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2006-03-23 第164回国会 参議院 総務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月二十三日(木曜日)    午後三時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         世耕 弘成君     理 事                 景山俊太郎君                 森元 恒雄君                 山本 順三君                 高嶋 良充君                 内藤 正光君     委 員                 尾辻 秀久君                 柏村 武昭君                 木村  仁君                 椎名 一保君                 二之湯 智君                 山崎  力君                 吉村剛太郎君                 伊藤 基隆君                 高橋 千秋君                 那谷屋正義君                 藤本 祐司君                 蓮   舫君                 澤  雄二君                 吉川 春子君                 又市 征治君                 長谷川憲正君    国務大臣        総務大臣     竹中 平蔵君    副大臣        総務大臣    菅  義偉君        総務大臣    山崎  力君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        総務大臣官房技        術総括審議官   松本 正夫君        総務省行政管理        局長       藤井 昭夫君        総務省行政評価        局長       福井 良次君        総務省情報通信        政策局長     竹田 義行君        消防庁長官    板倉 敏和君    参考人        独立行政法人情        報通信研究機構        理事       大森 慎吾君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○独立行政法人情報通信研究機構法の一部を改正  する法律案(第百六十三回国会内閣提出、第百  六十四回国会衆議院送付) ○独立行政法人消防研究所解散に関する法律案  (内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。独立行政法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律案及び独立行政法人消防研究所解散に関する法律案審査のため、本日の委員会総務大臣官房技術総括審議官松本正夫君、総務省行政管理局長藤井昭夫君、総務省行政評価局長福井良次君、総務省情報通信政策局長竹田義行君及び消防庁長官板倉敏和君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  独立行政法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律案及び独立行政法人消防研究所解散に関する法律案審査のため、本日の委員会独立行政法人情報通信研究機構理事大森慎吾君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 独立行政法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律案及び独立行政法人消防研究所解散に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 蓮舫

    蓮舫君 民主党・新緑風会の蓮舫でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  今回提案される独法法案、対照的な内容になっているんですが、独立行政法人消防研究所解散をされて、その業務消防庁に吸収されると。ただ、その一方で、特定独立行政法人情報通信研究機構は、特定を外して、業務独法で引き続き行うという、この違いはなぜ発生したんでしょうか。
  8. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員指摘のとおり、今お願いしております二法案につきましては、消防研究所とそれとNICTと、方向から見ると確かに逆の方向に私たちとしては結論を出した、それは事実でございます。どうしてそういうふうにしたかということでございますけれども、まず独立行政法人通則法に基づくと、五年に一度、組織業務見直しをするということになっておりますので、我々としてはしっかりと判断をしたつもりでございます。  まず、NICTについて申し上げますと、言うまでもなく、通信情報技術というのが大変今、重要になっていると。国際競争力維持強化のためにも、日本経済全体の活性化のためにも、この役割が大変重要になっているというような認識を我々強く持っております。そうしたICT分野の言わば中核的研究機関にこのNICTはなっていただかなければいけない。そういう厳しい環境、同時にチャンスもあるということを考えますと、やはりより自主性自律性の高い業務運営組織運営を確保したい。そのためには研究開発機能の一層の高度化を図ることが必要であるということで、後にいろいろ御質問出るかもしれませんが、いろんな意味での柔軟性を持っていただくということで非公務員化しようということに我々としては決意をしたわけでございます。  他方で、消防研究所でございますけれども、これは実は平成十五年八月一日の閣議決定がございまして、特定独立行政法人業務、これは要するに、公務員型の独法業務については、国家公務員が行う必要性を証明できない場合は非特定独法へ移行することが原則であるというふうに独法一つ方向性として示されている。我々としては、したがいまして、この消防研究所についても非公務員化するかどうかということの決断を求められたわけでございます。  しかしながら、特に昨今、安全、安心への極めて高い関心、そして現実に我々も消防庁の中で経験しているわけでございますけれども、災害発生直後から初動をして、消防庁長官指揮命令の下で本当に消防庁と一体となっていろんな活動をすると。そして、国の危機管理体制の一翼を担うこの消防研究所については、やはり非公務員化することは難しいと、そのように考えたわけでございます。  そうしたことから、そういうことであるならば、これは国の中に戻そうと、同時にしっかりとスリム化できるところはスリム化して戻そうと、そのような、結果としては対照的な結果でございますけれども、それぞれの役割機能に応じて我々として判断をしたつもりでございます。
  9. 蓮舫

    蓮舫君 今大臣、御答弁でもありましたが、非公務員化するというのがこの情報通信研究機構の最大の目的というふうにうたわれております。  お配りしている資料の一ページ目なんですけれども、これを読みますと、法律案の要旨、目的によると、非公務員化することで公務員法にとらわれない戦略的な人材獲得ができるとうたわれている。つまり、逆に言うと公務員法内では戦略的な人材が獲得できないんではないかと、そうなると今働いている国家公務員方たちはどういう存在なのかなと思うんですが。  じゃ、非公務員化すると戦略的な人材獲得産学官連携推進研究環境国際化などが実現、どうやって実現するんでしょうか。
  10. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 公務員には公務員のその制度の良さがあり、非公務員することによってそれぞれの良さがあると。そこはまあ、どちらがいいという判断ではなくて、この場合はどちらが良いかという実態の判断をあくまでも我々はしなければいけないと思っております。  NICTの場合、非公務員化することによってどういう、じゃ本当に具体的に良いことがあるのかということは、これはしっかりと議論をいただかなければいけないわけでございますけれども、これは国家公務員法人事院規則、そういった制約現実にはございます。国家公務員法制約が外れる、人事院規則制約が外れる、その意味でより自主性自律性の高い業務組織運営が確保されるということが我々にとってやはり大変重要でございます。  特に、具体的に申し上げますと、国家公務員試験に合格していなければいけないかどうかというような一つ制約がございます。もちろん、これは国家公務員に合格していなくても公務員にはなれるわけですけれども、その場合も例えば学位を持っているかとか、いろんな縛りがあります。  そういう意味では、優秀かつ多様な、優秀であるということと同時に多様な人材をやはり機動的に柔軟に集めたい。研究というのはしょせんはやっぱり人でありますので、そういう意味では私自身も研究者の経験を踏まえて、こういう制約を外れるということの意味は私は極めて大きいというふうに思っております。  また、産業界のニーズと直結した研究開発への取組NICT研究成果の効率的な移転に向けまして、産業界との人材交流推進できます。NICTは、まあこれも後で御議論いただくか、基礎的なもの、リスクの高いものにウエートを置きますけれども、そういうものが製品化流れになって、産業界ともいろんな有機的なダイナミックな交流というのはこれは必要になってくるわけでございますので、そういうことも可能になるというふうに考えられるわけでございます。  冒頭申し上げましたように、研究開発機能NICT研究開発機能の一層の高度化、そして国際競争力維持発展させるという観点から、私たちとしてはその側面を大変重視をさせていただいたということでございます。
  11. 蓮舫

    蓮舫君 特定独法見直しをするんであれば、非公務員化だけが目的になってはいけなくて、その業務、果たしてこの業務が本当に正しく行われていて、そこのお金というのは大変正しく使われているのかどうなのか、この見直しも大切だと思うんですが、機構仕事を見ますと、国が直接行った方がいい業務もあるし、そうじゃなくて民間に任せても大丈夫なんじゃないかという仕事もあるように思えるんですね。  例えば、機構では大切な研究という仕事以外にも各種助成金事業も行っているんですが、光ファイバーなどの通信網構築構築事業への助成、過去十年間で四十一億円の利子助成を行ってきたり、あるいはテレビ番組字幕放送を行った局に対しての助成事業や、あるいはテレビの難視聴対策助成も行っているという、この業務見直し独法じゃなきゃできないんだという、そういう議論はあったんでしょうか。
  12. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 先ほど申し上げましたように、独立行政法人通則法では中期目標期間が終わるときに、その組織業務全般見直しを実施するということになっております。だから、当然のことながら業務全体については見直しが行われたわけでございます。  昨年の十二月に、その結果としましてNICT組織業務に関する見直し案というのが閣議決定されております。この見直し案に基づきまして、総務省としては本年の四月一日から始まる第二期の中期目標において幾つかの新しい見直した結果の方針というのを掲げております。参考までに申し上げますと、研究開発業務重点化というのを掲げている。これはまあ三つの領域を設定する。そして、特許実施化率の設定など研究開発業務に関する客観的、定量的指標導入する。まあ定量的指標、これなかなか難しいですけれども、いろいろ、どれだけ特許に結び付くかとか論文の数、しかもあるクオリファイドされたジャーナルに載る論文の数とか、とにかくそういう目標を決めてやるということも導入をしております。  そして、国内外の拠点の廃止、集約化等々管理部門スリム化、そして業務運営効率化、そうした事項に対して我々としてもNICTに対して指示をしたところでございます。  こうした取組によって、この独法の仕組みが、正に中期目標の年次が終わるときに組織業務をしっかりと見直して、そして更なるミッションを持ってやっていただくと、そのようなことを我々も目指してやっているつもりでございます。
  13. 蓮舫

    蓮舫君 るる御説明いただいたんですが、業務見直し内容そのものがよく見えてこないんですね。  お配りした資料の三ページ目をごらんいただきたいんですが、これ機構支出の取引額主要十位を示しているんですが、この中で六つの取引が民間への研究委託で、額にして約百七十億円を占めていると。機構が全体の支出の中で研究委託しているのが約百八十六億円、支出の三割近くを民間研究委託をしていると。これ直接、国から民間研究委託を行えばいいんじゃないか、何も機構を通す必要がないんじゃないか、それはいかがでしょうか。
  14. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっと詳細については局長からもし必要があれば答弁をさせますけれども、基本的な考え方として、まずNICTにおいては総務大臣が定めた中期目標というのがありますが、それを達成するための具体的な研究開発課題を策定します。そして、その過程において民間、大学などの研究機関委託する場合は委託して、より効率的な研究を遂行することができると認められる場合など外部研究機関を活用することが適切であると判断する場合は、それを一部に委託をするということでございます。確かに外部委託を行っておりますけれども、一般会計からの支出の中での比率を見ると、一五%ぐらいということになっていようかと思います。  委託先の選定に際しては、当然のことながら、専門的な知見が必要であります。これ、先ほども言いましたように、私も研究所の所長、理事長をやらせていただいたことがありますが、研究マネジメントというのは、基本的にはどういういい研究者を見いだすかということと、もう一つ、やっぱり研究クオリティーコントロールなんだと思うんですね。  そのクオリティーコントロールというのは、任せておいてお金を出せばいいということではなくて、常にそれをチェックして、そういうやっぱりマネジメント研究マネジメントノウハウ、その塊を私はNICTが有しているというふうに理解をしております。中でやる場合がいい場合もあるし、外の研究者を使う場合がいい場合もある。しかしその場合、お金を出して丸投げしないで、そのクオリティーコントロールをしっかりする。その研究方向性をしっかり戦略性を持つ。私はやはりそこにこそ研究マネジメントの本領の発揮のしどころがあるというふうに認識をしております。
  15. 蓮舫

    蓮舫君 クオリティーコントロールの大切さは私も共有させていただいております。ただ問題は、この研究成果マネジメントの結果なんですね。この結果が政策にどのように反映されているのか。  例えば、厚労省でいいますと、独法が例えば少子化対策の様々な研究事業を行っている、あるいは研修を行っている、あるいは助成事業を行っている。その成果というのは十分ではないかもしれませんけれども、政策に反映をされている。では、この機構の行った研究マネジメントの結果というのは、総務省のどういう政策にどのように反映されているんでしょうか。
  16. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今委員指摘のように、これは研究所としてのアウトプットと、そしてアウトカム。これ、出すものと、そしてそれのより大きな結果、アウトカム、これは両方もちろん重要だというふうに思っております。  もちろん、これ総務省政策だけに反映されるものではしたがってないと思いますので、もっとより大きな経済活性化全体の役割を担っているというふうに思いますけれども、基本的には先ほどから申し上げましたように、基礎的でかつリスクの高い研究開発に、我々が策定する中期目標に基づいて取り組んできたというふうに認識をしております。  あえて私たちに割と身近な、近いところでの成果を申し上げますと、例えば研究開発用の超高速ネットワーク、いわゆるJGNを運営して、そして産学と連携して超高速ネットワーク管理運営技術でありますとか、IPバージョン6の技術等研究開発を実施することで正にブロードバンドネットワーク技術を確立して、今日のブロードバンド実現に大きく寄与したというふうに思っております。  よく世界一のIT国を目指して二〇〇一年からやってきたと、そしてインフラが普及したというふうに申し上げますけれども、インフラを普及する中でこういうIPV6の技術とか、それこそ、それを、ネットワークを管理運用する技術というのは大変重要であったというふうに私も専門家から聞いております。  また、電子文書取扱い等に関して、これは例のタイムスタンプ電子文書に記録する技術等々、それとe—文書法における国税、地方税関係書類等電子保存を可能にしたというようなことも聞いております。このe—Japan戦略の中の電子文書長期保存というのがあるわけですけれども、そういうところにもここの技術実現したというふうに聞いております。  恐らく私が今素人として説明しただけではなかなか言い尽くせないというふうには思いますが、一つの分かりやすい事例としてそういうものがあるというふうに私も報告を受けております。
  17. 蓮舫

    蓮舫君 電子文書化ブロードバンド化も、民間が非常に頑張ってきて引っ張ってきた部分もあると思うんですね。何もこの総務省の管轄、所管のこの機構があったからここまで伸びてきたというのが必ずしも証明されている御説明だったとは思えないんですけれども。  ちょっと話を変えるんですが、平成十四年に特殊法人等改革推進本部決定で、認可法人業務特定独法が吸収した場合には非公務員型の独法にしていこうという方向が決定されました。今回の改正案もこの方向に基づいた改正だと理解をしているんですけれども、そもそも理由があって公務員型の独法にしたものを、認可法人業務を吸収したら非公務員型にしようとする。この決定方針、元々意味があって公務員型の独法にしたものを、じゃ、その仕事はどうなっちゃうんだろうという疑問が消えないんですけれども、この方針自体に私は矛盾があるように思えるんですが、大臣はいかが思いますか。
  18. 松本正夫

    政府参考人松本正夫君) 委員指摘の、そもそも公務員型の独行法人であったものを非公務員型にするというのはそもそもの判断が誤っていたんではないかというような御指摘かと思いますが、このNICTの場合につきましてはスタートは公務員型でございました。  公務員型の独法ということでスタートしたわけですが、その理由は、このNICTが現在サービスを提供しております標準時供給業務というのがございますが、この業務大変公共性が高いということ。これがストップしてしまうと社会的にかなり影響が大きいということで、きちっとこれをやっていくために公務員型でスタートしたわけでございますが、この二月、本年の二月でございますが、このシステムを新しいシステム更改というか、バージョンアップをいたしました。その結果、精度が大変向上したとか、あるいはシステム多重化による信頼性のアップでありますとか、あるいは電源のダウンが発生したときの非常電源の能力がアップしたというようなことで大変機能、性能が高度化したわけでございます。  その結果、大変重要な時刻あるいは周波数標準サービスが安定的、継続的に提供できるようになったということでございまして、非公務員型のシステムとして運用しても問題ないということで今回そういう判断をしたということでございます。
  19. 蓮舫

