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2006-03-16 第164回国会 参議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月十六日(木曜日)    午後一時一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩城 光英君     理 事                 加治屋義人君                 常田 享詳君                 小川 勝也君                 小川 敏夫君     委 員                 岩永 浩美君                 岸  信夫君                 国井 正幸君                 小斉平敏文君                 段本 幸男君                 野村 哲郎君                 三浦 一水君                 郡司  彰君                 主濱  了君             ツルネン マルテイ君                 松下 新平君                 和田ひろ子君                 谷合 正明君                 福本 潤一君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   中川 昭一君    副大臣        農林水産大臣  三浦 一水君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       小斉平敏文君    事務局側        常任委員会専門        員        高野 浩臣君    政府参考人        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       松本 義幸君        農林水産大臣官        房総括審議官   佐藤 正典君        農林水産大臣官        房技術総括審議        官        染  英昭君        農林水産大臣官        房統計部長    小西 孝藏君        農林水産省総合        食料局長     岡島 正明君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        農林水産省生産        局長       西川 孝一君        農林水産省経営        局長       井出 道雄君        農林水産省農村        振興局長     山田 修路君        林野庁長官    川村秀三郎君        水産庁長官    小林 芳雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (平成十八年度の農林水産行政基本施策に関  する件)     ─────────────
  2. 岩城光英

  3. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 農林水産に関する調査のうち、平成十八年度の農林水産行政基本施策に関する件を議題といたします。  本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 岩永浩美

    岩永浩美君 自由民主党、岩永浩美です。  三月の九日に、本委員会において中川農林水産大臣から所信表明をお聞きいたしました。これに関連して若干の質問をしたいと思います。  今日、大臣は、衆議院の本会議のために何か一時四十五分ぐらいには退席をされなければいけないということですから、私もできるだけ重複を避け、かつまた簡単に質疑をしたいと思いますが、今日は盛りだくさん大臣にお聞きしたいことがありますので、是非答弁については簡潔にお願いを申し上げたいと思います。  先ほど申し上げましたように、さき大臣所信表明を聞きました。まず、中川大臣キャッチフレーズDo! our BEST」という表題で農政に取り組む姿勢をお示しになりました。よく「Do! our BEST」というキャッチフレーズ、その基本方向、だれがお考えになったのか、まあ大臣が当然お考えになったんだと思いますけれども。  聞くところによると、BESTのBはバイオテクノロジーとブランドの頭文字、EはEPAWTO、エクスポート、いわゆる輸出、エンバイロンメントの環境の頭文字、Sはセーフティーとストロング頭文字、Tはチーム、すなわち農業生産加工、流通の連携を表すということであります。よくやっぱり役所の中で考えておられる、正に製造と加工一体になってという、あらゆる関連のものをひっくるめてお示しになるその心意気、私は理解できますが、この攻め農業消費者に顔を向けた農業への転換をやっぱり明確に大臣がお示しになったんだと私は思います。  改めて、このフレーズが示す意義、そして生産者消費者に与える効果、どういうふうにお考えになっているのか、まずお尋ねをしたいと思います。
  6. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、岩永委員がおっしゃられましたように、E、これはエデュケーションも入っているわけでありますけれども、これを考えたのは私本人でございます。寝ながら、農林水産省が今取り組むべき課題、また取り組むに当たっての心構え、こういうことで幾つか思い浮かんで、で、組み合わせたのが「Do! our BEST」という言葉でございます。チームワークが非常に大事だということを強調させていただきたいと思います。  また、今御指摘のように、攻めということで、これは輸出攻めでありますし、今WTO農業交渉、大変厳しい交渉でありますけれども、しかし我々にも攻め部分はあると、こういうことで、その部分は大いに攻めていこうということでございます。  それから消費者、私は消費者と言うよりもお客様と呼ぶべきだというふうに省内で言っておりますけれども、買ってくれる人、メーカー、あるいは最終的に食べていただく国民農業とがいい意味攻め関係緊張関係にあることによって、いい循環といいましょうか発展が期待できるというふうに思っておりまして、そういう意味攻めという観点から、土台において「Do! our BEST」をやっていきたい。これも当委員会先生方のまた引き続き御指導をいただきながらやっていきたいというふうに考えております。
  7. 岩永浩美

    岩永浩美君 大臣は今まで農林水産大臣並びに経産大臣を経験され、正に生産消費者一体になった農政を推進することが、新しい日本農業確立に向けたその一つ心意気、それは我々にも非常に共鳴するものがあり、その意気込みを持って今後を対処していただきたい。  そこで、新たな経営安定対策についてまず伺っておきたい。  去年の三月に改定された新しい、新農業農村基本計画、十月の経営所得安定対策、それから今国会経営安定対策関連法案提出をされています。私、その詳細についてはまた法案審議の際に改めて伺うことと私はしますが、私は、日本農業担い手だけが我が国農業を支えているとは私は思っていません。狭隘な土地があり、集落営農があり、土地の効率を図り、対外的に日本農業を価格の中で競争できる体制を整えることは大変大切なことでありますが、今、ややもすると、担い手を中心にした議論だけが先行されていることに大変危惧を覚えている者の一人です。  そこで、やっぱり日本財政も大変厳しいです。いわゆる選択と集中の論理によって担い手支援をせざるを得ないというその一つ思いは私も理解しますが、やっぱり家族的農業、兼業という我が国農業の特徴を考えると、やっぱりこれを踏まえた財政支援集落営農の促進、農地の保全、そういうことについても十分な対策が講じていかなければ私はならないと思っています。  特に、十九年度から実施することになっているこの新たな経営安定対策、私は、今役所皆さん方を始め県、農業団体一体になって地元に対する説明をしていただいていますが、その説明の仕方によってはやっぱり十分な理解が得られていない地域が数多くまだあって、例えば集落営農をしていくことによって集落の法人を設立することは私的財産の制限につながるのではないかという誤解を持っておられる方もおられる。そういう問題についての説明が十分になされていない中で、十九年度から実施するということについては大変まだ私自身危惧を持っていますが、それに対応できる体制、十分な理解が得られる形が既にでき上がっているとお考えになっているのか、それを伺っておきたいと思います。
  8. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) もとより、農政の大きな政策転換でございますから、農業関係皆さんを始めとして国民広くに御理解いただくということはもう当然のことでありまして、きちっと説明責任を果たしていかなければならないというふうに思っております。  過去におきまして五千五百回ですか、意見交換会を行ったとか、まあこれだけやったんだから十分だということでは決してないわけでありまして、岩永委員指摘のように、先ほどのような憲法違反ではないかとか、あるいは一部の大規模農業だけを相手にするのではないかとかいった誤解があるとするならば、そこはやはり農林水産省が先頭になって全国の自治体の皆さん農業団体皆さんと協力をしながら正しい御理解をいただき、目標はこうなんだということをはっきり御理解をいただいた上で具体的な施策について御理解がいただけますよう、本委員会でもこれからまた御審議をいただくわけでございますが、並行して、一人一人の農家あるいは国民皆さんにこれで十分と言えるところまで一生懸命説明を果たしていきたいというふうに考えております。
  9. 岩永浩美

    岩永浩美君 地域による説明の中で、国で法律で定めるんだから地方自治体は受けざるを得ないんだと。その内容の良しあしを議論するのではなくて、国が決めたことをやっぱり我々はつないでいくことしかないんだという説明で終わってしまっているところがあるんですよ。十分なその必要性とその理解説明する当事者にできてなくてやっておられる地域も数多くあって、そのことの不安が増幅しているんです。  だから、そういうものについての徹底したやっぱり検証を得て末端に下ろしていただくことは大変私は必要なことだと思う。まだまだ十分に農家理解が得られていないと断言しても言い過ぎではない。そのことは十分に留意しておいてほしいと思います。また、この件については次の法案審議の過程の中で細かく質問をしたいと思います。  WTO農業交渉の今後のスケジュールについてまず伺います。  WTO農業交渉、去年の十二月に香港閣僚宣言、四月の三十日までにモダリティー、すなわち枠組み確立をして、七月三十一日までにその具体的な措置、譲許表提出するスケジュールはもう既に決まっていますね。  そこで、新しい貿易交渉ドーハラウンド。今までのモダリティー確立期限が度々ずっと延期されてきたですね。今度の四月の交渉期限、今度こそは本当にやっぱり四月までで決着するのか。期限の遵守に対する各国の、そういうひとつやっぱり四月までにしなきゃいけないという一つ思いで事に臨んでいるのか。  私は、過日、香港に行って、海外、ロンドンに行ってこられた、またこの件について後ほど触れますが。あと一回、二十日からか今度行かれることになっていますね。そのときまで、四月の枠組みの設定に向けてある程度それぞれの国の思い思いがあると思うけど、これはモダリティーの枠の確立というのは今度はできるとお考えですか。
  10. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 二〇〇一年の十一月にスタートしたこのラウンドであります。  今御指摘のように、ウルグアイ・ラウンドは八六年から九三年、まあ正式には九四年まで掛かったわけでありますけれども、今回もパスカルラミーさんに言わせると、まだ何%だなという段階でございます。香港でもいわゆる決して野心の高い宣言文ではなかったという評価もあるわけでございます。  そういう中で、ロンドンでの二日間にわたるG6プラス・パスカルラミーさんとの会合でも、まだ議論が少し前へ進んだところもありますし、依然として大きな隔たりのあるところもございます。したがって、あと一か月半の間できちっとモダリティーができるのかと言われれば、これはやるべきことがまだたくさん残っているというのが、農業においても同じだというふうに考えております。しかし、あのときのロンドン会合でも、とにかく四月末に向けて自分たちは作業をするんだという意識は共有をしておりましたので、今から四月末は無理だろうとか、あるいは七月は無理だろうとか、年末は無理だろうというような前提議論はしておりません。  大変厳しいかもしれませんけれども、しかし四月末に向けてジュネーブでも連日やっているわけでございますし、我々もまた、ひょっとしたら四月末の前にG6があるかもしれませんが、いずれにしても参加した六か国は予定どおりやるべく最大限努力をしていこうという意識だけは共有しているというふうに理解しております。
  11. 岩永浩美

    岩永浩美君 大臣は、やっぱり日本の国の決意の高さが伝わってきました。  ただ、日本だけがそういうふうにして思っていても、それぞれの国々のやっぱり考え方がある程度集約できるという一つ体制ができてこなきゃいけないと思う。私は、それは四月ということを決めたんですから、その期限に合わせるようにして遵守されることが好ましい。ただ、慌てふためいて、十分な議論、十分なやっぱりこちらの一つ主張ができない場合は、今度また二十日から行かれることによってそれをやっぱり決めてくるということはいかがなものかなと。やっぱり主張が通るか通らないかということが非常に大切なことだと思うんですが、いかがでしょうか。
  12. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) おっしゃるとおりでございまして、さっきのスケジュール香港で確認をしたことでありますから、それはそれとしてみんなで共有しようと。しかし、EUは、もう農業でこれだけ譲歩しているんだから、あとNAMAサービスでほかの国が動かなければ自分たちは動けない。あるいはアメリカは、国内支持、青の政策でこれだけ削減しているんだから、ほかのところで動かなければ動けない。ブラジルインド、これは農業について反対方向向いているんですけれども、とにかく農業アメリカEU日本が譲歩しなければ動けない、こういうふうに言っております。  日本としても提案を出しておりますし、日本としては逆に譲れないところは譲れないという方針交渉に臨んでいるということは大前提でございますので、これはもう岩永委員おっしゃるとおりでございます。
  13. 岩永浩美

    岩永浩美君 是非、そういう一つ思いで事に臨んでもらいたいと思います。  次に、WTO農業交渉、今後の日本交渉方針についてちょっと伺いたいと思うんですけれども、さき大臣所信表明の中で、WTO及びEPA交渉について、守るところは守り、譲るところは譲る、攻めるところは攻めるという姿勢表明をしておられる。他方、ピーター・マンデルソン欧州委員会通商担当委員は、ヨーロッパは譲歩するだけで何の見返りも得られない取引を受け入れることはできない、それでは交渉ではなく降伏だということを言っておられる。  恐らくこのことは、輸出補助金で譲歩したEUは、上限関税や、日本主張している上限関税重要品目ではやっぱりほかの国を攻め、譲歩を迫ってくるのではないかという、まあ我々は交渉の場に立っていませんから、恐らく向こうはそういうふうなことを言ってくるだろうとおおよそ推測できます。  そんな中で、私は、この交渉において、大臣所信表明でお示しいただいている譲り攻めることによって日本の国益を確保していくというその一つ決意は、何を守り、何を譲り、何を攻めていこうとしておられるのか、それを少し分かりやすく、特に攻めるものについては何を攻めようとしておられるのか、お尋ねしたい。
  14. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私は、前の経産大臣のときにも、守るところは守る、攻めるところは攻める、譲るところは譲ると言っておりました。まあ農水大臣になるとかなり、その意味がかなり違ってきちゃうんですけれども、でも交渉ですから、まとめるということに貢献をしたい。ただし、守るところは守っていくと、これが最ものポイントであります。ただ、その守るだけでは駄目なんで、守るための一つのカードとして、譲るところは譲る、攻めるところは攻めるということであります。  守るところというのは、今御指摘のあったような上限関税を導入しないとか、あるいはまた重要品目についてはできるだけ削減率を低くするとか、品目の数をできるだけ確保するとかといった日本提案、G10提案がそこに込められているわけであります。  じゃ、攻めについては何かというと、まずEU輸出補助金、この案は日本にとっては極めて貿易歪曲的である。と同時に、EUが、今御指摘のように、輸出補助金を二〇一三年までにやめますと言ったわけでありますけれども、輸出競争の分野の中には、あと食糧援助とか輸出信用とか、ほかの部分もございますんで、いわゆるフルパラレリズムですべての輸出補助的なものをやめましょうということをEUと今一緒になって、これは具体的にはアメリカ豪州カナダ等を指しているわけでありますけれども、これらに対して日本攻めております。  それから、アメリカに対しても、青の政策、大幅カットするといっても、実質これはカットになっていないのではないかと、これについてもブラジルEU一緒になってやっております。  ブラジルについては、これは私の所管ではございませんけれども、NAMAサービスについてもっと譲歩すべきである、香港閣僚宣言のパラグラフ24で農業NAMA野心同等性という条文も入ったわけでありますから、これはブラジルの方は低く同等にしたいと、日本アメリカヨーロッパの方は、これはちょっとなかなか難しいんですけれども、都合のいいところだけ高くして、都合の悪いところはお互い低くするという関連性をこのパラ24から都合よく各国読み取っているわけでございますが、いずれにしても日本として攻めるところは攻めていかなければならないというふうに思っております。  そういう意味で、日本としては日本農業を守る、そのためにはやはり相手の弱いところといいましょうか問題のあるところはきちっと攻撃をすることによってパッケージとして最大限日本が目指す方向でこの交渉が中身としてまとまっていくように努力をしていきたいというふうに考えております。
  15. 岩永浩美

    岩永浩美君 今、守ること、譲ること、攻めること、それぞれについて御答弁をいただきました。  そんな中で、今までの議論の中で、今日の議論じゃなくて、過去ずっとWTOの話をしていくことの中では、日本の多様な農業共存、そのことについていつも議論があって、それについての考え方ヨーロッパアメリカ日本との中で必ずしもやっぱり意見が一致しないものがあり、やっぱり日本一つの国土の在り方、そういうことが議論をされてきたことは我々も十分承知をしています。  そんな中で、今回の担い手対策にしても経営安定対策関連法案でも、先ほど申し上げたように、担い手集中をさせた一つ法案国会提出をされていますが、この多様な農業共存、多面的なその機能の考え方も含めて、それぞれの国にそれぞれの考え方の違いがあるのではないのか、こういう基本的なところの共通点を見いださないと本当にWTO交渉の中で意見の一致を見なくなるのではないかという心配があるんですけど、EUとかアメリカ途上国におけるその共感度、その理解度、それぞれの国に多様な日本農業についての理解というのはほとんど同じような形で理解をしていただいているんでしょうか。
  16. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) もちろん、多様な農業共存している、アメリカ農業日本農業EU農業とアフリカの農業がそれぞれ違うということは各国とも分かっているんだろうと思います。ただし、これは貿易交渉ですから、それはそれとして、自分のところで作ったものはこんなに安くていいものができるんだから、それを阻害するような高関税あるいはその他の制度はなくすべきであるというのが特に輸出国側主張であります。  それに対して、我々G10あるいはEUといった国、まあインドもそうだと思いますけれども、これはもう守っていかなければいけない。インドがよく言うのは、六億人の農民がいて、一戸当たりの経営面積日本よりも低いという、大変インドというのは厳しい農業の国であって、しかし農村発展をしていく、農民が暮らしていけるようにする、やがては農業をも輸出したいという、目指しているインドであります。  多くの国々途上国は、今回はドーハラウンドということで開発が非常に大事でありますけれども、多くの途上国、とりわけLDCはほとんどが食料輸入国であります。コーヒーだけを輸出してとか綿花だけを輸出して、他方、穀物だとか肉なんかは、まあ肉なんかは多分食べれないんだと思いますけれども、多くの農産物を輸入している国々でありますから、そういう輸出国輸入国、どっちが多いかといえば、本当に輸出している国というのは、もう数え上げてもカナダアメリカブラジル、アルゼンチン、豪州、ニュージー、その他ぐらいでしょう、まあタイとかああいうところも含めて。残りの国々はほとんど食料輸入の方が多いという体制ですから、何も輸入国意見だけを聞けではなくて、輸出国輸入国とのバランスを取ってきちっとやっていきましょうということと、それから、それぞれの国にはそれぞれの自然条件、あるいはまた気候風土、あるいはまた国民が望む食に対する考え方があるわけでありますから、それが関税構造に反映をしているわけでありますんで、そこを無視して一律に上限関税アメリカのように七五%とか、重要品目はほとんど認めないとかいうのは、これはバランスの取れていない議論であるということを常に私あるいはG10は申し上げているところでございます。
  17. 岩永浩美

    岩永浩美君 大変力強いそういう主張が根底になされてWTO交渉がやられてるということをお聞きして、心強い限りです。それぞれの国の持てる多様な農業は、地域によって、国柄によっておのずからやっぱり違ってくること、それが前提でなければならないことは言うまでもありません。そのことがWTO交渉の中における主要な位置付けとして議論されていることをお聞かせをいただいて、大変心強い思いです。  それで、過日、十日、十一日にロンドンで開催されたG6の閣僚会議大臣出席をされました。去年まではG5でやっていたその中に、アメリカEUインドブラジル、オーストラリアに日本が加わって、非公式会合になって、去年から日本も参加することになりましたが、今回、このモダリティー確立期限まであと二か月、その中で今度のWTO交渉を成立させていくために意見の違いが、それぞれの国でやっぱり違う意見、これ正式な閣僚会議じゃなくて、やっぱりネゴシのための閣僚会議、非公式にその中で議論をされてきたと思いますが、激しい恐らく議論があったのではないかと思うんですね。それは非公式ですから、公式にここの場で言えないことがあるかもしれませんが、何が一番そこの中における各国の中で激しいやり取りとして象徴されるようなものがあって、公表できるものがあればここでお示しいただきたいと思います。
  18. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今御指摘のように、非公式会合で、去年以来、私ももう五、六回出ておりまして、本当に非公式で、またお互いよく顔の知った人間同士でありますから、ファーストネームで呼び合いながら、時には激しい議論をいたしました。  今回のG6は、ラミー事務局長の話では、数字をできるだけ幅を狭めたいという意向があったようでありますが、私からは数字の幅といっても、例えばNAMAのように削減率、二つの係数を用いてやりましょうというときのその二つの係数を、例えば五から五〇まであるものをぐっと縮めるという作業と、上限関税重要品目の数のように、そもそもこれはどういうものなのか、必要なのか必要じゃないのかというそもそも論からスタートをまだしていない部分についても、ただ数だけ議論をすればいいのではないのではないかということを申し上げたところでございます。  ところが、概して申し上げますと、農業については幾つかのコンセンサスが得られた、決定事項ではございませんけれども、コンセンサスが得られた。逆に、あと数字だけ当てはめればいいはずのNAMA、非農産品交渉グループでは二つの係数を入れますという香港閣僚宣言での合意事項で、あと二つの係数をぽんと途上国用と先進国用に入れれば、それでもってもう基本形が決まっちゃうんですけれども、そこの部分が全然、議論が途中まで行ってなかなか先に進まなかった、つまり成果が出なかったというところで、まあ一日半の議論を振り返ってみますと、非農産品のところが一番激しく、また一番成果がない交渉分野であったというふうに私は理解をしております。
  19. 岩永浩美

    岩永浩美君 そこで、具体的な交渉項目について伺いたいんですけど、これは関税削減方式と関税率、それから上限関税重要品目についてお尋ねしますが、四月のモダリティーに向けては、先ほど来お話をするように、日本としては関税削減方式と削減率上限関税重要品目が一番の我々の一つの課題であると私は思います。  関税の削減方式と関税率などの市場アクセスに関して、日本を始めとするG10の提案は、一般品目は階層ない削減方式と関税削減率の組合せをそれぞれの国は選択できる方式として、重要品目については関税削減率は一般品目のX分の一とし、関税削減率関税割当てのどちらかを大きくすれば他方を小さくする仕組み、すなわちスライド方式を提案をしてますね。  そこで、改めて日本並びにG10がこのような一つ提案をG10としてした意図は何なのか、日本にとってこうした関税方式の最良の組合せとはどのようなものなのか、それをお教え願いたいと思います。
  20. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、マーケットアクセスの中で一番のポイントは、今、岩永委員指摘のように、どうやって貿易がしやすくなるか、輸出国側から見ればそのバリアが低くなるかということなわけでありますけれども、そのときの議論になるのがまず階層の数、それからどこで、何%で階層を切っていくかと。それから、今御指摘のように、その階層の中の削減をどういうふうにしていったらいいのかといった問題があります。階層の数はほぼ四つということはもうほぼ合意されているところでございます。あとの二つは、前進はいたしましたけれども、あくまでもG6は合意の場ではございません。  それから、御指摘のように、重要品目については、香港では私の方から新たな提案をいたしまして、もちろん一般品目よりも削減率はX分の一にする、小さくすると。しかし、その計算の基は一般品目の方の関税削減率から何割カットみたいな形にするというふうに、新たな提案香港でいたしたところでございます。つまり、重要品目重要品目だけで削減の幅を小さくするんじゃなくて、一般品目とリンクした形で根っこの数字は一般品目から持ってくると。そこから何割カットの削減の幅を小さくするという提案香港で改めてしたところでございます。  それから、上限関税については、そうやって輸入国日本ですら四五%も提案としては削減をするといっているときに、そこに一〇〇%だの七五%だのでキャッピングを掛けるということは、これはもう本来の重要品目あるいは一般品目も含めて、そもそもその趣旨に反するという、根っこから我々は絶対に受け入れることができないというふうに主張をしているところでございます。  G10の中にもいろんな国々があって、日本とスイスとノルウェーで少しずつ関税構造が違いますけれども、とにかくここは途上国に目一杯支援というか、応援、連携を取りながらEUインドやG10、できるだけ仲間を多くして、一部の食料輸入国に対してみんなで連携を取り合いながら闘っていかなければいけないというふうに考えております。
  21. 岩永浩美

    岩永浩美君 重要品目については、やっぱり日本農業について大変大切なところなんですね。今、G10の中におけるお話は伺いました。  そこで、G10とアメリカEU、G20との間で重要品目に対する共通理解、それはある程度やっぱりその重要品目についてそれぞれの国々主張というものは醸成されているんですか。
  22. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 重要品目につきましては、香港閣僚会議のときに私から発言をしたわけでありますが、既におととしの七月のジュネーブでの枠組み合意の中で重要品目についての定義がございます。いろんな要素を配慮して重要品目という位置付けを明確にするんだ、ちょっと正確な言葉は忘れましたけれども、そういう趣旨の言葉が入っております。したがって、重要品目というものは一般品目よりも何らかのハンディキャップがあってもおかしくない、これは共通認識であります。  で、問題は、その何らかがほんのちょっとなのか、日本やG10のようにそれはもう重要なんだから削減率をできるだけ小さくしなければならないとか、そういったことは当然主張をして、そこはもう意見の差があるわけでございます。  それから、スライディングスケールにつきましては、例えばTRQの枠の問題と削減率とを組み合わせるというふうに提案していることの意味は、例えば品目によってはTRQの枠が非常に小さいものもありますし、小麦のように九十何%もう外から入ってきているという、こういうものもありますから、品目によって違う。また、TRQを拡大することのメリット、デメリットよりも、関税を削減することのメリット、デメリットの方が大事だという場合がありますんで、そこは選択的にどちらかを選べるようにする余裕といいましょうか裁量が制度として認められるべきであるということは、これはEU日本も含めて基本的には同じ、G10も含めて基本的には同じ考えでございます。  またG20というのは、正直言って大型発展途上国で、輸出国輸入国もありますから、なかなかある意味では不思議なというか面白い存在で必ずしも輸出国一辺倒でもありませんし、インドのような輸入国もありますが、ブラジルとかアメリカとか豪州なんかはこの重要品目はできるだけ小さく、上限関税はできるだけ低くということで主張をしておりまして、そこはもう絶対に譲れないところで今闘っているところであります。
  23. 岩永浩美

