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2006-06-13 第164回国会 参議院 総務委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年六月十三日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         世耕 弘成君     理 事                 景山俊太郎君                 森元 恒雄君                 山本 順三君                 高嶋 良充君                 内藤 正光君     委 員                 小野 清子君                 尾辻 秀久君                 柏村 武昭君                 木村  仁君                 椎名 一保君                 二之湯 智君                 山崎  力君                 吉村剛太郎君                 伊藤 基隆君                 高橋 千秋君                 那谷屋正義君                 平田 健二君                 藤本 祐司君                 蓮   舫君                 魚住裕一郎君                 澤  雄二君                 吉川 春子君                 又市 征治君                 長谷川憲正君    国務大臣        総務大臣     竹中 平蔵君    副大臣        内閣府副大臣   山口 泰明君    政府特別補佐人        人事院総裁    谷  公士君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       千代 幹也君        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        事務局公務員制        度等改革推進室        次長       根本 康王君        内閣法制局第三        部長       山本 庸幸君        人事院事務総局        人材局長     鈴木 明裕君        総務省人事・恩        給局長      戸谷 好秀君    参考人        日本郵政公社常        務執行役員    塚田 爲康君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○国と民間企業との間の人事交流に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付  )     ─────────────
  2. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国と民間企業との間の人事交流に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会内閣官房内閣審議官千代幹也君、内閣官房内閣審議官行政改革推進事務局公務員制度等改革推進室次長根本康王君、内閣法制局第三部長山本庸幸君、人事院事務総局人材局長鈴木明裕君及び総務省人事恩給局長戸谷好秀君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国と民間企業との間の人事交流に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会日本郵政公社常務執行役員塚田爲康君参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 国と民間企業との間の人事交流に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 森元恒雄

    森元恒雄君 おはようございます。  官民人事交流法案についてお聞きする前に、懇談会、そしてまた地方財政について数点お聞きしたいと思います。  去る六月六日に、三懇談会のうちの通信・放送の在り方に関する懇談会報告書をまとめ、公表されました。私はかねがね三懇談会については関係者は期待と不安のまなざしで見ていると申し上げてきたわけですが、正にこの報告書を読みますと不安が的中したと言わざるを得ないと思っております。  まず大臣に、この懇談会平成十一年四月二十七日の閣議決定に率直に言って反しているんではないかと私は思うんであります。中央省庁等改革が行われましたときに従来の審議会等が大幅に整理統合されまして、あわせて同時に審議会等整理合理化に関する基本的計画というものが閣議決定されております。  それによりますと、委員構成均衡の取れた公正なものでなければならないであるとか、あるいは会議原則として公開しなければいけない、公開しない場合でもその要旨を後日公表しないといけないとか、あるいは特にこの懇談会につきましては、これは正式の審議会ではないわけですから、あくまで行政運営上懇談会、あるいは意見聴取の会というふうなものであって、政府に対して一定の政策的なマターを勧告するというか答申するというよう性格のものでないというふうなことが計画の中に決められておるわけでありますが、先日のこの六日の報告書を見ますと、いろんな面で閣議決定趣旨に反してるんじゃないかなという気がするわけでございますが、大臣の御所見をいただきたいと思います。
  8. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 懇談会に関しましては、かねてよりこの委員会でもいろんな御指摘を賜っているところでございます。  三つの懇談会、いずれも審議会等整理合理化に関する基本的計画閣議決定の中にあります懇談会等行政運営上の会合の開催に関する指針に沿って開催運営しているものでございます。この指針では、懇談会審議会等とは異なりまして、行政運営上意見交換の場とされております。その際に、審議会等公開に係る措置に準ずることとされておりまして、三懇談会もこの取扱いを遵守しているというふうに考えております。  まず、委員御懸念の点として均衡の取れた委員構成という御指摘がございましたけれども、これは指針上は懇談会等には直接求められてはいないわけですが、当然そういう配慮はしなければいけません。今回も幅広い意見を聴取できるように私としてはメンバー運営に配慮したところでございます。  また、会議公開原則でありますけれども、これも議事録に相当するものを公開をしております。また、その会議が終わるごとにブリーフィングを行っておりますので、そうした意味での情報開示には私も努力をしてきたつもりでございます。  いずれにしましても、これはあくまでも私的な懇談会で、ここで何かを決めたわけではございません。これを受けまして、政府与党一体となって今後いろいろな話合いをしていかなければいけません。今後そういう段階に入ってまいります。あくまでも、これは総務省ないし私に対する一つのインプットでございますので、その趣旨、繰り返し申し上げてきましたが、何とぞ御理解を賜りたいと思います。
  9. 森元恒雄

    森元恒雄君 法律等根拠を置く正式の審議会等であっても、メンバー構成は公正、均衡の取れたものでないといけない、そしてまた、それはあくまで政府に対して諮問を受けて答申するよう性格のものでないと、単なる参考意見を述べるにすぎないというふうなことが決められておるわけですが、ましてや法令等に何の根拠もないいわゆる私的と言われているようなものが、計画に直接書かれてないから偏った人選でもいいんですと言わんばかりのお考えはいかがなものかなと私は思います。  特に、懇談会等では関係事業者からも多角的な意見が出されたはずでありますけれども、このまとめられた報告書は、一方的なワンサイド意見しか取り入れてない極めて偏ったものになっておると思います。そういうふうなものをやっぱり幾ら大臣が最終的に判断されるとしても、余りにもこの懇談会の持ち方として民主主義考えていかがなものかなと言わざるを得ませんし、我が党の青木会長は二回にわたって本会議代表質問で、審議会等を多用することは議会制民主主義に反するんではないかと政府の見解を求めてきたところでありまして、私としては極めて残念な報告書であったなと。くれぐれも、これをどう酌み取って、受け止めてこれからの政策運営に反映されるかと、そこはよほど慎重にやってもらいたいと。  あわせて、そういうことからしますと、あと二つ懇談会もいよいよ最終段階に入って、近々正に報告書取りまとめような予定だというふうに聞いておるわけですけれども、先ほど申し上げたように、正式の審議会等であっても答申をしないというのが基本であります。ましてや私的懇談会でありますから、そこでいろんな意見が出たことをそのままお受けになるならともかく、懇談会として一つのまとまった意見に集約すると、一本化するというようなことは趣旨に反するんじゃないかと。是非、この二つは最終的な取りまとめをやめてもらいたいと私は思うんですけれども、お考えをお聞かせいただきたい。
  10. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 取りまとめ意味でございますけれども、ここは専門家の方にいろいろ御議論をいただいて意見が一致したところについては、これは取りまとめは、取りまとめと言うかどうかはともかくとして、こういう意見が大勢であったというよう報告になるんだと思います。しかし、当然のことながら、これは自由に御議論をいただいておりますのでそうではないところもたくさんございます。いずれにしましても、これは委員指摘ように、あくまでも私的な懇談会としてやっておりますので、それを受けて行政としてどのようにやっていくかというのは次の別の次元の問題でございます。それに関しては、政府与党一体となってしっかりとした議論を是非させていただきたい。  ただ一点、私は今回のそれぞれの財政通信に関して申し上げますと、今までなかなか非常に難しくて、部分的な議論はあったわけですが、全体としての整合的なトータルとしての考え方というのは私の知る限りほとんどどこからも示されていない、そういう問題に対して一つの見識が示されたという意味では大変御努力をしてくださったというふうに思っております。しかし、これはあくまでも一つ報告でございます。政府としてどのように行っていくのか、これは政府与党一体となって是非しっかりと議論をさせていただきたい、そこは誠実に行ってまいります。
  11. 森元恒雄

    森元恒雄君 それじゃ、次に移りたいと思いますが、二十一世紀地方自治に関するビジョン懇談会報告書案というものを先月出しております。そしてまた、審議の過程でいろいろ議論されていることも多少伝わってきておりますが、私はどうもそこに流れている基本的な考え方にいま一つ腑に落ちないといいますか、しっくりと自分の心に収まらない部分があります。それはなぜなのかなとかねがね思っておったんですけれども、最近なるほどと思いますのは、どうも懇談会議論されている方々の多くは、簡単に言ってしまうと、地方自治体をあたかも民間企業と同じよう存在であるかのよう考えておられるんじゃないのかな。しかし、国や地方自治体、いわゆる公共主体というものは、行政主体というのは何のために存在しているのかといえば、いわゆる市場経済で満たされない様々な国民のニーズに対応するためにあるわけで、全くその存在意義が根底的に違うわけでありますね。  具体的に言えば、自らが存在するしないという意思決定の自由はありません。民間は立ち上げようと廃止しようと全く自分たちの自由であります。あるいはまた、事業を展開するときに場所がこれ都合悪いといえば都合のいい場所へどこでも移動することは自由であります。国の内外問いません。あるいはまた、この事業は始めたけれどもなかなかうまくいかないなと思えば、いつでもやめられますし、どういうことをやればいいかということの自由もあります。要するに、存立そのもの場所事業内容、全く自由でありますが、自治体にはいずれも自由がございません。それを自由を拡大することによって責任を取ってもらうとか、自律してもらうと。聞こえはいいんですけれども、余り極端なことを言えば、やれないことをやれと言わんばかりのことになってしまうんじゃないかと。  自治体が非常に不安に思っているのは、やっぱりそもそも自由が極めて制約された中でしかないのに、自由を拡大するから責任取れと言われても責任の取りようがないと、責任だけを非常に追及されることになってしまうんじゃないかということを恐れておるように思うわけですけれども、大臣のその点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  12. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、森元委員指摘ように、民間企業とこれ地方自治体とは根本的にそのよって立つところが違う、そこは私も全くそのよう考えております。  しかし、一方で、今正に国民がいろいろ求めているところは、例えばですけれども、例えばの言い方ですけれども、民間企業はこんなに努力しているんだ、だから自治体、国や地方ももっと努力してくれと、そういう民間企業の教訓として生かせるところは生かしてほしい、そういう切実な声があることもこれまた私はやはり政治としては無視できない事実なのではないかというふうに思っております。  その意味では、例えばでありますけれども、財政予算仕組みについてもできるだけしっかりと目標を決めて、そしてそれを柔軟に実行して、それを評価、チェックするという、これは実は民間企業では当たり前にやっているよう管理手法自治体に取り入れていただいてはどうだろうか。いわゆる例えばこれニュー・パブリック・マネジメントの話でございますけれども、そういうような形で民間の知恵を借用できるところは積極的に借用してもらいたい、それは私はやはり否定されるべきではないというふうに思っております。そういう形で、私は地方自治体にもっと自由を持っていただきたい、そしてその裏腹で責任も果たしていただきたい、しかし何よりも自律をしていただきたい、そういうよう改革を進めたいと考えているところでございます。  私は、決して民間企業自治体を同列に扱うつもりはございません。現に、いわゆる例えば今破綻再生法制についていろいろ議論していただいていますけれども、それについても御指摘よう民間企業清算するという形があるわけですけれども、自治体には清算型の破綻というのはあり得ません。そういうことは明確にした上で、ここはやっぱり違うんだと、しかしその中で考えるべき、取り入れられるべき点は取り入れようではないか、アーリーウオーニングのシステムを入れようではないか、そういう議論をさせていただいているつもりでございます。  委員指摘ように、そこが非常に極端な形にならないようにこれは私もしっかりと注意をしてまいりたいと思いますが、委員指摘根本的な点については私自身配意をしているつもりでございます。
  13. 森元恒雄

    森元恒雄君 報告書案の中に書かれていることで具体的な点で一つだけお聞きしたいと思いますが、地方債発行を自由化するということの中の一環かと思いますが、地方債共同発行形態について地域単位に限定するというよう記述があったかと思います。しかし、もし地方債発行なり地方自由度を更に拡大していくというんであれば、なぜあらかじめ国の方でその発行形態地域単位に限定するというふうなことを枠をはめようとされるのか。それは要するに、自由を拡大することと反するんじゃないか。要するに、全国自治体がどんな形で共同発行をしたいというふうなことはどうなのか分かりませんけれども、それは正に地方自治体判断自由意思に任せるのが正に大臣のおっしゃっている方向ではないのかなと。  自らのおっしゃっていることに反するよう記述になっているんじゃないかなという気がするんですけれども、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
  14. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 共同発行の話に関しては、まだ議論が最終的に終結していないというふうに承知をしております。今議論そのものを議長預かりということで、座長御自身がいろんな地方団体皆さんの御意見とかを聞いている段階でございます。  基本的な経緯として私が承知していることを申し上げますと、こういう記述が出てきた一つ背景としては、例えば私は和歌山出身委員長和歌山出身でありますけれども、全国で例えば共同発行組織をつくった場合に、北海道が出す地方債の実質的な保証連帯保証和歌山の人がする、そういうことは一体意味があるんだろうか。奈良県のことをやって、それでいろんな地域に広域的な資本の整備するというのは分かるんだけれども、そういうふうな形で広域化することは果たして意味があるんだろうかというよう議論があって、このよう議論がなされている経緯だと聞いております。  ただ、私は基本的には委員のおっしゃるとおりだと思います。これは国が決める問題ではないと思います。地方がどのよう判断されるかということが最も重要な点だと思っております。この点については地方皆さん意見もよくお伺いして、きっちりとした仕組みにしていかなければいけないと思っております。
  15. 森元恒雄

    森元恒雄君 もう一点、先ほどのお答えの中に清算型の破綻法制というのはあり得ないと、それはもうそのとおりだと私はかねがね思っていますが、それじゃ、なぜ破綻というふうな仰々しい言葉をお使いになられるのか。現在の財政再建特例法で足りない点があるなら手直しすれば済むことではないのかと思うんですが、どうも破綻という言葉をあえてお使いになる裏には、破綻状態に近くなった場合には民間とそれこそ同じよう銀行貸手責任を取ってもらおうじゃないかと、こういうお考えがあるんじゃないかなと推察するわけですが、しかし課税権がある地方自治体銀行としては無制限の、無条件の信頼を置いて融資しておるわけでありますが、それが破綻状態になったからといって、貸した方にも責任取れというふうなことが果たして現在の日本法制の中で許されることなんだろうかなと私としては非常に疑問に思うわけですが、その辺のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  16. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) この議論はそもそも先ほどから申し上げております自由と責任、その責任部分議論として御検討いただいている部分だと思います。  そういう意味で、責任ということで破綻法制という言葉が出てきているわけですけれども、報告案においても、その点については正に委員おっしゃったことを踏まえて、いわゆるかぎ括弧付き破綻法制というような書き方にしております。その趣旨は、実質的にはこれは再建法制なんだと、そういう意味が含まれているというふうに思っております。最終的にどういう言い方をする方がいいのかどうかということも含めて、我々としては行政としてしっかりと判断をしたいところでございますけれども、内容的には今の再建仕組みを更に強化するというのが実質的な意味合いであるというふうに私は理解をしております。  その場合には、これもかねてから御答弁させていただいておりますが、今の制度がフローに着目したものになっているけれどもストックの概念を入れなきゃいけないということと、さらに、やはりこういう状態にならないことが重要なのであって、その意味で予防的な措置早期是正措置がしっかり織り込まなければならない、その二点が私は重要であると思っております。  今後、いろいろな検討を更に進めなければいけませんが、その際、委員が御指摘ように、そもそも課税権を有する地方団体の債務をどのように扱うことが適切か、これは法技術的には極めて問題があるところだと私も思います。委員指摘ように、そういうことが本当に法技術上いかに位置付けられるのかということは極めて重要な問題であるというふうに私も認識をしておりまして、今後、この点については制度設計の中でしっかりと議論をしていきたいと思っております。  いずれにしても、これは実質的には今の再建制度をよりしっかりとしたものにするものである、そのように私は認識をしております。
  17. 森元恒雄

    森元恒雄君 それじゃ、官民交流についてお聞きしたいと思いますが、ある意味では、広い意味では一環だと思いますが、天下りについて一つお聞きしたいと思います。  かねがね早期退職勧奨があることが天下りをやめられない一つの原因になっているんじゃないかと指摘されておるわけですが、せんだって総理から早期勧奨退職をもうやめるというよう方向で早急に検討しろという指示があったやに聞いておりますが、その可能性があるのかどうか、果たしてですね、その辺。あるいは、天下り規制手法として、今までのやり方に加えてむしろ具体的な行為規制ですね、民間に行った先での行為を規制することで担保した方がいいんじゃないかというよう考え方がかねがねあるわけですが、その辺について私はいささか疑問に思う者の一人でございますので、内閣府の方のお考え現時点でどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  18. 山口泰明

    ○副大臣山口泰明君) 委員の御指摘は、多分四月の二十七日に財政諮問会議総理から我が中馬大臣に御指示があったところであります。  国家公務員早期退職慣行については、いわゆる天下りの問題の一因との批判があると承知はしておりまして、このため、職員公務内においてできるだけ長期間勤務できるよう幹部職員勧奨退職年齢を五年間で段階的に平均三歳以上引き上げるなどの基本方針として、政府一体で今取り組んでいるところでございます。この慣行の更なる是正については、公務員の有能な人材の確保や官民人材交流の面も考慮する必要があることから、公務員人事在り方全体の中で検討しているところでもございます。  行政及び公務員に対する信頼を確保するため、しっかり取り組んでまいりたいと、こう思っております。  また、行為規制についてでございますけれども、この公務員の再就職については、権限、予算等背景とした押し付け的なものであってはならないわけで、また、退職した公務員の再就職により公務の公正な執行がゆがめられてはならないのは当たり前であります。いわゆる天下り問題については公務員人事在り方全体の中で検討を進めているところでございますけれども、具体的方策について、退職管理適正化に向けて職業選択の自由との関係官民人材交流の面も考慮し、総合的に検討を進めてまいりたいと。  また、行為規制でございますが、上がらなかったのではないかという質問でございますけれども、この問題については公務員人事在り方全体の中で検討が必要と考えており、この行為規制の強化だけではなく、総合的にまたこれも検討していきたい。  いずれにいたしましても、押し付け的なあっせんによる再就職がなくなることが必要でありまして、委員の御指摘のとおり、精力的にこれからも検討を進めていきたいと思っております。
  19. 森元恒雄

