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2006-04-25 第164回国会 参議院 総務委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年四月二十五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  四月二十日     辞任         補欠選任      藤本 祐司君     大塚 耕平君  四月二十一日     辞任         補欠選任      大塚 耕平君     藤本 祐司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         世耕 弘成君     理 事                 景山俊太郎君                 森元 恒雄君                 山本 順三君                 高嶋 良充君                 内藤 正光君     委 員                 尾辻 秀久君                 木村  仁君                 椎名 一保君                 二之湯 智君                 山崎  力君                 吉村剛太郎君                 伊藤 基隆君                 高橋 千秋君                 那谷屋正義君                 藤本 祐司君                 蓮   舫君                 魚住裕一郎君                 澤  雄二君                 吉川 春子君                 又市 征治君                 長谷川憲正君    国務大臣        総務大臣     竹中 平蔵君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      中村 吉夫君        内閣府政策統括        官        榊  正剛君        総務省自治行政        局長       高部 正男君        総務省自治行政        局選挙部長    久保 信保君        総務省統計局長  衞藤 英達君        消防庁次長    大石 利雄君    参考人        中央大学大学院        法務研究科教授        一橋大学名誉教        授        堀部 政男君        特定営利活動        法人情報公開ク        リアリングハウ        ス室長      三木由希子君        社団法人日本マ        ーケティング・        リサーチ協会会        長        田下 憲雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○住民基本台帳法の一部を改正する法律案内閣  提出) ○政府参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  住民基本台帳法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本法律案審査に関し、参考人方々から御意見を賜ることといたしております。  参考人方々を御紹介いたします。  中央大学大学院法務研究科教授一橋大学名誉教授堀部政男君、特定営利活動法人情報公開クリアリングハウス室長三木由希子君及び社団法人日本マーケティングリサーチ協会会長田下憲雄君、以上の方々でございます。  この際、参考人皆様に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙のところ、当委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見を賜り、本案の審査に反映さしてまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  本日の議事の進め方でございますが、まず参考人皆様からそれぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、参考人皆様及び質疑者の発言は着席のままで結構でございます。  それでは、最初に堀部参考人からお願いいたします。堀部参考人
  3. 堀部政男

    参考人堀部政男君) おはようございます。中央大学大学院法務研究科堀部政男でございます。  参議院総務委員会におきまして住民基本台帳法の一部を改正する法律案につきまして意見を述べる機会を与えられましたことを大変光栄に存じます。  初めに、住民基本台帳法に関する議論にかかわってきましたことについて申し上げたいと思います。  私は、国の情報公開個人情報保護自治体情報公開個人情報保護制度的確立に努めてまいりまして、その一環として、住民基本台帳法議論にもこれまでに何回かかかわってきました。  改めて申し上げるまでもなく、住民基本台帳法は、昭和四十二年、一九六七年、約四十年前に施行されまして、昭和六十年、一九八五年に改正されましたが、その二十一年前の改正のときの、当時の自治省の振興課研究会委員も務めました。そのときも個人情報公開保護をめぐりまして大いに議論いたしました。その後も、住民基本台帳法については多くの議論がありまして、平成十一年、一九九九年の住民基本台帳ネットワークシステムの導入を目的とする改正のときにも様々な形でかかわりまして、一方で住民情報利用、他方でその保護をどうするかということで議論しました。  住民基本台帳法は、住民基本台帳について公開原則を取っていますので、現住所などを知るための貴重な情報源でありまして、いろんな使われ方をしています。そういう中で、個人保護する必要性があるものにつきましては総務省検討してきていますが、平成十五年、二〇〇三年十一月から、ドメスティック・バイオレンス、ストーカー被害者保護のための住民基本台帳閲覧写し交付に係るガイドライン研究会が開かれまして、この研究会座長を務めまして、研究会といたしましては、平成十六年、二〇〇四年の三月三十一日に報告書を作成しました。総務省研究会報告書に基づきまして省令及び事務処理要領改正を行いまして、平成十六年七月一日から地方公共団体におきまして統一的に支援措置が講じられることになりました。  そのときにも、住民基本台帳閲覧制度等につきましてはその在り方検討する必要があると考えましたが、昨年、平成十七年五月から十月二十日にかけまして、総務省住民基本台帳閲覧制度等のあり方に関する検討会が開催されまして、その座長として報告書の作成に当たりました。今回の住民基本台帳法改正法案は、この報告書でまとめました考え方基礎にしていると理解しています。  この検討会について簡単に紹介しますと、十六人のメンバーで構成されまして、大学関係者四人、報道関係者四人、現職の市長二人、横浜市長三鷹市長ですが、全国連合戸籍事務協議会会長千代田区長、東京都総務局行政部長日本経済団体連合会推薦会社社長一人、消費者団体一人、それと選挙人名簿閲覧についても検討しましたので、それとの関係選挙管理委員会関係者二人でした。  会議は五月から十月にかけまして九回開きまして、住民基本台帳についてはヒアリングを二回行いまして、報告書素案についてパブリックコメントに付しました。そのヒアリングには今日の参考人お二方の団体にも出席していただいております。  また、事務局である総務省自治行政局市町村課が、全国二千四百市町村対象にしまして閲覧請求件数などについて調査をするとともに、海外調査も実施しました。  このような検討会における議論などを踏まえまして、まず第一に、この報告書で取りまとめました基本的考え方を明らかにしたいと思います。  住民基本台帳法の約四十年に及ぶ歴史を見てみますと、国民プライバシー意識個人情報意識変化に伴って、その制度在り方が論じられてきたと言えます。  現行住民基本台帳におきましては、居住関係公証する公簿として、法制定時から、広く一般に公開することが原則とされまして、法第十一条におきまして、何人住民基本台帳の一部の写し閲覧請求することができること、第十二条及び第二十条におきまして、何人住民票写し又は記載事項証明書及び戸籍附票写し交付請求することができることとされています。  このような公開原則につきまして、プライバシー個人情報保護観点から、これを見直し原則非公開とすべきであるという意見が強まってきました。現行閲覧制度は、広く何人でも閲覧請求できることとされていますので、閲覧対象が氏名、生年月日、性別、住所の四情報に制限されていまして、不当な目的又はそのおそれがある場合には請求市町村長が拒むことができることとされているといたしましても、その審査基準等が不明確なこともありまして市町村審査がまちまちになっていること、ダイレクトメールなどの営業活動のために大量に閲覧され広く利用されていること、制度悪用したと考えられる事例が発生していることなどについて問題点が指摘されていました。  一方、住民基本台帳は、居住関係公証制度としまして、また住民に関する各種行政事務基本台帳として、個人情報保護しながらその適切な利用をすることによりまして、住民利便増進と国、地方公共団体行政合理化を図ろうとする側面も備えています。  このようなことを踏まえまして検討会としましては、情報通信技術の著しい発展等社会経済情勢変化とそれに伴うプライバシー個人情報保護に対する意識の高まりに的確に対応するために、現行何人でも閲覧請求できるという閲覧制度は廃止しまして、法の目的に即しまして、閲覧できる主体目的を限定するとともに、審査手続等についても整備するなど、個人情報保護に十分留意した新たな制度として構築すべきであると考えました。  このような基本的考え方を踏まえまして、具体的に幾つかの点について申し上げますが、閲覧できる主体目的につきましては、これまでも、大きく分けまして公用目的公証目的公益目的営利目的というようなものがありまして、それぞれ利用されています。  実際の利用状況を見ますと、検討会報告書を机上に配っていただいておりますが、その三十七ページから三十八ページの住民基本台帳の一部の閲覧制度に関する調査結果にもありますように、請求者別内訳ではダイレクトメール業者が三〇・七%を占めまして、行政目的を除く請求事由別内訳ではダイレクトメールの発送その他営業活動が六九・九%、約七〇%に上っています。そのため、市町村の職員の中には、住民基本台帳営業目的に使われることについて法の趣旨に照らして疑問であるという意見が前から持たれていました。ヒアリングなどでも地方公共団体からそのような意見が表明されました。  住民基本台帳法の第一条の目的との関係で考えますと、住民基本台帳利用目的は、まずは当該住民基本台帳を管理する当該市町村におきまして、住民居住関係公証選挙人名簿の登録その他の住民に関する事務処理基礎とするとともに住民住所に関する届出等簡素化を図るためということになります。また、住民に関する記録を正確かつ統一的に行う制度として、住民利便増進と国及び地方公共団体行政合理化に資することとされていますことから、その住民本人及び同一世帯の者並びに国、都道府県及び他の市町村利用させること、それらに個人情報を提供することになりますが、これは本来の目的に含まれていると言えます。その際、国及び地方公共団体につきましては、無条件に利用、提供が認められるわけではなく、国及び地方公共団体法令の定める事務又は業務を遂行する場合に、必要な限度で情報利用、提供できるものであります。  さらに、住民基本台帳制度は、住民票写し交付制度と併せて住民居住関係公証する制度として設けられております。そういう観点から、公証制度としての役割は必要であります。  その一環ということになりますが、国や地方公共団体法令の定める事務又は業務を遂行する場合のほか、世論調査学術調査など、いわゆる社会調査公益性が高いと考えられるものの対象者を抽出するために閲覧する場合、社会福祉協議会自治会などの公共的な団体住民サービスの向上につながるような公益性の高い事業を実施するために閲覧する場合などにつきましては、その成果が国や地方公共団体の施策に反映されるなどの公益性がありますので、こういうものについては閲覧を認めるべきといたしました。  そのほか、今回、審査手続につきまして報告書に具体的に記述しましたし、また閲覧方法等、さらに不正な目的での閲覧目的外利用を防ぐための仕組みにつきましてもまとめました。  以上、検討会座長として報告書を取りまとめた立場から住民基本台帳法改正方向性について意見を述べさせていただきましたが、参議院に提出されました改正法案検討会報告書趣旨法律案の形で表現したものでありまして、近年における国民プライバシー個人情報意識を反映しつつ、住民基本台帳目的をより具体的に実現するために立案されたものとしまして、現段階において考えられ得る最善の案であると評価しているということを申し添えまして、私の意見表明を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  4. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) ありがとうございました。  次に、三木参考人にお願いいたします。三木参考人
  5. 三木由希子

    参考人三木由希子君) 特定営利活動法人情報公開クリアリングハウス三木と申します。  今日は、参議院総務委員会において意見を申し述べる機会を与えていただき、大変光栄に存じます。  私たち情報公開クリアリングハウスは、二十六年前から主に公的機関における情報公開個人情報保護の問題に取り組んでまいりました。主に当初は立法情報公開法立法運動をしておりましたが、途中から自治体情報公開条例、それから個人情報保護制度と、関連するものとして取り組んでまいりました。現在の情報公開クリアリングハウスの形になりましたのは、情報公開法が成立しました一九九九年のことでございます。私たちにとりましては、住民基本台帳閲覧制度については約十年前から取り組んでおる問題でございまして、ようやくこのような形で法律改正をされるということで、積年の課題が少し解消されたというふうに考えてございます。  住民基本台帳閲覧制度に関しましては、近年、私たちとしてはかなり集中的に取組を行いまして、二〇〇四年九月から二〇〇五年二月にかけて各地市民の方にボランティアで調査への協力を呼び掛けまして、住民基本台帳大量閲覧制度実態調査というものを実施しております。調査全国九十八の市区町村で行いまして、具体的な制度がどういうふうに運用されているのかという詳細なルールや運用実態ヒアリング調査をするとともに、五十三か所におきましては、閲覧に当たって提出される閲覧申請書というものを情報公開条例に基づいて情報公開請求をいたしまして、どのような閲覧者がどのような目的請求をしているのかということを具体的に調査をいたしてまいりました。調査の結果につきましては、今日お手元に配付させていただいた資料の中で紹介をさせていただいておりますので、関心があればごらんいただければと思います。  調査結果で分かりましたことは、これは自治事務で、住民基本台帳事務につきましては自治事務でございますので、自治体ごと運用内容について相当なばらつきがあったということであります。比較的個人情報保護に対する意識の高いところではそれなりに配慮をした運用をしておる一方で、全くそうしたものに配慮をしていないところでは事実上ほとんどノーチェック住民情報が外部に流出しているという実態が分かってきたということがございます。それから、総務省が行いました実際の閲覧目的調査におきましても七〇%近くがダイレクトメールであるという調査結果でございましたが、私たち閲覧申請書を実際に見て確認した範囲でも同じような傾向の調査結果となっております。  そこで、私たちとしましては、何としてでも自治事務という側面を生かしまして自治体において閲覧制度運用見直しを求めたいということで、昨年の二月から三月にかけて、自治体に対して運用見直しを求めるとともに、閲覧を制限するために必要な措置を講じるよう、各地市民取組を呼び掛けてまいりました。中には、閲覧を制限する条例地方議会議員議員提案をし、それを可決をするということで、議会主導住民基本台帳閲覧については一定程度制限をするという条例各地で作られてまいりましたけれども、そうしたものについても積極的に支援をするということで取組を進めてまいりました。先ほど堀部参考人からも御紹介いただきましたが、国の検討会におきましても意見を申し述べる機会をいただきまして、市民としてこのような制度についての見直しを強く求めてきたところでございます。  冒頭に誤解がないように申し上げておきたいと思うのですが、私たちダイレクトメールマーケティングという手法そのものを問題にしたことはございません。その手法そのものを否定したことは一度もございませんで、何を問題にしてきたかと申しますと、住民基本台帳情報は、法により居住する自治体届出が義務付けられている情報であるという個人情報としての性質から、ダイレクトメールマーケティング利用することが本当によいのかどうかということをやはり真摯に議論をすべきであるということから問題意識を持って取り組んできたところでございます。つまり、市民にとっては住民票住民基本台帳に係る情報自治体に届け出ることは義務でございますので、ほかに選択肢がございません。ということは、例えばダイレクトメールマーケティングという形で自分の情報利用されたくないと思ってもそれを回避する手段がないという性質個人情報であるということを非常に重く考えてございます。  一般的には商業利用での目的を広く認めておりますので、現状の運用を見ますと、不正な目的での閲覧等チェックが事実上不可能で、悪用問題事例も発生しているということを私たちは確認をいたしております。実際に自治体から公開されました閲覧申請書を細かにチェックしていきますと、株式会社を名のっているのに登記が確認できない、悪質商法行政処分を受けている業者閲覧に来ているというような事例も確認されまして、これは悪用問題事例の発生を防ぐことができない制度であるということを強く感じたところでございます。  更に申し上げますと、現行制度は、閲覧をすることは、閲覧請求することは何人にも認められた権利というふうに位置付けられております。つまり、閲覧したい側の権利は保障されておりますが、閲覧されたくない側の権利については何ら保障する措置が講じられてないという問題があります。これは非常にゆゆしき法構造だというふうにかねてから思っておりました。  それからもう一点、私たちが非常に重く受け止めておりましたのは、住民基本台帳法に違反する行為が行われていても、法律自体は非常に無策であるということであります。  何を申し上げたいかといいますと、例えば、私たちが発見した業者の中には、住民基本台帳閲覧したデータを売買している業者がおりました。それについてのてんまつはまた別に配付させていただきました資料で一端を紹介させていただいておりますけれども、そういう売買をしている業者を発見しても、この間、総務省や、個人情報保護法名簿業者を所管すると思われる経済産業省などに対応を求めても、何ら対応する手段を持たないということが分かってまいりました。ということは、法で幾ら例えば売買は不当な目的であるということを言ったとしても、実際にはそれを具体的に規制をする手段がないということが現行制度では分かってまいりました。  更に申し上げますと、住民基本台帳法そのもの居住関係公証目的とした制度でございまして、ダイレクトメールマーケティングのような形で使うことをそもそも予定をしていないということを私たちは考えております。つまり、居住関係公証というのは、だれがどこに住んでいるかということを確認するための手段でありまして、この地域にだれが住んでいるかということを大量に見て知るという仕組みでは少なくともないであろうということから、やはりこの制度そのものには大変な問題があるということを考えてきたわけでございます。  こういう中で、総務省において検討会が設けられまして法改正検討がようやく行われたということは大変評価をしているところでありまして、今回の改正案につきましても幾つかの点で大変評価をしております。  一点目は、現行制度何人閲覧請求することができるということで閲覧請求権利として認めておりましたが、原則現行制度を廃止して、閲覧できる主体目的を絞った点であります。それから、個人法人からの閲覧請求につきましては、これまで権利として認めていたものを申出制度ということで権利性をなくしたという点も大変評価をしている点であります。  それから、現行制度におきましては、公用閲覧といいまして、行政機関からの閲覧については請求目的閲覧目的を明示しないでよいという形になっておりましたが、公用閲覧につきましても閲覧目的等を明示する、あるいは手続を整備する。さらには、個人法人からの閲覧手続についても要件を明らかにしたという点で、これまで法律上何ら措置が講じられてなかった手続につきまして一定措置をしたということについても評価をしております。  それから、取得された個人情報について一定安全確保措置を講じられたということについても、これも評価点というふうに考えておきます。  さらに、今回、私たちが非常に重要だと思った点は、個人法人による閲覧状況については一定程度情報公開手続が設けられたという点であります。これは、閲覧状況につきまして市区町村長は少なくとも一年に一回その閲覧状況を公表するというふうな規定が設けられておりまして、これによって、市民はどのような閲覧者がどのような目的閲覧をしていったのかということを確認することが容易になったという点でございます。  さらに、罰則が新設されましたし、現行罰則についても加重をされたということで、これらの点は非常に評価をしているところであります。  ただ、懸念をしている点もございます。  一つが公証制度としての位置付けです。  先ほども申し上げましたとおり、住民基本台帳法は、居住関係公証をする仕組みであるというふうに一条の目的でうたっております。つまり、基本的には、住民基本台帳法に基づいて収集された情報につきましては、居住関係公証がそもそもの利用目的範囲だというふうに考えております。今回、個人法人からの閲覧につきましては、特に法人ということになるとは思いますけれども、世論調査学術調査等については、一定地域の不特定多数の情報閲覧をして、その地域に居住している人たちを確認することを認めております。  つまり、公証制度といいますと、私たちが通常イメージしますのは、この人が本当にこの住所に住んでいるのか、例えば、この土地をこの人が本当に所有しているのかと、この土地をだれが所有しているのかという、特定の者について実情を確認するというものを公証制度だというふうにイメージをしておりましたけれども、今回法改正によりまして不特定多数の人が住んでいる地域について閲覧をすると、つまり個人特定しないで地域だけを特定して不特定情報閲覧するということを住民基本台帳法目的を変えずに制度の中に取り込んだということは、これはそういう閲覧についても公証だというふうに位置付けたということでございまして、この点は私は大変懸念をしている。つまり、公証制度としてこう位置付けをしていいのかということについては大変懸念をしているところでございます。  それから、二点目は公用閲覧の問題であります。  十一条の二項の関係になりますが、第二号に犯罪捜査等のための請求で定められている「その他特別の事情」という言葉がございます。犯罪捜査等それからその他特別の事情がある場合については、請求事由については根拠となる法令等を明らかにするということでとどまっております。しかし、その他特別の事情といった場合に、犯罪捜査等に類似するものという範囲であればよろしいのですが、そこが拡大されますと、公用閲覧請求事由を具体的に明らかにしない場合が拡大されかねないということを懸念をいたしております。この辺につきましては、国会審議等を通じて明らかにしていただければというふうに思っているところでございます。  それから、犯罪捜査等のための請求の場合、一点懸念をしているのは、どのように内部での監査が行われるのだろうかという点であります。  確かに、例えば地方自治体や外部に対して捜査の具体的な内容等について明らかにするということはできないまでも、内部では当然にそのことについてはきちっとある程度の監査あるいは統制を取るべきだというふうに考えております。残念ながら警察については個人情報問題事例が大変多くございまして、この辺につきましては、内部でのきちっとした監査が行われていない限りはなかなかその適正さの担保が難しいのではないかというふうに考えております。  それから、個人又は法人による閲覧については、どのような場合について閲覧を認めるかという点について、「公益性が高いと認められるもの」ということを条件にしてございます。公益性が高いというのは非常に解釈上難しい、幅のある言葉だというふうに考えております。これについては、総務大臣が基準を定めるというふうに法案では規定はされているところでございますが、基準の策定についてはパブリックコメント等を取るよう、手続が担保されるのかということについても是非国会審議等を通じて確認をしていただきたいと思う点でございます。  それから、個人又は法人による閲覧手続につきましても、検討会報告書におきましては、閲覧目的閲覧主体に関する疎明資料の提出というものを求めるということで、具体的にどのようなものを求めるかということが明示されておりましたが、法案におきましては、こうした点については総務省の省令で定めるという中でどうも措置をされるようでございますが、この点についても具体的にどのような措置が講じられるのかということについては、法案の審議を通じて明らかにしていただければというふうに思っているところでございます。  それから、罰則等の有効性については、先ほど冒頭で若干御紹介させていただきましたが、悪用された場合に大変追跡が難しいという問題がございます。なぜかと申しますと、通常、閲覧は、ある特定自治体の中で行われるというよりは、調査等を行うときには複数の自治体閲覧をすることになります。どこの自治体情報が漏れたかとか、そういうことを確認することが実は大変難しいという構造にございます。考えますと、この制度につきましては、自治事務でございますので市町村長の判断が第一義的には優先されるべきであるとは思いますけれども、広域にわたって閲覧が行われるという性質を考えますと、単に問題行為が起こったときに市町村長がやればよいということだけではなくて、本来であれば何らか、もう少し国とか都道府県の単位で手が打てるような、そういう仕組みが必要なのではないかというふうに考えてございます。  最後に、一点だけ申し上げたいことがございます。それは、施行期日の問題であります。  実は現在、市区町村閲覧制度についての運用見直しをしているところは非常に多いのですが、現行制度が続く限りは閲覧を認めるとしている自治体が大変多くございます。多くの市民ダイレクトメールマーケティングでの利用を、自分たち住民情報がこのような形で利用されることを実は大変快く思っていないという実態がございますけれども、自治体法律改正するまでは現行制度を続けるという立場を取っている自治体が大変多くございます。  したがいまして、法律につきましては速やかに施行していただくことが多くの市民権利利益にかなうというふうに思っているところでございまして、この点についてはお願いをしたいところでございます。  以上でございます。
  6. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) ありがとうございました。  それでは、最後に田下参考人にお願いいたします。田下参考人
  7. 田下憲雄

    参考人田下憲雄君) 社団法人日本マーケティング・リサーチ協会の会長を務めております田下と申します。本職の方は、株式会社インテージという市場調査の専門機関の社長を務めております。旧社名、社会調査研究所というふうに申し上げると、ああ、あの会社かというふうに理解していただける方もいらっしゃるかもしれません。  私の方は、既に検討会の方にも協会としての意見の表明もしておりますし、パブリックコメントも発表しておりますので、これを繰り返すということになりますけれども、市場調査の業界、協会を代表いたしまして、市場調査のために住民票閲覧をするということについて、これを今の法案では原則駄目だということになっておりますけれども、是非、住民票閲覧の規制の対象外にしていただきたいという立場からお話を申し上げたいというふうに思っております。  日本マーケティング・リサーチ協会は一九七五年に設立されております。三十一年の歴史を持っておりますが、この協会の特徴は、実は協会としての綱領というものを持っております。マーケティング・リサーチ綱領であります。どうしてその綱領のようなものが必要なのかというと、我々が行っているその市場調査というのは、正に社会的信頼性においてその業界の基盤を築いていると、その信頼性が失われた途端に、我々の社会的に果たす役割そのものも否定されるという強い危機感がありまして、綱領を認めた者が会員となる資格があると、その綱領に従って業務を遂行する必要があるということを繰り返しやってきておるわけであります。  そもそも、市場調査あるいはマーケティング・リサーチというのは、市場経済においては全く欠くべからざる機能を果たしております。つまり、生活者あるいは国民の消費に対する、あるいはサービスに対する評価であるとかあるいは改善の要望であるとかいうことを定量的に把握をして、それを提供する、供給するメーカーであるとかあるいはサービス業者にそのデータをフィードバックする、そのことによって商品の改善であるとか新しい商品の提供であるとかという、いいサイクルをつくり出すための生活者と供給側の間をつなぐ大変重要なパイプの役割をしているわけであります。そういう調査を行うに当たっては、当然のことながら生活者の協力、その信頼ということが我々の仕事の前提であるということで倫理綱領を定めております。  ちょっと、その倫理綱領にどういうことが書いてあるのかということについて紹介いたしますと、「このような調査は、公衆の信頼に依存している。その信頼とは調査が公正かつ客観的に、調査対象者の生活に不本意に立ち入ったり、不利益をもたらすことなく遂行され、調査対象者の自発的な協力に基盤を置いているということである。この信頼は、マーケティング・リサーチの実施方法を規制する適切で、専門的な「綱領」によって保証されるべきである。」ということで、そもそもの協会の存立基盤がございます。  したがいまして、最近では個人情報保護法ということで新しい法律が施行されましたけれども、それ以前より、その個人情報を扱う上で調査データの匿名性を維持すると、これが信頼の前提でありますので、十二分の配慮を行ってきております。正にデータを統計的に扱う、その個人情報を個別に扱うのではなくて統計的に扱うということによってその役割を果たすということですから、匿名性の維持ということが大原則であります。これは、市場調査においても世論調査においても基本的に同じその業務のプロセスが設定されておりまして、国際的に見ても、日本に限らずどこの国においても、そういういわゆる綱領というものを国際的な標準として採用することによってこの業界が成立しているということを是非御理解をいただきたいというふうに思います。  そういう観点から、今回の住民基本台帳法律改正する案については、総論は賛成でございます。原則公開から非公開に移行しますということについては我々も賛成するところでありますが、世論調査学術調査のような公益性の高い調査においては台帳として利用することは可であるが、市場調査については営利活動目的としているからこれは不可であるという考え方に対しては反対の立場を取りたいというふうに思っております。  これ、公益と非公益企業、営利企業、公益企業と非営利企業、あるいはその情報を公表するのか公表しないのか、そういうことによって公益性観点ということがこの中ではうたわれているわけですが、たまたまこの委員会委員長をされている世耕委員長のこの「プロフェッショナル広報戦略」という本がありまして、私も感心して読んでおったんですが、ここにサブタイトルで「公益企業という言い方は大嫌い」というNTTの真藤社長の言葉が紹介されておりまして、ちょっと読ませていただきますと、真藤社長の発言は止まらないと、自動車メーカーや家電メーカーは自ら決して公益企業などとは言わないけれども、彼らは一生懸命庶民が手の届かなかった商品をなるべく安くたくさん提供していると、いいものを提供して、それによって国民みんなが喜ぶ、これこそ正に公益だろうと。  つまり、市場経済においては生活者のそういう評価だとか意見だとかいうことをしっかり聞いて、それに選択される商品やサービスを提供することが正にその社会の発展に役に立つという理屈で成り立っている世の中なわけですよね。そこにおいて市場調査というのは大変大きな役割を果たしているということが皆さんはよく御理解いただけるんではないかと。そのことによって、その調査をやりたいと思ったメーカーだとかサービスの提供業者が、正にその生活者にとって生活者の生活を豊かにする商品、サービスを提供することになるという理屈を否定するのは大変私はやっぱり違和感があります。  もっと申し上げますと、中央官庁だとか自治体だとか社会福祉協議会なんというそういう公益性の高い団体はオーケーだよと、あるいは大学だとか研究所だとかもオーケーですよという言い方もされておりますけれども、NTTは民営化されました。郵政公社も民営化されまして、ここにも世耕委員長の郵政公社民営化に当たっての、何ですか、最終弁論の内容も出ていましたけれどもね。  正にその民活というのはそういうことであって、その生活者の意見をしっかり聞いて、これ重要なことなんですけれども、競争するメーカーよりもいい商品、サービスを提供するということで成り立っているわけですね。ですから、公表ということについても、そういう競合の原理が働いている限りはそういう調査データが公表されることはないんですね。そのことによって、公表性がないというのは大いなる誤りだろうというふうに私は思っております。  もう一つ、この本にすごい調査の使い方が出ておるんですが、昨年の総選挙において自民党は大勝利をいたしました。この世論の動きを、これは選挙調査ですよ、選挙調査ということでデーリーでこれ調査されているんですね。台帳として、これ住民基本台帳恐らくお使いになってなくて、電話調査だったんだろうというふうに思いますけれども。  選挙調査の結果は、当然のことながら自民党以外の党には公表はされません。これは、自民党が民主党を負かすために調査をしているわけですから、そのことによって大勝利をしたというふうに世耕委員長はおっしゃっているわけですけれども、選挙調査については、これ原則オーケーなんですね。選挙人名簿閲覧することはオーケーであるというふうに書いてある。その理由は何なのかというと、これは民主主義の発展の基礎を築くものであるからいいんだという言い方をされております。ですから、公表と非公表ということは関係ないんですね。  申し上げたいのは、私は、マーケティングリサーチは市場経済の発展のために欠くべからざるものであると。これを規制をする、世論調査と区別をして規制をするという考え方は基本的に誤りなんではないか。同じように、台帳として閲覧を許されるべきなんではないかというふうに思っております。  ちょっと余談になりますというか、国際比較をしますと、実は住民基本台帳のようなものがほかの国にあってそれを市場調査利用されているかというと、そもそもそういう台帳がないとか利用されていないというケースの方が多いんですが、といって世論調査と市場調査を区別して扱うという考え方は国際的にはございません。  我々も、ヨーロッパの、欧米の、ヨーロッパの団体、ESOMARという団体がありますが、ヨーロピアン・ソサエティー・フォー・オピニオン・アンド・マーケティング・リサーチという団体ですね。これはJMRAに相当する団体であります。韓国ではKSOMARという、やっぱり韓国のKを使っているんですね。  ただ、不思議なことにというわけでもないんですが、まあ当然と言えば当然なんですが、これも余談なんですが、中国においては、市場調査じゃなくて世論調査社会調査に対して大変大きな規制があるんです。これは民主主義が発展していないからですよね。ただし、市場調査については規制の対象は非常に緩やかで、ないんですね。  先ほど、当社の名前、社会調査研究所というふうに申し上げましたが、この社名で一九九九年に上海の方に事業所といいますか代表所を設けましたが、中国において社会を調査するとは何事だということで大変厳しい審査を受けました。いや、社会調査でなくて市場調査をやるんだということであれば、これは基本的にオーケーなんですね。国によってそれぞれ違うんですが、日本はその逆を行って市場調査営利目的だからといって規制の対象にするというのは、私は全く理解し難いというふうに考えております。  それから、もう一つ最後に申し上げたいんですが、住民票がほぼ野放しでだれでも閲覧できるという状態を規制するために審査を行うということについては、これも原則的に私どもは賛成をしております。その閲覧した情報がきちんと取り扱われる仕組みを持った会社にだけそのことを許す、あるいは先ほど申しましたようにダイレクトマーケット等には利用させないということについても基本的には賛成であります。ただし、個人情報をそのような形で扱い、まあ市場経済において大変重要な役割を果たしている市場調査について規制をするということについては、是非規制の対象外にしていただきたいというふうに思います。  それから、もう一つだけ、そのことによって市場調査のための住民票閲覧がどんどんどんどん拡大していくのかというと、実はそうではなくて、少なくなることはあると思いますが、拡大することはないと理解をしております。  理由は、住民票を使ってそれを名簿として訪問面接調査を実施するというのは、大変調査としての効率が今悪くなってきております。したがいまして、電話調査でありますとか郵送調査でありますとか、最近ではインターネットを使った調査ということがどんどん普及してまいりますので、恐らく大きな流れとしてはそちらの方にシフトしていくだろうというふうに業界としては理解をしています。  ただし、そういう調査においては、正確な母集団が一体何であるのかということがベースとしてないと、例えばインターネットによる調査においてはインターネットにおける調査に協力する人の偏りがあります。その偏りを測定することができないと、その調査結果に基づいた正しい意思決定にはつながらないということがございますので、やはり住民票を使った市場調査ということについては決してなくなりはしないという理解もしておりまして、是非規制の対象外にしていただきたいというふうに思います。  以上でございます。
  8. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) ありがとうございました。  以上で参考人意見陳述は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 木村仁