    岩永浩美君 それで、これに関してですけど、重要品目である米、米はもう一元管理する国家貿易ですよね、今。香港閣僚宣言輸出国家貿易については二〇〇六年の四月の三十日までにモダリティーの一部として完成するものとすると記述されている。  国家貿易の見直しが行われようとしているんじゃないんでしょうか。現在、やっぱり日本にとって一番の重要品目は米です。このシステムによってミニマムアクセス米が今主食用に回ることを禁止していますけど、今後も用途と国内供給量を限定できるこの国家貿易のシステムというのは堅持していかなきゃいけないと私は思っているんです。  そこで、今後もこのシステムはちゃんと体制を堅持をしていく方針なのか、又は交渉の結果次第では見直しをせざるを得ないというふうな考えが少しでも頭の隅におありになるのか、どういう形になっても今のシステムは守っていくという考えなのか、そこをちょっとお尋ねしたい。
  24. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、いわゆるWTOで今議論している一般品目重要品目にどの品目が入るかということは、今決めておりません。日本のタリフラインで千三百二十六の農産物がありますけれども、日本は一〇%から一五%ということでありますから百三十品目から百九十品目ぐらいを重要品目にしたいというのが日本主張でありますし、アメリカはそれが一%だといって今正に交渉をやっている最中で、どれを重要品目にするかということは決めておりません。  他方、米はWTO交渉の定義以前の問題として重要であるということは、これはもう異論のないところでございます。そういう意味で、これから交渉する上でどういうふうにやっていったらいいのかということを、正に、むしろアメリカヨーロッパの方がおまえが守りたいのは米だろう、米だろう、米だろうと言うから、もちろん米もそうだし百九十品目守りたいんだということを言っておりますが、いずれにしても、米が国家貿易として今後も維持をしていくということは日本食料政策の基本であるというふうに私は理解をしております。
  25. 岩永浩美

    岩永浩美君 それで、今までのミニマムアクセス米の取扱いと同じような形で今後もおやりになる、体制の維持ということはそういうふうにお考えになっているということで理解していいですね。
  26. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 米自体を国家貿易にしますと。それから、ミニマムアクセスという方式で、ミニマムアクセスというのは、前回ここでカレントアクセスの話が出ましたけれども、最低輸入義務量ですよね。これをもう、できれば義務にしたくないんでありますけれども、そこは全体の交渉の中で日本にとって守りという立場からいえばどれが一番守れるかというところで、これからいよいよその交渉が始まっていくというふうに理解をしております。  済みません。中座してよろしいでしょうか。
  27. 岩永浩美

    岩永浩美君 どうぞ。  それじゃ、副大臣に御答弁をお願いをしたいと思います。  それで、今度の国会提案されている経営安定対策関連法案との関係で、米はやっぱり生産条件格差の国境措置が実施されていますね。その格差是正のための交付金の対象とは今現在はされていませんけれども、今後のWTO交渉の結果、関税率がどの程度の水準までになれば国境措置によってほかの国との生産条件格差の是正措置が不要と考えられるのか、それ以下の水準に関税が引き下げられるおそれはないのかを伺いたいと思います。
  28. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) 大臣に代わってお答えをしたいと思います。  農産物の内外の価格差が顕在化しているかどうかにつきましては、関税の水準のみならず、為替の変動を含む輸入米の価格水準や輸入米と国産米の品質格差等も影響をしてくるというふうに考えられます。一概にどの程度の関税水準になれば生産条件格差是正の対策そのものが必要になるかということを現時点でお答えすることは困難かと考えております。
  29. 岩永浩美

    岩永浩美君 それは大変失礼しました。決まっていないのに申し訳ないんですが、もしそういうふうになったらどうなさるのかなということですけれども、まだ交渉中ですから具体的にそのことが出てこないのは致し方ないと思います。  そこで、もう一つの関心事ですけど、これ、上限関税の在り方についてです。  香港閣僚宣言では上限関税に関する言及はございませんでしたね。そこで、我々と同じ意見を共有するG10は上限関税についてはどのような姿勢で臨んでいかれるのか。EUは我々の主張に対してどういう立場を取っているのか。というのは、今まで日本WTO交渉EUとの盟友関係を持って事に臨んできた経緯があるけれども、今回そのことが少しやっぱり形が変わった交渉になっていることを考えると、今のEUの立場、G10のその立場、そのことについての御説明をいただければ有り難い。
  30. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) 我が国を含みますG10におきましては、上限関税につきまして、各国関税構造の違いを無視して一部の国をねらい撃ちするという公平性を欠くものでありまして、これはG10として受け入れられない旨一貫して主張をしてきております。  EUの立場でございますが、一般品目上限関税を掛けるべきとの主張をしておりますが、重要品目に関しましては明確な態度を今日まで示されておりません。この点で、一般品目重要品目のいずれにも上限関税を掛けるべきと主張する米国やあるいはG20とは異なっております。  我が国としましては、G10諸国と結束して毅然とした態度で上限関税に今後も反対していくとともに、EU理解も得られるよう更にEUの態度が明確でない状況の中でその働き掛けをしていきたいというふうに考えております。
  31. 岩永浩美

    岩永浩美君 それじゃ次に、FTAとEPAについて。  FTAとEPAがそれぞれの国、相手、結ばれて、現在、シンガポール、メキシコとEPA、マレーシア、フィリピンなどと更に締結に向けた協議が進んでいます。十六年十一月締結のシンガポール、十七年四月締結のメキシコのEPA、発効から一年が過ぎましたね。日本とメキシコあるいはシンガポール、両国の農産物貿易にどのような変化があったのか。統計上でそういうものが出てきたのか。そのことによって国内の農業にどのような影響が出てき、かつまたFTA、EPAを結んだことによる評価というものをなされているのか。と同時に、WTO交渉と並行してこのFTA、EPAが結ばれ、あるいはその合意のスピードを重視するために分野を絞った関税引下げや投資協定という部分締結を進めるということが本当にできるのかどうか。特に、農業分野の自由化や関税撤廃という、各国間の一番センシティブな事項を除いて、正に非常に神経の要るその部分を除いて、鉱工業製品や投資など、日本の国際競争力の強い部分だけ自由化を促進することが二国間で本当に可能なのか。そのことを並行してやっていかないと非常に難しいと思うんだけれども、何かもうできるところから先にやろうとして、既成事実だけが先に先行して、後になって農産物とかそういうものが犠牲になるようなことが出てきては非常に困るので、そのことを危惧をしていますが、今、二国間でやってきたFTA、EPAについて、どういう見解をお持ちなのか、お尋ねをしたい。
  32. 佐藤正典

    政府参考人佐藤正典君) ただいまの御質問に対してお答えをいたしたいと思います。  まず、シンガポールとメキシコのEPA関係でございますが、この両国とEPAを結ぶ際にも、農林水産業の多面的機能あるいは食料安全保障の確保、構造改革の努力に悪影響を与えないようにということで、十分留意して進めてきたところでございます。  シンガポールにつきましては、農林水産物につきまして、既に無税となっている品目のみを譲許の対象といたしておりますので、協定の発効は農林水産品の輸入動向に直接の影響は与えていないものと考えております。  それから、メキシコにつきましては、協定発効後の昨年四月から十二月までの農産物貿易を見てみますと、メキシコからの輸入は対前年同期比、四月から十二月でございますけれども、四十五億円の増となっているところでございます。輸入額の多い農産物のうち、EPAにより関税撤廃あるいは削減が行われた品目について見ますと、カボチャの輸入が対前年同期比で二千万円の増、一方で、メロンの輸入が三億四千万円減という形になっております。また、EPAによります関税撤廃、削減が行われていない品目では、牛肉などの輸入が増加しているところでございます。  まだ短期日でございますので、こうした輸入の増減を見てみますと、いまだどういうような結果、輸入農産物の輸入量の変化とか、あるいは国内生産への影響を図るにはまだなかなか難しい時期ではないかというふうに思っております。  いずれにしましても、今後とも農産物の輸入動向をしっかり見てまいりたいというふうに思っております。  それから、もう一点御質問がございましたので、三月七日の経済連携促進に関する主要閣僚打合わせということで、その中で、幅の広いEPAのみならずFTAのみとする場合や、あるいは投資協定等の可能性も追求するということで意見の一致を見たところでございます。このことは、相手方、相手国との経済関係などに応じまして、関税撤廃あるいは投資、あるいはサービス等の交渉対象分野について柔軟に考えていくということと理解をしているところでございます。  当然のことながら、農水省といたしましては、我が国の基幹的農産物など守るところは守るということで、当然交渉でございますので譲るところは譲るわけでございますけれども、戦略的に各国とのEPAに取り組んでまいりまして、やはり一番大事なのは相手国との経済関係を強めることでございますので、それぞれのセンシティビティーをよく相互に理解いたしまして、その理解の上に乗っかってEPAを結んでいくということが両国の経済発展にとって大変大切なことだというふうに理解しているところでございます。
  33. 岩永浩美

    岩永浩美君 今、審議官から御発言いただきましたけれども、そういうやっぱり理想的な交渉をしていただくのは非常に私ども心強いんだけれども、ややもすると、日本のやっぱり国力と経済力あるいは技術力、そういうものが先に先行されることによって犠牲が出るような一つの貿易締結というのは慎重にやってもらいたいことも併せてお願いをしておきたいと思います。  米国産牛肉の輸入問題についてはちょっと飛ばさせていただいて、一つだけ聞いておきます。  それは、今年の春に開催される予定のOIE総会において、牛肉貿易に関するBSE規約の改正が提案されることになっていますね。この提案には、骨なし牛肉であれば月齢などの制限なしに自由貿易することを可能とする内容が含まれている。我が国の専門家からは、この規約改正について、科学的根拠に乏しいとの指摘もあります。しかし、仮にこの提案が可決されれば、米国は日本向け輸出プログラムの撤廃、そして米国産牛肉の全面輸入解禁を求めてくることは容易に想像できます。  こうした国際的な動きに対して政府はどのように対応をするのか。特にアメリカは三頭目のBSEの発生があるやに、まだ確認はされていません。今回の輸入肉の再開に向けて、向こうの検査体制が大変ずさんな状況にあること等々を考えると、OIEの総会における、骨付き部分がなくてやってくる輸入についてこれが改正された、そのことが非常にその裏付けになっていろいろな主張がなされてくることは今申し上げたとおりだと私は思いますが、それに対してどういう見解をお持ちなのか。それに対するはっきりした一つの態度を持って対処できるのか。それはやっぱり強いメッセージを発信することが私は大切だと思うけれども、それについての考え方を伺いたい。
  34. 中川坦

    政府参考人中川坦君) OIEの事務局の方から各国に配布をされましたBSEコードの改正案におきましては、今、先生おっしゃいましたように、骨なし牛肉について、現在では三十か月以下というふうな条件が入っておりますけれども、それを外すという提案がなされております。  この提案に対しましては、我が国としても、専門家の意見あるいは消費者の方々の意見交換会を行いまして、そういった御意見も踏まえまして、厚生労働省と連携をいたしまして、骨なし牛肉の安全性を確保するため、こういった今事務局から提案のあります条件の緩和につきましては反対をするということで、既に先月の十七日でありますけれども、OIEの事務局に対しまして日本のコメントとして提出をしているところでございます。  今年の五月に次期OIE総会は開催をされますけれども、今申し上げましたような、日本がこの提案に対しては反対だというこのことがきちっと総会で反映された形になるように最大限努力をしていくということがまず私どもの基本的立場でありまして、これは何も日本だけではなくて、できるだけ多くの国にそういった点について賛同を得ていく必要がありますので、特にEUなどとの連携を視野に入れてやっていきたいというふうに思っております。  それから、もう一点でありますが、アメリカとの関係でありますけれども、昨年の十二月に日米で合意をされました米国産牛肉の輸入条件、これにつきましては、OIEのコード、BSEコードとは異なっている、そういう条件でもう既に日本アメリカとの間で合意をされているわけでございます。この合意されたルールが遵守をされていくということが今当面私ども確保しなければいけないことでありまして、米国産牛肉の安全性に対する消費者の信頼回復を図るためにも既に日米間で合意をされたこのルールがきちっと守られるようにということを今最大限確保していきたいというふうに思っております。
  35. 岩永浩美

    岩永浩美君 それでは、森林の整備計画はちょっと時間がないから飛ばさせていただいて、水産基本計画の見直しについてちょっと最後に伺っておきたいと思います。  森林・林業基本計画と並んで、やっぱり水産基本計画の評価、検証結果の見直しのポイント、そしてその重点課題を伺いたいと思います。また、それと同時に、水産政策の中における漁業補助金について。大変燃油が高騰しています。その燃油の高騰に対応するための手法の一つとして、発光ダイオード式集魚灯など、省エネ型漁業への転換が進められていますけど、そしてまたその漁船に対する支援もなされています。  これはやっぱり省エネに資することは我々も十分理解していますが、WTO交渉の中で、こういう一つの省エネ対策と言いつつも、漁獲能力を向上させるということについて、WTOの中で支援禁止の対象となるおそれは今後出てこないのか。これも一応漁獲資源をやっぱり確保しなければいけないという一方の方で議論していて、そのことによって集魚量が高くなるということになる。まあ、合理的に進めることと同時に、それだけの漁獲量が多くなるという矛盾がそこに出てくるんだけれども、WTO交渉のそういう項目に入るということは非常にやっぱり怖いので、そこら辺を教えてもらいたいと思います。
  36. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) まず、水産基本計画の見直しの関係でございます。  来年の三月目指して、今検討に入っております。これまでの五年間、四年から五年にわたる計画の実績を検証しまして、それを新しい対策につないでいきたいということでありますが、御承知のように、この基本計画の下に、食料自給率目標がございます。なかなかこれは下げ止まったというふうに思っていたところが、またなかなか厳しくなってきているとか、それから非常に漁業経営は厳しい状況でございます。  一方で、資源回復につきましては、資源回復計画を十四年から始めました。これは、いろいろな地域で芽を出しつつあるといったことで、それぞれ成果の上がる点と引き続き厳しい点ございますが、よく検証しながらこれから検討していきたいと思っております。  それで、これからの重点課題ということでございます。  基本計画、いろいろな点について、広範にわたっておりますが、これからの課題は、一つはやっぱり資源とそれから経営の関係、これが一つのポイントかと思っておりまして、既に先般、大臣の方から所信表明で御説明申し上げましたけれども、施策集中、規制緩和、こういうことで経営体の育成を図っていきたいということ、それから産地の販売力の強化、これは特に川下との関係ですね、その辺の関係、それから漁村地域の振興、環境、生態系の保全と、まあこういったところを中心に議論を進めていきたいと思っております。  それで次に、漁業補助金であります。  まず、WTOにおきます水産関係の大きなポイントの一つが御指摘の漁業補助金でございまして、これはルール交渉等をやっていますけれども、要するに世界的に見ても、水産物は有限天然資源ですから、過剰にそれを捕るような補助金は、これは避けなくちゃいけないということでございまして、その基本的にそういった点は、大体各国共通の認識になっておるんですが、問題はそれをどうやった形でルールとして絞っていくかと。これは大きく二つに分かれています。  一つの、アメリカとかニュージー、豪州等はその漁業補助金というのはそもそも過剰漁獲に結び付くんだという前提で原則禁止して、それで問題はないものを解除するという、そういう方針であります。それに対して、EUとか私どもは、いや違うんだと。例えば資源管理だとか減船だとか、いろんなその過剰漁獲に結び付かない補助金も一杯あるわけでして、したがって、すべて禁止じゃなくて、悪いものをその補助金として制限すると、そういった手法の点で大きく分かれておるところでございます。  それで、これからの議論としまして、今言ったような議論に、例えば漁船建造補助金、特に漁船を大きくする補助金とかですね、こういったものは過剰漁獲に割と直接結び付きますので非常に、何といいますか、そういう流れからしても厳しく見られるのでしょうが、今の省エネ対策の補助金、これは確かにその効率化とか省エネに結び付きますけれども、それが直ちに今のその過剰漁獲に結び付く補助金ではありませんので、私ども今申し上げましたそういった基本的な線に沿って日本の立場を十分主張していきたいというふうに思っているところでございます。
  37. 岸信夫

    ○岸信夫君 自民党の岸信夫でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  まず最初に、我が国食料自給状況について、概要をお聞かせいただきたいと思います。  まあ、我々国民の食を確保するということがまず国家としての正に責務であると、こういうふうに思いますけれども、戦後しばらくの間、非常に厳しい食料事情というのも一時続いたわけです。その前たどって、長い日本の歴史を振り返っても、今ほど世の中に食があふれている、こういう時代はなかったんじゃないかというふうに思います。言わば飽食の時代と言われてますけど、これが本当に食が豊かなのかなというふうに考えますと、私は決してそういうことではないんじゃないかというふうにも思います。  いわゆる食料自給率を見ましても、我が国は先進国中で突出してまあ少ない、低い水準にあるわけです。食料自給率の向上、これが食料行政の基本的な目標でもあるわけですけれども、これをどういう尺度で測っていくか。一般に今までカロリーベースで見ることが多かったわけでございますけれども、それだけでいいとは思わない。これも、ただこれまでずっと一つの尺度として見てきましたから、それはしっかり見ていくとして、あるいは金額ベースとかいろいろな尺度あるいは角度から見ていかなければいけません。  ただ、このカロリーベース見ますと、まあ現状として四〇%、先ほども出ていましたけれども、これが守れるかどうかというのさえ厳しい状態であると。目標に対してこれを達成するということがとてもめどが立ってないんじゃないかというような状況ではないかと心配しておるんですけれども、この食料自給率向上の目標達成に向けての見込み、見通しについて、まずお聞かせいただければというふうに思います。
  38. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) お答え申し上げます。  食料自給率向上目標達成についてのお尋ねでございます。  今、委員御指摘のとおり、我が国食料自給率につきましては、カロリーベースで見ますと四〇%まで低下しており、主要先進国の中で最低の水準となっております。また一方、世論調査によりますと、国民の約八割が我が国の将来の食料供給に不安を抱いているという結果も出ております。  こうしたことから、昨年三月に閣議決定されました食料農業農村基本計画におきましては、消費面及び生産面での課題を示しつつ、食料自給率の向上につきまして、十年後の平成二十七年度の目標を四五%と設定したところでございます。  この目標達成に向けましては、新たな基本計画の下で、消費面につきましては日本型食生活の推進に向けて食事バランスガイドの普及、活用に努めるなど、分かりやすく実践的な食育を進めているところでございます。また、生産面につきましては、食品産業と農業の連携強化や経営感覚に優れたやる気と能力のある担い手の育成確保を図ることにより、需要に即した生産を進めているところでございます。  今後、食料自給率向上協議会において策定した十七年度の行動計画の達成状況を検証し、新たな行動計画の策定に反映していくこととしており、工程管理を適切に実施することにより自給率向上の取組が迅速かつ着実に実施されるよう、関係者と一体となって取り組んでまいりたいと考えております。
  39. 岸信夫

    ○岸信夫君 カロリーベースで六割を今輸入に頼っているわけですけれども、国内の政策、これはこれで一生懸命やっていかなきゃいけない。と同時に、やはり世界の状況というのもこれはしっかりと我が国として把握をしていかなければいけないんだろうと思います。  今、世界の食料状況、事情は大きく変わろうとしているんじゃないかなというふうにも私は思います。一番大きいのが中国であります。お隣の国ですけれども、水資源がまず枯渇しております。そして、農村と都市の格差拡大、これはよく言われている問題です。これはもう我が国とは比較にならないほど深刻な問題になっております。従来ずっと五億トンレベルぐらいで推移してきたと思いますけれども、中国の食料生産ですけれども、一時的に今五億トン割り込んだ、二〇〇三年はかなりの不作で四億三千万トンまで落ち込んだというようなことだったと思います。これは少しその後改善しているとは思いますけれども。  先日の全人代でもいわゆる三農問題、この解決が最重点課題というふうに言われたわけでありますけれども、ただ現実の問題として、その中国において農地の拡大あるいは水資源の確保ということには限界があるだろうというふうにも思います。農業生産力の回復というものは現実には相当難しいところがあるんじゃないかというふうに思うわけです。  そして、我が国とその中国との関係でありますけれども、食料輸入の、今、食料、食品全般の輸入相手先を見てみますと、総輸入額ざくっと五百億ドルとしますと、アメリカからの輸入が一番多いわけです。百億、百十億ぐらいだと思います。大体二三、四%だと思います。これに次いで中国が第二位という形で七十五、六億、一五%ぐらいを占めているということです。我が国にとって食料、食品の供給国として今、中国というのは非常に重要な地位にあるわけです。中国から野菜とか、あるいは加工食品もかなり入っていると思います。様々なこういう食べ物が入ってきているわけでありますけれども、今の中国の国内事情を考えますと、この状況というのがいつまで続くのか、すなわち中国に食料供給を頼ることが非常にリスクがあることなんじゃないかなというふうにも思います。  これまではいわゆる高級品を日本輸出して、中国全体ではそのものが足りなくても、高級品を出して汎用品を輸入するというようなことも今まであったんだと思います。しかし、沿岸部が非常に発展をして金持ちが増えてくる。そうすると、彼らの国の中でもこういった高い値段の張るものについても需要が出てくる。  さらに、穀物について見ますと、特に中国の大豆の輸入、これは今後大量に輸入してくるんではないかというふうにも思います。かつては輸入してなかった、むしろ輸出もあったんだと思いますけれども、アメリカの農務省の長期の予想によりますと、二〇〇四年、五年に二千五百、二千六百万トンぐらいだった大豆の輸入ですけれども、十年後、二〇一五年、一五、六年には五千万トンに近くなってくるということです。今の倍ぐらい輸入しなければいけない状況になる。これは世界の大豆の貿易量を考えても、約その半分を取っていくことになる。トウモロコシや小麦について、輸入もこれから増えてくるんじゃないかと、同じような状況が出てくる可能性というのは十分予想されるわけです。  しかも、以前は中国は買うためのキャッシュがなかった、クレジットで買う部分というのが多かったと思うんですけど、今はあるわけですから、そうしますと、今起こっているような、石油で中国がどんどん買って値段がつり上がってしまう。同じようなことが穀物でも起こってくる可能性というのは十分あるわけです。世界の穀物、そして油脂の生産量自体にはもうこれはおのずと限界があるわけですから、この世界における穀物、油脂の需要と供給のバランスというものが中国一国によって今後随分変わってくる可能性があるというふうにも思うわけです。  先ほど申しました大豆については、例えば南米、ブラジルなんかがこれから供給力を増やしてくる、こういうことはある程度期待できるわけですけれども、これが思ったとおりに伸びてくれるかどうか、これに中国の需要を頼るというのも、これもまた余りに怖いことであるというふうにも思うわけです。  こういう、その将来の我が国に対する供給も含めてなんですけれども、世界のこの穀物の需給状況について、この辺りどういうふうにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  40. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) まず、中国の食料自給について考えてまいりますと、中国につきまして、これまで経済発展が続く中で、耕地面積及び作付面積の減少、穀物から野菜、果実などの換金作物への転換などにより、一九九〇年代後半の水準に比べますと、二〇〇〇年以降、穀物の生産水準は低位に推移しております。  一方、食料消費は、経済発展に伴う食生活の変化により植物油脂の需要が大幅に伸びるなど、質的、量的に向上しております。この結果、食料の供給不足が顕在化し、大豆などの輸入が既にもうかなり急増しておりまして、二〇〇四年には中国は農産物純輸入国に転じたところでございます。  これから、恐らく三農問題への取組によりまして短期的には生産水準は向上する可能性はあるかもしれませんけれども、一方、中長期的には過放牧や過耕作による土壌流出、砂漠化の進行でございますとか、北部地域を中心とした水不足などの制約要因、あるいは環境的な制約要因もあろうかと思います。そういったことから、引き続き生産水準の動向を注視していく必要があるというふうに考えております。  また、世界の穀物需給、委員から御指摘のありましたアメリカ農務省が出しました二〇一五年予測におきましては、中国については、先ほどおっしゃられたとおり、世界の半分、およそ五千万トンを大豆は輸入すると。一方で、日本につきましては現在とほぼ同じ量を輸入できるという形での予測はあるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、中国の問題でございますとか世界全体の需給についてはこれからもその動向を注視してまいりたいというふうに考えております。
  41. 岸信夫