    森元恒雄君 特に行為規制については、天下りを受け入れる企業はその受け入れた人に何を期待して受け入れているのかと、そこの本質をやっぱり十分踏まえて議論いただきたいと思うんですね。  私は、個々具体的な営業活動等を期待しているというよりは、むしろ受け入れたというその事実に非常に重みがあるんじゃ、意味があるんじゃないかな。そうであれば、行為を規制しても何ら実効が伴わない、上がらないわけでありまして、その辺の判断をひとつ間違わないようにしっかりと御検討いただきたいというふうに思います。  それから、官民交流法でございますが、これ二、三だけお聞きしたいと思いますが、今回の改正は、民間から役所の方に来ていただく方を増やすためには、いったん従来は退職してから来ていただくことになっていたんですが、それだと御本人の身分が安定しないというふうなことから、身分を持ったまま役所の方に派遣可能と、受入れ可能と、こういうことにしようということでありますが、そうするとやっぱり官民癒着、行政の公正性が阻害されてしまうおそれがないのかと。これは、前回法律を制定したときに何でいったん身分を遮断したかといえば、そういうおそれをなくすためであったかと思うんですね。それがどうして今回そういう条件をなくして、なおかつ担保されるんだろうかということがいま一つよく分かりにくいので、この点について人事院の方から御説明いただきたいと思います。
  20. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) この法制定当時、人事院といたしましては、これから二十一世紀に向けましていろいろ社会経済システムの変革を求めます中で、やはり行政には、国民の多様な行政ニーズやその他のものに対応していくために、そういう変化に対応し得る幅広い経験、それから視野というものが求められると考えました。それからまた、民間でいろんな御経験をお積みになった方々を公務部門に受け入れることによって公務部門の活性化を図るということがありまして、こういう制度をつくったわけでございますが、当時はいろいろと不祥事が続発している時期でもございまして、身分を持ったまま公務部内に民間の方を受け入れるということに伴いますいろいろな問題について強い懸念をする声がございました。そういう状況をかんがみまして、あえてこれを禁止するという意見の申出をさせていただきました。  その後、六年間、いろいろな制度をつくりましてこの制度を運用してまいったわけでございますけれども、なかなかその実績が伸びてまいりません。その原因の一つといたしまして、身分を切ってくるということはなかなかいろんな意味での問題を生ずるわけでございますので、このことが障害の一つになっているという御意見もございました。  それで、これまでの実績を考えますと、いろいろ制度を、こういったことを担保するための制度を設けまして取り組んでまいりました結果、幸いにしましてそういった問題事例というのは出てきておりませんので、今後更にこれをお認めいただける際には、必要な措置も追加をいたしまして取り組んでまいりますれば、この問題については対応可能ではないかと考えまして、意見の申出をさせていただいたところでございます。
  21. 森元恒雄

    森元恒雄君 それでは、必要な措置を追加というのはどういうものを追加されるのかという点と、それからもう一点、公正さを担保するために役所と民間企業で相対取引するんじゃなくて、間に人事院が介在してということの仕組みを取っているわけですが、そのことが本当に公正さを担保する手段になっているんだろうかと。事実上、あらかじめ話合いができておって、形だけ人事院を経由するというようなことになったんでは意味がないわけですね。現在まで五年ぐらいたっているわけですが、その間に、例えば同じポストに同じ会社から引き続き来ているようなケースが全くないのか。もしあるとすれば、それはやっぱり何か単なる研修とか人材育成じゃなくて別の意図があるんじゃないかと思わざるを得ないんですけれども、そういう事実があるのかないのかを含めてそういう心配がないか、お答えいただきたいと思います。
  22. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) 最初に、官民交流、雇用継続を認めるに当たって新たに加えることとしている制限について申し上げます。  各府省が交流元企業との間で締結する雇用に関する取決めにおきまして、雇用は継続するんだけれども賃金の支払を行うことは内容としては定めてはならないということ、それから、交流採用職員は、任期中、雇用に関する取決めに定められた内容に従って交流元企業の地位に就く場合を除いてはそれ以外の当該企業の地位に就いてはならないこと、それから、現行とこれと同様でございますけれども、いかなる場合においても交流元企業事業事務に従事してはならないこと、さらに、人事院は毎年の国会等に対する報告におきまして、交流採用職員が交流元の企業で占めている地位も含めて報告をしなければならないというよう措置を追加することによって公正を担保したいというふうに考えております。  それから、同じポストに続けて来ることがないかという点ですけれども、この辺は所管関係ですね、企業とその官庁との間に所管関係がある場合につきましては継続して交流することが制限されるというふうに、仕組みになっております。  それから、いずれにしましても、どういうところと交流をしているのか、何回続けて交流しているのかどうなのかということも含めまして国会等に報告をいたしまして、透明性を確保する中で公正を担保してまいりたいというふうに思っております。
  23. 森元恒雄

    森元恒雄君 これはお願いしておきますけれども、そんな所管関係があろうがなかろうが、民間から役所に派遣する場合に、一杯役所があって一杯部署があるわけですから、まかり間違っても同じところへ継続的に同じ会社から来るなんてことは、これはもう疑われるだけのことですから、これは是非おやめいただいた方がいいと思います。それは御注意だけしておきます。  それで終わりたいと思います。
  24. 内藤正光

    ○内藤正光君 おはようございます。民主党・新緑風会の内藤正光ですが、私は四十五分の時間をいただきまして、大きく言って二つの柱を立てて質問をしていきたいと考えております。  一つ目の柱は、天下り規制官民交流についてでございます。  そこで、まず、先月五月二十五日、行革特別委員会で行われたやり取りを取り上げ、それを踏まえて議論を進めていきたいというふうに考えております。  まず、五月二十五日、行革特でどういう質疑に私が注目をしているかといいますと、我が民主党の直嶋議員の質問でございます。改めて言うまでもございませんが、今、国家公務員法百三条において、その離職前五年間に在職した部署と密接な関係のある民間企業への再就職を二年間にわたって禁じております。その点を指して直嶋委員は、それでは実効性がないんじゃないか、やはり天下り規制を強化すべきという観点から、その二年間という期間を五年間へと延長すべきではないのか、そういった主張をいたしました。そういった主張に対して、安倍官房長官並びに総務大臣、それぞれの立場から御答弁をいただいております。  そこで、まず安倍官房長官の答弁を振り返ってみたいと思います。安倍官房長官、どういう答弁をされたか、この二年を五年にするというそういう主張に対して。正確を期すために議事録をそのまま読んでみます。こうおっしゃっているんです。「政府としては、法律に二年から五年と書くことは、これはやはり職業選択の自由からして問題ではないかというふうに考えております」と断定的に答弁をされております。私は果たして本当にそうなんだろうかという疑問を持っております。  そこで、今日は内閣法制局にも来ていただいておりますので、山本第三部長にお尋ねをしたいと思いますが、私はこう考えているんです。今の私企業からの隔離を二年という実態、やはりいろいろ問題があるんだろう、そういうよう議論があって、それを五年にしたとします。そういった政策判断に対して、職業選択の自由を保障している憲法はそういった政策判断を排除するものではないと私は考えているんですが、内閣法制局の答弁をいただきたいと思います。
  25. 山本庸幸

    政府参考人山本庸幸君) お答え申し上げます。  憲法二十二条一項に規定しております職業選択の自由、これは退職した公務員を含めましてすべての国民に保障されている基本的人権の一つでございます。そういうことで、公共の福祉のためにこれを制限する場合であっても、その内容は必要かつ合理的な範囲内にとどまらなければならないというふうに考えております。  ところで、国家公務員法百三条二項及び三項は、今御指摘のとおり、このような憲法上の要請を踏まえまして、公務の公正な執行の確保という公共の福祉の観点から、離職した国家公務員の営利企業への再就職につきまして、離職後二年間、人事院の承認を得た場合を除きまして、一定の制限を課しているわけであります。  御指摘ように、離職した国家公務員に対する再就職規制を現在よりも強化するという場合には、それが公務の公正な執行の確保等公共の福祉を実現する上で必要かつ合理的な範囲内のものであるかどうかを十分に検討する必要があるというふうに考えております。そのためには、その強化される規制の内容のみならず、現在の公務執行の実態、再就職規制以外の適切な手段、方法の有無、さらには官民交流の要請など様々な事情を勘案して、これらを総合的に判断する必要があるというふうに考えております。
  26. 内藤正光

    ○内藤正光君 当然私はそれは必要だと思います、総合的な判断。  その上で五年とすべきだという政策判断をしたとします、国会が。その政策判断を憲法は排除するものではないんですねということを確認したいんですが。
  27. 山本庸幸

    政府参考人山本庸幸君) 先ほど申し上げましたとおり、この問題を取り上げるに当たりましては、いずれにせよ公共の福祉という観点からどこまでその制限を許されるかということでございまして、その内容はやはり必要かつ合理的な範囲内にとどまるべきであるというふうに考えておりまして、そういうものであるかどうかということをやはり判断するのが前提だと思います。
  28. 内藤正光

    ○内藤正光君 内閣法制局としてはなかなかその立場上断定的に言えないのかとは思いますが、ただ私は、お伺いする答弁から判断するに、排除はしていないというふうに私は今聞き取りました。  いろいろな難しい、簡単に、いや二年から五年にしちゃうよというのは駄目だとは思うんです。しかし、いろいろ、官民交流だとか様々な観点を踏まえて、公共の福祉、つまり、公共の福祉といったらこの場合は言うまでもなく公務員の中立公正性だと思います。そういったものに照らし合わせて五年というふうに変えるとしたならば、それは憲法が決してその政策判断を排除するものではないというふうに私は理解をいたしましたが。  ちょっと、当初質問の予定に入っていなかったんですが、竹中大臣、ちょっとお尋ねしたいんですが、竹中大臣、安倍官房長官、二年から五年に書き換えるというのはやはり職業選択の自由からして問題だと断定的に言い切っておりますが、これについて竹中大臣はどのようにお考えでしょうか。同じ考えなのか、いや違うんだというお考えをお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。
  29. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) その問題に関して、私自身内閣を代表してお答えするということはおのずと制約があると思います。その意味では、内閣としての考え方は官房長官がお示しになったとおりだというふうに思います。  当然のことながら、これ憲法を含めいろんな法律があるわけですけれども、いろいろ行政を行うに当たっては、行政府としてその法律をやはり判断して解釈してやっていかなければいけない点が出てまいります。そういう観点で、総合的に今の内閣としては安倍官房長官が御答弁になったよう判断の下で行政を行っていると、そのよう趣旨でございます。  一般論としては、やっぱり公務員在り方全体の中でしっかりと慎重に検討していかなければいけない問題であるということに尽きるのかなと思っております。
  30. 内藤正光

    ○内藤正光君 済みません、この人事制度を所管しているのは人事院でございますので、改めてちょっとこの辺の確認をさしていただきたいと思いますが、先ほど法制局さんに質問をしたのと同じ趣旨質問をさしていただきたいんですが、安倍官房長官は、二年から五年に私企業からの隔離を強化することは問題だと、職業選択の自由からして問題だと言い切っておりますが、私は違うと思う。政策判断としてそれは決して憲法は排除するものではないというふうに考えておりますが、人事院のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  31. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 憲法の厳密な解釈を申し上げる立場ではございませんけれども、この問題所掌させていただきました立場として申し上げますならば、現行のこの制限制度でございますけれども、これは憲法で保障されます職業選択の自由、それから勤労権、そういう基本的人権の尊重の要請と、それから公務の公正な執行の確保の要請との調和を図るという観点から、国家公務員法制定当初から離職後二年間という定めが設けられて今日に至っているものでございます。  この期間の在り方を厳しくすべきという御意見については承知はいたしておりますけれども、一方では今申し上げましたような観点、さらに人材確保という観点もございまして、そういう意味で、この問題については極めて慎重に検討をしていくべきかというふうに考えております。
  32. 内藤正光

    ○内藤正光君 極めて慎重に考えていくべきだ、それは当たり前だとは思います。  ただ、排除はしないというところを私は確認をさせていただきたかったんですが、一〇〇%排除するものなのかどうか、改めてお尋ねします。
  33. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 最初に申し上げましたけれども、私はこの場で憲法の解釈、立法の在り方について意見を申し上げるという資格はございませんので、そのぎりぎりのお答えについては遠慮をさせていただきたいと思います。
  34. 内藤正光

    ○内藤正光君 やはり、憲法が保障していても様々な公共の福祉という観点から規制を掛けているものがあるわけです。もしこれを憲法違反だというのであれば、国家公務員、労働三権が制約を受けているわけですから、もうその時点で憲法違反ですよ。それを公共の福祉という観点で一定の規制を掛けている。  で、やっぱり今この再就職を二年間禁じているという法律、いろいろな問題があるわけです。やっぱり二年間だと様々な問題、まだまだ人脈がある、そういった人脈を使っていろいろなやっぱり特定の企業に発注してしまう、また受注できてしまう、そういう問題があるから、それをもうちょっと強化して五年にしようという議論があるわけでございます。それをただ単に、簡単に憲法が職業の自由を保障しているから、だから駄目なんだという議論は私はおかしい。一定の制約、いろいろな政策判断の上でいろいろな、例えば二年から五年にするというのも政策のオプションとして私はあり得るんだということを申し上げさせていただきたいと思います。  実は、本当は私が質問したかったのはその次からでございます。  安倍官房長官の答弁、更に続きます。どういうふうに続くのか。職業選択の自由からして問題ではないかというふうに考えていると、その上で、またさらに、官民のこれは交流、民間から官の方に、あるいは官から民に、人材が回転ドア的にお互いに交流することによってそれぞれが力、ノウハウを増していくということも考えていくと、天下り規制を強化するということは、その官民交流の流れに逆行する可能性もあるというふうに官房長官は述べていらっしゃる。天下り規制を強化すると官民交流を妨げてしまう、だから問題だということを官房長官はお述べになられている。  そして、竹中総務大臣はどのように述べられているかといいますと、これは、天下り規制というよりもそれに関連しての早期退職慣行についての質問に対する答弁でございますが、ポイントだけ抜粋して私から申し述べさせていただくならば、公務員への人材確保、官民交流の面も考慮しながら、公務員人事在り方全体の中で検討している。ポイントは、官民交流の面も考慮しながら、そういった面も考慮しながら、天下り規制だとか、あるいはまた早期退職慣行の問題について検討しているというふうに述べられております。  で、このお二人の答弁を聞くと、私は、天下り規制を強化することは結局は官民交流の妨げになる可能性がある、そういったことを示唆されているのかなというふうに私は理解をしております。  そこで、改めて総務大臣にお尋ねしたいんですが、その答弁の趣旨、すなわち天下り規制を強化すべきという主張に対して、また繰り返しになるかとは思いますが、竹中大臣にお答えをしていただきたいと思います。
  35. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 私の答弁は、中馬大臣の下でそのような方針で検討しているというふうに伺っているという趣旨であったと思います。これは、基本的な考え方はもう内藤委員もよく御存じだと思いますので申し上げませんが、これちょっと一つの具体例としてお聞きいただきたいんですが、私自身、できるだけ民間の、例えば内閣府にいるときも民間のエコノミストとか専門家を連れてきたいと、そして政府の中での政策論議を活性化させたいというふうに思ってまいりましたし、そのように何人かの人に来ていただきました。  そのときに出てくる一つ議論として、例えばここで二年審議官をやって局長をやって、それで、ないしはそれが延びて五年になったら、その後どうなるんですかと、その後天下り規制自分は引っ掛かってしまうんですかと、これ実際にそういう質問を受けたことがあるんですね。そのときは具体的な問題に、大きな問題にならなかったわけですが、官民交流というのはその意味では私は本当に重要なことだと思います。  その場合に、やはり一般の国民の感情として、またここでも御議論いただいておりますように、ずっと終身雇用的に役人としてやってきて、その人が一つの役所とのつながりを持って民間企業に行くというのは、これはやっぱり国民感情から見ても問題だよねと、実際にいろんな問題も起きるよねと。それは分かるわけですけれども、官民交流が非常にこう激しくなってきて、二年いた、五年いたと、その後どうなるかということもやっぱりこれは考えなければいけない問題だというふうに出てくると思うんですね。そういう中で正にバランスの取れたところはどういうところなんだろうか、全体の制度の中で考えなければいけない、私はかねがねそのように思っております。  そこでの答弁は、繰り返しになりますが、中馬大臣のところでそういうふうな方針で考えているという御紹介をさせていただいたわけですが、今私が申し上げたような問題も一つ背景にあるというふうに考えております。
  36. 内藤正光

    ○内藤正光君 改めて申し上げますと、私は何も官民交流の推進を否定しているものでも何でもございません。私はどんどんやるべきだと思っております。しかしながら、この政府答弁を見る限り、聞く限り、天下り規制の強化に対して、いや、これは問題だと、その理由の一つとして職業選択の自由を挙げたり、あるいはまた官民交流推進を挙げたり、私はそこが問題じゃないのかなという、そういう意識を持って質問をさせていただいているわけなんです。  そこでちょっと確認をさせていただきたいんですが、人事院に。  官民交流法が必要とされた背景並びにその立法趣旨についてお答えいただけますでしょうか。
  37. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) この交流法制定当時でございますけれども、私ども人事院といたしましては、二十一世紀に向けまして社会経済システムの変革が求められております中で、行政には、国民の多様な行政ニーズとか、それから内外の著しい変動、そういった情勢に対応しつつ、もろもろの課題に対応していかなきゃならないという使命があるわけでございますけれども、そういう意味行政運営を担う公務員に、このよう行政環境の変化に対応し得る幅広い視野と課題を解決する能力が更に一層求められるようになっていくだろうという認識をいたしておりました。今ももちろんその認識に変わりはございません。  そのために、交流派遣を行うことによりまして、公務員公務外の動向に一層目を向け、公務とは異なった組織原理に基づいて運営されております民間部門の効率的な対応、より徹底したコスト意識、それから顧客への配慮などといった特性を学ぶことによりまして、柔軟で幅広い視野を持った人材を育成するとともに、公務においても参考とすべき考え方や発想方法を行政に取り込んでいきたい。また、交流採用を行うことによりまして、公務と異なった組織原理に基づいて運営されております民間部門の効率的、機動的な対応等を経験し、公務とは異なった感覚、発想を身に付けられました民間企業職員の方々を期間を定めて公務に受け入れることによりまして公務の活性化を図っていきたい、そういうことが必要と考えてこの法制定についての意見の申出をさせていただいたという次第でございます。
  38. 内藤正光

