○岸信夫君 カロリーベースで六割を今
輸入に頼っているわけですけれども、国内の
政策、これはこれで一生懸命やっていかなきゃいけない。と同時に、やはり世界の状況というのもこれはしっかりと
我が国として把握をしていかなければいけないんだろうと
思います。
今、世界の
食料状況、事情は大きく変わろうとしているんじゃないかなというふうにも私は
思います。一番大きいのが中国であります。お隣の国ですけれども、水資源がまず枯渇しております。そして、
農村と都市の格差拡大、これはよく言われている問題です。これはもう
我が国とは比較にならないほど深刻な問題になっております。従来ずっと五億トンレベルぐらいで推移してきたと
思いますけれども、中国の
食料生産ですけれども、一時的に今五億トン割り込んだ、二〇〇三年はかなりの不作で四億三千万トンまで落ち込んだというようなことだったと
思います。これは少しその後改善しているとは
思いますけれども。
先日の全人代でもいわゆる三農問題、この解決が最重点課題というふうに言われたわけでありますけれども、ただ現実の問題として、その中国において農地の拡大あるいは水資源の確保ということには限界があるだろうというふうにも
思います。
農業生産力の回復というものは現実には相当難しいところがあるんじゃないかというふうに思うわけです。
そして、
我が国とその中国との
関係でありますけれども、
食料輸入の、今、
食料、食品全般の
輸入の
相手先を見てみますと、総
輸入額ざくっと五百億ドルとしますと、
アメリカからの
輸入が一番多いわけです。百億、百十億ぐらいだと
思います。大体二三、四%だと
思います。これに次いで中国が第二位という形で七十五、六億、一五%ぐらいを占めているということです。
我が国にとって
食料、食品の供給国として今、中国というのは非常に重要な地位にあるわけです。中国から野菜とか、あるいは
加工食品もかなり入っていると
思います。様々なこういう食べ物が入ってきているわけでありますけれども、今の中国の国内事情を
考えますと、この状況というのがいつまで続くのか、すなわち中国に
食料供給を頼ることが非常にリスクがあることなんじゃないかなというふうにも
思います。
これまではいわゆる高級品を
日本に
輸出して、中国全体ではそのものが足りなくても、高級品を出して汎用品を
輸入するというようなことも今まであったんだと
思います。しかし、沿岸部が非常に
発展をして金持ちが増えてくる。そうすると、彼らの国の中でもこういった高い値段の張るものについても需要が出てくる。
さらに、穀物について見ますと、特に中国の大豆の
輸入、これは今後大量に
輸入してくるんではないかというふうにも
思います。かつては
輸入してなかった、むしろ
輸出もあったんだと
思いますけれども、
アメリカの農務省の長期の予想によりますと、二〇〇四年、五年に二千五百、二千六百万トンぐらいだった大豆の
輸入ですけれども、十年後、二〇一五年、一五、六年には五千万トンに近くなってくるということです。今の倍ぐらい
輸入しなければいけない状況になる。これは世界の大豆の貿易量を
考えても、約その半分を取っていくことになる。トウモロコシや小麦について、
輸入もこれから増えてくるんじゃないかと、同じような状況が出てくる可能性というのは十分予想されるわけです。
しかも、以前は中国は買うためのキャッシュがなかった、クレジットで買う
部分というのが多かったと思うんですけど、今はあるわけですから、そうしますと、今起こっているような、石油で中国がどんどん買って値段がつり上がってしまう。同じようなことが穀物でも起こってくる可能性というのは十分あるわけです。世界の穀物、そして油脂の
生産量自体にはもうこれはおのずと限界があるわけですから、この世界における穀物、油脂の需要と供給の
バランスというものが中国一国によって今後随分変わってくる可能性があるというふうにも思うわけです。
先ほど申しました大豆については、例えば南米、
ブラジルなんかがこれから供給力を増やしてくる、こういうことはある程度期待できるわけですけれども、これが思ったとおりに伸びてくれるかどうか、これに中国の需要を頼るというのも、これもまた余りに怖いことであるというふうにも思うわけです。
こういう、その将来の
我が国に対する供給も含めてなんですけれども、世界のこの穀物の需給状況について、この辺りどういうふうにお
考えか、お聞かせいただきたいと
思います。