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2006-03-22 第164回国会 参議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月二十二日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩城 光英君     理 事                 加治屋義人君                 常田 享詳君                 小川 勝也君                 小川 敏夫君     委 員                 岩永 浩美君                 岸  信夫君                 国井 正幸君                 小斉平敏文君                 段本 幸男君                 野村 哲郎君                 三浦 一水君                 郡司  彰君                 主濱  了君             ツルネン マルテイ君                 松下 新平君                 和田ひろ子君                 谷合 正明君                 福本 潤一君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   中川 昭一君    副大臣        農林水産大臣  三浦 一水君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       小斉平敏文君    事務局側        常任委員会専門        員        高野 浩臣君    政府参考人        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       松本 義幸君        農林水産大臣官        房総括審議官   佐藤 正典君        農林水産省総合        食料局長     岡島 正明君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        農林水産省生産        局長       西川 孝一君        農林水産省経営        局長       井出 道雄君        農林水産省農村        振興局長     山田 修路君        林野庁長官    川村秀三郎君        水産庁長官    小林 芳雄君        国土交通大臣官        房審議官     佐藤 直樹君        国土交通省北海        道局長      吉田 義一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○平成十八年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成十八年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成十八年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (農林水産省所管及び農林漁業金融公庫)     ─────────────
  2. 岩城光英

  3. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 去る十六日、予算委員会から、本日一日間、平成十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  中川農林水産大臣から説明を求めます。中川農林水産大臣
  5. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) おはようございます。  平成十八年度農林水産予算概要を御説明申し上げます。  平成十八年度一般会計予算における農林水産予算の額は、関係省計上分を含めて二兆八千三百十億円となっております。その内訳は、公共事業費が一兆二千六百十七億円、非公共事業費が一兆五千六百九十二億円となっております。  平成十八年度農林水産予算は、担い手育成確保を始めとする農業構造改革推進食料供給消費システム改革推進地域資源を生かした農村活性化を図るとともに、京都議定書目標達成に向けた森林吸収源対策の着実かつ総合的な推進や、構造改革推進を通じた我が国水産業漁村再生を進める観点から、重点施策に思い切った予算配分を行うなど、新たな政策展開が図られるよう編成いたしました。  以下、予算重点事項について御説明申し上げます。  第一に、担い手育成確保を始めとする農業構造改革推進に努めてまいります。  このため、十九年産から導入する品目横断的経営安定対策の迅速かつ円滑な導入に向けて、新対策の啓発や交付システム構築などを進めてまいります。  また、集落営農組織化など担い手育成確保施策を強力に推進するとともに、担い手に対する農地利用集積推進してまいります。  さらに、IT技術による精密農業や低コスト植物工場など、未来農業構築の核となる革新的技術の応用、普及を推進するとともに、新産業の創出を支えるバイオテクノロジーの先端技術を活用した技術開発を加速化いたします。  このほか、食料供給力確保に向けた農業生産基盤整備促進するとともに、本年度に引き続き、米政策改革に関連する施策を着実に推進してまいります。  第二に、食料供給消費システム改革推進してまいります。  このため、科学的かつ統一的な有害化学物質実態調査実施するなど、科学に基づくリスク管理による食の安全と消費者信頼確保に努めるとともに、農薬等適正使用推進や水際における動植物検疫体制強化等により、国民への安全な食料安定的供給に万全を期してまいります。  また、関係府省と連携しつつ、食事バランスガイド活用等を通じて、望ましい食生活の実現に向けた食育活動推進してまいります。  また、輸出拡大目標達成に向け、意欲的な目標を掲げて戦略的に取り組む者に対して重点支援を行うなど輸出倍増対策を強力に推進してまいります。  さらに、農産物の生産から流通にわたるフードシステム改革するため、食品産業農業連携推進するとともに、生産資材の効率的な利用などコスト縮減に向けた先進的な取組への支援実施してまいります。  第三に、地域資源を生かした農村活性化に向けた支援を行ってまいります。  このため、農地、水、環境の保全向上自然循環機能維持増進を図る政策確立に向けて調査検討に必要な事業推進してまいります。  また、広域的なバイオマス利活用システム構築に対する支援等により、バイオマスニッポン総合戦略を強力に推進してまいります。  さらに、都市住民グリーンツーリズム情報に接する機会の拡大や、立ち上がる農山漁村への支援等により、都市農山漁村の共生・対流の促進農山漁村活性化推進してまいります。  このほか、本年度に続き、中山間地域等直接支払制度を確実に実施してまいります。  第四に、京都議定書目標達成に向けた森林吸収源対策を着実かつ総合的に推進してまいります。  このため、間伐の着実な推進、針広混交林化広葉樹林化促進など、多様で健全な森林整備保全推進してまいります。  また、低コストで安定的な木材供給実現に向けた、川上から川下まで一体となった新たな生産システム確立や、緑の雇用担い手対策事業推進してまいります。  さらに、木材合法性を証明するための業界団体による自主的な取組検証等違法伐採対策推進するとともに、木材木質バイオマスの総合的な利活用推進を図ってまいります。  このほか、災害により森林機能が低下した流域における民有林国有林一体となった治山対策等による、安全で災害に強い国土づくり推進してまいります。  第五に、我が国水産業漁村につきましては、構造改革推進を通じ、その再生を総合的に推進してまいります。  このため、大型クラゲの出現や燃油価格高騰の下でも継続可能な漁業経営確立に向けた支援や、ノリ養殖業体質強化漁業への新規就業促進などによる漁業改革推進するとともに、安全で安心な水産物の供給のための施策実施により、加工流通改革推進いたします。  また、水産資源調査資源管理推進、内水面漁業振興のための施策により、水産資源の適切な保全管理とつくり育てる漁業推進してまいります。  さらに、災害に強い漁業地域づくりなど、漁港、漁場、漁村総合的整備等による水産業漁村活性化推進してまいります。  次に、特別会計については、必要な見直しを行った上で、食糧管理特別会計等について、それぞれ所要の予算を計上しております。  最後に、財政投融資計画につきましては、農林漁業金融公庫等による財政投融資資金借入れ等総額二千百三十九億円を予定しております。  以上で、平成十八年度農林水産予算概要説明を終わります。
  6. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 以上で予算説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 国井正幸

    国井正幸君 自由民主党の国井正幸でございます。  この委員会に私も何年ぶりかに戻させていただきまして久しぶりに質問させていただきますので、どうぞ、限られた時間でありますが、よろしくお願いをしたいと思います。  まず初めに、当初予定もしていなかったわけでありますが、伺うところによりますと、十八日かに、BSEですね、アメリカに対して二十数項目のたしか質問をしておったと思いますが、これが、その回答があったというふうなことで伺っておりまして、これに対して余り時間を掛けるつもりはありませんが、是非政府委員の方からこの回答概要についてちょっと御説明をいただきたいと思っておるわけでございます。  あわせて、これに対して──次官来てないですか。この関係、大丈夫ですか。
  8. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) じゃ、私から。
  9. 国井正幸

    国井正幸君 ああそうですか。じゃ、恐縮です。大臣から直接で申し訳ありませんが、この概要についてちょっとお伺いさせていただきたいと思います。
  10. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、国井委員指摘のように、二月十七日ですか、アメリカから報告書が参りました。それを日本側精査した上で質問等々をアメリカ側に照会していたわけでございますけれども、ワシントン時間で金曜日、日本時間ですと土曜日の午前中にアメリカ側から回答が参りました。現在、これにつきまして厚生労働省等政府としてこの内容を精査しているところでございまして、改めて今後この扱いをどうしていったらいいかというところを今慎重にやっているところでございます。
  11. 国井正幸

    国井正幸君 私も実は、この回答の一部、日本語に訳した部分ですね、ちょっと見せてもらっておるんです。そういう中で、やっぱりこれ厚生労働省農林水産省、それから食品安全委員会含めて、しっかりとやっぱり実務的によく精査をしてもらわないといけないことだというふうに思っておりますが、ただ、率直のところ、私個人の受ける印象としては、今回こういう事態が、なぜ特定危険部位が混入されたのかと、こういう我が国の素朴な質問に対して、認定された品質評価システムマニュアル当該施設が従わなかったことが一つだと、守らなかったと、これがね。それから、その逸脱を食品安全検査局検査官が探知できなかった結果として発生したんだと言うんですね。  じゃ、なぜ探知できなかったのかと、こう聞いていくと、今ちょっとお話ありましたように、食品安全検査局検査担当者が、これは、AMSというのは農業販売促進局ですかね、これの対日輸出証明プログラムの下で日本輸出することを認められたことを認識してなかったんですね、知らなかったというわけですよね。今度からは、今度、そういう食品安全検査局検査担当者に、検査担当者が勤務する工場に関するすべての輸出証明の、そこにいる検査担当者が変更があった場合、すべての人に知らしめるようにしたから大丈夫なんだということなんですね。  それから、今後、今回と同様の事案の発生の可能性はないのかということになると、アトランティック社というのとゴールデン社施設は既に認定施設から、そのリストから除外されたから大丈夫だと言うんですね。そして、一つの不適切な製品の検出が輸出システム全体の脆弱性を示すものではないと、こういうことで言っているんですね。  それは立場が違うから、それはそういうことなのかもしれないが、我々からするとちょっとやっぱり納得し難い部分があるんですね。特にアメリカでは、航空宇宙工学含めて、やはりHACCPの制度そのものもそうでありますが、どこでそういう問題があったのかということで全体的に問題点を追跡できるシステムが世の中全体にあるんではないかと、こう思っている国においてこういうことが起きてきちゃうと。全く初歩的なミスなんだろうと思っておりまして、そういうことがなくなるようにしっかりやってくれというのが我が国の要望なんだが、どうもやっぱりそういう意味ではちょっとなかなか納得し難いなと私は実は思っているんですよ。  その中で、だれが対日輸出条件の適合を確保する責任を有していたかと、だれが責任者だったんだと、現場においてですよ。そうすると、それぞれの総括マネジャーだとか、いや、品質保証マネジャーだとか、いろんなマネジャーがいると。これらが第一義的に問題だと。じゃ、なぜそのマネジャーはその責任を果たせなかったのかと、こういうふうに更に聞いていくと、なぜそのようなことを起こったのかということに更なる情報の入手をすることが困難だったと言うんですね、困難だったと言うんですよ。  OIGという、これは何なんでしょうかね、この機関が今調査をしていると、まだ調査をしてないから完了後に更なる情報が入手できるように期待をしていると言うんですよ。期待をしている。しかし、このOIG調査完了予定日はまだ未定だと言う。未定だと。だから分からぬというわけですよ。OIG調査結果は完了次第しかるべき措置の検討のために適切な政府担当官に提供される予定であると、そういうことなんでしょう。  しかし、そこでまた今度言っているのは、OIG調査OIG調査部によって実施をされ、日本政府に完全な形で公表された監査と、今回のですよ、監査をしてきたことと混同されるべきではないなんということを言っている。何を言っているんだかよく分からない、何を言っているんだかよく分からないんですね、私は。  ですから、やっぱりこの時間、この問題でそう長く時間取る予定ありませんが、是非大臣、これ事務的にしっかりと精査をしていただいて、その上でやっぱり詰めるべきところはしっかり詰めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  12. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 全く国井委員の御指摘のとおりでございまして、これはいわゆるリスク管理のその運用がうまく、全くうまくいっていなかったということでありますから、原因の究明と再発防止ということを求めているわけであります。国井委員も全く分からない、また、まして公開されたこの回答国民皆さんに理解ができなければ、仮にきちっとリスク管理をしても、やっぱり消費者皆さんがこれ買わないとアメリカにとってもプラスにならないわけでありますから、私は、今回の問題はアメリカ側責任があり、そしてきちっと消費者米国産牛肉を輸出、そして食べさせたいんであれば説明責任アメリカに私はあるんだろうというふうに考えておりますので、そういう意味で、これからもきちっとやるべきことを米国側にも要求していかなければならないと考えております。  OIGというのは、業者に対してというよりもアメリカ農務省の中を検査する機関だそうでありますし、あとFSISとかAMSとかいろんな機関があって、しかも時期的に、検査をした時期が、報告書がその後に来ちゃったとか、非常に我々も混乱しやすい状況になっておりますので、すきっとアメリカ側としても、このOIGレポートについては処理をしたという結論になっておりますけれども、しかしそれは再開前の、一年も前の作業の報告書がその後にぽこっと出てきちゃうと一体これは何だと最初不思議に思うわけでございまして、そういう意味で、今回のこの輸出プログラムがきちっと我々リスク管理機関日本側リスク管理機関だけではなくて国民皆さんが納得できるようにしていくことが私はアメリカ側にとっても目標ではないかというふうに思いますので、やるべきことは引き続ききちっとやっていきたいというふうに考えております。
  13. 国井正幸

    国井正幸君 是非そういうことでお願いをしたいというふうに思います。  次に、WTO、FTA、あるいはEPA等々、今交渉のさなかにありますが、そういう中で、去る三月の十六日、中川大臣経済財政諮問会議に伺って今後の農政の展開方向について中川イニシアチブということで御説明されたというふうに伺っております。  ここの中で、守るところは守ると、譲るところは譲ると、攻めるところは攻めるんだと、こういうふうなことでおっしゃっておられて、まあそういうことなのかなと、こういうふうにも、確かにそうだろうなというふうに思うんでありますが、いわゆる守るところは守る、譲るところは譲ると、こうあるわけですが、今やっぱり特にWTOのモダリティーの確立を含めて大詰めの交渉を行っているわけでございまして、しっかりやっぱり守るべきところを守らないと国内対策は大変なことになるだろうというふうに思っておるわけですね。やっぱり譲る部分が多くなれば、国内で、一般論として考えてですよ、大臣という立場でこれ、農林水産業国内を守るという立場で考えると、やっぱり譲らざるを得なくて譲ってしまうと国内対策に大変な、費用を含めて相当掛かるというふうに思うんですね。  そういう中での、この守るところは守り、譲るところは譲るということでありますが、是非この辺の、今は交渉過程にあるから、なかなかそれは今言えることと言えぬことといろいろあると思いますが、総論として、大臣のその姿勢についてちょっとお伺いしたいと思います。
  14. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 実は、守るべきところ、攻めるべきところ、譲るところというのは、私は、おととし、何年前ですか、もうさきおととし、経済産業大臣に就任したときから使っている言葉でございまして、交渉にはそういう三つの要素があるんでしょうと。ですから、経済産業省、どちらかというと工業分野ですから攻め部分が多いんですけれども、でも守るところ、譲るべきところもあるんだという認識で取り組んでおりました。  今回、農林水産大臣を拝命いたしまして、今度は守りが専らでございますけれども、そういう中で、守りばっかしやっていたら、これはもう攻めも譲りもなかったら、守りばっかしではますます厳しくなるだろうと、ですから我々の方にも攻めるところはあると。  例えばアメリカ国内支持政策、あるいはまたブラジルだって、攻め一辺倒のようですけれども、例えばエタノール、砂糖に対する補助金の問題があるわけでございますし、それから全体としては、非農産品だとかサービスだとか、あっちの方で攻めることもできます。  それから、守り攻め、これ両方になるんでしょうけれども、開発ラウンドですから、やはり途上国に対して日本が積極的に貢献をすると。これは、年末の香港前に小泉イニシアチブというものが出されたわけでありまして、これがある意味では途上国、とりわけLDCに大変な配慮として評価されたわけであります。EUが言っているように、武器以外は一〇〇%無税無枠だと。日本の場合には守るところがございますので、タリフラインで九八・一%、そして金額、貿易額で九九・九%までオープンにしますよということで、多くのLDC諸国から評価をされたところでございます。  したがって、セクター別、あるいは途上国に対する配慮といった譲るところ、そして守るところをうまくバランスを取りながらやっていく。輸出国輸入国というのは対等の関係で初めて貿易ルールというのが信頼性が保たれるというふうに思っております。  そして、守るところは何かといえば、日本国民期待している日本の食に対する信頼、これはもうウルグアイ・ラウンドのときとは違って大変に、我々が目指している方向消費者の目指している方向は私は同じだと、国民的コンセンサスがある、それを前提に交渉をしているという、ある意味では有り難い状況だと思っておりますので、大事な重要品目を守っていく、あるいはまた農業農村漁村を守っていく。そして、これをぎりぎり守っていかなければ、これは業に携わる方々だけではなくて、日本国民全体に対して、将来の食の不安というものを感じていらっしゃるわけでありますから、そういうところは何が何でも守っていくという決意で、先ほど申し上げたようなバランスを取りながら何とか、同盟国といいましょうか、同じ立場の国々と協調しながら、そして最終的には国民的なコンセンサスを支えにして交渉に臨んでいきたいというのが私の基本的な姿勢でございます。
  15. 国井正幸

