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2006-05-30 第164回国会 参議院 総務委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年五月三十日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十三日     辞任         補欠選任      那谷屋正義君     輿石  東君  五月二十四日     辞任         補欠選任      輿石  東君     那谷屋正義君      魚住裕一郎君     白浜 一良君  五月二十五日     辞任         補欠選任      白浜 一良君     魚住裕一郎君  五月二十九日     辞任         補欠選任      蓮   舫君     神本美恵子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         世耕 弘成君     理 事                 景山俊太郎君                 森元 恒雄君                 山本 順三君                 高嶋 良充君                 内藤 正光君     委 員                 小野 清子君                 尾辻 秀久君                 柏村 武昭君                 木村  仁君                 椎名 一保君                 二之湯 智君                 山崎  力君                 吉村剛太郎君                 伊藤 基隆君                 神本美恵子君                 高橋 千秋君                 那谷屋正義君                 平田 健二君                 藤本 祐司君                 魚住裕一郎君                 澤  雄二君                 吉川 春子君                 又市 征治君                 長谷川憲正君    国務大臣        総務大臣     竹中 平蔵君    副大臣        総務大臣    山崎  力君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       吉良 裕臣君        総務大臣官房総        括審議官     荒木 慶司君        総務省自治行政        局長       高部 正男君        総務省自治行政        局公務員部長   小笠原倫明君        総務省自治財政        局長       瀧野 欣彌君        総務省自治税務        局長       小室 裕一君        消防庁長官    板倉 敏和君        厚生労働省雇用        均等児童家庭        局長       北井久美子君    参考人        日本郵政公社理        事        山下  泉君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付)     ─────────────
  2. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十九日、蓮舫君委員辞任され、その補欠として神本美恵子君が選任されました。     ─────────────
  3. 世耕弘成

  4. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地方自治法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会日本郵政公社理事山下泉君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 木村仁

    木村仁君 初めから主題から外れて申し訳ございませんが、どうしても気になりますので、財政問題について二、三、簡単な質問をさせていただきますので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。  基礎的財政収支平成十八年度で国がマイナス十一兆、地方がプラス四・四兆、それゆえ地方財政が国の財政について、非常に豊かである、ゆとりがあると、そういう認識が流布され、新聞論調等でもはっきり表明されておりますが、財政局長はこの数字についての基本的な認識、理論的、実務的に本当に正しいのかということについてどうお考えですか。
  9. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) プライマリーバランスの国、地方状況についての御指摘でございます。  プライマリーバランスといいますのは、結局全体として借金が積み上がらないようになるような、そういう財政状況を示している指標でございますが、これは結局、地方でいいますと、過去に非常に大きな借金残高がある、景気対策等借金残高が積み増してきたわけでございますけれども、そういったことで地方財政がなかなか立ち行かないという中で、必死に行政改革をする中でこの積み上がりました借金を返している状況に今あるわけでございますけれども、これがプライマリーバランス黒字という形で出てきているわけでございまして、それ自体が財政状況そのものを示しているものではないと、単にある通過地点におきます借金の積み上がり状況返済状況の差額という形で出てきているものだというふうに考えております。  一つ指標ではありますけれども、それだけで財政状況を判断するべきものではないだろうというふうに考えているわけでございます。そうした目から、今日の地方財政を見てみますと、非常な行革努力にもかかわりませず、地方財政、現在でも八・七兆円もの大幅な財源不足を抱えておるわけでございます。  さらに、債務残高は御案内のように二百兆円を超えるという状況にございますが、これをOECD諸国と比較してみますと、国と国との比較では、日本政府も非常に大きな借金残高を抱えておりますけれどもOECD諸国の二倍強という状況でございます。  一方、地方財政同士で比べてみますと、OECD諸国地方財政に比べますと、日本地方団体は約六倍というような借金残高を抱えておるわけでございまして、こういった借金残高にあえいでいるという中で必死に借金返済努力しているということの中でプライマリーバランス黒字になっている、こういう状況でございますので、財政状況を総体として見ますと、非常に地方財政苦しい状況にあり、国と地方それぞれ努力していかなければいけないわけでございますけれども地方財政のみが非常になぜか財源が豊かだというような認識は、我々は誤りであるというふうに考えているところでございます。
  10. 木村仁

    木村仁君 私も同じような考え方で、今地方自治体は比較的短期に償還しなければいけない借金返しに追われて、デフォルトを起こさないため必死になって歳出の方を抑えてお金を返していると。それがプライマリーバランス黒字となって表れる原因になっておりますんで、あたかもこの数字一つ財政が、地方が豊かで国が厳しいというような宣伝がされ、それを一般的に信じられてきつつあることが非常に問題だと思いますので、是非そこ辺りのカウンター宣伝もよろしくお願いをしたいと思います。  そのために地方交付税を大幅に削減しなければいけないと、こういうことが言われております。もうこの点については決意はしっかりしておられると思いますので財政局長には聞きませんが、それらを含め、もう補助金をカットした、税源移譲をしたんだから、残るは三位一体の三つ目地方交付税総額削減しかないと、こういう形で、骨太の方針目玉としていく歳入歳出一体改革地方部分の中心になりそうな気配になってまいりましたが、このことについて総務省全体としてどのように取り組んでいかれるか、副大臣の御決意のほどをお伺いしたいと思います。
  11. 山崎力

    ○副大臣山崎力君) 今御指摘の点でございますけれども地方としても、今財政局長の方から申し上げたとおり、プライマリーバランスを是正するために、良くする、プライマリーバランスを達成するために地方としてもいろいろなことをやらなくちゃいかぬと。そういう意味で、社会保障公共事業人件費、そういった最終支出を見直していくという作業はこれ必須でございますが、その際の交付税の、委員指摘交付税の問題でございますけれども、この交付税というのは最終支出ではございませんで、国と地方中間支出であるということが言われるわけでございます。  そういった中で、中間支出である交付税について削減を前提とした議論というのは、私どもは不適切であるというふうに考えております。そして、何よりこの場合、プライマリーバランスの問題を考えるときに、国と地方、両方が納得できる形で改革を行う必要が重要な視点だというふうに思っております。一方的に地方にしわ寄せになるような、そういった偏った議論にならないよう、当省といたしましてもしっかり対応していきたいと考えております。  そういった中で、制度面改革を更に進めていくことが必要だということで、国の関与、義務付けを抜本的に廃止、縮小していく新分権一括法を提出するとか、税源移譲などの税源配分の見直しをするとか、新型交付税の導入であるとか、そういったことを先般の経済財政諮問会議にも提示したところでございます。  いずれにいたしましても、こういった改革が、国、地方一体となってやっていくのが必要であり、その際、交付税の問題というのは、いささか今の議論というのは問題があるというふうに認識しております。
  12. 木村仁

    木村仁君 正確な御認識であろうと思いますし、それに基づいてしっかり対応していただきたいと存じます。  地方自治法の一部改正問題について御質問いたします。  まず、基本的な姿勢でございますけれども、第二十八次地方制度調査会答申、昨年の十二月九日の答申に基づいて今度の改正法案が成立したんだと思いますけれども、私どもの目からすれば、地方自治法改正にしては非常に細かなことだけ幾つか並べただけになっちゃったなと、こういう気がいたします。  地方制度調査会は、地方自治制度弾力化を目指すと、そういうことの下に自主性自律性拡大を提案しているわけでございますけれども、この地方制度調査会答申自身が非常に不徹底なものだったように私は思いますし、さらにそれに対応して作られた法案も輪を掛けて不徹底になったのではなかろうかなと、こう思っております。一番重要な問題を取り上げれば、行政委員会を、任意設置にする農業委員会及び教育委員会、それだけでなくてもいいと思うんですけれども、これを任意設置にしようとする部分がやっぱり一つ目玉だったんだろうと思いますけれども、それらについての何らの法改正もあっていないわけで、全体として今回の改正はどうも大地方自治法改正としては非常に不徹底だなという気がいたしますけれども、副大臣、全体の、私どもの感じに対してどういうお考えでしょう。
  13. 山崎力

    ○副大臣山崎力君) 委員指摘の点でございますけれども、確かにこの規定を見直して選択制を導入することが適当であるということが答申において行われているわけでございまして、私どもとしては、現時点において関係省に対し答申内容をお伝えして検討を依頼していると、こういう段階でございます。  特に、教育委員会については、首長さんと教育委員会との事務に関する選択制中核市等における県費負担教職員人事権移譲、そういったことについても言及されておりますので、これらの点については政府内において答申と基本的には同じ方向検討がこれから行われるものというふうに認識しております。  いずれにいたしましても、総務省といたしましては、地方公共団体が主体的に判断するものは、可能な限りそういったものでやっていただきたいと、地方全体として地方分権方向で一層推進していくべきという立場から結論が得られるように努力していきたいというふうに考えております。
  14. 木村仁

    木村仁君 特に行政委員会設置任意制にするということについては各省庁の反発が非常に大きいでしょうし、またそれに呼応して各地域から出てくる意見も、その各省庁意見を支持する意見の方がはるかに多いと思います。したがって、交渉は非常に難しいことであろうというふうに思いますけれども、この点は非常に長年の懸案でございますし、答申もはっきりと任意設置にすべきであると、選択制にするべきであると言っておるわけでありますから、引き続き努力お願いいたしたいと存じます。  そして、この次に地方自治法改正するときには本当に抜本的な改正お願いして、こういう大きな法律でありますから、余り枝葉末節だけちょこちょこ扱うような改正はしない方がいいと。私の感想でございます。  具体的に一、二お聞きいたしたいと思いますけれども、副知事、副市町村長という名前になさいました。そして、副知事を複数にするときには条例で増員せよ、それから、しかし副知事を一人置くと、そういうような規定になっておりまして、実質的には今の現行の法律と少しも変わらないと。今、副知事は一人置くと、そして増員することもできるし置かないこともできると現に書いてあるわけでありますから。今度のものは名前が変わったことは、市町村助役については分かりますが、大した改革になっていないなと、こういうふうに思います。  で、その意図は、そういう形式的なことじゃなくて、ここにアメリカ風シティーマネジャーであるとか、あるいはイギリス風のタウンクラークであるとか、安心してかなりな仕事を任せていいような、そういったスタッフをつくるという趣旨であるのか。そうだとすれば少し不徹底なような気もいたしますけど、その点を一つお聞きしたいと思いますし、それから、市町村において助役の方がまだいいというところがあれば、ちょうど以前、助役時代に京都市辺りで副市長としたと同じように、副村長とすべきであるけれども、まあ、うちは助役さんでいいというんであればそれでいいと、そういうふうに思いますが、それはいかがでございましょうか。
  15. 高部正男

    政府参考人高部正男君) お答え申し上げます。  今回の改正、大した内容ではないというような御指摘いただいたところでございますが、私どもの理解といたしましては、よく地方公共団体の三役と言われたこの仕組みを全体として改正するという意味で、ある意味では大きなものではないかなというふうには思っているところでございます。  地方公共団体の所管する行政分野でございますとか事務事業が大幅に拡大していると、また分権改革責任、役割が広がっているというようなことから、組織運営面における自主性自律性の一層の拡大を図りながら、そのマネジメント機能の強化を図るということで今回の改正を提案させていただいているというところでございます。  お尋ねは二点ございまして、市支配人制でございますとかタウンクラーク的なものを目指しているのかという御指摘でございましたが、今回の改正は、御指摘ございましたように、実質的に今回の改正によって初めて例えば人数の問題あるいは副知事助役仕事が膨らむということではございませんで、前の規定ぶりにつきましては、副知事助役は長を補佐しというようなことで、よく女房役と言われることがあったと思いますけれども、そういうような規定ぶりだったところでございますが、こういう責任が増大した中でトップマネジメント在り方もいろんなものがあっていいだろうというような問題意識の中で、今回は補佐しというところは同じように残しておりますが、国家行政組織法の副大臣規定ぶり等々も参考にしながら、長の命を受けて政策及び企画をつかさどりと、あるいは個別に事務の委任を受けて事務執行するというようなことを入れさせていただいたところでございます。  この改正意図するところでございますけれども一つは、首長さん方もいろんなお考えの方がおられると思います。やっぱり副知事助役については相変わらず総合的な女房役のような役回りがいいというようなふうに思われる方もおられると思います。決してそのこと自身を否定するわけではございませんけれども委員指摘ございましたように、かなり専門性の高い、専門的な知識を持ったような形で例えば一定の行政分野責任持って担うというような在り方もあるのではないかということで、多様なトップマネジメント在り方考えたらどうかというような趣旨を明らかにするような改正をさせていただいたということであります。  それから、二点目にお尋ねございました名称でございますけれども、この名称につきましては、やはり法律上の名称でございますので、法律的な場面でお使いいただくときはこの副知事、副市町村長というお名前を使っていただく必要があろうかと思っておりますが、これまでも実際上、助役と言っているときに副市長といったような名称も使われていることがございまして、事実上使われることは差し支えないものだろうというふうに考えているところであります。
  16. 木村仁

    木村仁君 助役という、今度は副市町村長、副知事というのはやっぱりどうしても長の女房役ですよね。そして、ですからいつでも何の理由もなく解任できるようになっているわけでございますから、そういうことも加味して考えると、今回の改正総務省がお考えになっているような副知事、副市町村長というものの質的転換が行われるとは私には余り考えられないんです。  したがって、この改正を機にそういったいろんな社会的あるいは学問的訓練を積んだ方々がそういうポストに登用されるように、そういうことについての法律以外の御努力是非お願いをいたしたいと思います。  次に、出納長収入役を廃止してしまわれました。これは私は少し心配だなと思っております。  私どもが若いころ地方に行きますと、収入役さんというのは大体地域名望家、そして資産家。で、いざ何か事故があったときは自分の財産を売ってでも払ってやるというような気概の方がおられたわけです。もうそれはもう時代が違いますから、今はそういうことは言えませんけれども。  しかし、そういう人が伝統でやって、それゆえ、おかしな支出が行われる場合には、長に対しても毅然としてこれは駄目ですということが言えたのが収入役であり、出納長であったんです。それが女房役になってしまったと言われるのはそのとおりです。そのとおりだ、それは運用の病理であったと私は思いますから、これをもう、すぐあきらめておやめになったことは少し問題ではないかなと思いますが、まあおやめになったわけでありますからよろしいですけれども、それに代えて一般職会計管理者を置くと。一般職ならなお歯止めは利かないわけでありますから、それであれば事後監査みたいなものを強化しなければならないという、そういう理論であろうと思います。  これはいわゆる、今日は大臣がおられないから言いますが、小泉・竹中流の勝手にやらして事後を締めりゃいいという頭の改正かなと思いますので、ちょっと余り私は心から賛同するような気持ちになれないんでありますけれども。  そのところの改正意図、そして今後の御指導方針、教えていただきたいと思います。
  17. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 御指摘ございましたように、この収入役というのは明治の時代市制町村制のできたときからの仕組みでございます。  特に、当時のことを想定いたしますと、今御指摘ございましたように金庫番と言われたように、現金を本当に管理するという仕事が大きくて、そういう事の重要性から、これも御指摘ございましたように、当時の市制規定なんかを見ますと身元保証金を出すというような規定ぶりになっていたということだろうと思います。  ただ、昨今の状況を見ますと、出納事務が電算化されるといったような状況の中で、これ地方制度調査会の中でも御議論いただいたところでございますけれども特別職としての出納長あるいは収入役というものを置く必要まではないのではないかということで、今回この制度を廃止するということにさせていただいて、副知事、副市町村長という形での在り方に一本化してトップマネジメント機能を強化する方向考えたらどうかというような答申をいただいたところでございます。  ただ、そうは申しましても、会計事務の適正な管理執行を確保するといった必要性はこれは変更ないところでございまして、一般職会計管理者を置くということでこのような会計事務の適正な執行を確保するという形にさせていただいているということでございます。  それで、特別職じゃなくて大丈夫なのかということでございますけれども、一方でこの地方公務員法等々の適用を受ける形になるわけでございますし、また他方で、適正な事務執行を確保するような仕組みも、例えば損害賠償責任でございますとか、監査委員あるいは議会のチェックといったことも働くわけでございますので、全体として適正なものが確保できるようになっていくのではないかというふうに思っているところでございます。  ただ、委員指摘のような御懸念もあることでございますので、私どもといたしますれば、この改正をお認めいただいた後につきましては、運用の面で十分この新しい制度趣旨を徹底してまいりたいと、そういうふうに考えているところでございます。
  18. 木村仁

    木村仁君 是非よろしく御指導お願いをいたしたいと思います。  で、地方自治法の全体的なことについて、若干大げさなことを申し上げますけれども地方自治法は今全部で何条ぐらいございますか。
  19. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 枝条文等ありまして数えにくいんですが、本則の部分だけでいいますと四百五十二条だということだと思っております。
  20. 木村仁

    木村仁君 ずっと私は長年考えているんですけど、余りにも条文が多過ぎると。  なぜ条文が多くなっているかというと、もう極めて多くのおせっかい規定があるというふうに思うんであります。もっと骨格だけきちっと決めてやって、あとはみんな条例とか規則、そういうものに任してしまえるんじゃないかと、そういうふうに思うんです。  全体として、大胆に削減して、三百条から三百五十条ぐらいの法律に換骨奪胎するお気持ちはありませんか。
  21. 高部正男

    政府参考人高部正男君) お答えを申し上げます。  地方自治法内容を大変よく御案内委員からの御指摘でございまして、私どもも重く受け止めなきゃいけないことだろうと思っておりますが、御案内のとおり、地方自治法は憲法九十二条を受けた地方公共団体組織運営に関する法律ということで、基本的な事項を規定する仕組みになっているわけでございます。こういう位置付けの中でどこまで地方自治法規定していくのかということについてはいろんな御意見があり得るのではないかと思いますし、また時代的な変化も踏まえて考えられていくような問題ではないかなと基本的には思っているところでございます。  現下の状況、昨今の状況を見たときにどういう方向で物を考えていくべきかということについていいますと、委員指摘ございましたように、できるだけ地方公共団体自主性自律性を高めていく、拡大していくという視点は大事だろうと私ども認識しているところでございまして、こういう観点での改正、例えば公の施設の指定管理者の制度の創設、あるいは都道府県の局部の法定制度の廃止といったような地方自治法改正を順次行ってきたということだろうと思っておるところでございます。今次の地方制度調査会答申も、地方自主性自律性拡大するための答申でございまして、今回もそういう視点でお願いしているところでございます。  なお、条文数でいいますと、新たなこういう仕組みを入れることに伴って、枝条文等々で結果として条文が増えちゃっているというようなところもないわけではないというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、全体としての自治法の規定は、今後の方向として、地方公共団体自主性自律性拡大する方向というものを目指して、その規定在り方考えていく必要があるものというふうに考えているところでございます。
  22. 木村仁

    木村仁君 意図はよく分かるんですけれども、実際の改正作業になるとちっともそういう意図が実現していないんですよ。  例えば、平成十五年に地方公共団体の議会の議員の定数を条例で決めるようになされました。事務方は条例で一本で決めさせればいいという割り切り方をしたようでありますけれども、出てきた法律案を見ると、事細かに人口区分ごとに最高の数を示しているじゃないですか。今どき、条例に任せて、そして膨大な定数をつくるような地方公共団体が果たしてあるでしょうか。もっと地方団体を信頼して、地方公共団体の議会の定数は条例で定めると書けばそれで済むじゃありませんか。そういう形でいっていただきたいと思うのでございますが、もうコメントは求めませんけれども。  それに関連して、私はずっと長年の持論でありますが、これ、マッカーサー憲法草案を言うとしかられるかもしれませんけれども、その中に、住民は国会が定める法律の範囲内で自らの憲章を定める権利を奪わるることなかるべしという規定がございます。これはちょうど、あの当時がアメリカのホームルールチャーターの最盛期であったろうと思います。したがって、そういう意図で書かれたものだと私は理解しているんです。  ところが、それは、チャーターというようなものは日本ではまだ時期尚早であるということで法制局が実にクレバーに、これを落とすのでなくて条例規定に変えて、法律の範囲内で条例を制定することができる、こんなことも明治憲法以来ずっと日本でやっていたことでありますから、殊更書く必要もないことであるのをそういう形でうまくごまかしてチャーターを外したという立法過程だと私は思います。  しかし、これはよいことでありまして、是非、将来の日本地方自治の在り方としてチャーターを決めると、チャーターというのは行政委員会を置くか置かないかとか、議員の定数をどうするかとか、あるいは憲法議論をしなければいけませんけれども首長やめてカウンシル制にするとか、あるいは少数の委員会制にしてシティーマネジャーあるいはタウンクラークに多くをゆだねるとか、そういう制度の根幹の規定地方団体自身がやる、それが本当の地方分権だと思うんです。  そして、そういう根幹を決めるのは、それなら首長や議会に任していればいいかというと、それはできません、政体そのものを決めるものでありますから。ですから、国の法律の範囲内で自由な選択を認めて、そしてそれを住民と地方自治体が一緒になって案を作って、住民投票に掛けて決めると。そうすると、私は、首長は二期までしか認めないとか、そういうことも住民投票に掛けて決めるんだからよいのではないかと、そういう気がするんです。現に、憲法とぎりぎりのところで町村総会というのがございますよね、今でも。これは、日本国憲法で代議制を決めているのに直接民主制です。しかし、直接民主制であれば認めてよいということで、だれもこれを違憲立法だとは言っておりません。  そういう弾力性もあるんですから、是非、将来はチャーター制度考えていただきたいと思いますが、副大臣の御所見をお伺いして、三十一分までですから、そこまでにやめていただきたいと思います。
  23. 山崎力

    ○副大臣山崎力君) おしりを切られた答弁になって恐縮なんですが、今委員指摘の点、正に憲法九十三条の地方自治の、長と議員の直接、これが、住民がこれを選挙するですか、直接、ここのところとの絡みがございますので、非常に憲法改正まで行くのかどうかという議論もあろうかと思いますし、委員指摘のとおり、議決機関と執行機関の分立を憲法上要請しているかということに関しては、学者というか学説間の対立もあるというふうに理解しております。  非常に難しい問題であろうと思いますが、いずれにいたしましても、地方公共団体の組織の在り方あるいは制度といったものを可能な限り弾力的に考えまして、それで、その地域の人たちの代表、あるいは地域の人たちの意向に沿った形の制度に持っていくということは、これは重要なことだろうと考えております。  もちろん、社会情勢の変化とか、あるいはそもそもの地方公共団体の御意見、住民の方々の考え方、そういった点がこれからも重要な要素だと思っておりますので、いずれにいたしましても、御指摘の点を十分踏まえて適切な対応を取っていきたいというふうに考えております。そういったことで御理解願えればと思っております。
  24. 木村仁

    木村仁君 ありがとうございました。  終わります。
  25. 二之湯智

    二之湯智君 自民党の二之湯智でございます。  同僚の木村議員に続きまして、地方自治法の一部改正、私は特に議会の今回の改正のことについて主に質問をいたしたいと思います。  御案内のとおり、地方自治体は、直接選挙で選ばれた長とそして議員との二元代表制を取っておるわけでございます。よく、執行部と議会は車の両輪だと、対等、平等の関係だと、このように言われておりますけれども、私は決してそうではないと。多くの自治体は、余りにも長、執行部の権限が強過ぎて議会とのバランスは非常に欠いておるのではないかと、このように常々思っているわけです。  ただ、なぜ今、地方議会あるいは長がバランスが取れていると申しますと、やはり長は、四年に一回の選挙のときにどうしても与党の会派の議員の皆さん方の御支援を得なきゃならぬということで、非常に与党会派に気を遣う、そういうことで辛うじて会派の面目を保っておるというようなこと。さらにまた、職員にとっては議員の存在は非常にうるさい、議員ににらまれたらもう昇進にも影響すると、したがって議会の先生方を非常に大事にすると。こういうことで私は議会と長がうまくバランスが取れている、しかし法律上は、ほとんど議会と長の関係は長に非常に優先的な権限が与えられてバランスが取れていないと、このように思うわけでございますけれども、現在の地方の議会の在り方、これについて総務大臣はどのようにお考えになっておりますか、お伺いしたいと思います。
  26. 山崎力

    ○副大臣山崎力君) 今御指摘のとおり、国政の場と違いまして、地方自治におきましては大統領制とも言われる首長制を取っておるわけでございまして、その首長の権限というものが非常に大きなものがあるというものは御指摘のとおりでございます。  その一方で、住民の代表である議会側、議員さん側の方は、独自の立場で行政をチェックするというチェック機能として、チェック・アンド・バランスという形で制度的にはなっておるわけでございますが、御指摘のように、そのバランスがどうも首長さんの方に偏っているのではないかという御指摘があるところも理解しているところでございます。  現実、この問題というのは、制度の問題なのか運用の問題なのかという非常に難しいところもございますし、首長さんの個性というものがどの程度尊重されるべきなのかという点もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、今回の改正、議会制度における改正考え方からいきますと、議会の自主性自律性拡大という観点を重視いたしまして、これは委員指摘の線に沿ったものだと思いますが、議長への臨時会の招集請求権の付与、そういった形もされているところでございます。  問題はいろいろあろうかと思いますが、何よりこの問題というのは、地方の方たちが、いわゆる議員を通して首長さんとの関係をどう、地方議会との関係を見るかというところがポイントになろうと思います。そういった点で、制度面でいろいろなことがあれば、我々としても真摯にその点について制度面の設計その他については対応させていただきたいというふうに考えております。
  27. 二之湯智

    二之湯智君 議会と長の関係で決定的に違うのは、やはり長には予算編成権がある、そして人事権があると、こういうことだと思うんですね。特に、どの議会でも、二月ごろになりますと、全国で一斉に予算、都道府県議会、市町村議会が行われるわけですが、そのとき、私は常々思っていることは、予算議会が始まりますと、もうきれいに製本された、装丁された本が、予算書が配られるわけですね。これでひとつ皆さん方、予算審議をしていただけませんかと、こうなりますと、もうどこをいらっても、一ついらったら全部狂ってまいりますから、先生、この案でひとつ是非とも通していただきたいと、これが理事者の最も大きな仕事になるわけでございまして、とても私は地方議会で、一部事業会計辺りで、予算辺りで多少修正がある自治体もあるかも分かりませんけれども、本予算、一般会計ではほとんど予算修正すらできないというのが実態ではないかと、このように思っているわけです。  私は、かねがね、まあ予算編成権は仕方ないと、しかし議会事務局の予算の編成権、これぐらいせめて議会事務局、議長に私は編成権が与えられてしかるべきではないかと。こうなりますと、議会事務局の予算も人事も全部もう長に握られてしまって、全く議会が手も足も出ないと、こういうような思いがするわけで、ここに議会と長の非常に大きな力の差があるんではないかと、そういうところに原因性があるんじゃないかと、このように思いますけれども、いかがお考えでしょうか。
  28. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 委員指摘いただきました点は、私ども地方公共団体仕事をさせていただいたときの様子の中でいろいろ感じるところはあるところではございますが、ともかく、地方議会がその役割を果たす上で必要な予算が確保されるということは、これは必要なことだろうというふうには思います。  ただ、御指摘ございました編成権そのものを議会が持つということについていいますと、やっぱり地方公共団体の予算の中で議会費だけ取り出して別に編成するということになるわけでございますので、その辺についてはなかなか慎重な議論が要るのではないかなと感じられるところでございます。  ただ、これも実態の運用でいいますと、これも適否についていろいろ御議論はあろうかと思いますけれども、現実の運用の中では、予算編成に当たっては、まず議会費のみならず、ほかの予算につきましても、先生も御経験されたと思いますけれども、いろんな調整を経ながら予算編成作業が進んでいくという面もありまして、ある程度調整を経たものが提案されていくというような面もあろうかと思います。特に、議会費についていいますと、これも私どもも経験しておりますけれども、かなりいろんなお話合いをしながらやっていくというのが現状だろうと思います。形でいいますと、いざとなれば増額修正権というのも、これは提案の趣旨を侵してはいけないというような規定がございますけれども、あるわけでございます。  いずれにいたしましても、車の両輪というような御指摘もございましたけれども、それぞれの立場で相互に牽制しながら、より良い行政、住民の福祉の向上に尽くすということが一番大事な点ではないかなと感じられるところでございます。
  29. 二之湯智

