学校におきましては、平成十三年に独立行政法人化をしました以後、この学生の確保と定員の充足を図るために数々の取組をやってまいりました。  具体的には、十三年度に学識経験者によるカリキュラム検討委員会を設置いたしまして、さらにアンケート調査も卒業生等にも行いまして、その分析や、将来の食料農業農村の方向性を踏まえたカリキュラムを見直したということでございます。その中に、例えば循環型農業ですとか食の安全、マーケティング、さらに情報技術農業経営に生かす、地域の資源を生かした農村の活性化というような各分野につきましてその授業内容の拡充強化を行いまして、十五年度の入学生から新しく適用してまいりました。  また、募集に当たりましても、農業者大学校の卒業生の協力の下に、全国六か所で説明会を実施するなど、きめ細かな応募者の発掘等も行ってまいりましたけれども、先ほど申し上げましたように、残念ながら定員割れの状況が改善されず、更に学生の応募が減ってきたという状況にございます。
  54. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 努力の跡が見えなくてとても残念です。  各県の農業大学校との機能分担が不明確であるという声もあったようですが、農業政策は国が責任を持って取り組まなければいけない重要な課題であります。それに携わる農業担い手の育成は、国がしっかりと着実に、次の組織との機能分担を明確にして、今後も取り組んでいくべき大きな課題だというふうに思います。近代的な農業経営に関する学理を教授して担い手を育成することがどんなに大事か。農業者大学校の廃止は農政にとって大きなマイナスの問題になると考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  55. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 御指摘のとおりだと思います。  私のところもほかの地域と同じで農村地帯でありますから、農業高校あるいはまた旧国立の農業専門大学がございます。意欲のある人たちはそういうところで学び、そしてもっと意欲があるとアメリカやカナダへ行っちゃうんですね、の大学へ行ったり実習をしたりして学んでくるということでありますから、せっかく国の農業大学校、今議論になっております大学校がありながら、幾ら、少子化だとかいろいろありますけれども、今度新しく更にレベルの高い学生を受け入れようということでありますけれども、やはり来たいという人が来なければ、どんなにレベルアップしてもこれはなかなか人が来ない。来たいと思わせるようなインセンティブ、まあブランド力といいましょうか、そういうものをソフトの問題として、この組織改革を契機に一生懸命、残すんであれば、来てもらえるようにするために、ただ来たい人が来ればいいんだというんじゃなくて、来てもらえるように努力をするということが、今後、この法律が成立させていただいたならば、そのための懸命な努力が私は必要だろうというふうに思っております。
  56. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 その懸命な努力をしていただけるんですか。
  57. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 我々もしますし、和田委員のお知恵も是非おかりしたいと思います。
  58. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 今回提案されている法案で、現在独立行政法人農業生物系特定産業技術研究機構で行っている民間への出資とか貸付け業務が廃止されたということをさっきも言っておられましたけれども、委託方式にするということは、委託するということは、何かをつくりなさいといって民間に委託するんであれば、発想は、先ほども言われましたけれども、民間の発想って物すごい多岐にわたるんだけど、委託するとすれば、国がこのことについて研究してくださいという、何か枠が決められていて民間の自由な発想ができないというふうに思います。  まず、これが問題だったのは、今までそういう新規のものがなかった、借り手がいなかったとかいろんなことを言った結果こういうふうになったと思うんですけれども、出資と融資の実績が低迷していた原因は何だというふうに思いますか。どうしてこんな実績が伴わなかったのか。この数年の推移をちょっと教えていただきたいんですが。
  59. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 出融資事業の実績をまず申し上げますと、まず出資事業でございますが、これまでの実績は、出資事業は四十六件、それと融資事業は百五十二件となっております。平成七年度からこの十六年度までの十年間で見ますと、出資事業は三十七件の申請に対して十件が採択、また融資事業では七十七件申請に対して二十五件が採択されたところでございます。  この辺、いわゆる出融資の事業が低迷してきたということ、この原因は何かというふうに考えますと、やはり近年、技術の進歩が著しい等、製品の変遷が大変急速であるという点、そういうことを背景といたしまして、出資事業につきましては、複数の会社による調整などで準備期間を要しまして、必要な機材、設備などを新たに調達しなければならないなど、手続が必要なことから民間企業が慎重になっていること、それと融資事業につきましても、いわゆる基礎、応用段階から開始するために収益を得るまでに長期間を要することから、債務を負ってまで研究開発を行うことは慎重になっていること、この辺の理由から、平成十四年度以降、出資、融資の両事業ともに新規採択がゼロとなっているという状況でございます。
  60. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 私は、この民間に対する出資とか貸付業務を廃止して委託方式だけが民間研究の財政支援策になることについて、施策の柔軟性や民間の創意工夫を生かした研究推進していく上で大変問題があるというふうに思っています。したがって、出資・貸付業務が廃止されることには反対でございます。  それだけ申し上げまして、大臣質問いたします。  我が国農林水産業は多くの課題を抱えております。このため、政府は、効率的かつ安定的な農業経営の育成を目指しております。規模拡大と技術開発による生産コストの削減がその決め手だというふうに思います。また、WTO交渉が大詰めに向かいつつありますが、試験研究の助成というのは緑の政策として世界が認めています。  こんな中で、試験研究分野にもっともっと国が責任を持って拡充していかなければいけないこのときに何でこんなことが出てきたのか、大変疑問があります。食料自給率向上など実現不可能だというふうに思いますが、大臣のお答えを聞いて、終わります。
  61. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 御指摘のように、このWTOでも、この国内支持、試験研究は緑の政策ということでございます。そして、日本は、この農業分野におきましても技術を更に前進をさせていくことが、日本農業のみならず、世界に貢献ができるというふうに理解をしております。  何年か前に、アフリカで飢餓に困っている地域に対して、日本の稲を作る技術でネリカ米というのを作ってアフリカで栽培をしたという実績もあるわけでございます。  したがいまして、日本としてはいいもの、このいいものというのは、健康にいいとか、あるいはまた水が少なくてもできるとか、単収が上がるとか、いろんなメリットがあるわけでありますから、多方面にわたってのメリットが実現できるように、今後、日本農業の足腰を強くするために更に試験研究に力を入れていきたいと思います。  御指摘で、何でこういう時期にこれだけ統合しちゃうんだとかいろんな制度を変えていくんだということでございますけれども、要は中身でございますから、きちっと実績が上がるようにしていくことが最大のポイントでございまして、例えば、先ほどの兼業の問題であるとか、あるいは人事交流の問題であるとか、ここは大学ではございませんけれども、最近は大学発ベンチャーとか、いろんな制度が柔軟にできておりますので、そういうものも大いに生かしながら、いい成果ができるように、これから文字どおり魂をきちっと入れてこの法律の目的が実現できるようにしていきたいというふうに考えております。
  62. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 終わります。
  63. 小川敏夫

    小川敏夫君 今般のこの独立行政法人に、改革推進ですけれども、その意義をお尋ねするわけですけれども、こういう視点でお答えいただきたいんですが、最終的に目指す改革の目標といいますか、ゴールといいますか、そこがどこにあるんだろうかと。  今回のこの改革推進によるこの組織形態が、これが改革の目標なのか。私としてはそうは思わないんですね。そうではなくて、さらに、更なる改革の目標というものがあって、それを目指しての一里塚としての今回の改正があるようにも思うんですが、そうした意味で、この独立行政法人に係る改革の目標点というものをとらえた上で、今回のこの法案の意義というものについてお聞かせいただければと思いますが。
  64. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、小川委員指摘のとおりで、これはあくまでも、独立行政法人、とりわけ試験研究機関については、こういう形でやることが最終目標ではございません。あくまでも試験研究成果、これが、農林水産関係者はもとより、最終的には国民あるいは世界にこの利益が享受されるということが最終的な目標でございます。  そういう中で、小泉内閣といたしましては、小さくて効率的な政府を目指していくということでこの問題に取り組んでいるわけでございます。そしてまた、先ほども申し上げましたように、常にスピード感を持ってやっていくということが一つ、それからもう一つは、常に見直しをしていくということが一つであります。したがって、プラン・ドゥー・チェック・アクションということで常にそれをやりながら、より良いもの、より良い目標に向かって少しでもまたレベルアップをしていくということが大事だということでございます。  農業関係、林業関係、水産関係におきましても、川上から川下への統合といった今回の統合もあるわけでございまして、より効率的に農林水産各分野でいい成果が出るようにしていくための大事な改革であるというふうに理解をしております。
  65. 小川敏夫