    蓮舫君 今御答弁ありましたように、日本標準時維持供給など極めて公益性の高い業務を行ってきたから公務員型の特定独法で今までやってきた。でも、今回そのシステムが開発されたから何も公務員型じゃなくても大丈夫なんだということだと思うんですけれども、じゃ、このシステムの検証というんでしょうか、費用効果でしょうか、だれにでも分かるような情報公開というのはされていますか。
  20. 松本正夫

    政府参考人松本正夫君) 今の、申し上げましたように、この新しいシステムにつきましては、電波の、電波時計、大変今は世の中に普及しておりまして、約一千五百万台以上普及していると聞いておりますが、そういった普及している状況、あるいは先ほど申し上げましたタイムスタンプに利用されているというようなことで、大変社会経済活動に幅広く利用されているわけでございますが、今回のこのシステム導入によりまして大変安定的、継続的な業務運営ができるようになったということでございます。  このシステム導入につきましては、約、原子時計費用と合わせまして二・八億円の費用を要しております。その費用費用効果費用効果といいますか、につきましては、その社会的なそういったメリットを考えますと十分なものではないかというふうに我々考えているところでございます。
  21. 蓮舫

    蓮舫君 多分、その十分なものではないかという評価外部がするものだと思うんですね。  今の話を聞いていると、そのシステムはだれでも使えるんだと、だから公務員じゃなくてもいいんだ、じゃ民間でもいいんじゃないかという話になるんですけれども、そもそも情報通信研究機構になってきた流れを見ると、今回の改正案では、通信放送機構系職員は、元々非公務員だったものを公務員にして、今回の改正案で非公務員型にすると。で、旧通信総合研究所系職員は、国家公務員から今回の改正で非公務員にすると。極めて分かりづらいんですけれども、そうなると、このシステムが開発されようとされまいと、元々非公務員型でもできる事業だったんではないでしょうか。
  22. 松本正夫

    政府参考人松本正夫君) この標準周波数標準あるいは時刻標準業務につきましては、いわゆる旧CRLと呼んでいますが、いわゆる国研でありました通信総合研究所の時代から引き続き実施している業務でございます。公務員型の独立行政法人になりまして、その業務を引き継いだわけでございます。  先ほど申し上げましたように、今般、その新しいシステム更改をしたということで、公務員型の独立行政法人でなくても十分安定的にサービスを提供できると、そういうことでございまして、まあ歴史的な経緯からして公務員型それから非公務員型というような流れでこのサービスを提供してきたというふうに、でございます。
  23. 蓮舫

    蓮舫君 大臣にお伺いしたいんですけれども、去年十二月に閣議決定をして行革をこれからまた進めていくんだということなんですが、そもそも独立行政法人制度自体に私は問題があるんではないかと。今見た、今いろいろお話しをさしていただいた分かりづらい部分というのは、この制度があるから分かりづらいんじゃないか。  国が自ら主体となって直接に実施する必要のない事務事業で、公務員でなければできないものが特定独法が行うものです。でも、通常の理解で言うと、国が直接行う必要のない事務事業というのは、地方自治民間が行うものです。でも、国家公務員でなければできないものというのは、これは国が行う行政サービスです。ただ、独法制度でいうと、国が行う必要はないが国家公務員が行うという、これ、論理矛盾があるんではないでしょうか。
  24. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員の今のお尋ねは、その組織の形態とそこで働く人の待遇、身分というのが一対一関係で対応しているのかどうかと、要は私はそういう問題であろうかと思います。国という組織でやる、だから国家公務員でやる。国という組織でないならば、国家公務員でない形でやる。私は、そういう関係が必ずしも一対一で、組織とそこで働く人々の処遇、待遇というのは一対一で必ずしも対応するものではないというふうに思っております。  今、日本郵政公社がございますが、これは今国家公務員でございます。以前、公社がございましたけれども、例えば三公社五現業等々の公社が、国鉄がそうですけれども、国鉄は国家公務員ではございませんでした。その意味では、実は国の組織についても、その国家公務員である場合も国家公務員でない場合もあるというのが基本的な認識ではないかと思います。  それとは別に、それの前半でおっしゃった独立行政法人そのものの組織がこのまんまでよいかどうかと、これはやはり常に検証していかなければいけない問題であると私たちも思います。まあこれもまだ始まって新しくて、最初の今、中期目標見直しでありますし、今度は特殊法人も、特殊法人から移行した独法についてもその見直しが行われますので、独法そのものについて、その組織を常に、まだ新しい制度ですから、それを見ていくということは必要であろうかと思います。  申し上げたいのは、それは分かります。しかし、それが国家公務員であるという、職員の身分と待遇と一対一で私は関連する、結び付けられるものでは必ずしもないというふうに思っております。
  25. 蓮舫

    蓮舫君 国から独立した法人格を持ちつつ、二つの制度があるんですね。独立行政法人には国家公務員という資格を持っている特定独法と、国家公務員じゃない非公務員という独法、二つがあるのが分かりにくくしていると思うんですね。  で、今国会、政府が提出される独法関連法案では、一万二千人の職員の身分を非公務員化するということをうたわれております。ただ、数は、非公務員は確かに増えるかもしれませんけれども、運営費交付金が増えるものもあるんですよ。結局、数は減るけれども、国からの支出はそんなに変わらない、増えるところもあるんだと、こういうところがもう分かりにくくなっている。  改革をすると主張されるのであれば、やはりそこは明確にグレーゾーンをなくしてもらいたいと思うんですよ。基本の問題の特定独立行政法人、ここは切り込まれるんでしょうか。
  26. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっと切り込むという意味があれですけれども、少なくとも中期期間が終わった段階で業務見直しをすべてについて行いますから、その時点で業務がその点本当に適正なのかとか成果を上げているのか、それは不断に見直します。それはすべて、すべての独法について見直しますから、そういう意味では切り込むというふうにお考えいただいてよいかと思います。  委員がおっしゃりたいのは、恐らく非公務員化してそれがどのような形で行政改革につながっていくのかと、そういう点ではないかと思いますけれども、これは先ほど申し上げましたように、行政改革、一番分かりやすいのは、やはり国からのお金の投入が減るというのが分かりやすい一つ成果であるわけですけれども、必ずしもそれだけではないんだと私は思います。  つまり、そこで、例えばですけれども、非常に柔軟な人事制度が採用されてサービスの質が高まって国民の利便に資す、これも行政改革です。これも行革です。そういうことを積み重ねることが結果的には効率的な経営を生み出してより良いサービスを効率的に提供するという意味でその国の財政にも影響を与えてくるというふうに思いますけれども、これも直にこれをやったから幾らお金が減るという形で直接分かりやすく結び付くものもあれば、サービスの質の向上という形で、間接的な形で国民に還元されて行政の正に改革に資していくというものもあると思います。
  27. 蓮舫

    蓮舫君 やみくもに国庫からの支出を減らせと主張しているんではなくて、本当に必要な、国民の行政サービスの質を低下しないためにここは厚くしなければいけないんだという仕事があれば、それは財政支出は増えてもいいと思うんです。だけども、行政サービスの質はこれ以上は低下しないと。  無駄があると思われるところはきっちりと改革をしていかなければいけない。そういうものをこの一つ独法改正案を取ってしてでも業務見直しをきっちりしていかなければいけないんですが、残念ながら今回の政府の改正案を見ますと、非公務員化という、この国家公務員の身分を非公務員化にするものが最大の目的であるという御説明をいただいているんですね。これだけでは私は不十分だと思うんですが、更に分かりにくいのは、機構職員は非公務員化をしてもみなし公務員になると。  このみなし公務員というのは、何の根拠でどういう立場なんでしょうか。
  28. 藤井昭夫

    政府参考人藤井昭夫君) お答えいたします。  まず、みなし公務員の法的根拠という御趣旨であれば、この法的根拠というのは、各個別の独立行政法人設置法にいわゆるみなし公務員規定というものを設けておるところでございます。  むしろ、そのみなし公務員とするものとそうしないものとの基準みたいなものは何かあるのかという御趣旨であれば、そもそもこのみなし公務員というのは、元をたどれば、刑法上いろいろ公務員の身分に着目をして、収賄罪とか職権濫用罪とか、そういう言わば公務の公正性とかあるいは公務に対する国民の信頼確保、こういったものを損なうものに個別に罰則を規定しているところでございます。  独立行政法人あるいは特殊法人もそうなんですが、これは国とは別の法人格であるとはいうものの、実際やっている事業というのはやっぱり非常に公共性の高い事務事業でございます。そういう公共性の高い事務事業の中で、刑法上、収賄罪とかあるいは今申しました職権濫用罪と同様に取り扱うべきものがあるということであれば、それは個別の法人ごとに設置法でこういったものはやっぱり刑法上の、いわゆる身分犯と称していますけれども、そういったものと同等の扱いをする必要があるということでそういう規定を盛り込んでいるというものでございます。
  29. 蓮舫

    蓮舫君 行為の結果を公務員と同じ立場で処罰されるというんであれば、その行為、業務を行っているその行為、業務そのものは公務員が行っているのと同じもので、その業務を行う人の立場は公務員ではないのかなという、分かりづらいんですよね。でも、公務員じゃなくてその人はみなし公務員だと。で、その行っている行為は公務員と同じようなものだと。うなずかれているんですが、すっきりしないんですよ。
  30. 藤井昭夫

    政府参考人藤井昭夫君) みなしという意味は、正に委員指摘のとおりでございまして、本来公務員でないもの、それは独立行政法人とか特殊法人の職員なんです。職員ではあるんだけれども、この法律上、擬制と言っていますけれども、それはもう公務員と同等に扱うべきだということで、みなしという言葉を使うことによって、本当は個別に刑法できめ細かくその罰則を決めるということもあるんですけれど、大体こういったたぐいのものは公務員が従事している公務と同等のものであるということが判断すると、みなし規定を設けることによって、ほとんど公務員に対して科されていた罰則と同様のものを規定できる。これはある意味で法律技術上のテクニックみたいなものでございまして、ただ、そのテクニックなんですけれど、実際、その刑法上の罰則を適用するに妥当なものかどうかというのは、その個別の独立行政法人ごとに、それこそ関係省庁相当吟味して決めていただいているということと承知しております。
  31. 蓮舫

    蓮舫君 テクニカルなものというのはなかなか国民には分かりづらいと思うんですよね。非公務員化するということは、その人はああ民間人なんだなという印象を持つと思うんですが、非公務員化される機構職員は国民・厚生年金より優遇された共済年金に加入し続けるのはなぜでしょうか。
  32. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 現在、公務員型の独立行政法人でありますそのNICTの役職員の医療保険、年金については、これは国家公務員共済組合法が適用されております。また、今般の非公務員型の独法への移行、これは国の政策判断に基づいて行われるということを踏まえて、職員の身分に係る条件変更への配慮が必要だという判断の下に、移行後も引き続き国家公務員共済組合法を適用するというふうにしたものでございます。これはあくまでも職員の身分に係る条件変更への配慮という観点から行っております。  なお、平成十六年四月から非公務員化された国立大学法人、それと国の機関から非公務員型の独立行政法人へ移行した他の法人についても同様の取扱いがなされております。
  33. 蓮舫

    蓮舫君 当然配慮はなければいけないと思います。いつか期間を設けて、じゃ経過措置的に民間に近づかしていくのかなと思うんですけど、もう一個聞かしていただきますと、機構職員は法改正後、公務員宿舎、官舎に住むことはできなくなるんでしょうか。
  34. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 独立行政法人職員につきましては、これは個別法において適用除外の規定を設けない限り、これは公務員型、非公務員型を問わず国家公務員宿舎法というのが適用されております。したがって、継続して住居することができるということになります。  今般の非公務員型の独立行政法人への移行は、先ほども言いましたように国の政策判断に基づくということで、身分に係る条件変更への配慮が必要である、したがって移行後も引き続き国家公務員宿舎法を適用するというふうにしたものでございます。  これも先ほどと同じなんですけれども、国の機関から非公務員型の独立行政法人へ移行した他の法人におきましても同様の扱いとなっているところでございます。
  35. 蓮舫

    蓮舫君 非公務員化するけど完全な民間の立場ではないのでみなし公務員にする、非公務員化するけれども国家公務員と同じ年金制度国家公務員と同じ官舎に住む、退職金も国家公務員と同じ。やっぱり分かりづらいんですよ。その特定独法国家公務員数を表面上、数だけ削減するための方策なのかなと。本来やらなければいけないのは内容見直しであって、国からの補助金がほとんどのこの機構お金の使われ方はどうなのかと、それは正しく使われているのかと。非公務員化目的と、最大として売ることに、私はこれは本当の改革ではないんだというものを見て取らしていただいているんですが。  さらに、もう一つ聞きますと、今後この機構方向性というのは、民営化も含めて国の関与をどんどん少なくしていくんだというお考えでしょうか。これ、端的にお答えください。
  36. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今後の方向ということになりますと、これはその都度見直していくということにもう尽きます。それが民間を目指す、民営化を目指すものも中には出てくるかもしれませんけれども、NICTに関しては、私たちは、これは公益性の高い、つまり民間では負えないリスクとか民間ではなかなか手の回らない基礎的研究を行うというふうに認識をしておりますので、我々が見通せる範囲で急速にこれが民営化されるというようなことは想定をしておりません。
  37. 蓮舫

    蓮舫君 今回せっかく改革を、改革と私は思っていないんですけれども、特典を外して非公務員化して独法にしていって、今度は独法仕事も当然見直していく対象になっていくんだと思いますけれども、どうぞそのときにお考えをいただきたいのは、その所管官庁とのつながり、いわゆる天下りの問題なんですけれども、お配りした資料の四ページ目にこの機構の役員の名簿が載っております。理事五人のうちの四人が旧郵政省からの天下りと。これは、平成八年の公益法人の指導監督基準においては、こうした特殊法人、理事構成に関しましては、理事数に占める所管官庁出身者の割合を三分の一以下にするように想定していると。そこにも外れているんですね。  これは、機構理事の構成というのは、せっかくの改正ですから、見直していく必要があると思いますが、それはいかがでしょうか。
  38. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) だれが答弁なさいますか。  松本術総括審議官
  39. 松本正夫

    政府参考人松本正夫君) 今御指摘NICT理事の数でございますが、今現在五人のうちの、NICTの前身でございますCRLという、電波研究所でございますが、そこの研究者からの御出身の方が二名、いわゆるNICTのプロパーの方でございます。それから、総務省からいわゆる出向して理事を務めておられる方が二名ということと、それから民間企業から御出身の方が一名という状況に、この表にございますとおりでございます。したがいまして、いわゆる退職をして、いったん退職金を取得された方が更にこの独行の理事として就任するというような理事の方は現在いらっしゃいません。そういう状況でございます。  この理事の人事につきましては、その業務内容の性格に照らしまして、この適任者を選任するという観点から理事長が任命して、官民を問わず適材適所の人事が行われていくものというふうに私どもは考えているところでございます。
  40. 蓮舫

