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2006-02-03 第164回国会 参議院 農林水産委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年二月三日(金曜日)    午前九時三十分開会     ─────────────    委員氏名     委員長         岩城 光英君     理 事         小川 勝也君     理 事         小川 敏夫君                 岩永 浩美君                 加治屋義人君                 岸  信夫君                 国井 正幸君                 小斉平敏文君                 段本 幸男君                 常田 享詳君                 野村 哲郎君                 三浦 一水君                 郡司  彰君                 主濱  了君             ツルネン マルテイ君                 松下 新平君                 和田ひろ子君                 谷合 正明君                 福本 潤一君                 紙  智子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩城 光英君     理 事                 加治屋義人君                 常田 享詳君                 小川 勝也君                 小川 敏夫君     委 員                 岩永 浩美君                 岸  信夫君                 国井 正幸君                 小斉平敏文君                 段本 幸男君                 野村 哲郎君                 三浦 一水君                 郡司  彰君                 主濱  了君             ツルネン マルテイ君                 松下 新平君                 和田ひろ子君                 谷合 正明君                 福本 潤一君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   中川 昭一君    副大臣        厚生労働大臣  赤松 正雄君        農林水産大臣  三浦 一水君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       金子 恭之君        農林水産大臣政        務官       小斉平敏文君    事務局側        常任委員会専門        員        高野 浩臣君    政府参考人        内閣食品安全        委員会事務局長  齊藤  登君        厚生労働大臣官        房技術総括審議        官        外口  崇君        厚生労働大臣官        房審議官     岡島 敦子君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       松本 義幸君        農林水産大臣官        房技術総括審議        官        染  英昭君        農林水産大臣官        房参事官     伊地知俊一君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        農林水産省生産        局長       西川 孝一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○国政調査に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (米国牛肉輸入問題に関する件)     ─────────────
  2. 岩城光英

    委員長岩城光英君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日までに、田中直紀君、小泉昭男君及び松山政司君が委員を辞任され、その補欠として段本幸男君、国井正幸君及び三浦一水君が選任されました。     ─────────────
  3. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事加治屋義人君及び常田享詳君を指名いたします。     ─────────────
  5. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、農林水産に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 岩城光英

    委員長岩城光英君) この際、中川農林水産大臣三浦農林水産大臣金子農林水産大臣政務官及び小斉平農林水産大臣政務官から発言を求められておりますので、順次これを許します。中川農林水産大臣
  8. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) おはようございます。農林水産大臣を拝命いたしました中川昭一でございます。  岩城委員長を始め参議院農水委員会先生方の御指導をよろしくお願いをいたします。  日ごろから農林水産行政推進に格段の御理解と御指導をいただいておりますことを厚く御礼を申し上げます。  現在、農林水産行政は、新たな経営安定対策の導入や本年四月末のWTOモダリティー確立に向けた農業交渉米国牛肉輸入問題、鳥インフルエンザ発生等国民関心が高い問題への適切な対応が求められております。  私は、農林水産行政責任者として、今、国民に真に求められているものは何かを見極め、食の安全と消費者信頼確保を図るとともに、農林水産業農山漁村の健全な発展に資するよう、職務に全力を傾けてまいる所存でございます。  委員長を始め委員皆様方の御指導を賜りますよう、どうぞよろしくお願いをいたします。
  9. 岩城光英

  10. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) 先般、農林水産大臣を拝命をいたしました三浦一水でございます。  中川大臣を補佐いたしまして、宮腰大臣金子、小斉平大臣政務官共々に、しっかり農林水産行政推進をしてまいりたいというふうに思っております。  岩城委員長を始め委員先生方の御指導をよろしくお願い申し上げまして、一言あいさつにさしていただきます。お世話になります。
  11. 岩城光英

  12. 金子恭之

    大臣政務官金子恭之君) 先般、農林水産大臣政務官を拝命いたしました衆議院の金子恭之でございます。  中川大臣の下、宮腰三浦両副大臣の御指導をいただきながら、小斉平政務官共々、農林水産行政の諸課題全力で取り組んでまいります。  岩城委員長を始め委員皆様方の御指導のほど、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。
  13. 岩城光英

  14. 小斉平敏文

    大臣政務官(小斉平敏文君) 先般、大臣政務官を拝命いたしました小斉平でございます。  中川大臣始め両副大臣金子政務官共々に、御指導をいただきながら、抱える諸問題、全力を挙げて取り組んでまいりたいと、このように思います。  岩城委員長を始め委員皆様方の御指導、心からよろしくお願い申し上げます。     ─────────────
  15. 岩城光英

  16. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  17. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 農林水産に関する調査のうち、米国牛肉輸入問題に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  18. 常田享詳

    常田享詳君 おはようございます。  中川農林水産大臣並びに三浦大臣、そして金子、小斉平大臣政務官の今後ますますの御活躍を心から御祈念申し上げます。  中川大臣におかれましては、一月二十七日の早朝に日本を出発され、一月二十九日の夜半に帰ってこられたというようなことで、WTO問題等、大変身を削って大変な御努力をいただいておりますことにまず心から敬意と感謝を申し上げたいと思っております。  今、大臣のごあいさつの中にもございましたけれども、我が国農林水産行政、極めて多くの課題を、また重要な課題を抱えております。そういうことの中で、まずWTO農業交渉についてお尋ねをしたいと思います。  昨年十二月のWTO香港閣僚会議においては、我が国農業の問題を含めて積極的に議論をリードし、香港閣僚宣言の採択にこぎ着けたと認識しております。先般のダボスで行われたWTO非公式閣僚会合でも、四月末のモダリティー確立に向け農業交渉を集中的に議論することが確認されておりますが、最重要課題である市場アクセス分野において重要品目の数や取扱い重要品目の数や取扱いですね、また上限関税といった問題について、我が国農政改革方向にも即した結論を得るように努力していく必要があるというふうに思っております。正にこの二つの問題は日本農政が生きるか死ぬかの本当に瀬戸際の大問題だと認識いたしております。  今後の交渉に臨む大臣の決意を改めてお聞きいたしたいと思います。
  19. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、常田委員から御指摘いただきましたが、二〇〇一年の十一月からスタートいたしました今次ラウンド、これはドーハ開発ラウンドというふうに言われております。もちろん、ガット・WTO体制ですから、より一層の自由化によって各国利益を得るという基本認識でございますが、と同時に開発という言葉が入っているということは、多くの開発途上国、とりわけ後発開発途上国に対していかにそのレベルをアップをしていくか、産業をつくって、そして輸出によって国が発展をしていくということにどれだけ貢献ができるかということが今次ラウンドの新しい、そして大きな要素であると考えております。  そういう中で、今、常田委員が御指摘になりましたように、ずうっと作業が大変に遅れに遅れておりまして、昨年十二月の香港閣僚会議におきましてかなりの長期間にわたって大変な議論が行われたわけでございます。  私といたしましては、もう以前よりこのラウンドに積極的に貢献をしていきたい、そしてまた特に途上国開発途上国に対しても、日本としては世界の平和、発展がその国の利益になると同時に日本利益にもなっていくという観点から、積極的に関与をし、そして譲るべきところは譲っていく、また交渉ですから攻めるところは攻めていく、攻めていく、と同時に守るべきところはきちっと守っていかなければいけないということで、前任のときからこのラウンド貢献をしてまいりました。これは小泉総理の強い指示の下での行動でございます。  そういう中で、香港におきましては幾つかの成果がございました。開発途上国に対する配慮、これはその直前に小泉総理が自ら発表されました開発パッケージというのがございますけれども、これが真に後発開発途上国に対して、単に今までのように資金を援助しますとか、多少の技術協力をやりますとかいうだけではなくて、もう少し極端に言えば、土作り水作りあるいは種作り、そして収穫したものをどうやって保管をするか、輸送をするか、そして消費サイドである日本でそういった国々の製品を展示をしたり、あるいはまたマーケティングをしたりして、そういうものが消費者のところまで来ることまでを支援をしていく、つまり農場からテーブルまでという形の包括的な支援策でございまして、大変評価をされたというふうに理解をしております。  ほかにNAMAとかサービスとか、それぞれいろいろありましたけれども、農業分野に関して申し上げますならば、例えば、その時点での最大の大きなポイントでありました輸出補助金の撤廃時期の問題、これは明示されました。あるいはまた、国内支持についても更なる削減が必要であるということが確認されました。  それから、市場アクセスにつきましても、今御指摘日本関心事項最大関心事項一つであります重要品目について閣僚宣言記述をされたところでございまして、これは、一昨年七月のジュネーブでの枠組み合意を更に前進させたものとして、重要品目というものはいろんな要素があるから必要なんであるということがはっきりと閣僚宣言に明記をされたところでございます。  そしてまた、もう一つの最重要品目であります上限関税の問題につきましては、閣僚宣言本文には明示されておりませんけれども、附属書Aという農業に関する附属書部分でございますけれども、この部分で、この上限関税については、必要なしという国から絶対に必要であるという国まで大きく議論が分かれていますねというような記述がなされていたところでございます。  いずれにいたしましても、香港におきましては、日本としても積極的な貢献ができたわけでありますし、また閣僚宣言自体も当初の最低の予想から見れば前進があったというふうに各国とも理解をしております。  先週、院のお許しをいただきまして、ダボスで、常田委員指摘のようなWTO非公式閣僚会合、あるいはまたいわゆるG6という少数国閣僚会合、具体的にはアメリカ、EU、ブラジル、インド、そしてオーストラリア、それに日本事務局長のパスカル・ラミーさんという七者での会合が、去年の秋から、実質的にはWTOの全体をある意味では動かしているグループがございますけれども、日本もこれに参加をすることができましたので、そこでの会合、あるいは、私、二階大臣それぞれがバイの会合をやったところでございます。  そういう中で、御指摘のように、輸出補助金の問題、それから国内支持の問題につきましてはかなり議論がされておりますけれども、この日本最大関心事項でありますマーケットアクセスにつきましては、まだ本当の意味議論がほとんどできていないということでございまして、今後、四月三十日に向けまして、限られた時間の中で、これが急速に、そして大きな議論になっていくことが予想されるわけでございます。  一つ一つ片付けていくという方法が果たして日本にとっていいのかどうかということは疑問でございましたけれども、とにかく三分野バランスの取れた形で議論をしていく。しかも、農業だけではなくて、NAMAだとかサービスだとか開発だとかルールだとか貿易円滑化とか、そういった多方面含めての議論がそれぞれ進んでいきながら、全体としてパッケージで、今年中に、いわゆるシングルアンダーテーキング、包括一括受諾という方式が確認をされております。  そういう中で、全体を見ながら、そして農業バランスを見ながら、また輸出国輸入国バランスを見ながら、これから厳しいであろう市場アクセス交渉について臨んでいくわけでございますけれども、冒頭申し上げましたように、日本WTO貢献をしたい、特に後発途上国に対して貢献をしたいと思っておりますので、もちろん、この今やっている議論は、削減をどの程度やるかという、その削減をやること自体日本も含めて各国の総意でございますけれども、しかし、貢献はしたいんですけれども、日本の食料の確保あるいはまた農業、農村の存立あるいは日本の基盤にかかわるような部分については、これは譲ることができない、その典型が上限関税であり重要品目の数の確保であると。  ほかにもあると思いますけれども、それが象徴だと思っておりますので、今後、厳しい交渉になってまいりますと思いますけれども、国民を代表するこの院、特にこの当委員会先生方の御議論、御指導をいただきながらこの厳しい交渉にこれから臨んでいきたいというふうに考えております。
  20. 常田享詳

    常田享詳君 今お話もありましたように、四月ごろをめどにこの問題も佳境に入るわけでありまして、この問題の方向によって我が国農業、大きな影響を受けるわけであります。  引き続き、経営安定対策担い手対策についても関連するのでお聞きしたいんですけれども、ちょっと時間、うちの時間短いので、もし時間があれば最後にまたそのこともお聞きしたいと思います。  そこで、米国牛肉の問題に入らせていただきたいと思います。  米国牛肉問題については、これまでも科学的知見に基づき対応してきていただいていると考えております。私も、十月終わりまでそちら側に座らせていただいておりまして、その経過は十分見ておりますし、本当に皆さん方が一生懸命、食品安全委員会も含めて一生懸命科学的知見に基づき、いわゆる政治的決着ではなくて科学的な知見に基づき判断をするんだということで大変な努力をしておられたということをそばで見てまいりました。  食品安全委員会科学的論議を尽くし、国民の意見も聴取いたし、そういう手順を取りながら取りまとめられた結論に基づき、昨年末に米国牛肉輸入再開されたわけであります。ところが、先日、輸入されてはならない危険部位が混入されたことから輸入手続が停止されました。  私は、すぐさま停止された大臣の決断は正しかったと思っています。しかし、ああいったものを入れてくるアメリカに対しては大変私は憤りを感じております。また、ああいったものが入ってくるということに大変驚きを持って見させていただきました。  そういったことから考えますと、先ほど申し上げましたように、着実に科学的知見に基づき判断するんだということでやってきたわけでありますけれども、昨年十二月の輸入再開決定に至るプロセスの中に私はやっぱり問題があったんではないかと、ああいうものが入ってくるという。まあしかし、逆に言えば、日本水際の検疫が極めて機能しているということで、日本側のそういったことは一方では評価されるわけでありますけれども、しかし、ああいったものが入ってくるということは考えられないわけでありますし、許されることではないというふうに思っております。  そういった意味で、輸入再開決定に至るプロセスについて問題がなかったのかどうか、その辺に対する大臣の御所見をまず承っておきたいと思います。
  21. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 御指摘のとおり、十二月十二日に、約二年掛かった作業を終えまして、米国産、カナダ産の輸入牛肉再開いたしました。と同時に、日本からの輸出もストップしておりましたけれども、日本からアメリカ向け日本牛肉輸入再開をいたしました。そして、その一か月ちょっとの後に、御指摘のように、ああいう形で特定危険部位付き牛肉が成田のところで発見をされたということでございます。  私も、第一報を聞いたときに大変な、まさかという気持ちと、その次の瞬間には怒りさえ生まれてきたわけでございます。そこで、これは総理とも御相談をした上で、本来でしたらやる必要がなかったであろうすべての米国輸入牛肉の一時停止という措置をとったことでございます。これにつきまして、常田委員から今評価をしていただいたことは大変光栄なことだと思っております。  それにいたしましても、この一月二十日の問題につきましては、輸出者、それから食肉処理場、そしてそれをきちっと管理するはずのアメリカ農務省監督官、いずれもがこれは日本向けには輸出できないんだという、EVプログラム違反であるということがまあ認識をしていなかったんだろうということで、水際まで、日本水際まで来てしまったわけでございます。幸い日本水際でチェックの体制が機能がされて入らずに済んだということでございますけれども、いずれにいたしましても、この問題というのは私としては深い怒りを覚えて、米国側にすぐにその考え、気持ちを伝えたところでございます。  まあ米国側も、すぐにこの問題の責任者でございますジョハンズ農務長官が遺憾の意を表され、すぐにアメリカの取りあえずの十二の対応策というものを発表し、そしてまた、即、長官の代理としてペンUSDA次官日本に参りまして、副大臣あるいはまた農水厚生等カウンターパートと今後に向けての話合いをしたところでございます。  いずれにいたしましても、システムそのもの、つまりルールの、決められたルールそのものについての問題というものはなかったというふうに理解をしております。要は、運用において信じられないミスといいましょうか、これは、この辺は表現ぶりはまあ今の段階では何とも申し上げられませんけれども、運用上の違反があったことは明らかでございます。  で、米国側がこれを再開したいというのであれば、急ぐということは避けて、私は、電話でもあるいはダボスでもジョハンズ長官に何回も申し上げましたが、アメリカにも日本にも急がば回れということわざがありますので、是非そのことが最大現時点での基本認識にすべきだということを申し上げました。また、ペン次官発言消費者関係者に対して神経を逆なでするような報道になっているということは結果的に事実でございましたので、横にいたペン次官に向かってですね、ああいう発言再開を目指そうとするアメリカの意図に対しては決してプラスになりませんよということを私からも直接申し上げたところでございます。  したがいまして、この運用においてこれが徹底的に改善されなければならないと。そうしなければこれは再開日本側作業に入ることができない、それから原因究明を徹底的にしなければやはり日本側の次の作業に進むことはできないということで、この二点、徹底的な原因究明、それから二度とこういうことが再発しないようなアメリカ側システムの再構築というものの考え方、まあ案を日本に出してくださいと。その上で日本側として検討をして、次の段階に進んでいきましょうということを申し上げたわけでございまして、御指摘のこの日本衛生条件に基づいてアメリカ側で決め、そして運用をしておりますルールでありますEVプログラムそのもの信頼性が崩れたとは現時点では私は考えておりませんが、運用上極めて許し難い出来事が再開直後に起こったという認識は私は強く持っているところでございます。
  22. 常田享詳

