運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2006-04-11 第164回国会 参議院 総務委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年四月十一日(火曜日)    午前十時五十分開会     ─────────────    委員異動  四月六日     辞任         補欠選任      神本美恵子君     那谷屋正義君      広田  一君     高橋 千秋君  四月十日     辞任         補欠選任      藤本 祐司君     水岡 俊一君  四月十一日     辞任         補欠選任      高橋 千秋君     和田ひろ子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         世耕 弘成君     理 事                 景山俊太郎君                 森元 恒雄君                 山本 順三君                 高嶋 良充君                 内藤 正光君     委 員                 尾辻 秀久君                 柏村 武昭君                 木村  仁君                 二之湯 智君                 山崎  力君                 吉村剛太郎君                 伊藤 基隆君                 高橋 千秋君                 那谷屋正義君                 平田 健二君                 水岡 俊一君                 蓮   舫君                 和田ひろ子君                 魚住裕一郎君                 澤  雄二君                 吉川 春子君                 又市 征治君                 長谷川憲正君    国務大臣        総務大臣     竹中 平蔵君    副大臣        総務大臣    山崎  力君        厚生労働大臣  赤松 正雄君    大臣政務官        総務大臣政務官  古屋 範子君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        総務省自治財政        局長       瀧野 欣彌君        消防庁長官    板倉 敏和君        厚生労働大臣官        房審議官     岡島 敦子君        厚生労働省老健        局長       磯部 文雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○消防組織法の一部を改正する法律案内閣提出  )     ─────────────
  2. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、神本美恵子君、広田一君及び藤本祐司君が委員辞任され、その補欠として那谷屋正義君、高橋千秋君及び水岡俊一君が選任されました。     ─────────────
  3. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  消防組織法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会総務省自治財政局長瀧野欣彌君消防庁長官板倉敏和君、厚生労働大臣官房審議官岡島敦子君及び厚生労働省老健局長磯部文雄君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 消防組織法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 おはようございます。  消防法の一部を改正する法律案について、若干質問をさせていただきます。  最初に、小規模消防本部問題点広域化メリットであります。現在、消防本部全体のうち、管轄人口が十万人未満の消防本部というのが全国で六割ぐらい占めております。広域合併等も進んでおりまして、広域化というのは必然的に進むんじゃないかと思います。ただ、広がればいいというもんじゃなくて、やっぱり小規模は小規模なりにいいメリットもあったんじゃないかと思います。そういう点で、今まで広域行政や、いろんなあったんですけれども、そういう中で、小規模消防本部皆様方はかねてどういうところに問題点があったのか、それではなぜ広域消防をもっと拡大していかなきゃいけないか、そういう点からちょっと聞かせてください。
  7. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 小規模消防本部の問題でございますけれども、まず、職員数が当然のことながら少ないわけでございまして、出動体制に大きな制約がございます。また、保有する消防車両専門要員確保などにも限界がございます。さらには、非常に職員数が少ない中でやっておりますので、昇任システムですとか士気の維持などの組織管理ですとか、母体の財政力が必ずしも強くないということで、財政運営面での問題点などがこれまで指摘をされてきているところでございまして、現下の非常に大きな災害が危惧される状況の中では消防体制としては必ずしも十分ではないのではないかと、こういうふうに考えているところでございます。
  8. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 それで、広域化をする場合に、どうしたわけか三十万人という数字が出てきました。消防庁研究会報告書とか消防審議会答申でそういうことが言われておりますけれども、何で三十万人なのかがよく分からないんですよね。  それから、これは、広域化というのは目安として人口で考えておられると思うんですが、例えば、地元のことを言っては悪いんですけれども、うちの島根県などは非常に長くて広い県であります。山間地とか離島とか農村地域が多いんですけれども、この管轄面積を、県内の消防本部管轄面積を平均いたしますと全国の平均の一・七倍になっちゃうんですね、三十万人にしますとですね。  そういう面になりますと、今度は広域であるがゆえにサービスが低下するんじゃないのか、やっぱりもうちょっと小規模がいいんじゃないかとか、それから人口だけで三十万人ということに限定されると、都市部に集中していて、その周辺はサービスが非常に悪くなるんじゃないかとか、いろいろなデメリットもあるようでありますけれども地域というもの、広さというものはこの中に入らないのかということで、管轄人口三十万人規模以上というのが独り歩きいたしますと、地理的な条件とか時間的な条件とかそういうものがどっかへ吹き飛んでしまうと、ひいては行政サービスが落ちるんじゃないかと思いますが、その点、どうでしょうか。
  9. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 確かに、御指摘がございましたとおり、本年二月の消防審議会答申などにおきましては、例えば規模一つの三十万人という人口規模目標とすべきという指摘がなされているところでございますが、これらを踏まえつつ、今後、消防庁長官が定める基本指針におきまして一定考え方を示したいと思っているところでございます。  なぜ三十万人かということにつきましては、いろいろとその報告書等の中でも指摘をされているところでございますけれども、やはり消防機関一つ部隊運用として一定のやはり大きな規模があった方がより災害に対して即応力が発揮できるというようなことでありますとか、ある程度職員数が多い消防であれば研修等予防要員資質向上等のそういう余裕も生まれるとか、そういうような幾つかの要因で三十万人程度というふうになっておるところでございます。  ただ、これにつきましては、御指摘ございましたとおり面積という問題も当然ございますし、島嶼部などのそういう地理的な条件のところはどうするのかとか、交通事情日常生活圏地域歴史人口密度人口動態、減っているのかどうかというようなそういう地域のいろんな事情がございますので、これ私どもも、たとえ、もし三十万人を目標ということにいたしましても、それを強制的にといいましょうか一律に三十万ということで押し付けていくつもりは全くございませんので、そこのところはいろんな地域事情を検討してそれぞれのところで考えていただきたいと、こういうことで進めてまいりたいと思います。
  10. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 だから、臨機応変の地域実情に応じて、住民サービスが落ちないということを旨としてやっていただけるということです。  それで、今、今年の地方議会を見ますと、もう予算がなくて大変だ大変だという話ばっかりなんですね。だから、広域行政でこういう広域消防をやるということになりますと、これまた大変なお金が掛かると思うんです。しかし、片一方では生命の安全、財産安心というものを求めていかなきゃいけないんですけども、財政的にはどういうふうに考えておりますか。まあ起債を、借金をやれということと地方交付税で賄えということになると思いますけれども、その辺りはどういうふうに考えておりますか。
  11. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 所要経費につきましては、当然のことながら地方交付税制度の中で消防費という形で見ていただいているわけでございますけれども、少なくとも広域化したことによって今以上にコストが余計に掛かるということは私どもとしては余り想定はしておりません。  まあ一時的にいろいろ資機材の整備というようなことはあるかも分かりませんけれども、恒常的なことといたしましては、やはり一種のスケールメリットが働くということで、現在程度負担でより高い消防力を持つというようなことを考えているわけでございまして、今以上に市町村負担が増えるということは実は想定はしておりません。
  12. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 交付税の場合も人口基準になっておって、人口密度に応じて補正等がなされるんですけれども、また面積とか、さっき言ったサービスとか人口とか、面積とか時間的な距離とかですね、いろんなものを考えると、交付税自体にも少しいろんな面の補正が必要じゃないのかなと思いますが、どうでしょうか。
  13. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) 御指摘のように、現在、交付税におきます消防費算定におきましては、消防組合を設置しているかどうかにかかわりませず各市町村ごと人口測定単位として算定した上で、消防自動車燃料費など、面積に応じて増加する経費につきましては補正を適用して割増すという算定をしているところでございます。  したがいまして、御指摘のように、今回、合併等によりまして消防本部管轄面積が広がるとその所要経費が増加する場合におきましても、合併前の財源が保障されるわけでございますので、基本的にはその合計額によりまして全体経費は賄えるものというふうに考えておりますが、御指摘のように、今回の消防広域化あるいは市町村合併の進展という状況の中で、交付税算定の中にこれまで以上に面積要素をきちんと加味すべきではないかという御主張がいろんな観点から出されているということは我々も承知しているところでございます。  したがいまして、今後、消防機能強化に伴います財政需要の増加とか、あるいは広域合併を行った相手の状況、こういったことも踏まえまして、地方団体の意見を伺いながら十分検討してまいりたいというふうに考えております。
  14. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 だから、そういう要件も今後入ってくるということと理解してもいいわけですね。  それから、これは郵便局と同じような悩みなんですけれども、統合、要するに広域化しますと、消防署を統合しなきゃいけないという問題が出ますね。そうすると、地域が寂れていくというような問題で、地域住民から見れば、何だ消防署がどっかほかへ行くんじゃないかというような心配がありますけれども、その点はどうですか。
  15. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 広域化が進むと消防署が減ってしまうのではないか、こういう御議論かと思います。  消防署ですとか出張所の配置につきましては、消防庁長官が定めます消防力整備指針に基づいて決められております。そういう意味では、消防本部広域されても市街地等状況が変わらない限り、署所の数というのは基本的に変わることはないというふうに思っているところでございます。  ただ、地域によりましては非常に署の距離が近いとかというようなことがあると、将来にわたりましてその場所の適正化というようなことが行われることはあり得るかなというふうに思っております。  いずれにしましても、署所をどういうふうに置くかというのは、この広域化を行う場合に市町村にとって最も大事なことでもございますので、いずれにしても議論の中心になるということでございます。大概のケースでは、やっぱり一市町村最低一つの署は置くというような形で進められているようにこれまでのところは考えておりますので、その辺は市町村の方で適切に判断していただけるんではないかというふうに思っております。
  16. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 合併いたしまして、例えばうちの県などでは、今まで原発が、まあ今三号機まで造っているんですが、合併いたしまして広域の市になったんですね。そういたしますと、今から、原子力発電所などを持っていますと、今までとは違う、消防団にしましても消防にしましても、いざというときには相当な訓練をしなきゃいけないと思います。  また、危険性も高いというようなことも言われておりますので、住民の不安などもあるわけですから、その辺り、今後、消防職員のこういった特殊災害、ほかにはコンビナートとかいろいろそういう面もあろうと思いますけれども、そういった特殊災害に対する対応というのはどういうふうに指導されますか。
  17. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 特殊災害に対する対応でございますけれども消防職員教育訓練研修などにつきましては、都道府県又は指定都市が設置をしております消防学校において行われております。また、私ども消防庁消防学校におきましても、各種教育訓練研修を行っております。  御指摘ございましたNBC災害対策でございますとか特殊災害のコースというのも用意をいたしております。  ただ、研修を受けさせるにもある程度そういう人的余裕というものが必要でございまして、かえって広域化することによってそういうことも可能になる、なってくるのではないかということも期待をしているわけでございます。  必ずしも現在の教育訓練が十分であるとは思っておりませんので、今後引き続き充実をしていく必要はあると思いますけれども広域化によりますスケールメリットによりまして一人でも多くの職員がこういう研修を受ける機会を得ていただきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  18. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 それから、市町村合併が進みまして、今まで広域町村何か消防署というのがあったんですが、合併をしたために、合併に入らなかったところと、今までは広域でやっていたのが、その議会同士とか市長さん同士余り、けんかでもないですけれども、そういう感情になりまして、何だとかいうようなことも出ているところがあるんですよね。そういうところの、合併において広域化が進まないというところもあるんですよね。そういうところはどういうふうに今後指導したり、又は合併をもう一回進めさすとか、そういう点はどうでしょうか。
  19. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 広域化に取り残される市町村、どういうふうに対応していくのかという御質問かと思います。  今般の消防広域化に当たりましては、今後、消防庁で定めます基本指針におきまして一定目標を示すことといたしまして、その推進を図っていこうということでございます。しかしながら、先ほどもお話ししましたとおり、この場合におきましても、島嶼部などの地理的な条件交通事情日常生活圏広域行政地域歴史管轄面積の広狭、人口密度人口減少などの人口動態等地域事情などには十分配慮する必要があるというふうに考えているところでございます。  また、法案におきましては、国が必要な援助を行うものとするほか、都道府県におきましても、推進計画を定めるとともに市町村相互間における必要な調整や必要な援助を行うものとしているところでございます。各都道府県におきまして推進計画を策定をいたします際には、地域事情を勘案し、取り残されることがないように、市町村に対して、話し合っていただけるというふうに考えております。私どもが定めます基本指針の中でも何らかの形でそういう指摘をしていきたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、消防広域化の場合ですと、どうしても地理的な条件広域化ができないというところにつきましては、従来の手法であります災害があったときに応援をするというような応援協定とか、最低限度のそういう方策は可能でございますので、そういう落ちこぼれが出ないようにといいましょうか、問題がないように対応していかなければいけないというふうに思っております。
  20. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 最後ですけれども消防力整備指針を今後社会情勢とかいろいろな情勢の中で不断に見直さなくてはいけないと思いますけれども、その点は何かマニュアル等はできているんですか。
  21. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 市町村は、消防を取り巻く社会経済情勢変化を踏まえ、今後とも住民生命、身体及び財産を守る責任を全うするために、消防力充実強化を着実に図っていく必要があるというふうに思っております。  消防力整備指針でございますが、各市町村がその責任を果たすべき安全の確保に関して、国が専門的、技術的観点から基本的な考え方とその具体的な水準などを各市町村にお示しをしているという性格のものでございます。この消防力整備指針は、昭和三十六年の八月に初めて制定をされまして以降、都市構造変化消防需要変化対応いたしまして、より実情に即した合理的な基準となるように数次にわたりまして見直しが行われ、最近では昨年にもその改正が行われたところでございます。  今後も、消防防災行政を取り巻く環境の変化に応じまして消防責任を担う市町村が的確にその役割を果たすことができるよう、適時適切に見直しを行ってまいる所存でございます。
  22. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 広域行政になりまして決してその目が粗くならないように、やっぱりきちっと生命財産を守っていかなきゃいけませんので、しっかりとやっていただきたいと思います。  以上、終わります。
  23. 木村仁

    木村仁君 自民党の木村でございます。  市町村合併が進んだこの時期に消防広域化を制度的にも進めていこうという消防組織法改正、基本的に大賛成であるということを前提にして、幾つかの質問を申し上げたいと思います。  市町村合併は自主的な地域判断によって行われる、これは原則でありますし、消防広域化も基本的には市町村の自主的な判断によって進めようと、こういうことでございました。ところが、市町村合併の場合には、自主性を重んじる余りと言うと語弊があるかもしれませんけれども自分たちは小さくてもいいんだという独立宣言をする、あるいはうちは金があるからもう合併は必要ないと言って一人だけ抜けていく、あるいは隣の市町村長が嫌いだからやらないと言ってこっちで小さくまとまってしまうと、いろいろちぐはぐが起こって、本当に将来、日本の基礎的な行政体としてまとまっていくのかどうかというところになお疑問が残って、更なる努力が必要とされ、今、千八百三十、更なる合併が進められると思います。  消防の場合にも、自主的な広域化ということでありますが、三十一条には、消防体制整備及び確立を図ることを旨としてやると書かれております。そして、三十三条二項三号には、消防庁総務省基本指針に基づいて都道府県知事が作る推進計画には広域対象市町村組合せを具体的に示し、それを進めるための措置も示すと。そして、三十八条では、知事が必要に応じて指導、助言、勧告を行うとともに、その勧告に対してどういう措置をとったかということを市町村長報告をさせるというような仕組みを準備しておられるようであります。しかし、本当に国及び都道府県知事リーダーシップを発揮して進めないとなかなか理想的な体制は整わないと思います。  消防というのはやっぱり国の安全、国民の安心、安全を守る基盤になる重要な行政組織でありますから、この際、国、都道府県はもう、自主広域化ということを考えながらも、強力なリーダーシップを進めて本当に効率的な消防行政体制をつくっていくべきであると考えますけれども総務大臣の御決意のほどを承りたいと思います。
  24. 山崎力