    小川敏夫君 小泉総理は、民にできることは民にということで民営化と、まあ道路公団も郵政も民営化成ったわけですけれども、今回のこの例えば試験研究機関、これも最終目標は民営化にあるんでしょうか。私は、これ民営化されては困るというか、民営化にはなじまないというふうに思っておるんですが、この最終目標が民営化にあるということではないんだと思うんですが、そこのところをお答えいただきたいんですが。
  66. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 民でできることは民で、地方でできることは地方でというのが小泉内閣の基本方針でありますが、他方、先ほど和田委員の御質問にもありましたように、国でやっていかなければいけない部分というのは当然あるわけでございます。そういう意味で、今回のこの改革は民営化を目指したものではないということでございます。
  67. 小川敏夫

    小川敏夫君 やはり、国民の食を支える分野でありますから、この試験研究というものは、単に採算性とか効率性だけで行うものではなくて、よりこの食料を支えるという国家目的を達成するための研究でありますので、やはり民営化にはなじまないと考えておりますが、大臣からそのようなお話をお伺いしまして、そこはほっとしておるわけですが。  やはり、特に食料試験研究、これは国民に対しての食料の安定供給とか、あるいは安全面での国民の信頼をかち得るというような面について、この採算性云々という話を抜きにして、国家の一つの目標としてやはり国が責任を持って、もちろん掛かる費用も国が責任を持って私は行うべきことであると。むしろ、独立行政法人にするとか云々よりも、はっきりと国が責任を持つという主体性をより維持した方がいいんではないかというふうに考えるんですが、この点の考えはいかがでしょうか。
  68. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 独立行政法人の運営につきましては、独立行政法人がその財政的基盤を持たなければならないというふうにされておりますし、また、それを支援するために国は運営費交付金等を支出するというようなことにしておりますので、そういう意味では、独立行政法人が十分な研究活動を行うためにはそのような形での国からの支援も依然として必要であるというふうに考えております。
  69. 小川敏夫

    小川敏夫君 国から支援するというよりも、むしろ国が主体となって責任を持って行うという姿勢が私は欲しいと思っているんですが、どうでしょうか。
  70. 染英昭

    政府参考人染英昭君) それは元々独立行政法人制度の本来の趣旨にかかわるものであるというふうに考えております。  先ほどから申し上げておりますように、独立行政法人制度は正に公共性の高い仕事であるということでございますし、ただそれを国が直接やる必要はないと、ただ、民間に任した場合にはそれは必ずしも実施されないおそれがあるというふうな点でございますので、それを推進、公共的に極めて重要なものを推進するということでは、国の責務としてもそれを推進するということであろうというふうに考えております。
  71. 小川敏夫

    小川敏夫君 こうした本当の意味改革はむしろ中身だと思うんですね。器をただ単に法人の数を束ねて一つにしたとかいうだけじゃなくて、中身のことが本当の意味改革だと思うんですが、どうも今回の改正はその中身に行く前のただ器だけの問題だというふうに見えてならないんですが、そうした意味で、これから新たに研究機関を束ねて一つ法人にするという中で様々な活動の効率化を図っていくということになると思うんですが、この効率化を行っていく具体的な方策について御説明いただけますでしょうか。
  72. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 運営費交付金で行う事業につきましては、事務事業の効率化、効率的な実施を図る観点から、この第一期の中期目標期間中におきましても、毎年度平均で少なくとも前年度比で一%の経費節減を行う旨を中期目標に明記いたしまして、運営費交付金の縮減に努めてきたところでございます。  第二期の中期目標におきましても、行政改革の重要方針におきまして、業務運営の効率化につきましては、「厳格かつ具体的な一般管理費及び事業費の削減効率化目標を示すことにより、一層効率的な業務運営を目指す。」とされたことなどを踏まえ、運営費交付金の一層の縮減を図るべく中期目標を策定しようとしているところでございます。  また、人件費につきましても同様に、行政改革の重要方針におきまして、総人件費改革の考え方を踏まえまして、今後五年間におきまして五%以上の削減の取組を行うことを基本とした中期目標を策定しようとしているところでございます。  人員と業務の効率化に当たりましての具体的方策といたしましては、いわゆる研究部なり研究室の二段階の組織を廃止いたしまして、研究テーマ別の研究チームを設けまして研究資源の集中的投下と研究開発効率化推進すること、また研究支援を行う間接部門につきまして統合再編いたしまして効率化を図ること、さらには退職者不補充措置の実施や業務の適切なアウトソーシングの推進などを行うこととしておるところでございます。
  73. 小川敏夫

    小川敏夫君 総論的には確かにおっしゃるとおりだと思うんですが、もう少しその具体性があればと思うんですが、あるいは法律ができてから、これからのことだということになるかもしれませんが。  特に人件費のことについて、一%削減する、あるいは五%削減ということでありますが、衆議院の議事録読んでみますと特に首は切らないと、すなわち職員の解雇はしないというようなことだと思います。そうすると、これは一%削減するということになるのは、これは具体的にはどういうふうにして削減していくことになるんでしょうか。
  74. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 昨年末の閣議決定におきまして、御指摘のように、行政改革の重要方針、ここに応じて人件費の五%以上を削減するという目標を立てたところでございます。  ただ一方で、いわゆる独立行政法人はこれ非公務員化されておりますので、いわゆる独立行政法人の労働条件は基本的には労働協約で定めることになっておりますし、また、非公務員型の独立行政法人の給与の支給基準は当該独立行政法人の業務の実績を考慮し、また社会一般の情勢に適合したものとなるように定めなければならないというふうにされているところでございます。  そういう意味で、今後は、非公務員化されました独立行政法人におきまして、先ほど申し上げました行政改革の重要方針の枠組みの範囲内におきまして労使間で交渉を行い、具体的な条件を定めていくということになるものだというふうに考えております。
  75. 小川敏夫

    小川敏夫君 そうすると、その交渉いかんによっては一%は必ずしも実現できるというふうに決まったわけではないということになるんでしょうか。
  76. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 先ほど申し上げましたように、独立行政法人役職員の給与というものは無制約に定めることができるわけではありませんので、当該法人の業務の実績を考慮するとか、あるいは社会一般の情勢に適合したものとなるように定めなければならないというような制約の中で独立行政法人がいわゆる職員交渉した上で決めるということになると考えております。
  77. 小川敏夫

    小川敏夫君 まあ一%ができるかどうか明確な返事がなかったようには思うんですが、この職員の問題、無駄があればこれは当然減らさなくてはいけないし、ただ、試験研究ということを行うという重要な責任を果たすために必要な人材はこれは確保しなくてはいけないわけで、ただ単に増やせの減らせの云々という話じゃないと思うんですが、総論的にはやはりこの人材をしっかり活用して今度は組織を統合すると、重複があればその部分はほかの人材に回すと、先ほど総論的に言われましたけれども、より効率性が上がると、有効な意義のある試験研究ができるような、そうした運営を是非していただきたいというふうに思っております。  そこで、今回非公務員化するということになりました。公務員の身分が外れますと、公務員の天下り規制というものが今公務員の場合には掛かっております。今回、非公務員になる結果、当然これは天下り規制の対象外になるわけでございますね。
  78. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 御指摘のとおりでございまして、従来の特定独立行政法人役職員につきましては、離職後二年間はこれらの役職員が在籍していました独立行政法人等と密接に関係ある営利企業の就職は制限されていたという点でございます。  ただ、今回の改正によりまして非公務員型の独立行政法人に移行する場合にはこうした制限は課せられないことになりますので、非公務員型の独立行政法人役職員に対しまして営利企業への就職の制限を課すことについては、いわゆる職業選択の自由との関係もありますので、政府全体としても慎重な検討を行うことが必要というふうに考えております。
  79. 小川敏夫

    小川敏夫君 あと、別な見方がありまして、公務員が今度独立行政法人に転職すると、これはいわゆる天下りになるんですか。今までは公務員、両方とも公務員だから、公務員の身分は変わらないから天下りとは言わなかったですよね。今回は、これからは、今度独立行政法人が非公務員になるわけですから、公務員が独立行政法人に移るということは天下り規制の対象になるんでしょうか。
  80. 染英昭

    政府参考人染英昭君) いわゆる国家公務員がいわゆる非公務員型の独立行政法人に行く場合には、これ基本的には天下りの対象となるというふうに考えております。
  81. 小川敏夫

    小川敏夫君 対象になるわけですね、ああ、なるほど。  まあ要するに、公務員が二年間は民間企業に行かれないと、だから独立行政法人が天下りの対象でなければ、そこに二年間いてそこから民間に行くという、何かワンポイントの避難場所になるのかなとも、ちょっとうがった見方という意見もあるかもしれませんが、考えたんですが。そうじゃなくて、じゃ、この独立行政法人に転職することは天下り規制の対象になるということでよろしいんですね。何か、何かならないと思うんだけどね。
  82. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 済みません、済みません。
  83. 小川敏夫