    国井正幸君 是非、今大臣おっしゃっていただきましたが、大臣経済産業大臣もやられておられてですね、この間、私も決算の総括審査のときに総理に申し上げたんですけれども、是非縦割り我が国もなりがちで、むしろ、これは私が言うことじゃありませんが、総理からすると、中川大臣経済産業大臣として随分、WTO部分工業分野を主にしょってこれまでずっとやられてきた。そういう中で今度は農業という分野もあると。元々農業に、農林業政策に精通しているということで、そういう意味で私は、バランスよく、正に我が国のこの加工貿易立国の中でしっかりとやっぱり国のなりわいを支えていく、これは中川大臣にやってもらった方がいいんじゃないかという強い思いで恐らく農林水産大臣に起用されたんじゃないかと、こう私は思っているんです。  そういう意味からしますと、是非やっぱり大臣農林水産大臣ということになると、農林政策の中で攻める、守るあるいは譲る、こういうことに往々になりがちだと思うんです、一応所掌の範囲というのがありますからね。しかし、もう一つやっぱり大きくとらえて、我が国全体としてやっぱりとらえてもらいたいと。そういう意味では、私は総理に申し上げたんですが、むしろ、この貿易というのが我が国経済を支えていく大きな要素だとするならば、もうちょっとやっぱり、例えば貿易担当大臣のようなものをしっかり置くべきじゃないかと。むしろ、海外から見ると、私のつたない知識というか情報の中からすると、やっぱり外国に向かっては中川大臣は非常に有名ですよ。だって、経済産業分野でやり、農業分野でずっとやっていて、貿易というと中川先生の名前が出てくると、こういうふうなことでもあって、私は、やっぱりそういう顔になるというのは、外国はそうなんですよね。  そういう意味からすると、是非、守る、譲る、攻めるという部分を、農林分野だけではなくて、トータルとして是非力強くやっていってもらいたいなと。我が国、強い部分いっぱいあるわけですね。是非閣内において、所轄の範囲を超えるかもしれない。しかし、内閣の一員としてしっかりとその辺は二階経済産業大臣あるいは外務大臣等々とも連携を取って、しっかりこれやり遂げてもらいたいと、そういう思いするわけですが、いかがでしょうか。
  16. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 全く御指摘のとおりだと思います。先ほども申し上げたとおりで、農業だけで守っていたら、これはどのぐらい後ろに下がっていっちゃうのかと、前はないわけですから。それを防ぐためにも、農業分野でも攻めるところは攻めますし、非農産品、ここには林水も入ってくるわけでありますけれども、あるいはサービス、あるいはまたルール、あるいはまた途上国支援貿易円滑化、その他いろいろほかにも分野があって、日本が貢献できるあるいは攻め分野がありますので、そこは各大臣、そして総理が最終的には貿易担当大臣は自分だというふうにおっしゃっておられるわけでありますから、総理官邸とも連絡を密に取りながら、大事な時期に向かって、ある意味では戦っていきたいというふうに考えております。
  17. 国井正幸

    国井正幸君 是非よろしくお願いします。  時間も随分押してきちゃって、済みません。  それでは、実は担い手の、経営安定対策、これから法案が出てくるわけでありますが、しかしやっぱりこれ一刻も争うという状況も実は私感じておりまして、どうもあした辺りから衆議院でこれの法案審議に入るというのも一部マスコミで報じられております。そういう意味で、いずれ本委員会にも回ってまいりますから、そのときに詳しくは議論する時間もあろうと思うんですが、しかしそんなことをやっておったんでは間に合わなくなるということも実はちょっと感じておるものですから、ちょっとそれの関係質問をさせていただきたいと思います。  これまで、我が国食料農業農村基本法あるいは基本計画等でも、食料自給率をどれだけ上げるかというのは大きな命題になっているわけですね。なかなか四五%という目標を掲げてやってきてもそこに到達できなかったと。いろんなことをこれから努力をしていかなくちゃならぬ。そのときに、これは農業白書等でも出ているわけでありますが、耕地利用率がなかなか伸びていかない。昔は二年三作とか一年二作とかやって耕地利用率高かったけれども、なかなか耕地利用率の回復がよろしくないということですね。  やっぱり食料自給率を向上するということになると、端的に言えば、国内で米以外の穀物生産をいかに振興するかと、こういうことだと思うんです。それは、消費面から見直す、国内でできるものを多く消費してもらうという側面ももちろんあるわけでありますが、しかし生産面で考えると、やはり自給率の低い穀物を、麦、大豆あるいは飼料作物等をしっかり生産をすると、こういうことに私は尽きるんだろうというふうに思います。  本当はこの辺を議論したかったんでありますが、そんなことをしていると時間がなくなるのでちょっと先に進みますが、そういう私は認識を持っております。  そういう中で、今度いわゆる品目横断的な経営安定対策実施をするということに相なるわけでございまして、ここの中には、御案内のとおり、げたとならしがある。げたとして履く部分、これは外国との生産性の格差を顕在化しているものについて埋めるという部分がげただと、ならしは価格変動だと、こういうふうなことなんです。  特にそこのげたの部分についてちょっと伺っていきたいと思いますが、これは、これまでの議論の中で、このげたの部分は過去の生産実績に基づく支払というものと、それから品質、数量に基づく支払とに、二つに分かれるということになっています。過去の実績に基づく支払は、WTO協定上、俗に言う緑の政策だと。数量、品質に基づく部分は、ある意味では黄色かもしれない。そういうことをある意味では覚悟しながらもこの部分を入れるわけでありますが、なぜこの国際規律との整合性の観点で、黄色かもしれないと言われる数量、品質に基づく支払という要素を入れたのか、その考え方をちょっとお聞かせいただきたいと思います。これは経営局長の方から。
  18. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 新たに導入いたします品目横断的経営安定対策につきましては、これを持続的、安定的に運用していくためには、今お話のありましたように、現行のWTO農業協定において削減対象とされていない緑の政策に該当するものとする必要があると考えております。  しかしながら、欧米諸国で実施されています直接支払のように、緑の政策に該当します過去の生産実績に基づく支払のみの制度とした場合には、我が国の場合、捨て作りをする場合でも支払を受けられるなどのモラルハザードを招く可能性もございます。また、我が国におきましては、まだまだ小規模零細な農業構造の中で規模拡大等による生産性の向上を図る必要があることに加えまして、品質の面でも、消費者、実需者のニーズに生産者サイドが十分に対応し切れておらず、需要に応じた生産確保を図る必要もございます。  このため、WTO農業協定上は削減対象の黄色の政策でありますけれども、毎年の生産量、品質に基づく支払を緑の政策と併せて講ずることが必要であると考えておりまして、今回の制度の仕組みとしたものでございます。
  19. 国井正幸

    国井正幸君 私もそう思うんです。幾ら国際的な機関においてそれが緑だ黄色だと言ってみても、国内において国民の理解が得られないようなことはやっぱり国内政策としてはやれぬということですよ。やっぱり国民の合意と納得がしっかり担保できる、そして努力した者がやっぱり報われるということにすべきであって、私はあえて、黄色であろうと何であろうと、やっぱりこういうことをしっかりやるべきだと、こう思っておる一人でございます。  そういう意味で、その緑の方の部分について、過去の実績ということについて聞いていきたいと思いますが、この過去の実績というのは、まず農業者、人に付くのか、実績というのは。いろいろ、役所の中に聞いていくといろんなことを言う人がいる。人に付くなんという人もいる。あるいは圃場に付くんだと。その土地に付いているのかと、実績は。どこに付くんだということね。どっちに付くんだと、人に付くのか土地に付くのか、その実績というのは。過去の実績というのはどうなんだろうかと。あるいは、その実績を把握するときに、どの時点でやるんだろうと。つまり、種をまいたときなのか、植物が育っているときなのか、収穫をしたときなのか、どの時期なんだと。どこに付くのか、どの時期にそれを認定するのか。それはどういうふうに考えていますか。
  20. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 過去の生産実績のとらえ方でございますが、基準期間としましてはできるだけ直近を取るということで、平成十六年から平成十八年の三か年間におきますこの麦、大豆等の品目ごとの現在実施されております麦作経営安定資金とか大豆交付金といった現行対策支援対象数量、これをまず把握しまして、それを集荷業者等からの伝票等によりまして、まず支援対象数量を把握いたします。それを地域ごとの実単収を用いて面積に換算して三年平均にするというふうに考えております。これは、どういうデータが取れるかということからも、こういった方法が公平かつ妥当だと考えているわけでございます。  そうしますと、今申し上げましたように、過去の生産実績というのは基準期間におけます個々の農業者の生産数量を面積に換算して求めるということになっておりますので、これは一筆一筆の農地ごとに設定されるものではございませんで、農業者単位に設定されるものでございます。
  21. 国井正幸

    国井正幸君 そうすると、ここが私は問題だと思っているんですよね。言うなら、生産をするということになりますと、結局、じゃ十六、十七、十八ということでやってくると、今年つまり収穫をしなければいわゆる交付金の支払の対象にならないわけですね、大豆交付金とかそういうことは。いわゆる今年度中に収穫したということになるわけでしょう、麦についても。そういうことになると、いわゆる実績は既に、もう麦の場合は既に実績は完了することになりますね。今年の六月に収穫をして、これで完了することになる。大豆については、更にこれから種をまいて秋に収穫しますから、十八年度中に実績ができるということになるわけですね。  それで、私も若干ですが自ら農業をやっているんですよ。私のところは、おかげさまで土地の基盤整備も終わっているので、転作作物、作る気になればできるという圃場条件にあるんです。しかし、私もこういう議員活動等をやっていまして、もちろん、米自身は余っているわけでありますから生産調整は皆さんと同じように協力をしている。しかし、なかなか転作作物を作るまでの技術もなければ、なかなか時間も取れない、機械もない。ですから水張り管理水田になっておるわけですよ、私のところはね。兼業農家では、そういうふうになっているところというのは、結構全国見ると私は多いと思うんですよ。やりたいけれどもなかなかそこまでできない。どうしてもやっぱり米、稲作は、技術も相当上がってきた、農機具も非常にいいものがある、あるいは除草剤等を含めて薬剤も非常にある、だから省力化が相当進んでいる。だから、米は作りやすいからみんな作るんだけれども、ほかのやっぱり転作作物はなかなか技術的にも難しい、だからやれないという部分があるわけですね。それが水張り管理水田になったりしているわけですよ。  そういう中で、これから集落営農をやろう、担い手を中心に土地を集約して是非農業活性化を図ろうと、こういうことでやっていくときにやはり、さっきなぜ私が耕地利用率等の話をしたかというと、そういう水張り管理水田になっているようなものを、しっかりとやっぱり物を作るようにしていくべきだと思うんですよ、自給率を上げるためにはね。また、集落営農で認定農業者等を中心にやればそういうことが可能になる。で、後ればせでありますが、私どものところでも何とかそれをやろうという努力をしている、今。集落営農を立ち上げようという努力をしている。  ところが、過去のその実績というものなんだよね、この支払が。過去の実績ということになると、水張り管理水田等でやっているのは実績はないわけでしょう、これはね。どうですか。圃場であれ個人であれ、例えば一町歩だったら一町歩を作っている、一ヘクタール作っている。それで、平均ですから、大体、転作率の平均三五%ですから、六十五アールは稲を作っている、三十五アールは何も作ってない。この作ってない部分はこれ、実績ないんでしょう。どうなんですか、それ。答えてください。
  22. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 委員おっしゃるとおり、何も作ってない部分には当然過去生産実績はないということでございます。
  23. 国井正幸

    国井正幸君 そういうことになると、これから何とか、そういう意味で努力してみんなでやろうという部分が、又はそういうふうにしなくちゃなんないわけですよ。そういうふうに働き掛けていくべき性格でしょう、これ。食料自給率を上げるんだと、そのためにはやっぱり穀物の生産をしっかりやるんだと、しかも穀物も足らないものをしっかり生産をしていくんだということになればね。  これは、じゃ、しかし、これから集落営農担い手を中心にそういうことをやって、今度はできる体制ができましたからやりますといったときに、これ支援の対象にならぬのでしょう、これ、そういうことになると。どうなんですか、そこは。
  24. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 先ほど申しましたように、過去の生産実績は一筆ごとの農地ではなくて農業者単位で設定されますので、現在農業者が一部でも麦、大豆を作っておられればそれは当然生産実績になるわけでありますけれども、作っておられない部分については、この緑の政策の仕組みからいって生産実績にはなりません。そのため、この緑の政策の中にそれを入れるとこれは緑でなくなってしまいますので、この所期の目的が達せられないことになります。  ただ、今委員御指摘のように、耕地利用率ですとか食料自給率の向上という観点からは、こういった別途の観点からはこれはまた重要な政策課題であるのも事実でございますので、こういった過去の生産実績のない者から農地を取得した場合であって、こういった耕地利用率とか自給率の向上に資するというような場合については、どういうケースが考えられるかということを精査いたしまして、別途、どのような対応が可能か否か、今後検討してまいりたいと考えております。
  25. 国井正幸

    国井正幸君 今後精査するなんというのは遅いんだよ。私は前からもうこれは言っておるんであって、やっぱり、今後やる部分、確かにそれはWTO協定上、過去というものを常時動かすことは困難だと、これは分かるのね。だとするならば、やっぱりこういう政策をしっかり入れるためには、これからやるから早く実績つくるんならつくりなされよという事前の予告ですよね。そして、できるだけ多くのものをここに取り込むという姿勢がないと。  で、伺うところによると、あれでしょう、現在のミニマムアクセスの基準数量だって、今議論になっているのを我が国は直近に見直せと言ってたって、八六年から八八年の基準で今やっておるわけだ。当時の国内消費量を基準としたアクセス数量ですよね。ですから、一回決めるとこれはなかなかもう動かぬというわけだ。そこまでやっぱり分かっていてこういう政策を入れるとするならば、できるだけ過去実績をつくるようにしておいて、その上でこういう政策を入れていかないと、これは大変なことでしょう。  じゃ、よしんばですよ、そこからずっと詰めていけば、じゃ、麦や大豆を作るという人がいる。過去実績に基づいて支払を受けるという方がいる。その一方、同じように、じゃ、これまでの政策は、いいですか、だれがやろうとどういう行為を行ってきたかということに対しての支援だった、国はね。そうでしょう。麦を作る、大豆を作るというのは、担い手であろうとなかろうとだれが作ったって同じ行為だ。だから同じように支援してきた。  しかし、これからは、だれがどういう行為を行ったか。担い手が行ったのかそうじゃない人が行ったかということに対して支援の水準が違う。これも万やむを得ないだろうと、こう思う。しかし、だれがどういう行為を行ったか。だれがと。担い手が同じ行為を行っても、たまたま過去実績を持ってないものを引き継いできた場合に対しては過去実績に対する支払がないということになったらおかしな話でしょう。  それじゃ、同様に扱えということになれば、この支払とはまた別な意味でまた同じ品目に対して別の支援策がなかったら、同じ行為をやって同じ担い手が努力しても、一方は支援対象になる、一方はならぬといったら、どうなんです。人だ、圃場だと言ってたって、結局、とどのつまり、私のように、さっき言ったように、水張り管理水田をやっているような人であったにしても、その人の経営を集約して受けたら、ないんでしょう、過去実績は実績として引っ張ってくることができないんだろう。そういうことでしょう。そうしたら、ずっとそれはできないものができちゃうでしょう。じゃ、同じ担い手でありながら、今度やる人は、集落営農なり担い手で同じ人が同じ行為をやっても、たまたまその圃場なりあるいは人から、実績がなかったら、とんとこれ、支払の対象にならないんだよ。  だからこの問題は、私もその法律の出たときの議論でもいいかもしれないと思ったんだが、今言っておくというのは、大豆だったら間に合うんだ、まだ、今年。大豆であれば間に合う。しかし、麦じゃ間に合わぬでしょう。だから私は、前々から役所に、早くこの問題はやらないと、こういう問題が起きて一つの同じ行為の中で二つの制度が存在するようなことになるし、二つの制度を存在させないということになると非常に、同じ担い手がこれから努力して、これから努力する人が支援されないということは具合悪いんじゃないかと。  やっぱりこれから意欲を持って努力をする、しかもそれが国策の目指す方向に沿っている。転作作物を余計作りましょう、今まで耕作放棄になっていたところ、あるいは水張り管理水田のようになっていたところ、これをしっかり耕して、足らない穀物を生産しましょうと。それが支援の対象にならないなんという、そんな話はおかしな話でしょう。そこのところはやっぱり、しっかりこれは論理的にやらないと、私は具合悪いと思う。  これはどうですか、経営局長、本当。あんたは、これから精査して決めますなんて、そんなこと言ったって駄目だ、もう法律出しているんだから。そこのところはしっかりもうやってくださいよ。どうでしょう、これ。
  26. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 正にこの制度というのは緑にするというのが基本、主眼でございますから、その部分についてはもう過去の生産実績を、どの期間を取るかにせよ、過去実績に基づいて支払うと、こういう制度として組み立てざるを得ないと。それをしませんと緑にはならないわけでありますから、所期の目的が達せられないわけでございます。  再度答弁をする形になって恐縮ですけれども、今お話のあった耕作放棄地等を取得をして規模拡大につなげていくといったようなことについては、これは過去の生産実績の観点からとらえておりますと、これはもう実績ゼロでございますから、どうしようもないということでございますので、こういった場合について正に耕地利用率や自給率向上対策として別途考えることができるかということを検討しているということでございます。
  27. 国井正幸