    常田享詳君 昨年五月の諮問以降ですね、食品安全委員会では半年以上掛けて科学的議論が継続された末に十二月に答申が出された、まあこれ先ほど申し上げたとおりでありますけれども、この答申が出てから四日間という極めて短い時間で輸入再開が決定されていると。これは私はちょっと驚きでありまして、四日間でですね、答申後四日間で本当にその解禁後アメリカから入ってくる米国牛肉安全性が、きちんと安全なものが入ってくるということの検証ができると考えられたんでしょうか。  私は、大臣一言でいいですけど、私はこれは拙速ではなかったかなと、四日間というのは余りにも拙速ではないかなと正直思うんですけれども、この辺りはいかがでございましょう。
  23. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今御指摘のように、平成十五年の十二月二十四日ですか、アメリカでBSEが発生をして、同日、日本として米国産の牛肉輸入を停止したわけでありますけれども、その直後から日米レベルで話合いが開始されたわけでございます。これは、もちろん非公式のものもございましたけれども、そういう中でとにかくまあアメリカ側はできるだけ早く再開をしたいと。日本側日本ルールがあって、それでルールをきちっと守らなければいけませんし、何よりも、仮にルールがきちっとして機能していても、消費者がそういう肉を食べたい、あるいは買いたいと思わなければ、結局売れないわけでありますから、輸出もできないわけであります。そういう意味で、ルール上の前提と、それから、事は食べ物でございますから、安全性というものが消費者の頭ではなくて体で理解をしてもらわなければいけない、その努力が必要ですよということを常に申し上げておりました。  まあ、余談になるかもしれませんけれども、当時、私は全く違う担当の大臣をやっていたわけでありますけれども、まあ以前からの関係で友人たちも多かったものですから、私にも随分とそういうようなやり取りをやった記憶がございます。まあ、政府間ベースとしては農林水産省、厚生労働省、それから外交としての外務省等が絡んでやってきたわけでありますけれども、そういう中でいろんなやり取りを通じて、そして日本の手続として、いよいよ我々いわゆるリスク管理行政をやっている立場から見て、いろんな情報を集めて、現地に行ったりいろんなことをやった上で、最終的には、これはこの措置の検討に当たっては、これはリスク評価機関の御判断であるということで、食品安全委員会に諮問をいたしましたのが昨年の五月二十四日でございました。そして、御指摘のように、半年以上を掛けて十二月八日に食品安全委員会の報告書をいただいたわけでございます。  その間、実は事前に資料として準備できるものもあったわけでございます。その一つがいわゆるアメリカのEVプログラムというアメリカ日本向け輸出をするに当たってのまあ基本的なルールというもの、これは一体どういうものになるのかという、その原案を日本側としては事前に入手しておく必要があるということで、例えばその原案を日本側でいただいて、そして諮問の作業先生方に、こういうEVプログラム案でアメリカはやろうとしてますけれども、これについてのリスク評価はいかがでしょうかというようなことも含めまして、まあ事前に出せる資料あるいは日本側で確認をしたデータ等は最大食品安全委員会にお出しをしたわけでございます。  したがいまして、ある程度安全委員会の御議論の進行と同時にアメリカ側でやろうとしていること、あるいはまたアメリカ側の考え方等々、それから現地にも視察に行ったこと、これ、まあ今週初め、当院にも大変御迷惑をお掛けいたしましたあの答弁書の中身云々の話とは別の次元の調査に行っていたわけでございまして、そういったデータも含めまして、事前に分かっていること、そういうものがないと安全委員会答申も出ないということで、最終的な答申段階でそのアメリカ側の事前の案が結果的にはそれで結構ですということにもなったとか、そういう状況もございまして、十二月八日に安全委員会から、まあEVプログラムがきちっと機能していれば日米のリスクの差は非常に小さいという答申をいただいたところでございますので、それを踏まえまして日本側としては家畜衛生条件というものをアメリカに提示をし、アメリカはそれを認めるということで十二月十二日に決定をしたわけであります。  と同時に、アメリカ側もそういう、既に準備していたものがオーケーということでございましたので、ある程度の事前の準備がアメリカ側にもできていたと、もちろんその認定作業はその後でございますから、認定は十二日以降にやったと、そして、そこから逐次日本向けに処理をして、そして飛行機で飛んできたわけでございますので、結果的に十二日に決定をして十六日になったということは、そういうことがやればできるということでございまして、決して無理に急がせたとか拙速であったということではないというふうに認識をしております。
  24. 常田享詳

    常田享詳君 また、今回の結果は、今、大臣正におっしゃったように、米国における輸出プログラムが遵守されているということが前提であったわけであります。そういうことで、私は拙速だと思いますけれども、そういうことがちゃんとされているということで拙速ではないという一つの大きな判断を、四日間で決断をされたんだろうと思いますが、安全な米国牛肉日本輸出させるためには、米国の責任において輸出プログラムがしっかり守られるということが必要であります。これはもう、今、大臣もおっしゃったとおりであります。  一方、我が国としても国民の食の安全、安心のため的確に対応していくことが求められるわけであります。十分な査察を踏まえて輸入再々開を決定すべきと考えます。日本側が十一ではなくて四十ある、日本牛肉を出すところ四十をすべて調べて、日本側がですよ、日本側が調べて、そうした査察した施設のところから、安全であるということが確認されたところから再々開をするということで、再々開するについては、今申し上げましたように、日本側が事前に査察した施設のものに限るという方向で検討が進むべきだと考えますけれども、いかがでございましょう。
  25. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) これは十二月の再開のときにも御議論があったと、当委員会でも御議論があったというふうに聞いておりますけれども、御承知のように、現ルールでは日本側としてはまだ四十のうち十一しか見ておらないわけでございまして、これは念のためにアメリカ側がやるべき義務を日本側もその施設の状況について見たいということで、今後できるだけ早くすべての機関を、認定された施設のチェックをしたいというふうに考えております。  今回の再停止を踏まえてどうするかということにつきましては、現段階ではアメリカ側の先ほど申し上げたような報告書を待っているという状況でございまして、その報告書を受け取った段階でどういうふうにこれから我々が作業をしていくかと。問題は、我々リスク管理機関としては報告書に基づくリスク評価を前提といたしまして、そしてさらに、国民信頼の回復、米国産に対する回復という観点からどういうふうにしていったらいいのか、あるいはどういうふうに情報をすべて公開を、できるだけ公開をしていったらいいのか等々についても当然考えていかなければならないというふうに考えておりますけれども、現時点アメリカのやっている作業、報告書が来る前の段階で具体的にどうこうということは現時点では、今考えておりません。
  26. 常田享詳

    常田享詳君 委員長ですね、これ消費者理解と協力がなければこの問題は、本当に不信が不信を招き、本当にこのことだけでなくて、食の安全、安心そのものの根底が揺らぐ問題でありますから、私は、答弁は要りませんけれども、アメリカ産の牛肉の再々輸入、再輸入をして再々輸入については、先ほど申し上げたように、日本側が四十施設すべてを査察して、そして安全だといった確認が取れたところから入れていくということだけは是非やっていただきたい。このことはしっかりアメリカともお話をしていただき、それがアメリカのためでもあるわけですし、これは消費者アメリカの肉買わないですよ、こんなもの。大臣も先般来おっしゃっていますけれども、本当にそのためにもしっかり査察を受けれるようにアメリカ側との話をいただきたいと思います。  時間がありませんので事務方に質問をさせていただきます。  今回の問題は、輸入再開後わずか一か月で日米で合意した条件が守られないものが輸出されるという極めて遺憾な事件であります。我が国消費者の食に対する信頼を著しく損なう深刻な問題であります。今回、アメリカルールを遵守しなかったことが直接の問題と考えますけれども、我が国政府の対応に問題はなかったのか、事務方としての所見を、もう時間余りありませんから、簡潔に述べてください。
  27. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 先ほどから大臣から御答弁申し上げましたように、まずこの輸出プログラムが守られるということがアメリカの責任において行われなきゃならないというのは、これは大前提でございますけれども、一方、我が国といたしましても、この輸出プログラムが守られているかどうかということは念のための措置としましてアメリカに行ってきちっと見てこようと。それも第一回目は十一か所でしたけれども、これは十二月十二日の再開の際に全施設を対象にできるだけ早くこの査察をしたいということは既にもう公表もしていたわけでございます。  そういった形で、一つは、日本側としても査察をしてこのシステムがきちっと有効に働いているかどうかということを確認していくということが一つの務めとしてやっていくつもりでございまして、またもう一つは、水際におきまして実際にこの輸入検疫をいたします際にも体制を強化し、またサンプルの取り方もより拡充をするというふうなことでこれまで対応いたしてきたところでございます。何よりも国民の方々の食の安全、安心を確保するためにリスク管理機関としての、行政機関としての務め、これを私どもきちっと果たしてきておりますし、これからもその大事な点は守っていきたいというふうに思っております。
  28. 常田享詳

    常田享詳君 ちょっと歯の治療をしているものですから空気が抜けるんで聞き取りにくいかと思います。お許しをいただきたいと思います。  今回の事案は私も写真を見ました。輸入が認められない背骨の混入が明らかな、信じられない、先ほども申し上げましたけれども、信じられないケースであります。  このように明らかな条件違反牛肉米国の検査官の検査を経ても輸入されてしまうというのは一体なぜなんだと。米国側我が国消費者にきちんとこのことを立証する責任があると思います。このような問題が二度と起こらないよう米国に対し徹底的に原因分析と再発防止を求めていくということが大切だと思います。これはいつごろ、どのような形でアメリカから、求めておられると思いますけれども、どのような形で回答が来るのか、明確にしていただきたい。
  29. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) いつごろと言われますと、先ほど申し上げたように、アメリカ側は早期に輸入再開をしたいと思っているんでしょう、最初のうちはそれを明言されておりましたけれども、それが消費者日本消費者皆様方に対して逆効果でありますよということを私から申し上げて、急がば回れということを申し上げました。最近は決して急ぐというか、いついつまでにとかいうことはもう言いませんと、それよりも徹底的に、ジョハンズ農務長官が陣頭指揮を取って責任を持って徹底的にやると、中身の問題であるということをしきりに私にも約束をしておりますので、我々としてももちろん拙速にとか、いついつまでにということは毛頭申し上げておりませんし、アメリカ側も同じ考えになっておりますので、むしろ時期という問題よりも中身の問題としてアメリカ側がきちっとしたものを出してくることを我々は待っているという状況でございます。
  30. 常田享詳

    常田享詳君 きちんとしたものをできるだけ早く出してもらうべく交渉していただきたい。  次に、今回の背骨の入った牛肉でありますけれども、動物検疫所の水際の検査で幸い発見されたわけであります。我が国の検疫制度が有効に機能していたということだろうと思いますが、すべてを検査しているわけではないわけであります。見落としていたおそれもあります。米国において輸出プログラムの遵守が責任を持ってなされることはもちろんでありますけれども、我が国への安全な牛肉輸入に万全を期すためには、輸入に当たって検査体制をより一層強化する必要があるというふうに思いますが、この強化方針、簡単に。
  31. 中川坦

    政府参考人中川坦君) まず、今回の米国からの輸入再開に当たりまして、私ども動物検疫所の方の検疫のやり方についてもより徹底したものに切り替えたわけでございます。  一つ例で申し上げますけれども、そのサンプルの取り方にしましても、従来は六割、輸入申請の六割というものの中から抽出をいたしておりましたのを、まずは申請件数全体を対象にしまして、かつまたいろんな部位があれば、そのいろんな部位ごとに最低一箱はきちっと開けて見るというふうな形で輸入検疫の中身を非常に濃いものにして万全を期すようにしてきたわけでございます。  これからどうするかという点につきましては、これはアメリカ側の今回の原因究明とも関連いたしますので、今具体的なことはお答えいたしかねますけれども、輸入検疫が検疫の在り方といたしまして、私どもとしては常に最善の体制でできるように、そういった心構えで検討していきたいというふうに思っております。
  32. 常田享詳

    常田享詳君 簡潔に。
  33. 松本義幸

    政府参考人松本義幸君) 輸出プログラムの遵守は米国政府の責任において行われるべきものでございますけれども、厚生労働省検疫所におきましても、全国で三百名の食品衛生監視員を配置いたしまして、十二月十二日の輸入再開後、全ロットを対象に一定数を抽出し、開梱してSRMの混入等について確認を行うなど、輸入牛肉の検査体制の強化をしたところであります。これは、十四年に中国から冷凍ホウレンソウの問題がございましたけれども、そのときのレベルまで上げたということでございます。  今後の対応につきましては、現在、米国に対しまして徹底した原因究明と再発防止策を求めているところであり、その報告を見て判断することになりますが、検疫所におきます食品衛生監視員につきましては、来年度に十四人を増員するなど引き続き検査体制の強化に努めてまいりたいと考えております。
  34. 常田享詳

    常田享詳君 このこと更に言いませんけれども、動植物の検疫について、私のところに例えば二十世紀ナシを海外に売ろうと思えば向こうは来ますよ。毎年来て調べていくし、向こう入れるときでももう本当に難癖じゃないかと思うようなことまで言って厳しくやるわけでありまして、日本もそれぞれ頑張っていただいておりますけれども、更に一層そういった点に対する取組を強化していただきたい。  それから、二年ぶりに再開された米国牛肉輸入でありますけれども、今後の輸入を見越して計画を立てていた業者の方々も多いだろうと思います。しかしながら、輸入再開後約一か月で再び停止となりました。米国牛肉を扱っている業者の商売上の損失は少なくないと推察されます。米国牛肉輸入停止による食肉業界への影響及び対策。そしてもう一点は、通関できずに千三百八十トンのアメリカ牛肉が今まだとどめおかれているわけですね。これは期限が切れているわけでもない。向こうに送り返せば、向こうがまた買い戻してくれれば向こうで消費される。もったいないという今話もあるわけですけれども、これは正に日本の商社には何の責任もないわけでありますから、しっかりアメリカ側にこれを買い戻してもらうということが私は筋だと思いますけれども、民間と民間の間ではそういう話合いが行われているようでありますが、政府としても、この辺りのことをアメリカに、やっぱり期限切れにならないまでに買い戻してもらうということを当然要求すべきだと思いますが、いかがでございましょうか。
  35. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私も今朝のニュースでそういう報道があるまで存じ上げませんでしたが、民間ベースといいましょうか、日本の民間とアメリカ政府等の間で交渉が行われているということでございます。  日本といたしましては、通関後で今自主的にストップしているもの、あるいは通関前でたまっているものについては、政府の立場としては、これは民間ベースの契約ベースの話でありますというふうに申し上げざるを得ないわけでございます。  ただし、それによって経営に支障を及ぼす場合には、例えば政府系金融機関のセーフティーネット貸付けとか、そういう制度を迅速に適用することは用意をしております。アメリカが政府に対して、報道によると、アメリカ側理解ができるという前提で議論をしているようでございますけれども、詳細については今把握中でございますけれども、今の先生の御指摘も踏まえて、どういうふうにしていったらいいのか、日本の業者が自らに責任のない形で損失を被っているわけでございますので、対応を考えていきたいというふうに考えております。
  36. 常田享詳

    常田享詳君 もう時間がありませんので質問はこれで終わりますけれども、最後に申し上げておきたいと思います。  私が存じ上げている限りでは、十月の末、石原事務次官の記者会見、また十一月一日の中川農林水産大臣の記者会見においても、明確なこの米国牛肉に対する査察等に対する見解が述べられております。ところが、輸入再開が決まった途端にばたばたっとなって、この間のような報告書ですか、あの例の答弁書。ところが、あれ、答弁書、私の聞いておるところでは厚生労働省が書いたということでありますが、今申し上げた農林水産省の見解とそういったこととがきっちり農林水産省と厚生労働省の間ですり合わせてああいう答弁書が書かれたのかどうか、私は首をかしげるところがあります。  こういった問題は後ほど出ると思いますのでこれでやりませんが、とにかく緩みとか油断とか、それから物事というのはやっぱり最後のところの詰めが大事なわけでありますから、事務方の、特に事務方の方たちの、農林水産省、厚生労働省、やはりそれぞれが責任をなすり付けるのじゃなくて、日ごろから情報を共有して、しっかり緊張感を持って取り組んでいただきたい、このことをお願いして、質問を終わります。  以上です。
  37. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 民主党・新緑風会の和田ひろ子でございます。どうぞよろしくお願いします。  早速、BSEの問題について質問をしたいと思います。  再開されたアメリカ産の牛肉は、再開のための重要である、今も質問に出ましたが、日本向け牛肉プログラムの遵守をされなかったということで、もう本当に私は残念です。再開されてからまだ一か月余りですからね。こんなところでこんなことが起こってしまうということが本当に、まあアメリカ日本もしっかりしないと、日本国民の命を守れない、そのことをしっかり考えてほしい。政治の中の問題ではない、貿易の問題ではない、日本国民の命ですから。そして、それを食べてすぐに発症でもすれば分かるけど、十年たって、十五年たたないと発症しない、これは大変な問題ですから、是非真剣に考えていただきたいと思います。  今の常田さんの質問の中にもありましたが、決定されてから四日間で決まってしまったという、本当にそんなことがあっていいのかなって思いきや、アメリカでは、十二日に日本が解禁をしていいという判断を出した後、アメリカの業者の皆さんは、こうずっと三十八社、四十社だったんだけど二社はもう消えてしまってないんですが、もらっているのがもう十二月の十三日、十三日、十二日、十二日、十二日で、認証をいただいたところがたくさんあるんですよ。日本で四日間でよく決断したねというけど、一日で、その日のうちに、まあ一日時差があるとはいえ、本当に徹底したこのプログラムをその業者たちに言っているのか、また業者もその申請をどんな申請をしたのか、また政府はどんな認証をしてこんな早い決定になってしまうのか。特に、あの消えていった二社の皆さんというのは、もう今までこんな市場の中にも現れなかった、本当に小さい小さいところだった。そして、そこの検査官はそういうことを理解してなかったなんというコメントを出していますが、本当にこれは許せないことだというふうに思います。  日本が出した条件は、最低、きちんと何回も検証をしながらやっていくべきだというふうに思いますので、そういうことから質問をさせていただきます。  私は、一月二十九日から民主党から派遣をされて、アメリカのBSE対策はどんなふうになっているのか、今回、アメリカ政府の考え方とか対応とか、議員の皆さんはどういう思いでいるか。パッカー、小さい家族経営で畜産組合をつくってやっておられる日本向けの本当にまじめなパッカー、業者の皆さんとか、もう最大手で、日本を余りにもこう、何というか、日本をばかにした、そんなパッカーのところも見てきました。そういうアメリカの農務省と本当にこれ、ぐるになっているんじゃないかなと思うような。  例えば、小さなパッカーを見に行ったら、検査官と相談、話していいですかと言うと、農務省からやっちゃ駄目だと言われていますからやめてください、小さなところは言うんですね。大きいパッカーに行ったら、検査官と話してもいい、ああいいよみたいな。本当に、そこに行ったら農務省の人も、農務省の皆さんもそのパッカーにあるいは勤めているんじゃないかなと思うような、もう本当に何かなれ合い的な感じを受けましたので、本当にそういうことを言っていいかどうかは分かんないんですけれども、農務省の皆さんももっとしっかりしないと、日本向け牛肉は大変なことになるというふうに思います。  私は、ジョハンズ農務長官とかペン次官、そして上院の農林、こういう委員会委員長さん、下院の委員長さん、また先ほど言ったパッカーの人とか消費者の皆さんとかに会ってきました。しかし、そんな話合いの中でも、皆さん、衣の下からは経済制裁もありだよ、そういうことがちらちらのぞかれたので、私は本当に日本の置かれている立場が大変なものだなというふうには思ってきました。ジョハンズさんなんかはOIEの話を何回も出して、日本はOIEの言っていることと全然違うことをやっている。おれたちこそが、アメリカこそが科学的知見を持っているんだ、日本科学的知見でも何でもない、日本独自のことをただやっているだけじゃないか。そういう反省、このことに対しては大変申し訳なかったと言いながら、反省の気持ちは全然なかったなというふうに私は思います。  私たちからは、安全で安心な肉でないと消費者が絶対買わないんだから、科学的知見があっても、これは科学的に安心だよなんと言ったって、本当に安心であるか安全であるかは日本消費者が決めるんだから、もう思い直してほしい。そうすると、必ずアメリカが言う言葉は、日本は二十二頭ものBSEが出たけれどもアメリカは二頭だけ。その二頭のうち一頭はカナダ産なんだから、アメリカは一頭しか出ていない。必ず言います。そのとき私たちは必ず、日本は一〇〇%検査をして二十二頭です、アメリカは一億頭もいる牛を一%の検査で一頭しか出ない、日本の計算だと大体五百頭以上出ていい計算になるというふうに言って何回も応戦をしました。下院の農林水産委員会委員長さんなんかは、結局だれも食べなかったからいいんじゃないか、アメリカだって日本の自動車がハンドル一つ、ブレーキ一つ違っていたからって自動車全体を止めるようなことをしていないんだから日本もそんなこと言ってほしくない、もうけんかになるほど、机の上に上がりたいほどの、そんな応戦をしてまいりました。  そういう中で、私は、先ほど行かれました厚生労働省、農林省の皆さんの経過の報告、査察をされておられた結果もあります。ただ、農林省の皆さん、厚生省の皆さんが行かれたところには私たちが行かなかったので、結局全部が同じことをやっているというふうには思いませんけれども、皆さんが行ってこられた限りで危険部位の除去、これで正しかったというふうに思いますか。
  38. 松本義幸