    蓮舫君 ただ、やはりこの四人が郵政省が採用しているという現実は変わらないわけですから、一度退職しようとしなかろうと、特定独法理事になって、今度独法理事にそのまま引き続きいるというのは、私はこれは天下りに当たると考えております。  更に言いますと、非公務員型の独法を増やすということは、現行法規の中では天下り規制対象外の団体が増えるということにもなるんですね。この部分もやっぱりきっちり見ていく観点から、大臣、これはやはり天下り先ではないんだと、この機構は本当に改正していくんだという姿勢をお示しになるんであれば、この理事の構成も含めて、きっちりとした姿勢を示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  41. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっと今、蓮舫委員がおっしゃったこと、よく分からなかったんですが、非公務員型にすると天下りが、何とおっしゃったんですか、増えるとおっしゃったんですか。  それは公務員型、非公務員型とは基本的に関係のない問題だと。ちょっと私の聞き間違いであれば、どうぞお許しをいただきたいと思います。  それと、先ほど委員が、三分の一以下という基準ではないかというふうにおっしゃったんですが、それは公益法人の場合は三分の一なんですが、独法の場合は二分の一という基準を内閣として持っておりまして、その条件は満たしているというふうに私たち認識をしております。  委員は出向者についても、これは天下りだというふうにおっしゃいますので、それはちょっと定義が違ってまいりますけれども、いずれにしましても、委員是非御理解いただきたいのは、我々は数だけ、非公務員化して数だけ稼ごうなどということは思っておりません。それについては、例えば業務全体を見直して、そして業務全体については厳しく中身を見直して、そして専門家によってこれを評価をいただいて、このNICTというのは総じて高い評価をしているというその専門家評価をいただいて我々はそれを行っております。  我々が今度非公務員化するのはそういう数稼ぎではなくて、先ほど説明申し上げたように、人事交流等、採用等々においてしっかりとした柔軟な制度を持っていただいて、そして研究者の、本当に良い研究者に意欲を持って、インセンティブを持ってやっていただきたい、そして研究所としての良い成果を上げていただきたい、その思いで今回の法律案をお願いしている次第でございます。
  42. 蓮舫