    国井正幸君 まあこれ時間で助けられるかもしれないが、局長ね。まあ後でこれ議論をさせてもらうけれども、努力する者、しかも国策として食料自給率上げましょう、穀物の生産上げましょうと、こういうことを言っているわけだから、一方で耕作放棄地なくしましょう、農地を有効に利用しましょうと、こう言っているわけだから、そういうことがスムーズにこの政策の中に入り込めるように、それはやっぱり役所の、農林官僚の頭の使いどころだから、そこをしっかりやってもらいたいと思う。全部を否定しているわけじゃないんだからね。是非そういうことをやれるように私はしてもらいたいと思います。この問題、言っていくときりがないんでちょっと、ほか一杯聞くことやっていたのに時間が、配分がこれになっちゃった。  で、そこの中で一つ、これ、大臣にもむしろ質問のやり取りしたかったんでありますが、要望として申し上げたいと思うんですが、現在、中山間地域の直接支払というのがありますね。これにつきましては、農林省の方の指導としてはおおむね、例えば二十メーター行って一メーター以上の格差の持っているところ、これ水田でいうと一番、それ以上は高い支払ですね。一反歩二万一千円入っているはずですよ。これの配分につきましては、おおむね農業者に五〇%、集落全体で、集落協定持っていますから、その協定を持っている部分に五〇%ということで、半々に分けるというのが一応基準になっているんですね。で、いろいろ聞いてみると、全国的にはそうじゃない部分もいろいろできているというんですが、大方は半々になっている。私どもの近くでもこれ受けているところがありまして、率直のところ、専業農家からすると、もっと個人への配分増やしてほしいと言うんですよ。増やしてほしいと言うんだ。  それはなぜかというと、兼業農家はほかから所得があります。ですから、ほかから入ってくる所得で自分の生活立てて、そして集落で持っているお金でもって集落コミュニティーを増進したりいろんなことやれる。それは非常に結構なこと。しかし、専業農家はほかからお金は入ってこない。それだけなんですよね。幾ら集落であって日々面白おかしくコミュニティーあって暮らしても、家へ帰ってみたら懐薄くて暮らしにならぬという部分もある。  ですから、私は、やっぱりできるだけこの中山間地の支払についても個人に還元できるように、そして必要なものはむしろ個人から集団が会費を徴収するようにやってもらいたいし、さらに、今度のこの品目横断的な経営安定対策の中で、是非、それぞれの経営体に根差した、農業者に対してしっかりとやっぱり配分できる方法、これを私はやってもらいたいというふうに思うわけでございまして、これは私、是非大臣お願いをしておきたいと、こう思うわけでございますが、大臣、いかがでしょうか。
  28. 山田修路

    政府参考人山田修路君) ちょっと事務的なことでお答えさせていただきます。  先生お話ありましたように、中山間地域等の直接支払制度、本来は集落協定の構成員の間で自主的にその使途を決めていただくということになっておりますが、役所の方の指導といたしまして、やはり担い手が不足している中山間地域等農業生産を継続していくためには、集落ぐるみでの共同活動が重要だということで、まあ交付金のおおむね二分の一以上をこの共同取組活動に充てていただくということで指導を、望ましいということで指導をしております。  しかしながら、先生お話ありましたように、地域によっては農作物、作っている農作物も違いますし、あるいは生産体制の組織化状況も違いますので、必ずしもその集落の共同取組活動を積極的に進めていく必要がないところ、あるいは先生お話ありましたが、個々の農家への活動を支援していくという方がより効率的なあるいは効果的な地域もございます。そういう地域にありましては、それぞれの地域ごとに先ほど言いました集落協定の中で交付金の配分を決めていただくということで、必ずしも二分の一以上やっていただくという必要はないというふうに考えております。
  29. 国井正幸

    国井正幸君 是非これは私はお願いしたいと。やっぱりそこで農業者が暮らすことができなくてはやっぱり駄目だと思うんです。だから、やっぱり専業農家はそこからしかお金が入ってこない、そこにやっぱり厚っこくいけるように、是非これはお願いしたいというふうに思っております。  一杯実は聞くことで通告をしてきて、本当に申し訳なく思っております。大臣一つだけ確認をさせてもらいたいと思います。  農林省も財務省と相当積極的に詰めていただいて、大変有り難い話を聞いているわけです。実は、市街化区域内の農地の納税猶予制度というのがありますね。これは、自らが経営をしていかなければ猶予は認めないというのが財務省等の強い意向なんですね。私もそれは万やむを得ないと思うんです。日本じゅう探したってこれしかないんですから、こういう特例は。そのときに、集落営農に参加をするということになると、自ら経営することじゃなくなっちゃう。さあ、それでどうするんだということの問題があって、大変事務的によく詰めていただいたと思うんです。それで、作業委託はいいと、大部分の作業委託はいい。何ぼかは自分でその代わりやる仕事を残しておきなされと、こういうふうなことだと思うんです。  ですから、やっぱり、法人化とか経理の一元化とか、これは確かに全体はそういうことで進めていくのもいいと思うんです。しかし、法人化しなければ絶対にこの品目横断の支援策は駄目だとか、あるいは経理が全部一体でなければ駄目だとか、そういうことばっかりでやると、こういう市街化区域内の農地都市近郊の農業というのを救うこともできなくなっちゃう。だから、やっぱり今回のようにケース・バイ・ケースで、大筋はいいんですよ、法人化を目指すというのはいいんだけれども、例外措置等を含めて、やっぱり幾らか、ハンドルの遊びというんじゃないけれども、そういうことをしっかり今後の中で持ってもらいたいと思っているんです。  私は、本当に農林省の役人が努力をしていただいたということに対しては高く評価をしている一人でございまして、是非そういうことが可能なような、幾らかやっぱりゆとりのある決め方というのをこれからの中でやってもらいたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  30. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 納税猶予制度というのは、これは党の、まあ各党、いつも税制改正のときに随分議論になったこともございます。ある大先輩の、お名前言っていいんでしょう、山中貞則先生は、これは大事だけれども、そもそもこれはもう特例中の特例なんだぞということを常におっしゃっておられました。  しかし、これがあることによってやはり農業に携わる人に対して大きなインセンティブになっているわけでありますから、今回の品目横断等の政策展開に当たりましても、大都市、市街化調整区域等々でも非常に重要な役割を、多面的な機能を果たしているところでございますので、遊びという言葉を先生お使いになりましたけれども、目的に合致するような制度というものが何なのかということは常に頭に入れながらこの作業、また法案の御審議をしていただければ有り難いなというふうに考えております。
  31. 国井正幸

    国井正幸君 多くの関係部長皆さんに、こういうことを質問するぞと言っておきながら質問できずに申し訳ありませんでした。  これで私の質問終わらせていただきます。ありがとうございました。
  32. 小川敏夫

    小川敏夫君 小川敏夫です。  大臣から農林水産予算説明を聞きまして、その中で感想の一つを述べさしていただきますので、それに対してまた大臣から感想を聞かしていただければと思っております。  私は、日本農業のあるべき姿はこのように考えております。国民に対して、あるいは消費者に対して安全な、かつ安価な、安い食料を安定的に供給していただきたいと、そうした農業になってもらいたいというのが私の農業に対する考え方なんですが、今日、この予算説明をお伺いしました四ページですか、「国民への安全な食料安定的供給に万全を期してまいります。」と。この部分は誠にそのとおりなんですけれども、この安価な、つまり国民が求めやすい価格の食料供給するというところが、ここの部分も含めてどこにもないんでありまして、安全で安定的な食料供給していただくのはいいけれども、やっぱり高いんじゃこれは農業の役割を果たしてないんじゃないかというふうに思っております。まあ安ければ安いほどいいと言っても、それでこの生産者がばたばたつぶれちゃう、生活が困るというようなことは考えていないんで、私が考えているその本意は、国民に安い食料供給できる、そうした強い農業になってほしいというのがこの私の気持ちなんですが。  そうした観点から、私はもう、安全、安価、安定供給という農業というふうに考えておるんですが、そうした点からちょっとその安価という面がない、国民から求めやすい食料供給という面がないというのが私の感想なんですが、この私の感想について大臣から感想をお聞かせいただければと思いますが。
  33. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 小川委員御指摘のとおりで、品質が良ければ、顔が見えれば高いものでもいいのだということでは、今の消費者はトータルを求めますから、値段と性能といいましょうか品質、それからそれ以外にもいろんな情報を求めますから、当然これは高価でもいいという趣旨では全くございません。ここにもいろいろと品質向上とか、いろいろな低コスト植物工場とかITを利用して未来型構築という中には、品質と同時に当然いいものを安くという気持ちが込められているというふうに御理解をいただければ有り難いなというふうに思っております。
  34. 小川敏夫

    小川敏夫君 是非、そういう気持ちが込められているということで、実現に向けて頑張っていただきたいというふうに思っております。  次に、BSEの政府の統一見解ですか、昨年に出されましたこのことについて質問をさせていただきます。  この点につきましては、もう大臣も様々な委員会で度々質問を受けているようなので、大分、あるいは完璧に整理されているかもしれませんが、どうも私も、何回聞いてもこの政府の統一見解がなかなか釈然としないものですから、また改めてここで質問をさせていただきます。  まず、この政府の統一見解ですと、まず一番として「日本向けの牛肉輸出プログラムについて、米国が行う施設認定を日本側調査できること」ということが理由となっておりますが、そうすると、この閣議決定した質問主意書に対する答弁の後に、この「米国が行う施設認定を日本側調査できること」が、新たにそういう事実が生じたということでなければ、話のつじつまが合わないと思うんですが。  このBSEに関するずっと交渉過程見ると、アメリカは、施設認定を日本側調査できるということは、この答弁書の後にそういう事実が生じたということではなくて、もうその以前からずっとそういう日本側調査できることについては応じていたんではないかというふうに感じておるんですが、ここのところはどうなんでしょうか。
  35. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 答弁書を川内議員並びに院の方にお出しをしたのが十一月の十八日でございました。それ以前から食品安全委員会でリスク評価をやっており、その中でもデータの提出、米国側のデータ提出等々、いろんなやれる作業はやっていたわけであります。  その中で、日本としても施設のチェックというもの、つまり検疫、これは厚生省と農水省、両方でございますけれども、検疫についてはアメリカ側日本もできるようにしてもらいたいという要求を出しておりました。原則としては、これはその国の政府といいましょうか、その国がやるものであって、ルールを言えば、駄目ですよと言われたらまあ仕方がないというのがルールだそうでありますけれども、多くの国々ではそれを受け入れております。日本においても、米国側検査に対して日本がオーケーと言って米国側検査を受入れしているところでございます。そのことをずっと要求をしておりまして、たまたま十一月十八日に答弁書を出した直後だったんですけれども、十一月二十二日に、ここに書いてありますように、日本側米国施設をきちっとチェックすることができるという回答が正式にあったのは二十二日ということでございました。
  36. 小川敏夫

    小川敏夫君 その回答は文書であるんですか。
  37. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 十一月の二十二日に日本の専門家とアメリカの、これまた在京の大使館でございますけれども、そこの担当者が打合せをいたしまして、その際に、かねてから日本が査察をしたいということを言っておった、そのことについてアメリカ側から回答があったということでございます。
  38. 小川敏夫

    小川敏夫君 だから、この質問の趣旨は、文書があるのかということです。
  39. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 失礼いたしました。  その会議の場で向こう側から回答があったということで、文書をもってそういうことがあったわけではございません。打合せの協議の中でアメリカ側からそういう趣旨の回答があったということでございます。
  40. 小川敏夫

    小川敏夫君 だから、そうしますと、何かその日に突然回答があったといいますか、これはこのBSEに関してはもうずっと長い間協議を経ているわけですから、どうもその日に突如として、それまでできないというものができることになったというような回答があったというふうにはのみ込めないんですよね。どうもずっとこれまでの経過見ても、アメリカ側日本側調査を断っていたということがそもそも初めからないんじゃないかと思うんですよね。初めからこれを認める、受け入れる姿勢であったというふうに思えるんですが、どうでしょうか。
  41. 中川坦

    政府参考人中川坦君) それまで断っていたとかそういうことではなくて、日本側としては調査をしたいということをかねてからアメリカ側に伝えておったと、それに対する具体的なアメリカ側からの回答が十一月二十二日にあったということでございます。  具体的に、日本側が査察に来るんであれば、まずはアメリカ側でその認定をした施設について、その後、日本が来ればその認定行為と同じことをしてもう一度見せるので、そこでチェックをするようにしてはどうかという、そういう提案があったということでございます。
  42. 小川敏夫

    小川敏夫君 どうもそこのところが、そんなに、この閣議決定した政府の方針を変えるほどのエポッキングな回答があったというふうには思えないんで、どうしても納得がいかないんですけれども。  次に行きますけれども、次に二番として「輸入解禁以降でなければ履行状況調査ができないこと」というふうにありますけれども、ただ、これは輸入再開決定したのが、突然、十二月十二日に再開を決定したわけですけれども、この日に突然決定したというんじゃなくて、これもやはり随分長い間アメリカとの協議を経て、恐らく事前にこういう内容での決定でいいかということも含めて米国アメリカとの協議もまとまった上でこう出されている決定だというふうに思うわけです。  ですから、この十二日に、十二月十二日に再開を決定したといっても、この十二月十二日に決定が出ることをもう踏まえて、アメリカ側の方では、十分その内容も踏まえて実際にそれに向けた作業が行われているんではないかというふうに思われるわけです。ですから、実際に十二月十二日に日本で決定を、再開決定をしたと、その直後にアメリカではそれに従って施設認定をしてすぐに出荷がされているという事実があるわけです。  ですから、輸入解禁以降でなければ履行状況調査ができないといっても、事実上のこの米国との協議がまとまっている段階であれば、こういう内容で、こういう方向で決定が出た場合にはこういうスキームでいくということがもう事前に固まっているわけですから、この決定があったその前に行くことは無意味だということは言えないんじゃないかと思うんですがね。ここはいかがでしょうか。
  43. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 食品安全委員会からの答申をいただいたのが十二月の八日でございます。その後、九日にその答申を踏まえてアメリカ側に家畜衛生条件等の条件を提示をし、そしてその回答を踏まえて最終的に決定をしたのが十二月の十二日でございます。  他方で、アメリカ国内での準備の手続としまして、先生おっしゃいますように、輸出証明プログラムの案というものは、その年の、去年の五月ごろから公表されておりましたので、各事業者についてはあらかじめ準備はすることは可能でありましたし、現にまたアメリカの農務省の方も、事前の書類審査等は輸入決定の前に行っておりました。ただ、そういう事前の準備はしておりましたけれども、実際に屠畜場、施設監査官が出向きまして、そして具体的にそのチェックをして、それぞれの施設を認定をしましたのは日米間で再開の合意をしました十二月の十二日、その日以降でございます。  そういう意味では、事前の準備はある程度されていたのは事実でありますけれども、その時点では、具体的に施設ごとにどういうその作業をするかという現場での確認、審査というものは、日米間で再開の合意をした十二月の十二日又はそれ以降ということでございます。それ以前はそういうことは行われておりませんでした。
  44. 小川敏夫

