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2006-06-06 第164回国会 参議院 総務委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年六月六日(火曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  六月二日     辞任         補欠選任      犬塚 直史君     蓮   舫君      藤本 祐司君     森 ゆうこ君  六月五日     辞任         補欠選任      森 ゆうこ君     藤本 祐司君  六月六日     辞任         補欠選任      魚住裕一郎君     谷合 正明君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         世耕 弘成君     理 事                 景山俊太郎君                 森元 恒雄君                 山本 順三君                 高嶋 良充君                 内藤 正光君     委 員                 小野 清子君                 尾辻 秀久君                 柏村 武昭君                 木村  仁君                 椎名 一保君                 二之湯 智君                 山崎  力君                 吉村剛太郎君                 伊藤 基隆君                 高橋 千秋君                 那谷屋正義君                 平田 健二君                 藤本 祐司君                 蓮   舫君                 魚住裕一郎君                 澤  雄二君                 谷合 正明君                 吉川 春子君                 又市 征治君                 長谷川憲正君    国務大臣        総務大臣     竹中 平蔵君    副大臣        総務大臣    山崎  力君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        総務大臣官房総        括審議官     荒木 慶司君        総務省自治行政        局公務員部長   小笠原倫明君        総務省自治財政        局長       瀧野 欣彌君        総務省政策統括        官        清水 英雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二日、犬塚直史君が委員辞任され、その補欠として蓮舫君が選任されました。     ─────────────
  3. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会総務大臣官房総括審議官荒木慶司君、総務省自治行政局公務員部長小笠原倫明君、総務省自治財政局長瀧野欣彌君及び総務省政策統括官清水英雄君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 二之湯智

    二之湯智君 自由民主党の二之湯智でございます。ただいま上程されております地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案について、若干御質問をさせていただきたいと思います。  よく国会議員年金が話題に上るたびに、この地方議会議員のまた年金もやり玉に上げられることが多いわけでございます。特に、一般の国民とかマスコミの方、あるいは有識者と称される方々から地方議員になぜ年金なんか必要なんだと、こういうような声がよく聞かれるわけでございます。町村会議員とか市会議員は半ばボランティア的にやるべきであって、報酬などとんでもない、まして年金など論外だというような議論が起こるわけでございます。  町村会議員とか市会議員の場合は、非常に住民と身近な存在といいますか、したがって、住民から見ると、非常に市会議員とか町村会議員の姿がよく分かるわけですね。極端に言いますと、午前中、畑で野良仕事をして、あるいはちょっと会社の雑用して議会に出掛けて、そしてまあまあ大した議論もせぬと、そして議員を務められると。そんな人にどうしてそんな年金などとんでもないという、こういうような話があるわけでございます。  これは、非常に古い昔の議員像でありまして、最近はちょっとした大きな町の町村会議員でも市会議員でもなかなか出るのも大変なんですね。出るのも大変な労力が要る、そして経済的な負担も要る。まして、この立場をずっと維持しようとするならば、もうかなりの労力を使い果たすわけでございます。  したがいまして、三期、四期務めて、そして議員辞めたときに、せめて老後の生活心配ならない程度年金が欲しいというのは、これ全国の地方議会議員の共通した私は思いではないかと思います。もう将来の生活のめども立たないようでは、なかなか議員になろうという人も出てこないわけでございます。  しかし、なかなか地方議会議員年金というのは理解が得られないわけでございまして、特につい最近までは、一部の極端な学者でございますけれども地方議会なんかは土日とか夜間やって、サラリーマン市会議員とか町会議員になったらいいじゃないかと、そうしたら、サラリーマン会社厚生年金があるから、別に議員議会年金など必要ではないではないかと、こういう極端なことを言う学者もいたわけでございます。  これは、非常に極端なことでございます。しかし、地方制度調査会でも、できるだけ幅広く人材地方議会に登用すべきだと、そういう方法を考えるべきだと、こういうことでございます。もし、この地方議会年金制度が廃止されたならば、そんな不安定な職業にはもう就きたくないという、そういう人が非常に増えてくるんではないかと私は思うわけでございます。  しかし、地方議会議員は、何も別に国会議員のように十年務めて四十万近い、そんな年金じゃなくて、ささやかなつつましい生活を維持できる程度年金は欲しいと、こういうのが共通した考え方であるわけでございます。  今日、非常に地方分権が進み、地方自治制度、こういうものも非常に重要になってまいりました。したがって、地方議会議員在り方という問題もこれからも真剣に考えていかなければならないと思うわけでございますけれども、私は、そういう論議があるたびに地方議会議員年金制度が問題になりますので、この際、地方議会議員年金制度そのものを一体どのように総務省の方はお考えになっているのかと、こういうことをまず最初にお伺いをしたいなと、このように思うわけでございます。
  7. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) まず、この地方議会議員年金趣旨というものでございますけれども、これは昭和三十六年に議員立法によりましてできました地方議会議員互助年金法、それに「この法律趣旨」と書いてありまして、そこに、地方議会議員の任務の重要性にかんがみ、議員及びその遺族生活の安定に資するため設けられているものとされておりまして、この趣旨は現在でも変わっていないものと承知しております。  地方議会議員に有為な人材を確保するためには、こうした地方議会議員年金を含む地方議会議員の皆様の処遇というものも大変重要なものでございまして、今般、今国会にこの法案を提出させていただきましたのも、この地方議会議員年金の安定した給付が可能となるようと、そういうような趣旨でございます。したがいまして、総務省としては、今後とも地方議会議員年金が安定的に運営されるよう努めてまいりたいと、かように考えている次第でございます。
  8. 二之湯智

    二之湯智君 平成十四年の、今から四年前の財政計算のときには自治体の数が三千二百三十二、現在は、三月三十一日現在に千八百二十まで自治体の数が減ってきているわけですね。前回制度改正時にもこの市町村の数は一体どれだけになるんだろうと、こういうことが論議に上ったわけでございます。したがって、そのときはなかなか、今日のように千八百二十までなるだろうというようなそんなことは、多くのこういう委員方々もそこまでは考えが及ばなかったと思うんですね。したがって、今回このような、四年後、抜本的な改正につながったと、こう思うわけでございます。  平成の大合併を促進した旧市町村合併特例法は、昨年の三月三十一日で申請期限が終わったわけでございますけれども、また今新たな合併支援プランによってもっともっと自治体の数を減らしていこうというのが国の方針であると、このように思うわけでございます。更に一層これ以上自治体の数が減っても、その場合でもこの地方議会議員共済会の安定的な運営というものが可能なのかどうかと、こういうことにどういう見通しを持っておられるか、お伺いしたいと思います。
  9. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 今回の制度改正におきまして、この市町村合併あるいはその会員数についてどのように見込んでいるかということでまず御説明させていただきますと、まず、今年の三月三十一日までの市町村合併につきましては、地方議会議員共済会の実施しました調査に基づいて、会員減少はこれこれと具体的に見込んで試算しております。それに加えまして、以前の実績を勘案し、市及び町村共済会につきましては会員数減少傾向が続くものと見込んでおります。  今回の制度改正につきまして様々な対応策を講じることとしておりますが、この法案お認めいただきますと、おおむね二十年後においても積立金を維持して安定的な給付が可能になるものとされているところでございます。  今後の市町村合併の進捗によりまして、今回の見込みを上回って、もし仮に上回って市町村議会議員減少した場合には、四年ごと財政計算というのは法律上義務付けられておりますので、その際に、その時点での合併の進捗状況踏まえまして、共済会運営状況等に応じて必要な措置を講じていく考えでございます。
  10. 二之湯智

    二之湯智君 御案内のとおり、地方議会議員年金共済会運営は、会員である議員掛金を毎月払う、そして期末手当のときの特別掛金、そして公費負担、そしていわゆる積立金運用益と、こういうことで回されているわけでございます。  この共済制度が始まった昭和三十七年度から平成十年度までは、収入が支出を上回って極めて健全な運営できたわけでございます。昭和五十年度は、会員数が二万一千二百十九人、年金受給者は一万四千四百三十九人でありましたけれども昭和六十二年に入ると年金受給者会員数を上回って、そして市町村合併が進展始めた平成十五年、十六年、十七年になりますと、年金受給者が大幅に増えてきたわけですね。加えて、長寿化時代を迎えまして、退職年金受給期間会員でも十二年以上、遺族年金が九年、二十一年間この年金受給というものがあるわけなんですね。当然、共済会の収支にも大きな影響が出始めまして、平成十一年になりますと大幅な赤字になってきたわけです。  しかも、案外この積立金運用利息というのは結構多かったんですね。多いときには六十億、七十億あったのが、低金利時代に入りましてもう平均利回りが特に町村会では一・五%ぐらいに落ち込んできて大変財政が厳しい状況を迎えたわけです。そして、市町村共済会では一人の会員年金受給者を支えるという、こういう成熟率、これが一〇〇%を超えて、今やもう一・五から二に迫ってこようと、こういうことでございまして、正にこの市町村共済は台所は火の車と、こういうことですね。  前回も、その再計算したときは二十年はもちますと、こういうことでございましたけれども、今回、今部長がおっしゃいましたように、これは二十年大丈夫ですと、このようにおっしゃいまして、平成三十九年ぐらいまでは何とか持ちこたえられるんじゃないかと、こういうことでございますけれども、なかなかこれも確信が持てないわけでございます。  したがいまして、現在の会員既裁定者、既に年金受給されている方の積立金を今どんどんどんどん払っているというのが現状でございまして、今払っている人が将来もらえるかどうかという、そんな確信が持てないような非常に厳しい財政運営であるわけでございます。したがいまして、もうこんな分の悪い年金など廃止したらどうかという、恐らく若い会員とかからは声が出るんじゃないかと、そんな私は心配をしているわけでございます。  それで、国会議員年金の改革論議やるときに、その当時でも国会議員年金の毎月の納付金は高かったんですが、改革論提示されたら一人二百十九万と、こういうようなことが提示されまして、私もそういう改革の論議の中に入ったわけでございますけれども、もう多くの若い会員からは二百十九万も払うならこんな年金制度をやめてほしいと、今もう三十代、四十代、五十代では一番お金要るときだと、こんなときに年金で、掛金で二百十九万も取られるの大変だと、こういう声でありまして、各自でもうそれぞれ民間の年金プランに入った方がいいんじゃないかと、こういう意見が非常に多かったわけでございます。まあ国会議員年金は廃止になりましたけれども、それでもまだ数十年、完全にこの有資格者に金を払い続けていかなきゃならぬのに時間が掛かると、こういうことですね。  この三共済、特に地方議会年金共済は、一方で制度を維持してほしいという方も非常に強いわけでございますけれども、これ将来的に廃止したくてもできないような、そんな泥沼に入り込んでしまうんじゃないかと、こういうふうなことを心配するわけでございますけれども、その辺についての見解をどのようにお持ちか、お伺いしたいと思います。
  11. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) まず、国会議員互助年金との関係でございますけれども、旧国会議員互助年金と今御審議いただいております地方議会議員年金では、先生御承知のように制度基本的性格、例えば国会議員互助年金でありますと国会法退職金規定に基づくものであります、こちらはあくまでも互助年金。あるいは、運営方式国会議員互助年金の場合は恩給方式地方議会議員公的年金方式。あるいは、その実態面でも、例えば国会議員年金の場合ですと、最近の実質的な国費負担が七割、地方議員の場合は公費負担率は約四割程度ということで、様々な面で異なったものとなっておりますので、必ずしも国会議員互助年金と連動して扱いを決める、決定すべきものとは考えておりません。  それから、もちろん、地方議会議員年金につきましては、先ほど、最初先生の御質問ありましたように、大変重要なものでございますので、今後とも安定的な運営を目指していきたいと考えております。  私ども先生がおっしゃいます将来の在り方についてどうなのかということでございますが、これは、この対応策を私どもこの法案を提出する前に検討していただきました地方議会議員検討会の報告の中でも、将来的な在り方そのものにつきましては、今後の地方議会役割、あるいは期待される役割はどうなるか、あるいは全体としての地方議会議員処遇在り方、そういった様々な角度から慎重に検討することが必要というふうに指摘されているところでございます。
  12. 二之湯智

    二之湯智君 どの年金も、これ維持しようと思えば掛金を上げてそして給付を抑えると、もうこれしかないわけですね。なかなか今、国も地方も非常に財政難でございますから、大幅な公費負担というのはなかなか難しいと、こういうことでございます。したがって、この現役会員方々は、自分たちもこれだけ掛金を四年ごとにアップさせられているんだから、既にもらっている既裁定者にも何とかもうこの痛みを分かち合ってもらえないかと、こういうことでございますですね。  四年前に、この既裁定者にも減額を求めるべきだというような意見が私は多く出たと思うんですね。そのときに、今の総務省、旧自治省の方は、今、既裁定者にこれを削減を求めることは憲法二十九条の財産権を侵すおそれがある、もし国会でこういう問題取り上げられたら、国会審議に堪えられない、裁判でも負けるかも分からない、こういうことでそれは見送られたという経過があるわけですね。  今回、それを再び、その話は戻ってまいりまして、そして今回は一〇%の削減既裁定者にも求めると、こういうことになったわけですね。この四年間の間にそういう見解が変わったということ、これはどういう事情があったのか、その点をお聞かせをいただきたいと思います。
  13. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 先生御指摘のように、四年前、平成十四年の改正におきましても既裁定者給付引下げについても検討された経緯がございます。  ただ、その当時の判断といたしましては、これも先生がおっしゃったことに関係いたしますけれども憲法で保障された財産権との関係で、更に掘り下げた検討が必要ということで当時としては見送られたということでございます。  その後の事情の変化は何かというお尋ねでございますが、まず何よりも、再々先生のお話もございますが、市町村合併が急速に進展したということによりまして、市議会議員共済会町村議会議員共済会財政状況が十四年改正時点に比べましてもなお一層厳しい状況になりまして、二年後、平成二十年度にも積立金が枯渇するという、猶予が許されないという状況になったことがございます。  今回、こうした極めて厳しい年金財政状況を踏まえまして、現役会員に対しては前回も実を言うと給付を引き下げたわけですが、それに加えまして更に一層負担増給付引下げを求めるということになりますと、現役会員OB方々との著しい不公平が発生する、こういったことは避けなければいけない。あるいは、その公費負担もこれはお願いしておりますけれども、これも著しい負担増も何とか抑えなければいけない。またさらに、もし仮に、二年後と先ほど申し上げましたが、もし仮に制度が破綻したということになりますと、既裁定者の持っていらっしゃる受給権そのものがもう意味を失うことにもなりかねないというわけでございまして、こうした状況、もろもろの状況から判断しますと、既裁定者給付引下げを行うこともやむを得ない状況に至ったというふうに私どもとして判断したものでございます。
  14. 二之湯智