    蓮舫君 現行の天下り規制によりますと、大臣の承認を除いては、省庁を退職した後二年間は関係のある営利企業には勤めることができないんですが、この二年間の間に、当然特定独法には天下りできないんですね、同じ公務員型ですから。でも、この特定を外した独法に入ることはできるんですよ、二年間。独法に二年間いれば、その後関係営利企業に勤めることはできるんです。だから、そういう意味で私、説明させていただいたんです。  で、民主党は、今回この二年も短いと、五年にさせていただいて、この五年間の間に、特定のみならず、独法にも入ることは禁止をしようではないかという法律案を出させていただいているんですよ。そういう意味を言わせていただきました。  今大臣おっしゃいましたけれども、数合わせではないと言いますが、どんなに調べれば調べるほど、非公務員化だけを目的化していて、数合わせにしか見えないんですよ。  じゃ、この業務内容は本当に正しいんでしょうか、あるいはお金の使われ方が正しいんでしょうか。あるいは、この機構の前身だった研究所の所長が、今ここの機構研究民間委託しているトップ、六十五億の契約書があるところの株式会社の社長になっているというのが衆議院の渡辺周代議士の質問でも明らかになっておりますけれども、いろいろグレーな部分にあるところに対してのお答えがなかなか見えてこないと。  私はこれは、大臣は明確に官から民へと言ってこられて分かりやすい説明を、答弁をされてきた割には、この特定独法説明に関してはなかなか明確ではないんではないか、非常に残念に思うんですけれども、是非、本当の改革をするんであれば数合わせではない、口先だけはない改革をしてもらいたい。私はこれは、やはり今の答弁を聞いていてもこの改正案にはなかなか賛成できないということを主張させていただき、質問を終わらせていただきます。
  43. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 民主党・新緑風会の那谷屋正義でございます。  私の方からは、独立行政法人消防研究所解散法案について主に質問をさせていただきたいと思います。  大臣が本院の予算委員会への出席ということもございますので、それに配慮させていただいて、当初考えておりました質問の組立てからはちょっと据わりの悪いものにもなりますけれども、総務大臣としての責任、見識等が厳しく問われている課題に絞って四問ほどお尋ねをしたいと思います。  去る三月の七日でありましたけれども、民主党は衆参の総務委員で、本法案にかかわる独立行政法人、今、同僚の蓮舫委員の方からもありましたけれども、情報通信研究機構そして消防研究所を訪問しました。情報研究機構の方では、日本の標準時、世界の標準時が、私たちがこれまで教科書で習ってきたいわゆる明石だとかグリニッジ天文台ではないというようなことが今更初めて分かったということで、大変勉強不足である自分に恥ずかしいなと思いながらも、でも、しかしこれからの教育にそういうことをきちっとやっていかなきゃいけないんじゃないかなということもすぐ思った次第であります。三鷹にある消防研究所を訪問しまして、特に現場の様子や役員、そしてそこに働く人々の実態を見てまいりました。そうしたことを踏まえながらお聞きしてまいりたいと思います。  大臣が三月十四日、本委員会において、三つの私的懇談会の在り方にかかわるやり取りの中で、具体的なアクションプログラムとか制度とかつくる場合は、できるだけやはり現場の分かる関係者に入っていただいて議論するというのが私は良い方法だと思います。ただ、大きな方向等々については、ともすればこの利益相反が生ずるような当事者ではなくて、独立した中立的な専門家にお集まりいただく方がよいのではないかというのが私の思いであります。もちろん、その場合も現場の意見は聞かなければなりませんというふうにお答えになっているわけであります。  この尺度からすると、今回の消防研究所見直し過程はどう評価をされるのか。それにしても、とんだ遠回りをしての総務省への復帰だなというふうに思わざるを得ないわけでありますけれども、各省横並びで最低一つ独立行政法人に必要に迫られたわけでありますけれども、小さな世帯の旧自治省には消防研しか該当組織がなかった、このため消防研を供さざるを得なかったてんまつに事の遠因が見て取れるんではないかというふうに思います。やはり、このような機械的な割当て手法には孤塁を守ってでも断固抗すべきであったのだというふうに思うわけであります。  消防研は、研究に携わる他の独法とは異なり、災害発生直後から初動し、生命や身体に危険が及ぶ可能性が高い第一線において消防庁や所轄消防署、警察機関などと一体となった活動を求められる場合が多いわけであります。この実態からしても、国家公務員型の組織であること、あり続けねばならないことは常識の範疇に当たることわりと言えるんではないでしょうか。ならば、当然の帰結として、人身御供として出された独法化自体が間違いだったことになる。弁解とは無縁な見解を問いたいというふうに思うわけであります。同時に、結果責任として、かかる不細工、不格好な経緯等を持つ法案の提出に至った不明は率直に反省すべきではないかというふうに考えますが、併せて確たる答弁をお願いいたします。
  44. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず、那谷屋委員には、今日の予算委員会出席のことで大変御迷惑をお掛けすること、おわびを申し上げます。  実は、冒頭委員おっしゃいましたけれども、私も標準時というのは明石で計っているというふうに思っておりまして、私自身も不勉強であったというふうに思っております。  お尋ねの件でございますけれども、平成十八年度の消防研究所独法化に当たりましては、これは、試験研究機関は特別なものを除き原則として独立行政法人化を図るという、その行革会議の最終報告の方針を受けまして、やはり柔軟な法人運営によって産学官連携推進を図るということを目的として独立行政法人化を行ったというふうに承知をしております。その上で、消防研究所は、火災等の災害時の的確かつ迅速な対応、そして火災原因調査権限を担うという任務、役割を踏まえて公務員型として設立をしたということだと思います。  一方で、平成十六年に行いました独法の五年に一度の組織業務見直しに際しましては、これは先ほど言いましたように、研究開発法人については原則として非公務員化するとの政府の方針が示されましたために、消防研究所と密接に意見交換するなど、これは正に委員指摘のように現場の意見をしっかりと聞きながら、最終的に国に統合するという判断を行ったものでございます。  災害発生直後から初動し、これもまあ、このことも委員指摘くださいましたけれども、消防庁長官指揮命令の下、消防庁、消防機関と一体となって活動して国の危機管理体制の一翼を担う、これが消防研究所の大変重要な役割でございますから、これを考えますと、他の研究開発法人のように非公務員化することは不適当であるということから今回国に統合することとしたものでございます。
  45. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 五年間やってみて、それでもって元のさやに収まることの方がベターだというふうな考え方だというふうに思うわけでありますけれども、そういう施策も可能であれば、昨日本会議で私、質問しましたけれども、子供たちの場合にはそれがとても取り返しが付かないということもあるわけで、やはりできるだけこういうことは避けていかなければいけないんではないかというふうに思うわけであります。  消防研究所見直しに当たっては、自民党の行政改革推進本部等からは、非公務員化か、さもなければ五割目途の削減を条件とした国の機関かという問答無用的な選択を迫られ、消防研の人員大幅削減を受け入れざるを得なかったというふうに聞くところであります。  この不幸な結末によって、消防研が消防、防災に果たしてきた役割が大きく損なわれることを私は心配します。しかも、人員の五割削減は、それぞれの業務を精査して出した数字ではなく、文科省所管の防災科学技術研究所との統合を断ったがために自民党が押し付けたものとの説も巷間伝わってくるわけであります。  職員を削減する必要性と五割の根拠について明快な答弁をお願いいたします。
  46. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 政府の行政改革推進本部におきまして、消防研究所の国への統合に際しては、これは行政効率化、これを徹底して見直して運営をしていってもらいたいというようなお話がございました。  移行する要因については、我々としては、効率化の観点からこの五割削減というのが研究機能維持のためのもうぎりぎり可能な数字だと。研究機能をしっかりと維持したいと、そのために、とにかく削減しろという要望あるわけですけれども、これがぎりぎりの数字だというところで判断をしたつもりでございます。  行政の効率化実施の観点から、その意味では要員数をできるだけ圧縮して、そして事務管理部門の合理化を図る。そして、消防研究所が果たす機能維持確保は、この研究スタッフを、しかるべき研究スタッフの量、質を確保することによって可能であると判断をしまして国への統合を決断したものでございます。  国への統合に当たりましては、新たに設置をいたします消防研究センターが円滑に運営できるように我々としては適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  47. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 ところが、まあ、ところがといいますか、昨年十二月に開かれました総務省独立行政法人評価委員会では、消防研究所の業績について高く評価する一方で、ダブルAとかAとかがもうほとんどで、学校の通信簿でいったらば四と五ばっかりという、そういう評価でありますが、仕事に比べて大変人員が少なく、むしろ組織の拡大と予算面での増大が求められるという方向で検討を進めるべきだというような報告が何回かなされたとしています。何より同評価委員会は、消防研の見直しに当たって、国家公務員組織として、災害、事故への対応が十分できるよう充実強化すべきとの見直し素案までをも承認しているわけであります。  さらに、近年、国家公務員の定員削減が叫ばれる中にあっても、食品安全委員会の設置や警察官の増員など、国民の安心、安全に関する分野については定員削減の例外扱いが行われてきたところであります。にもかかわらず、消防研を解散するとともに、職員数を二分の一とした理由は一体何なのか。世間の常識では、消防機能の強化と研究体制の強化、すなわち研究員等の増員は正比例の関係にある。この道理についてここで付け加えざるを得ないのは大変残念であります。  わけても理解できないのが、提案理由の理屈立てであります。消防機能の強化を図るため、消防研を廃止して、その事務を国が引き継ぐという論理構成になっている問題であります。要は、特定独法の消防研は、消防機能の強化には何の役にも立たなかった、国が肩代わりするならば半分の人員で十分だというような、まあ厚かましさもここに極まる断を下したことになっているわけでありまして、憤りを通り越してむなしささえ覚えるわけであります。併せて納得のできる答弁をいただけたらと思います。
  48. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 厚かましさという厳しい御指摘をいただきましたが、決してそういう厚かましい気持ちではございません。  是非御理解をいただきたいのは、必要な人員を考慮すべき、これ評価委員会のお言葉、それは大変我々にとっても是非強化したいというふうに思ってきたところでございます。消防機能のやはり強化を全体をスリム化する中でいかに果たしていくかということについては、我々なりに真摯に取り組んできたつもりでございます。  統合に当たりましては、国家公務員の定員を厳しく抑制する必要があるという認識の下で、事務管理部門については一定のスリム化を図る、しかし研究については、正に近年の災害の大規模化、多様化等を踏まえて、国として災害時対応の強化が求められる研究分野に重点化するということ、そして研究開発予算についても、予算の額についても独法のときと実質的に同程度確保するということ、そうすることによって機能が落ちないように、さらにはいろんな連携で機能が強化できるように我々としても知恵を絞ったつもりでございます。  その強化に関して申し上げますと、消防庁の科学技術戦略の企画を担う組織として新たに消防技術政策室を設置いたしますけれども、そことしっかりと連携をしまして、災害時対応等に関する政策でありますとか、消防機関の現場活動への反映等を可能にすることなど、そうすることで国の消防研究機能の強化を全体として図ったつもりでございます。  また、国への統合に当たりましては、高度研究機能とその研究、まあ研究と教育というのは表裏一体でありますから、それとの相乗効果を発揮するために、全国消防機関の幹部教育訓練機関であります消防大学校の内部組織として消防研究センターを設置するということにしたわけでございます。  地方の現場のニーズの把握、そして実践的な研究成果の地方への普及、そういう点を通して、我が国全体の消防の科学技術開発のレベルアップを通じて消防機能強化を是非図ってまいりたいというふうに思っております。
  49. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 通常、先ほども申し上げましたけれども、人が半分になってしまうということは、普通ですとこれは、半分切ってもできた仕事なんだということになれば、元々それ本当に必要なのかなというぐらい疑問がわくような、そんなような状況になっているんだというふうに思うわけでありますから、そこのところはひとつ、今までの研究内容、そしてこれまでに果たしてきた役割を損なわないように是非やっていただかなければいけないというふうに思うところでございます。  独法制度は中央省庁等改革の一つの柱として導入された制度であります。その特徴は、明確な目標設定と結果の評価、弾力性のある財務運営、組織・人事管理の自律性を高めた機動的、弾力的な運営、組織及び運営状況の透明化などにあるとされてまいりました。  また、我が国の独法がイギリスのエージェンシー制を参考にしてつくられたことは周知の事実であります。公共部門に市場をつくり出し、政策立案機能から執行機能を分離し、業績評価を行うなどの基本的な点では両者は共通をしています。ただし、多くの人が指摘をするように、明確な差異もございます。  その第一は、イギリスのエージェントは行政組織内に存在するのに対して、我が国の独法は行政組織から制度的に分離されていること。二つ目は、イギリスの場合には効率化サービスの質向上が目的であるのに対して、日本で、我が国での最大の動機付けが減量、スリム化にあったということであります。まあ我が国でも効率やサービスの質向上、透明性の確保が目標とされていることは承知をしているところでありますけれども。そのほかにも、国会に対する報告義務が課せられていない枠組みも大きな違いではないかと考えているところであります。  これらの差異の功罪にかかわる識者の分析のみならず、新聞報道等によっても、例えば、相変わらず常勤役員に占める天下りが高い水準を示している、天下り公益法人との間で契約が集中している、国家公務員よりも高い給与水準である等々が指摘をされているわけであります。これらの指摘にまつまでもなく、思い返していただきたいことがあります。  元々、特殊法人等から移行した独法については、特殊法人等整理合理化計画において、事業の徹底的な見直しをまず実施し、なお維持継続すべきと判断された業務、法人についてのみ独法化することとされたはずであります。第二陣として控えている特殊法人からの独法移行グループの見直し等にかかわる大本をどこに据えようとされているのか、確たる答弁をいただきたいというふうに思います。
  50. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 特殊法人等から移行して設立された法人、これの中期目標期間の終了時期というのが、平成十八年度以降ですね、委員指摘のように初めて到来することになります。ここは我々にとっても大変重要なポイントであると思います。  これらの法人につきましては、昨年十二月に閣議決定されました行政改革の重要方針におきまして、官から民への観点から正に事業組織必要性を厳しく検討し、そして廃止、縮小、重点化等を図ることはもとより、法人の事業の裏付けとなっている国の政策についてもその必要性にまでさかのぼって見直しを行うというふうにしているわけでございます。これによって国の財政支出スリム化も可能になるわけでございます。  ここはもう、今申し上げましたように、その政策必要性についてまでさかのぼってやるということで、十八年度の見直しを是非しっかりと推進してまいりたいと思っております。
  51. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 那谷屋君、よろしいですか、大臣からは。
  52. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 ここまでで大臣から答弁いただく質問を終わりますので、どうぞ御退席を。
  53. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) じゃ、大臣、御退席ください。
  54. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 独立行政法人は、国民生活、社会経済の安定等の公共上の見地からその確実な実施が必要とされる事業のうち、国自らが主体となって直接実施しなければならないものではないが民間にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるものを行う組織として定義をされています。だからこそ、独法導入の本旨、要諦は、まず情報開示の徹底と運営実態の透明化、それから事業内容及び政策目的の精査、政策事業決定システム見直しと、政官業癒着の解消、子会社、ファミリー企業の規制、天下り、渡り鳥の五つの規制にあったというふうに考えます。  この五つの検証の座標軸に照らして、今日までの消防研究所としての実績をどのように評価をされているのか、明快な答弁をお願いいたします。
  55. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 消防研究所につきましては、独立行政法人通則法に基づきまして、情報公開による透明性を確保いたしますとともに、中期的な目標管理と、第三者評価により的確に事業展開を図ってきたところでございます。  独立行政法人時代を通じまして、先ほどもお話ございましたとおり、業務の実績評価を行います総務省独立行政法人評価委員会におきましても、業務効率化、質の向上、財務内容の改善、業務運営の改善等の四つの評価基準におきましていずれも高い評価を受けておるところでございまして、政官業の癒着ですとかファミリー企業の問題、天下りなどの御指摘の問題はなかったというふうに認識をしております。  また、近年の火災等の災害の複雑化とともに、研究活動を通じまして得られた知見を生かした緊急時対応が増加をしてきております。三重県のRDF爆発ですとか苫小牧の石油タンク火災など、特殊な災害におきます消防機関への支援を的確に実施をいたしますとともに、各種の火災など社会的影響の大きい火災に関する原因調査を実施するなど、国の危機管理体制の一翼を担う機関として的確に活動してきたというふうに理解をしております。
  56. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今のお答えをいただきながら、先ほど評価のすばらしい、高い評価というのを少し理解をするところでありますけれども、今回の五十六独立行政法人見直しにおいては、国立公文書館等四法人を除いてほとんどの独法が非公務員化されることになりました。  ほとんどという持って回った言い方をするのは、まあ本消防研究所解散法案があるからでありますけれども、なぜ、役割機能論を純粋に追求するという立場から、消防研究所についてこれらの法人と同じく公務員特定独法としてのあるべき組織維持を目指さなかったのでありましょうか。是非お願いいたします。
  57. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 消防研究所につきましては、先ほど大臣答弁がございましたとおり、平成十三年度の独立行政法人化に当たりましては、試験研究機関は特別なものを除いて原則として独立行政法人化を図るという行政改革会議の最終報告の方針を受けまして独立行政法人化をしたわけでございます。  その上で、消防研究所が火災等の災害時には的確かつ迅速に対応しなきゃいけない、火災原因調査という強力な行政権限を担うというような、そういう任務や役割を踏まえまして、公務員型であればぎりぎり現状の期待された役割を果たせるということで独立行政法人化をしたということでございます。  他方、平成十六年に行いました独立行政法人の五年に一度の組織業務見直しに際しまして、研究開発法人については官民交流推進の観点から特に非公務員化を積極的に進めるという政府方針、政府全体の方針が示されまして、消防研究所はまあこの研究開発法人に当たるというふうに考えられておりましたので、政府の全体の方針の中から公務員型の独立行政法人としては存続することができないということになったわけでございます。  先ほどからも何度も話に出ておりますように、災害発生直後から消防庁等と一緒に現場に動いて一体となって活動をする、国の危機管理体制の一翼を担うと、こういう消防研究所役割を考えますと、他の研究開発法人とはかなり異なったところがあるわけでございまして、他の法人のように非公務員化することは不適当であるということで国に統合をするということとしたものでございます。  消防研究所につきましては、公務員型の独立行政法人として存続はしないということでございますけれども、国の危機管理機能の強化という観点から、国自らの業務として国家公務員が直接実施をすべきということで国に統合するということとしたところでございます。
  58. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 まあ先ほどから私の方で息巻くだけでは質問するかいがないというようなことで、ひとつここで提案型の質問をさせていただきたいと思いますけれども、世界標準組織論からしてもむちゃくちゃな二分の一削減論、さっきの二分の一削減論でありますけれども、唯一成り立つかもしれない論法が、ちょっとここで提案をさせていただきたいと思いますけれども、それは、消防研究所を廃止するとしても、そのすべてを廃止するのではなくて、立入検査等の行政権能を行使する部門は国の機関に戻し、研究部門は大学や他の独立行政法人等と統合するという整合ある解体を図る発想でございます。  この考えに立つならば、職員を二分の一に削減しつつも現行の消防研機能を発展継承できるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  59. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 消防研究所は、研究機関という性格を有しますとともに、災害発生直後から活動する機関ということで、行政権限の一部を行使する特殊な性格を有する独立行政法人ということは先ほども何度も述べたとおりでございます。  これらの緊急時対応ですとか行政権能の行使につきましては、科学的知見に基づく高度かつ専門性により裏打ちされるべき業務であるというふうに考えておりまして、同じ研究員が日常の研究業務と一体で実施をすることによって初めて迅速かつ的確に実施できるものと考えております。  消防研究所機能維持するという観点から見ますと、御提案のようなこともあり得るのかも分かりませんが、私どもといたしましては、組織的に申しましても五十人、わずか五十人ちょっとという小さな組織でございまして、これを二つの機能に分けていくということは、実質的にかなりその機能全体を弱めてしまうというようなおそれもございまして、消防研究所機能を分離することは適当ではないというふうに考えたところでございます。
  60. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 それについてはまた少し詳しくやっていった方がいいのかなというふうに思いますけれども、〇四年の十二月、先ほどは昨年の話しましたけれども、〇四年の十二月に開催された総務省独立行政法人評価委員会の会議において消防庁審議官は、苦渋の選択ではありますけれども、国に戻ってきていただくということの方がよりベターではないかといった考え方をさせていただいたというのが消防庁内部の考え方でございますと、こう発言をされています。  であるならば、消防研究所に関して、中身あっての器という組織改革論の王道に基づくベストの選択がなぜできなかったのか。また、それは業務の形態が国民生活等の安定に直接著しい影響を及ぼすために特定独法とされた経緯にかんがみても、その理由は変わらざるを得なかったからとの認識だからなのでしょうか、あるいは特定独法ではその任務を果たせなくなったとの判断に基づくものなのでしょうか。併せて明快な答弁をお願いします。
  61. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 確かに、十三年の独立行政法人化以降に新宿区の歌舞伎町でビル火災がございました。これを受けまして、平成十五年の消防法一部改正によりまして、消防庁長官が自ら火災原因調査を行うことができるという制度ができたわけでございます。この調査の実施機関は消防研究所ということになりますので、事実上、消防庁長官の指示を受けて消防研究所が火災原因調査を行うというような制度一つできました。  また、平成十五年の消防組織法の一部改正によりまして、緊急消防援助隊が制度化をされました。この緊急消防援助隊が出動をいたしましたこれまでの例えば新潟の地震におきます妙見堰のケースでございますとか、幾つかございますが、消防研究所も同時に出動をするというようなことでございまして、そういう意味で、十三年以降、いろいろと消防研究所役割も変わってきている、より重くなってきているというのも一つの事実でございます。  と同時に、公務員型の独立行政法人として残すという選択肢があるのであれば、従来の十三年に公務員独立行政法人にした経緯から申しましても、それは有力な選択肢としてあり得たというふうに思いますが、先ほどからも申し上げておりますとおり、研究開発型は基本的には非公務員型にするんだということが政府の大きな方針一つの仕切りでございまして、その中で種々検討した結果、こういう選択を行ったということで御理解をいただきたいと思います。
  62. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 なかなか、事情は分かりますが、理解に苦しむところかなというのが本音であります。  ちょっと話があちこち行ってしまいますけれども、本法律案の附則に、「この法律の施行の際現に研究所職員である者は、別に辞令を発せられない限り、この法律の施行の日において、消防庁の相当の職員となるものとする。」というふうにございます。  この「相当の職員」としての扱いというのは、どのような考えに基づいて、また賃金や労働条件等に関連してどういう現実的な意義を有するものなのか、お答えをいただきたいと思います。
  63. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) この趣旨でございますけれども、統合に当たりましては、辞令を発しない限りではございますけれども、降格ですとか解雇などの職員に対する不利益な処分は基本的には行わないという趣旨から設けているものでございます。  消防研究所の現在の職員の構成でございますけれども、研究職員のうち退職される方以外につきましては、当然のことながら全員、新しくできます消防研究センターですとか消防庁の内部部局で採用するということになりますし、事務職員につきましても、これは定数は失効されたわけでございますけれども、これは総務省なり消防庁の全体の中で工夫をしたり努力をするということでそちらの方に受け入れるということを考えておりまして、必要な対応はしてまいりたいと思っております。
  64. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今、総務省の中でというふうなお話がありましたけれども、消防大学校の内部部局化に当たっては、数合わせではなく、統合のメリット等が果たされるようになっているのでしょうか。
  65. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 実は、現在といいましょうか、これまでも消防大学校とこの消防研究所は同じ敷地の中にございまして、従来から、別組織ではございましたけれども、それなりの連携は取っていたというふうに理解をしております。ただ、今回、国へ統合するに当たりましては、消防大学校の一部局というふうにすることによりまして、その研究開発というのを、広く地方団体の幹部候補生が集まる消防大学校で連携しながら普及を図っていくということで、その研究成果を全国的に広めていく、そういうことを努力をしていきたいということで、技術開発のレベルアップにつながるんではないかというふうに思っております。
  66. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今いただいた御説明を善意に受け止めたとしても、その消防研究所が消防大学校の内部組織となる必要性をどこに見いだせるのかというのが私にはまだ理解ができません。固い頭なのかもしれませんが、教育研修機関と研究機関の在り方からすれば、まず研究機関という幹あってこその教育研修にかかわる有用性、機能性の発揮が可能になるという図式ではないかと考えるところであります。  財務省の財政総合研究所、内閣府における経済社会総合研究所など、他の省、府の例を挙げるまでもない、これが普通の姿ではないかというふうにも考えるわけでありますけれども、消防庁として望ましい研究機関と教育研修機関の在り方、かかわり方についてどう考えていらっしゃるんでしょうか。
  67. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 今御指摘がございましたとおり、警察庁の警察大学校に併設されているセンターですとか、いろいろな例がございますし、財務総合政策研究所に研修部が附置をされているとか、いろんなケースがございます。そういう意味で、選択肢としては当然、従前のように消防研究所を独立の一つの附属機関として消防庁に付設するという選択肢があったと思います。  ただ、一つは、先ほど申しましたように、研究と講習といいましょうか、を併せて、よりその成果を上げたいというのが一つございましたし、全体としては、この定員の圧縮に見られますように、やはり行政のスリム化という観点から、新たな附属機関を一つ新設するということについては若干のいろんな議論もございまして、最終的にこういう形に落ち着いたということであります。  いずれにいたしましても、私どもといたしましては、この二つを一緒にしたということを、これをできるだけ前向きに、しっかりその効果が発揮できるように、今後運営に意を用いてまいりたいと思っております。
  68. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 やっぱり固い頭だとなかなか理解に苦しむのかなと。(発言する者あり)ああ、ああ、そうですか。なかなか、質問に対するお答えとしてなかなか相変わらず理解に苦しむ部分はございます。  しかし、時間の方も大分なくなってまいりましたのでもう少し質問を先に進めたいと思いますけれども、国民の安全に資する研究を主目的にする消防研究所に代表される研究機関の予算や人が最初に削られるというのはどう考えても順番が違うのではないかと。全国消防長会や多くの学会などから強く要望されているように、消防研が果たしてきた消防防災の基礎的な分野での研究推進役割が損なわれることがあってはならないわけであります。今後の消防防災にかかわる科学技術研究の在り方は、消防行政を所管する総務省の見識、構想力等が鋭く問われる課題でもあります。見解をお願いいたします。
  69. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 消防研究所の国への統合に当たりましては、研究体制のスリム化の中で、研究分野の重点化ですとか研究活動予算の実質的な確保などによって、国として必要な消防に関する研究機能をぎりぎり維持確保したものと考えておりますが、今般の見直しは、御指摘のとおり、大変厳しい内容を含んでいるということも確かでございます。抜本的な事務の見直しですとか、総務省消防庁全体としての対応の中で、知恵と工夫で何とか今後乗り切っていきたいというふうに思っております。  これから我が国の消防の在り方を考えた場合に、国民の安心、安全を求めるニーズが高まる一方で、火災などの複雑化、大規模化が進んでおりまして、このような中で必要な消防力を発揮していくためには、科学的知見に裏打ちされた的確な災害対応の実施、最先端の科学技術を活用した消防の高度化を図ることが不可欠であると強く認識をしておりまして、国として必要な消防科学技術に関する研究の充実確保を図る道を模索してまいりたいというふうに考えております。  研究成果は、災害からの被害を軽減するという形で必ず国民に大きな利益をもたらすと考えておりますので、今後とも、厳しい状況の中ではございますけれども、努力をしてまいりたいと思っております。
  70. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 先ほど申し上げましたように、研究所の方、視察してまいりましたけれども、あの大きな工場のようなところに電車の車両一両ぼおんと置いて、そして、そこでの火災発生のときの訓練ですとか、あるいは消火の仕方ですとか、あるいは先ほどお話がありました新宿の火災でしょうか、いわゆる煙突状態になっていく、そういうことに対する対応の仕方ですとか、本当にそういう研究が進んでいる、あるいは苦労されているなという思いは本当に理解をしたところでありますけれども、そういう消防研究所に期待されてきた役割としては、最近ではいわゆる核そして生物、化学、つまりNBC兵器やテロ発生時の対応までという危険性や困難性が極大化する中での広がりを見せてきたとも言えるわけであります。  これらの拡大するばかりの対象範囲等も視野に入れつつ、望まれる日本の危機管理体制を展望するならば、今回の組織改編による影響をどのように認識し、かつ対応する用意がおありなのか、総務省の決意を最後にお聞きをし、質問を終わりたいと思います。
  71. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 先ほど来申し上げておりますが、我が国の消防は市町村消防ということでございまして、一部の大きな消防本部を除きまして、研究機関を設けているところは少ないわけでございます。  そういう意味で、国としての消防研究の意義というのは大変大きなものがあるというふうに認識をしております。これまでも、消し方の分からない火災もありましたし、いつ余震が来るか分からないような状況の中で救助活動をする、その安全確保のために消防研究所がいろんな形で陰になって活躍をしてくれたというような実績もございます。  そういうことでございますので、近年のNBCテロですとか、特殊物質、危険物質等における企業災害等への対応ですとか、国民保護法制における武力攻撃事態等への対応に迫られているわけでございますけれども、最先端の科学的、専門的知見を必要といたしますので、そういうことで、消防大学校のカリキュラムを通じまして全国の消防本部の幹部に、幹部職員に消防研究センターがこれまで行ってまいりました研究成果と専門的な知識、更にはノウハウを提供いたしまして全国的に展開をしていく、一方で、私どもとしましては、今後とも消防研究センターのその充実に一層努力をしてまいりたいと思っております。
  72. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 終わります。
  73. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 自由民主党の景山俊太郎です。  独立行政法人情通信機構法及び独立行政法人消防研究所法の、対しまして、若干質問をさせていただきます。  独立行政法人化というものとか非公務員化というものは、スリム化をするとかいろんな機能を果たしているということにおいては確かに大きな役割を果たすと期待をされております。しかし、こうしたいい制度と言われるものをつくりましても、運用が悪かったり、又はそのいろんなやり方、人の配置、そういうものが悪かったり、また気構えですね、気迫というものがなかったならば、決していい私は仕事ができないと思います。  そこで、山崎大臣に、全般、独立行政法人全般について伺いたいと思いますけれども。  独立行政法人につきましての見直しの大きな柱としては、職員の非公務員化というのが挙げられます。ところが、独立行政法人の多くは、その運営費の大部分というのは、自分らでもうけはしないんですよ。結局、国からお金をもらって仕事をやる、これはしようがありませんけれども、そこにはやはり厳しさとか、一般会社のような、非常に、毎日毎日闘争のような感じはないと思うんですね。結局私は親方日の丸、これに尽きるような感じがいたしております。だから、こういう意識の下で非公務員化をしても、私は、毎日朝から出て夕方までただ勤めればいい、そういう親方日の丸的な意識というものをどうやって払拭していくかと、そのことが一番大切じゃないかと思いますので、この点について、まず山崎大臣の御見解を伺いたいと思います。
  74. 山崎力