    政府参考人松本義幸君) 米国における日本向け牛肉輸出認定施設の査察につきましては、十二月の十三日から二十四日までの間、厚生労働省及び農林水産省の担当官を派遣しまして、米国政府が認定した施設のうち十一施設につきまして、日本向け輸出プログラムがシステムとして機能しているかどうかを確認、検証をするために実施いたしました。  その結果、昨年の十二月二十六日、査察施設における輸出プログラムのシステムについては特段問題がなかったとの査察結果を公表したところでありますが、継続的に適正なシステムの稼働を確保するため対日輸出用の部分肉処理作業作業開始時に実施するということ、二番目として、SRMの処理に当たっての留意事項についても品質マニュアルに明記することということについて米国政府が指導するということで申し入れてきたところでございます。  いずれにしましても、輸出プログラムの遵守の確保につきましては、日米で合意いたしました輸入条件を満たしている旨の衛生証明書を発行している米国政府の責任において行われるものであるという具合に考えております。
  39. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 米国政府が認証している。この間、成田に来た肉にもちゃんと遵守をしているという証明も付いていましたよね。  そういうことで、私は、私が見てきた屠畜場、パッカーのところの話をちょっとさせていただきたいと思います。  日本は、脊髄から髄を取るときに吸引方式で取るんですね、まだ背割りをしないところで。だから、もし、まあ、そういうふうにしても神経節とかは骨に入ってくるのでそれでも残るというふうに一緒に行った岡本ドクターは言っていましたけれども、衆議院議員ですが。アメリカは背割りをした後にかき出すんですね。そのかき出す方法も案外稚拙で、もうぽろぽろぽろぽろ、もう床にべたべた落ちているんですね。それで、その流れているところを見ると、まだ残っているなって岡本さんも言っていました。  そして、その手順というのは、日本はあそこの、東京は四百頭の牛肉を処理するんですが、四千頭の牛肉を処理します。だから、レーンというのはもう何秒間にもずっと流れてきていて、そこでぱりりぱりりって取るんだけど、それは取れているというふうには思いませんよ。それで、もう流れてくる中、私たち、肉、もうくぐり抜けながら見てきたんですが、まず残っている。  その次に、熱のシャワーを浴びるんですけれども、そのシャワーはその背骨のところに集中的に当たるというシャワーではないんですね。この肉に対して何ガロンの水を、シャワーを浴びていると言うけれども、ミストの中にその肉が入っていく。それはHACCPの何かの工程の一つにしか思えない。脊髄の残りをきちんと洗い流す、もしかして飛散している肉を必ず洗うという段階ではないんですよ。ただ、ただただ四秒か六秒の間にだらだらだらだら流れていくだけだから、それは絶対にあそこは残っている。もし、それがBSEの肉だったら飛散するのはもう当然だというふうに思ってきました。  そして、腸を取ると牛の、牛の内臓って、もう本当にびっくりしましたけれども、物すごい大きい。こんな大きな胃袋がぼろんと出てくるんですね。それで、腸、肝臓、肝臓も白い膜がかぶっていて、ひゅうっとやると赤い肝臓がぺろっと出てくるんですけれども、それは本当に、枝肉のところをぐるっと回っている、その隣で、テーブルでやっているんです。そのテーブルに牛の肝臓が全部出てくるんです。だから、牛と肝臓は全然違う場所、違う、耳標も何にも付いていない肝臓が流れてきます。それで、腸も一緒にしているから、もう腸は大便が入っているからもうここ臭いんですよ。ここ、レーンが流れているところ、私たち見てきましたが、もう本当に大便が臭くて、もう鼻つまむぐらいなんです。そこで腸も胃袋も、日本人が大好きな胃袋も腸も同じところでやっています。もしかして大便の飛散はないのかなというふうに思いました。そういうところだったんです。日本の皆さんがどんなところを見てこられたかは分かりませんが、そういう状況です。  タンは、もう皮をむかれた頭と一緒にタンが流れてきます。それで、扁桃部分をぷるっぷるっと簡単に切って、扁桃のどういう部分に何が残っているかなんということを全然考えはなしにもう切って、タンによってはいろんなタンがあると思うんだけど、そういうことも全然関係なし、ただ頭だけは今度は歯の検査のところに行くんですね。その歯の検査官一人なんですが、それは交代制かもしれないけど、四千頭の歯の検査するんですよ、一日に。私はちょっと行けなかったんですが、頭をぐっと上げて歯を全部出す。その歯の検査も、後で消費者団体の人が言っていたけど、歯は大人になるまで摩耗して小さくなるということなんだけど、もうある検査官は、この歯は小さいから子供の歯だと。だから、そんな、言っていることがもう全然分かっていない。マニュアルもちゃんとしていない。そういう状況の中で、本当に二十か月以下なんて何で分かるんだろうと思います。  二十か月以下を分かる方法は、肉質の中では枝肉のところを切って、腰椎と脊椎と仙骨を調べて、そして肉質を見て、肉の色を見て分かるというんですが、肉の色なんて分かるはずない。じゃ、ここの中で、このずっとレーンの中で四十か月以下ありますかと言ったら、さあ今日はないんじゃないかなという感じで、もうこれがそうだ、これは何だなんて分かるはずないです。ああいう中で、二十か月以下のA40をきちんとこれで六秒間の間にだれが、仙骨、腰骨、そして、仙骨だよね、そういうものを見て、そして肉質を見るなんて本当できるわけないな。去年見てきた、別な施設を見てきた人は、もしやるとすれば検査官は倍か三倍いないと分からないと言っていたそうですが、そのパッカーは別に検査官は増えたわけではないと言っていました。  私たちは、そんな中で本当に、こんな検査で日本人いいのという感じなんですが、本当に厚生省で見ておられたんではないんですが、聞いてこられたというふうに思いますが、そういう現場を本当に見てこられたんでしょうか。
  40. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 全体としての今回の農林水産省と厚生労働省が合同で行いました現地査察のポイントということで申し上げます。  今回、先ほど申し上げましたように、十一か所の施設で査察を行ったわけでありますけれども、まず、それぞれのところ、基本的に一施設について一日を十分フルに費やしております。  で、最初にEVプログラム、輸出プログラムに沿って、それぞれの工程がきちっと行われなければなりませんから、まずはそれぞれの工場ごとにEVプログラムに沿ったどういう書類が手順として、その書類となって整備されているかということ。それからまた、誤りがあったときに、それをきちっと見付けるための内部の監査のシステムがきちっとできているかどうか、こういった点がそのマニュアルとして、きちっとした文書化された形で整備されているということがまず第一でございます。ですから、その点について、現場に入る前にそういった書面が、書類がきちっと備えられているかどうかということをまずチェックをいたしました。その後に、今度は現場に入りまして、牛が屠場に入ってくるところから屠殺のいろんな過程、そして最後にその製品となって、肉になって出荷をされる、それまでの全体の過程を目の前できちっと確認をしたということでございます。  先ほど先生が月齢確認のことを例に挙げまして、歯で見るという、これは三十か月ということで区分する場合が一般的な手法になっておりますけれども、日本の場合は二十か月以下でなければなりません。そのために、一つは生産記録でもってきちっと二十か月以下、何月何日生まれかどうかということのその書面で確認をするということ、その方法が一つですが、もう一つの方法として挙げられましたA40と、格付の一つの基準を使うということでございます。  で、この点については、まず日本輸出される可能性のある枝肉についてはJマーク、まあ日本の頭文字Jを、マークを押して、そして通常のラインとは別に分けて、そこでA40の基準であります腰椎の棘突起という先端部分の軟骨が骨化、骨、本当の骨に変わっていくその程度、それから、おっしゃった肉の色などを見て、これがA40になっているかどうか、A40またそれ以下であるかどうかということを確認します。  で、これは見てきた、査察をした人間から聞きますと、通常のラインで流れているときはまあ六秒ぐらいでそういう格付をするけれども、日本向けのものは別のところに移して、もう少し時間を掛けて、三十秒ぐらいというふうなことも聞いておりますが、要は丁寧にそこは確認をすると。しかも、その確認したことを記録に残すというのが輸出プログラムの中での条件でございます。ですから、こういうあらかじめ定められた条件については、十一施設について全部確認をしまして、そして特段問題のあることはなかったというのは、今回、少なくとも十一の施設についての査察の結果でございます。
  41. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 私も同じところを見たわけでないから、あくまでも私、違うとは言えません。いろんなパッカーがあって、その工場。でも、それもおかしいんですよね。本当は同じ基準にしていただかないと日本では安心できないわけですから、皆さんがお出しになったこの結果の報告はおいでになった方の報告ですから、それはそれとして、私の報告ということでさせていただくとすれば、もう恐らく危険部位の除去には、もう完全に疑わしいところがある。  A40の見定めの仕方についても本当に分からない。もしA40、耳標のある、耳標が付いている、その記録があるのはどのくらいと。四千頭処理しているところでも一〇%から一二%と言っていましたから、本当に、その日のうちに、まあ二十か月以下が来る牛というのは本当に分かんない。そうすると、格付官がA40を格付しなければいけない。日本向けのは、アメリカ産がやる前に日本向けのだけやる。レーンが変わっているわけじゃないから、この中に、五十の中に一つ入るわけにはいかないから、日本向けには最初にやるっていうことを言って、ちょっと疑わしいなと思ったんですが。そしてまあ、その違う場所に移すという、どういう場所があるんですかと。今使ってないところがあるから、そこに移すんだよというふうに言っていましたから、それが必ずしも信用のできる言葉だとは私は思っていませんでした。  そして、トラックの中に、三十頭、三十五頭くらいの入るトラックが来て一つの区分をするんだけど、その中で獣医が見て、もしへたれているような牛は見付けるのかと言ったら、見付けます。ただ、三十頭もぎゅうぎゅう押されてきていて、足が痛かったり、もうだれかに押されたりして、よたよたする牛とか必ずいるんじゃないかと思うんだけど、全然そんなものはいない、もう健康な牛だけ入ってくるから大丈夫だなんというふうに言ってました。健康だとしても、そういう、こんななっているんじゃないか、こんななっているのとまた健康な牛と、足が痛かったりする牛の区別なんて獣医さんにどういうふうに分かるのかなという思いがしました。  そういう中で、もう査察中にもし改善する、改善してほしいなんというところは一か所もなかったんですか。
  42. 松本義幸

    政府参考人松本義幸君) 先ほど申し上げましたが、議員御指摘のように、その処理をするときに、その施設によっては、日本向けのやつを施業開始のときにやるところと、間を空けて、国内向けと間を空けて日本向けというところもありました。そういうところについては、やはりその時間帯がばらばらになって危ないということで、それは施業時、日本向けについては施業の始めにやるように指導してくれということで申し入れてあります。  また、もう一つ、特定危険部位につきましては、腸とか扁桃につきましては、全月齢、アメリカは除いておりますけれども、日本では全月齢から除いております、SRMは。アメリカの場合は、脊髄だとか、そういうのだとかは三十月以上ということで差があります。そこのところで、認識が定義だけではいかぬと、そういうのをきちっとマニュアルに明記しているようにということで申し入れました。  それにつきましては、米国政府が指導するということで、十二月三十日に米国農務省の方から各施設の方に指導通知が出されたという具合に聞いております。ですから、視察の結果、そういう改善点については申し入れてきて、一応通知は出されたというところまでは確認しております。
  43. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 日本向け輸出プログラムの中では、特定危険部位、SRMはあらゆる月齢から除去するということですから、そういうことに対しておかしかった指摘がなかった、指摘がないとすれば、今回いろんな事件があって、今回、その後で見に行かれて、もし、私の話なども聞かれて、もし私と同じところに見に行かれたら、ちょっとした間違いというか、疑わしいものがあったらそのパッカーは駄目にするとか、もう絶対に改善するまでは日本によこさないとかと、そういうことはできますか。
  44. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 査察は日本からもやりますし、それからEVプログラムの認定を受けている工場に対しましては、アメリカ農務省も定期的、通常年二回ですけれども、査察を行っております。  それで、今、日本が査察をしている過程で重大な違反を見付けた場合ということでのお尋ねというふうに理解いたしますが、日本が査察をしているところで重大な違反を見付けた場合には、それは当然アメリカ農務省にまず通報いたします。で、アメリカ農務省は、一つは直ちに輸出証明書の発行を止めます。まず輸出証明書の発行を止めます。それから、重大な違反の場合には、輸出証明プログラムの認定を受けている事業者のリストというのがあります。今はそれが三十八の事業者の名前が載っているわけですが、その事業者のリストから落ちます。実質的に認定の取消しということになります。ですから、重大な違反であれば、日本の査察中にそういったことを発見した場合、それはこういった工場の認定取消しということが通常行われると想定をしております。
  45. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 最初に私がお会いした副社長さんというのは、小さい家族経営で、その人たちが何人も集まって組合をつくって、日本向け牛肉を作りたいんだ、日本向けの牛を育てているんだ、もう日本が買手なんだから日本が言うことは何でもする、耳標も付けましょう、そして全頭検査だってしましょう、そういうところも、認定の中にはないんですけど、そういう人たちも、真面目な、日本に本当に輸出したいという人もいらっしゃいます。そして、私が行った中ぐらいの、まあ名前は出しませんけれども、そういうところは日本向けのために全頭検査の検査室まで五百ドル使って造ったんだけど、その造った検査で全頭検査するよと言うと農務省は認可をしない、そういうことがあるんです。  それで、私は下院の委員長に、日本向けのために全頭検査もしましょう、耳標も付けましょう、ちゃんとトレーサビリティーもしましょうというところがあるのに、何で農務省は許可しないんだと。そうしたら、日本向けにそんなことをしたら一億頭全部やらなくちゃいけないんだよなんて。だってアメリカの人はそんなこと必要ないって言っているんだから、やろうとする人のところはやってくれてもいいんじゃないですかと言っても、そういう答えは返ってきませんでした。日本向けに一生懸命に努力をしよう、そういう人に、日本はそういうところに行ってあなたの肉欲しいということは言えないんですか。
  46. 中川坦