    二之湯智君 先ほどの国会議員互助年金法平成十八年の二月十日をもって廃止する法律が公布されまして、四月一日から施行されたわけでございます。そのときに十年以上在職の方は退職時に一時金かあるいは年金を選択するかと、こういうことになったんですね。それで、年金を選択する場合は在職年数に応じて百分の八十五の年金が支給されると、こういうことになったわけですね。  今回の改正では、地方議会議員在職年数加算は三十年ということで上限が設定されたわけでございまして、なぜ国会議員は五十年で地方議会議員は三十年と上限をしたのか、よく私は理解できないのであります。国会議員と私は地方議会議員は対等、平等だと、こういうように思いまして、国会議員だけが優遇措置を受けるということは多くの地方議会議員理解と納得を私は得られないんじゃないかと、このように思うわけです。  現在、都道府県、そして市議会町村、この三つの共済会で三十年以上在職されている方は七百七十一名と伺っております。この方たち在職年数に応じた加算年金を支給しても、それほど三共済会財政を圧迫する、悪化させるとは私は考えられないわけでございます。  一例を申しますと、現行規定どおり五十年在職すれば受け取る年金額は三百十四万、しかし今回の改正が通りますと二百四十万ぐらいで、差額は七十一万円ぐらい年金が減ってしまうわけですね。この方たち期待権といいますか、こういうことが侵されたと、こうなりまして訴訟を、私は起こる可能性があるんじゃないかと、こういう心配もしているわけです。  都道府県会議員とか政令指定都市、そして中核市の今議員さんの標準報酬月額は六十二万円となっておりますですね。それで、現行では毎月の掛金が大体八万円、期末手当掛金が、特別掛金が二十二万九千円、年間百十九万円、まあ百二十万ぐらい払っているんですね。今回、この改正が通りますと、毎月の掛金が八万九千円に上がってしまう、そして期末手当は何と三十四万四千円、年間で百四十二万円の年金を払わなきゃならぬわけですね。もらう年金の半分以上はもう掛金だということなんですね。  ところが、もっとひどいのは、三十年以上議員を務める方は毎年百四十二万円の年金を掛けながら、それが掛け捨てになってしまうということなんですね。これは、この共済会というのは強制加入だと、だからこれはまあ仕方がないという制度上のことはよく理解できるんですが、三十年以上務めた方々はなかなか納得いかないというのが現実だと思うわけでございます。  しかし、今回、既裁定者にも痛みを分かち合ってもらったと。したがって、三十年以上の方々にも何とかここは我慢していただきたいと。こういうことで制度の安定的な維持を図っていこうと、こういうことであろうかと思いますけれども、こういうことについてどのような見解をお持ちか、お聞かせをいただきたいと思います。
  15. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 先生既におっしゃっていることかと思いますけれども、基本的に、今回検討するに当たって前提とした地方議会議員年金財政というのが、もう二年後にも積立金が枯渇が見込まれるほど極めて厳しい年金財政状況にありますと。そして、先ほども御答弁申し上げましたように、憲法上の財産権保障の対象であるOB議員年金についても、給付を引き下げるなど、言わばあらゆる措置を講ずることとしております。  したがいまして、つまり、加算年数在職三十年以上の議員方々といいますのはある意味で、相対的には恵まれているといいますか、比較的高額の年金受給を受けている方でもございます。実を申しますと、先ほど先生がおっしゃったことともちょっと似たような数字でございますが、例えば市議会議員の方を例に取ってみますと、平成十六年の平均年金額は年に約百三十三万八千円。ところが、五十年の在職の方で見ますと三百四十九万という、相当程度一般平均から見ると高い年金をもらうことになると。  したがいまして、今回の考え方は、三十年まで引き下げるといいますのは、これをおおむね平均年金額の二倍、例えばさっきの例でいいますと、市議会議員の例でいいますと、百三十三万八千円が、三十年でいいますと二百六十九万程度にまでなるように上限を引き下げさせていただきたいということでございます。  それから、先生がおっしゃった国会議員との関係がどうか、あるいは掛け捨てになるんではないかという件でございますけれども、やはり、これも先生おっしゃったことでございますが、やっぱり両年金性格の違い、国会議員年金は言わば国庫負担恩給方式で、地方議会年金は言わば現役OBでお互いに支え合う。つまり、先ほど掛け捨てとおっしゃいましたけれども、実は賦課方式でございますので、現役方々が支払う掛金というのは、本人に対する積立てというよりは、今OB受給されている方々もお支払いされていると。あるいは逆に、その現役の方が退職されますと、今度は後輩の方の年金負担するということになっておりますので、こういった社会保険方式により運営されるという性格考えますと、やむを得ないものと考えておりますので、御理解賜りたいと考えております。
  16. 二之湯智

    二之湯智君 先ほど私が国会議員年金は非常に特権的だと、このように申しました。そのとき、いつも言われるのは、年金受給額もともかく、たった十年で年金受給資格が得られるということ。そして、国会議員議論をしていると常に、地方議会いきますと、えっ、地方議会議員も十二年でもらえるのかと。これがいつも批判の対象になるんですね。  地方議会議員選挙へ行きますと、三期目の選挙になりますと、弁士がですね、この方、皆さん、お願いいたします、もう、三期したら年金受給資格もらえるんですと、こういうようなことをよく演説で言う人があるんですね。これは有権者から見ると、国民から見ると、えっ、十二年でそんな地方議会議員年金もらえるんですかと、年金のために議員やっているんですかなんていうことを言われるんですが、まあ厚生年金とか共済年金が二十五年の在職でやっと受給資格が与えられるということでいきますと、その二分の一以下の期間で地方議会議員年金受給資格が与えられるというのはちょっと私は特権的ではないかなと、このように思ったりするわけでございます。  前回の再計算のときにも、これは十二年から十六年に延長すべきではないかと、そういう意見が多くの方々意見だったと、このように記憶しておるんです。法案作成の段階で十六年が十二年になってしまったということになるんですが、十二年を十六年にしてどれだけ私はこの共済会財政に寄与するのか、そういう計算はよく分からないんでございますけれども、これは財政に寄与するということもさることながら、やはり今の私言った特権的なことを、批判をできるだけかわしていくという、和らげていくという、こういうことも私は大きな効果があるんじゃないかと、このように思うわけでございますけれども、今回、論議の中で十二年を十六年にしようという、そういう論議がなかったのか、その点をまたお聞かせをいただきたいと思います。
  17. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 先生御指摘のとおり、給付の見直しという観点からしますと、この十二年という期間を更に延ばすということも考えられるわけでございまして、先ほど来ございました検討会の場においてもテーマになったところでございます。  ただ、やはり今回の検討会においての結論としても、この年金受給資格要件というのを延長した場合、結果として地方議会議員方々在職期間が長くなるということの一因となるということも可能性もあるということに加えまして、先ほど先生年金財政の面へというお話ございましたが、この年金財政の面からしますと、延長いたしますと、当面は一時金の支出が、実を言いますと受給資格を得られずに当面一時金という形で支出するということが増加すると。  そして、特に今回、市町村合併の影響を考えますと、これから十年というのが一番収支悪化の状況が厳しいところなんですが、この当面十年について更に収支を悪化させるという可能性もございまして、そうしますと、更に追加的な対応策、例えば掛金にしても給付にしても何か考えざるを得なくなるという可能性もございますので、今回、年金受給資格要件の見直しは行わないこととしたところでございます。
  18. 二之湯智

    二之湯智君 町村共済会及び市町村共済会がここ数年、非常に急速な市町村合併に伴って財政が非常に悪化してきたということは御案内のとおりです。特に市議会共済会は、町村共済会からの合併に伴いまして大量の会員が移行してきたと、こういうことで大変厳しい状況を迎えているわけですね。特に平成十六年、十七年にかけては大量の移動がありまして、今や市議会共済会受給者の大半は町村からの移行者ということでございます。  合併に伴いまして町村議会共済会から移換金というのが市議会共済会に入るわけでございますけれども、この移換金も平成七年とか十年にかけては一町村約四千万あったんですが、平成十七年になりますと、これも七百四十万となりまして、もう町村からの移行者の半年分の年金にも当たらないというぐらいのもう移換金の額が非常に少なくなってきたわけですね。  それで、平成七年から十七年度の上半期で、合併町村数は六百五十六、そして移換金総額は五十七億円、年金総額は、いわゆる町村から市議会に来たその方たちに払う年金総額は八十九億四千九百万、もう半年間年金払いで移換金は消えるという、こういうような実態なんですね。  今回の改正で移換金制度は廃止され、この両共済会財政調整を行うと、こういうことになったわけですね。私も、市町村合併そのものは地方自治の進展とか効率的な財政運営を進める上で歓迎すべきことでございますけれども、両共済会財政には深刻な影響を与えているわけですね。  特に、市議会共済会からいいますと、大量の不良債務者が町村共済会から流れ込んできたと、こういうことでございます。その一方、町村議長会も会員が極端に減って、これも年金受給者に払う金も底をついてきたと、こういうことでございまして、もう今や本当に、先ほど部長がおっしゃいましたように、もう平成二十四年度で制度が破綻してしまうというのも現実のものであるわけでございます。  ところが、市町村合併特例に関する法律第十六条三項では、国は市議会共済会町村議会共済会運営状況等を勘案し、その健全な運営を図るため必要な措置を講ずるものとすると明記されております。今回、平成市町村合併によりまして地方議会議員数は二万人以上も減少しているんですね。そして、経費は約千二百億円以上も経費節減になっているわけですね。やはり国としてもこの条項を生かしたような形で地方共済会財政的な支援を私はするべきではないかと、このように思うわけです。  幸いにいたしまして、今回の改正で激変緩和措置として、今後十年間負担金を増額すると、こういうことになったわけでございまして、ようやく地方議会共済会の声が届いたと、こういうことでございます。  こういう負担金が増額することによってこの制度の安定的な運営に大きく私は寄与すると思うわけでございますけれども、竹中大臣はどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  19. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) お答えを申し上げます。  およそ共済的な仕組み、年金についてはその人口構造が変化すると非常に大きな財務的な影響を受けるわけでございます。今御議論をこれまでいただいている公的年金、正にそうですが、今回のその共済議員共済に関しては、市町村合併によってその参加者という意味での人口構造がドラスチックに変化したということだと思います。そのために年金財政が大変厳しい状況に置かれている。  これまで公務員部長からも御答弁させていただきましたように、給付引下げ掛金の引上げ等々、やはり必要な調整をせざるを得ない。そして、加えまして、公費負担金について、市町村合併の進展による議員数の急減に対する時限的な激変緩和措置を行うことと今回しているところでございます。  これで大丈夫かと、どう見ているかというお尋ねでございますけれども、今後の見通しとしましては、当面十年間、これは合併の進展によりまして受給のバランスが変わります。年金受給者が現役議員数を大きく上回るという状況がありますので、大変厳しい状況が続くというふうに見込まれるんですが、その後は徐々に市町村合併に伴う議員数の大幅な減少がこの受給者数にも反映されてくるという、このバランスが再び回復しているということが見込まれますので、年金財政状況が次第に改善するというふうに見込んでおります。  そうしたことを確認するために財政効果の試算を行っておりますけれども、その試算によっても、今回の制度改正によって、おおむね二十年後においても積立金を維持し、安定した給付が可能になるものというふうな、そのような試算結果を得ているところでございます。
  20. 二之湯智

    二之湯智君 最後の質問なんでございますけれども、若干重複したような質問になるかと思います。  いずれにいたしましても、この共済会だけじゃなくて、かねてから地方六団体のうち町村議長会とか市議会議長会は要するにもう将来的には統合すべきではないかというような、そういう意見もあるわけでございます。当然、両共済会も将来的には一本化すべきではないかと、こういう意見があるわけです。特に、市議会議長会は大量の、私先ほど申しましたように、町村共済会からの会員数の移行、そして町村議長会は非常にもうますます町村合併が進んで会員数減少してくると。こういうことで、今回、財政調整を行うということで、そして市、町村共済会財政単位を一元化すると、こういうことにも踏み込まれたわけでございますけれども、なかなか私、この財政単位を一元化するということがどういうことなのか、ちょっと分からないので御説明いただきたいのと、この両共済会が将来的に私は統合への道を歩まれるんじゃないかと、このように思うわけでございますけれども、もしそういうことになれば、この制度が安定的に運営が可能かどうかと、こういうことも教えていただきたいなと、このように思うわけでございます。  今、二十年間安定的に運営されるであろうという見通しはされましたけど、先ほどから申しましたように、なかなか先のことはよく分からないというのが現実でございます。それによって、何も別に私はそれは失策だとは思いません。今度の町村合併でも逆に言えばうれしい悲鳴だと。これだけ市町村合併が進んで、国の財政地方財政も非常に削減されたと、そして地方自治も非常に効率的な運営ができるようになったと、こういう面では非常に私は歓迎すべきであると、しかし一方、共済会には深刻な影響を与えたと、こういうことはよくありがちなことでございます。  しかし、いずれにいたしましても、もうそういう地方議会共済年金という制度は抜本的な制度改正をしていかなきゃならぬという中で、将来の両共済会の統合と、そういう見通しについてちょっとお伺いをして、最後の質問とさせていただきます。
  21. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 今、二之湯委員がうれしい悲鳴という側面があると、御指摘のとおりなんだと思います。  合併が皆様の御努力によってしっかり進んだということ、しかしそれに併せて短期間に非常に多くの会員受給者が、今回の場合、町村議会議員共済会から市議会議員共済会に移行して、そういった意味で、これまで別々に運営を行ってきたその制度の前提が大きく変化したということ、これにやはりきちっと対応しなければいけないわけでございます。  今、財政一元化の中身といいますか意味でございますが、大きく三つあると思います。一つは、両共済会財政計算を一本化する、計算単位を統合して計算を一本化するということ、そして共済会掛金率を一本化するということ、そして両共済会の間での財政調整を行うということ、これが正に財政単位の一元化の意味であると思います。  将来的に統合はあり得るかという御指摘もございました。将来的にはそういうことも当然一つの視野には入れなければいけないと思います。ただ、具体的に組織が統合することになりますと、組織論の問題としてまた別の問題も出てまいります。それは今後の宿題として考えなければいけないというふうに思っております。  いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、まずはそういったことを含めて財政効果の試算を行いまして、おおむね二十年後においても積立金の維持ができると、安定した給付が可能になるということは確認をしております。加えまして、今後の財政計算がございますから、そのたびに新しい要素をしっかりと加味をして、加えることによって財政の持続性を確保していきたいと考えております。
  22. 二之湯智