    小川敏夫君 ならないよね。
  84. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 大変申し訳ございません。  特定独立行政法人役職員が、離職後二年間はこれらの役職員の在籍した独立行政法人等と密接な関係にある営利企業への就職は制限されていると、これが天下りでございますので、いわゆる非公務員型の独立行政法人に行く場合には天下りの対象にはなりません。どうも申し訳ございません。
  85. 小川敏夫

    小川敏夫君 ですから、私が言ったように、今までは両方とも公務員ですから、例えば本省の方が行政法人に行って、今度そこから退職しても二年間天下り禁止があったわけですね。今度は、本省の方がこの独立行政法人に行くと、行って、そこは天下りの対象にならないから、じゃそこにいて、二年間そこで過ごせば今度は民間には就職できると。本省の方が直接民間には行かれないからということになって、言わば天下り規制を逃れる一つのワンポイントのいすとして使われるようなことになりはしないかというふうにちょっと心配しておるんですがね。  いずれにしろ、独立行政法人に転職することは天下り規制の対象外だと、それから、独立行政法人は非公務員だから、そこから民間企業に行くことはこれは天下り規制の対象外だということになれば、そういう道が開けてしまうということになることは、これは一つの事実ですね。
  86. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 形式的には先生おっしゃるような形になると思いますが、ただ、それを目的としたようなことは多分ないだろうというふうに我々は考えております。(発言する者あり)いや、多分といいますか、実態的にもそういう形で天下りの抜け道になるということにはなり得ないというふうに考えております。
  87. 小川敏夫

    小川敏夫君 大臣、天下り規制を逃れるために今回の法改正があるとは言いませんけれども、ただ、結果としてそういうような道ができてしまうということは事実だと思うんです。ですから、大臣の主導でそういうことがないようにしっかりと指導監督していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  88. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、総括審議官からの答弁ありましたように、密接に関連をしているところには行っちゃいけないという一つの縛りがあるわけでありますが、いずれにいたしましても、そうじゃないところについても、これはまあこういう御時世でもございますんで、慎重にやっていかなければいけないというふうに思っております。
  89. 小川敏夫

    小川敏夫君 それから、今回の改正で非公務員になると、そしていわゆる兼業規制が、これまで公務員であれば兼業が規制されておったわけですけれども、かなり緩やかになるということがございました。これについて、国の責任で、国の、言わば国民の税金を使って研究員というものが経験と能力というものを蓄積したと。それが民間に流れてしまうんではないかというようなことをちょっと懸念したんですが、こういった点はいかがでしょうか。
  90. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 非公務員化後におきましては、民間企業との兼業につきましては、法令に基づく制限がなくなりますので、法人の判断によりまして兼業について柔軟な対応ができるというのは御指摘のとおりでございます。  ただ、一方、非公務員化に伴いまして、独立行政法人の中立性あるいは公正性についての懸念の声もございますので、非公務員化後も業務上知り得た秘密を保持するような義務を役職員に課すこと、あるいは法人が行う業務の公正妥当な執行を担保することを目的として刑法上の罰則の規定について公務員とみなすこと、この辺を通じまして、引き続き国民から信頼を得るよう、確保するよう努力してまいりたいと考えております。
  91. 小川敏夫

    小川敏夫君 まず、やっぱり中立性ということを考えた場合に、民間企業と兼業しているというだけで、どうも中立ではないんではないかというような世間の評価が出るというふうに思うんですが、しかし、民間との様々な共同研究推進だのほかの要請があれば、それはそれでそういう理由もあるのかなというふうに思いますが、ただ、例えば秘密の保持を、秘密の漏えいを禁止するといっても、私はやはり秘密という一つの、あるいは一つ研究成果でしょうけれども、この成果そのものが流れてはいけないということもあるでしょうけれども、研究員そのものの能力が私は国の財産、国民全体の宝物だと思うんですね。  この研究員の能力、養われた能力というものが結局、言わば無償で民間の方に行ってしまうんではないかと。あるいは、現に研究員が様々な研究に携わっている、退職してから民間に行って能力を活用するという道があるでしょうけれども、現に国が支える中で研究活動をしている、その能力が兼業という形で民間に行ってしまっていいのかなという懸念もちょっと私持っておるものですから、ちょっとその点について懸念を払拭するような御答弁をいただけたらと思うんですが、いかがでしょうか。
  92. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 小川委員指摘の件は、私も前の仕事のときから大変悩んでいた問題でございまして、専ら民間のブラックボックス化された技術、あるいはそれをつくっている人材をどうやって守っていくか。ほかの企業に行かないようにする、あるいはまた、特に海外に流出しないようにすると。そして、今回の場合には、非公務員型の独立行政法人でありますけれども、国家的なノウハウあるいは人材であればあるほど、ある意味ではほかのところも欲しいわけであるわけでありますから、そこをどういうふうに考えていったらいいかというのは大変重要な御指摘であって、最終的にはモラルだということで話は簡単になっちゃうんですけれども、でも、生活もあるわけでございますし、したがって、この問題はこの件に限らず非常に大きな問題として、むしろ今後、知的財産権保護の大きな柱の一つとして、私自身もまた政府全体も真剣に考えていかなければならない。誠に答えになっておりませんけれども、私自身ここ数年、常にこの問題悩んでいるところでございまして、大事な御指摘だとしっかりと受け止めさせていただきたいと思います。
  93. 小川敏夫

    小川敏夫君 特にこの農産物試験研究、あるいは、和田委員からも指摘がありました育成者の、担い手の教育等、正にこれからの農業を支える本当に根本的な基礎的な分野でありまして、これが単に、先ほども私言いましたように、採算性だけで判断できるものではなくて、本当に国民の食料を支えるという意味で国家の責任を果たす上での私は基本的な事柄だというふうに思っておりますので、是非とも国の責任で、そうした責任を果たすというこの決意を大臣からお聞かせいただければと思うんですが、いかがでしょうか。
  94. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) とりわけ国の場合には基礎的、また戦略的、また長期的研究であればあるほど、研究者に求められているものは、責任は大きく、また成果もうまくいけば大きいわけでございますから、そこはやはりモラル、あるいはまた、ある意味では、逆の意味でいえばプライドもあるでしょう。そういう観点から、往々にして貴重な人材、あるいは人材に基づく技術研究が流出しないように、まあ流出したら流出したでまたほかの刑法上の対応もあるわけでありますけれども、しかし、それ以前に流出しないようにしていくということは、今後特に国の試験研究機関、あるいはこの独立行政法人においての重要な一つのこれからの注意していかなければいけないポイントだろうというふうに思っております。
  95. 小川敏夫

    小川敏夫君 しっかり頑張っていただきたいというふうに思います。  では、独立行政法人に関する質問ではありませんが、農水省には関連団体として、有力な組織として日本中央競馬会というものがございます。この日本中央競馬会について、今後の在り方について種々検討しておるということでございますので、この検討状況、将来の在り方についてどのような検討をしているかについて御説明いただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
  96. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) JRAの組織、業務についてでございますけれども、この組織につきましても、昨年の十二月二十四日に閣議決定されております行政改革の重要方針の中でその改革の方向性が示されているところでございます。  具体的には、現行の組織形態を維持をしつつ、組織運営の一層の効率化を図るということでございまして、その効率化を図るために競馬の公正・中立性の確保上支障のない範囲において主務大臣の関与、規制の緩和ということで緩和をしようと。あと、内部組織といたしまして、これは透明性を確保するという観点でございますけれども、学識経験者等で構成される中立性を有する機関の設置、そういったことが盛り込まれたところでございまして、現在、私ども省内におきまして、この閣議決定に沿いまして見直しについて、法改正にやがてなるわけでございますけれども、現在それに向けまして検討を進めているということでございます。できるだけ早く検討を終えたいと思っておりますけれども、関係するところとも調整もございますので、しばらく時間が掛かるんではないかというふうに思っております。  以上でございます。
  97. 小川敏夫

    小川敏夫君 余り具体的なお話がなかったんですが、ある程度まとまり次第報告いただけるということでお伺いをしたいと思います。  あと、JRA、例えば最近、国交省の直轄工事や道路公団、防衛施設庁などで談合などが相次いで摘発されておるんですけれども、JRAも様々な施設建設がありますが、これはこうした点は重々、大丈夫なんでしょうが、しっかり監督していただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  98. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 正にここは中立性が問われる組織でございます。  そういった面で、きちんといろんな事業につきましても情報開示を一層進めるといったことでの、いろんな業務内容についての見直しについては今後対応していくということで、今回の見直しの中で進めていくということにしているところでございます。
  99. 小川敏夫