    ○内藤正光君 現在のこの官民交流法が制定されたのは平成十一年だったと記憶しておりますが、その制定時の委員会審議において、この法律ができると官民の癒着が発生しやすくなるんじゃないか、そういう懸念が指摘をされております。そういった指摘に対してこの官民交流法はどのような規定を置いているんでしょうか、お尋ねしたいと思います。
  39. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) 官民癒着の防止という観点から、現在の制度では、一つには交流元企業と密接な関係にある官職に就くことを禁じるいわゆる官職制限、あるいは契約関係等による交流制限等の制約がございます。それからもう一つ、全体として人事院による公募、それから人事院による交流計画の認定、計画変更の認定、それから交流状況についての国会等への報告等の手続を定めまして全体として透明性を確保しているという、このよう仕組みによりまして癒着の防止、公務の公正性の確保を図っておるということでございます。
  40. 内藤正光

    ○内藤正光君 また、引き続き人事院にちょっと確認をさせていただきたいことがあるんですが、官民交流法の目的、一番最初に書いてあるんですが、最後の一文に書いてありますように、一言で言うならば、官民交流法の目的は、公務の能率的な運営に資すること。一方、国家公務員法の目的は何なのか、これも確認をさせていただきたいんですが、公務の民主的かつ能率的な運営を保障すること。それぞれについて確認をさせていただきたいんですが、それでよろしいですね。
  41. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) そのとおりでございます。
  42. 内藤正光

    ○内藤正光君 繰り返しますが、国家公務員法では、公務の民主的かつ能率的な運営を保障すること、一方の官民交流法の目的は、公務の能率的な運営に資すること。これらの目的を比較してみますと、国家公務員法にあって官民交流法にないもの、それは何か。民主的な運営というところでございます。  そこで、ちょっと法制局さんにお尋ねしたいんですが、ここの法律で言うところの民主的な運営とはすなわち何なのか、お答えいただけますか。
  43. 山本庸幸

    政府参考人山本庸幸君) これは、文字どおり民主的な運営ということで、多方面のいろんな意見を踏まえながら、公平にかつ民主的に運営していくと、そういうことでございます。
  44. 内藤正光

    ○内藤正光君 それは公務員の中立公正性ということでよろしいんですね。
  45. 山本庸幸

    政府参考人山本庸幸君) そのとおりでございます。
  46. 内藤正光

    ○内藤正光君 この公務員の守るべき中立公正性、これは正に、冒頭、部長がおっしゃったかと思いますが、憲法たしか十五条ですね、の要請そのものだと考えますが、そう理解してよろしいですね。
  47. 山本庸幸

    政府参考人山本庸幸君) そのよう考えます。
  48. 内藤正光

    ○内藤正光君 ちょっと更にもう一つ確認をさせていただきたいんですが、これもたしか行革特の公明党の山下議員の質問に対する法制局長官の答弁であったかと思うんですが、結局、国家公務員法というものを考えますと、憲法十五条の下、公務の民主的かつ能率的な運営を保障することを目的とする国家公務員法が制定されているという理解でよろしいんですね。
  49. 山本庸幸

    政府参考人山本庸幸君) 済みません、ちょっとその御答弁が手元にありませんですけれども、文字どおり考えれば、そのようで結構だと思います。
  50. 内藤正光

    ○内藤正光君 これ法制局かあるいは人事院、どちらでも結構なんですが、済みませんが、この中立公正性を確保するために、国家公務員法では具体的にどんな規定が設けられているんでしょうか、教えていただけますか。
  51. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) 急なお尋ねで丁寧な正しい答弁ができるかどうか分かりませんですけれども、例えばいろんな服務の規制が設けられておりまして、例えば政治活動の制限であるとか、そういうようなことによって公務の中立公正性を担保すること等が定められているというふうに承知しております。あるいは十分ではないかもしれません。
  52. 内藤正光

    ○内藤正光君 政治的な行為の制限もその一つですよね。まだほかにも幾つかあるんじゃないんでしょうかね。突然の質問で大変恐縮ですが、幾つか挙げていただきたいと思います。
  53. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) まず、服務の根本原則として、職務に専念をしなければならないということ、それから、公務員の任用につきましては成績主義の原則に基づかなければならないこと、あるいは、公務員につきましては、法律、法令で定める事由によらなければ免職されないこと等の身分保障等々も、そういった観点からも設けられている制度ではないかというふうに理解しております。
  54. 内藤正光

    ○内藤正光君 もう一つ、私が冒頭申し上げましたが、また直嶋委員質問にも出てきましたが、私企業からの隔離もその中立公正性を担保する一つの具体的な規定だと理解してよろしいですね、あの二年間再就職できないという。
  55. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) そのとおりと思います。そのほか政治的中立、あるいは兼業の制限、いろいろございます。
  56. 内藤正光

    ○内藤正光君 いろいろ技術的なことをお伺いしまして、またお答えいただきまして、ありがとうございます。  なぜそういったことをお伺いしたかといいますと、国家公務員法、そして憲法、そしてさらには、今回、今議論している官民交流法、その関係をちょっと明らかにしたかったからなんですね。  私は、もう一度繰り返しますが、国家公務員法というのは、憲法十五条の下、公務員の中立公正性守らなきゃいけない、担保しなきゃいけない、そういった下に国家公務員法が制定をされている。国家公務員法の目的は公務の民主的かつ能率的な運営を保障すること。それに対して、今議論している官民交流法はあくまで公務の能率的な運営に資することなわけです。民主的というところが入っていないんですね。  ということはどういうことかといいますと、この官民交流法というのは、国家公務員法の目的の一つとしてうたわれている能率的な運営を実現するための具体的な手段として制定をされたわけです。国家公務員法の目的の一つ、能率的な運営、これ何度言ってもやっぱり能率的な運営実現できない、じゃどうしようかということで、具体的な手段として官民交流法が平成十一年に制定をされた、具体的手段としてですね。  人事院、もう一回確認したいんですが、私はそう考えているんですが、そういう理解でよろしいですか。
  57. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) おっしゃるとおり、国家公務員法の民主的、能率的行政の確保ということを、その体系の中で能率的な行政を目指すということで官民交流法が設けられているというふうに理解しております。
  58. 内藤正光

    ○内藤正光君 以上のやり取りを踏まえて結論付けられるのは、やはり最初の安倍官房長官の答弁に戻るんですよ。やはり安倍官房長官、二年を五年にすることは官民交流の妨げになる。でも、これ本末転倒なんですよ、私企業からの隔離が結果として官民交流の妨げになるという主張は。本末転倒というか、目的と手段を履き違えているんだと思います、その答弁は。もう明確におかしいんです、それは。  ですから、まず憲法の十五条の下に制定された国家公務員法、それは民主的かつ能率的な運営を図らなきゃいけない。で、民主的かつ能率的ですよ。能率的かつ民主的ではなくて民主的かつ能率的。民主的がまず上位概念ですよ。そして、その下位概念であるところの能率的な運営のために官民交流法というものが制定されている。ということは、まず、官民交流が云々という前に、民主的な運営、すなわち中立公正性をどのように担保するのか、すべきなのか、そういった議論がまず行われるべきなんです。その上で、では官民交流在り方はどうするべきなのか、そういう議論をやっていかなきゃ駄目なんです。最初から官民交流の妨げになるということで私企業からの隔離というものを門前払いするというのは私は全くもって本末転倒、そういったことを申し上げさせていただきたい。  そこで、今までの議論を踏まえてちょっと人事院にお尋ねしたいんですが、改めて私企業からの隔離と官民交流推進との関係について、関係といいますか在り方についてお考えをお尋ねしたいと思います。
  59. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) 官民交流は、それを図ること、相互に官と民が学び合うということで、大変意義のあることだということでありまして、そのことと、一方で官民の適切でない癒着関係が生じてはいけないということは、これはいずれも大事な要請でございますので、その間のバランスをどう取るかということが重要ではないかなというふうに考えております。
  60. 内藤正光

    ○内藤正光君 今までの議論を踏まえるとそういう答弁は返ってこないと思うんですね。ですから、私は、何度も再三申し上げているように、私企業からの隔離の議論に際して、いや、官民交流の推進の妨げになる、そういう論法はあり得ないということを私は申し上げているわけなんです、憲法と国家公務員法と官民交流法との関係を明示しながら。  ですから、私は、まず官民交流の推進というものはいったんちょっとおいておいて、大事なことなんだけれどもおいておいて、まずは私企業からの隔離、すなわち公務員の中立公正性をいかに担保していくべきなのか、そういった議論があって、そしてその後に官民交流推進、議論が始まるべきものだと思いますが、もう一度お尋ねします。
  61. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 民主的な運営の確保ということは、このように国会で法律に基づいていろいろ御審議をいただいているということがその一番基本でございますけれども、これは当然の要請でございまして、国家公務員そのものに内在する原則でございます。  交流法は、民間の知識、経験を公務部内に導入するという付加的な、ある意味でいいますと、技術的な目的のために付加的に作られている法律体系でございまして、当然その基本的な原則を守る中でこの法律執行されなきゃならない。したがいまして、この法の目的としましては、交流のことについて書いてあるわけでございますけれども、第一の目的でございます民主的な運営を守るための仕組みといいますものはいろいろな形で守ってきて、努力をしてきておるわけでございまして、私は、決して、法律在り方について私が申し上げるのは、国会でお決めになった法律のことで申し上げるのは大変僣越でございますけれども、体系としては矛盾しているわけではないというふうに考えております。
  62. 内藤正光

    ○内藤正光君 この柱、最後の質問にしたいと思うんですが、改めて竹中総務大臣に確認をさせていただきたいんですが、これまでの議論を踏まえ、天下り規制に対する大臣のお考えを再度確認をさせていただきたい。その中に官民交流の推進の在り方だとか、あるいはまた職業選択の自由というものも当然キーワードとして含まれるべきだと思いますが、改めてお答えいただけますでしょうか。
  63. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今いろいろと内藤委員が御指摘くださいました憲法以下の法律体系の下における公務の中立公正の重要性、私企業からの隔離、こういう問題というのは極めて重要な問題であります。そして、その中に天下りの問題が一つの問題として、今社会的に注目を集める問題としてあるんだというふうに認識をしています。  同時に、今人事院総裁がお答えになられましたように、そういう一つの大きな体系の中で、しかし能率性も求められるわけですから、それに対処するための一つの技術要因として官民交流というようなものをやっぱり大切に考えていかなければいけないという現実があるんだというふうに認識をしています。  重要なのは、そこに介在するのは実は人間、人でございます。交流してくる人も人、そして天下りといいますか、外等に出ていって職業を探す人も人、そういう一人の人のインセンティブ等々を考えた場合には、上位概念、下位概念ということは法律上は言えるかもしれませんが、やはりこれは一体として考えざるを得ないという問題があるのかと思います。  その意味で、私は、官房長官の御答弁も、そういう法体系を踏まえつつも、しかしこれはやはりそこに人が介在して一体的に考えなければいけない、そこで総合的なバランスを考えなければいけないんだということであろうかと思っております。  しかし、重要な点は、政治として重要なのは、天下りに対する現に非常に厳しい批判があるということだと思います。そういうことを踏まえて、今その問題についての総合的な検討中馬大臣を中心に内閣官房でも行っている、我々もしっかりと協力をしていくつもりでおります。
  64. 内藤正光

    ○内藤正光君 この項目については以上で切り上げたいと、終わりにしたいと思いますが、是非ともやはり、まあ確かに一人一人の人間、公務員という人間のやっぱり生活が関係する問題ですから、そう簡単に割り切れるものではない。そのことも十分理解しますが、しかしながら、天下りの問題が今いろいろなところで指摘をされている、ささやかれていると。やはりこの問題に国としてもまた政府としても真っ正面から対処していかなければならない。にもかかわらず、それを安易に、やれ職業選択の自由があるからだとか、あるいは官民交流の推進の妨げになるからとか、そういったちょっと本末転倒の理由でその議論を深入りするのを妨げないでいただきたい。そのことを私は申し上げさしていただきたく、三十分以上を使ってこの議論したというふうに御理解をいただきたいと思います。  さて、残りあと十分を切ってしまいました。当初、この官民交流法、そんなに時間が要るのかなとは思ったんですが、いろいろ議論、勉強していくと、結構問題があります。で、時間が足りなくなってしまうぐらいなんですが。  次、官民交流在り方について、残り十分使ってお尋ねしたいんですが、官から民への交流派遣だとか民から官への交流採用、それぞれに目的があるわけなんですが、これらの目的を踏まえ、交流派遣並びに交流採用それぞれの実施状況とその評価について確認をさしていただきたいと思います。これ、人事院あるいは総務省、それぞれの立場から相互補完的にお答えいただいて結構でございますので。
  65. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) この法律が施行されましてから十八年の三月末までの人事交流の状況でございますけれど、交流派遣が四十名、交流採用が百八十四名となっております。  この効果ということでございますけれども、私どもがこれまで各府省や民間企業に対して行いましたヒアリングによりますれば、一層のコスト意識の啓発、広い視野の育成等において一定の評価を得られているというふうに考えております。  しかし、他方、この人数、実績でございますけれども、交流採用は年々人数が増えてきておるわけでございますけれども、交流派遣につきましては、先ほど申し上げたように、大変少ない人数にとどまっております。それからまた、この交流派遣、交流採用ともに府省によって偏りが見られるということがございまして、実績全体として見ますと、更に一層その推進に努めていく必要があるというふうに評価いたしております。
  66. 戸谷好秀

    政府参考人戸谷好秀君) 人数等につきましては、ただいま人事院から御報告があったとおりでございます。  私どもとして、効果につきましていろいろアンケート等を行ったわけでございますが、実施した府省におきましては、交流採用の効果について、専門知識が業務に生かしていただいたと、あるいは交流派遣をしたそういう派遣者について、幅広い視野や多角的な考え方民間において非常に特徴的なものについて身に付けて帰ってきたというような評価をしている府省が多く、高く評価をいただいていると、やったところについては評価が高いというふうに考えております。
  67. 内藤正光

    ○内藤正光君 繰り返しになりますが、私は官民交流の推進、否定するどころか、むしろもっとやるべきだという立場を取っております。これからも運営在り方について不断の見直しを行っていかなきゃいけない、そういう立場でもございます。  その上で申し上げさしていただきたいのは、先ほど総務省の方から、実際に派遣をしたあるいは採用した省庁並びに企業からアンケートを取った、それらのアンケートによるとおおむね良好な評価を得ているということなんですが、確かにアンケートも大事なんですが、当事者に取っているだけのアンケート、それもサンプル数を見ますと、ひどいところになると四件かそこらですよね。で、聞いて、成果がなかったと普通は言えませんよね、常識的に考えて。  私はアンケートの有用性をもう大上段に否定するものではありませんが、ただこのアンケートだけを頼りに今後も運営をしていっていいのか、私はそれ大いに疑問を持つんですね。やはり今後この官民交流の実効性をより高めていくためにも、もう少し客観的な政策評価、それを私は行っていくべきではないのか。そのことによって、正すべきところがあれば正していく、あるいはもっと拡大していくべきところがあれば拡大していく、そういう立場を取るべきではないのかと思っているんですが、総務大臣にお考えをお尋ねしたいと思います。
  68. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 確かに委員指摘のとおり、この評価を我々としては本当にもっときっちりやっていきたいなと思っています。何分まだサンプルが物すごく少ないわけでありますけれども、こういう事例を聞いたことがございます。  これ、アメリカ等々の人事管理では、いろんなこれまでの経験、その中には、何を勉強したかとか学歴がどうかとか、営業経験何年か、いろんなものを、要因を入れて、その人が最終的にどのような、今の時点で二十年後に評価を受けているかという、一種の多変量解析みたいなものをやって幾つかの要素を抽出した例があると聞いております。  本来でしたら、そういうことができると、そういう民間派遣をやったことがある人ない人でどういう差ができるのかとか、分野によってどういう差ができるのかというところまで行けば大変私は良いのだと思います。なかなかそういう客観的な統計的な分析までは行きませんが、定性的な評価の中でもそういうことをやはりやっていく必要があると思っています。今本当にこれ、まだ数が、大変残念ですけれども数が少なくて、なかなかサンプルとしてうまく抽出できるのかどうかという問題がまだある、そういう状況だと思っております。  ただ、いずれにしましても、そういう問題意識は持って我々としてもしっかり対応をしていきたいと考えております。
  69. 内藤正光