    二之湯智君 終わります。
  23. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 民主党・新緑風会の高嶋良充でございます。  若干、二之湯先生と重複する部分があるかと思いますけれども共済年金地方議員年金問題を中心に質問をさせていただきたいと思います。  一昨年、年金制度、大幅に改革をされたわけですけれども、それ以来公的年金制度に対する国民の不信、不満、そして不安というものが非常に大きくなってきた。とりわけ議員年金に対して不信と不満が充満をしていったというふうに思っているわけでありますけれども、そういう状況の中で、先ほどからもありますように、国会議員年金は四月一日から廃止をされた。しかし、地方議員年金制度改正して存続をしていくんだ。最近、また一方で、小泉総理が発言をされたということもあって、知事や市町村長の退職金問題が、マスコミ等を含めて、あるいは国民の間からも批判が出てきている。国民の皆さん方は、政治家の老後の仕組みというのは一体どうなっているんだろうかと、そういう疑問を抱いておられるんではないかというふうに思っているんですが。  そこで、私は議員や首長の年金退職制度のそもそも論といいますか、制度論をまず具体的に伺ってまいりたいというふうに思いますので、是非、国民の皆さん方にも説明責任を果たせるような、分かりやすい御答弁をお願いを申し上げたいなというふうに思っております。  一般論からいえば、社会保険方式による公的年金制度というのは、個人が保険料を拠出をすることで事前の備えを相互扶助によって行う仕組みだと、こういうふうに私どもは教わってきたわけですけれども、ということは、公的年金というのは社会全体で老後の所得を保障し生活を支え合うことなんだと、そういう意義と役割というものを一般的には持っていると思うんですけれども、じゃ今度改正をされる地方議員年金制度というのはこれと同じような意義と役割を持っているのかどうか、その点の意義と役割についてまず伺いたいと思います。
  24. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) この制度の意義でございますけれども、この地方議会議員年金制度は、経緯をたどりますと、昭和三十六年に議員立法として成立した地方議会議員互助年金法により発足したものでございます。その翌年、昭和三十七年に地方公務員共済組合法ができまして、そのときに関係規定が移行されたと。  この制度趣旨といいますのは、議員立法でできました法律の旧地方議会議員互助年金法に、第一条に「この法律趣旨」と書かれておりまして、それを読みますと、「この法律は、地方公共団体の議会の任務の重要性にかんがみ、これを組織する議員及びその遺族生活の安定に資するため、互助の精神にのつとり、」云々と、このように書かれてございます。この趣旨は、現在の法律に移管された後でも変わってないものと認識しております。  このため、この地方議会議員年金制度性格はどうかと言われますと、社会保障としての言わば国民皆年金の一環としての公的年金とは別に、ある意味では政策的に設けられた互助年金としての性格を有するものと考えている次第でございます。
  25. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 互助年金という性格を有していると、こういう御説明でございますが、国会議員年金互助年金という位置付けがされていたと思いますが、これは先ほども申し上げましたように今年の四月一日から廃止をされたと。じゃ、この国会議員年金、この国会議員互助年金地方議員互助年金制度の違いというのもこれまたあるというふうに聞いているわけですけれども、具体的に御指摘をいただきたいと思いますが。
  26. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 私ども、先ほどもちょっと御答弁もし掛けましたけれども、基本的には、制度基本的性格その他様々な面で異なっているところと考えております。  まず、基本的な性格の違いでございますが、旧国会議員互助年金といいますのは、法律に書かれてありますように、国会法第三十六条の退職金規定に基づいて定められたものということでございます。他方、地方議会議員年金互助年金、つまり議員の相互の助け合いという形で創設されております。  運営方式でございますが、旧国会議員互助年金がそういう性格の下で国庫負担による恩給方式とされておりますのに対して、地方議会議員年金現役議員方々掛金あるいは負担金でOBを支える社会保険方式を採用しております。また、その実態面におきましては、旧国会議員互助年金の近年の実質国庫負担率というのは約七割でございましたが、地方議会議員年金公費負担率は約四割となっております。また、平均年金額におきましても、例えば国会議員互助年金平均額が四百四十三万円と承知しておりますが、地方議会議員年金平均額は全体で約百三万円ということでございますので、かなりの開きがあるものと承知しております。
  27. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 専門的用語を使っておられますので、ちょっと分かりにくいところがあるんですが、簡単に言えばこういうことですかね。国会議員年金というのは、国会法の三十六条の規定による退職金の性格を有していて、それを年金に変形をさせたものだと、そして給付については恩給と同じように国が直接給付を行うというような方法を取ってきたと、だから廃止をすることに問題はなかったと、こういうことだと。しかし、地方議員年金というのは、現役議員掛金負担金を、掛金負担金で受給者を支えるという言わば社会保険方式的なものを採用しており、公的年金と同様に世代間連帯によって財政運営をしているんだと、そういうふうに理解してよろしいんですかね。
  28. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) おおむね先生の御指摘のとおりかと思います。
  29. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 大体違いは分かりましたが、そこで竹中大臣にお伺いしたいんですけれども、四月の二十七日の経済財政諮問会議、小泉総理は、知事や市長の退職金は多過ぎると、そのように指摘をされました。それ以降、かなりマスコミで知事や市長の退職金多過ぎると、非常識上塗りというような、こういう批判の記事がたくさん出ているわけですけれども、竹中大臣は、言わば総務大臣という立場上、知事や市町村長の退職金問題、管轄をされる最高責任者であるわけですけれども、この退職金についてどのように認識をされているか、お伺いをしたいと思います。
  30. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) お答えを申し上げます。  もう高嶋委員はよく御存じのとおりでございますが、知事等の退職手当につきましては、これは地方自治法に規定がございます。何を決めているかというと、条例において支給内容等を定める、条例だということになっている。各団体においては、当然のことながらこれ任期の定めがあるということ、それと職責の重要性等を踏まえましてそれぞれ支給内容を決定しているわけであります。  これは、当然のことながら、これは条例でありますから、まず議会の十分なチェックといいますか、審議が前提になります。また、都道府県や政令都市等々では特別職報酬等審議会を設置しておりますから、そういうところを活用して、つまり第三者の意見もしっかり聞いてやっていただくということ。そして、何より住民への情報公開等を通じて、これは正に自治でありますから、住民が十分な理解と納得をしていなければいけないということだと思います。  先般の、二十七日の諮問会議での総理の御発言は、実は総人件費を議論している中での御発言でございます。総人件費、いろいろつらいけれども見直さなければいけない、そういう意味では、見直せる余地があるんであるならばしっかりと見直してくれと、そういう趣旨の御発言でございます。  私としては、総務大臣としては、地方の自治の基本的な考え方にのっとり、議会のチェック、そして第三者の意見、さらに情報の開示、そして十分な住民理解と納得、そういうことが得られるように、必要な助言等があればしてまいりたいというふうに考えております。
  31. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 大臣が今御答弁をされましたように、条例で、基本的に言えば自治体が自主的に、独自に決めるべきものだと。それの決めるに当たっては、報酬等審議会、言わば市民の代表も参加をして、市民の理解を得られるような額で決めていくべきだと。こういうことで、今までの決め方も、どの都道府県市町村報酬議会等を開いて、そして、それに基づいて条例を提案をして議会で慎重な審議をされて決めてこられていると。そういう意味で、私は、基本的には、高いか安いかは別にして、知事や市町村長の退職金っていうのは住民理解が得られているんではないかというふうに考えているんです。  ただ、高いか低いかというのは、これは一つには、一般論で言えば職務と責任の度合いによって決まるべきものであるし、もう一つは、小泉総理がどの部分と比較をされたのかは別にして、どこと比較をして高いか低いか、その比較対象によっても違ってくるものではないかなっていうふうに思っているわけであります。大企業の社長と都道府県の知事あるいは市町村長とを比較をすれば、当然、大企業の方の社長の方の退職金が高いし、町長さんなんかの退職金はがくんと低いと、こういう比較対象になるでしょうし。  しかし、総理が言われるように、日本のトップである総理大臣退職金と比較をすれば、総理大臣退職金というのは、小泉総理が五年数か月で退任されるときにもらわれるのは七百万弱と、こういう、六百六十万ぐらいだというふうに聞いているんですけれども、それと知事さんが四年間一期務めてもらわれる額っていうのは七、八倍の違いがあると。こういうことでございますから、そういう面でいえば高過ぎるということも言えないのではないかなというふうに思うんです。  ただ、私はやっぱりその場合に、総理の退職金はこれだから知事が高いっていうことよりも、私は逆に、あれだけの職責を日本のトップとして全うされる総理や大臣退職金そのものが安過ぎるんではないかと。なぜ、一般の国家公務員の退職金条例を、それも年数によって適用されなければならないのかというところに問題があるんではないかというふうに思っているんですが、竹中大臣も数年間大臣を終えられて辞められるときには退職金をもらわれるんですが、まさか五百万超えるということには今のところないんでしょう。  竹中大臣自身の退職金等々も含めて、総理や大臣退職金が私は逆に低いんではないかと思うんですが、どのように大臣思われますか。
  32. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと予定していなかった質問をいただいたようでございますが、私の秘書がラフに計算してくれたところによりますと、私の退職金は四百何十万かだというふうに聞きました。高嶋先生の大体の御推察の範囲だというふうに思います。  もっともらえというふうに言ってくださったんであるならば、私は感謝をしなければいけないのかもしれませんが、このお話はやっぱりしかし、もう委員も御承知のとおりでありまして、なかなか難しいと思います。退職金で支払を受けるべきなのか、月々の給与で受けるべきなのか、そういうバランスの問題もございましょう。また、議員として兼務しているかいないかというようなお話もございましょう。そして、何よりもやはり、これ国民、住民がどのように納得しているかということなんだと思います。  一般論として言えば、いい仕事をして高い給料をもらうというのは私は良いことだと思います。その意味で、だれが高いとか低いとかという議論はなかなか安易に私はすべきではないというふうには思いますが、しかし、今置かれている我々公人の立場というのは極めて厳しい財政状況の中で、やはり相当国民の一般的な皆さんの感情を意識していろんなことを決めていかなければいけない。これは民主主義の社会の中での公人でございますから、それはやっぱり重く受け止めなければいけないのであろうというふうに思っております。委員の御質問に直接はお答えしていないかもしれませんが、私はやはりそういう民主主義のチェックの中で自然にあるべきところというのが見えてくるのではないかというふうに考えております。
  33. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 無難な答弁をされておられますけれども国会議員から政府の高官になられている皆さん方は一般職と同様の退職手当に基づいて支給をされているわけで、少ない、少額ですけれども、ただ年金という観点からいうと、共済年金には加入はできないわけですね。しかし、知事や市町村長は共済年金に加入できる制度になっているというふうに思うんですけれども、その辺はどのように現状なっていますか。
  34. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 知事や市町村長の方々一般地方公務員と同様、地方公務員共済制度に加入できますというか、加入しておられます。そうでございますので、一般地方公務員と同様、組合員期間等が二十五年以上である方、あるいは例えば、ほかの国民年金やあるいは厚生年金と通算することも可能でございますけれども、そういった、いずれにしても二十五年以上である方が退職後に六十五歳に達したときに退職共済年金が支給されます。  また、地方公共団体の長であった期間が十二年以上である方の退職共済年金には一定の額が加算されるということになっております。
  35. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 この種の問題は全国民の年金が一元化をされるという状況の下では一定の解決が付くんでしょうけれども、なかなか現時点ではそういう状況になっていないという、そういう中で伺いたいんですけれども、知事や市町村長は、先ほどもお聞きしましたように、一般の公務員の共済年金と、そして別途退職金が支給をされると。今議論しています地方議員の皆さん方は、地方議員年金という公的年金が支給されると。一方の国会議員は、議員年金が廃止をされて国民年金のみだと。そして、常勤をやられている、政府高官になられている大臣や副大臣、政務官と言われる皆さん方は一般職同様の年数だけの退職金と、これも共済年金には入れないで国民年金だと。全く、同じ議員の身分にありながら制度のばらつきが非常に大きいというふうに思うんですね。  こういう余りにも大き過ぎる制度のばらつきについて、将来やっぱり国、地方を含めた議員や首長の年金退職制度、抜本的に検討する、抜本的に改革するために検討する必要があるんではないかというふうに思っているんですけれども、その辺、竹中大臣、どのようにお考えでしょうか。
  36. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) なかなか難しい御質問をいただいたと思っております。  今委員も述べられましたように、首長さんは常勤だと。常勤の地方公務員で、その中では一般的な制度の中で位置付けられている。しかし、地方議会議員はその意味では非常勤の地方公務員であると。しかし、その役割は大変重要であって、生活の安定の観点からやはり特別な配慮が要るだろうと。それが今御議論いただいている仕組みになっているわけでございます。その意味では、非常に特殊な、非常に重要な、しかし非常勤の地方公務員という立場、そういうその立場を今後どのように考えていくかというのは、なかなかこれを一元的に何か取り込むというのは容易ではないなという思いはいたします。  国会議員についてどうするかという議論もまた別途当然あろうかと思います。  現状でなかなか、こうすればいいと、これで一元化できるではないかというような知恵があるわけではございませんが、問題意識としては是非持ち続けたいと思っておりますけれども。今のジェネラルな、一般的な枠組みの中でできるだけ問題を片付けていく、しかし、そこからどうしても枠が出るものについては今回のようなやはり特別な仕組みで補っていくというのが当面のやはり工夫ではないかというふうに思っております。
  37. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 いずれにいたしましても、知事や市長、あるいは政府高官になられている国会議員の皆さん方の場合は常勤だと、それ以外は国会議員も含めて非常勤だという、そういう違いはあることは承知をしているんですけれども、しかし、国会議員年金が廃止されたことによって国民年金で対応すると、こういうことになっているわけですが。やっぱり多くの国会議員の皆さん方は、自営業と同じことなんだから国民年金でいいんだという人と、やっぱり厚生年金程度年金に、できれば言わば国家公務員の共済年金に、あれは今度与党では一元化をされると、厚生年金共済年金を一元化をされると、せめてその一元化される年金に加入をさせてもらうというようなことができないんだろうかという、そういう方もおられますね。若ければ若いほどそういう方がおられるというふうに思うんですけれども。  そういうことも含めて、これから、国会法の三十六条の退職制度の問題との関連もありますけれども、やっぱり国、地方一体となって改革案をやっていくべきではないかというふうに思っておりまして、これは御要望として申し上げておきたいというふうに思っております。  しかし、いずれにしても、地方議員年金については制度を存続をして改正をしていくと、こういうことで御提案をされているわけですが、ということは、国会議員年金は廃止をするけれども地方議員年金制度を存続していくというその前提に立つということは、地方議員というのは国会議員とは異なる職責、身分、処遇が必要なんだという、そういうことの理由があるんだろうというふうに思っていますけれども、存続していくというその趣旨について伺っておきたいというふうに思っております。
  38. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 国会議員年金制度そのものにつきましては、ちょっと私ども政府の立場としてはなかなかコメントすることは難しいんでございますが、いずれにいたしましても、地方議会議員年金、先ほど一番最初の方に御答弁申し上げましたように、様々な面で国会議員互助年金と異なった面がございますので、必ずしも国会議員年金の扱いと同列に扱うべきものとは私ども考えていない次第でございます。  今回、地方議会議員年金の存続を前提として改正を行った趣旨といいますのは、何よりも、とにかく市町村合併の急速な進展によりまして年金財政が極めて厳しい状況にあり、もう平成二十年度、つまり二年後には積立金が枯渇する見込みとなっているという、言わば猶予が許されない状況になっていること。そして、市町村合併特例法におきまして、国は市町村合併に伴う地方議会議員年金の、共済会年金運営状況等を勘案して、その健全な運営を図るため必要な措置を講ずるという責務が私ども国に課されております。  私どもとしては、こういった年金財政状況あるいは市町村合併特例法の要請を踏まえまして、年金財政の長期安定化を図るため、今回の法案を提出させていただくことになった次第でございます。
  39. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 先ほど二之湯委員からの御質問にもあったんですが、公費負担の問題なんですね。  国会議員年金が廃止をされた最大の理由が、国庫負担が約七三%、正確には七二・八%ですかね、に及んでいたと。掛金よりも大幅な、国庫負担の方が多い、こういうことだと。だから、国会議員年金改正しようというときの審議会の答申が、基本的には掛金を大幅に増やして国庫負担を五〇%に下げるんだと。それなら国民の理解が得られるのではないかと、こういうことだったんですが、これは基本的には日の目を見なかったわけでありますけれども、今回の地方議員年金改正案では、公費負担現行四二・一%、これを四七%に引き上げると、こういう措置をとっておられるわけですね。  これは国会議員のときの審議会の答申からいえば逆の引上げの措置をとると、こういうことなんですけれども、ここに国民の皆さん方の理解を得にくい、あるいは批判の意見が出てきているんではないかというふうに思っているんですが、いかなる理由で公費負担を引き上げなければならないのか、その辺の御説明をいただきたいと思います。
  40. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) もちろん、こうした公費負担の引上げを考えている第一の理由は厳しい年金財政状況なんでございますが、その公費負担の引上げを検討する前提として、私ども、可能な限りあらゆるその他の措置検討していると。  例えば、先ほど申し上げました既裁定者も含めた給付水準の引下げ、もちろんそれから掛金あるいは特別掛金の引上げという、そうした言わば地方議会現役議員あるいはOB議員に対して相当の自助努力を行うことを前提として公的負担についてもお願いをしたいと。  今回お願いする措置といいますのは、合併特例法の趣旨を踏まえた激変緩和措置として行いますものですから、あくまで時限、つまり十年間の四・五%の上乗せ、それを五年間で漸減して解消する、十五年したらゼロにすると。あくまで時限的な激変緩和措置としてお願いすると。かつ、最大の、先生おっしゃった四七%は、一番高い負担率の時点でも四七%でございまして、時限措置の終了後は現在よりも公費負担比率が低くなる見込みでございます。  こうした事情を是非御理解賜りたいと考えている次第でございます。
  41. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 今理由に言われておられますように、市町村合併が最大の財政悪化の理由なんだから、それによって掛金負担だけでは到底無理だと、だから公費負担もと、こういうことは私は理解をしたいというふうに思います。とりわけ、市町村合併が進むことによって行政改革の効果が上がるということでございますから、逆に言えば、地方財政の効果が上がって地方財政が逆に市町村合併で潤ってくるんだと、こっちは潤うけれども、そのことによって年金財政が逼迫をすると、だから公費負担でというこの理屈は割と分かりやすいというふうに思うんですね。    〔委員長退席、理事景山俊太郎君着席〕  ただ、これからまだまだ市町村合併が続いていくという状況の中でまだまだ会員減少していくんではないかと、そうなると公費負担が更に引き上げられるんではないかと。公費負担、これから一体どうなっていくんだろうかというある程度の見通しも必要なんだろうというふうに思いますが、今後の公費負担の見通しと、それと公費負担というのは大体どの辺のレベルまで国民や住民の皆さん方の納得が得られるものなのかというふうにお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。
  42. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) まず、今後の会員数の見込みでございますけれども、今回の制度改正における見通しの前提といたしまして、その会員数につきまして、まず今年の三月末までの市町村合併につきましては、地方議会議員共済会が実施した調査に基づきまして会員数減少を具体的に見込んで試算しております。それに加えまして、以前の実績を勘案して、市及び町村共済会については会員数減少が続くものと見込んでおります。このような前提の下で、おおむね二十五年後においても安定した給付が可能となる見込みでございます。  ただ、先生御指摘の、もし仮にという場合でございますが、この今回の見込みを上回って市町村議会議員減少した場合には、四年ごと財政計算におきまして、その当時の状況を踏まえまして必要な措置を講じていくという考えでございます。  どのくらいの水準がということでございますが、その公費負担の望ましいといいますかあるべきという水準なのかということは、なかなかこの年金性格からしてお答えすることは難しいものでございますけれども、私どもとしては、その当時の、再計算時点状況に応じて、かつ国民の皆様の納税者としての御理解を得られるものでなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  43. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 いずれにしても、公費負担関係は、国会議員年金の場合、制度は違うといっても七十数%になっていたことに対する批判というのは非常に大きかったわけですから、やっぱり五〇%程度でどう抑えるかという、そういう観点も含めてやっぱり検討が必要になってくるんではないかと。じゃ、そのためには、また後でもお聞きしますけれども、先ほど二之湯先生の方からも出ておりましたが、組織統合等含めてどうスケールメリットを働かせていくのかということも一つのまた考え方だろうというふうにも思っておりまして、これまた後で若干御質問したいというふうに思っております。  そこで、公費負担はそういう形で増やしていくし、掛金も応分の負担会員にしてもらうんだと、そして給付等についても引き下げていくんだと、こういうことでございます。    〔理事景山俊太郎君退席、委員長着席〕  前回改正のときに、これは二〇〇二年ですかね、前回改正されたとき、年金の額と退職一時金については、一九九九年に行われた公的年金改正と同様に二割を削減をされて旧制度の八割水準というふうにされました。ただ、このときは既裁定者給付引下げまでは行われなかったわけですね。これは先ほども若干理由を聞かしていただきましたけれども。  しかし、今回既裁定者給付引下げも行うと、こういうことになったわけでありますけれども、これは憲法上の問題等も、財産権の問題等もいろいろありますけれども国会議員の場合も既裁定者の一〇%ですか、約、引き下げたという、そういうことも参考にされたということなんでしょうか。どういう経過でやられたのかお聞きしたい。
  44. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 先ほど二之湯先生の答弁で、既裁定者給付引下げを怠った理由といいますか、その経緯につきましては答弁さしていただきましたが、具体的にどういうような検討を怠ったのかということでまいりますと、国会議員互助年金のこともございますが、私どもとしては、こういった憲法で保障された財産権の取扱い、過去の判例を踏まえて検討を行ったということでございます。具体的には、昭和五十三年の最高裁の判決でこういった過去の法律で認められた財産権を変更する場合の考え方というものが示されております。  その観点は三つございまして、財産権の性質、変更する財産権の性質がどのようなものであるか、あるいはその内容を変更する程度がどうであるか、さらにはそもそもこの財産権の内容を変更することによって保護される公益とは一体何なのかと、こういう三つの観点から検討を行う必要があるというのが最高裁判決の判例の考え方でございます。私どもも、今回のその既裁定者給付引下げに関しましてはこの三つの観点から検討をさしていただきました。  それぞれちょっと細かな話になりますが申し上げますと、まず財産権の性質でございますけれども地方議会議員年金性格を、私最初の答弁でも申し上げましたが、公的年金とは別に、地方議会議員の任務の重要性を勘案して政策的に設けられた制度であるということが挙げられる。  それから二番目に、この財産権の内容を変更する程度でございますが、今回の案でございます給付の一割程度引下げでございますと、一般的にはその既裁定者生活に与える影響はそれほど大きくないものと言えるのではないかということ。  それから三番目に、その財産権の内容を変更することによって保護される公益というのが何かということでございますが、今回、既裁定者に応分の負担をお願いするということで、現役会員方々への負担増を抑えることができる、あるいは現役の世代と今現在もらっていらっしゃる受給者、OBとの方々との著しいアンバランス、不公平が発生することを防ぐことができる、あるいは公費負担の著しい増大を防ぐことができる。これも先ほど申し上げたことでございますが、もし仮に制度が破綻すれば、そもそもOB方々が持っていらっしゃる受給権が意味を失うこと、これも回避できると、これで結果として既裁定者の権利を保護できるということが挙げられます。  こうしたような三つの観点からの検討を踏まえますと、現在のような厳しい年金財政状況の下で、いろいろ他にも取り得る対応策を十分取った上で既裁定者に対する給付を一割引き下げることは憲法上も許容されるものではないかというふうに判断したところでございます。
  45. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 確かに財産権の性質であるとか、財産権の内容を変更する程度の問題であるとか、あるいは保護される公益の性質という問題が最高裁の判決等では言われているわけですけれども、しかし、既に年金生活をされている皆さん方がその年金だけで食べていて、それが約一〇%削減されることによる生活上の問題ということもこれあり、もし裁判というか訴訟、争訟になった場合の対応等についてもいろいろ検討されて問題ないと、こういう判断をされているんでしょうけれども。  私は、そういう争い事になる前にこういうやっぱり改正を、これが成立をすれば、こういう改正が行われると。既裁定者の皆さん方にも給付引下げをこのように行うということを、そのきちっとした理由も含めて、その皆さん方、受給者や現役地方議員の皆さん方、関係者に理解と納得をしてもらう、そういう努力というものが必要だろうというふうに思うんですけれども、成立後、どのような会員受給者の皆さん方に周知をして理解を求めるような努力をされるのか、お尋ねをしたいと思います。
  46. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 今、先生御指摘のこと、大変重要なことだと私ども考えておる次第でございます。  実は、今回の制度改正検討に当たりましては、地方議会議員年金制度検討会というのを政府に設けまして検討を行っていただいたわけなんですが、この検討会の中に地方議会議員共済会の代表者の方々にも参加いただいております。したがいまして、言わば地方議員の方と共同で検討したという面がございます。  したがいまして、今法案成立後と先生おっしゃいましたが、実は各議員共済会におきましては検討会の検討状況その他につきまして会員の皆様、つまり地方議員方々に情報提供を随分図っていただいております。  例えば、その理事会、各議員共済会の理事会とか代議員会の機会ごと会員である地方議会議員へ周知を図っていただいたと聞いておりますし、今回、既裁定者の方が大変御負担をお願いするわけなんですが、このOB方々に対してもこういった検討会の報告あるいは制度改正案の概要を共済会の方で送付するなど、情報提供に努めていただいたと伺っております。  私どもとして、もちろんこの法案成立後、各議員共済会と連携を取りながら、その改正内容が十分周知されるよう努めてまいりたいと考えております。
  47. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 是非関係者には十分な理解と納得を得られるような周知徹底方をお願いをしておきたいというふうに思っているんですが。  そこで、竹中大臣にこの問題の周知徹底の関係でお尋ねをしておきたいんですけれども、私は、今申し上げましたように、関係者の理解を得ることも重要だというふうに思うんですが、やっぱりこの議員年金というのはかなり市民からも廃止をすべきではないかというような意見も根強く存在をしているということでもございますんで、国民や市民、住民の皆さん方にもやっぱりこの問題できちっとした理解を得る、そういう努力を政府側としてもしていく必要があるんではないかなというふうに思っているんです。  地方財政も非常に厳しいという状況、先ほどから出ています。さらに、この国会で行革推進法案が成立をしたと。そのことによって、これからますます地方行革が推進をされる。職員は削減をされるでしょうし、あるいは住民の皆さん方の福祉やあるいは教育や、正に身近に生活にかかわる部分のサービスが縮小されてくるというような状況がある。そういう中では、地方行政に対する市民の皆さん方の目というのは非常に厳しい状況になってきているんだろうというふうに思っています。  そういうことから考えると、なぜ今回地方議員年金を存続させねばならないのか、そのことをどう理解を得る努力をしていくのかということが大変重要だというふうに思うんですけれども一般の市民、国民に対するこの地方議員年金制度の存続についての理解を得る努力について大臣見解を伺っておきます。
  48. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 委員御指摘のとおり、先ほど部長が答えましたように、関係者、当事者に対する説明は重要でありますが、それと同様に、広く国民の皆さんにこの今回の趣旨を御理解いただくことの必要性というのは私自身非常に強く感じているところでございます。  もう言うまでもございませんですけれども、この地方議会議員年金というのは国会議員年金とは違う。しかし、多くの皆さんから見ると、国会議員年金はなくなるらしいけど、地方議会どうしてだと、これはもう素朴にそのように思われると思います。そういうことに対しては、やはり今後更に地方分権のことをいろいろ議論しなければいけないこのさなかにあって、きっちりと御理解を、この時点で御理解をいただくようにするということは大変重要であるというふうに私も考えております。  実は、たまたま昨日、道州制のタウンミーティングをさせていただいたんですが、大変多くの方にお集まりいただいたんですが、実は発言された、質問された方の三分の二以上が公務員の方でした。私、タウンミーティングというのは五十回ぐらい出ているんですけれども、こんなタウンミーティング初めてでございます。つまり、地方の行政、財政の仕組みというのは、それだけ皆さん関心は高いんだけれども制度がなかなか難しくて、一般の方が議論になかなか入ってこれないという、非常にこの問題の難しさをちょっと象徴的に感じた次第でございます。  今、委員から御示唆いただいたことを改めて我々として、なかなか難しいと思うんです、これ、年金制度そのものですね、しかしあらゆる場を通じてしっかりと対応していきたいと思います。また、地方自治体の方にも、ないしは議会の当事者の皆様にも、そのような周知、広報を一緒にやっていただけるように是非呼び掛けたいというふうに考えております。
  49. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 是非理解得る努力は怠らないようにお願いをしておきたいと思いますが。  それとの関連で、国民の皆さん方が、国会議員年金のときもそうでしたけれども議員年金というのはやっぱり特権的だという、そういう意識が非常に強いんですね。特権的ではないんだということを理解をしてもらうということについては、制度内容について疑問を持たれている部分についてきちっと説明責任が果たせるかどうかということになってくるというふうに思うんですけれども地方議員年金というのは地方議員の互助制度であるわけですけれども、しかし、厚生年金や常勤の公務員の共済年金との関連で有利な、それよりも有利な制度になっているんではないかというふうに思われているところが非常に多いんですね。そういう観点で、一般厚生年金共済年金よりも地方議員年金の方がこういう制度的違いがあるんだけれども、これはこういうことで必要なんだと、こういう、それらの点を若干例示を挙げて御説明をいただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  50. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 例えば様々な、いわゆる公的年金制度とは様々な制度の違いがございます。例えば受給資格について、先ほどもちょっと御議論になりましたが、地方議会議員年金の場合は、方々は十二年の在職期間で年金受給資格が得られるのに対して、公的年金は二十五年の加入で受給資格が得られると。  ただ、この点につきましても、公的年金制度間で加入期間が通算されるわけでございます。したがいまして、例えば国民年金で合わせて二十五年やれば、加入していれば、最短一か月の加入で加入期間に応じた給付が開始される。他方、地方議会議員年金というのは公的年金機関の加入期間とは通算されませんというようなこともございます。  あるいは、地方議会議員年金というのは公的年金と重複して加入することが可能となっておりますけれども、実は厚生年金との重複期間分につきましては地方議会議員年金年金額の公費相当部分はカットされるという、つまり自分の掛けた分だけということになっております。  あるいは、その他、例えば地方議会議員年金掛金率、毎月、議員先生方がお支払いの掛け率は今回の法律改正案で一六%になりますけれども、この一六%という掛金率は、例えば厚生年金の実際のサラリーマン掛金率から見ますと計算の仕方によって倍以上ということにもなりまして、そういった負担も現実にしていただいているとか、様々事情があるかと思います。
  51. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 今、御説明をいただいたように、在職年数が短いというそういう制度上の問題、あるいは退職一時金が、一般厚生年金等であれば掛け捨てだけれども議員の場合は返還されるというか給付をされるという部分等の問題が言われています。こういう部分についてはある程度理解が得られていくんではないかなというふうに、議員という立場上、期限が切られて、選挙でその都度選ばれてくるということですから、在職年数が短くてもらっていくということについての理解は得られていくと思うんですけれども、私がいろいろ陳情も受けまして、存続してほしいという陳情と、もう一方は廃止すべきだという両方の陳情を受けてきたわけですけれども、その中にもう廃止したらどうかという皆さん方のこのパンフレットというか、ビラを見せていただくと、地方議員は公的年金をダブルやトリプルで支給されているではないかとか、あるいは遺族年金は半額を孫まで受給できる制度だと、こんなおいしい年金はないんだと、こういうことが言われているわけですね。  そういう部分についての総務省の御説明をいただきたいと同時に、そういうことが誤解であるならばきちっと誤解を解く努力を当然しなければならないでしょうし、もしそうであるならば、社会的な理解を得るためにやっぱり説明責任、こういう正当な理由があるから孫まで支給しているんですよという、そういう説明責任というのはきちっと果たすべきではないかと、こういうふうに思うんですけれども、その点について具体的に御説明をいただきたいと思います。
  52. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 先生がおっしゃった、いわゆるダブル、トリプル云々のことは、例えば都道府県議会議員市町村議会議員、それぞれで受給資格要件を満たした場合に両方もらえるということではないかと思いますが、基本的にその制度が分けて、二つ並立しているものですから、それぞれの加入期間に応じて年金が支給されるというのは、もう制度の仕組み上そのようになっているものということでございます。それから、公的年金との重複加入につきましては、先ほど申し上げましたように、公費相当部分をカットされる仕組みになっております。  それから、遺族年金を孫まで支給云々は、実を言いますとそれは共済年金にもございますが、いわゆる遺族年金の転給でございます。これは地方公務員共済年金と同様の仕組みとなっております。それと、他方で、遺族年金の額自体が共済年金で見ますと退職年金の額の四分の三となっておりますが、地方議会年金は二分の一となっております。元々、遺族年金の額が、額といいますか率がそういった被用者年金のところでは少ないというようなこともございまして、私どもとしては、先生、これからこういったことで説明で御理解が得られるように努力すべきではないかという御趣旨かと思いますが、私どもとしては、こうしたような実際に制度運営している議員共済会とも連携して、こういった制度趣旨や内容について御理解を得られるよう努めてまいりたいと考えている次第でございます。
  53. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 是非一点、一点だけというか、その問題点だけをとらえて宣伝をされることによってその制度そのものがおいしい年金だというとらえ方をされるということですが、私は批判があればきちっとやっぱりその都度その都度誠意を持って、説明責任を政府としても果たしていっていただくように是非お願いをしておきたいというふうに思っております。  次に、制度上の改善もかなり行われたわけでありますけれども、先ほども若干申し上げました組織統合の関係でございます。  市議会議員共済会町村議員議会共済会、これは今度、財政単位を一元化をされるということになったわけでありまして、これは市町村合併によって短期間に町村議員が少なくなって市議会議員共済会の方に移行されてきているということでこのような措置をとられたんだというふうに思いますが、これはまあある程度理解をします。ただ、もう一歩進めるべきではないかと。ただ、先ほどのダブルでもらっているというようなことも含めて、市議会議員都道府県議員共済会別々だから、市議会議員をやっていてもらって県会議員になってまたもらうと、こういう制度になっているからなかなか一元化しにくいというような問題もあるんでしょうけれども、まず、そこの分は組織統合はまず別にして、一元化だけでなしに、市議会と町議会共済会を一元化だけでなしに組織統合をまず第一弾として次の段階でやると、そういう考え方はございませんか。
  54. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 先生御指摘の組織の統合につきましては、再々ちょっと引用しておりますが、今回の制度改正の案を検討しておりました地方議会議員年金制度検討会の報告におきましても、将来的には組織の統合も考えられると、そうした上で、ただ各共済会と各議長会の組織との関係や共通の電算システムの整備など、統合に向けた課題についてなお十分な時間を掛けて調整を行う必要があるというふうにされているところでございます。  したがいまして、当然その検討課題であるということは我々とも認識しておりますけれども、私どもとしては、まず今回の改正案においてお願いしております財政単位の一元化、先ほど大臣が御説明した掛金率の一本化とか財政調整をまずしっかり実施していただいた上で、先ほど申し上げましたような課題、つまり組織の、議長会の組織との関係とかあるいは電算システムの整備といったことにつきまして、まず共済会において十分時間を掛けて御検討いただくというのがまずは先決ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  55. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 じゃ、先ほども若干申し上げました、都道府県議員共済会も一緒にした、組織統合とまでは言いませんけれども都道府県議員共済会も含めた財政一元化を図ることについての考え方と、もしその場合に何らかの問題点が出てくるのかどうかということもありましたら御説明をいただきたいと思います。
  56. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 今回の制度改正は、再々申し上げておりますけれども、何よりもまず市町村合併の急速な進展にとにかく危機に陥っている市議会議員共済会町村議会議員共済会の安定的な運営をどうやって図るかというのがまず第一の目的でございます。したがいまして、財政単位の一元化につきましても、まずは市議会議員共済会町村議員共済会について財政単位の一元化を行って、掛金率、負担金率の統一を行うこととしたところでございます。  他方、都道府県議会共済会、それ自体について見ますと、市町村合併による影響ございませんで、したがいまして、給付面につきましては市町村と同様の取扱いをしておりますが、掛金につきましては引上げ率も小幅なものにとどめておりますし、いわゆる負担金、公費負担金につきましても都道府県議会共済会については現状どおり、したがって市町村議会で行っているような負担金の激変緩和措置等も当然行っていないわけでございます。したがいまして、私どもとしては、当面としては、この市と町村財政単位一元化をまずやっていただきまして、都道府県を含めた財政単位一元化については今後の検討課題とさせていただきたいというふうに考えております。  それで、じゃ先生御指摘の、もし都道府県まで含めた一元化ということを検討するとなったらどういう課題があるのかということでございますが、現在、都道府県市町村によって財政状況が相当に異なっておりますので、現実の掛金率あるいは特別掛金率というのも都道府県と市と町村では乖離がございます。例えば今度の改正後の掛金率を見ますと、都道府県は一三%、市と町村は一六%で三ポイント違いがございます。それから、ボーナスの際に負担する特別掛金は、都道府県は二%、市町村は七・五%でございますので、もしこういう財政単位を一元化する場合については、都道府県議会議員の方の負担を引き上げることになりますので、そういった意味では関係者の理解も得る必要があるかというふうに考えております。
  57. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 今、都道府県議員関係についての御答弁がございました。  竹中大臣に伺っておきたいんですが、先ほどの竹中大臣の御答弁の中で道州制のタウンミーティングに行ってきたと、こういうお話がございました。今回の改正でおおむね二十年安定的な運営が可能だと、こういうことなんですけれども、これは、審議会あるいは総務省を含めて、これを提案される段階では道州制問題というのはそんなに議論になっていなかったんではないかなというふうに思うんですが、先ほどの道州制問題これあり、もし道州制が早期に導入をされるということになれば、都道府県議員の皆さん方の関係は今のところ波風ありませんよと、市町村合併だけで町村と市だけですと、こういうことには全くならないわけでございまして、正に大きな環境変化が訪れると、こういうことになるわけですね。  そういう観点から言えば、地方自治制度の大幅な環境変化によってこの地方議員年金在り方というものも大きく左右されてくるというのは、これは市町村合併で今回の改正につながっているわけですから都道府県の場合もそういうことになる可能性があると。そういう、今後環境が大きく変わった場合に、この議員年金都道府県共済会も含めてどのように対応されていくおつもりなのか、竹中大臣見解を伺っておきたいと思います。
  58. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 今御指摘くださいましたように、そもそも今回の制度改正は、市町村合併が急速に進展したと、それを受けて、その環境、枠組みが大きく変わる中で、御負担いただくところには御負担をいただきながらしっかりとその持続可能性を確保しようではないかと、そのような趣旨でございます。  それに当たっては、今後二十年、ある条件の下でしっかりやっていけるというその見込みを我々も持っているわけでございますが、およそこういう共済制度のこういう見通しというのは、広い意味での年金数理の考え方に基づいて一種の確率論の中で議論を進めていくわけでございます。それをどの程度精緻にやるかというのはいろいろあるかもしれません。  しかし、今委員御指摘くださいましたように、それこそ道州制とか更なる市町村合併とか、また非常に大きく枠組みが変わる、つまり年金数理の問題を超えた枠組みの変更というのは、これは当然あり得る話なんだと思います。その事の性格上、それを今から見込んで計算するというのは、これはほぼ不可能だというふうには思うんですが、そうしたことも踏まえて、私たちとしてはできるだけしっかりとした試算を行ったつもりでございます。その上で、様々な問題は起こり得ると思います。  今後とも、四年ごと財政計算において様々な環境の変化をしっかり取り込んで、この制度が引き続き持続可能であるようにしっかりと運営してまいりたいと思っております。
  59. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 ただ、私が申し上げたいのは、そういう地方自治制度を大きく改革をするという環境変化に基づいて行われるそういう議員年金にかかわる改革というのは、基本的にはやっぱり政府の責任で解決、改善を図っていくということが筋道だろうと、そういう観点も含めて申し上げているわけであります。  そういう観点からいえば、今回の場合は市町村合併が大きな課題でありましたから、特例法の六十五条の三項が適用されて、地方議員年金運営状況等も健全な運営を図れるような財政的な措置も政府としては責任を持つと、こういうことが記されているわけでありますけれども、今後も市町村合併はまだまだ続くんですけれども、そういう部分に対して、この条項の規定を根拠にしっかりとした対応がこれからも必要なんではないかなというふうに思うんですが、その辺の大臣の決意はどうでしょう。
  60. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 正に、市町村合併特例法において、その六十五条第三項において、国は市町村合併に伴う市議会議員共済会及び町村議会議員共済会運営状況等を勘案し、その健全な運営を図るため必要な措置を講ずるものと、これはもう法律にしっかりと書かれているわけでございます。そして、今回の改正におきましては、こうした点も踏まえまして、いろんな仕組みの変化等に加えまして激変緩和措置を我々も政府としてしっかりと取らなければいけないと考えてこのような枠組みを考えたわけでございます。  今後どのような枠組みの変化が起こるかというのは容易には想像できませんが、こうした意味での責任は、当然、政府としてはしっかり果たしていかなければいけないと考えております。
  61. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 時間が来ておりますので最後になりますけれども、今回の制度改革について、地方議員年金の厳しい財政状況、そしてその理由が市町村合併による大きな影響だと。それに対応する措置として改正をされるということですから、私どもとしても十分に理解をしたいというふうに思っております。  しかし、いずれにしても、先ほどから申し上げていますように、これらの問題の背景というのは、地方分権を始めとした地方自治制度に係る大きな環境変化によってもたらされたということであるわけですし、とりわけ、市町村合併によって議員の数が減少した。議員の数が減少するということは、議員一人当たりの住民数が大幅に増加をするということを意味するんですね。  ということは、これからますます地方議員の皆さん方の責任と職務というのは非常に大きなものになってくる、地方議員の皆さん方の役割向上というのはますます進んでくると、そういうふうに思っているわけでございますが、この地方議員の皆さん方の役割向上に対する認識と、それから分権時代における地方議会制度、この間の地方自治法の改正のときにも、地方議会制度、若干の改革がされましたけれども、もっと機能的に地方議会制度を、権限と機能を持たせるということが必要ではないかというふうに私は思っているんですが、そういう地方議会制度について、本格的、抜本的に改革をしていくということをこれから検討いただきたいなというふうに思っているんですが、大臣にその見解を伺って終わりたいと思います。
  62. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 地方公共団体のいわゆる責任領域というのがますます拡大していきます。実際、拡大してもらわなければ困ると、分権社会をつくるためにそうならねばならないというふうにも思っております。そういう意味では、住民を代表する地方議会議員の果たすべき役割というのは、これは従前にも増して重要になるわけでございます。  これは、合併して議員の数も今減ってきていますから、その意味では、少数精鋭という言い方がいいのかどうか分かりませんが、一人一人の重みというのが、議員さんの重みというのが大変増してくる、そういう状況であろうと思っております。  第二十八次の地制調においても、そうした問題意識を踏まえて、議会の政策形成機能の充実、そして自主性の拡大、様々な提言をいただいております。そして、今国会地方自治法の改正法案を提出させていただいて、先日成立をさせていただいたところでございます。また、幅広い人材確保のための様々な提言もいただいているところでございます。  今回、地制調の答申の中で引き続き検討すべき課題というのを幾つかお示しいただいています。大変重要なものが含まれていると思っております。我々としては、委員は抜本的な改革に向けてしっかりとやるべきだと御指摘ございました。我々そのような問題意識を持っております。当面はその検討すべき課題、まずそこをしっかりと片付けて、その上で、分権のビジョン等とも議論をしておりますので、それに沿う形でしっかりとこの議会の機能、自由度の拡大、機能の強化とそして議員の皆様方の果たすべき役割の増大に向けた施策をいろいろ考えていきたいと思っております。
  63. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 終わります。
  64. 澤雄二

