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2006-04-27 第164回国会 参議院 総務委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年四月二十七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         世耕 弘成君     理 事                 景山俊太郎君                 森元 恒雄君                 山本 順三君                 高嶋 良充君                 内藤 正光君     委 員                 小野 清子君                 尾辻 秀久君                 木村  仁君                 椎名 一保君                 二之湯 智君                 山崎  力君                 吉村剛太郎君                 伊藤 基隆君                 高橋 千秋君                 那谷屋正義君                 平田 健二君                 藤本 祐司君                 蓮   舫君                 魚住裕一郎君                 澤  雄二君                 吉川 春子君                 又市 征治君                 長谷川憲正君    国務大臣        総務大臣     竹中 平蔵君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        警察庁警備局長  小林 武仁君        総務省自治行政        局長       高部 正男君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○住民基本台帳法の一部を改正する法律案(内閣  提出)     ─────────────
  2. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  住民基本台帳法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会警察庁警備局長小林武仁君及び総務省自治行政局長高部正男君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 住民基本台帳法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 内藤正光

    内藤正光君 おはようございます。民主党・新緑風会の内藤ですが、かなりおとといの四時間にわたる質疑、そしてまた先週の本会議等で論点は尽くされているようには見えますが、ただ私は、大事な争点が一つまだ議論されていないんじゃないかなというふうに思っております。そこを中心に、今日は、大臣そしてまた総務省といろいろ議論をし、しっかりと詰めていきたいというふうに思っておりますが、しかし、その前に一つ確認をさせていただきたいことがございます。  これは、既に私が本会議でも指摘をさせていただいたんですが、なぜこんなにも法案提出が遅れてしまったのか、改めてお伺いしたいんです。  私が言うのは、原則公開という在り方を見直せという声はかなり前からあった。そして、個人情報保護意識高まりの中、個人情報保護法がもう国会審議されて施行されている。その国会審議、三年前だったんですね。三年も遅れて今日がある。そして、更に言うと、今回の法改正の一番のきっかけは昨年の三月の名古屋で起こった事件ではないんだろうかと思っておりますが、それから数えてももう既に一年以上たっている、何でこんなに遅れてしまったのか、そういった私の本会議での指摘に対し、大臣は、法案策定に至るプロセス答弁されただけなんですね。まず有識者で議論をし、そしてまとまったものをパブリックコメントに出す。それは当たり前なんです。  私が伺いたいのは、なぜ危機意識も持たずに、個人情報保護法審議から三年も遅れた今日、今日といいますかこの通常国会議論することになってしまったのか、そのことを改めて大臣にお尋ねしたいと思います。
  6. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 内藤委員には、先般の本会議でもこの問題について厳しい御指摘をいただいたことをきちっと記憶をしております。  これ、危機意識が決して我々欠如していたわけではございません。ただ、内藤委員言われるように、本当にこれが最速解決策だったのかと、最も急いで、いろんなことをやっただろうけれども、急いでこれだったのかと、もっと早くできたのではないかというふうに、こう突き詰めて言われますと、そういう余地も、今から思えばということになりますけれども、ないわけではなかったというふうに感じます。  同時に、三年前の個人情報保護法を担当させていただいたときの一つ経験で申し上げますと、こういう個人情報保護法にしましても、もう随分以前からこういう体系が必要だと、OECDを見てみろ、EU指令を見てみろと、こういろんな議論があったわけでありますが、それでできるだけ慎重に、いろいろ議論議論を重ねて提出させていただいた段階で、やっぱりまだ議論が尽くされていないというような非常に厳しい御批判もいただきました。  この情報の問題というのは、やはり非常にナイーブな問題をたくさん含んでいると思います。我々、幅広く今利用して、やっぱり利用したいという思いがございます。しかし、この情報、非常にデリケートな問題としてしっかり保護していかなきゃいけないという問題がございます。そういう意味では、なかなか社会全体の意見をくみ上げて、これならいけるのではないだろうかというところに至るのに少し時間が掛かったということではなかろうかと思います。その過程でのヒアリング、意見集約パブリックコメント、このことはもう先般申し上げたのでこれ以上申し上げませんですが、そういったプロセスが、やはりある程度時間の消化が必要であったという面はやっぱりあったのかなというふうに思います。  冒頭申し上げましたように、これが、じゃ最速であったかと、もっと早く、一瞬たりとも早くできなかったのかというふうに問われますと、我々としても、今にして思えばもう少しいろいろ努力の余地はあったかというふうにも思うわけでございますけれども、個人情報に関する保護の問題の難しさといいますか、そういう問題を私自身は感じているところでございます。  明確な答弁にはなっていないかもしれませんですが、そういったいろんな経緯を経て今回の法案提出になっていると、しかもその内容が、原則公開ということがこれまでの原則であったのを一歩踏み出したものになっているということに対して是非御理解を賜りたいと思います。
  7. 内藤正光

    内藤正光君 これも私は本会議で申し上げたとおりなんですが、私は何も結果論を言っているわけじゃないんです。三年前の個人情報保護法審議の際、当時の片山総務大臣とこの原則公開という在り方について議論をし、片山大臣もやはり今日の情勢を踏まえ見直さなきゃいけないと明言をされたわけなんです。しかし、三年前のそういった大臣答弁を受けて、じゃそこからすぐに何か議論が動いたかというと、全く動いてなかったんです。そして、事件があって初めて動いた。私はそのことを大変遺憾だと申し上げております。大臣としてもそのことを、もう二度と、何か悲惨な事件が起こって初めて動くというようなことはもう二度と起こらないようにしていただきたいと思います。  そこでですが、一応原則公開という在り方から非公開になって、限定的に閲覧を許すということになった。ところが、この法律の十二条で書かれている住民票写し交付については何ら修正が加えられてないんですね。結局、これ原則交付という、言ってみれば原則閲覧と同じ扱いになっていた。住民基本台帳大量閲覧の部分は、それは今回の法改正見直しすることになった。ところが、住民票に対しては何一つ修正が加えられていない。私は、これ何度も多くの委員指摘されたように、住民票というのは住基台帳以上の情報を含んでいる。そしてまた、その閲覧に当たってはピンポイントで指定してくるわけですから、何か目的があって指定してくるわけです。そういう意味では、より私は守っていかなきゃいけないものだと思っているんです。  そこで、改めてお伺いしたいのは、なぜこの住民票写し交付については原則交付という在り方を全く見直しを行わなかったのか、お尋ねしたいと思います。
  8. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) この委員会でも先般御議論いただきましたけれども、確かに制度改革というのはやはり一体性を持って、全体的な整合性を持って一体的にやるというのが望まれるところであると思います。そうした観点から、内藤委員の御指摘は、住基台帳ではなくて、住民票についてもやはり一体的になぜ見直さないのかという御指摘であるわけでございます。  制度改革、もちろん一体的であるべきだというふうに私も思います。ただ同時に、これ全部世の中の複雑な制度をすべて一体的に運営するというのは現実にはなかなか難しい。したがって、個人情報保護に関しても、まずアンブレラとしての基本法を作って、そしてその下に個別のより必要なものを整備していくという、その間どうしても時間的な差ができてしまうわけですが、そういう体制をやはり取らざるを得ないわけでございます。  御指摘住民票は、しからばどういう形で一体的にやったらよいのかということなんだと思います。委員がおっしゃるように、確かに住基台帳一体的というのも一つ考え方ではあるわけでございますけれども、もう一つ承知の、やはり戸籍謄本抄本の問題がございます。むしろ利用者の側からいうと、この戸籍謄本抄本住民票写しという方が利用観点から見るとむしろ一体性があるのだろうなというふうに私自身個人経験からも思います。  そういう観点からいたしますと、住民票写しについては、相手方の氏名、住所が、既に特定される必要が今でもあるわけでございます。そして、当該特定の者とどのような関係があるかということも明らかにするということが今の制度でも求められている。そういう一定の今の制度の中でも枠組みがある中で、じゃ戸籍謄抄本については、今法制審議会で抜本的な見直しが行われておりますので、それと一体的に是非やらせていただきたいという判断をしたわけでございます。  それまで、じゃ住基台帳を待っているかという議論にもまたなるわけですけれども、一体性にこだわればそういうことになるわけですけれども、委員も御指摘になられましたように現実にいろんな問題が起きていると。この住基台帳に関しては、個人情報保護法意識高まりに対応して、ダイレクトメールなど営業目的大量閲覧のやり方を制限すると、そのことについて今回法案改正を御議論いただきたいということでお願いをしているわけでございます。  したがって、この法制審審議を踏まえて、これ結果的に一体的になるように住民票についても我々としてはしっかりと対応してまいりたいというふうに思っております。
  9. 内藤正光

    内藤正光君 法制審議会戸籍交付在り方、その議論を見守ると、それと同期を取るようにしていきたいというふうにおっしゃってるわけなんですが、私はむしろ、住基台帳原則公開という在り方見直しをこの総務委員会でやっていくわけですから、私は考え方をしっかりとリードしていくような思いで示していくべきではなかったのかなと思います。  そして、大臣、現場では厳格な運用はされてるから大丈夫だとおっしゃいましたが、やっぱりでも違うんですよ。原則交付という在り方だと請求権向こう側にあるわけです。だから、役所の窓口では断る理由を言わなきゃいけないんです。しかし逆に、運用に合わせるように法の体系も、本人又は長が正当と認めた者、別に何もふさげと言っているわけじゃないんです、その者に限っては交付をするというふうに、ただ、しさえすれば、今までと同じ運用であるばかりか、なぜ必要なのかを向こうがちゃんと言わなきゃいけない、請求者側が。私はこれ、大きな違いだと思いますよ。  そして、ちょっと一つ具体的にお伺いしたいんですが、実は先日、三鷹に行ってきました。そこで、ちょっと聞いたんですが、やはりだれが請求するんですかと。もちろん本人請求します。そのほかにサラ金関係者請求するというんですね、それは債務債権関係があるから。で、そういう方の請求があったら当然交付をする。逆に言うと、拒めないというんですよ、それは法的関係があるから。しかし、この強引な取立てが今や社会問題化しているときに、果たしてこれをそのままにしておくことが妥当なのかどうか、私は大いに疑問を感じざるを得ません。私はだから言ったんです、冒頭。悲惨な事件が起こって初めて動き出すのか、悲惨な事件が起こらなきゃ何にもやらないのか。  そこで、大臣にお尋ねします。サラ金のことを例に挙げましたが、そういったことも念頭に置きつつ、この問題、放置しておいていいんでしょうか。
  10. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 放置しておいていいとは全く思いません。これは、今正にそういった制度を見直そうではないかということで我々も考えているわけでございます。同じような問題意識で、戸籍謄抄本というのはある意味住民票以上にナイーブな情報も含んでおりますから、そういう観点から政府全体としてしっかりと検討しているわけでございます。  ほっといていいかということに対しては、もちろんそういうふうに思っておりませんので、これ法制審審議も進んでいると聞いておりますので、できるだけ早くそのような対応をしっかりと取ってまいりたいというふうに思っております。
  11. 内藤正光