    ○副大臣山崎力君) 今委員指摘のとおりでございまして、いわゆる市町村自治体消防から出発したわけでございますけれども広域化必要性があるということで今までその方向で進んできたと申し上げてよろしいかと思います。そして、今回の法制化というのは正にそこのところの、何というんでしょう、やり方をもう少し明確にした方がいいと、国や県や市町村役割を明確にして広域化に役立てていきたいという観点からのお願いでございます。  そういった意味で、国といたしましては、消防庁長官が、やはり自主的ということが前提になるわけでございますけれども市町村消防広域化推進するための基本的な指針をまず定めると、これが一つの柱になっております。そして、都道府県においてはその基本指針に基づきまして推進計画を作っていただくと、そしてその中で市町村組合せなどを示して、それで広域的な役割都道府県としてもやっていただくという内容でございます。  市町村消防広域化という点については、今、町村合併の例を引いてお話しになりましたけれども、正にそういった面でいえば、住民生命あるいは財産というものを守らなければいけない基本的な組織でございます。そして、それが単なる首長さんあるいは事情によって、分割されたままあるいは連携がうまく取れないままであるというのは、これは極めて遺憾なところでございますので、合理的な配置というか、組織をどうつくるかと、体制をどうつくるかという点については、まず我々の作る基本指針に基づいて都道府県にちゃんとした推進計画を作っていただいて、それで知事さんのリーダーシップ市町村合併のときよりもより強く発揮していただくと、国の方はそれをきちっとバックアップさせていただくという体制で進めていきたいというふうに考えております。
  25. 木村仁

    木村仁君 是非、消防広域化という圏域設定を通じて、将来、市町村もその区域に合致していくような合併が行われるというぐらいの意気込みでやっていただきたいと思います。  消防広域化を大体、報告書によれば三十万ぐらいでやると、こういうことでありますと、一億二、三千万を割ると四百ぐらいになるんですが、大体一国の行政単位の数は七の倍数がいいという地理学上の学説があるんです。そうすると、一、七、四十九、その上が三百四十六ぐらいになるんですか。ですから、三百五十を前後として、それから四百ぐらいが一番いいのではないかと。今八百三十八ですか、広域化したときに、常備消防をつくったときに九百何十あったんですけれども、大体幾つぐらいをめどに考えておられますか。四百ぐらいでしょうか。
  26. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 率直に申し上げますと、自主的にやっていただくという前提でございますので、めどというのは私どもの方にはございません。  ただ、三十万程度を目指して単純に三十万で割ればおっしゃるぐらいの数字になるのかなと思いますけれども、恐らくちょっと三十万人に届かないところも相当出ると思いますし、そういうことではもう少し消防本部の数としては多くなるのかなというような感じを持っております。
  27. 木村仁

    木村仁君 かつて、昭和四十年代に広域行政圏広域市町村圏というのが設定されていたわけです。その数が大体三百六十ぐらいだったと。それから、大都市圏の方を加えていけばまたそれに四、五十増えるかなという感じ。そうすると四百前後なんですよ。これは非常にいい圏域ではないかと思っていたんですが、ちょうど昭和四十年代に、そういうものが一方では行われているときに、消防は常備化というのをずっと進めてきたんです。そのときに、市町村広域圏域に合わせたらどうですかということはいろんな方が言ったんですけれども、当時の消防庁は非常に強固な考え方を持っていて、消防には消防の論理があると。この町は消防基準を考えればまだ消防団でいい、この町は常備にしなきゃいかぬという一つ一つ判断をしていかれたので、広域の圏域とは全く違った常備消防整備されていって、結局は、もう全国常備消防をつくらなきゃいかぬということはその時点で分かっていたはずですけれども、そういうちぐはぐが起こりました。  それで、市町村広域圏というのがだんだん今、自主合併、自主合併で崩れてしまってあいまいになっておりますけれども、やっぱり広域住民の生活圏とその安全を守る消防の圏域というのはおおむね一致した方がいいのではないかと、だから私はやっぱり四百前後でうまくセットしていかれるのがいいのかなと。  市町村合併も、総務省は千と言って示したじゃないですか。だから、少しビジョンを示して、基本指針にはそういう具体的なことまで書かれたらどうかなという気がいたしますが、その点は、長官、いかがですか。
  28. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 御指摘のとおり、広域市町村圏というのが一つ広域行政単位として現に存在をしているわけでございまして、大きな役割を果たしてきたというふうに考えております。そういうことからいたしますと、地域的なまとまりということで、広域市町村圏が例えば新しい広域消防一つの区域になるということは十分考えられることだと思いますし、かなりの地域がそういうような形になっていくのではないかなというふうに思っております。  この問題につきましては、基本的には都道府県市町村でその辺よく話し合っていただいて適切な広域の区域を決めていただくというようなことでございますので、私どもの方でどこまで言えるのか、言うべきなのかという問題はあろうかと思いますけれども、ちょっと考えさせていただきたいと思います。
  29. 木村仁

    木村仁君 次に進みます。  消防団は依然として市町村単位で維持すると、これは消防団の性格からしてそうなるのかなと私も思います。しかし、不幸な事件も起こっているんです。消防団市町村長に直結していると。市町村は、災害が来そうなときにまず消防団が頭に浮かんで、広域消防常備消防というのに考えが至らない。そこで、消防団に出動を命じたら、いや、真っ暗で駄目です、満潮のときはまだ、明るくなりますからそのとき出動しますと言って、実は高潮がそれ以前に来て被害が起こったという、そういう事件があるんです。そのときに広域消防の方に通告しておけば、これはもう投光器も機動力も持っていますから、多分その災害は起こらなかったのではないかと思われる、そういう事件も、これは地名は言いませんけども、あるんです。  ですから、消防団市町村単位にしておくことはいいですけれども、できれば、強固な連携組織広域消防の圏域で確立しておかなければ私は駄目だと、そういうふうに思います。理想的には一本化して、そして各市町村の団長を今の団長並みの格付をするというようなことがいいと思うんですけれども、それが無理だとすれば、どのような連携の仕組みをお考えになっていらっしゃいますでしょうか、お伺いします。
  30. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 確かに、消防団をどういう形で今後維持していくのかということにつきましては一つの大きな課題があろうかと思います。ただ、今回の議論の過程の中で、やはり地域密着ということで市町村に所属をさせるべきであるという結論でございまして、そういう形になっておるわけでございます。  ただ、おっしゃいますように、消防団常備消防が密接に連絡を取り合って一緒に働いていかないと、なかなか地域の防災は達成できないというのも全くの事実でございますので、私どももいろいろと頭を悩ましているところでございますけれども、例えば、消防本部の管轄区域内に複数の消防団がございますから、その複数の消防団長の中から連絡調整担当の団長を一人選んでいただいて、その方を通じて消防団と密接に連絡を取り合うというようなことが一つ。また、平素からは各消防団と合同又は消防本部を含めて各消防団と一緒になって訓練を実施をするというようなこと。また、大体、構成市町村消防団と、この構成市町村の中に消防署ですとか消防の出張所がございますので、そこが一対一でしっかりと連携を強めると。また、最も大事な要因でございますけれども消防本部消防団との間に連絡通信手段がしっかり確立をしているということが必要でございますので、その確保充実、これらが当面考えられる常備消防消防団の連携を強化する方策ではないだろうかというふうに思っております。  いずれにしましても、この両者が力を合わしていただくということが非常に必要なことでございますんで、私ども、この実態をよく見ながら、更にいろいろ方策を考えてまいりたいと思っております。
  31. 木村仁

    木村仁君 次に、広域行政体制の問題でございますけれども、共同処理方式を取るということでありますから、一部事務組合あるいは市町村広域連合、こういうのでおやりになるんだろうと思いますが、これらの行政機構が非常に弱い面があるというのは、その中で管理者が決まる、管理者は多分市町村長の中から一人決まる。そうしますと、例えば立派な最新式の消防自動車を購入するとすると、その手柄はその一人の町長だけの手柄になってしまって、ほかの人はもうクールで知らぬ顔というような感じになるんです。そうすると、なかなかお金も、分賦金も、そんな立派なものを買うんならたくさん負担してやろうという気持ちにならないんですよ。それが一つありますので。  あるいは、複合事務組合というのがございますでしょう。そうすると、そこには、不思議と広域連合にはないけれども、複合事務組合には市町村の長による理事会というのをつくって、そしてそこですべて重要なことを協議するようになる。そうすると、関係市町村の参加意識がぐっと増えるわけですよ。ですから、行政体制についても、連合でもいいし一部事務組合でもいいと。  私は、委託でもいいということのようでありますけれども、できれば委託は避けて、やっぱり共同処理方式に、その他の共同処理方式にしていただきたいと。さらに、関係市町村全部が参加意識を持てるような共同処理方式を考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  32. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 広域消防となった場合に、現にたくさんございますけれども、その構成市町村との関係も、先ほどの消防団との関係かそれ以上に非常に重要なことであるというふうに認識をしております。広域化すればだんだんその構成市町村との関係が薄れるんではないかということでございます。これは、広域化メリットと、そういう関係が若干薄れていくということのデメリットの比較考量ということもございますけれども、少なくともそのデメリットの方を極小化するといいましょうか、小さくしていかなきゃいけないということで、私ども引き続き検討会の中でこの組合消防をより活性化していく、そういう方策について検討を進めているところでございます。  おっしゃいますように、消防だけの組合でなくて、広域行政組合の中の一部門として消防を位置付ける、そういうような区域設定をしたらいいではないかという御指摘かと思います。これは一つの大きな考え方としてあり得ることだと思います。  そういうことを含めまして、いずれにしても、広域消防市町村との関係が密接になるように、そういう何らかのやっぱり方策を講じていく必要があると思いますので、今後ともしっかり検討を進めてまいりたいと思います。
  33. 木村仁

    木村仁君 答弁の方で御指摘いただきましたので加えておきますけれども、我々の知見によれば、広域市町村圏で総合的な行政をやっている組合で消防をやっていると、消防もいいし、逆に消防をやっている組合は他の事務についても非常にまとまりがいいという知見が我々にはありますので、そこのところをひとつお願いいたします。  それから、消防というのは、私は、感じからいえば、市町村行政の中で予算獲得力が非常に弱いんです。総務省消防庁は率先して三位一体改革によって補助金を全部廃止してしまわれました。だから、今までは国が補助金を付けてくれたんだから一般財源出してくれと言えていたのが、今度は言えないんです。ですから、今度は地方債でということになっておりますけれども、そこのところは、財政局長いなくなっちゃったから残念ですが、よっぽどしっかり皆さんが支援してあげないと消防の装備が劣化していくおそれがあります。そこのところの決意をひとつ教えてください。一言で結構です。
  34. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) その点につきましては十分ウオッチしてまいりたいと思っております。
  35. 木村仁

    木村仁君 それからもう一つは、消防の府県段階の共同というのが一つ考えられる。例えば、情報の収集とかあるいは救急車の出動の指令、あるいは更に進んで災害、火災のすべての出動の指令等を県レベルで一本化する、あるいは、総務省は多大の補助金を付けて全国で七十機以上のヘリコプターを消防防災ヘリとして配置された。ところが、これが都道府県が運航するようになっておるとちっとも消防の役に立たないと。防災の情報集めなんかはやる。知事が乗るというとすぐ出動するけれども消防が乗るというと、いや今日は天気が悪いとかいって立てないと、そういうことがあるんですよ。ですから、やっぱり県一体とした消防の何らかのシステムが必要ではないか。例えば、東京都では、二十三区の消防は二十三区が連合してこれを処理するとなっておるんですね。そして、その管理するのが知事であり、知事消防長を任命するといって、消防総監を任命しているわけですよ。  ですから、そういう感じのをやって、県は、県自身は消防防災というのは全く素人ばっかりです。訓練もされてないし感覚も悪いです。ですから、やっぱり消防の全県的な組織を何かつくる必要があるような時代になってきているのではないかと思いますけれども。これはちょっと重要な問題でありますので、副大臣、もしよろしければお答えいただきたいと思います。
  36. 山崎力

    ○副大臣山崎力君) 今委員指摘の点というのは、大きな災害に対してのときにどれだけ協力してそれぞれの自治体消防といいますか広域化した消防対応できるか、そのときに県との関係はどういうふうな感じでやっていけばいいのかということの御指摘だろうと思います。もちろん、現在でも、県内の広域にわたる災害につきましては、各消防本部実情に応じて相互に協力して消防力を発揮していくという消防の相互応援ということによって対応しているわけでございます。  そういった中でも、やはりこういう町村合併ももちろんあるわけでございますが、広域対処ということで、消防の救急無線につきましては、ちょうどデジタル化への新規投資が必要だという機会でもございますので、原則として都道府県一つという区域設定して広域化、共同化を進めていこうと、こういうことでやっております。また、消防の指令業務につきましても、できるだけ大きなエリアで、県内で大きなエリアで共同運用を実施することが望ましいという形で広げていこうということで、そういう考え方消防庁から各地方公共団体あてに通知しております。  そこで、ヘリコプターということでございますけれども、平成十五年の消防組織法改正におきまして、都道府県の今運用しております消防防災ヘリコプターによる市町村消防への支援ということは法的に明確化されておりますので、今委員指摘のような点は、その運用の実態に問題があるのではないかということであろうというふうに認識しております。そういった中で、やはりその実際の運用である等につきましては、市町村消防本部職員がその計画あるいはそういった実際の運用につきまして参画するなど、共同してやっていくようにというふうにして現実やっているところもかなりあるというふうに承知しております。  そういった点、御指摘の点踏まえまして、今後とも、できるだけ、せっかくの機材、高い機材でございますので、本当に役に立つ運用をできるようにこれからも指導をしっかりやっていきたいというふうに思っております。
  37. 木村仁

