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国務大臣(
竹中平蔵君) そもそも論というか
原則論としては、そのメンバーがやはり幅広くいろんな
意見を反映していただくような方で構成される必要があるというのはもう御
指摘のとおりであろうかと
思います。今回も、今手元に少しありますけれども、もちろん
自治体の方とか消費者
団体の方とか、そういう方にも入っていただいているわけでございます。その
意味ではいろんな方の御
意見は伺っているし、またヒアリングも行っているわけですけれども、こういう
審議会やる場合に、どうしても割といろんなものから、いろんな利害から独立して発言をしてくださるという方で学者の方とかジャーナリズムの方が多くなるという傾向は出てしまうんだと
思います。そこはくれぐれも注意をしてまいりたいというふうに
思います。
先ほどから
内藤委員が御
指摘してくださっている問題は、実は私も、このそもそも
住基台帳、
住民基本台帳そのものの本質論だと思うんです。
ちょっと迂遠な話になるかもしれませんが、前回の
委員会でも申し上げましたけれども、アメリカにはこういうものはないと、日本でこういうものがあると、もう不思議だなというふうに私もずっと思っているわけですが、これ、ある歴史学者の
意見でありますから私
自身が検証したわけではありませんが、日本でこういうものが定着した最大の要因は、これは正に太閤検地のときに検地を行って、それで時の支配者が
住民を土地にある種割り当てて縛り付けると、そのためにこういうものが始まったと。
これ、そうであるならば、こういう
制度というのはそんなに長続きはしないわけでありますけれども、にもかかわらずこれだけ社会の中に定着したというのは、いい言い方をすれば、その
制度を皆さんが非常に柔軟に使ってきたと、あっ、これはこういうふうに使えるぞと。これが正に
公証関係という言葉に集約されるわけでありますけれども、例えば自分が就職したときに、自分の
住所をどこですかということを示すのに、公が
管理しているその
住民基本台帳、
住民票等々の
写しとかで渡せば、これは物すごく安心感を持って
理解してもらえて、それ以上の
説明は何も必要ないと。これは
個人にとっても大変柔軟であると。またこれ、いろんな社会の調査をするときも、これは正に今御
議論いただいているものも、非常にサンプル調査として、地域を
特定して非常にうまくサンプルの抽出ができると。そういういろんな柔軟な使い方ができるぞということを、これは正に私たちの社会がある種の知恵を出してきたからこんなに定着をしてきたんだというふうに思うんです。
にもかかわらず、その柔軟さというのが逆の面で、
個人情報保護という
観点から今問題にされているというふうになってきているんだと
思います。そこは、
内藤委員がおっしゃるように、そこのだから条文そのものを厳密にもう少し
運用する方法があったのではないかという御
議論も
理解できる面はあるわけでございますが、
現実問題としては、そこに非常にある種日
本人の知恵で柔軟に使ってきて、だからこそこの
住基台帳というのが、皆さんから太閤検地ではないんだけれども支持されてきたというような
一つの事実があるんだと思っております。
行政としてはそういう事実からやはり出発しなければいけないという面がございますので、必要な
修正をその時々にやはり行っていくということが賢明な方法ではないだろうかということを
考えてきたわけでございます。極端に言うと、そもそもこういうもの、もう必要じゃないじゃないかという
議論だってそれはあり得るわけでありますが、我々の社会に定着している
一つのシステムとしてできるだけ有用に生かしたい、しかし
個人のプライバシーは守りたい、そのはざまでの
一つの
法案の
提出になっているわけでございます。