    ○副大臣山崎力君) 独立行政法人でございますけれども、これは、御承知のとおり特殊な立場でございまして、公共性の見地から仕事はちゃんとやってもらわなければ困るということであるが、国が直接実施するところまでは必要ないだろうと、しかしながら、それじゃ民間にそれを任せればちゃんとやって、必ずそれをやって実施してくれるかということを考えるとそこもまた難しかろうと、こういうところをしっかりやっていこうという組織として設立された法人でございます。そういったところから、いわゆるもうけて自分で動かしていくという独立採算制というのは当然無理だというのがほとんどでございますし、そういった意味では、やはり政府の方で財政措置を講じていかなきゃならぬと、まあそういった性格を本来持ってるんではという形がございます。  ただ、そういった中でもそういう、今、景山委員指摘のとおりの問題点があるものですから、目標管理や厳格な事後評価の実施であるとか業務の透明性の確保、そういったものを努めなきゃいかぬと、あるいは運営費交付金の供与が直ちに業務運営の非効率を来すことのないようにというような制度設計をしようと、こういうことでまずつくられているというふうにお考え願いたいと思います。  そして、その職員の身分、その身分につきましても国と、やはり独立した法人格を有しているということでございますから国家公務員とは本来相入れないものと考えられますが、国家公務員の身分を維持する必要のある以外は、やはりそういった関係から非公務員とすることを基本的な考え方にしていると、こういうことでございます。  そこで、そういった方々に対して非公務員ということでやっていただく、お金の方は国の方等から来るわけでございまして、そういった中で、どういうことをやれば国民から期待される独立行政法人の運営ができるかという点からいきますと、やはり役職員の非公務員化の、そういったメリットとしては、そういった国家公務員法がこういった形で適用されなくなるわけでございますから、民間企業並みの弾力的な運営であるとか勤務形態の導入である、あるいは民間との人事交流が円滑にすることが可能になるということで、より質の高い効率的なサービスの提供が可能となるという柔軟性のある業務運営ができるということが挙げられます。そういった点をやっていただくということが本題でございます。  委員指摘のとおり、そういった気持ちで、この独立行政法人職員、役職員の人たちがそういう気持ちを持ってしっかり業務に、やっていただくということを我々は期待しておりますし国民も期待しているところでございますので、その方向でやっていただけるものというふうに考えながらこの問題を当方としても見ていきたいというふうに思っております。
  75. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 しっかりと行政評価なども入れてやっていただかないことには、とてもこれまでと変わらないような状態が続くんじゃないかと思います。  次に、独立行政法人職員は非公務員化されます。それまでの国家公務員法上の兼業規制というのがなくなるんですね。すると、法人における本業と、それから兼業先での両方で報酬を受けるようになるんじゃないかと思います。また、旅費とか研究費とかいろいろな問題が出てくると思います。  そこで、いわゆるみなし公務員の規定が設けられましたね、法人には。これまでと同様に刑法上の収賄罪の適用が残る場合が出てまいります。その場合、兼業先で受け取る報酬が正当な労働なのか対価なのか、又は交通費が何か違った方向に出ているのか、又は研究費がどうなのか、そういうものが、本人は意識するとしないとにかかわらず賄賂になっているようなことが起こる可能性だってないとも限らないんですね。  そういう点において、しっかり仕事をやっているつもりだけれども不正をやっているというようなことになってもいけませんので、その点どういうふうに考えていますか。
  76. 藤井昭夫

    政府参考人藤井昭夫君) 確かに、先生御指摘のとおり、非公務員化されますと公務員法が適用されなくなって、言わば兼業許可の仕組みというものも取られなくなるということなんでございますが、ただ、独立行政法人については就業規則等で自らの兼業規制をやっているところもございます。そこはやっぱり各法人の業務の性質に応じて各法人自らが適正に判断していただくべき問題だろうと思っております。  御指摘の、非公務員化されたにもかかわらずみなし公務員規定で収賄罪が適用されるようなことのあるような法人のケースの場合でございますが、これはちょっと、確かにそういった事例は報道されていたような気も私もするんですが、ただ、個別具体的なやっぱり事実認定とか、収賄罪の構成要件の解釈、適用の問題、そういったものをつまびらかにしなければなかなか、制度上の問題なのかあるいは単なる立証が難しかったかどうかの問題なのか、ちょっとそこは判断を付きかねるところでございます。  ただ、私どもの大臣、副大臣から答弁させていただいておりますように、やっぱり独立行政法人のメリットというのは、今後いろいろな意味での民間との交流、こういったものが弾力的に可能になるということでございます。特に研究交流なんかは今後どんどんどんどんやっぱり進めていただく必要があると思いますが、その際、先生の御指摘のいわゆる費用関係とかその透明性の問題とか、こういったのはやっぱり非常に重要な問題だというふうには認識しております。  ただ、これはまた別途研究交流の促進という観点で、これ、いろんな研究交流のやり方あるんですが、独法が実施主体になる場合とか共同研究する場合とか、あるいは企業の実施するプロジェクトに独法が参加する場合とか、あるいは企業の研究プロジェクトに独法職員が個人的に参加する場合とか、いろんな場合があるんでありますが、やっぱりそういう様々な場合においてその費用の負担とかそれをどうするかというルールの方の問題なのかなというふうに感じております。  私ども、そういう面で非常にこれは重要な問題を含んでいるというふうには認識しておりますが、いずれにしても、まずはやっぱり独立行政法人が自分の業務を一番よく周知しているわけですから、そこを、そちらでおいてまず責任を持って判断して御検討していただくべき問題なのかなというふうに考えているところでございます。
  77. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 いろいろなこういうものに携わると、国家的機密が漏れるとか、いろんな問題も出てくると思います。そこで、今後やっぱり在り方としてのルール作りというようなものも私は必要じゃないのかなというふうに思いますので、御検討いただければと思っております。  次に、職員の採用、この点について伺いたいと思います。  独立行政法人が非公務員化された場合、職員の採用は基本的に各法人の長なりの裁量になるんじゃないかと思うんですね。どういう採用試験をするかということもそれぞれが決めると思いますけれども、ひな形があって、それに横並びになるようだと思いますけれども、人間ですから、いわゆる情実採用とか口利きとか、いわゆるコネですね、こういうもので採用されるというふうな危険性だって出てくるんじゃないかと。まあ人間というのはそういう面も往々にしてありますから、その点を危惧するわけで、こうした事態を回避するためにはどういうふうな厳正な採用を行うかと、こういうこともやっぱり今からきちんとしておかないと、いや、ある日突然起きてみたら新聞に出ていたというようなことがあってはいけませんので、そういう採用の在り方というものもきちんとすべきじゃないかと思いますが、どういうお考えかをちょっと聞かせていただきたいと思います。
  78. 藤井昭夫

    政府参考人藤井昭夫君) 独法職員の採用の問題は、これ、先生御指摘されるまでもなく、やっぱりその法人の言わば人材確保、優秀な人材確保というのは一番重要なことでございますので、それが情実とか縁故採用とか、そういうことがあってはならないというのは当然のことでありますし、そういうことはまずはやっぱり独立行政法人の経営部門がまず一番自覚されるべき問題であり、自覚されているはずの問題であろうと思っております。  なかなか、私ども、独立行政法人通則法という制度を所管しているんですが、こういう人事運営については制度上は基本的にやっぱり独立行政法人自主性自律性にゆだねるという制度設計になっているということもございまして、まず、まあ言い方が口幅ったいんでございますが、やっぱり独立行政法人の経営部門のその自覚、そういったものを期待して、そういうこと絶対にないようにしていただきたいという、そういうふうに考えているところでございます。
  79. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 まあ、しっかりとやってください。  独立行政法人職員というのが公務員でなくなるのであれば、職員の昇給とか昇進、これもこれまで以上に厳正な人事評価を行わなくてはいけないと思います。だれが人事評価するかも分かりませんけれども、そういうのはやらなきゃいけない。いわゆる能力主義であるとか実績を示したとか、そういうことをしっかりやらなきゃいけませんけれども、こういった点はどういうふうに考えていますか、聞かせてください。
  80. 藤井昭夫

    政府参考人藤井昭夫君) 今先生が御指摘のところも、そもそも独法化したことの一つの大きなメリットと申しますか、重要なポイントだと思っております。どうしてもやっぱり、冒頭、親方日の丸の体質を脱却することが大事ではないかというような御指摘がございましたが、正にそのとおりでございまして、やっぱり公務員の身分というものを持っていると、一つ職員の意識のみならず、国家公務員法に基づく結構固い制度の制限がどうしても出てきております。  独法の経営を活性化するという意味では、やっぱり人事運営というようなのは大きな一つの手段であるわけでございますが、そういう人事運営に対してやはり国家公務員法というのはどうしても固い制限ということになるんですが、今回それを非公務員化するということで、正に民間企業における従業員と経営部門との関係と同一になるわけでございます。  したがいまして、やっぱり民間部門でいろいろ能力主義とか実績主義とかそういうようなのを盛んにやっておられるところですが、そういったことが独法の非公務員化によって可能になるんだろうと思っております。正にその経営手腕の発揮どころというふうに考えておりますんで、先生の御指摘を踏まえて、やっぱりそういった方向で各法人に頑張っていただきたいというふうに考えているところでございます。
  81. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 頑張っていただきたいと思いますでは、ちょっと物足りないわけでして、やっぱりしっかり人事管理とか、新しくやる制度ですから、やっぱりめり張りの利いた、こういうふうにきちっとやりますと。これだって、各独立行政法人になったら国の金を使ってやるわけですから、やっぱり本当に国民の期待にこたえてやれるような制度にしないと何ら変えた意味がなくなると思いますから、その点をよろしくお願いします。  それから、消防研究所ですけれども、今度、国に統合することになりますね。さっきからお話がありますように、片一方では独立行政法人になっているのに片一方では国に統合ということで、非常にそういう点、頭の整理が付かないような面もありますが、しかし私、消防研究所というのがどういう役割をしているかということを実際のところ分かりませんでしたが、ちょっと調べてみましたら、なかなか立派な仕事をされているなということも感じました。  例えば、平成十六年の中越地震が発生した際に、優太さんという幼児を救ったのはこの組織の人たちだったそうです。それから、苫小牧の石油タンクでの大火災のときも研究所の方々が出動して随分大きな役割を果たしたと、非常に立派な仕事をされたんです。  ところが、一般的にはまだ知られていませんね。先ほどもいろいろ質問があって、それなりに分かってきましたけれども、やっぱり消防研究所がどういう研究をやっているとか、現場の対応をどういうふうにやっているとか、そういうことを少しちょっとここでお話をいただきたいと思います。
  82. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 消防研究所は、消防の科学技術に関する最先端の研究を担う唯一の国の機関といたしまして、我が国の消防の高度化に関し重要な役割を担って、火災などの災害による被害軽減に大いに貢献をしてきているというふうに思っております。  特に近年は、火災等の災害の複雑化に対応できるように研究成果に基づく科学的知見を生かした災害事故現場での消防活動支援などの緊急時対応を実施するとともに、火災などの災害の原因究明による再発防止、被害軽減の徹底のための研究開発を実施をしてきております。  災害時対応につきましては、今お話ございましたとおり、平成十五年の苫小牧石油タンク火災に出動をいたしました。また、平成十六年の新潟県中越地震などの現場活動先ほどは妙見堰の件で御発言がございましたけれども、消防研究所だけがということではございませんが、その重要な役割を果たしたというふうに理解をしております。  過去三年間で十一件の実績がございまして、火災原因調査につきましては、今年の一月に発生いたしました長崎県の認知症高齢者グループホーム火災など、過去三年間で三十六件の実績がございます。  さらに、ここ五年間の研究開発の代表的なものを御紹介いたしたいと思いますが、ミスト噴霧消火システム、これは水量が四分の一ぐらいで消火ができるというマンション火災用の新型のノズルでございます。こういうものを開発をいたしました。さらには、ごみ固形燃料の爆発・火災に関する研究。また、地震被害想定システムの開発、これは私どものところでも非常に活用しておりますけれども、地震があったときに被害想定を直ちにできる、そういうようなシステムを開発しております。また、斜面崩壊現場の二次崩壊危険度予測システム、これが妙見堰で活躍したわけでありますが、それの開発、そういうものが挙げられると思います。  以上でございます。
  83. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 今回の見直しに当たりまして、危機管理機能の強化のために国の組織に返すんだと、こういうことでありますね。  ところが、国の安心、安全を守るということは、これはだれもが賛成なんですね。しかし、統合と同時に職員を減らすというのはちょっとおかしいんじゃないですか。必要な行革はしっかり進めるべきでありますが、人を減らすだけが行革じゃないと思いますね。やっぱり、国の安全、安心を守るということは、あるときは人を増やさなきゃいけないと思いますね。そうしなきゃ手が届かないじゃないですか。  例えば、矯正施設などは増えていますよね。これは、国の安全、安心、災害、そういった犯罪から国民を守ると、こういうことでしょう。それから、警察だって増やしているんじゃないですか。同じようなこの消防が人を減らすというのは私はおかしいと思います。やっぱり、国の安全、安心を守るためには、それは人の力というものは必要だと思いますが、この点どうですか。
  84. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 御指摘のとおりだと思いますけれども、研究所の国への統合に当たりましては、研究体制について一定のスリム化を図るということを前提といたしたわけでございますけれども、国として必要な消防に関する研究機能維持、確保するという観点から、研究員の数は最大限度現状を維持するということで、平成十八年度の研究活動予算につきましても、これまでと同程度の三億二千万円程度を確保をしているところでございます。  また、近年の災害の大規模化、多様化等を踏まえまして、国として災害時対応の強化が求められる研究分野に重点化をするということで、これに対応した組織に再編成することとしております。これによりまして従来の水準の研究機能維持できるというふうに考えているところでございます。  さらに、消防本庁に、消防庁の本庁に消防技術政策室というものを設置をいたしまして、NBC災害など災害の複雑多様化、国民保護法の施行など消防の役割の変化、少子高齢化による社会構造の変化などを踏まえた科学技術に関連する戦略を企画をさせるということとしておりまして、これによって時代の進展に伴い必要となる消防研究機能の充実強化を図ってまいりたいと考えております。
  85. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 時間が来ましたのでもうやめますけど、しっかりとやって、今の答弁ではちょっと物足らない感じがいたしますけれども、頑張ってやっていっていただくことを期待をいたしまして、終わります。
  86. 澤雄二