    ○澤雄二君 公明党の澤雄二でございます。  先ほど二之湯先生もおっしゃっていましたけれども、昔の市会議員は楽だった、まさか先生市会議員されているときの話ではないと思いますけど、戦前の話かなと思って聞いておりましたが、今の市会議員は物すごく仕事をしております。  実は、先日の週末も、来週の日曜日、立川の市議選が告示になりますが、応援に行ってまいりました。私が入った市会議員のところの、その市会議員の方は三期十二年議員をされておるんですが、その十二年間で自転車に乗った距離が八万七千五百キロだとおっしゃった、地球を二・一周する。何で自転車に乗るんですかと、雨風もあるし暑い寒いもあるから車に乗った方が合理的じゃないんですかって聞いたら、人の顔が見たいんですと、本当かなと思いましたけれどもね。それから、町の様子が変わっていくのが分かるんですと、どこが不便なのか、どこが良くなっている、どこが困っていると、だからできるだけ自転車に乗るようにしているんですというふうにおっしゃっていました。つまり、そういうふうに今の市会議員の方というのは大変仕事をされている、私はそういう認識をしています。  私の友人、知人にもたくさんの市会議員がいます。たくさん仕事をされていますが、生活環境は非常に厳しい方が多い。そういう地方議員のために、最初少しエールを送るような質問をしたいというふうに思います。  先ほどから、議員年金というのは非常に優遇されているんじゃないかというのが国民の認識だという話がございましたけれども、それは国会議員議員年金が優遇されているから何となくそういうイメージを持っちゃっているんではないかという気がいたします。  じゃ、実際、地方議員年金というのはどうなっているんだと考えてみると、先ほど小笠原部長もおっしゃっていましたけど、公費負担率、これでいうと四二・一%が地方議員であります。共済年金は半分国費ですから、五〇%が国費負担であります。共済年金よりも議員年金の方が公費負担率は少ない。  それから、保険料率ですね、これは月収に対して何%の保険料を払っているかというんですが、これは資料を今お配りをしておりますけれども改正前の現行だと、都道府県議会が一二%、市議会が一三%、町村議会が一五%。今度改正になると、県議会が一三、市議会町村議会が一六%になります。じゃ、サラリーマン厚生年金は一体自己負担はどれぐらいなのかというと、一四・二八八の二分の一でありますから七・一四%。この個人負担の率からいっても、保険料率からいっても、地方議員の方がはるかに負担をしている。  それから、自己負担率でいきますと、これ厚生労働省が発表している資料から計算をすると、厚生年金の被用者本人の自己負担率は四〇・九%、地方議員議員年金の自己負担率は五七・九%でございます。  つまり、地方議員年金というのは決して優遇なんかされていないと、そうですよね、言ってみればむしろ冷遇をされている。つまりこういう年金制度なんだと、実は、ということをまず分かっていただきたいなと。  分かっていただいた上で、大臣の感想を聞かせていただきたいと思います。
  65. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) これはもう随分いろいろと御議論いただきましたけれども、社会保障としての公的年金とはこれは違う仕組みでございます。しかし、互助年金として、本当に重要な役割を担っておられる方、そして生活安定させなければいけないという観点から、重要な役割を担ってこの制度があるというふうに思っております。今委員おっしゃったように、この条件そのものを見てみますと、今日のこの資料、大変分かりやすく私も拝見いたしましたけれども、まず位置付けとしては、私は委員がおっしゃったような位置付けだと思います。  こうしたことについて、先ほどから国民にもっと理解できるようにという御指摘もございました。我々としては、この表も是非活用させていただいて、しっかりと周知、広報に努めてまいりたいと思っております。
  66. 澤雄二