    ○木村仁君 私は、自民党を代表して御質疑をいたしますが、基本的には自民党の中でも十分に議論をしてこの法案が成立しておりまして、私はそれに賛成する立場でありますが、あえて一、二、気になることをお尋ねいたしますので、その前提でお答えをいただきたいと存じます。  まず、堀部先生に、参考人にお尋ねいたしますが、この住民基本台帳閲覧制度のあり方に関する検討会の中での報告の中で、ダイレクトメールや市場調査などで営業活動のために行う閲覧については認めるべきでないと、これは極めて単純に何の理由もなくぼんと書いてあるんです。私はそれ若干気に掛かるんですね。どうして営業活動等が全面的に悪くて、そして学術的な調査が全面的にいいのかと。そこ辺りが私はちょっと今の時代に沿わないなという気もいたすわけであります。  平成十一年か十四年から施行されました住基ネットのときにも、これ少なくともこの十六項目基本的にはある情報の中から四項目だけを取り出して、これはもうオープンにしてもいいではないかと、随分議論した結果そういう結論に達しまして、その制度ができてきたわけですけれども、まあしかしそれをまた悪用する者もおるし、また大量に獲得してこれを販売するというようないわゆる悪い使い方をする者もいるということで、そこら辺りが問題にされて今日のこの立法になったわけでありますけれども、まあDMでも、私どもは普通はDMが来ますと大体、大事な書類と一緒に捨てないように注意して全部捨ててしまいますから大して気にならないんです。特に、しかし自分が家を建てるなんというときには、もうDMからいろんな情報を取って非常に参考になると。生活の基本的な知恵もDMとか新聞の折り込み広告の中から取っていくという面もありまして、もう全面的にこのコマーシャルなものは駄目だということについて、制度を構築してしまうのはどうかなという気が私もしております。  今の田下参考人意見にも私、一部納得させられる面もあるわけでありますが、委員会等においてそういう議論はございましたんでしょうか。そして、DMを完全に締め出さなければならないという理由、それはどういうことなんでしょうか。
  10. 堀部政男

    参考人堀部政男君) ただいまの木村先生の御指摘につきましては、確かに平成十一年の住民基本台帳法改正のとき、十一条の閲覧対象になるものを四情報に限定しまして、それは公開してもいいと、こういう考え方だったかと思います。その前後といいますか、それ以降、特に営利活動といいますか、それを目的にする閲覧が非常に増えてきていまして、多くの自治体で、言葉としましても大量閲覧というようなことが随分問題になってまいりました。しかも、それはやはりダイレクトメールを出すというのが目的である。こういうものにまでこの住民基本台帳閲覧を認めていいのか、こういう声がいろいろな自治体から出てまいりまして、そういうところから住民基本台帳法の第一条の「目的」を見てみますと、やはり基本は公証目的である。そうすると、営利活動営業活動の場合にはやはりここでは対象外にすべきではないだろうか、こういうことになりました。  先ほど、メンバーの一人に、経団連推薦の会社社長一人だということを申し上げましたが、その社長さんもこういう営業活動のために行う閲覧については認めなくていいと、こういうふうに意見を述べられましたので、検討会といたしましてはこのような結論に至りました。  いろいろ御意見があろうかと思いますが、検討会議論といたしますとそういうことでありました。
  11. 木村仁

    ○木村仁君 逆に、学術と称して私どもに来るアンケートの中には、かなり自分たちなりの仮説なりあるいは得たい結論を決めておいて、それに意見を合わせていくような誘導的なアンケートがあったりして、我々はどっちかというとDMも、私などはどっちかというとDMをもらうよりもアンケートが来る方がよっぽど不愉快であるなんということがありますね。  ですから、一方で、コマーシャルなものはすべて駄目だと言いながら、一方では学術なもの、あるいはそういったものについてはもうほとんど議論なくよいということになっておると、報道関係がやるというとすべてよいとか。そういうようなことでいいんだろうかと。もういっそ、極めてあっけらかんと、四情報についてはやったんだから、三鷹市のように嫌だと言う人は全部落としてしまってもいいわけですよね。  三鷹は、何ですか、ストーカー防止等のために三十人ぐらいの方を希望によって落としていますよね。それから、電話帳だって原則として全部公にするけれども嫌な人は隠して出さないと、こういうことになっておるから、余り、逆に言えば、学術的に集めた情報で悪いことするやつも、それは今大学の先生だって悪いことする人いますから分からないですよ。だから、まあこれはよろしいです、もう同じ答えだと思いますから、私も全体としては賛成ですからよろしいんであります。  次に、三木参考人にお尋ねしますけれども、このいただいた情報の中に、検討報告会にプレスリリースを出しておられます。その中で、選挙人名簿閲覧の規制についても言及しておられまして、選挙人が自己又は特定の選挙人の登録の有無を確認するために閲覧する場合、これはいいだろうと、それから報道機関や学術、ここでも報道機関や学術研究機関は当然善だというふうになっておりますけれども、政治、選挙に関する世論調査学術調査を行うために閲覧する場合、これもよろしいだろうと。  これも、実は私に言わせれば、選挙を誘導するための学術調査がたくさんありますから、問題でないとは言わない。しかし、私はそれは構わないと思います。ただ、候補者や政党、政治団体が選挙運動や政治活動を行うために閲覧する場合について非常に問題にされておると。これは制限すべきだと、政党が何だということも定義しないで認めるのはおかしいと言われる。しかし、これは私どもからすれば、政治を、選挙を行うためにつくられた情報で、特に秘密の情報があるわけでもないから、それを使って政党が政治活動をするのは至極当然のことで、これを規制する方がおかしいんじゃないかという気がいたしますが、いかがでございましょうか。
  12. 三木由希子

    参考人三木由希子君) 木村委員御指摘の点は重々理解をしているつもりでございますが、私たちは、世論調査学術調査をすべからくよいとしているわけではありません。私たちは、これについては認めるのをやむなしというふうに考えたのは、なかなか議論としての流れとして、世論調査学術調査についてはチェックが比較的しやすいということがございましたので、やむを得ないという判断をしたまでであります。  選挙人名簿抄本の閲覧制度について、政治目的での閲覧について私たちが反対をしている理由は一点であります。  世論調査学術調査については、例えば報道機関であるとか研究機関については公的な書類をもってその団体の存在の確認が可能でございます。一方、政治団体については、政党でありましたらそれは確認できますし、それから候補予定者でありましたらそれも比較的容易に確認をすることができます。しかし、政治団体というくくりになりますと、これは事実上定義がないということになります。個人情報保護法におきましても政治団体については適用除外になっておりますけれども、これは政治活動をしている二人以上の団体という以外に定義がございません。  したがって、政治活動を目的とした閲覧については、閲覧者について大変確認が難しい仕組みであるということを問題にしているところでございまして、そこがきちっと確認できるような仕組みが担保されるのであればそれはよいだろうというふうに思っております。  ただ、私たちはなぜ反対をするかと申しますと、もう一つの問題としましては、政治団体というものを法律上定義してよいのかという問題が別にございます。これは、私たちは、本来であればすべきではない話であるので、そうであれば、この際閲覧を認めないという選択肢の方がよいのではないかということで、あともう一つ付け加えますと、実は政治団体を名のって選挙人名簿悪用をしている事業者が若干ですが報道等で明らかになってきております。架空請求を行っていた男の部屋から数万人分のデータが出てきて、それは選挙人名簿閲覧していたデータであるということが報道を通じて明らかになっておりまして、そうしたものを防ぐためにはやはり認めないという選択肢がやはりやむを得ないのではないかと考えたところでございます。  以上です。
  13. 木村仁

    ○木村仁君 それでは最後に、田下参考人に重ねてお聞きいたしますけれども、DM等のために大量に閲覧することは当然禁止してよろしいと、それはそれでよろしいと思いますが、マーケティング、市場調査等には是非使わせてほしいと、それも私も分かるような気がいたします。  これ等については今後また議論があるかと思いますけれども、三鷹市において禁止的なと思われるほど高い閲覧料をつくったんですね、三十分で三千円、一人転写すると二百円と。これはもう禁止的なんです。禁止的でもその請求件数は半分ぐらいに減った程度だったんですね。今度は、それに加えて今度はいろんな手続をつくって条件を付けたら、つまり今度改正するような条件を付けたらほとんどなくなってしまって、〇・九%になったという実績があるんです。  この四情報というのは極めて重要な地域的資産でもありますから、全く使わないというのももったいない気もするんですね、私どもは。市場調査との関係でそこら辺りはどのような御感想をお持ちか。
  14. 田下憲雄

    参考人田下憲雄君) 市場調査を職業とする者の立場からいたしますと、正確な情報が効率良く、安く、スピード速く収集してお客様にお届けすることができれば、当然お客様は早い意思決定ができますし、正しい意思決定ができるということで、そういう業務プロセスを我々がどうつくっていくかということが我々の使命であるという認識で仕事をしております。  そういう観点から、住民票閲覧というところでそれだけのコストと時間が掛かりますということになりますと、当然のことながらこれは市場経済の原理で、そんなにお金が掛かるんだったらほかの方法で何とか考えましょうということにこれはならざるを得ない。  ただし、先ほど申し上げましたように、住民台帳というのは調査のサンプリング台帳としては極めて優れた正確性と網羅性を持っておりますので、我々の立場からすると、できるだけ簡単に安く利用できる環境を用意していただくと大変有り難いというのが私どもの立場でございます。
  15. 木村仁

    ○木村仁君 以上で終わります。
  16. 蓮舫

    ○蓮舫君 民主党・新緑風会の蓮舫でございます。  今日は、三人の参考人皆様方それぞれのお立場から大変貴重な御意見賜ったこと、ありがとうございます。  まず、堀部参考人にお伺いしたいんですが、報告書の中で、審査手続について、取得した個人情報の管理などについて審査を行う必要があると、その上で五項目の厳格な審査を行う必要があるとリポートが書かれておりますけれども、この個人情報の管理をあえてピックアップした理由と、それと、各市町村がこの厳格な運用ができるとお考えになる根拠をお知らせいただけますか。
  17. 堀部政男

    参考人堀部政男君) 今回の検討の中で一つ重要な点になりましたのはこの審査手続でありまして、これまではそのことについて法律で明文の規定がございませんでした。それを入れるべきではないだろうかと。  その際に、今、蓮舫先生が言われた情報管理につきましてはやはり厳格に行っていく必要があるということで、その審査をするに当たりましても、それぞれの自治体で既にこれは個人情報保護条例とそれからセキュリティーポリシーをそれぞれ定めていますので、その手法を用いれば、どのように実際に情報管理しているかということのチェックは可能であろうと、このように判断いたしました。
  18. 蓮舫

    ○蓮舫君 この中で、情報の管理・廃棄体制を明らかにさせると書いてあるんですけど、これはどういう意図で。
  19. 堀部政男

    参考人堀部政男君) これまでの例でも、いったん収集しまして、閲覧して収集しました情報をその目的が達成されました後まで蓄積して、また使い続けるという例がいろいろありまして、特にダイレクトメール業者の場合には、例えばゼロ歳児の情報を取得しまして、それをずっと保管しておきますと、学齢期に達したときにまた出せるとか、あるいは成人に達するときにそれを使えるとか、こういうことで廃棄するということをしてきておりません。  やはりそこが、それぞれの目的に応じて閲覧していただきますので、そうなると、その目的を達すれば廃棄すると、こういうふうにすべきではないかと、こういうことで廃棄という考え方を取り入れました。
  20. 蓮舫

    ○蓮舫君 三木参考人にその関連でお伺いしたいんですけれども、このいわゆる情報化時代、デジタル化社会、大量のデータを小さな、本当にデータで取得をして持ち歩くことができるときに、今、堀部参考人が御答弁いただいたように、報告書にあるように、各自治体にその管理・廃棄方法を一元化してお願いするというのは現実的かどうか、意見をお願いいたします。
  21. 三木由希子

    参考人三木由希子君) 現実かどうかと言われますと、性善説に立てば現実的な側面あるかと思いますが、個人情報保護に関しましては性善説ではとても成り立たないという問題がございます。  例えば、この法改正の直接的な大きなきっかけになったのは、名古屋市で住基台帳を閲覧をして、それを悪用して少女に強制わいせつを働くという刑事事件がございました。そのときは、その逮捕された男の部屋から閲覧したものを書き写した紙が見付かったということから、住基台帳の閲覧によってデータが取得されたということは分かっておりますけれども、例えば個人情報については、いったんデータ化されますと出所が分からなくなるという問題があります。  確かに、書き写した状態でしたら、どこから持ってきた情報かということをある程度確認できますけれども、今、例えばダイレクトメールにしても、マーケティング調査にしても、手書きであて名が来るということはまずございません。必ずデータ処理されます。  ということを考えますと、事実上複製も非常に容易ですし、それから出所も分からなくなるということを考えますと、その現実的かという点をお話ししますと、非現実的な側面あるというふうに思っております。  ただ、そのどのような管理をするのかとか、報告を求めるということは自治体として最低限できることであるというふうに考えておりまして、それはやはり必要だろうというふうには考えております。
  22. 蓮舫

    ○蓮舫君 ありがとうございます。  で、堀部参考人に続けてお伺いしたいんですけれども、例えば目的外利用を防ぐための仕組みについても報告書は言及をされておりますけれども、目的外利用が判明した場合には過料に処すことなどを検討すべきであると。これは、閲覧した目的外利用が判明した場合にその閲覧者に対して過料が科されるというふうに理解をしているんですが、ただ、その情報が二次利用で、売られてしまった場合ですとかデータ化したものがほかのいわゆる営利目的の企業なりなんなりに売買されてしまった場合、その情報についてはどういうふうにお考えなんでしょうか。
  23. 堀部政男

    参考人堀部政男君) 売られた場合といいますか、それも目的外ということになりますので、その利用者に対して、閲覧した者に対して罰則を設けるということで、法案でいきますと、五十二条で、偽りその他不正な手段によりと。偽って、目的を偽るわけですから、この目的ということではなくて、それ以外にも使うというのは偽ることになりますので、そうなりますと五十二条の刑罰が科せられる、このように理解をしています。
  24. 蓮舫

    ○蓮舫君 大変難しいところだと思うんですけれども、情報閲覧した者が目的外利用した場合、その人は過料に処されると、それは分かるんですが、そこから、その人が見たデータがデータ処理されて何らかの利用売買されてしまったという事実があったとしたときに、その売買されたデータを使って何らかの形で見られたくない情報が勝手に使われていると、いわゆる個人情報を出している、住民台帳に載せている本人たちにとってそれは意にそぐわない結果というのが付いてくるんですが、この部分はどのように考えていますか。
  25. 堀部政男

    参考人堀部政男君) これは、そうですね、少し広げて申し上げますと、個人情報保護に関する法律でも、それを入手した者が目的外に利用したりしていくことにつきましては主務大臣が報告を求め、勧告をし、また命令、最終的には命令をすると、出すということがありまして、いったん外に出ていろいろ流通していった個人情報というふうにとらえますと、個人情報保護法によりまして同じような罰則を科することができる、こういうふうに理解いたします。
  26. 蓮舫

    ○蓮舫君 三木参考人にお伺いしたいんですけれども、実は私は一番そこを懸念しておりまして、今回、閲覧できる対象者は限定しましたけれども、でも、そこで閲覧された情報の管理というの、廃棄方法、これ私どもが視察をさせていただいた三鷹市で市長にもお伺いしたんですけれども、現実的にはその閲覧された方と市長とのいわゆる信頼関係でしかないというのが現状ですと。この部分、いわゆる、じゃ法律でどのように明確に位置付けて運用していくかというのも、これも大変個人情報保護法との整合性もあって難しいんですけれども、ただ一個人として見たら、やっぱり今回の法改正の最大のきっかけとなったのが母子家庭をねらった犯罪だったということを考えると、やはり犯罪防止策という部分でも情報をきっちりと入口で、出口で、両方管理してもらいたいというのが住民の願いだと思うんですが、その部分についての今回の法改正での御懸念というものは何か御指摘ありますか。
  27. 三木由希子

    参考人三木由希子君) 先ほども意見を述べさせていただきましたが、結果的に、閲覧制度というのは一つの自治体利用するというよりは複数の自治体で広域で利用するという性質上、例えば先ほど大変極端な例として私の資料に付けさせていただいたような住基情報売買している事業者の例を紹介させていただきましたが、これについても、これは、この業者はある意味で大変正直で、住基情報売買しているということを公にしていましたのでたまたま分かりましたけれども、通常はそういう形で明確にしておりませんので、分からないケースが多いんですね。  さらに、仮に売買していることが分かっても、自分たちのところに閲覧に来て、閲覧申請に来て閲覧をしたけれども、じゃ実際に自分たち情報売買しているかということを確認するのは実は容易ではないということがありまして、市町村長に何らか対応できるかということで市町村幾つか話をしてみたんですけれども、大変難しいということでした。  つまり、例えば入口である程度限定して絞ったとしても、出口で問題が発生したときには必ずしも出口の部分で十分に対応ができるようなものではないと、そういう性質ではないというところがありまして、罰則は必要ですけれども、罰則だけではとても抑止効果、事実上の抑止効果しか期待できないというところがあります。  ただ、本当に三鷹市長がおっしゃったとおりでありまして、ほとんど信頼関係によるというところがございます。まあ言葉は正しくないかもしれませんが、研究をする機関、それから報道機関はそれなりの信頼性があるという前提の下でそこには認めるという形にしたということでありまして、そこが覆されますともうお手上げというか、どうしようもないということなんだろうと思います。  したがいまして、どのようなところがどのような目的閲覧をしているのかということをきちっと年に一度は少なくとも情報公開をして市民チェックするという仕組みが、この仕組みには、一応今回の改正案には入っておりますので、その点をやはり市民の側もしっかり監視をしていく必要があるだろうというふうに考えております。
  28. 蓮舫

    ○蓮舫君 正に冒頭で堀部参考人が御指摘されておりましたけれども、例えばゼロ歳児の情報を入手したら、それを継続的に使っていくと。三歳になったら保育園なのか、四歳になったら幼稚園なのか、六歳になったら学校なのか塾なのか。  これは、ダイレクトメールを入手するのは、恐らくそれぞれ人によって、届いた人によって感想は違うと思うんですけれども、子供を持つ母親、父親にとってみて、自分の子供の年齢情報がこんなに明確に漏れているという恐怖はないんですね、うちには何歳の子供がいる。特に今、子供をねらった犯罪が大変多うございますから、その部分に非常に私は懸念を持っているんですけれども。  今回、報告書の中で、閲覧方法等の中で閲覧用リスト、住所順を基本とすべきと考えている。この住所順を基本とすると家族構成、世帯構成が明確に分かるんです。これはどうして住所順とされたのか、お考えをお聞かせいただけますか。
  29. 堀部政男

    参考人堀部政男君) あくまでも氏名、生年月日、性別、住所、この四情報ということに限定をしますので、そこからいろいろ見えてくるところは確かにありまして、今でもそういう形で、親と子供の名前でダイレクトメールを出すということが一般に行われております。これはやはりこういう制度の下ではやむを得ないことではないかというふうに思います。  別途そこをどうするかということになりますと、その辺りどういうふうに考えるかというのは更に検討していかなければならない問題ではないかと思います。
  30. 蓮舫

    ○蓮舫君 その部分は、この後、法律案審議のときに大臣ともやり取りをさしていただきたいと思っておりますが。  最後に、三木参考人に、恐らく同じ問題意識をお持ちでおられると思いますが、例えばあいうえお順ですとか生年月日順ですとか、これは事務を扱う市町村にとっては大変な作業になるかもしれませんが、個人情報保護するという観点、あるいは犯罪等を防止するという観点から有効だと私は思っているんですが、いかがでしょうか。
  31. 三木由希子

    参考人三木由希子君) 現在の閲覧制度の下では、私たちはそうすべきだということで強く申してきております。というのは、四情報閲覧する制度だと言いつつ、住所順に並べた結果、家族構成、世帯情報を出してきたということがやはり事態を深刻にしてきたというところがございます。  ですから、今の制度の下では、それは生年月日順やあいうえお順、自治体によってはランダムに数字を当てはめて並べ替えるという方法を取っておりますけれども、そういう形で四情報以外は出さないということで対応してきているところがございます。  私は、これから先、実は住民基本台帳閲覧制度のために、年に大体自治体は四回くらい全住民のリストを打ち出しをしているんですね。これは非常に大変な作業でありまして、コストも掛かっていると思っております。ですから、今後は、ある程度可能であれば、対象とする地域対象とする例えば年齢とかそういうものだけを電子的に呼び出してその画面だけを見るとか、そういう形で運用することも一つの方法ではないかというふうに思っておりまして、なるべく出る情報を少なく、必要最小限の情報閲覧されるような仕組みであるべきだというふうに考えております。
  32. 蓮舫

    ○蓮舫君 ありがとうございました。終わります。
  33. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。三参考人の貴重な御意見、本当にありがとうございました。  まず、堀部先生からお願いをしたいと思いますが、堀部参考人の長年限にわたるプライバシー権あるいは情報、知る権利等を含めて、この分野に長年携わってこられたことを心から敬意を表するものでございますが、今回、このような検討会座長をお引き受けになられたということでございますが、制度をつくる場合、やはり行政利便性というか需要の部分と、やはり扱われる側の住民サイドの個人情報の、この辺の調整を本当に図っておられるなというふうに私は承知をするものでございますが、この検討会の中で、このプライバシー権を自己情報コントロール権として考えた場合にやはり、オプトアウト、オプトインというんでしょうか、その出すか出さないかをその住民の意思にかからしめるということを、多分議論の中であったと思いますけれども、その議論の、検討会の中における大方の大勢と、もしこのオプトアウトあるいはオプトインの制度を取った場合どのような不都合が生じ得るのか、ちょっとその辺御開示いただければというふうに思います。
  34. 堀部政男

    参考人堀部政男君) ただいま魚住先生の御指摘の自己情報コントロール権というプライバシー権利についての新しい考え方は、これまでいろいろ議論してまいりましたが、この検討会におきましても自己情報コントロール権としてとらえるべきであるというような観点を主張されるメンバーもおられまして、今先生御指摘のように、この住民基本台帳閲覧用のものについてはオプトインという、自分で閲覧に供してもいいということで申し出た者のみの名簿にするといいましょうか、それから、そこから自分は提供されたくないということをオプトアウトするという、これも認めるべきだという、こういうこともありました。  しかし、自治体でそれを一々住民から意見を聞くというのは大変な事務量であるということでありまして、これは三木参考人団体の他の方の意見でも、これは大変なことである、そういう制度は取り入れるべきでないという、こういう御意見もありました。  ここでは、営業活動のものは除くということになりますと、やはり公益性のあるものにつきましては、むしろ住民基本台帳のあるがままのもので閲覧に供するという方が公益目的にかなうんではないかということで、その考え方が提起されたということは報告書の六ページにも書いておきましたけれども、そうした考え方は取らなかったわけであります。
  35. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 次に、三木参考人にお願いしたいと思いますが、先ほどちらっと名古屋の事例等が出ましたけれども、まあひどいなというような事例ですね、ちょっと二、三御紹介をしていただけますか。
  36. 三木由希子

    参考人三木由希子君) 名古屋の事例は最悪の事例でございまして、ある意味起こるべくして起こってしまったというところがありまして、私たちも十年来この問題取り上げておりますので、もっと早く法改正がされていればというふうに大変後悔というか、大変心痛い事件でございますが。  私たちが把握した範囲では、住基台帳のデータを売買している事例、それから先ほども少し触れさせていただきましたが、東京都からダイレクトメールを使った悪質商法行政処分を受けていた業者行政処分を受ける直前まで都内各所で閲覧をしておりました。それから、株式会社を名乗っているのに登記が確認できないところもたくさん散見されております。それから、話を聞くと、全国各地でかなりのところで閲覧をしている業者であっても、報道機関の方に取材をしていただいたところでは、かなり正体が不明というか、所在も含めてよく確認できないというところも見付かっております。  そういう意味では、恐らく探すと山のように出てくるのではないかというふうに思っております。
  37. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 田下参考人にお願いしたいと思いますけれども、これは住民台帳がない国、一杯あると思うんですね。そういうところではこういうマーケティングというのはどういうふうな形でやっているんでしょうか。
  38. 田下憲雄

    参考人田下憲雄君) 通常の場合はエリアサンプリングという方法で、日本には例えば国勢調査区のようなものがありますが、一定のエリアを抽出いたしまして、その中から対象者、世帯を更に抽出をすると。したがいまして、それは、一つは地図を利用するということと、あとは調査員がその場を動き回るということによって調査を実施するという形になります。当然のことながら、精度が低下するということとコストが余計に掛かるということになりますが、なければそれでやるしかないということが各国で行われていることであります。
  39. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 日本の場合、何かプライバシー上問題になるなと思うぐらい詳細な地図がありますね。だから、そういうことを活用していけば住民台帳なくてもいいかななんて、今のお話聞くとそんなふうに意見を持つんでありますが、確かにコスト面、ちょっと掛かるかもしれないなというふうに思いますが、その辺はどうですか。
  40. 田下憲雄