    内藤正光君 では、確認ですが、この住民票写し原則交付という在り方についても、総務省としては、また総務大臣としても積極的に見直しを行っていくという理解でよろしいんですね。
  12. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今正に審議を御専門家の間でいただいているところでありますので、私の方からこうすべしということは申し上げるべきではないというふうに思います。ただ、そもそもやはり、現状のままでは問題があるのではないかという問題意識を持っていろんな検討を行っているわけでございますので、そこはしっかりと見直すべきところは見直していかなければいけないというつもりでおります。
  13. 内藤正光

    内藤正光君 この点についてはちょっと最後に一つだけ確認をさしていただきたいと思いますが、今回の法改正に伴い、住民票写し交付については何一つ修正はしなかったとはいうものの、今回の法改正の趣旨を踏まえ、住民票写し交付在り方については何か各自治体考え方を示すおつもりはあるんでしょうか。自治体同士でしっかりやってるというんであればいいんですが、やはりそれは自治体によってばらつきがあります。  例えば私なんというのは、これまた本会議指摘もしましたが、住民票交付請求というのはピンポイントをねらってきますから、捜査関係は別として、私は、もし私、内藤正光住民票交付されたならば、役所から、あなたの住民票はだれだれによって交付請求されましたので許可をいたしましたというような、情報対称性という観点から、そういうような通知があってしかるべきだと思うんですが、何らかの考え方はお持ちでしょうか。また、それを各自治体に、これは自治事務ですから指導ということにはならないかとは思いますが、何らかの考え方を各自治体に示すというようなことは私はすべきじゃないかと思いますが、大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。
  14. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっと今の御質問二つポイントがあったかと思いますが、住民票については今もうルールがあるわけでありますから、それについて総務省としてきちっとやってくれということを通知するのかどうかということと、もう一つは、正に情報コントロールのお話だと思います。個人には情報コントロール権が何らかあって、それについて、そのことに何か一歩踏み出す用意はあるのかと、そういう二つのちょっと側面があるかというふうにお聞きをいたしましたですけれども。  後者の方に関しては、情報コントロール権というのを正式に法律体系の中に位置付けるかどうかというのは、これはもう大問題であろうかと思います。そういうお考えがあるということは、これもう承知をしておりますし、そのお考え方に対して支持をする専門家もいるということも承知をしております。ただ、そこまで踏み込むとなると、これは今の個人情報保護法から全部の法律体系そのものについてかなり踏み込んだ再検討をしなきゃいけないという問題にも至るんだと思うんです。そこはもう正に立法の問題でありますから、是非しっかりと御議論を賜りたいと、行政府としても引き続き勉強いたしますけれども、しっかりと御議論を賜らなきゃいけない問題であろうかと思います。  住民票に関しては、これは、いろんな形で我々は助言機能を持っておりますけれども、今のタイミングでそういう助言を改めてすべきかどうかということは、これは少し事務的に検討をさせていただくべき問題かと思います。現状において住民票に関してどこか特定団体でルースな取扱いをしているというふうには特には聞いておりませんですけれども、これは法律全体の話でありますから、これはしっかりと地方に、自治体にやっていただかなければいけないというのは、これはもう大原則でございます。必要があれば助言等々の機能は活用してまいります。
  15. 内藤正光

    内藤正光君 いずれにしましても、この住民票写し交付という在り方についても、何か事件があったからようやく動くということには決してしないでいただきたい、このことをお願いを申し上げ、また強く御指摘を申し上げ、次の質問に移っていきたいなと思います。  次、私がお伺いしたいのは、どの法律にも、最初の総則の、最初の一条に目的規定というものがありますね。局長で結構なんですが、一般論で結構なんです。法律の中の目的というのは、その法律の中にあってどういう位置を占めるものなのか、お尋ねしたいと思います。
  16. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 大変学問的な話になってしまうのかもしれませんけれども、私の理解するところといいますと、目的ということで規定した場合には、その法律全体の目指すべきものをその法律目的として方向性を明らかにすると、ないし、そういう機能と、もう一つは、各条の中にいろんな規定が含まれてくることになりますので、そういうものを全体としてどういう目的でどういうふうに規定しているかというようなことが示されていることが多いのではないかというふうな感じを持っておりますが。
  17. 内藤正光

    内藤正光君 では、具体的にこの住民基本台帳法目的、今回の改正では全く修正が加えられていないわけですが、この住基法目的、具体的に何なんでしょう。
  18. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 委員も条文お読みになってお聞きいただいていると思いますが、今の目的というのは、これを読ませていただくということになろうかと思いますが、「この法律は、市町村において、住民居住関係公証選挙人名簿登録その他の住民に関する事務の処理の基礎とするとともに住民住所に関する届出等簡素化を図り、あわせて住民に関する記録の適正な管理を図るため、住民に関する記録を正確かつ統一的に行う住民基本台帳制度を定め、もつて住民利便を増進するとともに、国及び地方公共団体行政合理化に資することを目的とする。」というふうに規定されているところでございます。
  19. 内藤正光

    内藤正光君 じゃ、まとめるとこういうことになりますね。居住関係公証一つあと住民利便の増進が二つ目、そして三つ目として行政合理化、この三つがこの住基台帳法目的、目指す目的だと言えるんだろうと思います。  そこで、ちょっと確認を幾つかしていきたいんですが、総務省は、これまで住基台帳法見直し、結構遅かったというのか、慎重姿勢を示していた。その理由一つに、商業利用があるからこれを止めるわけにはいかぬということもおっしゃっていました。商業利用ですね。ダイレクトメールを送るための閲覧ですね。一体目的規定のどこをどう解釈すると商業利用というものが許されるのか。ちょっと私は、目的からたどっていくとどうも、商業利用が許されてきたというのはなぜなのか、疑問に思わざるを得ないんですが、明快に説明をしていただけますか。
  20. 高部正男

    政府参考人高部正男君) まず、委員御整理いただいた目的三つと、こうおっしゃられましたけれども、若干、訂正する必要はないのかもしれませんが、私の理解で言いますと、大きな目的というのは、「もつて」ということ以降になると思いますので、住民利便を増進するとともに、行政合理化に資するということになろうかと思います。そのために規定されていることが居住関係公証であり、届出簡素化であり、記録の適正な管理ということが定められているということだろうと思います。  それから、ただいまお尋ねいただきました商業利用というようなものがどこに入ってくるのかというお尋ねでございますが、実際、居住関係公証という言葉の中でどこまで読むのかということについて、やっぱりこれ、沿革的なことも見ざるを得ないということになろうかと思うんですが、この住民基本台帳法は、その前身として住民登録法というような法律があったわけでございます。住民登録法の時代にも同じようなことが目的と書かれておりまして、その際に、商業目的での閲覧というのも住民居住関係公証一環というような形で位置付けられてきたところでございます。  そういうふうに位置付けられた住民登録法をこの住民基本台帳法が引き継いだということになっておりますので、いろんな個人情報あるいはプライバシー保護に関する意識というのは随分この間変化はあろうかと思いますが、こういう経過をたどってきたものとして、従前から住民基本台帳法解釈といたしましても居住関係公証一環というような理解で対処されてきたものだというふうに考えているところでございます。
  21. 内藤正光

    内藤正光君 当時はどうあれ、今、この数年、居住関係公証一環商業利用を認めてきたというか放置してきたというのは、私はいかがなものかな、ちょっと余りにも拡大解釈し過ぎなのかなというふうに思わざるを得ないんですよね。ましてやここ数年、プライバシー意識が大分変わってきた。もう要らないダイレクトメール、もう送らないでくれという人も決して少なくない。  そういった中、これはある意味、これ解釈でやってきたわけですから、法改正を伴わなくても、総務省の省令だとか、あるいはお得意の局長通達とか、それで対処できることじゃなかったんですか。それを放置してきたということはどういうことですか。私は納得できないんですが。
  22. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 先ほど言いましたような経緯の中で、居住関係公証という解釈の中で商業目的も含めてきたわけでございます。  従前の対処も、今回抜本的に改めることにしておるところでございますが、その目的規定理解等も併せまして、現実に各条の規定も、何人もこれを請求できるという当初の規定のものがあり、いろんなプライバシー意識等々の変化の中でその時々の改正をしてきたわけでございまして、例えば閲覧の範囲を限定するような改正をするとか、不当な目的で断れるようにするとかというような、その時々の法律改正をしてきたわけでございますので、従前住民基本台帳法というものの理解といたしましては、私どもが独自に解釈して運用しているということではなくて、全体の法律がそういうものとしてできていて、その運用の中でやってきたというふうに御理解いただきたいというふうに思います。
  23. 内藤正光

    内藤正光君 でも、いろいろ説明をいただいても、どうもやるべきことをやっていなかったなと。その時々の情勢に合わせて法の運用在り方見直しを行ってこなかったな。厳しい言い方ですが、行政の不作為、そういったものを感じずにはいられません。  そこで、もう一つ目的規定と照らし合わして質問をしたいことがございます。  今回の法改正によって原則非公開に変えた、しかし見られるものはということで限定的に絞ることにした。その閲覧を許可するものの一つとして公益性の高い調査研究、これについては閲覧を許可することになった。具体的に言えばマスコミ関係あるいは大学等の公的機関、こういったところの閲覧申請があれば許可をするのかなというふうに考えますが、これ確認ですからお答えいただきたいんですが、一体この公益性の高い調査研究の閲覧、先ほどの目的規定に照らし合わせると、住民利便の増進に当たるのか、あるいはまた行政合理化に当たるのか、どちらなんでしょう。
  24. 高部正男

    政府参考人高部正男君) この点につきましては、検討会の中でも目的規定についてどう理解するかといったこと、若干の議論あったところでございます。そういう中で、私どもの理解といたしましては、従前経緯等も含めて、こういう閲覧につきましては広い意味での居住関係公証一環だというふうに理解してまいったところでございますので、居住関係公証という形でやらせていただいて、そういうものは大きな意味住民利便を増進するというふうにも理解できるのではないかというふうに考えたところでございます。
  25. 内藤正光