    二之湯智君 地方分権推進一括法及びここ数年言われております三位一体改革の中で、いろんな紆余曲折はありますけれども地方分権というか、地方にシフトした日本の政治の流れというのは私はある程度着実に進んでいるのではないかと、このように思うわけでございます。  したがって、当然、地方自治体、いわゆる長を頂点とする執行部の力が非常に強くなってくるわけでございますから、議会の果たす役割、与えられている役割、監視機能の強化と、あるいは政策立案能力の向上というのは地方議会にとって欠かすことのできないこれからの大きな問題であると、このように思うわけでございます。  今、現在、委員会審議の中でも、運営の中でも、国と同じように、参考人制度とか公聴会、こういうことが認められて、広く市民の声を聞くという制度はあるわけでございますけれども、今回、特に専門的な知見を活用すると、こういうことが、制度が導入されまして、専門家に調査を依頼し、報告を求めて、そして委員会審議を更に高めて政策立案能力をまた更に一層向上していこうという、こういうことは大変私はいいことではないかと、このように評価をしておるところでございます。  しかし、冒頭、私も先ほど申しましたように、この議会活動、あるいは委員会活動を、あるいは政策立案機能を支えるのはやはり議会事務局の諸君だと思うんですね。やはり、ここの議会事務局を充実しないことには、幾ら法律改正したところでそれは有名無実になってしまうのではないかと、このように思っておるところでございます。  ところで、地方自治法が、話がありましたけれども地方自治法では、都道府県には議会事務局は必置義務となっておりますけれども市町村には置くことができると、こういうことなんですね。それで、政令指定都市のような人口何百万人というそういう市でも、これ議会事務局は必置義務ではないんですね。つまり、小さな市町村であったら他の部局との併任ということも可能であるわけです。随分前から、この議会事務局の機能の強化、強化と、このように言われておりますけれども、やはりこの辺はひとつ改めるべきではないかと、このように思うわけでございます。  さらに、今回、非常に細かい改正でございますけれども、百三十八条の七項で、かつて「事務局長及び書記長は、議長の命を受け議会の庶務を掌理する。」ということになっていましたけれども、今回「議会に関する事務に従事する。」と、こういうことに変更されましたですね。これでどれほど議会事務局の機能が強化するのか、ちょっと私もこの条文を読んだだけでは分からないんですが、具体的にこの辺を教えていただきたいと思います。
  30. 高部正男

    政府参考人高部正男君) お答えを申し上げます。  庶務を事務に今回変えさせていただきました。これも先生よく御案内のとおり、かねてから庶務という用語方法につきまして、どうも使い方の語感が違う面もあるのではないかなという感じを私はしているんですが。かつては庶務というと、財政なんかやるのを全体的に庶務課といったような時期もございましたけれども、今、庶務というと、どうも語感として雑多なことをやっているということで、どうもいかがかというような声をよく聞いたところでございまして、ある意味では、そういう議会関係者の方々から寄せられた声を今回規定上改めさせていただいたということでございます。  御指摘ございましたように、この規定を改めたことによって直ちにものが変わるというような性格ではございませんで、ただ、変えたことによって、この、何といいますか、意味合いというのもおのずから伝わる面もあるのではないかなというふうに思うわけでございます。  その他にもいろいろ御指摘いただきましたけれども、議会事務局の機能の強化という意味では、議会活動の活性化という観点からすると非常に大事な課題だというふうには思っているところでございます。  ただ一方で、全体として定数削減地方行政改革ということを一方で我々は求めている中で、どこまでできるかということになりますと、方向性と現実に対応というと、なかなかそう簡単でない部分があるのかなと思っておるところでございます。ですから、私どもとしては、いろんなやり方の工夫もしていただきながら現実的な対応をしていただいて、全体として議会の機能が十分、これまで以上に果たされるような努力一つ一つ積み重ねていただく必要があるのかなというふうに考えているところでございます。
  31. 二之湯智

    二之湯智君 これは質問通告にないんですが、都道府県には今私申しましたように必置義務があると。それで、少なくとも横浜なんかは、まあ言ってはあれですけれども、鳥取県、島根県のもう数倍の人口を擁している、そういう都市に、置くことができるという規定では私はおかしいんではないかと、こういうことを思ったりするんですが、私もこれ、地方団体の長をしながらこの運動はちょっとできなかったんですが、まだ地方自治法にはそういう規定になっているらしいんですが、これについてどう思われますか。
  32. 高部正男

    政府参考人高部正男君) この辺は多分に規定ぶりの沿革によるものも多いのではないかなと思うわけでございまして、規定ぶりをとらえて必ずしも軽視ということではないと私は思っておるんですが。  ちょっと経緯を申し上げますと、昭和二十五年の自治法改正時に、都道府県においてはすべて事務局を置かれていたというような状況を踏まえて法律上置くと書かれたということのようでございます。一方で、市につきましては条例により議会事務局を置くことができるという規定ぶりになり、町村におきましては昭和三十三年の改正で置くことができると、そういう形の中でこれまで来ていて、特段このことで、私は、今委員指摘いただいた、これでどうこうということは余り私個人としては聞いたことないように思いますが。こういう規定ぶりの中で、現実に市議会についてはすべて、それから町村の議会については九九・二%、ほとんどの団体が事務局を設置しているという状況が現実にあるものですから、この規定ぶり自身をどうこうというのはこれまで余りそう議論されたことはないし、市町村がこの中で条例で定めていただければいいものではないかなと現時点では思っているところでございます。
  33. 二之湯智

    二之湯智君 確かに、今局長がおっしゃいましたように、実際の運用面ではもうそれぞれ議会事務局もあり、政令都市としては非常に機能の高い事務局を有しておりますから、私はあえてあれこれと言うわけではないんでございますけれども、いつも都道府県と市町村が上下の関係のような、そういうような思いがしますので、やはり都道府県と同じようなものが、この政令市、あるいは中核市、あるいは特例市にもそういうものを設けるということが対等、平等の関係ではないかと。  先ほどの、副知事やって、昔は、かつて市町村には助役だと。この助役の響きが私は大変嫌やったんです。今回それが副市長、副町長、副村長、こういうことになりまして、たかが名前、されど名前でございまして、その何か地方のローカルの助役さんのような者が大都市の助役でございますと出てきますと、一般の市民は、ああ助役かと、こういうようなことがございますので、私は今回そういう面の呼称の変更は大変良かったなと。それと同時に、やはり都道府県にあるものは少なくとも政令市にもあると、こういうことになった方がいいんじゃないかという私の思いを今述べさしていただきました。  次に、今回、議会の招集権、臨時議会の招集権が、地方の議会の議会運営委員会の議を経て議長が請求することができると。招集することができるんじゃなくて、それを長に請求することができると、こういう規定に変わったんですね。私は、かねてから、三議長会、都道府県議長会、あるいは市議会議長会、町村議長会が、自らの議会をどうして長が、議長が招集できないんだと、こういうことが、常に大変な運動があったわけでございます。地方の自治体は二元代表制だとか車の両輪だとか言いながら、これもなかなか実現しなかった。  しかしまた、恐らく局長は、今の年四回の定例会は、長と議会がよく話し合ってそれはうまく運用しておりますから格段問題はないんでございましょうと、このような答弁になるかと思いますけど、何か長から招集をされますと、何か議会そのものが長の附属機関のような、そんな感じがしてならないわけでございますから、私は、年四回の定例会も臨時議会も招集することができると、もちろん十二分の一の議員の賛同を得ればできるわけでございますけれども、もう少し私は地方議会に、あるいは地方の議長に権限を与えた方がいいんじゃないかと。  それで、よく年四回の定例会には、専決処分というのが出てまいりますですね。そのときの理由が、議会を開催するいとまがなかったというのが大体大方の理由です。専決処分のいろいろな項目にはいろいろあるようでございますけれども、大体地方議会が開かれますと、長はそういうところの規定を持ち出して、いとまがなかったと。いとまがないほど忙しいかなと。今日、あした、三日ぐらい前に通告して、ちょっと議会を招集したいと。それが、全国に散らばった議員がおるんじゃなくて、小さな町の議会が招集できないというようなことは私はないと思うんですが。  私はこの辺をもう少し、専決処分が乱発されないような、そういうことが、これは今回、専決処分の明確化と、こうなりましたけれども、できるだけそういうことは少なくしていく方がやっぱり議会と長との関係で非常に重要なことだと、このように思いますけれども、これについていかがお考えでしょうか。
  34. 山崎力

    ○副大臣山崎力君) 議会招集の件について私の方から答弁させていただきます。  委員指摘のような意見というのはこの間の二十八次の地方制度調査会でもございまして、その一方で、いろいろな議論が、反対側といいますか、あったわけでございます。いわゆる何というんでしょう、長と議会との関係にかかわる重大な問題だからもう少し慎重にしなさいというような議論もございました。  そういった中で、一番のポイントは、議会が招集されるということが一番の問題、課題であろうと。そこが担保できればいいんではないかというような観点から、答申におきましては、長と議会の関係や、長が事実上議案の大半を提案している実態があることを踏まえれば、議長に臨時会招集請求権を付与して、長が一定期間内に招集しなければならないものとすべきと、こういう答申が出たわけでございます。  こういったことで、議会が、長が余り好まなくても、議会側の要請でそういった時点において議会が開かれるんであれば、まあその辺のところは担保されているであろうというのが今回の改正趣旨でございまして、議員の考え方ということが否定されたわけでもないし、むしろそちらの方に近付いたというふうな形で御理解願えればと思う次第でございます。
  35. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 専決処分についてお尋ねをいただきました。  御案内のとおり、専決処分というのは議会の権限に属する事項を長が決定するという仕組みでございますので、この制度趣旨を踏まえて行われるということが必要だというふうに思っております。  御指摘ございましたように、専決処分、百七十九条と百八十条の委任専決と二つありますけれども、委任専決はともかくとして、百七十九条の専決処分につきましては、議会が成立しないときとか議決すべき件を議決しないときとかっていうのがありますけれども、いとまがないときという形で行われているケースが多いように思うわけでございます。  先ほど委員から先にお答え指摘されてしまいましたので大変答えにくい部分あるんですが、現実に地方団体、これも委員もよく御案内だと思うんですが、いろんな専決処分、いろんなタイプのものがあると思いますけれども、現実的にはいろんな議会と長との意思疎通をしながらやられている部分でもございます。また、仕組み上、百七十九条の専決処分について言いますと、後で議会に報告して承認を求めるという仕組みになっておりまして、その過程の中でいろいろチェックが働くということもございますので、全体として見ると、すべてとは申し上げませんけれども、全体として見ると、そう私どもとして見ると乱発されている状況だというふうには認識しませんし、また現実的には議会と円滑にやっているというふうに感じているところでございます。  ただし、今の規定ぶりは余りにも、いとまがないときということで、余りにもふわっとし過ぎているじゃないかというような御議論も議長会等からございまして、今回は地方制度調査会の御意見等も踏まえまして、この規定趣旨がもう少し規定ぶりに出るようにという形で改正をさせていただいたものでございますので、御理解をいただけたらと思います。
  36. 二之湯智

    二之湯智君 今回の改正で、かねてから地方議会から要望ありました議員の複数の常任委員会への所属、これが実現することになったわけでございます。  御案内のとおり、地方財政が厳しいということで各議会とも減数条例を設けまして、非常にもう議員の数を減らしてきておりますですね。もう上限一杯というような、そんな議会はもうとてもとても今、市民の理解を得られない。そういうことで、非常にもう極端なことを言ったら二分の一ぐらいの議員の数になっているところもあるわけでございます。  しかし、前の地方自治法改正で常任委員会の数は地方議会に任せますと、設置は五つのところが十でもいいですよというようなことになりましたけれども、現実には議員の数がいませんので実際はできないわけですね。したがって、一人の議員が二つぐらい所属できたらいいなというのがかねてからの地方議会の強い要望でございました。これが今回実現するわけでございます。ただ、地方議会の場合は、その所属の委員会は、それぞれ希望を取って議会運営委員会で諮ってそれで本会議で選任すると、こういうことになっておりますですね。  私、国会来て、国会は随分と自由にやっているなと。採決のときにぽいと行って、はい採決でございますといって起立したらこれで成立すると。地方議会もこれを導入すると私はいいなと、非常に一つの知恵を与えていただきました。  したがいまして、私は、今度補欠で上がってきた人は議長が所属の委員会を選任することというか、所属の委員会を指名することができると、こうなりましたですね、閉会中でも。これも、ひとつ、複数の常任委員会が認められましたけれども、どうしてもその委員会が採決しなきゃならぬときに、あるいはまた質問したいときに、自分の今所属していない委員会でも議長の許しを得れば、許可を得れば他の委員会で発言したり採決に加わると、こういうことも私いいんじゃないかと。  もっと弾力的な、先ほど木村先生が、地方自治法はもう少し緩やかな規定にしておいて、あとは条例に定め、決めたらいいんじゃないですかと、このようにおっしゃいましたけれども、非常にいい考え方だなと思いますけれども、これについてどうでしょうか。
  37. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 今回、このような改正をさせていただきました。  それで、ちょっと御説明させていただきますと、今の地方自治法規定ぶりは、委員指摘いただきましたのは、百九条の中で、「常任委員は、会期の始めに議会において選任し、」というような規定のしぶりだと思うんですが、この辺規定したのは、国会法、必ずしも私、十分承知していない部分ありますが、国会法の規定ぶりも同じようになっておりまして、その辺を見ていることだと思います。  それで、実はこれに関連する行政実例がございまして、大分古いんですけれども、昭和二十八年の行政実例の中で、今委員おっしゃいましたような、例えば議長が決めることができないかという問いに対しまして、当時の行政課の回答として、法律上は可能であるけれども適当でないという答えをした経緯があったように思います。閉会中は元々、特別権能がないと同じことはできないと思いますけれども、今回の規定ぶりは市議長会等の御意見なんかも踏まえながらこういう規定ぶりにさせていただいて、閉会中の手当てができるような格好になったわけでございます。  こういう形で規定しますと、委員指摘いただきましたことの関連でいいますと、昭和二十八年の行政実例がこういう法律改正後にも適切なのかどうかという問題もあろうかと思いますので、これもよく関係のところの意見も聞きながらちょっと検討してみたいというふうに考えておるところでございます。
  38. 二之湯智

    二之湯智君 先ほどから私は長と議会との関係をいろいろとお話ししてまいりましたけれども、私も、この地方議会にも地方の議会の権能強化、あるいは力を付けようということについても大いに責任があるんじゃないかと、このように思います。  それで、よく陳情書が、地方議会の権能強化をというようなことをよく自民党の地方部会にもいろいろ来るわけですね。しかし、地方制度調査会でも恐らく出たと思いますけれども、こういう地方の議会の専門家の皆さんでも、もう少し地方自治体は、地方議会は地方自治法九十六条の二項を活用して、議決案件が十五項目で少なければ二項を使って条例で議決案件を増やしなさいと、こういうことをよく言われておりますね。よく指摘されております。しかし、これをなかなか使って議決案件を増やしている自治体というのは非常に少ないんですね。私は、そこにやはり地方議会の怠慢もあると思うんです。それは長に対する遠慮もあるかも分かりません。もう長はこれ以上議会の議決案件を増やしてもらったら困ると。それは今、先ほどから局長おっしゃいますように、あうんの呼吸で長と議会うまくやっていきましょうと、一々条例とかそんなことに、しかつめらしい規約を作らなくてもいいんじゃないですかと、こういうことが地方議会の運用の妙であると思うわけでございます。  しかし、地方の方も機関委任事務が廃止されてほとんどが自治事務になったと、こういうことになりますと、やはり地方議会の自主性とか自律性を高めるためにも、地方議会が自らもっと努力をしていかなければならないんではないかと。特に、私は前から言っているんですが、この地方のまちづくりの根幹を成す基本計画、これぐらいは地方議会の議決案件にしなきゃ駄目じゃないかと、このように申しておったわけでございます。ちょっと自慢たらしになりますけれども、京都市はそれを九十六条二項に追加をいたしました。そして、正に長が一年ごとに振興計画と予算を報告するということに規定をいたしましたけれども。  やはり、もっと地方も私は努力しないと、長と議会との権力のバランスあるいはその地方議会の強化というものは図られないんではないかと、このように思いますけれども、最後に副大臣の所感をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  39. 山崎力

    ○副大臣山崎力君) 今委員指摘の点でございますけれども、やはり地方議会における長と議会の関係というのが、これが一番具体的な問題でいえば問題になろうかと思います。  そういった中で、地制調の、この間の二十八次の地方制度調査会答申におきましても、議会の権限と長との関係という、この根本的な、基本的な事項につきましては法律で定めなきゃいかぬと。これは当然なことなんですが、その実際運営に当たる組織であるとか運営の方法というのはできるだけその議会の自主性自律性にゆだねるべきであると。もっと言えば、地方の実態に応じて、それぞれの地域に応じていろいろな形態のやり方の議会があってもいいんではないかという考え方が出されておりまして、その点での見直しが必要だというふうに言われているところでございます。  そういった中での一つ改革案が今回の改正案だと御理解願いたいと思いますが、その点につきまして、今回いろいろ検討、引き続き検討ということもございますので、その辺については総務省といたしましても今後とも真摯に検討を続けていきたいというふうに思っております。
  40. 二之湯智

    二之湯智君 終わります。
  41. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  今回の地方自治法地方制度調査会第二十八次の答申を踏まえた改正だというふうに承知をしておりますが、若干これに関連して質問をさせていただきたいと思います。  今年の春は市町村合併がどんどん進んで、それに基づくといいますか、合併と伴う地方選挙が一杯あって大変な思いをしたわけでございますが、今年の二月ですか、地方制度調査会で、道州制のあり方に関する答申ということが出されまして、道州と市町村の二層制が適当であるというふうなことがありました。国の事務を道州に渡す、また、今県が持っている事務事業について大幅に市町村移譲するということだと思いますが、やはりそのためには市町村の行財政基盤、一層の強化が必要であって、市町村の合併を更に推進していくことが必要だというふうに考えておりますが、現在の政府の御見解を承りたいと思います。
  42. 荒木慶司

    政府参考人荒木慶司君) 地方分権を一層推進していく観点からは、住民に最も身近な総合的な行政主体であります市町村はこれまで以上に自律性の高い行政主体となることが求められております。また、都道府県から市町村への権限移譲を進めますとともに、住民に身近な事務について原則として基礎自治体で処理できる体制を構築する上でも、市町村の行財政基盤の強化を図ることは肝要であると考えております。さらに、少子高齢化や生活圏の広域化等の社会経済情勢の変化に対応するためにも、市町村の行政体制の整備を図ることが必要でございます。  これらのことを踏まえますと、今後とも市町村合併を積極的に推進しまして、その行政基盤を強化し、住民サービスを持続可能なものとすることが重要であると考えております。
  43. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 旧合併特例法の経過措置期間、今年の三月三十一日で終了して、四月から新たなこの合併特例法というふうな形になったわけでありますが、平成十一年の三月の末には三千二百三十二、今年の四月一日では一千八百二十、そこまで減少したわけでありますが、このいわゆる平成の大合併をどのように総括、評価しているのか。  それから、同じく、一千八百二十ではありますけれども平成十二年の行革大綱ではこの自治体数を千にするというふうにあったと思うわけでありますが、なお一層のこの合併の推進が必要かというふうに思いますが、政府は今後の合併の推進についてどのように取り組んでいくのか、お伺いをしたいと思います。
  44. 荒木慶司

    政府参考人荒木慶司君) 市町村合併の進捗状況につきましては、ただいま委員からも御指摘ございましたように十八年三月末に千八百二十一となりまして、相当程度の進展があったところでございます。  このように合併が進展しましたのは、地域の将来を考える住民の方々や関係市町村の方々の真摯な話合いとお取り組み、御努力と、関係都道府県の積極的な支援の結果であります。また、最後の決断をされるに当たりましては、関係の市町村長の方々や市町村会議員の方々が自らの職を賭して合併を決断されたことによるものであると考えております。  一方で、地域ごとの進捗状況にはかなりの差異が見られるところでございまして、また、人口一万人未満の市町村も三月三十一日時点で五百四団体ございます。今後とも、地方分権推進の観点から、市町村の規模、能力を充実し、行財政基盤の強化を図るため、引き続き合併新法に基づきまして市町村合併を積極的に推進してまいる所存でございます。
  45. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 合併に伴って、いろいろ優遇措置等がありました。だけど、合併特例債で不必要な箱物整備に使うのはいかがなものかというようなこともございましたし、また、議員が合併に伴って百名超えるようなウルトラでかい議会もあったと思います。この間、野田の選挙がありましたけれども、三年の在任と、これは随分長いなという、そんなこともございました。  この委員会で、行政コストとかあるいは住民の意思に十分配慮するように周知徹底するようにという附帯決議を行ったところでありますけれども、これらの点についてどのような改善がなされてきたのか、政府の御認識をお伺いしたいと思います。
  46. 荒木慶司

    政府参考人荒木慶司君) 合併特例債と議員の定数の二点につきましてお尋ねがございましたが、まず合併特例債でございますが、この地方債は、合併市町村が合併後の一体性の確立や均衡ある発展に資するために市町村建設計画に基づいて実施いたします公共的施設の整備事業に活用できるものでございます。その整備に当たりましては、本当にその施設が必要なものであるかどうか、あるいはその施設の将来の維持管理等に係る経費の負担が過大なものにならないかどうか、こういった点につきまして慎重に検討を行っていただきますよう市町村に助言しているところでございます。また、合併市町村におきましては、将来の財政負担など合併後の財政見通しなども踏まえまして、効果的、計画的な活用がなされているものと考えております。  次に、議員の在任特例や定数特例についてでございますが、これは円滑な合併が進展するように配意して設けられている制度でございまして、期限を限った措置でございます。このような特例の適用につきましては、合併特例法の改正の際の参議院総務委員会等における附帯決議を踏まえまして、各市町村において適切に対応していただきますよう地方団体に対して通知を発出したところでございまして、それを踏まえて各団体においては適切に対応されているものと考えております。
  47. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 でも、実態を見ると、地域によっては署名活動みたいなのがあって、本来、合併した議員が、予想した以上に早く議員の任期、満了せざるを得なかったところもあれば、ゆっくり三年間、所期の目的どおりずっとやったという、億単位のもう費用が出たんじゃないかなんという心配する向きもございますが、更にその趣旨で今後も進めていただきたいと思います。  それで、今後の合併なんでありますけれども、先ほど一万未満の町村が五百四というふうなお話がございました。小規模自治体の合併を促進するということになるわけでありますが、これまで以上に合併の推進は難しくなってくるのではないかなと思います。  この新合併特例法では都道府県の役割を強めているというところでありますが、ただ、合併構想をまとめた都道府県は五月二十三日現在十四県にとどまっているところでございますが、今後のこの都道府県の果たすべき役割、どのようにお考えなのか、見解をお伺いをしたいと思います。
  48. 荒木慶司

    政府参考人荒木慶司君) 合併新法の下では、総務大臣が定めました基本指針に基づきまして、都道府県が市町村合併の推進に関する構想を作成しまして、この構想に基づいて、あっせんや勧告等の措置を講じることができるとしているところでございます。  現在、三十四の道府県で構想を検討する審議会の設置条例が制定されております。そのうち、構想作成済みが十四団体のほか、一団体が知事答申済み、十三団体が構想作成を検討中となっております。市町村合併の進捗状況には地域ごとに差異があるところでございますが、旧法によりまして合併した地域につきましても、それぞれの置かれた状況により更に合併を進めることが望ましい場合もあり得るものと考えております。  総務省としましては、都道府県ヒアリングの実施などを通じまして構想作成に向けた働き掛けを行いますとともに、合併した市町村につきましてもフォローアップや助言、情報提供などに積極的に取り組んでいくこととしております。今後とも、合併新法に基づき市町村合併を積極的に推進してまいりたいと考えております。
  49. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 昔、この合併について、あめとむちみたいなそんな議論もあったと思いますけれども、今度はあめの部分というか、優遇措置がなくなっていくという中でどんなふうに合併を推進していくか、その点もちょっとお聞きしたいと思います。
  50. 荒木慶司

    政府参考人荒木慶司君) 合併新法下では合併特例債は廃止されたところでございますが、一方で合併新法におきましても、引き続き地方税の不均一課税への特例や議員の任期の特例などの措置は継続をしているところでございます。また、普通交付税の合併算定替えや合併補正、合併後の新たなまちづくりに対する財政措置も講じているところでございます。  これらの措置に加えまして、合併新法では、先ほども申しましたとおり、総務大臣の示した基本指針に基づいて都道府県が構想を作成し、合併を進める仕組みとなっておりまして、都道府県における構想作成を引き続き積極的に働き掛けることなどによりまして市町村合併を推進してまいりたいと考えております。
  51. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 市町村合併の効果として、行財政の効率化ということがずっと挙げられてきたわけでございますが、確かに首長が複数名から一名になるとか、それだけ考えても効率化になるんだろうなというふうには思っておりましたが、ただ、具体的な数字が余り出てこなかったと思います。  ただ、この今月の五月十日に経済財政諮問会議で、おおむね合併後十年たった二〇一六年以降において年間一・八兆円の効率化が図られるというような資料を出されたというふうに新聞報道がなされているわけでございますが、こういうふうに具体的な数字で分かりやすくその効果を示していくということは大変意味があるというふうに思っております。今回、この効果を具体的に示した意図、また算定方法についてお伺いをしたいと思います。
  52. 荒木慶司

    政府参考人荒木慶司君) 市町村合併によります効率化効果でございますが、これにつきましては、昨年六月閣議決定されました経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇五におきまして、市町村合併について行政コスト効率化の効果を検証することとされたところでございます。これを受けまして、総務省では昨年十一月から市町村の合併に関する研究会を開催いたしまして、旧法における市町村合併の効果等を総括するための研究を行ってきたところでございます。  今回、その成果としまして、市町村合併による効果について、おおむね二〇一六年度以降におきまして、この二〇一六年といいますのはこの合併の効果が平年度化される年度でございますが、この年度以降におきまして年間約一・八兆円の効率効果があるとの報告を取りまとめたところでございます。  この一・八兆円の積算根拠でございますが、平成十一年四月から平成十八年三月の間における合併市町村、これが五百五十七団体ございますが、この団体を対象に試算を行ったものでございます。その内訳は、合併後十年経過した時点における平年度ベースで経常経費として約九千五百億円、内訳としましては人件費で五千四百億円、物件費で約二千四百億円、補助費等で約一千六百億円などとなっております。また、投資的経費としまして約八千億円相当分が効率化されるものと推計をしたところでございます。
  53. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 これ、今後の話でございますけれども、新聞記事の見出しは「「第二幕」交付税が左右」という、そういう見出しで書かれておりましたが、今後の合併の動向というのは地方交付税が左右するというふうな言われ方をしております。つまり、交付税削減されたら小規模な自治体が財政的に成り立ち行かなくなっちゃうから合併が進むという、まあ嫌らしいというかつらいなというそんな思いもするわけでありますが、だけど、こういうふうな形で合併が進んでも厳しい同士がくっ付くというだけになってしまうと、行財政基盤の強化というこれは本来の合併の目的は達成できないんではないか。このような事態にならないように今後の施策を進めていただきたいと思いますが、この点についていかがお考えでしょうか。
  54. 荒木慶司