    参考人田下憲雄君) 住民基本台帳閲覧に関する法改正が進んでいるということで、当然のことながら、そういう新しい地図のデータであるとかを利用したサンプリングの方法について当然業界としては研究を進めております。環境変化に対応するのが我々の役割であるという認識を持っております。
  41. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  42. 吉川春子

    ○吉川春子君 共産党の吉川春子です。  今日はどうもありがとうございます。  まず、堀部参考人にお伺いいたしますが、私たち参議院調査会でドメスティック・バイオレンスの法案の改正に取り組んでいたときに、この住基台帳を使ってDV夫が妻を捜し出して大変危害を加えるということを何とか防止できないだろうかということが各党で一致いたしまして、当時の片山大臣等にその閲覧の禁止を私としては法改正がいいだろうと求めていたわけです。それに対して、総務省の方で検討委員会をつくってDVについて個別に対応するという、そういう制度になった経過があるわけですけれども、それによってかなり改善されたわけなんですね、DV問題については。しかし、シェルターを経営している方々、あるいは被害の女性とお話ししますと、まだやっぱり完全には防ぎ切れていないという情報も寄せられるのですけれども、こういうものを制度的にもっときちっと防止するために何かお考えがあったらお述べいただきたいと思います。
  43. 堀部政男

    参考人堀部政男君) 吉川先生御指摘のドメスティック・バイオレンスにつきましては、先ほど最初の方でも申し上げましたように、総務省でガイドラインに関する研究会ができまして、そこで検討をいたしました。そのときに法律改正というようなことも議論にはある程度なりましたけれども、ドメスティック・バイオレンスというよりももう少し広く閲覧制度そのものをどうするのかということの議論が必要ではないかというようなこともありまして、あの段階では解釈で対応するというふうにいたしました。  今回、私の理解では、第十一条の二の第一項におきまして、その一部だけ申し上げますと、「その活動に必要な限度において、住民基本台帳の一部の写し閲覧させることができる。」。これは、世論調査とか学術調査その他の調査研究であれば、ドメスティック・バイオレンスの対象になっている人を捜し出すために偽って閲覧するということはまずないとは思うんですが、そういう調査におきましては、ドメスティック・バイオレンスで被害に遭っている方を除いておいても目的は達することができるのではないか。そういう点から、この規定によりまして、むしろ法律上除くことができるというふうに解釈できるのではないかというふうに思います。  先日、先生方、三鷹市に行かれたということを昨日三鷹市の清原市長から国民生活審議会の個人情報保護部会で聞きまして、それで夜資料を送っていただきましたところ、三鷹市では総務省からの通知等に準拠し、これらの被害者の情報を現時点で約二十件を排除した閲覧リストを調製し、閲覧リストとしているという、こういう対応を現にしているところもありますので、これを今回十一条の二の「その活動に必要な限度において」というところに入れて解釈して対応していただきますと、先生御指摘の法的対応ということになるのではないかと理解しております。
  44. 吉川春子

    ○吉川春子君 もう一点、住民票写し交付について、今回は法改正対象から外されているんですけれども、こちらの方には十四情報入っておりまして、住基台帳の四情報には比較にならないぐらい非常にたくさんの個人情報が含まれていて、これがいろいろな要件はあるけれども交付されるという現行法になっておりますね。  私は、こちらの方もやっぱり原則規制すべきではないかと思いますが、その点について参考人はいかがお考えですか。
  45. 堀部政男

    参考人堀部政男君) 住民票写し交付につきましても少し議論はいたしました。他方、法務省の法制審議会におきまして、戸籍写しをどうするか、こういう議論をするということで、検討会には法務省からもオブザーバーで出てきていただいていまして、今事務局同士でいろいろ連絡を取り合っていまして、これも法制審議会の方の委員の方と個人的に話したところでも、今検討中であって、七月ぐらいにはまとまるであろうということでありますので、その結果も踏まえて、次の段階として、総務省としても戸籍の謄抄本の扱いと関連付けて検討していただきたいというふうに考えまして、この段階ではそのことにも触れつつ、その調整にとどめたところであります。
  46. 吉川春子

    ○吉川春子君 三木参考人にお伺いいたします。  公用の閲覧の問題なんですけれども、警察の閲覧について、捜査その他の目的ということで、かなり自由にと言うと語弊がありますかしら、閲覧されて、その後収集した情報の廃棄の問題も一つあると思うんですが、先ほど参考人が内部監査をもっと行うべきだとおっしゃいましたけれども、例えばどういう内部監査の方法があるのか、もし研究されているのでしたらその点をお伺いしたいのと、それから警察の場合、犯罪捜査というので特定個人を調べるにとどまらず、何丁目何番地一帯とか何丁目全体とか、ひどいところは何々町全体とか、こういう閲覧があるやに聞いているんですけれども、こういう点についていかがお考えか。その二点、お伺いします。
  47. 三木由希子

    参考人三木由希子君) 内部監査については、特にこういう仕組みというものをこちらとしても御提案できるものはないんですが、ただ、監査をするためには、閲覧をする時点での適切な手続を内部で取るという前提がないとチェックがしようがないという問題があります。  ですから、私たち懸念をいたしますのは、一応その閲覧申請に当たっては閲覧する機関名で閲覧申請をするということになっておりますので、当然に内部でしかるべき手続を踏んでいるべきであるというふうには思うのですが、その辺について具体的に、外に対しては明らかにできないけれども、内部でどういう手続を経て実際に閲覧をするのかという内部チェック仕組みが果たしてきちっと働いているのかどうかということを一つ懸念をしているわけであります。手続さえある程度担保されれば、それをチェックしていくということはそんなに難しいことではないのではないかというふうに考えております。  警察に限らず、捜査とか調査のために行政機関閲覧をすることがございますが、特に警察の閲覧は、私が知り得る範囲では、特定個人閲覧しているようなケースは少なくて、逆に地域とかそういうものをある程度特定した上での閲覧が私が見た範囲では多いというふうに認識をしております。そういう閲覧については、ある程度必要な場合もあるとは思うんですが、本当に必要かどうかというチェックをどこがしているのかということは、これは市民に対しては非常に不透明でありまして、見えないところがございます。そういう意味でも、内部である程度適切に閲覧をするに当たってはきちっとした手続を踏ませるということは必要だろうというふうに考えております。
  48. 吉川春子

    ○吉川春子君 捜査に関してという場合に、面的にこの地域全体という閲覧が必要なのかどうかなと、これは警察に聞いた方がいいんですけれども、参考人はいかがお考えですか。
  49. 三木由希子

    参考人三木由希子君) 私も捜査をしたことはございませんので、必要かどうかということは分からないところはありますけれども、ただ、実際に公用閲覧閲覧申請書というものが幾つかの自治体公開をされていまして、それを見ると、閲覧理由はそもそも捜査のためとか、それから捜査照会とかその程度でありまして、実際に閲覧が行われている事実を知った市民の側からすると、一体、本当に必要でここの地域情報を見ていったのだろうかということについては大きな疑問を持っているということだと思います。  確かに、捜査については、事細かに犯罪捜査等の情報が一般に公開されるとか、それから外部に出るということは時には支障になるということはあると思いますので、そこをきちっと担保するためにやはり内部での手続をきちっと取っていただくと。それについてはちゃんと監査体制を取っていただいて、監査の結果についてはきちっと情報公開をしていただくということはもう最低限必要であって、そこでやはり、ちょっとおかしいものとか不審なものは排除をしていただくしかないのではないかというふうに考えております。
  50. 吉川春子

    ○吉川春子君 もう一つ、選挙人名簿閲覧について、これは簡単にお答えをいただければいいんですけれども、やっぱり選挙というのは民主主義の発露として非常に重要なものであるということを考えますと、政党の定義を行うべきじゃないし、政党法というようなことに対しては私も強く反対なんですけれども、それと比較考量という形で選挙人名簿閲覧に否定的という立場には立てないんですけど、その辺、参考人はいかがお考えですか。
  51. 三木由希子

    参考人三木由希子君) 確かに、民主主義と選挙人名簿閲覧を比較考量すべきではないというふうに私も考えております。ただ、やはり現実起こっている問題を見ますと、政治団体という、政党というくくりというか政治団体というくくりの場合は非常にチェックが難しいという問題がありまして、その一方で、やはりそれを悪用する人たちが実際に存在をするという問題がありまして、それを比較すると、やはり悪用を防ぐ手段がないのであれば、これは認めないという方向が望ましいというふうに考えております。もちろん、その政治活動とか政治団体そのものを否定するというものではなくて、やはり選挙人名簿も、これも二十歳以上になりますと自動的に登録をされて、必ず登載をされるという性質のものですので、本人に選択の余地がないという点では、やはりそこを重く見るべきだろうというふうに考えております。
  52. 吉川春子

    ○吉川春子君 時間が少なくなって申し訳ありません。マーケティング・リサーチの、何とお読みするの──田下参考人にお伺いします。  参考人の協会は非常に綱領もきちっとしていて、そういう中でリサーチをされているということですが、もしメルクマールを定めるとすれば、どういうような協会を可とし、どういうような団体を否とするのか、その辺の判断基準というのをお持ちでしたらお示しいただきたいと思います。
  53. 田下憲雄

    参考人田下憲雄君) 当協会に実は今加盟する会社がどんどん増加しております。というのは、個人情報保護という法律が施行されて、個人情報保護に対する国民の関心が高まっているということを背景にして、そういう様々な綱領であるとか会員資格を持った協会に加盟している企業であるということがその調査の上での信頼の一つのメルクマールになっているので、今そういう状況があります。  当協会の中では、プライバシーマークの取得を一〇〇%行おうということで、個人情報の扱いについて極めて厳格な要求を出しております。それから、ダイレクトマーケティングマーケティングリサーチは明確に違うんだと。ダイレクトマーケティングに名を、調査に名をかりて物を売ったりというようなことはもう一切やらせないというようなことで運用しておりますので、メルクマールということでいうと、要するに、市場調査ということでそういう個人情報利用する場合には協会に入っていただく、それでなおかつプライバシーマークの取得を義務付けるということで、信頼できる団体である、あるいはそういう仕組みを持っているということを判断基準にするのが適当ではないかというふうに考えております。
  54. 吉川春子

    ○吉川春子君 終わります。
  55. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  参考人の御三方、短い時間で貴重な御意見をいただきましたこと、心からお礼を申し上げたいと思います。  私の方は三木参考人幾つかお伺いをいたしたいと思います。  先ほども堀部さんからお話ございましたように、住民基本台帳法は一九六七年の制定があって、このときは原則公開でありまして、以来、現行法の骨格となってきたわけでございますね。一方、参考人が一貫して取り組んでこられたのは、プライバシー権の確立という運動であり、当初、情報公開法を求める市民運動の活動としては一九八〇年からやってきたんだというふうにお書きになっておられます。その後、住民基本台帳法は、大きくは一九八五年と九九年と二回の改正を経て今日に至っているわけでありますけれども、いずれの場合もプライバシーを尊重し、問題ある閲覧事例を制限する方向で三木さん運動なさってこられたと思うんですが、そして、今回の原則非公開という大転換に至っているわけですけれども、こうした法が制定をされ、その後の変遷を経て、ここへ、こういうふうに大転換になっているわけですが、皆さんの活動、まあ二十六年にわたるんでしょうか、これを振り返って、なお今の到達点、どんなふうに総括なさっているのか、ちょっとお聞きをしたいと思います。
  56. 三木由希子

    参考人三木由希子君) 大変難しい御質問をいただきまして。  私たちは一貫して公的機関情報公開個人情報保護の問題に取り組んでまいりましたが、住民基本台帳閲覧制度につきましては、ようやく最低限到達すべきところに到達できたということで、政府の対応も含めて一定評価をしているところでございます。  ただ、この間、一貫してずっと感じておりましたのは、住民基本台帳閲覧制度の問題は、もう既に三十年以上運用されているものであります。にもかかわらず、ほとんどの市民がこの制度のことをずっと知らずに来たというところがこれまでこの制度が余り問題として浮上してこなかったという大きな原因であります。これはやはり個人情報保護の基本的な部分が欠落していたと考えております。  というのは、個人情報というのは、確かに自己情報のコントロール権という問題がありますけれども、自分の情報がどういうふうに使われているのかを市民が知るということが第一歩だというふうに考えております。転居すると自動的に住民登録を皆いたしますが、じゃ、その住民登録した情報がどういうふうに実際に利用されているのかということを多くの市民はほとんど知らずに来ているというところがあります。そこがやはり個人情報に対するいろいろな無理解だったり、それから知らないうちに自分が権利利益を侵害されていたり、それからいろいろと慎重になり過ぎたり、混乱をもたらしたりという原因になっているというふうに考えておりまして、住民基本台帳は知らなかったがために長年余り問題視されずにここまで残ってきてしまったのではないかというふうに考えておりまして、名古屋での不幸な事件とか、個人情報保護法の施行前後に大変個人情報に対して市民意識が高まったということなどを踏まえまして、ようやく住民情報という基本的な情報について市民がどういうふうに使われているのかということに関心を持ったという点では、やはり市民意識というか、個人情報に対する市民意識というものは大きく変遷をしたというふうに考えております。
  57. 又市征治

    ○又市征治君 今おっしゃったように、内閣府の個人情報保護に関する世論調査なんかでも、平成元年にやられたのと平成十五年にやられたのと大きく国民意識が変わってきているというのは今おっしゃったことで、資料がございますが、ここでは説明いたしませんが。  そこで、御指摘の点について幾つか具体的に伺いたいと思うんですが、まず、かなり根本的なことになりますけれども、法案は不特定多数の人に関するこの四情報閲覧することが公証制度範囲だという考えに依然として立脚をしていると。したがって、公証制度考え方が拡大されており、このような拡大による副作用がないのかは懸念材料だ、このように三木さんコメントをされたというふうに理解をするんですが、ここでいわゆる副作用というのはもう少し具体的に言うとどういうことなのか、指しておられるのかということですね。  三木さんは、基本的には四情報そのものもプライバシー情報としてより厳格に守られるべきだという御意見だと思いますけれども、この点、もう少し詳しくお聞かせください。
  58. 三木由希子

    参考人三木由希子君) 公証制度としての副作用を大変懸念をいたしましたのは、公証制度というのは住民基本台帳だけではなくて、ほかにも様々公証制度ございます。その中には当然、住民基本台帳のような形で不特定多数の情報閲覧できないような仕組みもたくさんございます。そうしますと、公証制度というものは、特定地域にどういう人が住んでいるのかということを証明することも含めて公証制度だということになりますと、ほかの制度の解釈とか運用に波及をしないものだろうかということで大変ちゅうちょを覚えたというか、ためらいを覚えているということがございます。  ですので、私たちは、堀部参考人座長を務めました検討会でも意見を申し述べた際に、これはもう目的外利用にして位置付けていただけないかということで、公証制度範囲の外に出していただけないかということを意見として申し述べたところでございまして、ただ、結論的にはそこは変わらずに来てしまったという点は大変懸念をいたしております。
  59. 又市征治

    ○又市征治君 もう一つ、先ほど来からも出ているんですが、三木さんは改正案のもう一つの内容である選挙人名簿閲覧制度についてははっきり改悪だと、こういうふうに述べておられると思うんですね。  理由は、候補者など、政党、政治団体については定義がなく、二人以上おればだれでも政治団体を名のれる、そういう点では大変悪用されていく危険性があると、選挙運動又は政治活動というのもそうだと。したがって、住民基本台帳閲覧よりも緩やかであり、悪用されるおそれがあるんではないのか。現に、二〇〇四年に埼玉で詐欺に用いられて、先ほど御紹介があったように、数万人分の選挙人名簿からと見られるデータが押収されたという例を挙げられたわけですね。  また、今後住基の閲覧ができなくなる分だけ政治活動に名をかりて選挙人名簿の方へ流れてきて閲覧が増えるんではないか、こういうふうにも懸念をされているということだと思うんですが、そこで伺いますけれども、この点は、じゃどのように改善をすべきだというふうにお考えか。選挙人名簿だけの閲覧規定を廃止して、住基と同じ禁止原則にすべきだというお考えなのか。確かに、検討会で政党が制度の存続を求めたこの部分の会議録が非公開になっているという不透明さもあるんですけれども、この点について御意見をお聞かせください。
  60. 三木由希子

    参考人三木由希子君) 選挙人名簿閲覧制度について私たちが大変問題意識を持っておりますのは、住民基本台帳閲覧制度も基本的には出口のチェックが、先ほども御指摘ありましたとおり、出口のチェックが大変難しいということがあります。例えば、廃棄とか管理について一定程度自治体に対して申告をさせるとか確認をするということはそれはできますけれども、事実上その廃棄の部分についてまできちっと全部自治体として保障できるかと言われると、それは信頼関係に基づくものでしかないので、当然そこのチェックが難しいという構造があります。そうすると、ある程度事前チェックをせざるを得ないということだというふうに考えております。つまり、閲覧を認めるか認めないかという時点である程度きちっとしたチェックが必要であるということを考えますと、やはり政治団体というくくりになりますとそこのチェックが大変難しいということがございまして、そういうことを考えますと、やはり認めるか認めないかという選択をせざるを得ないのではないかということが私たちの基本的な考えであります。  あと、もう一点申し上げますと、例えば政治活動目的での閲覧を認める場合は例えば選挙の予定候補者に限るとか、そういう形である程度限定をした上でやるということであれば、それは場合によってはあり得るのではないかというふうに考えておりまして、そういうことを少し本来であれば御検討いただきたいというふうに思っていたところでございます。
  61. 又市征治

    ○又市征治君 最後にいたしますが、堀部先生にお伺いしたいんですが、今同じことなんですが、三木さんの話も含めまして、この選挙人名簿閲覧制度の問題について、今のお話も含めて御見解をいただきたいと思うんです。
  62. 堀部政男

    参考人堀部政男君) 又市先生御指摘のように、ヒアリングも非公開にいたしました。これは、各政党においでいただくようにお願いしましたところ、それぞれの政党の政治活動にかかわることなので非公開にしてほしいと、こういうことだったものですから、非公開議論をいたしました。その結果の概要は公開いたしましたが、そうした意見なども踏まえますと、この報告書に書きましたようなことでやはり閲覧制度を認めていくべきではないかと、こういう結論になりました。  これはむしろ選挙管理委員会関係の方はもうこれは閲覧制度を廃止すべきだという、こういう議論でもありましたけれども、検討会といたしますと、政党の意見を聞いたこと、それから各国の選挙人名簿につきまして調査もしていただきましたが、むしろ選挙人名簿公開原則になっている、こういう例もありまして、そこで民主政治とのかかわりということもあって、これはこのような形にすべきではないかというふうにいたしましたということであります。
  63. 又市征治

    ○又市征治君 終わります。ありがとうございました。
  64. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 国民新党の長谷川でございます。  お三人の参考人の先生方には本当に貴重なお話を伺うことができまして、大変ありがとうございます。私が最後の質疑者でございますけれども、それぞれ三人の参考人にお伺いをしたいことがございます。  最初に、堀部参考人にお伺いをさせていただきますが、ちょうだいをしております平成十七年十月の先生が座長を務められました検討会報告書資料の四十九ページ以下に「諸外国における住民登録制度について」という比較の表がございます。これを拝見しておりましたらば、日本と余り大差のない制度を取っているところがここに挙がっている。すなわち住民情報について基本的には何人でも閲覧することができるというような制度かというふうに思うわけでありますけれども、韓国はお隣の国でありますから大変参考になりますが、スウェーデン、フィンランド、ドイツ・ベルリン州というようなところが挙がっておりますが、これは何か特別な事情がありますんでしょうか。その辺をお伺いしたいと思います。
  65. 堀部政男

    参考人堀部政男君) ただいまの長谷川先生の御質問ですが、このスウェーデン、フィンランド、それからドイツのベルリン州のうち、特にスウェーデンにつきましては以前からこういった住民登録法に基づきまして、日本の住民基本台帳とは異なる面もありますけれども、住民全体を把握してそれを台帳にしているという、こういうものがありますので、これは参考になるんではないだろうか。それから、先生対比されましたフィンランドなども同じようなこともありますので、そうしたところを参考にするということで、これらについて事務局が現地調査をいたしました。その結果をこういう形でまとめたところであります。  先ほどの又市先生の御質問にもありました選挙人名簿につきましても、各国の状況を調査してみまして、これはここで閲覧制度をどうするかということになりますと、今日個人情報の取扱いというものがグローバルな観点で論じられなければならない。  現在、OECD、経済協力開発機構のいろいろ活動にかかわっておりますけれども、そういうことを考えますと、やはり諸外国の状況と比較して日本の制度をどうすべきなのか、こういう議論が必要だということで、むしろここでは類似の制度のあるものを掲げたということであります。  そのほか、アメリカ等に触れておりますが、これなどはむしろそういう制度のないところでありますので、そうしたことについても、現地調査まではいたしておりませんが、調査を依頼したりして調べることができたものを参考資料として掲げたと、こういうことでございます。
  66. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 重ねてお伺いをいたしますけれども、そうしますと世界的な比較、少なくもOECDのような単位で考えたときには、こういった住民情報というのは原則公開ということが世の中の流れということではないというふうに理解してよろしいでしょうか。
  67. 堀部政男

    参考人堀部政男君) 住民基本台帳法のような制度につきましては、一方で保護しつつ他方で公開もする。この保護公開のバランスをどう取るのかということで各国ともいろいろ議論をしておりまして、OECDではこの種のものを調査したことはないんですけれども、やはり一方で個人情報の有用性もありますのでその利用をどうするのか、他方においてその保護をどうするのかということで、公開保護のバランスをいかに取るのかという観点議論が必要ではないか。そういうことで諸外国の状況も調査し、OECDなどでも、一般論といたしますと、そういった点でこれは一九八〇年のOECDのプライバシーガイドライン以降様々な形で議論をしてきております。
  68. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 次に、三木参考人にお伺いをいたします。  消費者の権利を守るといいますか、個人情報というものを大事なものだということで世論を喚起してこられた活動に敬意を表したいと思いますけれども、この個人情報に限らないんですけれども、どうも男と女というふうに対比をして考えた場合に、我々男性というのは、動物の世界もそうですけれども、どちらかというと戦うことを目的につくられているものですから、外からの、そういう自分の権利を守るとか自分の何かを守るということに対して、外からの脅威ということに対して余り感受性が強くないんですね。  それで、せっかくの機会でございますので御見解を承りたいんですけれども、個人のいろいろ情報がありますが、ここでは特に住所情報ということだと思いますけれども、それが広く行き渡ることによって具体的にどういう困ったことが起きるのか、何を失うというふうに考えておられるのか。先ほど来お伺いをしておりますけれども、もう一度、基本的なところをお話しいただきたいと思います。
  69. 三木由希子

    参考人三木由希子君) 住所情報が行き渡ることで直ちに何かを失うということではないというふうに考えております。ただ、どこに目線を合わせて個人情報保護について考えるかということが非常に重要だと考えております。例えば、単身の高齢者世帯とか高齢者二人世帯とか、単身女性世帯とか母子家庭とか、そういった方たちは知らない人に自分の住所、氏名を知られたくないというふうに考えている方たくさんおります。  それから、そういう情報が行き渡ったことによって、特に高齢者などは消費者被害に遭うというようなこともございます。ということは、多くの方は、多くの方というか少なくない方は、自分の名前と住所くらいいいとおっしゃる方もおられますけれども、そういう方に合わせて制度設計をしてしまうということは、やはり弱者というか、それを知られたくないと思っている人に対して大変配慮に欠けるというところがございますので、直ちに被害が、何か失うものがあるかというよりは、どの目線に合わせて制度設計をするかということ、その制度設計によってどのような制約を受けて、どのような利益を得るのかということをやはりきちっと議論すべきだろうというふうに考えております。そう考えますと、たかが住所されど住所ということなんだろうというふうに考えております。
  70. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 全くおっしゃるとおり、たかが住所されど住所ということだと思うんですね。  それで、私ども、国の中に生きておりますし、いろいろなコミュニティーの中で生きているわけでありますから、外部世界との接点というのはやはり住所、氏名なわけですよね。それが、今度のような改正ですと原則非公開ということになってまいります。そのことによって新たに得られるもの、確保されるもの、大きいと思いますが、同時に失うものも大きいのではないかなと。そこはやはり比較考量、今おっしゃったようにいろんなことを考えなきゃいけないんだろうというふうに思うわけですけれども、今おっしゃった知られたくないと思っている人が随分いるんだというお話でございますけれども、これは何か、公的なものでもいいんですけれども、この中にもちょっと載っておりますけれども、もっと大規模な意識調査のようなものは何かありますでしょうか。ありましたらちょっと御紹介をいただければと思いますが。
  71. 三木由希子

    参考人三木由希子君) 大規模というか、内閣府が行っている世論調査が最も規模の大きいものになると思いますが、現住所と氏名についてはたしか四〇%以上の方が他人に知られたくないということで回答されていると。年代間格差がたしか大変顕著だったというふうに記憶しておりまして、年齢層が高くなればなるほど他人に知られたくないと思う割合が減りまして、三十代、四十代がピークで大変多くなっておるというふうに記憶をしております。  ただこれも、他人というのも、知っている人に知られたくないというよりは、知らない人に知られたくないという意識だろうと思いまして、これは人としては大変自然な感情なのではないかというふうに考えております。
  72. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 最後に、田下参考人にお伺いをしたいと思うんです。  今回のこの法改正案は、個人情報住民情報原則非公開ということで原則を改めるという形になりますから、そうなりますと、そのことの被害を受けられる方、マーケティングをなさっておられるようなところ、市場調査、各種のDMで営業をやっているようなところ、いろいろ考えられるわけでありますけれども、今日はもっと反対論をおっしゃるのかなと実は思ってお聞きをしておりまして、おっしゃったことは大変ごもっともなことばかりというふうにお聞きをしたわけでありますが、ただその中で、DMに直接利用するようなやり方というのは、田下参考人御自身もあるいは業界もということなんでしょうか、もうすべきではないというふうに考えておられるやにお話があったと思いますが、そういう理解でよろしゅうございますか。
  73. 田下憲雄