    政府参考人中川坦君) まず、BSEが発生したアメリカからの牛肉がどういう条件で輸入できるかというのは、一定のリスク評価をして、そして再開かどうかということを決めるべきものでございます。これは科学に基づいてリスク管理をしていくという上での当然の手順ということになるわけでございます。  それで、今回、アメリカ及びカナダから牛肉輸入をするに際しまして、通常のアメリカやカナダで行われている措置に一定の上乗せの措置を加えて、そうした上乗せ措置を加えたその肉が入ってくる場合と、それから日本で現に流通している肉との間でBSEのリスクの差はどうでしょうかということで食品安全委員会に諮問をしたわけでございます。そこから後の経過は細かく申し上げませんけれども、そういった措置をした場合にはリスクの差は非常に小さいというリスク評価の結果を踏まえまして、昨年の十二月十二日に輸入再開をいたしました。  したがいまして、基本的にBSEの発生国からの輸入を行います場合には、食品安全委員会でまずリスク評価をしていただくというのが必要な手順だというふうに思っております。  それから、アメリカでBSEの検査をするかどうかという話、それを認めるかどうかという話は、一に掛かってアメリカ政府の判断でございます。民間の企業がBSEの検査をしたから、その結果はどうであったからといって日本輸入申請をされましても、そのことをもって日本の行政当局として認めることは適当でないというふうに思っております。
  47. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 日本が解禁したと同時に日本牛肉を調べるアメリカは、検査官を派遣して、指定業者を決めて、そして持っていくわけですから、そんなことを私たちはきちんとアメリカ政府に、こんなふうにやってくれるところもあるんだから、ここを認証しなさいと言うことぐらいできる、買手なんですから。私たちが消費者なんですから、そのぐらいを言える日本でなければ私たちは日本国民の命は守れないというふうに思いますが。  私、本当に時間がなくなるのであれなんですけれども、最後に消費者団体の人に会いました。消費者団体の人のところに、アメリカの検査官ですね、農務省の検査官が物すごい、千三百以上の告発文を送ってるんですね。そして、自分たちが検査をしたこの牛はここが検査の方法が間違っている、ここは違うよと言うと、パッカーが、あんたたちがそんなことを言う権利はないんだから、あんたたちが言うことではないんだから、あんたたちの言うことなんか聞かないと言うらしくて、その検査官は、もうそういうことを、検査官が駄目だって、この牛は違っている、この検査は間違っているというふうに書かれたその文章をこの消費者団体の人が見た結果、千三百のうちいろいろ重複していたり間違っていたりするのがあって、八百二十九件あったそうです。その八百二十九件の中のところを全部見てみると、本当にアメリカ牛肉の検査の方法は我がアメリカ国民が食べる牛肉の検査の方法でもないというふうに言っています。HACCPに抵触することもたくさんあるし、もう本当にこんな肉をアメリカ人が食べなければいけないということに本当に危惧を感じているというふうなその方たちもいました。  でも、それは今提訴中であるので私はあえて質問はしませんけれども、その検査官ですらアメリカの肉の検査の方法が違っているということをきちんと記録に残し、その記録さえも農務省は取り上げない。そういう農務省の判断を、もう日本農水省はすばらしい判断をされておられますから、きちんと言えるような立場になってほしいなという思いがいたします。  もう質問の最後になりますけれども、大臣は、今私が危険部位の除去とか、A40の検査の仕方とか、農務省から派遣されている検査官がきちんと指摘をしていることを農務省は取り上げないとか、せっかくやろうとする全頭検査さえ認めない、そういう農務省の皆さんと、日本国民の命、そのことを考えて、今後日本の国がアメリカから輸入する肉、そして今の調査アメリカに任せるだけではなくて、日本もきちんと行って査察をしなければいけない、そういうことを踏まえてどういうお考えか、お知らせください。
  48. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 和田委員におかれましては、今回の一月二十日の出来事、事件発生直後にアメリカに行かれまして、本当に広範囲にわたって調査されて、ハードスケジュールで、昨日お帰りになったと聞いておりますけれども、本当に御苦労さまでございます。また、貴重なお話の一端を聞かしていただきまして、大変参考になった次第でございます。  私も、率直に言って、そもそもアメリカ日本ではシステムも違いますし、極端に言うと食文化も違うわけでございますし、それから牛肉についても考え方が違うわけでございます。とりわけBSE発生後の牛肉。  去年の一月に、私、アメリカに行きました。つまり、発生が発表されてまだ十日ぐらいしかたってないときにワシントン行ったんですけれども、向こう側がごちそうしてくれるものは全部牛肉でございまして、これは嫌みかなと初め思ったんですけれども、全然嫌みじゃないんですね。ほかのレストランの人たちももう平気で食べていると。日本の場合には、二〇〇一年のときに瞬間的にもうごんと、当時アメリカは清浄国でしたから、米国牛肉も含めて日本消費者の消費というのは落ち込んだんですけれども。要するに、アメリカ日本ではシステムも、それから感情も文化も違うわけであります。  そういう中で、アメリカ日本に対して十二月十二日の時点の再開、あるいは今後、先方が再開を望んでいるとするならば、やはり買う側の立場というものを十分配慮をしなければいけない。仮にルールどおりであっても、先ほど常田委員にも申し上げましたけれども、消費者は買わなければ結局売れない、つまり輸出できないということになるわけでございますから、だから私は急がば回れということをアドバイス的に申し上げているわけでございます。  安全であるということを日本側が仮に認定したとしても、日本消費者は、やっぱり危ない、食べたくない、それよりはほかのものをと、国産和牛ということであれば農政上は大変結構なことになるわけでございますけれども、これがまたほかの食に行ったりすることも、我々としては、再開に当たっては、再開する場合にはですよ、そういうところも十分、消費者の意識というものも念頭に入れて、きちっとした情報公開の上で御判断をいただけるようにしたいと思っております。  システムそのもの信頼性が損なわれていないというのが私の考え方であり、また日本側の与えられている義務、この輸出再開ルールというのはアメリカ側の義務と日本側が果たすべき義務と両方あるわけでございますけれども、日本側としては水際で発見ができたということでありますし、一月二十三日付けをもって厚生労働省を中心に、国内に既に流通しているものについてももう一度点検をしてくださいと、それから危険部位にかかわる部位については販売を差し控えてください、それから、調査をやっておりますから、その調査結果を早めに出してくださいというようなことを厚労省の方から言っているところでございまして、一層、今、日本側も、国内での安全性確保のためのレベルアップをした状態にあるわけでございます。  アメリカ側の、今、和田委員の御指摘の中で、アメリカ側だけに何か今回のことを任せていないでという御指摘がありましたが、決して日本は、アメリカ側だけに任せて、アメリカの報告書が来たらぱらぱらとめくって、これは問題がないぞということでオーケーと、そんなに単純に物事をとらえてはおりません。日本側としても、今回のことで、二度とこういうことが発生しないようにということのために、日本としてやるべきことが多分これから出てくるんだろうと思います。  日本としてもやるべきことがあれば当然これからやっていかなければなりませんけれども、現時点においては、発生原因、それからアメリカ側がこのEVプログラムがきちっと実行できるようにするためにこれからどういうふうな修正、改善をしていくのかというのを現時点では待っているわけでございますけれども、その報告書が来た段階では、こんな報告書じゃ駄目だよとか、あるいはこういう報告書が来たからには日本の我々リスク管理機関としてもこういうような対応が必要ですねということが出てくるかもしれませんので、今の時点ではアメリカ側作業を待っている段階でございますけれども、トータルとしては、日本日本としてもやるべきことは今後いろいろと出てくるであろうということは十分予想されることじゃないかというふうに思っております。
  49. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 最後に、質問ではありませんが、アメリカは単なる、今のミスはもう本当の事務的なミスでしかないから、もうこんなことは本当に何でもないことなんだということだけなんですね。反省の色は全然ないなというふうに思いますから、しっかり見ていただきたいというふうに思うことと、また、アメリカというのは、O157で五千人も死んでいるんですね。BSEで死んでいるということはないというふうに言っているとすれば、もう考え方が全然違うんですよ。HACCPの例をきちんと見るとか、そういうことには神経を使っている。公衆衛生なんて日本から比べれば本当に低いというふうに思います。そういう意味では、日本はO157なんて本当に大変なあれなんだけれども、何千人も死んでいるんだから、そんな中でBSEがヤコブ病の、ヤコブ病で死んだ人の統計は取っていないなんという国の肉を私たちは輸入しなければいけないということをきちんと踏まえていただいて、皆さんの奮闘を祈って、質問を終わります。
  50. 松下新平

    松下新平君 民主党・新緑風会の松下新平です。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、国会の冒頭ですけれども、BSEの集中審議ということで、この参議院の農林水産委員会において開催していただきました。委員長始め理事の、関係の皆さんに心から感謝と敬意を表する次第であります。  私も国会に参りまして一年半余りでございますけれども、このBSE問題は当初からこの委員会でもたびあるごとに取り上げてまいりました。米国でBSEが発生してから輸入を停止して二年間、それぞれ所管の農林水産省あるいは厚生労働省、食品安全委員会、皆さんですね、実にこう、人員も要りましたし膨大な時間をお掛けして、御尽力をいただいております。もちろん、生産者の皆さん、消費者の皆さんも大変心配をされておりまして、皆さんの声も反映して何とか輸入再開にこぎ着けたわけであります。しかし、ほっとしていたところの一月二十日、輸入再開からたった一か月ですけれども、今回の脊柱混入が発覚いたしまして、直ちに再び輸入停止となったわけであります。関係される皆さんにおきましては、先ほど中川大臣もおっしゃられましたけれども、大変憤りを感じられて困惑をされているのはお察しするものであります。  しかし、今回の事件の発生前から、私たちはこういう危険性があるということを度々申し上げてまいりました。また、今回の事件が発生して、日米間の貿易の関係、あるいは日本の関係される業界の方ですね、にも膨大な損失あるいは大変な影響を与えております。そして、何よりも日本人の健康、命にかかわることであります。単にアメリカのせいにするだけではなくて、重く受け止めることが必要だと感じております。  民主党の家西悟参議院議員が、大概のことは後で取り返しが付く、フォローできると、しかし命にかかわることは取り返しが付かないんだと、だから政治がしっかり責任を持って対処していかなければならないと、外交も難しいことはあることは承知しておりますけれども、命にかかわることは政治家がしっかり守っていかなければならないとおっしゃったことが胸に残っております。私もそういう観点からこのBSE問題、一貫して取り組んでまいっております。そういった意味も込めて質問をさしていただきますので、中川大臣には初めての質問になりますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。  今ほどは和田ひろ子議員が、現地での詳しいお話をいただきました。私も、昨年七月ですけれども、農学博士、前衆議院議員の鮫島宗明先生と一緒にカナダと米国のパッカーなどの視察を行ってまいりました。和田先生からお話がありましたように、私も率直にこの認識の違い、アメリカ日本認識の違いを感じております。一月二十六日でしたけれども、日米友好議員連盟の会合でJ・トーマス・シーファー駐日米国大使がスピーチをされました。ちょうどこの発生してからすぐの会合であったということもありますけれども、冒頭に、大変恥ずかしいことだ、申し訳ない、すぐに原因究明をして報告をしたいと、それはもう平謝りでした。しかし、いろいろほかから聞こえてくることは、交通事故と比較したり、あるいは自動車の欠陥部品の例えを出したり、実際いろいろ視察された方から聞きますと、米国の基準が国際基準だ、科学的であるんだ、日本の方が間違っているんだと、そういった指摘もされているわけであります。私は、そういった言葉からも、米国側がこういうことを真剣に考えているかどうかというのは甚だ疑問なわけです。  先ほど中川大臣もおっしゃられましたけれども、このような状態であることは日本政府も認識されていたはずであります。ですから、日本政府はアメリカの問題であって日本側に責任はないんだと答弁されておりますけれども、今回の事例は、事前に査察をしっかりして、査察して合格したものから輸入を開始していれば防げたはずであります。先ほど急がば回れという表現をされましたけれども、正に事前に査察をしていることが急がば回れだったんじゃないかなと思います。もちろん、一義的には米国政府の責任であります。しかし、当然その査察の判断をした日本政府にも責任があると言わざるを得ません。国民の皆さんに今回のこといろいろお聞きしましても、やはり何で輸入再開する前に査察でしっかりした後に輸入再開をしなかったかという声がたくさん出ております。オレンジの自由化のときもそうでした。やっぱり日本政府は外圧に、アメリカに押されっ放しだと、腰抜けではないか、たくさん声が出ております。  そこで、私は一月三十日に作成されました政府統一見解についてお伺いいたします。皆さんにお手元に資料を配らせていただきましたので、ごらんいただきたいと思います。  先ほど申し上げましたように、私たちは米国側の管理が余りにもずさんであることを指摘しておりましたので、昨年十月二十八日ですけれども、民主党の川内博史衆議院議員が質問主意書を提出しております。  この内容は、簡単に申し上げますと、この質問主意書の要約をいたしますと、輸出再開以前にしっかり検査をすべきだと、具体的に項目を出してそのことについての見解を求めたものであります。それに対して、この一枚目の下の方ですけれども、十一月十八日に答弁書が出されております。これは閣議決定されたものです。読み上げませんけれども、このときには、要約しますと、輸入再開前、そして輸入再開後にしっかり現地調査を実施する必要があるとはっきり述べられているわけであります。ところが、実際は担当官を派遣して調査をしている間にどんどんと牛肉輸入始められています。  衆議院の予算委員会におきまして、民主党の松野議員が閣議決定されている答弁書どおりに守られていないのではないかと追及しますと、中川農水大臣は、閣議決定どおりにしなかったことは申し訳ないと謝られました。ところが、大臣は、閣議で決められたことを破ったことは重大な責任問題であるので更に追及しましたところ、中川大臣は、閣議決定に違反したのではない、前に述べられたことを翻したのであります。予算委員会は紛糾いたしまして、二時間の休憩を挟んで、午後十時過ぎだったと思いますけれども、この政府統一見解が出されました。これがお配りしている上の抜粋であります。これは安倍官房長官が答弁をされております。  私は、この答弁書をじっくり読み返して大変疑問に思っているわけであります。紛糾して政府統一見解をばたばたと出された経緯がありますけれども、まず、この参議院については初めて取り上げましたので、その経緯についてちょっと簡単にお話をいただきたいと思います。
  51. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 何の経緯でございますか。
  52. 松下新平

    松下新平君 予算委員会で紛糾しましたよね。それで最終的に統一見解を出されたときの経緯です。大臣発言が変遷した経緯もお願いします。
  53. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今週の月曜日に衆議院の予算委員会におきまして民主党の松野委員からの御質問、この中で十一月、今、松下委員指摘の十一月十八日付で閣議決定された答弁書のペーパーが配られました。正確に言うと委員会開催前の理事会で配られたということでございますけれども、私の手元には委員会、松野委員の御質問のときにいただきまして、この答弁書の中に、今のいただいた資料にありますように、米国輸入牛肉等の輸入再開することになった場合には、輸入再開以前に、まずこの文書の読み方が私ちょっと大変苦労いたしまして、もちろん私も閣議でサインをしておりますからこの答弁書については承知をしておりますけれども、改めてその場で読み直しをいたしまして、これは、国会というのはある意味じゃ時間との闘いの場でもございますんで、さっと読んで、再開になった場合には、輸入再開以前にというのは、これどういうふうに理解をしていいんだろうと。  昨日御質問もございましたけれども、現在としては、これは輸入再開時にはというのは輸入再開決定時にはと読み、輸入再開以前にというのは輸入が、実際に日本輸入されるときまで、物が入ってくるまでの間と、そういうタイムラグを考えないとこの文書は読めないのではないかと今となっては思っておりますけれども、そういう疑問を持ちながら松野委員との質疑をさせていただいたわけでございます。この再開以前に、また、云々とありまして、担当官をアメリカに派遣をしということでございまして、これについては現にまあやっていなかったということでございましたので、その時点では私としては、これはこの文言どおりではないというふうに判断をいたしました。  そこで、ここで松野委員から、大臣自ら閣議決定をお破りになったということを認められているわけですねという御質問に対して、私からは、お破りになったかどうか言葉の問題でございますけれども、閣議決定どおりにしなかったということでございますという答弁をいたしました。で、もう一度お願いしますということで、もう一度同じことを申し上げました。松野委員からは、これはどういう責任があるのかということは私もちょっと分からないんですけれども、ではなぜ閣議決定に従わなかったんですかという御質問がございまして、私からは、先ほど申し上げたように、閣議決定に書かれております部分を繰り返しまして、この文書と違うことを私が決定をいたしましたので、松野委員もどういう責任かなとおっしゃっておりましたけれども、私も自らどういう責任にしたらいいのかこれから考えてみたいと思いますと、このやり取りから紛糾をしたわけでございます。  私といたしましては、この時点で、とにかくこの質問書、それから答弁書の趣旨は共通をしておりまして、再開に当たって食の安全をいかに確保するかというのが川内議員の質問の趣旨であろうし、それから答弁書の方も、いかに再開に当たってこの米国牛肉安全性確保するかということが趣旨であろうというふうに考えておりました。それは今でも変わっておりません。  その後、まあああいう状態になりまして、いろいろと与野党の間、予算委員会等々で中断をしたわけでございますけれども、最終的には政府統一見解という形でそういう考え方、認識というものを示したものであって、こういうふうにしますという文言ではないんだという政府統一見解になったわけでございます。当然これに私も拘束をされるわけでございます。  したがいまして、食の安全という観点、あるいはまた行為を行うか行わないかを表明したものではないという統一見解に違反をしたものではない、あくまでもそういう考え方であった。ただし、事情が、状況が変わったので、その考え方が変わったということである。じゃ、なぜ変わったのか。これについては後ほど御質問があるかもしれません。  しかし、いずれにしても、この閣議決定された重たい統一見解の文言の一部とはいえ状況が変わったという判断をしたことに対して、院に対して、あるいは院から出る元の質問者であります川内議員に対して状況が変わったということを政府として説明をしなかったということはこれは大変な申し訳ないことをしたということで、総理も、そして私自身も、あるいは川崎厚生労働大臣も、この状況が変わったことを院に御説明をしなかったということに関して大変に申し訳なく思っておりますということを申し上げて、そして当日の予算委員会が終了をしたということでございます。
  54. 松下新平

    松下新平君 説明は大変苦しいものだと推察いたします。実際、輸入再開前、そして輸入再開後にしっかり検査をすると。  ちょっと資料を見ていただきたいんですけれども、答弁書には御丁寧に、その四角で囲った下ですけれども、「具体的には」ということで、いろいろ現地の検査の方法等も書いてあるわけであります。ところが、この政府統一見解においては、この文言を、都合の悪いことはばっさり取って、最初の囲ったところだけを引用して、これが当時の認識だと、そしてこれは特定の行為をなすことではないと。ということは、特定の行為をなすことではないということは何もしないということなので、結局実効性が全くないということじゃないでしょうか。そのことはどうお考えでしょうか。
  55. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 特定の行為、つまりこれは何をやるかということを指したものではない。何をやりますと、いつどういう状況で何を目的にして何をやるかということを政府として決めたものではない。しかし、この文章は、この以前に、また再開後も定期的に云々かんぬんで、現地調査を実施することが必要ということを考えているということでございまして、こういうことをやるという認識をこの時点で持っていた。そのこういうことというのは、再開前、再開後も含めて現地調査をやるという考えを持っていたということを表したのがこの答弁書の趣旨でございます。  なお、この「具体的には」云々というのは、その現地調査をやる場合には、これはアメリカ輸出プログラムに規定しているこのSRMの除去であるとか云々ということをやりたいと考えております。やる場合には具体的にこういうことをやりたいと思っております。じゃ、そのことをやるかやらないかというと、やるというふうに約束をしたんじゃなくて、食の安全、米国牛肉の安全を確保するためにこういうことをやりたいという認識を持っておりますという、この認識の表明がこの答弁書の趣旨だというのが政府見解の考え方だということを御理解いただきたいと思います。
  56. 松下新平

    松下新平君 大変苦しい答弁でちょっと理解しかねるんですけれども、はっきり現地の事前の調査が必要だと閣議決定された文書がなされております。しかも、具体的な事例まで挙げております。それを統一見解では都合のいいとこだけ抜粋して、これは特定の行為をなすことではないんだというのは、日本語としてもおかしいし、国民理解を得られるものでないということを指摘しておきたいと思います。  次に、この統一見解のその後ですけれども、実際、なぜ国民の皆さんが疑問に思っていらっしゃる輸入再開前に査察をしなかったか。それで、いろんな答弁があったわけですけれども、政府の答弁としては、実際動き出さないとそのラインを検査できないと言われました。確かにそうかもしれません。それならば、実際、査察官が行ってラインを検査して、それで合格したものから市場に出回るようにするのはできたはずであります。例えば、事前に入ってきたものは処分をする、焼却処分をするとか、あるいは冷凍庫に貯蔵をしておいて合格したものから流通するというのはできたと思うんですけれども、このことは考えられなかったんでしょうか。
  57. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 十二月十二日に輸出再開が決定されまして、次の日からアメリカ、カナダに査察団が厚労省と農水省合同で行ったわけでございます。で、アメリカの十一施設、カナダの三施設を見てきたわけでありますけれども、これは日本向け輸出される肉の処理をその場で査察するということだけが目的ではございません。つまり、査察に行って、その中にはたまたま日本向け作業もやっているところもありますし、まだ日本向け作業をやっていないところもあったわけでございます。  それは、正に先ほども答弁ありましたように、そもそもそのEVプログラムに基づいてきちっとしたこの危険部位の除去、あるいは二十か月齢以下の牛であること、あるいは日本向けに別管理されていること等々のEVプログラムを遵守する義務というのは、これはアメリカのプログラムでありまして、アメリカ側のやる仕事でございます。日本側としては義務としてやるものではない。  我々はあくまでもリスク評価の基準にのっとったものをやっていくわけでございまして、そのリスク評価というのは食品安全委員会の報告書でございますけれども、本当にリスク評価をする上でアメリカシステムを事前に施設を見に行くべきであるというふうに報告書の中に書かれておりましたならば、当然それはやらなければいけないわけでございますけれども、食品安全委員会の報告書の中でもそのことについては明記されていないということもございました。  それから、今、松下委員お話しのように、行った場合にはもちろん書類の問題もあるでしょう。しかし、認定されていないときには書類もそろっておりませんし、認定されなければ作業も行われないということもございまして、特定危険部位の問題とか、四十だ、あるいは生産記録だというものは認定されて作業が行われなければ見られないわけでございますから、そういう意味で、認定後に念のために認定された機関を見る。その中には、直後に行ったわけでありますから、日本向け作業をやっているところもある、あるいはまだ作業をやっていないところもある。そして、全体がまだ十一施設しかないわけでございますから、現在四十のうち三十八になりましたので、残り二十七施設も日本が自主的に、念のために査察に行くという予定にしておりますけれども、事前に行くということは、これは査察そのものというのはアメリカの責務であって、分担している、この安全な米国牛肉輸入システムの中で、トータルの中でアメリカの義務としてあり、日本側には日本側の義務があるということでございます。
  58. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 大臣、答弁の方、なるべく簡潔にお願いしたいと存じます。
  59. 松下新平