    ○岸信夫君 今お話しがありましたとおり、その数字からすると、日本は今の輸入水準は確保できるということであるんですけど、そのアメリカの農務省がよくやる、使う手として、バランスはどっかで帳じりを合わせてやっていく、これよくやるわけですよね。例えば、ブラジルがそれだけ供給力、本当に伸ばすかどうか分からない。だけれども、伸ばしていくだろうという予想の下に、少し見通しを甘く設定することで全体をバランスを取るということもあると思うんです。この辺りはもちろん、あとまた十年先に天候も変わってくるでしょうし、それが悪い方向だけじゃないかもしれない、変わってくるかもしれません。ですから、もちろん読みにくいところはある。  先ほど中国については三農問題、一生懸命取り組んでいくということでありますけれども、ただ、土壌の流出とか水の問題、これはもう人間ではどうすることもできないところかもしれません。人を投入する、あるいは肥料を投入する、これはできるかもしれないけれども、それだけではカバーできないんではないかというふうにも思うわけです。  それで、いずれにしても、日本食料自給率がなかなか上がってこない、低迷している中で、どんな状況でも我々が食うに困るような事態になってはこれは困るわけで、そういう緊急事態にも備えておかないといけないということだと思います。もちろん、国内の農業生産力、これを強めていく、これは第一でありますけれども、一方で緊急避難的な備蓄についても、これはしっかりやっておかなければいけませんし、また、それでも輸入に頼らなければいけない部分、特に穀物ですね、これは今安定した輸出国との間の関係をとにかくしっかりしたものにしておかなきゃいけないんじゃないか。過去、アメリカはこの穀物を使って輸出禁止にしたり政治的な道具に使ったこともあるわけです。そうしたことを日本に対して行われることのないようにしていかなければいけないというふうにも思うわけですけれども、食料の安全保障という観点から本当は大臣にお聞きしたかったんですけれども、今御退室中でございますんで、副大臣、お答えいただければと思います。
  42. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) 大臣に代わってお答えをしたいと思います。  国民の生存にとりまして不可欠であります食料の安定供給を図っていきますことは、言うまでもなく国の基本的な責務であると考えております。  現在、世界で八億人もの栄養不足人口があり、世界的な人口増加、あるいはまた途上国の経済発展等によります食料需要の増大が見込まれる中で、中長期的には世界の食料需給は逼迫する可能性が指摘をされております。  食料の安定供給を将来にわたり確保していきますためには、議員御指摘のように、国内の農業生産の増大を図っていくことを基本としながら、これに輸入と備蓄を組み合わせることが必要であるというふうに考えております。  このため、食料自給率の目標を策定をし、その達成に向けまして、農地、農業用水、担い手農業技術等の確保を図りながら、国内農業食料供給力の強化を図ることとしております。  また一方で、国内生産で対応できない部分につきましては、国民の需要に応じまして輸入をされておるところでございますが、平素から国内外の需給動向の情報収集、分析、主要輸入先国との緊密な情報交換に取り組んでおります。今後も引き続き食料の安定輸入の確保に努めてまいりたいと考えております。
  43. 岸信夫

    ○岸信夫君 是非よろしくお願いします。  この問題は政府だけでは解決できません。我々国民一人一人がやはり日本食料というものに対してしっかり考えていく、食べ物を大切にするという、この基本的な心も取り戻していかなければいけないんじゃないかというふうにも思っております。  ちょっと国内の方に目を向けたいと思うんですけれども、農業地域振興についてお尋ねをしたいと思います。  私の地元である山口県も農業に頼っているところもかなり多いわけであります。そういう農業が中心である地域において、若い人からベテランの方まで意欲を持って農業に取り組んでいる、そういう経営環境の整備というものは、農業だけでなくて地域全体の活性化においても非常に重要な意味を持つわけであります。しかしながら、現場においては農産物価格が下落して、あるいは後継者不足、こういった問題を抱えています。そして、消費者のニーズ、すなわち高品質で安全で安い、低価格のものが欲しいという、こういったニーズに対しても十分対応ができていなかった、この部分輸入農産物が賄ってきている、こういうことが現状じゃないかというふうにも思うわけです。  こうした状況を打開するためにも、今まで政府の方でもいろいろな支援策、こういったものをやっていただいているわけですけれども、そうした中で、私は、いわゆる地域ブランドの確立とか、あるいは地産地消の推進といった取組、こういったものに是非力を入れていただきたいというふうにも思うわけです。  まず、その中で地域ブランドについてなんですけれども、農産物に限らず、我々の周りを見てみますと、いわゆるブランド商品というものが物すごく多いわけですね。特に衣類とか装飾品、これはブランドになるそうなんです。それで、これはほかの商品と区別できるようにする、いわゆる差別化をしていく、このことが消費者が買い物をするときに購入する際の重要な判断材料となっているわけです。  これは、以前の公正取引委員会のアンケートですね、ブランド力と競争政策に関する実態調査報告書というのがあったんですが、これでも約五割の人が食料品においてもブランドを重視する、こういうお答えをしておられます。今後、産地にとってブランド化というものが消費者に選択されるために大変重要であると、こういうことが農産物についても言えるんだと思います。  私の地元の話で申し訳ないんですけれども、長門市というのがございます。私の父のお墓があるところでもあるんですけれども、ここで初めてコンピューター管理の自動ラック式の低温倉庫というのが先日完成しております。ここは、いわゆる棚田ですね、山地が多いんですけれども、棚田で結構日本じゅうでも有名なところなんですけれども、そこで取れる棚田米というのがありますけれども、これが結構味が良くて好評なんです。こうした高い評価を得ている米をそのまま品質をしっかり大事にして消費者にお届けできる、この流通の中にこの倉庫が組み込まれていると、こういうことなんですけれども。  いい産地で大切に育てられたものがそのアイデンティティーを保ちながら消費者に届けられる、これも一つのブランドになっていくと思います。特に、山陰地方、景気が非常に悪いわけですけれども、こうした中でも頑張っておられます一次産業の方々、農業あるいは漁業もそうですけれども、こうした方々にとって、ある意味非常に励みになっていると思いますけれども。  この地域ブランドの確立に向けて、農水省は、いわゆる知財権の保護、あるいは食品産業クラスターの形成などの支援策を進めておられるというふうにお聞きしております。その支援状況について詳しくお聞かせいただければと思います。また、商標法の改正案が成立いたしましたけれども、この改正が地域ブランドの確立に対して果たす役割についても併せてお聞かせいただきたいというふうに思っています。よろしくお願いします。
  44. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) グローバル化が進展をしていきます中では、輸入農産物に対抗していくために、国内農産物のブランド化を推進し、国際競争力の強化、収益性の向上を図っていきますことが攻め農業を展開する上で重要であるというふうに考えております。また、国内農業産地間競争においても同様のことが言えるのではないかというふうに考えております。  産地ブランド化の推進につきましては、これまでも強い農業づくり交付金や食料産業クラスター推進事業等によりまして産地育成を支援しているところでありますが、今回新たに地域団体商標制度が創設をされますことなど、知的財産権の取得、保護のための法制度も整備をされてきております。  また、一村一品運動を始めとしまして、各地での特産品作りの取組も活発化をしてきておりまして、日本の農産物の輸出意欲が高まるなど、生産者関係者の意識もブランドを重視するようになってきたというふうに認識をしております。  このような情勢下で、ブランドを含みます知的財産権の積極的、戦略的な活用を図るため、中川大臣の御指示の下、農林水産省内に私を本部長といたします農林水産省知的財産戦略本部を二月二十三日に設置をしたところでございます。  今後、まず特許あるいは新品種等の知的財産を活用した高品質、高付加価値な農業生産の推進と産地の形成を目指したいと考えております。次に、地域団体商標制度の活用や表示の適正化等を通じまして、差別化や模倣品を排除していくことで消費者の信頼確保に努めてまいります。最後に、このための意識啓発や人材育成等によりまして、農林水産省を挙げてブランド化の推進に取り組んでいきたいと考えております。
  45. 岸信夫

    ○岸信夫君 ありがとうございます。  後でちょっと触れようかと思ったんですけれども、今もお話がございました知的財産戦略本部ですね、是非これ頑張ってしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  我が国の農産物にとっての知的財産という意識が今まで余り高くなかったんじゃないかというふうにも思うわけです。それで、いろいろと無意識のままに高品質の果物なんかの苗が海外に出てしまうと、こういうことも起こってしまう。  そうしますと、今進めております農産物の輸出ですね、こうしたことで、せっかくいいものを出そうとしたら向こうにもうそれがあったということになれば、我々は大切なマーケットを失うことになるわけです。そういう意味でも大変重要なことだと思います。入ってくる部分は、昨年、種苗法の改正でも規制を強化したと思いますけれども、これは出ていく方、これを非常に気を付けていかなければいけないんじゃないかというふうにも思います。  話を戻しますけれども、地域振興ですね、もう一つは地産地消に対する取組であります。  我が国の農産物流通でやはり一番のネックとなっていますのは、やはり物流のコスト、これが非常に高い。結果的に農家の手取りが下がってしまう、こういったことも起こってしまうわけであります。量販店などの大規模物流ではカバーされないような部分、これを地場のマーケットで消費してもらう、これはまた一つのオプションとして大変重要なんじゃないかなというふうにも思うわけです。  そして、地産地消の一つ施策として学校給食にもこれが取り入れられるというふうに伺っております。これは、小さい子供たちにその地域農業のことをよく分かってもらう、あるいは作物を通じて自然やあるいはその地の伝統というものも理解してもらう、こういったことにおいても、教育という面においても非常に重要であろうというふうに思っております。  食育基本法成立を受けて策定します基本計画では、現在二割程度の地元農産物利用、これを平成二十二年までに三割程度に引き上げるという目標を設定しているとお聞きしておりますけれども、現場からは、地元の農産物、これ結局、供給が安定していないじゃないか、欲しいときに十分な量が確保できない、こういった不安の声も聞かれております。  こうした課題を克服していかなければいけないわけですけれども、国としてどのような対策をお考えでありますでしょうか。
  46. 小斉平敏文

    大臣政務官(小斉平敏文君) お答えいたします。  地産地消につきましては、生産と消費、このかかわりや伝統的な食文化への認識を深めるとともに、食育の推進等の観点からも大変重要でありまして、その推進に積極的に取り組んでおるところでございます。  このような中、学校給食への地場農産品の活用、これも促進をいたしておるところでありますけれども、ただいま先生御指摘のように、その取組について農水省でも調査をいたしました。その結果、御指摘のとおりに、連携できる組織がない、あるいは必要な量の確保ができない、どのような農産品があるか分からないと、このように解決すべき課題がたくさんありまして、今後これらの課題の解決を進めて取組を進展をさせていかなければならないと、このように思っておりますが、このために最も重要なのは、市町村、いわゆる地方自治体、そして生産者消費者、これらのやっぱり連携というものが最も重要だと、このように思っております。  ちなみに、私、宮崎でありますけれども、宮崎の綾町という、松下議員さんの地元でありますけれども、ここは有機栽培で非常に有名なところであります。ここは町、JA、生産者、町民、これの連携が非常にうまくいっているんです。ですから、少々高くても全部地場のものでやる。あそこの町営の宿泊所から始まって、もちろん学校給食もすべて地場でやると。少々高く付きます。これもかなり前から取り組んでいらっしゃる。  非常にその評価が高くて、その効果というものが、いわゆるスポーツ合宿あるいは学習体験合宿、あるいは最近では都会の修学旅行、これが農業体験を取り込んだ修学旅行をやりたいという申入れが非常に強いんです。そのようにいろいろな効果があると思います。  でありますから、食育の観点からも地産地消という観点からも学校給食というものは非常に重要でありまして、農水省といたしましても積極的に取り組んでまいりたいと、このように思う次第であります。
  47. 岸信夫

    ○岸信夫君 政務官の地元ですばらしい取組をしておられることを今お聞きしまして、うらやましい限りでございます。  もう一つ、我々も地元を回っていましてよく目にしますのがいわゆる農産物の直売所でありますけれども、これは地場で、農産物を本当に地場で消費する、この窓口として役割を果たしているんだと思います。  ただ、この直売所が、場所によっては乱立していたり、あるいはそれぞれのスーパーマーケットなんかと競合したり、こういう事態というのもいろいろあるというふうにも聞いておるわけです。この直売所を適正に配置するというのはなかなか難しいことかもしれませんけれども、農水省として何かこの点に関する取組というものがございましたらお聞かせいただきたいと思います。
  48. 小斉平敏文

    大臣政務官(小斉平敏文君) ただいまの農産物の直売所につきましては、消費者にとりましては顔が見える、あるいは新鮮であると、生産者にとりましては消費者のニーズが的確に直接確かめられるというような利点がありまして、地産地消の核となる施設であると、このように思います。  ちなみに、今、全国で一万か所ぐらいございます。そのうちに市町村、農協等が設置する直売所が約三千あります。この内容を見てみますと、大体一か所で七千五百万ぐらいの売上げ、そのうちの五千万が大体地場のものというような内容になっておるところでございます。大変な勢いでこの直売所というのは増えております。しかしながら、経営を見てみますと、うまくいっておるところとうまくいっていないところがあるわけであります。  私は、今後のやっぱりこの直売所というものは特色、これを持たないと私は成り立っていかないと、このように思います。  と申し上げますのが、先日、福岡に参った折に、ついでに福岡の「ぶどう畑」という、市内のど真ん中、住宅街にあるところをちょっと見させていただきました。その隣には物すごい大きなスーパーがあるんですよ。ところが、ここは一九九九年に、自治体やらJAの補助金全くなしに、六人の女性が共同出資をして有限会社つくってやっておるんですよ。もうこれは二〇〇三年には完全に借入金を返しております。年商二億ですよ。  ここの特徴というのが、結局、持ってきた農業者に対しては、いわゆる出荷者に対しては、月に一回、価格といわゆる実物の検証をやる、検査をやる、そして抜き打ちで農薬、この検査をやると。それに適合しないものはもう持って帰ってくれと、店頭に並べないというぐらい非常に農業者に対しても厳しい。しかも、消費者に対しても物すごく厳しい。高いんですよ、スーパーよりかはるかに、価格が。なぜ高いのかと言ったら、その説明をやって、分からない人には、分からない消費者には安いものがよければ隣のスーパーで買ってくださいとはっきり言うんですよ。冬にキュウリを買いに来ると、そんな無理なことを言ったら駄目だと、キュウリは冬はない、なぜないかという説明をやるんです。それでも、行っておる間、お客さんが物すごく多いんですよ。  ですから、やっぱりそういうような特色を持った、やっぱり自信というか、農産物に自信を持った、特色を持った販売所でないと今後やっぱり非常に難しくなると。そのためには、特色を持たせるためにはリーダーが最も重要だと、このように考えておりますので、リーダーの育成につきましても、こういう直売所の施設の面につきましても、農水省としては積極的に取り組んでまいりたいと、このように考えております。
  49. 岸信夫

    ○岸信夫君 すばらしいお考え示していただけたと思います。是非推進していただきたいというふうにも思います。  さて、都市と農村の共生・対流についてなんですけれども、農村で都市住民が活動する、こういう機会や、あるいは食に対する認識を深めるきっかけとして広くこの施策を提供して、同時に農村の振興を図るために是非これを推進していってもらいたいというふうに思うわけでありますけれども、現状を見てみますと、受け手の方ですね、農山漁村の地域では受入れの体制が整っている。しかし一方では、都市部においては、これが情報不足とかあるいはPR不足ということで、やはり人の動きとして十分につながってきてないんではないか、一部の人だけに限られてしまっているんじゃないかというふうにも思われます。  こういった国民のレベルでの認知度の低さというものが指摘できると思うんですけれども、これに対する政府のお考え、そしてまた、今行っている具体的施策の実施状況などについてお聞かせいただきたいと思います。
  50. 山田修路

    政府参考人山田修路君) ただいま都市と農村の共生・対流の取組について御質問がございました。先生御指摘がありましたとおり、その認知度、余り高くないというお話でございました。  本年二月に内閣府が公表いたしました都市と農山漁村の共生・対流に関する世論調査というのがございますが、これによりますと、共生・対流の取組について知っている方は約二割にとどまっております。国民の認知度、十分に高まっていないという状況でございます。  一方、同じ調査によりますと、都市と農山漁村の交流が必要と答えた方は八割近くになっておりまして、都市、農山漁村双方の住民にとりまして共生・対流の取組に対するニーズ、これは大きいものというふうに考えております。  このため、農林水産省といたしましては、世論調査の結果を踏まえまして、共生・対流に関する民間主体の組織でございます「オーライ!ニッポン会議」とも連携をして、効果的な情報発進に努めていきたいと考えております。  具体的に申しますと、第一に、年代、性別によって情報の入手先が大きく異なっております。このような特性を踏まえまして、新聞、雑誌、インターネットなど各種のメディアを戦略的に活用するということを検討していきたいと考えております。また第二に、東京ではかなり周知度が相対的に高いものとなっておりますが、政令指定都市ですとか地方都市における周知度、これがやはり相対的に低い状況にございます。こういった世論調査の結果を踏まえまして、三大都市圏での交流フェアの開催や地方自治体と連携を進めるといったことを検討していきたいと考えております。それから第三に、マスメディアあるいは交通機関と連携をして様々なPRの取組を実施するというようなことも検討していきたいと考えております。  こういった様々な検討を進めていきまして、共生・対流の取組が広く国民に知られるように取り組んでいきたいと考えております。
  51. 岸信夫

    ○岸信夫君 ありがとうございます。  お互いに共生・対流は進めなきゃいけないと、あるいはやりたいと、こう思っている人たちが、じゃ、どうやってやったらいいのかと、これが見いだせなければ進んでいかないわけでありまして、そこをしっかりと、いろいろなメニューを提供していく、そして国民皆さんにそれを示していくということを是非これからも進めていっていただきたいというふうに思います。  この共生・対流、農業理解促進ということだけじゃなくても、今もお話も出ましたけれども、農業の多面的機能とか、あるいは本当に町や村の景観、生態系などを理解してもらうと。そして、都市に、都会に住む人も農村農業から恩恵を受けているんだと、こういうことを実感してもらう、認識してもらう、こういうことですけれども。これを通じて、ある意味では、先ほども議論がありましたけれども、WTO、こうしたところで、交渉において我が国の立場というものを国民全体で理解をしていく、深めていく、こういうことにもつながっていくんじゃないかと思います。なぜ農業や農産物に我々がこだわっていかなければいけないのか、こういうことを理解して、そして国民全員が応援団になってもらう、こういうことも必要なんじゃないかなというふうに思っています。  WTO交渉については、先ほど岩永先生からも随分ありましたんで、一部お聞きしたいところだけお聞きしたいと思います。  これについては、いよいよ時間的にも期限が迫ってきています。これに対して、大臣先頭に今ぎりぎりの交渉を頑張っていただいていることに対しまして感謝申し上げたいというふうに思うわけでありますけれども。一方で、大臣の所信の中に途上国支援について述べられておるところがございます。途上国への開発イニシアティブ支援、これは我が国にとっても大変重要な施策であると考えております。特に、アフリカ諸国への農業技術者の派遣を通じて、人的な貢献をするということを通じて我が国に対する理解を上げて有効な関係を築いていく、こういうことが大変重要だと思いますし、そういうことは非常に有効に機能するんじゃないかと思います。  長期的に考えますと、こういった国々農業分野では自立をしていけるように我々も助けていく、このこと自体は我が国にとっても大変メリットのあることとは思うわけです。将来、アフリカ諸国が農業分野で我々と競合するということは余り考えにくいわけでありますけれども、アジアの国々にあっては、場合によってはそうなってくるということもある意味で懸念されるわけです。農業で非常に強い国になっていく。そのときに、我々が支援して、立派に自立する。そして、強くなって逆に戻ってきてしまってはこれは困るわけですけれども。こうしたことに対して、将来のことも含めて見解をお聞かせいただきたいと思います。
  52. 佐藤正典

    政府参考人佐藤正典君) ただいまの御指摘の開発イニシアティブの関係でございますけれども、昨年の十二月のWTO香港閣僚会議に際しまして、途上国の開発を進めて自由貿易体制から更なる利益を得られるようにするということで、途上国を包括的に支援する開発イニシアティブを打ち出したところでございます。農林水産関係につきましても、このイニシアティブに基づきまして生産面、流通面における技術支援等を行うこととしているところでございます。  一方、委員御指摘のように、ODAを実施するに当たりましては、政府開発援助大綱、これ平成十五年に出されたものでございますけれども、その中におきまして、「我が国の経済・社会との関連に配慮しつつ、我が国の重要な政策との連携を図り、政策全般の整合性を確保する。」との基本方針が示されているところでございます。農業分野の支援を行うに際しましても、我が国農業との競合が生じないよう、我が国農業政策との整合性を確保しつつ実施してきているところでございます。  開発イニシアティブに基づき技術支援を展開していく際にも、我が国農業に与える影響を十分に勘案しつつ、世界の食料需給の将来にわたる安定にも資するよう戦略的に実施していくことが必要であるというふうに考えているところでございます。
  53. 岸信夫

    ○岸信夫君 ありがとうございました。  続きまして、BSEについてちょっとお伺いしたいと思います。  現在、日本向けについては輸出の停止措置がとられておるわけであります。アメリカでは、農務省が日本向けの輸出プログラムに関する調査結果と対策のレポートを二月に上げてまいりました。有効に機能するシステムにしていかなければいけないわけです。こうした改善措置がとられなければいけないわけでありますけれども、一方で、先日は香港向けに骨が混入していたということで、この大手パッカーから香港輸入を停止したことを発表したということであります。もちろん、香港向けと日本向けでは条件も状況も違うわけではあります。  ただ、アメリカにとっては、今、日本向けでこれだけの大きな問題が起き、そして注意喚起をしているさなかで同じような事故が起こった、こういうわけであります。一体アメリカのこの問題に対する意識はどうなっているんだということを疑わざるを得ないわけでありますけれども。  この香港向けに引っ掛かった業者、これは日本向けにも認定を受けていたところだと思います。農水省としても査察を行ったところだと思いますけれども、大手であるだけに国内にもしっかりしたマーケットを、販売ルートを持っているんだと思います。輸出に対する意識というのが低かったのかもしれないわけですけれども、こうしたアメリカの状況について農水省の御認識をお伺いしたいと思います。
  54. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 香港も、アメリカからの牛肉輸入日本とほぼ同じ時期に再開をいたしました。その際の条件は、三十か月未満の骨なし牛肉ということ、特定危険部位が全部除かれていると、そのことが主な条件でございましたけれども、先般、米国のコロラド州にありますスイフトという、大手の一つでありますが、そこから香港向けに輸出された牛肉の中に骨が混入していたということで、香港政府としては三月十一日にその輸入を停止したところでございます。  私どもも、この情報を入手しまして、直ちにアメリカ側それから香港の両方に対しまして、今回の事件の詳細について情報提供を求めました。まだ現在詳細な情報を私どもも入手しておりませんけれども、これにつきましてはきちっとした情報収集をまずしていかなければいけないというふうに思っておりますし、それから、日本の向けにつきましても特定危険部位の混入ということがありましたので、現在、アメリカ側から日本に提示のありましたこの報告書につきまして、様々な疑問点、不明な点について今照会を行っております。この回答はまだ来ておりません。  こういった回答が接到いたしましたら、十分その中身を精査をいたしまして、そして、アメリカ側のこれからとる措置なども含めてきちっと精査をして、二度とこういった輸出についてEVプログラムに違反するようなことが起こらないようにということで、きちっとした対応を求めていきたいというふうに思っております。
  55. 岸信夫

    ○岸信夫君 最近、またアメリカでBSEの感染牛が発見されました。これはウエスタンブロットでも確認されたと了解しております。十歳以上の牛でもありますから、日本向けに出される可能性というのはこれについてはなかったわけでありますけれども、しかしながら、それでもアメリカがきちっとこの輸出プログラムを履行してくれればこうした牛はもちろん混じらないわけですけれども、今の状況を考えますと、これ不安にならざるを得ない、日本消費者にとっても大変安心できないような状況になっているんじゃないかというふうにも思うわけです。  日本向けで発見されました牛肉、一月に発見されました骨付きの牛肉でありますけれども、骨が付いていたから、これは見たらすぐ分かるわけですね。だけれども、それには実は同じロットの中にタンと胸腺が含まれていた。これは、その屠畜を行ったゴールデン・ヴィール社というところではこの内臓の分別処理が確保できてなかった、すなわち、そこから供給される内臓については日本向けには適さなかったとあるわけです。  しかしながら、これがなぜか合格ということで日本向けに出されてしまったわけです。たまたまこれ日本でその骨があったから引っ掛かったわけですけれども、これは場合によっては、骨の部分がなかったら気が付かなかったんじゃないだろうかというふうにも思うわけであります。  この胸腺ですけれども、一頭から一ポンド程度しか取れない。ですから、このとき日本向けに処理されたのは二十一頭でしたから、まあ二十ポンドか二十一ポンドは分かるんですけど、二百ポンド以上のロットになっていたわけですから、これはもう全部ぐちゃになっていたということかもしれません。こういうような状況が起こっていた。ここの会社の場合は、いわゆる屠畜場とパッカーと二段階になっていたから、更に状況というのは複雑になっていたのかもしれません。  しかしながら、いずれにしても日本向けに入れてはいけないものがそこのロットに含まれていた、これは事実だと思います。万一、脊柱がなかったらと思いますと非常に怖いわけでありますけれども、この点についてちょっと見解を教えていただきたいと思います。
  56. 中川坦