    ○内藤正光君 是非とも、できるだけ客観的な評価づくりに努めて、悪いところは早急に正していく、是正していく、そういった姿勢で向かっていただきたいと思います。  最後になりますが、人事院にお尋ねしたいと思うんですが、この官民交流の目的は、何度も繰り返すようですが、行政運営の効率化にあるわけなんですね。だから公務員民間企業に送り出したり、あるいは民間の発想を学ぼうという立場で民間の社員を霞が関に来て働いてもらうということなんですが、ただ、私も議員になる前十年間民間企業の経験がありました。民間企業の中でいろいろこうやって研修と称して派遣し合ったりするんですが、ただ、お客さんという立場で行っても本当に実効性ないと言い切ってもいいと思うんですね。どうせ戻っちゃうわけですからね。やっぱりまず最初、半年なり一年そこの場にお邪魔するんであれば、そんなに強いこと言えませんよ。まずは、まず最初は人脈づくりだとかいろいろないい人間関係をつくる、そのことに専念をする、これは人間として当然だと思います。  本当に業務の活性化、効率化を目指すんであれば、私はこの官民交流の推進という枠にとどまらずに、例えばもう後を切って来てもらう、任期付職員法、その枠組みで有為な人材をがっと取り入れる。あるいは、今公務員というのは基本的には試験採用でございますが、選考採用という枠組みもあるわけです。いろいろな分野で秀でた実績を残している人、是非とも霞が関でその力量を発揮してもらいたい、そのために選考採用という採用方式もある。  私は、本当に業務の効率化、活性化を目指すんであれば、官民交流の推進も否定はしません。否定はしないけれども、それに拘泥することなくもっと幅広く今の制度を活用していくべきだと思いますが、人事を所管する人事院総裁にそのお考えをお尋ねしたいと思います。
  70. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 公務内にどのよう人材を確保していくか、あるいはどのような業務管理手法を導入していくかということは、いろいろな手法がもちろんあるわけでございます。それは御指摘のとおりでございまして、人事交流制度といたしましても、この官民交流法のほか、これまでも民間派遣研修、それから人事院規則による中途採用制度、任期付職員制度、任期付研究員の制度といったよう制度がございます。  これらの制度をそれぞれ必要に応じて活用しながら対応していくということでございますけれども、基本的には人材確保というのは大変重要でございますから、新規学卒者等を中心といたします職員採用制度、試験制度の改善、それから業績評価その他、部内における人材の育成確保の方策、それから御指摘のございましたように中途採用制度の一層の整備といったようなことがいずれも必要だと思うわけでございまして、そういうもろもろの制度につきまして今後ともその整備に努めてまいりたいと考えております。
  71. 内藤正光

    ○内藤正光君 以上で私の質問を終えます。
  72. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 民主党・新緑風会の藤本でございます。  官民人事交流法の一部改正でありますけども、普通に考えてみると、普通に考えてみるとというか、割とこの交流をすることというのは普通いいことだろうというふうに思うんですが、そうは言っていてもいろんな問題点が出るということのようでございまして、この間の衆議院の総務委員会であるとか今日の議論も聞いてみると、官民の癒着の問題だとか天下りの問題とか、そういうような問題があるというような御指摘をいろんなところで受けているわけなんですが、正にこの交流するということ、人事交流というのは非常にいいことのはずなのに、それだけの問題点が多いと指摘もされると。  で、これはよくよく考えてみれば、やはり官の権限が非常に強くて、民間というのが官の、まあ支配下とまでは言いませんけども、そういう上下関係みたいなものがあるからこそその癒着が悪いことになってくるんだろうというふうに思うんですけれども。  そもそもこれは非常にいいことなんだろうなというふうに漠然とは思うんですが、最終的にどういう評価をされているかというのは先ほど内藤委員からも御指摘ありましたので、また聞かしていただきたい、時間があれば聞かしていただきたいと思うんですが。  今回の改正内容というものは、平成十三年の閣議決定、十二月二十五日だったかな、公務員制度改革大綱の中で民間からの人材の確保ということで指摘を受けて、もう既に十三年の十二月の段階指摘を受けていて、正に民間からの人材の確保に関する現行制度においては民間企業を退職しないと公務員として採用できない取扱いとなっており、このことが官民交流最大の阻害要因となっているということを指摘を受けているんですね。  十三年の十二月というと今から四年以上、四年半ほど前にこのよう指摘を受けているんですが、その割には、そんなに難しくなさそうな改正だなというふうに思うんですが、その割には四年半ほど放置されてきていると。何かこれ理由があってその間に改正をしなかったのかというふうに思うんですが、何か、どういう理由があったんでしょうか。
  73. 戸谷好秀

    政府参考人戸谷好秀君) 経緯的なものでございますので、私の方からお答えさせていただきます。  お話にございましたよう公務員制度改革大綱、平成十三年に閣議決定されておりますが、この中で、民間企業等の身分を持ったままでの交流採用を認めるための官民人事交流法の改正について言及がされております。ただ、このときには公務員制度改革一環として内閣官房において検討を進めていただいていたところでございます。  その後、平成十六年になりまして今後の行政改革の方針、あるいは平成十七年の行政改革の重要方針という閣議決定ございますが、この中で、公務員制度改革の着実な推進を図る取組の一つとして、私ども総務省において官民人事交流を促進するため必要な措置を講ずることとされ、こういう段階に移りまして、検討を進めてきたところでございます。民間企業等の要望あるいは今般の人事院からの意見の申出をいただきましたので、官民人事交流の一層の拡大を図るため、今般この改正法案を提出させていただいたところでございます。
  74. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 平成十六年度、十七年度でまた検討を加えたという話ですが、これは検討経緯を今御報告いただいたんですが、だから、私が聞いたのは、何でその間に、もう少し短期間に検討できなかったのかあるいは検討しなかったのかということをお聞きしたんですが、それは公務員制度改革と一体的にやろうと思っていたからなのか、ちょっと今の答弁で読み取れなかったんですが、そこをもう一度教えてください。
  75. 戸谷好秀

    政府参考人戸谷好秀君) 先生お話にございましたように、当初は公務員制度改革全体の改正の中でこれも取り上げようというふうに考えていたというふうに承知してございますが、その後、公務員制度改革全体の部分についてはいろんな御議論ございましたので、これについては取り急ぎまずやっていこうということで今般の法案提出に至った次第でございます。
  76. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 官民人事交流というのは、以前から、もうずうっと以前から交流、いろんな形で多分行われていたんだろうというふうに私は承知しておりまして、ただ、この官民人事交流法に基づく人事交流というのが、まあいわゆる法律施行が平成十二年の三月ですのでそれ以降になるんですが、それ以前も官と民との人事交流というのが行われていた、まあ昭和の時代からずっと行われていたんです、と思いますが、これはどういう枠組みの中で人事交流というのが行われていたんでしょう。  先ほど人事院総裁から、ほかにも任期付の職員法、研究員法とか、人事院規則とかあるというふうに話をされましたけれども、それよりも前に、それが制定されるよりも前にやはり官と民と人事交流というのは行われていたんですが、これは自由に勝手気ままに、制度、法の枠組みもないままにやられていたと解釈していいのかどうかを含めて、ちょっとその前、以前のことを教えていただきたいと思いますが。
  77. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) いろんな法整備がなされる前でございますけれども、公務から民間への派遣につきましては、平成三年度に民間派遣研修制度という人事院規則を作りまして、それによって行われていたところでございます。それから、民間から公務への受入れにつきましては、交流を目的とした特別な制度は設けられておりませんでしたけれども、人事運用上、常勤又は非常勤の国家公務員として採用した上で、一定期間経過後に辞職をされて民間企業に復帰するというような形で行われていたというふうに承知をいたしております。
  78. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 相当昔は多分手弁当で、民間企業の方々が官というか官僚というか省庁に採用、採用というんでしょうかね、手弁当で、要するに民間が、企業が丸抱えで行っていて、で、それが余り良くないんじゃないかということでいったん退職するような形になってきたというふうに私も承知しているんですが、それもただ制度としてはできていなかったんだけれども、この平成十二年でそれを法としてきちっと制度上担保できるようにしたという解釈でよろしいんでしょうか。
  79. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) 官民交流法もそういう形態の一つとして整備をしたということでございます。官民交流のためのですね、民間からの採用、それから派遣のための仕組み一つとして整備をしていただいたということでございます。
  80. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 それは分かっているんですけれども、要するに、その前も、この平成十二年よりも前にも、やはり民間から省庁に行って、行くときにやはり退職をして、それから採用をされて、もう一回元へ戻る、復職をするということが行われていたというふうに思うんですが、それは制度として法律としての枠組みの中ではなくて自由にそれをやり取りをしていたものを、この平成十二年にきちっと法律として制定したものですかということを聞いているんですが。
  81. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) そのよう考えております。
  82. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 そのよう考えているというか、そうです、そうなんですよね。そのよう考えているというよりは、そういうことで、要するにそういうことが以前もあったということも事実だということで理解してよろしいんでしょうか。
  83. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) まあそういった形のものを整理するということもございますし、先ほどちょっと申し上げましたけれども、やっぱりこれからの行政ニーズに対応するために、積極的に新しい制度を設けて、こういったことを促進していかなきゃならないという動機もあったと考えております。
  84. 戸谷好秀

    政府参考人戸谷好秀君) 民間からの採用につきましては、先生お話にありましたように、人事院規則に基づいての中途の採用とかそういうものがあったわけですが、その後、法律的な整備としては、研究職の方々につきまして任期付の採用をするとか、それから一般の職員につきましても任期付の採用をすると、こういう制度をつくってまいりまして、その中の一つとして官民交流という形のものも導入するということで、幾つかの、先生御案内のとおりの、法律の整備の中の一つとしてこれも整備させていただいたというふうに承知しております。
  85. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 任期付職員法あるいは任期付研究員法ということを今おっしゃったんだろうと思うんですが、それも、随分もう平成とか昭和の時代から、そういうことの制度として整備されていったと理解をしてよろしいんでしょうか。
  86. 戸谷好秀

    政府参考人戸谷好秀君) ちょっと手元の資料であれでございますけれども、任期付研究員の制度平成九年に施行されていると思いますし、その後、一般の方についてはそのもう少し後で任期付職員制度も制定されたというふうに考えております。
  87. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 済みません、私の言い方が抽象的だったのかもしれないんですが、平成になる前の段階から民間企業の方々が、まあ言ってみれば、私がいた三和総研の、前、親会社が三和銀行で、三和銀行の方々が、結構、当時の通産省とか大蔵省とか郵政省とか外務省とか、そういうところに二年間とか行かれるわけですよ。で、最初は手弁当で行ってたんですが、それが駄目になって、結局、駄目になったのか自主的に駄目にしたのか分かりませんが、それでいったん退職をして行くようになっていたんです。これは、今言われた任期付研究員法の平成九年よりもはるか昔の話であって、その職員法の平成十二年のはるか昔の話だったんですが、そのはるか昔とは言いながらも、そういうことが行われていたその制度上の根拠は何だったんですかというのをお聞きしたいんですが。
  88. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) 制度上は一般の採用という形になります。常勤職員としての採用又は非常勤職員としての採用という形で行われていたということでございます。
  89. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 要するに、その民間企業がその省庁に行かせるためにいったん企業を、これは企業側の理屈として辞めさせて、で、官の方は、それを辞めた方だからといって採用する、常勤で採用するというような枠組みだったということでよろしいんですか。
  90. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) そのよう理解しております。
  91. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 はい、分かりました。多分それをきちっと法整備しましょうということでこういうことが流れ、任期付職員法とか研究員法とか、この今回の官民人事交流法など、あるいは人事院規則などができ上がったんだろうと。それは多分そういう経緯なんだろうなというふうに思いますが、この四つといいますか、要するに民から官に行く仕組みとしては、今言った官民人事交流法のほかに任期付の職員法あるいは研究員法あるいは人事院規則というのがあると理解をしておりますが、また逆に官から民に行くのも官民人事交流法と人事院規則があるというふうに理解していますけれども、これは何がそもそも違うのか、その違い目だけちょっと教えていただきたい。  制度全部を話をしてくださいというと大変長くなりますので、何がどう違うのか、まず民から官に行く四つの制度、これ何が違うのかを教えていただきたいと思う。違い目だけ、相違点だけお願いします。
  92. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) 官民人事交流法に基づく交流は、組織と組織の間で受け入れるという仕組みになっておりまして、それから任期付職員法は公務に必要な専門的な、特に専門的な知識等を持っておられる方を任期付で採用をするという、そういう仕組みでございます。それから、研究員につきましても、特に専門的な任期付の研究員の方を採用するという仕組みでございます。  それから、人事院規則に基づきます中途採用制度というのは、これも部内の育成ではなかなか得られない専門的な知識等を持っておられる方を円滑に採用するために、これは任期をなし、任期のない中途採用という形で採用するというものでございます。
  93. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 通告していたんで、もうちょっとうまく説明していただきたいような気もするんですけども。  今ばあっと聞いていると、私もこれ全部、制度見ていますから何となく頭に入ってきちゃうんですけど、今の話を聞いていると、全部専門家が、専門的な知識と経験を持った人が民間から官、府省、省庁に行って採用を受けるというふうにしか聞き取れなくて、私のヒアリング能力がないのか理解力がないのか分かりませんが、全部どれもが同じものに、どこ、どれを使おうと何でもできちゃうんじゃないかなというふうに思わざるを得ないので、違い目は何ですかというのをお聞きしていたんですが、もう一度明確に、明確に具体的にお聞きしたいと思います。お答えいただきたいと思います。
  94. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) 官民交流法は、公務員に採用するということを、個人として採用するということを目的としているわけじゃなくて、官民の組織が相互に学び合う人材の育成を官民の交流を通じてやるということが趣旨でございます。  それから、復帰前提じゃなくて、採用をする仕組みの中に任期付のものと任期付でないものがございまして、任期付でないものとしては人事院規則に基づきますいわゆる中途採用がございます。それから、任期付のものとしては任期付職員法に基づく任期付採用、あるいは任期付研究員法に基づきます、任期付研究員法があるということでございます。
  95. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 そうすると、相当その制度には、中身について採用される人たちというのは明確に違うと。それぞれの制度あるいは法律を使って民間から官に採用されるのは、もう明確にそれは専門の中身も目的も全然違うものだというふうに理解をしてよろしいんでしょうか。
  96. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) 相互の制度でかなり共通する部分もございますので、ケースによりましてどの制度に乗るのが一番適当かということも考えながら活用されているというふうに理解をしております。
  97. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 多分そうなんだろうと思いますが、総務省のアンケート、平成十七年の五月から六月にやったアンケートですが、先ほど内藤委員からサンプル数が少ないと。確かに全体で百五十のサンプルで、しかも回答しているところはそれから更に少なくなるので、誤差率という点では相当誤差率が高いんだろうなと思いながら、統計的な処理をするにはちょっと難しいので定性的に見ればいいのかなというふうに思いながらこのアンケートを拝見させていただいたんですが、その中で交流採用、交流派遣のいずれも実施したことがない理由の一つで、回答数がそうはいっても一番多かったのが、官民交流法以外の制度を活用しているので、この官民交流法によって交流採用、交流派遣を実施しませんと、したことがないというふうに回答しているのが七割ぐらいあるんですね。全体のサンプルが十一のうちの八ですから、それが全体を表しているかどうかと言われるとそれまでなんだろうと思いますが、そうはいってもアンケートですので、そういう結果が出ている。  そうなってくると、官民交流法以外の制度を利用してやっていますよと、それで、だからほか、この官民交流法を活用して人事交流を図る必要性がないですよというように取れるんですが、そうなってくると、その制度ごとに目的が違ったり中身が違うんですが、相当オーバーラップしているものがあるというふうに省庁の方では認識をしている。であるならば、この官民交流法自体の設定理由といいますか存在意義といいますか、そういうものがちょっと見えにくくなってきてしまうと思うんですが、竹中大臣、この辺り、官民人事交流法を活用しなくても済んでしまっているという、そういうような実態がこのアンケートからは見て取れるんですが、それについてお答えいただければと思います。
  98. 戸谷好秀

    政府参考人戸谷好秀君) ちょっと官民交流法以外に何を使っているかというところまでは調査してないんで、そこら辺までは分からないんですけれども、やはり官民交流法の場合に、一番後発の制度でございまして、いろんな場面でまだ使い慣れておられないというところもございますし、人事院のところでいろいろ手続的には、特にこの身分をなくすというところでございまして、それについてのいろんな会社側の規定の整備等があるということで、その辺も使い勝手がこれまで良くなかったのかなというところでそういうお答えもいただいたかと思っております。
  99. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 確かにほかの制度と比べると人数が非常に少ないということが、まあ一つのそういう今おっしゃったようなことを表しているのかなというふうには思うんですけれども、この官民交流法の第一条も相当、民間から、民間の人、割と要するに、官のといいますか、民間から官に、そして官から民に行くにおいても、結構省庁側、官の方のメリットというのは物すごく強く打ち出されているんですが、比較的民間の方のメリットというかが余り明確に打ち出されていないなというふうな感じがしてならないわけですけれども。  この官民人事交流の中の民間にというのは、いわゆる公益法人、これは含まれていないわけですよ、民間企業。これは、公益法人はこの人事交流制度の枠には入っていないと理解してよろしいんでしょうか。
  100. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) 官民交流法の対象としては入っておりません。
  101. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 総務省さんから総務省所管の公益法人への出向、まあいわゆる交流という広い意味考えると出向者というのも交流の一つになるんだろうなというふうに思うんですが、総務省所管の公益法人への出向が全部で九つの公益法人に出向しているんですが、これは特にどういう制度を用いてやっているということはないんでしょうか。この制度を用いて行っていますよと、先ほど言われた四つの制度のどれかに該当するのか、官民人事交流法は該当しないとすれば、あと三つのどれかに該当するのか。また、別の制度の中でこの公益法人への出向があるのかどうか。教えてください。
  102. 戸谷好秀