    木村仁君 最後に、ちょっと問題が違いますけれども、今年の一月に、長崎県の大村市で、認知症高齢者グループホーム「やすらぎの里さくら館」というのが火災になりまして、そしてその通報とか火災報知器がない、あるいはスプリンクラーはもちろんないということで、図面から見れば到底人が亡くなるような大きな複雑な施設でないのに、七人が亡くなり三人が負傷したという事件が起こりました。それで、やっぱりこういう小規模のグループホームというような福祉施設も、やはり火災報知器、そして消防に対する自動通告施設、それからできればスプリンクラー、簡易なスプリンクラー等設備する必要があるとどうしても思います。  今、それを研究し進めておられると思いますけれども、かなりお金が掛かる。これには助成が必要かもしれませんし、あるいは消防機器の方をもっと安くするということが必要であろうかと思います。その点について、消防庁考え方、一言。  それから、厚生労働省の方で、やはりそれは認知症のグループホームといったら、火事が起こったら必ず人が亡くなりますよ、だからしっかりした、少しお金が掛かってもそういう体制整備するべきだと考えますので、長い答弁は必要ではありませんから、一言ずつ答弁をしていただいて、終わりたいと思います。
  38. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 認知症高齢者グループホーム等におきます火災でございますが、これにつきましては、起こりました直後に私どもの中で安全対策検討会を開きまして、関係者集まっていただいて種々議論をさしていただきました。  その結果、その報告書の中で、防火管理者の選任義務の対象の拡大ですとか自動火災報知設備や消防機関へ通報する装置が必要であるというふうに指摘をされております。また、今御指摘がございましたスプリンクラー設備も設置が必要であると。ただし、これは、本格的なスプリンクラーというのは非常に施設等高く付きますので、いわゆる住宅用のスプリンクラー設備を設置すべきと、こういうこととされているところでございます。  コストがどうかという議論はございますけれども、いろいろ見方によって異なるかも分かりませんけれども、やはり命を守る、入所者の命を守るという観点からいたしますと、それほど負担が重過ぎるというものではないんではないかというふうに私どもは考えております。  そういうことで、技術の進歩等によりましてより価格が安くなれば、それはそれでいいわけでございますので、その点は努力をしてまいりますけれども、その設置が必要だというふうに考えておりまして、今後、関係省庁と協議をして政令改正に臨んでいきたいと思っております。
  39. 磯部文雄

    政府参考人磯部文雄君) この残念な事件を受けまして、厚生労働省といたしましては、これまでに運営の基準等を見直しております。  すなわち、これまでは宿直でも可でございましたけれども、夜勤職員配置を義務付けました。また、非常災害時の関係機関への通報及び連携体制整備し、その内容を定期的に従業者に周知すること、また、事業所の立地につきまして、住宅地又は住宅地と同程度に家族や地域住民との交流の機会が確保される地域の中にあるようにすべきことなどを既に指定しているところでございます。  それに加えまして、今委員指摘の機器の整備についてでございますが、これは今後消防庁との間で十分に協議する必要があると考えております。特に、言及のございました住宅用スプリンクラーにつきましては、今の検討会報告書におきましても両論併記の形となっておりまして、様々な構造の建物がある中でそれぞれに有効で適切な装置があり得るのか、それから借家でやっているような場合もございまして、グループホームを閉鎖することなく設置することができるのかなど、いろいろな論点がございまして、それについての整理を行っていくことが必要と考えております。  したがいまして……
  40. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 時間が来ていますので簡潔にお願いします。
  41. 磯部文雄

    政府参考人磯部文雄君) はい。  直ちに結論を出すことは難しゅうございますが、今後、消防庁との間で十分に協議していく必要があると考えております。
  42. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  消防広域化ということで、この法案自体賛成でございますが、広域化というふうになると、今の市町村合併等も含めて、いわゆる火災が起きてから駆け付けるというのが非常に大事な要素になってくるなと、あるいはまた、個別にしっかり消火していくということが大事になろうかと思っております。  そこで、今、先行の木村委員からもお話ございましたけれども、この高齢者施設の消火について、若干時間をもらいまして質問をさせていただきたいと思います。  一月八日のこの長崎県大村市におけるグループホームの火災がありました。九名入所者がおられて七名が死亡されている。二人が病院で、運ばれたということでございますけれども、大変悲惨な、そしてまた高齢社会がどんどん進展していく中であってはならない、だけど起きてしまったといいますか、そういうような私は事件だと思っております。  今、消防庁長官また老健局長の御答弁がございましたけれども、種々検討会で議論をなされているというふうにお伺いをしているところでございますが、やはりポイントは、お話にもありましたけれども、住宅用のスプリンクラーをどう付けていくかという話になるんだろうというふうに思っております。  先般、消防庁の方で住宅用スプリンクラーの消火実験を行ったということでございますけれども、その結果をお示しいただきたいというふうに思います。また、大きな施設と住宅用とは基本的に機能が異なるかもしれませんが、併せて分かりやすく説明をしていただきたいというふうに思います。
  43. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 住宅用スプリンクラーでございますけれども、一般住宅に設置をすることを目的として開発をされたものでございまして、現在大きなビルなんかに付けられている本格的なスプリンクラーとは違いまして水道に直結をする、そういうタイプでございますので、工事費等は相当安いということでございます。  その性能でございますけれども一定の性能は既に確認をされておりますが、今回のようなケースで本当に役に立つのかどうかということで、三月に独立行政法人消防研究所で比較的面積が広いリビングルームというのを想定をいたしました消火性能の確認実験を行いました。その結果、非防炎ソファー、防炎でないソファーを用いた消火実験におきましても、火災が拡大することを防ぎ、十分な消火効果を有することが実証されまして、認知症高齢者グループホームにこのスプリンクラーを設置すれば、火災が起こっても入所者を安全に避難をさせる、そういう時間が稼げる、確保できるということを確認した次第でございます。
  44. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 この事件では宿直者が一名だけでなかなか、そもそも高齢者自体避難するのが大変難しい方が多いと思いますけれども、今時間稼ぎをすると、そういうことでも意味があるというふうにおっしゃっておりましたけれども、要はコストですね、要は大分住宅用で簡易で安くなってきているというふうにおっしゃいましたけれども、もちろん規模にもよるんだろうとは思いますが、どのぐらい掛かるものなんですか、この小規模で。
  45. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 規模によりまして当然変わってくるわけでございますが、例えば今回火災が起きました長崎の施設とほぼ同じ延べ面積三百平米程度のグループホームでございますと、住宅用スプリンクラー設備、住宅用火災警報機を活用した警報システム及び消防機関へ通報する装置、これらをすべて設置をいたしまして大体三百万円弱の費用でできる、こういうふうに見積もっております。
  46. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 検討会等で種々検討していただいて、それぞれの立場で前向きに対処していただくだろうというふうに期待をするところでございますが。  古屋政務官、わざわざおいでいただきました、大臣、隣におられますけれども。主婦としてといいますか女性として、やはり高齢社会、こういうような案件が起きた場合、やはり政治としてしっかり対処していく必要があるんだろうというふうに思うんですが、その辺の古屋政務官の御認識をお伺いをしたいと思います。
  47. 古屋範子

    大臣政務官(古屋範子君) このたびの長崎県でのグループホームの火災でこれほどの犠牲者、負傷者が出たという結果につきましては私も大変重く受け止めております。また、こうした小規模また家庭的な雰囲気のこうしたグループホーム、増加をしていることも事実でございます。  総務省といたしまして、こうした認知症グループホームに入所している方々の安全を最優先にまず考えていかなければいけない、そしてあわせて、関係者が安心して入所者をケアできる、こういう体制をつくることが重要であろうと認識をしております。これを踏まえまして、必要な防火安全対策を講じていくことがまず第一に不可欠であると考えております。  認知症グループホームの入所者は、認知症であるとともに要介護者を含む高齢者であり、健常者と違いまして、こうした火災時には短時間で避難をするということが大変に難しいわけであります。そのために火災の早期発見、また迅速な消防機関への通報、同時に初期消火また火災拡大防止、こうしたことが重要であるというふうに認識を持っております。  また、対策の一つとして挙げられております住宅用スプリンクラーの設備につきましては、入所者が避難するまでの間の時間をある程度確保するという観点から必要であるという認識は持っておりますが、一方では事業者の方々の間に様々な御意見があるということも承知をいたしております。報告書の中にもあるとおり、同等の効果が期待できる措置が講じられているものについては設置しないことを認めるなど、特に既存の施設に対する配慮が必要であるというふうに考えております。
  48. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 政務官は横須賀でいらっしゃいますよね。だから、小泉総理の地元だからその辺は消防施設もしっかりやって、その辺は万全の対応をしているかもしれないけれども全国やはりこのグループホームも八千か所みたいになっておりますので、是非、政治の場から力強く推進をしていただきたいというふうに希望を述べておきたいと思います。  要は、最終的にはこのスプリンクラーの問題、三百万というふうな、三百平米以下でそのぐらいの費用だということでございますが、結局は厚生労働省の方も、先ほどの御答弁もあって、いろいろ工夫をなされているというふうに私も承知をするところでございますが、しかし、やはりこのグループホームで一番大事なのは、自分で避難できない人を、やはり命を、そういう人たちの命を守るということが一番大事な価値観ではないのかなというふうに思います。  消防法上の義務付けがなければ設置する必要がないという価値観がいまだにこのグループホーム設置者にあるんであるとすれば、それは大きな問題ではないかなというふうに思っておりまして、このスプリンクラーの効果、厚生労働省も是非認めていただいて、より、設置しなくてもよいというのではなくして、セーフティーネットとして設置した方がよいというふうに是非お考えを切り替えていただきたいなと。ですから、いろんな費用、大変な費用を捻出しなきゃいけないというふうになってきますけれども、やはりスプリンクラーの効果は効果として認めて、安全、安心の施設とするために一歩前進の対応が必要ではないかなと思いますが、厚生労働省の御意見をお聞きしたいと思います。
  49. 磯部文雄

    政府参考人磯部文雄君) 厚生労働省として既に取りました施策につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。私どもとしても、できるだけ安全、安心の施設にしたいという思いは同じでございます。  ただ、幾つかの問題点がございます。  一つは、先月末に取りまとめられました検討会の報告でも、出火原因といたしまして、たばこによる失火について十分考えられるものの可能性は低く、ライターによる着火について可能性が高いと推察されるというふうにされております。また、この施設におきましては、たばこやライターを入居者自身に持たせていたということがございます。そして、消火あるいは避難訓練を一度も行っていなかった、また、実際問題として消防署への通報までの時間が非常に掛かったなど、やや特殊な事情が重なったというふうな見方もございまして、この今回のケースを基にしてすべてのグループホームにスプリンクラーについて義務付けるということが適当かということがございます。  また、仮に自動火災報知設備や消防機関への自動通報設備の設置を義務付けた上に、更にそのスプリンクラーを住宅用として義務付けるところまで必要なのかという議論もございます。それから、消防庁のお話で、小さいところでは二百九十万、三百万弱で設置が可能ということでございますけれども、それはメーカーに直接受注した場合というようなことでございまして、全国各地で実際に整備するとした場合にどうなるのかといったことがございまして、なかなか直ちに結論を出すことが難しく、今後、消防庁等との間で十分に協議したいと考えております。
  50. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 いろんな難しい問題あるのはよく分かっておりますけれども、一歩でも前進をしていただけるように是非お願いをしたいと思いまして、澤委員に替わります。
  51. 澤雄二

    ○澤雄二君 公明党の澤雄二でございます。  今、鳥インフルエンザの被害が世界に拡大をしておりますが、この鳥インフルエンザのウイルスが変異をしまして、人から人に感染をする、いわゆる新型インフルエンザの流行というのが今大変心配をされているわけでございます。  そこで、その流行時に、真っ先にその患者といいますか、感染源と向き合ってその人たちの、市民の命を守ると同時に、自分の身をも守らなければいけない救急隊員、消防隊員の対応について今日は伺いたいというふうに思います。  四十年ぶりに新しいインフルエンザが人類を今襲おうとしています。今この鳥インフルエンザが恐れられている理由は、これまでのインフルエンザのウイルスというのは弱毒性といいまして、つまり弱い毒性であった。だから余り感染の度合いも低かったし、それから症状も呼吸器系にとどまっていた。ところが、今出ている鳥インフルエンザのウイルスは強毒性で血流でもって全身に感染をする、つまりSARSと同じような症状、SARS以上の症状が出るというふうに言われています。したがって、感染率も高いし、致死率も高い。致死率は一〇%ぐらいではないかということも想定をされております。ちなみに、今鳥インフルエンザのウイルスに感染した人の致死率は五三%でございます。  お手元に資料をお配りしていますが、この写真の人はベトナムの青年であります。この方は鳥インフルエンザに感染した人でありますけれども、生還をしました。しかし、この写真見て分かるように、今度のインフルエンザの患者というのはこれまでのいわゆる流行性感冒と同じだと思ったら間違いだということがこの写真で分かります。専門家の医者も、インフルエンザと思うと間違いですよということを警告をしております。  ですから、厚生省は十一月に行動計画を出しましたが、その行動計画の中でも、感染率二五%で三千二百万人が我が国で感染をする、最大六十四万人が死亡するというふうに想定をしております。太平洋戦争で亡くなった民間人の数が八十万人でありますから、厚生労働省が想定している六十四万人というのは、これは我が国にとっても大変な事態だということが想像できるわけでございます。しかし、この六十四万人、三千二百万人は、もしかしたら想定としては低いかもしれないという可能性があります。  そこで、二枚目の資料を見ていただきたいわけでございますが、日本は罹患率を二五%というふうに想定をしております。アメリカは日本の人口密度の十分の一でございます、それが三〇%。カナダは百分の一です、それが三五%と想定をしています。感染率は人口密度に比例して大きくなりますから、日本の十分の一、百分の一の国が日本よりも高い感染率を想定しているのに、日本が二五%、これはちょっと合理性に欠けるんではなかろうかというふうに思います。  それから、もう一つ客観的な数字があるんですが、これまで人類を襲ったインフルエンザというのは一九一八年のスペイン風邪というのが最悪でございました。これは日本も襲われました。で、四十万人亡くなっています。先日の予算委員会でこのときの感染率は幾らでしたかと伺ったら、厚生労働の副大臣は四二%というふうにお答えになりました。  ここでちょっと考えていただきたいんでございますが、スペイン風邪は弱毒性であります。したがって、感染率もその毒性も弱い、それが四二%でした。それからもう一つ、当時の人口は五千五百万人、今一億三千万でございます。人口密度に比例をするとすると、今の通勤通学のラッシュというのは一九一八年当時とは全く比較にならないぐらい大変なことになっています。その現在が二五%で、どうして一九一八年の五千五百万のときに四二%行ったんでしょうか。これも合理性がないんではなかろうか。つまり、もっともっと感染率は本当は高いんじゃないかということが心配の一つでございます。  ですから、国立感染研究所の情報センターがシミュレーションをしました、試算をしました。今の人口密度で通常の通勤通学をしたら、今度のインフルエンザの感染率はどれぐらいになるかという試算をしました。最大で六六・四%でございます。日本の人口の六六・四%が感染をして、致死率一〇%、とても計算もしたくないぐらい怖い数字でございます。  それで、肝心なのは、じゃこの流行は一体、本当に来るんだろうか、来ないんだろうかということでございますが、これは専門の先生方もそれから厚生労働省も一〇〇%来るというふうに認めています。いつ来るのか。鳥インフルエンザは世界じゅうに蔓延をしましたから、新型のインフルエンザのウイルスが現れるのはもう導火線に火が付いたと言われています。実は、今年の一月までは、この鳥インフルエンザのウイルスは鳥の体温四十二度で最も増殖をしていました。それが一月にトルコで感染をしました。そこで死んだ人のウイルスを検出したときには、三十六度で一番増殖するウイルスにもう変異をしています。つまり、ヒト型にもうそこまで近づいています。ナイジェリアでたくさんのインフルエンザが出たと言われています。あそこは内乱がありますので、WHOが満足なサーベイランスができていません。飢餓があるので、死んだ鳥をたくさん人が食べているそうであります。これはもう感染しているとしか思えないんでございます。  先月、先々月から、ドイツを始めとしてヨーロッパで飼い猫に感染したというニュースが広まっています。哺乳類に感染する数が増えれば増えるほど、このヒト型のウイルスが出てくる可能性が高くなります。ですから、ドイツでは飼い猫を外に出したらそれだけでも罰則だといって取締りを始めているぐらいでございます。  こういう中で質問をさせていただきますけれども、もう本当にこのヒト型が現れて、これが大流行期に入るというのは時間がないかもしれません。日本の国立感染症の先生、著名な方二人いらっしゃいますけれども、一人は、一人出たら大流行期になるのは日にち単位だとおっしゃっています。もう一人の方は、一週間から十日だと言われています。それで、この大流行期が来たらどうなるかと、いろんなことがあるんですけれども、今日、総務大臣がいらっしゃいますので、今財政再建一生懸命行われていますが、もし大流行期に入ったら、これは第一生命の総合研究所の試算でありますけれども、最初の一年でどれぐらい経済に被害があるかというと、GDPにして四・二%、額にして二十兆円が被害を受ける。つまり、今一生懸命やっている財政再建なんかはあっという間に飛んでしまうわけです。  ですから、できるだけ今のうちに被害を少なくするという対策を講じなければいけない。今、日本は厚生労働省ですから、公衆衛生の分野でしか対策を練っていません。アメリカ、ヨーロッパは国家の危機対策として、大統領、総理大臣が陣頭指揮でこの対策に乗り出しています。日本もそうすべきだと思います。  そこで、お尋ねをいたします。先ほども言いました。真っ先に感染源と向き合うのは救急隊員、消防隊員でございます。かつて一九一八年のスペイン風邪のときに、新聞にこういう記事が載っていました。上野駅に、東京で火葬に付すことができないので地方で火葬にするためのひつぎが上野駅で埋まったそうでございます。この対策は東京都の行動計画は進んでいるんです。同じようなことが起きるかもしれない。今度どうするかというと、東京都の公園に穴を掘って埋めるというのが今の東京都の行動計画でございます。仮埋葬しよう。だけど、一体だれが埋めるんだ。まさか消防隊員を使うとは思いませんが、そういうことも想定をされているわけでございます。  それで、最初の質問ですけれども、今治療薬として最も効果があるというのはタミフルと言われています。しかし、このタミフルは予防薬としても効果があるんではないかというふうに見られています。ですから、各国の研究所の先生方が実験するときには予防薬として今タミフルを飲んでいるそうでございます。ですから、この流行期に入る前に、救急隊員、消防隊員を守るために予防薬としてタミフルを各消防署に備蓄されるようなお考えはないでしょうか。
  52. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 澤委員は、正にリスクの最前線に位置付けられている消防隊員についていろいろな御配慮をいつもいただいているというふうに思っております。新型インフルエンザが流行した場合に救急隊員が感染しますと、例えば救急の搬送力が低下するという直接の問題が生じますが、単にそれだけではなくて、救急隊員を介する、介在する感染が拡大すると、そのような大きな社会的なリスクもあるわけでございます。  昨年十二月に、政府において新型インフルエンザ対策行動計画というのを取りまとめておりますけれども、その中でも、この流行状況に合わせまして、救急隊員などのいわゆる社会機能維持者ですね、社会機能維持者へのタミフルの予防投入がなされるよう言及しているところでございます。  今後、これ厚生労働省での総合的な検討、今進んでおりますから、それを踏まえる必要がもちろんありますが、備蓄の在り方を含めまして、救急隊員へのタミフルの投与につきまして十分検討を進めていきたいと思っております。
  53. 澤雄二