    ○澤雄二君 もう少しエールを送る質問をさせていただきたいと思いますが。  十二年間議員をされなかった、できなかった方が議員をお辞めになるときには退職一時金というのが出ます。  小笠原部長にお聞きしますが、この退職一時金は、年数によって違うんですけれども、総支払額の幾らかカットされますよね、もらうときに。どれぐらいカットされますか。
  67. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 今回の改正案で申しますと、大体、退職一時金の支給額が百分の四十九から、在職年数に応じ百分の六十三というふうになっておる次第でございます。
  68. 澤雄二

    ○澤雄二君 その数字を逆に言うと、五一%から三七%がカットされる、総支払額の。  これ、カットされる理由は何でしょうか。
  69. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) この御説明をするについては、ちょっと制度の経緯を御説明させていただきたいんですが……
  70. 澤雄二

    ○澤雄二君 短めに。
  71. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) はい。  実を申しますと、再々申し上げていますが、この制度議員立法昭和三十六年に始められました。制度創設時にはこういった一時金の制度はございませんでした。つまり全くの掛け捨て、つまり十二年なられる前にお辞めになった方は。それが、昭和四十年の議員立法改正により、実を言いますと初めてこの一時金の制度が設けられたわけであります。その当時の率は大体、先ほど私、百分の四十九から百分の六十三と申し上げましたが、それに相当する数値が百分の七十から百分の九十と。つまり、制度創設時から、ちょっと年数によって若干差はありますが、一〇〇%戻すということは実を言うとされておりませんでした。  さらに、一時金を設けられた際に掛金率もそれに伴ってずっとアップされておりまして、つまり何を申し上げたいかと申しますと、つまり、当然、もうこれは掛け捨てを救済する観点から設けられた制度でございますが、一時金を給付するについてもやっぱり財源が要るわけでございまして、それはこういう助け合いで行っている社会保険方式でやっている以上は、その財源は一義的にはやはり加入者の方に求めざるを得ないと。そういうことから、戻す際にもやはり一〇〇%ではなくて百分の七十から九十ということで設けられた。これ議員立法でございますので、私が余り正確に説明できないかもしれませんが、そういうことではないかと思います。  その後は、実を言いますと掛金率、つまり給付が引き下げられたのに応じまして変更してきたと。給付が引き下げられたのが、実を言いますと四年前の前回改正が初めてでございまして、その当時、一時金もそれに応じて引下げをし、今回も更に給付を一二・五%引き下げますので、これも誠に申し訳ございませんが、よろしくお願いしたいということでございます。
  72. 澤雄二

    ○澤雄二君 元々掛け捨てだったのでという考え方をすると、あっ、一時金でもらえるようになったんだから制度的には良くなったのかなと思っちゃうんですが、原点から考えると、これは公的年金じゃありませんから十二年当選を続けないともらえないんですよね。  それで、その十二年間というのはどれだけ大変な十二年間かというと、四年ごとに選挙があるんですよ。物すごいリスクで、当選するか分からない戦いを経てやっと三回当選した人がもらえる、言ってみれば御褒美みたいなものですよね。何でその御褒美を与えるかといったら、市民に対する、社会に対する木鐸だから、いい政治をしてもらうためにという、そういう御褒美が多分できたんだろうと思うんですよ。  だけど、十二年間当選し続けることは大変だということを考え、しかもその十二年間、まあ十二年未満でありますけど、掛けてきた掛金というのは掛け捨てですよね。ほかの公的年金というのは累積をされていきます。でも、これは累積されないですよね。正に掛け捨てでありますね。で、強制加入ですよね。一方で、国民年金強制加入ですよね、議員年金入っていて。  ということを考えると、この僕は退職一時金という言葉も非常に紛らわしい名前だなというふうに思うんですが、普通、企業の退職金というのは自分で積み立てる人なんかいないんですよ。これ自分で積み立てて自分でもらうんですよね。でも、もらうときには積立金平均五〇%しかもらえないというもので、退職一時金という名前は至急変えてほしいなというふうに僕は思いますが。  そういう性格のものであれば、僕はこれ、強制加入ではなくて任意にすべきじゃありませんかと。つまり、十二年連続当選し続けても議員年金は要らないよという人はもう入らなくていいと。その代わり、もしかしたら毎月五万円なら五万円の掛金を自分で毎月積み立てたら、十一年で議員終わったときは、十二年で終わったときには一〇〇%返ってくるわけですよ。そっちの方がいいよと、任意にすべきだ。もし強制にするんだったらここは一〇〇%返したらどうですかと、十二年未満の場合には。  それで、十六年度の決算を見ると、退職年金の総支給額が二百七十六億五千万なんですよ。でも、いわゆる、使いたくないですが、退職一時金というのは七億八千万なんですよ。これ、全額返してもそんなに困るような額ではないというふうに思うんですよね。だから、この議員年金性格からいったら、もしもらえない人がいれば、それは全額返すか、若しくは強制加入ではなくて任意にしてはどうかという、まあ提案といいますかアイデアでありますけど。  大臣、どうでしょうか。
  73. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) これまでのいろんな経緯もございますから、そういう経緯の中で最終的な判断はしなければいけませんのでなかなか的確なお答えはできないかもしれませんが、任意か強制かというのは、これは幾つかの判断基準があるんだと思います。これは一種の保険機能ですから、保険機能を任意で賄うことができるのかと。よく出てくる例で、地震保険のようなもので、地震の多い地域の人だけが入ると、そういうことでこの制度が成り立つのかなという思いが一つございます。  それと、公費で負担するわけでございますから、公費の負担をもし考えるのであるならば、これまた任意か強制かということになると、強制の方がふさわしいという面は当然ございましょう。そうすると、何かだんだん個人年金に近づいてくるような性格かもしれません。ひょっとしたら、将来的には議員さんを対象にした個人年金を売り出す保険会社が出てくるのかもしれません。そういう市場の動向も見ながら判断をしなければいけません。  ただ、こういう、現実には困っておられる方がいるという委員の御指摘は、これはよく記憶にとどめて、制度設計の際にはリマインドしなければいけないと思います。
  74. 澤雄二