    内藤正光君 今回、私も当初そうだったんですが、原則公開から原則非公開にして、その代わりに公共性の高いものは認めるよと、ああ、何だ良くなったんじゃないかというふうに思ってしまうんですが、これ今まで原則公開だったから良く思えちゃうんですが、原点であるところの目的規定に照らし合わせると、やっぱりちょっと法の中身とかなりのずれがあるんです。  もっと言うと、なぜこの部分が公益性の高い調査研究が認められるようになったかというと、この検討会のメンバーの構成を見れば明らかなんです。検討会のメンバー、何人かいますが、見てみますと、産経新聞、読売新聞、毎日新聞、日本放送協会、あるいは東北大学、東京大学、早稲田大学、中央大学、半数が大学関係者とかマスコミ関係者なんですよ。そういった人たち集めて、自らの活動をふさぐような、公益性の高い調査研究を封じるような結論出すはずがないじゃないですか。元々、この見直し検討会のメンバー選定の時に既に方向性は決まっていたんですよ。違いますか。私は、こういうようなメンバーで本来の目的であるところの住民利便の増進というところが本当に議論されたのか、私は、そういったことはそっちのけで、自分たちの活動をしやすくするためには何を守らなきゃいけないのか、そういった議論ばっかりがややもすると進んできてしまったんじゃないかなと私は思わざるを得ません。  そこで、ちょっと大臣にお伺いしたいんですが、こういった検討会のメンバー、私はちょっと、余りにも、半数が大学関係者とかマスコミ関係者なんですが、こういった懇談会のメンバーの選定の在り方そのものを私はこれからしっかり見直していかなきゃいけないと思うんですが、いかがですか。
  26. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) そもそも論というか原則論としては、そのメンバーがやはり幅広くいろんな意見を反映していただくような方で構成される必要があるというのはもう御指摘のとおりであろうかと思います。今回も、今手元に少しありますけれども、もちろん自治体の方とか消費者団体の方とか、そういう方にも入っていただいているわけでございます。その意味ではいろんな方の御意見は伺っているし、またヒアリングも行っているわけですけれども、こういう審議会やる場合に、どうしても割といろんなものから、いろんな利害から独立して発言をしてくださるという方で学者の方とかジャーナリズムの方が多くなるという傾向は出てしまうんだと思います。そこはくれぐれも注意をしてまいりたいというふうに思います。  先ほどから内藤委員が御指摘してくださっている問題は、実は私も、このそもそも住基台帳住民基本台帳そのものの本質論だと思うんです。  ちょっと迂遠な話になるかもしれませんが、前回の委員会でも申し上げましたけれども、アメリカにはこういうものはないと、日本でこういうものがあると、もう不思議だなというふうに私もずっと思っているわけですが、これ、ある歴史学者の意見でありますから私自身が検証したわけではありませんが、日本でこういうものが定着した最大の要因は、これは正に太閤検地のときに検地を行って、それで時の支配者が住民を土地にある種割り当てて縛り付けると、そのためにこういうものが始まったと。  これ、そうであるならば、こういう制度というのはそんなに長続きはしないわけでありますけれども、にもかかわらずこれだけ社会の中に定着したというのは、いい言い方をすれば、その制度を皆さんが非常に柔軟に使ってきたと、あっ、これはこういうふうに使えるぞと。これが正に公証関係という言葉に集約されるわけでありますけれども、例えば自分が就職したときに、自分の住所をどこですかということを示すのに、公が管理しているその住民基本台帳住民票等々の写しとかで渡せば、これは物すごく安心感を持って理解してもらえて、それ以上の説明は何も必要ないと。これは個人にとっても大変柔軟であると。またこれ、いろんな社会の調査をするときも、これは正に今御議論いただいているものも、非常にサンプル調査として、地域を特定して非常にうまくサンプルの抽出ができると。そういういろんな柔軟な使い方ができるぞということを、これは正に私たちの社会がある種の知恵を出してきたからこんなに定着をしてきたんだというふうに思うんです。  にもかかわらず、その柔軟さというのが逆の面で、個人情報保護という観点から今問題にされているというふうになってきているんだと思います。そこは、内藤委員がおっしゃるように、そこのだから条文そのものを厳密にもう少し運用する方法があったのではないかという御議論理解できる面はあるわけでございますが、現実問題としては、そこに非常にある種日本人の知恵で柔軟に使ってきて、だからこそこの住基台帳というのが、皆さんから太閤検地ではないんだけれども支持されてきたというような一つの事実があるんだと思っております。  行政としてはそういう事実からやはり出発しなければいけないという面がございますので、必要な修正をその時々にやはり行っていくということが賢明な方法ではないだろうかということを考えてきたわけでございます。極端に言うと、そもそもこういうもの、もう必要じゃないじゃないかという議論だってそれはあり得るわけでありますが、我々の社会に定着している一つのシステムとしてできるだけ有用に生かしたい、しかし個人のプライバシーは守りたい、そのはざまでの一つ法案提出になっているわけでございます。
  27. 内藤正光

    内藤正光君 誤解をしていただきたくないのは、私は何も保護保護と叫んでいるわけではありません。それこそ住基台帳ネットワークのときも、もうちょっと私は行政合理化、あるいは公平性の確保という観点住基台帳ネットをもっと広範に利用をすべきだと主張をしてきたぐらいです。むしろ私は、昨今の余りにも過剰反応にいかがなものかと思っているぐらいなんです。学校名簿が作れない、おかしい、同窓会名簿も作れない、おかしい、余りにも過剰に反応をし過ぎなんです。個人情報というのは、やっぱり保護も大事だけれども利活用も大事、両者のバランスが大事なんです。  ところが、この住基台帳ネット、運用はどうだったかというと、何人もというこの文言ゆえに、商業利用を放置し、保護と利活用という観点でいうならば、保護をないがしろにして、そして、じゃ一方で利活用を本当に、住民利便の増進という観点で本当に利活用を模索してきたのか。これも余りしてこなかった、自然に流れるまま。私は、住基台帳法の問題の本質はそこにあるんじゃないかな、問題の本質はですよ、思うんです。  大臣、いろいろ先ほどお答えいただいたんで、そこで、ちょっと私の今日一番議論をしたいところに入っていきたいというふうに思います。  そこで、自治体に許される裁量というのはどういうものなのか、そういったテーマで以後議論をしていきたいというふうに思います。  保護と活用というものをごっちゃにすると議論が本当に分からなくなっちゃうんですね。そこで、私なりにちょっと分けてみました。  保護と活用、保護というのは個人情報保護という観点で、やはりまずは国が関与しなきゃいけないだろうと。個人情報保護法も制定をした、だから全国統一の基準、ある程度作っていくように努力していただかなきゃいけない。  一方、じゃ個人情報の利活用という点ではどうかと。これは国がああだこうだ言うべきことじゃないと思います。一つのルールを国が作る。で、そのルールを逸脱しない範囲内で幅を持って各自治体、これはもう自治事務ですから、住民利便の増進のためにはどのような使い方があるんだろうか、そういったのを住民の声を聞きながらその利活用については模索をしていく、そういうある程度の裁量権、幅が私は許されてしかるべきだと思います。  現状でも、現行法制の下、これはちょっと厳しめの対応ということなんですが、例えば、先日視察に行きました三鷹市もそうですし、あと熊本市もそうだと思いますが、法律の上に条例でもってその公開の在り方を、柔軟にというか、それなりのハードルをつくってきた。  そこで、まず確認をしたいことは、閲覧許可の基準、すなわち公益性の基準ということにもなろうかと思いますが、これは各自治体、条例である程度幅を持って定められることが許されるものなんですね。確認ですが、お願いします。
  28. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 今回の法改正で、要件として、公益性が高いと認められるものと、特に統計調査等につきましては総務大臣が定める基準に照らしてということにはなってはございますが、公益性の判断は各自治体でやっていただくということになるわけでございます。  ですから、それを自治体の裁量というふうな、法律用語としての裁量ということで言うのが適切かどうかはちょっと迷うところなんですが、公益性の具体的な事実認定において自治体の判断が一定の範囲であるというふうには思っているところでございます。  そういう意味で、かなり大きな体系はつくっておりますので、この法律の趣旨の中で、いろんな公益性の判断の基準だとか考え方といったものを、これ条例で定めるのか、地方が定めるのかということについて特には規定してございませんけれども、委員、条例とおっしゃいましたけれども、そういうようなものについて条例で定めるといった可能性はあるものだというふうに理解しているところでございます。
  29. 内藤正光

    内藤正光君 私が今回の法改正によって恐れているのは、各自治体、過剰反応を示してしまう。だから、一番手っ取り早いのは、かなり高いハードルを設けて、もう基本的にほとんど閲覧を許可しない、そういうことをすれば責任も取らされないわけですから、ある意味楽なわけですよ。それじゃまずいだろうと。やっぱり保護も大事だけれども、利活用、住民利便の増進という観点に立った利活用もしっかり考えていってくださいねと。  そのためにも、私はちょっとこの条文ではなかなか分からないところがあるんです。公益性とは何なのか、公共団体とは何なのか、それから公益的な団体とは何なのか、よく分からないところがあるんです。福祉協議会はどうも公益性の高い団体だというふうにはだれも皆認めるんだろうと思いますが。  そこで、まず幾つかの具体的なちょっと事例について御判断をいただきたいというか、方向性を示していただきたいんですが、例えば自治会はどうなんだろう。今いろいろな住民の入れ替わりがありますよね。特に都市部においては、一年たつと一割の人口、住民が入れ替わっちゃう。だから、自治会もしっかりした名簿を持っちゃいない。しかし、名簿というのは自治会活動のやっぱり基本中の基本。そのために、例えば自治会が今最新の名簿を作るために閲覧をさせてくれと、これが認められるのか。あるいは、自治会として、今少子高齢化進んでいますが、小学校への新入児童へちょっとお祝い品を上げよう、しかしだれが小学一年生になるのか分からない、そういったことで住民基本台帳閲覧をしたい、そういった請求、認められるのか。  あるいはまた、町づくりや環境問題に取り組んでいるNPO、地域のNPOですよ、そういったところの閲覧申請が認められるのかどうか。  あるいは、マンション管理組合。マンションというのは必ずしもその保有者が住んでいるわけじゃない。保有しているだけで、だれかが貸しているかもしれない。だから、だれが住んでいるか分からない。でも、管理組合からすれば、だれが住んでいるかがやっぱり大事なわけです。そういった意味で、マンション管理組合が居住者を把握するために閲覧を申請した場合、今回の法改正によってこういった申請がどのように取り扱われるようになってしまうのか、確認をしたいと思います。
  30. 高部正男

    政府参考人高部正男君) まず、幾つか法律の建前といいますか仕組みを確認させていただきたいと思うんですが、公益性等の判断を認めるのは各市町村長ということになるわけでございます。今度の体系は、委員御案内のとおり、従前、何人でも請求できる、不当な目的のときは見せないことができるという体系を大きく変えました。  今度の中で、委員も条文をお読みいただいたかと思いますけれども、各号列記で、こういう場合はいいよということで、こういう活動についてどういう活動にするのかということが一つございます。で、閲覧をすることが必要である旨という申出をいただくわけでございます。それで、この申出をいただいて、相当と認めたときに閲覧させることができると、こういう体系になっております。ですから、審査が、こういう閲覧請求が出たときに、通常私どもが想定する、何といいますか、認めるかどうかというときの判断となりますと、今委員指摘いただきましたように、各号列記に当たるかどうかというのが一つは要るんだろうと思います。  ですから、今幾つか自治会等の例がありましたけれども、主に委員は、この中で二号の方の公共的団体が行うこれこれということをイメージしておっしゃられたと思うんですが、この各号列記に当たるかどうかという判断と、それからもう一つは、閲覧をすることが必要であるかどうか。それから、添付でいろんなことを確認させていただきます。特に今回は、管理の方法だとかそういうことを確認させていただくところでございます。ですから、市町村の判断ということになりますと、そういう、例えば公共的団体に当たるのか、公益的な活動に当たるのかどうかという審査があります。それからもう一つは、その活動のために住民基本台帳閲覧が必要かどうか、どういうことのために閲覧をしなきゃいけないんだろうかというような判断がもう一つあります。それからもう一つは、管理等々においてちゃんとやっていけるだろうか、添付書類で確認させていただくというような部分があろうかと思います。  幾つか事例を挙げていただきましたけれども、まず最初に自治会の活動について挙げていただきました。この辺につきましては、検討会で議論する際にもどういうものが公益性が高いと考えられるんだろうかといったような、これ自治体運用の中でも、運用をお示しする意味でもある程度事例があった方がいいだろうということで御議論いただいたところでございますが、これも委員指摘いただいた、例えば自治会が新入児童に対して入学品を贈るようなものというようなことは一般的に言うと公益性が高いと認められるのではないかというようなことで、事例としてこれは挙げさせていただいているところでございます。  ただ、いずれにしても、そのほかNPOの事例とかを挙げていただきましたけれども、公共的団体、この二号該当で公共的団体というのは広く公共的な活動をすれば公共的団体とみなしていいと思われますので、それが具体的に、ただそういう団体であっても、そういう団体だから常にこうだというよりも、現実に各地域でいろんな団体の活動内容等々はいろいろあるだろうと思いますし、それから、現実住民基本台帳閲覧をしたいというときに、何のために、どういう活動のためにその閲覧をしたいんですかという要素が入ってくるんだろうと思います。  それに加えて、それをどういうふうに管理していただくんですかって先ほど言ったようなことも入ってきますので、そういうものを総合的に勘案して市町村長に判断をいただくというのが今回の法体系で提案させていただいているものだというふうに思っているところでございます。
  31. 内藤正光