    政府参考人中川坦君) タンですとか胸腺とか、これ自体は日本輸入禁止品目ではございません。  ただ、今回の場合、先生おっしゃいましたように、このゴールデン・ヴィール社それからアトランティック社におきまして適切な輸出証明プログラムに基づく分別処理が行われてなかったと、そういった舌や胸腺が含まれていたということが問題なわけでございます。  おっしゃいますように、脊柱のように家畜衛生条件で日本への輸入が認められていないそういった特定危険部位につきましては日本側の水際での検査で発見ということもございますけれども、今回の場合のように、こういった適切な処理をされていない部位についてアメリカの農務省の食品安全検査局の検査官によります証明書が付いていた場合には、現実問題としてなかなか輸入検査においての確認というのは困難な場合もあろうというふうに思っております。  こういった点、特にこのアメリカ側でなぜこういったものが見逃されていたのかという点につきましては、先ほども申し上げましたが、必ずしも十分報告書の中に記載をされておりません。見過ごしたという事実は記載されておりますけれども、その原因についてまで詳しくは記述されておりませんので、そういった点につきまして今照会をしているところでございまして、問題意識として十分、今回改善策を検討する際には、こういった点に留意をしてきちっとした対応を求めていきたいというふうに思っております。
  57. 岸信夫

    ○岸信夫君 先ほど言いましたけれども、今回そういうことで二段階、サプライが二段階に分かれていた、これも問題を複雑化している一因だとは思いますけれども、こういったことは今後も起こり得るわけですから、どんな状況でも対応できるようにしておいていただきたい。これはアメリカにも要求していかなければいけないんだというふうに思います。  今回の事件を振り返ってみますと、屠畜業者あるいはパッカー、そしてFSIS、すべて認識不足が根本にあったわけであります。その後の香港向けも同じようなミスを犯している。これは、一つはやはり、アメリカの国内向けの基準とそして輸出のスタンダードが異なっている、このことに十分対応できてない、こういうことだと思います。プログラムとしては、設備やシステム、こういったことをしっかり、まあ今後どこで再開をするかはまた議論されると思いますけれども、再開する前にはしっかりと政府としても十分査察を行っていかなければいけないと、これは一つもう必須条件だと思いますけれども、これ日本側もしっかり関与していっていただきたいというふうに思います。  この点について、政府の御対応をお聞かせいただきたいと思います。
  58. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 今回の事案は、日米間で合意をいたしましたルールが遵守されなかったことによって生じたものでございまして、このルール自体は第一義的には輸出国でありますアメリカ政府の責任の下できちっとその実効性が担保されなければならないものというふうに考えております。  米国産牛肉の輸入再開手続につきましては、国民の方々の食の安全、安心を確保していくということが大前提でございまして、そういう意味で、その徹底した原因究明とそれから再発防止をアメリカ側に求めてきたところでございまして、今後、この報告書を受けて、私どもとしては今、質問状、照会状をアメリカ側に提出しておりますので、この回答を踏まえまして、今申し上げましたように、消費者の方々の信頼を確保すると、これが一番大事な点でありまして、こういった点をよく踏まえて的確に対応していきたいというふうに思っております。
  59. 岸信夫

    ○岸信夫君 私は、実は事前の査察ということだけでは十分だとは思わないわけであります。実際に、その日本向けのオペレーションが動き出してラインで動いているときに、本当にルールどおりにやられているかどうか、これをチェックしていかなければいけないわけです。そういう意味で、抜き打ちの査察とか、そういうこともこれはしていかなければいけないわけであります。  この部分、USDA、農務省に任せていたら、今回、認識不足でこういう事件が起こってしまったわけです。根っこがそういうことでダブルスタンダードにあるとすれば、これを同じ人にやらしていれば同じようなミスももしかしたら起きるかもしれないわけであります。アメリカ側の検査官、これはしっかり検査をしてもらうわけですけれども、これとは別に、我々の、日本側の立場に立って日本人の目で確認をする、あるいは日本側の目で確認をする、こういうことがやはり必要なんじゃないかな。  そういう意味では、日本側の検査官、あるいはこれは公的な検査官でもあるいはプライベートな検査官でも構わないと思うんですけども、日本のルールだけを熟知している人を、しっかり見てもらう、向こうがもし異なったプロセスをやっていればその場で注文を付けて正していく、こういったことがやはり大変重要なんじゃないかなというふうにも思うわけです。これは、もちろんコストの掛かることでありますけれども、安全性を確保して信頼を回復していくということのためにはコストも掛けることも大切だと思いますし、そのことによって日本人の米国産牛肉に対する安心感というものが取り戻せなければ、彼らの牛肉、幾ら日本に来てもそれを消費者が買ってくれない、こういうことにもなると思います。この検査官の問題というのはなかなかお答えしづらいかもしれませんけれども、私の意見として申し上げておきたいと思いますけれども。  最後に、このBSEの問題ですね、これからどういう形にしていくか、前回の事故のレビューをしっかりしていかなければいけませんし、アメリカとの交渉も更にやっていただかなければいけないと思います。そういう意味で、大臣にも是非先頭に立って、この議論をしっかりとアメリカ側にもぶつけていっていただきたいと思いますけども、そういった大臣のお考えについてお聞かせいただければと思います。
  60. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、中座をいたしまして失礼をいたしました。  今の岸委員の御指摘、もう全くそのとおりでありまして、いつの日かきちっとした作業をすべて終えて米国産牛肉が再開したとしても、消費者が信頼を持たなければ、これは食品そのものに対する信頼、あるいはリスク管理に対する信頼、いろいろな意味消費者の方が信頼を持たなければこれは売れないわけでございますから、再開する以上はきちっとした健全な貿易といいましょうか売買ができるということを当然アメリカ側も期待をしているんだろうと思います。  現時点では、報告書に対する質問、その回答を待っている段階でございますから、私としてはステップ・バイ・ステップ、一つ一つ目の前の作業をやるということで、事前にチェックをするとか抜き打ちをするとか、いろんな御指摘等を既にいただいておりますけれども、現段階では全く何をやるかということは決めておりません。しかし、いつの段階かそういうことが必要になった場合には、目的達成のためには日本側としてもあらゆることをやっていかなければならない、それが目的のために必要なことだろうと思います。  そういう意味で、今、岸委員からも貴重な御指摘をいただきました。そういうことも踏まえまして、現段階では質問書の回答を待っている段階でございますけれども、いろんな御意見をいただきながら、国民皆さんの食の安全、安心のためにきちっとしたことができるように万全を尽くして日本側としてもまたやっていきたいというふうに考えております。
  61. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 民主党のツルネンマルテイです。  中川大臣所信表明に関して、幾つかのテーマに絞って質問させていただきます。  初めに、農業再生の必要性について、中川大臣を始め我々みんなの認識が一致していると思います。日本農業が危機に瀕していることは共通の懸念であります。所信表明全般にもその危機感が表れています。つまり、食の安全、食料自給率、環境保全対策などに今まで以上に真剣に取り組まないと日本農業には未来がありません。  今回の私の質問では、このような共通の認識に基づいて、政府が計画している対策だけで本当に日本農業を再生できるかどうかに関して質問しながら、私なりの提言もしてみたいと思います。多くの質問を用意しましたので、簡潔な答弁をお願いいたします。  私の方から、細かい政策よりも基本的な方針農政方向性について質問をいたします。  最初には、中川大臣質問します。  新たな経営安定対策についての質問ですが、その中で、なぜ全農家対象対策から担い手限定対策にしたのか、その理由について説明してください。  しかし、その答弁に入る前には、一つその内容に対してお願いがあります。  ここでは、今回は、品目別価格対策から品目横断的対策に変わろうとするその理由については今回は答弁しなくても結構です。なぜならば、WTOのルールを今回は課題にしませんから、品目横断的対策は恐らくWTO対策として策定されたのでしょうが、その是非を今回は問題にしません。品目横断的対策を含めた関連法案審議のとき、できれば私の方からも改めてその問題について質問したいと考えています。ですから、今回はその問題に触れません。ここで答弁してほしいことは、なぜこの新しい対策担い手だけに絞ったのかということだけです。お願いします。
  62. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、ツルネン委員が冒頭おっしゃられたように、日本農業をこれから真剣に取り組んでいかなければ大変になる、この認識は私も全く同じであります。  じゃ、真剣にやる人はだれなのかというと、まず第一に何といっても農業者の皆さんだと私は思います。そして、我々農政も、国会あるいはまた行政、あるいは地方も含めてそれに関連するそれぞれの立場で日本農業を守り発展をさせていくということでありますが、何といっても農業者の皆さんがまず当事者として真剣にやっていただかなければならない。だから、やる気と能力のある人に更に頑張っていただくことによっていい結果が出ていく、それが自給率の向上、あるいは消費者にとって好まれる農産物が供給できる、お互いにハッピーになっていくということでありますんで、そういう意味で、何も一定規模以上の認定農家だけではありませんけれども、集落営農とかいろいろありますけれども、とにかく真剣にやる気と能力のある農家に更に頑張ってもらえるように、今までのように一律に、これはまあ単に規模だけではなくて、経営の内容であるとか、いろんな条件がありますけれども、とにかく頑張っている人、そしてまた頑張れる人には、更に頑張ることによって経営的にも良くなっていくし、消費者に対してもいいものが供給できると、こういう農政を目指していきたい。これはある意味では、ヨーロッパでもCAP改革というのをやりましたし、アメリカでも今度また二〇〇七年農業法なんというのを今議論しておりますけれども、世界じゅうの先進国が今農業改革をやっております。日本もそういう形で世界に負けない農業になれるように、主役が頑張れるような農政を目指していきたいということでこういう形にしたわけであります。
  63. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 そのやる気のある農業者は、その認定農業者あるいはその中だけではないと思います。だから、兼業農業者の中でもやる気のある人は恐らく一杯あります。それについてもちょっと後で続けたいと思いますけれども、その新しい対策の中では、一つのやり方は、諸外国の生産コストの格差から生ずる不利を修正するための交付金を払うことですけれども、私たち民主党の中から考えておりますのは、この兼業農家にもその交付金を払うことができるはずです。  仮に、兼業農家では例えば所得の四割を農業から得るとしたら、農業生産から得られる所得に対する交付金をもらってもよいはずです。なぜならば、品目横断的といっても、新しい対策の中では、実際には支援水準が対象品目ごとに決定されることになるはずです。例えば大豆の場合は、十アールの生産コストと販売価格の格差を支援することになります。だから、極端に言えば、その農地面積は四ヘクタールであっても、五十アールであっても、その格差を支援することができるはずです。私たち考えているのは、その専業農家だけに絞る必要は全くないと思います。しかし、この問題についてはまた次のチャンスではもっと絞ってみたいと思います。  とにかく、私たち民主党のこのことに対する案では、販売農家すべてを直接支払の対象にしています、民主党の案ではですね。で、ここから幾つかの質問では、数字を簡単に教えてほしいということ、ここでこのバランスが出てくると思いますね。  次の質問は、現在全国販売農家の数はどのくらいになっているか、またその中では専業農家の数と兼業農家の数は幾つになっているか、その数字だけを簡単に教えていただきたい。
  64. 小西孝藏