    ○澤雄二君 公明党の澤雄二でございます。  最初に、消防研究所研究テーマについて質問をさせていただきます。  今、景山委員が御質問の中にもありましたけれども、おととしの新潟の中越地震のとき、長岡市の妙見堰、あそこで母親と子供が土砂崩れに埋まりました。そのときにいろんなところから、東京からももちろん行ったんですが、消防隊員が出動をしてその母子救出に一生懸命作業に当たりました。母親は残念ながら亡くなったんでございますが、優太君は生きて救出をされました。そのときの映像が日本国じゅうにテレビで伝えられて、日本国じゅうが拍手を送ったんですが、実はそのときに、そのがけ崩れの現場で救出に当たっている消防隊員も、二次災害、あの現場は非常に危険な場所だったからいつもう一度土砂崩れが起きるか分からない状況の中で必死の作業をしていた。その二次災害を防ぐために消防研の職員が出動していたということは、実は余り知られていない事実であります。  何をしていたかというと、消防研が開発した予測技術システム、それは何か、崩壊面というんですかね、斜面というんですかね、その変化を察知する技術で、遠くからその斜面の変化を一生懸命観測をしていた。危険を察知すればすぐ、その下で作業に当たっている消防隊員に逃げろという合図を送ると。そういう作業を実は消防研の人がしていたということを今回初めて伺いました。  一体その技術はどういうものかというのを御説明いただけますか。
  87. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 中越地震の妙見堰におきましては、消防研究所だけでなく、大勢の緊急消防援助隊の皆さんの努力で貴重な生命が救えたということでございます。  今お尋ねの技術でございますけれども、がけ崩れ現場におきます土石の崩落危険評価技術ということでございます。救助活動に当たる消防職団員が二次的に発生する土石の崩壊によって生命、身体の危険にさらされることなく安心、安全に活動できることを目的として、平成十五年度より開発をしているものでございます。  土石の崩落危険評価でございますが、がけ崩れ現場の斜面の微妙な変位を離れたところからレーザースキャナーを用いて測定をいたしますとともに、地下水などのわき出しによる崩落面の温度変化を赤外線カメラで観測をし、二次崩壊までの猶予時間を予測をするということで行っております。この技術は、主として風水害により発生するがけ崩れを対象に開発をしてきたものでございますが、平成十六年十月に発生いたしました新潟県中越地震におきまして活用をして、効果を上げたところでございます。  この中越地震におきましては、消防研究所職員も現場に赴き、妙見堰のがけ崩れ現場におきまして二次災害防止のために土石の崩壊危険評価を行うことによって、緊急消防援助隊の救助活動を援護し、母子の救出を支援をしたところでございます。
  88. 澤雄二

    ○澤雄二君 我々の知らないところでそういうふうに貴重な生命を守るための技術を開発をされ、しかもそれが有効に使われているというお話を伺って、心から敬意を表するものでございます。  その技術に関連して引き続きちょっと質問をしたいと思うんですが、せんだってこの総務委員会でも私質問しましたが、今年日本海側が大変な豪雪に見舞われました。既に百人以上の方が亡くなりました。心から御冥福をお祈りしたいと思いますが、またボランティア活動で消防団員の方が大変活躍をされました。また、これに対しても感謝を申し上げたいというふうに思います。  私、前の総務委員会の質問のときに、この豪雪は実は異常気象ではなくて気候変動による豪雪で、大変な被害が想定されると。その被害の中には、春の融雪期の雪崩、これも大変危ないということを申し上げました。ただし、今のところ非常に幸運に、ところどころすごく暖かい日があるために、少しずつ解け始めていて、一気に雪崩が起きるというようなことがなさそうだと言われてますが、まだ油断はできません。  そこで質問なんですが、今言われた技術ですね、斜面の微妙な変化を察知する、どういう地下水が流れているかというのを察知する。つまり、これは雪崩が起きる前の現象に僕はすごく似ているんじゃないかと思うんですよね。だから、この技術を応用して、将来、雪崩を予測するような技術を開発することはできないかということをちょっと伺いたいと思います。
  89. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 先ほど答弁申し上げましたとおり、がけ崩れ現場におきます土石の崩落危険評価につきましては、レーザースキャナーと赤外線カメラを用いまして観測をしているところでございます。  雪崩の発生危険性の評価につきましては、地形、雪質、積雪の状況、表層の状況、変形の状況など多くの要因を考慮する必要があると思われます。  現時点で、土石の崩落危険評価技術を活用して雪崩の発生を予測することは困難であるというふうに考えております。しかしながら、消防研究所が行っております研究のうち、レーザースキャナーを用いて表層の変形状況の遠隔監視を行う技術につきましては応用できるものと考えられますので、積雪の状況把握、雪崩の発生前の変形状況等に関する知見を共有できるように、雪崩などについて研究している機関等と連携も視野に入れつつ、今後とも検討をしてまいりたいと思っております。
  90. 澤雄二

    ○澤雄二君 今年の豪雪が気候変動による豪雪だとすると、これは今年だけ特別だということではなくて来年以降も起こり得るということで、つまり大きな雪崩の危険というのはずっとこれから日本じゅうに起きることであろうと思います。  それから、雪崩の予測をするというのは、今世界じゅうでもすごい難しい研究だと言われています。ですから、どうか、今言われたように少しでもそのレーザー観察の可能性があるのならば、その辺の研究を進めていただきたいなというふうに思います。  続いて、消防研の研究テーマについて質問をいたしますけれども、先日、テレビのスペシャル番組を見ておりました。それは、首都直下型地震が起きたときを想定したスペシャル番組でありまして、そのときに、これも先ほど景山委員の質問にありましたけれども、十勝沖地震のときに、少し離れた、震源地から離れた苫小牧の石油タンク、コンビナートのタンクが炎上をしたということを例に引いて、もし首都直下型が来れば東京湾沿岸の京浜、京葉工業地帯の石油タンクからまず石油が漏れるだろうと。で、それは東京湾に流れ込むと。そこに、長周期ですか、でやってきた、石油タンクの火災の火が引火して、東京湾全体が大炎上するだろうというシミュレーションをしていました。  先ほども景山委員の質問にありましたけれども、その消防研の研究で開発された技術で、実はそういう地震が来た直後にその被害を想定できるシステムが開発されたというふうに聞きました。つまり、地震が起きた直後に被害が想定できるシステムということは、同時にそれは火災その他の被害から石油タンクを守るということに応用できると思うんですよね。そうすると、そのテレビがやっていた、スペシャル番組でやっていた東京湾大炎上というようなことはその技術で防げるのかなということをお伺いしたいと思います。
  91. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 石油タンクにつきましては、設置する地盤、タンク本体に関して技術基準を定めておりまして、さらに十勝沖地震等の被害を踏まえ浮き屋根の技術基準を強化するなど、耐震性については万全を期しているところでございます。  しかしながら、大規模地震が発生した場合には、震源から離れたところでも長周期の地震動などによりまして予想外の被害が生ずるということも考えられますので、耐震性の強化に加えて、地震が発生した場合に震度情報などのみで瞬時に石油タンクの被害状況を予測することができるシステム、この開発を今消防研究所で行っているところでございます。このシステムは、あらかじめ石油タンクの構造や地盤等に関するデータを入力しておきまして、地震発生時には震度情報等のみを入力することで被害を受ける可能性のある石油タンクを特定をするというものでありまして、石油コンビナート地域に地震計を設置し、実際に観測される地震記録に基づいて石油タンクに生じる影響を予測をするものでございます。  このシステムの開発によりまして、地震によって被害を受ける石油タンクを特定できますので、迅速に所要の被害拡大防止措置を行うことができる、石油タンクから大規模漏えいですとか火災、爆発が発生する前に適切な措置をとることができるものと期待をしております。このシステムの開発には各種データの収集ですとか実証実験なども必要でございますので、できるだけ早期に実現できるように努力をしてまいりたいと考えております。
  92. 澤雄二

    ○澤雄二君 消防研がそういうすばらしい研究をされているということについてマスコミも知らないということが明らかになったわけでございます。どうか、そういうすばらしい成果はいろんなところで公表されるように、それから、是非とも、東京湾炎上という事態はあってはならないことだと思いますので、いち早くその技術の確立を目指して頑張っていただきたいというふうに思います。  それでは、続いて情報通信研究機構に関連して質問をいたします。  いわゆる情報交換ソフト、俗に言われている暴露ウイルスとか言われているウィニーでございますが、これは我が日本の官庁でもこの被害に遭って、大変な被害を被っておって、この問題は大変深刻であると思いますが、この暴露ウイルス、実はウィニーだけではなくて、最近、山田オールタナティブというような新しいウイルスが出てきたようでございますが、このことについて認識をしていらっしゃるか。また、総務省の中でこのウイルス、実は被害に遭ったかどうかというのが分かりましたら教えてください。
  93. 竹田義行

    政府参考人竹田義行君) 山田オールタナティブという名称につきましては俗称のため、余り明確なことはお答えできませんけれども、感染したパソコンをウエブサーバーとして、パソコン内のすべてのファイルをインターネットから閲覧可能としてしまうウイルスと、こういったものの俗称というふうに認識しております。これらのウイルスは、主にウィニーを中心としたファイル共有ソフト上で様々なコンテンツに成り済まして流通しており、感染被害を引き起こしているものというふうに考えております。  なお、総務省内のパソコンにこのウイルスが感染した例は、これまでのところは聞いてございません。
  94. 澤雄二

    ○澤雄二君 この暴露ウイルスは、日本の官庁の中でも深刻な被害をいろいろともたらしているわけでございますが、総務省というのは通信行政をつかさどるところでございますので、このウィニー対策として一体どういうことをこれまでされたのか、教えてくださいますか。
  95. 竹田義行

    政府参考人竹田義行君) ウィニーの機能を悪用します暴露ウイルスにつきましては、総務省としても大きな問題として認識しており、効果的な対応を進めるべく、ウイルス対策に取り組む民間企業等との連携を推進してまいっております。  具体的には、ウィニーの機能を悪用する暴露ウイルスのうち、感染しますと特定のサーバーを攻撃するものにつきましては、感染したパソコンを特定することが可能であります。したがいまして、そこで電気通信事業者とウイルス対策会社、それからマイクロソフトとが連携いたしまして、当該ウイルスに感染したパソコンの所有者に対しまして、電気通信事業者からウイルスに感染している旨の直接通知をします。ウイルス対策会社が開発した無償のウイルス駆除ツールと、それからマイクロソフトが開発しました暴露ウイルスの駆除ツール、これを設置したウエブサイトに誘導いたしましてウイルスの駆除を行っていただくと、こういった取組が実施されているところでございます。  また、ウイルスを始めとした情報セキュリティー上の問題につきましては、技術的にも常に変化しておりますため、中長期的な視点から対策技術を開発することも必要であると考えております。このため、情報通信機構におきまして情報セキュリティーにかかわる各種の研究開発を実施しているところでございます。  今後とも、こうした施策を通じまして、ウイルス等の情報セキュリティーに係る対策が効果的に開発、実施されるよう、官民の役割分担も適切に踏まえつつ努力してまいりたいと考えております。
  96. 澤雄二

    ○澤雄二君 非常に御丁寧に御答弁いただいたんで、なかなか難しくて分かんなかったと思うんでありますが、簡単に言うと、要するに総務省としては、そういうものを退治するいろんなソフトとかノウハウとか技術とか、持っているところを糾合して一斉に対策に当たらせたと、そのコーディネートをされたという御答弁だというふうに私は理解をいたしますが。  今の御答弁の中で、中長期的にこの情報通信研究機構がそういうものの対策を研究する、それが目的一つだという御答弁がありましたけれども、我が国にとってこれ非常に大事なことでございますので、中長期的に一体どういうふうにそれを対処する研究がこの機構にあるのか、教えてくださいますか。
  97. 大森慎吾

    参考人大森慎吾君) 情報通信研究機構といたしましては、これまでもウイルスであるとか、インターネットにおける事故、障害を予防したり対策を講じるための研究開発を中長期的な観点から推進しているところでございます。  例えば、ウイルスであるとかというのは、不正アクセス等の攻撃に起因するネットワーク内におけるトラフィックの変化、あるいは不正な振る舞いに関する情報を収集したり、いち早く検出するための分析技術研究開発を行っております。これによって、感染等が広がる前にネットワーク事業者であるとかユーザーの方々に早期に警告を発したり、またウイルスや不正アクセスが発信された源、ソースですね、を突き止めるための技術にも取り組んでいるところでございます。    〔委員長退席、理事景山俊太郎君着席〕  当研究機構といたしましては、今後とも情報セキュリティー分野において民間では取り組むことが困難な研究開発関係機関と連携しながら積極的に実施いたしまして、安心で安全なネットワーク社会の構築に貢献していきたいと考えております。
  98. 澤雄二

    ○澤雄二君 ありがとうございます。  中長期的には、情報通信研究機構としては、要するに、そういう被害が出たら、被害が出た瞬間にいち早く対応、ネットワーク全体に被害が及ばないような対策を研究することができる、若しくは、そういうものが出てきたらそこから情報源を突き止めていくことができる、そういうことが多分研究開発目的として情報通信研究機構はできるんですよというお話を今いただいたんだというふうに理解をいたします。  ウィニーを始めとする暴露ウイルスの対応もそうでございますが、どうも日本の政府というのはサイバーテロに対して本当の用意はできていないんじゃないかという心配が常々言われているわけでございます。情報通信研究機構のこれからの役目は大きいと思いますので、どうか頑張って研究開発に励んでいただきたいと思います。  少し早めでございますが、大臣がお戻りになりましたので、質問を終わりたいと思います。
  99. 吉川春子