    小川敏夫君 では、また話題を変えまして、毎年春になると、暖かいいい季節ですけれども、マスクをしている方が大変多いんで、まあ花粉症というものがありまして、私は農水委員会にいるときには必ず年に一回この時期に聞くことにしておるんですが、昨年もお聞きしましたが、現段階でこの花粉症対策、どのように進捗しているでしょうか。
  100. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) まず、十七年度におきましてどのような林野庁としての対応をしたかというのをまず御報告申し上げます。  一つは、花粉の少ない杉品種の供給、普及ということでございまして、十七年度は約九万本の供給を行う見込みでございます。  また、二点目としましては、無花粉杉の普及拡大、「爽春」という品種が開発されましたけれども、これにつきましては開発された原種を都府県へ配布をしておりまして、都府県におかれましては苗木の増殖のための採穂園の整備を行っておられるという状況でございます。  それから、三点目でございますが、雄花の量の多い杉林分の重点的な間伐等の推進ということで、この本年度を初年度とする間伐等推進三か年計画がありますけれども、そこにおきまして雄花の着花量の多い杉林分の重点的な間伐の実施等に取り組んでおるところでございます。  また、十八年度もこの無花粉杉につきましては、組織培養による加速化でございますとか、あるいは都市部におきます飛散の推定調査、また、里山エリアにおきます再生交付金の創設をいたしますので、この中で特に里山地帯での間伐の促進といったようなことを計画をしておるところでございます。
  101. 小川敏夫

    小川敏夫君 先日、山の手入れをして、それによって花粉症対策に大分効果があったという誇張というか虚偽の公表をしたというようなことが報道されておりましたけれども、これはそんな虚偽の公表をした事実はあったでしょうか。
  102. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 一部、農林省のホームページと、それから説明資料の中にかなり断定的に書いている部分がございました。  昨年のお尋ねのときは、この成果といたしまして、この農水委の場で小川先生に対しましても、この二〇から三〇%の伐採率で五〇%減少している事例があるというふうなお答えをしておるんですが、ホームページ等では五〇%の効果があったといったような表現になっておりまして、これは非常に不適切であって、かつ花粉症で悩まれている方には本当に怒りを覚えられたことだと思いますんで、ここはもう本当に厳しく我々の方は対応し、今後はそのデータ管理をしていきたいと思っております。どうぞよろしく御理解のほどお願いしたいと思います。
  103. 小川敏夫

    小川敏夫君 まあなかなか理解しにくいんですけれども。  毎年春になると花粉が出ない品種を、苗木をどんどん植えているというようなことで、何かもう気持ちが明るくなるような報道は毎年毎年見るんだけれども、だけど、現実に、では昨年、杉の苗木、全国で大体、まあ何千万本だと思うんですが、およそで結構ですけれども、杉の苗木、植林した苗木そのものの本数と、そのうち、この花粉が飛ばないという、新たに品種改良したその花粉が出ないという苗木はそのうち何本植えたのか、その実績を示していただけますか。
  104. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 全国で、ちょっと具体的に植林されたあれはよく分かりませんが、苗木の供給は約千五百万本というふうに言われております。ですから、供給、先ほど言いました九万本というのはかなり少ないわけでございまして、まだあれなんですが、ただ、あと、無花粉杉の方は昨年開発されたばかりでございまして、これは原種からいろんな枝分かれのあれをしまして増やしていかなくちゃいけないということがありまして、供給を実際に開始するのは、通常の方法ですと二十三年度だったんですが、先ほど言いました組織培養するということで二年ほど短縮をして、二十一年度から供給。そして、数量も、組織培養を活用することによって、従来、計画では一万本だったのを四万本供給できる見通しということでございます。
  105. 小川敏夫

    小川敏夫君 何かよく分からないな。  七年前、八年前に聞いたときにも、そういう品種を改良したからすぐやると言ったし、去年は何か二十万本ぐらいたしかそういう苗木を植えたと。その何千万本のうちの二十万本というふうに聞いたんだけれども、今年聞いたら、何か改良したばかりでこれからだと言う。何か全然これまでの聞いている話とその関連性が分からないんだけれども。
  106. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 私、単年度で申し上げましたのでそういう数字になりましたが、平成十一年度から十六年度の間では、花粉の少ない杉の品種、これは少ないというのは通常のものに比べまして一%以下という、かなりもうほとんど出ないという品種でございますけれども、約三十二万本を供給したということがございます。
  107. 小川敏夫

    小川敏夫君 大臣は花粉症ではないかもしれないと思いますけれども、杉植えれば、花粉を飛ばすのはそれから十年、何十年、あるいはいったん植林すれば五十年なり百年だと。だから、今仮にすべての苗木を替えても、その効果が出るのは二、三十年後だということになると思いますけれども。今現在でも毎年植林している、千五百万と言いましたか、その苗木は普通の杉を植えているわけで、無花粉とか花粉が少ない杉というのは本当に一%にも満たない杉でしかないということは、結局、今植えている杉がまた花粉を何十年後かには飛ばせるわけですから、花粉症は少なくともまだ三十年、四十年は全然収まらないというようなことだと思うんですね。  もう是非大臣、ここは強力な指導力を発揮して、そんな千五百万本植えている苗木のうちの十万本ぐらいが無花粉だったと、新聞であるいはホームページでこれでもう大丈夫ですよみたいな誇大宣伝してごまかすんじゃなくて、本当の意味で、千五百万本苗木を植えるんだったら千五百万本をすぐ無花粉なり花粉が少ない杉を植えるぐらいの決意を、大臣の指導力を持って、私がもう毎年質問しても余り効果が出ないから、是非大臣がもう先頭に立って、国民一千万人ぐらいが花粉症で苦しんでいるというのを少なくとも何十年後かにはかなり、ないとか軽減されるような状況を是非つくっていただきたいという気持ちを述べて、大臣の決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。  よろしくお願いします。
  108. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 誠に私事でございますが、私もここ数年、花粉症に苦しんでいる人間でございますので、農林水産大臣としてだけではなく一個人としても何とかこれを撃退するべく燃えるような決意を持っておりますが、何といっても、この杉等の花粉の本数、あるいはまた花粉があるということについては、林野庁としても、また被害者も林野庁の中にもいるわけでございますので、身を持って頑張れるように督励をさせていただきたいと思います。
  109. 小川敏夫

    小川敏夫君 終わります。
  110. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合です。  このたびの独立行政法人改革でございますけれども、この独立行政法人、まず前提としては、公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務事業ということが前提だと思っております。そういう意味では、この独立行政法人というのが政府の政策目標を達成するための言わば実動部隊とも言ってもいいのではないかと私は思います。  であるがゆえに、例えば中期計画の策定等におきまして主務大臣の許認可が必要となっているわけでありますが、一方で独立行政法人には運営の自主性の確保が求められておりまして、この辺りのバランスというんでしょうか、自主性あるいは自由度を付与する一方で、この国の関与といったところのバランスについてどういう観点で対応しているのか、まず大臣にお伺いしたいと思います。
  111. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 御指摘のとおりでございまして、公共上の見地、つまりやはり全くの民間の営利ではできない部分、国あるいは国に準ずるという形でなければできないという部分がございます。他方、非公務員型の独立行政法人にすることによって自主性あるいは自律性、あるいはある意味では自己責任的なところも求めることによって効率的にやっていこうという、この二つを目標にしているわけでございます。  したがいまして、中期目標というものを提示して、そして法人の業務運営の効率化行政サービスの向上等に対して主務大臣がある程度関与をしていくと、そしてまた、その中期目標そのものを認可をするということに国としては限定をしているわけでございます。そして、自主的に主務大臣あるいはまた全体を見る総務省の方で的確な業務遂行が確保できるように、事後的に第三者という立場で評価をすることによって両方の目的をうまくバランスを取りながらやっていきたいというふうに考えております。
  112. 谷合正明

    ○谷合正明君 国の関与の在り方というのは限定的であるかもしれませんが、その限定的な中でも、やはり独立行政法人の場合は従来の特殊法人にはなかったような事後評価をしっかりきっちりやっていくということが求められているんだと思います。  まず、端的にお伺いいたしますけれども、中期計画につきましては、これを三年から五年の間で見直しするということが規定されているわけでありますけれども、この辺りをこの年数を固定化せずにもう少し見直しする機会を増やしてもいいのではないかという指摘もあるわけでありますが、この辺りはどのような見解でしょうか。
  113. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 中期目標と中期計画の期間につきましては、法人の自主性あるいは自発性が発揮され、ある程度社会その他の変動が予測し得るような中期的な期間といたしまして三年以上五年以下の期間において定めることとされておりますが、農林水産省関係試験研究機関は中長期の視点に立って行う必要があることから、中期目標及び中期計画の期間を五年に設定しているところでございます。  ただ、一方で、特段の事情がある場合には、独立行政法人の自律性、自主性が損なわれないように配慮しながら中期目標を変更することができるとされており、また、中期計画の変更を命ずることができるとされております。
  114. 谷合正明