    松下新平君 私が申し上げたのはそういうことではなくて、実際のサンプル調査も一〇〇%ではないと厚生労働大臣も述べていらっしゃいますし、今回は脊柱だったから見付かったわけで、脊髄の小さな破片だったら確認はしようがないと、しようがなかったという指摘もございます。四十一箱のうち十三部位があったから二つそこで発見されたそうですけれども、これも見逃す可能性はあったと。だからこそ、流通する前に実際査察をして、その結果が出てからそれを始めるということを申し上げたわけであります。このことはまた違う機会でも申し上げていきたいと思います。  次に参ります。  十二月十二日に輸入再開が決定されまして、十六日に第一便が入荷したと。先ほど常田先生、そして和田先生からもありましたけれども、やっぱりこれはどう考えてもいろんな手続を踏んだ場合におかしいんじゃないかなと、これは皆さん思われたと思います。  そこで私は、実際どういう経路で、飛行機で運ばれたと言われましたけれども、それを調べようと思っていろいろ資料請求をいたしました。それがお配りした二枚目以降であります。  皆さん、これを見られて、この黒く塗りつぶされたものを見てどう思われているでしょうか。これだけ国民的な関心の高いものがほとんど黒く塗りつぶされて出されました。これは、農林水産省と厚生労働省から検疫関係の申請書を取り寄せたものです。  ごらんのように、届いた書類には荷物の積込み日と成田空港に到着した日、輸入した業者、肉の製造者及び数量が分かるだけで、ほかの情報はほとんどマスキングされております。肝心の肉の積込み地ですね、届いた荷物の数さえも隠されているわけであります。これは情報公開、何でこういったものも隠さないといけないか理解に苦しむわけであります。  率直に、大臣、これを見られてどう思われるでしょうか。
  60. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) この黒く塗られた二枚の紙の最初のやつが農林省所管の書類であり、二枚目が厚生労働省所管の書類だと思いますが、製造者名、氏名が食品等輸入届出の方は書かれておりますけれども、これは同じものについてのあれでございますか、同じ申請案件について厚労省と農水省の申請書でございますか。
  61. 松下新平

    松下新平君 率直な意見を申し上げていただきたかったんですけれども、ちょっと時間の関係で次に参ります。  恐らく、これはですね……
  62. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 答えたいんだけれども。
  63. 松下新平

    松下新平君 いや、もうちょっと時間がないんで、はい。  それで、私はやはり情報公開がこの問題解決の急がば回れだと思います。というのは、もちろん、常田委員からもありましたように、しっかり査察をアメリカに行って行うのも大事でしょう。ただ、限界もあるわけであります。そういった意味では、この情報を公開することによって、緊張感を持って、そしていろんな目でこれを監視することがこの日本の全頭検査の安心をかち得た要因でもあったわけですから、この情報公開、どうも隠ぺい体質ですね、これを是正していくべきだと思います。何か問題が起きたからその業者を公表するという姿勢ではなくて、最初から、最初からオープンにしていて、そして問題があったところはそこで責任を取ると。しかし、ほかのところは情報公開をしているからこそ大丈夫だというふうに持っていかなければならないと思っております。  また、私、先ほど昨年夏にカナダに渡った話もいたしましたけれども、それと並行して、カナダではそれぞれ関係省庁が独立したカナダ食品検査庁というのを一九九七年に設置、設立されております。日本もかつてそういったものが必要じゃないかと検討された時期があったと聞いておりますが、今立ち消えております。それぞれの省庁の問題であると聞いておりますけれども、今回の米国産のBSE問題を契機に、このこともまたしっかり取り組んでいくべきではないかと。このことを指摘いたしまして、私の質問を終わります。
  64. 郡司彰

    郡司彰君 民主党・新緑風会の郡司彰でございます。  大臣には、まず最初に、責められるというのは米国側ではないかという発言に対して大臣はどうお考えかということをお聞きをしたいと思っておりましたけれども、昨日来、予算委員会等、今回の委員会の話を聞いておりまして、おおよそ重なる部分については避けていこうということで割愛をさせていただきたいと思っております。  ただ、これまでどうもアメリカ側の圧力があったんではないかというような言い方も相当されておりますし、また一方で、これはアメリカ側の圧力をうまく使って日本側が責任を回避するために乗ってそれにしているんではないかというような言い方をしているマスコミ等もございます。これについては、大臣は何をふざけたことを言っているんだというような、まあ性格からいってもそういうふうにお思いだと思いますんで、私は大臣気持ちはそんたくをしていきたいなというふうに思いますけれども、ただ、私どもからすると、正直なところ私どもは、僣越かもしれませんが、今回のことに対しては責任を日本としては感じていると。  どういうことかといえば、食の問題、国民に対する関係でございますから、国政に携わる者としては当然そう思わなければいけないだろうという思いもありますけれども、具体的には、昨年の総選挙で負けていなければ、私どもの政権ならばこうではなかったんではないかという意味での責任を痛感をしていると、そういうふうなことでございます。それでは、申し訳ございません、大臣にはまた別なところでお聞きをしますけれども、時間の関係でちょっと質問前後するかもしれません。  まず最初に、厚生労働省からおいでをいただいておりますけれども、おいでいただいていますね。このBSEの問題というのが大変に話題になる、関心事になるというのは、一つには人にうつるんではないか、うつっているんではないかというようなことがあるんだろうというふうに思いますね。  このヤコブ病と一般的に言われている変異型でございますけれども、どういう経路で発生をしているのか、潜伏期間がどのぐらいあるのかもよく分からないとか、かかったらば進行は止められずに必ず死に至るんではないかと、こういうところが関心を呼んでいるんだというふうに思いますけれども、最初に発生をしたイギリスあるいはヨーロッパを含めて現状と対策、どのような形でそれぞれの国がなされているのか。また、日本では四月になりましてからは相当これまでと改善をされるというような形で聞いておりますけれども、その辺のところを含めて欧州あるいは日本の現状、また、日本の場合には対策等についてもお聞かせをいただきたいなと思っております。
  65. 岡島敦子

    政府参考人岡島敦子君) まず、世界におきます変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の発生状況から御説明させていただきたいと思います。  現在、全世界で百八十五例発生しております。その内訳としては、ヨーロッパではイギリスで百五十九例、フランスでは十五例、アイルランドは三例、イタリア、オランダ、スペイン、ポルトガルで各一例、また米国二例、そして日本一例ということでございます。  それで、その対策でございますが、これはもう変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の発症は、BSEにかかった牛との関連性というものが指摘されておりますので、特に特定危険部位の除去ということで、そういったものは口に入れないということの対策が世界的に取られているところでございます。
  66. 郡司彰

    郡司彰君 済みませんでした。  具体的に欧州、それから日本の確定診断をするという形の中で今のような数字も出されているんだと思いますけれども、脳解剖その他、どのような率で行われているか。日本の場合にはかなり低いんではないかというような話になっておりますので、四月からの新しい対策等についてお聞かせをいただきたいと思います。
  67. 岡島敦子

    政府参考人岡島敦子君) 先生御指摘のとおり、クロイツフェルト・ヤコブ病患者につきましては、診断がかなり難しい面がございます。症状で判断できるものもございますが、最終的には解剖、剖検をしまして脳の組織を見るということが必要になる場合もございます。  そういうことで、私ども、クロイツフェルト・ヤコブ病患者の発生状況を正確に把握すると、そのためには、その診断をより一層的確にするための主治医のサポートをサーベイランス体制の強化を通じてやっていく必要があると、サーベイランスというのは医療の面でのサーベイランスでございますけれども、必要というふうに考えております。  それで、このために、特にもう一言申し上げますと、臨床症状のみでは診断が困難なクロイツフェルト・ヤコブ病患者につきましては、剖検をしっかりしていくということが大事だというふうに思っております。このため、来年度予算におきまして、クロイツフェルト・ヤコブ病で亡くなった方の御遺体の剖検可能施設への搬送費用や、あるいは剖検に掛かる人件費など、そのクロイツフェルト・ヤコブ病患者の剖検に要する経費を新たに国庫補助とするということで、来年度予算に所要の経費を計上しているところでございます。
  68. 郡司彰

    郡司彰君 ありがとうございます。  時間の関係で恐縮でございますが、ヨーロッパ、それから日本のその脳解剖の率でございますけれども、おおよそ私どもの方では、欧州では英国含めますと七〇%ぐらい、日本では二〇%弱、一八%ぐらいかなというふうに聞いておりますけれども、そのような数字でよろしいでしょうか。
  69. 岡島敦子

    政府参考人岡島敦子君) 私ども把握しておりますのが、ヨーロッパのうち英国では、これは英国神経病理学協会の資料でございますけれども、七〇%以上でございます。で、日本は二三%でございます。
  70. 郡司彰

    郡司彰君 アメリカ牛肉の問題でまた話題になっているわけでございますけれども、アメリカの方はどのような統計の数字になっておりますか。
  71. 岡島敦子

    政府参考人岡島敦子君) アメリカにつきましては承知しておりません。これは専門家に確認したところ、承知していないということでございます。
  72. 郡司彰

    郡司彰君 ありがとうございました。  先ほど大臣が別な答弁で、アメリカは当時は清浄国だったという話がありました。私は、未発生国と清浄国とは全然違うものだというふうに思っておりまして、このヤコブ病の関係も日本ではまだ判定がされてない方が三名ほどいらっしゃるというふうにも聞いておりますけれども、やはり確定診断をしっかりやらなければ数字というものが出てこない。アメリカは報告の義務もないということでございますから、本当にどうなのかということを私どもは逆にやみの部分に感じてしまうわけでありますので、大変不安に感じている、そのようなことを思っております。  次に、平成十五年でございますけれども、食品安全基本法の成立ということで審議が行われました。内閣、厚労、それから農水の連合審査というものが行われまして、私も参加をさせていただき、質問をいたしました。  そのときに、亀井農水大臣、当時でございますけれども、私は関連をして、トレーサビリティー法が先行して作られるというふうになるけれども、このトレーサビリティー法案は、基本法で「国の内外」という修正があったんだから当然修正をされるべきだ。それに対して亀井大臣の方は、これはBSEに関係をして法律が作られる、しかも日本の場合には未発生国からしか輸入をしないということなんだから、これは必要ないんだというような答弁をされておりますけれども、この考え方は現在も生かされておりますでしょうか。大臣、お答えください。
  73. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 以前に郡司委員と亀井大臣の間でそういう質疑があったと、こういうことは承知をしております。  トレーサビリティー法というのは、もう郡司委員御承知だと思いますけれども、BSEの発生あるいは蔓延を防ぐ制度でございます。それから、これでもって食肉の輸入を、これを前提にしてトレーサビリティー法でもって規制をするということになりますと、これはWTO上の、過剰なといいましょうか、目的外のといいましょうか、食肉の安全という観点とBSEの発生、蔓延という観点とをダブらせてといいましょうか、重ねて適用するということになりまして、WTO上の疑義が出てくるということも予想されるわけでございます。  したがいまして、あくまでも我々は、米国産の牛肉、安全な、そして日本の基準に合ったもの、安全プラス日本の基準に合ったものというものを出荷をするというのはアメリカ側の責任であるということでございまして、その食肉の安全という観点からは、あえてトレーサビリティー法、トレーサビリティー制度というものによって牛肉の安全が担保される必要はないというふうに考えております。
  74. 郡司彰

    郡司彰君 当時の大臣発言がそうしますと過剰説明だったというようなことなんでありましょうか。  過日、家西議員が予算委員会でもって川崎大臣の方に質問をしたことがございます。内容は中川大臣出席をされておりましたから御存じだと思いますけれども、薬事法改正がなったというようなことでございまして、これまでアメリカから輸入をされていたその部位を薬に使うというものについてはこれからは入れないんだという答弁をされておりますね。つまり、発生国からは入れないというような形のものになっているんで、厚生労働省からは、アメリカからのものはオーストラリアに切り替えるというような話をされております。  私はあの話を聞いて、川崎大臣発言は十五年の亀井大臣発言と同じような流れで、日本という国は未発生国からしか入れないんだなということで感じ取ったんでありますが、これは間違いなんでしょうか。
  75. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) これは、亀井大臣の御発言というのは、当時はBSEがアメリカの場合発生していなかったわけでございますけれども、この答弁の趣旨というのは、その時点ではBSE発生国からの牛肉輸入はなく、JAS法に基づく原産国表示によってBSE未発生国からの輸入であることが消費者へ情報提供できる旨を述べたということでございます。  現時点におきましても、まあ発生をしたわけでありますけれども、原産国表示という観点からは、消費者に対して、米国牛肉であると、入ってきた場合にはそういうふうに明示されるわけでございますので、消費者へは、情報提供という観点では現在のままで問題はないというふうに理解をしております。
  76. 郡司彰

    郡司彰君 相手方のアメリカでございますけれども、アメリカは原則、未発生国といいますか、清浄国といいますか、そこからしか入れないというような国是になっているかと思っておりまして、例外的に、日本の場合にはその例外の方に含まれるということになりますけれども、アメリカはそのような形を取っているということで認識してもこれはよろしいですか。
  77. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 基本的には、BSE発生国というのがリストに載っておりまして、そのリストの国からは入れないということになっております。ただ、それぞれリスク評価というものをして判断をするというのがアメリカの、まあこれ最近ではどの国でもそうですけれども、手続でございます。  ですから、カナダですとか、先般日本からも輸出が可能になりましたけれども、それぞれの国のリスク評価をした上で、一定の条件を付けて輸入をしております。
  78. 郡司彰

    郡司彰君 今、大変興味がある答弁をいただきましたけれども、リスク評価をして決めているんだと。  日本の場合には、今アメリカ牛肉輸入が問題になっておりますけれども、昨年、十七年の資料で見ますと、アメリカ、カナダを除くと十二か国、国名で申し上げますと、オーストラリア、ニュージーランド、メキシコ、チリ、バヌアツ共和国、ブラジル、コスタリカ、パナマ、アルゼンチン、中華人民共和国、ハンガリー、ニカラグアというところから入っておりますけれども、これらの国々に対して日本というのはリスク評価を行ってやっているんですか。それとも日本の場合には、アメリカは大変に厳しく問題になって話題になるけれども、ほかの国からは何もないということでよろしいんでしょうか。
  79. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 基本的には、日本の場合もBSEが発生している国からの輸入というのは原則としては行っておりません。ただ、輸入をする際にはリスク評価をすると。今回のアメリカの場合などがその例でございます。
  80. 郡司彰

    郡司彰君 リスク評価というのはどこがやっているものを使うのかよく分かりません。私もいろいろお聞きをして、最終的にOIEは今、評価の基準が昨年五月から変わった、今現在はやっていない、しかも頼んだところだけやるというような原則でございますから、私どもの方で農水省に取り寄せていただいたのは、どこでも同じなんだと思いますけれども、ヨーロッパの食品安全庁のところのGBRというところが一般的なんだということでございますが、先ほどのアメリカを除く十二の国、それぞれどのようなランクになっているんですか。これ全部ランクとしては一というような判断で入れているわけではないんだと思いますが、どうなんでしょう。
  81. 中川坦

    政府参考人中川坦君) かつて我が国におきましてもそのBSEのリスク評価作業に着手したことがございます。その作業の過程でカナダあるいはアメリカでBSEが発生をした。作業の過程、まずカナダが発生をしたということでございまして、この時点で手法も含めて一時中断をしておるというのが現状でございます。  こういった発生がしていない国についてのリスク評価をどうすべきかということにつきましては、その後、平成十五年七月以降、リスク評価自体食品安全委員会も設置がされまして、食品安全委員会の方でも、発生をしていない国、例えばメキシコですとかその他中国ですとか、そういったところについてどうすべきかということについて議論をされているということを承知いたしております。
  82. 郡司彰

    郡司彰君 議論をされているというふうなことでございますけれども、取りあえず、先ほどのGBRの評価からすると、日本と同じというのは、簡単に言えば、発生をして増幅しているかもしれないというようなレベルの三でいいますと、これメキシコ、チリ、カナダ、ハンガリー、米国。このカナダ、米国は除いても、そのようなところが含まれている。これアメリカからすると、同じレベルのところで今回大変騒がれているけれども、ほかのところは、日本は何ですかというふうな思いで怒って当然のような気もしますね。  それからもう一つありますけれども、中華人民共和国というところに対しては、これはどこも評価をしておりません。評価ができないというふうに私は取っておりますけれども、そこからも入っているんですね。これは私どもがどのように考えておけばよろしいんでしょう。  これ、この食の安全について、アメリカ再開に対してはリスク評価お願いをした。今のところ、これもやろうというふうになっているのかもしれませんけれども、実際にもう入っているところ、ここに対しての安全というものは国民に対してどのような説明がなされるんですか。
  83. 中川坦

    政府参考人中川坦君) OIEその他の情報を踏まえましても、こういったメキシコあるいは中国についてBSEが発生しているという具体的な証拠がございません。具体的な証拠がない段階で、疑わしいというだけで輸入を禁止するということは現実問題、大変困難でございます。  そこで、こういった国からの実際の輸入に際しましては、特定危険部位がきちっと除かれるようにしてもらいたいということで、これは厚生労働省の方からでございますけれども、関係の輸入業者の方に対しまして、特定危険部位が除かれているということをきちっと確認してもらいたいという、そういった措置を要請をしているところでございます。
  84. 郡司彰

    郡司彰君 ちょっと正直納得できないですよね。レベル三というのは、私はかなり深刻な国であるなというふうに思っておりますし、それが二になり一になり清浄国になるというふうな努力をどれほどしているのかも正直言って分からないということであります。  じゃ、それでお尋ねをいたしたいと思いますけれども、日本の場合には、発生を見てから何年かたっているわけでありますけれども、清浄国への道を歩んでいるというふうに私自身も思いますけれども、それはどのようなところ、何年から清浄国になるというふうに今現在言い切るような形になりますでしょうか。
  85. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 先ほど先生もおっしゃいましたけれども、OIEの基準が昨年変わりまして、現在では三ランクになっておりまして、無視できるリスクの国、管理されたリスクの国、不明なリスクの国と、こういうふうになっているわけでございます。  清浄国というのは、この場合では無視できるリスクの国ということになるかと思いますけれども、この無視できるリスクの国に分類されますためには、最終発生から七年以上たっていること、この直近七年間はBSEが発生していないということ、それから二つ目としまして、有効な飼料規制、えさの規制が八年以上継続されていることといった、こういう幾つかの条件がございます。これらの必要な条件を満たした上で年々年々、毎年常にBSEの発生がないかどうかというサーベイランスをきちっとやっているということ、こういった条件が満たされて無視できるリスクの国、いわゆるかつてで言えば清浄国ということになるというふうに理解しております。
  86. 郡司彰