    小川敏夫君 まあ、施設認定そのものが、そうすると、アメリカ施設認定は、施設認定をした後、日本に対する輸出に向けての様々な体制をつくるんですか。そうじゃなくて、日本に対する輸出の体制ができているということを確認してアメリカ施設認定を、政府がです、アメリカ政府は施設認定をしているんじゃないでしょうか。  だから、施設認定をするという以前に、やはりその輸出プログラムに沿った準備というものは、実際に日本に対する輸出をしようというその業者においては事前準備をしていると思うんですが、その点はいかがでしょうか。
  45. 中川坦

    政府参考人中川坦君) アメリカ政府が認定を行う前におきましても、業者においては当然その準備はしているというのは事実でありましょうし、それからまた書類審査等は、予備的な審査でありますけれども、アメリカ農務省にその申請書が、書類が提出をされて書類審査も行われております。ただ、それでもってアメリカ農務省がその施設を認定するかどうかという最終的な判断は、現地の施設アメリカ農務省の担当官が査察をして、そしてそれで判断をするわけでありまして、それ以前の状態というのは、その施設が認定されるかどうかもまだ未確定な状況でございます。
  46. 小川敏夫

    小川敏夫君 まあ、そこのところは、ですから事実上進んでいるという状態があるわけですから、解禁という、あるいは再開決定と、あるいはアメリカの政府からいえば施設認定ということがなければ状況調査ができないということは言えないと思うんですよね。むしろ、状況調査は、その準備段階の調査ということでも、私は、状況調査をする意義は十分にあると思うわけです。ですから、この「輸入解禁以降でなければ履行状況調査ができないこと」というのは、少し理由に乏しいんじゃないかというふうに思っております。まあこれは私の意見で、また答弁求めても大体答弁の内容が分かりますから結構ですけれども。  更にもう一つの、ここで議論をさせていただきますと、これは答弁書で、要するに輸入再開決定と、あるいは輸入再開というものが、決定と、それから実際に再開して牛肉が輸入されるというこの事実としてのこの輸入という行為、これを、二つのことを同じ言葉で輸入再開と言っておるわけですが、先般、予算委員会中川大臣からも答弁いただきましたように、「輸入再開以前に」とあるこの輸入再開、失礼しました、ちょっと文章全部読みますと、「米国産牛肉等の輸入を再開することとなった場合には輸入再開以前に」とある、この文章の中の初めの「米国産牛肉等の輸入を再開することとなった場合には」というのは、この輸入再開は決定であると、そしてその後に続く「輸入再開以前に」というのは、決定ではなくて、実際にこの牛肉が入ってくるという事実としての行為だというふうにこの文章を御説明いただきました。私もそういうふうに思っておるわけですが。  そうしますと、決定ということはしたと、決定をした後に、その決定を受けてアメリカ側施設認定を行って実際に日本に対する輸出の作業に入ると。この段階でその調査に行けるんじゃないかと。ですから、輸入再開決定をしても、しかし決定をしても、実際に物が日本に向けて輸出されるというその前に調査に行けたんではないか、そしてその調査が終わるまでは、決定はしても、実際にこの輸入という事実行為、アメリカからいえば輸出ですね、輸出という事実行為をそこまでさせないということができる余地が十分にあったんじゃないか、むしろその食品安全委員会の意見を踏まえればそうすべきではなかったかというふうに思うんですが、この点はいかがでしょうか。
  47. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 少し正確に、私、ちょっと資料持っておりませんのであれですが、予算委員会大臣小川先生とのやり取りの中で、そういうふうに文脈上読むのが自然だというふうに大臣は確かにお答えになったと思いますけれども、閣議決定の文書をどう読むかというのは統一見解に示されておりますけれども、やはり輸出再開の決定というのは十二月十二日の日米間で合意をしたときということでございまして、それ以前に行かなかった、それは状況が変わったというふうに統一見解の方で御説明をしているところでございます。  そういうことでありまして、実際のところを言いますと、十二月に輸入再開の決定をいたしまして、十三日には査察団が日本を出発しております。したがいまして、できるだけ早く施設を見たいという趣旨は、私どももそういうつもりでありまして、一月二十日に輸入の手続を停止しましたために、その後の第二陣、第三陣という査察は行っておりませんが、できるだけ全施設を早く日本側としてもチェックをしたい、そういう気持ちではおったわけでございます。
  48. 小川敏夫

    小川敏夫君 この再開の決定をした後、日本アメリカの現地調査をした後でなければ実際に輸入行為はできないと、アメリカから輸出はできないというふうにする余地はなかったんですか。
  49. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 今回の輸入再開に当たりまして、日米間で合意したルールをどう守っていくかということになるわけですが、これは第一義的に、アメリカ側輸出証明プログラムの基にきちっと各施設、それぞれの施設でマニュアル等を整備をして実効性を担保するという、アメリカ側の第一義的な責任の下にそれを担保するというのがこの仕組みでございました。日本が輸入再開後できるだけ早くそういった施設を査察に行くという、その趣旨は、日本としてもそういったことがきちっとできるかどうか念のためチェックをしに行くという、そういう位置付けでございましたので、日本が確認をしなければ輸入の具体的な、アメリカ側からの、施設からの輸出を認めないという、そういうところまでは何も決めておりませんでした。
  50. 小川敏夫

    小川敏夫君 この政府の統一見解、私はどうしても納得できないんですけれども、これ以上議論をしてもと思いますが、この点について最後に大臣のお考えをお聞きしたいんですけれども、結局、食品安全委員会はこの輸入再開に当たってはこのように言っているわけですね。  要するに、「リスク管理機関から提示された輸出プログラムが遵守されるものと仮定した上で」と、アメリカ産の牛肉の輸入をしてもリスクが我が国と同等だと言っているわけで、遵守されることが前提だという一つの意見なんですね。あるいは「結論への付帯事項」というところで、「輸入再開の場合は輸出国に対して輸出プログラムの遵守を確保させるための責任を負うものであることを確認しておきたい。」と。つまり、我が国政府に対してそのような責任を課しておるわけです、この食品安全委員会の結論はですね。  こうした食品安全委員会のこの結論あるいは附帯意見を踏まえて、実際に事前調査を行わなかったということについて大臣としては、私は不十分だと思っておるんですが、大臣としてはそこら辺の認識はいかがでしょうか。
  51. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) リスク評価機関、つまり食品安全委員会の答申をいただき、それに基づいて再開をしたわけでありますけれども、一月二十日に正にその輸出プログラム違反が起こったわけでございますので、今ストップをし、そして、輸入再開するんであれば、きちっとそのリスク管理をすべきであるという答申、御指摘のとおりに今やっているところでございます。  ちょっと日本とは違いますけれども、香港も同じような対応を取っているということでございまして、我々としては、食品安全委員会からの御指摘を踏まえて、今この問題に、再発防止それから原因究明の徹底を今作業を進めているところでございます。
  52. 小川敏夫

    小川敏夫君 どうも実際に骨付き牛肉が入ってきたということに関して、これまでの小泉総理を始め政府の説明を聞いておりますと、アメリカ輸出プログラムが遵守されなかったと、そのことが責任責任だということが中心であって、しかし輸出国に対して輸出プログラムを遵守させるべき責任が政府にもあるんだというこの食品安全委員会の附帯意見を踏まえれば、あるいはこの意見がなくても当然のことだと思うんですが、やはりそうした輸出国にこの安全の確認をより徹底させなかったということについて、アメリカにも責任があるでしょうけれども、やはり我が国にも責任があるというふうに私は思っておるんですが、ここら辺の認識は大臣はいかがでしょうか。
  53. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) リスク管理機関である厚生労働省農林水産省が食の安全、安心のためにやるべきこと、これはその時点でいろんなことを考えたわけであります。税関における検疫体制の強化、あるいはまた、先ほど小川委員の御議論にもありましたけれども、決定後でありましたけれども十一施設、またその後、当時四十ありました施設全部をできるだけ早く見たいという予定にしておりましたけれども、こういう状態なので、今カナダには行っておりますけれども、アメリカの方は今ストップをしているという状況でございます。  この件は、あくまでもアメリカの、本当に特異という言葉をどういうふうに解釈したらいいのか、まあ私に言わせると異常と、余りにも単純過ぎて異常と、業者あるいはUSDA含めて見逃した、知らなかったということでありますから、まあ特異と異常が大分ニュアンスが違うという意味で私は申し上げたいわけでありますけれども。  そのほか、日本として今後、食の安全、安心のために何ができるかということは改めてまたこの報告書精査した後の段階で、日本としても何をしたらいいのかということは当然考えていかなければいけないというふうに、具体的な内容については全くまだ決めておりませんけれども、アメリカ責任だから日本は何もしなくていいんだと。私はそれでもいいんだろうと思いますけれども、それこそ念には念を入れてやっていくことが我々の職務ではないかというふうに考えております。
  54. 小川敏夫

    小川敏夫君 どうも輸出プログラムの遵守を確保させるための責任を負っている政府がその責任を果たさなかったということにおいて責任があるという正面からのお言葉をいただけないのが大変残念ですけれども、BSEの関連はこの程度にしまして、次に食料品の表示に関する点について質問させていただきます。  食料品を言わば購入する国民あるいは消費者は、お店から買うときの表示を信頼して購入するわけですから、当然この表示制度というものが完璧でなくてはいけないし、また正しくなくてはいけないというふうに思っておるわけですが、そうした観点から、現在におけるこの表示制度の仕組みというもの、大臣としてはこの意義あるいは現状についてどのように認識されておられるでしょうか。
  55. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) もうこれは食料品に限らずでありますけれども、とりわけ生命、健康、そしてまた安全、安心という観点から、食料品については国民が安全、安心、あるいはおいしさ、積極的な意味で、あるいはまたリスクを回避するという意味情報を知りたいということは当然のことでございますから、できるだけ我々としても消費者の関心にこたえる努力をしていかなければならないということでございます。  したがって、表示あるいはまたトレーサビリティー、いろんな制度が国内にあるわけでございまして、これらは今後も必要があれば更にレベルアップをしていくということは常に大事なことではないかというふうに考えております。
  56. 小川敏夫

    小川敏夫君 例えば我が国の主食、米が中心ですけれども、言わばコシヒカリ、あるいは新潟産のコシヒカリなどが特においしいとされて値段も高いわけですけれども、率直に言いまして、私どもそれを買って食べても、実際にその米が本当に言われた表示されている米なのかどうかというのは実際には確認するすべがないんで、まあ食べてみておいしいなと、あるいは何となく気持ちで満足している部分があるのかもしれません。  ただ、これについて、例えば魚沼産のコシヒカリの生産量と実際に流通している、あるいは消費者のところに販売されるそのコシヒカリの量が少し違うんじゃないかと、生産量よりも販売量が多いんではないかというような話もこれはまあ聞くこともあるんですが、実際にこうした点について実情を調査するとかそうしたことをされているんでしょうか。あるいは、そうした不正がないような、起きないような防止策についてどのように取り組んでいるんでしょうか。まあ不正があると断定したわけではありませんけど、不正が起きないような防止策ということについて御説明いただければと思うんですが。
  57. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 今、米を例にして御質問ございました。  まず、米も含めて生鮮食品につきましては、一般に名称とそれから原産地表示というのがJAS法上の基本的なルールでございます。それに加えて、米については玄米及び精米ということでまた別の、個別の品質表示基準がありまして、その中には名称とそれから原産地のほかに、搗精年月日ですとかまた細かく表示をしなければいけない項目が決まってございます。  それで、具体的にどこどこ県、まあ魚沼産のコシヒカリということでありますが、お米は特に消費者の関心も高いものでありますので、今はコシヒカリかどうかということはDNAで鑑定をすれば分かります。したがいまして、特別調査として米を対象にそういった表示が適正かどうかということをかつて調査もいたしました。  そういう意味で、コシヒカリかどうかというところまでは分かるわけですが、それがどこどこ県産、あるいは更にもっと絞って新潟県のどこの地区かどうかということまでは、こういった手法では分かりません。何か疑義がある場合には、それを仕入れの帳簿などにまで当たって、具体的にそごがないかどうかというふうなことは私ども担当の方で調査をいたしております。それで、そういったところで不正が見付かれば指示、公表という形で厳しく対応しているところでございます。
  58. 小川敏夫

    小川敏夫君 この食料品の表示について、特に加工食品についてまだ表示が不十分ではないかという意見が大分強くあるように思うんですが、この点はいかがでしょうか。
  59. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 加工食品の原料、使われている原料の原産地についてのお尋ねでございますが、平成十三年から、まず最初にこの議論がありましたのは梅干しとそれからラッキョウでございました。これから始まりまして、平成十三年から個別の品目ごとに、いろんな話題が、あるいは問題が起こるたびに対応してまいりまして、原料の原産地表示という形でやってまいりました。平成十六年の九月まではそういった形で個別に対応して八品目まで原料原産地表示をするということになっていたわけです。  ですけれども、こういった個別の問題があるごとにの対応ではなくて、むしろ加工食品の原料原産地について一定のルールを設けて、そしてその表示を義務付けをすべきだと、そういう声もありましたので、厚生労働省と一緒になって会議を開いております食品の表示に関する共同会議で議論をいただきまして、そして平成十六年の九月にこういう基本的、これから申し上げますような基本的なルールで、品目群という形で広く網掛けをしたわけでございます。その基本的な考え方といいますのは、原料の品質が製品の品質に大きな影響を与えるものとして、生鮮食品に近い加工食品には一律にその原料原産地を表示の義務付けをしようという、そういう考え方でございます。  どこどこ県産あるいはどこの原料を使っているかということが最終的な製品の品質に影響を与えるものと、それはすなわち加工度が低いものというのは一つの考え方でございますし、またいろんな複数の原料が使われている場合には主要な原料、重量で見て五割以上ということが一つの目安でございますけれども、そういう基本的な考え方の下に、二十品目群について平成十六年の九月に義務付けをしたと。  ただし、これ、業界の方々も準備が必要でございますから、強制措置を持った施行というのは今年の十月からでございますけれども、二十品目群について幅広く原料原産地の表示が今度から義務付けをされるということになってございます。
  60. 小川敏夫

    小川敏夫君 八品目から二十品目に増えたと、そのこと自体はいいんですけれども、しかし二十品目でまだ十分だという声でもないように思います。  私、もちろん、いろいろ考えてみたら、例えばコロッケ、まああれはジャガイモでできて、パン粉をまぶして揚げているだけで、まあジャガイモだと思うんですけれども、こんなのも入ってないんじゃないかというような話でありました。  それからまた、もう一つは、単品ですとそれを表示するけれども、幕の内弁当の中に入っちゃって、いろいろ入っているとそれが表示されないというような問題もあります。こうした点についても更に改善していただきたいというふうに思いますが、いかがでしょう。
  61. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 今回、義務付けの対象を拡大するのは二十品目ではなくて、恐縮でございますが、二十品目群でございますから、かつての八品目という個別品目に比べますと、相当幅広く対象品目が拡大されることになります。もちろん、この二十品目群というのは基本的には加工度が低いものということでありますので、今先生が例に挙げられましたようなコロッケですとか、あるいは弁当のようにいろんな品目が入っているふうな、こういうもの、いわゆる総菜系については義務付けているところは今はなっておりません。  こういう問題意識があるということは私ども承知をしておりますけれども、他方で、一般的に加工品となりますと、これは周年的に原料調達を安定的にして、そして供給をするということでございますから、原料の調達もかなり変わってまいります。そうすると、これを包材などに印刷をしていくとなると、これが現実問題としてかなり対応が難しいという面もありますし、また最終的に加工する業者の方が、原料を仕入れる段階では既に半加工品の状態で仕入れると。その仕入れをするところでもってそれの原料の由来がなかなか把握は全部は難しいというふうな問題がありまして、この点まで今現在その原料の原産地を義務付けすることというのはちょっと現実問題としてなかなか難しいと思っております。  ただ、問題意識としては、できるだけそういった面についても表示をしていくべきという声もありますので、先ほど申し上げました食品の表示に関する共同会議で、現在もこれは議論をいただいているわけですが、更にどうしていくかというふうなところについて今議論をいただいているところでございます。
  62. 小川敏夫