    内藤正光君 では、確認なんですが、基本的にはこれは自治事務です。ですから、例えば厳しい審査を通じて各自治体が、先ほど申し上げた例えば自治会の申請、あるいはNPOの申請、あるいはマンション管理組合の申請等々、公的な団体が申請をしてきて、そして厳しい審査によって閲覧を認めてもよいだろうと判断したならば、それはその自治体の判断を尊重するという、そういうことでよろしいんですね。
  32. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 法体系が、基本的に市町村長が相当と認めたときはということになっていますので、基本的には、委員指摘のとおり、自治体運用の中で、それぞれの号がありますので、こういう判断基準に対してはこうだというのがあると思いますので、それが基本的には尊重されるというふうに思っております。  ただ、こういう事例というのも一定の法体系の中でやっているものでございますので、私どもは、その具体的な事例についてはできるだけ情報交換をして、物の考え方に、それぞれ御判断はいただくわけではありますけれども、ベースとなるもの、情報についてはいろいろ交換しながら、各団体が適切にできるような支援ということはしっかりやっていかなきゃいけないだろうというふうに思っております。  それからもう一つ、今、ただいまの御質問に直接なかったのかもしれませんが、例えば活用の面とか、この法体系との関連で幾つか御指摘ございましたけれども、やはりこの住民基本台帳法でこういう体系で、一定の場合には閲覧を認めるという仕組みを取っているわけでございます。ですから、私どもといたしましては、例えば自治体の判断だと、こういうことではあっても、逆に住民基本台帳閲覧を一切認めないというようなことは、この法律の趣旨には合わないものではないかというふうに考えているところでございます。
  33. 内藤正光

    内藤正光君 ちょっと細かいようなんですが、やはり各自治体、やっぱりこれからある程度の基準作りを進めていく作業が待っているわけですから、もうあと二つぐらい具体的な事例についてお考えをお聞かせいただきたいと思いますが。  先ほど申し上げた自治会だとか地域NPO、マンション管理組合、別にこれは利潤を追求する組織ではないので異論はないというふうに私はじゃ解釈をいたしましたが、じゃ地域の商店街、それが活性化のために閲覧を申請してきた場合、まあ地域の商店街、そこが栄えてくれなければ町自体が衰退してしまうからという意味で言えば公的な団体という解釈もできるし、しかしながら、でも商店街はしょせん利潤を追求する組織でしょうとなったら、またこれは利益目的にもなってしまう。これちょっと判断に悩むんですが、地域商店街が、例えばある催しのためにある一定地域の名簿を知りたい、閲覧申請をしてきた場合、どうなんでしょう、どういうふうに判断したらよろしいんでしょう。
  34. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 委員指摘のように、場合によって判断に悩むことはあろうかと思いますが、地域の商店街という御指摘をいただきました。例えば、この商店街という言い方ですれば何となくこういうものだというイメージはわくのかもしれませんが、厳密にこういうものが許されるか許されないかというふうなことを判断するとなると、例えば、ごくごく一部の人たちが商店街だと、こういうことで言っているということなのか、一定の振興組合というふうなものをつくって活動しているのかどうかというふうなこともあろうかと思います。それから、その組織が大体日ごろどういう活動をしてどういうことをねらっているのかといったような実態についても、各市町村においては一定の判断がなされるだろうと思います。  ですから、構成員が営利を目的とする人たちで構成されているということだけをもって公共的団体にはなり得ないということでは私は決してないと思っておりますが、そういうもろもろのことを総合的に判断して、特に今の御指摘のような事例は、市町村というのは身近な行政主体ですので、その辺の判断は我々よりもむしろ的確に地元の市町村ができるのではないかというふうに考えているところであります。
  35. 内藤正光

    内藤正光君 これは明確に受け止めさせていただきました。商店街、利益を追求するからといって、だからといって決して閲覧させないとは限らないということで、つまり、別に地域の商店街からの申請だからといって、必ずしもそれだけの理由で拒否されることはないだろうということですね。いいんですよね。
  36. 高部正男

    政府参考人高部正男君) ちょっと細かいことで、余り変わらないのかもしれませんが、これ三つの号を立てて要件作っておりますので、今委員、主に二号の要件で言っておられると思います。  そうすると、公共的団体が行うということになっていますので、公共的団体というときに、個別の商店がこういう活動をするとなったときに、その商店を公共的団体というふうには、この二号で見た場合には言えないと思いますが、私が申し上げましたのは、個別の商店が構成員となって一定の活動をするような、例えば商店街振興組合だとかというような活動になってくると、構成員が営利を追求するということだけをもって、それが構成する団体も公共的団体になり得ないということではないということを申し上げているわけです。  以上です。
  37. 内藤正光

    内藤正光君 はい、分かりました。  じゃ、もう一つ具体的な話。  具体的な話はこれが最後になろうかと思いますが、どこの地域も、特に地方に行きますと地場産業というのがあろうかと思いますね。細々と活動しているようなところも多いんじゃないかなと思いますが。地場産業の育成、振興のためにもっと地場の人にその製品を広く愛用してもらおうと、そういった取組で、どの組織が音頭取りをするかによるかとは思いますが、閲覧申請した場合、これはどのように考えればよろしいんでしょう。
  38. 高部正男

    政府参考人高部正男君) これは厳密に言いますと、今委員の御指摘を、今どうも私の理解では、一号の市場調査とおっしゃっていますので、一号要件の方で主に理解しておられるのかなというふうな、理解というか、そういうことでどうかというふうに受け取れるんですが。  いずれにしても、市町村にしてみると、各号該当でどれかということになるわけですが、一号で、例えばこの地場産業の振興といったようなときにどう考えるかという辺りは、この検討会の中でもいろいろ議論があってなかなか、一義的にこうだと言うのがなかなか難しい部分があったところでございます。そういうこともありまして、基準の中で一つ、前回も御議論になったわけですが、その調査結果が公表されて社会に還元されて生きるというふうな視点で見たらどうかというふうなことが一つの基準として出してきたということであります。  ですから、今、ただいまの御質問でいいますと、やはり現実の市町村がどう対応するかといったときには、どういう団体がやるのか、どういう目的でやるのか、これも先ほどの繰り返しになるわけですが、どういう調査のために何で住民基本台帳閲覧が必要なのかという辺りを精査した上で、総合的に市町村長に御判断いただくというようなことになろうかというふうに思っております。
  39. 内藤正光

    内藤正光君 以上の議論を踏まえて、一言で言うのは大変難しいとは思いますが、これから法改正を機に、各自治体で新たなこの改正法案を踏まえて条例作りですとか対応の検討が始まるかと思いますが、一体どのように考えていったらいいんでしょうか。つまり、その幅というんですかね、自分たちが持っている幅がどの程度あると考えたらいいのか、考え方だけでもお示しをいただけますでしょうか。
  40. 高部正男

    政府参考人高部正男君) ただいま具体的な事例を御指摘いただいて、いろいろ御議論させていただきましたので、そういうような中で御理解をいただく方がより適切ではないのかなというふうに思うわけでありますが。  今回、こういう形で法改正を提案させていただきましたので、かなりの部分は、これをどう適用していくのかということになっていくと思いますので、そういう意味では、もうこの時点で直ちに、裁量幅がどうのこうのということが直ちに出てくるというのは余り想定はしておりませんけれども、いずれにしても、こういう法体系の中で具体的事例がいろいろ出てくると思いますので、そういうものもよく我々は連携を取りながらしっかりとウオッチさせていただいて、適切な対応を図っていきたいなというふうに思っておるところでございます。
  41. 内藤正光

    内藤正光君 そろそろ時間的にも最後の質問になろうかと思いますが、最後、守秘義務についてお尋ねをしたいと思います。  御存じのとおり、住基法では台帳の調査に関する事務に従事している者に対してはかなり厳しい守秘義務が課せられておりまして、いわゆる地方公務員の守秘義務違反を上回る処罰が科せられるということになっているんですね。  今回、法改正の中身を一言で言えば、原則公開から原則非公開に変えるわけです。そして、ある一定の条件を満たした者のみに閲覧を許可するということになるわけなんです。そうなると、閲覧業務に携わっている窓口の人たちまでしっかりとその精神が行き渡らないことにはこの法が生きてこないのかなと思いますが、しかし、今現在では閲覧事務に携わる事業者については何も述べていないかと思いますが、私は、原則非公開化に伴い、その辺りも見直していくべきではないのかなと思いますが、いかがでしょうか。
  42. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 地方公共団体現実にこの仕事に当たる人たちについてどう考えていくのか、今度の制度改正を踏まえてどう考えていくかというようなお尋ねだったと思うんですが、当然のことながら、今回法律の枠組みができておりますので、地方公共団体の公務員はこの法体系に従って事務をやっていっていただく必要がございますし、その中で個別具体にも、ただいま申し上げた法令遵守義務あるいは上司の命令に従って事務処理をするという必要があるわけでございますので、こういうことを守らずに、例えば閲覧をすることができない者に対して閲覧させるといったようなことになれば、ただいま申し上げました法令遵守義務なんかを定める地方公務員法の規定に違反するということになりますので、そういうような場合には懲戒の処分の対象にもなってくるのではないかなというふうに思っておるところでございます。
  43. 内藤正光

    内藤正光君 あと四分ほど残っておりますが、超党派の拍手をいただけるならば、この辺で終えさせていただきたいと思います。(拍手)  どうもありがとうございました。
  44. 澤雄二