    政府参考人荒木慶司君) 一般的に申し上げまして、市町村が合併することによりまして市町村の規模、能力が充実します。また、市町村の行財政は中長期的により効率的なものになると言えるかと思います。そこで、財政力が弱い市町村同士が合併した場合でございますが、このような場合におきましても、職員の配置等に余裕が出るということでより多様な行政施策の展開ができるようになる。あるいは、当然でございますが、首長や議員などの特別職の減少、組織の簡素合理化による一般職員の削減等の定員管理の適正化、更には公共施設の効率的配置等による経常経費の削減などの効率化を図り得るようになるものと考えております。また、市町村合併は行政改革に資する有力な方策であるということから、これを機会に、合併市町村におきましては行政改革に積極的に取り組んでいただく必要があると考えております。  これらのことを通じまして、合併市町村におきましては、その行財政基盤の強化が、規模が小さい団体におきましてはそれなりに強化が図られてまいるものと考えておるところでございます。
  55. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今度、中核市制度の見直しということが内容となっておりますが、今度その指定に係る面積要件が廃止されるという内容でございます。そういう内容はそれで、昼夜間の人口比率、あるいは面積等人口以外の都市としてのふさわしい要件、これはどんどんどんどん削られてきたというふうに認識をするものでございますが、いよいよ人口二十万以上であることが要件である特例市とだんだん近づいてくるという感じがいたします。  この中核市と特例市の処理事務の大きな違いは、例えば保健所の設置ということだというふうに思いますけれども、この中核市の要件を更に三十万から二十万に落とした場合、今後ですよ、仮に、保健所の行政を行わせるのかどうか。また、都道府県の保健所行政に支障を来すことがないのか。今後この中核市についての人口要件を引き下げることについての意味合い、あるいは政府の御見解を承りたいと思います。
  56. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 御指摘ございましたように、今回の改正は中核市の面積要件について廃止させていただくものでございます。これも御指摘ございましたように、中核市の指定要件そのものも制度発足当初から順次緩和されて、全体として指定を増やしていくような方向改正をしてきたところでございます。  そこで御指摘は、更に進んで今後どういうふうに考えるのかというような御指摘だったと思います。そもそも人口段階に応じて事務権限を移譲していこうということでこういう中核市だとか特例市という仕組み制度化させていただいているところでございまして、中核市の人口要件三十万以上というのは、御指摘がございましたように保健所の設置市というようなことで保健所の基準に沿うというような観点から、三十万人以上という格好にさせていただいたものでございます。  今後について、御指摘ございましたように、そもそも人口要件をもっと下げたらいいのではないか、むしろ今の特例市に中核市ぐらいの事務をやらせたらどうかというような意見もよく聞くところでございます。ただ、制度発足時にこういう考え方でできているところでございますので、今の時点で直ちにそういうことができるのか、実際上そのくらいの規模で保健所をうまく運営していけるのかどうかといったような問題もあろうかと思います。  ただ、いずれにしても、こういう事務権限を基礎自治体である市町村にできるだけ分担してもらうといいますか、担っていただこうということでできている制度でございますので、こういういろんな制度趣旨とか経緯とか、いろんな状況変化も踏まえて、この制度そのものについても引き続きいろいろ検討してまいりたいなというふうに思っているところでございます。
  57. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 続きまして、助役あるいは収入役やめて副市長というふうになるようでございますけれども、百二十年続いてきたこの三役がやめて二役ということのようでございますが、先ほどタウンクラークという表現もございました。アメリカではシティーマネジャーというんでしょうか、そんなふうに専門家の活用が可能になるということになろうかと思います。アメリカではこのシティーマネジャーの多くの人が修士号を持つ、そのうち約半数は行政経営学修士ということのようでございまして、その人材をあっせん、紹介するシティーマネジャー協会、そういう組織もあるというふうに聞いております。  ところで、日本ではそういうような人材の養成というのはまだ始まったばかりというふうにお聞きするところでございますが、実際そうなったと、そのような人材を得るような形になっても、実際、現場では職員の方がずっと頑張っておられるわけでございますんで、その現場の経験をしてスキルアップしていく機会も少ないというのが実情だろうなというふうに思いますが、こういうような新しい発想で変えていくのは結構なんですが、今言ったようなこの実態をどう切り開いていかれるか、その点についてお聞きしたいと思います。
  58. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 御指摘ございましたように、制度は、制度そのものではなくて、それを担う人で的確に運用されて効果が上がるものだというふうに思いますので、今委員指摘いただいている点は大変重要な点だというふうに思っておるところでございます。ただ、私どもといたしましては、一定の制度をつくることによって、またそういうふうな方向にも動く面もあるのではないかなというような思いもいたすところでございます。  いずれにいたしましても、今の時点で、今委員に御指摘いただきました人材の供給の在り方といいますか、人材の在り方みたいなものについて直ちに体系的な仕組みについてお答えはできる状況にはございませんけれども、我々といたしましても問題意識を持ちまして、いろんな情報提供等々、あるいはいろんな各地域での試みの事例が出てくると思いますので、そういう事例についての情報提供といったできる限りの努力をして、制度が生きるように努力してまいりたいと考えているところでございます。
  59. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 次に、監査委員でございますけれども、識見委員を増加することができると、条例でそのように決めることができるというふうな改正内容でございますが、五月十日の先ほどの経済財政諮問会議の中で、この夏に地方行革の新指針を策定、公表して全自治体に通知するというふうにしております。その内容として、人件費削減、情報公開開示の徹底、地方公会計改革を掲げているところでございますが、この点については監査の在り方にも影響が与え得るんだろうというふうに思いますが、この監査の在り方等について、この内容について御説明をいただきたいと思います。
  60. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 監査委員の役割というのは、地方公共団体仕事が増えていく、権限が増えていくという中で、ますますその重要性は増してきているというふうな認識に立っているところでございます。  今回の改正趣旨は、地方公共団体の実情に応じて監査機能の充実を図るという観点から、識見を有する者から選任する監査委員の定数を増加することができるとするものでございます。こういう仕組みを取ることによって、各地方公共団体の判断で識見委員の数を増加させ、専門的知識を有する者などを必要に応じて選任することが容易になるということで、監査の充実につながってくるのではないかというふうに考えているところでございます。  これも、監査委員も、具体の監査委員の選任については、それぞれ団体いろいろ御苦労されていると思いますが、いろいろな地域の置かれた状況の中で努力がされているものだというふうに思っているところでございます。
  61. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 次に、専決処分についてお聞きしたいと思います。要件明確化ということでございますが、こんなことがあったんだなというふうに改めて認識をした次第でございますが、実際、地方税に関する条例というのがこの専決処分で多く付されているというふうにお聞きをするものでございます。確かに地方税に、年度末に向かってですね、税制調査会とかいろんな税制の議論をしながら年度末に向けてしっかり議論をするわけでございますが、国会の審議権も確保する必要はもちろんありますけれども地方議会の審議権もやはり確保していくという努力が私は必要なんだろうなというふうに思います。  ですから、国会の審議の在り方もやはり工夫をしていく必要があるかなというふうに思うわけでありますが、しかし政府においても、例えば地方税法の改正案、早期に出すと、もしそれが駄目であれば四月に施行が必要なものを分離して早く出すとかいろんな工夫が、三者三様の努力が必要なんではないのかなというふうに思うわけでございますが、そういう点についていかがお考えでしょうか。
  62. 小室裕一

    政府参考人小室裕一君) お話がありましたように、毎年、地方税法の改正法の成立後、年度内にそれぞれの団体において地方条例改正をする必要がございますので、改正法案の成立、公布の時期が三月末近くになることから、地方公共団体においてはやむを得ず専決処分によって条例改正することがあるということは御指摘のとおりでございます。  そうした中にあって、地方団体の中では、国会における地方税法改正法案の成立に先立って地方条例改正案を作成して議会に提出した上で条例改正案の審議を行う、こうした工夫をしている例もございます。具体的に申せば、例えば兵庫県、鳥取県、佐賀県などで行われております。  そうしたことについて、国会での審議との関係がございますけれども地方団体においてやはり重要な問題だということで取り上げられているということで私ども考えておりますが、そうしたことにも役立つように、お話にもありましたように、税制改正内容、これができるだけ早く周知されるようにという意味で、税制改正の後あるいは法案を提出する時点でそうしたものについての情報提供、これを行っていくよう心掛けているところでございます。
  63. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 あと、クレジットカードによる公金の支払という点について一点お聞きしたいと思いますが、コンビニでも払えるようになって随分便利になったなと、夜間でも払えるというのが非常に実感としていいと思いますけれども、クレジットカードも、これもまた便利になるし、また支払う側でもポイントがたまるということでいいのかなと思うわけでありますが、ただやっぱり手数料というのが非常に大きなポイントになるのかなというふうに思うところでございます。コンビニだと一件六十円ぐらいかなとは思いますけれども、場合によってはもう数%の手数料が取られると。もちろん交渉事で、例えば丸亀市の水道料金手数料〇・九%というような事例もあるようでございますが。  その辺の手数料の見通しについて、特に公金だというと、固定資産税でも九兆とか水道料金でも四・三兆とか、二十兆規模ともなるとクレジットカード会社にとっても大変なマーケットだなというふうに思うわけでありますが、その辺の、高率の手数料に、要求されかねないなというふうに思いますが、その辺の見通しについてお伺いをしたいと思います。
  64. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 今回の改正は、地方公共団体の要望等を踏まえまして、クレジットによるお支払い、住民の利便に資するようなクレジットカードによる支払を認める、あるいは一定の納入時期についての規定整備といったようなことをさせていただいているものでございます。  あくまでもこれは、こういう仕組みを取ることが、こういう仕組みを使うことができるということでございますので、今委員指摘ございましたように、クレジットカードは大変便利なものでありますが、一方で通常の場合ですと、通常の商業行為でいいますとお店が手数料を負担するということになるわけでございますので、その一方で、その上で期限の利益でございますとか御指摘ございましたようにポイントがたまるというようなこともあるわけでございますので、やっぱり手数料等の水準というのは既存の口座振替でございますとかコンビニだとかといったいろんなものとのバランスも見ながら判断するものだろうと思っております。  今の時点でそのじゃ手数料がどういう水準になるのかというのは、これは交渉事でございますので、全く私どもとしてどのぐらいになるのかというのはお答えできる状況にはありませんけれども制度趣旨としてそういうものでございますので、改正をお認めいただければ、この改正趣旨を十分地方自治体の方に徹底してまいりたいと考えているところでございます。
  65. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  66. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 午前の質疑はこの程度とし、午後零時三十分まで休憩いたします。    午前十一時三十分休憩      ─────・─────    午後零時三十分開会
  67. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方自治法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  68. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 民主党・新緑風会の高橋でございます。一時間、地方自治法改正について質問時間をいただきましたので、よろしくお願いしたいと思います。  実は、当初は大臣がお見えにならないときに少し質問をするという予定になっていたもんですから、消防庁の方も来ていただいておるんですけれども、先に、私が二年前の四月のときに質問をさせていただいたことについて少しだけ質問をさせていただきたいと思います。  そもそも消防というのは地方自治にも非常にかかわっている問題でございまして、私もずっとテーマにさせていただいておるんですが、先日、十日ほど前に北方領土へビザなし交流というのに行きまして、船に乗りまして、鈴木宗男さんと一緒に行かしていただいたんですが、そのときに船の中の私の部屋が火事になりまして、漏電で火事になったんですね。  それで、最初、部屋のこういう蛍光灯が消えて、しばらく何かよく分かんなかったんですが、まだ夕方だったもんですからよかったんですけれども、薄暗い中でもまあ分かったんですが、蛍光灯が消えまして、船ですからそれぞれの部屋が配線が別々にしてあったようで全部切れるということはなかったんですけれども、天井から煙が出だしまして、みるみる天井がだんだん黒くなってくるんですよね。天井をみんなで破って、消火器で何とか消して事なきを得たんですが、下手したら夜中だとそのまま大変なことになっていた。中にはそのまま燃えたらいいのにというふうに言う人もいたんですが、何とか無事終わりました。  そのときに思ったのは、あれ、漏電の場合はまず電気が消えるんですね。そうすると真っ暗になる。特に深夜だと全然分からない。煙は上の方から出て、上の方に行きますし、なるべく伏せて歩けとよく言われますけれども、そういうこともあって、私は二年前の質問をさせていただいたのは、蓄光式の誘導表示というのを導入したらどうでしょうかというお話をそのときさせていただき、ペンタゴン等も見てきたもんですから、そのお話をさせていただいたときに前向きな御返事をその当時いただいているんですけれども、それから二年たっていろいろ研究が進んだというふうに報告を受けました。  ただ、私のところにそれぞれのいろんなメーカーの方がお見えになったり、地方のそういう担当の方がお見えになって話を聞いていると、ガイドラインは出していただいたんですが、どうも消防署によって意見が分かれたり明確な指示がないということで、この辺がちょっと非常に困っているといういろいろな陳情も受けまして、私がかかわったことですので、是非その辺御助言をきっちりとしていただきたいという御要望もいただいておりまして、その辺の経緯も含めて御答弁をいただければ有り難いと思います。
  69. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 御質問の件でございますけれども、火災時に建物の在館者が避難口まで安全に避難することを支援する設備といたしまして、非常電源を持っておって、たとえ停電をした場合にも緑色に光る誘導灯というものと、光ることまでは求めておりません誘導標識という二種類のものがございます。不特定多数の人が利用する建物や地階などには、地下ですね、などには誘導灯を設置する必要があります。それ以外の建物には誘導標識を設置するということとしているところでございます。  今御指摘がございました蓄光式誘導標識も誘導標識の一つでございますけれども、近年の技術進歩によりまして従来より高い蓄光性能を有する製品が開発され、一定以上の平均輝度、明るさを有する高輝度蓄光式誘導標識であれば、通常の誘導標識より表示面の大きさを若干小さくしても同等の視認効果が確保できるということが実験により確認をされましたことを踏まえまして、本年三月に消防庁告示を改正しまして高輝度蓄光式誘導標識を告示に明記をしたところでございます。  この改正によりまして、消防庁告示に位置付けた高輝度蓄光式誘導標識は、真っ暗な場所でも見えるという特性がありますので、告示の運用細則を定めているガイドラインにおきまして、高輝度蓄光式誘導標識の活用を適宜図られたい旨、明記をしたところでございます。  お尋ねのございました、消防機関で若干混乱があるのではないかということでございますが、その標識の運用に当たりまして具体的にどのような支障が生じておりますのか、私どもの方には特段のことがないものですから承知をしておりませんが、消防庁の予防担当者と消防機関の予防担当者との間で定期的に開催をしております予防担当者会議などの場を通じまして、改正趣旨について適切に指導をしてまいりたいと考えております。
  70. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 この後質問する地方自治法の方は、やっぱりそれぞれ独自のアイデアでやってほしいという思いのところですけれども、安全に関してはやっぱり一貫したものが要ると思いますので、是非、消防庁の方も的確な助言、指示を、指導をしてやっていただきたいというふうに思います。  まあ新しい分野ですから、いろんなメーカーがどんどんどんどん出てまいりまして、そもそもこの塗料自体は日本の会社が作っているというふうに聞いておりまして、それをアメリカのベンチャー企業が向こうで導入をしたと。それをまた逆に日本に再輸入のような形になってきているわけなんですけれども、どうもやっぱり新しい分野になるとまだ熟知されていない中でいろんなメーカーが出てきて、混乱がどうもあるように私の方は聞いておりまして、まあ消防庁の方にはなかなかその実態は行っていないのかも分かりませんが、実際設置しようとすると、消防署によってはそれはできませんと言われたりとかということも聞いておりますので、是非実態の把握もしていただきたいというふうに思います。  もう一方で、これは事実確認だけしておきたいんですけれども、やはりそういう新しいメーカーが出てくる中で、四月の末に日経産業新聞の中に全面広告という形でこういう蓄光式のメーカーの宣伝が出ました。その中に消防庁の専門官のお墨付きのような文章が実は出ておりまして、私はそこまでは行っていないというふうに考えていたものですから、そういう事実、この事実に対してどういうふうに把握をされておられるのか、御答弁をいただけますでしょうか。
  71. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 平成十八年四月二十八日付けの日経産業新聞の企業の全面広告記事のことのお尋ねかというふうに思います。  取材は、日経産業新聞におきまして消防庁が行った誘導標識の制度改正内容を紹介をするという趣旨で受けたものでございまして、一企業の広告に悪用された形になったことは極めて遺憾だと思っております。また、平成十八年四月二十八日付けの日経産業新聞の広告記事は、広告代理店が取材とは全く異なった内容で掲載をしたものでございまして、この点についても非常に遺憾に思っております。  消防庁といたしましては、このような対応に断固抗議をいたしておりまして、日経産業新聞に対して、広告内容の誤りを正すとともに、改めて制度改正内容を紹介をするように強く申し入れておりまして、近日中、あしたの日経産業新聞紙上で掲載をされるというふうに聞いております。
  72. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 是非、現場が混乱しているという話も聞いておりますので、的確な処置を早急にお願いをしたいと。まあ明日出るということでございますので、そういう方向で是非進めていただきたいと思います。  それでは、本来の地方自治法のところに質問をさせていただきたいと思うんですが、私は、地方分権というのをずっとテーマに政治活動を続けさせていただいております。何度も竹中大臣にもそういうテーマで質問させていただいておりますが。  今回のこの地方自治法を質問するに当たっていろいろ勉強させていただくと、午前中に木村委員からも御質問があって、何条あるのかという話がありました。四百五十二条あると。私もここまで細かく決める必要があるのかというような内容までかなり細かく決められております。三位一体改革税源移譲ということで進めてきましたけれども、一方でやっぱりまだまだ中央の締め付けが多いという話は至る所で聞くんですね。この地方自治法なんか正に典型的なものではないかなというふうに思います。  その意味で、今回のこの改正は、まあ一定評価できる、多少前進したというふうには考えられるんですね。後でまた質問しますけれども、いろいろな特区申請等の要望もあったりとかで、そういうことも入れ込まれた中身ではあるんですけれども、午前中それぞれの委員からも質問がありましたが、まだまだこれで十分とは思えない、非常に細かい部分まで、こんなこと余計なおせっかいだというのがたくさんあるんですよね。ここをむしろ、要望ではなくて、総務省側からどんどん私は規制緩和の中でもっと出すべきではなかったかなというふうに思うんですね。  そういう総論的なことになりますけれども大臣、冒頭そのことについてどうお考えでございましょうか。
  73. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 総論的な大変重要な御質問だと思います。  私も総務大臣を命ぜられましてから、まあもちろん財政の勉強はしていたつもりでありますけれども、改めてこの地方の行財政仕組みをいろいろ細かいところまで含めて日々勉強しまして、やっぱりこれは本当に時間が掛かるかもしれないけれども抜本的に変えなければいけないことが随分たくさんあるなという思いでおります。  今、地方自治法について四百五十二条という御言及がございましたですけれども、そもそも、これ後からまた御質問あるのかもしれませんけれども一つの業務、これ国の仕事なのか地方仕事なのか、いまだに本当に分からない。非常に多重、多層的な仕組みに国と地方がなってまして、非常に複雑な多層的な仕組みになっているなというふうに思います。これ、やっぱり思い切って単純明快なシステムにすると、それが地方に自由度を与えることであり、同時に責任を持っていただくこと、正に真の地方分権につながっていくんだというふうに思っております。  その意味で、地方分権一括法によって明確化、これは二〇〇〇年の時点でやはりかなり前進はしたわけでありますけれども、それでもまだまだやるべきことはあるなというふうに思っております。その思いは、先般の三位一体改革の中で、これまた三兆円の税源移譲という大きな前進があったというふうに思いますが、やはりその中で、ここはいろんな御批判もいただきましたように、まだまだ不十分ではないかという点が逆に見えてくるという思いもいたします。  そういう点を踏まえて、これは地方にできることは地方にというその理念、これはもう不動のものだと思います。それを日々いろんな形で、私たちも日々の業務の中で見直せるものは見直すし、より大きな仕組みとして議論すべきものを議論すべき時期に来ていると私自身も思っております。
  74. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 私の地元の三重県は、比較的まだ企業も進出が最近増えていていい方なんですけれども、ずっと最近テーマになってきている格差の問題も含めて、やっぱり地方の中にはまだまだ景気の回復という恩恵を浴していないところがたくさんあって、それぞれ頑張ろうとしているんですが、やっぱりこの地方自治法の中の枠にはめられて、いや、そこはできないんですよというようなことが結構やっぱりあるんですね。  午前中にも質問の中で出たんですが、シティーマネジャーというアメリカの方式があります。私は、サンディエゴの市役所へこのシティーマネジャー制度の調査に行ったことがございまして、三重県の県議会議員の方々と一緒に、もう議員になる直前だったんですが、行ってきました。  そのときに見させていただいたときに、ああ、これは非常にいいなというふうにそのときは思ったんですね。まあ十分な調査ではなかったかも分からないんですけれども、非常に個性的なやり方がその中でやられておりまして、非常に自由度がその市に与えられているのを見させていただいて、日本でこれができないのかなというときに、そのときに議論になったときに、やっぱりこの地方自治法は様々足かせになっていると。だから、ここをやっぱりもう少し、もう少しというかもっともっと、竹中大臣が言われている地方にできることは地方にということを進めるんであれば、もっと積極的にいろんなことをやっていかなければいけないんだろうと私はずっと思っております。  その中で、地方分権推進委員会の最終報告が出てからまあ五年たつんですけれども、やっぱりなかなか権限の移譲とか、先ほど大臣が言われたように国と地方の役割のきっちりとした仕分というか、その辺もいまだにやっぱり進んでないのが実態だと思うんですね。私たちの民主党の方でも、国がやるべきこと、地方がやるべきこと、県がやるべきこと、市がやるべきこととかいろいろそういう分類を、実は分類表みたいなのを作りました。そうすると、かなりの部分地方に権限として渡せるんですよね。  ここがやっぱり明確に今のところ、さっき大臣が言われるようになっていないと。こういうことをやっぱりまず最初にして権限移譲をしていくべきだろうと思うんですけれども、この実態としてやっぱりその権限移譲、国の関与というのは、はっきり言ってほとんど、ほとんどとは語弊があるかも分かりませんが、減っていない。このことをなぜだというふうに大臣自身考えなのか。それから、今後、大臣はそういうことを改革したいということをずっと言われておりますので、それを改革をする方向にあると思うんですけれども、どういう方向に行きたいというふうに思っておみえになるのか、そのことをお伺いできますでしょうか。
  75. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 国の権限の移譲、そして国の関与の縮小というのが進まない、それどうして進まないのかという一番大きなお尋ねに関しては、これはまあ非常に正確に実証するわけではございませんが、これは先般の三位一体改革等々も通してやはり実感されるのは、国の各省庁が自らの権限を手放したくない、もう露骨にそのように思いそのように行動していると、私の目からはやはりそのように映ります。  先般の諮問会議でそうした点に総理も言及をされまして、どうして役人はそんなに仕事ばっかりしたがるんだと、自分の仕事を手放せばいいじゃないかと、どうしてそれやらないんだという発言をされました。全くそのとおりだと思います。しかし、これまでの経緯を見ても、やはりこれは自分の仕事だという思いがそれぞれ省庁にある。これは、権限を手放さないというとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、まあ非常に純粋に、これは自分たちがやらなければいけない仕事だと純粋に思い込んでおられる面もあるだろうし、権限という面も両方あるのだと、一応そういう言い方をさせていただくべきだというふうに思っております。  じゃ、それをどのようにしていくのかということなわけですが、実は先般、これまた諮問会議で私自身がやはり分権改革の加速のプログラムをこうあるべきではないかという私案を出しておりますが、その中の最も重要な一部に、分権一括法、新しい分権一括法を提出して、そしてまあできれば三年とか、そのぐらいの中期的なタームで提出をして、国と地方の役割の分担を根本的にもう一度見直そうと、そしてもっとすっきりとした、多層的ではない明快な分権のシステムをつくろうということを私自身提案をさせていただいております。  これは、骨太方針に向けて、そういうことを一つ方向として是非明示したいと思いますが、私自身、この私の提案に対しては各省庁の相当強い抵抗が予想されると考えております。相当抵抗するだろうなと思います。  私としては、総務大臣としては是非そこは頑張って、先生方の是非御支援もいただいて、その方向に是非一歩踏み出したいというふうに正に思っているところでございます。  分権一括法の見直し、そしてその中には地方からの御提案、また先生方で御検討してくださっているいろんな提案、ようやく議論の素材として活用できるというふうになると思うんですね。まず、私としては、その入口のところに是非持っていきたいというふうに考えております。
  76. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 おっしゃられるように、それぞれの省庁の抵抗は予想される中で厳しいんだろうと思いますが、やはり地方分権を進めていくというのはこれから必要、この国をもたせていくためにも大変重要なことだろうと思いますので、私たち自身も頑張っていかなきゃいけないんですけれども。  今回のこの法改正のいろんな中身を見させていただくと、幾つかは地方からの要望だったり、幾つかは地方制度調査会答申に沿ったようなものだというふうに思うんですけれども、実際、地方制度調査会答申をかなり参考にはされておられると思うんですが、この法改正を見ると、調査会の答申には出ているけれども今回の法案に盛り込まれなかったというのがかなりあるんですね。こんなこと別になくしてもいいのにと思うことが残されているのが結構あるんですよ。例えば、義務教育職員の人事権、それからまちづくり・土地利用に関する事務、商工会議所の設置認可とか、あと農業委員会の必置義務とか、いろんなものがあるんですが、こういうものについては、この地方制度調査会答申ではもう改正すべきだというふうなことが出ているんですが、法案には盛り込まれませんでした。  確かに、いろんなそういう団体の抵抗なり省庁の抵抗があって、いろいろな経過があって盛り込まれなかったのかも分かりませんけれども、なぜこういう部分が盛り込まれなかったのかという部分を御答弁いただけますでしょうか。
  77. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 二十八次の地方制度調査会答申内容は、いずれも地方自主性自律性拡大して、国から地方へと流れをより確かなものとする重要な事項と考えているところでございます。この答申で提言された様々な事項につきましては、その趣旨を尊重いたしまして適切に具体化を図っていく必要があるものと認識しているところでございます。  この答申のうちで必要な調整が整ったものにつきましては今回の自治法の改正案に盛り込んだところでございますが、それ以外のものにつきましても、引き続き具体化に向けて努力してまいらなければいけないというふうに思っているところでございます。
  78. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 特に、地方仕事にとっては自治事務と法定受託事務というものがあります。そういう中で、法定受託事務については国の代わりにやっているわけですから致し方ないところがあるんですけれども、特に自治事務というのは自由度をやっぱり高めるべきだというふうに思うんですね。これを先行すべきではないかなと。だけれども、今回の改正でもまだ十分とは思えない改正に終わっているわけですよね。  先ほど、それぞれの機関と調整が終わったところからというお話がありましたけれども、私は今回のこの法改正を見ていると、そういう部分を急いでやっているというふうにはちょっととらえられない。まだまだ何か地方制度調査会答申もこっちで出ているけれども、その中の一部取り込めば納得するだろうというような感じがどうもするんですよね。地方から見ると、もっともっと自由度を高めさせてくれよという要望が非常にあるはずなんですけれども、そういうところが出ていないというふうに思います。  ただ、さっき申しましたように、やっぱり自治事務については先行してそういう部分を自由度を高めていくべきだというふうに考えますし、もう一つは、お金の問題、補助金の問題でも両方に、自治事務も受託事務補助金が出ているわけですけれども、これについても整合性が取れないようなことになっていたりするんですね。だから、こういう部分をやはり早急に改めるべきだと思うんですけれども、これはいかがでしょうか。
  79. 高部正男