    ○吉川春子君 大臣が予算委員会から戻られましたので、質問をさせていただきます。    〔理事景山俊太郎君退席、委員長着席〕  まず、情報通信研究機構法についてですけれども、この情報通信研究機構は我が国の周波数国家標準に責任を持つ唯一の機関として標準周波数の設定及び標準時の通報を実施しているとお聞きしています。標準周波数の設定、標準電波の発射や標準時の通報などの業務は国民生活と社会経済の基本にかかわるものであり、極めて公共性が高い業務ではないかと思います。  私も、このパンフレットの説明を受けまして、さっきお話がありましたように、もうびっくりしまして、自分は後れている人間だなと思いましたが、新日本標準時発生供給比較システム、こういうものがあるということで、目からうろこというか、もう本当にびっくりしました。  こういう、本当に経済社会、国民生活を支える公共性の強い機関であるというふうに認識していますが、いかがですか。
  100. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員はびっくりというふうにおっしゃいましたけど、本当に同じ思いでございます。  NICTが実施しているこの標準周波数や標準電波に関する業務というのは、放送局やNTTの時報サービスの基準になっているわけでございます。また、既に千五百万台普及していると言われておりますけれども、電波時計ですね、それに正確な時刻供給するなど国民生活、社会経済活動の基本となっている公共性が高いものだと認識をしております。  公共性をどう認識しているかという御質問でございますので、極めて高い公共性を有していると認識をしております。
  101. 吉川春子

    ○吉川春子君 ところで、諸外国においては標準時関係の機関はどこが担っていますか。
  102. 松本正夫

    政府参考人松本正夫君) 諸外国ではとの御質問でございますが、米国におきましてはNISTと呼ばれている国立標準研究所、これは商務省、米国の商務省の所管の研究所でございますが、ここが実施しております。一部、軍もこの関係をしているというふうに聞いております。それから、英国におきましては国立物理学研究所、NPLという研究所でございます。ここは非公務員化された法人格を有しており、民間による運営というふうに聞いております。それから、ドイツにおきましてはPTB、ドイツ物理工学研究所、経済労働省所管の研究所でございます。それから、フランスにおきましてはSYRTEという、時空標準機構、経済財務産業省所管の法人、研究所でございます。  以上でございます。
  103. 吉川春子

    ○吉川春子君 まあイギリスの独立行政法人というのはちょっと違うという議論先ほどもありましたけれども、ともかく国家権力がこういうものを握っていると、アメリカは軍も握っていると、こういう性格の業務であると思います。  標準時の発生供給などは私はやはり国家権力が担うべき業務かなというふうに思うんですけれども、独立行政法人情報通信研究機構ができたときに、これは公務員型の、職員公務員型にいたしました。その理由について政府は、周波数の標準値の設定及び標準時の通報という国民生活の基本となる仕事をやっているからだというふうに説明をしておりました。そして、業務の性格上、公務員が行うべきだとしていたわけですけれども、今回これを非公務員型にするということは、業務の性格が変わったというふうなことなのでしょうか。
  104. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 先ほど申し上げましたように、このNICT標準時の通報等の業務というのは、これは国民生活、社会全体の活動の基盤になっているわけでございまして、その業務の停滞がもし生ずれば、これは国民生活や経済社会の安定に非常に著しい影響を及ぼすというふうに思います。そうしたことも踏まえて、平成十六年四月の発足時にはNICT公務員型の独立行政法人としたという経緯は事実でございます。  一方、NICTでは、先ほども少し御説明がありましたけれども、平成十八年二月から新日本標準時システムの運用を開始をしております。システム多重化による信頼性を高める高信頼化、そして停電対策の強化等が実現されていると聞いております。  したがいまして、業務の性格は従前とは変わらないわけでございますけれども、今申し上げましたような、まあ一種の技術進歩、技術の革新によるシステムの強化だとお考えいただけるわけですけれども、こうした取組によって緊急時においても業務を安定的かつ継続的に遂行することができるようになったという技術環境の変化があったと認識をしております。非公務員型の独立行政法人に移行した場合にも特段の支障がないというふうに我々としては判断をしたところでございます。
  105. 吉川春子

    ○吉川春子君 その業務の性格が国家が行うべきことであるとされていたわけですから、いいシステムが開発されたからというのはちょっとその理由にはならないように思うわけです。  まあ、あえて伺いますけれども、例えばそのシステムが故障したらどうするんですか。
  106. 松本正夫

    政府参考人松本正夫君) 先ほど御紹介いたしましたように、今回新しいシステム導入しました結果、精度の向上はもちろんでございますが、システム多重化の高信頼化ということで、現在二系統の予備系統がございますが、それを三系統にすると。あるいは、停電対策で電源供給、停電時の電源供給を大幅に拡充したということで、災害時におきましても、万が一何らかの障害が発生してこの運用が止まるということがあっても十分その予備機に切り替わるということで、この安定的なサービスの提供が可能であるということで今回そういう判断をして、非公務員型でも運用できるという判断をしたものでございます。
  107. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうすると、機械が発明されれば、公務員は要らなくなるわけですね。機械がみんな取って代われると、こういうような説明に聞こえまして、もう私はちょっとこれは全然説明にも何もならないなという思いがいたしました。  それで、もう一つ伺いますけれども、その非公務員型の導入によってこれまで公務員として働いてきた正規、非正規の職員の今後の雇用労働条件についてはきちっと守るべきだと思いますけれども、その点はどうなっていますか。
  108. 松本正夫

    政府参考人松本正夫君) 非公務員型の職員の取扱い、職員の雇用条件等についてでございますが、今回の法案におきましても、現にNICT職員である者については移行後もNICT職員となるという旨の引継ぎに関する規定が設けられているところでございます。  また、移行後の職員の労働条件につきましては、常勤、非常勤を問わず、従来の国家公務員法の適用から外れまして、労働法制の下、労働協約や就業規則等において定められるということになるわけでございますが、この労働協約は労働組合との合意の上で締結されるものであることと、それから、就業規則の作成に当たっては労働者代表の意見を聴取する必要があること等の労組法、労基法の法律の規定に基づきまして、NICT職員の労働条件につきましては、職員の意見を十分に踏まえて策定されるものというふうに認識しているところでございます。
  109. 吉川春子

    ○吉川春子君 竹中大臣にお伺いしますけれども、今までも今も、公務員が担うべきそういう業務が、機械が優秀なのができたからこれは機械に任せればいいから民間でもいいって、これは全然説明にならないと思うんですけれども、大臣は、機械に任せるからいいんだと、そういうお考えで今度の非公務員化という法案を提出されているわけですか。
  110. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 機械に任せればいいという言い方はちょっと適切かどうかという思いはいたしますが、先ほど言いましたように、やっぱり多重な、多層的なといいますか、多重なシステムがつくられて、そしてそういったものに対して、従来よりは人の労力を介さないでもある程度のクオリティーのサービスがしっかりとできるようになったというのは、これはやはり技術環境の変化としてはあるのだというふうに思います。  もちろん、委員指摘のように、この業務の公共性、重要性というのは変わらないわけです。いや、むしろ重要になっているかもしれません。しかし、それをサポートする体制、組織体制というのは、技術の変化も踏まえれば今回の新しいシステムでも十分に可能ではないかというふうに私たち判断をしたわけでございます。決して、何か人から機械任せにするとかそういうことではなくて、やはり利用可能な技術を最大限活用して、そして効果的、効率的に公的な、必要な業務を提供していくということは、これは常に必要なことであるというふうに思います。
  111. 吉川春子

    ○吉川春子君 全然やっぱり説明に合理性がなくて、やっぱり最初に非公務員化ありきかなという感じがいたします。  大臣、もう一つ、今度は独法消防研究所の問題についてお伺いいたします。  今回、消防研究所解散すると、そして消防庁に統合するという法律なんですけれども、その業務の性格からいっても、独立行政法人ではなくて国の機関にしていくということについては私たちは賛成できます。  先日、その消防研究所を訪ねて研究の現場を視察させていただきましたけれども、総合的な消防防災に関する唯一の国立研究機関として非常に重要な業務を担っているということを実感いたしました。消防庁への統合によって、これまでの消防防災の基礎的な研究役割を損なうということはないのでしょうか。その点いかがですか。
  112. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 我々としましては、消防研究所が本当に重要な機能を果たしているという認識の下に、今委員指摘のような問題が生じないように、制約はありますけれども、その制約の中でしっかりと必要な役割が果たせるような仕組みをつくったつもりでございます。  統合に当たりましては、事務管理部門については一定のスリム化を図るわけでございますけれども、研究については、近年、災害が大規模化して多様化しているということを踏まえて、国として災害時対応の強化が求められる研究分野に重点化を図る、そしてその一方で、研究予算に、関連予算については、これは独法のときと実質的に同程度を確保する、そういうことをしております。  また、その機能を高めるための工夫というのはいろいろやったつもりでございまして、消防庁の科学技術戦略の企画を担う組織として新たに消防技術政策室を設置するわけですけれども、そこと連携を取ることによって、災害時対応等に関する政策、それと消防機関の現場活動への反映等を可能として、国の消防機能全体が強化できるようにというふうに考えたつもりでございます。  また、国への統合に当たりましては、高度研究機能研究と教育というのはコインの両面で相乗効果がありますので、全国消防機関の幹部教育訓練機関であります消防大学校の内部組織として消防研究センターを設置をいたします。そして、地方の現場のニーズを把握して、そして実践的な研究成果を地方に普及させるというようなことを通して日本全体の消防の科学技術開発のレベルアップを図っていきたいと思います。  この新たに設置します消防研究センターは、引き続き消防の科学技術に関する最先端の研究を担う唯一の国の機関でございまして、消防の高度化に関して重要な役割を是非担わなければいけないというふうに考えております。
  113. 吉川春子

    ○吉川春子君 国の直接こういう業務を行うということ自体は私たち反対ではない、賛成なんですけれども、人員の五割削減ということが非常に大きな問題だと思っています。  行政改革推進本部から消防研究所と防災科学研究所の統合若しくは独立行政法人の非公務員化を迫られて、消防庁は、消防研究所業務には公権力の行使があり非公務員化はなじまないとして今回の決定をしたわけですけれども、その際、独立行政法人に関する有識者会議、〇四年十二月七日は、移行要員の五割の削減の方向性を示しました。  そこで伺いますが、政策評価独立行政法人評価委員会が有識者会議と同様に五割削減の勧告を出した、その理由というのはどういうものでしょうか。
  114. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員指摘のように、政策評価独立行政法人評価委員会平成十六年の十二月十日に消防研究所事務事業に関する勧告の方向性を取りまとめております。そして、同研究所事務事業については、まず緊急事態対応といった危機管理機能の強化及び行政の効率的実施の観点から、要員を削減した上で消防庁に統合、吸収すべきということを指摘しているわけでございます。これは法人の組織業務全般にわたる見直しを通じまして、緊急事態対応など公務員が担うことが真に必要な業務について、これは必要なことはやる、しかしその上で、業務について厳しく精査の上で、その業務を担う要員を消防庁に移行させると、そのような考え方。  委員の御質問は、その理由ということでございますけれども、正に業務を純化して、効率化して純化して、その上で国がやるべきことをしっかりやれと、そのような理由で勧告があったというふうに理解をしております。
  115. 吉川春子

    ○吉川春子君 総務省独立行政法人評価委員会、これは〇四年八月十日に、消防研究所国家公務員組織として災害、事故への対応が十分できるように充実強化するとの見解、見直し案を了承しています。さらに、〇四年の十二月の十日、同じく同委員会総務省評価委員会では、国民の生命、財産を守るための調査研究、災害対応に必要な人員に十分に考慮すべきとの意見をまとめています。  二度のこうした意見にもかかわらずに、独立行政法人有識者会議の意見を優先して消防研究所解散される、そして人員を削減すると。一番よく知っている総務省独立行政法人委員会の意見よりも有識者会議の意見が優先していると、これは一体どういうことなんでしょうか。
  116. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 我々としては、最終的に総務省が、その責任者である私どもが一つ判断をしたということでございます。  専門家からの御提言は御提言としていただいた。しかし、機能を充実強化させる、その思いは私たちも同じでございます。しかし同時に、今のような厳しい状況下で組織、要員のスリム化はやはり果たしていかなければいけない。大変、ともすればトレードオフの難しい問題ではありますけれども、やっぱりそれをどこかで両立させていかないと現実の行政はできません。  その意味では、今回、組織、要員のスリム化実現しながら機能を充実させる。それは、先ほど言いましたように新たな室を設けてそこと連携するとか、そういう教育と研究、コインの両面をしっかりと機能するようにするとか、そういう形で我々としては精一杯の対応を行ったつもりでございます。
  117. 吉川春子

    ○吉川春子君 国立公文書館の問題についても、内閣府の行政評価委員会ですか、これの意見を無視された格好になっていて、じゃ、各省庁にあるこういう独立行政法人評価委員会の存在意義というのは一体何なんだと、こういうことが疑わせるような今回の結果ではないかと思います。  時間がないので最後の質問なんですけれども、消防防災の基礎的な研究など、本当に国民の安全にかかわる分野にわたって人員も予算も拡充していくというのが当然だと思います。先ほど来お話が出ておりました中越地震で土砂から皆川優太ちゃんが救出されたと、こういう報道も非常に感動的でしたけれども、こういうような消防研究所研究員のその働きというのは国民がみんな高く評価しているわけですね。でも、小泉内閣の構造改革というのは、こういう業務を担っている国民の安全にかかわる人員も例外なく削減していくと、こういうことなんでしょうか。私はそこはもう本当に許せないと思います。大臣、いかがですか。
  118. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これは、今、優太君の救出の話が出ましたが、これは閣僚懇でも大変話題になりました。我々閣僚一同、やっぱりその際の本当に消防の役割というのを物すごく高く評価し、非常に強くインプレスされたという思いが私にもございます。  これ、委員は例外なく削減していくというふうにおっしゃいましたけれども、決してそうではないわけです。これは本当に必要なところに集中と選択で、必要なところには人員を付けていかなければいけないわけです。本当に必要なところに必要な資源を回すためにも、それ以外のところはやっぱりスリム化していかなければいけない、私たちはそういう思いで改革をしているつもりでございます。必要なところに本当に必要な資源が行き渡るように、そのめり張りをいかに付けられるかが私たちの課題であり責任であると思っております。
  119. 吉川春子