    政府参考人小西孝藏君) 二〇〇五年農林業センサス結果によりますと、全国の販売農家数は約百九十五万戸であり、そのうち専業農家数は約四十四万戸、兼業農家数は約百五十一万戸となっております。また、兼業農家数のうち、第一種兼業農家数は約三十一万戸、第二種兼業農家数は約百二十万戸となっております。
  65. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 ありがとうございます。  この新たな経営安定対策においては、個別経営農家は認定農業者であることが要件となっていますが、その認定農業者が現在どのくらいいるか教えてください。
  66. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 認定農業者数でございますが、平成十七年十二月末現在で十九万四千八百七となっております。
  67. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 この二つの数を比較しますと、大まかには販売農家全体の一割はこの認定農業者になっているということになりますね。これを是非皆さん頭に置いてください。一割だけですね。  そして次に、また数字を教えていただきたいんですけれども、現在は農業集落の数は幾つになっているか、また、その中では特定農業法人、特定農業団体の数は幾つになるか、さらに、現在は集落営農は全国では一万あると言われていますが、そのうち集落内の営農を一括管理あるいは運営しているものはどの程度あるかという、一万のうちですね、この三つのことについては是非数字を教えていただきたい。
  68. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) まず、全国の農業集落の数でございますが、二〇〇五年の農林業センサスの調査結果によりますと、その数は約十三万九千集落となっております。  それから二つ目でございますが、特定農業法人と特定農業団体の数でございますが、平成十七年十二月末現在におきまして、それぞれ三百二十三法人、百八十五団体となっております。  さらに、集落営農実態調査結果によりますと、全国の集落営農の数は一万六十三となっておりまして、そのうち集落内の営農を一括管理運営しているものは千四百八十でございます。
  69. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 これも、この数を比較すると極めて少ない数になっています。もうちょっと、もし実現できれば、もうちょっと明るい数字が出ていますけれども、この構造展望において、二〇一五年に効率的かつ安定的な集落営農経営がどの程度になると見通しているんでしょうか。
  70. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 昨年三月に、新たな基本計画と併せて示しました農業構造の展望におきましては、二〇一五年、平成二十七年でございますが、その時点での効率的かつ安定的な集落営農経営は二万から四万程度になると見込んでおります。
  71. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 仮に、本当に二万から四万までなるとしても、さっきの数字ではその農業集落は十三万ありますね。その中からでも二割ぐらいのものはその枠の中に入っている、あとの八割は完全にどのような対象にも、支援ももらわないということになりますね。あるいは、さっきからの数字の中では、その販売農家のうちにはこの担い手から外れる、つまり対象者にならない農家は九割くらいになります。幾らか後で見通しで増えるとしても、九割近くは全くその担い手から外れることになります。  ここから私たちは心配していることは、この新たな経営安定対策が本当に日本農業を再生することになるのか、例えば食料自給率を上げることになるか、九割くらいは全く国から切り捨てられる、国の対象から切り捨てられるということですから、だから私たちはこの対策では日本農業を救うことができない、この対策は成功するはずではないと言わざるを得ないということですね。  しかし、私はここでは、このことについて、これはまたその法律案の中でももっと議論することになりますから、これ以上これに触れませんけれども、本当に見通しが暗いということは私たちは考えています。そこから、もうちょっと私も評価できるようなところの質問に入りたいと思っています。  この集落営農組織化について、これからいろんな質問をしますけれども、もし、組織化というと、地域ぐるみの営農をすることですね。それは本当に実現できれば、これは日本農業としては評価できる。もちろん、今までもそれぞれの集落ではいろんな形で共同作業をやったりすることはありますけれども、だからこれを本当に、あるいはそれを今やめたところでも、復興できればこれはすばらしいことであります。共同の精神というのは日本農村では昔はあったし、今も残っていますけど、これを増やすことできたら、そういう意味でこの集落営農組織化というのは私もいいことだと思っています。  その中では、今度、次に副大臣質問しますけれども、集落営農の組織化について、その集落ぐるみで農業を行うことのメリットは当然いろんな、あります、デメリットもあると思います。簡単に、例えばどのようなメリットとデメリットがあるか、ちょっとお願いします。
  72. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) 水田集落の約半数におきまして個別経営体として発展し得る主業農家が全く存在していない現状の中で、集落営農地域ぐるみで農地の利用調整や機械の共同利用を行うなど、地域の営農の維持に重要な役割を果たしていると認識をいたしております。  集落営農の御質問ありましたメリットといたしましては、小規模な農家が集まって共同で営農を行うことによりまして、まず、農地の面的な利用集積によりまして作業の効率化が図られること、次に、機械等の共同利用によりまして機械等への過剰投資が避けることができること、さらには労働時間の短縮が図られることなどから、生産コストが全体として低減をし、一方で所得の向上が図られることが挙げられると考えております。  さらに、このような集落営農が一定の要件を満たせば新たな経営安定対策の対象となり、小規模な農家や兼業農家であってもそのような集落営農に参加することでこの政策支援を受けることができるわけでございます。  以上、お答えとさしていただきたいと思います。
  73. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 じゃ続けて、デメリットのことはやはりどこでもあるはずですから、そういうのを幾つか指摘することできますか。
  74. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) デメリットという点では、強制的にこれ集落営農への参加を求められるというデメリットを感じる場合があるかもしれませんが、集落営農の組織化につきましては関係者において十分な話合いが行われることが重要でありまして、最終的にその集落営農に参加するかどうかということはそれぞれ個々人の判断に基づくことは当然であるというふうに考えております。
  75. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 もちろん、私の方でも考えている、あるいはいろんな新聞でも書いているように、そのデメリットの一つというのは、どうしてもどこの集落でも、一人でやりたい、例えばこれは有機栽培をやっている人たちの中では、ずっと前から自分で一人でやってきたんだから、仮にこれはそんなに収入にならなくても頑張りたいという人たちは、これはもちろん強制的ではないんですけれども、あるまとまった人数がその地域ぐるみでならないとこの対象者にならないんだから、そういう意味でその圧力が掛かると思いますね、入らなくちゃならないということですね。  しかし、これを乗り越えるためには、今、さっきも質問答弁がありましたように、今こういうのを理解するためには全国各地では担い手の育成あるいはその確保に向けた集落座談会がたくさん行われていると私も知っています。で、その中では、その座談会の中の推進状況はどうなっているか、それについてちょっと報告をお願いしたいと思います。
  76. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 委員御指摘のとおり、この対象者要件を満たす担い手の育成ということが非常に大きな課題でございます。  このため、現在、行政と農業団体が連携協力いたしまして、私どもも先月末までに約全国で五千五百回意見交換会を実施して対策の周知に努めておりますが、その中で認定農業者への誘導や集落営農の組織化、法人化を推進しております。特に、農閑期の間に集落段階で集落座談会という形で今度の新制度の趣旨、内容についてよく理解をしていただき、また集落営農を進めるための話合いをしっかりしていただくということで、私どもの農林水産省の担当者も必要があればこれに参加するなどいたしまして、地域における話合いの促進に努めてきております。  こうした取組の結果、担い手の育成確保の必要性に関しては、その理解につきましては、まだ地域差はございますけれども、現場レベルまで相当程度浸透してきておりまして、地域によりましては既に特定農業団体の設立など具体的な成果も出始めているところでございます。  また、昨年五月に行いました集落営農がない集落の代表者に対する意識調査によりますと、集落営農の組織化、法人化に向けた取組を行う必要があるとする回答が六三%を占めております。  そういうことで、地域においてもやはり集落営農をしていこうという機運はかなりあるというふうに踏んでおりまして、今後とも、十九年産からの対策の円滑な導入に向けまして、こういった集落営農のメリットなどをきめ細かく説明させていただくと同時に、この担い手育成の機運を一層盛り上げまして、集落営農の組織化、法人化を推進してまいりたいと考えております。
  77. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 今の答弁にもありましたように、その調査の中では大半の、これはその集落の代表者の意識調査だったと思うんですけれども、大半が取組を行う必要があると思っている、それは六十何%かでしたけど、逆に三六%はそう思わないという人もいます。だから、三分の一の人はやはりまだそれに抵抗しているということ。これは、両方はやっぱり大きな、特にこの三六%はまだ大きな問題になっています。  ここでは、大臣が戻りましたので、ちょうど次の質問大臣にお願いしたいと思いますけれども、今私たちの手元にあるこの大綱の中には、一つ非常に私も、すばらしい文章があります。これも実現できればある意味では画期的な方向転換であります。  その大綱の中にはこういう文章が書いてあります。「我が国農業生産全体の在り方を環境保全を重視したものに転換していくことが求められている。」という言葉がありますね。これは本当にそのとおりだと思います。これもどの程度実現できるかということはこれからの問題でしょうけれども、ただし、ここで私は大臣にお聞きしたいことは、この裏にあることですね。転換というのは、今までそうでなかったということを表していると思いますね。つまり、今までの例えば慣行農業はある意味では環境保全を重視した農業ではなかったはずですね。だから、どのような意味において環境保全型農業でなかったか、あるいはどのような負荷を環境に与えていたか、与えているかということについて中川大臣の見解をお願いしたいと思います。
  78. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 農業においてもいわゆる多面的機能の一つとして環境への貢献ということが非常に大事だろうと、ツルネン委員も大変この問題には熱心に取り組んでいらっしゃいますけれども、我々としても今後ますます取組を強化していきたいというふうに考えております。  元々、生き物、水、土、あるいは空気といったものを大切にしながらやっていくのが農業でございますから、環境との共生というものも極めて大事だと思います。具体的な例といたしましては化学肥料から堆肥へ転換をしていくと、これによって、単に農作物が強く育っていくだけではなくて、土づくりという観点からも非常に貢献が期待されるわけでございます。また、水についてもきちっと管理をしていくと。  まあお隣の中国は、水はない、また非常に化学肥料を一杯使って土や水が汚れていると、しかもそれが中国の国内だけではなくて日本にまでその影響を及ぼすという大変迷惑を被っているわけでございますけれども、日本としては環境保全型の農業が今後ますます世界の優等生として誇れるように頑張っていかなければならないというふうに思っておりますので、引き続き御指導のほどをよろしくお願いいたします。
  79. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 これはもちろん、大臣だけではなくて一般の国民の中にもこういう転換を期待している人が多くあるし、そして今の慣行農業はやっぱり環境に対しては負荷を与えているということは大体もうだんだん分かってきたということ。答弁の中には中国の場合はちょっと触れられましたけれども、化学肥料に対して私ははっきり知りませんけれども、農薬に関しては日本は一ヘクタール当たり農薬は世界一多いです。  だから、これはもう、中国からも、まあデータはいろんなあるでしょうけれども、これはだから、私たちはやはりここでその転換がいかに必要かということは世界的に見ていても必要だと思っています。さらに、これは国民の中にも、これも次のアンケートですけれども、そういう意識が高まっているということは明らかになっています。  これは農林水産省のアンケートで、その名前は農産物の生産における環境保全に関する意識・意向調査、これはどういうものであるか、私もそれ手元にありますけれども、そのポイントだけを簡潔に説明して、どのような結果になっているかと報告していただきたいと思います。
  80. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 農産物の生産における環境保全に関する意識・意向調査結果についてでございますけれども、この調査は、農業者、流通加工業者及び消費者が農産物の生産活動における環境保全についてどのような意識、意向を有しているかということを把握するために農林水産省が昨年の九月中旬から十月上旬にかけて行った調査でございます。  この調査におきましては、環境保全型農業について、農業者、流通加工業者及び消費者のほぼ全員が重要であると意識していること、環境に配慮した農産物について消費者の六割が購入したいと思う、四割がどちらかといえば購入したいと、そういった意向を有していること、農業環境規範の点検シートを活用した生産について農業者の八割が取り組みたいとの意向を有していることなど、消費者農業者などが環境に対して高い関心を有していることが示されていると思います。  一方で、環境に配慮した農産物の生産を行うに当たって、農業者の六割が労力が掛かることが問題と意識しているなど、今後更に環境保全型農業を進めていく上での課題も明らかになったと考えているところでございます。
  81. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 確かに今報告したとおりであります。  その中に幾つか、数字が出なかったけれども、方向は同じですけれども、この消費者の中の九割が環境保全型農業を重要と認識しているということと、そして今も言われたように、農業者では八割が環境保全型農業に取り組みたい、しかしいろんな問題がまだあるということ。  で、そこで更に次の質問のためにもう一回、答弁にもありましたけれども、この環境に配慮をした農産物を消費者が購入したいと思う人が六割があります。そして、その購入したい理由には「安全で健康にもよいと思うから」九四%があります。だから、ほとんど皆さんが、安全で健康にも良いということのためには環境に配慮をした農産物を食べたいし買いたい。  しかし、私は、この調査の中では、この環境に配慮をした農産物の定義ははっきり出てませんね。恐らく大体イメージとしてはだれでも分かるでしょうけれども、具体的にはこの調査の中で環境に配慮をした農産物というのは何を意味しているか、これについてもちょっと答弁お願いします。
  82. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 環境に配慮した農産物とはこの調査で何を意味しているかということでございますけれども、この農業者を対象とした調査におきましては、環境に配慮した農業生産への農業者の取組の意向を調べているということでございますので、環境に配慮した農産物ということについては特に定義をしておりません、農業者に対する調査については。  一方、流通加工業者及び消費者に対する調査におきましては、エコファーマーマークの付いた農産物や有機JAS制度に基づく有機農産物、特別栽培農産物などを環境に配慮した農産物というふうに定義して調査をしているところでございます。
  83. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 恐らく消費者の中でもイメージとしてはそういう内容になってるんじゃないかなと私も思っています。  ここでは中川大臣に対して、このアンケート、つまり農産物の生産における環境保全に関する意識・意向調査のこの結果、今報告がありましたから、このアンケートの結果をどう見ていますか。それについて一言コメントをお願いします。
  84. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) やはり、環境に配慮した農業というのは手間が掛かる、まあこれは事実としてしようがないわけですけれども、しかし農業が環境にも大きく貢献していかなければいけないということも意識をして、その辺を農業者の皆さんがうまく両方をバランスを取って、環境に優しい例えば有機農法の農産物は、これはそれはそれで一つのセールスポイントになるわけですから、多少高くても、コストが掛かった分高くなってもやはり消費者はそちらの方を好むというような形で、お互いにプラスになるんだと、生産者消費者もお互いにプラスになるんだという観点から、私としては、やっぱり国民もそれから生産者も、農業と環境というものを十分配慮をしているというふうに理解をしております。
  85. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 私たち、もちろん政府も私たち議員たちにもこれは一つの大きな、まあ何というか、宿題にもなっていると思いますね。有権者のあるいは消費者の九四%はそのような農産物を食べたい、安全である、そして健康に良いということ、いかに私たちはそういうのをもっと消費者に提供することができるかということはやっぱり私たちが与えられた大きな課題であります。  日本ではよく知られていることですけれども、国民病、病気ですね、国民病とも言われているアトピー性皮膚炎や化学物質過敏症に悩む人々は日本では三割近くいるということは明らかになっています。そして、この人々は、その自分の病状が悪化させないため環境や食品は限られています。いろんな報告がありますけれども、例えば、そういうアトピーに苦しんでいる人たちの中では、例えば有機栽培の農産物に切り替えることによってアトピーが治ったという報告もたくさんあります。あるいは、これは有機農産物じゃなくてもエコファーマーが生産したものでもいいんですけれども、だからこういうのはやはり私たちは真剣に考えなければならないんですね。  このアトピーだけではなくて、環境ホルモンの問題も、これも私はいつか質問には、もっと詳しく質問したいと思いますけれども、今知られている環境ホルモンの七十種類ぐらいあると言われていますね、いろんなデータがありますけれども。その六、七割はやはり農薬から出ているという疑いがあるんですね。だから、私たちは、こういう環境病が農薬から出るものだけではないんですね。シックハウスとかシックスクールとか、有害な化学物質は私たちの周りにたくさんありますね。幾ら私たちは食べ物に気を付けていても、それでもこの環境病は大きな問題になっていますけれども、やはり私たちはこの農産物の生産のときもそれにもっと気を付けなければなりません。  まあ幸いにして、この新しい対策の中でも、もう一つ方向ではもっと環境に優しい農業転換しようという動きはあります。これは、品目横断的経営安定対策の要件の一つには、国が定める環境規範を遵守するものであることというのがありますね、要件の一つに。この農業環境規範はどのようなものか、まずそれをちょっと大まかに内容を説明していただきたい。
  86. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 農業環境規範でございますけれども、これは農業者が環境保全に向けて最低限取り組むべき項目といいますか、そういうものを整理したものでございまして、昨年三月に策定、公表したところでございます。  具体的にどういうものかということでございますけれども、これは、まず第一には、堆肥等の有機物の施用による土づくりの励行、あと、都道府県の施肥基準や土壌診断などに即した効果的、効率的な施肥、さらには、発生予察情報などを活用した効果的、効率的な防除といったこと、七項目を挙げておりますけれども、農業者が環境保全に向けて取り組むべき重要かつ基本的な取組ということを整理したものでございます。
  87. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 それに関連してついでに、それを農業者はどのような形でチェックすることができるか、それについてもちょっと説明してくれますか。その中にありますか。
  88. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) この環境規範を守るかどうかということにつきまして、私どもとしては、環境と調和のとれた農業生産活動規範点検シートというものを作りまして、これを農業者の方々にお配りして、その中で農家の方々に点検していただくと、そういったシートを示しているところでございます。点検シートを示しております。
  89. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 私もこれを手元に持っていますし、これを読んでいますけれども、その中身を読んでみると、私はないよりはいいと思いますけれども、これでは不十分と思っていますね。だから、どっちかというと、もうだれでも、慣行農業者でも当たり前のように守らなければならないという決まり切ったことが非常に多いですね。そして、これはもちろん法律には裏付けるものでもなくて、通達にしかすぎないんですね。だから、本当に守られているかどうかも自己チェックになっていますから、もうちょっと。ただし、もちろんこれは一つのステップでありますから、私もそういう意味では評価できますけれども、あるいは現場の中でもこれに対する評価はいろんな、まちまちですね。だから、もうちょっと、やるなら、環境に優しい農業に変わるためにはこれを見直す必要もあるんじゃないかと私は見ています。  そこで、次には、これももちろんこれから、十九年度からスタートするのは、農地・水・環境保全向上対策のうち、その中には営農活動への支援対象となる先進的な取組というのがありますね。この先進的な取組とはどのような取組か、まずそれを簡単に説明していただきたい。  で、その中で、私ははっきり、読んでいても余り分からないことの一つがありますね。例えば、有機栽培をやっている人の中では、自分の農地の一部を有機農栽培でやっている、しかし大半の、やはりまだ慣行栽培でやっていますね。だから、こういう農業者の場合でも、この慣行栽培も含めて、集落の中でも先進的な取組とみなすことができるのか、単純な質問ですけど、ちょっとお願いします。
  90. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 農地・水・環境保全向上対策についてのお尋ねでございますけれども、この対策支援をする先進的な取組というものでございますけれども、地域で相当程度のまとまりを持って、持続性の高い農業生産方式の導入によりまして化学肥料、化学合成農薬を原則として五割以上低減する取組というふうにしております。  また、支援はどうだというお尋ねでございますけれども、この支援は化学肥料、化学合成農薬を五割以上低減する取組の実施面積に対して行うと、実施面積に応じて行うこととしております。で、御質問のあったような場合は、有機栽培を実施しているその有機栽培の面積に対して支援をするということになります。
  91. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 私もまあそうだろうと、念のために確かめただけですけれども。  その同じようなところでは、この先進的な取組に対するいろんな要件というか、ステップがあります。その中の一つのステップというのは、エコファーマーの認定を受けることという要件が、条件があります。しかし、もし考えていれば、有機JAS認定を既に受けている農家の方がもっと厳しく環境に優しい栽培をやっているはずですね、化学肥料も全く使わないんですね。だから、そのエコファーマーの認定を受ける必要が有機JAS認定を受けた人にも必要かどうかということについて答弁をお願いします。
  92. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) この先進的な営農活動への支援ということにつきましては、単に粗放的な栽培によりまして化学肥料なり化学合成農薬の使用を低減するのではなくて、適切な代替技術の導入によりまして生産性との調和に配慮した生産を推進するという観点から、いわゆるエコファーマーであるということを要件としております。  このエコファーマーというのは、これはもう御案内のとおりでございますけれども、持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律に基づき、土づくりと化学肥料、化学合成農薬の低減技術を組み合わして行う生産方式に取り組む農業者ということが都道府県知事によって認定されるのがエコファーマーでございます。  このため、有機JAS認定を受けている農業者の方々についても、土づくりと化学肥料、化学合成農薬の使用を低減する計画を作成し、それを実施されていると見られますので、このエコファーマーの認定は取れるというふうに考えております。  そういった面で、この対策の中では、エコファーマーを私どもとしては広く育てたいということでございますので、この対象としてはエコファーマーということにしているところでございます。是非お取りいただきたいと考えているところでございます。
  93. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 確認ですけれども、私が聞きましたのは、有機JAS認定の人も改めてそれでエコファーマーのその認定を受ける必要があるんですね。
  94. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 是非エコファーマーの認定を受けていただきたいと考えております。
  95. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 これは後で私は幾つかの質問の中で、これを解決する方法があるはずですから、それに後で触れたいと思いますけれども、それに入る前に、一つのことでは、現場の中では環境支払という言葉がよく使われていますね。私たち民主党も使っています。あるいは外国でもそれに似ているようなもの、滋賀県でも、これは県のレベルでも環境支払という言葉ですね、これは使われていますね。  私は、例えば環境に優しい農業支援といういろんなパンフレットとか資料を読んでいても、政府の方では、農林水産省の方ではこういう言葉が使われてないんですね。つまり、環境に優しい農業への支援をするこの農地・水・環境保全向上対策のうちには、営農活動への支援はこれはいわゆる環境支払なのか。あるいは、この言葉をどうして農林水産省の方が使ってないということについて、助成金という言葉は使っていますね、環境に優しい農業への支援のための助成金ですね。環境支払は同じですか。どうして使ってない。
  96. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 十九年度から実施することとしております農地・水・環境保全対策における営農活動への支援は、地域でまとまった取組を支援することによりまして地域の環境保全を効果的に進めるとともに、こうした取組を生かした農産物のブランド化などを通じて地域農業の振興にも資するものということで、地域振興対策として位置付けて実施しようとするものでございます。  そういったことで、具体的な支援につきましては、先進的な取組に必要な技術の導入に係るコスト増といった掛かり増し経費に着目して活動組織、これを対象として交付するということでございます。  環境支払という言葉をなぜ使わないかということでございますけれども、環境支払という定義は、これがなかなか定かでないということがございます。私どもとしては、環境保全型農業を、繰り返しになりますけれども、地域ぐるみで取り組むと、そういうことに対して支払うという意味で言葉として環境支払という言葉は使っていないということでございます。
  97. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 はい、分かりました。  次には、このエコファーマーの活動の背景には、御存じのように持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律がありますね。これは今度のこの先進的な取組とも一致していると私は思いますけれども、取りあえずその整合性、この法律と今新しく来年からやろうとする先進的な取組との整合性はどのようになっていますか。
  98. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律においては、先ほども申し上げましたけれども、土づくりと化学肥料、化学合成農薬の使用の低減技術を組み合わせて行う生産方式に取り組む農業者、これをエコファーマーとして認定して、このエコファーマーに対して金融、税制上の特例措置を講じると、特例措置を受けることができるというふうな内容になっているところでございます。  今回、十九年度から導入しようとしております農地・水・環境保全向上対策のうちの営農活動への支援におきましては、こうしたエコファーマーがまとまりを持って化学肥料、化学合成農薬を原則五割以上低減する、ある面においては更にチャレンジアップということになるかもしれませんけれども、そういった場合に支援を行うということでございまして、そういった面でこの支援というものが、新しい支援というものが、持続農業法に基づくエコファーマーの環境保全に向けて取組の更なる拡大というものにつながるものだというふうに考えているところでございます。
  99. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 この次のこれと関連する、非常に深く関連している質問ですけれども、少しその背景を説明した後は中川大臣質問したいと思います。  今までの話の中で分かるように、この先進的な取組の中でも、あくまでも今法律に基づいているこのエコファーマーの認定が必要になっているということですね。その中では、仮に有機JAS認定を受けていても改めてエコファーマーの認定を受ける必要があるということ。まあ、これはなぜそうなっているか私にも分かります。つまり、エコファーマーと同じように、有機農業には今はそれを有機JAS認定以外には法律はないんですから、だからここでは法律に基づいてエコファーマーという言葉を使っていますね。  しかし、皆様もよく知っているように、私たちは超党派で今、有機農業推進議員連盟をつくっています。それには百五十三人の議員が入っています。その半分以上は与党から入っています。私たちはその中では、できれば今国会には有機農業推進法案提出したい、それを今準備しているということがありますね。仮にこの法案が成立すれば、成立した場合は、まあ私はそうなると期待していますね、もちろん。そうすると、今度は、これはさっきの先進的な取組のところはある程度、つまり有機農業も今度法律で裏付けることになりますから、先進的な取組の中ではエコファーマー認定を受けなくても認められるようになるんじゃないかなという、言い換えれば、有機農業推進法成立した場合ですね。  あるいは、先進的な取組の整合性について大臣質問します。私はこれに似ているような質問を本会議のときもしましたけれども、ここではこの先進的な取組に関連して答弁をお願いします、中川大臣の方から。
  100. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 有機農業推進法と先進的な取組という御質問でございますけれども、ツルネン委員大変熱心に取り組んでいらっしゃいますけれども、現時点ではまだ法案がどの程度でき上がっているか、詳細承知をしておりません。まあ御趣旨は何となく予測できるわけでございますけれども、法案の中身が、承知した段階で検討をさしていただきたいと思います。  なお、農地・水・環境保全対策では、先ほども答弁、事務方からありましたとおり、化学肥料、化学農薬を原則として五割以上、地域で相当程度のまとまりを持って低減した場合に先進的な取組として支援を行うということを既に決めているところでございます。
  101. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 もちろん、私たちもこの整合性を議連の中でも意見交換を行っていまして、私たちの考えではこれは矛盾してないということ、でも、もちろん今は、大臣が言ったように、これはまだ提出してない法律ですから、その中で一言で言えば、私たちは一つの、是非その法律が成立したときは先進して促進してほしいというのは、あくまでも有機栽培の技術開発とその成果の普及というのは非常に必要ですね。エコファーマーの国ではこれはありますけれども、これは日本では非常に後れているし、そのためには、有機栽培をやろうとしていても余り技術は知らないし、やったことないし、だからそういう抵抗がありますから、その技術を開発することできれば、それでその成果を広く普及することできれば、もっと多くの人はそれに取り組むことになると私は思っています。  これは今回はこのくらいに、この法案のことはこのくらいにしておきます。法案提出を楽しみにしてください。  次には、大臣所信の中では非常に興味深いことが一つ、いろんなのありますけど、一つ書いてあります。それは、都市と農山漁村の共生・対流に向けた運動に取り組むということが書いてあります。具体的にはこの運動をどういうふうに進めていくか、答弁をお願いします。
  102. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) 都市と農山漁村の共生・対流は、農山漁村地域の活性化のみならず、都市住民の農林水産業、農山漁村に関します理解を深めるとともに、健康的でゆとりのある生活に資するものであり、都市住民、そして農山漁村の双方にとって大きな意義があると考えております。  このため、政府では、私もメンバーに入っておりますが、内閣官房副長官及び関係七省の副大臣から成ります都市と農山漁村の共生・対流に関するプロジェクトチーム、以下PTと申しますが、それを設置しております。関係省が連携しながらそのような形で取組を進めてきたところでございます。  また、民間におきましても、国民的な運動に盛り上げていくための推進組織として、「オーライ!ニッポン会議」、都市と農山漁村の往来、行き来であります、の活発化により日本が健全、オールライトということになることを表現したものと伺っておりますが、そのような会議が設立をされております。共生・対流の取組が全国的に広がっていくよう、各地の優良事例の表彰とかその紹介を行うなどして、普及推進の取組がなされているところでもございます。  農林水産省といたしましても、各地域の特色ある組織を支援していくという観点から、交流拠点の整備や国民に情報を発信していくことに努めるなど、関係省や「オーライ!ニッポン会議」と連携しながら共生・対流の推進を図っていく所存でございます。
  103. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 今の報告を聞きますと、まだどっちかというと始まったばかりですね。会議の段階とか、どういう具体的なことになるか、まだはっきり分かっていない、あるいはまだない。しかし、これは方向としては非常に歓迎すべきことであります。そして、例えば日本農業新聞なんかのいろんな記事を読みますと、地方自治体の方で各地域ではいろんな取組が既に始まっています。  で、私は個人としては、ちょっと機会がありまして、愛知県の知多半島には南知多町というのがありますね。人口二万ほどの町ですね。そこでは町ぐるみで環境浄化とふるさと創生をいろんな形で行っていますけれども、ほかのところもそうですけれども、その中で、私には最も興味深い一つの計画というのは、彼らはそれを二地域居住制度と言っています。具体的には、町内の空き家を別荘の代わりに都市住民に提供して、一つの条件としては、その近くにある遊休農地も提供をして一つのセットで、そこで自分たちの夏休みとか週末とか、休暇のときではそこで都市住民が長期滞在をしてそこで農業をやっているということで、もちろんこれはいろんな意味ではメリットがありますね。その遊休農地を利用することもできます。あるいは都会に住んでいる人たちは田舎で過ごすことができます。だから、これも一つの、恐らくいろんなところにありますね。  私の母国フィンランドでは、これはある意味では自然な形でもっと進められているんですね。フィンランドでは、例えばヘルシンキは、日本考えればそんなに大きい、五十万人の人口の町ですけれども、そこの多くの人が、七割ぐらいの人が別荘を持っています。しかし、その別荘というのは立派な、日本でいえば軽井沢にあるような別荘ではなくて、自分たちの田舎の実家は空き家になって、それをセカンドハウスに使って、それを別荘の代わりに利用しているということ。もちろん、いわゆる別荘もありますけれども、かなり多くの人はそういう形で、そしてフィンランドでは夏休みは一か月あるいは一か月以上ありますから、そこで夏休みを過ごしながら農業や林業もやっています。私は、こういうのは日本でもセットでも考えることできるんじゃないかなと思っています。  このことについては、中川大臣意見をちょっと聞きたいですね。つまり、都市住民に空き家と遊休農地をセットで提供して、そのことによっては地域にとってのメリットとか、都市住民にとってのメリットも大きいですから、フィンランドのようにはなりませんけれども、いろんなこういう方法がありますから、それを日本でも積極的に導入すべきと私は考えていますけど、大臣の見解をお願いします。
  104. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 二つの地域、特に都市と農村で住みたいという人は非常に増えてきておりますし、これからいわゆる団塊の世代がリタイアしていけばますますそういう動きも強まっていくんだろうと思います。  フィンランドは大変盛んであるということは私も承知をして、うらやましいなというふうに思っておりますが、まあ私自身、選挙区が田園地帯、農村地帯でございますから、是非多くの人たちに大都会と、私のところを始め農村地帯等で暮らしていただき、家族そろって自然に親しむ本物の体験をするということは、子供の育成あるいはまた、何といいますか、精神的な安らぎといった面からもいいんだろうと思います。  そういう意味で、この空き家、あるいはまた遊休農地をいかに希望どおりのものが提供できるか、その辺のミスマッチみたいなものも一つの障害になりかねませんので、そういう意味で、農林水産省としても、そういう形でのセカンドハウスを是非農山漁村でということについては積極的に支援をさせていただきたいというふうに考えております。
  105. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 ありがとうございます。  所信表明の中でも、都市住民と田舎の人たちの交流に取り組みたいということがありますから、こういういろんなアイデアをそれぞれの地域と協力しながら是非進めていただきたいと思います。  次に、私は一つ、皆様の中ではひょっとしたらあんまりまだ言葉も聞いてない新しい、特に稲作の技術の方法が世界で今非常に注目を浴びています。私の調べでは、もう十五か国ぐらいではかなり成果を上げています。その名前は、英語で言えば、英語の頭文字ではSRIという方法です。そのSRIというのは、システム・オブ・ライス・インテンシフィケーション、日本語では集約稲作法と言っています。  で、これは、私の方からかなり専門的な言葉が書いてありますから詳しく説明するよりも、これをまず農林水産省の方から、これはどういうものであるか少し説明していただきたい。で、その可能性を日本では今どの程度農林水産省が把握しているか、あるいは調査とか研究を行っているかということについて質問したいんですね。一つのもう驚く信じられないほどの結果というのは、この稲作法を使いますと、この米収量は一ヘクタール当たりは十二トンまでできます。これは米二百俵というか、今までは大体その半分ぐらいは、うまくても半分ぐらい、その倍、あるいは場合によっては十五トンまでできるという方法であります。これはいろんな、特に発展途上国では注目を浴びていますし、国を挙げても取り組んでますから、少し時間ありますから、まずこのSRIはどういう、集約稲作法はどういうものか、そして日本農林水産省は、これはどの程度今進んでいるか、これについて答弁してください。
  106. 染英昭

    政府参考人(染英昭君) ただいま委員からお話ありましたSRIでございますが、委員おっしゃったように、正直申し上げまして、日本では余りまだまだ知られておらない技術体系でございます。日本語で訳しますと、稲集約栽培法というような名前ではないかと思います。  この技術の特徴は、いわゆる化学肥料には依存しない、基本的に堆肥などで土壌養分を維持する。要は、肥料はやらなくても堆肥で、化学肥料はやらずに堆肥で土壌養分を維持するということ。それと、二つ目の特徴は苗を疎植します。これは密植の反対でまばらに植えるということでありまして、その上で手取り又は機械除草を頻繁に行うことを特徴としております。言わば、そういう意味では低投入で労働集約的な稲の栽培体系であります。  それで、収量が飛躍的に向上するというような研究報告もございます。ただ、しかし一方で、在来の農法と統計的な差は認められなかったとする報告もありまして、いわゆる研究者の間で議論が分かれているという状況でございます。  そのようなものでございますので、我が国の稲作に当てはめて考えるとどういうふうな位置付けなのかというふうになるわけでありますが、我が国の稲作の現状から考えますと、このSRIの特徴であります、極めて労働集約的な、要は多くの労働力をつぎ込むような、それによって収量を向上させるような技術体系についてはなかなかニーズはないんではないかというふうに我々推測しております。  ただ一方で、本技術が低投入という技術でありますので、その方向性については、我が国のいわゆる環境保全型農業の取組の方向性と一致するものでもありますので、その一環として見ることもできるんではないかというふうに思います。そういう意味で、我が国での研究は、環境保全型農業、幅広く環境保全型農業の一環としてSRIの取り入れている技術の一部をやっているというふうに理解できるんではないかと思います。  そういう意味では、具体的には、資材の低投入化などの環境関連の研究については、独立行政法人を始めといたしました国内の農業研究機関でも重要な研究領域の一つとなっております。作物の病害虫防除に利用できる有用な天敵昆虫や微生物、あるいは作物と共生し養分の吸収を高める微生物、これらを化学資材を節減する栽培技術の開発としてやっておるところでございます。
  107. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 今の報告にもありましたように、日本では意見がまだ分かれています。しかし、やはり世界ではこれは必ず画期的な米栽培としては入ってくる、広がるということがありますから、日本もそれに後れを取らないように、もっとその研究を重ねる必要があるかと思います。  ちなみに、私は何人かの国会議員と、私たちの議連も取り組んでいますけれども、と有機栽培関係者とゴールデンウイークにはキューバに行くことになっています、視察に。キューバは、御存じのように、二〇%、世界でトップで、有機農業は全体の農産物の二〇%までなっていますね。そこでは、米作りにはこの方法が非常に成果を上げています。それで、そこでも同じように十二トンくらいまではできている、そういう農家も私たちは見たいと思っています。そして、私たちと一緒日本の稲作の専門家も一緒に行きますから、その結果は私も是非どういうことになるかと思います。  で、私は最後の質問ですけれども、日本ではこれも新しい技術で、これも母国フィンランドでは非常に広がっているというのは、いわゆる不耕起栽培、耕さないで、全く農地を耕さないで栽培を行っているということ。五年、六年ぐらい前からフィンランドでも、これは私も新聞記事くらいしか読んでいませんけれども、非常にいい方法の一つであります。  これについては日本ではどのくらい農林水産省あるいは国の方では進めているか、あるいはその広めていることの考え方については、最後に答弁願いたいと思います。
  108. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 不耕起栽培技術についてのお尋ねでございます。  この不耕起栽培技術は、稲とか大豆といった土地利用型の作物の省力化とか低コスト化であるとか、さらには省エネルギーに資する、そういった技術でございまして、今後、担い手の規模拡大、あるいは環境に配慮した農業を推進する上で重要な技術であるというふうに認識をしております。  ただ、この技術は、委員お話にあったように、耕さないということでございますので、土壌の固さとか土の質ですね、性質によりまして播種精度がばらつくということ、要はまいた種が一斉に芽が出るかどうかといった、そういう播種精度のばらつき、あるいは地温が上がらないということで出芽苗立ちが遅れるといったような課題も有していることもまた一方で事実でございます。  そういった面もございまして、新しい技術でございますので、不耕起栽培の実施面積というのは現時点では小面積にとどまっているというのが実態でございます。  私ども農林水産省におきましては、研究機関、独立行政法人の農業・生物系特定産業研究機構の協力を得まして、土壌条件などに左右されずに高精度に播種作業を行うことができる不耕起の播種機の開発などを進めるとともに、これら不耕起播種機を利用した現地実証試験などに取り組んでいるところでございます。  地域によっては非常にうまくいっているところも既に出始めているわけでございますけれども、私どもとしては今後とも不耕起栽培技術の開発普及に積極的に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
  109. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 この報告の中でもありましたように、あるいはさっきのSRIのような新たな技術の開発と成果の普及、先進的取組への国の支援が不可欠であります。食料自給率や国際競争力を高めることにもなります。中川大臣の「Do! our BEST」、そのベストの意味はちょっと、私は全く英語のそのままではレッツ・ドゥ・アワー・ベストというふうに取りたいと思いますけれども、その姿勢が本当に実を結ぶものになるように、農林水産省を始め政府全体も、我々国会議員も党派を超えて取り組まなければなりません。  何分か私の時間が残りましたけれども、同僚の議員にそれを譲りますから。ありがとうございました。
  110. 郡司彰