    郡司彰君 私自身も発生のこれまでの経過等を国内のもので見る限りは清浄化に向けて大変努力をしているなという感じはいたしております。  では、逆に、翻ってアメリカの方はどういう道を歩んでいるかというふうなことでございますけれども、これは日本向けのプログラムとしては二十か月齢以下でありますとか、その分離をしたラインで間違いなくやるとかですね、そういうふうなこと、危険部位を取るというふうなことからすると当然そうなっているんだろうというふうに思いますけれども。  ただ一方、アメリカ全体を見ますと、先ほど言いましたように、SRMも月齢数によって全然違うわけであります。当然、三十か月以上のものを、パッカーの仕事をしているところからすれば、何でこんなものを取らなくちゃいけないんだというような感覚でもって、大臣が食文化というふうにおっしゃったようなことも含めてなっている。それから、SRMをレンダリングしてまた回している。それも飼料用に回すものも含めて牛には使ってはいけないというふうになっているということになっている。しかし、現場の問題としてはかなり交差汚染もあるだろうとかですね、それから先ほど健康な牛だからどうのこうのと言いましたけど、実際には逆で、健康な牛の方が日本でもBSEの発症は多いわけですね。  ということからすると、サーベイランスの在り方も含めて、総じてアメリカというのは清浄国への道を歩んでいるんでしょうか。
  87. 中川坦

    政府参考人中川坦君) アメリカがどういう政策目的を持って個別のBSE対策をやっているか、日本からどうかということを直接的な表現で申し上げるのは控えた方がいいかというふうに、控えさせていただきたいというふうに思いますけれども。  それぞれのアメリカのBSEの対策、例えば飼料規制などにつきましても、日本の取っている政策と比較をいたしますと、まだ十分でないということでございまして、こういった点につきましては、サーベイランスもそうでございますが、こういった点は、食品安全委員会から昨年十二月にリスク評価答申をいただきました際に附帯事項としてそこの点が述べられておりました。この点はアメリカ政府に対しまして、こういった食品安全委員会指摘もあるので十分配慮をしてもらいたいという要請もしたところでございます。飼料規制につきましては、最近、現行よりも規制を強化をする、三十か月以上の脳や脊髄といった特定危険部位を豚や鶏にもえさとして与えてはいけないという内容の改正案が今検討中でございます。  ですから、アメリカもそういった意味ではBSEの対策を強化する方向で基本的には考えているというふうに承知をいたしております。
  88. 郡司彰

    郡司彰君 私は、ほかの国が日本人に対して、あんたたちの食べているお米は何だというような話をされたらば、多分むかっとくるんでしょう。毎日食べているものをそんなに検査検査でやって食べてられるかというような思いもするでしょう。私は、アメリカ牛肉というのがさほどのものだろうというふうに思っているんですよ。先ほどのヤコブ病の確定診断その他も、それはやっぱりいろんな思いもあるんでしょう。  しかし、私は、正直なところ、今のアメリカのやり方は、これは清浄国への道は歩んでないというふうに思うんでありますけれども、大臣、この点はどうなんでしょう。どんなふうな感覚をお持ちでしょうか。
  89. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 清浄国への道をいわゆるOIE基準に照らして歩んでいるかどうか、これは一度確認をしてみたいと、ジョハンズ長官にお会いしたときに確認してみたいと思いますが、いずれにしても、今、郡司委員も御指摘になりました、私も先ほど申し上げましたが、食文化、とりわけBSE発生後でも牛肉を平気で食べておられる。また、私も発生直後ワシントンに行ったときにごちそうになりまして、一瞬どうしたものかと思いましたけれども、少し食べましたし、今回ワシントンに行ったときにも、再開後だということを冗談言いながら牛肉を食べたわけでありまして、先ほど申し上げたように、何も私だけに無理やりじゃなくて、周りのレストランで見ると骨付きの肉をおいしそうにばくばく食べていると。これは二年前のときも同じ状況でありましたんで、まあ多分、日本消費者あるいはまた食品安全行政の意識とアメリカとはやっぱり違うというか、レベルがまた違うんだろうという認識は、これは何もアメリカだけじゃなくて、ほかの国も含めてですけれども、やはり日本の場合には一番食に対しての関心があるだけに、おいしいものに対しても関心が強いし、また安全なものに対してはより関心が強い。これはもう世界の中でも、まあ世界じゅう知っているわけじゃございませんけれども、多分トップレベルだろうし、このこと自体は大変いいことだと思っておりますので、それに沿う行政をやっていきたいというふうに思っております。
  90. 郡司彰

    郡司彰君 それから、よく今回の評価の問題で使われる言葉で、科学的知見という言葉が使われております。私は、このBSEに関して科学的な知見という言葉が本当に使えるんだろうかというような感じがしております。  そもそもこのBSEの発生というのを私の方から話をするような問題ではないんですけれども、ヤコブ病のような形でもって牛が突然変異を起こしたんじゃないかという考え方も出ている。それから、スクレイピーという、羊のところから伝達、伝播をしたんではないかなという考え方もある。それから、牛の本当に突然変異でできたんだとかいろんな言われ方をしておりますけれども、いまだによく分かっていないような病気なんだろうというふうに思っております。  そこで、日本のこれは清浄国へ向けた取組、これからのいろいろな対処の問題も含めてだろうと思いますが、北海道あるいはつくばを使いまして人為的な感染が行われているというふうに聞いておりますけれども、どのような結果を今のところもたらしているんでしょうか。
  91. 染英昭

    政府参考人(染英昭君) BSEの研究につきましては、国のプロジェクト研究の一環といたしまして、平成十六年の二月から北海道立の畜産試験場におきまして、BSEを発症した牛の脳の一部を正常な牛の脳に接種いたしまして人為的にBSEを再現する試験を実施しているところでございます。  その結果といたしまして、このほど、接種した牛三頭にBSEの発症を疑う所見が見られましたために確認検査を実施した結果、いずれの接種牛もBSEであることが確認されました。このような方法によりまして、人為的な発症試験は外国に多数の例がありますものの、日本では大変初めての例でございますので、外国の事例と同様に、脳内接種によれば約二年間程度で発症するという知見が得られたところでございます。今後は、このような発症試験の結果を生かしまして、BSE発生、発症のメカニズムの解明や、あるいは体内における異常プリオンのたんぱく質の動きなども考えまして、鋭意研究を推進してまいりたいというふうに考えております。  それとあわせまして、この脳内接種試験とともに、いわゆる経口試験というのも実施しております。経口試験というものが、これが自然状態に近い状況で実施するものでございまして、牛が口からえさを食べましてそれがどういうふうに発症に関係するのかという試験でございますが、これは平成十六年の八月から実施しているところでございますが、ただ、こういった口頭の接種試験と申しますのは、脳内の接種試験よりもかなり時間が掛かるという点もございまして、現在まだまだいわゆる国の動物衛生高度研究施設で飼育観察を行っているところでございまして、現時点では発症の例は見られておりません。そういう状況でございます。
  92. 郡司彰

    郡司彰君 相当な時間を掛けなければ成果というものが得られないんではないかなというふうな素人考えをしてしまいます。  それから、イギリスでは既に、最も人に近いような動物ということなんでしょうか、猿への伝達というふうなこともなされているというふうに聞いておりますけれども、この先、何というんでしょうか、成果としてこういうものができて、これらの病気、牛に対してもあるいは人間に対しても還元ができるぞというような見通しというのは立つんでありましょうか。大変難しいんではないかと思いますけれども、お聞かせいただきたい。
  93. 染英昭

    政府参考人(染英昭君) BSEの研究、先生今御指摘ありましたように、大変難しい問題が含まれております。正に世界でも初めての問題でありましたし、日本におきましてもそのような科学的知見の蓄積が一切なかったというふうな点でございます。そういう意味で、まだまだある意味では初歩的な段階におきまして、BSEの発症の経緯であるとか、あるいはそれが人にどういうふうに影響していくのかとか、そのような基本的な研究からやっておるところでございますが、ただそれをやるためにはそのための手段、じゃあるものを解明するためにどのような研究手段を取ったらいいのかとか、その辺の問題も極めて重要な問題でございますのでその辺から解明しておるという点がございますので、もう少しというか、まあかなりの時間が必要になるんではないかというふうに考えておる次第でございます。
  94. 郡司彰

    郡司彰君 そういうお答えが当然のお答えだろうというふうに思うんです。つまり、分かってないんだろうと思うんですね、BSEというそのものも。それから、人に伝達をするということも、それもよく実は分かってないんだろうというふうに思うんですよ。  だから、そのリスク管理の方法は、これは科学的知見に基づいてやっているんだというのも、今後研究が進むことによって、今のリスク管理の方法そのものも、これはもっと違う方法があったとか、これは元々必要じゃなかったとかということもあり得るわけですね。だとすると、私どもからすると、今取り得る選択というものはその中でベターなものというのが何なんだろうかということを考えていかなければいけないんだと思っているんです。  私は、先ほど言いましたように、この未発生というのとリスクが高いか低いかというのは、これは全然別問題だというふうに思っておりますので、リスク的にはやはり、先ほどのGBRかどこかは分かりませんけれども、一定のところを信用するしかないんではないか、未発生というだけでもってむやみにといいますか、そのことをもって輸入を許しているという態度というのはおかしいんではないか、禍根を残すんではないかと。  それから、もう一つ言えば、そこに全然該当しない、具体的に何度も国名を挙げると大変問題なのかもしれませんけれども、今回の日本の場合でいえば、中華人民共和国からのものというのは、どういうふうに判断するかということそのものができないわけでありますから、これは慎重に考えなければいけないというふうにも思っております。  総じて、これは大臣の方にお聞きをしたいというふうに思いますけれども、総じて、私は今のところ、一つの機関によって清浄国と言われたところからしか入れないというようなことが食の安全については最もベターではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  95. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先ほど郡司委員の御指摘にもありましたように、OIEの一つの基準というものがあり、それが昨年少し変更されたわけでありますけれども、日本としてはOIEの基準も見ながら更にそれよりも厳しい基準で米国からの再開を十二月にしたわけであります。  率直に言って、アメリカは、先ほどの和田委員の御報告にもありましたように、きちっとルールを守っているからいいじゃないかというのは、これはある意味ではアメリカ側の本音かもしれません。しかし、日本としては、日本の本音としては、何も輸入障壁をしているんじゃなくて、これは消費者に対する我々の責任であり、また消費者が買ってもらわなければあなた方もプラスにならないでしょうという、そういう観点から行政を行っているわけでございます。そういう観点で、今、郡司委員と事務当局とのやり取り、質疑を拝聴しておりましても、やはり日本として常にこれは、リスク評価は安全委員会であり、リスク管理が我々でございますけれども、今のままでこれでいいんだというふうには思っておりません。  さっき御指摘のように、突然変異というものもありますし、新たな病気というものもあるわけでありますから、より良くしていくためには常に我々もこれでいいんだということじゃなくて、いつ何があるか分からないというときに、まず初動捜査として何をするべきか。で、中長期的に食の安全、国民に対する責任を果たすために何をしていったらいいのかということを、常に緊張感を持ってというか、自らに問いながらやっていくということでございます。  中国についての御指摘は、率直に言って初めてお聞きしたわけでありますけれども、私もお聞きをしながら、中国というのは食品に関してのいろいろな問題も過去日本との間にもあったわけでございますので、これについてはとりわけ注意深く見守っていく必要があるのかなというふうに思っております。
  96. 郡司彰

    郡司彰君 一足飛びにいろいろ変わるということもできないと思いますけれども、私はやっぱり、最初に申し上げましたように、食の問題で責任を取るというのは結果責任だろうというふうに思っておりますんで、そのことからいうと、やはり清浄国からということをやっていただくのが有り難いなというふうに思っております。  それから、最後に大臣にお尋ねをしたいと思いますが、私、元々持論としてこの委員会でも二度ほど発言をさせていただいておりますが、これ、管轄違いますけれども、例えばこれまでもエイズの問題があったり、あるいはアスベストの問題もそうかもしれませんし、いろんなことがあったときに、後から国がやっぱり間違いだったというふうなことでもって社会的にも当然負わなければいけない負担が出てくる。そのことは、結果として国にとっては後代に大変大きな負担を与えているというふうに思っているんであります。  ですから、昨日、委員会の、別な委員会の中で、予算委員会の中だったと思いますけれども、パブリックコメントのことについても話がありました。それは私どもは、先ほどから言っておりますように、科学的知見というものを力が持っているところが調べ上げたものに対して反論をする技術も能力も持っておりません。しかし、感覚的にやはりおかしいんだということは、例えばパブリックコメントに出てくる。そのときに、情報はきちんと開示をして、リスクコミュニケーションは取ってもらって、なおかつまだ溝がうずまらないときには予防的にそのものはいったん止めておくというような社会のシステムにしておかないとこれは後代に大変な負担を与えることになるんではないか、そのように思っているところでありまして、もし大臣の方の御所見がございましたらお聞きをして、終わらせていただきます。
  97. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今の郡司委員の御指摘はいわゆるWTOの世界でのEUの予防原則というもので、アメリカとEUとの間で遺伝子組換え食品なんかで大議論を実はやっているところでございます。日本はちょうどその間に立っておりまして、前回、私、農水大臣のときに遺伝子組換え食品、GMOの基準を作ったわけでありますけれども、率直に言って、作りながら私理解ができないまま、科学的な部分はですね、しかしできるだけ食の安全という観点からしっかりやってもらいたいと言いながらやったところであります。  正にこれは、御発言そのものはおっしゃるとおりであります。ただし、EUの中にもいろんな意見があり、アメリカにもいろんな意見があって、この議論を聞いていると、御趣旨そのものは私も賛同するところが多いわけでありますけれども、そしてまた国民に対する食の安全という観点から最大限のことをしなければいけない、これも言うまでもないことでありますが、正にアメリカとEUがこの議論で何年間にわたって大議論をやっているというところを見ても、なかなかこの学問的な部分と行政の部分と、それから国民お一人お一人の食の安全という意識との中でのベストミックスをどういうふうにつくっていったらいいのかというところは大変大きな我々の宿題ではないかというふうに認識をしております。
  98. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時六分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  99. 岩城光英

    委員長岩城光英君) ただいまから農林水産委員会再開いたします。  休憩前に引き続き、農林水産に関する調査のうち、米国牛肉輸入問題に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  100. 福本潤一

    福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。  午前中、各委員から本筋にわたるBSEの質問ございました。私、質問を聞きながら少し思ったんで、急遽の質問ですが、中川局長に、アメリカ、BSEが発生したという二〇〇三年十二月二十四日から満二年を迎える直前の十二月十二日、日本向け解禁まで二年間ございますが、その間、アメリカは、例えば日本では全頭検査等々を対策していましたけど、具体的にどういう国内対策をしていたのかというのをお知らせ願えればと思います。
  101. 中川坦

    政府参考人中川坦君) まず、平成十五年の十二月の二十四日にアメリカでBSEの発生が確認をされまして、アメリカにおきましても、月が改まって早々であったかというふうに思いますけれども、BSE対策について取りあえずの見直しが発表されました。  例えば、いわゆる起立ができない牛について、ダウナー牛と呼ばれておりますけれども、そういったものは屠畜場にも入れない、食のフードチェーンにも入れないというふうなことも取られましたし、また機械でもって肉を回収する、そういった仕組みもありましたけれども、そういったものにつきましても、これからは、一定のこれは月齢が三十か月以上というふうに限られておりますけれども、そういったものについては機械回収肉は使わないとか、取りあえずのBSE対策として幾つか、私ちょっと今すぐには網羅的には御報告できませんけれども、対策が取られたことは事実でございます。
  102. 福本潤一

    福本潤一君 対策を取られたとしても、イギリスのように百四十名を超える死者が出たような国とはまた違う、この食の安全認識もかなり違うのではないかという実態が午前中の質問で浮かび上がっていたんではないかというふうに思います。  我々子供のときから、日本の主食は米で、アメリカの主食はパンだというふうに聞いておりましたけれど、アメリカで生活した実感、そういう経験のある人は、いや、アメリカの主食は肉だというのが、正しく食育教育でも教えなければいけないなというぐらい主食が肉だという実態があると思いますので、これに対して認識の差、また様々な差異があるなという実態を踏まえた上でこれから投げておった質問をさしていただこうと思います。  先ほどもありましたけど、中川大臣、政府答弁書という形で十一月十八日に出したものがございます。これは、衆議院の予算委員会、また午後の予算委員会、さらには参議院の予算委員会でも多く聞かれていましたけれど、この文面の中身の話はきちっと午前中にもしていただきました。その中で一点だけ私の方から聞かしていただきたいと思うのは、牛肉輸出プログラム、この中身で具体的に実現、事前にはできなかったという理由として状況の変化があったということでございます。その状況の変化という中身と、「米国が行う施設認定を日本側調査できること」という文言が入っておりますので、この意味を分かりやすく御説明いただきたいと思います。
  103. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 失礼しました。  政府答弁書の中で、この十一月、これは十月二十八日ですか、川内委員から質問書をいただきまして、十一月十八日に閣議決定という形で答弁書をお出ししたわけでございます。  この時点では、食の、米国産の輸入牛肉再開に当たっての最大のポイントは、安全性という日本ルールにきちっと統合した形、それを前提とした形、これはリスク評価を担当している食品安全委員会に諮問をしている最中であり、安全委員会のお仕事であるわけでございます。  そしてまた、何回も申し上げておりますが、科学的な評価をしていただいた上で消費者の皆さんが御理解をいただくか納得していただいて、米国牛肉を好みの範囲で食べていただけるかということが重要だったわけでございます。この段階では、そういう観点からあらゆる可能性を実は我々は視野に入れていたわけであります。やれることは何でもやるつもりでいたわけでございます。  したがって、質問に対する答えにつきましても、輸入開始に当たっては輸入開始前に現地に行って施設を調査するという文言も入っておりました。つまり、開始前であろうと後であろうと、やれるものは全部やる必要があるという考え方を我々はお示しをし、それを、内閣としてその考え方を了とするという閣議決定の内容であったと。これは政府統一見解で、官房長官から発表したところでございます。  それからもう一つの前提は、既にアメリカ側に対しまして、施設を是非査察したい、日本としても念のためにアメリカが今後認定されるであろう施設を査察をしたいという要望を出しておりました。これは、いつの時点かということは日本側からは明示をしておりませんでした。一般論として査察をしたいということを日本側が要望していたわけでございます。  で、その後、米国側から、十一月の二十二日になりまして、査察をするのは結構であると。ただし、それは認定後、つまりアメリカがきちっとEVプログラムに基づきまして認定をした後にそれと同じようなことをもう一度デモンストレーションとしてやるから、それを是非査察をしてもらいたいという返事が来たのが十一月二十二日でございました。したがいまして、その段階では、認定後、つまり輸出再開決定した後でなければ認定できませんので、そういう状況でまあ結構ですというふうに日本は判断をしたわけであります。  それから、二点目といたしましては、実際の危険部位除去とか二十か月以下は実際に作業が進まないとできないということで、当初の考えと違うまあ判断になったということでございます。
  104. 福本潤一