    ○澤雄二君 その時間、いただくわけにはいかないんですよね。拍手もらえなくなります。  公明党の澤雄二でございます。  内藤委員とは思考のベクトルが同じなのかなと、前回もそうでしたけれども、少し重なるところがございますが、視点を変えてお伺いをしたいと思います。  今回の法改正目的一つに、犯罪から個人を守るということがあったと思います。独居老人であるとか性犯罪であるとか、それから犯罪ではありませんけれども、ドメスティック・バイオレンスの問題もありました。余りこれまでそのことが議論されていなかったんですが、ほかの犯罪、例えば振り込め詐欺、こういうものにも実はこの台帳が使われていたんじゃないかということをちょっと考えました。  なぜかというと、我が家も被害に遭いそうになったからでありまして、電話が掛かってきまして妻が電話を取った。それで、その後、よくあるパターンだったんですが、息子が追突事故を起こして、それは暴力団のボスが乗っている車で横に身重の女性が乗っていて、その追突のショックで流産をしたとお巡りから電話掛かって、その警察官いわく、このままだと御子息が大変なことになるので、でも示談でいいと言われていますというような話であります。うちの妻はそこで、ちょっと待てよと、うちの子供は営業をやってないからこの時間、外で運転しているはずがないというので、もう一度子供を出してくれと、最初何か泣きながら、ごめんなさいと言ったそうでありますが、もう一度出してくれと言ったら、その犯人は何と言ったかというと、開き直った。よく聞けと言って、我が家の家族の名前を全部言って年齢を言って、全部分かっているんだぞと、外へ出るときには気を付けろと言って電話を切られたんだそうであります。で、一か月ぐらい、妻はもう体が震えて大変だったと。  これなんかは、その住基台帳を、自分が閲覧に行くわけがありませんから多分買ったんだと思いますが、使われた可能性が高いと思います。  今回の法律改正でもそういうことから個人を守ろうということが大きな目的であると思うんですが、今日一枚だけお手元にお届けしたのは、これは調査室からいただいた、ある閲覧用リストでございます。これは住所別にリストが書かれています。  これによりますと、おとといから議論されている、つまり、家族構成その他がすべて分かってしまいます。それから、上の、何々ハイツ二号室、××一郎、××花子なんというのを見ると、もしこれ名字が違ったら、ああ、結婚してなくて同棲しているんだなということまで分かってしまう。つまり、個人情報としてかなり重要な部分がこのリストだと分かってしまう可能性がある。  これを、じゃ五十音にしたらどうかと。五十音が一番こういうことが分かりにくいんでありますが、五十音にしてしまうと統計調査のときのサンプリングがほぼできなくなってしまうということで、すごく難しい。ただし、これはもうある自治体で実際にやっているところがあるようでございますが、五十音にして、必要な情報をインプットしたらその人間だけ取り出すことができる。例えば、何丁目何番地のこの地域で、年齢幾つ、何歳から何歳の間、男女の比率はこうだということをインプットするとそれを取り出すことができる。こうすると、一〇〇%とは言いませんが、かなり独居老人だとか、性的犯罪だとかこういう振り込め詐欺だとかという被害に遭う方が少なくなるんではなかろうかと。  今度の法律改正はそもそもそういうものをなくそうということですけれども、そのことをもっと効果たらしめんとすると、将来的にこの閲覧リストのソフトの在り方というのも、こういうことを考えていったらどうですかというようなことを自治体に指導とかアドバイスをされる可能性はありませんか。
  45. 高部正男

    政府参考人高部正男君) この検討会の中でも現実自治体がいろんな対応の中で、今委員おっしゃられたように、並べ方を工夫するとかといった現実的な対応をしているようなこともございましたので、検討会の中でもいろいろ議論をいただいたところでございます。  また、これまた委員も、これも御指摘いただいたところでございますが、そういういろんな議論の中で、今回はともかく閲覧の仕組みそのものを変えてきっちり運用していくようにしようじゃないかと。そういうことであると、本来の趣旨から住所順がいいのではないかというようなおまとめをいただいたというのが、こういう経緯でございます。  ですから、私どもといたしましては、まずは新たな制度の適切な運用というようなことに精一杯努力してまいりたいというふうに考えているところでございますが、当然のごとく、委員指摘いただいたような御指摘等々はあり得ることだと思っておりますので、この辺の運用状況は我々よく見ていかなきゃいけないなというふうに思う次第でございます。
  46. 澤雄二

    ○澤雄二君 これも議論されていますけれども、この住民票住基台帳というのは個人届出の義務がありますから、個人に選択の権利はないので、どうか、そういうことから守るということが法律改正の趣旨であると思いますので、その効果をもっと良くたらしめんためにこれからよく御検討をいただきたいなというふうに思います。  それからもう一つ、具体的なお話をお伺いをしますけれども、先ほどこれも内藤委員が聞かれていましたけれども、一つは公用ですね、閲覧する場合に。それからもう一つは、統計調査、世論調査、学術研究等、公益性の高いもの。それからもう一つありますよね、質問されました、公共団体、公共的団体閲覧をする。  実は、これ余り議論されていないんですが、この公共的団体閲覧をした中身で、かなりこれからいろんな問題提起とかありそうだなと思うことが一つちょっとございます。例えば、社会福祉協議会でもいいし、敬老会でも自治会でもいいんですが、この地域に住んでいらっしゃる七十五歳以上の老人のリストが欲しい、その方たちには敬老の日にプレゼントを差し上げたいんだということで閲覧希望があった。先ほどいろんな説明されましたけれども、それはよく理解していますんで一言で結構ですが、一般的にはこの場合、認められますか。
  47. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 検討会の報告の中でも、公益性が高いと考えられる事例として、自治会が行う敬老会の開催案内を通知するための閲覧というようなことが挙げられているところでございまして、委員指摘いただいたような事例について言いますと、これは個別の判断にはなりますが、一般的には認められることになるのではないかなというふうに、あくまでも一般論としては考えられるところでございます。
  48. 澤雄二

    ○澤雄二君 実は、この判断はそんなに簡単ではないというふうに思っています。  すごい極端な例を言いますと、ある大変大物女優でありますが、その方が年齢をごまかして世間に公表されていました。その女優があるとき紫綬褒章を受けた。マスコミもみんなびっくりしたんですが、十歳年が違うと。六十だと公表されていたのが、実は七十歳でありました。つまり、こういうふうに……(発言する者あり)ああそうですか、これは名前を言うともうすぐお分かりになる方でございますが、もう現在、今八十何歳におなりになっている方でございますけれども、だれも知らなかった。  こういうふうに、これは極端な例でありますけれども、自分の年齢を実は知られたくないという人はたくさんいらっしゃるんだと思うんです。だから、御近所に住んでいて、おれは七十五歳以上じゃないよと言っていたのがプレゼントが来てしまったために七十五歳ってばれちゃった。ましてや、それが公共的な目的だというので氏名まで公表されて、その結果まで公表されてしまったら、とんでもないことになるわけですよね。  それから、この公共的団体ということがくせ者で、ここから閲覧の希望が来ると大抵の場合認められる可能性が高いんじゃないか。そうすると、今言ったようなことがなかなか吟味されない。  それから、もう一つまずいことは、こういう例示のことについて総務省はギャザリングをされて、それをまたフィードバックされるというようなことを考えていらっしゃいますよね。そんなことをされると、これは全部全国的にオーケーになってしまいますから、そういうことの被害者というのは一気にここの部分だけで増大する可能性が出てきます。  じゃ、どうすればいいんだと。情報コントロール権云々とかいう難しい話じゃなくて、将来的にはできればここの部分だけについては、アンケート調査はそんなこと分かるわけないわけですから、嫌だったら本人がアンケートに答えなくてもいいんだし、名前まで出るわけがない。ここのところだけについては本人確認をすると。これは、あなたは七十五歳以上だということを知らせてもいいかということを将来的に考えてみたらどうか。  今皆さんはこんな面倒くさいことできるかとおっしゃるかもしれないけど、これは大臣のお得意な分野でございますけれども、これ、ITが発達すればインターネットで一発ぽんとすれば返事が来るかもしれないし、地上デジタル放送のデータ放送の領域を使えばテレビでもそういうことが確認できるかもしれない。最後の最後は手紙になってしまうかもしれないけれども、ITの発達によってかなりそのことはできる可能性が将来的に出てくるかもしれないと思うと、そういうことも検討していただけないかなと思うけど、大臣答弁いただけますか。
  49. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、澤委員がおっしゃったことというのは、本人が拒否するときには閲覧の対象としないように申出を受け付けるような制度、そしてその逆もつくっておく、正によく言われるオプトアウト、オプトインの議論であろうかと思います。  こういう議論は実は先ほどから御紹介している検討会でも議論がされました。将来的にこれやっぱり考えるべきではないかという御提案に対しては、実は将来の問題として私もそのように思います。そんなこと言ったって、これ実務がそんなことしたら大混乱するぞというふうに我々も一般には思うんですが、それはやっぱり今の技術を前提にしている話であります。そういうことができれば、そのことについて恐らく次第に私は理解も得られていくのではないかと思います。そういう意味では、それを一般論として言うと、さっきの情報コントロール権ということになると思います。そのことそのものに対して絶対的な反対というのはむしろ私は少ないのではないか、ほとんどないのではないかという思いさえございます。  今回はなかなかそこに至っていないというようなそういう状況に、技術も至っていないという中で、この閲覧制度において公共性の高い場合に限定するのであれば、まあそこまで考えなくても今回いいだろうということで今回の法案提出させていただいておりますが、正に将来の問題としてはそういうことをしっかりと見据えていかなければいけないと私自身考えております。
  50. 澤雄二

    ○澤雄二君 どうぞよろしくお願いを申し上げます。  次に、少し根源的なことについてお伺いをいたしますが、大臣も言われていましたけれども、この住民基本台帳法住民票それから戸籍等々ありますけれども、住民基本台帳法ができたのは昭和四十二年、その前に二十六年に住民登録法ができています。  大臣も二回ほどここで答弁の中で言われていましたけれども、つまり住民のデータを一元化して、それを行政事務処理に使う、若しくは住民利便性に使うというようなシステム、制度を持っているのは、国としても日本、韓国、スウェーデン、ノルウェーぐらいしかありません。しかも、その中で住民基本台帳というようなものがあって、大量の閲覧制度を持っているのは日本しかないんですよね。  一つ確認をしておきますけれども、この法律をお作りになるときに、一体どういう理念で他国にないこういう制度を日本におつくりになったかということをお伺いしたいと思います。
  51. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 委員既に御指摘いただきましたけれども、前身としては住民登録法というのがあったわけでございます。実は、所管を言ってもなんなんですが、旧自治ではなくて、あれはたしか法務省の関係の所管でやっていたと思うんですが、これがしばらく続いておったんですが、現実運用の中で大分問題点が指摘されたところでございます。  一方では、住居を、住所をちゃんと登録するということになっていながら、もう一方では、例えばいろんな届出類は別途必要になっている。例えば国民健康保険だとか年金だとか、別途の届出が必要になっていると。あるいは別途、居住の状況についての確認を各行政分野がすると。そういうのは住民にとっても不便であるし、それからまた一方では、行政の効率化という観点からもいろいろ問題があるのではないかと。  こういう問題意識に対処するということで、この住民基本台帳法という形で、そういう問題意識を解消しようというような目的意識で、今御指摘ございましたように、昭和四十二年にこの法律ができたものだというふうに思っているところでございます。
  52. 澤雄二