    ○谷合正明君 分かりました。  それで、独立行政法人におきましては、第三者による事後評価あるいは中期的な目標管理といったところが法律で規定されております。この目標管理におきましては、それが客観的にその目標達成度がどの程度できているのかといったところが見られるわけでありますけれども、その意味におきまして、定量的な指標というものが重要になってくるだろうと。多くの独立行政法人の中期目標なんかにおきますと、五年間で一般管理費一〇%程度削減とかあるいは事業費五%の削減などが大体統一的に横並びに網羅されているわけでありますが、もう少し定量的な指標があってもいいんではないかと思っております。  この目標管理におきます指標の樹立に向けてどう取り組んでいらっしゃるのか、その辺りお伺いします。
  115. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 独立行政法人の中期目標あるいは中期計画は事後的な評価の基本となるものであるということでありますし、適切な評価を行うためにはできる限り定量的な指標に基づいて作成されることが重要であろうと我々も考えております。  それで、御指摘のように、一般管理費や業務費の削減率、これを共通の目標ということで中期目標において定めております。また、それに加えまして、従来は、例えば試験研究法人におきましては第一期中期計画における論文数あるいは特許の出願数などで研究成果を示す指標を数値目標として設定しているところでございます。  こういう中で、これから第二期の中期目標が始まるわけでありますが、この第二期の中期目標におきましては、新たに食料農業農村基本計画の中で「研究技術開発の展望」にありますが、大型温室の建設コストを五割程度低減というような、こういう具体的な研究課題の数値目標がありますので、こういうふうな目標を設定する、あるいは成果をより広く普及させることの重要性から、新たな項目といたしまして、特許の許諾率あるいはプレスリリースの数、この辺を設定したらどうかと。それとさらに、応用研究を担う統合法人からの特性から普及に移し得るような研究成果の増加割合、この辺を定量的な目標に設けますように指示し、検討をしているところでございます。
  116. 谷合正明

    ○谷合正明君 しっかりとやっていただきたいと思います。  それで、併せて事後評価についてお伺いします。  事後評価につきましては、独立行政法人によるいわゆる自己評価に加えまして、外部有識者によります第三者評価委員会でなされております。ただ、その独立行政法人の本来の役割というのは、やはりいわゆる国の、農水省の政策目標に照らし合わせて、果たしてどれだけその目標が達成しているのかというところを見た上で、その上での今回例えば非公務員化であったりとか統合であったりしなければならないとは思うんですが。  そこで、自己評価とか第三者評価委員会もございますが、果たしてその所轄官庁というのはどのようにこの事後評価についてかかわっているのかというところをもう少し、更に教えていただきたいと思います。
  117. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 独立行政法人につきましては、今お話ありましたように、各事業年度の業務の実績につきましては各省の独立行政法人評価委員会評価を行う、それとさらに、当該評価結果につきまして総務省の政策評価・独立行政評価委員会がダブルチェックを行っているという状況にございます。  一方、主務大臣といたしましても、いわゆる評価委員会法人の業務の実績を評価する際の基準となるような目標、中期目標を策定いたしまして独立行政法人に指示しているというのがまず一点でございます。またさらに、法人が中期目標を踏まえて策定いたします中期計画の認可を行うということでございます。それとさらに、公表された年度評価の結果を毎年度把握すると。これらによりまして、独立行政法人における業務の確実な実施を確保するというようなことを行っているところでございます。
  118. 谷合正明

    ○谷合正明君 いわゆる内部評価というのはお手盛りというふうに批判もあって第三者委員会ができたわけだと思うんですけれども、今言われたように、しっかりと国、政府農水省としてもしっかりとこの独立行政法人の果たしてきている役割というものを、達成度というものを見ていただきたいと、そのように思います。  それで、各論に入りますが、水産総合研究センターとさけ・ます資源管理センターとの統合でございますが、今回のその統合の積極的な意義というのはどういったところなんでしょうか。
  119. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) 今回の制度見直しによりまして、さけ・ます資源管理センターが行ってきました業務のうち、民間へ移行する資源増大を目的とした業務を除いて、サケ・マスのふ化放流業務を水産総合研究センターと一体的に実施することとされました。  この両法人統合によりまして、サケ・マスについては、ふ化放流、沿岸域までの降河、外洋域での成長、回遊、河川への回帰まで一貫したデータの収集が可能となります。これを通じまして、国際条約に基づきます母川国の責務であります国際的な資源管理により一層貢献できるようになります。また、水産総合研究センターが有する試験研究や栽培漁業の開発に関する知見を今後活用することによりまして、サケ・マスのふ化放流業務の効率的な実施や更なる成果を期待することができると考えております。
  120. 谷合正明

    ○谷合正明君 分かりました。  今、栽培漁業について出てまいりましたので、その栽培漁業についてまた突っ込んで聞きたいと思うんですが、この水産総合研究センターには七つの重点研究領域がございまして、その一つに栽培漁業に関する技術開発というものがございます。実際に、その水産総合研究センターには全国に十六か所、北海道から沖縄まで栽培漁業センターを持っております。瀬戸内海、瀬戸内におきましても、岡山、香川、広島、愛媛と、各四県にそれぞれ独立行政法人のその研究施設というものが、栽培漁業センターというものがございます。私もその岡山にあります栽培漁業センター、玉野市にあるんですが、そこに行ってまいりました。そこでもワタリガニなどの種苗の量産技術開発ですとかあるいはキジハタの初期飼育技術開発に取り組んでおられまして、研究員の方も熱心に取り組んでいらっしゃるんだろうなと。私に対するその説明も、熱心にパワーポイントを使って説明していただいたわけであります。  ただ一方で、その岡山県に限定しますと、この栽培漁業センターというのは、県の施設でも別の場所に県の栽培漁業センターというのも存在しております。この岡山、香川、広島、愛媛というこの瀬戸内の四県におきましても、いずれにおきましても独立行政法人の栽培漁業センターと県の栽培漁業センターというものが併存をしております。  純粋に私が疑問に思ったのは、こういった国、今は独立行政法人ですが、それと都道府県のこういった試験研究機関、この研究課題だとか試験課題がダブってはいないのかとかあるいは業務のダブりなどがないのかとかいったところ、気になったわけでありますが、この辺り、栽培漁業センターにおける独立行政法人都道府県の整理というのはしっかり付いていらっしゃるんでしょうか。
  121. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) 今御指摘ございましたように、栽培漁業に当たりましては、国と都道府県の役割分担とそれから連携が非常に重要でございます。国のレベルでは今の水研センターを中心に種苗生産とか放流効果の実証に必要な基礎的な技術開発を行っておりまして、県レベルではこの開発された技術を応用いたしまして実際の種苗の大量生産とか放流効果の実証につなげていくと、こういったことでございます。これまでの実例を申し上げますと、今までセンターでマダイやヒラメ、この種苗生産技術開発してまいりました。これは今、現実に鹿児島県でのマダイとか青森県のヒラメなどで応用されていると、こういった実績がございます。  ただいまの瀬戸内海の例ですが、ちょうどサワラですね、平成十四年からの資源回復計画も始まりまして、その対象魚種でサワラが一つのテーマになっております。国の方のセンターではこの種苗生産技術開発を進めておりまして、開発段階に応じて関係県、岡山県とか大阪府等ですが、それに対して技術移転を行うこととしておりまして、具体的にちょっと最近の状況を申し上げますと、十七年度に岡山県の栽培漁業センターで種苗生産の取組を開始しております、県の方でもですね。それで、国の方でも、そのサワラのふ化した後この減耗が非常に激しいという問題がございまして、減耗というのは種苗が減っちゃうことですけれども、これは結局共食いというような状況がございまして、それを避けるためにはどうするかと。これは正に国のレベルで技術開発を進めました。そういったのが、だんだん成果が見えてきたものですから、それを今度県の方に提供して、技術指導を行いながら、県のレベルのそのセンターの事業が始まっていると、そういったようなことでございまして、繰り返しになりますが、その基礎的なところを国のレベルでいろいろ研究し、実際の種苗生産、その段階は県の方にまた技術を移転しながら進めていくと、そういった役割分担でございます。
  122. 谷合正明