    政府参考人戸谷好秀君) 突然のお話でございますので間違っていたら申し訳ございませんが、研究休職という、職員が休職をして、休職命令をいただいて公益法人で研究に従事するという制度がございます。それではないかというふうに思っております。
  103. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 突然のというか、昨日ちゃんと通告しておりますので、公益法人については。突然ではなく一日前ですね、しておると思いますが。  休職をする、つまり、例えば総務省職員の方がいったん休職をして、例えば財団法人行政管理研究センターに行ってもう一回復職をすると、そういう制度だということでよろしいんですか。
  104. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) 研究休職制度は、休職をして調査研究等の業務に従事するための制度としてございますので、休職をしてまた復職をするという仕組みになっております。
  105. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 いや、同じ休職をしても、何度も、三度も四度も言われたんですけれども。  要するに、先ほどから例えば官民の癒着の問題というのがあって、民間企業へ行ったこと、あるいは官から民へ行くと民間企業は癒着がどうのこうのと言われていますけど、公益法人も、結局官から出向をして休職をしてその公益法人に行って、そこの公益法人に民間から出向者がいて、その公益法人というものを媒介とするというのは、そこに要するに民間の人も官庁からも入ってそこで一緒に仕事をしていると、これも正に同じ構造になっていると。  同じ構造というのは、例えば官民癒着の問題が出るのであれば、こういうところもやっぱりあるんだろうというふうに思いますので、その辺りについては、何か明確な規定は多分ないんだろうなというふうに思いますが、公益法人、行ってもいいという公益法人は多分決まっているんだろうと思いますけれども、こういう中で民間と官庁、国の行政機関の職員とが一緒に仕事をするということも一つ官民交流のワンパターンだと、一つのパターンだというふうに思っているんですけれども、竹中大臣、どうお考えでしょうか、その辺り。
  106. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今ありました研究休職制度、その制度、詳細についてはまた必要であれば答弁をさせますが、先ほどから委員指摘の点で、かつてはどういう制度であったのかという御指摘から説き起こされての御質疑、大変意味深いものだというふうに私は拝聴いたしました。  実は私も二十年前、二十年もう以上前ですかね、そういう交流の中の一人としておりまして、周りには正に三和銀行を含め銀行から出向してきた人が一杯いました。当時は本当にある種非常にルースだったという言い方もできますし、のどかな時代だったわけで、皆さん人事部付とか、人事部付なんです。それでここに来て、役所に来て実態的には日当のような形を受け取るわけですが、それはもう給料にはとても及びませんので、差額をきちっと派遣している本社が出していたというように記憶をしております。  そういう、実は双方が、役所も銀行も双方が終身雇用で成り立っていて、終身雇用はもう揺るがないんだということで暗黙の約束でとにかく行ってこいということで、暗黙の約束でいずれは帰っていただくということで受け入れて、そういう仕事をしていた。しかし、それはいかにもルースであろうという議論が一九八〇年代にあって、それでまあやめることに形の上ではしようと。しかし、間違いなく帰ってきたら雇ってあげるからねということで、それが形式要件を少し満たすような形になってきたと。そういうやり方、風土が今でもやはりいろいろな形で残っているんだと思います。  そういう中で、官民交流、それではいけないということで、任期付の採用というようなパターンもあり得るのではないだろうか、官民交流法でカバーできるところはしっかりカバーできるよということで、今そういう空白を一生懸命埋めている段階なんですが、先ほどからの両委員の御指摘は、それだけではまだ制度全体は完結していないのではないのかと、そこは改めてそのように感じます。  先ほどの七割がこの交流法以外のものを活用しているというのも、先ほど言ったその暗黙の世界の中にまだやっておられるところもあるのかもしれません。そういうところは私ども含めてしっかりと実態の調査を是非していきたいと思っております。  お尋ねの公益法人についても、これは交流の意味はあると思います。しかし、同時に中立公正な官の仕事の確保、隔離というのはやっていかなきゃいけないわけでありますので、今まだそういう意味では全体として制度が熟していく一つの途上であります。我々は問題意識を持って、そういう御指摘ような点についてもしっかりと調査をしてまいりたいと思っております。
  107. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 それで、じゃまあこれが途上だということだと思います、今御発言ですけれども。  じゃ、総務省として公益法人に、ほかの省庁も含めてなんですけれども、出向されている人たちがどれだけいるのか、今休職されて行っているというお話だったんですけれども、その辺りは把握されているんでしょうかね。  というのは、今回、私、総務省以外の幾つかの省庁にもこの状況をお聞きしたんですけれども、厚生労働省とか国土交通省は、自分のところから所管の公益法人に出向して、出向という聞き方をしてしまったのがそれがいけなかったのかもしれないですが、出向しているところはどこも、一つもないというふうに言われているんですが、現実的には国土交通省の職員が所管の公益法人で仕事をしている人たちは何人か知っておりますが、いるというふうに認識しているんですが、それはまたまた別の、出向じゃない、またいろんなやり方があって行っているのかなというふうに思いますが。  そういう全体の、いわゆる官民だけではなくて、官官もあるだろうし、公益法人だとか独立行政法人だとか、いろんなところとの交流というのが行われているんだろうと思います。その辺りは総務省として全体像を把握されているかどうか、お聞きしたいと思います。
  108. 戸谷好秀

    政府参考人戸谷好秀君) 私どもの所掌でございますと、やはり公務員制度関係法律に基づくものとして関係省庁あるいは人事院さんの協力を得て数字を集めておりますが、ちょっと公益法人等につきまして、ほかにも先生何かお考えあろうかと思いますけれども、それについては把握をいたしておりません。  ただ、先ほど申し上げました研究休職につきましては、人事院の御了承を得てこれ各省行うことになっておりますので、これについては人事院さんの方で数字はお持ちになっておられるかというふうに思います。
  109. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 今の段階ではそういう全体像を把握されてないということは私も承知をしておりますけれども、これ今後の問題として、こういうのをやはり全体的な、統括的なといいますか、そういう仕組みの中で把握をしていく意義があると私は思っておりますけれども、竹中大臣として、こういう公益法人なども対象のもの、あるいはいわゆる人事交流が行われているものに対して全体的に把握をする意義があろうかと私は思いますが、大臣はいかがお考えになりますでしょうか。
  110. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 国家公務員の管理でございますから、その国家公務員の人事管理という意味において、そういう実態の把握にはいろいろと努めなければいけないというふうに思っております。
  111. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 ありがとうございます。  それで、次の質問に移りますが、官民人事交流の効果と問題点についてお聞きしたいと思うんですが、先ほど申しましたとおり、官民人事交流法の第一条でこれ官側のメリットが強調されていて、その人事交流の目的が、民間の効率性のあるような経営といいますか、そういうことを学ぶことが重要となっているというふうに言われていますけれども、例えば一人で巨大な官に乗り込んでいっても、先ほど内藤委員もおっしゃっていましたけれども、半年ぐらいどういう仕事をやっているかを覚えて終わってしまって、発言力なんてそれほどない。若手なんかの場合、特に長いものには巻かれた方が得だろうみたいなところもありますので、実際にそれを官が身に付けるというようなことは行われないんじゃないかなと、それはもう神話にすぎないんじゃないかなというふうに私なんかは思っているんですけれども、そうなるとこの法律の目的は達成できないんじゃないかなというふうに思いますが。  その法律の目的の効果を上げるためにはどういうことが考えられるのか。非常にまだ人数も少ないということもありますし、一つの部署に一人で乗り込んだって、それを教えているとか、そんなような文化じゃないんだと思うんですね、行政機関の文化というのは。そこで本当にこの目的達成できないんじゃないかなというふうに全く私は疑っておるんですけれども、この効果を上げるためにはどういうような方策が考えられるかどうかをお聞きしたいと思います。
  112. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これは私の経験を踏まえての私の意見ということになりますが、実際にいらっしゃった方を拝見していると、非常に活躍される方と、申し訳ないですけれども、本当に時間を過ごしてお帰りになる方と、ちょっと極端に分かれるなというふうに私は思っております。これ前の内閣府での事例でございますので、すべての省庁に当てはまるかどうかは分かりませんが。  それで、非常に活躍される方はやはりその上司が大変立派ですね。わざわざそういうふうに来てもらっているんだから周りにも、彼のこういうところは言うことを聞けとか、そういうことをやっぱり上司がちゃんと管理して、そういう一種の上司のアームの中でしっかりと仕事をさせている場合には、これは結構いい仕事をされるケースがあると思います。そうでなくて、必ずしもそうじゃないと、やはりこれは違う文化のところに、民間から役所に入ってきて、それで後々のことも考えると余り波風立てないで終わろうというふうなメンタリティーになってしまうのかなというふうに思います。したがいまして、そこは管理職がしっかりと人事管理を行うという割と当たり前のことが大変重要だなというふうに思います。  もう一つは、将来の問題としては、一つのまとまった仕事があるというのであるならば、これは一人ではなくてチームで来ていただくということもこれはあり得るんだと思います。この場合は大きな力を発揮し得るのではないかと考えております。
  113. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 確かに、チームでまとまって何人かが行くということになれば相当な力を発揮することになるんだろうなというふうに私も思っておりまして、それは大変いい意見だなというふうに正直思いますが。  先ほど、民間企業にとって公務員を受け入れる効果が大きければ、まあ効果があれば皆さん積極的に行こうと思うんですが、それがまだまだ少ないというのは、この制度のことを知らないか、あるいは官の力が余りにも強過ぎて行っても意味がないか、あるいはやはり受け入れる要するに効果が小さいというふうに思わざるを得ないと思うんですが、アンケートで、総務省のやはりアンケートの中で、これは幾つか職員の受入れ効果、要するに国の職員民間への受入れのところなんですが、今度は、職員の受入れ効果や問題点ということで挙げている項目がございまして、先ほども効果はどうですかということで御答弁いただいたんですが、幾つかに分けられるんだろうと思います。  例えば、行政機関での知識、経験が役立つような業務があり、受け入れた者の活躍が期待できるとか、国の職員の受入れを通し、職場の活性化、社員の知見、人脈の拡大が、この人脈って何を意味しているのかなというのがちょっとありますが、まあ素直に読んで、人脈の拡大が期待できると、こういう非常に積極的なものもあるんだろうというふうに思いますが、また別の意味で、回答で多い回答が、国の職員の中でも経営一般や業界の状況についての相応の知見のある者であればと、たらればで回答して、あれば、今、竹中大臣がおっしゃっていますが、ある者であれば知見を生かすことが期待できるとか、行政官として優秀な者であれば民間企業においても期待できるという、これはもう完全に個人によって全然違うという、じゃ優秀な者じゃなかったらとっても迷惑だよという話になるんですが、裏を返せば、逆に言うと。  だから、このあればというのは、これは必ずしも積極的な効果を表していることではないんだろうなというふうに思いますし、逆に言うと期待できないというよう意見もあると。あるいは、政府や経済団体の方針として受け入れることであれば相応の協力は必要と考えるとか、いろんな回答が出てきていると思いますが、このむしろ積極的なプラスの効果よりも消極的な、何とかであれば、その人によっては受け入れる意味があるけど、全体の制度としての効果としてはそれほど目立たない、顕著なものはないというよう意味合いの回答が非常に多いなという印象を私は持っておりますが、こういうことに対して、先ほど効果がありますというふうに断言をされたと思いますが、こういう回答を実際に目の当たりにすると多少の意見も変わるのかなと思いますが、これに対しての御所見、効果という点での御所見をいただきたいと思います。
  114. 戸谷好秀

    政府参考人戸谷好秀君) 今回、受入れをしていただきたいという私どものいろいろ思いも影響してしまったかというふうに思いますけれども、やはり民間企業から見てどういう方かとか、そういうところは非常にまだ不明な部分が多いということでございます。その点もあって我々はいろんな場面で御協力をお願いしておりますので、そういうことで協力をしてやろうというふうにお考えになっている会社もありますし、実際に受け入れて非常に良かったという会社もあるというところもありまして、それぞれの会社のいろんなお考えの下にこういう結論をいただいていると思いますが、やはり受け入れていただいたところからは、あるいは出した各省はそれなりの評価をしているというふうに考えております。
  115. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 分かりました。  一つ人事院に確認なんですが、この官民交流の受入れ、あるいは国の職員の受入れとかあるいは国の行政機関への派遣というのはどういう手続でなされているのか。要するに、民間企業の方からの要請で、こういうような人が欲しいよということで、あくまでも民間企業からの応募というのかな、それに基づいてこういう交流が行われると認識してよろしいんでしょうか。
  116. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) 民間企業からこういうような交流をしたいという公募を受け付けるところから手続はスタートいたします。ただ、実際には、例えば昨年経団連の協力をいただきまして、こういう制度がありますよ、交流をやってみませんかというようなことを、PR活動も行いますので、そういう過程を通じて交流が成り立っていくということもございます。
  117. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 昨年経団連のというのは、昨年の多分秋口だというふうに認識をしておるんですが、この総務省のアンケートはその前にやったものでありまして、その中に、国の職員の受入れで、十六社の回答の中ですね、国の職員を受け入れたことがある民間企業十六社のうち十五社が行政機関からの受入れの要請があったからというふうに答えていて、国の行政機関への派遣というのが三十四社実績があるところのうちの二十八社がやはり行政機関から派遣の要請があったからと。  つまり、民間企業が積極的にやろうというのではなくて、むしろ行政機関から要請があったから国の職員を受け入れたり国へ派遣したり、採用といいますか、派遣したりということが行われているんじゃないかなという、実態はですね、というふうに思わざるを得ないんですけれども、それは、先ほどの手続上は民間からだというふうに言っていますが、現実的にはやはり行政機関が要請をして初めてこれが成り立っているというふうに思わざるを得ないような結果になっていると思いますけれども、それに対しての御意見いただければと思います。
  118. 戸谷好秀

    政府参考人戸谷好秀君) お答えいたします。  アンケートの中は、各社いろんな職員の受入れあるいは派遣ということがございますので、必ずしもすべて官民人事交流法の視点に立ってお答えいただいていない部分もあるというふうに承知しております。
  119. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 時間がないので、ちょっとこの問題お聞きしたかったんですけれども、内閣官房から内閣審議官せっかく来ていただいたので、ちょっと全然話が変わってしまいますけれども、最後の一問だけ質問させていただきたいと思います。  これは官官の交流の問題です。いわゆる各府省間の人事交流ということで、骨太の方針二〇〇四、二〇〇五で、幹部職員に関して、各府省間交流に関して、二〇〇四年のときには三年間で一割と、二〇〇五年になったら二年間で一割ということを言われて、書いてあったんですけれども、これについて現状がどのような目標の達成状況になっているか、あるいはそれに加えまして、それを進めていく上で何か障害があるかどうか、その二点だけお答えいただければと思います。
  120. 千代幹也

    政府参考人千代幹也君) 府省間の幹部の人事交流についてのお尋ねでございますが、これにつきましては、いわゆる縦割り行政を打破すると申しますか、幅広い視野からの政策課題に取り組むという趣旨から、平成十六年の二月の総理指示に基づきまして現在取り組んでいるところでございます。  内容といたしましては、三年間掛けまして各府省の幹部の一割を目標に他府省との間の人事交流を行うというものでございます。具体的には、いわゆる本省課長級以上を各府省の幹部としてとらまえておりまして、数字的には、既に一割以上の人事交流を達成している府省を除きます十省庁の本省課長級以上のポストが約千四百ございますので、政府全体としてはその一割であります約百四十を目標として取り組まさしていただいているところでございます。  これまで二年間経過してございますが、約百十ポスト、目標の八割弱まで来てございます。残りは約三十ポスト、二割強となってございます。本年が最後の年となってございますので、目標達成に向けまして引き続き努力してまいりたい、かよう考えてございます。
  121. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 じゃ、それにつきましては全部で最後の質問にさせていただきます。  今約八割というふうにおっしゃいましたが、既にもう一割以上達成している府省庁もあれば、まだはるかかなたというところもあるのかなというふうには思うんですけれども、もう既に一割を達成してしまった、当時の段階では十の府省が達成していないから、その十の府省を対象に一割というふうに言っているんだろうと思いますが、現時点で幾つの省庁が達成をしていないでしょうか。
  122. 千代幹也

    政府参考人千代幹也君) おっしゃいましたとおり、取り組みました時点において一割を達成しておる省庁を除いた十府省において今現在取り組んでございますが、二年間におきまして一割を達成したところは実はございません。
  123. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 終わります。
  124. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住でございます。若干質問をさせていただきたいと思います。  いわゆる官民交流法、平成十二年施行されまして、六年たつわけでございますが、実績として、去年の十二月末の現在で、交流派遣が四十名、交流採用が百七十九というふうに承知をしてございますが、ちょっと総括的な評価をお聞きしたいと思いますけれども、やはり日本、これから人材立国をしっかり打ち立てていく必要があるなと。この官民交流も組織の活性化とかいろいろありますが、やはり人材育成も大きな側面かなと思っております。また、団塊の世代がリタイアしていく中で、今後人材官民の交流というか人材の取り合いみたいなことも考えなきゃいけないなと思っておりますが、現時点におけるこの六年間の総合的な評価、特にこの数字に対する評価等も含めてお話を承りたいと思います。
  125. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 総合的な評価をせよという魚住委員からの御指摘でございますが、人数そのものは、今御指摘をいただきましたように、その十七年末までに派遣が四十人、採用が百七十九人であります。これ、徐々に増えてはきているんですが、決してとても十分とは言えない状況であるというのがまず数に対する評価でございます。  この制度、そして派遣の効果については、これも先ほど局長から答弁させていただきましたが、例えば派遣の場合は幅広い視野、多角的な考え方を身に付けたでありますとか、交流の採用の場合には専門的知識が業務に生かされた等々、その意味では効果は私はあったというふうに思っております。  ただ、より広い観点から、委員指摘ように、人材で勝負する時代が来て、人材のある種取り合いのような状況も想定されると。そういう中では、私はこれからの人材というのは一つの専門性を深めるということに加えて、最近、大学でもダブルメジャーという言葉が使われますけれども、二つ勉強、経済学だけじゃなくてもう一つ、例えば政治学と両方勉強しなさいと、法学じゃなくてこれだけ勉強しなさい、そういうことが要請されている、これは世界的にそうだと思います。  そういう意味では、私は交流というのはそういう形で生かしていただく絶好の機会であるというふうにも思っております。現に、これまでは民間企業においては、交流で役所等々に派遣をされて、ないしは交流で他の民間企業に行った方々というのは、人事評価の中では私は総じて高い評価を受けてきたという、これは印象でございますけれども持っております。  そういう観点から、これは組織のためにも、また個人の技能の育成のためにも、こういう機会は是非積極的に活用をしていただきたいと、そのよう考えております。
  126. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 資料にはいろんな事案が出ておりますけれども、これ見ると、例えば、エンジニアリング会社の方が例えば産油国の在外公館に派遣されていて、そういう事案を見ると、人脈つくる上でも非常にいい案件だなと、正に国家戦略にも通ずるような、そういう活用のされ方しているなと思っておりまして、非常に積極的に評価するわけでありますけれども、もっと使われてもいいんではないかなというふうに思っております。  それで、今回の改正事項ではありませんが、官から民への交流派遣についてちょっとお伺いしたいんですが、そういうような目的があるこの官民交流でありますが、アンケートを見ますと、何か官と民との間で処遇が違うから不利益があるとか、手続が面倒、煩雑であるとか、あるいは社会保険が違うとか、そういうようなことが出てきているわけでありますけれども、やはり交流派遣も積極的に活用すべきではないかなと思っております。  ただ、公務員を数減らしていこうという中で公務もしっかりやらなきゃいけないという中で本当に人を出せるのかということもあるかもしれないけれども、交流派遣を促進するために改善すべき点は何なのか、この辺についてお聞かせください。
  127. 戸谷好秀