    ○郡司彰君 民主党・新緑風会の郡司彰でございます。  今日は、中川大臣に所信を伺いましたので、それに対して質問をさせていただきたいなというふうに思っております。  私、八年前に国会に参りましたときの農水大臣中川大臣でございまして、数えてみましたら、また十人目で農水大臣にお返りになったということでございます。この間、私自身も、また私の党もでございますけれども、顧みて、反省すべきを反省をし、謝罪すべきは謝罪をして新しく取り組むと、その辺が肝心なところだということにようやく立ち至りましたので、今日は、これまでのところ、振り返らなければいけないところを振り返ると、そのような視点で質問をさせていただきたいなというふうに思っております。  まず、三ページ、四ページにWTOそれからEPA交渉について記載がされてございますけれども、私、ちょうど一年間ほど農水委員会を離れておりました。それまでは、おおよそWTO、それからFTAというような言い方が多かったわけでありますけれども、戻ってまいりますと、EPAというような言い方の方が主流になっておりまして、そこのところは、FTAというのはどうも市場原理一辺倒な感じが受ける。経済連携協定、EPAになりまして、交易を通じて相手方の国力も向上さしていこう、そういう関係をつくっていこう、そんなふうに理解をしているところでありますけれども、二〇〇四年の十一月に、ここの中にも記載がありますけれども、みどりのアジアEPA推進戦略というものができ上がっているかと思いますけれども、概略どのような内容か、お知らせいただければと思います。
  111. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私も最初のころはFTA、FTAと呼んでおりましたが、これはフリートレードでしたけれども、より広い概念で、エコノミック・パートナーシップということで、サービスとか人材育成だとか技術だとか、そういうところも含めてEPAと最近は政府としても言っているところでございます。  みどりのアジアEPA戦略というのは、やはりこれはヨーロッパでも、あるいは南北アメリカでも、あるいはアフリカでも、あるいは中近東のGCCでも、やっぱり近隣諸国、また特に自由な経済体制で法制度がしっかりしている国と連携を取っていくということは、特に隣だからこそメリットがより大きいんだと。  例えば、ASEAN十か国、約五億数千万の人々がおられますし、大変に発展をしております。そういう意味で、シンガポールに続きましてマレーシアも合意ができたと。あと残りの国と今交渉をいろんな段階でやっているところでございますけれども、共通点が非常に多いと。そしてまた補完する部分も非常に多いということで、特にタイの場合には、タイは世界の台所を目指すんだとか、あるいはアジアのデトロイトを目指すんだという大変壮大な目標を持って、それに対してウイン・ウインでタイとEPAを結んで、より両国がいろんな面で向上していこうということで、日本の場合の最重要のEPA対象地域はASEANを中心とした東アジアであると。もちろん、南米とかスイスとかほかの国も大事でありますけれども、やはり近いところの自由な活力がある経済地域EPAを結ぶということが当面の最重要課題であるということで、アジアのEPA戦略ということで今交渉に携わっているところでございます。
  112. 郡司彰

    ○郡司彰君 この所信表明をめくってまいりますと、括弧書きのところがございまして、例えば三ページ、四ページの関係で言いますと、「多様な農業共存」、それから、「守るところは守り、譲るところは譲る、攻めるところは攻める」、これは今お話しいただいた戦略の中で使われているのをこちらにも使ったと、そういうふうなことで理解をしてよろしいんだろうというふうに思います。  それで、EPA関係で言うと、農業に関するもので言うと、メキシコの方が具体的に二〇〇五年の四月からまもなく一年が経過をしようとするところで、どのような影響といいましてもまだ一年たっておりませんから、それほどのことはないのかもしれません。最初に動き出す前の取決めで、千二百品目については関税を撤廃をする、五品目については削減あるいは別枠を作ると、こういうような形になったわけでありますけれども、この関係を一般的に世の中ではどういうふうにとらえるのかというふうなことで、時事の事典等がたくさん出されておりますから、そこで見させていただきました。そうしますと、日本はメキシコに鉱工業製品の市場開放を求める反面、農産物や皮革、履物の関税撤廃を求められ、約千二百の品目関税を撤廃をし、というふうに書いてありますけれども、大枠、このEPA、鉱工業製品を開放してもらって農産物の方は関税を撤廃する、しかしそれだけではいけないのでありますから、守るべきところは守り、攻めるところは攻める。しかし、大宗は今のような感覚でよろしいのか。  たまたま大臣は前任と今の任と両方の関係もありますので、お聞かせをいただきたいと思います。
  113. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 郡司委員には前任のときも大変鋭い御質問をいただきましたけれども、メキシコとやろうということを決めたのは幾つかの理由があります。  一つは、メキシコが当時で三十五、六のFTA、EPAを既に結んでいるFTA大国、まあ、メキシコの人に言わせると、南北あるいは東西の十字路に我がメキシコはあるんだということでございます。あと、ちょっとこれは歴史を振り返ってみますと、一八八八年に不平等条約に悩まされていた日本が初めて平等条約を結んだ相手がメキシコだということもございました。また、地震が非常に多い両国でありますから、関東大震災のときに真っ先に支援をしてくれたのもメキシコだとか、もっと古くは支倉常長がヨーロッパへ行くときにメキシコを通って大歓待を受けたとか、そういう歴史的な、こういうのは二の次としても、お互いにウイン・ウインの関係になっていくだろうということでございます。  前任の方で言いますと、自動車産業が、一時期はあそこはマキラドーラという制度があったわけでありまして、私が何年か前、最初にメキシコへ行ったときはもう日本の車だらけだろうと思っていたところが、FTAでもってアメリカの車、ヨーロッパの車がばっこしておりまして、日本の車といえばかなり古い車、マキラドーラ時代の車だという大変ショックを受けたわけでございまして、これはメキシコとは早くやらなければいけないということで交渉になったわけであります。  他方、メキシコの方は牛肉とか豚肉とか農産物が大変な関心がございました。先ほどから、譲るべきところは譲るということを申し上げておりますが、メキシコの関心品目の中にはカボチャとアスパラガスがあったんでございますけれども、カボチャとアスパラガスといえば私のところの重要品目でございましたけれども、これは地元の皆さんに御理解をいただいて、これについては特例扱いはしませんということで、譲るところは譲ったわけでございます。しかし、例えば米であるとか、あるいはまた肉類であるとか、そこは譲れませんねというところでやったわけでございますが、スタートいたしましてから自動車メーカーもどんどん進出をすると、輸出も増える、あるいはまた農産物につきましても、四月から十二月までの数字でありますけれども、メキシコから一〇%前年比で増えているわけでございますし、また、向こうの関心品目であったメロンは逆に何か減少してしまったと。やはり、そこは日本消費者に合ったものでなければならないということの証左だろうというふうに思っております。  まあ、農業ばっかりが守りで工業ばっかりが攻めだという単純なものでもないと思いますので、農産物の輸出という攻めの面から、メキシコも、メキシコ料理もおいしいですけれども、日本料理をどんどんメキシコに売りたいというような意欲もございますので、それぞれの分野で攻めと守りがあって、トータルとして日本と、世界第二位の経済規模の日本とそれから第十位のメキシコがウイン・ウインの関係でスタートができたということは大変私にとっても有り難いことだというふうに認識をしております。
  114. 郡司彰

    ○郡司彰君 少し具体的にお聞きをしたいと思いますが、メキシコとの関係で、結果はまだ出ておりません、しかし結んだときには、農産物の額でいいますと何%ぐらいが関税が撤廃され、あるいは削減をされ、別枠になりましたでしょうか。もし分かれば教えてください。
  115. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) メキシコは、全品目で九六・五%が関税撤廃でございます。品目ベースでいきますと、タリフライン、九けたでありますけれども九〇・六%、農林水産物に限りますと、貿易額で四五・一%、九けたタリフラインで四八・六%が関税撤廃を、カバーの範囲でございます。
  116. 郡司彰

    ○郡司彰君 昨日、結んだときの数字でお分かりになればということでお願いをしておきました。  私、先ほど、この時事事典に日本とメキシコのEPAのことが書いてあると。基本は、鉱工業製品を開放して農産物は受け入れるというようなニュアンスで書いてあって、今の関係でいいますと、農産物の額でいうと九七%が該当していますということで記載があります。  今の大臣答弁を聞きますと、農産物で限ると四十何%だということで、これは完全に違っているというふうになりますから、誤解を招くような、そのような情報が流れている、この辺についてはもしかするときちんと、じゃ農水省、これはちょっと通告はしてございませんでしたが、それほど違うんであれば、そういうものをチェックをして正しておいた方がよろしいかなと思って、これは通告しておりませんけれども、もしお考えがございましたらば。
  117. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私も今、郡司委員に申し上げて後、タリフラインで四八・六というのは何か意外に少ないなと正直思っておりますけれども、このデータをもう一度確認をした上で、先ほどの事典等影響力の大きい書物等で、仮にあちらの方が間違っていればきちっと訂正をさせていただきたいと思います。
  118. 郡司彰

    ○郡司彰君 私は、実は数字を聞いたときに、大臣と同じように、そんなはずはないなと実は思っています。ですから、もし答弁が間違っていればそれは答弁の間違いで結構ですけれども、事実だとすれば、世間に流布されている数字が大変に誤解を招くと思いますんで訂正をお願いをしたいと思いますが。  いずれにしましても、このWTO関係では、大臣はこの前はロンドン、その前はパリの方にも行っていただいて、大変窮屈な時間の中で努力をされて奮闘をされておりますから頑張っていただきたいと思うんでありますけれども、そこのところで、譲許表その他で大変に努力をされている。しかし一方で、先ほど言ったように、額のベース、ちょっと数字、まだ分かりませんが、率でいうと九七%ぐらい関税が撤廃をされている。これは、WTOが決まるまでにそれぞれの地域EPAを結んでいくと、玄関はきちんとかぎを掛けているけれども、窓やそういうところからどんどん何か入ってきていると、そういう感じになって、時によってはもう二律背反をし、ダブルスタンダード的なことになってくるんではないか。  もしかすると、これは作為的にそういうことを行っているとは全然思いません。しかし、日々の新聞を見て、例えば農業関係する新聞を見ると、大臣が大変頑張ってくれている、しかし一方でEPAの方でどんどん入ってきていると。こういうふうなものが何かちぐはぐな感じで、逆に言うと一方だけの側面でとらえることが正しくないのかなという感じがしてしまっておりまして、その辺、このWTOEPA関係についてお聞かせをいただければと思います。
  119. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) いわゆるFTA、自由貿易協定というのは、ガット二十四条に位置付けられている、つまりWTO体制を補完するものでございます。このほかにも、RTAという地域貿易協定というような、プルリといいましょうか、複数国間の協定もあるわけでありますが、御指摘のように、WTOは世界全体百五十か国のルールを今正に苦しみながら作業を進めているという状況でありますし、他方、二国間も大変なスピードで進んでいるわけでございます。今はもう百七十を超えるEPAがどんどんできてきていると、ついに韓国とアメリカもFTAの交渉を始めているということで、大変なスピードでFTAが、あるいはEPAが進んでいるわけでございます。  我々としては、WTOEPAというものはこれは関連が非常にあるものですから、そこの戦略をきちっとやっていかなければならないと。この前の交渉でも、ロンドン交渉でも、ある国の代表が、余りWTO野心を高くするとEPAの効果がなくなっちゃうよななんてぼやいていたある国の閣僚もいるわけでありまして、そういうある意味ではEPAという二国間で、バイで特恵的に決められることと、このWTO交渉一体どういうふうに位置付けるのかということは各国ともどうも悩んでいるようでございます。  日本も、正直言って日本としてはやっぱり東南アジアやお隣の韓国やインドやいろんな国とやりたいんですけれども、他方WTOの方もきちっと守るところは守っていかなければいけないということで、アメリカなんかは、御承知のように、ウルグアイ・ラウンド交渉がデッドロックに乗り上げたときには一挙にNAFTAの方に九〇年代に走っていったわけですよね。そういう意味で、我々としてもマルチを見ながらバイを見ていく、あるいは個別にどの国がいいのかということをお互いに品定めをして、ウイン・ウインの関係、しかもこれは、さっきのメキシコのように、三十何番目でございますというと主な国は全部もうメキシコとFTAを結んじゃった後ですから、決してこれは不利が、まあ同じ位置に戻っただけであって決して有利になったという状況ではないということでありますんで、スピード感ということも極めて大事だろうというふうに考えております。
  120. 郡司彰

    ○郡司彰君 NAFTAの関係もこの前別なところで質問をさせていただきましたけれども、この北米自由貿易協定でメキシコとアメリカ関係でいくと、実はアメリカの方に失業者が相当出てきている結果になっております。移行調整プログラムというのができ上がっている。日本の場合にはそういうことは必要ないんだというようなことになっておりますから、今のところ結果を見てみないと分かりませんけれども、場合によっては、そのようなことをこれからEPA続けていく中では日本政府としても考えていかざるを得ないんではないかなという思いがあります。そういう意味で、今後ともEPAの行方について、WTOと重ね合わせまして私どもも注目をしていきたいなというふうに思っているところであります。    〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕  次の質問に入らせていただきたいと思いますけれども、七ページから、「消費者ニーズに適合した食料供給の推進について」ということで記載がございまして、先ほども議論がありましたけれども、「食料自給率の向上」ということの文言が出てまいります。四五%にしよう、二十二年までにというような当初の目標がございました。それは目標は変わらずに、もう少し長い目で見ようと、こういうふうにもなってきているわけでありますけれども、基本法が新たに作られたときに、要するに生産力を上げるというものと、それから消費を伸ばすというのと両方相まって自給率を上げていくんだと、こういうふうな議論だったと思いますけれども、その四五%に二十二年では到達をしない、その原因は、生産力の方が上がらなかった方なのか、それとも消費の方が伸びなかったことなのか、どのようなバランスで目標が先延ばしになっているのか、お答えいただければと思いますが。
  121. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 両方といえば両方なんでしょうけれども、一つには、やはりカロリーベースということでございますから、肉とか穀物とかいったものがどうしても中心になっていくと。世の中は健康志向ということで、ダイエットなのかはよく分かりませんけれども、これ、野菜が増えていけばいくほど、しかも輸入野菜が増えていけばいくほど、これはカロリー的にはほとんど貢献しないわけですね。ですから、じゃ、百三十キロ食べていた米をまた今の倍、百三十キロを一生懸命食べるかというのもなかなかちょっと言いにくいところがございまして、日本型食生活の中でバランスよく、できれば顔の見えるおいしい日本農業者が作った農産物を食べましょうと。地産地消とか、先ほどの共生とか、そういういろんな言葉がございますけれども、肉が増えれば増えるほど輸入のえさも当然増えるわけでございますし。  ですから、先進国が、もうほとんどの主な国が一〇〇%を超えているか一〇〇%近いという中で、この四〇というのは余りにも低過ぎると、これでは我々も食料政策の根底がもう心配でならないということで四五でございますけれども、最後はやっぱり生産者消費者においしいものを提供する、消費者日本生産者のおいしいものを食べるという関係の中でお互いに協力をしていただくということが自給率の向上につながっていくということで、かといって、食べろとか、これは食べるなとかも言えませんので、なかなか正直言ってジレンマがあるというのが正直なところでございます。    〔理事常田享詳君退席、委員長着席〕
  122. 郡司彰

    ○郡司彰君 私、冒頭申し上げましたように、やっぱりどこが悪いのかというのをはっきりした方が対処がしやすいのかなというふうに思っているんです。  それで、消費の関係で、これ十六年のときにお聞きをいたしました。亀井大臣でございましたけれども、このように言っておりました。平成九年のときに一人当たりお米の消費、六十六・七キロだと、平成十五年は六十二・六キロに下がったんだと、目標は二十二年に六十六キロに戻すんだと、こういうふうなことでございましたけれども、昨日ちょっと打合せをしておりましたときに、今、その六十六キロに戻すということには特別なっていないような話がありましたけれども、これは事務的にちょっと簡単に、なっているのか、なっていないのかだけお答えいただけますか。
  123. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) お答えを申し上げます。  新たな基本計画におきましては、現状の六十一・九キロを二十七年の消費量として置いているところでございます。現在、かつての六十六・七キロではなくて六十一・九キロ、六十二キロを二十七年度の消費量として今置いているところでございます。
  124. 郡司彰

    ○郡司彰君 これは新しい基本計画が作られたときに変わったんですか。
  125. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) はい。
  126. 郡司彰

    ○郡司彰君 分かりました。  そうしますと、これカロリーベースの四分の一をお米が占めていて、やっぱりこの自給率を四五にするときには、その関係からいうと生産力の向上だけでは駄目なんで、米をみんなで食べるようなことをきちんとやらなければいけない。だとすると、これはより一層生産力の向上が高くなければ自給率が達成をしない、そのような計画ができ上がっていると、計画ではそういうふうになっているということでよろしいんですね。
  127. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) 委員正に御指摘のとおり、前の基本計画における、いわゆる検証をし、その課題として、消費面では、食生活の問題であるとかあるいは国産農産物の消費の拡大とか品質安全の問題、生産面におきましては、正に大臣申し上げたような消費者、実需者のニーズに対応した生産ができるのかどうか、あるいは加工・業務用需要に対応できるかといったようなことを課題として挙げております。  そうしたことから、新たな基本計画におきましては重点的に取り組むべき事項として、消費面における食育でございますとか生産面におけます需要に応じた生産ということを掲げているところでございます。
  128. 郡司彰

    ○郡司彰君 説明聞くとよくよく分からなくなってくるんですよ。要するに、生産力を上げるようにしなければ自給率は達成ができないというような形の考えになっているんだと思いますが、それでは、初めの基本法ができたとき、それから新たな基本計画ができ上がったとき、これ、担い手対策を含めて考え方方針が変わってきているわけでありますね。  それで、私、これは昨日ちょっと打合せをしているときに実はびっくりしたんです。最初のときに基本計画を作るときには、新しい基本法の第八条というのができて、第八条は、国だけでやるんではなくて各自治体、団体がみんなで取り組まないとこれはできないんだというような形で第八条というのができたんですね。ところが、昨日聞いていると、各県で計画とかそんなものあるんですかねというような話でございました。私、ちょっと愕然と実はしたんでありますけれども、国だけじゃ駄目だからという基本計画ができて、基本計画に基づいて各自治体も計画を作って、五年たって見直しがなったんだから、各県の今どうなっているんですかと聞いたらば、各県でそういう計画ありましたっけと。これは、農業関係の、農水関係の基本六法のところの最初にその基本法が来ているわけですね。もう一回みんなで読んでもらった方がいいのかなという感じがしましたが、まあそれはおいておいて、各県のこの八条に基づく各自治体の基本計画というのは今現在どうなっていらっしゃるんですか。
  129. 小斉平敏文

    大臣政務官(小斉平敏文君) お答えをいたします。  新たな農政理念を規定をいたしました食料農業農村基本法に基づきまして、平成十二年に基本計画を策定をいたしたわけでありますけれども、その際、各都道府県に対して、これを参考にして各都道府県が策定をしておる農業振興計画につきまして改定、見直し等を行うように指導、助言を行ったところでございます。  その結果、各都道府県の事情によりまして改定、見直し等、年次はそれぞれ異なりますけれども、十二年から十七年までの間に各都道府県の農業振興計画について生産努力目標を盛り込む等の見直しが行われてきたところであります。  また、昨年三月に新たな基本計画を策定をいたしたところでありますけれども、この際にも、新たな考え方に沿って各都道府県ごとの食料自給率の目標、あるいは農業と食品産業の連携強化や地産地消の取組等について農業振興計画に盛り込むように指導、助言を行っておるところでございます。
  130. 郡司彰

    ○郡司彰君 政務官答弁聞いてやっと安心いたしました。本当に、これ基本法を作ったときの精神がどっかに行っちゃったのかと思っておりましたらば、生かされているということであれば、これはきちんとやっていただきたいなということを申し述べておきたいというふうに思います。  時間の関係で次に移らさしていただきたいと思いますけれども、十ページのところにいろんなことが書いてありまして、「以上の施策展開に当たっては、経営者の工夫を凝らした意欲的な取組を後押しする「攻め」の農林水産行政の実現が重要であり、こうした取組の一環として、農林水産物の輸出やバイオマスの利活用なども推進します。」というような文言がございます。  私は、実はこの「バイオマス・ニッポン」というものを取り寄せておりますけれども、「自然の恵みでニッポン再生」、そしてこの関係は、経産省、それから環境省、農水省、内閣府も含めてこれは国の戦略としてやっていこうというようなことになっているんだと思いますけれども、農水相の所信表明を見ますと、字面をつかまえて大変恐縮でございますけれども、「バイオマスの利活用なども推進します。」、これはちょっといただけないなと。正直なところ、アメリカのブッシュ大統領が一般教書演説で脱石油社会というものをつくらなければいけないんだというようなことを言ったことに比べて余りにもこの日本姿勢というものが情けないという感じがしておりまして、大臣にはその一般教書演説、ブッシュ大統領の脱石油社会を目指すということについての御感想をお聞かせいただければと思います。
  131. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私もブッシュ大統領の一般教書、文書で全部読みまして、はっきりと脱石油と。そこには水素エネルギーとかあるいはバイオエネルギーとかにこれから取り組むんだという力強いメッセージを感じました。  農林水産省としても、どうも日本はこういう再生利用型のエネルギーあるいは自然循環型のエネルギーに対する取組が今のところ非常に低かった、前のポジションのお話でございますけれども、エネルギーの七〇%を石油に頼り、その石油の九割以上を中東地域に頼っているという大変危険なエネルギー供給構造になっているわけでございます。  ですから、自然のエネルギー、例えば太陽光とか風力とか、そして今世界じゅうがある意味では競争しておりますこのバイオエネルギー、ブラジルのルーラ大統領はとにかく、去年日本に来てお会いしたときには、もうサトウキビから作ったエタノールを日本は買ってくれ買ってくれと、もうそればっかしブラジルの大統領はおっしゃっておりましたし、またアメリカアメリカで、またドイツは菜種から油を取るということであります。そういう意味で、私としては熱心に取り組み、私の地元でも既に五年ぐらい前から実験をビートと小麦でやっておりますし、最近テレビで、伊江島のサトウキビでガソリン、あるいはE3でしたでしょうか、の実用化がスタートしたということであります。したがいまして、私自身は大変熱心に取り組み、三浦大臣にその責任者になっていただいて、三浦大臣、大変に熱心にやっていただいております。  したがいまして、なるほど、林産物の輸出やバイオマスの利活用などもという、何かおまけみたいな印象になっていることは私も今改めて感じましたけれども、おわびをしながら、大変な熱意を持ってこれから取り組んでいきたいというふうに思っておりますので、御支援をよろしくお願いいたします。
  132. 郡司彰

    ○郡司彰君 ありがとうございます。  私は、今の大臣の話に出てまいりましたE3といいますか、そのエタノールあるいはメタノール、いろんな使い方があると思いますけれども、例えば今話に出ました、ブラジルですとE25、それからアメリカがE10ですか、日本の場合にはE3というような形でもって混合ガソリン燃料として三%を入れていこうというようなことになっているわけですね。  このE3の関係でありますけれども、今、大臣がおっしゃったように、国内六か所ぐらいで実証実験も始まっております。しかし、正直なところ、このバイオマスというものに該当するもの、いろんなものがありますけれども、やはりブラジルのサトウキビでありますとかあるいはアメリカのトウモロコシでありますとか、これらのものというのはやっぱり資源作物としてなるものを使っている。日本の場合には確かにてん菜、ビートあるいはサトウキビというものも使っているんでありますけれども、これ、全国的に展開をし、脱石油社会を目指すということになると、この作物で可能なんだろうか。あるいはチップとかその他のものを使うにしても、集積その他でもって大変日本の場合には地理的に難しい条件がある。もっと違うものがあってしかるべきなんではないか。私はそれにお米を充てることはどうなんだろうという考えを持っておりますけれども、もしよろしかったら、どちらでも結構でございますけれども。
  133. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 北海道で五年ほど前から実験を始めたときには、私のところが先ほど申し上げたようなビート、サトウダイコンと小麦、札幌周辺で米でやろうということで実験をしたというふうに聞いております。  お米が、水田が余り、また米の消費も落ちて、ともすると余剰になりがちだということで、要はコストの問題とか製造するに当たってどのぐらい大変か大変じゃないかといったような文字どおり実証実験という観点で米についても当然今後考えていかなければいけない作物だろうというふうに理解しています。
  134. 郡司彰