    参考人田下憲雄君) 一定の規制があるべきだろうというふうに認識をしています。  で、マーケティングリサーチにつきましては、先ほど被害という言葉を使われましたけれども、大きな被害があるから私そういうことを申し上げているわけではなくって、それこそ市場経済の発展、国際競争力の強化のためには、それが使えるということが正しいんではないかということを申し上げているんです。業界がそれで特に大きな被害を受けるわけではございません。
  74. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 終わります。
  75. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人皆様に一言御礼を申し上げます。  本日は貴重な御意見を賜り、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)  午後一時三十分まで休憩いたします。    正午休憩      ─────・─────    午後一時三十一分開会
  76. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  住民基本台帳法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会内閣大臣官房審議官中村吉夫君、内閣府政策統括官榊正剛君、総務省自治行政局長高部正男君、総務省自治行政局選挙部長久保信保君、総務省統計局長衞藤英達君及び消防庁次長大石利雄君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  78. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 休憩前に引き続き、住民基本台帳法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  79. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 今回の法改正の背景には、住民基本台帳は、昭和四十二年の住民基本台帳法制定時から、住民居住関係について公証する唯一の公簿として原則公開されて、閲覧制度が設けられてきたと思います。ところが、近年では、不当な商業利用並びにドメスティック・バイオレンスとかストーカー行為への利用が問題になっておりまして、さらに昨年三月の母子家庭の少女をねらった刑事事件が発生したことから、原則非公開を求める声が強くなっておると。また、個人情報保護法が昨年四月一日に全面施行されたことも、住民基本台帳原則非公開への流れを強めたのが、これが背景じゃないかと思います。  そこで、閲覧の不当な商業利用等があったというふうに聞いておりますけれども、その実態とか、それに対しまして行政として今までどういう対応をされてきたか、そういったことをまず説明をお願いします。
  80. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 御指摘ございましたように、この住民基本台帳閲覧商業利用といったものが増えておりまして、平成十六年度の民間からの住民基本台帳閲覧請求件数は約百二十万件といった状況でございましたが、そのうちダイレクトメールなどの営業活動のための閲覧が七割弱、市場調査が約一割といったような状況でございます。  これも御指摘ございましたように、その一方で、内閣府が実施いたしました個人情報保護に関する世論調査などにも表れているとおり、個人情報保護に対する意識が高まっているところでございます。このために、特にダイレクトメールなどの営業活動のために住民基本台帳閲覧制度利用されていることが問題視されるようになったところでございます。  こういう中にありまして、個別に、私どもといたしまして、例えばドメスティック・バイオレンスが問題になった際にはその閲覧対象から外すといったようなこと、あるいは自治体によっては緊急に条例等を制定いたしまして閲覧について別途の定めをするといったような対応をしてきたところでございますが、いずれにしても、根本的な見直しが必要だということで今回改正案を提案させていただいたということでございます。
  81. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 これまで原則公開ということで来て、今御説明もあったようですけれども、基本としてなぜ非公開にするかと、そういう点をもう一度聞かせていただきたいと思います。
  82. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 住民基本台帳が広く公開されてまいりました理由といたしましては、法制定時におきまして、住民基本台帳居住関係公証する公簿であり、住民基本台帳何人にも公開することが住民利便増進に資すると考えられたこと、それから住民基本台帳の前身でございます住民登録法においても公開とされてきたことなどが考えられるところでございます。しかしながら、情報通信技術の著しい発展など、経済情勢の変化と、それに伴う個人情報保護に対する意識の高まりなどの中から、このような制度見直しを求める意見が強くなってきたということだと思っております。  このために、昨年、平成十七年五月から住民基本台帳閲覧制度等のあり方に関する検討会を開催いたしまして、個人情報保護しながらもいかにしてその適切な利用により住民利便増進を図るかといった観点から御議論をいただきまして、その結果、現行何人閲覧請求することができるという制度は廃止した上で、個人情報保護に十分留意した制度として再構築するといたしたものでございます。
  83. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 改正のポイントは、住民基本台帳原則非公開として、公益性が高いと認められる場合に限り閲覧を認めるというところにあると思います。  公益性の判断というのは、統計調査とか調査研究又は公共団体の活動に関しまして市町村長が判断をすると、こういうことであろうと思いますけれども、この公益性が高いと認められる場合に限り閲覧を認めることとした理由、この公益性というものもいろんな見方があって、なかなか判断するというのは大変だと思います。統計調査等の研究とか調査研究とか、公共団体の活動に関して行うといった理由でありますけれども、その点しっかりとした、その何といいましょうか判断基準というものがあるんでしょうか。
  84. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) まず、今回公益性が高いと認められる場合に閲覧を認めるということにした理由でございますが、今回の改正では、個人情報保護意識の高まりに対応して、ダイレクトメール等の営業目的の大量閲覧は認めないとしているものでございますが、どういった場合に閲覧を認めるかにつきましては、先ほど申し上げました検討会におきまして、個人情報保護しながらもいかにしてその適切な利用により住民利便増進を図るかという観点から御議論をいただいて、公益性の高いものについては引き続き閲覧を認めることが適当とされたものでございます。具体的には、国とか公共団体の機関が法令の定める事務の遂行のために必要とする場合や、世論調査学術調査等公益性の高い調査研究のために必要とする場合などは引き続いて閲覧を認める必要があるとするものでございます。  そこで、公益性の判断が難しいのではないかということでございますけれども、世論調査学術調査とか、ジャンルといたしましては、これともう一つ社会福祉協議会等の公共的団体が行う地域住民の福祉の向上に寄与する活動のうち公益性が高いと認められるものと、これらに閲覧が認められるわけでございますが、このうち世論調査、学術研究等の調査研究に関しましては、市町村長公益性の判断に資するように総務大臣が告示により基準を定めることとしているところでございます。また、閲覧を行った者や利用目的等を原則として公表することといたしておりまして、住民の目からもどのような閲覧が行われているのかといったチェックもできるものとなっているものでございます。  ただ、いずれにいたしましても、公益性につきましては、最終的には市町村長に適切に判断していただくべきものでございまして、私どもといたしましては、市町村における事例の積み重ねが重要ではないかと考えているところでございます。  総務省といたしましても、閲覧が認められた具体的事例を収集いたしまして、十分各市町村とも連携を取りながら、こういった情報を提供するといった支援に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  85. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 現行法では、住民基本台帳原則公開、どなたも閲覧できるということでありますが、しかし、不当な目的ということで市町村長は拒否できることになっております。この不当な目的の判断でも市町村長は非常に苦労をしていると思います。今回の改正で更に公益性の判断という、今御答弁いただいたんですけれども、別の苦労が加わるということになりますと、新制度を円滑するのになかなかこれまた大変であろうと思っておりますけれども、先ほども答えをいただいたようでありますが、そのことに対していま一度突っ込んで、対策等がありますれば教えていただきたいと思います。
  86. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 先ほど申し上げましたように、個別具体の事案については最終的に市町村長に適切に判断していただくという仕組みになっているところでございます。そういう中で、私どもといたしましてはやはり、こういう場合が公益性があるんだと、いろんな個別事案の積み重ねができてくると思います。そういう具体的な事例情報交換を密にすることによりまして、そういうことの中で全体として適切な運用が図られていくものと期待しているところでございますので、ともかく、市町村との連携を密にしながら情報交換に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  87. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 今日、個人情報保護に対します非常に過剰反応といいますか、あつものに懲りてなますを吹くというような感じがありまして、例えば同窓会名簿がなかなか集まらないとかいろんな事態が出ているようであります。  そういった中で、個人情報保護の流れの中で、そういった過剰反応という非常に難しいいろんな問題が出ている中で、原則非公開になっているんだからとにかく厳しくやった方がいいと、厳しければ何でもいいというようなことで判断がいろいろとされて、かえって皆さんが困るようなことが起こるんじゃないかと、こういう点があろうと思いますけれども、どうでしょうか。
  88. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 委員御指摘のように、個人情報保護について過剰反応なのではないかと、そういう見られるような状況がある、それに対していろんな御意見があるということは承知をしております。  言うまでもありませんけれども、そもそも個人情報保護法を制定したときの経緯は、これはやはり情報の時代、正に情報を積極的に活用しなければいけないんだと、活用するからこそ一方で保護が必要なんだ、そのバランスをしっかり取ろうというのがこのそもそも個人情報保護法の精神であったわけでございます。しかしながら、現実の運用においては、そのことを担当する担当者から見ると、確かに厳しくやっておいた方が自分自身のリスクが、何かあったときに責任を問われない、少なくなるのではないか、そのようなメカニズムが残念だけれども働いているのではないかと、そういう御指摘があるということだと承知をしております。  今回、我々としては、個人情報保護意識の高まりに対応するために、ダイレクトメール等、営業目的での大量閲覧は認めないこととした。これはやっぱり、これに対する批判は根強くあると思います。そういったことを定めた一方で、公益性の高いものなど、一定のものについては引き続き閲覧が認められるということをある意味で明示をしたわけでございます。  この趣旨を踏まえまして、市町村において適切な運用がなされるように、総務省としましても市町村の担当者向けに説明会を開催するということもやりたいと思いますし、やっぱりその意味では事例を積み重ねることの重要性というのは局長からも御答弁をさせていただきましたが、そのような情報が行き渡るように、しっかりと十分な周知に努めてまいる所存でございます。
  89. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 政府は法の全面施行から今後三年をめどに見直しをされるんですか、そういう中でやっぱりきちっとした、なるほどと、世間から見てこうだというふうなしっかりした基準ができることを期待して、終わります。
  90. 椎名一保

    ○椎名一保君 自由民主党の椎名一保でございます。質問をさせていただきます。住民基本台帳法に関連して質問いたします。  今回の住民基本台帳法改正によりまして、現行制度は大きく変わることになります。具体的には、閲覧できる場合が厳しく制限されるとともに、刑罰が導入されるなど罰則も大幅に強化されます。この改正自体は、個人情報保護意識の高まりという時代の流れの中で時宜を得たものだと私は思っております。また、閲覧制度悪用された事件が発生したことなども含めて考えますと、やはりやらなければならない改正ではないかと思っておるところでございます。  しかし、気になるのは、今、景山委員からもお話ございました過剰反応が、目に余る過剰反応が最近起こっているように思われます。住基法の改正がなされますと、こういった過剰反応に拍車が掛かるのではないかと危惧をしておりますけれども、この点につきまして、今の御答弁に重ねて大臣の御所見をいただきたいと思います。
  91. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 椎名委員御指摘のように、やはりこの法の趣旨を踏まえて活用すべきはしっかりと活用していただくんだと、保護すべきはしっかりと保護するんだと、そこをしっかりとそういう事実をつくり出していくことが我々の務めであるというふうに思っております。  今回の改正では、個人情報保護意識の高まりに対応するために、先ほど申し上げましたように、ダイレクトメール等を営業目的で大量閲覧すると、これはもう認めない、これはやめていただきたいと住民の方思っておられると思います。それは認めないとする一方で、国、地方、国や地方公共団体法令の定める事務の遂行のために必要とする場合、これは引き続き閲覧が認められるわけです。また、世論調査、学術研究などの調査研究のうち公益性が高いと認められるものを実施する場合等についても引き続き閲覧が認められるわけでございます。  したがいまして、よく指摘されるような過剰反応を惹起することはないというふうに考えておりますけれども、運用する側の運用でそうならないように、市町村の現場において新制度の適切な運用が図られますように総務省としても様々な支援や助言等を行ってまいる所存でございます。ここはきめ細かくやってまいりたいと思います。
  92. 椎名一保

    ○椎名一保君 この過剰反応で起きている具体例を少し申し上げさせていただきたいと思います。  災害時の要援護者に係る情報提供の共有問題でございます。地震、津波、風水害など災害が多発する我が国におきましては、高齢者や障害者や乳幼児などいわゆる要援護者を災害時にいかに迅速に的確に避難させるか、大変重要な問題だと考えます。ここ数年で起きた大規模災害の状況を見ましても、避難体制の整備、関係機関の連携あるいは避難支援ガイドラインに沿った取組の重要性を改めて認識させられたところでございます。  この点につきましては、内閣府や総務省、消防庁におかれましても真剣に対応されていることは承知しております。昨年度は災害時要支援者の避難支援ガイドラインの改定、また本年度にかけましては災害時要支援者避難支援プラン作成の手引などを作成するなど積極的な取組がございます。更なる推進が必要と考えておりますので、幾つかお尋ねをいたします。  三月八日付け総務省の報道資料市区町村における災害対応への取組状況、これは消防庁が全国二千三百四十九の市町村対象平成十七年四月一日現在の災害対応の取組状況を調査した結果でございますが、その中で、災害時要援護者の情報について防災部局が把握しているかという問いに対しまして、把握しているが二一・二%、把握していないが七八・八%。災害時要援護者への情報伝達訓練を行っているか、しているが七・三%、していないが九二・七%。災害時要支援者の避難行動支援について決まっているか、決まっているが二六・一%、決まっていないが七三・九%。  この調査結果についてどう御認識されるか、お答えいただきたいと思います。
  93. 大石利雄

    政府参考人(大石利雄君) お答えいたします。  御指摘のとおり、災害対応への取組状況調査におきまして、市町村における災害時要援護者の支援体制が十分に進んでいないことが明らかになったわけであります。消防庁では、その体制整備が急務であると考えております。  昨年三月に国の関係省庁で災害時要援護者の避難支援ガイドラインを策定いたしまして、市町村に対しまして災害時要援護者の避難支援プランの作成を要請をしているところでございます。また消防庁では、先般、避難支援プランの優良事例を取りまとめまして、これを通知することによりまして作成促進を働き掛けたところでございます。  今後更に、市町村における災害時要援護者に係る情報共有、それから災害時要援護者への情報伝達などの体制整備が円滑に進むように努めてまいりたいと考えております。
  94. 椎名一保

    ○椎名一保君 驚くべき調査結果でございますけれども、いずれにいたしましても、この一番最初の、援護者の情報について防災部局が把握しているか、これ把握していないのは八〇%近いわけでございますので、それ以下のことはこれはもうどうしようもないわけでございます。  災害時における要支援者の避難行動支援に当たりまして、まず必要なことは要支援者の状況把握ですが、その主な三つの方式、同意方式と手挙げ方式と関係機関の情報の共有方式、この三点が挙げられておりますけれども、それぞれのメリット、デメリットをお聞かせいただきたいと思います。
  95. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) お答え申し上げます。  本年三月に改定をいたしました災害時要援護者の避難支援ガイドラインでございますけれども、その中で、要援護者情報情報共有方式といたしまして三つの方式を紹介いたしております。  委員御指摘のように、同意方式というものは、要援護者一人一人に直接働き掛けて必要な情報を収集する方式でございます。必要な支援内容をきめ細かく把握できる反面、対象者が多数にわたるということになりますので、効率的かつ迅速な情報収集が、その点に難点があるということでございます。  手挙げ方式ということは、要援護者の登録制度をまずつくりまして、それを住民に広報、周知した後に、自ら要援護者名簿へ登録をしたいといって手を挙げていただくと、こういう方式でございます。これは、実施主体でございます市町村の負担は少ないというものの、要援護者への直接的な働き掛けをせずに要援護者本人の自発的な意思にゆだねているということでございますので、支援を要することを自覚していない方とか障害を有することを他人に知られたくないという方も多うございまして、そういった点では十分な情報収集ができていない傾向にございます。  関係機関共有方式と申しますのは、地方公共団体個人情報保護条例におきまして個人情報目的外利用、第三者提供が可能とされているという規定を活用いたしまして、要援護者本人から同意を得ずに、平常時から福祉関係部局が保有する要援護者情報等を防災関係部局、自主防災組織、民生委員といったような関係機関の方々の間で共有する方式でございます。被災者リスクの高いものを網羅的に特定、把握するという上で有効な方式だと思っております。さらに、本人からの確認があれば必要とする支援をきめ細かく把握することもできるのではないかというふうに思っております。  したがいまして、このガイドラインでは、要援護者情報の収集、共有に関して、原則としてまず関係機関共有方式によりまして対象とする要援護者の情報を共有しようと。その後に、避難支援プランを策定するために必要な情報をきめ細かく把握するために同意方式によりまして本人から確認を取りながら進めるというのが一番望ましいのではないかということで、そういう方式を推奨しているところでございます。
  96. 椎名一保

    ○椎名一保君 やはりこの同意方式と手挙げ方式、これは、本当になかなかこれは大変でございますよね。ですから、要援護者を早急に的確に把握するには関係機関の共有方式が有効であろうと私は思います。  しかし、市区町村の現場ではなかなか浸透をしているとは言いにくい。この理由と、早急に整備するためにどのようにしていったらいいのか、このことについて御所見をいただきたいと思います。
  97. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) この三月に出しましたガイドラインの中身でございますけれども、先ほども申し上げましたように、要援護者情報につきまして保有個人情報目的外利用、第三者提供が可能だという規定を活用いたしまして、要援護者の情報を避難の支援のために積極的に共有し活用すべきだというふうにいたしております。  その具体的な方法でございますけれども、福祉目的で入手した個人情報を避難支援のために利用することや避難支援者に提供するということは、本人の同意がなくても、要援護者の関係では基本的に明らかに本人の利益になるときに該当するものだというふうに私どもとして考えておるわけです。  行政機関個人情報保護法というのは言わば国を縛っておるわけでございますけれども、その場合にも、本人以外の者に保有個人情報を提供することが明らかに本人の利益になるというふうに認められるときには大丈夫だというふうに書いてある規定がございます。これと同様の規定を条例に置いておる場合は、そのままその規定を適用していただいて、先ほども申し上げましたような共有方式をやっていただければいいのではないかというふうに思います。  そういうような規定がない場合には、ほとんどの場合といいますか、私ども見た限りでは、公共団体条例では、保有個人情報を提供することについての個人情報保護審議会の意見を聞いて特別の理由があると認められるときという旨の規定がございます。したがいまして、明らかに本人の利益になるということが特別な理由に該当するというふうに考えておりますので、あらかじめ、個別にやるんじゃなくて、あらかじめ個人情報保護審議会にかけて、諮問、了承を得ることによりまして共有することが可能だろうということでございまして、そういうことを、ガイドラインでは審議会への諮問が必要な場合の具体的な手順も示しまして、情報共有の進め方の例も紹介いたしております。  この通達は、私ども内閣府と総務省消防庁、厚生労働省という三省庁の名前で連係プレーを取ってやるよということで御通知申し上げておりまして、そういう意味では、政府の意思としてこういう方式でやってくださいということを県、市町村に対してお願いしているということでございますので、こういった機会をとらまえまして着実に進展をさせていきたいというふうに思っておるところでございます。
  98. 椎名一保

    ○椎名一保君 現状では、市町村では関係機関共有方式を活用し、保有個人情報目的外使用、第三者提供のために個人情報保護審議会の審議等を得ることについて消極的なところが多く見られるというんですけど、このことについてどう思われますか。
  99. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) 委員冒頭に、昨年の四月一日現在の取組状況が、例えば八割近くが防災部局が把握していないではないかというお話ございました。実は、このガイドライン自体が昨年の三月出したばっかりですので、四月現在では、昨年の四月現在ではまずそんな状況ではなかったと思いますが、この一年間で多分相当進んだのではないかということと、それでもまだ不十分じゃないかということで、実は先ほど私が申し上げたような中身の取組も、具体的な手順まで示して、政府として三省庁連名でこういうことを、大丈夫なんだよということを公共団体に対して示して通達をいたしましたので、これを契機に、委員御指摘のようなことがないようにしっかり取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。
  100. 椎名一保

    ○椎名一保君 市区町村への取組状況の調査を改めてまたやっていただきたいと思います。  本来、個人情報保護法令は個人情報を有効に活用しながら必要な保護を図ることを目的としており、人の生命、身体、財産の保護に必要な場合は本人からの同意を得なくても個人情報を提供できるはずですと、私はそのように理解をしております。ところが、消防行政の最前線では個人情報保護法制の目に見えない壁にぶつかり、これは萎縮効果というんですかね、やっぱりそういうものがあるように思われます。  要援護者の情報把握がしにくい実態だと思っておりましたけど、今の御答弁で大分、市町村取組をきちっとやっていただいておるものと信じるところでございますんで、できるだけ早くまた新しい調査資料をお願いしたいと思っております。  先日、千葉県、私の出身の千葉県議会が、災害時に市町村の福祉部局で把握している災害時の要援護者の名簿を必要な機関や自主防災関係者に渡せるよう、個人情報保護法制を改正するよう意見書を提出しました。  各地団体がその趣旨を独自に条例化すれば事足りると言ってしまえばそれまででございますけれども、しかし我が国全体の問題として、実際起きている現場の混乱を法制的に解決すべく、例えば災害時の要援護者の状況把握のためであれば一定個人情報関係機関に提出し得る旨の規定を災害対策基本法や災害救助法の中に設けるなどの対応は取れないものか、あるいは関係地方団体個人情報保護法令の趣旨を十分伝達し、要援護者対策の充実を図ることが肝心と考えますが、改めてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  101. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) 個人情報保護法制といいますか体系は、個人情報保護法というのがあって基本理念がありまして、国の行政機関関係は国の行政機関関係保護法だよと、独立行政法人関係は独法だよと、こうなっておりまして、地方公共団体は、言わば国の行政機関個人情報保護法とか独法の関係保護法みたいな関係の部分は条例で規定しましょうねと、こういう法体系になっております。  したがいまして、公共団体個人情報の取扱い自体が自治事務に該当するということでございますので、災害対策基本法だとか災害救助法の中でそういうことを設けるというのは、それは体系としてはちょっと個人的にはいかがなものかという感じはいたしておりますが、先ほども御答弁申し上げましたように、委員御指摘のような趣旨が貫徹されるように、そういう意味では昨年の三月の私どものガイドラインの方は消防庁さんとうちだけで、言わば二省庁だけで、言わば防災部局だけの通達になっておったんですが、今回は厚生労働省さんにも御参画をいただいて、福祉部局と防災部局が連名できちっとした形で、なおかつその中身として、ちゃんと本人の利益になるときにはこういう形でやっていいんだよという手順まで示してやっておりますので、もう少し、今出したばかりではございますというところもあるんですが、これからもしっかりやっていきたいと思いますので、もう少し見守っていただきたいというふうに思っているところでございます。
  102. 椎名一保

    ○椎名一保君 法体系のことも承知しているつもりでございます。しかし、これは命にかかわることでございますので、一生懸命取組されておることは承知しておりますけれども、もうとにかく時間を置かないで充実をさせていただきたいと思います。  近年の地震、風水害では犠牲者の多くは高齢者が占めています。高スピードで進む高齢化の中、要援護者の避難支援体制構築は喫緊の課題であります。関係当局の一層の御努力を期待申し上げまして、私の質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  103. 二之湯智

    二之湯智君 自由民主党の二之湯智です。  午前中の参考人質疑で多くの方々から御質問ありまして、それで尽きるわけでございまして、私の質問も重複する部分がかなり多いと思いますけれども、お許しをいただきたいと思います。  まず、今回の住民基本台帳改正案についてお伺いいたします。  御案内のとおり、住民基本台帳閲覧制度については個人の氏名、住所、生年月日、性別が広く一般に公開されることが原則とされておりまして、行政施策に対する市民意見の把握や各種世論調査のための対象者抽出、営業活動としてのダイレクトメール発送対象者の把握等に利用されていますが、近年、本人の知らない間に広く閲覧され利用されることや、制度悪用したと考えられる事件が発生するなどの問題が起きております。おびただしい数のダイレクトメールや電話勧誘で多くの方々が迷惑を被っております。  これも、必ずしも役所から情報が漏れたというんじゃなくて、民間から民間への情報が漏れている、そういう部分も多いと思いますし、また先ほど我が党の木村議員がおっしゃったように、必ずしもダイレクトメールが来ることが迷惑であるというようなことでもないかと思いますけれども、しかし人はそれぞれでございまして、なぜ私の住所が漏れたのかというような苦情や問い合わせが役所に多く寄せられるようになりました。  そういうことを受けて今回の改正がなされたものと思いますが、今回の改正目的と、あわせて新制度の概要を御説明をいただきたいと思います。
  104. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 今、二之湯委員が御指摘になられましたように、本当に個人情報保護ということに対する我々の、私自身も含めてですけれども、感覚が随分と違ってきているというふうに思います。いろんなところからダイレクトメールが送られてきても以前は余り気にならなかったんですけれども、最近は、これ、どうして自分の住所を知っているんだろうということが自分自身も気になっております。  そういう問題意識の高まりというのが一つ大きな社会的な背景としてある中で、今回の改正では、ダイレクトメール営業目的での大量閲覧というのは、これはやはり今の台帳を用いた形での、個人情報保護法観点からやはり余りに問題が大きいであろうというふうに判断をしたわけでございます。そして、ダイレクトメール営業目的での大量閲覧を認めないこととしたと。しかし、その一方で、これまでいろいろな役割を台帳は果たしてきたわけでございます。  そこで、国、地方公共団体法令の定める事務の遂行のために必要とする場合、これは閲覧を認めるわけです。そして、世論調査、学術研究などの調査研究のうち、公益性が高いと認められるものを実施する場合等もこれも閲覧を認めるわけです。これをどのように特定化するのかと、アイデンティファイするのかというのは、これはいろいろ御議論があろうところだとは思いますが、そのような方向を今回の改正では明確にさせていただきました。また、あわせて、閲覧手続等の整備、偽りその他不正の手段による閲覧でありますとか、目的外利用等に対する制裁措置の強化などもこの中に織り込んでおります。  個人情報保護意識の高まりに対応した一連の措置であるというふうに御理解を賜りたいと思います。
  105. 二之湯智

    二之湯智君 今回の改正では、社会福祉協議会等の公共団体が行う地域住民の福祉向上に寄与する活動のうち公益性の高いものについては引き続き閲覧が認められるということで、少しは安心をしておりますけれども、気になるのは、そういった判断は市町村が行うということでございますですね。  既に営業目的や大量の閲覧、転記を禁止するなど、多くの自治体が法に先駆けて住民基本台帳閲覧に係る事務取扱要領を制定して、法の改正を待たずに閲覧の制限をしております。その自治体の数は全国的に百を超すと言われておりますが、こういうことは地域の実情に合わして判断するということも非常に大事なことだと、こう思います。  ところが、その一方で、市町村によって大きく取扱いが異なるということもまた困ったことであります。いわゆる公益性の高い活動の範囲をどのように考えるのかということですね。あるいは公共的団体とはいかなる団体なのかと、この線引きが非常に難しいのではないかと、こう思います。現実に、閲覧の制限をしている自治体では、民生委員方々が独居老人の安否情報あるいは生活保護世帯の実態把握、こういうことをしようと思っても、なかなか個人情報という壁にぶつかって十分情報を得られないということで活動がしにくいと、こういうことにもなっておるわけでございます。それと、役所の窓口で閲覧をさせろ、いや、させられないというような、こういうトラブルも恐らく起きているのではないかと思うわけでございます。  住民基本台帳業務全国一律の事務であるということから、国において統一的な見解を示されることが望ましいんではないかと、こう思います。先ほど答弁では、各自治体条例で定めるというようなこともおっしゃっておったところでありますけれども、この辺が非常に難しい見解だと思います。  この辺についてどのように対応していくおつもりなのか、お伺いをしたいと思います。
  106. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) お答えを申し上げます。  先ほど大臣から御答弁申し上げ、また委員も御指摘いただきましたけれども、今回の改正によりまして、国とか地方団体閲覧のほかに世論調査等で公益が高いもの、それから社会福祉協議会等の公共的団体が行う地域住民の福祉の向上に寄与する活動のうち公益性の高いと認められるもの等について閲覧が認められることになっております。どちらも公益性が高いということになっておりまして、認められる要件になっておりまして、御指摘ございましたように、この公益性が高いというのをどういうふうに判断していくのかというのが非常に大きな課題だろうというふうに思っております。  この点につきましては、総務省でつくりました検討会の中でもいろいろ御議論をいただきまして、特に世論調査等にかかわるものにつきましてはこの検討会の報告の中でも、例えば調査結果が広く公表され、その成果が社会に還元されているかどうかを基準とすること等が考えられるといったような御指摘もいただいているところでございまして、市町村長による公益性の判断に資するように、こういう世論調査に関しましてはこのような方向での基準を定めることといたしたいと考えているところでございます。  それからもう一点は、閲覧を行った者や利用目的等を原則として公表しておりますので、その辺のチェックということもあろうかと思います。  ただ、いかんせん、いずれにいたしましても、特に御指摘ございました公共的団体の部分につきましては、地域によっていろんな事情があり、いろんな判断があり得ようかと思います。そういう意味で、一義的にこうだということがなかなか決めにくい要素でございまして、この点は先ほども御答弁申し上げましたように、やはりいろんな積み重ねというものを、各団体いろいろ御苦労いただくわけでございますけれども、いろんな積み重ねをしていただいて、それらの情報を十分情報交換するというような形で、全国的に、何といいますか、この辺の円滑な事務の執行ということが図られるように努力してまいらなければいけないというふうに考えているところでございます。
  107. 二之湯智

    二之湯智君 次に、個人情報保護法に関してお伺いをしたいと思います。  冒頭申し上げましたように、個人情報保護法意識が非常に高まってきたというほかに、そもそもこの個人情報保護制度の誤解に基づくものも随分と地域、各地域であるようでございます。  非常に卑近な例でございますけれども、私の地元でも、少年野球のチームがチームの名簿を作れない、同窓会の名簿が作れないとか、町内会の役員の名簿も作れないと。いや、作ってもいい、公共的団体だから作ってもいいと、こう思うんでございますけれども、何かどうも個人情報保護保護というようなことが、地域の一人や二人が強く言いますと、役員の方がもう萎縮してしまって、もう余分なこと、文句を言われることはやめておこうと、こう思うんですね。  私ここで、これ持ってきたんですけれども、私の地元の少年野球の、去年までは氏名、住所、電話番号、生年月日、どこの小学校の学年だと、こういうことなんです。今年になったら、もうこういうことやめましょう、本人の名前と小学校の学年だけだと。こういう名簿では、何か友達同士がちょっと仲良くなって遊びに行こうと言ったって、君どこに住んでんだというようなことになりまして、あるいはまた、チームを構成するときに、どうもあの町内から選手が少ないから勧誘をしようと言ったって、だれがどこに住んでいるかさっぱり分からない、そういうことになっているんですね。  これは、後で申しますけれども、恐らくこの個人情報保護法の過剰反応の一例だと思いますけど、私たちは、地域コミュニティーにとって非常に有用な情報については、個人情報保護に十分配慮しつつも地域で共有することが非常に必要なことでないかと考えておるわけです。そういったことに余り過敏になり過ぎますと、隣は何をする人ぞというようなことになってしまいまして、地域の力を結集することができなくなりまして、地域の活力の低下を招いてしまうのではないかと、このように思うんですね。  我が党の総裁候補の中でも、地域社会をこれから復活させなきゃいけませんとおっしゃっている方もいらっしゃるんですが、さっぱり地域の人がどこにだれが住んでいるか分からないのに、どうやって地域の力を、活力を高めていくのかなと、こう思ったりするわけでございます。  そんなことで、今地域社会で一番大事なことは子供の安全、安心を確保するということですね。そういうことになりますと、やはり親が安心して子供を地域社会で伸び伸びと育て、そして学校も、安心して子供たちが勉強するためにも、やはり地域のある意味の、まあ余り濃密といいますとあきませんけども、人間関係が成り立ってなきゃ私はいけないんではないかと、このように思います。  このような行き過ぎた個人情報保護については、政府としてしっかりとこの個人情報保護の精神の周知を図っていただいて、私は誤解のないようにしていただきたいと、このように思うわけでございますけども、今までどのような対応を取ってきたのか、御説明をお願いしたいと思います。
  108. 中村吉夫