    政府参考人高部正男君) お答えを申し上げます。  さきの分権改革で国からの関与の方式等、特に機関委任事務の廃止といったようなものについてはかなりの見直しが行われまして、地方分権という観点からかなり進んだというふうに考えているところでございますが、やはり今御指摘ございました法律の規律密度といいますか、法律の中で地方団体事務在り方を縛る枠付け、枠を決めるといったものについて、もっと地方の自由度を高めていくというのは非常に大事なことだというふうに思っているところでございます。  こういう方向について言えば、従前の機関委任事務という概念からしますと、法定受託事務についても地方公共団体事務でございますので、地方公共団体が担うという意味では同じようにできるだけ地方公共団体の判断で行えるようにするというのが非常に大事だというふうに思っているところでございますが、これも御指摘ございましたように、特に自治事務につきましては、今般の二十八次地方制度調査会からも、国は制度の大枠を定めることにとどめ、地方公共団体が企画立案から管理執行に至るまで、できる限り条例等により行うことができるようにすべきであるという答申をいただいているところでございます。  それから、現在の地方自治法の二条第十三項におきましても、自治事務につきましては、国は、地方公共団体地域の特性に応じて自治事務を処理することができるよう特に配慮しなければならないというふうに規定されているところでございます。  今後とも、地方にできることは地方にとの理念の下で一層の権限移譲でございますとか、国の関与の廃止、縮小を進めることなど、真の地方の自律と責任を確立するための取組を行っていく必要があるものと考えているところでございます。
  80. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 三位一体改革の中で、予算案の中でもいろいろ地方交付税の問題だとか、そういう話の中で、国と地方六団体とのいろんなやり取りがありました。今回の改正の中でも地方六団体に情報提供していくということが設けられて、一定これは前進だろうと思うんですが、問題は、情報提供をする時期が問題になってくると思うんですね。結果的にすべて決まってから六団体に情報提供したところで、これは全く意味がない。今までと同じ話だと思います。  本来やるべきことは、いろんなことを決めていこうという段階で六団体なり地方に対して情報提供をした上で、そういう意見を取り入れて改正をしていくと、こういうことが大事だろうと思うんですけれども、この情報時期についてどういうふうにお考えでしょうか。
  81. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 今正に委員が御指摘いただいた点が制度を組み立てる上でポイントになる点かなというふうに思っておりまして、御指摘ございましたように、何といいますか、政策決定についてできるだけ柔軟といいますか、後戻りできる時期に情報提供がされるということが一方では必要だろうと思います。ただ、余り早いと制度の中身がまだ十分詰まらなくて、意見の聞き方も難しいというような面がある部分が一般的に言えばあろうかと思います。  今回の情報提供制度におきましては、各大臣が立案する施策の性質によりまして、当該事項に関連する連合組織への情報提供することが適当な内容、時期、方法が一定でないというようなことも想定されることから、これらについては特に法律上の規定を置かずに、各大臣がこの制度趣旨を踏まえて適切に判断するようにという形で制度設計をしているところでございます。  情報提供の時期といたしましては、法律趣旨にかんがみ、地方六団体が法律案等の内容を知り、それに意見を提出した場合に、必要な反映が可能な時期が望ましいと考えておりまして、このような運用がなされるように我々としても努力してまいりたいと考えているところでございます。
  82. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 今聞いていても、じゃいつなのかと言われると、ぴんとこないですよね。適切な時期と言われても、全部できてから適切な時期でしたと言われても、それは今の話でいけば、それで済んでしまう可能性もあります。  私は、もっと地方の方を信頼してもいいと思うし、地方の現場のやっぱり意見を聞くべきだろうというふうに思うんですね。もっと早い時期にやるべきだろうと思うし、それと、こういう協議を義務付けた方がいいんではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  83. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 地方公共団体意見を聞く仕組みについては、こういう情報提供を提案させていただいておりますけれども、各個別の分野でいろんなものがございます。  例えば地方制度調査会、今回議論しておる地方制度調査会ですと、地方公共団体の関係の委員さんに入っていただくような形で地方意見を反映しながらいろいろ議論するというような仕組みもございますし、個別の施策の中には法令の中で個別に地方公共団体意見を聞くようなことを盛り込んでいるような施策もあるところでございます。  そういういろんなものがある中で、一般的な情報提供制度としては特に規定をしておりませんけれども、例えば一つ在り方としてイメージできますのは、無論それだけで確定するわけではございませんけれども、今回の自治法改正案ですと、地方制度調査会でいろいろ議論しました。その過程でも委員に入っていただいて、地方団体意見を反映しておるわけでございますが、昨年の十二月に答申をいただいたわけでございます。答申をいただいて、私ども制度設計に入ったわけでございますが、例えばそういうタイミングでこういうような内容について法律考えているがというような情報提供をするというようなことが一つ考えられるのかなというようなイメージは持っているところでございます。  ただ、例えばということでありまして、その態様についてはいろんなものがあり得ると思いますし、それから、この関係のところは六団体でございますので、これからいろんな状況に応じていろんな意見の、意見のといいますか、コミュニケーションといったようなことも可能だと思いますので、できるだけこの制度が生きるような形で考えていったらというふうに考えているところでございます。  それから、協議制度までということでございますけれども、物によっていろんな法体系の中でおっしゃるような仕組み考えられている部分もあろうかと思いますけれども、今回いろいろ議論地方制度調査会でいろいろ御議論いただいた上で、現在地方六団体の意見提出権という仕組みがあるわけでございますので、そういう仕組みの実効性が保てるように事前の提供を義務付けるという形でやることがいいのではないかというような形で御意見をいただきましたので、それを踏まえて今回提案させていただいているものでございます。
  84. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 今聞いていてもちょっとぴんとこないんですが、なぜできないのかですね。やっぱりもっと地方のというか現場の声を是非吸収できるシステムをやっぱり法律を作る前に、制度をつくる前につくってほしいなと、そういうシステムをですね。  というのも、私もあちこち行きますけれども、先日、北方領土に行くときに根室周辺行かせていただきました。根室、釧路の辺り行かせていただいたんですけれども、ああいうところと私の住んでいる関西圏のところと全く条件が違うんですよね。住まわれている方々の感覚も全然違うし、環境も全然違う。これが、地方自治法なんか見ているともう全国どれでも、もう金太郎あめ状態だって昔から言われてきて、これは地方自治法に限らず、それぞれの省庁の運営自体がそういうことになっていて、それの弊害が随分出てきているわけで、やはり冒頭から言っているように、それぞれ分権を進めて、それぞれの地域が自分たちの考えで自分たちの特性を生かせるようなやり方をやるべきだと。それはやっぱり、そのことを一番分かっているのはやっぱり現場だと思うんですね。そういう声をやっぱり吸収できるシステムというのをつくっておかないと、永遠に中央と地方意見が合わないということが続くと思うんですね。  その意味で、私は、こういう協議ないしいろんな事情聴取を義務付けるべきだろうと思うし、そういう場を積極的に総務省側がつくっていくべきではないかなというふうに思っております。  その中で、質問通告をさせていただいたんですけれども財政の関係で今いろいろ、ここ数日も新型地方交付税の話も出ておりましたが、いろいろ動きがあるようです。大臣の御指示だと思いますけれども、いろんな改革を進めようということで報道されておりました。  実は、先週の二十六日に三重県でも地方自治体の危機突破大会というのがありました。いわゆる財政的な危機ですけれども、これを何とかしたいということで先週末あったんですね。それだけ、今出されている財政部分新型交付税の導入も含めて、三重県で見ると非常に問題があるということでそういう大会が行われて、私のところにも今後の地方分権改革についての緊急提言ということで提言書が届いておりますけれども、新型地方交付税の話が出ておりますし、三位一体改革のいろんな話の中で税源移譲の話が出たり、それから地方債の発行についての自由化の問題だとか、そういういろんなことが出ております。  ところが、これは減る側と増える側が当然出てまいります。大臣の出身地でもあり委員長の出身地でもある和歌山県が試算をしました。試算をすると、和歌山、三重県は減るんです、大幅にね、この制度を導入すると。いろんな、試算ですからいろんな方式で試算をしておりますが、面積割それから人口割で試算をしていくと、多くのところで地方交付税が大幅に削減をされると。北海道とか都会は増えると。むしろ、本来一番困っているようなところが減らされるというような形になってしまうというふうなことが試算では出ております。  実際はこれからいろんな部分を決めていくんでしょうから、そのとおりになるかどうか分かりませんけれども、この新型地方交付税というのを導入されるおつもりなのか、またそれに対してどういう、そういう声に対して、減らされる方から見りゃおかしいじゃないかという、一生懸命頑張っているのにまた減らされるのかと、この交付税自体の問題もありますけれども、そういう声に対してどうお考えでしょうか。
  85. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 交付税改革についていろんな地方で御懸念があると、心配だという声、私たちもそれは十分に承知をしております。  よい機会ですので是非二、三点申し上げたいんですが、一つは、いろんな御懸念の声を聞くたびに、今、国と地方を合わせたプライマリーバランスの回復をしなければいけない、つまり財政の健全化をしなければいけないという議論一つあります。その場合に、やはり地方財源が量的にどうなるのかというその量の問題があるわけですね。それと地方交付税仕組みそのものの問題とが非常に混同されて議論されているのではないかなという心配を私自身は少し持っております。  この量の問題は、仕組みを変えるにせよ変えないにせよ、今これだけの財政赤字の中で、国と地方がどれだけ歳出削減をしていけるのだろうか、歳出削減で足りない部分については国民の負担も考えなければいけないと、そういう今議論を一方でしているわけですね。これはこれでやっぱりちゃんとやらなければいけない議論だと思います。しかし、これは一方的に地方をねらい撃ちして、ターゲットにして交付税を減らせと、そんな議論であっては絶対にならないんだということは、これはもう私もかねてから申し上げているとおりでございます。  一方で、その量の問題ともちろん関連はありますけれども、実は仕組みの問題は仕組みの問題として非常にきっちりと議論をしていかなければいけないということだと思います。  先ほどから委員、国の役割、地方の役割、いろいろ御指摘くださいましたが、正にこれ仕組みにおいて非常に重要なところだと思います。この仕組みの問題に関して、今私たちが、私自身が諮問会議で報告させていただいたのは、まずさっき言ったように分権一括法を新しく見直すということをやっぱりやろうではありませんか、そして地方の役割、国の役割を明確にしようではありませんか。それはまずやらなければいけません。  今、国がいろんな基準付け等々をやっている。そして、それが非常に複雑な形で基準財政需要という形で測られているわけであります。そこで、国の役割か地方の役割か、だれが負担するかということも含めて非常に複雑な形になってしまっているわけですが、今の時点でも国が基準付けをしていない部分というのがあります。そういうところからまず始めて、非常に明快な形で人口や面積等を基準にして配付する新型交付税を導入しようではありませんか、そして今度、国の基準付けがどんどんなくなっていくんであるならば、できるだけその新型交付税の役割を順次、順次拡大していこうではありませんか、そういう議論をしているわけです。だから、そこは仕組み方向として、私が今申し上げたような議論をしているというのは事実でございます。  二点目として、ここで必ずいろいろ出てくるのは、当然のことながら、うちの町はどうなるかと、うちの県はどうなるかという問題。これはお気持ちとしては大変分かるところでございます。単純に人口、面積というふうに考えると、面積の大きいところないしは人口の多いところが非常に手厚くなって、そうでないところが薄くなってしまうのではないかという、そういう懸念が出てくるわけでございます。  しかし、これは具体的にそういう方向新型交付税のことを考えていくという意思決定ができたならば、その後の制度設計として具体的にどのような基準を決めるかという問題の話だと思っております。ここは当然行政でありますから単純に、できるだけ簡素に分かりやすく透明化はしたいわけでございますが、非常に単純に面積と人口だけで決めると、そういうことは全く想定しておりません。そうであるならば、北海道と岩手県、そして人口の多い神奈川県等々に手厚くなって、三重県や和歌山県が云々という問題が出てきます。しかし、そこは、繰り返し言いますが、これは行政です。非常に現実的に考慮すべき要因、小さな自治体は小さな自治体として基本的にはこれだけ必要だという需要がありますから、そういうことはきっちりと制度設計の中では考えてまいります。また、当然これ経過措置的なことも考えなければいけないというふうに思います。そういう制度設計として議論すべき問題は、これはもうきちっとした議論をする。  ただ、今いきなり制度設計の議論というのは、やっぱりこれできないわけです。まず方向を決めて、その方向を決めた上で、それでは現実的にいろんな要因を考え制度設計していくという、やはり私は手順を踏まなければいけないというふうに思うんです。そうしないと、改革というのは、これいきなり細かな話になるともうそこでばんとこういろんな議論が衝突して、大きな方向が見いだせなくなってしまうんですね。今私は、そういう意味では、方向をきちっと議論する段階。そして、制度設計の段階では、いろんな御懸念が当然生じないように、極めて現実的にいろんな制度設計が私はできるというふうに考えているところでございます。
  86. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 その辺の情報提供がやっぱり少ないから、こんな危機突破大会みたいなことをやらなきゃいけない。地方から見れば、マスコミ等の情報からしか、さっきの話に戻りますけれども法律を作る前に、制度を変える前に情報入ってきませんので地方は懸念が広がっていくと。それはそうではありませんよと言ったところで、法律が案として出てきた段階で言ってもなかなかもう間に合わないというようなことがずっと続いてきているから、地方側から見ればやっぱり国のことを信頼しないわけですよね。  是非そういう部分を、情報提供をもっと早めに、私は、全体を見るためにはそうかも分からないけれども、やっぱり現場から見て、もう結果が、法案がぱっと出てきた段階ではもう何とも致し方がないというような状況になっているのも事実なんで、私は是非そういう地方の声をやっぱりもっと聞くべきだろうというふうに思うんですね。  確かに、地方と国の財政を再建するためにいろんな改革をしていくことは、これ自身は必要だと思うし、やらなきゃいけないことですけれども、全部その数字だけでやっていくわけではないと思いますけれども、どうも今やられている方向というのは、その財政再建ありきがまずあって、特にそれも国の財政再建がまず優先されているという不満が物すごく地方にあるんですよね。それのしわ寄せが地方に来ていると。それを払拭するためには、やっぱりきっちりと情報提供をしていかなきゃいけないし、破綻法の話も出ておりますけれども、やはりセーフティーネットをきっちり張っていかないといけないだろう。どう考えても立ち行かない地方というのは当然あるわけで、そういうこともやっぱり国として考えていかなきゃいけないと思うんですね。  だから、そういうセーフティーネットも含めて是非考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  87. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 今委員言われたその二点ですね、情報提供をもっときっちりとやれという話と、そして地方の声を聞け、これはもう本当に私たち、それが極めて重要だと思います。それについて努力はしているつもりですけれども、なかなか十分な結果ではないというふうに、私自身反省すべきは反省をしております。  今、私が先ほど答弁させていただいたようなことも、これはいろんな場で、記者会見等々含めて申し上げているつもりなわけですけれども、新聞にはそういうことは全く出ません。それで、新聞だけ読むと、何かとんでもないことが起こるんじゃないかというような懸念を地方の方がお持ちになっていると、これは事実そうなんだと思います。  いろんな要因があると思います。その辺は、私も是非きちっとした正確な情報をメディアには伝えていただきたいなというふうに思うんですが、そういう思いをもう当初から持っておりまして、実はだからこそまず地方六団体に、地方六団体においても、私たち懇談会で議論しますから、地方六団体においても検討会で検討してくださいということをお願いしたわけです。  それで、実は検討会でもその新型交付税とほぼ同様の結論を今得つつ、得ているんですね。これは人口、面積等々による分かりやすい基準の交付税考えろというのは地方六団体の案でも実は出てきておりまして、そこは本質的なそごはないと私は思っております。で、それ、加えて先般ですね、懇談会の報告についても、これ座長預かりにしてもらいまして、もう一回その地方六団体の検討委員会意見交換をしてもらって、その意思疎通もきちっと図ろうではないかということのような仕組みにしております。  一方で、これはまた委員おっしゃったとおりなんですけれども、国の財政再建、財政再建だけじゃなくて、国の財政再建を優先させるようなことがあってはいけないというふうにおっしゃいましたですけれども、そういうことを唱えている人たちがいるということも、これまた残念だけれども事実なわけです。これ、霞が関の中にそういうことが最近露骨に前面に出て、私たちはもう大変これは問題だというふうに思っているんですけれども、そういう声があるというのも、残念だけれどもこれも事実ですね。  私たちは、やっぱりその地域地方の方々に対して本当に今考えていることをきちっと御説明すると同時に、そういう一部の間違った考えに対してもしっかりと説明をしていかなければいけないと思っています。その意味では、これはもうまだその情報提供等々の努力が不十分だと言われれば正にそのとおりで、我々もしっかり対応したいと思うんですけれども、是非ともいろんな機会で先生方におかれましても今の状況につきまして我々を助けていただきたいといいますか、情報が世間に正しく伝わりますように御協力を賜れれば有り難いというふうに思っております。
  88. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 私が十分理解できなかったのかも分かりませんが、大臣の答弁によると、国の財政再建を優先する、それが地方財政再建は別に犠牲にしてもいいというようなことの思いの中で国の財政再建を優先させるということがおかしいということが間違った意見だというふうに言われているんでしょうか。私は、それだとすると、非常に地方にとってみりゃ正にそこが不満になっている点だというふうに思うんですが、いかがでしょう。
  89. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) いつかの経済財政諮問会議で私と民間議員のやり取りがありますので、その部分を是非一度ごらんいただきたいと思うんですが、実はそのとき、国の、国と地方を合わせたじゃないですよ、国と地方合わせてプライマリーバランスを二〇一〇年内初頭に回復させるというのは、これはずっと言ってきたわけで、今そこに進んでいるんですが、それに加えて、国の、国だけのプライマリーバランスを、二〇一五年だったですか、その時点で回復させることを目標にすべきだという意見が出てまいりました。私は、それについておかしいのではないかというふうに申し上げたんです。なぜならば、それを無理やりやろうとしたらですよ、例えば場合によっては、これちゃんとした数字の裏付けがあればともかくですね、数字の裏付けもなくそれだけ実現しようと思ったらですよ、地方から無理やり取り上げて国に持っていくしかなくなるじゃないですか。そんなことになるような、なり得るような目標は絶対決めるべきではないと、これ私申し上げたわけです。これは、国と地方合わせたプライマリーバランスの回復を今目指しております。  しかし、よくある議論は、地方プライマリーバランスが回復している、だから国が回復していないから国のプライマリーバランス回復を重視すべきだと。これは、一般論としてそこまで言うのはだれも否定しないかもしれませんけれども、それはしかし現実的にやらないと、その目標を無理やり達成しようとしたら、地方から無理やり吸い上げて地方から国への移替えをやるように取られかねないわけですよね。それは、これは間違っているということを私は強力に申し上げているわけですが、私が言ったような意見政府内部の中でも出てくるわけです。だから、そういう誤った意見があるというのは、それに対して私たちは断固やはり極端な議論にならないようにしなければいけないと。ちょっと、私はそういう趣旨で申し上げているところでございます。
  90. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 正に、そこの誤解がそれぞれにかなりある。まあ、誤解なのか本当なのか分かりませんが。地方から見りゃ、例えば地方交付税削減にしろ三位一体改革税源移譲にしろ、まず国の財政再建を優先させるためにおれたちにしわ寄せをさしているじゃないかと、そういう声が地方から出ているのは、これはもう事実ですよね。だから、ここをやっぱりコミュニケーション、さっきもコミュニケーションを図るという話があったけれども、実際は本当にそういう方向に行っているのかどうかというのが非常に疑わしいと思うんですよね。だから、ここを、信頼関係がない限り地方は国のそういうことに協力はしないし、一生懸命やろうという気にはならないと思うんですね。  よく竹中大臣や総理も言われているようでありますけれども地方はまだまだ甘いという、そういう削減に対して真剣に取り組んでないじゃないかと、交付税があるからそういうふうになるんだというような話もあったりするんですけれども、私はやっぱり、地方から言うと地方交付税はそもそも地方の分であって、それをいったん吸収して再分配しているようなもので、権限を維持するためにそうしているんじゃないかという声はもう常に出てまいります。  それはもう常にずっと出ている話ですけれども、昔はお上のというか、国の言うことを聞いて地方はやってりゃ何とか済んだんだという、そういう時代が確かにあったのも事実ですけれども、今はそうではなくて、やはり地方分権進めていかなきゃいけない、地方のそれぞれの特性を生かしていくためにはやっぱりこの地方自治法改正を更に進める必要があると思うし、財源もやっぱりきっちりと確保できるような、そういうセーフティーネットはやっぱり張っていくべきだろうというふうに思うんですね。  その意味で、やっぱりいろいろ、どっち付かずになってしまうかも分かりませんけれども、やはり地方から見ると、いろいろなここ数日出てきている新型交付税の話とかそういうことについても非常に懸念があるのは事実なので、やはりもう少し情報提供もしてほしいと思うし、その地方の声を聞いていただきたいというふうに思います。  まあ、時間がだんだん少なくなってまいりましたので、最後に議会の部分を聞きたいと思うんですね。午前中にも自民党の先生から質問がありました、議会の問題。  これは、平成十六年の十月の十八日に、三重県議会から、改革特区の第六次提案というのに応募しているんですね。基本的には四つのことを特区申請をしています。議会のことを特区申請するというのは非常に珍しくて、いろんな経済的な特区申請というのはかなりあのとき出ました。このときに、議会制度のことの特区申請を三重県議会が出したんですけれども、その中の多くは今回のこの改正の中に盛り込まれて、私は一定の前進だろうというふうに思います。  ただ、中には十分でない部分も残っておりますし、特区申請をした部分がこの中に入れられるというのは、それはそれで評価はできるんですが、冒頭に言いましたように、特区申請をしたりとか、それからいろんな調査会の答申だとかそういうところから出てきたものしかやっぱり出さないと。小出しにしているというか、もうもっとどんどん出せばいいのにと思うんだけど、もう言われたものだけしか出さないという本当にやり方に対して私はこれはおかしいんではないかなというふうに思うんですよね。  それはそれとして、この議会の問題は平成十六年、二年前の十月十八日、まあ実質は一年半ぐらい前でしょうか、に特区申請をしました。やり取りをずっと見ると、十月十八日に特区申請をしたら、十一月三十日に特区推進室から総務省検討を要請しているんですね。そうすると、十二月十八日に総務省からノーという回答が来ている、できませんと。十二月二十日に、またその特区室の方から、推進室の方から総務省へもう一度検討しなさいという要望をしているんです。ところが、これが翌年の、翌月になりますけれども、一月七日に、基本的にはそんなことはできませんというふうにまた回答が来ています。それに対してまた三重県議会がもう一度検討してくださいと言って要請をしているんですね。それでまた、ややこしいんですが、何度も何度もこれやり取りしているんです。  実質、この今回の地方自治法改正の中で多少入れましょうということが決まったのは、丸一年後、平成十六年の十月に、十月十八日に申請して、そういう最終回答になったのが翌年の十七年の十月の二十一日、もうちょうど一年後に、まあ地方自治法の中で検討しましょうという答弁がようやくそのときに出ているんですよね。これだけの経緯をずっと経てきて、何度も何度も、四回、五回行ったり来たりしているんです。これでようやく出てきた内容が実はここの議会の改革部分の中に入れられていると。これだけ掛けてもこれだけかよという、それにしては、そんなレベルのものしか私は出てないように思うんですね。  私は、さっきのその情報の問題も言いましたけども、もっとフレキシブルにやれないのかなという、これだけ手間が、何で掛ける必要があるのかというのは非常に思ったんですけども。  これはまあ質問通告、そういうことでしてませんが、大臣、いかがですか、この経緯を見て。
  91. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 当時の経緯をつぶさに承知しているわけではないんでありますが、改めて今の委員のお話を伺いまして、本当にもう少し何か対応の仕方がなかったのかなという思いはいたします。ちょっと詳細、また後で局長からありますが。基本的には、特区といえども法律に違反することはできませんので、その法律を変えて対応しなければいけないものはその法律を変えるというそういう対応が、基本的判断を当時の総務省はされたのではないかなというふうに思います。運用で改善できることはこれは正に特区になじむわけでありますけれども法律で、法定事項については法律を変えなければいけない。一年掛かったということでありますが、議会のサイクルから見て、一年を要するというのは長いという御評価もあるかもしれませんが、担当としてはそれなりに、まあ一年ですから、一生懸命やったということなのかもしれません。  ただ、そういうこの特区の問題を超えて、一般論として、もう少し大胆にやらなきゃいけないという、そういう気持ちは私自身も大変持っております。私が前の部署におりますときは、特区については原則すべて認めろということで指示を出して、かなり無理をして特区を認めた事例もございました。そういう意味で、機動的に、法律改正を要さないでできるところはそういうふうにやるというのは、これは総理の指示もあって大分浸透してきていると思います。  法律の中身についてもっと大胆に変えろという御趣旨も含まれていたと思います。それについては、これはもう我々にとって大きな宿題でありますので、引き続きしっかりと検討させていただきたいと思います。
  92. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 今回、その特区申請で出た項目四つというのが、県議会議長への県議会招集権の付与、それから県会議員の複数常任委員会への所属、県議会への附属機関の設置知事が行う専決処分の要件の見直しと、これは正に今回出ている内容に非常に沿ってはいるんです。ただ、基本的には、特区申請に出た中身とはやや後退しているような部分もあったり、微妙な言い回しで変えたというようなことを言っている部分もあります。  私は、この特区、こういう特区申請の思いみたいなのはここに十分、私はまだまだ十分ではないと思うんですが、十分反映されているのかどうかはちょっと疑わしい部分もあるんですね。まあ一定の前進ではあるとは評価をしますが。ただ、やっぱりこういう部分、さっきの話じゃないですが、地方の声、これだけ自分たちで頑張ろうというふうにやっているわけですから、もっと十分反映をしていただきたいと思うんですけども、これは十分反映されていると評価をされているんでしょうか。
  93. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 大変厳しい御指摘をいただきましたけれども、今回の改正につきましては、このような特区申請もございました。それから、各三つの議長会がございますが、議長会等でもいろいろ議論をし、いろんな御意見をいただいたところでございます。    〔委員長退席、理事森元恒雄君着席〕  そういうもの等、全体を併せて地方制度調査会議論させていただいて今回提案させていただいたというふうに思っているところでございまして、小出しにということでございましたが、入っている内容につきまして、例えば長と議会の根本的な関係に関すること、専決処分につきましてもそうでございますし、招集権というのも、これも長い経緯があって今のような仕組みになっている部分もございますので、なかなかいろいろな慎重な議論要るよということもございました。そういうものについていろいろ地方制度調査会の中で御議論をいただきまして、今回、改正案提案させていただいたということで御理解をいただけたらと思っております。  無論、今回の中で、例えば、ちょっと今触れましたけれども、議長への招集権そのものを付与したらどうかというものは招集請求権になっているといったようなこともございます。そういうことの中で、引き続き検討しなきゃいけない事項、これ以外にもございますが、そういうものもいろいろ今回の地方制度調査会の中での議論にも残っておるところでございまして、こういうものにつきましては、我々として引き続き真剣に検討さしていただきたいなというふうに思っているところでございます。
  94. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 もう時間が来ましたので終わりたいと思いますが、さっき大臣からは、役所側とすればそれなりに頑張ったというお話もありますが、でもやっぱり一年長いですよ。何度も何度も同じような答弁やっているんです。もっとフレキシブルに対応できるシステムをやっぱりつくっていかないといけないと思います。  この議会の問題でも、三重県議会では、今回のこの改正を受けて、年度内に議会基本条例というのを制定する予定でおります。その中で、地方議会というか県議会の新しい動きをしていきたいという前向きな考えがありますので、是非とも、まだまだ今回の部分改正できなかった部分、それから四百五十二条もあるというそのいろいろな取決め、こういう部分はもっともっと総務省側から変えていくんだという姿勢を是非見せていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
  95. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 民主党・新緑風会の那谷屋正義です。  ただいま議題となりました地方自治法の一部改正案にかかわる諸課題について、それから今も少しお話がありましたが、また経済財政諮問会議に竹中大臣が出された歳出歳入の一体改革にかかわる地方財政改革に込められた考え方についてお尋ねをしたいというふうに思います。  今回の地方自治法改正案は、地方自主性自律性拡大をうたった第二十八次地方制度調査会答申を踏まえたものであるというふうなことが先ほど来から分かってきているわけでありますけれども、基本的には了解できるものでありますけれども、今後に残された課題がまだまだたくさんあるというふうな観点で御質問をさしていただきたいというふうに思います。    〔理事森元恒雄君退席、委員長着席〕  まず、国の個別法令による義務付け等の緩和についてでありますけれども、地制調答申は、地方自主性自律性を高めていく見地からは、個別法令による地方公共団体事務の義務付け、事務事業執行方法、執行体制に対する枠付け及び関与を縮小していくことが求められているが、現実にはむしろこれらの新設が行われていると。望まれている改革の姿からは遠ざかっているような、そんな形を、そういうことを苦言を呈しているわけであります。  政府はこの際、答申を踏まえて、国の法令による義務付け、枠付けや関与について点検し、そして順次見直しを進めるとともに、今後制定する法令についてはこのような義務付け等の縮小に全力を挙げる必要があるというふうに考えます。  また、答申は、特に自治事務については、国は制度の大枠を定めることにとどめ、地方公共団体が企画立案から管理執行に至るまでできる限り条例等により行うことができるようにとも述べているわけであります。  至極当然の指摘であり、先ほど来から四百五十二条という膨大な条文であるというようなこと、そうしたことがある中で、答申趣旨に沿った速やかな対処、見直しが求められているんではないかというふうに考えているところでありますけれども、まずこの点について見解をお願いいたします。
  96. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 国の関与、これはもう本当に必要最小限度にとどめなければいけない、そうしないと地方分権はあり得ないというふうに思っております。  今、那谷屋委員、二十八次地制調の中から重要な部分を御引用くださいました。事務事業執行方法、執行体制に関する国の法令は、地方公共団体自律性を高める内容とすべき、特に自治事務についてでありますけれども、これは制度の大枠を定めることにとどめ、地方公共団体が企画立案から管理執行に至るまでできる限り条例等に行う云々、ここはもう正に、委員は至極当然のこととおっしゃいました。私も至極当然のことがここに、しかし重要なことが示されているというふうに思っております。  その意味では、地方にできることは地方にという理念の下に、国の関与の廃止、縮小、これは日常の中で、行政の中で常に心掛けなければいけないという、日常的にやっていかなきゃいけないということがございます。一方で、やはり少し大きな仕掛けでこれをもう一度見直そうではないかという、そういう思いが私自身にはございます。したがって新しい分権一括法の制定ということを申し上げているわけでございますけれども、これはやはり両方必要だと思うんです。でないと、この分権一括法ができるまで何もしないというようなことになってもいけませんので、これは両輪で、日常的なことと制度の大枠の見直し、これは是非、地制調の答申に書かれているごく当たり前のことを実現していくために必要であるというふうに思っております。
  97. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 新地方分権一括法については後ほどまた質問をさせていただきたいというふうに思いますが。  要するに、地方自治法による画一的かつ詳細にわたる、もう何度も言いますが、四百五十二条、そうした規制そのものが地方自主性自律性を阻害していることにもっと自覚的であるべきだと指摘している方もいらっしゃるわけで、総務省としては、地方自治法のみならず、率先垂範して所管の法令を総点検して、地方自主性自律性を更に拡大していくべきだというふうに考えているところでありますが、いかがでしょうか。
  98. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 今の御指摘は、四百五十二条ある地方自治法がその典型でございますけれども、自ら率先して所管の法令を総点検しろと、これは私たちやっぱりそういう姿勢で臨まなければいけないと思っております。重要なことは地方自主性自律性拡大していくことである。  このため、地方自治法に限っても、公の施設の指定管理制度の創設、そしてその法定制度の廃止、そして特区の提案も踏まえた小規模な市における収入役の必置規制の廃止、そして議会の定例会に関する招集回数の制限の撤廃等の自治法改正をこれまでも行ってきたところでございます。しかし、率先して更に引き続きやるという、そういう姿勢が我々に是非必要であると考えております。
  99. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 先ほど同僚の高橋委員からも、特区からの申出だけでなくて自らというところ、このことがやっぱりこうした改革を促進する意味では非常に重要ではないかというふうに思います。  次に、地方六団体による意見の申出制度が、九三年の参議院における地方分権推進に関する決議の議決と同日の本会議で、しかもこの総務委員会の前身である参議院地方行政委員長提出による委員会提出法律案として可決されております。  このような大きな意義を持つ意見の申出制度の活性化を図るためにも、特に今回の情報提供制度の実効ある運用等に期待を寄せるところでありますけれども、これも先ほど質問がありましたが、少なくとも事前に、適切な時期ということをさっき言われたわけですけれども、まず、地方意見を反映することができる適切な時期という、そういうまくら言葉も私はあえて言わせていただきたいと思いますが、その要件、それから、あわせて、関連する資料を添えてという、この二つの要件について徹底されてしかるべきではないかというふうに思うわけでありますが、いかがでしょうか。
  100. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 御指摘ございましたように、六団体の意見提出権、これは私どもにとって非常に思い出深い、思い出といいますか、五十年代中ごろからいろいろ議論があったものがなかなか制度化できなくて、委員指摘いただいたような形で制度改正に至ったという非常に経緯を有するものでございます。  今回の改正は、そういう意見提出権を実効あらしめるようにするために事前の情報の提供が必要じゃないかということで地制調で御意見いただいて改正しようとするものでございます。この意見提出権を実効あらしめるようにという意味からしますと、正に委員が御指摘いただきましたように、タイミングと中身というのが非常に大事だというふうに思っておりまして、法文上は適切な措置を講ずるようにということでいろいろな弾力的な形で対応ができるような規定ぶりにはなっておるところでございますが、それこそ意見提出の実効性が確保できるように、今御指摘のような点も含めまして的確な運用がなされるように、我々としても努力してまいらねばいけないというふうに思っているところでございます。
  101. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 是非よろしくお願いしたいというふうに思います。  それから、答申は、事務事業移譲について、義務教育教職員の人事権、まちづくり・土地利用に関する事務、商工会議所の設置認可等の事務等の移譲や関与の廃止、縮減について所要の措置を講ずるべきであるというふうにしているわけであります。地方自主性自律性拡大という掛け声の割には、先ほど来から言われていますように、事務事業移譲として挙げられた項目が少ないのではないかというふうに思われるわけです。それ以上に残念なことは、今回の改正案に具体的な措置が盛り込まれてなくて、今国会においてこれらの個別法による改正案も提出されていないというふうなことを指摘せざるを得ないというふうに思います。  政府としては、これらの事務権限の移譲について、今後どのように対処し、またいつごろまでに結論を得ようとしているのかお答えお願いします。
  102. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 事務権限の移譲の問題、そして関与の縮小、廃止の問題、これ二十八次の地制調において幾つか御提言されたものに関しては関係省に対して協力を、我々としては関係省に対して協力をお願いしたところでございます。  このうち、ちょっと例示的に申し上げますと、中核市等に対する県費負担教職員人事権移譲については、これは政府内において答申と基本的には同じ方向での検討が行われているというふうに認識をしています。また、商工会議所の定款変更等の認可の事務でございますけれども、これについては北海道等の一部の限られた都道府県に対してではありますけれども、一定の場合に移譲することを規定する道州制特区法案が今国会に提出されたところでございます。そういう動きがありますので、我々としてはしっかりとそういう動きを見守っていきたい。地方にできることは地方にやると、現場を信じて現場に任せるというのが当然我々の基本方針でございますので、一層の事務権限の移譲、関与の廃止、縮小、引き続き推進をしてまいりたいと思っています。
  103. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今、一つの例の中に義務教育教職員の人事権のお話もあったわけですが、正に教職員というのは、今、国と県からも三分の一、三分の二になりましたけれども、それでお金は県から払われている。しかし、政令市とかそういう場合は人事権はその政令市にあったりなんかするというふうなこと。そうすると、一々県にお伺いを立てたりなんかしなきゃいけないという非常にねじれ現象がありまして、非常に現場がスムーズにいかないというような問題がある中で、やはりこうした問題はより現場に近いところで解決できる、あるいは措置できるやり方というものをやっぱり目指していかなきゃいけないというふうに思いますので、是非こうしたことは速やかに行われ、ただし先ほど言いました幾つかの都市に絞られるというような形ですけれども、やっぱり余り小さ過ぎちゃうと、例えば人事権の問題でも狭い範囲内で同じ先生しかいないというふうな形になった、これがいいかどうかという問題は実はあるわけで、教育の活性という部分でもあるわけですから、その辺を少し考えながらやっていかなきゃいけないのかなというふうに思っていますので是非お願いいたします。  それから、先ほど新分権一括法についてお話が少しありましたが、五月十日の経済財政諮問会議に竹中大臣地方財政改革について提案を行われており、その中で新分権一括法の制定についても触れられています。同提案では、地方の自由度がないという認識に立って、分権一括法までさかのぼって国の役割、地方の役割を明確化していく観点から新分権一括法の制定を掲げていらっしゃるわけです。新分権一括法の制定の内容として、資料では「条例の上書き権、国と地方の権限と責任を明確化、単純明快な分権へ」が記されております。また、かなりの部分は国が基準付けをして法律で縛っているものもあるというふうにも述べられております。このことから、地制調答申にあったような、個別法令による地方公共団体事務の義務付け、事務事業執行方法、執行体制に対する枠付け及び関与については、この新分権一括法で見直していくことを考えているように思われるわけですけれども、それでよいかどうか。  また、竹中大臣の提出資料や議事要旨を見ても、事務事業権限の移譲については文言が具体的に見当たらないんです。十日の諮問会議の開催趣旨が当該課題でなかったことは承知するところでありますが、これも当然新分権一括法で見直していくものに含まれていると考えてよいかどうか。  さらに、新分権一括法については、地方制度調査会等の場でこの秋までに検討に着手し、二年程度で結論を得て三年以内に提出というふうにあります。地方制度調査会だけでなく、等としているのはどういう理由によるものなのか。地方六団体が設置した新分権構想検討委員会は国と地方の協議の場の法定化により地方財政会議設置を提案しているが、こうした場を含むということなのか。  以上、三点か四点かよく分からなくなりましたが、見解をお願いいたします。
  104. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 私も一瞬三点か四点かと思ったんですけれども、そのように言ってくださいましたので、包括的に可能な範囲で御答弁をさせていただきます。  諮問会議には私も、今、那谷屋委員が御指摘くださったような思いを込めて、私の案として提出をさせていただいております。  まず、個別法令による事務の義務付け、枠付け等を見直す、これはそういうことが正に必要であるという認識でこの案を出させていただいております。そして、事務権限の移譲についても対象になるのかという御趣旨だったかと思いますが、これはもう当然そういうことを含めて議論をしないと一括法議論する意味はないというふうに思っております。  今後のスケジュール等々について、私としては、三年程度をやはりある程度見越せる未来ということで、その程度をめどにやるべきだというふうに思います。しかし、前回のときは、五年とか、議論が始まってからは七年ぐらいたっていたかもしれません。相当の年数を要している。しかし、前回のノウハウといいますか、我々の学習効果もあるわけでございますから、その意味では三年程度を目途にやるべきだろうというふうに私自身が今提案をしております。  それと、地制調等の場でということでございますが、これ前回も、まず推進法を作って、それで枠組みを決めて、それでしっかりとした体制でやっていったというふうに聞いております。そういう手順をどうするかということについては、これはまたもう少し具体的に考えなければいけない問題が出てくると思います。  しかし、ともあれ、先般私が政府の中で提案をさせていただいたのは、当然のことながら、先ほども言いましたように、各省庁は相当反対するだろうというふうに思います。しかし、この方向について、何とかやるという方向、合意にこぎ着けて、そのための手順についてはまた合意を踏まえた上でしっかりと検討を、制度として検討していくということではないかと思っております。繰り返し申し上げますが、これやっぱりやらないと、地方分権前に行かないと私は思うんですね。でありますので、政府内部での反対も承知の上で今提案をしておりますので、是非ともいろいろな御支援を賜りたいと思っております。
  105. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 少し具体的なところに入っていきたいと思いますが、今回の改正案は、約百二十年続いたいわゆる首長、そして助役収入役の三役体制を変更して、特別職出納長収入役を廃止し、長のトップマネジメント体制を副知事、副市町村長に一元化しようというふうにするものであるというふうに理解をしています。  元々、出納長収入役特別職として別建てにした、言ってみれば別建てにした制度設計の考え方はどのようなものであったのか、また引き続き会計事務の公正な執行を確保するため今回どのような措置をとっているのか、併せてお伺いをいたします。
  106. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) まず、収入役でありますけれども、これは明治二十一年の市制町村制によりまして、会計事務の適正な執行を担保するためということで、収入に関する内部牽制制度として、独立した権限を有する機関として設けられたというふうに承知をしています。また、出納長でありますけれども、これは都道府県知事が戦後国の行政官庁から公選の長に変更されたことに伴いまして、この収入役制度にならって設けられたものというふうに承知をしております。  しかし、こういう中で機能してきたわけでございますが、今回、出納事務の電算化の進展などの状況変化等を踏まえまして、議会の選任同意を要するところの特別職たる出納長収入役は廃止するとしているわけですけれども、しかし一方で、会計事務の適正な執行を確保することが必要だというその認識は、これはもうもちろん変わらないわけであります。むしろ、会計に対する重要性認識というのは世間一般でも高まっていると思います。そこで、会計事務に関して独立の権限を有する一般職会計管理者を置く、そしてそれによって適正な会計事務執行を確保するとしているところでございます。  具体的に申し上げますと、現行の出納長収入役と同様、会計管理者は長の行う支出負担行為に関する確認でありますとか現金の出納及び保管などを行うことになる。また、現金等の亡失等の損害賠償責任でありますとか、監査委員、議会のチェック等によりまして適正な会計事務執行は担保されるというふうに考えているところでございます。
  107. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 事務作業等が電子化等によって相当簡略化されてきてというふうなことの中で出てきたことだと。しかし、その重要性については引き続き担保するということで、是非これも担保していただかなきゃいけないなというふうに思いますが。  今回の改正案では更に、助役に代えて副市町村長を置くこととするほか、副知事、副市町村長の定数は条例で定め、その権限は長の権限委任等によって明確化することにより長のトップマネジメント体制を強化するものというふうになっているわけであります。  しかし、この法案が成立して地方自治体が実際に運用する場合に、改正趣旨が明確でなければ現場で混乱を起こしたり趣旨を逸脱するような事態も予想されることから、この際、確認をさしていただきたいというふうに思います。  副知事及び副市町村長の定数は条例で定めることとし、特に上限が定められておりません。これは地方自治体の自主性にゆだねたものと考えるわけでありますが、一方で、例えば市町村合併で旧市町村長をすべて副市長に任命するように、いわゆる処遇的に使われる懸念はないか、そんな心配をするところであります。それも是非伺いたいというふうに思います。  また、トップマネジメントというからには、副知事、副市町村長も常識的に見ておのずと一定の限度があるというふうに考えられます。現行の地方自治法の枠組みでは、都道府県単位でいえば原則一名、ただし条例により増加できるというふうになっているわけでありますが、総務省としてどのぐらいの人数が適当というふうに考えていらっしゃるのか、お考えがあればお願いします。
  108. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 今回の改正は、地方公共団体の組織面における自主性自律性拡大を図る観点から、副知事、副市町村長を原則一人置くこととする地方自治法規定改正して、定数について条例にゆだねるということにしたものでございまして、各地方公共団体におきましては、行政改革の視点も踏まえつつ、適切なトップマネジメント体制の構築の検討がなされるものというふうに考えております。御懸念、指摘された点については、その辺は地方自治の中で解決されるべき問題かなというふうに思うところであります。  もう一つ、常識的に一定の限度があるのではないかということでございますが、各団体等に応じて、それぞれの団体でこの辺が常識かなというようなものがそれぞれの地域であり得るのではないかという意味でございましたら、私もそういうものはあるのかなというふうな感じはいたすところではございますが、総務省として何人ぐらいとかというようなことはなかなか言い切れるものではないのではないかなというふうに考えているところでございます。
  109. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 地方団体の常識というものにゆだねたいと。最近、常識が常識でなくなっている、そういう状況にもなってきていて非常に大丈夫かなということで、もう一つそのことについて御質問をしますが。  今回の法改正で、副知事、副市町村長の職務に、長の権限に属する事務の一部について告示を定めることにより委任をして事務執行することができるようになっています。副知事、副市長の人数を増やしたような場合、個々の副知事、副市町村長に対しきちんとした権限の委任がなされないと、副知事間、副市町村長間で権限をめぐる混乱が生じたり、あるいはだれが責任を負うのか不明確になったりして執行機関が、執行機関全体が責任を負わない体制になってしまうおそれもあるのではないかというふうに老婆心ながら考えるわけであります。  これらの想定され得る事態の総務省としてのマニュアルといいますか、対処方針があればお聞かせいただきたいと思います。
  110. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 現在の段階でも、地方公共団体で複数の副知事あるいは助役制を取っているところもございまして、こういうところでは首長による担任事項の設定などによりまして適切に運営されているというふうに考えているところでございます。  今回、長の権限を委任して執行できるようにということを入れさせていただきました。これは確認的な規定で、従前の規定ぶりが十分明確じゃない部分がありましたが、今回はっきりさしていただいたところでございますが、今回は副知事、副市町村長への委任ということで、それを告示するという格好で明確化するというふうな形になっているところでございます。  相談があれば、今回の改正趣旨についてあるいは委員指摘のような懸念について、私どもとしていろいろ情報提供はさしていただきたいと思いますけれども、基本的には地方公共団体の方で適切に検討していただいて対処していただけるものではないかなというふうに思っているところでございます。
  111. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 とにかく地方が本当の意味での独立という意味では、今言われたようなところが大事じゃないかなというふうに思っているところであります。  長のトップマネジメントを強化するのであれば、これに対応してその監視機能を強化する観点から地方議会の強化を図らなければならないと。その意味で専門的知見の活用に関する改正等も盛り込まれたんではないかなというふうに思うわけでありますが。  ところで、地方分権の推進に当たっては、これまではどちらかといえば団体自治の拡大に重点が置かれてきたように思われます。その側面の強化の必要性を軽視するものではありませんけれども、私自身は住民自治の拡充強化にもっと力を入れるべきではないかと考えてきたところであります。  この観点からも、地制調答申が住民を代表する議会の議員について幅広い層から人材確保等をうたっている点は特に評価できる部分であります。答申は、「議会には、多様な民意の反映、さまざまな利害の調整、住民の意見の集約などの役割が求められており、議会の構成や運営において、議会の意思と住民の意思が乖離しないような努力が従前にも増して必要とされている。」として、「住民を代表する議会の議員に幅広い人材を確保できるように、女性や勤労者が議員として活動する上での便宜に資するよう休日、夜間等に議会を開催するなどの運用上の工夫をすべきである。」というふうに述べているわけであります。  地方自治体のことを住民自身が、お任せではなくて、自らのこととして地方行政に参画していくことが住民自治の観点から極めて重要になっているというように思います。議会活性化に向けた様々なアプローチは新たな地方自治を築いていく上で極めて重要であり、具体的に実現していかなければならないというふうに考えますけれども、これについての見解をお願いいたします。
  112. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 地方分権議論するとき、私自身、よく現場を信じて現場に任せるという言い方をさせていただくわけでございますが、やはりその意味するところ、最大のポイントは、住民がしっかりと参加し、関与するということだと思います。参加、関与の仕方は私は多様であるべきだと思います。もちろん、オンブズマンも結構だし、アドバイザーもいいでしょう。しかし、何といってもその基本中の基本は議会を通して参加、関与すると、もうこれに尽きると思います。そういう意味では、議会の活性化、非常に重要な課題でございます。  今回の地制調答申においては、議会の一層の活性化を図る観点から今委員が御指摘くださった幾つかの点を提言してくださっていますが、具体的には、「議会のあり方」の中の具体策の方法の中で、幅広い層からの人材確保等、それに関して休日、夜間等の議会を開催するなどの運用上の工夫をすべきである、そのような非常に具体的な方策がこの中で示されたというふうに認識をしております。  こうした点、地方公共団体において是非答申趣旨を踏まえて一層工夫が図られることを期待しております。また、我々総務省としては、それに関連する必要な情報提供を是非行ってまいりたいというふうに思っております。
  113. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今、その運用上の工夫というふうなことの中で、休日、夜間等に議会を開催するというそういうあれがありましたけれども、まだまだそのことは余り全国的には広く行われていない。私の方の手元にある資料では、大合併進行前の数値でありますけれども、例えば市議会レベルでは二十三市を数えるのみというふうになっています。二〇〇四年の法改正で、地方議会の会期制度については定例会の回数制限が撤廃されたわけですが、代わり映えしない実態にあるのではないかというふうに想像するところであります。  地方議会の会期制度の一層の弾力的運用や開催方法にかかわる多様化などについて今積極的に助言をしていただくというふうに言われたわけですけれども、もう一度その辺の決意お願いしたいと思います。
  114. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 休日、夜間の議会の開催については、これ一部ではありますが、実際の取組も見られます。ただ、委員今、市について二十三市という御紹介をくださいました。これ休日会議が十六市、夜間会議が七市、合計二十三市であろうかと思います。これ町村議会に関してはもう少し多くて、日曜、休日では百四十二、夜間が五十という数字が報告されております。しかし、これ、まあまあやっているな、工夫しているなという思いと、まだこの程度かという思いが両方正直言ってございます。  そういう意味で、今回提言をいただいたのは大変時宜を得たものであるというふうに思っております。是非、実情に応じて自治体で工夫をして運用をしていただきたい。その意味では、まずはやはり各議会において取組を期待しているわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、やはりベストプラクティスといいますか、いろんな例を紹介するのは非常に役に立つのではないかと思うんですね。そういう観点から、我々としては情報提供等をしっかりと行ってまいりたいと思っております。
  115. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今回の法改正には盛り込まれなかったわけですけれども答申の中に「勤労者が議員に立候補でき、また、議員として活動することができるような環境の整備、さらには地方公共団体の議会の議員と当該団体以外の地方公共団体の職員との兼職を可能とすることも検討すべき課題である。」と。検討レベルにとどめた上で、地方公務員法改正も視野に入れざるを得なかったためかというふうにも思うわけですけれども、そうした最終判断を国会及び総務省にゆだねているものもあります。  げたを預けられた立場としてはこれらの検討を急ぐ必要があるんではないかというふうに思うわけでありますが、どのように進めていくかも含めて、見解をお願いいたします。
  116. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 今、那谷屋委員指摘くださいましたように、今回の答申において、まず勤労者が議員に立候補できるように、また第二には議員として活動することができるような環境の整備、さらには地方公共団体の議会の議員と当該団体以外の地方公共団体の職員との兼職を可能とするような、こうしたことも幅広く検討すべきであるというふうにされているわけでございます。  これらの問題、方向としては、私はやはり当然のことながら、目指さなければいけない問題であるというふうに思います。同時に、労働法制にかかわる事項など、これ地方自治制度の枠だけでは収まらない問題も、論点も現状では含んでいると思います。その意味では、今後とも引き続き必要な検討を我々としては是非行ってまいる所存でございます。  何か具体的な検討の進め方ということで、例えば時期的に何か考えているのかという御質問でございましたら、まだちょっとそこまで煮詰まってはいないんでございますが、これは検討すべきというふうに宿題をいただいているわけでありますので、きちっとそこは検討をいたします。
  117. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 議会の活性化、そしてそのための幅広い層からの人材確保という意味では、このことも一つの大きな課題になってくるんだろうというふうに思いますので、是非検討を急ぐ必要があるんではないかというふうに思います。よろしくお願いいたします。  地方三議長会は、議会の監視、政策立案機能を補完するため、審議会等、議会に附属機関が設置できるよう要望をしていた、先ほどもありましたけれども。合議制の機関である議会に附属機関を置くことは妥当でないという、そういう決まりだったのかもしれません。先ほどの大臣の答弁でいえば、法律まではというふうなお話がありましたので、そういうことからだというふうに聞いているわけでありますけれども、しかし、そうはいうものの、やや釈然としないものが残るのも事実であります。  改正案第百条の二を見ても、法文上は複数の者の合議による調査報告もできるという点が必ずしも明確とはなっておりません。なぜこのような書きぶりとなったのか、さらには、その意図するところは別途周知徹底するということになるのかどうか、併せて明快な答弁をお願いいたします。
  118. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 改正案の規定でございますけれども、学識経験者等が個々に調査報告を行わなければならないというような書きぶりではないわけでございまして、具体の運用に当たって、調査の規模等に応じまして複数の学識経験者等による合議による調査報告ということも可能だというふうに理解しているところでありまして、この辺の趣旨につきましては十分周知をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  119. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 その他というところがあるんですけれども、本改正は地制調答申になかった事項であるが、突如として今回の地方自治法改正案に盛り込まれた、いわゆる派遣期間の長期化等における派遣職員の退職手当の負担の協議制という部分でありますけれども、聞くところによると、過疎などで医師不足に悩む市町村が県に要請をして、県から医師等を派遣してもらっている場合があると。青森県の場合は、県外からの医師等を県職員として採用し、県内各市町村の病院、診療所に長期的に派遣、配置する新たな機構を創設する必要があることから提案をしたものというふうに聞いております。このような場合には、現状では給与は派遣先で負担するものの、退職金、年金は派遣元の県で今負担をしているというふうな状況であると聞いています。  そうした中で、警察官、消防職員、災害時の職員派遣等緊急の場合には個別法の規定が設けられていると。今回の改正は、医師だけではなくて、これら特例が適用される場合以外の一般的な派遣のケースについては退職金の負担にかかわる協議ができるという趣旨か、確認をさせていただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
  120. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 御指摘のとおり、該当の地方自治法第二百五十二条の十七という条文規定でございますが、これは法律に特別の定めがある場合を除きまして、地方公共団体が職員を派遣する際、一般的に適用される規定でございます。  ただ、退職手当の負担をどうするかということにつきましては、まず原則としては派遣元の地方公共団体が全額を負担することとしながら、条文を読みますと、派遣が長期間にわたることその他の特別な事情がある場合に限り、派遣の種類に照らして必要な範囲内においてのみ協議によりその全部又は一部を派遣先の地方公共団体が負担することができることとするもの、こういうような改正内容でございます。
  121. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今お答えいただきました派遣期間が長期にわたることと、それからその他特別な事情がある場合というのはどのような場合を具体的に指されるのか、お願いいたします。
  122. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 長期間にわたることにつきましては、これ先生が既に例で挙げられたことでございますが、例えば県が派遣を主目的として医師を職員として採用し市町村の病院に派遣する場合、あるいは特殊な災害などによる被害などの対応のために派遣する場合等でありまして、派遣期間が数年にわたって求められるものというのは考えられます。  また、その他の特別の事情ということでございますが、これにつきましては、例えば一つの団体に対する派遣期間は短期でありますが、それが複数の団体に引き続いて勤務して、結果として他の地方公共団体の派遣期間全体が長期にわたる場合と、こういったものが想定されると考えております。
  123. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 退職金は協議の対象となるわけですけれども、これまで県が負担してきたものであるけれども市町村からすればお願いをする立場であることから、果たして対等、平等の交渉が成立する関係にあるか疑念が残るところでもあるわけであります。  その辺についてどのように考えられているのかということと、それから今回の改正で、そうした協議のなかなかうまくいかないというそういうことから、派遣職員がいわゆる処遇の切下げ等、言わばそばづえを食らうようなことがあってはならないというふうに思うわけでありますけれども、確たる答弁をお願いいたします。
  124. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 二つの質問をちょうだいいたしましたが、まず、対等、平等な交渉ができないではないかという懸念でございますが、これは基本的に私ども地方公共団体の構造改革特区における要望を踏まえてこういう制度改正することとさせていただいたものでございまして、これにつきましては、先ほどの答弁とちょっと繰り返しになる部分がございますが、まず原則としては派遣元の地方公共団体が退職手当を負担すると。そういう原則の下で、特別の事情がある場合に限り、かつ、これも条文に書いてございますが、派遣の趣旨に照らして必要な範囲内においてのみ協議をすることにより全部又は一部の退職手当を負担するということになりますので、いたずらに派遣先に負担が及ばないよう、法案の立案としては留意したつもりでございます。  いずれにしても、先生のような御懸念がないよう、関係地方公共団体において制度趣旨を踏まえて十分な協議を行っていただく必要があるものと考えております。  それから二点目の、退職手当の水準の引下げになるんではないかということでございますが、今回の制度改正は、負担の区分、その退職手当をどの団体が負担するのかということについての改正でございまして、いわゆる退職手当の水準につきまして特に改正するものではございませんので、御懸念のようなことはないものと考えております。
  125. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今私が質問の中に入れた、処遇の切下げ等というふうに言ったのは、退職手当の切下げとかそういう問題じゃなくて、やはりそういうふうなことの中で、自分が派遣されることによって県とそれから市町村との中でいわゆる自分の退職手当というものをめぐって私の懸念しているようなことが起こったときに、その人のいわゆる士気にかかわってくるんではないかという懸念の中で質問させていただいたということで、それは結構です。大体今の、そうならないようにやるんだというふうにお話しいただきましたので、それは結構です。  今回は、これまで地方自治法改正の中身そのものについてお尋ねをしたわけでありますが、引き続いて地方自治、分権にかかわる課題について角度を変えて質問をしていきたいというふうに思います。  初めに、これは質問ではありませんけれども、竹中大臣だからこそしっかり認識していただきたいというふうに思うことがございます。今回の法案では盛り込まれませんでしたけれども、しかし相当話題に上ってきております、教育委員会にかかわる必置規定見直しの問題であります。  よくお分かりのことというふうに思いますが、この規定は政治的中立性や民意の反映を根拠にしているところであります。ところで、文部行政の主たる役割とは何かを突き詰めれば、私なりに考えるところ、義務教育における機会均等、水準確保、そして無償制を支えるための財政上の責任を果たすことと、各学年、発達段階の教科別学習到達度に関する大枠の目安を定めることくらいで、ちょうどいいんではないかというふうに思っているわけであります。  私たちが目の当たりにするのは、教育の真の役割を意味する、いわゆる子供たちの最善の利益を追求するという本務をかなぐり捨てて、政争の具にする、子供たちを供してはばからない、つまりは自壊過程の真っただ中にある文部科学省の姿であります。教育行政の政治的中立性の重要性を学ぶに十分な教訓を、はしなくも文科省が身をもって示す悲喜劇が展開をされているというふうに考えています。  自治体側の悲願でもある設置者主体による学校教育の推進、さらには分権型教育の達成へ好機がめぐってきたことになる。竹中流儀で整理すれば、この改革エンジンとなるのが各市町村教育委員会機能ということになるはずだというふうに思います。大臣には、その必置規定の堅持を前提に、文部科学省のくびきを脱した新たな教育委員会が担う役割の重要性にこそ是非是非思いを致していただきたいという、願うところでございます。  国民全体としての国土の利用や環境保全の問題は地域を越えて対処する必要がございます。自然及び地域社会の維持発展を重視する限り、農山漁村における誕生から老いまでを通じた生活保障を確立することが真の意味での国民的な利益にかなう選択になるということであります。そうしたことから、どこに住んでいても公共サービスにかかわるナショナルミニマムを実現するための財源保障として、中央政府から地方政府へという政府財源移転は、いかに時代が移ろうが、その機能は不変の重みを持つことになるというふうに思います。  ただし、ここで言うナショナルミニマムというのは全国画一のサービス提供を指すものではなくて、分権型システムの下で全国的に一定のサービス水準を保障して、機会の平等を実質化し、かつ自治体の自己決定権と調和させるという時代の試練に耐え得るナショナルミニマムに値する価値の再定義を迫るものであります。  分権型社会の構築を期すならば、財源保障と財政力格差縮小を課題とする一般財源としての財政調整制度、竹中大臣流に言えば国から地方への中間支出としての地方交付税制度が担うべき役割は、その総額水準の議論は残るとしても、決して減ずることはないと断言できるわけであります。同時に、それは地方税源の拡充をもってしても解決できないことを論証することでもありまして、地方財政制度における受益と負担を考えた場合、地域内で徴収した自主財源のみでサービスの費用を賄うことの方が受益と負担のバランスを保つ意味でも適当だとの意見もあります。  しかし、この手法によって生まれる結果とは、経済力の低い地域、サービスのニーズやコストが大きくならざるを得ない高齢過疎地域では高い税率が求められ、個々人の負担は受益に比して過大になるという矛盾の顕在化であります。ここからも明らかなように、財政調整制度を通じて初めて実質的な受益と負担のバランスが実現されることになるというふうに考えているところです。  こうした問題意識から、去る三月の本委員会での交付税法案及び〇六年度の地財計画に対する質疑を竹中大臣としっかりやらせていただいたというふうに私は思っております。  竹中大臣経済財政諮問会議に提出された税源移譲、それから国庫補助負担金改革交付税改革の同時決着を肝、いわゆる生命線とする地方財政改革についても、私なりに正確に理解しようと努めたところであります。その具体策や実現に向けたアプローチ手法においては見解を異にするところも多いとはいえ、地方分権のあるべき姿を追求するために奮闘されている総務大臣の職責の下、竹中大臣の頑張り自体には心から声援を送るところであります。  ともあれ、本当の理解者たらんとする者は厳しい批判者でもあるという立場から、以下何点か質問をいたします。  さて、竹中提案にあります新型地方交付税というのが先ほどありました。これは人口、面積を基本に配分することを前提に、当面は国の基準付けのない部分から始めるというふうになっております。来年度分としては三兆円程度をこの枠組みで行いたいとの性急さであります。根底にあるのは、例えば健康づくりや文化、スポーツ振興などは国の基準はなく、地方が単独事業として実施しているんだから、基準財政需要の算定はより平均化されるべきであり、そのためにも人口、面積を基本に配分する単純化手法が望ましいとの発想かというふうに思います。  しかし、ここで注意しなければならないのは、新型交付税への移行に際して地方交付税総額を縮減するという圧力の中で、こうした国の基準と無関係の地方単独事業が切り込まれるのではないかという疑念であります。  この考え方とは、裏返せば、中央省庁の全国一律のしゃくし定規な制度運営を補完する知恵が地方単独事業だという理念を否定することにつながるのではないか。費用対効果の厳しい吟味を目指す限りにおいては、地方の知恵を生かしていく観点から、引き続き地方単独事業に対する財源手当てを適切に行うことが重要であるというふうに考えますが、この二点について答弁をお願いいたします。
  126. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 先ほども一部御答弁させていただいたかと思いますが、国と地方プライマリーバランス回復のために、国も地方も切り詰めることができる部分についてはしっかりと切り詰めていかなければいけないと思います。しかし、そういう削減議論、つまり歳出削減議論仕組みを変える議論というのが少し、一部のマスコミ等々では少し混同して伝えられているということを懸念をしております。  今回のような、例えば新型交付税云々で、新型交付税になるからこれこれが削減される懸念があるという、これはそういうロジックでは全くございません。削減議論削減議論で今与党でいろいろとなされております。その中ではいろんな議論が出てくると思いますが、これ仕組み議論とは根本的に違う議論であるということ。両方しっかりやらなければいけませんが、これ混同されてはならないというのが第一のポイントでございます。  今、幾つか、金額も含めて言及ございましたが、金額や制度はこれはこれからの話でございまして、私が今主張させていただいているのは、提案させていただいているのは、その改革方向性でございます。  それと、地方単独事業の位置付け、意味についての御議論がございましたが、これについては私は基本的に委員と見解を異にするものではございません。正に国が基準付けをして、そのとおり地方がやっているんだったら、地方らしさというのはどこにも出てこないわけでありましょう。どこにも出てこないというのは言い過ぎであっても、ほとんど出てこないでありましょうから、そこはやはり独自の地方らしさを発揮する余地というのはしっかりと確保されなければいけないというふうに思っています。  その意味では、削減議論はこれは大変重要でありますけれども、国と地方、納得のいく形で行っていかなければいけない重要なポイントであると考えております。
  127. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 最終的には国の基準付けを外していって、人口、面積を基本に配分する新型交付税拡大する文脈にはなっているということで。しかし、仮にこの国の基準付けが外れたとしても、オールナショナルを網羅すべき標準的な水準というものはあるはずであって、国の基準のないものは人口と面積でしか需要額を算定しないというのでは、どこに住んでいても公共サービスにかかわるナショナルミニマムを実現するための財源保障、すなわち補正係数の利点も加味した政府財源移転の道具立てとしての交付税制度は機能不全に陥ることは避けられないんではないかというふうに思うわけであります。  いずれにしても、新型交付税においては、交付税配分において一切の補正係数を用いないとの判断に立たれるのかどうか、そこについてまずお答えお願いします。
  128. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 是非我々もしっかりと説明していきたいと思いますが、国の基準付けのないものについて、そこからまず新型の明快な基準で配分されるようなものにしていきたい。それは新型、正に、交付税でございますが、現実に国の基準付けがたくさんなされているものはあります。できるだけそれを将来的には減らしていきますけれども、当面はそういったものについては従来の交付税の枠組みの中でしっかりと対応をしていかなければいけない、そのように思っております。  それと、二番目の新型のものについて、単純化された非常に機械的な人口と面積の基準だけということにはこれは当然ならないというふうに思います。  改革の目的の一つができるだけ分かりやすくすることでありますから、もう複雑過ぎてまただれにも分からないというようなことでは困りますが、しかし、やはり当然のことながら、小さな自治体には小さな自治体としての必要な基本的な支出というのがあるわけでございますし、人口十万といっても、ゼロから十万の間の十万と一千万から一千十万の間の十万というのは、これは根本的に人口の経費上の重みも違うわけでございますから、その意味では、委員が使われたところの補正のような考え方は当然現実的になければ実際の制度設計はできないと考えております。  制度設計はまだ先でございますけれども、基本的な考え方としては、これは行政でありますから、現実の行政に混乱が生じないような方策で解決をしていかなければいけないと考えております。
  129. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 制度設計の中で、丁寧に一応対応していかなければいけないというお答えをいただきました。  まあ、そうはいうものの、この間の提案の中では、地方財政制度の問題点として竹中大臣が、算定基準は電話帳のような厚さという、こんなような指摘をされて、まあ電話帳がいいのか、それとも文庫本がいいのか、よくそれは分かりませんけれども。しかし、そうした言葉というのが本当にいいのかどうかというのは、逆に上っ面だけな非難に手をかすのに等しい状況でもある、そういうことにもなるんではないかというふうにも思うわけでありまして。今お話しいただいた制度設計の中で丁寧な対応、例えば少子高齢化あるいは環境問題、大都市問題、過疎問題などの進行に対応した指標、具体的には需要額を適正に算定するための測定単位、単位費用及び補正係数にかかわるこうしたことの不断の見直しが必要とされているというふうに思うわけでありますが、改めて見解をお願いいたします。
  130. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 電話帳という表現に関しては、これは私が勝手に書かせていただきましたが、確かに事務方からはそういう心配をいただいて、これ私が勝手に書かせていただいたものでございます。  同時に、こういう説明をするとき本当に難しいのは、一方で大変制度に詳しい方は、これは当然のことながら、総務省がそういう詳しい電話帳みたいなのを作ったのではなくて、いろんな法律の義務付けを一生懸命、ある種非常に真摯に積み上げていって精緻化していったらそのようになりましたということでありますので、そのことは総務省なりを批判、非難すべきことでは私も全くないというふうに思います。ただ、一方で余り制度を御承知ない方にこの改革必要性を分かっていただくためには、一つの例としてそういうことも説明しなければいけないのかなという思いであの表現をさせていただいたわけでございます。  現実に、今度はその基準付けがあるところについて、やっぱりそこは精緻にやらなければいけないのではないかという委員の御指摘は、それはもうそういう、そのとおりであろうかと思います。  もちろん、それに当たっても、補正がちょっと多過ぎて、補正係数が多過ぎて複雑過ぎると、それを踏まえてできるだけ簡便、分かりやすい方法へというような改革はこれまでも行ってきているわけでございますけれども、これはもう現実問題として、今、国がいろんな基準付けを行っているわけですから、これについてはこれをしっかりとやっていくというのが、これが正に現実的な行政であろうかと思います。  大きなところでは、先ほども指摘申し上げましたように、できるだけその基準付けを減らしていくと、分権一括法のような形で減らしていくと、その大きな努力をしつつも、現実にある基準付けに対しては今申し上げたような対応が必要であると考えております。
  131. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 その算定方法及び算定過程の透明化あるいは簡略化というものを要求しつつ、しかし一方で、様々な要請に基づく説明責任とその十二分かつ誠実な履行という、このところがなかなか難しいところだというふうに思いますが、是非、この十二分かつ誠実な履行という部分についてをやはり私は強調さしていただけたらというふうに思います。  時間がもうなくなってまいりましたので、最後の質問にさしていただきたいというふうに思いますが、今回、昨日辺りの新聞でしょうか、ペンディングというふうに最終報告がなされたというふうになっておりますが、地方債の自由化についてでありますが、自治体行政における自由度の拡大と表裏一体の関係にある責任の明確化、つまりは中央依存体質からの自律を促す試金石としての意義を持つと。地方分権推進の過程において通らねばならない試練の一つでもあり、その方向性は一定理解をするところであります。  ただし、新発地方債に対する交付税措置を廃止することについては、地方財政計画で地方債を財源として組み込んでいる限り、公債費を財源保障の枠外に置くことは理解ができません。また、交付税の不足分として配分されている臨時財政対策債についても、元利償還金にかかわる交付税算入の廃止が容認される余地は皆無であることは明らかであります。  このため、地方債自由化の前提として竹中大臣が設定した三点セット、税源移譲、国庫補助負担金改革交付税改革の同時決着というものでありますけれども、それが日の目を見ることはもちろんのこと、住民が真に望む投資的事業には地方債ではなくきちんと交付税地方税など一般財源を充てるという財源措置の整合的な見直しと、地方財源不足の解消こそが要請されているというふうに思うわけでありますが、これについて見解をお願いいたします。
  132. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 今の地方債というのは、現実には財源不足を補うための財政的措置という側面、そして一方で、これは金融市場で発行しておりますので金融手段という側面、それを両方持っているわけでございます。  財政措置は財政措置として、抜本的な改革税源移譲を含めてしっかりとした枠組みということをやっていく。その中で、金融手段としての地方債については、これ正にいい意味で市場のチェックが働くわけでありますから、それがしっかりと働くような形での自由化を進めていく。正に先ほどから言っている、これは一体改革ですよと、一体で改革しないと、部分だけつまみ食いするとこれは問題が生じますよと、これは一つの象徴であろうかと思います。  地方債そのものが今全体としても許可制から協議制に移行して、その金融的なチェックの側面をできるだけ活用していこうという方向、これは那谷屋委員もそういう方向方向としては分かるという今御発言を下さいましたですけれども、それが全体としてうまく機能するようにやっていこうというのが今回の改革でございます。  問題の所在は十分に認識しているつもりでございますので、今申し上げたような形が実現するように全体としての改革を私としては是非進めていきたいと思っております。
  133. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 もう時間になりましたので、最後に大臣並びに総務省に強く要請をしておきたいということがございます。  四月二十四日の本委員会じゃなくて決算委員会で、私は大臣に、激励の気持ちも込めて次のようにくぎを刺したところでございます。  行政改革の重要方針では、地方が主体的に定員を定める分野の職員についてこれまでの実績を上回る純減が目指されている中身になっているが、国から地方に権限、仕事移譲しながら人減らしも強要するという、およそ理不尽な論理が突き付けられた形となっている。地方分権をサポートする責務を有する総務省として毅然たる対応を示してほしいという内容でありました。これに対して大臣は、理不尽というのはなかなか、言葉としてきつければナローパスというふうに言ってもよいかもしれないが、大変厳しい目標だけれども分権型社会を国民の理解の下で確立していくためには一層のスリム化は避けて通れないという趣旨の御回答がございました。  このお答え自体、今、もうすぐワールドカップが始まりますけれども、ゴールを定めないまま、まずは人減らしというボールをけるということに等しく、小さな中央政府の受皿は対人サービスの拡充強化に象徴される二十一世紀型の安心、安全が保障できる充実した地方政府以外にはない。このための必須の要件が質量備わったマンパワーの確保にあるにもかかわらず、小泉行革はこの当たり前の答えさえ持っていないわけでありますが、サッカーに例えるならば、ゲームとして成立する要件を全く満たしていないことは明らかであります。ワールドカップ開催が間近に迫ってまいりましたが、ジーコ・ジャパンが小泉改革流の出たとこ勝負によるゴール欠乏症にあえぐことがないよう心から願わざるを得ないところであります。  ましてや大臣はこの答弁に飽き足らなかったかのように十日の諮問会議で、地方には是非しっかり国を上回る定員削減をやってもらおうと思うと得々としているわけであります。兵たん線の確保もなく、かつ戦略性も見えないまま、敢闘精神にのみ頼る戦いには必敗が待ちます。これは歴史の証明するところであります。  ちなみに、大臣が決算委員会で引用された……
  134. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) そろそろおまとめを願います。
  135. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 はい。ナローパスというのはマタイ福音書ではナローウエーと記されておりますが、これは狭くて困難な道という表記どおりの訳を超えて、それは最後には正義の道に通ずるという、そういう語義を持っているわけであります。  およそ近代市民社会では許されざる地域間格差における最悪の姿としての寒村等の自治体崩壊による地域棄民のとば口を開くという不義の……
  136. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 時間が参っておりますので。
  137. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 はい、もう終わります。不義の道を竹中大臣そして総務省がひた走ることだけは厳に慎まれんことを望んで、済みません、質疑を終わります。
  138. 吉川春子