    政府参考人戸谷好秀君) 交流派遣がこれまで少なかった理由として一つ考えられますのは、これ企業の協力が不可欠でございます。民間企業がこれまで厳しい合理化の中で受入れについて慎重になっていたのではないか、あるいは公務側の方で言いますと、民間企業の交流希望、若手の職員を受け入れたいというのがございます。ただ、この年代の職員、やや採用者数が少ない年次が多くございまして、各府省の人事当局もそこはなかなか苦労しているということもあるのではないかと考えております。  そういう事情は事情でございますが、私どもといたしましては、今後、各府省へもこの法改正も踏まえまして積極的にこういうものを御活用いただくように要請するとともに、企業へもいろんな要請を私どもお願いをいたしまして、たくさん応募していただきたいということ、これまた作業としてやりたいというふうに思っております。双方向の交流ができるように我々も一生懸命努力したいというふうに考えております。
  128. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今回の改正の趣旨は、出身企業に籍を残したままでいいかどうかという話だと思いますけれども、改正前の現行制度は癒着とか便宜供与とか懸念があるからというようなことで、理由だったと思います。  今回、全く逆の措置をとるわけでございますけれども、その辺についての、癒着が起きないどういうふうな担保をお考えになっているのか、お聞かせください。
  129. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) 官民交流法を最初に制定していただきました当時は、官民癒着とか公務員不祥事の続発という状況から、公務員基本的地位や公務の公正な執行の確保という関係で、国民からの疑念を生じないようにするということを非常に重視をいたしました結果、雇用関係を継続することについて、あえてこれを禁止をしたということでございまして、その後、施行後六年が経過する中で、交流採用職員がまだ百八十四名、累計で百八十四名にとどまっておりまして、交流採用時に退職をしなければならないという仕組みであることがこの促進を妨げる要因の一つであるという指摘もあるところでございます。  このため、公務の公正性を確保しながら雇用の継続を可能とすることについて検討してきたところでございますけれども、現在、既に官職制限とか、あるいは契約等による交流制限、それからもろもろの手続によります透明性の確保など、公正性を確保するための措置を講じてきたところでございまして、今後もこれらの措置を適切に講ずれば、雇用を継続すること自体が公務の公正性確保に支障を生じさせることにはならないというふうに考えて、意見の申出をしたわけでございます。  今回、その新たな継続を認めるに当たりましては、先ほど申し上げましたような手続や制限に加えまして、交流元企業との間で締結する雇用に関する取決めにおいて、賃金の支払を行うことを内容として定めてはならないこと、あるいは雇用に関する取決めに定められた地位以外の地位に就いてはならないこと、それから、現行と同様でございますけれども、いかなる場合においても交流元の企業事業、事務に従事してはならないこと、それから、毎年の人事院の国会等への報告において親元企業での地位も含めて報告をしなければならないこと等を、仕組みをつくることによりまして、新しい制度の下でも公務の公正性に疑念が生じないように努めてまいりたいと思っております。
  130. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 それで、去年のちょうど今ごろでしょうか、アンケートを人事・恩給局でされていましたけれども、その中で、アンケートの結果の中で、実施上の問題点ということで、現場が民間のアイデアを受け入れようという意識に欠けるということがございました。これは非常に重要な問題だなというふうに思います。  そもそも、この官民交流をやろうというのが、その活性化とか、いろいろ民間の知恵ももらってというふうな発想かと思いますけれども、これやっぱりちょっと考えていかなきゃいけないなと思いますけれども、総務省として、各省庁に対してどのようなこの点について働き掛けをしておられるのか、またしていこうとしているのかお示しください。
  131. 戸谷好秀

    政府参考人戸谷好秀君) 公務部門におきまして、民間のいろんなアイデアを吸収しようという姿勢が大事であると、先生おっしゃるとおりでございます。官民人事交流制度、正に交流を通じて民間企業ならではの機動的で効率的な業務手法、あるいは柔軟な発想を学ぶということを目的としております。  アンケートの中にそういう指摘をいただいたということは、誠に有り難いことでありますけれども、またそういう状況にあるということも残念にも思わなきゃいけないというふうに私も思っています。  総務省におきましては、この法律の運用に関する基本方針というのを定めております。その中で、交流の趣旨の各府省への徹底を図る、あるいは各府省の人事課長さんが集まっていただいた人事管理官会議幹事会というのをやっております。そういう場においてまた随時要請を行ってきておりますし、今後も、そういういろんな場面で私どもとして各府省に注意喚起をするなり、あるいはそれぞれで取り組んでいただくというようなことをお願いしてまいりたいというふうに考えております。
  132. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 それで、官民人事交流、そのほか、もう既に出ておりますけれども、任期付職員法とか、あるいは研究員法とか、あるいは人事院規則によるものとかございますが、いろんな数字が出てきておりますし、また歴史も違うんだろうというふうに思いますが、ただ、ちょっとこの人事交流法による採用が他の法律によるものよりも低いなという印象を受けるんでありますけれども、その辺はどのように、その理由、どのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  133. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 確かに、これまでの実績を見ますと、例えば人事院規則によります中途採用者は、平成十年度の制度創設以降十八年三月末までで七百六十八人に上っておりますし、それから任期付職員法によります採用者は、十二年度の制度創設以降同じく十八年三月末までで六百九十八人となっております。これに対しまして、交流法は先ほど申し上げたような数字でございまして、明らかに差があるわけでございます。  この任期付職員法によります採用でございますとか人事院規則一―二四によります中途採用が多い理由につきましては、採用の目的でございますとか募集対象、仕事の中身がかなり明確であると、それから個人を対象としておりますということ、それから高度の専門的知識を有する方に対しましてはそれなりの処遇を行うということができるようになっておりますこと、そういうようなことがあるのではないかと考えます。  他方、官民人事交流法でございますけれども、これは、職員人材育成でございますとか公務の活性化といった中長期的な目的の制度でございまして、また対象も個人を直接採用するという形よりも企業との間で交流の話をするという形になっております。そういうようなことがこの結果に反映しておるのかなと思います。  それから、もちろん、先ほどもちょっとお話がございましたけれど、総務省の方からもお話ございましたけれど、交流対象、派遣対象となります若手職員については、かなりいろいろな面で余裕がないということもございますし、受け入れる企業側の御事情もいろいろあろうかと、メリットということもいろいろあろうかと思うわけでございまして、そういうことではないかというふうに考えております。  しかし、いずれにしましても、これから公務員に必要とされます能力ということを考えますと、あるいは公務の場に必要な考え方ということを考えますと、これを更に推進していくということは必要であるわけでございまして、そういう意味で、私どもとしましては総務省と共同で各府省に対しまして一層促進するように御要請をするとともに、先ほどもちょっと申し上げました日本経団連の御協力なども得まして、民間企業の方々に対しましても制度の周知、説明をして拡大に努めていかなきゃならぬというふうに考えております。
  134. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 幹部の人事交流在り方につきましては先ほど質問ありましたので割愛をして、では最後になりますけれども、先ほどのアンケートの中の意見としてこういうのがありました。人事交流を進めること、それ自体は目的ではなく、あくまで手段。何のために、何を実現するために、どのよう人材交流を実施すべきかをきちんと整理する必要がありと考えますという意見がありました。  今、総裁おっしゃったように、抽象的という部分も多分あるんだろうなというふうに思いますが、しかしやはり今後の日本にとっても大事なシステムかなというふうに思います。また、システムが幾らでき上がっても、また、目的が生かされる運用がなされていなければ効果もまた半減といいますかね、生かされていかないというふうに思っておりますが、より良い制度構築ということが必要かと思いますが、その辺に向けて大臣から決意をお聞きして終わります。
  135. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、委員が御指摘してくださいましたように、確かに人事交流というのはあくまでも手段でございます。この点は改めてしっかりと認識をしなければいけないと思います。要は、公務をしっかりとやっていただくということ、そしてそのための制度づくり、そのために先ほどから御議論いただきました能率を向上させるというような面で交流をさせることには意義があるという、その目標、目的をしっかりと認識することだと思います。  一方で、個々のやはり人材育成という観点は、これは十分に配意をしていかなければいけないんだと思います。人間力で日本は勝負をしていかなければいけないわけですから、先ほどから申し上げましたように、こういった意味での交流というのはそういった人間力の向上には間違いなく私は役立てる機会になると思っております。  御指摘の点を踏まえて、全体をしっかりと見ていきたいと思っています。
  136. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  137. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時十九分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  138. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国と民間企業との間の人事交流に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  139. 吉川春子

    ○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  まず、人事院総裁意見具申の理由についてお伺いします。  昨年四月十九日に日経連は公務員制度改革提言の中で、更なる官民交流の促進を提起し、優秀な人材が官と民との間をリボルビングドアのように自由に行き来できるような開放型人事制度が必要、政策の企画立案の中枢に関与できるように一定の任用枠を設け、内閣機能強化の観点から内閣官房や内閣府への登用を増やせ等としています。  同年五月十三日、経済同友会が、官民交流のウエートを高めれば天下りの弊害を是正することにもつながる、つまり平たく言えば、企業の社員が大量に政府に入り、公務員企業に派遣されて企業のために働く、それが常態化すれば天下りか否かも分からなくなるということですか。  人事院は、公務の職場のどこにどのような問題があると認識して、更に官民交流の拡大、本法の改正の必要性を意見具申したのでしょうか、伺います。
  140. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) ただいま御指摘ございました経済団体からの御提言、それはいろいろと参考にすべき点もあるわけでございますけれども、今回私どもの提言はそのことと直接のかかわりはございません。  この法制定当時の認識といたしまして、その背景にございましたのは、二十一世紀に向けて社会経済システムの変革が求められます中で、行政には、国民の多様な行政ニーズや内外の変動著しい情勢に対応しつつ、もろもろの課題に対処していくということが求められておりまして、行政運営を担う公務員に、このよう行政環境の変化に対応し得る幅広い視野と課題を解決する能力というものが一層求められていくようになるだろうという認識がございまして、この認識は現在も全く変わっておりません。  一方、この考え方を実現するための方策の一つでございますこの官民交流法の施行状況でございますけれども、これを見ますと、その実績は必ずしも十分とは言えないわけでございますが、その要因の一つといたしまして、交流採用につきましては、民間企業との関係を断ち切って退職をしてこなければならないということが一つの要因であるという御指摘がございまして、そういう意味で、この六年間の実績等を見ますと、一定の対応措置を講ずることとすれば企業との雇用関係を継続いたしましても公務の公正な執行の確保は可能であると考えまして、このような法改正の意見の申出をした次第でございます。
  141. 吉川春子

    ○吉川春子君 時間の関係で答弁は簡潔にお願いします。  政府からの独立機関である人事院が、閣議決定のまま、あるいは財界の提言どおりの意見具申を行うようなことは、中立性を投げ捨て自らの存在意義を否定することになると思いますが、その点についての考えはいかがですか。
  142. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 最初にお答えしましたけれども、いろいろな方々の御意見というものにつきましては、酌むべきものは酌めばよろしいわけでございまして、ただ、最終の判断は私どもとして責任を持って自主的な判断をするということでございます。
  143. 吉川春子

    ○吉川春子君 竹中大臣に伺います。  財界が公務員制度について言及して内閣の中枢にまで企業の人間を採用せよというふうに言うことは、私はおこがましいと思います。それを政府は受けて、官民交流の最大の阻害要因となっていると、このため、身分併有を認めるための法改正を行い、民間企業を退職しなくても公務員として採用できるようにするなどと閣議決定し、本法を改正したということは、私はちょっと主体性がないんじゃないか。財界のために、企業人材養成のための人事行政を行うことをやめるべきだと思いますが、いかがですか。
  144. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 官民人材交流は決して財界のために行っているわけではございません。これは、私たちが行政公務執行するに、遂行するに当たりましても、やはり民間の知恵、そうした人材が必要だという思いはございますし、我々が公務に携わる人材を育てるためにも、民間に派遣する機会を得て様々なことを勉強する、視野を広げてくるというのは大変良いことだと。これは正に国民のためでもあると思っております。そうしたことに、そうした基本的な考えに立ちまして今回の議論も賜っているわけでございます。  企業において、退職出向の際に諸規定の整備が必要であるとか、雇用保険等の不利があるという現実の問題に対応するために今回の法律改正をお願いしているわけでございます。
  145. 吉川春子

    ○吉川春子君 配付資料をごらんいただきたいと思います。  資料一、正に法目的は公務の活性化をうたっていますけれども、現実には、大企業がこの制度を利益を上げるために存分に活用していると言わざるを得ません。株式会社商船三井は、制度が始まった年の平成十三年から、まだこれから平成十九年の七月まで、物流チーム課長、社員等を大使館の一等書記官、二等書記官などとしてパナマ運河のあるパナマ大使館に六年間社員を送り続けています。職務内容は、パナマ国内外経済の情報収集というものです。それから、下を見ていただきたいと思うんですが、日本郵政公社に物流戦略の企画事務の総括と業務推進・改善、危機管理事務の総括に一人ずつ送り込んで物流の情報収集も行って、将来の業務拡大にも貴重な情報収集、社員研修につながると思います。  ついでながら、郵政公社社長は商船三井元会長の生田正治氏ですが、公務の活性化ではなくて、商船三井の活性化のために官民交流が利用されているのではないか、こういう疑いすら持たれます。こんなに、海外滞在経費を除いても一人年間一千万円前後掛かるわけです。税金を使って大企業サービスをする必要が一体大臣、どこにあるんですか。
  146. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) パナマの大使館の例等々、今お話がありましたけれども、外務省の話でありますけれども、外務省では、幾つかの在外公館で経済情報の収集、分析そして二国間経済関係等に係る業務に従事する職員として、いわゆるここでいう交流採用を行っているというふうに承知をしています。  今、例として指摘されたパナマ大使館の商船三井の社員につきましても、これは公募に対して、公募を行って、それに対して商船三井の応募によって、官民交流の手続によって外務省に採用されたというふうに認識をしています。  当然、採用に当たりましては、個別の交流計画について人事院が公務の中立性、公正性の確保等から審査、認定を行っているわけでございます。交流採用された職員は、交流元企業との契約の締結等の業務に直接携わることはもちろん禁止をされております。また、この実績については人事院が毎年国会等へ報告をしていることでもございます。こうした交流採用についても、その意味では適切な手続の上にのっとって、人事院で実態的な判断をされてこのようなものが実現しているというふうに認識をしております。
  147. 吉川春子

    ○吉川春子君 先ほど来、同僚議員からも指摘がありましたけれども、一つの社が一つのポストを占めていくと。このパナマ大使館は恐らく七名とか九名とかの大使館員なんですね。そこへ特定の大企業の人が一等書記官、二等書記官ということで六年もそのポストを占め続けている、ある期間は二か月ぐらいは重なって二人もいることがある、こういうことが本当に公務の活性化に役に立っているのか。  あれですか、日本のパナマ大使館の活性化のためにこういう人事交流を行っているんでしょうか。非常にこれは疑いが持たれても仕方がないと思いますけれども、こういうことを好ましいと大臣は思われますか。
  148. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 先ほど申し上げましたように、外務省でございますけれども、これはやっぱりそういう現地の情報に詳しい方、経済分析できる方を来ていただくというのは、これはやっぱり大変難しいことだと思います。そういう観点から、そういう公募を行って、それに対して商船三井が応募して、そして個別の審査を行ったということだと聞いています。  もちろん、委員指摘ように、こういうことが固定化するのは良くないと、これは好ましくないことだと私も思います。固定化しないような配慮は十分に省庁においても当然なされなければいけないと、そこは私はそのように思います。ただ、手続としてはきちっとした手続を踏んでこのような形になったというふうに聞いております。
  149. 吉川春子

    ○吉川春子君 時間の関係で例を挙げることはできませんが、こういうことが多かれ少なかれ、人事院が提出された資料の中から読み取ることができるわけです。  そして、もう一つこの法案のその改正の問題点ですけれども、民間企業の社員の身分をそのままにして国家公務員として採用するものです。  しかし、憲法は、公務員は全体の奉仕者としており、国家公務員法百三条は、先ほど来議論がありましたが、私企業からの隔離を規定しています。公務員は利潤追求を目的とする企業の社員の身分を兼ねられないことは憲法上の要請ですね。平成十一年、官民交流法の審議で当時の持永総務政務官は、民間から公務に、公務員に使用する交流採用職員は元企業関係を絶ってくれということになっていると、これは公務員信頼性、公平性確保のためにこうしていると、一番大事なことは公務としての信頼性、公平性を確保することだと総務省自身が答弁されているわけです。この答弁に反して今回この根本理念を変更した理由は何ですか。
  150. 戸谷好秀

    政府参考人戸谷好秀君) 官民人事交流制度の創設の際には、そのような慎重を期すために交流採用に当たって民間企業を退職することと、こういう形で法律を作成しております。今回、民間企業等からも、極めて身分を外すということについて困難性があるということ、あるいはこれまでの官民人事交流の実績において特段の問題が生じていないということがございまして、人事院の意見の申出もいただいたところでございまして、それを受けて今回改正法を出しておるところでございます。  一方、御案内のとおり、この官民人事交流につきましては、人事院による交流計画の認定、交流の実施状況の国会等への報告等々、公務における中立性、効率性の確保のための措置が講じられておりますし、今回の民間企業の身分を持ったまま交流される職員については、これらの従来からの手続に加えまして、各府省が交流元企業との間で締結する雇用に関する取決めにおいて賃金を支払うことを内容として定めることを禁止すること、あるいは交流元企業で占めている地位を国会報告に含める等の措置を講じているところでございます。
  151. 吉川春子