    ○澤雄二君 ありがとうございます。是非よろしくお願いをいたします。  次に移りますけれども、感染から身を守るためには防護服が必要でございます。このインフルエンザの防護服というのは、ディスポーザブルで、使い捨てであります。出動回数が物すごく増えるだろうということは容易に予想されます。ですから、この防護服の予備、備蓄というのも今から大量に用意しておかなければ間に合わないと思うんですけれども、どうでしょうか。
  54. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 消防庁といたしましては、感染症予防法の対象となります感染症に感染したおそれのある者の搬送に備えまして、各消防機関に対しまして感染防止に必要な資器材、使い捨てのマスクですとか、手袋、ガウンというものでございます、これの備蓄を指導をしてまいりました。  今後、発生が懸念をされます新型インフルエンザにつきましても、流行時には救急隊の出場が多くなることが予想されます。必要資器材の備蓄につきまして万全を期した検討を進めてまいりたいと思いますけれども、もうなかなか危機感の共有というのが非常に難しいということは委員の御指摘のとおりでございますので、私ども地方団体に対しましてその辺は強く申し上げてまいりたいと思っております。
  55. 澤雄二

    ○澤雄二君 先ほども申しましたけれども、感染症研究所の情報センターの試算によると、今の通常の電車、バスに乗って通勤通学すると六六%の感染率でございます。ですから、救急隊員もできるだけそういうルートで通勤をさせないということを考えなきゃいけない。  そうすると、例えばマイクロバスで身近な人たちをピックアップして消防署に届けるとか、若しくはマイカーで乗り合わせをして通勤をさせるとかということも考えなければいけないんじゃないかと思うんです。  それから、いざとなれば、消防隊員をもう通勤をさせないということになると、消防署に食料を備蓄して、そこに寝泊まりもさせるようなことも考えないと、対応としてはちょっとまずいのかなと思いますけれども、どうでしょうか。
  56. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 新型インフルエンザ対策行動計画におきましても、流行拡大を可能な限り阻止し、健康被害を最小限にとどめ、社会・経済機能の破綻に至らせないことと記述をされているところでございまして、流行拡大防止策を検討する必要性は十分認識をしております。  おっしゃいますように、新型インフルエンザの特性を踏まえまして、救急隊員のマイカーの乗り合いですとかマイクロバスを使った通勤、一般的な災害のための備蓄しておりますけれども、食料以外の備蓄など、感染拡大を防ぐための適切な対応について十分検討してまいりたいと思います。
  57. 澤雄二

    ○澤雄二君 それでも、不幸にして救急隊員、消防隊員が不足することも考えられます。  そこで、こういうことも検討していただきたいんでございますが、消防団員の方それからOBの方たち、そういう方にも応援を願うことを考えておいた方がいいんではないかと思いますが、どうでしょうか。
  58. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 救急隊員が不幸にして不足をするというような事態になりました場合には、救急隊員以外の職員を救急隊へ配置換えをするとか、非番の職員を招集をするというのは、これは第一に考えられることでございます。これでも十分ではないと、ないしは、これをやった結果、警防活動に支障が出る場合にはそちらの方に消防団を回すというようなことを考えなければいけないというふうに思っております。  OBを活用してはどうかということにつきましても、これはなかなか制度的にどういうようなことが考えられるのか、難しい面もございますけれども、いざとなったときにああだこうだは言っておられませんので、そういうことの可能性もやはり検討をしていかなければいけないと思っております。
  59. 澤雄二

    ○澤雄二君 一〇〇%来るものであれば、被害を最小限にとどめるということが最も大事だと思います。どうか万全の対策をお願いしたいと思います。  終わります。
  60. 吉川春子

    ○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  まず、消防庁長官消防本部広域化は長官通達の行政指導によって管轄人口おおむね十万人を目標に進められてきました。しかし、いまだ管轄人口十万人未満の小規模本部が全体の六割を占めています。  今度の法案は、行政指導の手法を法律によって強力に推進しようとするものです。法案第三十二条で消防庁長官が基本方針を定めるということになっています。今後の消防体制のあり方に関する調査検討会の中間報告では、消防広域化基本指針に定める事項として、今後の消防本部のあるべき姿、規模を挙げていますが、この広域化目標管轄人口十万人から三十万人に大幅に引き上げられて、一律の目標全国的な消防本部合併が行われることになるわけです。  消防体制充実強化は必要なことだと私たちも考えておりますが、広域化の進め方は強制的になってはいけないと思います。市町村消防の原則に沿ったものでなければならないと思いますが、その点はいかがですか。
  61. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 今回の法律案につきましては、市町村消防広域化に関しまして、都道府県市町村消防本部などの関係者が十分に議論を行うための枠組みを準備するということで始めたものでございまして、各市町村におきましては、国の基本方針、都道府県推進計画等を参考にしながら、自らの地域の今後の消防防災体制の在り方について十分に議論を行っていただくことを期待をいたしております。  あくまでこの議論の土台になりますのは、市町村消防推進をしていく、その中で市町村消防の個別の小さなそういう消防につきまして何とか十万人規模にしていこうというのがこれまでの行政指導による広域化でございましたが、それは一つ考え方でございまして、今回三十万人という提案がなされておりますのは、やはりあり得べき消防規模としてはその程度のものが望ましいのではないかという考えかと思います。もちろん、一律に三十万人を全部、全国に割り付けてすべての消防本部を三十万人にするという考えではございませんので、そこのところは地域実情に従って地域でよく考えてやっていただきたいというふうに思っております。
  62. 吉川春子

    ○吉川春子君 竹中大臣、お伺いします。  答申では、スケジュールとして、基本指針において一定の期限を区切って取り組むことが必要であると考えられる。その際、平成十八年度前半に基本方針、十八年度後半から十九年度に消防広域化推進計画を策定し、その五年程度であるべき姿の実現を目指すことが考えられるとしております。  これは、五年程度消防本部広域化を行い、全国的に管轄人口を三十万人規模にしようとするものではないかというふうに思うわけです。平成十三年の消防庁の文書でも、市町村合併による統一が一番望ましいというふうに言っているわけですけれども、今回もその市町村合併によって消防本部広域化が進んできたことを見れば、期限を区切った広域化計画をてこにした市町村合併が再び押し付けられることがあるのではないかと危惧します。  消防本部広域化合併推進が、周辺地域における消防防火サービスの後退、消防力の低下を招く、あるいは市町村合併の押し付けになってはならないと思いますが、その点について大臣の御見解を伺います。
  63. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 今の吉川委員のお尋ねは、消防広域化とそして市町村合併との関連についてのお尋ねでございますけれども、これはもう言うまでもございませんですけれども、今回御審議をお願いしております消防広域化は、あくまで消防組織観点から、専門家の議論も踏まえて御議論を賜っております。  そして、市町村合併につきましては、これはもう何度も御答弁をさせていただきましたけれども、やはり住民に最も身近で総合的な行政主体であります市町村規模、能力をやっぱり充実していくということが、地方でできることを地方にということをやるためには重要であると、必要なやはり行財政の基盤を持っていただくことが必要だという観点から行っているものでございます。  したがいまして、今五年程度というお話もございましたけれども、決してこれ関連付けて無理やり例えば消防のために市町村合併を進めるとか、それはまああり得ないことであるというふうにこれはもう是非御理解を賜りたいと思います。
  64. 吉川春子

    ○吉川春子君 そこで、先ほど来同僚委員から、認知症高齢者グループホーム等の防火安全対策について質問がありましたが、私も触れていきたいと思います。  長崎県大村市の「やすらぎの里さくら館」における火災は、非常に不幸な結果となりました。厚労省にお伺いしますが、今、認知症高齢者グループホームは、介護保険法が施行されるに伴って数多く設置されるようになりまして、新しい形での施設ということで急増しています。全国に何か所あり、また入所者の負担は月幾らぐらいになっているのか、数字だけで結構です。
  65. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 今、吉川委員お尋ねの認知症の高齢者グループホームというのは、平成十七年度末で七千六百四か所というふうになっております。  また、一か月当たりの利用者の皆さんの負担額でございますけれども、平成十七年十月一日現在で、認知症高齢者グループホームを対象として実施した調査によりますと、一か月当たりの平均的な利用者の皆さんの負担額は、家賃が約三万八千円、そして食材料費が約三万四千円、光熱水費は約一万一千円となっておりまして、合計で約八万三千円、このほかに介護サービスを利用する際いただく一割負担というものが約二万五千円から二万七千円程度必要となりますので、利用者が負担していただく金額は合計で約十一万円程度になる、こんなふうになっております。
  66. 吉川春子

    ○吉川春子君 そこで、消防庁長官、伺いますけれども、長崎県での火災を受けて、認知症高齢者が入所する施設の防火安全対策の在り方が検討されて、三月二十九日にその検討会報告が出されております。  消防庁はこの報告を受けて火災等の安全対策としてどういう設備設置を義務付けようとしているのか、またその根拠について端的に教えてください。
  67. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 報告書におきましては、まず防火管理者の選任、自動火災報知設備と消防機関へ通報する装置の設置義務化に加えまして、自力で避難することができない方が入所をしているグループホームで火災が発生した場合には、夜間の職員が例えば一人で短時間に全入所者の避難介助を行うことは事実上できませんので、消火又は延焼拡大の防止を図って入所者全員が避難することができる時間を確保する、そのために住宅用スプリンクラー設備の設置が必要であるというふうに指摘をしております。また、その中で、住宅用スプリンクラー設備の設置と同様の効果が期待できる措置が講じられている場合、例えば防火区画によって安全性が確保されているというようなケースにつきましては、住宅用スプリンクラー設備を設置しないことができるというふうにしてもいいのではないかというような指摘を受けております。  そういうことで、私どもといたしましては、この報告書の内容を踏まえまして、グループホームに入所している方々の安全を最優先に考えまして、火災が発生をしたときにその命が守れるということを目標に必要な改正を行ってまいりたいと考えておりまして、現在、厚生労働省などと協議、調整をいたしているところでございますが、まあいろいろとグループホーム運営上の問題等でなかなか協議は難しいところもございますけれども、私どもとしましては、何しろ大勢の老人を預かって、いったん火が出たら命が助からないという状況では私どもはやっぱり消防責任を果たせないと思っておりますので、ぎりぎりその線をきっちり守って必要な制度改正をしてまいりたいと思っております。
  68. 吉川春子

    ○吉川春子君 厚労省の副大臣にお伺いいたします。  入所者の安全はもう非常に重要です。しかし、同時に、認知症高齢者グループホームの運営は財政的に厳しく、住宅用のスプリンクラー設置まではとてもできない実態だというふうに私も聞いております。今の運営の実態からいって、設備を設置する財政的な余裕がグループホーム側にないわけですね。  だから、どうしてもそういう実態の下で設置の義務化がなされると実効性を伴わない結果になるのではないかと思いますが、その点について、厚労省、いかがお考えですか。
  69. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) まず、今回のこの長崎県のケースは、非常にかねて懸念されていたことが実際に起こってしまったということで、非常に私どもも事態を重大にとらえておりまして、しっかりとした対策を講じていかなきゃいけないと思っているところでございます。  今、吉川委員指摘のように、住宅用スプリンクラーを設置するということにつきまして、先ほど消防庁長官の方から少し、何というか、言いよどんでおられたところがございますけれども、私どもの立場とちょっと、消防庁と私ども厚生労働省とは少し、このスプリンクラーの設置をめぐってなかなかまだ合意を得るに至っていないということは御承知いただいているとおりだと思います。  それは、もう委員既に御承知のように、幾つかの財政的な側面をどうするかという部分には数多くの検討課題が残っているということでございまして、基本的には設置者が負担して、事業者と利用者の契約によって家賃等に反映されるということが原則でございますので、現在防火設備にかかわる一連の改修等に関する補助制度はないわけでございます。そういう点でなかなか、まず厚労省的に言いますと火事を起こさないようにするという、起こってしまってからの対応消防庁が先ほどおっしゃったことでございますが、起こらないためにどうするのかということについて、あとう限りの対応をしていこうということで、様々な施策を講じようとしているところでございます。
  70. 吉川春子