    ○郡司彰君 大臣から大変うれしい話をお聞きをいたしました。  ここを見ても、これ、お米のことは全然出てこないんですよ。それで、私は、先ほどツルネン議員が経営安定対策についてもお話をしました。その中でも耕作放棄地とかいろんなことが出てくる。私は、日本人というのは習い性で、お米を作ることには労働力も大変少なくて済む、しかも条件不利地域でも労働力として高齢の方でもでき上がることができる。そういうふうな形で作ったものを、先ほど言った特別に日本人はお米に対する感覚がございますから、難しいところはあると思いますけれども、多収穫米などのようなものをきちんと使って、下の部分を燃やして上の部分で燃料にするというふうな形を取れれば、これは食料問題、環境問題、エネルギー問題が三つ一度に考えることができて、いざというときには食料に転化ができると。  しかも、実際は使ってはいけないという決まりもありますけれども、先ほどから出ておりますMA米であるとかあるいは病害虫にかかったお米でありますとか、たくさんお米としてはあるわけでありまして、私は、バイオでマスという言葉を付ける場合には日本の場合にはお米を使うべきだというふうに思っております。  そして、これ農水省だけでありますけれども、予算からいうと二百四十六億、これ三位一体関係で若干減ったようになっているけれども、実質的には増えている、農水省の中でも増えている予算だというふうな話は聞いております。  しかし、先ほどの話に出ているアメリカは、昨年で四十億ガロン、今年の予算が二千五百億円を使って、二〇〇七年までには六十億ガロンにしようと。二十億ガロンを一年ちょっとで増やそう、そういうふうな形でやっていて、これは戦略物資としてとらえているんだと思うんですね。  日本の場合にも、何度も申して恐縮ですけれども、資本主義が始まって、資本主義の権化のアメリカがやっぱり脱石油社会というものを唱えるというのは、これ、百年ぐらい前に亡くなったマックス・ウェーバーという方が、化石燃料の最後の一片が燃え尽きるまで社会システムを決定付けるんだというようなことを言って、この化石燃料から人類というのは抜けられないというような予測を立てた。そういう予測を立てた中で、このアメリカそのものがバイオマスということを一生懸命やっている。残念でありますけれども、二百四十六億なども推進をするバイオマス・ニッポンにはお米が出てこない。そのお米を使うことによって私はこの農業政策、根本的に相当な部分が変わってくる、そんな思いでありますので、先ほどの大臣思いが今年以降具体的になるようにお願いをしておきたいなというふうに思っております。  それから、最後の問題に入らさせていただきますが、同じページに「小さくて効率的な政府」というような言葉がございます。私は、必ずしも政府、小さければいい、一律にこれだけ減らすというような側に立つものではありませんで、やはり必要なものがあれば必要な部分はきちんと充当をし、昨日、別な団体の方が言っておったんでなるほどなと思ったんでありますが、民ができることは官もできるんだというぐらいのつもりで官というものが誇りを持ってやることが必要だろうと思っています。  しかし、その誇りを持つためには、この前提として誇りを持つに足るようなところが行政を行っているんだ、推進をしているんだ、こういうようなことが当然必要になってくるわけだというふうに思うんでありますけれども、そこで幾つかの点についてお尋ねをしたいと思います。これまで私の方で時に応じて質問をした中で、幾つかの懸案について質問をさせていただきます。  まず、公益法人の関係でありますけれども、これは十何年でしょうか、予算委員会の方でちょっと質問をさせていただきました。日本こんにゃく協会というのがございまして、どうもバブルのときその他で運用をして、基金そのものが大変な状態になっているというのがあって、その後しばらくたっているわけでございまして、久しぶりに調べておりましたらば、十五年の六月に生産局長名で三点の通知をなさった、それに対して八月に回答があったというようなことで伺っておりますけれども、どのような通知、どのような回答でありましたか、お答えいただきたいと思います。
  135. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) お尋ねの財団法人日本こんにゃく協会でございますけれども、私ども、平成十四年三月の法人検査におきまして今御指摘のような投資がある、これが公益法人の設立許可及び指導監督基準の運用指針に照らして不適当であるというふうに判断されましたことから指導を行いまして、当該株式は平成十四年度中に処分をされております。  その後、十四年度決算報告を受けまして、今、委員御指摘のように、平成十五年の六月二十六日付けでその再発防止及び運営の適正化について文書によって指導をしたところでございます。  協会からは、法令遵守を徹底する、外部検査の強化をする、業務の透明化を図るといったことを内容とする是正を行うと、その措置を行ったということが十五年の八月十一日付けで生産局長あてに提出されているということでございます。  なお、適切な業務に復帰するということにつきましては、別途実施いたしました法人検査におきましてもこのことは確認しているということで正常化が、そういう面では役員の極端なこと言えば総入替えとか、いろんなことによりまして今は正常化している、これからもきちんと指導したいと考えております。
  136. 郡司彰

    ○郡司彰君 経過についてお話をいただきました。  三点のうち前二点は、農水省の方からこういうふうにしなさい、こういうふうにしたいと思います。で、問題は三番目の基金の減額を復元できるのかどうかというふうなことだろうと思うんですよ。  この基金の復元は、私は、先ほどのWTOEPAの話とかかわってくるんですけれども、このコンニャクというのは最高関税率になっているわけですね。九九〇%なんですよ。ですから、この基金の減額された分、なくなった分を復元する、戻すというときに、安易に、安易にですよ、この高い関税を利用してほかから一杯入れて差益を取れば返せるみたいなことになっては、これ元々の国内のコンニャク農家やなんかに対して結果として二重の間違いを犯すというような形になるかと思いますので、そこのところは今後とも十分注意をして健全な公益法人としての形を取れるようにお願いをしたいなというふうに思っております。  それからもう一つ、ウルグアイ・ラウンドのときに評価第三者委員会というものをつくりまして、評価を行っていこう。これは例えばUR対策関係については、期間も額も限定をされておりましたから、そのような形も取れたんだと思いますけれども、今度の新しく決まった基本計画などについては、先ほどちょっと答弁を聞いたときも思ったんでありますけれども、生産力を上げなければ駄目だというふうになった。だけど、どうも話を聞いていると、まあ努力はしましょうみたいな話になっている。きちんとこの対策は、計画に基づいた対策はこういうことをこの箇所でこういう形でやっている、各自治体がやっている、こういうふうな形できちんと後から追い掛けられる、後から点検ができる、評価ができる、そのような形にすることはできませんでしょうか。
  137. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) 正に、例えば食料自給率でありますれば、その工程管理をきちっとするということで、今御指摘の点について毎年検証しながら翌年の課題を設定して工程管理をしていくと、そういうことで取り組んでまいりたいと思っております。
  138. 郡司彰

    ○郡司彰君 大臣に最後の質問をしたいと思いますが、八年前に大臣をなされていたときに、構造改善局というところがございまして、不祥事がございました。大臣のところでもって諮問機関をつくって、どうなっているんだということを調べて、それから大臣がお替わりになったときに、またそのことが実はそうじゃなくてということでたくさん出てきて、大変に処分が出されたことがございました。  私は、その処分そのものよりも、そのときに同時に出されました文書がありまして、今後こういうことは反省をしなければいけないんだという文書がございました。大変に厳しい内容の文書でございまして、二つに省内が分かれて対立をして、一方を徹底的に批判をするだとか、そういうふうなことがあるんだと。これでは決められた政策の実行、組織一丸となって取り組む形になっていないんだというようなことがございました。  私は、先ほど言いましたように、小さな政府にくみする者ではございません。しかし、一丸となって行政に当たるような体質になっていなければ、それは何を決めても、だれが多くても少なくても、何もできないのと同じでございまして、大臣の目から見て、当時のことを振り返りまして、今現在、省内はまとまって、基本計画が決まればきちんと推進をする体制になっているというようなことをお言葉としていただければ大変有り難いと思います。
  139. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 正に御指摘のように、人事がいろんな問題があって停滞をして、それが派閥対立まで行ってしまったと、それによって不祥事が起きたということで誠に申し訳ないことだというふうに思っております。  その結果を踏まえまして、風通しのいい人事、具体的に言いますと、私はあのとき、一九九九年の正月の訓示のときに申し上げたのは、農林水産省はもう入ったときから何番線どこどこ行きというのが大体決まっていると。それはおかしいわけで、しかも、それが鈍行から準急から急行から特急から超特急まであると。二十八番線か二十七番線まであると。それはおかしいので、まあ一番線で水戸まで行こうと思ったけれども、仙台まで途中で乗り換えるとか、あるいは北海道まで行けるようにすると。特急に乗ったけれども、途中からこれはもう鈍行に乗り換えてもらうとか、そんなようないろんな柔軟性が人事には必要だろうというふうに考えております。  そういう意味で、こういうことはあってはなりませんし、また二度と起こさないように日々緊張感を持ってやっていかなければならないと思っております。  そこで、冒頭申し上げましたBESTというところの最後のTがチームワークということで、同じ大事な時期でございます、いろんな課題を抱えておりますから、一致団結して国民のためあるいはまた世界のために我々の責務を果たしていきたいというのが私の決意でございます。
  140. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合です。  私の方から、まず鳥インフルエンザについて質問をさせていただきます。  この高病原性鳥インフルエンザでございますが、大きな話をいたしますと、この鳥インフルエンザが、ウイルスが変異をすると、新型鳥インフルエンザになりますと、厚生労働省の試算によりますと、国内で推定六十四万人の方が最大死者として推定されていると。また、経済協力開発機構、OECDの事務総長は、先日、世界経済の先行き懸念材料として、テロとこの鳥インフルエンザの流行いかんというものを挙げられました。また、もちろん諸外国につきましても、この鳥インフルエンザについては国家を挙げての危機管理体制をしいているということでございます。こういうマクロの視点もございます。  一方にミクロ的な視点で、私の知人が岡山の方で養鶏をしていたわけですが、別に何か問題があったとかいうわけじゃないんですが、今後続けていくのはなかなか難しいと。というのは、いつ本当に起きるか、この鳥インフルエンザが蔓延するか分からないと。そういう精神的な重圧でするのはもう続けていくのが難しいということを、そういう話を聞きました。  もう本当にこの鶏の養鶏業者の方にとってみれば、特に零細業者の方にとってみれば、毎日弾薬庫を背負っていわゆる生活していると。私がお会いした方は、本当に夜眠れないので、ここ数年、眠れないことが多いので薬を飲んで、安定剤を飲んで寝ているんだと。そのくらい、マクロの視点でもミクロの視点でも本当に大変だなということを私自身が認識したわけであります。  そこで、まず大臣にお伺いしたいんですが、この鳥インフルエンザでございますが、もう本当に国家として危機管理をしいていかなきゃいけないと。特に、とりわけ農水省のこの役割というのは非常に重要だと私は思っております。  先日、予算委員会で同僚議員がこの鳥インフルエンザについて取り上げたわけですけれども、そのとき、同時にこの参議院の農水委員会もございましたので、そのときに大臣の鳥インフルエンザに対する御認識というものが聞けなかったものですから、まず冒頭に、この鳥インフルエンザの対策ということで大臣の認識というものを伺いたいと思います。
  141. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 谷合委員御指摘のとおり、この鳥インフルエンザは今もう急速な勢いで世界じゅうで広がっているわけでありまして、ヨーロッパでも、今のところ確認されてないのはチェコとポーランドだけであると。アフリカでもどんどんどんどん広がってきていると。特にアフリカの場合には、貧困とか水の問題とかいろいろございますから、これがもう広がらないようにただただ祈っているわけでございます。  そして、日本の周り、中国あるいはまた東南アジア、そして、これはまあああいう国ですから情報が正確じゃないかもしれませんけれども、北朝鮮といったところでも大変蔓延をしているというふうにも聞いております。  何しろ空を飛んでくるものですから、これはもうどうしようもないわけでございます。しかも、フランス、たまたま私がフランスに行ったときに発生が確認されて、全面ストップをしたわけでありますけれども、フランスでの発症例は、渡り鳥のふんを、外に置いてあった敷きわらに付いて、それが屋内で飼っていた七面鳥に感染したというのが通説だというふうにフランスでは言われております。  本当にもう、先ほどの御友人の養鶏業者の方々の不安というものは大変厳しいものがあると私も想像いたします。  対策といたしましては、サーベイランスの強化でありますとか、早期発見、早期通報、あるいは防疫演習の実施、この間、成田空港でやりましたけれども、あるいはまた水際で侵入防止措置の強化、国際的な連携ということでありますが、空港とか検疫できちっとやるのは最大限やりますけれども、渡り鳥が空から来るものについては、これはどうしたらいいのかなと。文字どおり、早期発見、そして感染した鳥、あるいは最近は猫にもうつるという話もあるようでありますけれども、まあとにかく高病原性、そして、鳥にも大変ですけれども、ある日突然変異をして人に襲い掛かってくるということが最終的には一番厳しい状況でございますので、やれることを最大限これはやっていくことが我々の課せられた仕事だというふうに理解しております。
  142. 谷合正明

    ○谷合正明君 今、大臣の方からいろいろ対策について項目を言っていただきました。  そこで、この対策を今後講じていくわけでありますけれども、その際、この感染源と感染ルートの究明というものが非常に重要かと思います。  我が国内におきましても、一昨年、山口県あるいは京都で強毒性の方の鳥インフルエンザが、感染というものが、鶏の感染というものが発生いたしました。昨年におきましては茨城県の方で、こちらは弱毒性でございますがございました。ここまで、現時点でこの二つの、一昨年の京都、山口の感染源、感染ルートと、そして昨年六月以降発生しています茨城での感染源、感染ルートについてどこまで明らかになっているのか、まずそこをお伺いいたします。
  143. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 感染経路の件でございますけれども、平成十六年の一月に我が国で七十九年ぶりに高病原性の鳥インフルエンザが発生をいたしまして、その後、大分、京都というところでも発生が確認されたわけでありますけれども、この平成十六年春の高病原性鳥インフルエンザの感染経路につきましては、その年の六月に感染経路究明チームの報告書が取りまとめられております。  この報告書によりますと、まず、どうして我が国に入ってきたのかという点でありますけれども、遺伝子解析を行いまして、韓国で採れたウイルスと極めて近縁性があるということで、朝鮮半島等からの渡り鳥によってまずウイルスが持ち込まれた可能性が高いとされております。  いったん持ち込まれた後の鶏舎への伝播経路でございますけれども、先ほども大臣からお話がありましたが、渡り鳥のふんなどに接触をしたネズミあるいは野鳥などの野生動物、あるいはまた水辺、池だとかそういったところの汚染された水、あるいは人等によって鶏舎に持ち込まれた可能性があるというふうにこの感染経路の究明チームの報告書には書かれております。  ですから、直接渡り鳥が即鶏舎にということではなくて、むしろ養鶏をやっておられる方々がその現場できちっとそういったネズミや野鳥がその鶏舎に入らないように防鳥ネットを張ったり、あるいは定期的に消毒をしたりというふうなことをきちっとやることによってかなりの程度侵入、感染が抑えられるというのも識者の見解でございます。  それから、昨年の例でございますが、こちらは茨城県を中心に弱毒タイプのウイルスによる発生でございまして、こちらも昨年の七月に感染経路究明チームを立ち上げまして、十月の時点に一応中間取りまとめ、中間報告書が取りまとめられてございます。  こちらの弱毒タイプ、H5N2の亜型のウイルスは中米、グアテマラ由来のウイルスと非常に近縁であるということですが、これは、中米と日本との間に渡り鳥の飛来経路があるということは、専門家にもそういうことは知られておりません。したがいまして、どうして日本に入ってきたかというのが一つのなぞでございますけれども、未承認ワクチンですとかそういった何らかの人為的な行為によって日本に持ち込まれた可能性が否定できないというのがこれまでのところの専門家の見解でありまして、その後四十一例、今回の場合発生がございましたが、その伝播経路としては鶏の移動というのもございました。中古鶏という形で鶏舎間で移動したというのもありますし、また人や物あるいは車両といった移動との関連で広がっていったということが考えられております。  この辺の感染経路については更にまだ調査を継続しているところでございまして、疫学的な調査をこれから詰めて、更にもう少し詳細な感染経路の究明をしていきたいというふうに思っております。
  144. 谷合正明

    ○谷合正明君 分かりました。  人為的にせよ自然的に広がったにせよ、早期発見、そして早期の報告というものが非常に重要だと思うわけですが、この茨城の件で、報道で明らかになりましたけれども、本来この報告をしっかりするべき立場の方が、獣医師が感染を知りながら県への届出を怠ったということで逮捕されるという事例もございまして、本当にこれはもう甚だ、私はこれ、こういうことはあってはならないことだと思っているわけであります。  一方で、これはこれとして、業者の抱える、通常抱えている、日常生活で抱えている不安というものもすごく大きいものでございまして、京都では、発生の際も業者の届出が遅れたばかりに被害が拡大しました。この報告の遅れというところでは、そこに非があるわけでありますけれども、一方で違う観点から考えてみると、やはり業者が感染の発覚を非常に恐れているということは、この感染、一たび感染すると経営に大打撃を与えるものだと。つまり、現状の支援措置というところで業者にとって十分なのかどうかというところをしっかり見ていく必要があるのかなと私は思っております。  この鳥インフルエンザが発生した養鶏農家、業者に対しては処分経費等を補てんする手当金でありますとか、あるいはその周辺にあって移動制限措置に協力した農家に対しましても売上げの減少等を補てんする支援措置等が講じられております。最近になりまして、この家畜防疫互助基金というものの基金不足というものが報じられております。最大で約二・四億円不足するのではないかというふうに農水省の方で試算されているようでございますが、この辺り、対策として今後どうされていくのかというところをまずお伺いしたいと思います。
  145. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 平成十六年春の山口あるいは京都の例を踏まえまして家畜伝染病予防法の改正も行いまして、今、先生おっしゃいましたように、移動制限区域内での様々な経済的な損失についての補てん等支援措置を強化をいたしましたのと併せまして、家畜防疫互助基金、こちらは生産者の方とそれから国の方とがお互い一対一で基金造成をいたしまして、そして万一そういった鳥インフルエンザの発生で被害を受けられた方が再度経営再建をするという、そういう計画を作られた場合にはこの互助基金の方から支援措置が講じられるというものでございます。  今現在、まだ茨城県の現場におきましてこういった経営再建のための計画が余り多く出ておりませんので具体的な基金の状況について、本当にショートするのかどうかという点については、今現在確たることを申し上げられない状況ではございますけれども、冒頭申し上げましたように、これは生産者の方と国とが一対一で積むということですから、業界の方で仮にショートするというふうなことになった場合におきましても、生産者も積めば国も積むということで、そこはきちっと対応していきたいというふうに思っております。むしろ、業界の方でいろんな事情がある中でどういうふうにして積んでいただくかという、そこのところを今役所の方と団体の方でいろいろと協議をしているところでございます。  いずれにしましても、再建の意図を持って努力しておられる方に対しましては、できるだけのことは支援をしていきたいというふうに思っております。
  146. 谷合正明

    ○谷合正明君 続いて、風評被害に対する対策なんですけれども、茨城の例でして、今年に入ってから茨城で鶏の扱い方が注目されたわけでありますけれども、結局、国としては食用出荷を認めたと、ウイルスの検出がなかった鶏については食用出荷を認めたという形だったと思うんですけれども、しかしながら現場レベルではやはり風評被害というものがあるんでしょうか、なかなか業者もそれを引き受けるところがなかったと聞いております。  報道によりますと、茨城県の担当者は世間や消費者の漠然とした不安、風評被害に対し関係者のだれもが対応するすべがなく、打つ手がなくなったというところで、最終的に焼却処分になったと聞いておりますけれども、ただ打つ手がなくなったというだけではいけないのかなと。国としてこの風評被害対策について、防止策について伺いたいと思います。
  147. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 風評被害ということについてでございますけれども、この高病原性鳥インフルエンザに関しましては、機会があるごとに鶏肉、鶏卵は安全である旨の、これは食品安全委員長談話が出ておりますが、それの周知、消費者等への正確な知識の普及について、各都道府県、関係団体などへの協力要請を行うとともに、全国各地におけるリスクコミュニケーションや消費者生産者、流通業者などが一堂に会した意見交換会、私どもこれを顔の見える関係づくり会合と呼んでおりますけれども、そういう会合を開催する。あるいは、発生産地の卵などを扱っていないといったなどの不適切な表示がある場合は、これは直ちに是正をしていただくということで小売業者への巡回調査、指導といったことを行ってきているところでございまして、関東局からの報告によってもそういったような不当な表示は現在ないと、改善されているという報告を受けているところでございますが、今後とも鶏卵、鶏肉の安全に関する正確な情報提供には努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  148. 谷合正明

    ○谷合正明君 もちろん食の安心、安全が一番大事なんでございますが、一方で、先ほど申し上げました支援措置の強化でありますとか、あるいは風評被害対策というものもしっかりと進めていただきたいと思います。  最後に、改めて大臣にこの鳥インフルエンザ対策について伺いたいんですが、冒頭に海外に広まっているという話をされましたが、確かにヨーロッパでの感染拡大、アフリカでも、ナイジェリア、ニジェールでも拡大していったと。で、先日は、アゼルバイジャンで鳥インフルエンザによる死者三名が確認されて、WHOによるとその鳥インフルエンザの死者が百名を超えたということでございます。  とにかく、新型インフルエンザの出現を食い止めるために、全世界で常に検査、監査していく体制というものを整えていくことが必要であると思いますけども、日本としてこの鳥インフルエンザの国際的な防疫にどのように貢献していくのかと、そのことについてもう一度詳しくお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
  149. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) この問題に関しましては、WHOそれからOIEあるいはFAOといった機関が担当して、文字どおり世界的に今対応をしているわけでありますが、日本といたしましても、日本ができることを積極的に世界に向けて貢献をしていきたい。  その中でも、とりわけ一番発生をしている、また一番人の被害の大きい中国、あるいはまたアジア諸国に対して、ノウハウ、あるいはまたいろいろな、まあ資金面も含めて協力をしていきたいということで、十七年度の補正予算で約二十億のアジアにおける高病原性鳥インフルエンザ拡大防止緊急総合対策というものを認めていただきまして、やはり早期の封じ込め、それから通報体制確立といったものをアジアできちっとやっていこうということで、今リーダーシップを取って始めるところでございます。
  150. 谷合正明

    ○谷合正明君 是非とも大臣にはリーダーシップを取っていただいて、国家的危機管理をしっかりとしていただきたいと思います。  続きまして、水産行政について質問させていただきます。とりわけノリの問題について取り上げさせてもらいます。  まず、日本のノリにつきましては、これはIQ制度、輸入割当て制度というものが適用されております。このIQに指定された品目というのが十七品目もございまして、日本の水産物の、まあ私の手元にあるデータでは五百九十二万トンのうちの三百四十六万トンはこのIQ品目だということで、かなりのボリュームを占めているなと。  この水産行政考えていく上で、このIQの問題というのは非常に重要ではないかというふうに私は認識をしておりまして、その意味で今日はこのノリの問題について取り上げたいと思います。  まず、このノリのIQ制度の韓国そして中国との非公式の場での会議だと、協議だと聞いておりますけれども、この輸入枠、それぞれどうなったのかというところをまず教えていただきたいと思います。
  151. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) ノリのIQに基づく輸入枠の関係でございます。  まず、韓国との間におきましての昨年三月からWTOの紛争処理パネル、これが設けられまして議論を進めてまいりました。一方では、この問題を解決すべくいろんな協議を進めてまいりまして、その話合いの結果、今年の一月二十日でございますが、韓国との間でその合意を見たところでございます。その内容は、一つは、十年後、韓国枠として十二億枚まで拡大するということ、それから今年の枠につきましては三億四千万枚とすること、こういったことを前提にパネルが終了いたしました。  また、この日韓の合意を踏まえまして、中国との間でもその後協議を進めまして、こちらにつきましては、今年の中国枠を二億三千万枚とすることで二月の二十七日に合意をしたところでございます。  こういった経過を受けまして、今年の輸入枠という形で、こちらは経済産業省の方で発表しておりますが、今申し上げました韓国枠三億四千万枚、中国枠二億三千万枚、またこのほかに、WTO整合性という意味でグローバル枠というものを、一千五百万枚でございますが、こちらも加えまして、全体で五億八千五百万枚と、こういった輸入枠を発表したという経過でございます。
  152. 谷合正明

    ○谷合正明君 韓国のIQの割当てが、これまで一か国だけあったわけでありますけれども、それが約二億枚あったわけで、それがほぼ一〇〇%使われていたと。で、私の認識として、今後十年間で韓国の輸入枠が十二億に広がっていくと。中国も恐らくそれに準じて広がっていくものだと、拡大していくだろうと。そうなったときに、国内のノリ養殖業というのはどうなっていくのかなと。日本全体の消費枚数というのは大体年間で百億枚ですので、この輸入枠が広がるということの意味というのが非常に分かるかと思います。深刻な事態に直面しているんだろうと。  ただ、この養殖業というのは日本の水産業の中で非常に重要な位置を占めております。特に、海面養殖業では、ブリ、カキ、ノリというのは代表的なものがございますけども、大体そのうちノリというのは四分の一、まあ五分の一ないし四分の一も占めている、生産高を占めている、非常に大事であると。また、歴史的に言っても、大宝律令の中に諸国の税を納める品目一つとしてノリが定められたというぐらいに古い歴史を持った日本の伝統的な食べ物じゃないかなという中で、やはりノリの業者の、今後輸入枠が拡大されていくわけでありますから、それに対する国内生産者への影響緩和策、そしてまた緩和だけじゃなくて強化していく策というものが大事だと。それについてどのように今考えていらっしゃるのか、それをお伺いしたいと思います。
  153. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) ノリを始めとする問題はWTOでも非常に一番ある意味では苦しい交渉一つでございまして、IQ制度の問題、それからノリとか寒天とかいうものは植物だから農業交渉に入れるべきではないかという議論も今起こっているわけでございます。  日本の本当に伝統的な国民の、とっても身近なものでございますから、国産のおいしいノリを消費者日本国民皆さんに買っていただきたいということで、更なる努力をすることによって攻めのノリ生産につながっていくんだろうと思います。  具体的には、共同利用による大型ノリ乾燥機等の導入、それから生産性の低い機械の廃棄等々生産コストの削減、あるいは優良品種の育成、高品質なノリ生産技術による高付加価値化、そして何よりもやっぱり江戸前ノリ、浅草ノリに代表されるように、日本の各地でおいしいノリを作っているわけでありますから、外国のノリとは違うんだと、差別化、ブランド化というために、関係業界の皆様にも積極的においしいノリのアピールをしていただくということも大事だろうと思います。  もとより、日本型食生活、あるいはおすしには欠くことのできないもので、昔はノリといえば黒い紙とかいって欧米の人たちは嫌がっていたわけでありますけれども、もうノリなしではおすしは食べられないといってばくばくとノリを召し上がっている外国の方も最近ではよく見るようになりましたんで、大いに、これからの需要もある意味じゃ世界的に増えていくんだろうというふうにも思っておりますんで、負けないように日本のノリの、いいノリを作っていただけるように努力農林水産省としてもしていきたいというふうに考えております。
  154. 谷合正明