    ○澤雄二君 今大臣言われたように、将来的にはある程度公費負担をしたような個人年金制度みたいなものもあり得るのかなと。で、どちらかというと任意ではなくて強制だということになると、強制だとすると、十二年未満の場合には、大した予算額ではないので一〇〇%返してあげたらどうかというのがアイデアでございます。  もう一つエールの質問をしたいと思いますけれども、高額所得者の一部支給停止という制度がありますね。これは簡単に言うとどういう制度でしょうか。
  75. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) この地方議員年金法におけるその高額所得者の一部支給停止といいますのは、一定の支給額を超えた方につきまして、要するに他の所得と合算して一定以上の金額を超える者につきましては、その支給額の一部を停止さしていただくという制度でございます。
  76. 澤雄二

    ○澤雄二君 その一定基準の収入を計算するときに、サラリーマン時代にこつこつこつこつとためてきた個人年金があると思うんですが、これもその収入の中に計算されますか。
  77. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 今回の改正案では、他の所得につきましては総所得にしておりますので、先生御指摘のものについてもその所得に含まれるということになります。
  78. 澤雄二

    ○澤雄二君 この総所得をベースにというところが実は大変な不公平を生んでしまう可能性があるということに気が付いたんです。  簡単に気が付いたんですけれども、それはどういうことかというと、例えば退職一時金。私は前職の会社を辞めた。辞めるときに人事に言われました。一時金でもらいますか、それとも年金にしますかと言うんです。どっちが違うんですかと言うと、一時金でもらうと一遍に払う税金は高いですが、年金にすると少しずつ払うんです。トータルだとどうですかと言ったら、寿命によって違いますって言われたんだけど、まあ基本的には同じですよと言われた。つまり、選択できるんですね。これは退職金だけではなくて、個人で積み立てられている個人年金も満期になったときに一時金でもらうか年金でもらうかという選択ができるんですよね。  そうすると、この高額所得者の一部支給停止を総所得ベースでやると、そのことを知っている人は年金にしないんですよ。一時金でもらうんです。退職金も一時金でちょうだい、自分で積み立てた個人年金も一時金でちょうだい。分かっている人はカットされない、分からない人はカットされていくという、非常に簡単に、別に面倒くさいことをしなくていいんですよ。面倒くさいことをしなくて、ただそれだけで不公平を生じてしまうという実はこれ制度なんですよね。  大臣、どう思われますか。
  79. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと制度の細かいところで、私きちんと理解しているかどうかあれですけれども、基本的な考え方というのは、例えば厚生年金等々は所得稼得能力が失われると、そのときの、老後の所得保障を目的としてこの公的年金制度があるわけでございます。したがって、被用者としての所得、給与をベースにしてその支給停止を考えるわけですね。  それに対して、これ、部長説明いろいろしてきましたけれども、この成り立ちが地方議会議員年金の場合はそもそも違います。生活の安定に資することを目的とした互助年金であります。だから、所得の種類を限定しないで総所得で考えると。これはこれでやはり一つの制度のコンシステントな、失礼しました、整合的な一つの考え方であるというふうに思います。  そこは、あと所得の捕捉がちゃんと行えるかどうかということもありますし、自分の将来の、一時的にもらって将来の運用能力をどう評価するかとか、寿命もその中には多分入ってくるんだと思いますが、そこは正に一つの判断の問題であって、今申し上げた制度の成り立ちから出てくる今のルールであるというふうに私は理解をしております。
  80. 澤雄二

    ○澤雄二君 違法行為ではなくて脱法行為で節税をするというのはいろんな方法があるそうでございますが、つまり、そんな面倒くさいことをしなくても、一時金でもらうか年金で選ぶかという、その選択だけでカットされる人とされない人が出てきてしまう。今回、上限額を下げるということは、その可能性がある人が増えるということですよね。  ですから、今大臣言われたように、サラリーマンの場合には在職老齢年金という制度があって、それはある一定以上の収入がある場合カットされるんですが、これは報酬ですから全員捕捉されるんですよね。だから物すごく公平なんです、この制度があっても。今回のこの高額所得者の一部支給停止というのは捕捉されないんですよ、どっちを取るかというのは。  ですから、今後もう一度その改正考えるときに、こういう不公平がないということをちょっと考えていただきたいなというふうに思います。  それから、まだ時間がありますから、先ほども質問がありましたけれども、これから地方分権の時代でございます。ですから、地方の時代になって、地方の政治というのがどんどんどんどん大事になってくる。大事になってくるときに何が大事かというと、その地方議員人材の質、人材の向上、質の向上ということがすごく大事で、結局、どういう人を市会議員に我々が選ぶことができるかということで自分たちの市民の生活にそのことがはね返ってくる。  ですから、すごく人材ということが大事になってくるんでありますが、こういうふうに退職制度、一生懸命仕事をして、でも最後の余生を送る退職制度がどんどんどんどん支給額が減って負担が増えると。先ほど議論もありましたけど、廃止議論もあるそうでございますが、廃止なんかしたら、僕はとんでもないと、地方議員をやるような人材なんか集まりっこないぞというふうに思いますが、これからの地方議員といいますか、地方政治の機能から考えて、一体給付の水準というのはどの辺までは絶対に守りますよということをお考えなのか、それから、これから地方分権の時代で、人を集めるための、人材が来てほしいというための年金制度についてどういうお考えをお持ちかというのを聞かせていただけますか。
  81. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 非常に大きな難しい御質問だと思います。  地方の首長さんや議会人材を確保することが大変重要だという、その総論においては全く私も同感でございます。地方のそういう選挙の応援に行かせていただく機会がございますが、私は必ず、地方でできることは地方でやる、そういう分権の時代になっていくんです、だからこそ地方でそのことをしっかりと担える人材を皆さん選挙で選んでくださいと、そのように必ず演説をさせていただくことにしております。  そのためにも、委員おっしゃるように、やっぱり志は大事ですけれども、それに加えてしっかりとした処遇がなければならないというふうに思います。これに関して、しかし、どこがどのぐらいだったらよいかというのは、これは先ほどの退職金どれだけが適当かというのと同じような意味で大変難しい問題だと思います。ただ、我々としては、今ある、これまでいろんな議論の中で育ってきたこの制度がやはり持続可能でなければならないと、そこは最低限確保しなければならないという、最低限これだけはという思いで今回の法案をお願いをしております。  給付を下げる、そういうこと、大変苦しい面がございますけれども、それによって制度そのものは持続可能性を持って次につないでいけると、そういうところをまず我々としてはしっかりとやらせていただきたいと思っております。今後、またいろんな問題が出てきます。四年ごと財政計算の中で現実的に問題を解決していきたいというふうに思っております。
  82. 澤雄二

    ○澤雄二君 平成十四年度の改正で二〇%削減をされました。今回一二・五%ですから、足掛け五年ぐらいの間に三二・五%削減というのは余り過去にも例がないことだと思います。そういうことを併せて、今後ともどうぞよろしく御検討をお願いしたいというふうに思います。  まだ少し時間がございますので、少し細かいことで恐縮でございますけれども、十四年度の改正で、市町村合併の影響のない都道府県共済については、少なくとも三十五年度までは年金給付が可能となると、枯渇しないという設計がされていたんだと思いますが、今回の改正では、三十一年度には積立金が枯渇するという計算になりました。それの最大の理由は高齢化が進んだからだということなんだと思いますが、平成十四年度に見込まれていた六十歳時の平均余命の年と今回予測された年は幾つと幾つですか、年といいますか、余命の年数ですね。
  83. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 年齢によってちょっと余命はいつかというのはありますが……
  84. 澤雄二

    ○澤雄二君 六十歳です。
  85. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 六十歳。平成十四年再計算の際の男性の六十歳の平均余命は二十一・九八と前提をしておりまして、今回の計算では二十四・一九歳と、こういうことになっております。
  86. 澤雄二

    ○澤雄二君 わずか四年間の間に平均余命が二・三年延びている、また非常に細かいことで恐縮でございますが、普通の人が考えたら多分こんなことはないだろうと。つまり、どこかに計算の試算を工作をされたのか、どういうことかよく分かりませんが、それはおいておいても、つまり今度の二十四・二年というのは大丈夫ですねという確認だけさせてください。
  87. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 今回の二十四・一九歳でございますが、これは平成十六年度の公的年金、例えば共済組合の財政計算の基礎率をそのまま用いておりまして、私どもとしては適切に算定しているものというふうに考えております。
  88. 澤雄二

    ○澤雄二君 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。  私も長谷川先生に見習って少し早く終われば拍手いただけるかなと、これで終わらせていただきたいと思います。
  89. 吉川春子

    ○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  今回の法改正は、市町村合併によって年金を支える議員の数が大幅に減ったことが原因です。地方議員年金額について、退職金を一二・五%引き下げ、既裁定者についても給付水準を一〇%引き下げて、また退職一時金を一二・五%引き下げる。将来の受給者のみではなくて既裁定者を含めてカットし、他方、掛金は引き上げました。  まず最初大臣に基本的な認識をお伺いしますが、何のために地方議員年金というのはあるのか。地方議員退職後の生活保障についてどのようにお考えでしょうか。
  90. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 制度趣旨についてのお尋ねでございますが、経緯は委員もよく御承知のとおり、この年金制度昭和三十六年に議員立法として地方議会議員互助年金法という形で発足をして、そして翌三十七年に地方公務員共済組合法に関係規定が移行されております。  趣旨でありますけれども地方議会の任務の重要性、大変重要な役割を担ってくださっている、そして議会議員及び遺族生活安定に資する、正にその互助の精神にのっとって年金給付する制度を設けたというふうに認識をしております。これが正に制度趣旨そのものであろうというふうに考えられております。言うまでもなく、これは社会保障としての公的年金とは別に設けられた互助年金としての性格を有するものでございます。
  91. 吉川春子

    ○吉川春子君 どの地方自治体でも、地方交付税の削減地方財政の悪化の中で人件費の削減が行われています。今後も合併を促進するということが政府の方針でもあります。議員削減議員報酬削減の傾向は一層強まるのではないかと思われますが、平均報酬あるいは議員数、今よりも減った場合、どの程度まで減ってもこの年金制度は維持できるのでしょうか。どこまで給付削減するのか、また下限があるのか、制度を維持するために、その点についてはどういうお考えなんでしょうか。二十年大丈夫とおっしゃっていますが、その点について伺います。
  92. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 今回の試算の前提でございますけれども市町村合併あるいは会員数ということにつきまして申し上げますと、今年の三月末までの市町村合併につきましては、その結果、議員数がどうなるかということにつきましては、地方議会共済会調査をいたしまして、その調査に基づきまして、この市町村はこれこれというふうに具体的に見込んで試算をしております。それから、それに加えまして、その他の市町村につきましては、以前の実績を勘案しまして、市及び町村共済会については会員数減少傾向が続くというふうに見込んでおります。  今申し上げましたような試算を前提に御提案申し上げているような既裁定者を含む給付引下げ、あるいは掛金の引上げ、財政単位の統一その他様々な対策を講じますと、私どもの試算ではおおむね二十年後においても積立金を維持して安定した給付が可能になるものと考えている次第でございます。
  93. 吉川春子

    ○吉川春子君 物事というのは計画どおりいかないわけですよね、四年前のこの法改正のときから早速狂ったわけでしょう。どの程度まで狂ってもこの制度はやっていけるのかということを今お伺いしました。数値については、もう表をいただいていますので分かっております。
  94. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 私どもとしては、先ほどの試算、前提で見込みを立てているわけでございますが、先生がおっしゃるように、例えば今回の見込みを上回って市町村議会議員数が減少した場合には、我々、この法律の下で四年ごとに再計算というのは義務付けられておりますので、この再計算時点におきまして、その時点での合併の進捗状況等を踏まえまして必要な措置を講じていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  95. 吉川春子

    ○吉川春子君 まあ出たとこ勝負でそのとき考えるという、こういう御答弁なんでしょうか。  自治体合併による議員削減について伺いますけれども自治体合併によって一体どうなるのかということの十分な検討がされないままに行われたというところがあれば、その弊害は計り知れません。今度の市町村合併によって減少した市町村の数、会員数平成十一年七月十六日以降の直近の数を示していただきたいと思いますし、また県の中で町村の数が一けたになってしまったというところもありますね。そこは幾つですか。
  96. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 会員数の見込みでございますけれども、まあ見込みといいますか、私ども平成十四年と十九年の間でいいますと約一万八千人、三二・四%の会員数、市と町村合わせまして合計で見込んでいるところでございます。
  97. 荒木慶司

    政府参考人荒木慶司君) 市町村合併に伴いまして町村の数が一けたになった県でございますが、平成十八年四月一日時点におきまして八県となっております。
  98. 吉川春子

    ○吉川春子君 市町村の数も二千七百から千四十四という、激減したわけですけれども。  そこで、もう一点伺いますけれども地方議員年金というのは、基本的には議員数によって維持できるかどうかということがかなり問われてくるわけです。町村合併の弊害というのは、この年金の危機に現れているだけではなくて、私の立場で言えば、女性が政策決定の場へ、つまり地方議会へ進出するという、こういう流れが世界的にも日本でもあるわけですけれども、その数が非常に減ってしまったわけですね。  この平成十一年以降、全部の県お願いしたんですけれども出せないということなので、女性議員減少数について、広島、愛媛、そして長野県について報告してください。
  99. 荒木慶司

    政府参考人荒木慶司君) 平成十一年以降におきます広島、愛媛、長野三県におきます女性議員減少数でございますが、広島県が三十三人の減、これはピーク時が平成十五年でございましたが、それと十七年時点の比較でございます。以下同様に、愛媛県におきまして二十四人の減、長野県におきまして三十人の減となっております。  合併の進展によりまして、当然でございますが男女とも議員数が減少しておりますが、近年の女性議員の割合は全体的に全国的にも増加傾向にございまして、ただいまの三県におきましても、いずれの県におきましても全体に占める女性議員の割合は、平成十七年度においてそれまでよりも増加しているという結果が出ております。
  100. 吉川春子

    ○吉川春子君 数が増加しているんじゃなくて男性も含めて大幅に減ってしまったので率が若干高まっているというだけであって、特に女性の場合は地盤もお金も男性議員に比べてない場合が多いですから、そういう意味では、やっぱりせっかく地方議員の中に、国連の女性会議に基づいて政策決定の場へ女性を出そうということで出してきたその数がかなり減っているということです。もちろん男性議員も大幅に減っていまして、広島県などは全体で四九%、半分になっちゃっている。愛媛県は五八%、六割近く議員の数が減ってしまっている。  こういう、こんなにたくさん大切な地方議員の数を減らして一体何を考えているんだと。減らしてというのは個々の議会の選択があるわけですけれども、しかしそうせざるを得なかったという財政状況があるわけです。  それで、この統計は昨年の十二月三十一日現在なんですけれども、愛媛と広島というのは自治体合併率が一、二を争うところで、長野県は比較的合併は少ないという違いがありますけれども、激減をしているということは間違いないわけです。  それで、私は四十七都道府県について、特に町村で女性の数が大幅に減っています、女性議員の数が、町村別の数を是非時間を掛けてでもつかんでいただきたい、後で御報告いただきたいと思いますが、いかがですか。
  101. 荒木慶司