    ○谷合正明君 国の方では基礎研究、県の方では実施というようなすみ分けがあるということでございますけれども、実際その独立行政法人の栽培漁業センターに行ったときには、やはり研究予算というのも年々圧縮されているということで非常に厳しい、厳しいというか、そういう予算制約のある環境の中で研究をされておりまして、それがゆえに例えば県と国の研究場所だとか研究員だとか研究施設というのは、一体化とまでは、各状況もございますので一体化したらいいかというか、そう限らないとは思うんですが、例えば共有化ですとか、そういったいわゆる国と県の研究機関の在り方をしっかり整理する必要が、調整する必要があるんじゃないかなと思っております。そういう意味で、調整機能は十分にしっかりと働いているのかなという疑問もございます。  今回、栽培漁業センター、今取り上げましたけれども、それに限らず、水産研究につきまして国というのはしっかり事業仕分をしてきて、今は独立行政法人になりました。でも、各都道府県の水産試験場はまだ県の試験場のままで、別に何かこの独立行政法人になっているわけでもなし、その辺り、私、国と地方研究機関の整理を一体となって見直した方がよろしいんじゃないかというふうに考えております。  もちろん、研究の中身が大事であって、研究力というんでしょうか、技術力というのが高まることが必要であります。ただ、先ほど言いましたように、予算の面で年々圧縮されている中、これまでの数、研究施設の数だとか機能を維持しておくのが果たして望ましいのかどうかという疑問もございまして、この辺り大臣に、国と地方研究機関の整理とか役割についてどう考えていらっしゃるのか、衆議院の方でもそういった議論も、研究機関について議論もあったと思うんですが、この水産研究についてどのように考えていらっしゃるんでしょうか。
  123. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先ほど長官からも答弁ありましたように、役割分担と連携ということで、全く同じものが幾つもあるということは、こういう時代でありますから、うまく機能をそれぞれ生かしていくようにしなければならないと思います。日本は水産国家でありますから、古くから漁法があって、その地域その地域で歴史、伝統、誇りがあるわけでありますけれども、役割分担をこれから一層進めていく必要もあると思います。  例えば、地先で取れるような魚はその地域で主にやっていただくとか、あるいは国際的に回遊する魚、あるいは去年のあのクラゲのような問題、これはやっぱり地元も大変だったわけでありますけれども、やっぱり国が先頭になってやっていくということが大事だろうというふうに思っております。  あるものを何でもかんでも残すということではなくて、機能をしっかりとそれこそ評価をして、あることによって意味があるものについてはもちろん頑張ってもらいますけれども、そうでないものについては、その機能がどのような形でやれば最も効率的に目的が達成できるかということを自らも、研究機関自らもきちっとチェックをしていただきながら、本来の目的を達成していただきたいというふうに思っております。
  124. 谷合正明

    ○谷合正明君 是非とも、その辺りにつきましては、調整というかリーダーシップを大臣にも発揮していただきたいと思います。どちらかというと、何か国と県が競争関係にあるというよりは、研究が何かロスしているようなことも見受けられますので、一応業務内容は立て分けておりますけれども、先ほど言いましたように、その研究施設ですとか研究員といった業務、そういったものを共有化していくということは一つ考えられる方向だと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  次に、農業者大学校の廃止について質問させていただきます。  先ほども質問がございましたので、違う角度で聞かせていただきますが、定員割れについては説明いただきましたが、この農業者大学校については計画の達成度が毎年総合評価でAをもらっていたと。その中での廃止というのは、私、純粋に何でだろうという思いがあるわけでありますが、どうしてそれが廃止になるのか、ちょっと説明していただけますでしょうか。
  125. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 農業者大学校につきましては、その教育内容につきましては一定の評価を得ていたと思っております。ただ、先ほども御説明いたしましたように、独立行政法人に移行しまして以降、カリキュラムの変更等努力を重ねましたけれども、入学者数が更に減少を続けていると、コストも非常に高くなっている、それから、都道府県農業大学校と機能的にもどうも分担関係が不明確であると。さらに、アンケート調査の結果等によりますと、昨今の農業者からは更に高度な先端的な農業技術等の教授をしてほしいという要望もあるということを踏まえまして、今回の農業者大学校は廃止をして、新たな形で農業食品産業技術総合研究機構に移管した上で新たな先端的な農業技術の教授をするという機関に生まれ変わるということにしたところでございます。
  126. 谷合正明

    ○谷合正明君 例えば、研究見直しですとか、いろいろ定員割れとかもあったということでありますけれども。それだと、どうしてそもそも総合評価で毎年Aをもらっているのかというのがよく分からないところもあるんですが。  この今回の廃止でございますが、今後、担い手育成について、これがどのように結び付いていくのかという大きな話を大臣に伺いたいんですが、これ先端的農業技術ですとか先進的な経営管理手法を教授を中心とする担い手育成事業とあるんですけれども、もう少し、何というんでしょう、担い手育成がこれでどう結び付いていくのか、どう進歩していくのかというところをお話ししていただければと思いますが。
  127. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) ですから、今回統合することによって、研究機関の方の、ある意味では広範囲かつ川下、川上一体となった効率的な研究ができるものと期待しておりますし、また何といっても日本農業を支える人材、これを輩出しております農業大学校というものとがうまく連携が取っていけば、先ほど局長から答弁ありました、要するにこういうところに来たい人は大変な意欲を持って来たいわけでありますから、もっと先端的な研究がしたい、もっといい授業を受けたい、実習を受けたいというそのニーズにこたえられるようにしていかなければ、先ほど申し上げたように、幾ら効率的に農業者大学校が生まれ変わりましたといっても、なかなか学生は、ほかにも学ぶところ一杯あるわけでありますから、来ないわけでございます。  学生はお客様でございますから、是非お客様のニーズにこたえられるようにしていくということによって、この大学校の更なる重要な役割が農業者、あるいはまた農業者を通じて日本農業に貢献できるようにこれから一層自ら努力していただかなければならない、そのための評価というものもきちっとしていかなければならないというふうに考えております。
  128. 谷合正明

    ○谷合正明君 是非、今実際に農業に携わりたいという若い人が増えておりますので、そういった方々の受皿となっていただきたいと思いますので、今回の改革が単に統合とかいう消極的な意味合いだけじゃなくて、もう少し積極的な意味合いを持っていくように改革をしていただきたいと、そのように思います。  次に、今回の統合が見送られた法人について、確認のみで聞かせていただきますが、林木育種センターと森林総合研究所の統合については、これ来年になるということなんですが、これの理由について教えていただけますか。
  129. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) お答えを申し上げます。  森林総合研究所でございますが、これは平成十六年度に試験研究機関全体の見直しの作業の一環としまして前倒しで見直しが既に終了しておりました。他方、もう一方の林木育種センターでございますけれども、本年度にその他の機関全体の見直しの作業ということで見直しを進めてきたところでございます。  しかしながら、昨年の十二月に至りまして、総務省の政策評価独立行政法人評価委員会の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性、この中で両法人統合すべきというふうにされたわけでございます。そして、その結果を受けまして、農林水産省としましても決定をしたということでございます。  ただ、この両法人統合でございますけれども、その性質がかなり異なりますし、この統合後の業務の範囲、統合後の組織の姿、また新たな組織体制における人事の在り方について検討を行う必要がございます。統合の効果を確実なものにし、また、より質の高い業務の実施を確保するという観点からも準備期間が必要であるということを踏まえまして、統合の時期を十九年の四月ということの目途ということで決定をしたわけでございます。  このように、この両法人統合は既に見直しの作業を終えた法人とあえて統合するということでございますので、その上で可能な限り早い時期の統合時期ということで来年の四月ということを決定したわけでございまして、決して作業的に先送りしたというものではないことを申し上げたいと思います。
  130. 谷合正明

    ○谷合正明君 じゃ最後に、水産大学校につきましては専攻科で定員割れが生じているようなんですが、この辺り、水産大学校が、例えば先ほど申し上げておりました水産総合研究センターとの統合だとか、そういったことは検討にはならなかったんでしょうか。
  131. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) まず水産大学校でございますが、これは水産の生産現場に密着した人材の育成を図りたいという形の、言わば実務を含めた、実習を含めた教育をしている機関でございます。  水産総合研究センター、これは水産に関する技術向上に寄与という形で、総合的な試験研究機関でございまして、この両法人のやっている目的、仕事内容、大分異なっております。  それから一方で、水産大学校の運営状況でありますが、今御指摘ございました専攻科で一部定員割れありますけれども、全体としますと、入学試験の倍率が十八年度の場合でも三・八倍でございます。それから、全体としての定員状況、充足率も平成十七年度で一〇三%でございまして、そういう意味では、そういった運営の下で漁業、養殖業、それから水産加工・流通業といった幅広い水産業界に人材を供給しているといった機能を果たしております。  したがいまして、私ども、それぞれの法人目的や業務内容が異なるということに加えまして、現在の水産大学校の運営状況がおおむね良好な状態にあると、したがって両方にそれぞれ今の独自の姿で運営の効率化を図っていくことが適当だというふうに考えたところでございます。
  132. 谷合正明