    政府参考人(中村吉夫君) 個人情報保護法につきましては、第一条の目的で「個人情報の有用性に配慮しつつ、個人権利利益を保護する」という目的が掲げられております。法律趣旨、内容をきちんと御理解していただくということが大変大切だというふうに思っております。  内閣府におきましては、これまで説明会を実施しましたり、パンフレットやリーフレット等の配布、あるいはインターネットの活用等を通じて法制度の周知を図ってきたところでございます。また、各省庁におきましても、事業分野ごとにガイドラインを作成し、周知を図ってきたところでございます。  先ほど先生の方から御指摘がありましたように、個人情報保護法が施行されまして一年余りが経過いたしましたわけですが、一方で、個人情報保護法につきまして国民意識が高まるとともに、また事業者取組も進んでいるということがありますけれども、一方では、法律に対する誤解等に起因をいたしまして必要とされる個人情報の提供が行われないというような、いわゆる過剰反応というような状況も一部に見られます。このため、私どもといたしましては、法の周知等につきまして各省庁連携を取って取組を進めていこうということで、先般、申合せを行ったような次第でございます。
  109. 二之湯智

    二之湯智君 個人情報保護法の法の施行以来、個人情報保護に対する国民意識が非常に高まってきたと、こういうことで、しかし、この法律の本来の趣旨が十二分に理解あるいは徹底されていないということで社会の至るところでいわゆるその過剰反応現象が起きていると、こういうことを私、先ほど申し上げたところでございます。  非常に笑い話でございますけども、私の秘書をしておる息子が最近スポーツジムに入った。で、息子が言うには、お父さん、僕が今プールで泳いでいる間にたとえ急用があっても、スポーツジムは絶対取り次がないと。たとえ両親であっても取り次ぐことができないという、そういう規定になっているよと、このように申しておったんでございますけど、これなどもちょっとおかしなことだなというようなことを思うわけでございます。  こういった過剰反応に対して、二月二十八日に内閣府を始めとする関係省庁が連絡会議を開催し、個人情報保護の円滑な推進についてという申合せを行ったと聞いておるわけでございます。この申合せの内容について、今後実施する予定の具体的施策なども含め、その概要の御説明と、いわゆる過剰反応対策にどの程度の効果を発揮するとお考えになっているのか、御答弁をお願いしたいと思います。
  110. 中村吉夫

    政府参考人(中村吉夫君) 先生から御指摘がありましたように、個人情報保護法につきますいわゆる過剰反応という問題につきましては、去る二月二十八日に関係省庁連絡会議を開催いたしまして、一つは、国民及び事業者に対しまして法制度の周知徹底を図ること、二つ目といたしましては、個人データを第三者に提供できる場合等を事例に即して明確化すると、こういうことなどにつきまして関係省庁で申合せをいたしまして、一体として取り組んでいくということにいたしました。  具体的には、一つには、インターネットを活用したり、あるいは説明会の実施等によりまして法制度の周知徹底を更に図っていくということ、それから二つ目といたしましては、本人から同意がなくても個人情報を提供できる場合等につきまして具体例を示しまして考え方を整理した、それから三つ目といたしましては、法解釈やあるいは運用の基準を明確化いたしまして関係省庁のガイドラインにつきまして必要に応じて見直しをすると、そういうことにつきまして政府全体として情報を共有していくということなどを進めていくということにしておるところでございます。  内閣府といたしましては、いわゆる過剰反応の解消につきまして、今申し上げましたような関係省庁と連携をしながら、個別の問題につきましてきちんと解釈を明確にするなどしまして実効ある取組が進んでいくようにしたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  111. 二之湯智

    二之湯智君 最後の質問になりますけれども、国勢調査についてお伺いしたいと思います。  国勢調査では、調査員が直接その人と会うことになっているようでございます。国民意識変化に伴い、調査員が訪ねても戸を開けてくれないだとか、残念なことですが、こういった調査の手法が非常に難しくなってきているということは事実であります。このため、調査員の中には、こんなもう難しい仕事はやめだということで、なかなか協力してくださらない方もいらっしゃいます。その一方、調査に協力的な人の中には、記入内容が漏れるのではないかといったプライバシー流出に対する不満を持つ方もいらっしゃると聞いております。  このように国民意識変化している中で、国勢調査もそのやり方を変えていかなければならないのではないでしょうか。総務省でも、国勢調査の実施に関する有識者懇談会を立ち上げ、検討を進めているようでございますけれども、五年後には本格的な調査が実施されます。国勢調査在り方に関する現在の検討状況と今後の見込みについてお聞かせをいただきたいと思います。  個人情報意識の高まりに応じて制度改正していくことは必要でありますが、余り行き過ぎると社会の力を生み出すもととなる信頼感を失わせることにもなりかねません。やはり中庸というのは大切ではないでしょうか。その点に十分配慮して、適切な制度見直し制度の普及に努めていただきますようお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  112. 衞藤英達

    政府参考人衞藤英達君) 国勢調査在り方についての現在の検討状況、それから今後の予定でございますが、今回の国勢調査につきましては全国的には順調に進んだものと我々認識しております。ただ、都市部を中心にいたしまして、オートロックマンションの増加、それから共働き世帯など不在がちな世帯の増加、それから先生御指摘の世帯のプライバシー意識の高まりなど、これらを背景といたしまして、一部において調査員が世帯と接触できないなど、調査困難な状況があったのも事実でございます。  そこで、これらの状況が忘れられないうちにということで、本年一月から有識者による懇談会を開催いたしまして、今回の調査で発生した様々な課題を含めまして、調査方法の在り方国民の理解を得るための方策、それから先生お話しになりました調査員の確保等々、幅広く対応策を今検討いたしておるところでございます。  今後、この懇談会におきまして、夏ごろまでに改善の基本的な方向を取りまとめることといたしておりまして、これを踏まえまして、次回、もう四年ちょっと先でございますが、次回以降の国勢調査の円滑な実施が図られるよう取り組んでまいる所存でございます。  以上でございます。
  113. 蓮舫

    ○蓮舫君 民主党・新緑風会の蓮舫でございます。  まず冒頭、大臣にお伺いをいたしますが、今回の法改正となった具体的なきっかけといいますか、理由というのをまず明確に教えていただけますか。
  114. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 具体的なとちょっとおっしゃったんですが、背景といたしましては、個人情報保護意識の高まりの中で、これまでの住民基本台帳閲覧制度等在り方がこれまででよいだろうかというような問題意識、これは我々も持っておりましたし、広くいろんな形で議論がなされてきたというふうに思っております。  一方で、先ほど申し上げましたように、やっぱり個人情報保護意識の高まりと同時に、その裏にはやはり、しかし一方でしっかりと活用すべきところには情報を活用したいんだという思いがございます。そもそも、先ほども申し上げましたように、個人情報保護法というもの自体が活用したいんだと、それと保護とのバランスを取ろうということでございますので、そういう全体の動きの中で、住民基本台帳を担当している我々としても、しかるべき制度の整備を図ろうというふうに考えたわけでございます。
  115. 蓮舫

    ○蓮舫君 個人情報保護法との関係ですとか、あるいは閲覧理由の七割が営業目的だったとか、DVやストーカー、去年の三月に名古屋で起きた大変痛ましい事件とか、いろいろ複雑な要因があって今回の改正にようやく動き出したと理解をしているんですが、確認をさせていただきたいと思います。  改正案では、閲覧できる場合の限定というのをうたっておられますが、個人は今後閲覧請求はできなくなるんでしょうか。
  116. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 今回の改正案におきましては、統計調査等の調査研究のうちで総務大臣が定める基準に照らして公益性の高いと認められるもの、それから、公共的団体が行う地域住民の福祉の向上に寄与する活動のうち公益性が高いもの、それから、営利以外の目的で行う居住関係の確認のうち訴訟の提起その他特別の事情による居住関係の確認として市町村長が定めるものと、これらが定められておりまして、特に②は公共的団体となっておりますが、①、③の方では別に法人団体というふうに限っておりませんので、例えばいろんな調査研究、あるいは③で申し上げました居住関係の確認といったものにつきましては個人法人が認められるというふうになるわけでございまして、これらに該当する限りにおきましては、個人住民基本台帳の一部の写し閲覧をすることができるということになっておるところでございます。
  117. 蓮舫

    ○蓮舫君 去年三月の名古屋の事件は、個人が音楽教室を無料で案内したいという理由で情報を入手していたんですけれども、そういう場合の閲覧はもうできるようになっているんでしょうか。
  118. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 個別具体の事案についてはいろいろあろうかと思いますが、閲覧写し閲覧ができる場合につきましては、先ほど申し上げましたような三つのものに限られているわけでございまして、これは一般的には、営業目的ということになりますればなかなか閲覧はできないということになろうかと思っております。
  119. 蓮舫

    ○蓮舫君 いや、営業じゃなくて無料開放なんですが。
  120. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 行う団体が、先ほど、今の事例でいいますと、公共的団体が行う地域住民の福祉の向上に寄与する活動のうち公益性が高いというふうに個別に市町村長が認定するかどうかということにかかわるものだろうというふうに思っております。
  121. 蓮舫

    ○蓮舫君 市町村長が個別に公益性が高いか判断をする、その前に、総務大臣が基準として、調査結果が広く公表され、その成果が社会に還元されていることとあるんですが、この基準はいつ決めるんですか。で、どういう内容になるんでしょうか。
  122. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 確認のため申し上げますけれども、今申し上げました総務大臣が定める基準というのは、統計調査世論調査その他調査研究のうち公益性が高いものに関して総務大臣が定める基準というものを作ろうということでございます。  これは、施行に当たっては必要になりますので、この今回の改正をお認めいただければ、施行までの間に整備して対処したいと考えているところでございます。
  123. 蓮舫

    ○蓮舫君 法案の審議をしているときにその基準をお示しいただかないで、何の公益性議論をしろと言っているんでしょうか。
  124. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 大変失礼いたしました。時期だけのお答えをさせて、申し訳ございません。  この公益性の判断につきましては、先ほどちょっとお答え申し上げましたけれども、検討会の中でもいろいろ御議論いただきまして、この検討会報告の中では、例えば調査結果が広く公表され、その成果が社会に還元されているかどうかを基準とすることが考えられるというような報告をいただいているところでございまして、こういう方向で基準を定めたいと考えております。
  125. 蓮舫

    ○蓮舫君 済みません、先ほどそれ、私、全く同じことを聞いて質問したんですが。  その公益性の基準は更に深くそこから掘り下げて決めるわけですよね。今その法案の審議をしているわけですよね。法案の審議をしているときに公益性の基準を具体的にお示しいただかないで、法案が通ったら自分たちが決めるというのはどういうことなんでしょうか。
  126. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 法文の規定では公益性が高いと規定させていただきまして、具体の、その総務大臣が定める基準という形で、具体的に判断に資するものを示させていただきたいということでございます。  それで、公益性の判断要素として、世論調査等においては、その調査結果を自分たちのものだけにしないで、その結果が広く公表されて、その成果が社会に還元されるようなものについては公益性が高いと認められるのではないかという判断の下に、総務大臣の定める基準としてこういうことを定めたいということでございます。
  127. 蓮舫

    ○蓮舫君 成果が社会に広く還元されていることの線引きというのは、例えばDMは駄目だけれども市場調査でそこに公益性がある場合はいいというふうになるんですが、その基準て何なんですかね。
  128. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 住民基本台帳利用して一定調査をするわけでございますので、その調査結果が社会に役立つもの、広く公表されればそのことによって社会でいろんな役に立つだろうと、そういうのが一つのメルクマールになるのではないかというのが、この検討会でいろいろ議論された末、一つの判断要素としてお示しいただいたものだということでございます。
  129. 蓮舫

    ○蓮舫君 考え方次第だと思うんですよね。社会にとって広く役に立つだろうというのは、例えば商品開発のための市場調査の場合、その市場調査住民が欲しいと思っているもの、願っている商品が結果として開発されて販売されたらそれは住民の利益にもつながるわけですが、これは公益じゃないんですか。
  130. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) まあその辺は、具体の線引きはいろいろ難しいところあるとは思いますけれども、今回一つは、営業目的の大量閲覧といったものについては認めないという判断に立っておるところでございます。言ってみれば、委員おっしゃられたように、いろんな商品開発、あるいは営業行為だって、状況によっては広い意味では公益だという判断することだってあり得るのかもしれません。  しかし、今回の議論の中では、調査結果を公表する、公表することでいろいろ利用されるということが一つのメルクマールとして考えられるのではないかということで、御議論いただいて報告をいただいたということでございますので、そういう方向で考えたいということであります。
  131. 蓮舫

    ○蓮舫君 考え方によって、その公益性というのはいろいろな観点があるんですね。ですから、今お話をさせていただいてもしっかりとかみ合っていないところがある。ですから、法案審議ですから、きっちりと総務大臣のお示しする基準をもっと具体的にお示しをいただかないと、ここで公益性というのを議論ができないんではないですかと御指摘をさせていただいているんですが、これ以上話しても時間が無駄だと思いますので、やめます。また同僚の議員が伺うと思います。  法改正が施行されて以降、各自治体公益性の判断にばらつきが出るということは、これは総務省としても政府としてもあってはいけないんだと思います。そうなると、相当、地域地域に応じたいろいろないわゆる住居体系というものを想定した統一のガイドラインというのを作る必要があると思うのですが、このガイドラインを作られるおつもりはあるのでしょうか。
  132. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) これも先ほど申し上げましたけれども、世論調査等につきまして、公益性の判断の総務大臣の基準といたしまして、委員は御指摘、必ずしもはっきりしてないという御指摘いただきましたけれども、調査結果の公表といったような視点での基準を定めようと思っておりますが、そのほかの閲覧の認められる場合につきましては、非常に個別性というか、地域によるもの、あるいはいろんな事情の差というのがあろうかと思いますので、これについて、まあこれがどの程度のものになってくるかというものにつきましても、今の時点で明確にどの程度のボリュームになって出てくるのかというのもちょっとよく分からないところございます。  ですから、まあこの辺は各市町村長の判断の中で、いろんな判断が積み重なってくるものをいろいろ情報交換する中で円滑な運用が図られるように我々としても努力していきたい、こういうふうに考えているところであります。
  133. 蓮舫

    ○蓮舫君 法改正が行われるまでに、まあ今こういうふうに住基台帳法改正案が進んでいるというのを関係団体関係企業の方たち、お分かりいただいていると思うんですが、じゃ法改正が行われるまでに、厳しくなるまでに大量閲覧をしてしまおう、いわゆる駆け込み閲覧ですね、これ行われる可能性、否定できないと思うんですが、それにはどういうふうに対応しようとお考えでしょうか。
  134. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 不特定多数の住民にかかわる住民基本台帳の一部の写し閲覧請求の取扱いにつきましては、このような検討と併せて、昨年の六月に、審査に必要な相当の期間を確保することと、あるいはその際に請求事由を明らかにさせる観点から法人登記、プライバシーポリシー等の資料を添付させること、目的外の使用や第三者への情報提供をしないことについて誓約書を提出させること等の内容を含む通知を発出いたしまして、現行制度においても厳格な運用をするように助言を行っているところでありまして、この線に沿って対応していただいているというふうに思っているところであります。  現実に、この検討会議論あるいはその報告については、いろいろ情報提供させていただいている中で、地方公共団体によっては、今委員御指摘いただきましたように、駆け込みの閲覧というのはあるのではないかというような懸念を持たれるところもあるわけでございます。今のところ、特段そういう状況について私ども情報は持っておりませんけれども、私どもといたしましては、このように抜本的に改めた改正案を提案させていただいているところでありますので、これについて御理解をいただいて、一日でも早く施行したいと考えているところであります。
  135. 蓮舫

    ○蓮舫君 一日も早く運用する前に、その間に駆け込みの閲覧が起きないようにどのような対応をしていくんですかという御質問をさせていただいていて、御理解をいただいて早く改正したいということではないんですよ。  現段階でも通知で厳格な運用をお願いしているとおっしゃっていますが、私どもが視察をさせていただいた例えば三鷹市、極めて積極的に条例を行って厳しい指導をされておりますけれども、一方で、こうした個人情報に対する意識というのは日本全国自治体見ると相当ばらつきがある。あるいは、市町村の合併の影響もあって、まだその個人情報保護あるいは閲覧の、どういうふうに開示していくか、そこの整理も行われていないところも種々、様々あるわけでございまして、どんなに厳格な運用をお願いしても自治体の事情というものもある。  だからこそ早く法改正をということなんですが、法改正が行われるまでの駆け込み閲覧をどうやって総務省としては避けようとされているのか聞いているんです。
  136. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) この点につきましては、先ほどお答えいたしましたように、通知をいたしまして、審査に必要な相当の期間を確保する等々、先ほど申し上げたような形で現行制度でも厳格な運用をしていただくようにお願いしているところでありまして、この趣旨に沿って各市町村においては対応していただいているというふうに認識しているところであります。
  137. 蓮舫

    ○蓮舫君 厳格な運用をお願いしているということは、そのお願いを受け付けない自治体にはどうするんですか。
  138. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 法律に基づいて行政をするということになりますので、現行制度現行制度に基づく運用をさせていただくということになるわけでございますので、現行制度の中でできるような厳格な取扱いを私どもとして助言いたして、それで対応していただくように精一杯周知をしていると、こういう状況であります。
  139. 蓮舫

    ○蓮舫君 現行の法制度に問題があるから法改正しているんじゃないですか。その問題のある現行制度運用を聞いているんじゃないんです。現行制度に問題があって法を改正しようとしていて、問題がないように改正しようとした法までの間、施行されるまでの間、ここで問題が起きないようにどういうふうに対応しているんですかと伺っているんです。
  140. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 法律に基づいて住民基本台帳制度運用されているわけでありまして、法律改正されない限りは現行制度の中で運用していただく、この中で問題を生じないように運用するというのが私どもの仕事だというふうに思っております。
  141. 蓮舫

    ○蓮舫君 現行制度に問題があるから法改正を行うんです。そのための審議を行っているんです。それなのに、法改正をする前の現行で厳格な運用をしていくと。ここに埋まらない穴があるというものを御質問させていただいているんですが、どうぞもっと柔軟な御理解をしていただきたいとお願いを申し上げます。  冒頭で大臣からも御答弁いただきましたけれども、DVやストーカー、あるいは去年三月の名古屋の事件、こういうものが今回の改正が行われて発生しないように是非御努力をいただきたいと思うんですけれども、名古屋の事件で逮捕された犯人は、自宅から百八十人分の母子家庭などの子供の情報のメモが押収されています。これは閲覧情報から入手したものだと報道されています。  今回の改正で、こうしたように個人情報が簡単に入手されてしまうような事態というのは起きなくなるんでしょうか。
  142. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 今回の改正につきましては、何人でも閲覧できるという基本的なところも改めまして、閲覧できる場合を限定させていただいたわけでございます。それに加えまして、請求手続等についても従来に増して丁寧に対応するようにお願いをしているところでございます。  こういう形で的確な運用がなされれば、問題を生ずることは、まあ人の運用することでありますので、絶対ないということをここで申し上げるわけにはいきませんが、的確に運用していただければかなりのものが問題ないような形になるのではないかというふうに私どもとしては思っております。
  143. 蓮舫

    ○蓮舫君 大変御苦労されていると思います。  一方で、その住基台帳は公開しなきゃいけない、でも一方で個人情報保護しなきゃいけない。このはざまって大変グレーなゾーンがありますから、どういうふうに厳格に運用するのか、法改正するのか、御努力されていると、そこは評価をしております。ただ、やっぱり事件が安易に起きてはいけないんだというふうな観点から二点確認さしていただきたいんですが、今回の改正で、閲覧した情報の廃棄、これも自治体が管理をするというふうになってるんですが、どうやって管理するんでしょうか。
  144. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 今回の改正案の中では、この閲覧請求を申し出るに当たりましていろんなことを明確にしていただくことになっておりまして、その中の一つで、閲覧事項の管理の方法というものについて規定をしております。したがいまして、こういうことについて申し出る方についてはきっちり明らかにしていただくこととしているわけでございます。管理の方法の中には、何といいますか、用を達した後の取扱い等についても必要に応じて聞くことになろうかと思います。  現実にどう管理をするのかという御質問でいいますと、請求するに当たって厳格な審査はさせていただくということになろうかと思います。ただ、現実に閲覧したものを持って、この閲覧した方々情報を持っているわけでございますから、それは市町村とは別のところにあるわけでございますので、管理するといっても当初のところでしっかり見るということが一つでございますし、当初というのは、つまり閲覧の申出のところでどういうやり方でやるんですかということをきっちり確認をするというのが一つでございます。  それから、制度的にいいますと、今回の法律で、目的外の利用については、それから第三者への利用ということにつきましては制裁措置も加えておりますので、こういう法制度の中で対応する部分もあろうかと思います。  それからもう一つ、いろんな情報が得られて問題事例があるということになりますれば、これも今回の規定で入れ込んでいるところでございますが、この規定の施行、この条というのはつまり閲覧のところでございますが、この条の規定の施行に必要な限度において、申出者に対して必要な報告をさせることができるというような規定も設けておりますので、こういうものを包括的に活用しながら今委員御指摘のようなものについては対処していくことになるというふうに思っております。
  145. 蓮舫

    ○蓮舫君 御努力は大変分かるんです。ただ、今のこの情報化社会、デジタル化時代におきまして、一度入手した情報を、それを手書きで更に写すとか、そういう紙で更にコピーをするという時代ではなくて、デジタルで取り込んでしまったら大変小さなフロッピーでもデータ化をしてしまうことが可能だと。しかも、防衛庁なんかでも明らかになっているように、それを職員が勝手に自宅のパソコンにインストールをして持ち込んで、それがウィニーで流れてしまったという事態が後から後から起きてきているわけですね。  だから、そのデジタルの情報のその外に漏れる危険性というのはこれは御共有いただけると思うんですが、今御説明いただいた、やはり厳格な審査をする、そこで管理をしていくんだ、そこに対しては制裁措置や報告もさせることができるというんですけれども、午前中の参考人の御意見を伺ってますと、それは性善説に立ってますねという話があったんです。性善説に立てば分かるんです。言われたときにそれは報告するし、言われたときにこれは制裁措置だからやらないようにしようとするんですけれども、でも世の中、性善な人ばかりだとはなかなか思えない社会でもありまして、この情報が、やはりどうやって廃棄する、どうやってその目的だけに使われる、目的以外には使われていないんだというのを市町村が管理するのかって、極めて難しい問題だと思うんですよ。  視察をさしていただいた三鷹市では市長が言ってました。現段階では、私どもはその信頼関係において、閲覧を申し出たその団体との信頼関係において廃棄してくださるであろう、目的外には使わないであろう、第三者利用には使わない、二次利用に使わないであろうという信頼関係でしかない、だからこれは国にお示しをいただきたいということを言ってたんですが、そこには十二分にこたえている先ほどの答弁だと思うんでしょうか。
  146. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 御指摘の点は、懸念については私どもも共有しているところでございます。つまり、閲覧により得た情報がこういう社会の中で場合によっては非常に転々流通してしまう、大量に出てしまうという懸念は共有しているところでございます。  ただ、今回の制度というのは、結局のところ、個人情報についても保護と活用のバランスをどういうふうに取っていくか、そういう世界の中でどういう組立てをしていくのがいいのかということで考えざるを得ない部分がありまして、今回は閲覧対象を絞っていく、そこを厳格に審査する、そこでまず一つきっちりやると、その上で、それから先で目的外に出してしまったとかというようなことになれば一定のペナルティーも用意するというようなことの中で制度を設計させていただいたということでございます。  委員御指摘の、全く、何といいますか、悪意でやられた方をこの制度で完璧に防げるかと言われれば、それは精一杯努力するということにならざるを得ない部分があるんだろうというふうに思いますけれども、いずれにしても閲覧申請のところで、閲覧の申出のところできっちり審査して、そういう問題が起こらないように努力することが肝要だというふうに思っております。
  147. 蓮舫

    ○蓮舫君 今のは、入口の話は大変理解できるんですけれども、出口なんですよね。入手して、閲覧して情報を入れた入口、それが第三者に渡らないか、ほかの目的で使われないか、この出口をどうやって管理するのかということなんですけれども、今おっしゃったように、そこには制裁措置を科しておられるというんですが、それは閲覧をした事業者、あるいは団体だったり個人だったりするんですけれども、その人たち目的外使用をしたときには制裁措置と今回の改正案には書いてありますけれども、例えば第三者が、特に営利目的で今回はもう閲覧ができなくなりますから、第三者が、ここの機関は持っているであろうとして、その閲覧情報を入手しようと働き掛けた場合というのは今回の改正対象にはなってないんですか。
  148. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 第三者利用目的外利用は禁止されているわけでございまして、それとの絡みになるわけでございますが、第三者が当然のことながらそういう情報を盗むというようなことになれば別途の法体系で規定されることになると思いますし、それを持っている人が分かっていて第三者に渡すということになれば、第三者に渡したことになる今回の制裁の対象になるということだろうというふうに理解いたすところでありますが。
  149. 蓮舫

    ○蓮舫君 幾つかの市町村では個人情報保護条例等で整合を付けているんですけれども、閲覧情報の第三者提供や保有を不正記録行為とみなして禁止して、自治体の責任として回収をしたり、その閲覧公開した情報を回収をしたり、あるいは不正に使ったその団体等をいわゆる公表したり、閲覧情報の提供を禁止をするというような措置をとっていて、極めて有効にこれが機能しているということなんですが、そういうふうな情報の入口と出口をきっちりと、やはり不正に使われることはないんだというような運用を今後、自治体に働き掛けていくというようなお考えはおありでしょうか。
  150. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 今回の法律の中でも、この十一条の二の八項、九項等々の規定がございまして、一定の場合に、例えば変な形で使われるおそれがあるというような場合には勧告し、命令を出し、命令に従わない場合には刑罰が科せられるといったような制度も担保しているところでございますので、一定の場合にはこういうものを使って対処していくということになるんだろうというふうに思っております。
  151. 蓮舫

    ○蓮舫君 この法改正が行われたとして、じゃ法改正が行われる以前に閲覧で入手した情報を持っているところは、その情報はどうすればいいんでしょうか。
  152. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 持っているところについても、それは既存のもの、既存の法体系の中でいろいろあろうかと思いますけれども、この住民基本台帳法の適用という観点からいたしますと、ある意味では制限の遡及ということは難しいわけでございますので、今回の規定を過去のものにストレートに適用するというのは一般的には難しいことだというふうに思います。
  153. 蓮舫

    ○蓮舫君 いや、遡及ができないという前提でやはり聞くとそうなるということは、なおさらやはり、改正するまでのいわゆる駆け込み閲覧も含めてなんですけれども、これまで持っているであろう情報も含めてなんですけれども、大変難しいかもしれませんけれども、そこは十二分に御注意をいただいて運用をしていただきたいとお願いを申し上げたいと思います。  今回、閲覧情報から個人情報が安易に流出しないようにという観点から改正を行っていくんですが、報告書では、住民票写し等の交付制度についても、手続の明確化など所要の見直しを行うべきとあるんですが、今回の改正では住民票の一部の写し交付対象外になっているんですけれども、これはどうしてですか。
  154. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 全体の中で、報告書の中にも若干触れられているところでございますが、今回は閲覧についての対象ということで改正をさせていただいているところでございますが、住民票写し交付につきましては、相手の住所、氏名が特定されることが必要だということが一つと、また、当該特定のものと基本的にどのような関係があるのかといったことを疎明することが求められているということでございますので、閲覧制度として比較いたしまして、既にかなり厳格な運用がなされているということが一つございます。  それからもう一つ、同じような、類似といいますか、同じように写し交付といったような制度がございまして、戸籍関係がございますけれども、この戸籍の謄抄本の交付に関して、現在、法制審で検討が行われているところでございます。この住基と戸籍というのは同じような形で来たような経緯もございますので、なおかつ戸籍情報の方が住基に比べますとよりセンシティブな情報を含んでいるというようなこともございます。ですから、そちらの状況をよく踏まえながら、我が方としても的確な対応に努めてまいりたいというふうに考えているところであります。
  155. 蓮舫