    ○吉川春子君 時間が来たので終わりますが、本当に必要なところがここじゃないですか。こんなところを削減するということに対して納得ができません。  終わります。
  120. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  消防研究所問題、随分と与野党問わずに重要だという話が出ております。そもそもこうした公共的な性格の強い、そして防災や救助など極めて重要な機関を独立行政法人に変えたこと自体にむしろ無理があったのであって、再び政府の直轄に戻すということでありますから、このことそのものについては賛成であります。むしろ、あのときにばたばたと看板の掛け替えで独法化された他の多くの政府機関の中にも同じような問題点があるんではないかと、こういう懸念がありますし、そういう意味では大臣にも柔軟にここらのところは見直すべき、このことをまず申し上げておきたいと思います。  そこで、この消防研究所の再統合に際しての問題ですが、今ほども出ておりましたが、定員がほぼ半分に減らされる、こういう格好で、ましてその統合先が消防大学校だということですけれども、大学校は元々自治体における消防幹部の養成機関であって、人の出入りも短期間で非常に多い場所ですから、この目的や予算の使い方など、必ずしもこの研究所としっくりいくとは私には思えないわけです。そういう点で、この無理なスリム化と統合によって消防研究の今までの成果が停滞をしたり、あるいは断絶したりすることがないように、くれぐれも十分この特性を生かした目配り、気配りというのがやられるべきだと思いますが、改めてそれに対する考え方を伺いたいと思います。
  121. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 消防研究所の国への統合に当たりましては、国として必要な研究機能維持確保しつつ行政の効率的実施を図る観点から、アウトソーシングですとか、そういうものを活用した職員が直接行う事務や事業量を軽減をし、消防大学校との総合部門の共通化ですとかマネジメント部門の簡素化などを行うことによりまして効率化を図ったところでございます。これに伴いまして、消防大学校の事務処理は従前に比較して大変厳しくなることは否定できませんけれども、総務省消防庁から必要な支援を行うほか、工夫と努力で対応していきたいと考えております。  また、研究につきましては、近年の災害の大規模化、多様化等を踏まえまして、国として災害時対応の強化が求められる研究分野に重点化をするということで、研究関連予算につきましても独立行政法人時と実質的に同程度を確保しております。消防庁の科学技術戦略の企画を担う組織として新たに消防技術政策室というものも設置をいたしますので、それとの連携によりまして災害時対応等に関する政策や消防機関の現場活動への反映などを可能とすることなどによりまして必要な研究機能を確保をできるものと考えております。
  122. 又市征治

    ○又市征治君 まあ消防問題は随分と出ましたからこの程度にしておきますが、是非長官はそこらの目配り、気配りをしっかり頑張ってもらいたいということを申し上げて、情報通信研究機構の問題に入りたいと思います。  この問題に入る前に、どうしても思い出すのが基盤技術研究振興センター、以下基盤センターというふうに申し上げますが、このことを思い出すわけであります。この基盤センターは、この研究機構とよく似た事業、すなわち情報通信企業に対する支援、投資をやってきまして、ついに出資が回収できずに解散、つまり倒産したわけですね。結局、二千八百億円ほどの政府の出資金をIT企業に出資という形でばらまいて、回収できずに二〇〇三年三月末で解散をした、こういうことになっています。  この基盤センターの解散のときの政府出資金の毀損の具体的な姿、すなわち基盤センターからの投資等の残高の主な出資先、金額、当初の出資目的を大まかに説明をしてください。
  123. 竹田義行

    政府参考人竹田義行君) 基盤技術研究促進センターは、基盤技術研究円滑化法に基づきまして民間における基盤技術に関する試験研究を支援するために、民間企業等が情報通信分野の基盤技術研究について研究開発会社を設立して実施する場合等に出資を行っていたものでございます。  昭和六十年度から平成十三年度まで、総額二千八百八十五億円を百十二社に出資いたしております。そのうち平成十四年度末までに九十五社、出資額二千八百五十七億円の株式処分が行われまして、その間の回収金は九十一億円、欠損金の総額は二千七百六十五億円でございます。その結果、平成十四年度末におきます同センターの出資先は十七社で、出資額は二十八億円となっております。  また、同センターの主な出資先のうち、情報通信分野につきましては、株式会社国際電気通信基礎研究所、ATRの関連会社等に出資が行われております。
  124. 又市征治

    ○又市征治君 大臣、お聞きのとおりなわけですが、この基盤センターの破綻、出資金毀損の教訓をどのようにお考えになっていますか。
  125. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員指摘のように、過去のこのセンターのやっぱり教訓を整理することは私も本当に重要であろうと思います。  これは、考え方としてはいろいろあるんだと思うんですね。出資するということは、ある意味でそのオーナーになるわけで、キャピタルオーナーになるわけで、非常に強いコミットメントがあるはずなわけですけれども、現実にやっぱりそうはならなかった。資金が固定されてしまうという安心感から恐らくお金を出しっ放しになって、その意味でのしっかりとした目配りができなかったということであろうかと思っております。その意味で、配当等によって十分回収されなかったということは事実だと思います。  これを受けまして、平成十三年に基盤技術研究円滑化法を改正いたしまして、いわゆる出資方式から委託方式に改めるということにしたわけでございます。この委託方式による現在の民間基盤技術研究促進制度がどういうふうになっているかといいますと、収益性のチェックを行って収益性があるものに限定してそのプロジェクトを採択する。いわゆるバイ・ドール方式を採用してリターンが確保できるようにする。中間評価、事後評価によって事業家をフォローする。そして、特許による収入を前提としたものではなくて、収益又は売上げの方式を適用するということで、恐らくいろんな形で接点ができて、それでリターンが、リターンの開始が余りに長期にならないようにいろんな仕組みを工夫したということだと理解をしております。  民間の創意、活力を最大限引き出しながら、制度の効率性を確保する、成果の積極的な活用を図っておりますので、あとはこれを本当に、新しい仕組みを作っているわけですから、運用をしっかりやっていくということだと思っております。
  126. 又市征治

    ○又市征治君 そこで、幾つかこの研究機構について伺ってまいりますが、まず、旧基盤センターと非常によく似た名前の事業を行っていますね。民間基盤技術研究促進業務というわけですが、事実上旧基盤センターと同じことを繰り返しているんじゃないですか。相手先の民間企業についてどんな違いがあるのか、まず述べていただきたい。大臣から今いろいろとお話がございましたけれども、委託先の中には旧基盤センターが債権放棄、帳消しにした同じ企業も含まれているんじゃないですか。
  127. 竹田義行

    政府参考人竹田義行君) まず、基盤技術研究促進センターにおける欠損金は主に……
  128. 又市征治

    ○又市征治君 いや、それはもう分かりましたから。
  129. 竹田義行

    政府参考人竹田義行君) はい、分かりました。  現行の民間基盤技術研究促進制度では、基盤センターは新設された研究開発企業に対する出資という形でしたけれども、新しい制度では、民間から広く研究開発課題を公募して、その事業性等も含めた観点から厳しく審査をした上で採択をしております。出資方式ではなくバイ・ドール方式による、バイ・ドール法による研究委託方式ということを採用してより受託企業のインセンティブを高めていると、こういうことによりまして、従来の制度と比較しまして一定の納付額が期待できるものというふうに理解しております。  また、委託先につきましては、これは情報通信研究機構外部評価委員会におきまして、技術性それから事業性、この両面の観点から公正な審査を行った上で採択をしておるところでございます。  それから、委員指摘の、債権放棄の企業が含まれているのではないかという御指摘でございますけれども、国際電気通信基礎技術研究所につきましては、基盤センターから出資しておりますのは、このATRの関連会社に対して出資をしておりまして、これらの会社につきましてはすべて清算済みでございます。  なお、現行の民間基盤技術研究制度におきましてATRが実施する研究開発、これはATR自身が研究開発をするわけですけれども、これを採択する際には、先ほど申し上げましたとおり、繰り返しになりますけれども、NICT外部評価委員会において技術性等事業性の観点から適切な審査を実施しているものというふうに認識しております。
  130. 又市征治

    ○又市征治君 ちょっと観点を変えてお聞きしますが、私は、このほぼ同じ目的、同じ相手に対して方式を変えて投資しているんじゃないか、こんなふうに思えてならぬのです、資料見させていただくと。投資してないから再び毀損するおそれはないというふうにおっしゃるんでしょうけれども、新方式、つまり委託先企業で利益が上がったときにその一定割合を納付させるという方式、つまりバイ・ドール方式というふうにおっしゃるんでしょうが、これでは先方に利益が上がらなければ永久に納付は得られない、こういう契約ですね。つまり、最初からリターンは保証されていない。委託を受けた企業側にほとんど一方的に有利な契約方法じゃないかと思うんですが。  そこで、お聞きするのは、これになって三年間、この間に実際に機構が納付金を受け取った例があるのか、またそれはどういうプロジェクトのどんな利益から納付を受けたのか、この点、端的にお答えください。
  131. 竹田義行

    政府参考人竹田義行君) 平成十三年度からこの民間基盤技術研究促進制度が創設された際にバイ・ドール方式が採用されたところでございますけれども、このバイ・ドール方式によります研究開発委託契約のうち委託先から納付金を受け取った例としましては、平成十六年度に委託先一社から三十八万円を受け取っておるところでございます。  この研究開発の中身でございますけれども、インターネット上のマルチメディアデータをモバイル端末により、高い操作性を持って処理、検索するためのシステムについての研究開発を行っております。この成果を活用して、委託先が製品を実用化、販売したことに伴い、当該委託先から情報通信研究機構に納付があったものでございます。
  132. 又市征治

    ○又市征治君 三十八万円ですね。全然、もうリターンが低いどころかほとんど問題外、こういうふうに言わざるを得ないわけですが。  ほとんどそういう意味実現されないバイ・ドール方式というのは、じゃ一体全体、BS、貸借対照表の上ではどのように表されるのか。この基盤技術研究促進勘定を見ますと、政府から毎年百億円前後の出資を受けて資本に計上をしてきたので二〇〇四年度末では資本は四百三十八億円、こういうことになっている。積み上がったように見えます。ところが、その資本のすぐ下に欠損金という欄があって、ここがどんどん膨らんでいて二〇〇四年度末で三百六十八億円。  これが実態であって、回収できないこれは資本ですね。極めて不自然な扱いですよ、これ。実態はほとんど補助金に限りなく近い、こう申し上げざるを得ない。そうすると、来年も再来年も政府から百億円前後出資をして、これを受けた機構ではこうやってまた欠損金が膨らんでいくと、こういう勘定になるんですか。
  133. 竹田義行

    政府参考人竹田義行君) 研究委託とそれから資産計上の関係でございますけれども、特許等の知的財産権はバイ・ドール方式として原則として受託者に帰属しておりますので、この研究開発成果を活用して事業化を行って、売上げの一定割合を研究開発機構に納付するという仕組みでございまして、このときに情報通信研究機構と受託者との間で納付契約がございます。これは、将来納付があった場合に、納付時において納付額を収益計上すべきものというふうに考えております。  また、特許権等の知的財産権は受託者に帰属することになりますので、先ほど指摘のとおり、情報通信研究機構の貸借対照表には計上されていないと、こういうことになります。
  134. 又市征治

    ○又市征治君 あなたは全然違う答弁なさっているんじゃないですか。私は、どんどんどんどん欠損金が膨らんでいくんじゃないですかと、こう申し上げているんで、全然意味が違うと。時間がないから次のところに移りますけれども、ちゃんともう少し正確に聞いてくださいよ。  そこで、基盤センターのこの手痛い教訓など、主に産業投資特別会計の乱脈な投資ぶりの結果を反省した結果、政府の特別会計改革の方針では、研究開発法人への出資等は明らかなリターンが見込めない限り順次引き揚げるし、新たな出資をしないと決められたんじゃなかったですか。なのに、情報通信機構の収入における政府の出資金というのは、合併後の二〇〇四年度に九十八億円、二〇〇五年度には百三億円と依然として高額の政府出資が行われている。  これは一体なぜなのか。機構への出資元が特別会計ではなくて総務省一般会計だからこういう格好で見逃されているのかどうか。いずれにしても、政府から機構へは出資で、その同じ金が機構からは企業へ委託という格好で行く。ほとんど返済義務がもう緩い。こんな格好になっているんじゃありませんか。  この点、大変に政府の方針自身に反するんじゃありませんか。
  135. 竹田義行

    政府参考人竹田義行君) まず、研究開発必要性でございますけれども、情報通信分野の研究というのは、科学技術基本計画におきましても重点四分野の一つとして位置付けられておりますし、この分野の民間における基盤技術研究の支援というのは我が国の基盤技術向上のために必要な事業でありまして、引き続き本事業を適切に実施していくということが必要という考えの下に必要額を毎年産業投資特別会計に要望しております。  先ほどリターンの話がございましたけれども、私どもとしましては、NICTが実施しておりますこの業務につきましては、事業性というものを厳しく審査することによってリターンの確保に努めてまいりたいと思っています。  先ほどまだ収益が少ないと申しましたけれども、これ制度平成十三年度から始まったものでございまして、まだ十六年度の決算しか出ておりませんので、これから以降、その推移を私どもとしては期待しておると、こういうことでございます。
  136. 又市征治

    ○又市征治君 この政府出資金を機構は収入としてそっくり同額、支出の項目の民間基盤技術研究促進業務関係経費として支出しているわけですよね。その主な出資先企業は一体全体どういうところなんですか。そして、これはどういう契約で、リターンはどういう場合にあるのか、もう一遍説明してください。
  137. 竹田義行

    政府参考人竹田義行君) まあ、例示で御説明させていただきたいと思いますけれども、平成十六年度の新規採択案件につきましては、三菱電機株式会社、株式会社メディアフュージョン、株式会社国際電気通信基礎技術研究所、三菱プレシジョン株式会社、株式会社ケイ・ジー・ティー、沖電気工業株式会社に対して、十六年度で合計で約九億円を支出しております。  例えば、この中で三菱電機に研究委託をしている内容は、移動体向けの超高速通信用衛星搭載ビーム形状可変マルチビームアンテナ装置の研究開発というものでございまして、まあ最終的には衛星搭載装置の小型化とか軽量化、低消費電力化、通信速度の高速化といったようなものがこの技術によって期待されております。この研究成果を活用して衛星搭載用のアンテナ装置が販売されることによりまして委託先事業収入が生じることが見込まれておりまして、これは委託先の契約に基づき、その売上高に応じて情報通信研究機構に一定の納付が行われるものと期待しております。
  138. 又市征治

    ○又市征治君 時間が参りましたが、もう一、二点聞いてから大臣にお伺いしようと思ったんですが、最後に大臣にお伺いをしておきたいと思うんです。  どうもこの、ここの独法は、先ほども出ましたが総務省高級官僚の天下り、そしてIT企業の幹部ばかりが役員です。この人たちの役員報酬や再天下り先を保証するため、あるいは大企業に研究促進という名前で税金を流すためにわざわざ独法を作っておるんではないか、こう疑われても仕方のない、自ら行政評価をやってきているはずの総務省としては本当に私は疑問があってしようがありません。五百億円もの業務をトンネル化する独法という、こういうルーズな形態そのものを取らずに、国民環視の下、役所でやれば済むことであって、非公務員化することはますます経営責任をあいまいにし、国費を浪費するおそれがあるんではないかと思うんです。これが一体改革なのか、こう言わざるを得ないわけでありまして、大臣の見解を伺って終わりたいと思います。
  139. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) こういう研究開発研究関連のこの評価というのは本当に難しいですし、気を付けてやらなければいけないと思います。その意味では、委員の御指摘、我々も改めて厳しく受け止めなきゃいけないと思います。  特に、そのリスク評価と、長期的な、特にこれは基礎的なものでリスクのあるものをやっていますから、懐妊期間が大変長いものが多いと思われますので、これしかし本当に今、回収なり成果がまだ十分上がっていないという御指摘があって、これはまだこれからですという答弁をさせていただいているわけですが、これ中期的に本当にちゃんとしたものになってなかったら、これは本当にあれですね、しっかりとした責任を示さなきゃいけなくなるんだと思います。当然のことながら、そういうチェックは我々はしっかりとしていくつもりでございます。そこは、独法になってその中期期間の見直し、大変厳しく自らに課してやってまいりたいというふうに思います。
  140. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十四分散会