    政府参考人荒木慶司君) ただいまの点につきましては、調査の上御報告させていただきたいと思います。
  102. 吉川春子

    ○吉川春子君 町村合併で不要になった庁舎が、公用財産の概念を覆して公用財産のまま民間に貸し出すということが可能になった法律が先日当委員会でも審議されましたけれども、何よりも、町村合併によって今後過疎化に拍車が掛かり、郵政民営化と相まってますます過疎地には人が住めなくなると、こういうことがあるわけです。  今回の地方議員年金法の改正については、我が党は賛成です。しかし、同時に大臣、どこまで合併を進める気なのかということを伺いたいと思います。  実は、一昨年に秋に参議院の憲法調査会でヨーロッパに行きました。スイスは、人口は神奈川県程度と承知していますけれども、二十六州あって三千の自治体に分かれています。フランスは、人口は七千万人程度だと思いますが、自治体、コミューンの数が三万五千ありまして、市町村レベルの議員は合わせて約五十万人いると。私たちは人口三百五十人の村長さんに会いました。この方は上院議員も兼ねておられましたけれども。両国とも民主主義の歴史は日本に比べて相当古いわけです。  なぜ総務省はそんなに自治体の数を減らすのに熱心なのか。この自治体合併ということについていろいろな問題が起きてきている、そういう検証もしなくてはならないと思いますけれども、その点について、大臣、いかがお考えですか。
  103. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 自治体合併についていろいろ検証しなければいけないという点に関しては、これは我々もしっかりと検証をしてまいります。ただ、一般的な方向として我々がやはり考えますのは、やはり地方でできることは地方でやっていただきたいわけです。しかしそのためには、地方、特に基礎自治体がある一定基盤のやはり財務的な基礎を持たないと、地方でできることを地方でやっていただくことが大変難しい、そのようなやはり一般的な方向は見定めておかなければいけないのだと思います。  その場合に、大体どのぐらいの人口単位が必要なのかということに関しては、これはいろんな考え方があるようでございます。専門家の間で、計量的な手法を使ってどのぐらいの人口が一種の分岐点かという計算幾つかありますけれども、私の知る限り、最低十万だという研究結果もございます。いや最低人口三十万だという研究結果もございます。人口十万ということになりますと大体千ぐらいの数になるわけでありますけれども、私たちはそういう明示的な目標を持っているわけではありません。ただ、今千八百まで、平成十一年に三千三百あったものが今千八百二十までその合併が進んでまいりました。ここはもう一押しそういう方向に進んでいただきたいという期待を持っております。  しかし、もちろんそれを強制するわけではございません。自治体自身の判断でそういう方向が実現していくのは、これは私は一つの期待される方向であろうというふうには思っておりますが、目標設定とか、それを強制するとか、そういう性格の問題では全くないと考えております。
  104. 吉川春子

    ○吉川春子君 強制するなんということはもちろん論外なんですけれども、そういう政策をかなり強引にというか強力に進めてきた結果、三千数百あった自治体が千八百二十にまでなった。これは、政府の推進策なしにはこういう数にはならないわけです。  続けて伺いますけれども、以前には名誉職的にその地の名士が地方議員をやっていた例が少なからずあったと思いますけれども、今はいろいろな方が地方議員に当選し、その地域の住民サービスを担って頑張っておられるということは、先ほど来の議論にもあったとおりです。  それで、地方議員を本業としている率も高くなっていると思いますが、専任の議員はそれぞれどの程度いますでしょうか。数字が分かったらお示しいただきたいと思います。
  105. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 先生御指摘の専業の状況ですが、近年、全国調査を実施しているのは都道府県議会議員共済会のみでございますので、その数字についてお答え申しますと、都道府県についていいますと、平成十七年七月現在で議員専業の方は三八・五%となっておるところでございます。
  106. 吉川春子

    ○吉川春子君 それから、もう一つ数字を伺いますけれども地方議員が専任化しているという原因の一つには、やはり非常に案件が増えて、議会の開催日数も増えているということも関係があるのではないかと思います。地方議会平均何日開かれていますでしょうか。それから、案件の数も併せてお示しいただきたいと思います。
  107. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) これも私ども調査した結果ではなくて各議長会が調査をした結果でございますが、それによりますと、まず平成十六年の実績は、都道府県が八十七・一日、まあ参考までに平成七年は七十五・八日、市につきましては、十六年が七十七、平成七年が六十九・五、町村につきましては、平成十六年が三十九・七、平成七年が三十七・三、こういう次第になっております。  それから、付議の案件でございますけれども、これも各議長会の調査結果ですが、平成十六年の実績は、都道府県が二百十七・四、平成七年は二百三・七、市は十六年が百二十九・六、平成七年が百二十一・一、町村につきましては十六年が九十九・六、七年が九十・八と、かようになっていると承知しております。
  108. 吉川春子

    ○吉川春子君 地方議会というのは年四回開かれまして、その会期は六月と九月と十二月と三月でそれぞれ違って、何週間もあるときもあるし、十日以内で終わってしまうときもあったわけです、私も市会議員やっていましたが。しかし、その会期と会期の間に、じゃ何も仕事がないかというとそんなことはなくて、議会であったお知らせをするとか、いろんな方、まあタウンミーティングほど大きなものは行ったことないですけど、お知らせするとか、もう必死でその間走り回って、またそういうことをしないと次の選挙で当選できないわけですね。だから、やっぱりその会期の日数も増えてきて案件も増えてきているし、同時にその間の忙しさというのもすごく増えているということが、ひとつ専任化が、率が高まっているという理由だと思うんです。  それで、私はここ一、二年の間に、例えばDV法の改正に携わりまして、各自治体に対してDV撲滅のために条例を制定してくださいね、行動計画制定してくださいねという法律も作りましたし、男女共同参画条例は、義務化こそしていないけれども、やっぱり条例が各自治体で作られているとか、竹中大臣が言われましたように地方分権ということ、そして地方自治体のいろいろな仕事を議会が担うわけですね。そして、しかも長の権限が、この間の地方自治法の改正じゃないですけど、強いですから、そのチェック機能を議会が働かさなきゃならない、そういうためにその議会、団体のメンバーたる地方議員の、何というんですか、いろんな点での力を増やしてほしいということが期待されていると思うんですね。だから、そういう議員年金の問題について地方議員のその仕事と一緒に考えていかなきゃならないと思います。  そういう点で、最後に大臣見解をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  109. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 先ほども説明させていただきましたように、そもそも、この今の現行制度そのものがやはり議員さんの仕事の重要性ということにかんがみてできた、そして運用されてきたというふうに思っております。加えて、分権の時代でありますから、地方議員さんの活動領域というのはむしろどんどん広がっていくわけであります。そういう意味では、今委員おっしゃったようなことを、全体としての処遇をしっかりと固めていくと、確保していくということは今後とも必要であろうかと思います。今回のお願いしている法律改正は、そのための最低限の条件として制度の持続可能性を回復したいと、確保したいと、そういうことでございます。  地方議会議員報酬在り方につきましては、これは自治法二百三条によりまして、正に議員としての職務の特殊性を踏まえて条例で定めることとされているところでございます。これは是非、住民の納得を得ながらしっかりと御議論をいただいて、そして十分な待遇は、必要な待遇は確保していただきたいというふうに思っております。
  110. 吉川春子

    ○吉川春子君 終わります。
  111. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  法案に入る前に、地方六団体による地方共有税の提案について若干見解を伺っておきたいと思います。  現行法でも地方交付税は地方全体の固有財源のはずですけれども、六団体案が根本的に違うのは、国に左右されない先取権の明記と、配分についても自治でやるとした分権主義の徹底だろうと思います。今回は十二年ぶりに地方自治法に基づく意見書として出すものでありまして、内閣は速やかに回答するように定められているわけですね。  この地方六団体の提案の概要と総務省の評価について、まず述べていただきたいと思います。
  112. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) 六団体の方が新地方分権構想検討委員会を設けまして、中間報告をまとめたわけでございます。  その内容といたしましては大きく三点ございまして、国の一般会計を通さずに地方共有税につきまして直接特別会計に繰り入れること。それから、財源不足を解消するために法定率の引上げを行うとともに、地方税法に定める税率の変更も行うこと。それから、三点といたしまして、配分額の調整並びに決定について、地方が参画の上、責任を持って行える仕組みを検討すること。こういった内容かと思います。  これらにつきましての我々の考え方でございますけれども現行の交付税制度につきましても交付税特別会計への直接繰入れにつきましてはかねてから地方制度調査会の答申などで御指摘いただいているところでございまして、我々も、地方共有の固有財源であるという交付税の性格を明確にする見地から、特別会計への直入と、これは望ましいものと考えておるところでございます。ただ、これにつきましては、御案内のとおり、国の財政当局の方は、特別会計に入りますと一覧性がなくなるのではないかというような反対意見のあるところでございます。  また、法定率の引上げにつきましては、現行の交付税法におきまして、大幅な財源不足が続く場合には交付税率の変更等を行うべきだと、こういうことでございますし、現在、平成十八年度におきましても八・七兆円もの大幅な財源不足を抱えているわけでございますので、基本的には交付税率を引き上げるべきではないかと我々も考えておるところでございます。  それから、配分額の決定に対する参画でございますが、現在でも交付税法に基づきまして地方団体から意見の申出ができるようになってございますし、昨年から総務大臣と六団体の会合ということもセットいたしましてその中でのいろいろ議題になっているということで、いろいろ推進を図ってきているところでございます。  今後も、こういった制度議論の場を活用しながら、地方団体の理解を得ながら算定を行っていきたいというふうに考えております。
  113. 又市征治

    ○又市征治君 地方共有税という提案は、戦後、地方自治が憲法で定められて以来、学者などから度々出されておったわけですが、なぜ今のタイミングで地方六団体から出されてきたか。それは報道が一致してコメントしていますように、竹中大臣あるいは経済財政諮問会議の進められている地方交付税改変案がこの政府の六月ないし七月の骨太方針に盛り込まれては困ると、正しい地方分権の方向に引き戻したいという思いからだというふうに私は思います。  例えば、共同通信は、意見書は新型交付税などを盛り込んだ竹中総務相の私的懇談会の提言と一致しない部分も目立つ、経済財政諮問会議で優勢な交付税削減論とも対立している、こういうふうに解説をしています。  この竹中さんのビジョン懇と一致しない点というのは、具体的には、例えば北海道新聞が、三十日の全国知事会での知事たちの発言として、竹中大臣らの新型交付税の案について、交付税総額を削るための手だてではないか、導入されると地方は立ち行かなくなると、異論や注文が続出したと報じていますように、政府や大臣の進める動きが地方意見を置き去りにしている、こういうふうに見ているんではないかと私は思います。  そこで、大臣、具体的に一つだけお答えをいただきたい。  今ほど、お手元に、五月二十二日付けで兵庫県知事の井戸さんから新型交付税批判の文書が出されているわけですが、お配りしました。これがまさしく地方共有税を今改めて提案した理由でも端的に表していると思いますね。  その第一項で、総務大臣提案の新型交付税は、交付税総額の確保については触れられていない、こう断言をして、そして人口、面積が良いとか悪いとかという前に、別途交付税総額が国の裁量に左右されることなく確保される仕組みが必要だ、こういうふうにその一項目めで明記をされているわけです。  私は、この知事の主張というのは、指摘というのは当たり前だというふうに思うんですが、この件について大臣見解を伺いたいと思います。
  114. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 私はいろんなところで申し上げているんですが、国と地方合わせたプライマリー赤字を解消するために、削れる歳出はしっかりと削っていかなければいけない、これは国も地方も同じ努力をしなければいけないと思います。  しかし、歳出歳入一体改革といいますか、量の議論と仕組みをより良いものに変えていくという議論は、もちろんつながりはするんですが、それを同時に議論すると、これはもう全く建設的な議論にはならないというふうに思っております。その典型が、新型交付税は量を削減するための手段であるという誤った考え方を述べられる方がいらっしゃるし、それをまた吹聴するジャーナリズムが一部にあると。これは、そもそもこういう議論をし出すと本当に改革なんか何もできなくなってしまうと私は思います。  これ繰り返し言いますけれども、私、諮問会議でも、この場でも発言をさせていただいておりますが、量の議論と仕組みの議論というのは、これはやはり入口においてはしっかりと分けて議論をしていかなければいけない、そのように考えているところでございます。この新型交付税についてのいろんな御意見の中で、見ようによってはやはり今の御指摘も、量の議論とやっぱり私は一緒にしないでいただきたいということは是非申し上げたいと思います。  もちろん、しっかりとした財源を確保することはこれは必要であります。そのための努力はそのための努力としてしっかりと行っていく。だからこそ、交付税削減を目標にするような議論の仕方は絶対やめてくれということを私は繰り返し申し上げているわけです。地方の歳出というのは社会保障の歳出であり、人件費であり、公共事業であり、そういうものを一つずつ国とのバランスでしっかりと削減できるものについては削減していく。しかし、中間支出である交付税について、その量の問題を直接の政策のターゲットにするというのは、これは政策論としては誤っているということを繰り返し申し上げているつもりでございます。  ジャーナリズムは面白おかしく一致しない点を取り上げておりますが、検討委員会の中でもこういう簡素な基準に基づく交付税というのは提言をされております。そこの点は私は大きな方向としてはそごはないというふうに考えておりまして、これはしっかりと、しかし地方の皆さんの意見も伺いながら、理解を得ながら着実に改革を進めたいと考えております。
  115. 又市征治

    ○又市征治君 今の御答弁、私はいろいろと意見があります。余りこれ議論していたら本当に今日の本題が入れませんから、ただ、もう少しだけお伺いしておきたいのは、政府全体の対応についてであります。  神戸新聞は社説で、議論は専ら経済財政諮問会議や財務省の財政制度議会など政府の省庁レベルで進められ、中央主導の様相である、六団体の意見提出権の行使は、そうした上からの分権改革に地方の側が異論を突き付けた、こういうふうに鋭く指摘しています。中国新聞も社説で、地方交付税の削減は骨太の方針に盛り込まれる見込みだと憂慮し、地方抜きで話合いが進むのを懸念した地方の対案は十分検討に値すると評価をしています。  私も、六月一日のこの委員会で、大臣は何が何でも諮問会議、そして六月の骨太に間に合わせられるようにビジョン懇で進められ、歴史ある地方制度調査会への諮問をないがしろにされるんではないのかということでこれは指摘をいたしました。地方共有税構想というのは、当面、緊急の抗議声明であるとともに、地方財政制度の中期的なやっぱり問題提起でもあるし、そういう意味では今年と言わず、少なくとも一年程度はじっくり地方の提案を聞いてという、こういう呼び掛けでもあるんだろうと思います、私は。  したがって、夏には地方制度調査会も発足するんでしょうから、私は、この意見書が出る以上、総務大臣としては六、七月の骨太方針へ新型交付税等々の提起はやっぱり見送って、総理に対しても、これから地方とじっくり話し合ってまいります、その間財務省等の提案も今年の骨太方針には盛り込まない、こういう方向にしたいということをむしろずばりと具申をされるべきじゃないか、地方とやっぱりしっかり話し合うべきじゃないか、こう思いますが、この点について端的にお答えください。
  116. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 改革をするときに、改革が遅い、すぐにできることをやれという御指摘がある一方で、じっくりと議論しろという御指摘、これはもう五年間常にいろんな違う方向からの御指摘をいただいてまいりました。これ、しっかりと議論すべきは当然議論をしなければいけないと思っております。  しかし、これ、やはり合意できるところについてはこれは当然のことながら合意をさせていただいて、合意できないことは合意をいたしません、もちろん。その上で、方向をしっかりと見定めて、制度設計に入れるものは速やかに制度設計に入っていきたいと考えております。  今いろいろ議論されております財政審や諮問会議の一部の意見というのは、私は御指摘のように大変偏りがあると思っております。それをしっかりと正すのが、正していくのが総務大臣としての私の役割であるというふうに思っております。その上で、合意できることはしっかりと合意をして、地方意見をよく聞きながら、取りまとめられることについてしっかりと取りまとめを行いたいと現状では私は考えております。
  117. 又市征治