    福本潤一君 まあそういう意味では、輸入プログラム、現実に動いてないと実効性を確認できないと。これは食品安全委員会議論の中でも評価は事前には無理ではないかという理由は出ていた段階がありますので、そうしますと、これ、何か特別の理由がその背景にあって、例えば米国側が事前に調査を拒否したとかですね、まあ二年間もある中でのいろいろな再開に向けての段階での段取りでございますので、そういう米国の主要産業、主食の肉、また特に牛という、一番主食に適用されている牛肉ということがありますと、何か特別の理由があったんじゃないかというふうにも勘ぐる人もおるかと思いますので、何かそれ以外の、事前に分かっていた話ではなくて特別の理由があれば言っていただければと思います。
  105. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) むしろ、今、福本委員が御指摘になられた点、つまり食品安全委員会プリオン専門調査会、つまり科学者、日本を代表するこの問題の権威の先生方の御議論の中でそういう話があったとすれば、まあ必要がないということになるわけでございますけれども、まあ所管が違いますのでそのことは私からは発言をいたしませんが。  とにかく、我々はリスク管理の立場として、そしてまた専門的立場から見れば、ある意味ではまあ素人というか立場が違いますんで、とにかくやれるものは何でもやってみようじゃないかという観点から、専門的立場からはそれはやる必要ない、あるいはやっても意味がないという御判断が結果的には、報告書として事前にやるべしということはなかったわけでございますんで、そういうことになったわけでもございます。  いずれにしても、日本としてはその段階では、施設を見してくれ、そしてまた、場合によっちゃ日本としては再開決定前に施設を見たい、再開決定後も見たいと、そういう考え方だという意識、意思、認識があったわけでございまして、それに対して米国側の方から再開前には来てくれるなというような圧力があったという認識は持ってございません。
  106. 福本潤一

    福本潤一君 そういう意味では、この問題、責任は米国側の責任であるという形で日本側からは見ざるを得ないわけでございますが、ただ、輸出輸入プログラムというものを遵守が現実に確保できない結果に終わったということに関しましては、これは日本輸入代行商社にとってもアメリカ輸出業者にとっても不幸な結果になっておるわけでございますので、プログラムが遵守、確保されなかったという意味では、管理機関である厚生労働省、農水省、これはやはり責任は否定できないんではないかということで、反省すべきは反省した上で今後の対策をしていただければと思います。  この輸出プログラム遵守のために、食品安全委員会、今後どういう対応を果たしていかれるか、これをお伺いしたいと思います。
  107. 齊藤登

    政府参考人齊藤登君) 食品安全委員会といたしましては、今回の米国牛肉等のリスク評価につきましては、この輸出日本向け輸出プログラムが遵守されると、こういう前提で評価したわけでございます。この管理措置の遵守の実効性のことにつきましては、これは基本的に管理機関の責任においてしていただくということが大前提なわけでございます。  食品安全委員会の立場といたしましては、今回も評価結果を受けての解禁後にその査察の状況等について報告を受けるなど、実施の状況につきまして報告を受け、これが適正に進められているということについては十分に把握をしてまいりたいと。今後、今回の件を受けましていろいろ対策が取られる場合につきましては、その対策の内容については私どもとしても十分にその内容を把握してまいりたいと、そのように考えております。
  108. 福本潤一

    福本潤一君 特に、食品安全委員会、様々な権限、また輸出再開に向けての委員会内での御努力があったと思いますが、こういう結果になったということで、委員長にリスク管理方法を評価しろというふうに提案されたときに、食品安全委員会の仕事から外れるという発言をされたというふうに伺っておりますので、この食品安全委員会自ら今後リスク評価行うことは考えていないのかどうか、念押しで聞いておきたいと思います。
  109. 齊藤登

    政府参考人齊藤登君) 今回の件につきましては、あくまでも輸出プログラムが遵守されなかったということが問題でございまして、今回お出ししている評価は、その輸出プログラムが守られるという前提においてその評価を行っておるということは事実でございますけど、そういう意味で、輸出プログラムが守られる状況になればこの評価は有効であるわけでございます。そういう意味で、この評価を見直すという考え方は持っておらないということでございます。
  110. 福本潤一

    福本潤一君 そういう意味では、リスクコミュニケーションの中でいろいろな形でのリスク・アンド・ハザードというような考え方で検討をされているやに伺っておりますので、必要に応じてプリオン専門調査会等々においてもリスク評価行っていただく、検討もしていただければと思います。  次の質問に行きますけれど、今回動物検疫所で発見されたと、違反が発見されたということにおきましては、農水省、安全・安心意識、国民の健康維持の熱意とも言えますが、まあ骨付きで違反の分かりやすいケースであったということもあるかと思います。そうしますと、今現在の検疫制度、農水省また厚生省やっておられる具体的な状況、具体的にその検査対象の何をどういうふうに見ているのかということをお伺いしておきたいと思います。
  111. 中川坦

    政府参考人中川坦君) まず、農林水産省におきます動物検疫体制についてのその概略を御説明申し上げたいというふうに思います。  我が国の動物検疫制度は、横浜に本所を置きますこの動物検疫所のほかに全国に六つの支所、それから十七の出張所がございまして、こういった機関に合計で三百十九名の家畜防疫官を配置をいたしまして、年間約四十万件強の輸入動物なり畜産物の検査を実施しているところでございます。  昨年十二月の米国牛肉輸入再開に当たりまして、従来はこういった動物検疫所におきます検査は、通常申請のありました件数全体のまず六割を対象としまして、この六割の中から一定の抽出率、〇・五%でございますが、その比率でもって抽出をしたその箱を開けて実際に物を見ていたわけでございます。その場合、〇・五を掛けてもその数が三未満の場合は少なくとも三箱は開けるというふうな、そういうことをやっておりましたが、今回の輸入再開に当たりまして、その申請件数全体を対象といたしまして、まずそこで拡充をいたしました。  それから、いろんな部位が入っている場合には、先ほど申し上げました〇・五%を掛けるということのほかに、少なくともそのそれぞれの部位は最低一箱は開けて実際に検査をするというようなこともいたしました。その結果、従来のやり方ですと平均でも〇・五%程度のものを見ていたわけですが、それが今回の場合、輸入再開以降約一か月強の間でございますが、成田空港ではその実際に箱を開けて検査をした検査の割合が約四割、それから船で入ってまいります場合、これは東京港の例でありますけれども、開封をして見た数が三%ということで、従来に比べますと相当中身の濃い検査になっていたわけでございます。
  112. 松本義幸

    政府参考人松本義幸君) 厚生労働省検疫所におけます米国牛肉に対する検疫体制を御説明申し上げます。  全国検疫所三十一か所ございまして、そちらに三百名の食品衛生監視員がおりまして、米国牛肉のすべての輸入届について、米国農務省発行の衛生証明書というのが付いておりますので、対日輸出が可能な施設で処理された品目があるかどうかということ、また、保税倉庫におきまして約一〇%程度開封しまして、現物を確認して衛生証明書と同じものが入っているかどうかと、また、脊柱などのSRMの混入がないか等について確認を行っているところであります。  通常ですと、もう少しサンプル、全ロットということでやっておりませんけれども、昨年十二月十二日に輸入再開を決定いたしまして、検疫の強化をするということで、全ロットにつきまして開封、必要な数だけ調べているという、そういう検疫を強化したという状況であります。
  113. 福本潤一

    福本潤一君 発見された動物検疫所でも、四割だけをある意味では目視して検査しているということでございますし、もうこれ、先ほど和田委員からアメリカでのこの精肉状況、また危険部位除去の状況聞かしていただきましたけど、なかなか脊髄等々の抽出なかなか難しい。また、大変な、その場を見ただけではこれが食べるものに変わるのかというぐらいの不安を感じるような状況を描いていただきましたけど、そうしますと、脳や脊髄の組織片が今度は牛肉に付着するような状況とか、これ目視だけでは分からないような状況のものが入ってきた場合、今後の、再度輸入が許可になったときに、そうしますと、脳や脊髄など組織片が付着しているかどうか、これは確認することがそういう状況の中で可能なのかどうかということを厚生労働省、聞いておきたいと思います。
  114. 松本義幸

    政府参考人松本義幸君) はっきり申し上げまして、そういう組織片、脊髄のようなものが、小さなものが付着して、それを目視で発見できるかというと、それははっきり申し上げて難しゅうございます。そういう点からも、輸出プログラムということが米国政府の責任においてきちっと行われているというのがまず前提としてございます。その後、開梱して分かるものについては目視で確認をしております。  委員指摘の脳とか脊髄等の中枢神経系の組織が付いたときにどうするかということで、それを検出する方法といたしまして、そういう組織、中枢神経、脳や脊髄などの中枢神経系の組織に含まれますグリア細胞酸性たんぱくという特殊なたんぱくがございます。それを指標とした方法があることはございますが、本邦の安全規制の導入ということにつきましては、諸外国におきましても採用されておりませんし、また精度の面でその精度確保が困難ということからまだまだ課題が多くございまして、実用段階ではないということでございます。  しかしながら、厚生労働科学研究におきまして、現在そういうものが実用的にならないかどうかということを検討して、研究を進めているというところであります。
  115. 福本潤一

    福本潤一君 そうしますと、今回はある意味では素人に近い人が見ても分かるようなケースであったというだけで、また再開した後、今後いろいろな生理検査とかBSEを分かるときにエライザ法というような簡易法があって、それで陽性になったら次のウエスタンブロット法に進むとかいうような形で日本のBSEを判別するような方法の技術、簡易的な方法というのがないと、これ結局アメリカ側の責任だと。輸出輸入日本でいうと輸入ストップという形で対応するしかないということになりますので、この技術開発も鋭意進めていっていただければというふうに思います。  さらに、この検疫、私も農水政務官でおったときに各地、羽田、成田、いろいろなところで現場を見させていただいたりしましたけれども、もう相手国の輸出証明書を信頼するしかないぐらいの状況も難しい検出案件では出てくるんではないかと思いますので、この技術的な開発と同時に検疫体制一層強化しておく必要はあるんではないかというふうに思います。  この予算、人員、検査体制、これについてどういうふうに考えておられるか、聞いておきたいと思います。
  116. 中川坦

    政府参考人中川坦君) お答え申し上げます。  動物なり畜産物の輸入に当たりましては、伝染性疾病が我が国に侵入することがないように動物検疫の実施に万全を期すというのは当然のことでございます。  最近は特に国際化の進展によりまして様々な食品が我が国輸入されてきておりますけれども、こういった状況も踏まえますと、動物検疫について、食の安全の観点からもその重要性がますます高まってきておりまして、このため、これまでも家畜防疫官は年々増員をしてきておりますけれども、こういった増員を図るとともに、その資質の向上のための研修の充実、こういったものも力を入れまして動物検疫体制の強化に努めてきているというところでございます。  具体的な例で申し上げますと、平成十八年度におきましては、家畜防疫官を七名増員しまして、全国で三百二十六名配置することといたしております。こういった人員の面、それから個々の防疫官の能力の面、これらを併せまして必要な動物検疫体制確保努力していきたいというふうに思っております。
  117. 松本義幸

    政府参考人松本義幸君) 厚生労働省の検疫体制につきましては、先ほど全国三十一か所、三百名の食品衛生監視員を配置しておるということでありますが、その検疫体制の強化ということで、来年度におきましても十四人を増員するなど、引き続き検疫体制の強化を進めてまいりたいと考えております。  また、輸入につきましては、当然それにかかわる業者もいるわけでございます。我々の検疫機関だけではなかなか大変なところございますので、業者の方にきちっとした適切な輸入を心掛けてやっていくことでの輸入業者への指導、また必要に応じまして輸出国に対しましてそういう問題のあるものがないようにということで働き掛けなどをして、効率的かつ検疫の強化ということを図っていきたいというふうに考えております。
  118. 福本潤一

    福本潤一君 本当、三百人前後で大変な中でやっておられる方、またさらに増員も含めて検討していただければと思います。  今回、検疫で見付かったという意味では検査体制が機能しているとも言えますけれども、ある意味では、あのとき分かりにくい物件、物体、食品、そういったものだって日本に入ってきた後、もうあとはチェックできないという状態なわけでございます。そうすると、具体的にアメリカから輸出する段階ですね、この輸出段階のチェックというのが具体的に私どもの方物すごく気になる段階あります。これが完全になされておれば二重チェックということになると思いますので、米国側の対策樹立を待つというだけではなくて、この輸出段階のチェックというのを具体的にアメリカにも、どうしてそこのところでチェックできなかったのかということも確認する必要があるんじゃないかと思いますが、どうでございましょうか。
  119. 松本義幸

    政府参考人松本義幸君) 今回、米国側が遵守すべき輸出プログラムが守られなかったというのは非常に痛恨の極みでありまして、誠に遺憾なことだと思っております。  これにつきましては、やはりどういうことでこのようなことが起こったのかというその徹底した原因の究明と、それを再発を防止するためにどのような対策を取るかということについて、現在米国側調査検討を求めている最中でございまして、その報告書がいつ出るかはっきりしませんけれども、それを見てまたいろいろ注文すべきは注文していくということで対応を考えていきたいというふうに思っております。
  120. 福本潤一

    福本潤一君 と申しますのは、今回脊柱が混入される以前でも、米国から輸入停止されている牛肉の加工品が検疫で発見されたとか、再開決定前に冷凍豚肉に混ざった冷凍牛肉が東京湾に荷揚げされたという事例がございました。ですので、ある意味では商品管理が輸出側の方も日本輸出プログラムを守らなかったというだけではなくて、輸出管理、商品管理がずさんであったということもあると思いますので、そのシステム改善頑張っていただければと思います。  という大きな一つの結果が今回生まれたわけでございますが、中川農水大臣、今回検査体制の問題もちろんございます。輸入検疫だけではなくて、相手の輸出検疫もチェック完全になされる方法、さらに、アメリカが対策樹立をするのを待つということだけじゃなくて、日本からも対策樹立の過程に加わったり、何か安全な対策を構築して日本の食の安全、安心を守るという作業、働き掛けも必要ではないかと思いますが、その点どうでございましょうか。
  121. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) これ、過去二年間におきましても日本としては日本ルール、それから日本消費者の食の安全に対する意識といったものをアメリカ側に何回も説明をしているところでございまして、そういう中で、日本食品安全委員会のリスク評価を前提にいたしまして、アメリカ側衛生条件を合意しEVプログラムに基づいてやるということになっております。  今回の事件を契機に、何もアメリカ側に任せるんじゃなくて、任してないんですけれども、現時点ではアメリカ側がやるべきことをやってその報告書を待っているということでございまして、最終的に何もやらないんじゃなくて、報告書をいただいた段階で、今度は日本の番として、その報告書が十分か、日本のさっき申し上げたような要件に適合しているかどうかとかいった判断をこれからやっていくわけでございます。  そのときに、改めて日本としてもアメリカ日本の立場を強く、既に言っておりますけれども、また何回も申し上げると。あるいはまた、場合によってはアメリカ側にいろんな改善、あるいはまた日本側でもやるべきことがやっていくということを当然必要があればやるということでございまして、現段階ではその報告書を取りあえず待っているというところでございます。
  122. 福本潤一

    福本潤一君 全力で取り組んでいただくようにお願いしておきたいと思います。  以上で終わります。
  123. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  最初にちょっと大臣お願いをしておきたいんですけれども、答弁はできるだけ簡潔にお願いをいたします。  最初に、事実関係について確認をしたいと思います。  先ほどもお話しになっていました十一月十八日のBSEの質問主意書の答弁書で、輸入再開以前に現地調査が必要というふうになっていたわけですね。で、中川大臣は、それが農水省の当時の考え方だったんだと。で、後から状況が変わったというふうに説明をされています。  しかし、十月三十一日の石原農水事務次官の記者会見で、このBSEの問題で記者から聞かれて、輸入再開の前に査察することもあり得るのかというのに対して、査察を再開前にやるということは、まあやっても意味がないと。で、担当者が前に行って査察の手順とか、そういうことは当然アメリカ側と協議しながら決めるけれども、あくまで査察というのは輸入が行われてからの問題ですというふうにはっきりおっしゃっているわけです。  それで、私は、この次官のこの発言が当時の農水省の考え方だったんじゃないかというふうに思っていたわけですけれども、大臣の説明は違うわけですよね。で、本当はどちらが農水省の当時の考え方だったんでしょうか。
  124. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 十一月一日に、私は、前も後も含めて決めておりませんと言い、その次の日に石原次官もそういうふうに言っております。前の日の次官の発言と私の発言とどちらが最高責任者発言かは、おのずから御判断いただけると思います。
  125. 紙智子

    ○紙智子君 それは、後から言った方の発言になるんですか。
  126. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 前後の問題じゃなくて、大臣と次官とのどちらが最終責任者かということであります。
  127. 紙智子

    ○紙智子君 まあしかし、本当にその直前の三十一日のときに、正式な記者会見として次官が述べていたと。で、私は、これは石原次官自身の個人的な発言ではなくて、やっぱり農水省を代表しての発言だったというふうに思うんですよ。  で、それが、事前の審査はしないという考え方できたわけだけれども、しかし質問主意書が出されて、その答弁を準備する過程で、まあ厚生労働省も一緒に議論をしてきたと。で、その過程で変わったんじゃないんですか。で、石原次官の考えをまあ言ってみれば変えさせて、答弁書にわざわざ輸入再開以前に現地調査ということを書かせたということでいいますと、これ、やっぱりそれをやることができたのは、事務次官以上の実力者でなかったらできないということですから、そうするとやっぱり中川農水大臣がそのことを指示されたってことですよね。
  128. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 何を指示されたんですか。
  129. 紙智子