    ○蓮舫君 情報保護という観点から今回の改正を行うんであったら、そうやって時差を付けて一つ一つ、戸籍は夏までに法制局の、今話し合っているところから答えが出てくるのを待っているということではなくて、やっぱり一体的な改正というのが私は必要だと思うんですが、今御答弁いただいたように、厳格な運用は確かになされているんでしょう。ただ、新聞社の調査を見ますと、東京都二十三区、道府県庁所在地四十六市のうちで、四十の市で住民票交付の際に申請者に身分証の提示を求めていなかったという事実がありました。また、請求事由を明らかにしなくてもいい行政書士などによる職務請求用紙の不正使用などの事件も、これも後を絶たないわけでございます。そう考えると、住民票の一部の写し交付もなお一層厳格な運用をするべく、今回の住基台帳閲覧時と同じような厳しい一体的な見直しを行った方が私は整合性が取れるんではないかと思いますが、こういう議論はいかがでしょうか。
  156. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 先ほどお答え申し上げましたけれども、全体としてどういうタイムスケジュールでやっていったらいいのか、それは一体で全部見直す、が完璧にできれば、それが望ましいということは一般論としてはあるのかもしれませんが、いろんな状況の中で閲覧制度見直しについて対応させていただき、抄本については、ただいま申し上げましたように、かなり厳格な運用だというふうに考えておるところでございますので、戸籍制度見直しの動向等も踏まえながら、我々、的確な対応を図るのがいいのではないかというふうに現時点では考えているところでございます。
  157. 蓮舫

    ○蓮舫君 個人情報保護法の十八条なんですが、個人情報取扱業者個人情報を取得した場合、本人への通知義務というのをこれ課しているわけですね。そうなると、せっかくですから、今回の住基法を改正するんであれば、住基台帳を閲覧した団体等、あるいは住民票交付が行われた場合、記載者に対してこういうふうに情報閲覧されました、住民票交付されました、こういう通知も併せて行うのは整合性が取れるんではないですか。
  158. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) まず、閲覧の方につきましては、閲覧というのはかなり多数の人を相手に閲覧するという格好になっております。そういうこともございますので、今回の制度では、この今回の改正の中にどういう閲覧があったのかということを公表するという仕組みを入れさしていただいているところであります。  それから、抄本の交付についていいますと、年間、写しの、抄本の交付の方ですね、交付の方についていいますと、年間八千万ぐらいの件数がございます。また、公証という制度でやってきた経緯もあるわけでございまして、御指摘のようなことがそういう観点から見たときにどうかという議論はあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、戸籍の方の見直しの状況と合わせながら、私どもとして検討していきたいというふうに思っているところであります。
  159. 蓮舫

    ○蓮舫君 数が多いから、事務作業が大変になるから、だから本人にそれを通知するのは手間だというような趣旨の御答弁だと困るんですけれども、やっぱり個人情報というのはそれだけセンシティブなものでもあるということをどうぞお分かりいただきたいんですが。  閲覧方法は、これは法改正では住所順が基本ということになっていくんでしょうか。
  160. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) どのような形で閲覧に供するかについても検討会議論があったところでございます。委員も御案内かと思いますが、現行制度の中での対応の中で、世帯ごとにつづられているものよりもあいうえお順の方がいいのではないかとかといった対応があるところでございますが、この辺については、検討会の報告の中でも、今回閲覧仕組みそのものについてきっちりするということで対処することからすると、そもそも住民の居住についての公証のシステムだということからいたしましても住所順がいいのではないかというような報告をいただいているところでございます。
  161. 蓮舫

    ○蓮舫君 つまり、住所順ですと、家族構成とか世帯構成が一目で分かるんですね。独居老人ですとか、あるいは母子家庭、父子家庭ですとか、小さいお子さんがここの世帯にはたくさんいるとか、いろんなことが併せて分かってしまう。この恐怖が実はありまして、皆さんも恐らく御経験されていると思いますが、もしお子さんおられるんであったら、生まれたときから、保育園へ入るとき、幼稚園へ入るとき、学校に上がるとき、その年齢に合わせたダイレクトメールが届くと。どうして、うちの子供の年齢、男女別までこんな分かるのか、閲覧情報じゃないのかという不安をやはり持つわけですよ。これだけ子供の事件が多いときに、子供の情報が安易に流れてしまう、この不安をやはり何とか法改正でカバーをしていただきたいんですが、これは大臣、どうお考えになるか分かりませんけれども、提案なのかどうなのか、考え方として成り立つのかどうかも分からないんですが。  例えば、子供の年齢が端的にゼロ歳児とか二歳児とか分からないように、小学生なら小学生以下とかざっくりとか、義務教育で中学生なら中学生とか、そういうふうな幅広い子供表記みたいな形で、年齢が特定できないようなそういう工夫というのは今後検討することは可能なんでしょうか。子供の安全という観点でお考えをいただきたいと思います。
  162. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 今の御質問、今までの蓮舫委員の御質問のすべて、やはりある意味でつながっていると思うんですが、住民基本台帳の今の機能とそしてその閲覧というそのものをもっと根本的なところから考え直す必要も場合によってはあるのではないかと、そういうことにつながるのかなというふうに考えながらお聞きをしておりました。  生年月日というのは、これは法律上、今の枠組みでは、これ記載事項、言うまでもなく記載事項でございます。これは、それはそれで意味があるわけですね。つまり、今の名簿、これは選挙人名簿に登録させるかどうかであるとか、児童手当の支給を受けることができるかどうか。その意味では、今の枠組みを前提とするならばこれしか仕方がないということになるわけでございます。  その場合に、今委員がおっしゃった、年齢が分からないようにする、子供であるということだけが分かる、中学生、小学生程度は分かるとか、そういうようなことを言っておられるのかと思いますが、それが今の枠組みの中で、事務の煩雑さも含めてできることなのかどうかという問題はやはり実務上はあるんだと思います。  ただ、今日のお話も、全部に通じるわけですけれども、本当に性善説であるならばできるだけ活用していただければいいし、性悪説であるならば一切禁止するということにもなろうかと思うんですね。そこは、だから住民基本台帳、これは日本だけですね。日本だけではないかもしれませんけれども、あと一か国ぐらいあるという説もありますけれども、普通、アメリカ、ヨーロッパではこういう制度はない、ないですね。  そういう意味では、この制度、我々の独自の制度を、せっかくある、便利といえばすごく便利です、これをどのように活用していくのか、個人情報保護の中でやはり、長い目で見ますと、住民基本台帳在り方そのものを引き続きやはり議論していくしかないのかなというふうに思っております。  今般は、その意味では、今の枠組みを前提としながらも、個人情報保護の今の社会的な要請に対応できるようにという改正をお願いしていると、そのような位置付けでございます。
  163. 蓮舫

    ○蓮舫君 ありがとうございました。終わります。
  164. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 民主党・新緑風会の那谷屋正義でございます。  この間、竹中大臣とは様々な委員会質疑をさしていただいて、もう顔を見るのも飽きたというふうに言われてしまうかもしれませんが、実はこの総務委員会の場で様々視察をする中で、この間も申し上げたんですが、初めて知ることが本当に多いんです、恥ずかしいけれども。これ、先日でいえば、日本の標準時、世界の標準時もそうでありますし、私は住民基本台帳というのを初めて、この間三鷹で初めて見たという非常にのんきな人間なんだなというふうに思っているわけでありますけれども、しかし大変勉強になり、またこれは本当に大事な案件なんだなということを認識した上で質問させていただきますので、是非真摯に御答弁をいただけたらと思います。  今回の法改正に至るまでの様々な経過についてはもうるるお話がございましたので省かしていただきますが、この第一条ですね、今回改正対象になっておりませんけれども、「この法律は、市町村において、住民居住関係公証選挙人名簿の登録その他の住民に関する事務処理基礎とするとともに住民住所に関する届出等簡素化を図り、あわせて住民に関する記録の適正な管理を図るため、住民に関する記録を正確かつ統一的に行う住民基本台帳制度を定め、もつて住民利便増進するとともに、国及び地方公共団体行政合理化に資することを目的とする。」と規定しているわけであります。今この法律改正の背景となりました現実というものを真摯に受け止めるならば、特に近年では、住民居住関係公証住民利便増進するよりもむしろ住民の利益を侵害することに使われる場合が多いのではないかというふうに思うわけでありますが、大臣に見解をお尋ねしたいと思います。  また、あわせて、この問題意識からするならば、同法改正に当たっては、まず優先されるべきは住民居住関係公証住民利便増進するの、それぞれの意味と関係を改めて問い直すことが必要ではないかというふうに思いますが、見解をお願いいたします。
  165. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 今冒頭で那谷屋委員が御指摘になられたように、私も実は改めて、ああそういうふうになっていたのかと初めて知ること、正直言って随分とございます。それだけ総務省、そしてこの総務委員会で御議論いただいていることが実は国民生活と非常に密接に関連しているということの表れであろうというふうに思っております。  今委員御指摘の住民の住居関係公証というのは、利便増進の面と、しかし利益の侵害の面と非常にややこしくなってきているのではないかということに関しては、確かに本当にそのようになってきていると思います。その点、先ほど正に蓮舫委員もいろんな観点から御指摘をくださったわけです。  先ほどもちょっと申し上げたんですが、こういう住民基本台帳というのは、例えば私はアメリカで何年か過ごしましたが、アメリカにはないわけですね。これは、どこに住もうと私の勝手だと、そんなことを行政府が管理する必要など一体どこにあるのかというのが多分彼らの言い分なんだと思います。日本の場合は、しかしながら、我々小さいころからこれが当たり前で育ってきているからかもしれませんけれども、やっぱり今居住関係公証というふうに申し上げましたけれども、住民に関するやはり事務処理基礎であるとかいろんな意味での手続届出簡素化という点では、この制度はすごい制度ですね。こういう制度というのはだからこそ余り諸外国にはないのだというふうに思うんです。  それがもちろんいいか悪いかということが今問われ始めているんだと思いますけれども、これがあることによって、例えば住民票一つ持っていくことによっていろんな問題がクリアされているという面がこの社会にはあるんだと思います。そのことをもって居住関係公証というふうに我々これまで呼んできたんだと思うんです。  私は、この制度は、確かに先ほどから御議論いただいているように弊害ももちろん出てきているわけですから、弊害があるからやめてしまえというふうにもし我々が提案したら、恐らく国民の皆さんはやっぱり納得はされないのではないかと思うんですね。それよりも、せっかくあるんだからもう少しその弊害を小さくする方法を考えてくれと、やっぱりこういうふうになるのではないかなと、そういうふうに考えるのではないかなというふうに思います。そういう観点から、今回住民基本台帳閲覧というのを例外的に認めるというふうに、ある種そこら辺の位置付けを変えたわけでございます。  法律趣旨そのものについては、今申し上げたようなところに尽きるわけでございます。この情報制度、一種の公証関係公証を行うこの制度を可能な限り活用しながら、しかし弊害を小さくするための一つの現実的な提案として今回の法案を、法改正を提出させていただいているわけでございます。
  166. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 まず、初めて知ったということに対して、同じような意見であるということを言っていただいて、まず胸をなで下ろして、これから残り二十五分ぐらいですが、胸を張って質問ができるというふうに思います。  また、今お話しいただきましたように、この法改正住民の利益を侵害することが限りなくゼロに近づいて、そして住民利便増進するものになればということに期待を込めながら、少しまた質問に入らせていただきたいと思いますが。  この改正案のポイントというのが、住民基本台帳閲覧制度原則公開から非公開に変更したところにあると。しかし、なぜ原則非公開で、公益性のある場合に公開とすることならよいのか。問題は、先ほど同僚委員が質問をしましたけれども、問題は公益性とは何か、そして公益性との兼ね合いで、具体的にどこまで閲覧を認めるかに最終的には収れんされることになるというふうに思います。  この公益性にかかわる要請の背景には、例えば一つには、人は一人で生きているわけではない、他者との関係で自らが生活を営む社会が構成されている現実などを踏まえて、公益性に対するコストをある程度払うべきだとの考え方があるのだろうか。二つ目として、本人の意思とかかわりなく個人情報公開することになる閲覧は、現代では個人権利利益の侵害となる可能性が大きいが、社会一般に有益な場合もあり、その際の負担は住民が負うべきであるとの考えによるものなのだろうか。  また、そういう考えから、統計調査世論調査、学術研究その他の調査研究のうち、総務大臣が定める基準に照らして公益性が高いと認められるものと、公共団体が行う地域住民の福祉の向上に寄与する活動のうち、公益性が高いと認められるものについては例外的に閲覧を認めることにしたのだろうかということでありまして、まず、この理由をお聞かせいただきたいと思います。
  167. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) なぜ公益性の高い場合だけ認めたのかということでございますけれども、これは検討会の中で現行閲覧制度をどういう方向に持っていったらいいんだろうかということでいろいろ議論がなされたところでございます。  結局のところ、個人情報保護という視点とそれからいろんな情報の活用としての視点とどういう形で調和していくのかということが、どういう制度設計にしたらいいのかということにつながってくるということだろうというふうに思うわけでございます。  この住民基本台帳閲覧、かなり幅広く使われてきたわけでございますけれども、どういう場合に公益性があるかというふうなこともお尋ねございましたけれども、一般的に言って公益性のあるようなものについて言えば、やはりこれを認める方が適切なんではないかというような御議論の中で、そういう一定の場合に限って閲覧を認めようということにしたわけでございます。  公益性の高い場合って、さあどんな場合だろうかというふうなことが議論の中で、いろんな報道機関でありますとか、学術研究機関のいろんな調査研究等の中で、そういうところをやればすべてということではないではありましょうけれども、そういうところの調査研究としてやる、そのための、あるいは報道のための閲覧のようなものは公益性が認められるんじゃないか、あるいは学術研究の用に供する目的で行う調査のための閲覧はいいのではないかといったものが出てきたわけでございまして、そのほかにこれらに準ずるようなもので、公益性の高いものも認めていいのではないかと。  そういうときに、先ほどいろいろ御議論させていただきましたけれども、公益性の高いというのをどういう目で見ていったらいいのだろうかと。これはいろいろ議論がある中で、一つ公益性を見る目として、自分だけのものにするわけじゃないですよと、それを使って調査したものが社会に公表されて、それがいろいろ使われるというようなことを一つの着目点になるのではないかというふうな議論報告書が出されているわけでございます。  さはさりながら、そうは言いましても、現実的な運用の中で、事例の積み重ねの中で具体的には決まっていくというようなものも多いだろうと思いますので、そういうものについて、先ほど来申し上げていますように、いろんな情報交換、我々も努力して各市町村のやっているような具体的な取組状況等々についてもいろんな情報提供をさしていただく中で対処をしていきたいなと、こういうふうに思っているところであります。
  168. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今いろいろとその公益性について、先ほどから同じような話でもってお話をいただいていますけれども、とにかく市町村の現場が混乱してしまうということが一番まずいんではないかというふうに思います。  さらに、安易に閲覧することができる場合が拡大しないように、市町村公益性を判断する際に参考にすることができる、先ほどからあります、何らかのガイドラインのようなものを策定すべきではないかというふうなことの中で、そのガイドラインの具体的なイメージでも結構ですので、もしありましたらお話しいただけたらと思うんですが。
  169. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 一つは、法律で「総務大臣が定める基準」というふうに書いてある部分がございまして、この総務大臣が定める基準として規定する方向といたしましては、先ほど来申し上げていますように、その結果が公表されると、それを広くその成果が還元されるというような視点のものを定めさしていただきたいと思っておりますが。  こういうもののほかに、我々といたしましては、これまでもいろんな情報の取扱いの積み重ねがございますので、こういうものにつきましては、今申し上げましたような定める基準といった法律的なものとは別にいろんな情報を集めさしていただいて、参考に資するようなものを提供さしていただけたらなというふうに思っているところであります。
  170. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 ここが先ほどの蓮舫委員の質問から先に進まないところでありまして、今お話しいただいたのは、今後の例えばネットワークだとかあるいは連絡調整だとか、そういったものに関するお話もいただいたんではないかというふうに思うんですが。例えばその総務大臣が定める基準というもの、あるいは総務大臣告示というものがどういう内容のものなのかということを、例えばこの場で本当は既にあって、そしてそれに対してこれじゃどうだというふうな話になってくるんだろうということを先ほどから指摘さしていただいているわけでありますが。  その具体的な内容というものについて、今申し上げましたように一つでも二つでもイメージ的にあれば、公益性があって、そしてそれが広く国民に還元されるとか、そういう答えはもう要らないですから、もう少し具体的にもし何かあれば。
  171. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) どうも、何度も申し上げておることがどうも余り基準としてちょっと分かりにくいといいますか、ぴんとこないということで再三お尋ねをいただいているのかなと思うんですが、公益性ということをどう見るかといったときにいろんな見方があって、公益性は、いろんな分野ごとにやっぱりそれを統一してこういうのが公益だというのは、相当これ、抽象的な用語で表すというのもなかなか難しいことだと思います。そういうものについて言いますと、やっぱりある程度既存の事例の積み重ね、これからの事例の積み重ねと頼らざるを得ない部分があるんだろうと思うんです。  そのほかに、この検討会の中でも、そういうことじゃなくて大くくりで見たときに、そういうことであれば公益性というふうに考えられるものとして何があるんだろうかなというふうな御議論をいただいた中で、それこそ公益性という言葉からしたときに、どうもその視点というかアプローチの仕方がずれている、ずれているというか、必ずしもぴんとこないために御理解いただけないのかもしれませんが、いろんな調査結果が公表されると、そのことが社会に還元されて生きるということというのが、それが公益に資するという面じゃないだろうかと。  具体的な実務の中でいいますと、これ、調査をどういうふうに扱うんですかというふうに窓口で尋ねます。そのときに一つの大きなメルクマールとして、これは自分たちのためだけに使いませんよというようなことが一つの大きな基準になるのではないかというような視点で定めようとしているものでございます。
  172. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 ということは、今のようなお話のようなものが大体基準という形で列挙されてくるというふうに考えてよろしいんですね。
  173. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 基準として告示する、定めようとする内容は、先ほど来申し上げましたように、その調査や研究の成果が公表されて国の施策の検討や学術研究に利用されることにより社会に還元されるといったように、すこぶる抽象的ではございますが、公表されるかどうかというのは非常にある意味では技術的に非常に分かりやすい視点でもありますので、こういうことを定めさせていただきたい、これは一つで、これはどこにも通ずるようなものになり得るだろうと。  ただし、やっぱり公益性というのはいろんな分野でいろんなことがあるものですから、そういうものは事例の積み重ねをいろんな形で情報提供することによって対処していきたいと、このように説明させていただいているところであります。
  174. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 いずれにしてもこれから各市町村での取組等々もまた大事になってくるということで、そうしたものも踏まえて、基準に照らし合わせて各市町村がやっていくということになりますので、混乱が起きないよう是非強く見ていていただかなきゃいけないなというふうに思います。  次に、近年特に弊害が顕著となってきた営業活動のための閲覧について、解決が図られているのかどうかただしたいと思います。  住民基本台帳閲覧制度等のあり方に関する検討会報告書では、ダイレクトメールや市場調査などで営業活動のために行う閲覧については認めるべきではないとされているわけであります。確かに、営業活動のために本人の意思と無関係個人情報公開されるなど、このことはやはり許されるべきものではないというふうに考えますが、この点について今回の改正案はどのように反映されているんでしょうか。
  175. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 今までの閲覧制度は、何人もできる、不当なときはできないという、こういうふうな定め方になっていたわけでございますが、今回提案させていただいているのは、こういうことで申出があって相当と認めるときは閲覧させることができるという形になっておるものですから、こういう場合ということに限定列挙をさせていただいております。言ってみれば、今度はポジリストといいますか、できる場合だけ限定しておるわけでございますので、そういう中に営業目的といったようなものの閲覧は含まれていないということで法律的には表しているということでございます。
  176. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今、限定的に閲覧を認めることを一応主としてやっているということですけれども、その閲覧が認められると言われているいわゆる公共団体が行う地域住民の福祉の向上に寄与する活動のうち、公益性が高いと認められるものについてというのがございます。  まず、この公共的団体とは具体的にどのような団体を指しているんでしょうか。
  177. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 公共的団体というのは、どこまで、外延をなかなか示すのは難しいと思いますが、私どもこの議論の中でイメージしておりますのは、例えば社会福祉協議会でありますとか、各地域自治会といったようなものを想定しているところでございまして、こういう団体住民サービスといいますか、地域住民の福祉の向上に資するような活動といったものが閲覧させてもいい場合に当たるのではないかというふうに考えているところでございまして、例えば、既にやられている事業等々で例を挙げてみますと、例えば社会福祉協議会といったものが敬老事業をやるといったようなことをした場合には、まあこれ個別具体の判断も入る場合があろうかと思いますが、一般的に言うとこういうものが考えられるんじゃないか。あるいは自治会地域の新入学の児童に対して入学祝いのための事業を実施する場合といったようなものについては、こういう事例に当たるのではないかというふうに考えているところでございまして、こういうものにつきましては、地域の事情に即して市町村長に御判断をいただくということになるものと考えているところでございます。
  178. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今具体的な例までお示しいただいて答弁いただいたわけでありますが、公共団体の活動については、調査研究のケースに見られるような公益性を判断するに当たっての基準を、総務大臣が定める仕組みが一応今回用意されていません。異なる扱いとした理由は何かあるのでしょうか、お願いいたします。
  179. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) ただいま申し上げたような例として挙げさせていただいたわけでございますが、公共的団体がいろんな活動をしておりますので、いろんなものがあり得るんだろうと思うわけでございます。そういうものについては、その必要性等々の判断についてもやっぱり地域の事情に即して市町村長に御判断いただくのが一番いいのではないかということで、私どもとして特段の基準といったようなものは示してないところでございますが、当然のことながら、法律のこのような趣旨については、改正が認めていただければ十分周知していかなきゃいけないものだというふうに思っております。
  180. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 自治体のお墨付きを受けた形での公共団体というふうになりますので、そういう意味では今後とも是非注視していって、しっかりとチェックしていただきたいというふうに思います。  次に、改正案では、個人又は法人が住基台帳の一部の写し閲覧を申し出るに当たっては一から六までございますね。申出者の氏名及び住所、それから利用目的閲覧する者の氏名及び住所、管理の方法、そして閲覧事項を取り扱う者の範囲、そして調査研究の成果の取扱い、そして七番目として、一から六のほか、総務省令で定める事項というふうになっているわけであります。  請求時にこれらの事項の明示を求める目的趣旨は、この間の話、質疑の中で一定理解をしておりますが、総務省令で定める事項とは具体的にどのようなものを指すんでしょうか。
  181. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) お尋ねの総務省令で定める事項につきましては、閲覧対象となる住民範囲、申し出た方の責任者の氏名、住所、それから調査研究のために閲覧する場合には調査研究の実施体制、委託を受けて閲覧する場合には委託者の名称及び住所等々を定める予定にしております。  それから、ちょっと先ほど来の説明の中で必ずしも意を尽くしていない部分がございますが、分かったと言っていただいたわけでございますが、審査手続をいろいろ定めさせていただいております。これは、実はやはりこういう基準を定めましても、やはり全部を、外延まできちっと示すというのはなかなか難しい面もあるものですから、今回この検討会の報告の中でも、そもそもどういうものに認めるかという考え方の整理と、もう一つは審査体制をきっちりする、両面で全体としての閲覧体制がうまくいくようにという観点からかなり詳細な定めをさせていただいているということでございまして、御理解いただけたらと思います。
  182. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 そういうふうにすることによって一番懸念される公益性、判断の厳格さや公正さはしっかりと担保されるのかどうか、改めてお尋ねいたします。
  183. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 私どもといたしましては、市町村と十分連携を取りながら、いろいろ御懸念、御指摘をいただいておりますが、こういう点も含めまして、可能な限り努力をして万全の体制でやっていきたいというふうに思っているところであります。
  184. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今回の改正の第十一条の二の十二項のところで、市町村長は、毎年少なくとも一回、第一項の申出に係る住民基本台帳の一部写し閲覧の状況について、申出者の氏名、利用目的の概要その他総務省令で定める事項を公表するものとするとなっているわけでありますが、その他総務省令で定める事項とは具体的に何か、また公表の具体的な方法というものをどのようにお考えなのか、お尋ねしたいと思います。
  185. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 御指摘の条項の、その他総務省令で定める事項といたしましては、閲覧対象となった住民範囲閲覧の年月日等を定める予定にしているところでございます。また、公表の方法というのは特段定めておりませんので、市町村長において適宜の方法でやられることになると思いますが、掲示板を使うとか、あるいは広報誌といったようなことも考えられると思いますが、いずれにしてもその形式は特段法律上規定していないところでございます。
  186. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 市町村長にゆだねるといいますか、任せる部分がやっぱり多くなってくる部分だと思いますけれども、前回視察へ行きました三鷹市では、今回の動きの中で、法改正までの間に、先ほど同僚の委員が質問をしましたように、閲覧要請が殺到してくるということを防ぐ意味でも、閲覧の手数料を閲覧三十分ごとに二百円だったものを三千円にし、その他、転記するごとに二百円の加算、つまり、一人二百円ということで、用紙を見ましたらば二十五名連記になっていて、それを満タンに書くと五千円ということになります。そういうふうな形にしたと。で、そうしたことによると、昨年の六月から閲覧の料金を改正したわけです。そうしたらば、その結果、閲覧件数が半減した、それでも半分だったと、こういうふうに言っています。  その後、去年の十二月議会で閲覧制限条例を制定し、その施行後は、これは相当厳しい内容のものを決めたわけでありますけれども、そうしたらば、施行後は六十二回だったものが二回に減ったと、こういうふうな状況になっています。  今回の法改正罰則一定厳しくしたというふうになっていますけれども、大切なことは、罰金などを科するということでオーケーだということだけではなくて、様々なやはり問題の根本的な解消にはこれではつながらないというふうに思います。三鷹市が成果を上げてきた閲覧制限条例の制定の教訓にも学び、手続の厳格化、透明化を図るべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  187. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 先ほど来申し上げております検討会には三鷹の市長にも御参加いただきました。検討会の中で、検討会には学識経験者、あるいは報道関係、各界の人にも御参加いただきました。そういう御意見をいろいろいただきながら今回御報告をいただき、それを受けて今回改正案を出させていただいているところでございまして、私どもといたしましては、今、教訓を学んでということでございましたが、こういう地方公共団体の実施状況も十分頭に入れながら精一杯努力して案作りに取り組んだというふうに思っているところでございます。是非、御理解をいただけたらと思っているところでございます。
  188. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今回視察を受け入れていただいた三鷹市だけの要請ではなくて、各市町村レベルでも市町村間及び国との綿密な情報連携が必要であり、国に対してそのための体制整備を強く要望しているところであります。かかる観点からいえば、例えば一定市町村が集まって意見交換ができる場の開催など、総務省の積極的な取組などをこの際要請をしておきたいというふうに思っているところであります。  次に、これもるるありましたが、住民票写し交付請求者の情報住民票記載事項の本人の請求により開示する制度の導入について総務省の姿勢を伺いたいと思います。  今回の改正では、残念ながら、住民票写し交付制度対象外になっています。しかし、住民票写し交付制度については、特定個人に関する多くの情報が、住民基本台帳以上に多くの情報があるわけでありまして、個人情報保護法は、個人情報取扱事業者個人情報を取得した場合の利用目的の本人への通知義務や本人から保有個人データの開示を求められた場合の開示義務等を規定しているわけであります。同法との制度的整合性の観点から、住民票写し交付請求者の情報住民票記載事項の本人の請求により開示する制度を導入すべきではないかというふうな考えを持っているんでありますが、いかがでしょうか。
  189. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 住民票写し交付制度につきましては、先ほども若干申し述べさせていただきましたけれども、閲覧制度と比較して対象がより限定されているといったようなことから、既にかなり厳格な運用がなされているというのが我々としての基本認識でございます。    〔委員長退席、理事景山俊太郎君着席〕  そういう中にありまして、現在、法制審議会で戸籍の謄抄本の交付見直しに関する検討が進んでいるというふうに伺っているところでございますので、こういう状況も踏まえまして、私どもとしては適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
  190. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 先ほどの十一条二の十二項のところの質問だったんですけれども、そこで、いわゆる年に一回申出者と利用目的等を公表するとなっています。これは、私なんかは年に一回では本当は足りないんではないかと、要するに、これまで起こってきた様々な事故、事件等を見てみると、本当はすぐにもそのことが個人、その本人に知らされるべきものであったんではないかというふうに思うわけであります。例えば、今まで出てきたのでは、ドメスティック・バイオレンスやストーカーというふうにありますけれども、おれおれ詐欺なんかもそういう意味ではこうしたことを十分使い得ることができるんではないかというふうに思いますけれども。そうしたときに、やはりこういう個人請求を行いましたよということを請求が行われた方にいち早く本当は連絡が行けば一番いいんだろうというふうに思うんですが。ただ、今の法律体系の中では、請求した人も個人情報保護関係で実は広く広められないという、公表できないというような何かシステムがあると伺ったんですが、それでもこの十一条二の十二項の中では公表するということになるわけですか。
  191. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) ただいまの御指摘の点は、情報を求められた人の情報個人情報でありますけれども、ある情報を求めた、その求めた人の求めたというのも個人情報の部類に属すると、それをどういうふうに考えていくのかという問題があるということだろうと思います。  今回、公表の規定を入れさせていただきましたので、そういう意味では、ここで公表されているような事項について見れば、一定範囲で今申し上げた問題がクリアしているというふうに私ども理解しておりまして、ここに載るような方々について、それぞれ情報公開についてはそれぞれの自治体情報公開条例等で対応しているということになろうかと思いますが、そういうことを考える際に、これ公表されているということが一つの事実となりますので、一つの整理ができるのではないか。  つまり、個人情報は出せないよと言っているようなものについても常にオープンになる情報でございますので、そういった意味での解決が一定部分ではなされるというふうに理解するところであります。
  192. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 時間がもう余りありませんのであれなんですが、だとすると、やはり今回、本当はもう一歩進んで、例えば先ほどの三鷹では一人につき二百円、あるいは三十分ごとに二百円を三千円とかというふうになっている。そのお金一体どうするのかなと思うんですけれども、例えば、それを今言ったように閲覧をされた方にこういう方がいついつ閲覧をしましたよというふうなお知らせ、はがき一通でも何でもいいんですけれども、本当にそれが行けば一番早く対応が、もし何か悪用された場合には対応ができるんではないかというふうに考えています。  これまでいただいた答弁を承知した上で、最後に是非要請をしておきたいというふうに思います。  住基台帳法第十六条に定められています戸籍附票の作成などとの関連で、戸籍法の見直し手続と同時セットする必要があるなどの理由から、住民票交付自体に関しては改善が見送られていると先ほどお話がありました。住基台帳と住民票は一体との受け止め方が世間の常識でもあるわけであります。願わくば、総務省が法務省のおしりをたたいてでも、一刻も早く住基台帳並びの不正目的の行為の根絶に向けた枠組みが住民票交付においても整備されることを強く求めたいというふうに思います。    〔理事景山俊太郎君退席、委員長着席〕  答弁にあったように、個人情報保護法交付請求者に対してもその保護の権能が及んでいるわけであります。この立法意図は一定理解をできるところであります。ただし、住民票交付に関して幾ら厳格な審査体制をしいたとしても、悪意を持った者の奸計がその上をいく、つまりイタチごっこになってくるわけでありますけれども、残念ながらそれが世の常になっていると。ストーカーやDV被害を未然に防ぐという意義は今後の社会情勢を考慮するならばますます高まってくるんではないかというふうに思います。  繰り返しになりますが、個人情報保護法目的に背馳しない範囲での住民票写し交付請求者の情報を……
  193. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) そろそろおまとめ願います。
  194. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 はい。  住民票記載事項の本人の請求により開示する制度構築に向けた前向きな検討総務省に強く求めて、質問を終わります。
  195. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  今回の改正のポイントは、原則公開とされていたものを、その閲覧制度を廃止して、公益性が高いと認められる場合に閲覧できるというふうなポイントだと思いますけれども、やはり、近年の個人情報が非常に住民意識も高くなってきたことも踏まえ、この個人情報保護の流れに沿う制度改正であるというふうに思っております。  個人情報保護、それはまあプライバシー、またプライバシーのとらえ方というのは、今朝ほどの堀部先生も言っておりましたけれども、今までプライバシーというのはほっておいてもらう権利という言い方しておりましたけれども、個人情報をコントロールする権利であるというふうなとらまえ方が学説的にも多数になりつつあるなというふうに認識をしてございますが、今回この住民基本台帳改正、立案をするに当たって、この自己情報コントロール権という観点からしてどのような議論をされたのか、また大臣としてどういうふうな形でこの個人情報コントロール権というものを確立していこうというふうにお考えなのか、まずその辺からお聞きしたいと思います。
  196. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 個人情報コントロール権についてのお尋ねでございます。  実は、今の個人情報保護法の最初の審議のとき、私自身がその担当大臣でございました。その当初から、この個人情報コントロール権との関係というのはいろいろ議論がなされてきたというふうに承知をしております。  実は、今回の改正に関しましても、昨年度、この閲覧制度見直しについて検討をお願いしましたその有識者の検討会があったわけでございますけれども、その検討会でも、例えば本人が拒否するときには閲覧対象としないように申出を受け付ける、いわゆるオプトアウトと言われるもの、逆に、本人から改めて申出を受け付けたことで対象に加えるというオプトイン、そういった議論もなされたというふうに聞いております。これは、正に今のプライバシーに関する権利個人に関する情報をコントロールする権利として置き換える立場からの議論であるということだと思っております。そういう議論がなされたというのは事実でございます。  その一方で、例えば統計調査でありますとか学術研究を行うという観点から、このオプトアウト等を認めると統計データとしてのサンプルに偏りが出てしまう。当然のことながら、例えばですけれども、何かその所得とか職業とかと関連付けて見る場合は、自分の所得を余りたくさんあるのを知られたくないという人のがサンプルから出てしまうということになるでしょうから、そうするとサンプルに偏りが出る、そうすると学術的な調査ができなくなりますねと。あるいは、そのオプトインとアウトのコントロールを実務的にどうするんだと、これは市町村の現場が混乱しますねというような意見も出されたところでございます。  そのような議論も踏まえまして、この検討会報告書におきましては、閲覧制度において国や地方公共団体、そして公益性の高い場合等に限定するのであるならば、こうした仕組みをあえて今回導入する必要はないのではないかというふうに結論付けられたわけでございます。  今回の改正はそうした報告書の内容に沿って行うこととしているわけでございまして、そのプロセスにおきましては委員御指摘のような議論があったと。しかし、そういう議論に立ち入ることなく、国や地方公共団体、公共性の高い場合に限定するということでこの問題をクリアして、今回の改正案について御提出をさせていただいているわけでございます。
  197. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ただ、公益性が高いというふうに行政機関が判断する場合は、結局本人の意思にかかわらず、表に出るといいますかね、閲覧対象になるわけで、やはり個人情報という、自己情報コントロールという意味からすれば、そこの部分は問題になっていくのかなというふうに思います。  また、先ほど大臣から御指摘があったように、どこに住んでも私の勝手でしょうという、そういうのが原則だと考えれば、こういう要請がやっぱり強くなっていくんではなかろうかと、これから時代の流れでですね。そういう観点から、このオプトアウト、オプトインという、含めて、今後政府としてどういうようなお考えになっているのか、高部さん、御答弁お願いします。
  198. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 今回、検討会の中では、両様といいますか、こういうものは是非とも必要だという、そういうかなり強い御意見を言われる方もおられれば、一方で、もう一つの視点から言われる方もおったということでございます。  委員御指摘ございましたように、自己情報コントロール権といったものについてもいろんな動きがあるようにも思います。  私どもといたしましても、そういう動き、それから一般のこういうものに対する受け止め方といったようなものについても常にフォローしながら勉強していかなきゃいけない課題だろうなというふうに思っているところであります。
  199. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 それから、住基関係で住基ネットというのがありますけれども、これに関連して何件か裁判になっているようで、また判決もそれぞれ区々のようであります。  昨年の五月三十日、金沢地裁の判決は、住基ネットが自己情報コントロール権を含むプライバシー権を侵害し、憲法十三条に違反するというような判決も出されたようでございますし、また、翌日には名古屋地裁、あるいは十月十四日福岡地裁、この住基ネットの必要性や十分な個人情報保護が講じられているということで合憲判決が出されているところでございます。  いろんな判決出ておりますが、ちょっとやっぱし混乱あるいは不安が生じるかなと思っておりますが、ここで改めて住基ネットの必要性と安全性について御説明をいただきたいと思います。
  200. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 住民基本台帳ネットワークにつきましては、平成十四年八月の一次稼働からもう既に三年半といった期間が経過しているわけでございますが、私どもといたしましては、もう安定的に稼働してきておりまして、安全性について何ら問題はないものと考えているわけでございますけれども、今後とも安全性の確保には最大限努めてまいりたいと、かように考えているところでございます。  また、住基ネットの必要性について御指摘がございましたけれども、住基ネットの活用状況について若干申し上げさしていただきますと、年間約三千万件、本人確認情報が提供されているところでありまして、これによりまして共済年金でございますとか恩給等の支給事務におきます年間約五百万件の現況届等の省略が可能となっておりますし、各種行政手続におきます年間約三百万件の住民票写しの添付の省略がなされているといったような状況でございまして、こういう意味では、住民利便あるいは行政の効率化ということに資しているのではないかと思っております。  さらに、今年の秋からは、厚生年金、国民年金等の支給事務における現況確認に利用されるということが予定されているところでございまして、さらに年間約二千六百万件の現況届の省略が見込まれるといったような状況になっているところでございます。  そういう意味で、この住基ネット、順次といいますか、有用性を増しているのではないかというふうに思っておりますし、今後とも努力してまいりたいと考えているところです。
  201. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 そうはいっても訴訟がかなり多く出されているようでありますけれども、まだその不安というのが払拭されていないなと思いますが、この今、先ほど挙げました訴訟を含めて、この住基ネット関連の訴訟の状況についてお知らせください。
  202. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 御指摘でございました住基ネット関連訴訟につきましては、件数はいろいろございますが、全国で十三の地方裁判所におきまして、住民等が国、都道府県、地方自治情報センター等を相手取って、自らの本人確認情報に関して住基ネットを通じた提供の差止め等を求める訴訟を提起しているわけでございます。  これまで七つの地裁で判決が言い渡されているところでございますが、御指摘ございました金沢地裁判決で原告の請求が一部認容されましたほかは、すべて国等が勝訴しているといったような状況でございまして、現在、金沢の事件等につきましては控訴審において争われているといったような状況でございます。  このほかに、杉並区が国と東京都を相手取りまして、希望した住民のみの本人確認情報を住基ネットを通じて送信した場合における東京都の受信義務の確認、要するに選択制を認めろといった裁判もございましたけれども、これにつきましても、国及び東京都が勝訴して、現在、杉並区が控訴しているといったような状況でございます。  それから、国が被告となっていない訴訟もございますけれども、現在、私どもが把握している範囲でこれまで地裁判決が八つ出されているところでございますが、いずれも被告自治体が勝訴しているというふうに認識しているところでございます。
  203. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 住基ネットは、行政サービスの向上とか事務の効率化という観点からすれば、当然すべての団体が住基ネットに参加するということが求められると思いますけれども、杉並区とか国立市あるいは福島の矢祭町ですか、不参加でありますし、横浜が段階的参加というようなことのようでございます。  これらの不参加等の団体に対して、総務省として参加に向けてどのような取組をしているのか、お知らせください。
  204. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 住民基本台帳法上、市町村長は、住民票の記載等を行った場合に、当該記載に係る本人情報を都道府県知事に通知するものとされているところでございまして、住民基本台帳ネットワークに参加している団体は違法状態にあるというふうに認識しているところでございます。失礼しました。住民基本台帳ネットワークに参加していない団体は違法状態にあるというふうに認識しております。  住民基本台帳ネットワークに参加していない団体につきましては、早期に住基ネットに参加していただいて違法状態を解消すべきものと考えているところでございまして、不参加団体に関しましてはこれまでも総務省から、住基ネットの離脱又は不接続を行うことはできず、住民基本台帳法違反になることを通知しているほかに、関係都県の知事からも是正の勧告を行うといったことによりまして、速やかに住基ネットに参加するように求めてきたところでございます。
  205. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 いや、求めているのは、それは昔から求めているんであって、だから取組はどういうふうにしているのかということ。勧告をするとか、そのお願いをするんだろうけれども、それ以外の手はないのかという趣旨なんですが、どうなんですか。
  206. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) これらの事務の取扱いについて、我々違法状態だと認識をしておりまして、違法状態だという認識を伝えているところでございまして、是非とも御参加をいただきたいものだと思っておるところでございます。
  207. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 分かりました。  それで、公用の場合ですね、閲覧し、また住民票写し交付を求めることができると思いますが、公用で何か、例えば警察、捜査の必要であるとか、この手数料は、手数料というか住民票写しの手数料でございますが、これはどうなっていますか、今は。それから、将来どうなるんでしょうか。
  208. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 御指摘いただいた点について、ちょっと十分理解ができていないかもしれませんが、参加していないことによりまして全体のネットワーク……
  209. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 違います、趣旨が。
  210. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 趣旨が違いますか。  参加していない団体に、失礼しました、それじゃもう一度お願いします。
  211. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 質問の趣旨を変えまして、法律上、公用で閲覧する、あるいは住民票写しをもらう場合がありますね。警察でも、捜査が必要だからということで、身上調査等を含めて警察、検察でやるわけでありますけども、その場合、費用、それが無料だというふうに承知をしておりますが、それでいいんでしょうか。
  212. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 閲覧請求の場合の手数料についてのお尋ねということでございました。  これの手数料につきましては、市町村において条例で定めるものということになりまして、私どもといたしまして悉皆的に把握してはおらないところでございますし、また、特段こういうものについては無料にすべきだとかというようなことも言っておらないところでございますが、委員御指摘ございましたように無料にしているところも多いのではないかなというふうに、これはちょっと推測も混じっておりますが思うところでございますが、国とか地方公共団体行政合理化に資するという住民基本台帳法趣旨等を踏まえてそのような取扱いをしているのではないのかなというふうに思っているところでございます。
  213. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 三鷹の例がありましたけれども、随分値段を上げてきておりますから、公用で取った方が安上がりだなと。だけど、地方財政も厳しいわけですから、少しでもという思いであれば、公用であってもやはりお金払った方が明確になるんではないかなというふうに思っております。  そこで、警察等が住民票写し請求する、あるいは閲覧する場合に、やっぱり理由を明らかにするということになるんだろうと思いますが、犯罪捜査の必要性というようなくくりになると思いますが、これはどの程度詳しく述べることが必要なのか。つまり、犯罪捜査の必要性なんていうのはもう何も言ってないのと同じなんであって、その辺はいかがなものなんでしょうか。
  214. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) この点につきましては、この今回の改正案におきましても、請求等によって一定の事項を明らかにしなきゃいけないということの中で、特別の事情があってその性質上困難なものについては、法令で定める事務の遂行のために必要である旨ということでとどまらざるを得ないということで規定させていただいているところでございます。  ただ、そういう中にありましても、ある人が単に、何といいますか、公務のためだからということのないように、例えば該当の組織の文書を付けてもらうとかといったようなことによって工夫をしていきたいなというふうに思っているところであります。
  215. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 これは住民票そのものの案件ではありませんが、二〇〇〇年の、今から六年ぐらい前ですが、元警視庁の警察官、警部補だと思いますが、退職されて信用調査会社をつくったと。そして、知り合いの現職の警察官に、警察が管理する個人の犯罪歴情報等を不正に入手して、そして、要するに信用調査報告書ですから、それに添付するような形を取ったということがありまして、当然守秘義務違反で逮捕されて、また共犯でという形で処理されたわけでございますけれども、これはやはり、公用だからというんでぱあっと何でもかんでもやるというのはちょっといかがなものかなというふうに思っておりまして、今局長おっしゃったように、きっちりした手続といいますか、相手サイドの公の機関に対してきちっと統制が取れるような要請をしなきゃいけないと思いますが、警察庁とのそれの取決めというのはあるんでしょうか。
  216. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 先ほど言いましたように、例えば警察官の方個人が公用で見たいというようなことで、それでも何でもというのはいかがかというようなこともございますので、公文書の添付をお願いするというような形で対処したいというふうに考えているところでございます。そういう方向で進めているところでございます。
  217. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 また、過去にこの住民票の不正入手というんですか、いろいろあったようでございまして、弁護士さんが職務上請求用紙を濫用したと、古い事件でございますが、そういうこともありました。また、行政書士さんが不正に入手していたというような、職務上請求用紙を横流ししていたという、そんなこともあったわけでございますが、一方で、余り絞り過ぎますとやっぱり職務上仕事ができないということになるわけであって、その辺のあんばいが必要だろうなというふうに思っておりまして、例えば弁護士が閲覧をするような場合、本当にどこまで具体的な理由を明らかにしなきゃいけないのか。例えば犯罪だったら、やっぱり犯罪捜査だったら静かにひそかに調べるのが常道ですから、そこで全部明らかにするって変な話。でも、弁護士の仕事って、恐らく仮処分とか考えた場合、密行性みたいなことも、そういうふうになってくるんだろうというふうに思いますが。  その辺の、今度は公務上ではありませんけれども、職務上閲覧等請求する場合にどのような要件を今考えられているのか、お知らせいただきたいと思います。
  218. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) ただいま御指摘の点につきましては、職務上請求の特例が認められております八つの士業の団体に対しまして、これも御指摘ございましたような事件を契機に、私ども、昨年の四月に統一請求用紙の使用目的、提出先の欄は職務上請求が該当することが明らかになるような、具体的に記載すること、それから請求者の資格の審査に当たっては市区町村の窓口において身分証明書等資格を証する書面等の提示を求めることがあるので、身分証明書等を携帯することといった、統一請求用紙の、これと併せまして、統一請求用紙の適正な使用、管理といったことも併せて各団体に依頼したところでございます。  また、市区町村については、統一請求用紙による住民票写し等の交付請求への適切な審査をお願いしているといったような状況の中でございます。  若干御指摘ございましたけれども、こういう私どもの通知に対しまして、行政書士等においては早速対応していただいたといった部分もございますけれども、士業によってはいろんな御意見があるやにも聞いております。  いずれにしても、ただいま申し上げましたような取組を通じまして厳格な運用に努める必要があるものと考えておりますが、今の点については法制審議会の方でも検討がされているやに聞いておりますので、こういうのも併せ踏まえまして適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。
  219. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  220. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  大変お疲れだろうと思いますが、私とあとは長谷川さんですから、ひとつ是非よろしくお願いをします。今日は共産党さん、やられないんですかな。  そこで、内閣府の世論調査によりますと、個人プライバシー意識が一九八九年と二〇〇三年のこの十四年間で随分と変わってきた、こういう格好に出ていますね。他人に知られたくない情報のパーセンテージがどの項目についてもすごく伸びておる、こういう格好であります。例えば他人に知られたくない個人情報として、住所、電話番号というのは、平成元年の場合は一一%だったのが、今は四三%、四倍以上に増えている。生年月日についても、六%だったのが二八%に増えている、こんな格好ですね。  このようにいわゆる住基四情報についても知られたくない項目になってきているわけでありますけれども、こうした状況の変化、理由というのはどういうふうに認識をされていますか。
  221. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 一つは、社会生活の変化の中でプライバシーを重視する価値観といったものが強まってきたということではないかと、まあ問いにそのまま答えているような答えになるかもしれませんが、一つはそういうことがあると思うんですが。もう一つは、情報通信技術の著しい発展といったものが、いろんな情報が出るという形の出方に随分影響を与えているといったようなこともあるのではないかと。それからまた、いろいろ御指摘もございますが、昨年四月に個人情報保護法が施行にもなりました。こういったようなことでいろいろ取り上げられているといったようなことも背景にあるのかなというふうに思っているところでございます。
  222. 又市征治