    ○吉川春子君 そんな細かい法律でどうしたこうしたという話じゃなくて、憲法十五条の要請でしょう。そして、今まで政府自身民間企業公務員が兼ねることはできないと言ってきたし、そういうものとしてずっと公務員制度というのは仕組まれてきているんですよ。それを変更したからには、例えば研究会とか審議会とか、相当議論を尽くさないと、こういう憲法に抵触する根本理念の変更というのはできないはずです。どこでどのよう検討がされたんですか、大臣
  152. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 全体の奉仕者である、そのとおりであろうと思います。委員言われるように憲法の要請、根本にあります。我々は今、細かい制度のことを今ちょっとこちらの方で説明させていただきましたが、正に憲法の要請を満たすために細かい幾つかの制度をちゃんと準備をして、そういう要請が満たされるようにということを我々なりに考えているわけでございます。  どこでどのよう検討したかということについては、これはもちろん総務省の中で検討いたしましたけれども、こういう人事院の意見の申出がなされております。人事院におかれても相当のその議論をされたというふうに承知をしております。
  153. 吉川春子

    ○吉川春子君 人事院の責任も非常に大きいと思うけど、憲法の基本理念に抵触することをやるのに、個々の法律でこういう規則を作りましたなんということは全然理由にはならないし、私はずっと聞いているんですけれども、具体的な何らの審議会つくったり研究会つくったりした検討はされていないわけですね。  人事院総裁、もう一つ人事交流にふさわしい企業の基準について伺います。  もう一つ資料を配付しておりますが、資料二なんですけれども、この六年間で政府が採用した大企業の社員は百七十九名、各省の実績は、国交省五十六名、外務省四十名、経産省三十五人で、この三省が突出しています。これはこの三省の職場が著しく停滞しているので民間の方に入ってきて活性化してほしいと、そういうことでやったんでしょうか。そうじゃないと思いますね。企業の利益に結び付くおいしいところは各企業が社員を送ったということです。他方、送り手の企業別に実績を見ると、銀行が三十七人で、五人に一人は銀行員です。  そこで、聞きますけれども、三井住友から四人、損保ジャパンから三人、この会社は政府から一部業務の停止命令を受け、頭取が陳謝したり、保険金不払で業務停止を受けている。こうした企業から公務員を採用して一体何を学ぼうというのか、何を活性化していただこうというのか。これは、官民交流人事交流に関する基本方針あるいは人事院の交流基準にも反すると思います。こうしたことは国民の不信を買うばかりです。交流相手としてふさわしくない企業とはこの交流を少なくとも停止すべきではないですか。大臣、いかがですか。
  154. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 交流基準といたしまして、業務に係る刑事事件に関し起訴されましたり、業務停止命令等の不利益処分を受けた企業との間におきましては二年間、交流派遣、交流採用ともできないこととしているところでございまして、この制度は今後とも維持していきたいと思っております。  ただ、交流採用後に交流元の企業が起訴等されました場合につきましては、採用の関係は本人との関係ということになっておりまして、本人の意思で辞職をしていただくという場合は別といたしまして、本人自身に何の責めもないのにその意に反して、採用後派遣元企業において生じた事由を理由として退職させるということは、国家公務員の身分保障という観点からしても適当ではないのではないかというふうに考え、免職をすることにつきましては、というふうに考えております。
  155. 吉川春子

    ○吉川春子君 そういう、もうトップが謝罪したり、行政処分を受けたり、そういうよう企業からわざわざ社員を送ってもらって活性化しなきゃならないよう公務の現場じゃないんですよ。多くの公務員はまじめにやっているし、何でこんな企業からこういう制度をやらなきゃいけないのかというふうに私は思うんですが。  大臣、端的に、やっぱり業務停止命令を受けているよう企業の社員を公務員に採用するというようなことがないように、今後の問題も含めてお答えを願いたいと思います。
  156. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず、そういう存在感のある、それぞれの分野で存在感のある企業が今御指摘ような事案に今直面しているということ自体が極めて遺憾なことであるというふうに思います。そうした点に関しては、やはり企業自身にもしっかりと襟を正していただかなければいけない問題だと思っております。  ただ、仕組みそのものは今人事院総裁が御説明させていただいたよう仕組みになっております。そこで働いていらっしゃる若い方は、その若い方なりに一生懸命その親元の企業でも働いて、そしてまた派遣先でも良いものを学んで帰ろうというふうに考えておられるんだと思います。そういうやっぱり仕組み全体の整合性は保っていかなければいけない面がございます。  委員指摘ように、企業に対してはしっかりと反省を求めたい、その気持ちは私も非常に強く持っておりますし、そういう自覚を企業にも持っていただきたいと思いますが、今のその制度の点に関しては、これは人事院総裁から答弁させていただいたようなやはりルールに従わざるを得ないのではないかというふうに思っております。
  157. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は、こういうところとの人事交流は中止するという制度を少なくとも行うべきだと思います。  それで、資料三なんですけれども、多くの公務員が憲法十五条に基づく全体の奉仕者として教育を受けて、国家公務員倫理法を遵守して働いているわけですね。官民交流によって民間から受け入れた人たちが果たして公務員にふさわしい教育を受けているのかどうか、その点について伺います。  それで、さっき突出している三省につきまして、企業から採用した大企業の社員を公務員に迎え入れてどのよう公務員としての、公の奉仕者としての意識を持ってもらう教育をしているのかということで出していただいたのが、三省でこんな内容なんですね。要するに、法規集を配っていますぐらいの教育しかしていないわけなんです。  私は、教育もされずに自覚もない人が、公務員としての資質は備わっていない、こういう人に公務を担わせることは国民の利益に反すると思います。この教育の問題について、大臣、もうちょっときちっとしなくてはいけないんじゃないですか、少なくともこの制度を推進していくためには。いかがお考えでしょうか。
  158. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) それぞれ採用しているところでいろんな工夫をしておられるというふうに思います。非常にフォーマルなというか、正式の研修を施すというのも一つの方法だと思いますが、上司、チューターのような人を付けてしっかりといろんなことを教え込んでいくというのも一つのやり方だと思います。どちらがいいかというのはいろんなお考えあろうかと思いますが、先ほども言いましたように、私自身もそういう経験をする中で、やはり先輩の人に耳元でいろいろ教えていただいて、これはまあ一種のカルチャーといいますか風土の問題もありますので、そういう指導をいただいたことが大変役に立ったなという思いがあります。  私たちとしては、各省庁に、交流する際はしっかりと、今委員指摘ような、これは公務員になるわけですから自覚を持ってやってもらってくれと、そのようなことはしっかりと申し上げようと思います。その上で、各省庁においてここはしっかりと御対応いただきたい、そういう性格の問題であると考えております。
  159. 吉川春子

    ○吉川春子君 時間が来ましたので終わりますが、私は各省庁任せにするんじゃなくて、やっぱり人事院なり総務省なりが、公務員に仮にも採用しようというわけでしょう。今までいかにして利益を上げるかということだけ考えていた人を今度は国民すべての奉仕者として働けというんですから、頭の切り替えだって大変ですよ。そういうきちっとした教育制度をつくっていただきたいと思います。  最後にどうですか、大臣
  160. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 竹中総務大臣、時間が来ておりますので、簡潔に。
  161. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっとどういうやり方があるか、しっかりと勉強してみたいと思います。
  162. 吉川春子

    ○吉川春子君 終わります。
  163. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  法案に入る前に、前回六日の委員会で私が質問しました翌日の七日の日に地方六団体は予定どおり意見書を提出をいたしました。地方財政自立のための七つの提案というサブタイトルを付けて、地方共有税の提案を中心に、地方財政会議という国と地方の協議の場を法律でつくれなどという内容ですね。今日は、これに関連して大臣二つ質問を先にいたします。  一つは、意見書の内容に対する六日の局長の答弁で、総務省の評価としては、一つに、地方交付税を交付税特別会計に直入すること、これは望ましいことだ、二つ目に、交付税の法定率について、基本的には引き上げるべきだ、こういうふうに述べております。この二つは、長年にわたって地方団体と積み上げの中で到達をした総務省としての基本的な答弁だろうと、こう思うんですが、この点について大臣も当然御確認いただけるんだろうと思いますが、確認の意味で御回答いただきたいと思います。
  164. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 二点でございます。  まず、交付税特別会計への直接繰入れ、直入の話でございますけれども、これはもう既に地方制度調査会の答申等においても御指摘をいただいているところでありまして、総務省としては、地方共有の固有財源であるこの交付税の性格を明確にするという観点から直入の実現を図ることが望ましいと考えております。私もそのよう考えております。しかし一方で、これも局長から答弁させていただきましたが、財政当局との合意が非常に困難であるという、その事実は行政としては今直面している問題としてございます。  法定率の引上げについて、これも、これはたしか今国会の最初に又市委員からもいろいろ御議論賜ったところでございます。大幅な財源不足が続く場合には、これは制度の改正又は交付税率の変更を行うこととされておりまして、基本的には交付税率を引き上げることが望ましい、こういう状況であるという認識を私も持っております。ただ、これも今の財政状況の中で財政当局との合意は得られていない、そのような状況でございます。
  165. 又市征治

    ○又市征治君 もう一つ、前回私が、意見書が出るようだと、国の懇談会等地方抜きに勝手に決めるなと、地方がストップを掛けた以上軽々しく地方交付税の削減を骨太の方針に盛り込むことは控えるべきではないかと、こう申し上げたのに対して、大臣は、合意できるところは合意させていただいて合意できないことは合意いたしませんと、何言われたのかよく分からなかったんですが、抽象的な答弁だったわけです。  ただ、続けて大臣は、財政審や諮問会議の一部の意見というのは私は御指摘ように大変偏りがあると思っております、それをしっかりと正していくのが総務大臣としての私の役割である、こう述べられておるわけで、これは私は立派な決意表明だというふうに思うし、評価をいたしておりますが、ただ、いかんせん抽象的なわけでありまして、それらのどういう意見が偏りがあって正していくおつもりなのか、その点についてお伺いしておきたいと思います。
  166. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 偏った意見はたくさんございますが、特に二点、私としてはしっかりと申し上げなければいけない点があると思います。現実にこの七か月、八か月、そのことを随分諮問会議等々では申し上げてきたつもりでございます。  第一の点は、よく社会保障費が大きい、人件費が大きい、そして地方の歳出が大きいと、地方交付税が大きいというふうに言って、だから歳出削減の観点からそれを削れという議論があるわけです。これは現実にそういう議論をされる方いるわけですが、私は、その社会保障費等々とそして交付税を並べて比べること自体が間違っているということを常に申し上げているつもりでございます。それは、交付税というのは中間的な支出です。支出として見る限り中間的な支出です。地方の支出には社会保障費、人件費、公共事業費等々あるわけで、それとその地方税との差額を交付税で埋めるという形になっているわけでありますので、その中間的な支出を減らすターゲットにするというのは政策論としてこれは間違っていると、この点が第一の点でございます。  第二に、ずっと申し上げてきたのは、よく国と地方のバランスということが言われるわけですが、そのバランスが偏っているというふうに私には思えます。つまり、一般的な議論としてよく諮問会議などでも出てきますのは、国はプライマリー赤字を抱えている、地方は基礎的財政収支が黒字であると、だからもっと国に対してお金、資源を回さねばならないかのよう言い方をするわけですが、これは実は非常に私はバランスを失した議論であろうかと思います。なぜならば、国と地方では自由度が違うからです。課税等々を通じた資金調達の力も違うからです。それをさも同じであるかのようにして、こちらの方が今大変だからこちらに資源を持ってこいというよう議論は、これはやはり偏った議論であると。  このことをずっと申し上げてきたんですが、先般の経済財政諮問会議で全く同じことを総理が発言をされました。是非これは議事録で御確認をください。国と地方のバランスと言うけれども、国と地方自由度が違うんだと、地方には自由度がないんだからその点をちゃんと考えなきゃいけないんだということを総理が明快におっしゃってくださいました。これもいろいろ申し上げてきた一つの結果かなというふうには思っておりますが、引き続きそうした議論に対しては十分注意を払って、しっかりと主張してまいりたいと思います。
  167. 又市征治

    ○又市征治君 今おっしゃった二点の問題については全く同感でありますから、是非しっかりとお取り組みいただきたい、こう思います。  そこで、法案に入りますが、幾つか懸念についてただしておきたいと、こう思います。  官民人事交流、これ自体は良い構想だというふうに私どもは思います。しかし他方で、天下りと非常に似通った問題があります。高級官僚の天下りが利権、癒着を生んで税金の無駄遣いになっているということは、防衛庁やあるいは防衛施設庁、道路公団などの官製談合など具体的な事実があって、枚挙にいとまがありません。官民人事交流もこの点には細心の注意を払うべきなんだろうと思うわけでありますし、後で附帯決議でもこれは提案をされてくると思いますが、この点に留意しつつ質問をしたいと思います。  まず、府省によって交流実績に大きな差がある、先ほど来から出されています。交流派遣はゼロか少数で、ほとんどが言ってみれば受入れですね、受入れ採用の方が多いわけですね。先ほども出ていますように、国交省が一番目、二番目に外務省、三番目が経済産業省、こういう格好ですが、ここにやっぱり大変疑念が生じる。企業が情報を取りたいからむしろここの三省に来ているんではないのか、こういうふうに思われてしようがない。外務省といえば、総理職員数が少ないといって自慢をされている官庁ですけれども、実態は企業の社員に外交特権を与えて国費で企業のために情報収集させている疑念なしとしない、これはさっきからも出ているところであります。しかも採用は銀行を始めとした大企業からが圧倒的でありまして、つまり、企業が海外情報も含めて役所のインサイド情報を取る手段になっていないというふうに言い切れるのかどうか。この点についてどういうお考えですか。
  168. 戸谷好秀

    政府参考人戸谷好秀君) お答えいたします。  官民人事交流、御案内のとおり、交流を通じて民間の機動的かつ効率的な業務運営や柔軟な発想を学び、人材育成と行政の活性化を図るものでございます。  交流に当たりまして、先ほどから申し上げておりますが、人事院が交流計画を認定し、所管関係、契約関係にある企業との交流に一定の制約が設けられています。また、交流状況等の国会等への報告が行われており、効率性、中立性の確保を図っているところでございます。また、職員につきましては守秘義務など国家公務員法上の服務が課せられているという形でございます。また、企業へこの情報提供につきましても、平等な情報提供となるように工夫しているというところがございまして、官民人事交流制度企業の役所側の内部情報を収集する手段となっているというふうには承知しておりませんが、このような、先ほど申し上げましたようないろんな手だてがございますので、そういう手だてを十分に駆使していただきまして、国民の疑念や不信を招くことのないよう制度の適切な運用を図っていきたいというふうに考えております。
  169. 又市征治

    ○又市征治君 まあ紋切り型のそういう答弁出るのは分かっているんですけれども、さっきから出されているように、幾つか一か所のところに何で三人も連続でやるとか、繰り返しませんけどね、そういう問題が起こっているじゃないですか。だから疑念があると言っているんです。そういうのを正しなさいと言っているんですよ。そんな紋切り型の話を聞いているんじゃないんです。  それから次に、公務員民間の経営感覚やコスト意識を学ばせるというんならば、交流派遣こそ増やさなければいけないんじゃないですか。ところが、今回は改正で少ない方の派遣を増やす手は打たずに、採用について規制を緩めるというのは、これはどうも私納得できないんですが、納得いく説明をしてください。
  170. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) 官から民への交流派遣が進まない理由につきましては、むしろ制度的な面での障害というよりも、若手職員が薄い状況にあるとか、民間企業においても厳しい経営の中でなかなか受け入れるのが難しいとか、そういった各府省や民間企業の事情によるところが大きいというふうに考えております。しかしながら、交流派遣についても更に推進する必要があると考えておりますので、引き続き総務省とも協力して、民間企業にも各省にも働き掛けを行ってまいりたいと思います。
  171. 又市征治

    ○又市征治君 何を答えているのかちんぷんかんぷん、分かりませんね。何でその交流に、こっちのを増やさなきゃいけないんじゃないのと、何で今度は採用の方だけを増やしているのと、採用ばかり多いから、これを交流と言うんならおかしいんじゃないのと、こう言っているのに、全然意味分からぬじゃないですか。もう一遍答えてください。
  172. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) 交流派遣が進まないのは、制度的な障害であるよりは……
  173. 又市征治

    ○又市征治君 そんなことは聞いてないよ。
  174. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) ということで、今回は制度的な面からの改正をお願いをしているわけでございます、交流採用につきましての制度的な改正をお願いしているわけでございますけれども、交流派遣の制約になっております各省や民間企業の事情も十分考えながら、各省、民間企業に対して一層働き掛けをしてまいりたいと思います。
  175. 又市征治

    ○又市征治君 あんたと議論しておると何か訳分からなくなっていくから、時間ばかりたっていくからね、次に進みますよ。  今回の改正では交流元企業からの雇用継続を認める、つまり会社員のまま来ると。そうなると、役所の情報をよこせといった企業からの具体的な指令を、その社員は、こっちへ派遣された人はこれ拒めるのかどうか。非常にそういう意味ではひも付きの懸念というのがあるんではないか。単に倫理の問題だけで済むのかという問題あるわけ。  そこで、人事院は、この官民癒着の防止であるとか公務の公正性を確保するために、どういうこれに対しての担保する措置を講じられる予定なのか、お聞きをしたいと思います。
  176. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 現在におきましても、交流元企業と密接な関係にある官職に就くことを禁ずる官職制限、それから契約関係による交流制限を設けておりますし、また具体的な交流に当たりましては、人事院による公募、それから交流計画の認定、変更の認定、それから状況についての国会等への御報告というよう措置を講じておりますが、今回この改正のお認めをいただきまして、交流元企業の雇用関係の継続を認めるということになりました際には、今申し上げた手続に加えまして、各府省が交流元企業との間で締結する雇用に関する取決めにおきまして賃金の支払を行うことを内容として定めてはならないということで、そういった給与支給の関係は絶ってしまわなきゃならないと考えております。  それから、交流採用職員につきましては、任期中、雇用に関する取決めに定められた内容に従って交流元の企業の地位に就く場合を除きましては、当該企業の地位には一切就いてはならないということ、それからいかなる場合におきましても、これは現行と同様でございますが、交流元企業事業、事務に従事してはならないということで、給与の支給、それから事務への従事を一切禁止いたします。  それから、国会等への御報告につきましても、交流元企業で占めている地位を含めて御報告するというようなことを追加して定めていきたいと考えております。
  177. 又市征治