    ○吉川春子君 起こさないようにするということは当然で、でも、火事って起こってしまう。そして、起こってしまった場合には、グループホームの場合大変犠牲が出てしまうという現実があるわけですね。認知症高齢者グループホーム等における防火安全対策検討会報告書を拝見しましても、まず自分で逃げにくい、それから火があっという間に広がる、夜間は一人しかいない、こういうような状態の下で、火災が起こらないことを私は強く希望しますけれども、起こってしまったときにどうするかという、今そういう前提質問をしております。  それで、時間がなくなってしまいましたので、竹中総務大臣にお伺いしたいんですけれども消防庁説明では大体三百万程度、安いものでもスプリンクラーは掛かると。グループホームの経営というのはぎりぎりのところでなされていて、入所者の本人の負担も十一、二万とおっしゃいましたけれども、実際は十四、五万掛かっているという例も多いわけで、そういうときにやっぱり介護保険もこの四月から改悪されて一層その経営が困難になっているという実情もあるわけです。しかし、消防庁の立場からは、絶対付けるべきだと、これ大事なんだと、それは私もよく分かるんです。  そうすると、あとはお金の問題なんですね。だから、公的な補助というか、あるいはいろんな借金の援助というか、そういうことを含めて国が財政的支援を具体化していかない限りこの問題を解決できないと思うんですね。その点について、竹中大臣に最後にこれはきちっと、お年寄りの安全を守るために国も財政支援を含めて検討するんだという、そういう決意をお聞かせいただきたいと思います。
  71. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 我々、消防法を所管しているわけでございますけれども消防法では施設関係者に防火上必要な設備の設置を義務付ける、義務を課すわけでございます。それに対して、従前からこうしたものに対して財政による直接的な補助の制度というのは、やはりこれは例がなかったと思います。総務省では、財政的な、そういう意味での財政的な支援はやはり困難なのではないかというふうに考えます。  一方で、グループホームの入所者等の負担を軽減するために、施設の実態に即した住宅用スプリンクラー設備等の、いわゆる簡易な設備等の提案を行っているところでございます。我々としては、これらの設備等の有効性について是非周知徹底をしてまいりたいというふうに思います。
  72. 吉川春子

    ○吉川春子君 そこはいいんですけれども、その先の財政的支援がないと、今ぎりぎりの状態に置かれていて、グループホームの経営者の方もできない、負担も入所者に掛けられないというところに来ていますので、私は是非そのことを検討せよということを厚労省と総務省に強く要求して、質問を終わります。
  73. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時十八分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  74. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、消防組織法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  75. 高橋千秋

    高橋千秋君 民主党・新緑風会の高橋千秋でございます。  一時間の時間をいただきましたので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  消防組織法改正ということで、今回、午前中から、大臣お見えにならないときもいろいろお話がございましたけれども、一時間ありますので、消防全体のことも含めて御質問をさしていただきたいというふうに思います。  まず、組織法に入る前に、私、今回のこの法案を質問するに当たって、地元の消防本部だとか消防団だとか、それから消防議会とかいうのがいろいろあるんですけども、そういう方々と会ってお話を聞いてまいりました。現場の思い等も含めていろんな御要請もいただいてまいりました。  そのことも含めて質問をさしていただきたいと思うんですが、まず、これは長官になると思うんですが、サイレンの話なんですが、実は、地元でいろいろ話を聞いておりますと、消防車とそれから救助車、同じ音なんですね、あのウーウーというやつですね。火事のときは当然、これはもうそこのけそこのけで行ってもらわないと、燃えちゃいますので大変なんですけども。  いろいろ統計を見ると、救助、いろんな救助、災害救助、これも随分増えているようで、そういう場合に消防団が、火事の場合は、私なんか田舎に住んでいますけども、火事の場合はそういう消防車がウーウーいって行くと、ああ行かなきゃいけないなというふうに思ったりとか、近隣の方々にとってみりゃ逃げなきゃいけないとか、そういう意味であの音というのは、非常にびっくりしますけども大切な音だと思うんですが、地元の方からは、それと救助車の方と一緒なもんですから、これは何とかならないかと、非常に紛らわしいと。  地域の方々にとってもびっくりしてしまうとかいろいろ話がありまして、実は、平成九年に全国消防協会の主宰で、消防機器の改良・開発及び消防に関する論文というのが出されました。この中に、私の地元の消防団、津市の消防団の、消防団じゃない、消防本部からこの音に関する論文が実は出されまして、これを改良するにはそんなにお金は掛からない、少しこう機械を、アダプターを付ければそれで改良することもできるという話がありまして、是非これを考えていただけないかとこの消防本部の方から強い御要請をいただきました。可能性としてはいかがかなと、長官、いかがでございましょうか。
  76. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) サイレンの話でございます。  消防自動車と救助工作車だと思いますが、これらが緊急の用務のために運転するときは、道路交通法施行令第十四条というのに基づきまして、サイレンを鳴らすこととされております。この規定にはサイレンの周波数などにつきましては定めておりませんので、どういうサイレンにするかというのはある程度選択が可能であるというふうに理解をしておりますが、現行のサイレン音というのが非常にかなり長く使われまして、広く国民に浸透しているという実態もございます。  不勉強にいたしまして、私自身はこのサイレンを区別してほしいというお話を一度も伺ったことがこれまでございません。その辺、いろいろ御要望がありましたら、是非その趣旨等もお聞かせいただければと思いますけれども、基本的には、かなり定着をしているので変えるというのは相当勇気が要るなという感じをいたしております。  自治体によりましては、火事の場合にはサイレンと同時に鐘を鳴らしながら走るということで、火事ですよということをお知らせをするというような工夫をしているところもあるというふうには聞いております。
  77. 高橋千秋

    高橋千秋君 長官のところには届いてないのかもわかりませんが、私が現場歩いた感じではそういう御要請をいただいて、実際の論文も出されておりまして、私の手元にそのコピーがあるんですけども、是非、簡単に改良ができるということでございますので、一度考えてみていただければどうかなと。昭和四十五年に救急車と消防車の音が変えられているんですね。今のピーポーピーポーになって、それで、それ以降いろんなものが増えてきて、同じ、紛らわしいのが一杯あるんですよね。そういうことも含めて是非改良をしていただけないかなという御要請が出ておりますので。  そして、先ほど工夫をそれぞれされているということなんですが、これは一消防本部でできる話じゃなくて、やっぱり全国的なちゃんと周知徹底とかいろんなものが要ってくると思うので、是非消防全体の話として取り組んでいただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  それからもう一つ、今日は厚生労働省の方にも来ていただいておるんですが、これも組織法に直接関係のないことではありますけども、救急のことで、救急出動のことでお伺いをさせていただきたいと思いますし、御要望させていただきたいと思うんですが。  私の地元が、この元旦に十市町村合併して新しい津市という市になりました。それで、二月の頭にそれの新市長の選挙がございまして、その中のいわゆる論点の一つ、一番大きな論点が救急出動の話だったんですね。何かというと、これは地域地域によって随分違うんですけども、いわゆる救急出動のたらい回しですね。患者が出て、救急車はすぐ行くんだけど行き先が決まらないと。決まらなくてあちこち転送されて最終的に亡くなるというケースが私の地元で頻発をしておりまして、特にその市長選の演説会の最中に、その候補がしゃべっている目の前で倒れられた方がありまして、そのときに救急車を呼んだんですよ。私その場にいたんですが、そうすると、消防本部が、ちょっと山の高台に演説会場があって消防本部はもう目の前にあるんですね。一一九番すると一遍本部へ行って、本部からそこの消防分署までまた連絡が来て、そこから救急車が出てくるんです。目に見えておおいと呼べば来そうなところなんですが、なかなか出てこない。これはまあシステム的な問題もあると思います。  そして、来たらそこで倒れた方を救急車に乗せたんですけども、ずっと止まったまま動かないんですよ。御家族の方が横にいて、何で早く行ってくれないんだと言うんですが、ずっと消防のその救急の方は携帯電話で一生懸命あちこち電話しているんです。ここも駄目、あそこも駄目、ずっと駄目で、来るのには五分ぐらいで来たんですけども、出るのに十分ぐらい掛かったんですね。  これはまあ幸いに、その方は最終的には翌日回復をされたんですけども、それこそ一秒を争うような処置によってこれは命が救われるということは当然あるわけで、早く運ぶというのはこれはもう大前提だと思うんですけども、現実そのことを目にすると、これは大変だなということを改めて思いました。  実際二月の中旬に私のその地元でそういう事件というか事故があって亡くなるということが発生をいたしました。過去聞くと何度も発生をしているようでありますし、特に私の地元がその体制ができていないということで、隣の市にある病院まで運ぶということが頻繁に出ているんですね。  これは消防というか救急の方だけの問題ではなくて病院の受入れ側の問題も当然あるわけで、これは簡単にいかないと思いますし、その原因としては医師不足なり看護婦不足なりいろんな問題が当然あるわけで、これは総務委員会だけで解決できる問題ではありませんけれども、やはり消防の方としても何らかの対策をやっぱりしていかなきゃいけないだろうと思いますし、聞くところによると、どうもパソコンで、無線で今ここに空きベッドがあるとか、そういう情報が入るというシステムも既に開発をされているようですけども、そうはいっても、もうそこがあと一つしかなくてぱっと埋まっちゃうと、行くともう埋まっていてまた別のところに行かなきゃいけないということも当然発生してくるんですが、何らかの対策を是非していただきたいと思うんですが、まず厚生労働省さんの方から、この基本的な医師不足の問題もあるかと思うんですが、消防との連携も含めてどういう対策をされているのか、どうされていくのかを是非お聞きをしたいと思います。
  78. 岡島敦子

    政府参考人岡島敦子君) 救急患者を適切な医療機関へ搬送すること、いわゆるたらい回しといったようなことが生じないようにすることというのは非常に大事なことだと思っておりまして、私ども、救急医療情報センターの整備を進めて、消防機関等へ空きベッドや対象疾病などの救急医療機関の情報を提供し、その内容の充実に努めているところでございます。  厚生労働省といたしましては、今後とも都道府県消防機関等との連携を緊密にしながら、地域において傷病者の症状やあるいは医療機関の機能に応じまして初期医療、入院医療、救命救急医療を担う医療機関の計画的、体系的な整備を促進して、救急医療体制の更なる充実に努めていきたいと考えております。
  79. 高橋千秋

    高橋千秋君 消防庁の方、いかがでしょうか。
  80. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) いわゆるたらい回しの事案でございますけれども、これは今お話がございましたとおり、現在でもあるということでございます。ただ、こう言っても何のあれにもならないかもしれませんが、昔に比べると相当改善されてきているというのも現実、数字が示しておるところではございますが、どういう、その数字の取り方とかなんかいろいろございますので、全体としては減少傾向にあるけれども、まだ相当そういうケースがあるというのは事実であるというふうに理解をしております。  こういうケースで一番つらいのは、救急隊員、せっかく駆け付けてきてもなかなか搬送する病院が見付からないと、決まらないということでつらい思いをしているのも実態かと思います。これにつきましても、なかなか特効薬的な対策というのがございませんので、それぞれの都道府県レベル、また市町村のレベルでいろいろと地元の医師会や病院等と連絡を取り合って、こういうときにはこういうふうにしましょうという取決めをするとか、いろんな形で努力が実って、若干でも減ってきているということかなと思います。  今後、地道にそういう努力を続けていって、何とかそういう減少傾向が更に拍車が掛かるようにやっていければいいなと思って、私どもも是非助言等をしてまいりたいと思います。
  81. 高橋千秋

    高橋千秋君 昔に比べたら減ったということなんですが、実際のところは、高齢者がこれから更に増えてきて、特に救急出動の回数というのはもうすごく増えているんですよね。  私が演説会場でたまたま見た光景を見ていると、家族はもう心配ですよね。当然、救急隊員に、何しているんだ、早く行けと、それこそ本当にどなるように言うわけですよ。だから、今長官からお話があったように、一番大変なのは現場のその救急隊員ですね。  何か見ていると、携帯電話でやり取りやっているんですよね。あっ、ここ駄目なんだ、次、電話しようと。何かこんな、それこそITが進んだ時代に、何かめちゃくちゃ原始的なことで病院探すんですよね。ない、ない、ないと言って、ずっと、ようやく探して、決まらないとどっちの方向に行ったらいいかが定かでありませんから動けないんですよね。そうすると、家族とすれば、こんなに大変なことになっているのに何で動かないんだというふうに言われてしまう。それはもう救急隊員とすれば、もう致し方がないところかも分かりませんけれども、現場の方々にとっては非常にストレスのたまることになるわけで、是非とも、地道な努力というお話ありましたけれども、やっぱりこれ根本的に厚労省とも連携を取っていただいて対策をしないと、これ大変なことになっていくんではないかなということを改めて思います。  徐々に減らしていくというお話でありますが、自分自身が救急車に乗ったときのことをやっぱり考えていただければ、やっぱり早く運んでほしいと思うのは当たり前だと思いますので、徐々にと言わずに、ドラスティックにできるように、是非それぞれ連携深めていただいて、頑張っていただきたいと思いますが、長官、最後にもう一度、いかがでございますか。
  82. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 結局、地元の医療機関との連携ですとか、そういうシステムにしましても、やはり大きな都市なんかだとかなりその辺が整備をされてきて、スムーズな搬送ができるというのも実態かと思います。そういう意味で、特に地方部で医療機関が少ないとか、そういうところが特に問題になっているんではないかというふうに思いますけれども、おっしゃいますように、非常に深刻な問題でもございますので、私どもも精一杯努力をしてまいりたいと思います。
  83. 高橋千秋

    高橋千秋君 ありがとうございます。厚生労働省さん、結構でございますので。──よろしいですか。
  84. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) じゃ、どうぞ退出ください。
  85. 高橋千秋