    ○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  二十六日に竹中総務大臣の私的懇談会が地方分権二十一世紀ビジョン懇談会の最終報告をまとめました。  先ほど同僚議員の質問に対して竹中大臣は、新型交付税について人口と面積のみで決めるのではないと答弁されましたけれども、人口と面積のほかにはどういう基準で決めようというのでしょうか。  竹中大臣は五月十日の経済財政諮問会議で、算定方式を人口と面積を基準に簡素化した新型交付税を〇七年から一部導入して、三年間で三分の一に当たる五兆円規模に拡大して、残りの三分の二は従来型の算定方法を取ると提案されました。  新型交付税の導入は地方交付税削減を目的としていない、そういう効果を生むものではないということを明言できるんでしょうか。私は地方交付税削減がねらいだと思うんですが、そうでないというならば、そうでないと明言していただきたいと思います。
  139. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) もう一度是非正確に申し上げたいと思いますが、人口と面積を基準にして配付基準を作るということでございます。ただしそれは、先ほど申し上げたのは単純な加重平均のようなそれのみ、それのみではありませんと。考慮する問題としては、小規模な自治体に対してはその一定額の何かしらの考慮が必要だろうと思いますし、経過措置も必要だと思いますと、そういうような趣旨で申し上げました。  要因としては、人口、面積を基準にあくまで私は考える方がよいと思いますが、そのウエートの付け方を単純にしないで、人口規模別にするとか、経過措置を設けるとか、一定の定額を考えるとか、そういういろんな工夫をしたいという意味で申し上げたつもりでございます。  第二点、削減は、削減すれば削減削減しなければ削減にならない。増加させるならば増加。これはマクロの予算の総額の話と、それと仕組み、配分の話は、これは違うわけでございます。一方で、この今、歳出歳入一体改革ですから、いろいろな歳出削減すべきだという議論は、これはこれでございます。これはこれで別途議論をしているわけです。しかし、これと、この仕組みの話と、仕組みを変えたから削減になるとか、削減があるから仕組みを変えるとか、そういう議論ではこれは全くございません。そのことは明確に申し上げたいと思います。
  140. 吉川春子