    小川敏夫君 それぞれの個別な事情の中で困難な事情ももちろんあるということはよく分かりますが、しかし難しい、難しいと言って前に進まないんでは、またこれもいけませんので、是非そうした難しい事情も、様々な事情があっても、なおしっかり前向きに取り組んでいただきたいというふうに思っております。  このBSEに関してこれほど、まあアメリカ産の牛肉に関していえば、これほど厳重に管理しているはずだというにもかかわらず骨付きの牛肉が入ってきたわけですけれども、そうした観点から見ますと、例えば遺伝子組換え食品あるいは有機食品などについての表示の問題がありますけれども、これもアメリカから入ってくる、あるいは中国から輸入されてくるという場合に、国内においてはある程度監視の目が行き届いて、この表示の問題あるいは有機の農産物の表示の問題、守られているかもしれないけれども、海外から来るものについて、その国における監視体制といったものが仮に確立してなければ、間違った表示がそのまま入ってきて、そのまま消費者に渡ってしまうんではないかという、そんな疑念もちょっとこのBSEの骨付き牛肉の入ってきたこの事実から連想したんですけれども、どうなんでしょう、遺伝子組換え食品や有機食品についての表示について、特に輸入品に関して、間違いなく表示制度が適正に行われていると言えるだけの状況にあるんでしょうか。何か私、不安に感じているんですが。
  63. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 遺伝子組換え食品の表示については、これ別途そういった基準がJAS法の体系の中で定められておりまして、具体的な個別の六品種、例えばジャガイモですとかトウモロコシですとか大豆とか菜種とか、そういったものについて、しかもそれがDNAが残っている、あるいはDNAから作られるたんぱく質が残っているというふうな、そういう食品について義務表示、表示をきちっとしなければいけないというルールになっているわけでございます。  で、具体的に輸入されるものにつきましても、消費技術センター等でサンプルを取りましてチェックをいたしておりますし、そこで見付かれば当然しかるべき措置をとることにいたしております。そういう形で、海外から入ってくるものにつきましても、市中で流通しているもの、これに、まあ何といいますか、ランダムにそのサンプルを取ってチェックをしているわけでございます。
  64. 小川敏夫

    小川敏夫君 もう質問時間がなくなりましたので、余り細かい議論もできませんでしたけれども、最後に大臣に、こうした表示制度について、まあ私が述べたのももう様々な問題のごく一端でしかないかというふうに思いますけれども、よりこの実効を高めるための今後の取組方、特に国民あるいは消費者から見れば、やはりお米について遺伝子を分析するなんてことはできるわけないんで、見ても分からない。当然、有機だと言われても、遺伝子組換え食品だ、使っていないと言われても、見ても分からないわけで、これ、表示を信頼するしかないんですね。ですから、この表示がやはり確実に、しかもできる限り多くのものについて適正になされるということをしっかり確保していただきたいというふうに思っておるんですが、そうしたその制度の実効性を高めることについて最後に大臣の所感をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  65. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 表示というのは、先ほど申し上げましたように、消費者にとってもいろんな意味で必要でありますし、先ほどの大変人気の高いお米のようなものの場合には、ある意味じゃ必要以上に表示をすることによって消費者にも喜んでもらえると。小川さんちのお米は高く売れるから小川が作ったと、中川のは高く売れないから名前は隠しておこうみたいな、そういうような生産者サイドもあると思います。そういう意味で、まず不当表示、不正表示があってはならない、これを徹底的に監視する、取り締まると。農林水産省の中でも、約二千人の職員がこれに当たっているわけでございます。  それから、商標法、それから間もなくスタートいたします地域団体商標という、新しい、より簡便なブランドの権利を与えるという商標法の世界も充実してまいりますし、それからJAS法等々で二重三重にも、消費者だけではなく生産者の皆さんのメリットにもなるようにやっていきたいし、それから、今御指摘がGMOでありましたけれども、海外の農産物、食料品のきちっとした表示というものも大事だろうと思いますので、これからも消費者のため、生産者のためにきちっとしたJAS法等々に基づく表示がなされて、消費者がいろんな判断の材料にきちっと貢献できるようにしていきたいというふうに考えております。
  66. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午前十一時四十二分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  67. 岩城光英

    委員長岩城光英君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  68. 松下新平

    ○松下新平君 民主党・新緑風会の松下新平でございます。  午後のひとときですけれども、しばらくお付き合いをよろしくお願いいたします。  先ほどの本会議でも出ましたけれども、昨日のWBC世界大会、第一回ですけれども、王ジャパン、見事栄冠をかち取ってくれました。選手を始め関係者に心から敬意を表するとともに、日本全体としてお祝いをしたいという気持ちであります。  まあ、実際この大会はこんなに盛り上がるとは最初のころは予想されておりませんでした。前半の方にちょっとしたハプニングがありまして、一つは韓国チームに二連敗した後の三度目の正直、そして米国審判によるミスジャッジでありました。  中川大臣も会見で述べられていらっしゃいましたけれども、その米国と対戦するときに、その審判が米国では中立を、もう公正なジャッジとは言えないんじゃないかということはそのとおりだと思います。このことを即BSEにつなげることはいたしません。むしろ、私はチームワークの成果だと思っております。体力的にも劣っている日本チームが世界を相手に活躍できたのは、日本人の粘り強さとか、個々の全員野球でかち取ったものだと思います。是非、停滞している農政ではございますけれども、この王ジャパンの活躍を是非取り入れて、明るい展望を期しながら今回の質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。  細かい質問以外は是非大臣の方に答弁をお願いしたいと思っております。  本日の議題は来年度農林水産関係委嘱審査でございますけれども、私は、BSEの問題とそして攻めの農政、この大きな二つのテーマについてお伺いしたいと思っております。  まず、BSEの問題でございます。  先週のこの農林水産常任委員会、それ以降にも動きがありましたことを質問させていただきたいと思います。  毎週毎週このBSEに関しては動きがございます。先ほども出ましたけれども、先週の土曜日に、先週の土曜日ですね、日本政府からの質問書に対する米国農務省からの回答がございました。で、二日後の二十日に日本語版が出されまして拝見をいたしました。  この内容を精査いたしました。私なりに要約いたしますと、今回の混入事件は特異な事例と、対応を強化したことによって両国政府で取り決めた日本向け牛肉の輸出条件は問題なく守れるというものだったと思います。また、抜き打ち審査についての具体的な内容についても、この回答書では、頻度は過去の調査輸出向け生産量によるなどとあいまいな表現にとどまるものでありました。米国側は、今週にも専門家を来日させて会合を開いて、輸入再開、再々開ですね、へこぎ着けたいようでございます。  そこで、まず中川農林水産大臣質問をいたします。  この米国側回答、特異な事例、先ほども質問の中で出まして、大臣は単純過ぎて異常という表現を使われました。まあ特異な事例というのは一般にまれなケースということであると思いますけれども、再度、中川大臣の、この米国側の特異な事例という表現を使ったことに対しての御所見をお願いいたします。
  69. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 特異な事例、余り例がないといいましょうか、そういう意味米国側回答してきたんだろうと思いますけれども、特異な事例であろうがなかろうが、徹底した原因究明と再発防止を我々は求めて今日まで来ているわけでございますから、まあ特異な事例という言葉そのものについてどういう趣旨の言葉かは私としてはもう一々言葉の問題にはしたくない。さっき申し上げましたように、食肉処理業者あるいはUSDAの検査官がもう一目見たら分かる骨があって、それが脊柱であったということでありますから、余りにもこれは初歩的過ぎることでございまして、とにかくこの回答精査した上で再発防止、原因究明に向かってアメリカ側がきちっとこのプログラムが遵守できるようにしていくべきだということで、今、回答につきまして慎重に精査をしているところでございます。
  70. 松下新平

    ○松下新平君 やっぱり思い起こしますと、この二年間、関係者の皆さんの御努力によってやっと輸入再開がなし得て一か月しかたっていないのにこういった事件が発生したわけであります。特異な事例ということで、言葉の問題ではなくて、そういった片付けることがいかがなものかと思うわけであります。さらに、この事例が発生しましてストップをされました。それから、質問書、米国側のこの回答書に対する質問書、やり取りをしている最中に香港での事例が発生したわけであります。特異な事例という表現でまた起きてしまったわけであります。  そこでお尋ねいたします。香港での混入問題について、日本政府としてはそれぞれ香港、米国政府に照会をされているということをお聞きしております。約もう二週間たったわけでございますが、どのような形で照会をされて、どのような回答があったか、若しくは中間的な報告があったのかをお伺いいたします。
  71. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 三月の十一日のことでありますけれども、香港政府の方から、米国のコロラド州にあります食肉処理施設から香港の方に輸出をされた牛肉について輸入対象外、輸入を認めていないその骨が混入しているというものがあったということで、その輸入停止について発表がされました。この日はたまたま土曜日でございましたけれども、翌その月曜日の十三日に外交ルートを通じまして、香港政府それからアメリカに対しましてこの今回の事件についての具体的な内容について事実照会を行ったところでございます。で、まだ今日現在それに対する具体的な回答が来ておりませんけれども、十三日に照会を行った後、更に十六日、それから二十日と、それぞれ早期の回答を待つと、これは私どもの方から督促をいたしております。  そういうことでございまして、両政府の方からは正式の回答は来ておりませんけれども、私どもとしてはできるだけ早くこの中身について情報を得るべく努力をしているところでございます。
  72. 松下新平

    ○松下新平君 特異なケース、言葉じりをとらえるわけではありませんけれども、まああってはならないことが起きて、そしてその調査をしている最中にまた二例目が発生したわけであります。中川大臣も定例の記者会見の中で、ゼロから一、一から二ですから、これが百から増えるというのと訳が違うと、摩擦係数が大きいという表現をされていらっしゃいます。特異なケースと簡単に片付ける話ではないと。二回現実に続いているわけであります。しかも、情報が入ってこないわけであります。むしろ、米国農務省の方は、香港の方はそのパッカーだけを輸入停止したと、日本は全部を止めていると、日本は過剰な反応じゃないかというコメントもされています。日本政府は、催促はされているということでしたけれども、ただただ待っている状態で、特異なケースで、香港で二例目が発生しているのに情報が入ってこない、それは何らかの公表してはまずい内容が含まれてるんじゃないか、そう日本国民皆さんも感じていらっしゃる方も多いと思います。  この輸入停止を決めました米スイフト・ビーフ社のグリーリー工場は、米政府が日本向けの牛肉輸出を認可した三十七施設に含まれておりまして、昨年十二月に米国産牛肉の輸入再開をいったん決めた直後、農水省と厚生労働省の専門家が日本向けの輸出条件が守られているかどうかを査察した十一施設のうちの一つであります。このスイフト社はタイソン社などと並ぶ米国の四大食肉会社の一つであります。日本政府による査察団の受入れを真っ先に表明するなど、自社の管理体制の安全性に自信があることを強調していました。また、日本のこの脊柱の混入があったときには、それは中小の企業だと、大手ではないというコメントもされておりました。それが、香港の場合は四大食肉会社の一つであります。このことは特異なケース、これは情報をしっかり公表しないとますます不信が募るわけであります。  そこで、具体的に、この検査官ですね、このパッカーの検査官は香港の場合と日本の場合と同じ人物だったのでしょうか、お答えください。
  73. 中川坦

    政府参考人中川坦君) グリーリーにありますスイフトの工場というのはかなり大きな工場で、たしか一日当たりの処理能力、三千頭ぐらいだったかと思います。こういった大きな施設では検査官も複数名おります。  それで、香港に輸出がされたときの検査官とそれから日本向けにこれまで輸出をしたときの検査官とが同一であったかどうかといったところにつきましては、私どもまだ詳細な情報を得ておりません。したがいまして、的確に今の先生の御質問にお答えすることは今現在はできない状況でございます。
  74. 松下新平

    ○松下新平君 先ほども申し上げましたけれども、情報がない中で一方的に特異な事例だと、それで納得できる話ではありません。一例目、二例目も発生しているわけであります。  今回のケースを考えますと、この日本の輸入に対する体制、このままではいけないと、そしていろんな各国の先進的な取組を参考にすべきだ、そういうふうに思っております。  カナダの食品検査庁の話を前回の委員会のときに申し述べました。もう一度申し上げます。食品安全委員会の組織を、現在のような形ではなくて、カナダの食品検査庁のように独自の事務局を持って、食品の安全のための検査官を自前で持つことで検査、査察などが行えるようなものに三条委員会として大幅に改編すべきだと意見もございます。  照会をして回答がないと、催促しても回答がないということですけれども、こういった機関があれば独自に情報を入手して、そして的確に国民皆さん情報を提供できたんじゃないかなと、そう思うわけであります。過去にこの独立の検査機関といいますか、検討された経緯がありますけれども、このBSEの問題を契機に再度検討していただきたいと思っております。  前回、委員会でも指摘をいたしました検疫関係の申請書、ちょっと黒くマスキングされているものもお出しいたしました。情報社会において風評被害を食い止めるというのは困難であります。ですから、何かがあったからそのミスをしたところを公表するという消極的な情報公開ではなくて、常日ごろから公開をして、問題があったところ、それは原因をしっかり究明して、そこを何らかのペナルティーを科すと、そして全体的には信頼をかち取ると、そういった積極的な情報公開、このことを強く求めていきたいと思っております。  大臣も言われたように、国民が納得、そして説明責任米国にあるわけですから、そのことを強く申し述べまして、次の質問に移ります。  二問目は攻めの農政についてお伺いいたします。  まず、攻めの農政、これは昨年、小泉総理が所信表明演説の中で打ち上げられた言葉だと、そして多くのところで取り上げるようになったと承知しておりますけれども、まずこの攻めの農政という言葉、これは具体的にどういうことを指していらっしゃるんでしょうか。よろしくお願いします。
  75. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 午前中、WTOとかFTA、EPAの交渉で、攻めるところは攻めるというところを御質問いただき、答弁させていただきました。これも一つ交渉に当たっての攻めということでございます。  それから、日本は世界一の食料輸入国で、まあ農産物というのはもう輸入するものなんだと、日本人の体の六割は外国から来ているんだと。でも、それだけではなくて、日本食料品、農林水産品、あるいはまた食材、食文化というのは各国でも大変高く評価をされているわけでございます。総理がよく答弁しておりますので、リンゴが何千円とかイチゴが何百円とかいうことを言っております。大変に東アジアあるいはアメリカでも売れているわけであります。日本は輸入と輸出の比率が二十対一、輸出は二十分の一しかないわけでありますけれども、しかし、昨年一年間を取りましても一二%輸出が増えている。しかもそれが単なる食材、水産物とかそういったものだけではなくて、和菓子であるとかいった食文化そのものが海外で非常に伸びているわけであります。そういう外国でもニーズの高いものをどんどん売っていこうということが攻めの農政の一つのポイントでございます。  といっても、いいものを作ったから売れるというだけではなくて、各地へ積極的に出ていって展示会をやったり試食会をやったりしたところが、やはり需要が増えているということでもございます。そういう意味で、輸出促進をして、去年から五年間で約三千億弱だったものを倍にしていこうというのが総理の公約でもございます。  また、消費者に対しましても、作る側が消費者に対して積極的にいいものを知ってもらうという努力も、やっぱり国内でも消費者皆さん、あるいはお子さん等に対して広い意味の食育というものも含めまして、国内的にも攻めの農政をこれからやっていきたいというふうに考えております。
  76. 松下新平