    高橋千秋君 じゃ、組織法の方に入りたいと思いますが。  午前中からもそれぞれの各党の委員からも質問がありました。一番やっぱりメーンになるのは三十万人にするという、その広域化するということが何度も今日も質問がありまして、長官からもそれぞれ御答弁がありました。意思は大体分かりました。  ただ、私の地元の三重県というのは百八十五万人の人口なんですね。三十万人を基準にすると、三、六、十八で、まあ六つということになるんですね。そうすると、広域合併が進みました、この三月三十一日までに全国進んで、私の地元の場合は六十九の市町村が二十九になりました。約三十です。そうすると、大体五つぐらいの市町村をまたぐ範囲が大体三十万人ぐらいに、単純計算してですね、なるわけですね。  そうすると、これは合併の作業も大変な作業が全国的に続いて、いろんなしこりが残ったり大変なことが起きたわけです。これは首長同士のいろんな問題もあったかと思うんですけれども、大変な作業をやって、最終的にはやっぱりそこまで大きくできなかったということが残っているわけですね。確かに、大規模災害に備えて広域化をして力を付けるというのは、これは、それは評価はできると思いますけれども、やっぱりもろ刃の剣で、一方で地域との連携ができなくなるんじゃないかとか、様々な不安は当然あると思います。  ですので、この三十万人というのが独り歩きを私はしているような感じがして、地域消防本部やいろんなところで話を聞くと、これは消防庁全国的な統制を取るためにでかくしてやりやすくする、それがもう目的で、地域のことは考えていないんじゃないかというような声もあるんです。これは多分、長官にはそんな話はちょっと届いていないと思いますが。  そういうことが出ておりまして、この三十万人というのは何なんだと。今まで別にそれで支障がなく来ているのに何なんだということが出ているわけですけれども。もう一度、午前中からもいろいろお話が出ておりますが、その三十万人にした考えをお聞きをしたいと思いますし、なぜそれじゃ二十万人じゃ駄目なのかと。広域市の基本人口というのは二十万人ですよね。だからそれの、なぜ、それに合わすのであれば、私は二十万人でいいんじゃないかと思いますけれども、それの方がむしろ実態に、今日午前中も実態に合わすというお話がありましたが、むしろ実態に合わすのであれば二十万人にすべきではないかというふうに思うんですが、いかがでございますか。
  86. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) これは先ほどから何度も申し上げておりますが、従来は行政指導として十万人、これは、せめて小さな消防本部も十万人規模ぐらいにはなっていただいて、その程度消防力確保していただきたいと、こういう趣旨でありました。他方、今回は、三十万人という報告書が出ておりまして、三十万人をそのとおり採用するかどうかも含めましてよく考えなきゃいけないのではありますけれども、これは一つ消防の理想と言うとちょっと大げさなんですが、三十万人程度消防を考えた場合に、いろんな面で非常に活動範囲が非常に広がる、大体、職員の数にしましても三百数十名程度規模消防になります。現在ある消防なんかをいろいろ検討いたしまして、いろんなことができる。予防に相当の人数を割けるとか、相当規模の火災にも一つ消防本部対応できるとか、いろんなそういう技術的な観点で三十万人というのを一つ目標にするということが報告をされているわけでございます。  そういうことではありますが、これは一つのそういう考え方でございますから、地域実情に応じて、これは三十万人でなければいけないということを申し上げているわけでは決してございませんので、それを一つのパターンとして認識しつつ、自分たちの地元は隣近所を合わせてこういう感じでいけばこれぐらいの消防になるということで、具体的な問題としてお考えをいただいたらよろしいのではないかということを考えております。
  87. 高橋千秋

    高橋千秋君 午前中もそういう御答弁があって、確かにそういうことだろうと思うんですが、でも、この法律の三十万という数字がやっぱり独り歩きしているところがあって、大きくしなきゃいけないんじゃないかと。そうなれば、確かに基礎的な力は付くんだろうと思うんだけれども地域との交流はやっぱりこれはなかなか難しいことになってくる。  私の地元の津市というのがちょうど十市町村合併して約三十万になったんですね。だから、今回のこれの想定する範囲が大体三十万ということで、それに近い姿になったんですが、津市というのは端から端まで三時間ぐらい掛かるんですよ、同じ市の中で。それで、面積で言うと琵琶湖より広いんですね。それだけのところで一つ消防本部に、既になっているわけですけれども、だけれども、それでいくと、もう地域情勢なかなか分からないんですよね。  午前中、竹中大臣から答弁ありました。これに伴って合併を更に進めるということではないという御答弁ありましたけれども、どうもやっぱり地域の方々から見ると、うがった目で見られがちでありまして、先にこういうのを作っておいて、どんどん合併進めさせるためにやっているんだぞと。それから、さっきの話で、消防庁全国的な統制を取るために、中央の力を更に強くするためにこれをやっているんだと、そういううがった目で見ているところがあるんですけれども大臣、もう一度確認をさせていただきたいと思うんですが、そういう今回のこの法案の提出の、消防庁の方で当然作られているんでしょうけれども、意思をまず大臣、せっかく来ていただいておりますのでお答えいただけますでしょうか。
  88. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 非常に重要な御議論をいただいていると思っております。  まず、先ほども、今消防庁長官が答弁しましたですけれども、我々の思いとしては、やはりある程度の、これだけの災害の大規模化とか多様化に備えて、一種のやはり消防についても広い意味での、広い意味でのスケールメリットのようなものを生かして、その中でいろんな備えをしていただく、そして総合力を高めていただかなければいけないだろうという、そういう思いが今回の法律改正の中にあるということは、これは事実でございます。  これは、しかし、重要なのはあくまでも総合力でございまして、委員指摘のように、規模だけ大きくなって、それですべてが解決するのかというと、それはもうもちろん我々はそんなふうには考えておりません。その地域のきめ細かなやはり情報収集、ケアがなければ総合力が発揮できないわけでありますから、そこは一定規模の、やはり規模の集積の利益のようなものも意識しながら、しかし、やはり総合力、きめ細かな配慮が必要であるということは私たちも肝に銘じてやっているつもりでございます。  そして加えて、高橋委員から重ねてお尋ねのありました、これと市町村合併とが結び付くのかというと、これは、これはもう次元の違う話でございます。市町村合併の話は、これはもう何度も御答弁させていただきましたように、これは最も身近な総合行政主体としてのやはり基盤を持っていただかなきゃいけないということでございますけれども、これはやはり行政単位としての範囲として別に議論をしなけりゃいけない話であります。  消防の話はそれとは全く別の次元の話として、現在の災害に備えての純粋な対応として消防庁の方で知恵を絞ってこのような案を出していただいておりますので、その点はもう明確に是非申し上げておきたいと思います。
  89. 高橋千秋

    高橋千秋君 平成十六年に、消防力基準というのが消防力整備指針という名前に変わって整備目標というのができたんですね。午前中もその整備指針の話がありましたけれども、小さい消防では満たされないそういう基準を、こういう今回のこの法案に伴って大きくなれば数字的には満たされるということになってくるんですね。そんな、それを基に整備していければいいじゃないかという話かも分かりませんけれども、多分この合併というか、広域化すればそういう部分は上がっていくんだろうと思うんです。  でも、実際のところは何も変わらないわけで、例えば午前中お話がありました消防署の分署の数等についても、あるところ、ないところがあったり、大体合併、今回のように市町村合併が進む前は九八%のところに消防本部があるという、あと残り二%のところにはないというお話で、これについても法律が改正をされました。実際は、市町村合併に伴って多分その比率はほぼゼロに近い数字になってきているんだろうと思うんですけれども、そうはいっても、実際のところ、それは合併に伴って行政が変わったわけですから、そこに消防本部があるというのは当然、なかったところがあるところに吸収合併されてあるということになるわけですから、それ自体は何も変わらないんですね。  だから、今回のこの措置によっていわゆる消防力そのものが上がるのかどうか。私は、結果的に、中身がある上昇であればいいんですけれども数字だけが充足されるということだけで終わってしまうんではないか、そういう危惧があるんですけれども、これはいかがなんでしょうか。
  90. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 消防本部広域化によりまして、私ども幾つかの非常に重要なメリットがあるというふうに考えております。  その第一は、災害が起こった、火事なりそれ以外のを含めまして災害が起こったときに、まず最初に駆け付けるその体制というのが、通常ですと、小さな消防本部であれば自分のところで出せる体制、出せるものしか出せません。しかしながら、非常にその災害が大きいということになったときに初めて隣近所に応援出動を要請するという形になります。それで隣近所の消防本部から応援が来る、こういうことでございますが、新しくこれが一つ消防本部になりますと、発災と同時にどの程度規模かという判断をして必要な消防隊を出せると、その範囲が非常に広がるということが一つございます。  と同時に、応援でありますとどうしても、指揮系統が一つではありませんので、なかなか効率的にやりにくいというようなこともございますが、一つ消防本部であれば当然指揮系統は一本ということになりますので、その面でも消防対応力というのは上がっていくだろうと思います。  同時に、管理部門で若干職員が浮けば、その浮いた分は例えば予防とかそういう方に回すことによりまして予防の力も上がっていくんではないかと。  あとは、大きくなれば使えるお金もというか、財源もそれに伴って大きくなりますので、資機材の整備もより、従来は買えなかったものが買えるようになるかもしれないというようなことで、幾つかそういうメリットを考えておりまして、総合的に消防力というのは高まるだろうというふうに期待をいたしております。
  91. 高橋千秋

    高橋千秋君 それと、この広域化に伴って、一つは、力を備えるということは当然なんですが、もう一方で、事務的な部分の効率化というのも当然考えておられると思うんですね。ただ、実際、消防職員は今でももう足らないわけで、基準からいうと随分足らないというふうに聞いています。そのことを考えると、この広域化による人員削減というのは考えておられるのか。また、その事務方で空いた方をほかのサービスに回すとか、いろんなこともどうも考えておられるようなんですけれども、この辺の具体的な内容をお聞きしたいんですが。
  92. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 広域化によりましてその消防体制をどういうふうにするかというのは、あくまでこれは広域化をした新しい消防の中で御検討いただくことではございますけれども、御承知のとおり、いわゆる消防整備水準は私どもが期待をしているレベルからいくとまだ低いレベルになっているという意味では、全国的に完全にそれを満たしているところはそれほど多くはないというふうに考えられるわけでございまして、例えば、そういう事務部門で人員が何人か減らすことができた場合に、やはりそれは予防でありますとか救急ですとか、そちらのやはり実際の活動の方に加えていくと、そういうことを前提といいましょうか、私どもとしては想定をして今回の計画を作ったということでございます。そういう意味で、この広域化されたことによって人員が減って消防対応力が下がるというようなことは全く想定はしておらないわけでございます。  まあ、法案の中でも、広域化消防体制整備及び確立を図ることを旨として行わなければならないというふうになっておるところでございまして、そういうような意味も含めているというふうに御理解をいただきたいところでございます。
  93. 高橋千秋

    高橋千秋君 消防というのは、そもそも市町村基準となって整備がされてきて、そういう災害に伴うことに対してはやっぱり地域のことを一番よく知っている市町村対応する、これは当たり前のことで、自分たち自分たちのところを守るんだという、そういうことはこれは当然なことでいいことだと思うんですが、それぞれの地域からの声聞くと、さっきもお話をさせていただいたように、統制をしやすくするために大きくするんじゃないかという声が出るというのは、その自主性をどうやって確保するのか、そこが非常に彼らとすれば危惧するところだろうと思うんですね。  その意味で、今後ともこの市町村単位としてやっていくのか、それとも、中には、消防本部もう県一本でいいじゃないかと、それでそれぞれのところに連絡が行くような形でもいいんじゃないかという声もあるんですけれども、この辺はいかがなんでしょうか。
  94. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 結論から言いますと、市町村の重要性は変わらないというふうに我々は考えますし、そのように御認識をいただきたいと思います。  委員も今ちょっとおっしゃいましたけれども、まあ消防というのは住民の日常生活に関係の深い、非常にこう住民生活の基本にかかわるものであります。そういう基本的な事務行政は、これ正に自分の町は自分で守るというのは消防の基本理念でもございますけれども、そういう基本的なものは住民に最も身近な行政主体である市町村において、その責任において実施するというのがこれはもう適当であるというふうに思います。したがいまして、市町村において消防事務を行ってその責任を果たすという、いわゆる現行の市町村消防の原則については、今後ともこれを維持するということが肝要であると思っております。  一方で、その消防広域化に関して、この大規模災害時におけます初動体制強化でありますとか、それとか救急業務の予防業務の高度化、専門化、そして総合的な消防力強化による住民サービスの一層の向上、そういったことを積極的にPRをすることで、その地の市町村住民の方々に御理解を得ることはこれは重要であるというふうに思っております。
  95. 高橋千秋

    高橋千秋君 そういうことだと思うんですが、今回のこの法改正の中に「自主的な市町村消防広域化推進」というお題目があるんですけども、その中に「国の援助」、それから「特別の配慮」というのがあるんですね、そういう項目が。ここの国の援助というのはどんな内容のことを考えておられるのか。そしてもう一つは、その地方債に対する特別の配慮というのはこれはどういうふうに考えておられるのか。この二点お聞きをいたしたいんですが。
  96. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 市町村消防広域化するということでございますが、まああくまでこれは自主的に市町村が行うというのが基本でございます。  ただ、この場合に、やはり国や都道府県が積極的にその役割を果たしていくということが不可欠だというふうに思っておりまして、そういう意味で国はその基本指針を作る、さらには必要な財政支援もできる限り講じると、こういうことでございまして、例えば広域化によりましてその必要な従来はなかった資機材を整備をする、ないしは出張所等を整備をするというような場合に地方措置を講じ、また交付税措置を講じるなどで必要な支援をしていきたいと、そういうような趣旨でございます。
  97. 高橋千秋

    高橋千秋君 その自主性確保というのは大変重要なことだと思うんですけれども災害対策基本法とか、水防法とか、石油コンビナート災害防止法とか、いろんな法律がこの災害に対してかかわってまいります。一方で、市町村のいろんな消防の機関だとか、それから私の地元でいえば四日市にコンビナートがありまして、コンビナート独自に消防を持っているんですね。それから、空港へ行けば空港の消防があったり、それぞれ自主防災の組織や機関がいろいろあります。こういうところの役割の整理というのがきっちりされていないということをお聞きしたんです。このことをもう少しきっちりと整理をして指針を作ってほしいという、そういう御要望があるんですが、これについてはいかがでしょうか。
  98. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 確かに、御指摘がございましたとおり、災害対策基本法ですとか水防法、石油コンビナート災害防止法、国民保護法など、いろんな法律によりまして各種の防災の対策が講じられております。特に、石油コンビナート地域では、それぞれのところに自主防災組織があるとか、いろいろと各種様々にこの防災の対応が行われております。  これらについて、必ずしもその関係が明確ではないではないかという御指摘かと思いますが、私どもといたしましては、地域地域でいざとなったときにどういう対応をするかということについては、消防を中心にいろいろと検討を重ねられているんではないかというふうに思っておりますし、現にそういうことをやられていると思いますが、さらにそういうことをもっと一生懸命しっかりやるべきだということについては、十分我々の方もそういうふうに思いますので、そういう点について遺憾がないように進めていきたいというふうに思います。
  99. 高橋千秋

    高橋千秋君 是非お願いをしたいと思います。  それと、一番今回のこの広域化することに伴って、これにかかわらずですが、もめるのはお金の問題ですね、費用負担の問題。広域化に伴ってそれぞれの市町村がある消防本部一つになれば、この人口割りなり、さっき午前中面積とかいろいろありましたけれども、そういうこの費用負担をどうやって公平にやっていくのかというのは大変難しいと。そのことに対して、是非消防庁というか国の方でそれの基準を作ってほしいと、指針を出してほしいという御要望があるんですけれども、これはいかがでしょうか。
  100. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 確かに、費用の負担につきましては、現在たくさんございます一部事務組合でもいろんな形で負担をしていただいておりまして、恐らく新しく広域化するといったときに費用負担をどうするんだというのが大きな市町村の間の課題になることは間違いないだろうというふうに思います。  そういう意味で、いろいろ基準は、交付税をベースにするとか、いろんなことはございますけれども、やはり地域実情もございますでしょうし、まあいろんな考え方もあろうかとは思いますので、私どもといたしましては、やはり今お話がございましたように、市町村がそういう検討をする場合の材料といいましょうか、になるようなものにつきましては、やはり指導、助言をしていく必要があるだろうということで、そういうことについても検討を進めてまいりたいと思います。
  101. 高橋千秋