    ○吉川春子君 大臣はさらに、今後三年程度で人口二十万人以上の自治体が不交付団体と、半分以上、半分が不交付団体となるべきだということも提言していて、これは交付税削減ですよね、地方交付税削減ということを目的にしていると思います。  しかし、交付税削減は住民のサービスの切下げにつながるものです。財務省の財政制度審議会は交付税の法定率の引下げを提言して、谷垣財務大臣は法定率分が聖域だという考え方は取るべきではないと発言しています。  交付税地方固有の財源であり、法定率の引下げはとんでもないと考えますが、この点について大臣のお考えはいかがですか。
  141. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) まず、不交付団体の拡大は、これは今千八百二十ある地方自治体のうち、不交付団体というのは六%しかございません。その移転、政府からの移転支出に九四%が依存しているというのはやはり自律という観点から見て不健全ではないか、これは私自身そのように思いますし、諮問会議でもそのような意見は非常に強くございます。その意味では、二十万以上都市ですから、まあ一定の要件を満たした都市については半分ぐらいは不交付団体、半分ぐらいは交付団体というような形に何とか持っていけないだろうかということを考えているわけでございます。  で、そのときには、当然のことながら私は税源移譲が当然必要になると考えております。しかし、そのことと、歳出規模そのもの、行政を行うための歳出規模がそれによって減るかどうかというのはこれは別の次元の問題です。これは先ほど言ったように、歳出を減らすという、減らさなければいけないんじゃないかというその歳出歳入一体改革議論議論としてございます。しかし、それはその不交付団体を増やそうが増やすまいが、そういう議論はそういう議論としてあるわけです。だから、そこはやはりきっちりと量の議論と、それと仕組み議論というのはそこは違うということを改めて申し上げたいと思います。  その上で、財政審等々でいろんな法定税率、法定率の議論がなされておりますが、私はその場でも申し上げたんですが、これは税の制度設計の話をいきなり持ってきたら、それは減らせという議論とそれに反対だという議論でぶつかって何も決まらないに決まっているわけです。私はそういう議論はすべきではないと。  したがって、まず仕組み議論方向としてどのように考えていくか、量をどのように全体の枠のバランスを考えていくかということをしっかりと行って、それで必要な、もし税制の制度設計が必要ということであるならば、そのときに考えればよいのではないかというふうに思うんです。  財務省的に言うと、できるだけ法定税率を減らせということになるでしょうし、こちらは、私たちとしては税源移譲が必要なんだから、税源移譲が必要だということはその税の全体の設計の中でやらないと、そんなつまみ食いみたいな議論をしたって意味がないじゃないかというふうに私としては申し上げたいと思うし、そこは、先ほどから申し上げましたように、やっぱり改革をするときには大きな方向をまず決める、方向を決めて制度設計は現実を踏まえて非常にしっかりと意を凝らしてやっていく、そういうふうに進めていかないとこれは結局、現状を変えることに結局こう意見だけがぶつかり合って何でも反対になって何も変わらない、そうなってはいけないという思いで今改革議論をしております。
  142. 吉川春子

    ○吉川春子君 地方交付税削減というのが具体的にどういうことをもたらすのかということをちょっと具体的な例で伺いたいと思います。  厚労省に伺いますけれども、横浜市の四つの市立保育園の民営化をめぐって保護者と園児ら六十七名が性急な民営化は園児の発育に悪影響があるとして、市に民営化取消しと損害賠償を求める裁判を起こしました。その判決が二十二日に横浜地裁でありましたけれども、保育所の民営化について判決はどのように言っておりますか。
  143. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) お尋ねの判決につきましては、横浜市が平成十六年四月に実施をいたしました四つの公立保育所の民営化につきまして、民営化の判断自体は否定をされなかったところでございますが、その進め方が性急であったということが市の裁量の範囲を逸脱、濫用したものであり、違法とされたものと承知をいたしております。
  144. 吉川春子

    ○吉川春子君 その三位一体改革交付税は五兆以上も削減されて地方自治体の財政は大変厳しくなり、住民への公共サービスを切り捨てる大幅な人員の削減とか民間委託、自治体リストラに追い込まれています。  公立保育所の運営費が一般財源化されて保育所の民営化が広がっていますけれども、厚労省の公立保育所運営費一般財源化の保育の実施に関する調査では、公立保育所を民営化した理由は何だというふうに答えられているでしょうか。また、公立保育所の民営化は全国に現在どの程度広がっているでしょうか、数をお示しください。
  145. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 平成十六年度の公立保育所運営費の一般財源化後におきます保育の実施状況に関しまして厚生労働省で平成十六年九月に調査を行ったところでございますが、それによりますと、平成十六年度は、民営化をした百二十九の市町村のうち一割強に当たります十四の市町村で公立保育所の運営に係る予算の減少をその理由として挙げております。  それから、近年の公立保育所の民営化の状況でございますが、平成十七年四月の調査では、最新の一年間で、譲渡が九十七か所、貸与が四十六か所、業務委託が四十三か所となされております。そして、これまでの累計では、譲渡、貸与、業務委託の民営化を合わせまして八百二十八件の民営化がなされているということでございます。
  146. 吉川春子

    ○吉川春子君 竹中大臣に再びお伺いしますけれども、保育所の民営化でサービスが低下したとして、民営化の取消し、損害賠償を求める訴訟が各地で行われています。大阪と北海道で計四件の取消しや損害賠償を求める訴訟が行われている最中です。  横浜地裁では、子供たちが継続して保育を受けることは法的に守られた利益であるという判断は画期的だと私は思います。保育サービスの多様化や財政難の説明だけでは早急に民営化をする合理的な理由にはならないと裁判所は言っております。  保育所に限らずに、社会福祉施設などでも同じように民営化にさらされているわけですけれども、この住民サービスの確保という点で、全国各地で行うためには、やはり交付税の役割は非常に大きいと思うんですね。だから、そういう点での交付税削減ということを安易に竹中大臣にも言ってほしくないし、削減をしてほしくないし、むしろ増やす方向で頑張っていただきたいと思いますけど、いかがですか。
  147. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 保育所の具体事例ちょっと承知をいたしませんが、本当にそこに学んでおられる純粋な子供たちのことを考えますと、今の場合は自治体でございますけれども、自治体においてもしっかりと法律を守ってしっかりと対応していただきたいなと、これはもう心から私もそのように思います。  今の吉川委員の御指摘の中で、重要なのはやはり必要な住民サービスの確保、これは私はもう当然のことながら自治体の務めであり、そうしたことが可能になるような財政の運営を国としても全体として行っていかなければならないのだと思います。  ただ、あえてちょっと問題を単純化させていただきますけれども交付税の例えば削減という場合に、ある一定の住民サービスのための支出地方が行ったといたします。その場合、一方で景気が回復して地方税が増えたといたします。地方税が増えて、その分交付税が減ったといたします。この場合に、実は必要な一般財源は確保されているし、必要な住民サービスが行われている、私は、これは悪いことではないと思います。そういう形に持っていくのが私はやはり財政運営の一つの理想的な姿だと思います。  現実には、国も歳出を減らしています。国も公共事業を減らしているんです。同じように地方公共事業を減らして、歳出は少し、数%のペースで年間減らしてここ数年来ております。その一方で税が増えてきました。特に地方税よりも国税の方増え方が当然速いわけでございますけれども、それで地方においても交付税を少しペースを上げて減らすことができている、そういう状況を私たちとしては是非続けたいというふうに思っているわけです。  繰り返し言いますけれども地方がしっかりと歳出を管理して、一方で税収が増えて、地方税が増えて、それで交付税が減るというのは、無理やり交付税を減らすという議論とはこれは違うわけでありますので、そこは全体の運営がどうなっているかということで判断をいただくべき問題であるというふうに思っております。
  148. 吉川春子

    ○吉川春子君 どんなに景気が良くなっても税収が増えない、あるいは過疎地とかお年寄りが多い自治体とか全国にはあるわけで、そういう全国くまなくどこにいても福祉、様々な行政サービスが受けられるために地方交付税は大変大きな役割をしております。  保育所の運営費の民営化によって物すごい勢いで民間への保育委託、譲渡が増えたわけなんですね。だから、理論的に、あえて机上でと申しますけれども、そこで計算してこうなればこうという議論と、実際にそういう自治体で財政を担っている市町村にとっては、交付税削減されるということはもう本当に大変な問題だということを私は指摘しておきたいと思います。  次の問題に行きますけれども出納長収入役の廃止なんですけれども会計事務の公正な処理を確保するために会計事務について命令機関と執行機関を分離するということが近代会計の原則だと思います。命令機関が地方公共団体の長、執行機関が出納長収入役です。今回の法改正はこの近代会計法の原則を変更するものなのでしょうか。
  149. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) まず、基本的な立場でございますけれども、今回の改正によって、特別職たる出納長収入役を廃止することにしているわけでありますが、会計事務の適切な執行を確保することの必要性、この必要性認識は何ら変わりません。むしろ社会全般の認識としては、こういうことがますます重要になっているという認識なのではないかと思っております。したがいまして、今回の改正におきましては、会計事務に関して独立の権限を有する一般職会計管理者を置くということにしております。そして、その下で適正な会計事務執行を確保するということを考えているわけでございます。  この会計管理者につきましては、この職務の性格にかんがみまして、例えば、自治体の長と親族関係にある者の就職禁止規定、これは引き続き存置することにしております。また、兼業禁止といった身分関連事項につきましては地方公務員法の適用を受けることになります。さらには、この公務員法の適用によりまして、会計管理者法律又は条例で定める事由を除いては免職はされない、そして、不利益な処分について人事委員会、公平委員会に対して不服申立てができるという、その意味での身分保障が定められているところでございます。  更に加えて言えば、現金等の亡失等の損害賠償責任でありますとか、監査委員、議会のチェック等によりまして、これは適正な会計事務執行は担保されている。特別職ではありませんけれども、今申し上げたような仕組みの中でしっかりとした担保、それによって、会計は本当に重要でございますから、それがしっかりと運営されるというふうに考えております。
  150. 吉川春子

    ○吉川春子君 地方自治体というのは、言ってみれば大統領制のようなものですよね、国の行政のように議院内閣制でもないし、非常にそもそも自治体の長というのは強い権限を持っているわけですね。  そういう中で、やっぱり出納長収入役というのは、任期は四年で、長による任期中の一方的な解職というのは認められていない、長から独立してその職務を遂行すべき責任を負うと、こういう身分保障があるわけで、今度の改正のように、一般職の職員が当たるということとはもう決定的な違いがある。議会の関与も人事に対してできるわけですね。監査を強くすると言いますけれども、それはその後の問題でしょう。  やはり予算の執行とか、予算を作成するとか、そういう点で、特別職をなくすということは非常にチェック機関を弱めるものだと、更に強い自治体の長をつくるものだと、そういう点では権力のバランスという点からいっても非常にマイナスだというふうに思うんですけれども、その点はいかがお考えですか。
  151. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 今委員は権力のバランスというふうにおっしゃいましたが、このバランスは確かに重要だと思います。  しかし、これは一つの身分等々で保障されるものではなく、情報公開による住民のチェックも含めて全体でのバランスを取っていくということであろうかと思っております。直接的にも、先ほど申し上げましたように、会計管理者法律又は条例で定める事由を除き免職等はされない、そして不利益な処分について人事委員会等に不服申立てができるという身分保障がございます。それに加えて、今のような状況で、今私たちは別途また情報の開示、地方行革のための情報の開示等々、新しい公会計制度議論等々しておりますけれども、そういう全体の中で、今、正に委員がおっしゃいました権力のバランスというのは私は保たれていくというふうに考えております。
  152. 吉川春子