    ○紙智子君 ですから、答弁書の中身ですよ。次官そのものは、今までは輸入再開前はあり得ないって言っていたわけですけれども、しかし、議論の結果、そこを変えさしたわけですから、それは大臣がそういうふうに判断をしてやったということで、責任を持ってやられたということですよね。
  130. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私も、公式の場で農林水産大臣として発言を十一月一日にやっているわけでありますから、少なくとも十一月一日時点においては、あるいはそれ以降においてはどちらとも決めていないと。やれることは何でもやることが目的達成であるということになったわけでありますから、次官がそれ以前に何を言おうと、たまたま私が就任したのは十月三十一日でございますけれども、私の判断が農水省の判断であります。
  131. 紙智子

    ○紙智子君 よく分かりました。農水大臣の責任においてこういう判断をしたということですよね。で、中川大臣の責任でわざわざ変えさして答弁書をそういうふうに書いたといって閣議決定もやったと。  ところが、実際にはその中身についてはやらなかったというのは、これはやっぱり大きな責任だと、重大な責任だというふうに思いますけれども、いかがですか。
  132. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 政府統一見解で、あの閣議決定は、食の安全を万全を期すために輸入再開前にも現地視察をやる考えであるという考え方、認識について、厚生労働大臣並びに私の考え方を内閣として認めたわけでございまして、その後、その状況が変わったということでございまして、答弁書の趣旨に反していないと。そしてまた、我々も目的の達成のためにより効果的にやるためには、再開後にやった方がより分かりやすいという判断に変わったわけであります。
  133. 紙智子

    ○紙智子君 先ほどもこのやり取り、昨日もありましたし先ほどもやり取りありましたけど、やっぱりその責任というのは免れないと思いますよ。まあ、いろいろ説明されるけれども、これはやっぱり国民が聞いても納得できない話だというふうに思いますよ。  それで、この問題のやっぱり重要なかなめとなる査察に関してお聞きしたいというふうに思います。  それで、今日資料をお配りしておりますけれども、ちょっとごらんいただきたいんですけれども、まずこの二〇〇五年の十二月十二日に日米合意した中身ですね。(資料提示)  これ、米国から日本向け輸出されている牛肉及び牛の内臓の家畜衛生条件ということで、消費・安全局長がこの動物検疫所長にあてた文書ですね。その中の、実は抜粋してあるんですけれども、十六項のところにある「日本政府による査察」っていうものです。  それで、この文面を見ますと、「日本政府は、指定施設の代表的なサンプルを通じて米国農務省のシステム評価し、」と、米国農務省の規制条件及びEVプログラムにより定められた条件のシステム査察の一部として、HACCP及びSSOPの記録原簿を査察することができるというふうになっているわけですけれども、結局、これは米国が指定するところだけを見てシステム評価しなさいと、記録原簿、つまり台帳を見て判断しなさいということなんじゃないんですか。査察って言うんですけれども、査察の内容というのはこの程度のものなんですか。
  134. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 査察をすることができる、あるいはまた原簿をすることができる、この場合、査察というのは、この家畜衛生条件においては原簿を査察することができる、さらには十一月二十二日段階で現地を査察することもできる、どちらも日本の権利としてできるということであります。
  135. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっと聞いている趣旨、御理解いただきたいんですけれども、私が指摘していることは、要は米国の側が指定したところだけを見て評価しなさいと言われているんじゃないんですかっていうことですよ。それでいいのかということなんですよ。
  136. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 米国政府が指定したっていうところでありますけれども、これは、先ほどから申し上げておりますが、アメリカ側から日本牛肉輸出できる施設というのは輸出プログラムの下でアメリカ政府が指定した施設に限られております。現在ではそれは三十八か所ということになっています。その指定したというのは、その三十八か所が対象ということですので、アメリカ政府が指定したといっても、それ以外の施設は日本向けアメリカから輸出する資格のないところでありますから、査察をする対象としてはそのアメリカ政府が指定したということで十分だと思っております。
  137. 紙智子

    ○紙智子君 先ほども現地に行かれた話がるる述べられましたよね。それで、結局、アメリカがこういうふうに設定したところだけを日本が見ていて、実際にいろいろ問題あったとしても、それが本当に点検できるのかということなんですよ。これでは全く安全を担保することにならないんじゃないですか。私は、そこのところは国民の皆さんも全然そういう意識というか、理解していないと思いますよ。当然、査察ということは立入検査も含めてそういう形でやられているんだというふうに思っているわけですよ。  しかし、もっとさかのぼって言いますと、二〇〇四年の十月二十三日の時点、これは二〇〇三年がBSEが米国発生した翌年ですけれども、もう早々に日米が合意して輸入再開に向けての合意をしている、その査察システム、ここに書いてある文書を見ますと、日米各々の関連する食品安全システムの同等性の検査のための査察及び牛肉貿易の再開の後、両国は相手国施設の定期的な査察に協力するというふうに書いてあるわけですけれども、ここで言っている査察、これは英語でここにも書いてありますけれども、AUDIT、オーディットというふうになっていますよね。これ日本語訳で言うと、大体、会計監査とかね、監査というふうな程度の内容じゃないんでしょうか。つまり、強制力の持ったそういう立入検査ということではなくて、もっと軽い意味になるんじゃないですか。この意味についてちょっと説明をしていただきたいと思います。
  138. 中川坦

    政府参考人中川坦君) オーディットの意味の前に少し申し上げたいことがございます。  立入検査ということでありますけれども、このアメリカとの間で衛生条件として合意しております、それに基づきますこの査察でありますけれども、輸出プログラムで認証されました各施設について、まず、午前中も申し上げましたが、書類などの調査もいたしますけれども、書類が整っているかどうかという意味での査察もいたしますけれども、その肉を処理している実際の処理現場に立ち入りまして、それぞれの各工程を現実に行った専門官が査察をしております。そういうことで実際、全部点検をしている、査察をしていると。  それから、そこでもって重大な違反があった場合には、それはアメリカ政府に通告をいたします。そうしますと、アメリカ政府が輸出プログラムの下で認定をしているこの認定が取り消されるわけでございます。  そういう意味では、オーディット、あるいは表現はどうであれ効果として、不正があったり不適切なことがあれば、それが重大であれば指定が取り消されるという意味で、効果として何ら問題はないというふうに思っております。
  139. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今の御質問の冒頭部分ですけれども、先ほどの私のあるいは中川局長の答弁を踏まえて、たったその指定された場所だけだったら危なくてしようがないじゃないかという御趣旨の御発言ございましたが、これが正に国民に誤解を与えるような御発言でございまして、アメリカの中に何百何千とある食肉処理施設の中で、きちっとした日本向けに基準を持ってクリアされた四十しかないものについてだけ日本にしか入ってくることができないわけでありますから、その四十について自由に日本が査察ができるんでありまして、ほかのところがどうなっていようと、それはそれとして、日本として入ってこないわけでありますから関係ないわけでありまして、四十についてきちっと査察をする権利が日本が持っているということで十分だというふうに考えます。
  140. 紙智子

    ○紙智子君 私は、多くの国民の皆さんが不安に思っていることを代弁して言っているんですよ。それを、そういうふうな開き直りを言ってほしくないというふうに思いますよね。  それで、今、そのオーディットの言葉はどうとしてというふうに言いましたけど、これがやっぱり肝心なことだと思いますよ。もしそうでないと言うんだったら、もっと言い方変えたらいいじゃないですか。オーディットという意味じゃなくて、そうじゃない査察というふうに変えたらいいじゃないですか。  で、初めからアメリカのえらなところだけ見ていて、やっぱり安全を確認できるのかという問題が非常に重大な問題だと思いますよ。だって、子供だって分かると思いますよ。こっちの方は駄目です、こっちの方はいいですよと。そっちの方だけ見て安心できるのかという問題は、これはもう本当に簡単な問題だと思いますよ。  やっぱり、そういうふうに事前に例えば査察に入るということが分かっていたときは、それは査察の効果ということにはならないでしょうし、立入検査ですとか、それからもっと日本の主体的な検査ということでやらなければ意味を成さないというふうに思います。  二十か月齢以下の牛かどうかという話もそうだし、それから危険部位除去という輸入条件が守られているのかどうかということを判断する場合も、やっぱりこれアメリカ任せでは意味を成さないというふうに思うんですよ。こういうやり方が査察なのかと。  そういう査察なんだということが事前に食品安全委員会に伝わっていたんでしょうか。報告してたんですか、どうですか。
  141. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 平成十七年の五月二十四日に米国及びカナダからの輸入牛肉につきましてのリスク評価食品安全委員会お願いをいたしました。その際の諮問の資料の添付資料といたしまして、今アメリカについて申し上げました輸出プログラムの、まあその当時は案でございますけれども、案を添付いたしまして、きちっと一定の上乗せ措置、こういう上乗せ措置をした場合のリスク評価ということでお願いしてありますから、こういった措置というのは輸出プログラムでございます。  その輸出プログラムの中身について十分食品安全委員会で御審議いただけるように必要な情報はあらかじめ提示をいたしておりますし、また審議の過程で食品安全委員会プリオン専門調査会の各委員の方々から要請のありました資料につきましては、アメリカ側にも伝達をし、要求されたもの、もちろん存在しないものも幾つかありましたけれども、最大限情報提供には努めたところでございます。
  142. 紙智子

    ○紙智子君 そういうふうにおっしゃいますけど、実際に食品安全プリオン専門委員会の吉川先生はそういうふうに言っていませんよ。オーディットということで、これ結局形式的なものにすぎないと、きちんとした査察を示すインスペクションに変えるべきだって言っていますよ。  そして、この食品安全委員会自身がそういう中身だということを実際に知らされたのは、今年一月二十六日に、結局この、今度の危険部位が見付かって、その後の説明でもって初めてそのことが分かったという、明かされるということ、まあ認識をしているというわけですから、これは非常に私は重大な問題だというように思いますよ。  二〇〇四年の日米合意のときに既に決めてきたことなわけですけれども、そのこと自体をこれまでずっと日本の国内、国民には知らせていないし、食品安全委員会にも知らせないで、それで諮問させてきたというのは、本当にこれは国民に対しての背信行為だと私は言わざるを得ないと、許されないことだと思うんです。  しかも、再びちょっと資料の方を見ていただきたいんですけれども、もう一つの方は、これカナダの方ですね。同じ動物検疫所長にあてたカナダからの輸入牛肉についての文書を見ますと、こちらの方は、線引っ張ってありますけれども、「立入検査を実施し、」と「記録原簿等の調査ができる。」というふうになっているわけですよ。カナダの方が厳しい内容ですよね。  なぜ米国の査察とカナダの査察と違うんですか。これについて説明をしていただきたいんですが。
  143. 中川坦

    政府参考人中川坦君) アメリカにおきます査察とカナダにおきます査察は、具体的に日本の査察団が行ってやることについて何ら違いはございません。  オーディットという言葉と、それからインスペクションという言葉がありますけれども、アメリカ輸出プログラムの下で認証されたその企業が輸出プログラムにきちっと沿って具体的な作業をやっているということが担保されることになります。ですから、アメリカの仕組みの中では、アメリカ政府が、USDAの担当官が認定した施設に調査に入る、査察に入る、その場合の言葉もオーディットという言葉が使われております。だから、日本が行ってそこで調べることも、アメリカ農務省が行って、担当官が行って調べることも、いずれもオーディットという言葉を使っております。  それに対しまして、カナダでは、日本向け輸出される牛肉の条件がカナダ政府の規則の中に書かれております。その規則に沿ったところがカナダから日本輸出される資格のある施設として指定をされているわけです。こちらは、まあ言わば直接的な指定でございます。  繰り返しになりますけれども、アメリカは言わば間接的に品質を保証するシステムとして輸出プログラムがあると。その中で要件を適したところがそのプログラムに沿っているということで認定を受けるということになります。ですから、そういうその指定の仕方が違うことが、まあオーディットという言葉と、それからインスペクションという言葉の違いでありまして、日本側から見ますと、日本に来る牛肉が必要な条件を満たしているということをきちっと念のため点検に行くという、それが査察の意味でありますので、不正が見付かった場合にはアメリカあるいはカナダの政府に対して通知をして、そしてそれでもってそういった指定を取り消すことができるというのは両方の国において何ら変わりはございません。  そういう意味で、私、先ほどから申し上げておりますが、言葉は違っても日本から見た場合のその効果というものについては変わりがないということを申し上げております。
  144. 紙智子

    ○紙智子君 言葉は違っても違いないと言うんだったら、じゃ、アメリカの方も名前、言い方変えたらいいんじゃないですか。その文書自身もね。  結局、なぜこういうふうに違いになっているかといえば、事前の話合いの中で、恐らくアメリカはいろいろと要求されたことに対して、合わせてこれでどうかというふうに出したんじゃないですか。  私は、日本から例えば牛肉輸出する場合、他国から日本を逆に点検する場合どうなっているかということで、アメリカ日本牛肉に対してどういう対応を取っているかというのを見たんですけど、本当びっくりしますよね。非常に事細かくその条件を出して、それで、本当に施設については、窓は床面から〇・九メートル以上の高さにして、窓枠は衛生保持のために四十五度の傾斜にするとか、光はどういうふうに取らなきゃいけないだとかですね、物すごく細かい中身で指示をしているのに沿って、日本の施設は四か所ですか、認められているのがあるわけですけれども。そういう厳しい厳しいアメリカの言ってみれば要求に基づいて日本は造っているのに、逆に、日本からは国民の目線に立ってこれは絶対必要だということを要求するんじゃなくて、そうじゃないアメリカの要望を取り入れて、もう大甘の対応になっていると。本当に、いかにもこれ弱腰じゃないかというふうに思うわけです。元々、やっぱり国民の安全よりもそういうふうに米国再開要求を優先させて日米合意、輸出プログラムというのがあるということ自体が私は問題だと、これはやっぱり見直すべきだというふうに思います。  今回の事態というのは、やっぱり日本国内と米国内のBSEの対策、そして検査の基準に大きな違いがあるからなんですね。だから、ちょっと手直しで、運用上の問題でちょっと手直しをして検査マニュアルを厳しくするだけのことでは解決しない問題だというふうに思いますよ。やっぱり、今、日本が行ってきた厳しい飼料規制や全頭検査や危険部位の除去やトレーサビリティーが必要だし、やっぱり輸入再開をしたいというんであれば日本と同等の基準を行うのが筋だというふうに思うんです。そのことを米国に対して、大臣、要求しますか。
  145. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) オーディットかインスペクションかという、日本にとってカナダだけのインスペクションとそれ以外のオーディットとの違いから日米の間でいかに日本が甘くてアメリカの言いなりになっているかの御議論まで展開をされましたが、日本は、アメリカが主張しております三十か月、あるいはまた脊柱であってもいいではないかというアメリカ基準は、これは絶対にのむことができないということで、OIE基準、アメリカ基準よりはるかに厳しい日本基準をやったわけであります。  他方、日本からアメリカ輸出再開されたものについても日米で話合いをして、アメリカはこうしろというものについては話し合った結果、日本としてそういう条件でのんでいるわけでございますから、今回の、一月二十日に発生したこの事件につきましては、安全確保のためのシステム、とりわけアメリカ側の責任の元でありますEVプログラムのシステムそのものには問題はない、ただし運用において大きな問題が発生したので原因の徹底究明並びに再発防止を徹底的にやる報告書をまず出してください、それから日本側としてその後どうするか考えましょうということでございまして、大甘でもなければ、アメリカ側の言うことに屈してやったわけでも決してございませんで、日本側としては科学的で中立的な食品安全委員会のきちっとした専門的な御議論を踏まえてやっているところでございます。  ちなみに、御指摘のえさの問題とか幾つかの問題、それから先ほどの査察に行く行かないにつきましては、いただいた報告書の中の結論へ向かっての議論の過程での附帯事項という中に御指摘されているものも幾つかございます。それにつきましては既にアメリカに要請をしておりますし、我々としてもそれをやった方がよりリスクが小さくなる、いい状況になるという安全委員会での御議論もあったということが報告書に書いてございますので、それも実現できるように私としても引き続き努力をしていきたいというふうに考えております。
  146. 紙智子

    ○紙智子君 厳しいことを日本としても要求しているんだって言いますけど、少なくとも、例えば混入しないような、ラインを別々に造らせるとか、あるいはトレーサビリティーなんかも、これ要求しないんですか。
  147. 中川坦

    政府参考人中川坦君) ラインを分けるか、あるいは一定の時間帯で日本仕向けの作業をするか、そういったことは、いずれにしても目的は日本仕様のものとそれ以外のものがきちっと混ざらないようにするということであります。その点は、前回査察に行きました際に、大方はそれぞれの作業が始まる一番最初のところで日本仕向けを分けて造っておりました。そのことをほかのところでもやるようにということで意見としてアメリカ側に伝え、そういった方向で通知をするというふうなことまで前回の査察のときに言ってきたわけです。で、それを今回、一月の二十二日から行く二度目の査察の際に点検をしようとしていたわけですが、二十日の日にああいう事故がありましたので、それはできておりません。これからも査察に行けば必ずそういったところの厳しい視点で問題があるかどうかというのは見ていくと、それは査察を行う上で当然のことだというふうに思います。  それから、トレーサビリティーのお話も出ました。これは先ほども御質問がございましたけれども、トレーサビリティーそのものは、何か事故があったあるいは疾病が発生したといった際に、その家畜がどこの農場で飼われたか、あるいはどういうところ等経由してここまで来たかということを早くさかのぼって調べて、そして蔓延防止の対策を的確に打つということが基本的な目的でございます。  したがいまして、肉が輸入する際の安全性ということとは直接の関係がありませんので、輸入する場合にトレーサビリティーまで完全に義務付けてしまうということを相手に要求するのはWTO上、特にSPS協定上問題がある可能性があるということで、そこは慎重に対応しなければいけないというふうに思っております。
  148. 紙智子

    ○紙智子君 いずれにしても、小泉総理は、今度の日米合意、ルールを遵守しなかったアメリカ側ルール違反が、それが問題で責任があると。で、日本側の政府の対応は問題ないという言い方をしているわけですよ。しかし、今いろいろ指摘させていただきましたけれども、日本政府の対応自体にやっぱり責任を問われる大きな問題があるということは明らかだと思うんです。対応自体が、やっぱりこれまで国民が、国内の中でいえば、まだ駄目だと言って多くの人が批判をしているにもかかわらず、その声を無視して食の安全をないがしろにして要求を優先させてきたということがあるわけで、そして現に危険部位が入ってきたと。このことに対して反省せずに、日本対応には何ら問題がないというふうに開き直っているということは、本当に無責任極まりないというふうに思いますよ。  そういう意味では、私は、小泉総理総理の資格はないというふうに思いますけれども、並んで農水大臣の罷免を求めて、質問を終わります。
  149. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十七分散会