    ○谷合正明君 どうもありがとうございます。  その差別化、区別化、またその品質の向上というところで、やはりセットで考えなきゃいけないのは、やはりそれなりの表示をしっかりしなきゃいけないだろうと思うわけですね。特にそのノリ養殖業をやっている方から、ここ、ノリの消費が一定量保たれているのは、国内で保たれているのはコンビニエンスストアでのおにぎりの普及、普及というんでしょうかね、売上げというのは非常に大きいと。特にコンビニエンスストアで売られているおにぎりなんかのノリですね、そこに表示制度というのは導入できないかということを私も聞いているわけでございます。  この加工品の表示制度についてどこまで検討されているのか、お伺いいたします。
  155. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 加工食品の原料原産地の表示ということでございますけれども、平成十三年から個別品目ごとに議論が行われておりまして、八品目まで義務付けがされておりましたが、平成十六年の九月に、厚生労働省と農林水産省で食品の表示に関する共同会議というところで関係者の方々、消費者の方々も含めて議論をいただきまして、個別ごとのそういう議論ではなくて、きちっとした横断的なルールを作ってやっていこうということになりました。  そこで、そのルールでございますけれども、原料の産地の違いによる品質の違い、どこ産のものを使っているかということが最終的な製品の品質に大きな影響を与えるものということが一つ考え方でございまして、すなわちその加工度が低くて生鮮食品に近いものについては原料の原産地表示をしていこうということで、これは二十品目群ですので、それまでに比べますと相当大幅に網を掛けた形で原料の原産地の表示というのがなされることになりました。これは経過期間がございますから、十六年の九月に実施をしたわけですけれども、義務付けは今年の十月一日からでございます。  それで、ノリにつきましては、この考え方に従いますと干しノリですとか焼きノリ、味付けノリは表示の対象になりますけれども、先生がおっしゃいましたノリ巻きあるいは特におにぎりなどでありますけれども、このような加工食品につきましては、今申し上げた、その加工度が低くてというところからいきますとほとんど総菜でございます。御飯、具材、ノリ、調味料といったそういうものの組合せによってできていくものでありますので、ちょっとこの基準からいたしますと加工度が低いとは言えず、まあ今現在のこのルールからいたしますと直ちに義務付けの対象にすることは難しいというふうに思っております。  ただ、その中で、業者の方が特にそこを差別化ということで、このおにぎりは国産のノリを使っているということを積極的にやっていただくのはむしろ大変結構なことだと思っております。そこは慫慂したいと思っております。
  156. 谷合正明

    ○谷合正明君 私は、このノリを作っている方の顔を見たのは、実はこの農水委員会に入ってから初めて業者の方を見ました。やはり零細の方、業者の方、あるいは本当に、私にとってみればおばあちゃんに当たるような、そういう方が本当に一生懸命作っていると。今までノリというのは顔が見えなかったなと、作っている人の。是非とも、ノリを作っている人の顔が見える、そういう流通制度というのを農水省としてもバックアップしていただきたいと、そのように強く主張をさせていただきます。  そのIQについてですが、ノリのIQの制度が引き続き維持されていくことになりましたけども、ここでお聞きしたいのは、ほかの品目についてこの影響をどのように及ぼしていくのかと、その辺りどのように農水省として考えていらっしゃいますか。
  157. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) 十七品目含みます水産物のIQ制度、今のWTO交渉上の状況でございます。この制度そのものは、先生も御指摘ございました国内の需給調整に加えて、今資源管理やっていますけれども、そういったものが言わば補完するといいますか、ベースになる大事な制度でございますし、それからWTO協定上も我が国の水産物IQは有限天然資源である水産資源の保存に関する措置であるというようなことで、WTO協定に整合的であるという形で実施しておるわけでございます。  一方で、今、WTO交渉の方でいろいろ議論進んでいる中で、この水産物のIQ制度、これを今維持しておりますのは、率直にいって主要国では我が国だけになっているという環境の中で交渉をしているわけでございます。  したがいまして、全体のグローバル化、自由化交渉という中で非常に厳しい交渉になっているんでございますけれども、冒頭申し上げました、こういった我が国の水産の資源、それから全体としてのWTO協定との整合性といったことを十分主張しながら、関係国の理解を求め、今後の交渉に精一杯当たっていきたいと思っているところでございます。
  158. 谷合正明

    ○谷合正明君 またノリの方に戻りますが、国際競争が強まることによる影響と、もう一つ、環境変化によるノリ業者が直面している問題というものがございます。  特にそのノリの色落ちの問題でございますが、私の地元の岡山の方、瀬戸内海でやはり色落ち問題、直面をしております。これ、恐らくその問題としては海水中の栄養塩濃度が低下しているということなんです。恐らくというか、それは栄養塩濃度が低下しているということが原因だと言われているわけでございますが、その岡山県におきましても、やはりどうしたらこの栄養塩濃度を高めることができるかということで、ダムの水を緊急放流をいたしまして、四日間、二月四日から二月の八日まで、その結果としてこの色の具合が回復が見られたと。また、その製品の味も、あと色も明らかに回復したということで、成果上がったと。一方で、違う水系ではなかなか成果が上がらなかったということで、なかなかその原因と結果というのが完全に合致するのが難しいものだなと私は思ったわけですが、いずれにせよ、ただ、ノリは山が作っているというぐらいに、山の降った雨の水、ミネラルを含んだものが海に流れてきてノリが作られるんだと、私はそう思っております。  ところで、その瀬戸内海の色落ちの原因とまたその対策というのを今どうされているのかということについて、最後お伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  159. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) ノリの色落ちはノリ養殖業に深刻な問題でございまして、ただ、今までの調査研究の結果でいいますと、原因として一つは、栄養分、窒素等ですが、のノリの成育に必要な成分ですけど、ノリと競合する珪藻プランクトン、これが大量発生して競合するということが一つと、それから雨が少ない場合に河川から栄養塩の供給量が減少します。だから、これによって海水中の栄養塩濃度が低下すると。こちらにつきまして、今、先生お話ありましたダムからの放水等で対応していくという、そういった道があるんですが、その珪藻プランクトンの関係一つのまた大きな問題でございます。  私どもとしましては、この珪藻プランクトン対策をどうするかという形で、いろいろ水産総合研究センターとか関係県と連携いたしまして、このプランクトンが現われてくる動向あるいはその海域環境、こういったものの調査を進めております。そこでいろいろな生態学的知見を収集いたしまして、それを基にしましてこのプランクトン発生の予察技術、それから、あるいは海洋微生物を使いましてこのプランクトンの増殖を抑制する、こういった技術の開発に努めております。  こういったこと、もしできてきますと、その生産現場でいろんな対策が打てるということになっていきますので、こういった研究を効果が上がるように努力していきたいと思っているところであります。
  160. 谷合正明

    ○谷合正明君 終わります。
  161. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  最初に、BSEの問題についてお聞きします。  三月十三日に香港でもアメリカ産牛肉から除去すべき部位が混入している牛肉が見付かって輸入停止になりました。当然、輸出証明書も書かれていたんでしょうし、また検査官のサインもされていたんだというふうに思うんですけれども、それが実際にはこういう形になったということでは、一体どういうふうになっていたのかなというふうに思うんですけれども、まずこの点について聞かれていますでしょうか。なぜこういうふうになっているのかということについてお話いただきたいと思います。
  162. 中川坦

    政府参考人中川坦君) アメリカから香港輸出された牛肉につきまして、骨が入っていたということで三月十一日に香港政府がその輸入を停止をしたということは承知しております。  私ども、先ほどもちょっとお答え申し上げましたが、この件につきましては、アメリカ政府それから香港両方に詳細な情報提供を直ちに要請をいたしましたけれども、今日ただいま現在、まだ具体的な情報は入手できない状況でございます。
  163. 紙智子

    ○紙智子君 十三日は米国で三頭目のBSEが発生確認されました。十四日にOIG報告書にかかわる米国への日本からの照会事項に対する回答があって、その中でSRM除去の遵守状況ですね、不適切な事例の調査の後、調査対象となった十二の施設のうち三施設が日本向けの輸出証明プログラムの認定施設になっていたという事実も判明しました。これらの事実は、米国がこの間特異な例だと、事例だというふうに言っても、やはりとてもうのみにできないそういう重い事実だというふうに思うんですけれども、大臣はこの点どう思われていますか。
  164. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) OIGレポートは、たまたま一月二十日以降、たしか二月の二日かな、に公表されたわけでありますけれども、あのレポート自体はOIGという独立した農務省の中の調査機関がおととしから去年までの一定期間についてチェックをしたことの結果でございまして、その間食品安全委員会がリスク評価をして、そして一定の要件を満たせばリスクが非常に小さいということでございますので、しかもこれは改善されているということでございますから、まず時系列的な問題、それからその処理の終わったこと等を考えれば、これはこれでない方がそれはよかったに決まっておりますけれども、それはそれでリスク評価をする食品安全委員会の御判断には影響がなかったというふうに理解をしております。
  165. 紙智子

    ○紙智子君 先日、予算委員会大臣に対しても私質問しましたけど、米国食品安全検査局が出したいわゆるノンコンプライアンスレコードですか、このBSE違反記録ですね、これによっても是正されたということを言っているんですけれども、中身を見てみると、繰り返されているというのがあるわけですよ。だから、幾ら是正されているんだというふうに言われたとしても、今まで指摘されてまた繰り返すと。これを繰り返しているところが、じゃこの後は一切そういうことが起こらないのかということについては、これは保証がないというふうに思うわけですよね。  ですから、そのことを含めて、これは常習的な違反行為があるということはこのことによって提起されているじゃないかというふうにも申したわけですけれども、今回の事態も私はそれを裏付ける中身じゃないかというふうに思うわけです。  香港に牛肉を送ったスイフト社というのは米国でも大手ですよね。そして、日本向けの認定施設でもあるわけです。農水省と厚生労働省が査察に行って、これは問題ないということで言っているところでもあるわけです。そうなりますと、日本の査察の信頼性そのものもこれは揺らいでいることになってしまうわけなんですけれども、大臣も点から線へという話をしているんですけれども、これ、やっぱりアメリカのBSE対策に対しての構造的な欠陥があるというふうに見た方がいいんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。
  166. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 香港アメリカとの間の輸出プログラムは日本と違います、もう御承知のことだろうと思いますから繰り返しませんけれども。  ですから、あくまでも今回の日本のEVプログラム、まあ家畜衛生条件ですか、に違反をしたということで今ストップをし、解明、原因究明ということで今報告書に対する疑問点等を先方に出し、回答を待っているという状況でございます。
  167. 紙智子

    ○紙智子君 今度の香港の問題も今いろいろ聞き取っている途中ということでもありますので、いずれにしても、正確な認識を得られるようにしっかり調査をしていただいて、やっぱり報告すべきだし、非常に大事な問題なんで、やっぱり繰り返しこの委員会でも取り上げて審議していただけるように委員長にもお願いをしておきたいと思います。  次に、WTO農業交渉問題についてお聞きしたいと思います。  衆議院の方の予算委員会で我が党の高橋千鶴子議員も質問したんですけれども、実はWTO香港閣僚会議に私も高橋千鶴子さんと一緒に現地に行っていまして、その会議の動向を見守っておりました。いろいろじかに行ってみなければ分からない様子といいますか雰囲気とかいうのも含めて実感したわけですけれども、二〇〇六年四月末までにモダリティー、いわゆる各国共通のルールの決定がスケジュール化されているわけですけれども、これも市場アクセスを中心に、非常に各国が激しくというか厳しくせめぎ合っているということだと思うんです。  それで、予断を許さない状況だろうというふうに思いますけれども、まず見通しについて、大臣もこの間会議にも行かれているので、簡潔にこの後の見通しということでお話ししていただきたいと思います。
  168. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) むしろマーケットアクセスが日本にとって一番の責められるといいましょうか、ところでございますけれども、現時点ではマーケットアクセスの議論が一番静かだというのが私の印象であります。そろそろマーケットアクセスについて、ああでもない、こうでもないという激しい議論が起こってもいいのかなと思ったんですけれども、EU輸出競争あるいはアメリカ国内支持削減の話の方がつい先日のロンドンでもかなり白熱をしておりましたし、いわゆるNAMA、非農産品マーケットアクセスの議論も非常に激しかったというふうに理解をしております。  香港では専ら開発ラウンドということで開発について日本からも提案をし、二〇〇八年には日本もタリフラインで九八・一%、貿易金額で九九・九%まで無税無枠をLDCにお約束しますということを出して、これは非常に評価をされているというふうに理解をしております。私も昨日フーデックス見てまいりましたけれども、アフリカ諸国が大変熱心に参加をして、懇談もしてまいりました。  そういう意味で、これから本当に、四月末、七月末、十二月末に向かって本当に時間がないんでありますけれども、まだ本当の意味のぎりぎりの交渉の状況にまだないということは、大変我々としては、いつからマーケットアクセスについてG10や日本に対して輸出国との激しい議論が起こるのかと。まあ半ば楽しみにし、できれば避けたいという気持ちもございますけれども、いずれにいたしましても、日本としては、G6としては四月末のモダリティー確立というコンセンサスは依然崩しておりませんので、鋭意またジュネーブベースで、また必要に応じて電話なり会談なり、日本の立場を強く主張しながら、ぎりぎりのところを守っていきたいというふうに考えております。
  169. 紙智子

    ○紙智子君 これからそういう議論にもなるだろうということなんですけれども、一つ焦点になるのが重要品目のミニマムアクセスの問題で、この問題は高橋議員も衆議院で取り上げているんですけれども、ちょっと角度を変えて聞きたいんですが、まず米のミニマムアクセスの問題です。  現在、ミニマムアクセス米の在庫数量は百七十万トンになっています。アクセス数量で見ますと二・二年分ということで、それに相当する在庫量なわけです。それも、毎年二十万トン程度この在庫が積み上がっていっている状況になっています。あと六年で恐らく在庫数量は三百万トンになりかねない状況だと思うんです。これに伴う食管会計の赤字というのが非常にこれもたまっていまして、累積で幾らかというと、一千三百七十四億円です。輸入すればするほどこの在庫が積み上がって、食管会計の赤字が積み上がっていると。国民の負担になっているわけですね。  今の政府のミニマムアクセス米の取扱いというのはそういう意味でいえば行き詰まっている状態じゃないかというふうに思うんですけれども、これについていかがでしょうか。
  170. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) これまでのミニマムアクセス米の販売につきましては、国産米では対応し難い加工用の需要を中心に販売を行い、販売されなかった数量については在庫として保有しておりまして、委員挙げられましたとおり、平成十七年十月末現在の在庫量は百七十万トンとなっております。  この在庫の処理に当たりましては、ミニマムアクセス米導入に伴う転作の強化を行わないとの平成五年の閣議了解に即しまして、引き続き粘り強く加工用への販売に努めてまいる必要があると考えております。
  171. 紙智子

    ○紙智子君 私どもは、以前からこのミニマムアクセスというのは最低輸入機会の提供だと、だから輸入義務ではないということを主張してきました。たとえ民間貿易であっても、それから国家貿易であっても同様だと。WTO協定のどこを読んでも義務だというようには書いてないわけですよね。  それで、ミニマムアクセス米の国別の輸入数量を見てみたんですけれども、オーストラリアは、二〇〇四年度には、それまで十万トン前後輸入していたわけですけれども、これが一万八千トンに輸入量が落ち込んでいるんですね。それで、なぜなんですかということで理由を聞きますと、これ不作だったと、天候不良というようなことで不作だったと。不作で輸出余力がなくなれば当然輸入量全体が落ちるというのは当たり前で、そういうふうになった場合にアクセス数量を下回ることがあることは協定でも認められていると思うんですね。  ところが、見てみると、二〇〇四年のトータルのミニマムアクセス米の輸入量はやっぱり七十七万トンベースというふうになっているんですよ。本来であれば、八万トン輸入量が減っても何の問題もないんですけれども、それをやらないで、何としてもとにかく七十七万トンは確保するというようなことで確保しているわけですね。これ、私、異常じゃないかなと思うんですけれども、いかがですか。
  172. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) 私ども、いわゆるミニマムアクセス数量につきまして、国別に割り当てるとか、そういうことをやらずに、全体としてすべての輸出国からの輸入機会を提供するということでございますので、今御指摘のように、一国、オーストラリアが不作であるからということでミニマムアクセス数量を減ずるという考えは取っておらないところでございます。
  173. 紙智子

    ○紙智子君 いや、そういうことを聞いたんじゃないんですよ。こうやって実際の天候不良で不作だということで減ったということについて、減ったから増やさなきゃならないというふうなことは何もないのに、わざわざ一方では国内で豊作で米余ったといって減らせというようなことをやりながら、もう一方でそういう形で減っているものをわざわざ上乗せしてまた入れているということがおかしいんじゃないかということを言ったわけですよ。国家貿易だからアクセス数量を守らなきゃならないという論理というのは実際にはないというふうに思うんです。  農林水産省がこの間出している予算要求の資料を見てみたんですけれども、この中で紹介している例えば韓国にしても、アクセス数の約束数量に対して実際に輸入量というのは数的には相当低かったりしているわけですよ。そういうことを見ますと、やはりわざわざ無理して七十七万トンきっちりやらなきゃならないという理由がないわけですから、ここは柔軟にやっぱり対応すべきじゃないかと思いますけれども、どうですか。
  174. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) 答弁の繰り返しになりますけれども、私どもとしては、やはり最低輸入機会を与える、その中で、国家貿易という観点からいたしますと、その機会をきちっと与え、その数量を購入するという立場に立っているところでございます。
  175. 紙智子

    ○紙智子君 国家貿易だというふうにすぐおっしゃるんだけれども、そういう国家貿易だからといって、絶対七十七万トン日本はやらなかったら駄目だというふうにはなってないと思うんですよ。いかがですか。
  176. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) 譲許表提出するに当たって、当時の議長、議長だったと、ちょっと申し訳ございませんけれども、ミニマムアクセス数量についての考え方はかくかくしかじかであるということが出されておりまして、それに基づいて私ども譲許表に数量を明記していると、そういうことでございます。
  177. 紙智子

    ○紙智子君 だから、各国の状況を見ると、きっちりと約束数量に対して守ってなくても別にどうこう問題になってないわけですよ。日本だけはいつもきっちりとその部分やっていると。私はそこまでやる必要ないんだと思うんですよ。  ミニマムアクセス米の在庫数量の国別の内訳を見てみますと、圧倒的に実は米国産米が占めているんです、つまり売れてないということなんですけれどもね。入札でやるわけですけれども、市場の動向を一番反映するということで、SBSですね、これやっているわけですが、これ見ても、一九九九年には二万三千トン契約していた米国産米が今九千トンまで下がってきているわけですよね。二〇〇五年度では六万五千八百四十トンが実は中国米の方が入ってきている、たくさん入ってきているけれども、売れているわけですよね。だから、米国産米についていえば、非常に割合としては、SBSの取引全体に占める割合は一一・五%にしかなってないわけですけれども、結局、市場の評価は低いということだと思うんですよ。  ところが、その米国産の米については、九八年から二〇〇四年まで、毎年毎年三十万トン以上を必ず入れているわけですね。ですから、このミニマムアクセスの全体の輸入量の五〇%を占めているのがこのアメリカ産の米になっているわけですよ。で、在庫になって残っていると。それも財政負担になっていると。こういうばかなことはないんじゃないかというように思うわけです。  政府は、何があろうともこの米国産の米を毎年三十万トン以上購入するということで、約束でもあるんですか。
  178. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) 正に国内の需要に応じたものを入れるということとともに、各国の米の特性などを勘案しながらミニマムアクセスの機会を提供しているところでございます。
  179. 紙智子

    ○紙智子君 だから、需要に応じてと言うんですけれども、売れてないというか、評価は低いわけだから。アメリカ産の米を入れ続けて、売れないのに残して、それがだんだん積み重なっていって財政的な負担にもなっているということだから、これやっぱり削減する方がいいんじゃないですか。そのおつもりありますか。私、大臣にちょっとここのところ聞きたいと思うんですけれども。
  180. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 九三年の十二月、たまたま紙委員と私とは野党でございましたけれども、あのときに、まあ苦渋の選択ということでこういうミニマムアクセスを受け入れたわけです。  しかし、私が農林大臣に九九年になってから、このままではもう在庫が膨らんでたまらないからということで、一粒たりとも入れないといって渋々のんだミニマムアクセスの関税率を四から八に上げるというところを、最後の二年間はもう関税化しますから量を増やさないと、もう固定して今七・二%になっているわけでございます。  そういう七・二について、先ほども議論がありましたけれども、重要品目に指定するか指定しないかは別にして、極めて大事なお米でございますから、これについてのTRQをどうするかというのが、さっきも申し上げたように、これから大議論になっていくんだろうと思います。  しかし、はっきり申し上げて、増える議論は、どのぐらい増やすかという議論はありますけれども、減らすとかなくすとかいう交渉は、率直に申し上げて、極めて厳しい交渉だというふうに考えております。
  181. 紙智子

    ○紙智子君 その九九年のときというのは私はまだ議員じゃありませんでしたので、大臣大臣おやりになっていたと思いますけれども、まだ私は国会に来ていませんでしたけれども。ただ……
  182. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 党として。
  183. 紙智子

    ○紙智子君 党としてね。その当時、我が党としてはやっぱり論戦で大いにやっていたと思いますけど、いずれにしても、やっぱりミニマムアクセスという形、そもそも関税化という方向に踏み切ったということ自体が、これ限りなくゼロの方に近付けていくということではありますから、当然日本の国内に非常に大きな多大な影響を与えるということで、我が党はその当時も反対をしていました。  ミニマムアクセスについて言えば、これ最初は政府は義務だ義務だという形で、これは守らなかったら大変なことになるんだといって無理やりやってきたわけだけれども、実際はそうじゃなかったということが分かってきて、各国のも調べてみたら柔軟にやっていると、その国の状況に合わせていろいろ調整してやっているということであれば、やっぱり非常に不合理な形でこういうことが行われているのであれば、今回この事実も明らかになっているわけですから、約束もしているわけではないんであれば、これは米国産の輸入にこだわらずに、こうした事態に対しては削減するとか判断すべきじゃないかと思いますけれども、もう一度、大臣、いかがですか。
  184. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 義務なんですよ。この前も乳価のときに紙委員と議論しましたけど……
  185. 紙智子

    ○紙智子君 義務じゃないと言いましたよ。
  186. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) いやいやいや、カレントアクセスは義務ではない。カレントアクセスは義務ではないけれども、国家貿易になると、これは国家としての約束だから、その約束を果たさなければいけない。  今、局長も答えたとおり、WTOに譲許しているわけですから、ですから、もちろんこれが在庫として積み上がっているから、じゃ、はっきり言ってルールどおりにやらずにストップするかと。我々は今大事な非常にデリケートな交渉をしているときに、今までルールを守っていなかった国、けしからぬですけれども、じゃ今から日本もルールを守らないで、さあ交渉をやりましょうか、ルール作りのときにルールを破る行為を日本がやりましょうか、それは交渉をやる上では余りいい方法ではないというふうに思いますので、とにかく、今も国内生産に影響を与えないようにということで最大限努力をしておりますけれども、厳しい交渉ではございます、予想されますけれども、全力を挙げてぎりぎりのところ、日本の立場を守る交渉をしていきたいというふうに考えております。
  187. 紙智子

    ○紙智子君 確かにそのカレントアクセスとこれとは違いますよね。乳価とは違うわけだけれども、しかし、WTOの協定上は義務だというふうに書いてないと、国家貿易なんだと言うんですけれども、そこは、条約上は書いてないということでは、やっぱり日本日本の実情に立って物事必要なことは主張すべきだというふうに思うんです。  で、やっぱり生産者皆さん、あるいは消費者皆さんという立場から見たときに、去年北海道は御承知のように作況指数が一〇九になったと。それで大体九万トンぐらいですかね、豊作の部分については市場に出すなということで、結局一俵の価格、米の値段にして北海道の米で大体一万二千円とかそのぐらいですけれども、それが更に三千プラス三千で六千円ですか、物すごく安く抑えられるという形になって、非常にそういう意味では農家生産者皆さんは苦労して何とかこうやったわけだけれども、普通だったら豊作だって喜ぶところだけれども、それがこういう形で抑えられていると。  そのとき私、質問しましたけれども、九万ぐらいのちょっとこう出たところについては買い取ったらどうかという話もしたわけだけれども、それはもうルールとして決まっているから駄目だというふうに言うわけですけど、しかし、その九万トンという、こういうやっぱり生産者から見るとそれでも大変な、経営にとっては大変な打撃なわけですけれども、そういうつらい思いをしている一方で、これだけ百七十万トンにも及ぶような一方ではミニマムアクセス米という形で、売れないのに、しかも財政のこの大きな負担になっているのに入れ続けていると。これはやっぱりどう考えたって理解できないわけですよ。  そういう問題をしっかりとこう受け止めて、もっとやっぱり抜本的な改善策ということで考えるべきじゃないかということを申し上げておきたいというように思うんです。  まあ、時間になりましたけれども。
  188. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時四分散会