    高橋千秋君 先ほど財政的な話もちゃんと支援をしていくというお話がありましたけれども、私の地元のふるさと新聞というのがありまして、ここの二年ほど前の記事なんですが、消防・救急車両、大半が更新基準超過というふうに出ていまして、日射病を搬送中に冷房故障もということがあって、日射病になって運ばれるときに、入ったら冷房が故障していて蒸しぶろの状態で運ばれたと、そんなばかなって話なんですが、実際のところ、こういう記事が出ているんですね。それで、購入計画も全くないと。  やっぱりお金の問題は、当然これは財政どこも厳しい中で、そういう手当てをしていくというのは大変なことだと思うんですけれども、これは救急なり、それから消防のときに、それこそもう一時を争うときに車が動かないとか、そんなことがあっては困るし、当然消防本部消防団もしょっちゅうそれは点検をしてちゃんと動くようにはしていますけれども、そうはいっても、私も消防団やっていましたけど、消防団の車なんて特にもう古いんですよ、物すごく。物すごく古いのをみんなでぴかぴかに磨いて、年に何回走るか分かりませんが、これはバッテリーが上がらないように月に一回ぐらい走ったりとかやったりするんですが、我々消防団やっているときは、あの金色に光る部分を一生懸命磨けとか、そんなのやるんですが、もう何十年も前のそういう機材を使ったりしているんですよね。  特にNOx・PM法の中で消防車なんかの基準もこれに合わすと多分使えなくなるんではないかなという心配もありますけれども、こういう問題、消防庁として全国的なものは把握をされているんでしょうか。そしてまた、それに対して何か対応を考えておられるのか、そこをお聞きしたいと思います。
  102. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) まず、消防車、救急車でございますけれども、私どもとしてはその更新基準というのは実は示しておりません。まあ使えるだけ使っていただくという前提かというふうに思うのでありますけれども、各消防本部で非常に今財政事情厳しいという状況の中で大変大事に使って、非常に長い年月使用しているというのが実態のようでございます。というのは、十六年にごく一部の市町村で調べましたところ、消防ポンプ自動車で大体十五年使っています、高規格の救急車は十年ぐらい使っておりますと、こういう回答でございました。  そういうことで、皆さんその整備は一生懸命やっていただいていると思いますので、万一にも現場に行って動かなくなるというようなことがあってはいけないわけでありますけれども、この辺はその必要な財源は是非確保をしていただくということをまた市町村にもお願いをしてまいりたいと思います。  また、NOx・PM法で結構長く使っているはしご車とか、そういうものについて使えなくなるという問題がございます。これは、消防車については特に長い猶予期間をいただいておりまして、まあ何とか使えてきたわけでございますけれども、それがいよいよ切れるというような問題もございます。これは、もうちょっと延ばしてくれと言ってできるものかどうか分かりませんけれども市町村の実態なんかも勘案しながらここは検討してまいりたいと。さらに、猶予期間が切れたということで、例えばはしご自動車を更新をするという場合には、現行の補助金等の中でも優先的に扱ってまいりたいというふうに思っております。
  103. 高橋千秋

    高橋千秋君 使えるだけ使えということというのは私はちょっとびっくりしましたけど、事命にかかわることのこういう車両について、確かに私たちも一生懸命整備して、ぴかぴかにしながら、消防団の出初め式行くと、車の前までこれはずっと巡回して歩くんですよね。多分国会議員の方は皆さん経験されていると思うんですが。  でも、それで私、優先すべきところは、こういうのは優先してもいいんじゃないかと思うんですよね。機材も当然新しいものができていて結構使いやすくなっていたりとか、いろんなことがあると思うんで、確かに、そういう使えるだけ使って、そういう効率よくやるというのはそれは一つ考え方かも分からないんですが、是非この部分については指導をしていただきたいなと。  それから、NOx・PM法の話もありましたけれども、それぞれの地域ではやっぱり公用に使う車がもう使えなくなってきたりとか、いろんな問題が出ております。是非これについても関係機関と是非いろいろ調整を早急に進めていただきたいなというふうに思います。  それからもう一つは、そのことも含めて、やっぱり、今回この法律が出るまでもなく、消防というのはそれぞれの市で、これは消防の方のひがみかどうか分かりませんが、いろんな予算が付いたときに、市の中で予算が付いたときに、本庁の方の予算をまず取って、消防に来るのは最後なんだというふうによく言われるんですよね。午前中も自民党の委員からもそういう話があったかと思うんですけども、なかなか消防の方は予算が取れない。こういう財政厳しい中でどうしても後回しになるということが多いようなんですよ。だから、こういうことに対してやっぱり国はちゃんと財政支援をしていくべきではないかなというふうに思うんですけども、今回でも消防計画を達成するために行う事業に要する経費については地方債で特別の配慮をすることとされているということなんですけども、なかなかこういう部分について、消防に回すお金というのは厳しい状態が続いていると思うんで、国の財政支援をきっちりすべきだと思うんですが、これについて、いかがでございましょうか。
  104. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 三位一体改革の中でいわゆる消防市町村に対する補助制度がかなり大幅に変更に至ったというのは事実でございます。そういうことで、消防は本来市町村の自治事務ということでございますので、これは総務省の一員としてやむを得ないということでそういうことを了解をしたわけでございますが、いずれにしても、おっしゃいますように、消防に財源が必要であるということは常に変わらないわけでございまして、その財源が確保できなくなるということでは非常に困るわけでございます。今のところはそれなりに市町村長さん方の理解を得てまあ何とかやれているんではないかというふうに思っておりますが、まだまだ不十分なところもございますし、私どもも、地方措置交付税措置等ではございますけれども、できる限り支援はしてまいりたいと、こういうふうに思っております。  それと、ちょっと先ほど使えるだけ使えという、ちょっとやや言い方が悪かったかと思うんですけれども、厳しい財政の中だから適正に使える間は使ってほしいという、そういう趣旨であるということで、ちょっと訂正をさしていただきたいと思います。済みませんでした。
  105. 高橋千秋

    高橋千秋君 言葉は、表現は違うけど、言っていることは一緒ですよね。是非その対応はしていただきたいなと。  消防、私、今年も出初め式、十か所近く出ましたし、それから十二月の末は夜警というのにあちこち行きました。みんな寒い中やっているんですよ。それで、さっきの車についても一生懸命整備したり真冬の寒いときに放水をやったりとか、そういう、もう本当にみんな一生懸命やっています。特に消防団なんというのはボランティアでやっているわけで、せめてそういうところに対するお金は優先できるように是非御援助をお願いをしたいというふうに思います。  それで、今回のこの法律に伴う広域化のスケジュールをお聞きをしたいと思うんですけども、十八年の前半に消防庁長官基本指針を出して、十八年後半から十九年度に消防広域化推進計画を策定して、広域化の対象となった市町村は五年程度広域化を果たすということなんですが、実際のところ、特に市町村合併がうまくいかなかったようなところなんかはまだいろいろしこりが残っていたりとか、いろいろあるんですね。それで、合併がしたくてもできないところというのが幾つかあって、そういうところはこの消防広域化の問題もなかなか難しいだろうと思うんですね。その意味で、十九年度までに消防広域化推進計画を策定するという部分がなかなかこれできないんじゃないかという声があるんですね。  さっき柔軟に対応されるというお話ありましたけども、この部分、この計画どおり私はなかなか全国一律にやるというのは難しいと思うんですが、どうお考えでございますか。
  106. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 我々、着実に消防広域化を進めていただきたいと思っているわけですけれども、そのためにはやはり当面一定のスケジュールといいますか期限を区切って取り組むことがやはり必要なんだろうと思っております。その意味で、法律が成立しますれば、できれば、その次第、速やかに基本方針を定めて、その中で重点的に広域化推進する期間を定めるというふうに予定にしております。  具体的には、今委員もう既におっしゃってくださいましたけれども、これは消防庁で開催した検討会の中間報告等々において、平成十九年度までに都道府県消防広域に係る推進計画を作成していただいて、その後五年間程度広域化を実現するということがその報告の中では指摘されているところでございます。  この研究会の過程で、これが現実的かどうかということを知るためにもアンケート調査をしておりますけれども、そのアンケート調査の中では、これは四十三都道府県の二百四十四の市町村に聞いておりますが、アンケート調査をしましたところ、賛同できないというところも六十八確かにございましたんですが、賛成だというところが大体その倍の百二十一ございました。  これ、一応数では賛同いただいているところが多いですが、難しいと言っているところも確かにある。各市町村においては、国の基本方針、そして都道府県推進計画等を十分に参考にしながら、やはり自らの地域の今後の防災体制の在り方について、これは十分に御議論をいただいて、広域化に積極的に取り組んでいただくことを期待をしております。  そして、この推進のために、国においては、基本方針を示す、都道府県及び市町村に対して情報提供その他必要な援助を行う、都道府県においても、推進計画を定めるとともに、その必要な調整や情報提供等の必要な援助を行うというふうにしておりますので、今後広域化がスムーズに進むように地域議論を深めていただくということが重要だと思います。そして、そのためにはやはり国と地方もしかるべき役割をしっかりと果たしていきたいというふうに思っております。
  107. 高橋千秋

    高橋千秋君 それと、もう一つは、県境をまたぐ広域化ということについてお聞きをしたいと思うんですが、大臣の出身地でもある和歌山で、世耕委員長も和歌山でございまして、私はお隣の三重県でして、御存じかと思いますが、新宮と三重県の紀宝町は橋一つですよね、それも短い橋で。私は紀宝町へ行くときは必ず新宮に泊まるんですが、そういう行き来があるんですね。  そういう意味で、この県境をまたぐ広域化というのもこの指針の中にあるのかどうか。そして、それは同一県でやるのが一番いいかも分からないんですけれども全国いろいろ見渡すと、もう隣の県と仲良くやっているというところは幾つもあるわけで、そういうことの指針はどうなっておるんでしょうか。
  108. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 現在でも都道府県の県境をまたがる消防広域共同処理につきましては一部地域で行われているということでございます。今後とも、地域実情に応じまして、自らの地域における今後の消防防災体制の在り方について各地域で十分議論を行っていただきたいというふうに期待をしているわけでございますけれども、その結果、県境をまたがって広域化したいというような話が出てまいりましたら、それはそういうことで各都道府県との間の話合いなどを経てやっていただけばよろしいんではないかというふうに思っております。
  109. 高橋千秋

    高橋千秋君 次に、消防団のことをお聞きしたいんですが、消防職員が大幅に足りないと、基準から考えると。それを補っているのが消防団だと思いますし、この消防団組織というのは世界にも誇れるすばらしい組織じゃないかなと思います。私自身も八年消防団員活動をやってましたけれども地域の交流も非常に深まるし、昔青年団というのがあったんですが、これ青年団というのがなくなって、今それの代わりを消防団がやっているというところがあるんですね。  十二月の末に私も三重県の伊賀町という、今伊賀市というのになりましたが、そこで夜警に行ったんですね。そうすると、我々が行くと並んで敬礼して、その後、その横の控え室みたいなところでなべをつっつきながらいろんな話をすると。それが地域の団結というか、そういうことにもつながるということで、私は非常にいいなというふうに思うんですが。  この市町村合併が進んで、二月に、さっきからお話をしている私の地元の津市の消防団、十の消防団合併をいたしました。で、その合併式というのがあって私も出たんですけども、それぞれの消防団では出初め式やら夏季訓練やらいろんなことを日ごろからやっているんですけども、大きくなることに伴ってその連帯意識がかなり薄まってきたなということを物すごく私心配したんですね。で、実際消防団員の数も、この合併に伴うことではないかも分かりませんけども、随分減ってきているというふうに聞いてます。  ちょっと心配をしているんですが、この辺の実態は把握をされておられますか。
  110. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) お話がございましたとおり、消防団地域安心、安全の確保について大きな機能を果たしております。地域消防防災力を確保する上で必要な団員数を維持又は増加することが非常に重要な課題であるというふうに認識をしております。  全国消防団の実員数の実態でございますけれども、過去常備が余り進んでいない状況の中では二百万人というような時代もございましたけれども、その後常備化が進んだというようなこともございまして、半分程度に減ってまいりました。で、百万人を切って、現在、十七年の四月一日現在では約九十万八千人となっております。その一年前の十六年四月一日現在で比較いたしまして、一年間で約一万人減少をしているというのが実態でございます。  市町村合併で減少したのではないかということでございますけれども、必ずしもそうとばかりは言えないかなと思いますが、一部の市町村合併に際して消防団員の定数を減らすというような話も聞こえてまいりましたので、私どもの方では、平成十五年の十月に地方団体あてに合併する際の団員数の確保などについてお願いをして、消防団充実強化を依頼をしたところでございます。  消防庁といたしましては、昨年十二月におきましても消防団員の確保について各市町村に通知をしておりますが、今後とも適切に助言をするなどいたしまして、何とか消防団百万人を回復したいということで努力をしてまいっているところでございます。
  111. 高橋千秋

    高橋千秋君 七日には消防庁でこの消防団の企業との連携のことで検討会をされているようでありますけども、もう時間がありませんので簡単に御説明だけいただけますでしょうか、どういうふうに考えておられるのか。
  112. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 現在、消防団員の約七割がサラリーマンやOLであるというような状況で、サラリーマン化が進んでいるという現状でございます。そういう意味で、いわゆる事業所の理解がないとなかなか消防団活動も十分行えないという実態でございますので、昨年の八月から検討会を設けて検討をしてまいりました。  で、本年三月にその検討結果がまとまったわけでございますが、まずは事業所と事前に打合せをして十分活動できるような環境をつくるとか、事業所が所有する重機等のそういう資機材を使わしていただくようなそういう協力関係を構築するとか、企業の研究員などの専門職にいわゆる機能別の団員になっていただくというようなことですとか、事業所が消防団活動に協力することが社会責任及び社会貢献としてとらえられるような環境をつくるとか、まあなかなか、これといって直ちにこれが非常に有効な方策というのはないのかも分かりませんけれども一つ一つ何とか実行することで推進を図っていきたいというふうに思っております。
  113. 高橋千秋

    高橋千秋君 時間がありませんので最後の質問にしたいと思うんですが、この消防団の設置基準ですね、今回のこの法律に伴って市町村をまたぐ消防本部ができた場合に、消防本部もそれに合わしていくのか。私はそれぞれの市町村で設置をすべきだというふうに思っておりまして、それに伴って消防団も大きくしてしまう必要はないというふうに思うんですが、いかがでございましょうか。
  114. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 消防団は郷土愛護の精神を持って自らの町は自らが守ると、こういう理念に基づいて活動をしていただいております。地域実情にも精通しているということ等もございまして、今回の法案では消防団広域化の対象とはしておりません。したがいまして、市町村単位消防団を維持するという前提で進めてまいりたいというふうに思っております。
  115. 高橋千秋