    ○又市征治君 次の質問にまでお答えいただいてしまいましたから、次に総務省にお聞きしますが、企業が役所から取りたい情報は幅広いわけであって、それが守秘義務事項であるとは限りませんけれども、最低限守秘義務については、前回附帯決議でも守秘義務の徹底を図れと、こうされておるわけですね。  では、これまでどのようにこの守秘義務の周知徹底を図ってこられたのか、さらに改正後は身分が社員のままというふうになるわけですけれども、これはどのように厳守をされていくよう考えておられるのか、この点についてお伺いします。
  178. 戸谷好秀

    政府参考人戸谷好秀君) 交流採用職員につきましては、国家公務員法の守秘義務を始め服務に関する諸規定が当然適用されるわけでございます。これにつきましては、この制度の運用に関する基本方針で国と民間企業との間の人事交流に関する基本方針というものを定めておりまして、各府省が万全を期するということで、それをいろんな会議の場等において徹底を図ってきているところでございます。  今後、先生御指摘ように、この点について一層の徹底を図れというお話でございます。基本方針も新しい目で見直すとか各府省との連絡会議の場の活用などということはこれまでと同様にやっていきたいと思っています。新たにどのようなことができるかにつきましては、また人事院とも相談しながら、私どもとしてできる限りのことをしたいというふうに考えております。
  179. 又市征治

    ○又市征治君 その点は是非しっかりと対応いただきたいと、こう思います。  人事院総裁にお伺いをいたしますが、人事院は、官民の癒着を予防し、行政の公正な執行に疑いの持たれないためには交流採用を人事院の一括制に変える、こういうことなどを行うことも検討すべきではないのか。もっと頻繁に実態をいずれにいたしましても把握をして、問題があれば各府省をしっかりとやっぱり助言をする、こういうことが必要ではないかというふうに思うんですが、その点についてはいかがですか。
  180. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) 交流採用の一括採用の点だけちょっとお答えさせていただきたいと思いますけれども、交流採用の場合は、各省に配置されて仕事をすることになりますので、人事院で一括採用というのはなかなか難しいのではないかなというふうに思っております。
  181. 又市征治

    ○又市征治君 実態把握の問題を。
  182. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) この制度につきましては、是非推進していかなきゃならぬと思うわけでございますけれども、しかし守らなきゃならないこともいろいろあるわけでございます。私どもの把握する能力にも限りがございますけれども、いろいろ御指摘もいただきましたので、実態につきましては更に把握に努めまして、必要に応じた措置を講ずるよう努めてまいりたいと考えます。
  183. 又市征治

    ○又市征治君 最後にこれは人事院総裁に、通告してないんですけれども、お伺いしたい。総裁になられてから、私こういう場面で、残念ながら初めてなもんですから是非見解を承っておきたいと思うんです。  今日、一部の公務員の官製談合の問題であるとか、天下りによる癒着の問題だとか、不祥事幾つか起こっています。大変腹立たしい。これはもうここにおいでの方、皆さんがそうだと思う。そういう問題はもう論外として、他方で非常にまじめに多くの公務員が一生懸命働いている、大変肩身の狭い思いをしながら働いている、こういう状況があるんだろうと思う。そういうことに輪を掛けて、仕事量が現実問題として減ってもいないのに、どんどん人は減らしなさい、これが目的化をしたり、賃金をどんどん下げるという、こういうことが声高に叫ばれる。こういう状況で、私は、どうもこの今の状況の中で、公務員の士気の低下と言うべきか、そうした志がやっぱりそれで低くなっていく、こうしたいい優秀な人材が集まらないんじゃないか、こういう感じがしてならない、そういう気がします。  これらについて、今のようなこの状況について、総裁もかつて公務員であられたわけですけれども、そうした今の状況について、どのよう公務員の士気を高めていくべきか、そのことについてもし所感がありましたらお述べいただきたいと思います。
  184. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) いろいろ公務員公務の部門にも人材を確保する、そしてその人材にふさわしい処遇をする、いろいろ必要なことはあるわけでございますが、しかし、公務の世界もまた世の中一般から離れて存在するわけにいかないわけでございまして、いろんな制約があると思います。  人事院として与えられました使命、公務員制度の運用につきまして、これから更にいろいろな面で努力してまいらなきゃならぬというのは当然だと思いますが、私は、ちょっとそれから外れますけれど、個人として考えておりますことは、やはり多くの公務員がその使命を自覚し、誇りと志を持って公務にいそしんでいくためには、やはり何といっても幹部職員が率先して公務部門の責任者としての仕事への取組姿勢を示す、それから公私の別をはっきりさせる、そのことを職員に自ら示すということと、そのことによって国民公務及び公務員に対する信頼を確保していくということが、若干回り道になるかもしれませんけれども、最も本質的な道筋ではないかというふうに考えております。
  185. 又市征治

    ○又市征治君 終わります。
  186. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 国民新党の長谷川憲正でございます。  本題に入ります前に、日本郵政公社に一つ質問をいたしたいと思います。  私、この参議院の総務委員会の場で、再三にわたって集配郵便局の統合問題についてお尋ねをしております。その中で、統合の対象の候補となっている郵便局、およそ千局ほどあるというふうに伺っておりますけれども、国民皆さんに早く知っていただいて、そして理解するところは理解をしていただかなきゃいかぬ、苦情があるならば早くその苦情も聞き、対策を公社に取っていただかにゃいかぬということで、その局名表の公表を求めてきたわけでありますが、これはもう公表されたんでしょうか。
  187. 塚田爲康

    参考人塚田爲康君) 集配拠点の再編計画につきましては、地方自治体などからサービスの低下を心配される声などを伺ったものでございますので、私どもといたしましては、具体的な再編計画の発表を行う前に、関係自治体等に丁寧な説明をすることといたしました。  こうしたことから、まだ公表もできておらず、まだ参議院総務委員会にも御提出できておりませんが、できる限り早い段階で公表できるように引き続き努力してまいりたいというふうに考えております。
  188. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 関係自治体理解を得ようということで公社が努力をしておられることは私も承知をしているわけでありますけれども、現実には、例えばこの国会に対しても地方自治体から意見書がたくさん出されて、既に出されておりますし、私のところへの陳情ですとか投書などの数もたくさんに上ります。  したがって、やはり個々の自治体の、自治体というのは恐らく市長さんとか町長さんとかいうところを意味してるんだと思いますが、そういうところにお話に行って、分かったと言ってもらってからその局名を公表するということではなくて、私は、まず候補となっている局を明らかにした上で、そして関係自治体の首長さんにも、そして議会の皆さんにも、意見書なんかは議会から出てくるわけですからね、議会の皆さんにも、あるいは一番の被害者になる可能性のある住民の皆さんにも、自分の町の郵便局が対象になっているんだということで御認識をいただいた上で議論をするのが私は筋道だというふうに思っておりまして、一刻も早い公表を願ってやまないものでございます。  そして、この点については、前にも述べましたけれども、日本郵政公社の生田総裁は記者会見の席で、これはもう納得ずくでやることだということをおっしゃっておられるし、また高橋副総裁は、この委員会においでになったときにも、地方自治体が納得しなかったらどうするんですかという私の質問に対して、納得していただけるまで説明をいたしますということをおっしゃっておられますので、私、くれぐれも強引なやり方をするのではなくて、本当に総裁や副総裁が言っておられるように、納得ずくの物事の進め方でありますように重ねて要望をしておきたいと思います。  本題に入ります。  この官民人事交流につきましては、私はそういう必要性は当然あるだろうというふうに思いますし、そしてまた、そういう認識の上にこの法律ができております以上、民間の方が役所に交流で来られる場合に、退職をしてからでなければ来られないというのは、確かに処遇上いろいろ問題があるだろう。必要なこれは今回は改正の提案であるというふうに思いますので、賛成でございます。  しかしながら、各委員が御指摘になりましたように、やっぱり懸念がいろいろ出てくるというのは、これはまたこの運営の実態を見るとやむを得ないことかなという気がするんですね。それは、特に象徴的に表れているのが交流者の数でございます。民間から役所の方に来られた方が現在までの延べ人数で百七十九人、一方、役所から民間へ行かれた方が四十人と、四倍以上の差があるというのは、やはり交流という名前にふさわしくないというふうに思うんですよね。これは一方通行ですよ。  ですから、民間から役所へ出すという場合には、役所の方もお出しになる民間の方もそれなりのメリットを感じてお出しになる。ところが、役所の方から民間へ出すというのはなかなか魅力が見えないということだろうというふうに思うんでありますけれども、そういう意味でも、制度の見直しがある程度必要かなという気もいたしますし、また、人数がある程度バランスをするような運用上の工夫は是非お願いを申し上げなければいけないと、これは意見として申し上げたいと思います。  そこで、先ほど又市委員から御質問がありました。私も、実はこの官民人事交流ということを超えて、今公務員皆さんが非常にやる気を失っていると言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、非常に恵まれない状況の中で悶々としているんじゃないかということを心配をする者の一人でございます。  私自身も役人の経験があるわけでありますけれども、役所に入るというのは、やはり一民間企業の利益のためではなくて、国家国民のために働きたい。同期の民間就職した人間に比べたら給料は安いかもしれないけれども、やっぱり国家国民のために働きたいんだ、そういう意欲を持って入ってくる人が多いと私は認識をしているわけです。  しかしながら、昨今は行政改革が強く叫ばれまして、国の財政が貧しいから仕方がないとは思いますけれども、公務部門が民営化をされたり独立行政法人化が進んでいるわけであります。そしてまた、あろうことか、一方で公務員の不祥事も相次いでおりまして、それは国民からの批判も厳しい。  こういう中で、私は本当に公務員受難の時代といいますか、公務員四面楚歌だなと、こう思うわけですが、先ほどの話にもありましたように、実際の公務員のほとんどの人は、まじめで一生懸命仕事をしているわけですし、正に国家国民のために役に立ちたいと思って仕事をしているわけですよね。そういう人たちの社会的な相場というのがどんどんどんどん落ちてくると、このことは何としても食い止めてあげなければいけない。  民間との交流で人材を育成するのも結構ですし、行政運営の活性化、それはもちろん大事なことですけれども、やはり今いる公務員の人たちに元気を出してもらう、やる気を出してもらうということが何よりも大事だというふうに私も思うものですから、これは一つだけ人事院総裁に、こうした公務員の士気向上についてどんなふうにお考えになっておられるのか。これはもう総裁としての立場を超えてでも結構でございますので、お感じのところをお聞きをしたいと思っております。
  189. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 御指摘のことは私も同感でございまして、どうしたらいいのかということについては、大変難しい問題でございますけれども、それなりに悩んでおるつもりでございます。  公務員の士気を高めますためには、やはり良い職員に対して報いていくということが一番入口のことだろうと思うわけでございます。それから、すべての職員が働きやすく、持てる能力を最大限に発揮できる、そういう活力ある職場づくりというのが大切で、環境の整備というのが非常に重要であろうと思います。  そのために、具体的な措置といたしましては、勤務実績や昇給、ボーナスを的確に反映しやすくするなどの給与制度改革というのを、これは今年度から着手をいたしているところでございます。それから、登用制度を改善していくということで、いわゆるⅡ種・Ⅲ種等採用職員幹部職員への登用の推進に関する指針を出しまして、各府省にその取組を促すことによりまして、早期選抜、計画育成に資する各省合同研修、合同の行政研修の実施なども取り組んでおります。  いろいろ働きがいのある職場というものをいろいろな条件でつくっていくということはやらなきゃならぬわけでございますけれども、しかし、職員の士気といいますものは必ずしも物質だけで決まるものでもございませんし、それから、講座を設けていろいろ教育すれば身に付くというものでもないわけだと思うわけでございます。  ほとんどの職員は、公務員になります際にはそれなりの志を持って入ってきているんではないかと思うわけでございますけれども、それをやはり育てていくのは実際の職場そのものであるわけでございまして、そういう意味で、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、やはり先輩あるいは幹部公務員の仕事に取り組む姿勢ということが非常に重要な一つの要素ではないかと思います。  それからもう一つは、やはり国民の皆様に信頼をしていただくということがこういった心の持ちようの支えになるわけでございまして、しかし、これはまあ言葉はちょっと悪うございますけれども、鶏、卵というところもございまして、十分公務員としての務めを果たしていなければそういう御評価もいただけないというのはやむを得ない次第でもあるわけでございまして、ここは時間が掛かりましても、そういうことを実現するための努力というものを幹部が先頭に立って組織全体として取り組んでいかなきゃならぬと、ちょっと抽象論でございますけれども、そのことが、回り道ではございましても一番基本的な、そして必要な在り方ではないかというふうに思っております。
  190. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 ありがとうございます。  私、最後でございますので、最後、総務大臣に同じことをひとつお尋ねしたいと思うんです。  私、やっぱり正に総務省という立場からも、私、公務員全体に、あなた方、それはもうもちろん数は減らさなきゃいけないし状況は厳しいけれども、しっかり国のために元気出して働けよという何かメッセージをお出しいただくようなことはお考えなのかどうか、ちょっとお伺いをしたいと思いますが。
  191. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 私も、広い意味での公的な部門で自分のキャリアを始めまして、そのとき本当に日本を良くしたいと、そういう思いで、二十二歳のときですけれども、そういう思いで皆さんやっぱり今も若い方公務員へ入ってこられると思うんですね。ところが、委員指摘ように本当に四面楚歌で、国民からも大変厳しい声が上がっていると。現実に状況は、仕事はきついけれどもなかなか社会的に評価もされなくて待遇も厳しい。そういう中で、私はやはりやりがいを持っていただけるような人事のローテーション、政策等々やるのが私たちの重要なやっぱり務めなんだと思っています。  委員の御指摘は、メッセージ等々を出すのかという、ちょっとそういう御質問だったかと思うんですけれども、実は、今年も採用された公務員を一堂に集めて私が総務大臣としてあいさつをする機会がございまして、そのとき、私としては目一杯の、頑張ってほしいんだということを申し上げたつもりでございます。  吉田松陰の辞世の句を引用させていただいて、かつて、世の中を良くする、変えるということは命がけの仕事だったんだと、それが敗れれば命を失ったんだと、今はいろいろ思ってぶつかっても、上司に怒られることはあっても命を失うことはないと、だからしっかり頑張ってほしいと、そういう思いを伝えたつもりでございますけれども、これをやはりその場で私のメッセージだけではなくて、やっぱり具体的な制度、形にしていかなければいけないという思いを持っております。  その公務員制度改革、これ更に議論をしなければいけないと思っておりますので、そういう中で、これはやっぱりいろんな知恵の積み重ねが必要だと思っておりますので、そういう知恵を是非出していきたいというふうに考えております。
  192. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 終わります。
  193. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  194. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、国と民間企業との間の人事交流に関する法律の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。  いわゆる官民交流は、平成十二年からスタートしましたが、公務員企業への派遣は四十人、これに対して民間企業からの受入れ採用数は百七十九人という実態です。  法案は、日本経団連がいみじくも言ったように、優秀な人材が官と民との間をリボルビングドアのように自由に行き来できるようにするためのものであり、財界の要求にこたえて民間企業の社員の身分を断ち切ることなしに公務員に採用する道を開くものです。  反対する第一の理由は、企業の労働者としての身分を維持したまま公務員としての採用の結果、公務員の全体の奉仕者たる役割が果たせず、憲法にも抵触する制度になるからです。  憲法十五条を受けて、国家公務員法百三条では、私企業からの隔離を規定し、国家公務員倫理法は、職員は全体の奉仕者であり、国民の一部に対してのみの奉仕者ではない、職員は常に公私の別を明らかにし、いやしくも自らや自らの属する組織のために私的利益を用いてはならないとして、公務員の倫理を厳しく定めています。質疑の中で明らかにしたように、私企業の社員と公務員は両立し得ないものです。本法案は、戦後構築されてきた全体の奉仕者たる公務員という原則を根底から突き崩すものです。  第二に、そもそも公務の活性化などを法の目的に掲げながら、実際には企業の推薦する人材を受け入れ、希望する職務内容、部署に配属するという全く企業都合のよい制度であるからです。一人当たり年間一千万円前後の人件費を費やしてやり、政府計画や方針など、外からは容易には知り得ない情報を含めて、当該企業の業務に役立つ情報を存分につかむことを認める制度でもあります。  また、採用社員は、銀行が二割、その他、損保、物流などを含む大企業中心であり、派遣先も国交省、経産省、外務省などの企業の利益に直接結び付く省庁が突出しています。本来、国民の健康で文化的な生活維持のためにある国家の権力機構を企業の利益のために差し出すなどということは到底認められません。  第三に、人事院が意見具申してこうした法改正が行われるということは、中立機関として、民主的国家公務員制度維持と公務員の人権擁護という役割を大きく変質させるものであり、憲法二十八条の代償機関としての存在意義を問われかねません。  以上、反対を表明し、討論を終わります。
  195. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  国と民間企業との間の人事交流に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  196. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、内藤君から発言を求められておりますので、これを許します。内藤正光君。
  197. 内藤正光

    ○内藤正光君 私は、ただいま可決されました国と民間企業との間の人事交流に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合及び国民新党・新党日本の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     国と民間企業との間の人事交流に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び人事院は、本法施行に当たり、次の事項に配慮すべきである。  一、国と民間企業との間の人事交流制度の目的が、行政課題に柔軟・的確に対応できる人材の育成及び行政運営の活性化であることを踏まえ、その実施状況を十分に把握し、政策評価を積極的に行うこと。  二、全体の奉仕者としての公務員基本性格にかんがみ、国と民間企業との間の人事交流の促進が、公正な公務運営に疑念を招くことのないよう十分に配慮すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いを申し上げます。
  198. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) ただいま内藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  199. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 全会一致と認めます。よって、内藤君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、竹中総務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。竹中総務大臣
  200. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  201. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  202. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十分散会