    ○松下新平君 国内的にも集約、そして競争力を付けるという意味合いもあるとお伺いしておりますけれども、大臣がおっしゃったように、輸出拡大、このことに脚光が浴びているわけであります。小泉総理も本会議場あるいは予算委員会でもこのことを引用されております。  攻めは最大の防御という言葉もありますし、停滞します日本農業には一種のカンフル剤、精神論として期待されるところは承知しております。  そこで、お伺いいたしますけれども、昨年立ち上げられましたこの攻め農業、特に輸出拡大に関しまして、どのような組織でどのような取組、計画を立てられて、まだ一年ですけれども、成果があったものは教えていただきたいと思いますし、まだ種をまいた部分もあると思いますけれども、そういうことも併せて御答弁をお願いいたします。
  77. 佐藤正典

    政府参考人佐藤正典君) お答えを申し上げます。  組織の関係でございますが、輸出促進にかかわるということで、十六年の四月に輸出促進室というものを設けまして、さらに十七年四月には、全都道府県やあるいは農林水産関係の団体、さらには流通、観光、食文化といった幅広い関係者から成ります農林水産物等輸出促進全国協議会を立ち上げまして、民と官が一体となった取組推進しているところでございます。また、予算面でも、十八年度輸出関係促進予算につきましては、十七年度が六億五千万円程度であったものを十三億ということで倍増いたしまして、こうした予算を効率的に活用いたしまして、今後とも取り組んでいくこととしています。  また、十七年度には、例えば展示・商談会というようなことで、中国あるいはタイ、韓国等で実施をしております。また、常設店舗の設置ということで、中国の北京、上海、あるいは香港、台湾、タイ等で常設店舗の開設を行っておりまして、まだいろいろ実際の商談等は進んでいる最中でございますけれども、現在のところで五百数十件の成約を見ておりまして、さらに、現在も進行中のものが相当程度あるということでございます。  以上でございます。
  78. 松下新平

    ○松下新平君 先ほど二十分の一で一二%増えてきたと。是非この攻め農業輸出拡大、これは大きな期待が寄せられているところであります。  私がここで皆さん是非お聞きしていただきたいのは、輸出拡大がどんどん事例を挙げて進んでいる、そしてそこの携わっている農家はもうかっていると。ただ、現実にいろいろ実情をお聞きしますと、そうではないようであります。  恐縮ですけれども、三月七日に参議院の予算委員会において、加治屋委員からの質問を引用させていただきます。ちょうど加治屋委員は、要約いたしますと、森林の大切さ、そして現状をこの予算委員会の場で小泉総理に訴えられたわけであります。それに対して小泉総理は、森林の重要性について、森を守ることは海を守ること、サケやウナギを引き合いに出されて、また緑の雇用の実例を挙げて答弁をされました。  それはそれでいいと思うんですけれども、その後に宮崎の実例を挙げていらっしゃいます。私の地元のことで恐縮なんですけれども、要約いたしますと、杉、ヒノキ、最近の話ですけれども、中国、香港と日本の何倍かの値段で売れていると。あるいはシンビジウム、これはランの一種ですけれども、日本では一鉢四、五千円、それが中国へ行くとその十倍の四万から五万円で取引されているという答弁をされました。  先ほど申し上げましたように、攻めの農政、このカンフル剤として使ってもらうには私は大いに結構だと思うんですけれども、この二つの事例、今から具体的に申し上げますけれども、実態とは懸け離れているようであります。  まず、この質問に当たりましては、所管される農水省がこの小泉総理の答弁に関して答弁書を、このような趣旨の答弁書を作られたのでしょうか。よろしくお願いします。
  79. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 国会の答弁のルールとして、総理出ますと、その担当の部局が答弁を作成するということに基本的にはなっております。
  80. 松下新平

    ○松下新平君 さらに、今私が事例等を出しました宮崎の杉、ヒノキ、そしてシンビジウムに関しましては、事前に農水省がレクチャーをされたんでしょうか。
  81. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今回の答弁に関してレクしたという事実はありません。事前にどこかでお聞きになったようなことをお答えいただいたんではないかと思っております。
  82. 松下新平

    ○松下新平君 私は、この予算委員会の様子はテレビ中継されていました。そして、関係者の皆さんがそれを見てどう思われたかというと、とても冷ややかでした。これは何年か前の話、今は全く違う状況にあるという現実がございます。農水省としまして、この小泉総理の答弁で、修正あるいは何か手を加えることが必要だとは思われなかったでしょうか。
  83. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 総理の答弁の中で倍の値段で売れているといったような御答弁ありますが、これまでの実績の中で、例えば私どもの関係します丸太でございますが、日本国内で一万円程度のものが中国で二万円程度で取引された事例はございますので、間違いではないというふうに思っております。
  84. 松下新平

    ○松下新平君 間違いではないと私も思います。ただ、その後、林野庁の方ではその対応に苦慮されたという話もお伺いしております。  私がここで申し上げたいのは、私はこれは大きく二つの罪があると思っております。一つは、あたかも日本農業輸出でもうかっているんだということであります。現実は、申し上げたように生産者の方は全くそういった成果は出ていないところもたくさんあります。もう一つは、大多数が国内向けの農産品を提供しているわけでありますけれども、何か攻め農業輸出でやっていないところは怠慢していると、そういった何かイメージも植え付けられるわけであります。  加治屋委員は、その予算委員会の中で具体的に数字も挙げていらっしゃいます。立木価格、今から二十五年前ですけれども、杉の一立方メートル当たりが二万二千七百円、現在は三千六百円、六分の一であります。何十年もの間、育て上げて、それは下払いとか、いろんなコストも掛かっております。その丸太の価格どころか、運び出す運賃、手間賃も出ないというのが、この杉、ヒノキでは今現状なわけであります。  それを、この話をすり替える、飛躍させてごまかして、この日本農林業の本当の実態に目を向けない小泉総理姿勢に、私は農業に携わり、国政に携わる者として憤りを感じております。だからこそ、この農林水産委員会、そして所管の中川農林大臣を始めとして、しっかりこの現状を踏まえていかなければならないと思った次第であります。  そこで、木材の話をいたしましたので、若干説明をさせていただきます。  これまでの経緯なんですけれども、日本は世界有数の木材輸入国でありまして、米材、南洋材はもちろん、ロシア材、欧州材、そしてアフリカ、南米と、正に世界じゅうの森から大量の木材を輸入していることで知られています。御存じのように木材自給率は一八%が現状であります。拡大造林をした森林はたくさんあるんですけれども、使われておりません。森林、この豊かな森林が残っているということは単純に喜ぶわけにはいかないわけであります。日本の林業、林産業を低迷させ、山村経済にも悪影響を与えております。また、生物多様性の低下や土壌の消失など、森林環境を悪くしている面もございます。  一方で、今回輸出先となった中国の方は木材不足が深刻化しておりました。元々中国は森林が豊かな国ではなかったわけですけれども、今後見込まれる北京オリンピック、上海万博などの開催が建設需要を高めると予測されています。しかし、水源地に当たる奥地の森林伐採が進んだ結果、大水害が発生しております。約二億三千万人が被災したとされるのは一九九八年の長江でありました。これを機に、中国政府は天然林の伐採を全面的に禁止したわけであります。そして、外材の導入に大々的に踏み切って、輸入という意味では日本を抜いて実質的に世界一に躍り出たわけであります。それにまた日本は目を付けて輸出をしようという試みをしたのがちょうど三年少し前でございます。二〇〇三年十月が本格的な日本木材の中国輸出がスタートした年であります。  やはり、これは宮崎の事例でしたけれども、この貿易のトラブルというのはいろんなところで出ておりました。想定外の問題が次々と発生しております。この積荷の要領が分かっていなくて、傷が付いたり、ちょうど夏に伐採したものは含水率が高いわけでございますけれども、いろいろカビが発生したり、虫食いが発生したり、いろいろトラブルも出ております。また、中国の機械、これがなかなか充実しておりませんで、製材ということでは商品にならなかったという話も聞いております。  これは一つの例を引き合いに出しました。中国側からはもうどんどん輸出してほしいと言われるそうです。でも、その代わり、製材して日本が引き取ってほしいということであります。いわゆるブーメラン効果ですね。これでは本末転倒なわけであります。一部商社の中には、営利目的のためにそれでも構わないということでそれをされているという話も聞いております。これは、小泉総理あるいは日本の農政が目指す攻めの農政には当たらないと思っておりますので、この現実をしっかり見極めること、これは大切だと思っております。  幸い、川村林野庁長官は南九州の出身で、宮崎にも生活をされていらっしゃって、そして宮崎のこの在郷のいろんな会合にもお出ましいただいて、南九州の実情もよく把握していらっしゃると思います。地元でもその期待は大変大きいわけでございます。  質問といいますか、是非この現状、小泉総理が使われる悲観的なものからは何も生まれない、それは確かにそうでしょう。しかし、現実の農業、林業に目を背けては何ら解決はいたしません。今まで先輩たちがいろんな作物ごとにいろいろ工夫して事業を組み立ててきたのがこの農業であり、この難しさであるわけです。小泉総理の言うように、精神論だけで乗り切れたら我々政治家も要らないわけであります。そのことを是非、川村林野庁長官、就任されたわけですので、是非お願いしたいと思っております。
  85. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今、松下議員から輸出についての問題点等をるる御説明いただきました。御指摘の点、確かにあるかと思いますが、私どもの方から少し補足をさしていただきますと、確かに輸出というのは一直線にスムーズな形では伸びないと思います。  そういった積荷のときのトラブルも最近では大きな板を敷くことによって解消して改善をしたとか、そういう報告も受けておりますし、それからこれまでは丸太という輸出だったんで、なかなか価格面でのメリットが少なかったわけでございますが、これまでいろんな県が取り組まれておりますのは、例えばモデル住宅を向こうで展示をして、もっと付加価値を付けた部材として輸出していくとか、それからまた杉を使うことによって非常に健康上いいんだということで福祉施設等に内装材で使うといったような、そういった付加価値とかストーリーを作って輸出をするといったようなこともされておりますので、私どもはこういったトライをして、もちろん一直線に伸びないと思いますけれども、やはりいろんな可能性はありますし、非常にこれは私どももチャレンジをする。そしてまた、国内がまたそれに向かって元気になっていくという一つの大きな道だというふうに思っておりますので、引き続き努めてまいりたいと思っております。
  86. 松下新平

    ○松下新平君 是非よろしくお願いします。  中国もシックハウスの問題とかも出ていると聞きますし、あるいはカナダの事例ですと相当国策として手厚い支援をしていると。要望としては、中国の方に国産材でレストランとかを設置していただいて、また即売会とか併設してやっていただくこと、これも是非攻めの農政の方で検討していただきたいと思います。  るる申し上げてまいりましたけれども、日本経済は十数年ぶりに明るさが確実なものになってきたと言われておりますけれども、地方経済農業はいまだに北風にさらされております。地方経済が冷え込んで、農業は更に厳しいダブルパンチが現状であることは申し上げました。  ホクレンの生乳、産廃として処分した映像を拝見いたしました。私も先々週ですかね、帯広に行きまして直接お話をお聞きしましたけれども、拡大ということでお金を借りて畜舎を増築して、さあこれから牛乳の方を供給しようとしたやさきに今度は過剰だということで処分、あるいはその乳牛をまた殺処分しないといけないということは、生産者としては本当に情けないやら当たり場所がないというのを直接お伺いしております。これは全国の地方の農業が抱えている問題でもあります。  食を担う農業は必死で変化に対応しようとしているのは事実でございますけれども、追い付いていないのが現実であります。まだまだ補助金のばらまき、これはいろんな批判がありましたけれども、それによって足腰の弱い農業から脱していない。私も農業を携わってきた者として反省もしながら、現実を見据えているわけであります。申し上げましたように、農業の問題は本当に精神論だけでは片付くものでは当然ありませんし、今までの先輩たちの知恵、そしてあるいは未来産業としての農業をどう肯定的にとらえていくか、様々な英知を結集して取り組んでいかなければならないというのを強く思いました。  中川農林大臣におかれましては、WTO農業交渉、最終的なもう詰めに入りますけれども、是非、先ほど話がありました、外国中川大臣は影響力があるということでありました。是非外交手腕を発揮されて、この日本農業を立て直し、再生のために先頭になって頑張っていただきたい。もちろん私たちもそれぞれの役割をしっかり果たしてまいりたいということを申し上げまして、質問といたします。  ありがとうございました。
  87. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合です。  先週に引き続きまして、質問をさせていただきます。  本日は、我が国の林業施策について、中心に質問をさせていただきたいと思います。  まず、質問に入る前になんですけれども、若干、林業に携わっている方からいろいろ話もお伺いしてまいりましたので、その話をちょっと紹介したいと。  先週末に実は常田先生の御地元であります鳥取県に行ってまいりました。鳥取県は杉の産地である智頭町というところに行ってまいりまして、そこでいろいろ、森林組合長さんでありますとか林業に携わる方のお話を聞いてまいりました。元々ここはもう杉の産地として大変有名であったわけでありますけれども、実際聞いてみますと、林業に携わる方というのは周辺産業を含めると大体百人ちょっとだと、人口は九千人ぐらいの町なんですけれども、しかも専業で林業としてやっている方も二人から三人だろうというような話を聞きました。いずれにしても、生計を立てていくことが非常に難しいという話とともに、新しく、例えば緑の雇用などを使って新規に林業へ携わりたいという方も、まあ手は挙がってくるけれども、冬季の、雪が降る間どうやって賃金を確保したらいいのかとか、そんな悩みも聞いてまいりました。  また、一方では、私の岡山の県北にある森林組合で現場作業員として従事される方のお話を聞きました。その方は、一昨年になりますかね、台風被害で風倒木が大変激しかった地域で風倒木処理に携わっているんですけれども、今年、まあ昨年の話なんですけど、二〇〇五年に入ってからでも県内で死者がその方によると十名ほどになっていると。なかなか風倒木処理の危険さだとか厳しさというものが世の中に浸透していないというふうに訴えられておりました。こういった作業はこれから四年間も続いていくんだと、激甚災害指定したからといってそれで事は終わるわけじゃないということを切に訴えられておりました。実際働いている方々にとってみると、例えば風倒木処理など危険な作業をしたとしても、給料が上がるどころか下がるという現実もあるんだと。実際、四十代でも実際年収は三百万円で本当に大変だというような話を聞いてまいりました。  いずれにしましても、本当に林業の現状というのは、そこに携わる人にとってみれば本当に大変な中でやっているんだなと。  ここで質問ですけれども、政府はここ数年、財政構造改革を進めていると。林野予算も年々圧縮されるところとなっておりまして、そのため森林・山村の現場で実際林業従事者のリストラさえ懸念される厳しい局面に立たされているのではないかと思っております。先ほども紹介しましたけれども、そういう厳しい経済環境に耐えながら必死に頑張ってきている、頑張ってきたこの数少ない林業従事者をここで失うわけにはいかないと私は思っております。特に、危険な作業を伴うようなものなんというのは簡単に一年、二年でできるものじゃないということを私も身にしみて感じたわけでありまして、ここでいったん失ってしまうと、この林業、日本の林業というのは再生というのは難しいんじゃないかと。この数少ない林業従事者を失わないために林野庁としてどう対応されていこうとするのか、その辺りをお伺いしたいと思います。
  88. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今委員の御質問の中にございましたとおり、なかなか林業経営をめぐる状況は厳しいものがございます。特に、端的には木材価格が低迷をしておりまして、なかなか採算性が悪いということがございます。そのために、ただ、価格が非常に落ちたということで、一方では国産材を使おうという動きが広がっておりまして、実際、合板でありますとか集成材への利用がだんだん増えてきております。これはある意味では新しい風だと思っておりますが、これに対応して、では山元でどういうふうに対応していくかとなりますと、やはり経済ベースでの採算性をできるだけ向上さしていくということがやはり一番ある意味では近道じゃないかということで、低コストで持続可能な林業経営をいかに実現していくかということが大事だろうと思っております。  私どもとしては、大きくはこのために二つの柱を立てておりまして、一つは、実際、林業の生産活動に携わる方々は森林組合等の林業事業体でございますけれども、ここの施業をいかに集約化するか、つまり規模を大きくして生産効率を上げていくかということがまず一点ございます。なかなか、不在村の森林所有者とかもありまして、なかなかまとめるのが大変な状況は現実としてありますけれども、これを何とか打破しないと道が開けないと思っておりますので、まずここを力を入れてやりたいというのが一つございます。  それからもう一つは、コストの低減には作業道といいますか、そういうものをやはり整備しなくちゃいけない。それから、それとセットで高性能林業機械、かなり出てきておりますので、高性能の林業機械ですね、これによりまして、例えば路網の密度が高まりますと、これまでよりもコストを半減したといったような事例がもう実例としてかなり全国でも出てきております。ですから、そういうことを念頭に、この作業道の整備、高性能林業機械の導入と、こういったことを二つ目の柱として進めていきたいということでございまして、今、川下の方で国産材の、特に間伐材を利用した集成材とか合板、こういうものが急速に伸びようとしておりますので、この期にそういった意味での転換といいますかを急速に図ってまいりたいというふうに思っております。
  89. 谷合正明