    高橋千秋君 終わります。
  116. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  この消防組織法改正について趣旨を聞いておりますと、広域化で減らすのは事務部門など重複する部分だけであって、消防救急の現場は拡充するんだと、こういうふうに説明があるわけですね。そこで、これが本当に予防や救急含めた消防力強化につながるのかという点をお尋ねをしてまいりたい、こう思うんです。  まず、大臣にお伺いをいたしますけれども住民との政治的距離という問題ですが、私たちは、強制的な市町村合併によって町村役場が廃止をされ、行政住民から遠くなるということについては反対をしてまいりました。広域行政についても、それは単位自治体における住民議会行政監視機能を低下をさせたり、非常に間接的な形でのコントロールしかできなくなるという点は合併による弊害と大同小異だろうと思うんです。  そこで、広域化した場合、消防行政に対する単位自治体、住民のコントロールはどのように担保されるのか、まずこの点からお伺いしたいと思います。
  117. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 先ほどの高橋委員との質疑にもありましたが、一種の規模の集積の利益を得る反面で、きめ細かなやはりケアというのをどのように担保するかという点でお尋ねの点は大変重要だと思います。  委託・組合方式を採用する場合には、委託市町村でありますとか組合構成市町村議会ないしは住民からのチェックが行き届きにくくなるということは、これはやはり気を付けないとやはりあり得ることなわけでございます。このため、組合市町村相互間の意思疎通に特に留意することが必要であるというふうに思っておりまして、この広域化に係る関係市町村の協議に当たりましては、これらのことに十分留意の上、広域化後の消防の円滑な運営の確保に万全を期していただくように我々も期待をしているところでございます。  消防庁におきましても、そうした観点から今後の消防体制の在り方に関する調査検討会を持っておりますが、その調査検討会におきまして、引き続きこの委託・組合方式の消防本部の運営上の課題というものについて御議論をいただいているところでございます。その結果を踏まえまして、必要に応じて指導、助言をしてまいりたいと思っております。
  118. 又市征治

    ○又市征治君 この改正案では、府県が広域化推進計画を作るというわけですが、消防行政の基本は今お話があったように市町村自治であり、財政上も交付税の需要算定でカバーされているわけですね。広域化の決定はあくまでも市町村の意向を尊重される、また具体的な広域化の編成に際しては当該の住民や現場職員の意見というものを十二分に尊重されることが必要だ、まずこの点は確認をしておきたいと思います。  そこで、二番目に、今は政府が自治体に対して地方公務員四・六%プラスアルファの人員削減を求めているさなかでありますが、こういう状況下での消防広域化というのは、まあ実はそこには入らないんだ、いや、むしろここは該当外だと、こういうふうにおっしゃっても、どうも人員削減の一環であるんではないか、こういうことで自治体からそういう不安が、声が寄せられている、こういうことがあります。  そこで、確認の意味で、政府の進める消防広域化というのは人員削減方針のこの一環なのか違うのか、それとも消防については警察官と同様に別途計画的に増員を図っていくということなのか、この点を明確にしてほしい。
  119. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) まず、明確にということでございますので、政府の人員削減計画の一環ではないということを申し上げたいと思います。  今回の消防広域化推進の目的は、市町村消防防災体制の一層の強化でございまして、各市町村においては引き続き消防体制充実強化が必要であると認識をしております。したがいまして、消防本部総務部門ですとか通信指令部門を効率化することによって生じた人員は、必要に応じて警防、予防などの直接住民サービスを担当する要員として活用されることを想定をしておりまして、広域化によって消防本部対応力が低下することがあってはならないというふうに思っております。  現在、大変厳しい行財政状況でございますので、それを踏まえた対応が必要ではないかという声があるのは当然でございますけれども消防に関して申しますと、これまで数年間、非常に厳しい財政状況の中で各市町村も定員削減をかなりやってきておりますけれども消防の定数につきましては微増ではございますけれども増加を示しておるということで、市町村消防の重要性について十分認識をしていただいているというふうに理解をしております。  まだ、私どもが示しております整備指針からいたしましても十分な水準にはなっていないという実態でございますので、引き続き充実を図らなきゃいけない分野ではないかというふうに思っております。
  120. 又市征治

    ○又市征治君 今出ました整備基準、それに沿ってお伺いしますが、実際の充足状況、最新のデータでは二〇〇三年の四月一日のものを見ますと、大変まだまだ低いですね。  そのうちで最も低いのがやっぱり消防職員の数ですね。全体では七五・五%の充足率で、四人いるべきところを三人しかいないと、こういうことに全体としてはなる。特に、管轄人口五万人未満の地域では六三・六%、五万人以上十万人未満の地域でも余り変わらず六六・四%。つまり、三人必要だけれども二人しかいませんよ、こういう勘定になる。十万人以上二十万人未満でも六九・六%。大変不足をしているという現状ですね。  したがって、当局が考えているこの広域化で、それだけに事務部門などは浮かせて現場に移したいということなどもあるんでしょうけれども、あるいはまた、せいぜいが十万人とか二十万人規模消防本部とそれより小さいところを組合わせをする、こういうことを考えているということなんですが、問題は、今一番大事なことは、広域化するか否かに関係なく、最後の方に消防庁長官がおっしゃったけれども、まずこの消防力基準を達成をする、その増員をきちっと計画を立てていかないと、今朝からずっと議論をしているように、本当に広域化をして逆にどこか都市部に集中をされたら困る、こういう問題などがある。本当に火災が起こった、今朝から出たように、そうした通所ホーム、そうしたところなどで大きな事故が起こる。こういうことなども考えたときに、えてしてそういう場所は逆に山間へき地なんかに随分多いんですね、まだまだ今の日本の現状を見ると。  そんなことを含めて、こうした人員の増員計画、こういう努力はされるべきだと思いますが、この点についてもう一度改めて答弁を願います。
  121. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 消防職員数がこの整備指針にかなり及ばない水準になっているということは私どもも十分認識をしておりまして、何とかこれを少しでも高めていきたいというのが長年の行政目標にもなってまいっております。  管轄人口の少ない消防本部というのが充足率が全国平均を下回っておって、管轄人口の多い大規模消防本部ほど充足率が高くなっているというような傾向もございます。そういうことで、広域化を図ることによりまして、少なくとも充足率というのは高まっていくことになるだろうというふうに思っております。そういうことを通じまして、何とかそういう充足率が低いところが底上げが図られるように努めてまいりたいと思っております。
  122. 又市征治

    ○又市征治君 三番目に救急の運用についてお伺いしてまいりますが、時間の関係で答弁を求めている時間がないんですが、やはりこの救急出動は人の活動している時間帯、八時から二十二時の間がピークですね。これ一番山が高い。  そこで、救急隊の運用についても、こういう時間帯に合わせてローテーションを集中をすれば救急出動の到達時間が早い、そういうことなど、より効果が上がるんではないかというふうに思うんですが、この三月に救急需要対策に関する検討会の報告書消防庁から出されておりますけれども、この中に今私が提案したようなことも検討されているようですが、今ずっと、一救急隊丸ごと夜から昼へシフトする、こういうプランなど様々検討されるべきじゃないか。ずっと、全く夜も深夜も朝も昼もみんな同じ人員というのは必ずしもそれは効率的ではないんじゃないかということなどあると思うんで、この点について今何か検討されていることがあったり、まあこれはむしろ今後の検討課題だろうというふうに思うんですけれども、もしありましたら答弁願いたいと思います。
  123. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 御指摘のとおり、昼夜間で救急の需要が非常に大きく違うという実態がございます。昼間はやはりピーク時はもう非常に大変で、夜間はかなり余裕があるという実態かと思っております。そういう意味で、御指摘のありました検討会の報告書でも、この差を何とか上手に埋めたらいいんではないかという御指摘をいただいているところでございます。  私どもも、これは非常に有効な対策になるんではないかというふうに思っておるんですが、現在のシステムがいわゆる二十四時間勤務の交代勤務という形になっておりまして、夜昼同じ数の人員が勤務をするというところがほとんどでございまして、そういう救急の、いわゆる昼間勤務といいましょうか、日勤というのが余りこれまで想定をされていなかったというようなこともございます。ちょっと、検討すべきところもあろうかとは思いますけれども、私といたしましては、これから退職期を迎える人たちの再任用とか、いろんな方法によってそういう日勤の職員確保するというようなことも考えられるんではないかと思いますので、引き続きこれ有効な対策を考えてまいりたいと思います。
  124. 又市征治

    ○又市征治君 実は我が党は、今日の質問で、答弁で賛否を決めると、こういうことだったんですが、今までの答弁で賛成をしたいと、こう思います。その点は申し上げておきたいと思いますが。  そこで、最後に大臣に、消防問題とちょっと直接関係ないんですが、最近の総務大臣の発言について少し真意をお伺いをしておきたいと思います。  三月二十九日の諮問会議で大臣交付税の試算を発表されて、六兆円減額という形で大きく報道されました。余りに反響が大きくなって、新聞報道によると、四月六日の自民党の部会で、修正というか、数値目標化を否定したというふうに、こう書かれておるわけですね。これは個人の議員としての意見だったということですが、仮にも地方自治を預かる総務大臣の発言としてはいかがかと苦言を申し上げたいと思うんです。  そこで、この竹中意見の目的というのは、何か見ていますと、プライマリーバランスの繰上げ達成で言っておられるのかなと、こういうふうに見ましたが、そのために地方の歳出を切り込むと。その結果、交付税の減額と、具体的にその半額だけ国の交付税負担が減るということかなというふうに私は受け取ったんですが、しかし、これでは一体、地方行財政の充実であるとか、あるいは住民サービスの維持向上という観点はどこに行くんだろうかなと大変懸念があるわけでありまして、この点、大変関心が高まっていますから、今日この場でお聞きをしておきたいと思うんです。
  125. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 御発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。  今委員は、三月二十九日の諮問会議で交付税の試算をした、ないしは交付税の削減の試算をしたというふうにちょっとおっしゃったんでございますが、まあ新聞にはそう書いている新聞もあるんですが、そういうことは一切行っておりませんから、これは是非、議事録と提出の資料等々で御確認をいただきたいと思います。  何をやったかということを、いい機会でございますので是非正確に申し上げたいと思うんですが、これはもう、この委員会でももうかねてから申し上げましたように、地方交付税を減らすということを念頭に置いた議論というのは、これは政策論として間違っていると。これは地方には地方の歳出があります。それは社会保障の支出であり、人件費であり、公共事業であり、その他の経費である。で、この歳出項目は国と一緒なんです。  私が先般の国と地方の歳出歳入の一体改革の中で申し上げましたのは、国と地方それぞれに社会保障、人件費、そして公共事業等々ありますから、それぞれについて国と地方が同じような前提で努力をする。これは、横ばいでするというのもあるし、減らすというのもあるし、物価上昇分ぐらいは見てあげるというのもあるし、八通り、それでやると、国の収支と地方の収支はそれぞれどれほど変化をするかということの試算を見ているわけでございます。  これは、国は国税、これはGDPが三%伸びたら、まあ弾性値一・一ぐらいとすればそれだけ伸びる。地方税の弾性値は国税の弾性値ほどは高くはございません。そういうことをやって、しかも三%成長、四%成長、それぞれでやるかという八通りのケース。そして、どのぐらい国と地方の収支が改善するかと。その中で、さらに、収支改善しない分については、将来的には更に歳出を削減するか税負担を求めるかということを議論しなければいけない。正に歳出歳入の一体改革についてその試算を発表させていただいたわけでございます。  そのうち、例えば地方の収支の改善幅、これも八通りですからいろいろあります。収支が改善しないケースもありますし、かなり成長率が高くて改善するケースもありますけれども、その中の比較的高い数字を取り上げて、これが交付税の、この交付税削減の目標であるというふうに一部のメディアが、一部じゃない、一つのメディアが、これ本当に私がそんなことを言っていたら全部のメディア報じていますよね。そういうふうな面白おかしい言い方をしたわけでございます。  私がかねて申し上げていますように、これは、地方交付税というのはこれは中間的な支出でございます。国も地方も歳出削減には努めなければいけないと思います。そして一方で、経済を良くして歳入が、自然増が、税の自然増が上がってくれるようにはしなければいけないと思います。そして、国と地方が納得できる形でそれを、その成果をどのように使うかということに合意をしなければいけない。これも骨太の方針に書いているとおりでございます。  結果的に、国民の税負担余り増えないで、ないしは結果的に国も地方も納得して交付税が減るということは、これは、それはそれで悪いことではないわけでございますけれども交付税という中間的な支出を削減の目標にするというようなことは政策論としては間違っていますし、ましてや国民、地方の合意は絶対に得られない。この姿勢はもう一貫してこれからも主張していくつもりでございます。
  126. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 又市征治君、時間が過ぎております。
  127. 又市征治

    ○又市征治君 はい、時間が来てますから。もう一問聞こうかなと思ったら、大臣、三分もしゃべっちゃったから、これはもう。  この問題は重要な問題ですから、更にこの場でまた議論をさせていただくことを申し上げて、終わりたいと思います。
  128. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  129. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、高橋千秋君が委員辞任され、その補欠として和田ひろ子君が選任されました。     ─────────────
  130. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  131. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、消防組織法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。  消防体制充実強化は当然必要なことです。しかし、強制的ではなく、市町村消防の原則に沿って進められるべきです。  現状でも、国が消防力基準を示し、それを目標市町村、一部事務組合が自主的に車両や消防機材、職員等を確保し、市町村消防体制や能力の充実強化が行われています。これは消防組織法に定められた市町村消防の原則があるからです。  ところが、本法案は、消防庁長官基本指針の策定、それに基づいて都道府県推進計画を策定し、計画には必ず広域化対象市町村を含めるなど、この間の市町村合併を強引に進めてきた手法の法制化と言わなければなりません。  消防庁長官が基本方針に定める広域化目標は、これまでの管轄人口十万から三十万人へ大幅に引き上げられることになっています。これは一律の目標で、全国的な消防本部広域化合併を行うものです。  二〇〇一年三月の消防庁長官通知は、小規模消防本部広域再編については市町村合併により進めることが最も効果的であるとし、総務省は引き続き市町村合併推進することを明言しています。強制的な消防本部広域化、それをてこにして市町村合併を進めることは認められません。  以上述べましたように、全国一律の数字目標にした上からの消防本部広域化合併は、市町村消防の原則に反するばかりか、更なる強制的な市町村合併のてことなるものであることを指摘し、討論を終わります。
  132. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  消防組織法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  133. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、内藤君から発言を求められておりますので、これを許します。内藤正光君。
  134. 内藤正光

    ○内藤正光君 私は、ただいま可決されました消防組織法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合及び国民新党・新党日本の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     消防組織法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について十分配慮すべきである。  一、消防庁長官が定める基本指針に基づき、都道府県消防広域化推進計画を策定するに当たっては、基礎自治体である市町村がまずその任に当たる市町村消防の原則を維持し、関係市町村等の意見を聴取するなど地域実情を十分に踏まえ、市町村自主性を損なわないようにすること。  二、市町村による広域消防運営計画の策定に当たっては、現場の消防職員に情報を開示し、意見の反映が図られるよう指導すること。  三、消防広域化は、消防隊員等の増強、高度な消防資機材の整備、救急業務の専任化等、質の高い消防防災サービスを提供できる体制を確立し、住民安心・安全をより充実するために行われるものであり、消防署の統廃合や消防職員の削減につながることのないよう、消防広域化の趣旨を周知徹底すること。  四、広域化された消防本部市町村の防災部局との連携体制の確立を図るため、両者の連携の重要性、具体的方策について、適宜情報提供等を行うこと。また、広域化された常備消防地域に密着した消防防災活動を行っている消防団や自主防災組織との連携強化を図ること。  五、広域化対象市町村広域消防運営計画を達成するために行う事業に要する経費については、人的・物的確保に支障が生ずることのないよう、地方債をはじめ、所要の十分な財政的支援を講ずること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いを申し上げます。
  135. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) ただいま内藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  136. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 全会一致と認めます。よって、内藤君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、竹中総務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。竹中総務大臣
  137. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  138. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十二分散会