    ○澤雄二君 大臣も先ほどの答弁で歴史的考察をしていただいて、太閤検地から始まっている、紛れもなくそうだと思います。それから、江戸時代、明治時代もそうで。大臣の御答弁の中では、それは、その中で非常に柔軟に日本人考えて、すごく便利じゃないかというような、そういう中で根付いてきたというお話もありましたけれども、一方で、太閤検地からそういう制度の中で要するに生活をしてきた日本人はもうお上の言うままになるんだという、そういうような国民性も実はあったんだと思います。それが今まで受け継がれてきていた。  それで、これは御答弁はいいんですけれども、この住民登録法のときの第一条の目的は、居住関係公証し、その後に、その日常生活の利便を図るとともにとずっとあって、ワン呼吸置いて、各種行政事務の適正で簡易な処理にって書いてある。つまり、住民利便性が先に来ていた。それがだんだん並列になってきている。だから、一元的に処理をするというのは、世界にとってもすごく少ない制度を日本が持っているということと同時に、住民利便性ということが前面にあってきたものが、それが少しずつ後退し始めているということだけちょっと心配だなと思いますんで、この後いろんな御検討のときに確認をしていただきたいというふうに思います。    〔委員長退席、理事景山俊太郎君着席〕  それで、次に伺いますが、今回の改正原則非公開になったということでございますね。戸籍住民票選挙人名簿はどうするんですかというのをお伺いしようと思いましたけれども、先ほど御答弁がありましたので、これはよく理解をいたしました。  一つだけ確認をしておきますが、住民基本台帳原則非公開になったということは、行政事務レベルの公用のための閲覧、これも原則非公開になった。ですから、その閲覧の事由によっては拒否されることもあり得るというふうに理解してよろしいですか。
  53. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 御指摘ございましたように、今回仕組みを改めたわけでございます。認められる場合について、行政機関等の利用につきましても、法令で定める事務の遂行のために必要である場合はというような形で規定されているところでございまして、この辺がきっちりしていれば閲覧していただくということになろうかと思いますが、こういう関連のものについて、きっちりしていなければ事例によってはお見せできないということもあり得るのではないかというふうに思っております。
  54. 澤雄二

    ○澤雄二君 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、要するに住民利便性ということと行政事務簡素化ということが、それが大きな目的でございますので、一方を原則非公開ということにするんだったら法律整合性上、多分公用についてもそうなんだろうということを確認しておきたいと思います。  次にいきますが、住民基本台帳を基にして住基ネットがつくられていますね。こういう制度を持っているのは日本だけですか。    〔理事景山俊太郎君退席、委員長着席〕
  55. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 委員よく御案内のことで、私も答えぶりにちょっと迷うところあるんですが、今御指摘の住基ネットのようなものが諸外国にといいますと、二つに分けて考える必要があると思うんです。  一つは、住民基本台帳といったようなものの整備、いろんな行政の統一的な台帳というようなものの整備があるのかどうかという視点が一つあると思います。こういうもので対応しておりますのは、どこまでがイコールかということにはなりますけれども、御指摘ございましたように、北欧の国の中の、あるいは韓国といったようなものがございます。  アメリカ等におきますと、これもよく御案内のとおり、ソーシャルセキュリティーナンバーとかというような個別行政分野のものが一定の形で使われるというような形になっていると。二つのものがあって、どちらが多いかというと、これなかなか難しいわけでございますが、今も言ったような状況だというふうに思っております。  それから、だれが整備するのかということについても、スウェーデンなんかのケースでいいますと、これは自治体が整備するというよりも、税の徴収関係でそういう仕組みをつくってそれが使われているというようなことになっておりますので、そういうところの違いもありますから、その辺の視点もあろうかと思います。  それからもう一つは、こういうものをネットワーク化してどこまで使われているかということの視点もあるかと思うんですが、こういう情報化社会ですので、ベースが違う中でいろんなこういう情報技術が使われているということだろうと思いますが、北欧の国なんかではこのネット、ネットといいますかIT技術を通じていろんな情報提供が他の分野にもされているというふうな、承知しているところでございます。
  56. 澤雄二

    ○澤雄二君 今局長の御答弁にもありましたけれども、なぜ世界じゅうが一元化した情報を持っていないかというと、ほかの国は、厚生労働は厚生労働で情報網を持っている、文科は文科で持っている。それを一元化して持っているのは日本だけであります。だから、住民基本台帳が日本しかなければ、こういうネットワークシステムも日本しかないのは当然のことなんでございますが。  そこで、一つお伺いします。もうこれ局長答弁飛ばしていきなり大臣お願いしたいんですが、今年の三月に北海道の斜里町で職員のパソコンから、いわゆる暴露ソフトですね、ウィニーから住基ネットに関する情報が流出をいたしました。それは個人で、個人のパソコンにほうり込んで家庭で仕事をするため持っていったわけでございますが、この中にどんなソフトがあったかというと、いわゆる住基ネットにアクセスできる、コミュニケーションサーバーにアクセスするパスワードも入っていました。個人情報そのものは流出をしていないんですが、個人情報を取りにいこうと思えば取りにいけるような重要なものが流出した中に含まれていました。  時間がありませんので、このことについて大臣はどのような御見解をお持ちですか、認識をされていますか。
  57. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 情報、要するに、今御議論いただきましたけれども、一元的な台帳を持っていて、それをデジタルネットワークでやろうと我々は今していると。そのことの利便性はあるけれども、やはりその際のセキュリティーというのが本当に重要になると。  その際に、今回の事案というのは、実はそのセキュリティーの中の根幹である言わば一種のキーですね、かぎそのものが流出したと、そういう問題だと認識しております。これはもう極めてあってはいけないことであるというふうに思います。  そのために、まずそのセキュリティーのそのもののシステムを今後、これはもう技術の進歩にもよりますが、しっかりやっていかなきゃいけない。しかし、そこはやはり人間、かぎを持っているのはやっぱり人間でありますので、その問題に関して我々はやはりその利便性は非常に高い可能性があるけれども、非常に気を付けなきゃいけないナイーブなものだということの周知徹底が改めて必要である、研修等々も含めて必要であると、そのように認識をしております。
  58. 澤雄二

    ○澤雄二君 やっぱり、ここはごまするわけではありませんけれども、大臣の御見識はすばらしいなというふうに思ったわけでありますが、この住基ネットシステムをつくろうとしたときに世界じゅうもそういうことを実は考えていました。考えていましたが、全部世界各国はやめました。なぜやめたかというと、それはセキュリティーを守れないということが分かったからであります。  そのセキュリティーを守れないという中でも一番不安だったのは人間、人間がミスをする、人間が故意でする、そういうことは守れないということでこういうシステムをつくることを世界じゅうはやめたわけでありますが、日本は持ってしまいましたんで、これをどういうふうに使うかということがこれから一番大事だと思います。  それで、住基ネットワークシステムのそのシステムのすき間を使って、クローズドサーキットで各自治体が住基ネットカードというのを今普及させようとしています。その住基ネットカードでどんなことがこれからできるようになるかというと、いろんな証明書の交付等もあるんですが、事故、急病等で救急医療を受ける場合、あらかじめ登録した本人情報を医療機関等に提供するサービスなんというのもあります。  これは、本人が事故なんかを起こして意識不明のときにそのカードを持っていれば、それを医者が見て手当てができるというシステムでございますので、実はここに登録した場合どういうデータが必要かというと、血液型だとか既往症どころではなくて、もう今どんな病気を持っているか、アレルギーはあるのかないのか、飲んでいる薬は何かとかということが詳細に分からないと、カードを見て医者は治療の対応なんかできないと思うんです。つまり、このカードに登録するということは、自分のすべてを病気に関しては知られてしまうというようなことだと思います。これは、もちろん本人が意思があって、これは選択する権利がありますけど、そういうことになるということであります。  それから、図書館の利用、図書の貸出し等を行うサービス、これは、もうこの人はいつどんな本を読んだということが全部分かってしまいます。  それから、商店街での利用に応じたポイント情報を保存し、これを活用するサービスなんというのもあります。また、電子マネーというのもあります。そうすると、この人がいつどこでどんなものを買ったんだ、それを分析すれば、どんなものが好みなんだというようなことまで分かる。いろんなことがこの住基ネットカードでできるわけでありますが。  先ほどからも議論をしていますけれども、つまり、こういう一元化された情報管理運用ということは多分これから一番大事で、そのことが危うくなると、心配で、こういう社会ができるよというのがジョージ・オーウェルの世界だと思いますけれども、そういうことがないように、これの今後の運用、将来的にもですね、それから、こういうものが、先ほどのような事故が起きないような管理、万全を期すという大臣の御決意を聞いて、質問を終わりたいと思います。
  59. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今のお話はもう象徴的だと思います。我々にとって、便利さとリスクというのが本当に紙一重のところで背中合わせになっているということなんだと思います。便利さは追求したいと、しかしそのためのリスクはやっぱり避けたいと。人間というのは悲しいもので、私自身もそうでありますけれども、人の情報はできれば得てみたいというふうな好奇心に駆られている、しかしそれを得られる個人にとっては大変なダメージであると、そういう中に私たちはいると思います。  今のカード、住基カードのセキュリティー性というのは、一応だから高いようにいろんな工夫はして、ICチップは利用領域ごとにアクセス権が制限されるようにとか、いろんな工夫はしているわけですけれども、しかし技術は万全ではありません。そういうことを前提にできるだけこの利便さを生かしていこうというやっぱり人間の姿勢が必要なんだと思います。私は、それがある意味で本当のITリテラシーであろうかと思いますので、そこの正に教育から始まって、日ごろの啓蒙、そういうことをしっかりとやっていかなければいけないというふうに思っております。
  60. 澤雄二

    ○澤雄二君 それでは、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  以上で終わります。
  61. 吉川春子

    ○吉川春子君 共産党の吉川春子です。  まず、DV被害者の住基台帳情報の取扱いについて伺います。  参議院共生社会プロジェクトチームで、二〇〇三年から二〇〇四年にかけてDV法改正作業を行いました。私はそのときにも総務大臣に対して、あるいは各省との話合いの中でも、加害夫が妻を捜す手段として住基台帳を活用できないように、まあその逆もありですが、何人も閲覧可能としている住基台帳法改正を求めましたが、そうはならなかった。今回、原則非公開の改正が今審議されているということです。  DV被害者の個人情報は、文字どおり、命にかかわるものですので、取扱いは厳重に行わなければなりませんが、現状では市町村によってばらつきがあります。  総務省は、三鷹市や八王子市などDV対策で先進的取扱いを行っている市町村の意見も聴いて、本法が成立して施行されるまでの間の空白ですね、その対策について十分な措置をとってほしいと思いますが、その点についていかがでしょうか。法の空白期間ですね。
  62. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) DV等の被害者の保護に関しては、これ省令及び通知によりまして、十六年の四月以降、各市町村におきまして、このDV等の被害者が、閲覧制度住民票写し等の交付制度を不当に利用してその被害者の住所を探索することを防止するための保護措置が講じられたわけでございます。各市町村におきましては、この趣旨に沿いまして対応されているというふうに当然認識をしておりますけれども、我々としては必要に応じてこれは注意を喚起をしてまいりたいというふうに思います。
  63. 吉川春子