    ○谷合正明君 終わります。
  133. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  まず、今回の組織の見直し、非公務員化は一昨年からの政府全体の方針の中で決められたものですけれども、農水省は当初、法人統合ではなくて現行の体制の維持を主張して、非公務員型への移行で業務が停滞するんじゃないかという懸念をしていたというふうに聞いています。しかし、押し切られて今回の法案提出に至ったと。そこにやっぱり農林水産研究という、ほかの研究と違う特徴や特殊性を配慮すべきだという考えがあったんだと思うんです。  私も、農林水産研究は、やはり食の安定供給ですとか自給率向上、それから安全、安心ですね、国土環境保全や農業の多面的機能と、こういう公共性が強い、民間にはできない分野の研究が多いというふうに思うわけです。しかも、長期にわたって本当に粘り強くやらなきゃいけない研究がありますし、お話にも出ていましたけれども、地形とか気候も多様な地域に合った研究が求められているというふうに思うんです。  最初に大臣に、この基本認識といいますか、農林水産研究の特徴や特性をどのように認識をされ、国としての発展への責任についてどうお考えかということについてお聞きしたいと思います。
  134. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) それぞれ試験研究は重要でありますけれども、農林水産研究というのは、まず生き物、自然あるいは水、土壌、空気といったものが大事な研究要素にあるわけであります。  それから、今御指摘ありましたように、工業品と違いまして、植物ですと大体一年に一回とか、あるいはお魚ですと何年間かに一回とか、木材、木になりますと、何十年、何百年という時間のその軸が物すごく長いという特性もあるわけであります。  と同時に、最近は、単に生物というだけではなくて、バイオテクノロジーを利用したり、バイオマスエネルギーという観点からも重要な役割を果たしているわけでございまして、そういう意味で、昨日ですか、参議院の予算委員会でも御質問がありましたけれども、昆虫研究によるいろいろな革新的な研究開発、二十一世紀最大の未利用資源であるというような御質問もあったところでございます。  そういう意味で、世界じゅうが、そして日本じゅうが今一生懸命研究をしておりますけれども、まだまだ未知の部分が一杯あって、無限の可能性のある大事な研究分野であると。そして、日本はその研究において過去にも実績がありましたし、今後も激しい競争、これはもう途上国も含めて世界じゅうがこの分野でしのぎを削っているわけでありますので、日本としても研究技術立国としては何としてもその競争に負けるわけにはいかない、そして世界に貢献をしていきたいというふうに理解をしております。
  135. 紙智子

    ○紙智子君 今いろいろ言われて、農林水産研究の特性、特徴からして、政府全体の方向にある組織の縮小や民間活用、短期に成果を求めるというような独法の方針というのは、やっぱり検討を要するというように思うんです。  今回、農業生物系特定産業技術研究機構農業工学研究所食品総合研究所のこの統合、組織体制の変更ということで行われるんですけれども、五年前に再編されたばかりでまたもや変更ということで、今後とも独法は五年ごとの組織見直しを求められるわけです。  現場では、頻繁な組織改編ということで、研究評価業務で費やすエネルギーというのは非常に大きいと、安定した業務推進にならないという声も出ているんですね。当然だと思うんです。さらに、独法の中期目標で論文数を始め数値目標の設定も求められていると。研究の尺度に効率性が導入されるということになりますと、これはやっぱり短期に成果を得られるようなものへの傾斜ということも懸念があるわけです。もちろん、研究者は早く効率的にこの成果を上げようということで努力しているわけですけれども、しかし落ち着いた研究体制、研究の息の長い期間が保障されなきゃいけないということもあるわけです。  今回の組織の統合や独法の中期目標がこの農林水産研究推進にとって障害や弊害を生まないようにどのような配慮や留意が必要だというふうにお考えでしょうか。
  136. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 農林水産研究推進につきましては、基本的には平成十七年三月に閣議決定されました新たな食料農業農村基本計画と、それを受けて策定いたしました農林水産研究基本計画、これを達成することを基本としておるところでございます。  このために、農業関係試験研究独立行政法人の担うべき研究内容を食料農業農村基本計画及び農林水産研究基本計画で示されました研究分野に重点化し、集中的に研究開発を行うことを各法人の中期目標に明示いたしまして、その着実な実行を図ることとしているところでございます。  そういう意味でございますので、統合いたします農業関係の三法人につきましては、やはり現在の農業の情勢が求めているような試験研究推進するというのが極めて重要であろうというふうに考えておりますので、農業生産性の向上なり持続的な発展、あるいは農作物、あるいは食品の安全、安心確保、こういうようなことを重点的に取り組むことが重要であろうというふうに考えております。  ただ、その際、先ほどお話が出ておりますように、やはり農業については地域性なりあるいは中長期の観点からやらなければならないという点がございますので、このような研究課題の設定、その具体的な推進におきましては、地域性なりその試験研究の継続性、これに十分配慮しながらやっていくというのが重要であろうというふうに考えております。
  137. 紙智子

    ○紙智子君 昨年、筑波で懇談をしたときに、ある理事長さんが、統合効率化が迫られているんだけれども、研究面で国民のサービスの継続に支障が出ては困ると、今でも研究の芽が途中で打ち切られる例があるんだということも率直に出されていて、統合効率化研究後退の懸念があるという声も寄せられたんです。  そうならないようにできるということでおっしゃっていただけるんでしょうか。
  138. 染英昭

    政府参考人染英昭君) そもそも研究というのは、研究者がそれを担って日々研究をするということを考えますと、当然のことながら過去の研究蓄積、それと今後の研究に対する取組、さらには将来の例えば農業をどういうふうに変えていくのか、それから出てまいります研究課題、この辺を全体を見渡しながら研究に取り組んでいくというのが重要だろうと思っております。そういう意味で、筑波の優れた研究者におかれましては、今申し上げたような観点から、当然のことながら、研究の継続性に配慮しながら研究に取り組んでおるということでございます。  そういう中で、やはり国の重点目標というのは、それぞれその時々の農政の変化がございますので、それに応じて設定されていくということでございますので、その全体の課題、いわゆる研究目標あるいは研究課題の設定と研究者の従来やってきた研究をいかに調和させながらやっていくのか。でき得れば、過去やってきた研究成果、それと今後の研究に対する志をきちっとそれに生かしていくというのが重要であろうと思っておりますので、なるべくそのような研究者の希望が研究計画の中に生かせるようにやっていくというのが研究計画の策定あるいは研究課題の具体的な設定のときにも重要であろうというふうに考えております。
  139. 紙智子

    ○紙智子君 研究にとって、やっぱり研究費といいますか予算というのが非常に大事な確保の問題があると思います。  国は外部資金の導入や自己収入を奨励するということなんですけれども、農林水産研究は民間でできないやはり公的な研究という性格からして、外部からの収入がほとんど見込まれないというのが現実だと思うんです。それでも、少しでもそういう法人の収入が増えれば、その分法人への運営交付金が減らされるということがあると。結局予算は増えないということですよね。  それから、国の競争的研究資金の獲得ができない部門というのは、交付金の削減の中でもう研究費も人員も減らされると。しかし、今競争的研究資金の獲得ができないような研究部門でも必要性は高まるものもたくさんあるわけです。研究の継続というのは重要だと。その点では、やっぱり日常的な研究費に費やされる運営交付金が毎年削減されるというのはやっぱり問題だなと思うんです。  農水省研究予算確保をどういうふうに保障していくのでしょうか。
  140. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 試験研究機関研究推進するということを考えますと、試験研究機関が持っている予算というのは、一つには運営費交付金であり、あるいは外部資金の獲得という意味競争的資金の確保、この二つが大変大きな予算ではないかというふうに思っております。  そういう中で、競争的資金というものは、当然のことながらその使途が決まっておるというような性格のものでございますので、要は、日常的な研究者の研究の中から我が国農業に役立つようなものを生み出していくというものについては運営交付金をいかに使っていくのかという問題だというふうに考えています。  そういう意味で、これは基本的には独立行政法人の理事長のトップマネジメントの下にいかに研究費を配分するのかというふうな考え方から、正にそれぞれの独立行政法人が置かれた位置、日本農業に対する関係等を考えながら、どこに重点的にお金をつぎ込むのか、そのときの研究課題はどういうものをやるべきなのかということを主体的に判断していただきたいというふうに考えております。  ただ一方で、運営交付金につきましては、御指摘のように、これを削減を図っていくというふうな大前提がございますので、この辺は、業務の効率化を図るとか、あるいは必ずしも専門的分野のレベルがそう高くないというようなものについてはアウトソーシング等によりましてなるべくお金を節約していくと、そういうような努力も一方で必要になっていこうと思っております。
  141. 紙智子