    ○又市征治君 さっきからも出ていますが、この法案のきっかけとなったのは昨年三月の名古屋の事件ですね。これでは正に四情報公開性が悪質な母子家庭の子供をねらった刑事犯罪という形で使われた。住基四情報悪用されるメカニズムというのは、市町村におけるずさんな運用実態にあるわけです。  まずは、今朝の参考人の一人である三木さんたちが昨年二月までに行った市町村に対する実態調査です。雑誌「都市問題」の昨年十二月号にこれは載っていますが、いわく、市区町村閲覧リストをどのように並べているかを聞いたところ、住所順ないし世帯順に並べていると回答したところが九十七件中七十六件、つまり七八%もあった。閲覧情報には生年月日も含まれているから、これにより容易に世帯構成、家族構成が推測でき、単身女性世帯、高齢者単身世帯、高齢者二人世帯なども容易に分かり、いわゆる社会的弱者の情報を含む個人情報市区町村が広く民間に流出させていたことになる。こういうふうに書かれています。  そこで三木さんがコメントしているのは、住民基本台帳そのものは個人ごとに作られていても、管理が世帯ごとだから、漫然と運用すれば、リストは住所順ないし世帯順になる。運用の違いは、そのまま住民個人情報保護に対する市区町村意識の差でもある、こんなふうに述べています。  そこで、総務省も昨年五月一日現在で、全国市町村調査をされまして、そこでは住所順、世帯順に並べている自治体が五二%、こういうふうに集計されています。市民団体調査の時点よりも減ったわけですけれども、その間名古屋の事件が起きたのに依然として五二%もあったということは、やはり自治体側のこうした人命尊重であるとか人権感覚、これにやっぱり幾らか欠けるのではないのか、怠慢だというふうに指摘されてもこれはしようがないんではないのか、こういう気がしてなりません。  総務省は現時点でこれをどのようにお考えになっているのか、伺いたいと思います。
  223. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 住民基本台帳の抄本の閲覧、厳格な運用に努めなきゃいけないということではございますが、取組地域による差というのはあるのかなという気もいたしているところでございます。  御指摘いただいた並べる順番の問題でございますけれども、いろいろ問題事例があって、いろんな対応、緊急の対応として取られたんだろうと思いますが、私どもといたしましても、例えば当面の対応ということで、悪用されないように、必要な部分のリストを別に作成して閲覧に供することも考えられる旨といったような情報提供もしたところではございます。  ただ、今回、この閲覧制度をどうするかということに当たりまして、これも先ほど来申し上げております検討会でいろいろ御議論をいただいたところでございますけれども、きっちりとした閲覧制度をつくるということを前提といたしまして、やっぱり住民基本台帳については住所順が基本ではないかということを御報告いただいているところでございます。それが基本となるのではないかと思っているところでございます。
  224. 又市征治

    ○又市征治君 法律というのはだから怖いんですね。いったん作られると、それでそのとおりやってりゃいいんだという格好で、今申し上げたような事例というのはどんどん出てくる、時には無神経に機械的にやられていくという、こういう問題をはらんでいるということでもあるわけで、いろんな、どうやって個人プライバシーを守っていくか、様々な工夫がやっぱり求められるんだろうと思うんです。  そこで、大変、お座りになっておって、大臣、お疲れでしょうから、大臣に一つお伺いをいたしますが、これはまあみんなの意識変化の問題でもあるんですけどね、現行法については、元総務大臣片山さんも、この当委員会で繰り返し、氏名など四情報については公開であると、こう言って、随分とそういう見解を述べてこられました。しかし、新しい法案が成立したときには、そうした考え方自体の修正が迫られるということになるわけですね。つまりは、片山さんが間違っていたと私言っているんじゃなくて、時代とともに法律の概念、プライバシー範囲変化をして当然でありますし、そういう意味では今回の改正だけでは、この四情報の野放し、そこから芋づる式な情報漏えいという、名古屋事件を生んだ欠陥というのは直らないんではないのか、そういう疑念も私は持っているわけです。  そこで、大臣、今後は四情報についても基本的には保護されるべきだという考えで、先ほど来から申し上げてまいりましたように慎重に、これらの情報が出される場合は慎重に対応していくんだ、こういう考え方に今度は大きく転換をしたんだ、こういうことの認識でよろしいんですね。
  225. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 先ほどからもいろんな質疑の中で申し上げてきたつもりでございますけれども、いわゆるこの住民基本台帳の意義とか、存在意義とか、社会的なその必要性そのものはやはり引き続き極めて重要であるというふうに思っております。  今回は、そういうことを前提とした上で、つまり、これそのものを否定的に見る見方もあるわけですけれども、決してそうではなくて、やはり有用に活用していただこうと、しかし不特定多数の者に関する情報が商業目的等でいたずらに大量閲覧されることを防ごうと、今回の改正目的は正にその点にございます。  この四情報については、各種行政サービスの基礎として活用される必要がある、住民増進を図るため、世論調査等の調査研究のうち公益性の高い場合等に関しては閲覧を認めているわけで、その意味では今の枠組みに関しては従来と変わるものではないわけでございますけれども、繰り返し言いますが、不特定多数の者に関する情報が商業目的等でいたずらに大量閲覧されないようにする、そのことを昨今の個人情報保護に対する意識の高まりの中で我々としては実現をしたいというふうに考えているわけでございます。
  226. 又市征治

    ○又市征治君 今朝からの論議、あるいは参考人質疑の中でも幾つかあるんですが、次に選挙人名簿閲覧について、これ禁止論も述べられているわけでありますが、理由は、候補者等、あるいは政党、政治団体について定義がないので、だれでもそのように名のれるし、選挙運動又は政治活動というのもそうだと。したがって、住民基本台帳閲覧よりも緩やかであり、悪用されるおそれがある。現に二〇〇四年に埼玉で詐欺に用いられた際、数万人分の選挙人名簿からと見られるデータが押収された例などがある。こういうのは随分とあちこち例がたくさんありますね。  また、今後は住基の閲覧ができなくなる分だけ、政治活動に名をかりて選挙人名簿の方に流れてきて、こちらの閲覧が増えるのではないのかという危惧される向きもあるわけですね。  悪用されるようであれば、制度としても、プライバシーというより、より大きな公益のために閲覧禁止ものまなきゃならぬ、こういうことになるんだろうと思うんですが、選挙人名簿独特の緩い閲覧規定を廃止をして、住基と同じく原則禁止とすべきなのかどうか、そこら辺のところは総務省はどのように考えているんですか。
  227. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 確かに御指摘のような懸念というのも私どももございまして、再三この場で出ております、昨年省内に設置をいたしました学識経験者などによります検討会、これも、住民基本台帳閲覧制度見直しだけではなくて、それと併せて選挙人名簿抄本の閲覧制度見直しについても御検討をお願いをいたしました。  検討会におきましては、選挙人名簿閲覧、これは現行では運用で行われておりますけれども、三つのケース、登録の有無の確認、それから選挙運動や政治活動で利用される場合、そして政治、選挙に関する世論調査など、この三つで現行ではほとんどのところで閲覧をさせておりますけれども、こういったケース、これすべて民主政治のやはり健全な発展にとって重要な意義を有しているということである、そして、これを廃止をすることは適当ではないだろうという議論をされております。ただ、不当な目的による閲覧を排除するためには、その手続の厳格化など、これについては是非とも行うべきである、こういう報告をいただきました。  そこで、私ども、この検討会の報告を受けまして、この通常国会に、選挙人名簿抄本の閲覧制度見直しを内容といたします公職選挙法改正案、これを提出をいたしまして現在御審議をいただいておるところでございます。  この改正案におきましては、まず、選挙人名簿抄本の閲覧が認められる場合、これは先ほど言いました三つのケース、これを法律上明確に規定をいたしまして、それ以外の閲覧は認めないということにいたしました。そしてまた、偽りとかその他の手段による閲覧でございますとか、目的外利用、あるいは第三者への提供などにつきましては、住民基本台帳閲覧と同等の制裁措置罰則でありますとか過料、これを新設をするということにいたしております。さらには、閲覧を行います際には、申出を行っております者の氏名とか利用目的閲覧事項を取り扱う者、これを明らかにさせるといった形で厳格な手続、これを導入をしております。  私どもといたしましては、これらの措置を講ずるということによりまして不正閲覧などが相当程度は防止できるんじゃないかというふうに考えております。
  228. 又市征治