    ○吉川春子君 今、原則としてそういうふうに行われているんですけれども、今度の法改正というのはもっときちっとした中身で、そういう被害が阻止できるものと思いますが、現行制度の下で市町村の対応が進んでいるところとそうでないところとありまして、法改正までの間、まだDV被害者にとっては不安があるわけなんですね。ですから、そういうものについて是非、法が施行されるまでの間の空白を埋めることをきちっとしてほしいということと、それに関連があるんですけれども、今度施行された場合でも、国あるいは公共団体名その他公益の団体名をかたって被害者の住所を聞き出す、あるいは町内会など公共的団体役員名で閲覧したりするケースが関係者の間で心配されています。  法施行後は市町村の職員がきちんと対応できますように、DV被害者や支援のシェルターの関係者等の意見も聞いて、DV被害者個人情報の漏えいを防止できるようなガイドラインといいますか、そういうものを是非作っていただきたい、検討していただきたいと思いますが、重ねて伺います。
  64. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 御指摘いただいたように、今回の改正では閲覧の際の本人確認等々を非常に厳格化するということで、今御心配いただいているようなことに関してもしっかりとした対応がなされるようになるというふうに考えております。まあ先ほど言われた成り済ましのようなものですね、そういう閲覧の防止にも効果を上げるというふうに期待をしているところでございます。  この被害者の支援措置に関しては、既に市町村向けに事務処理の要領でありますとか質疑応答というのを通知しているところでございます。既にそういうことを対応しておりますけれども、今回の改正による新たな制度と併せてこれは一層の周知を図っていく所存でございます。委員が言われるようなマニュアルがいいのか、ガイドラインがいいのか、ちょっとやり方はいろいろ考えさせていただきますけれども、一層の周知を図っていきたいと思っております。
  65. 吉川春子

    ○吉川春子君 竹中大臣に続けてお伺いいたしますけれども、私、個人情報保護法審議の際に、自衛隊の隊員募集の名簿収集をめぐって住基台帳情報の扱いが大きな問題になったわけですが、そのとき質問しました。  政府は、その当時は、住基四情報は何人にも公開されていると、保護すべき個人情報という考えではなくて、公開を優先するというそういうお立場でした。しかし、今回、大量閲覧によるDMの利用住基台帳閲覧を悪用した事件の発生など、四情報の公開が問題になってきました。個人情報保護法の施行によって国民の個人情報に対する意識も大変この間高まってきたと思います。  そこで伺いますけれども、住基台帳の四情報個人情報であって法的に保護されなければならないものだと私は思いますが、大臣の御認識はいかがですか。
  66. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これは、正にその保護するためにそういう法律を作っているわけでございます。ただ、元来保護されなければいけないものか云々ということに関しては、これは現実問題として、なぜこのようなことを我々は議論しているかというと、やっぱり利用、活用はしっかりと便利なものとして行ってもらおうではないかということにあるわけです。で、正に情報の時代ですから、すべての情報に関して利用、活用がしっかりと進むようにしなければいけない。しかし、そういう情報の時代であるからこそ保護するべきものをしっかりと保護していこうという、その利活用と保護のバランスをしっかり取ろうというところに我々の立法のすべての立脚点があるというふうに考えております。  その保護の仕方、利活用の仕方については、いろんなバランスがあるということなんだと思います。そういう中で、必要に応じていろんな法改正も重ねていかなければいけない。  基本的な認識を申し上げれば、以上のような点でございます。
  67. 吉川春子

    ○吉川春子君 ちょっと最後の語尾がはっきり聞こえなかったんですけど、例えば早大の講演会参加者の名簿の違法な提供について最高裁判決が平成十五年の九月十二日にありまして、学生から収集した参加申込みの氏名、住所等の情報は法的保護の対象になると、こういう判断でした。  もう一度確認しますが、活用とか何かは厳密にしなければならないというふうにおっしゃいまして、そのとおりだと思いますが、四情報というのは法的に保護されなければならない個人情報だと、その辺は大臣の御認識も一緒ですか。
  68. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) たしか個人情報保護法で守られるべき、法律というのは、ちょっと正確な表現を覚えておりませんけれども、個人特定化するような項目であったというふうに記憶をしております。その意味では、個人情報保護法の理念に沿ってそのような情報保護されているというふうに思います。
  69. 吉川春子

    ○吉川春子君 今回の法案は、住基台帳閲覧原則禁止、法的根拠があれば国、地方公共団体の機関は閲覧請求できるということが規定されているわけですけれども、公用閲覧について次に伺います。  総務省が人口規模を勘案した抽出二十二団体に対する詳細内訳調査を行いましたが、公務員の閲覧の実態は、請求件数二千九百三十件のうち警察が二千二十九件で約七割、自衛隊が二百二十一件で七・五%と、こういうふうになっているわけです。  そこで、警察庁お見えでいらっしゃいますね。住基ネット問題神奈川県連絡会が二〇〇四年四月から六月提出分の横浜市青葉区、泉区における住民票公用閲覧請求書の情報公開請求を行いました。情報公開された資料によれば、二〇〇四年五月二十八日に青葉警察署警備課が七百九十六件の住基台帳閲覧し、同じ地域の一丁目から四丁目というように面的に広く情報を集めています。また泉区では、泉警察署が二〇〇四年四月九日から六月二十二日までの間に五回閲覧、五十三冊、約三万三千六百人分を公用閲覧しました。泉区の人口が二十五万人、住基台帳は三百冊。住民が全く知らないうちに警察によって個人情報が大量に調べられています。  行政機関の閲覧といっても、これでは日常的に警察に監視されているんじゃないかという不安を住民としては当然感じると思います。どういう目的でこのような大量閲覧を行ったのか、お伺いします。
  70. 小林武仁

    政府参考人小林武仁君) お答え申し上げます。  警察は、犯罪の予防、鎮圧、捜査その他公共の安全と秩序の維持に当たることを責務にしているわけでありまして、この責務を果たすため、情報収集活動を含む種々の活動を行っているところでございます。その一環として、必要に応じ、法令の範囲内で住民基本台帳の一部の写し閲覧することもあるということでございます。  特に警備警察は、極左暴力集団や右翼等による違法行為の取締り、重大テロ対策等を推進しておりまして、そのための情報収集を含め、必要な警察活動を行っているところでございます。こうした活動に伴いまして、住民基本台帳情報も必要になることがあり得るところでございます。  御指摘の神奈川県青葉警察署及び泉警察署の署員による住民基本台帳の公用閲覧につきましても、こうした警察の責務を果たすための適法な閲覧であったものと承知しております。  ただ、本件を含めまして、個別の閲覧の具体的な目的につきましては、これを明らかにすれば、例えば違法行為を行おうとする者に対抗措置を与えてしまうというようなことにもなりかねない、そういった点から、犯罪捜査等の警察活動に重大な支障を生じるおそれがございますから、答弁を差し控えさしていただきたいと思います。
  71. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は、今の答弁、大変重要な答弁で、受け止め方によっては大変恐ろしい答弁だというふうに実感をいたしました。  警備犯罪の具体例として、これは警察からいただいた資料ですけれども、刑法第二編二章及び三章に関する犯罪、破防法、日米安保条約の地位協定に関する刑事特別犯、あるいは日米防衛援助に伴う犯罪、外国人登録法、出入国管理法等々、こういうものが警備犯罪ですよね。そして、神奈川県警の検挙状況を見れば、出入国管理等の違反で、検挙件数は七百九十九件五百六十人だったとか、あるいは中国国内での反日デモに対する中国政府の対応に反発して火炎瓶を投げたとか、いろいろそういうことで検挙がされておりますね。  そうしますと、かなり幅広い犯罪に対して日常的に、犯罪捜査のためと称して日常的に面的に住民の動向をつかむ必要がある、そのために住基台帳を、泉区、青葉区と言わず、全国的にこういう集め方を警察はしていると、そういうような答弁に私は受け止められたんですけれども、そういうことですか。
  72. 小林武仁

    政府参考人小林武仁君) 先ほども申し上げましたように、警察はその責務を維持するために必要な情報収集活動を行っているものでありまして、委員指摘のような、住民運動を監視するとか、住民そのものを監視するといった視点は毛頭ございません。
  73. 吉川春子

    ○吉川春子君 住民運動を監視するためにやってますなんて言ったら、それはそれで大問題ですよ。しかし、結果としてそういうふうになりかねないのではないかと、こういう情報の収集は、というふうに指摘をしたわけなんです。  これは警察庁が平成十一年に捜査事項照会についての適正な運用ということで通知を出していますね。だから、警察庁の方もそういうことで注意をするという認識には立っていると思うんですけれども、そういうものにもこんな大量閲覧というのは反するんじゃないんですか。
  74. 小林武仁

    政府参考人小林武仁君) 委員指摘捜査関係事項照会というのは、特定の犯罪の嫌疑があると認められる場合に刑事訴訟法上の捜査の一手段として認められている、刑訴法第百九十七条第二項の規定に基づき行われるものであります。一方、警察による住民基本台帳の公用閲覧につきましては、直ちに刑事訴訟法上の捜査に該当しないものも存在すると認められるところでございます。したがいまして、閲覧請求書にこういった捜査関係事項照会書を添付するとか、そういうことは言われておるんですが、制度上は私どもは不可能であると思っております。
  75. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうすると、犯罪捜査、被疑者を特定するために住基台帳を活用するということは、私はありだと思うんです。それは当然必要な行為だと思うんですけれども、特定の犯罪の被疑者をまた更に特定するため以外の目的でもっても住基台帳というものは日常的に警察は活用していると、犯罪予防のために活用しているというふうにも受け止められる御答弁でしたけれども、そういう理解でしょうか。
  76. 小林武仁

    政府参考人小林武仁君) 繰り返しになると思いますが、警察は警察法二条に求められておる警察責務を果たすために所要の警察活動を行っているわけでございます。それのためには、必要な情報収集を含め、そういった警察活動を展開する必要がある。それが犯罪の捜査に、特定の犯罪捜査という概念に入らなくても、例えば犯罪の未然防止のために必要な情報収集をするというのは当然あり得るわけでございまして、そういった広い警察活動の一環としてそういった住民基本台帳閲覧をさしていただくと、こういう認識でございます。
  77. 吉川春子

    ○吉川春子君 犯罪の未然防止のためにというのは大変幅広い概念であり、恐ろしい概念ですよね、使い方によっては。そういうことのために住民基本台帳が活用されているということであれば、それはそれで大変問題だと思うんですが、私はもう一つお伺いいたします。  神奈川県警の連絡文書、捜査関係事項照会等の適正な運用管理要領の変更について、二〇〇三年四月二十二日付けでは、照会要領で、照会書等の発出などは、捜査主任官が個々の照会ごとに照会の必要性、照会内容等を十分に検討し、責任を持って発出の要否を判断した上で所属長決裁を受けさせることというふうになっていますよね。警察の青葉区や泉区での住基台帳閲覧の例は、こういう警察御自身の趣旨からいっても公用閲覧在り方というものが問われるのではないかというふうに思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  78. 小林武仁

    政府参考人小林武仁君) 御指摘の連絡文書は平成十五年四月二十二日付けの神奈川県警察の内部規定と思われますが、これは、先ほど来申し上げましたように、捜査関係事項照会書等を作成する際の適正な管理要領等を定めているということでございます。今回のいわゆる住民基本台帳閲覧ということについては、これと直接かかわる問題ではないわけであります。ただし、同じような公務所照会というもので似たような性格がございますので、またプライバシーの問題もございますので、この運用に当たりましては極めて厳格な組織的な点検なり決裁なりというものを行いまして、必要な様式に整え請求していると、こういうことでございます。
  79. 吉川春子