    ○谷合正明君 今二つの柱を言われましたけれども、森林組合の効率化、まあ合併等も今推進されているんだと思いますけれども、あとコストの削減といったところもしっかりと進めていただきたいと思います。  その林業、実際に林業に従事している方を守るための施策ということで今お話がありましたけれども、実際、今度新規で入ってくる方をどうもっと呼び込むかということで、よく言われておりますけれども、緑の雇用の存続についてなんですけれども、特に和歌山県なんかでは結構うまくいっているということでよく話を聞くんですが、この緑の雇用について、やはり今後も引き続き使いやすいものにしていただきたいと、そして今後もずうっと続けてほしいということを現場からよく話を聞きます。これまで、例えば対象、その対象は市町村林など研修事業に特化していたわけでありますが、それだけだとどうしても二年、三年して、じゃ林業に定着していくかというと、なかなかうまく定着しないというような声もありました。  その辺りも含めまして、この緑の雇用の存続、この事業を進めていくべきだと私考えておるんですけれども、この対応、どうなっているのかということを確認させてください。
  90. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) 林業就業者の減少と高齢化が進んでいきます中で今後の森林整備を着実に推進をしていくためには、御指摘のように、担い手確保育成を図っていくことが重要と考えております。  このことを実践するために、平成十四年度の補正予算から、現地で実践的な研修を行います緑の雇用担い手育成対策事業実施しながら、担い手確保育成に取り組んできているところでございます。平成十八年度予算におきましては、この現行事業に引き続く新しい事業としまして、若者等を対象に林業就業に必要な技術に関する研修を、研修対象地を拡大をしながら、公有林に限定せず、その他におきましても実施できますように新事業実施をするところでございます。  また、あわせまして、先ほど委員から御指摘もございました風倒木あるいは掛かり木の処理などのより高度な技術に関する研修を行います緑の雇用担い手対策事業実施することといたしております。  今後とも、森林整備を担います林業就業者の確保育成を図るため、本事業を着実に推進してまいりたいと考えております。
  91. 谷合正明

    ○谷合正明君 どうもありがとうございます。  公明党は、従来からこの林業施策というものが、どちらかというと川上対策を重視していて川下対策を軽視してきた嫌いがあるのではないかということを主張をしてまいりました。  先ほどからいろいろの川上の話が出ていたと思うんですけれども、どちらかというと従来林業施策というのは森林整備とか木材生産に特化したような川上対策があったわけでありますけれども、これからはやはりこの木材の加工、流通といった林産業などの川下対策を飛躍的に取組をしていくという必要があるんじゃないかということを公明党としても訴えてまいりました。  中でも、近年、木材の需要については、例えば柱、土台などの製材品の角類から、先ほども出ていましたけれども、構造用の集成材でありますとか、内装、外装用の板類への大きくシフトしているわけでありますけれども、ただ、この需要変化への対応というものが現場ではなかなか対応できていないと。国産材の場合は外材に比べてその対応が後れているということであります。  こういう実情に対処しまして、是非ともこの国産材が集成材や板類として広く利用されるための誘導措置というものを講じていくべきだということを訴えてまいりました。その際、用いられる素材につきましても、これまで結局見向きもされなかったような間伐材であるとかあるいは曲がり材といったものもこういった集成材には活用できるんだということで訴えてまいりました。  林野庁におきましても、こうした公明党の我が党の主張を受け入れて、また更に様々な工夫を凝らしていただきまして、平成十六年度からモデル事業展開されておりますけれども、これが川上と川下が連携した地域材の新しい大規模な流通・加工システムという事業でございますが、これが全国で七か所モデル的に展開されていると思います。現時点でこの事業の実績をどのように評価されているのか、その点についてお伺いいたします。
  92. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) 谷合委員御指摘のように、地域材、いわゆる広義にいう国産材でありますけれども、その需要の拡大のためにはこの川上、川下をどうとらえていくかということは非常に重要であると認識をしております。なかんずく、住宅メーカーなどの最近の動向を見ますと大規模な需要が多いわけでございまして、そのような大口のロットに対していわゆる木材産業としてどうその需要に的確にこたえていくかということが非常に重要であると併せて考えております。  平成十六年度から、大規模需要者のニーズにこたえるという視点で、これまで利用が低位でございました曲がり材あるいは間伐材を取りまとめて集成材や合板にして、これらを低コストかつ大ロットで安定的に供給をしていくという目的のために広域的な流通・加工システムをモデル的に整備しているところでございます。先ほど御指摘がありましたように、全国で七か所のモデル地域をつくり、今推進をしておるところでございます。この取組につきましてでありますが、この取組の成果もありまして、近年におきましては、先ほど長官もお話をさしていただきましたが、合板あるいは集成材におけます杉材を中心としました国産材の利用が顕著に今増加をしてきております。  今後とも、このような施策展開を通じまして国産材の供給拡大に努めてまいりたいと存じております。
  93. 谷合正明

    ○谷合正明君 分かりました。  そのモデル地域であったと思うんですけれども、国産材の利用が顕著に増えているということでございます。  この平成十八年度予算案でございますけれども、林業再生のための新生産システム確立という新しき事業があるかと思います。これがこれまで平成十六年度からやってこられたモデル的に展開した事業を更に大きく発展させる、そして単なる間伐材のみでなく広く一般材をも対象としたこの新生産システム事業案だと思います。これは事業規模にしても年間五万から十万立米にも及ぶ木材を処理できる大規模な事業主体を育成しようとする、そういう画期的な内容だと私は思っております。これは国産材の市場拡大への大きな追い風になると期待するものでありますが、この事業に取り組む姿勢大臣にお伺いをしたいと思います。
  94. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 日本の国土の三分の二が山、森林であって、しかも日本の気象条件、あるいは地形からいうと山がしっかりしていないと日本じゅうが、都市農村農業も含めて安定した生活、あるいは産業活動ができないわけであります。  先ほど中国の森林状況のお話もちょっとありましたけれども、山が荒れると最終的には国は、国土は砂漠化していくと。昔のあの有名なレバノン杉なんというのは非常にいい材質だったんでしょうけれども、あれを乱開発といいましょうか、取り放題にしてキープしてこなかった結果が、あの地帯がもうほとんど砂漠化してしまったと。中国も植林をきちっとせずに、そして日本からいい木材だけを買おうというのも、これは日本にとって先ほどの御質問のようにプラスにならないだけではなくて、中国そのものが砂漠化をしていくんだと、これはもう大変な問題ですよということを私は中国の閣僚にいつも申し上げているところでございます。  そういう意味で、この山をまず守ると、守るためにはそこで暮らしをしていく人たちがきちっと暮らしていける。先ほどから谷合委員が御指摘のように、風倒木の被害というものの復旧は大変難しいわけでありますし、治山治水事業というのは極めて大事であり、また長期間にわたるわけでございます。そういう意味で、御指摘のように川上と川下がうまく連動できるように、もっと言いますと付加価値のあるものを川下サイドがこういうものが欲しいんだというものに対してきちっとこたえていく体制が、今までともすればミスマッチぎみであったということに対して、先ほど三浦大臣からも答弁があったところでございます。  また、輸出についても、丸太だけではなくて、付加価値の付いたものをきちっとした資源管理、あるいはルールのあるところに輸出をしていくということも重要だと思います。これも谷合委員大変御熱心に取り組んでいらっしゃるというふうに伺っております。  林業関係者も、輸出というものを最近は特に意識をしながら、とにかく売れるものをつくっていこうということで、何とかこれもある意味では攻め木材行政、森林行政ということで、これは現場はもとよりであります、また自治体、国、一体となって、また山村集落から大都市、メーカーに至るまで一体となってやっていくということが今正に問われていることだろうと思います。  いずれにしても、山に従事している人たちが大変厳しい状況にあるということは私自身も重々承知をしておりますので、積極的な林業政策を改めてこれからもやっていきたいと思いますし、専門でございますので谷合委員のまた引き続きの御指導もよろしくお願いいたします。
  95. 谷合正明

    ○谷合正明君 ありがとうございます。  大臣に今、国産材供給拡大に向けた大きな御決意も聞かせていただきながら、その取組姿勢を聞かせていただきまして、ありがとうございます。特に、この新生産システムのこの新しい平成十八年度予算というものをやはり私も期待をしておりますので、しっかりと見守っていきたいと思っております。  今年の秋には森林・林業基本計画の見直しが予定をされております。現時点でのその状況認識で結構なんですが、この森林・林業基本計画についてどのように認識されているのか。前回は平成二十二年度国内木材供給量、例えば二千五百万立米産出するというような目標もあったんですが、現実にはまあ難しいんだろうというのはあるんですけれども、現時点での認識をお伺いいたしたいと思います。
  96. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 御質問の基本計画でございますが、平成十三年に策定しておりまして、最初の策定をしておりまして、この大きくは二つの目標を掲げました。一つ森林の有する多面的機能の発揮に関する目標ということが一つ、それからもう一つは、今二千五百万立米と申されましたように、林産物の供給及び利用に関する目標というものを掲げて、関連する施策を総合的に展開すると、こういうことで進めてまいりました。  一点目の森林の有する多面的機能の発揮に関する目標でございますが、これは、より具体的にいきますと、育成の複層林、様々な年齢層の林層の森林をつくっていくと、にシフトしていくということでございましたけれども、これが正直、率直に申し上げまして、施業技術の開発の遅れとか、あるいは路網等の基盤の整備が低調であるということで、これが残念ながら低位にとどまっております。そしてまた、下草の成育が十分でないといったようなことで、森林の公益的機能の十全の発揮にやや懸念があるというところが現実であろうと思っておりますので、この点いかに進めていくかということが重要であろうというのが一つでございます。  それから、林産物の供給及び利用に関する目標の二番目でございますが、二十二年に二千五百万立米ということで目標にしておりました。ただ、全体としての需要が減少しておるものですから、平成十四年までは減少を続けたわけでございます。ただ、先ほど来御議論ございましたように、国産材がやや最近では復活の兆しがございますので、これを太い流れにしていきたいなというのが現在の認識でございます。
  97. 谷合正明

    ○谷合正明君 国産材が使われるためには、やはり消費者が国産材をやはり使いたいと思う気持ちが高まらないといけないわけでありますけれども、特に、今は小学校とか新しく造るときも、地元の木材を使って造ったりとか、やはりその地域材にいかになじむかというようなことをしながら国産材の愛着というものを高めているんじゃないかと、そういう必要があるんだと私は思っております。  国産材利用促進に向けて、私自身、例えば先ほど自給率、木材の自給率が一八%と出ましたけれども、例えば食料の自給率であれば四〇%、現時点で四〇%だけれども、将来、将来というか十年後には四五%にしたいというような分かりやすい大きなマクロ的な指標があるんですけれども、木材、林業に関していうと、なかなかそういったものが見当たらないなというところは前から思っております。  その点は御答弁いただかなくても結構なんですけれども、要は、国民が、特に若い人たちが国産材を使おうという意識が消費行動に結び付くことを促進することが大切でありまして、国民への分かりやすい情報提供というものが必要であると思います。まだまだ国産材、木材のトレーサビリティーというのは確立されておりませんので、例えばその消費をしようと思っても、それが地域材なのかどうかというのは実際本当は地域材なのかどうかというのは分からないところも多くて、どうやったら国民に分かりやすく情報提供を伝えていくのか、そこをしっかり強化していただきたいと思います。  その対策についてお伺いしたいと思います。
  98. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 御指摘のとおり、国産材の利用をいかに拡大するかということが、ひいては林業の活性化、また地球温暖化防止に資するということでございまして、木材利用の、特に地域材の利用の普及啓発が必要だろうと思っております。  昨年から、国民運動としてこれを盛り上げていこうということで、木づかい運動を展開しております。そして、十月を木づかい推進月間としまして、シンポジウムでありますとか政府広報でありますとか各種メディアを通じて、地域材の利用に対する理解、意義、こういうものを直接消費者やユーザーに訴えているというところでございます。  特に、その中の一つのやり方として、どの程度貢献ができるかということで、ポイントを使って、ポイント制の評価でやっていくということで、一立方の木材を使うと一ポイントということでカウントしますと、例えば間伐材を利用した印刷用紙一枚が六ポイント、間伐材を使った割りばし一客が二十四ポイントとか、非常に木を、木造で造っていただきますと四千万ポイントにもなるわけなんですが、そういったポイントをよく理解していただく。  そして、最近、企業の森とか、企業参加型の森づくりも進んでおりますが、そういうところでもそういった、どの程度貢献をされておるかということが分かりやすく国民の皆様に会社側が説明できるような、そういう指標も作りながらやっていきたいというふうに思っております。
  99. 谷合正明

    ○谷合正明君 ポイント制度ということで、まあ、ポイントがたまると何があるのかはよく分かりませんけれども、そういう楽しく参加できるようなものをどんどんやっていただきたいなと思います。  林業については、やはりこの森林資源だけではなく、海洋資源も含めてトータルに考えていかなきゃいけないんだろうと。先週は、私はノリの問題を取り上げて、ノリは海じゃなくて山が作っているんだということをお伝えしましたけれども、やはりこの日本の山をつくっていくことはこれから大事な、本当に大事なことだと思っております。  ちょっと話題が、今度、鳥獣被害の方の話をさせていただきたいんですけれども、農作物の野生鳥獣被害について、やはりいろいろの地元、現場を回っていると、品目横断的な施策のみならず、やはりこの鳥獣被害についての訴えをよく聞きます。実際にその野生鳥獣による農作物の被害の状況だとか取組状況について、簡潔にまずお話お聞かせいただければと思います。
  100. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 鳥獣害の、農作物被害というお尋ねでございますけれども、平成十六年度の野生鳥獣による農作物の被害は全国で、面積で約十四万ヘクタール、被害金額は約二百六億円というふうになっております。このうち、獣類による被害が百二十八億円、鳥類による、鳥ですね、鳥による被害が七十八億円ということでございます。特にイノシシ、シカ、猿による被害が多くて、獣類の被害の約九割がこの三種で占めているということでございます。  農林水産省におきましては、野生鳥獣による農作物被害を防止する観点に立ちまして、被害防止のための技術開発というものを一つ行っていると。このほかに、強い農業づくり交付金などの各種補助金によりまして、各地域で取り組みます侵入防止さくの設置あるいは追い払いなどの自衛体制の整備、必要な知識の普及啓発などに対して支援を行っているということでございます。  また、各地域におきます取組を円滑に進めるために、この三月中旬に、現場の技術指導者が活用できますよう、全国的に被害が大きいイノシシとシカと猿につきまして生態特性と被害対策をまとめましたマニュアルを作成いたしまして、各都道府県などに配付してこの対策の参考に資するようしているところでございます。
  101. 谷合正明