    ○紙智子君 例えば、中越地震のときにため池が揺すられて崩れてしまったり地すべりという事態があって、これをどう防止するかとか、こういう研究なんかも本当大事だなというふうに思うわけですけれど、地方自治体からの依頼は多いけれども、しかしこういう分野って民間からの資金は少ないということもお聞きしたわけです。予算も多くなくて研究重点化しなきゃならないということで、やっぱり予算面で必要な研究を絞らざるを得ないという懸念も出されているわけですね。やっぱり予算不足のために必要な研究ができないということがないように、そこはしっかりと見てやっていかなきゃいけないんじゃないかというように思うんです。  それから、非公務員化で公務への支障はないのかと思うんですね。私は、国でしかできない公的な部分が強い農林水産研究というのは、それが停滞すると、食料の安定供給や安全や災害や伝染病や、こういうものへの対応が非常に支障を来すと、国民生活に支障を来すことになるというように思いますので、こういうところで公務員としての研究は行われるべきだというように思うわけです。  それが非公務員型というふうに今度なるわけですけれども、法案は公務員みなし規定で秘密保持義務や刑法適用がうたわれているわけですけど、例えば自然災害、これに対応した出動だとか、伝染病で立入検査をするとか、処分だとか、こういう一定の公権力の行使が必要になるわけです。そういう公的な業務が円滑にできる保障というのは、これ、法案のどこに明記されているのでしょうか。
  142. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 公権力の行使という意味でもいろんな場面があると思います。例えば、自然災害のときの発動、あるいは伝染病が蔓延しそうなときにいわゆる研究機関研究的なアプローチからお手伝いするというような点もあろうと思います。この辺につきましては、従来から、それぞれの独立行政法人の設置目的に応じまして、それを実施すべき業務として位置付けられているところでございます。  またさらに、いわゆる公権力の行使という意味では、例えば立入検査等の問題もあるわけでございますが、この辺は、検査を受ける側あるいは国民一般の理解と納得を得なければなかなか円滑に業務が進まないという点もございますので、非公務員化するというふうなこの移行に当たりましては、引き続きまして立入検査等の必要性あるいは主務大臣の指示に基づき立入検査を実施する旨などについて、検査を受ける側や国民に十分周知していくということをやってまいりたいというふうに思っております。
  143. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっと、だんだん詰まってきたんですけど、もう一つ。  農水省関連の独法に今七十七人の任期付職員がいるんですけれども、非公務員ならば何回も任期付きの更新ができるわけです。農水省は、非公務員型になるメリットとして人事交流の活発化ということを言うんですけれども、こういう任期付職員を拡大する考えなんでしょうか。短くお願いします。
  144. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 従来、独立行政法人の採用という意味では、国家公務員のⅠ種採用試験活用する、これ従来公務員型で対応ができるわけでございますが、あるいは独立行政法人独自に選考採用などをやっているところでございます。  この選考採用の中には、いわゆるパーマネントで採用する者あるいは任期付きで採用する者等があったわけでございますが、これ、独立行政法人化した後に、今申し上げましたような選考採用で任期付きあるいはパーマネントの採用が大分増えてきたというふうな実態もございます。  この任期付研究者というものは、やはり従来の独立行政法人研究者では持ってないような分野の能力を持っているような人を採用するとか、あるいは若手の研究者で今後大いに活躍できそうな方を採用するなど、いろんな多様な採用のやり方があるんだと思うんですが、そういう意味で極めて有用な採用手段であろうというふうに考えておりますので、この辺は大いに活用してまいりたいというふうに考えております。
  145. 紙智子

    ○紙智子君 既に一足早く非公務員化されたほかの研究所で、この任期付臨時職員が急増傾向にあるんですね。若い人たちが任期付きで採用されて、三年から五年単位で更新を常に気にしながら働くことになるわけです。大変不安定なんですね。更新されない場合も出てくると。こういう状況で本当に安定した研究生活ができるのかなと。更新されない、とりわけこの息の長い農林水産研究を続けることには支障が出てくるんじゃないかと。  そういう採用方法が拡大していくということになると、人材育成どころか独法のこの研究者の確保自身が難しくなるんじゃないかと、そういうふうに懸念するんですけれども、この点いかがでしょうか。
  146. 染英昭

    政府参考人染英昭君) 基本的に任期付研究者は、先ほど申し上げましたように、優秀な人材を採用するという意味では極めて有用な手段であろうというふうに考えております。そういう意味で、具体的には特定の研究課題ごとに公募を行いまして、博士号を取得済みの即戦力となるような研究者を三年なり五年の任期付きで採用しているわけでございます。じゃ、任期付研究者が任期満了になったときにどうするのかということになりますと、やはりこれは独立行政法人におきまして、当該研究の進展の程度であるとか、あるいは本人の意向等に基づいて処遇を決めてるということでございます。  ただ、一般的に申し上げますと、この任期付制度というのは、いわゆる研究者のキャリア形成にとって大変有用な制度ではないかというふうに考えております。総合科学技術会議の科学技術基本計画においても規定されておりますし、また欧米におきましても研究者にとって定着した仕組みとなっておりますので、国内の研究者にあってもこうした制度の適用が図れるよう、そういう方向でやってまいりたいというふうに考えております。
  147. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっと時間がなくなったので、最後一つだけお聞きしておきたいんですけれども、さけ・ます資源管理センターに関連した、三陸、岩手のアキサケの不漁の原因の調査と、これに対する国としての取組というか、支援といいますか、これについて通告してあるんですけれども、一言お願いします。
  148. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) サケの来遊数の増減に影響しますサケの回帰数の変動の要因でございますけれども、これは放流した稚魚の大きさ、それから苗としての健全性ということと海洋環境の変化、特に、その稚魚の放流が行われる際の春先の沿岸でのえさの環境、これが大きな要因でございまして、まずプランクトンでございます。そういったものをさけ・ますセンターにおきましていろいろ調査しておりますが、特に岩手県の沿岸につきましては県と共同で、この不漁原因の解明という意味で、一種の標識を付けた稚魚の放流を行っています。あわせて、その沿岸域の海洋調査とか、それから北洋から帰ってくる親魚のモニタリング、こういうことをやりまして、そのプランクトンの量とか沿岸域での減耗要因の把握に努めているということが一点でございます。  それから、民間が行っていますふ化放流事業におけます稚魚の健苗性の確保というための技術指導をやってまして、今、こういった事業の取組中でございまして、統合後の水研センターにおきましてもこれを引き続き継続していくということでございますし、あと東北区水産研究所におきまして、本州太平洋岸におけるサケ・マスの調査、こういった研究なんかをやっていくために、さけ・ます調査普及課というものも新設することにしております。
  149. 紙智子

    ○紙智子君 終わります。
  150. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  151. 紙智子

    ○紙智子君 私は、日本共産党を代表して、独立行政法人に係る改革推進するための農林水産省関係法律整備に関する法律案に反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、農業生物系特定産業技術研究機構など四法人統合は、研究上の必要性からではなく、研究機関の組織縮小、公務員減らしの一環であるからです。元々、現在の農業技術研究機構は、十二の試験研究機関を二〇〇一年に統合したばかりで、わずか五年の後の今、また農業工学研究所食品総合研究所、それに農業者大学校を統合し、農業食品産業技術総合研究機構へと再編されます。  しかし、これらの機関評価委員会によって十分な総合評価を受けているもので、研究上から統合再編の必要はありません。目まぐるしい組織変更はそれに膨大なエネルギーを費やし、安定した研究体制づくりに障害になっています。また、統合再編を機に、今度の中期目標で事務、業務を法人として担うべきものに特化、重点化を挙げ、業務の一層の効率化をうたっています。こうした方向は、政府の公務員減らしと併せて、粘り強い地道な多様な研究が要求される農林水産研究の縮小、切捨てにつながることは明らかです。  反対の第二は、役職員の非公務員化は、公務として行うべき農林水産研究にそぐわないばかりか、研究者の身分を不安定にし、安定した研究体制づくりに障害になるものです。農林水産研究は、BSE対策や鳥インフルエンザの発生防止、遺伝子組み換え作物の侵入、混入の防止、有害危険物質の検出や低減化など、食の安全や農作物、生物環境の安全性確保など、国の責任として行うべきものが多く、公務としての位置付けで行うべきで、その点から非公務員化は問題であります。また、非公務員化によって任期付雇用が制限なくできるようになり、政府もそういう方向を強めようとしています。任期付雇用は言わば職員の使い捨て制度と言わざるを得ず、その拡大は雇用の不安定化につながり、ひいては研究者の確保にも影響せざるを得ません。  反対の第三に、農業者大学校の廃止は、農業担い手育成にとって大きな後退となるからです。新しい研究機構と統合し、先進的な技術経営管理を教授するとしていますが、総合的な知識や技術を身に付けたリーダーになる農業者の育成や、今まで果たしてきた道府県の農業大学校への支援機能が大幅に後退することは明らかです。  以上の反対理由を申し上げて、討論といたします。
  152. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  独立行政法人に係る改革推進するための農林水産省関係法律整備に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  153. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十七分散会