    ○又市征治君 残念ながら、納得できません。  しかし、私は、今日ここの委員会、与野党問わずに私申し上げている点はかなりの共鳴をいただけるのではないか、こう思います。  少なくとも、六団体の地方共有税構想に真っ正面からやっぱり向き合って、少なくとも政府の各種の諮問会議でもこれを正式の議案としてやはり論議をいただきたい、このことを強く求めておきたいと思いますし、今後もこの問題については、極めて重大な問題でありますから、私自身も是非論議をしてまいりたい、このように思っています。  そこで、時間がなくなってまいりましたが、本題の地方共済議員年金の問題であります。  技術面での議論は既に出そろっておるようでありますが、私は、この問題で忘れてならないのは、そもそも地方議員にはいわゆる地方の名士やお金持ちだけがなっているわけじゃありませんで、いろんな様々な層の人々が今日これの選挙に立候補し当選されて、地方自治あるいは住民福祉というものを様々な角度から論議をされているわけであります。サラリーマンや主婦等の一般勤労者が自らのやはり生活基盤をなげうって立候補して、むしろそういう人の方が一番熱心に一生懸命住民の声を聞きながらというのは先ほどから同僚議員から出ているとおりでありまして、議員をむしろ唯一の職業として活動していく場合に、その議員の老後をどう保障していくか、このことは非常に大事なことです。その意味で、私は、議員年金というのは民主主義のコストなんだという認識というものを私たちは持たなければいけないんではないか、むしろそのことを広げておかなければいかぬのじゃないか、こういう気がいたします。  私は、真っ向から、さきの国会議員年金問題については、これは議員年金そのものを廃止することには賛成だけれども、本来やっぱりきちっとした二階建ての年金制度というものを、年金を全体統合する、一元化の中に収れんをすべきだという立場から、あれには反対をいたしました。何かしら世論が大騒ぎして、議員なんて年金要らないんじゃないか、ボランティアでやったらいいじゃないか、そんなことを言われたら、それにわあっと乗っていってしまう、私は非常に危険な傾向だ、こういう気がいたします。  そういう点で、とりわけ、この地方議員の皆さんのこうした議員年金というのは一定程度やはり民主主義のコストだという、こういう認識というものが非常に大事じゃないかというふうに私は思っていますが、この点について大臣の御見解ありましたら、お答えいただきたいと思います。
  118. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 今、又市委員御指摘のように、サラリーマンや主婦の方が議員になって、いわゆる普通の方が議員になって、そして普通の方の意見をしっかりと政策に反映させていくということは民主主義において極めて重要なことであると思います。いわゆる資産家、ブルジョワジーだけが民主主義に参加していたというような時代に戻ってはこれはならないわけでございます。その意味で、そういった議員方々生活基盤をしっかりと持つということは、やはり健全な民主主義の一つの基礎であろうと思います。  同時に、やはり国民一般方々の視点というものは、これはこれでやはりしっかりと重視しなければいけないと思います。要はそこはバランスということになろうかと思いますが、私は、全体として国民の厳しい目があるということを現状としては踏まえながら、必要な制度改革は行っていかなければいけないと考えているところでございます。  今回お願いしております法律改正は、その意味では最低限の、この現行制度を持続可能にしようというところでございますので、これはやはり最低限是非やっていかなければいけないことであると思います。その上で、より中期的な観点から議員の活動、特に分権の時代でありますから、地方議会議員の活動をどのようにサポートしていったらよいのかと、これは幅広い議論を私たちもしていくつもりでございます。
  119. 又市征治

    ○又市征治君 私は、今大臣からもお話ありましたように、そうした民主主義のコストとしての面というものを非常に大事にし、また住民にもそのことを啓蒙していくというべきか、そういうことが大事だと思うんです。今本当に残念ながら、国会議員から地方議員までの全体的に議員の質というか、そのことに対しての非常に間違った批判が横行している、こういうことがあると思うんで、そういう点は非常に大事に、我々自身も身をしっかりと処して頑張らにゃいかぬことだろうと思いますが。  そこで、今回の提案のうち、私は高額所得者への制限とか年齢の上限の見直しということについて、これは私賛成です。しかし、今述べた理由から、とりわけ既裁定者への支給の引上げについて私は断固反対であります。このような措置が毎回繰り返されていくということになっていくならば、今おっしゃったような、普通の人、サラリーマン等やあるいは一般の商店あるいは農業者、こういう人々が将来をなげうって地方議員に立候補する、そういう可能性というのはどんどん狭められて、幅広い民意が反映しにくくなって、むしろ金持ちが名誉職に化していくという、こういう状況に逆戻りしていくという傾向はこれは否めないわけでありまして、正にそういう意味では地方自治は活性を失い、ゆがんでいくという、こういうおそれは非常に強くなっていく、こういうことを申し上げざるを得ないと思うんです。  このたび赤字推計が急に加速したのは、先ほど来から出ていますが、政府のやっぱり政策による半ば強制的な大合併によって議員数が物すごい勢いで減った。そこにもう一つ輪を掛けて、合併したところも物すごく議員数が減っているんだから合併しなかったところはもっと減らそうという、これは輪を掛けている。ひどいところはもう議員の数が十人を割るような議会が出てきている。それに総務省も悪乗りしたとは言わないけれども、そういう格好だから、委員会が成り立たないから複数のところにも参加できるようにしましょうなんていうこの間法案も出てくる、こういう実は格好になってきているわけですね。これはもう地方自治は本当におかしくなってきている、こういうことがあるんだろうと思うんです。  しかし、国はこの合併特例法により必要な措置を講ずるとされているけれども、基本は全部自治体の責任ですね。一方でそれはどんどん推進して減らしておいて、それで片一方ではそれは自治体がやんなさい。まあ基本はそうでしょうよ。だけれども、国の政治的及び財政的責任というのはやっぱりそれなりに果たされるべきだと、こう思うわけでして、現状及び激変緩和措置についてどのようにとっていくのか、その点について述べていただきたいと思います。
  120. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 今般の改正では、市町村合併特例法趣旨踏まえまして、公費負担金につきまして、市町村合併の進展による議員数の急減に対する激変緩和措置行うこととしております。  具体的には、市町村合併の進展に伴いまして、年金受給者数が現役員数を大きく上回ることなど、当面の十年間公費負担率で四・五%相当の時限措置を行い、その後五年間でこれを漸減させることとしております。  この地方公務員共済組合法に基づく負担金でございますが、これにつきましては現在、地方交付税措置をしているところでございまして、今回の制度改正に伴う公費負担時限措置についても必要な措置を行ってまいりたいと考えているところでございます。
  121. 又市征治

    ○又市征治君 まだ幾つか申し上げたかったんですが、もう時間がなくなりましたから。  いずれにしましても、先ほど来出てますけども議員数が減りました、分母が減りました、したがってこれは減らさざるを得ません、だから掛金も上げます、給付も下げていきます、既裁定者も下げています。ひどいのは前のときに下げられた人たちですね。この既裁定者、大変な状態ですよ。  やっぱり私は、これは行き当たりばったり、出たところ勝負という、こんな格好にしかなってないんじゃないのか。そこらのところはもう少ししっかり先を見通して、財源計算だけを何か二十年先って、前のときもそう言ったんですよ。それがやっぱりみんな狂ってしまったわけで、いや、それは大合併があったからだという、そんな理屈になっている。  私は、これではいけない。そのことをやっぱり厳しく申し上げ、もう少しそういう先を見通しての、やはり地方自治を本当の意味で、一方ではこの議員というのは地方自治の立場にとってみては非常に大事なわけですから、これだけ減らされていく、減っていっていいのかどうかという問題も、本気に総務省としても考えなきゃならぬ問題なんだろうと思うんです。そのことを強く申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  122. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 国民新党の長谷川憲正でございます。  先ほど澤委員が、質問を終えられるに当たりまして、私の名前を引用していただきました。私に対する激励と受け止めまして、今日も効率的な質疑に努めてまいりたいと思っております。  最初に、竹中大臣にお礼を申し上げたいと思います。  先ほど大臣の御発言の中で、一度コンシスタントと、こう、発音は私の場合ちょっと悪いかもしれませんが、発言をされ掛かって、途中から整合的というふうに言い換えていただきました。国会では日本語でなるべく発言しようという運動に対して御協力をいただいたというか、私としては非常に結構なことだと思うわけでございまして、これはお礼を申し上げたいと思います。  今日議題になっております地方議員年金の問題でございますが、私、結論を申し上げますと、やむを得ないかなという結論でございます。  先ほど来話が出ておりますように、特に地方議会にベテランの先生方が今日質疑に立たれましたので、大変お聞きをしておって勉強になったわけでございますけれども国会議員年金が廃止になったから地方議会議員も要らないんだということを言われるのかなと思ったらそうではなくて、地方議会議員が一生懸命努力をしていると、そのために年金も必要だと、こういう御発言でございまして、そういう中で掛金率が高まって、給付率が下がって、国庫の方はまた負担率が多少増えて、国民の側からすると、中には、地方議会議員年金はなくなるのかと思っていたら、なくならないのかといってがっかりされる人もいるかもしれませんけれども、三方一両損みたいなところで私、仕方がないのかなと。私自身の意見としては、こういう制度はやはり維持すべきだと思います。  そうでないと、先ほど来御意見がありますように、いい人が政治をやっていただけないんじゃないかということを懸念をいたしますので、これから先の検討についてはひとつよろしくお願いしたいと思いますけれども、これには賛成をさしていただきます。  そこで、一問だけ私、大臣にお尋ねをしたいと思います。これはもうこの法律を飛び越えていると思いますので、正に重要閣僚のお一人として、あるいは政治家としてお答えをいただければ結構なんですけれども。  こうやって地方がやっていけなくなる、地方自治体合併をしなければとてもじゃないけれどもやっていけなくなる、議会議員の数も減らす、年金なんかも下げなきゃいけない。実際、地方へ行ってみますと、この間までというか、数年前行ったときにはまだまだ立派だったような町並みのところが、もう人影が少なくなって、商店街なんかももう余り人が歩いてない。そんな状況をあちこちで見るわけでございまして、どうも地方は一方的に衰える方向に今、日本は進んでいるんだろうという、私の思い込みかもしれませんけども、そういう気がしてしようがないんです。それで本当にいい国になるんでしょうか。  私は、この年金の問題も大事ですけども地方議会議員先生方も大事ですけども、その政治の対象となる地方が、そのものが衰退をしたんじゃ、もう地方も何もないし、地方がなければ国は成り立たないわけですよね。東京だけが栄えていい国になるか、そんなことあり得ない。私はどこを回っても、東京以外はすばらしいところだと思いますけれども、小野先生には申し訳ありませんが、本当に地方はすばらしい。そのすばらしい地方がどんどんどんどん衰えていっていいのかと、そこのところが今日の議論をお聞きしていても気になって仕方がないわけでございます。  そこで、数年前には日本の目標として均衡ある国土の発展ということを言っていたんじゃなかったのかなと、それどこへ行っちゃったのかなと、こういうふうに思うわけでございまして、私は、国民の皆様が夢と希望を持って再チャレンジなんて言われても、こういう状況の中で地方に住んでいる方、元気が出るはずがない。若い者が地方に戻ってこない。働く場所がないからですよ。  こういう状況の中で、国民に対して、私、何か夢と希望の持てるようなメッセージを是非発していく必要が政府としてあるんじゃないかと思う次第でございまして、今日は大臣個人の考えで結構でございますので、お考えがあればお伺いをしたいと思います。
  123. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 私も昭和二十年代半ばの地方都市に生まれて育ちました。そこで普通の公立の小学校に行き、公立の中学校に行き、公立の高校に行きました。そして、大学に入るときに初めて東京に出てまいりました。その時代の正に地方の原点というのは、私自身のいわゆる感性の一つの原点だと思いますし、良い国、良い地方、良い時代に私は少年時代を送ったというふうに今でも真剣に思っております。そこにいた両親や、そして指導してくださった学校の先生方に私は心から感謝をしております。  そういう中で、実は本当にすさまじい経済の変化の中で地方をどうやっていったらよいかというのは、これは結論から申し上げますと、私自身、これやればうまくいくというような打ち出の小づちのような何かいい政策というものは、この五年半、いろいろ議論は真摯にしたつもりでありますけれども、まだ日本全体として見いだせていないというのが正直なところだと私は思います。これ、地域が重要だというのはもう全くそのとおりです。そこにやはり重要な正に地域があり、地域住民がいて、地域住民生活こそが日本国民の生活水準です。それをやはり回復させるための手だてを考えなければいけない。  合併の話が先ほど出ましたが、実は同じ状況を民間の企業も求められたわけです。十年前、日本の高炉会社というのは五社か六社あったと思いますよ。今二社ですね。十年前、日本の都市銀行というのは九行か十行あったんじゃないでしょうか。今三行、三グループなわけですね。それだけ実は民間の、日本でいうと、我々から見ると非常に強いと思われる企業もすさまじい競争の中でそういうことをやらざるを得ないように追い込まれている。地方についても、やはり変わらなければいけない、そのための努力をしなければいけないという状況がそこにあるということだと思います。  小泉内閣になりましてから、そういう観点から、財政がこういう状況でありますから、財政をそれまでのような形で再分配するということはこれはもう現実にできないと。そういう中で、例えば構造改革特区を地域を個性としてやってもらおうではないかというふうに、これアイデアとして出しました。これ私は、森内閣のときに、森総理にこのことを言ってお願いしたんですけれども、できなかった。それを小泉内閣の中でやれるようになって、今五百を超える特区ができて、その中ではやはり、それによって地域を活性化しつつあるところも間違いなくあると思います。稚内から石垣までの都市再生プロジェクト、これは東京、名古屋だけではなくて、稚内にも都市再生プロジェクトがあります、石垣にもあります。そういうところを、地方都市の活性化というのも徐々にではあるけれども、動き出している。そして、地域再生のプログラムを作りました。一円起業、一円で起業できるという制度もつくりました。そういう中で二万社が出てきました。  残念ですけれども、そういうことを少しずつ一生懸命組み合わせてやっていく以外にこの厳しい状況の中で、やはり我々の国民、住民生活をやっぱり良くすることはできないと思います。しかし逆に、そういう中でいい地域が出てきているわけです、特区を活用して。私は、やはりそこは日本の国民のすばらしさだと思うし、日本の地域にそういう活力があるということだと思っています。  地方にできることは地方でやってもらって、自由と責任を持ってもらって、だからこの個性あるいろんな工夫が出てくる。そういう、まあこう言ってしまうと非常に抽象的な言い方だというふうな御批判はあるかもしれませんが、しかし、それに代わって何か打ち出の小づちのような政策はやはりありません。  そういうことの厳しさを私自身も感じておりますが、ここは本当に国会の、行政府の英知を結集して、更にやれる政策が一つ二つ三つあると思います。そういうことを私としては引き続き是非やっていきたいというふうに思っております。
  124. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 打ち出の小づちがないというのは、それはもう全くそのとおりだと思うんですよ。ですから、何かアッパーカット一発で倒そうと思っても駄目なんで、いろんなことをやっぱりおやりになる必要があるだろうというふうに私は思うんです。  それで、企業も統合して、分野で二つか三つぐらいの会社になっちゃっているという話がありましたけど、私はこれは決していいことだと思っていないんですね。大競争をやったら、やっぱり弱い者が負けて、強い者が勝って寡占化するんですよ。今、世界のあらゆる産業でそういう状況が見えていますけど、それじゃ、そういう中で途上国や何かの利権がちゃんと守られているか、貧しい国の人たちが守られているかといったら、そうはならない。強い国だけがどんどん強くなっちゃう。  同じことが日本の国の中でも行われているわけでありまして、私は、ここは政府がもっと地方の小さな産業も大事にするようなそういうやっぱり作戦を取るとか、あるいは例えば、極端な意見かもしれませんが、大学は三十万人以上の都市にはもう置かないとか、何か地方にもそれぞれ拠点が置けて生きていけるような、さっきの特区の話も大変結構なことでありますけれども、いろんなことをやっぱりお考えになる必要があると私は思っているわけであります。  たまたま、私、ヨーロッパのEUの状況をちょっと調べたんですけど、二十五か国今ありますけれども、この中で九州より大きな人口を持っている国はわずか七か国しかないんですよね。みんな小さな国ですよ。ですから、住民に非常に近いところでやっぱり政治ができているのかなと。それに比べますと、やっぱり日本は一億二千七百万、まあ人口は減り始めてきていますけれども、非常に大きな国で、東京ですべてをもう決めてしまうような雰囲気がいまだにある、これを早く是正しなければいけないのではないかと、このようなことを思っておるということをお伝えして、質問を終わりたいと思います。
  125. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  126. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、魚住裕一郎君が委員辞任され、その補欠として谷合正明君が選任されました。     ─────────────
  127. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  128. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、内藤君から発言を求められておりますので、これを許します。内藤正光君。
  129. 内藤正光

    ○内藤正光君 私は、ただいま可決されました地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合及び国民新党・新党日本の会の全会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項に配慮すべきである。  一、地方議会議員共済会財政状況が悪化していることを踏まえ、当面、制度の安定的な運営を確保するため、今回の制度改正による収支の改善状況及び市町村合併等による地方議会議員数の変動等に十分留意しつつ、今後とも、必要に応じ、財政計算に基づく対応措置を適時適切に講ずること。  二、市議会議員共済会及び町村議会議員共済会財政単位の一元化を図るに当たっては、その円滑な推進に努めるとともに、両共済会の組織の統合を含め、地方議会議員共済会の組織の在り方について検討を進めること。  三、地方議会議員年金制度については、地方制度改革や官民の公的年金制度の見直しの動向、地方財政状況地方議会議員に幅広く有為な人材を確保する必要性、一般の国民や公務員との均衡などの観点を踏まえ、国民の納得が得られるものとすることを基本として、引き続きその在り方について検討を行うこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いを申し上げます。
  130. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) ただいま内藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  131. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 全会一致と認めます。よって、内藤君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、竹中総務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。竹中総務大臣
  132. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  133. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十分散会