    ○吉川春子君 住民の権利を守る上で大切な機関だと思うんですけれども、今住民の話が出ましたが、今度の制度では住民からのリコールはできないんじゃありませんか。今までのそういう長から独立した機関であれば住民からのリコールというものができた。そういう点でも住民のチェックという点では弱まるんじゃないですか。どうですか。
  153. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 特別職から一般職に変わるということで、確かに御指摘ございましたように、リコール請求というものの対象にはならないわけでございますが、先ほど来大臣お答え申し上げておりますように、いろんなチェックシステムというのは、例えば議会によるチェックあるいは賠償責任あるいは住民監査請求、いろんなものがあるわけでございまして、そういう中で、全体のバランスの中で適正な運営が図られるものと、かように考えているところでございます。
  154. 吉川春子

    ○吉川春子君 だから、住民からのチェック機能も弱まるし、長に対するチェックという点でも弱まる。あえてこの時期、わざわざこの特別職をなくすという必要はないように思うんです。やっぱり民主主義というのは、権力の分立、だから中央集権ではなくて地方分権というのをずっと政府は進めてきたじゃないですか。自治体の長の権限が非常に強い。しかも、今度はそのチェック機能を更に弱める。こういうようなやり方はやはり民主主義という制度の中では非常に大きな後退だと指摘をしておきたいと思います。  行政財産の貸与について伺いますけれども、現行法は、行政財産の目的外使用を原則禁止して、本来の用途又は目的外をしないばかりか、積極的に行政財産の効用を高めるものについて認めていますね。今回の改正はそうした制度に沿ったものなのでしょうか。
  155. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 地方公共団体の行政財産の貸付け範囲の拡大、今回提案しているわけですけれども、これは構造改革特区提案等として地方公共団体から現実に要望があって、そして組織の統廃合等によって生じている行政庁舎の空きスペースの有効活用等と、そういう方向検討がなされたものでございます。  今回の改正地方公共団体において、個々の行政財産の性質を踏まえながら、それをできるだけ有効に活用できるようにするということが重要だというふうに我々も考えまして、現行の行政財産制度のスキームを維持しながら、行政財産である建物の一部貸付け等をすることができるようにしたものでございます。これは、国の動向も踏まえて所要の規定の整備を図ることとしたものでございます。特区提案、東京、埼玉の志木市等々からそのような要望がなされたというふうに承知をしております。
  156. 吉川春子

    ○吉川春子君 そもそも特区によってどんな混乱を招いているかということは私は行政監視で幾つかやっているんですけれども、特区で地方が提案してきたからいいというものじゃなくて、やっぱりその制度をきちっと判断して法律にしていくべきだと思うんです。  法案は、行政財産を一般の民間事業などに一部貸付けできるように例外規定拡大しています。行政財産は、地方公共団体が現に公用若しくは公共用に供して、また供することを決定した財産です。庁舎など自治体が本来の事務事業を実施するための財産、学校や公園、病院、保育所など住民の共同利用のための財産です。特定の場合を除き一切の私権の設定が禁止されているのが行政財産ですよね。こういう住民の財産を一般の民間業者の営利活動に利用させる、これを拡大していくということは、そもそも行政財産という考えに反するのではないか。その原則を踏まえた上で、どうお考えでしょうか。
  157. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 委員案内のように、財産について、行政財産、普通財産と区分けしまして、行政財産は公用又は公共の用に供するということで管理し、管理の在り方についても変えているということではございます。  今回の考え方は、一体として行政財産というふうに観念されるものの中で、特に今回、地方公共団体に関係するものでいいますと、例えば合併等による空き庁舎、全体として行政財産の中で空いたスペースの有効活用という観点で、全体として行政財産のスキームは維持しつつ財産の有効活用を図ろうという観点で改正案を提案させていただいているものでございます。
  158. 吉川春子

    ○吉川春子君 確かに、地方自治体の合併を強力に強引に推し進めた結果、過疎地なんか、面積は広い、四つも五つも自治体が合併して、今までは役場で一定の人数もいて地域の拠点になっていたものが、それがもう閑古鳥が鳴くような形になっていると。本当に町村合併の意味というものを、私もう大変なことをやったものだなと思うわけですけれども、そういう空きスペースができてしまったと、それだから今度はその財産を、行政財産を民間に貸し付けるんだなどというふうに言っているわけですけれども。  法案で、庁舎等、等が付いていますね、というふうになっていますけれども、貸付けの対象となる行政財産は限定されているんですか。
  159. 高部正男

    政府参考人高部正男君) お答え申し上げます。  特に行政財産のうちの何とかということを規定しているものではございません。
  160. 吉川春子

    ○吉川春子君 だから、特定もしないで全部どうぞと、こういうような無限定な内容になっているわけですね。  行政財産の用途を妨げない限度で例外的に目的外使用を許可することができるように現行ではなっているわけですね。この場合には借地借家法の適用もなく、一年以内の使用許可を更新しなければ長期の使用ができません。法案の庁舎等の貸付けというのは、借地借家法が適用されて長期間の使用が認められることになります。行政財産は一切の私権の設定が原則禁止されているわけですけれども、例外規定拡大されてこの行政財産というものの考えがあいまいになっていくんではないでしょうか。行政財産というのは、万が一の災害の避難場所とかそういうふうに活用される重要なものですね。こういうものを民間に貸し付けてしまったら、住民のために、いざというときに使えないというような事態も起こるんじゃないでしょうか。  こういうものについてどういうふうに規制をしていくのか、省令とか何かで定めるという話も聞いていますが、その内容について具体的にお示しいただきたいと思います。
  161. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 今御指摘いただいておりますのは、庁舎等ということでございますが、行政財産のうち庁舎その他の建物及びその附帯施設並びにこれらの敷地ということで定義されておりまして、先ほどお答えしましたのは、こういう中で特定のものだということではございませんけれども。  そこで、この貸付けでございますけれども、行政財産というスキームを維持しつつそれを妨げない範囲で貸していくことになるものですから、行政財産としての機能を維持することが前提になるわけでございます。そういう中で、今御指摘ございましたように、余裕がある場合として政令で定める場合に、庁舎等の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限るという、その対象を限定して貸し付けることができるというスキームになっているところでございます。  政令につきましては、今後更に検討させていただきたいと思いますが、今回の制度改正趣旨がそういうことでございますので、つまり、現行の行政財産制度のスキームを維持しつつ行政財産である建物の一部貸付け等をすることができるよう所要の規定の整備を図るという性格でございますので、政令の整備に当たりましては改正趣旨を踏まえて制定したいと思いますが、委員御懸念のように何でも貸し付けるというようなことはもとよりございませんで、この政令制定に当たりましては、公共団体が事務とか事業に使うところはもとより、その他のものが使っている部分につきましても、公共又は公共的な必要が認められるといったようなところについては除外するようにとかといったような内容について定めたいと考えているところでございます。
  162. 吉川春子

    ○吉川春子君 しかし、私権の設定ということをしますと、賃借権の問題、今言いましたけれども、例えば地上権とかあるいは地役権とか物権の設定も認めているでしょう。そういうふうになりますと、今度はそこは民法の関係が適用されるわけだから、そうすぐ出ていけということも言えないし、やっぱり公用財産の制度がなし崩し的に弱まっていくのではないか。そういう問題点を指摘して、私の質問は終わります。
  163. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  本論に入る前に大臣に一点伺っておきたいと思います。  地方自治の重要問題について、大臣が私的諮問機関である二十一世紀ビジョン懇談会に非常に実権を与え過ぎているんではないか、衆議院で我が党の重野衆議院議員が重ねてただしてまいりましたが、大臣の御答弁は非常に抽象論で終始をされていると、こんなふうに私は思います。  しかし、だんだん明らかになってきたのは、二十一世紀懇で御自分の意思を固められて、六月の政府の骨太方針に盛り込むお考えのように思えます。この時期、地方制度調査会は解散して存在しないわけですね。したがって、二十一世紀懇での議論が即骨太方針に持ち込まれる。地制調にはたとえ諮問するにしましても発足してからということですから、余り意味がないんではないか、後追いということになります。  我々は、地制調をやはり発足をさせて、ここにやはり地方自治の重要問題というのはかけるのが順序ではないのか、こういうふうに申し上げてきました。逆では、地制調そのものをつくったって正に形骸化ではないか、こう思うんです。  大臣は答弁で、道州制は制度設計だからこれは地制調で、歳出歳入改革経済財政諮問会議で、こういうふうに使い分けられているようですけれども、実際は自治体の歳入歳出改革もこれは制度問題なわけです。つまり、交付税など制度論に踏み込むことになることは当たり前のことでありまして、そうなると、実質のある、かつ期限を区切った決定というのはすべて二十一世紀懇でいろいろと議論されたものを直接に大臣が骨太方針に、こういうルートで決めて、地制調は制度論についても結局は置いてきぼりになってしまっているんではないのか、こんなふうに思うわけでありまして、この点について、大臣、どのように御説明なさるんでしょうか。
  164. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 今、又市委員が、懇談会が大変な実権を持っていると、実権というふうに言われたんですが、これはちょっと繰り返しで恐縮でありますが、この委員会は私に対してインプットしてくださるわけでありますので、この懇談会が何かの権限とかを持っているということでは全くありません。これは、総務省としてどのように対応していくのかという重要な判断をするためのインプットをしていただいている、これはもう何度も御説明をさせていただいているところでございます。  それと、今委員歳出歳入一体改革、これ諮問会議でと。これ実は、歳出歳入一体改革そのものは、実際にはこの中身は何かというと、例えば国と地方公共事業を何%をどうするのかということ、これは地方財政仕組みの問題とはちょっと違う性格の問題だと思います。つまり、プライマリーバランスをどのように回復させていくのか、そのために例えば社会保障、これは国にも社会保障費があるし、地方にも社会保障費がありますけれども、それをどのように管理をしていくのか。そういうマクロ的な議論を、これは諮問会議から始まって今では与党の中で行っているわけでございますけれども、そういう議論と幾つか並行して今行われる状況だと思っております。  いずれにしましても、この仕組み議論というのはそんなに簡単ではございません。地制調に、これは地制調は言うまでもなく内閣総理大臣の諮問に応じて重要事項を直接審議していただくわけですけれども、一体何を諮問させていただくべきなのかということ自体が大変重要な問題だと思っております。その意味では、まず方向について私自身の頭をしっかりと整理して固めて、それで必要なもので政府と与党と合意をしていける部分については、これは骨太の方針で閣議決定ができれば大変有り難いと思っておりますが、これもまあまだこれからの話でございます。  今、我々としては、その懇談会においてしっかりと方向議論、自分自身の頭を固めて、そして必要なことについては、重要な問題については地制調にしっかりと諮問をしていきたいと、そのように思っております。
  165. 又市征治

    ○又市征治君 言葉遣いで、実権を与え過ぎている、もっと言うならば重視し過ぎているというふうに言い換えた方がいいかもしれません。  問題は、やっぱり一定の権威あるというか、長い歴史を持っている地制調というものの論議というものは非常に大事にすべきじゃないのかということを私は申し上げているわけでありまして、この点についていえば、余り与野党を問わずこの意見は多いのだろうと、こう思うわけでありまして、その点を注文申し上げておきたい、こういうことであります。  そこで、今度、国会には憲法改悪手続の国民投票法案が会期末ぎりぎりになって出されてまいりました。これを急ぐのは、憲法とりわけ前文と第九条を改悪することがねらいのようでありますから、これは我が党としては断固反対であります。  それより前に、自治体レベルで多く実施されておる住民投票について法律で今回もむしろ位置付けるべきではなかったのかということについて若干意見を述べておきたいと、こう思うんです。  この点については、住民投票をしっかり制度化すべきだという問題はずっと避け続けられてきました。前回改正のとき、住民投票について初めて法律上位置付けたんですが、これは市町村合併について合併促進の一方通行のみの立法でありまして、逆の、住民の反対は認めないという実に不公正な悪法だったと私はそのときも御指摘申し上げました。  最近の住民投票の結果について、総務省から資料をいただいて皆さんのお手元にお配りをさせていただきましたが、十年間で十三件、巻町の原発から始まって岩国の米軍基地問題まで活発に行われてきておるわけですが、この賛否の中身を見ていただくならば、長崎県の小長井町を除けば、つまり一件を除いてすべて原発や基地、産廃施設について反対が多数を占めている、こういう結果になっているわけです。原発、基地が住民投票のテーマになるのは国の政策が一方的に住民に押し付けられるからで、当然住民の抗議の意思表示ということだろうと思うんです。  そこで大臣、国政のテーマといっても地域住民に直接影響する案件で行われた住民投票というのは、憲法九十五条、つまり地方自治特別法の類推からしても政府はこれは尊重すべきだ、やはりこういうものを制度化すべきだ、こういうふうには思われませんか。
  166. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 民主主義である以上民意を大切にしなければいけない、そこはもう全く異論はございません。  その場合、民意の反映の仕方としてどのような仕方が、やり方があろうかということなんだと思います。住民がそれぞれ代表を選んで国会に送って、国会で決めるというやり方もございますでしょう。また、地元の話については代表を市議会、県議会に送るというやり方もございますでしょう。そこは国全体のむしろ意思決定、意思のつくり方の形の、取決めの私はやり方の問題であろうかと思います。  今、住民投票についてお尋ねがございましたけれども、まあ言うまでもなく、一般的な住民投票についての法律上の規定はございません。今いろいろ行われておりますけれども条例に基づいて任意に住民投票が行われているわけでございます。それをどのように判断されるか。法的拘束力は有しないものではありますけれども、それぞれの自治体において適切にこれは御判断がなされるべきであるというふうに思います。  そして、今例えば原発とかございましたけれども、それについて個別の事項の担当部署においても今申し上げたようなことを前提としてどのように御判断をされるかという、その一つの判断の問題であるというふうに思います。
  167. 又市征治

    ○又市征治君 現実に自治体でこれだけ進んでいる住民投票を国が頑として認めないでいる。これは極めてそういう意味で、前回の市町村合併の場合は、これだけは一方通行は認める、極めて御都合主義であり、この二十一世紀になって依然として非民主的な姿勢、これはもうヨーロッパなどと比べたらお恥ずかしい限りだと思うんですよ。まず、住民投票の法的位置付けをやはりしっかりすべきだということをここでは申し上げておきたいと思います。  そこで、今日も七人目ぐらいになりますと大体ほとんどダブってまいりますから、私は今日は、監査委員制度について、これに絞って議論をさせていただきたいというふうに思います。  前回改正で、外部監査制度を導入をしました。今回の法案は、監査委員の増員ということであります。行政改革と称して公共サービスと職員を減らしたり外注化して住民が事務事業を監視しにくくなる一方で、監査委員や外部監査契約制度ばかり充実をする、これは実にアンバランスだと、私はこう思います。  自治法の百九十六条で、議会選出の委員は一名又は二名と制限をしているわけですが、識見委員について現行法で制限はありません。だから、首長がその気ならば、議員を一人減らして識見委員を総定員四名のうち三名に増員することもできるはずですね。この識見委員を三名にしている自治体は幾つ今ありますか。
  168. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 私ども、悉皆で状況把握しているのが平成十五年四月一日現在の調査のもので、ちょっと古くて恐縮なんですが、監査委員の定数が四人である団体数は、四十七都道府県と人口二十五万人以上の五十一市の市で九十八でございます。そのうちで、識見委員の数が三名である団体は四つの団体だというふうになっておるところでございます。
  169. 又市征治

    ○又市征治君 三重と福岡とが県で、盛岡と秋田ということのようですね。つまり、現行法でも自主的に識見委員を増やせるのにほとんどの自治体がやっていないので、識見委員の増員のニーズというのはさほど多くないんだろう、こんなふうに私は思いますね、現実にできるのにやってないわけですから。それを今度増やしますと、こういうことですね。  それで次に、職員OBが監査委員になることについては、同条二項により一名以内というふうに制限しています。この趣旨は、OBによって監査が甘くなることを防ぐためだろうと思います。実際に部長級など職員OBを監査委員としている団体数は、どういう実態にありますか。
  170. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 同じ時点の調査で、識見を有する委員へのOBの就任状況は、都道府県四十七団体中三十六団体、指定都市十三団体中十二団体、その他の市町村、ちょっと古い時期でございますので、三千百七十七団体中八百三十三団体といった状況でございます。
  171. 又市征治

    ○又市征治君 私の手元の数字とちょっと違うのかもしれませんが、県でいいますと七〇%、十四指定都市でいうと八六%、その他の一般の市と町でいうと四八%、まあ五〇%近く、つまりこれだけOBの監査委員が入っているわけですね。昨日まで首長の部下として仕えてきた幹部職員OBを選任している団体がそういう意味では大半だと、こういう状況で、首長の絶対絶大な執行権力に対して住民の利益を代表すべき監査の独立性が脅かされていることを指摘せざるを得ない。  先ほど来、一方で、いや、それは出納長収入役は職員になったって他の監査制度などの強化があるんでというお話がありましたけど、全然そんな実態ない、こういうことじゃないかと思うんですね。  次に、住民監査請求、まあ二百四十二条の件ですが、いただいた資料は三年間ないし五年間でくくってあって非常に分かりにくい資料なんですけれども、しかし、傾向は見える。都道府県、市町村、いずれも一九九五年、今から十年ぐらい前ごろからは激増していますね。すなわち、年平均で都道府県は、五十八件だったものが次の期には二百十三件に増えて、直近では二百二十五件、約四倍増。市町村は、三百四件だったものが五百三件、六百五十八件と、二倍強に増えてきています、これはちょうど十年ほど前から。  しかし、住民が苦労して難しい書類を提出をしておっても、監査委員により棄却されるケースが多ければ不満だけが蓄積をしていく、全く監査制度は何をしているのかということがあるわけでありますが、そういうケースが非常に多くなっているんだろうと思います。監査委員がさっき申し上げたように執行部追随であることが多い、こんなことも考えられるんだろうと思います。  監査請求に対して結果はどういうふうになっているか。どうも門前払いの却下、次に監査による棄却、それと逆に執行部に是正勧告をした件数、これらについて大まかに御紹介いただきたいと思います。
  172. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 平成十一年度から平成十四年度までに行われました住民監査請求の処理結果を今手元に持ってございますが、その結果によりますと、都道府県では八百九十九件の請求が行われまして、その処理結果は、取下げ十五件、一・六%、却下四百六十一件、五一・三%、棄却三百八十一件、四二・四%、措置勧告四十件、四・四%。市町村では二千六百三十三件の請求が行われまして、処理結果は、取下げ五十件、一・九%、却下八百五十一件、三二・三%、棄却千五百三十一件、五八・一%、措置勧告百九十五件、七・四%といったような状況になっているところでございます。
  173. 又市征治

    ○又市征治君 つまり、都道府県では五一・三%が門前払い、監査結果で棄却が四二・四%である一方で、住民の請求が生かされて監査委員首長等に対して措置勧告をしたケースはわずか四・四%だと。市町村でも、門前払いが三二・三%、棄却が五八・一%で、措置勧告まで行ったのは七・四%だということですね。  もちろん、住民の監査請求がすべて正しいとはこれは限りません。しかし、これほどまでに却下や棄却が多くて首長への勧告が少ないというのは、やはり先ほどから申し上げてきたように、監査委員の多数が首長を擁護する立場から選ばれていることが一因だとやっぱり考えざるを得ない、そういう実態だろうと思います。  また、住民訴訟について自治法が監査請求に不服があるときに限定をしていることが、逆に監査請求を単なる通過手続のようにさせて、監査委員及び執行部側の、どうせ不服だったら訴訟に持っていったらいいじゃないか、こういう安易な対応というものを誘発しているという面も考えられるんではないか、このように思います。  この問題は機会を改めて論じたいと思いますけども、現に、こうなって住民はより負担の多い訴訟にまで追い込まれている、こういう状況があるということだけは指摘をしておかなきゃならぬと、こう思います。  そこで、次に、一九九七年の改正で外部監査が新設をされました。このうち、包括的外部監査は外部の公認会計士等と常時契約するものですが、別途、個別的外部監査というのがあります。こちらは住民監査請求などを受けて臨時個別的に契約するものですが、これがどの程度これまで利用をされてきたのか。二〇〇四年度では三件だけだというふうに聞いておりますけども、それぞれ、だれの請求でどのような事例だったのか、御紹介いただきたいと思います。
  174. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 平成十六年度の個別外部監査の実施状況は、御指摘ございましたように三件ということになっておりますが、このうち一件は鳥取県の事例でございまして、住民監査請求に基づくものが一件でございます。それから、事務監査請求、直接請求の事務監査請求に基づくものが一件、これは千葉市でございます。それから、長からの請求に基づくもの、これ杉並区に係るものでございますが、これが一件といったような状況になっているところでございます。  中身でございますけれども、鳥取県の事例でいいますと、補助金の返還及び加算金の徴収といったことが問題になっているようでございます。それから、千葉市の事例では、市税の徴収事務に関しまして、特別処分及び不納欠損の合規性と滞納処理事務システムの実効性について監査をといった内容でございます。それから、杉並区の案件は、保育サービス全般に関するコスト等の検証についてのものといったような状況になっております。
  175. 又市征治

    ○又市征治君 個別的外部監査も、今申し上げたように鳴り物入りでこの制度をつくったわけですけれども、極めて低調だと、全く三件のみ。これも請求者が外部監査にしてくれと要求しただけでは駄目でありまして、大変複雑な何段階もの手続が必要なわけですね。  まず監査委員が外部監査の必要の有無について意見首長に言う、首長は議会にこれを付議をする、そして決まっても今度は具体的に、一の者との契約締結についてまた監査委員意見と議会の議決が要る。こういうややこしい制度をむしろつくったわけで、これだけ縛りがあれば年に三件ぐらいしかそれは出てくるわけがない、こういうことだろうと思うんですね。結局は、首長の息の掛かった多数派の監査委員や議会多数派のお許しなしにはこの制度自身も生きてこない。正に首長の意向次第、こういう制度になっているんだろうと思うんです。これで一体住民など監査請求者の意図は生かされると言えるのかどうか。  そこで、大臣、この問題についてお聞きをするんですが、大臣も民間活力ということを力説されるわけですが、このように、民間の人々が行政に対して様々いろんな問題がある、何とかこれは個別的な外部監査を要求しようと、こう思ったって、今申し上げたように幾つも幾つも関所を設けてそこまで行かない。首長の同意、議会の同意、こんなことにまで行って、契約に至るまでにとても面倒で、もう住民はあきらめてしまう。もうあきらめさせられるというふうに言った方がいいかもしれません。そういう意味で、住民の声が切り捨てられてしまう、こういう状況になっているんじゃないでしょうか。この点について、大臣はどのようにお考えになっていますか。
  176. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 私自身、よく申し上げますが、いろんな意味でのチェック機能をいろんなところで持っていくというのは、これはもう重要な、極めて重要なことだと思います。  個別外部監査の実施するための条例の制定を見ますと、平成十六年度におきまして、都道府県では四十七団体、指定都市及び中核市で四十八団体、その他市町村で四十二団体、合計百三十七団体でございます。前年に比べて四団体増加しているということで、増加率だけから見ると三%ぐらいの増加ということなんだと思います。  利用実績ですね、今御引用くださいましたように平成十六年度で三件なわけですけれども、これは、個別外部監査というのは議会、長又は住民から請求がある場合であって、外部監査人によることが適当であるときに行われるものであるわけでございますが、今委員おっしゃったように、その原因、少なかった原因は必ずしもその手続の煩雑さによるものなのかなと、必ずしもそうではないのではないかという認識を持っております。議会、長においては、監査委員の活用等によって対応している例がございます。また、住民からの請求については、個別外部監査請求自体が多くない、また請求があっても監査委員において対応できる場合もある、そういうような状況もあろうかと思います。  ただ、先ほど言いましたように、いろんな意味でのそういう機能を重視するということは、これは方向としては私たちも大変重要だと思っております。総務省としましては、地方行革指針、これは昨年の三月の行革指針において、外部監査の有効活用につきましてこれは助言を行ったところでございます。  今後とも、地方公共団体における監査が適切に実施されるようなそういう情報提供や助言は、これはしっかりと努めていきたいというふうに思っています。
  177. 又市征治

    ○又市征治君 結局は、基本となる監査委員制度そのものが首長の意向が非常に強く支配するようにできている。それは、さっきからるる申し上げてきた実際の監査委員の選任状況、そんなことからも言えるんだろうと思います。そうした中での今回の監査委員についての法改正、識見委員の増員可能ということですけれども、果たしてどれほどの意味があるのか、大変私は疑問であります。  この件の最後に、基本となる二百四十二条はその第三項で、監査委員首長等に対して監査請求された事務執行の一時停止を勧告することができることになっております。裁判の仮処分に似て、住民が異議を唱えている間に事態がどんどん進んでしまうことを防ぐ大切な条項だろうというふうに私は思います。この一時停止勧告というのが出された例、ありますか。
  178. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 今御指摘いただきました制度は、平成十四年の自治法改正により創設された仕組みでございますが、私ども、この勧告が行われた事例ということについては承知しておらないところでございます。
  179. 又市征治

    ○又市征治君 全くないということであります。  以上、私は、今日はたくさん、出納長収入役などなくすということについてもこれは問題ありということなど、これは同僚議員の皆さんが御指摘になりましたから、したがって監査制度に絞って問題点を指摘をしてまいりました。  やはり、今幾つか申し上げたように、ただ単に識見委員を増やすというだけではなくて、以前からある幾つかの制度が実態としては生きていない、あるいは余りにもいろんな縛りがあり過ぎてそれが生かされない、こういう状況がある。これは全般的にやっぱり見直すべきだろうと思うんです。そういう点は、やはりしっかり見直して、もっと住民の声が自治体にやっぱり届くように、いろんな異議の申立てというものがやられるように、こんなことが生かされていかなければ何にもならない。ただ単にそういう増員をしていく、一方で、片ややっぱり職員やこうした委員を増やしなさい、こう言いながら、一方ではこれを増やしていきましょう。全く整合性が取れないわけでありまして、やはり制度そのものが全体が生きるような形でこの監査委員制度そのものもトータルとして見直すことを求めて、今日の私の質問は終わりたいと思います。
  180. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 国民新党の長谷川憲正でございます。  地方自治法の提案されております改正案につきましては、私は賛成でございます。昨年の十二月に出されました第二十八次の地方制度調査会答申を踏まえての今回の御提案というふうに認識をしておりまして、問題点はるる御指摘は各委員からございましたけれども、今回の改正でどれだけの地方自主性自律性拡大が図られるのかという点は多少の懸念はあるわけでありますけれども、いずれにしましても一歩前進という意味で私はこれに賛成をしたいと思います。  と同時に、各委員から御指摘がありましたように、これにとどまらずに、今後抜本的なやはり改革に向けていろいろと御努力をいただきたいと、私からもお願いを申し上げる次第でございます。  そこで、この地方自治法そのものの問題は私、発言したいのは以上でございますけれども、せっかく今日は時間をいただきましたので、郵政の民営化に向けての今公社が行っておられる準備につきまして御質問をさせていただきたいと考えております。  と申しますのは、今回の地方自治法改正も、言ってみれば、地方をより活性化して、地方がもっともっと住民にとって意味のあるものになるように、地方がしっかりしてくれなかったら国家も成り立たないわけでございますから、そういう意味地方に頑張っていただこうと、こういう趣旨だと思いますので。  そうだとしますと、狭い意味地方自治にかかわらず、いろんな国の施策があるわけでございますが、そういったものも地方の活性化、地方自主性そして自律性拡大につながるような方向にすべてが動いていかなければいけないと思うんですけれども、なかなかすべてがそういっているようにも思えないわけであります。その一つの例が、今、日本郵政公社が取り組んでおられる集配郵便局の再編計画といったものではないのかなと思うわけであります。  私たちが郵便局、郵政事業の民営化に反対しました理由というのも専らそういうところにあるわけです。会社という形になって効率的な経営をする、そのことは結構なことなわけです。そのこと自身は私たちも否定をしないわけでありますけれども、しかし一方で、採算に乗らないようなところというのはどんどんと切り捨てられて、それが結局、地方の活力を奪ってしまうんじゃないかと。長い間、江戸時代から、明治の時代から営々と発展をしてきた地域というものがだんだん今寂れてきております。地方を歩くと本当に寂しい思いをするわけでありますけれども、そういう状況の中で、地方の住民が都会との格差を実感せざるを得ないような状況の中で、今、集配郵便局という、その地域にとっては大事なインフラの一つがなくなろうとしているというのは、私はもう大変大きな問題であろうというふうに思っておりまして、そういう趣旨から三月の十四日と三月の二十二日、二回にわたってこの問題をここで取り上げさせていただきました。  その後いろいろな進展があるはずでございますが、何も聞こえてまいりませんので大変私は心配をしておりまして、いずれ、例えば郵政事業の決算などを本委員会審査をいたしますときにはこの問題をお尋ねしようと思っておりましたけれども、そこまで待てないという気持ちで今日は改めて質問をさせていただきたいと思うわけであります。  総裁、副総裁、今日は御出張中ということで、総裁の代行でいらっしゃいます山下理事に忙しい中を今日はおいでをいただいておりますので、早速御質問をしたいというふうに思っております。  この集配郵便局、千局ほど減らすと。集配業務を廃止をいたしまして、従来あった集配郵便局というのは窓口だけの郵便局になる。そういうことでございますけれども、私は、地域の住民にとって、自分の身近な郵便局が配達に来てくれていたものが今度は三十キロも先の郵便局から配達に来るということで、本当に従来どおりのサービスが受けられるんだろうか、こういうことを当然御心配になるはずだというふうに思ったものですから、前二回の質問の中で、いつこの千局という局名が世の中に公表されるんですか、早く公表するべきだと思いますよと、公明正大に議論しましょうということを私申し上げてまいりましたけれども、今日に至るまで公表はされていないのではないかと思うんですね。  私、前回の議事録見てみましても、三月の十四日には参考人としておいでいただいた塚田執行役員が、三月末までには成案を得るように鋭意取り組んでいるところでございますというふうにおっしゃっておりますし、三月二十二日においでいただきました参考人の高橋副総裁でございますが、四月中には何とか公表したいと、こういうふうに思っておりますとおっしゃっているわけであります。もう既に五月が終わろうとしているわけでありまして、まず最初に、公表したのかしないのか、あるいは今後いつ公表するおつもりなのかをお尋ねしたいと思います。
  181. 山下泉