    ○谷合正明君 続いて、その農作物の鳥獣被害でとりわけその県域、都道府県の県域をまたがる地域の被害防止策についてなんかはどのように対策を講じられているんでしょうか。
  102. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 委員御指摘のとおり、イノシシとか猿などの被害につきましては、県域を越えて複数の市町村に被害をもたらす場合もございます。そういうことで、被害を受けている市町村等が連携してこの対策に取り組むというのが非常に大事だろうと。  ただ、こうした県域をまたがります地域につきましては、既存の交付金などでの対応というのが困難なことも想定されますことから、十八年度予算におきまして、農林水産省といたしましては、関係する市町村や関係団体による県域を越えた被害防止に向けた連携対策構築するとか、被害目撃情報、侵入防止さくの設置状況などの情報等、その個体群の行動範囲などの情報を統合した地域参加型の鳥獣害情報マップ、これは最先端のGPSとかGIS、それも活用するわけですが、そういうものを作成する。また、猿用の電気さくであるとかイノシシ用のフェンスなど最新の開発成果の導入、あるいは放牧とか忌避作物を上手に組み合わせた総合的な防除技術の体系を確立するといったこと、そういうことを内容といたします新たな対策を環境省との連携の下で実施することとしているところでございまして、関係省庁ともしっかりと連携を取って被害防止対策を総合的に推進したいというふうに考えているところでございます。
  103. 谷合正明

    ○谷合正明君 終わります。
  104. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  まず最初に、このお配りした資料の図を見ていただきたいと思います。  これ、私の地元、北海道のずっと北の方ですね、北部です。で、太い線が天塩川で、その上流に名寄から分かれた名寄川、さらにその支流にサンル川があって、ここにダムの建設が計画をされています。ここは天然のサクラマスが上る貴重な川です。私もこの上流の産卵のところまで調査に行ったんですけれども、本当にすばらしい、清流というふうに言えるすばらしいところなんです。川を下った日本海沿岸ではサクラマスの漁をやっています。  初めに水産庁にお聞きしますけれども、日本海の沿岸漁業でのこのサクラマスの重要性と、その生息地である河川環境を守ることについての御認識をお聞きしたいと思います。
  105. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) サクラマスでございます。ちょうど春先を中心に日本海の沿岸各地、それから北海道周辺、さらには三陸沿岸、こういったところで定置漁業でありますとか、はえ縄漁業などによりまして漁獲されております。非常に美味なお魚でありまして、比較的高い価格で取引されます。沿岸漁業振興を図る上で重要な魚種の一つというふうに考えております。  一方で、このサクラマスにつきましては、ふ化から海に出るまでの河川生活期、これは一年から二年と長いわけでありまして、そういう意味ではふ化放流が難しい魚種であります。そういう意味で、国といたしましても従来から強い水産業づくり交付金の交付などを通じまして関係道県でのふ化放流技術の開発などを促進してきておりまして、十八年度予算案におきましても民間におけるふ化放流事業取組支援してまいりたいと考えているところでございます。
  106. 紙智子

    ○紙智子君 ありがとうございました。  北海道の水産白書の中でも、今後は河川での生き残りを高めていくためのこの河川環境の保全なども含めた総合的な対策が必要だというふうに指摘をしています。地元からは、このサクラマスについては細々と続けてきたふ化事業を断念せざるを得ない状況になっていて、自然産卵に頼らざるを得なくなってきていると。河畔林の保全等の河川環境の改修、復元を望むという意見が寄せられているわけです。特に、漁協の皆さんがとっても懸念をされているということなんですね。  サンルダムの予定地にある自然産卵でふ化したサクラマスの稚魚は、今お話もあったんですけど、一年、二年かけてずっとこの上流で過ごして、やがて、ここは日本最長ということなんですけれども、河口まで二百キロを下って、そして一、二年後に成長してまた産卵のために戻ってくると、こういう自然のサイクルを繰り返しているわけです。そういう自然のサイクルの中に、今、高さ四十六メートルのダムができて、河川を分断して、環境が激変するということになると、これサクラマスが上り下りすることに大きな影響を与えるんじゃないかと、そうならない根拠があるのかということで、次、北海道局ですね、聞きたいと思います。
  107. 吉田義一

    政府参考人吉田義一君) 天塩川流域におきましては、御指摘のように、サンル川の流域を始め広い範囲でサクラマスが生息していることが確認されております。このうち、サンル川の流域は、流域面積につきましては天塩川全体の約四%でございますけれども、既存資料及び現地踏査から特にサクラマスの産卵所が広い範囲で確認されております。  このため、サンル川に建設が予定されておりますサンルダムにつきましては、魚道を設置するなど、そういう対策実施することとし、現在その設計及び影響軽減効果の検証を行っております。
  108. 紙智子

    ○紙智子君 魚道を造ればそんなに影響は出ないというような形で進めようということでやってきているわけですけど、開発局の調査で分かったのは、例えば二風谷ダムの魚道、これはサクラマスが平成八年から十六年までに年間で四匹から十三匹遡上する、二匹から百六匹下降したと。八年間の調査の中でそういうことが出されているだけです。しかも、二風谷ダムでいいますと、年間ここは百回以上水が入れ替わる。流れダムというふうに言うわけですけど、というふうになっているんだけれども、サンルダムの場合はわずか三・二回しか水が入れ替わらないと。止まりダムというふうに言われているわけですよね。このダムによるせき止めのために流れがないダム湖ができて、稚魚が下れないということがむしろ問題だと。サンルダムではこの二風谷以上にダムで上り下りが遮られるんじゃないかと。  いつもいろいろ資料とかも要求したりするわけですけど、言われるのは、ダムを造っても影響のない例として、これまで来てもらって話を聞いたんですけれども、米国の例えばコロンビア川に建設されたダムの魚道を上るサケの数を、これだけたくさん上っているということで出してくるわけですけど、ここも上流でふ化してもダムが障害になって川を下れないということで、陸軍の工兵隊が上流でサケの稚魚をドラム缶に入れて毎年下流に大移送作戦をやっているわけです。それでもサケが激減したということが米国の内務省の調査で今明らかになっているんですね。  サクラマスの影響について、そういう意味では流域委員会、今やられてますけれども、その流域委員会にサクラマスの生態ですとか実際にこのアメリカのコロンビア川で起こったようなことですとか、こういうことなんかも証言できる専門家も呼んで本当に科学的なデータをしっかり出して議論をする、そして漁協や住民団体の皆さんとももっともっとよく話し合うべきじゃないかというふうに思うんですけど、その用意はありますか。
  109. 吉田義一

    政府参考人吉田義一君) 魚道につきましてでございますけれども、北海道開発局では、現在、今先生のお話にありましたような二風谷ダム、これ日高管内です。そのほかにも檜山管内の美利河ダム、魚道を付けておりまして、その効果等も検証しておりまして、例えば二風谷ダムでは、そのダムの上流に生息するサクラマスの数についてもダムの前後でそんなに大きく変化してないというような調査結果もございます。  いずれにしても、そういう調査結果等を基にしまして、このサンルダムにおきましてもそういう魚道の設計を進めてまいりたいと。また、そういう設計が進んだ段階で漁業関係者の方につきましてもいろいろお話もさせていただきたいと思っております。
  110. 紙智子

    ○紙智子君 だから、そんなに大した変化がないという、そういうやっぱり本当にいい加減な調査だけで中途半端な結論を出して進めてほしくないわけですよ。もっとやっぱり厳密にそういう調査も行うとか、いろんな幅広い専門家の人たちも含めた意見を聴取するとか、やっていただきたいと思うんです。そして、やっぱりよく議論もして、たくさんみんな疑問を持っているわけですよね。そういうのがやっぱり解決されていくという方向で努力すべきだと思いますけど、その努力はされるんですか。
  111. 吉田義一

    政府参考人吉田義一君) そういうような御懸念があるということも伺っておりまして、私どもとしては、そういう関係者の方々といろいろお話合いを進めながら、この事業を進めてまいりたいと思います。
  112. 紙智子

    ○紙智子君 やっぱり、流域委員会ももちろんそういう議論するんですけど、それだけじゃ駄目です。やっぱり地域住民の皆さんや専門家も含めてやるべきだと思いますし、いろんな角度から慎重にやっぱり明らかにしていくと。やっぱりダム造って、その結果サクラマスが激減してしまったということになったら、本当に責任取りようがないわけですから、そこはきっちりとやっていただきたいというふうに思います。  次に、ダム建設の前提となっているデータについてお聞きしたいんですけれども、開発局は今年になってサンルダムによってどれだけ水位が下がるのかということで、名寄川のサンル川の合流地点から天塩川の合流地点の間で四十センチから百十センチ、それから天塩川の誉平というところから名寄川の合流地点までの区間で二十センチから八十センチ水位が下がるんだという図を出しているんですけれども、この根拠となっているデータを流域委員会や住民団体に公開していますか。
  113. 吉田義一

    政府参考人吉田義一君) 河川整備計画の策定に当たりましては、河川法第十六条の二の三項に基づきまして、河川に関し学識経験を有する方の意見を聴くこととされておりまして、このような意見を聴くために天塩川流域委員会を設置しております。  天塩川のこの河川整備計画の原案につきましては、現在、天塩川流域委員会において学識経験者等の意見を聴く手続を進めております。流域委員会は公開で開催されておりまして、その議事概要及び資料もすべて北海道開発局旭川開発建設部のホームページで公開しております。この天塩川河川整備計画の原案につきましては、各種団体に加え、多数の一般の方々から様々な御意見が寄せられております。これまでに寄せられた御意見につきましては、流域委員会に報告するとともに、すべて公開しております。これらの意見等につきましては、流域委員会の審議テーマに沿う形で必要な資料を用いて説明してきているところでございます。  御質問の水位低減効果につきましては、流域委員会の中で、天塩川につきましては二十センチメートルから八十センチメートル、名寄川につきましては四十センチメートルから百十センチメーターと説明しておりまして、その根拠となる数値につきましては、河川の距離標ごとの水位計算結果として天塩川流域委員会説明するとともに、旭川開発建設部のホームページでも公開しておるところでございます。
  114. 紙智子

    ○紙智子君 今いろいろおっしゃったんですけれども、結局概要ですよね。概要と資料を出しているという話と、その整備計画についても出しているということなんですけど、結局出してきているものは一部なんですよ。ですから、どういう根拠でそういう数値になっているのかと、で、どういうふうな手法でそれが出ているのかということが具体的には示されていませんよね。示してますか。
  115. 吉田義一

    政府参考人吉田義一君) ただいまお答えさせていただいたような形で皆さんに御説明し、また公開しているところでございます。  更にの御質問でございますけれども、このサンルダムの水位低減効果を算出するための水位計算につきましては、市販されております「河道計画検討の手引き」に示されております一般的な手法により試算を行っているところでございます。  なお、天塩川流域委員会につきましては公開の場で行われておりますので、計算過程につきましても必要に応じて説明するとともに、旭川開発建設部のホームページでも公開してまいりたいと思います。
  116. 紙智子

    ○紙智子君 全然説明なんかしてないですよ。出してないですよ、そもそも。私だって何度も要求しているけど、全然出してこなかったんですよ、資料を。  それで、具体的に示されてないと。だから、結論だけは出すわけですよ、それで。これが結論ですといって図とか数字とか出してくるんだけれども、第三者がそれを検証することができないんですよ、もう部分的で、ばらばらで出してくるから。これが私は本当に大きな問題だというふうに思うんですよ。  例えば、河道断面図なんかも、真勲別というところは非常に大事な基点になるところですけれども、ここの基準点そのものが出ていないということですとか、その前後だけは出しているけれども肝心のところが出ていないですとか、それから水量と水位、どれだけの量が降ったらどれだけの水位が上がってということで、そういうことを示すデータも、それから堤防の高さも全面的に出してないんですよ。  なぜこのデータの根拠が必要かとみんなが言うかっていうと、以前、開発局のこのサンルダムの建設事務所は、ダムの水位を下げる効果は真勲別で二十センチですと、誉平では十センチですと、はっきり回答しているからなんですね。それが今違うふうになっているわけですよ。このデータの違いがどれだけ、ダムが必要なのかどうかというその根本問題になる重要な問題なんですよ、判断していく上で。かつてここまで水位を下げる効果があるということで示してきた内容が、今出してきたのと違うと。その根拠のデータ、計算のプロセスも含めて分かるように地域住民の人たちにも説明すべきじゃないんですか、どうですか。
  117. 吉田義一

    政府参考人吉田義一君) 御指摘の河川整備計画で想定しております目標流量につきましては、ダムのような洪水調節施設と河道の改修による流量の分担を示すために、天塩川流域委員会におきまして、現況の流下能力と併せて天塩川本川、名寄川について、流下能力模式図で縦断的に示しております。さらに、想定しています目標流量の時間的変化、まあハイドログラフといいますけれども、これにつきましては、流量を代表する基準地点であります誉平につきましてこのデータを公開しているところでございます。
  118. 紙智子

    ○紙智子君 縦断的に示してるって言うんですけど、実際には示されてないから地域住民の人たちがやっぱりいろいろ問題にしているわけですよ。  今回のこの治水計画では、取りあえず当面の目標として昭和五十六年洪水ですか、このときが一番大変だったってことなんですけど、その規模に対処しようということなんですけれども、五十六年洪水のときに真勲別では流量が毎秒六百立米だったんですね。それが今回の目標流量というのはいきなり千五百と、二・五倍の設定になっているわけですよ。だから、その根拠も示されてないんですね。だから、これ過大じゃないのかという疑問を持つ人もいるわけです。本当にダムが必要なのかどうか疑問を持つ人たちがたくさんいるわけで、住民から求められている基本的なデータをちゃんと出して、課題ごとに、やっぱり専門部会を設置して徹底して審議するとか、住民の疑問に答えていくということが非常に重要だというように思うんです。  私は、例えば淀川水系流域委員会ってありますよね。ここなんかは、本当に治水、利水、環境ということで、幾つもの部会やワーキンググループを作って議事録をすべて公開してやっているわけですよね。こういう取組を、やっぱりこれからの時代はそうだと思いますけれども、ちゃんとやるべきじゃないんですか、いかがでしょう。
  119. 吉田義一

    政府参考人吉田義一君) 先ほど申しましたように、この天塩川流域委員会につきましては、すべて公開で実施しておりまして、また住民の方、いろんな方々から出た意見等につきましてもそこで議論していただき、またそういう内容については、事業実施しております北海道開発局の旭川開発建設部のホームページ、そこでも公表しているところでございます。
  120. 紙智子

    ○紙智子君 私も資料を要求したときに、いや、ホームページに載ってますからというふうにいって、開いて見たところが出てなかったりとかあるんですよ。本当に、そういう意味では誠実に対応してもらわないと納得できないですよね。  ちょっと最後に、大臣にお聞きしたいんです。  今のやり取りをお聞きになっておられてどう感じられたかってことなんですけれども、やっぱりダムが必要なのかどうなのかということで判断できる資料というかデータ出さないで、まだたくさんの疑問が残っている中で、そのままでダムがどんどん進められていくと、建設が進められていくと、その結果、サクラマスの漁にも大きな影響が出てきてはならないというように思うわけですけれども、本当に水産資源や河川環境ということで守っていかなきゃならないというふうに考えますと、農林水産大臣としてのお立場から一言伺いたいと思います。
  121. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私も北海道ですけど、ここには行ったことはございません。多分すばらしい自然、そしてその自然に基づいてサクラマスが、さっき水産庁長官は美味と言っておりましたけれども、私も大好きでございます。一方、このダムにつきましては、利水、治水、発電等々という目的、公益的な目的もあるわけでありますけれども、やはり自然とうまく調和をしていくことが、あるいは環境に十分配慮することが大前提でありますし、関係者の皆様、地元の皆様によく情報を御説明をしながら、一歩一歩着実に前に進んでいくということだろうと思います。  北海道局長は全部公開していると。紙委員は全然公開してないと。これは、聞いててどういうことなのか、私にはちょっと理解がしかねるということでございます。
  122. 紙智子

    ○紙智子君 大臣、今いろいろお答えいただいたんですけれども、やっぱり公開してる、してると言いながら、実際にはやっぱり明らかになっていないし、納得するというか、疑問を残したまま進めてはならないというふうに思いますので、そこのところは最後に再度申し上げて、質問を終わらしていただきたいと思います。
  123. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 以上をもちまして、平成十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時一分散会