    ○吉川春子君 住民等公用閲覧請求書を拝見しますと、閲覧者名として泉警察署、で、名前が書いてあります。住民票十一件、台帳の番号何たらかんたら、何冊とか、こう書いてありますよね。計七千二百二十八の閲覧をしているわけなんですけれども、これは課も書いてない、目的も書いてない、ただ閲覧者の名前と件数のみしか書いてない。これがそうですね。恐らく警察手帳であとは見ていると思うんですけれども、そういうものが先ほどの警察自身、これ県警ですか、が決めたその趣旨にも反するのではないかと、手続的にこういうものは。そのことを聞いているんです。名前だけですよ。警察署とその名前だけ。ほか何冊欲しいんだということしか書いてない。こういうことが、やっぱり警察の取扱いの自分で決めた規則からいっても逸脱しているのではありませんかということです。
  80. 小林武仁

    政府参考人小林武仁君) 私の理解では、ちょっと委員のあれと私どもの理解が違うんでありますが。  例えば横浜市の話を、泉区、委員おっしゃられ、ちょっと私ども調べまして、横浜の話をさしていただきますと、これは住民票等公用閲覧請求書というのが、これ、横浜市の方でフォームを決めておられるわけですね。それで、それに基づきまして、私どもは、この場合は青葉警察署で閲覧請求閲覧者ということで請求委員お持ちの資料のときは請求していたということなんです。ところが、これが、横浜市は、平成十七年、昨年の四月の十八日に公用閲覧請求書の書式を変更しているんです。変更して、さらに、閲覧者だけでなくて請求者欄というのを新設しまして、この欄には官公署の所在地と責任者の職名を記載すると、それから公印を押捺することということにフォームを改めておられる。これを受けまして、現在、神奈川県警察では、この新設されました請求者の欄に閲覧者が所属長の署名を記載の上、まあ警察署長等ですね、所属長の決裁を経て、所属長の公印を押印することとし、両者の確認手続を更に厳格にしていると、こういう運用をしているわけです。
  81. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと、所属も何も書かないで、警察手帳だけでこの住民基本台帳閲覧するということはあり得ないと、今はしていないということでよろしいですか。
  82. 小林武仁

    政府参考人小林武仁君) 今、横浜市、だから神奈川県警察においてはそのような運用がなされておるとも承知しております。
  83. 吉川春子

    ○吉川春子君 全国的にはどうですか。
  84. 小林武仁

    政府参考人小林武仁君) これは、全国的に今、私どももトータルに把握をしておりませんが、場合によってはそのような動きがあろうかと思います。
  85. 吉川春子

    ○吉川春子君 場合によってはそのような動きってどのような動きですか。
  86. 小林武仁

    政府参考人小林武仁君) 先ほど来申し上げましたように、請求書の中に閲覧者のみでなくて、神奈川、横浜市が今フォームを改められたように、請求者欄も設けるということで、ある面で所属とその責任者名、それから公印も付けるというようなそういう動きが、正確にどういう全国で動きになっているか、ちょっと把握しておりませんが、そういった動きもあるのではないかと、こういうことであります。
  87. 吉川春子

    ○吉川春子君 警察のそういう住基台帳閲覧に関しては、やっぱり法令にのっとって、あるいは自治体の業務にのっとって本当に住民のプライバシーが侵されることのないようにきちっとしていただきたいと。そのことの確認と、収集した情報はその後どうするんでしょうか。使い終わったらきちっと廃棄するとか、そういうことがなされているんでしょうか、伺います。
  88. 小林武仁

    政府参考人小林武仁君) 委員御心配のような点につきましては、私どもも、先ほど大臣の御答弁にもありましたように、プライバシーとの兼ね合いということで、私どもも厳正にそれは対処しておるところでございまして、また御指摘のこういった収集した資料の扱いにつきましては、個人情報保護の問題、法律に基づくものであり、かついろんな条例に基づく手続にのっとりまして的確な管理に努めているところでございます。
  89. 吉川春子

    ○吉川春子君 住基台帳閲覧して、使い終わったらちゃんと廃棄もしていると、そういうふうに受け止めてよろしいですか。それが内部的にきちっと、どういうふうに使い、どういうふうに廃棄し、どういうふうに保管されているかという内部的な監視の方法も警察の中では確立しているというふうに理解していいですか。
  90. 小林武仁

    政府参考人小林武仁君) 所期の目的が達せられ、用済みのものになったそういった情報については廃棄処分を含め的確な管理をしているところでございます。
  91. 吉川春子

    ○吉川春子君 それはだれがそういう、ああ、きちっと廃棄したなとか、きちっと住基台帳情報管理しているなとか、扱われているなとかということは内部的にだれがそれを見守っているんですか。警察庁の中で、あるいは個々の県警なり警察署の中で、そういうものがシステムとしてちゃんと見守るような、そういうものがあるんでしょうか、伺います。
  92. 小林武仁

    政府参考人小林武仁君) もちろん、一義的には所属長が責任を持って管理するということになろうかと思いますが、私どもは、この個人情報保護については大変なやはり問題であるということにかんがみ、警察本部においてもその都度監察の中に、そういったものも監察項目に入ってございますし、適時適切に管理を行っていると、こういうことでございます。
  93. 吉川春子

    ○吉川春子君 そういう問題については、また別の機会にやるかもしれませんけれども、くれぐれも、やっぱり基本的人権の侵害というかプライバシーの侵害がありませんように、警察庁においてもきちっと管理をしていただきたいというふうに要望しておきます。  竹中大臣法案の第十一条三項は年一回の公用閲覧の公表を決めていますけれども、犯罪捜査等などは対象から除外されています。犯罪捜査が除外されているということですが、先ほどの警備局長答弁だと、犯罪捜査に限らずいろいろな目的でもって住基台帳閲覧しているんだというふうにおっしゃいました。そういうものについて、犯罪捜査等が公表できないことは私も理解いたしますけれども、警察の住基台帳閲覧だからということでそれを全部公表の名簿から除外するということがないようにその辺は厳密な運用を要求したいと思いますが、いかがでしょうか。
  94. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 請求事由を明らかにすることを要しないのは、これは国又は地方公共団体による請求のうち当該請求が犯罪捜査に関するもの、その他特別の事情により請求事由を明らかにすることが事務の性質上困難であるものに限られるわけでございます。  したがいまして、請求の主体が警察であるからといって直ちに請求理由を明らかにしなくてもよいというわけではございません。この請求事由を明らかにすることができない場合においても、省令において、事務の根拠となる法令の名称等につき公文書により請求することを求める予定にしております。
  95. 吉川春子

    ○吉川春子君 警察のものがそれだからといって全部除外されてしまうと七割はその公用閲覧のその公表という目的が達成できませんので、今大臣がおっしゃられたような観点できちっと、捜査以外のものについては公表するとか、十分に、やっぱり法案のその行政機関の公表ということが形式的なものにならないような御注意を是非していただきたいというふうに思うわけです。  それで、ちょっと時間がなくなってしまいましたが、住基台帳のその閲覧原則非公開とするわけですけれども、住民票写し交付については、何人もその交付請求することができるということは、今回の法改正は行われておりません。私は、住基台帳閲覧と同様に原則非公開とすべきだと考えております。住民票写し交付について、本人以外の第三者が住民票写しを取得することができるわけです。  金融機関などの債権者が債権の回収のために債務者の住民票写しを取得する場合、例えばサラ金が借用書など書面を添えれば郵送でも取得できるんですか。伺います。
  96. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 済みません、ちょっとポイントのところを聞き逃したかもしれませんが。  現行制度では、委員指摘ございましたように、何人でも請求できる、写し交付請求できる、不当な目的のためには渡さないでいいという仕組みになっておりまして、個別のケースにつきましては市町村長の判断ということになっているわけでございますが、現行法の解釈といたしましては、一般的には債権保全にかかわる債務者本人住民票写し交付請求につきましては、契約書の写し等によりまして請求者が真に債権者であることが確認された場合には交付請求が認められると、これは一般論としては認められると、このように考えているところでございます。
  97. 吉川春子

    ○吉川春子君 住民票写しは第三者でも取得ができるんですが、申請書に債務者の所在確認などと理由を明記して借用書など書面を添えれば取得することが可能です。サラ金大手の武富士は、債権保全を理由に契約書の写しを添付し、住民票写しを郵送で取得していました。法的に債務返済の免責を受けた自己破産者の住民票写し自治体から定期的に入手していました。免責決定後も行方を追われれば、破産者は心理的に追い詰められて経済的に更生できなくなるわけですね。もう支払の義務ないわけですから、自己破産して。免責決定後は債権回収はできないわけで、法的にはこういう場合に住民票写しの取得を防ぐ手だてを考えてもらいたい。何か方法があるんでしょうか。
  98. 高部正男

    政府参考人高部正男君) ただいま御指摘をいただきました点は、現行制度の中でいいますと、不当な目的だというふうに考えられるかどうかということにかかわってくるんだろうと思います。  この辺の取扱いにつきましては、先ほど申し上げましたように、窓口の方で債権債務関係をしっかり確認するとかというような形で、一般論としてはそういう形で運用しているところでございますが、現行制度の中でこういう今御指摘いただいたようなものが一切不当な目的にならないということではないと思いますので、現行制度の中でも場合によっては不当な目的だということで、何といいますか、交付をしないという場合もあり得るものだとは思っております。
  99. 吉川春子

    ○吉川春子君 質問はこれで終わりますが、そういうその債務者を苦しめるようなそういう住民票写し交付を防ぐ手だてを含めて、厳重な運用お願いしたいと思います。大臣お願いします。
  100. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) いろいろ御審議を賜りまして、この法律を、改正案を出させていただいた趣旨、もう繰り返し申し上げたとおりでございます。その趣旨が全うされますようにしっかりと対応してまいりたいと思います。
  101. 吉川春子

    ○吉川春子君 終わります。
  102. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  住民基本台帳法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  103. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、内藤君から発言を求められておりますので、これを許します。内藤正光君。
  104. 内藤正光

    内藤正光君 私は、ただいま可決されました住民基本台帳法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合及び国民新党・新党日本の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     住民基本台帳法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の事項に配慮すべきである。  一、住民基本台帳閲覧の公益性に関する市町村の判断に資するため、事例の収集と市町村への提供等に努めるとともに、全国的に閲覧制度の実施状況を調査し、結果を公表すること。また、市町村が、公益性の判断について、厳格かつ公正な審査を行えるよう、市町村間の連携の強化その他必要な体制の整備に努めること。  二、住民基本台帳閲覧制度見直しを踏まえ、閲覧の手数料について、閲覧制度事務処理に要する適正な額を設定するよう、市町村に対し見直しの趣旨を周知すること。  三、住民票写し交付制度については、個人情報保護観点から、さらに厳格な運用を確保するよう努めるとともに、制度見直しを早急に検討すること。  四、行政機関の保有する個人情報が漏えいする事件が頻発していることにかんがみ、住民基本台帳法関係事務の運営に当たっては、データ保護及びコンピュータ・セキュリティの確保等について徹底した管理に努め、責任体制を明確化する等、個人情報保護に万全の措置を講ずること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いを申し上げます。
  105. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) ただいま内藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  106. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 全会一致と認めます。よって、内藤提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、竹中総務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。竹中総務大臣
  107. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  108. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十九分散会