    ○又市征治君 今、かなり規制も厳しくするということなんですが、相当程度規制されるだろうということなんであって、やはり、この間、三鷹へ行きましたけど、話をお聞きをしたら、三鷹のように厳しく、住基情報は厳しくなってるんだけども、だからといって選挙人名簿の方に流れてきているという状況はないという話がありました。しかし、これは常に見直していかにゃいかぬ問題だろうと思いますから、そこらは留意をいただいていきたい、こう思います。  そこで次に、この閲覧手数料の問題についても出ておりますが、三鷹市が二度にわたって条例改正をして、二〇〇五年六月からは三十分間で三千円プラス一人転記ごとに二百円という二重の料金体系に改めたのを始め、全国で高額な料金設定に改めるところが出てきました。三鷹の例ではこれだけで閲覧が半分に減った。さらに、昨年ですか、十二月の条例目的などを制限をして閲覧の仕方も厳しくした結果、一挙に〇・九%にまで減ることになったということが言われているわけであります。  もちろん、そういう、こういう法改正をしてほしいという意味も含めて厳しくこういう格好でやられてきたということが言われているわけですが、私は、これは、実務の当事者であり不当な請求に日々向き合う中で住民プライバシーを守るべき立場にいる市役所などにとって、法律及び総務省立法の不作為に対するむしろ当然の対抗手段だ、こうともやっぱり読めるんではないのか、厳しく言えばそういうことになるんではないのか、こういうふうに思います。  総務省として、この三鷹市の措置については法律上困ると考えたのか、それとも自治体の先進事例と考えて注視してきたのか。私は、当然のこととして、これは市町村自治事務の中身ですから、市町村住民プライバシーを守るために必要な措置であり、自治権の範囲内だというふうに思うわけですけれども。そういう点で、この法律が成立したからといって、料金その他、自治体住民を代表して行うプライバシーの自衛措置に対して総務省が何か、こんな値段は下げろとかどうとかという考えはもちろんないんだろうと思いますが、その点について何か考えがありましたらお聞かせをいただきたい。
  229. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) それぞれの団体でそれぞれの地域の実情に応じて、いろんな状況の中で御判断されたものだというふうに思っているところでございますが、地方自治法の規定上の原則論から申し上げますと、手数料というのは条例の定めるところにより決めるということになっているわけでございますが、事務処理に必要な経費を徴収するという考え方制度ができているところでございます。  基本的な考え方地域の実情、いろいろあろうかと思いますが、基本的な考え方といたしましては、今回法改正をお認めいただければ、このことによって閲覧制度というものが厳格に運用されているという状況の中におきましては、事務処理に要するのに必要な額というのが基本になるのではないかというふうに考えているところでございます。
  230. 又市征治

    ○又市征治君 次に、この住基ネットワークという形で全国市町村、国の機関をつなぐことについては、我が党はその基本から大変多くの懸念があるということで反対をしてまいりましたけれども、今回の改正趣旨からすれば、当該市町村以外の役所による個人情報利用というのは今後大幅に制限されるべきではないか。先ほど来からもこの点については、公用といいながらも、ここらは厳しくされるべきでないかという意見が出されています。保有者たる自治体は、相手側の行政機関に対して、必要ない部分は見せないということを従来以上に徹底をする、具体的には要求の範囲をより厳密に明示させる、こういうことにしていくべきだというふうに理解をするんですが、それでよろしいですか。
  231. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 住基ネットから本人確認情報の提供につきましては、情報提供を行います行政機関等の範囲及び利用目的法律で限定する、また、住基法で限定された事務処理に関し行政機関等から求めがあったときに限り情報提供を行うこと、さらに、受領した本人確認情報を住基法で定められた事務処理以外の目的のために利用、提供することを禁止しているところでございまして、住基ネットからの本人確認情報の提供については今の制度でも既に厳格に行われているというふうに認識しているところでございます。  今回の改正と住基ネットの関係、直接的には関係ないものだと私どもは理解しているところでございます。
  232. 又市征治

    ○又市征治君 現在もやられていると、こうおっしゃいますが、検討会報告では公用閲覧についても無条件に認められるわけではないとしているわけで、最悪の例としては、自衛官募集に際して、長年にわたって住民情報を、四情報どころか、家庭環境、母子家庭とか健康状態まで調べていたわけですよね。自衛隊法で包括的に市町村側の情報提供を定めているからこうなったわけですよ。今後、こうした他の法律によって、住民情報提供の規定はむしろ全部洗い直して、個人情報保護を法理念の優位に置いて住基法で規定し直して、その際プライバシーに触れるものは排除をする、そういう措置が必要なんじゃないですか。
  233. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 先ほど申し上げましたように、住基ネットの本人確認情報の提供については、法律行政機関等の範囲利用目的等を限定するといったような仕組みになっているところでございまして、現在でも厳格に行われているというふうに考えているところでございます。
  234. 又市征治

    ○又市征治君 高部さんね、私、今具体的に自衛隊の例を挙げたんですよ。これが適正だということの意味ですか。
  235. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 御指摘ございました自衛隊の例につきましては、私ども直接的に把握してございません。市町村長から自衛隊の地方連絡部への適齢者情報の提供は、あくまでも自衛隊法を根拠としているというふうに聞いているところでございます。  なお、現在におきましては、市町村長から自衛隊地方連絡部へ提供されている適齢者情報につきましては、氏名、生年月日、性別及び住所の四情報に限定されているというふうに聞いているところでございます。
  236. 又市征治

    ○又市征治君 だから私は申し上げているんで、現実問題として、四情報どころか、家庭環境や母子家庭とか健康状態まで聞いている。これは自衛隊法で包括的にこうした市町村側の情報提供を定めているからこうなっていると、こう申し上げている。問題は、四情報だけだというふうにおっしゃるならば私もこんなことは申し上げない。ですから、こうやって法改正をやるわけですから、他の法律による住民情報提供の規定も全部洗い直していかなければ、何のために作ったのか分からぬ、法改正やるのか分からないじゃないか、こう申し上げているわけで、その点はやはり点検をして、改めるものはきちっと改めてもらって、プライバシーに触れる、こうした、それこそ皆さん方も個人情報に関する意識が高まりが出てきたと、こうおっしゃっておりながら、こんなことが野放しにされたんじゃ全くざるになってしまうわけですから、この点の措置を求めたいと、こう申し上げておる。  つまり、申し上げたいのは、さっきからも出てるんですが、行政同士には非常に甘い、こうなってるんではないのかということを申し上げているんですね。この点は前から批判があるわけです。今回の改正趣旨からして、行政機関に対しても利用目的範囲というのは厳密に厳しくやられるべきではないか、こう申し上げているわけで、この点について、大臣、今お聞きになって、どうお思いになりますか。
  237. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 我々は、住民基本台帳に関する枠組みを議論をしていただいて、そしてそれをしっかりと執行していく立場にございます。  今まで申し上げましたように、個人情報保護に対する意識の高まり等々を背景に、今回、今申し上げたような観点からの整備を行っているわけでございます。しかし、今委員がちょっと御指摘になられました話は、これは自衛隊法の話でございます。自衛隊法そのものは、これは全く別の観点からの国益に根差して議論がなされた上で、これは国会の御審議で自衛隊法を定めていただいているわけでございますので、その中身について私どもが政府を代表してどうこう申し上げるということは、これはちょっと無理だというふうに思います。  いずれにしましても、住基、住民基本台帳と自衛隊法がかかわりがあるというのは事実でございますが、これはある一つのインフラを使って自衛隊法の枠組みの中での議論でございますので、これについて、私どもとしては先ほど局長が答弁した以上のことはちょっと申し上げられない立場にあるというふうに考えております。
  238. 又市征治

    ○又市征治君 いやいや、だから私が申し上げているのは、じゃ何のためにこの法律作るんですか、現実にそうやって自衛隊法に基づいて市町村に要求したら、市町村は四情報だけじゃなくて他のものもみんな出してるじゃありませんか、そういう流れがあるとすれば、それを点検をしてもらって、規制をすべきものは政府内で調整をしてもらったらどうですかと、こう申し上げている。そのことについては努力していただかないと、皆さん方は総務省の管轄だからこれだけやりゃいいんですというだけでは済まないんじゃないですかと、こう申し上げているんですよ。
  239. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 私も閣僚の一人でございますから、内閣全体として連帯して責任を負う立場から、自衛隊法を含めて自衛隊に対してはしっかりと議論をしなきゃいけないというふうに思っております。そういう意味で、しっかりと内閣の一員として連帯して責任を負えということでございましたら、これはそのようにしっかりとこれは対応させていただかなければいけないというふうに思います。
  240. 又市征治

    ○又市征治君 是非その点は、この法律がせっかく改正されたんですから、ざるにならないように御努力方を要請しておきたいと思います。  ところで、ぱっと話が進んでまいりましたから、話を、話題を変えまして、四月十一日の日にこの委員会で大臣に交付税問題についてお聞きをした段階で、一番最後になって大臣から大変長い御答弁をいただいたものですから時間切れになりました。この点について、若干時間があるようですからお伺いをさせていただきたいと思います。  まず、大臣は、地方交付税を減らすことを念頭に置いた議論は政策論としては間違っている、こういうふうに御答弁をいただきました。この点は私も全く同感であります。というのは、政策ではなくて制度論として減らせないというのは、もうこれは当然のことでありまして、国税五税の三二%、あるいは消費税の二五%なりを地方共有財産に回す、なおかつ需要額に足りなければ何とか工面して保障する、これは政策というより制度でありますから、政府・与党がどうしても減らしたいと思えば法改正制度をいじくるしかないわけでありますけれども、ただいま現在、そんなことを言うものなら大反対でありまして、制度改正は言える状況にはないと思うんですね。  そこで、政策論、つまり国の支出削減の目的から交付税を何兆円減らすべしという論議ばかりがまかり通ってきたわけでありますけれども、また現に過去六年間で五・五兆円もこの交付税が減らされてきた。地方税の減収の時期にあったにもかかわらず、そういう格好が進んできたということですね。だから、ここへ来て大臣の削減は政策として間違っているという発言は、自治体の立場からは大変心強く映ったはずであります。  もう一度、大臣自身、交付税を減らす政策は取らない、こういうふうにおっしゃっているわけですが、この点について御確認いただきたいと思います。
  241. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 今日改めて御質問をいただきまして、私、確かに政策論として誤っているというふうに申し上げました。政策論として誤っているというふうに申し上げたことの真意といいますか、自分なりにもう一度整理してみますと、私が申し上げましたのは、政策を考え、政策を論じ、政策を決定するときの姿勢として誤っていると、そのように申し上げたかったわけでございます。そのことの意味をあえて申し上げますと、政策というのはやっぱり解決すべき何らかの問題がそこにあるわけです。その問題を考えるに当たって、その問題の解決策にちゃんとなってるかどうかというのがまず一つのポイントだと思います。  もう一つ、政策を議論する際には、やはり守らなければいけないルールのようなものがあると思います。それは、例えば、幾らある目的のために、目的を解決するためにすばらしい政策であっても、それが他の人の人権を損ねるような、もっとオーバーに言うと別の法律に触れるような、憲法に触れるような、そういうものであるならば、それは政策としてのコンシステンシーを欠くわけでございます。その意味では、政策としての枠組み、コンシステンシーをしっかりと持って、かつ問題解決になっているかどうか、その二つのことがしっかりと位置付けられていなければ、これは政策論としては誤っているということになるんだというふうに思います。そういう趣旨から申し上げたかったわけでございます。  ちょっと長くなりましたけれども、要は、交付税を減らすという議論は、これは国庫、国の財政を良くするという観点からだけ考えると、これは一つの解決策であるわけですけれども、しかしそれは、じゃそのときの地方の財政との関係はどうなるのかというようなことを、かつ地方のその財政の歳出には社会保障があり、人件費があり、公共事業があり、その他があるわけですから、そういう観点からすると、実はさっき言ったコンシステンシーを欠いているわけです。  そういう意味で、そういう議論そのものは非常に非生産的であって、私は政策論として誤っているというふうに申し上げたわけでございます。
  242. 又市征治

    ○又市征治君 ありがとうございました。  それじゃ、もう一つ、この間の答弁の中で、交付税は中間的な支出だという大臣の言い方について、私はこれはもう異論があるわけです。中間的支出というのは国側から見た言い方ですね。自治体にとってみては、中間でも何でもない、スタートというか、スタートを決める主要な収入の一つですね。税源移譲が将来どんどん進めば別ですけれども、今の現実は、交付税を大幅に削られれば予算編成もできない。これが二〇〇四年度にも自治体側に起きた、あちこちでもう悲鳴が起きたということでありまして、そういうことになるわけです。  税が先だからと言いたいんでしょうけれども、現実に税だけで財政、予算を決められる自治体は東京都ぐらいなものでございまして、大臣の先日の試算でも、交付税が減るには大幅な税源移譲がなければならない、さもなければ地方財政、サービスの縮小だと、こう示されております。  ここは是非、自治体の立場を代表して、この中間的という話じゃなくて、言い直していただいて、交付税は現在主要な財源だと、こういうことでおっしゃっているんだろうと思いますが、その点の御確認をいただいておきたい。
  243. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 私も注意をして発言しているつもりなんでございますが、これ、過去の答弁を見ていただきますと必ず出てくると思いますが、これ、コインの両面のようなものであって、国から見ると中間的な支出である、そしてしかし、地方から見るとこれは明らかに固有の財源であると、そのことは明確にこれまでも申し上げたつもりでございます。  しかし、そういうそのクッションが途中であるわけですね。それであるがゆえに、なかなか制度が理解されていないという面がございます。そのことを時々申し上げる手っ取り早い方法として、これは国から見た社会保障とかと同じような意味での歳出ではなくて中間的なものなんだと、そしてそれは、コインの両面、コインの別の側から見ると地方の固有の財源である、このことはもう明確に申し上げておきたいと思います。
  244. 又市征治

    ○又市征治君 まだまだ論議したいことはありますが、時間の関係でこれでやめたいと思います。  いずれにいたしましても、今日、国、地方を通じて、この地方交付税問題、大変大きな問題でありますから、引き続きまた議論をさせていただくことを申し上げて、今日の質問は終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  245. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 国民新党の長谷川憲正でございます。  各委員の大変御熱心でかつ効率的な御質疑のおかげで予定の時間よりも大分早く進行しているようでございますので、この流れを切らないように私もやらせていただきたいと思っております。ありがとうございます。  冒頭、大臣に、これは御質問じゃございませんで、一言御意見を申し上げたいと思います。  今、又市委員の御質問にお答えになる中で、コンシステンシーという英語をお使いになりました。最近、政府でもあるいは国会議員の中でも、英語、あるいは英語ならず、ほかの外国語も含めて、外国語をお使いになる方が大変多いんですけれども、やっぱり私は、国会の審議というのは、国民各世代各階層、すべての方に分かりやすい議論をすべきだというふうに思うものですから、広く人口に膾炙したものは別でございますけれども、そうでない限り、できるだけ日本語に直してお使いをいただきたいと思う次第でございます。私、竹中大臣はほとんど日本語も英語も同じように頭の中に浮かんでおられると思うので、それを一々日本語に直してお話しになるのは面倒だということだと思うんですけれども、そこは是非国民の立場からひとつ御努力をお願い申し上げたいと思います。  そこで、住民基本台帳改正案に関するお尋ねを申し上げたいと思います。  今回の改正案は、基本台帳閲覧原則公開であったものを原則非公開という形に抜本的改正を行われるわけであります。  先ほど来の質問に対するお答えをずっとお聞きをしておりますと、例えばDM業者のような人たちが商業目的で大量に情報を入手するというようなことは避けたいんだと、そういうことが今回の改正目的だということをおっしゃいますが、それだけであるならば、昭和六十年、平成十一年、大きな改正をしてきているわけでありまして、原則公開というものを基本にしながら更に制限を課すというやり方もできたはずだと私は思うんであります。それを、今回はそうではなくて、原則非公開と大きく転換をされたということは、私はやっぱり国民に対してしっかりとした説明をする義務がある。同じことじゃないかということでは決してないわけでありまして、原則公開原則非公開は全く違うということで、ここはできましたら大臣から、国民の皆さんに向かってのメッセージという趣旨を含めて、御説明をいただければと思います。
  246. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 冒頭の御注意はしっかりと賜りたいと思います。最近片仮名が減ってきたというふうに思っていたんですけれども、総務委員会に来てまた増えたような気がしておりますので、注意をいたします。  住民基本台帳が広く公開されてきた理由としては、これ、法制定時住民基本台帳が、先ほどから言葉として出ておりますけれども、居住関係公証する公簿であって、この台帳を何人にも公開することが住民利便増進に資するというふうに正に考えられてきたわけでございます。また、この住民基本台帳の前身であります住民登録法においても同様に公開とされてきたと、そういう背景がございます。しかし、今般の通信技術の著しい発展と経済情勢の変化、また個人情報保護に対する意識の高まり、やはりそういう非常に大きな時代の流れがこの中にあったというふうに理解しなければいけないと思います。  このために、平成十七年の五月から住民基本台帳閲覧制度のあり方に関する検討会、これ閲覧制度を根本的に、個人情報保護しながらも、いかにしてその適正な利用によって住民利便増進を図るか。住民利便増進を図りたい、利用すべきは利用していただきたい、しかし個人情報はしっかり保護したいと、ここはもうある種、両方是非両立させたいと思っているわけでございます。そういう観点からその検討会で御議論をいただいたわけです。  その結果、現行何人閲覧請求することができるという制度ではなくて、それを廃止した上で、個人情報保護に十分留意した制度として再構築することとした。その意味では確かに原則は大きく変わっているわけでございますが、我々としてバランスさせたいのは、あくまでもやはりしっかりとして利用すべきは利用する、守るべきは守ると。そのバランスを考える上で、先ほどからの通信技術の変化とかその時代の変化にしっかりと対応していこうという下でこのような判断に至ったわけでございます。
  247. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 ありがとうございました。  先ほど来の御質問の中にも出ているように、非常に大きな社会的問題を惹起してきているわけでありますから、こういう大きな原則の変更というのはまあやむを得ないなと思うわけでありますが、同時に、やはりその運用に当たりましては、先ほど来、一杯、公共性とは何なんだ、公益性とは何なんだという御質問がありますけれども、これからたくさん問題点が出てくると思うわけですね。個人情報保護法が施行されました後にいわゆる過剰反応というのが一杯出ているよというお話が、たくさん今日も御紹介がありました。二之湯委員がおっしゃいましたけれども、仲間の住所録も作れないというようなことになってまいりますと、社会全体の連帯というものも薄れてしまうじゃないか、そういう危惧があるのは当然だろうと思うわけであります。  そういう意味で、個人情報保護は大変重要ですけれども、一方で、社会の連帯感といいますか、個人から見れば社会性というものをしっかりと持って社会の中にかかわっていくということも大事なことでございますので、ここのところは、今回の改正によって何か一層、必要な人たちが必要な限りにおいて個人情報利用するということが阻害されないように、ここの運用のところは御努力をいただかなければいけないところだと思うんです。  私、日本の政策というのは水際作戦のようなものがすこぶる多いと思うんですね。これはやっぱり日本が島国であるからそういう発想になると思うんですけれども、本当は、何か悪いことをしたらその悪いことをした人を徹底的に罰するというのが基本だろうと思うんですよね。できるだけ自由な活動をしていただいて、なおかつ悪いことをした者は厳しくやるんだという結果責任であっていいと思うんですけど、日本の場合には、何か問題が起きますと、問題が起きないようにぐるっと周りに円をかきまして、ここから入っちゃいけないよと、そういうすぐ何か線を引く、どうもそういう考え方が多いような気がするんですね。これ、ですから水際で外から入ってくるのを食い止める、鳥インフルエンザなども食い止めるというような感じだと思うんですね。  私はそうならないことを今回期待をしておりまして、原則を変えることは大変結構なことだけれども、しかし運用については実態に即して柔軟にやる。  そこで、先ほど来のお話を聞いておりましても様々な、これから地方自治体の判断についての支援を考えておられるとか情報交換を密にするとか、いろんなことをおっしゃっておられますけれども、大臣として、まあ細かい点は結構でございますけれども、この点についての御覚悟をもう一度お聞きしたいと思います。
  248. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 今、長谷川委員、水際作戦というふうにおっしゃいましたけれども、なるほど、そういう形で日本の法律体系といいますか政策体系そのもの、もっと言えば日本の文化的な社会的な決め方そのものが、御指摘のような傾向をずっと持っていると思います。  このような文明論は政策論として余り意味がひょっとしたらないかもしれませんが、私自身、常にこれは違うなと思っておりますのは、日本だと必ず、ちょっと危ないと立入禁止という札が立ちます。ところが、これはアメリカの例ですと、英語しゃべったら怒られますからしゃべりませんが、日本語に訳しますと、あなた自身のリスクで進みなさいという札が出ているわけですね。ここ自体がやはり危ないから立入りを禁止するというのと、最終的にはあなた自身の責任で好きにしなさいという、そういう一つの文明論、文化論的な違いというのは確かにあるのだと思います。  そういう意味では、今までもできるだけ制度をふわっとしておいて、そこで柔軟に判断していただくというのがある種、日本的で良い面があったんだと思います。しかし、そうは言っていられないような技術環境の変化が起こってきているというのが今の事態ではないかと思います。  今回の法律に関して申し上げますと、過剰反応にならないように、やっぱりしっかりと利用すべきものは利用しなきゃいけないという御趣旨委員のお話の中にあったと思いますが、今回の実は大変大きな意味は、やっぱりこれはちゃんと閲覧していいんだよということを明示したということであるというふうに思っています。その明示の範囲がなかなか分かりにくいではないかという御指摘もあるわけですけれども、そこはやっぱり事例をたくさん作っていくと、方針を示した上で事例を作っていくということしかないのかなと思っております。  申し上げましたように、いや、ここはいいんだということを明示することによって、できるだけ利用できる、堂々と利用できるものは利用していただく、閲覧していただく、そういう意味もこの法律には込められておりますので、そういう立場についての御理解を是非賜りたいと思います。
  249. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 今御説明いただいたような趣旨は私も理解をするところであります。  ただ、やはり中間領域でなかなか判断に困る部分というのはあるわけです。そういったときに、原則公開であればやはり公開の方に傾いた判断がなし得やすいと。ところが、非公開原則であればお見せできないという形に結論が誘導されやすい、そういう違いがあるわけでありますので、そこのところは、実はこの中間領域といっても、これよく皆さんグレーゾーンとおっしゃいますが、私、わざわざ中間領域と、こう申し上げているんですけれども、非常に幅の広い部分だと思うんですよね。ですから、そういうところで是非各自治体が余り迷うことのないように、そこのところは総務省としての御努力をいただきたいなということを併せて申し上げておきたいと思います。  今日、内閣府からも審議官においでいただいていますので、個人情報保護法のことで一点だけお聞きをしたいと思います。  既に質問が、今、この趣旨目的をより良く国民に理解していただくためにどういうことをやっているんだという御質問は先ほどありました。私はその先をお聞きしたいんであります。各省庁でも申合せをしているというようなお話も先ほどありましたけれども、これから先、具体的に、どういうような形でより一層この法の趣旨目的を理解していただくようなことを考えておられるのか、少し具体的にお聞きしたいと思いますが。
  250. 中村吉夫

    政府参考人(中村吉夫君) お答え申し上げます。  先ほど二之湯先生の御質問にもお答えいたしましたように、昨年四月に個人情報保護法等が全面施行されたことによりまして個人情報保護に関する国民意識が高まってまいりましたし、また事業者個人情報保護取組も進んできているように思います。  しかしながら、一方で、いろいろ議論されておりますように、法律に対する誤解等に起因いたしまして、必要とされる個人情報の提供までも行われないんじゃないかと、必要とされる名簿の作成等もできないんじゃないだろうかと、そういうような、いわゆる過剰反応と言われておりますような現象も一部で見られておるところでございます。これにつきましては、先ほども御答弁いたしましたように、去る二月に関係省庁会議を開催いたしまして、関係省庁で申合せをいたしたところでございます。  その申合せに沿いまして、今後、具体的には、一つは、やはり法制度の周知徹底ということが大切でございますので、従来も説明会、あるいはパンフレット、リーフレット等の配布をしておりましたけれども、さらに説明会を実施してまいりますし、インターネットを活用するというようなことで法制度の周知徹底を図っていきたいということが一つでございます。  それから、その二つ目といたしまして、よくある法制度の誤解ということで、第三者への提供の問題がございます。これにつきましては、原則的には本人の同意がなければ提供できないわけでございますけれども、幾つかの例外事項がございます。そうしたその例外事項について、これまでも事案に応じましてそれぞれ対応をしてまいったわけでございますけれども、これからも、そうした個別の問題が起こってきた場合には担当する省庁とよく連携をしながら、制度の誤解のないような対応をしていきたいというふうに思っております。  さらに、法解釈あるいは運用基準につきまして、明確化が必要であるものについては明確化をいたしますし、それからガイドラインにつきましても必要に応じて見直しをしていくと。こうした措置関係省庁で共有をいたしまして、政府一体として取組が進むようにしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  251. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 是非、格段の御努力をお願いしたいと思う次第であります。  もう一つ懸念があります。今までは、過剰防衛といいますか、過剰反応が問題だということを申し上げましたけど、同時に、どういう形で、原則非公開という形にしても、脱法行為といいましょうか、いろいろ悪知恵出して悪意の下に情報を取り出すということをやろうとする人は出てくるわけであります。  一杯そういう質問も今日はあったわけでありますけれども、一つ私考えられるのが、報道機関というような名前を使って脱法行為的に調査を行うというようなことは割とやりやすいのかなと、今度の法の中身を見ますと。そういったときに現場で困ることがたくさんあるんじゃないだろうかというようなことをちょっと懸念をするわけでありますが、これは局長さん、いかがでございましょうか。
  252. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 今回の制度改正によりましても、報道機関だからいいんだということでは決してないわけでございまして、この閲覧を相当かどうかということを判断するに当たりましては、報道機関が行う調査の内容がどうなっているか、それが基準に照らして公益性が高いかどうかといったような判断がされるわけでございまして、この判断するに当たっては、例えば実際に調査票を、使われる予定の調査票などを見せてもらうとか、いろんなことをやられることになろうかと思います。  特に、先ほど委員が御指摘ございましたように、原則公開から一定のものだけ認めるという仕組みになっておるものですから、相当だということを市町村長が判断する、ないと見せないということになるわけでございますので、その点が一つあろうかと思います。  それから、もう一つは、制裁措置も一つ強化しておりますので、偽りで閲覧するとペナルティーが掛かってくるということもございます。また、閲覧した者の氏名等を公表するという仕組みも用意されておりますので、そういうものも併せて用意してございますので、実際の現場については、当然のことながらいろいろ判断に迷うような局面はあろうかと思いますけれども、制度的にはできる限りの、何といいますか、担保といいますか、制度を用意しておりますので、これで適切に運用していただけるように我々も努力してまいりたいと思っております。
  253. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 おっしゃることはもちろん理解できるんです。ただ、商業目的で反復利用しようというような人の場合には今のようなことで、一度目で失敗をしても二度目から排除できるということありますけれども、犯罪目的などの場合はその一回限りの利用も許してはならないわけでありますので、より慎重でなければならないというふうに思います。  そういう意味で、是非いろいろな事例をこれから積み上げていただいて、そして各自治体でも簡単にそういうものが入手できるような方法を考えていただいて、インターネットなどもあるわけでございますから、みんなが毎日毎日少しずつ経験を基に知恵を積み重ねてより良いものにしていくという運用が一番大事なんじゃないかというふうに思うんです。  先ほども水際作戦なんということを申し上げましたけれども、日本の法律は、ややもすれば完璧なものを作って、さんざん議論して完璧なものを作ってから世の中にお出しをすると。自動車なんかでも、売り出してしまったからにはもう絶対故障は認めないみたいなところもあるわけですが、外国へ行きますとかなりいい加減で、買ってみてからあっちもこっちも故障が一杯あって、それが当たり前だと。そうやっていくうちにいいものができるんだなんという品物も一杯あるわけですけれども、やっぱりこういう時代の雰囲気、個人情報というものに対する市民考え方などがどんどん動いていくというときにあっては、又市先生のお話にもありましたけど、法律だからといって一遍作ったからもうてこでも変えないなんということじゃなくて、非常に柔軟に法律そのものもお考えになって、必要があったらどんどん提案をしていただくべきだと思いますし、また運用についても柔軟におやりになることをお考えいただくようにお願いをしまして、大分時間を残しておりますが、これで質問を終わりたいと思います。
  254. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時四十八分散会