    参考人山下泉君) 集配拠点の再編計画につきましては、御指摘がございましたとおり、当初は四月中に公表を行いまして、その後関係自治体等に説明する方向検討してまいりました。しかしながら、本再編計画に対しましては、地方の自治体などからサービスの低下などを心配される声を多く伺いましたので、私どもといたしましては、具体的な再編計画の決定、発表を行う前に関係自治体等に丁寧に御説明し御理解を得ることが先決と判断いたしまして、そこで、四月中旬から本社、支社、郵便局が手分けをいたしまして、全国の関係自治体等を訪問させていただきまして、私どもの基本的な考え方、すなわち法律や国会答弁、附帯決議で求められております郵便局の窓口ネットワークは維持する、またサービスレベルにつきましてもこれまでと同等に提供することなどにつきまして具体的な御説明をさせていただき、御理解をいただく努力を続けてまいりました。  現在はこうした努力を続けている最中でございまして、いまだ最終決定、公表を行う段階には至っていないというのが現状でございます。
  182. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 私が公表してくださいと言って前回お願いをしました趣旨がどうも御理解をいただいていないようなんで、もう一度お話をしたいと思いますが、私は、公社の側がもうこれでやるんですと、千局の局名はこれで固まりましたというものを出してもらっても意味がないと思うんです、もうそれで走るんでしょうから。私が申し上げたのはそうじゃなくて、私たちが国会で議論したときにも随分懸念をしたことでもありますし、郵便局のサービスは現状レベルで維持しますということを政府もお約束になったことでもありますから、本当にそうなるのかならないのかというのを十分、国民の皆さん、住民の皆さんに理解をしていただいた上でやってくださいということなんですね。無理強いをしないでくださいと、こういうことなんです。  そのために、今候補になっている千局、実際にはもういろんなところの自治体へ行って市長さんや何かにお話しになっておられるというのは私は承知をしております。それから、郵便局で関係の労働組合に、あなたのところはこういうことになりますから転勤をしてもらうことになりますよというようなお話をしておられるのも承知をしております。そして十月一日実施だとかいうような具体的な日にちも出ていることも承知をしておりますが、そういう事実が住民の皆さんに公に分かるようになっていないことが一番の問題だと思うんですよ。  これはもう行政もそうですが、皆さん方のお仕事も公明正大に透明におやりになることが一番大事でありまして、後になって、実施をしてしまってからわっといろんなところから苦情があってこれは大変というようなことではなくて、事前に堂々とおやりになるべきだ、私はそう思うわけです。  それは、かなりの苦情や批判を受けて計画を直さなければならない場面も出てくるかもしれません。しかし、出てきたらそれは堂々と受けて直されたらいいわけでありまして、それを無理にやって、あそこでもサービスダウンが起きた、ここでもサービスダウンが起きたというようなことで批判をされることになれば、民営化された会社というものが結局は信頼を失ってうまく私は運営できないということを心配しているわけでありまして、私が求めているのは、公社が最終的にもうこれでやるといって決めた、調整も全部済んでしまったというものではなくて、今候補になっている、これからやろうと考えているものを公表してくださいということなんです。いかがでしょうか。
  183. 山下泉

    参考人山下泉君) 私どもはそういう趣旨と御理解をさせていただいておりまして、まず、要するに、自治体等に、こういう計画で今検討しているけれども、こういうサービスの低下についてはこういう対策を取っていくので、具体的にどういう問題があるかということについてそれぞれ御意見を伺って、それで一応固めてというふうな段取りを考えておりまして、そういう意味では今先生がおっしゃったことと同じプロセスをやっているつもりでございますけれども
  184. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 どうも認識に違いがあるようなんです。  一つ具体的な事例を申し上げたいと思います。  これは郵便局の労働組合で、郵便局の役員をやっている人の私のところへの陳情といいますかお手紙なんですけれども、自分のところでは地元の郵政公社の支社から郵便局を統合するという提案は組合員に示されているけれども、地元の自治体にも地元の新聞にも全く明らかになっていない、報道発表もなされていない、こういうやり方は国民を切り捨てる強行計画ではないでしょうかということを言ってきているわけでありまして、私は、こういう批判があちこちで出てくることを恐れているわけです。  ですから、堂々と、今既に候補として皆さん方局名を持っておられて、そして関係の自治体にも話をしておられるというのであれば、世の中に全部まとめて発表できないはずがないじゃないですか。これ是非発表をしていただきたいし、私ども国会で議論をしてきた責任がございますので、この委員会にも御提出をいただきたいと思うわけであります。委員長、よろしくお取り運びをいただきたいと思います。
  185. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 後刻、理事会で協議をさせていただきたいと思います。
  186. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 ありがとうございます。  そこで、この問題はこれから難航するだろうというふうに私思っておりますけれども、同時に、さらに心配の種があるわけです。  それは、私、前に指摘をしましたときに、特に第一回目の三月の十四日に指摘をさせていただいたんですけれども、集配業務、郵便局、配達したり集めたりする業務を一か所に集中してやるようなことになってもサービスダウンは起きません、窓口は残しますと、こうおっしゃるものですから、そんなことないですよと。例えばということで、私は時間外窓口の取扱いということを申し上げました。すなわち、集配特定局というものは、普通の日でも窓口が普通の郵便局が開く時間のもっと早い時間、あるいは郵便局の窓口が閉まったもっと後の時間でも開けていますよと。無集配特定局とは違うサービスをやっています。そして土曜、日曜も集配特定局は時間外窓口というのを開いていますよ。無集配になるとそういうものがなくなっちゃうじゃないですかと。これ一つ見てもサービスダウンでしょということを御指摘を申し上げました。  そうしましたら、私は新聞を見て大変びっくりをしたんですけれども、「時間外窓口サービス廃止へ 郵政公社、三千六百局で」という記事が、これは共同通信の配信したニュースでございまして、東京新聞ですとか読売新聞にもたしか載っていたと思いますけれども、要するに、今回統合する窓口業務だけにしてしまって、集配業務を統合する千局だけではなくて、長谷川がああいうことを言ったからということかもしれませんけれども、それなら残る集配特定局も含めて全部、時間外窓口サービスはやめてしまおうと。それならみんな、集配特定局も無集配特定局も時間外窓口サービスなんというのはなくなるわけだから同じじゃないかということだとすると、これ明らかなサービスダウンでありますけれども、幾らなんでも走っている方向が違うんじゃないかと。  皆さん方、公社ですからね。公務員としてあまねく公平にサービスを提供するという義務が現在あるわけですし、国民全体の奉仕者として仕事をしておられるわけですよね。そして、民営化の準備は分かりますけれども、国会との約束等もある、サービスダウンはしないと言っている中で、これはどういうお考えなんでしょうか。
  187. 山下泉

    参考人山下泉君) 先生の御指摘のとおり、集配拠点の再編に伴いまして、郵便物の区分作業業務につきましては、統括センター、約千百局になりますが、ここにおいて集中処理を行うことになります。その結果、統括センターに業務を集約されます郵便局、今三千六百局と紹介がございましたが、配送センター約二千六百局と非集約局約千局になりますが、ここにつきましては内務職員を配置しないことになりますので、郵便局の窓口時間外の、いわゆる時間外窓口、ゆうゆう窓口サービスにつきましては基本的に廃止することになります。  これに伴うサービス低下を回避しますため、時間外窓口サービスの代替サービスといたしまして様々な工夫を行っていくことといたします。例えば、不在持ち帰り郵便物の受取につきましては、民間宅配便と同様に土日も含めて御自宅に配達することによりまして、お客様に来局していただくことなく郵便物を受け取っていただけるようにいたします。また、ゆうパックや書留などの差し出しにつきましては、集荷体制の充実により、拠点となる施設等から集荷に伺うなどによりまして、これまでと同等のサービスを御提供できるような体制を整備していくつもりでございます。  このような様々な代替サービスを工夫することによりまして、今後ともお客様にはこれまでと同等の品質の高いサービスを提供できますように、全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  188. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 お手持ちの答弁書をお読みになるんで、今日は総裁もおいでになりませんから、これ以上言っても無理なのかもしれませんけれども、今のような御答弁で利用者の皆さんが本当に納得をされるのかどうか、よくお考えをいただきたいと思うんです。  私たちは正にそういうことを懸念しているわけですよ。民営化して、本社を中心とした、都会をカバーするようなところがどんどんと利益を上げていくというのは、まあそれはそれで結構なんでしょうけれども、しかしその一方で、やっぱり過疎地の郵便局のサービスがどんどんとこういうことで切り捨てられて、地方の人たちがますます不便になったと。郵便局がもっと便利になると、コンビニエンスストアになるなどといって聞いてたけれども、やっぱりうそだったかという反応が出てきたら、私は本当にうまくいかないと思いますよ、民営化も。  それで、ちょっとここに、もう皆さん方お忘れになったかもしれませんが、自民党というよりも自民党幹事長であられる武部先生がおつくりになったと言うべきかもしれませんが、「あすなろ村の郵便局」って、あの例の紙芝居があるんです、もうお忘れになったかもしれませんが。大臣も大変よくできたとおっしゃったというふうにテレビのニュースか何かで拝見した記憶がありますが、これちょっともう一度思い出していただきたいと思うんですが。  こういう場面から始まります。チリンチリン、おばあちゃん、郵便だよ。ここは山合いのあすなろ村。自転車で汗をかきかきやってきたのは、この村の郵便局に勤める鈴木さん。あすなろ村に生まれ育って、この春、小さいころからのあこがれだった郵便局員になったばかりの新米局員。今日は、村外れに独りで住んでいる山田のおばあちゃんのところへ手紙を届けに来たのです。  こういう場面から始まるんですよ。今度集配局が統合されると、まず出だしの場面から全然違ったものになるんですよ。これはその後、前島密翁が登場してきまして、民営化というのはいいことなんだと、そして村の郵便局はいろんなことができるようになる、コンサートの切符も買えるようになるとか、そんなことを言ってみんな大変喜ぶという筋書なんですけれども。私は、これはさすがに、武部先生これお作りになったときもまさか田舎の郵便局の配達業務がなくなってしまうとは思っておられなかったということだと思うんですね。  私は、単に郵便物が配達されれば郵便サービスというのは維持されるんだという、そういうものではないと思うんですよ。それはもう、皆さん方経営陣も、郵便局へお行きになって、田舎の郵便局実際にごらんになって感じていると思いますけれども地域社会の中における郵便局の位置付けというのはそんな単純なものじゃないんです。いろんな意味でその地域の人たちの心の支えになっているわけですよね。それを壊してしまうということが私はいろんな形で、政治的な反応も含めて、これから悪い影響を民営化された会社に及ぼしていくのではないかということを大変に心配をしているわけでございますので、今日はこれ以上この問題は追及はいたしませんけれども、もう一度よく考えていただきたい。  そして、先ほどお願いしましたように、候補となっている局名を出して、そして地域の皆さんにどれだけ自分たちが努力をして、これ統合してもあなた方に迷惑は掛けませんという説明がちゃんとできるのかやってみてくださいよ。それで皆さんが、地域の住民の皆さんが分かりましたとおっしゃるんなら、それは私結構だと思いますけれども、なかなかそうはならないだろうということをまず申し上げておきたいと思います。  それから、これまた前回も指摘をさしていただきましたんですけれども、現在六十五歳ということになっております特定郵便局長の定年を六十歳に切り下げると。これも私は、改正された高齢者雇用安定法の趣旨からいってもこれまた逆向きの方向へ走っているということで、考え直していただくようにお願いをしたように覚えておりますけれども、公社はこれ、お考え直しする気持ちはございませんか。
  189. 山下泉

    参考人山下泉君) 今の点でございますが、繰り返しになるかもしれませんが、特定郵便局長の定年につきましては、今御指摘のとおり特例として六十五歳とされておりますけれども、民営分社化に伴います郵便局会社における郵便局マネジメント、人事制度等の制度設計の一環としてその見直しを検討しております。  これは、民営分社化によりまして新しく設立されます郵便局会社は、現在の普通局、特定集配局の窓口部分とそれから無集配特定局から構成されることになるわけでございまして、これまでの普通局と特定局の機能面での差が実質的になくなってまいります。こうした前提条件の変化の下で郵便局会社マネジメントを一体的に行ってまいりますには特例定年の見直しが必要と判断したものでございます。  具体的には、郵便局会社における特定郵便局長の定年につきましては、民営化当初は六十五歳とし、その後段階的に特定局長以外の社員の定年であります六十歳に合わせていくこととして、定年後は再雇用により六十五歳までの雇用を継続する措置を講じたいと考えております。  一方、特定局長以外の社員につきましては、高齢者等の雇用の安定等に関する法律に基づきまして、六十歳定年を前提に再雇用の年限を段階的に引き上げてまいりますので、こうした経過期間を経た平成二十五年には特定局長とその他の社員が六十歳定年プラス五年間の再雇用ということで一本化されるような設計としております。  公社といたしましては、この定年の見直しの件を含む郵便局改革全般につきまして、関係者の理解が得られるよう現在精力的に意見交換を行っているところでございます。民営分社化後の郵便局会社の発展の基盤づくりの観点から、引き続き関係者の十分な理解が得られるよう全力を挙げてまいりたいと考えているところでございます。
  190. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 どうも御質問した意味がなかったような気がしまして、大変がっかりしております。何か御検討があったのかなというふうに思っておりましたけれども、全く反省するお気持ちもないようなので、前回は私、イエローカードを差し上げたつもりでありますけれども、今回二枚目を差し上げたいと思います。  これは本当に、政府が一生懸命進めている、要するに六十五歳までは、今どんどん寿命が延びているわけですから、国民の皆さんに元気で働いてもらおうと、年金の支給開始年齢も延びるわけでありますし、皆、今六十を過ぎても元気に働けるような時代になっているわけですから、定年を延ばしていこうということで高齢者雇用安定法の改正がなされたと私は思うんですね。そういう趣旨をきちんと理解をしないで、再雇用すればいいじゃないかと、定年は六十で、まあその後、給料下がるかもしれないけど、まじめに働く人なら再雇用するよ、それで済むというふうにお考えのところが私よく分からないんですよ。これ、普通の神経じゃないなと私は思うんですね。方向が逆ですよ。  これから国家の企業として新しく生まれていく株式会社になるわけですから、こういう姿で、どうですか皆さん、模範的な姿でしょうというんであれば、現在六十の職員もだんだんだんだん定年を延長して六十五歳に合わせていくと。ほかの民間の企業でも、マクドナルドなどはもう定年を廃止をしたというニュースが流れておりましたけれども、そういう努力をしていく中で模範を示すというのが私はあるべき、国が株式を持つ特殊会社の姿なのではないかなというふうに思うわけでありまして、これ是非、何か机の上で計算するとそういうことになるのかもしれませんが、私は郵政事業というのは結局は人のやる気に懸かっている事業だと。どこまで行っても、特に郵便事業、窓口事業というのはそうですけれども、機械ではなかなか置き換えられないものでありまして、職員の人たちが、あるいは特定局長も含めてみんな、よし、やろうと熱意を持って取り組むのか取り組まないのかという差が非常に大きな差になって最終的には現れると思うもんですから、どうぞ二枚目のイエローカードを重く受け止めていただいて、もう一度よくお考えをいただきたいと思っております。  今日は、民営化推進室にもおいでをいただいておりますので、民営化推進室に一つお尋ねをしたいと思います。  これから、予定に従いますと、来年の十月、株式会社に郵政事業は移行をしていくわけでありますけれども、その間の移行計画のようなものについて手続がいろいろと決まっていると思うんですが、その辺の段取りについて教えていただけないでしょうか。
  191. 吉良裕臣

    政府参考人吉良裕臣君) 移行計画につきましては、まず骨格を七月三十一日に出していただきまして、それからそれを民営化委員会にかけて、それからその後、最初の段階は実施計画ということでいきますけれども、それからそれを民営化委員会にかけて認可をして、それから承継計画という形で来年の十月まで進んでいくということでございます。
  192. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 その実施計画というのは公社が作るものですか。それとも日本郵政株式会社が作るものでしょうか。
  193. 吉良裕臣

    政府参考人吉良裕臣君) 日本郵政株式会社が作るものでございます。
  194. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 そうなんですよね。私もそのように認識をしておりました。  つまり、これから公社が株式会社に移行をしていくわけでありまして、そのために日本郵政株式会社という企画会社が今年の一月に発足をしているわけですね。そこが実施計画を詰めて大臣のところに認可を求めてくるということだというふうに私も承知をしているわけですが、しかし、今申し上げたようなこの集配局の再編あるいは特定局長の定年の短縮、切下げですね、これは公社が計画をしているわけです。私は、公社の役割というのは、あと一年間、正に公の精神を持った公社としてきちっと仕事をして、いい結果を残すと。会社は会社でいいスタートを切ろうということでいろんな御計画をなさると思いますけれども、効率化効率化でなくて、ひとつ公の精神もきちんと持った会社になってくださいよというのが公社の役目かなというふうに思っておったんですけれども日本郵政株式会社の方がどういう計画を作っておられるか分かりませんが、公社の方が非常に熱心にその定年を切り下げたり、あるいは郵便局の集配業務を減らそうということを考えておられるというのが私はよく理解できません。民営化というのが大事だからなるべくうまくいくように手伝ってやろうというのであれば、走っている方向が逆ですよということをもう一度私はここで強調をしておきたいと思います。  時間がなくなりましたので、最後に大臣一つだけお伺いをいたしたいと思います。  地方の活性化ということで今日地方自治法議論をしてきているわけでありますけれども、そういう中で、公社が、自分の都合でなのかどうか分かりませんが、千局もの集配特定局を、その集配業務を廃止をするというようなことは地域にとって本当に深刻な打撃を与えるのではないかと、これからの地域の発展の阻害要素になるんじゃないかということを私心配しているわけでありまして、大臣のお考えになっておられた郵政事業の民営化とはちょっとイメージが違うんじゃないかと、私そのように思っているわけでございまして、こういう地方の切捨てであっていいのかどうか、その辺、大臣の御所見を最後に承りたいと思います。
  195. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 今まだ公社でいろいろと地域との話合いも含めて御検討中でございますので、個別に余り詳細にお話しすべきではないと思いますが、私は地域の切捨てであるというふうには思っておりません。これは千局、集配局から無集配局にするという方向で御検討のようでございますけれども、基本的には、要するにサービスの、全体としてのサービスを落とさないようにしっかりと配慮するというのが基本前提であるというふうに聞いております。先ほどのあの紙芝居の例で、確かに村の集配局がひょっとしたらなくなって隣の村からお届けに来るかもしれません。しかし、公社の現状でも、民営化が決まる以前の段階でも毎年約七十局の郵便局というのが実は廃止をされています。つまり、これは寸分たがわず同じサービスということではなくて、やはり合理化するところは合理化しながら公社としてもこれまでもやってきたということであろうかと思います。しかし、全体としてのサービスは落とさないんだと。そういう意味では、窓口の時間の話も、しっかりときめ細かな配達をするということによってそれを対応していくという姿勢は公社も貫かれるということでございますので、私は、そういうふうな観点で、その地域の実情に配慮しながらしっかりと仕事をしていただけるものというふうに思っております。  ドイチェ・ポストのツムヴィンケル氏の話を思い出しますけれども、民営化の過程でドイツの場合は郵便局の局数が大幅に減りました。まず、ここは日本と違います。日本は過疎地等々現状を維持するということになっていますから、ドイツはもっとドラスチックにやったわけでございますが、その場合にもいわゆるトータルとしての顧客満足度は高めたと。それが私はやはり民営化の際に求められる効率化であろうかというふうに思います。顧客満足度が高まらないと民間企業として当然競争に負けてしまいます。やっていけません。  私は、そういう観点から、今はまだ公社でございます、公社は公社としてやっていただくべきことがある。そして、民営化された後は民営化された後としてしっかりと地域の、地域密着型のサービスを続けていただいて、そして企業として更に発展をしていっていただけるものというふうに考えております。
  196. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 今の大臣のお話聞いて大変残念でございます。ドイツの経営者の話を御紹介になるのであれば、ドイツの郵便局が実際になくなった地域に住んでいる住民の声もお伝えをいただかないと私は不公平であろうというふうに思います。  こういうことで、都会地だけが恵まれて過疎地が切り捨てられていくような改革というのは改革の名に値しないというふうに思いますので、これからもこの問題を追及してまいるということだけ申し上げて、終わりたいと思います。
  197. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  198. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、地方自治法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。  反対の理由の第一は、行政財産の貸付け等を拡大し、住民の財産である土地や建物を民間事業者の営利活動に利用させるものであるからです。これは行政財産の原則をゆがめ、自治体の本来業務の縮小や住民サービスの後退をもたらすものです。  行政財産は、庁舎など、自治体の本来の事務事業を実施するための財産であり、学校や公園、病院、保育所など、住民の共同利用のための財産です。地方自治体の行政財産は、公用、公共用に使われる財産であることから、譲渡や貸付けなどの私権の設定を原則禁止しているものです。自治体合併に伴い不要となった施設の有効活用などが理由ですが、万一の災害の住民の避難場所などについて、日ごろからの確保が必要です。行政財産の枠内だとして貸付け等を拡大し、一般の民間事業者の営利活動に利用させる道を開き、自治体の本来の業務からの後退を招くものです。  反対の第二の理由は、出納長収入役の廃止は長へのチェック機能を弱めることになるからです。  法案は、独立した権限を持つ出納長収入役を廃止して、独立性の保障もなく、議会の同意も要らない一般職会計管理者に置き換えるものであり、長に対するチェック機能が弱められることは明らかです。議会の同意による特別職である出納長収入役は、副知事助役の場合と異なり、長による任期中の一方的な解職は認められていません。今の制度は、長から独立してその職務を遂行すべき責任を伴う出納長収入役の身分を保障し、会計事務の公正と継続性を確保するものとなっています。地方議会は言わば大統領制であり、元々強い権限を持つ長へのチェック機能を弱めることは民主主義の立場からマイナスと言わなければなりません。  なお、法案は、クレジットカードによる地方税や手数料、使用料などの支払を認めています。これは、クレジットカード会社を指定代理納付者とする第三者納付を制度化するものです。今、消費者金融による違法な取立てが社会問題になっています。公金納入にかかわって、クレジットカード会社の違法取立てや多重債務を引き起こすおそれがあってはならないことを指摘し、討論を終わります。
  199. 又市征治

    ○又市征治君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、地方自治法の一部を改正する法律案について反対討論を行います。  反対の理由の第一は、行政財産である建物の一部貸付けです。  小泉流リストラ政治の下、格差社会が拡大する中で、セーフティーネットである公共サービスの必要性が高まっているのに、指定管理者制度、市場化テスト法などによって、政府及び自治体の責任放棄、サービスの削減、廃止の動きが、効率化、企業誘致が万能であるかのような誤った価値観を掲げて続けられています。このときに当たり、行政財産の貸付けは、公共財産を企業の営利のために提供し、半永久的な私有物化に導くものであり、後日権利を回収しようとしても莫大な損害賠償等を求められ、結局は住民の経済的損失に終わることは過去の例からも明らかです。  反対の理由の第二は、出納長収入役の廃止に伴う問題です。  会計管理者の身分を一般職に下げれば、首長に対する抑制的な立場が弱体化し、首長による会計事務の不適正な運営、恣意的な財務行為に対する歯止めをなくするものです。現行の出納長収入役がその点で十分だとは言えませんが、特別職として議会の承認を要することが一定の規律、抑制効果を制度的に保障しているのです。  以上が反対する主な理由ですが、改正案には、監査委員のうち識見を有する者の増員も含まれています。しかし、現行法でも、都道府県及び人口二十五万人以上の市では四名のうち三名まで識見委員とする選択が可能です。他方で、都道府県や指定都市の大半が幹部職員OBを監査委員に充てていることは、首長からの独立性に疑問なしとしません。また、住民監査請求が激増している中で、門前払いと請求棄却が九割以上を占めていることも監査委員制度の住民サイドに立った検討必要性を示唆しています。  もう一つ。今、地方自治法改正するのであれば、見送られ続けてきた住民投票の法的位置付けを盛り込むべきです。各地において、米軍基地、原発、産業廃棄物施設などをめぐり、住民の切実な要求が住民投票結果として示されている現実をこれ以上看過すべきではありません。  最後に、一部に教育委員会地方労働委員会等の必置規定の廃止論がありますが、今教育行政や労使紛争調停機能の首長からの独立性を弱める根拠があるとは思われません。効率化の名で一般職やこうした独立的行政委員会削減することは、今回の監査委員増員との整合性をも疑わしめるものです。  とりわけ、教育行政は、不当な支配に服することなくという教育基本法の理念を今改めて高く評価すべきことを訴えて、私の討論を終わります。
  200. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  地方自治法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  201. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、内藤君から発言を求められておりますので、これを許します。内藤正光君。
  202. 内藤正光

    ○内藤正光君 私は、ただいま可決されました地方自治法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び国民新党・新党日本の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     地方自治法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の事項について配慮すべきである。  一 地方分権を着実に推進するためには、事務・権限の移譲の推進、国の個別法令・制度における地方の自由度の拡大、並びに地方財政制度改革が重要な課題となっていることから、これらについて具体的に推進するための方策について検討すること。  二 地方公共団体自主性自律性を高める観点から、国の法令による地方公共団体事務の義務付け、事務事業執行方法・執行体制に対する枠付け及び関与について点検し、適切な見直しを進めるとともに、今後制定する法令については、極力このような義務付け等を縮小すること。    特に、自治事務については、原則として、国は制度の大枠を定めることに留め、地方公共団体が企画立案から管理執行に至るまで条例等により行うことができるようにすること。  三 長又は議長の全国的連合組織に対する情報提供制度運用に当たっては、国と地方意見交換を実質的に担保できるようにするため、事前の適切な時期に、関連する資料を添えてその施策の内容を通知することを徹底すること。  四 地方議会の機能の充実強化を図るため、議決事件の拡大、調査権・監視権の強化、議会の内部組織権の拡充、議会の独立性の確保のため必要な議長権限の付与等について、引き続き検討を行うこと。  五 行政委員会制度については、地方自主性自律性拡大するため、必置規定の見直し、組織・運営の弾力化等について、地方公共団体の実態を十分に踏まえ、引き続き検討を行うこと。  六 住民投票制度については、対象とすべき事項、長や議会の権限との関係、投票結果の拘束力の在り方等について、引き続き検討を行うこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いを申し上げます。
  203. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) ただいま内藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  204. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 全会一致と認めます。よって、内藤君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、竹中総務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。竹中総務大臣
  205. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  206. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  207. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時八分散会